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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 六冊目【SS】
1ルイーダ★:2008/01/15(火) 19:34:37 ID:???0
――自分で書いた赤石サイドストーリーをひたすら揚げていくスレッドです――
●作品の投稿や感想はもちろん、読み専門に徹するのもまた有りです。
●技量ではなく、頑張って書いたというふいんき(ry)が何より大事だと思われます。
●職人の皆さん、前スレに続き大いに腕を奮ってください。



【重要】以下の項目を読み、しっかり頭に入れておきましょう。
※このスレッドはsage進行です。
※下げ方:E-mail欄に半角英数で「sage」と入れて本文を書き込む。
※上げる際には時間帯等を考慮のこと。むやみに上げるのは荒れの原因となります。
※激しくSな鞭叩きは厳禁!
※煽り・荒らしはもの凄い勢いで放置!
※煽り・荒らしを放置できない人は同類!
※職人さんたちを直接的に急かすような書き込みはなるべく控えること。
※どうしてもageなければならないようなときには、時間帯などを考えてageること。
※sageの方法が分からない初心者の方は↓へ。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r562



【職人の皆さんへ】
※当スレはあくまで赤石好きの作者・読者が楽しむ場です。
 「自分の下手な文章なんか……」と躊躇している方もどしどし投稿してください。
 ここでは技術よりも「書きたい!」という気持ちを尊重します。
※短編/長編/ジャンルは問いません。改編やRS内で本当に起こったネタ話なども可。
※マジなエロ・グロは自重のこと。そっち系は別スレをご利用ください。(過去ログ参照)



【読者の皆さんへ】
※激しくSな鞭叩きは厳禁です。
※煽りや荒らしは徹底放置のこと。反応した時点で同類と見なされます。
※職人さんたちを直接的に急かすような書き込みはなるべく控えること。



【過去のスレッド】
一冊目 【ノベール】REDSTONE小説うpスレッド【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1117795323.html

二冊目 【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 二冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1127802779.html

三冊目 【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 三冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1139745351.html

四冊目 【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 四冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1170256068/

五冊目【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 五冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1182873433/

【小説まとめサイト】
RED STONE 小説upスレッド まとめ
ttp://www27.atwiki.jp/rsnovel/

2名無しさん:2008/01/15(火) 19:35:28 ID:/holCfNk0
スレ建て乙。

3ルイーダ★:2008/01/15(火) 19:35:29 ID:???0
【付録】
●BBSの基本仕様
 ※投稿すると以下の書式が反映されます。投稿前の推敲・書式整形にご利用ください。
 フォント:MS Pゴシック/スタイル:標準/サイズ:12
 投稿制限:1レス50行以内(空行含む) ※これを越える文は投稿できません。



●フランデル大陸史 ※三冊目139氏の投稿より(一部表現は改編)
 ※ほぼゲーム内設定に忠実なはずです。そのまま使うなり参考にするなりお好みでどうぞ。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
4423年…「赤き空の日」※RED STONE降臨。
4556年…追放天使がRED STONEの噂を広める。
      噂の真相を調査していたエリプト帝国が悪魔の襲撃により滅亡。
4658年…エリプト滅亡後、同帝国の生き残り(傭兵等)をブルン王室が雇い入れ、王室の直轄機関
      となる『レッドアイ』を設立。
4805年…『レッドアイ』会長失踪。ロムストグバイルの書記にて詳細判明。※資料1
      同年――ブルン国王アラドン失踪。
4807年…『レッドアイ』がRED STONEを発見。
      同年――バルヘリ・シュトラディヴァディの暴挙によりブルン王国が崩壊。
      ※『シュトラディヴァディ家の反乱』
4828年…共和国主義を唱えるバルヘリに対し、自らの地位を危惧した貴族らがバルヘリの母方で
      あるストラウムを持ち上げクーデターを企てるも失敗。貴族たちはビガプールに亡命し、
      トラウザーを王に立てナクリエマ王国を建国。混乱のまま戦争は終結。
      古都ブルンネンシュティグに残ったバルヘリはゴドム共和国を起こす。議会政治開始。
4850年…ナクリエマ王権を息子バルンロプトへ移しバルヘリ隠居、後年死亡。
4854年…バルンロプトは貴族の政治介入を疎んじ、貴族に対し『絶対的弾圧』を行う。
4856年…王の圧政に耐えかねた貴族たちはバルンロプトの息子を新王に即位させる企てを密か
      に推し進めるが、現王を恐れる一部の貴族による寝返りで計画は破綻。首謀者たちは
      反乱罪で処刑され、王の息子は王権を剥奪されたうえ幽閉される。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
4931年…現代――レッドアイ狂信者によるスマグ襲撃事件発生。狂信者はスマグ地下道を占拠。
      現ナクリエマ国王タートクラフト・カイザー・ストラウスがビックアイに傭兵を展開。謎の警
      戒態勢に入る。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※資料1)レッドアイ会長の失踪直前に記された『補佐官スロムトグバイルの手記』より抜粋。



     「汝らの求めるREDSTONEは汝らが思うような至高の宝ではない。
     天空から複数略奪された盗品のひとつに過ぎないのだ。
     汝らが目的を果たしたとき、宝はなにがしかの富と名誉をもたらすやも知れぬ。
     だが忘るな……それは至高の宝にあらず。必ずや汝らを破滅へと導くだろう。
     ――あのブルン終末期の王と■■■■■■■」



     ブルン暦4805年12月8日 王室直轄機関『レッドアイ』会長 アイノ・ガスピル
     頭筆記 会長補佐官スロムトグバイル



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
※註釈――同資料は2006/03/18投稿時点で139氏がゲーム内から抽出したデータです。
 その後のアップデートによる新NPC、クエストによる設定追加分は含まれていません。

4名無しさん:2008/01/15(火) 19:37:49 ID:/holCfNk0
>>2
途中に書いてしまって申し訳ないです…

5スメスメ:2008/01/15(火) 20:12:48 ID:9l7GYbCoo
早速、分不相応ながらに投稿をしたいかと……。

6スメスメ:2008/01/15(火) 20:16:22 ID:9l7GYbCoo


「ふぅ……、何とか撒いたか?」

ここは古都から少し西へ行った所にある共同墓地。
ある依頼を受けてそこの地下墓地にオレはいる。

そこでいきなりガイコツ共に囲まれてしまい、オレは敵を千切っては投げ千切っては投げ……



ん?
ウソを言うなと……?

ハイ、すみませんウソです、ごめんなさい……。

だって、2、3体なんてレベルの話じゃ無いぜっ?
どう見ても2、30体の数字だよっ。
あんな数どうやっても無理だよ……。


……。

うん、気を取り直して奥へ進みますか♪
じっちゃんも「いちいち気にしてたらハゲる」って言ってたしな、うん。

それに、どうやら図らずも目的地に近付いてるみたいだし。
どうもこの通路の奥から怪しい気配がプンプンしてくるんだよ。

なぁんて事言ってたら、着いちゃったッポイね。
そっと通路からそっと部屋を除くと……、やっぱりいた。
今まで来た冒険家の返り血を浴びてたような赤く変色したガイコツ達が奥の祭壇を守るように立っている。

3体か、これなら何とか出来そうだ……ん?


「おいおいおいっ!」

よく見たらすぐ側に女の子が居るじゃないかっ。
しかも奴らがその子に気が付いて明らかに狙われている!
なんつー、ベt……
いやいや、そんなことよりも、

『助けなきゃっ!』

そう、頭で考えた瞬間にはもう敵の中に突っ込んでいた。
『人助けをすることに何の迷いも考えもいらない』って、じっちゃんも言ってるしね。
そんな中、距離を詰めている間にもガイコツ共はその子に向かって得物を振り下ろそうとしているっ!

もう倒している時間なんてないっ!

オレは更に加速し、ガイコツ達の間を駆け抜け、その子を抱きかかえて何とか救出!!
ふぅ、あぶなかった……。

「おい、大丈夫か?」
抱きかかえたその子を地面に立たせて、そう聞くと女の子はキョトンとした顔でこっちを向いている。
おいおい、まさか気付かなかったのか?
つーか何でこんな所にこんな子がいるんだよ……?
ふと、彼女に眼を向けたときに目に入ったのは、
片方が金色に近い澄んだ瞳で片方が紅く深い瞳の色をして、髪も眼と同じ透き通るような金色をしたフワフワの猫っ毛な髪型だ。
へぇ、珍しいな。
それにしても、その瞳を見ると何だか引き込まれていくような……。

っと、見惚れてる場合じゃねぇ。
「あんたはここに居な?」
そう言って女の子を部屋の柱に座らせ、ガイコツ共を睨みつけた。

7スメスメ:2008/01/15(火) 20:25:08 ID:trZxvsZ.o
振り向くと奴ら、ケタケタ笑ってやがる。
相当腕に自信があるのか、甘く見られているのか……。
甘く見られてると思うと……
そう思った瞬間にオレは歩を進めて、駈けだしていた。

狙うは頭、一気に駆け詰めて片を付けてやるっ。
そう思って渾身の力を込めて拳を突き出したけど、やっぱり現実はそうはいかない。

ガキィン……

「げっ!」
突き出した拳がガイコツの剣に受け止められちまった。
その瞬間、左右から残る2体の突きがオレに向かってくるっ!
「ほぁっ!」
オレはとっさに身体を『くの字』の様な状態になり避けたけど、正面のガイコツが追い打ちをかけるように剣を振り下ろしてくる。
「ふんぬりゃあぁぁぁっ!」
そこで目一杯仰け反り、それをも回避っ!
あぶねぇあぶねぇ……
……って端から見たらすげぇダサいんだろうなぁ。
そう感じながらも『ブリッジ』の様な格好のまま後方(この場合前になるのか?)にカサカサと距離をとって仕切り直す。

やっぱり考え無しで突撃しちゃいけないよなぁ。
つーコトなんでちゃんと頭を冷やしてから……、

「いきますかっ!」
と意気込んでからオレは、右足を後ろに引き、拳を作って戦闘態勢に入る。

こいつらの攻撃方法はとても単純だ、垂直に打ち下ろしてくるか突いてくるだけ。
ほら、さっそく打ち込んで来たっ。
「はぁっ!」
と気合いと一緒に蹴りを奴の剣に向かって放つ。


金属がぶつかり合う音と一緒に剣が弾け飛ぶ。
靴底に金属板が入ってるんだ、そんなナマクラじゃあ切れないぜ♪

得物を蹴り上げられ、それでもケタケタ笑いやがるその顔にめがけて……
さっきの、
「お返しだぁぁぁぁっ!!」
蹴り上げた脚をそのまま力強く地面を踏みつけ、目一杯の正拳をぶちかます!
粉々に砕けた頭部が地面にバラまかれ全身をガクガクと震わせながら崩れ落ちていった。

残りは2体、その2体もオレが拳を打ち出した瞬間に最初と同じような剣線で突き出してくる。

「おぉっ!」

オレも打ち終わったと同時に左の背面蹴りを右側の奴に喰らわすっ!
こっちも顔面に見事に入って砕け、そして崩れ落ちていく。
流石に動揺したのか躊躇している残りのガイコツに向かって今さっき喰らわせた足をそのままガイコツの居る後方へ回しながら振り上げ、遠心力も加わった踵を頭上から打ち下ろすっ!
最後の1体も頭から真っ二つになって崩れていった。

「ふぅ……」これでひとまず大丈夫かな?


ーゾクッー

背中から物凄い寒気を感じる。
ハハ、大丈夫って訳でも無さそうね……。

祭壇の方から今まで感じなかった強烈な気配を感じる、明らかにその気配はオレに向けられ今にも飛びかかって来そうな勢いだ。
その気配に胸がチリチリする……。
これが『殺気』って奴なのか?
これだけでマジで腰が抜けそうだぜ、笑えねぇなぁ……。


『バインダー』だっ!


あれはヤバいっ!
頭の中で『逃げろ』って叫んでるんだけど脚がビクついて動きやしない。

ふと、あの子は無事だろうか、と眼を柱の方にやると……


をいっ!!
寝てるよっ。

つーかどー言う神経してんだ?
この殺気を感じないのか??
だとしたらスゴいな、おい……。

って、現実逃避してる場合じゃねぇって!
ほら、お客さんが突っ込んでくるぞっ!
動け、動けうごけっ!!
動けよっ!?俺の脚っ!!







ーどけっ!アルっ!!ー

8スメスメ:2008/01/15(火) 20:37:10 ID:F2CaMOkAo
どうも、スメスメです。
おそれながらこのスレ初投稿をば……。
どうしても一人の人物の主観でしか書けないため解りづらいかと思いますが次回で別の目線で書きたいと思います。

9メイトリックス:2008/01/15(火) 23:39:24 ID:neGQmqs60
Hellfire Salvage
The Decidings Part.1


このまま全部凍ってしまえばいい。
この胸を焦がす、不毛の火さえ冷ましてしまえたなら。
震える身体にマントをぎゅっと引き寄せ、白い息を吐く。砂漠の夜の厳寒を昼間の暑さから想像するのは難しい。
昔の人は、既死者さえ殺す死神に喩えたそうだ。
それはこの小さなオアシスの町でも変わらないのだろう。
酒場には明々と灯がともり、民家には暖炉が燃えていたけれど、奥まった路地に潜むわたしに、身を暖める手段はない。

厚布のごわごわした感触が、わずかなぬくもりをつなぎ留める。旅立ったわたしに故郷を偲ばせてくれる、たったひとつの持ち物。
姉さんがわたしを驚かせようと、こっそり夜中に少しずつ、何ヶ月もかけて織ってくれたのを知っている。
いつかあなたが一人前になる日のために、ね。
そう言ってぱっと花のように笑った姉さんの顔を思い出すとき、わたしの胸は張り裂けそうになる。
このマント、あのころは金紅色に輝いているように見えたのに。
煤けて穴だらけになってしまった今は、砂漠をさまようミイラの包帯かと見紛ってしまう。
携えていた自慢の槍はとっくに折れ、旅の費用をまかなうには鎧を売り払うしかなかった。
今のわたしを見て、かの誇り高い一族の末裔だと気づく者がどれだけいるだろう。

一年も前の秋の日、わたしは生まれ育った地に背を向けた。
長老たちは思い直せと何度も訴えた。無謀な出立は死によって報いられると。
でもわたしは聞き入れなかった。もう一度あの日に戻れたとしても、やはり頷かないと思う。
彼らが差し伸べてくれた手を振り払い、わたしは行かなければならなかった。
東方へ向かい、アリアンを越え、はるかゴドム共和国の領土へ。
姉さんを探すために。

誰かの近づく気配に息をひそめる。
聞こえてきたのは、砂をつめた二つの皮袋を交互に引きずるような音。それにじゃらじゃらと鎖の鳴る音が加わり、不吉なリズムを刻む。
最後の武器、たった一本の矢を握りしめる手に力がこもった。聞き違うはずがない。この忌まわしい足音を。
胸の奥の炎が一瞬にして全身を駆け巡った。血に植えつけられた憎しみが熱を持って叫ぶ。復讐を果たせ、と。

目の前が真っ赤に染まり、考えるよりも先に身体が飛び出していた。
矢を隠し持ったこぶしが突き出され、敵の喉笛に深々と突き刺さる――そうなるはずだった。
けれど、手に残ったのは空を切る感触。
飢えと寒さに苛まれ続け、正常な判断力を失ってしまったわたしに、もう力は残されていなかったのか。
目の前で空色のローブが翻るのが見えた。そいつは幻惑するような優雅さでくるっと回ると、そのままわたしの腕をつかみ、ひねり上げた。
肩に鋭い痛みが走る。冷たい刃が喉に押し当てられ、漏れかかった悲鳴を凍りつかせた。
首筋にかかる吐息は、この寒さの中にあってなお、背に震えをもたらす冷気を帯びていた。
ねじる力はどんどん強まり、肩の関節が嫌な音を立て始める。手から矢が落ちた。
痩せ細ったわたしの腕など、枯れ枝と同じくらいたやすく折られてしまうだろう。
熱い涙が頬を伝った。結局わたしは、何も出来ないままこいつに殺されるのだ。姉さんのように。
姉さん。
どこにそんな勇気が残っていたのかはわからない。どうせ死ぬのなら、最期に憎むべき仇の顔を目に焼き付けておきたかった。
刃が肌を裂き血の筋を残すのもかまわず、必死に首を回し、後ろを振り向いた。
だけど、そこに顔はなかった。そいつの頭部は鉄色のマスクに覆われていたから。
バイザーの奥には深い闇。その奥から二つの青白い炎がわたしを見据えていた。

10メイトリックス:2008/01/15(火) 23:40:57 ID:neGQmqs60
「誰かと思えば砂色の髪の民か」
口を開いた、という表現は正しくないかもしれない。地の底から湧き上がるような深い声が、鉄仮面を震わせる。
「久しく見なかったぞ、短命な遠類よ。未だ滅びてはいなかったのだな」
古めいた文句を紡ぎ、そいつはくつくつと笑った。こいつはわたしの血の色をした眼を見たのだ。
「お前たちは遠類なんかじゃない!たくさんの仲間を殺しておいて……!」
憤怒と嫌悪が全身を駆けめぐり、口から迸った。もう自分の身の危険など眼中から消え失せていた。
獣のように唸りわめき、罵詈雑言の限りを浴びせながら、わたしは無表情な仮面に言葉を叩きつける。ついこの間も一人殺したくせに、と。
沈黙が降りた。寒空の下、わたしの荒い息づかいだけが耳障りに響く。そいつの青白い眼光は瞬きもしなかった。
「知らんな」
空々しい答えが返る。
「知らないなんて言わせない!見た人がいるんだから!」
抑えきれない怒りに声が震えた。「ニイドってネクロマンサーが姉さんの死体を運ぶのを!」
酷使された喉がひりつく。首から流れ出した血が、マントに赤黒い滲みを作っていくのがわかった。
「それに、あの槍を送り付けてきたのも……」

あの日、その包みが届けられるまで、自分に決断の日が迫っているとは思いもしなかった。
幸せだった。わたしはただ姉さんの帰りを待ってさえいればよかった。
姉さんは一流の傭兵。どんな危険にも勇敢に立ち向かい、涼しい顔で潜り抜けてきた。
そして、決して笑顔を忘れた事がなかった。
村を発つ時も無事に帰ってきた時も、大丈夫だよ、といつも微笑んでくれた。あの花のような笑顔で。
だからわたしは安心して待っていられた。
友達と笑いさざめき、薬草を摘み、村の小さな子どもたちの面倒を見た。両親のいないわたしに、姉さんがしてくれたように。
そうやって、再び旅立つ時まで二人で暮らす平和な日々に思いを馳せていた。
でも。
真っ二つに折れた槍が包みから転がり出た時、わたしは言葉を失った。
姉さんの大切にしていたボア・クラン。肌身はなさず持ち歩いていたはずなのに、どうして。
手がかりを求めて、必死に包みの残りを解いた。槍をくるんでいたのは上質な絹の布だったけれど、気にする余裕などなかった。
使われていない矢の束が、血にまみれ弦の切れた弓が、次々とわたしの目に晒される。その度に、絶望が胸に澱のように溜まっていった。
姉さんが武器を手放す事はありえない。わたしたちは皆、小さいころから武器を自分の一部として扱うように教えられてきた。
エリプトの傭兵にとって、武器は命と同じくらい大切なものだから。それがここにあるという事は、つまり姉さんは――。
恐ろしい可能性に思い至ったわたしの目が、布の端に吸い寄せられる。そこにはひとつの見慣れぬ文字が縫い込まれていた。

やがてうわさが聞こえてきた。
姉さんは生ける謎に殺されたのだと。古き悪魔の一人、ルーンの名を持つ者に。
旅人が他のうわさを伝える事もあった。
東へ進んだ砂漠の地に、ルーンの名を持つ死術士が移り住んできたらしいと。
悪魔。その単語に村中が色めきたった。
かつて大帝国だったエリプトを滅ぼし、わたしたちの祖先を離散させた宿敵。その殺戮と陵辱は留まるところを知らなかったと聞く。
一族に悪魔の血が混ざったのもこの時期だったそうだ。
あの悲劇以来、わたしたちはあらゆる悪魔とその眷属を憎み、狩り立ててきた。悪魔と等しく恐るべき傭兵団と称されるほどに。
ましてや古き悪魔と言えば、それよりも以前から地上を徘徊し、力を行使していた者たちだ。
村の戦える者はすべて立ち上がろうとした。
この機に数百年の間に各地に散らばってしまった同胞を呼び集め、かつての報復を行うべきだと主張する古参の傭兵さえいた。
しかし、長老たちは疲れ切った表情で首を振った。
長老たちは知っていたのだ。彼らが見ようとしないものを。彼ら以外の目には明らかな事実を。それをわたしも見てとった。
彼らは弱過ぎたのだ。弱く、愚かになり過ぎた。エリプト傭兵団はもはや存在せず、昔日の栄光は既にない。
どれだけ彼らが悪魔を倒そうと、やつらの数は日々増え続けている。
敵が勢力を増し続けている間、わたしたちは衰えていく一方だったのだ。
だから、わたしはたった一人で旅立った。皆を巻き込む事などできはしなかった。
村を去る時の長老たちの表情が忘れられない。
わたしの身を案じ心を痛めながらも、その顔には残酷なほどありありと安堵が浮かんでいたのだ。

11メイトリックス:2008/01/15(火) 23:41:42 ID:neGQmqs60
「成る程、遂に追いついたか」
不意に喉もとの刃が取り払われ、ねじり上げられていた腕が自由になった。
わたしは素早く身体を反転させ、ズキズキと痛む肩をかばいながら、無事な方の腕でニイドに殴りかかる。
「私を憎むのも無理からぬ事。だが君は誤解している」
彼は造作なくそれをいなすと、さっきとはまったく違う、同情さえ感じられる調子で言った。
「確かに噂は全て違わず真実だ。しかし、姉上に死を与えたのは私ではない」
「そんなたわ言、信じると思ってるの」
わたしの脳裏にネクロマンサーの話術に関する数々の伝説がよぎる。悪魔の誘惑術を用い、どんな相手でも言いくるめてしまうのだ。
そんなものに騙されるわけにはいかない。視線を走らせ、相手の隙を探ろうとした。
わたしの考えを読んだのか、ニイドは鷹揚に肩をすくめると握っていた刃物をこちらに差し出し、言った。
「信用して貰うしか無かろう。姉上の死の真相が知りたくば」

小振りの美しい曲刀だった。
埋め込まれた無数の宝石は、ひと目で比類なく高価だと知れるものばかり。所持者の手にしている財産を量らせるには充分だ。
警戒して動かないわたしに受け取るよう促し、言葉を継ぐ。
「武器を渡しておく。ただ、私に説明の機会を与えてくれさえすれば良い。その後裁くか否かは君に委ねる」
「わたしを嵌める気なのね。呪術を使えるネクロマンサーに武器なんか必要ない」
頑なな疑いに気を悪くした様子もなく、彼は答えた。
「然り。されど私にその気があれば君はとうに死んでいる。それは理解している筈だが?」
肩がズキンと痛んだ。確かにその通りだった。こうも明白な事実を突きつけられなければならないなんて。
悪魔の言葉に耳を傾けるか、一族の名にかけて彼を殺すか。内に生まれた逡巡がわたしを悩ませる。
首から流れ出す熱を持った血が、耳を貸すなと声を上げた。お前は欺かれている、と。
そうであったなら。ここで彼を殺せば全てが終わる。
もう悪夢に悩まされる事も、息が出来ないほどの焦燥感に追い立てられる事もない。
その選択肢はとても魅力的で、蜜のように甘く思えた。この誘惑に抗するのは愚かというものだろう。
……でも、わたしにはわかっていた。ただそれを認めたくないだけなのだ。
――彼は真実を語っている。
そうでなければ、まだローティーンでしかない半人前ランサーの言葉になど耳を貸す道理がない。
その上、誤解を解こうと説得するなんて。
完全に信用したわけではなかったが、姉が死ななければならなかった理由をどうしても知りたかった。
持てる限りの理性をかき集めて胸の炎を抑え込むと、声を押し殺して呟いた。
「わかった。だけど妙な真似はしないで」
精一杯脅しを込めたつもりだったその声の、あまりの弱々しさにわたしはショックを受けた。
呆然としているわたしを気遣ったのだろうか。ニイドは神妙にうなずくと答えた。
「承知した。では私に付いて来たまえ。君の……」わたしの首と肩を示す。「傷の手当もしなくては」
わたしは力なく首を垂れると武器を受け取り、彼の後について歩き始めた。


――――――――――――――――――――――――

>>1
スレ立てありがとうございました。

>>スメスメ氏
結構ピンチに陥ってるはずなのにすんごく前向きな武道家さん、良いですね!
豪快というか、サバサバした感じといいますか。希望の持ち続けられる暖かさだと思います。

スメスメ氏に便乗して初投稿でございます。続きモノかもしれません。多分。
前スレまで黙々と読み専門だったのですが、皆さんの達者な文を読んでる内にムズムズしてきまして。
自分も書いてみたいなと思い、ついにやらかしてしまった次第です。長いです!ウザいです!
このスレでも皆さんのますます盛り上がっていくストーリーを楽しめるといいなと思います。

12スメスメ:2008/01/16(水) 00:11:19 ID:ddy6MTJU0
どうも、ID違うかもしれませんがスメスメです。
普段携帯での投稿で、久々にPCで見てます。

>>メイトリックス殿
初投稿おめでとうございます。

いやぁ、こんなに沢山書けるのは羨ましいですよ。
自分なんかはどうしても文章に表現すると言う事に不向きなのでしょうかね?

お互いに盛り上げられるような作品が書けるようになりたいですな♪
そしてコメントありがとうがざいますっ♪

13みやび:2008/01/16(水) 05:58:34 ID:jgSWs2eg0
◇――――――――――――――――――――――――Red stone novel−Responce
 【レス1/2】
前スレ>之神さん
 うおっ、レスするのはお初ですよね!?(脳味噌ないので違うかも(汗))
 之神さんの作品はまだ読んでなかったりして……(びくびく)
 いや他にもたくさん未読の方がいるんですけどね(ひぃ)
 これはさっそく之神さんの作品を読まなくては。
 ……なんて書くと誤解されそうですが、とくに「レスをくれた人の作品しか読まない」という
自己ルールがある訳ではありません。最初のスレから読んでいるので、単に読書作業が亀
なだけです(泣)

 ――書きたい欲求――
 おそらく完全ROM専してる方の中には、自信がなく気後れして投稿できないでいる人も
いらっしゃるかと思います。なので少しでも投稿しやすいようにと、あの一文を入れてみま
した。もちろんここの住民の人たちは新人さんを温かく迎え入れてくれるはずですが、やは
り目に見える形のほうがいいかなあ、と。
 暗黙のスレ上げ――そういえば忘れた頃に上げてくれる方もいらっしゃいますね。
 このスレは他と違って上げても比較的平和なので、あまりに長期間沈んでいる場合はこっ
そり上げてみるのも悪くはない。みたいな旨を加えてもいいかもしれませんね。
 いやでもやはり暗黙のほうがいいのかな(笑)

前スレ>68hさん
 はっ――しまった(汗) テンプレ案のフォント情報はWin相当です(汗)
 Winのメモ帳等でMSPゴシック、標準、12ポイントに設定すると、見た目がこの掲示板の
表示と同じになる(専ブラ使用環境を除く)――ということです。
 ローカル側で掲示板と同じ大きさに表示させて推敲すれば、完成形を想定した書式整形
がし易いだろうなあ、と思って採用してみたのですが……。
 過去にRSをプレイしていてOSをMacに乗り換えた人がいないとも限りませんよね。さらに
その人がここを見ている可能性となると恐ろしく低いですけど(笑) でも可能な限り万人を
想定するのが本来ですからね。註釈は入れるべきでした(泣)
 仕様が変ってなければ解像度はWin96dpi、Mac72dpiなので、Web上ではWinの方が表示
は大きくなるはずです。数値的には1.3倍ですが、体感的には倍に見えるはず。

 しかし感想というのも立派なトレーニングだと思いますよ。さしずめ68hさんは黒帯びといっ
たところでしょうか。むふふ♪

前スレ>スメスメさん
 筆が遅いのは作家のご愛嬌ですよ(笑)(そうなのか……)
 こちらこそあらためてよろしくです♪
Red stone novel−Responce――――――――――――――――――――――――◇

14みやび:2008/01/16(水) 05:59:06 ID:jgSWs2eg0
◇――――――――――――――――――――――――Red stone novel−Responce
 【レス2/2】
前スレ>白猫さん&ワイトさん
 ラス投稿お疲れ様でしたー♪
 が、まだ読書が追いついてないです……(いやん)
 読み切りに関してはなるたけリアルタイムで感想を述べているのですが、連載ものは1スレ
から読んでいるので、どうにも亀すぎですね(泣)
前スレ>◆21RFz91GTEさん
 ラストお疲れ様です!
 こういう感傷的な短編は大好きです♪
 何気ない日常を切り取っただけでも、そこに情緒的な要素が加わればどんなものでも物語
になる。そんなお手本みたいなお話ですね。
 過疎ぎみなRSの現状ともある意味シンクロしてるかもしれない辺りがまた刹那的かも。

 ちなみに今は「名無し」だった頃の◆21RFz91GTEさんの作品を読んでたところです。(遅ッ)
 感想はのちほど〜。(いつやねんな(汗))

>スメスメさん
 人称はある種の罠ですからね(汗)
 一人称だと現実味のある表現が可能だけど、代りに「主人公が知り得ない情報」を読者に
見せることができなくなりますから、シーンを変えたり色々な手段で対抗する訳ですが、慣れ
が生じると作者さえ視点を見失ってしまうという墓穴でもあったり(笑)
 とは言え創作欲にかなうものはありません。小難しいことは考えず自由に投稿してください。
 私なんてもう心臓に毛が生えそうです……(恐)

>メイトリックスさん
 祝! 初投稿♪
 というわけで初めまして。私も途中乗車の身です。

 エリプトの滅亡と悪魔のくだりは、公式でも概要しか紹介されていないので、謎めいていて
すてきです。
 復讐に燃える主人公と訳ありな宿敵という構図も、掴みはバッチリですね。
 姉の死にどんな真相があるのか……。続きが楽しみです。
 また作家さんが増えて嬉しいです。これからも投稿をお待ちしております!

 >>1
 最後になりましたがスレ立てお疲れ様です!
Red stone novel−Responce――――――――――――――――――――――――◇

15◇68hJrjtY:2008/01/16(水) 16:49:52 ID:zKuyzEVI0
>>1さん
スレ立て乙であります!一日遅ればせながらもスレ発見しました(笑)
みやびさん案のテンプレ等もそのまま…良い仕事ありがとうございます。

>白猫さん (前スレ992〜996)
スレ終了間際な投稿、ありがとうございました!
今回も色々な発見と進展がありましたが、個人的にはルフィエがネルを想っていたのに気がついたシーンが良かったです(*´ェ`*)
サーレの「ルヴィぽん」と「ネルぽん」はしばらく私の頭から離れない呼称になりそうです(笑)
関西弁のウィザードって物凄く楽しそうなんですが、男勝りのアーティも素敵。
歌姫の正体も明らかになりましたね。と、聞きなれた単語が出てきたと想ったら北欧神話が原点でしょうか。
続き楽しみにしていますね。

>ワイトさん (前スレ998)
待ちに待った後日談…と思いきや、物語は続いているようで良かったです(笑)
ビショップのヒース君も仲間に入ったと思ったらリンケン!冒険話は大好きです(ノ∀`*)
戦闘面ではないラータの素顔(?)も見れましたし、安心して続きを楽しめそうです。
ヒースの犯罪歴は個人的に気になりますけど(笑)

>21Rさん (前スレ1000)
1000ゲットおめでとうです!
実は私も似た理由で以前在住していたMMOから抜け出してRSやってる身…実に親身に読めたと思いますorz
ギルドというひとつの集まりができるとどうしても人同士のいざこざは仕方ないものですね。
でもそれをまとめるギルマスは一人。だからこそ友人というものはとても大切だと思います。
彼(彼女)が無事にRS世界に復帰し、無くしていた仲間と再会できた…つい涙がこみ上げてきそうになりました(´;ω;`)
1000という記念番号での心に残る短編、ありがとうございました。

>スメスメさん
ムハー!武道家キタ━━☆゚・*:。.:(゚∀゚)゚・*:..:☆━━!!
女の子を守って戦うというシチュエーションに鼻水モノです!(違
しかし、いつも思いますがガイコツやバインダー相手との戦いはどうやって倒したら良いのでしょうね…。
私の愛読する某ファンタジー小説では「腰の骨か頭蓋骨を打ち砕く」のが一般的らしいですが(笑)
一人視点での物語というのは実際の作家さんによる書籍でもよくありますし(「吾輩は猫である」とか)、読みづらいなどということはありませんよ。
むしろ仕掛けられた罠とか敵側の思惑が読み取れないぶん、ワクワク感が増しますし。
続きお待ちしています。

>メイトリックスさん
初めまして!ここで感想を書かせてもらってる一人、68hです。
ランサーとその妹…復讐という言葉を背にしているランサー(アーチャー)のシリアスなお話ですね。
エリプトという国の情景もこのスレでは時折語ってくれる書き手さんが出てくれますが、滅びてしまった国と考えると色々と想像するしかありません。
メイトリックスさんはそんなエリプトと、そこに生きた二人の姉妹を実に悲しく、そして力強く描いていると感じました。
ネクロマンサーのニイドが持つ謎、そして姉の死の理由。彼女と共にそれらが判明していくのを楽しみにしています。

>みやびさん
Mac云々は私も限りなく可能性は低いと思いつつも…でも改めて考えるとやっぱり居ないかもしれませんが(苦笑)
でもMacだとまったく読めない、または書き込めないなんてことはないでしょうし、気にする必要はありませんでしたね(;´Д`A ```
むしろフォントやレイアウト関係の注釈をみやびさんが提案してくれるまでまるで気にしてなかった自分の方がorz
黒帯なんていただける事態じゃありませんね(´;ω;`)

16ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/16(水) 18:51:49 ID:OhTl4zsk0
前スレからの続きですよ〜


「・・・えと、これを・・・き、着るんですか〜?」「うっせ〜、早く着ろっつーの!!この美少年君〜」
エルフの長老の屋敷にて展開される、幼児ミリアの捕獲作戦。その一環で、一人の美少年エルフが禁断の扉を開けさせられようとしていた。
「んしょっ・・・うぅ、なんか・・・お尻がムズムズしますよぅ〜」顔を赤らめて、自身の背後に目を見やるエストレーア。実は彼が着たのは
エディの悪企みによって持ってこられたそれは、彼の仲間である槍使いのラティナの衣装だった。鎧は問題ないのだが、インナーに問題がある。
・・・女性用のハイレグレオタード、しかも後ろはTバック仕様なのだ。それをたった今着てしまったエストレーアだが・・・違和感がない。
「うぉお〜、さすがはエストレーア!!美少年は女装させてもイケるって本当の話だったんだな〜・・・」エディの傍で感心しているのは
彼の友人でもありライバルでもある、エルフ暗殺者のクレイグ。彼もまたエディと共に、エストレーアに女装をさせた張本人ということだ。

「うぅ・・・こんな格好でミリアちゃんを説得しろと言うんですか〜??恥ずかしいですよぅ〜」股間を隠すようにして、モジモジとした様子の
彼をよそに、エディとクレイグの妙な視線がエストレーアの身を包む・・・。「う〜む・・・あとは胸に丸いものを詰めれば完成だな。」
「なァなァ、こんなところにパンが落ちてたぞエディ〜」どこから取り出したのか、クレイグが棒読みの声と共に丸い菓子パンをエディに手渡す。
「お、グッジョブだぞクレイグ〜!!・・・お〜っしゃ、これでエストレーアも萌えキャラ確定、最強の女装少年の完成だ〜、イェ〜イ」
鼻血を垂らした男二人に引きずられて、「あぅ〜、やめてぇ〜」とヘタレまくりな声を出す美少年エルフはキッチンへと連行されていく・・・

「あ・・・エディ、エストレーアの声とかどうすんだよ?外見は完璧でも、声がこれじゃぁバレなくね??」少し不安な表情を浮かべ、クレイグがエディに問う。
「はぁ・・・これでも一応、声帯模写はできますよ?例えば・・・『えと・・・あ、あたしっ、エストレーアですっ/////』・・・とか。すごいでしょ?」
キュートで甘いアニメ声を躊躇なく発するエストレーアに、男二人のピュア(?)なハートは貫かれまくりだった・・・

「・・・ボソボソ(なぁ、オレさぁ・・・不覚にも勃起しちゃったんだけど・・・・テヘ☆)」
「・・・ボソリンチョ(惑わされちゃダメだぞエディっ!!エス公はあくまで男なんだ、我慢しる!!)」
「・・・ボソリンヌ(でもさ〜、これ破壊力強すぎだって〜。うは、超ヤベェ〜/////)」
「・・・ボソソンヌ(・・・たしかに、エストレーアの女装がここまで来るもんだとはね・・・恐ろしい子っ!!)」

「あぅあぅ〜・・・・もう好きにしてください〜」
女装モードが馴染んできてしまったのか、既にアニメ声を模写したエストレーアの破壊力溢れる萌え声が
幼女ミリアが待ち受けるキッチンへと続く廊下に木霊する・・・

17ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/16(水) 19:21:34 ID:OhTl4zsk0
一方、こちらはエルフの村近郊の森の中。
魔術師のバーソロミューと、相棒のエルフ魔術師のマスケーロがテクテクと歩いている。
「さ〜て・・・暴走したフィナーアさんはどこに行ったんでしょうかね〜・・・っと。」杖をクルクルと軽く回しながら、彼が気だるそうに言う。
「たしかにこの森の中を・・・ん?どこからか変な声が聞こえてきますよ、バーソロミュー?」相棒のマスケーロが、森の奥から聞こえる声に反応した。

・・・そして場所は移って、今度は森の中のとある茂みの中。
「んっ・・・はァ〜んっ!!イェスイェ〜ス!!バーニンマイプ〇シー!!バーニンマイプ〇シィ〜!!ふぁっ・・・あぁ〜んっ!!」
「ぜぇ・・・ゲップ、なァ・・・フィナーアちゃん?もういいだろぉ〜?オレの体力もう限界なんだわ・・・勘弁してくれぃ・・・むあ〜・・・」
「ダメよっ・・・んっ・・・あっ・・・まだまだイケちゃうんだから!!あと3時間は続けてもらうわよ〜、さァもっと激しく突いてぇ!!」
「もうだめ、死ぬ〜・・・・・」「・・・アレクシス、あんた一体何してるんですか?」「うげっ!!まま、マスケーロ!?いつの間にっ!!?」

茂みの中で子どもの教育上よろしくないコトをやっていたのは、ビーストテイマーでミリアの姉のフィナーアと、エルフ戦士で槍使いのアレクシス。
突如その場に姿を見せたマスケーロに驚くや否や、肩まで垂れ下がるドレッドヘアを逆立たせ、パイプウニのような髪形を作っていた。
「はぁ・・・相変わらずこの人は24時間脳みそピンク色なんですから〜。まぁ、無事で何よりですよフィナーアさん。」
半ば結果はわかっていたように、呆れながらバーソロミューは言葉を紡ぐ。そしてマスケーロも首を縦に振る。
「おいおいそりゃお前ら、体力がゼロに近づいて倒れそうな俺を無視するなっつーの!!KYだKY、空気読んでく・・・むぐ!?」
無視されているのが嫌なのか、突っ込みを入れようとしたアレクシス。だがフィナーアがいきなり彼の顔面にまたがり始め、言葉が途切れる。
「それで?アタシに何かご用かしら、生真面目コンビなお二人さァん?」腰をリズミカルに上下させながら、セクシー目線で彼女が訊く。
「あぁ・・・そうでしたね、実はカクカクシカジカのパラレルスウィングで、なにやらミリアちゃんにトラブルがあったそうで・・・」
「えぇ〜!!?!あぁんもうっ、何で早くそれを教えないのよ〜!!ミリアちゃん待ってて、お姉ちゃんが助けてむぎゅ〜ってしてあげるからねっ!!」
愛する妹のトラブルと聞いて、即座に屋敷へと猛ダッシュするフィナーア・・・相変わらず何も着ずにすっ裸のままだったが。

「・・・あの人には服を着るという概念はあるんでしょうか、ねぇマスケーロ?」「露出狂の思考は僕の知識の範囲外ですからわかりません。」
「ところで、そこで鼻血垂らして悦って気絶している筋肉質な彼、どうします?」「あぁ、そうですね・・・いじって晒して笑いものにしましょう。」
その後、闇の元素による芸術的イタズラにより、アレクシスが村中の笑いのネタにされることになったのは言うまでもない。
幼女ミリアが無意識に引き起こすバカ騒ぎは、これだけでは済まない。いや、タダで済むはずがない・・・・!!

18ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/16(水) 19:28:46 ID:OhTl4zsk0
お久しぶりです、REDSTONEの世界観と常識を壊しまくった自己満足小説でおなじみ、ESCADA a.k.a. DIWALIです。
遅くなりましたが、書き手や読者、そしてコメンテーターの皆様。あけましておめでとうございます、今年も良しなに。
・・・という訳で、さっそく頭の悪さの塊みたいなものをアップさせて頂きました;;;

このドタバタが終わったら、そろそろ新章突入に移りたいと思います。
その際は軽くキャラクター紹介も書いておこうかと、ではでは(*゚ー゚)ノシ

19FAT:2008/01/16(水) 20:53:23 ID:x96Nj7JI0
前作 二冊目>>798(最終回)

第二部 『水面鏡』

キャラ紹介 三冊目>>21
―田舎の朝― 三冊目1>>22、2>>25-26 
―子供と子供― 三冊目1>>28-29、2>>36、3>>40-42、4>>57-59、5>>98-99、6>>105-107
―双子と娘と― 三冊目1>>173-174、2>>183、3>>185、4>>212
―境界線― 三冊目1>>216、2>>228、3>>229、4>>269、5>>270
―エイミー=ベルツリー― 三冊目1>>294、2>>295-296
―神を冒涜したもの― 三冊目1>>367、2>>368、3>>369
―蘇憶― 五冊目1>>487-488、2>>489、3>>490、4>>497-500、5>>507-508
>>531-532、7>>550、8>>555、9>>556-557、10>>575-576
―ランクーイ― 五冊目1>>579-580、2>>587-589、3>>655-657、4>>827-829
>>908>>910-911、6>>943、7>>944-945

―8―

 ランクーイは尻餅をついたまま、少し照れくさそうに手を差し出したレルロンドを見た。
「さ、立てるか?」
 ランクーイはその手をしっかりと掴み、立ち上がった。彼の視線の先には地にひれ伏し
たエルフの姿があった。
「いきなり上から襲い掛かってきたんだ、おどけちまったぜ」
 洞窟を抜けた二人は突然、真上からエルフの奇襲を受けた。それをいち早く察知したレ
ルロンドに突き飛ばされ、ランクーイは尻餅をついた。レルロンドはエルフが着地した瞬
間の隙を見逃さず、弓端の刃を俊敏にエルフの首にあてがい、押し切った。勝負は一瞬、
ランクーイは己の未熟さを改めて痛感し、レルロンドの言いつけを守ろうと心に誓った。

 昔からそうだ。いつだってレルロンドはランクーイを守ってきた。決して誇示しない繊
細な強さを持ち、弱いランクーイに引け目を感じさせないように、ランクーイをカバーし
てきた。レルロンドの本当の強さにランクーイは今更ながらに気付いた。

「僕の立ち位置がよかったな。敵はお前しか見てなかった。敵は宙に浮いていたんだし、
あそこで魔法を浴びせていたらきっとお前が勝ったさ」
 レルロンドはまた、ランクーイの弱さを隠した。決して罵声など浴びせない。ただ優し
く、そしてさり気なく次へのアドバイスをくれるのである。
「ああ、今度は絶対俺が倒してみせるぜっ!!」
 友の優しさに、ランクーイは誠意の眼差しで応える。そして二人は笑い合った。と、そ
のとき、バッサバッサと木々が音を立てたかと思うと、赤黒いオーラを纏った何かが放た
れた矢のようなスピードで二人に急接近してきた。
「燃えろぉぉぉぉぉぉぉおおっっっ!!」
 早速レルロンドのアドバイスを生かすランクーイ。しかし、放たれた炎は敵のオーラに
いとも簡単に弾かれ巨大な砲弾のような塊がランクーイを襲った。
「うっわぁぁあああああああ!!」
 塊はランクーイの目の前に落ち、弾かれた地面がランクーイを体ごと吹き飛ばす。レル
ロンドはすぐさま矢を射掛けるが塊には刺さらず、真っ二つに折れて乾いた音を立てた。
「なんだ、このエルフは……」
 塊の正体はエルフ。しかし、今まで二人が対峙してきたエルフとはその肉体、気迫、殺
気ともに違っていた。赤黒い筋肉ははちきれんばかりで、眼は充血し、体は魔法のような
オーラで覆われている。
「ひゃぁぁぁぁぁはぁぁぁぁあああっっっっっ!! 餓鬼だぁぁぁ!! うまそうな餓鬼
共だぜぇぇぇぇぇっっっっ!!」
 首に乾物を二つ吊り下げたエルフはレルロンドを舐めるように見下すと、短剣をぬらり
と腰から抜いた。そして雄叫びと共に獲物に飛び掛った。
「うっ! くっそぉ!!」
 レルロンドとエルフの距離は五メートルほど。しかし、エルフはただの一跳躍でレルロ
ンドの懐に潜り込んだ。エルフは素早く剣を真横に振るい、レルロンドの腹を裂こうとす
る。レルロンドは弓の下端の刃でこれを防ぎ、弓を地面に突き立て、しならせ、その反動
で再びエルフとの間合いを空ける。
「ランクーイっ!!」

20FAT:2008/01/16(水) 20:54:31 ID:x96Nj7JI0
 ランクーイは木にもたれかかったまま、目はぶるぶると震えていた。

 恐怖。

 ランクーイは絶望的だった、あの野犬に襲われたときのことを思い出していた。絶対的
な実力の差。自分ではどうすることもできない。無力。ただ、捕食されるのを待つだけの
弱者。
「ランクーイ、動けっ!! いつまでもそこで立ち止まるなっ!!」
 追撃を受けるレルロンド。弓使いのレルロンドは弓の両端に刃が付いているからといっ
ても、やはり接近戦は苦手である。なんとかして自分の得意な間合いに持って行きたいが、
エルフは執拗に迫ってくる。素早いエルフの剣捌きは少しずつだが確実に、レルロンドの
肌に傷をつける。それを傍観しているランクーイの頭の中では、同じ光景がぐるぐるとル
ープしていた。だらだらと汚らわしいよだれを垂らし、顔を覗き込んでいる野犬。実際に
は至らなかった捕食の瞬間を、彼は何度も、何度もイメージしてしまっていた。
「ランクーイ、君はもう立派な魔法剣士だろっ!! もう、憧れを手にしているじゃない
か!! ランクーイ、動けっ!!」
 ランクーイはその言葉に、ハッと我に返った。そうだ、なんであの頃と一緒にしている
んだ? 俺はもうあの頃の俺じゃないじゃないか!!
「俺は……」
 ランクーイはゆっくりと木から背中を離すと、両手に魔力を集結させた。
「俺は魔法剣士なんだぁぁぁぁぁああああああっっっ!!!」
 ランクーイの腕が熱く燃え上がる。その熱量はラスに与えられた魔力だけではとうてい
考えられないほど、強大なものとなった。
「うぅぅぅりゃあああああああああっっっ!!!」
 燃え盛った腕を地面に叩きつけると、地面がマグマを噴出するように炎を噴出しながら
一直線に割れた。その炎はエルフを目指し、徐々にその威力を増していく。
「ぐぅぎゃぁぁぁぁぁぁっっっっ!!」
 炎に包まれたエルフは全身に浮き出た血管を流れる血液が沸騰するようで熱く、痛く、
もがいた。
「ランクーイ、お前はやっぱり選ばれた魔法剣士だ!!」
 レルロンドはもがくエルフに飛び掛ると口の中に弓の下端を突き刺し、思いっきり
弦を弾いた。
「ぼげぎゃがあばぁぁあああああ」
 屈強な外面と違い、柔らかな喉を、刃が弾かれた反動で踊る。
「爆ぜろ!!」
 レルロンドは素早く弓を引き抜くと腰から爆薬を取り出し、エルフの口に詰め込む。ほ
どなくしてエルフの内部で爆発が起き、口を塞いでいたレルロンドの腕にきしむような衝
撃が伝う。
「レルロンド、どけぇ!!」
 ランクーイはまだ燃え盛っている腕を、今度はエルフに直接叩き込んだ。エルフから噴
出すマグマのようなドロついた赤。エルフは悶えることもなく、黒焦げになって倒れた。

21FAT:2008/01/16(水) 20:55:04 ID:x96Nj7JI0

「レルロンド、俺……」
 ランクーイはまた、レルロンドに何も言えなかった。しかしレルロンドの目は優しく、
穏やかなたれ目はランクーイの涙を誘った。
「いいんだ、ランクーイ。僕はお前がこうやって成長していくのを見れるだけで、幸せだ
と思っているんだ。よくトラウマを克服できたな」
 下を向いて涙を流しているランクーイの頭を優しく二度、ぽんぽんと叩いた。ランクー
イは泣きながら、レルロンドの傷に魔法をかけた。優しい光が傷口を塞いでいく。
「さぁ、ランクーイ、ラスさんを探そう。まだまだこの森は深そうだからな」
 ああ、とランクーイは頷き、顔を上げた。ツンと立った髪も、一重の勝気な目も、どこ
か大人びて見えた。
「おーーーーい、お前らぁぁぁぁぁぁ!!」
 突然、大声が森に響き渡る。その方向を仰ぎ見ると、ラスが両手を口にそえて叫んでい
た。
「ははっ、探す手間が省けたな、ランクーイ」
 レルロンドが優しいたれ目を向けると突如、前方の木が真っ二つに引き裂かれた。そし
て悠々と立っていた木の、それより遥かに大きな鉄塊が優しいたれ目を向けたランクーイ
を奪い去った。ズドォォォォンという地震のような振動を伴った爆音が大量の土埃を舞い
上げる。レルロンドは目を背けることができなかった。一瞬で視界から消え去ったランク
ーイはおもちゃの人形のように宙高く舞い、ぐちゃぐちゃになって地面に落ちた。

ランクーイは、死んだ。

22FAT:2008/01/16(水) 21:58:45 ID:x96Nj7JI0
>>ルイーダ★さん
スレ建てありがとうございます。

>>白猫さん
まさに目の離せない展開で一気に読ませていただきました。
サーレに苦戦しながらも絆で辛勝。これで二人の仲が急速に接近したり!?
一方で登場の「蒼き傭兵」アーティと「白の魔術師」カリアス。
主役登場って感じでカッコよかったです。
歌姫は破壊されるのか?イグドラシルはどこに?ワルキューレはだれ?
と気になることがたくさんあります。早く続きが読みたいです。

>>ワイトさん
さすがはデスサイズ、切り離された腕はもう戻らないのですね。
そこから呪いみたいにいろいろ制限が出てきたり、別の生き物が腕になったりしたら
(そんな漫画があった気が……)色々と妄想しちゃいます。
仲間ができたことでこれからどのような物語が語られるのか、楽しみにしています。

>>21Rさん
激しく感動、というか共感致しました。
久しぶりにinして、ギルチャや耳で一言「おかえり」
この瞬間、RSやっててよかったなと思いました。
この話を1000レス目に持ってくるところもさすがだなと思いました。
もし、昔書かれていた職人さんたちが帰りあぐねているのなら、この21Rさんの小説
を読んで、帰ってきてほしいです。
「ただいま」と。

>>みやびさん
素晴らしいテンプレ案、ありがとうございます。
そして私の前作、及び短編の読破ありがとうございます。
私は奥の深い謎解きや、手に汗握る戦闘シーンは苦手なので、それならせめて
話の中の人物たちには人間のような心を持たせ、まるで現実の人間が話の中に
息づいているような作品にしたいと思い、これまで書いていたので、みやびさんの
レスには心を救われたような心境です。
みやびさんの作品は設定がとてもしっかりしているので目がそちらに向きがちになります
が、やはりみやびさんも描いているものは「人間」だと思います。
でなければエレノア母ちゃんであんなに感動できません><
また気が乗ったら作品、投下して下さいね。お待ちしております。

>>◇68hJrjtYさん
いつも感想ありがとうございます。
なぜかエルフを悪者にしたがるFATです。
短編へのレスは本当に嬉しいです。それ自体が独立しているものですから一度
見過ごされるともう二度と見てもらえない気がして……
また煮詰まったら短編を書いてみようと思っているので、そのときはまたよろしくお願いします。

>>スメスメさん
一人称、私も前作で何度か挫折を味わい、今作では三人称でチャレンジしています。
が、一人称には一人称の良さが、三人称には三人称の良さがあるとわかり、結局は自分の
書きやすいほうでいいのかなと思っています。
じっちゃん気になるよ、じっちゃん。
バインダーの殺気にも動じない女の子、守ってやるって気負ってるのに中々の脱力
シーンですね。
殺気に圧されている脚は動くようになるのか、女の子は目覚めるのか!?
続きが楽しみです。

>>メイトリックスさん
初めまして。というかかなり書きなれているのでしょうか、頭の中に浮かび上がる
情景、哀しい思いを吐き出したかのような冒頭の「このまま全部凍ってしまえばいい」
には鳥肌が立ちました。
強い思い出を持った強い女性の意志、こういう話は大好きなのでぜひともこれからも
続けていただければ、と思います。
続き、楽しみに待っております。

>>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
え、エストレーアっ!?
ニューハーフじゃないですけど、男でもキレイな人はたくさんいますよね。
しかもアニメ声……学園祭にいて欲しかったキャラです。
ついに姉、フィナーアが出撃し、ミリアの罠の砦も落ちるのでしょうか?
続き楽しみにお待ちしております。

23◇68hJrjtY:2008/01/17(木) 05:24:19 ID:zKuyzEVI0
早朝に失礼します。

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
エストレーアの腐女子絶賛姿に想像がとめどないです(笑)
そしてフィナ姉は前回から今までまだ続けてましたか…体力ありすぎて凄すぎる(((´・ω・`)))
確かにこの話はESCADA a.k.a. DIWALIさんしか書けませんね(笑) でも、エロ部分を上手く隠蔽するのも逆に大変なのかもしれないですね。
さて、次回は女装姿エストレーア(+クレイグ、エディ)とフィナ姉が全面対決ですね!(違
新章同様、キャラ紹介の方も楽しみにしています。仲間モンスター(?)たちもたくさん出ていましたし(笑)

>FATさん
ちょ、ちょっ…ええええええええ!うわああああああ!
などと絶叫したくなるようなラストシーン…。
その直前まではランクーイがトラウマを克服したなどの成長が物語られた直後だっただけにこの展開は・゚・(つД`)・゚・
エルフの姿や行動ももはや原始人みたいですね。そうか、藪にいる原始人はこんなエルフの成れの果てと(違
ランクーイの姿にレルロンドと同じく動揺を隠せない私ですが、ともかくも物語は続いていますし目を背けてはなりませんね!
色々と想像しながら次回を待っています!

24之神:2008/01/17(木) 09:18:39 ID:Z3wyKhJU0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593
-2 >>595
-3 >>596 >>597
-4 >>601 >>602
-5 >>611 >>612
-6 >>613 >>614
2章〜ライト登場。
-1>>620 >>621
-2>>622
-○>>626
-3>>637
-4>>648
-5>>651
-6 >>681
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687
-2>>688
-3>>702
-4>>713>>714
-5>>721
-6>>787
番外クリスマス >>796>>797>>798>>799
-7>>856>>858
-8>>868>>869
番外年末旅行>>894-901
4章〜兄弟
-1>>925-926
-2>>937
-3>>954
-4>>958-959
-5>>974-975
5冊目――――――――――――――――――――◆

25之神:2008/01/17(木) 10:02:56 ID:Z3wyKhJU0
α
「あの・・・・・まず誰なんですか?そこから始めるべきでしょう」
「ちっちっちっ、待っては居られないのだよ徹くん!」人差し指を突き出し左右に振るこの男・・・・
おそらくミカ達のほうの人間だろう、青い髪なんて普通じゃねえ。
「でも、一応教えておくべきかなっ」男は足を止めた。
「俺の名前は、ナザルド。ナザルド・デイクトンね。ナザルドでいいよっ」ふむ・・・・ナザルドね。
「やっと名前を・・・・・・って、そういえば場所は分かってるんですか?」
「おう、知ってるぞ。もうすぐだ」
・・・・・・。

β
体中あちこちに裁縫針のような物が刺さる。痛い・・・・・動くともっと痛い・・・・。
男が口を開く。
「あんまり黙ってると、死んでしまいますよ?もっとも、それでは私も困るんですけど」
「血を流すって言ったわね?あんた、国民みんな殺してどうするつもりよ」
「ハハハ、国民みんな殺すわけ無いじゃないですか、死ぬのは駆り出される傭兵のみなさんですよ、そして・・・」
「傭兵は当然、貴方のような赤い目の方達・・・ですから」微笑み顔が、冷酷な顔へと変わった。
「バカね、変な宗教入っちゃって。何がきっかけか知らないけど、やめたほうがいいわ、今更だけど」
「何の理由も無く赤い目を恨むほど、私も酔狂ではありませんよ・・・・・とにかく」ガチャ
「話を、ね」また針が深く身体へ沈む。

γ
ちっ・・・・・4対1・・・・。
「大丈夫、殺しはしない。人殺しは好みでは無いから」
「殺しは・・・って、何する気だよまったく」召還獣達が歩み寄ってくる。
「とりあえず、じっとしてなさい」笛の合図と共に神獣の1匹が動きを見せる。
ブォオオオオ・・・・・・と風が音をたてて渦を巻く。
「くっ・・・・前が・・・・見えナっ・・・・!」これじゃあ投擲もままならねえ。
そして笛の音が響く。
「いい加減竜巻から・・・・・出せ・・っ!」投擲斧を適当な方向へ投げ・・・・・・それは自分に跳ね返る。
「うぇっ・・・・これじゃあいつかのバカウィザードじゃねえかっ」・・・・何か・・・何か出る方法は・・・
「ケルビー、ヘッジャー、捕まえなさい」
2匹の神獣は思いっきり飛び掛ってきた。
また、笛の音。
すると竜巻が止み、俺はケルビーとヘッジャーに捕らえられていた。
「案外あっさり捕まるもんね、大泥棒ライトともあろう者が」
「へっ、おかげで竜巻抜けられたぜ、神獣も竜巻には入れないんだな」俺は仰向けで寝転ぶ状態で捕まえられた。
そこに、俺の頭の位置にシルヴィーがきた。
「さぁ、それじゃ捕まってもらいますから」シルヴィーが俺に手をかけた時、俺は・・・
「待て、さっき裏切りながらとか言ってたよな」
「言いましたけど、忘れて。関係無いから」
「いやぁ、だったらお前の親分も裏切ってもらおうかなーってな」
「無理なお願いね。それに、捕まっても減らず口は健在なのね、感心するわ」
「じゃあ減らず口ついでに言っておくが」
「お前、青いパンツは似合わねぇ・・・・・・よっ」
ドドド・・・・・と召還獣それぞれに、俺は一気に短刀を投げた。
「お前・・・・・何恥ずかしがってんの?」シルヴィーは赤くなってプルプルと震えている・・・。
「・・・・・・うるさい」
「スキだらけだ、お返しな」
バン!と音がして、シルヴィーの笛が短刀に弾かれた。窓の出来る予定の位置から、遠くへ。

α
「本当にここですか?建設中のビルにしか見えないんですけど」
「ここだって、絶対!うん、きっと・・・・」待て、きっとって何だ・・・・・・
その時上から何か振ってきた。
「んー?なんだアレは・・・・棒?」
ゴン!という音と共に、それはナザルドに勢い良く命中した。
「・・・・痛ッ!誰だこんなもん投げたのはっ!」
なんか、この人についてきて良かったのだろうか・・・・。

26之神:2008/01/17(木) 10:09:00 ID:Z3wyKhJU0
今更ですが、ルイーダさんスレ立て乙です。
いつ立つのかwktkしながら待ってましたぁ!
今回は、ライト×シルヴィーの話・・・・みたいな。
その時上から何か振ってきた。→その時上から何か降ってきた、でお願いします。
では、短編を繋げるようなこんな長編ですが、6冊目でもよろしくです。

27ワイト:2008/01/17(木) 12:59:47 ID:Z/wysRgM0
何時の間にか待ちわびた6冊目スレ立ってるのに気付き投下!(遅いなorz)
そして新しく立ったスレでも皆様どうぞよろしくお願い致します!!

他レス略(以外に長く続いています)⇒前レス5冊目998(連戦の後に続く話)⇒続き

「それでよーヒースはどうするんだ?これからさ」
「私はラータさんに付いていきますよ!・・得に行く宛ては無いので・・」
「そうか・・・そうだな、じゃぁ一緒に右腕を治してくれる奴でも探す冒険にでも出るか?」
「普通のビショップじゃ治す事も出来無いんだろ?・・・しかも切られた腕の原型は此処には無いしな・・」
「でも、完全に無い物を治す事は、誰に頼んでも無理だと思うのですが・・?」
「まー・・・ずっとそんなんじゃ何時まで経っても決まらねぇしさ・・・」
「物は試しにこの腕を蘇生?してくれる奴探しに行こうぜぇ〜?」
「そうですねぇ・・・確かにこのままでは何かと不便ですし・・・行ってみましょうか!」
「んじゃー今回の冒険の目的は右腕を治してくれる奴を探すって事に決定!!」

そんな訳で意気揚揚とリンケンを後にし一先ずは情報を集める為にオアシス都市アリアンに向かったのだが、
特に何の準備もせずに砂漠を横断するとなると当然至極行き倒れになる可能性もあると言うのに・・


「まさかとは思うが迷ったか・・・?なぁヒース〜アリアンにはまだ着かねぇのかよ?」
「もう少しだとは思うのですが・・迷ったか?と言われると、もしかすると、そうかもしれませんね・・」
「そうだと言ってくれorzしかし久し振りに歩くとなると広いなぁ此処は・・・ぁ!」
「敵だ!ヒースは離れてな!にしてもまたスナッチャー・・・?」

ズバッ!ぐあっふぁっ!!断末魔を上げるスナッチャーだが、それを躊躇無く一瞬の内に仕留める
ラータもヒースはある意味凄いと思いつつアリアンに向けての歩みを進めているのだが・・・

「来た道からはずれてるような感じは少しずつ頭の中から判るのですが・・」
「戻るにも戻れないって訳かよ・・・段々と足もだるくなって来たしなぁ・・」
「ていうか・・さっきからスナッチャーばっかじゃねぇか?出てくる敵がよ」
「確かに違和感は感じます。そう思える程にスナッチャーが出てきてますしねぇ・・」
「おっと!またスナッチャーが出て来たみたいだぜ?ヒースは・・・・って」

ドゴッッ!!ぐふぇ!!ラータが倒す前にヒースが何やら重そうな鈍器で、スナッチャーを殴り潰した・・・
「(何か今、可笑しい断末魔上げてなかったか?流石の俺でもあれは痛いな・・うん)」
「どうしました?それよりも此処はどうなってるのか・・・以前はこんな事無かったはず・・」

そう普通なら迷わない砂漠地帯なのだが、理由があったのだ・・何故かしらスナッチャーが
誘導するかの様に私達の前に現れ、それをラータが楽に倒しながら進むのだが、
それがいけなかったのかも・・・とヒースは今頃になってそれに気づいていた・・


「本格的に・・迷ったかもしれませんね!!(やばいなぁーどうしよう・・)」
「そんな大声で言わんでも俺だってそろそろ気づいてるって話だよ・・・」

此処で一旦中断させて頂きます@@;この続きはまた書きますので、
申し訳無いのですが、次をお楽しみにお願い致します・・・では|ω・)また

28◇68hJrjtY:2008/01/17(木) 17:10:54 ID:CJGnCxzg0
>之神さん
青いパンツ青いパンツ青いパンツ…(エコー  はっ!いや、その!なんでもありません(ゴルァ
やっぱりこういうタイプの女の子って口説き文句とかセリフに弱そうです(*´д`*) 萌えー!
一方徹の方はナザルド君と潜入作戦…棒が勢い良くぶつかっても平気の平左っぽいナザ君の防御力に脱帽。さすが!
ちょっと頼りなさそうでいて実は…的なキャラ、うーん。憧れます。
ピンチのミカを救え!続き楽しみにしています。

>ワイトさん
二人パーティーになった直後に迷ってしまいましたね(ノ∀`)
ここは「迷ったんじゃない、砂漠を見に来たんだ」でなんとか!(ならん
スナッチャーの断末魔の悲鳴をわざわざ文章にしてくれたのもなんだか嬉しいというか(笑) そうそう、こんな風に言うんですよね。
ビショップの殴打って剣とか槍よりもリアリティがあって怖い気がします。棍棒とか現実にもありそうな武器ですしね。
さてさて二人の行方は何処へ。スナッチャー地帯を抜けられるか否か…続き楽しみにしています。
---
ところで、提案というかなんというか。
ワイトさんは一人のセリフが終わる前に」(かぎかっこ閉)を使っているようですが、続けて同じ人物が話す時は改行だけしてみてはいかがでしょう。
そうすると飛躍的に読みやすさが増すと思いますが…もちろん意図的に今の書き方をされているのでしたら申し訳ありません。
指摘ではなくてあくまで提案なので、無視されても構いません(o*。_。)o

29名無しさん:2008/01/17(木) 17:19:24 ID:gXqJ5/rQ0

>スメスメ氏

ブリッジで動き回る武道はどうみてもゴキブリですがそれが(・∀・)イイ!

>メイトリックス氏

読みふけってしまいました。
端々の言い回しに想像を掻き立てられて、続きが凄く気になります。

>ESCADA a.k.a. DIWALI氏

思いのほかエロスでビックリしました。

>FAT氏

最後の最後の急展開に度肝を抜かれました。
今まで読んでランクーイに移入している部分があっただけに特に。

>之神氏

複数の視点がついに絡み合ってきましたね。
物語を読んでいるときのこういう瞬間が凄く好きです。このまま複数の視点で
進むのでしょうか。

>ワイト氏

スナッチャーの断末魔が忠実すぎるww

30白猫:2008/01/17(木) 18:53:32 ID:atY7HWIM0
Puppet―歌姫と絡繰人形―

第一章〜第五章及び番外編 5冊目>>992



第六章 -夜空の下で-

(初めてPuppetを読まれる方に分かりやすいよう、少々の解説を交えます。
序章〜第五章を読まずにいきなり第六章を読んで頂いても問題ありません)

〜これまでの大体のあらすじ〜

18年ぶりに古都へと戻ったリトルウィッチ――ルフィエ。
古都の変貌ぶりに驚いた彼女は、南西部[オベリスク跡地]で、諸々の罪で警備兵――ネルに逮捕される。
しかし瀕死の重傷を負った彼を治療したこともあってか、ルフィエは無罪放免となった(ネルが揉み消した)。
その後、[大戦]の発端となった呪術師が到来したこともあって、現在はネル・ルフィエ・仕事仲間のレイゼル・ネルの知り合いの一人娘リレッタの四人で活動している。
そして霧に包まれ、人々の消えたビガプールに訪れた四人だったが、突如魔物とリトルウィッチ[歌姫]の襲来を受ける。
なんとか魔物と[歌姫]を撃退した四人だったが、今度は[傀儡]と名乗るサーレとデュレの襲来を受ける。
が、宝石[エリクシル]の力の発現も手伝って、ネルはその二体の傀儡を撃退した。
そんな中、ビガプールに到着したブルンの守護神の二人が、[歌姫]を撃退したらしい。
平和の戻ったビガプールで…しかし、ネルの顔にはまだ暗雲が残っていた。




ビガプールの隣の都市、ビッグアイ。
その入り口の門の脇で、銀髪の少年は、目の前の少女の胸倉を掴む。

「なんであの時、仲間になることを承諾したんですかッ!!」
「………っ」

少年の名はネリエル=アラスター=ヴァリオルド?世。
フランテルに現存する唯一の貴族の末裔であり、古都ブルンネンシュティングの警備兵。
[ブルンの影狼]という異名で畏れられている少年である。
その機械仕掛けの右腕には宝玉[エリクシル]が埋め込まれており、自在にその形状を変化させる。
十六歳には見えない大人びた口調とその銀髪で、しばしば成人と間違えられるのが悩みだという。

少女はルフィエ=ライアット。
ビガプールの[歌姫]から、[歌姫]の素質を見出されたリトルウィッチ。
ケロッとした性格だが、常に仲間を思いやる少女である。
[大戦]の後自分たちが迫害された、ということを知ったが、自分を匿うネルのことを知り、大した危機感は覚えていない。
常に自分を庇うように戦うネルに、いつも歯がゆいものを感じている。





あの後、ビガプールの霧も、魔物達の姿も消えた。
サーレを退け、失血でぶっ倒れたネルをブルンの守護神の一人、[白の魔術師]カリアスが抱え、今はビガプールに隣接する都市、ビッグアイで休養を取っていた。
が、ネルは目を覚ました途端、数時間も看病し続けたルフィエに掴みかかった。

胸倉を捕まれ、戦いの際とは比べものにならないほどの剣幕で怒鳴られ、ルフィエは縮こまる。
だが、それでネルの怒りは収まらない。さらに詰め寄る。

「あそこで仲間になってしまったら、必ず世界を滅ぼしかねない計画の片棒を担がされる…。
あのルヴィラィが邪魔な人間である僕を生かすわけがないでしょう!? そもそも、僕のためなどに承諾するなど、軽率にも程がある!!」

その言葉を聞き、ルフィエはしかし唇を引き絞る。
小さく、非常に小さく、呟く。

「…………ネルくんは、ずるいよ」
「ッ……」

怒りで全身を戦慄かせていたネルは、しかしその言葉で止まる。
腕の震えが止まったのを見、ルフィエはその腕を撫でる。

「辛いことは全部自分が背負い込んで、みんなの代わりに自分が傷付いて、
今度は自分の命を捨ててまで、あるかどうかも分からない計画を破綻させるの…?」
「…………貴方は!」
「私、何も分かりません…。私、私馬鹿、だから…大きな世界より、小さな仲間達の方が、大切なの…」
「……貴方は、甘すぎる。これは、戦いなんですよ?」
「戦いは…あなただけが、傷付かなきゃいけないんですか」
「ッ……!」

今度は止まるのではなく、絶句する。
トンと床に折り、ルフィエは零れる涙を腕で拭う。

「私達、仲間でしょ…? 一緒に戦って、一緒に傷付いて、一緒に笑い合う仲間でしょ…?」
「仲間だから…じゃ、ない。僕は――」

潤むルフィエの目を見、ネルは腕を放す。
ドサリと地面に倒れ込むルフィエには目もくれず、ネルはビッグアイを出た。

31白猫:2008/01/17(木) 18:53:55 ID:atY7HWIM0


「あいつはさ、ルフィエちゃん」

座り込んで泣きじゃくるルフィエを見、無精髭を生やした茶髪の青年はポンポンと肩を叩く。
彼はレイゼル=ハイエット。19歳でかなりの酒飲み。
ネルと同期の警備兵であるが、槍の腕は中の下。
料理が得意らしく、ルフィエもよく彼に料理を教わっているという。


「両親を、たった一人の妹も守れなくて、絶望に打ちひしがれてた。
それを救ったのがアーティさん…あの人は、あいつに[騎士道]を教えたんだ」
「…騎士、道」
「そうさ。己を犠牲に他者を護る。他者の代わりに自分が糧となる。
それを知って、奴はそれを生き甲斐として生き始めた。あいつにとって他者の糧になることは、生きることと同義なんだよ」
「貴族のプライド…ですか…。馬鹿みたい、です」
「ああ。あいつは馬鹿さ。甘っちょろい馬鹿だ」

涙を拭き、目が真っ赤になったルフィエの顔を撫で、レイゼルは立ち上がる。

「でも、あいつのお陰で俺らは、今日まで生きて来られた」

常に盗賊団との戦いで第一線を戦っていたネルを思い出し、レイゼルは笑う。
ルフィエも、数日前の[テレットトンネル]での出来事…そして、先の戦いを思い出し、頷いた。

(私…ネルくんの背中ばっかり見て、戦ってきたんだな)






「…ネリエルさま」
「…………リレッタ?」

寝間着姿で夜のビガプールを眺めていた金髪の少女は、小さく頷く。
少女はリレッタ=アウグスティヌス。
大教主[ルゼル=アウグスティヌス]の一人娘であり、強力な[天使]。
ネルに好意を抱き、ひたむきにネルのことをサポートする少女である。
それを見、ネルは少しだけ笑って彼女の横に立つ。

「此処は、すごく綺麗な夜空が見えるんです…アウグスタでは見えない、沢山の星」
「……リレッタ、もう、大丈夫なんですか」
「はい。ネリエルさまが…助けて、下さいましたから」

ネルに寄りかかって、リレッタは夜空を眺める。
ネルも一面に広がる星空を見、笑う。
その笑い顔に途方もなく惹かれ、しかしリレッタは言う。

「ネリエルさま、私…決めたんです」
「?」
「ネリエルさまはお優しいから…私かルフィエさんか、どちらかなんて選べないはずです」

いきなりグサリと突き刺さったその言葉に、ネルは閉口する。
それを見てか見ずにか、リレッタは続ける。

「ネリエルさまのそれは、優柔不断とは違う…みんなを思いやって、自分を犠牲にする考え方から来る葛藤だってことも、知ってます。
だから私、決めたんです。ネリエルさまがその葛藤を越えて私を選んでくれる日まで」

ネルの手を自分の胸に置いて、リレッタはクスリと笑う。

「だけど…一つだけ覚えておいて下さい。私は、貴方のことが好きです」
「……はい」

ネルは今更、リレッタの笑顔とルフィエの笑顔が似ていることに、気が付いた。

32白猫:2008/01/17(木) 18:54:20 ID:atY7HWIM0

「さて…それじゃあ整理するぞ、ネリエル」
「はい」

ビッグアイのとあるテントに集まったネル達は、入り口で待っていたもう一人のブルンの守護神、[蒼き傭兵]アーティに中に通された。
その中には膨大雑多な資料が敷き詰められ、かろうじて六人が座れるスペースがあった。
「戦いの直後にすまないね」と頭を掻くアーティに、しかしネルは頷く。
「既にこれは戦争です」…その言葉に、ルフィエは少しだけ顔を俯かせた。

「私が歌姫から聞き取った情報はいくつかある。
まず、ルヴィラィは[ラグナロク]と呼ぶ何かの計画を実行中らしい。
その[ラグナロク]は、…まぁ恐らくは、世界を破滅させる等の類のものだろう」
「それはルヴィラィの部下…らしき者達から聞きました。
奴らはルフィエを仲間にしたがっていた…恐らくは、[歌姫]の力を持つリトルウィッチを集めている」
「歌姫の力…か。そんな奴はさっさと処刑してしまうのが一番なんだが…」

俯いているルフィエを横目で見、しかしアーティは言う。

「だが、ライアットは今のところ私達の陣営だ。戦力を裂くわけにはいかない。
それに[歌姫]は、ライアットを中心に戦力を集めろとも言っていた。[ワルキューレ]を集めろと」
「…とにかく今は情報が少なすぎます。[グングニル]と[ラグナロク]、それとルヴィラィの動向に目を光らせておきましょう」
「ヴァリオルド家の情報網でも、なんとかならんか?」
「なりません。なれば苦労しませんよ」

若干イライラした声で、ネルはそう言う。
ルヴィラィの情報の調査は、既にネルも使える限りの権力をフルに使って使っている。
それでも、動向が掴めていない…というより、足跡すら見つけていない。

「現状では戦力を集めなければならない…丁度良い機会です。ルゼル様の手紙を…お見せします」

テント中央の机に、ネルは一枚の朱印手紙を置く。
[最優先事項]の意を持つ、朱印の圧されたその手紙を、アーティは目を細めて見る。
差出人は、アウグスタ教会最高責任者…[ルゼル=アウグスティヌス]。

「ふ…あの男からの手紙か。これの命に従って、動いているのか?」
「あの大教主様から…おっかないもん持っとるなぁ、自分」

アーティ・カリアスの反応を見ずに、ネルはその手紙を持ち、開く。
そこに書かれていた、数の命を読み上げる。

「[ネリエル君、状況は此方も把握した――]」





今現在、この大陸内で冒険者の数は数千にまで落ち込んでしまっている。
その、陣営も整っていない状況で、あのルヴィラィと戦うことは愚の骨頂だろう。
奴は大戦において、[傀儡]と呼ばれる無数の人形を使い、約2500の冒険者と数万の住民の命を奪った。

「ルゼル様、見えました」
「うむ」

私自身の手でその[傀儡]のほとんどは破壊した。だが13個、13個の[傀儡]は、破壊することができなかったのだ。
その[傀儡]たちの力が、当時の私では抑えきれぬほどの力を持っていたのだ。
なんとか幾十もの同志達の力で、11の[傀儡]を封印し、2の[傀儡]の力を奪った。
だがそれでもその二体の[傀儡]…シャーレーンとデュレンゼルの力は、目を見張るものだったのだ。
結局数多くの同志達を失い、私も退けられ…それほどの力を持つ[傀儡]を、奴は所持している。

「ファウンティンス・ハイランド…[マペット]の眠る地に、まさか訪れようとは」
「仕様のないことです…敵は[パペット]を蘇らせようとしているのですから…」

そして[パペット]…パペットとは、約百万の呪術師の呪いの込められた髑髏だ。
その髑髏は自我を持ち、伝説通り、古代大陸だったスージャネ大陸を滅ぼした。
それに対抗しうるのが、伝説の聖なる者が造り出した十字架、[マペット]だ。

「よし、すぐに[オベリスク]を浮上させるぞ。時間がない」
「は」

マペットはいわば、全世界の[聖]の力を集め、具現化したものだ。
それを扱えるのは恐らくは私と娘のリレッタのみ…しばらくはリレッタと動向を共にして欲しい。
それともう一人…この伝書鳩の持ち主も、必ず傍に置いておくようにしてくれ。
嫌な予感がするのだ…ルヴィラィから決して目を離すな。

33白猫:2008/01/17(木) 18:54:47 ID:atY7HWIM0

「[君達に神々の祝福があらんことを―― ルゼル=アウグスティヌス]…。
これが、ルゼル様がルフィエの伝書鳩で送り返してきた手紙の概要です」
「……ルゼル殿は[傀儡]の存在を知っていた…?」
「というより、戦ったことがあるみたい」

手紙の内容を聞き、アーティは思案する。
彼女は若くしてブルンの警備隊長にまで上り詰めた女性である。
少々乱暴な面もあるが、頭も切れ素早い洞察力も持っている。
僅か数度の襲撃で[月影団]のアジトを絞り込み、襲撃を掛けそのアジトを潰したことすらある。
月影団首領[紅瓢]アネットとブルンの守護神[蒼き傭兵]アーティ…この二人の女傑の戦いは、冒険者達にもよく知られていた。

「…今は戦うときではない。確かにそうかもしれんな」
「……しかしこのまま、奴を野放しにするわけには」

アーティが頷くのを見、しかしネルは言う。
その性急とも思える声に、アーティは苦笑した。

「どのみちルゼル殿が動いてるんだ。ルヴィラィも大きな動きはできまい…。
今はまず、優秀な人材を集めなければ…そうだろう?」
「んーで、優秀な人材が集まるんやったら…今の時期、いー感じのがアリアンであるやろ?」
「………ゴドム主催、[FORCE]選抜武道大会…ですか」

アーティとカリアスの言葉に、ネルは思案する。
[FORCE]とは、数十年前に結成された史上最強と謡われたギルドの名。
その[FORCE]は今は大戦で解散してしまったが、その[FORCE]のメンバーを選抜する目的で行っていた武道会は現在も行われている。
最も、現在はゴドム共和国が主催し[FORCE]は単なる称号に成り下がってしまっているが。
その武道会が、一月の二十日から開催される。

「ですが今日は八日…いえ、もう九日になってしまいました。
大会の参加締め切りは十七日…ここからアリアンまで、どう見積もっても半月はかかりますよ」
「参加だけなら、ライアットの伝書鳩を使えばいい…予選に間に合えば問題無い」
「さっすがアーティはん。あくどい」
「五月蠅いわね」

カラカラと笑うカリアスに、アーティはジットリとした視線を送る。
もうこれで話は終わり、とネルは書類の山を崩さないよう立ち上がる。

「では僕の分の参加状もついでに送っておいて下さい。では」

そう言うが早いか、ネルはテントを足取りも荒く立ち去った。
その後ろ姿を見やり、アーティは目を細める。

「ライアット、伝書鳩を発動する前に教えてもらいたい…ネリエルの腕のことを」
「…ネル、くんの?」

結局終始俯いたままだったルフィエに、アーティは自嘲混じりの笑みを浮かべる。

「あの子の腕…[エリクシル]について、もう少し情報が欲しいの」
「………エリク、シル…」
「そうよ。エリクシル。カリアスの話だと、活性化したって話じゃない?」

活性化、の言葉にルフィエは思い出す。
深い霧の中立ち上がる巨人と、白と黒の少女。
そして壁に縫い止められる、血塗れの――

「…………っ」

そこまで思い出し、ルフィエはきつく目を瞑る。
(嫌だよ…もう、護られながら戦うなんて…嫌だよ…!)
そんな[歌姫]の姿を見やり、アーティは溜息を吐いた。

「あのね、ライアット」

ルフィエの姿に、アーティは今は無き、一人のリトルウィッチの姿を思い出す。
自分が守り、自分を助け、共に戦い、共に友情を育んだ、二人といない親友。
その姿とルフィエが酷似しているのを感じ、アーティは自嘲気味に微笑む。

「確かに貴方のような強力なリトルウィッチ…[歌姫]は、唄を紡げば猛威を振るうわ。
だけど、それは"ただそれだけ"のこと…[歌姫]であっても、貴方達は一人では戦えないの」
「………ぇ…」
「貴方達は唄を紡ぐとき、一瞬だけ息を吸う…達人であればその合間に、喉に刃を突き立てるなんて簡単なの。
例を挙げるなら私やネリエルは…そうね。貴方に唄を紡がせる暇無く、瞬殺出来るわ」
「…………」

何を飾るまでもない、アーティは事実を語る。
単一箇所で戦うならば、リトルウィッチほど容易い敵は無い。

「貴方達リトルウィッチは一人で戦うことなんてできない…誰かの陰に隠れて、援護するので精一杯」
「そんな、こと…」
「能力的にはそう確定しているのに、どうして貴方はわざわざ前に出ようとするのかしら?」
「…………」

押し黙るルフィエに、諭すようにアーティは言う。

「でもね…私達はそれを咎めたりなんかしない。貴方は貴方にできることを精一杯やってるの。
ただ私達戦士が前に出て、貴方達魔術師が援護をする…"ただそれだけのこと"なのよ」

ただそれだけのこと…その言葉に、ルフィエは目をきつく閉じる。
(それでも、それでも私は…誰かを傷付けたくないの…)

34白猫:2008/01/17(木) 18:56:14 ID:atY7HWIM0

ビガプール南部。
木々の妖精達が住み着くこの地は、[魔術に酷似した能力-ZIN]を使う魔物達が多いことで知られていた。
そのビガプール南部…トランの菩提樹が仄かに光る大平原に、ネルの姿があった。
([エリクシル]の力を制御しろ)
目の前に立ち塞がる、ずんぐりむっくりの巨大な木妖精…トレント。
そのトレントに右腕を差し向け、ネルは思考を流す。
([エリクシル]は物質を変換する錬金術と、古代魔術によって生み出された宝玉だ)
トレントの、かなり大振りな打撃を半歩下がり避け、ネルは手を握る。
(先刻は僕の[護る]という感情に反応した…でも、それだけじゃ駄目なんだ)
気を失ったリレッタ、毒の霧を受け、半ば麻痺状態となっていたレイゼル、衣服もボロボロに千切れ、自分を助けるために敵の手に堕ちようとまでしたルフィエ。
それら全てが、鮮明な映像として脳に残っている。
そして、それら全てが、彼の[騎士道]の精神を押し潰した。
(これを自在に操らなければ…僕は誰一人、誰一人…)
既にトレントと相対して数十分が経過している。しかし、その腕は全くと言っていいほど反応が無かった。
レベルは圧倒的に彼の方が上とはいえ、とにかく敵の数が多い。
加えて、彼はビガプールの戦で貧血状態になり、さらに[エリクシル]の発動条件の調査の為、ポーション一本飲んでいない。
(そろそろ…時間だな)
いい加減息が切れてきたのを感じ、ネルは腕を下ろす。
接続部に走る痛みに顔を顰め、しかしネルは右腕を回す。
(天候が悪くなってきてる…じき雨に…)
と、背後で眩い光が放たれ、同時に地面から木妖精が現れる。
まるで大木が生える行程を早回しに見るように、木妖精が地面から、生えた。
木妖精が腕を振り上げ、背後からネルの脳天に振り下ろす、
寸前、ネルの短剣が体中に突き刺さり、木妖精は靄となって消え去る。
それを見るまでもなく、ネルは目を閉じ、小さく息を吸う。

「『 シャドウ―― 』」

   ゴス

詠唱の途中、ネルの背後から、何かが立ち上がった。
立ち上がって、彼に凄まじい勢いの打撃を叩き込んだ。
メキメキメキ、と肋骨が拉げるのを感じ、ネルは堪らず吹き飛ぶ。
(――ッ)
吹き飛ぶ途中、痛みを推してネルは"それ"の姿を見やる。
他の木妖精とは違う…青色の体表の木妖精、エンティング。
(エンティング…どうして、気付けなかった!?)
ゴロゴロと地面を転がり、ネルはゆっくりと立ち上がる。
左肋骨に数本亀裂が入っているのを感じ、しかしネルは短剣を構える。
(どうせリレッタにかかれば一晩で全快です…それよりは、こいつを)
目の前のエンティングを睨み、ネルは短剣を鋭く放つ。
が、

「っな!?」

サクッ、という音すら立たず、放たれた短剣は全て地面に落ちる。
有り得ない、と目を見張るネルの前、エンティングが鋭く腕を振り上げる。
(く――)
速過ぎる、その攻撃に、ネルは咄嗟に身を捩る。
が、エンティングの殺傷圏から逃れられない。苦渋の表情でエンティングの打撃を眺める――

   「『 ――――… 』」

瞬間、
凄まじい威力の衝撃波がネルの眼前を通り過ぎ、同時にエンティングの右腕がもぎ取られた。
その衝撃波は尚も推進力を全く衰えさせず直進…大木にぶつかる直前、突如方向を転換し、空の彼方へと消えた。

「ネルくんッ!!」
「………ルフィ、…エ?」

その衝撃波を見送った途端、挙がった声にネルがそう呟く。
衝撃波が来た方向を見れば、厚手のコートを着た少女が、こっちに向かって駆けてくる。
その姿を見やり、ネルは溜息を吐いて言う。

「どうして来たんですか。全く…」

そう呟き、ネルは鋭く腕を振るう。
途端、先まで沈黙を続けていた[エリクシル]が突如活性化…その腕に、千変万化の力を与える。
瞬時に腕を槍状に変化、エンティングの胴体に突き刺す。
同時に3mの高さはあろう頭に飛び乗り、左腕の短剣を振り上げた。

「ッハァアアアアッ!!!」

35白猫:2008/01/17(木) 18:56:35 ID:atY7HWIM0


「なんだ、援護必要無かったじゃないですか」
「そうですね」

ネルの胴に包帯を巻き、ルフィエは言う。
その言葉に相槌を打ち、ネルは己の右腕を見やる。
今まで沈黙を続けていた右腕が、ルフィエの声を聞いた途端突如活性化した。
ひょっとすると…彼女、ルフィエと右腕に何か関係があるのだろうか。
(…あり得ませんね)
溜息を吐き、ネルはすくっと立ち上がる。
目を白黒させてそれを見るルフィエの頭に自分の帽子を被せ、言う。

「ほら、さっさと帰りますよ」
「………はい」

ネルの言葉は素っ気なかったが、ルフィエはその言葉に少しだけ笑った。
(許して、くれたのかな)
自分が悪いことをしたなど欠片も思っていないが、彼を怒らせてしまった、ということには彼女も多少なりとも凹んでいた。
彼の帽子を両手で取り、ルフィエは今度は声に出して笑う。

「……ふふ…」
「…何がおかしくて笑ってるんです。さっさと戻りますよ」
(………あれ)

やっぱり許して貰ってないのかな、とルフィエは目を白黒させる。
が、当のネルはさっさと歩き去って行ってしまう。

「ま、待ってよぅ」
「やです」
「やですって…ちょっとネルくん」






次の、朝。
(主にアーティとネルの破壊した)市街地の復興が最優先され、やっぱりというかテレポーターはいなかった。
テレポーターのいない麦畑の前、旅支度を調えた一行は苦い表情で集まっていた。
元々これはアーティも予想していたことなので、予め想定しておいた案を言う。

「それじゃあ予想も的中したところで…シュトラセトに向かうわよ」
「……此処から、ですか? 僕でも軽く三日はかかりますよ。足手まといが二人もいては無茶です痛っ」
「いくらなんでも無謀ってもんやなぁ、三日分の食料なんかあらへんあいたたたたた」

即座に反論したネルとカリアスの足を踏みつけ、アーティは言う。

「此処から半月かけてアリアンに向かうより、三日でシュトラセトに行ってテレポーター使った方が早いわよ」

その端から見れば完璧そうな案に、しかしネルは言う。

「……あのですね。南に来たことのないアーティさんに言っておきますけど」
「…………」

図星だった。
アーティは[ブルンの守護神]と謡われるが、実際のところその名の通り古都の警備ばかりで、街の外に出ることはほとんどない。
古都のテレポーターが戦争終結の前年から廃止され、ますますアーティの箱入り娘癖は悪化した。
一方ネルは警備兵の他にシーフとして、フランテルの全土を飛び回っている。地理は彼の方が詳しかった。

「"この僕の持ちうる力をフル活用して"三日です。このメンバーだとそうですね…十日はかかります」

[足手まとい]…レイゼルとルフィエを横目で見、ネルはさらに言う。

「敵は全て[ZIN]系統の魔物です。リレッタがいるならともかく、それ無しで三日なんて無謀にも程があります」
「…ちょい待ち、「リレッタがいればともかく」ってどーゆー意味よ」

目を細めるアーティを見、ネルはリレッタを見やる。
妙に頬が赤くなっている…とおいうより、林檎と張り合っても勝てるくらいの勢いである。
頭に卵を載せれば目玉焼きが焼けそうだが、それは流石に可哀想である。

「……どうしたの、リレッタ?」
「リレッタは今から僕とスマグに向かいます」
「…………」



「「「「は?」」」」

36白猫:2008/01/17(木) 18:57:11 ID:atY7HWIM0

「いやだから、今から僕とリレッタはスマグに行くんですって」

とうとう顔を俯けてしまったリレッタには目もくれず、ネルは飄々と言う。

「[エリクシル]についての書物がスマグにあるそうなので調査に行くんですよ」
「そんなこと言って実は最近人気のスマグの大噴水でも見に行くんじゃねーのー?」

レイゼルのその言葉でリレッタの肩がビクリと揺れた。
スマグの大噴水とは、魔法都市スマグの内部にある、巨大な魔術建造物である。
昔から[金貨を投げ入れば願いが叶う]と言われているが、何処の誰が広めたのか[恋人同士が金貨を入れると永遠に結ばれる]などという話が最近話題になっている。
そのせいで噴水の排水溝が詰まるなどのトラブルもあり、現在は投げ入れられた金貨、総額2800万Goldでスマグの外部に造営されている。
その余りに分かりやすい図星に、アーティは苦笑する。

「まぁ、調査なら文句は言わないわ。ってことは貴方達、[タッグバトル-トーナメント]に出場するのね?」
「はい。昨夜ルフィエにも頼みました」

その際思い切り鼻で笑われたり思い切り不機嫌になられたり、と面倒だったんですよ…とまでは言わない。
今でもルフィエの機嫌が凄まじく悪い…のも、理由の一つである。

「それじゃあ、リレッタ…頼みます」
「………………はい」

ヒューヒューという息づかいの方が大きくて返事はよく聞こえなかったが、とりあえず頷いた動作で理解できた。

「とりあえず、リレッタの魔力充填が完了するまで[ZIN]について僕の知識を――」
「要りませんよそんなもの。時間が惜しいなら、早く行きましょうよアーティさん」
「え、あ、そ、そうね」

妙にピリピリしているルフィエを細目で見、ネルは腰から"あるもの"を取り出す。
それを数秒凝視したが、溜息を吐いてそれを握る。

「ルフィエ」
「…………」
「……ルフィエ」
「…………」
「…………ルフィエ」
「…………」

頑なに黙りを決め込むルフィエを見、ネルはもう一度溜息を吐く。

「神器も無しに戦うのは危険です。だからこっちを見ろと言ってるんです、ルフィエ」
「…………何ですか」

ようやくこちらを振り向いたルフィエに、ネルは手に持ったものを投げる。
それを危なっかしい手つきで掴んだルフィエは、それを見やる。
小さな、正八面体の形をした金色の宝石。
何かのお守りにすら見えないそれを、ルフィエは眺める。

「………これは?」
「タリズマン…それを使えば、即席の防御魔法を発動できます。
回数制限はありますが、効果は折り紙付きです。単なるお守りですよ」
「ちょ、ちょっとネリエル、それあんたの母さんの形見――」

アーティの言葉を無視し、ネルは頷く。
タリズマン、と呼ばれるその宝石を手に取り、ルフィエはネルの顔を見た。
[遠慮するな]とネルが目で言っているような気がして、ルフィエは呟く。

「…ありがとうございます」
「いいですね? ぜっっっったいに過信はしないように。気休め程度なのですから――」
「それでも、嬉しいです。ありがとうございます」

微笑むルフィエを見、ネルも釣られ、少しだけ笑う。
と、その腕がぐいっとものすごい力で引かれた。

37白猫:2008/01/17(木) 18:57:41 ID:atY7HWIM0

「?」
「ネリエルさま、行きますよ」
「え、あ、はい」

今日は妙にピリピリしてるな、とネルは目を白黒させる。
その[ピリピリしている]理由が、まさか自分にあるとは思いもしない。
ネルの手を引き、リレッタは皆から少し離れ、街道の上に立つ。

「『 エバキュエイション 』」

リレッタがそう唱えた瞬間、後背の翼がバッと開かれる。
呪文を唱えた者に唯一無二の超速をもたらす、[エバキュエイション]である。
現代こそ[ポータル用タリズマン]が発明され、ポータルを開く呪文へと成り代わってしまっているが、
1920年代のフランテルで、瞬間移動の力を使うことができるのは、ごく少数のウィザードだけという。

「そ、それでは、二月一日にアリアンで落ち合いましょう」
「ええ。トーナメントはこっちでも見させてもらうわ」
「せーぜー熱い夜でも送りなされ、お二人はん」
「遊びに行くんじゃ――」

ネルの言葉が終わる寸前、リレッタの[エバ]の力が発動…二人の姿が掻き消えた。
それを険しい顔で少しだけ見、ルフィエは我侭も終わり、と言う。

「行きましょう、アーティさん」






「り、リレッタ…飛ばしすぎ、ですッ!?」

何か言ったような気がしたネルに、しかしリレッタは答えず右へ旋回する。

(渡したくない…ネリエルさまは、渡さない)

FIN....

38白猫:2008/01/17(木) 18:58:17 ID:atY7HWIM0
【第六章までの主要登場人物】

・ルフィエ=ライアット 76歳 ♀ 
年齢と中身と外見が果てしなく合致しない(本人曰く成長の仕方が違う)。実質年齢16歳くらい。
生存するリトルウィッチの内、唯一飄々と町中を歩き回る少女。
[大戦]については[脱走者]と名乗ったリトルウィッチから聞いただけで、実際にその目では見ていない。
唄を紡ぎ、神器でその力を高める[歌姫]の力を備える。
18年間一文無しで旅をするくらい無謀。
今はネリエルと共にルヴィラィの動向を追う。

・ネリエル=ヴァリオルド 16歳 ♂
本名ネリエル=アラスター=ヴァリオルド?世。愛称は[ネル]。
異名[ブルンの影狼]を持ち、その異名に違わぬ隠密・戦闘面での巧みさを見せる。
[大戦]で両親と右腕を失い、警備兵の仕事をしつつ妹を捜す。
その右腕に埋め込まれた[エリクシル]の力で、その腕を自在に変化・戦闘を行う。
その実力は、単一の[傀儡]を退けるほど。

・レイゼル=ライアット 19歳 ♂
ネリエルの親友であり仕事仲間。
古都一の大豪邸、ヴァリオルド邸に居候している。
酒には強いが、酔っぱらうと狂うらしい。
料理が得意。戦闘は中の中。
ネリエル並に多方面に顔が利き、古都の裏道を知り尽くす男。

・リレッタ=アウグスティヌス 15歳 ♀
フランテル最強のビショップ、ルゼル=アウグスティヌスの一人娘。
神々から敬愛を受けた、正真正銘の[天使]。
単一機動レベルならネリエル以上の力を持ち、対アンデット戦では猛威を振るう。
ネリエルに好意を抱き、常に傍にいるルフィエに対抗心を抱く。

・ルゼル=アウグスティヌス 42歳 ♂
[アウグスタ]の名の由来となった、古代の名家[アウグスティヌス]の血を引く。
世界最強とも謡われる力の持ち主で、現代のアウグスタ教会の最高責任者であり大教主。
大戦でも前線で治療を行い、[アウグスタ事変]を解決した歴戦のビショップである。

・ルヴィラィ=レゼリアス ?歳 ?
[大戦]を引き起こした呪術師。
独特の服装をしており、呪術師でありながら[唄]を紡ぐことができる。
殺人に対して特に感慨は抱いておらず、必要であれば殺す、という信条を持っている。
サーレを始めとする[傀儡]を部下に持ち、実力は未知数。

・アネット=ライラ 22歳 ♀
異名[紅瓢]を持つ、盗賊団[月影団]の首領。
ネリエルやルヴィラィを退けるほどの実力者であり、[大戦]を生き残った歴戦の戦士。
ネリエルも知らない、何か二人の関係があるらしい。
愛剣[黒斬剣]は、一太刀で二の呪いを相手に掛ける呪剣。

・シャーレーン ?歳 ♀
愛称は「サーレ」。
自身をルヴィラィに造られた[傀儡]と名乗る少女。
無数の杭を自在に操り、対象を瞬時に串刺しにする。

・デュレンゼル ?歳 ♂
愛称は「デュレ」。
身の丈6mはあろう巨人で、右腕も異様に大きい。
サーレと同じ[傀儡]であり、その皮膚は鉄製の剣程度ならば簡単に弾く。

・アーティ=ベネルツァー 21歳 ♀
異名[蒼き傭兵]。文字通り蒼い髪と蒼い瞳のランサー。
蒼い稲妻を操る魔槍使いであり、ブルンの守護神と謡われる。
が、結構市街を破壊して減給を喰らう常習犯。

・カリアス=ハイローム 17歳 ♂
異名[白の魔術師]。妙に訛った喋り方の青年。
が、あまり白魔法(治癒魔法)は得意ではない。
移動能力に特化した彼の[ヘイスト]は、絨毯をも追い抜かす飛翔を対象に授ける。

39白猫:2008/01/17(木) 19:01:48 ID:atY7HWIM0
何時の間に立ってたんですか六冊目!
ということでどうもこんにちは、白猫です。
初投稿の方もいらっしゃるようで、私としても嬉しいことです。
5冊目からのまだまだ新参者なので、六冊目も精進しますです。
えっと、第六章は伏線みたいな感じです。異様に長いですが伏線です。あくまでも。




一足先にシュトラセト→アリアン経由で出発したルフィエたち。
それとは別に行動を行っていたネリエルとリレッタは、魔法都市スマグへ到着する。
スマグの魔法研究所へ入ろうとした二人は、そこで身の丈三メートルの巨人に遭遇する。
そのどギツい印象に思わず抜刀したネリエルだが、その巨人の様子をリレッタは奇妙に思う。

巨人…ガリレドに中に通され、研究所責任者、[ケイン=ジュード]の部屋に通された二人。
そして語られる、ネリエルの右腕に埋め込まれた[エリクシル]の謎。
その謎を訊き、ネルはリレッタに一つ、頼みをする。
その頼みを、渋々ながら受けたリレッタだったが――

第七章『深紅の衣』、その内公開、のはず。

40名無しさん:2008/01/17(木) 19:06:31 ID:6To1UW7I0
>>スメスメさん
戦闘シーンなのに何処となくほのぼのとしていて読み進みやすいです。
一人称・三人称、どちらの方が良いということは無いので、書きやすい方で書いていったら良いと思います。
>>メイトリックスさん
「復讐」個人的に好きなテーマです。ニイドが何を話すか?続きが待ち遠しいです。
>>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
腐女子や適度に暗喩されているものが良いです。今後起こる騒ぎ。どんなものか気になります。
ただ、教育上あまりよろしくないので「裏小説版」に行ってみてはどうでしょうか?

41ルイーダ☆:2008/01/17(木) 19:45:30 ID:7STiPqps0
小説スレのみなさん、こんばんは^^ はじめまして^^
自分の立てたいスレだけ立てる身勝手なスレ立て人ルイーダです^^
このスレは今まで見たことなかったので、スレ立て依頼を見てもスルーしてたのですが、
他の人が立てないまま、2度目の依頼があったので、ちょっと覗いてみたら・・・
まあ、なんとお行儀のいい素敵なスレなんでしょう!
ビックリして、思わずスレ立てちゃいました^^

ところで、テンプレの

   ※□部分は黒で塗りつぶされている。

と言う注釈を

     ――あのブルン終末期の王と■■■■■■■」

と判断して勝手に変えましたが、問題なかったでしょうか?^^;

あ、いや、問題あるって言われても今更どうにもならないのですが・・・^^;

では、皆さん、これからもこの素敵なスレがんばってください^^

42◇68hJrjtY:2008/01/17(木) 23:55:58 ID:CJGnCxzg0
>白猫さん
伏線ッ!伏線だけでこれだけの文章量。これは七章への繋がりが楽しみです。
五章までの流れも自然な形で入れられているのも良いですね。今まで読んでいた私ですが改めてその部分も読ませてもらいました(嬉)
まずはやっぱり武道会行きTEEEE!こういうイベント、本当に今のRSには必要です。○×大会もいいけどさー。
ネル君には「遊びじゃないんですよ」って釘を刺されそうですが、やっぱりタッグトーナメントって響きが「オラ、ワクワクしてきたぞ」状態です。
確かに今回は大掛かりな戦闘が無かったぶん個々の心中模様が良く描かれていたと思います。
相変わらずな(笑)三角関係と、"エリクシル"の発動の謎…そして別れ別れになったパーティー。
七章以降では二つの視点からの物語となるのでしょうか。楽しみにしています!

>1さんことルイーダさん
このスレは初めての来訪(?)だったのでしょうか。一応住人の一人です!
黒く塗りつぶされている〜という部分の■に関しては問題ないと思います。
そこが変化しても年表や歴史の内容には大した影響はないと思いますし…RSのゲーム内でも隠されていたものですしね。
それでは改めましてスレ立てありがとうございました。次回も宜しくお願いします!(コラ

43ワイト:2008/01/18(金) 00:23:01 ID:Z/wysRgM0
◇68hJrjtY様提案有り難いです!是非参考に(ry)有難う御座います(^∀^*)
そして今書き込みし投下しようと思ったら全部消えた・・・うわあぁぁぁ!!

44 ◆21RFz91GTE:2008/01/18(金) 01:45:29 ID:Xb8K0UzI0
////********************************************************************************////
  ■◆21RFz91GTE:まとめサイト(だるま落し禁止)
  ■ttp://bokunatu.fc2web.com/trianglelife/sotn/main.html

////********************************************************************************////

 Snow of the Northwind-最終章-

 The last World/It Little story…。

注意:この作品は本編背景ストーリー破壊及び作者オリジナル作品となります。出てくる街、団体名等は実際のゲーム中に出てくる物とそうでない物が御座います。オリジナル要素が多いため実際のゲーム中で使用されるスキルとは別にオリジナルスキルが存在することもありますので予めご了承下さいます様お願致します。
 また、当作品は長編小説の三部作中最終章に当ります。始めてご覧になられる方はまとめサイトよりお読みする事をお勧めします。

注意2:当作品ではゲーム内部で使用されるスキル名は記載されません、文中の写生や雰囲気から大まかに読み取ってください。尚この作品より作者オリジナルスキルにはスキル名を使用させていただきます。作者自身の「こんなスキル有ったらいいなぁ〜」になりますので予めご了承くださいませ。


Act.1 アレン・ケイレンバック



 冷たい北風が吹く、それは冬の到来を知らせてくれる冷たく悲しい風。先日から振り続いている雪は私達が澄むこの街に一つ化粧をした。白くてサラサラしたパウダーをゆっくりと厚化粧をするように赤い屋根の上に降り積もる。
 吐く息は白く、タバコの煙と区別が付かない程外が寒くなっていた。家の前で遊ぶ子供たちは大人の真似をしてタバコを吸う真似をしている。とても無邪気でまだこの先に未来がある小さな子供たち。この子たちの本にはどんな結末が描かれているのだろうか。
 あの日より三ヶ月。この街は何も変わらずにその一日を送ろうとしている。誰も知らない誰にも知らされて居ないあの小さな事件は一つのギルドで起った一つの伏線。
咎人と呼ばれる存在とその後ろに二人の若者が立っていた。咎人は黒い衣装を身に纏、黒い帽子を被っている。若者の一人は白いローブを羽織っている女性だった。もう一人は女性より三十センチは高いであろう、美しいウィザードが立っていた。
そこは、かつて大戦と呼ばれる戦の犠牲となった二人の墓の前だった。墓の中は荒れていた、二年間も放置満足のいく整備もされて居ないこの墓は冒険者達が最初に立ち寄る場所として有名な場所にもなっている。周りには何百人と冒険者達が立ち並んでいる。それも全て同じ目的のために。
 「アレンの遺骨は?」

45 ◆21RFz91GTE:2008/01/18(金) 01:45:50 ID:Xb8K0UzI0
「墓の中、盗掘されていなければの話だけど…。」
咎人が一歩、また一歩と墓へと足を運んだ。そして墓の目の前まで到達すると腰に備え付けている剣を二つ取り出した、一本はシャムシールのような形をしていて鍔より先は青から赤へと色が変色していた。まるで幾戦も乗り越え幾多の生血を吸ったかのような酷刑な剣。名を「グルブエルス」と言う。もう一本、左手に構えるグルブエルスより長い長身の剣、細く長いその剣は刃こぼれ一つ無いまっすぐで不気味に光り輝いている。名を「ツインシグナル」と言う。
咎人は二つの剣を逆手に持ち変え腰を深く落とした。右手を後ろに回し左手を前に持ってくる。一つ息を吸って、ゆっくりと吐くとその場から姿を消した。いや、消したと言うより捉えることが出来ないと言ったところだろうか。その姿を捉えているのは咎人のすぐ後ろにいたランサーとウィザードの二人だけだった。その二人も精神を集中させコマ送りにしてようやく捉える事が可能になる。周りと取り囲む何百という冒険者達は咎人の姿を捉える事は不可能だった。
数秒咎人の姿が消えた刹那、何時か見た投げ短刀があたり一面に広がる。スカカカカカカカと音を立てて周辺の木々や大地へと付き刺さる。それを確認したウィザードは右手に構える杖を空へと付き上げた。すると周りに集まっている冒険者の中から何人かのウィザード達も同じく杖を空へと付き上げる。
「蒼空なる空のさらに向こう、汝…失われし十法により我らの声を聞きたまえ!」
中央で一番最初に杖を振りかざしたウィザードが叫ぶ、同時に回りにいたビショップ達が一斉に祈りを天へとささげる。すると投げつけられた短刀に沿って青い光が次から次へと流れ、そして繋がっていく。空から見ればそれは巨大な魔法陣であった。二十四の角を持つ果てしなく巨大な魔法陣は六つの角を持つ魔法陣から発生された四つの魔法陣連鎖による代物だった。余りに巨大な力を持つ魔法陣は力の開放を今か今かとスパーク現象を起こす。
「蘇れ…死人よ!」
咎人が姿を現した、突如自分の真上に数本の剣を放り投げた。それらは一直線に空へと昇り、そして地面へと付き刺さる。そこに新たな魔法陣を出現させ幾つにも連なる魔法陣はその力を無限連鎖し始める。そして魔法陣の中央部分に当る該当者の墓から一つの光が空に向かってのびた。それを確認した咎人はツインシグナルを空中から地面に向かって放り投げ突き刺した。最後に咎人自信が地面へと急速に落下を始め、地面へとグルブエルスを付き刺す。すると辺り一面は光に包まれその場にいた全ての人の視力を瞬時に奪い去った。暫く目を閉じていてもまぶしい光が分かるほど辺り一面が輝き、そしてそれは数秒続いた。
「あっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
光が収まると同時に墓が有る方向から突然聞きなれない声が聞こえてきた。一直線に飛び出したそれは人の形をしていた。
「クラウス。」
「サー…。」
クラウスと呼ばれたウィザードは杖を振りかざすと高速で詠唱を始める、そして辺り一面の水素原子を集めると酸素と反応させて水を作り出した。その水を軽く杖で叩くと飛び出した人に向かってゆっくりと飛んで行った。
ばしゃーんと音を立てて水は人へとぶつかり燃えていた炎はその水によって全て消え去った。
「あちちちち…ほへ?」
突然水がぶつかり体の周りにまとわり付いていた炎が消えた事に気づいた人はそのまま一直線に地面へと落下した。
「…これが?」
「…えぇ、何も変わっていませんね。」
イテテと声に上げながらゆっくりと立ち上がる人は辺りを見渡し状況を把握しようとした、そして同時に自分の腹部に血相を変えて手を回す。
「あ…あれ?」
「彼こそが、元ギルドマスター…「アレン・ケイレンバック」です。」



Act.1 アレン・ケイレンバック
END

46 ◆21RFz91GTE:2008/01/18(金) 01:52:06 ID:Xb8K0UzI0
というわけでこんばんは、21Rです。
というかあけおめ…(遅

最近風邪ひいて腎臓やられて入院してましたヾ(´・ω・`)ノ
いやぁ〜、皆さん体調には十分に注意してくださいね(笑

と言うわけで最終章始まりです、もう暫く御付き合いくださいませ。


コメ返し

>>14 :みやび様
ほぼ実体験です(笑
ただ、主人公の女性はリアルじゃ男性になりますけどヾ(´・ω・`)ノ

>>15 :◇68hJrjtY様
ばっちり1000狙ってましたヾ(´・ω・`)ノ
強いて言うなら997辺りからずっとスタンバってたんです(汗
始めての1000ゲットなるかぁ!ってスタンバってたらとれましたヾ(´・ω・`)ノ

>>22 :FAT様
いやはや(笑
確かに昔の職人さん達にも帰ってきて欲しいですねぇ〜。
Flash作ってる時にスペシャルサンクス作るために過去スレ見てたら懐かしい職人さん達を見れて
ちょっと懐かしくなりました、みんなかんば〜くヾ(´・ω・`)ノ

>>41 :ルイーダ☆様
スルーいくない

47ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/18(金) 10:02:34 ID:OhTl4zsk0
続きです〜

舞台はひとまずキッチンへと戻る。
最終兵器を引っさげて来てやったと言わんばかりの不敵な笑みを浮かべるエディとクレイグ、そして彼らに不本意ながらも女装させられて
連れてこられた美少年のエルフ、エストレーア。屋敷のセキュリティシステムが張り巡らされたキッチンの中央にあるテーブル・・・そこに幼児化したミリアが
ちょこんと座っている。ほっぺたを膨らませ、やはり警戒心を向き出しにした眼差しを送りつけてくる・・・
「むぅ〜!!ミリアはぜ〜ったいおくしゅりなんかのまないも〜ん!!あっちいくの〜、め〜っ!!!」両腕を振り回してミリアは薬を飲むことを頑なに拒む。
「大丈夫だぞミリアちゃん、お兄たんたちはお薬なんか持ってないぞ〜?」「そうだぞ、苦い薬なんてナイナイ!!ほら、見てみなって!」
両者とも両手を上に挙げ、ミリアの幼児化の呪いを解除するための薬を持っていないことを証明した・・・ミリアの顔に初めて安堵の相が浮かび上がる。
「うにゅ〜・・・お兄たんたちいい人なの〜!ねぇ、ミリアとあそぼ?たいくつなの〜」無邪気で愛くるしい笑顔を携え、テーブルの上をハイハイしながら
エディたちの下へと向かうミリア・・・だが、3人にとってこれは非常事態だった!!!
「おいクレイグっ!!ミリアちゃんが床に落ちたら大変なことになるぜ!?」即座にハノブ発のトラップ解析機能付きゴーグルを装着するエディ・・・!!
「こうなったら体を張ってでもミリアちゃんを助けないと・・・!!いくぜエディっ!!」「ほいきた相棒ぉっ!!」

「ふみゅ、あそぼっ、あそぼ〜」未だに自身に危機が迫っていることがわからない彼女は、ハイハイを続けていた。テーブルの端が近づいてくる!!
「やべぇ〜っ!!!てて、テーブルから落ちちまうっ!!!クレイグぅ〜!!」「まかせろっ、いくぜ〜・・・必殺スライディ〜ングっ!!!」
クレイグの鋭いスライディングが広いキッチンの床を貫き、そこから身をひねったクレイグは、落下してきたミリアをレシーブで空中へと上げた。
「キャハハハハっ、わ〜い!!ミリアお空飛んでるのよ〜!うゅ〜」放物線を描いて落下してるだけなのに、無邪気な彼女はそれを大いに楽しんでいる。
ひとまずミリアの危機回避に成功したクレイグ、「ふぅっ・・・」と安堵し一息ついたのも束の間の事だった・・・

「カチリ☆」

「・・・・・・うそぉん;;」
青ざめて呟いた時にはもう遅く、またも床が開き・・・クレイグは落下し、また爆弾の餌食となってしまった。
「ぎぃいぃぃやぁああぁあああぁあああああああ!!!!!??!?!!」
酷い断末魔が、床に空いた落とし穴から吹き出る火柱の轟音と共に響き渡る・・・。
「くそっ、クレイグがセキュリティの餌食に・・・ってミリアちゃんこっちに落ちてきたァ――――!!?!」
「にゃぅ〜、こんどはエディなの〜!!あそぼっ、あそぼ〜!」「えと、えとっ・・・エストレーアぁっ、トスうぅっ!!」

48ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/18(金) 11:02:32 ID:OhTl4zsk0
「はわわわっ・・・・えと、つつつ、次はサーb・・・」『ちげぇええぇええぇええ!!キャッチすんだよバカヤロー!!!!』
「あぅ〜、すいませんですぅ〜!!」一連の流れからサーブをやろうとしたエストレーアに、男二人の激が飛んでくる!!
・・・が、無事落下してきた幼女ミリアをキャッチし、3人の間に安堵の空気が流れる。「ふぅ、ひとまずピンチは去ったな!大丈夫か・・・」
振り向き様に喋ろうとするが、同時にエディの足元からまたもや「カチリ☆」という無機質な音が出る・・・・そして間もなく!!
そして今度は、エディが例の竹槍の餌食となってしまった!!!勢いよく床から飛び出した槍は、またも罠を踏んだ者目掛けて伸びて行き
ついには変なところに刺さってしまうのであった。刺さった瞬間、エディは目を丸く見開き、「はぐぁっ!!?!」という声と共に崩れ落ちる。
キッチン入り口には、困惑したエストレーア(女装中)と、無邪気に喜ぶミリアの姿があった。


一方、屋敷の中にいる他の連中はどうなっているのだろうか・・・?

こちらは大浴場・・・男湯と女湯を隔てる壁の前で、トレスヴァントとラティナは会話をしていた。
「お〜いラティナぁ〜、痛みは引いてきたか〜?」「うんっ、大丈夫だよ〜!!まだちょっとジクジクするけど、大した事ないわよ〜」
実はラティナもエディと同様、竹槍がエラいところに刺さってしまったのだ。塗り薬をトレスヴァントに塗ってもらい、この浴場の
薬湯によって治療するため、いまこうして入浴している。傷も何とか引いてきたらしく、ラティナの明るい声が響く。
「トレスヴァント〜、あたしそろそろ上がるからね〜」「お〜う、オレはまだ入ってるからな〜?」カラカラと戸を開ける音がする・・・

「あぁ――――――――――――っ!!!?!?!!?!?」

脱衣所からの彼女の驚きの声が、ハッキリと聞こえるくらいの音量で浴場まで届いた。

49之神:2008/01/18(金) 11:15:44 ID:Z3wyKhJU0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593
-2 >>595
-3 >>596 >>597
-4 >>601 >>602
-5 >>611 >>612
-6 >>613 >>614
2章〜ライト登場。
-1>>620 >>621
-2>>622
-○>>626
-3>>637
-4>>648
-5>>651
-6 >>681
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687
-2>>688
-3>>702
-4>>713>>714
-5>>721
-6>>787
番外クリスマス >>796>>797>>798>>799
-7>>856>>858
-8>>868>>869
番外年末旅行>>894-901
4章〜兄弟
-1>>925-926
-2>>937
-3>>954
-4>>958-959
-5>>974-975
5冊目――――――――――――――――――――◆
-6>>25

50之神:2008/01/18(金) 11:37:29 ID:Z3wyKhJU0
γ
シルヴィーの笛は、短刀に弾かれそのまま窓の外へと飛んでいった。
「あっ・・・・・・」ハッとしたようにシルヴィーは声を上げた。
「お返し、な?とにかくこれで・・・・」ライトは続ける。
「笛を持たないお前は、もう普通の女の子だ」その時、シルヴィーが笑い始めた。
「ハッ・・・・・ハハハ。普通、いいねぇ普通、なれるといいなぁ普通、なりたかったよ普通・・・・ああ普通な・・・」
ケラケラと狂ったようにシルヴィーは笑っている。
「おい、正気か。普通普通ってお前・・・・・」ライトは目の前の狂った少女を見つめる。

「裏切って殺して消して裏切って!その私が普通?ハハ・・・・・無理だよそんなの・・・」


4年前〜
大陸某所。
古い酒場のような所のカウンター席を挟み、2人の男が話していた。
「おい、分かってるよなぁ?もう期限はとっくに過ぎて、しかもその期限から1年は経ってるんだよ」
「聞いてんのかコノ野郎ッ!!!」ガン・・!とナイフをカウンターに突きつける。
「ヒィっ・・・・・!すすすす、すいません・・・・・っ!」
「お前が借りてる分の金を、そろそろ返してもらおうとなぁ!!1年も見逃してた俺等に感謝しろやっ!」
「は・・・・・はい・・・・でも・・・お金なんてウチには」
「うるせぇ!」
「・・・・・・・・」
「きちんと払ってもらわねえとな・・・・。それとも」カタギでは無いであろう男は、突きたてたナイフを怯える男に向けた。
「ヒッ・・・・・いい、命だけは・・・・・!」男はもう泣きそうである。
「じゃあ他に払えるモンあんのか?オイ、あんのかよ」
「えっと・・・・・その・・・・・・・」

「む、娘を・・・・・」


こうして私は、父に売られた。
賭場で金を馬鹿みたいに使うあの男は、自分可愛さに娘を売った。

「おいおいおい、こんな子つれてきちゃってよぉ・・・・ヘヘヘ」ガラの悪い男達が、私を見ている。
「好きに使っていいんだよねぇ?ヘヘ、エヘヘヘヘ・・・・・」
「いー身体してんなぁー?ええ?おい」
「キミは売られたんだからね、売られた分、たっぷり使うからよろしくねぇ?」

その後の事は覚えていない。いや、思い出したく無い。
蹴られ、殴られ、身体も好きに弄ばれ、私はボロボロだった。
雑用と虐待とを受けて1年。

消したい、嫌な者、嫌な物・・・・・全部消そう。

51之神:2008/01/18(金) 11:52:58 ID:Z3wyKhJU0
消した。消したはいいけど、生きていけない。どうしよう。

そうだ、私を使ってくれるところに行こう。

こうして私は自分を売った。
さまざまな組織に入り、使われ、見切りをつけて裏切り、また入り・・・・・。
賭場の負け金の価値の私は、こうして生きていくしか無かった。
行く先々、ほとんどの場所でいいように使われ、利用された。

そうしてあるとき入った「赤い目を嫌う組織」。
赤い目の事を嫌いでも何でも無い私は嫌気が差す内容だったが、仲間はみんな優しかった。
そんな時、組織の一員として命令が下った。
赤い目の男を殺してこい、と。

男の名前を聞いたとき、私は迷った。
逃がしてやるか、命令通り殺すか。しかし、こんな運命を背負わせた あ の 男 だ。

「お久しぶりですね、お父さん。いえ、売られたので親子でも無いですがね」
「・・・!シルヴィーかっ・・・・・ええと・・・その・・・・どこ行ってたんだ?」男は冷や汗を流す。
「貴方のお財布の代わりに、身体で払ってきたんですよ。ええ、とても無駄な4年でしたけど」私は笛を構えた。
「わかった、悪かった・・・・だから・・・・その赤い獣をこっちに向けるなっ・・・!」
「さよなら」
「待て、待て待て・・・・・話せば分かる!話せば分かる、だからちょっと待っttttttt」
ドシュ・・・!赤い獣は男の喉を食いちぎった。

こんな奴のために、私は・・・・・・・・・・・

それからの私は、REEとして生きている。あの馬鹿に売られた時からの、運命だから。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「へぇ、たいした事ねぇな」ライトはせせら笑う。
「ハぁ?お前!私がどれだけ苦しんだかっ!痛かったかっ!知らないからそんな事を言えr」言いかけた時。

「じゃあお前」
「家族、一族全員から、武器向けられた事あるのか?」ライトはそう言うと、上着を脱ぎ始めた。
背中、腹、肩・・・・・・夥しい数の火傷、切り傷、抉られた跡が、無数に刻まれていた。

52ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/18(金) 11:57:59 ID:OhTl4zsk0
「うぉわぁっ!!?ラティナぁ〜、何があったんだ〜!?」突如響き渡ったラティナの叫びに動揺し、トレスヴァントは湯船でバランスを崩しかけた。
「やだぁ〜、あたしの鎧とレオタードがなくなってるぅ〜・・・何で〜?」少し泣きそうな彼女のキュートな声が、トレスヴァントの耳に入る・・・
彼の目にはメラメラと炎が灯され、額には青筋が浮かび上がる・・・愛する彼女が困らされたと直感した彼は、怒りに火が付いてしまった!!!
「・・・さ〜て〜は〜エディの野郎の仕業だなァ?あんのヤロー、ラティナを泣かせやがったらタダじゃおかねぇっ!!!
 ラティナっ、オレあいつをちょっとシバいてくるぜ!!風邪引くといけねぇから、風呂で待っていてくれよ!?・・・っしゃぁ行くぜぇっ!」
勢い良くガラガラと戸を開けて、ピシャァンと叩きつける音がする。ラティナは不本意ながらも、もう少しばかり入浴することに・・・
「トレスヴァントぉ・・・///////」自分のために怒ってくれる彼に思いを馳せて・・・鼻の下まで湯船に浸かりつつ、プクプクと泡を立てていた。

そして今度は屋敷の廊下・・・
アレクシスといけない事をヤっていたフィナーアが、ミリアのピンチと聞きつけて猛ダッシュしている最中だ。
「はぁ〜・・・何でこんなに肌寒いのよ〜!?全裸で動き回ってもいいように暖房くらい効かせなさいよぉ〜!!バカぁ〜ん!!!」
少し冷たい空気の漂う廊下を愚痴りながら、彼女は全裸で走りぬける・・・と、いきなりダッシュを止めてその場でブレーキ。
「あらあらァ?こんな所にクローゼット・・・しょうがないわ、せっかくだからお洋服でも選んで着ていこうかしら〜、うふふっ♪」
気兼ねなくクローゼットのドアを開けるフィナーア、彼女の目の前には・・・リプリートマーキと原始人がクローゼットの整理をしていた。
「あ、フィナ姉じゃないか!!てゆうか裸一丁で何してるのさ〜?」フランクな声で呼び掛けるのは、リプリートマーキのセルジオ。
そして原始人の方はシンバ。2匹ともフィナーアに従属するペットである。「ま〜たどっかの野郎とヤってたのか!?相変わらず淫乱だなオイ」
「何よぅ、好きでやってるんだからいいじゃないのよ!!・・・あ、それよりも何かいい服とかない?肌寒くって・・・」
「そんならこの服とかどうよ!?今ならネコミミやガーターも付けとくぜ〜」「おいおいセルジオぉ、そりゃマニアック過ぎないか??」
「っきゃぁ――――ん!!!何ていいセンスしてるのセルジオちゃァんっ!!アタシ嬉しいわ、こういうの着てみたかったのよ〜」
セルジオがクローゼットから取り出したある服を手に取ると、いきなり狂喜乱舞するフィナーア。
早速それを着た後、意気揚々とクローゼットを後にしキッチンへと猛ダッシュを再開するのであった。

to be continued...

53ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/18(金) 12:03:46 ID:OhTl4zsk0
>之神さん
あっ、タイミング悪い時に投下しちまった・・・申し訳ないです;;;
以前から現代×赤石世界のストーリー、楽しく読ませてもらってます。
複数視点の話はかなり高度に思えるので、その技術やセンス、参考にしたいです。

そしてライトvsシルヴィも決着でしょうか??
お互いの壮絶な過去に引き込まれますね・・・ひどい家族だ;;
これからもストーリーがどう続くのか楽しみです。

54之神:2008/01/18(金) 12:11:14 ID:Z3wyKhJU0
α
「とりあえず、ここだと思うんだ俺は」ナザルドは、ドアの目の前に立つ。
「ここですか・・・・何で?」
「いや・・・・・勘!」
「ええええ・・・・・・・・」

この男、ナザルドはどうもつかめない。何でミカのことを知ってるのか、何で一緒に来るのか、そもそも剣士ってコイツ・・・・

「お、おじゃましまーす!」・・・・・・・アホか。
中は思ったとおりの工事中、ペンキの匂いが鼻につく。
「居ない・・・・ですかね」
「いや!いるんだよ絶対!だって俺がいるって思ってるんだもん」さっきは、たぶん・・・・だった男が・・・。
「何の思い込みですか貴方・・・・」
「あーっ!ここ怪しいわホレここ」いちいちうるさいな・・・・・・まったく。

ナザルドが指差した所は、壁に隙間が開いてるところで、光が漏れていた。
「ん・・・・・?」覗こうと顔を近づけた時に、奴はもう事に当たっていた。
「てぃ!」
ボコッ・・・・・・バラバラバラバ・・・・・・・!
思いっきり壁を殴ったナザルドは、もう壁の向こうの光景を見ているようだった。

β
「話す気にはなれましたか?」
血を流しすぎてなのか、声がよく聞こえない。全身が麻痺のような状態に・・・・・・。
「・・・・・あっがっ・・・・」声にならない。
「ああ、麻酔が多すぎましたかね。針にね、少し塗ってあるんですよ」いっ、今更・・・・・・。
意識が遠のく・・・・・痛みと共に、少しずつ・・・・・その時。

「てぃ!」
ボコッ・・・・・・バラバラバラバ・・・・・・・!


γ
「・・・・・・・!な、何その傷・・・!?」
「何って、焼いた鉄を押し当てられたりな。フォークで抉られたり」
「何で・・・・・・何が・・・・・」
「今度話してやるよ、俺が死ぬ前にでもな・・・・・で、シルヴィーちゃん、ちょっと寝てて」
ゴン。
鈍い音が鳴り、シルヴィーは気絶した。

「それにしても・・・・・・召還獣動けなきゃ、本当に普通の可愛い女の子だ」
ライトはシルヴィーを抱えて走っていった。

55之神:2008/01/18(金) 12:18:09 ID:Z3wyKhJU0
ESCADA a.k.a. DIWALIさん
別にタイミングなんていいですよw
あんまり気にしません(´ω`*

とりあえず笛が無いと無理ですからね、本当。
あっさりと決着です。まぁ、一時的に。


超余談
実はワードで打つのが面倒で、そのままここに書き込もうとしたら・・・・
エラー!文が長すぎます。
と出まして。ああ、戻って分けて書き込もうとしたら・・・・書いた文が消えてる!
というアホなことをしてしまいました。ええ、本当ショックでした。
なのでこれは、2度目に書いたやつですね・・・・・・。

更に余談。
スキル名とかを小説に入れたり、効果音的なのを入れるのが苦手です・・・・orz
なので迫力に欠けたり(´・ω・`)

56◇68hJrjtY:2008/01/18(金) 16:48:50 ID:95kSdOn20
>21Rさん
あのレイとの激戦で果てたアレンの復活…章が切り替わって突然のこの展開は先の動乱を予感させるものがあります。
でもアレン君は相変わらずなようである意味安心しました(笑)
ユラン君やクラウスもそうですが、21Rさんの描くウィザードはボケ役でも憎めないというか楽しい人物が良いですよね(*´ェ`*)
さて、アレンが復活して物語はどう動いていくのか…最終章となるこの章、じっくりと読ませてもらいます。
---
自分にFlash作品や絵を描く才能があれば皆様の小説の一部分でも表現したいなぁと切に思っています(´;ω;`)
そういう意味では21RさんのサイトにあるいくつかのFlash作品には感動しています。
ちょっと挑戦はしてみたんですが…やっぱり絵心も必要になってくるようですしねorz

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
之神さんとのシンクロおめでとう!ヽ|・∀・|ノ
トレスヴァントとカップルになってからというものなかなかに女らしくなってしまったラティナさんも可愛いです!
しかし猪突猛進タイプなトレスヴァントに狙われたら流石のエディも…(;´Д`A  エストレーアが所在無さそうです(笑)
すっかりフィナ姉の18禁姿に慣れてしまっているリプたちもなんだか別の意味で可哀想な(笑) (笑うな
レオタード姿のエストレーア、猫耳ガーター姿のフィナ姉…ドタバタぶり、楽しみにしてます。

>之神さん
悲しいシルヴィーの過去…と思いきやライトにもまた隠された悲しい過去があったのですね。
普段飄々としているのがこの過去を隠そうとしてのものなのだろうかと思うと感慨深いです。
シルヴィーとライトの方は一時的にも決着が着きましたが、ナザ君たちの方がまだでしたね(笑)
やっぱりナザ君良いキャラだなぁ…実力の程は如何に。続きお待ちしてます。
---
二回連続執筆、おつかれさまでした(´;ω;`)
もし既に使っている、或いは理由があって使いたくないという場合ならば申し訳ありませんが
今後そのような悲しい結果にならないように是非とも専ブラ導入されてみてはいかがでしょう?フリーソフトですし。
むしろ書き手さんの方がこの手のツールは便利だと思うのですが…
一応自分が使ってるのは「Jane Doe」ってツールです。ググればすぐ出てくると思います〜。
改行やバイト数などが書き込み欄の↓にリアルタイムで表示されているので残り文字数等分かりやすいです。
もし導入過程で「○○が分からない」という場合は少しながら手助けもできると思います故!

