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大宮勇「晶ちゃん、ちょっといい?」 蒼井晶「なんですかぁ?」?」
-
勇「今日の撮影、ちょっと調子悪かったんじゃない?」
晶「えー、そんなことないですよぉ」
勇「そう? それならいいんだけど……」
晶「っていうか、私ホントに勇さんに憧れちゃってるんですよー?」
晶「勇さんみたいな美人さんと一緒に仕事できて、晶ラッキー、アキラッキー、って感じです!」
勇「そう? それならいいんだけど」
晶「どうかしちゃったんですかー、勇さん?」
勇「ううん、何でもないわ」
晶「そうですかー! それなら万事オッケーですねっ!」
勇「そうね。そうなのかもね」
勇「それじゃ晶ちゃん、またね」
晶「あっ、お疲れ様でしたーっ!」
勇「うん、バイバイ」
勇「……あっ、そうそう。晶ちゃん」
晶「なんですかぁ?」
勇「晶ちゃんは、いつも笑ってて凄く可愛いと思うけど」
勇「目だけが笑ってないかもね、って……今日の撮影で思っちゃった」
晶「……」
勇「ごめんね、ヘンなこと言っちゃって」
晶「いえいえっ! そーいうアドバイス頂けちゃって、アキラッキーって感じですし!」
勇「……良かった」
勇「ごめんね。それじゃ、また今度」
晶「はいっ!」
-
晶「……」
晶「――あー」
晶「うっぜえ……マジうっぜえ」
晶「やってくれるじゃん、大宮勇……!」
晶「あの『みんな分かってるのよ?』みたいな言い方、マジでムカつきすぎるんですけどー……」
晶「なに? そんなに誰からも美人って言われてると、人の心まで読めちゃうんですかー?」
晶「まぁ実際、認めちゃわないとダメなくらいの美人なんだけどさー……あー、ムカつくムカつくムカつくッ!」
晶「ってことは、アレ? 今日、私と一緒にペアで写真撮ったのが気に入らなかったって感じ?」
晶「だから『私のためにも、もう少し気をつけてね?』ってことなんですかー? 腹黒ですねー、大宮勇さんって!」
晶「……」
晶「チクショウ……」
晶「何なんだよ……あの女と私の何が違うんだよ……!」
勇「……」
勇(晶ちゃん)
勇(気づいてないかもしれないけど、肌荒れが目立っちゃってたわね)
勇(メイクしてても、この世界にいるのが長いと分かっちゃうこともあって……)
勇(モデルの子の肌、目つき、表情……あと、ちょっとだけ気持ちとかも)
勇(だから……)
勇「もしかしたら、私って……晶ちゃんに嫌われちゃってるのかもね」
-
スレタイミスったって、はっきりわかんだね
-
勇「でも」
勇(晶ちゃんと仲良くなれなかったら、コンビでの撮影は難しくなっちゃう)
勇(モデル業で、コンビとの仲が悪かったら……やっぱり、そういうのって見てくれてる人は気づいちゃうものだから)
勇(ってことは、私は晶ちゃんと仲良くしなきゃいけないわけで……)
勇「……いや、そうじゃないか」
勇(こういう打算的な話もあるけど、それを抜きにして)
勇(私は、もっと晶ちゃんと仲良くなりたいって思ってるのはホントなんだから)
勇(――そうね、それこそ)
忍「あっ! お帰りなさい、お姉ちゃん!」
アリス「イサミ、お帰りなさいっ!」
勇「ただいま、二人とも」
勇(この子たちより年下なんだもんね、晶ちゃんは)
勇(……不安定にならないわけないよね)
忍「お姉ちゃん、どうかしましたか?」
勇「……う、ううん、しの」
勇「なんでもないわ」
アリス「イサミ、お風呂湧いてるから。ね?」
忍「お疲れなら、疲れを取って下さい。お姉ちゃん」
勇「……二人とも、ありがとね」
勇(こうして優しくしてくれる妹たちがいるのなら)
勇(きっと、そうね。晶ちゃんをフォローしてあげないとダメだし)
勇(それより……晶ちゃんが、ちゃんと笑ってくれないと、よね)
忍「……お姉ちゃん、大人な顔してます」
アリス「え、そうなの?」
忍「はい。昔から、何か思う所があると、ああいう顔をしてましたから」
アリス「そうなんだぁ……へぇ」
勇(わっ、いつの間にか、からかわれちゃってる?)
