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死柄木弔「俺のヴィランアカデミア」
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チュンチュン…
死柄木「……」
死柄木「寝坊した……」
死柄木「あ―――……」
死柄木「学校行きたくねえええええええええ」ガリガリ
"
"
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死柄木「……」
死柄木「分かってますよ……お父さん……」ボリボリ
死柄木「黒霧!」
黒霧「急ぎましょう。今なら間に合います」ズズズ
死柄木「はぁ――……」
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キーンコーンカーンコーン
死柄木「遅刻遅刻――っと」ズズズ
取り巻き「死柄木さんおはよっす!」
取り巻き「今日もイカしてるっすね!」
死柄木「うるせ――……」
不良「来たぞ! 手マンだ」ヒソヒソ
死柄木「は?」ギロッ
不良「うお怖えっ」
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担任「みんな揃ってるな!」ガラッ
担任「わが美蘭高校は、表向きは普通の不良学校だが――」
担任「歴代に名を残す優秀な敵たちを多数輩出している、いわば敵学園だ!」
担任「みんなも先輩たちに恥じないよう、ここで学んだことを将来に生かしてほしい!」
担任「今日も狡く! 賢く! 力を合わせてアンチヒーローといこうじゃないか!」
生徒「それ完全にヒーローのノリだろ!」アハハ
死柄木「だり――……」
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教師「まずは我々が倒すべきヒーローについて学ぶ必要がある」
教師「なかでも特に有名なのは――」
教師「事件解決数ナンバーワン! 燃焼系ヒーロー、エンデヴァー!」
生徒「色々あくどい噂も聞くけどな」
教師「ベストジーニスト賞3年連続受賞! ベストジーニスト!」
生徒「こいつなら俺でも倒せそうだぞ」
教師「そして、こいつが最もやっかいだ……」
教師「平和の象徴、オールマイト!」
生徒「マジでやべーよな……どうやって倒すんだよ」
教師「こいつが存在し続ける限り、我らヴィランに自由はない……!!」
死柄木「……」
"
"
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教師「――次に、正しい人質の選び方について……」
死柄木「はぁ……」ポチポチ
死柄木「詰んだ。おしまい」ポイッ
死柄木「動画でも見るか」スッ
リポーター「今日もオールマイトが大活躍です! ヴィラン達を次々と蹴散らし――」
オールマイト「私が来た!」
死柄木「……」
取り巻き「死柄木さん! オールマイトの野郎の動画見てるんすか?」
取り巻き「もしかして、実はヒーローに憧れてるとか!?」
死柄木「声がでけえよ……」
死柄木「……社会のごみが……」
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教師A「死柄木弔ですか?」
教師B「ええ。授業態度はあまりよくない不良生徒ですが――」
教師C「ここではむしろ優等生だな」
教師B「妙な人望というか、カリスマ性もあるようです。今後に期待大ですね」
教師A「でも彼、よくオールマイトの動画を見てるんですよ」
教師A「家にはヒーローのフィギュアなんかもあったりして」
教師C「なんだと! ヒーロー堕ちの可能性もあるわけか」
教師B「それは心配ですね……」
担任「……」
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黒霧「残念なお知らせがあります」
死柄木「言ってみろ」
黒霧「購買の焼きそばパンが、売り切れていました……」
死柄木「……は?」
死柄木「はぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜……」ガリガリガリガリ
死柄木「黒霧おまえ……」
死柄木「お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしてたよ……」
黒霧「すみません」
死柄木「その個性で後れを取るとかどんだけだよ……」
取り巻き「死柄木さん! 食堂行きましょう!」
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ワイワイ ガヤガヤ
取り巻き「俺が買ってきますね!」
死柄木「……なあ黒霧」
黒霧「なんでしょう」
死柄木「この中で本物のヴィランになるやつがどれだけいると思う?」
黒霧「そうですね……おそらく大体はチンピラ崩れのようなものかと」
黒霧「平和の象徴を殺すなどと大それた考えを持つ人はいないでしょう」
死柄木「だろうな。つまんねぇ……まるでヌルゲーだここは……」
死柄木「何か面白いこと起きねーかな……」
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死柄木「おい黒霧、なんか面白いことやれ」
黒霧「かつてない無茶振りですね……」
黒霧「適当なヒーローを捕まえて引き裂いてみせましょうか」
死柄木「食事中だろうが……使えねーな」
取り巻き「雑魚ヒーローの一人や二人、俺がボコッてみせますよ!」
死柄木「黙ってろ。あ―――つまんね……」
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担任「最近ヒーローによってヴィランが捕まえられる事件が多発している!」
担任「みんなも気を付けて帰るように! 解散!」
ガタッ ザワザワ
黒霧「送りましょうか」
死柄木「いい。太るしな……」
黒霧「あなたはもっと食べたほうがよろしいかと」
死柄木「じゃあマック寄って帰ろう」
担任「ああ死柄木! ちょっと来てくれ」