57FAT:2008/01/18(金) 22:29:18 ID:U2Q.7z7A0
前作 二冊目>>798(最終回)

第二部 『水面鏡』

キャラ紹介 三冊目>>21
―田舎の朝― 三冊目1>>22、2>>25-26 
―子供と子供― 三冊目1>>28-29、2>>36、3>>40-42、4>>57-59、5>>98-99、6>>105-107
―双子と娘と― 三冊目1>>173-174、2>>183、3>>185、4>>212
―境界線― 三冊目1>>216、2>>228、3>>229、4>>269、5>>270
―エイミー=ベルツリー― 三冊目1>>294、2>>295-296
―神を冒涜したもの― 三冊目1>>367、2>>368、3>>369
―蘇憶― 五冊目1>>487-488、2>>489、3>>490、4>>497-500、5>>507-508
>>531-532、7>>550、8>>555、9>>556-557、10>>575-576
―ランクーイ― 五冊目1>>579-580、2>>587-589、3>>655-657、4>>827-829
>>908>>910-911、6>>943、7>>944-945、六冊目8>>19-21


―9―

 ランクーイの死の瞬間を、ラスもまた見ていた。二人に危険を知らせようと必死になっ
て上げた声が、皮肉にも二人の注意を自分に向けてしまい、ランクーイを死なせてしまっ
た。

 ――ラスは二人に再会する前、こんなやりとりをしていた。
 緑髪のエルフの挑発に乗り、ラスは無我夢中でエルフを追った。背中に生やした巨大な
翼を持ってしても、エルフとの距離は縮まらなかった。
「見込んだ通りの速さ、見込んだ通りの邪気。貴様はやはり闇の者だ」
 先を駆けながら、エルフは更に挑発する。
「うっせーーーーんだよっっ!! ぜってーーーー殺してやるっっ!!」
 二人は飛ぶように駆け、川を一跨ぎに越え、森の奥地へと辿り着いた。背丈三つ分の崖
を軽々飛び上がると、エルフはそこで立ち止まり、振り返った。ラスはその頭上に大刀を
振りかざすと、着地の勢いを乗せて振り下ろした。エルフはその軌道を紙一重でかわすと、
大胆にもラスの腕を掴んだ。
「憤るな。あれを見よ」
 指差された方向を見て、ラスは怖気を覚えた。そこには怨念の集積のような泉があり、
四方にエルフが座り、更にその外周を淀んだ水が城の堀のように囲んでいた。その泉は怨
念が渦巻き、いくつものおどろおどろと歪んだ顔が浮き沈みし、時空を歪めているようで
あった。
「其の先が貴様ら闇の者の住処。我らの世界とを結ぶ門。貴様はあの先を知っているだろ
う」
 ラスは固まってしまった。全身が硬直する。その先に行ったことはない、知ってもいな
いはず。しかし、ラスの記憶は、その遺伝子は、知っている。誰に教えてもらうでもなく
も、ラスはその先を知っていた。
「俺は……俺は、何者なんだ?」
 ラスはその先に今すぐ飛び込みたい衝動に駆られた。そこに飛び込めば、自分の謎が、
何者なのかが判明する気がした。
「待て」
 その衝動はエルフによって妨げられる。制止した腕を切り落とし、飛び込むことも出来
たがラスもまた異変に気付き、言葉に従った。泉の縁に座っていた四匹のエルフが皆揃っ
て同じ方向を見た。その先から別の三匹のエルフが現れ、入れ替わった。
「見ていろ。闇の者への納入が始まる」
 三匹のエルフはおもむろに首飾りを外すと、泉の上に浮かべた。泉の中を彷徨っていた
ドクロのような歪んだ顔達は、与えられた餌を我先にと奪い合うように喰らいつく。ドク
ロたちが求めているのは生の餌。しゃぶりつくと、まるで汁をすするように何かが抜け、
しぼんでいく。

58FAT:2008/01/18(金) 22:29:56 ID:U2Q.7z7A0
「人の魂」
 エルフが呟く。
「あれは人の魂を吸う。それが食事。それが我らに課された義務」
 ラスは怯えた顔でエルフを見る。
「俺はあんなもの食わない。俺は母さんの作るシチューが好きなんだ!」
「あれは闇の者の餌。闇の者はあれを喰らう」
 エルフの言っていることの意味が分からない。俺はあんな怨念の塊のようなものを食う
っていうのか? ばかばかしい。そもそも俺は闇の者なんかじゃねぇ! ラスは心の中で
叫んだ。
「闇の者よ」
 しつこいエルフに怒りの目を向けるラス。しかし、エルフが静かに指差したそこに、ラ
スは身を震わせた。彼らの立つ崖の下、数十メートルのところにそれは居た。重い黒の鎧
を全身に纏う巨大な物。そそり立つ木々と頭を並べるほどの巨体。ゆっくりと、しかし確
実にどこかを目指し、進んでいる。その巨体に似合わず、静かに、一つの音も立てずに。
「なんだあれは?」
「あれは守護者」
「お前らエルフのか」
「違う」
 エルフの大きく、深い黒の瞳に感情が宿る。
「闇への扉の守護者。あれは我らの敵だ!」
「憤るなよ」
 今度はラスがエルフの怒りを静める。
「俺にも分かるように分かりやすく説明してくれ」
 エルフはラスの目を真剣に見た。エルフの目の色は深く、吸い込まれそうな美しい黒に
戻っていた。
「我らが種族は長命少子。生涯で子は二人しかできぬ。故に長い命を失わぬ為、鍛錬を積
みその力は自己保守のためにしか使わぬ。しかし、あの門がある日突然開いた。我らは其
処から出てきた者たちと戦い、負けた。奴らに敵わぬと判断した長は奴らの提示した条件
を飲んだ。それがあの泉の守護、奴らの餌の納入。奴らはあの黒鎧を泉の守護者として残
した。あれの役目は泉の守護と餌の納入の監視。納入のないもの、逆らう者の処刑。我ら
はそれから人間狩りを始めざるを得なかった。我らを守るために」
 ラスは真剣に話を聞いていたが、このエルフが首に乾物を飾っていないことに気付いた。
「我は反逆者。奴らの言いなりになっていれば、我が種族は滅びる。其れ故我は奴には従
わぬ。身を隠し、機を探っている」
「なぜ俺につっかかってきた?」
「貴様の臭いだ。あの泉より出し者と同じ臭いがした。貴様に侵略の意思があるか、確認
したかった」
 ラスは複雑な表情をしつつも、自分は闇の者ではないと否定出来なかった。と、突然、
背後で火の手が上がった。ラスは振り返ると、そこになじみのある魔力と見慣れた二つの
顔を発見した。
「ありゃー、ランクーイか。あいつ、ほんとに様になってきやがったぜ」と嬉しそうに言
った。
「主の連れか。奴らは人間だな」
 暫しの間をおいて、再び炎が見えた。
「奴らは俺の弟子だ。俺は奴らの成長を見届けるまでは、あんな泉には近寄らないぜ」
 一度は衝動に負けそうになったラス。しかし、かわいくなってきた弟子を残しては行け
ない。ラスを人間として留めたのはランクーイであり、レルロンドであった。
「話の続きは奴らとしようぜ、エルフのおっさん」
 エルフは頷かず、黙って炎の上がったあたりを指差した。そこにはあの黒鎧が、音もな
く、いつの間にかランクーイたちの目の前に移動していた。
「なっっっ!! おーーーーい、お前らぁぁぁぁぁぁ!!」
 大声で危険を喚起するも、時すでに遅し。振り上げられた鉄塊のような剣は悠々と立つ
木を頂辺から切り裂き、ランクーイを直撃した。凄まじい威力で潰されたランクーイは地
面に叩きつけられ、その衝撃で宙を舞い、ぼろぼろになって落ちた。
 エルフはラスの腕を掴むと、風のようなスピードで唖然と立ち尽くしているレルロンド
と砕けたランクーイを抱き、何かを強く念じた。次の瞬間、四人は浜辺に居た。エルフに
抱きかかえられて、レルロンドは何が起こったのかを全く理解できなかった。しかし、一
緒に抱き上げられているランクーイの変わり果てた姿を見て、現実なのだと思い知らされ
た。

59メイトリックス:2008/01/18(金) 23:00:55 ID:wxeZONQQ0
Hellfire Salvage
The Decidings Part.1>>9-11

The Decidings Part.2

どうして、こんな所にいるのだろう。
悪魔と言葉をかわしてはならない。その掟をこうも簡単に破ってしまうなんて。
他ならない、このわたしが。
首筋に手をやり、あてがわれた布をそっと押さえてみる。
柔らかで、温かい。痛みはもう感じられなかった。
ふと不安に駆られ、包帯に巻かれた肩に視線を移す。
もし、二度と武器を執ることができなくなっていたら――。
おそるおそる腕を上げてみると、こちらの痛みも完全に引いているのがわかった。
ニイドの治療は完璧だった。名も知らない薬草や膏薬を巧みに使い分け、瞬く間に処置を終えてしまったのだ。

薄闇の中、座り心地のよい安楽椅子に身を沈め、わたしは待っている。彼が話し出すのを。
薪の爆ぜる音が耳に快く響く。背にした暖炉から漏れる赤々とした火の色が、古風な趣の壁紙に淡い彩りを添えていた。
この眠気を誘うような暖かな部屋でも、ニイドはマスクもコートも身から外そうとはしない。
テーブルを挟んで向き合うように置かれた椅子に腰掛け、いまだ口を開かずにいる。
眠っているのか、目覚めているのか。生きているのか、死んでいるのか。
それすら感じ取る事はできなかった。

本当にすべてを知りたいのだろうか。
さっきまでのような強い確信を、わたしは持てずにいる。あれほど求めて苦しみ続けたはずなのに。
いざ目の前に真実を握った手が差し出されると、恐れが頭をもたげ始める。
怖いのだ。
自分の手には負えなくなる事が。自分の手から離れていく事が。
姉さんを失って、その復讐さえも奪われるとしたら、一体どうすればいい?
一刻も早く真実を知りたいのに、わたしの一部は彼が答えなければいいと願っている。
還らないものをただ偲び続けるだけの生活に、耐えられるとは思えない。
でも、姉さんのために知る必要がある。自分なんかの事よりも……。
相反する想いが胸の内で渦巻いていたけれど、もう猶予は残されていなかった。
ニイドは話す準備ができている。
どんな真実でも、それを受け入れなければ。

重々しくうなずき、ニイドは語りかける。
「RedStoneについて、君の知る所を述べてくれ」
唐突な言葉に戸惑うしかなかった。あの伝説が何の関係があるのだろう。
そう伝えると、彼は首を振った。
「姉上が追ったものを語る上で、深く関わる事なのだ。とかく述べよ」
だからわたしは知る限りを口にした。天から墜ちた赤い石、不老不死や富をもたらす宝、火の神獣の卵だと。
然り、と彼は肯定する。
「かの石の噂は数多あり、互いに相容れぬものも耳にする。では古き悪魔については如何様に聞いた」
村の伝承の数々が思い出される。そこには、力強く、畏怖すべき存在に対する怯懦の念が深く表れていた。
そのいくつかをかいつまんで話していると、ニイドは不機嫌そうに遮り、うなった。
「唾棄すべき誇張だ。代を経る毎にこれほど歪められようとは」
疲れきった溜息をつく。
「ならば、そこから始めるとしよう」

夜が更けるのもかまわず、わたしは彼の話に聞き入った。

60メイトリックス:2008/01/18(金) 23:01:37 ID:wxeZONQQ0
赤き空の日については知っていよう。
500年前、あの忌まわしい赤い悪魔共がRedStoneを奪い去り、天界を混乱に陥れた日だ。
多くの天使が翼を折られて地に降り、失われた宝玉を探し求めんと走駆した。
多くの異変が顕れたも関わらず、当時の人間はそれらに関心を払おうとしなかった。
彼らにとっては、天界での惨事など遠い出来事に感じられたのだろうな。
RedStoneを強く求めたのは、元々の所持者である天界の者達と――我等地下界の住人だった。

悪魔たる我等が、自己中心的で争い合うばかりの存在だというのは認めざるを得ぬ。
それでも、この危機に際し団結して対処するだけの分別は持ち合わせていた。
我等の目的は不届きな赤い悪魔共を捕らえ、天界に引き渡す事だった。
太古の争い以来、誰もが天界と事を構えるのを嫌っていたのでな。
あわよくば、RedStoneを己がものとしてしまえ、との意図が無かったと言えば嘘になるが。

脅しと讒言に満ちた合議の末、我等は天界と同じ手法を用いる事となった。
すなわち、力を完全に封じた使節を地上界へ送り、情報を集めさせるというものだ。
これが君等の言う古き悪魔達だ。
最上階位の賢魔ウィルドを筆頭とし、25人の誉れ高き悪魔が地下界中から集められた。
私はそこに第10階位の代表として加わったのだ。
我等はネクロマンサーに身をやつした。人間を恐れさせぬよう、悪魔の能力と姿を捨ててな。

事実、最初の100年は驚くほど上手く運んだ。
我等は実利を好む。有益な報告を寄越す者には、惜しみなく見返りを与えた。
知られざる魔力を手にする法、愚か者をかどわかす技、呪詛に抗する術をな。
手元に集まった情報は、数で遥かに勝る追放天使共が収集したそれの比ではなかった。
天界の高潔な使者達は人間の本質を理解していなかったのだな。
25人の中で最も年若かった私は、食い違う情報の数々を吟味しながら冗談を飛ばしたものだ。
RedStoneなど真に存在するのか、騙しを得意とする我等こそが踊らされているのではないか、とな。
無論、兄弟同然だった一人を除き、誰も耳を傾ける者などありはしなかったが。
想起するに、あの頃の我等が最もRedStoneに近づいていたのかも知れぬ。

だが、愚昧な天使共め。奴等が全てを台無しにしたのだ。
一向に集まらぬ情報に業を煮やしたのか、或いは我等の探索行を嗅ぎつけたか。
富をもたらすだの、最上の智を授けるだのと在りもしない巫山戯た噂を振り撒き、人間達をけしかけた。
何たる事か。我等の努力は水泡に帰した。
噂の真贋は見極め難く、RedStoneへ続く道は閉ざされた。
人間達は欲に満ちた頭を嬉しげに振りながら探索へと繰り出し、そのうねりは大陸中に広がった。
とりわけ、エリプト帝国のかの宝玉への執着ぶりは常軌を逸していたと言えよう。
賢魔ウィルドは任務失敗を報告するべく地下界へと赴き、我等は皆死を覚悟した。

しかし、その前に破滅が来たったのだ。

61メイトリックス:2008/01/18(金) 23:02:14 ID:wxeZONQQ0
「人ならざる者共の招来、エリプトの滅亡、謀略と虐殺――。正に地獄と呼ぶに相応しいものだった」
ニイドは嘲るように笑った。
「かの記憶に関しては、君等の方が鮮明なのではないかね」
彼の態度にはひどく苛々させられたが、それでも怒りを吐き出すわけにはいかなかった。
確かに彼の話には引き込まれたし、古き悪魔への見方を少しだけ変える助けにはなるかもしれない。
でも、まだ肝心な事を聞いていないのだ。
「それで、姉さんが追っていたものっていうのは何?」
「破滅の日に実際には何が起こったのか、だ」
毒気を抜かれたのか、ニイドは淡々と答える。
「核心に迫りつつある、とも言っていたな。明かされれば400年の歴史を覆し得ると」
「……ちょっと待って」
手を上げてニイドを制する。彼は何を言っているのだろうか。
「奥地にまで迷い込んだ冒険者が、眠りについていた悪魔たちを目覚めさせたんじゃないの?」
わたしはそう聞かされていたし、フランデル大陸のほとんどの人々がそう信じているはず。
もう常識と言ってしまってもいい話なのに。
彼は肩をすくめる。
「私とて何が起こったかは知らぬ。されど、考えてもみたまえ。大陸中の悪魔が一夜にして目覚めるなど――」
話しながらもその手が小刻みに震えているのを、わたしは見逃さなかった。
「――そんな事が有り得るだろうか」
言い終えた時には、もう震えは止まっている。

胸の中に、再び彼への疑いが募ってくるのを感じた。
わたしに隠している事があるのだ。それも、ひとつやふたつではなく。
「あんたたちの、仕業じゃないの?」
疑念に駆られ、言うつもりなどなかった言葉が口から飛び出す。
「みんな強い力を持った悪魔だったんでしょ。それなら、仲間たちを解放する事なんて簡単なはず――」
空を切る風、ぐしゃりという音が、わたしの口をつぐませた。
瀟洒なテーブルが、ニイドのこぶしの下で見る影もなくひしゃげていた。
「私は“何も知らぬ”と言ったのだぞ!」
轟くような大声に、部屋じゅうが震えるのがわかった。
余裕綽々に見えた彼の変わりように、何も言う事ができない。
先にわれに返ったのはニイドだった。
すまない、と低い声で詫びて立ち上がると、テーブルの残骸を片付け始める。
手際よく部分ごとに分解し、元の形を連想できないほど細かくばらすと、それを暖炉の中へ放り込んだ。
その間、わたしは馬鹿みたいに目を見開いたまま、ただ座っていた。
彼が席に戻った時、ようやく口が開けるようになった。
「わ、わたし――」
自分でも何を言おうとしたのかわからない。謝罪か、さらなる追及か。とにかく何かを言わなければ。
けれど、ニイドはうるさげに手を払う仕草で応じた。
「言うな。関わり無き事と思い、言うまいとした私が悪かった。しかし、我等も犠牲を払ったのだ」

悲痛さのにじむ声で彼は明かした。
あの日を境にして、彼らへの対応がまったく変わってしまった事。
歓待されていた屋敷からは追い出され、街の人々は石と罵声を投げつけた。
囚われた仲間の多くが拷問の末に惨殺され、逃げ延びた者も傭兵たちに命を狙われ続けた。
地上へ上がる時に力を封じられた彼らに、抵抗するすべなどない。
信じられない事に、地下界の方針さえ一変してしまっていた。
命からがら帰還した数人は裏切りの罪で処刑された。
残された者たちは数百年の間、息を潜めて隠れるしかなかったのだ。恐らくは、これからも永遠に。

語り終え、魂を絞り尽くしたように見えるニイドに、わたしはかける言葉を見つけられなかった。

62メイトリックス:2008/01/18(金) 23:02:52 ID:wxeZONQQ0
――――――――――――――――――――――――
あたたかい励ましをいただいたので、調子に乗ってまた投稿です。
第一話はPart.2で完結させるつもりが、えらく長くなってしまったのでPart.3まで延長する羽目に。
1レスごとに場面転換をしようとしてるのがいかんのでしょーか。地の文がしつこいですが、見逃してくだしぇ。

>>スメスメ氏
私は貴方のように軽快で身踊るような文を書きたいんです。だけどクソ重くなってしまうんです。何故でしょうか。
そしてコメントありがとうございます。お互いがんばりましょうー。

>>みやび氏
初めまして。コメントをいただけて光栄の至りです。
公式ページの世界観をぐりぐり読んでいたら不意に思いついたネタだなんて口が裂けても言えません。

>>◇68hJrjtY氏
コメントに感謝。いただいた感想を読み返して、幸せな気分に浸るのがマイフェイヴァリットです。
滅びた過去というのは、やはり郷愁を誘うものなのかもしれません。
雰囲気ぶっ壊しにならないように気をつけます。

>>ESCADA a.k.a. DIWALI氏
鼻血噴きました。キーボードが血まみれです。どうしてくれるんですか。

>>FAT氏
あああああああ゛、ランクーイぃぃぃぃ!!!せっかく求めていた真の魔法剣士となれたのに…。
死はどんな輝きも涙も持ち去ってしまうものですが、こんな展開が好きな私はどうすれば。
そしてコメントをありがとうございます。
ヘボ文なりに、ときたま光るフレーズを見つけていただければ幸いです。

>>之神氏
なんとなくショートショートを連想させる風味が好きです。くそ、羨ましいぜライト。

>>ワイト氏
スナッチャー……。彼らの命をかけた一発芸は涙を誘いますね。うぅ。

>>29
読みふけって下さってありがとうございます。
もって回ったような言い回しが多いですが、辛抱して下さいまし。

>>白猫氏
氏の描かれる荒涼とした世界観が気に入っています。しかしそこで生きる人間は熱いですね。
しかしネル君素直じゃねー。

>>40
私も好きなテーマです、復習。ついつい何度も見直してしまいますよね。

>>ルイーダ☆氏
そのスカしっぷりがラヴリー☆彡

>>◆21RFz91GTE氏
私ごときがコメントするのも気が引けるのですが、死んでも変わらないアレン君が素敵過ぎます。

ええい、ふぁっく!!全レスするにも行数が足りないようです。しかも書いてる間にFATさんの新作がー。

63◇68hJrjtY:2008/01/19(土) 01:27:42 ID:95kSdOn20
>FATさん
成る程、藪森に居るモンスターの力関係が起因となっているのですね。
ガーディアン…確かにあそこの適正レベルと照らし合わせると場違いですよね。
本来人間と敵対しないエルフが取引のために人間と戦うようになった…上手い設定だと思います!
ラスもやはり「闇の者」なのでしょうか…生い立ちを知っているだけに否定できないのが悲しいです。
窮地を救われた形のラスたちですが、この緑髪のエルフの思惑はいかに。そしてランクーイはやっぱり…。
続きお待ちしています。

>メイトリックスさん
「無力化した地下界の使者」こと、ネクロマンサーたちの発祥ですね。
ニイドたち彼らネクロマンサーたちがそもそもレッドストーンと深く繋がっていたという過去語り。
あまりネクロマンサーや悪魔は歴史上の表舞台に立たないせいもあり、このあたりの話は興味深く読めました。
そしてニイドの反応ぶりを見るに悪魔たちを目覚めさせた存在は別の場所にいる、別の方法があるということになるのでしょうか。
なんとも奥深いレッドストーンを主軸とした物語…謎が解き明かされていくのを待っています。

64FAT:2008/01/19(土) 10:33:13 ID:U2Q.7z7A0
感想書き途中に寝落ちしてしまったのでこんな中途半端な時間になってしまいました。

>>◇68hJrjtYさん
そ、その発想はなかった><
堕ちたエルフが実は原始人だったなんて素敵な設定で話を書いていたらもっと
藪編おもしろくできたかもしれませんね。
さり気なくさらっと言葉に出る68hさんの発想力にはいつもインスピレーションをいただいております。
実際に藪のガー君には何度も即死させられたので、このような話になっていたり。

>>之神さん
シルヴィーといい、ライトといい、過去を背負う者同士、悲しみに屈折してしまった
シルヴィーと、悲しみを背負って耐えているライト、二人のやりとりは胸が痛くなりました。
次回はついにミカ救出となるのでしょうか!?
楽しみにしております。

>>ワイトさん
失った右腕を治すための旅、やっぱり冒険物はこういった目的が一番にくるもの
ですよね。
私もワイトさんのスナッチャーに惚れました。断末魔な意味で。
いかにもといった断末魔を上げながら、スナッチャーたちはどこに導こうとしているの
でしょうか?続きをお待ちしております。

>>白猫さん
ネル君のもてっぷりに嫉妬しちゃいます。天然というか、鈍感というか、こうした
心のずれは読んでいて面白いです。
ルフィエがあまりにも自由なのでつい忘れちゃってましたが、この世界でのリトルウィッチ
への偏見は強く、アーティーさんのいやみとも取れる発言も尤もなのですよね。
続き、お待ちしております。

>>ルイーダ☆さん
ルイーダ☆さんに立てたいと思われるスレであることを嬉しく思います。
もしよかったらなにか書いて投稿してみてくださいね。妄想もありですから。

>>21Rさん
おおーー!!
アレン君復活ですか!
最終章は誰が主人公となるのかと色々と妄想しておりましたが、アレン君が出て
くるとは思いませんでした。
英雄の復活によって最終章はどのように話が進んでいくのか、とても楽しみです。

>>29さん
レスありがとうございます。
ここまで来るのにあまりにランクーイを描きすぎていたので私自身も抵抗がありました。
途中、誰が主役だっけなと考えてしまうほどでした。
今後も読んでいただけたら幸いです。

>>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
次から次へとネタのオンパレード、うらやましいほどの才能です。読んでいて飽きない
作品というのはこのような作品のことを言うのでしょうね。
次はどんな波乱が!?とわくわくして待っております。

>>メイトリックスさん
ときたま光るフレーズどころか、ほぼ全ての描写が光り輝いて見えます。どうやら私は
メイトリックスさんの文が好きなようです。
話の内容も悪魔/ネクロマンサーの地上進出から地上、地下界双方からの拒絶と主人公の
偏見が徐々に崩れていくのが手に取るようにわかり、それでも復讐という目的を失うこと
への不安から(?)再びニイドを疑う等、心の揺れ動く様がとてもよく伝わってきました。
ぜひとも最後まで読ませていただきたい作品です。楽しみに待っております。

65 ◆21RFz91GTE:2008/01/19(土) 12:37:20 ID:Xb8K0UzI0
////********************************************************************************////
  ■◆21RFz91GTE:まとめサイト(だるま落し禁止)
  ■ttp://bokunatu.fc2web.com/trianglelife/sotn/main.html
  ■Act.1 アレン・ケイレンバック >>44-45
////********************************************************************************////

 Snow of the Northwind-最終章-

 The last World/It Little story…。

66 ◆21RFz91GTE:2008/01/19(土) 12:37:47 ID:Xb8K0UzI0
Act.2 少女3



 「つまり、私を復活させた理由は今後巻き起る大戦の兵力としてアデルの力を利用して復活させた…いや蘇生させたって事?」
英雄復活の儀式が終了し、無事に目的を果たしたミト達はその足でギルドのアジトへと戻った。そこで突然復活させられた事に疑問を抱いていたアレンは疑問に思っていた事をそのままミト達に質問と言う質問を付きつけた。
「はい、アレンさんの力が如何しても必要なんです。」
「…。」
真剣に語るミトにアレンは一度黙り込んでしまった、静寂に支配された会議室をアレンはゆっくりと見渡しここが本当にあのギルドのアジトなのかと少し疑問を抱きながらゆっくりと目を配った。
「お願いします、古都の存続が掛かっているんです。」
ミトはガタンと椅子を倒しながら立ち上がった、そして目の前で呆けているアレンに活を入れるかのように喋りだした。
「アレンさんの力は明白です、今まで何人者ウィザード達がその高みに挑みそして力及ばず挫折するのを何人も見てきました。アレンさんには先の大戦での力が…。」
「止めてくれ。」
アレンはゆっくりと立ち上がると懐から一本タバコを取り出して口に咥えた。火をつけてゆっくりと煙を吐きながら一度きつい目をミトにむけて右手を机の上に置き、左手は腰に据えた。
「戦と言うのは強いて言うならウィザード達の魔法の弾膜だ、俺は弾膜遊びをするつもりも無ければ誰かが死んでいくのを見たくもない。敵だろうが味方だろうが同じ人間だ、それが消えていく…それが戦争だ。」
「しかし…。」
「ミト、君は一体どうしてしまったんだ?俺が知るミト・メーベはそんな事をいう娘じゃなかった、俺が死んで二年の間に何が君を変えたんだ?」
「…ですが!」
「…ミルは…ミルはどうなる。」
その言葉にミトは我に帰った、過去に何が起きて何をしたのか。そして誰が犠牲になり誰が死んで誰が生き延びたのか。結果的に何が残ったのか、何を今の世界に残すことが出来たのかを。
「もうあの赤い石も無い、ミルも居ない。俺には戦う理由が無い。」
「…。」
「少し頭を冷やせミト、俺が知っている君はそんなんじゃ無い。」
そこまで言うと席を立った、何も言い返せないままのミトを後目に会議室を出ようとドアへと足を運んだそのときだった。アレンの前に一人のウィザードが左手を伸ばしアレンの退室を妨害した。
「アレン様…マスタはギルドの事を考えて…。」
その言葉を聞いた瞬間今まで穏やかだったアレンの顔は急に悪鬼へと化した、左手で目の前にたち憚るクラウスの腕を払いのけ、クラウスの胸元を掴んだ。
「ミルの居ない世界で俺にこれ以上関わることも無ければ俺には何も関係の無いことだ!ギルドがどうなろうと知ったことじゃない!」
「…アレン様。」
「その様って言うのも止めてくれ…俺は偉くも無ければ賢者でもない。ただ一人のウィザードだ。」
暫く鬼のような目をしていたアレンはクラウスの事を威嚇するかのようににらんでいた。そして胸倉を掴んでいた手を話すとそのまま会議室を後にした。
「…。」
「マスタ…。」

67 ◆21RFz91GTE:2008/01/19(土) 12:38:17 ID:Xb8K0UzI0
ギルドのアジトにまだアレンの部屋が存在していた。そこは過去にアレンがアパートの一室として借りていた部屋だった。鍵は掛かって居ない。ゆっくりとドアノブに手をかけて押した、そこには昔と何一つ変わって居ないかつての自分の部屋がそこに現れた。
愛用のティーカップに愛用のコート、何もかも旅立つ前と同じ部屋がその場に現れた。埃が被って居ない事を見るとこの部屋は誰かが手を入れていたという証でも有った。
「英雄…か…。」
近くに有った椅子を手に取るとそこに腰かけた、背もたれを前に持ってきて蟹股を開いた状態で座る、そして背もたれの一番上に両手を乗せてそこにあごを乗せた。
ゆっくりと自分の部屋を見渡し昔と本当に何も変わらない日常がそこには有った。変わったといえば自分の身の回りと自分自身の扱い。それだけだった。
何もかもがあの日と同じで今にでもあの人の声が聞こえてきそうになる。たった数ヶ月の旅を共にした一人のランサーの面影はそこには無かったが、目を閉じれば彼女の声が今にも聞こえてきそうな。そんな気がした。
「ミル…。」



 暫くうつむいた状態で両手におでこを付けて座っていた、そこに一つの足跡が聞こえた。ゆっくりと顔を上げるとそこには過去に自分と等価していた存在と酷似した人形が立っていた。
「久し振り…。」
「…あぁ。」
二人は互いに言葉を交わし、そして咎人はアレンと同じように椅子に座る。ただし蟹股で座るような事はしなかった。
「あの時は助かった…いや、本当にあの時の貴方なのか?」
「強いて言うなれば違う、あれは私の記憶の一部を転写した擬人。レッドアイの幹部達は私が記憶を転写させたことなど知る良しも無かったがな。」
「…貴方は何故私を蘇らせた。」
「…確かめたい事が有った、それだけが理由では無いが。」
そこまで言うと二人は同時にダンマリを始めた、会議室と同じように静寂がアレンの部屋の中を支配する。コチコチと時計の音だけがゆっくりと部屋の中に鳴って居た。
「確かめたい事…それは?」
「…あえて我に言わせるつもりか、お主ほどの力なら当に気づいていると思うのだが。」
「…どう言う意味だ?」
アデルはゆっくりと椅子から立ち上がると窓の位置を確認したのち瞬時に動いた。
「こう言うことだ。」
「なっ!」
アレンの体はふわっと浮いた、いや…浮いたと言うよりは投げ飛ばされたと言うのが正しいだろう。ガシャンと窓が割れる音が聞こえた刹那建物の窓からアレンが飛び出した。続いてアデルの姿も確認できた。
勢い良く地面へとアレンは落下した、上向きに落下し腰を強打した。両手を使い置きあがろうとしたその時自分の喉下にアデルのグルブエルスが付きたてられた。
「貴様、さっきギルドがどうなろうと知った事では無いと言ったな?」
「それが…どうした!」
「本気でそれを言って居るのか!?このギルドは貴様らが作り守ったギルドではなかったのか!?」
「あ…あんたみたいなキメラにそんな事言われたくは無いな!人外魔境の成れの果てが俺に説教を…。」
そこまで言うと腹部に激痛が走った、アデルの右足が後ろに下がったと思った刹那アレンの腹部を右足で蹴飛ばした。その衝撃でさらに数メートルアレンは吹き飛んだ。
「人外魔境とは聞き捨てならんな、アレン…お主も死して尚蘇った人外魔境その者だ!」
「んだとぉ!」
アレンは立ち上がるとクラウス以上の高速の詠唱を施した。そして右手に生前使っていた杖を何処からとも無く召還した。そしてさらに詠唱を始め辺り一面に燃え盛る火炎球を五つ作り出した。
「勝手に蘇らせて俺を人外魔境と呼ぶのは侵害だ!」
「貴様のその腐りきった根性を叩きなおしてやると言って居るのだ!」
アデルは腰に備え付けて有ったツインシグナルも取り出して左手に構える。そして腰を深く落し戦闘体制を整えた。
「あんたに言われなくても分かってるよ!」
アレンは作り出した五つの火炎球を一つずつ杖で殴り弾き飛ばした、綺麗なアーチを描き一つ一つがほぼ同時にアデルへと襲いかかる。その火炎球全てをアデルは両手に装備している剣を使って綺麗に弾き飛ばす。弾き飛ばされた火炎球は飛んできた方向へと全てが帰っていく。それを確認したアレンはすぐさま次の詠唱を始めた。辺り一面の微弱な電力を収縮させ上空に雷雲を作り出した。そして飛び掛かって来る火炎球一つ一つに落雷が落ちて相殺した。
「分かってるさ、このギルドを守りたくとも守る理由が今は無い。急に蘇って英雄扱いされ、挙句の果てには戦争の道具と来たもんだ…俺が関与すればまた災厄が起る!あんたの言うところの因果律って奴だ!」
そう言うとアレンは杖を再びどこかへ消し去った。そしてアデルも戦闘体制を解除し剣を腰に付けている鞘へとしまった。
「俺が死んでから二年、一体何があった?」




Act.2 少女3
END

68 ◆21RFz91GTE:2008/01/19(土) 12:46:19 ID:Xb8K0UzI0
こんな時間におはよう御座います、お昼は酢豚でしたヾ(´・ω・`)ノ
何でも関東地方日曜・月曜と雪とか…。
雪振ると面倒なんで嫌ですよねぇ〜あ、皆はこんな大人になっちゃダメですよ?

コメ返し
>>56 :◇68hJrjtY様
ウィザードは基本ろりこn(うわなにするやめr
いやはや、ウィザード達は弄り易くて楽しいですよ〜。なんかこう、紳士なんだけどどこか一つ抜けてるような
所がありそうな感じで。
ほら、彼らは狼に変身するじゃ無いですか。だから夜は(お前等誰だなにするやめr
―――
Flashはノリで作れますよ、絵は長い期間描いて行かないと上手くならないですが何とかなりますよb
何でもそうですが、基本は馴れと時間ですね〜。と言うかだるま落し禁止だってば(笑
あ、因みにアデルやレイの元ネタはだるま落しした先の小説が元ですヾ(´・ω・`)ノ

>>62 :メイトリックス様
アレンは死んでもあのままです、このスレッドでロリコン扱いされた可愛そうな人ですヾ(´・ω・`)ノ
第二章から俺がロリコン扱いにした素敵な人ですヾ(´・ω・`)ノ
コメントありがとう御座います、遠慮なくドンドンコメしてくださいな(笑

>>64 :FAT様
アレンの復活は有る意味必須でした、第二章でと有る人の存在を仄めかしているので(ぁ
余り書くとネタバレになるのでこれ以上は言えませんが…。
ですが一つ。
ミトは美味s(うわなにするやめr

69◇68hJrjtY:2008/01/19(土) 18:48:45 ID:95kSdOn20
>FATさん
いいいインスピーレションなんて大層なシロモノじゃございませんよ(汗
ただのお馬鹿な妄想といいますか想像の権化というか…何言ってんだか分からなくなってきた(;´Д`A ```
場違いガーディアンが黒幕(?)として語られてたので原始人も確かに見た目的には場違いだなぁと思ったところから来てます(笑)
もちろんこんな妄想は無視してFATさんオリジナルの世界観を築いてください!ってか築いて!( ´・ω・)

>21Rさん
空白の時間…アレンが居ない間に起きたことがあまりにも多すぎますね。
確かにもし自分が死んで数年後に生き返った時に自分の居場所だったところが変わっていたらどう思うか…。
死んでしまった人、消えてしまった人、それでも生き残った人々の強い思い。
それらを知らないアレンが蘇って即座に危機に直面できないという気持ちはなんとなしに分かる気がします。ミルの存在も大きかったですしね。
アデルの説得ですが果たして。アレンの心を動かせるのか…そしてロリコン癖は未だ…(え
---
元ネタ暴露しちゃっていいんですか!(笑)
RS関係のFlashってあんまり無いから自作しようとか考えてた頃が私にもありました…。
ノリで作れてしまう21Rさんの方が天才的のような気が!時間が空いたらまた挑戦してみます(苦笑)

70白猫:2008/01/19(土) 19:12:14 ID:c7kJICI60
Puppet―歌姫と絡繰人形―

第一章〜第五章及び番外編 5冊目>>992
第六章 -夜空の下で- >>30-37
これまでの主要登場人物 >>38


第七章 -深紅の衣-



魔法都市スマグ。
遙か古代より魔術で栄え、今も魔術では右に出る地は無いほど、魔術だけに特化した都市。
スマグの噴水や地下道といった建造物も、ほぼ全て魔法によって造られたという。
その都市に、二人の少年少女が降り立った。


 「そ、想像よりなんというか…寂れてますね」
スマグの風景を眺め、リレッタは苦笑する。
同じように辺りを眺め、しかしネルは何の感慨も抱かない。
 「街の景観なんてどうでも良いことです。早く研究所へ行きましょう」
ネルは、早速研究所へと向かおうとしているらしい。
できれば(というより本題の)スマグの噴水を見に行きたかったリレッタとしては、かなり遺憾なことである。
 「…何してるんですか、リレッタ」
 「………ネリエルさまのばーか」
 「はい?」
目を白黒させるネルには目も暮れず、リレッタはスタスタと歩き始める。
その後ろ姿を見、ネルは首を傾げた。
 「……何怒ってるんでしょう」
恐らく、救いがたい朴念仁たる彼には一生答えは出ない。





 「…大きい……」
 「流石、魔術研究の中心部と呼ばれる研究所ですね…」
魔法研究所、正門前。
スマグの外れに造営されているこの研究所は、その規模・設備、いずれ全国でもTOPクラスの研究所だった。
その規模は傍目に見ただけでも一都市並の規模である。
 「ね、ネリエルさまの家より広いかも…」
 「そんな訳ないでしょう。どう見積もっても2/3です」
フンと鼻で笑うネルを見、リレッタは思う。
 (一体ネリエルさまの家の規模って…)
 「さあ、早く入りますよ」
リレッタの心の内など知らず、ネルはスタスタと研究所の中へと入る。
と、

 「あ、あのぉ…」
 「ん……………!!?!?!?!」
突如挙がったひ弱そうな声に、ネルはフッと振り返る。
そこに立っていた、3m近くはあるであろう大男。
筋骨隆々、という台詞がまさに似合う、しかも全身に無数の縫い痕のようなものが走っている。
さらに顔はフランケンシュタインもどっきりなおぞましい形――
 「ぅ、うぁあああッ!!?」
 「な、何するだブッ」

   めきょ

思わず放った、巨大化した右腕の強烈な一撃。
それが大男の左脇腹に食い込み、男は堪らず吹っ飛んだ。
ボテンボテンと4,5バウンドし、男はようやく…止まる。
 「な、ななななななななな何なんですかこの男は」
 「ね、ネリエルさま…」
その凄まじい威力に目を白黒させ、リレッタはネルの袖を引っ張る。
ネルの本気の一撃が全く予想していなかった脇腹に食い込んだのだ。通常の人間ならば、しばらく失神するくらいの衝撃なのだ、
が。

 「い、いでぇ〜…ひでぇ、オラ何もしてねぇのに…」
 「!!」
脇腹をさすり、何ということもなく大男が立ち上がった。
その頑丈さに目を白黒させ、ネルはしかし後ろ手でリレッタを背後に押しやる。
と、その大男がネルの方を向き、叫んだ。
 「ひでぇだ! 人を外見で判断しちゃいけねぇだッ!!」
 「五月蠅いですね! 人の第一印象は外見で判断するんですよッ!!」
 「そ、そんなのねぇだ! オラはただの人間だ!!」
ただの人間、の言葉にネルはピタリと止まった。
 「人間…?」
 「そうだ。オラぁ人間だ。この研究所の門番のガリレドってんだ」
 「…………どの辺が?」
 「ひ、ひでぇだ!!」
ネルの疑わしげな目に、大男…ガリレドが叫ぶ。
ドスンドスンとネルに駆け寄り、不格好な顔を突き出して言う。
 「オラこんな姿してるだども、ちゃんとした人間だ! 信じてくれだ!」
 「そ、それ以上寄ったら斬ります」
右腕を剣状に変化させ、後ずさりしながらネルは脅す。
ウルウルと目を涙ぐませて、ガリレドはネル達の前で土下座をする。
縮こまっても、その姿はまるでカバ…である。
その姿にリレッタは少し思案し、ネルの袖を引いて言う。
 「…………話だけでも、聞いてあげませんか?」
 「あ、ありがとうごぜぇます! 天使様!!」
 「ひゃっ!?」
涙をボロボロと零すガリレドに手をがっしと掴まれ、リレッタは頓狂な叫びを上げる。
すぐさま先の優しい声を一変させ、ネルに泣きつく。
 「ね、ネリエルさまぁ…!」
 「と、とととりあえず離れなさい、ガリレド! 話はそれからです!」
 「ありがとうごぜぇますだーっ!!!」
 「うぉああああああ!?」
 「きゃぁああああ!?」
3mはあろう巨体に抱き付かれ、堪らずネルとリレッタは押し潰された。

71白猫:2008/01/19(土) 19:13:11 ID:c7kJICI60
北及び南フォーリンロード。
魔術に酷似した能力…[擬似魔術能力-ZIN-]を使う魔物たちの塒と呼ばれる、ビガプールとシュトラセトを結ぶ街道。
最も、魔物達も寄りつかない街道と柵が作られるのはこれから数年後の話で、今では木々があちら此方に生える、一つの森の状態である。
ビガプール・アリアンに流れた冒険者達が、比較的資金稼ぎに使うのがこの地である。
木妖精、と呼ばれる魔物の体液を抽出・加工することで[ポーション]として使用することができるからか、
国内で流通しているポーションのシェアの数十%がこの地域に集中している。
その南フォーリンロードを、まさに驀進という表現通りに突き進んでいる一行があった。
 「ハァアアアアアアアッ!!」
襲い来る無数のエルフ達の胸に、瞬時に数本の槍が突き刺さる。
突き刺さった槍は瞬時に消滅、その中から凄まじい勢いで一人のランサーが飛び出した。
槍を喰らい、尚も息絶えないエルフは、その背後から数本の矢を射掛ける。
その矢を槍の旋回で切り払い、そのランサーは瞬時に走り去ってしまう。
それを追いすがるエルフの背後、
 「遅いよ」
という言葉と共に、その背中に巨大な杖がモロに直撃した。
その杖を放った白コート姿のウィザードは、文字通り凍り付くエルフの頭を踏みつけ、跳び越える。

さらにそのウィザードに遅れて、旅塵まみれのコートを着、無数の楽器を引き連れる少女と鎧姿の青年が駆け抜けた。
 「速いですね…こっちはバトルマーチまで使ってるんですよ」
 「まぁ、あの二人に追いつくなんて相当頑張らないとなぁ」
その少女…ルフィエは、まるで手を払うように魔物達を薙ぎ払っていくアーティとカリアスを眺める。
魔物達の取り零す無数の剣だの矢だの篭手だのを完全に無視して走るその驀進は、軽くアリアンのブラックリストに載りそうな勢いである。
ルフィエ達は、かれこれもう一週間は走り続けている。
食事や休憩、睡眠などに少々の時間は潰しているが、それ以外はひたすら走る、走る、走る。
数日前にテレットトンネル前を通過したまでは良かったが、その後トラン森に迷い込んだり荷物を無くしたり、少々のトラブルに巻き込まれた。
やはりネルの[この面子だと十日掛かる]という言葉は正しかったらしい。
 (この後オーガとかクマとかマーマンの住処を通るんだ…嫌だな)
グロテスクな魔物や巨大な魔物に耐性のないルフィエにとって、この驀進はハッキリ言って拷問以外の何者でもなかった。
トレントなどと戦うのまでは良かったが、サティロスやエルフ、大熊などと戦うときにはもう…。
 (なんでこんなにグロテスクな殺し方しかできないんだろう…)
どうしても血だの身体の断面だのが好きになれないルフィエは、やっぱり戦いは好きになれそうになかった。
 (相手は人じゃない、って割り切れないのはまだ子供だからかなぁ)
リトルウィッチは成長が早く、老化が遅い種族である。
故に精神が成熟するのが遅い、という一般的な理由もある。
 (もっと、頑張らないとな)
そう思うルフィエの前、森の木々の間に、カラフルに光る丸い建造物が見える。
 「お…オクトパスが見えたな」
隣を走るレイゼルが呟き、ルフィエもその建造物を眺める。
 (ネルくんは、もうアリアンに着いたのかな)
リレッタとネルの飛び去った光景を思い出し、ルフィエは顔を渋くする。
 (やだやだ、私、なんでこんなこと)
ネルのことを思い出すと、冷静でいられなくなる。
彼の力になりたい、どころか、彼の傍にいたいと強く思うまでになっていた。
いったい、いったい、どうしてしまったのか。
 (何だろう、私…バカみたい)
その目の前、巨大な木妖精が立ち上がる。
げ、と顔を顰めるレイゼルを見、ルフィエは瞳を閉じる。
その口から、小さな唄が紡がれる。

72白猫:2008/01/19(土) 19:14:28 ID:c7kJICI60
   パラパラパラパラパラパラパラパラパラパラ
 「しかし、リレッタ」
 「はい、長老さま」
スマグ魔法研究所、書庫。
世界最大の魔術書の貯蔵量を持ち、その蔵書の数は数万冊以上と言われている。
その書庫に隣接する小さな部屋…[所長室]。
書庫との仕切は存在しないため、書庫の読書場と勘違いする研究者も多い。
この魔法研究所の最高責任者であり、この部屋の持ち主である[ケイン=ジュード]は、今はいない。
ネルとリレッタを通したのは、魔法都市スマグに古くから住む、[長老]だった。
その[室長室]の中…小さな机と4つの椅子のある机の上に、数十冊以上の本が積まれていた。
   パラパラパラパラパラパラパラパラパラパラ
 「まさかヴァリオルド当主殿と一緒に来られるとは思わなかったぞ」
 「ええ…急ぎの用でしたので、すみません」
その椅子の一角に座る白髭の老人…長老は、品定めするようにリレッタを眺める。
首を傾げてそれを見るリレッタは、念のため訊いてみる。
   パラパラパラパラパラパラパラパラパラパラ
 「…何ですか? 長老さま」
 「いやぁ、良いボディになったのう」
思い切り真面目なその言葉に、リレッタはポカンと一冊の本で長老の頭を叩く。
と、その手に持たれた本が、凄まじい勢いでひったくられた。
   パラパラパラパラパラパラパラパラパラパラ
 「…………」
 「…………」
恨めしそうに、リレッタは向かいの椅子に座る(といっても本でほとんど見えない)ネルを見る。
ネルはそんな視線にも気付かないように、凄まじい勢いで本を捲り続けている。
このような光景が、既に数十分繰り広げられている。もう外は真っ暗である。
本を捲っては放り出し、次の本にかじりつく。
その本を書庫の清掃員が受け止め、元の場所に戻す。
清掃員が戻し終わって戻ってくると、さらに新しい本が宙を舞う。
   パラパラパラパラパラパラパラパラパラパラ
 「…のう、ヴァリオルド殿」
 「…ネリエルさま」
その二人の言葉に、ピタリとネルの手が止まる。
しかし、話しかけられたからではない。本を捲り終わったからである。
その本をひょいと投げ、ネルは言う。
 「何ですか」
 「何ですか、じゃないですよ…それで、成果はあったんですか」
 「ふむ…一応、[エリクシル]に関する資料は第一棚にあるだけ持ってきたがのう」
その言葉に、新しい本に手を伸ばそうとしたネルの手が止まる。
 「第一…?」
 「まだ第二〜第六棚があるがのう…後は神話だのの記録ばかりじゃが」
 「それで、成果はどうだったんですか」
リレッタの言葉に、ネルの顔が渋い顔に変わる。
 「成果…ふ、ふふ、ふふふふふふ…」
 「……ネリエル、さま?」

   「無いですよ、無いからこうやって本捲ってるんじゃないですか!? 大体どうして[エリクシル]に関する資料はどれもこれも錬金術関連なんですか!? 錬金術において[エリクシル]は単なる[不老不死の妙薬]とされるエリクサーじゃないですか!?」

ぜーはーぜーはーと荒い息をするネルを見、しかし長老は言う。
 「当たり前じゃのう…アラスターの造った[エリクシル]は、錬金術と魔術を用いて造られた、世界最初の[物質変換石]じゃし」
 「…世界最初? つまりそれに関する著書が存在しないんですか?」
そうじゃよ、と長老は頷く。

73白猫:2008/01/19(土) 19:14:52 ID:c7kJICI60

(ここからややこしい説明になるので飛ばしたければ飛ばしても良いです)

彼自身、一度アラスターの相談を受け、その[エリクシル]の調合を手伝ったことがある。
 「奴は持ちうる知識を全て使い、[賢者の石]に魔術を吹き込んだのじゃ」
 「賢者の…石?」
賢者の石。
哲学者の石、天上の石、大エリクシル、赤きティンクトゥラ、第五実体とも呼ばれる、卑金属を金へと変換する霊薬の名。
霊薬、という名だけあって、詳しい形状は一切不明であるらしい。
さらに精製方法も一切不明で、[水銀に何らかの反応を加え続ける]としか分かっていない。
賢者の石を創り出した人物は古今東西ただ一人、初めて[人工生命体-ホムンクルス-]を創り出した、パラケルススだと言われている。
 「…てことは、僕の曾祖父…アラスター=ヴァリオルドが、[パラケルスス]だって言うんですか?」
 「それはないのう…[パラケルスス]…フィリップス・アウレオルス・テオフラトゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイムは、わしやアラスターの生まれる前の人物じゃ」
 「でも…貴方は、賢者の石を創り出し、不老不死となったのではないですか?」
 「それも違うのう。わしが造ったのは[エリクシル]…不老長寿の妙薬じゃ」
 「でも、ある著書では[エリクシル]と[賢者の石]は同じものだと言われている」
 「残念じゃがそれも違う…エリクシルと賢者の石は、与える効果が同じなだけじゃ…。
 どちらも、[物質に永遠の効果を授ける]というだけじゃ」
 「…では、…僕の腕は、いったい、何なんですか」
 「……さてのぅ。恐らくは[物質の質量や硬度・性質を自由自在に変化させることのできる腕]といったところかのう」
 「それだけじゃ、[生まれたときから僕の腕にある]、[腕が別のものになっても常に甲に存在する]というこの石の現象が説明できません」

 「……呪い…」
その言葉に、今まで口から言葉を吐き出すように喋っていたネルが止まる。
その声の主…リレッタは、小さく言う。
 「その腕には、[製作者]の呪いが掛けられていて…ネリエルさまの腕から、どうやっても剥がれない…そう考えられませんか」
 「そうじゃの…恐らくは、遺伝性の呪い。曾祖父から祖父、祖父から父、父から子へと、順々にその石が受け継がれていると考えれば妥当じゃの…。まさに奇怪な」
 「……ですが、父…カナリア=ヴァリオルドの写真の腕には、こんな石は無かった」
 「右腕にあるとは限りません…身体のどこに発生するかは、ランダムなのでは?」
 「それこそ、胸や足、太股もしくは内蔵のどこかという可能性もあるの」
 「…………」
解ける、どころかさらに深まる自分の腕の秘密。
彼の疑問はまだ終わらない…そもそもこの腕、[エリクシル]の性質がまだ分かっていない。
しかも、そのような効果があるのに、何故今まで発動しなかったのか。
何故、自分の[護る]という気持ちに反応し、目覚めたりしたのか。
それが、リレッタの言う[呪い]と何か関係しているのか。
 「……まぁ、今はもう自由に変化させることはできますし、問題ないです」
腕を剣状に変化させ、ネルはそれを眺める。
甲、指もその剣の一部となり、肘から真っ直ぐに伸びる、その刃。
その刃を造るためにか、自分の体内から微量の魔力が流れ出したのを感じた。
しかしその魔力の量は毛ほどの量、[シックスセンス]を発動すれば、充分に対応できるほど。
 (………しかし、やっぱりまだ慣れない)
剣へと変化させることができるが、腕の感覚がハッキリと掴みづらく、[シックスセンス]で感覚が研ぎ澄まされていないと、使用に難がある。
やはり慣れるにはしばらく戦闘を行わなければならない。
しかも、生温い魔物との戦いではない、視線を彷徨い、様々な戦術を駆使する対人戦…
 「リレッタ」
 「?」
ネルの言葉に、リレッタは首を傾げる。
しばらく思案し、しかしネルは言った。
 「僕と、模擬戦闘をお願いします」

74白猫:2008/01/19(土) 19:15:12 ID:c7kJICI60

スマグ裏、大噴水へと通じる広い街道の両端に、ネルとリレッタが立つ。
その二人から少し離れ、長老とガリレドが、前者は興味津々に、後者はオロオロと眺める。
 「いいんですか? ネリエルさま…」
 「ええ。貴方が相手ならば適任です」
 「私、ネリエルさまより強いですよ…?」
 「だからこそ…です。格上の相手と戦ってこそ、力量を上げることができる」
ネルの言葉に俯き、しかしリレッタは顔を上げる。
 「じゃあ、この後…私に、少し付き合ってくれませんか?」
 「? ええ、良いですけど」
 「それじゃあ…行きます」
ネルが頷くのを見、リレッタはゆっくりと両の腕を開く。
その後背の翼が同じように広げられるのを見、ネルはゆっくりと体勢を低くする。
それを見てか見ずか、リレッタは小さく呟く。

   「『 ホーリーエクス・クロス 』」

瞬間、
リレッタの両腕に、凡そ一メートルはあろう十字架が出現する。
まるで盾のようにリレッタの腕を護るその二つの十字架は、しかしその鋭利な先端で相手を破壊する剣にも成り得る。
しかしこの両腕の十字架…[ホーリーエクス・クロス]の効果は、それだけではない。

十字架を宿したリレッタは、その翼で一気にネルとの距離を詰め、右腕の十字架を突き出す。
それを目ではなく感覚で察したネルは、瞬時に身体を捻り、リレッタを"跳び越える"。
標的を失った右腕の十字架が、街道の端の石像に凄まじい勢いで突き刺さる。
瞬間、突き刺さった十字架を中心に、眩い黄金色の爆発が辺りを呑み込んだ。
その爆発の圏外へと脱していたネルは、その無茶苦茶な威力に顔を顰める。
 (全く…装備型の術の威力じゃないですよ、あれは)
リレッタの[ホーリーエクス・クロス]は、小型のホーリークロスを両の腕に宿す術である。
防御の盾にも、攻撃の剣にも使え、さらに接触した物体を中心に[ホーリークロス]を発動させるという、凶悪な能力を持っている。
直撃さえしなければ怖くはない術だが、とにかく威力が高い。
しかもリレッタ自身の攻撃速度や移動速度も非常に高く、全てを避けきることは非常に困難である。
幾度と無く戦っているネルですら、無傷であの破壊力を避けきることは不可能なほどである。
しかし、だからこそ、戦う相手に相応しい。
 (エリクシルよ…僕に、力を)

 「ネリエルさま…死なないで、下さいね」
そう呟き、リレッタは両の手を自分の前で合わせる。
まるで何かを打ち出す発射口のように構え、リレッタは小さく呟く。
 「『 エクス・クロス…収縮 』」
瞬間、リレッタの両の腕の十字架が突如砕け散り、光の粒子となってリレッタの手の中に凝縮されていく。
二つの十字架の魔力を手の中で凝縮させるその光景を見やり、ネルは目を細める。
 (来る…リレッタの持つ、対ヒト直線攻撃術)

   「『 バスター・シャイン 』」

リレッタがそう呟いた、瞬間。
彼女と距離を取っていたネルに、凄まじい光量の衝撃波が放たれる。
[バスターシャイン]…ヒトに対して異常な威力を持つ直線攻撃型スキル。
形こそリトルウィッチの[ブレストファイア]に似ているが、その威力は桁で違う。
その衝撃波を正面から見やり、しかしネルは逃げない。
 (この程度の術を受けきれなくて…この先、護ることなんて、できはしない)
右腕を、例えるならばクレイモア状の大剣に変化させ、構える。
 (受けきれる術じゃないのは分かってる…なら、斬る!)
それを見、術を発動している本人であるリレッタが叫ぶ。
 「駄目ですネリエルさま! この術は、…この術は、斬れません!」
 (それでも…それでも、僕はッ!!)

思う間に、家すら一撃で倒壊させてしまうほどの衝撃波が、ネルの身体を呑み込んだ。
その大剣は一瞬衝撃波を切り払い、しかしすぐに、その光の怒濤に呑み込まれた。

75白猫:2008/01/19(土) 19:15:36 ID:c7kJICI60

 (いやだ)
崩れ落ちる民家。
朦々と立ち上がる黒煙。
 (やめろ)
逃げ惑う人々。
その後背を貫く、無数の矢、剣、槍。
 (やめてくれ)
剣を交わすヒトとヒト。
どちらが死ぬまで終わることはない、その舞踏。
 (お願いだから)
自分を護るように戦い続けた父の背中。
妹と自分の腕を握り、ただ走っていた母の横顔。
 (もう)
それら全てが。
それら全ての、大切なものが。
 (もう、嫌なんだ)
奪われ、切り裂かれ、踏みにじられた。
殺した者に憎しみを抱いたわけではない。
 (もう、"護れない"のは)
ただ、大切なものすら護れなかった自分に。
ただ、大切なものに護られていただけの自分に。
 (もう、こんな、こんな自分は、嫌だ)
憎しみが、憎しみが沸いた。
自分を憎み、力のないこの自分を憎み、力を欲した。
 (もう二度と)
だからこそ、自分は選ぶ。
"護るために殺す"という、意味のないその茨の道を。
 (もう二度と、繰り返さない)



   その為に、僕は力が必要なんだ…

76白猫:2008/01/19(土) 19:16:01 ID:c7kJICI60

バスターシャインの怒濤をモロに喰らい、脇の広葉樹林に放り込まれたネルが、ゆっくりと立ち上がる。
体中の傷は酷いものだったが、不思議と痛みを感じない。
それどころか、[運気]の力で既に傷の大半が癒えつつあった。
 (不思議だ…力が湧いてくる)
その、ビガプールで初めて[エリクシル]を発動したときと同じ現象に、ネルは悟る。
この[エリクシル]の、真の意味を。
 (そういうこと…だったんですね、曾御爺様)
右腕が、[エリクシル]と同じ紅色に染まっているのを見ても、不思議と驚きはなかった。
その紅が、胸に、首に、四肢に、広がっていくのを感じても、不思議と恐れはなかった。
ただ、巨大な力を得たことからくる、壮大な喜悦感だけが、彼の心を占めていた。
 (……[エリクシル]よ)
地面を一蹴、
瞬時に街道までの十数メートル距離を跳び、ゆっくりと着地する。
 (僕に、全てを護る力を)
身体を覆う紅が、ゆっくりと形を造っていく。
 (僕という命を糧に、全てのヒトを、護れ)
絵の具を純白のスケッチブックに落としたような、深紅の色の、衣に。
それを見やり、ネルは小さく呟く。

 「[エリクシル]第二段階へ移行…[深紅衣-CRIMSON ROBE-]発動」








 「ギリで所要日数十日で到着やな。流石ネルはん、戦力分析も的確やわ」
 「こっからテレポーターを使って午後に予選…地獄だわ、これ」
総長のシュトラセト、ようやくテレポーター前の広場に到着したルフィエ一行。
十日間戦い詰めだったせいか、皆の息もかなり荒い。
シュトラセトの門までオーガの群を引き連れてしまったが、それは全く気にすることではない。
 「こ、声枯れぞう…」
 「ネル、の奴、アリアンの、りょ、旅館取ってく、くれてっかな」
長時間の戦闘に全く慣れていないルフィエとレイゼルにとって、この十日間はまさに地獄のようであった。
FORCEに参加しなくて良かった、と自分の判断をルフィエは今更評価した。
 「テレポーターの費用はそうね…古都のネリエル=ヴァリオルドにツケといて」
 「畏まりました。アリアンまで四名様、お送りいたします」
自分の背後で若干コスい発言が聞こえたような気がしたが、そこはスルーしておく。
 「ネリエルのやつ、部屋取ってなかったらぶっ飛ばす」
 「リレッタはんおるから、多分取ってくれてはると思うで」
 「取っててもとりあえずぶっ飛ばす」
今度は自分の背後で若干物騒な発言も聞こえたが、ルフィエはこれもスルーする。
東の空から昇る太陽を眺め、ルフィエは息を整える。
 (…ネルくん、もうアリアンに着いてるんだろうな)
 「ルフィエ? 何してるの、早く」
見れば、アーティ達は立ち上がり、テレポーターの描いた魔方陣の中に入っている。
それを見やり、ルフィエは立ち上がる。
 「はい、今行きます」

77白猫:2008/01/19(土) 19:16:25 ID:c7kJICI60

 「こっれは…また奇怪な」
 「ネ、ネリエルさんどうしたんだ?」
紅いローブを纏い、舞い降りたネルを見、長老とガリレドは瞠目する。
まるで生き物のように蠢き、獲物を求めるように這うそのローブを、リレッタは細い目で眺める。
 (あの衣…エリクシルが広まって造られてるの?
 そうとしか考えられないけど…なに、どうしてあの衣…あんなに、あんなの邪悪な力を感じるの)
軽く思考を流し、リレッタはゆっくりと両の手を開く。
その掌に小さな光の弾を精製し、それをゆっくりと強めていく。
 「『 ホーリー・ジャベリン 』」
瞬間、リレッタの両手に光り輝く槍が出現、リレッタはそれを軽く振るう。
 ([ホーリージャベリン]は威力がかなり高いけど…ネリエルさまならきっと、堪え忍べるはず)
そう心の中で呟き、リレッタはネルの眼前へ躍り出る。
凄まじい速度で旋回される槍を、続けざまに数発、繰り出す。
が、

   ――ガィイイィインッッ!!

リレッタの二本の槍が、ネルの身体の数十?前で、阻まれた。
光り輝く、十字架の盾で。
紛うことなき、[ホーリーエクス・クロス]で。
 「…………!?」
 「駄目ですよ、リレッタ」
驚愕に目を見張るリレッタに、ネルは微笑む。
その瞳の色を見、リレッタは目を見開いた。
 (…どうして)
その瞳の色は、濃い紅色…[クリムソン]と同じ色をしていた。
いつもの彼の深い緑色ではない…それを見、リレッタは恐怖を感じる。
 「元々[ジャベリン]は近接攻撃術ではない…歴とした遠距離攻撃、投擲術です…。
 そしてもう一つ…この[深紅衣]を相手にしたときに、安易に術を見せてしまうことは死に繋がります」
そう呟き、右手をゆっくりと天に翳す。
瞬間、その腕から左右に光が伸び、一瞬後、その手には光り輝く槍が握られていた。
 (…!? そん、な…[ホーリー・ジャベリン]…!?)
その術の発現を信じられない様子で眺めるリレッタに、ネルは言う。
 「驚きは、何も生み出しません」
そう呟き、十字架の盾を鋭く天に突き上げる。
力の均衡を保っていた二本の槍が、それだけでリレッタの手から弾き飛ばされた。
 (っく…!?)
速く、強いその動きに、リレッタは機転だけで空に舞い上がる。
一瞬後、先までリレッタがいた場所を、ネルの十字架がブンと通り過ぎた。
 (どうして…どうして、見ただけで私の術を)
ネルの左手の十字架は、間違いなくリレッタの[ホーリーエクス・クロス]。
ネルの右手の長身槍は、間違いなくリレッタの[ホーリー・ジャベリン]。
どちらも、追放天使程度では使えないはずの、[天使]であるリレッタの術。
しかし、ネルのその十字架であり、槍であり、リレッタの術の色とは違っていた。
その二つ…本来なら眩い黄金色であるはずのその二つは、ネルの瞳と同じ、深紅の輝きを放っていた。
その光景に戦慄するリレッタに、左に十字架、右に槍を構えるネルはクスリと笑う。
 「驚きましたか? まぁそうでしょうね…僕自身、とても驚いています」
空を舞うリレッタに、ネルは笑いかける。
そして、右手に握った槍を持ったまま、ゆっくりと振りかぶる。
 「…乾、坤、一…ッ擲!」

瞬間、
ネルの右手から繰り出された槍が凄まじい速度で飛翔、リレッタに向かって飛ぶ。
 「っ!?」
突如繰り出された槍を見、リレッタは咄嗟に身を捩る。
が、その凄まじい速度の槍の投擲は、問答無用に彼女の左翼をぶち抜いた。
 「――っ――――」
 「言ったでしょう? ジャベリンは、投げるものです――」

78白猫:2008/01/19(土) 19:16:52 ID:c7kJICI60
ドサリ、と地面に落ちたリレッタ…その左翼を見、ネルは目を細める。
全長30?ほどの巨大な穴の空いたその翼。
傷口からは、止め処なく紅い鮮血が溢れ出していた。
 「天使の血も、紅いのですね」
 「リレッタ!?」
 「り、リレッタさん!!」
地面に倒れたリレッタに駆け寄る長老とガリレドを見、しかしネルは目を逸らした。
自分の姿を眺め、小さく思案する。
 (この力は…[深紅衣]を発動中は、一度見た術をコピーできるようですね…。
 しかし比較的短時間内に見た術しかコピーすることはできなく、ノーマルのスキル、もしくは単純なスキルしか写し取れないようですね…。
 リレッタの[エクスクロス]も構成が難しいとはいえ、ノーマルのスキルですし…。
 単純なパラレルやエントラを使う冒険者はほとんどいませんし、実戦ではほとんど役に立ちませんね。おまけ程度でしょうか)
腕を上げてローブを眺めるが、伸縮が可能、というわけでもなく、ただの衣である。
恐らくは魔術を断絶する程度の衣だろうか、と軽く思案する。
軽く右腕を振ると、その腕が変化、剣状に伸びる。
 (腕の変化能力は衰えていない…というより、むしろ硬化されたくらいか)
 「……あな、たは」
思案するネルに、か細い声がかけられる。
怪訝そうな顔で、ネルはその声の方向に振り向く。
 「…貴方、は、誰…です、か」
 「………?」
左翼の一部をもぎ取られ、息も絶え絶えなリレッタが、ガリレドの身体にもたれ、言う。
 「…貴方は、誰なんです…か」
 「…誰って、ネリエル=ヴァリオ――」
 「ちがう」
ネルの言葉を、リレッタが遮った。
 「ネリエルさまは…人を、軽々しく傷付けたり、しない」
 「…………」
リレッタの翼にゆっくりと包帯を巻き、長老はゆっくりと立ち上がる。
目を細めるネルに歩み寄り、言う。
 「力に呑まれおったか、ネリエル=ヴァリオルド」
 「…………」
 「図星かの…今、お前さんはさぞ、良い気分なのじゃろうな」
 「…………」
 「人は力を得れば変わるものじゃ…それが人の手に入れるべきではない、巨大な力なら尚のこと」
 「…………何、が言いたいのです」
 「お前さんは何故、巨大な力を求める?」
押し黙るネルに、長老は諭すように言う。
"奴"も今のネルと同じ様な状況に、陥ったことがあった。
人を愛し、人に妬まれ、尚も人を護り続けた、一人の男。
"奴"…カナリア=アラスター=ヴァリオルド?世に、ネルはよく似ている。
 「お前さんは護りたかったのじゃろう…自分の大切なものを、全て。
 その為には強大な力が必要…故に、お前さんは力を求めた…違うかの?」
 「…………言った、覚えは、ありませんが」

 「…ふ、お前さんがある男に似ていてのぅ…その男…カナリアも、今のお前さんと同じようなことになっておったわ」
 「…………」
反論する気配を見せないネリエルを、しかし長老は微笑んで眺める。
本当に、瓜二つだ。姿は似ていなくとも、性格はほんとうに、"カナリア"と同じだ。
 「今お前さんは…何を傷付けたのかのう?
 今お前さんが傷付けたものは…お前さんが、命を賭してまで守ろうとしたものではなかったのかのう?」
 「…………」
 「よく考えてみることじゃ…なら、お前さんは」

79白猫:2008/01/19(土) 19:17:53 ID:c7kJICI60
その言葉が、途切れた。
途切れさせられた。
一本の、長老の腹部から生えた黒い何かに。


 【ダメだよお爺ちゃん…ネルぽんいい感じなのに】
 「そうね…ようやく、いい感じの力を探知したものね」
 【パペット偉イ。パペット力見ツケタ】

その黒い何かが、黒と白の髪の少女…サーレの杭だと気付くのに、ネルは数秒掛かった。
そして、その数秒は、致命的な遅れとなった。
髑髏…パペットの口が突如開かれ、そこからいつかと同じ、無数の触手が繰り出される。
反応する暇もない、
瞬時に無数の触手に絡め取られ、ネルの身体が地面から離れる。
 「…………ッ……」
 「話を聞いてたけれど…この坊や、カナリアの息子だったのね」
 【あー、すごい強いあの剣士でしょ? そういえば、なんか雰囲気とか似てるかも。
 ルヴィぽんを散々痛めつけてさー。流石に焦っちゃったな、あのときは】
 【ルヴィラィ弱イ。単一箇所デ戦エナイ。ヒヒッ】
 「サーレもパペットもお黙り。ご飯抜きにするわよ」
 【うっ…】
 【ヒヒッソレハ困ル、ヒヒヒヒヒッ】
その緊張感のない会話を経て、ようやく白いドレスを纏った呪術師…ルヴィラィはネルに向き直る。
 「さて…と。ネリエル坊や、ちょっとお話があるの」
 「何、の…話ッ…です」
 「あら連れない子…そうね。簡単に言えば…貴方が、欲しい」
 「!?」
その言葉に、ネルではなくリレッタが驚愕に目を剥いた。
キリキリと締め付ける触手に顔を顰め、しかしネルは言う。
 「適当なこと、を…ッ、貴方が欲しいのは…これ、でしょう」
そう呟き、ネルは自分の胸を指す。
そこに輝いているのは、深紅衣を司る命とも言うべき部分…[エリクシル]。
それを見、ルヴィラィは笑う。
 「鋭い坊やね…[深紅衣]を発動できるようになったのなら、私としても敵に回したくないの。
 それに今の坊やの力は、前と比べられないほどタチが悪くなってる…」
 【ルヴィぽんの話分かりにくいかもだけど…簡単に言えばネルぽんは、今力に塗れて私達に近い状態にある】
 【ダカラパペット引キ寄セラレタ! パペットハ近シイ力、感知デキル!】
 「単刀直入に言うわ…私に従いなさい」
サーレを引き連れ、パペットを抱え、ルヴィラィは凶悪な笑みを浮かべる。
しかし、ネルは眉間の皺をさらに深くする。
 「承伏、しかねます…」
 「あら、そんなこと言っていいのかしら」
そう言い、ルヴィラィは軽く手を払う。
瞬間、無数の触手がパペットから伸び、瞬時にガリレドの巨体を絡め取る。
 「な、なんだ!?」
突然のことに藻掻くガリレドだが、その触手はビクリともしない。
が、逆に締め付ける力が強まり、ガリレドの身体に次から次へと触手が巻き付いていく。
目を見張るネルとリレッタ、失神する長老の目の前で、ガリレドが肉玉のようになってしまった。
 「はい」
ルヴィラィがそう呟くのと、グシャ、と何かが潰れる音が聞こえるのと、どちらが早かったか。
ネルの打撃を受けてもビクともしなかったあの巨漢が、まるで握り飯を潰すかのように、いとも簡単に、潰された。
触手の合間から垂れる紅い血を見、サーレはキャハハハと笑い転げる。
 【あっけないじゃん改造人間ー。もうちょっと強いと思ったのにぃ】
 「さぁて…次はあの可愛いお嬢さんを肉片にする? それとも長老さんの方がいいかしら」
 【あれ、長老って死なないんじゃない】
 「ああ、そうね…長老さんは不老不死だったわね」
そう言い、ルヴィラィはゆっくりと右腕を上げる。
瞬間、
バチンッと何が弾ける音と共に、ネルを縛っていた触手が消し飛ぶ。
ドサリ、と地面に落ちた気色の悪い肌色の触手は、すぐに黒い炎を上げ、燃え尽きる。
 【ヒーーーッ!!! パペットノ手チギレターッッ!!!!!】
 「あら」
 【あは…】

80白猫:2008/01/19(土) 19:18:28 ID:c7kJICI60
コン、と街道の石畳を鳴らせ、ネルが地面に着地する。
身体全体が紅く発光し、まるでその影響のように彼の帽子が燃え上がり、塵一つ残さず、燃え尽きる。
 「ガリレドが、何をした」
その声に、リレッタは目を剥いた。
いつもの、他人を思いやり、皆を護る優しい彼の声でも、先の絶大な喜悦感に浸った高慢な声でもない…怒りだけで塗り固められたような、そんな声。
 「ガリレドは、何も悪いことはしていない」
コツン、とネルは一歩ルヴィラィ達に歩み寄る。
それを微笑で眺めるルヴィラィに、言う。
 「彼は、話を聞いてもらいたかっただけだ」
コツン、とさらに歩み寄り、言う。
その背後、触手が引き、元が何かも分からない肉片を見やり、言う。
その肉片の合間にちらつく、鈍色の破片を見やり、言う。
 「彼は、ともだちになって欲しかっただけだ」
コツン、と街道の中央まで歩き、尚も足を進める。
 「自分を"人間"らしかった。力に溺れ、大切なことを見失った僕よりも、人らしかったんだ」
 「…………」
 【ルヴィぽん、どうするのさ】
コツン、とさらに足を進め、ルヴィラィに向き合う。
触れようと思えば、お互いの肌にも触れ合うことのできる距離。
そこに立ち、ネルは言う。
 「返せよ」
ルヴィラィの胸元の髑髏を掴み、そこに顔を突き出し、言う。
 「ガリレドを…返せ」
その言葉と同時、右腕の甲をルヴィラィに向けて振るう。
それを軽く避けたルヴィラィに、さらに蹴り掛かる。
ヒィーッという声にも耳を傾けず、ネルは目をカッと見開く。
瞬間、辺りの石畳が突如波のようにうねり出す。そして数秒経たずに、亀裂が走った。
 【…!?】
 「フフ…面白いことになってきた」
目を見開くサーレの腕を掴み、天空へと舞い上がったルヴィラィを睨み。
亀裂の走り、崩壊した石畳の中、ネルは天空へと跳び上がった。

 (錬金術…ね。辺りの大地に錬金術を掛けて、物質の体積を変化させたのね)
 【ルヴィぽんどうするの? ネルぽんは仲間にするんでしょ……っわ!?】
首を傾げるサーレは、突如迫ってきた紅い何かを咄嗟に避けた。
恨めしそうに見れば、ネルが数本の紅い槍を構え、こちらを睨んでいる。
怖っ、と目を細めるサーレに、ルヴィラィは小さく言う。
 「あっちの天使を[鳥籠]に押し込めなさい」
 【えっ】
 「早く」
そう言い、ルヴィラィはサーレの腕を離す。
瞬時にパペットを抱え、叫ぶ。

   「永遠の闇、極楽の陰、この世の善悪幸不幸、笑って見せよう泣いて見せよう、どう受け取るかは貴方次第、どうぞ一つ堪能あれ、『 ダークネスイリュージョン 』」

瞬間、
パペットの口から吹き出した黒い靄が、ネルを覆い隠す。
これこそが、呪術師得意の幻影術、[ダークネスイリュージョン]。
対象をまやかしの闇に陥れ、能力値を逆転させる力。敵が強ければ強いほど、この術の威力は高まる。
ネルのような強力な討ち手は、このような呪いは通用しない場合がある。
しかしルヴィラィはそれに[唄]の力を付加し、完全無欠な威力を創り出していた。
 (さて、いつまで持つかしら)
 〈ヒヒッ。今回パペット出番ナシ?〉
 (そうね。もうさっきのでお終い)
 〈帰ッテイイ?〉
 (だーめ)
そう二人だけで通じる会話をし、瞬時にルヴィラィはドレスを翻す。
瞬間、ルヴィラィとパペットの姿がまるで透明のカーテンに包まれたかのように、消える。
半秒遅れて、ダークネスイリュージョンの内部から、凄まじい紅色の大爆発が起きた。
黒い靄が霧散し、夜空の中にネルは放り出される。
 「…………」
小さく息を吸い、辺りを眺める。
一面の夜空、空に燦然と輝く半月。
遙か下方に見える、リレッタと長老の姿。それを確認し、ネルは息を吐く。

吐いて、身体全体の力を抜いた。飛翔の力諸共に。
半秒遅れて、先までネルの上半身があった場所を無数の炎弾が貫いた。
それには目も暮れず、ネルは凄まじい速度で降下していく。
と、その真上。
姿を現したルヴィラィは、その降下するネルに向かい、さらに無数の炎弾を放つ。
が。
 「!?」
 【ヒッ!?】
ルヴィラィとパペットが驚くほど呆気なく、ネルにその炎弾が着弾した。
途端に大爆発を起こすその光景を見やり、しかしルヴィラィは気を緩めない。
が。

81白猫:2008/01/19(土) 19:18:52 ID:c7kJICI60
 「遅いッ!!」
 「ッ!?」
ルヴィラィの左肩を上から蹴り、そのままの力でルヴィラィを無理矢理蹴り落とす。
バギャン、と石畳を砕き、ルヴィラィとパペットは街道に直撃した。

 (なん、て無茶苦茶な…)
 「動かないで下さい」
ゆっくりと立ち上がったルヴィラィの首元に、短剣が突き付けられた。
見れば、ルヴィラィの両腕を右手でがっちりと掴み、左手で短剣を、ルヴィラィの首に密着させている。
1?動かせば、街道に夥しい量の鮮血が飛び散ることは、間違いない。
 「少しでも動かせば頸動脈を切り裂きます」
 「………あら、これで勝ったつもり?」
 「パペットに術は発動させませんよ…発動しても、首を切り裂きます」
 「………そういう意味じゃないわよ、坊や」
そう言い、ルヴィラィは身体を前に倒す。
な、と瞠目するネルの前で、短剣がルヴィラィの首に突き刺さった。
途端に辺りに血が飛び散り、ルヴィラィの身体は地面に倒れ、彼女の帽子、[リトルサンシャイン]が地面を転がった。
が。
 「―――あ゙、ああ…」
 「………!!」
ゆらり、とルヴィラィの身体が起き上がった。
驚愕に目を剥くネルの前、ルヴィラィはゆっくりと立ち上がる。
その首からは止め処なく鮮血が溢れ出している。が、彼女はそれを全く見ようとしない。
だが、ネルはそれだけに驚いたのではない。

似ているのだ。
 「………ルフィ、エ…?」
彼女の、顔が。
紛うこと無い、ルフィエ=ライアットに。
 「………残念だけど、私はルフィエじゃない…ルヴィラィ」
そう呟き、ルヴィラィはリトルサンシャインをひょいと拾う。
 「全く、この顔が嫌だから帽子を被ってるのよ? 少しは考えて頂戴」
瞠目するネルには目も暮れず、ルヴィラィは左手で帽子を被り、右手で軽く、傷口をなぞる。
途端に、彼女の首の、決して浅いとは言い難い傷が、あっという間に塞がった。
 「…………有り得、ない」
 【有り得ないことないよ。ネルぽん】
その言葉に振り向いたネルは、目を見開く。
先まで長老とリレッタがいた場所に、巨大な鳥籠が出現している。
その中に入ってるのは、気絶し、真っ新な網の床に横たわっているリレッタ。
そのリレッタに、サーレは1mはあろう杭を突き付ける。
 【翼の力を失ったらこんなもんなんだね、天使】
 「………っ」
ジリ、と足を動かすのを見、サーレは手に持つ杭の力を強める。
 【動かないで。可愛い可愛いリレッタちゃんが血塗れになってほしいの】
 「…………」
まさに四面楚歌。
人質を取られ、敵に囲まれ、ネルは唇を引き絞る。
彼の左腕の短剣を手に取り、血に塗れたルヴィラィは言う。
 「来てもらうわよ…ネリエル坊や」

82白猫:2008/01/19(土) 19:19:20 ID:c7kJICI60
長ッ!!(第一声コレ
メモ帳一ページ+第二章くらいの字数です。ありえないです。
こんなにたくさん書いたの初めてですよ…ごめんなさい嘘です。
ようやく物語が急展開です。初登場のガリレド君は成り行きで死んじゃいました♪(待)
ルヴィラィサーレパペット登場。ちなみに私はリレッタちゃんとサーレが好きです、はい。
いつか二人を激突させてみt…コホン。

感想のへんじ。

「………え、ちょっと待って。ここでなんで私達が出てくるの?」
「知りませんよ。きっとこうやって返事した方が面白いとかいう魂胆でしょう」
目を白黒させるルフィエにかこの世の理不尽にか、ネルは溜息を吐く。
「ていうかネルくん、本は大切にしなよ」
「あの書庫にある本は全てレプリカ。傷付いても問題ありませんよ」
「………あ、そ。


とりあえずさっさとやっちゃった方がいいよね…ええっと、FATさんへ。
私もいつも古都の本屋さんで読んでます、FATさんの小説。ネルくんいないと読めないけど。
いっつも字数云々で感想は書くスペースがないのですが、そんなの関係ねぇ!ってことで書きますね。
ええっと…ランクーイがぴんちです。危険です。私が唄わないとまずくないですか?
ネルくんの天然&鈍感は折り紙付きですよ。ラブレターはチェーンメールと勘違いするくらいです。
リトルウィッチへの偏見云々は、武道会編を見ると(8〜9章くらい)分かると思います、たぶん」

「えーっと、…◇68hJrjtYさん。
いつも馬鹿猫の小説に感想を下さってありがとうございます。泣いてます。たぶん。
武道会は遊びではありません。人材を見つけるために行くんです。後夜祭? そんなもののために残るわけないでsフガ」
「ネルくんは堅物です。仕事とプライベートをとっっっっことん分けます。
私? 私は…アレックスくんやシェリルちゃんと遊ぶのがいちばん楽しいかな?」

「メイトリックスさん。初めまして、でしょうか、初めまして!
メイトリックスさんの小説も読んでます。新作はお財布に厳しかったです。
描写が素晴らしいです。作者を越えます。絶対。
作者のようにくどい描写はしないように! 恐ろしいことになります!(文字数とか文字数とか文字数とかorz
世界観はREDSTONE探索が大々的に開始される十年ほど前の架空世界ですね。
ネルくんは素直じゃない、じゃなくて天然なんです。ほんとにダメなんです。なんとかしてください」
「…余計なお世話ですよ」



じかいよこくのこーなー

「あれ、今回は次回予告ってないの?」
「次回予告をすると[思いつきのネタがやれない]らしいです」
「そういえば今回も、次回予告に合わせるために色々改変したらしいよね」
「[ケイン=ジュード]が出てきてません。何やってんですか馬鹿猫」


ネルくんにボロクソ言われたところで今日はこれまでですっω;`)
まぁ、上記の理由もあって次回予告は廃止! 次回乞うご期待!
…や、その、過度の期待されてもしょうがないですが。

83ワイト:2008/01/19(土) 23:22:50 ID:Z/wysRgM0
前スレRS小説5冊目>>998⇒RS小説6冊目>>27⇒続き

「あぁ・・まじに疲れる!ちくしょうめぇ・・・スナッチャーもしつけぇし、
何処に誘導してるんだよ・・・いや、そもそも誘導してねぇかもしれねぇぞ?」
「そんなはずは・・しかし数は減ってきてると思いますよ?奴らにも学習能力はあるでしょうし・・
そろそろ終着点!という可能性も、まだありますし・・(何気に此処、地図に乗って・・無い?」

ズドッッ!ドシュッ!!

スナッチャー「ぐあっふぁっ!!!」スナッチャー「ごはっ・・!」
「ラータ・・・聞いてました?あ、それよりも重大な事が!」
「2体同時に来るとは・・って、あ・・すまん、また出てきたもんだから
つい殺っちまったよ!・・あ!ヒース!!屈んでろっ!!!」
「え?」


ヒュッ!!シュッ!!!
カキイィィンッッ・・・!!!

ラータの投げたダガーと今敵がヒースに向けて長剣を振り落とし交えた所に金属音が鳴り響く!!
「うわぁぁぁぁ!?何!?(逃げなきゃ逃げなきゃっ!」
「おいおい・・スナッチャーか?いや違うな!(何時の間にかヒースの野郎後ろにいるしな・・w
逃げるだけなら俺より早いんじゃないか?こいつ・・・)」
此処で突如背後からヒースを襲って来た敵が口を開く!

「貴様ら・・我の部下が御世話に成ったらしいなぁ・・?報告通りに違わぬ奴らだ・・!
スナッチャー程度のLvだと大変暇にも程が有っただろう?しかし本当に付いてくるとは・・
気が付かなかったのか?此処はもう地図には載らない場所だと言う事に・・な!」

「ふ〜ん・・それで?お前が俺達を案内させたのか?何か用か?」
「その冷静さを今まで通りに貫けると思ったら・・大間違いだぞ・・?」
「何だ?用無しなのか?なら帰させてもらえないかな?相方が腰抜かしちまってるしな」
「そうか、なら帰る前に・・そうだな・・・こういうのはどうだぁ!?「ΠχΕΓΛΨΦζ」!!!!」

                 フッ!
此処は太陽が照り付け光の差す砂漠のはずなのに・・今何かの呪文?により光は断たれ
    一瞬の内に周りを暗闇に包まれた空間?に閉ざされてしまう・・!

「何をする気・・だ?(視界は・・ぼやけてるが少しは見える・・)」
「ふっ・・・意外に慌てふためくと予想していたが・・案外こんな状況下に置かれても冷静沈着だな・・!
ヒースとやらには興味は無い・・!ラータだったか?貴様には死んでもらう・・!」
「(・・どうやら俺だけを標的にしてるのか?ならヒースにはすまねぇが、ちと集中させてもらうかな!)」

84ワイト:2008/01/20(日) 00:36:08 ID:Z/wysRgM0
前スレRS小説5冊目>>998⇒RS小説6冊目>>27⇒RS小説6冊目>>83⇒続き

「(・・・どうやら俺だけを標的にしてるのか?ならヒースにはすまねぇが、ちと集中させてもらうかな!)」
「今から起る事に耐えられなくなる貴様の表情が目に浮かぶ・・・」
「何だと・・・?お前は戦わないって言うのかよ?」
「さ  あ  恐  怖  し  ろ   」
「(何だ!?敵の気配?いや息遣いが、何故か感じ取れなくなってくる・・・・どういう事だ?
だが、今俺は暗闇に支配された空間に閉じ込められてしまっている事は判るけどな)」

「さぁってと・・・まずこういう手口に対しては恐らく突破口があるとは思うけどな・・」
「(まずは・・叫んでみるか!)おーいっ!!ヒースいるかあぁぁ!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・返事は返って来ない



「やべぇ・・!視界が、何も見えなく・・・・」
次に視界さえも何が何だか確認出来ない程に支配されてしまう。それは即ち敵の格好の餌食でもある


「おい・・・待てよ・・さっきまで手を掛けていた壁がねぇ!?!?!!?」
そして辺り構わず手を無茶苦茶に振ってみるが、当然かの様に感触は一切掴み取れない・・


「(何かがおかしい・・俺は何処に立っている?そもそも砂漠なのか、此処は・・?
くそ・・・発狂しそうになる・・・何なんだよ!?・・出口を探さないと・・・)」


それは平衡感覚を失うという事を意味している・・!そう・・頼れるのは自分の足のみ・・・
必然的に歩かされる事を強制されるラータは歩く!!只管に歩き続ける・・!
「はぁはぁ・・はぁは・・ぁはぁ・・出口は?何処だ?何処何だ!?
誰か・・ヒースいるんだろ・・なぁ!返事してくれえぇ!!」


ラータの必死に訴え掛ける叫び声は無情にも意味の無い行為に終わる。
気は狂いそうにも成るがそれでも歩き続ける。しかし先の見えない道を歩いている様な感覚にも陥る。
次第に立っても居られなくなる。孤独・・それは今のラータの全てを不安に包みこんでいく・・

「何か無いのかよ!?頼む「誰でも良い」「何でも良い」助けてくれ・・・」

85ワイト:2008/01/20(日) 00:44:08 ID:Z/wysRgM0
スナッチャーに誘導されるがままにラータとヒースの辿り着いた先に待っていたのは
まだ素性を明かさない謎の敵・・そしてラータとヒースは敵の謎の呪文により
暗闇に包まれる空間へと閉じ込められてしまう・・・そして孤独・・・!

ってな訳で意外に長く続きそうな予感はしていますが、早めに終われる様には努力するつもりです!
急な展開に成って少し読みにくいとは思いますがご了承を・・・では|ω・)また

86◇68hJrjtY:2008/01/20(日) 08:47:40 ID:95kSdOn20
>白猫さん
いつもながらの長文執筆…しかし本当に凄い…。
というか次回予告等見るに既にほぼ執筆終了しててちょっとずつ投稿してるとか!?ウーン、恐れ入ります。
今回もエリクシル成長、ルヴィラィの本性(?)プチ判明、リレッタの幽閉にネルの誘拐(?)と見どころたくさんでしたね。
人間という器で受け止めきれる以上の力を手にしてしまったであろうネルの心境変化がネルファンな私には印象深かったです。
「力に呑まれる」…長老さんやリレッタの言葉通り、今だけかも知れませんがネルは変わりましたね。
それが良い方向へ進むかどうかは今後次第といったところでしょうか。
そして、やはりルヴィラィとルフィエの酷似した顔も気に掛かります。リレッタとルフィエの三角関係も!(え
それと全然個人的なんですがパペットの喋り方が可愛いと思えてしまう私はどうなんでしょう!ねえ!( ´・ω・)
キャラ総出演の後書きも面白かったです、なりきりっぽいノリで!次回お待ちしています(笑)

>ワイトさん
ラータほどのシーフでも暗闇に飲み込まれたままでは恐れにやがて塗りつぶされてしまう…リアルな恐怖ですね。
空間に閉じ込められるという術(?)は単純だからこそ最悪な状態だと思います。さて、この窮地をどう切り抜けるか!
しかしちゃっかりとラータよりも素早く避けてるヒースが良い(*´ェ`*)
案外聖職者と盗賊ってミステイク的に上手くやっていけるのかもしれませんね! まあ、ヒースは前科あるようですが(苦笑)
「早く終わらせる」なんて寂しい事言わずにガンガン続けちゃってくださいよ!(コラ
続きお待ちしています。

87 ◆21RFz91GTE:2008/01/20(日) 10:27:24 ID:Xb8K0UzI0
////********************************************************************************////
  ■◆21RFz91GTE:まとめサイト(だるま落し禁止)
  ■ttp://bokunatu.fc2web.com/trianglelife/sotn/main.html
  ■Act.1 アレン・ケイレンバック >>44-45
  ■Act.2 少女 3 >>65-67
////********************************************************************************////

 Snow of the Northwind-最終章-

 The last World/It Little story…。

88 ◆21RFz91GTE:2008/01/20(日) 10:27:45 ID:Xb8K0UzI0
Act.3 少女4



 「俺が死んでから二年、一体何があった?」
二人の間に一つの北風が吹き荒れたとても冷たく骨の髄まで染み渡るような厳しい寒さを持った風だった。
「主も死ぬ間際に見たのでは無いのか?」
「…あれは、幻覚ではなかったのか。」
「幻覚では無い、我も主の精神に一部を寄生させていた時にハッキリと主の目から見た。」
アレンは一つつばを飲み込んだ、そしてこれから一体何が起きるのかを予想しそして一度絶望の意識が芽生えた。だがそれを表情には出さずにアデルに問いかける。
「しかし!アレはミルが自害した時に同時に消滅したはずでは!」
「まだ実体化していなかったのだろう、実体化する前でもアレの力は人知を遙に超えた存在だというのは言うまでも無い。」
「…と言う事は。」
アレンとアデルは次の言葉を同時に言った、それは人知を超えた存在であり人が何千と言う歴史を持っても手に入れる事が出来なかったいわば賢者の石。人はそれを探し、そして朽ちて行った赤い宝石。
『レッドストーンはまだこの世界に有る…。』


 その日の夜、アレンはミトに話を付けるために彼女の部屋に向かおうとしていた。そこで丁度クラウスの後姿が見えた、彼もまたミトの部屋へと用事が有るために移動しているところなのだろう。クラウスはアレンが近くにいる事をまだ察知していなかった。そのまま彼女の部屋の前で立ち止まると軽くノックをしてドアを開けて中に入って行った。
「こんな夜更けに男を部屋に入れるなんてミトも相変わらず無用心なんだな…私も人の事言えませんが。」
一つ首を横に振ってクラウスが出てくるのを待とうとした。だが一時間しても出て来ない、よほどの話なのだろうか。はたまた自分の事を話しているのでは?と思ったアレンはしのび足でミトのへやに近づきドアに紙コップと耳を立てた。
「…ここですか?」
「あ…そこ…ん!」
そんな声が中から聞こえた、アレンは自分の顔が青ざめていくのが瞬時に理解する。そして一緒に旅して来た仲間のミトのあられの無い姿を想像して鼻血を垂らした。そして次の瞬間アレンは咄嗟の行動に出る。杖を召還し高速詠唱により杖にいかずちの力を与えそして一気にドアを蹴破り中には居る。
「二人とも何してる!」
部屋の中に飛びこんだアレンの姿に二人はびくっと肩を震わせた、そしてアレンは見た。椅子に座ったミトの肩を優しくもんでいるクラウスの姿を。
「あ…アレンさん!」「アレン様!」「あ…。」



 「――――――だと思ったんです。」
ドアを蹴破って壊したためアレンはそこに正座させられていた、アレンの目の前には顔を真っ赤に染めたミトの姿とテレながら頭を掻いているクラウスの姿が有った。
「そ、そんな事するわけないじゃ無いですか!大体アレンさんは昔から早とちり癖が有るんです!私はただ必要な書類に目を通していたところにクラウスが肩をもんでくれるって言うからもんで貰っていただけなんです!大体ですね、特に防音もして居ない木造の部屋の中でそんな事するわけ無いじゃ無いですか!外に声がまる聞こえですよ!?それに私まだ十六ですよ!?」
「いや、だからこそ美味しい…。」
そこまでアレンが言うと自分の顔のすぐ脇を何かが高速で通り過ぎる音が聞こえた。ヒュコっと音が聞こえた刹那後ろの壁に一本の矢が刺さっていた。矢を確認したのちミトの方を見ると何処から取り出したのか久し振りに見る琥珀の人を握っていた。
「ななな、何を言うんですかアレンさん!」「さすがアレン様だ!ご理解の有る方だと思ってました!」
一度に二つの意見が重なった。そしてアレンの隣に静かにクラウスも正座を始めた。

89 ◆21RFz91GTE:2008/01/20(日) 10:28:54 ID:Xb8K0UzI0
「アレン様。」
アレから一時間後、アレンは屋上で星を眺めていた。分厚いコートを着込んで首には彼女がくれたマフラーが巻かれている。タバコを吸いながら星空を眺めていたところにクラウスが簡単な防寒具をまとって階段を上がってきた。
「クラウスか、様ってのは止めてくれって言っただろ?」
「そうは行きませんよ、例えアレン様が英雄じゃないと言っても私からすれば貴方様は英雄なのですから、英雄以前に貴方はこのギルドのマスタだった方です。今となっては元帥です。」
「ギルド元帥か…。」
ゆっくりとアレンの隣に来て懐からタバコを取り出そうと弄っていた、それを見たアレンは自分のタバコをスッと取り出すとクラウスの前に差し出す。
「吸いな、モーリスだ。」
「では、お言葉に甘えて。」
アレンからタバコを一つ貰うと右手をだして指を鳴らした、中指と親指の摩擦によって生じた簡単な熱を何倍にも膨らませて人差し指の先に簡単な炎を作り出した。それをタバコまで持っていくとタバコに火がつく。一呼吸置いてからタバコの煙を肺に通し二酸化炭素と共に空気と混じらせる。
「私は嬉しゅう御座います、アレン様が此度の戦に参加を決意された事を。」
「ギルドの為じゃないさ…。」
「では?」
「俺の右腕が泣いているんだ、二度と放すまいと決めた人の手を放してしまったこの右腕が泣いているんだ。それに決着を付けなきゃいけない事もある。」
「決着…ですか?」
鉄柵に両手をかけて前傾姿勢になって明かりが灯るこの街を眺めていた。そして遠い目をして何処を見て居るのか分からないアレンの姿がそこには有った。口元に咥えたタバコはジジっと音を立ててゆっくりと燃えていく。
「先の大戦って言われているあの戦い、アレは赤い宝石が絡んでいた。」
「マスタよりお聞きしています。ですがあの宝石はミル様の自害と共に消滅したのでは無いのですか?」
「いや、あの宝石はまだこの世界に残っている。不思議な症状をした病人を見た事は無いか?」
クラウスはハッとした、数ヶ月前にこのギルドを襲った災厄を思い出していた。一人のビーストテイマーが犠牲になり、そして一人のウィザードと一人のシーフが犠牲になったあの災厄を。
「英雄症候群…。」
「そう呼ばれてるらしいな、アデルは俺を蘇らせた理由の一つがそれの確認らしい。あの時、俺の体内にアデルの精神が寄生していた。あの宝石も何らかの法術で人の体内に寄生する。その時のエネルギーは膨大な物で人一人の命を必要とする。あの宝石とて他の人の体内に寄生するにもかなりのエネルギーを消費しているはずだ。よりしろとなる殻を探し出しそれに寄生する。それはまるでヤドカリだ。それを幾年と繰り返し、着々とエネルギーを蓄えている。ミルの力は大陸一と呼ばれるほどの力だった。そのエネルギーを吸収し、ベルの力までも吸収したのであれば…。」
一瞬血の気がひいた、それ程までの力を蓄えた未知なる宝石がまだこの世界に存在し、そして人々の生命というエネルギーを糧に行きながらえる存在。

90 ◆21RFz91GTE:2008/01/20(日) 10:29:17 ID:Xb8K0UzI0
「アレが動けば何万と言う人間が命を落す、それも全て吸収してしまうだろう。だからこそ目先の戦は避けたかった。俺が動けば血の匂いを嗅ぎ付けた死神が近寄ってくる。人の死こそがアレの栄養源となる。」
「…。」
「そうなればアレは完全に実体化するだろう、それこしてこのギルドとアリアンの傭兵ギルドだ。何千…いや、何万と言う命が一瞬にして消える。それを狙って死神は鎌を振るい、魂を貪り、冥府への道を開き、そして喰らう。そして決戦当日…あの日から丁度三年目。」
「英雄の命日…ですか。」
そこまで言うとアレンはフッと一瞬笑みを零した、自分の命日に大きな戦が行われるという事。そして生き返り現代の世界をこうして眺めていても世間では英雄の命日と言われるその日。
「不思議なもんだ、こうして生き返っても命日って言われるんだからな。」
「…不躾な質問で恐縮なのですが。」
アレンのタバコの火が消え、次のタバコを取り出そうとしたとき今度はクラウスのタバコが目の前に出てきた。それを一本貰うと何も無い空間から炎を呼び出しタバコに火をつける。同じようにクラウスもタバコを一本取り出すと先ほどと同じようにして火をつけた。
「何故ミルリス様は蘇らなかったのですか?」
「…魔法学校で習わなかったか?還元の法は対象となる人物の遺骨が必要になる。俺は深手を負って命絶えたがミルは跡形も無く自分の力で吹き飛ばした。遺骨も残らないほどの業だった。それに、蘇るのは俺だけで十分だ。」
「と言いますと?」
鉄柵に寄りかかっていたアレンは身を返すとクラウスの肩を一つ叩いてそのままアジトの方へと足を進める。そしてどこか淋しそうで辛い声で。
「戦争の道具…こんな思いをアイツはしなくていい…俺だけで十分だ。」
そう一言言ってアジトの中へと戻って行った。



Act.3 少女4
END

91 ◆21RFz91GTE:2008/01/20(日) 10:34:01 ID:Xb8K0UzI0
今夜から雪だそうですヾ(´・ω・`)ノ
こんにちは〜、21Rです。

本当に寒いですねぇ〜タバコの火で暖を取ってる俺ですがこれがまた暖かいんです(´;ω;`)ブワ
と言うわけでコメ返し

>>69 :◇68hJrjtY様
ロリコンはアレンの特許です(ぁ
むしろアレですね、蘇ってもアレンは素敵で楽しい奴ですよ。
----
元ネタ暴露ぐらい(ぁ
アレほどだるま落し禁止だっていったのにぃ〜(´;ω;`)ブワ

92FAT:2008/01/20(日) 20:52:49 ID:SHH8vO0M0
前作 二冊目>>798(最終回)

第二部 『水面鏡』

キャラ紹介 三冊目>>21
―田舎の朝― 三冊目1>>22、2>>25-26 
―子供と子供― 三冊目1>>28-29、2>>36、3>>40-42、4>>57-59、5>>98-99、6>>105-107
―双子と娘と― 三冊目1>>173-174、2>>183、3>>185、4>>212
―境界線― 三冊目1>>216、2>>228、3>>229、4>>269、5>>270
―エイミー=ベルツリー― 三冊目1>>294、2>>295-296
―神を冒涜したもの― 三冊目1>>367、2>>368、3>>369
―蘇憶― 五冊目1>>487-488、2>>489、3>>490、4>>497-500、5>>507-508
>>531-532、7>>550、8>>555、9>>556-557、10>>575-576
―ランクーイ― 五冊目1>>579-580、2>>587-589、3>>655-657、4>>827-829
>>908>>910-911、6>>943、7>>944-945、六冊目8>>19-21、9>>57-58

―10―

 ここは鉄の道、道の中間地点。四人の目の前に広がるのはダイム内海。晴れ渡る青空の
青を吸収し、海は一面深い青で、ただ一つ、丸い太陽の輝きだけが映し出されていた。浜
辺に寄せては返す波の音も、その表面を撫でる風も、とても穏やかであった。緑髪のエル
フはレルロンドを放したあと、優しくランクーイの死体を砂浜に降ろした。
「我は棲家に戻る。闇の者よ、いずれ運命を受け入れねばならぬ時が来るだろう。其の時、
我は再び貴様の前に現れようぞ」
「おいっ! 待て、待ってくれ」
 ラスの制止を聞かず、ランクーイの死体を悲しそうに一瞥した後、エルフは空気のよう
に透明に透き通り、風のように去っていった。
 残されたラスとレルロンドは互いに沈黙し、レルロンドはランクーイの手をしっかりと
掴み、ラスはランクーイに背を向け、海面に映し出された眩しい太陽を眺めていた。時が
経つにつれ、ランクーイの手が冷たく、無機質になっていく。さっきまでは、ほんの少し
前まではあんなに熱く燃え盛っていたランクーイの手。矢を弾き返すほど屈強なエルフす
ら焼き尽くしたその手は、もうここにはない。幼い頃から、何度も触れてきたその温かな
感触は、もう、二度と帰ってはこないのだ。レルロンドの涙はランクーイの冷たい体を温
めることは出来ない。
 まるで本当の兄弟のように、本当の兄弟以上に愛情を持っていたランクーイ。

 なぜ、なぜ助けてあげられなかった!! 隣にいたじゃないか!! 手を、この冷たく
なってしまった手を引けば、助けられたじゃないか!! 突き飛ばして、代わりに自分が
犠牲になればよかったじゃないか!! いくつだって、ランクーイを助けられる方法はあ
ったはずだ!! 僕は何をしていたんだ!!
 
レルロンドは自分を責めた。一度はランクーイから離れ、そのことを後悔した。

 だからずっと一緒に居ると、どんなことがあっても守ると決めたのに!! 僕がランク
ーイを死なせてしまうなんて!!

93FAT:2008/01/20(日) 20:53:37 ID:SHH8vO0M0

 ラスは傾き、長細くなった海面に映し出された太陽を眺めながら、レルロンドと同じこ
とを思っていた。

 なぜ、なぜ置いてきてしまったんだ!! どうして俺はこうも自己制御ができないん
だ!! あのときエルフの挑発に乗らなければ、情動を抑えることが出来ていれば、こん
なことにはならなかった!! 

 ラスはランクーイに背を向けながら、その頬には幾筋もの涙が流れていた。他人のため
に流した、生まれて初めての涙だった。

 あの瞬間だって、叫ばずに何か魔法をかけてやれば助かったんだ!! ランクーイの注
意を向けるんじゃなくて、黒鎧の注意をこっちに向けてやればよかったんだ!! 俺はな
んで餓鬼なんだよ!! なんで大人じゃないんだ!! なんであいつを殺しちまったんだ
よ!!

 ラスもまた、自分を責めた。二人と旅を始める前は、面倒くさいと思っていた。死を覚
悟しろ、と言ったのも子守が面倒くさかったからだ。ところが、二人と旅をしていくうち
にラスは変わった。特にランクーイに対しては自分と同じような豪快さと弱さを持ってい
ることに惹かれた。ランクーイの独特の素直さもラスを喜ばせた。
 最初は魔法を教える気などなかった。しかし、ランクーイだから本気で修行させた。そ
してランクーイはラスの意図する通りの成長を見せてくれた。師匠と呼び、ラスを心から
尊敬してくれた。それがラスには、心の栄養の乏しいラスには何物にも換えがたい幸せだ
った。これからもずっと、ランクーイと旅を続けたいと願っていた。
 涙は止めどなく溢れ、それでもラスは拭うこともせず、ランクーイへの愛情は白砂に吸
い込まれていった。

94FAT:2008/01/20(日) 20:54:12 ID:SHH8vO0M0

 ダイム内海に陽が沈む。
 水平線で半分になった太陽は一本の鮮やかな赤い道を作りだし、同じ思いを抱えたまま
の二人を、浅橙色に染める。すでに冷え切ってしまったランクーイの手は、レルロンドの
涙で濡れている。涙に濡れた手に夕日が滲む。レルロンドは重い口を開いた。
「ラスさん……ランクーイを、どこかに眠らせてあげませんか」
 ずっとランクーイに背を向けていたラスが重々しく振り返った。その目には、涙の跡が
乾いた海水のように白い結晶となり残っていた。レルロンドはラスもまた、悲しいのだと
言うことに胸が苦しくなった。
「ああ……ちょっと、ちょっと待ってくれ」
 ラスは少し腰を浮かせると、今度は夕日に背を向けて座りなおした。眼下には見たくな
いランクーイの姿がある。それでもラスはしっかりとランクーイと向き合った。
「ちきしょう! ちきしょう!!」
 堪らず、ラスは砂を叩きつける。叩きつけられた砂は高低の放物線を描き、その一粒、
一粒を夕日が煌かせる。レルロンドはその飛散に弾けたランクーイの命を見た。
「ラスさん、止めてください。ランクーイにもかかっています」
 悲痛な表情でラスの行為を止める。ラスの目からまた涙が溢れ出した。
「僕が……」
 レルロンドは悔しそうに唇を強く噛み、続けた。
「僕が隣にいたのに、助けてあげられなかった。ランクーイを殺したのは僕です。ごめん
なさい、ラスさん」
 ラスは驚き、レルロンドの目を強く見つめながら必死に否定した。
「違う! ランクーイを守ってやると言ったのは俺だ! なのに、あいつを置き去りにし
た、守ることを放棄してしまった。ランクーイを殺したのは俺だ、この俺なんだ!!」
 レルロンドも驚いた。ランクーイの死の責任を、ラスもまた感じていたのだ。それも自
分同様に、重く、深く。
「ラスさん、あなたが罪に感じることはない。僕がランクーイを守ると決めたのはあなた
と出会うずっと前からのこと。僕にとってあいつは全てだったし、なんだってあいつのた
めにしてきた。あなたと旅をしたがったのも、ランクーイに魔法を教えてほしかったから。
ランクーイの憧れを叶えてほしかったから。あなたは、これまでランクーイの望むことを
全て実現させてきた。それだけでランクーイは満足だったんです。あいつを守るというこ
とまで、そんなに欲張りにあいつは求めたりしない。それは長年、僕の役割だったんです
から。だからあなたまで、僕と同じ涙は流さないでください」
 ラスはレルロンドの優しいたれ目に心の内を見透かされたようで、急に胸の中の重圧か
ら解き放たれた気がした。レルロンドは罪を背負う。でもそれは、誰かと共有するような
罪じゃない。自分一人が悔やみ、苦しめばいいこと。ラスは教育者として立派に役割を果
たしていたのだから。

95FAT:2008/01/20(日) 20:56:20 ID:SHH8vO0M0

 ラスの涙が止むころには、あたりはもう暗くなりつつあった。ラスは険しい顔をして、
なにかをレルロンドに伝えるべきか、否かを迷っているようだった。ラスは一度レルロン
ドを見、すぐに視線を下ろしてランクーイを見た。そして思い切って顔を上げた。
「レルロンド、死ぬ覚悟はあるか?」
「死なない覚悟ならあります」
 レルロンドの強い意志は、暗がりの中でもはっきりと見えるほどの表情となって現れて
いた。ラスはその表情に満足気に微笑み、一つの提案をした。
「これはお前で初めて試す魔法なんだが……」
 ラスは茶色のウェスタンハットのつばを親指で上げた。レルロンドは真剣にラスを見つ
めている。
「エンチャットの応用でな、まず、ランクーイを一つの魔法元素とするため、極限まで圧
縮する。おそらく拳ほどの大きさもなくなるだろう」
「ランクーイの肉体は……?」
「だから、圧縮するんだ。体ごと。肉体も全て魔法元素に還元させる。そして出来たラン
クーイの魔法元素をお前にエンチャットする。お前の内側にな」
「……ランクーイを、僕の中に?」
 レルロンドは理解しようと必死に頭を働かせても、ラスの言っていることがよく飲み込
めなかった。
「そうだ。俺が今までランクーイに教え込んできた魔法のいろは、あいつが自分で得た魔
法の力、それを全部お前に引き継がせる」
「ランクーイが、僕の中に!」
 レルロンドの表情が明るくなる。
「ただし、さっきも言ったようにこの魔法には前例がない。もし、お前がランクーイの魔
法元素を受け入れられない器だとしたら、おそらく死が待っている」
「魔法元素と言ったって、ランクーイなのでしょう? 僕は必ずランクーイを受け入れて
みせますよ。兄弟の魂だ、僕にしか受け入れられない!」
 レルロンドは即答した。ラスはまたも満足げに微笑み、レルロンドとランクーイの手を
そっと放させた。魔力を両の手に溜め、ランクーイの冷たい体に触れる。
「ランクーイ、さらば! 初めての弟子よ、いや、友よ!!」
 暗くなった浜辺に火柱が立ち昇る。ランクーイの火の元素が、ラスの送り込む火の元素
と共鳴し、熱く猛る。
「ぬううぅううぅうぅぅ!!!」
 ランクーイの火の元素をラスが力で抑えつける。ラスの魔力は立ち昇った火柱を徐々に
圧縮させ、それは高密度の青い炎となり、辺りは神秘的な蒼い闇に包まれた。横歩きをし
ていた大きなカニが、遠くで砂に潜った。
 ランクーイの体は見る見るうちに縮み、やがて一つの赤い塊となった。ラスは全身に汗
をかきながら、更なる魔力を送り込んだ。不細工な原石のような赤い塊は徐々に輝き始め、
それは美しい赤玉となって浜辺に輝いた。暗黒に落ちてきた太陽、とでも言えばこの美し
さは伝わるだろうか。ランクーイの魂が感じてきた一生の様々な想いがこの赤玉の内側に
は詰まっていて、それが二人を再び涙させるほどの美しさとなり、死をも奪うほどの強い
生命力が感じられた。
 ランクーイの魂に惹かれたのか、大きな鳥がどこからともなく飛んできて二人の遥か頭
上を数回旋回し、再びどこかへ消えていった。
「きれいな魂だな。あいつがいかに純粋だったか、この玉を見れば伝わってくる」
「ええ、ランクーイの魂ですから」
 二人は暫しの間、ランクーイの魂に見惚れた。月のない夜空を、ランクーイの魂が明る
く照らした。穏やかな夜風は突然の明かりに戸惑いながらも潮の香りを大陸へと運んだ。
「さあ、覚悟はいいな? ランクーイを、この熱い魂を受け止めろよ」
 ラスは感動に震える手でランクーイの魂を大事に持ち上げ、レルロンドの瞳の奥をじっ
と見つめた。
「はい。ランクーイ、僕が必ず守ってやるからな」
 レルロンドもラスの瞳の奥を強く見つめ返した。そして、ラスはランクーイの魂をそっ
とレルロンドの胸に押し当てる。ランクーイの魂はレルロンドの胸の中に吸い込まれるよ
うにゆっくりと沈んでいき、ラスが手で蓋をする。辺りは一瞬暗闇に戻る。しかし次の瞬
間、レルロンドの全身から火が立ち昇った。
 辺りは再び、明るさを取り戻した。

96FAT:2008/01/20(日) 20:56:55 ID:SHH8vO0M0
「うっ!! わあぁあぁぁあぁあぁっぁぁ!!」
 予想以上のランクーイの魔力の強さに、レルロンドは身を引き裂かれるような痛みと熱
さを全身に感じる。焼けているような、ちぎれているような、破裂しているような、何と
も耐え難い痛みだった。

 でもここで、ここで負けちゃいけない!! ランクーイを守るのは僕だ!!

 レルロンドはひたすら痛みに耐えた。痛みに遠退きそうになる意識を意志で繋ぎ、ラン
クーイへの想いを何度も何度も心の中で繰り返した。すると胸の中で、飴玉がゆっくりと
溶け出すように、少しずつランクーイの記憶が、ランクーイの想いがレルロンドの中に流
れ込んできた。

 ――レルロンド、俺、立派な魔法剣士になれたよ、ありがとう。
 ――レルロンド、俺、はぐれて、一人ぼっちで寂しかったんだ。お前と再会できて嬉し
いよ、ありがとう。
 ――レルロンド、俺、師匠と一緒に旅が出来て本当に感謝しているよ。お前が強引に師
匠を引き止めてくれたおかげさ、ありがとう。
 ――レルロンド、俺、生まれた町がお前と一緒でよかった。一緒に生きてきたのがお前
で幸せだったよ。
 ――レルロンド、ありがとう。

 レルロンドの中に流れ込む記憶、感情は全て、レルロンドに対する感謝の気持ちだった。
口に出さなくともレルロンドには分かっていた。けれど、こうして本当の気持ちを聞くと、
たまらなく嬉しくなった。
「ランクーイ……礼を言うのは僕のほうさ。お前が生まれてから死ぬまで、ずっと一緒に
居れて幸せだった。これからも、よろしくな」
 レルロンドは見事、ランクーイを受け入れた。制御された炎はレルロンドの中に居場所
を見つけ、静かに、すっと引いていった。
「師匠」
 ラスは一瞬、懐かしい呼ばれ方に、ランクーイがそこにいるような気がした。
「って呼ばせていただいても良いですか? ラスさん」
 しかしそこに居るのは確かにレルロンド。ランクーイと一つになったレルロンド。明る
く、希望に満ちた笑顔を向けるレルロンド。
「ああ、まだまだ修行は続くぜ。二人共、強くなれよ」
 ラスは少し泣いた。それは哀しみなのか、感動なのか、どの涙かはわからないが間違い
なくラスの心が感じて溢れた涙だった。
「はいっ!!」
 ランクーイの想いを胸に、新たな旅への期待を乗せ元気よく、はつらつと返事をするレ
ルロンド。
 三人の旅はここから再び始まる。新たな形で、新たな決意で!

97FAT:2008/01/20(日) 21:55:14 ID:SHH8vO0M0
寒い日のほうが作品の進みが良い気がします。

>>21Rさん
ああ、ロリコン英雄のアレン様><
真面目に勘違いした私も同類ですね。
ミルのために戦うことを決意したアレンがめっちゃかっこいいです。
愛嬌のある面を見た後だからこそ余計にですね。
今後もアレン君のぼけと本気の凸凹期待しております。

>>◇68hJrjtYさん
他人の妄想や想像の権化がいいインスピレーションになるのですb
なので他の人の作品を読むことは自分が物を書く上で必要不可欠なことだなと思います。
も、もちろんぱくってるわけじゃありませんよ!笑

>>白猫さん
おお!ルフィエからメッセージが!?感激です!
せっかくのラブレターもチェーンメール扱いではやるせないですね。いっそのこと色気で攻めて
みてはいかがでしょうか。
今回も白猫さん節全開ではらはらどきどき読ませていただきました。
護りたいという気持ちから発動しているはずのエリクシルなのに漂うのは邪悪な力、という
ことで非常に気になるところです。やっぱり呪いなのでしょうか?
次回も楽しみにお待ちしております。

>>ワイトさん
「ぐあっふぁっ!!!」最高です。何度聞いてもいいなぁ(笑)
謎の空間に隔離されてしまったラータ、自分の中の現実や常識が消えてしまう
ということが一番の恐怖ですよね。ラータの不安な気持ちがよくわかります。
脱出できるのか、ヒースと再会できるのか、続きお待ちしております。

98◇68hJrjtY:2008/01/20(日) 23:59:14 ID:95kSdOn20
>21Rさん
「戦争の道具」…そう言ってしまえば実も蓋も無いながら事実ですね。
それにしてもなんてミトは美味しいんだ!と別のところで感動してます(笑) →正座
少しずつ語られていた「英雄症候群」ことライルが黒幕的に浮かび上がってきましたね…。
レッドストーンの存在も含めて、アレンの参加したこれからの戦いは激戦を予想させます。
---
だ、だるま落とししてませんよ!う、うん…うんうん…。
でもそう言われるとやりたくなry

>FATさん
ランクーイという一人の死がただの死で終わらず、そこからさらに進ませる…。
レルロンドがそれを受け止められないはずはありませんね。彼ができなきゃ誰もできませんよ。
そしてランクーイの力をレルロンドがその媒介となって発動という姿が今にも目に浮かびます。感動しました!
「ランクーイとレルロンドは二人で一緒」という言葉の意味が分かったような気もしました。
さて、三人の旅の行方ももちろんですが、一方のエイミーたちの方も気にかかります。
物語の続き、お待ちしています!

99みやび:2008/01/21(月) 04:55:00 ID:DDeYTqw20
◇―――――――――――――――――――――Red stone novel−Responce[1/2]
 >68hさん
 あれ……おかしい。50行以上可能みたいです(汗)
 初投稿のとき一発目で書き込み容量オーバーのエラーをいただいたので、一文字+改
行連打のテキストを投稿して「文字数ではなく行数カウントで(50行で)エラーになる」の
をちゃんと確かめたずなのに……。
 設定変わったのかしら……。
 スレ立てやったことがないんですが、文字数や行数のルールってスレッド作成者が任意
に設定できるんでしょうかね?
 というか、これって1000埋まるまで私の恥部が晒されるってことですね……(゚ー゚)ケケケ
 ア....コワレタ(;´д`)

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
 自己満足とかは気にしないでオッケーですよ♪ たぶん(笑)
 まああれです。ゴッホにしろピカソにしろ芸術家なんて、後年になって評論家や一般人が
勝手に解釈して評価してる訳で……本人はモロ自己満足の押しつけですし(笑)
 いや文章はちょっと畑がちがってきますけど、自己満足9に対して読者を意識してる1、
がプロの世界でもデフォな気がします(笑)
 というか読書はまだ追いつてません(汗) 感想はのちほど〜(汗)

>FATさん
 あり難いお言葉です。でも私のは「設定で満足+体力のなさ」で頻繁に筆が止まってし
まうという大きな欠点が(汗)
 コンスタントに書き続けるFATさんや他の職人さんたちには頭が下がる思いです。
 今はちょっと他の作業をしていますが、それが終ったらまたエレノアを動かしてあげたい
です。

>ルイーダ☆さん
 ここ見てるかわかりませんが、□部は■で問題ナッシング!
 てか「黒塗り」なのに素直に■にしなかった私がアホなんです(汗)
 ルイーダさんもスレ立て頑張ってください。(まあスレ立てに頑張れってのも変ですね(笑)
 ただ多くの人がおそらくスレ立て人や管理人をNPCだと思ってるフシもあると思うので、
やはり「頑張って」というエールが相応しいのかも。

 と。そろそろカラータイマーが点滅し始めたのでこの辺で。あとちょっと自分の宣伝もある
し(宣伝かよ)
 レス見逃してる方がいたらごめんなさい。あと感想してない職人さんたちも……きっと追
いつきます(汗)
Red stone novel−Responce――――――――――――――――――――――――◇

100みやび:2008/01/21(月) 04:55:29 ID:DDeYTqw20
◇―――――――――――――――――――――Red stone novel−Responce[2/2]
 えーと。今ちょっとサイト作ってます。
 基本的にはここに投下した作品の保管庫ですが、RS以外のものやエログロも載せると
思いますので、暇な方はお越しください。(ってまだ完成してない(笑)
 まあそんな訳でしばらくは投稿できません。という言い訳です。

 本当はまとめサイトにしようかなあ……と思ったのですが、私の趣味による書式固定な
ので、それに合わせてオリジナルの文章も改行や句読点の追加、禁則処理等の微調整
が必要(要はアンソロジー的で編者による編集が入る)になるので、こりゃあ無理だな…
…と断念(笑)
 なにはともあれ、とにかく完成させないとね(汗)
 UPできたらまた宣伝しに来ます(´▽`)

 追記――
 久しぶりにINしたらダウンロードサイズに思わず吹いたみやびでした。
Red stone novel−Responce――――――――――――――――――――――――◇

101◇68hJrjtY:2008/01/21(月) 12:48:29 ID:95kSdOn20
>みやびさん
おお!ついにみやびさんも自小説サイトデビューですね!
私はまったくその方面のスキルが無いので羨ましい限りです。21Rさんもサイト持ちですしね。
UPしたら是非訪問させてください!エログロもお構いナシで読ませてもらいます(笑)
サイト作成頑張ってくださいね!
---
ムムッ、したらばの設定が変わったというのならば分かりかねますね(汗) ローカルルールも公開されてないようですし。
というわけで使いもしないのにしたらばレンタルしてみました(*´ェ`*)
初期設定だと最大投稿文字数は4096、最大投稿行数は100のようです。
文字数がオーバーしてると行数がOKでもエラー、その逆もあるということになるのかもしれません。
でもみやびさんの実験(?)では50行でエラーったという事ですし…やっぱり管理人さんが設定変えてるのかもしれませんね。


以下蛇足。
このスレのwikiなんですが、未だにパスが不明のまま…もしかして大元のniftyに会員登録しないとダメなんでしょうか。
いやパス無くてもランダム英数字入れれば投稿できるのですが、1スレ目から毎回入力すると考えると実に面倒なんですよ(爆
wiki作った人がもしいらっしゃればパスの方をお尋ねできるかもしれませんが…ウーン。
まとめサイトを自分で別個に作っちゃってもいいものだろうか。それともなんとか今のところで頑張ってみるか。
個人的にはwebの資源の無駄遣いを避けるために今のまとめwikiで頑張りたいものです。

102名無しさん:2008/01/21(月) 21:58:28 ID:ZulpD7oo0
「さあ、今日もやるぞー」
自室のドアを後ろ手で強く閉め、目の前に輝くデスクトップの電源を入れる。
高校から帰ってくるといつもこうだ。部活には入っていない。
何をするかと言うと、今ハヤリのネットゲームの一つ、REDSTONEだ。
このゲームはMMORPGなので、リアルタイムで日本中の人とチャットをしたり、狩りをしたりすることができる。
僕は最近、狩りそっちのけでチャットを中心にこのゲームをしている。
この前狩りPTで知り合ったテイマーさんと仲良くなったからだ。口調からして女だろう。
ひそかにリアルで会うことも期待して、アイテムとかお金は装備さえもあげた。
彼女はとても喜んでくれて、もっとあげたかったが泣く泣くあげられるものはない、と伝えた。
でも彼女はそんなこと気にしていなかったみたいだ。本当に良かった。
今日もさっそく彼女に会おう。
「あれ?今はINしてないのかな?」
友達リストのテイマーのアイコンがモノクロだ。
いつもはこの時間にいるはずだが、今日は何かあったのだろうか…。

〜〜

男は本当に単純だ。
テイマーなど女性職でちょっと可愛くするだけで、すぐ食いついてくる。中が男だと知らずに。
この前もカモを見つけて、Uや億品などをもらった。
そいつは、もうあげられるものがないと言っていたから、もうこのテイマーは消すだろう。




ないんでもないっす、妄想御免。

103之神:2008/01/22(火) 15:07:31 ID:Z3wyKhJU0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593
-2 >>595
-3 >>596 >>597
-4 >>601 >>602
-5 >>611 >>612
-6 >>613 >>614
2章〜ライト登場。
-1>>620 >>621
-2>>622
-○>>626
-3>>637
-4>>648
-5>>651
-6 >>681
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687
-2>>688
-3>>702
-4>>713>>714
-5>>721
-6>>787
番外クリスマス >>796>>797>>798>>799
-7>>856>>858
-8>>868>>869
番外年末旅行>>894-901
4章〜兄弟
-1>>925-926
-2>>937
-3>>954
-4>>958-959
-5>>974-975
5冊目――――――――――――――――――――◆
-6>>25
-7>>50-51-54

104之神:2008/01/22(火) 15:28:30 ID:Z3wyKhJU0
α
「ホラな、やっぱ居たじゃんか」ナザルドは得意げに徹に向き直る。
悪いがそれどころじゃ無い状況・・・・・・・だな。
「おい、お前・・・・・・・」俺は昨日の男に目を向けた。
「なんでミカが、全身刺されて倒れてんだよ・・・・・・死んで無いよな・・・・・おい」
「いえ、平気ですよ。まだ死んでませんから」目の前の優男は肩をすくめて答えた。
「まぁ、これ以上やると死んじゃいますけど・・・・・・・ね」男は不気味な笑みを浮かべる。
「くっ・・・・・・おい!おいミカ!返事しろよ・・・・・!」
「寝ちゃってますから、簡単には起きないでしょうけど」
「とりあえず、返してもらうからな・・・・・・・彼女を」
「それは困りましたねぇ。返せないんですが」
「お前の理屈は・・・・・・聞いて・・・・ねえっ!」俺は何も考えず、ミカの方へ走った。

「返す」男はミカの前までジャンプした。
「ワケには」そして軸足を固め、
「いかないと言ってるでしょう」そうして徹は、もう片方の足で蹴り上げられた。

「うっ・・・・・・ぁ」身体が宙に浮く・・・・・・!
「しばらくおとなしくしてて下さいよ。私は友好的に事を進めたいのです」
「ガッ・・・・・、女に針刺すのが友好的かい・・・・・笑えるな、笑えねえけど・・・」
「女だなんてとんでもない」あ?
「悪魔ですよ」

γ
「んーどこだ、見当たらねーなー・・・・・」走りながら探すも、見つからない・・・・・。
「せめて場所くらい聞いてから寝てもらうんだったわ・・・・」
肩に少女を抱えながら、俺はひたすら走っていた。

あれ・・・・・・あいつ、誰だ・・・・・?
無駄に動きがいい、青髪の男がそこにいた。
「おい、誰だあんた・・・・・」
「お?俺は剣士だよっ」

105之神:2008/01/22(火) 15:50:01 ID:Z3wyKhJU0
α
あれ・・・・・・そういえばあいつどこだ・・・・。
ナザルドがいねぇ・・・・!
あー・・・・・・・・意識が・・・・・蹴り1発かよ俺・・・・・。
「ぐっ・・・・・・」

γ
「剣士?剣も無いのにか」
「うん、剣士。ところでさ」
「ん?」
「ちょっとついてきてくれない?」そう言うと、俺の返事も聞かないで男は走っていった。
まぁ、アテも無えし・・・・・・

それにしても、どこかで見たツラだな・・・・・・誰だっけ・・・・。
「こっちだよー」
「あー次こっち」無駄に元気な声を出す男、1分ほど走ると・・・・

「ほら、ついた。お友達じゃない?」

・・・・・・・ミカ、徹もか・・・・・。何より
「よう、ブラック」

――――――――――――――――――――――――――――――――



数年前、俺は代々ある武道の名門、プザーシュを飛び出した。
蹴りや殴りなんていう、退屈な技で敵を倒すとか、そんなものに退屈して・・・・もあったが。
飛び出す何年か前から、俺は徹底的にやられたから、だ。
何をやられたかっていうと、具体的には虐待か。内容はぶっちゃけ言いたくねえな、思い出すのがイヤだし忘れてきたし。
昔からシーフに憧れてた俺は、プザーシュでは除け者にされた。
だからこんな家、すぐに飛び出してやろうと思ってた。
しかしなかなか出れないこの家。外に出るのを禁止されてたし、出ると余計に殴られるし。
だから俺は家を出るために、自分の弟を人質に取り、家を出ることに成功した。
初めて見る外に俺は感動したし、友達とか仲間とかできたしな。俺は弟を裏切ったが、出て良かったと思う。

――――――――――――――――――――――――――――――――

「何故私の名前を知ってるんですか、貴方と会うのは初めてかと思いますが・・・・?」
「まぁ忘れても無理ねえか」俺は帽子を取って相手を見て・・・・・言った。
「ライト・プザーシュ、で思い出すかい?」
「我が弟よっ」

「兄さんか・・・・・・会いたくなかったな、二度と」

106之神:2008/01/22(火) 16:18:13 ID:Z3wyKhJU0
γ
「ねえねえ、俺ちょっと話に入れないから、帰っていい?」ナザルドは空気を読まずに言うと、走っていった。
・・・・・・・・・。

「俺も会いたくは無かったけどな、お前がバカな事してんだ、来ない訳にもいかないし」
「バカね・・・・・家を飛び出して泥棒になるより、悪魔退治のほうがマトモな生き方かと思いますけど」ブラックは笑った。
「それをバカっていうんだよ、ブラック・・・・・・!」俺は短刀を握る。
「忘れませんよ・・・・・・」
「は?」
「忘れませんよ・・・・兄さんが私に向かって刃物を向けた事、人質として・・・・・忘れませんから」
「じゃあ手前も言えねえな。よくも日常的に殴る蹴る・・・・俺で遊んでくれやがって」
「だから!それは兄さんが泥棒になるとかバカな事を言うから、プザーシュの汚点を排除すべk・・・・」言いかけてライトが割る。
「知らねえよ、汚点だがなんだか知らねえが、やりたい事やろうとする俺を・・・・・・・・・」

しばらくの沈黙が流れ・・・・・・ブラックが言った。

「いいでしょう、決着といきますか。お互い恨みはあるんだから」
「上等だ、愚弟め」
「兄さんには言われたく無かったな・・・・」

β
あー・・・・・・意識が遠のいてた・・・・今何時だろ。
あれ、動けない・・・・・ああ、私拷問されてたんだっけ・・・・・・。
徹が倒れてる、あれ、ライトもいる・・・・・あれ・・・・あれ・・・・あれー・・・・・・。

Σ
「はっ・・・・・」
「おやおや、お目覚めですか赤い目の」
「ライトっ・・・・・・!」
「ミカ・・・・・・・起きたのか」

「えっ・・・・徹がなんで倒れてるの・・・?」今すぐにでも飛び出したい・・・・けど、椅子に固定されて動けない・・・・。
「ちょっ・・・・・・・あっ・・・・!」ブラックは注射器のようなものを刺していた。
「今から大事なところなんです、少し黙っててください」
「うっ・・・・・・・・」


γ
ミカは・・・・・・きっと平気だろう、勘だけど・・・・・。
「お前、殺されても文句言うなよ?」俺はブラックに吐いた。
「兄さんも、このお友達と仲良く昇らないように気をつけてくださいね」
「はっ、知ったことか」俺はシルヴィーを徹の横に置いた。

「じゃ、始めようか」




あれぇ、なんで私この部屋に・・・・さっき戦って、ライトっていうのと話して・・・・・そして・・・・。
あ、眠らされてたのか・・・・・。
笛・・・・・・笛・・・・・あれ・・・笛が・・・・どこだっけ・・・・。
声が聞こえる・・・・・ブラックさんの声・・・・・・。

「まぁそうですよ」
「彼女は捨て駒ですかね、いいように動いてくれます」
「お前、そんなんでシルヴィーを・・・・!」

何の話だろ・・・・・・よく聞こえない、いや、聞きたくないのかな・・・。
もう少し、気絶してればよかった・・・・・・。


倒れながらシルヴィーは、泣いていた。

107之神:2008/01/22(火) 16:25:31 ID:Z3wyKhJU0
おはこんばんちわ。
なんと見ない間に100レス超え・・・・!恐ろしきかな小説スレ。

あと>>102さん初めまして・・・・かな?
なんか視点がいいです、私の書きたいのと似てるかも・・・・・。

あんまり他の人の作品の感想を書かない私なので、珍しく感想とか・・・・。

今回の題材の兄弟、ですが。ブラックとライトは兄弟でした、っていう単純な・・・・orz
まぁお互い恨みあってるような、そんなような。

ナザルドはどう見てもKYですありがとうございました。

では・・・・(´・ω・)つ旦
引き続き小説スレをお楽しみ下さい。

108名無しさん:2008/01/22(火) 17:59:23 ID:gXqJ5/rQ0
>メイトリックス氏

元々強大な力を持っていたであろうネクロマンサー達の怨嗟のような
ものが伝わってきて、凄く興味深いです

>白猫氏

凄まじいボリューム・・・力を手に入れたからでしょうか
ネル君がかなり精神的に危うくなっている印象です

>ワイト氏

やっぱりぐわっふぁがwすませんw

>◆21RFz91GTE氏

何だかアレンのエロス方面が死んでる間に強化されているようなw

>FAT氏

魂そのもののエンチャントですね
ランクーイの想いが強く伝わってきました

>102氏

ああ、僕の知人のことを思い出して情けなくなってきた
僕の知人はランサーでスクリュー貢がせてたけど(´ω`;)

>之神氏

剣士君はいつ剣士らしいことをするのかずっと気になってますw

109ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/22(火) 17:59:37 ID:OhTl4zsk0
続き〜

何とかキッチンからミリアを引きずり出すことに成功した、エディとクレイグにエストレーア。
しかしエディはケツに竹槍がピンポイントで直撃、クレイグは爆弾付きの落とし穴に落下してしまい、現在行動可能なのはエストレーアだけ。
「やぅ、うにゅ〜・・・ふみゅぅ〜!!」無邪気で愛くるしい声を出しながら、ミリアは自身を抱いているエストレーアにじゃれついている。
「あらら、大人しくして・・・イタタっ、ほっぺた引っ張らないで〜!!!」「キャハハハッ、ぷにぷになのよ〜!!うにゅ、うにゅ〜」
幼い彼女に悪戦苦闘するも、彼は何とかご機嫌取りに成功しているようだ・・・ついに懐から呪い解除の薬を取り出す!!
「あのね、ミリアちゃん?お姉さんがいいものあげるよ、飲んでくれる?」「ふにゅ?ミリアのどかわいたの〜、ジュース飲むなの〜!!」
言葉巧みにミリアに薬を飲ませようとする・・・オレンジ色の液体が入った瓶のフタを開け、飲み口をミリアの唇へと運ぶ・・・・・・。

「(よ〜し・・・もう少しで飲んでくれるぞ!)は〜いミリアちゃん、あ〜んしてね〜」「うにゅ・・・あぁ〜ん」


「ゴルァアァァアァァァアァァァアァァァアアアァアアアアアア!!!何やっとんじゃエストレーアぁあぁあぁ!!!?!
 何でオメーがラティナのレオタードを着てんだァ!!?!ブチ殺したるァ嗚呼ァ亜あぁあぁぁああぁぁぁあぁぁ!!!!」

・・・来てしまった。怒り心頭、唐辛子を食べさせられたかのように全身を赤く染めたトレスヴァントが、鬼のような形相をして
その場に乱入してきた!!!実は彼、恋人のラティナと風呂に入っていたのだが・・・彼女の衣服が盗まれたのを受けて
怒りのままに犯人を捜索中のところだったのだ。真犯人は傍で悶絶しているエディとアフロヘアになったクレイグだというのにこの状況。
彼にとっては「エストレーアがラティナのレオタードを着込んでヘンタイモードを楽しんでいる」というシチュエーションにしか見えていない!
指の骨をバキボキと、文字通り骨太な音を鳴らすトレスヴァント。そして青ざめる一人のシーフと二人のエルフ・・・三人ともビビっていた。
ミリアは恐怖の余り「ふゃぁ〜!もんちゅたーがきたなのぉ〜、逃げるのよ〜!!」と泣きじゃくりながら、またキッチンの棚へと引き篭もる。

110718:2008/01/22(火) 18:03:31 ID:gXqJ5/rQ0
前スレの718です。またちょっと書いてみました。難しいですねー。
やっぱり僕にはエアーマンくらい勢いで書いてしまうもののほうがあってるようですw
よかったら読んでみてください〜。


古都の一角、パブや安宿が立ち並ぶ通りに、古びた焼肉屋がある。
昔から古都の大食漢たちを味・量双方から唸らせてきた、愛されるべき名店である。
開店まもなく、客もまだまばらな日暮れ時に、凄まじい勢いで肉を平らげる中年男と、
ジョッキ片手にその様子を眺める青年の姿がみえる。

中年の男は、一心不乱に半生のロース肉とツヤツヤのご飯を口にかきこんでいる。時折箸をおき、
ボリボリと禿げ上がった頭を掻きながらジョッキをあおる彼の顔は、炭火の熱と琥珀色の液体の力で
赤く火照り、元々垂れ下がっている目じりはこれ以上下がりようがないほどになっていた。
鼻炎持ちの彼の団子っ鼻からは、アルコールのせいか僅かに鼻水が垂れ、過度に蓄えられてしまった
豪快な口髭を光らせている。得物を銀色のトングに持ち替え、ついに大好物のカルビ皿へと手を伸ばす。

皿に丁寧に並べられた厚切りのカルビをトングで纏めて網の上に落とし、適当に広げると炭火に炙られてタレと
肉汁が焦げ付き、なんとも言えず香ばしい香りが辺りに広がる。

表面に軽く焦げ目の付いた肉をとり、甘辛いタレに浸して飯に乗せ、「ノリ巻き」の要領で飯を巻いて口に運ぶ。
追い討ちをかけるようにキムチを壷の中からつまみ上げ、口に放り込む。白菜のサクサクとした音が鈍く響く。
ひとしきり味わい尽くすと、ジョッキに並々と注がれたビールを一気に口の中に流し込む。思わず、爽快なため息が漏れる。

目の前には、ビールの泉、肉の山。至福のひと時だ。一心地ついたのか、口髭に付いた泡を掌で拭う。

その様子を、正面でビールを嗜み、時折キムチやユッケに箸を伸ばしながら面白そうに眺めていた青年も、
さすがに暑さが堪えてきたのか身につけていたマフラーと、綺麗な緑色のコートを脱ぎ、無造作に丸めると
自身の傍らに置いた。そして長く、ウェーブのかかった髪を後で纏めると、自身もカルビ肉を焼き始めた。

「何だ、食うんじゃねぇか。食わねえのかと思ってたぜ」
「先輩と一緒に肉焼いたら、自分の分が確保できませんからね」

「ああそうかい」と軽くそっぽを向いてジョッキをあおる中年を尻目に、苦笑しながら肉を焼く青年。

見る限りは特に代わり映えのない、先輩と後輩の呑み会であるが、この2人が唯一他の客と異なるのは
2人が「冒険者ギルド」に所属している、所謂冒険者と呼ばれる類の人間ということである。

だらしなく笑っている禿げた親父も、どことなく頼りなさげな長髪の若者も、いざ任務を帯びその身を危険に
晒せば、その経験、知識、何より磨きぬかれた技を駆使して任務の遂行を目指す危険任務のエキスパートである。

彼らが普段手にしているのはトングや箸とは似ても似付かぬ、鋼鉄の巨斧や業物の魔導杖であり、
その身に纏うのは分厚い肩プロテクターやミスリル製のコートなのだ。

今2人は、それぞれが帯びていた任務を終え、互いの無事を確認し、数ヶ月ぶりに馴染みの店の親しんだ味に
ありついている最中なのである。

111718:2008/01/22(火) 18:04:27 ID:gXqJ5/rQ0
あ、かぶってしまってた・・・

ま、また後程書き込みます、失礼。

112ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/22(火) 18:25:36 ID:OhTl4zsk0
「おぉコラ・・・・ブッ飛ばされる覚悟はできてんだろうなァ〜!?」額にビッシリと青筋が浮かび、悪魔ですら逃げ出したくなるような
ブチキレ顔のトレスヴァント。手には大剣「ビッグセイジ」が握られ、その剣も持ち主の怒りに共鳴するように一層燃え盛っている・・・!!
「あ、あの・・・あのあの〜・・・こ、ここ、コレはですね?エディとクレイグにやらされ・・・」「バッ、何言ってるんだエス!?」
「テメー!!何責任逃れようとしてんだよ、お前も半ばノリノリだったじゃねぇか〜!!」「そもそもあなた達が発案したんでしょうが!!」
「・・・・ゴチャゴチャうるせぇええぇええぁあぁぁああぁぁあああ!!!!!!死ね!!お前ら全員死刑判決じゃ!!叩っ斬ったらぁぁ!!」

キッチンでは男4人がボカスカと殴りあう中、またもキッチンに来訪者が・・・フィナーアだ。
途中で寄ったクローゼットから着てきたのは・・・ミニスカートタイプの黒いメイド服。しかもネコミミと付け尻尾も付いている。
「あらァ?あらあらあらァ〜ん!?・・・・何かしら、男の子同士殴り合ってるだけなのにィ・・・何で?何でこんなに血が騒ぐの!!?!
 ・・・んぁっ、もう・・・ダメぇっ!!フィナちゃん我慢できないわァ〜んっ!!!アタシも混ぜてちょうだァ―――――――――い☆」
一人勝手に問答、同時に自身を抱きしめて喘いで・・・せっかく着てきたメイド服をあっさりと投げ捨てたフィナーアが乱闘の渦にダイブ!!!
「うぉあぁあぁぁ!!?何でいつの間にフィナ姉が混ざってるんだよォォォ!?誰だこんなの呼んだのわ!!?!」エディが泣きながら叫ぶ。
「ま、人のことを災害扱いしちゃって!!そんな悪い子はァ・・・イケナイところをナメナメしちゃうわよ〜!?カモォ〜ンっ!!!」
「ぎゃぁああぁぁぁああぁチャックを下ろさないでぇ―――――!!?!!!!」「うふふっ、うふふふふふふふふ♪」
しょっぱい水がエディの目から溢れ出し、エストレーアとクレイグはトレスヴァントに馬乗りでマウントパンチの餌食とされ、フィナーアは・・・

「やぅ〜・・・ミリアけんかきらいなのぉ〜、今のうちににげるなの・・・ふにゅ?」
棚から降りてその場から立ち去ろうとハイハイで移動を開始するミリアだが、彼女の目にあるものが止まった・・・!!
オレンジ色の淡い輝きを放つ液体が入った瓶・・・ミリアはそれが呪い解除の薬とも知らず、フタを開けてすぐに飲んだ。
「うにゅ〜・・・オレンジ色なのにイチゴ味〜、不思議なのよ〜?・・・?ふぇ・・・ふにゃ!?」
いきなりボン!!という短い爆発音が出ると、辺りには白い煙が立ち込める・・・乱闘中の5人も何事かとその手を止めた。

113ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/22(火) 18:55:26 ID:OhTl4zsk0
煙が晴れる。その向こうには・・・年齢低下の呪いが解けたミリアの姿があった、が・・・・
「ちょっ・・・ウハ/////」とエディ。「・・・・・意外とムネあるんだな、ミリアちゃん/////」こっちはクレイグ。「・・・/////」エストレーア。
「うぁ・・・あんなところがツルペッタn」トレスヴァントに・・・「あぁ〜ん、裸の上にタンクトップだけなんてぇ、ミリアちゃんやるじゃな〜い!!」フィナ。

呪いは解けたのはいいのだが・・・いきなり元の年齢に戻ったおかげで体のサイズも元通り、しかもだ。
幼児化していたときに着ていたタンクトップは、今となってはミリアの乳房を隠す程度・・・他は何も着ていないミリアの姿がそこにあった。
「うにゅ〜、みんなどうしたの・・・ん?ふゃぁああああぁああぁああぁあああ!!?!//////////」
自身がかなりフェティッシュな格好をしていることに、ミリアはようやく気付いた。すると彼女は身を震わせ、拳を固め始める・・・・!!
「うゅ〜!!!!ミリアは・・・ミリアはァ・・・ケンカは大嫌いだけど・・・うゅ、え、えっ・・・・///////////」
顔を桃色に染め上げ、少し俯く彼女・・・周りの5人は「え?」という表情を浮かべる。だが・・・・
突如、ミリアはキッと顔を挙げ、即座にカンフーの構えを取った・・・!!!拳には炎がメラメラと渦巻いている・・・!!!
「げぇっ!!!ジャファイマのばばあ、ミリアちゃんになんつーもん教えやがったんだよぉっ!!?」「クレイグぅ、何だアレぇ!?!」
「簡単に言うとアレは炎の元素を身に纏うんだよ〜!!並みのエンチャとは比べ物にならないくらいつよ・・・」
しかしこうしている間にもミリアは5人の懐へと潜り込んでいた・・・大胆に開脚し、踏ん張って力を込める!!床にひび割れが入った。

「問答無用〜!!ミリアはねっ、ケンカは嫌いだけどっ!!えっちぃのはもっともっともぉ〜っと!!大嫌いなのぉ〜っ!!!!!!」
凛々しいけどもやっぱり可愛い声で叫び、掌打アッパー一発でエディたちを屋根ごと吹き飛ばした・・・・!!
各々の断末魔が山彦を従えて響く中、荒く削れた丸い穴から太陽の光が優しく差し込むのであった・・・。
「うゅ・・・ふゃぁ・・・エッチエッチエッチぃ〜!!ばかぁ〜!!!!」泣きながらミリアはキッチンを後にし、自分の部屋へと走っていった。




一方、こちらは森の郊外・・・・
「何なんだろうね・・・結局こうなっちゃったよ〜」「んだんだ、まぁ人生何があるかわかんないし・・・・っ!!?」
「テンメぇらぁ〜・・・まだ私刑執行は終わってねぇんだよ!!?!ラティナの悲しみ、オレの拳をもって思い知れぇ〜!!!」
「ちょっ、まっ・・・ぎゃあぁああぁあああぁぁぁあぁあああぁぁ!!?!」
トレスヴァントによってシバかれるエディとクレイグ・・・そんな彼らを他所に、着替えたエストレーアとフィナーアはその場を後にして
トレーニングに励むのだった。チャンチャン♪


・・・ん?何か忘れていたような・・・・

「くしゅんっ!!!・・・・はぅ〜、トレスヴァントぉ〜・・・早くあたしのレオタードと鎧を取り返してきてよォ〜!!
 うぅ〜ブルブル・・・湯冷めしちゃう〜!!!バカぁ〜!!!・・・・・・・っくしゅん!!!」
大浴場で泣き言を叫ぶラティナでした、チャンチャ・・・「笑い事じゃないんだからねっ!!////////」

to be continued?

114ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/22(火) 19:01:25 ID:OhTl4zsk0
はい、以上は幼女ミリアちゃんの一騒動でした;;
このお話の後に、前スレでの「Battle Show」編に続くわけでございます。
次回はそのBattele Show編が終わってからのお話、そろそろシリアスな雰囲気も入りますよ?
本来の「vsザッカルの一味」路線に戻って、頑張っていきたいです・・・

っと、各作品への感想も書きたいのですが、時間がないのでこれにて;;
というか読書が追いついていない・・・いずれ読破して感想を書かせて頂きたいです。
ではでは。

115七掬 ◆ar5t6.213M:2008/01/22(火) 20:36:11 ID:Zz47wR0.0



・・・・・・わたしは、何に怒っているのだろう。

誇りとしていた帝国の紋章が刺繍された、はためく外套も
恋人がくれた銀の腕輪も
振るった槍の後にいつも続いていた長い髪も
母がくれた紅い眼も

忘れてきたことさえ忘れて、わたしは何をしているのだろう。

何も分からないことさえ自覚せず
わたしはただ、意味も分からない怒りと共に得物を振り下ろす。

吹き出る血に、何か遠い過去が浮かんだ気がした。
とても懐かしく、でも、すごく辛くて、悲しくて。
嫌だ、思い出したくなんかない。
消えちゃえ、消えちゃえ・・・・・!!

