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【SS】艦これで見る太平洋戦争・第十七駆逐隊の航跡

1 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:22:50 ???
【注意】
史実を艦これの世界観に変換したため所々ご都合主義ともいえる設定や脚色があります
あと一応色々調べて書いてますがミスがあるかもです
ご了承ください


2 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:28:21 ???

第一話「出撃、十七駆!」

http://imgur.com/A5ddIHV.png


谷風《両舷前進強速、ようそろ〜》

谷風のやや間の抜けた声が無線に入る。
波間を渡る朝の風は12月と思えぬほど暖かく、艦隊が着々と南に近づいていることを示していた。

磯風「了解、両舷前進強速、ヨーソロー。谷風、そう言うお前が足が落ちてるぞ。もっと回せ」


3 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:30:45 ???
NG引っ掛かったけどどこか分かんないゾ…
ちょいタンマ


4 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:33:10 ???

谷風《ありゃ!?忘れてたよ、うっかりうっかり。えーと、黒15っと》

司令艦を務めるのは谷風だが、気付いたことは遠慮無く言う。それが第十七駆逐隊のやり方だ。


5 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/05/25(月) 16:33:31 vsikkGNs
NGだと思ったらもう一度レスしたら書き込めるパターンもあるゾ


6 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:36:16 ???
もっとも、谷風はあれでかなり腕が立ち、視野も広い。私達の緊張をほぐすためにわざと道化てみただけかもしれない。

事実、十七駆を先頭としたこの艦隊の誰も彼も、生暖かい海風とは対照的な冷たく強ばった顔をしていた。

目標は一路、真珠湾。


7 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:38:20 ???
 任務は攻撃。真珠湾泊地に停泊する深海棲艦主力艦隊に奇襲を仕掛け、撃滅する。
私達第十七駆逐隊に任されたのは、先行する南雲機動部隊、さらにその隊列最前線を守る護衛及び哨戒任務だ。

浦風《単冠から真珠湾なんて、風邪を引けって言うようなもんじゃ。早よう帰ってお風呂に入りたいのう》

陽炎型11番艦、浦風。呉工厰出身の子は数多いるが、きつい広島弁を使いこなすのはこの浦風だけだ。

浜風《…浦風、そういうことは作戦が終わってからにしてください。気が散ります》

そう言ったのは同じく13番艦、浜風。普段は引っ込み思案だがこと作戦になると任務に忠実で冷静沈着な彼女はとても頼りになる。私とは練習隊時代から寮の同室で、気心知れた仲だ。

残る一人が私、12番艦の磯風。この4人で編成されているのが第一水雷戦隊所属・第十七駆逐隊。
全員が最新鋭の陽炎型。強力な61センチ酸素魚雷を4連装で引っ提げ、ピカピカの艦本式衝動タービンが勢いよく駆動して、まさに4人の艦名に共通する「風」のような航行を実現する。
そして全員、練習隊でトップクラスの成績を修めた腕利きだ。
その実力を買われ、作戦の最主力部隊である南雲機動部隊の護衛に私達は抜擢された。


8 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:39:25 ???

磯風「…浜風の言う通りだ。我が国の興廃はこの作戦の成否にかかっている。今は作戦だけに集中するんだ」

浦風《そんなことはウチも分かっとるよ〜。言うてみただけじゃ》

谷風《いいねぇ風呂、終わったらみんなで一日休暇でももらって、いっちょ温泉でざぶーんと…》

浜風《谷風》

谷風《はいはい集中してるって分かってんよ……っと、阿武隈さんから入電!繋ぐよー》


9 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:40:16 ???

