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('A`)欝田獨男は考えるようです
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やめておくべき。
やるべきだ。
多様な選択入り乱れ、欝田獨男は大層迷う。
そこは静かな海鮮店。巨大な水槽、左右に並び。
欝田獨男を手招き続ける。
('A`)
欝田獨男は考える。
目の前にて立つ海鮮店。
これからどう行動するのか。
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('A`)欝田獨男は考えるようです
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欝田獨男は、俗に言われるサラリーマン。
多くの人が暴れに暴れる華色めく金曜日でも、定時で帰ることもできず、電車を乗り継ぎ、乗り継いでいき、やっとのことで地元の駅へ。
なんとか着いた最寄りといえど、翌日を機に始まっていく、週末への夢などなく。
ただ漠然と歩いていた。
そんな中でちらりと見えた、巨大水槽構える店。
海鮮店は、目の前にて立つ。
('A`)
今は夜中の午後10時。
昼たいらげたビーフシチューは、口うるさく言葉をぶつけた、同僚の淡い口汚なさと、小腸内で消化中である。
家には粗末な冷蔵庫の中、昨日なんとなしに作ってみた、パストラミビーフ丼。
キムチをぶちこみ生まれたものだが、ゴマ醤油が風味をきかせ、存外美味なものである。
他にめぼしい食物はなく、あるとすれば柿の種。
一方で目の前の海鮮店。
ここには未知の食材が広がる。
特にこの海鮮。
欝田獨男はこれに惹かれる。
この男、中でも海老が好物。
特に、車海老。
荒々しくも弾力に富む、あのぷりぷりさが大好物だ。
だからこそ、あの水槽内にて戯れる、わりかし大きな水魚のうち、伊勢海老については目を奪われたのだ。
体調は微妙。
疲れに疲れ、身体を一旦寝かせてしまえば、そのまま舟をこいでいくほど。
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欝田獨男は考える。
('A`)
今日晩御飯を食べるべきか、食べざるべきか。
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食べるという選択をしたなら、海鮮店の食べ物か、それとも違ったお店のものか、はたまた家のものなのか。
選択は、その先無数に伸びる。
しかし、もしも食べないのなら、考えられるのはただ一つ。
床に就くことである。
この疲労感に身を委ね、どこまでも遠い水平線へと、小さな舟を漕ぎ出していく。
場合によってはシャワーすらせず、その汚い姿のままで、ベッドという大海原へとせっせせっせと漕ぎ出していく。
確かにここで寝てしまうなら、わざわざお金を使うことなく、家にある食料も残し、日を跨ぐことが可能である。
たまにはかような無茶な節約、風情があるかもしれない、と。
しかし、ここでふと思う。
('A`)
その後自分はどうなるのか。
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今日この夜に食べるにしろ、しないにしろ。
今後の自分は何をして、どのように過ごしていくのか。
そこで欝田獨男は思い出す。
('A`)
この週末は動くべきではないのかと。
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シエンタ
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('A`)
欝田獨男は細やかな、しかし確かな強い夢がある。目的がある。
世にはスマホなるものがある。
これは今や軍事のみから花開き、世界中に広がっていく、インターネットへの端末である。
これは何か。
ユビキタスである。
遍在するものである。
どこにでもあるものである。
しかし他方考えて欲しい。
世の中には様々な生活がある。
その形態も様々である。
にとかかわらず、この端末は遍在する。
今時どこぞの狩猟民族も、この端末を使うらしく、ひどく信じられないことだが事実である。
世界においてインターネットは遍在する。
それと同時に端末も。
にもかかわらず、各生活はその色を持つのである。
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欝田獨男はそこに惹かれた。
異なるものが多いのに、確固たる一個が共通する。
人という共通に惹かれて、その端末は遍在する。
欝田獨男はかようなサービス形態を提示したい。
形も色も規模もわからぬ。
今ある仕事もITであるが、つながらぬ可能性すらある。
下手をすれば人生かけてもたどり着けないかもしれぬ。
されども欝田獨男はこれを持つ。
欝田獨男の生きる糧。
('A`)
ならばこそ、これに近づくためのもの、欝田獨男は考えていたのである。
それはまず、数々の生活を見ることである。
数々の生活を観察し、その違い、さらにはその共通を見ることである。
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学生時代はノートにまとめ、ワードにまとめ、あらゆる観察を母国異国含め行った。