どんなに必死に逃げようとしても、わたしは絶対に逃げ切れない
この身体は、わたしが逃げることを許さない。
幾ら傷ついても、すこし時間がたてば再び動き始める。
四散したはずの身体が、何処からか再び集まってくる。

わたしの心を、この監獄に繋ぎとめる忌まわしい鎖。
わたしの身が滅びても、絶対に解き放たれない魂。
永遠の連鎖。

いつか、解放される日が来るのだろうか。
そんな夢さえ身体が壊され、再び蘇るときに薄らいでいく。
わたしは、絶対に逃げられないんだ・・・・・。

また、身体が壊れた。
やっぱり解放されない自分自身に、一片の悲しみもわかない。
悲しいなんて感情を、忘れてしまっただけなのかも知れないけれど。

あ、また懐かしい感じ。でも、怖くない。なんだろう、これ。
これは、音・・・声だ。
あたりは薄暗くて・・・・・・なんだか寒い。

なぜだろう。こんな感覚があるわけ無いのに。
目も、耳も、肌も無くしてた筈だったのに。
いつの間に拾えたんだろう。無くした事も、忘れてたはずなのに。

目の前に小さな影が佇んでいた。
青い炎を宿した、不思議な仮面から、声が響く。

『そなたの恨み、我が預る。神すらも赦さぬそなたの業を我が赦す。
 契約を交わそう。そなたの器を我に捧げよ・・・』

・・・・・意味が、分からなかった。
言葉なんて、久しぶりに聞いたから。
立ち尽くして、一生懸命意味を考えているわたしを、彼は辛抱強く待ち続けてくれた。
一生懸命考えたけれど、結局彼が言った意味は良く分からなかった。
それでも、なんとなく彼は、わたしを必要としてくれてるんだって事は伝わってきた。
それが、なんだかとても嬉しいことのような気がして、協力してあげようと思った。

116七掬 ◆ar5t6.213M:2008/01/22(火) 20:43:02 ID:Zz47wR0.0
そう言おうとして、気付いた。
 ―――わたしには、口が無いんだ・・・・

怖かった。わたしが何も言えないことを、彼は否定と受け取るだろう。
彼が立ち去ってしまえば、わたしは・・・・独りだ。

ずっと独りだったはずなのに。
寂しいなんて感情、忘れていたはずなのに。
恐かった。彼に見捨てられたくなかった。
でも、彼の問いに答える方法が分からない。

何も言えないわたしを、彼はずっと待ってくれていた。
けれど、何も言えないわたしに見切りを付けたのか、ついに『やはり無理か・・・』と呟いて背を向けて歩き始めてしまった。
わたしは、ぎこちない足取りで必死で彼を追いかけた。
全力で走ったつもりで、それでも歩く彼に追いつくのにしばらくかかってしまった。

その背に、出し方すら忘れてしまっていた声をかける。

『マッ・・・・!!』

言った瞬間びっくりした。
自分が言ったんじゃないみたいにしわがれて、ひび割れた声。
しかも、口ものども無いはずの自分から、確かに響いた声。
それでも、彼は振り返ってくれた。
ただ黙って、少し驚いたようにわたしを見つめている。
生まれた瞬間に泣きはじめる赤ん坊みたいに、わたしは必死で、出来るはずもない息をして言葉を継いだ。

『テツダウ・・・テツダウ』
『我と契約を結ぶというのだな?』

頭をぶんぶんと上下に振って、そうだと伝えた。
どういう契約か、分かりもしなかったが、それでも彼について行きたかった。
彼も一つ頷くと、わたしの体に手を添えた。

『契約成立だな。そなたは今から我の物だ。そなたの業も、その力も』

彼の手から魔力が流れ込み、身体がズキンと痛む。
大切な相手に捧げた破瓜みたい、なんて、馬鹿なことを考えているうちに、契約の儀式は終わったらしい。

『ついて来い』

わたしの主となった彼が、わたしに命じる。
わたしは黙ったまま、彼に従って歩き始めた。



再びわたしの物となった、わたしの自我。
昔の記憶に囚われ、逝き損ねたわたしが、新たな道を歩き始める。
夢も希望もないかもしれない。
それでも、わたしを記憶の闇から救ってくれた彼のために。
ずっとずっと、歩き続ける。


                                        死霊術の契約 ―完―





・・・・・こんばんは。元169こと、今回コテハン付けるに至りました七掬です。
まずは小説スレ六冊目おめでとうございます。
今回はネクロマンサーに恋する純情女骸骨鎧のお話でした。(歪んだ小説なのは仕様ですorz)

小説スレがいい感じに賑わっていてほとんどROM専な私ですがいつも目尻を下げさせていただいています。
作者様ごとの感想はこの前出没してからの分とても多いのでもう少し後に落とす予定です。

では、皆様のご健勝とますますの小説スレの発展を願って!!

117◇68hJrjtY:2008/01/22(火) 22:22:43 ID:qv24xFu60
>102さん
えっ、続かないんですか( ´・ω・)
ネカマになって貢いでもらうプレイ…RSに限らずですが良くある展開ですよね(笑)
私も男女という区切りはなくとも、初心者さんを見つけると色々手助けしてしまいたくなる性癖が(;´Д`A ```
本人のためを考えるとやらない方が良いとは分かっているのですが。
もし良ければ続きお待ちしてますよ(笑)

>之神さん
ライトの過去が判明すると同時にブラックの過去もまた明かされましたね。二人が兄弟だとはまったく予想外でした(汗)
恐ろしいことに折角の再会ながらお互いがお互いを憎んでいる…戦いは避けられないのでしょうね。
ナザルド君KYだろうと好きですよ!何か秘密を持っていそうな予想なんですが、どうなんだろう。
ところで彼が剣を持たないというのにも何かしら意味がありそうな気もしています(ノ∀`*)
シルヴィーの「もう少し気絶していればよかった」というセリフのせいで前が見えません(´;ω;`) 続きお待ちしています!

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
やっぱりというかなんというか、最後はミリアちゃんの拳が発動してしまいましたね(*´ェ`*)
うーん、未だに赤ちゃんミリアが名残惜しいのですが、元の年齢に戻れたミリアちゃんもイイ!口調はさほど変わってないみたいですが(笑)
ESCADA a.k.a. DIWALIさんの小説、毎回笑って読ませてもらっているので今後のシリアス展開に非常に興味津々。
そういえばエルフ集落のドタバタ話で忘れてましたが(こら)、ザッカル君がまだ居ましたね!
ラティナさんが風邪を引かないようにお祈りしつつ続きお待ちしています(笑)

>718さん
おお!エアーマンを書かれた718さんですね!いっそコテハンを「エアーマン」にしたら良いのではないでしょうか(笑)
今回はシリアス路線(?)のようですね、ただの食事風景をこんなに細かく書いてもらえるとお腹が空いている時は厳しいものがあります(苦笑)
そういえばRSでは冒険者という定義が「レッドストーンを追いかける者たち」ということでひとくくりにされているような気がしますが
個人的にはレッドストーンが絡まずともこういう輩はたくさん闊歩している世界観を想像しています。
冒険者ギルドという施設の存在も私の妄想の中にあったので、上手くシンクロしている小説みたいで嬉しい限り。
続き待っていますね。

>七掬さん
後書きで初めて分かったという不届き者な私ですが、なんと骸骨鎧とネクロマンサーのお話だったとは。
でも骸骨鎧もその前はやっぱり普通の人であったのですよね。このお話では女性のような表現がされているのは面白かったです。
ネクロマンサーと契約を結んだというハッピーエンド(?)の終わり方なのにどこか寂しくて悲しい空気を感じたのは私だけでしょうか。
アンデッド…つくづく悲しい存在だと思います。
最近作ったネクロで骸骨君をテイムしようとして返り討ちに三回くらい遭った68hでした(爆

118之神:2008/01/22(火) 22:38:32 ID:rlRiyE6E0
感想どうもです(・ω・`

なんかメンテスレの伸びがすごすぎて・・・・思わず笑ってしまいました・・・・w
1時間たらずで1000行っちゃうのがもう・・・w

119スメスメ:2008/01/23(水) 08:33:48 ID:nVg63o/Qo
前スレ>>750 現スレ>>6


木々は様々な祝福を実らせ
且つその身を赤や黄色などに彩る。
私は少し肌寒くなってきた風に当たりながらいつもの様に街頭に立ち、待っている。

「遅い……本当に彼に任せても良かったのか?」

私の名はフローテック、このブルネンシュティグでとある依頼を頼んでいる者だ。
その依頼とは、
『私の代わりにバインダーを少しでも眠らせてやる事』
それだけだ。



『バインダー』

それは彼『バインダー』が人間として生きていた頃、彼はちょっとした資産家だった。
金儲けの為に手段を選ばず沢山の恨みを抱え、その恨みの所為で呪いをかけられてモンスターとなってしまった……。

表向きはその様な事になっているが実際は違う。
彼は生前『ある組織』に在籍し、多額の資金を融資していたらしい。
彼がそこで何をしていたのかは分からない。
だがこれだけは確信を持って言う事ができる。


彼は殺されたのだ。

それも私の目の前で……。
だが今となっては事の真相を調べる術は無く、ただ事実としてあるのは彼が何者かの手によって近付く者全てに刃を向ける凶悪なモンスターとなってしまった事だけだ。
モンスターならばなんて事はない、実も蓋もない言い方だが始末してしまえばいいのだ。

だが彼、『バインダー』はただのモンスターでは無かった。
実際に当時のブルン騎士団が出向いて討伐したはずだった、しかし数日後に奴がまた目撃されたのだ。
その後も討伐隊が組まれ何度も倒されたのを確認されたが何度倒しても蘇ってくる。
その内、奴はどうしてかは不明だが、あの地下墓地から外に出てこないことが解り、以来それを理由に討伐隊が組まれる事は無くなってしまった。

当時私の父はその騎士団に入隊しており、討伐隊の打ち切りに異を唱え続けたが聞き入れて貰えず自ら除隊してバインダー討伐に残りの生涯をかけた。
しかしその父も歳を取るごとに衰え、最期はバインダーから受けた傷が原因でこの世を去る事となる。

私はただ私の父親の
『少しの間でも良い、父バインダーに安息を渡してやってくれ』
と言う遺言に従って彼に安息を渡してきた。
若い頃は一人で何とか出来ていたのだが私ももう若くない、それ故にこうしてクエストを設け、街頭に立って冒険者たちを待ち続けている。
しかし私も歳だ、こうやってクエストを通じて奴を一時だが、眠らせてやれるのも後僅かだろう。
出来ればバインダーに永遠の安らぎを与えてやれれば……。

120スメスメ:2008/01/23(水) 08:43:55 ID:OEe.fNW.o
そんな時であった。
「あんたがフローテックさんかい?」
ふと老いた腰を曲げ見上げると、そこには以前に自分が張った依頼書を持った少年の姿が、目に映った。
「確かに私がフローテックだが何か?」

「あんたの依頼、受けに来たよ」
そう言って歯を見せながらニカッと笑み、左手の親指を立てながら拳を私に向かって差し出した。


……不安だ。
今まで私の依頼を受けて行った者は一人の例外を除き、
重厚な鎧で身を包み、腰には剣を引っ提げた者や、
軽量化された木の鎧を身に纏い、軽快に敵を槍で刺し貫く者、
召還獣やモンスターと意志疎通をし、共に戦うもの、
己の知識を魔力に変え、敵を様々な術でなぎ払う術者、
はたまた、神の加護を受けその力を行使する僧侶など様々な冒険者が居た。

それらに比べて彼はどうだ?
見事な銀髪をポニーテールのように結んで背中まで垂らし、真っ白なカッターシャツに小旅行用のリュックサック背負っている。170?あるのかどうかの背とやや細身の身体つきは冒険者としては小柄な方だろう。
顔から15、6歳程だろうか?
笑うとだとさらに幼く見える。
それ以上に冒険者として身を守る為の武器や防具を彼は身につけておらず、とても冒険者とは思えない風貌だ。
しかし―――善い眼を持っている。


「ところで、冒険許可証は持っているのか?」

『冒険許可証』
とはこのフランデル大陸において文字通り冒険者としての活動を許可する証明書であり、これがないと冒険者として必須の武器の携帯や、私の様に正式に仕事の依頼をしている通称『クエスト』と呼ばれる仕事を行うことが出来ないのである。
この許可証はここブルネンシュティグの他にオアシス都市アリアンやアウグスタ半島にあるブリッジヘッドなどの都市でも取ることが可能である。無論、実戦における実力など其れ相応の能力が求められる訳で、テストの為のクエストが用意されている。それをクリアした者が初めて冒険者として認められるのである。

「もちろん、今見せようか?」
そう言うと彼は背中のリュックサックに手を突っ込み、ゴソゴソと、
「これだろ、フローテックさん」
と言いながら私に『許可証』を差し出した。
……なるほど、確かに本物のようだ。

名はアレヴァール=エヴァーソン(18歳)。
どうやらブリッジヘッドでこの許可証を取ったようだ。
と、言うことは必要最低限の実力を持ってはいると言う事か……。

それにしても……何処か似ている。
私が若かった頃、出会ったあの男に……

121スメスメ:2008/01/23(水) 08:47:13 ID:OEe.fNW.o

もう何年前の話になるだろうか……?
私がいつもの様にバインダーを討つ準備をしていた時だった。
その男も歯を見せながらニカッと笑んでこう言ってきた。

ーあんたがフローテックかい?ー

ーあんたのバインダー退治を手伝いにきたぜっ!ー

そうだ、あの『眼』だ。
自分の力や行動に自信を持ち、未来に希望を持ち、迷いの一切無いそんな眼が……。
そんな眼に惹かれ、気が付くと彼と共にバインダーを討ちに出かけていたのだ。
驚くことに彼の戦いは武器を一切使わず、拳のみで戦うと言うモノだった。
それでも彼一人で墓地に現れるモンスターを薙ぎ倒し、挙げ句バインダーですら拳一つで打ち倒してしまうほどのモノであった。私はその力に圧倒され唯々見惚れていただけであった。
後に彼が有名な戦士であると知るが二度と会う事が無く今に至る。


……それにしても外見は似ていないがこの『眼』、
あの時の彼を連想させる。
などと、懐かしむ様に彼に依頼の説明をしていた。
が、
「……何をあさっての方向を見ながらぶつくさ言っているのだ?」
私が訝しげに聞くと、
「あ〜わりぃわりぃ。」
……やはり不安だ。

「で、そのバインダーてのはどこにいるんすか?」
こちらに向きを正し、訊いてきた。

「……この街の西門から出てしばらくしたら集合墓地があるその墓地からさらに地下に入って更に奥へ進んだ今はもう使われていない祭壇に奴は居る。」
「あいよっ、オレに任せてくれれば後はもう大丈夫っ!大船に乗った気分で待っていてくれよ!」

「とは言うが、あんた大丈夫なのかい?見た感じ武器らしい物を持ってはおらぬようだが?」
「だいじょうぶだって、オレにはこれだけがあれば十分っす!」と、胸にドン、と拳を当てた。



ー大丈夫だって、俺にはこの身体一つがあれば十分だぜぃっ!ー


……全く、不思議な縁があるものだ。
ここまで同じだと彼の腕を試してみたくなってしまうではないか。

「ふ、む……なら君に頼んでみよう」

「やった 『但しっ!』
と、私は喜ぶ彼を制しながら、
「無理だと思ったならば必ず退くのだ、いいな?」
そう言うと彼は「オーっ」と元気よく答えながら駈けていった。

斜陽が彼を照らし、背に大きく影を伸ばす姿を見せながら……。

122スメスメ:2008/01/23(水) 08:57:57 ID:C6qTlPxwo
ぎゃーっ!
最近のこのスレ、活気がありますね。
もう120だよ……。

と云う訳で(何が?)今回は番外編っぽく書いてみました。
世界観などの足しになればいいんだけど……。
本編はまだもう少し……
皆さんみたいにもっと書き上げる頻度を早くなりたいよ……。
では感想はまた後ほど。

123名無しさん:2008/01/23(水) 10:25:05 ID:gXqJ5/rQ0
>ESCADA a.k.a. DIWALI氏

暴れる前にまずは服を着ろと心の中で元幼女に突っ込んだのは内緒です(^ω^ )

>七掬氏

骸骨鎧が元女性だったとは全く考えもしなかった・・
そう考えるとネクロが連れて歩く骸骨も可愛らしく・・・?(^ω^ )
背負った業に押しつぶされてしまいそうな女性の繊細さが伝わってきました

>スメスメ氏

このタイミングでフローテックからの視点とは。主人公への移入が深まりますね・・
確かにバインダーって何で何度も復活してくるのか・・あまり疑問に思わなかったなーw

124718:2008/01/23(水) 10:27:10 ID:gXqJ5/rQ0
昨日は失礼。>>110の続きです。

「いやあ、今回はなかなか稼げたぜ。考古学者のお守りで小規模の墓地を探索してきたんだが、
報酬の割にはラクな仕事だったぜ」
「羨ましいなあ、僕なんか食材ハンティングでデフヒルズの砂漠に半月滞在しましたよ。昼はクソ暑いのに
夜は寒すぎて、まともに眠れやしないし、二度と行きたくないですね」
「そりゃあ運がなかったな。ギャハハハッ」

親父のほうが豪快に笑うと、口から米粒が飛び、隣のテーブルに向かっていった。それを若者が一瞥すると、
米粒が線香花火のように小さく、強く燃え上がり、一瞬で中空に消えた。

「きたないなあ、もう」
「ギャハハハハ」

全く気にする様子でもなく、親父は飯をキムチで巻いてモリモリと貪っている。

「しかし先輩、最近仕事のペース早くないですか?無理してません?」
「ん?ああ・・・やっとマイホームのローンが終わりそうなのよ」

モグモグさせていた口にまたもビールを流し込み答える親父の顔から、なんとも嬉しそうな笑みがこぼれた。

「おー、すげえ!」
「35年ローンを10年で返しきれるんだ、上々だろう?ヘヘッ、あと少なく見積もっても半年はかからねえだろうよ」
「・・・そうですか、じゃあ、先輩もついに引退ですね」

若造は、そういうと少しだけ寂しそうに笑った。
冒険者は、何も全員が「冒険」やら「名声」やら「レッドストーン」なんてものを求めているわけではない。
この男のように、金を得るための手段として、また生活の糧として、このような仕事に身を投じている
ものは多数存在する。特にそのような者たちには、目的を達成し冒険者家業から足を洗うものも多い。
この男も、そうした「仕事人」の一人なのである。

「まあ、ローンを返済したら、娘の嫁入り道具のために少しだけ稼いで、それでサヨナラするつもりさ」
「え、娘さん結婚するんですか?」
「バカヤロゥ、まだ嫁にはやらねえよ。まあ、あれだ、いつか来る日に向けてってやつよ。」
「へぇ〜」
「・・・・・・お前も、あんまりはまるなよ?」

ひとしきり照れくさそうに語った後、男は目を細め、目の前にいる若者を見据えると、諭すように言った。

「銭は稼げる。でも、ここは長くいていい世界じゃねぇ。一寸先は、てやつだ。」
「・・・・」

若者は、困ったような顔をしてビールを飲んだ。言葉は無くなり、炭火の弾ける音だけがパチパチと響く。

「まあ・・・きっと、見つけますよ。」
「何をだよ」
「んー、何かを?」

困った顔のまま笑う若者の顔が滑稽で、親父も釣られて苦笑いを返す。腹も満たし懐かしい顔の懐かしい話も
聞け、満足した2人はそれぞれの家路につく。

「じゃあな。また焼肉でも。」
「ええ、また焼肉でも。」

親父はきっと、久しぶりに出会う妻や娘の反応を思い、ニヤつきながら帰るのだろう。
若者は今後の自身の行く道について考えながら歩くのだろう。
または、今日の焼肉とビールの美味を思い出して、次の機会に胸を膨らませるのかもしれない。
そしてまた明日からの彼らは、任務を帯びて身一つで死地へ赴くのだ。家族のため、自身のため、そして、仲間と
馴染みの店で杯を交わすために。

125ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/23(水) 11:01:07 ID:OhTl4zsk0
さて、新章突入ということで主要キャラ紹介から・・・
多少設定変更とかありますがそこは割愛で^^;


ミリアン・ウォン
+いちおう主人公、ビーストテイマーの少女で14歳。拳法使いだが、口調、精神共に幼い。
彼女のペットとしてファミリアの「ファミィ」が一緒に行動していて、彼女とはこの上ない仲良し。
エルフ戦士の選りすぐりのエリート「サーファイユ」も彼女と主従の契約を果たしている。やっぱり仲良し。

トレスヴァント・ヘンリケス
+ミリアの仲間で職業は戦士、19歳。ラティナの彼氏で相思相愛、彼女を愛する故に周りが見えなくなることも。
腕力は驚異そのもので、重量のある大剣もナイフを振り回すように軽々と使いこなす。
スーパースペックな肉体を持つ分、頭は相当に弱い。九九ができるかどうかというレベルらしい・・・

エディ・ヘンリケス
+ミリアの仲間でシーフ、19歳。トレスヴァントとは双子の兄弟だが、こちらは軽い性格でお調子者。しかもイタズラ好き。
流行や最新鋭のものには敏感、すぐに自身に取り入れる。爆弾や有刺鉄線、影を使った魔法を駆使したトラップ戦術が得意。
一応武術も会得しているが一般の冒険が使うそれとは異なるが・・・・

ラティナ・シノノメ
+ミリアの仲間の一人で槍使い、18歳。東洋系の血が入っており、槍術では圧倒的な腕前を見せる。明るくて優しいが多少頑固。
ただし「ラティナ」という名前はニックネームであり、本当の名前は未だ明らかではない・・・
酒が入ると性格が一変、邪悪なスマイルを引っさげて迷惑を撒き散らす悪女に返信する。

バーソロミュー・サヴェスティーロ
+ミリアの仲間の一人、22歳のウィザード。スマグの名家、サヴェスティーロ家の御曹司だが冒険者として家を出る。
趣味は読書と魔法の研究。闇の元素の扱いをマスターし、「ブラック・アート」と称した新魔法を開発中。
クセ者揃いのPTの中で、唯一の常識人で博識。

フィナーア・ウォン
+ミリアの姉で21歳。溺愛する妹のミリアと同じくビーストテイマーで、リプリートマーキや原始人を従えている。
「猛獣女王」の異名を持ち、フランデル各地のモンスター達とも交流が深い。性格は陽気なのだが、露出狂でエロい。
彼女もまた妹と同様に体術を会得しているが、レスリングを軸とした投げ技中心のスタイルをとる。


ではでは、ストーリーに入りますよ〜

126ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/23(水) 11:29:42 ID:OhTl4zsk0
Chapter.03 Episode-01/Killing a Killing

「うゅ〜、今夜のバトルとっても楽しかったなの〜!!また見たいな〜」「ハハっ、ありゃベストバウトだったよなミリアちゃん?」
ブルンネンシュティグのバトルバーから退店し、エルフの集落へと帰路を進むミリアたち。熱い闘いに会話の花を咲かせている。
先程のメインイベントの試合で闘った、フィナーアとバーソロミュー、そして成り行き上、大天使ルシフェルと彼の妻のマリアも彼女達と合流していた。
「いやぁ若いってのはいいもんだねぇ、特にそこのビーストテイマーのお嬢ちゃんなんかイイ乳して・・・・あでっ、あぃだだだだだだだだっ!!?!」
「もうアナタっ!!私が居るのに・・・・浮気なんて許さないんだからね////」フィナーアに色目を使うルシフェルを、マリアが耳をつねって振り向かせる。
「わりィわりィ・・・ちょっとした冗談だよ、お前のことはちゃんと愛してるぜ、マリア?」「あ・・・あなたァ////」
「わぁ〜、かぁちゃん色っぽい〜」
夫婦とその子供の微笑ましいやりとりの中、一行うちエディだけは張り詰めた面持ちで歩を進めていた・・・その様子にトレスヴァントが問い掛ける。
「・・・おい、エディ?お前さっきから様子が変だぜ?服装も普段と違うし・・・」彼が指差すその先には、グレーのニットキャップに
黒っぽいタートルネックのスウェット、そして脚をスマートに見せるブラックレザーのフレアパンツを着こなすエディの姿があった。
その姿は、暗殺者というのを具現化したようなものだ。重苦しい雰囲気を纏い、声を低くして・・・エディは自身が見たものをパーティに打ち明けた。

「・・・実はな、さっきのバトルバーでよ・・兄貴が・・・ミゲルの兄貴の姿が見えたんだよ。しかも『悪魔に魂を売る』とか
 不気味な感じで呟いていたんだ。10年前に冒険先の砂漠で事故があってから行方知れずだったけど・・・あの後姿は間違いなく兄貴だよ。
 だけど・・・何か、すげぇイヤな予感がするんだ。」エディの表情から、悲しみのような恐れのような表情は消えない。

「(10年前・・・砂漠?まさか・・な)気にすることはねぇよ少年、上を向いて歩こうぜ?」少し怪訝そうな表情を浮かべたルシフェルだったが
沈みがちなエディの肩をポンと叩き、彼を励ます・・・だが、そんな慰めもこの直後に起こる事態の前では無意味に等しい。
間もなくバーソロミューの持つポータルスフィアが光を発したが・・・その輝きは普段と違って、血のような赤い輝きを放っている・・・!!
「(この光り方・・・もしや何か異変が!?)はい、バーソロミューです・・・マスケーロ!?どうしたんですかっ!!?一体何が・・・」
「ねぇねぇ、どうしたのバーソロミュー!?エルフの村からなの?何があったの〜!?」ミリアがバーソロミューに尋ねる。

「しぃっ!!ミリアちゃん、今は大人しく・・・・っ!!?!マスケーロ、返事をっ!!!」

127ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/23(水) 11:47:14 ID:OhTl4zsk0
『・・・どこの誰かは存じ上げねぇが、悪いがさっきアンタと会話していたエルフには眠ってもらったよ。なぁに・・・殺しちゃいねぇぜ?』
背筋の凍るような冷たい声が、ポータルスフィアから聞こえてくる・・・聞き覚えのあるその声にトレスヴァント、エディ、ルシフェルが反応した。
「兄貴っ!!オレだ、トレスヴァントだ!何やってるんだよ、エルフの村に何しやがったんだぁ!!?」「こっちはエディだぜ、何してるんだ兄貴!?」
『はっ、久々じゃねェか・・・出来損ないの愚弟ども。愚弟呼ばわりされても未だに俺を慕っているとはな〜、泣かせるじゃねぇかオイ?クククク・・・
 ところで、こいつは俺の勘なんだがなぁ・・・すぐ傍に天使がいるはずだ・・そう、俺の女を見殺しにしたクズ天使様がよォ!!!』
「あなたっ・・・あの時の!!お黙りなさいっ!!!」夫を侮辱されたマリアが吠え掛かるが、それを制止してルシフェルが応答に出た・・・

「やはりか・・・あの時彼女を亡くしてしまったシーフなんだな?・・・すまない、本当にすまない。」
『すまないの一言で済むハナシじゃねぇんだよォオォォオォオオ!!?何今更になって詫び入れてやがるんだこのボケぇっ!!!
 ・・・クク、まぁいいさ。今ザッカルさんの命令でエルフの村を潰してる最中だからよぉ〜・・・ポータル越しに悲鳴を楽しめや?
 あばよ、クズ天使に出来損ないどもぉ!!!!一生這いずり回ってな、ヒャハハハハハハハハハハハハ!!!!!!』

「・・・兄貴っ!!!あのクソヤロォ――――――――!!!!」トレスヴァントの怒りの雄叫びが、テレットトンネル付近に木霊した・・・!!
「皆、ここは急いで森に送ってやる!!事の発端はオレの不手際だ、奴を止めるのを手伝ってやるぜ!?」意を決したルシフェルは、すぐさま亜空間の
入り口を開き、一行を中に入るよう促す。ミリアやバーソロミュー、ラティナにエディ、トレスヴァント・・・そしてルシフェル夫妻も表情を険しくし
エルフの集落へと繋がるワープホールへ足を踏み入れた・・・!!

128ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/23(水) 12:22:57 ID:OhTl4zsk0
エルフの集落・・・
戦士達を除く住民全員が森の郊外に無事避難したが、村は炎に包まれ、廃墟と化していた・・・!!

そして炎に包まれた村の中央広場で、一人のシーフとエルフが対峙していた・・・ミゲルとクレイグだ。
「・・・がはっ、ゼェっ・・・テメェっ!!!」ナイフを握り締め、クレイグは相手を睨みつけるが・・・全身切り刻まれた様に流血し
息も絶え絶えになっていた。一方のシーフは、ダメージと言えるものすら全く受けていない健全な状態のまま、クレイグを見下している。
「弱えな・・・威勢はいいが、エルフ戦士どものエリートがどれ程かと思えばこのザマか・・・話にならねぇなぁ〜、オイ?」
「・・・るせぇっ!!!オレ達の村をここまで滅茶苦茶にしやがって、許さねぇぇえええぇぇぇぇぇっ!!!!」
怒りに身を任せたクレイグの渾身の一撃がミゲルの首を捉えたかに思えたが・・・
斬られたのは彼の残像、すでにクレイグの背後に回っていた!!
「・・・坊やは寝ていな」そう呟くと、鋭くも重いボディブローをクレイグのみぞおちに一発ぶち込む!!
あまりのダメージにクレイグは吐血し地面にドッと倒れた・・・そして倒れた彼を、ミゲルは冷たい目線で見下している。

「エディ殿、戦士たちの始末は終わりましたかな?」「あぁ、ディアス爺さんか・・・大したことねぇな。」
一人のレッドアイ法術師が、ミゲルの影から姿を現した。真紅色のローブが炎のように揺らめく・・・・
「しかし、このような制裁如きに我輩ら『8人の殺戮者(キラー・オブ・エイト)』の内の二人が送り出されるとは・・・」
「どうしたよ爺さん、何か不満でもあるのかい?」「・・・いやはや、あっけなさ過ぎて退屈でして・・・む?」

何かに気付いた法術師、『魔老』ディアスが振り向く・・・その先には、戦闘態勢に入ったミリアたちの姿があった!!

「よくも・・・エルフの皆をっ!!!ミリア・・・ちょっと本気出しちゃうかもっ!!!!」
カンフーの構えと共に手足に炎を纏う彼女の横にエディが並び、兄ミゲルに言葉を投げ掛ける・・・
「兄貴・・・いやミゲル。もうあんたはオレらの兄じゃねぇ・・・!!友を傷付けやがったテメェを、消させてもらう・・・!!」
「オレもあんたに同じ言葉を投げるぜ、ミゲル・・・ビッグセイジで叩っ斬ってやらぁ!!!」
3人を相手にしても、ミゲルは余裕の表情を崩さない・・・不適にニヤリと笑うと、血走った目で一行を睨む!!
「上等・・・上等だよ3匹のクズどもがァ!!!まとめて消されるのはテメェらなんだよっ、自惚れてんじゃねェェエェェェェェエエエェ!!」
狂気に駆られたミゲル、彼の手にしたバタフライナイフが襲い掛かるっ――――――!!!

一方、村の郊外にあるトレーニング場・・・既に移動していたバーソロミューとルシフェル、マリアは魔老ディアスと対峙している・・・!!
「ホッホ・・・これはこれは、大天使ルシフェル殿。セラフィム級の天使に会えるとは、いやはや・・・」
「・・・天使が現われるときは2つある。一つは祝福のため・・・もう一つは邪悪なる者への制裁のためだ・・・!!」
「して、我輩は果たしてどちらになるのでしょうかね・・・」わざとらしく惚けた素振りで、ディアスは言葉を返す・・・
「無論・・・裁かれる側でしょうね。」とバーソロミュー。「あと、悪魔の地獄の招待状もオマケについてくるわよ?」
夫の言葉に付け足しを加えたマリアは、炎に身を包み悪魔の姿へと変身していた・・・!!
「ふふ・・・これはこれは、久々に本気を出さねばいけないようで・・・『魔老』の名は伊達じゃないということを、ご教授しましょう。」
構える3人の前で、ディアスは無限に魔法陣を生み出し、詠唱状態に入った―――――――!!!

to be continued...

129ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/23(水) 12:31:04 ID:OhTl4zsk0
あっ・・・ここでミスが;;
>>128でディアスがミゲルに呼び掛けるところが「エディ殿」になってる・・・
そこは「ミゲル殿」と脳内改変してからお読み下さいませ><

130メイトリックス:2008/01/23(水) 13:07:03 ID:VBpBVrfU0
Hellfire Salvage
・The Decidings Part.1>>9-11 Part.2>>59-61

The Decidings Part.3

「なぜ姉さんは、あの悲劇の日について調べていたの?」
どうしても答えの出せない疑問だった。
「その、つまり…。わたしの知っている姉さんは、ただの傭兵だったから。凄腕だったけど、歴史とか伝説に興味を持つタイプじゃなかったし」
ずいぶんと長い間、ニイドは黙ってわたしを見つめていた。
その眼から落ち着きの色が消え失せているのを見て、漠然とした不安に駆られる。また何かまずい事を言ってしまったのだろうか。
「知っているものだとばかり思っていた」
狼狽した様子で彼はつぶやく。意味がわからない。一体何の事、そうたずねる前に、爆弾が落とされた。
「君の姉上はレッドアイの構成員であり、調査は彼女に与えられた任務だったのだ」

もう何を聞いても驚くまいと決めてたのに、わたしは揺さぶられた。
かつてブルン王国の秘密機関だったレッドアイは、ブルンが共和制に移行した約100年前に、非合法組織に指定されている。
姉さんがそんなものに関わりを持っていたはずがない。
わたしたちの村は共和国から遠く離れていたし、姉さんだって――
でも、本当にそうだろうか。
姉さんは傭兵だった。わたしなんかには想像もつかないほど多くのものを見聞きし、触れてきたはずだ。
どこかであの組織と接触を持つ機会があったかもしれない。
それとも、逆なのか。
大陸のあちこちを飛び回る傭兵の仕事は、レッドアイの隠された任務を遂行するにはうってつけの隠れ蓑だったという事もありえる。
そう考えると、わたしは愕然とするしかなかった。
一体、わたしは姉さんの何を知っているのだろう。
やさしかった姉さん。料理も裁縫も、わたしよりずっと上手だった姉さん。
でも、自分の冒険について話してくれた事は一度もない。
傭兵としての姉さんのイメージは全部、他の傭兵たちに聞いた評価から作り上げたものだった。
わたしに見せていた顔が仮面だったのだとしたら。
そうだとしたら、わたしは姉さんの何なのだろう……。

「思い詰めているのか」
気がつくと、ニイドの顔がすぐ目の前にあった。
「何をも知らされていないのならば、姉上が君を危険から遠ざけんとしていたのは明らかだ」
泣きじゃくる子どもに言い含めるように、彼はゆっくりと語りかける。
「君を想っていたからこその事だろう」
きっと、そうなのだろう。
それでも、旅の間に疑いに凝り固まった心は、それを信じようとしない。
これほどまでに姉さんを愛して、慕い続けてきたのに。姉さんは何も明かしてくれてはいなかった。
――本当の姉妹じゃないから?
ずっと、その事が負い目だった。
姉さんに相応しい妹になれるよう、いつだって努力した。
血のつながった家族よりも深い絆で結ばれていると、そう信じられるように。
姉さんも、そんなわたしに応えてくれていると思っていた。それは幻想だったのだろうか。

「いいか、疑いは全て君の中に在る」
ニイドの深い声に、われに返る。彼は椅子から身を乗り出し、わたしの両手を握りしめていた。
力強い何かが、腕を伝わって体の中へ流れ込んでくるのを感じる。
「己が双眸で確かめるがいい」
その言葉が耳に届いた瞬間、わたしの視界は暗転した。

131メイトリックス:2008/01/23(水) 13:07:54 ID:VBpBVrfU0
ここはどこだろう。
周りを見回そうとして、自分の頭がいやに重たくなっているのに気づいた。
何これ……。
自分の顔をぺたぺたと触ってみるが、どうなっているのかよくわからない。
わけがわからなくなって手を見ると、分厚い皮のグローブにすっぽりと覆われている。
これは、もしかして……。
ここは今までいた部屋とは違う。
趣味の良い家具が小奇麗に並んでいる。壁にかかった絵は、わたしでも知っている有名な画家のものだ。
外から漏れ聞こえてくる喧騒に誘われて、明るく日の射す窓に目をやると、見えたのは活気にあふれた港街の風景。
それに、ああ――海だ。
生まれて初めて見るそれは、キラキラと輝いていてどこまでも青く、そして……吸い込まれそうなぐらい美しかった。

カラン、とドアに付けられたベルが鳴り、誰かが部屋の中へ入ってきた。
海に見とれていたわたしは、あわてて振り返り――凍りついた。
ほとんど金に近い砂色の髪。命の躍動を感じさせる真っ赤な瞳。
二度と目にできないはずの、あのほほえみ。
姉さんが、そこにいた。

どこに行ってたの。どうして、わたしを置いて行ったの。
そう聞きたかった。
思いっきりわめいて、怒って、泣いて――姉さんの胸に飛び込みたかった。
その後には、謝りたかった。
姉さんを疑ってしまった事、死んだなんてひどい勘違いをしてしまった事……。
きっと、姉さんは許してくれるはず。だって、たった二人の家族なんだから……。

だけど、わたしの口から出てきたのはまったく違う言葉だった。
「感心だな。今日も定刻通りとは」
「ええ、時間は無駄にできませんから」
姉さんはふっと笑うと、部屋の隅に置かれていた椅子を持ってきて、わたしの向かいに座った。
「昨日は当時の地下界の勢力関係について伺いましたね。今日はRedStoneの効力に関してお聞きしたいのですが」
自分の中の何かが、音を立てて死んでいくのを感じた。
これはニイドの記憶に過ぎない。わたしはただ、見ている事しかできないのだ。
さっきはあれほど心を動かした風景も、今はどうしようもなく色あせて見える。

なんとなく話を聞いているうちに、わかってきた事があった。
――ニイドは姉さんの事を好ましく思っている。
質問には進んで答え、知識の誤りには的確な指摘で応じた。
姉さんは静かに聞き入り、疑問があれば放っておかず、重要な部分は紙に書き取って記録している。
彼はそんな真剣な態度が嬉しいようだった。
そう言えば姉さんは、たとえ相手が子どもでも、話半分に聞いたりした事はなかったな。
それを思うと、誇らしさと懐かしさに胸が痛んだ。

急に会話が途絶えた。
見ると、姉さんは目を閉じてこめかみを押さえている。その身体がゆっくりと傾いだ。
思わず飛び出していた。倒れてきた姉さんを、腕に抱きとめる。
コート越しにもわかるほど、全身が熱い。
これはすでに起こった過去だ。変える事はできない。それでもわたしは、自分の無力さを憎んだ。
ほとんど聞き取れない声で、姉さんが何かをつぶやく。
わたしは必死の思いで耳を近づけた。
「ピアース……」
姉さんの最後の言葉。たったひとつの単語が、唇から溜息のように漏れた。

132メイトリックス:2008/01/23(水) 13:08:25 ID:VBpBVrfU0
いつの間にか、わたしは元の部屋に戻っていた。
腕にはまだ、姉さんの体温が残っているような気がする。
握っていた両手を放し、ニイドは言った。
「本来は幻影を見せて相手を恐怖に陥れる術だ。少し異に使わせて貰った」
言葉を切るとやさしくたずねる。
「ピアース……。君の名だね?」
わたしは、何度も何度もうなずいた。
そのたびに涙がぼろぼろとこぼれ落ちたけれど、抑える事ができない。
「泣いても良いのだぞ。君には、悲嘆を感じる事が許されているのだからな」
彼の口調に混じった哀しみが、心に幾重にも張りめぐらされた堅い守りを打ち破った。
わたしは声をあげて泣いた。
疑いも絶望も、涙がすべてを流しさってくれるまで。

ようやく落ち着いてから、ニイドはヴィジョンに含まれていなかった細部について話してくれた。
姉さんの泊まっていた宿で、折れた槍と血に染まった弓を見つけた事。
他の持ち物はすべて誰かに持ち去られた後だった事。
掘り返されるのを心配して、姉さんの死体に封呪を施して埋葬した事。
思うに彼女は既に殺されていたのだ、と彼は語った。その後、何かを聞き出すために蘇生されたのだろう、と。
そんな事が可能なのかと問うわたしに、彼はうなずいた。
短い間ならば。それができる者に心当たりがある。
では、どうして。わたしはたずねた。どうして、姉さんはあなたを訪れたの。
わずかな沈黙の後、彼は答えた。確かな事はわからん。だが、推測する事はできる。
なら、それを話して。わたしは食い下がった。

「彼女は、ウルの紹介で来たと言ったのだ。故に私は彼女を歓迎した」
「ウル?」
「然り。かつては我が兄弟同然だった古き悪魔だ。蘇生者も彼に相違なかろう」
複雑な胸中を表すように、ニイドの声は暗かった。
「蘇生された者は蘇生者の制御を受けざるを得ぬ。話してはならないとされた事は、決して話せぬのだ。
 君の姉上は何かを知り、殺された。恐らくは、真実を嗅ぎ回られると都合の悪い輩にな。
 その後、知り得た事実と自らの死の明示を禁じられた上で蘇生され、送り出されたのだろう。
 ウルは彼女の死を通じて私に伝えたかったのだ。“これから何が起きようと、気づかぬ振りをしろ”と。
 さもなくば斯様になるぞ、とな」
吐き気がした。
姉さんは意志の強い人だった。その姉さんが、操り人形みたいに弄ばれたなんて。
さすがにニイドも憤りを感じているようだった。
「驚嘆すべきは彼女の意志の力だ。残された時間を使って、婉曲ながらも手がかりを残そうとした。
 それ故私は、古き盟友が何を成さんとしているのか知る必要があると思ったのだ」
そう言い放ってから、彼はうなだれた。
「不幸にも、彼女の生きている内に勘付く事は出来なかったが」

「それで、わたしにあの包みを送ったの?何かが起こっているのを知らせるために?」
ようやく自分の中で、すべてがつながったような気がした。わたしの苦しい旅は、無駄ではなかったのだ。
けれど、ニイドは首を振った。
「全ては徒労だった。身に付けていた物から出身を割り出し、包みを送ったのは承知の通りだ。
 私自らも大いなる危険を冒し、所在に関する噂を振り撒きながらこの地まで来たった。
 姉上が身近な誰かに秘密を打ち明けていた可能性に賭けたのだよ。しかし、君は何も知らなかった」
彼が浮かべた戸惑いの意味が、遅まきながら理解できた。
何という事だろう。
最初、わたしは彼の丁重さに不信を抱いた。どうして必死に誤解を解こうとしているのかを。
考えてみれば当然だ。わたしたちは初めからすれ違っていたのだから。

133メイトリックス:2008/01/23(水) 13:08:55 ID:VBpBVrfU0
――――――――――――――――――――――――
ノスタルジックなお話しなのか陰謀モノなのか良くわからない具合になっちゃってますね。
とりあえず第一話はここまでです。ベリー中途半端。要約力の無さのせいさHAHAHA。

>>◇68hJrjtY氏
どうも赤い石の堕天については天使と赤い悪魔がクローズアップされがちなので、日陰者にも光をピカピカと。
しかし、氏の感想は鋭くてヤバイです。そのうち結末を言い当てられてしまいそうです。そしたら泣きます。
>>FAT氏
エルフも一枚岩ではないのですね。緑髪の彼は渋い。ランクーイを悼む、夕焼けの場面が美しいです。
夜のシーンは、どんどんダークに墜ちていってしまうのかと少し心配してしまいましたが、杞憂だったようです。
しかしラスさん、その発想は地味にスゴイぞ!ノベール魔法賞クラスだ!
つくづく、ランクーイは彼らにとっての太陽だったんだなと思う次第です。美しい炎の玉を眺めながら、ぼんやりと。
>>◆21RFz91GTE氏
英雄とは苦しいものなんですよ、って誰かが言っていたのを思い出しました。誰かは思い出せません。スミマセン。
アレン君は浦島太郎状態ですよね。2年の間に起きた事を考えると無理もないと思いますが。
どうにか歩み寄れるのか、このままロンリーウルフなのか、ロリコンに終わるのか。彼の明日はどっちだ!
と思ったらエロオチかい!ダンディなシーンとのギャップがツボ過ぎます。
>>白猫氏
ロングテールをお疲れ様でございます。
いつも冷静なネル君だけに、力に溺れてもCOOLってのがさり気なく怖いです。と言うか強っ!怖っ!
目的と手段が逆転してしまうと、取り返しのつかない事になっちゃいますね。それにしてもガリレド君可哀想…。
くどい描写に関しては、私はもう手遅れのよーです。座って語り合ってるシーンだけで300行近いって、どんだけー。
氏の描写はメリハリがあって読みやすいです。それから、返事の形式がらぶりーです。それから、リレッタ様のお怪我が気になって夜も眠れません。
>>ワイト氏
皆さんはスナッチャーの断末魔に目を奪われているようですが、私はそれは氏の巧妙な目くらましだと思います。
私は断然、氏の効果音に着目します。良く見てください。一瞬にして情景が頭の中にフラッシュバックするでしょう!
ラータは視覚はおろか、聴覚も触覚も遮断されてしまったような印象を受けます。
これらは、人間が外界を感じる上で大きく依存する感覚ですね。私だったら3秒で発狂しそう。
>>102
REDSTONEを始めたばかりの頃の自分を思い出しました……。
しかし、中の人はわかりづらいですよね。どうしてもキャラの外見とチャットの調子で判断してしまいます。
そんな私は、今日もエネルギッシュなBISさんにベッタリです。
>>之神氏
とってもシリアスな話をしている横でも、ナザルド君が実にフリーダムなのに笑ってしまいました。
氏はその辺りの切り替えが素晴らしいと思います。誰だよと聞かれて、剣士だよ!と返す彼もなかなかのモノですが。
>>108
延々と暗い話ですが、コメントを下さってありがとうございます。
長い寿命の種族だからこそ、不本意に殺されたりする事には敏感なのかもしれません。
>>ESCADA a.k.a. DIWALI氏
トレスヴァント君がヤバくありませんか。いや、フィナーアさんもヤバイですしエストレーア君もかなりのモノですけれども。
しかし、ミリアさんも元に戻れてよかっ……たんでしょうか、これは。
>>718
すきっ腹にこれは堪えます……。本当においしそうに食べるなぁ、オジさん。
冒険者は立派な仕事として成立しているんですねぇ。なかなか稼ぎも良さそうですし。命を懸けてるから、と言われればその通りです。
こういう生活感あふれる話も大好きです。続くんでしょうか……?
>>七掬 ◆ar5t6.213M氏
余韻があって、いい読後感です。アンデッドと言うからには、彼らは元々生ある者だったんですよね。
それを思うと、BISさんの万歳三唱で次々と砕け散っていく彼らを見るにつけ、悲しみが募ります……。
>>スメスメ氏
クエスト依頼人にも、それぞれの事情なり人生があるんだなーと考えさせられます。
それにしてもこれは……フローテックさんじゃなくても心配になるぞ……。器が大きい、とも言えますが。

134ワイト:2008/01/23(水) 17:05:08 ID:Z/wysRgM0
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「何か無いのかよ!?頼む・・「何でも良い」「誰でも良い」助けてくれ・・・」

堆にラータは、耐えられ無くなってしまう・・・歩く意欲が失せる・・それに加えて、
自分が、其処に立っている・・それ以外の自覚は無い。考えようにも考えられない状況・・・
だが・・・もしも「自分の立っているこの足場まで、消えて無くなってしまったら・・・?」
言葉に言い表せない恐怖が、ラータに襲いかかる。その時、敵はようやく姿を現しラータに語り掛けた。


「脱け出せない恐怖に言葉も出ないようだなぁ・・?どうすれば、この状況に苦しむ事無く
脱け出せるか・・教えてやろうかぁ?それは「死ねば良い」そうだろう?死ねば、この恐怖からも、
逃れられる・・!だが、それ以外に方法は無いからなぁ・・?ククックッ・・クッククッククハッハッハハハッッ!!!!」


ヒュッ!カランカランカラン・・・・
ラータの足元に一つの長剣が、敵の手によって投げられる・・・
「その長剣で、自分の腹を真っ直ぐに突き刺せば良い・・・それだけで、助かるんだぜぇ・・?
簡単だろう・・?一瞬の内にその動作は終了する・・この孤独から抜け出せるんだぁ・・!」

思考は完全に停止寸前のラータに、敵の発言は雅に誘導するかの如く・・「死ねば良い」そう、
それしか助かる方法は無い・・!敵は「死ねば助かる」という固定観念を、ラータの頭に植え付けたのだ・・

「これで俺は脱け出せるのか・・?死ねば、助かるのか・・・?」
「あぁ・・全ては終わるぞ・・貴様は救われるんだよ!さぁ・・やってみろ!
(完全に、詰んだあぁぁっ!!呆気無かったかぁ?まぁ・・死ねば終わりだ・・!)」
ラータは長剣を手に取り、ゆっくりと自身の腹を突き刺す動作に入る・・!





その瞬間何処に、行ったかどうかも判らぬ、ヒースの叫ぶ大声が頭に響いてきたっ!!!!!

「ねぇ、ラータッ!!!!起きてよっ!何時まで寝てるつもり!??」
その大声にラータは飛び上がった!だが意識はまだはっきりとしない・・

「?え・・?何がどう・・?ヒース・・?え?お前何処に行ってたんだ・・?」
「どうもこうも、ラータが行き成り、意識を失ってずっと気絶してたんだよ・・?」
「そうなのか・・?ってことは俺は今・・助かったって事だよな・・?」
「よく判らないけど・・そういう事じゃないの???」
状況を上手く掴めないラータを余所に敵が悔恨の笑みを浮かべ喋り始める!

「ギックッククックッ・・チッ、後一歩の所を!ヒース、貴様には特に用は無かったんだが・・!
貴様の所為でラータを消せなかった!!こうなれば!仲良く2人一緒に消えてもらう他無い。まずはラータからだ!!」

「ふぅ・・要するに仕切り直しって訳か・・危ない所だったが、まだ負けた訳じゃ無いっ!!
(ヒース・・ありがとよ!お前が居なきゃ完全に敵に嵌められてた所だったよ・・)」

135ワイト:2008/01/23(水) 17:09:30 ID:Z/wysRgM0
ようやく敵の呪文からヒースのお陰で、脱け出す事に成功したラータは我に返る・・!
そして今!敵との戦闘が始まろうとしている・・ってな感じで進めてみました!
そんな訳で、今回は締め括りたいと思います。それでは|ω・)また!

136◇68hJrjtY:2008/01/23(水) 18:13:28 ID:6bX/m3/c0
>之神さん
自分は知らなかったのですが長時間の臨時メンテか何かあったようですね?
ま、まあ、果報は寝て待てといいますし。というか実際昼寝していたかも!(爆

>スメスメさん
過去語り風にバインダー退治のクエを掘り下げた番外編。確かにRSのクエって実は味があるものが多い。
武道君が出ているだけで嬉しい私ですが、フローテック老人の語る「昔居た戦士」である武道家も似た性格っぽいですね。体育会系万歳(*´ェ`*)
今回はそれでも番外編というわけで冒険者の証明書等のスメスメさん独自の世界観がチラリと読み取れました。
この話が前回の武道君の活躍(笑)と謎の少女の発見へと繋がる感じなのでしょうか。
ゆっくりで構いませんしまた世界観補完の番外編を書いてくれても嬉しいです、続きお待ちしています!

>718さん
これは…続きを予想したくもあり、ここで話が終わってもいいのかもという気持ちもあり。イジワルですね((((;´・ω・`))))
ある夜の酒場、二人の冒険者とキムチとビール…やっぱりお腹が空きます!(まだ言うか
冒険者稼業を「仕事」と捉えれば、ハイリスクハイリターンなこの仕事人たちの生活もまた想像に易いです。
彼らにも家族が居て友人が居て、恋人が居て連れ合いが居る。死を賭けた戦いに身を投じる者たちの、ほんのひと時の安らぎのお話。
二人の将来がどんなものであれ、それが悲劇となって欲しくないですね。
(もし続きがあるなら楽しみにしてますよ!)

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
ついに本編移行、エディたちの兄であるミゲルと魔老ディアスの襲撃となりましたね。
これはシリアスな戦闘シーンになりそうですね。でもまあ、本気を出したミリアが一番怖いんですが(汗)
大天使「ルシフェル」の本領発揮となるか否か。愛妻(笑)マリアとの連係プレイなんかも楽しみです。
ところでラティナさんの名前は本名じゃなかったんですね(;・∀・) これから戦闘シーンなのに別の気がかり点が増えてしまった(笑)
兎にも角にも、続きお待ちしています!

>メイトリックスさん
いやいやいや、結末を言い当てるほど読解力はありませんよ!orz
でも毎回感想のせいで書き手さんの先手を打ってしまうことがないようにしたいとは思っていますが…どうなのだろうか(;´Д`A ```
さて、ニイドの記憶の再描写によりようやく明かされた"彼女"ことピアースの姉の行動と境遇。
蘇生術を使っての拷問にも似たレッドストーンの情報収集、それでも最後の最後まで妹の事を考えていたのかと思うとますます悲しいです。
ニイドとの和解、とまではいかなくともピアースとのわだかまりは多少緩んだようですね。
同じ"姉"を知る者同士、その真相にまた一歩近づけたらと思います。続き楽しみにしていますよ!

>ワイトさん
実際人間にとって「一番耐えられないもの」のひとつにこうした束縛状態での放置というものがあるそうです。
ラータじゃなくても普通に狂人になってるところですが、ヒースのお陰で助かりましたね!これもパーティープレイなのさっ。
でもしかし、今までさりげなくアウトオブ眼中(古ッ)だったヒースまでも狙われてしまう事態に…。
ラータ君、頑張ってくれ〜!続きお待ちしています(笑)

137白猫:2008/01/23(水) 20:55:23 ID:y8XNfWoQ0
uppet―歌姫と絡繰人形―

第一章〜第五章及び番外編 5冊目>>992
第六章 -夜空の下で- >>30-37
第七章 -深紅の衣- 70-81
これまでの主要登場人物 >>38



第八章 神卸



二月一日、フランテル北部。
 【[イグドラシル]は全六階層になってるんだ】
 「…………」
 【一階層毎に魔物を配置してあるんだ。進入できないように】
 「…………」
 【進入シテキタヤツラミンナ死ヌ。ヒヒッ】
 「お黙り。わざわざ此処の情報をひけらかすことはないわ」
サーレを先頭に、雪道を歩く一行。
アリアンの遙か北、東西に伸びるソゴム山脈の峰に、彼らの姿があった。
大陸内でも屈指の標高6000m台の山々が連なる、現代でいうヒマラヤ山脈。
数日掛けてこの地に到着した一行は、そこで小休憩を取っていた。
 「…一体、何処まで行くんです」
終始両腕を鎖で縛られているネルは、不機嫌の色を全く隠さず、言う。
その隣、此方は特に何もされていないリレッタは、じっと遙か遠方の景色を眺めている。
それを見やり、ルヴィラィは笑う。
 「[イグドラシル]まで行くのさ。生憎と原石が切れていてねぇ。
 此処から後数日といったところだね…居場所はすぐに変更できるから、知らせても無駄だよ?」
ここに至るまでにブツブツと一人で何かを呟いていたネルを思い出し、ルヴィラィはせせら笑うように言う。
それを聞き、今までずっと道のりを覚え込んでいたネルは舌を打つ。
 「そもそも、僕に何をさせようってんですか」
 【ネルぽんそんなに怒らないー。取って食べようなんて思ってないよぉ?】
ネルの首に腕を回し、サーレは笑う。
 「…僕に用があるなら、リレッタは解放して下さい」
 「何言ってるんですかネリエルさま。私は帰りません」
ルヴィラィに言うネルに、リレッタはむくれる。
 「此処まで来てどうして戻らないといけないんですか」
 「………あのですね」
 「私は帰らないですよ。絶対」
むくれるリレッタを見やり、ネルは溜息を吐く。
それを見てか見ずか、サーレは言う。
 【ルヴィぽん急ご。天候ヤバい】
 「ええ、そうね。」
小さく笑い、ルヴィラィは靴で、凍った地面をコンと叩く。
瞬間、ルヴィラィを中心に凄まじい旋風が吹き荒れ、ちらつく雪が瞬時に吹き消される。
 「さて…行くわよ」





二月十日、アリアン。
武道会も午前中に終了し、残るは後夜祭だけとなった、この日。
 「一体ネリエルとリレッタ、何処で道草食ってんのかしら」
 「落ち合う予定日からもう二十日経ってもうたなぁ。あの二人やから、くたばったとは思われへん」
 「くだばってもらっちゃ困るわ…あいつに一体どれだけツケてると思ってるの?」
砂にまみれた広場を胡散臭そうに眺め、アーティは溜息を吐く。
その隣でぐでっとするカリアスは、隣に置かれた箱…正確には、その中に入っているトロフィーを眺める。
 「…なんていうか、やっぱ雑魚ばっかやったなぁ」
 「歴戦の冒険者はみんな東のブリッジヘッドや北のブレンティルで活動してるもの」
 「アーティはん、もーちょい手加減してくれたら良かったんやないですか」
 「あんたになんで手加減するわけ。今日の晩メシもかかってたし」
 「…………」
武道会は、やっぱりというかアーティ・カリアスの二人で上位を独占してしまった。
カリアスは敵の技量を見極めるために手加減をして戦っていたが、アーティが問答無用に敵(及び闘技場)を破壊してしまったため、武道会そのものが中断したという事件も2,3度あったという。
広場の反対側、オアシス脇にちょこんと座るルフィエを見やり、カリアスは目を細める。
 「元気ないな、ルフィエはん」
 「その内自分で割り切るでしょ…ほら、さっさと晩メシ食べに行くわよ」
 「え、ほんまにオレが奢るんかいな。優勝賞金たんまりあるやないですか」
 「あんなもの、もうスッたわよ」
 「………ええ加減ギャンブルあかんで」
 「うるさい。さっさと行くわよ」
日も既に傾いたアリアンの中、アーティはすっくと立ち上がる。
溜息を吐いて、カリアスもよいしょと立ち上がった。
が。

138白猫:2008/01/23(水) 20:55:45 ID:y8XNfWoQ0

 「…………カリアス」
 「『 ヘイスト 』」
アーティが促し、カリアスが呟いた瞬間。
アーティとカリアスの後背に、白く煌めく翼が出現する。
それを見もせずに、アーティはベンチに立てかけてあった槍を掴む。
 「『 ファイアー・アンド 』」
アーティが呟いた途端、その柄に黄金色の炎が宿る。
 「『 アイス 』」
次に刃の部分に青色の炎が宿る。
ここまでだと、単なるランサーの魔術[ファイアー・アンド・アイス]と変わらない。
が。
 「『 アンド…ライトニング 』」
瞬間、
アーティを中心に、蒼い稲妻が辺りに迸り、その稲妻はアーティの身体を覆うように帯電してゆく。
これが、アーティ特有の三大属性付加能力…[ファイアー・アンド・アイス・アンド・ライトニング]、通称FIL。
両端に炎と氷の力を宿し、さらに槍を媒体に強力な稲妻を召還する力である。
その唐突な力の発現に、広場にいた冒険者、住民たちが慌てて彼女を指す。
が、それには彼女は取り合わない。
 「市街を破壊せんといて下さい」
 「わーってるわよ」
カリアスの皮肉にはしっかり答え、アーティは槍を振るう。

   ――ドォオオドォオオオオンッッ!!!

アリアン広場の背後、巨大な外壁が突如爆砕される。
悲鳴の上がる住民たちの中、アーティは鋭く息を吸う。
巻き上がる砂埃の中、アーティの声が響き渡った。

 「――敵襲よ!!」






 「アーティさん!?」
 「ルフィエちゃん、伏せなッ!」
ベンチから立ち上がったルフィエは、しかしその言葉に頭を下げる。
途端、彼女の頭の上を数本の矢が通り過ぎる。
目を見開いたルフィエに、レイゼルは小さく言う。
 「襲撃みたいだな…アーティさんところまで突っ切るぞ」
 「は、はい」
不安そうな顔で頷くルフィエを見、レイゼルは苦笑する。
いじめてんじゃないんだけどなぁ、とレイゼルはルフィエの手を掴む。
 「姿勢低く。飛んできた矢とかに当たらないように」
 「は、はい」
悲鳴と爆炎の鳴り響く夜のアリアンの情景を、姿勢を低く歩きながらレイゼルは見渡す。
 (アリアン警備隊の腕もぬるくなったもんだな…ネルが見たら激昂するぞ)
 「でも、どうしてこんな日に」
 「そりゃあ、武道会後だから。年始では一番デカいイベントだし…っと」
頬を掠った矢を見、レイゼルはさらに頭を低くする。
それを見、ルフィエは目をきつく閉じる。

139白猫:2008/01/23(水) 20:56:20 ID:y8XNfWoQ0
足りない。
何かが、足りない。
以前まであったものが、ない。
 「………くん…」
 「ん?」
 「えっ」
ルフィエの呟きに、レイゼルは首を傾げる。
足りない。
"彼"が、足りない。
どんな時にも冷静であり、
どんな場合にも混乱せず、
どんな敵にも屈しない、
どんな者にも手を差し伸べ、
どんな生物にも優しい、"彼"が。
 (来て、ネルくん)
心の中で、呟く。
彼が、いない。
こんな時にこそ、必要だというのに。
こんな時にこそ、傍にいて欲しいのに。
 (そうじゃない、いつかなんて関係ない、私は――)
目を閉じる。
身体を、両腕で抱える。
震え出す身体を、必死に抱える。
 (………ネルくん…!)
 「アーティさん!」
 「ん」
外壁から突入する盗賊達と切り結ぶアーティは、その声に振り向く。
数十、数百と雪崩れ込んでくる盗賊の大半を一人で相手にしているというのに、その顔には疲労の色すら見えない。
 「非常識な奴らっすね」
 「ふん、スターヒールの奴らね。相変わらず数だけなんだから」
と、東方の夜空…旅館付近の方角。
その空に、蒼く光る、巨大な龍が立ち上がる。
その打ち上がった蒼い龍を見、レイゼルは目を細める。
 「ドラゴン…ツイスター?」
 「みたい、ね」
その龍を細目で眺め、アーティは再び槍を振るう。







アリアン東部、東門脇。
そこに、小さな二つの陰があった。
 「あなたは此処に」
 「でも、…貴方も、お怪我を」
少し高い声に、少女のような高い声が反論する。
が、最初の声は首を振り、兜のようなものを被る。
 「……どうしても、行くのですか」
 「皆が、戦っている」
 「…………私は、また、待っているだけ、ですか」
 「…必ず、生きて戻る。それに、誰も殺さない」
 「………………はい、フェンリルさま」
 「…やめて下さい。あなたには、その名で呼ばれたくない」
しばらく会話が続いた後、バチンという音と共に、深紅の閃光が立ち上がる。
その閃光の中心、蒼い兜を被り、紅い衣を纏う陰…フェンリルは、アリアンの中心部へと飛ぶ。
機械仕掛けの右腕が、その光の中で奇妙にうねる。
 「我が禍々しき右腕よ…今、一時の力を」





アリアンの東部から立ち上がった閃光が、凄まじい速度で飛ぶ。
数秒も経たずにアリアンの内部へ突入した閃光は、
宙を舞う龍の首を、跳ね飛ばした。





 「『[エリクシル]第二段階…解放、[神卸] 』」







FIN...

140白猫:2008/01/23(水) 20:56:44 ID:y8XNfWoQ0

「今回の長さはそうでもなかったね、ネルくん」
「そーですね、嵐の前の静けさってやつですね」
やけに狭い和室、真ん中に置かれたコタツに、ルフィエはくるまる。
その隣で胡散臭そうに蜜柑の皮を剥き、ネルは溜息を吐く。
「今回もコレですか」
「いいじゃない。楽しいし」
「…………」
「いっそのこと、[ルフィエネル、主人公二人のおまけコーナー]とか作っちゃおうか」
「やです」
蜜柑を口の中に放り込み、ネルは即座に拒否する。
途端にむくれるルフィエに、ネルは溜息を吐く。
「さて、さっさとやりますよ、コメ返し」
「あ、茶柱…」
「早く!」



「んーっと、名無しさんさん? へ。
ネルくんは色々やばかったらしいです。教えてくれないですけど」
「何処がやばいんですか。別に普段と同じです」
「自覚してないところがやばいです」

「メイトリックスさん。
…僕は怖くないです。絶対怖くなフガ」
「まぁ、人は力を得ると変わってしまうものです。
次回ではネルくんも登場するみたいです。なんで名前がフェンリルなの?」
「うるさいですね」
「………」
「リレッタの怪我は大丈夫です。一応長老の施療は受けましたし」

「◇68hJrjtYさんへ。
いつも感想ありがとうございます♪ 68hさんの小説はいつ発進ですか?わくわく。どきどき。
本編はちょびちょび書いて投稿してるみたいです。最終章の執筆は終わってるんですけどね」
「ルヴィラィの本性はあんなものではありませんよ。
最も、それは此処で語ることではありませんが。

FATさんへ。
エリクシルの正確な力もまだ語れません。本編を待ってくだフガ」
「ネルくんサービス悪すぎ。ていうか邪魔。
い、色気ですか? ちょっと自信ないかも…。
でも、次回は恋愛シーン的なものがあるらしいで」「んなものあるわけないでしょうが」
「…………」




次回予告のコーナー

「…で、ここは私達の担当なわけ」
「ネルはん、ものっそ適当やなぁ」
「今度晩メシおごらせるわ。絶対。ぜっっっっっっっっっっっっったい」
「んで次回っすけど…そうっすね。



次回、夜のアリアンで乱戦が始まんねん。
足止めにてこずりながらも、アーティはんは龍を掻き消した者の元へ向かう。
やけどその力の主は、真っ直ぐルフィエはんの元へ飛ぶ。
その姿に、ルフィエはんは驚愕すんねん。
…こんなもん?」
「…その喋り方だと、どうも緊張感伝わらないわね」


第九章、その内更新です。その内。
…その内。
「いつですか、馬鹿猫」
その内です。

141718:2008/01/24(木) 13:44:46 ID:gXqJ5/rQ0
感想いただきまして、ありがとうございます。

>メイトリックス氏
単純に食べるシーンを描いてみたいという欲求から作り始めましたので、
そこは自分なりに力を入れてみました(^ω^ )

>◇68hJrjtY氏
僕は他のネトゲも遊んだことあるんですけど、RSって生産スキルとかがないから
生活感はほぼ皆無な気がして。なんで、自分なりに「食っていく」という部分を
補完してみたいというのもありました。

ちなみに、基本1話完結の短編のみの投稿を心がけているので
この話もこれで終わりです。次からは「終わり」といれるようにします(^ω^;)

142◇68hJrjtY:2008/01/24(木) 18:35:54 ID:HjxIUrvE0
>白猫さん
ルフィぽんやレイぽんたちと、ネルぽんであり(?)フェンリルという名前の彼たちがアリアンで集結しそうな勢いですね。
しかしなんだか物騒な(笑)事態になっておりますが…この窮地を救う形で彼が登場となるのかどうか。
ルヴィぽんの本性はあれだけではない。確かにそうですよね!
まだまだ、謎が謎を呼ぶぜ〜♪みたいな展開なのに勝手に妄想してはイケマセン。
ネルぽんとリレぽんを捕まえたその理由だけでなく、彼女の達成しようとしている目的とは…。そしてフェンリルという名の意味は。
色々と楽しみにしています。ぽんぽん。
そ、それと、私の小説については期待しないで下さいorz 頑張ってるには頑張ってるよ!

>718さん
こちらこそ早とちりをば。やっぱりあれで終わりで良かったと思いますヽ|´ェ`|ノ
食事風景や普段の生活風景を描写するのは意外と難しいんですよね。
普段の行動は普通だからこそ意識してませんし、それだけに捉えにくいものです。
ところで生産系スキルって確かに無いですよね〜。釣りとか料理とか裁縫とか。
RSの背景に「レッドストーン争奪戦」の歴史があるかどうかは謎ですが、もっと狩り以外の楽しみも欲しいところです。

143みやび:2008/01/25(金) 20:27:57 ID:tGMKURmA0
◇――――――――――――――――――――――――Red stone novel−Responce
 うお。さすが伸びが早いですね。

 えーと、ひとまずサイトのアップが終りましたのでお知らせに来ました。
 しんどかったです(泣)

 ちょっと息切れしてて、アップを終えたばかりでチェックが不充分なので、リンク切れ等
不備もあるかと思いますが(汗)
 ちなみにここに投稿した既存作品の再録だけで、RS以外のネタや新作はまだまだ準
備中です。
 まあ自分好みの書式で保管できるだけでも満足と言えば満足なんですが(笑)
 手元の作品が上がり次第、適当に更新してゆきます。
 とりあえずアド。
ttp://book.geocities.jp/miyabi_ft26/

 感想などはまたあらためて書きに来ます。ふぃー
Red stone novel−Responce――――――――――――――――――――――――◇

144◇68hJrjtY:2008/01/25(金) 22:18:25 ID:HjxIUrvE0
>みやびさん
みやび屋さんサイトのBBSに一番乗りしました☆-(ノ●´∀)八(∀`●)ノイエーイ
あっちにも書いてしまいましたがやっぱりHP作成のイロハ、覚えたいなあ。
と言っても置くべきコンテンツなんてまるで無いんですけどね(笑)
というかHP作成技術っていうより、みやび屋さんの場合はイラストの素敵さもあると思います。
ブラウザですが、Sleipnirでもちゃんと表示されてましたよ!

145七掬 ◆ar5t6.213M:2008/01/26(土) 01:45:22 ID:TXKpkJjQ0
感想でっす。初めての方初めまして。お久しぶりの方お久しぶりです。
前自分が現れてからの全ての方にレスを返した(つもり)のでとっても長いですが、適当に読み飛ばしてくださいw

>>前スレ548さん
 バフォメットー!!!
 私は一度も会ったことが無くて雰囲気で想像するしかないんですが、
 ハイテンションなバフォメット見てみたいです(笑
 たくさんの登場人物が出てきているのにそれぞれ個性があるのが凄いですね。
 私はたくさん登場させようとして挫折したので・・・憧れます。

>>FATさん
(門松のお話)
 すごく可愛らしいお話で目尻が下がりました。
 確かに、私たちにとってはレッドストーンのサービス停止はゲームが出来なくなるだけですが、
 ゲーム内の主人公達にしてみればそれこそ死活問題ですよね。
 今年も一年、よろしくお願いいたします。

(赤い悪魔のお話)
 前半のエルノさんが剣士さんを待っているところは本当可愛らしくて、
 あんなカリスマ性溢れる悪魔の乙女の一面が本当愛らしいです。
 後半は少し雰囲気が変わってどちらかというと可愛らしいというより綺麗な感じの文面ですね。
 悪を払う者、という言葉に胸を打たれました・・・。

(本編)
 ラ・・・ランクーイさん・・・。悲しい。悲しすぎます。
 いつもいつも、元気で明るく、ラスさんに魔法を教わってどんどん強くなってたのに・・・
 それでも、レルロンドさんにエンチャントとして新しい命を得た二人。
 決意を新たに、少し形が変わってもまた、再び『三人の』冒険が始まるのがとっても嬉しいです。
 
>>68hさん
 いつも感想ありがとうございます。
 実は『異次元に引っかかる』っていうのは、ゲーム本編でのランサーのバグり易さの比喩だったりします(汗)
 本当は火抵抗が低いとか、呪い耐性が低いとかそういう設定があったら良かったんですが・・・。
 小説を書かれるとどこかで書かれてましたよね。楽しみにお待ちしています。

>>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
 相変わらずの色っぽさ、小気味良いリズムとテンポ。
 いいですねぇ〜。
 これから本編。エディさんとトレスヴァントさんのお兄さん登場・・・。
 一体砂漠で何があったのか・・・。楽しみです。

>>前スレ571さん
 こ、これは・・・。
 奇妙な鎧を着た少女、静かな砂漠の街リンケンで起こる嵐・・・。
 ぞっとするほど引き込まれる始まり方。続き楽しみにしています。

>>21Rさん
(1000スレ目のお話)
 1000おめでとうございます。
 なんと、実話を元にしてあるんですか。
 RSしてもほとんどソロな私はギルドの温かさとか実際知らないんですが、
 ゲームとは言ってもやっているのは人間。とても情緒感溢れるお話でした・・・。

(本編)
 また、戦いが始まるのですね・・・。
 アレンさんのミルリスさんへの想い。『戦争の道具…こんな思いをアイツはしなくていい…俺だけで十分だ。』
 ふだん茶目っ気たっぷりな分、真剣な場面になるとその人間性が際立つ。なんと格好良い・・・。
 魔法の表現も相変わらず洗練されていて美しかったです。
 『北風』ギルドに吹き込む嵐。再び始まったアレンさんの命の物語。続き楽しみにしています。

 『act28 白の季節』も見させていただきました。スペシャルサンクスに加えていただき本当にありがとうございます(感涙)

146七掬 ◆ar5t6.213M:2008/01/26(土) 01:46:00 ID:TXKpkJjQ0
>>之神さん
(クリスマスのお話)
 サンタコスのミカさん・・・・それに恐らくサンタコスのシルヴィーさん。
 徹さんが羨ましい限りです(死
 細部まで表現されていて本当に可愛らしいお話でした。

(本編)
 ライトさんの弟・・・。しかも、明るい感じのライトさんと違ってかなり冷酷な感じがしますね。
 恨みを持つ兄弟同士の闘い。肉親同士殺しあうのは凄く悲しいことですね・・・
 それにしても、ライトさんがあんなに暗い過去があったとは。今までのライトさんの明るさが逆に悲しくなってきます。
 シルヴィーさんの過去も、また辛いものですね。倒れながら涙を流している姿を思い浮かべると・・・いたたまれません。
 ナザルドさんも気になります。たくさんの人物が出てくるのに個人個人はすごく均整が取れてて素敵です。
 次回作楽しみにしています。

>>前スレ629さん
 そういえば、憎きペンデルカンプからのクエストで、花を取ってくるものがありましたね・・・。
 傷つきながらも木を守って闘う父。彼の苦しみや、息子と妻に対する愛情が、とても切なくて辛いです。
 父に代わって槍を取った息子も、亡き父を思いながら、必死で闘い続ける・・・。
 短い文章の組み合わせで、全体としても短めでとても読みやすいのに内容はすごく詰まっていて素晴らしかったです。
 またのご投下をお待ちしています。

>>キリトさん
 狼男というのは、とても悲しい存在ですよね。
 それすらも受け入れて分かり合える親友って凄く素敵だと思います。
 『おかえり』、『ただいま』って、こんな短い言葉の中に、信頼が込められているような、
 そんな素敵な二人のこれからの冒険が楽しみです。

>>みやびさん
(MIROKUのお話)
 エレノアさんのお話の裏側には、こんな不思議な物語があったのですね。
 このMIROKUが作られたのは、どうやら今私たちが生きている世界みたいですが、
 高度に機械化され、そして起きた戦争によって消滅した私たちの星。みやびさん独特の描写が光りますね。
 人間の欲望だったり愛だったり、生き様だったり死だったり。
 多くのものを見つめながら、MIROKUの少女は何を想うのでしょうか。
 最後に記された、スロムトグバイルの手記も手伝って、とても感慨が深く残る作品でした。

(呪いのNPCのお話)
 ひえええぇぇぇぇ・・・・。私は最近もっぱらソロ狩りなのですが、
 呪いのNPCらしきものを見つけてしまったら速攻でパソコンの電源ごと落としかねません(汗
 それ位見事な怪談(?)話でした・・・。
 作中のスレ住人のレス文、どこかから引っ張ってきたんじゃないかって想うくらいものすごくリアルに描かれてて
 もう本当にさすがとしか言い様がありません。

(RSカタストロフィーのお話)
 凄い・・・・。なんだか攻殻機動隊みたいな近未来のお話ですね。
 前作の槍が唸り魔法が飛び交うような、そんなファンタジーも素晴らしかったですが、
 こういうAIとかプログラムハッカーとかも、もの凄く素敵ですね。
 『彼女』に侵入したサラさんは無事逃げ切ることが出来るのか。通信が途切れた絵馬さんはどうなったのか。
 ワックワクしながら次回作を待ちます

 サイト設立おめでとうございます!小説スレで作品を探して読み返すのも中々骨ですからね。早速読ませていただきます。

>>白樺さん
 おお・・・昔見た童話のような、不思議な物語ですね。
 食人スコーピオンとかデビロン様とか、実際にあったら失神もののセミボスの隠れ里に迷い込んだ純サマナー。
 レベルアップした時に開けた小箱の中に入っていたレミネッサにデビロン様の優しさが・・・(違
 最後に本を閉じる音が入っているところが、凄く印象的な終わり方でした。

147七掬 ◆ar5t6.213M:2008/01/26(土) 01:48:10 ID:TXKpkJjQ0
>>前スレ717さん
>>前スレ718さん
 文章は短めですが、流れるような文面は非常に整っていて読みやすいですね。
 二刀流剣士さんのお仕事とその後の息抜きの対比。
 一拍緊張をおいた後に五感的に感じる文章を持ってくるところに職人を見た気がします。
 また何か書いていただけたらとっても嬉しいです。

>>スメスメさん
 フローテックさんの回顧がすごく切なくて印象的です。
 自分の老い先というか、もうすぐバインダーに安息を与える事が出来なくなってしまう慙愧の想いを、
 アレヴァールさんの持つ独特の自信に溢れる瞳が拭い去っているような、そんな気がします。
 フローテックさんが彼の瞳に見出したのは希望の光か、それとも・・・。  続きを楽しみにしています。

>>ワイトさん
 これは恐いですよねぇ・・・。
 明かりの全く無い部屋に閉じ込められた人は実際数日と持たずに精神が限界に達するそうです。
 ラータさんは明かりが無い上に自分以外の声も聞こえず、壁はおろか床の感覚も無く・・・。
 私なら数分で耐えられなくなるでしょうね・・・
 何はともあれヒースさんのお陰で脱出! この後の逆転劇に期待します!!

>>白猫さん
 二月一日に世界樹イグドラシルへと向かい、その九日後の武術大会で起こった襲撃。駆けつけたネルさん。
 ・・・は良いんですが、この九日間に何があったのか。非常に気になるところです。
 ルフィエさんやリレッタさん、ネルさんを筆頭とした心理描写や、言葉の表現、
 町や戦場などの風景描写が非常に綺麗で、細やかで、とっても素敵です。
  次回予告が気になります。龍を掻き消した者って・・・ネルさん、なのかな。
 姿に驚愕するって一体どういうことでしょう。妄想がつきません。続きを楽しみにしています。
 
>>前スレ810さん
 か、可愛らしい・・・(危険)
 剣士さんの苦悩やテイマーさんの無邪気さがとても上手く表現されていて文章もすごく綺麗ですね。
 『明日も、よい日でありますように』、ですごく上手に締めているのに、
 さらにもっと可愛らしい落ちを最後の最後に持ってくるところがすごく粋でした。
 
>>メイトリックスさん
 ニイドさんの古風な喋り方がすごく格好良いですね。
 一人称で描かれている地の文がすごく洗練されていて流麗で美しいです・・・。
 振り出しに戻ってしまったピアースさんとニイドさんの旅ですが、ここからどのような展開になるのでしょうか。
 今まですれ違っていた二人が一緒になったことによってどんな道が開けるのか。 続きを楽しみにしています。


やっと書き終えました。遅くなってごめんなさい。
やっぱり68hさんみたいにきちんとこまめにレス返しするのが一番賢いですね(汗
(落とした小説より感想の方が長いってドンダケー・・・orz)

148之神:2008/01/26(土) 17:06:09 ID:F4rLZrSo0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593
-2 >>595
-3 >>596 >>597
-4 >>601 >>602
-5 >>611 >>612
-6 >>613 >>614
2章〜ライト登場。
-1>>620 >>621
-2>>622
-○>>626
-3>>637
-4>>648
-5>>651
-6 >>681
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687
-2>>688
-3>>702
-4>>713>>714
-5>>721
-6>>787
番外クリスマス >>796>>797>>798>>799
-7>>856>>858
-8>>868>>869
番外年末旅行>>894-901
4章〜兄弟
-1>>925-926
-2>>937
-3>>954
-4>>958-959
-5>>974-975
5冊目――――――――――――――――――――◆
-6>>25
-7>>50-51-54
-8>>104-105-106

149之神:2008/01/26(土) 17:47:57 ID:F4rLZrSo0
γ

「お前、今何を・・・・・・?」ライトはブラックに問いかけた。
「注射ですよ・・・・・・・まぁどうせ戦うなら」

「面白いほうが、いいでしょう?」ブラックはニヤリと不気味に笑った。

「賭けですよ。赤い目の女の身体に劇薬が回れば最後・・・・・もっとも、刺してある針にも薬は縫ってありましたが」なおを言葉を続ける。
「この女、結局何も言いませんでしたからね。もう諦めましたので」わざとらしく両手を上げ肩をすくめる。
「愚弟とは言ったが・・・・・・もう弟でも無い位置づけだよ、俺の中では」ライトは短剣を構える。
「光栄です」

一瞬の沈黙。そしてそれを破ったのは、

「オラっ、避けて・・・・・みろっ!」ライトの短剣だった。
勢い良くブラックに吸い込まれた短剣は、ヒュー・・・・と小気味良い音を立て・・・・

当 た っ た が 、当 た ら な か っ た 。

「だよな・・・・・分身か」
「簡単にナイフ程度にやられるような育て方は、プザーシュじゃしてないよ?」
「お前、そのナイフ程度に殺されないように気をつけろよ?」と、ライトは同時に何本ものナイフを投げた。
それはまるで一本の槍のように収束したが・・・・・・
またしても当たらなかった。
・・・・・・チッ、厄介だな分身は・・・・。
ライトは投擲斧に持ち替え、ブラックを見据える。
「しまった、当たらないな・・・・・・・」ライトは帽子を被り直す。
「そりゃあ、当たらないよ。何せ分身は・・・・・ッ!」ブラックが言いかけた瞬間、斧がブラックめがけて飛んできた。
「なら、当たるまで投げればいい話か」ライトは投げた後のポーズで言葉を続ける。一言だけ。

「フィーバータイムだ」

その瞬間、ライトから斧が無数に放たれた。
キン、キン、カキン、キンキン・・・・・・・コンクリート製の壁へと斧が 刺 さ る 音が響く。
既に刺さった斧に斧が当たる音、壁が崩れる音・・・・無数の音が響き続ける中ブラックは
それをすべて受け止めていた。

「終わり?」斧の投擲が止み、最初に口を開いたのはブラックだった。
「ちっ・・・・・・・」ライトは拳を握る。
「そろそろ当ててみなよ、退屈だ」
「ハッ、お前だって避けてるだけじゃねえか」強がってみたが、実際ライトの攻撃はまだ当たっていないのも事実だった。
「じゃあ、そろそろ攻撃するよ。お言葉に甘えて」
「ナメた事言ってねえで、とっととしてみろっての」両手に斧を構えたライトは吐いた。

「ああ」
ブラックのパンチ。
「言われなくても」
蹴り。
「やるから平気ですよ」
膝蹴り。
「大体」
回し蹴り。
「途中で修行を放棄して」
パンチ。
「泥棒になった貴方が」
踵落とし。
「完成した武道家に」
パンチ。
「勝てるわけ」
パンチ。
「無いでしょう・・・・がっ!」
三連蹴り。
「どうしました」
パンチ。
「何も言えない程」
後ろ回し蹴り。
「攻撃くらってるんですか」
蹴り飛ばし・・・・ライトは飛んだ。

150之神:2008/01/26(土) 18:11:55 ID:F4rLZrSo0
γ
「くっ・・・・・・ガハッ・・・・」普通なら顔面が変形でもするような連撃を、ライトは奇跡的にも受け止めていた。
「ほう、受けて立っていられるのはすごいですね」

「これで殺すつもりだったんですけどね」ブラックは本当に悔しそうな顔をした。

「どうですか、修行の重なった蹴りや拳の味は」手をさすりながら聞くブラックに、ライトは吐き捨てる。
「まぁまぁだな、3691点くらいだ」
「何点中ですかそれは」
「教えない♪」
あくまで余裕を見せるライトに、ブラックは苛立つ。
「貴方はいつもそうやって・・・・・」
「・・・・・・・・・・。」
ヒュッ、とダートの飛ぶ音がした。
それはブラックの手に受け止められたが。
「やっぱり、受け止めたか」
「その程度は、余裕です」思いっきり話を武器で逸らされたブラックだったが、気にしなかった。

「じゃ、続きだ」
「えっ?」
見るとライトの手には大量のダートが握られていた。
指と指の間に、まるで掻ぎ爪のように。

キンキンと音が鳴り、それはブラックに吸い込まれる。
当然のようにブラックは避けるが・・・・・今回は違った。
避け先を読まれ、その場所にダートが飛ぶ。

一撃、脇腹に命中したダートは、ブラックの返り血を浴びて赤黒く光るのだった。

α
「うっ・・・・・イテテテ・・・・・」俺が起きた時には、ワケのわからん光景のオンパラダイスだった。
壁中に刺さっている斧、それは天井にも。横に倒れる少女。腹から血を出すブラック。
なんだこれは、状況が掴めねえ・・・・・!
とりあえず、ライトとブラックに声をかけるのは憚られた。こう、空気的に、なんとなくだが・・・・。
そしてナザルドという自称剣士も居ない。吹っ飛ばされたか、逃げたのか。
俺はとりあえず横の少女を起こすことにした。
「おい、起きろ・・・・おーいえーと・・・・シルヴィーさん」ゆさゆさと身体を揺らしても反応が無い。
人体の知識は無いが、死んでない事はわかる。
「おーい、こんなときに寝てると何されるかわかんねーぞー・・・・おーい?」
俺は手に笛を持っているのを思いだし、それを手に握った。軽く振りかぶり・・・・」
ゴン。
「痛いじゃないか」突然目をカッと開いたシルヴィーは、徹を見つめる。
「あ、ごめんなさい・・・起きないんで・・・・・つい」
シルヴィーの上体を抱え、見つめる俺・・・・・あー、ミカには見られたくないやこの状況。

「とりあえず」
「返してくれ、笛」

151之神:2008/01/26(土) 18:18:28 ID:F4rLZrSo0
こんにちわ。それともこんばんわですかね。
大好評絶賛激突中・・・・・!とでも言いますか。
兄弟躊躇い無くぶつかっております。スケールデカ過ぎな兄弟喧嘩。
まぁお気づきかもですが、この章はライトがメインですね。
しかし戦闘シーンは難しい(´〜`)
迫力のシーンを書いてみたいものですヽ(´ー`)ノ
そして、いつも感想ありがとうです。

152ワイト:2008/01/27(日) 01:10:00 ID:Z/wysRgM0
こんな私の小説にも、感想を述べてくれる職人様方々に感謝です!有難う御座いますっ!!
今回は小説投下には、関係の無い書き込みですが、すいません・・では|ω・*)また!

153◇68hJrjtY:2008/01/27(日) 04:35:26 ID:q5.Nxr5Q0
>七掬さん
うーん、書き手の皆様にとってみたらある程度小説がまとまった時点での感想、の方が良いのかもしれませんが(汗
というのも今後の展開とか予定しているものを感想屋が先んじて言い当ててしまったりすると
やっぱり精神衛生的に嫌だ、やる気とかダウンしちゃうって人も居るかもしれないとか色々心配しています( ´・ω・)
私なんかの先読みはだいたい当たらないことが多いのですが、ともかくそのへんは気をつけようと思っています。
既に何らかの被害(?)を受けた書き手さん、申し訳ないですorz

>之神さん
わーぉ!武道の連続攻撃って見惚れますよね〜!
私も確かに武道贔屓なところはありますが、ソロ狩りしている武道さんを影でこっそり見ていたことがありますよ(ストーカー
分身やら仰け反りやら、回避も確かにウザい!でも、それに対するライトも互角以上の戦いぶりですね。
なにやら短剣が銃弾のように見えてきましたよ。壁や床に跳ね返って当てる跳弾みたいな。
蚊帳の外な徹たち、行方不明のナザ君も気になりますが…ライトvsブラック、決着は如何に!

154ワイト:2008/01/27(日) 11:36:34 ID:Z/wysRgM0
前小説5冊目>>998⇒6冊目>>27⇒6冊目>>83⇒6冊目>>84⇒6冊目>>134⇒続き

「ふぅ・・・要するに、仕切り直しって訳か・・?危ない所だったが、まだ負けた訳じゃ無いっ!!
(ヒース・・ありがとよ!お前が居なきゃ、完全に敵に嵌められてた所だったよ・・・)」

「貴様程度の実力では、そもそもお話に成らんのだよ・・?先程の呪文を解いた事もある・・・
私の名前を此処で、明かしておこう・・・聞いた事は無いと思うが、「ヘルアサシン」」
「(何だそりゃ・・アサシン系等の敵にそんなの居たかな・・?)」
「御託は此処らで終わりだ・・!ラータ!!死ぬ前に我の名前を刻みながら死ねえぇぇっ!」

バババババシュッッ!!
先手を打ち込んだのは、ラータ!目では捉えきれない程の速度で、幾多のダートを投げるっ!!
それを余裕の表情を浮かべながら、アサシンは・・長剣を後ろに構え、勢いよく振り抜くっ!

ドンッ!!アサシンはダートの方向を見据えながら、何と「ソニックブレード」を放つ!
キンッ!カンッ!カキンッ!真空波の勢いは、瞬く間にダートを撃ち落とす・・!
「(戦士のスキルを、こうも簡単に使えるなんて一筋縄じゃ行けねぇなこれは・・)」

だが、考える間にアサシンは、ラータと接近戦を持ち込もうと瞬時に駆けて来たっ!!
ブォンッ!!サッ!アサシンの振り下ろす剣を紙一重に仰け反るが、余裕は一切無い・・!
接近戦では、まずアサシンに有利に働く・・!そう回避しながら、ラータは一気に距離を取るっ!
相手も、それに気付いたのか否や後退しながら、またもや対峙する様に距離を置く!


ドドドドッドンッ!!しかし幾重にも重なった「ソニックブレード」を、アサシンは次々に放つっ!!!
辛うじて回避するのに成功している、ラータを余所にアサシンは次の手を打つ!

「ス・・ト・・・レート・・」ゾクッ・・!悪寒を感じ取ったラータは、真っ先にそれに対する為に
ソニックブレードを一旦無視し集中する・・しかし身体中には真空波に因って多少かすり傷を食らわされる。
だが、それでも・・こうしなければ次の攻撃で死んでいたかもしれなかった・・!!







「スパアアァァアイイィックッツ!!!!!!!!!!!」
ゴゴゴ・・・!地面を揺るがす一撃を・・次の瞬間!ズドドドオォォンッ!!

剣圧の嵐を起こしながら、一直線上に佇むラータ目掛けて襲いかかるっ!!!
回避する・・・!そう決めていたラータだったが、それを無視するかの勢いで、
ラータは身体中彼方此方に剣圧の嵐によって、生々しい切り傷を負わされる。
だが・・もし、この次の手に集中していなければ・・切り傷だけでは済まなかったであろう・・!

「クハッハッハッハハハッハッ!!!!痛いだろう・・?だから言ったであろう・・
貴様程度の実力ではお話には成らない・・とな!だが、後悔しても遅いぞ・・!」
「(ちくしょー・・・まさか戦士の上級スキル「ストレートスパイク」まで扱えるなんてよ・・
しかしまぁ、まともに食らえば・・簡単に五体が吹き飛んでた所だぜ・・!)」

155ワイト:2008/01/27(日) 11:44:18 ID:Z/wysRgM0
此処で一旦中断です!続きは、また次のお楽しみと言う事で・・!
また続きを考えた後に投下したいと思っています!それでは|ω・)また!

156FAT:2008/01/27(日) 19:22:19 ID:i6bpBbJo0
前作 二冊目>>798(最終回)

第二部 『水面鏡』

キャラ紹介 三冊目>>21
―田舎の朝― 三冊目1>>22、2>>25-26 
―子供と子供― 三冊目1>>28-29、2>>36、3>>40-42、4>>57-59、5>>98-99、6>>105-107
―双子と娘と― 三冊目1>>173-174、2>>183、3>>185、4>>212
―境界線― 三冊目1>>216、2>>228、3>>229、4>>269、5>>270
―エイミー=ベルツリー― 三冊目1>>294、2>>295-296
―神を冒涜したもの― 三冊目1>>367、2>>368、3>>369
―蘇憶― 五冊目1>>487-488、2>>489、3>>490、4>>497-500、5>>507-508
>>531-532、7>>550、8>>555、9>>556-557、10>>575-576
―ランクーイ― 五冊目1>>579-580、2>>587-589、3>>655-657、4>>827-829
>>908>>910-911、6>>943、7>>944-945、六冊目8>>19-21、9>>57-58、10>>92-96


―言っとくけど、俺はつええぜぇぇぇぇ!!―

―1―

 まだ夜明け前、まだ星が見える頃、レンダルとデルタは寝ているエイミーの顔をそっと
覗き込んだ。それは死人のように青白く、寝ながらも不安げであった。あれから一週間と
ちょっと、エイミーは病人のようにベッドの上で過ごす時間が長くなっていた。目が覚め
ても立ち上がれず、毎日ジョーイが献身的に看病した。そんなジョーイの姿を見て、エイ
ミーは「ありがとう」と弱りきった声で感謝するので精一杯だった。レンダルとデルタは
そんな姿を見ているのに耐えられなくなり、二人で密かにある決意を固めた。
「エイミー、待ってろよ。必ず俺たちがラスを連れ戻してやるからな。あんな奴には負け
ねぇ」
 レンダルは寝ているエイミーの黒く、長く、美しい髪を優しく撫でた。
「そうですわ。だからお姉さま、早く良くなってくださいね」
 デルタはすっかり痩せてしまったエイミーのしなやかな手を温かく握り、少し泣いた。

 エイミーの家から出ると、六月の朝の風が肌に冷たかった。二人は朝焼けを始めた空を
背に、町の出口の一本道を歩き出した。
「よぉ、こんな時間にどこへ行くつもりだい、お嬢さんたち」
 道の脇に生えている枝を張った一本の木の陰に、ジョーイが立っていた。青い騎士は全
てを見透かしたように二人に優しく微笑みかけた。
「お前には関係ねぇよ。首を突っ込むんじゃねぇ」
 そんな優しいジョーイを突き放すような鋭いレンダルの眼光。慌ててデルタがフォロー
する。
「お姉さま、ジョーイさんにそんな言い方があって? ごめんなさい、ジョーイさん。で
も、でもね、ジョーイさんにはエイミーお姉さまの傍に居てあげてほしいんです」
 デルタの大きくて丸い目。その可愛らしい瞳が真剣に訴える。
「お姉さまが今、必要としているのはジョーイさんとラスちゃんなんです。だから、私た
ちがラスちゃんを連れて戻ってくるまで、そのときまでどうか、どうかお姉さまの力にな
ってあげてください」
 泣きそうになるデルタを、レンダルはぶっきら棒な優しさの手で包み込む。
「そういうこった。悔しいけど、あいつが求めてるのは俺たちじゃねぇ、お前なんだよ、
ジョーイ。だから大人しくエイミーを看病してな。言っとっけど、エイミーをどうにかし
やがったら、俺はお前を許さねぇからな!」
 レンダルのキツさはエイミーを思うがゆえのものであった。ジョーイは二人の熱意に負
け、くるりと向きを変えて家に帰っていった。途中、一度振り返り、「頼むぞ」と手を挙げ
た。二人は力強く頷くと、町を出た。

157FAT:2008/01/27(日) 21:04:15 ID:i6bpBbJo0
>>68hさん
いつも感想ありがとうございます。
本来ならば、人は死んだら終わりな気がしますが、死すらも次に繋がっていける
という点で、異世界小説は素晴らしいなと思いました。
現実でも故人から学べることはたくさんありますが、持っていた力を丸々引き継ぐ
なんてことできませんものね。

>>みやびさん
おお、サイト開設おめでとうございます。早速お邪魔させていただきますね。
私はブランクが長かったので、コンスタントに書けていると言っては嘘になって
しまいます><
今後こそはコンスタントに書きたいと思っておりますところです。

>>102さん
貢ぎたくなってしまう気持ち、わかる気が……
しかし、こんな純粋な(?)男の気持ちを踏みにじる男、実際世渡り上手
なのはこのようなちょっとずる賢い人なのですよね。

>>之神さん
もはや血が繋がっていることなど関係なしの血で血を洗うバトル。いや、血が
繋がっているからこそここまで激しく争うのですね。
私も息が詰まるような激しい戦闘シーンを書いてみたいです。
そんな私の戦闘シーンの先生は(勝手に)白猫先生です。

>>108さん
感想ありがとうございます。
ランクーイの想い、無事に伝わってよかった、嬉しいです。

>>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
ミリアょぅι゛ょ化の話、大変面白く読ませていただきました。掌打アッパー最強
ですね。追い討ちをかけるトレスヴァントも最高です。
本編ではエルフの村が……
各々の怒りは強敵に打ち勝てるのか、続きを楽しみにお待ちしております。

>>718さん
親父の汚いながらも豪快な食事姿に思わず涎が……
この板で食欲をそそられるとは思いませんでした。しかし、本当に感動したのは
最後の括りです。冒険者にとってはこうして馴染みの店で馴染みの仲間と共に食事を
する約束さえ守ることは難しいものですものね。
またの投稿、楽しみにしております。

>>七掬さん
なんという魂の作品。女だった骸骨鎧の逃避と苦悶とそこからの解放が切なく
伝わってきました。
彼女は人間に戻れたわけでもなく、成仏できたわけでもありませんが、それでも
自分を必要としてくれている人と出会え、魂は救われたのでしょう。
感動に胸が熱いです。

>>スメスメさん
私も昔「バインダー」クエの話を書いたことがあるのですが、いやぁ、ここまで
掘り下げられなかったです。「ある組織」とはなにか、気になります。
スメスメさんの描く「バインダー」クエ、楽しみに待っております。

>>メイトリックスさん
深いですね。二人のやりとりが手に取るようにわかるほど詳細な描写と、一人称
によるピアースの心情描写が完璧に混ざり合い、物語の深みを増していると思います。
同じ題材で書いたとしても、ここまで人を引き付ける文を書くことは出来ないと感じました。
互いに別々の見方で相手を見ていたわけですが、ようやく理解できたのですね。
二人を待つものは何か、続きを楽しみにお待ちしております。

>>ワイトさん
素早さが売りのアサシンに戦士の豪快さが合わさった「ヘルアサシン」
なんとも反則級の強さですね。
しかも呪術(?)まで使えるとなっては手も足も出ないですね……
いや、私はきっとヒースがなんとかしてくれると信じております!

>>白猫さん
なっ、なにがどうなっているのでしょうか?
ネル=フェンリルならば、ネルを「フェンリル」と言った声の主はリレッタ?
なぜリレッタはネルを「フェンリル」と呼ぶのでしょう。というかフェンリル
とは一体……?
アリアン襲撃はなにか意図されているものが?ドラゴンツイスターを放った主は?
?ばっかりな感想になってしまいましたが、FILカッコいいですね、ぜひ知識ランサー
用に実装してほしいスキルです。
次回の恋愛シーン、期待してますね、ルフィエさんb

158◇68hJrjtY:2008/01/28(月) 00:21:54 ID:Z72vxUWQ0
>ワイトさん
敵さんの特技ってカッコイイ名前の多いですよね〜。あんまり知られていないだけに惜しい。
できることなら発動時に技名表示とかやって欲しいです(笑)
しかし、ワイトさんは実に効果音の使い方が激しくて戦闘の臨場感が増しますね!
想像が容易くなってこちらも嬉しいですよヽ|・∀・|ノ
予想以上に強い自称「ヘルアサシン」…ラータとヒースは太刀打ちできるのか。続きお待ちしてますね。

>FATさん
待ってました、エイミー編!
それでもエイミー編もラス編との繋がりを匂わせてレンダルとデルタの出奔となりましたね。
エイミーの容態も心配ですし、レンダル&デルタの旅もラスと出会えるのか…。どっちのコンビの展開もワクワクです。
レンダルの男言葉やデルタの可愛い子っぷりも久しぶりで和みました(*´д`*)
しかしタイトルが戦闘シーン突入っぽくてなんだか良いです(笑)
個人的にはジョーイとエイミーの二人にはホニャララになって欲しいとか妄想してますが、さてさてどうなることやら(おばちゃん風に
続きお待ちしてますよ!

159名無しさん:2008/01/28(月) 10:08:55 ID:gXqJ5/rQ0
>白猫氏

フェンリルは果たして、ネリエル氏なのでしょうか、それとも第二のエリクシルの保持者なのでしょうか。
地雷のように大量に設置された複線がどのように回収されていくのか、謎が集束していく瞬間が
待ち遠しいです。頑張ってください。

>之神氏

ブラックのコンボタイムの流れが凄くいいですね。思考とは切り離されたところで的確に体が
動き、相手にダメージを与えていく。達人の動きが見事に描写されていると思います。

>ワイト氏

ワイト氏の文体は効果音を多様していることと、文体に意図的に勢いをつけるからでしょうか、
一文一文ごとに挿絵が浮かんできてまるでマンガを読んでいるような錯覚を受けます。
今回の戦闘シーン、今までの中でもかなりの迫力を受けました。

>FAT氏

ついにラス側とのクロスポイントが見え隠れし始めましたね。どのように2人がラスと
邂逅するのか、急かしてはいけないと分かっていても気になります。

160718:2008/01/28(月) 10:42:48 ID:gXqJ5/rQ0
・・・こらまた、妙なやつがやってきたなぁ・・・

初めてそいつらを見た感想は、まあこの一言に尽きるな。
歴史ある古都で、鉄工所勤めなんぞしてれば武具の修理を求める
冒険者がひっきりなしに駆け込んでくる。だから、今まで随分と
いろんな人種を見てきたが、そいつの風貌はあからさまに妙だったな。

ダブッダブの服着て、鉄仮面かぶって、頭のテッペンから火ぃ噴いてよ。
背中には破戒僧どもが使いそうなドでかいハンマー背負ってよ。
オマケにお供が、どこから拾ってきたんだか、カタカタカタカタ顎骨
震わせてる骸骨剣士ときたもんだ。

さすがの俺もギョッとしたよ。でも、ここを訪れるってことは相手は
大事なお客様だ。粗相があっちゃいけねぇと思ってよ、まあいつも通り
「いらっしゃい、修理をご希望で?それとも武具のオーダーメイドですか?」
なんて聞いてみたんよ。そしたら奴さん、何て言ったと思う?

『すみません、一月でいいんです。僕をここで雇ってもらえませんか』

あんまりにもボソボソしゃべるもんだからさ、俺聞き間違えたのかと思ってよ。
「え?」って聞き返したらさ、そいつ、『待った』とばかりに手を前に突き出して

『分かってます。僕の腕を見て、それで決めてください』

なんて言ってさ、骸骨と揃って準備運動なんか始めやがってよ。大体骸骨だぞ?
骨ばかりのテメエの体のどこに準備運動が必要なんだって思ったりしたけどよ。
なんかそうこうしてるうちに『これ借りますね』っつって打ち直すつもりだった
クレイモアと金敷引っ張り出してよ。俺ボーッとそれ見てたんよ。かなり
アホ面だったろうなぁ、そん時の俺。

でも、ここからが見ものだった。

大振りのクレイモアを骸骨が担いで、奴さんの頭の炎に突っ込むとよ、あっという間に
刃が赤を通りこして、真っ白に光りだしてな、それを見計らって骸骨が金敷に剣を置く。
そしたら奴さん、背中のハンマーで思いっきり刃を打ち始めたんだ。で、熱が逃げてきたら
また直ぐ頭の炎で焼きなおす。これの繰り返しよ。でも動きがやたら洗練されてんだ。
全く無駄がねぇしよ、「あー、こいつらきっとコレで生計立ててきたんだな」って。

打ち直されたクレイモアは、そりゃあ見事なもんだったさ。キレーに波紋が入っててな。
まるで鏡みてーな、本当に綺麗な刃だった。
俺が剣に魅入ってると、そいつがジーッと俺を見つめてくるのよ。

『どうですか?雇ってもらえますか?』

ってな。
俺ら職人の世界は腕と気質次第だ。もちろん即、採用よ。
その瞬間の、骸骨と手を取り合って喜ぶ奴さんの姿は忘れられねぇぜ。
骸骨なんかケタケタ笑いながら無骨なスキップ踏んでよ。や、骨だから
無骨ってのは違うか。まあ、あれだ。見たら一生忘れねえよ、ありゃ。

そいつらはきっちり一月働いて、一月分の手間賃を渡したら出て行っちまったよ。
しばらく奥地に行くから、旅費が必要だったんだそうだ。俺には分かんねぇけどよ、
大事な使命のためなんだとよ。

・・・さて、休憩は終わりだ。そのクレイモアをしまって来な。今日中にあと20本の剣と
槍の修理を終えなきゃならねえんだからよ、キリキリ巻いていくぞー。

おわり

161718:2008/01/28(月) 10:43:16 ID:gXqJ5/rQ0
ネクロマンサーがどうやって旅費を稼いでいるのかを、一月雇った雇い主側の
視点で描いてみました。

実際のゲームみたいに露店する人ばかりじゃなくて、こういう風に旅先で
働くことで賃金を得るやつもいていいんじゃないかなーと(^ω^ )

>◇68hJrjtY氏

本当に生活の描写というのはよく分からないですね。その描写の中で
人物が何を思っているか、感じているかが行動ににじみ出ているような
描写をしてみたいとは思うのですが・・・

>FAT氏

ヨダレを誘えたようで大満足です(^ω^ )

冒険者にとって、日常の些細な約束を守ることが生還することとほぼ同列である
こと、飯を食い酒を飲むだけのことがこの上ない喜びだということを、
どうすればそれと描かずとも伝わるかということは意識していました。
稚拙な文体でもそれを感じとっていただけたなら幸いです。

162ワイト:2008/01/28(月) 19:04:52 ID:K6NYKD9I0
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「(ちくしょー・・・まさか戦士の上級スキル「ストレートスパイク」まで扱えるなんてよ・・
しかしまぁ、まともに食らってりゃぁ・・簡単に五体が吹き飛んでた所だぜ・・・!)」
「まだまだいくぞっ!!!!!」ダンッッ!!アサシンが動く!

敵はこれ見よがしと瞬く間に間合いに入り接近制を挑んでくる・・!そして、
よろめいている俺に、息を付く暇を与えない・・怒涛の攻めが襲いかかるっ!!
キイィンッ!ガキンッ!!ガキイィン!!!!
「(片腕だけじゃ・・きつい!何時かやられちまう・・・!)」
「考えてる暇があるか!?こ・れ・で・も・食らえっ!!」


ビュアッ!!!打ち下ろし!水平振り回し!!強突き!!!を一度に放つ!
ガキッ!!キィンッ!!・・・ブシュッ!防ぎきれない・・!

「クックックッククッ!3発中、2発は防いだようだがぁ・・
惜しいねぇ・・!後一発が命中したか、フッ・・ハハハッ!」
高笑いしている隙に、また距離を取る!!だが今の攻撃は紛れもない
「ハリケーンショック」そのもの!アサシンの表情からは笑みが零れている・・!

「(やっべぇなぁ・・・隙ってもんが見当たらねぇ!!でも策は、まだあるけどな!)」
トプンッ・・・・アサシンの眼の前から、ラータの姿形が、瞬く間に消え去る!!
「馬鹿が!!何をするかは大よそ察しが付くんだよおぉぉっ!!!!」
アサシンが雄叫びを上げるかの様にラータの一歩先の手を読んでいたっ!

「貴様は・・我の影に潜んでいるんだろう・・・?其処から油断を突こうとしても、無駄だっ!!!
これが貴様の最後に成るかと思うと・・笑いが止まらんわ!!終わりにしてやる・・!」
ドスッッ!!!!(ヒュッ!)真っ直ぐにアサシンは、自身から出来ている影を勢い良く刺すっ!
シーン・・・・?悲鳴が辺り一帯に轟くかと思いきや・・・何の反応も無いっ!!(ドシュッッ!!)


「小賢しい・・!だが、何れは姿を現す他に手は無い!!我に隙など無いぞ!」
「いや?もうてめぇは油断してるよ!自分の実力を過信し過ぎたな・・」
意味有り気な発言をしながら、ラータは姿を現し始めたっ!!

「其処かっ!何をするかと思ったが・・!特に何もせずに出てくるとはな!!」
「だぁから〜もう詰んでるぜ?自分の身体を、よぉく調べてみれば?」
「はっ!!?何を・・!ゲボッ・・グファ!」ブシュッッ!ドクドクドク・・・
アサシンの口から突然、留めなく夥しい程の血が流れて出している!!
そして、自分の身体を見渡すと、心臓付近にダートが深く突き刺さっているではないか!?

「そんな・・どう・・・な・・っている?」途切れ途切れに話すアサシン・・!
「影なんて・・潜り込んだのは最初から自分の影だよ!!そんで、隙を伺ってた訳だが、
その定位置から・・てめぇが自分の影を高らかに刺した所にダートを放っただけさ・・!
それ以外に隙は見当たらなかったしな・・・勝利宣言はちと早すぎたんじゃないか??」

「うぐぐ・・・こうも簡単に・・・我が敗れたという・・のか・・・・・迂闊だった!
だが・・終わらんぞ!!我が死に逝く時は!貴様も、道連れだぁぁぁ・・あぁ・・・ぐあっふぁっ!!」
「ヘルアサシンとやらの最後か!危なかったな・・俺も後少しで死ぬかと思った・・・
(道連れっても・・死んじゃったら意味がねぇぞ?)まぁ何にしても、これで終わりだ!」

163ワイト:2008/01/28(月) 19:59:17 ID:K6NYKD9I0
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「(道連れっても・・死んじゃったら意味がねぇぞ?)まぁ何にしても、これで終わりだ!」
「おーい!!ヒース!そろそろ隠れて無いで、出てこおぉぉい!!!!」
コソコソ・・・敵はもう居ないか、周りをキョロキョロと確認しながら、慎重にヒースが出てきた・・!

「もう・・あのアサシンは倒しました・・・?」
「まー・・・何とかな!最後に言い残した事は気に成るけどな・・?
それよりも、ヒース!すまねぇが、そろそろ回復を頼む!流石にやべぇ・・!」
「はい!わかりま・・し!?」
「ど・・どうしたんだ??ヒース・・・?」


「ラ・・・ラータ!め・・目の前を、み・・見て!!」
目の前には、「ヘルアサシン」の死体以外には特には見当たらない・・!
だが、その死体からは大量の血液が溢れながら流れて出ていた!!
そして・・・何故か、その血は死体の中心に覆いかぶさる様に凝縮されていく・・?

「何だ・・?流れ出る血が、自然と集まる訳ねぇよなぁ・・?
(もうこいつは死んでるはず・・!何がこうさせているんだ!?)」
しかし・・裏腹にどんどんとその血は凝縮し、膨大に膨れ上がっている!!

何時しか、「ヘルアサシン」の身体から、血が流れ出るのが止まると・・・
全ての血は次第に「ソニックブレード」の様な形を模しながら・・只管に
その血で出来たその刃は鋭利に形を研ぎ澄ませ、そして次第に大きくなっていく・・・!!!!


「もしかして・・あれって「ブラッドシェーカー」!??!?!!?」
「う・・確かにな・・・だが、ありゃぁ・・でか過ぎるにも程があるぞ!?
(恐らくだが、身体に流れる全ての血を「ブラッドシェーカー」に使ってる訳か!!!)」

どうやら完成したようだ・・!普通の「ブラッドシェーカー」とは比較するまでも無い!許容量を
超え、限界以上に凝縮された血で、もう止められない程の大きさと化していた!!!!


「逃げられねぇ・・よな?ど・・どうする!?ヒース!何か良い手は無いか!!」
ヒュウゥ〜・・・旋風がラータの近くを通り過ぎる・・!ヒースの姿はすでに無い(えぇ!?)
もう見えない程の小さい粒の様なヒースが岩陰に隠れているのを、見付ける事が出来た・・!

「(ヒース・・・せめて回復してから(T∀T)アサシンの最後の悪足掻き・・えげつねぇ!
俺一人で、これはどうにもならねぇんだけど・・誰か助けてくださいm(_ _)m)」


そして!限界を超え最大限に増幅を果たした「ブラッドシェーカー」は、ラータに目標を定め
(ヒースは逃げました)この膨大な大きさからは考えられない程の速さで、血の刃が!!ラータを襲うっ!!!!

ドビュウウゥゥンッッツ!!!!!!!!!!!!
「うわぁぁぁぁぁ!??!?ちょw頼むから待ってくれぇ!!」
恐怖から来る叫びに思わず、腰を抜かしてしまった・・これでは受け身も取れない!
と・・いうことは?どうにもならない血の真空波が、絶望を誘う様に飛んでくる!!


此処で一旦中断です!続きは前回と同じくお楽しみ・・!と言う事でお願いします!!では|ω・)また!

164白猫:2008/01/28(月) 20:15:09 ID:y8XNfWoQ0
Puppet―歌姫と絡繰人形―

第一章〜第五章及び番外編 5冊目>>992
第六章 -夜空の下で- >>30-37
第七章 -深紅の衣- >>70-81
第八章 -神卸- >>137-139
これまでの主要登場人物 >>38




第九章 チャージング



 「……な…?」
アリアンの夜空に輝く、蒼い龍。
その龍の首が、突如飛び入ってきた紅い閃光に跳ね飛ばされた。
数秒も経たない内に消滅した龍を見、アーティは瞠目する。
あの龍は、恐らくは味方の援護攻撃。
 「…カリアス」
 「あいよ。『  アイススタラグマイト 』」
瞬間、
崩壊していた城壁を塞ぐように、巨大な氷の柱が立ち上がった。
厚さは優に数メートルを超える。これでスターヒール盗賊団の侵入口は立たれた。
 (最も、マスターしてへんからさっきの爆発クラスの攻撃喰らったら割れてまうけど)
 「ナイスよ。私はあの紅いののところ行くから、お願い」
 「あいよ」
カリアスが言い終わる間もなく、アーティは凄まじい速度で走り出す。
途中、立ち塞がる破落戸共を薙ぎ払い、尚も跳ぶ。
 (あの龍の大きさはかなりデカかった…徒者じゃない術者の力のはず)
その龍を一撃で破壊する、それほどの実力者が、この街に侵入した。
 (止める…止めなければ、一般人に、被害が)
先の紅い閃光は、既に夜空のどこにも見られない。
…ということは、既に先の閃光の主は、この町のどこかに、いる。
 (…何処)
走りながら、辺りを見回す。
逃げ惑う人々、襲撃場所へ向かう冒険者たち、必死に誘導する警備兵たち。
人々に紛れているとしたら、探しようがない。
 (とにかく、今はさっきの術の発動場所へ)

と、
その脇を、凄まじい速度で、"何か"が通り過ぎた。
 「!?」
咄嗟に槍を構え、振り向く。
が、その"何か"の姿は、どこにもない。
アーティに気配を感じさせる間なく、彼女がその姿を視認する間なく、
猛烈な速度で、この膨大雑多な人の群を、簡単に縫うように走り去った。
 (………なに)
不吉な予感が胸を過ぎるが、今は考え込んでいる場合ではない。





 ([韋駄天]…もう少し、速く)
紅い衣に覆われた足に、さらに魔力が付加される。
その付加に比例するように、筋肉が強化される。
 ([神卸]で力が削がれてる…[鏡映し]は、使えないかな)
逃げ惑う住民たちに触れないよう、既のところで身をかわす。
逆足で地面を踏み込み、再び前へと跳ぶ。
と。
 (!)
目の前に、人垣ができている。
 (瓦礫が崩れて…誰か下敷きになったのか?)
が、今は"そんなもの"を見ている暇はない。
思い切り左足で踏み込み、跳ぶ。
数十人の人垣を跳び越え、再び疾走を開始する。
 (さっきアーティさんの姿が見えた)
広場に入り、冒険者達と盗賊達が交戦している間を、抜く。
 (お任せします…"黒騎士"は、貴方が倒して下さい)
そして、見えた。
氷の柱が立ち上がっている城壁前。
白装束を纏った魔術師と、槍を構えた警備兵。
そして――

165白猫:2008/01/28(月) 20:15:41 ID:y8XNfWoQ0

 「!!!」
 「!?」
突如視界いっぱいに広がった紅色に、ルフィエとレイゼルは驚愕する。
魔物か、と槍を持ち上げるレイゼルの前で、紅色のマントが翻る。
蒼い兜の下から覗く紅眼が、少しだけ細められる。
コン、とブーツが地面を叩き、その兜の主…銀髪の少年、フェンリルが降り立つ。
 「こんにちは」
 「…………」
 「…………!?」
飄々と話すその口調にルフィエは首を傾げ、レイゼルは槍を構える。
 「誰だ、お前!?」
 「誰って…ああ、なるほど」
レイゼルの言葉にポンと手を叩き、頷いた。
被っていた兜に手を掛け、クスリと笑う。
 「この姿じゃ分かりませんね、当然です」
兜を脱ぎ、ガチャンと床に落とす。
まだ幼さの残る、紅い瞳と銀色の髪を持つ、端正な顔。
見紛うことない、ネリエル=ヴァリオルド。
 「……ネル、くん…?」
 「ああ、確かにそうなのですかそうではないというか」
頭をポリポリと掻き、フェンリル…ネルは苦笑する。
その仕草は確かにネルのものだったが、だがおかしい。
絶対に、おかしかった。
彼の魔力は、"この世のものではない"。
 「…ルフィエはん、レイゼルはん。そいつ、ネルはんやないで」
 「…」
 「!」
 「…………ご明察」
そう呟き、ネルは再び兜を拾い、被る。
 「改めて名乗りましょう。私は[韋駄天]。
 ネリエル=ヴァリオルドによってこの世に舞い戻された、神です」
 「………神?」
 「神…だと?」
その言葉に目を細める二人を見、カリアスはフンと笑う。
 「えらい大仰な代名詞持っとるやんけ…[世界で最も速い神]やって?」
 「ええ、その通りです。それが、ネリエル=ヴァリオルドの能力…[神卸]」
そして、と[韋駄天]は小さく呟く。
コン、と小さく地面をブーツで叩いた瞬間、彼の兜の色が、蒼から鈍色に変化した。
途端に薄れる、先の"この世のものではない魔力"。
鈍色の兜を脱ぎ、改めて言う。
 「二十日ぶり…ですね。"こっち"が、僕です」






 「……これは…?」
ようやく人を避けつつ鍛冶屋前の広場に到着したアーティは、辺りを怪訝そうに眺める。
先まで龍が立ち上がっていた鍛冶屋前の広場。
そこで、惨状が広がっていた。
何もかも、凍り付いている。
住民たち、冒険者たち、警備兵たち、商人たち。
さらには瓦礫や、小さく燻る炎すらも、文字通り凍り付いている。
間違いない。
先の龍の術である。
しかし、何故。
 (どうして…これじゃあ、市街を攻撃してるじゃない)
 「おい、おまえ」
と、辺りを見回すアーティに、不機嫌そうな声がかけられる。
咄嗟に槍を構え、振り向いた先にいたのは、黒い兜、黒い鎧、黒マント、黒い剣を持った、黒髪、黒目の妙齢の女性。
上から下まで真っ黒、金具やマントの裏地以外、全て真っ黒というその姿に、アーティは呆ける。
 「………なに?」
 「おまえが、私の碧龍を消したのか?」
 「……碧龍? さっきのドラゴンツイスターのこと?」
ドラゴンツイスター、の言葉にフンと女性は鼻で笑う。
 「そんなチンケな槍で私の碧龍を消したのか…? スターヒールにも多少はできる者がいたということか」
その言葉に、今度はアーティが鼻で笑う。
女性の言葉の後半からして彼女は味方…なのだろう。
だが、その言葉は頭に入っていて、入っていなかった。
 「チンケな槍…とは言ってくれたわね。[レヴァンティン]って言って、大金はたいて造らせた代物なんだけどね」
 「かける金の多さとと武器の強さはイコールじゃない…おまえのその槍が良い例だ」
ビシ、とアーティの額に青筋が走る。
 「OK。今すぐその言葉を撤回して駐屯所まで同行すれば、手は出さないわ。
 従わないなら…力ずくで、謝らせる。諸々の罪で刑務所にぶち込んで上げるわ」
 「できるのか…おまえに?」
二度目の嘲笑に、しかしアーティは答えない。
手に持った槍を、目の前の女に思い切り投げつける。
それを見やり、女は目を細め、剣を抜き、切り払う。
 「…やる気か?」
 「やる気よ」
背から二本目の槍を取り出し、アーティは小さく息を吸う。
 「一撃で決めさせてもらうわ。先に言っておく。私の名はアーティ=ベネルツァー。[蒼き傭兵]アーティ」
 「……カリン。"黒騎士"、カリン」
既に臨戦態勢に入ったアーティを見、女性…カリンは小さく呟く。
右手で握られた剣を両手で掴み、カリンはゆっくりと構える。
 (私の碧龍を打ち消すほどの実力なら…長引かせるのは利口ではないな)
 (初手から来る、かな…長期戦好きじゃないし)

   ((初手からの最大術で、決める))

166白猫:2008/01/28(月) 20:16:29 ID:y8XNfWoQ0
 「バカ!!」
 「…!?」
兜を脱いだネルに、ルフィエは怒鳴りかける。
目を白黒させるネルは、頭を掻いて首を傾げた。
 「20日も何やってたんですか! ほんとに…ほんとに心配したんだから!!」
 「………えぇ、っと…?」
助けを求めるように、ネルはレイゼルへと視線を流す。
が、レイゼルは肩をすくめて、そっぽを向いている。
 「人がどれだけ心配してるかも知らないで…何が韋駄天なの!!」
ネルの紅色の衣を掴み、ルフィエは彼の胸に頭を押しつける。
その姿に少しだけ躊躇って、しかしネルはその手を握る。
 「すいません…でした」
 「バカ…だよ、ほんとに…バカ…」




 「詳しい説明は後に頼めますか…? 色々立て込んでいるので」
 「色々…?」
 「何のことや、ネルはん」
再び氷の柱を立ち上げたカリアスは、その言葉に向き直る。
少しだけ考え、ネルは頭を掻く。
 「スターヒールは囮です。本来の目的は、ルヴィラィを遺跡へと通すこと」
 「………遺跡? アリアン遺跡のこと?」
 「はい」
アリアン遺跡とは、アリアンの地下に広がる巨大な遺跡のこと。
アリアン全土だけではなく、東部の傭兵達の墓にも繋がっているほどの広大さだという。
 「なんでそんなところに、ルヴィラィが…」
 「…………[レッドストーン]、やな」
その言葉に、ネルが小さく頷く。
[レッドストーン]。
今から約五百年前、この地に零れ落ちたという石。
火の鳥の雛の卵だとか、幸運をもらたす石だとか、千軍万馬の力を与える石だとか言われているが、詳しいことは定かではない。
ただ一つ分かっているのが、その所在。
現在レッドストーンは此処、アリアンの地下遺跡の最深部に眠っている。
そのレッドストーンを、あのルヴィラィが狙っている。
 「……ちょっと待って」
顔の上半分だけを隠す、小さな兜を再び被ったネルに、ルフィエは小さく言う。
 「…アリアンの遺跡には、みんなが避難してるんだよ」
此処、アリアンは四方を砂漠に囲まれている。
万が一敵襲があった場合、町の地下に広がる、広大な地下遺跡を避難場所としているのだ。
と、いうことは。
 「…ルヴィラィが、己の計画の一部でも知った者を、生かすわけがない。
 彼女は、確実に、何もかも、殺し、壊し、…砕きます。何も、何も残らない」
 「…………っ!」
そこまで聞き、ルフィエは駆け出す。
この広場の端に、地下遺跡への入り口がある。
そこから入り、今からでも住民たちを――
 「待って」
と、その腕がネルに掴まれる。
何を、と振り向いた先、

ネルの顔が、視界一杯に広がった。

167白猫:2008/01/28(月) 20:16:56 ID:y8XNfWoQ0


 (………はれ?)
 「……君は、ここにいて下さい」
兜を深く被り直し、ネルはマントをパンパンと叩く。
ヒューウ、と口笛を吹くレイゼルに、兜越しからどギツい視線を浴びせかける。
 (今……私?)
 「君は、外見では分かりにくいとはいえリトルウィッチ。冒険者達の中に紛れ込むわけにはいかない」
 (ええっと……今、私…何を)
 「とにかく今は、カリアスさんとレイゼルと一緒に此処を守って。ルヴィラィは、僕が止める」
 (今の…今のって…キ)
 「聞いてるんですか、ルフィエ!?」
ネルの怒鳴り声で、ルフィエは我に戻る。
その胸から正八面体の宝石を取り出し、握る。
 「ん…やだ。私も行く」
 「…だから、君は――」
 「違うの」
ネルの言葉を、小さく遮る。
 「私、行かなきゃいけないの、ルヴィラィのところへ。
 私なら大丈夫、ネルくんが守ってくれるでしょ? 私は、そのことを疑ってなんかしてない」
 「…………」
 「でも、もうちょっと…キスのタイミングくらい、考えて下さい」
少しだけ頬を染め、ルフィエは左手の人差し指を唇に当てる。
やや、というかしばらくの沈黙の後、ネルは答えた。
 「……知りませんからね。僕は」
そう言い、ネルは左手でルフィエの手首を掴む。
右手をゆっくりと胸に当て、目を閉じる。
 (――[エリクシル]よ)
胸のエリクシルが、途端に光を放ち始める。
淡く、しかしはっきりと視認できるその光は、ゆっくりとネルの身体を覆う。
 (僕に、本当の力を)
途端、彼の全身を覆っているローブが、ゆっくりと変形してゆく。
彼の戦闘スタイルに最も適した鎧…"軽鎧"へ。
 (僕は、あのとき)
スマグでの戦いを、リレッタを傷付けてしまった戦いを、思い返す。
力を求め、ただ力を求め、そして力を得た、得てしまったときのことを、思い返す。
 (莫大な力を得…その力の真の意味を理解することができず、溺れた)
罪もない警備兵を、自分のせいで、死なせてしまったことを、思い返す。
その後、怒りに任せて錬金術を使い、リレッタを敵の手中に陥れてしまったことを、思い返す。
 (でも、今は違う)
目を開け、形作られていく鎧を見、ネルは空を仰ぐ。
 (大切なものを…大切な人を、護る)
自分の左手の先にある、温もり。
それを、護るために。
 (そう…"総て"を護るために、力をくれ)
知らず、口が開かれる。
そして紡がれる、"本当の力"の旋律。

   「『 エリクシル第二段階真正解放…[紫電狼-フェンリル-]、発動 』」






 「行きよったか…ちんたらしよって」
 「カリアスさん、二人だけで大丈夫なんすか」
遠ざかるネルとルフィエ、群がってくる盗賊達を交互に見、レイゼルは問う。
が、カリアスはニッと笑い、杖を軽く振るう。
途端、凄まじい烈風と共に、盗賊達が吹き飛ばされた。
 「もちやで。オレがこんなアホみたいな奴らにやられる訳ないやろ」
 「…………そっすね」
良くも悪くも、カリアスはアーティと並ぶ、ブルンの守護神である。

168白猫:2008/01/28(月) 20:17:23 ID:y8XNfWoQ0

 【ねぇ、ほんとにネルぽんほっといていいの?】
 「ええ。私の邪魔をしない限り、別に捕まえておく理由もないわ」
 【ヒヒッ。捕マエテモマタスグ逃ゲラレル。前ミタイニ。ヒヒッ】
ところがどっこい、ルヴィラィ達は既にアリアン地下遺跡の内部。
既に第二階層まで下り、辺りには人っ子一人いない。
 「仕様がないでしょう、あの場合は。まさか[イグドラシル]の第三階層から第五階層を丸ごと吹き飛ばされるとは思わなかったもの」
 【まぁ、びっくりしたよね。リレッタの神術。[ビッグバン]だっけ】
 【ヒヒッ】
カツ、カツ、カツと、ルヴィラィのヒールが床を叩く音が響く。
その音を耳に挟みながら、宙をフワフワと浮くサーレは問う。
 【でさ…結局、ネルぽんの[エリクシル]って何なの?】
 「アラスター=ヴァリオルドが創り出した、[第二のレッドストーン]よ」
 【…第二のレッドストーン?】
 【ヒ?】
首を傾げるサーレと怪訝そうな声を上げたパペットに、ルヴィラィは頷く。
 「アラスターは、持てる知識を全て、[賢者の石]に打ち込んだ。自分の魂諸共。
 奴が創り出したかったのは[神々の石]…如何なる物質も変成し、如何なる生物も創り出し、また壊す…。
 まさに"神様だけができる悦楽を人がすることのできる"石…それが神々の石」
 【それが、第二のレッドストーンで…ネルぽんの腕にある[エリクシル]?】
 「そ」
カツ、とルヴィラィは、巨大な扉の前で足を止める。
その扉をそっと指でなぞり、目を細めた。
 「離れていなさい」
 【はーい】
飛び退くサーレの気配を感じつつ、ルヴィラィは人差し指で、扉をつ、と触る。
瞬間、

凄まじい爆音が遺跡内部に響き渡り、ものすごい量の土煙が舞う。
その土煙の中、まるで何もなかったように、再びルヴィラィが歩を進め出す。
 「あの[エリクシル]はまだ未完成品…[無]から[有]を創り出すことはできない。
 息絶えた者に再び命を吹き込むこともできなければ、新たな命を創り出すこともできない、紛い物」
その後に続くサーレは、ふぅん、と目を細める。
でも、とルヴィラィは続ける。
まだこの話は推測の域を出ていない。
だが、ネルの戦闘能力と[エリクシル]の力、その二つを照らし合わせれば、それは確論となる。
 「あの[エリクシル]は徐々にその力を増している…恐らくは、宿主の魔力を借りて」
 【……どゆ意味?】
 「たぶん[エリクシル]は、構造自体はもう完成している…足りないのは、莫大な…凄まじく莫大な、魔力」
 【……つまり、あれ?】
 「そうよ。[エリクシル]は宿主が相手を裂く度に、宿主が替わる度に、膨大な魔力を吸収している」
 【……ふーん。だから、そのアラスターってのが、呪いかけたんだ】
 「[エリクシル]の完成にはまだ時間がかかる…でもね、一つだけ、その[エリクシル]を解放する方法がある」
 【………オリジナル、[レッドストーン]を】
カツ、とルヴィラィは再度立ち止まった。
既に辺りの土煙は晴れ、目の前に、"それ"があった。
赤い妖光を放つ、不気味なほど赤い、駝鳥の卵のような石。
それを見やり、ルヴィラィは今度こそ笑みを浮かべた。
 「………そう、[レッドストーン]を、[エリクシル]に斬らせるのよ」





 「…ネルくん、私」
アリアンの地下遺跡に入り、疾走を始めたネルの背中で、ルフィエは呟く。
その声色が常のものとは違うことに気付き、ネルはできるだけ語気を和らげ、問う。
 「何ですか?」
 「…………」
彼は、肩に顔を埋めるルフィエのその顔を、今まで見たことがなかった。
だが、どういう顔かは、分かっていた。
だが、どうしてそんな顔をするのか、分からなかった。
彼女の顔に浮かんでいるのは…恐怖、そして不安である。
 「…私、嫌な予感がする」
 「嫌な、予感?」
 「…………」
鸚鵡返しに言うネルに、しかしルフィエは答えない。
"あのとき"と、同じだ。
 (嫌だよ…今度は、ネルくん…そんなの、そんなの…)
"あのとき"のモヤモヤと、この感覚は同じ。
一ヶ月と少し前、古都で会ったリトルウィッチの言葉を、思い出す。

 [私達リトルウィッチには、誰にも力がある。人ならざる力…。
 私の力、読心であったり、おまえの力…[予見]であったりする]

 ([予見]…未来を見ることのできる、力)
自分には、見える。
"近い未来"が。
しかし、そんな。
そんなことが、起こるわけがない。
 (……この先に行ったら、きっと)
そんな彼女の心境など理解する間もなく、ネルは階段を跳び下りる。
 (…………

   ネルくんに、とても嫌なことが起きる気がする)

169白猫:2008/01/28(月) 20:18:09 ID:y8XNfWoQ0


 「――――」
 「――――」
アリアン、鍛冶屋前広場。
辺りの景観が完全に凍り付いたこの広場で、ただ二人凍り付いていない二人が、武器を構え合う。
一方は槍。
一方は剣。
アーティとカリン。二人とも、全く動こうとしない。
否、
動けなかった。
 (――この術は、連撃は不可能…迂闊に仕掛ければ逆を返される)
 (さて…さっきのツイスターより大きいのが来るわね…どう、仕掛ける)
両者共に、仕掛けるタイミングを計りかねている。
迂闊に仕掛ければ、反撃の術に巻き込まれる可能性がある。
故、共に仕掛けることができない。
と。
 (………む)
 (お)
両者の間に、小さな紙が舞い込む。
武道会の宣伝がでかでかと書かれた紙は、ゆらゆらと揺れ、ゆっくりと落ちてゆく。
 (ラッキーラッキー…丁度いい、これが落ちた瞬間――)
その紙が、
突如黒く塗り潰され――違った。
 「!!?」
 「魔創残龍剣四十四乃巻、『 ――黒龍剣!! 』」
その紙が、真っ黒の龍に喰らわれたのだ。
身の丈数メートルはあろう、龍の頭だけがカリンの剣から生み出される。
 「――っちぃ!」
咄嗟に槍を旋回させ、両手で柄を握る。
途端に、その槍が、蒼色の稲妻で覆われた。
 「"チャージ"を見せれないのは残念だけど――『 マルチプルツイスター! 』」
瞬間、
アーティが突如6人に分身、その全員が槍を旋回させ、突撃してくる。
が。
その全員が全員とも、黒い龍に食われ、裂かれ、呑み込まれる。
 (ちっ…やっぱりチャージング無しだとキツいわね、なら)
その分身の中、龍の頭を跳び越えていたアーティが、空中で槍を鋭く構える。
その構えは、投擲。
 「…ライトニングチャージング、『 ジャベリン 』」
瞬間、アーティの槍の先端に、凄まじい量の稲妻が凝縮される。
その下方では、龍が方向転換をし、自分を喰らおうと上昇してくる。
 (二度が限界かしら…まぁいいわ)
 「『 ジャベリン 』」
今度は柄に稲妻が凝縮される。既に槍の半分が、蒼い稲妻で覆われていた。
まだ、龍と自分の間には少しの距離がある。
もう一度、言う。
 「『 ジャベリン 』」
さらに今度は、残った柄に凄まじい量の稲妻が凝縮される。
それを肩で構え、アーティは不敵な笑みを浮かべた。
と、その目の前で、黒龍が巨大な口を開ける。
 「『 ――ジャベリン 』」

170白猫:2008/01/28(月) 20:18:37 ID:y8XNfWoQ0
瞬間、
今まさにアーティを喰らおうとしていた黒龍が、蒼い稲妻によって消し飛ばされた。
それでも尚、放たれた槍の速度は衰えない。
広場に向かって凄まじい速度で迸り、その中央に立つ、カリンへと飛ぶ。
 (当たれ――――!!)
が。
カリンは両の手で握った真っ黒の剣をゆっくりと構え、迸ってくる槍を見据える。
そして、一閃。
黒い剣から迸ったドス黒い靄が、アーティの槍の紫電を呑み込み、剣が槍を弾き飛ばした。
 「――二十三乃巻、『 宴影剣 』」
 (――ちっ)
巨大な黒龍に視界を阻まれ、大雑把な狙いしか取れなかったことをアーティは後悔する。
二度の[チャージング]ならば、恐らく的確にカリンの死角へ槍を投擲できたであろう。
だが、あの黒龍の圧力(プレッシャー)から、アーティは返ってさらにもう一度チャージングを行ってしまった。
アーティの最大にして最強術、[ライトニング・ジャベリン]。
持った槍に凄まじい量の稲妻を帯電させ、投擲する彼女のオリジナル術。
一度のチャージングならば、威力は[FIL]と変わらない。
が、そのチャージングを二度、三度行うことで、彼女の術の威力は二倍にも、三倍にも、十倍にも膨れ上がった。
逆に、チャージングを行えば行うほど的確な狙いが定めづらくなり、疲労も行った分だけ襲ってくる。
実質、彼女はこのチャージングを、最高で[五回]までしか行ったことがない。
その五回目のチャージングの時は、一撃で古城を撃ち抜き消し飛ばし、彼女はその反動でぶっ倒れた(もちろん古城の弁償料の請求はしっかり来た)。
精々戦闘で使えるのは四回のチャージングまでである。
 (三度のチャージングのジャベリンを楽々と切り払われたか…マックスじゃないと無理かなぁ)
地面に降り立ち、アーティは過去のことを思い出してげんなりする。
町中で放てば、無論この辺りは吹き飛び…凍り付いている住民達の命は無い。
それどころか、地下の遺跡にまで影響が及び、倒壊するかもしれない。
いくら彼女でも、数百、数千、あるいは数万の命がかかるかもしれない賭けなどできない。
 (ま、大丈夫よね)
わけではなかった。
魔力で一本の槍を精製し、それを両手で掴む。
目の前に立っているカリンにそれを構え、小さく呟く。
 「『 ――ジャベリン 』」

 (……〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!)
カリンは内心、かなり痛がっていた。
それもそうである。いくら術を帯びた剣で切り払ったとはいえ、相手は凄まじい量の稲妻を帯電した槍。
それを切り払いもすれば、その手に凄まじい量の電流が流れ込む。
 (無茶苦茶馬鹿みたいな術を使いおって…こんな奴初めて――)
 「『 ジャベリン 』」
 「!!!」
気付けば、アーティが三本目の槍に、先と同じ稲妻を帯電させている。
その輝きは既に先と同程度…いや、それ以上か――?
 「…四度目の、『 ジャベリン! 』」
瞬間、
アーティの両手の槍が、変形する。
先が三つに分かれた、より強力な投擲槍。
 (空気抵抗など関係ないということか…[コルセスカ])
 (ちょっとヤバ…意識遠のいてきたかも)
両手でコルセスカを必死に握りしめ、アーティは再度、息を吸う。
 「『 ――ジャベリン!! 』」

   バチン

 「…………」
 「…………」
槍が、消えた。
稲妻諸共、槍が消えた。
 「…………魔力切れ?」
 「あはは、そーみたい」
あまりのあっけなさに、カリンは持っていた剣を取り落とす。
 「ごめん、ちょっとタイム」
 「…勝手にしろ」




FIN...