阿武隈《……阿武隈です。まもなく第一次発艦、攻撃を開始します。総員第六警戒航行序列!》

谷風《りょーかいっ!、総員第六警戒航行序列!面舵回頭、一戦速〜!》

 阿武隈さんは私達十七駆が所属する第一水雷戦隊、通称一水戦の司令艦だ。神通さん率いる「華の二水戦」が敵艦隊に突撃、撃破する矛であるなら、一水戦は戦艦、空母といった主力の護衛を担う艦隊の盾。普段はおっとりとした阿武隈さんも、今日ばかりは語気鋭い。

磯風「面舵…!」

主機が唸りを上げる。先頭を駆けていた私達は回頭し後方の南雲機動部隊を囲むようにそれぞれ配置についた。私は最後尾の瑞鶴さんの右舷斜め後ろにつく。

磯風「配置つきました」

阿武隈《対空・対潜警戒を厳に!》


10 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:41:02 ???

了解、と答えつつ電探とソナーをチェック。もっとも、ここに来るまで常時最大限対空・対潜警戒をしていたのだが。
そもそも敵艦敵機と遭遇してたらこの作戦自体がご破算だ。

時折浮上する伊号潜水艦娘のほか、何も無かった水平線の向こうに小さく、真珠湾泊地の影が姿を表した。と、その時。

瑞鶴「第一次攻撃隊、発艦!」

瑞鶴さんが弓を引き絞り、ヒュッと小気味よい音と共に艦載機を放つ。大型の九七艦攻だ。

前方を行く一航戦・二航戦の四人からも艦攻が次々に放たれる。次いでやや小振りな九九艦爆。そして快速を誇る零式艦上戦闘機。航空隊はたちまち空を黒く覆った。

帽振りで見送ろうかとも思ったが
、そもそも帽子を被っていなかったことに思い至り敬礼で見送る。

どうか、武運長久を--。


11 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:41:59 ???

待機しながら水平線の先を睨んで30分も過ぎた頃、谷風から無線が飛んできた。

谷風《司令部より入でーん!『トラ・トラ・トラ。我奇襲に成功せり』だってよ。やったな!成功だ!》

その知らせに私は安堵のあまりへろへろと海の上に座り込みそうになった。作戦成功。ここからはよく見えないが、今頃真珠湾泊地は火の海だろう。上がった黒煙が水平線の端に見える。

浦風《こうなったらウチらも湾内に入って魚雷の一発でもお見舞いしたいところじゃねぇ》

磯風「別命あるまで待機だがな…しかし良かった。本当に良かった」

浜風《うん、これで深海棲艦の活動は麻痺するに違いない………!?》

磯風「どうした浜風!」


浜風《2時の方向、……敵影見ゆ!》


12 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:43:19 ???

磯風「何だと!?」

浜風《イ級2隻、ロ級2隻、ワ級1隻を視認。黒煙が上がってるから、泊地の攻撃から逃れた艦かと》

谷風《了解、すぐに報告!》

ものの5分もかからぬうちに、阿武隈さんから入電があった。

阿武隈《右舷方向の浜風、磯風は直ちに合流して敵はぐれ艦隊に対処!空母の直掩機からも支援を行います!》

磯風「了解。両舷前進三戦速。磯風、砲雷撃戦用意!」

缶がより熱くなり、主機の駆動音がより高くなる。
主砲、魚雷管のロックを外し、波を切り裂いて側方のだだっ広い海へ飛び出した。

浜風「磯風!」

すぐに白い航跡を描きながら同じく高速で駆ける浜風の姿が見えた。

磯風「このまま突っ込むぞ!」

浜風「了解。砲雷撃戦開始。浜風、出ます!」

磯風「第十七駆逐隊の初陣だ、派手に行くぞ…磯風、推参!」


13 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:44:11 ???

浜風とほぼ同時に12.7センチ連装砲を構えると、敵へ向けて撃ち放った。駆逐艦の主砲とはいえ、激しい爆音と炎が上がり、足元の波を揺らす。両腕の2門の砲から放たれた弾丸は、鋭い弧を描いて目標の駆逐イ級の左右に大きな水柱を立てた。

磯風「目標挟叉!次発…」

そう言った瞬間、轟音。
浜風の放った初撃がいきなりもう一隻のイ級の鼻っ柱にクリーンヒットしたのだ。

浜風が横目でこっちを見る。
数十メートル離れた向こうからでもその目に「どやぁ…」という色が浮かんでるのが見てとれる。冷静そうに見えてそんな食えない面もある奴だ。

磯風「バカ、まぐれ当たりだ!次発、撃て!」


14 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:45:42 ???

