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男「THE 肝試し」(SIMPLEシリーズ)
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◆とある夏の夜
友「あーマイクテス……」ゴッ
友「本日は深夜高校肝試し大会に参加してくれてありがとございまーす」
委員A「イェーイ!」
委員B「Fooooo!!!」
男「そういうのいいから」
幼馴染「うん」
坊主「そうだよ」
お嬢様「早くしてくださいまし」
\ブーブー/
友「んじゃ長い前置きは止めにしてとっととルール説明しますか……でもちょっとだけ」
委員A「本年度は30名というかつてない程の参加者が集ってくれてもうダブル☆オドロキですよね」
委員B「イ゛エエエエ!」
"
"
-
友「もうほんっとにびっくりした! 優勝商品をiTunesカードにしたらこの有様ですよ」
委員A&B「「いやだねぇ」」
モブ「お前らが設定してそれに参加したのに何で文句言われるんだよ!」
坊主「そうだよ。運営も集まってくれて嬉しいだろ!?」
眼鏡「利害は一致してると思いますが」クイッ
引率教師A「私の頃は大抵、お菓子の詰め合わせだとか図書カードだったが……」
引率教師B「カルチャーショックですな」
友「どうどう……毎年、平均参加者は10名以下のマイナー大会だったらしいので僕らもヒジョーに嬉しいです」
委員A「ハッピーうれピー」
委員B「よろピくねーー!」
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友「まぁそんな訳で僕らもはしゃいでます……茶番はそろそろにルール説明いきますか」
委員A「……参加者の都合で組の編成で変更点があります」
委員B「三人で一つのチームを組んでもらう事になりました」
友「なので、合計10チームとなります」
モブ「…………」(挙手)
友「あ、はいドウゾ」
モブ「チームメンバーはどうやって決めるんすか? 自由っスか?」
友「それについては僕ら運営の方で事前に決めたので大丈夫です」
委員A「今から内訳表をそこの掲示版に貼るので」
委員B「五分、一時説明を中断しますので確認をお願いします」
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◆掲示版前
ゾロゾロ ワイワイ
M男「○○さんとかー」
E女「私、K子ちゃんと一緒だ!」
男「(俺は誰とだろうな……っと)」
◆Dチーム
男
幼馴染
お嬢様
◆Eチーム
…………
……
…
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ツンツン
男「ん?」
幼馴染「あ、あの……一緒、だね」
男「ああ、よろしくな」
幼馴染「……へへ」
お嬢様「……あら、この組み合わせは運命ですわ男さん」ズイッ
幼馴染「げっ」
お嬢様「アナタの様な愚民はお化け役がお似合いかと思いますが? 今からでも希望なさっては?」
幼馴染「どういう意味よ」
男「二人共、やめろって」
"
"
-
幼馴染「ふんっ」
お嬢様「フフン」
男「はーーーーー…………」
・
・
・
友「組み終わったみたいだからルール説明を再開するぜ!」
委員A「スタートはここの深夜神社からとなります」
委員B「あちらに見える林道からスタートして……」
友「裏側の鳥居……あちらから帰って来れたらクリアです」
委員A「まぁ難しい事はないと思います。ただ辺りを一周すればいいので」
委員B「一本道ですしね」
-
友「もちろん、普通に歩いて帰って来ればいい訳がなーーーい!」
委員A「各チェックポイントに試練があります!」
モブ「試練?」
委員B「びっくりグッズや、お化けメイクした実行委員が待ち構えているぜ!」
友「詳しくは言わないけどそんな多くはないから安心をば」
委員A「予算がね……」
委員B「おい馬鹿」
友「……次は失格基準について説明するぜ!」
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委員A「単純明快! それは『驚く』こと!」
委員B「『ヒッ!』『うわぁ!』などの声を上げた人は問答無用で失格となります」
友「裁定については、お化け役以外にもそこかしこに監視する記録係がいるから逐一チェックされるぞ!」
委員A「我々も出来ればiTunesカードを上げたくないから、そこそこ本気で脅かしにかかります!」
\フザケンナ!/ \ナンダソレー/
男「えぇ……」
委員B「で・す・が……救済措置はあります」
友「チームの内、例え二人が驚いても残り一人が最後まで驚かずに……」
委員A「無事、鳥居から帰って来れればクリアです!」
-
委員B「ちなみに失格となってもメンバーに同行するかは自由です」
友「僕らとしてもたくさん驚いて欲しいですしね」