171白猫:2008/01/28(月) 20:19:06 ID:y8XNfWoQ0


[ルフィエネル主人公二人のおまけコーナー1]

 「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
 「第一回から何みっともない顔晒してんですかルフィエ」
赤面でコタツの周りをピョンピョンカンガルーのように跳ね回るルフィエを見、ネルは溜息を吐く。
蜜柑の皮を剥いて口の中に放り込み、ネルは頭を下げる。
 「どうも皆様、ネリエル=ヴァリオルドです。
 今回から作者白猫もとい馬鹿猫の身勝手な提案により、このおまけコーナーができることとなりました。
 実は本編も四度書き直してるんですね。アーティさんと黒騎士の戦いを先に延ばすか延ばさないかで一悶着。
 さらに僕が敵になったりならなかったり、ルゼル様が出てきたり訳の分からなくなったので書き換えたそうです」
 「え、ちょっちょちょちょちょちょも一回この第九章見直していい?」
 「五月蝿いですよルフィエ。
 さて今回は僕、ネリエルもといフェンリルの新しい力を少しだけお見せしました。
 [神卸]。まぁ簡単に言えば、今まで逢った者の魂を卸し、一時的のその力を得る術ですね」
 「なななんなんか真ん中らへんですごおおおいことネルくんがした気がするんだけど!」
 「黙って下さいルフィエ。
 さて、早速コメ返し、いってみましょう」


 「◇68hJrjtYさん。
 いつもコメントありがとうございます。白猫も喜んでます。
 謎の多い小説なわけです。固有名詞も多いわけです。今回はそれの典型的な形ですね。
 アリアンで一体何が起こるのかは次回に持ち越しです。メッ、ですよ?
 [フェンリル]は僕の術の名です。[紫電狼]と言われるとアーティさんと僕の合体みたいになってしまいますが違います。
 最も、元々の僕の異名も[影狼]なので、それが[フェンリル]に変わってだけというやつですか。
 僕とリレッタに関することは、恐らく少し先のことになるでしょう。
 七掬さん。
 初コメでしょうか。ありがとうございます。
 空白の九日間についてはじきに語られるでしょう。
 本当は次回に書く予定ですが、執筆が間に合わないかもしれません。
 あの龍は明らかに市街を破壊していたので…少しひねる必要がありましたので。
 ルフィエ…そういえば、なんであの時僕に驚いたんですか? 確かに格好は変だったけど」
 「へ? あ、えっと…ネルくんの魔力が、人というより魔力に近いものだったから…ちょっと信じられなくて」
 「だ、そうです。

 FATさん――」
 「あ、ちょっと待って。私やりたい」
 「……は?」
 「ええっと。
 FATさん、コメントありがとうございます♪
 本当はくどい恋愛描写してたそうですが、思い切って削いだそうです。
 私はくどい方が好きだったけど…ごにょごにょ。
 FILは白猫もずっと使いたかった描写だそうです。今回のチャージングもそうだったらしいです。
 あ、でも最初はリレッタちゃんの技だったらしいけど。

 名無しさん様。
 第二のエリクシル保持者…って、いるの? ネルくん」
 「さあ、どうでしょう。[エリクシル]は僕より長老やルヴィラィの方が詳しいですし…。
 曾祖父と同じほどの権威の術者は多かったようですし、第二、第三のエリクシルがあっても不思議じゃないでしょうね」
 「地雷のような伏線…確かに多いよね。固有名詞並だよ」
 「はっきり言って迷惑です。邪魔です伏線」
 「…はっきり言い過ぎ」



次回予告のこーなー
 【サーレちゃん次回予告でびゅー♪】
 「……はぁ、なんで私が…」
 【リレッタくらーい。もっとテンションアップアップ♪】
 「そのテンションの意味が分かりません…。


 ええっと、次回。…ナレーション風に言った方がいいのかな。
 ネリエルとシャーレーンがいよいよ正面衝突。
 遺跡全体を揺るがしかねないその衝撃に、アリアン全体の地盤が崩れ始める。
 その中でとうとう対峙した、ルフィエとルヴィラィ。
 ルヴィラィの素顔にルフィエは驚愕し、しかし彼女は杖を構える。
 そして紡がれる、新たな旋律…[幻想曲]。

 ――ふう、こんなものかな」
 【あは、リレッタうまーい】
 「…あなたなんにもしてないです」


今回はこの辺で。
誤字脱字修正・加筆を行おうと思いましたが、途中で諦めました(オイ
アリアン編が終わったらしばらく沈黙するでしょうか。
とりあえずこの緊迫した状況をちゃいちゃいと書こうと思います(意味不
では次回第十章、次回もやっぱりその内更新です。

172 ◆21RFz91GTE:2008/01/29(火) 12:21:22 ID:hnbHyKHE0
////********************************************************************************////
  ■◆21RFz91GTE:まとめサイト(だるま落し禁止)
  ■ttp://bokunatu.fc2web.com/trianglelife/sotn/main.html
  ■Act.1 アレン・ケイレンバック >>44-45
  ■Act.2 少女 3 >>65-67
  ■Act.3 少女 4 >>87-90
////********************************************************************************////

 Snow of the Northwind-最終章-

 The last World/It Little story…。

173 ◆21RFz91GTE:2008/01/29(火) 12:21:43 ID:hnbHyKHE0
Act.4 レスキュー?



 「キメラに禁忌も何も無いさ、それに失われた術法だ。この世に我を咎める者などおらん。禁忌と言うのであれば我その者だ。」
「いや、まぁそれはそうだけど。」
二年間の空白を埋めるために資料質に篭りっぱなしになっていたアレンの元にアデルがやって来ていた。少しでもと思い知識の少量を与えようというのだった。だがそれは禁忌から始まりロストミスティックに終わる失われた術法のおオンパレードだった。
「そもそもお主を蘇らせた還元の法も禁忌だ、生身の人間が使えば未完成品の人形が生まれ、そして朽ちていく。もちろん法術を使った張本人もただでは済まないと思うが。」
「それはそうだろう、あんなのあんた一人の力でやろうとしてもそう簡単に行く法術でも無いだろう。クラウスほどの術者とそれに乗じて多少ながらの力が加わりそして神の使いであるビショップ達の力を借りてやっとこさだ。上空から見たが何だあの魔法陣は、常識のかけらも無いじゃないか。二十四の角に九つの印、さらにルーン文字を使う魔法陣なんて始めて見たよ。」
「だからこそ私一人の力では無理だったのだ、私一人の力ではアレほどの角を持つ魔法陣等到底作れん。」
「……胸を張って言うな。」
幾つかの書物を取り出すとそのまま近くのテーブルに腰をかけた。対面にアデルも座り集められた書物に手を伸ばす、だがそこに書かれている文字は現代の文字を利用した暗号になっている。それを解読できるはずも無く数秒で本を閉じた。
「本を読むときぐらいそのタバコと言うのを止めたらどうだ?」
「集中できるんだよ、あんたも一本どうだ?」
クラウスが以前から吸っていたのを目撃していたせいもあり、多少ながら興味を持っていたアデルはその誘いに一つ貰う。そして吸い方を教わりアレンの作り出した炎で火をつけた。
「ぐ…なんだこれは。」
「それがタバコって奴さ、馴れれば咳き込む事も無いし苦にならなくなる。むしろそれが無いと逆にイライラすることもあるさ。最近の科学って奴は凄くてな、そのタバコに含まれるニコチン成分ってのが厄介で中毒症状を引き起こすらしい。大人の娯楽として最初に振舞われてから幾十年、今では煙たがれるだけだ。」
「タバコだけに煙たがれる、か…お主にユーモアのセンスが無いと言うのは以前から知って居たがこれほどとは思わなんだ。」
「……放っておいてくれ。」
近くに置いてある鉄製の受け皿にタバコを押し付けて火を消した、そして帽子を脱いでテーブルの上に置く。一度席を立ち近くの本棚から一冊の本を取り出してまたテーブルに着いた。分厚い書物で表紙は皮製、痛み具合から年代物の書物だと推測が付く。
「何だそれ。」
「地図だ、どうも方角や現在地の認識が甘い様でな。以前危うくアジトに帰れなくなるところだったのだ。そのため少し地理に関しての勉強を…。」
そこまで言うと妙な視線を感じた、ゆっくりと顔を上げると必死に笑いをこらえているアレンの姿がそこには有った。ある種納得しているような顔もしていた。その表情に困惑を覚え何かと尋ねた。
「いやすまない、以前意識の中であんたと昔の記憶を巡っていた時の事を思い出した。思い返せば不思議な事だ、何故あんたはあの時師匠…ミルとレイの決戦の場所にすぐにつれて行かなかったのか。それはあんたが方向音痴だったからだ。だから俺とミルが分かれた所からの場面を見せて、そこから後を追ったんだ。完璧人間かと思っていたがそんな一面が有るとは驚いたよ。むしろ笑わせてくれた。」
「お主、もう一遍死んで見るか?」
「いや、遠慮しておこう。笑い過ぎた事に関しては謝るが、何故方向音痴何だ?アレだけの知識があるにも拘らず五感はさえて無いのか?」
耳まで真っ赤にして今にでも剣を抜こうとしていたアデルは怒りを静めて静かに椅子に付いた、そして一つため息をついてから昔を思い出すように。
「合成されたドワーフが方向音痴だったのだ。」
と言い訳をするように呟いた。

174 ◆21RFz91GTE:2008/01/29(火) 12:22:07 ID:hnbHyKHE0

 アレからどのくらいの時間が経過したのだろう、太陽は空の南の位置まで上がっていた。お腹の減り具合から見てもそろそろお昼時なのだろう。受け皿を見ると十数本の吸殻が溜まっている。それを見て少し禁煙を始めようかと本気で悩んだ。だが吸殻をみるとまた一本吸いたくなるのが喫煙者の定め。懐に手を伸ばしタバコの箱を取り出した。だがそこには一本もタバコは入って居なかった。
 空箱をテーブルに置いて他のタバコを取り出そうとするがコートのポケットにすらタバコは入っていなかった。よくテーブルの上を見ると空き箱が三つ。朝からこの資料質に篭りっぱなしで買出しにも出ていなかったためかいつの間にか全てのタバコを吸いつくしていたのだった。
「アデル、タバコを買ってくるついでに昼を取ろうと思うんだけどあんたはどうする?」
「ならば我も行こう、朝から何も食べていなくて腹が空いていたところだ。それにしても…。」
「ん? どうした?」
アデルは一つ、また一つ咳き込むと辺り一面の空気を見た。資料質の中は煙が充満していて他にいた人はいつの間にか全員が資料質を出て行った後だった。
「ミトに怒られても我は知らんぞ?」
アレンはそこまで言われてようやく気が付く。辺り一面煙だらけでアデルの姿がぼんやりに見えていた。メガネを外していたからぼんやり見えていたのだろうと思っていたがそれは間違いでメガネは装着している。事の重大さに気が付いたアレンはすぐさま立ち上がると窓へと走った。そしてすぐさま窓を開けると外から新鮮な空気が流れ込んでくる。逆に部屋の中にたち込めていた煙は外へと流れ出す。その煙に一部の人間が火災と勘違いをして急いで近くの事務所へと書け混んで行く。そして中から数人のウィザードが出てくるとすぐさま水の魔法を唱えるために詠唱を始める。
「ちょっと待ってくれ!火事じゃないんだ!」
誤解を解こうと必死で叫ぶその声は周りのざわめきにかき消され、そして流されて行った。そして
「ってぇぇぇぇ!」
直後、水圧は差ほどでもない水の大砲がギルド専属の資料館に直撃したのは言うまでも無い。



 騒ぎが有ってから一時間後、ミトの長い説教を受けた後アレンとアデルは揃って買い物へと出かけていた。ずぶ濡れになった衣装を取替え簡単な防寒具を身に付けて噴水近くのメインストリートをあるいている時の事だった。
 見慣れない冒険者達がメインストリートを歩いていた、かなりの重装備をして居る事から新しくこの街に来た冒険者達ではなく、どこかの街を拠点にしている何かしらのパーティーの様に見えた。兜こそは被って居ない者の見慣れない冒険者達に露天商達はざわめきを隠しきれずに居た。
「見慣れないな、といっても二年間死んでいた俺が言うのも何だが。」
「我も見ない者達だ、どこかのパーティーか?」
二人は立ち止まり人ゴミにまぎれて男たちの様子を伺っていた、かなりの長旅をしてきたのだろう。荷物は多く、荷袋がパンパンだった。だが腰に備え付けているポーチは見る限り何も入って居ない様子、薬草等を詰めるポーチだった。
「アジトの方に向かうな、誰かの知り合いか?」
「そうは思えん、あのなりではミトが嫌がるだろうて。」
「…確かにな。」
「しかし、あの武装は些か大げさに見えぬか?それ程遠くの街から来たパーティーでは無いか?」
「確かに…アイツらの通った後見てみろ。」
ゆっくりと男たちの後を尾行するアレン達はある物に気が付いた。それは砂だった。サラサラとしていてまるで砂漠の砂のようにもみえる。
「砂漠の砂か、リンケンにあんな武装をしてまで居る理由もないからアリアン辺りからか?」
「どうだろうか、リンケンで何かあったと考えれば察しは付くが…所でアレン。」
木の影から次の木へと移る丁度中間地点でふと疑問を感じたアデルは小声でアレンに質問をする。
「リンケンとはどの辺なのだ?」
その言葉にアレンは文字通り転んだ。余りに間抜けで例えようが無いぐらいの転びっぷりだった。そして何故転んだのかアデルは疑問に思った。


Act.4 レスキュー?
END

175 ◆21RFz91GTE:2008/01/29(火) 12:38:55 ID:hnbHyKHE0
お久し振りですヾ(´・ω・`)ノ
最近>>1を読み直してて気が付いたのですが、俺のこの話グロ入ってるような(汗
首が吹っ飛んだり手首が切り落とされたりその他諸々…。

内臓飛び出して無いから大丈夫ですよねヾ(´・ω・`)ノ

コメ返し
>>97 :FAT様
アレン君は魔法がそこまで得意じゃないって裏設定もあります。
そろそろ21Rワールド全開で今後のお話が展開して行きますので遠い目でお楽しみくださいヾ(´・ω・`)ノ
あ、後最終話付近でのブーイングは受け付けますヾ(´・ω・`)ノ

>>98 :◇68hJrjtY様
ミト美味しいですよミト、メインキャラの中でも唯一の女性キャラですからね。しかもろr
因みに美味しさで言うと…
イリア=ミト>>>ミル>>>>超えられない壁>>>>アレン=クラウス です(ぁ


>>133 :メイトリックス様
英雄はなりたくてなれる物でも無いですよね、認められてこそ英雄なんでしょう。
辛いかも知れませんねぇ〜、そのぐらい試練が有った方がアレン君には丁度いいかもヾ(´・ω・`)ノ
エロだなんてとんでもない、肩をもんでいただけですよ〜。こう、もみもm(うわなにするやめr

>>145 :七掬 ◆ar5t6.213M様
アレン君の設定はもう少し紳士だったんですよ彼。
始めからお茶目キャラにするつもりも無かったのですが、気が付けば皆からロリコンって呼ばれて今に至りますヾ(´・ω・`)ノ
WIZ=ロリコンの設定が出来たのはそれからの事ですヾ(´・ω・`)ノ

176◇68hJrjtY:2008/01/29(火) 14:49:33 ID:oILznhIo0
>718さん
ネクロの意外な技術といいますか…面白く読ませてもらいました(笑)
頭の火というのが盲点でしたね、実はアレ、最初見た時「絶対変!」と思ってしまっていたのですが
見慣れるというか、RSでの2Dグラではあまり目立たないのもあって忘れていました(苦笑)
こんな風に鍛冶技術で使ったり、咄嗟の時の火として利用している光景を思い浮かべると凄く楽しそうです!骸骨君も含めて。
戦闘以外での冒険者たちの意外な一面。これはぜひともシリーズ化してもらわないと(え
次回のお話もお待ちしています。

>ワイトさん
また嫌なところで寸止め作戦ですか(ノ∀`)
「アサシン」と言いながらも戦士スキルのほとんどをマスター、いやそれ以上の力を持つヘルアサシン戦。
ヒースの逃げっぷりを尊敬しながらも苦戦の様子が見て取れます。ほとんど執念めいたものもありそうですけどね(笑)
余裕の表情が得意(?)なラータも流石に神に祈りたくなる心境だろうなぁ…(;´Д`A ```
とにかくも続き、お待ちしています!

>白猫さん
なにやらスレが進んでると思ったらなるほど、白猫さんの小説投下がありましたか(笑)
さてさて、今回も面白く読ませてもらいました…。
神卸…ですが、これは想像つかなかった。スマグでちょろっとネルとエリクシルの話が出ていたものの延長だとは思いましたが
実は実は、とんでもないものだったのですね。改めて白猫さんのオリジナル設定に脱帽。
「神卸」という言葉自体は実際の昔話とかにもありそうですが、明らかに違うものみたいですしね。
名前関係は分かりやすい説明ありがとう、ネル君(笑) まだまだ読解力ってか理解力足りませんねorz
初登場なカリンとアーティの女同士一騎打ち、ネルとルフィエ、ルヴィラィの迫るアリアン遺跡地下のレッドストーン。
色んな人物と場面の今後が楽しみです。続きお待ちしていますね。

>21Rさん
やっぱりアデルとアレンのコンビは最高です(*´д`*)
ボヤ騒ぎになるほどのアレンの喫煙癖もそうですが、アデルの方向音痴もかなり年季入ってますね!
アデルにぜひともあのアリアンからバリアートまで行くクエとかやらせてみたいです(笑)
今回は和みデー(?)というか、まったりとした休息日でしたが…なんだか不穏な空気が流れ出しましたね。
大仰な冒険者たちの目的はなんなのか。続きお待ちしてます!

177ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/29(火) 16:57:19 ID:OhTl4zsk0
>>128からの続きです〜

各々がミゲルと、そして魔老ディアスと対峙している中・・・エルフの民が逃げた先の森では、ラティナとフィナーアが怪我人の治療に当たっている。
「かたじけないぜフィナ、まさかいきなりこんな目に遭うとは思ってもなんだ・・・ちくしょうっ、ザッカルめ!!」フィナーアのペットである
原始人のシンバは固く握り締めた拳を地面に思い切り叩きつける・・・ぶつけ所のない怒りを晴らすように。エルフの民達も同じ気持ちに囚われていた。
「シンバちゃん・・・大丈夫よ、あたしや仲間達が、あの変態殺人鬼をぶっ飛ばしてあげるわ。だから・・・ね?気を落とさないで」「・・・すまねェ」
普段とは違い、心の底からシンバを気遣う彼女。だがその憂いを帯びた表情は一変し、目つきは狩人のそれと化す・・・!!!
「・・・フィナ、あんたも同じようだな?」「えぇ・・・どうやら罪のないエルフの人たちも殺そうとしているようね、あのおバカさんは・・・」
いきなり物騒なことを呟く二人に、傍で作業をしているラティナやエルフの民に戦慄が走る・・・!!
「お、おいおい・・・姐さん、あんたいきなり何を・・・」「そうですよフィナーアさんっ!!突然怖いこと言わなくてもンぐっ!?」
「シィっ!!・・・・ポソポソ(静かにしていて。ザッカルの手下がこの辺りを徘徊しているの・・・あたし達はそいつらを狩りに行くから
 ラティナちゃんはエルフの皆の手当てをしてあげてね?・・・シンバ、セルジオ!久々にやるわよっ!?)」
シンバと、リプリートマーキのセルジオはマスターの言葉に頷き、懐からフィナーアが所持する鞄を出した・・・中から3枚の布切れを取り出す。
彼女は服を全て脱ぎ捨て、一枚を胸に巻いて乳房を隠し、もう一枚はふんどしの様に締め付け、そして最後の一枚は額に巻きつける・・・。
首から銀細工のドッグタグをぶら下げ、地面から泥をすくい、それを顔に塗る。シンバとセルジオも、彼女と同じ迷彩模様の布を鉢巻状に締めて
泥によるフェイスペイントを顔に施した。

「ま・・・まさか、その格好は・・・!?」一人のエルフの青年が彼女達の野性溢れる姿に反応した。同時に他のエルフも言葉を付け足す。
「まさかとは思うが・・・アンタぁ、アリアンを中心とした砂漠地域で数々の裏組織を相棒のペットと共に、裸一貫で潰し回った奴なのか!?」
「オレも聞き覚えがあるぜ!!迷彩模様のビキニ一丁で墓荒らしのグループを単身で乗り込んで壊滅させたのもアンタだろ!?」

「うふふ・・・ご名答。これでもあたしはS級冒険者の一人なんだからっ!!雑魚狩りくらい何てこと無いわ、シンバ!セルジオ!いくわよ〜っ!!」
「ハっ、久々の狩りだぜ・・・血が疼くねぇ!!」「ヤッハ〜ゥ!!ジャングルでの戦闘を思い出すねぇ〜!!!トルルィィコォォォォオオォォ!!!」
臆することなく狩りへと出掛けるフィナーアとそのペットたちを前に、エルフの民とラティナは頼もしさと戦慄を同時に感じていた・・・

178ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/29(火) 17:28:23 ID:OhTl4zsk0
・・・森の中。炎で燃え盛る村とは違い、夜の静寂と暗闇が辺りを包み込む。
不気味さ漂う小道を、ザッカルの部下と思わしきアサシンの一グループが歩を進める・・・。
「あ・・・あっ、アニキィ〜?何か恐いっすよォ〜・・・」一人のアサシンがビクビクと震えながら、気弱な声を出している。
「ま〜たいつものビビりかァ!?てめぇそんなんだからいつまで経ってもチキンなんだよっ!それにここら辺には猛獣なんざいねぇんだよっ!!」
先頭を切るリーダーと思わしき男が、先程のヘタレな部下に激を飛ばした。「そ・・・そうっすね」部下の一人は申し訳なさそうに、しかし未だ
気弱なアティテュードで返事を返した。そうして歩を進めること数分・・・リーダーの男が点呼を取ろうとした時、異変が起こった。

うっ!?・・・ドサリ

「おい下っ端ァ!臆病になりすぎて腹イタでも起こしたのか!?しょうがねぇぁァ〜・・・おらっ、とっとと起きやがれ・・」
リーダー格の男が、グループの少し後で蹲る下っ端を起こそうと場を離れるが・・・それが命取りになった!!
「ぎゃっ!?」「うぉぁっ!!」「ぐふぉぇっ!!?」・・・・次々と、いきなり部下達が地面に伏してゆく・・・。
「・・・は?」振り向くと、そこには関節を不自然に曲げられた者達の山が出来上がっていた・・・殆どの者が泡を吹いている。
「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい・・・・何だよこれ、何だよコレ何だよコレ何だよコレぇえぇぇぇ!!?!」
突如起こった事態に、男は頭を掻きむしるほどのパニックに陥っていた・・・だがそのパニックも、女の声が聞こえたと
思ったときにはもう止んでいた。

「おバカさん・・・このあたしが『猛獣女王』だってこと、忘れてたんじゃなくて?」

ゴキリと首から鈍い音がした後には、その男も泡を吹いて地面に伏していた・・・フィナーアのチョークスリーパーだ。
「はァ・・・意外とあっけなかったわ、たったの1分でゲームセットなんてつまんな・・・あっ、そうだわ!!
 この退屈をこの人のマッチョな肉体で晴らせばいいじゃない、あたしって頭いいわ〜!!それじゃ・・・いただきまァ〜す☆」

・・・・久々にまともになったかと思いきや、すぐにいつものエロ女モードに戻ったフィナーア。
気絶したリーダー格の男の肉体に抱きついたり色々したりして暇を潰すのであった・・・。


「おい、第二部隊から連絡がこねぇぞ?一体何してやがるんだあいつらは・・・」
「・・・隊長、それよりもこの沼地を渡ることを優先しやしょうよ。早く任務を終わらせないとザッカルさんが・・・」
「おぉ、すまんすま・・・ん?何だこの沼・・・色が、灰色に変わっているような・・・」
こちらは先程のグループとは別の部隊。森の中を歩く中、沼地に差し当たるが・・・そこは本来なら沼地は無い!!
灰色に濁った水の中から、一匹のリプリートマーキが姿を現した・・・!!!
「ヒャッホォ――――――――ウ!!!イーハイーハァ、アリーバアリーバァ!!!トリィコォォオォォオ!!」
甲高い声と共に、水しぶきを従えて現われたセルジオ、敵が仰天しているところにミラーカーズを掛けた。

179ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/29(火) 17:47:01 ID:OhTl4zsk0
「げぇっ、リプリートマーキだぁ!?おかしい、ここには生息してないはず・・・」「ぐぁっ!?何だこの黒いモヤモヤは!!?!」部隊に乱れが生じる。
「ちぃっ、気味悪いもん投げつけやがってぇ・・・死ねぇ!!」部隊うちの一人が、セルジオの急所めがけてナイフを突き刺しに向かってきた!!
しかし彼は動じる様子はなく、ただナイフが刺さるのを待っているように見える・・・だがその刹那、セルジオが不気味に笑う!!!
「・・・ニヒ、引っ掛かったな!?汚してやんよ、スポイルドウォータァ――――――っ!!!」
足元に作って置いた灰色の沼が爆発し、相手の部隊全員に直撃した。まさに爆弾級ともいえる威力の前に、すべての敵が木っ端微塵に吹き飛んでいる。
「ん〜ん〜・・・オレ様の汚水爆弾、とんでもねぇ威力になっちまったなぁ〜。こりゃ直径30メートルは巻き込んでやがらァ・・・」
彼がボヤくとおり、辺りの木々は彼に近づくにつれて原型を留めていないほどに破壊され、ドライアイスが付着するほどの冷気が漂っている・・・

同じくシンバも敵の一部隊を壊滅させていた。
血に濡れた棍棒を肩に担いで、何も言わずにその場を後にしたところらしい。
彼の後ろには土が盛り上がったようなものが出来ており、その頂上には「戦士達よ、安らかに眠れ」と書かれた
敵とはいえ相手を労るつもりなのか、墓標のようなものが立てられていた。

「・・・これも、無垢な民を救うためのことなんだ。奴さんには悪いことをしちまったぃ・・・すまねェ」
呟きながら、シンバは月明かりが照らす小道をゆらりと歩いていく。

180ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/29(火) 18:21:59 ID:OhTl4zsk0
そしてエルフの村の郊外・・・バーソロミューと魔老ディアスが一対一で対峙している!!
「ホホ・・・いいのですかな、お若いの?若者程度の力で、無限の魔力を持つ私に勝てるとでもおっしゃるのですかな?」
「さァ、それはやってみないことにはわかりませんよ・・・それに、僕は酔狂でしてね。因縁ある者同士の戦いが
 一番絵になると思うんですよ。今の状況に例えるなら、まさしく僕とあなたの魔術勝負、といったところでしょうか?
 ルシフェル夫妻に退席して頂いたのもその一環です。」
バーソロミューが冷ややかに笑う・・・彼もまた、足元に魔法陣を描いている・・・。
「ふむ・・・これは面白い若人と出会えたものですな。これも何らかの因縁なのでしょうに・・・まずは我輩の魔法を披露しましょうぞ。」
先程から宙に描いた数々の魔法陣が一斉に青く光る!!すると空の向こうからオレンジいろの明かりがこちらに向かってきた。
「あれは・・・なるほど、今のでメテオシャワーの10発分を詠唱した訳ですね。」「ハハハ・・・貴方はこれをどう迎え撃ちますかな?」
悠長に会話する二人の上空に、10個の隕石はもう迫っていた!!しかしバーソロミューに焦りは全く無い・・・・
「では、今度は僕の番ですね・・・・・面白いものをご覧に入れましょう。無の世界に通じる闇の扉を開かん、『ブラックホール』!!!」
詠唱したバーソロミューの前に、巨大な漆黒の穴が開いた!!ディアスが召喚した隕石はそこに吸い込まれ、跡形もなく消え去った。
「これはこれは、闇の元素を扱える人間とは!!フフフ・・・我輩と雌雄を決する魔術師なら、そう来なくてはなりませぬなァ。」
「おしゃべりも今のうち・・・冷たく凍てつく空気をこの手に纏わん、『チリングタッチ』!!」
テレポーテーションでディアスの背後に回りこんだバーソロミュー、彼の放ったチリングタッチがディアスを捉えた・・・!!
しかしそれは彼の魔法によって生み出された簡易式のホムンクルス、今度はバーソロミューが背後を取られた!!!
「残念・・・喰らいたまえ、『零距離メテオショット』!!!」「熱っ・・・ぐぁっ!!?」
振り向くも既に遅く、ディアスが放つ小型の隕石をバーソロミューは喰らってしまった!!彼の体が宙に浮き、吹き飛ばされる。
「うぅっ・・・アースヒール!!」何とか着地し、即座にアースヒールで傷を癒した。
「喰らってしまいましたか。だが、我輩も同じく喰らってしまったようですな・・・」そう呟くディアスの右手は氷に覆われている。
「どうやら、お互い魔法の腕前は互角のようですね、魔老ディアス殿。」「ふむ、どうやらそのようですな。バーソロミュー殿?」
二人の間にしばしの静寂が流れるが、バーソロミューがそれを断ち切った。
「では・・・魔法で拉致が空かないようなら、僕はこの肉体を以って、あなたを倒しましょう。」「ほう、それは如何なるもので?」
「今から見せて差し上げましょう。ブラックアートの裏の業・・・闇に染められし魔獣、『漆黒の堅狼』を!!!」

彼は豪語するや否や、服を脱ぎ捨て上半身裸になり、左手に闇の元素を集め、黒い球体を作り上げた・・・
それを自分の胸から体内に押し込むと、彼は蹲り・・・苦しみに悶え・・・屈強なウルフマンへと変貌していく。
だが、その姿は一般のウルフマンのそれとは違う。漆黒でありながらも美しく鋭い毛並み、銀色の瞳、白金の牙と爪。
そしてその背に輝く銀色の魔法陣を象った刺青・・・漆黒の狼男がそこにいた。

「・・・闇の力を授りし野生の力、その目に焼き付けてもらいますよ!!」
彼の放つ鋭い視線に、ディアスは戦慄せざるを得なかった・・・!!

to be continued.

181メイトリックス:2008/01/29(火) 19:00:45 ID:ZWCPfwCI0
Hellfire Salvage
01 : The Decidings Part.1>>9-11 Part.2>>59-61 Part.3>>130-133

「Nonpayment Part.1」

暑さには慣れているつもりだった。
アリアンからさらに西方、荒野の続く大陸中部の出身で生まれ育ったわたしは、厳しい環境にも人一倍強い。
それに何よりも、この一年のほとんど毎日、砂漠を渡り歩きながら過ごしたのだ。
いまさら暑さにやられるなんて。そんな油断があったのだろう。
灼熱のデフヒルズは、わたしのそういった甘い考えを跡形もなく蒸発させてしまっていた。

この地形のせいだ。
そこら中にそびえ立つ丘は、アリアン近郊にある砂漠地域の砂丘とはスケールがまるで違う。
それはもう、山だと言ってしまってもいいぐらいに。
わたしは最初、日を遮ってくれるものがあると喜んだ。過酷な気候に慣れてはいても、やはり快適に過ごせた方がいい。
けれどその数時間後には、空から神様のこぶしが降ってきてそれらをすべて吹き飛ばしてくれるのを期待したい気分になっていた。
デフヒルズの砂は、わたしの知るどんな砂漠の砂よりも白い。
キラキラと輝くその小さな欠片を、状況が違えば綺麗だとさえ思ったかもしれない。
やけどしそうな日差しを浴びながら、その中を歩いた後でなければ。
まばゆく輝くという事は、よく光を反射するという事。白い砂に覆われた地平や丘は、ほとんど鏡と変わらなかった。

頭がぼうっとしてきている。
チャドルとマントを着込んでいても、あらゆる方向から攻めてくる熱と光を防ぐ事はできない。
身に着けたものは焼けるように熱く、露出せざるを得ない目の周りや手は真っ赤になって水ぶくれができている。
めまいがした。ふらふらと踏みとどまったものの、足がゼリーになってしまったように思う通りに歩けない。
絶え間ない照り返しに痛めつけられた眼に映る光景は、何もかもが赤緑がかって見えた。
もう、だいぶ前から汗をかかなくなっていた。
自分がどういう状態になりかけているのか、のろのろと思い至る。
少し前を進んでいる人影に呼びかけようとしたが、喉が貼りついて声が出せなかった。
ニイドはわたしの悲惨な状況に気づかない様子で、スタスタと歩いていく。
この地獄のような暑さだというのに、彼はむしろいつもより元気に見えた。

そもそもの発端はわたしだった。
姉さんの残した情報から真相をたどれないなら、ウルという古き悪魔の方に当たってみるべきだと言い張ったのだ。
ニイドはこの提案に驚いたようだった。わたしをしげしげと見つめた後、それっきり黙りこくってしまった。
彼が尻込みしたとしても問題ではない。手がかりさえ与えてくれれば、ひとりでも行くつもりだった。
その旨を伝えると、彼はもっと驚いて首を振った。
「ウルは第2階位の名士だった。君では渡り合えん」
そしてまた少し考えた後、気が進まなさそうに言った。
「彼奴へ連なる道が無い訳ではない。ただ、信頼できぬのだ。止めておけ」
それでもわたしの意志が固いのを知ると、ニイドは説得を諦めた。
聞いた事のない言葉でぶつぶつと何かをつぶやいた後、同行を申し出たのだった。

ニイドは手を尽くしてくれている。
彼の地下室には、見た事も聞いた事もないような種類の武具がたくさん仕舞われていた。
出発の時はそこから新しい槍や鎧を選び出してくれたし、ボロボロのマントを手放そうとしないのを見ると、新品同様に修繕までしてくれた。
多分、感謝すべきなのだろう。
でも、今はひたすら彼が恨めしかった。
後ろを振り返ってくれさえすれば。そうすれば、同行者がどんなに危なっかしい歩き方をしているかわかるのはずなのに。
無神経なネクロマンサーへの不平を並べ立てながら、わたしは自分の身体がゆっくりと倒れていくのを感じていた。

182メイトリックス:2008/01/29(火) 19:01:20 ID:ZWCPfwCI0
視界一面が真紅に染まっていた。
耳を聾する轟音の中、畑が、街が、人が、すべてが火の海に沈んでいる。
わたしはひたすら逃げ惑っていた。
何から逃げているのか、なぜ逃げているのかも理解できないまま、ただ無心に走り続けた。
かつて人だったものが、たいまつのようにパチパチと燃えながら次々とすれ違っていく。
夜空は炎の色に照らし出され、溶岩さながらのまだら紋様を映して渦巻いていた。
建物が崩れ落ち、色とりどりのレンガや柱が、パニックに陥った人々の上に降り注ぐ。
息継ぐ間もなく、天から数え切れないほどの光の槍が襲来し、大通りにひしめく群集を片っ端から串刺しにしていった。
空気を切り裂く悲鳴、助けを求める絶叫が響く。
それらが消え去り静寂が支配したのち、燃え盛る炎の音だけが耳に残った。
わたしは最後に残されたのだ。
もう、どこにも逃げ場などない。
けたたましい笑い声が、誰もいない世界にこだました。
わたしはその声から逃げようとする。どこか遠くへ、この街から出なくては。
わたしは走る。果てを求めて、何も考えず、走り続ける。
この角を曲がれば、街を出る門がある――
そう確信して突き進むたび、通り過ぎたはずの街路が目の前に現れる。
家々の窓には亡霊が踊り、頭上では口が裂け白目を剥いた天使たちがわたしを指差して嗤っている。その口から赤い涎が垂れた。
何度同じ事を繰り返しただろうか。
引きつったようにくすくす笑う声がすぐ真上から聞こえ、足が止まった。
真上を振り仰ぎ、声の主を見定めようとして――愕然とする。
半壊した教会の鐘塔の上で、背の高い女がこれ以上ないほど楽しげに笑っていた。
姉さん。
どういう事――
自分ではそう叫んだつもりだったけれど、耳に届いたのは不快な哄笑だった。
それが自分の声だと気づくまでに、数秒を要した。
姉さんがくすくすと笑うたびに、わたしの口からも耳障りな笑い声が漏れる。
混乱した頭で、しかし、わたしは気づく。
姉さんの髪は、あんなに紅かっただろうか。
姉さんの肌は、あんなに白かっただろうか。
顔立ちは姉さんそのものなのに、あれはもう姉さんではない。
それでもわたしは、不愉快な笑いを抑えられない。
大声で笑うたび、身体の内に力が満ちる。
大声で笑うたび、身体の外に力が溢れる。
不意に雲が裂け、血の雨が滝のように落ちてきた。
雨に打たれた奇怪な天使たちが、げらげらと笑い転げながら墜落していく。
私はそれが嬉しくて堪らない。
姉が満足気に見下ろす中、私の身体も徐々に変異する。
背は伸び、髪は深紅に染まり、肌からは血の気が失せていく。
どうして自分の力を見ようとしなかったのか。私はかつての私の愚かさを嘲笑する。
そして、それを気づかせた姉の愚昧ぶりが哀れでならなかった。
彼女を見上げ、その紅い瞳を睨めつける。相手が僅かにたじろぐのがわかった。
もう遅い。
鐘塔の上に跳び上がろうと足をたわめて――視界の隅に翻る、空色のコートに気づく。
振り返れば、通りの向こうから小柄な死術士が私を見つめていた。
不遜な態度が気に入らなかった。惨めな生き物のくせに。
瞬く間に殺してやろうと手を伸ばし――そいつのマスクの奥に燃える、二つの火の激しさに怯んだ。
凍りつくような視線が、私の眼を捉える。
お前は誰だ。ニイドは冷ややかな声で吐き捨てた。

183メイトリックス:2008/01/29(火) 19:02:02 ID:ZWCPfwCI0
額に冷たいものが当たる感触に、思わず悲鳴を上げて跳ね起きた。
見ると、ニイドがぎょっとした様子で身を引いている。その手には濡らした布が握られていた。
状況が理解できない。
周囲を見回して、自分が木陰に寝かされている事に気づいた。
あそこに見えるのは……泉だろうか。透き通った水が、なみなみと湛えられている。
「オアシスだ」
いまだ衝撃から立ち直れないのか、ニイドがわずかに上ずった声で説明する。
「君は、その……砂漠の熱に中てられて倒れたようだ」
ようやく記憶が戻り、楽に呼吸ができるようになった。そうだった。わたしは彼と砂漠を歩いていたのだ。
ふぅ、と安堵の息をつくわたしに、ニイドはたずねる。
「悪夢か?」
嫌な夢だった。意味の通らない、気持ちの悪い夢。できればもう思い出したくもない。
「ええ、まあ」
わたしがあいまいに答えると、彼は思慮深げにうなずいた。
「気にかけぬ事だ。砂漠で見る夢は、旅人を惑わすと言うからな」
わたしも同じ意見だったので、特に何も言わなかった。
それっきり、どちらも口をつぐんだ。

「済まなかった」
わたしが泉から水をすくって飲んでいると、出し抜けにニイドがつぶやいた。
振り返ると、彼は砂漠の遠い地平を見つめていた。
「この荒れ果てた地は、驚くほど地下界に似ているのだ」
二度と還れない故郷を思い出しているのか、その声は震えている。
「見渡す限りの不毛の大地、埋もれた骨、我が身を燃やす地の熱――」
手を握りしめ、頭を垂れた。
「浮かれて歩く内に、君が私より脆き存在たる事を失念してしまっていた」
脆き存在。その言葉が胸に引っかかった。
なぜニイドは、いちいちわたしの事を気にかけるのだろう。
いくら力を封じられているとは言っても、わたしと彼の力の差は歴然だ。ゴーストとワイトぐらいに違う。
なのに、どうして。

彼の謝罪には答えず、わたしは話題を変えた。
「わたしたちはどこへ向かってるの?」
「ダメルだ。荒廃都市と呼ばれている」
ニイドはすらすらと淀みなく話す。
「私が唯一所在を知る古き悪魔が、そこに住まっている。奴なら或いはウルの目論見を承知しているかも知れん」
彼の声にためらいが混じった。
「エオローの名を持つ第15階位だ。狡猾で、欺瞞と残忍な策略を好む。油断せぬ事だ」
危険な悪魔だという事だろう。かすかな恐怖心が芽生える。
頭を振ってその感情を押しやると、わたしは決めた。
今言っておかなければ、もう機会はないかもしれない。
「ねえ、ニイド」
彼がわたしの目を見るのを待って、できるだけ気持ちをこめて伝える。
「むりやり連れてきて、ごめん。悪かったと思ってる」
ニイドの目代わりの炎が揺らいだような気がした。
顔をそむけ、ほとんど聞きとれない声で彼は答えた。
「我が意志がこの道を選んだのだ。どんな結末に終わろうとも、私は悔いぬ」

そう、決して後悔なんかしない。わたしは自分自身と姉さんに誓った。
沈む夕日が砂漠を黄金に染める。
ニイドの視線の先に目をやると、あの白い砂が光を反射し、幻想的な金の波濤を作り出していた。

184メイトリックス:2008/01/29(火) 19:02:54 ID:ZWCPfwCI0
――――――――――――――――――――――――
>>ESCADA a.k.a. DIWALI
おー、バーソロミューの変身が格好いいですねぇ!強大な力を持つであろうディアスを相手に、戦い抜けるのか。
しかし……何というか、フィナーアさん逞し過ぎ。某世界の警察国家の特殊部隊コマンドのようです。

>>ワイト氏
相変わらず臨場感のあるバトルシーンです!
スピードとパワーを兼ね備えたヘルアサシンに対して、戦巧者なラータの作戦勝ちと言ったところでしょうか。
最後のブラッドシェーカーは反則でしょう……!それにしても、ヒースは神出鬼没ですね。

>>◇68hJrjtY氏
いつもコメントをありがとうございます。
自分で言っておいて何ですが、特に気兼ねなく感想を述べていただければと。
文章というものは、まず読んでくれる人ありき、だと思いますので。私個人は。
先の展開を言い当てられてしまっても、その見せていく過程を工夫するという楽しみもありますし。
私自身、前回の話から時系列をかなり進めて第二話を書き始めようとしていたのですが、
皆さんからいただいたコメントを読むうち、思うところあって今回の話を挟もうと考えるに至りました。
まぁ、つまりアレです。相互作用って大切デスヨネって事で。

>>白猫氏
むむ、エリクシルはやはりレッドストーンに関係するものだったんですね。
韋駄天、神卸……。降神術でしょうか。頭の悪い私では理解が追いつかなくなってきたようです。
アーティとカリンの戦闘は拮抗して……と思っていたら最後があぁー。ちょっと笑ってしまいました。
強さの表現とか、戦闘技のバリエーションとかが凄いなと思います。手に汗握ってベタベタです。
そしてネル君!どさくさに紛れて何をやってるんだキミは!
本編の緊迫した内容に反比例するような、おまけコーナーが微笑ましいですね。

>>七掬 ◆ar5t6.213M氏
コメントありがとうございます。
登場人物が悶々とし続ける話が好きなので、どうしてもストーリーに進展がなかったりします。
七掬さんの新作もお待ちしておりますよー。また私をウルウルさせて下さい!

>>之神氏
やっぱり武道家は連撃技ですよね!ライト君のシーフらしいトリッキーな動きもラヴですが。
今更ながらに認識したんですが、ライトとブラックという名前は対照を成してるんですね。気づくのおせーです。

>>FAT氏
エイミーさん……大丈夫なんでしょうか。儚げで不安になります。
ジョーイ君は二人を心配して来てくれたんですよね。それをきっぱりと断らざるを得ない胸中を思うと……。
固い決意と出立というものには、やっぱり心を動かされます。
果たして、ラスさんを見つけて連れ戻す事はできるんでしょうか。

>>718
旅する手練れの職人コンビ、といった風情ですね。
考えてみると、ネクロマンサーの風貌はツナギを着ているようで、製造業とかには向いているのかも知れません。
裏方的な日常のヒトコマって、世界観を深める大事なものですよね。

>>◆21RFz91GTE氏
方向音痴って、意外すぎる欠点だ……。何だか親近感が湧いてきました。
コメディチックな騒動を巻き起こしつつも、その裏でしっかりと何かが起こりつつあるようですね。
気になるじぇ。

185◇68hJrjtY:2008/01/29(火) 23:49:19 ID:oILznhIo0
>白猫さん
他の出来事の大きさに気を取られてましたが、ネル君とルフィエががが!
…でも、やっぱり二人の間には色々な障害がありそうな気がします( ´・ω・)
いや、リレッタもそうですが(笑)、ネル君とルフィエが落ち着いて自分を見なおせられれば。応援してます(笑)
以上、二重レスすみませんでしたorz

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
あぁ…折角フィナ姉が久しぶりにカッコイイって思えたのに!
ゲリラ兵士みたいな彼女もまたイイですね、というかコスプレ女王状態のような(笑)
シンバが実は忠義を大切にするタイプ(?)というのが判明してちょっと嬉しかったり。
一方ではバーソロミューとディアスの一騎打ち…まさかウルフマン状態へ闇の魔力を送るという技を出すとは思いませんでした。
実はウルフモードも強いんですよね、ミュー君。しかしディアスも一筋縄ではいかなそうだし。
続きお待ちしてます。

>メイトリックスさん
砂漠の情景やピアースの夢など、分かりやすい表現方法で読み側にも想像が容易でした。
って、ダメルまで徒歩で行くつもりだったんですか((((;´・ω・`)))) 実は私もずっと前に挑戦して途中で即死しました(笑)
ゲーム内ではじゅうたんやらで突っ走ってても、実際考えると砂漠を往くというのは恐ろしいことですね。
ピアースの心にはまだ姉とのわだかまりが残されたままになっているのでしょうか。この旅の行方に姉の何を見出すのか…。
エオローとの出会いとなりそうな今後の展開、楽しみにしています。
---
感想に関するご意見、ありがとうです。
そうですね、もし私が何かしら言い当ててしまったとしても書き手さんの頭の中にあるストーリーはそれよりもっとしっかりしたものでしょうし
メイトリックスさんの仰るようにその過程を読むというのも重要な楽しみ方だと思います。
あまり突っ込んだ追求は控えつつも必要以上に気兼ねせず…やはり中庸は大事ですね。

186之神:2008/01/30(水) 06:58:46 ID:xJDkyE7Q0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593
-2 >>595
-3 >>596 >>597
-4 >>601 >>602
-5 >>611 >>612
-6 >>613 >>614
2章〜ライト登場。
-1>>620 >>621
-2>>622
-○>>626
-3>>637
-4>>648
-5>>651
-6 >>681
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687
-2>>688
-3>>702
-4>>713>>714
-5>>721
-6>>787
番外クリスマス >>796>>797>>798>>799
-7>>856>>858
-8>>868>>869
番外年末旅行>>894-901
4章〜兄弟
-1>>925-926
-2>>937
-3>>954
-4>>958-959
-5>>974-975
5冊目――――――――――――――――――――◆
-6>>25
-7>>50-51-54
-8>>104-105-106
-9>>149-150

187之神:2008/01/30(水) 07:28:50 ID:xJDkyE7Q0
α
「とりあえず」
「返してくれ、笛」
シルヴィーは手を差し出し、笛の返還を催促した。

「ああ、これキミのか。いきなり空から降ってきてびっくりしたけど・・・」
「まぁ・・・・・・ちょっと落としちゃって」
んー・・・・位置的には敵・・・・・の少女とのん気に話してていいのかと思いつつ、戦闘になったら勝てないとも思い出した俺だった。
んー、何か忘れてるような・・・・何だろう・・・・
「・・・・・・あ!」思わず間抜けな声を出してしまった。
「どうしました?」
「ミカ・・・・・」と言いかけ俺は、拘束されたミカの所へ向かった。


γ
「んっ・・・・・当てるとは思いませんでしたよ」ダラダラと血を滴らせながら、ブラックは笑った。
「ナメてもらってもな、これでもシーフは真面目にやってきたんだ」
「真面目に泥棒って・・・・・いえ、何でも無いですが」
「オラ、まだ終わってねえぞ・・・・・」
ライトの投擲斧が、風を切ってブラックに向かう。
「・・・・・・・・・・。」
タン!
と、地面を蹴ったブラックは、飛んできた斧を蹴り落とした。
「おお、上手いもんじゃないの」
そう言ったライトからは、既に斧が飛んでいた。
「くっ・・・・・・」
声を漏らしつつもブラックは、まるで空中を舞う紙切れの如くそれらを避け続けた。
一瞬、ライトの攻撃に間が空き、そこを狙ったようにブラックは間合いを詰める。
「オラっ・・・・・・・・?」
蹴りを決めようとしたブラックは、そこにライトが居ないと蹴りを振ってから気がついた。
気がついた時は、遅かったのだが。
「・・・・・・・!」
首筋にナイフが当たっている。それは喉をいつでも掻き切る事ができる角度にしてあり・・・・、当然それはライトに握られたナイフだった。
「後ろ取られるとはな」
「・・・・・・・」
ブラックの背後から首にナイフをかけるライトは・・・・・・、迷っていた。
このまま殺してしまうか、それとも・・・・・・だがその前に聞かなきゃな。
「俺はいつでもお前を殺せる。ちょっと手を手前に引けば、お前の喉笛はいい風穴になるだろうな」
ナイフを握る腕に力を入れる。
「つまりアレだ、勝ちだな俺の。で・・・・・」
「何ですか、殺すなら・・・・・」
「解毒剤」

α
ミカは、弱っていた。
一言で言うとそうなるだろうか。
全身から血を出し、針に蝕まれ、息も細い。
まさに「死に掛け」だった。

「おい・・・・・ミカ?」
「なんだよこれ・・・・・刺した出血もヤバいけど、こんなになるもんなのか・・・・?」
その時、横から手が伸びる。
「これは・・・・・・」
「え?」
「毒」
声の主はシルヴィーで、彼女はミカに手をかける。
「おい、アンタ・・・・・殺すとか考えてねえよな?」俺は出来る限りに睨み付ける。もとは敵だ、こいつは。
「今更・・・・・・もう目的は無いし」
「・・・・・何?」

188之神:2008/01/30(水) 07:56:58 ID:xJDkyE7Q0
γ
「解毒剤」

俺と戦いながらもミカを苦しめる為なのか、こいつは・・・・・ブラックは、ミカに毒を投与した。
「あんだろ?あの毒に対処できるもんが」
「・・・・・・・ハハハ・・・」
「何笑ってるんだよ」
「そんな悪魔に、治療薬なんて準備するわけ無いじゃないですか」
「チッ、お前どこまで・・・・・・!」
「・・・・・・・っ!」突然、身体が浮いたと思うと、そのまま地面に叩きつけられた。
「マズいなコリャ・・・・・・・」ブラックが目の前のライトにナイフを向ける。
先ほどまでナイフを立てていた男が、今度は立てられる男へとなってしまった。
「油断しすぎですよ」
「・・・・かもな」

ライトはポケットにある武器を確かめる・・・・・が
「おっと!武器を出すなんて許しません・・・よっ!」ブラックはナイフを振りかぶる。
ドス、と気味の良い音が響き、血柱は立つ。
振りかぶったナイフは、ライトの肩に突き刺さっていた。

「ぐっ・・・ああああああああっ!」
ギリギリとナイフを捻られる度に、声が響いた。
「面白いですね・・・・・・ここに来た人、赤い悪魔や兄さんも死んでしまうなんて」
「わっ・・・・笑えねえなっ・・・・・ガッ、う・・・・・」

それはとても、兄弟とは思えない光景だった。


α
「私は使われるのに疲れたし、もうしぶとく生きていくのも面倒くさいのよ」
「生きてて良いことなんて、無いから」うつむくシルヴィーは涙目にも、悲壮に満ちた顔でも無かった。
それはただ、絶望し、失望し・・・・・・目的を見失った者のリアルな表情だった。

「だから殺しはしないから安心して。そして」
「ん・・・・?何これ」
「鍵。ここの上の階に、箱があるの。それの鍵」
「いや今はミカを助け・・・・・・・」
「その助ける薬が、その箱に入ってるって言ってるのよ」
「わ、わかった!いい、行って来る・・・・・!」


ミカを助けたい・・・・・・それしか考えて無かった。
戦えないし、戦略立てられるわけでも、絶対死なないワケでも無い。だから俺は、俺に出来ることを・・・・!
会談を駆け上がりながら、俺はそんな事を考えていた。

「ここ・・・・・か?」
ついたその部屋は、箱が山のように積みあがる部屋だった。
うぇ・・・・しまった、どういう箱かくらい聴いとけば良かった・・・・。

どれだ!どれだどれだ!あーっ、わかんねえ!
これか・・・・・違う、これ・・・・・・も違う!
何してんだか・・・・・・もう一度シルヴィーに聞くか・・・・・・・。

と、立ち上がって部屋を出ようとした時だった。


「おースゴっ!何だここ箱いっぱいじゃないかっ!」

189之神:2008/01/30(水) 08:34:15 ID:xJDkyE7Q0
α
「おい・・・・・何だ今更こんなときに・・・・・」俺は敬語なんて忘れて呆れて話しかける。
「いやぁ、一度は帰ろうと思ったんだけどさ、どうせヒマだしとまたここに来てみたんだよねっ」声の主は、ナザルド。
「あー・・・・そうですか。俺はちょっと急いでるんで、またにしてください」
「何をそんなに急いでるのさ?」あーっ、急いでるのに・・・・・・。
「ええとですねぇ・・・・・・・・!」俺は苛立ちながらも物凄く手短に説明した。

「だから・・・・・それでこの部屋に来たんですよ!で、急いでるんで俺はこr・・・」
「アレだ」いきなり、ナザルドは1つの箱を指差す。
「え・・・・?」
「絶対アレに、その薬が入ってる!」
はぁ・・・・・・そんな当てずっぽうな・・・・・。
「空けてみなって、絶対それだよっ」催促するナザルドを放って置いても良かったのだが、俺はとりあえずその箱をあけて見る。

「注射機・・・・・・?」
ナザルドの指差した箱に入っていたのは、2本の注射機だった。

どっちだかわからねえ・・・・・!いいや、両方持っていけば間違いは無いだろ・・・!
またしても急いで階段を下る。
そして部屋に到着した時、俺は見た。

ライトが、やられてる・・・・・・・・


γ
「さて、いつまでも遊んでるわけにはいきません」

「そろそろ、死んでくださいね」ナイフを、ライトのように首筋に運ぶ。
既に倒れているライトは、もう動けなかった。

けっ、もう終わりか俺は・・・・・・・面白かったが、面白く無かったな・・・・・。
そうしてライトは死を覚悟したが・・・・・・・・

α
やられてる・・・・・・!
どうしようか、今すぐこの壁に刺さる斧を投げつけてもいいのだが・・・・・。
考えるより先に、身体が動いて斧を抜き取っていた。
ライトに当たらないように・・・・・・素人なりに狙って・・・・・・る時。
「貸してっ」
といきなりナザルドに斧を奪われた。
「なっ、何すんだ!」
「大丈夫、俺がやると当たるんだよ、絶対!」意味不明の自信に包まれ、ナザルドは笑う。
そして・・・・・・投げた。
――――――――――――――――――――

とりあえず、ミカが先だ・・・・!ライトはきっと・・・・平気だろう。

「シルヴィーさん!これ、どっちですかっ・・・・!」注射機を2本差し出す。
「これです」シルヴィーは2本取り、片方の薄黄色の薬品が入った注射機を構える。
「えっ・・・・・・シルヴィーさんがするんですか・・・・?」
「貴方にできるの?」
「いえ・・・・・お願いします」
信用はできないが、自分の注射の腕のほうが信用できなかった。そうして彼女に任せることにした。

「・・・・・・っ」かすかにミカが動く。ピクリと、少しの反応。

――――――――――――――――――――
αγ

「ぐあっ・・・・・・・!」
「ふっふっふっ、まるで流星のごとく・・・・・・!」
「必殺、シューティングスターだっ!」
「ぐあああああっ・・・・・ガハッ・・・・・うっ」
ナザルドが投げた斧は、ブラックにまさしく『命中』した。
背中に手を当てるブラック。
「何をっ・・・・・・誰が・・・・・・・・ぐっ」
バタっ!と倒れ、そのまま意識が飛んだようだ。
驚いたのはライトもだった。
突然声を上げて倒れる弟を見て、誰がやったのかと思えば・・・・・。
「お前か・・・・・さっきもチラチラ見かけたが」
「おう、俺だ。まさしく俺な!」
「お前・・・・・・えらく運がいいな。素人だろう・・・?」
「そりゃあ当たるさ!」
「運にしか振ってないんだもん!」

190之神:2008/01/30(水) 08:43:59 ID:xJDkyE7Q0
おはようございます。
ちょっといつもより少し多めに載せました。
ちょっと整理。

今はライトもブラックも2人とも倒れてる感じですね。
で、ナザ君は運剣士です。しかも極。

そろそろこの章も終わるところです。
ちょっと時間あるので早めのUPになりそうですが(・∀・

そして、いつも感想ありがとうございます。
では、引きつづき小説スレをお楽しみください。之神でした。

191ワイト:2008/01/30(水) 19:26:47 ID:K6NYKD9I0
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どうにもならない血の真空波が、絶望を誘うように飛んでくるっ!!
「(俺の人生此処まで・・か?)」ラータが、諦めかけた・・その直後!


「コーリングッ!!!!!!」
シュンッ!!!ヒースが!何と、ラータを周囲に呼び寄せたっ!!!
後一歩と言う処で、仕留め損なった「ブラッドシェーカー」は、目標を見失い
その不気味さを漂わせながら、一度決めた目標を探し求め砂漠を徘徊する・・・!

「ヒースッ!!!良くやったぞっ!コールしてくれるなら、してくれるで
逃げる前に、俺に教えてくれても良かったんじゃないか?」
「いやぁ・・ごめんごめん!でも、あれを回避する事は出来ないと思ったし、
2人共助かる為に・・・第一優先にコーリングをする事を心掛けたんだよね。」

・・・・・ピーンッ!(ラータは何か閃いたようです。)

「あ・・・ちょっとまてぃっ!!コールを使えるって事はぁ「エバキュエイション」
とかさ・・たぶん「タウンポータル」も使用できるよなぁ??それってよ、もしかしたら
最初から、こんな事に成らずに無事オアシス都市アリアンに着けた様な・・?」
「まー、そのですね・・(本当に忘れてたなんて回答したら、たぶん凄い事に・・・)
えっとー・・・今は助かってるんですし・・ね?後にしましょうよ、その事は!」
「う〜む・・腑に落ちないが、今の所はとりあえず、それでも良いけどな?
それよりも今度からは、頼むから「コーリング」する時は一言教えてくれよ・・・」
「わかった!それじゃその傷付いた身体を治療するね!「フルヒーリング×5!!!」
見る見る内にラータの身体は修復されて行く・・!そして完全に癒えた直後に!
やり取りをしている間に「ブラッドシェーカー」に運悪く見つかってしまった・・!!

「くそ・・!だけど、さっきみたいに簡単には終わらないぜっ!!」
「この「ブラッドシェーカー」未だに消えずに、この場に残り続けてる・・・・!
もしかしたら・・なんだけど自由に活動出来る意思を持っているのかもしれない!!
「そんな事が、あり得るのか?まさか、俺を殺すまでは消えないなんて・・ねぇ?」
「そうかも・・えっ!!!??」「う!何なんだ・・これは!?」

喋るのをやめてしまう程に誰もが驚く光景を、2人共が目のあたりにしてしまうっ!!!!
見つかってしまったが、先程から動きの無い事に気づいた、2人はそれに見入ってしまう・・!
それは「ブラッドシェーカー」の血の刃が・・見れば見る程にその姿形を変化させていく!!

「おい・・あれってもしかして!?俺が倒した「ヘルアサシン」なのか・・?」
そう・・!断末魔を上げ息絶えたアサシンの死体を2人共確認しているはず・・!
だが、最終的な変貌を遂げた・・その「ブラッドシェーカー」は確実にヘルアサシンの姿を形どるっ!!!
そして・・呆気に取られた、ラータとヒースはこれには、流石に驚く以外は何も出来なかった!!

「ああぁぁぁぁぁっっ!!!!!!!」
血によって完成されたアサシンは突然、歓喜の余り大声を上げるっ!!!
「ヒヒッヒヒヒヒッッ・・・我は滅びぬ!!貴様らを再び地獄に突き落してやろう!
だが・・その前に!先程との大きな違いは何で出来ているかということだ・・!」
「血を・・ベースにして、構成されたと言う事ですか・・?」割ってヒースが言葉を繋げる・・!
「そういう事だ!不思議だろう・・?何故血によって蘇る事が出来たのかな!!!」

「おいおい?そんな事聞いたって出来る事じゃねぇだろ??とっとと
勝負を再開しないか?それは・・てめぇが一番望んでいる事だと思うけどな!!」
「その余裕は何処から出てくるんだあぁぁ!!!?絶対に殺してやる・・!!」

192ワイト:2008/01/30(水) 19:34:32 ID:K6NYKD9I0
ラータは絶対絶命の危機を、ヒースの「コーリング」によって助けられ・・
しかし脅威は、まだ去ってはいなかった!「ブラッドシェーカー」に
見つかってしまう!だが、それは姿形を変化を始め・・「ヘルアサシン」の姿を模しながら、
最終的に血によって完成された「ヘルアサシン」となり・・再び2人を襲うっ!!!

と言った所です!続きはまた時間に余裕のある合間に書きこませて頂きます!!それでは|ω・)また!

193FAT:2008/01/30(水) 20:27:36 ID:i6bpBbJo0
前作 二冊目>>798(最終回)

第二部 『水面鏡』

キャラ紹介 三冊目>>21
―田舎の朝― 三冊目1>>22、2>>25-26 
―子供と子供― 三冊目1>>28-29、2>>36、3>>40-42、4>>57-59、5>>98-99、6>>105-107
―双子と娘と― 三冊目1>>173-174、2>>183、3>>185、4>>212
―境界線― 三冊目1>>216、2>>228、3>>229、4>>269、5>>270
―エイミー=ベルツリー― 三冊目1>>294、2>>295-296
―神を冒涜したもの― 三冊目1>>367、2>>368、3>>369
―蘇憶― 五冊目1>>487-488、2>>489、3>>490、4>>497-500、5>>507-508
>>531-532、7>>550、8>>555、9>>556-557、10>>575-576
―ランクーイ― 五冊目1>>579-580、2>>587-589、3>>655-657、4>>827-829
>>908>>910-911、6>>943、7>>944-945、六冊目8>>19-21、9>>57-58、10>>92-96
―言っとくけど、俺はつええぜぇぇぇぇ!!― 六冊目1>>156

―2―

 魔法都市スマグを出る頃にはもう、太陽は山を離れ、空に輝いていた。二人は半日がか
りでヘムクロス高原南部の険しい絶壁地帯を下ると、鉱山町ハノブを目指した。
「ふひぃ〜、休憩休憩っと」
 二人は神聖都市アウグスタから伸びる道との交差点で腰を下ろした。レンダルは早速腰
にぶら下げた水筒を掴み上げると、がぼがぼと勢いよく飲み干した。
「ぷっはぁ〜、うまいなぁ〜」
 口元からこぼれた水の飛沫が太陽に当たってきらきらと飛び、デルタの服を濡らす。し
かしデルタは何の反応も見せない。
「おい、何落ち込んでんだよ」
 いらいらとした視線でデルタを睨む。デルタはやや陰ったまま、
「だって、だってぇ〜、せっかくジョーイさんが気をきかせてくれたのに、お姉さまがあ
んな態度とるからぁ」とむっつりとした顔をレンダルに向ける。レンダルはさらにイラッ
としてデルタのほっぺたを両手でつまんだ。
「てめぇはエイミーよりジョーイのほうが大事なのかよっ! 俺たちはエイミーのために、
ラスを連れ戻そうって決めて、あいつを置いて出てきたんだろーが! そんなにジョーイ
が恋しけりゃ帰ればいいだろ!」
「ほれひひゃま、しゅこしふぁほちょめこごろふぉふぁかっちょくらさひ」
 ほっぺをつままれたままのデルタの言葉は聞き取れないほど壊れていた。レンダルは少
し面白くなってそのままほっぺを縦々横々に引っ張り、ちょんと手放した。
「あ〜、いっっった〜、ですわ。お姉さま、そうやってすぐ暴力を振るうのはいけません
わ! このデルタの柔らかなはぁとが、でれだけきづついているかわかってらっしゃる
の?」
「うるせえ、言葉も正しく綴れない馬鹿が」
「さ、最後のはお姉さまに痛めつけられた頬が引きつって、うまくしゃべれなかったんで
すぅ!」
 レンダルはくっくっくと笑い、ようやく元気の出てきたデルタに安心した。デルタもレ
ンダルにかまってもらえるのが嬉しく、ジョーイのことなど一瞬で忘れてしまった。

194FAT:2008/01/30(水) 20:28:16 ID:i6bpBbJo0

 二人が鉱山町ハノブに着いた頃にはもう陽は傾きかけていた。周りを高い山に囲まれて
いるハノブに訪れる夜は早い。二人は急いである人物を探した。
「素晴らしい! このジム=モリのエンチャット文章を五回連続で成功させるとは! こ
のジム=モリ、何年も、様々な人物を見てきたが君ほどの強運者は見たことがない! 君
は神の子か!」
「お、いたいた、詐欺師」
 探していた人物とはド派手な驚き方をしている男――ジム=モリ――のことであり、二
人はずかずかと商売の邪魔をした。
「お姉さん、気をつけなよ。こいつ詐欺師だから、こんなうまいこと言ってあんたを喜ば
してるけど、結局最後は全部失敗、破壊させて、あっちの男の売ってるボンドを買わせる
つもりだからな。今が止めどきだぜ」
「そうですわ、さぁ、お姉さん、お逃げなさって!」
「こぉぉぉぉぉらぁあああああ!!」
 ジム=モリの怒鳴り声に驚き、客の女性は逃げるように去っていった。
「あ〜あ、せっかくうまくいきかけてたのになぁ、ジム=モリのおっさん、残念だったな
ぁ」
「うっうっ、かわいそうなジム=モリおじさま……」
「てめえらのせいだろうがぁあああああ!! レンダル! デルタぁああああああ!!」
 顔を真っ赤にして怒りを露にするジム=モリ。しかし怒られても、二人はそんな姿をつ
まみに笑うのであった。
「はっはっは! すぐむきになりやがって! お前ほんとに面白いよなぁ。こいつがエイ
ミーの兄だなんて信じらんねーぜ」
「むっふふふ、むっふっふ。いつ来ても、ジム=モリおじさまをいぢめるのは楽しいです
わ」
「ちっ、全く、教養のない餓鬼どもめ。まあいい、いつものことだ。今日はなんだ? ま
たいつぞやのように一日中俺にひっついてきて商売の邪魔をする気じゃないだろうな」
「のんのん、今日はそんなつもりじゃありませんわっ」
「おめえの家をいただきにきたんだよ」
 盗賊のような柄の悪さで、レンダルはすごんで見せる。
「なっ、家を! だと! ふざけるな、あの家には俺の愛する……」
「ことりがすんでるのぉ〜」
「ぴーちくっ! ぱーちくっ!」
 二人は思いっきり馬鹿にした態度でジム=モリをからかう。そしてジム=モリは再び怒
り、怒鳴りつける。
「ふざけるなぁああああ!! 俺のぱーちくとぴーちくを侮辱するなぁあああああ!!」
「はぁ、調子のんなよ、こら」
 レンダルはずいと上体を反らしてジム=モリを威嚇する。ジム=モリは昔から暴力が苦
手だった。つまり、この性が暴力のような女は大の苦手だったのである。
「おぃっ、レンダル、すまなかった、ぴーちくとぱーちくのことを馬鹿にされてつい……」
「つい、なんだよぉ、おいっ」
 レンダルのまねをしてデルタも上体を反らせ、ジム=モリを威嚇した。ほんわかデルタ
もジム=モリの前ではなぜか強気である。
「ごめんなぁ、レンダル、デルタぁ。もう暗くなってきたし、おじちゃんの家に行こうか」
「今夜から俺の家だがな」
「あっ、お姉さまずるぃい! ぴーちくぱーちくはデルタのものなのぉ!」
「じゃあデルタ、ぴーちくぱーちくはお前の物、家は俺の物でどうだ?」
「賛成ですわっ! ぴーちくっ♪ ぱーちくっ♪」
「はぁ……」

 ジム=モリにとっての厄日が今、始まった。疫病神たちは無残にもジム=モリの平穏な
日々を奪い、彼は不安を抱え、疫病神たちを連れ家に戻った。
「ぴーちく、ぱーちく、お前たちだけが、俺の心の支えだぜ」
 ジム=モリは重い手取りで玄関のドアの鍵を開けた。背後の疫病神たちの怪しく光る目
にも気付かずに……。

195FAT:2008/01/30(水) 22:35:15 ID:i6bpBbJo0
こんばんは。NPCなジム=モリさんですが勝手に設定とかいろいろいぢってます。
ジム=モリファンのプレーヤー様方、ごめんなさい。

>>68hさん
毎度御感想頂きありがとうございます。
私もこの二人を書くのは久しぶりだったので嬉しさのあまりつい暴走を。
次はもっとひどくなる予定です。
タイトル通りの熱い人物もただ今思案中です。戦闘、熱く書きたいです。

>>159さん
感想ありがとうございます。ラスは鉄の道、レンダルたちはハノブなので距離的には
もうほとんどないんですよね。どのように仕掛けるか、じっくりと考えて書いていこう
と思います。

>>718さん
前作もそうでしたが、決してゲームの中の話を書いているのではなく、より現実に
近い目線で作品を書かれているのが素晴らしいです。
もっと色んな職種があって、雇う側、雇われる側の双方に望みがあり、それが互いに
一致したとき、労使関係が成り立つ。RSは選択肢がちょっと……ですよね。
しかし718さんの話は短いながらも完結しており、短編話の理想だなと思います。
次はどんな話が読めるのか、楽しみにしております。

>>白猫さん
チャージングもいいなぁ。基本的に知識ランサーはCP貯めスキルがないので(ラピは物理)
知識が反映されるCP貯めスキルがほしいところです。とはいってもアーティさんのチャージング
はCPがっぽがっぽ持ってかれそうですが。
ネル君、やるときゃやるねえ。デリカシーは足りてなさそうですけど><
なにがともあれルフィエさん、おめでとうっ!

>>21Rさん
タバコ……やめたつもりでもこんな描写読んじゃうとつい吸いたくなっちゃいます。
それにしてもヘビースモーカー。部屋で吸いすぎると目に沁みますよね。
アデルの天然キャラがまさかで面白いです。いい意味でアデルのイメージが崩れました(笑)

>>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
敵からすればフィナーアはプレデターのようですね。
突然倒れる仲間、見えない敵、パニックに陥るリーダー。
戦闘が終わった後のフィナーアはエロスでほっとしました。
漆黒の狼男、満月がよく似合いそうでかっこいいです。
ディアスほどの実力者をも戦慄させる力、楽しみにしております。

>>メイトリックスさん
デフヒルズの砂漠は恐ろしいですね。足がゼリーになったなんて足をとられ易い
砂漠の不安定感と暑さでよろめく足元のおぼつかなさを一言で表した素晴らしい言葉選び
だなと感心致しました。メイトリックスさんは非日常的な(ゆとり世代視線)難しい
言葉をあたかも自然に使っており、その語彙力とセンスに毎回脱帽しております。
ピアースの見た夢は暗示なのか、過去なのか、狂っていく彼女が心配でした。
ニイドの知る悪魔、エオローは二人の望むものを知っているのか、次回も期待して待っております。

>>之神さん
ナザルドさん運剣士だったんですか!? おいしいとこどりですがブラックさんの
ドロップアイテムには期待しちゃいますね\\
さぁ、ドロップするのは水色かUかDXUか!?
徹君でも装備できるような現実世界アイテムなんかが出てくればなぁと期待しております。

>>ワイトさん
おぞましいほどの執念。血の塊ってだけでも十分気味悪いのにそれが倒したばかりの
ヘルアサシンに……
以前の暗黒呪術(?)もそうでしたが、恐怖を感じる描写が上手いなぁと思います。
実際に自分だったら……と思うとぞっとします。
続きをぶるぶる震えながら待っております。

196◇68hJrjtY:2008/01/31(木) 12:33:05 ID:GO5BZKE.0
>之神さん
すっかり之神さんも短編専門から長編作家さんですね(*´ェ`*)
しかしなんと、ナザ君は運剣士だったとわ…。実物(?)を見るのはこれが初めてです(恥)
でもその運のお陰でミカの解毒やブラックへの攻撃など突然逆転できましたねヽ|・∀・|ノ ある意味最強キャラだったりして。
シルヴィーも敵だと思いたくないキャラだったので味方になってくれて(?)ちょっと嬉しいです。
ブラックも倒れ、阻む者は誰も居なくなったように思えますが…うーん。次回楽しみにしています!

>ワイトさん
血の呪いといいますか…ただの「ブラッドシェーカー」ではないというのは分かりますが、やっぱり執念めいたものが怖い。
恐ろしいのは血によって作られた身体ということは致命打となる攻撃方法が難しいところですね。
ピンチはコルによって救われたラータですが…どのようにブラッド・ヘルアサシンを攻略するのか。
「いきなりコル」はビビりますが、やっぱりパーティープレイってイイですね(*´д`*)
続きお待ちしています。

>FATさん
おお、ジム=モリさん登場(笑) なるほど、エイミーの兄という設定は面白いです。つながりもありますしね。
ということはリンケンのNPCでエンチャット文章をくれるダニアン君も実は実は…!?(こら
こんな妄想はさておき、レンダルとデルタのほのぼのした旅がランクーイとレルロンドの旅を彷彿とさせます。
ある意味似た者同士な二人と二人。私も彼ら彼女らはとっても好きなので掘り下げた逸話や物語はとっても楽しく読ませてもらっています。
ジムさんのぴーちくぱーちくの真髄(?)も非常に気になりますが(笑)、続きお待ちしてます!

197718:2008/01/31(木) 13:39:08 ID:gXqJ5/rQ0
感想を投稿するときは名無しにしていたんですが、何だか
感想を一つも投稿しない薄情者に思われるかと思ったので
718で投稿することにしますw


>ワイト氏

戦略的撤退・緊急回避時のコーリングですね。
ブラッドシェイカーという技の元々の特性を考えると、この判断はGJと
いわざるを得ないでしょう。
はてさて、呪われた力でほとんど無敵にも思えるヘルアサシンですが
2人に勝機はあるのでしょうか?

>白猫氏

灯台下暗しとは正にこのことでしょうか、数多の冒険者が往来する
アリアンの地下にレッドストーンが眠っているとは。

それにしてもハラハラと、先の読めない展開ですね。毎回、全てが意外な
展開で驚いてばかりです。

>◆21RFz91GTE氏

同じく禁煙中の身としてはニヨニヨしますねー。にしても、吸い過ぎでしょうw
不穏な雰囲気の集団が到来しましたが、これはウワサの敵対ギルドの
面々なのでしょうか。このまま激突してしまうのか、はたまた・・・。

>ESCADA a.k.a. DIWALI氏

シンバのシーンを読んで、シンバに対して今まで持っていたイメージが
ガラリと・・・!責を追うものの悲哀がチラリと覗き、グッと来ます。

>メイトリックス氏

ピアースの夢は、読んでいるこちらとしても「見たくない悪夢」を見せられている
ようでとても苦しくなりました。

まるで夢に干渉してきたかのようなニイドの出現、ピアースの悪夢が何の暗示
なのか気になります。

―――――――――――――――――――――――

感想ありがとうございます。常々ネクロにはハンマーのような丸みのある
武器が似合うなあと思っていたのが今回書き始めたきっかけでした。

裏方的な日常のヒトコマを補完できるのも、二次創作のいいところだと
思っています。


>之神氏

ついにブラックも「思わぬ伏兵」によって倒された・・のでしょうか。
運全振りの命中・回避力は異常ですよね。ザナルド君GJ

>FAT氏

僕は女性の尻に敷かれるのが得意なので、このジム=モリにはひどく
同情してしまいました。かわいそうなジム=モリ。
ひたすらに明るい二人の絵が、ランクーイとレルロンドを彷彿とさせます。
ああ、ランクーイ・・・
―――――――――――――――――――――――

感想ありがとうございます。僕はオンラインゲームの「ロールプレイ」が
好きな人間なので、需要と供給、生活臭じみたものが大好きでして・・
長編を書けるような筆力はないので、楽しみにしてもらえるような
短編を書き続けていきたいです。

>◇68hJrjtY氏

感想ありがとうございます。RPGでの魔法や技術って、たいていは
「戦いの場」でしか描写されないわけですが、敵を焼き尽くす業火も
サンマを焼く火も元々は同じ炎なわけで、その辺が相互に関わり
あっているような描写が個人的に大好きで・・。
し、シリーズ化!?・・調子に乗らない程度に思いつくまま
描いていきたいと思いますw

198ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/31(木) 17:56:11 ID:OhTl4zsk0
>>180からですよ〜

黒くも美しい毛並み、ダイアモンドのような光沢を放つ鋭い牙と爪・・・そして全身を闇のオーラが渦巻いている。
闇の元素を自身の身体へと送り込み、ウルフマンへと変身したバーロソミューの異形の姿がそこにある。
「なんと・・・この禍々しい風貌と覇気、このような物を見たことはありませんなァ・・・ですが、それで我輩を超えるとでも?」
アゴから長く伸びる白髭をさすりながら、しかし未だ余裕すら感じられる口調でディアスが問う。その間にも魔法陣は生み出されている。
「この姿を見てもその余裕・・・ですが、その余裕もすぐに消え失せるでしょう。この闇の力の前にね。」

冷たく言い放つバーソロミューだが、ディアスはそれを笑って返した・・・奢りと共に相手を見下すように・・・
「フフフハハハハハハハハ、やはりあなたは面白い・・・とても面白い!!滑稽、えぇ滑稽ですよこの大馬鹿がっ!!!
 人狼と化せばんもう魔法は使えない・・・しかしあなたはその状態で私に勝とうとでも!?それは無理なのですよォ――!!!」
先程まで維持していた紳士的な態度はもうそこには無く、高過ぎるプライドを剥き出しにした魔老がいるだけ。
魔法陣が青白く発光しまたも宙から隕石を呼び寄せた・・・!!!今度は50個規模という、もはやアルマゲドン級の災害が襲ってきた!!
「ハハハハハハハハハハハハ―――!!!ガキが強がってんじゃねぇぞぉぉぉおぉぉっ!この魔力は誰にも超えられねぇぇえ!!」

しかし、同じくしてバーソロミューにも変化が現われた・・・ディアスの豹変ぶりに呼応するかのように、キレた!!
「紳士的な方かと思いきや、あなたもアイツと同類でしたか・・・・奢るなよクソジジイが・・・!!!」
「アイツ!?どこの誰だか知らねぇが、テメェに同情される筋合いは無いんだよガキっ!!このクソガキっ!!!」
イカレた老人の高笑いが響く中、超災害級の隕石郡がバーソロミューに襲い掛かる・・・!!

過去に旧世界で使われた「核弾頭」と呼ばれる兵器が生み出すような、しかし小規模なキノコ雲が上がった・・!!




・・・爆発は、炎に包まれた村の中で死闘を演じる者達にもはっきりと見えていた。
「お〜お〜、派手にやらかしてくれるじゃねェかあの爺さん・・・てめぇらと同様、あっちで闘ってるお仲間も
 フルボッコの血祭りに挙げられてるだろうよォ・・・なァ、土いじりがだァ〜い好きな愚弟2号君?」
「ガハッ・・・・はぁっ・・・ちく・・しょぉっ!!!」「ふゃぁ・・・痛いよォ・・・やぅ〜、痛いなのォ・・・」
あからさまにバカにするような猫撫で声を出すミゲル。そして彼の目の前には・・・ひどく流血し横たわる
ミリアとトレスヴァントの姿があった。二人とも苦痛に呻いている・・・

199ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/31(木) 18:12:53 ID:OhTl4zsk0
そしてかろうじて立っていたのがエディだけだった。多少切り傷ができてはいるが、重傷というほどではない。
「ハッ・・・!てめぇらは所詮この程度、オレに傷を付けようなんざ三千万年早えんだよ!!ヒャッハハハハハハ!!」
傷一つ負っていないミゲルが3人を嘲笑う・・・しかしエディは冷静に相手を見据えたままでいる。
「・・・なァ、ミゲル。まさか、おれっちが出来るのは罠の設置だけとか考えちゃいねぇよなァ?違うか?」
弟が放つ視線とは思えないそれの冷たさにミゲルは思わず身震いしたが、すぐにまた傲慢な態度へと戻った。
「・・・ッ!!そ、それがどうしたってーんだよ、愚弟2号!!まさかてめぇこそオレに単身挑もうとか考えてんのか?あ!?」
「そうだよ。だから何だってぇのさ?」「て、テメェっ!!」軽くあしらうエディ、そしてミゲルはその発言に怒りを露にしている。
「アンタがいなくなってからオレら双子は力を付けてきたんだ、それを忘れてもらっちゃァ困るけどな?
 そんじゃま・・・旧世界から伝わる変幻自在のクールな足技、じっくりと味わってもらうぜ!!」
言い終えたエディは腰を低く落とし、両腕と両足をリズミカルに、交互に動かし始める・・・ジンガを踏み始めた!!
「おい・・・エディ、テメェその構えどこで・・・!?」エディの動きが何かわかっているのか、ミゲルが怯え出す。

「こいつは数ある格闘技の中でも珍しくてね・・・まるで踊るように相手を蹴るんだよ。武術の名は『カポエイラ』。
 ミゲル、あんたほどの手練れでもこの蹴りには付いて来れねェぞ・・・・・・ビートを刻むぜ!!」
いつの間にかエディはヘッドフォンを装着し、そこから流れる音楽に身を任せジンガを踏んでいる。
彼が穿いているブラックレザーのフレアパンツが不気味に黒光りする・・・!!!

200ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/01/31(木) 18:35:19 ID:OhTl4zsk0
「クク・・ククククっ!!!ざまァ見さらせクソガキがァっ!!!我輩に勝つなど一生涯掛けても無理なんですよ!!」
嘲笑うディアスの目の前には巨大なクレーターが出来上がっていた・・・!!先程の隕石群が突っ込んだ爆心地では煙が未だ晴れない。
「フフフフフ・・・生き残れるわけがありませんよ、死ね・・・死ね死ね、死ね死ね死ね死ねクソガキィぃぃいぃぃいぃぃ!!!」
もはや理性など全くない魔老の狂った叫びが木霊し、クレーターの煙が晴れる・・・その向こうに一つの影があり、ディアスはそれに驚かざるを得なかった!
全然ダメージを負っていないままの姿、バーソロミューが仁王立ちしていた・・・!!ハリネズミのように鋭い毛が逆立っている。
「・・・魔老ディアス、まさか今のが100%の本気とか言うんじゃないでしょうね?」彼はディアスを睨みながら言葉を紡ぐ・・・
「は・・何で生きてるんだよ!!?何で我輩の魔法を喰らったくせに生き延びてんだァああぁぁぁぁぁぁ!!?!!?!」
本気で焦燥に駆られるディアス、頭を抱え身震いし・・・ゆっくりと歩み寄るバーソロミューに怯えるしかできないでいた。
「I gonna tell you why did I survive・・・・答えは簡単、僕の身を包む闇の元素のおかげなんですよ。闇とは『無』・・・
 つまり闇の元素は全てを無に返す力を持っているのですよ。その力が隕石を無に返した、という訳です・・・」
種明かしを終えたところでバーソロミューは両方の拳を固め、両腕を後ろに引く・・・そして!!!
人狼の驚異的な腕力によって生み出された、爆発的なパンチの嵐がディアスを貫く!!!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラぁ――――!!!」
「わ・・・が・・はいが・・・クソガキごときにぃ・・・・ぐぉおああぁぁああぁぁああぁぁぁぁあぁああっ!!!!」
魔老の断末魔が響くなか、拳のラッシュはガトリング砲のように止め処なく乱射される!!!
ラッシュが止むと・・・そこには闇の元素を纏った拳によって消されたディアスの姿はない。
ボロボロに破れた真紅色のローブが風に舞うだけだった・・・・

「・・・人を侮るべからず。父上と対峙しているような気分でしたよ・・・やれやれですね。」
人狼化を解除したバーソロミューが呟く・・・・

to be continued.

201之神:2008/02/01(金) 05:26:00 ID:xJDkyE7Q0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593
-2 >>595
-3 >>596 >>597
-4 >>601 >>602
-5 >>611 >>612
-6 >>613 >>614
2章〜ライト登場。
-1>>620 >>621
-2>>622
-○>>626
-3>>637
-4>>648
-5>>651
-6 >>681
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687
-2>>688
-3>>702
-4>>713>>714
-5>>721
-6>>787
番外クリスマス >>796>>797>>798>>799
-7>>856>>858
-8>>868>>869
番外年末旅行>>894-901
4章〜兄弟
-1>>925-926
-2>>937
-3>>954
-4>>958-959
-5>>974-975
5冊目――――――――――――――――――――◆
-6>>25
-7>>50-51-54
-8>>104-105-106
-9>>149-150
-10>>187-189

202之神:2008/02/01(金) 05:59:38 ID:xJDkyE7Q0
γ

「運極かぁ・・・・・まぁ今はどうでもいい話だな」ライトは倒れるブラックに向き直る。

「・・・・・・ったく、どうするかこいつ・・・・オイ、起きろ手前」ペチペチと頬を叩く。
「・・・・・・・・・・ッ!」
「ハッ、いきなりの攻撃にやられるとはな、笑える話だ。生かすつもりは無えからな・・・・覚悟しとけ」
「もう身体が動かない、殺すなら・・・・・・どうぞ」ブラックは冷笑をうかべる。
「せめても、苦しまないで殺してやろうか」
「優しいな、兄さんは」

α
「せめても、苦しまないで殺してやろうか」
「優しいな、兄さんは」

・・・・・・お前ら、もっと兄弟らしい会話しろよ・・・・。
まぁいい。

「うう・・・・ゲホッ・・・・・・!」
「み、ミカ!平気か・・・・・?」
「なんと・・・・・・・か」ミカはぐったりとして、喋るのも辛そうだった・・・。
「いいよ、無理して話すな・・・・・!今は・・・・・寝てていい」
「うん・・・・私も動けないから・・・・・・あー・・・・」
パタッと倒れそうなミカを慌てて支える。ミカの顔は寝てはいるが、薬の苦しみは見られない。きっと解毒はされたのだと・・・・思う。

「それにしても、シルヴィーさん・・・!ありがとうございます、助かりました・・・・・」
「いいですよ、そんなの・・・・・・まぁ最期くらい、いい事しようかな・・・と」シルヴィーは微笑んでいた。
俺はそれが作り笑いだと分かったが・・・・・・・・・彼女の手に残る片方の注射機には気が回らなかった。

γ
「じゃあ・・・・・・そろそろ、だ」ライトはナイフを構える。
「・・・・はい、またいつか・・・・・・」



音も無く、それは振り下ろされた。命を奪うため・・・・・・・では無く。

「ぐっ・・・・ああああああああああぁぁぁああっ・・・!」ブラックの声が大きく部屋を反響する。
「これで死ぬだろ・・・・・・」
振り下ろされたナイフは、片足を貫く。それは神経を断ったのか、貫いた左足は動かない。
「一撃でっ・・・・・・・・殺すんジャ・・・・無いんだな・・・・・」ブラックはライトを弱弱しく睨む。
「死んださ」


「武道家人生は、軸足が命だろう」

「優しすぎるよ・・・・・・・貴方は・・・・・」

そのままブラックは、出血のせいか・・・・意識が無くなった。そして壁に寄りかかるブラックは倒れる。

カラン・・・・・・・・・
鉄が地面に落ちたような、そんな音がした。

203之神:2008/02/01(金) 06:18:36 ID:xJDkyE7Q0
大陸某所、道場。それは数年前の話。

「兄さん・・・・・またそんな事して・・・・・」
「いいじゃないの、カッコいいし!」そういう少年の手には、1本のダート。
「まったく・・・・・、父さんに見つかったら死刑ものだよ?」
「見つからないようにするさ・・・・・それより」ライトはブラックに駆け寄る。
「うん?」
「これ・・・・・クナイって言うんだけど、俺まだ投げられないんだ。だから、いつか投げられるようになった時、返してくんねえ?」
「そんな、そんなもの持ってるの父さんに見つかったら・・・・・!」
「平気平気、持ってろよっ!・・・・・それとも、お兄ちゃんの言う事聞けないのかぁ?」
「仕方ないなぁ・・・・・・まったく」ブラックはやれやれ、という素振りを見せる。

「いつか、絶対返してもらうからな!」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――

倒れたブラックから、それは落ちた。
カラン、と音を立てて。
今のライトには簡単に投げられるであろうクナイが。

「・・・・・手前・・・・こんな物まだ持ってたのかよ・・・・・・」


そしてライトは立ち上がる。
そして後ろに向かってそのクナイを投げつけた。

α
「それじゃあ、徹さん。ミカさん起きたらよろしく言っておいて下さいね・・・」
「ああ、言っておくよ・・・・・・・また、違う形で会えるといいけど・・・・・」

「そうですね・・・・・・では」シルヴィーは注射機を構える。
「・・・・・・・・え?それ・・・・・毒薬のほうだよな・・・・?」
「さよなら」

「ちょっ・・・・・待っ!」



シルヴィーは思った。
売られた私。買った雇い主はもうすぐ死んでしまうだろう。
だから賭場の借金の価値の私は、生きてはいけない。

自由に生きれなかった。なら、せめて自由に・・・・・死ぬくらい。
もう疲れたよ、生きるのに・・・・・・。


針がシルヴィーの首に近づこうという時。

204之神:2008/02/01(金) 06:44:46 ID:xJDkyE7Q0
α
針がシルヴィーの首に近づこうという時。
1本のクナイが、注射機を粉砕した。

「へっ・・・・・・・?」間抜けな声を出すシルヴィーに、近づくライト。
「お前・・・・・・・・何が原因か知らねえが、そんなに死にたいのかよ」
「うるさい・・・・・!自由には生きてこれなかったんだ・・・・・生まれてから・・・・」
「ほお、そんな理由で死ぬのか」ライトは倒れて動かないブラックを見て言う。
「くっ・・・・・!」
シルヴィーは舌を噛み切ろうとか、大口を開ける。
シルヴィーの歯は、舌を噛み切る事無く、別のものを噛んでいたのだが。

「イテテ・・・・・・」俺はシルヴィーの口に、自分の指を入れた。
「ほ・・・・徹さんまで・・・・・・」
「可愛い子が、勿体無いって・・・・・・・・って俺何言ってるんだ・・・・」
シルヴィーの唾液が付いている事なんか気にせず、俺は手ポケットに突っ込む。

「うっ・・・・・もういいんだよ・・・・!死んで楽になりたいんだよ・・・・・・もう、殺して・・・・・・」
「俺が、か?」ライトは間抜けに質問する。
「そう・・・・・殺して・・・・・貴方が・・・・・」
「分かった。俺 が ぶ っ 殺 し て や る よ 」
「ちょっと、何言ってんすかライトさん・・・・・・・!」

しかしライトは短刀を首元に近づける・・・・・・だが。

「お前は俺が殺すさ。いつかな。だから、俺が殺すまで自由に生きてろよ。そのうち殺してやるから」
「へ・・・・・・・・・・?」
「いつ殺すかは決まってないけどな。だからお前、俺が殺しにいくまで死ぬんじゃねえぞ?」
ライトはそのまま短刀をポイと投げ捨て、スタスタと部屋を出て行った。

「いっ・・・ヒッ・・・・・ううあ、自由って・・・・」泣いて嗚咽を交えつつ、シルヴィーは一言言った。

「じっ、自由に生きるなんて・・・・・考えたことなかったよ・・・・・」
部屋は、わんわんと泣き続けるシルヴィーの声が響いてるだけだった。

「わぁああああああああぁぁぁぁあああ――――・・・・・・・」


γ
「キミ、なかなかカッコイイ事言うじゃないか」ナザルドが、廊下に出たライトに言った。
「ハッ・・・あれがカッコいいのか?まぁ・・・・・・」
「本気で殺すとかじゃ、無いよねまさかっ!」
「まぁな」ライトは、ナザルドとは目を合わせない。

「人間、生きる道くらい自由じゃねえと・・・・・・やってられねえし、な」

205之神:2008/02/01(金) 06:54:08 ID:xJDkyE7Q0
おはようござーいます。
朝からこんな話ですが・・・・・・。
この章は終了ですかね、一応。
この章はほぼブラックとライト、シルヴィーがメイン・・・・です。
新キャラであるナザルドや、徹やミカはほぼ空気。仕様です・・・・あしからず。
一度誰かに言わせたかった!
「俺が殺してやるから、それまで死ぬな」・・・・・・ヽ(´ー`)ノ
ヒドぃ事言ってますけどね、それでいて優しいというか。
話の流れがグダグダなのは 華 麗 に スルーで。
またちょろっと書いてみます(・ω・´

そして感想、いつもありがとうございます。「また書こう!」と思える、いい原動力となっております(´∀`*

では、引き続き小説スレをお楽しみ下さい、之神の後書きでした。

206 ◆21RFz91GTE:2008/02/01(金) 12:48:17 ID:hnbHyKHE0
////********************************************************************************////
  ■◆21RFz91GTE:まとめサイト(だるま落し禁止)
  ■ttp://bokunatu.fc2web.com/trianglelife/sotn/main.html
  ■Act.1 アレン・ケイレンバック >>44-45
  ■Act.2 少女 3 >>65-67
  ■Act.3 少女 4 >>87-90
  ■Act.4 レスキュー? >>173-174
////********************************************************************************////

 Snow of the Northwind-最終章-

 The last World/It Little story…。

207 ◆21RFz91GTE:2008/02/01(金) 12:48:44 ID:hnbHyKHE0
Act.5 蒼の刻印-SevenDaysWar-



「ひっ!」
怪しげな男達はアジトへと入っていくと受付にいた女性に剣を付き付けた。この騒ぎに何事かと奥からミトが出てくるとその光景に絶句した。
「何者です!彼女を開放しなさい。」
「ミ…ミト様。」
「貴様がミトか、聞け!我ら主の言葉だ!」
相変わらず剣を女性の喉元に付き付けている男の左側に居た者が懐から一つの紙を取り出した。そしてそこに書かれている文面を読み上げる。
「「平和ボケしてる古都の君主ミト・メーベ公、次の満月の日我らアリアン同盟は古都へ侵略を進める。英雄だの何だのと言っている貴様らの街はこの俺様が貰い受ける、期限は七日だ。それまでに傭兵を雇うなり何也したまえ、もっともそれも無駄だと思うがね。」」
そう言うと男は持っていた紙をミトへと投げつけた。そして中央の剣を付き付けている男がニヤリと笑うと一つ
「そうだ、きちんと届けたって証を持って帰らないとな。丁度いい、この女の首を持って帰ろうとするか。」
その言葉を聞いた女性の顔は青ざめた。そして大きく剣を横に振りかぶると一気に女性の首を跳ねようと剣の軌道は円を描き始めた。
「アリス!」
咄嗟に琥珀の人を構えようとしたが矢を装填している間に首が跳ねられるだろうと一瞬のうちにミトは確信した。だが行動を止めようとはしなかった。
「死ねぇ!」
後数ミリと言うところまで男の剣は迫っていた、だが鋭く手入れされている剣はその獲物の首を跳ねようというギリギリの所で金属同士がぶつかる音が聞こえた刹那そこから先は一ミリも進まなかった。
「なっ!」
ギリギリと音を立てながら火花を散らす対象物がそこには有った。シャムシールのように曲がったロングソードより長めの長剣、逆手に持ち変えられているアデルのグルブエルスがそれを妨げていた。
「貴様、何者だ!」
「我より貴様の後ろに居る人間を確認した方がよいのでは無いか?」
「何だと…。」
男は咄嗟に後ろに首をむけた。そこには血まみれで立って居るウィザードが一人。右手には投擲用の槍を握っていた。
「貴様、何故いきてい…。」
そこまで言うとその男の首は胴体と切断された。切断された部分からすさまじい量の血が噴出した。例えるなら噴水のようにこのまま止まることなく永遠と噴出し続けるような勢いだった。だがそれもある一定の量を噴出すとゆっくりと流れるようになり。そして男の体は後ろへと倒れた。
「折角の一張羅が台無しだ、アリスティア。面倒かも知れないけどここの掃除を頼む。死体の片付けはアデルがやってくれるだろう。もし気分が冴え無いようなら他の者と一緒にやるか、もしくは休んで居なさい。」
「は…はい。」

208 ◆21RFz91GTE:2008/02/01(金) 12:49:08 ID:hnbHyKHE0
そう言うとアレンは引き返そうとした。だがそれをミトが止めるべくアレンの左腕を掴んで自分の方へと引き寄せる。
「まってくださいアレンさん!その槍は…なぜアレンさんがその槍を!」
「ミルが使っていた槍とは別の物だ、元々ミルが使っていた槍はそこら中で売られている投擲用の槍。子供の小遣い三か月分で買えるような代物だ。安心してくれ、アイツの槍をまた血で汚すことはしないさ。」
「…そうですよね。」
ほっと胸を下ろし、掴んでいたアレンの腕を放した。ところが今度はアレンが急用を思い出したかのようにキビキを返してミトの肩を掴んだ、突然の事でミトは顔を真っ赤に染めてアレンの体を両手で勢い良く付き飛ばした。
「なななな、何をするんですかアレンさん!」
サッと両手で自分の胸を庇い、顔を赤らめてそう言う。付き飛ばされた時の衝撃が予想以上に効いたのか、頭を抑えながらゆっくりと立ち上がって懐から一つのメモ帳を取り出す。
「何を勘違いしてるんだ、ちょっとお使いを頼もうとしたのに。」
「お…お使い…?」



 「リン三十グラム、マグネシウム四十グラム、鉄一キロ、窒素二グラム、アルミニウム三グラム、アンモニア八グラム、柊の枝八本、鉛四百グラム、アメジストの原石七グラム…後は――。」
クラウスを引きつれてアレンから頼まれた材料を買い揃えて行く二人。これらを使って何を作ろうというのかミトにはさっぱりだったが、隣で何やら笑みをこぼしているクラウスの姿が有った。
「ねぇクラウス、こんな材料で一体何が出来るの?」
「さぁ〜、私にも分かりません。何が出来るかは分かりませんがいいじゃ無いですか。こうしてデートというのもまた一興ですよ。」
クラウスがやけに楽しそうだったのはこれだった、デートって言葉を聞いたミトはまた頬を赤らめて少しクラウスとの間を開けた。
「何を恥ずかしがって居るのですかマスタ、今更じゃ無いですか。」
「そうだけど…でも恥ずかしいよ。」
「そうですか?私はとても楽しいですよ?」
さらに笑みをまして歩くクラウスに対してミトはとうと俯いてしまった。そしてまたメモ用紙を見てそこに書かれていた最後の買い物に絶句する。
「…アレンさん。」
「ん、どうかなさったのですか?」
「…これは、無理です。」



 一方その頃、アレンはアジトの地下室に篭っていた。
幾つかの魔法陣を描きそこに蝋燭を一本、また一本と置いて行く。お使いで頼んだ材料が届くのを最後に後は作り上げるだけの所まで進んでいた。そして一本タバコを取り出すと火をつけて煙を吸う。
「アレンさん!」
突然後ろの扉が吹き飛ばされんばかりの勢いで開いた、それに肩を振るわせたアレンがゆっくりと振りかえるとそこには鬼神の様な表情をしたミトが立っていた。
「あ、お帰り〜。全部買えた?」
笑顔でそう言うと一本の矢がアレンの顔を霞めた、頬に小さな切り傷を作ったその矢はアレンの前方の壁にめり込むように付き刺さった。
「何ですかこのリスト!何かを作るための材料は分かりますが最後の男性用の下着ってどういうことですか!」
「いやぁ〜、生き返ったばかりか俺の下着が無くてね。いいじゃないの、俺も昔ミトの下着を…。」
今度は足元に矢が突き刺さった、サーっと血の気が引く音が耳に聞こえる。いつの間にか三本目の矢を装填し何時でも発射できる体勢を整えているミトはさらに顔を真っ赤にして怒った。
「それは言わないでください!あの時結局アレンさんだって買えなかったじゃ無いですか!仕返しですか!嫌がらせですか!私に赤面させてそんなに楽しいんですか!私を困らせてそんなに楽しいんですか!アレンさんの変態!鬼畜!ロリコン!」
「ミト…何もそこまで言わなくても。」



Act.5 蒼の刻印-SevenDaysWar-
END

209 ◆21RFz91GTE:2008/02/01(金) 12:59:01 ID:hnbHyKHE0
こんにちは〜、21Rです(´・ω・`)ノ
二月ですね〜、もう二月ですねぇ〜、本当に二月ですねぇ〜…。


ヴァレンタインなんて誰が考えたんだ畜生|li:l|;|orz|l|i:|l|


*コメ返し
>>176 :◇68hJrjtY様
リアルでの出来事だったんですが、二人でタバコを部屋の中で吸っていたら30分足らずで部屋が真っ白になりましたヾ(´・ω・`)ノ
そろそろ第二節で散らばらせてた伏線の回収に入ります。
え?唐突?って思いましたら二節を再度ご覧くださいヾ(´・ω・`)ノ
アデルの方向音痴は既にアレンのロリコンと良い勝負かもしれませんね(ぁ

>>184 :メイトリックス様
毎度コメントありがとう御座います、最近暇が出来たものでメイトリックス様の小説読ませていただきました。
感想書くの得意じゃないのでアレですが、表現、文法、写生が綺麗でとても読みやすかったです。
今後も小説スレを宜しくお願いします(何
完璧人間作ってもあれなので必ず欠点を付けてますヾ(´・ω・`)ノ

>>195 :FAT様
あぅ、申し訳ないですorz
書いてると中バリバリタバコ吸ってた俺ですが許してください(ぉ
あ、かなり別件ですがリンク張りましたヾ(´・ω・`)ノ

>>197 :718様
おっと、それ以上はネタバレですよ奥さん(ぉ
一応今回でボケパート終了なのでそろそろ本題の話に進んで行きます。
何度も同じ事いって恐縮ですが、最終話で裏切らないでください(何

210718:2008/02/01(金) 13:44:47 ID:gXqJ5/rQ0
>ESCADA a.k.a. DIWALI氏

触れたものの存在を消してしまう恐ろしい闇の力、それを巧みに使いこなすバーソロミュー。
まるでジョj(ry 

カポエイラとはまたマニアックな格闘技を出してきますねー。エディの華麗な足裁きは
兄弟対決に決着をもたらすのでしょうか。

>之神氏

仮にも武人であるブラックにとって、命を奪うことと、未来の選択支を奪うこと、
どちらが残酷だったのか。
ブラックの「優しすぎる」という台詞も、捉えようによっては痛烈な皮肉に取れます。

次は新章ですね!ザナルド君の活躍に期待しております(^ω^ )

>◆21RFz91GTE氏

なにやら化学な雰囲気になってきましたね。以前は粉塵爆弾も登場しましたが、
今回はどんな仕掛けが登場するのでしょう。
全面対決まであと7日。このまま二大勢力の潰し合いが勃発してしまうのかはたまた!

211◇68hJrjtY:2008/02/01(金) 13:51:48 ID:aKxbQFKY0
>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
キレたディアス老も老人とは思えない状態(笑)ですが、キレたら怖いのはミュー君もでしたね。これはミリアが怖がりそうだ(笑)
ついに実戦で解禁された「闇の魔力」。何もかもを無にしてしまうということは、パンチ一発当たっただけで消滅ということですね((((;´・ω・`))))
つくづく敵に回したら恐ろしいミュー君…ともあれ、ディアス老の方はこれでひと段落つきましたね。
さて、エディの方は…なんてカッコイイんだエディ(笑) カポエイラって聞いた事あるような気がしますが、武術だったとは。
ファッションの変化も実はこれを狙ってのものだったのでしょうか。ミゲルとの実質一騎打ちですね。
続き楽しみにしています!

>之神さん
ハッピーエンド…と言い切れないながらも、ひとつの物語が終わったという実感がします。
今回はブラックとライトの過去を語りながら、二人の本当の気持ちが垣間見えたというか…。
あんな別れ方をしていなければ、いや規律の厳しい武道家系の兄弟でなければ親友になれていたのかもしれないとか思うと悲しいです。
シルヴィーもようやく、自由を手にしましたね。でも「自由」って難しいと思います。
「自由」とは自分勝手に生きる事じゃなくて、自らの由(よし)を立てる生き方をすること…某名言ですが私の好きな言葉です。
シルヴィー、そしてライトの物語、堪能させていただきました。また次章など楽しみにしています!

>21Rさん
いきなり戦闘シーン(?)でビビりました…が、まあアレンやアデルにかかればお茶の子さいさいですね!
アレン作の"何か"ですが…下着(笑) アリアン同盟の侵略に備えての行動でしょうか。
アレンのロリコンぶりはもはや言わずともギルドのみんなが知ってそうな気もしますけど(苦笑)
二節というか最初から全部読み直したいくらいなのですが、まったく読むのも遅い&伏線に気がつかないこの性癖。
でも21Rさんの執筆されてる小説が全て終了したら、また最初から読み直すつもりです。
私が出現する以前から執筆されていますしね〜…つくづく長寿ぶりに脱帽。続きお待ちしています。

212718:2008/02/01(金) 17:44:33 ID:gXqJ5/rQ0
こんばんは。また書いてみました。よろしければ読んでみてください。








――――出てきた――――

およそ食用として認知されているそれとは似ても似つかないほどの巨大な
胴体と、毒々しい真っ黄色の甲羅。

海辺に上がってきたサイドウォーカーの姿は、灰色の空と暗褐色の砂浜を背に、
どれほど離れていてもはっきりと分かるほどの奇妙な存在感を放っている。
巨大な甲殻類は、バトルアックスほどの大きなハサミを振り上げ、ゆっくりと
伸び上がった。

その様子を、およそ100メートルほど離れた岩場の陰から、静かに見つめる
一人の女がいた。ドレム付近を拠点に活動するハンターである。

彼女は、ギルド紋章の作成に必要な材料の獲得を目的にドレム川近辺で
キャンプを張り続けている。材料は希少価値が高く、かつ消耗品であるため
供給が需要に追いつかない、彼女のような売り手からすれば、天井知らずの
ウマイ市場なのだ。


――――大きい・・・期待できそうね――――

今まででも見たことのないほどの得物の大きさにほくそ笑みながら、
足、甲羅、鋏。携帯用の望遠鏡を覗き、その様子を隅々まで観察する。
最後に目に照準を合わせたとき、丁度、相手の目と合う格好になり、慌てて
望遠鏡から目を離した。もちろん、得物から女を確認できるわけではない。
が、狩猟者の「見つかってはいけない」という心理が、たまにこういった
間の抜けた挙動をとらせてしまう。

少々バツの悪そうな顔をして、女は海岸線を見やった。特に動くでもなく、
ブクブクと泡を吐き出す目標の姿が目に入る。それを確認すると、女は
岩場を伝って目標への接近を始めた。



『行動は迅速に。髪の毛一本鳴らすな。』

彼女は、師の教えを忠実に守りながら、時に泥の上に這い蹲りつつも、
素早く、静かに距離を詰めていった。

途中、匍匐するハンターの頭上を、殺人蚊の群れが掠めていく。

殺人蚊は、人間や動物の皮膚を食い破り、血肉を啜り、死に至らしめる文字通り危険な蟲ではあるが、
嗅覚以外の知覚をもたないため気をつけていれば被害にあうことはない。
いっぱしのハンターである女にとって、平常の対応は造作もないことである。

213718:2008/02/01(金) 17:45:29 ID:gXqJ5/rQ0

接近と停止、観察を繰り返し、標的までおよそ50メートル。

女は、岩陰から改めて目標を確認した。これより先、標的の視界をさまたげる
ものは何一つない。これ以上の接近は、気取られる可能性を持つ。

ここでやると決めた女は、ゆっくりと深呼吸すると、背中の矢筒に手を伸ばし、鉄製の矢を
掌一杯に掴み取ると、そのまま空中にばら撒いた。矢筒から躍り出た矢は落下することなく、
まるで軽羽のようにフワリと、慣性を無視して空中に留まった。

その中の一本を愛用の弓に番えると、より深い呼吸に合わせて、弦を引き絞り、
標的に狙いを定める。辺りを漂い、思い思いの方向を指していた矢の群れは、
女の挙動に指揮されるように旋回し、列を成し、一塊となって女の脇に控えた。

女の、宝石のように紅い瞳が大きく見開かれ、照準が絞られる。標的の僅かな動き、
風の流れにより起こるであろう着弾点のブレが、彼女の経験に基づく予測により慎重に
補正されていく。そして絶好の状態が訪れた瞬間、

――――ここ――――

そう思考するよりも早く、引き絞った指がスルリと解け、矢が放たれた。
そしてそれを正確に、一塊となった矢の一団が追尾していく。矢を送り出した
弦が、微かに低い唸りを漏らした。

放たれた矢の一団は滑るように飛び、標的の甲殻の隙間、泡にまみれた口の中へ
次々と着弾した。全ての矢は、寸分の狂いもなく最初に着弾した矢の矢尻を叩き、
その鏃を敵陣深く押し込んでいく。標的は抵抗する間もなくその口内を食い破られ、
鏃はその脳漿に到達した。
必殺の一撃を受けた甲殻類はたまらず仰向けに倒れこみ、数秒の後、
ピクリとも動かなくなった。

完全に沈黙した標的を確認すると、女は弓を降ろし、それに駆け寄った。
そして、携帯していた槍を甲殻の継ぎ目に差し込むと、缶切りの要領で
グルリと大きな腹部を裂き始めた。ほどなくして、甲殻が開き中からピンク色の
筋肉や内臓が顔を出し―――その中央に埋もれる目当てのものが見えた。
沸き立つ喜びを抑え、それに手を伸ばす。その時。

214718:2008/02/01(金) 17:45:54 ID:gXqJ5/rQ0
死んだと思っていた標的の鋏が勢い良く動き、女の足を挟むとそのまま逆さ吊りに
女の体を持ち上げた!

――――しまった――――

サイドウォーカーの巨躯は、女にとって「未経験の領域」であった。僅かに覆い
きれなかったそのほころびにより、止めには至らず気絶していただけだったのである。

仰向けの状態で意識を取り戻したサイドウォーカーは女を完全に敵と認識した。
防衛本能の、そして闘争本能の命ずるがまま、女をつるし上げ、咆哮し、その四肢をねじ切ろうと
大きく鋏を開く。開き・・・・・・そして、止まった。

それは、ほとんど無意識に、しかし非常に的確な動作だった。女は逆さづりのまま、咄嗟に槍を
思い切り伸ばすと、眼前でうねる脳漿に突き立て、そして、しこたまに掻き回していたのである。

思考の全てを強制的に断たれ、目標は今度こそ完全に沈黙した。

ようやく安堵した女は、軽業師のように鋏に取り付き、スルリと自身の足を引き抜くと、軽やかに
地面に飛び降りた。一瞬、脛に鋭い痛みが走る。見ると、紅い血筋が浮き上がっていた。鋏に
巻き込まれたときに、切ってしまったのだ。

――――ああ・・・!――――

顔一面の安堵が一変し、悔恨と恐怖に取って変わられる。

傷そのものはなんてことはない。

だが。


背中には冷たい汗が走り、心臓が早鐘のように鳴り始めた。女は得物の死骸から目当てのものをもぎ取ると、
狼狽しそうな自分を必死に抑え、辺りを見渡し、「それ」を発見してしまった。

小さな体を震わせながら、怒涛の勢いで向かってくる殺人蚊の群れの姿を。

殺人蚊の嗅覚は鋭く、遠く離れていても好物の血の匂いを嗅ぎ分ける。
小さなハンターの群れは、女の血肉を求めて飛来する。
魔法を使えない女には、霞のように変幻自在な羽虫の群れを駆逐する術がなかった。
ヒィと声にならない声を漏らすと、必死の形相で走り出した。
それを逃すまいと、羽虫の群れが猛追する。この瞬間、間違いなく彼女は、獲物であった。

一度野に立てば、狩る側、狩られる側などという定義はほんの些細な運命のかみ合わせでしかないのだ。

その後、彼女が無事生き延びたのか、それとも文字通り蜂の巣にされたのか、知るものなどいない。


―おわり―

215718:2008/02/01(金) 17:51:11 ID:gXqJ5/rQ0
今回は、ゲーム中よろしく「狩り」で生計を立てている人の話を書いてみました。

攻防のようなやりとりは難しいですね。
読み手の想像力を掻きたてるような、簡潔な文章はどうすればかけるのでしょ(^ω^?)

216ワイト:2008/02/01(金) 22:08:34 ID:CcwaTelY0
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「その余裕は何処から出てくるんだぁぁ!!!?絶対に殺してやる・・!!」
「口上だけは、相変わらず長げぇんだな!さっさと掛ってこいよっ!!!」
「クッククックッ・・・貴様こそ!威勢だけは一人前の様だな・・!それだけでは勝てんぞ!!」


ドンッッ!!アサシンは深く踏み込み一気に、ラータの側に駆け上がるっ!!
ズバァッ!!!躊躇無く・・首を跳ね飛ばした、アサシンだったが!音も無く崩れ落ちた
ラータのそれは、当然かの様に分身・・・!そして辺りを伺おうとする前に!!

「血により構成されてるって・・ほざいてたけどよ!能力自体は向上してねぇよな・・?」
咄嗟に背後に回っていたラータ・・・!そして首筋にダガーを添える!!!!
「ハハハハッ!どうやら敏捷性に掛けては一流の域に達しているようだな!!
そして・・その質問には答えられんなぁ・・・!だが!これはチャンスだぞ??どうする・・?」
「そうか・・言いたい事はそれだけか!!尋ねた俺が馬鹿だった!今息の根を止めてやるよ!!!」


ズシャアァッ!!!アサシンの首は噴き出る鮮血と共に高らかに宙に舞い上がる!!
グチュズチャァッ!グチュグチュ・・・・!
「何の音だ・・気持ち悪いな・・・・もしかすると・・このまま復活するのか??」
首を飛ばされ、身動きできずに倒れたアサシンの身体が突如起き上がり、
不気味な音を立てながら・・!湧き出る血を凝縮し、予想通り首が再生を始める!!

ズチュズチュ・・グチャ・・グチュ
「あぁあぁぁ!再び蘇ると言うわけだ・・!むしろ首を飛ばした所では、どうにもならんぞ!!
さぁてっ!戦闘を再開しようか!!終わらないこの勝負に決着等は・・望めんがな!!!!」
「やっぱり・・!こうなることは予想はしていたが・・まさにその通りだった訳か・・!
首に血を使って再生を果たした、アサシンの首から頭は、真っ赤な真紅の色に染まっている!!

「(ちっ・・!短期決戦は無理か・・・?にしても、気味がわりぃな・・触りたくもねぇぞ・・!」
ヒュン!ドヒュウゥンッ!!!アサシンは長剣を突如!ラータに向けて2度に渡って振り下ろすっ!!!
だが!それは「ソニックブレード」では無く、血の真空波「ブラッドシェーカー」になっていた!!

「だが、避け切れねぇ速さでも無いぜ!!!」
ラータは最小限の動きで「ブラッドシェーカー」を紙一重に回避する!!
「気を付けろよ!!それは追尾性の能力を秘めた特殊な血の刃だぁ!!!」

ヒュバアァァッ!!ドシュッ!!!!
「え!?」っと驚くのも束の間!!血の刃は、ラータの身体を傷つけながら
同時に視界に飛び散った血が、ラータの眼を!即ち見渡す範囲を限定する!!!!!


「(くそ!!そんな能力があるとは・・思いもしなかったぜ!!チッ・・・しかも
傷は大したことねぇが、眼が見えねぇ!!まさか・・視界を閉ざされるとはな・・!)」
「クハハッハッハハッッ!!!そうなるともう終わりだ!!見えぬまま、我を倒すのは・・ほぼ無理だろう!
結果は既に出ておるわ!!!抵抗出来ぬ貴様を殺しても仕方がないよなぁ・・?だから!ヒース!!!!
貴様から先に殺しておいてやろう・・!言っておくが・・ラータ!目に飛んだ血は、中々に取れんぞ!!」
ドタッ!余りの衝撃に、ヒースは逃げる所か・・その場にへたり込んでしまう!!

「そ・・そんな!か・・か・・・勝てる訳無い!!どうすれば・・!」
ヒースに目標を変えた、アサシンに大声で!ラータが呼びかける!!!
「まて!!てめぇの相手は、このラータ!俺だろうが!!無視する気か??
それとも・・手負いの敵を殺すというのに・・・情けを掛けるつもりか!?」


ピクッ・・・ヒースの方に向かおうとしていた、アサシンの歩みが止まる・・!
それは紛れもない、ラータの挑発に乗ってしまったということ!!しかし
視界は限定されている・・・ラータのその行動は、無謀とも言い換える事が出来る!!

「馬鹿が!!そんなに殺して欲しいか!??助かったかもしれぬと言うのに・・・!
よかろう!だが、今の挑発は自身の寿命を縮めただけの行為に過ぎぬわ!!!」

すいません(T∀T)時間が無くて・・此処で一旦中断です!申し訳ないです@@;
続きの小説は、また時間に余裕のある時に考えて投下したいと思います・・では|ω・)また!

217FAT:2008/02/01(金) 22:29:55 ID:i6bpBbJo0
「友へ」


 信じられないことってあるんだね。

 ギルド戦でもただの一度だって倒れたことのなかった君が、まさかこんな形で死んでし
まうなんて。

 僕はずっと待っていたんだ。
 古都の噴水前で、何時間も、ずっと来ない君を待っていたんだ。
 君が珍しく「一緒に狩りに行こう」って誘ってくれたから、僕は君が手を振って、笑顔
で来てくれるのを待っていたんだ。

 君はいつまで経っても現れなかった。
 当たり前だよね、だって、君はもうこの世にいなかったのだもの。

 木から落ちたんだってね。優しい君だから、子供が打ち上げてしまった遊具の羽根を取
りに、高い木に登ったんだってね。

 ギルド戦でもただの一度だって倒れたことのなかった君が、まさかこんな形で死んでし
まうなんて。

 枝に足を取られたんだってね。
 回転しながら落ちて、頭を打ったんだって。飛んでくる矢さえ軽々かわす君なのに、回
転に平衡感覚が目を回しちゃったのかな。

 僕は怒っていたんだ。いつまで経っても来やしない君に。
 
 僕は自分勝手だね。今更気付いたよ。

 君は死んじゃったのに、その君に対して怒っていたんだ。

 僕は自分のことしか考えてなかったんだ。


 君にお別れを告げに行ったとき、僕は君の前で涙を流さなかった。

 悲しくないわけじゃないよ。辛くないわけじゃないよ。

 ただ、大好きな君の最後の姿を涙で歪めたくなかったんだ。

 最後と知って、君の姿を目に焼き付けていたかったんだ。

 だから今、僕の両目から止めどない涙が溢れてる。

 ほんとは悲しかったんだ。ほんとは、辛かったんだ。

 君の前で涙を流さなかったことに、君は怒っているだろうか。
 君は、僕に失望しただろうか。

 ただのギルド友達じゃなかった。

 もし君が今の僕の姿を見れるのならば、ずっと僕を見ていてほしい。

 戦いだって遊びだって、なんだって君にいてほしい。僕と一緒にいてほしい。

 自分勝手な僕だから、君にいてほしい。

 君がいなくなるなんて、信じられないよ。

 ねえ、見てる?

 聞こえてる? 僕の声が。

 どれだけ君を求めているか、伝わってる?

 この眼に焼き付けた君の最後の姿が、君の全てになってしまう日が来るなんて考えたく
ないよ。

 君は僕の友達なんだから。

218◇68hJrjtY:2008/02/02(土) 09:58:10 ID:tSVRZyCA0
>718さん
弓スキルの描写もさることながら、モンスターの描写に別の意味で舌鼓です。
普段「狩り」と言葉では口にしますが実際それは生々しいもので
冒険者たちはこのように死体から収集品を切り取るなどしているのでしょうね…。それが生活の糧ですし。
予想外のラストシーン、でも弱肉強食の世界ならば咄嗟の敵味方の移り変わりは良くあることなのかもしれませんね。
あっさりとした語り口、ラストシーン含めて「狩り」そのものをリアルに表していると思いました。

>ワイトさん
勝ち目がなさそうな相手でも挑発する姿勢は流石的なものがありますが…ラータ、大丈夫でしょうか( ´・ω・)
しかし、戦闘シーンをこれだけ長く書けるのは凄いと思います。苦戦っぷりが現れてますね。
挑発は成功したようですがラータに策はあるのか。楽しみにお待ちしています。
時間がある時にゆっくり執筆して投稿、というサイクルで構いませんよ(*^ー゚)b

>FATさん
しばらくぶりの短編、ありがとうございます。…やっぱり悲しい(´;ω;`)
『水面鏡』の方のランクーイも同様でしたが、FATさんの死というひとつの終わりをテーマとされた小説が感動深いです。
残された者がどう感じるか、その人の死をどう受け止めるか。微細な感情を悲しく綴っていますね。
「友へ」と銘打たれたこの短編、悲恋話ではないという事が余計に心に染みました。
FATさんの時折の短編は楽しみのひとつです。

219 ◆21RFz91GTE:2008/02/02(土) 10:17:44 ID:hnbHyKHE0
////********************************************************************************////
  ■◆21RFz91GTE:まとめサイト(だるま落し禁止)
  ■ttp://bokunatu.fc2web.com/trianglelife/sotn/main.html
  ■Act.1 アレン・ケイレンバック >>44-45
  ■Act.2 少女 3 >>65-67
  ■Act.3 少女 4 >>87-90
  ■Act.4 レスキュー? >>173-174
  ■Act.5 蒼の刻印-SevenDaysWar- >>206-208
////********************************************************************************////

 Snow of the Northwind-最終章-

 The last World/It Little story…。

220 ◆21RFz91GTE:2008/02/02(土) 10:18:51 ID:hnbHyKHE0
Act.6 緑の刻印-SevenDaysWar-



 「それで、一体何を作るんですか?」
ちょっとしたいざこざの後、部屋を片付けていたミトがもう一度リストを見直してそう言う。一緒に方付けをしているアレンはその問いにゆっくりと顔を向けながら一つの書物を取り出す。
「槍だよ、七日後の戦に向けて自分用の牙がほしいと思ってね。」
「…でも何で槍なんですか?アレンさんには魔法が有るじゃ無いですか。」
「いざって言う時に何か牙があった方がいいだろ?」
「まぁ、確かにそうですが。」
「そう言うこと。さて、取りかかろうか。」
書物を中央のテーブルに置くと何ページか開いて一歩後ろに下がる。そしてお使いで頼んだ鉱物や沢山の材料を右手に持って構えた。
「蒼空を超える七つの紅蓮、彷徨い疑う種族と我らの問いに答え騎士たる力を与えよ…我は汝に問う、汝は蒼空なる力を持って我に知識と知恵を与えん、母なる大地は紅に燃える時汝の力を開放する十六夜と共に蒼空に一つの光をもたらさん!」
手に翳した鉱物達はその詠唱と共に光で包み込まれていく、そしてアレンの周りに幾つかの魔法陣が生まれると足元に描かれた魔法陣が反応し、そこで連鎖反応を起こす。スパーク現象が始めに生まれ、そこから幾つかのルーン文字が出現する。一般的な錬金術での練成をそのまま使用した下級ウィザードでも出来る簡単な物だった。
 だが、アレンが行った錬金術はその基盤を少し弄った練成法による物質具現化法の一つだった。通常の錬金術と少し違うその魔法陣は次第に形を変えていく。始めにあった七つの角は九つに変わり、最後には十二の角を持つ巨大な魔法陣へと姿を変えて行く。
 光に包み込まれた物質は次第にその姿を変えて行く、上下に伸びる柄の部分を筆頭に刃を形取り、アレンの身長を同じほどの長さまで達した。
「かなりの大きさですね、アレン様の身長と照らし合わせても百八十六センチ…それ以上の長さですね。」
「確かにそれぐらいの長さは有りますね、でもそれ程の長さを持つ槍なんて扱うことが出来るのかしら?」
「ランサー達が振るうランスよりは短いですね、振るう事が出来るかもしれませんが重さを考えれば役態無しもいい所では無いでしょうか?」
後方で色々と捜索する二人の会話を聞いてアレンはニヤリと笑みを零す。そして最後の法術を施した鉱物達は完全に槍へと姿を変えて光を収縮していった。
 光が無くなったところには完全に槍になった獲物が現れた、それは二人が話していた通りの長さ、それ以上かもしれないほどのリーチを持った槍だった。市販で売られているグレイプを象った槍は柄の部分だけでアレンの肩ぐらいまでの長さを誇っている。肝心の刃の部分は偃月刀のように曲がった刃をしていた。
「持ってみるかい?」

221 ◆21RFz91GTE:2008/02/02(土) 10:19:17 ID:hnbHyKHE0
そう言うとアレンはさも簡単に作り出した槍をクラウスに放り投げた、それを慌てた様子でゆっくりと飛んでくる槍を受け止めた。そして余りの軽さに驚愕する。
「この長さでこれだけの重さ…不思議だ。」
そして両手で受け止めた槍を左手に持ち変えて手の平で放り投げた。三回ほど放り投げるとアレンに槍を返しに行く。受け取ったアレンは刃を上にして柄を地面にコツンとぶつける。
「世界には幾つ物ロンギヌスの槍が有るように魔槍と呼ばれるグングニルも存在する、一度手から放れても必ず持ち主の元へと戻ってくる事から「スピア・ザ・グングニル」って呼ぶ人も多い。様々な槍がある中伝説上の槍も存在する。」
「その槍が凄いかはまだ分かりませんが、なんと言う名前ですか?」
「特に考えてはいなかったが、そうだなぁ…「ブリューナック」とでも付けておくか。」
「ブリューナック…「貫くもの」ですか。何を貫くのですか?」
クラウスが冗談交じりにそう言うとアレンの動きはピタっととまった、そして一度ミトを凝視する。その熱い視線を感じたミトは咄嗟に自分を庇おうとクラウスを盾にする。
「ロリコン…。」「ダメです、まだ私も食べてません。」



 「OK、何時でもいいぞアデル。」
「…良いのか?」
「あぁ、いいぞ。」
「…怪我をしても我は知らんぞ?」
アジトの中央部、巨大な中庭にアデルとアレンの二人は互いに距離を取ってお互いに正面を向けていた。周りには何事かと騒ぎを嗅ぎ付けたギルド員達がギャラリーを作っていた。
「何が始まるんだ?」
一人のギルド員が言う。
「何でもアレン様とアデル師匠が魔法を使わずの一対一をするそうだ。」
「魔法を使わない?それじゃぁアレン様に勝ち目なんてあるのか?」
「だからこそ面白そうなんじゃないか、英雄とキメラの一騎打ちなんて今後一切拝むことも無い事だろ。」
ざわめきの中そう言う声も聞こえてきた。そして中央広場にクラウスが出てくると二人のほぼ中央に立った。
「準備はいいですか?」
「あぁ。」「うむ。」
二人は同時に返事をして戦闘態勢に入る、それを見たクラウスは一つため息を付いた。右手を上げて二人の顔をもう一度確認し、右手を一気に下ろし、そして一目散に逃げた。
アデルが始めに動く、右手にグルブエルスを逆手に構え地面を蹴った。瞬時にブリューナックを召還すると両手で体の前に構える。空中から降下してくるアデルを左に避け、腰を沈めて槍を突き出す。一直線に突き出された槍はアデルの右腕を狙っていた。地面にグルブスエルスを付きたてた状態で前方へと前転してそれを避けた。続けてアレンが動く、右手にブリューナックを構え柄の先端を握り締めて左腕を目の前に持ってきた。そして自転しその反動と力を利用し槍を左腕に乗せて旋廻する。アデルはそれを左手に構えるツインシグナルで防いだ。アレンに背中を向け逆手に持ち変えられているツインシグナルとブリューナックはぶつかり合い金属音と共に火花を飛ばした。
「流石だなアデル、黒衣の焔…剣聖の二つ名は伊達じゃないってか?」
「お主も、ウィザードにしておくのは勿体無いほどの体術だ。だがお互いまだ二分と行ったところか?」
「へ、流石に見透かされてらぁ…。」
「少しハンデをやろう、強化魔法を使うといい。」
「それはありがたい。」
火花を散らしたまま二つの金属は未だにぶつかり合っている。アデルは右腕を横に伸ばすと手を開いた。するとそこには地面に突き刺さって居るはずのグルブスエルスが突然移動する。
「「二速転換!(セカンドギア)」」
同時に叫びが聞こえた瞬間二人の体はフッと姿を消した、そして何処からとも無く金属音のぶつかる音が聞こえてくる。アデルとアレンの二人は高速で移動しながら互いに武器を交えていた。それを肉眼で捉えることなど並大抵の冒険者には不可能な事。
激しくぶつかり合う闘志と闘志は摩擦熱を起こしその場のフィールドの熱を上げる。一定温度まで上昇した空間は真夏の炎天下の中に居るような感覚さえ引き起こした。



Act.6 緑の刻印-SevenDaysWar-
To be continues...

222 ◆21RFz91GTE:2008/02/02(土) 10:20:14 ID:hnbHyKHE0
Act.7 白の刻印-SevenDaysWar-



 この街は四季を問わず暑い場所、砂漠化した大地の上にひっそりとたたずむオアシスに儲けられた傭兵都市アリアン。古都が始まりの街と言われるのであれば、アリアンは強者の街とでもいえるだろう。並大抵の術者、戦士などでは到達することも難しい高波に到達した物達が暮らす傭兵の楽園。
 商店街は何時ものように活気立ち、鍛冶屋は修理に訪れる者たちで大賑わい。それが何時ものアリアンだった。そしてこの日、一つのギルドに異変が起こった。それは幾つ物ギルドの合併による巨大な傭兵ギルドの誕生である。親となるギルドの名前は舌をかむような長さで、とても覚えずらい名前をして居る。そのせいもあり通称で呼ばれる事の多いギルド。ステレプトと呼ばれるこのギルドは七つのギルドを吸収し、六日後に行われる一つの戦争に向けての準備を着々と進めていた。
 大陸四大ギルドの内ステレプトはこの日の合併により一番強力で巨大なギルドに成長していた、その全てが傭兵ギルドで現段階での加入人口は三千五百人。二番手に来る古都のノースウィンド、ここ数ヶ月誰かが加入したと言う噂は全く流れて来ない。戦を嫌い地域の保守や復興等に力を入れていた。人数は暫定で六百三十人。数字だけ見ればその巨大さが伺えるが実際に戦闘できるのはその半分以下だろう。だが、それは昨日までの話。
 残る二つのギルドの内、貿易都市ブリッジヘッドのシーフギルドは既に壊滅寸前。今は義族たちの復興により力は蓄えたものの、一人のウィザードの力により壊滅状態にまでさせられたギルドを立て直すのには更なる時間が必要とされていた。最後の貿易都市シュトラセトに存在するギルド、ハイカルラルグのギルドマスターであるガズル、「ガズル・E・バーズン」がノースウィンドのアジトまで護衛を引きつれて来ていた。



 「お久しゅう御座います、ミト・メーベ公。」
「お久し振りですね、ガズル伯爵。」
円卓会議室に数名でそこにいた、ノースウィンド側はミトを筆頭にアレン、クラウス、アデルの四名。ハイカルラルグ側にはガズルを筆頭としたお供三名。計八人で円卓会議室にいた。
ガズルは身長こそそこまで高くない物の、生きる賢者と言われるほどのきれ物。極端に大きなメガネに青いニット棒、緑のジャケットを付けた武道家が彼である。
「立ち話もなんです、お座りください。」
「それではお言葉に甘えて。」
八人はそれぞれ椅子に座り話し合う準備をしていた。そこに受付兼執事役のアリスティアがドアをノックして入ってくる。お茶をそれぞれ配り、一礼して会議室を後にした。
「単刀直入に言いましょう、我らハイカルラルグと同盟を結んでいただきたい。」
「同盟…ですか。」
「ステレプトは先刻ほど七つのギルドを吸収、配下に収め強大な力を付けました。このままでは古都はおろかシュトラセトにも脅威が及びます。何よりこの世界を奴に委ねてはなりません、民は苦しみ治安は乱れ、そして我が物顔で殺人を繰り返す軍事国家になりかねません。」
真剣な眼差しでミトを目を見ながら必死に語るガズル、それに対してノースウィンド側は眉一つ動かさずにその話を聞いてる。
「英雄アレン・ケイレンバック様、貴方様の力は先の大戦で承認済みですが些か此度の戦、侮れませんぞ。」

223 ◆21RFz91GTE:2008/02/02(土) 10:20:41 ID:hnbHyKHE0
「毎度の事ながら英雄扱いされるのは馴れないな…して、侮れないとは?」
茶のみに手を出してゆっくりと口元へと持っていくアレン、左目を瞑ってゆっくりと湯を飲んだ後そのままの姿勢でガズルをにらんだ。
「ステレプトには強大な力を持つ四天王が居ます、風の「ウィンド」、炎の「レイヴン」、氷の「ステラ」そして三ヶ月前死亡した無の「ジュミル」。現存する四天王の内至高の力を持つと言われるウィンドとレイヴン。この二名の力は貴方様と等価と言われ恐れられています。そして頂点に君臨するステレプトのギルドマスター…。」
茶のみを手に取ると中に入っている湯を淵ギリギリの所まで傾けると回転させて湯を溢さないように回した。それを幾度か繰り返しそして一口飲んで湯飲みを置き、鋭い目線でアレンを見る。
「それだけでは有りません、先日流れ込んできた噂が何よりも怖いのです。」
「噂?」
今度はクラウスが口を開いた、しきりに議事録を作って居る最中の事だった。一度ペンを止めてガズルに顔を向けてそう言う。
「アリアンの地下には巨大な迷宮が存在します、そこには魔物も住んでおり一度間違えれば襲いかかってきます。その更に奥、一人の冒険者が偶然迷い込み発見したそうです。」
「発見?何を発見したのですか?」
とても恐ろしい者を見たと言う噂、その噂を聞き付けての同盟という意味合いもあるのだろう。人が敵対できるはずの無い古の鬼、魔獣として恐れられ、あまりの強大さに人が無理矢理こじ開けたパンドラの箱を恐怖によって無造作に封印されし者。
「失われし魔獣…バフォメット。」
その言葉を聞いた瞬間ノースウィンド側に動揺が走った。失われし魔獣、神々を滅ぼせし者、一つの闇から生まれし絶望と言うなの鬼神。太古の人々は鬼同様に恐れ、そして神話に存在する名前を彼に与えた。
「アレが…ステレプトに…。」
「詳しい事は私にも分からないのです、あくまでも噂なのですから。」
両手を目の前で組みそこにあごを乗せた、目を瞑り一つため息をついてから口を開く。ゆっくりと目を開いてアデルを見た。
「お話は常々伺っておりますよアデル・ロード。生きる災厄、黒衣の焔、炎の剣聖、マスターキメラ…。どれを取っても貴方に相応しい二つ名だ。」
「…。」
深く帽子を被っていたアデルは少し顔を上げた、左目の所に当る帽子の切れ目からガズルを覗き、そして目を放さなかった。
「私は知りたい、伝承に残るバフォメットの存在と強さを…貴方なら知って居るはずだ。」
「人間よ、太陽に近づきすぎればその羽は燃え尽きるだけだ。知らずして幸せと言う言葉もあるのを覚えておくと良い。」
「構いません、燃え付き地面に落ちるのであればそれも運命でしょう。」
「…。」
アデルは再びうつむいて黙りを始めてしまった。静かな空気が流れ、部屋に設置されている時計の秒針音だけが聞こえてくるような、そんな静けさだった。
「我には分からぬ、だがアレの復活には幾多の命が必要となる。それも十人や百人の命ではなく、千の命を必要とする。本来従者の三つの命があればそれだけで十分賄えた。だが内二体は我らが葬り吸収できたのは恐らく一体、残りの命を人間に置き換えるならば此度の戦、丁度いいだろう。」
その言葉に一同は絶句した、何百と言う命では足らず千物命を代価に復活する魔獣。もしそれが本当であればこの戦の本当の意味は…そう考えざる終えなかった。
「では、此度の戦は…。」
「主らが考えている通り、この戦…ただでは終わらん。」




Act.7 白の刻印-SevenDaysWar-
To be continues...