勇「……わ、私、お風呂に入ってくるわね」
-
晶「ふっざけんじゃねえよ、ババア!」
晶「何ですか、私がちょっとでも調子悪かったら……そういう顔するんですかぁ?」
晶「うっせえよ! 私は、どうあがいたって……アイツみたいには」
晶「『アイツって誰?』……教えるわけねえだろっ!」
晶「……」
晶「――チクショウ」
晶「何でなんだよ……どうして大宮勇と撮影したら、こんな気分なんだよ?」
晶「コンビだぁ? 笑わせんじゃねえよ!」
晶「あの女……見てるだけで、余裕って感じと幸せって感じが伝わってきてさぁ」
晶「なんなんだよ? あたしはなんなんだよ!?」
ピルルク「……」
晶「――あ、そっかぁ」
晶「そうだよねぇ……アンタがいたよねぇ?」
ピルルク「……私は、何も言わない」
晶「だよねぇ……ピルルクたんさぁ」
ピルルク「ただ」
ピルルク「このままじゃ、次のバトルが危うい」
ピルルク「だから、私は提案する」
晶「へぇぇ……何だか、いつもよりずっと喋ってるなぁ?」
ピルルク「……相手となり得る人物が、少し怖いから」
晶「怖い? アイツが? 大宮勇が……へぇぇ?」
晶「そっかそっかぁ。アイツ、モデルの評判も私より上になっちゃって」
晶「WIXOSSの腕でも上だってことかぁ……ふーん」
ピルルク「……」
-
晶「上等だよ、大宮勇」
晶「アンタがセレクターっていうんなら」
晶「……ぶっ潰してやるよっ!」
ピルルク「正式には、セレクターではない」
晶「……は?」
ピルルク「WIXOSSの名前だけ知っている段階みたい」
晶「お、おいおい。それじゃ、ピルルクたんさぁ……どうして怖いなんて言ったの?」
ピルルク「そんな初心者みたいなレベルでも」
ピルルク「相手に回したら、底が知れない気がしたから」
晶「……」
晶「ああ、そっかぁ」
晶「それだったらさぁ、ねぇピルルクたん?」
晶「アイツがWIXOSS始めてから……思い切りボコってやったらいいってことだよねぇ?」
ピルルク「……あるいは」
晶「まぁ、いつもより色々と話してくれるピルルクたんの期待にこたえてさぁ」
晶「あたしが……あの女をぶっ潰してアキラッキーって感じにしてやるよ……!」
ピルルク「……」
-
――リビング
TV『今、あるカードゲームが一世を風靡しています』
TV『その名も――WIXOSS!』
アリス「わっ、シノ! WIXOSSだよ!」
忍「あっ、ホントですね!」
勇「……WIXOSS?」
アリス「え? イサミ、知らないの?」
勇「ええ。よく分からないわね……ただ」
勇「どこかで聞いたことのあるような気が……」
忍「お姉ちゃん。WIXOSSというのは今、中高生の女の子たちの間で大流行のカードゲームなんです」
アリス「そうそう。それでね、カードデッキとかも飛ぶように売れてるんだって」
勇「……二人も、やってるの?」
忍「いえ、やってはいないのですが」
アリス「実はね。今日、みんなでデッキ買ってきたんだよ」
忍「ご飯が終わったら、ちょっとアリスとやってみる予定なんです」
アリス「楽しみだね、シノ!」
忍「ええ、アリス」
勇「そっか。楽しんでね」
勇「……」
勇(WIXOSS……どこかで聞いたような)
勇(――あっ)
晶『私、最近WIXOSSにハマっててえ』
晶『色んな子とバトルするの、すっごく楽しいんですよ!』
勇(……思い出したわ)
勇(晶ちゃんのハマっているカードゲーム……WIXOSS)
アリス「……ねえ、シノ? 今日のイサミ、何だかシリアスじゃない?」
忍「大丈夫ですよ、アリス。お姉ちゃんが真剣に考えてる時って、カッコいいものですから」
――その後・勇の部屋
勇「あら」
勇「もう、こんな時間……そろそろ寝ないとね」
勇「……」
勇「結局」
勇「晶ちゃんにどうすればいいのか、答えは出なかったわね……」
勇「――寝ましょう」
-
――??
