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QB「山川美千子、君の願いは何だい?」
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Dear Michiko Yamakawa
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山川美千子は深く絶望していた。
彼女には宮藤芳佳という親友がいた。
美千子にとっては、何よりも大切な存在であった。
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芳佳は、魔法少女であった。
生まれつき魔力を持ち、そのために遠くブリタニアへ赴くことになったのである。
芳佳が扶桑を発ってから、長い年月が過ぎていた。
美千子は扶桑で芳佳を待つ日々を過ごしていた。
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美千子「私に魔力がなかったから、芳佳ちゃんと一緒にいられなくなっちゃった」
美千子「芳佳ちゃんが頑張ってるから、私も頑張ろうと思ってここまで来たけど」
美千子「もうダメみたい」
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美千子「私が何を頑張っても芳佳ちゃんにはもう手が届かないって、気が付いてしまったから」
美千子「それに、最近の芳佳ちゃんの手紙、リネットのことばっかり」
美千子「私は結局、あの女に芳佳ちゃんを取られてしまうんだ」
美千子「リネットなんて、ネウロイに撃墜されてしまえばいいのに…」
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美千子「私に魔力があれば…」
QB「その話、聞かせてもらったよ」
美千子「!?」
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愛よ
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美千子の前に、未だ見たことのない生物が姿を現した。
美千子「あなた、いったい何者?」
QB「僕はQB!」
QB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
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その生物が話すことは、美千子にとってにわかに信じられるものではなかった。
美千子「つまり、あなたと契約すれば魔法少女になれるわけね」
QB「ああ。そして、そのお礼に願いを何でも一つ叶えてあげる!」
QB「山川美千子、君の願いは何だい?」
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美千子(願いか…)
美千子(何でも叶うんだったら、リネットを殺してしまうとか、芳佳ちゃんの身も心も私のものにしてしまうとか…)
美千子「いや、やめましょう」
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美千子「今の私に願いなんてない」
美千子「あるのは、願いじゃなくて呪いくらいだもの」
美千子「ねえ、願いなしで魔法少女にはなれないの?」
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QB「願いのない魔法少女なんて、聞いたことがない」
QB「魔法少女の力は、願いの力だ」
QB「願いがなければ、魔法少女になるのは不可能だ」
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そうは言ってみたものの、QBはこの少女にただならぬ何かを感じ取っていた。
この何も願わない少女が魔法少女になるところを見てみたいと、何かがQBにそう思わせていた。
QB「上手くいかないとは思うけど、契約してみるかい?」
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QBと美千子を光が包んだ。
QBが言う契約は、あっという間に終わった。
美千子はその場に崩れ落ち、その傍に石ころのようなものが転がった。
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QB「それがソウルジェムだ」
QB「それは魔法少女の証で、魔法少女の希望で輝く宝石だ」
美千子「これが宝石なの?」
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美千子は転がっていたソウルジェムを拾い上げた。
それは卵形をしていて、そしてその色は真黒であった。
QB「ただ、君のソウルジェムはなぜか真黒だ」
QB「何かがおかしい」
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QB「僕にも、なぜ君のソウルジェムが黒いのかわからない」
QB「そもそも、君が本当に魔法少女になったのかも分からない」
QB「今日の所は帰らせてもらうよ。またすぐに会うことになるだろう」
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そう言って、QBは美千子の下から去っていった。
去り際、QBは美千子のソウルジェムを一瞥した。
QB(僕は大変なことをしてしまったかもしれない)
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その夜、美千子は今日のことを思い返していた。
奇妙な生物のこと、魔法少女のこと。
今日起きたことなのに、全てが嘘のように感じられる。
美千子(悪い夢でも見ていたんじゃないかしら)
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ただ、その手にはソウルジェムがしっかりと握られていた。
もう一度ソウルジェムを眺めてみる。
この世の絶望を全て詰め込んだような真黒であった。
美千子にはソウルジェムが愛おしく思えた。
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翌日、再び美千子の前にQBが現れた。
QB「リネット・ビショップがネウロイに撃墜された」
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美千子は耳を疑った。
QB「山川美千子、これは君が望んだことじゃないのかい?」
呆然としながらも、確かに昨日そんなことをつぶやいていたなと思った。
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QB「君の願い、いや呪いが実現している」