224 ◆21RFz91GTE:2008/02/02(土) 10:25:44 ID:hnbHyKHE0
寝不足ですヾ(´・ω・`)ノ

おはよう御座います、21Rです。
もう二月ですね、二月入りましたね、二月なんですね…。

ヴァレンタインなんて考えた奴、俺の前でどげざしr(うわなにするやめr

コメ返し

>>210 :718様
期待を裏切ってしまい申し訳無いです;;
特にネタは組み込んで無いです、役体無しで申し訳無いです;;
粉塵爆発かぁ…懐かしいですねぇ(ぉ

>>211 :◇68hJrjtY様
まだまだ回収し切れて無い伏線が多くて困ってますorz
最初から読み返しですかぁ〜…感想お待ちしております(ぁ
あ、言い忘れてました。
アデルは俺のよm(ぉ

次話にてオリジナルスキル発動させますヾ(´・ω・`)ノ

225之神:2008/02/02(土) 14:18:48 ID:xJDkyE7Q0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593
-2 >>595
-3 >>596 >>597
-4 >>601 >>602
-5 >>611 >>612
-6 >>613 >>614
2章〜ライト登場。
-1>>620 >>621
-2>>622
-○>>626
-3>>637
-4>>648
-5>>651
-6 >>681
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687
-2>>688
-3>>702
-4>>713>>714
-5>>721
-6>>787
番外クリスマス >>796>>797>>798>>799
-7>>856>>858
-8>>868>>869
番外年末旅行>>894-901
4章〜兄弟
-1>>925-926
-2>>937
-3>>954
-4>>958-959
-5>>974-975
5冊目――――――――――――――――――――◆
-6>>25
-7>>50-51-54
-8>>104-105-106
-9>>149-150
-10>>187-189
-11>>202-204

226之神:2008/02/02(土) 14:49:29 ID:xJDkyE7Q0
番外
α

市内は騒がしかった。具体的に何が騒がしいのかというと、それは・・・・・。
「鬼は〜外っ!福は〜内っ・・・・!」

そう、節分。

鬼が邪気扱いされ、徹底的に追いやられる行事。情けないことに豆ごときにビビって鬼が逃げまとう行事。
そんな行事「節分」が、わが町でも大々的に催される事になった。
正直ダルぃだけのコレだが、俺達の通う学校の男子生徒は皆、強制的に鬼の役をして町内を駆け回る事になっている。
町内会・・・・・という規模で無く、市のほとんどでこれは行われる。

以下、学校放課後。
「ねえ、徹」俺に声をかけてきたのは、同居人の女性、ミカだった。
「なんだ・・・・?」
「美術部の人がね、徹にもこれ・・・・って、渡してきたんだけど。なんなのこれ、お祭り?」ミカが手に持っていたのは、可愛い鬼のお面だった。
「つっ・・・・・とうとうこの時期に・・・・・!」面を叩き割りそうな勢いを堪え、制服姿のミカに説明をする。
「んーと・・・・・・、邪気払いで鬼を追い払って、一年のなんちゃらを祈る行事・・・・だっけな」
「ふーん・・・・。で、徹も鬼になるわけ?」
「ああ、ウチの学校に入学すると、市内の行事に強制的に参加だからな。これもその一つってワケよ」
「女子は帰れるから、男子の間抜けな姿を私は楽観しようかな♪」ミカは悪戯に笑う。
「まぁ、カッコ悪ぃ所は見せたく無いんだが・・・・・」

「普段からそこまでカッコいいワケでも無いわよ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・。


そして、収集がかかる。
教師も自ら鬼の面を手にし、生徒に内容を説明する。
「んで、豆を投げられたらそのまま走れ!えーーと、再集合は5時な、お面を返却してから家路につくように・・・・・・以上解散!
 鬼になりきってこーい!」

先公のテキトーな説明が終わると、男子生徒はダラダラと立ち上がり体育館から出て行く。
俺が玄関につく間、どうやってサボろうかと考えている時・・・・・・

「おう、徹!」元気な声がかかる。振り返るのも面倒なので、俺はそのまま声の主に答えた。
「なんだ、啓太」それは俺の仲の良いクラスメートの一人で、一緒に下校をする程の間柄だった。
「今日の鬼さー、どこでサボろうか?」
「ハッ、お前も俺と同じ事考えてたのか」
「いやぁ、こんなメンドーな行事、終わるまで遊んでるが吉だろ」
「まぁ、な」

そのまま啓太と共に、俺は学校を出た。お面を付けず、手に持ったまま。

「鬼は〜外!外!場外!」
突然威勢の良い声が響く。それは俺と啓太にとっては馴染みのある声だった。
「岡田ぁ!お前もまさかこの豆まきに・・・・!?」啓太に岡田と呼ばれたその人物は、同じクラスのソフトボール部の女子だった。
「そうよー?鬼なんて私の豆裁きでコテンパンね!」
「岡田が本気出すと、本当に痛そうだからやめてくれ・・・・・!」冷や汗を流しながら言う啓太に、俺も同意する。

「で、アンタら鬼でしょう、なら・・・・・・・・」岡田の手が、豆の袋に伸びる。
「ヤベぇ・・・・逃げるぞ徹っ!」
「言われなくても逃げるって!」

そうして俺らは、全力失踪で岡田の魔の手から逃れたのだった。このときまでは、フツーの節分大会。
この時点で気づいていれば、俺は啓太と一緒にどこか店でも入って時間をつぶしていただろう。
だが俺達は迂闊にも街をウロついていた。
そして出会った。

227之神:2008/02/02(土) 15:22:44 ID:xJDkyE7Q0
α
最初は、柔道部の奴だと思った。大柄な身体に、それに似合う筋肉質な身体。
しかしその考えは、徐々に消されて行く・・・・・・・。
誰かも分からない奴に、啓太は気軽に声をかける。
「おお、アンタもここでサボってるんですかっ?」啓太の『サボる』に気分を悪くし、何か言って来るだろうと・・・・俺は思ってた。だが・・・・・
「ガルルルル・・・・・グル」 え・・・・・?ガルル?ちょっ、どこの猛獣?
「アハハ、ガルルってアンタ、鬼の鳴き声のつもりか知らないけどさ、もう少し考えようぜー・・・・・」相変わらずな啓太。
「ガルル・・・・・・ここ・・・・・」
「え?」
「ここ、どこだ?・・・・・・・・ガルル・・・・」


β

はーぁ、徹は変なイベントに参加してるし、どこにいるかも分からないし・・・・ヒマだなー・・・・・。
私は制服を脱いで着替えながら、鬼の面を思い出す。
あんな、まるでオーガを可愛くしたようなの付けて走り回ってるなんて、笑っちゃう。


α
その声は、明らかに人間の類が出せる声ではなかった。
ライオンがしゃべったらこんな感じ・・・・っていう、猛獣のワイルドさ溢れる声だった。
そしてもう一つ俺は思った。

・・・・・・・こいつも、またアッチ系なのか・・・・・・。

ここで言う『アッチ』とは、疚しいものの方では無く・・・・・・。
「異世界人」
もう慣れている。日常では無い超常が、既に日常な俺には、ショックなど無かった。
しかし思うのが一つ・・・・・

今までは人間・・・・・・・・・思想や性格や身体能力は置いておき・・・・・、人間の姿の者ばかりだった。
ミカなんて俺から見ても可愛いし、ライトだって普通に街を歩いてても平気だ。
しかし目の前の・・・・・・こいつはどう見ても人間では無かった。
別の種族か、またはゲームみたいなモンスターなのか。

「おーいどうした徹、いきなり黙り込んでよー」
「ああ、ちょっと考え事・・・・・」俺はいい。だが啓太は異世界のことなんて微塵も知らない。
さ、どうするか・・・・・・。

幸い鬼男(仮)は、襲ってくる様子も無い・・・・・面妖だが、節分のリアルなコスプレで通る見た目ではあった。
言語も通じる・・・・っぽい。

「啓太」
「何?」
「ちょっと、俺用事出来たから、一回家に戻るわ」
「え、おい、突然だな」
「ああ・・・・・・突然だよ、本当」


γ
「んー?おいおい、何で今日はこんなに騒がしいんだ」俺は家の屋根から街を見下ろす。
どこもかしこも人が歩き回って、オーガみたいな面をしたやつらを追い掛け回している。なんだ・・・・・祭りか?
とりあえず俺は、適当に漁る為にウロつくことにした。
そうして歩き回ってる時、一人の人影が見えた。
「ん・・・・・・・徹? 路地裏なんかで何してんだ」

α
よし・・・・啓太は居ないか。
「あ、あの・・・・・・・・」
「ガルル・・・・・・・・?」
「何故、ここに?貴方・・・・・たぶんここの人間じゃ無いですよね?」
「ああ・・・・・仲間のキャンプに居たと思ったんだが・・・・・・グルル・・・」見た目とは違い、ちゃんと会話をしてくれる。
「えーと・・・・・・・・いつごろ来たんです?」
「さっき飛ばされたんだ、いきなり。気がついたらここにいたんだが・・・・・・グフ」
「そ、そうですか・・・・・・えーと・・・・お名前は?」

「ナイル。オーガの頭領をやってる。小さいグループだが・・・・・・・・お前さんの名前はなんて言うんだ」鉄槌・・・のような物を地面にドスン、と置く。
「徹です・・・・・長嶋徹。それで・・・・・・」
「なんだ?・・・・・・グルゥ」
「フランデルとかって所から、来たんですかね・・・・?」
「そこの人間はそう言ってるがな・・・・・・そうだ」はぁ、やっぱりか。何でこうもホイホイやってくるんだよ・・・・・・。
「ここの人には見られましたか?」
「ああ、お前とさっきの奴と、それと何人か・・・・・」
「その人たちの反応は?」
「いや、乾いた豆を投げられたが・・・・・・棍棒を掲げたら、どっか逃げてしまったわい」
「えーと、危害は加えて無いんですね・・・・?良かった・・・・・」
その時、黒い影が降りてきた。上から。

「何してんだ徹?」

228之神:2008/02/02(土) 15:47:55 ID:xJDkyE7Q0
α
「あ!ライトさんいい所に・・・・・・・」
「お前、いつの間にオーガと知り合い?」
「いや、さっき会ったばっかですけど・・・・・・」
「グル・・・・・・・・この街の奴らと違うな、貴様」
「ああ、俺はー、ライトって呼んでくれ。フランデルにいたけどこっちに来てな。まぁお前と同じだ」
「人間にお前と呼ばれるのは・・・・・・まぁいい。俺は、どうすれば帰れる?」ナイルは筋肉の塊のような顔を、微妙に歪めている。
「いや・・・・・・俺にも分かりませんし、ならライトさんも帰ってるでしょうし・・・・ね」
「今のところ帰り方は知らねえんだ。行きかたはあるっぽいが」
「グルゥ・・・・・・・どうしたものか・・・・・」


「鬼は外!場外!鬼ヶ島に帰れーーっ!」
「あ・・・・・!岡田・・・・・・・・・ナイルさん、とりあえず逃げて・・・・」
言うとナイルは、のっしのっしと走り出す。大柄な身体のまんまだ、・・・・・・・・ノロイ。

「豆なんて痛く無いから平気だぞ?」ナイルは走りながら先導する俺に声をかける。
「いや・・・・・・じっくり見られたらバレるでしょう、流石に!」
「徹、俺は面倒だから離脱するわー」と言ってライトは笑って飛んでいってしまった。
「えっ?ちょっ・・・・・!あー・・・・・・・人でなしーーっ!」
俺だけに任せてどうするんだよまったく・・・・・・帰ったら言ってやろう、と思いつつ・・・・・このナイルをどうするか考えていた。

「ナイルさん・・・・!とりあえず、ナイルさんは鬼に見えるらしいので、商店街通って一気に抜けましょう」
「よくわからんが・・・・・・俺はお前についていくぞ・・・・・・・!」
傍から見れば、大男に追いかけられる青年・・・・・・にも見えなくない図。見栄えはどうでもいいが。

商店街に差し掛かると、そこは人の通りが激しく、時々鬼の役の者も通る。
ナイルをチラ見くらいしかしないせいか、みんな鬼だと思ってるようだ。バカで助かる・・・・・というか、本来なら俺が常識外だk(ry

「ここをまっすぐ行けば、人が通らない過疎地がありますからー、で」
「俺の家もありますから」
「わ、わがった・・・・・・!」

商店街を流れに沿って進んでいる・・・・・と。
流れの先がなんだかざわめいていた。
なんだーー・・・・・・・・・・?
「あ・・・・・・!」
目線の先には車があった。
遊歩道のこの道に、わざわざ突っ込む車が。
車の外装からして、明らかにマトモな運転手とは思えなかったが、それは無駄にエンジン音を出して進んできた。
市民はすかさず避けるが、中には車に掠ったり、避けて転ぶ人までいた。
「ったく・・・・・なんでこんなやつがこんなときに・・・・・」
俺は危険だが、関わるともっと危険だと思い、スルーを決め込む事にした。
警察がなんとかするだろ・・・・・・その時。

「止めてくる」
そう言うと、ナイルはずかずかと市民に突っ込む車へ向かった。

229之神:2008/02/02(土) 16:09:01 ID:xJDkyE7Q0
α
とめるヒマも無く、ナイルはやってしまった。

「お前、危ねえじゃないか・・・・・・ガル・・・・・」車の15mほど前に立ちはだかるナイル。
運転してる不良と思しき者は、窓から顔を出し笑いながら
「おーいデカいの、そこにいると轢かれるぜー?当たっちゃうよー?ヘヘヘヘ」車には何人かいるようで、他の輩も顔を出していた。
ボックスカーのような、そんな車はナイルに向かってスピードを出していた。
誰もがナイルの巨体が弾かれることを考えていた・・・・・・が。


・・・・・・・・・・・。

「危ねえじゃないか。俺がいるのが見えなかったのか?それとも、止まれなかったのか?」
ナイルは・・・・・・・・車を片手で静止させたのだった。
「は、・・・・・はぁ?」車の不良達は、意味が分からないという顔をしている。まぁ、俺も意味が分からないんだが。

「おい、そのまま押しちまえよ」車の中の男が言った。
「そうよ、ヨユーでしょ?」女も運転している者の頭をバンバンと叩く。
「おっけー、やっちまおう」

男はアクセルを思いっきり踏み込む。
しかし、車は空しくその場で車輪を回すだけだった。

そしてナイルは一言。
「まだ止まらないのか。お仕置きだ・・・・・・ガルゥ」
手に持つ棍棒を思いっきり車のボンネットに叩き下ろしたのだった。

ボコン!

と音が鳴ったかと思うと、車のボンネットが真っ二つに折れ曲がっていた。
「あー・・・・・・ナイルさん、余計な事を・・・・・・・」俺は額に手を当てため息をつく。
「こいつが平気で周りに迷惑かけてんだ、誰かが止めないとだろ・・・・・」得意げにナイルは言うと、棍棒を車から引き剥がす。

車の持ち主は、怪力男に恐れてか・・・・・出てこない。
「とっ、とりあえず逃げよう!もう、余計な事しないで下さいよ本当にっ!」
「グルァ、分かった。気をつける」

そうして逃げるように・・・・・というか逃げたのだが。
俺の家の先までは、無事についた。

「大きなキャンプだな・・・・・」
「いや、家ですって」

俺が家に入れようとしたとき、前に経験したアレが起こった。
ミカが目の前に現れた、あの嵐のような歪み。
「おお、来るときと同じだ・・・・・・・・帰れるのか・・・・?」
「たぶん・・・・・・・」
「そうか、徹。ありが・・・・・・・」
ナイルが言いかけた時、嵐は止み、中に入った大男は消えてしまった。
「な、なんなんだ・・・・・・」

一方的に振り回されて、なんだか疲れた放課後だったが・・・・・・
「あーっ、これからお面も返しに学校行かなきゃじゃねーか・・・・・・!」
そうして俺はトボトボと学校へ歩いていった。

230之神:2008/02/02(土) 16:30:41 ID:xJDkyE7Q0
α
家に帰り、今日の事を話す元気も無い頃。
「あっ、徹!鬼は楽しかった?」ミカが聞く。
「・・・・・・全然」
「そ、そう」

「おーい、2人とも、こっち来てくれ。お土産があるんだ」ライトがそう言って手招きする。
「お土産って・・・・・盗品?」ミカが呆れて質問する。
「もちろん!盗んでナンボ」と、ライトはニヤニヤして答えた。
「・・・・・・・・で、何を?」
「俺もよく分からんが、これだ。街にたくさんあってな、店にも家にも」ライトは差し出した。
「これ・・・・・・・恵方巻か」
「エホーマキ?何だそれは」
「何か知らないで、盗んだんですかアンタ!」
「いや・・・・・まぁ、食い物ってのは分かったけどさ」
「恵方っていう、縁起のある方角を向いて無言で食べる。それが恵方巻。お願い事をしながら食ったり、な」
「へえ・・・・・・願い事かぁ」反応を見せたのはミカだった。
「んじゃあ、盗品ってのがいただけないが、どうせだし食おうか・・・・・」ライトをジロリと一瞥してから、俺は皿に出す。

「一気に齧り付いて食うこと。切ると縁起悪いんだ。あと、無言で願いでもしながら恵方を向いて食う。それだけ」

α
そうして俺はネットで調べた恵方を向き・・・・・齧り付く。
「無ぐ・・・・・・・もご・・・・・ゴクン」
〜疲れる事がこれ以上起きません様に〜

β
ん・・・・・・けっこう太いのね・・・・・食べにくいわ。
「もぐもぐ・・・・・・・・」
〜徹とずっと一緒にいられますように、ついでにライトも〜

γ
無言で食うとか、ワケのわからん催しだな、まったく・・・・・・。
「ガツガツ・・・・・・・・・」
〜手が後ろに回りませんように〜


「食った・・・・・・ね?」
「ああ、食ってる間退屈だった」ライトが言う。
「ところで・・・・・・・、徹とミカは、何を願ったんだ?俺は捕まらないようにと・・・・・」
「ぶっ、捕まるような事してるのに・・・・・・俺は、徒労が増えないように、かな」
「わ、私は・・・・えーと・・・・・・・・・・・・」
「ん?言えないような事願ったのか?」ニヤつくライトを無視して、ミカは言った。
「えっと!もっと可愛くなれますように!・・・・・だよ」
顔を染めるミカ。

「まぁ・・・・・・」
「俺は今も、十分可愛いと思うけど?」と、俺は言ってから微妙に後悔したが・・・・・。

「えっ・・・・・ありがとう」下を向いてミカはもじもじする。

「お前ら熱いなーっ、まったく・・・モゴ!へほうまひをふひいいえうあーーっ!(恵方巻を口に入れるなーっ!」
「うるさい・・・!もう、食べてる間黙ってなさいよっ!」ミカの顔はもう真っ赤になっていた。徹は気がつかないが。

「節分ってこんなに疲れるんだっけ・・・・・」俺はミカとライトの喧嘩を外れて、一人考えていた。



「まぁ、楽しかったけどさ」

231◇68hJrjtY:2008/02/02(土) 16:40:30 ID:tSVRZyCA0
>21Rさん
嵐の前の静けさ…面白くなってまいりましたね(こらこら
アレンの作り出した「ブリューナック」も見事ですが、各ギルドの情勢が手に取るように分かりました。
警戒すべきステレプト、ノースウィンドとの同盟を求めるハイカルラルグ。実際の戦争歴史のようで大好きです(*´д`*)
しかしバフォメットが再び出てくる可能性があるということはただのギルド同士の戦争で終わらないという事ですね。
先の見えない展開、続きお待ちしています。オリジナルスキル…+(0゚・∀・) + ワクテカ +
---
最初から全部読んだ感想なんて書いたら普通に超過レスしそうな気もします(;´Д`A ```
ちまちま感想を書いててもすぐ長くなってしまうしorz

>之神さん
恒例となった(?)之神さんの行事短編、楽しく読ませてもらいました。
なるほどそうか、徹の学校は地域行事に強制参加なのですね(笑)
オーガのナイルが良い味出してましたね。人間がこっちに迷い込むならモンスターもまた迷い込んでてもおかしくないですよね。
最後まで言えなかった「ありがとう」とかちょっと涙モノでしたよ(´;ω;`)ウッ…
徹もミカやライトたちと一緒に行事をやってる時は楽しそうですし、なんか羨ましいです(笑)
そしてミカの願い…|´∀`●) ポッ

232之神:2008/02/02(土) 16:40:49 ID:xJDkyE7Q0
節分ですよねー、みなさん豆まきはするのでしょうか、恵方巻を齧るのでしょうか。
私は豆はまかないものの、恵方巻は食べるつもりです。
オーガが鬼に見えて思いついた、衝動的な短編です。書きながら物語考えて・・・・w
計画性無し、オチ無しヤマ無し(?

ちなみに私の中でのオーガのイメージは、優しい力持ちです。
ええ、本当に勝手なイメージですがw
そんな鬼男(仮 オーガの話でした。
ああっ、バレンタインとかあるじゃないかっ!
今から考えないと・・・・・・・(´д`;

そしていつも感想ありがとうございます。また書いたりします。
之神でした。

233之神:2008/02/03(日) 11:48:00 ID:xJDkyE7Q0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593―2 >>595―3 >>596 -597―4 >>601 -602―5 >>611 -612―6 >>613 -614
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
2章〜ライト登場。
-1>>620 -621―2>>622―○>>626―3>>637―4>>648―5>>651―6 >>681
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687―2>>688―3>>702―4>>713-714―5>>721―6>>787―7>>856-858
―8>>868-869
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
4章〜兄弟
-1>>925-926 ―2>>937 ―3>>954 ―4>>958-959 ―5>>974-975
◇――――――――――――――――5冊目―――――――――――――――――◇
-6>>25 ―7>>50-54 ―8>>104-106 ―9>>149-150 ―10>>187-189 ―11>>202-204

◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
番外

クリスマス  >>796-799
年末旅行>>894-901
節分  >>226-230
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆



ちょっと私の小説の目次があまりにも縦長なので、少しいじりました。
こんなので埋めて申し訳ない・・・・・・・・・。

では、引き続き小説スレをお楽しみ下さい。

234白猫:2008/02/03(日) 21:49:53 ID:y8XNfWoQ0
Puppet―歌姫と絡繰人形―

第一章〜第五章及び番外編 5冊目>>992
第六章 -夜空の下で- >>30-37
第七章 -深紅の衣- >>70-81
第八章 -神卸- >>137-139
第九章 -チャージング- >>164-171



第十章 母



 「…………」
 【…………】
 【ヒッ…………】
アリアン地下遺跡、地下二階。
静寂の中、ルヴィラィはゆっくりと手を伸ばす。

   バチン

と、その手がレッドストーンに触れる直前、弾かれる。
火傷のように真っ赤になった手を見、ルヴィラィは目を見開く。

レ ッ ド ス ト ー ン に 触 れ ら れ な い。

 【どーなってんの? パペット。ルヴィぽん弾かれてんじゃん】
 【ヒッ…悪魔系統ノ魔力、寄セ付ケナイ】
 【え、ルヴィぽんって呪術師じゃね?】
悪魔、といえばコウモリの羽、二本の角、狼のような牙と、凄まじく偏った想像しかサーレはできない。
と、そのサーレにルヴィラィが険しい顔で首を横に振る。
 「確かに私は呪術師だけれど…まぁ、半ヒトってところかしら。
 悪魔としての転生の儀を行ったヒト…だから、私はヒトだけどヒトじゃない」
そう呟き、ルヴィラィは目を閉じる。
 「数分あればこの結界は外せるわ――それまで、"そいつ"を食い止めないとね」
 【……?】
そいつ、の言葉にサーレは首を傾げる。
辺りには自分とルヴィラィ、パペットの三人(?)しか見当たらない。
かなり遠方に見える階段も、降りた後破壊した故に、誰かが降りてくることはない。
 【ンジャ、時間ゴリゴリ稼イデチョ。ヒヒッ】
宙に浮くパペットに、ルヴィラィはゆっくりと頷く。
未だに状況を飲み込みかねているサーレは、首を90度傾けた。
 【………?】
 「――来た」

   「『 ――ハウリングブラスト 』」

瞬間、
ルヴィラィ達の後方、4本の石柱に囲まれた舞台が、突如上の階からぶち抜かれた。
凄まじい量の土煙が上がり、その土煙にルヴィラィ達は呑み込まれた。
 「…二日ぶりかしら、フェンリル坊や」
 【…ネルぽん?】
そう呟いたサーレの眼前、
辺りを朦々と舞っていた土煙が、突如渦を巻いて舞台の中心に巻き上げられる。
見る間に晴れていく土煙の中、その暴風にサーレは目を細めた。
 【…………】
 「全く――階段を崩して扉の結界をぶち抜いて、また乙なことをなさるものですね、ルヴィラィ」
 「フフ――[イグドラシル]での傷はもう全快したのかしら、フェンリル?」
カツ、と舞台の床をブーツで叩き、紅い鎧とマントを棚引かせ、ネルはルヴィラィ達の前に舞い降りた。
 「…あの時の続きです」
 「…………」
"あの時"…傷負い血吐き、リレッタを抱え、[イグドラシル]の転送装置へ向かったとき。
あのとき、ネルが言った言葉を思い出す。

   《お前は…お前は必ず!》



 「お前は必ず…僕が、壊します」

235白猫:2008/02/03(日) 21:50:27 ID:y8XNfWoQ0
瞬間、
充分距離を取っていたはずのサーレの眼前に、ネルの体が躍り出た。
慌てて杭を生み出し、瞬時にネルへと放った。
それを右腕の一薙ぎで切り払い、サーレに廻し蹴りを繰り出す。
 【ぅ、わっと!?】
その廻し蹴りを屈んで避け、サーレはバック宙でネルから離れる。
と。

   「『 ――――… 』」

そのサーレに、無数の星形の炎弾が飛ぶ。
が、その炎弾が全て無数の黒い球によって弾かれた。
 「ルフィエ!」
 【ルヴィぽん!?】
舞台の中央、ネルを援護するように杖を構えたルフィエ。
サーレの脇、その援護を威嚇するように笑うルヴィラィ。
 (こいつが…こいつが、ルヴィラィ…!)
 (なるほどね――この子が[歌姫]なの)
その両者を見やり、ネルとサーレはしかし向き直る。
 【ふぅん…リトルウィッチって攻撃もできるんだぁ】
 (今はサーレを撃破しなければ…ルフィエに賭けるというのはこの上なく不安ですが)
と、そのネルの眼前。
 【まぁ、ネルぽん。今は私に集、中】
凄まじく巨大な杭を生み出し、サーレはにっこりと笑う。
 【潰れちゃえ――】
ゴギャンッ、とネルごと、舞台前の石畳が陥没する。
それに反比例するように、サーレとルヴィラィの前に石畳と同じ色の壁が立ち上がった。
 (錬金術…?)
 「ッハァアアアアッ!!」
それを目を細めて見やるサーレの脇、
ルヴィラィが右手に黒球を生み出し、それを目の前の壁に向かって投げる。
風を切る音もなく投擲された黒球は壁に衝突…同時に、大爆発を起こした。
その大爆発の最中、サーレは右手で支えていた直径4mはあろう杭を、朦々と立ち上がる土煙の中の、紅色の光に向かって投げつけた。
が、

   「『 ティタン(巨人族の)―― 』」

ネルの右腕が突如ウルフマン(人狼)のように変化…その質量を何倍にも膨れ上がらせる。

   「『 エッジ(刃)!! 』」
瞬間、
ネルを潰さんとしていた杭が、ネルの右腕によってバラバラに断ち切られる。
 「室内で、こんな危ない玩具を使うんじゃありませんよ」
ドォン、と後方に落ちる杭を見もせずに、ネルは呟いた。
その、巨人族のものかと見紛う大きさの鈍色の腕を見、サーレはふんと笑う。
これが、ネルの新しい術の一つ…[ティタンエッジ(巨人族の刃)]。
瞬時に右腕を巨人族並に巨大化させる単純な術だが、破壊力では右に出る術はない。
それを見やり、サーレはうーんと唸る。
 【[絶望の銑鉄]じゃ相手にならないかな…びっくりびっくり】
そう呟き、サーレはゆっくりと両の手を広げる。

   【来たれ――『デスサイズ(死の大鎌)』】

236白猫:2008/02/03(日) 21:51:05 ID:y8XNfWoQ0

瞬間、
サーレの両手に、身の丈ほどもある巨大な鎌が握られる。
それを見、ルヴィラィは少しだけ驚く。
 (サーレ…本気になったようね)
鈍色の刃、紫の柄の巨大な鎌を握るサーレに、ルヴィラィはゆっくりと手を差し伸べる。
 「援護はするわ…好きになさい」
 【モチ】
その言葉を言い切ると同時、
巨大な鎌を振り上げ、サーレはネルの眼前へ躍り出る。
その力の赴くまま、両の手に握られた鎌を振るう。
その鎌を巨大な鉤爪のような腕で受け止め、ネルは腕力で強引にサーレを投げ飛ばす。
その合間、ルヴィラィへとルフィエが、無数の光弾を放っている。
が、それらは全て、ルヴィラィに到達する寸前に弾け飛んだ。
 「『 ティタン―― 』」
吹き飛ぶサーレを見やり、ネルは小さく呟く。
途端、彼の右腕が眩い紅色の炎に包まれていく。
 「『 エッジ 』」
瞬間、
凄まじい大きさの鉤爪が、サーレに向けて繰り出される。
避ける暇がない、その攻撃にサーレは咄嗟に鎌を振るう。
ガィン、と鎌と鉤爪が激突し、しかし双方共に弾かれない。
吹っ飛びつつもなんとかその攻撃を受けきり、サーレはフワリと着地する。
その、"空中で上下逆さの状態から繰り出した防御の攻撃"に、ネルは内心舌を巻いた。
 (あんな芸当、僕でも出来ないでしょうね…伊達に傀儡ではない、ということですか)
 〈あぶあぶあぶ…もーちょいでやられるとこだった! マジ人間!?〉
お互いに改めて相手の戦闘力を悟り、双方じりじりとにじり寄る。
 (さて、どう攻めるか――?)
 〈ちょっとでも隙を見せたらまずいかな…なんとか状況打開しなきゃ〉
しばらくの、静寂が訪れる。
と、その静寂が、
 【ッヒヒィッッヒヒヒッヒヒヒヒ!!!】
騒々しく、甲高い声に途切れた。
うざったそうに見れば、パペットの触手が、赤く光る石を抱えている。
結界が解かれた、とネルは内心舌を打った。
 「ご苦労様、パペット」
 【やるぅ、パペット】
パペットの脇へ降り立ったサーレに、小さくルヴィラィは耳打ちする。
 「今すぐ[イグドラシル]へお戻りなさい。[グングニル]の破壊を急ぐ」
 【えっ】
 【ヒッ…命令ニハ、忠実二】
 【ぅ、うん】
その言葉に、サーレは腰から懐中時計を取り出す。
それが[イグドラシル]への転送装置だと半秒遅れて気付いたネルは、咄嗟に右腕を振り上げる。
 「『 ――ティタンエッジ!! 』」
 「あら」
突如迫り来る巨大な爪に、ルヴィラィは目を丸くする。
丸くして、軽く手を振るう。
瞬間、
黒と灰、紫の奇妙な盾が立ち上がる。
表面に無数の人々の絵が描かれた、見ただけで気分が悪くなるような盾が。
ネルの爪はその盾に激突する、が。

237白猫:2008/02/03(日) 21:51:31 ID:y8XNfWoQ0
 (…"貫けない"!?)
サーレの杭をいとも簡単にバラバラにした[ティタンエッジ]が、阻まれている。
ルヴィラィの発動したこの盾の術は、それほどまでに防御力が高いのか。
 【ま、ルヴィぽんの[嘆きの壁]は崩れないだろうね】
 【ヒッ。[秘術]クラスデモ防グ難攻不落ノ絶壁。ヒヒッ】
そう言う間に、サーレのパペットの姿が突如掻き消えた。
それを見やり、ルヴィラィは盾点[嘆きの壁]を解除する。
ルフィエの脇へと降り立ったネル、
レッドストーンの台座へと舞い上がったルヴィラィ、
双方、睨み合い。
 「――ルヴィラィ、お前の目的は何です」
 「…ふ、単に終わらせるだけよ。この騒々しくも美しい、[世界]という名の旋律を」
 「そんなこと、させません」
 「阻めるかしら――あなたたちに、私が?」
瞬間、

   「理不尽不条理百承知、最悪最低極悪非道。それでも貴方は結ぶのよ、だって今日は雨だもの。『 裏切りの契約! 』」
   「兵士よ馬よ立ち上がれ、剣よ槍よ敵を裂け、戦よ戦、千軍万馬の見せ所。『 バトルマーチ! 』」

ルヴィラィ・ルフィエ双方の唄が、同時に紡がれる。
一方は、対象の武具を封印する[裏切りの契約]。
一方は、いかなる呪いをも解除する[バトルマーチ]。
双方が双方を打ち消し、辺りには再び静寂が訪れる。
 (速い…唄だけじゃなくて、魔力の統制がすごく速い)
 (流石に唄では勝ち目はないか…まぁ、魔力統御は此方の方が遙かに上だし)
しばらく思考を流し、ルヴィラィはしかし笑みを浮かべる。
その笑みを見、ネルは目を細めた。
 (…"あの時"の、笑いだ)
"あの時"…古都で初めて、ルヴィラィと遭遇したあの時。
まるで自分がナノ単位の小さな生物だと痛感させられる、絶対的な次元の差。
それを象徴したような、余裕を持った笑み。
 (あの時の屈辱は…忘れない)
抵抗らしい抵抗もできず、ルヴィラィに良いように遊ばれ、そして逃げられた。
だが。

今は、違う。
 (不思議だ――あの時ほど、脅威を、恐怖を感じない)
あの時の"どうしようもなさ"が襲ってこなかった。
あの時と、何かが違う。
右腕があるからなのか。
[エリクシル]があるからなのか。
新しい力を手に入れたからなのか。
違う。
 (――そう)
自分の傍にいる、一人の少女。
この少女を、大切なものを護ると、自分は誓ったはずだ。
命を賭して護る…"総て"を護ると、自分は誓ったはずだ。
 ([護る]――護って、見せる)

   「神卸――『 韋駄天 』」

瞬間、
ネルの兜が鈍色から突如蒼く発光――彼の体が、淡く煌めく。
同時に湧き起こる、"この世のものではない魔力"。
 「さあ――始めましょうか。"私"の戦いを」

238白猫:2008/02/03(日) 21:51:53 ID:y8XNfWoQ0

神卸。
自らの器を"イレモノ"として捧げ、神を卸す神術。
[明鏡止水]を極めた者にこそ為し得る、神の力。
卸すは、世界最速、唯一無二の俊速の"神"。
名を――韋駄天。




 「ッハァアアアアア!!!」
 「『 ――嘆きの盾 』」
韋駄天が繰り出す無数の拳を、ルヴィラィの召還した無数の盾が阻む。
[嘆きの盾]――小型の[嘆きの壁]を、無数生み出すルヴィラィの力。
それを見やり、韋駄天は少しだけ目を細める。
が。
鈍色の右腕を思い切り振りかぶり、叫ぶ。
 「『 破砕拳ッ!! 』」
 「!!?」
瞬間、
バギャン、と韋駄天の拳が、[嘆きの盾]を貫いた。
[破砕拳]…相手の装甲を撃ち抜く[武具破壊]の力である。
最も、魔力云々の制御はされておらず、単に"思い切り拳を繰り出した"だけの芸当である。
だがそれで、あの[嘆きの盾]を貫いた。
 (身体能力が異常に上昇してる…一体何を………、!?)
と、その視界の端。
目を閉じ、唄を紡ぐルフィエの姿が見えた。
 (まさか――[勝利の女神]!?)
慌てて黒弾を無数、生み出す。
それをルフィエに向けて全て放ち、追いすがる韋駄天の拳をかわす。
が。
 「遅いッ!」
 「ッ」
めきょ、という音と共に、韋駄天の拳がルヴィラィの背中から胸を、貫いた。
途端に吹き出す鮮血に、韋駄天は少しだけ目を細める。
 (こいつ…速い、わね…私より、凄まじく速い)
血を吐きつつ、ルヴィラィはゆっくりとその腕を指でなぞる。
瞬間、

   ゴバッ

右腕を引き抜き、韋駄天はルヴィラィから離れる。
ふらりと体が傾き、ルヴィラィは地面に倒れ込んだ。
その拍子に、彼女の[リトルサンシャイン]が地面を転がる。
血で真っ赤に染め上がった腕を見やり、韋駄天は小さく息を吐く。
が。
 「少し痛かったわ…今のは、流石に」
 「…!」
倒れていたルヴィラィが、ゆらりと立ち上がった。
胸に空いた大穴からは、鮮血が止め処なく溢れている。
が、起き上がったルヴィラィは特にそれを気にしていない…というより、傷などないように振る舞っている。
 「流石に――ちょっと、頭に来たわ…」
一言、
ルヴィラィが、理解できぬ言葉を呟いた。
瞬間、韋駄天の体を、見えない何かが通り抜ける。
何だ、と体を眺めるが、特に何かが起こったようには見えない。
そう、体には何の影響も与えられていない。
影響を与えたのは――
 「…カ、ハッ…」
体が、締め付けられる。
違う、これは…体を締め付けられているのではない。
締め付けられているのは、彼の――
 「私の、魂、が――」
ネルとの同調が、解ける。
体から、離されようとしている。
 「…おの、れ…[鎮魂歌]か…ッ!」
 「そうよ…この世に縋り付く愚かな魂は、無に還らなければならないのよ――」
ピシ、と韋駄天の兜に亀裂が走る。
 「こ、んなことで、私を殺せると、思ぅな――!」
 「消え去りなさい。人間に肩入れする、狂った神様――」

239白猫:2008/02/03(日) 21:52:18 ID:y8XNfWoQ0
瞬間、

バギン、と兜が、左右真っ二つに割れた。
その兜から、まるで色が抜け落ちるように蒼が消える。
ルヴィラィのように、今度はネルが、地面に倒れ込んだ。
 「…さて、これで二人っきりで話ができるわ」
 「……ネル、くん…」
帽子から解放された栗色の髪が、ルヴィラィの後背に靡く。
顔に無数に走る傷をも"一部"とし、紅の瞳を煌めかせ、ルヴィラィはルフィエの前に降り立った。
その傷と瞳を除けば、その姿は間違いなく、ルフィエそのもの。
 「……私…?」
 「随分唄が上手くなったわね――ルフィエ」
 「…………?」
怪訝そうに目を細めるルフィエに、ルヴィラィはクスリと笑う。
その姿にムッとし、ルフィエは小さく言う。
 「貴方に誉められる筋合は――」
 「あるわよ」
話の途中に釘を刺され、ルフィエはさらにムッとする。
その姿に笑みの色を深め、ルヴィラィは頬に指を当て、言う。

   「だって、私が貴方に唄を教えたんだもの――」




私の古都での生活の中、一番最初に思い出すのは母の姿。
唄がとても上手くて、優しくて、綺麗で、皆に好かれていた母。
自分に唄を教え、発表会での自分の唄に、涙を流してくれた母。
一緒に町中を歩き、唄い、踊り、笑い合った、大切なお母さん。

その母を、私は。

私は、死なせてしまった。


事故だった。

常のように楽しげな行進の中、

暴発したドラゴンツイスターが、自分を襲った。

母は自分を庇い、自分の代わりに、龍に喰われた。

自分は、ただ泣いているだけしか、できなかった。

泣いているだけしか――できなかった。

240白猫:2008/02/03(日) 21:52:39 ID:y8XNfWoQ0

 「…………何を、言って、るの」
 「…私が、貴方に唄を教えた…[ピーアン(賛歌)]から[オルレアンの乙女]、色々な唄を教えたと思うけど」
 「…………っ」
それは母が教えた、と、彼女は言えない。
言えば、何か大切なものを、壊されてしまうかもしれない。
そんな"愛娘"の内心を知ってか知らずか、ルヴィラィは続ける。
 「貴方は12月も終わりに差し掛かった24日の夜、生まれた。
 その日、その瞬間、古都では初めて雪が降ったのをよく覚えている…」
 「…………」
それは、母が嬉しそうに自分へと話していた、自分が生まれたときの話。
 「三歳の頃、貴方はもう小さく唄を紡いでいた――。
 私は驚いたわ…三歳で、貴方は朧気ながら[歌姫]の力を掴んでいたんだもの」
 「……めて」
小さく、非常に小さく、ルフィエが拒絶の言葉を紡ぐ。
しかしルヴィラィは、その言葉を無視する。
 「六歳になって、貴方はとうとう唄を紡いだ。その小さな体で、幾十もの人々の命を救った――。
 私はたまらなく嬉しくなった。自分と同じ道を選ぶと無邪気に言っていたあの子が、たまらなく愛しかった」
 「やめて」
ルフィエの言葉が、より強い拒絶の色を示した。
しかしルヴィラィは、やはりやめはしない。
 「十一歳。貴方は私に唄を教えてくれとせがんだ。
 私が紡ぐ唄を、貴方はすぐに覚え、同じように…いいえ、私以上に、澄んだ音色で唄うことが出来た」
 「やめてよ」
 「十四歳。貴方はとうとう私を越える唄の力を身につけた。
 私は貴方と一緒に唄を唄うことにした…やはり、貴方は私を越える力を身につけていた」
 「やめて…お願いだから、やめて」
 「十八歳。私を完全に越えたかもしれない貴方に、私はふと疑問を抱いた。
 この子はまるで私の生き写し――私と違うものは、瞳の色だけ。
 私は貴方と決別しようと決めた。そして、知り合いの戦士に懇願し、芝居を打ってもらった」
 「やめてよ…それ以上、言わないでよ」
震え出す体を抑え、ルフィエは小さく呟く。
 「そして…あの日、私は貴方と決別し、呪術師となった。
 私の死を悼む貴方の姿を見、しかし私の決心は揺るがなかった。
 私は呪術師となり、幾十年もの時を賭け、そしてパペットを見つけた――」
 「……止め――」
口を開いたルフィエの喉を、ルヴィラィは掴む。
キリキリとその首を締め付けルヴィラィはにっこりと笑う。
 「本当にそっくりね…純粋に唄を追い求め、大切なものに恋い焦がれていた、あの頃の私と同じ」
 「………ッ……」
気管が締め付けられ、息が出来なくなる。
人間の力ではない…このままでは、喉を潰される。
 「でも残念ね…所詮子は、親には勝てぬということかしら」
左手でルフィエの頬を撫で、ルヴィラィは微笑む。
 「消え去れ、ルフィエ=ライアット――」
左手の人差し指で、黒弾を生み出す。
その黒弾を、徐々にルフィエに埋め込めて行く。
 「私はもう、フェレン=ライアットではないのよ…我が愛しの歌姫――」

241白猫:2008/02/03(日) 21:53:03 ID:y8XNfWoQ0
瞬間、











黒い光に呑み込まれ――砕け散った。













 「…………っ…」
 「…レイゼルはん?」
レイゼルの視界が突如目の前が暗くなり、それが突如元へと戻る。
ふらり、と体が揺らぎ、槍でなんとか体勢を戻す。
 (立ちくらみ――か? なんで、こんな時に)
見れば、ルフィエが自分に結わえ付けたミサンガが千切れている。
 (…ルフィエちゃん――?)
 「…だいじょぶか? 事後処理もう終わんねんから気張ってや」
 「――ウッス」






FIN...

えー…デスサイズを出しちゃったのは私のミスです(滝汗
ワイト様が出してるのは知ってました。正宗に変更しようかとも散々悩みました。
でもちっちゃい女の子に鎌ぶん回させて豪傑数多の猛者共を斬り殺させたいじゃないですかッ!!!!!(黙
第十章[母]。ルヴィラィとルフィエの過去をプチ公開です。
次章は恐らく用語解説ビッグ版になるかと思います。
いい加減やらないと拙いかなーというあれです。
数えると

112個

という意味不明な数があったので…頑張ります。(汗

ということで第十一章はしばしお待ちを。実は第十一章はまだ全く手ぇ付けてません(滝汗

242718:2008/02/04(月) 14:34:02 ID:gXqJ5/rQ0
>ワイト氏

ラータの挑発に漢気を感じました。
その一瞬の彼の発言は、正に武人ですね!

基本的に仕事でも何でもないわけで、無理せず
投稿を続けていただければよろしいのではと思いますよ(^ω^ )

>FAT氏

一瞬、噴水の前で待ち続ける「僕」に、忠犬ハチ公を連想し、続けて
噴水前でいつまでも帰らぬ友を待ち続けるウルフマンを想像してしまいました(^ω^;)

これが最後と理屈では分かっていても、やはり現実を完全に受け入れきれない「僕」の
強い悲しみと友に対する深い情愛が後半部から加速度的に濃くなっていって、読むほどに
とても悲しい気持ちになりました。これは本当に悲しい・・・


>◇68hJrjtY氏

感想ありがとうございます。蟹からダートや靴がドロップするというのは疑問もありますけど、
やはり狩りでの採取とはこういう血生臭いことなんじゃないかなと思ってます。
人型モンスターからはきっと身ぐるみ剥いでるんでしょうけどw

モンスターの描写、初めての挑戦でしたがお褒めイタダキ恐縮です(^ω^ )

>◆21RFz91GTE氏

おっと、化学じゃなくて錬金術のほうでしたかw
それにしても、ノースウィンドには「伝説的に腕の立つロリコン」が2人もいることになりますね。
なんというロリコンホイホイ・・。

世界情勢と、見え隠れする陰謀が絡み合って、なんと期待の膨らむ設定。
ご自愛しつつも頑張っていただきたいところ。

>之神氏

そういえば2/3は節分でしたねー。義務教育を外れて幾星霜、日本の暦にどんどん疎くなって
いきます。
非常に知的で一本気の通ったオーガ、集の長として相応しい人格者(?)だったのでしょうか、
無事帰れたのは何よりですね。

さて・・・ついに向こうへの帰還という事例が番外で登場しましたが・・・次章の
動きを予想させられますね!

>白猫氏

氏の詠唱はまるで歌舞伎の口上を連想させます。小粋で小気味良く、まさに「唄」ですね。
そしてついに2人の因縁の一端が判明してしまいましたね・・・ルフィエはどうなってしまうのでしょうか。

243FAT:2008/02/04(月) 18:48:15 ID:i6bpBbJo0
前作 二冊目>>798(最終回)

第二部 『水面鏡』

キャラ紹介 三冊目>>21
―田舎の朝― 三冊目1>>22、2>>25-26 
―子供と子供― 三冊目1>>28-29、2>>36、3>>40-42、4>>57-59、5>>98-99、6>>105-107
―双子と娘と― 三冊目1>>173-174、2>>183、3>>185、4>>212
―境界線― 三冊目1>>216、2>>228、3>>229、4>>269、5>>270
―エイミー=ベルツリー― 三冊目1>>294、2>>295-296
―神を冒涜したもの― 三冊目1>>367、2>>368、3>>369
―蘇憶― 五冊目1>>487-488、2>>489、3>>490、4>>497-500、5>>507-508
>>531-532、7>>550、8>>555、9>>556-557、10>>575-576
―ランクーイ― 五冊目1>>579-580、2>>587-589、3>>655-657、4>>827-829
>>908>>910-911、6>>943、7>>944-945、六冊目8>>19-21、9>>57-58、10>>92-96
―言っとくけど、俺はつええぜぇぇぇぇ!!― 六冊目1>>156、2>>193-194

―3―

「なっ!! おい、開けろ!! ここを開けるんだ!!」
 無情な孤独がジム=モリを襲う。レンダルとデルタはジム=モリが鍵を開けた瞬間、彼
の襟を引っ張り、投げ捨てた。ジム=モリがあわあわしている隙に鍵を抜き取ると、バド
ンッとドアを強く締めた。そして、ドアノブを回そうとジム=モリが手を伸ばすと、その
目の前で内側から鍵がガチャンと掛けられたのである。
「むぅっ、不覚! このジム=モリ、まさかこうもあっさりと家を乗っ取られるとは!」
 明りがついた家の中からは二つの笑い声が響く。ジム=モリは苛立ってけっして回らな
いドアノブを必死になってガチャガチャ揺さぶった。すると中から叫び声が。
「きゃー! ハノブ鉱山を守ろうの会のみなさぁ〜ん! 変な男が入って来ようとするの
ぉ〜! 助けてぇ〜!!」
「くっ、ハノブ鉱山を守ろうの会だと! まずい、非常にまずい! 何故なら俺はその会
に入っていない! これはまずいぞ!」
 ジム=モリは正面突破をあきらめ、家の西側に移動する。
「この窓だ! ここから奴らの行動を見極め、打開策を考える!」
 すると、彼の目に信じられない光景が飛び込んできた。
「ぴっ、ぴーちぃぃぃぃぃぃぃっくぅ!!」
 家の中で放し飼いにされている小鳥のぴーちくが、二人と同じ部屋の棚の上に止まって
いるのである。奴らは野蛮。特にレンダルは昔、ぴーちくを家の外に逃がそうとした前科
がある。ここは窓を割ってでも、奴らに気付かれる前にぴーちくを助けなくては!
「きゃー! ハノブ鉱山を守ろうの会のみなさぁ〜ん! 変な男が窓から覗き見している
のぉ〜! 助けてぇ〜!! 変態よぉ〜!!」
「ちっ、ええい、またしても! それにしても、あのデルタのよく通る声には注意せねば! 
このジム=モリ。初めてレンダル以上にお前が恐ろしく思えるぞ、デルタっ!!」
 デルタの叫び声に怖気づいたジム=モリは窓の前から消えた。
「はははははははは! ひぃーーーっ、ひぃっ、ひぃ! だめだ、息ができねえ、苦しい
よ、デルタぁ。あはははははははははは!!」
 腹をかかえて、床をじたばたと転げまわるレンダル。デルタも自分の演技に酔いしれ、
二人のテンションは笑い声と共にさらに上がっていく。
「お、あの変態消えたぜ。次はどこから来るかなぁ」
「おねいさま、こんなのはどうでしょう。こしょもしょむしょ」
「ぶわぁっははははは! そいつは傑作だ! おいデルタ、早速用意しようぜ!」
 なにかよからぬことを耳打ちしたデルタ。二人は浮き浮き、ステップしながらキッチン
へ向かうと小さな桶に水を張り、勝手口を引いて半開きにし、その上に水のたっぷり入っ
た桶を不安定に乗せた。
「よし、デルタ、奴に気付かれないように物陰に隠れろ!」
「あいん」

244FAT:2008/02/04(月) 18:49:34 ID:i6bpBbJo0

「なんということだ。このジム=モリ、あまりにも戸締りが完璧すぎて自らの家を攻略で
きないでいる! ああ、ぴーちく、ぱーちく、無事でいてくれよ」
 ジム=モリはぐるりと自分の家を一周し、再び玄関先に戻ってきていた。いつの間にか
家の中は静まり返っている。
「む、この静けさ、ただ事ではないな。さて、どうするべきか」
 ジム=モリは玄関のドアを見る。頑丈そうなどっしりとしたドアは、とても自分が体当
たりした程度では壊れそうにない。
「ここは駄目だな。考えろ、ジム=モリよ、考えるのだ」
 ぶつぶつ言いながら家の周り、二周目を歩き出す。と、家の裏側が明るくなっているこ
とに気付いた。さっき回ったときには真っ暗だった家の裏側が明るい。
「ふ、このジム=モリともあろうものがこんな重大なチャンスを見逃していたとはな」
 ジム=モリは、一周目にはここが真っ暗だったことなど覚えていなかった。そろり、そ
ろりと西側の壁面を這う姿は立派な盗人、変態だ。
「はぁはぁ、この先にぴーちくとぱーちくが待っている。早く会いたい。しかし、焦って
はならない。このジム=モリ、焦って起こした行動でいい思いをしたことがないからだ!」
 慎重に、慎重に、光に近づいていく。ようやく家の角に辿りつき、そおっと顔を半分だ
し、様子を伺う。
「なんと! 勝手口が半分、開いているではないか! しかし慎重に、慎重にだぞ、ジム
=モリよ!」
 再び壁に体をへばりつけ、するりするりと半開きの勝手口を目指す。あと一歩、もう勝
手口に手が届く! というところで部屋の中から「ちちちちちち」という小鳥のさえずり
が聞こえてきた。
「ぱっ、ぱぁちくぅぅぅぅぅううう!!」
 愛鳥のさえずりに、居ても立ってもいられなくなったジム=モリは勢いよく勝手口を押
し開け、家に入った。

 バジャァァァァン! ガズンッ!

 二つの音が同時に響いた。ジム=モリは予想していなかった事態にあわてふためき、濡
れた床と衝撃を受けた頭部のダメージのため派手にずっころんでしまった。
「きゃははははははははははははははははは!!」
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
 キッチンのテーブルの陰で隠れて見ていた二人は崩れ落ちるように笑い転げ、ジム=モ
リの濡れた姿を嘲笑った。
「デルタ、お前の声まね最高だぜ! ぱっ、ぱぁちくぅぅぅぅぅううう!! だとよ、あ
っはっはっはははは!」
「むふふふふ、むふっ、むふん、むふん。飛び込んでくる瞬間のジム=モリおじさまの崩
れた顔が、顔が、面白すぎますわ! きゃははははははははは!」
 二人は予想以上の成功に笑いが止まらなかった。と、そのとき、床に頭をついたままの
ジム=モリの体がわなわなと震え出した。怒るのか?

245FAT:2008/02/04(月) 18:50:01 ID:i6bpBbJo0
「うおぉぉぉぉぉぉぉんんん!! ぴーちくぅっ、ぱーちくぅ!! こいつらが僕をいぢ
めるよぅ!! たすけてぇーー!!」
 なんと、大人気なくジム=モリは泣きだした。泣きながらリビングへ駆けていくと二羽
の小鳥が泣き声と濡れた姿に驚いて羽ばたいた。
「ぴーちくぅ!! ぱーちくぅ!! 僕だよ、ジム=モリだよぉ!! さぁ、いつものよ
うに僕の肩に乗って遊ぼう!!」
 主人の声を忘れたのか、恐れているのか、二羽の小鳥たちはジム=モリの頭上をさっと
飛びぬけ、ふんわりとしたデルタの髪の中に逃げるように潜った。
「よーちよちよち、ぴーちくぱーちく、恐いでちゅねー。デルタちゃんが守ってあげまち
ゅからねー」
 デルタは宣言どおり二羽の小鳥を手に入れた。それも相手のほうから飛び込んできたの
だ。誰も文句は言えまい。
「こら、ジム=モリ! お前ここを誰の家だと思ってんだ! びしゃびしゃにしやがって、
つまみ出すぞ!」
 レンダルもこの家の中での権力を物にしていた。つまりはこの家はレンダルの物。二人
は宣言どおり、欲しい物を手に入れた。
「くそっ、ぴーちく、ぱーちく。必ずお前たちを救いだしてやるからな。だが今は風呂に
入らねばならん。恐い悪女に怒られてしまうからな。このジム=モリ、風呂に入ってくる
ぞ!!」
「ちゃんと床の掃除もしとけよ」
「え〜、ジム=モリおじさまのあとにお風呂入るなんてデルタいやですぅ」
「じゃあ一緒に入る? デルちゃん」
 急に下がる室温、凍る空気。小鳥たちまでもが軽蔑の目を向ける。
「はっはっはっは。ではこのジム=モリ、上がったあとに湯を全て抜くとしよう。それな
らいいだろう? デルタよ」
「きゃー! ハノブ鉱山を守ろうの会のみなさぁ〜ん! 変な男が家に上がりこんできて
一緒にお風呂に入ろうって強要するのぉ〜!! 助けてぇ〜!! ど変態よぉ〜!!」
 外までよく通るデルタの声は、室内で聴くと耳にキンキンと痛い。
「よさないかぁ! デルタぁぁぁぁぁ!! おじさん本当に捕まっちまうだろぉぉぉぉ
ぉ!!」
 こんな調子でジム=モリは夜遅くまでおちょくられ、やがて二人はとても満足気に眠り
についたのだった。

246FAT:2008/02/04(月) 21:30:51 ID:i6bpBbJo0
やっぱりこういうほのぼの話は書きやすいですね。

>>68hさん
そうですね、意識はしていませんでしたがランクーイとレルロンド、レンダルとデルタ
の雰囲気はどこか似ている部分があるかも知れませんね。
互いに男同士、女同士なので書きやすかったり。
それと短編へのレス、ありがとうございます。
今度は楽しいお話に挑戦してみたいです。

>>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
ビートを刻むぜ!!カポエイラにヘッドフォンの組み合わせは最高ですね。
ダンサブルにミゲルを蹴倒すエディの姿が早くも頭に浮かび上がりました。
そしてかっこよすぎるバーソロミュー。やっぱり闇の元素のイメージは「無」
ですよね。オラオラーっ!!

>>之神さん
節分!
私は恵方巻食べたのですが、出てきたときには八つくらいに切り分けられてました;;
豆も歳の数以上に食べちゃいましたし。良いつまみです。
あれ本気で当てられるとけっこう痛いんですよね、小さな子は鼻の穴に入れて出せなく
なったりするそうです。
わけわからない感想ですが面白かったです。


>>21Rさん
ギルド間の戦争ですか。兵力何千、北西より来たりなんていう大掛かりな戦闘を
早くもイメージしております。
見方にも花形、敵にも花形という展開は大好きです。アレンとアデル、この二人と
対等の力を持つというウィンドとレイヴン、なんとも楽しみな要素がたくさんです。
続き、楽しみにお待ちしております。

>>718さん
冒頭の殺人蚊が伏線になっているとは!
丁寧な動作の描写がハンターのハンターらしさを強調しているようで、矢を放つ
までの間、固唾を飲んでいました。
これも日常的な描写と呼ぶのかはわかりませんが、とにかく718さんの描写の丁寧さには
毎回勉強させていただいております。
自然界では決して人間が最強ではないのですよね。武器を持ち、家を持ち、その棲み処を
隔てることによって身を守っているにすぎない一生物なのだと再認識させられました。
次回作も期待しております。

>>ワイトさん
血で出来たヘルアサシンなのだからやはり自分の都合で液体にも戻れるのですね。
怨念の篭った血とは恐ろしい……ラータの眼に飛び散った血はヘルアサシンの
故意の攻撃、刃にもなる血は相当に厄介ですね。
挑発するラータに正義はあっても勝機はあるのか、楽しみにお待ちしております。

>>白猫さん
ああ、韋駄天が……
ネルの「護る」という強い気持ちの上をいくルヴィラィの鎮魂歌。
そしてルフィエの母だと語るルヴィラィ。これは真実なのか、リトルウィッチ
の特徴である読心術がなせるワザなのか、どちらにせよルフィエは……
千切れたミサンガが暗示するものはやはりルフィエの死なのでしょうか?
続きがとっても気になります。

247◇68hJrjtY:2008/02/04(月) 22:41:06 ID:.vSJwIY60
>白猫さん
レッドストーン前での攻防…ついにルフィエとルヴィラィの邂逅となったと思いきや。
親子だったという展開はまったくの予想外でした!因縁のライバルにはなりそうだと思ってはいたものの(汗
ネルの神卸すらも解除してしまうルヴィラィ、レッドストーンも手に入れてしまいましたね。
そして彼女の語る目的。そこにはもはや世界そのものを壊すという何もかもを逸脱した思惑が。
この戦い、ネルだけでなくルフィエも無事では済まされなさそうです。ともかく、続き楽しみにしてます!
---
112個ってもしかして用語ですか!凄いなぁ…。
これはやっぱり白猫さんもサイトで用語集など作ってみては(*´ェ`)

>FATさん
ジム=モリとレンダル&デルタの攻防戦…。
ジムさんのあらゆる手で攻略しようとするもことごとく打破されてしまう可哀想さに身もだえしてます(ノ∀`*)
そしてぴーちくもぱーちくも彼から離れ、ハノブ鉱山を守ろうの会は背後に迫り…ダメ押しの一緒に風呂に入ろう宣言。
味気ないNPCがFATさんの手にかかるとここまで楽しい存在になるのですね。面白かったです(笑)
実力で(笑)家を手に入れたレンダル&デルタ。この後の旅の行方はいかに。
楽しみにしています。

248黒頭巾ちゃん:2008/02/04(月) 23:02:45 ID:fou9k2gM0
書き上げてから過去ログ検索したら、既に赤頭巾ちゃんネタあったのですが…オチとか違うので新参者でも投下しても宜しいでしょうか(゚д゚ノ|(ドキドキ)


…昔々のお話です。
ソゴム山脈の麓の村に、とても可愛い女の子が住んでいました。
恥ずかしがりやさんな女の子は、いつも黒い頭巾を被っておりましたので…
皆に黒頭巾と呼ばれていました。


…ある日、黒頭巾がお友達のケルビーと遊んでいると。
いつもニコニコ笑顔で優しい大好きなお母さんに、おつかいを頼まれました。

「お祖母さまの具合が悪いそうだから、
 ケルビーと一緒にお祖母さまの大好きな焼きたてのパンを持っていってくれない?」

黒頭巾はお母さんだけでなくお祖母ちゃんも大好きだったので、コクコク頷きました。

「お祖母さまの別荘までお母さんのウィンディが案内するわ。
 ちゃんと寄り道しないで、おやつの時間までに帰ってくるのよ」

お母さんのエプロンについた甘い匂いからすると…
今日のおやつは黒頭巾の大好きなふんわりパンケーキです。

「はーい」

右手を上げたよい子のお返事をして、黒頭巾はケルビーに跨りました。
黒頭巾の頭の上では、パンを入れた籠を下げたウィンディが
「付いておいで」と言わんばかりにくるりと回りました。

「いってきまーす」

お母さんに手を振って、元気に出発進行。
一人のおつかいは初めてだけど…ケルビーが一緒なら恐くありません。
ましてや、お母さんのウィンディまで付いているのだから百人力です。

「黒頭巾ちゃん、こんにちは」
「おや、黒頭巾ちゃん。お散歩かい?」

赤山を犬乗りで駆け抜ける黒頭巾に、赤山に住むサラマンダー達が挨拶します。

「サラマンダーさん、こんにちは!
 おかあさんにおつかいをたのまれたの。
 おばあちゃんのおうちにいってくるのよ!」

誇らしげに答える黒頭巾を微笑ましく思いながら「それはいい事だ」と皆頷きました。

「あぁ、黒頭巾」

サラマンダーの長、スルタンが黒頭巾に呼びかけます。

「とても大きな狼が我々の仲間を襲っているらしい。
 人間も襲われないとは限らないから、注意して行くのだぞ」

スルタンの言葉に、サラマンダー達も口々に同意しました。

「恐ろしい、恐ろしい!
 黒頭巾ちゃんは可愛いから気をつけないと」
「どうも、人間の言葉を話す狼らしいんだ。
 私の幼馴染が「ポタを寄越せー」と遠吠えしているのを聞いたそうだよ」

驚いた黒頭巾はケルビーと目を見合わせましたが、ケルビーが「僕が護るよ」と
尻尾を振ってくれたので安心してにっこり笑いました。

「だいじょうぶよ、ありがとう。
 じゃぁ、いくけど…みんなもきをつけてね!」
「いってらっしゃい!」

サラマンダー達は、黒頭巾の姿が見えなくなるまで見送ってくれました。

249黒頭巾ちゃん:2008/02/04(月) 23:03:58 ID:fou9k2gM0
…漸く、村とは正反対の山の麓までやってきました。
こんなに遠くまで来るのは、小さな黒頭巾にとっては大冒険です。
ふと、行く先に一人の男が立っているのに気付きました。
人見知りが激しい黒頭巾は少しビクビクしながらケルビーにしがみ付きます。
近付くにつれて、その男の人は魔法使いらしい…という事がわかりました。
絵本の魔法使いの様な長い杖を持っていたからです。
洋服は普通のロングコートでしたので…ズルズル黒ローブの絵本とは、全然違いますが。
もう少しですれ違う時、魔法使いは「こんにちは」と挨拶してきました。

「こんにちは…」

警戒して降りてきたウィンディの後ろに隠れながら、黒頭巾はもじもじと挨拶しました。
いつもお母さんに「挨拶はキチンとしなさい」と躾けられている結果です。

「小さなお嬢さん。独りで何処へ行くんだい?」

その言葉に、このお兄さんは心配してくれてる様だ…と判断した黒頭巾は、
震える声で返事をしました。

「このさきの、おばあちゃんのおうちにいくの。
 でも、ひとりじゃないよ。
 おともだちのウィンディとケルビーがいっしょなの」
「ほぅ…それはいい事だね」

にっこり笑った魔法使いの目が一瞬キラリと光った事に…黒頭巾は気付きませんでした。
顎に手を当てた魔法使いは「いい子にはいい事を教えてあげよう」と行く先を指差しました。

「このまま進むと…横手に綺麗な花があるよ。
 とても珍しい花だから、持って行ってあげると喜ぶんじゃないかな」

魔法使いの提案は確かに素敵に思えました。
お祖母ちゃんはお花が大好きなので、きっと喜んでくれる筈。

「おにいさん、おしえてくれてありがとう」

黒頭巾はにっこり笑って言いました。


…そのまま少し走ると、さっきのお兄さんの言う通り横目にお花が見えました。
お母さんの「遅くなるから寄り道しちゃ駄目よ」の言葉が頭の中でぐるぐる回りましたが、
黒頭巾はケルビーに「止まって」とお願いしてしまいました。 
お祖母ちゃんをいっぱい喜ばせてあげたい。
元気がないなら、尚更です。
そんな必死の想いを感じたケルビーは、少し悩んだけれど止まってくれました。
お空を行くウィンディも警戒する様に上空を回りながら、黒頭巾を待ってくれました。

「ケルビー、ウィンディ、ありがとう」

黒頭巾はニコニコとお花を摘み始めました。

250黒頭巾ちゃん:2008/02/04(月) 23:07:54 ID:fou9k2gM0
…その頃、お祖母ちゃんの別荘では。
ベットの脇には先回りした先程の魔法使いの姿がありました。
ベットの上には石の様に固まったお祖母ちゃんの姿が。

「バアさん、悪く思わないでくれよ」

呟いた魔法使いが身を屈めるや否や…魔法使いは大きな狼の姿に変身してしまいました。

「ぐるるるる」

何と、あの魔法使いは…サラマンダー達の言っていた恐い狼だったのです。
そう、総ては…あの可愛い黒頭巾を(いろんな意味で/自重)食べてしまう為に。

「ババアは守備範囲外なんだけどなぁ」

そうぼやいた狼は、魔法の制限時間が来て石化が解けたばかりのお祖母ちゃんを…
ごっくんと丸呑みしてしまいました。


…暫くして。
そうとは知らない黒頭巾がお祖母ちゃんの別荘に到着しました。
ウィンディはお母さんの所に「無事に着いたよ」と報告に向かいます。
折り返し戻ってくるウィンディのお迎えが来るまでは、お祖母ちゃんの別荘で一時休憩です。
背に籠を載せたケルビーの横でドアをコンコンとノックします。

「おばあちゃん、くろずきんがきたよ」
「黒頭巾ちゃん、どうぞ入りなさい」

返事はすぐに来ましたが…何だか声が変です。
お祖母ちゃんはそんなに具合が悪いのでしょうか。
恐る恐るドアを開けながら、ケルビーを伴って暗い部屋に入りました。

「おぼあちゃん、だいじょうぶ?」

机の上に籠を置きながら、心配になって訊ねます。

「あぁ、お前が来てくれたから大分よくなったよ。
 もっと近くにおいで…お前の可愛い顔を見せておくれ」
「うん!…あれ?おばあちゃんのかみ、のびた?」

近付くと、布団から覗くお祖母ちゃんの頭は何だかモサモサしています。

「寒いから、切らずに伸ばしたのよ」

確かに、毎日どんどん寒くなってきています。
季節はもうすぐ寒い寒い冬です。

「あれ?おばあちゃんのおみみ、おおきくなった?」

ケルビーがふと鼻をフンフン動かしました。

「お前の声がよく聞こえる様にだよ」

イキナリ耳をピンと立てたケルビーが、黒頭巾の前で通せんぼします。
まるで「近付くな」と言っている様です。

「ケルビー、どうしたの?
 おばあちゃんとおはなししてるだけよ?」

止められないと悟ったケルビーは、警戒も顕に牙を剥いて唸りました。
黒頭巾はパニックになって必死にケルビーを止めます。

「だめ、ケルビー!
 おばあちゃんがどうしたの!?」
「ねぇ、黒頭巾。
 お祖母ちゃんは、お腹が空いてお腹が空いて…お口が大きくなっちゃったわ」

言葉に合わせて、布団がモゾモゾと不気味に揺れました。

「さぁ、早く食べさせておくれ!!
 可愛い可愛い…お前自身をな!!!!!」

251黒頭巾ちゃん:2008/02/04(月) 23:08:43 ID:fou9k2gM0
ガバッと起き上がった狼は、息を呑む黒頭巾に襲い掛かりました。
それを防ごうと、ケルビーが騎士の様に果敢に立ち向かいます。
しかし、レベル差がありすぎるのか…ケルビーは次第に防戦一方になってきました。
まだまだ小さい黒頭巾です。
もう少しお姉さんになったら習う筈の、応急処置も治療も出来ません。

「もうやめて!ケルビーをいじめないで!」

大好きなケルビーが傷を負っていくのを我慢出来ず、大きな瞳から涙を零して、
大きな狼のお腹をポカポカ殴りました。

「ぐえ、やめろ!中身が出るじゃないか!」

伊達に黒い服は着ていません。
小さな黒頭巾でしたが、力はそこそこあります。
代々家に伝わる旧時代の遺産、[力固定]バトルリングのお陰です。
トゲトゲのついた指輪で思ったより痛い攻撃をされた事に慌てた狼は、
ボロ雑巾の様になったケルビーを地面に叩きつけ、黒頭巾を押し倒しました。

「きゃー!ばかばか、はなして!」
「食べちゃうぞー、食べちゃうぞー!色んな意味で食べちゃうぞー!」

あの大きなお口で噛まれたら、とても痛そうです。
尤も、狼の言う「食べちゃう」は別の意味(以下、自主規制)

「やー!だれかたすけてー!」
「ぐへへ、こんな郊外で誰も助けになど来るもんか!」

狼の言う通り、周りに建物なんかありません。
大ダメージに倒れたケルビーも消えてしまっています。
黒頭巾はこのまま食べられてしまうのでしょうか。

…その時です。
ドアがバーンと開き、一陣の風が吹き抜けました。
黒頭巾が外から差し込む光の眩しさに目を覆っている間に、
「ひでぶぅ」という悲鳴と共に身体の上に圧し掛かっていた重荷が急に消えました。
恐る恐る目を開くと、そこには見知らぬ少年が黒頭巾を護る様に構えていました。
その向こうには、吹き飛ばされたらしき狼がいます。

「な…何だ貴様は!何をするか!」

ノックバック抵抗の足りない事を棚に上げた狼は、地団駄を踏んで喚きました。

「唯の武道家さ!道を訊ねに民家を訪れたら、女の子の悲鳴が聞こえたから助けただけだ!」

突然の乱入者に慌てる狼に向かって、少年が説明口調で返します。
黒頭巾には少年がヒーローの様に思えました。

「何だよ、迷子かよ…だっせーな」

…狼には違った様ですが。

「抵抗出来ない小さな女の子を襲う方がダサいがな。
 それに、何だ…そのでかい腹は。
 今、流行りの…メタボリックシンドロームとやらか?」
「失礼な!さっき丸呑みしたババアが入ってるだけだ!」

狼の言葉に黒頭巾が息を呑みました。
大好きなお祖母ちゃんが食べられてしまったのです。
如何しよう、如何しよう。
パニックの黒頭巾の瞳にどんどん涙が溢れて来ます。

252黒頭巾ちゃん:2008/02/04(月) 23:09:34 ID:fou9k2gM0
「…返して貰おうか」

怒気が篭った少年の声に、狼がベルセを発動しながら襲い掛かります。

「俺は赤山秘密適正レベルだぜ…こんな半島の海辺付近にいる様な雑魚黒ゴキに負けるかよ!」

吼えながらチェーンを発動しようとした瞬間、狼の目の前で少年が消えました。

「そうか…だが」

その声は、狼の懐から聞こえました。
呟いたその右手は、驚く狼の鳩尾に綺麗にめり込んでいます。

「残念だが…俺はゴールドスワンプ秘密適正、だ。相手が悪かったな」

白目を剥いた狼は「げふり」とお祖母ちゃんを吐き出しながら崩れ落ちました。

「おばあちゃん!」
「ううん…」

慌てて駆け寄る黒頭巾の問い掛けに、微かですが応えがありました。
救出が早かったからでしょうか…お祖母ちゃんは何とか息はある様です。

「これくらいなら…はっ!」

少年は怒号でお祖母ちゃんを一時的に回復してくれました。
顔色が幾分マシになったお祖母ちゃんは、すぐに目を覚ましました。

「嗚呼、黒頭巾…無事だったのかい!」
「このひとがね、たすけてくれたの!」
「たまたまだよ…これくらい気にしないでくれ」

照れながら「飲んでくれ」とフルヒを渡す少年に、お祖母ちゃんは何度もお礼を言いました。

「…さてと、あの狼だが」

振り向いた先には、チェーンの不発でCP−になった元狼の姿が。
情けない格好で伸びている魔法使いを縛りながら、少年はある事に気付いた様子。

「ん?コイツ、古都で指名手配されてた変態ロリコンウィザードじゃねぇか!」

…どうやら、無事に引き渡す先が決まった様です。


…窓をノックする音に目を向けると、お母さんのウィンディの姿がありました。
これ幸いとウィンディにブリッジヘッドのテレポーターまで手紙を頼むと、
すぐに古都から警備兵がやって来ました。
「ご協力感謝します」と敬礼した警備兵は、まだ失神したままの魔法使いと引き換えに、
金貨の沢山詰まった袋を置いていきました。
お祖母ちゃんは自分達を助けてくれた少年に「持って行っておくれ」と言いましたが、
少年は「これで美味い物食って、早く身体治してな」とお祖母ちゃんに袋を押し付け、
受け取ろうとしませんでした。

253黒頭巾ちゃん:2008/02/04(月) 23:11:32 ID:fou9k2gM0
そんなこんなで時は経ち、黒頭巾はそろそろ帰らないといけない時間になってしまいました。

「丁度、ビスルに用があるから送るよ。むしろ…道案内してくれないか?」

少年が頬を掻きながら提案したので、黒頭巾は満面の笑顔で頷きました。
ケルビーの背に乗った黒頭巾と武道家はかなり元気になったお祖母ちゃんに見送られ、
仲良く話しながらロマ村に向かいます。
道すがらに武道家が話してくれたドキドキする様な冒険話に、
黒頭巾は「大きくなったら冒険者になりたい!」と思いました。
楽しくお話したからでしょうか…あっという間に到着した赤山登山路で、
サラマンダー達に「例の狼は捕まった」と報告すると、大変喜んでくれました。
歓声が上がる中、山を下ると…長閑な集落が見えました。

「…ここが、ロマむらビスルよ!」

自分の住む村を背後に、ケルビーから降り立って誇らしげに両手を広げる黒頭巾を
眩しそうに眺めた少年は「案内してくれてありがとう」と笑顔を浮かべました。

「ううん。おくってくれて、ありがとう…たすけてくれて、ありがとう!」

黒頭巾は背伸びで武道家の頬にお礼のちゅーをして、真っ赤な顔のまま村に駆けて行きました。
その後姿を見送る武道家が、真っ赤な頬を押さえてヘタリこんだのは…本人の名誉の為に、
ここだけの秘密にしておきましょう。


…それからというもの。
ソゴム山脈付近にちょこちょこ現れてはメインクエを進める武道家と、
差し入れに来る黒い頭巾の女の子の…仲睦まじい姿が見れたそうです。


…めでたし、めでたし。





お目汚し、失礼しました…(゚д゚ノ|
年の差かぽー大好物ですし、武道家×サマナらぶデス(遺言/待)

254之神:2008/02/05(火) 04:52:15 ID:xJDkyE7Q0
>>黒頭巾さん
古参でも何でも無い私ですが、いらっしゃい。
なんだか絵本風味で和みましたw
別の意味で(略 や、メタボなど、微妙に現代路線も交えているのに絵本チックになってて・・・・w

私、感想は頭弱いのバレるので書かない派なのですが・・・・・・カキコ(´∀`*

255白猫:2008/02/05(火) 19:00:21 ID:y8XNfWoQ0
Puppet―歌姫と絡繰人形―

第一章〜第五章及び番外編 5冊目>>992
第六章 -夜空の下で- >>30-37
第七章 -深紅の衣- >>70-81
第八章 -神卸- >>137-139
第九章 -チャージング- >>164-171
第十章 -母- >>234-241
これまでの主要登場人物 >>38


Puppet―歌姫と絡繰人形―

第一章〜第五章及び番外編 5冊目>>992
第六章 -夜空の下で- >>30-37
第七章 -深紅の衣- >>70-81
第八章 -神卸- >>137-139
第九章 -チャージング- >>164-171
第十章 -母- >>234-241
これまでの主要登場人物 >>38

番外編 いい加減やろうよ用語解説




 「…あれ?」
やけに狭い和室、中央に置かれたコタツに入っていたルフィエがキョトンとする。
 「第十章は…あれ?」
 「いい加減用語解説をしないと拙いという作者の判断でしょう」
やっぱり今日も蜜柑を頬張りながら、ネルが溜息を吐く。
コタツの上に高々と積まれた白い紙を見やり、ルフィエは首を傾げる。
 「…なにこれ?」
 「…ボツを含めたPuppetの固有名詞でしょうか」
 「…ていうか、実際いくつあるの? 固有名詞」
 「…ええ、と」
その書類の山の一番上と一番下の書類を抜き取り、ネルが読み上げる。
 「…[ルヴィラィの乱]から[オルレアンの乙女]まで…ええと、数は…?」
 「いっこずつ上げていこうか。
 ええっと…ルヴィラィの乱、ギルド師団大戦、アウグスタ事変、呪術師リトルウィッチ殲滅大号令、大戦、オベリスク、神器、月影団、シャドウスニーキング、紅瓢、ブルンの影狼、ヴァリオルド家、万華鏡分身、ウルトラノヴァ、運気、黒懺剣…これで第一章終わり」
 「…ウィザードリィ、リトルサンシャイン、パペット、シックスセンス、アウグスティヌス、マペット、歌姫、封呪、ディテクティングエビル、ホーリークロス、ジャッジメントデイ、ホーリージャッジメント、天使、秘術、ホーリーサークル、鎮魂歌、子守歌…これで第三章終わりです」
 「…凄まじいね」
まだ1/3でありながら、数えるのが鬱なほど量が多い。
 「…バトルマーチ、解呪、エリクシル、勝利の女神、傀儡、円舞曲、ラグナロク、懺悔術、円舞、翔舞、暴傷、懺悔、懺残斬、狂想曲、ジャベリンテンペスト、影狼、蒼き傭兵、白の魔術師、グングニル、開闢神話、名も無き最高神、ワルキューレ…なんか疲れちゃったよネルくん」
 「…まだまだありますよ。騎士道、テレットトンネル、スージャネ大陸、FORCE、ZIN、錬金術、スマグの大噴水、タッグバトル-トーナメント、タリズマン、エバキュエイション、イグドラシル、賢者の石、人工生命体、ホーリーエクス・クロス、装備型の術、バスターシャイン、ブレストファイア、深紅衣、ホーリー・ジャベリン、鳥籠、ダークネスイリュージョン、唄、ヘイスト、ファイアー・アンド・アイス・アンド・ライトニング、スターヒール、ドラゴンツイスター!」
 「ええっと…フェンリル、神卸、アイススタラグマイト、韋駄天、鏡映し、黒騎士、碧龍、レヴァンティン、レッドストーン、ビッグバン、神々の石、予見、魔創残龍剣、黒龍剣、マルチプルツイスター、宴影剣、コルセスカ、チャージング、ライトニング・ジャベリン、ハウリングブラスト、巨人族の刃、絶望の銑鉄、死の大鎌、嘆きの壁、裏切りの契約、明鏡止水、嘆きの盾、破砕拳、賛歌、オルレアンの乙女…終わり!」
 「数えましょうか」
 「う、うん」





5分経過

 「34,35…あれ、ここって数えた?」
 「えっと…あ、混ざった!」






15分経過

 「…ねぇ、ここ数えた?」
 「はい」
 「ごめん、混ざった」
 「ルフィエ!」
 「ごめんなさい!」






 「えー…110個ありました。多分」
 「すっごく時間かかりそうだね」
 「頑張っていきましょう」

256白猫:2008/02/05(火) 19:00:44 ID:y8XNfWoQ0
1【ルヴィラィの乱(るう゛ぃらぃのらん)】
呪術師、ルヴィラィ=レゼリアスの引き起こした内乱。
ブリッジヘッド付近で勃発し、この内乱でルヴィラィ=レゼリアスの名がフランテル全土に広まった。

2【ギルド師団大戦(ぎるどしだんたいせん)】
ルヴィラィの乱に誘発され起こった、ギルド単位での内乱。
主に古都ブルンネンシュティング付近で勃発し、古都は壊滅的な被害を受けた。

3【アウグスタ事変(あうぐすたじへん)】
聖職者[アドナ=ルドルフ]によって引き起こされた内乱。
アドナ=ルドルフの所属するギルド、及びビショップ達がアウグスタを占領した事件。
このアウグスタ事変は、聖職者[ルゼル=アウグスティヌス]によって解決された。

4【呪術師リトルウィッチ殲滅大号令(じゅじゅつしりとるうぃっちせんめつだいごうれい)】
ゴドム政府の出した、呪術師とリトルウィッチの殲滅完了の大号令。
当時迫害されていた呪術師・リトルウィッチの殲滅が完了し、大戦は終結した。

5【大戦(おおいくさ)】
ルヴィラィの乱、ギルド師団大戦、アウグスタ事変、三つの内乱を総称した呼び名。

6【オベリスク(おべりすく)】
?古都南西部に存在する、巨大な石塔。
 何の記念に建造されたかはよく分かっていない。
?ファウンティンス・ハイランドに存在する[マペット]を眠らせている石塔。

7【神器(じんぎ)】
魔術師の所持する、己の魔力を増強させることのできる媒体。
神器を所持しなければ発動できない術もあるほど、魔法の発動と密接に関わっている。

8【月影団(つきかげだん)】
西はリンケンから東は古都まで、グレートフォレストを蹂躙する盗賊団。
首領は[アネット=ライラ]。

9【シャドウスニーキング(しゃどうすにーきんぐ)】
ネルを始めとするシーフの使う術。
姿を陰に隠し、その間如何なる物質をも通り抜けることができる。
但し、発動中は他の一切の術を使うこともできなくなる。

10【紅瓢(べにひょう)】
月影団首領、アネット=ライラの異名。
紅の髪、誰よりも速い太刀筋、そこから名付けられた。
名前を付けたのはアーティ=ベネルツァー。

11【ブルンの影狼(ぶるんのえいろう)】
ネルの異名。
古都の警備隊で唯一シーフの力を持ち、夜の古都を支配するとまで言われた影狼の名から付けられた。

12【ヴァリオルド家(う゛ぁりおるどけ)】
ネルの出身家。
[シュトラディヴァディ家の内乱]で有名な、シュトラディヴァディ家の分家であり、
フランテルで現存するただ一つの貴族。
その当主には、機密文書の回覧権や軍内部での大尉相当の地位等、様々な特権が与えられる。

13【万華鏡分身(まんげきょうぶんしん)】
ネルの使う、自分と同じ姿の分身を無数、生み出す術。
当初はその術を制御しきれていなかったが、今では完全にものにしている。

14【ウルトラノヴァ(うるとらのう゛ぁ)】
リトルウィッチで唯一と言って良い、強力な範囲攻撃術。
強力な閃光を一瞬凝縮・解放する凄まじい術である。

15【運気(うんき)】
武道家の扱う、徐々に身体の損傷を回復する力。
しかし、体力は回復することは出来ず、さらに失ったもの(切り落とされた腕など)は回復しない。

257白猫:2008/02/05(火) 19:01:08 ID:y8XNfWoQ0

16【黒懺剣(こくざんけん)】
?アーティの持つ呪いの剣。全長1.8mはある長刀。
?アーティの剣による刺突の名称。その刺突は一度に2つの呪いを相手に掛ける。

17【ウィザードリィ(うぃざーどりぃ)】
魔術を極めた者に与えられる称号。
魔術師だけではなく、剣士や呪術師にも与えられることのある称号である。

18【リトルサンシャイン(りとるさんしゃいん)】
DXU。

19【パペット(ぱぺっと)】
?[災厄]の御伽噺で知られる悪魔の名。
?ルヴィラィの持つ骸骨の名。災厄の御伽噺のものと同一のものであるらしい。
自我を持ち、ある程度の言葉を話す(ネルはこいつの喋り方が嫌いらしい)。

20【シックスセンス(しっくすせんす)】
瞬時に自身の第六感を高める術。
同時にある程度の魔力も補充することができる。

21【アウグスティヌス(あうぐすてぃぬす)】
神聖都市アウグスタの名の由来となった名家。
当主、ルゼル=アウグスティヌスは、現代で最強の冒険者と呼ばれている。

22【マペット(まぺっと)】
パペットと対となるらしい、[聖]の力を封じ込めた十字架。
詳細は続編を待て。

23【歌姫(うたひめ)】
?ビガプールで一世を風靡したというリトルウィッチの異名。
?[唄]を紡ぐことで強力な術を発動する術者のこと。
その唄は人に理解できるものもあればできないものもある。

24【封呪(ふうじゅ)】
魔法の発動を封じる呪いの名。
[狂気]、[混乱]のように[上級の魔法を封じる]のではなく、
[魔法そのものを封じる]呪いである。

25【ディテクティングエビル(でぃてくてぃんぐえびる)】
ある一定の範囲内の敵を察知する能力。
魔物だけを探知するものもあれば、人だけを探知するものもある。

26【ホーリークロス(ほーりーくろす)】
追放天使の中では最強の部類の術。
巨大な十字架を召還し、敵を一掃し味方の傷を治療する。

27【ジャッジメントデイ(じゃっじめんとでい)】
追放天使の中では最強の部類の術。
無数の十字架を召還し、敵を一掃し味方の毒を治癒する。

28【ホーリージャッジメント(ほーりーじゃっじめんと)】
リレッタの持つ、上記二つの術を組み合わせた術。
その力は、アンデットだけを消滅させるという。

29【天使(てんし)】
天上界から追放された天使ではない、神々から敬愛された真の天使。
現在の天使は、知られているのはリレッタ=アウグスティヌスだけである。

30【秘術(ひじゅつ)】
そのあまりの力に秘された術。
リレッタの[ビッグバン]、アーティの[ライトニング・ジャベリン]がこれに当たる。

31【ホーリーサークル(ほーりーさーくる)】
光の円盤を召還する術。
光熱を伴う円盤であり、殺傷力はかなり高い。

32【鎮魂歌(れくいえむ)】
霊(アンデット)を消滅させる唄。
この世に未練のある亡霊をあの世へ昇華させる。

33【子守歌(ららばい)】
生きている者全てを眠らせる術。
ただし、命のない者や[歌姫]には通用しない。

34【バトルマーチ(ばとるまーち)】
リトルウィッチの唄う戦いの唄。
[歌姫]クラスの術者ならば、その者にかけられた呪いをも解除する。
この術のルフィエの歌詞は、[兵士よ馬よ立ち上がれ、剣よ槍よ敵を裂け、戦よ戦、千軍万馬の見せ所]。

35【解呪(かいじゅ)】
対象にかけられた呪いなどを解除する術。

258白猫:2008/02/05(火) 19:02:00 ID:y8XNfWoQ0
36【勝利の女神(しょうりのめがみ)】
身体能力を一時的に上昇させることのできる術。
しかし、多重に使用すれば対象の体にダメージが入る。
ネル、ルフィエの口振りからすると、第二、第三の強化術も存在するようだ。
この術のルフィエの歌詞は、[歌姫の名に置いて、一時の力を。この世に賜る哀れなイキモノに、聖なる加護があらんことを]。

37【傀儡(くぐつ)】
[円舞曲]によって生み出された、意志を持ち動く人形。
シャーレーン、デュレンゼルのように、人ならざる力を持つ。

38【円舞曲(わるつ)】
傀儡を創り出すための術とされている。詳しい効果は一切不明。

39【神々の運命(らぐなろく)】
開闢神話において、神々と英雄達と人間達と魔物達の大戦争。
この大戦によって、天地は滅び去ったという。

40【懺悔術(ざんげじゅつ)】
アーティの扱う、黒懺剣を扱った戦術。

41【円舞(えんぶ)】
懺悔術の一。
黒懺剣を、円を描くように薙ぐ。

42【翔舞(しょうふ)】
懺悔術の一。
胡蝶のように空を舞うことを可能とする力。

43【暴傷(あばれのきず)】
黒懺剣特有の呪い。
相手の傷の治癒を妨害する能力である。

44【懺悔(ざんげ)】
黒懺剣特有の呪い。
切り裂いた相手の動きを妨害し、拘束する能力である。

45【懺、残、斬(ざん、ざん、ざん)】
アーティ最強の技(?)。
威力はルヴィラィを消し飛ばすほどの力だが、どういう術なのかは分かっていない。

46【狂想曲(かぷりっちお)】
自分の分身を生み出す唄の力。
狂想曲を発動中、さらに別の唄を発動可能という特殊能力を持っている。

47【ジャベリンテンペスト(じゃべりんてんぺすと)】
槍を凄まじい勢いで投擲し、その槍を中心に凄まじい烈風を巻き起こす術。
風系統の魔術ではトップクラスの威力を誇る。

48【蒼き傭兵(あおきようへい)】
アーティの異名。
蒼い紫電を操ることから、アーティを皆がそう呼ぶ。

49【白の魔術師(しろのまじゅつし)】
カリアスの異名。
異名の由来はよく分かっていないらしい(多分出で立ちが理由)。

50【グングニル(ぐんぐにる)】
開闢神話において、名も無き最高神が扱っていたとされる槍。
数千年前、とある鍛冶屋が創り出したらしいが――?

51【開闢神話(かいびゃくしんわ)】
名も無き最高神を始めとする神々の伝説。
現在開闢神話の伝説は世界中に知れ渡っているという。

52【名も無き最高神(なもなきさいこうしん)】
開闢神話において最強・最高齢の神。
グングニルを繰る最強の武神だったという。

53【ワルキューレ(わるきゅーれ)】
開闢神話において名も無き最高神の元で邪を祓っていた十一人の半神。
ルヴィラィの言う[ラグナロク]と何か関係があるようだ。

54【騎士道(きしどう)】
自らを犠牲に他を生かす、騎士達共通の精神。
アーティやネルもまた、この騎士道を全うし日々を過ごしている。

55【テレットトンネル(てれっととんねる)】
南のフォーリンロードと古都を繋ぐ巨大な洞窟。
[ZIN]系統の魔物も多く、住民も滅多に此処を近寄らない。

56【スージャネ大陸(すーじゃねたいりく)】
災厄の御伽噺でパペットに滅ぼされたという大陸。
実在し、今から数千年前に滅び去った。

57【FORCE(ふぉーす)】
数十年前、世界最強を誇っていたギルドの名。
現在は解散し、[最強の冒険者]の称号として使われている。

58【ZIN(じん)】
[魔術に酷似した能力]の総称。
ある一部の魔物が、このZINの力を持っているという。
ちなみに、フォーリンロードの99.9%の魔物はZIN系統の魔物。

59【錬金術(れんきんじゅつ)】
あらゆる物質に干渉・形状を変化させる術の総称。
ありとあらゆる分野に深く干渉し、高名な魔術師はこの研究を怠らない。

60【スマグの大噴水(すまぐのだいふんすい)】
スマグの奥に鎮座する巨大な噴水の名。
その噴水に二人で金貨を投げ入れれば、その二人は永久に結ばれるという。

259白猫:2008/02/05(火) 19:02:25 ID:y8XNfWoQ0
61【タッグバトル-トーナメント(たっぐばとるとーなめんと)】
[FORCE]選抜武道会とほぼ同期に行われる大会。
2vs2のタッグ戦で優勝を争う。
間の[-]は白猫のミスらしい。

62【タリズマン(たりずまん)】
ネルの母の形見である正八面体の水晶。
持ち主を防護する能力を持つ宝石だという。
RSで実際にあれば、魔法抵抗+25%、防御+40%程度の首装備だろうか。

63【エバキュエイション(えばきゅえいしょん)】
術者に超速をもたらす術。
ある程度の知識を持つ天使なら体得している術。

64【イグドラシル(いぐどらしる)】
ルヴィラィの本拠地らしい。
リレッタの[ビッグバン]で崩落したらしいが…。

65【賢者の石(けんじゃのいし)】
様々な呼び名があり、卑金属を瞬時に貴金属へと変成する石だという。
ネルの腕の[エリクシル]も、この賢者の石を基に造られた。

66【人工生命体(ほむんくるす)】
[傀儡]の別称らしい。
詳細は一切不明。

67【ホーリーエクス・クロス(ほーりーえくすくろす)】
両腕に小型の十字架を召還する術。
切り裂いた相手にホーリークロスを発動し、
その十字架自体が武器にも防具にもなるという術。
リレッタのオリジナル術。

68【装備型の術(そうびがたのじゅつ)】
単純な攻撃術(垂直斬り・メテオetc)とは違い、ある程度効果の持続する術。
ミラーメラーミストやシマーリングシールドがこれに当たる。

69【バスターシャイン(ばすたーしゃいん)】
対ヒト最強を誇る直線型攻撃術。
決してバスター社員(社員破壊)ではない。

70【ブレストファイア(ぶれすとふぁいあ)】
リトルウィッチの直線型攻撃術。
超高熱を光線で相手を焼き切る。

71【ホーリー・ジャベリン(ほーりーじゃべりん】
光属性のランスを生み出す装備型の術。
一撃で馬車程度なら倒壊させるほどの威力を持つ。

72【鳥籠(とりかご)】
詳細は一切不明。
捕縛型の機器だと思われる。

73【ダークネスイリュージョン(だーくねすいりゅーじょん)】
相手の能力を完全に逆転させてしまう術。
相手が強ければ強いほど弱くなり、弱ければ弱いほど強くなる。
この術のルヴィラィの歌詞は[永遠の闇、極楽の陰、この世の善悪幸不幸、笑って見せよう泣いて見せよう、どう受け取るかは貴方次第、どうぞ一つ堪能あれ]。

74【唄(うた)】
[歌姫]の紡ぐ唄の総称。
鎮魂歌、賛歌がこれに当たる。

75【ヘイスト(へいすと)】
味方の全体速度を上昇させる援護型の術。

76【ファイアー・アンド・アイス・アンド・ライトニング(ふぁいあーあんどあいすあんどらいとにんぐ)】
一方に炎、一方に氷、柄に雷を召還する術。
破壊力等は一切不明。

77【スターヒール(すたーひーる)】
アリアン〜リンケン〜ダメルを蹂躙する盗賊団。
南のアサシン、西のスターヒール、中央の月影団、と呼ばれるほどの勢力を持つ。

78【ドラゴンツイスター(どらごんついすたー)】
氷の龍を召還する戦士の術。
ありとあらゆるものを氷結させる力を持つ。

79【アイススタラグマイト(あいすすたらぐまいと)】
巨大な氷の柱を召還する術。
この術を極めていれば、砲弾にも小揺ぎもしない氷を召還できる。

80【韋駄天(いだてん)】
今は亡い、世界最速の神。
その足は、千里を一瞬で駆け抜けるという。

260白猫:2008/02/05(火) 19:02:47 ID:y8XNfWoQ0
81【黒騎士(くろきし)】
カリンの異名。
その全身の黒い姿から名付けられたという。

82【碧龍(へきりゅう)】
カリンの扱うドラゴンツイスターの名。
効果はドラゴンツイスターと変わらない。

83【レヴァンティン(れう゛ぁんてぃん)】
アーティの特注品である槍。
可能な限り軽く・硬く造られた槍。

84【レッドストーン(れっどすとーん)】
今から約500年前、天上界からこぼれ落ちた石。
アリアン地下遺跡に封印されていたが、パペットによって強奪される。

85【ビッグバン(びっぐばん)】
リレッタの[秘術]。
詳細は不明だが、イグドラシルを爆砕するほどの力だという。

86【神々の石(かみがみのいし)】
如何なる物質も変成し、如何なる生物も創り出し、また壊す、
まさに"神様だけができる悦楽を人がすることのできる"石。

87【予見(よけん)】
未来に起こりうることを見る力。
リトルウィッチでもかなり珍しい力で、ルフィエがこれを使うことができる。

88【魔創残龍剣(まそうざんりゅうけん)】
?[龍を魔によって創り出す剣]の意。
真っ黒の刀身であり、まさにカリンが扱うに相応しい剣。
?カリンの扱う魔剣術(魔力を用いた剣術)の名。

89【黒龍剣(こくりゅうけん)】
その名の通り、黒龍を生み出す術。
アーティのマルチプルツイスターを楽々打ち消す力を持っている。

90【マルチプルツイスター(まるちぷるついすたー)】
無数分身を生み出し、対象を攻撃する術。

91【宴影剣(えんえいけん)】
カリンの扱う、黒い靄を召還し、対象を消滅させる術。

92【コルセスカ(こるせすか)】
[ウィングスピア]と同じ、矛先が三つに分かれている槍。

93【チャージング(ちゃーじんぐ)】
[雷を貯める]の意。
ライトニング・ジャベリンに必要不可欠な準備術。

94【ライトニング・ジャベリン(らいとにんぐじゃべりん)】
チャージングにより貯まった雷を、槍ごと一気に解放する術。
その破壊力は、MAXで城を一撃で倒壊させる(古都北西のアレ)。
リレッタのビッグバンと同じ[秘術]。

95【ハウリングブラスト(はうりんぐぶらすと)】
巨大な咆哮を上げ、大爆発を起こす術。
ウルフマン及び、フェンリル状態のネルが使用可能。

96【巨人族の刃(てぃたんえっじ)】
右腕を超巨大化させ、鉤爪のような指で攻撃する術。
その破壊力は、如何なる物質も突き通す。

97【絶望の銑鉄(ぜつぼうのせんてつ)】
シャーレーンの生み出す杭の名。
形状・重量を自由自在に操り、ネルの鋼鉄の腕をも貫く。

98【死の大鎌(ですさいず)】
刀身が2mはある巨大な鎌。
ヒトを殺戮するべく造られ、製作者もまた、この鎌で貫かれ死したという。

99【嘆きの壁(なげきのかべ)】
ルヴィラィ誇る最強(かもしれない)防御術。
ティタンエッジを軽々と受け止めるほどの強度であり、
[秘術]をも防ぎきるという。

100【裏切りの契約(うらぎりのけいやく)】
悪質且つ不平等な契約を無理矢理結ばせる術。
この術を受けた者の防具は、如何なる防御力・魔力をも無効化される。
この術のルヴィラィの歌詞は、[理不尽不条理百承知、悪質最低極悪非道。それでも貴方は結ぶのよ、だって今日は雨だもの]。

101【明鏡止水(めいきょうしすい)】
澱みの無く、静かに澄んだ心境、の意。
詳しい特殊効果は不明。

102【嘆きの盾(なげきのたて)】
小型の嘆きの壁を無数、生み出す術。
かなり便利な術だが、強度は嘆きの壁にかなり劣る。

103【破砕拳(はさいけん)】
[武具破壊]の力を持つ拳撃。

104【賛歌(ぴーあん)】
詳細一切不明。

105【オルレアンの乙女(おるれあんのおとめ)】
[オルレアンの乙女]――ジャンヌダルクを唄った唄。

261白猫:2008/02/05(火) 19:03:28 ID:y8XNfWoQ0
 「………がんばった。うん」
 「多少抜けてる部分があるでしょうが…もうやりたくないですね」
 「作者の性格上、後100は出てきそうなんですけど…」
 「…………」
 「…………」


 「エリクシルはかなり複雑なので、別個に解説させて頂きます」
 「この物語のキモだろうし…まぁ、頑張ろう、うん…」

106【エリクシル(えりくしる)】
?錬金術において、不老不死の妙薬とされている。
スマグの長老が調合に完成したらしいが…?
?ネルの曾祖父、アラスターの創り出した[天地創造の石]。
ネルの感情によって形状が変化し、現在以下三つの術を発動可能である。
 第一段階:義手である右腕を自由自在に変化させることのできる状態。
 第二段階:以下4つの力を扱うことができる。

107【鏡映し(かがみうつし)】
一度見ただけで相手の術を完全にコピーする能力。
しかし、構成の単純な装備型の術(以下に説明有)や難易度5以下程度の術ならコピーが可能である。
ちなみに、万華鏡分身を始めとするオリジナルの術は、ほぼ全て難易度6以上(コピー不可能)だという。

108【深紅衣(くりむそんろーぶ)】
ネルの第二段階の力の象徴。
深紅の色をした衣であり、如何なる魔力をも断絶する能力を持つ。

109【フェンリル(ふぇんりる)】
ネルのエリクシルの真正解放した姿。
顔の上半分を覆う面覆いのような兜と紅色の軽鎧、深紅衣を纏った姿をしている。

110【神卸(かみおろし)】
今までネルの会ったことのある者の内、既に絶命した者の魂を卸す術。
卸した魂の技能や身体能力までも、ある程度自分のものにすることができる。

補足だが、本編では登場していないネルの父、[カナリア=ヴァリオルド]は、[第三段階]まで開花することができたと言われている。

262白猫:2008/02/05(火) 19:04:11 ID:y8XNfWoQ0
「はい、前回やってねぇだろこのピー(諸事情により伏せ)野郎ということで、コメ返しをやっていきましょう」
「ネルくん、流石にピー(諸事情ry)野郎は言い過ぎじゃない?」
「いいんですよ、ピー(諸ry)野郎くらい言わないと作者がやる気出さないんです」



◇68hJrjtYさん。
いつもコメありがとうございます。励みになっております。
私の無駄に長い文章はもうご愛嬌です(ぉぃ)。神卸の設定はなんとなく作っただけのオマケです(ぅおい)。
ネルくんの能力はどれもこれも[護る]という感情から分岐した術ですので…まぁ、第三段階でなんとなく分かるかもしれません。
第三段階は最終章手前になるかもしれません(オイ)。
レッドストーンについてはしばらく後に語られるでしょうが、この物語はあくまでも[歌姫]と[パペット]を中心に物語が進みます(ぁ
サイト…ですか。
うーん、作ったことは一応ありますが、うーん(ぁ
…一応考えておきます。あどう゛ぁいす感謝です(_ _ *)


メイトリックスさん。
こちらもコメありがとうございます。
その通り、神卸は降神術の派生みたいなものです。
アクションシーンは私の一番好きなシーンの一つですので、多分気合の入れ方が違うと思います。世界観とかと比べて(笑)
理解できない方も他に絶対いるというわけでの用語解説っていうあれです(ぁ


FATさん。
こちらもコメありがとうございます。
チャージングははっきり言ってものすごいCP食います(ぁ
ポーション、心臓等の効果を無効にするというオマケもついてます。鬼です。
威力も鬼です。ミズナなんて多分一撃です。
…あ、カンスト入りますね(笑)
ネルくんにデリカシー…無いんじゃないですかね。恋愛にはたぶん疎いです。
ルヴィラィを始めとする歌姫の力は、ただの人間(実力があるかどうかは無問題)には強すぎるものなんですね。
どれだけ感情が強くても、唄の力はダイレクトに受けてしまうわけです。
最も、術者も同様の効果を受ける(まぁ[唄]だから耳に入るのは当然です)ので、相手にダメージを負わせるような術は無理なようです。


718さん。
こちらもコメありがとうございます。
レッドストーンの所在を知っているのは極一部のシーフや実力者だけだったみたいです。
並の術者じゃ解除できない封印も成されていて、多分並の冒険者なら一生かかっても見つからないくらいだと思いますよ。
毎回毎回意外な設定は入れるよう努力しています。スパイスはちょびちょび。ちびちび。つんつん。
歌姫たちの唄はほぼ即興です。
[口ずさみやすく、そして現実から離れたような歌詞]を心がけています(裏切りの契約あたり)。
多分唄おうと思えばタン、タン、タン、タンのリズムで大抵唄えちゃうと思います(笑)。


皆様いつもコメントありがとうございます(_ _ *)
職人の皆様、いつもコメントをする機会を逃して申し訳有りません(_ _ ;)
これからもツンツン更新して行きますので、しばらくお付き合い下さいませ。

一応最終章までの大体の案は完成してあるのですが…完結したらしばらくはネタ作りに籠もるとします。
借金返済奮闘記とかいいかもしれませんね…一発当てよう無鉄砲少年とケチで守銭奴少女のお話とか(笑)
では、私はこの辺で失礼します。…そういえば、結構スレ下がってきてますね。

263メイトリックス:2008/02/06(水) 16:50:26 ID:ukZhIQhQ0
Hellfire Salvage
01 : The Decidings Part.1>>9-11 Part.2>>59-61 Part.3>>130-132
02 : Nonpayment Part.1>>180-182

「Nonpayment Part.2」

カラン。
氷とガラスのぶつかる音に、さまよっていた意識が引き戻される。
顔を上げると、若いウェイトレスが水の入ったグラスを脇によけたところだった。
わたしと目が合うと、彼女は微笑みながら、片手にささげ持ったお盆をテーブルの上にトンと置いた。
湯気と香ばしい薫りがぱっと広がり、顔を打つ。
油をひかれて黒く光る鉄皿の上で、綺麗に焼き色のついたローストビーフがジュウジュウと音を立てている。
思わず息をのんだきり、わたしは言葉を失っていた。
口を開こうものなら、よだれが垂れてしまいそうだったからだ。
たっぷりとかけられたグレイビーが滴り落ち、熱い鉄の上で跳ねる。
胡桃色に焼けた表面の切れ目からは、肉汁の染みたジューシーな赤身がのぞいている。
ピリッとした胡椒の匂いが鼻をくすぐった。
食べて食べてと美味しそうに訴える肉料理から視線を引き剥がすのは、千匹の怒れるオーガに平和を説くのと同じくらい絶望的な試みだった。
その試練を何とか乗り越え、わたしは歩き去ろうとするウェイトレスを引き止めて言った。
「あの――わたし、何も注文してません……」

パブの照明は明るさを落としてセットされている。
客がくつろげるようにするためだろうか。この街に住んでいるのは、ほとんどが“事情のある”者だとニイドは言っていた。
その薄明かりの下でも、ウェイトレスが自分とあまり変わらない年齢なのは見てとれた。
彼女はわたしの戸惑いぶりを面白がっているように首をかしげた。後ろで束ねられた金色の髪が、さらりと肩に流れる。
聞こえなかったのかもしれない。そう思って同じ言葉を繰り返そうとした時、彼女が口を開いた。
「あなた、初めて来たんでしょ?」
まったく脈絡のない質問に、答えに詰まる。
「ここに住んでる人の顔はだいたい覚えてるもの。何もない街だから、旅人が立ち寄る事もないしね」
わたしの沈黙をどう解釈したのか、わかっているよという顔でうんうんとうなずいている。
「長いお付き合いになると思うから、初めての人には歓迎の意味をこめてサービスしてるの」
そう言うと、彼女は蒼い瞳をきらめかせてウインクした。
「私はシリスティナ。あなたの名前もそのうち教えてね」

店の奥へ歩いていくシリスティナの背中を見つめながら、なんとなく理解できた事があった。
彼女はわたしがダメルに移り住んできたのだと勘違いしたのだ。
他に行く当てのない、流れ者だと。
流れ者の少女なんて――そう考えてから、ふと気づく。
彼女もこの街の住人なのだ。
あの子にはあの子の理由があって、ここにやって来るしかなかったのかもしれない。
そう思うと複雑だった。
ニイドを探して視線を走らせると、彼はカウンターの席でバーテンダー風の男と何かを話している。
その男を見て、わたしは漠然とした不安を感じた。
はっきりとおかしい部分を指摘はできないけれど、どこか――違和感があった。
整った顔立ちをした若い男のはずなのに、100歳の老人のようにも見える。
何を話しているのだろう。耳をそばだてても、断片的なフレーズしか聞き取る事ができない。
……ロシペル……まだ……求めて……いや、諦めない……もう少し……アズラエル……違う……それは君の……私は……
あきらめて、テーブルに向かう。少し冷めてしまったが、料理はまだ十分に美味しそうだ。
わたしはシリスティナの誤解を訂正しなかった。
せっかくの豪華なディナーを、むざむざ逃してしまう手はないのだから。

264メイトリックス:2008/02/06(水) 16:51:07 ID:ukZhIQhQ0
外ではわたしたちを足止めしたものが、亡霊の悲鳴を響かせている。
ダメルに着いてすぐに、砂嵐がこの街を襲ったのだった。
自分の足元も見えない状態で、ニイドとわたしがこのパブに転がり込んだのが昨日の夜。
砂嵐はまだ止みそうになかった。

ローストビーフを半分ほど平らげたころ、やっとニイドが戻ってきた。
「何を話してたの?」
「僅かばかりの世間話だ。我等の尋ね人が、遺跡に宿を定めている事も聞いたぞ」
口いっぱいに脂っこい肉をほおばっているわたしに一瞥をよこし、大して面白くもなさそうにつぶやいた。
「サティロスの肉か。この時期にしては上物だな」
サティロス。その一言だけで、わたしの食欲を失わせるには十分だった。
砂漠では蜘蛛を焼いたり、クラゲを干したりして食べて飢えをしのいでいた。
それで、ようやく街でまともなものを食べられたと思ったら――半人半馬の化け物だなんて。
うんざりして皿を押しやると、ニイドが不思議そうに聞く。
「滋養があるのだが、食わぬのか?」
わたしがコロッサスみたいに大きければ、この鈍感なネクロマンサーをひざの上で真っ二つにへし折ってやるところだ。
そうする代わりに、わたしは溜息をついて言った。
「あのさ、デリカシーがないって言われない?」
「馬鹿げた事を言うな。私は君の心が軽くなるよう取り計らっておるのだぞ」
ニイドは憤慨した様子で腕を振り上げる。
心の動かされる言葉だ。
言い放った当人の目が、皿の上に残ったローストビーフに釘付けにされてさえいなければ。
「欲しいならあげるけど」
皿をつんつんと突いてニイドのほうへ押す。
実のところ、少し興味があった。彼が食事をするのは見た事がない。
いつも、もう済ませたのだとか、今は気分が優れぬとか言いながら、わたしの前では何も口にしようとしなかった。
どうやって食べるのだろう。
あの重たげなマスクを外すのか、それともまったく想像のつかない別の方法があるのか。
「そうか、済まぬな」
わたしが期待して見つめる中、彼の手が肉に伸びて、がっしりとつかみ――


空腹が満たされればどうしても眠くなってしまう。うつらうつらとしていると、ニイドの呼ぶ声が聞こえた。
生返事をして身を起こし、めいいっぱい伸びをする。
身体の節々が痛い。長旅の疲れは簡単には取れてくれないみたいだ。
「それで、休息は取れたか?」
真剣な問いかけに、一気に目が覚めた。
「え、ええ。だから、早く出発しない?」
わたしはあわてて答える。
ニイドは少しの間、考え込むようにマスクの表面をなでていた。
何を悩む事があるのだろう。
危険な砂漠の旅は終わった。帰り道は……その時になってから心配すればいい。
エオローの居場所も突き止めたのだから、後はわたしたちが訪ねていくだけなのに。
やがて、彼はぽつりと言った。
「奴を訪れるは暫し延ばそう。とかく慎重にならねば」
「でも、急がないと――」
思わず声を荒げる。頭が痛くなってきた。いまさら彼は何を言っているのか。
「君の焦りも理解出来るが、急いては過ちを犯す。奴が逃げんとすれば、私には感知できるとも」
わたしを見つめるニイドの声は穏やかだった。
彼なりに心配してくれているのかもしれない。
けれど、彼は気づかないのだ。そうした振る舞いが、わたしをより深く傷つける事を。

265メイトリックス:2008/02/06(水) 16:51:30 ID:ukZhIQhQ0
古い木製のドアは、砂を噛んでしまったせいでなかなか閉まらなかった。
できるだけ素早く、静かに出ていくつもりだったのに、結局かなりの時間を木の板との格闘に費やす羽目になった。
そんな努力にもかかわらず、完全に閉じきった時にはべりりと嫌な音が響き渡ったが。
砂まじりの風が何度も叩きつける中、わたしは小ぢんまりとしたパブを振り返る。
小屋の二階には酔客が泊まるための部屋がいくつかある。わたしたちはそこを宿として借りたのだった。
ニイドはまだ眠っている。
わたしは、彼が朝まで目を覚まさないように願った。追いかけてきて欲しくはない。
彼にはもう、十分に助けてもらったのだから。少し余計なぐらいに。
これ以上一緒にいたら、いつかはどちらかが深く踏み込み過ぎてしまう。
そうすればきっと、わたしは犠牲を払うのが怖くなる。
だから、自分自身の命でさえ軽く扱える今のままが一番いい。そう思った。
――色々とありがとう。そう心の中でつぶやいて、背を向けて歩き出す。
面と向かっては一度も言えなかった。
運がよければ、エオローから何か情報を引き出し、ニイドが目覚めるころにはこの街から去っているはずだ。
運が悪ければ――どちらにしても、誰かが気にかけるとは思えない。

悔しかった。
見透かされてしまった事が。自分の弱さが。
危険に飛び込むのはいい。すべてを忘れていられる。耐えられないのは、じっくりと見つめて――恐れを抱く事だ。
これ以上立ち止まっていたら、きっとわたしは自分が何をしているかに気づいてしまう。
そうなった時、逃げ出さずにいられるだろうか。その答えが怖い。
なぜならそれは、姉さんをもう一度殺すに等しいのだから。

踏み出した足が空を切り、わたしはバランスを崩して落ちた。
ほんのわずかな段差だったけれど、1メートル先さえ見えない砂嵐の中では脅威になりうる。
ぶつけた膝が痛んだ。砂が口の中にまで入り込み、不快な味を残す。
槍を杖代わりに地面に突き立て、どうにかして立ち上がろうとした。
無防備な状態だった。
不意に肩に熱い痛みを感じ、思わず膝をつく。痛めた脚の骨が火花を散らし、わたしは絶叫した。
斬られた。
そう認識した瞬間にはもう、槍を持ち直して構えていた。
たとえ半人前でも、わたしはエリプト傭兵団の末裔だ。
錆びた鉄のような色の骸骨が、砂の霞の中にぼんやりと浮かぶ。手斧が今にも振り下ろされようとしていた。
この体勢では、垂直に落ちてくる斧の一撃を防ぐ事はできない。
血に曇った刃が脳天を襲う直前、わたしは握った槍を勢いよく横薙ぎに払った。
脆い膝関節が朽木のような音を立てて砕け、骸骨はくるりと半回転して派手に倒れた。
危ないところだった。
でも……。
どうしてこんな場所にアンデッドがいるのだろう。
「それはね、砂嵐の夜には遺跡から出てくるから」
風が収まりつつあった。振り返ると、砂に煙る月明かりの下、すらりとした人影がこちらに歩いてくる。
砂を防ぐマントを着込むこともなく、二つに束ねた長い髪を金色になびかせながら。
「だから、砂嵐の間は外に出ちゃいけないのよ」
手にしたロッドをさっと振ると、蒼い瞳をいたずらっぽく輝かせ、シリスティナは微笑んだ。
「ねぇ、探し物なら手伝おうか?」

266メイトリックス:2008/02/06(水) 16:51:59 ID:ukZhIQhQ0
――――――――――――――――――――――――
>>◇68hJrjtY氏
私もコアなダメラーです。も。かの地に行く時は常に徒歩です。帰りは時計でホール経由でヴーンですけれども。
赤石は砂漠マップが多いので、地面に転がってる骨とかを見ると色々妄想を掻き立てられてしまいます。着想はそこですね。

>>之神氏
ナザルド君フィーリングラッキー!昔運極盾投擲剣士を作った事があるのですが、何気に強いんですよねぇ、アレ。100Lvで4000ダメとか。
しかし兄弟愛は泣けますね。同じ血を分けて生まれてるのに。うぅ。関係ないですがシルヴィー萌え。
節分ストーリーも楽しく読ませていただきました。NPCのオーガってこんな感じっぽいですよね。強くて素朴。そして仲の良い三人が微笑ましく。

>>ワイト氏
ヘルアサシン不死身なんじゃあ……。赤いのがうねうねしてるサマを想像すると背筋がゾクゾクしてきます。いや、変な意味ではなく。
ラータ君の挑発は策あっての事なんでしょうか。私だったら一目散に逃げるぜ!……追跡されますね、普通に。

>>FAT氏
手紙……弱いです、こういう独白で綴られる切ない思慕には。心の汚い私でも、目から水が。彼への敬意が感じられてあうあう。身体が震えましたよ。
打って変わって本編のほうはドタバタで明るいですねー。三人ともナチュラルハイな状態じゃないでしょうか。ジム=モリ哀れ(笑)
しかし、これは……ある意味、ジム=モリの攻城戦?守備側はチビッコみたいなイタズラでガード!
次回からはガランとシリアスに戻そうな予感がします。要件に入っていくのでしょうか。続きをお待ちしております!

>>718
こ、こ、怖い……。このギリギリ感は何回読んでもヤバいです。それにしてもニクい終わり方ですね。こういう話は大好きです。
迫ってくる感じと言うのでしょーか。
実際あそこは殺人的に危ない所ですが、こうもリアルな感覚で表現されるとちょっと……もう通れません。

>>ESCADA a.k.a. DIWALI氏
どんな武術の達人でも、異種格闘戦ではアマチュアにも負けると聞いたことがあります。カポエイラは奇抜な分もっとかもしれません。
実はディアスのお爺さんが気に入っていたのは秘密です。いい狂いっぷりでした。バラバラバラ。

>>◆21RFz91GTE氏
コメントありがとうございます。しかし私は会話が描けません。
ですので、アレン君達の生き生きとした掛け合いを見てハッスルしておきます。ロリコンロリコンヾ(´・ω・`)ノ
きな臭くなってきましたねー。急成長した巨大ギルド、至高の戦士達、バフォメット、War!
戦記と呼ぶに相応しい壮大な展開が待ち受けている気がします。続きを期待して待っております。

>>白猫氏
ママだったんですか、ルヴィライのおねーさん!ルフィエさんの運命やいかに!
と、母の記憶をしみじみしながら読んでいたんですが、よく考えると彼女たちは長命なんですよね。つまり、すっごーっく昔の話……。
それだけの時の流れを経ても、ルフィエさんはお母さんの思い出を大事に胸にしまっていたんですね。報われない……。
用語集すごっ!それだけ世界観を細かく設定されているのだと思います。私なんてもう齟齬が(笑)

>>黒頭巾ちゃん氏
サラマンダー達フレンドリーなんだ……と思ったら、彼らは火の神獣なんですね。サマナーと相性抜群!
全体に漂うシュールな雰囲気に、終始爆笑しながら読ませていただきました。ゲームのストーリーへの取り入れ方が面白過ぎます。
胸の温かくなるENDでした……。私も件のかぽーに教化されうわにをするはなせゲールh

ぐへーぃ、私の書くペースが遅いっぽいですね。あるいは感想は分離した方がいいのか。書ききれないので基本的に最新の話について言及してます。断腸。
それでも、皆さんの作品がこんなにいっぱい読めるなんて幸せな限りです。ノベルジャンキーです。脳汁DOBADOBA。

267ワイト:2008/02/06(水) 18:23:23 ID:NWoaSd260
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「馬鹿が!!そんなに殺して欲しいか!??助かったかもしれぬと言うのに・・・!
よかろう!だが、今の挑発は自身の寿命を縮めただけの行為に過ぎぬわ!!!」
「う・・うるせぇよ!だからどうした!?それとも・・喋るだけの馬鹿か?お前も・・・!」
「気に入らんぞ!!!望み通りに貴様から殺してくれよう!!」

ダンッッッ!!!!深く深く踏み込んだ、アサシンはシーフの其れとは、比べモノに
ならない程の速さで、ラータの首を目掛けて勢い良く駆けるっ!!!

「あーあ・・・・如何なる時にでも、冷静沈着に保てなきゃ負けだぜ??」
「クハハッハッハハッ!!!戯言を抜かすっ・・・!?!??」
カチッ・・・・!
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・何だ?我は今・・何かを踏んだのか?いや!確かに「カチッ」と・・」
「足元御留守だぜ??其処に立ち尽してる暇なんて・・!無いと思うけどなぁ・・・??」
ラータに近く付く前に、何かに気を取られてしまう!だが!!それも束の間!!!!





ズッッ!!ドオオォオォオォォオンンッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「グアアァアァアァァッッッ!!!!!!!」
アサシンの断末魔が、辺り一帯に響き渡るっ!!!!それだけではない・・・!
罠の威力は凄まじく、大爆発を起こしながら!アサシンの身体をバラバラに分解した!!


「ふふぅ・・!流石にやりすぎたか??まぁ・・あのアサシンは、あれ位はしねぇと、
死なねぇだろうしな!!あれだけの爆発だ!恐らく、肉片すら残っちゃいねぇだろうよ!!
(ついでに仕掛けた罠は特大の「エクスプロージョントラップ」だぜ・・!)」
終わったであろう戦いに、ヒースは笑みを零しながら、ラータの傍に駆け寄る!

「ねぇ!ラータ・・!あれだけの大爆発を起こす罠を、どうやって仕掛けたの??」
「んー・・・?それは、アサシンの目標が、ヒースに変った時だな・・!眼が見えないだけで、
罠を設置するくらいの動作なら、そもそも眼を瞑りながらでも、出来るんだよ!!まだ、
(仕留め切れていない相手を、そのままにしておくってのは・・余裕から来る傲慢だったんだろーな・・・・)」


途轍もない威力を誇った「エクスプロージョントラップ」はアサシンの身体をバラバラにし、
跡形も無く、その姿形を完膚無きまでに、葬り去ったかの様に見えたが!!

ギチュッ!グチュ・・!グシュグチュ・・・・・・!グチャァ・・ズチュッ!!
聞き入れたくはない、気味の悪い音を立てながら・・!アサシンの身体を形作って行く!!!
だが・・?まるで今にも腐敗しそうな勢いで、蘇った「ヘルアサシン」は、すでに全身が
大量の血によって真紅の色を帯びつつあるが!??

「ぐぅ・・・!足りなぁい・・!!血を!もっと血を・・!うおぉえっ!!」
唸るアサシンは、血では無い・・!得体の知れない液体を吐き出す!!
そして不可解極りない動き、いや踊りの様な物を始めた!!!

「お・・・おいおい!な・・なんなんだ!????どうなってる?
生き返ったと、思った直後に・・流石にあれはねぇだろ!?」
「恐らく!あの状態は!不完全のまま復活してしまった・・!という事でしょうね・・・
それにしても、み・・見てるだけでも、あれは吐き気を催しそうですよ!気味が悪い・・・!」

「なぁんだとおぉおぉぉっ!??!??我を侮辱!侮辱したなぁぁぁ!??
ヒヒッヒッ!ヒヒッ!!はぁはぁ・・はぁ・・はぁ!ヒャハハヒャハッハッハハハッッ!!!!
そうだぁ・・!足りてねぇ血はぁぁぁ!!貴様等の血を寄こせえぇええぇぇええぇ!!!

我を見失った、荒れ狂い始めたアサシンは、足りて無い血を求め2人に襲いかかるっ!!!!











268ワイト:2008/02/06(水) 18:29:56 ID:NWoaSd260
むぅ・・・最後の辺りを、少しミスしてしまいました@@;申し訳ないです・・!
色々考えた後こう成りました!!読んで頂ければ、凄い嬉しいです!!!
それでは!またお会いしましょう!では|ω・)また!

269黒頭巾ちゃん:2008/02/06(水) 19:33:22 ID:fou9k2gM0
Σ(゚д゚ノ|<…コメント下さりありがとう御座いますあばばばば。
実は数ヶ月ROMって読み逃げしておりました…職人様方、申し訳ないです…orz
ヘタレな私はずっとコメントしたくても勇気がなく、もういっそ投下してしまえば一歩踏み出せるのではないかと浅はかな考えをうわ何をすr(以下略)
漸く一歩踏み出せたので、コメ返しに便乗して感想を述べさせて頂きますヽ(´д`)ノ〜♪


>之神さん
お邪魔致します(ぺこり)
パロった元ネタが絵本なので、絵本調を目指して書いたのですが…散りばめたネタがネタなので、実は少し不安でしたw
メタボなどの時事ネタは後から読み直すとアチャーなカンジはするかと思ったのですが、今使わないならいつ使うと(笑)
連載開始当初から実はずっとwktkとROMさせて頂いておりました之神さんに感想をつけて頂けるとは感激です(ノ∀`*)ペチン
モニターの前でリアルに「もぎゃー」と叫んだのは内緒です(ぇー)
いつも更新早くて尊敬してます(*ノノ)
(チラ裏開始)登場人物に自分と同名のコがいるので名前が出る度にソワソワしたのを覚えていまs(チラ裏終了)
本編でも番外編でも…出てくるキャラ一人一人に個性があって、お話に引き込まれます。
シリウス大好きですシリウス…自キャラでGv中にメテオをぶっ放す度に思い出してしまいますw
シルヴィーには幸せになって欲しい…ライトとシルヴィーがくっつけばいいのにうわ何をすr(強制退場)

>メイトリックスさん
メインクエネタになるのですが、実は山脈のサラマンダーは本来ヒトを襲わないんですよね(笑)
ビスルの村長の言葉でもサラマンダーとの友好関係が感じられるので、小さな子どもやサマナーは特に仲がよいのではないかと妄想した次第です(笑)
ギャグ書きにシュールは最高の褒め言葉…少しでも笑って頂けた様で幸いです(*ノノ)
うふふ、例のカプを広げようの会!(何)
メイトリックスさんの書かれる小説は風景も心理も描写がとても精密で、頭の中に映像が浮かんでくるは釘付けになるわで大好きです(ノ∀`*)ペチン
今回の更新も、初っ端から美味しそうで美味しそうで美味しそうd(以下略)
わざと明記されなかったのでしょうが…もう完璧に術中にハマっております、私。
ニイドが如何やってご飯を食べたのか気になって気になって仕方がないのです。・゚・(ノд`)・゚・。

>白猫さん
用語解説お疲れ様でした。
本編を拝読させて頂いている間は気になりませんでしたが…こうして改めて数えると、恐ろしい数ガクガク((((゚д゚;))))ブルブル
独特の世界観と読み応えのある文章が大好きです。
ついつい影響を受けて、自キャラの姫も最近リトルスキルに手を出し始めてしまいました(笑)
ス○イヤーズなどの呪文を覚え皆で唱え合って育ったオタなので、呪文や歌詞などが大好物です(…)
裏切りの契約の歌詞に移り気な魔性の女性のイメージを勝手に感じてドキドキです(*ノノ)
砕け散ったのがアレじゃないかと勝手に想像しながら続きwktkしております(ノ∀`*)ペチン

>ワイトさん
勢いのある文章で、何だか少年漫画を読んでいる様です(ノ∀`*)ペチン
爆発罠でもダメでしたか…ヘルアサシン強すぎですガクガク((((゚д゚;))))ブルブル
完全復活巻物、一体何枚持ってるんでしょう(違)
私がヒースなら、どりゃーっとTUぶちかましてやりたい(ぇー)


またしょーこりもなく投下しに現れるかもですが、ソレまでは名無しに戻って今度こそずっとやりたかったレス職人させて頂きます(゚д゚ノ|

270◇68hJrjtY:2008/02/06(水) 20:25:48 ID:.vSJwIY60
>黒頭巾さん
同じく古参でもなんでもない私ですがいらっしゃいませ〜(笑)
(と思ったらちょっと感想レスが遅すぎたようですねorz)
絵本風味な話の流れの中にも確かなギャグやRSの世界観が見え隠れしているある意味深い物語でしたね(笑)
でもでも、全体的にはとっても楽しくてとにかく和みました。ラストシーンの武道君に萌え!(違
てかゴールドスワンプ秘密適正ってLv500とか600ですか(((;゚Д゚))
私も武道×サマナのペアは大好物ですよ!和むと同時に色んな意味で萌えさせてもらいました(笑)
また是非、気が向いたら執筆等お待ちしております。

>白猫さん
あわわわ、本当に三桁数の用語解説が((((;´・ω・`))))
サイト開設は私もみやびさんなどに言われつつも開いてないので大きな事は言えないんですけどね(笑)
というわけで(?)この用語集、コピペして個人的に保存させていただきます(*´д`*)
逐一読み返すのもまた楽し。本編の続きもお待ちしています!

>メイトリックスさん
ニイドの人間味溢れる場面(?)にちょっと触れられたような気がして嬉しいですヽ|・∀・|ノ
最初は敵っぽさがぷんぷんだった彼、だんだんと打ち解けていく中で人間っぽさを出してる気がします。
ピアースは眠った、ではなくて催眠術で眠らされた、ような(笑) 実際ネクロマンサーってどうやって食事するんだろう。
食事といえばクラゲを干したものとか蜘蛛を焼いたものとかまたリアルな冒険者食生活描写が(汗
クラゲ干しってカンテンみたいな味するんでしょうか…妄想が、妄想がー!(壊
店娘かと思われたシリスティナの意外な接近。彼女の意図はなんなのでしょう。続きお待ちしてます。

>ワイトさん
ヘルアサシン怖いよー怖いよー。ナウ○カの腐ってる巨神兵を彷彿とさせるくらい怖いです!
そうか、確かにラータって今までの戦いも罠をトドメに使ってますし、実は罠師だったんですね(ノ∀`*)
その特大爆発罠でも効果が無いヘルアサシンが益々もって恐ろしい。
腐ってるだけでなく狂ってすらいるアサシン、もはや目的や感情も持たないただの殺戮マシーンですね。
ラータとヒースはどう抵抗するのか。続き期待しています!

271 ◆21RFz91GTE:2008/02/06(水) 22:02:24 ID:hnbHyKHE0
////********************************************************************************////
  ■◆21RFz91GTE:まとめサイト(だるま落し禁止)
  ■ttp://bokunatu.fc2web.com/trianglelife/sotn/main.html
  ■Act.1 アレン・ケイレンバック >>44-45
  ■Act.2 少女 3 >>65-67
  ■Act.3 少女 4 >>87-90
  ■Act.4 レスキュー? >>173-174
  ■Act.5 蒼の刻印-SevenDaysWar- >>206-208
  ■Act.6 緑の刻印-SevenDaysWar- >>220-221
  ■Act.7 白の刻印-SevenDaysWar- >>222-223
////********************************************************************************////

272 ◆21RFz91GTE:2008/02/06(水) 22:03:00 ID:hnbHyKHE0
Act.8 紅の刻印-SevenDaysWar-



 「主らが考えている通り、この戦…ただでは終わらん。」
想像も絶することが水面下で起こって居るとするのであれば、水上で及ぶ生命はサメの餌食になるやも知れない。まるでそう言わんばかりの脅しにも捉えることが出来るアデルの発言に円卓会議室の面々にどよめきが走った。
「…もし。」
アデルとガズルの対話が始まってから一言も喋らなかったミトが口を開く、青ざめたその表情からどのような言葉が出るのだろう、絶望と言う感情に押しつぶされそうになりながらゆっくりと口を開いた。
「もし、私達が同盟を組まず戦った場合はどうなるのでしょう…。」
「相手にもよるだろうが、民は苦しみ廃墟と化した古都には魔物が住まうだろう。時同じくして我らに残るのは世界に与えた傷の代価と代償。汚名であろう。まずこの大陸で生き延びるのは難しいであろうな。」
「では…同盟を組んだら。」
「先に述べた通りだ。」
その回答を聞いてまた俯いてしまった。当然と言えば当然の答えだった。力を増したのだからこその同盟、世界を保守するために力を合わせて相手に立ち向かおうと言うのにそれすら行わなかったら元もこうも無い。
「…主ら、何をそんなに絶望しているのだ?」
「この状況で絶望しないアデル…貴方が凄いですよ。」
拍子抜けしているアデルが喋ると後に続くかのようにクラウスが口を開いた。だがそれに笑みを溢し口から空気が洩れるような笑い方をアデルはした。
「主ら、何のためにアレンを蘇らせたのだ?何のために我はこちら側についているのだ?」
そう言うアデルに対し、アレンはタバコを懐から取り出して火をつけた。一呼吸置いてからアデルに問いかける。
「しかしだなアデル、先も聞いただろう?その四天王とやらは俺と等価の力を備えて居るというんだ、それにバフォメットが復活したらどうなる?」
「アレン、お主も世迷言を申すようになったか?」
「よ、世迷言…。」
すると突然巨大な爆発音が聞こえた、アデルはスッと立ち上がると窓の側まで足を運び締め切られたカーテンを開けた。そこからはまぶしいほどの太陽の光が差し込んでくる。その光にアレンのタバコの煙が当たり一部分を白く染めた。
外には何やら騒ぎが起きていた、西の城門に一つ巨大な木が歩いていた。木は家々を壊し人々を踏み潰していた。
「イル…ユランと統合した我の力、侮ってくれては困る。我が何故炎の剣聖と呼ばれているか…まぁ見ているが良い。」

273 ◆21RFz91GTE:2008/02/06(水) 22:04:02 ID:hnbHyKHE0

 「た…たすけてくれぇぇ!」
「うわぁぁぁぁぁ!」
「嫌だ!死ぬのは嫌だ!」
様々な声が交差する西の城門、突如として出現した巨大な木の魔物は家々を粉砕し我が物顔で古都を破壊している。そしてその足元、逃げ送れた数人の街人が我先にと逃げていた。
「来るな…来るな化け物!」
一人の青年が崩れた家の瓦礫に足を取られ逃げ遅れて居た。足を怪我しているのだろうか這う様に必死になりながら魔物から逃げている。その声に気づいたのか木の魔物はその男に向けて右腕のように突飛した枝を振り下ろした。
「う…うわぁぁぁぁぁぁ!」
垂直に振り下ろされた枝という大木は男に向かって速度を増して襲い掛かる、そして辺りの瓦礫を吹き飛ばしてそれは落下した。
「っ…!」
「お主、大丈夫か?」
大木は間一髪の所でアデルのグルブエルスによって受け止められていた、それも驚く事に右手一本で巨大な大木を支えていた。
「あ…あぁ…あああ…。」
言葉になら無い恐怖が青年の足を竦めていた、そこに風の中位精霊の力を借りて瞬時に飛んできたアレンが青年を抱きかかえてその場から高く跳躍した。
「…爵位も名前も無い最下級の分際で我にたて突くとは良い度胸だ。」
突如アデルの足元から炎が噴出した、その炎は小さな炎から次第に巨大な炎に変わり、そして爆発した。辺り一面に転がっている瓦礫を吹き飛ばし、そしてアデルに近寄るだけでも熱く、灼熱の炎というに相応しい熱さだった。アデルの吸い込まれそうに美しい髪の毛は一瞬の内に真っ赤に染まり、茶色い瞳も燃える様な真紅の瞳へと変貌する。
 瞬時に左手でツインシグナルを引き抜く、その勢いのまま伸し掛かっている大木を下から切り上げる。ふわっと一瞬だけ巨木の魔物の体が浮いた。アデルは体制を低くして魔物の足元へと瞬時に移動する。そしてツインシグナルを地面に付き刺すとグルブエルスを逆手に持ち変えたまま両手で下から上に切り上げるように一閃。すると魔物は今度こそ空中に浮いた。更にツインシグナルを引き抜き地面を強く蹴った。空中に吹き飛ばされた魔物は体制を崩し、その巨大な体は空に舞う瓦礫のようにゆっくりと落下を始める。それをアデルが下から蹴り上げる。更にアデルは空中を蹴り魔物の上を陣取った。
 両手に構える剣は逆手のまま、グルブエルスを右斜め上から左下に切り下ろし、魔物が落下を始める瞬間にツインシグナルで切り上げる。右、左、上、下…まるで舞うようなその剣武は落ちる事も浮き上がることも許さない衝撃と共に高速剣技から生まれる摩擦熱で次第に炎を生み出す。ある一定の温度に達した時アデルは魔物を蹴って少し距離を取る。同時に詠唱を始め風の上位精霊の力を借り分身を作り出した。本体は地面へと降下し分身は上空で更に速度を増して舞いを始める。まるで踊っているかのようなその剣技にアレンを始めとした街中の人間が見とれていた。数メートル距離を取っているにも関わらずアデルの刃は衝撃波として魔物を貫通する。その時に生まれるアデルの剣技と大気との摩擦熱で衝撃波自身に温度を持たせる。そして貫通すると同時にその温度は魔物の体内に蓄積され起爆温度にまで上昇する。
 地面へと着地した本体は再び腰を落し右腕を後ろへとゆっくりと回した。するとグルブエルスは真っ赤に燃えそこから炎が噴出した。噴出した炎はグルブエルスにまとわり付き巨大な炎を剣を作り出す。
上空で舞いを続けている分身はようやくその動きを止め逆手に持ち変えられているグルブエルスを後ろに大きく振りかざした。
「終いだ!」
叫びと同時に上空の分身は一気に剣を振り下ろす、すると振り下ろされた剣先数メートル先から突如炎が巻き起こり、渦を巻くその姿はまるで巨大な火柱だった。炎は直線的なラインで巨木の魔物を叩き付ける。同時に地面に着地して体制を整えている本体はグルブエルスを下から上へと付き上げるように剣を振るう。すると地面から突如炎が噴出した、それは槍のように鋭く先端はとがっていた。叩き付けられる炎と付き上げられた炎は同時に巨木の魔物にぶつかるとそこで再び巨大な爆発を起こす。巨木に蓄積された炎の温度は臨界を突破し、最終的には体内の細胞を破壊し、亀裂が入ったところから酸素が進入して爆発を起こす。
 空中の分身はゆっくりと残像の様に消えた。そして本体のアデルも剣を鞘に収め振り向いて町の中央部に向かって足を進めた。それと同時に町全体から歓声が吹きあれた。
「黒衣の焔…まさかこれほどの物とは。」
「私も驚きました、これが本来のアデルの力…。」
ガズルとミトがそう言う中、ようやく着地したアレンは苦悶の表情でアデルに向けて険しいまなざしを送っていた。


Act.8 紅の刻印-SevenDaysWar-
To be continues...

274 ◆21RFz91GTE:2008/02/06(水) 22:27:40 ID:hnbHyKHE0
こんばんは〜、関東地区は雪が大変ですねぇ…。
次話でAct.9ですねぇ〜、20以上は続けたいところですヾ(´・ω・`)ノ
そういやぁ皆さんお体には十分に気を付けてくださいね〜、俺みたいにぶっ倒れ無いでくださいね〜ヾ(´・ω・`)ノ
後受験シーズンですね、受験生の皆さん頑張ってくださいね(ぉ

コメ返し

>>231 :◇68hJrjtY様
いやぁ〜、小説書きとして実は禁忌をやらかしてます(汗
本来小説を書くときは登場人物は少なくが基本なのですが、いやはや…ギルド間の戦争orz
そろそろ後戻り出来ないところまで来ました(笑
この後登場してるオリジナルスキルに付いて簡単な解説付けますね〜。

>>242 :718様
「伝説的に腕の立つロリコン」に吹きました(笑
確かにそうですねぇ〜、どっちかをロリコンじゃなくてショタにすれば良かったと少し後悔してます。
毎度本当に感想ありがとう御座います、これからも自重しながら頑張ります(ぉ

>>246 :FAT様
いやはやなんとも…ぶっちゃけ禁忌ですorz
実は後悔してたりしてます、さて…どう動かそうかなぁって普段仕事してる合間に考えたりしてますよぉ〜orz
あ、もちろん仕事も失敗してますヾ(´・ω・`)ノ
それにしてもまた他愛も無い名前付けたなぁ俺…風のウィンド…アホか俺orz

>>266 :メイトリックス様
そう言っていただけると助かります、でもやはり小説の醍醐味は動きですよねぇ〜。
その点考えるとメイトリックスさんには脱帽です。もっと勉強しなくちゃなぁ俺…
ロリコンが多いのは作者がろりこn(うわなにするやめr

個人的コメ

>>269 :黒頭巾ちゃん様
ス○イヤーズ懐かしいですね〜、俺も昔は登場する詠唱全部覚えたもんです(笑
話は変わって黒頭巾被ってる幼女…萌(・∀・)

275 ◆21RFz91GTE:2008/02/06(水) 22:31:08 ID:hnbHyKHE0
オリジナルスキル解説

第二節
Act25 The last of my memory 2
*メルトダウン

 炎と水の複合スキル。
名前の由来はメルトダウン現象より。二つの元素を不安定な状態にさせゆっくりと融合させる。
その時に生じる微量な力を増幅させ一気に爆発臨界点にまで到達させる。
一触触発の状態で高圧電流を外壁に施し滞空させ、鈍器のような物でその外壁を破壊する。その時に生じたエネルギーを
増幅させ術者の魔力でそのエネルギーを貫く。この時の電圧は十万ボルト程にまで及ぶ。

第二節
Act26 The last of my memory 3
*グランドパイク

 全体重を乗せた重たい拳を地面に叩きつけ地割れを引き起こす荒業。
ただし、その後拳は使い物にならなくなり、自身も地割れに巻き込まれる両刃の剣。
硬い決心と強い心が無い限り使えないある意味最終奥義の一つ。
仲間を助けたいと思う心と、もう戻る事も無いと決心したディーの心の強さが具現化した奥義とも言える。

第三節
Act.8 紅の刻印-SevenDaysWar-
*ヴォルカニックレイブ

 術者による魔力供給による炎の力を借りた連続攻撃。
足元から噴出す炎はさほど強く無い魔力から生まれ、同時に高速移動の術式を術者本人に施す。
一度対象物を空中に切り上げ、自身も空中に飛び連武を仕掛ける。その時に生じた剣と大気との摩擦熱を利用し
対象物の体内で熱を蓄積させる。暴走する手前まで熱を蓄積させ、風の精霊の力を借りての分身により自身は
地面に着地して分身と自身に魔力供給を行う。空中の分身と行動を会わせ互いに体内に取りこんだ炎を具現化させ
対象物に叩き付ける。叩き付けられた炎は蓄積された炎と交わり非常に高温な炎を作り出して内側から破壊する。

276之神:2008/02/07(木) 12:11:02 ID:xJDkyE7Q0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593―2 >>595―3 >>596-597―4 >>601-602―5 >>611-612―6 >>613-614
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
2章〜ライト登場。
-1>>620 -621―2>>622―○>>626―3>>637―4>>648―5>>651―6 >>681
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687―2>>688―3>>702―4>>713-714―5>>721―6>>787―7>>856-858
―8>>868-869
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
4章〜兄弟
-1>>925-926 ―2>>937 ―3>>954 ―4>>958-959 ―5>>974-975
◇――――――――――――――――5冊目―――――――――――――――――◇
-6>>25 ―7>>50-54 ―8>>104-106 ―9>>149-150 ―10>>187-189 ―11>>202-204

◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
番外

クリスマス  >>796-799
年末旅行>>894-901
節分  >>226-230
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆

277之神:2008/02/07(木) 12:42:50 ID:xJDkyE7Q0
λ

とあるシーフの男に開放され、私は自由となった。
思うままに動ける反面、頼りも無くなるのが自由。でも、今までの束縛に比べればとても価値のあるもの。
そんな自由を手にしてから、2週間後の事。

公園のベンチに腰をかけ、ゆったりと過ごしていた時。ふと隣に、疲れた顔をした男が座った。
その男はベンチに座りもたれかと思うと、そのまま何かをつぶやいた。

「あー…早く帰りたいなァ・・・・・・・・・・」
彼はそう言うと、そのまま目を閉じて眠ってしまった。

「あのー、大丈夫ですか?帰りたいって、迷子なんですか貴方」すると男が反応した。
「フ?安眠の妨害とはやってくれるじゃないか、貴様・・・・・・いつから居た」迫力の無い疲れきった目で睨まれる。
「いえ・・・・貴方が座る前から居ましたけど」
「フ・・・・・下らん嘘を」
「いや本当ですって」
「いいよ、許してやろう」 いつ私が罪を犯したのかも疑問だけど、私は聞いた。
「それで、迷子なんですか?それならこの辺りなら案内できますが」
「いいや、帰れない場所だ・・・・・・。帰るには、多大なエネルギーと偶然が必要なんだ・・・・・」
「あら、そうなんですか・・・・・・・・・まぁ、きっと帰れますよ、貴方なら」根拠も無いことを言っちゃった。

「ところで、貴方のお名前は?」
男は自己の紹介も面倒なようだった。それでも、答えてくれたけど。

「まずは貴様から名乗る方では無いのか・・・・・・・・まぁ答えてやろう」

「シリウスだ」
「シルヴィーです。確かに、名乗るのは私からが礼儀でしたね」


β
「ぐっ・・・・・・・イタタタ・・・・・」傷跡が痛む。
「大丈夫か?あんまり無理しないようにね・・・・?」そう言って、徹は湿布薬の替えを持ってきてくれた。
「うん・・・・・・まぁ平気。毒の解毒も済んでるんだし、もう針の傷跡を直せばいいだけだよ」
「そうか・・・・・、まぁ治るまではずっと部屋にいるからさ」徹はそういってニヒ、と笑った。
「ありがとうね」
「まぁ、俺なんて戦えないんだし。これくらいしか、ね」
「そうね、もう少し強くはなってほしいかな・・・?」
「ん、俺も考えてるよ・・・・・・・、まぁとりあえず今は怪我を治してさ・・・・」
「治して・・・・何?」
「いやぁ!なんでもない。とりあえず安静に、ゆっくりな」
「うん」

ブラックという男から受けた傷は、もうだいぶ治ってきている。深い切り傷も、毒に比べれば軽かったし。
でも安静にって・・・・・・落ち着かないのよねぇ・・・・・。


λ
「喫茶店でも入りませんか?その・・・・・外は冷えますから」
「喫茶店か、わかった、一緒に行ってやろう」
「どうしてそんなに偉そうに話すんですか、貴方は」
「常に相手を上回る為だ」
「ちょっと違う気がしますよ?」
「貴様の意見はどうでもいい」
「私も貴方の事はどうでもいいです」
「・・・・・・・・・・。」

喫茶店の中は小さく、カウンター席と、テーブル席が6つほど。
私達は空いているカウンター席に座った。

「何がいいですか、シリウスさん」
「コーヒーだ。ブラックで」
「私はそれじゃあ・・・・・ホットココアで」
かしこまりました・・・・と、店員の人が注文のメモと一緒に去っていった。

「それで本題なんですが」
「何だ、本題というのは」

「貴方、フランデルの方ですね?」

278之神:2008/02/07(木) 12:49:54 ID:xJDkyE7Q0
ちょっと今回短し。

そして訂正。
その男はベンチに座りもたれかと思うと→その男はベンチに座り凭れたかと思うと  です。

さーさー疲れた男登場ヽ(´∀`)ノ
相変わらずな彼ですよ・・・・・・。
まぁ章が変わります、今回から新章って事で。
番外の節分ではミカの怪我の描写ありませんが、それは番外だから、です。

そして感想ありがとうございます。ガソリンの代用としていい燃料です。



・・・・・・シリウス好きな人多いっすね(-∀-`

279◇68hJrjtY:2008/02/07(木) 14:58:27 ID:.vSJwIY60
>21Rさん
サイトの方で各キャラたちのイラストやFlash等堪能させていただきました(*´д`*)
イラストとか見た後に改めて小説を読むとまた違った面白さがありますね。なにもかもオリジナルというのが凄い。
オリジナルといえば今回発表のオリジナルスキルも良く考えられていますよね。
21Rさんはそう仰いますが、キャラが多かったりギルド戦争とか発展するのは個人的には大歓迎です。
本編の方は…流石、アデル。逡巡するミトたちを尻目にやっちゃってくれましたね!
アデルさえ本気になればこの戦い、多少なりと勝機はありそうですが…アレンの険しい眼差しの真意は。
雪に凍えながらも続きお待ちしてます(((((´;ω;)))))

>之神さん
シリウスは…なんていうか、おっちょこちょいなマッドサイエンティスト(何)って感じでイイんですよ(・∀・)
じわじわと新章に入ってきてるんですね。今回は前回活躍できなかった彼らの雄姿が…!?
しかしシルヴィーとシリウスですか。油と水のような二人の会話、予想通りお互いが引かないですね(ノ∀`)
フランデル大陸からの異邦人たち、思えば何人になるんだろう…?ナイルも含めて(笑)
続き楽しみにしています。

280718:2008/02/07(木) 17:31:38 ID:gXqJ5/rQ0

>FAT氏

やっぱりジム=モリ哀れ(;ω;)
どうも自分は氏のジム=モリに共感しすぎてしまってデルタとレンダルに怒りが沸いて来てしまうw

氏の描くキャラクターは本当に活き活きしていますね。ランクーイといい、激しく移入させられる
キャラクターばかりで物語がとても鮮やかに感じられます。にしても、彼女たちの次のアクションが
気になるところです。

(コメント有難う御座いました。丁寧な描写は心がけているのですが、たまたま功を奏したようで
ニヤリとしておりますw)

>黒頭巾ちゃん氏

遅ればせながら初めまして(^ω^ )
言葉の選び方がとても絵本らしくて、脳内再生が自動的にスローテンポに・・・
凄く面白かったです!途中途中にしっかり差し込まれた赤石ネタ(秘密適正とか鎧グラのこと)も
「ああ、わかるわかるニヤニヤ」という感じで終始ニコニコニヤニヤしながら読ませていただきました。
やっぱりwizはロリコンなんですね・・・(^ω^;)

たまにでも、是非また投稿してください。楽しみにしてますよ。

>メイトリックス氏

くっ、まさか食い物の描写がやってくるとは・・・!誰か、誰かステーキをください!!!