しかし近頃はとんと行わぬ。
欝田獨男はこれまで忘れていた。
今それを思い出したのである。
('A`)
この要素、どのようにして、食べるかいなかの話に繋がるか。
繋がるのである。
食べる理由になるのである。
なぜなら週末動くためのエネルギーとするためである。
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今まで寝たのは何のためか。
今までぐうたらしたのは何のためか。
そこに目的はあったのか。
動きたくない。
面倒である。
人に会うのも面倒である。
話すのも気まずいのである。
話すのは苦手である。
いずれも確かに看過できぬ。
欝田獨男はいわゆるコミュ障。
しかし、目的をねじ曲げるほど、強い理由にもならないのである。
('A`)
ひきこもるべき理由となれども、ひきこもるべきでなく。
動いていくべき理由となれば、欝田獨男の夢は、勝るのである。
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久方ぶりに地方へ行くのである。
むしろ自身の生活圏でも構わないのである。
観察し、そして見つけるために。
('A`)
欝田獨男は翌日からの気ままな旅へ、夢膨らませ。
原動とするため食べるべき、という選択をしたのである。
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なればこそ、次の選択、欝田獨男へ迫ってくる。
欝田獨男は考える。
('A`)
海鮮ものにすべきかどうか。
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('A`)
これを決めるのはまた難儀である。
海鮮ものにすべきであるか、他のものにすべきであるか。
その判断材料は多種多様である。
どの材料で、判断すべきか、そこが重要となるのである。
欝田獨男はお金を考える。
お金を考えればどうなるか。
家のものが際立ってくる。
なぜなら既に食材は家にある。
お金を使わず済むからである。
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('A`)
週末動くということは、お金を使うということである。
移動手段、また移動手段が徒歩などにせよ、人々の生活を観るのならば、食事や触れ合いは必須なのである。
見るだけで観察とはならず、触れてみなければ意味はなく。
いかにコミュ障といわれども、その重要さは見逃さず、立ち向かうのが欝田獨男である。
ならばこそ、軍資金は重要であり、それを残す手立てがあるなら、それは尊ばれるべきである。
かつ、残っている食料は、不味くなる前に食べられる。
これも利点たりうるのである。
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('A`)
しかしそこでも、欝田獨男は考える。
欝田獨男は海鮮が好物だ。
だからこそ、海老に惹かれて止まったのである。
あのぷりぷりとした食感。
口の中でその身は弾け、それを抑えながら咀嚼をし、溶けていく身を舌で味わう。
そんな贅沢を、欝田獨男は知っている。
だが好物といえば他にもある。
カツなどは欝田獨男は好きである。
サクサクとした衣の中で、ジューシーな肉が舌を迎える。
奥歯で噛んでは、その豊満さに胸躍らせて、米を嬉々として頬張っていく。
その様も好きである。
好きではある。
が。
欝田獨男は思い出す。
('A`)
最後に海鮮を口にしたのは何時ぞやと。
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カツは一昨日にも食べた。
しかし、海鮮は近々とんと食べておらず。
('A`)
欝田獨男は海近くにおいて、生まれた男である。
肉もさることながらも、魚を愛する男である。
しかし、鱒寿司は苦手である。
地味な箇所にて、愛嬌のある男である。
そんな男が三ヶ月も満足に海鮮を食べず。
好物とは確かに多種あるもので、それにて判断はつきぬくいものである。
しかし、欝田獨男は夢想する。
確かに、海鮮の味を。
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内装は何ともシンプルなもの。
色とりどりに広がる魚と、書き殴られた値札たち。
欝田獨男のテンションは、確かに店先よりも高まっている。
('A`)
欝田獨男の心は決まっている。
明日から始まる活動にむけ、精をつける手段において、海鮮に勝るものはなし。
その魅力だけは代用きかず、歴然とした強みである。
欝田獨男はその光る視線を、余すことなく海鮮たちへと向けていく。
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店員なのか店長なのか、店仕舞いのためかよくわからぬが、荒々しくも片付けている。
その中において、欝田獨男は考えた。
('A`)
一体何を食べるべきか。
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すかさず目に飛び込んだのは、種々多様な寿司のセット。
マグロにタコにウニまである。
しっかり海老まで乗っている。
量を確保しておきながらも1000円しない値段であり、これには大いに惹かれていた。
しかし、他方で気付いていた。
この店の強みとも言える箇所。