委員A「失格リタイアや、途中リタイアした場合は監視係が補導して獣道からこちらに戻って来れます」
委員B「200mのコース中、40mに一人は監視係がいるので少々声を上げてくだされば気づいて貰えますよ」
友「じゃあ長ったらしい前置きもこれくらいしてぇ……」
委員A&B「「開始ィィーーー!」」
友「最初に出発する組、どうぞこちらに……」
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◆数十分経過
委員A「ではCチームの方、出発してください!」
モブ「うーーー、やっぱり怖えよーー!」
モブ「静かにせい!」
モブ「仕方ないね」
ザッザッザッ
委員B「ではDチームの方、こちらへ」
-
お嬢様「うはぁ……いよいよですわね男さん」
男「……おう」
お嬢様「怖かったら抱きついてもよろしいですか?」
男「ええっ……それは……」
幼馴染「ちょっと、いい加減にベタベタするの止めなさいよね」
お嬢様「クァーー! 一般ピープルのくせに私に楯突くんですね!」ポコポコ
幼馴染「この、やったわね!」ポコポコ
男「お、おい止めろって!」グイッ
-
お嬢様「…………」ギロ
幼馴染「…………」キッ
男「(混ぜるな危険だよ、コレ……)」
スタスタ
友「ウィッヒッヒッヒッヒッ」
男「笑い声キモッ……なんだよ、友?」
友「お前ら三人は本当、観てて飽きねぇなーー」
男「てめ、まさかこのチーム分け、わざと……」
友「さぁ、何の事かな……イッヒ」
男「テンメェ……」
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委員A「そろそろスタート時間ですが準備はよろしいですか?」
男「二人共、もう開始らしい」
お嬢様「では決着はクリア後……もっとも、アナタにクリア出来るとは思っていませんが」
幼馴染「何よその態度? 後悔しないでよね……」
男「(……何の決着?)」
委員A「ではこちらに並んで……」
ザッ
委員B「はい、よーいスタート」
男「(俺、Android機種なんだけどな……)」
▼THE 肝試し 開始
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今日はここまでです
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simpleシリーズはこんなに設定詰め込まれてない
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1500円相当っつか、冒頭からして茶番があっても「友達と肝試しをすることになった。今から俺達の番だ……」みたいな簡素さだよなw
まぁそれはともかく期待
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なにこれおもしろそう
期待
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泥に人権は無いのか
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◆前日 昼
ミーンミンミンミーン
ガチャ
姉「あっつーーー! アイスアイス……」
ガタッ ガサガサ
姉「(最後の一個見っけ!)」 ビリッ ポイッ
ガチャ
男「お、姉ちゃん帰ってたんだ」
姉「いよっ」
男「アイスまだある?」
姉「ないアルよ」
男「どっちだよ」
ポイッ
-
姉「(何のチラシ?)」カサッ
男「(アイスねーじゃん……)」ガサガサ
姉「(深高の肝試しか……あのクッソつまんない……)」
姉「(アタシも一回だけ参加したっけな……ん?)」
姉「(優勝商品……iTunes!?)」
姉「ちょっと男、これ参加するの?」
男「肝試し? しねぇよ。たまたまビラ掴んじまっただけ……」
姉「明日ヒマでしょ? これ出てよ」
男「はぁ? なんで。ヤだよそんなん……」
-
姉「ふーーーーん……」
男「なんだよ」
姉「アタシにそういう態度取るんだぁ……ほーーん……」
男「えっなに……」
姉「バラしちゃおうかな、幼馴染ちゃんに。あのコト……」
男「……そんな、勘弁してくれ……」
姉「じゃあこれ、参加よろしく!」ニッ
男「(クソ……)」
姉「大丈夫だって。パパパっと参加してピピピーっと優勝かっさらうだけだから」
男「…………」
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◆その夜
リリリリリリ
リリリリリリ
男「ん? もしもし」スッ
お嬢様『あら男さん、ごきげんよう』
男「ご、ごきげんよう……」
お嬢様『単刀直入に伺います。明日の夜に催される肝試しはご存知でして?』
男「肝試し? ああ、知ってる」
お嬢様『参考までにお聴きしますけれど、それにご参加は?』
男「する……けど。一応……」
お嬢様『左様ですか。それでは失礼……』
ピッ
男「……なんだったんだ」
