そうした数日を過ごすのに疲れて、自分の部屋にいたら扉を叩く音がした。まさかと思って扉を開けたら、そこには妙高姉さんがいたの。「何か用？」と聞いたら、「最近のあなたの様子が見るに堪えなくて心配なのよ」と言われてしまったわ。昔から姉さんには敵わないわね、と思いつつ、部屋に招き入れたわ。
「それで、提督と何かあったの？」と姉さんは単刀直入に聞いてきた。姉さんはもう何もかも分かってる気がしたけど、一応あの夜の事を話したの。話を聞いてる時の姉さんは、喜んでいる様に見えたわ。
話し終わると、「足柄、あなたよく頑張ったわね。」と珍しく褒められた。どういうことよ、と聞くと、「もし想いを伝えられないまま提督が結ばれたら、あなた今の何倍も苦しむはずよ。それにまだノーと決まった訳じゃないんだから。『飢えた狼』なんて呼ばれているあなたらしくないわ。」と励まされた。そこで私はやっと気づいたの。あの時の自分の行動が間違っていなかった事と、姉さんはそれを伝えに来たのだという事に。
「ところで、提督の好きな人の見当はついているの？」と帰り際に妙高姉さんが聞いてきたの。「全く分からないわ。逆に姉さんは知っているの？」と返事をしたら大きなため息をつかれてしまった。どういう意味よ、と聞く私を背に、姉さんは部屋を出て行ってしまったわ。「2人揃って鈍いのね…」みたいな呟きが聞こえたけど、どういう意味なのかしら。
明日もう一回トライしようかしら、と思ってると再び扉をノックする音が聞こえた。さっきとは違う、心のどこかでずっと待っていた音だった。私は期待と不安が混じった気持ちのまま扉を開けた。