海鮮丼のスペースがある。
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そこには数え切れないほどの魚たちが、その身を犇かせながらも、すっぽりと器に収まっている。
その様はさながら満員電車のようである。
人ならあれほど見苦しいのに、なぜ魚ならば魅力あるのか。
('A`)
そのような迷いに囚われるくらいに、欝田獨男は海鮮丼に惹かれたのである。
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欝田獨男は考える。
('A`)
海鮮丼か、それ以外か。
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海鮮丼の利点ならば、何よりもわかりやすく、その種の多さである。そして量である。
中でも海老を主体にした珍しい丼があり、欝田獨男は大いに惹かれた。
その値、税込み1200円。
('A`)
欝田獨男は唾を飲み込む。
しかし他方で寿司もある。刺身やその他種々あるが、今回考慮に値せず、中でも寿司は有力である。
なぜなら寿司にも多種はある。
そして負けず劣らず量がある。
海鮮丼にはなき格安さがある。
1000円以下を考えるならばやはり寿司は強かであり、しかして量では勝敗決せず、決めてとなるものはやはり少なく。
海老を食べたい欲求ならば、海鮮丼でも満たされるのだが、それは寿司とて同じこと。
代用などいくらでもできるのである。
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('A`)
しかし、ここで考える。
自分が1番食べたいものは、一体何であるのかを。
それは、海老である。
さらに言えば車海老である。
そこで欝田獨男は見つけ出す。
奇特な車海老丼を。
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その姿は、欝田獨男に光を与え、選択において考えるべき点を思い出させ、その選択は自ずと決まる。
('A`)
欝田獨男は海鮮丼へと手を伸ばす。
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('A`)
欝田獨男は大いに満たされ、安心して手に取りに行く。
早くも頭は食事時、海老を頬張る夢想である。
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だがこれでは話は終わらず。
それは、欝田獨男の目の前へと、立ちはだかっていたのである。
欝田獨男は考える。
('A`)
最後の決断へと向かう。
3000円、伊勢海老丼か。
1200円、車海老丼か。
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('A`)
たまたま目を向けただけ。
しかしそこには恥じらいもせず、その身を見せつける伊勢海老が。
その量、身の弾けっぷり。
どれを見ても只者ならず。
欝田獨男は狼狽した。
これを買うべきだと心が動いた。
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しかし判断は多様な面で行えた。
お金の面では圧倒的に、車海老。
その差額は1800円。
あまりにも大きなものである。
だが、翌日以降を考えて、豪奢なものに舌鼓とくるとその考えも薄らいでいく。
目的は活動のための活力吸収。
動機感情への充足。
その点伊勢海老は、何にも負けぬ魅力を持った。
('A`)
ただ少し考えたい。それは選ぶべきなのか。
明日もお金を使っていく。
使わないのがベストだが、ここで買うべきという選択をしたなび、お金は使わざるをえないが、だが上限がないという青天井ではないのである。
翌日以降出会うだろう、未知なる美味への投資については、果たさなくてもいいのかと。
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伊勢海老くいてえなあ
支援
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だからといって、目の前の伊勢海老からは、目が離れず、生唾は胃を刺激する。
('A`)
欝田獨男は大いに悩んだ。
好物、興味、資金。
様々に考えるべき材料があり、それぞれに優先すべき考えがある。
その中で欝田獨男は考えた。
目的。
明日からまた始まる夢追いに、適すのはどちらであるか。
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('A`)
。
-
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('A`)
車海老丼を買うべきだと。
欝田獨男は選択する。
それまでの思考過程を辿りながら、欝田獨男は密かな満足感に身を包まれていた。
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('A`)
難しい決断であった。
しかし今、伊勢海老丼へと資金をかける、強く合理な理由はなかった。
車海老丼は期待満足度を超えるものであり、さらにその上をいくような、強い理由はなかったのである。
そこには感動からくる魅力があった。
それでも理性がそれに勝った。