死柄木「?」
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死柄木「雄英高校?」
担任「ああ。そこにスパイとして潜り込むんだ」
担任「あそこは多くのプロヒーローと、金の卵である生徒たちが集結している」
担任「情報を盗むことで奴らを袋叩きに――」
死柄木「……それは、あんたの意向か?」
担任「え?」
死柄木「それとも……あんたを雇ってるヒーロー事務所の意向か?」ガシッ
担任「!!」
ボロボロッ
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死柄木「あ」
死柄木「あ――やっちまった……どうすんだよくそ……」ボリボリ
黒霧「死体は私が始末しましょう」ズズズ
死柄木「尋問するつもりだったのに……」
黒霧「何故彼がヒーロー側のスパイだと分かったのですか?」
死柄木「気づかないとでも思ったのか……? こいつの偽善臭さは癇に障るんだよ……」
黒霧「しかしここの存在を知っているのに、奴らは何故乗り込んでこないのでしょう」
死柄木「スカウトだよ」
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死柄木「俺がヒーローに興味ある素振りしてたからな……」
死柄木「雄英に取り込んでなし崩しに更生させるつもりだったんだろ」
死柄木「平和的交渉か……反吐が出る」
死柄木「ああいう大人にはなりたくないね……」
黒霧「勧誘ですか。考えることはヴィランもヒーローも同じですね」
死柄木「思ってたより簡単に釣れたのに……くそっ!」ガリガリ
死柄木「……あ。そうだ……」
死柄木「黒霧、そいつの死体を貸せ」
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―翌日―
ザワザワ…
死柄木「今日も遅刻ギリ……」ズズズ
取り巻き「あ! 昨日先生と最後に会ったのって死柄木さんっすよね!?」
死柄木「知らねーよ……」
教師「静かに!」ガラッ
教師「みんなも知っていると思うが、昨日このクラスの担任が殺された」
教師「死体のそばには『悪党ヴィランに死を!』という血文字が残されていたそうだ……」
教師「我々はこれをヒーロー共からの挑戦状であると受け取る!」
教師「したがって今晩! 各地のヒーロー事務所に襲撃をかける!」
教師「未来ある若きヴィランの命を無残に奪ったヒーローを許すな!!」
一同「オー!!!」
死柄木「へえ……そう来るか……」ニヤ
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ザワザワ…
取り巻き「先生を殺すなんて許せないっすね! ボコボコにしてやりましょう!」
黒霧「どうするつもりですか?」
死柄木「さあ……」ポチポチ
死柄木「どっちにしろこの学校はもう詰んだ」ポイッ
黒霧「スパイが殺されたとあっては、向こうも黙ってはいないでしょうね」
死柄木「……スパイは死んだと思うか?」
黒霧「はい?」
死柄木「教師だけで得られる情報には限りがある」
死柄木「生徒側にもスパイを送り込むはずだ。俺ならそうする」
黒霧「つまり……スパイはもう一人いると」
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ドゴォォォン
一同「!?」
生徒「な、何だ!?」
ヒーロー連合「ここが悪名高いヴィラン学園か」
生徒「なんでヒーローがここに!?」
生徒「襲撃はさっき決まったばっかりだ……誰かが情報を漏らしたんだ!!」
死柄木「ほらな」
生徒「畜生! やっちまえ――」
死柄木「あーあ、開始即ゲームオーバーだ」
黒霧「どういうことです……?」
死柄木「奴が来る」
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オールマイト「私が来た!」SMASH!!!
一同「うわああああああ―――!!!!」
死柄木「はは、全然相手にもならない……無理ゲーだこんなの」
黒霧「早く逃げましょう! 今の私たちでは相手にもなりません」ズズズ
死柄木「ああ……また会いたいな……」ズズズ
オールマイト「?」
オールマイト「今、誰かがいたような……」
ヒーロー連合「……もう全部オールマイトだけでいいんじゃないかな?」
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黒霧「間一髪でした」
死柄木「ああ……結構楽しめたな。間近でオールマイトも見れたし」
黒霧「何故、通報したのですか?」
死柄木「あ……バレてた?」
死柄木「どうせもう詰んでるし、最後に面白いものを見せてもらおうと思って」
死柄木「あいつら、やっぱり全然だめだった……」
死柄木「俺が従えるのは、もっと……オールマイトにも負けないくらいの……」ガリガリ
黒霧「そうですか、それなら私にも教えてくださればよかったのに。本気で焦りましたよ」
死柄木「敵を騙すにはまず味方からって言葉があるだろ?」
黒霧「自分が楽しみたいだけでは?」
死柄木「バレるの早……」ニヤ
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黒霧「しかし、行くところがなくなってしまいましたね」
死柄木「あー、そこまでは考えてなかった……」
死柄木「名簿なんかは全部処分したが、近所にはいられないだろうな……どうする?」
黒霧「どこへでも付いて行きますよ」
死柄木「ヴィラン事務所でも開くか……」
黒霧「最後に、ひとつ聞きたいことがあります」
黒霧「あの担任は本当にスパイだったのですか?」
死柄木「……」
死柄木「さあ?」ニヤ
死柄木「次は何して遊ぼうかな……」
おしまい
五年前マイトが怪我負う前くらいの設定
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こういうの好きよ、乙
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