?「……あれ?」
勇(――え?)
?「……ああ、そっか」
?「そういえば時々、こうやってセレクターじゃない子が来たりするんだよね」
?「会う度に忘れて、忘れる度に会うから……ちょっと、分からなかったよ」」
勇(……話好きな子ね)
勇(あと、声が……誰かに似てるような)
勇(まあ、それは置いておくとして。むしろ――)
?「あっ、ごめんね。こことあっちじゃ、やっぱり勝手が違うみたいで」
?「だから……来る子たちは大抵、声出せないのよ」
勇(……何、そのファンタジー)
勇(いえ、そうね。これは夢、だし……まぁ、そういうこともあるわよね)
?「夢であって夢じゃない、といったら?」
勇(……この子、心が読めるの?)
?「まあ、ね。こういう現象って、私にもよく分からないんだけど……」
?「退屈じゃない時なんてないから、こういうアクシデントも……アリなのかもね」
?「そうだね、それじゃ……」
?「願い事とかある?」
勇(……願い事?)
?「うん」
?「あなたには分からないかもしれないけど、セレクターっていうのは、みんな願い事があるものなの」
?「まあ、ホントに時々、例外もいるんだけどね」
勇(セレクター……どこかで聞いたことがあるわね)
?「あれ? WIXOSSも知らない?」
勇(……さっき、テレビのニュースで観たわ)
?「テレビかぁ……私、一度も観たことなかったなぁ」
勇(……え?)
?「まあ、いいや。それじゃ、えっと……大宮勇?」
勇(……名前まで分かるの?)
?「どう? 願い事とかある?」
勇(願い事……そうね)
勇(あるわ。それなりの願い事が)
?「あっ、そうなんだ」
?「それじゃ、そうだね……特別サービスって感じで、行ってみる?」
勇(はい?)
?「何か勇って、色々と面白そうだし」
勇(……失礼ね)
?「それじゃ、いくよ」
勇(どこに?)
?「勇が起きた時、分かるんじゃないかな」
勇(随分、アバウトね……)
?「まあ、私にとっても、こういう来客って珍しいし……」
?「暇しそうにないし。ね?」
勇(ね? って言われても、ねえ……)
?「それじゃ一旦、『あっち』を止めて『こっち』だけにして、っと」
勇(……何かのおまじない?)
?「ううん。ちょっと大事なこと」
?「といっても、何だか……ちょっとだけ、混ざっちゃってるみたいだけどね」
勇(……この子、何を言ってるの?)
-
?「勇の所に行く『ルリグ』は凄いからね?」
勇(るりぐ……?)
?「まあ、すぐに分かるよ」
?「それじゃ、また……いや、『また』はないと思うけど」
勇(……最後に一つだけいい?)
?「一つ? まあ、答えられる範囲でなら……」
勇(ここはどこ? あなたは誰?)
?「……勇、思ったよりずっと直球だね」
?「まあ、いいや。……どうせもう、時間は尽きちゃうし」
?「ここは『部屋』。そして」
?「私は――」
――勇の部屋
勇「……!」
勇(わ、私の部屋……?)
勇(なんだったの、さっきの夢――)
――勇が起きた時、分かるんじゃないかな――
勇「……」
勇(気づけば私は、電灯のスイッチを入れていた)
勇(部屋が明るくなる。それから、すぐに――)
勇「……あ」
勇(私は、机の上にある「それ」を見つけた)
勇(少し大きめの包みは、さっき……忍たちと一緒にテレビで見たものだった)
勇「……開いてみましょうか」
勇(何故かは知らないけど、目は冴えていた)
勇(さっきの夢のせいだと思いながら……私は、それを開ける)
勇(そして中に入っているカードから、何となく一枚選び出して――)
?「……あっ」
勇「……え?」
勇(しゃ、喋った?)