QB「これで君の正体がやっと分かったよ」
QB「その真黒なソウルジェムの意味も」
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QB「君は魔女だったんだ」
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QB「君は絶望にくれ、気付かないうちに魔女になっていた」
QB「そして、呪いを生み出すまでになっていたんだ」
QB「そう考えれば、リネット・ビショップの撃墜も、真黒なソウルジェムも説明がつく」
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QB「君みたいなただの少女が魔女になるなんて、相当な絶望を味わってたみたいだね」
QB「ただ、問題なのは魔女がソウルジェムを生み出したこと」
QB「つまり、魔女が魔法少女になったことだ」
QB「こんなことは起こってはいけないはずなのに、現に起きている」
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美千子は混乱していた。
QBが一人で何か喋っているが、美千子には届いていなかった。
リネットが撃墜された?私がそう望んだから?
違う、私が本当に望んだのはこんなことじゃない。
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美千子「ねえQB」
美千子「あなた、どんな願いも叶えるって言ったわよね」
美千子「今、願いが見つかったの」
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美千子「私の願いは、リネットを助けること」
美千子「私が、芳佳ちゃんが笑顔でいられる、その希望になる」
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QB「今さら何を言っているんだ」
QB「それに、絶望の象徴である魔女が希望になるなんて、そんな願いが叶ったら…」
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その時、美千子の体を眩い光が包んだ。
真黒だった美千子のソウルジェムも、輝きを放った。
願いが叶う、それと同時に山川美千子という存在がこの世から無くなっていくのが感じられた。
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美千子(やっと絶望から解放されるんだ)
美千子(さよなら芳佳ちゃん…)
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〜ブリタニア〜
芳佳「リーネちゃん、リーネちゃん!」
リーネ「…芳佳ちゃん?」
芳佳「よかった、目が覚めて!」
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リーネ「ここは?」
芳佳「ネウロイに撃墜されて、病院でずっと眠ったままだったんだよ!」
芳佳「目を覚ましてくれて本当に良かった…」
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リーネ「ねえ芳佳ちゃん」
リーネ「みっちゃんって知ってる?」
リーネ「私、今まで夢を見ていたような気がするの」
リーネ「みっちゃんっていう扶桑の女の子が、私を助けてくれたの」
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芳佳「みっちゃん…」
芳佳「聞いたことないけど、なんだか懐かしい気がする」
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〜扶桑〜
QB「少女の絶望と希望の相転移は不可逆なはずだ」
QB「絶望の象徴である魔女が希望となって消滅するなんて、ありえない」
QB「そんなことが起こり得たら、僕たちの存在意義が根本から覆されてしまう…」
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ほむら「そうね。だから、あなたたちはここで消えなさい」
QB「!?」
〜終了〜
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クイックブーストくんすき
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みちカスですら成仏したというのにおほむときたら
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しみじみしてたらラストが起承転kぐらいで終わって草
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Sincerely,
Lynette Bishop
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美千子「なんだこの手紙!(驚愕)」
美千子「…」
美千子「リネット 豚」
〜二人は幸せな文通をして終了〜
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投下は以上になります。
ありがとナス!
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一発ネタかと思ったら読みごたえがあって草生えた
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ここからみちリーネまで発展させるくらいの気持ちでIKEA
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良いゾ〜コレ
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age
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まだあったのか…
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結構いい文章なんだけど、何かスポーツと化してたの?
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え、なにこれは…
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こういうスレ立てられるとリネット 豚で抜けなくなる
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