それにしてもまたニクイ描写ですね。ニイドの食いっぷりは結局僕らの想像次第ですか(^ω^ )
ピアースと一緒にwktkしてただけに悔しくもニヤッとさせられてしまいました。

さて、新たな人物が登場しましたね。これまた真意の読めないキャラクター・・

執筆ペースなんぞ気にせず、氏の作風を氏のペースで貫いてください。一読者として楽しみに、
ノンビリ待っておりますよ。

(コメント有難う御座います。あの辺をよく通るレベル帯にとって蚊はかなり脅威ですからねー。
狩場的にハイリスクハイリターンな部分から、今回のイメージが沸きました)

>ワイト氏

「  ←  どうなったのおおおおお!?

失敗なんていいつつ、これ案外新しいヒキの手法なんじゃないでしょうか・・・
どうもアサシンの能力のネタばらしが近づいている予感ですね。呪われた能力の
秘密、気になります。

>◆21RFz91GTE氏

またドエラく派手な技ですね!!多くの二つ名、剣と炎にまつわる二つ名は伊達じゃないと!
でも、彼の出自を考えればこれだけの力はもっていて当然、そしてこれだけの力を持っていなければ
バフォメットと相対することなどできないということですね・・。これはまさに、アデルの言うとおり
ただで済む戦争にはなりそうもありません。wktk!

>之神氏

まさかのシリウス・・・!てっきりあれで退場だとばかり思ってましたw
にしても。最後の終わり方、ちょっとドキッとしますね。相手が相手だけに、場合によっては
シルフィーちゃんに危険が及んでしまうのでは・・・と思いました。
投稿の長さなんぞ関係ないですよ。僕いつも短編ですし(^ω^ )

281FAT:2008/02/07(木) 22:18:39 ID:hRBCQW7.0
前作 二冊目>>798(最終回)

第二部 『水面鏡』

キャラ紹介 三冊目>>21
―田舎の朝― 三冊目1>>22、2>>25-26 
―子供と子供― 三冊目1>>28-29、2>>36、3>>40-42、4>>57-59、5>>98-99、6>>105-107
―双子と娘と― 三冊目1>>173-174、2>>183、3>>185、4>>212
―境界線― 三冊目1>>216、2>>228、3>>229、4>>269、5>>270
―エイミー=ベルツリー― 三冊目1>>294、2>>295-296
―神を冒涜したもの― 三冊目1>>367、2>>368、3>>369
―蘇憶― 五冊目1>>487-488、2>>489、3>>490、4>>497-500、5>>507-508
>>531-532、7>>550、8>>555、9>>556-557、10>>575-576
―ランクーイ― 五冊目1>>579-580、2>>587-589、3>>655-657、4>>827-829
>>908>>910-911、6>>943、7>>944-945、六冊目8>>19-21、9>>57-58、10>>92-96
―言っとくけど、俺はつええぜぇぇぇぇ!!― 六冊目1>>156、2>>193-194、3>>243-245

―4―

 トタン、トタンと食卓に置かれる料理皿が朝の訪れを知らせる。
「いやぁ、わりぃ、昨晩はちとやりすぎだったな、ジム=モリのおっさん」
 寝起きのぼさぼさ頭を掻きながら、レンダルは朝食の用意された食卓についた。
「でも楽しかったですわ」
 ピンクの寝巻き姿がろりっと似合うデルタは、まだ昨晩のテンションが抜けきっていな
いようだった。
「このジム=モリ、あんなに激しくいぢめられたのは昨日が初めてだ。……なにかあった
のか?」
 レンダルはばつが悪そうに下を向き、デルタの体に残っていた昨晩のテンションも一瞬
で抜けた。
「エイミーのことなんだけどよぉ……」
 レンダルは重々しく口を開き、エイミーの実兄、ジム=モリに真実を伝えた。
「ふぅむ」
 ジム=モリは話を聴き終えると、机の縁をトントンと指で叩いた。
「その話が本当なら、このジム=モリ、今だけはナラカスタスマス=ベルツリーを名乗る
のを許していただこう」
「いや、長いからいい」
「いいや、大事な妹の大事だ! このナラカスタスマス=ベルツリー、妹とだけは縁を切
りたくはないのだ!!」
「つまらないし、しつこいのは嫌いですわ」
 しゅんとしぼむナラカスタスマス=ベルツリー。もとい、ジム=モリ。彼がベルツリー
家と縁を断たれたのは、もう十数年も前のこと。エンチャットを文章にし、確率で遊ぶこ
とを当時の家の長、ネイムは許さなかった。彼のエンチャット士としての実力はまだ幼く、
エンチャットが成功する確率は十分の一程度。彼は自身の鍛錬より、今ある実力でできる
ことを熱心に探求した。そして辿り着いた先がエンチャット文章だった。彼は自分の導き
出した答えに絶対的な自信を持っていた。客は失敗する可能性を想定してエンチャット文
章を買う。つまり、エンチャットに失敗しても彼は悪くないのだ。悪いのは客、失敗した
文章を選んだ客が悪い。これなら失敗の多い自分でも商売ができる。彼は希望に満ち溢れ、
あっさりと家を出たのである。そしてその後、正式に縁が切られたという内容の手紙が彼
の下に届いた。それから彼はジム=モリを名乗ることとなったのだった。
「なぜジム=モリって名前にしたかって? 自由に無理せず、モリモリ元気に生きたいっ
ていう俺の願いが込められているのさ」
 それを聞いたとき、誰もがこいつはあほだと確信した。

282FAT:2008/02/07(木) 22:19:19 ID:hRBCQW7.0
「でよぉ、お前んとこに真っ先に来たのはまず、エイミーのことを話しておきたかったか
らなんだが、も一つ、聴きたいことがあるんだ」
「なんだ? このナラカス……いや、ジム=モリに聴きたいこととは」
 ジム=モリは頬杖をつき、顔を斜めに傾けレンダルの目を見る。
「ラスがここに来なかったか?」
「ラス? いや、来てないぞ。このジム=モリ、ラスと最後に会ったのはもう数ヶ月も前
のことになるな」
「そうか」
 レンダルは残念そうにジム=モリから目線を外すと足を組んだ。
「まさか! お前たちはラスを探すためにエイミーを町に置き、このジム=モリを訪ねて
きたと言うのか!?」
「ふつうに考えりゃわかるだろ、ばか」
 面白いはずのジム=モリの大げさなリアクションが、今はうっとおしい。レンダルはぶ
つくさと古都かな、ブリヘかな、アリアンかな……などとラスがいそうな場所を挙げてい
った。
「このジム=モリに一つ、考えがある」
 ジム=モリは右の人差し指をぴんと立て、もったいぶった。
「もったいぶんな」
「おじさま、今日はすべってて寒いですわ」
 ジム=モリは二人の冷たさに少したじろいだ。
「ははは、すまん。実はな、この町のすぐ北西にある鉄鉱山の地下から続いている廃坑が
あるのだが、そこの最深部にとある魔物が棲んでいるというのだ。続きが聴きたいか?」
「だからもったいぶんなって」
「あんまりもったいぶると、ぴーちくぱーちくをこのまま連れていきますわよ」
「デ、デルタぁ。冗談じゃないか。さ、ぴーちく、ぱーちく、僕の肩に戻っておいで」
 ぴーちくとぱーちくはデルタの髪の中で寒そうに二羽、羽を擦り合わせ、寄り添ってい
る。二羽だけの世界だ。
「話をそらすなよ。いちいちイライラさせやがって」
 恐いレンダルに睨まれ、ジム=モリは心して続きを一気に吐き出した。
「チタンとこの町の皆は呼んでいる。まるで金属のチタンのように全身が銀灰色で硬い魔
物だからだ。ここから先は言い伝えによるものだが、そのチタン、体内にある一つの水晶
によって動いていると言う。その水晶、魔力を源に自分の見たい物を見れると言う。俺が
何を言いたいかわかるか? あっ、すみません、言います、話します。つまり、このジム
=モリはこう考える。この水晶があれば、瞬時にラスの居所を掴める。ただ闇雲にこのフ
ランテル大陸を旅するより、この水晶を手に入れ、ラスを追いかけるほうが利口だとは思
わないか?」

 あっ、危なかった。つい、もったいぶってしまうところだった。ふぅ、あのレンダルの
一瞬の目のギラつき、あいつはやばかったぜ! だが俺は見事かわして見せた! ジム=
モリは最も恐ろしいレンダルを超えたのだ!

「おい、てめえは言い伝えなんて曖昧なもんで、俺たちを薄汚い廃坑なんぞに行かせるつ
もりか?」
「デルタほこりっぽいとこきらいですぅ」
「えっ?」
 ジム=モリは勝ち誇っていた。自分の口のうまさに思わず拍手を送りたくなった。そう
だ、今夜は焼肉でも食べよう、と思っていた。しかし、二人はジム=モリの遥か上を行っ
ていた。
「当然、そんなところに行かせようってんなら、お前が道案内してくれるんだろうなぁ」
「頼りにしてますわっ! お・じ・さ・ま」
 ジム=モリの額を流れる汗。いやだ、行きたくない! あんな恐いところ、行きたくな
い!
「レンダル、デルタぁ、後生だ、アイテムいっぱいあげるから、俺を連れて行くのは勘弁
してくれぃ」
 ジム=モリは汗いっぱいの顔をくしゃくしゃにして二人に泣きついた。
「ぷっ!」
「ぷきゅ!」
「ぷはぁははははははは!!」
「ぷきゃあはははははは!!」
 ジム=モリはようやく二人の望むジム=モリになった。この日初めての笑いである。
「いいって、いいって、気にすんなよ、俺はその顔が拝めただけで満足だぜ」
「私もですっ」
「えっ?」
 ジム=モリの顔がにわかに明るくなる。その表情は女神と出会った貧夫のようである。
「お前がそういうの駄目だってことぐらい、知らないわけないだろ」
「ほんと、ジム=モリおじさまは面白いですわ」
 ジム=モリをからかいにからかった二人。エイミーとラスの真実を知り、胸に張り付い
ていた不安や動揺のもやもやが彼女たちをそうさせた。散々からかわれたジム=モリだっ
たが、それでも二人の解放されたような笑顔を見ていると、これでいいのだと自分の道化
っぷりを誇らしげに思い、笑った。ぴーちくとぱーちくがデルタの髪を飛び出し、愛する
ジム=モリの左右の肩に飛び乗った。
「さあ、行こうか、デルタ」
「はい! お姉さまの剣となり、盾となり、がんばりまっす!」

283FAT:2008/02/07(木) 22:19:53 ID:hRBCQW7.0

 レンダルとデルタは颯爽と鉄鉱山に入っていった。彼女たちを見送った後、ジム=モリ
はアイテムを持たせるのを忘れていたことに気付いた。
「ぬぅ! このジム=モリ、なんと重大なミスを犯してしまったのだ! 早急にアイテム
を作り、やつらに渡さなければ!!」
 ジム=モリは急いで家に帰ると、地下室にこもり、真剣に三つの文章をエンチャットし
た。そしてレンダルたちに文章を渡そうと、再び鉄鉱山の前に現れた。
「このジム=モリ、このエンチャット文章に確かな手ごたえを感じた! だが! しか
し! やつらにこれを渡す手段を持たない! このジム=モリが渡しに行くのは恐いから
不可能! どうすればいいのだ!!」
 怪しく鉄鉱山の入り口の前でうろたえていると、一人の女性が鉄鉱山に向かい、歩いて
きた。黒い武道着に前髪の揃った小柄な女性。その黒髪は艶々と輝いていて美しく、小柄
な体に見合った小さな顔が印象的だ。ジム=モリはこの女性の内に秘めた強さを感じた。
それは魔法にも似た波長で、ジム=モリにはその力の大きさがとても頼もしく見えた。
「お嬢さん、突然だが、このジム=モリの頼みを聴いてくれないか」
「ん? あたしに言ってるのか?」
「そうとも、あなたの強さを見込んでお願いをしたい。実は、先刻この鉄鉱山に潜ってい
った女剣士とピンクな女の子の二人組みにこの巻物を渡していただきたいのだ」
「なんだ、そんなことならお安い御用さ」
「おお、このジム=モリ、あなたの寛大さに感動しているぞ!! では、お願いいたしま
す」
 黒髪の女性はくすりと笑った。
「面白い人だな。はいよ、三つね。確かに手渡すから、安心しなよ」
 面白い、と言われジム=モリは嬉しくなった。
「ありがとうございます! このジム=モリ! あなたのご無事を心より祈っておりま
す!!」
 黒髪の女性はまたも笑い、手を振って快活に鉄鉱山へと入って行った。
「このジム=モリ、なぜだかわからない、わからないが彼女を信頼した! ただの一目見
ただけで!! 一目、そう、たった一目で、だ!! ああ、この胸の高鳴り、これはまさ
か!! 恋か!!!!」
 レンダルとデルタがいたなら、間違いなく吹き出したであろう恥ずかしいジム=モリの
一人劇場。それが鉄鉱山の狭い通路に響き渡り、黒髪の女性は恥ずかしそうに顔を赤らめ
ながら二人の女性を探した。

284FAT:2008/02/07(木) 23:25:01 ID:hRBCQW7.0
こんばんは。週末は関東に旅行予定ですが生憎の雪予報。夏の台風冬の雪、ですね。

>>68hさん
NPCはある程度の下地設定があるので一からキャラを考えるよりも楽に描けると
いう裏技的存在だったり。
クエに関わるNPCだけでもある程度の話は書けるかもです。

>>黒頭巾ちゃん(敬称略
初めまして。
なんというか、子供に読み聞かせしてあげたくなるような温かな作品でした。
(一部つっこまれたら危うい場面もありましたが><)
やはりサマナは幼女が似合います。そしてゴールドスワンプ秘密適正の武道家が
かっこいいです。正義がほんと似合いますよね!
ディープな恋ではなく、こういったほんわからぶらぶは本当に心が温まります。
よい作品をありがとうございました。次回作も期待しております。
レス職人としての活躍も期待してますよっ!

>>白猫さん
こ、これはっ!?
なるほど、ここまで事細かに設定されているからこそ白猫さんの作品は深みがあるのですね。
土台がしっかりしているからキャラがその上で縦横無尽に動け、読んでいる側に
面白さが伝わってくるのですね。
あと少しで最終章でしょうか……最後までじっくり読ませていただきます。

>>メイトリックスさん
>危険に飛び込むのはいい。すべてを忘れていられる。耐えられないのは、じっくりと見つめて
――恐れを抱く事だ。
仰るとおりです。待てば待つほど恐れは自己の中で増幅し、逃げ出してしまいたくなりますものね。
小説の良いところはこうした言葉に納得したり、そこから考えられるところですよね。
ニイドとピアースの心のやり取りも回を重ねるに連れてより深いところまで及んでいるようで、
そういった面でも楽しませていただいております。
リトルウィッチ風なシリスティナの登場で物語がどのように進展していくのか、
続きを楽しみにお待ちしております。

>>ワイトさん
ヘルアサシンの全身をバラバラにするほどの「エクスプロージョントラップ」。
大量の血を失ったヘルアサシンは火事場の馬鹿力的にパワーアップしているので
しょうか?
追い込まれた生物は時に信じられない能力を発揮しますものね。
ラータにヒース、二人とも生き残れる可能性はあるのでしょうか?
続きを震えながらお待ちしております。

>>21Rさん
おおっ、やはり21Rさんの戦闘シーンは手に汗握るほど熱いですね。
改めてアデルの凄さを見せつけられた感じです。
しかしアレンの苦悶の表情と険しいまなざしは何故に?
「調子に乗るな」とでも言いたいのでしょうか?
かっこいいだけで終わらせない話の区切り方は流石です。
オリジナルスキルもただの妄想ではなく、理に適った技ばかりでいつ実装されても
おかしくなさそうです。
次回も楽しみにお待ちしております。

>>之神さん
シルヴィーとシリウス。まさかこの二人が組むとは思えませんが、シリウスに
シルヴィーがなにかされたらどうしよう……
徹とミカはもう、なんていうかほのぼのカップルって感じですね。
治るまでずっと部屋にいるからなんて徹の優しさがにじみ出まくってていいですね。
今回の章はどのような話になるのか、今はまだ見えませんが今後に期待しております。

>>718さん
今の時代、女の方が強いですものね。意外とジム=モリタイプの男がモテる時代だったり。
長編を書くにあたって、自分自身がある程度感情移入できなきゃ誰も読んでくれないだろう
と思い、なるべくそのキャラらしさを考えて書いているので活き活きしているなんて
仰っていただけるととても嬉しいです。
最終的には短編で感情移入できるようになれば本物だと思います(エアーマンを目指してっ!)

285ワイト:2008/02/08(金) 00:21:19 ID:NWoaSd260
前RS小説5冊目>>998⇒6冊目>>27⇒6冊目>>83⇒6冊目>>84⇒6冊目>>134⇒6冊目>>154
⇒6冊目>>162⇒6冊目>>163⇒6冊目>>191⇒6冊目>>216⇒6冊目>>267⇒6冊目続き

我を見失い、荒れ狂い始めたアサシンは、足りて無い血を求め2人に襲いかかるっ!!!!
ゴオオォッッ!!!!!先程とは違い、恐るべき速さで2人の間を通り抜けた!!!

「遅いんだよおぉっ!!!」
ドシュウゥッ!!!風を切り裂く勢いで通り抜けたアサシンは、
ラータの身体を見る間もなく!文字通り貫いて・・い!!?

「そっちこそ・・な!そりゃぁ分身だぜ??見分け付かねぇのか?ば〜か!」
ブチィ・・・その一言は、アサシンの怒りに触れてしまう!今でも尚、
狂っているアサシンに、更に火を油に注いでしまったようだ・・!

「殺す殺す・・・血を・・血を!!!!」
ババババシュッッ!!!!切り返して来る前に幾多のダートを投げ打つ!!
ヒュバアァ・・・・だが、それは・・・血で出来たアサシンの身体をすり抜けただけ・・・!

「ヒャハハッハハハハッ!!!!!!!!!!当たる訳ねぇだろぉ!??
我の身体は、何にも受け付けぬわあぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

ヒュンッッ!!!!ドンッ!!一瞬・・・閃光の様な、何かが・・通り過ぎた様な気がした!!
そして何時貫かれたのか、定かでは無いが!!ラータの身体の一部を貫いていた・・!
「ぐはっ!!」ラータは訳が分からないままに血を吐き出した・・それを
アサシンは愉快に見ながら、奇妙な動きを始め・・・歓喜に踊り狂う!!!

「ヒッヒッヒヒヒッ!!!血・・!血を!!!!」
ラータの吐き出した血を取り込み・・・・なんと!身体の腕の部分を血で復活させた!!!
「ハハ・・・ハッハッハハハッハハハッッ!!!!!!血に感謝するぜぇ・・・!
お陰でぇ・・無くなった腕を取り戻す事が出来たんだからなぁ!!!」
「くそぉ・・・!身体がいてぇな・・!まじで、あいつは狂ってやがる・・!
(これ以上は、あいつの為に血を流す事は出来ない・・って事か?)」


ビュルルルルルッ・・・・アサシンは元あった腕の方を片腕に集中させる・・!
「ヒヒッヒッ!ヒヒッ!!これぇでぇ・・武器を使えるんだよぉ!!」
アサシンの凝縮させた片腕は、禍々しい血の刃に変貌する・・・!その代償は
両肩では無く、片腕のみに成ってしまったと言う訳だが、
それとは引き換えに、アサシンはその片腕を武器にした・・・!

「へ〜・・それで??何?武器に成ったからって、もう勝てる気でいるのか??」
「あぁっ!???足りねぇよぉ!もっと・・血を・・・血を寄こせぇ!!!!」

ギュアアァッッ!!!!何事も無かったかの様に、一気にラータに接近する・・!
予想を遥かに上回るアサシンの怒涛の追撃が!!そして凄まじい勢いで血の刃を振う!!!!
ズギャギャギャギャッッ!!!!!!!ガキィンッ!!キン!ガキンッ!!!

「ありえねぇ!!何だ!?この速度は!?捌き切れなっ!!!!!」
想像を絶するその攻撃速度!!次第にラータはこの攻撃を避け切れない!受け切れない!!
そして!等々捌き切れなく成った、ラータに強烈な血の刃が振り掛かるっ!!!!!

ズシャアァッッ!!!!
その一撃は!ラータの頭を横一直線に真っ二つに切り裂いた!!?!?


「残念だったな・・!てめぇは・・・分身と闘ってたんだよ!!」
まだ終わりじゃないって事だぜ??なぁ?そうだろう・・・?」
「ヒャハハヒャハハッ!ヒャハハッッ!!!!・・・まだぁ、楽しめそうだぁ!!
なにがだってぇ??ヒッヒヒヒッ!!全ての血を頂くまでだよおぉおぉ!!!」

キーンッ・・・!!ラータに突如頭痛を感じさせる音が鳴り響いた・・・!
「(どー・・・なってる・・・・?なんだか・・頭がいてぇな・・・!意識が朦朧とするぜ・・
俺の方が・・・・・可笑しく成って来ている様な感じが・・・・・してきたぞ!??)」

286ワイト:2008/02/08(金) 00:29:47 ID:NWoaSd260
今回は、物凄く戦闘シーンを考えまして・・・@@;意外にも結構苦悩しました・・・・その反面
上手く出来上ってたら良いなぁと思います!(でも面白くなかったら如何しよう(T∀T))
続きは、またのお楽しみにお願いします^^それでは|ω・)また!!

287 ◆21RFz91GTE:2008/02/08(金) 02:37:57 ID:hnbHyKHE0
■お久し振り唐突番外編シリーズ

-闇の住人-

 月明かりがとても綺麗な真夏の夜、時折湿った風が血の匂いを運び何処に獲物が居るかを教えてくれる。この日も静かな夜の街を飛ぶ。今までもそうだった。
依頼があればクライアントが動き私に情報が伝えられる。今まで手に掛けてきた者達は貴族から一般市民に至るまで幅広く、中には女子供も居た。
それを無表情で狩り、瞬時に命を奪い去る。何時しか付いたあだ名は数知れず、人々は私の事を恐怖のあまり「暗殺者」と呼ぶようになった。
闇の世界で生きてきた私に家族は居ない、捨て子だったらしい。その当時の記憶は無く、物心付いた頃には人を殺めていた。無表情で狩る私のスタイルは同業者からも恐れられ、常に一人で動くことが多かった。人の命を奪う事になんの疑問も持たず、人としての感情は遠い過去に置いてきた。同業者の中には殺人に快楽を生む者や遊び感覚で殺める者も居た。それでも私は違った。
他の連中と同じと言われればそうなのかもしれない、ポリシーも無ければ人の道を外れてしまった私が出来る事はもはや人外の事。そしてこの日は何時か殺めた貴族の言葉を思い返していた。
「貴様のような奴は地獄すら受け付けぬぞ!煉獄に落ちるがいい!」
取り囲む同業者達、隠しきれぬほどの殺気が私を囲んでいた。思い返せばクライアントの安全が第一なこの世界、邪魔となれば始末して来た者達の事を考えれば、何時かはこうなる日が来るのでは無いかと想像していた。それが早いか遅いか、ただそれだけの事。
ジリジリと間合いを詰めてくる同業者達の数はおよそ十数名、それが一斉に遅いかかってくる。その時を待ち、煉獄と言う場所を思い浮かべながら投げ短刀を何本か両手の指に挟んだ。


 血の匂いは死神を呼び寄せる。烏と言うなの死神を。
傷一つ負うこと無かった私は回りに転がる元人間を見下ろしながらそこに立っていた。亡骸をぼんやりと眺めこの者達がたどり着く場所を想像していた。そこは地獄なのだろうか、それともあの時の貴族が言うところの煉獄なのだろうか。地獄と現世の狭間にあると言われる煉獄に彼らは向かったのだろうか。
そうして亡骸を見て居るときだった、突如腹部に激痛が走り無表情だった顔は苦悶に変わる。背中から付き刺さった刃の先端が鍛えられた腹筋を破り貫いていた。次に激痛が走ったのは足だった。同じように後ろから突き刺さり太ももを貫いている。次に腕、手、肩、足首。次々と走る今まで感じた事の無い痛みに耐え切ることが出来ずにその場に崩れ落ちてしまう。
ゆっくりと首を起こして暗闇を見据える、そこには一人の女性が立っていた。彼女の指には幾つかの投擲用の剣が挟まっていた。刃の部分を指で挟み何時でもこちらに向けて投げられる姿勢だった。
「オヤスミナサイ。」
それが最後に聞こえた言葉だった、頭部に付き刺さった剣は貫通することなく急所を捉えて私の命を経つ。瞬間だが死と言うのが何かを悟る事が出来た、そう言う意味では彼女に感謝している。今まで奪う側だった私から命を奪われる側に回って始めて感じる恐怖。それは想像を絶するものだった。そしてまたあの言葉を思い出す、煉獄と言うの場所は何処なのだろうか。この真っ暗な世界が煉獄なのだろうか。冷たく、淋しい。誰も居ないこの世界が煉獄と言うのだろうか。
なら、地獄はどんな場所なのだろう。ゆっくりと堕ちて行く意識に見えた一つの光。それは決して私を照らす事の無い表の光なのだろう。


 「…。」
死を確認するために近づいてきた彼女は亡骸を二度小突く、そして右腕の動脈を確認し、更に見開いている目の瞳孔を確認してゆっくりと立ち上がる。死を確認したのちゆっくりと向きを変えて歩いてきた闇へと帰っていく。
「さようなら、お兄さん。」
最後に笑顔でそう言った。

288 ◆21RFz91GTE:2008/02/08(金) 02:59:24 ID:hnbHyKHE0
こんばんは〜、夜中にハッスルしてる21Rですヾ(´・ω・`)ノ
718様の短編見てたら久し振りに書いて見たくなりましたよ、718様のように完結に纏めるのが
苦手ですが…orz

コメ返し

>>279 :◇68hJrjtY様
いやはや、本当に恐縮です。
因みにアデルの姿はあんな感じです、元ネタのアデル君はあんな偉そうな人じゃ無いんですよ?(笑
いやぁ〜正直失敗してますよ〜。あまりに多すぎてどう書こうか本当に悩んでたりしますorz
もう少し写生スキルがあればなぁって思いながらプロの作家さんたちの小説読みながら
今夜は枕をぬらしてきますヾ(´・ω・`)ノ

>>280 :718様
どこぞの言葉でこんな言葉があります。
「弾膜はパワー」
まさに文字通りだと思いました、魔法使いなら派手な爆発魔法や地響きを起こすような魔法
剣士ならかっこよく、更に巨大な魔物でも一撃でなぎ倒すような技。やっぱり憧れですよ〜。
脳内アニメーションは基本かっこよさと大規模な魔法を描いてますが、惑星事破壊しそうな
勢いなのであまりド派手な技は使えませんよね(笑

>>284 :FAT様
いやはや恐縮です。
理に叶う…うーん、それはどうでしょうか;;
それっぽく書いてるだけで理に叶う事は何一つないですよぉ;;
まだまだ勉強不足ですorz

コメ

>>238 :白猫様
ようやく仕事が一段落付いたので今回初コメです。
>>ちっちゃい女の子に鎌ぶん回させて豪傑数多の猛者共を斬り殺させたいじゃないですかッ!!!!!(黙
激しく同感です白猫様ぁぁ!
用語説明の方も分かりやすくてとても面白いです、俺も用語説明作ろうかと迷ってます(笑
これからの活躍と反映を期待していますヾ(´・ω・`)ノ

>>263 :メイトリックス様
相変わらずの写生、お見事です。
本当に惚れ惚れするような書き方ですよ〜、俺に爪の垢ください(ぉ
戦闘シーンも臨場感溢れ本当に見習うべき所が万歳です。
これからもお互い頑張って行きましょうヾ(´・ω・`)ノ

289◇68hJrjtY:2008/02/08(金) 12:30:24 ID:.vSJwIY60
>FATさん
ジム=モリさんの毎回の語り出し「このジム=モリ…」が大好きな68hです、こんにちは。
レンダルとデルタの不安も多少解消されて、ジムさんもついに苦難から解放されましたね(笑) でもそのままヴァルハラに行かないように(;゚-゚)†
ジムさん登場のシーンはとても面白おかしくてギャグセンスたっぷりなのが他のシリアスシーン同様印象的でした。
どっちもちゃんと書き分けられるFATさんも流石です! そして女武道キタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
小柄な長い黒髪…なんて、なんて萌えるんだ!ジム=モリさん、負けませんよ!(違

>ワイトさん
確かに戦闘シーンって読んでる方は楽しい(?)ですが書いてる方は頭が痛くなりそうです(汗
このアサシンのように血でできた存在というものを描くだけでも大変そう。ましてそれとの戦闘となると。
分身を駆使して戦うラータも守勢に回ってしまっていますね。でもどうすればダメージを与えられるのか…。
ラータの体力が尽きる前になんとかして状況を変えたいところですね。
続きお待ちしてます。

>21Rさん
読み終えるとどことなく虚脱感というか全てが終わってしまったような気分になりました。
「暗殺者」の諦観したような態度が死の間際、そして死後も続いているのかと思うとなんともいえません。
生死を扱う話は総じて悲しい話が多いものですが、この短編に関しては悲しいというよりも「彼はこれを望んでいたのかなぁ」という気持ちも…。
実の妹に殺されるというのが彼の運命だったのかもしれませんね。
今はまっぴるまですが、夜中に読んでいたらこの話もまた違ったものになったのかなぁ…。ともあれ、短編ありがとうございました。

290名無しさん:2008/02/08(金) 18:24:00 ID:fou9k2gM0
黒頭巾の中のヒトですコンバンワ(゚д゚ノ|
沢山の感想ありがとう御座います(ノ∀`*)ペチン
初回投稿時、つい名前欄にタイトル入れちゃったのでヤヤコシイ名前ですいません…orz
名無しにしてみたものの…コメ職人するにも何かコテハンつけた方がいいのかしら(笑)


>68hさん
お邪魔致しますー(ノ∀`*)ペチン
Σ遅すぎたってコトはないです…ちゃんと見てます(*ノノ)
前出の理由でいつまでも中途半端なコテ名乗るのもなぁと名無しになっただけですので(笑)
RSの世界に絵本があったら…きっとこんなカンジなのかもしれません(ギャグ部分は除く/笑)
誰もが知っている物語や設定は、イメージしやすいので重宝します…そして、ソレを壊すのもまた楽しいものです(やめて)
ほんわかシュール目指します(ノ∀`*)ペチン(そんなジャンルはない)
ギャグは楽しんで貰ってナンボなので、嬉しい感想でした(*ノノ)
レベルに関しては、古い導師服の要求レベルが528なので速度異次元で計算したらこのレベルに…後はどちらの秘密も半島の海辺から近いという地理的条件です(笑)
よく最初の一撃で沈まなかったものだとそのロリコンへの執念に感心します、この犬さん(ぇー)
私の中で、サマナも武道は純粋で奥手なイメージです…不器用なかぽー萌!ヽ(´д`)ノ
ネタの神様が降りて来る様に祈っておきます(ぺこり)

>21Rさん
コメ感謝です…嗚呼、こんな所に詠唱仲間が!(笑)
黒は白とは間逆ですが、ある意味純粋な色だと思うので幼女に被せたら可愛いと思うんですよ(ぇー)
そして…私、大先輩21Rさんの書かれる小説の大ファンです(ノ∀`*)ペチン
嗚呼、如何しよう…憧れの作家さんにレス頂ける日が来るとは…興奮して今晩眠れないかも(笑)
ロリコンでも何でもイイんだ…アレンは俺のよm(アレンはミルのです)
そして、本編ではアデルが遂に本領発揮ですか…、実装してくれないかなぁ!
階級といい炎といい髪や瞳の色といい…地下界の住人を連想されてそわそわです。
アデルの強さはイイお知らせなのに、アレンくんの表情が気になります。
そして、お久しぶりの短編キタ―(*ノノ)―ッ!
彼の末路は自業自得なのでしょうが…ソレが彼の唯一の生き方だったのでしょうから、考えさせられます。
天涯孤独だと思っていた彼の最期の幕を下ろしたのが、彼と同じ道を歩んだ妹だというコトに哀しさを感じてしまいます。
彼女に感謝する彼は…命を奪い続けながらも、命に真摯だったのだと感じました。
彼にとっては、生きているコト自体がある意味煉獄だったのではないでしょうか。

>之神さん
Σもぎゃー、シリウスキタ―(*ノノ)―ッ!
可哀想に草臥れて哀愁が…ソレでもシリウスはシリウスなナイス性格で安心しました!(笑)
何か今のシリウスだと…皆さん心配されてる様に、シルヴィーを如何こうしそうに思えないんですよねぇ。
掛け合いが、イイコンビな気がして…お互いにイイ方向に向かってくれないかと期待(ノ∀`*)ペチン

>718さん
こちらこそ、初めましてです(゚д゚ノ|
言葉の魔術師718さんに絵本らしいと感じて頂けたなら、嬉しい限りです(ノ∀`*)ペチン
718さんのリアルな描写は、文面からでも情景だけでなく匂いや空気まで感じられてドキドキです(*ノノ)
シュトラ←×3時代はよく殺人蚊を擦り付けられたりしたので、逃げている時の恐怖はよくわかります(笑/当時は凄く混んでいて狩場争いが過激でしたガクブル)
ココにもココにもと間違い探しの要領で挟み込んでみました…小さなネタでも気付いて頂ければネタ仕込み師冥利に尽きます(ぇー)
メインがWIZなんで愛はあるのですが…愛があるからこそ可哀想なキャラにしたくなってしまいます(笑)

>FATさん
初めまして…ややこしい名前ですいません(笑)
捻くれているので、子ども向けではない大人向けの絵本な要素を入れてしまいました(ノ∀`*)ペチン
武道家は拳が武器なので、正義とかヒーローモノが似合うと思います…剣士はきっとレッドでWIZが青です(赤石戦隊?)
ディープな恋を書くと如何してもドロドロか悲恋にしてしまう性分なので…折角冬ですので、コタツの様なほんわかを少しでも感じて頂ければ(*ノノ)
では、レス職人として…ジム=モリが言い様にあしらわれていてとても楽しいです(笑)
どれだけ賭けに負けても通ってしまう趣味がエンチャの私には馴染みのNPCなんですが、今度行った時に思い出し笑いしてしまいそうです(笑)
連続失敗しても、こうやってからかわれてるのを思えば溜飲も下がるってものです(酷ぇ)
ジム=モリの名前の由来には盛大に噴きました…そうきましたか!(笑)
果たして二人の手に無事に渡るのか、一体どんなエンチャ文章を作ったのか…続きwktkお待ちしております。

291名無しさん:2008/02/08(金) 18:25:33 ID:fou9k2gM0
>ワイトさん
いやぁぁぁぁ、ヘルアサシン恐ぃぃぃ!。・゚・(ノд`)・゚・。
コッチが傷付くだけでも不利なのに、更に相手がパワーアップするなんてガクブル!
私がラータなら半泣きですよ、コレ(ヘタレ)
そして、この大事な時にラータに起こった異変…この現状を打破する切欠になるのでしょうか。
続き、無理されない程度に頑張って下さいませ(*´д`)


…暇にかまけて、貧乏な剣士くんの話を書き上げてしまったお昼休み(゚д゚ノ|
携帯から打ったのでブログに下書き保存してパソで推敲しようと思ったら、一万文字制限越えてて出来なかったっていう…orz
全角でも原稿用紙10枚分↑だと思うと、このまま上げていいのかとソワソワですあばばばば。
ソレとももうコレあっさり諦めていっそこのままRS絵本シリーズでm(途中で挫折しそうなので強制終了)
やるなら、姫でシンデレラかWIZでラプンツェルでしょうか(後者絶対オカシイ)

文字数制限で負けて悔しかったので、下に即興の小ネタ仕込んでおきます…ではではー(゚д゚ノ|

292名無しさん:2008/02/08(金) 18:26:30 ID:fou9k2gM0
放送をご覧の皆様こんにちは。フランデルニュースのお時間です。本日は芸能レ
ポーターのリトルがお伝えします♪


まずは一つ目のニュースから。
あの大人気売り出し中デュオPT【フル支援】が、限定ユニット【フル支援wi
th火力】として新メンバーの剣士を加え、遂に2ndシングルを発売するコト
を自身のブログで発表しました。
1stシングル【アスヒとフルヒの重ねがけ】での電撃デビューから半年振りの
新曲になります。
気になるタイトルは【薬回復と勇者様〜アスヒが飛ぶ!リザが飛ぶ!〜】…前回
以上の執念を感じさせます。
尚、予約管理者さえ見付かればすぐにでも予約を開始したいとの構えを見せてい
ます。
この発表に、新メンバーの剣士は「うはwおkwwコレで抵抗装備いらねwww
日夜問わずのPTリストやPT申請、古都での三連叫びに耳メテオのフルコース
なんて情熱的ストーカー勧誘の成果だぉ^w^」との見解を示しており、コレを受
けた【フル支援】の二人は「あの凄まじく絶望的な日々は思い出したくもない…
。先が思いやられるが、今回限りなので仕方ないだろう…コレで諦めてくれれば
嬉しいのだが。詳しくは、公式ブログランクから【フル支援】公式ブログへアク
セスして欲しい…投票もついでにクリックを」と各社に文章で声明を発表したと
のコトです。


(ザワザワ…ガサガサ…)

失礼しました…今、緊急で入ってきたニュースです。
新曲を発表したばかりの歌手【フル支援】が、新番組【赤石戦隊ボウケンシャー
】に於いて俳優デビューするコトが正式に決定しました。
この番組は日曜朝のヒーロータイム戦隊枠の新作で、【フル支援with火力】
の新メンバー剣士が主役のレッドを演じるコトは決まっていましたが、他のPT
メンバーは決まっていませんでした。
メインキャストは以下クリップの通りです。

 赤石戦隊ボウケンシャー(搭乗メカ名)一覧
  ・勇者王レッド(ラグパラ1号):剣士
  ・ロン毛ブルー(古都西口2号):WIZ
  ・筋肉イエロー(コロタク3号):BIS
  ・ゴキブラック(分身払い4号):武道
  ・うさぎピンク(ぴょん子5号):姫
  ・謎の博士(GH待機につき無):ネクロ
 合体メカ
  ・廃ボウケンシャーズRS

このタイミングでの発表に、ある関係者は「主題歌は例の新曲もしくはカップリ
ング曲になる筈だ。ゲームオンも真っ青な販売計画になるだろう」と述べている
とのコトです。
リーダーの剣士はメンバー発表を受け「リーダーは面倒だからリログして誰かに
押し付けたいけど、サポミニPが火だってのがイィッ!!(・∀・)応急処置で赤狩
りUMEEEしるぉ!んで、ヒーローとか装備して浮いちゃうぉ^w^」とコメン
トしています。
コレに対し、【フル支援】の二人は「ヒーローでも何でも適当に背中に靡かせて
自由に浮かべばいい。赤と言っても、ツノがない以上、別にスピードが三倍にな
る訳でもないのだし」と諦め混じりの溜息を零していると言う事です。
子ども番組の主人公達が使用するアイテムとして、背Uのヒーローの相場が高騰
するコトが予測されますが、有識者の間では「コレを期にヒーローがNPCによ
って販売されるのでは」などと囁かれており、「そんなコトはない。ただの価格
操作だ」などと反論するしたらば住民との間でまだまだ議論を呼びそうです。


…以上、本日のフランデルニュースはブルン放送局のリトルがお送りしました。
また次回、お目にかかりましょう…では、ご機嫌よう♪

293之神:2008/02/09(土) 10:30:53 ID:xJDkyE7Q0
>>292

飲んでいたお茶を返して下さい。


なんというか、勇者様と支援の芸能(?)情報はPC前で盛大に笑わせていただきましたw
価格操作に関するコメントもなかなか・・・・・・(´∀`*
しかしまぁ良く思いついたものです・・・・・w

そして感想ありがとうございます。

現在バレンタインネタを投下しようと構想中ですが、他の人が書くとどうなるのか気になったり・・・・。
この際小説スレ作家で同じ課題をするとk(ry

まぁ妄言です、はい。

294◇68hJrjtY:2008/02/09(土) 14:44:19 ID:GJmRtkbE0
>292さん(黒頭巾さん(笑))
なんか大好きですよ、こういうノリ!
面白いのももちろんですが「RS内に○○があったら…」という妄想をかきたてられます(笑)
ボウケンジャー(・∀・)イイ!!でもすいません個人的にゴキブラックの忠実なファンなのでその辺は!
…GH待機のみの謎の博士さんも可哀想だけど(ノ∀`)
今はヲチしてませんが、偏見スレではこういうネタが多そうですよね。あちらの職人さんたちにも是非ともこっちにも書いて欲しい限り。
次回放送日が大変楽しみです(笑)

>之神さん
おぉ、ここのスレの書き手さん全員への課題小説ですか!
いち読者に過ぎない私が言うのもアレですが、すっごいやってもらいたいです(笑)
同じネタでも書き手さんの持ちオリジナルキャラとかネタの使い方でだいぶ変わってきそうですし
なにより皆さんの小説で活躍している彼ら彼女らの違った一面が見れそうな…!
手始めに「バレンタインネタ」でやってもらいたいですね〜(・∀・)ニヤニヤw

295白猫:2008/02/09(土) 17:36:47 ID:iwezFGtQ0
Puppet―歌姫と絡繰人形―

第一章〜第五章及び番外編 5冊目>>992
第六章 -夜空の下で- >>30-37
第七章 -深紅の衣- >>70-81
第八章 -神卸- >>137-139
第九章 -チャージング- >>164-171
第十章 -母- >>234-241
これまでの主要登場人物 >>38
用語解説 >>255-261


第十一章 北へ


 「――――」
 「――――」
砕け散った。

真っ黒な光に呑み込まれ。

細かい粒子と成り果て、粉々に、砕け散った。

ルヴィラィの――腕が。


 「馬鹿、な――ッ!」
 「……馬鹿とは、随分な言いようですね、ルヴィラィ」
ルヴィラィの腕を破壊したのは、紛うことないネルの[エリクシル]。
 (エリクシル、で…私の腕を…蒸発させた……ッ!?)
全身の疲労の色も濃いネルは、しかし右腕を剣状に変化させる。
実のところ、ネルは[鎮魂歌]によって韋駄天が消滅させられる寸前、同調を無理矢理に解いていた。
故に[鎮魂歌]による韋駄天・ネルの共倒れという最悪の事態は免れていた。
が、それでも自身の魔力の大半を削がれ、心身共に満身創痍であった。
 「……『 ティタン、エッジ! 』」
 「っちぃ!」
下からすくい上げるように発動したティタンエッジを、ルヴィラィは咄嗟に避ける。
ドサリ、と地面に崩れ落ちたルフィエを庇うように、ネルはフラフラと立つ。
 「…ルフィ、エ」
 「………ネル、ネル、くん…っ」
自分の胸に縋り付くルフィエを見やり、ネルは唇を引き絞る。
ボロボロと涙を流し、ルフィエは自分の顔を彼の胸に押しつける。
その顔を少しだけ撫で、ネルはゆっくりと振り向く。
 「――ルヴィラィ」
 「………ふ、ふふ…やってくれたわね、フェンリル坊や」
消滅した右腕を抑え、ルヴィラィは小さく笑う。
その体からは、まるで何かが抜け落ちるように黒い蒸気のようなものが吹き出している。
それを眺め、しかしネルはゆっくりと目を閉じる。

 (護る――護って、みせる)

瞬間、
胸元のエリクシルが、突如輝きを増す。
その輝きに、ルヴィラィは目を少しだけ細めた。
 (この光、は――)
その光に、ルヴィラィは思い出す。
あの時の光と、同じ。
[カナリア=ヴァリオルド]の…第三段階の開花と、全く同じ。
信じられない。
まだ第二段階が解放されてから、一月も経っていないはずである。
あの戦の天才、最強の武道家と謡われたカナリアですら、この[第三段階(サード)]に到達するまで、数年はかかったはずである。
それを彼はたったの、十数日で。
 (こいつ……は!)
放置しては、ならない。
"こいつ"は必ず、自分の妨げとなる。
いや、妨げなどというレベルでは…ない。
下手をすれば、自分の存在を危ぶむ存在にすら、成りえる。
そんなことを、許してはならない。
 (不安の種は……摘まなければならない、のよ!)
瞬間、
ルヴィラィを中心に、ドス黒い靄が巻き上がる。
まるでルヴィラィを護るように、またはルヴィラィの力の予兆のように、その靄はルヴィラィを中心に踊り、舞う。
そして、紡がれる一曲の唄。
その唄が、ネルの耳に入った瞬間、

   ――――…

ネルの、目が、耳が――世界が、壊れた。

296白猫:2008/02/09(土) 17:37:17 ID:iwezFGtQ0

 「!!」
その旋律に、俯いていたルフィエが顔を上げる。
有り得ない。
唄おうとしている。
唄ってはならないはずの、禁じられた唄を。
有り得ない。
この唄は、奏者をも破壊する唄のはず。
 (……ルヴィラィの核は、他にあるからなの)
横を見れば、既にネルの目も虚ろとなっている。
このままでは、数分、持たない。
彼を、護らなければ。
 (できるかどうかは、分からない)
頭に焼き付けられた歌詞を、
人には理解できるはずもない、しかしひどく美しい旋律を、
全ての者に祝福の光を与える唄を、唄う。
曲名は――[協奏曲(ファンタジア)]。

五感が徐々に鈍ってくる意識の中、ルヴィラィは驚愕する。
ルフィエを中心に、金色の、光の帯が立ち上がっている。
有り得ない。
ルフィエがこの術を使うには、まだ速過ぎるはずである。
無闇に発動しようとすれば、確実に術に自分が食われかねないというのに。
発動、しようとしている。
自分の唄う[嘆きの旋律]に唯一対抗しうる、全ての者に祝福を与える[協奏曲]。
だが、[協奏曲]は自分の唄う[嘆きの旋律]と同じデメリットを持つ。
奏者に必ず術の威力は跳ね返り、確実に、死ぬ。
 (どうして、そこまで――)
と、その視界の端。
虚ろな目で、空を見上げる少年の姿が映った。
 (…………"こいつ"か)
その少年の撃滅、
ルフィエの精神、
その二つを天秤に掛け、しかしすぐに目を閉じる。
 「――やめね」
鋭く指を払い、[嘆きの旋律]を解除する。
意外と高い天井を見やり、ルヴィラィは笑みを浮かべる。
 「……まぁ、今回だけは、ルフィエに免じて許してあげる」
瞬間、
まるで電灯が落ちるように、瞬時にルヴィラィの姿が、掻き消えた。








2月11日。
 「…………」
 「…………」
夜も明け、太陽が昇り切った、真昼。
アリアンの旅館内、BARに到着したネルとルフィエは、目の前の光景に唖然とした。

百戦錬磨のネルにも、怖いものはある。
例えるなら…そう、目の前の、この人。
 「んぁあ〜? 遅かったわねぇ、ルブィエ?」
三本のワインを器用にがぶ飲みしている、アーティ=ベネルツァー。
顔も真っ赤、口から下はワインでベトベト、辺りには無数のボトルが転がっている。
 「あで? そっぢの……えいろー?」
 「…はい。そうです」
だが、アーティはその返事を無視する。
というより、ネルが何と言ったのか頭が回っていない。
完っ全に、できあがってしまっているようだ。
 「…とりあえず、今日は疲れたので先に失礼します」
 「あ、うん」
真っ二つに割れた兜をカウンターに置き、ネルは首をさする。
と、バーを出る直前にその足が止まる。
 「リレッタは戻って来てますか?」
 「リレッタ…あの天使の小娘か」
 「ああ、戻ってきてるで」
昨日の夜からずっと付き合わされているカリアス、そしてもう片方、自分は知らない顔の女性が、一人。
その二人を眺め、ネルはしかし頷く。
 「ありがとうございます」

297白猫:2008/02/09(土) 17:37:45 ID:iwezFGtQ0
 「…………リレッタ」
 「……ネリエルさま?」
真っ暗の小さな部屋に、ネルはゆっくりと入る。
電灯に灯りを灯すと、淡い橙の光が部屋の中を照らした。
と、部屋の奥のベッドの上、3mはある翼を隠そうともせず、リレッタがちょこんと座っていた。
ネルの顔を見、無表情の顔が少しだけ和む。
 「おかえり、なさい」
 「…ただいま、リレッタ」
ネルの元に駆け寄り、リレッタは思い切りその胸に飛び込む。
それを一瞬躊躇い、しかしネルは小さく抱き留めた。
ふと、翼を見やる。
その翼の片方には、丁寧に白い包帯が幾重にも巻き付けられていた。
 「……まだ、痛むんですか?」
 「…? ああ、翼…ですか? もう痛みは取れました」
ネルから少し離れ、リレッタは目を閉じる。
瞬間、淡い光が彼女を包み込み、一瞬後、その翼は彼女の体に吸い込まれていった。
 「ほら、元気満々です」
 「…………」
 「……そんなに辛そうな顔、しないで下さい。ネリエルさまは、私を命懸けで護ってくれました。
 それだけですごく嬉しかった…だから、そんな哀しみに押し潰されたような顔、しないで下さい」
 「…………はい」
頷いたネルの頭をポンポンと叩き、リレッタは腰から一枚の手紙を取り出す。
 「さっき、御父様から手紙が届いてました。まだ、封はされたままです」
朱印の圧されたその手紙をネルに手渡し、リレッタは頷く。
 「きっと、ルヴィラィ達を倒す、何か重要な鍵があると思うんです」
 「…………」
その封をゆっくりと破り、ネルは中に入った手紙を取り出す。
その手紙には、ルゼルのものに違いない達筆で、たった一言書かれていた。

   [ブレンティルへ]

その手紙を閉じ、ネルは小さく息を吸う。
間違いない。
ルゼルは、[マペット]を解放したのだ。
既に、時は満ちた。
ルヴィラィを叩くならば、[イグドラシル]が致命的な打撃を受けている、今しかない。
 「…リレッタ」
その手紙を横で覗き見ていたリレッタに、ネルは小さく呟く。
その顔を見やり、しかしリレッタは笑った。
 「はい。任せて下さい」







2月12日、朝。
死亡者320人、重軽傷6800人越というアリアン襲撃事件は、なんとか収まっていた。
黒騎士カリンの打ち上げた碧龍の被害はかなり大きかったが、なんとかそれをネルは揉み消した。
カリン自身も[ブルンの影狼]の名を知っているらしく、それに"は"何の文句も漏らさなかった。
 「…私に、共に戦えと?」
 「そうです」
魔創残龍剣を肩に番えたカリンに、ネルは頷く。
既に旅支度も整い、これからすぐにブレンティルへと向かう。
最も、これからの戦いには足手まといなレイゼルは、古都へと先に戻ることになっていた。
 「今、僕達はルヴィラィとの戦いで疲労している」
自分の腹、腕に巻かれた包帯、リレッタを見やり、ネルは言う。
その後ろでカリアスにもたれて唸っているアーティは、無視。
 「今、僕達には強力で、絶対的な破壊力を持つ戦士がいない」
やはりこれも、二日酔いなアーティは、無視。
 「アーティさんと対等に渡り合っていた貴方の力が、欲しいのです」
 「…………フン」
ネルの言葉を鼻で笑い、カリンは右手で剣を握り締める。
鋭く剣を振るい、ネルに向かってそれを突き付ける。
その黒い刀身を見やり、ネルは首を傾げる。

298白猫:2008/02/09(土) 17:38:07 ID:iwezFGtQ0
 「…………」
 「……5だ」
 「……2」
いきなり数字を言い出したカリンとネルに、ルフィエとリレッタは首を傾げる。
それをレイゼルは苦笑して見、よいしょとベンチに座り込む。
 「4.8」
 「2と0.3」
 「…4.7」
 「……2と0.8」
 「4.5」
 「3.2」
 「4.3」
 「……4」
 「…………」
 「…………」
ネルの4発言を最後に、双方黙り込む。
首をさらに傾け、ルフィエはくいくいとリレッタの袖を引っ張る。
 「リレッタちゃん、ネルくんとカリンさん何言ってるの?」
 「……さあ」
 「競(せ)ってんだよ」
その言葉に、二人はレイゼルの方を向く。
そんなある意味でかなり初々しい二人に苦笑し、レイゼルは言った。
 「黒騎士カリンは依頼を受けて対象を斬る[殺し屋]だからな。情や義理じゃ奴は動かない。
 んなことネルだって分かってる。だからこそ、今ああやって依頼料を決めてんだよ」
 「…………4って、単位いくらなんですか」
 「……ネルくんのことだから、4000万くらいだろうなぁ」
国宝級の壺をアレックス、シェリルなどのいつもの面子が割ったときも、彼はおやつ抜き(ルフィエは笑いを堪えるのに必死だった)にしただけだった。
その二人の言葉に、レイゼルはプッと吹き出す。
 「単位は、G(ギガ)だよ。G」
 「……G?」
 「国際単位の? あれってお金の単位じゃないんでしょう?」
 「ネルみたいな億万長者だと普通に使ってっぞ」
 「……で、4ギガっていくらなの? リレッタちゃん」
 「…………」
 「…………?」
 「…………よんじゅー、おく?」
 「……………………」
 「……………………」
 「…………………………えっ?」
ルフィエは声が裏返った。





 「有り得ないよ! ぜっっっったい有り得ないッ!!
 なんで40億なんていうすごい金額ポンと出せるわけ!?
 40億あったらね、あったらね! えーっと…………。国が作れちゃうよ!?」
 「作れません」
 「一介の警備兵の年収が300万でしょ!? えーっと…………。百万年かかっちゃうよ!?」
 「1500年かかりません」
 「とにかく凄いの!! ネルくんぜっっっっったい金銭感覚おかしいよッ!!」
 「まぁ毎日幾億幾兆もの財政動かしてるネリエル=ヴァリオルドには40億も微々たるもんだよ」
ルフィエとネルの(聞いているだけで涙が零れる)口論に、レイゼルが煙草をふかしつつ言う。
幾兆、の言葉に、今まで喚いていたルフィエの動きがピタリと止まる。
 「……そもそも、ヴァリオルド家ってどうやってお金貯めてるの」
 「宝石業に運送業、金融、採掘、不動産、酪農、食品加工、医療、教育……他に何かありましたっけ」
 「貿易業とか金属加工業、魔術研究、それから農家もいくつか持ってなかったっけか?」
 「ガリムトの農場ですか…あそこは業者に任せてほぼ放置してるんですよね…収入も気候に左右されて、到底心の底からやる気には」
 「…………」
 「……すごい…」
ポカンと二人の話を眺めていたリレッタが、小さくそう呟いた。
噂では、ヴァリオルド家は一国家を軽く上回る財産を持っているという。
流石は、唯一フランテルで生き残った貴族家である。

299白猫:2008/02/09(土) 17:38:33 ID:iwezFGtQ0

 「――さあ、行きましょうか」
日も高く昇り、ネルは荷袋を担いで言う。
その隣、未だに衝撃を拭い去れないルフィエは、高く昇った太陽をウンザリそうに眺める。
 「あっつーい…」
 「我慢してやルフィエはん。馬車は足付くから使いたくないねん」
その隣、うつらうつらとするアーティを背負い、カリアスが笑う。
すっごい元気だな、と目を丸くするルフィエの頭に、ポフッと帽子が載せられる。
 「ほら、日射病にかかったら大変だ」
 「ありがとう、レイゼルさん」
 「リレッタ、君も」
 「ありがとうございます」
同じように、ネルは被っていた帽子をリレッタに被せる。
自身は、フェンリルの力の証たる面覆いのような兜を被り、言う。
 「いざ――北へ!!」
瞬間、

太陽にも負けない紅色の光が、アリアンの端から立ち上がった。
その紅色の光は狼の姿を象り、凄まじい勢いで飛翔を開始した。
目指すは、伐採と武術の街――ブレンティル。




FIN...



[ルフィエネル主人公二人のおまけコーナー2]

 「今回で二度目となりました! おまけコーナーでーっす!」
 「今回からこのコーナーでは、主要人物の自己紹介を行うことになりました。
 第一回はもちろん主人公、ルフィエ=ライアットと僕、ネリエル=ヴァリオルドです」


 ルフィエ=ライアット(♀) 76歳
 長所:明るい どんなときでも笑う
 短所:おっちょこちょい
 好きな食べ物:子供キャンディー
 嫌いな食べ物:煮魚
 尊敬する人:母
 12月24日生。古都出身のリトルウィッチ。
 心身共に16歳から全く成長していない。無一文で20年間旅をする(ある意味)強者。
 生き残ったリトルウィッチの中で、唯一飄々と町中を歩き回る。
 リトルウィッチの真の力たる[唄]を紡ぐことで、人智を越えた力を発動することができる。
 とりあえず何でも笑って誤魔化すというタチの悪い癖を持っている。
 自分を助けたネルに特別な思い入れを抱いているらしいが、どうも情勢は微妙である。
 得意術:[バトルマーチ]、[ウルトラノヴァ]

 ネリエル=アラスター=ヴァリオルド?世(♂) 16歳
 長所:騎士道を重んじる どんな者の声にも耳を傾ける
 短所:恋愛感情に凄まじく鈍い 金銭感覚がおかしい(ルフィエ談)
 好きな食べ物:ガリムト産最高級ヨーグルト(!?)
 嫌いな食べ物:味のない食べ物(主に生野菜)
 尊敬する人:父
 3月3日生。古都出身。
 名家ヴァリオルド家の当主であり、ブルンネンシュティングの警備兵。
 [大戦]で両親を失い、生き別れになった妹を捜す。
 無双の戦闘力を誇るが、魔力の構成は中の下。[エリクシル]を介してなんとか発動している程度。
 やろうと思えば古都を丸ごとテーマパークにできるほどの権力と資産を持つ。
 毎日のように彼に意見を求める役人たちが押し掛けているという(大半は門前払いかセバスチャンが対応)。
 得意術:[万華鏡分身]、[巨人族の刃]


 「次回はアーティさんとカリアスさんだそうですよ」
 「そういえば、カリアスさんって強いの?」
 「信じられないくらい強いですよ。絶対驚きます」

300白猫:2008/02/09(土) 17:39:00 ID:iwezFGtQ0
コメ返し

>メイトリックスさん
丁度70年ほど前の話でしょうか。ネルはまだ生まれてない勢いです。
ルフィエは母…フェレン=ライアットのことを心から尊敬してたみたいです。
私はそうでもないですが、両親との思い出は何者にも変えられない大切なものなんですね。
用語集は昔からちょこちょこ作っていたのでしんどくはありませんでしたね。
まぁとにかく量が…(苦笑)

>黒頭巾ちゃんさん
Σ私なんぞの小説に影響されちゃだめです!
あ、でも姫とリトルは多少はハイブリになるのかな…?
世界観は現代の十年ほど前…あれ? 前も同じようなこと言ったっけ?
唄は自分も楽しみながら書いています。結構書いてるとなんかもうあれになっちゃいます。(アレ?

>◇68hJrjtYさん
まぁ…用語は慣れれば大したことはないです(笑)
Σ個人的にですか? 私なんぞの駄文でパソコンの空き容量を減らしたら猫神様がお怒りになりますよ!?(意味不
実はこの用語解説はつなぎでしかなかったりします。
だってもう固有名詞出しちゃってますし(苦笑)
ブレンティル編でもどっちゃり出る予定です、どっちゃり。

>FATさん
…あれ? 最終章近し! って分かっちゃってます?(待
たぶんブレンティル編を終えると物語は一気に展開するでしょう。
土台はあくまでもフランテルを使用していますので。私は肉付けしただけ(笑)
設定は…細かいというより、分かりづr(略

>◆21RFz91GTEさん
いつもお世話になっています。コメントありがとうございます。
ですよね! ちっちゃい女の子×大鎌=すごいよ。ですよねッ!!(意味不
用語説明…参考にすらならない参考程度に言うならば、
一つ一つ用語を作るたびに用語解説を追加していった方がいいのかもしれません。
メモ帳って多重窓できるから便利です(笑)


さて、次回は最近話題の(?)う゛ぁれんたいんネタを投稿したいと思います。
入試も終わったのでいざ小説スレを満喫! でっす。
では今回はこの辺で。そしてこっそり300げっと。

301ウィーナ:2008/02/10(日) 01:06:34 ID:PI3MWrYQ0




………





「はぁ………。」

教室に1つ、人の影があった。
薄暗い…部屋。
だが窓側は遠くから指す夕日で煌いていた。
夕日に照らされているそのシルエットは女のように見えた、が。

「全く…ついてねーぜ。」

しゃべり方は男のように荒い。
"彼女"の名前は或琵。
髪は茶色く、少し短かった。
その………"アルビ"は紙にしばらくペンを動かしてから
クシャクシャと丸めた。
そして、深く溜め息をついた。

ガラッ

「ちょっと…何してんの?」

ウェーブヘアの女の子。
下に転がっていた紙を広げる。

「"遠い世界に話されてもきっと貴方を忘れない"」

アルビは顔を紅潮させる。

「ちょ…っと、返せ!!」
「"道のりはきっと長いけれど、心は通じ合ってるでしょう?
あなたと私の日々はもう帰ってこないけど
ずっと心に残ってる
離れても、ずっと会えなくても。
悲しくないよ
きっと、会えると信じて私はここにいる。"
って、アルビ、こんなの描いてたの!?バッヵみたぁ〜い。」

ウェーブの女の子は朗読した紙を雑に丸めると、
隅にあったゴミ箱に投げ捨てた。
そして、馬鹿にしたようにケラケラと笑った。

「別にいいだろう!?」

アルビはカバンをしょい、逃げ出すように歩いた。
後ろからまた馬鹿にしたような声が聞こえても。
聞こえない不利をして教室を出た。

(くそっ。よりによってなんでアイツなんかに…)


ただいまも言わず、家に戻ったアルビはベットに飛び乗った。
家には祖父しかいなかった。
まぁ、元々なのだが。
両親は自分が4つの時から居なくなった。
…理由はしっているのだが、きっと生きてると強く想っていた。
そう想わなければ駄目なような気がしていたから。
いや、駄目になってしまうそうだったから…
だから今は祖父と2人暮らしになる。

ベットにしばらく転がっていたが、ゆっくりと夢の世界へ入り込んでいった。

302ウィーナ:2008/02/10(日) 01:07:48 ID:PI3MWrYQ0
(…あ、ここは…)
見覚えの有る所へでたもんだ。
壁側いっぱいに、薬品みたいなものが詰め込まれている。
他にも、よくわからない機械とか。
その部屋には髪の長い女の子が居た。
4つのころの俺だ。
俺は部屋の隅の壁にもたれかかり、
すやすやと寝息を立てていた。

その日は俺の4つの誕生日だった。
じっちゃんの家に家族で遊びへ行っていたのだ。
俺はじっちゃんの研究室で寝てしまっていた。
バン、という小さな音で目を覚ました俺は外へ出ると…
見たこともない男が、父と母を…

「………。」

彼女の頭には嫌な考えがよぎった。
腹部や、腕などから血を流している母が目の前にいた。
少し遠くへ目をやると、刃物が首に刺さっている父が見えた。
…なんの遊びだろう。
楽しいのかな。
………………。
ただ、泣きも笑いも、表情1つ変えず、彼女は研究室入り口に突っ立っていた。

「アル…ビ…逃げ、て。早…く…。」

 逃げて。
母の言葉が理解できたのは数秒後だった。
…もう遅かったのだが。

まだ4つの彼女は抵抗もできず、そのまま…

俺はその日、大事なものを奪われた。
俺自身も瀕死状態に近かった………



ただ一人、生き残ったじっちゃんは俺の命を繋ぎ止めた。

303ウィーナ:2008/02/10(日) 01:14:35 ID:PI3MWrYQ0



………1998年8月20日
キョウミメイ、………ヨウギシャハ
クライスサンノスンデイタイエニオトコガハイリコミ、
アソビニキテイタムスコフウフトソノムスメノアルビチャンニモッテイタケンジュウデハッポウシタ。
ムスコフウフハシボウ、アルビチャンはイシキフメイノジュウタイ。
ゲンザイ………


という新聞の切り込みにボールペンで付け加えがあった。


ワタシノカガクチリョウニヨリ、イノチハトリトメタガイツマデモツカ…
コノアタラシクハックツシタ"redstone"ハイロイロナチカラヲモッテイルラシイ。
トツゼンノコトデ、ゼンブシヨウシタタメコレイジョウノセイシツハワカラナイダロウ。





「………。」

嫌な夢をみていたきがする。
ひとまず、大きく背伸びをすると下へ降りていった。
台所には既にじっちゃんが夕飯の準備をしていた。
時計は5時半を刻んでいた…。
(まぁまぁの時間だな)

「まだまだできんから部屋でまっとれ」
「ああ、そうするよ」

髪だけはじっちゃんに似ませんように…。

部屋に戻ったが、暇でしょうがないため、
時計と鏡を交互にみた。
この鏡は代々うけつがれているものらしく、
上下左右に赤、黄、緑、青の丸いガラス玉(にアルビはみえた。)
が埋め込まれていた。

時間をみ、適当に髪を整え、また時間をみ…

そんなことをしていても、3分と経っていないのだが。

(………?)

鏡が光った気がした。
近寄ってみるが、なんともない。
カーテンはかかってるので、電気でも反射したのだろうか?
しかし…

『…す……て』
(?)
『…助けて』
『悪魔が、フランテルが…滅んでしまう…』
「悪魔?フランテル?」
『………よ、力をお貸しください…
もう…私…も……長く…も…つま…い』

その瞬間、意識がぶっとんだ。








どうも、
初投票です。
えーと、本当書いて人に見せるのすら初めてだったりするので
文などで変なところや、誤字脱字があったら指摘お願いします^^;


>>白猫s
小説拝見させていただきました、凄いですね^^
私もあそこまでの想像力と文才が欲しいです(´・ω・`)



では、又続き乗せに着ますー…w

304◇68hJrjtY:2008/02/10(日) 09:54:48 ID:GJmRtkbE0
>白猫さん
アリアンでの大事件、などという言葉では到底言い表せないくらいのネルたちの争いがまたひとつ終わりましたね。
前回ラストシーンでルフィエがピンチだと思い込んでいましたがそこはネル君、「護る」力は強い!
ルフィエの「協奏曲」とルヴィラィの「嘆きの旋律」…対存在とも思える歌同士がぶつかったら双方とも無事では済まされなさそう。
ルヴィラィという嵐が去ったのも束の間、ブレンティルで新たな展開ですか。
まだまだルヴィラィの追撃も予想されますし、ネル君たちも少しは休んでください(笑) ネル君の資産は拝みつつ管理しておきますから!(違
今まで移動特化ヘイストしか見せ場が無かった(?)カリアス、実はやっぱり強いんですね!?
本編に続いて各キャラプロフィール、これも保存したいくらいです。ルフィぽん煮魚ダメなんだ(ノ∀`*)
---
之神さんの書き込みで調子乗ってしまいましたが、バレンタインネタ来ますか!?
楽しみにしてます(笑)

>ウィーナさん
初めましてですね、ここで感想書かせてもらっている68hと申します!
現実世界の物語、でも日本ではなくて外国風な現実世界ですね。
悲しい過去を持つ「アルビ」。彼女を救ったレッドストーンはRSでのモノとはちょっと違うのでしょうか。
鏡の向こうからの何者かの接触…現実世界とRS世界の接点がこの鏡のような気もしますが、はたして。
続きお待ちしています。

305名無しさん:2008/02/11(月) 14:55:16 ID:ZgvXL//w0
「ぎゃはははは!、ざまぁねぇな!」
相手のギルマスであろう人物の高笑いが聞こえる。
クロたちは惨敗だった。相手のギルドは10人ほどと聞いていたのに、200人ほどかまえていた。
生き残っているのはクロと、アニルだけだった。
「2対100じゃ、ちと厳しいなぁ…」
苦笑いをしながらアニルが言った。同時に口から血が吹き出たのが見えた。
20人ほど倒した時、たくさんの兵士に囲まれた、相手のギルマスがまた笑った。
「ははは、何人倒しても無駄だ!さっさと降伏しな、火力のない武道家なんかに何が出来る!?」
武道家というのはアニルのことだろう。この言葉を聞いた瞬間、アニルはギルマスに向かって走り出した。
が、すぐに一番手前の兵士たちに取り押さえられた。手足の自由を奪われ、ギルマスの前に連れ込まれた。
「実に愉快だ、親子そろって馬鹿な職業に励んでる!」
アニルはニヤついた顔を殴ろうと、手足を取り押さえる兵士たちに精一杯抵抗した。
「黙れ!俺の父さんは偉大な武道家だった!」
「あいつも同じだ。私に歯向かって無様に死んでいったさ。どうだ?武道家なんてやめて、私の手下になれ」
「嫌だ!俺も父さんみたいにな…!」
言いかけたところでギルマスの拳が飛んだ。アニルは10メートルほど飛ばされた。
「大丈夫か!?」
クロが駆け寄った。
「うう
ギルマスがのしのしと巨体を揺らして近づいてきた。
「何度も言わせるな小僧!てめぇの夢なんて何の役にも立たねぇ!」

306ワイト:2008/02/11(月) 22:33:26 ID:NWoaSd260
前RS小説5冊目>>998⇒6冊目>>27⇒6冊目>>83⇒6冊目>>84⇒6冊目>>134⇒6冊目>>154
⇒6冊目>>162⇒6冊目>>163⇒6冊目>>191⇒6冊目>>216⇒6冊目>>267⇒6冊目>>285⇒続き

「(どー・・・・なってる・・・?なんだか・・頭がいてぇな・・・・!意識が朦朧とするぜ・・・?
俺の方が・・・・・可笑しくなってきている様な感じが!・・・・してきたぞ!!??)」

そして・・・・その頭痛の勢いは止まる気配も無く、痛みを更に!増幅させて行く!!
「うおぉ!!っあ!・・・く・・・・くそが!!頭が!頭がっ!?痛みが、止まらねえぇ!??
痛い!痛い痛いっ!!!あぁっ!うわぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」
「ヒヒッ!ヒヒッヒヒヒヒッッ!!!なぁにを抜かしている!?喚いた所でぇ・・・
貴様の状況は変わらぬわあぁぁっ!!!血を・・・血を寄こせえぇっ!!!!」

ピタッッ!!猛然と駆けて来たはずのアサシンの動きが・・・突然静止する!!!
何を感じたのか矢先ではあるが、直ぐに迎撃するかの構えを見せていた・・・!
だが・・・・アサシンの嫌な予感は的中していた!!予想にも反しない行動を垣間見る!!!!



















「ああああああああああぁぁぁああぁぁぁっあああぁあぁぁぁっっっ!!!!!!!!!!!!!!」
ラータが突如!!鼓膜を打ち破るかの止めを知らぬ、大声を張り上げ!砂漠一帯に轟かせる!!!!

血によって形成されているアサシンではあるが、あまりの叫び声に驚愕し、反射的に耳を覆った!!!!
その時!冷静さを欠いていた、アサシンは我に返った様子を見せ、ラータの姿を再度確認する・・・・!

「ハハハハッ!!!!やあぁっっと・・・・・・出てこられたぁぜぇ!!!!!ククックックッ!!
表の俺を此処まで追いつめたのはぁよ・・・・てめぇで2人目―・・・・・・・!しかも、俺が出て来たって事はぁ・・・・
判るか・・・?究極の苦痛を与えながらぁ!そして悲痛の叫びを上げてぇ・・・・・・死に至る以外ねぇんだぜぇ・・・・?」

アサシンは狂い果てていた自分にも、驚きを隠せなかったが、それ以前に・・・ラータの豹変振りには
恐らく生まれて初めての驚愕な出来事・・・・・!更には人生初めて恐怖を味わった瞬間でもあった!!!

「・・・・・・・貴様ラータなのか??誰なんだ?」
「んあぁ??見て分からねぇのかぁ?さっきまでよぉ、てめぇと殺し合いをしていた、俺以外に誰がいるぅ?」
「我に敵わなかった貴様に負ける気等せんわ!!!クハハッハハハッ!!!!掛ってくるんだなっ!!」
「言われなくてぇも・・・・・殺ってやるぜぇ?ハハハッ!死ぬのはぁどっちかなぁ?いくぜえぇっ!!!!!」

307ワイト:2008/02/11(月) 22:41:42 ID:NWoaSd260
うわ・・・・・大変なミスをしてしまった(T∀T)これじゃ驚いて貰えない・・・
ラータの豹変を告げる大声の叫びを、間の開いた行間に入れるつもりだったのに・・・・
なんていうか・・・・あぁミスッたなこりゃorz次回の続きをお楽しみに〜では|ω・)また!

308ワイト:2008/02/12(火) 00:52:32 ID:x8Wg6fzo0
「言われなくてぇも・・・・殺ってやるぜぇ?ハハハッ!死ぬのはどっちかなぁ?いくぜえぇえっ!!!!」
「貴様に決まって・・・・っ!?なにぃ!!!?」
冷静さを取り戻した、アサシンはまたもや驚愕する・・・!なんと!!
血に染まっていたはずの自分の身体が、元に戻っているでは無いか!!?
そう・・・・それは恐ろしく不死身に思えた能力であったが・・・何らかの制限があるようだ・・・!

「ハハッハハハッ!!!!それってよぉ・・・!言い換えればぁ・・・・俺と対等の立場に立ったって事だよなぁ!!?
ハハハッ!これじゃぁよ―・・・!てめぇの勝機は、ほぼ0%になったみたいなもんだぜぇ!!?」
「何を抜かすか!!この状態にも関わらず、貴様は死に掛けた・・・!と言う事を忘れているようだな!!
元に戻った今でも、その恐怖は拭えまい??我が剣技を身を持って知る事になろう!!」

再び、アサシンは新しい長剣を取り出す!!そして!豹変しているラータに襲い掛る!!!
「今度は、小細工無しでやってやろうでは無いか!!貴様の苦手とする接近戦でなっ!!!!」
ダンッッ!!ヒュアァッ!!強く踏み込み!ラータに猛然と駆け走る!!!

ガキイィイィンッッ!!!!ギャリィッ・・・・!ギギギッ・・・ギギギィッ・・!
重なり合う様にして長剣とダートが、鈍い金属音を奏でながら交じり合う・・・!

「ククックック!やるじゃねぇかぁ!!表の俺が苦戦した事はあるようだなぁ?」
「(こやつ・・・!最初に交えた時とは、明らかに力量が違う・・・!何処にその様な力が!!?)」
「ハハハッ!!そもそも!てめぇと剣を触れ合うまでもねぇんだよ!!!!」
バシイィッッ・・・!何と!!?手の平一つで重なり合っていた、長剣を掴み取るっ!!!
勿論、掴んでいる手からは血が滲み出ている!!血を流すのを恐れていない様にも見えた・・・!

「き・・・貴様っ!?傷ついているのはそっちだぞ!!!このまま、真っ二つにしてくれっ!??」
掴んでいる手は揺るがない・・・!動かそうにも、ピクリとも動かない!!!!
「ヒャハハッ!ハッハハッ!!痛くねぇ・・・痛くねぇんだよぉおぉっ!!!」

ヒュバアァッ!!ドンッ!!ドガァッ!!!ドギャアアァッッッ!!!!!
躊躇無く突如!3連回し蹴りを途轍もない勢いで炸裂させる!!!!
ヒュウウゥウゥ―――ドガアアァッンンンッツ!!!!
一発目を懐に!2発目で宙に浮かし!3発目は蹴り飛ばす!!!!
予想に反したこの攻撃を直に食らってしまった、アサシンは近くの岩場に衝突する!!!

「うおぉえっ!!がはっ・・・!き・・貴様!シーフでは無かったのか・・・!」
「おーおー頑丈に出来た身体だねぇ・・・!ハハハッ!何だ?この程度で驚いているのかなぁ?
別に大した事じゃねぇだろ!!?俺様には、この程度簡単にぃ・・・出来るんだよ!ってかよぉ・・・
追い詰められている癖に質問する立場か!!?調子に乗りすぎじゃねぇかあああぁ!!!!!!!!」
ビリビリビリビリッ・・・・!豹変したラータの剣幕に圧され、正直に驚きを隠せないアサシン・・・!

「そ・・・そうだ!剣を取らなくては!!!」
「ヒャヒャハハハッハハッッ!!おせぇなぁ!終わりにしてるよ!!
「「カルテットスローイングッッ!!!!!!!!」
ドドドッドドドドドドッッ―――ババッバババッババババシュッッ!!!!
数え切れない程のダートを、長剣を手に握る前に一斉に投げ打つ!!!!!
カキイィンッ・・・・!ドドッ・・!ドドドッドドッ!ドドドドッ!ドドドドシュウゥッッッ!!!!!!
長剣は弾かれ!!感情を持たない、無数のダートは蜂の巣状に、アサシンの身体中至る所に突き刺さるっ!!!!!

「ごはあぁっ!!ぐおぉえぇっっ!ごふっ!!!あぁ・・・・あ・・・・」
よろめきながら・・・・全てのダートを受け止め、立ち尽くしているアサシンの身体中からは
鮮血が吹き出し・・・!口からも留め無く溢れ出る血が、一面を覆いつくしている!!!
「ぐあっふぁあぁっ!!!・・・・・・」断末魔を最後にし、アサシンは息を引き取った・・・・・!

309ワイト:2008/02/12(火) 02:37:57 ID:x8Wg6fzo0
前RS小説5冊目>>998⇒6冊目>>27⇒6冊目>>83⇒6冊目>>84⇒6冊目>>134⇒6冊目>>154⇒6冊目>>162
6冊目>>163⇒6冊目>>191⇒6冊目>>216⇒6冊目>>267⇒6冊目>>285⇒6冊目>>306⇒6冊目>>308⇒続き

「ぐあっふぁあぁっ!!!・・・・・・・・・・・」断末魔を最後にし、アサシンは息を引き取った・・・・・!
「ハハヒャヒャハハッハハハッ!!久し振りに出て来られて、結構面白かったぜぇ?
俺様に「カルテットスローイング」を使わせたんだからなぁ・・・!地獄の亡者共に自慢するんだな!!!
(おっと・・・・そろそろ身体が限界っぽいな!最後に言わして貰おうかぁ!!)」


「チェックメイトッ!」ドタンッ!

言い終えたその瞬間!元のラータに人格が戻る!!意識を取り戻した直後に
ラータは死んだ様に倒れ込む・・・この最後の記憶は失われ、頭には残っていない・・・!
本人は、何が有ったのか?何故この様な状況になっているのか?それを知る術は無いのだ!!

そして一部始終を隠れながらも目撃している、ヒースは唖然とした表情を浮かべ、
驚きを隠せずには居られず・・・・唯怯えながらこの戦いを見送っていたのだった・・・!

「あ・・・・!ラー・・・ラータッ?(最後の戦い方・・・何だったんだろう?)
って!急いで回復させないと!間に合わない!コーリングッ!!!」
ヒュンッッ!!安全な場所?に隠れながら、ラータを呼び戻し回復に専念する!!

「これは酷い・・!身体を酷使しすぎてるよ!血も流し過ぎだし・・・!いくよ!!
リゼネレイションッ!!ブレッシングッ!!!パーティヒーリングッッ!!!
ヒーリングッ!フルヒーリングッ!フルヒーリングッ!!ヒーリングッ!リゼ――――」

           ―――――しばしお待ちください―――――

「はぁはぁ・・はぁっ!はぁ!はぁはぁ・・・・ふぅ!とりあえずは、外傷と身体自体は治療したし・・・!
後は本人が目覚めるまでは、特に何も出来ない事だし・・・・待つしかないかな!」

        ―――――――そして2時間後(遅いぞ!?)――――――――

「・・・・・・・・・っ!あ・・!ヒース・・・?え・・?アサシンは?アサシンはどうなった!!?」
「アサシンは、ラータが倒したでしょ??凄かったよ〜?最後の方は鬼神の様な強さだったし!!」
「お・・・おぉ!そうか!?まぁ・・・俺に勝てる奴なんかいねぇ!って事が判っただろ?
(何時・・・アサシンを倒したんだ?まったく記憶に無いんだが・・・しかも追い詰められていたのは、
逆に俺の方だったよなぁ・・?どうやってあの状況を切り抜けたんだっけなぁ・・・)」

「ラーター?どうしたの?何か考え事でもあるの??アサシンはもういないけど・・・」
「い・・・いあ!何でもないぜ!!気にするなってーの!ちょっと疲れちまってな・・っ!??」
「え!?何これぇ!!?」「お・・・俺にも判らねぇけど・・・!何所かにテレポートするみたいだぞ!!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シュウゥンッッ!!ヘルアサシンを倒したからなのか、突然空間が歪み始め・・・!
気が付けば、オアシス都市アリアンの入口・・・ワープ前に突然2人共転送されていた!!!

「おぉっ!苦労した甲斐が有ったじゃねぇかー!やっとアリアンに着いたな!!!」
「絶対正攻法じゃないよね・・・?このアリアンへの行き方・・・・絶対可笑しいよ??」
「最終的に俺ら2人とも、無事に到着したんだしよ!!此処は一先ず良しとしようぜ!」

ラータとヒースは、ヘルアサシンとの激戦を意外な形をもって結末を迎えた・・・!
そしてオアシス都市アリアンでの、新たな冒険が今!!始まろうとしているのだ!!!!


ふぅ・・・此処で一旦中断です!!凄い長く成ってしまいましたね・・・自分でも予想外です・・・が!
まだ続きはありますので、新しい都市での新たな冒険をお楽しみにお待ちくださいな!!
(でも、考えてないんですよねぇ(TωT)戦闘シーン以外は、思った様に考えつかない(T∀T))それでは|ω・)また!

310ウィーナ:2008/02/12(火) 08:58:20 ID:PI3MWrYQ0

前回>>301>>303


く…
熱い…身体が…痛い……


『アルビノ』

………?

『ごめんなさい。手荒な真似してしまって。
『貴方を呼んだのは、貴方の不思議な力を頼ってのこと。
『私の我侭でも有りますが…お願いです。助けてください。フランテルと、皆を…』

………俺の不思議な力?

『貴方は以前瀕死状態に落ちた時があったはずです。』

…嗚呼。

『その時使った"REDSTONE"…。それはフランテルに有るものとは違います、が力は一緒。
『此方に有るREDSTONEは無くなってしまったのです…。』

…へぇ。

『裏切り者によって…ごめんなさい、巻き込んでしまって…』

いや、いいんだけどな。
この…平凡な生活にも飽き飽きしてきたし。
でも、本当に俺なんかで…?

『大丈夫です。貴方は私の……………ですから。』

ん?聞こえないのだが…

『ルチノを…助けて…』


………?

311ウィーナ:2008/02/12(火) 09:00:17 ID:PI3MWrYQ0




おにーさん



おにいさん?


「おにーーーーーーーーさんっっっ!!!!!」
「ッ!?」
「大丈夫ですか?」
此処は…
どこだ…
「ええと、だいじょーぶですかー?」
「…大丈夫だ。心配ない」
目の前には長身の女性。
格好はアイドル、髪も腰まで届くくらいの…所謂ツインテール。
先程の返事に安心したのか、笑顔を振りまいている。
「貴方ね、広場で倒れていたの。」
その女性は俺の手を握ると強く振り回す。
「おにーさん、元気になりましたぁ?」
「おにーさん?」
お兄さん。
俺のことか?
まあ確かに喋り方はそうだが…
髪は結構長いn…
「げっ」
無い。無い。
…とうとう抜けたか


いや、冗談でも嫌だな…
「どうか、されましたっ?」
女性は吃驚したようにおろおろする。
「だ、大丈夫だ…鏡、貸してくれないか?」
はいっ!と元気の良い返事をするとぺたぺたと部屋を出て行く。
数秒立つと戻ってきて、鏡を差し出し、
「どぉぞ!」
んー
髪は…
ショートより短く、少し癖がついている。
おまけに色なんかは銀に少し濃いメッシュが入っているような感じだった。

(どうなっちまったんだ…)

312ウィーナ:2008/02/12(火) 09:05:17 ID:PI3MWrYQ0
髪を弄っていると、女性が黒い帽子を頭に被せ、
「おにーさん、シーフですか?武道家さんですか?」
「シーフ?武道家?」
雑に乗せられた帽子を直しつつ、尋ねる。
「? 知らないのですか?
「ええと、職、です。お仕事というか…なんというか…
「でもジョブ知らない人なんて珍しいですね?」
ジョブ、職…
俺はRPGの世界にでも入ったのだろうか。
「でもー、今は武道家にしておいたほうがいいと思いますー」
「それは、どうしてだ?」
先程までの笑顔は少し曇り、手を後ろで組み、歩く。
「シーフさんは、嫌われ者だもの…。」
シーフ。
訳すと泥棒、盗人。
この女性は過去に何かシーフと関わりがありそうだ…
「ここはね、魔法都市スマグっていうの。で、おにーさんお名前は?」
急に話を変え、無理やりの笑顔はバレバレだった。
「アルビ、だ。」
「アルビさんっ!私はね、メアリー。Mary=blowっていうの。
「苗字はっ?なんてゆうの?」
「クライスだが?」
女性…いや、メアリーは驚いたように俺の手をとると
「女神様と同じなんだねっ。親類とか?」
女神様…夢の…?
「女神様ってなんだ?」
えーとね、というと又部屋を出て行き、1冊の分厚い本を持ってきた。
「女神様はね、Ltino=Craisていう名前でね、この世界が平和でいられるのも女神様のおかげなんだよー。」
ルチノ。
あの夢に出てきた人が言っていた名前…
「ってことはまだ今は平和なのか?」
「一部を抜かせば平和だとおもうよ。」
また、だ
顔を少し曇らせるメアリー。
一部というのはメアリー自身も入れてるのだろう。
「女神様はどこにいるんだ?」
「どうして?」
「会えば、分かるかもしれないから」
自分が何故此処に来たのか
俺の不思議な力は何なのか。
「此処からすごーく遠いのよ?しかも女神様と会えるのは女性だけ。きっと貴方じゃ…」
「じゃ御前一緒に来い」
「え?…きゃっ」
ぽかーんとしているメアリーを引きずりつつ、外に出る。
「なんだこりゃ…」
家の中じゃ分からなかったのだが、メアリーの家は…
「でけえ」
「?」

おじょーさま、か





「はえーよ」
「急いでー」
メアリーは絨毯に乗っている、が
俺は走る…
「対面は5時までなのー。でも今もう4時なのー。急ぐのー!」
というとまた加速していく。
俺は…










2回目ですー
やっぱり文がおかしい><

>>◇68hJrjtY
ご感想有難うございます^^
ええと、そうですね
少し違う…というか
全く違うかもしれませんw

メアリーちゃんがなんかルフィエちゃんみたいになってしまった。
いや…この子私の素のキャラ(笑

次は女神様と対面!?
女神って…リトルウィッチは皆女神ダッタリ…?(

313ワイト:2008/02/12(火) 11:25:13 ID:x8Wg6fzo0
今更になって、職人様方々の感想を述べさせて頂きます(TдT)大変遅くなりました・・・・

>ウィーナ様
お初御目に掛ります。中々職人様方々の小説に感想を書き込まない、ワイトと言います(T∀T)
職業を知らずに「REDSTONE」の世界に引き込まれた、アルビ(シーフ?武道??)
っていうか、「REDSTONE」は複数存在しているのでしょうか??
運良く倒れていた所を、リトル?のメアリーの家で介護してもらってたのは幸いでしたね!
そして!早い展開で女神様とは直ぐに対面出来るとは!続き待ってます!

>白猫様
感想を中々書き込めずに申し訳無いです@@;そしてお初御目に掛りますね!ワイトと言います(T∀T)ホントスイマセン
オリジナルスキルが豊富ですね・・・(正直に覚えきれな(ry)凄い文章の構成が上手過ぎる・・・!尊敬しちゃいます!
まだ、最初から読み直していまして・・・・その、本格的な感想はまた今度に(TωT)ウウッ・・・ツイテイケナイヨウ・・・・
これからも、宜しくお願い致します!

>之神様
お初御目に掛ります・・・今更になって感想を述べさせて頂く、ワイトと言います(T∀T)ホントイマサラ・・・・
シルヴィーとシリウスはこうして出会っていたとは・・・!にしても早々気が有って無い様な・・・w
ブラックは、前からの仲間?ですかね??実は物凄く気に成っています(ぁ
それよりも、バレンタイン企画(ネタ?)は素晴らしいですね!!投下して頂くのを心待ちにしています!
これからも宜しくお願い致します!

>黒頭巾(名無し)様
お初御目に掛ります、是からもどうぞよろしくお願いしたいと願っている、ワイトと言います(感想遅くてすいません・・・
感想をもらっているにも関わらず、返せない愚かな私をお許しください(TωT)ゴメンナサイ・・・感想を述べさせて頂きます。
読んでる途中も読み終わった後も大変面白かったです!!武道家の適正Lvが途轍もない・・・狼何をやっても勝てな(ry
メタボリックシンドロームやノックバック抵抗の足りていない狼に、正直吹いてしまいました(^∀^*)面白過ぎますw
これからも、宜しくお願い致します!

>メイトリックス様
お初御目に掛ります!感想を頂いてるのに返さない唯の馬鹿・・・・ワイトと言います(TωT)スイマセンスイマセンスイマセ―――
最初に・・・途轍もない文才ですね!本当にどう考えて書いているのか、教えてもらいたいくらいです(T∀T)
最初から読み直してまして、話に付いて行けないのですが、ネクロマンサーのニイドが
全ての真相を握っている様に見えて、大変気に成っています・・・!これからも、宜しくお願い致します!

>ESCADA a.k.a. DIWALI様
お初御目に掛ります!新参にも関わらず、感想書き込めずに申し訳無いです(TωT)
どれを見ても興奮してしまいましたwテイマのフィアーナの露出はとんでもない・・・!
その妹のミリアにも少々萌えてしまって・・・っ何でも無いです!
続きお待ちしております!これからも、宜しくお願い致します!!

>FAT様と68hJrjtY様(御二人方様には同じ感想を述べさせて頂きます!!)
お初御目に掛ります!!!これからも、どうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m
書き込む度に何度も感想して頂いて大変嬉しいです!!参考に成りました!
御二人方様の小説を読みなおすと・・・!物凄い書き込んでらっしゃってますね!!
それを最初から・・・っとなると、1日掛けて読み終えるかどうかも・・・?
出来る限り時間の余裕が有れば、御二人方様の小説を読んで行きたいと思います!

>スメスメ様
お初御目に掛ります!今頃になって、感想するという怠け者のワイトと言います!
最後になって、名前の出て来た武道のアル??というんでしょうか・・?祭壇の骸骨共を倒し
そして、同時に殺され掛けた?彼女を無事に救出するとは!火事場の馬鹿力って奴ですかね!?
しかし、此処で「バインダー」の登場とは・・・!続き待ってます!これからも、宜しくお願い致します!

314◇68hJrjtY:2008/02/12(火) 12:42:18 ID:ynRtym2Q0
>305さん
初めましてでしょうか…?もし間違いならすみませんorz
いきなりの四面楚歌ですが武道家が主人公みたいな感じで私は大変満悦してます(笑)
でも次の瞬間視線がフリーズ…2対100ってどんだけ〜!(チョイ古?
武道は火力が無い!痛いところを突かれてしまいましたね(ノ∀`) Theいつまでたっても俺TUEEできない職!
でもそう、夢が!夢があるんですよね!うん。…アニル頑張って(´;ω;`)

>ワイトさん
なるほど、職の変身を表と裏の人格として扱っているのですね。これは面白い上にかつてない設定!
一瞬ラータは多重人格者なのかと思いましたが武道に変身したのだと考えると納得します。
そして武道になる事により戦士だったアサシンとの戦いも対等な立場で展開でき、そして勝利…予想外でした。
アリアンに到着した二人、まだまだ冒険の種はありそうですね。続きお待ちしてます。
---
FATさんはかなりの小説を書かれていますが、私はまったく書いてませんよ(笑)  …すいませんorz
しかし私などは戦闘シーンがダメダメでその他のシーンの方が筆が進むタイプなのですが
ワイトさんはその逆なようで…とても羨ましいです(笑)

>ウィーナさん
俺口調の女の子は好きですが、完璧に性転換してしまいましたね(笑)
とりあえず(?)武道なアルビたんカコイイ。武道はイイですよ、弾切れシフに思われたりするし! …( ´・ω・)
なるほど、RedStoneを扱ったお話でもこれはRS上での設定とはまた違ったものになりそうですね。
現実世界から迷い込んだRS世界というだけでわくわくしますが、女神様とは一体。
続き楽しみにしています。

315ワイト:2008/02/12(火) 12:49:16 ID:x8Wg6fzo0
>>313の感想を述べさせて頂く続きです!(纏まり切らなくて、2つに分ける事にしました!)

>>みやび様
お初御目に掛ります!新参者のワイトと言います!!これからも、宜しくお願いします!!
どうやって考えつくのか・・・・一番気に成ったのは、呪いのNPCですね・・・!物凄く印象に残りました!
INした直後に、目の前に自分と同じ鎧を着ていて、しかも・・・名前が無いだなんて、恐怖ですね(TДT*)アーッ!
例えばの話、本当に存在していたら――――?考えたくも無くなりました(TωT)


>◆21RFz91GTE様
お初御目に掛ります!凄い前から書き込み為さってますね・・・!遅れました、ワイトと言います!
正直話にはまだ付いて行けそうにないです(TωT)本当に申し訳無いです(T∀T)
何時しか、具体的な感想を書き込めれば良いなぁ・・・と思っていますヽ(・ω・)ノ
これからも、宜しくお願い致します!!


>姫々様 >白樺 >NT様 >ドギーマン様>ryou様
  >携帯物書き屋様 >殺人技術様 >プチ様

お初御目に掛ります!不甲斐無き、新参者のワイトと言います!
今はROM中の職人方々の小説を、大変楽しみにお待ちしておりますよ!!!
戻って来た際には、是非とも!是からどうぞ、宜しくお願い致します!!!

他にも書き込んでいらした。職人様達の小説も、凄い期待して待っています!!
以上―――――2つに分けて感想を述べさせて頂きました(TωT*)では|ω・)また!

316ウィーナ:2008/02/12(火) 14:00:34 ID:PI3MWrYQ0
白い鳥と黄色い花
やっと題名決まりました…
アルビノーというのがセキセイインコの白い種類の名前、
ルチノーというのが黄色い種類の名前だから、ということです…w
読んでくれている皆さんThanks!

プロローグ >>301-303
1話 夢のFelt-tipped marker >>310-312




2話 Disguising as a woman


一足早く、メアリーは宮殿に着いていた。
だが、ぷう。と頬を膨らませ、戻ってくる。
この様子からして断られたのだろう。
「1分だけ過ぎたってどんだけええええ!!!」
現在5時1分。
「まあ、明日でもいいんだけどな。」
少し早い夕日に向かって今度は2人共歩きながら喋る。
「ごめんねー。」
「いや、こんな会ったばかりなのにいろいろ頼んでしまって。
「此方のが謝りたいさ。」
そういうとメアリーの肩をぽんぽん、と叩く。
いや、届かなく、空を右腕が切った。
…背伸びしてるんだけどな。
その様子をみながらメアリーはくすくす笑い、
「そういえば、女神様に何て話すの?」
こう聞かれると困るもんだ。
話しても信じてもらえるかわからないしな…
「やっぱ、俺は入れないかな」
「無理でしょ」
即答で返事を返すメアリーにすこし溜めていた息を吐く。
「メアリーのことも話してくれたら話すぞ」
「却下!」
こんのアマ…
まあ、あの表情からしていろいろあるのだろう。
きっとシーフ関係だろうな…
こんな話をしている内にメアリーの家についていた。

メアリーは俺の手を引っ張り、家のドアがピンクの部屋に連れ込んだ。
部屋にはピンクのベット、ピンクのカーテン、白とピンクの衣装台、
赤いバラの壁紙と、たくさんの服が掛かっていた。
「そういえば
「アルビちゃんは知ってるかな?」
1冊の本をぺらぺら捲りながらあるページを指差す。
「第3回女装大会!優勝すればお金もらえるんだよー」



まあもともと女だからそんなの気にしないのだが…
じょそう…
「御前、何考えてる?」
鞄を漁るメアリーに嫌な予感が感じる。
「えへへ〜」
やっぱり…。

317ウィーナ:2008/02/12(火) 14:01:03 ID:PI3MWrYQ0
「これで、いいのか?」
着替え終わり、カーテンを開ける。
「いーねっ!」
メアリーは親指を上にたて、グッという。
これはメアリーの服らしく、
ピンクのドレスにピンクのリボンのついたヘットドレス、
茶髪で肩ほどの長さの鬘など…
「本当に大丈夫なのか?」
ドレスの裾を引っ張りつつ、訪ねる。
「アルビちゃんならいけるよ!」
メアリーと話していると暖かな気持ちになる。
ずっと以前から、友達だったような…
そんな感情が。
無理に聞き出そうとは思わないが、昔のことが気にならないと言ったら嘘になるだろう。
この子は何のために俺を助けて手当てしているのだろか…
自分が女ということすら忘れそうになる。
…恋愛感情が芽生えている、そう感じた。

女神様と会ったら、もしかすると俺は元の世界へ戻るかもしれない。
その時メアリーはどう思うのだろうか
…なかせたくない。
なるべく親しくならないように、しよう…

318ウィーナ:2008/02/12(火) 14:01:35 ID:PI3MWrYQ0
大会当日。
開催場所はビガプール、というところだった。
メアリーに引っ張られて来たのは良いが、
見渡すと…
(おぇ…)
棍棒をもち、髪を真っ直ぐにとかしているゴツイ男や、
腹筋割れているのに水色のツインテールを揺らしている男や、
ロンゲで如何わしいオーラを出している男や…
MCのおにーさんも涙目。
衣装は人それぞれ違うが、メイクは自分でやったのだろうか…
口紅ははみ出し、アイシャドウは不気味なほど濃く、
まつげなんて逆にカールしている。

(吐き気が…)

メアリーは既に気分が悪くなっており、家で応援している、とのことだった。

さて、そうこうしているうちに大会は始まっていた。

「「エントリーナンバー6番!女剣士!」」
という放送の声が聞こえるとすぐに、
「うぇー」「きめぇ!」「カエレ!」などの暴言が行き交い、
女の子の失神は増えるばかり…

自分は70人中56番だった。
これをみていると気分が優れなかったのですこしうろうろすることにした。

少し歩くと浮いている看板を見つける。
(なんぞこれ?)
触ろうとすると、
「おにーさん!だめだよーさわっちゃっ!」
自分と似た感じの格好をした男が手を払いのけた。
「これは、なんだ?」
「はぁ?」
男は不思議そうにこっちをみると、睨み付けるが、睨み返すと渋々と
「これはなー露店っつって物うるんだよ!兄ちゃんが欲しそうな物無いからあっちいけよ!」
嫌な男だな。
まあ、うろうろ歩いていると似たような看板がたくさんあった。
その主は寝ている物もいるが、起きて喋ったりしている人もいた。
少し歩くと、露店の影にいた少女が此方を凝視していることに気づいた。
その少女は赤い頭巾を被り、笛をもっていた。
気のせいだと思い切り、通り過ぎようとする、が
「…アルビノさん」
横に来た瞬間名前を言った物だから、吃驚だった。
「…なんで俺の名前を?」
その少女は表情一つ変えず、俺を凝視する。
「人は1つは山を越えなくては生きていけない。
「それは人によって違うが、何個もの山を越える者もいる。
「その中でも、谷に落ちてしまうものや獣に殺されてしまうものも…
「平地だと思って安心をするな、自分の道を知れ。」
その瞬間、少女と露店は無くなっていた。
(なんだあれは…)

319ウィーナ:2008/02/12(火) 14:02:48 ID:PI3MWrYQ0
そして、とうとう50番近くなってきていた。
「「エントリーナンバー54番!」」

次にいたのは自分と同じ武道家かシーフ。
銀色でストレートの長い髪を下ろしていた。
前髪には濃いメッシュ。
その髪に似合うドレスを纏っていた。
(こりゃ、1位は無理だな…)
その"女性"が出て行くと、観客からの歓声がワァー!!と響く。

そして、自分の番

「「エントリーナンバー56番!ぷりてぃぷりんせす!アルビちゃん〜!」」
このイメージはメアリーが決めたものだ…


俺がでると…

観客は静まり返った。
数秒立つと
「「アルビちゃんありがとうございましたー」」
と、MCが静寂を破った。
(こりゃだめだ。)

一応70番まで見届け、帰ろうとすると
「ちょっと、おねーさん。
「優勝者がどっかいってどーするのっ」
ゆうしょう?
「誰が?」
「おねーさんがだよっ」
MCにひっぱられるまま舞台の真ん中に置かれた台の、1のところに立たされる。
そして、俺が立った瞬間
男共はアルビちゃああん!と叫び、
女共はすてきー!と歓声をあげた。

さっきと全然ちがうじゃねーか!

320ウィーナ:2008/02/12(火) 14:04:21 ID:PI3MWrYQ0
「と、いうことで
「見事に1位とりました」
家へかえると、メアリーがばたばたと階段を下りていた。
そして、右手にひらひらと持っていた賞金を奪い取り、自分の鞄にいれた。
「…メアリーちゃん?」
メアリーはえへへ、と笑って誤魔化した。

「でね!今日ギルドの子がくるのー!」
「へぇ。って、ごまかしやがtt」
ぴんぽーん
「ほ、ほらきた!」





「てっきり俺は一人がそこらだとおもってたぜ?」

メアリーの家のでっけえホールに集まったのは
数十人の人たち…
胸には白い薔薇のバッジをつけている。
そしてその中から、

そう、あの露店巡りの時の少女がでてきた。
「ニナちゃん久しぶりっ!!」
「ん、ああ。」
ニナと呼ばれた少女は無表情のまま空返事を返す。
「月舞もおいで」
そして、もう一人、少女がでてきた。
その…月舞はバッジが皆より輝いている。
ニナに内二つで、違うところは表情と頭巾だった。
"黒い頭巾"の少女はにっこり笑うと、ホールの一番の奥にある台にのり、叫んだ。
「「皆ぁ!今日はWhite roseのために集まってくれて有難う!
「「今夜は紹介したい子がいるの!新しく入り、尚且つ副ギルドマスターとなる、アルビノーちゃんです!」」
と、月舞は俺をひっぱり、台の上に連れてきた。



………

俺!?









ええと、長くなってしまってすみません;

>ワイトさん
初めまして^^
ワイトさんの小説、私は良いと思いますよ!
読みやすい、と素直に感じました。
こんな駄小説にコメント有難うございました;;



アルビちゃん、いつのまにかアルビノって呼ばれるようになっているのは
私のミスです…
次回は白薔薇に加入したアルビのお話と
どじっこメアリーがやらかしてしまった事件のお話ですー。

1日に何度もうpごめんなさいっ

321 ◆21RFz91GTE:2008/02/12(火) 14:11:36 ID:6dA6bWs.0
仕事良く前に覗いて見たら浮上してた…。

>>320 :ウィーナさn
>>1を良く読んでから投稿してくださいな…このスレはsage進行です

322名無しさん:2008/02/12(火) 18:45:51 ID:fou9k2gM0
僕はふぁみりあいーえっくす。
そんじょそこらのふぁみりあとは違うよ!
最近流行りの“のなめちゃん”じゃない、素敵なお名前も持ってる。
僕のお名前は、ごしゅじんさまが「あーでもないこーでもない」って考えてくれたんだって。
僕はそんなごしゅじんさまが大好きだ。
でも、今日はそのごしゅじんさまが最近僕に構ってくれない。
忙しそうにあっちへこっちへぱたぱたぱたぱた。
僕は足が短いから、必死に追い掛けても追い付けない。
いつもみたいにひゅんと飛んだ先では、既にごしゅじんさまの後ろ姿しか見えない。
お台所に留まって何かしてても、僕はちっちゃいから一生懸命背伸びしても何も見えない。
いっつも暖かい炎と大地の癒しをくれるいけめんさんみたいな長い足が、僕にもあればいいのに。
もしくは、いっつもきらきら眩しい光で癒してくれるまっするさんみたいな翼が、僕にもあればいいのに。
こんな調子で役立たずだから、ごしゅじんさまは「あっちでケルビー達と遊んでてね」って言うんだ。
けるびーちゃんやすうぇるふぁーちゃんはたまに呼ばれて暖めたり冷やしたりでお役に立ってるのに!
独りぽつんと槍で遊んでたら、いつも僕に優しくしてくれるいけめんさんが「如何したんだい?」って頭を撫でてくれた。
ごしゅじんさまが構ってくれないの!
必死に身振り手振りで示したけど、ていまーでもさまなーでもないいけめんさんには通じなかったみたい。
でもね、うーんと眉をしかめて真剣に考えてくれた。
そのいけめんさん、僕の目線を追い掛けた先の台所から漏れ聞こえる声に笑顔を浮かべて「成る程ね」と独り言。
ずるいなずるいな。
大好きなごしゅじんさまのことなのに、僕にはわかんないのが悔しい。
もんもんしてる僕に気付いたのか、いけめんさんはまた僕の頭を撫でて「イイコにしてたら、きっと素敵なコトが起こるよ」だって。
むぅー、ぷくーってほっぺが膨らんじゃう。
いけめんさんは、すぐにお友達にお耳で呼ばれて行っちゃった。
僕はまた独りぼっちでぽつーん。
そこにからからからからと音を立ててやって来たのは、ないすばでぃーなおねぇさまのげぼくさん。
何でも、今日はばれんたいんでーなんだって。
大好きなヒトに甘い甘いちょこれーとをあげる日だって。
ちょこれーとって何だろう?
ぱてぃしえぞんびの甘いけーきやくっきーより美味しいのかな。
ごしゅじんさまは誰にちょこれーとをあげるんだろう。
魔法の力でいつも助けてくれるいけめんさんなのかな。
それとも神様のご加護で護ってくれるまっするさんなのかな。
あ、それともそれとも!
僕をお肉でていむした時みたいに、甘いものが大好きなこを新しくていむするのかな。
如何しよう如何しよう、お役に立てない僕はもういらないこなのかな。
泣き声も出ないまま、涙がぽろぽろ零れる。
お膝の上に暖かい水滴がぽつりぽつりと落ちては弾けた。
「出来たー!」
台所からごしゅじんさまの嬉しそうな声がする。
ごしゅじんさまが出てくる前に、背中の布でごしごし涙を拭いた。
待ってたよ待ってたよ、遊んで遊んで!
両手に一杯袋を持ったごしゅじんさまから漂う、甘い匂いにお鼻がぴくぴく。
そんな僕の頭を「お待たせー」と撫でたごしゅじんさまは、机の上に置いた小さな袋を並べだす。
「コレはWIZさんの分、コレはBISさんの分、コレは…」
早く終わらないかな早く終わらないかな。
ごしゅじんさまの足元にちょこんと座ってそわそわそわそわ。
「そして、コレがファミちゃんの分!」
慌てて見上げると、ごしゅじんさまの笑顔と一番大きなちょこれーと。
はーとの中には僕のお顔が可愛く描いてある。
「いつもありがとうね!」
僕の目にはさっきとは違う涙がぽろぽろ溢れてきた。
ねぇ、ごしゅじんさま…そのちょこれーと、半分こして一緒に食べようよ。
大好きなごしゅじんさまと食べるから、きっと二倍美味しいよ!
でもね、ごしゅじんさま…来年は僕も一緒に作らせてね。
大好きだよありがとうって気持ちを込めて、一生懸命ちょこれーと作るから。
小さなちょこれーとはお世話になった人達に…一番大きなちょこれーとはごしゅじんさまに。
ねぇ、素敵でしょ?
ごしゅじんさまのお膝の上、半分こした大きなちょこれーとを齧りながら…僕は神様に感謝した。
大好きなごしゅじんさまと一緒にいれる幸せを。

323黒頭巾:2008/02/12(火) 18:48:12 ID:fou9k2gM0
…皆様に、ハッピーバレンタイン!
バレンタイン企画があるらしいので、ない頭を捻ってみました。
ネタに走ったのとコレと迷って、結局こっちが書き易そうだったので。
ボツになった案は材料に妖しいアイテム集めまくりのテラカオスでした。
チョコって媚薬とも言われてたんですよね…悪魔さんの天下です(ノ▽`)ペチン
しっかし、フランデルにもチョコってアイテムあれば友に配りまくったのになぁとしょんもり。
如何せ、リアルなバレンタインなんて…あげれる人は家族か上司しかいn(ry
そう言えば、前回の投稿は折り返し設定のまま貼付けてしまってました…読みづらくて申し訳ない…orz
…以下、コメ返しです(もうこのコテでいきます/笑)


>之神さん
どぞー>(´・д・`)っ【新しいお茶】(違)
笑って頂けたならよかったです…えぇもう邪道ですいません。
これは前に友人と話していて思いついたネタです。
こんなの如何よと設定を膨らませてみました。
メンテスレや愚痴スレはよくROMらせて頂いているので、価格操作云々はありそうだと…w
変なトコに着眼点が行くもので、シュールさだけが取り柄です(長所なのか?)
因みに、バレンタイン企画に私が乗るとこんなカンジです…参考にならなくてスイマセン(笑)

>68hさん
「○○があったら…」ネタは設定を土台にしつつ、公式を無視出来るので自由度が好きです。
惜しむべくは、この手のネタは回を重ねるごとにマンネリ化するので一発ネタにしかならない件(笑)
愛しいキャラ程貶めたくなるドSなので、武道とかついこんなコトに…愛はあるんです、愛は!
その職メインの方が気を悪くされないかいつもヒヤヒヤです(なら自重しれ)
あー、偏見スレにありそうですね!
昔流し読みしただけで、リトル=クラムチャウダーネタしか記憶に!(何故)

>白猫さん
Σ砕けたのはタリスマンじゃなかったー深読みしすぎた(ノ∀`*)ペチチチ
二人のお互いを護るという気持ちに二人の仲を見守り隊はヒヤヒヤドキドキです(何ソレ)
そして、40億!?Σ(´д`|||)
恐ろしいお金持ち具合…(((・д・;)))ピルピルプルプル
ルフィエの気持ちがわかります…40億なんて持ったコトもないっす…orz
子供キャンディーに煮魚、かわゆ!_| ̄|○ノシ ヒーヒーバシバシ
プリトルはハイブリになるの多いですね…やっとアイドル1覚えました、わーい。

>ウィーナさん
初めましてー(*´▽`)ノシ
鏡のガラス玉もどきは四元素かな…代々伝わる鏡が媒体になったコトと女神様との姓の一致にソワソワ。
昔シーフと何かあった(らしい)のに助けてくれたメアリーちゃん、イイコだ…(ノ▽`)
実際に女装コンがあれば、ネタに走ったキモキャラで参加したいです(おま)
折角の優勝賞金をG資金にされて可哀想に…そのお陰で副マスなのかしら(笑)
次は女神様に会えるといいなぁ。
21Rさんが既にご指摘下さいましたが、mail欄に半角でsageって入力するだけですのでお願い致しますねー(*´▽`)ノシ

>305さん
2vs100は流石に勝てない(((・д・;)))ピルピルプルプル
自分の拳で語るからでしょうか…武道家さんって矜持を持ってそうなイメージなのです。
お父様の仇(命だけでなく誇りを含め)、無事に取れればいいなぁと。

>ワイトさん
ラータ、ヘルアサシン撃破おめでとう(ノ▽`)アーコワカッタ
ヘルアサシン自身も知らなかった能力の制限が何だったのか…ラータ(裏)がやった訳ではないなら、ヘルアサシンに能力を与えた黒幕さんか誰かでもいるのかしらソワソワ。
倒した途端にワープはバフォクエでたまに敵のど真ん中にワープさせられるの思い出します…安全な場所にワープでよかった(笑)
感想ありがとう御座います(*´д`)ノシ<…宜しくですー。
二人のレベルを決める時は世界地図の適正表とにらめっこでした(笑)
ノックバック抵抗って揃えにくいですよぅ(揃えない言い訳/ちょ)


過去スレ検索したら如何も之神さんのお話だけみたいでしたので、次はあの巻物のお話にさせて頂こうと思います(ノ∀`*)ペチン

324柚子:2008/02/12(火) 22:37:26 ID:xH9APUBo0
『Who am I...?』

――――トクン。
それが、私が聴いた初めての音だった。
トクン。トクン。トクン。
それは心地の良いリズムで、一定の間隔で刻まれてゆく。
時間が経つと私の全身の感覚も研ぎ澄まされていき、他の雑音まで耳に入ってきた。
「意識が戻った……? やった、成功だ!」
その雑音に続いて、おおー! という大きな音が次々と続いた。
だんだんと私の意識は覚醒されていき、それと同時に私は1つの疑問を抱いた。
――私は誰だろう?
考えても何も思い浮かばない。私の頭の中で思考がぐるぐると回る。
ぐるぐる。ぐるぐる。
しばらく考えると、私は1つの結論に辿り着いた。
――そうか、私はたった今生まれたんだ。
成長した体があっても、こうやって考えることができても、“前の私”を思い出せないのだから、今の私は新しく生まれたに等しい。
そう考えたら、だんだんと嬉しくなってきた。
そうだ、名前はどうしようか?
そこで私は唯一残っていた、前の私の記憶である名前をもらうことにした。
さて。名前も決まったことだし、久しぶりのお外に出よう。
私は重たい瞼を開いた。眩しい光が差し込んできて、思わず目を閉じてしまう。
しばらく目をぱちくりしているとだんだん慣れてきたのか視界がはっきりする。
私は目をきょろきょろ回し、今の状態を確認した。
私は仰向けに寝ているようだ。なら起き上がらなくちゃ。
起き上がると、腕に繋がっていた何かがぶちぶちと音を立てて千切れた。
視界に、私を囲んでいたらしいたくさんの大きな人達の驚いた顔が映る。
せっかくだからこの人達にも聞いておこうと思った。
「ねえ」
「私は誰?」

それが、私が話した初めての言葉だった。

325柚子:2008/02/12(火) 22:38:36 ID:xH9APUBo0
古都ブルネンシュティグ、王宮。
その1つの部屋とは到底思えない、広大な空間の一室に1人の男性が、これまた豪華な装飾が飾られた椅子に座していた。
その男性の周りには、数人の兵士が取り巻き完全に死角を塞いでいた。
その男性が最寄りの兵士に軽い口調で話しかけ、談笑をしていると遠くから慌ただしい足音と共に1人の男が飛込んできた。
「国王、大変であります! 大変であります!」
「貴様! 国王の御前であるぞ!」
1人の兵士が強い口調で叱責するが、国王と呼ばれた男性が手で制する。
「まずは落ち着いて。で、どうしたんだい?」
それでやっと冷静さを取り戻したのか、男は軽く深呼吸をして呼吸を整えてからその口を開いた。
「国王、大変であります! 地下の、例のあの場所が……」

「……ふむ。それで君は確かに見たのだね?」
「はい。それは間違えようがございません!」
国王ら一同は宮殿の地下へと繋がる階段を下っていた。
そこは宮殿の中でもほんの一部の人間しか知らない、秘密の地下への入り口なのであった。
先導役に先ほどの男、兵士、国王、さらに兵士と続く。
「着きました、ここです」
男の視線に、国王が無言で応える。
「では、開けますよ」
男が取手に手をかけ、扉を開く。
重々しく開かれる扉の先には、見るも悲惨な光景が広がっていた。
国王の周りの兵士が思わず顔をしかめる。
「酷いね」
表情を変えずに国王が感想を漏らす。
そこには、たくさんの人間がいた。
但し、体中を散々に切り裂かれた姿で。
肉片や血、贓物が散らばっている室内へ、国王が足を踏み込む。
「こ、国王?」
男の声も無視し、国王は歩を進めていく。
「やはり……」
国王は何かを確かめると、男へと振り返った。
「どうやら脱走した子がいるみたいだね。君、逃亡した者の捜索隊を編成、直ちに向かわせてくれ。私は私なりに考えたいことがあってね」
「はっ!」
男は礼をし、踵を返すと階段をかけ上がって行った。
国王も出口へ向かい、最後にもう1度だけ振り返った。
その表情は、喜びとも、悲観とも言えない複雑な表情だった。

326柚子:2008/02/12(火) 22:40:12 ID:xH9APUBo0
まだ日も明けて間もない早朝。澄んだ大気はまだ僅かに冷たさを残している。
小鳥がさえずりし、眠たそうな顔をした商人が看板を立掛け開店の準備をしている時間帯。
古都ブルネンシュティグの街、そこはいつも通りの日常を繰り返している。
その街の中を走る、1つの人影があった。
その人影は厚い布のような物の上に腰を預け、冷気を帯びた空気を突き抜けていく。
その人物が駆る物、それはマジックアイテムの1つ、魔法のカーペットと呼ばれる物だった。
カーペットがその上に乗る者の長い髪をなびかせながら古都の街を駆ける。
しばらく走り続けていると、不意にカーペットの主の耳についた耳飾りがブルブルと震えた。
次いで耳飾りの持ち主だけに聞こえる“声”が飛込んでくる。
「おい。今どこにいる」
無機質な男の声。その声を聞くやいなや、その人は途端に嫌々そうな表情に変わる。
その人は耳に手を押し当て、声の主に向かって返事を返した。
「あー、あー、聞こえません。魔力波障害か何かのようです。1度切りますね」
「イリーナ。貴様は不快だ。俺とて朝から貴様の奇声など聞きたくもない」
イリーナと呼ばれたその人物は、特に堪えた様子もなく反撃する。
「なんだルイスか。声が聞き取りづらくて分からなかったよ。もっと人間の言葉を勉強したら?」
「貴様とて他人に助言する暇があるなら男と見間違えられぬ努力をしろ。胸の無い女は醜いぞ?」
その瞬間、イリーナの表情に初めて感情らしきものが浮かんだ。
「死ねルイス! てめーこそ人間に進化する努力をしやがれ」
ルイスと呼ばれる男が更に反撃しようと何か言いかけると、突如違う声が割り込んできた。
「ちょっとアンタ達。朝から口喧嘩すんじゃないわよ」
澄んだ若い女性の声。それはルイスの声と同じところから聞こえた。
その声を聞くと、イリーナの顔から血の気がみるみる引いていく。
「……すいません、マスター」
「分かればよろしい。それと用があるから今から帰ってきてくれる?
  そうルイスに言わせようとしたんだけどルイスには重荷だったようね」
奥からルイスの納得のいかないような声が聞こえてきた。
「分かりましたよ」
そう短く切ると、イリーナはカーペットを反転させた。
慣性に従って振り払われそうになる体を巧みな操作で立て直し、そのまま直進。
擦れ違う人々をすれすれでかわし、続く罵倒もかわす。
イリーナは来た道を風となって引き返して行った。

327柚子:2008/02/12(火) 22:41:12 ID:xH9APUBo0
しばらくカーペットを走らせると、2階立ての建造物が見えてくる。
そこは、イリーナやルイスのギルドの本部、つまり事務所であった。
イリーナはカーペットを畳むと、事務所の正門の扉を開けた。
イリーナの視界に入った景色は、古めかしい造りの建物の内部。
しかし、よく掃除が施されており、清潔感に満ちている。
木製の床に続く階段を上がり、その奥の扉を開く。
次の瞬間、扉を開けたイリーナの目に美貌が飛込んできた。
「遅い」
形の良い口から吐かれる不機嫌そうな声。
その口を有する容貌は、それぞれのパーツが正確に整えられた美貌。
特徴的な蒼と碧の髪と瞳が思わず目を引きつける。その下には屈強そうな肉体が詰められていた。
「来る途中で困っている老人を助け、ついでに悪の魔王を退治してきたんだよ」
「つくのなら、ばれないような嘘をつけと習わなかったか?」
「ごめん。ルイスなら騙せると思った」
「それも面白い嘘か冗談か?」
ルイスの声に殺気が篭り、見事に険悪になっていく雰囲気。
その空気に1人の声が割って入った。
「私を無視して喧嘩なんていい度胸ね。ルイス、イリーナ?」
その声に2人がはっとして振り向く。
そこには笑顔を浮かべた若い女性の顔があった。
しかしその笑顔の目に冷たい吹雪を見つけた途端、イリーナから全身の血が引いていった。
「いや、マスターこれはですね、発声練習というかなんと言うか……すいません」
「よろしい」
女性は満足したように頷くと、ギルドを統べるにふさわしい真面目な表情に戻った。
次に机の引き出しから1枚の用紙とペンを取り出し、2人に突きつけた。
「これは?」
「サインよろしく」
「え、なんでしょーかこれ」
「決まってるじゃない。依頼の証明サインよ」
若いギルドマスターは例の笑顔を浮かべ、イリーナの薄い胸にぐいぐいと押し付ける。
「ご冗談を。昨日行ってきたばかりじゃないですかー」
「黙れ。こっちはこっちで依頼が大量で大変なんだよ。他のメンバーは依頼から帰ってこないし暇なお前ら2人が行け」
「俺はこの女とは組まん」
これにルイスも加わり、女性の表情は次第に笑顔から苛立ちへと変わっていく。
この微妙な変化に気づくことのない2人は次々と不満の嵐をぶつけていく。
「ヤダヤダ。ルイスヤダ」
「それよりもっと興味を惹く依頼を用意しろ」
遂に女性の眉間が痙攣を始める。
それはもう止めようがないほど加速していく。
日々のストレスが苛立ちを呼び、苛立ちが怒りを呼び、怒りがさらに怒りを呼ぶ。
その異変にイリーナが気づいた頃には、何もかもが手遅れだった。


「私、イリーナ・イェルリンはこの依頼を受け、必ずや成し遂げることを誓います」
「……以下同文」
事務所机に置かれた用紙に、イリーナとルイスは証明書のサインを書いていた。
イリーナは書き終えた用紙を持ち上げると、ギルドマスターの女性に手渡した。
「なあルイス、妄想だか幻想だか夢だかをそうだと証明するにはどうすればいい?」
「さあな。だが人間の脳は便利に作られている。悪い記憶は次第に忘れるようにな。それに期待するしかない」
「うるさいぞ、そこ」
イリーナとルイスが小声で話すのを女性が指摘する。
それからイリーナに紙やら何やらを渡した。
「はいこれ。ここに書いてある場所にいる依頼人に渡してね」
「了解。ちなみに、依頼の内容は何なんですか?」
イリーナの疑問に、女性は素っ気なく答えた。
「ああ、確か出没した野生のウルフマン退治よ」
「それってかなりマズいんじゃ……」
「だからアンタら2人に頼んだのよ。単体でもいけるだろうけど、2人なら余裕でしょ」
「そりゃ、まあ……」
納得のいかないイリーナに、女性が付け加えた。
「我等バトンギルド、そしてこのアメリア・バトンに恥の無い働きをしなさいね」
「分かりましたよ」
おどけたような仕草をし、イリーナは早速準備に取り掛かるために出口へ向かう。
「俺も1度人狼とは戦ってみたいと思っていたところだ」
碧色の双眸を輝かし、踊るような足取りでルイスも退室した。
そんな2人の様子を、若きギルドマスター、アメリアは穏やかな瞳で見送った。

328柚子:2008/02/12(火) 22:43:05 ID:xH9APUBo0
古都ブルネンシュティグのとある一軒家。
イリーナはその古びた建物の扉を勢い良く開いた。
薬品臭が漂うその中で、1人の老女が薬品の入った瓶を整理していた。
そこは薬屋だった。
「ようババア。買いに来てやったぞ」
「何じゃ糞餓鬼か。また依頼でも受けたのかい?」
老女はイリーナが次々と注文する品物を手際よく袋に詰めていく。
「まあね。えっとあとはヒールポーションを5つに……」
「知っとるかいイリーナ。最近影で軍が動いているらしいよ。お前らみたいなはぐれ者は気をつけるんだね」
老女がイリーナの目を覗き込む。
このような場所は様々な人種が出入りする。その中には当然イリーナのような者もたくさんいるのだ。
そのため、ここは情報の溜り場となっている。
「そんなのに手を突っ込むかよ。私達一般人は知らない振りが1番だよ。
  バアさんこそ気をつけろよ。その内体が謎の化学反応起こして急死しそうだし」
「相変わらず口の減らない餓鬼だね」
老女は呆れたように言うと、瓶を詰めた袋をイリーナの前に置いた。
イリーナはそれを担ぐと、財布から金貨や銀貨を抜き取り代金を支払う。
「ま、助言はありがたく受け取っておくよ」
イリーナはそう言うと出口へ向かった。

イリーナは店から出ると、待たせていたルイスを探した。
……居た。
美しい青空のように鮮明な蒼髪。薬屋の壁に背を預け、イリーナの帰りを待っている。
傍らに女を添えて。
イリーナはその女に見覚えがあった。確かここに勤めているドロシーという名の娘だったか。
「あ、あの……ルイスさん、これ、よかったら……」
言葉も切れ切れに、ドロシーはルイスに赤い液体の入った瓶を差し出した。
「ま、万が一お怪我をなさったときに……」
「ああ」
オロオロするドロシーの手からルイスがそれを受け取る。
ルイスに受け取ってもらったことで、歓喜と照れが入り混じったような表情でドロシーは俯く。
続く言葉は無く、長い沈黙が流れる。
「おいルイス。朝からイチャイチャすんな、気持ち悪い」
「ひゃっ!?」
可愛らしい声を上げて、ドロシーが跳ね上がる。
「えっと、これは、ち、違……」
顔を真っ赤に染め上げ、必死に弁解しようとするドロシーを無視し、イリーナは続ける。
「準備できたしもう行くぞ。それと無駄に女に貢がせるな。返しておけ」
「そうか、すまなかった」
ルイスは受け取った瓶をドロシーに返すと、背を壁から離しイリーナの方へ向かった。
そしてイリーナが展開したカーペットの後部へ乗り込む。
その瞬間カーペットの浮力が上昇し、弾丸のように発進する。
「あ、えっと、あれ……?」
瓶を握りながら、ドロシーだけが1人残された。
「他人に嫌がらせをして鬱憤晴らしとは相変わらず最低な性格だな」
「うるさい。朝からアホみたいな依頼とアホみたいなパートナーと組まされる私の身にもなってみろ」
そう言いながらも、イリーナはいつの間にか日頃の鬱憤をそういうことで晴らしていることに気づき、内心ドロシーに謝罪しておいた。
いつからこんな性格になってしまったのか考えるが、思い浮かばなかった。
それだけ昔からの悪い癖なのだろう。
「あとは鍛冶屋のおっさんのとこだけだな」
「武器の感触が恋しい。急げイリーナ」
「まだそんなに経ってないだろ、中毒者かよ」
そう言いながらもイリーナはカーペットの推進力を上昇させた。

329柚子:2008/02/12(火) 22:44:37 ID:xH9APUBo0
しばらく走行すると見えてくる、巨大で高い煙突から出るいかにも環境に悪そうな煙。
その真下に小さな建物が建てられていた。
イリーナはカーペットを扉の前に停めると、入口に向かって呼び掛けた。
「おーい、おっさん生きてるかー?」
しばらくして返事が返ってくる。
「死んでるよー」
「元気そうだな。行くぞルイス」
そう言いイリーナ達は建物に入る。
中では様々な武具が陳列していた。
武具達に紛れ、その中に禿頭が特徴的な中年男が居た。
「ようおっさん、引き取りに来たぞ」
「早くしろ」
無遠慮な2人の発言に、中年男が表情をしかめる。
「お前らの頭に感謝という言葉はどこへ行ってしまったの? まあ待っていろ」
そう言うと中年男は奥へと続く部屋に消え、数分後いくつかの武器を抱えて出てきた。
「ほらよ。お待ちかねの品だ」
言い終わるより早く、真っ先にルイスが手を伸ばし、中年男が重そうに抱えていた大振りの大剣をその腕から奪い取った。
そして軽く片腕で持ち上げ、感触を確かめる。
満足したように頷くと、剣を背中のホルダーに収納した。
「お前みたいな反応してくれると仕事してるこっちも嬉しいよ。ほれ、イリーナ」
中年男が投げてよこした銀色の短槍をイリーナが受け取る。
槍の先端に填め込まれた数個の魔石がきらりと輝く。
それはルイスの大剣にも同様に1つだけ埋められていた。
「ルイスのは強度、イリーナのは魔石とのバランスを主に強化させてもらった。これで数%は効率が上がるはずだ」
「相変わらずいい仕事をするね、おっさん」
「代用の量産型には嫌気が差していたところだしな」
ルイスの言葉にイリーナも同意する。
先日、イリーナ達は依頼を受けたクエストを終わらせた後、ついでに長い間大掛かりな手入れをしていなかった武器を鍛冶屋に出すことにしたのだ。
その間は代用の量産型を使っていたのだが、2人程の実力者になると量産型では武器の方がついていけないのだった。
「ルイスはいいんだが、イリーナ、お前もっと武器を大切にしろよ。手入れに手を抜きすぎだ」
「分かったよ。それともう1つのはどうだ?」
「ああ、これか」
そう言って中年男は小型の剣をイリーナに渡した。
それは刀身が非常に細く、尖端が鋭くとがったレイピアと呼ばれる剣だ。
但し魔石が大量に填め込まれており、剣と呼ぶより杖と呼ぶ方がふさわしい。
イリーナは魔導師だった。
先ほどの短槍も、イリーナにしてみれば槍というより杖なのであった。
「刀身が微妙に曲がっていた。直すのに苦労したが今では真っ直ぐだぞ」
「悪いね」
イリーナはレイピアを腰に納め、代わりに財布を取り出す。
決して高くない金額を払うと、イリーナ達は鍛冶屋を出た。

再びカーペットに乗り込むと、2人は外の世界と繋がる門へと急いだ。
「思ったよりも時間を食ったな。予定時間に間に合うかなー」
「『私はそんな小さなことに囚われません』と言えばいい」
「ルイスらしい発想だな。でも一理ありだ」
そんな下らない会話を交していると、外へと出る門が見えてくる。
門前まで進むと、警備の兵士に止められる。
しかし、ギルドのシンボルを見せると嫌々しく通過を許可した。
ギルドという組織は認められてはいるが、中には規模が大きすぎる所もあるので国の軍との仲は好ましくない。
2人はあまり気持ちよくない視線を送られながら古都の国を出た。
古都を出るとそこは既に無法地帯だった。
剣を振るう大男もいれば、遠くでは魔法が飛び交っている。
しかし誰も全く気に留めない。
何故ならそれが当たり前の世界なのだから。
イリーナは懐から地図を取り出すと、おもむろに広げた。
「目的地は……あそこか。案外近いな。1時間もあれば着ける」
イリーナは目的地をもう1度確認すると地図をしまい、カーペットを急速発進させた。

330柚子:2008/02/12(火) 22:51:31 ID:xH9APUBo0
1時間近く走ると、目的地が見えてくる。
そこは森の中だった。
「ここからは歩くぞ」
2人はカーペットから降り、森の中に侵入する。
森の中は静寂に包まれ、外の世界と切り離されたようだった。
「なんかこう……ここだけ時代に取り残されたみたいな場所だね」
「都会よりこちらの方が落ち着く」
そう言い、ルイスはさくさくと足場の悪い森の道を進んでいく。
逆に慣れていないイリーナは小走り状態だった。
十数分歩くと見えてくる山小屋。
そこがイリーナの持つ地図に示された場所だった。
イリーナが扉を軽く2回叩くと、乾いた声が返ってくる。
暫し待つと扉が開かれる。
出てきたのは薄い白髪に細かく皺を刻んだ顔の男の老人だった。
「依頼を受けて参上した者ですが……」
「時間に来ないからもう来ないかと思ったよ。立ち話もなんなので、中へ」
老人に促されてイリーナ達は用意された椅子に腰を下ろした。
老人が来客用の紅茶を差し出し、話を始めた。
「依頼の内容はご存知で?」
「ええ、確か野生のウルフマン退治だったかと。でも何故ここに?」
イリーナが問うと、老人は深いため息をついた。
「それが分からないのです。数日前からでしょうか、奴が現れたのは。実際に見たことはないのですが、
  あの鳴き声は間違いなく人狼です。奴が出てからというもの、怖くて外にも出られません」
「なるほど。それで依頼を?」
老人が頷く。
それからイリーナは依頼の詳しい内容、報酬金などの相談を始める。
老人は捕獲が1番好ましいとのことだった。
ルイスは2人の話を聞きもせず、ただぼうっと外の景色を眺めているだけだった。
「では、準備をしたら向かいます。ルイス、いつでも出られるようにしろ」
「近い」
それだけ言い、ルイスは窓の外を強く睨み付ける。
「は?」
イリーナが返した瞬間、確かに遠くで獣の雄叫びが上がった。
「こ、これです、奴です!」
「イリーナ行くぞ」
ルイスは素早く立ち上がると、立て掛けてあった大剣を掴み外へ踊り出る。
イリーナも慌てることなく立ち上がると、掛けてある緑の外套を着込み、銀の短槍を掴むと遅れて外に飛び出した。
「ルイス、どっちだ!」
「……こっちだ」
卓越した聴力を最大限に利用し、音の方へとルイスが駆けていく。
イリーナも難易度1の魔法、レビテイトを展開し、発生した浮力でルイスに続く。
2人は木の枝を掻き分けながら、均されていない獣道を進む。
険しい道を抜けると、小広い空間に出る。
そこで、先に着いていたルイスが立ち止まっていた。
「そこだ」
イリーナが示された方角へ目線を走らせる。
暗い木々の奥。そこに2人を見つめる2つの輝く瞳があった。
黒茶色の毛に覆われた巨大な体躯。
しかし、その体にイリーナは疑問を持った。
「怪我しているのか……?」
「みたいだな。かなり弱っている」
眼前の人狼は疲労感に満ちていた。
しかも傷に古いものは無く、全てが新しい傷ばかりである。
「弱っている者を狩るなど俺の趣向に反するな」
「だからと言って依頼を無視するわけにはいかないだろ。構えろ、来る!」
それを隙と見たのか、人狼が2人に飛び掛る。
鋭い爪を人狼が振り抜く。
瞬間、高々しい剣戟の音が響く。
ルイスが大剣で人狼の爪を受け止めたのだ。
続けてルイスが踏み込んだ足を軸に強烈な袈裟切りを叩き込む。
人狼はそれを受け止めるが、勢いを殺し切れず大きく後退する。
その瞬間、イリーナが紡いでいた魔法が発動する。
難易度2、ファイアーボール。
5つの火の球が空中に発現し、イリーナの意思に従って人狼へと次々に殺到する!
人の顔ほどの大きさの火の球は、着弾すると激しい爆裂を起こした。
付近の枯れ木も微塵に粉砕し、砂塵が巻き上がる。
「ま、私のサポートがよかったってことで……」
爆裂音。
巻き上がる土煙を切り裂き、人狼が飛び出してきた。
「なっ」
イリーナはとっさに反応し、短槍で人狼の爪を受け止める。
しかし腕力が違いすぎて、そのまま押し倒された。
人狼は片腕でイリーナを押さえ付け、残る片腕で止めを刺そうと大きく振り上げる。
その腕が振られる瞬間、人狼の巨大な体躯が大きく横へ吹き飛ぶ。
「油断するな!」
人狼を吹き飛ばした物、それはルイスの弾丸のような蹴りだった。
蹴り1つをとっても、ルイスなどの近接職が行えばそれは殺人兵器と化す。
「ふん、感謝してあげないこともないぞ」
「貴様に感謝などされた方が気分が悪い」

331柚子:2008/02/12(火) 22:52:50 ID:xH9APUBo0
イリーナは短槍を使い立ち上がると、再び戦闘体勢に入った。
人狼はまだ倒れてはいなかった。
崩された体勢を持ち直すべく後退すると、低く構え再び必殺の機会を窺っている。
しかしそんな余裕を持たせるわけもなく、ルイスが人狼へ突進する。
同時にイリーナがファイアーボールを2重に発動、10個の火の弾丸を同時に発射する。
着弾と同時に炸裂する爆発音。それらは全て命中した。
人狼の奥にある木々に。
均衡を失った木々が傾き、人狼へと倒れこむ。
しかし危険を察知した人狼が上空へと飛翔した。
ルイスもまた飛翔しており、倒れていく木に着地、再び飛翔する。
そして交差する2つの影。
剣と爪がぶつかり合い、不協和音を奏でる。
遂に人狼が力負けし、腕ごと弾かれた。
続くもう片腕の方を放とうとする瞬間、ルイスの鋭い肘が閃き、人狼の腕に刺さる。
人狼は両腕を大きく開いた状態になっていた。
次の瞬間ルイスが難易度1の魔法、マッスルインフレーションを発動。
近接用魔法の中の1つであるそれは、身体中のあらゆる筋肉を限界まで活性化させ、さらに強化する。
腕の筋肉を倍近く膨張させたルイスが、音速をも超える高速の一撃を人狼に放つ!
反応できる筈もなく、獰猛な刃は人狼の左脇から右肩口へと走り去っていく。
それから思い出したように遅れて鮮血が噴き出した。
そして軽やかにルイスが地面に着地、一瞬の後人狼が音を立てて地面に落ちた。
「ルイスさん、捕獲ってことすっかり忘れていませんか?」
イリーナがルイスに詰め寄り、責めるような視線を投げる。
ルイスは視線をそらすと、誤魔化すように剣を一振りし血糊を払った。
「忘れてなどいない。早く帰るぞ」
「気持ち良いくらい豪快に斬ってらっしゃったけどね」
イリーナは倒れる人狼に向き直った。
人狼の胸には烈しい裂傷が刻まれており、そこから止めどなく血が噴き出している。
恐らく数時間もすれば死ぬだろう。
イリーナは胸ポケットから小さな魔石を取り出すと人狼に向けた。
「じゃあ捕獲するぞ」
魔石が光ると、中に籠められていた魔術が発動する。
人狼の真下の土が変形し、人狼を囲む檻となった。

「ただ今戻りました」
イリーナが老人の山小屋を軽くノックする。
暫しの後、扉が開かれた。
「おお、さすがは名高いギルドの隊員です! どうぞ、入って下さい」
イリーナ達は老人に促されるままに山小屋に入ると、椅子に腰を下ろした。
続くルイスが重々しい音を立て、担いでいた塊を床に置いた。
「これが証明だ」
ルイスが中に詰められている人狼に指を差した。
「では報酬へと話を移行させていいですか?」
イリーナが促すと、老人は頷いた。
「ええ、貴女方のお陰で今夜から安心して眠れそうです。受け取ってください」
そう言い、老人は金貨の入った袋をイリーナに差し出した。
イリーナが金額を確認していると、老人が口を開いた。
「あの、良かったら今日はそろそろ日が暮れますし泊まっていきませんか?」
「いえ、遠慮しておきます。迷惑をかけるわけにもいきませんから」
「そうですか……では、これからもお仕事頑張ってくださいね」
「ありがとうございます。では、そろそろ。行くぞルイス」
そう言ってイリーナが立ち上がる。
出口の扉へ手を伸ばしたところで、イリーナが足を止めた。
「ところで、あれはどうするんですか? 放っておいても数時間もすれば死にますが」
「そうですね、国にでも突きつけようと思います」
「それが良いでしょうね」
そう言ってイリーナは今度こそ山小屋を出た。
外でカーペットを展開する。
ルイスが後ろに乗り込むと、カーペットは発進した。
わざわざ外にまで見送りに来てくれた老人は、少し寂しそうだった。
「なんか悪いことしたかな」
「だからと言って世話をかけるわけにもいかないだろう」
暗い森の中をカーペットは走る。
古都へ向かって。

332柚子:2008/02/12(火) 23:06:05 ID:xH9APUBo0
初めまして、柚子と申します。

数年前はここをよくROM専で見させてもらっていましたが、最近ふとここがまた盛り上がっているのを見て、自分も書いてみようと思い立ちました。
初めは短編にする予定だったのですが、いつの間にか長くなってきたので一部を載せます。
いきなり視点が変わりすぎですいません……。
読みにくかったら申し訳ないです。
他の職人様には追いついてから感想レスを付けさせていただきます。

最後に何レスもすいません。

333◇68hJrjtY:2008/02/13(水) 00:52:56 ID:ynRtym2Q0
>ウィーナさん
いきなりの女装大会、そして優勝、そして副ギルマス…
恐ろしいほどの勢いでアルビがRS世界に突き進んでいく様子が分かります(笑)
女装大会…♂キャラが♀化したらどうなるんだろう。凄く妄想をかきたてられますね!(*゚Д゚)=3
さて、女神との出会いもそうですが、にこのギルドそしてギルメンたちのことが気になりますね。
次回予告もありがとうございます。続き楽しみにしてますね。
---
前回に私も言い忘れてしまいましたが(汗)、21Rさんの仰るとおりsage進行でお願いしますね。
sageの方法が分からない場合も>>1を読んでみてください。

>黒頭巾さん
わああああ凄い和みました(*´д`*) ファミたんかわゆす!萌える!
ファミたんの日記風味で「いけめんさん」とか「げぼくさん」とか思わず笑っちゃうかと思いきや
ラストの「ごしゅじんさまに大きなチョコレートを…」のくだりでは和む以上に感動しました。
テイマとペットの関係はやっぱりこうでなくちゃ。
ネクロでやっとテイムした骸骨君が悪魔で狩りしてばかりなので泡吹いてばかりの68hでしたorz
---
バレンタンイ企画、発動してるんですかヾ(´゚Д゜`;)ゝ
なんか調子に乗って言ってしまった感があったんですが、書き手さんたちが反応してくれたのがめちゃ嬉しいです(笑)
しかし この星のバレンタインデーは さむい。orz

>柚子さん
初めまして!元々ROM専の方がこうして執筆するようになってくれるのは私も嬉しい限りです。
ROM専でしたら今までに見たことはあるかもしれませんが改めて、68hと申します。
ギルドで依頼を受け、それをこなす。それだけでも面白そうですがこのイリーナとルイスがなかなかいいコンビですね!
丁々発止とは正にこの事。イリーナの毒舌ジョークが実に小気味良くて物語に色を添えていますね。
ウルフマンを捕獲したこの依頼…これだけで終わるのでしょうか。冒頭シーンと城のシーンも謎のままですね。
続きを楽しみにしています。

334ワイト:2008/02/13(水) 01:14:27 ID:x8Wg6fzo0
>324~332様(大変お恥ずかしいのですが、最初の漢字読めない(T∀T)スイマセン――!)