?「え、えっと……えーっと」
?「あれ? こ、ここでいい、んだよね?」
勇「……」
?「な、なにしてるの?」
勇「いえ、まだ夢が続いてるんじゃないかって」
?「そ、そんなにほっぺたつねったら痛そう……」
勇「……どうやら、夢じゃなさそうね」
-
勇「――さて、と」
勇「まあ、いいわ。私も、ファンタジーに投げ込まれたってことみたいね」
?「……ねえ?」
勇「なに?」
?「そっちの名前、教えてくれる?」
勇「私? 私は……大宮勇よ」
?「イサミだね。うん、わかった」
勇「……あなたは?」
?「えっと……」
?「あ、そうだ。それなら一応、こう呼んでほしいかな」
?「『タマ』って……」
勇「タマ?」
タマ「うん」
タマ「何だかね……凄く嬉しい名前だから」
勇「……タマ」
タマ「わっ。イサミだと……何だか違う感じ」
勇「……まあ、何はともあれ」
勇「よろしくね、タマ?」
タマ「うん、よろしくっ、イサミ!」
-
クロスオーバーすき
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続きあくしろよ(せっかち)
-
――翌朝・リビング
勇「おはよ」
忍「あっ、お姉ちゃん。おはようございます」
アリス「イサミ、おはよう!」
勇「……あら?」
勇「WIXOSS、してるの?」
忍「あっ。これはですね」
アリス「今日、学校で皆でやってみようかなって……」
忍「だから、ちょっとカードに目を通してるんです」
勇「そうだったのね……」
勇「ね。少し、私も触っていい?」
忍「ええ、もちろん!」
アリス「もしかして、イサミも興味あったりする?」
勇「まぁ、ね。それじゃ、このカードで……」
忍「あっ。リメンバちゃんですね!」
アリス「ホント、シノって金髪好きだよね……」
勇「……」
忍「……お姉ちゃん?」
勇「ううん、なんでもないわ」
勇「ありがとね、忍」
アリス「……イサミ?」
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――勇の部屋
勇「……」
タマ「勇? どうかした?」
勇「……いえ」
勇「えっと、ルリグってみんな喋るわけじゃないのね」
タマ「うん!」
タマ「セレクターじゃないと、話は出来ないの」
勇「……ということは」
タマ「勇は、セレクター!」
勇「なるほどね……」
勇(どうやら……私だけがファンタジー世界の住人になった、ということみたいね)
勇「ところで、タマ?」
タマ「勇?」
勇「あなた、その……セレクターとかのルールに詳しいの?」
タマ「……タマも、前まで知らなかった気がするけど」
タマ「ううん。というか、そもそも……まともに喋れなかったような」
勇「……え?」
-
タマ「なんだかね、ボンヤリしてるの」
タマ「『タマ』って名前も、自分で付けたんじゃなくて」
勇「……誰かに付けてもらった、とか?」
タマ「そうなの」
タマ「凄くあったかくて、大切な思い出のはずなのに……」
タマ「うーん……」
勇「まあ、ムリに思い出そうとしなくていいと思うわよ」
勇「もしかしたら、何となく思い出しちゃうかもしれないし……」
勇「今のパートナーは私。改めてよろしくね、タマ」
タマ「……勇、ありがとっ!」
勇「ん、いい笑顔ね」
勇「……」
勇「『あっち』を止めて『こっち』だけにして……か」
タマ「?」
勇「どうやら……ちょっぴり、面倒な話になっちゃうかもね」
タマ「大丈夫だよ、勇! タマと一緒なら、絶対っ」
勇「……あなたが私のルリグで良かったわ、タマ」
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がんばれ
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白い部屋の住人はあややに間違いありまセーン
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