今目の前にある甘い蜜を吸い、後々の光を鈍らすか。
今目の前の贅を抑え、明日への可能性へと投資するか。
明日からの体験への、未知なる原動力を重んじた。
その結果の、ことであった。
好物への魅力湧いた彼の想いは、車海老により満たされていき、そして資金は無駄遣いされず、翌日からの糧となる。
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経験は記憶となり。
記憶は情報となり。
情報は思考へと繋がる。
思考は行動を浮き彫りにし。
思考は動機と繋がるのである。
そして本能もまた行動へと繋がる。
体感や感動は人を突き動かし。
本能は人を人たらしめる。
それによって生まれる理性と感性。
そして、感性と理性の調和を導き出す。
これこそが、思考の極みと見つけたり。
それによって生まれた行動をこそ、欝田獨男は尊ぶのである。
そしてその満足感かと共に確かにある、これから嗜む海鮮丼への期待も確かに高まるのであった。
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('A`)「あ、この海鮮丼ください」
('A`)「レシートもお願いします」
欝田獨男は、今日も連綿たる考えの末、無数の選択を終えたのだった。
その思考に、乾杯。
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外に出た欝田獨男は、ふとして夜空を見上げていく。
そこでは深く青々と、その手をいっぱい広げる夜空に、小さな星がちらちらと輝いている。
その控えめに煌めく星を見ると、欝田獨男は何だか悪くない気になるのである。
('A`)
欝田獨男は家路を辿る。
欝田獨男の手が引っ提げる、ビニール袋の奥底で、器に盛られた車海老は、その身をぷりぷりと輝かせたのである。
おわり
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お題スレ>>543-545
くるまえび
寿司
代用
でした
支援、ご一読、ありがとうございました。
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ダクオWWWW
海鮮丼買っただけでこんなに書けるってすごいな
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どくお、ですよー
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ホントだ
濁と見間違えた
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乙!
何処までも考え尽くすドクオの思考力に乾杯
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乙!
くあああ海鮮丼食いてええええぇ
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乙、素晴らしい選択に乾杯
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乙
何か魅かれる文章だ
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訂正
>>8
にとかかわらず、この端末は遍在する。
↓
にもかかわらず、この端末は遍在する。
>>17
それにて判断はつきぬくいものである。
↓
それにて判断はつきにくいものである。
>>29
ここで買うべきという選択をしたなび、
↓
ここで買うべきという選択をしたならば、
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皆さん、オワコン社長をよろしくお願いします。気に入ったらチャンネル登録!!
http://www.youtube.com/watch?v=aSMLi2uOkvk
http://www.youtube.com/watch?v=cbwrnLKERpA
http://www.youtube.com/watch?v=gPevsHpSj-Y
http://www.youtube.com/watch?v=9ekKaVB5uHg
http://www.youtube.com/watch?v=cP0NAOzKQAE
http://www.youtube.com/watch?v=hekgfuTcX6o
http://www.youtube.com/watch?v=1uzYFjN7z5E
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ぶはぁ
なんだよこの飯テロw週末に向けて海鮮丼食える店探すしかねぇじゃんよ…
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ひとつひとつの選択にいちいちリアリティあるよなー
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なんか無意識にしてる選択も実はこうやっていろいろ考えてんのかもなって思った
海鮮丼食べたい。おつ
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