初めまして!まだまだ、新参者のワイトと言います!これからも、宜しくお願い致します!!
バトンギルドの「アメリア・バトン」というギルドの一つが、気に成ってしまいました。どうなってるんでしょうか??
そして!魔道師のイリーナと、大変仲の悪いルイスの怒りを無事に(?)に収めた、ギルドマスターの権力には圧巻ですね(・Д・;)
無事に人狼を倒せたのは良かったけれど、何か嫌な予感が募ります・・・・!続き心待ちにさせて頂きます!!

335ドワーフ:2008/02/13(水) 17:43:39 ID:AepyIIHk0
天上より地上へ赤い石が落とされる事よりも
地下より地上へ悪魔どもが溢れ出す事よりも前のこと
かつて、地下世界にはドワーフたちの一大国家が存在していた

1.
「陛下、連絡が途絶えてから84時間が経過していた西の第三砦ですが、偵察にやった斥候の報告によるとすでに陥
落したようです」
「第三砦は守りの要、あそこが破られたとなるといよいよ奴らもここに攻め込んでくる可能性が…」
「おかしいな…」
「何がですか」
「ここまで来ておいて、なぜ奴らはさっさと攻めてこない」
「それは、我らの誇る鉄壁の要塞の守りを用心してのことでは」
「だからこそだ。守りを固められる前にさっさと攻撃するのは戦場の鉄則。第三砦が破られたと把握される前に攻
めてくるはずではないか?」
「何か、そうできない理由があったのでは」
「いや違う、何か…何かを待っているんだ。そんな気がする。その斥候を呼べ。直接話を聞きたい」
「…斥候は先ほど死亡しました。外傷は見当たらなかったのですが、突然苦しみだしまして」
「何か不審な点はなかったのか?」
「奇妙な指輪を握っておりました」
「その指輪は」
「ここに…」
「ふむ……む、これは」

336ドワーフ:2008/02/13(水) 17:44:16 ID:AepyIIHk0
 カーン キーン カーン キーン カーン
 地中奥深い闇の彼方。甲高く響いてくる鉄を鍛える鎚の音。岩を砕きミスリル鉱石を掘り出すツルハシの音。
 ドベルグは目を閉じてその音に耳を傾けて笑みを浮かべた。
また、バンダカの奴は歌を歌いながらやってるな。
 鎚の音色が我らの"地下人の歌"のリズムを奏でている。
 石造りの部屋の中、小柄な老人が長椅子に横たわって寝ていた。人間の子供ほどの背丈でありながらその身体は
隆々とした筋肉に覆われており、太い丸太のような腕は彼が百の齢を数える老人であることを感じさせない。
そしてその顔の下半分を覆い隠す白髪交じりの髭は不精な彼の性格を表しているかのようだった。
 口を開いて息を吸うたびに口の中に髭が入ってくるらしく、ドベルグはしきりにぷっぷっと口を鳴らして唾を飛
ばした。そうしてまたいつものように寝ていると、弟子のゴーランが断りもなく部屋に入ってきた。
「先生、まだ寝ているんですか?鎧の納期が迫ってるんですよ。みんな頑張ってるんですから先生もお願いします
よ!」
「んぅーむ、もう少し寝かせてくれ」
 頭を長椅子から離してドベルグはぼやいた。
「受注が立て込んでいるんですよ!」
「分かった分かった。うるさいな…」
 そう言ってドベルグはよいせっと太い腰を上げた。
 いつもより早く動く気になってくれたドベルグにゴーランはほっと息をついた。
「そろそろ行くかの。眠気を覚ましてから行くからお前は先に行っとれ」
「いいえ、また二度寝しないように工房までしっかりとお供させて貰いますよ」
 ゴーランの言葉にドベルグはチッと舌打ちして部屋の奥へ歩いていった。
 鍛冶に対する熱意を買って弟子にしたが、生真面目な性格のゴーランはドベルグにとっては二日酔いとは別に頭
の痛くなる存在だった。また最近の若いドワーフの間で流行しているように、髭を剃っているのも気に食わなかっ
た。昔からドワーフにとって髭は力強さの象徴と言ってもいいものだったのに…。
「全く、最近の若造ときたら…」
 そうしてぶつぶつと内心の不満を小声で漏らしながらも、ドベルグはバシャバシャと顔に水をぶつけた。
「先生、早くしてください」
「わかっとるわい!」
―なんでこんなうるさい奴を一番弟子に取ってしまったのだろうか。
 そう思いながらドベルグは濡れた髭をそのままにゴーランのほうへ戻っていった。そして壁に立て掛けてある大
きな鎚を肩に担ぐとゴーランに一瞥もくれずにさっさと部屋を出て行ってしまった。
 部屋の外の長い廊下をしばらく行くと分厚い扉があり。ドベルグが皮の厚いごつごつした手の平で扉を押し開く
と、むせ返るような熱気が一気に顔に当たり、彼の水気を吸った濃い髭や眉毛を乾かした。
 火を絶やす事を許されぬ炉が眩く輝く灼熱の液を吐き出している。鎚が振り下ろされるたびに金属音と共に火花
が咲いた。ドワーフの栄光と誇りを支えるものがここで生み出されている。
 ドベルグはその光景に安堵にも似た愉悦を感じ、しばしぼうっと眺めていた。
「先生、みんな待ってます」
 背中からしたゴーランの声に醒まされてドベルグは分かった分かったと答えて歩き始めた。
「おい、やっと、きた、か!」
 ドベルグが傍を通ったとき、バンダカが鉄床の上で固まろうと輝くミスリルに鎚を打ちながら言った。
 バンダカはドベルグとは同期で前工房長に弟子入りした男だ。現在は工房長の座を引き継いだドベルグの下で工
員達のまとめ役となっている。
「悪いな、今日は遅刻しちまったわ」
「いつも、だろ!」
 バンダカはそう言って鎚を振り下ろした。怒ったオーガのような顔をしているが仕事の時はいつもこの表情で、
決して怒っている訳ではなかった。
「一人、無断で、休んじ、まって!、手が、足りねえ」
「何?誰が休んでるんだ」
「ジンガ、だ!」
「連絡もないのか。仕方ないな」
 ジンガは所帯持ちの工員の一人で、決して無断で休むような男ではない。きっと何か理由があるのだろう。
「先生、今は時期が時期ですしバンダカさんがおっしゃったように人手も足りません。ですから…」
「わかっとる。わしもやるわい」
 そうゴーランに答えてドベルグは自分の持ち場の方へ再び歩き出した。

337ドワーフ:2008/02/13(水) 17:45:16 ID:AepyIIHk0
2.
「お疲れ様です」
 仕事に段落を付けてようやく腰を下ろしたドベルグにゴーランはお茶と弁当を持ってきた。
「む、気が利くな」
「いえ、お嬢さんが持ってきてくれたんです。ほら、僕の分まで」
 それを聞いてドベルグの丸い瞳がぎょろりとゴーランを睨んだ。
「わしが食う」
「はい、こちらが先生の分です」
「違う!そっちもだ」
「え…」
「わしは今無性に腹が減っとるんじゃ。悪いか!」
「でも、僕の分は…」
 ゴーランがそう言いかけた所でドベルグの有無を言わさぬ無言の圧力が彼の発言を封じ込めた。
「どうぞ…」
「ふん」
 鼻息荒く弁当箱の蓋を開けると、ドベルグの目じりがぴくっと動いた。
―なんで、わしの弁当よりもこいつのの方が良い物入ってるんだ?
「おい」
「なんでしょうか」
 ゴーランが目を逸らしたまま答えた。
「中身が違うぞ」
「そうなんですか?いやぁお嬢さんもマメな方ですから。私達の好物を把握して分けてくださったんでしょう」
「わしは別にコボルト肉は好物じゃないぞ」
「そうでしたか?いや、でしたら何ででしょうね……」
 気まずい沈黙が二人の周囲を包んだ。食堂に行かずにまだ工房に残っている工員達が何か談笑していたが、その
声も二人の雰囲気に阻まれて届かなかった。
「こっちを向かんかぁ!」
「はいぃ!」
 ドベルグはゴーランの顔を正面からじっと睨みつけた。
 確かに真面目だし、仕事も人間関係も丁寧にこなす好青年と言えるだろう。だが…
「こんな髭も伸ばさん若造のどこがいいんじゃ」
「せ、先生、僕はまだお嬢さんと正式にお付き合いしているわけじゃ…」
「なぁにぃ?なら遊びだと……?」
「とんでもない!いや、出来れば交際したいなと思ってますが」
「思ってるが、なんだ?」
「その…」
「わしか?」
「いえ…」
「わしが邪魔か?」
「そんなこと…」
「出て行けぇ!」
「はいい!」
 身を机の上に乗り出して飛び出したドベルグの一喝にゴーランは慌てて工房から走り出て行った。それを見送っ
てからドベルグは椅子に座り直すと食事を始めた。そして一言ぼやいた。
「根性なしめが」

338ドワーフ:2008/02/13(水) 17:46:01 ID:AepyIIHk0
3.
 工員達を帰らせて、ドベルグは工場内の自室に引き返そうとしていた。まだやらなければならない仕事が多く残
っていたが、残業しようとしていた者たちはもう帰らせた。自室へ続く廊下と工房を隔てる重い扉を開こうとして
いたとき、後ろから声がかかった。
「先生」
「なんじゃ、まだおったのか」
 昼休みからずっと口数の少なかったゴーランだった。
「昼に言い忘れていたことがあるんです。お嬢さんからの言伝で、たまには家に帰ってください」
「そんなことか」
 そう言ってドベルグは扉に手をかけた。
「そんなことって、先生はもうずっと家に帰ってないじゃないですか。毎晩何を作っているのですか!?」
 ドベルグの手が止まった。
「このところ悪魔どもが活発な動きを見せているそうです。そのせいで方々の工房に武具調達のお達しが出ていま
す。どこの工房も昼夜を問わず働き続けているのに、みんなを帰らせてまでして一人で何を作っておられるのです
か?」
「ただのミスリルコートだ」
「分かっています。でもそれだけじゃないはずです」
 ゴーランの言葉にドベルゴは振り返った。その目は大きく見開いていた。
「中身を見たのか」
「はい」
 ドベルグの驚きの顔とは対照的に、ゴーランの表情は冷静だった。
「あのミスリルコートに、一体なにがあるのですか。誰に納めているのですか」
 ゴーランのその言葉にドベルグは安心した。
―よかった。気づかれてはいない。
 ドベルグはゴーランから目線を外し、扉のほうへ向き直ると背中越しに言った。
「気にするな。ただ金持ちの道楽に付き合ってやってるだけだ。さっさと帰れ」
「………そうですか」
 ゴーランはそう言ったが、声はちっとも諦めたような感じではなかった。その証拠に彼はドベルグの背後を動こ
うとしない。
「仕方ないな。ついて来い」
 ドベルグはゴーランを扉の中へ招いた。

339ドワーフ:2008/02/13(水) 17:46:40 ID:AepyIIHk0
 ドベルグの工房の奥、そこは長い間弟子として付き添ってきたゴーランがまだ入ったことのない場所だった。ド
ベルグの部屋の前を素通りし、突き当りと思われた場所の隠し扉を抜けた所にそこはあった。
 ドーム型にくりぬかれた空間の中、無数の剣が地面からつき立てられた奇妙な部屋だった。どれも同じ形状の剣
で、大剣と片手剣の中間くらいの大きさのだった。
「ここは?」
 きょろきょろと部屋の中を見回すゴーランを尻目に、ドベルグはつかつかと剣の群れの中を歩いていった。ゴー
ランは辺りの剣に気をつけつつ、ドベルグの後ろを追いかけた。
「見ての通り、“剣の間”と呼ばれる部屋だ」
「剣の間…」
―見たままの名前だけど、この剣の意味はなんなのだろう。
 そう思い、ゴーランが近くの剣に目を落とすと剣の表面に何やら細かい彫りこみがあった。何かと思いしゃがん
で目を凝らしていると、ドベルグが呼んだ。
「おい、こっちだ」
「あ、はい」
「見ろ」
 ゴーランが急いで寄っていくと、ドベルグが今しがた引き抜いたらしい剣を差し出してきた。
 ゴーランは剣を受けとると、さっき気になった彫りこみの辺りに目をやった。それは模様などではなく、字だっ
た。それも人の名前だ。どの名前も同一の筆跡は一つもなく、人物名がただ縦に書き連ねられているだけだった。
そして一番新しく彫られたらしい一番下の名前はドベルグだった。
「これは…」
「分かるか。ここにある剣の群れは代々この工房を受け継いだ者たちの系譜だ」
「お前は真面目だし、腕もかなりのものだとわしも思う。それに、わしもそろそろ歳だしのぅ」
「では、もしかして…」
「だが、まだ駄目だ」
 予想していた言葉とのあまりの落差にゴーランは呆けたように口をぽかんと開けた。その顔を指差してドベルグ
は笑い出した。
「ぶはははははは!」
 大声で笑い出したドベルグにゴーランは怒った。
「からかったんですか!?」
「いひひ、お前みたいな若造と交代するほどわしはまだ老いぼれてはおらんよ」
「もう、趣味の悪い…」
「ひゃひゃ、まあそう怒るな。全部嘘というわけではないぞ。ただお前が儀式を通過せん限り跡目は譲れん」
「儀式?」
「そう、この剣に名を連ねる者達がやり遂げてきた試練とも言えるものかのう」
「それは一体…」
「その方法は自分で探せ」
「え…」
「探し、見つけ、達成する。この三つ全て含めて儀式だ」
「そんな無茶な!」
 ゴーランは声を荒げた。
「無茶ではない。皆やり遂げてきたのだ。それに全くノーヒントという訳でもない」
「ではヒントは…?」
「もう出ておるよ」
「ええ?」
 間抜けな声を出したゴーランにドベルグはにやりとした。
「むっふふ、全く勘の鈍い奴じゃのう。仕方ない、第二ヒントじゃ」
 突っ立っているゴーランの手から剣を取り上げてドベルグは言った。
「バンダカに聞け」
「バンダカさんに?」
「そうじゃ。奴に今日のことを話すがいい。それで分からなければ貴様にわしの跡を継ぐことは出来ん。諦めて他
の兄弟弟子に道を譲ることにじゃ」
「そんな…」
 困惑した表情で立ち尽くしているゴーランの前でドベルグは剣を地面に戻した。
「隠し扉の開け方は教えておいてやろう。好きなときにここに来て考えるがいい」

 工房からの帰り道、ゴーランは儀式について考えていた。考えていたが、いくら考えても分からなかった。
 既に出したという第一ヒント自体も分からないのにどうすればいいのだろうか。とりあえず今日は諦めて明日バ
ンダカが教えてくれるという第二ヒントに賭けるしかない。
 そう思索が至ったとき、ふとあることに気づいた。
「うまく誤魔化された」

340ドワーフ:2008/02/13(水) 17:47:40 ID:AepyIIHk0
4.
 いつも通り朝早く工房に顔を出したゴーランは、軽く工房内の清掃と仕事の準備を始めた。人気のない工房の中
で、ゴーランともう一人バンダカだけがいた。
 バンダカは毎朝誰よりも早く工房へ来ては、炉を数時間かけて温めている。通常はバンダカがやるような仕事で
はないのだが、本人の強い希望によって任されている。
 ゴーランはふいごを動かしながらじっと火を見つめているバンダカに声をかけた。
ーきっとからかわれただけ。先生と話を合わせてるに違いない。笑われるだけだろうけど、一応聞いてみよう。
「あの、ちょっといいですか?」
「なんだね。いまちょっと目が離せないんだ」
「剣の間のことなんですが」
 ゴーランの言葉にバンダカは離せないはずの目を向けた。それでもふいごの手は休めなかった。
「行ったのか。あそこに」
「え、ええ」
「そうか、まあそろそろだろうとは思ってたよ。むしろ遅いくらいだ」
 バンダカはそう言って目を炉に戻した。バンダカの反応にゴーランは驚いて聞いた。
「その、本当なんですか?」
「何が」
「儀式というのは」
「ああ、本当だよ」
―嘘じゃなかったのか。
「まあ、あいつの事だしな。信じられないのも無理ないか」
「いえ、別に信用してなかったわけじゃ…」
「ははは。で、あいつに何と言われたんだね?」
「ヒントは、バンダカさんに聞けば分かると」
 ゴーランの言葉にバンダカはふうむっと唸った。その間も火からは決して目を離さなかった。
「実は、俺も剣の間に入ったことがあるんだ」
「そうなんですか」
「ああ、言っておくがあそこは関係者以外立ち入り禁止だから他人に話しちゃ駄目だぞ。工房内であの場所を知っ
ているのは君を含めて俺とドベルグだけだ」
―そんなこと一言も聞いてませんよ先生…。他の人に相談しなくて良かった。
「それでだ、俺とドベルグは師匠に連れられて一緒に剣の間に入った。そして君がドベルグに言われた事と同じ事
を言われた。それは当時のドベルグには出来て俺には出来ないことだった」
「先生に出来て、バンダカさんに出来なかったこと?」
「あいつも内心では君を後継者にと考えているんだろうけど、君は俺に似ているから不安なんだろう」
「…………」
 すっかり黙り込んでしまったゴーランをバンダカはちらっと見て言った。
「なに、答えさえ分かれば何もたいした事じゃあないんだ」
 そう言われても、ゴーランの頭の中は混乱するだけだった。
 バンダカは炉から離れると頭を抱えて悩んでいるゴーランに近寄り、そして彼の肩に手を置いた。
「不安にさせる事を言ってしまって済まない。だが、君がこの工房でドベルグの下で積み重ねてきた研鑽の日々を
思い返してくれ。それらは君にとって決して無駄なものではなかったはずだ」
「…………」
「『自負なき者は、職人にあらず』師匠が言っていた言葉だ。よく胸に留めておきたまえ」
「自負なき者は、職人にあらず…」
 鸚鵡返しにつぶやいたゴーランに、バンダカの目が笑った。
「さあ、そろそろ皆が来る。仕事を始めよう」

341ドワーフ:2008/02/13(水) 17:48:13 ID:AepyIIHk0
5.
 いつも通り重役出勤のドベルグを起こし、ゴーランはドベルグと共に仕事に入った。
 ドベルグの仕事の特筆すべき点は何と言っても彫金細工による芸の細かさと、武具に込める魔法技術の高さだっ
た。これは他のただ量産するだけの工房では真似できないものだった。
「ゴーラン、わしらの使うこの技術は元はと言えば昔地上の人間達からもたらされ、それをわしらが独自に改良を
重ねたものだ。だが今、わしらは地上との交流を絶っておる。何故かわかるか?」
 鎧に細工を施しながらドベルグは言った。そしてゴーランの答えを待つまでもなく自分から答えを言った。
「奴らは天上から来た天使だとかいう連中を信じ、奴らにひれ伏したからだ。神の使いだとかいうホラ話を間に受
けて、言われるがままにヘンテコな建物まで建ててな!」
「作り物の翼を付けたただのホラ吹きの姿を石に堀り、頭を下げてぶつぶつと祈る始末だ」
「だからわしらは彼らとの交流を絶った。だが理由はそれだけではないんじゃ」
「あいつらは愚直にただ道を誤っただけなんじゃ。愚かな連中じゃがわしらの友人じゃ。地上の友人を守るために
わしらは地上への扉を閉じたのじゃ」
 それはほとんど独り言のような状態だった。当のゴーランは儀式の事とドベルグが毎晩作っているものとの二つ
の謎のせいでドベルグの言葉がほとんど聞こえていなかった。
 そんな状態で仕事をしていると、「おい、何をしている!」と怒鳴り声がしてゴーランはびくりとした。気づか
ないうちにヘマをしてドベルグに怒鳴られたと思った。
 だが違った。騒ぎは完成した製品が置かれている倉庫のほうで起こった。
 どやどやと人が集まっていく、何者かが侵入して製品を盗もうとしたようだった。
「おいどけ!わしに道を開けんか!」
 ドベルグもみんなに続いてどかどかと走り寄っていった。ゴーランもその後に続いた。
 人ごみを押しのけていくと、犯人の顔がようやく見えた。
 倉庫からふらふらと出てきたのは、見知った顔だった。昨日無断欠勤していたジンガだ。血走った目で脇にミス
リルコートを抱え、その手には血のついた剣が握られていた。最初に発見した工員と思われる男がすぐ傍で腹を押
さえて倒れている。
「どけ!どかないと殺す!」
 泣いているらしく、声が裏返っていた。今朝ドベルグに無断欠勤を詫びにきたときの平静さは欠片も感じられな
かった。
「ジンガ、一体どうしたというんじゃ」
「うるさい!どけぇ!」
 ジンガは剣を振り回し出口に向かって突っ走った。出口側に居たドワーフたちは慌てて道を開けた。
「よせ、行かせろ」
 ドベルグが言った。ゴーランが横を見るとバンダカが鎚を手にジンガを追いかけようとしていた。
「しかし……」
「いくら逃げたところでわしらの王国に逃げ場はあるまい。それよりも衛兵に連絡じゃ!ゴーラン、怪我人の応急
手当てをせい」

342ドワーフ:2008/02/13(水) 17:49:04 ID:AepyIIHk0
6.
 ドベルグの言った通り、ジンガはすぐに捕まった。元より王国の外は悪魔達がいる為に行く場所などないし、地
底のドワーフの王国は言わば巨大な袋小路であった。
 だが、ジンガは捕まっても奪われたあのミスリルコートは帰ってこなかった。
 確かあのミスリルコートはドベルグが毎晩作っていたものだ。引き取り先の書かれていない木箱に入っていたの
をゴーランは無断で見たことがあった。引き取り先不明のミスリルコートはどこに消えたのだろうか。
 その日は衛兵たちの検分のために工房は作業を停止せざるを得なかった。工員たち一人一人に取調べが行われた
が、一番長かったのはドベルグだった。
 ゴーランにはドベルグがどんな質問をされたのか分からないが、おそらく奪われたミスリルコートについての質
問だろう。誰に対して作っていたのか。何故あの鎧が盗まれたのか。
 ゴーランが部屋の外でドベルグを待っていると、ようやくドベルグが部屋から出てきた。その顔は少し疲れてい
るようだった。
「先生、大丈夫ですか」
「平気じゃ、それよりもゴーラン」
「なんですか」
「儀式の謎は解けたか」
「いえ…まだです」
「そうか…もしかしたら、あまり時間はないのかもしれん。出来るだけ早くな…」
「時間がないって、どういうことですか?」
 聞き返すゴーランを脇に押しのけて、ドベルグは通路を一人でどかどかと歩いていった。

 ゴーランは帰り道の商店街を歩きながら考えた。時間が無いとは何のことなのか。
 ドベルグの老い先が短いということだろうか。いや、いくら老体とは言えまだまだ衰えを知らないあの人物にそ
れはありえないと思った。
 では、早急に自分に跡を継がせなければならない理由があったのか。それがあのミスリルコートの件と関連して
いるとすれば、あの晩ドベルグがゴーランを剣の間に入れたことも説明が付く。誤魔化したのではなく、関係があ
るからこそ儀式の話をした。そして今急げと言ったのはミスリルコートを奪われてしまったから…。そうだとする
と、一刻も早く儀式の謎を解明しなければならなかった。
 そう思い工房へ引き返そうと来た道を戻り始めたとき、声がかかった。
「あら、ゴーラン様じゃありませんか」
 その声にゴーランはどきりとした。声の主は自分からゴーランの方へ近寄ってきて、ゴーランの前で止まると軽
く会釈した。ドベルグの娘ノーラだった。丸い鼻がチャーミングな可愛らしい女性である。
「今日はもうお仕事は終わりですか?」
「え、ええ。ちょっとゴタゴタがありまして、今日はもう工房は閉まってますよ」
「そうでしたか。父にお弁当を届けようと思ってたのですが、さきほど行きましたら閉まっていたので…あのう、
父は大丈夫なのでしょうか?」
「と言いますと?」
「門の辺りに衛兵さんが立って見張ってました。あんなこと今まで一度もありませんでしたもの」
「心配要りませんよ。ちょっと泥棒が入り込んだだけでして、先生は無事です。犯人ももう捕まりましたし」
「そうですか。あの、父は工房で何を作っているのですか?」
「鎧に決まっているじゃありませんか」
「いえ、その…」
「どうしたのですか」
「閉鎖しているはずの工房に、父が居ると思うのです」
「家に帰っていないのですか」
「ええ、ですからお弁当をと…」
 おかしい事だった。王国からのお達しで現場維持のために閉鎖されたはずの工房に衛兵以外の誰かが居ていい訳
がない。
「きっと、どこかで遊んでいるのですよ。すぐに帰ってくるはずです」
「そうですか。ならいいのですが…」
「そう心配なさらないでください。先生を見つけたら、すぐに帰るように言いますから」
「はい、ありがとうございます。ゴーラン様」

343ドワーフ:2008/02/13(水) 17:50:12 ID:AepyIIHk0
 ノーラと別れてからゴーランは再び工房へ向かった。
 剣の間に行けば何かヒントがあるかもしれないと思ったのもあるが、それよりもノーラが言っていた事が気にか
かった。ドベルグがもし今も工房に居て帰っていないとすれば、いまも工房であのミスリルコートを製作している
のだろうか。衛兵に見張られながら、いや、守られながら。
 ゴーランの中である考えが浮上してきていた。決して表に出せないミスリルコートの取引相手、それは王国の衛
兵をも動かして守るよう命じることの出来る人物。
 だがそう考えると余計に分からなくなった。そんな大物がなぜミスリルコートなどを大量に欲しがるのか。それ
も秘密裏に…。
「旦那、指輪買いませンか?」
 唐突に脇から出てきた声にゴーランは一瞬それが自分にかけられたものだとは気づかなかった。
「僕に言ってるのかい?」
「そウ、あンただよあンた」
 それはゴーランよりも背の低い老人のようだった。ローブを頭からかぶって顔を隠し、爪の伸びきった細い指を
ぶるぶる動かして、小さな手のひらの中の指輪を転がした。
 カッパー製のシンプルな指輪のようだったが、不思議なことにキラキラと銅にない眩い輝きをしていた。その輝
きはゆらゆらと揺れて妖しい得体の知れない魅力を放っていた。
「ちょっと今急いでいるんだ」
「まァま、彼女に持って行っておやり。きっと喜ぶヨぉ」
妙なアクセントの喋り方で老人はゴーランに売りつけようと必死のようだった。
「はは、彼女だって?」
「さっき、話してたご婦人はちがウンですカぁ?旦那、鼻の下伸ばしてらっしゃったじゃないですカぁ」
「見てたのか…」
「ヒヒ、商売になりそうなンだもの」
 下卑た笑いを溢す老人に気味悪い感じを覚えながらも、ゴーランは老人の持つ指輪に不思議と惹かれていた。
―もしかしたら、これで先生のことで悩んでいるお嬢さんを少しは元気付けられるかもしれない。
「分かった、でも値段によるな」
「これでどウ?」
老人の指が“2”を示した。
「2万か、高いな…」
「いンや、200だよ。お買い得ゥ」
「200?紛い物じゃないのか?」
「いやいや、正真正銘の掘り出しもの。旦那は目が利くでしょウ?自分の目で見たものを信じラリないのカい?」
 余りの安さに逆に驚いてしまったが、指輪が魅力的なものであることには変わりなかった。むしろ都合いいこと
だった。
「ヒヒ。ありがとウ!ありがとウ!」
 老人はゴーランから金を受け取ると指輪を握らせるように渡して跳ねるようにさっさと去ってしまった。
 小さくなっていく老人の背中をしばらくぼんやりと見送ってから、ゴーランが手の平見るとそこに指輪はなかっ
た。

7.
 誰も居ない静かな工房の中、ドベルグは完成した最後のミスリルコートを前にして座り込んでいた。
 聞いた話では、やはりジンガは脅されていた。
―どこまでも卑劣な奴らだ。
 ドベルグはミスリルの神秘的な輝きに目を細めた。
―ジンガが持ち出したあれが奴らの手に渡ったという事は、もう奴らにはこちらの手は把握されてしまっているか
も知れない。ゴーランの奴は惜しいが、間に合わなければ見捨てるしかあるまい。
 この仕事はロインが己の命を捨てる覚悟でドベルグに直接依頼してきたもの。決して誰にも話すことはできなか
った。
―ノーラ、わしにはお前を守ることはできん。だが、これも全てのドワーフの命運のためなんじゃ…。
「通してください!先生がいるはずなんです!」
「帰れと言っているだろうが!」
 外から騒がしい声が響いてきた。何事かとドベルグが扉を少し開けて隙間から外を覗くと、門の前で衛兵とゴー
ランが揉めていた。
―ようやく来たか。 
 ドベルグは扉を開けて、愛弟子の前に姿を現した。

344ドワーフ:2008/02/13(水) 17:50:59 ID:AepyIIHk0
 ゴーランは工房の中に招き入れられると、椅子に座って考え込んでいた。
 答えがまだ分からないことにドベルグは落胆した様子だったが、考えをまとめる時間をくれるように言うとあっ
さりと認めてくれた。急ぐ必要はなくなったのか、それとももう手遅れなのかもしれない。それでもゴーランは必
死に今まであったことを頭の中で整理した。
―たぶん、第一ヒントは自分を剣の間に招きいれたことだと思う。
 あの場所が代々工房を受け継ぐ者と、その弟子のみが入れるのだとすれば儀式にはきっとあの場所が不可欠なの
だろう。
―そして、第二のヒントは先生に出来て、バンダカさんには出来なかったということ。
 二人の違いはなんだったのか。ドベルグが豪胆でいい加減な人間であるとすれば、バンダカは繊細で実直な人物
だろう。正反対な二人だが、仕事振りに大きな差があるとは思えなかった。先代の工房長も迷った末に二人ともを
剣の間に入れたのではないだろうか。二人の仕事に差がないとすると、彼らの明暗を分けたのは二人の性格による
ものだったのではないか。
 ドベルグの大胆さが可能にし、バンダカがその繊細ゆえに出来なかったこと…。
『自負なき者は、職人にあらず』
 バンダカの言っていたことが頭の中で再生された。
―まさか。
「先生、あの剣を取ってきてもよろしいですか?」
 ゴーランの言葉にドベルグはにやりとした。
「わざわざ行かずとも、ここにあるわ」
 ガタガタと音を立てて隠してあった箱から剣の間の、あのドベルグの名が刻まれた剣を引っ張り出した。
「先生、僕は思い違いをしていました」
 そう言ってゴーランは剣を受け取ると、目の前の机の上に置いた。
「跡を継ぐ資格を認められて初めてこれに名を連ねることが出来ると思っていました。でも、実はとっくに認めて
下さっていたんですね」
 ゴーランは剣に向かって手を動かした。
「剣の間に入れたこと、あれ自体が跡を継ぐことを認めた証だったんでしょう?」
「ふむ」
 ドベルグは満足そうに笑みを浮かべている。
「そして、弟子はそれに自負を以って応える…」
「その通りじゃ」
「出来ました」
 ゴーランがそう言って剣から離れると、ドベルグは剣を持ち上げて自分の名前の下に彫りこまれた弟子の名を眺
めた。
「本当ならもっと早くお前に引き継がせてやりたかったんじゃが、あれを作るのに忙しくてな」
 そう言ってミスリルコートを親指で示した。
「全く、お前は時間をかけ過ぎじゃ。人をやきもきさせおって」
「すいません」
「がははは、まぁよいわ。答えさえ分かれば何ということもなかったろう。要は積み重ねてきた日々に確固たる自
信を持っておればよいのだからな。バンダカの奴にこれが出来なかったのは、奴は自分の中で『まだ自分は未熟か
もしれない』と自分の腕を疑ってしまったからだ」
 笑うドベルグの顔を見ながら、ゴーランは答えがあっていたことの安堵と達成感を実感していた。だが、もう一
つの謎がまだ残されていた。
「ところで」
「ん?」
「跡を継いだからには教えて下さるんですよね。あのミスリルコートのことを」
「ああ、そうじゃったな。まず事の起こりは3ヶ月ほど前からじゃ」

 西の第三砦が破られ、悪魔の勢力はすでに王国のすぐ傍まできていた。
 偵察から帰ってきた斥候は謎の指輪を手に握ったまま変死した。その指輪を国王が手にしたとき指輪は王の手に
吸い付くように張り付いて、そして手の中に侵入した。それは悪魔どもが作り出した対ドワーフ専用の呪いの指輪
であった。
 オルク征伐で勇名を馳せたロイン王といえど、悪魔どもの卑劣な呪いの前には無力だった。人質となる事を嫌っ
たロイン王は、急遽として王子を即位させて自身は退位することを選んだ。だが、このことは国民にはまだ公表さ
れていない。ただ民を混乱させるだけで、そこをさらに悪魔につけこまれるかもしれなかったからだ。
 だが、時すでに遅かった。王国の内部に悪魔どもの手先がすでに侵入しており、触れた者の体内に侵入して命を
握る指輪は方々にばら撒かれてしまった。道に落ちていたり、あるいは物のなかに紛れ込んでいたり、まだ触って
いない者には悪魔のほうから寄ってきて直接触らせたりした。

345ドワーフ:2008/02/13(水) 17:52:45 ID:AepyIIHk0
 俄かには信じられない話にゴーランは体を震わせた。
―あの老人が売っていた指輪だ。あの指輪は騙されたから無かったんじゃなくて、僕の体内に入ったから消えてい
たのか。
「国民のほとんどはもう指輪の支配下にある。あとは悪魔どもが乗り込んできてわしらを奴隷のようにこき使うこ
とだろう。そう、ジンガのように…」
「ジンガさん…」
「奴は所帯持ちだったからな。嫁を指輪に殺されて、子供の命を盾に脅されたらしい。奴自信も取調べ中に殺され
てしまった」
 ゴーランは自然と手を力いっぱいに握りこんでいた。
―許せない。そんな人の命を弄ぶような奴らがもうすぐここに乗り込んでくるなんて…。
「ジンガさんは、なぜあのミスリルコートを?」
「あのミスリルコートはただのミスリルコートではない。地上の友人たちと、地下の我々の友情の集大成よ。ゴー
ラン、お前は月を知っているか?」
「月?」
「そうだ、地上の夜空に輝く大きな宝石じゃ」
「それがどうかしたのですか」
 ドベルグはゴーランの返事に大きくため息をついた。
「全くロマンのない奴じゃのう。お前の“大きい”はせいぜいこのくらいのもんじゃろう。それよりもも〜〜〜〜
っとずぅ〜〜〜っとでっかいんじゃ!あれを見たとき、わしは初めてミスリル鉱石の精錬を許されたときよりも感
動したもんじゃ」
 ドベルグが体を大きく動かして感動を伝えようとしているが、ゴーランにはいまいちピンときていなかった。
「それが一体どう関係があるのですか」
「まぁったく、これからお前はその月を見に行くのじゃ」
「え?」
「このミスリルコート、いやムーンライトストーカーは月明かりを浴びて神秘の力を持ったミスリルを鍛えて作ら
れた鎧じゃ。悪魔どもの呪いの力を跳ね除けることのできる唯一の鎧にしてこのドベルグ生涯最高の傑作よ」
「では、この鎧で悪魔と最後の決戦を?」
「違う。月を見に行くと言っただろう。この鎧は大量に作ることなど出来んからな。お前は今からこの鎧を着て陛
下たちと共に地上へ脱出するんじゃ」
「皆を見捨ててですか!?」
 ゴーランが声を荒げて叫んだ。その剣幕に一歩も引かずドベルグが切り返した。
「お前一人の力で何が出来る!いいか、今大事なのは王国滅亡という危機を避けることだ。お前だけでも生き残れ
ばドワーフは滅びん!お前はこれから地上の友人に会って助けを求めるんじゃ。そしてわしらを悪魔どもの呪縛か
ら解放するのじゃ」
 ドベルグはゴーランに思い切り顔を近づけて怒鳴った。顔を離すとドベルグの表情はいつになく穏やかなものに
なっていた。
「よいか、お前はこのムーンライトストーカーを着て王宮へ向かえ。この本も忘れずにな」
 そう言ってムーンライトストーカーと分厚い一冊の本を手渡した。
「これは?」
「この工房で代々受け継がれてきた武具の製法をまとめたものじゃ。わしのムーンライトストーカーの製法も最後
のページに入っとる」
 ドベルグに手伝われて鎧を着込みながらゴーランは呟くように言った。
「先生、僕には無理です…」
「無理なものか、お前はわしの跡を継いだんだろう」
「この鎧は、先生が着るはずのものじゃないですか」
「お前が間に合わなければそうするつもりだった。だが、お前はわしの期待を裏切らなかった」
「先生…」
 ゴーランの視界がぐにゃぐにゃに歪んで頬に熱いものが流れた。
 鎧を着せ終えたドベルグはゴーランの正面に回ると笑いながら言った。
「それにお前が間に合ってくれたおかげでようやく家に帰れるわ」
「お嬢さん…心配してましたから…早く帰ってあげてください」
 しゃくり上げながらゴーランはなんとか言葉を搾り出した。
「わかっとる。放蕩爺のわがままも今日限りじゃ。そうそう、これも持って行け」
 そう言って名前を彫ったあの剣も渡してきた。
「弟子はよく考えて選べよ。まったくお前は頭の痛くなる奴だったからな」
「肝に命じておきます…」
「分かったら、さっさと行け。わしは早くここを閉めて帰りたいんじゃ」

346ドワーフ:2008/02/13(水) 17:54:27 ID:AepyIIHk0
 ゴーランを見送ったあと、ドベルグはようやく家路についた。久方ぶりに自宅で休めることに足取りは軽くなっ
た。
 だが、心にかかる一抹の不安があった。ジンガは何故ムーンライトストーカーのことを知っていたのか。工房の
中であれについて知っている者は自分とゴーランだけ。つまり王宮の中にすでに奴らの言いなりになっている者が
居るということだろうか。
 だが悪魔たちがドワーフを隷属させるつもりであるならば、制圧のための時間がかかるはず。王国の中の者はほ
とんど指輪の存在に気づいていないのだから。
―つまり、やつらが王国に乗り込んで来たとしても王宮まで辿り着くのには時間がかかる。必ず脱出は成功する。
 ドベルグの視線の先に我が家が見えてきた。土壁にあいた小さな窓の中、最愛の娘が見えた。
―どれ、ちょっとおどかしてやるか。ひひひ
 ドベルグはこっそりと窓に近づいていった。

8.
 ゴーランは生まれて初めて見るの王宮の中にガチガチに緊張していた。荘厳な石造りの大広間を歩を進めるたび
に、所々にちりばめられた煌びやかな装飾と芸術の数々に心を奪われた。
 間もなくここが地獄に変わるとは思えないほどに静かだった。
 大広間を抜け、複雑に入り組んだ長い通路の果てにその門はあった。見上げると後ろに倒れこんでしまいそうな
ほどに巨大な門。これが恐らく地上への出入り口なのだろう。だが、これほどまでに巨大な門をどうやって開くと
いうのだろうか。
 ゴーランは門の前に集まっている同じ鎧を着た人々を見回した。若いドワーフがほとんどで、男女の割合は半々
ぐらいだった。全てのドワーフの未来を託された人々だ。この中に王子、いや現国王が居るのだろう。
 脱出者全員が集まったらしく、前国王らしい金色に輝く斧を持った人物が言った。
「では、門を開けよ」
 位の高そうな人物が頷くと、その人物は普通は気づかないような壁の小さなくぼみに鍵を挿した。すると巨大な
門とは全くの別方向の壁の一部が四角くせり出して上に持ち上がり、その奥に長い通路が現れた。
 門の方を向いていた全員がぽかんとしていると、前国王は言った。
「行くのだ。我らの運命はそなたらに託した」
 その言葉にゴーランは改めて決心を固めた。
―必ず帰ってきて、先生を、皆を救い出す。
 ゴーランを含めた一団が出口へと進み始めたとき、部屋の入り口の方から叫び声が響いた。
「ぐぎゃあああああああ!!」
 その声に一同がそちらに目を向けた。
「そこが“入り口”カァ!!」
 それはまるで頭から返り血を浴びたかのように真っ赤な悪魔だった。それが何十匹と現れたのだ。
「走れぇ!」
 誰かの声が響いた。
 ゴーランたちは全力で走った。
 衛兵達が悪魔に向かって突進しようとするが、奴らにたどり着く前に前に倒れこんで息絶えてしまった。門を閉
じようと鍵を取り出した大臣もまた同じだった。指輪の呪いに前国王も倒れ伏した。
 ゴーランたちが長い通路を走り抜けているなか、一人、また一人と後ろから追ってきた悪魔達によって頭を砕か
れた。ゴーランもまた、悪魔の放った火球によって右腕を吹き飛ばされていた。
「ドケエエェェ!」
 悪魔の怒号が通路の中に響いた。
 ゴーランは激しく呼吸を乱しながら、消えた腕の痛みに顔を歪めつつ走り続け、そして開けた場所に倒れこむよ
うに飛び込んだ。いや、場所ではなく世界だった。ゴーランのはじめて見る土面に遮られることのない広大な地上
の世界。
「シャアアアアアア」
 ゴーランは倒れたまま後ろを振り返った。悪魔どもが追いついてきたのだ。
「ひぃっ」
 ゴーランは残った腕で頭を抱えてうずくまった。
 すると悪魔たちはゴーランを無視して彼の頭上を素通りし、そのまま空の彼方へと飛び去って行った。
 目を開けて飛び去っていく悪魔たちを見ながらゴーランは大きく息をついた。
「助かった…」

347ドワーフ:2008/02/13(水) 17:55:31 ID:AepyIIHk0
 片腕を失い、足を引きずるようにして闇の世界を歩きながらゴーランは考えた。
 奴らの目的はドワーフの王国を征服して服従させることではなく、最初からこの地上への出ることだったのでは
ないか。指輪は地上への扉を開けさせ、かつドワーフを皆殺しにするための物。
 ゴーランが助かったのは、奴らにとって自分はもうどうでもいい存在だったからに違いない。
「一体、奴らは何のためにここに…」
 果てしなく続く暗い大地にゴーランはひどい孤独感に苛まれた。狭い地下世界に居た彼にとってそこは恐怖すら
覚えるほど広かったのだ。
 血の止まらない肩口を押さえ、ゴーランは地面に膝を突いた。
―これから応援を呼んで戻ったとして、助かる同胞は居るのだろうか?蹂躙された王国に生き残りはいるのだろう
か。先生も、お嬢さんも…みんな…。
 ゴーランは空を見上げた。
『地上の夜空に輝く大きな宝石』は、ゴーランに優しい光を浴びせてくれた。
「綺麗だ…」
 座り込んだままぼうっと月を見上げるゴーランの耳に、狼の遠吠えが聞こえた。

348ドワーフ:2008/02/13(水) 18:01:46 ID:AepyIIHk0
初めまして。
ユニークアイテムの説明文を参考に話を書いてみました。
ペディグリード、ゴールデンクリーパー、ムーンライトストーカー、
それとドワーフバインダーです。

改行のせいで読みにくいかもしれません。
あと、分けて出すべきだったと3分の2まで出してから気づきました。
本当にすいません。

349白猫:2008/02/13(水) 19:58:14 ID:iwezFGtQ0
Puppet―歌姫と絡繰人形―

第一章〜第五章及び番外編 5冊目>>992
第六章 -夜空の下で- >>30-37
第七章 -深紅の衣- >>70-81
第八章 -神卸- >>137-139
第九章 -チャージング- >>164-171
第十章 -母- >>234-241
第十一章 -北へ- >>295-299
これまでの主要登場人物 >>38
用語解説 >>255-261



第十二章 バレンタインチョコレートケーキタワー?


2月13日、古都ブルンネンシュティング。
 「なんで古都に戻ってきたの…?」
古都の西口、巨大な門から中へ入ったルフィエは、脇のネルに問う。
体中に付いた旅塵を叩いて払い、ネルは言う。
 「旅費が尽きました」
 「え」
 「アーティさんに飲み潰されました」
 「えっ?」
ネルの溜息混じりの言葉に、ルフィエの声が裏返る。
渋い顔でネルは、腰から長財布を取り出す。
その長財布の中身は、空。
 「どっかの誰かさんの酒代も加わって軽く8万は飛びましたよ」
じろりと黒髪の女性を睨むが、当の本人はもちろん、無視。
それどころか、
 「それより早く金を寄越せ。報酬の一割は前払いだ」
と金の催促までしてくる。なんとも自分勝手な[騎士]である。
はいはい、と適当に返事を返し、ネルは頭を掻く。
 「とりあえず家まで戻りますか……」
 「私お風呂入りたい…体中じゃりじゃり」
 「私も……」
 「ねー」
 「ねー」
リュックサックを背負ったルフィエ、帽子を被ったままのリレッタは、笑いながら声を揃える。
"こういうところ"では息が合うので、全くこの二人には敵わない。
 「分かりました分かりました。ちゃんと大浴場を用意させます」
 「ヤッタ」
 「一度大浴場貸し切ってみたかったんです」
 「ねー」
 「ねー」
 「…………」
何時の間にこんなに仲良くなったんだ、とネルは少々げんなりする。
今までお淑やかだったリレッタがルフィエに毒されたらどうしようか、と少々まじめに考えてしまう。
 (――そういえば)
ふと、思い出す。
肌寒い気温、凍てつき乾ききった風、白くどこまでも澄んだ空。
この光景を見、ネルはふと聞く。
 「今日は何日ですか?」
 「13日やで。2月13日」
そのネルの言葉に、カリアスが杖をクルクルと回しながら答える。
その背後には、どこから頂戴したのか巨大な荷車が置いてある。
ネルはそれに積まれた幾つもの大会の戦利品と、その中に埋もれるアーティを眺める。
 「アーティさんはまた二日酔いですか」
 「昨日の夜中も懲りずにこっそりカリンはんとレイゼルはんと飲んでたらしいで」
 「つーか、カリンよく二日酔いにならねーな。俺でもちょっと気持ちわりーのに」
カラカラと笑うカリアス、若干青ざめたレイゼルを見、ネルは今日何十度目かの溜息を吐いた。
 「仕様がありません。全員今日は家に泊まっていって下さい」
 「……この大人数で泊まれるのか?」
ネルの言葉に、鞘に手を掛けたままのカリンが目を細める。
その言葉をフンと鼻で笑い飛ばし、ネルは言う。
 「舐めないで下さい」





所変わって、ヴァリオルド邸。
ようやくこの大豪邸に到着した一行は、一旦別行動を取ることとなった。
ルフィエとリレッタは大浴場へ、
ネルとカリンは何故か武器庫へ、
カリアスとアーティは寝室へ、
レイゼルは子供部屋へとそれぞれ向かった。

350白猫:2008/02/13(水) 19:59:21 ID:iwezFGtQ0
武器庫。ネルとカリン。
 「…………此の剣、は」
 「イレギュラーアリアン。魔法剣士である者達…[イレギュラーアリアン]の扱っていた剣です。現存する中で最古のオリジナル品ですね」
 「……こ、っちの、槍は」
 「ナギナタ[薙刀]。東国に伝わる突くよりも薙ぐことに適した槍です。こっちも現存する中で最古のものですね」
 「……じゃあ、こっちの鎧は!?」
 「ブルーベルベット。伝説の[青龍]から抽出した鱗を使用した鎧です。これは今のところ……一作品しか発見されていませんね」
 「……!!!!!」
360度にも渡って並ぶ様々な武具・防具を見やり、カリンは目を剥く。
その予想通りというかなんというか、ありきたりな反応にネルは溜息を吐く。
 「こっちの棚のものはダメですが…こっちの棚の武具は自由に使ってくれて構いませんよ」
 「何ッ!!?」
首は大丈夫か、と心配になるくらい思い切り振り向いたカリンに、ネルはどきりとする。
カツカツカツとネルに歩み寄り、その鼻先に顔を突き出す。
 「…………」
 「…………」
触れようと思えば唇も触れる、吐息も溶け合うその距離に、ネルは目を白黒させる。
が、カリンはすぐに顔を離し、小さく呟いた。
 「……お前、結構いい奴だな」
 「はぁ」
結局カリンは、一日中武器庫ではしゃいでいたらしい。





大浴場。ルフィエとリレッタ。
 「ひっろーい!!」
大理石の床をペタペタと走り回り、ルフィエは声を上げる。
それを苦笑して眺め、リレッタはタオルを片手に大浴場を眺める。
軽くバスケットボールのコートが2面は入るくらいの巨大さ。
シャワーも何故か無駄に多く、蛇口から桶まで、何から何まで煌めいている。
無駄な装飾は一切なされていない辺りは、流石は本物の億万長者というやつである。
実はルフィエ、部屋一つ一つにある浴室を利用していたため、この大浴場に入るのは初めてだったりする。
リレッタもリレッタで、大浴場は一人で使うのは気が引けて入りづらかったらしい。
要するに、二人とも初めての大浴場にテンションが変な方向に上がっているのである。
とりあえず、と二人は端っこのシャワーに並んで座る。
 「なんかワクワクしない?」
 「シャワー捻ったら金色のお湯が出てきたりしそうです」
二人で冗談を交わしながら、蛇口を捻る。
やっぱり金色のお湯は出てこず、何の変哲もないお湯がシャワーから噴き出した。
と、
 「あ、お姉ちゃん」
 「……なんでここにいるの?」
その二人の背後から、幼い声が上がる。
振り返れば、目を白黒させて金髪と茶髪の、二人の少女がこちらを眺めている。
 「シェリルちゃん、メアリーちゃん? どうしたの?」
ルフィエは目を丸くし、二人の元にペタペタと駆け寄る。
 「お風呂……には、早いよね? まだお昼だし」
 「夕方にね、セバスさんがご飯につれていってくれるの」
 「……ネルお兄ちゃん、帰ってきてるの?」
 「へぇ……ネルくんなら、さっきカリンさん……新しいお仲間さんと武器庫に行ったよ」
何しに行ったんだろう、と心中で首を傾げ、ルフィエは微笑む。
 「でもご飯食べに行くんだ。良いなぁ」
 「お姉ちゃんも一緒に行こうよ?」
シェリルの言葉に、ルフィエはクスリと笑う。
 「そうだね……できたら、ね」

351白猫:2008/02/13(水) 19:59:45 ID:iwezFGtQ0

 「ネルくん……ぁ」
 「あ」
ネルの部屋の扉を開き、ルフィエはその途中でピタリと止まる。
丁度上着を脱ぎ終わったネルも、その途中でピタリと止まった。
数秒、止まる。
が。

   バタンッ!!

凄まじい速さでルフィエは扉を閉め、廊下へ飛び出す。
その扉にもたれ、頬の染まった顔で謝る。
 「ごめん」
 「いえ」
その声に少しだけ笑い、ネルは脇のスーツを手に取る。
それを羽織りつつ扉へ歩み寄り、しかしドアノブには手を伸ばさない。
その扉に背をもたれさせ、よいしょとネルは座り込んだ。
 「驚きましたか?」
 「…………うん」
ネルの言葉の意味を思い、ルフィエは頷く。
扉の合間から見えた、ネルの上半身……そこに走っていた、無数の切り傷や刺し傷。
恐らくは、今まで無数に戦ってきた者達との戦いの傷痕。
 「……リレッタやセバスは、この傷を消したがっていたようですが」
目を閉じ、ネルは自分の右腕を額に押しやる。
そこから伝わる、血の通っていない腕の冷たい感触。
あの[大戦]がなければ。
そこには、血の通った、肌色の、肉の腕があったはずである。
だが、それを自分は、不幸だとは思わない。
この忌まわしい腕が、自分に力を与えてくれたのだから。
 「この傷の数だけ……いや、もっとたくさんの数だけ、僕は人が苦しむ姿を見てきた」
ゆっくりと立ち上がり、ネルは天井を見上げる。
巨大なシャンデリアに照らされたこの部屋には、たくさんの人々の、遺品が収まっている。
自分が捕らえた者の土産を、
自分が手を掛けた者の遺品を、
ネルは、どうしても捨てることができなかった。
だが、それを間違ったこととは……思わない。
そう、これからも人々を殺めるのだから。
これからもこの部屋には、様々な品が収められるのだから。
 「これからもたくさんの人々の姿を見るでしょう。それは逃れられないことです」
扉に向き直り、そのドアノブに手をかける。
 「……嫌じゃ、ないの?」
 「嫌ですよ。すごく……嫌です。
 それでも僕は、この道を選び続けます。誰に強制されたわけでもない、自分の意志で」
ドアノブを開き、ネルは小さく微笑む。
 「貴方と皆を、護ってみせます」
その姿に途方もなく惹かれ、ルフィエは少しだけ目を細める。
止めても、彼は絶対に止まらないだろう。
命が尽きるその時まで、彼は皆を護り続ける。必ず。
なら自分にできることは、一つしかない。
 「……うん。だけど、私もネルくんを、護ってみせるよ。ギブアンドテイクだよ?」
 「…………なんですかそれ」
 「なんでもなーいよ」
ネルの手を取り、ルフィエは微笑む。
その手を握り返し、ネルも少しだけ笑った。
 「そういえば今日ご飯食べに行くらしいけど」
 「聞きました。今から広間に行くところです」
頭をガリガリと掻き、ネルは溜息を吐く。
 「これ以上壺を割られると食事を減らさないと拙いですね」
 「いくつ割られちゃってたの?」
 「7つ……6000万ほどはやられました」
 「……どんまい、ネルくん」
ルフィエはたぶん初めてネルの泣きそうな顔を見た。







大広間に入り、途端にネルは溜息を吐く。
目の前で執事・メイド達のバイキング形式の食事が行われていたからだろうか。
横でニコニコしている初老の、執事服を着た男性にネルは言う。
 「セバス、腹が減りました」
 「畏まりました、ネリエル様」
一礼をし、セバスはカツカツと大広間から歩き去る。
それを横目で見やり、ネルは中央の柱の時計に目を移した。
 「6時…半ですか」
 「ネルくん、何か用事でもあるの?」
辺りの見たこともない食事(ルフィエは種類が毎日毎日違うような気がしてならない)に目を輝かせているルフィエが、ネルに問う。
その言葉に少しだけ迷う素振りを見せたが、しかしネルは顔を背ける。
 「……いえ」
 「?」
ルフィエは首を傾げるが、当のネルはそっぽを向いて大広間の中央へ歩いていってしまう。
と、そのネルの足に、

   ぽふっ

小さく、軽い衝撃が走った。
怪訝そうに見れば、自分の足に、茶髪の少女がかじりついている。
 「……メアリー?」
 「……ネルお兄ちゃん、おかえりなさい」
涙目でネルの足にひしっと抱き付くメアリーを見、ネルは笑う。
メアリーの身体を抱き上げ、ネルは言う。
 「ただいま、メアリー」

352白猫:2008/02/13(水) 20:00:20 ID:iwezFGtQ0

 【じゃっじゃじゃーん!】
 【ヒッ】
 「…………サーレ? これは何かしら?」
[イグドラシル]内部、ルヴィラィの部屋。
その部屋の中央に置かれた、馬鹿でかい茶色い塔を眺め、ルヴィラィは目を細める。
一瞬遅れて理解し、その後ろでニヤニヤしているサーレとパペットを睨む。
 【えー、サーレ特製バレンタインチョコレートケーキタワーだけどぉー?
 パペットとデュレに手伝ってもらってさー。これならサイカスとかプリファーたちも食えんじゃん?】
 「それは分かったわ……それを何故、私の部屋の、しかも魔方陣の真上に置いちゃってるのかしら?」
 【ヒッ。イグドラシルデ一番広イ部屋、ルヴィラィノ個室】
 【凄くね? 私もしかして料理の先生とかなれちゃったり?】
 「しないわ。15分あげるからちゃんと処理なさい」
溜息を吐き、ルヴィラィは頭をガリガリと掻く。
 【むー…】
むすっとするサーレを見やり、もう一度ルヴィラィは溜息を吐いた。
その馬鹿でかいチョコレートケーキの塔を見やり、人差し指で表面をすくう。
それをペロリと舐め、ルヴィラィは途端に渋い顔になった。
 「……甘いわ」
 【当たり前じゃん】





深夜の十二時も回り、東の空も白んできた、深夜。
古都の東部、レッドアイの地下監獄のさらに東。
小さな共同墓地の片隅に、ネルの姿はあった。
[カナリア=ヴァリオルド]と刻まれた墓標に小さな花束を置き、ネルは呟く。
 「……父さん」
父が死に、今年で4年。
あの時……ブルン歴4917年2月14日の夕刻。
あの光景を、今まで忘れたことはない。
脳裏に深く焼き付けられ、自分をキリキリと締め付け続けている。
 「貴方と一度、話がしたかった」
そう呟き、ネルは掌を天に翳す。
これは許されないことであろう。
だが、今の自分には、"それ"が必要なのである。
 「エリクシル解放――『 紫電狼 』」
瞬間、
ネルの身体を紅色の衣が覆い、その額を鈍色の兜が飾る。
さらに指を払い、呟く。
 「父さん、お許し下さい。――神卸、『 カナリア=アラスター=ヴァリオルド?世 』」
瞬間、
ネルの兜が蒼く発光し、彼の身体に一つの魂が卸される。
名を、[カナリア]。
紛うことない、ネルの父。

 「…………?」
辺りを見回し、ネル……否、カナリアは目を細める。
自分の左腕を、そして右腕を見やり、そして最後に目の前の、自分の墓標を見やった。
それを目に入れ、カナリアは途端に悲しそうな顔をする。
 「そうか……もう御前は、この術まで体得してしまったのか」
 「……はい」
一つの口から紡がれる、二人の言葉。
だが、それを怪訝に眺める人の姿は、ない。
 「それで……父さんを何故、この世に呼び戻した?」
 「……話したかったのです、もう一度だけ」
そのネルの言葉に、しかしカナリアは叫ぶ。

   「馬鹿者がッ!!」

 「ッ…………」
久々に怒鳴られ、心中のネルは目を白黒させる。
 「一度愛しい者を呼び戻せばどういうことになるか分かっているのか、ネリエル。
 次はより単純な理由で私を呼び戻す。また次も、また次もだ。
 そして次は誰だ? 私の次は母さんを呼び戻すこととなるだろう。絶対にだ」
 「…………」
その言葉に、ネルは唇を引き絞る。
分かっていた。
自分でも、分かっていたのだ。
"だが、それでも"と。
 「……それでも、僕は……聞かなければ、ならなかったのです」
 「…………」
 「父さん……[エリクシル]は一体、何なのですか」
 「……それは私にも、分からない」
溜息を吐き、ネルの身体でカナリアは脇の木にもたれかかる。
 「この私ですら、エリクシルの真の力…[最終段階(ファイナル)]へは到達しなかった。
 あるいはそんな力は存在しないのかもしれん。少なくとも、人の辿り着くべきではない力ではあるだろう」
 「…………父さん、[第三段階]とは一体、どのような力なのですか」
 「それは御前が、何を大切とするかで異なる。
 私の第二段階と御前の第二段階では、[神卸]以外のその能力も全く違うのだ」
それは、ネルの求めていた答えではない。
それをカナリアは重々承知し、しかし答える。
 「ただ御前に必要なものは、一つだ。心に誓う…その一つだけだ」
故に、とカナリアは立ち上がり、胸のエリクシルを握る。
 「御前に見せておこう……私の[生かす]想いの生み出した[第三段階]…『 神々の聖域(サンクチュアリ) 』」
瞬間、
カナリアの周囲を、無数の十字架や剣、槍が覆い尽くす。
さらに奇妙な、翼の生えた人形までが無数に土から生み出され、カナリアの周囲を護るように飛ぶ。
まるで、聖者を護る聖域(サンクチュアリ)のように。

353白猫:2008/02/13(水) 20:00:40 ID:iwezFGtQ0

2月14日、昼。
 「…………」
ヴァリオルド邸に戻ったネルは、目の前の光景に絶句した。
毎日の食事に使う大広間の中央に、巨大な塔が立っている。
しかも茶色。真っ茶色の塔。
 「一体なんですか、これは」
隣でチョコまみれになって笑うセバスに、低い声でネルは言う。
 「ルフィエ様がチョコレートケーキをお作りになったのです。このセバス、微力ながらお手伝いを――」
 「もういいです」
頬をピクつかせ、ネルはその塔へ近付く。
と、その塔の脇に、これまたチョコまみれのエプロンを纏ったルフィエとリレッタがへたり込んでいた。
その二人が自分を見たのを見てから、ネルはぴしっとその塔を指す。
 「これ、は、何、です、か!」
 「ルフィエ特製のバレンタインチョコレートケーキタワーだよ」
 「ごめんなさい、冷蔵庫にあった卵とか牛乳、全部使っちゃいました」
 「…………」
まるでどこかの傀儡と同じ発想だ、と溜息を吐き、ネルはその塔を見やる。
 「…………」
ちょいと表面のチョコレートをすくい、その指を舐める。
 「……甘いんですけど」
 「チョコだもん」
 「甘いのは当たり前です」







 「起きなさい」
 【…………】
未だにチョコレート臭さの残る部屋の中、ルヴィラィは目の前の少女に言う。
魔方陣の中心に眠る銀髪、裸体の少女は、その声にゆっくりと目を開いた。
 【……ここ、は…】
 「おはよう、気分はどうかしら?」
 【……私、は…誰?】
 「…………そうね、まずは名前を決めてあげないとね」
その少女に毛布を被せ、ルヴィラィは首を傾げる。
と、その少女の"遺品"のバッグに、小さな名前が刻まれているのを目にする。
その名前を見、ルヴィラィは小さく微笑んだ。

 「そうね貴方の名前は…セシェアよ」





FIN...

[ルフィエネル主人公二人のおまけコーナー3]

 「はい、今回は番外編のつもりでしたが多少の改変を加え、第十二章として投稿することとなりました」
 「次回は作者がずっと書きたかった章みたい。十三章が楽しみだね」
 「僕の新しい力も見れるようですが……さて、今回はアーティさん、カリアスさん二名のプロフィールをば」


アーティ=ベネルツァー(♀) 21歳
長所:強い
短所:市街破壊常習犯
好きな食べ物:肉全般
嫌いな食べ物:金持ち臭い食べ物
6月14日生。古都出身。
[蒼き傭兵]と謡われるブルンネンシュティングの守護神。
守護神、と謡われるだけあり、実力はネルをも凌ぐという。
蒼い稲妻を繰り、その威力は古城を一撃で倒壊させる。
古都を守ることが生き甲斐というが、何度も古都の市街を破壊させている。
得意術:[ジャベリンテンペスト]、[ライトニング・ジャベリン]


カリアス=ハイローム(♂) 17歳
長所:速い、明るい
短所:口調がおかしい
好きな食べ物:たこ焼き(他の誰にも理解してもらえない)
嫌いな食べ物:特にない
11月18日生。古都出身。
[白の魔術師]と謡われるブルンネンシュティングの守護神。
アーティと同じく、ネルをも凌ぐ実力を持っているという。
凄まじい速さを持っており、その[ヘイスト]の速さは[魔法の絨毯]を軽々と追い抜かすという。
さらに魔術の腕も、その右に出る者はいないという。
得意術:[ヘイスト]

354白猫:2008/02/13(水) 20:01:01 ID:iwezFGtQ0
コメ返し

>ウィーナさん
初めまして、此処で物書きをやっている、白猫です。
文才…ですか。作文は得意ですけど(笑)
想像力はまぁ、RSをやっていてふと思ったことがネタになることが多いですね。

>◇68hJrjtYさん
ラヴラヴなバレンタインじゃなくてごめんなさい!(土下座)
たまにはこういうネタも良いかな、というアレですね。
本当はバレンタインネタは半日で終わらせる予定でしたが、68hさんのお言葉で一日半に延ばしました(笑)
次回から物語は急展開するはずです。布石ももうほぼ完了しました。たぶん。
これから一気にクライマックスに持ち込むつもりですので、どうかお付き合い下さいませ。

>ワイトさん
Σそんなにおだてても何も出ないですよ? 木くらいは登りますが!
オリジナルスキル覚えきれないですか、私も覚えきr(殺
私も今皆様の小説を読み返しているところですので、感想はそのときにまた。
こちらこそ、宜しくお願いしますペコリ(_ _ *)

>黒頭巾さん
そうそう読みは当たらないものです(笑)
私も何度か「次回はこうなる!」って予想してみたりしますが、ことごとく負けていますorz
私も40億なんて持ったことなかったりします。ネルくん半分くらいくれないかなorz
ルフィエの好物の子供キャンディー。ただのキャンディーじゃなく[子供キャンディー]が鉄則みたいです。
実は今回、朝食に煮魚を出してルフィエに渋い顔をさせるつもりだったりしました。



次回予告

ブレンティルへと到着したルフィエ一行。
そこでルゼルと合流したルフィエに、ルゼルはマペットを封じた十字架を手渡す。
その十字架を持ったルフィエとネルに、ルゼルは不条理な提案を行った。
-----
ルゼルの提案の元、二対一の模擬戦闘を行うこととなったルフィエ・ネルとルゼル。
その戦闘の中、とうとうネルの中の[第三段階]が解放された。
しかしルゼルの圧倒的な力に、ネルは圧倒される。
そのネルの危機に、ルフィエの胸の十字架が突如光を放つ――


第十三章『神格化』、その内投稿です。

355◇68hJrjtY:2008/02/13(水) 21:00:24 ID:TOXlWZEo0
>ドワーフさん
初めまして!最近新しい書き手さんが増えて喜んでる68hです。
以前にも個人的にUアイテム説明から連想できる小説ネタを考えたことがありますが、これは凄い。
思わずRSという世界を忘れてしまうほど読みふけってしまいました。
確かにエルフが居るのにドワーフってRSには居ないような?(?) 今ではUアイテムにその名を残すのみ…。
ゴーランがその後地上世界で何を見つけたのか、何を作り出して行ったのか。
また別のお話と知りつつもつい想像してしまいます。またの執筆、お待ちしています。

>白猫さん
白猫さん家のネル君たちもバレンタイン真っ盛り、青春真っ盛りですね!(謎
うんうん、ラブラブじゃなくてもほんのりラブみたいなのがネルとルフィエにはぴったりなような気がします。もちろんラブラブも見てみたいけど(笑)
しかも番外編で終わらせず、それすらも本編とリンクさせてしまうとは。ルヴィラィの名付けた「セシェア」とは。
犬猿の仲っぽかったネルとカリンが「武具コレクション」という繋がりでなんとなく仲良くなってみたり
ネル君の身体に刻まれた傷跡の発覚、そしてカリアスが能ある鷹は爪を隠すを地で行ってる…と新発見の多かった章でした。
父カナリアとの対話もエリクシルの力を紐解こうとする父と息子といった様子で、微笑ましい反面カナリアでも分からない謎もまだ残ってますしね。
でも白猫さんの中で傑作にして苦心の章が次回からいよいよ始まるのですね。
これは見逃せません!楽しみにしています。

356之神:2008/02/14(木) 10:22:08 ID:EljImjJs0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593―2 >>595―3 >>596-597―4 >>601-602―5 >>611-612―6 >>613-614
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
2章〜ライト登場。
-1>>620 -621―2>>622―○>>626―3>>637―4>>648―5>>651―6 >>681
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687―2>>688―3>>702―4>>713-714―5>>721―6>>787―7>>856-858
―8>>868-869
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
4章〜兄弟
-1>>925-926 ―2>>937 ―3>>954 ―4>>958-959 ―5>>974-975
◇――――――――――――――――5冊目―――――――――――――――――◇
-6>>25 ―7>>50-54 ―8>>104-106 ―9>>149-150 ―10>>187-189 ―11>>202-204

◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
5章〜
-1>>277

◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
番外

クリスマス  >>796-799
年末旅行>>894-901
節分  >>226-230
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆

357718:2008/02/14(木) 10:34:41 ID:gXqJ5/rQ0
ウィーナ氏、305氏、ドワーフ氏、柚子氏、初めまして。
ちょびちょび真似事の短編小説を投下している718です。
同じく元ROM専です。ドウゾヨロシク(^ω^ )

>ウィーナ氏

きもい女装大会の描写、ありがとうございました。
おかげでお腹一杯ですお(^ω^;)

謎の少女の発言が、今後の展開を暗示しているようですね。
冒頭の過去の記録など、一見明るいストーリーの中に微かに差し込む
陰が際立ちますね。さて、帰るどころかどんどん異世界に巻き込まれていく
アルビちゃんの明日はどっちだ!

>305氏

これは、ギルド戦争での火力武道家の復権をかけた展開かっっ
是非ぶちのめしていただきたいところでありますっ

>ドワーフ氏

確かにボリュームはありましたが短編として一括投下でも問題ないレベルだと思います。
何より面白かったです。僕もユニークの説明文から生い立ちを創作しようとしたことが
ありましたけど、投下しないでよかったw
ドワーフの国家という世界観ととユニークの存在感がしっくりと噛みあっていてとても
奥深い物語になっていたと思います。仮に続きがあるとしたら是非また投下してください。
楽しみにしております。

>柚子(ゆず)氏

読めない我らがワイト氏のためにルビ入れさせてもらいました(^ω^ )

言動の端々から、ルイスが生粋の戦士であることが読み取れて、個人的に好みの文体でした。
内容もまたゲームの内容を旨く消化・踏襲していて、これまた僕好みですw
ドロシーかわええのぅ(^ω^ )ルイス憎いのぅ(^ω^ )
冒頭に張られた巨大な伏線がどこで本編と交錯していくのか、楽しみにしてます。


>ワイト氏

結局、ヘルアサシンの謎も解けぬままの辛勝となりましたが・・・シーフ系であるはずなのに
戦士スキルや怪しい能力を駆使するヘルアサシンと、突如人格が入れ替わったかのような
ラータ、どうもこの2人の能力は大元で関連がありそうな気配がしてきましたね。
次はどこに飛ばされるのやらw

>黒頭巾氏

やっぱり黒頭巾氏の文体は柔らかくてあったかいですね。のなめちゃんを理解するのに
大分かかりましたが、この辺もちょびっとだけオツムの足りないふぁみりあいーえっくすらしくて
好きですw
バレンタインノベールの話、実は僕も真っ先にサマナが召喚獣を駆使して手作りチョコを作っている
絵が浮かんだんですが、描かなくて本当によかった。こんなにあったかくならない(^ω^;)

>白猫氏

カリアス若いですな。僕はてっきり30台頭〜半ばのいい感じの男前を想像していたので
17という数字に面食らってしまいました。発言老けてますねぇw
さて、物語も佳境のようですが、今までに張られた伏線の量を見ると次からは1行に
1サプライズありそうな勢いですね。心して読ませていただきます。

358之神:2008/02/14(木) 10:52:29 ID:EljImjJs0
β

2/13、放課後。

「ミカちゃーん!」それは学校のクラスの友達の声だった。
「ん?何か?」彼女に話かけられるような用事があったか思い出しながら、私は鞄に教本をしまう。
「もう、何かじゃ無いでしょ!明日が14日なのに、ミカちゃんはぜんぜん気にしてない風なんだもん」
「14日って、あれ・・・・・・何かあったっけ?」
「何ってそりゃあ・・・・・・・・」彼女は息を吸い・・・

「バレンタインデーでしょう!」


この世界では、思いを寄せる男性、お世話になっている男性などに、女性からチョコレートを贈るみたいで。
「まぁ、渡すとしたら徹しか居ないよねぇ・・・・・・うん」
「ん?どうしたミカ?」
「ううん徹、なんでもないの、なんでもないから、ね」
「変なミカだなぁ・・・・・・」徹はそう言って前に向き直った。
徹との下校中は、どうやって渡すかばかりを考えていて、時々独り言をつぶやき・・・・・の繰り返しだった。

「何作ろうかな・・・・・・・・」
「ねぇ、やっぱミカ独り言多いよ今日」
「もう、ちょっと待ってなさいよ!私考え事があるんだからっ!」
「わ、わかったよ・・・・・・・」


α
おかしなミカの様子もさておきながら、クラスの女子のそわそわ感も、それは14日のせいであろう。
全国の男性諸君には、嬉しくも悲しい日であり、好きな女の子の好きな人が分かる日、なんて言う人もいるくらいだ。
俺は制服をハンガーにかけながら、ミカは俺にくれるのか、とか妄想をしていた。
だが、よくよく考えればフランデルとやらにこんなチョコ会社の陰謀満ち足りた行事があるとは考えにくい。
「はぁ・・・・・やっぱ今年も0かぁ・・・・・・」
ささやかな希望は、一瞬にして消え失せた。

「ちょっとー」 突然母親の声がしたので、俺は飛び起きた。
「な、何?」
「ちょっと用事というか、おつかいを頼みたいんだけど」
「ああ、いいよ別に。何をいつ?」
「これを、明日の夕方に届けてくれない?」
「おっけー・・・・明日でいいのな・・・・・わかった」
その後夕飯のメニューなどを聞き、俺は部屋に戻った。

「はぁ、さらにお使いとはな・・・・・・・」

俺は天井を眺めて、これまでの14日について振り返っていた。


λ
やっぱり、渡そうかなぁ・・・・・・うーん、でも迷惑かなぁ・・・・・・、うーん・・・・。
お菓子を作るのは得意だし、義理名義で渡せば平気かなぁ・・・・・、うーん・・・・・・・。

「とりあえず、沢山作っておこうかな」
私はキッチンに向かって歩き出した。

359之神:2008/02/14(木) 11:26:48 ID:EljImjJs0
2/13、夜中。

β
早速私は、夜のうちに作ることにした。キッチンは徹のお母さんが、
「まぁ、ミカちゃんは誰に渡すのかしらね、フフ」と言って快く貸してくれたので問題無い。

「さて、何を作ろう・・・・・かな」
私は大きな割れチョコを眺めながら、形や素材を考えていた。

「うーん、やっぱりハート型?うーん、もっと面白い形は・・・・・・・・・・」
「クッキーをはさんでも良さそうね・・・・・・マシュマロも、甘すぎるかなぁ・・・・?」

「おい」
と、突然後ろで声がした。
「わっ!驚かさないでよライト・・・・・・・・・」
「いや、ミカこそ夜中に厨房で何をブツブツ言ってるんだ」
「うーん、チョコレートをあげるんだけどね、それをどう作ろうか悩んでたの」
「チョコレート?今いろんな店で売ってるのも、それなのか?」
「なんかこっちではそういう文化みたい・・・・・・まぁ、アンタは男なんだから関係無いでしょ!出てって出てって!」

シッシッ、とライトを追いやると、ライトは割れチョコを勝手に齧りながらどこかへ行った。

「よし、ハート型でやってみよう!」
こうして、私の長い戦いが始まる。

λ

「やっぱり作ろう!ああ、今夜は寝れないなぁ・・・・・・」私は頭巾を被り、キッチンへ向かった。

「ハート型じゃアレだし・・・・・やっぱりあの形で・・・・・よし」
カチャカチャ。
「ケルビー!チョコ溶かすから手伝って下さい!」
コポコポ・・・・・・・。
「ウィンディは換気お願いします!」
コロコロ・・・・・・・。
「スェたんはこれを冷やしておいて下さいね」
トントントン。
「ヘッジャーは鍋動かすのをお願いします!」

「ああ、忙しいなぁ・・・・・・」私は額の汗を拭い、生暖かいキッチンの中Tシャツ一枚で料理を続けた。

β

「型をはめて・・・・・・冷やすだけかな」
カチャ。
「あれっ!分離してるう!やり直しだぁ・・・・・・・」
コトン・・・・。
「あっ、割れちゃった・・・・・・」
ペキン。
「もう!誰がチョコあげるなんて考えたのよう・・・・・」
バン。
「うう・・・・・・・まだ固まって無い・・・・・」


β
「よし!」
λ
「出来た!完成!」

β
「あーもうダメ、眠くて倒れそう・・・・・・」私は器具を片付け終わると、少し寝る事にした。
「うー、もう4時かぁ・・・・・・・起きれるかな・・・・・」私は達成感も混じりつつ、深い眠りについた。

λ
「ふう・・・・・疲れたー・・・・・」私は片付けを終えて、思わず口に出した。
「それじゃあスェたん、チョコの保冷は頼みましたよー・・・・私はちょっと寝ますー・・・・」
そうして私は、渡す時間まで寝る事にした。

360之神:2008/02/14(木) 11:45:03 ID:EljImjJs0
α
「おーい、ミカぁ!朝だぞ起きろー」
「うーん・・・もう少しだけお願いしますうー・・・・・・あと3分」
「さっきもあと3分って言ってたじゃないか。ホラ、起きろおきろー」俺はミカの身体をゆさゆさと揺らす。
「・・・・・!どこ触ってるのっ、もう・・・・・・」
「肩だよ。それより、やっと起きたね・・・・・もう学校だよ」
「あっ、今着替えるっ・・・・・!」
「わかった・・・・・・・ん、何?」ミカがこちらを見ていた。
「いや、着替えるから出てよ」呆れたようにミカはため息をつく。
「そうだった・・・・・」
俺はそう言って自分の部屋で待機することにした。

ふと机の上に目をやると・・・・・・・
「何だ、コレ」

β
「手紙を置いたけど、ちゃんと見てるのかなぁ・・・・・徹は」
私は着替えながら、少し不安になった。
「まぁ、大丈夫かな」私は鞄を手に取り

「徹!もう着替えたわよー!学校一緒にいこ!」

λ
「あっ・・・・もう朝だ・・・・・・・おはようございます、みなさん」私は神獣達に挨拶をすると、チョコの安否を確認する。
「よかった、チョコは無事に固まってるみたいですね・・・・・これで渡せる・・・・・!」

「夕方になったら、渡してきますね!」


α
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
徹へ〜

今日の夕方6時に、私達が最初に会ったあの公園に来て下さい。待ってます。
プレゼントもあるから楽しみにしててね(^-^)/

                         徹の事が好きなミカより。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆

「あ・・・・・・俺、お使いもあるんだった・・・・!やべ・・・・どうしよう・・・・」

「とりあえずダッシュでお使いを終わらせて、すぐ公園に行けばいいか・・・・・」俺は登校時間にそう決めると、ミカと並んで学校へ向かった。

361718:2008/02/14(木) 13:24:57 ID:gXqJ5/rQ0
お疲れ様です、718です。
バレンタイン企画に乗っかってみました。駄文ですがよろしければ。
今回は、いつもより少々長くなってしまいまいした。


彼は、とても力の強い魔導師だった。
ギルドの全幅の信頼を受け、どれほど困難な依頼であってもたやすく成し遂げた。
彼は誰にでも優しく、厳しく、暖かく接することのできる人だった。そんな彼も、皆から愛される存在であった。
私は、そんな彼のパートナーを務めることに誇りを感じていた。
彼の矛となり盾となり、槍と弓とを携えて、彼と並んで歩くことに、喜びを感じていた。
どのような任務でも、どのような戦地でも、私達は常に寝食をともにし、命をともにした。
月並みな話だが、私達が愛し合うようになるまでに、時間はかからなかった。

ある暑い日のことだった。彼が珍しく、露天商を見物しようと言い出したのだ。
私は、何もこんな暑い日にと口を尖らせたが、ここアリアンにあって暑くない日なんかあるものか、
いつだって変わりはしないさと、結局強引に連れ出されてしまった。

渋々彼について回りつつ、古代遺跡やスウェブの高塔から出土された珍しい武具を物色していると、
ふいにフワリ、と白い羽が私たちの目の前を掠めていった。あっ、と手を伸ばそうとしたが届かず、
羽はヒラリと遠くへ飛んでいった。こんな砂漠の地で白い羽なんて珍しいな、彼が呟く。ぼんやりと
羽の行き先を見送る私達の背中に、しわがれた声が飛んできた。

「お前さんがた」

振り返った先にあった露店は、多くの冒険者が軒を連ねるアリアンの物騒な露店群の中では異色のたたずまいだった。
上質なビロードの絨毯が砂上に敷かれ、その上には奇妙な透明の製の箱が積み上げられ、
その最も上に載せられた箱からは、砂漠の町にありながら強烈な冷気が漏れ出していた。
この奇妙な様子を観察する私達に、店番の老婆が続けて話しかけてきた。

「お前さんがた、今日は何の日か知ってるかい?」

さも今日が特別な日であるかのような物言いに私達は思案したが、特に思い当たるものは
ない。そうしていると老婆はニコニコと種明かしを始めた。

「今日はねぇ、バレンタインデーという特別な日なんだよ」

老婆は、ある大陸に存在した「恋人たちの守護聖人」のことを、身振り手振りを交えながら
ニコニコと話し出した。そして、その守護聖人の命日であるその日を、聖人の名前をとり、
「バレンタインデー」と呼び、この日は男女が愛の誓いを立てるのだと語った。

私は正直、老婆の話を「良く出来た作り話」程度に聞き流していたが、横の彼は真剣な
眼差しで老婆の話に耳を傾けていた。一通り老婆が語り終えると、彼はフンと一度うなずいて、
その話と、老婆の売り物に何の関係があるのか訊ねた。

「ある地方の習慣でねぇ、この日は互いにプレゼントを贈って愛を誓うのさ。
あたしが売っているのは、そのプレゼントにうってつけの品物だよ。さあ、どうぞ買ってくださいまし。」

老婆が差し出す箱の中身をよくよく見ると、そこには一口大のチョコレート玉がちょこんと
鎮座していた。私が、この常夏の地にあってチョコレートが全く溶けずにいることに驚いていると、
この箱が魔法で出来た氷をくりぬいたものだと説明してくれた。

362718:2008/02/14(木) 13:25:38 ID:gXqJ5/rQ0
結局、私達はひとつずつ、チョコレート入りの氷の箱を購入した。家路の途中判ったのだが、
彼は老婆の話を真に受けて購入したというのだ。よく出来た戯曲の拝聴料のつもりで購入した
私に彼は、そんな理由かよと苦笑いしていた。そして、しばらく遠方、遠くの大陸へ行かねばならないと、
唐突に告げられた。

常に彼と行動を共にしていた私にとって、私の聞き及ばない依頼の話は寝耳に水だった。
今回は単独での任務を強いられるためチームは組めないこと、私がこの話を知れば間違いなく
不服を申し立てること、その「申し立て」によって、間違いなくギルドホールは大規模な修繕か
建て直しを迫られるであろうことを、彼は丁寧に(その丁寧さが逆に腹立たしくもあったが)説明してくれた。
そして、私が渋々承諾すると彼は、この仕事が終わったら結婚してくれないかと言った。私は承諾した。

翌日の夜明けと同時に、彼は任務に向けて出立した。いつも並んで歩く彼の長身を見送るのは不思議な感覚だった。
ギルドの面々は、私が今回のことをよく納得したものだ、怒らなかったのかと驚いていたが、当の私は
ニコニコと舞い上がっていたので回りの者はその理由を知るまで「あいつ、ついに気がふれたのか」と
とんでもない噂がたったそうだ。

チョコレートは、彼が任務から帰ってきたら二人で揃って食べようと約束した。誓いのリングならぬ
誓いのチョコレートは、テーブルの上に並んでその時を待ち、それを覆う氷の箱はいつまでも
冷気を放っていて、肌に触れるとヒンヤリと気持ちよかった。早く彼の任務が終わるのが待ち遠しかった。


彼からの定時連絡が途絶えた。


その報が届いたのは彼がこの街を発ってから4週間後だった。私はとるものもとりあえずギルドに向かい、
そして連絡が途絶えてから既に2週間が経過していることをマスターから告げられた。
なぜもっと早く知らせてくれなかったのか、まさか奴に限って不測の事態などあるはずがない、口論する
私達の元に、一人の若いメンバーが飛び込んできた。震える若者の口元と、彼の手に握られた杖――――
見慣れた杖の残骸を見とめ、私は悟らざるを得なくなった。彼は戻ってこれないのだと。

なぜ無理にでもついていかなかったのか。肝心要の時に役に立たずに何が矛だ何が盾だ。
絶望感と悔恨に打ちひしがれ帰宅した私を待っていたのは、水浸しのテーブルと、その中に浮かぶ二つの
チョコレート玉だった。魔法の力が終わりを迎えたのか、氷の箱は跡形もなく溶けてなくなっていたが、
チョコレート玉は触れると、まだ微かに冷たかった。一つ、口に入れて噛み砕くと、甘くて上品な味がした。
もう一つ口に入れて、私は涙が止まらなくなった。帰ってこない彼の名前を、泣きながら何時までも呼び続けた。


あれから、1年経った。今私は、かつて振るった槍と弓とを、包丁とお玉に持ち替え、毎日の食事を、
息子のために作っている。あの直後、彼の子供を身ごもっていることが判ったのだ。
私は即刻ギルドを退団した。残りの人生の全てを、彼が残してくれた命のために使おうと決めた。
それに、私はまだ、彼はきっとどこかで生きているはずだという思いを捨てきれずにいた。
役に立たない矛と盾でも、いつか彼が帰ってくるかもしれないその日まで、せめてこの子は守り抜いて、
立派に育てて見せると誓った。

先日生まれたばかりの赤ん坊は、よく泣き、よく笑う元気な男の子だった。まだ柔らかな質感の髪は微かに
ウェーブがかって、撫でてやるとキャッキャッと嬉しそうな声を上げる。お乳も良く飲むからきっとスクスク
育つだろう、しっかり栄養を取って、立派なお乳を飲ませてやれというのが、世話になった乳母の言葉だった。
息子に最高のお乳を飲ませるためには、まず私が体力と栄養をつけないと。毎日の食事の量と室に、
やたらと気合が入る。笑いつかれた息子が眠りこけたのを見計らって、私は食事の準備に取り掛かった。

トマトを湯剥きし、玉葱を刻み、ベーコンを炒め、牛骨からとったスープを鍋いっぱいに注ぐ。
ジャアッという音とともに湯気が立ち上り、クセのあるいい香りが広がった。具材に火を通すため、
強火にして沸騰手前まで一気に加熱しつつ、焦げ付かないように木ヘラで鍋を大きくかき回す。
スープの放つ熱気と、元々の暑さのせいで額から玉の汗が流れ落ちる。

363718:2008/02/14(木) 13:26:08 ID:gXqJ5/rQ0
コン、コン、コン。

訪問者だなんて、珍しい。コンロの火を手早く弱め、エプロンを外して玄関へ。どちら様と声をかけると、名乗りの
代わりに、

「今日は何の日か知ってるかい?」

頭が真っ白になって、慌てて扉を開けた。そこにはあの老婆がニコリとしてたたずんでいた。あの日以来、
一度としてこの街で見かけることのなかった彼女。私は息を飲み、カレンダーを見やった。2月14日。

「そう、今日はバレンタインデーさ。」

久しぶりだねぇという彼女の前で、私は当時のことを思い出して思わず泣き出しそうになった。
彼女は何も言わず黙ってニコニコと、私が落ち着くのを待ってくれた。暴れだした記憶と感情を押さえ込み、
ようやく落ち着きを取り戻すと、どうしてここが?と問いかけた。彼女はヒャヒャと笑って、

「何、商売人の勘だよ。それに、あんたにはこれが必要だと思ってね」

そういうと、彼女は、あのヒンヤリとした魔法の箱を取り出し、私の手にしっかりと握らせると、それじゃあと
出て行ってしまった。私にこれが必要?どういうこととまとまらない考えを頭に抱えたまま彼女の背中を追い
外に出ると、すでに彼女の姿はなかった。私の頭の中はクエスチョンマークで溢れかえりそうになった。
ふと手にした箱に目を落とし、ゆっくりと蓋を開ける。そこには、1年前に食べたあのチョコレート玉がちょこんと、
2個、鎮座していた。

ヒラリ。

私の視界をゆっくりと、一片の白い羽が独特の軌道を描いて上から下へ通り過ぎ、フワリと地に降りた。
こんな砂漠の地で白い羽なんて、と手を伸ばそうとして、火にかけっ放しの鍋のことを思い出し、私は
慌てて書け戻って――――次の瞬間、目の前に現れた光景に思わず、握り締めた氷箱をとり落とした。


リビングの真ん中に、かつて私が、いや、今でも愛して止まない、彼の姿があったのだ。頬は窶れ、髪はかつての艶を失い
顔の下半分は伸び放題の髭に覆われてはいたが、その優しげな表情はあの頃のままの彼が、間違いなくそこに居た。

私は目を疑い、ついに気がふれてしまったのかと思ったが、彼がゆっくりと私に歩み寄り、この手を握り締めてくれたとき、
目の前にある全てが現実なのだと知ることができた。
私は、溢れそうになる涙を堪えながら、ようやく一言、なぜ?とだけ振り絞った。彼も声を震わせ、目を潤ませて、こう答えた。
捕えられて奴隷の日々を強いられていた僕の目の前に、天使が舞い降りて、次の瞬間目の前には、君がいたんだ、と。

――天使――白い羽――チョコレート――これが必要――

先ほどまで頭の中で渦巻いていた疑問がするりとほどけていった。嗚呼、疑ってごめんなさい。そして、ありがとう。
貴女の言った通り、間違いなく守護聖人は存在した。とめどなく溢れてくる涙をこらえることはもう私にはできなかった。

ジュワアアアアッ

スープの吹き零れる音が響き渡ったが、私には聞こえない。彼の胸に飛び込むと、お帰りと囁いた。彼の優しい、
ただいまという声だけが、私の耳に届いていた。

<おわり>


途中から無理やりハッピーエンド化させようと頑張ったのでどうもアヤシゲな構成になってしまいました。
駄文ですが読んでいただけたなら幸いです。では、ハッピーバレンタイン!

364◇68hJrjtY:2008/02/14(木) 19:06:14 ID:TOXlWZEo0
>之神さん
意味ありげなおつかいを頼まれた徹ですが、ミカの気持ちとチョコは伝わるのだろうか…
渡す前に終わってしまったところを見るとこれは続きがありますよね!うん!(こら
ミカの本命は徹でも、シルヴィーの本命は…わくわく。
徹は戸惑いながらですが、今編に限らずミカが徹に対して積極的にアプローチしてるのが見てて微笑ましい。
やっぱりこういうのはメールじゃなくて手紙がイイ!さてさて、バレンタイン本番の時間が刻々と…。
どうする徹!(笑)

>718さん
私も一時は悲しい結末かとひやひやしてましたが(それでダメってことはないんですが!)、ハッピーエンドとなってほっとした心境です。
別れ別れになってしまった二人を繋いでくれたチョコレートと商人。夢や幽霊ではなくて現実の出来事だというのが印象的でした。
チョコレートを渡す風習の話もこうした物語を読むとあながち嘘っぱちの作り話ではないと思ってしまいます。
バレンタインにまたひとつ奇跡が生まれて二人が子供と一緒に幸せに暮らしていけたら、これ以上は無いですね。
バレンタインのお話、ありがとうございました!

365之神:2008/02/14(木) 19:54:31 ID:EljImjJs0
α

キーン、コーン。

終業のベルが鳴り、この日の学校の終了が告げられる。

俺は頼まれたお使いを遂行するべく、ダッシュで家に帰ることにした。
「悪いミカ!ちょっとすぐ終わるけど用事あるから先に帰るわ」
「うん、わかった。手紙、読んでくれた?」
「ああ、読んだよ。デートはこの後なーっと」
「で、デートだなんて・・・・・」ミカは顔を染めた。
「うん・・・・・・まぁ後で、すぐ戻るよ」

「うん、絶対だよ」




よし、準備完了・・・・・!さてさてお使い内容はー・・・・・

=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=
徹へ、以下の内容を済ませてから最後に公園に行って下さいね。

1.お父さんに、この鞄を届けて下さい。会社にいるはずです。
2.地図に点を打ってある所は届け先です。その住所の人に箱を渡してくださいね。
3.何でもいいので傘を買って下さい。小さい方がいいかもね。

夕飯までには帰ってね。
=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=―=

なんだ、けっこう内容濃いな・・・・・・。とりあえず親父の会社か。
現在、母さんは居ない。置手紙の横の荷物が、静かにリビングに佇んでいるだけだった。

「いってきまーす・・・・・って、誰も居ないんだよな・・・・・」と独り言を呟きつつ、俺は家の扉を押した。
親父の会社は都内で、電車で30分あれば到着できる。そこからちょっと歩けばすぐに会社だ。
俺は目的地までのルートを確認しつつ、駅まで歩いていった。

λ

もうすぐ夕方・・・・・・・。
早く日が傾かないかなぁ・・・・・・。
「ウィンディ、ちゃんと届けてくれた?」
そう聞くと、風の神獣はコクコクと頷き、そしてクルクルとその場で回転を始めた。
「そう、よかった。ありがとね・・・・ポーションは無いけど、チョコレートならあげる」
チョコレートを貰うと、神獣は満足げに飛んでいってしまった。

β

「4時かぁ・・・・・あと2時間だから、5時半に家を出れば平気ね」
家に付くと誰もおらず、自分一人とライトの飲みかけの酒瓶が転がってるだけだった。
「早く夕方にならないかなぁ・・・・・・」
私は服を合わせる為に、自分の部屋へと入っていった。

α

「あー、やっとついた・・・・・・・」
そう漏らした俺は、現在高層ビルを眺めている所だ。現在夕方4時、思ったより早く用事は済みそうだ。
俺は親父の勤める会社へと足を向けた。
都内の大通りは人が多く、コートやジャケットを着込んだ人たちが忙しそうに歩き回っていた。
巨大な交差点を通り過ぎ、人ごみを掻き分けていくと・・・・・・・
「ついたか」
そこには大きなビルが聳え立っており、スモーク加工された窓ガラスに傾いた日が反射している。

ニッコリと微笑む受付嬢に用件を告げ、学生証を見せてから俺は仕事場まで案内された。
親父はゲーム関係の仕事をしているらしいが、詳しい話は聞いて無い。

〜GAME ON〜 と書かれたプレートの壁を通り過ぎ、親父の職場にたどり着く。

「おう、徹か!」
「ああ、仕事お疲れさん・・・・・・これ」俺は鞄を差し出す。
「お、やっと届いたか・・・・・・これで4個目だな」フフ、と親父は笑う。
「もしかしてそれ・・・・・・・」
「ああ、チョコレートだ」

やられた。まったくもって使われた気分だ。
俺は「じゃあまたな」と力なく言うと、とぼとぼと歩き出した。

「あと、2つ」

366之神:2008/02/14(木) 20:27:19 ID:EljImjJs0
α

現在4時半で、そろそろ薄暗くなってくる頃だ。

「3番の傘はいつでも買えるとして・・・・・・いや、今のうちに買っておくか・・・」
都内のブランドショップが並ぶ中、俺は大型店舗の中へ足をやる。

この後この傘がどう使うか、俺はわからなかった。この時は、ね。


1000円程で買った傘を抱えて店を出ると、もう5時でかなり暗くなっていた。
「6時に間に合うかな・・・・・・」
俺は地図を広げて、目的の場所を探す・・・・・・・
「・・・・・ここ、かなり金持ち地帯じゃねえか・・・・・」
地図に赤く打ってある点は、成功者の集まる住宅街の中にあった。

「まぁ、行くしか無いかぁ・・・・・・」

γ
町の女の子はみんな、チョコレートを手に持ってソワソワしている。
現在俺は、大量の女性用下着(少女限定)を抱えて警察から逃走中だ。走る中、そんな女の子が多いと思った。

上手く逃げ切った所に、見覚えのあるやつが飛んできた。

「ウィンディ・・・・・?」
その神獣は俺の目の前に降りてきて、手紙を放り投げてきた。
「俺にか?」
頷くつむじ風。
「わかった、配達ドーモな、おつかれさん」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ライトさんへ。

私は自由に生きています。おかげさまです。
自由ついでに、手作りのお菓子を受け取ってください。
この世界での文化らしいのです。口に合うかはわかりませんが・・・・。
6時に、この地図に記した場所へきて下さいね。

                           シルヴィーより。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

んー・・・・・?もしかして、シルヴィーも例のアレか・・・・・・。
まぁタダなら悪い気しないし、行ってやるかな・・・・・・・・ヒマだし・・・。

α
ついた・・・・・・・・。
空気が既に違う、目に見えてリッチな空間が広がっていた。
自分の家もかなり金持ちの部類らしいが、やはりウチが「豪邸」だとしたら、ここはもはや城だった。

「さてさてどんな金持ちの家やら・・・・・・」
記された場所に到着し、俺は目の前に立つ。
当然のごとく付いている画面つきインターホンを押す・・・・・・すると

「お待ちしてましたよ」聞き覚えのある少女の声が流れてきた。画面に写っているのも、幼女だったし。
「えーと・・・・・フィ、ふぃ、フィー・・・・」
「フィアレスです、・・・・・・・まぁお会いしたのは一度でしたからね、無理も無いですが・・・・・・・。
 どうぞ中へ、門を開けますから」
言うと同時に大きな門が開き、家へと続く庭の中の道を俺は進んだ。

そして半分ほど歩かされた後、大きな家の中から幼女が出てきた。
「お久しぶりです。何故ここに住んでいるか、そのほか聞きたい事はあると思いますが、まずは中へ」
言いたいことを先に言われ、俺はしぶしぶ幼女の背中を追う。

「で・・・・・とりあえずこれがお使いの物だ。小箱だから苦労は無かったが、中身くらいは教えて欲しいな」
「中身ですか。中身は・・・・・・お酒です」
「お前、どう見ても未成年だが?」
「お酒とは少し違うんですがね、まぁお酒のようなものですよ・・・・・」
「まぁ、異世界の奴らはワケのわからん事多いから、深くは聞かないさ。俺の頭もこんがらがるし」
「でしょうね」
サラっと言われたが、なぜか傷付くことは無かった。相手が幼女だからなのか・・・・まぁ分からないが。


「じゃあもう一つ・・・・・なんでこんな家に住んでるんだ?」

367之神:2008/02/14(木) 20:53:08 ID:EljImjJs0
α

「ああ・・・・・それはですね・・・・・金を売ったので」
「金だけでここまでとは、そうとう持ってたのか」
「いえ、ちょっと違う代物なんですが」
「ほう、魔法でもしたってか?」俺は笑い飛ばす。差し出された紅茶を啜りながら答えを待つと、

「錬金術です。魔法みたいなモノですが」

おいおい・・・・・マジモンかよ・・・・・・。
「そうだ、徹さんこれを」
差し出された手には、やはり14日の菓子があった。
「あ、ありがとう・・・・・ん?」
「何か?」
「チョコくれたって事は、バレンタインデーを知ってたって事だよね?って事は、フランデルにもあるのか?」
「まさか、無いですよこんな稚拙な行事」
稚拙って・・・・・・とは思ったが、あえて言いますまい。

「あ!」

「今何時だーっ?」
「6時です」

β
時計を見ると6時だった。
「遅いなぁ・・・・・・寒いよう・・・・・」ブルブルと震えながら、ベンチで時計を眺める。
「きっと忙しく飛び回ってるんだろうなぁ・・・・徹」

α

「のん気に紅茶なんて飲んでる場合じゃないっ!」
「何か予定でも?」
「6時から約束あるんだ、フィアレスさん、俺もう帰ります!」
「そうですか、お気をつけて・・・・・・これからもうすぐ・・・・」
「もうすぐ?」
「いえ、傘があるなら平気です。それではまたいつの日か」
「何だ・・・・?まぁ、急ぐのでまた!」

そう言うと俺は、駅までダッシュで向かったのだった。

λ
「待ちましたよ」
「悪いな、ちょっとゴタゴタがあったんだ」
「その下着は関係あるんですか?」
「まぁ、これのせいなんだがな」

「これ、どうぞ・・・・・その、好きとかじゃ無くて、お世話になったから・・・別に貴方が好きとかじゃ無いんですよ?
 ただお礼くらいはしておかないと、私もすっきりしないので・・・・!変な勘違いはしないで下さいね?恋愛対象とかじゃ無いんですから!」

「そんなに否定されてもなぁ・・・・・・いやいいけど。まぁ、ありがとな、酒の肴にするよ」
「はい、・・・・・ちゃんと形も考えたんですから!」
「食えば一緒だろ、形なんて・・・・・・・あ、怒るなよ?」
「いえ、その言葉には怒りません・・・・・・・けど」
「ん?」

「スカート捲って眺めるのは、怒りますよ?」
そう言って私は、目の前の泥棒男の頭ををペチペチと叩いた。
α

「あー、もう7時・・・・!怒られるー!殴られるー!」
疲れるのも忘れて電車を降りた俺は、全力疾走した。

「ハァハァ・・・・・・公園は・・・・・ええと・・・・あっちだ・・・・!」

ダダダダ・・・・・・とスニーカーを履く足を上下させ、俺は公園の方角へと走る。
「・・・・・・ミカがまだいますように・・・・・!」
紅茶を飲みつつ無駄話をしていた自分に後悔しながら、俺はミカが居ることを祈って走り続けた。

368之神:2008/02/14(木) 21:19:52 ID:EljImjJs0
α

到着したとき、既に時間は7時半だった。
流石に居ないかと思ったが・・・・・・・居てくれた。

「ごめん・・・・・・遅れた」
「そんなの言われなくても分かるわよ」どこかミカは怒った口調だ。
「その・・・・・・用事が・・・でも本当はもっと早く来る事も出来たんだけど・・・・ごめん」
「寒い中1時間以上待ったのよ!?もう、プレゼントもあげない!」ミカは微妙な表情で怒鳴りつけた。
「ごめん・・・・・・女を待たせちゃダメだよなぁ・・・・・・」
「もう、バカ!」
「うん・・・・・・・自覚してる」
「許してあげないよっ!約束したのに!」泣きそうな顔でミカは言った。
「たのむ・・・・・許してくれ・・・・・言う事聞くから!」


「本当?」

「うん・・・・・できる範囲なら・・・・」

「じゃあ、手が寒いから手を繋いで・・・・・・」
「わかった・・・・・」俺はミカの震える手に、自分の手を重ねた。

「・・・・・・身体も寒いから・・・・・その・・・抱いてよ」
「えっ・・・・・・・!」
「言う事は聞いてよ」
「わかった・・・・・」俺はミカに近づきぎゅっと抱きしめた・・・・・同時にその時、ミカがこの命令を楽しんでいる事に
気がついた。それでも、そのまま俺は抱きしめ続けた。

「暖まったかな?」抱きながら言う。
「まだ、あと1時間くらい」ミカは悪戯な笑い顔で言った。
「そりゃあ長いよいくらなんでも・・・・・・」


かなり長く抱き合っていた為に、時間の過ぎるのも忘れていた。もう8時だ。
「徹、これ」
「ああ、ありがとう・・・・・・本当、待たせてごめん・・・・」チョコレートを受け取ると、俺は回数も忘れた程の謝罪を繰り返した。
「抱いてくれたからチャラよ♪」エヘヘ、とミカが照れて笑う。
「まったく、なんだかなぁ・・・・・・」

「あ・・・・・・雪だ・・・・・・・」
パラパラと白い粒か、ゆっくりと降ってきた。仕方なく、俺は買った傘を開く。
「ホラ、ミカも入ってよ」俺は開いた傘の下に招き入れる。
「うん・・・・・・って、もっと寄りなさいよっ!私が濡れるじゃないの!」
「こっちも限界だって・・・・・・・」
「だから私達が寄り合えばいいでしょう!もう、考えなさいよバカね」

なるほどね・・・・・・・傘は雪の中の相合傘の為か・・・・・・母さん、策士だな・・・・・。

「あれ、ライトさん・・・・・・とシルヴィーさん・・・・だよね?」
「そうねぇ、一緒に何してるのかしら・・・・・・・」
見ると雪の中、その2人はワイワイと動いていた。

γ
「だからって、白い無地はダメなんだよ!」
「何で私の下着に口出すんですかっ!」シルヴィーは顔真っ赤にしてスカートを抑えている。
「青も合わないけど、キミみたいのは縞々のやつがいいんだよお・・・・・!」
「もう!チョコ返してください!」
「なっ、これは俺からのアドバイスだぞっ!?」
「――――!――――?」
「・・・・・・・・・」


雪は振り続けた。まるで恋人達を祝福するかのように・・・・・、なんてな。

369之神:2008/02/14(木) 21:38:12 ID:EljImjJs0
α

家に帰ると、ミカがチョコを咥える俺に質問してきた。
「どう?なかなか美味しいでしょう・・・・?」
「うん、美味しいんだけど・・・・・・・」
「だけど?」
「厚いな・・・・・これ、噛み切れないや」3センチほどあるハート形チョコを皿に置く。
「割っちゃダメよ?」
「分かってる・・・・・・頑張るよ・・・・・」

γ
「おお、手裏剣の形じゃないか」
「はい・・・・・ライトさんなので、ちょっと意識して」
「凝ってるなぁ・・・・・・おお、これなんかダートの形だ」
「ちゃんと全部食べて下さいね?大変だったんですから・・・・・・」もじもじとシルヴィーは目線を向ける。
「ああ、酒に合うしなー」
「あの人、食べてくれてるかな・・・・・・・」
「ん?誰のこと?」





同時刻。

一人の男の下へ、ケルビーが駆けつけた。
「何だお前は。何の用事だ。悪いが俺はお前の相手をしているヒマは無いんだ」
トレンチコートを着込んだその男は、妙な形の杖を回しながらケルビーに言った。
「ん?これは・・・・・・チョコレート、か」
コクリと頷くケルビーは、手紙も一緒に投げつける。

◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆
シリウスさんへ

シルヴィーです。
あまり無理しないで下さいね、弱いんですから。
それはチョコレートです。毒なんか入ってませんから、安心して
食べて下さい。
余計な騒ぎを起こさないように、自己制御もお忘れなく。
では、また。

シルヴィーより義理チョコと共に。
◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆

男はチョコレートを手にすると、口へ運び呟いた。
「なんだこんなもの・・・・・・・・・・フン」

「コーヒーが欲しくなるじゃないか」


雪はまだまだ振り続ける。男は缶のコーヒーとチョコを手に持ち、夜道を徘徊するのだった。




fin、ホワイトデーに続く・・・・・・・と思う。

370之神:2008/02/14(木) 21:45:37 ID:EljImjJs0
以上、バレンタインネタ投下終了。
今回のテーマは、手紙と愛です。手紙今回多し。

ミカと徹のイチャイチャ度MAXですが、生暖かい視線で見守ってやって下さい。
宣言をして書いた番外なので、ちょっと期待(? あったかもですが、こんなモンです・・・・。

他の作家さんも書いていただけるのは、けっこう感激!
感想などもありがとうございます・・・・・、活動動力です。



余談。
リアでもチョコを頂いたのですが、必ず言われるのが
「義理」
まぁ余計な勘違い無くていいですけど、きっぱり言うもんだから・・・・って愚痴。(スレ違

さて、こんな番外でした。之神でした。すいませんでした。

371FAT:2008/02/14(木) 23:47:24 ID:ud4ZTT.U0
「ちょこ」

 寒さの厳しい雪国に、北風が雪を乗せ一面を白く染める。
 かつて道として存在していた谷間も今は雪が高く降り積もり、崖の上からいつ振ってく
るともわからない雪とも氷とも言えぬ塊が進入を拒む。
 私は凍てつきそうな腕に無理を言わせ杖を振るった。コートの裾が翻り、杖の先から火
が生まれる。しかし、マッチの火のように北風に押されると靡き、谷間に消えていってし
まった。
 コートにも、フードにも雪は吹き付けられ、白く装飾していく。ブーツは雪に埋もれ、
指先の感覚はとうに失っている。激しく吹き荒れる雪の織り成す雪景は私すらその風景の
一部とせんと懸命に白い装飾を飾り付けているようだった。

――私はどうにかしてしまったのだろうか?

 この先に、本当にあの薬草が生えているのだろうか?
 思えば、見ず知らずの人間の話を真に受けるなど、私らしくない。焦りが私を軽率にさ
せ、見えもしない神にもすがるほど、私は期待に胸を躍らせていた。
 ……その始末がこれか。
 もはや腕を動かすこともままならない。重いとも感じない。いつのまにか杖は私の手を
離れ、雪景の一部となり、渓谷に立っていた。渦巻く雪風がこれ見よがしと突っ立った杖
の側面に吹きつき、縁起でもない、十字架のように私の眼に映った。
 愛するちょこよ、お前は私の帰りを待っているというのに、苦しみに輪をかけることに
なってしまうとは。せめて私でなくとも、誰かがあの薬草を届けてさえくれれば、お前の
苦しみは私を失うだけで済むのに。
 瞼が閉じようと私をなじる。寒さに私の脚は負け、十字架の下に倒れこんだ。舞い上が
る雪の粉が風にさらわれ、再び宙を舞う。
 ちょこよ……
 私は瞼を閉じ、愛するちょこの姿を思い浮かべた。愛くるしいつぶらな瞳が私をじっと
見つめ、鼻をひくひくと鳴らし、それでもちょこんと座っている。
 はは、よしよし、そんな瞳で見つめるなよ。ほら、お前の大好きな鶏肉だぞ。今日は特
別だ、お腹いっぱいお食べ……
「あの、大丈夫ですか?」
 声に意識が反応する。いかん。私は頭を振るい、一瞬で長い髪の上にずっしりと積もっ
た雪を振り払った。顔を上げるとそこには少女の姿があった。少女はこの吹雪の中信じら
れないほどの軽装で、薄いフードを被り、へその見えるほど丈の短い上着にもはやその存
在の意味などないほど短いスカートをはいていた。私の意識はそんな奇妙な少女以上にそ
の隣に寄り添っている暖かな色をした犬に釘付けになった。
「ちょこ……」
 半ば閉じたままの眼でその犬を見つめる。色姿は違っても、私にはちょこに見えた。
「チョコ、ですか? ちょっと待って下さいね」
 少女は腰にぶら下げた薄く雪の積もったミニバッグをがさごそと漁ると、濃い茶色の板
のようなものを取り出した。
「はい、どうぞ、お食べ下さい」
 私が手も足も動かせないと知ってか、少女は私に雪がかからないようその小さな体で私
の上に覆いかぶさると私の口にその板を運んだ。口に入ると、ほろ苦い味が感覚を失った
はずの口内に広がった。私の味覚がその感覚を思い出すように追って甘さを感じた。舌の
上で溶け、ほろ苦さも、甘さも時間を追うごとにその味を増していく。
 失ったと思っていた感覚たちが目覚め、ごうごうと鳴る北風も、しんしんと冷え肌が引
きつるような痛みも、鮮明に感じられ、少女が微笑んでいるその温かな笑顔もまるで暖炉
の火のように暖かく、そして懐かしく思えた。
「ちょこ」
 私は再び呟いた。私の目の前の少女はいつの間にか雪の中に消え、私の顔の前には愛す
るちょこの姿があった。

 ちょこよ、お前だったんだな。

 雪景の中、私の姿は降り積もる雪に覆われ、見えなくなった。しかし私は埋もれたので
はない。こうして降りしきる雪をちょこと共に眺めているのだから。

372FAT:2008/02/14(木) 23:51:36 ID:ud4ZTT.U0
ぎりぎりセーフ!?

危うくバレンタイン企画に乗り損ねるところでした。
しかしなぜ毎回こんな話になってしまうのでしょう、黒頭巾さんのようなほんわか
話を書くつもりが……

次回なにか企画があれば、今度こそほんわか話が書けたらなぁと思います。

373柚子:2008/02/15(金) 01:29:46 ID:p4FGN5aQ0
前回>>324-331

『Who am I...?』

古都の朝。
多くの人種が集まるこの街は、朝から商人の声や人々の談笑の声、或いは喧嘩などで既に賑わい始めている。
街の南東の方角に建っているバトンギルド本部。
その中の一室でイリーナ・イェルリンはまだ眠りについていた。
窓から差し込む光や、聞こえてくる人々の声を遮る為に毛布を頭から被る。
イリーナにとって街の賑やかな声は騒音以外の何者でもない。
「ああーうっさい」
少しでも音を遮る為に耳に手を当てた。
半分起きてしまった意識を戻すべく、羊を数えてみる。
彼女の羊達は柵を跳ばなかったりフェイントをかけたり1匹に重なって実は3匹だったりと、実にひねくれていた。
何で自分はこうなのだろうか。イリーナはその時だけ自分の性格を恨んだ。
何とか眠ろうと奮闘していると、トドメと言わんばかりに呼び鈴が鳴った。
ギルドマスターのアメリアに任せようと思いしばらく放っておくが、呼び鈴は鳴り止まない。
「そっか。マスター今日いないんだ」
イリーナはアメリアの不在を思い出した。
昨夜、2人が事務所に帰ると置き手紙があった。
その内容はアメリアが大きな依頼で遠くまで行き、他のメンバーともそこで合流するためしばらく不在になるとのことだった。
そういう訳で現在も呼び鈴が鳴り続けているという次第である。
イリーナは来訪者が諦めて帰ることを願った。
しかし来訪者は、居るのは分かっていると言わんばかりに鳴らし続ける。
仕方なくイリーナは隣の部屋で寝ているルイスに行かせることにした。
足で壁を蹴りつけ、意思を伝える。
「お・ま・え・い・け」
言葉のリズムに合わせて蹴りつけると、しばらくして返ってくる。
「こ・と・わ・る」
短く4回壁が叩かれる。
苛立ちを覚えたイリーナは、魔力通信でルイスに伝えた。
「お前行け。たまには仕事しろよ」
「断る。貴様の方が半歩近いだろうが」
「残念。ルイスと私じゃ1歩の幅が違うんだよ。よってお前行け」
耳飾りに付いた、小さな複数の魔石による魔力通信で行われる高速会話。
それを使って2人は相手を行かせようと罵り合った。
しばらくしてルイスの通信が切れた。
「あいつ通信拒否にしやがったな」
忌々しく思いながらも、馬鹿らしくなってきたイリーナは自分が出ることにした。
寝起きでまだ所々跳ねている長い髪の毛を掻きながら、扉の前にいる人物に話しかける。
「今開けまーす」
扉を開くと間から覗く漆黒の服装。
それを見て一瞬イリーナの息が止まる。
開けかけた扉を再び閉めようとするが訪問者に足を挟まれる。
「お前はいつまで来訪者を待たせる気だ?」
「ええっと……軍人さんが何の用で?」
訪問者は軍服を着た軍人だった。
軍人の男は1度睨みつけ、イリーナの問いに答える。
「お前ら2人に話があってきた。まあ通せ」
イリーナが仕方なく通すと、軍人は無遠慮にも近くのソファに腰をかけた。
「なんだ。客に珈琲の1つも出せんのか」
思わず罵倒が口から滑りそうになるが、身分の違いを考え大人しく従う。
更に寝間着のままの姿のイリーナを舐め回すように見てくるので、イリーナの気分は最悪だった。
珈琲の準備をするついでに魔力通信でルイスを呼ぶ。
煎れた珈琲を軍人の前に運ぶと、男が口を開いた。
「色気がないな。谷間も見えんとは悲惨だ」
「悪かったな。で、話って何だ?」
「うむ。では話そう」

374柚子:2008/02/15(金) 01:31:07 ID:p4FGN5aQ0
長テーブルを挟み、軍人とイリーナ達が向かい合う。
起きてきたルイスを加えて対談は始められた。
「まず聞くが、お前達は昨日古都から少し離れた森で依頼を受けたな?」
「ああ。それがどうした?」
「どんな内容だった?」
軍人の男が真正面からイリーナの瞳を見据える。
その重圧に耐えきれず、イリーナは目を逸らした。
「言う義務はないな。これはギルドと軍の法で正式に定められている筈だ」
「無理にとは言っていないさ」
「で、それがどうした」
男はしばらく黙り込み、ゆっくりと顔を上げるとその重々しい口を開いた。
「お前らの依頼主の老人が、今朝死体で見つかった」
衝撃がイリーナの体を突き抜ける。
横目で確認すると、ルイスも同様に言葉を失っていた。
「ど、どういうことだ……?」
「それを調査中なのだ」
男が2人を交互に眺める。
「俺とイリーナを疑っているということか?」
ルイスが鋭い視線で男を射抜く。
しかし、男は動じた様子もなく、逆に薄笑いを広げた。
「疑ってはいない。ただ依頼の内容を聞きに来ただけだ」
それだけ言うと、男は立ち上がった。
出口の前まで行くと、ふと足を止めた。
「ちなみに、その老人には無数の裂傷が刻まれていたそうだ」
その言葉に、イリーナ達は再び呼吸が止まる。
「待て、その老人の近くには何か……いや、何でもない」
男は再び歩を進めると街の人混みの中へ消えた。
しばらくして、イリーナが深い溜め息をついてソファに沈む。
「ルイス、まずいことになってきたぞ」
「ああ、知らずの内に厄介事に巻き込まれているようだ」
「それも軍は私達のことを全て把握しているようだしな。あの男の反応を見てりゃ分かる」
イリーナは深い思考の海へと沈んだ。
出来事と男の話を照らし合わせ、思考を整理していく。
軍が自分達の所へ訪ねるのは分かる。1番怪しい人物と言ったらまず自分達だろう。
しかし、疑問は残る。
何故軍が動いている……?
どちらにしろ、国の使者が派遣されるだろう。
だが、言い方は悪いがこれくらいで軍は動かない。
軍が動くときはもっと規模が大きく、国際的な問題に繋がるようなものばかりだ。
そして何よりも、1番疑問に感じることは――――
その時、再び呼び鈴が鳴らされた。
「誰だ?」
「私が出る」
鳴り続けられる呼び鈴を忌々しく思いながら、イリーナが扉の前まで行き、扉を開く。
「え?」
イリーナの目は斜め下に注がれていた。
そこには、見知らぬ少女が立っていた。
一見十代に入り始めた程度の普通の子供。全身を血と泥で汚している以外は。
少女はイリーナ達を視界に入れると、1度安心したような表情をし、意識を途切らせその場に倒れた。

375柚子:2008/02/15(金) 01:34:01 ID:p4FGN5aQ0
「こ、今度は何だ……?」
イリーナの前には見知らぬ少女が倒れていた。
全身をフードコートで包み、その中から覗かせる幼い容貌。
血と泥で汚したその容姿は、早くも美貌の気配を見え隠れさせている。
「ルイス、まさかとは思ったけど隠し子が居たなんて!」
「貴様は引き算もできないのか? どこに俺の年齢でそんな年の娘を持つ人間がいる」
「いや、ルイスなら人間の常識なんて関係無さそうだし」
ルイスの瞳に怒りの炎が灯ったのを確認し、イリーナは素早く目を逸らすと少女に注意を戻した。
少女の表情は苦悶に満ち、小さく唸っていた。
「まずはこの子供をどうするかだ。どうしてここへ訪ねて来たかは置いておくとして、このままだと死ぬぞ」
「俺は知らん。勝手にしろ」
そう言うと、ルイスは客室へと戻っていった。
取り残されたイリーナは溜め息を吐くと、少女を抱き上げ中へと運んだ。
空いているソファまで運び、布を敷くとその上に少女を寝かせる。
少女の下敷きになっている布に血が染み込む。
イリーナはしばらくその様子を見た後、傍らで優雅に腰をかけているルイスに視線を向けた。
「無関係だと思うか?」
「この娘と一連の出来事がか?」
「そうだ」
ルイスはしばらく考え込むように目を閉じると、やがて口を開いた。
「さあな。だが関係があると考えても一連の出来事に結び付かん」
「だよなぁ。やっぱり今朝の事とこれは別か。ああもう、何もかもが不自然過ぎて頭がどうかなりそうだ」
イリーナはうなだれ、本日何度目かの溜め息を吐いた。

寝間着から普段着に着替えたイリーナは、ルイスと少女の今後の対応について話し合っていた。
「やっぱり、孤児院にでも押し付けるのが1番かなあ」
「だろうな。引き取る理由が無い」
ルイスがきっぱりと切り捨てると、事務所内は静寂に包まれた。
唯一、窓からとめどなく入ってくる賑やかな人々の雑音だけが事務所に響く音となる。
その時、雑音の中に他の音が混ざった。
音は事務所の中から発せられた。
「……ん、うん……」
それは、少女の口から発せられていた。
少女の瞳が開かれる。
覚醒した少女は、うなだれた自分の腕を見つめると静かに動かした。
次に辺りを見渡し、見慣れない景色に表情が不安げに曇る。
「目が覚めたみたいだな」
少女は突然かけられた言葉に驚き、声の方へと目を向ける。
「気分はどうだ? 体は痛むか?」
「……」
イリーナの言葉に対し、少女は無言だった。
困ったイリーナは、出来るだけ笑顔を作り、少女に再び問掛ける。
傍らでルイスが小さく失笑したのを忘れない。
「どこから来た、家出か?」
「…………」
「どうしてここに来たんだ?」
「……………………ぁ」
少女の口から言葉にもならない声が漏れる。
再び何かを言おうとするが、咳き込んでしまう。
それはまるで声を出すこと自体に慣れていないかのようだった。
「じゃあまずは体を綺麗にしようか。そのままじゃ流石に悪いし」
少女は己の体へ目を落とした。
自分の体を包むフードコートと体に付着している血を、不思議そうに見つめる。
「おいで。歩けるか?」
イリーナが屈み、優しく少女に手を差し出す。
すると、少女の表情が少しだけ和らいだ気がした。

376柚子:2008/02/15(金) 01:35:20 ID:p4FGN5aQ0
イリーナは少女をギルドの浴場へと連れていく。
イリーナが上着を脱ぎ、浴場に入り水の温度調整をする。
「1人で脱げるよな?」
少女は恭しく頷くと、もぞもぞとフードコートの留具を外していく。
バサリという音を鳴らし、フードコートが少女の足元に落ちる。
少女は、フードコートの下には何も身に付けていなかった。
白い裸体が露になると共に、血と泥も増していた。
恥ずかしそうに浴場へ踏み込む少女を見て、イリーナが重要なことを思い出す。
「あまりに元気そうだから忘れていたけど、体は大丈夫なのか?」
イリーナの問いに、少女は頷いた。
イリーナはその様子を見て安心するが、1つのことに気づいた。
「傷、全く無いじゃないか……」
少女の体は、血で汚れてはいたが全くの無傷だった。
じゃあその血は何だ?
そう言いかけた言葉を飲み込み、イリーナは温水を汲むと少女の頭から被せる。
温水が血と泥とイリーナの思考を流していく。
汚水が排水溝へと吸い込まれ、やがてそれは無色の水に変わる。
次にイリーナが泡立った布を手に持ち、丁寧に体を洗う。
その作業の合間にも話しかけるが、相変わらずイリーナが一方的に話すだけだった。
泡だらけの体を温水で流し、次に頭を洗う。
「ほら、目を瞑れよ」
その言葉に従い、少女が必要以上に強く目を瞑る。
イリーナの言葉に応じることから、無視している訳でも、言葉が分からない訳でもなさそうだ。
仕上げにイリーナが少女の頭上に温水を流す。
艶を取り戻した少女の黒髪が、光を反射し綺麗に輝く。
肩先まで伸びた髪の先から落ちる水滴の音だけが浴場を占めていた。
その静寂を破ったのは、またしても少女だった。
「……ミ、シェ…リ……」
「え? 今、何て」
少女は必死に口の筋肉を動かし、何かを伝えようとしていた。
「……ミシェ、リー。ミシェリー!」
「それ、君の名前……?」
イリーナの言葉に少女が大きく頷く。
「いい名前だね」
イリーナが優しく頭を撫でてやると、ミシェリーという少女はくすぐったそうに笑った。



「で、何故俺の服を貸さなければならぬ」
「しょうがないだろ。私のは全部合わないんだし」
2人の男女が睨み合いながら口論しているのを、困った様子で見つめる少女という光景。
服が無いミシェリーは、代用としてルイスのシャツを着せられていた。
シャツなのだが、小柄なミシェリーが着るとワンピースへと変わるのだ。
「だから、その服を今から買いに行くんだよ。そんな訳で留守番よろしく」
そんなイリーナを見て、ルイスがいやらしい笑みを浮かべた。
「ほう。ついに母親に転職する気になったか。父親は一生できることはないだろうがな」
「死ね。そもそも、母親を探すにしろ、孤児院に預けるにしろ時間がかかるだろ。
とりあえずマスターが帰ってくるまでの間は面倒見るさ。マスターなら人脈も広いしどうにかなるかもしれないだろ」
「勝手にしろ」
あくまで無関係だと主張するルイスを、ミシェリーが気まずそうに覗く。
そのまま自室へ戻ろうとルイスが階段へ向かうが、手を掴まれ足を止める。
掴んだのはミシェリーだった。
華奢な腕を震わせながら、必死にしがみついている。
ルイスは少し力を加えれば簡単に振り払うことができたが、そうはしなかった。
「何のつもりだ?」
「け、喧嘩……だめ……」
ルイスの鋭い視線を、ミシェリーは真正面から受け止めた。
どうやらミシェリーは、先程のやりとりが己のせいで起きた喧嘩だと思ったらしい。
「ミシェリー? さっきのは喧嘩なんかじゃ……」
イリーナの手に、ミシェリーのもう片方の手が乗せられた。
「仲直り」
うんうんと、満足そうにミシェリーが頷く。
若い男女に挟まれて少女が手を繋ぐ光景は、まるで家族のようにも見えた。
ルイスは困惑した様子で、己の手を見つめている。
イリーナも訂正する気も失せ、こんなこともたまには悪くないかなと、小さく苦笑した。
しかしすぐに、間接的にルイスと手を繋いでいるのは気持ち悪いと思った。

377柚子:2008/02/15(金) 02:06:49 ID:p4FGN5aQ0
なんとイベントをやっていたとは!
……完全に乗り遅れました。次回からは参加したいと思います。

>◇68hJrjtYさん
初めまして。感想レスありがとうございます。
はい、ROM専のときよく見かけておりました(笑
それはそうと感想があるのと無いのではぜんぜんモチベーションが違いますね。ありがとうございます!

>ワイトさん
初めまして。柚子と申します。
大丈夫です、自分も漢字は苦手ですから(常用漢字でもよく忘れます)
ちなみにアメリア・バトンは人名です、分かりにくくてすいません。
ギルドの名前にギルマスの家名が入ったのです。

作品の方は時間が無くまだ途中までしか読めていません(すいません!)
ウェアゴートが剣を振り回したり戦士スキル使ったりするのに驚きました。
戦闘を考えるのは楽しいですよね。自分は苦手な方ですが・・・
それとアースヒールには笑わせてもらいました。

>718さん
初めまして。柚子と申します。
感想ありがとうございます! とても燃料になります。
早速バレンタインネタを書かれたようですが、こんなに早くにネタが思いつくのが羨ましい。
作品もまとまっていてすばらしいです。
お婆さんがナイスです。最後の演出はとてもドキドキさせていただきました。
ラブストーリーが書ける人は尊敬します。

>FATさん
初めまして、柚子と申します。
実を言うと、昔からのファンです!
もう双子大好きです。早く出てきてくれることをひっそりと待っていたり。
それとギリギリセーフおめでとうございます(笑
FATさんらしい丁寧な文体でとても良かったです。
ラストのシーンではとても感動。動物ネタには弱いですね・・・
余談ですが自分の飼い猫の名前もなのでちょこが猫に脳内変換されました。
本編の方もあの出てきた武道家はもしや・・・・・・!

他の職人様方の作品はただいま朗読中なので感想はまたの機会に

378ウィーナ:2008/02/15(金) 15:24:39 ID:PI3MWrYQ0
>>◇68hJrjtYさん
わわ;
ごめんなさい><
ちゃんと読んでませんでした;

その他3人の指摘、有難うございました。
そしてご迷惑をかけましてごめんなさい;

これからは気をつけます;

>>白猫さん
ふむ!
私なんか3日坊主でなかなかすすまないです^^;
1回書いたのを消しちゃったりすると
ずーっとやりたくなくなりますね・・・w
そうならないように頑張りたいと思います!


えーと、あげてしまって大変ご迷惑をおかけしました。
そしてご指摘&コメント、有難うございます^^

また、他にもいろいろご指摘おねがいします<(_ _)>

379之神:2008/02/15(金) 17:31:04 ID:EljImjJs0
>>柚子さん

お初でっす(・ω・
ROM専よりようこそ・・・・・!
ずっと他の作家さんのを読んでいたからか、文才か・・・・とても読みやすい(´∀`*
これからもよろしくです。

>>ウィーナさん
age投稿は、私も以前やってしまいましたからorz
ここは比較的平和ですが、やっぱりageると変なのも沸いたりしますしね。
小説内容は私も参考になってたり・・・・・
同じくよろしくです。

>>ドワーフさん
お初です。
ユニークの説明には、歴史や特色があるのでネタとして使いやすいですよねぇ(-∀-
私もネタ切れたらUネタに走ろうかな・・・・・と(コラ

以上、滅多にレスしない之神ですた。
また気が向いたら頭を絞ってレスします(・ω・´)

380スメスメ:2008/02/15(金) 22:22:57 ID:3sEqg9gAo
前スレ>>750 現スレ>>6-7 >>119-121


『どけっ!アルっ!!』

その声でやっと我に返ったオレは、とっさに今の事態を把握して右へ飛び退いた。
襲いかかるバインダー、その攻撃を飛び退いて回避するオレ、そして……
そのバインダーに向かって飛びかかる一人の男!
「うおおぉぉっ!」

男の怒号と一緒に土煙が上がる。
そこから現れたのは180?以上の背丈に筋肉の鎧をまとい、左肩に金属製のショルダーパッドを装着し、更にその左手に刀身がポッキリと折れた剣を携えいる男。そして頭から胸の辺りまで真っ二つに割れ、男のであろう剣先が折れて突き刺さり崩れ落ちたバインダーだった。
すげぇな、一撃で仕留めちまったよ。
とにかく助かったのか?


「助かったよ、アイナー」
「……」
男の名前は『アイナー』、オレが古都に来て初めて仲良くなった冒険者なんだけど、
「って、アイナー?」
こんなに無愛想な奴だったか?もっと気さくな良い奴だと思ったんだけどな。
つーかシカトかよ。

まぁいいや。
それはともかくとしてこのバインダーって奴は何なんだ?
これでも、自慢じゃないけどそれなりに腕はあるつもりだし、ちょっとした修羅場は潜ってきたつもりだけどあの殺気は尋常じゃなかった。と言うより殺気の中にある邪気とでも言うのかな?それがもの凄いモノだったのは間違いないと思う。

そんな事を考えながらバインダーの中身を色々と物色していたら……、
ちょうど拳くらいの大きさで紅い水晶みたいなモノが胸元にある。
「何だこれ?」
どうもアイナーが放った一撃を止めて、剣を折った原因はこれみたいだな。そう考えるとエラく固い水晶玉だな、おい。
しかもコレ……、脈打ってないか??
「おい、アイナー。これさぁ、何だ…」
と思う…?って聞いてねぇし!

それどころかアイツ、さっき助けた女の子の所にいるぞ。
「アイナー、何やってんだ……」
おいおい、いきなり胸ぐら掴んでやがるぞっ!
「何やってんだ!?」そう言って奴の肩を掴むけど……
「…を…せよ。……く……」
おいおい、コイツ何言ってるんだ?
しかも息が荒いし、体も小刻みに震えてる。ホントに一体どうしちまったんだ?
それでも、これだけはバカなオレでも解るぞ、うん。

コイツ、ヤバい!!

「止めろっ、アイナー!」オレは掴んでいた手を思いっきり引っ張ったけどビクともしねぇ。アイナーはオレが止めようとしているのをお構い無しに女の子の胸ぐらを掴んだまま持ち上げて、まだ何かをぶつくさ言っていたが、突然…
「早く俺の剣を寄越せェェエェェ!」
その瞬間、女の子の身体から強烈な光と衝撃波が発せられて部屋の壁まで吹っ飛び、眼がくらんだ。体勢を立て直し、眼もやっと見えてきたと思ったらアイナーの右手には真っ黒な片刃の大剣が握られいて、女の子の姿がない。

「ククク…、この感覚たまんねぇなぁ」
「おい、アイナー…」
「あぁ、まだ居たのかアル。この剣、すげぇだろ?」
「んな事はどうでも良いっ、あの子はどうしたんだ!?」
「あの子?…あぁ、キリエの事か。あいつならここに『持ってる』じゃねぇか」
何言ってるんだ?ここに持ってるって、
「まさか、お前の持ってるその剣ががあの子って言うんじゃねぇだろうな…?」
「さっきから言ってるだろう、コレだって」
と、言いながらアイツはキリエという女の子(剣)を右肩にトントンと乗せながら喜々として語ってくる。
その笑みは何処か違和感があってさっきのブツブツ言っている時とは違った不気味さを感じる。
そんな事は今はどうでも良い。それよりも、
「アイナー、その子をかえせ。オレが保護する」
「は?アル…これはオレの『物』だぞ。お前にどうこうされる言われは無いんだがなぁ…」…物?何言ってんだこいつは…。

381スメスメ:2008/02/15(金) 22:26:10 ID:3sEqg9gAo

「あ−…、そうだアル。お前もっと強くなりたくないか?」
そう言うとアイツはさっきよりも更に顔を歪ませながら不気味な笑みを浮かべてオレに一歩、また一歩近付いてくる。あー、いきなりコイツは何を言い出すんだ?
「これさえあればオレもお前も『強く』なれるんだぜ?すげーだろ」と左手を腰のベルトに入れ、そこから小さく深い緋色の石を取り出してオレに見せている。やはり一歩、また一歩と足を進めながら…。
オレは思わず、アイツの違和感に身構えてしまった。
それでもお構いなしにアイツは、
「アル〜、『こっち側』に来いよ…。オマエならきっと強くなれるぞ〜」
オレの前で立ち止まり、やっぱり薄気味悪い笑みを浮かべて問いかけてくる。つーかマジで何を言っているのかわかんねぇぞっ。
「はっ、バカ言うんじゃねぇよ。誰がお前の言う事なんざ聞くかっ!第一そんな簡単に強くなれるわけがねーだろがっ」な〜んて強く言ってみたけど、絞り出す声は少し震えてしまう…。流石に怖いぞっ!
「…なぁ、考え直しやしないか?コイツさえ飲めばお前も強くなれるんだぜ」
「断る。それにその子は『人間』だ、お前の『物』なんかじゃないっ!」
「そうか……。残念だ、よっ!!」
その瞬間、オレの右側が真っ暗になった。
次に判ったことは温かい『何か』がオレにかかったと言うこと。
最後に理解できたのはそれが血だと言う事だった。

…一体誰の?
あ−、オレのか……。


オレのっ!?