-
リリリリリリ
男「……今度は誰だ」スッ
幼馴染『もしもーし、男』
男「幼馴染……どうした?」
幼馴染『……さっき誰かと通話中だった?』
男「……いや……そんな事はないけどぉ」
幼馴染『……前から思ってたけど、男って嘘つく時、語尾伸ばすよね』
男「……本題は?」
幼馴染『あはは、ごめん怒った?』
男「……それで、用件は」
幼馴染『んー? 男の声が聴きたくなって……』
男「…………」スッ
-
幼馴染『ごめん、半分嘘。もうふざけないから切らないで』
男「(半分……?)」
幼馴染『明日の深高の肝試し、男は参加する?』
男「人気だな肝試し(ボソッ)……参加するけど」
幼馴染『人気……?? ふーん、分かった。ありがと! おやすみ』
男「おう」
ピッ
男「……ふわぁ……もう寝るかな……」
・
・
・
-
◆そして現在 【林道】
ペチッ
男「だぁ、クソッ。また蚊に喰われた」
男「(自分に利益のない優勝商品狙って……俺は何してんだ……)」
お嬢様「そろそろ第一チェックポイントですわね」
男「ん、そっか。そろそろ心の準備を……」
幼馴染「ぜー、ぜー……」
お嬢様「あら幼馴染さん? 肩で呼吸……をしている様に見えるのは私だけでしょうか」
幼馴染「んな、誰が!」
お嬢様「リタイアなさっては?」ニヤ
幼馴染「そういうアンタも、汗で背中に模様出来てるじゃない」
お嬢様「はっ!///」
-
幼馴染「(絶対……リタイアしないんだから)」
お嬢様「(絶対……リタイアいたしませんわ)」
「「(だって……)」」
幼馴染「(あいつが男と二人きりになっちゃうんだから!)」
お嬢様「(この愚民が男さんと水入らずになってしまうのですから!)」
ザッザッザッ
男「(あいつら、何に頑張ってるんだ……)」
-
◆第一ポイント
幼馴染「もうポイントエリアに入ったんじゃないかな」
お嬢様「……そのハズですが」
男「(さぁ何が来る……)」
ガサガサ
男「(木の上から……!)」
ヒューーン
幼馴染「ひゃあぁ!? 冷たいぃ!」
お嬢様「!」
男「!?」
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幼馴染「氷の粒が、服の中に!」バタバタ
お嬢様「プククク……何とも滑稽な……」
男「(地味だな……でも氷等を使ったクールトラップは定番……)」
お嬢様「幼馴染さん、残念ながら失格ですわね……」
幼馴染「そ、それより取ってよ!」
男「お、俺は服の中に手を入れられねぇから……頼む、お嬢」
お嬢様「不本意ながら、男さんの頼みなら仕方ありませんわね……ほら動かないで」
幼馴染「うーー……」
お嬢様「どこに入りましたの?」
幼馴染「背中の方……っ!」
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お嬢様「どこでしょう……」
モゾモゾ
幼馴染「あ、ん……ちょっとくすぐった……」
お嬢様「取れましたよ」ポイッ
幼馴染「ありがと……」
お嬢様「アナタ……愚民のくせに結構、胸ありますわね……」モミ
幼馴染「へ? ちょ、きゃあ」
男「お、おおい! 何やってんだ!」
お嬢様「あら失礼……健全な男子がいましたのに。別に嫉妬じゃありませんのよ」
男「そう……」
幼馴染「むーーー……」
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幼馴染「それはそうと……私、失格になっちゃったね……」
男「あーー、そうか……」
お嬢様「……それではこうしましょうか」
幼馴染「え?」
お嬢様「限界までやって本当にギブアップした場合のみ途中リタイアで帰る……」
幼馴染「! いいの……?」
お嬢様「えぇ。私もあれで決着では納得出来ませんので」
男「お前らさっきから何を競ってんの……?」
お嬢様「それでは先に進みましょうか」
幼馴染「そうだね……行こう男」
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ザッザッザッ
男「(何か引っ掛かる……ただの氷の粒が落下程度でとても試練なんて……)」
カサッ カサカサ
男「(茂みから誰か来る……実行委員!)」
男「二人共……っ」
幼馴染&お嬢様「「え?」」
ピトッ
幼馴染「ふわぁぁーっ!!」
お嬢様「うくっ、冷たーーーっっ……」
タタタタタタタタ
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お嬢様「何ですか……今のは」
幼馴染「……何か首に当てられたけど」
男「(キンキンに冷えた氷ペットボトル……)」
男「(古典的ながらもやはり王道……奇襲して首筋に当てれば驚愕必至……)」
幼馴染「それより……驚いたわよね、アンタも」
お嬢様「……あっ」
▼第一チェックポイント 了
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