こちらもすぐさま射角を修正。次発を斉射。
しっかり挟叉された二発目は今度は過たずイ級の頭を砕いた。

後方のロ級がその獣のでき損ないのような大口を開き、反撃の砲弾を放つ。
が、最新鋭の高速性に加え洗練された航行技術を持つ二人を捉えることは到底出来ず、見当違いの場所に水柱が上がる。

磯風「頃合いだ。魚雷発射管用意!」

艤装の魚雷管がガチャリと音を立てて下がり、海面に向けられる。
この距離なら必中だ。
そして放たれるのは大型艦すら沈める、必殺の61センチ酸素魚雷。

磯風「放て!」

ドッという小さい発射音と共に酸素魚雷が放射状に放たれる。航跡すら立てない酸素魚雷は、本物の魚のごとく静かに、速く、意思を持っているかのようにロ級の方へ泳ぎ、その艦底に食らいついた。

砲弾が命中したときよりはるかに大きい爆発音。より高い水柱が上がり、それが消えた時には、駆逐ロ級の姿は海面の何処にも無かった。


15 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:46:32 ???

更なる突撃を仕掛けようとしたその時、けたたましいプロペラ音が頭上を通過した。支援機の編隊だ。

浜風「ここまでかな…」

浜風が砲を下ろす。
編隊はたちまちのうちに残るロ級、ワ級を取り囲むと、爆弾を雨あられと投下。真っ二つになって轟沈していった。

敵艦隊、全艦撃破。
2隻だけだったが、第十七駆逐隊の初陣は大勝利だ。

浜風「やったね、磯風」

気づいたら浜風がすぐ横まで来ていた

磯風「ああ、第十七駆逐隊の初勝利だ」

私が拳を差し出すと、任務中はいつも無表情な銀髪の相棒は、普段のような少しはにかんだ笑みを見せて、グータッチした。


16 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:47:36 ???

浜風「MVPは私かな?」

磯風「だからまぐれだと…まあいい、祝儀代わりにそういうことにしておいてやろう」

よほど近付いていない限り、砲撃を初撃で命中させるのは至難だ。ゴルフでホールインワンを決めるようなものといえば分かりやすいか。そのため何発か撃ちながら着弾点を元に徐々に照準を合わせるのだが…
昔から砲撃を得手にしてた浜風なら本当に初撃を狙って命中させたのかもしれないと思える。

谷風「おーい!」

空母の左舷側を守っていた谷風と浦風がこっちに近付いてくる。
応援に来たが間に合わなかったようだ。


17 : バハムート・シャーク :2015/05/25(月) 16:48:37 ???

浦風「ウチらを置いて二人でやっちゃうなんてズルいわ」

磯風「悪いな、手負いの非人型艦(ザコ)に手間取る私達じゃないさ。なあに、これからすぐに忙しくなるさ…」

谷風「そりゃあ楽しみだねい」

浦風「ともかく、二人ともお疲れやね。戻ったら朝ごはんにしようか。ウチが作ってきたおにぎりがあるけえ」


爆撃を終えた第二次攻撃隊が帰投してくるのが見えた。東の空に低く輝いてた太陽はいつの間にか中天にあった。

 真珠湾攻撃は成功に終わった。
でも戦いはこれからだ。何度でも戦って、何度でも暁の水平線に勝利を刻んでやろう。私達なら、この第十七駆逐隊なら、絶対に最後まで護り抜ける。
私はこの時、そう確信していた。



第一話 完

第二話「ミッドウェーの衝撃」に続く


18 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2015/05/25(月) 18:31:59 AUYAj.AU
MUR文章上手いっすね
史実が史実だけに後半が不安だけど続きがんばれvがんばれv
あと浜風かわいい


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