と、言う訳で回想終了!!

痛ッテェェェェェ!!
「……っ!マジかよ!?」

「オマエがいけないんだぞぉ、ア〜ルゥ?オマエが俺様に逆らうからこぉんなに痛い眼にあうんだぜぇ?……フヒッ!ふひゃひゃはひゃははは!」

コイツはヤバいっ!判っていた事だけどヤバ過ぎだろっ。
逃げなきゃ…逃げなきゃ殺されるぞ!







…逃げる?どこへ?
こんな壁に追いやられ、剣閃すら見えない程実力差がある奴からどうやって逃げろって?
第一あの子はどうなる?
アイナーの剣として、血みどろになりながらズット使われ続けるのか?
んで、オレはここでこんなイカレた奴に理不尽に殺されるのか…?





「冗談じゃねぇっっ!!!!」

オレは逃げねぇぞっ!
右肩が上がらない?あんなバカ左手と両脚があれば十分だっ!
剣閃が見えない?そんなもん気合いで何とかなるっ!
そんでもってあの子も助けて、アイナーの大バカ野郎に目一杯のゲンコツを喰らわせてやるっ!

「お〜い、こっチ見ろよ。もう少シ遊んでくれよゥ?じゃなイとツマラナいだろう?」と、アイナー…、いやあんな奴『バカ』で十分だ。
そのバカからのご指名だ。是非オモテナシしてやらねぇとなっ!
「そうだな…オレもお返ししてやらねぇと、なっ!」言い終わると同時に奴の足を素早く払い蹴るっ。
転ばなくても少しだけ体制が崩れれば十分だっ。
その間にすかさず奴から離れ、跳躍して距離を取る。
だけど、それで一安心出来る相手じゃない。
案の定オレが距離を取るために飛んだ瞬間に間合いを詰め、獲物を振り下ろして来やがった。
地面に剣がぶつかった途端、地面が割れるほどの威力のある斬撃を何とかかわし、カウンター気味に懐に入って鳩尾(みぞおち)に掌打を打ち込む。打ち込まれた奴が吹っ飛び壁にぶつかった。
「ククク……」
だけどダメージが無いのかっ?普通は、のたうち回るような痛みで呼吸が出来なくなるはずなのにそれどころか…、

「そウダよっ、もっとオれを楽シマセてぐレヨっ!!」
口から血を吐き出しながしながら意気揚々と笑いやがるっ。
うるせー、こっちはお前からの攻撃を避けるので精一杯なんだよっ。
こんなのを一発もらったらお終いだぞっ。つーか普通地面って割れるモンなのか?
そんな事なんかお構いなしに奴は攻撃してくるが、コイツの攻撃も単調だ。振り下ろすか水平に薙ぎ払うか突くかどれかしかない。いくら早い剣速だって言ってもパターンが分かればオレでも避けられるっ!
でも、オレのケガもあまり良くない。とっととケリをつけないと…

…仕方ねぇ。
じっちゃん、使わせて貰うぜ。
13の奥義の一つを…。

382スメスメ:2008/02/15(金) 22:30:31 ID:3sEqg9gAo
どうも、遅筆に益々ターボがかかってきているスメスメです。お久しぶりデスね…。

と、言う訳でかなり前のになりますがコメント返しです。

ワイトさん
大丈夫ですよー、私も皆さんの作品に感想を書きたくても携帯電話なんで書きにくく結局書けてないですし(ぉぃ
えぇ、続き書きたいんですけど相変わらず遅筆で…
もう泣きたくなってきますよ。

FATさん
こ、光栄でありますっ!
実のところ、バインダーを題材に書いたにしてはあまり出てきてないんですよね…
もっと先輩方のみたく書けられる様になりたいです。

七掬◆ar5t6.213Mさん
そう言って頂けると僕としてもこんな文でも喜んでくれてうれしいです。
そ、そこまで深く考えていただけると何か申し訳ない気持ちが…

68hさん
実はこれ、2話目に予定していたヤツなんです。
そこを良く手伝って貰ってる相棒にこの後の方が良いと言う事で変えてみましたがこれで善かったと思ってます。
持つべきモノは心ある理解者ですな♪
僕自身、メインで動かしてるのが武道なので武道ひいきがかなりあると思いますが気長に見てやってくれると嬉しいです。

メイトリックスさん
出来るだけ膨らませていこうと思ったんですけどまだまだですね(-_-;)
た、確かにアルは書いてる本人も正直悩まされました(ぉぃ
きっと器が大きいんです、きっとそうですよ…(明後日の方を見て)


ところで、書いてる皆さんに質問です。
皆さんはどうやって人物やオリジナルの名前を決めていますか?
私はキャラクターならばですけれど、その人物にイメージやそいつの性格、はたまた結末などを意味する言葉を探してます。
と、言っても10割相棒が見つけて貰ってるのが実状ですけど…
因みに今回登場してきたアイナーは、『とある戦士』だそうです。
是非とも皆さんのを参考にさせて下さいませ♪

383◇68hJrjtY:2008/02/15(金) 22:38:53 ID:VU9CmfbA0
>之神さん
バレンタイン短編完結編、不気味に一人にやにやしながら読ませてもらいました(笑)
いやーもう雪がなんだ!って感じで…徹とミカの周囲だけラブパワーで暑くて居られなさそうな!
でも徹ママのお使いにはそんな意味があったのかと思うとなるほど、ママは策士ですな(;・∀・)
そして徹パパが実はゲムオン社員だったということがさらりと。お勤めご苦労様です(笑)
シルヴィーのチョコはライトとシリウスへだったんですね、ライトはもう少し喜ぶべきやΣ(ノд<)
徘徊者シリウスも元気そうで何よりです(笑) フィアレスも登場したしもう言うことナシですね!
なんとホワイトデーネタも考えてられるんですか…本編も同じく、楽しみにしています。

>FATさん
「ちょこ」って誰だろう!?と思いながら読んでいたら…なんと。
チョコレートには脳に栄養を補給するなど、美味しいお菓子という以上の効果がありますし
ウィザードの彼がこうして倒れる寸前にチョコレートを食べられたというのはある意味延命とも言えそうな!
しかしこのサマナたん(?)には結局、彼が本来何を言いたかったのかは分からないままだったんでしょうね(笑)
おっと、そういえば古都のチョキーの飼い犬も似たような名前でしたね。
動物好きな私にも彼の気持ちが痛いほど分かります( ´・ω・)
とても消え入りそうなラストシーンでしたが…彼とちょこがきっと生きていると信じて。。

>柚子さん
イリーナが苦労して作った笑顔というものを見てみたくてたまらない68hです(*´д`*)
そしてやっぱりお互いの本心はどうあれ、イリーナとルイスってお似合いだよなぁ…(・∀・*)
さてさて、なぜか軍が動いているというあの依頼の真相ですが、突然現れたこの少女ミシェリーとは。
自分の血ではないということはいわゆる返り血ってやつですよね。うーん、件の依頼との繋がりはまだ見えませんね。
「ルイスのシャツをワンピース状態にして着ているミシェリー」という姿に妄想が止まりません(*゚Д゚)=3
続きお待ちしております。
---
バレンタインの短編の方は、柚子さんの方で考えがまとまっているなら例え14日じゃなくてもアップしてもイイと思いますよ!
というか、この企画(?)を私が騒ぎ出した頃に柚子さんがここに書き込み始められたと思いますし
本編『Who am I...?』のキャラを使うにはまだ時期焦燥的な感もありましたしね。仕方ありませんよ。
また突発的に企画が発動するかもしれませんし(笑)

>スメスメさん
続き待ってましたよ〜!
あわわ、バインダーがどうにかなったと思ったら狂気の剣士アイナー登場。っていうかアルの友達だったんですか(;・∀・)
なにがどうして彼が変わってしまったのかはともかく、元もとの窮地がさらに濃くなったのは事実ですね。
しかし中盤の
"右肩が上がらない?あんなバカ左手と両脚があれば十分だっ!
 剣閃が見えない?そんなもん気合いで何とかなるっ!"
の部分はもう武道好きにはたまらないセリフですよええ。って、スメスメさんも武ラザーだったとは!ナカ━━(´・ω・`) 人(´・ω・`)━━マ!!
アイナー、やっぱり倒すしかないのでしょうか。そして少女キリエの謎も気になります。続きお待ちしてますね。
---
キャラ名ですか〜…私もRSキャラ含めて毎回名前を考えるのは苦労します。スメスメさんは理解ある相方が居るようで羨ましい(´;ω;`)
最初から小説の大筋やキャラ設定ができていればそれにちなんだ名前にさせてあげることもできると思いますが
私のように突発的に思いついた小説を書いてみたりすると絶対途中で挫折&キャラ名も可哀想なくらい短絡的に…。
個人的にもここの書き手の皆様のキャラネーミングのコツを聞きたいです(笑)

384名無しさん:2008/02/16(土) 04:50:43 ID:nqEysWJo0
aa

385FAT:2008/02/16(土) 13:11:19 ID:mbZV.TiM0
前作 二冊目>>798(最終回)

第二部 『水面鏡』

キャラ紹介 三冊目>>21
―田舎の朝― 三冊目1>>22、2>>25-26 
―子供と子供― 三冊目1>>28-29、2>>36、3>>40-42、4>>57-59、5>>98-99、6>>105-107
―双子と娘と― 三冊目1>>173-174、2>>183、3>>185、4>>212
―境界線― 三冊目1>>216、2>>228、3>>229、4>>269、5>>270
―エイミー=ベルツリー― 三冊目1>>294、2>>295-296
―神を冒涜したもの― 三冊目1>>367、2>>368、3>>369
―蘇憶― 五冊目1>>487-488、2>>489、3>>490、4>>497-500、5>>507-508
>>531-532、7>>550、8>>555、9>>556-557、10>>575-576
―ランクーイ― 五冊目1>>579-580、2>>587-589、3>>655-657、4>>827-829
>>908>>910-911、6>>943、7>>944-945、六冊目8>>19-21、9>>57-58、10>>92-96
―言っとくけど、俺はつええぜぇぇぇぇ!!― 六冊目1>>156、2>>193-194、3>>243-245
>>281-283

―5―

「デルタっ! 丸く反れ!!」
「あいっ!」
 レンダルの短剣と盾に変身したデルタは、レンダルに言われた通り盾の部分を丸く反ら
せ、お椀型になった。レンダルを目指し、飛んできた火の玉はデルタの盾に吸い込まれる
と丸い底に沿って軌道を180°変え、魔術師の方に戻っていった。
「喰らいな! 俺の得意なぁ! デルタ投げーーっ!!」
 レンダルはデルタの剣の部分を思いっきり振りかぶって投げた。空中でデルタの形が変
わり、細長く、突き刺さりやすい直刀型になった。魔道士は突然姿を変えた剣に戸惑い、
左肩にその剣を刺し込まれてしまった。
「デルタ、曲刀!」
 飛びつき、剣の柄を握るとレンダルは叫んだ。すると、またもデルタは形を変え、反り
あがった曲刀となったのである。レンダルは魔道士の肩に刺さったままの曲刀に力を込め、
引き下ろした。魔道士を引き裂いた曲刀を真横に切り返すと、魔道士は倒れた。
「お姉さま、私たちのコンビ、最強ですわね!」
 剣と盾の二方向からデルタの声が発せられる。中々に奇妙なものだ。
「ふっははははは、はっははははは!!」
 突如坑道に響く不敵な笑い声。レンダルはバッと振り返った。
「お前らごときのコンビが最強だと、はんっ、笑わせてくれるわ」
 見れば銀髪に黒いマントを羽織った男と、ひょろ長い杖を持ったひょろい男が立ってい
た。
「誰だ、てめえらは!」
「ふっ、俺か? 俺の名は……」
「ドレイツボォ!」
「だ!」
 銀髪の男と長い杖の男。二人の息はぴったしだ。
「で、そっちの魔法使いそうな雰囲気のやつは?」
「こいつの名はなぁ……」
「ドレイツボォ!」
「じゃない!」
 銀髪の男と長い杖の男。二人の思考は噛み合っていない。
「おねえさまぁ、なんですの、この方々?」
「新手の変態だな」
「おい、てめえ、口の利き方に気をつけな! このドレイツボ、切れるとこえぇぜぇぇぇ
ぇぇぇ!!」
 ドレイツボはマントの裏にさっと手を入れると、二本のダガーを取り出した。
「なんかジム=モリみてえなやつだなぁ。おいデルタ、どうする?」
 レンダルは剣に向かって話しかけた。
「やっちめいましょう」
 盾から返事が返ってくる。小憎たらしいやつだぜ。レンダルは呆れた顔をした。
「やる気か、いいぜ。言っとくけど、俺はつええぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

386FAT:2008/02/16(土) 13:12:10 ID:mbZV.TiM0
 ドレイツボが素早く手首を反すと、二本のダガーが地面にボテボテッと落ちた。そして
得意気に腕組みをして見せた。
「はははは、この素早さに身動きの一つも取れまい! 俺は冒険のスペシャリスト! そ
の素早さは全てを制するぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 レンダルは呆れて物が言えなかった。
「なんだ、この気狂いは」
「ジム=モリおじさまをいぢめすぎたせいで、同類が集まってきてしまったのでしょう
か?」
「そらそら、何をこそこそ話してんだ。また俺の番か? 速すぎると攻撃回数が増えちま
って困るぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 またマントに手を突っ込むと、今度は同時に四本のダガーを取り出した。
「わりぃな、さっそく終わりだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「ドレイツボォ!!!」
 ドレイツボは左手を右下に、右手を右上にかざし、勢いよく腕を振った。それは真正面
から見るとアルファベットのXのように見え、その軌跡に字幕が降りてきそうだ。ダガー
はふらふらと炭坑の壁に当たり、チンと四つのちんけな音を立てて落ちた。
「どうだ! 名づけてアルファベットXの悲劇! お前たちはもう立ってもいられないは
ずだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 勝ち誇ったドレイツボ。彼の眼前には腹を押さえながら、地面をのた打ち回るレンダル
の姿が。
「はははははははははは、だめだ、立てねえ、立てねえよぉ! ははははははははは」
 腹を痛そうに抱えながら、レンダルの目から笑いすぎて涙が零れた。
「ふっ、無意味な戦いだったぜ。ま、この俺のアルファベット?の悲劇を受けて立ち上が
ってきたものはいない。当然の結果だぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「もっ、もうだめですわ、おねえさまぁ! きゃは、きゃははははははははははは」
 ぽんっとレンダルの剣と盾になっていたデルタの変身が解けた。デルタもレンダルの横
で腹を抱えながら、膝をつき、大笑いした。長い杖の男はデルタを見るとせわしなく杖を
回し始めた。
「あ〜、あ〜ぁあ、面白かった」
 涙も流れてすっきりしたレンダルはひょいと飛び起きた。デルタもそれに合わせてすっ
くと立ち上がった。
「う、うわぁおえあえいやぁあ……、まさか、この俺のアルファベット?の悲劇を喰らっ
て身も心もぼろぼろのはずなのに、立ち上がれるやつがこの世に存在していたなんて!!」
「ドレイツボォ!!!」
 長い杖の男が悲しげに叫ぶ。そして長い杖をぐるぐる回しながら不気味にデルタに近づ
いてくる。徐々に回転速度を上げていく杖。その速度が最高潮に達したとき、杖がデルタ
のスカートの裾に引っかかり、スカートを激しくめくり上げた。
「ドレイツボォォォォォォオオオオオ!!!!!」
「う、うえあぁぁぁあぁぁぁあぁぁっっっっ!!」
 デルタのパンツから目に痛い、どピンクの光線が放たれた。ピンクの光線は薄暗い坑道
をどぎつく照らし、スカートの裾がふわりと戻ると光線も消えた。
「いやん」
「くっくくくく、かぁっはっはっはっは!! こいつはいいぜ。おい、お前ら。面白いも
ん見せてくれたお礼だ。こいつを喰らえっ!!」
 レンダルはデルタをぐいと引き寄せ、脇に抱きかかえるとスカートをめくってパンツを
露出させた。
「きゃーーーー、きゃーーーーー!! おねえさまやめてぇぇぇぇぇっ!! デルタには
ジョーイさんがいるのーーーー!! お嫁にいけなくなっちゃうぅぅぅぅぅぅ!!」
「ド、ドレ、ドレイツボォほぉほぉほぉほぉほぉほぉ!!」
「うっっっっぎゃーーー!! おっっっっぎゃーーー!! えっっっっぎゃーーー!!」
 目を閉じてもどピンクの光線は二人の視神経を痛みつける。二人は手足をばたばたさせ、
狭い坑道内をのた打ち回った。
「どうだ! 名づけて変態Dの悲劇! お前たちはもう立ってもいられないはずだぜぇぇ
ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 レンダルはドレイツボのまねをして、けたけたと笑った。デルタは恥ずかしさに顔を真
っ赤にしながらスカートの裾を押さえ、お嫁にいけない、お嫁に……とぶつぶつ嘆いた。

387FAT:2008/02/16(土) 13:12:59 ID:mbZV.TiM0
「あの、お取り込み中失礼するが、あなたたちはジム=モリと言う人物をご存知か?」
 のた打ち回るドレイツボたちに気を取られていて気付かなかったが、一人の女性が二人
の近くに立っていた。黒い武道着を着た前髪の揃った小柄な女性。その黒髪は力強く輝い
ていて美しく、小柄な体に見合わないたくましさがレンダルたちには印象的だった。
「あ、ああ、知ってるよ。それがなんだい」
「よかった。実は、彼からあなたたちに渡してほしいと頼まれているものがあるんだ」と
黒髪の女性はカバンから三本の巻物を取り出し、レンダルに渡した。
「なんだろうなぁ。ま、あいつの持たせるものなんざろくなもんじゃないだろうけど。わ
ざわざこんなとこまでわりぃな、お嬢さん、お名前は?」
 黒髪の女性が短い髪を少し振ると、しゃなりと上品な音を奏でた。そしてこう答えた。
「マリス=アーモナシーと言う。この坑道には修行のために来たんだ。悪びれる必要はな
いさ」
 明るく爽やかな、坑道という陰気臭い場所に似合わない笑顔。レンダルは一発でマリス
のことを気に入った。デルタも丸く、大きな好奇の目でマリスを見ている。
「俺はレンダル=ヒューストン、こっちはデルタ=ゴッドレム。もし、マリスがよかった
ら俺たちと一緒にこの坑道を進んでもらえないか?」
「え、あ、ああ……」
 戸惑うマリス。誘ってくれるのは嬉しいのだが今は人と一緒になるのが恐い。また同じ
ことを繰り返してしまいそうで、心の闇が制止する。だが今は、今だからこそ人を信じた
い。そんな葛藤がマリスを苦しませる。しかしマリスは、新しい自分にかけてみたかった。
あの双子がくれた温かさを、信じたかった。返事をするまでの時間は一瞬なのに、その答
えを導き出すまでがとても長くマリスには感じられた。
「よろしく……頼むよ」
 手を取るレンダル、跳ねるデルタ。二人はマリスの戸惑いの理由など知りえない。だか
ら素直にマリスの返事を歓迎し、喜んだ。
「ところで、この二人は?」
「変態だ」
「変人です」
 とドレイツボの頭を靴の先でつんつんするデルタ。突如、動かなくなっていたドレイツ
ボの手がデルタの足首を掴み、顔を持ち上げた。
「うぇわぉんぉんぉんうぇぁぁあぁぁぁぁあぁぁ!!」
 再びデルタの閃光の前に倒れるドレイツボ。銀髪を染めるどピンク色が変態っぽかった。
「さいてーだな、女の子のスカートを下から覗き込むなんて」
 マリスが軽蔑の冷たい視線を浴びせる。
「まあ、デルタのパンツなんて見たいと思う奴の気が知れねえけどな」
「おっ、お姉さま、どういう意味なのですかっ!?」
「てめえみてーなピンク一色の妄想変態野郎のパンツを見たがるなんて、相当の変態しか
いねえだろって意味だよ!!」
「まあまあ、かわいいじゃないか」
「ほんとうですかっ! マリスお姉さま好きっ!!」
 デルタはマリスにがっしりと抱きついた。
「よせよせ、マリス。そいつ、勘違いでのぼせ上がるタイプだから、ちょっとキツめに接
してたほうがあとあとのためだぜ」
 レンダルの忠告も、動物のようになついてくるデルタの甘ったるい魔力には敵わない。
「ふふふ、ほんとにかわいいよ。あたし、デルタちゃん気に入っちゃった」
「きゃん、お姉さま、もっと褒めてぇ〜〜!!」
「あ〜あ、あとで後悔するぜ……」
 さっそくレンダルとデルタの空気に馴染んだ、いや、染まったマリス。今回は上を向い
て、楽しく旅ができるかも知れない。そう思うと笑顔が自然とこぼれてくる。三人はじゃ
れ合いながら、不似合いな薄暗い坑道をレールに沿って進んだ。

「言っとくけど、俺はつええぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「ドレイツボォォォォォォォォ!!」
 突如がばっと起き上がったドレイツボとスカートめくり男。その瞳には復讐の炎がめら
っちばりっち燃えていた。

388白猫:2008/02/16(土) 18:15:41 ID:iwezFGtQ0
Puppet―歌姫と絡繰人形―

第一章〜第五章及び番外編 5冊目>>992
第六章 -夜空の下で- >>30-37
第七章 -深紅の衣- >>70-81
第八章 -神卸- >>137-139
第九章 -チャージング- >>164-171
第十章 -母- >>234-241
第十一章 -北へ- >>295-299
第十二章 -バレンタインチョコレートケーキタワー?- >>349-353
これまでの主要登場人物 >>38
用語解説 >>255-261


第十三章 神格化







西の都アリアン、
南の都ビガプール、
東の都ブリッジヘッド、
中央の都、ブルンネンシュティング。

東、西、南、中央の代表的な都と言われれば、町行く人々は十中八九、そう答えるだろう。
そして、その中でも最も栄え、最も活発な都が、[北]にある。

名を、[ブレンティル]。
伐木と戦術、そして商業の都と呼ばれる、フランテル東部一の都である。
大戦では大密林グレートフォレストによって難を逃れ、
さらにその難民達によって著しくこの都は発達した。
北の国々とゴドムとを結ぶ貿易の中心地であるこの地には、
故に古都を遙かに上回る、凡そ十数万人が暮らしていた。
 「……[伐木の町]って言うから、もっと寂れてると思ったわ」
 「昔はフランテル一の木材輸出を誇っていたんですよ。今となっては商業売上高数百億とも言われています」
 「御父様は……たぶん大聖堂でしょうか」
活気に溢れた市場をウキウキと眺めているルフィエとカリアスに、ネルは溜息を吐いて言う。
 「何してるんですか二人とも。子供ですか」
 「だって、こんなに人いっぱいいるところ、見るの久々なんだもん」
 「オレなんか初めてやで。ていうか最年少のネリエルはんの反応一番薄いやんけ」
ぶーぶーとネルにブーイングを送る二人にもう一度溜息を吐き、改めて辺りの景観を眺める。
アリアンのものと同等……否、それ以上の、巨大な鈍色の外壁。
それに囲まれた無数の白い外壁の住宅に、巨大な市場。
恐らくは町中の商人がこの市場に集っているのだろう、と思ってしまうほどの規模である。
というより、市場の向こうが霞んで見える。
市場を行き交う人々も、一市民からネルが知っているような冒険者まで、様々な人々が集っていた。
が、興味が湧かない。
 「……早く行きますよ」
 「ぶー」
口を尖らせるルフィエの頭を小突き、ネルは市場の中に割って入って行く。







ブレンティル大聖堂。
参拝者こそアウグスタに及ばないが、規模は本家にも劣らないという聖堂。
その聖堂にようやく到着した一行は、這々の体でその扉を開けた。
 「しんどい……」
 「人多いわ……」
 「やってられんなぁ……」
 「…………」
バテバテの四人の姿を見やり、ネルとカリンは溜息を吐く。
 「だらしないですね」
 「どいつもこいつも…」
 「オランダもー…」
 「何言ってるんですかルフィエ」
唸るルフィエに言い、ネルは大聖堂の内部を眺める。
木製の椅子がズラリと並び、その奥には[テオトコス(神の母)]と呼ばれるサンタ=マリアの石像が安置されていた。
そしてその下に、金色の長髪を後頭部で結った、初老の男性が礼拝を行っていた。
その男性は扉の閉まる音で目を開き、ネルの方に向き直った。
 「良く来たな、ネリエル君」
 「お久しぶりです、ルゼル様」
その男性を見、ネルは帽子を取り頭を下げる。
 「それに蒼き傭兵、白の魔術師、黒騎士、……やれやれ、恐ろしい面々だ」
 「一番怖いのはアンタじゃない?」
アーティの皮肉に、ルゼル少しだけ笑う。
と、その面々の中で顔を伏せるリレッタと、キョトンとするルフィエにその目が行く。
が。
 「………!!」

389白猫:2008/02/16(土) 18:16:03 ID:iwezFGtQ0
俯いたリレッタに、ルゼルはカツカツと荒々しく歩み寄る。
その腕を掴み、その顔を蒼白にさせた。
 「……リレッタ、翼をどうした」
 「!」
 「……」
その言葉に少しだけ目を細め、ネルは溜息を吐く。
 「それは僕が――」
 「私の、不注意です」
言いかけたネルの言葉を、リレッタが塞ぐ。
抗議の声を上げようとしたその腕を、アーティが掴んだ。
 「アーティさ――」
 「ちょっと黙ってなさい、影狼」
そう小さく呟かれ、ネルは脇の木椅子に腰掛ける。
その姿を怪訝そうに見、しかしルゼルは言う。
 「すると、片翼を失ってしまったのか」
 「失ってはいません…穴が、空いただけです」
 「同じことだろう!」
リレッタの上着を剥ぎ取り、ルゼルはリレッタの背に手を翳す。
ギョッとしたネルとカリアスの頭を殴り、アーティは目を細める。
 「『 ――――…… 』」
ルゼルが、人には理解できない奇怪な言葉を呟いた途端、
白磁のような肌に下着だけのリレッタの上半身、その後背から、眩い光を放つ二枚の翼が現れた。
が。
 「……翼の、色が」
彼女の左翼、
本来ならば眩い白色をしているはずの翼。
その翼が、まるで腐敗したような紫色に変色してしまっていた。
 「何だって言うんですか痛っ」
 「あーいだだだだだだ! アーティはん髪引っ張らんといてーな!」
何がなんだか分からないネルとカリアスの頭を抑えつつ、アーティは息を呑んだ。
リレッタは恐らく、片翼を失い――天使では、無くなる。
 「傷の進行が速い……しかしこれは……リレッタ、お前は――」
 「はい。使いました……[秘術]を」
羞恥に顔を歪ませるリレッタを見、しかしルゼルは溜息を吐く。
 「……『 異常治癒(キュア) 』」
そう、ルゼルが小さく呟いた瞬間。
リレッタの翼が淡い光に包まれ、僅かに翼の色が、通常の状態へと戻る。
 「もう翼を直しても宜しい」
 「…………」
ルゼルの言葉に、リレッタはゆっくりと目を閉じる。
途端、彼女の翼が、まるで吸い込まれるように背中に消えて行く。
その合間に上着を拾い、リレッタはそれを頭から被った。
 「今後一切、いかなる魔術も使用を禁ずる。分かったな、リレッタ」
 「…………はい」
ようやくアーティの手から解放されたネルは、痛む頭をさすりつつ言う。
 「ルゼル様」
 「分かっている、ネリエル君。もう準備は出来ている」
リレッタとルフィエの間を抜け、ルゼルは大聖堂唯一の出入り口へと歩く。
その扉を閉め、ルゼルは言った。
 「来たまえ」

390白猫:2008/02/16(土) 18:16:23 ID:iwezFGtQ0
 「……君達は、[四強]という名を知っているか?」
 「[四強]?」
 「西の[煉獄鬼]アーク、
 北の[吹雪姫]レティア、
 南の[邪姫]ザイザリア、
 そして東の[大教主]ルゼル=アウグスティヌスの四人を、[四強]と呼ぶのです」
 「この四人はフランテルでも最強……右に出る者はいない絶対的・圧倒的な力を持った武術家なのよ」
首を傾げたルフィエに、ネルとアーティが説明する。
ふぅん、と素直に頷くルフィエに、しかしルゼルは言う。
 「だが、[大戦]以前のことを言えば、恐らくは東最強の武術家はカナリア…或いはルヴィラィ=レゼリアスやもしれん」
 「ルヴィラィが、[四強]…?」
ネルの言葉に頷き、ルゼルは言う。
 「ルヴィラィは50年以上も前に、そのときはお遊び程度だった[呪術]を現在の形まで完成させた呪いの第一人者だ。
 さらに自身も強力な呪術師であり、[アドナ=ルドルフ]を唆して[アウグスタ事変]を引き起こしたとまで言われている」
 「あのルドルフ教主が……ルヴィラィのただの駒だった?」
 「その可能性がある、ということだけだ。だがもう既に、東の[四強]は私ではなく、ルヴィラィだというのが公の見解だ。
 何が言いたいか……分かるな?」
ルゼルの言葉に、カリンはフンと笑う。
 「[四強]たるルヴィラィ=レゼリアスと敵対すれば、タダでは済まない…そういうことでしょう」
ネルの言葉に、皆は押し黙る。
その沈黙の中、しかしネルはゆっくりと立ち上がる。
 「関係ありませんよ。例え[四強]を相手にしたとしても、僕は戦う」
右手のエリクシルを見、ネルは言う。
 「僕は逃げない、絶対に」

 「……君ならそう言うと思っていた。だからこそ、私は貴女に、聞きたいのだ」
ネルの言葉に微笑み、ルゼルはルフィエに向き直る。
その眼光に少しだけ目を細め、しかしルフィエは真っ直ぐルゼルに視線を返す。
 「私ももう、逃げない。…もしも、もしも母さんと戦うことになっても、私は絶対に、逃げない」
手に持ったタリズマンを握り、ルフィエは言う。
その言葉にルゼルは今度こそ笑みを浮かべ、ゆっくりと立ち上がった。
 「分かった……ネリエル君、ライアット嬢。君達に一つ、提案がある」






ブレンティル東、グレートフォレストの終わりの地。
ブレンティルとグレートフォレストの合間には、伐採の終わった巨大な広場が残っていた。
今となっては伐木もほとんど行われていないため、この辺りはほとんど放置状態となっている。
煉瓦で舗装されたのが虚しいほどの活気のなさに、ルフィエは目を丸くする。
 「何もないね」
 「ブレンティルは格差が激しいんです。所得の少ない者は、皆鉱山で働いているんですよ」
ネルが指す方向を見れば確かに、カキンという岩を叩く音が、遙か遠くの山から響いてくる。
 「ハノブほどではありませんが、このあたりのソゴム山脈でも、銅と少々のミスリルが採れますから」
 「さて、お喋りはここまでだ」
先頭を歩いていたルゼルが、広場の中程まで行ったところで立ち止まった。
 「ライアット嬢、これを」
その言葉と共に、ルフィエに銀色の十字架が手渡される。
その十字架を手に取り、ルフィエは首を傾げる。
 「これは?」
 「マペットの封じられた十字架……そう言えば、納得いただけるか?」
 「……!」
 「ちょっと待って下さい、どうしてルフィエさんが――」
目を剥いたネルの横で、リレッタが抗議の声を上げる。
その声を手を挙げて妨げ、ルゼルは言う。
 「恐らくこの中で、マペットを操り得る者は只一人……ライアット嬢だろう」
 「何の根拠があって……!」
リレッタの声を妨げ、ネルは小さく首を傾げる。
 「理由を、お聞かせ願いますか」
 「理由?」
その言葉に、ルゼルがフンと笑う。
呆然と十字架を眺めているルフィエを見やり、ルゼルは言う。
 「理由など。神のお導き……その答えだけでは不満かね?」
 「…………」
 「能力的には全く問題はない。それに覚悟は、先も問うたはずだ」

391白猫:2008/02/16(土) 18:16:46 ID:iwezFGtQ0

《私は絶対に、逃げない》

無い。
ルゼルに反論する材料が。
というよりは……ルフィエを"こっち"へ引きずり込まない理由が、無い。
 (引きずり込まない、じゃないのか。もう)
彼女の覚悟を思い出し、目を閉じる。
最早彼女は、何も知らないただのリトルウィッチではない。
自分と共に戦う、一人の立派な同志。
 「……分かりました」
 「ネリエルさま!」
 「ルフィエにマペットの発動が可能かどうかは知りません。"そんなこと"全く問題ではないのだから」
そう言い、ネルは帽子を脱ぎ、放り投げる。
途端に燃え上がる、紅色の衣と瞳、鈍色の兜、巨大な右腕。
紛うことない、[紫電狼]の姿。
 「……提案とは、"これ"なのではないですか?」
 「……ふ、相変わらず察しが良い」
肩甲を外し、ルゼルは小さく笑う。
白いマントを脱ぎ捨て、ルゼルは不敵に笑う。
 「ネリエル君とライアット嬢……かかって来たまえ」






 「マジかいな。勝てるん?」
 「100%無理よ。無理に決まってるじゃない」
10mほどの間隔を空けて立つ三人を見、アーティは言う。
きっぱりと断言したアーティに苦笑いし、カリアスは首を傾げる。
 「でもネルはんかなり成長したんやろ? 1%くらい可能性も――」
 「無いのよ」
カリアスの言葉を、アーティは遮る。

 「ルゼル=アウグスティヌスに、勝てるわけがない」







ネルの後ろに立つルフィエに目を移し、ルゼルは小さく息を吸う。
 「一つ言っておこう。勝てるとは思わないことだ」
その言葉と同時、
ルゼルの両腕に、眩い十字架が出現する。
何時の日かリレッタがネルに向けた術、[ホーリーエクス・クロス]と全く同じ十字架が。
その光を見やり、しかしネルはゆっくりと右腕を構える。
 「勝負するからには、勝ちますよ」
 「プッ」
その余りに挑発的な発言に、カリアスは思わず吹き出した。
背後のリレッタ、脇のアーティ、ついでに目の前のネルから飛んでくる凄まじい眼光をさらりと避け、言う。
 「ほんまにネルはん、オモロイなぁ」
 「どこが。ただの無謀なバカガキじゃない」

392白猫:2008/02/16(土) 18:17:16 ID:iwezFGtQ0


 「…今凄まじく不快な響きがしたんですけど」
 「全然面白くない冗談なのにねぇ」
 「……冗談?」
ルフィエの言葉に、ピクリとネルが止まる。
 「冗談なわけないでしょう。僕は勝ちます」
 「ネルくん、そういう無謀な――」
 「来ますよ」
ルフィエの言葉が終わる寸前、ネルは言う。
そして、一薙。
ルゼルの右手の一撃を、ネルは右手で受け止める。
受けきった状態のまま、ネルは無理矢理にその右腕を押し返す。
 「『 ティタンエッジ!! 』」
瞬時に右腕を巨大化させ、それをルゼルに向けて放つ。
が。

   ――ガギィイイイイン!!!

 「!!?」
その右腕が、二枚の十字架に阻まれた。
鋼鉄をも貫く[巨人族の刃]が、阻まれた。
それに目を剥いたネルに、ルゼルが小さく言う。
 「無駄だ。我が[ディバイン=ホーリーエクス・クロス]は阻めん」
と、その右脇腹に、
ルゼルの十字架が、凄まじい勢いで叩き込まれる。
 「っぐ――」
辛うじてそれを、体勢を低くして避ける。
が、さらに反対方向から、十字架による刺突がネルに向かって放たれる。
 (く、そ!?)
その一撃を右腕で受け止め、しかし受け止めきれない。
その反動でルゼルと再び距離を取り、脇に佇んだルフィエに呟く。
 「ルフィエ、女神を」
 「ま、待って。勝利の女神は多用したら――」
 「勝利の、ではありません。"弾劾"の方ですよ」
ネルの言葉に、ピタリとルフィエが止まる。
[弾劾]。
その言葉をルフィエは耳に入って、しかし理解できなかった。
[弾劾]とは言うまでもない、勝利の女神の第二解放の名。
だが。
 「でも――」
 「ルフィエ…ルゼル様は、手加減すれば死にます。"二人とも"」
 「…………」
ネルの言葉に、ルフィエは唇を引き絞る。
だが、次に開いた口から零れたものは、抗議の声ではなかった。
 「歌姫の名において、一時の力を。草木や森の嘆きを刃に、河川や海の涙を盾に、邪なる者を虐げよ。『 弾劾の女神 』」
瞬間、
ネルの体を、凄まじい量の黄金色の光が覆う。
ルフィエの誇る強化術、勝利の女神第二解放…[弾劾の女神]である。
勝利の女神を遙かに越える強化術であるが、第二解放以上の解放を行えば、対象の体をも蝕む。
故に彼女は、この術を滅多似使えない。使わないのではない…使えないのだ。
 「……命を削り、私と相見えるか…それでこそ、奴の息子だ」
 「奴の息子…ではありません。僕は、ネリエル=ヴァリオルド…それ以外の何者でも…無い!」
そして、一蹴。
凄まじい勢いで飛ぶ十字架を蹴り払い、ルゼルは右腕を振るう。
瞬間、ルゼルの手から迸る鞭のような光が、辺りの地面を薙ぎ払った。
その光を横転して避け、ネルは右腕を振り被った。
 (ティタンエッジか…何度も何度も同じ術を)
先の巨大な爪を思い出し、ルゼルは両腕の十字架を巨大化させ、それを目の前で交差させる。
この盾……[嘆きの壁]と同等の防御力を持つ盾の前に、ネルの右腕は阻まれ――
 (ない!?)
盾に衝突した爪は、その二枚の十字架をいとも簡単に打ち破る。
その盾の先、ルゼルに向かって、紅色の爪が迫り来る。
 「『 ――ホーリーブラスト!! 』」
瞬間、
ルゼルとネルの間に、突如金色の爆発が起こる。
その爆発に押し戻されたネルは、ルフィエの脇へ舞い降りた。
その腕は、以前までの3mを越える巨大な爪ではなく、直径2mほどの爪に縮んでいた。
さらにその爪は深紅に染まり、まるで獲物を仕留め終えた狼の爪のように変化している。
その爪を見やり、ネルは右腕を眺めながらゆっくりと動かす。
特に感覚に支障はない。それどころか、まるで腕が生え直したかのように、はっきりと腕の感覚を感じることができる。
 「…………もう手加減は、しません。一気に[第三段階]まで到達してみせます」

393白猫:2008/02/16(土) 18:17:43 ID:iwezFGtQ0

 「……なんだ、あの腕は……」
紅く染まったネルの腕を見、カリンは瞠目する。
今まで数十、数百という猛者と戦ってきた。
が、あんな術を使う者は、今まで見たことがない。
 「……[フェンリルエッジ(紫電狼の爪)]」
カリンの問いに、リレッタは小さく呟く。
アリアンの旅館で、ネルはリレッタに一つ、頼み事をしていた。
それこそが、あの術……[ネオ(新生術)]の完成のための布石。
リレッタの魔力を幾分か抽出した[元素]を、ネルは右腕に仕込んでいる。
エリクシルの暴発を抑えるために、
より高く魔力を統御するために、
ネルは己の腕に、元素を埋め込んだのだ。
 (今までのネリエルさまの腕は……[強く、巨大]なだけ。
 魔力の統御なんてされてない、だからあんなに無駄な大きさな腕になってた。
 でも今のネリエルさまは違う…。魔力をより高いレベルで統御して、より強い腕を手に入れた。
 それが[ネオ・ティタンエッジ(新生なる巨人族の刃)]……ううん、[紫電狼の爪])




 (本当に、あの子はどんどん強くなっていくわね……)
紅色の腕を振り翳すネルを見、アーティは微笑む。
昔は、自分の足元にも及ばない程度の力だった。
それが今や、自分のすぐ隣…あるいは、さらに上をいくかもしれない力を身に付けている。
 「一体どこまで強くなるのかしらね、影狼……ネリエル」






 (誓うんだ……僕自身の、心に)
 「『 ディバイン=ホーリーエクス・クロス 』」
再び光るルゼルの両腕の十字架。
その十字架を見、次いで少し後方のルフィエを見やる。
 (この子を……護ると)

   ドクン

途端、自分の胸のエリクシルが、まるで生き物のように鼓動した。
その鼓動に目を見開き、しかし今度は故意に動かす。

   ドクン

   ドクン

まるで、エリクシルが自分と繋がり、一つの生命となったようだった。
そしてそのエリクシルは、例えるなら自転車の乗り方のように、一度体得してしまえば、動かすことは容易だった。
 (護る……そう、それが僕の全て)
エリクシルが、まるで自分を祝福するかのように、光を放つ。
その光が自分の身体を包み込み、自分を強化してゆく。
より優れた力を、自分に与えるように。
より過酷な使命を、自分に課すように。
 (エリクシルよ――僕に、[大切なもの]を……仲間を、護る力を)
瞬間、

ネルの身体を覆う軽鎧が、変化を始める。
より硬く、より強く。
[深紅衣]は、ネルの背を護るマントへと。
その軽鎧はより強い、全身鎧へと。
その面覆いのような兜は、彼の両目と右頬を隠すような、奇妙な仮面(バイザー)へと。
紅色のマント、深紅衣を払い、ネルはゆっくりと目を閉じる。
瞬間、
彼の鈍色の右腕が、黄金の長剣へと変化した。
 「…………エリクシル、[第三段階(サード)]」
そして最後に、彼の左腕に巨大な盾が出現する。
形は通常の[ビッグシールド]と変わらない。
が、その左右、下からは合計三枚の黄金の刃が覗いていた。
まるでリレッタの[ホーリーエクス・クロス]のようなその盾に、ルゼルは溜息を吐いた。

394白猫:2008/02/16(土) 18:18:07 ID:iwezFGtQ0
 「第三段階……か。カナリアでも到達したのは26の時だというのに」
 「知ったことではありません…"それよりも"」
左手の盾を見、次いで右手の剣を見、ネルは言う。
 「この[エルアダーク(闇封じの盾)]の実験台に…なってもらいます、よッ!」
 「ッ」
突如ブーメランのように放たれた盾を避け、ルゼルは半歩下がる。
と、その眼前、
 「ッハァアアアアッ!!」
 「っち!」
迫り来る黄金の剣を十字架で受け止め、逆の十字架をネルに向けて放つ。
が。
ガィン、とその十字架が、ネルの身体を覆う鎧に阻まれた。
しかも、阻まれただけではない。
 「!?」
ネルの[ティタンエッジ]を阻むほどの強度を持つ十字架に、亀裂が入っている。
たった一度の衝撃で、その強度が失われた。
と、

   ザシュッ

そのルゼルの背に、黄金の盾が突き立った。
 (ッ……盾を、自由に操るの、かッ!)
咄嗟に身体を旋回させ、無理矢理にその盾を引き抜く。
瞬時に発動したフルヒーリングが、ルゼルの傷を幾分か塞いだ。
 「…………」
 「…………」
再び立ち上がり、十字架を消滅させたルゼル、
盾を左手で受け止め、再び剣を構えるネル、
双方対峙し、ネルは呟く。
 「……どうやらこの[守護鎧(ガーディアン)]の強度は、相当なもののようですね」
 「……守護、鎧か」
先とは比べものにならないその実力に、ルゼルは小さく息を吐く。
そして、呟く。

 「…出し惜しみする必要も、無いな」

瞬間、

ルゼルの身体を、凄まじい閃光が照らす。
彼の姿を直視できないほどのその光に、仮面の下でネルが少しだけ目を細めた。
その光の中、白と金色のローブを纏い、後背に巨大な十字架を据えたルゼルが立ち上がる。
 「……[ディバインアーチ=エレメント(光精霊の聖なる加護)]…」
その姿に、ネルはルフィエの脇まで飛び退いた。
 「あれ……何なの、ネルくん」
 「……[ディバインアーチ=エレメント]……です。ルゼル様の持つ……[神格化]の力」
 「……[神格、化]?」





"それ"は、実在するものではない。



人の力を超越し、神の次元にまで到達する"それ"。



その力は大地を裂き、大海を震わせ、天空をも支配する。



人に成すことは、到底できないはずの"それ"。



故に人はそれを、敬意と畏怖を持って、こう呼ぶ。



[神格化]と。

395白猫:2008/02/16(土) 18:18:37 ID:iwezFGtQ0
 「今のルゼル様は、人の存在を超越し[神格化]しました。
 一切の言語を失い、一切の感情表現を失い、人ならざる力を得る……それが、神格化。
 歳を取ることもなく、空腹も、疲労も、物欲も何もかもが消し飛ぶ。それが今のルゼル様の状態です」
 「……神格化…神と化す、ね…」
背の2.5mは優に越える十字架を構え、ルゼルは目を閉じる。
そして、一跳。
十字架を構え、ルゼルがネル達に向かって飛び掛かる。
その十字架を、目の前のネルとルフィエに向かって振り下ろす。
が。
 「エルアダークよッ!」
瞬時にネルの左手、エルアダークが巨大化し、片膝を地面に付け体制を整える。

   ――ゴギャァアアァンッッ!!!

鈍く凄まじい金属音が響き、ネルのエルアダークの中央部が窪み、しかし砕けない。
ルゼルの十字架はその破壊力でネルの盾を破壊寸前まで追いやり、しかし貫けない。
その恐ろしい一撃を受け、ネルは軽く思考を流す。
 (やはり、本気だ)
ルゼルは、今となって全く手を抜いていない。
だがそれは…こちらも、同じこと。
エリアダークを元の大きさへと戻し、ルフィエを庇うように立ち上がる。
 「ルフィエ、下がって」
 「えっ」
 「巻き込まない自信が、無い」
そう呟き、ネルは右手の剣を軽く薙ぐ。
瞬間、彼の左手のエルアダークの窪みが、見る間に修復されてゆく。
数秒もかからない内に、その窪みは完全に治癒される。
 「行きますよ……ルゼル様」
 「…………」
ネルの言葉はルゼルに届いていて、届いていなかった。
その言葉にピクリとも反応せず、ルゼルは手に持った巨大な十字架を振るう。
 「『 ジャッジメント・デイ 』」
 「『 フェンリルエッジッ!! 』」
無数に湧き起こった真っ赤な十字架を、紅色の爪で瞬時に薙ぎ払う。
尚も執拗に出現する十字架の群を、ネルは巧みなステップで踊り、避ける。
と、その眼前、
 「!!」
視界いっぱいに、巨大な光り輝く槌が広がる。
 ([ヘブンリープレシングか]ッ!)
その槌の怒濤を、ネルは左手の[エリアダーク]でかろうじて受け止める。
が。
その右から、今度は黄金の十字架が唸りを上げて放たれる。
 (っく――)
決して素早い攻撃というわけではない。
だが、お互いの術の威力の差が、ありすぎるのだ。
 (第三段階なんて関係ない……術の統御力が、違い過ぎる…!)

バガン、と鎧越しに殴られ、ネルは堪らず吹っ飛ばされる。
広場から吹っ飛び、脇の雑木林に叩き込まれる。
幾本もの大木を薙ぎ倒し、その衝撃はようやく止まった。
 「ぐ、う……」
頭に御星様でも飛びそうなその一撃に、ネルは痛む頭を抑える。
視界が揺れ、平衡感覚が保てない。
身体の感覚では、頭部からの出血が酷い。このままでは――
 「…………」
 「!!!?」
そのネルの背後、
十字架を振り翳したルゼルが、小さな笑みを浮かべた。

396白猫:2008/02/16(土) 18:19:01 ID:iwezFGtQ0

 「ネルくんッ!!」
雑木林の中から放たれた凄まじい閃光に、ルフィエは胸を抑えて叫ぶ。
 「チェックメイト……かな」
 「ルゼルはんやっぱ強いなぁ」
その閃光を見、アーティとカリアスは声を交わす。
 「あーりゃ私でも勝てないわ」
 「オレとアーティはんでやっとトントンってレベルやろうな。世の中って広いわ」
と、その二人の眼前を、

凄まじい速度で紅色の何かが通り抜けた。
その通り抜けた方を見やれば、襤褸布ようになった深紅衣を引きずりながら、ネルがエルアダークを構えている。
それに数秒遅れて、雑木林から凄まじい速さで十字架が繰り出される。
 「っく、そッ!!」
金色の剣を地面深くに突き立て、その状態で右腕を巨大化させる。
 「『 ティタンエッジ!! 』」
煉瓦どころか地面の岩盤一枚をひっくり返すほどの勢いで、右腕が繰り出される。
地面に埋まっていた煉瓦がその衝撃に掘り戻され、そのままの衝撃でその十字架へと放たれる。無数の土と共に。
目隠し程度にしかならないその攻撃の合間、ネルは即座に前へと跳ぶ。
一瞬後、ネルの放った無数の煉瓦が、十字架の刺突に砕かれた。
 「『 万華鏡―― 』」
 「『 ホーリー、ブラスト 』」
ネルの言葉が言い終わる寸前、
左腕を鎧の胸に突き立てたルゼルが、呟いた。
 「『 ディバイア 』」
瞬間、

ネルの[守護鎧]を砕くほどの衝撃が、大爆発が、ネルとルゼルの二人を呑み込んだ。
その大爆発の衝撃に、白と金の煙の中、ネルがまるで蹴られた小石のように吹っ飛んだ。

 「ッ!」
ルフィエは咄嗟に跳び、そのネルの身体を受け止める。
力無く倒れるその身体に、ルフィエは目を剥いた。
強い。
強すぎる。
最早、強い云々の次元の問題ではない。
"こんなもの"、勝負でも何でもない。
ただの、一方的ななぶり殺しである。
唇を引き絞ったルフィエの前で、平然と立つルゼルが、その十字架を振り上げる。
が。
 「『 ティタン――エッ、ジ! 』」
今まで虫の息だったネルが瞬時に目を剥き、その巨大な腕を鋭く薙ぐ。
その攻撃に少しだけ目を細め、しかしルゼルは十字架でそれを受け止め、弾く。
 「ッハァアアアアアアッ!!」
が、今度はその胸に、
ネルの両足による蹴りが叩き込まれた。
これには堪らず吹っ飛んだルゼルは、しかしクルリと回転し、地面に着地する。
一方、ルゼルに蹴りを叩き込んだネルの方が逆に、両足に走る激痛に顔を歪めていた。
 「ぐ、ぁ………ッ」
 「ネ、ネルくん!?」
 「離れ、ろッ!!」
文字通り血を吐くように、ネルはルフィエに向かって怒鳴る。
その叫びにビクリと震えたルフィエは、しかし胸の十字架を握る。
 (いやだ)
体中の毛穴が開き、体温を逃がしてしまっているように、身体が寒い。
"それだけではない寒さ"が、彼女を包み込んでいた。
 (ネルくんが、殺されちゃう)
他の何者でもない、[大切なものを失う恐怖]。
母を失ったときと同じ……いや、それよりも強い、恐怖心が襲ってくる。
が。
 (そんなの、やだ)
今度は、今度こそは、許してはならない。
絶対に、失うわけにはいなかい……失いたくない。

397白猫:2008/02/16(土) 18:19:25 ID:iwezFGtQ0

    れで い ……ルフ ェ イァッ ……

 「!!!!!」
突如脳裏に響いたその言葉に、ルフィエは目を剥く。

   貴 の想ぃ 、応ぇま 。私の を、 女に……

 (…なに、何を、言っているの)

   私 マペ ト……この十字架、に封じられ 、天使

徐々に鮮明になってゆくその言葉に、ルフィエは目を見開く。
今、確かに、[マペット]と聞こえた。

   貴女は、貴女自身に、誓った……もう二度と、大切なものを失わないと

もうはっきりと聞こえるその言葉に、ルフィエは呆然とする。
間違いない。
喋っているのは自分の胸にある十字架……マペット。
 (どうして……私は、天使じゃないのに)

   私がどうして再び起こされたのか…それは、貴女の想いが、強いから

   貴女の想いが私を呼び起こし、その誓いが、貴女に力を与えた

 (私に、力を……)
力を与えた、と言われても、特に自分が変化したという実感はない。
その声……マペットは、その姿に少しだけ笑ったように、言う。

   フフ…まだ、力の本質を理解していないから……大丈夫、私と、契約を結んで頂くだけで良いのです

 (……契約? 契約って?)

   簡単……です。誓って下さい、私に。あの少年を……ネリエル=ヴァリオルドを、救うと






瞬間、

ルフィエの十字架が、凄まじい光を放った。
先のルゼルの放った[ホーリーブラスト=ディバイア]の比ではないその光に、アーティ達は目を見開く。
 「なに……?」
 「ウルトラノヴァ……にしては、えらい派手やなぁ」
 「……あれ、は…」
言葉を交わすアーティとカリンの横で、リレッタが小さく呟く。
あの光を、自分は一度だけ見たことがある。
父……ルゼル=アウグスティヌスが初めて、自分に[神格化]の力を見せたときと、同じ光。
有り得ない。
ルフィエがまさか、[神格化]しようとしている。
しかも、マペットの力と同調して。

398白猫:2008/02/16(土) 18:20:02 ID:iwezFGtQ0


   カツン


と、広場の床の岩を叩き、舞い降りた。

銀灰色のドレスローブを纏い、その赤みのかかった茶色の長髪を靡かせ、

白磁のような両手で、胸に輝く十字架を握り、

水色の瞳を閉じ、何処か儚げな、しかし決して"か細くはない"、そんな存在感を振り撒き、

その場の誰もが見惚れるほどの姿を、白い光で覆い、


他にどう例えようもない……[女神]そのものの姿で、ルフィエ=ライアットが舞い降りた。






 「……信じられない…どうして、"あれ"が…」
半ば放心状態となったリレッタは、その姿を見驚愕する。

ルフィエのその姿を見、[神格化]を解いたルゼルは小さく呟いた。
"その名"は、遙か古代に実在した者の名。
 「…………[テオトコス(神の母)]、サンタ=マリア……」
 「…………ルフィエ……?」
その姿に瞠目するネルは、半歩、ルフィエに歩み寄った。









瞬間、






そのルフィエを、










無数の肌色の触手が、包み込んだ。






 「ルフィエ!!」
その光景に目を剥いたネルは、咄嗟にネルへ駆け寄る。
が。
 【オイオイ。パペットの邪魔してんじゃねぇ、よッ!!】
 「!?」

凄まじい勢いで、ネルに巨大な剣が振り下ろされる。
それを咄嗟に左手の盾で受け止め、ネルは逆進し、離れる。
 【ハーイ、ネルぽん】
次いで上がるその和らげな声に、ネルは小さく呟いた。
黒と白の髪、人形のような肌、幼い姿だが、決してか弱くはない、そんな少女……否、[傀儡]。
 「…………サーレ……」
 【ちょっとさ、じっとしててよ。ルフィぽんもらうからさ】
 「ック……ルフィエ!!」
 【ダメだよ、ネルぽん…それより、私と遊びま、しょ!!】
 「ッ!!」
凄まじい勢いで迫り来る鎌を左手の盾で受け止め、ネルは飛び退く。
そのネルにさらに黒い三日月の衝撃波を放ち、サーレはネルに追いすがる。
 【ッハアァアアアアアァッ!!!!】
 「っうぉおおおおおおおお!!!!」
サーレの鎌、ネルの右腕が交錯し、しかし双方共に譲らない。
 「サーレ…僕は、君と戦いたくは、無い!」
サーレの鎌を弾き、ネルは[フェンリルエッジ]を繰り出す。
その爪の一撃を鎌の柄で受け止め、サーレはクルリと回転する。
 【そんなこと言われても私は、戦いたい、の!】
返す手で[絶望の銑鉄]を無数生み出し、それをネルに向かって放つ。
それら全てがネルの身体に突き立つ……が、その鎧は、貫けない。
 「その程度で……僕の[守護鎧]は、砕けません!」
 【ならその首…斬るまで!】

399白猫:2008/02/16(土) 18:21:04 ID:iwezFGtQ0
 「ネリエル!!」
 【そっぽ向いてて良いのかァ、女!!】
 「ッ!?」
ネルに向かって叫んだアーティに、巨大な大剣が振り下ろされる。
その大剣を咄嗟に受け止め、アーティはその脚力を頼りに飛び退いた。
 「お前、は…」
その言葉に、オールバックにした白髪の男が眉をつり上げる。
手に持った大剣を肩に番え、言う。
 【お前、じゃねぇ。ベルモンド……[白の死神]、ベルモンドよォッ!!】
瞬間、
白装束を纏ったベルモンドが、凄まじい勢いでその大剣を振り下ろす。
しかも今度は一撃ではない。三本に分裂した、[ハリケーンショック]。
 「っちぃ!」
それを咄嗟に避け、アーティは叫ぶ。
 「退けぇッ!」
 【テメェが死んだらな、女ァッ!!】





 「おいおいおいおい。やばいやんけ」
手に持った杖を肩に番え、カリアスは目を見開く。
突如出現したパペットと謎の傀儡二体。
ルヴィラィの差し金か、或いは……
 【あの二人を相手に、あの人間たちはどこまで保つか…】
 「!!!!」
咄嗟に杖を構え、振り向いた先。
地面にまで付きかねない、長い髪の女性。
東国の武道服であるチャイナ服を纏ったその女性に、カリアスは目を細める。
 「……カンフー使いかいな。ケッタイなモンも持っとるやんけ」
 【この[トンファークロー]のことか? 彼の赤毛の女性が貸してくれたのだ】
両手の武器……東国の武器、トンファーに爪を付けたようなその武具を構え、女性は言う。
 【私の名はプリファー。いざ尋常に……勝負!】
 「ええで…あんた速そうやから、文句ないわ」
杖を払った途端に現れる翼を背に、カリアスは笑う。
 「オレの速さについてこれたら……誉めたるわ」



 「…………ふん、皆揃って忙しいということか」
黒い剣を指でなぞりつつ、カリンは目の前の光景を鼻で笑う。
突如現れた敵に、彼女だけは特に動揺していない。
"こんなこと"は今までに、何十度もあったのだから。
 「……ところで、お前は戦わないのか、デカブツ」
木にもたれかかったまま、カリンは小さく呟く。
"自分の背後にいる人ではない何か"に向かって。
その"人ではない何か"…デュレンゼルは、林の中からヌッと顔を出した。
 【月も淡いこの夜……久々に鮮血が、見たくなった】
 「……お前の鮮血、か?」
瞬間、
デュレンゼルの巨大な一撃を、カリンは側転で避ける。
避け際にその腕を剣で薙ぐ…が、その剣は表面の皮膚で弾かれた。
 「……?」
僅かに刃こぼれした剣を見、カリンは怪訝そうに首を傾げる。
 【驚いたか? 我が[龍の鱗(ドラゴンメイル)]は、如何なる金属をも、弾くのだ。
 怖いか? 恐ろしいか? 我が…姿が! ッキャアアアアアアアアッ!!!】
 「……ふん、一々五月蝿いデカブツめ」
雄叫びを上げたデュレンゼルを見、カリンは剣を小さく振るう。
 「今すぐその生意気な面、叩き斬ってやる」






その光景を見やり、両の十字架をルゼルは解除する。
その背後に降り立ったルヴィラィに向き直り、言う。
 「…………なるほど、お前の謀か」
 「フフ……いい余興でしょう? [聖者ブレンティルで死す]…」
 「さあ、どうだろう」
互いに武器も構えず、ルヴィラィとルゼルは相対する。
 「エリクシルは…奪わぜんぞ」
 「じゃあ……私を殺して御覧なさい」

 「…………聖母よ。我に力を」
 「……闇を恨め、死を憎め。地獄の業火よ敵を焼け。死の使い魔よ、霊を盗れ」




 「『 ビッグ・バン=ディバイア!! 』」
 「『 デリマ・バインドブレイズ!! 』」


瞬間、

凄まじい威力と威力のぶつかり合いで、







ブレンティル東部が丸々――消し飛んだ。

FIN...

400白猫:2008/02/16(土) 18:21:54 ID:iwezFGtQ0



[ルフィエネル主人公二人のおまけコーナー4]

 「今回は第七章に迫るくらいのページ数だったみたい」
 「一気にブレンティル編終わらせようとしたらしいですけど…無理ありすぎです」
 「[テオトコス]の詳しい能力はまだ秘密だよ。次章を待ってね?」
 「今回はアウグスティヌス親子にスポットを当ててみよう!」


ルゼル=アウグスティヌス(♂) 42歳
長所:爆裂に強い
短所:厳しい、怖い
好き嫌いをしない人(じゃあ何でオレのタコ焼き理解してくれへんねん!byカリアス)
出生日不明。アウグスタ出身。
[最強の冒険者]と謡われる、アウグスタの大教主。
フランテルの四強とまで言われ、その実力は誰もが認める。
さらに、現代でたった二人、[神格化]と呼ばれる、[人を超越するほどの力]を呼び込む力を持っている。
普段は温厚だが、実の娘に怒鳴るなど、厳格な面も持つ。
ちなみに、[神格化]を行うことができるのはルゼルの[光精霊の聖なる加護]とルフィエの[神の母]だけである。
得意術:[ディバイン=ホーリーエクス・クロス]、[ディバインアーチ=エレメント]

リレッタ=アウグスティヌス(♀) 15歳
長所:優しい
短所:ちっこい(ほっといてください。byリレッタ)
好きな食べ物:苺ショートケーキ
嫌いな食べ物:乳製品(だから背が伸びないんですよb。yネル)
8月15日生。アウグスタ出身。
ルゼルの一人娘であり、神々から敬愛を受けた正真正銘の天使。
その力は追放天使の比ではなく、その秘術は村一つを焼き払うと言われている。
第七章(>>70-81)で片翼を負傷し、現在は戦えない身となっている。
ネルに好意を抱き、なんとか想いを届けようと四苦八苦している。
得意術:[ホーリー・ジャッジメント]、[ビッグバン]


コメ返し

>68hさん
カリンとネルは実は全然仲良くなかったり。まぁ性格の反りは合わないでしょう。
次回はやっとカリアス君の戦闘シーンが書けます。WIZの戦闘シーンは苦手です(オイ)
次章第十四章でブレンティル編はばっさり終わるつもりです(待)
ルフィぽんの[神の母]を書くのが一番楽しみです。……や、一番はネルくんの[オ(ネタバレにより略)

>718さん
(  д ) ゜ ゜          「30台頭〜半ば」
カリアスくんそんなにいい年じゃないです(ぁ
発言は確かに老けてるのかな……うん、老けてるなぁ…。
1行に1サプライズは無理です不可能です。私の技量では(略
物語もいよいよクライマックス……前15?!(微
とにかく頑張りまっす。

>ウィーナさん
私はならないです。(きっぱり
というより、はい別の物語ーって感じですぐに新しい試行錯誤に移りますね。
アリアン編も4,5回は書き換えていますし、
小説に挫折はあるものですよ。

>スメスメさん
実はまだ小説を拝見させて頂いてなかったりします…orz
受験が終わったらきっかりばっちり読ませて頂きますよ!
人物や名前、ですか。
人の名前はリレッタちゃんの名字[アウグスティヌス]の他はほぼ即興…思いつきですかね。
技の名前は大体日本語を英語化してる感じです。思いつきもありますが。
[テオトコス]→サンタ=マリアの尊称、
[ティタン]→ギリシャ神話の巨人族の名、
[フェンリル、グングニル、ラグナロク]→北欧神話の固有名詞etc…
こんなところでしょうか。大半はこんな感じですね。
後は誕生日あたりに、祝日を使っていたりする程度です。
…今思えば、何のひねりもない(苦笑)


次回予告

それぞれの戦いが拮抗し、お互い一歩も譲らない激戦が続く。
その中、パペットに取り込まれたルフィエが、その真の力[神の母]を解放する。
対するパペットもまた、己が力を目覚めさせようとしていた――
---
ルヴィラィから告げられた[333日間]というタイムリミット。
しかし、彼らに落胆している時間は残されていない。
思案の後ネルの出した答えは、[紅瓢]アネットに助力を乞うことだった――
題名未決定な第十四章、その内公開でっす。
…あ、400げっと。なんか100ごとに更新してる気が…orz

401◇68hJrjtY:2008/02/17(日) 09:49:42 ID:VU9CmfbA0
>FATさん
マリスの登場とレンダルたちとのパーティー結成(?)も嬉しいことですが、いやー今回も笑わせてもらいました。
ドレイツボコンビ。名前がまた意味ありげですね…奴隷壷(え
ジム=モリ編(?)もそうでしたが、FATさんはギャグシーンを楽しそうに書いてるのがイイですね(笑)
こういうノリは読んでる方は楽しいですがきっと書いてる方はネタとか流れとか考え抜いてるんだろうなとか。
個人的には冒頭のデルタの武器姫っぷりもイイと思いました。武器姫ってあまり目立たないですが、こうして戦ってたら強いですよねぇ。
ドレイツボとスカートめくりの二人の復讐も気になりますが(笑)、続きお待ちしています。

>白猫さん
今回も圧倒的なページ数でしたね…読み終わったら各シーンの想像に一息ついてしまったくらいでした汗
前半の戦闘、ルゼルvsネル&ルフィエ。ネルのエリクシルもまた進化を遂げていますが、それですらも敵わないルゼル。
そこにマペットを目覚めさせたルフィエもまた女神となって「神格化」したという怒涛の展開。
ネルの「神卸」とは本質が異なる(?)「神格化」ですが、マペットと同調するというのがまさかルフィエ自身の「神格化」に繋がるとは。
盾を手に入れたネル、この小説初期のシーフという職業はもうまったく感じさせませんね。でもあれからそれほど時間も経ってないのも驚き。
戦闘シーンの連続でもまるでその場で戦っているかのような描写には脱帽しました。でもこれはまだ本当の戦いへの序の口でしょうか((( ´・ω・))
ネル以上に進化したルフィエの実力は今後語られるということで…でも既にブレンティル編も終わりでしょうか。
ルヴィラィのリミット「333日」やあのアネットが再登場するという次回、楽しみにしています!

402 ◆21RFz91GTE:2008/02/17(日) 11:08:28 ID:lj0RFLvU0
完全にイベント乗り遅れたorz

お久し振りです、最近仕事仕事でまったく顔出しできなかったですorz
今日から久し振りの休暇なので夜辺りには投下できそうでふ。

次のイベントは絶対のっかるぞー…(バタン

403ドワーフ:2008/02/17(日) 15:22:55 ID:AepyIIHk0
『マルチェドと貴婦人』

俺ぁ見たんだ…、あの通りの突き当たりにあるでかい館…。
そう、とうの昔から誰も住んでいないあの貴族の屋敷さ。
あの晩はひどい雨で、どこの寝床も仲間でいっぱいでよぉ。
かと言って路上では寝られんし、宿に泊まる金もねぇ。
前々からあそこは幽霊が出るって噂があったんだが、
そんなもん関係ねえ、雨風しのげればそれでええ。
そう思っとったんだ…。
屋敷の中は真っ暗で、人っ子一人居なかった。
こりゃあいい、もしかしたら久しぶりにベッドで寝れるかもしれねえ。
そう期待して寝室を探してたんだ。
そしたらよぅ。
二階の廊下の先に、ぼうっと光る何かが見えたんだ。
なんだありゃあって、恐る恐る近づいてみると…。
真っ暗闇の中に青白い火が宙に浮いて燃えていたんだ。
まさかと思ってそれを眺めていたら、
その火の下から二つの目が光って俺を睨んだんだ!!

「出たあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 バタバタと音を立てて逃げていく浮浪者の背中を眺めながら、マルチェドは少し傷ついた様子だった。その彼

の隣で貴婦人がクスクスと笑っている。
「あら、ごめんなさい」
 彼の心境を察して貴婦人は謝った。
「いえ、いいんです…」
 マルチェドは俯いて言った。
「でも、あなたが居てくれて良かったわ」
「え?」
 俯いたマルチェドの顔が上がった。
「だって、あなたが居なければ一晩中あの方のいびきを聞かされていたんですもの」
 その言葉にマルチェドはあははっと笑った。
「僕なんかでも、役に立つことはあるんですね」
「当たり前でしょう。あなたが居てくれるだけで、私はどれだけ救われていることか…」

404ドワーフ:2008/02/17(日) 15:24:37 ID:AepyIIHk0
1.
 マルチェドは孤独だった。
 青白い火を灯らせた奇妙な兜で顔を隠し、ダボダボのコートに身を包んだその奇怪な風貌はブルンネンシュテ

ィグの街の人々にとって近寄りがたいものだった。
 マルチェド自身もそれを分かっており、自分から人に話しかけたりするのは勿論のこと、近づくことすら無か

った。
 顔の無い彼にとって、他人が自分に対して持つ感情は恐怖か嫌悪の二種類しかなかったのだ。
 貴婦人と出会うまでは…。
 それは五日前のこと。
 マルチェドが来たばかりのこの街を散策していると、歩いている通りの突き当たりに出くわした。
 そこにあったのは今にも崩れそうな程に古びた屋敷。壊れた門と錆びの浮いた鉄柵に囲まれて、長い間手入れ

のされていない様子の庭の中に見上げる者を威圧するように立っていた。
 マルチェドはなんとなしにその館を見上げていた。
 すると二階の窓から自分を見下ろす誰かが居ることに気づいた。誰かと思いじっと見つめたマルチェドとその

人物の視線が合わさったとき、その人物の姿はふっと屋敷の中に引っ込んでしまった。
 また人を驚かせてしまったと思ったマルチェドは、その場を早く立ち去ろうとした。
「お待ちになって!」
 誰かが呼び止める声が屋敷の中からかすかに聞こえてきた。
「お願いします。お行きにならないで!」
 マルチェドは辺りを見回した。自分以外に誰も居ない。
 よくよく考えればおかしな事だった。どう見ても誰かが住んでいるようには見えない廃屋に人が居るなんてこ

とはあり得ない。だが声は確かに屋敷の中から発せられていた。
「どうか、まだそこに居らっしゃるのでしたら…ここを開けて中に入ってきてくださいまし」
 声は玄関扉の中から聞こえてきた。
 マルチェドはそうっと壊れた門を押し開いて玄関の前に立った。そして真鍮がところどころ剥がれているドア

ノブを握った。
 久しぶりに日の光を浴びた玄関にその人は立っていた。
 こげ茶色にくすんだドレスに身を包んだ女性だった。いや、彼女の身体は向こうの景色が透けて見えていた。

そのために白いドレスが茶色く見えたのだった。
 マルチェドは玄関に立ったまま、自分より背の高いその女性の文字通り透き通った肌の顔を見上げた。
 女性は自分を見上げるマルチェドを見ると、急に顔を手で覆って泣き出してしまった。
 その様子にマルチェドは驚いてしおろおろしてしまった。子供に泣かれるのは慣れていたが、それとはまるで

状況が違っていた。
「あの、ごめんなさい…」
 マルチェドは何故か謝っていた。
「ありがとうございます。ありがとうございます…」
 女性も何故か感謝の言葉を繰り返していた。
 これが二人の出会いだった。

405ドワーフ:2008/02/17(日) 15:26:51 ID:AepyIIHk0
2.
 女性は名前をルメーユといった。だが全体としての彼女の名前は余りにも長すぎてマルチェドには覚えきれな
かった。そこで彼女が王制時代の貴族夫人であることから、マルチェドは彼女を名前ではなく貴婦人と呼ぶこと
にした。
 貴婦人はこの館の中に束縛されている幽霊だった。年齢は30代前半ぐらい、背筋をぴんと伸ばした凛とした
立ち姿が美しい淑女だった。
 マルチェドは貴婦人に客間まで通されると、そこに辛うじて残されていた椅子に腰掛けた。
 そして簡単な自己紹介を終えてから延々と彼女の話を聞かされた。
 死んでからずっとこの場所に居ること。誰にも気づかれず、何十年も二階の窓から街の景色を眺め続けていた
こと。そして心的余裕が出てきたのか自分が生きていた時代の貴族の暮らしぶりなども語り始めた。
「最近は若いご婦人方も鎧をお召しになるようですわね。私の生きていた時代には考えられなかった事ですわ。
時の流れというのもあるのでしょうけど…でもあそこまで肌を露出させるのは如何なものかと思うのです。私が
生きていた頃にも胸元を強調したデザインのイブニングドレスはございましたが、あそこまで露骨に殿方を誘わ
れるようでは…」
 どうやら街の女傭兵たちの事を言っているようだった。彼女らは動きやすさを重視するために軽装しているの
だが、どうやら貴婦人にはそれが理解出来ないようだ。そもそも女性は戦うものではないと思っているらしい。
「あら、そういえばずっと私ばかり話しておりますわね」
「気にしないでください。僕には人に語れるほど立派な生い立ちなんてありません。それに…」
「それに?」
「こんな風に僕に話しかけてくれる人は、初めてなんです」
 マルチェドの言葉に貴婦人の表情が固まった。かと思うと、その顔は柔らかく優しい表情に変わった。
 貴婦人は埃まみれの椅子に座っているマルチェドの傍に寄ると、しゃがんで彼の分厚い手袋に包まれた手に触
れた。身体が透けているために、手のひらがマルチェドの手の中に入り込んでいた。
「あなたも、ずっと一人ぼっちでいらしたのね…」
 マルチェドは自分の手に触れている貴婦人の手を見つめた。実際は触れられてなどいないのだが、マルチェド
には確かに人の手の暖かさが感じられていた。
「婦人は、僕が怖くないのですか?」
 マルチェドは膝の上にある手を見ながら言った。すぐ近くにある貴婦人の顔を見ることが出来なかった。
「顔をお上げになって」
 貴婦人の言葉にマルチェドは許されたようにゆっくりと顔を上げて貴婦人の顔を見た。人がこんなにも近くで
自分だけを見ているというのも初めてのことだった。
 貴婦人はマルチェドの兜に隠れた真っ暗な顔をしばらくじっと見つめてから、優しく子供に言い聞かせるよう
に言った。
「ちっとも怖くなんてありませんわ。むしろ、いくら語りかけても私の存在に気づいてすらくれなかった他の人
々の方がどれほど怖ろしかったことか…」
 孤独だった二人は古びた屋敷のなか、互いを求めるように寄り添っていた。

406ドワーフ:2008/02/17(日) 15:28:26 ID:AepyIIHk0
3.
 マルチェドは明日また来ることを貴婦人に約束し、滞在している宿に戻った。
 貴婦人と話している時間は思った以上に長かったらしく、気が付けば辺りは真っ暗だった。
 裏路地に面した小さな宿に戻ると店の女将さんがマルチェドに食事を用意してくれた。彼女は貴婦人と同じよ
うにマルチェドを見ても嫌な顔一つ見せないが、そこには大きな違いがあった。女将さんはマルチェドに全く関
心がないということだった。
 金さえ払ってくれれば誰でも泊める。たとえ札付きだろうと誰であろうと。そんな宿で客の様相がどうかなど
という事はいちいち気にしてなどいられないのだろう。
 マルチェドにとっても、それは煙たがられるよりはずっとマシなことだった。ただ、この宿が安全であればな
お良かったのだが…。
 マルチェドはあてがわれた部屋でただ一人であまり美味しくもない食事を済まし、小さな寝台に横になると貴
婦人のことを考えた。
 今何をしているのだろう、と。また二階の窓から街の夜を眺めているのか、それとも泣いているのか、はたま
た自分と同じ事を考えているのかと…。
 マルチェドは寝返りをうつと貴婦人と今日話したことを思い返した。彼女は生前王族の息女の教育係を務めた
ことがあったこと、優しい夫と一人息子を抱えてとても幸せだったこと、今は枯れてしまった庭の花を眺めるの
が好きだったこと、もっと聞きたかったもっと知りたかった。
―それにしても何故、婦人は死んでしまったのだろう。
 ふと沸いた疑問だった。貴婦人の姿は健康そのもので、外傷なども全く見当たらない。それもマルチェドが始
めに見たときに幽霊だとは気づかないほどだった。
 それに、婦人のような地縛霊は大抵生きていた頃の幻にしがみ付いていて、生前の日常をひたすら繰り返すよ
うな存在だ。それが死後も街の様子を記憶し続け、さらに自分と会話まで成立させた。
 信じられないことだったが、実際に彼女と触れ合ったマルチェドには極稀なケースとしてこの疑問を片付ける
しかなかった。
 マルチェドは再び仰向けになると、明日からの事を考えることにした。
 それは決して楽しいことではなかった。
 貴婦人はマルチェド自身のことを知りたがっていた。だがそれは教えられることではなかった。
―どうしたらいいんだろう…。
 いつまでも誤魔化しては居られない話題だった。だが話さなければ疑われる。その疑いはきっとこの友情を壊
してしまうだろう。だがそれでも話せることではなかった。
 マルチェドが悪魔であるという事は…。それも、死者の魂を弄ぶネクロマンサーであるということは絶対に言
えなかった。
 貴婦人との絆を守るために、マルチェドは嘘をつくことにした。

407ドワーフ:2008/02/17(日) 15:30:20 ID:AepyIIHk0
4.
 翌日、館を再び訪れたマルチェドは待っていた貴婦人に快く迎えられた。
 貴婦人はいつもの二階の窓からマルチェドの姿を見つけるともう1階の玄関で待っていたらしい。玄関に立っ
て、マルチェドが入ってくるなり両手でスカートの裾をつまみ上げてお辞儀した。
「御機嫌よう」
「こ、こんにちは…」
 普段見たことのない挨拶にマルチェドは戸惑ってしまった。
 そのマルチェドの様子を見て貴婦人は少し怪訝な表情になった。
「マルチェド様。女性がカーテシーをしたら、紳士は帽子を脱いで挨拶を返すのが礼儀ですわよ」
 マルチェドはびっくりして兜を両手で押さえた。
 その様子を見て貴婦人は口元に手を当ててくすくすと笑った。
「ちょっとからかってみただけですわ。でも、ちゃんとしたお辞儀をして頂きたいわ」
「ちゃんとしたお辞儀?それにカーテシーって?」
 マルチェドの言葉に今度は貴婦人が困惑した。
「女性のする挨拶のことですわ。ほら、このように」
 そう言って先ほどのお辞儀をもう一度して見せた。
「まさかご存知なかったなんて…」
「すいません…」
「謝ることはありませんわ。知らなければ私が教えて差し上げます」
 そう言われてマルチェドは緊張した。
「ええと、こうですか?」
 マルチェドは貴婦人が今やった挨拶を見よう見まねでやろうとした。
 スカートの代わりにコートの裾をつまみ、軽くしゃがむ様にして頭を下げた。
「ぷふっ」
 すると貴婦人は噴出して、くっくっくっと笑い出した。口を手で押さえて、なんとか笑いを堪えるのに必死な
ようだった。
「やだ…私ったら…でも、くくっ」
 マルチェドは笑う貴婦人をぽかんと見上げていた。
―どこかおかしかったかな。
「ああー、ごめんなさい。でもマルチェド様、先ほども申し上げましたがカーテシーは女性の挨拶ですわ」
「あ…そうでした」
 そう言ってマルチェドは照れ笑いした。
「ではよろしいですか?まず右足を引いて…」
 貴婦人はそう言いながらマルチェドの右側に回りこんだ。
 突然始まった貴婦人のレクチャーにマルチェドは慌てて右足を引いた。
「そう、それから右手を胸の辺りに添えて…。そこから背筋をぴんと伸ばしたまま頭を下げて、それに合わせて
左手を横へ差し出してください」
 マルチェドは言われるがままに動いた。
「よく出来ました。では一連の動作を自然に、しかも綺麗にこなせるように練習しましょう」
 貴婦人の何気ない挨拶から始まったこのレクチャーはこの後も何度も続き、歩き方からテーブルマナーに至る
までマルチェドは貴婦人に徹底的に教え込まれる事になるのだった。
―なんだか大変なことになってきちゃったな…。
 頭を何度も下げながら、マルチェドはそう思った。

408ドワーフ:2008/02/17(日) 15:31:38 ID:AepyIIHk0
5.
 その日の午後、マルチェドは昨日と同じように椅子に座って貴婦人と話をしていた。
 話題はマルチェドが心配していた通り、彼の生い立ちに関するものだった。
 マルチェドはあらかじめ用意しておいた嘘を口から並べた。
 自分はスマグ出身の魔法使いで、この街にはレッドストーンを見つける手がかりを探しに来た。この姿は同じ
スマグ出身の者から正体を隠すためのものなのだと。
 半分は本当で、もう半分は嘘だった。
 嘘をつくマルチェドを貴婦人は少し悲しそうな表情で見ていた。それはまるでマルチェドの心の内を見透かし
ているかのようだった。
「どうかしました…?」
 貴婦人の顔を見てマルチェドは貴婦人の様子を伺った。嘘がもうバレてしまったのだろうかと思ったのだ。
「いいえ、何でもありませんわ。…どうしてレッドストーンを探しておられるのですか?」
 貴婦人は話を逸らすように次の質問をマルチェドにぶつけてきた。
「それは、願い事を叶えられると聞いたからです」
 マルチェドは貴婦人の様子に不安を感じ、貴婦人の顔をちらちらと見ながら答えた。
 おかしな雰囲気だった。楽しいはずの会話もどこかぎこちなかった。
 マルチェドは嘘をついた事を後悔していた。
「その願い事とは、何なのかしら」
「それは…」
 マルチェドは迷った。さらに嘘を重ねるべきか否か。
 どう見ても貴婦人の様子は変だった。数秒間の逡巡の後、マルチェドは口を開いた。
「お金持ちになりたい…から」
 結局、マルチェドは嘘を上塗りした。
 言えるわけがなかったのだ。自分は悪魔だから人間になりたいなどとは…。
「そう…」
 母親に叱られている子供のように怯えている様子のマルチェドを見つめて、貴婦人は短くそう答えた。
 それから二人の会話は止まり、二人の雰囲気はこの暗い館の中のように陰鬱なものになった。
「ごめんなさい」
 突然謝った貴婦人に、俯き加減だったマルチェドは顔を上げた。
 貴婦人は両手で鼻を覆い、今にも泣き出してしまいそうな様子だった。
「あの、大丈夫ですか?」
 マルチェドには何が起きたのか分からなかった。ただ混乱し、目頭を押さえている貴婦人に対してどう接すれ
ばいいか分からなかった。
「ごめんなさい、今日はもう…」
 貴婦人はそう言って席を立つと泣き顔を隠すように後ろを向いてしまった。
「はい…」
 マルチェドも席を立つと、屋敷の奥に歩いていく貴婦人の背中に謝った。
「ごめんなさい」
「マルチェド様が謝ることは…ありませんわ」
 そう言い残して貴婦人は姿を隠した。
 マルチェドがうな垂れて客間から出ようとしたとき、貴婦人の声がした。
「明日もまた来てくださる?」
「はい、必ず」
 マルチェドは館の奥に居る貴婦人に届くように、はっきりと答えた。
 館の外に出ると日はまだ高く、雲ひとつない晴天だった。

 翌日訪れたマルチェドを、貴婦人は昨日の様子が嘘だったかのように明るく迎えてくれた。
 二人の間でマルチェドの過去に関する話題が持ち上がることはもうなかった。

409ドワーフ:2008/02/17(日) 15:33:03 ID:AepyIIHk0
6.
 その日、マルチェドは二階にある貴婦人の部屋に招かれた。
 そこは貴婦人が毎日外を眺めていた窓がある部屋だった。
 初めて入る女性の部屋に、マルチェドは落ち着かない様子だった。
「そう堅くならなくてもいいわ。もう何もない部屋なんですもの」
 貴婦人の言う通り、何もない部屋だった。
 家具は一つも残っておらず、キイキイと音を立てるむき出しの床板、壁紙もはがされていて何もかもが無くな
っていた。
 マルチェドは部屋の入り口に立ったままその寂しい景色を見回した。
 主亡き館に一人残され、自分の部屋から持ち出される愛用の家具の数々を眺めながら貴婦人はどれほど悲しん
だことか。それは想像に難くなかった。
 マルチェドには暗くて分からなかったが、一階のほうも同じような状態に違いなかった。
 貴婦人がなぜ自分にカーテンを開けさせなかったのかがようやく理解できた。
「いつまでもそんな所にいらっしゃらないで、こちらをご覧になって」
 そう言って貴婦人は部屋を明るく照らす大きな窓を示した。
「すごい!」
 窓からの景色を眺めてマルチェドは感嘆した。
 その窓からは街の噴水のある広場から議事堂、遥かの王宮跡まで見渡すことが出来た。
 視界の果てまで続く街の景色に見入るマルチェドの横に立って、貴婦人は街のことを解説し始めた。
「ほら、あそこに見える噴水。あれは私が生きていた頃にこの街の区画整備の一環で作られたものですわ。街の
至るところをはしっている水路もそう。街の通りも煉瓦で舗装されて、あの時代が一番この街が華やいでいまし
たわ」
「そうなんですか」
「ええ、この通りも今では誰も通りませんけど、昔はこの街でも指折りに美しい通りでしたのよ」
 マルチェドに話しながら、貴婦人は目を閉じて懐古に浸っているようだった。
「だけど今はどこもかしこも露店でいっぱいで、あれでは馬車の通る道もありませんわ。まるでこの街全体が大
きな雑貨店になってしまったみたい」
 目を開いた貴婦人は寂しそうにそう言った。
「でも、実際に歩いてみたらさぞかし楽しいのでしょうね。きっと、私の見たこともないものが一杯並んでいる
に違いないわ」
 そう言って今度は笑うのだった。
「ええ、僕も初めてこの街にきたときびっくりしました。今まで見たこともないものばかりで!」
「羨ましいわ」
 興奮気味に答えたマルチェドに貴婦人はそう言って微笑んだ。
「あ…」
「いいのよ。気にしないでちょうだい」
 館の外に出られない貴婦人にとって、自分はどれほど羨ましい存在だろう。
 マルチェドは自分の思慮の浅さを憎んだ。
「ねえ、前から気になっていたことがあるの」
「なんですか」
 塞ぎこんでしまいそうになったマルチェドを助けるように貴婦人は聞いた。
「あの建物は何なのかしら」
 そう言って貴婦人はあまり離れていないところにある立派な神殿のような建物を指差した。
「あれは国会議事堂ですね」
「国会議事堂?」
「えっと、国民に選ばれた議員があそこに集まって、この国の政策を決めているんです」
「議員というのは、大臣のようなものなのかしら」
「いえ、違うと思います。たぶん…」
「どう違うのかしら?」
「えーっと…」
 答えに窮してしまったマルチェドを見て、貴婦人はくすくすと笑った。
「意地悪しすぎちゃったかしら。また今度、調べてきてちょうだい」
「…はい」

 こうして二人の間で役割が決まった。
 貴婦人は昔の王国から現在に至るまでの街の変化や貴族式の礼儀作法を教え、それに対してマルチェドは実際
に外で見てきたことや貴婦人の知り得ない知識情報を教えた。
 こうした二人のやりとりは互いの教養を高め、新たな話題づくりのための重要な基盤となっていった。

410ドワーフ:2008/02/17(日) 15:33:56 ID:AepyIIHk0
7.
 マルチェドと貴婦人が出会ってからもう二週間が経っていた。
 マルチェドにとってその時間はそれまでの人生のなかで一番早く進んだ時間だった。
 しかし、彼のささやかな幸福のなかに影を落とすものは少なからず存在した。その要因となったのは、彼自身
の存在そのものだった。
 館から帰ったある晩のこと、宿のマルチェドの部屋を訪ねる人物がいた。
「まあ、仲良くやろうぜ」
 そう言ってその人物はくぐもった声で笑った。
「はあ…」
 マルチェドはおどおどとした様子で答えた。
 まるで鏡写しのように同じ格好の二人。
 シェンマと名乗ったそのネクロマンサーはたまたま街で見かけたマルチェドを追いかけて部屋を訪ねて来たら
しい。
「それにしてもよ、いい街だよな」
「そうですね」
 マルチェドは少し緊張を解いて答えた。口は悪いがもしかしたら良い人物なのかも知れないと思った。
「ああ、頭の軽そうな人間どもがうようよ居るしよ。すぐ外にはでっけぇ墓場まである。利用のし甲斐があるっ
てもんだぜぇ」
 マルチェドの期待はあっさりと打ち砕かれた。
「さてと」
 そう言ってシェンマは席を立つと、マルチェドに言った。
「また時々訪ねさせて貰うぜ。まだここには同郷のお仲間が少ないみたいだからよ」
「は、はあ…」
「そうそう、良い“ネタ”が見つかったら教えてくれ。仲間同士、仲良く分けあおうぜ」
 そう言い残してシェンマは部屋を出て行った。
 マルチェドは呆然としたまましばらく動けなかった。
 “ネタ”というのはレッドストーンに関する情報のことではない。死んだ者の魂のことだ。
 魂はネクロマンサーにとって魔力の源となる重要な武器である。上質で状態の良い魂ほど貴重であり、ネクロ
マンサーにとって垂涎の的だった。そう、特に貴婦人はその条件にぴったり一致していた。
―婦人が危ない!
 そう思うと居ても立ってもいられなかった。マルチェドはすぐに部屋を飛び出そうとした。
 だが、その足は部屋の出口の手前で止まってしまった。
 貴婦人にこの危機を伝えたとしてどうすればいいのだろうか。彼女はあの館から外には出られないのだ。彼女
を守るにはシェンマと戦うしかない。だがそれもマルチェドには無理なことだった。これまで低級な動物の魂し
か扱ったことがない彼には、シェンマのような残忍な悪魔と戦う力はなかった。
 マルチェドは床の上にへたり込んでしまった。

411ドワーフ:2008/02/17(日) 15:34:47 ID:AepyIIHk0
8.
 夜が明けた。
 マルチェドは眠れない夜を過ごしたが、眠気は全くおきなかった。
 一晩かけてマルチェドが至った結論は、まだシェンマに見つかったわけではないという消極的なものだった。
 マルチェドは寝台から降りると、宿を出て表通りをとぼとぼと歩いた。
 まだ早朝で通りに人はまばらだった。露店を開いたまま路上で寝ている人、朝早くから店の支度を始める人。
 広場の噴水の脇を通ると、あの通りが見えた。ずっと向こうに貴婦人が居る館が小さく見える。
 いつの間にかここまで来ていた。
 まだ貴婦人に会うには早すぎる時間だ。
 マルチェドはそこで立ち止まって、ぼんやりと人差し指の先よりも小さな館を眺めた。
 あの館の二階の窓から、貴婦人はいつも街の景色を眺めて自分を待っていてくれている。自分の姿を見つけた
らすぐに一階に降りてきて玄関をくぐる自分をカーテシーで迎えてくれる。
―僕の、“姿”を見つけたら?
 嫌な予感がした。
 マルチェドの足は館に向かって動き出した。
 マルチェドとシェンマは同じ格好をしている。顔などないのだからほとんど見分けはつかない。もし、シェン
マが館の前まで行ったらどうなるだろうか。
 息を切らせながらマルチェドは屋敷の前まで走り、勢いよく玄関の扉を開いた。
 貴婦人の姿は玄関にはなかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
 途切れ途切れに息を吐きながら玄関ホールを見渡す。
―まさか…。
 マルチェドはよろよろと館の中に踏み入っていった。
「どうなさったの?」
 マルチェドは顔を上げた。
 階段の上から貴婦人が怪訝な表情でマルチェドを見下ろしていた。
「あぁ…良かった…良かった…」
 そう言ってマルチェドはその場に座り込んだ。
 心は泣いていたのに、涙の雫は出てこなかった。
 マルチェドは、こんな時でも悪魔である自分の身体を怨んだ。

412ドワーフ:2008/02/17(日) 15:35:37 ID:AepyIIHk0
9.
 突然の早朝の訪問に貴婦人は戸惑っているようだったが、それでもマルチェドの様子に只ならぬものを感じた
のか、そのことを責めはしなかった。
 マルチェドは客間の椅子に座ったまましばらく無言だった。
 貴婦人もその間問い詰めたりはせず、ただマルチェドの様子が落ち着くのを待っていた。
 マルチェドはどう説明すべきか迷っていた。
 自分と同じ姿のやつが貴婦人を狙っていると言えばいいのだろうか。そうすると貴婦人は「どうして?」と聞
くだろう。何でそんな事を知ってるのかと聞くだろう。
 真実は絶対に話せない。でも、話さなければ貴婦人が危ない。
「あ…う…」
 どう言えばいいか分からず、マルチェドは椅子の上で嗚咽のような呻きを吐くばかりだった。
 そんなマルチェドを心配そうに見つめていた貴婦人は、彼の前にしゃがむと初めて出会ったあの日のように彼
の手の上に自分の手を重ねた。
 それに反応して顔を上げたマルチェドに貴婦人は優しい声で言った。
「あなたに何があったのかは存じませんが、これだけは言えます。私はあなたを心から信頼しております」
 マルチェドは貴婦人のその柔らかな顔を見つめた。兜の奥の暗闇で、口がパクパクと動いた。
―僕は…僕は…。
 告白してこの葛藤を捨て去ることが出来ればどんなに楽だろうか。
―婦人なら、きっと…。
 心優しい貴婦人なら、例え悪魔でも自分を受け入れてくれるかもしれない。
―でも…。
 マルチェドの中のほんのわずかな引っ掛かりが、彼の口を閉じさせた。
 もし、マルチェドが悪魔であることに貴婦人が恐怖を抱いたとしたら。二人の関係は今日限りで断絶し、もう
二度と修復することはないだろう。
 マルチェドにとってそれは何よりも恐ろしいことだった。
「なんでもないんだ。ただ、ちょっと寝ぼけちゃって…婦人の顔が見たくなっちゃったんだ」
 どこまでも嘘を吐くしか出来ない自分にマルチェドは自己嫌悪に陥った。
「そう…」
 マルチェドのあからさまな嘘にも動ぜず、貴婦人はもう何も問うことはなかった。
「本当に突然なんですもの、驚きましたわ。まったくどんな夢を見て寝ぼけたのかしら」
 そう言って貴婦人は立ち上がり、笑った。
「すいません」
 マルチェドは謝ると貴婦人に調子を合わせるように笑った。

413ドワーフ:2008/02/17(日) 15:37:13 ID:AepyIIHk0
10.
 マルチェドは館を出ると深くため息をついた。
 つくづく自分が嫌いになる一日だった。
 でも、貴婦人には自分が来ても決して外に向かって呼びかけたりしてはいけないと言っておいた。
 マルチェドの今日の様子から何かを感じ取ったのか、貴婦人は理由を問わなかった。
―きっと大丈夫、バレたりしなければ。
 マルチェドは足を踏み出し、館を後にしようとした。
「よう」
 聞き覚えのある声にぞくっとした寒気が身体を走り抜けた。
 振り向くとシェンマが館の玄関脇の壁にもたれて立っていた。
「中々出て来ねぇもんだから、待ちくたびれちまったぜ」
「な…なんで…」
 ギゲゲゲとシェンマは不気味な笑い声を上げた。
「まあ、話は中でゆっくりとしようぜ」
 そう言ってシェンマはマルチェドに近づくと、強引に彼の肩を掴んで館の中へ引っ張り込んだ。
 乱暴に開かれた玄関扉を貴婦人は階段の上からびっくりとした表情で見下ろしていた。二階の自室へ戻るとこ
ろだったらしい。
「おーおー!こいつは予想以上の上物だぁ!」
 品定めするように貴婦人の姿をまじまじと眺めてシェンマは大声で言った。その不快な声が館の中に響き渡っ
た。
「どうなさったのです?その方はどなたですか?」
 貴婦人はシェンマに捕まっている様子のマルチェドに問いかけた。
「俺か?こいつの仲間さぁ」
 シェンマはそう言って掴んでいるマルチェドの身体をガクガクと揺らした。
「どうして…」
「はっ!どうしてだって?お前みたいな周りの顔色を見ながら歩く小心者なんざ、ちょいと突付いてやればすぐ
にお宝の様子を見に行くもんだ。キヒヒヒ」
 マルチェドの問いにシェンマは下卑た笑いを漏らしながら答えた。
 マルチェドは身を震わせて、心配そうに自分を見つめる貴婦人を見上げた。
―僕のせいだ…僕のせいで…。
 マルチェドは内心で自分を責めた。
「さーて、早速…」
「僕のものだ…」
 シェンマの言葉を遮って、マルチェドは言った。
 こうなればなりふり構ってはいられなかった。貴婦人を守るにはシェンマを説得して諦めさせるしかない。
「あ?」
「僕のものだ…だから」
「おいおい、仲間だろう?独り占めはないぜぇ」
「でも…」
「なんてな」
 シェンマはマルチェドの肩を離すとを彼を突き飛ばした。貴婦人が悲鳴を上げた。
 シェンマはもんどりうって倒れこんだマルチェドに言い放った。
「そんなもんこっちからお断りだぜ!全部よこしな」
「な…」
 マルチェドは絶句した。
「こんな上物を分け合う?馬鹿言えよ」
 シェンマは腰を突いたままのマルチェドの方に向き直って続けた。
「お前が焦ってこいつを外に逃がしたところをパクっと頂くつもりだったが、そうしない所を見るとどうやらこ
いつはここから出られないらしいな。ってことはだ…」
 シェンマの兜の中の眼がギラギラと輝いた。 
「邪魔者を始末さえすれば、後でゆっくりと頂けるってわけだ」
 マルチェドは恐怖で膝をガクガクと震わせていた。
「切り刻んで欲しいか?それとも…」
 シェンマの右袖から剣が伸びた。
「叩き割って欲しいか、選びな」
 シェンマの左袖から鎖に繋がれた鉄球がゴトンと落ちた。
「ひっ」
 シェンマはゆっくりとマルチェドに近づいて来た。まるでマルチェドの怯えている様子を眺めて楽しんでいる
かのようだった。
 だがマルチェドは腰が抜けてしまって立つことも出来なかった。
「お待ちなさい!」
 貴婦人の声が響いた。彼女は階段を駆け下りてマルチェドの傍に寄ろうとした。
「おい止まれ。そいつに近寄るんじゃねぇ!食われちまってもいいのか!?」
 マルチェドはびくりと身体を震わせた。貴婦人の足が止まった。
「ったく、教えてねえのかよ。まあ当然か。ビビって突っ立ってりゃいいのに、仕方ねえな」
「や、やめろ…」
 マルチェドは震える声でシェンマを制止しようとした。
「嫌だね。てめぇに取られるくらいなら、多少質が落ちても言ってやらぁ」
 シェンマはマルチェドにそう言い放つと、貴婦人に向かって言った。
「おい、そいつの正体を教えてやるよ」
「やめろ…やめて…」
「そいつはな、お前みたいな死んだ人間を食い物にする悪魔なんだよ!」

414ドワーフ:2008/02/17(日) 15:38:27 ID:AepyIIHk0
 マルチェドは目を閉じた。
―なんて事だ…。
 絶対に守りたかったものを失った絶望があった。それだけがあった。
 だが、シェンマのたった一言で打ちひしがれたマルチェドを貴婦人の言葉が支えた。
「それが何だというの」
 マルチェドは目を開いて貴婦人を見上げた。
 いつものように美しい立ち姿で、真っ直ぐにシェンマを睨みつけていた。
「マルチェド様は私の大切な御方です」
「はあ?そんなもん振りに決まってんだろ。死んだ人間の魂ってのはな、動物のなんかと違ってデリケートなん
だよ。死んだのをそのまま頂いたって何の足しにもならねぇ」
 シェンマは両手を開いて貴婦人をあざ笑うかのような口調で解説した。
「死んでから暫く放っておいてな、寂しさに耐え切れなくなったところで優しい振りをして慰めてやるのさ。そ
うやって気分を持ち上げておいて、食べごろになったところを頂くんだよ」
 マルチェドの心は、貴婦人の支えの甲斐なく今度こそ倒れこんでしまうところだった。
―こうまで言われて、僕を信じられるわけがない。
 今度こそ目を閉じて死を待つつもりだった。
「分かったら向こうで震えてな。後でゆっくり食ってやるからよ」
「お断りします」
「何だと?」
 シェンマの声が怒気をはらんだ。
「マルチェド様、早くお立ちになってくださいまし」
 マルチェドは閉じかけた目を開いて貴婦人の横顔を見上げた。
「早く!お逃げなさい!」
 貴婦人が大きな声でシェンマの威圧を跳ね除けるように言った。
 その声はマルチェドの脚の震えを取り払った。
 マルチェドはすぐさま立ち上がるとシェンマに背を向けて館の奥へ逃げ込んだ。
「てめぇ、何のつもりだ?」
 シェンマの問いを無視して貴婦人も背を向けて小走りに逃げた。
「待ちやがれ!」
 シェンマは後を追ったが、貴婦人の姿は屋敷の壁の中に溶け込んでしまった。
 貴婦人が逃げ込んだ壁に鉄球を叩きつけて、シェンマは怒りの丈をぶちまけた。
「死人ごときが舐めやがって!あのゴミクズをぐちゃぐちゃに叩き殺して、てめぇも必ず食ってやる!」
 シェンマの怒りに任せた呪いの言葉が館のなかを反響した。

415ドワーフ:2008/02/17(日) 15:39:41 ID:AepyIIHk0
11.
 館の奥の物置の中でマルチェドはしゃがみ込んでいた。
 シェンマの怒鳴り声が響いてきて、マルチェドの膝を抱いている手に力がこもった。
―もうじきあいつが来て、僕は何も出来ずに殺されてしまうに違いない。そして貴婦人も…僕のせいで。
「ごめんなさい…」
「何も謝る事はありませんわ」
 つい口から出た言葉に貴婦人の返事が返ってきた。
 マルチェドは辺りを見回した。すると貴婦人の顔が壁から突き出していた。
「すぐに謝ってしまうのは、マルチェド様の悪い癖ですわよ」
 壁の中から這い出すようにして現れた貴婦人に、マルチェドは驚いて口をぱくぱくさせた。
「扉を通らずに部屋に入るなんてレディらしからぬ行為はこれっきりにしたいものですわね」
 そう言ってマルチェドに向かって笑顔を向けた。
 いまその魂を狙われているとは思えないほどの余裕ぶりに見えた。
 驚いていたマルチェドは、すぐにまた俯いてしまった。
「でも、貴婦人が狙われているのは僕のせいなんです。僕のせいで…」
「マルチェド様、今はそのようなことを仰られている場合ではありません。あの不埒な輩を撃退する方法を考え
るのです」
「撃退するって、無理ですよ。あんな奴、僕なんかの力じゃ…」
「すぐ弱気になるのも悪い癖!私に良い案があります」
「良い案?」
 マルチェドは顔を上げて貴婦人を見上げた。
 貴婦人はしゃがむと、マルチェドの両肩にそっと手を置いた。そして顔を近づけて言った。
「私をお食べなさい」
――――――。
 マルチェドの思考はその時停止していた。
 貴婦人が何を言ったのかを理解できなかった。
「何、言ってるんですか」
「早く」
 急かす貴婦人にマルチェドは声を荒げた。
「そんなこと、出来るわけがないじゃないですか!」
「でも、やらなければあなたが殺される!私は上物なのでしょう?きっとあの者を追い払う力になれますわ」
 真っ直ぐに自分を見ながら説得しようとする貴婦人に、マルチェドは首を横に振った。
「なんでそんな事を言うんですか。僕は悪魔なんですよ?早く逃げてください…」
 マルチェドは震える声で言った。
「逃げません。ですから早く…」
 貴婦人は一歩も退かなかった。
 貴婦人はうんと言う気配も見せないマルチェドに、身体を重ねて顔をさらに寄せた。
「あなたはあの者が言うような悪魔なんかではないわ。私の掛け替えのない、大切なお友達よ。私をあのような
輩に渡さないで」
「でも…、そんなことしたら…僕はまた一人ぼっち…」
「あなたなら大丈夫。あなたは人間よりも優しくなれる人。人を怖がらないで、あなたが怖がらずに向き合えれ
ば、きっとみんなもあなたを怖がったりしないわ」
 貴婦人の優しい声がマルチェドの中に入り込んできた。
 それはとても柔らかで、温かかった。

416ドワーフ:2008/02/17(日) 15:41:29 ID:AepyIIHk0
12.
 マルチェドはまるで夢を見ているような心地だった。
 そこはマルチェドの見た事もない大きな屋敷の中だった。いや、見覚えはあった。
 そこは貴婦人の館だ。ただ、あちこちに置かれた立派な家具や調度品の数々は、マルチェドの見知った館の姿
とは全くの別物だった。
 時間は深夜らしく、屋敷の中は真っ暗だった。
 そこに明かりがマルチェドのほうに向かって移動してきた。
 蝋燭の明かりが灯る燭台を片手に、貴婦人がゆっくりと忍び足で歩いてきていた。
 マルチェドの姿は見えていないらしく、マルチェドはその場に居ながらまるで幽霊になった気分だった。
 貴婦人は客間の扉をそっと開けると、中の様子を隙間から覗き込んだ。
 マルチェドは何を見ているのだろうかと、一緒になって覗いてみた。
 客間の中では二人の人物が向き合って何やら話し合っていた。
「…という手はずでよろしく頼む」
「わかった。事後処理についてはそちらに任せていいんだな?」
「ああ。証拠になるものは全て処分する。逃走経路の確保のほうも任せてくれ」
「了解した。暗殺の決行日はもう決まっているのか?」
―暗殺?
 聞き慣れない言葉にマルチェドは耳を疑った。
「それについてだが…」
 ガチャ―――。
 扉が急に開いて、部屋の中の明かりが廊下に居る貴婦人を照らした。
 見上げると、部屋の中にいた3人目の男が扉を開けていた。
「ルメーユ、お前…!」
「聞かれてしまったようだな」
「どうする?このまま寝室に戻すわけにはいかんぞ」
「知れた事。始末するしかあるまい」
「ま、待ってくれ…」
「卿、まさか見逃せと言うんじゃありませんよね?我々はこの計画に命を賭けているのですよ」
「分かっている。しかし…」
「しかしではありません。計画の漏洩は絶対に阻止しなくてはならない。第一このことは卿の責任でもあるので
すよ」
「…………」
「卿はすでに我々と手を結んでしまった。悪魔と一度契約を交わしたならば、もう引き返す事は叶いません」
「それでも見逃せと仰るのであれば、我々は卿と共に行動することはできない」
「つまり、卿にも死んで頂くということになりますな」
「……わかった。だが、苦しませないでやってくれ」
「分かっておりますよ」
 3人の中で一番背の低い、マルチェドに良く似た風貌の奴が怯えている様子の貴婦人に近づいていった。
 そこで景色は暗転し、何も見えなくなった。
 再び視界が蘇ったとき、場所は貴婦人の部屋に変わっていた。
 大きなクローゼットに柔らかそうな絨毯、お洒落な壁紙に花を生けられた花瓶。グランドピアノまであった。
 あの大きな窓以外、部屋の様子は全く違っていた。
 透き通った貴婦人が絨毯の上にへたり込んでいる。その彼女を前にして、マルチェドに良く似たあいつが立っ
ていた。
「苦しませるなと卿は言ったが、我々の計画を愚弄した罪は重い。貴様にはここで魂だけの存在となって残って
いてもらう。計画成功の暁には、貴様を我が血肉として迎えてやろう」
「私の帰りを首を長くして待っているのだな。私の帰還はすなわち貴様にとってこの地獄からの解放なのだから
な。ははははは」
 視界はそこでまた暗転し、そしてすぐに戻った。
 貴婦人は部屋の中で呆然と立ち尽くしていた。その表情はマルチェドが見た事もないほど絶望に塗り固められ
ていた。
 部屋の中を数人の男達が歩き回っている。
 クローゼットを運び出し、カーペットを巻き上げ、花の無くなった花瓶を持ち出し、大きなグランドピアノは
解体されていた。
 その様子を眺める貴婦人を見て、マルチェドは胸を締め付けられた。
 計画は失敗してしまったのだろう。
 館は主人を失い、あの悪魔もまた死んでしまったに違いない。
 貴婦人の前には、解放されることのない永遠の地獄だけが残されていた。

417ドワーフ:2008/02/17(日) 15:42:35 ID:AepyIIHk0
 そこでまた暗転した。
 何も無くなった部屋の中で貴婦人は唯一残った窓から外を見ていた。
 眺めているのでもなく、ただ見ているようだった。
 ずっと、ずっと、いつまでも見ている。
 朝も、昼も、夜も。
 その姿はまるで無機質な人形のようで、美しくも冷たい姿だった。
 気が付けばいつの間にか辺りの景色は灰色に染まって色を失っていた。
 また暗転。
 何日、いや、何年時が進んだのだろうか。
 外の街の様子を見ると割と最近のようだった。
 貴婦人はまだ外を見ていた。
 と、貴婦人の目が外のある一点を凝視した。
 それはマルチェドの姿だった。
 辺りをきょろきょろと落ち着き無く見回しながら歩き、そして館の前までくると顔を上げて見上げた。
 その姿は貴婦人にはきっと自分を殺した悪魔に見えたに違いない。
 貴婦人は突然振り返ると、部屋を飛び出して階段を駆け下りた。
『お待ちになって!』
『お願いします!お行きにならないで!』
 外に居るマルチェドに大きな声で呼びかけながら貴婦人は玄関ホールまで走った。
 そして玄関扉に身をぶつけるように寄せた。
『どうか、まだそこに居らっしゃるのでしたら…ここを開けて中に入ってきてくださいまし』
 貴婦人がそう言うと、外の壊れた門が開かれて軋む音が聞こえてきた。
 貴婦人は一歩一歩後ろに下がり、そして入ってくるであろう悪魔を迎える準備をした。
 玄関扉が開けられ、マルチェドが貴婦人の顔を見上げた。
 貴婦人はその場にしゃがみ込んで泣き出した。
"やっと、この地獄から開放される…"
 全てを見ているマルチェドに貴婦人の心の声が聞こえた。
『あの、ごめんなさい…』
『ありがとうございます。ありがとうございます…』
 マルチェドの中に貴婦人の心が流れ込んできていたが、ひどく錯乱しているらしく言葉にはならなかった。
 貴婦人の心がようやく落ち着きを取り戻したとき、彼女の中でマルチェドに対する疑問がわいていた。
 どうして早く自分を食べてしまわないのか、と。
 あの日の景色を眺めているマルチェドは、悲しみに満ちた目で貴婦人を見ていた。
 貴婦人は寂しかったから自分を呼んだのではない、自分に食べられたかったから、地獄から解放されたかった
から自分を呼んだのだ。
―友達になりたかったわけじゃあ、なかったんだ。
 向き合って会話している自分と貴婦人を、マルチェドはただただ立ちつくして見ていた。
『こんな風に僕に話しかけてくれる人は、初めてなんです』
 過去のマルチェドが言った言葉に、貴婦人の中で何かが揺れた。それはマルチェドにも感じられた。
"違う。この方は、あの悪魔とは違う"
『あなたも、ずっと一人ぼっちでいらしたのね…』
 自分と同じ悲しみを背負ったこの人と心を分かち合いたい。時を共にしたい。
 貴婦人の冷え切っていた心に、暖かい感情が戻り始めていた。
 そこから時間はマルチェドと共に過ごした時だけを切り抜かれて目まぐるしく回り始めた。
 灰色だった景色に鮮やかな色が蘇り輝きだした。
 全てが温かく、眩しく、そして視界を真っ白に染め上げてマルチェドを元の時間へと還した。

418ドワーフ:2008/02/17(日) 15:43:50 ID:AepyIIHk0
13.
 マルチェドは泣いていた。
 真っ暗な自分の顔を、確かに何かの滴が伝っていた。
 それは自分の涙なのか、それとも貴婦人が流したものなのか分からなかった。
 マルチェドの中に溶け込むようにその姿を薄めていく貴婦人は笑顔を浮かべていた。
 その笑顔が完全に見えなくなってしまったとき、マルチェドの中の闇に小さな輝きが生まれた。
 温かな魂の輝きだった。記憶は全て消え去り、純粋な命の輝きだけが残っていた。
「婦人…」
 マルチェドはその輝きを抱くように胸に手を当てた。
「見つけたぜぇ…」
 物置の戸が破壊され、シェンマがそこに立っていた。
 シェンマはマルチェドの中に明星のような輝きを見つけると、声をあらげた。
「てめぇ!俺の獲物をよくも食いやがったな」
 マルチェドは立ち上がると、シェンマを睨みつけた。
「お前の獲物なんかじゃない。婦人は、僕の大切な友達だ」
「わっけ分かんねえ事言ってんじゃねえよ」
 怒りに輝くシェンマの目をマルチェドは怯むことなく見た。
 マルチェドの中で怒りの炎が烈火のごとく燃えていた。
「お前は、絶対に許さない」
「ああ?それは俺のセリフだ。あの生意気なクソアマを食い損ねたこのムカツキ…てめぇで晴らさせてもらうぜ
ぇ!」
 そう言ってシェンマは右袖から剣を伸ばし、マルチェドに向かって走ってきた。
 そして剣を振りかぶると、マルチェドの胸に深々と突き立てた。
「お前みたいなゴミクズが、この俺にちょっとでも敵うとでも思ったのか?」
 剣をひねり上げ、シェンマはマルチェドの身体を引き裂いていった。
「お前は、絶対に許さない」
 剣を突きたてられたマルチェドが言った。
「てめぇ、まだ息があんのかよ。さっさとくたばれ!」
 腕に力を込めて、シェンマは剣をさらにマルチェドのなかに埋めた。
「お前は、絶対に許さない」
 マルチェドの声はシェンマの背後からした。
「なっ!?」
 シェンマが振り返ると、数人のマルチェドが自分を囲んで立っていた。
「ど、どういうことだ」
 シェンマはそこでようやく自分の身体が透けている事に気が付いた。
 先ほどまで剣の先に居たマルチェドの姿も消えていた。
 そこでようやくシェンマは自分に起きている事態に気づいたようだった。
「一体、どこから幻だったんだ」
「「「「お前は、絶対に許さない」」」」
 数人のマルチェドの声が重なって響いた。
「やめろ…」
 シェンマの目が恐怖に震えた。
「「「「お前は…」」」」
「やめ…!」
「「「「絶対に許さない!!!」」」」
 マルチェドの怒りの爆発を表現するように、シェンマの身体が内部から激しく炎を噴き上げた。
 呪いの炎はシェンマの肉体を残らず消し去り、後にはシェンマのコートや兜だけが床の上に残された。
 シェンマの残骸のように残ったそれらを見下ろすと、マルチェドはその場に倒れこんだ。

14.
 マルチェドは目を覚ますと、重たい身体を床からはがすように起こした。
 目の前にはシェンマのコートが落ちていた。
 ふらつく身体で物置から這い出し、館を出た。
 昨日寝ていなかったからだろうか、どうやらマルチェドは明け方まで眠ってしまっていたらしい。
 昇ってきた日の光がマルチェドの目に差し込んできた。
 玄関先で立ち止まったマルチェドは、振り返って館を見上げた。
 もう誰も居ない館だ。
 マルチェドは寂しかった。ずっと続けばと思っていた日々が終わってしまった。
 マルチェドの中の輝きが、彼を慰めるように煌いた。
「うん、分かってる。…僕は一人じゃない」
 マルチェドは館に背を向けて通りを歩き出した。

419ドワーフ:2008/02/17(日) 15:44:37 ID:AepyIIHk0
15.
 ドンとぶつかった衝撃でマルチェドは尻餅をついた。
 曲がり角で向こうから走ってきた人物とぶつかったのだ。
「ちょっと、どこ見て歩いてるのよ!」
 ぶつかってきたのは自分からなのに、その人物は悪びれもせずに言った。
 小さなドレスを着込んだプリンセスだった。
「ご、ごめんなさい」
 マルチェドは謝った。
「もう…、いいわよ。別に気にしてないし」
 そう言ってプリンセスはスカートをパンパンとはたいた。
「じゃあね」
 癖なのだろうか。彼女はカーテシーをして去ろうとした。
 それを見たマルチェドは反射的に貴婦人に教え込まれたお辞儀を返していた。
 マルチェドが下げた頭を上げると、プリンセスはぽかんと口を開けてマルチェドを見ていた。
「あなた、それどこで覚えたの?」
 マルチェドはどこからどう見ても、貴族の教育を受けているようには見えなかった。
「えっと、その…幽霊に教えてもらったんです」
 マルチェドの答えにプリンセスは大きな声で笑い出した。
「あははは。なにそれ!あなた面白いわねー。そうだ、家来にしてあげようか」
「け、家来?」
 突然プリンセスが言い出した言葉にマルチェドは素っ頓狂な声を出した。
「そ、家来。さあ、早く行くわよ」
「行くってどこに?」
 家来になるのは決定事項なのか、プリンセスは勝手に話を進め始めた。
「レッドストーンを探しによ。みんな待ってるんだから早く行くわよ!」
 そう言ってプリンセスは猛スピードで走り出した。
 長いスカートを履いているとは思えない速さだった。
「ま、待って!」
 マルチェドは慌てて彼女の後を追いかけた。
―婦人、あなたの言う通りでした。僕は一人ぼっちになんかならない。
 追いかけるプリンセスの背中の向こうに、新しい仲間達の姿が見えた。

420ドワーフ:2008/02/17(日) 15:52:05 ID:AepyIIHk0
『マルチェドと貴婦人』
書き出しは>>404からです。

こんにちは。性懲りも無くまた載せさせてもらいました。
先週に書いたドワーフの話に感想を下さった皆様、
本当にありがとうございました。
しばらくここを開くのが怖かったため、返事がここまで遅れてしまいました。
あのドワーフの話は最初の勢いに任せて一気に書いてしまったため、
終盤になって勢いが落ちてしまった感がありました。
ですから今回はゆっくりと時間をかけて書いてみました。
是非とも、読んでいただけるとありがたいです。

今回は古都の没落貴族の館をモデルに書いてみました。
2.が変なところで間が空いてしまっています。3.からは修正しましたが…。

421ドワーフ:2008/02/17(日) 15:54:48 ID:AepyIIHk0
連投すいません。
書き出しのアンカーを間違えました。
>>403-419です。

422ワイト:2008/02/17(日) 19:57:41 ID:Xx5zcUIE0
>>ドワーフ様
初めまして!この頃何も思い浮かばない、新参者のワイトと言います(TωT)ウ―
マルチェドとルメーユ(貴婦人)との物語は読んでいて本当に面白かったです!!
しかし、それを邪魔したシェンマは、途轍もなく嫌なネクロマンサーですよね(空気読め!
それに加えて同じ悪魔とは思えない残忍さ・・・・貴婦人自らの魂をマルチェドに捧げたシーンは
とても・・・とっても泣けて来ました・・・・(T∀T)この小説に続きが有れば、楽しみに待ってます!!!

423FAT:2008/02/18(月) 00:04:28 ID:SHH8vO0M0
微妙なタイミングでこんばんは。
覚えていらっしゃる方がどれほどいるかはわかりませんがマリスの登場です。
双子の話を書いたのはもう二年以上も前の話になってしまうのですね。時が経つのは早い……

>>ワイトさん
おお、豹変したラータ強い!!
ジョブチェンジが売りのRSならではの設定、楽しく読ませていただきました。
それにしてもヘルアサシン……何者だったのでしょう。
とにかく強烈な印象の敵でした。次はどんな戦いがラータたちを待っているのか。
楽しみにお待ちしております。
確かに、私の話を一から読むとなると1スレ目からになるので容易ではありませんね。
いつか気が向いたときにでも読んでいただければ幸いです。

>>21Rさん
短いながらも、暗殺者の男の暗殺者としての生き様を見た気がします。
死に行くものの言葉は時として強烈に耳に残り、それが暗殺者の最後に繋がった
ように思います。
最後に感謝した相手が妹だったというのもまた悲痛なストーリーを連想させますね。
重量感たっぷりの短編、面白かったです。
バレンタインの企画はどんまいですっ

>>68hさん
いつも感想ありがとうございます。
「このジム=モリ〜〜」はなんとなく響きが良かったので乱用してます。でもこの
おかげでジム=モリのキャラが確立でき、よかったかなと思います。
レンダルとデルタをセットで書こうとするとどうしても話をちゃらかしたくなるんですよね(笑)
ほっとけばこのまま話が進まなくなりそうです。

>>黒頭巾さん
>フランデルニュース
勇者くおりてぃが最高です。フル支援の二人のコメントがより勇者様を際立たせていますね。
そして【赤石戦隊ボウケンシャー】
み、見たいっ!きっとファンになります。グッズも買い集めちゃいそうです(笑)
>バレンタイン話
ふぁみりあいーえっくすが可愛すぎます><
いぢける姿がペットと言うよりも子供のようで心を掴まれました。
終始ほんわかとした話で、温かな気持ちでまるで日当たりの良い部屋にいるような
気持ちになりました。
ほんとうにハッピーバレンタインです。

>>白猫さん
砕け散ったのはルヴィラィの腕だったのですか、完全に悪い方向に行くと思い込んでました。
ちょ、アーティさん泥酔……
力があるだけに酔った勢いでFILやらチャージングなんて出しちゃいそうで恐いです。
特製バレンタインチョコレートケーキタワーを完成させ、なんだか無邪気な
サーレがかわいかったです。
と思ったらルフィエも負けじとバレンタインチョコレートケーキタワーを!?
なんだか似たり寄ったりの両者ですが、どっちも食べずに片されちゃったのかと
思うと無念でなりません。
ブレンティル編ではルゼルとの戦い、覚醒。
エリクシルの第三段階も、ルフィエの神格化も、いよいよという感じでわくわく
してきます。ここで全ての決着がつくとは思いませんが、レベルアップしたネルフィエ
をはじめ、各々の激闘、楽しみにしております。


>>ウィーナさん
初めまして。現実世界からRSの世界の中へ。アルビが自分の書いた詩を読まれて恥ずかしがっている
シーンにはとても共感しました。私も知り合いに小説なんかを読まれるのが恥ずかしいな
と思うたちなので。
女装大会……アルビ反則じゃ><
しかし似合わない女装の方々には激しく吹きました。頭の中で鮮明に思い浮かべてしまいます。
事情がよく飲み込めないままのアルビですが、メアリーたちと今後どのような
冒険を繰り広げるのか、続きが楽しみです。

>>305さん
初めまして。これはなんという詐欺ギルド。
いや、アニルを仲間に引き入れるためにわざと仕組んだのでしょうか?
武道家らしく信念を貫こうとするアニルの姿勢がいいですね。
この戦いの続きはどうなるのか、期待してお待ちしております。

424FAT:2008/02/18(月) 00:04:59 ID:SHH8vO0M0
>>柚子さん
初めまして。
なるほどっ、魔石を媒体にして耳打ちされていたのですね!
あまりにも当たり前にRSでは耳打ちやギルドチャットを利用していますが、
実際どうなっているんだろう?と疑問でした。
しかし柚子さんの設定なら納得ですね!
話の冒頭がとっても謎めいていて、一瞬で柚子さんの世界に引き込まれました。
ルイスとイリーナのコンビもなんだかんだ言いながらも戦闘になれば息ぴったし、
良いコンビですね。
血だらけだったミシェリー。次回はとんでもないことが起こりそうな予感がします。
続き、楽しみにお待ちしております。

おお、双子の話を覚えて下さっているとは! ありがとうございます。
双子は今作でもちょこちょこっと登場させようと思っています。エキストラ程度に(笑)


>>ドワーフさん
初めまして。ドワーフたちの暮らしが手に取るようにわかり、とても楽しく読ませていただきました。
呪いの指輪を発端に、ドベルグが密かに作り続けたムーンライトストーカー、
それを大切な弟子に託す場面では涙が;;
師弟愛、それも一見不器用な愛が心に響きます。
ゴーランが儀式を理解するまでの流れも、実によく悩み、苦悶しているのがとても
伝わってきました。

そして『マルチェドと貴婦人』のお話。
まさか貴婦人が早く食べてほしくてマルチェドを迎え入れたとは思いもしませんでした。
貴婦人の魂が見せた記憶はマルチェドを立派に成長させたのですね、意気地なしだった
彼がとても頼もしく見えました。
プリンセスとの出会い、明るい気分になれる終わり方でとても良かったです。
また話が浮かんだら、是非とも投稿してくださいね。お待ちしております。

>>之神さん
いいですね、いいですね〜。
ミカと徹の抱擁シーン、チョコも溶けちゃいそうです。
シルヴィーもライトとシリウスにチョコをプレゼント。
バレンタインらしく女の子のがんばる姿、楽しく読ませていただきました。
次はホワイトデーでしょうか?
徹がどれだけがんばれるのか、楽しみにお待ちしております。

>>718さん
すごく感動しました。
魔法が解けてチョコが溶けてしまうシーンでは彼の死を連想してしまい、切なく
なりました。
それでも彼女は子供を産み、彼の生存を信じ、生きようとする強い人なのですね。
苦難を耐えてきた彼女だったからこそ、ラストシーンでの再会に感動しました。
今後の活躍も期待しております。

>>スメスメさん
仲間が助けに来てくれてほっと一安心、かと思いきやバインダーの比にならない
くらい恐ろしい事態になっていますね。武器姫は存在しますがどうもキリエは無理やり武器に
させられたようで、武器姫とはまた違った存在なのでしょうか。
アイナーがなぜ変わってしまったのか、キリエは何者なのか、次回が気になります。

キャラの名前の付け方、私は半分くらい洋楽のアーティストの名前から取ってます。
あと、英和辞書で意味する単語をそのままつけたり、キーボード乱れうちでたまたま
繋がったのをそのまま使ったり、様々ですね。
やはり名前を付けるのに苦労したキャラはなんとなく愛着が湧き、登場頻度も多めな気がします。
なんの参考にもならないかも知れませんが私の場合はこんな感じです。

425 ◆21RFz91GTE:2008/02/18(月) 02:05:22 ID:lj0RFLvU0
////********************************************************************************////
  ■◆21RFz91GTE:まとめサイト(だるま落し禁止)
  ■ttp://bokunatu.fc2web.com/trianglelife/sotn/main.html
  ■Act.1 アレン・ケイレンバック >>44-45
  ■Act.2 少女 3 >>65-67
  ■Act.3 少女 4 >>87-90
  ■Act.4 レスキュー? >>173-174
  ■Act.5 蒼の刻印-SevenDaysWar- >>206-208
  ■Act.6 緑の刻印-SevenDaysWar- >>220-221
  ■Act.7 白の刻印-SevenDaysWar- >>222-223
  ■Act.8 紅の刻印-SevenDaysWar- >>272-273
////********************************************************************************////

426 ◆21RFz91GTE:2008/02/18(月) 02:06:00 ID:lj0RFLvU0
Act.9 封印された九つの刻印-SevenDaysWar-



 決戦二日前、ハイカルラルグとの同盟を決意したノースウィンドはアジトでパーティーを開いていた。ハイカルラルグ幹部とその配下を集めての晩餐会。賑やかで楽しく振舞われた宴会は古都中の人達も呼ばれ町全体を上げてのお祭り騒ぎとなった。
 酒が振舞われ、年に一度しか食べる事の出来ないようなご馳走が光り輝く夜の街を飾り、中央広場では噴水に沢山の蝋燭が積まれ綺麗な光をかもし出してくれる。
 街の人々も、なぜこの時期に祭りなのか、誰一人疑問に思う者はいなかった。人々は泣いて、酒を喰らい、愛しい人を抱き、子供を抱きしめた。それはまるで自分達が生きた証をここに残そうとする儀式、この星に記憶してもらいたい切なる歴史。人間と言う生き物のあり方を記憶し、全てを嘆くことを止めない私達を忘れないで貰いたい。そう願う人々の行為。
 出稼ぎにきている者たちには申し訳無いと思う反面、それでも生き残る為に人を殺し、その人々の思い、願い、思念を超えて行かなければならない。若者たちはグループを作り右手に持つジョッキを空へと高らかに上げて故郷の家族の安否を願い。そして一気に喰らった。中には泣きじゃくる者も居る。全ては明日、数時間後には始まる決戦の時。
「アレンさーん。」
中央広場の一角にある木製のベンチに座ってマティーニ(ジンを使ったカクテル)を飲んでいる時だった、噴水付近で酒を配っていたミトが手にワイングラスを持ってゆっくりと歩いてきた。
「何飲んでるんですか?」
「マティーニだ、それよりもミト…君は確か未成年だった気がするが。」
ベンチに座るとゆっくりワイングラスを回して口に運んだ、少量を飲み始めてのアルコールの味を堪能して喉を潤す。
「クラウスが許してくれたんです、初めてですよ私のわがままを聞いてくれたの。」
「…そうか。」
アレンもゆっくろとグラスを口に運ぶ、飲みなれているのかスルリとグラスに入っているマティーニを飲む。少量飲んで口から離すと中に入っている氷の塊がグラスとぶつかり綺麗な音色を奏でた。
「皆楽しそうだな、この音楽もまた良い。」
辺りの賑やかさを確認してもう一度グラスを口に運んだ、焼けるようなアルコールの強さに喉が麻痺し、強烈な飲み口は不慣れな者には咳を、なれている者には快楽を与えるその魔法のような酒に浸りながら夜空を仰いだ。
「ミトさま〜。」
空を仰いでいたアレンの耳にふと幼い声が届く、声の方向に目をやるとそこには小さなランサーが二人歩いてこちらに向かっていた。
「ミトさま、そろそろお時間です〜。」
「あら、もうそんな時間?ありがとう二人共。」
同じ顔が二つ、まるで鏡に映したような幼い子供だった。一人は髪の毛を右上で小さく纏めボンボンを作っている。髪の色はブロンド、肩に掛らないほどの長さでまだ幼い顔立ちをしている。もう一人はそれを鏡に映した感じだった。
「ミト、この子たちは?」
「あれ、紹介してませんでしたっけ?」
ミトはゆっくりと立ち上がると近くのボーイを見つけて呼ぶ、ワイングラスをボーイに預けると双子の後ろに回り二人の肩に両手を置いた。
「この子たちはギルドの四天王の二人。リリア・アルビスとリリルー・アルビスです。見分け方は右上にボンボンがあるのがリリア、逆がリリルーです。」
正直アレンは驚いた、見た目まだミトよりも幼い子供がギルドの四天王である事を。そしてそれを坦々と説明するミトにも驚いていた。
「まさか…この子たちも戦場に?」
「私は止めたんですが…この子達がどうしてもと言うので。」
「お初目に掛かりますアレン様。」「子供だからって馬鹿にし無いでね?」
同時に言う。声質もまるで瓜二つの彼女達を判断するにはまだ時間が掛りそうだが発言からある程度の察しは付くようになった。リリアはボーイッシュな感じでリリルーは清楚な感じ。性格は似ているようで似て居ない。そんな風に捉えられた。

427 ◆21RFz91GTE:2008/02/18(月) 02:06:24 ID:lj0RFLvU0
「し…しかしだな。」
アレンは二人の安否を気遣い参加を止めさせようとした、だが二人の槍を見てからその考えは一度ぴたりと止まった。
「…その槍は。」
見慣れているはずの槍がそこには有った、小さく小型で投擲用の槍と。それとは正反対の両刃の付いた彼女達の身の丈の倍はあろう巨大な槍。この二つの槍には共通点が有った。それが目に留まったのである。
「…そうか、君達は。」
共通点を見て納得するアレンにミトは背中から琥珀の人を取り出し、目の前に持ってきた。
「そうです、ミルさんの意思を受け継ぐ正統な後継者です。生前、アレンさんと私以外に唯一育てた弟子だそうです。」
ミルリスの紋章と呼ばれる一つの小さな魔法陣、それは持つ者の魔力を増幅させ力に変える魔力増幅装置の一種。アレンより遙に凄まじい魔力を持つミルリスだけが行える武具練成、アレンの武具練成で出来たブリューナックよりも凄まじい力を発揮する。
アレンはゆっくりと双子を両腕で抱いた、二人の頭を優しく抱き撫でる。気が付かないうちに涙していた、この戦いで命を落すかもしれない小さくはかない命。それの宿命に立ち向かう勇敢な二人を愛しくもまるで我が子のように扱った。
「…リリア、リリルー。その槍はなんて名前なんだい?」
泣き声でそう言うと二人はアレンの体を支えるように腕を回して師匠が愛した人を感じた。
「海神(わたつみ)の人です。」「蓬莱(ほうらい)の人…。」
そう声を合わせて言った。



 「アデル?そういえば姿が見えませんね。」
スコッチを片手にメガネを直すクラウスにアレンは聞いた、宴会が始まってからと言うものアデルの姿が全く見えない。何処に居るのかと尋ねても誰も見て居なかった。
「どうされたんですか?何か言付があれば承ります。」
「いや良い、自分で探すとするよ。」
「そうですか、もしかしたら西門の丘にいるかもしれません。城門を出てすぐの所です。向こうも出店などが出ていて中々賑わいが有りました。今は西門が破壊されていて修復作業中ですが、それも意味なす所だと思い作業を中断させています。崩れるかもしれませんのでお気をつけて。」
「あぁ、ありがとう。」
ゆっくりと振り返って右腕を上げた、右手をひらひらとゆらしてクラウスに挨拶する。西門付近も出店等が出回り賑わいを見せている。その楽しそうな行商人達の絵顔を見てアレンは心を痛めた。
西門を潜ると大きな墓が見える、自分とミルリスの墓だった。その墓を横目にゆっくりと丘を上がって行く、そこまできつく無い斜面は歩きやすいように舗装され小さな砂利で出来た簡単な道。この丘の先には二つの墓が有った、丘から眺める風景が好きだった二人の小さな墓。
「…アレンか。」
「いよう。」
二つの墓の前でひっそりと立っていたアデルがいた。来ている黒いコートが風で靡いている、冷たく悲しい風が吹いていた。
「詳しい話は聞いて無いが、統合した後でもユランの記憶は多少ながら残っているのか?」
「あぁ…時々こうしてこの墓に足を運んでは心を痛める。それが我の咎だ。」
一度突風が吹く、バタバタと靡くコートと吹き飛ばされないように左手で抑える黒い帽子。それを後ろから見つめるアレンは何時かの険しい目線でアデルを見ていた。
「俺に何か隠し事あるんじゃないかアデル。」
「…何の事だ。」
「…シラを切るか、俺が気づかないとでも思ったのか?」
「…。」
ゆっくりと歩いてアデルの隣に立った、そこから下を見下ろせば明かりが灯り明るい歌声が流れる小さな古都があった。少し目線を動かせば巨大な墓。
「刻印…全て開放されて無いんだろ。」




Act.9 封印された九つの刻印-SevenDaysWar-
To be continues...

428 ◆21RFz91GTE:2008/02/18(月) 02:19:37 ID:lj0RFLvU0
こんばんは〜、夜更けにダバダバしてますヾ(´・ω・`)ノ
うー…ヴァレンタイン企画逃したぁ…ネタあったのにorz
次のイベントは出席しまっせぇ〜ヾ(´・ω・`)ノ

コメ返し

>>289 :◇68hJrjtY様
短編に感想をしてくださりありがとう御座います。
シフってあんなんだろうなぁって思いながらサブ動かしてた時に思い付いたネタです。
忍者っぽいというか暗殺者っぽいというか素敵キャラというかなんと言うか。
思えばディーの時もそうだったんですが、ボケキャラしかいねぇなぁって思い
今回のネタに踏み切った訳ですが…。
うん、俺にCOOLキャラは似合わないようですヾ(´・ω・`)ノ

>>290 :黒頭巾様
( ゚∀゚)○彡゜ 幼女!幼女!
詠唱仲間ですねぇ〜これからも宜しくお願いします〜ヾ(´・ω・`)ノ
ファンだなんてそんな、こんなヘタレですがそう言って頂けるととても嬉しいですヾ(´・ω・`)ノ
階級ネタはクロノクルセイドより引用です(ぉ

>>300 :白猫様
ですよね!ちっちゃい子に大鎌!個人的には戦斧や大剣、薙刀でもおkですよね!
…げふんげふん、ロリ全開ですが何か?(ぉ
用語というより、ノート一冊丸々資料になってるのでそっちに纏めてあります。
実を言うとこの作品を仕上げた後の作品の初期設定や物語なんかも既に資料として
作成ずm(ry

>>315 :ワイト様
こちらこそ宜しくお願いします〜。
俺もこのスレ長いなぁ…住人というより完全に居座って隠居生活かましてますヾ(´・ω・`)ノ

さてさて、何やら名前の付け方とかで盛り上がってますね。
因みに俺の付け方ですが、呼びやすさやゴロの良さで選んでたりします。
もちろん予め神話とかで登場する名前とかも引用したりしてますね〜。
キャラの名前が呼びやすいと何となく定着してくれるんですよね〜
アレン=変態ロリコンとか
アレン=ロリコンと言う名の紳士とか

名前にインパクトが無くてもキャラに応じて何かしら得点付けるといいですよ〜
パーフェクト人間だと面白みが無いから何かしら欠点を付けるとかロリコンだとかドジッコだとか迷子だとか(ry

429◇68hJrjtY:2008/02/18(月) 12:50:15 ID:VU9CmfbA0
>ドワーフさん
泣きました。ほんとに…。
ネクロという職業を深く掘り下げた物語ですが、それだけでは括れないある貴婦人の霊の話。
感想というものが浮かんでこないくらい読み入ってしまったのでアレなのですが…。
全てを理解していた貴婦人と、マルチェドの魂喰い…もとい、ずっと一緒になった二人。
しかし貴婦人の"死ぬ事もできずただずっと館に居るだけ"という気分は想像を絶するものがありますね。
個人的にも死後の世界、霊魂を扱う話は大好きなのでそれも嬉しかったです。
悲しいままで終わらずに暖かい気持ちになれるラストシーンも最高でした。マルチェドの旅はこれから始まりますね!
また是非執筆お待ちしてます。

>21Rさん
ロリコンなアレンには嬉しい展開(?)的にミルリスの師事した二人の少女登場。
流石アレンさん、一瞬でボーイッシュさと清楚さを少女に見出すとは…!(え
そして、むむっ、やっぱりアデルさん何かを隠してましたか。でもアレンには隠せない。
もし刻印が残っている場合、ただごとじゃ済まない気がしますが…うーん。
色々な謎を抱えつつの決戦前、続き楽しみにしています。

430之神:2008/02/18(月) 13:56:29 ID:EljImjJs0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593―2 >>595―3 >>596-597―4 >>601-602―5 >>611-612―6 >>613-614
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
2章〜ライト登場。
-1>>620 -621―2>>622―○>>626―3>>637―4>>648―5>>651―6 >>681
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687―2>>688―3>>702―4>>713-714―5>>721―6>>787―7>>856-858
―8>>868-869
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
4章〜兄弟
-1>>925-926 ―2>>937 ―3>>954 ―4>>958-959 ―5>>974-975
◇――――――――――――――――5冊目―――――――――――――――――◇
-6>>25 ―7>>50-54 ―8>>104-106 ―9>>149-150 ―10>>187-189 ―11>>202-204

◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
5章〜
-1>>277

◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
番外

クリスマス  >>796-799
年末旅行>>894-901
節分  >>226-230
バレンタインデー>>358-360 >>365-369
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆

431之神:2008/02/18(月) 14:26:49 ID:EljImjJs0
λ

「フン・・・・・・聞いたことも無・・・・」
「どう見てもそうですよ。その杖といい、服といい、魔力も・・・・・弱いですけど発してますから」
「う・・・・・これでは言い逃れできんな・・・・・・しかし」
「何ですか?」
「この世界にいる一般人の貴様が!何故俺の正体を知っているんだ・・・・・・・!?」

えっ・・・・・・?と思わず言いたくなってしまった。この世界の人がフランデルの事なんて知るハズ無いし、普通に考えて・・・・・・
「私もフランデルの者だからですよ」 って思うのが普通なのに・・・・・・・・。

「何、貴様もそうなのか・・・・・?」
「もっとも、私の場合は意図的に来たんですけどね」
「故意に・・・・・・・・か?」
「そうなりますね」

すると男は、なにやら胸ポケットから紙を取り出し、そして更にそれを私の方へ向けた。
「以前、この方法で帰ろうとしたんだが・・・・・・・」
紙の上に書かれた構図は、大きな塔の頂点にエネルギーを集めて、それを飽和させた時の力での移動方らしい。
「随分、古風な移動式ですね・・・・・・・まぁ移動はできても、これではこちらの世界が危ないですよ」
「構うものか、こっちの世界など知ったことでは無い」 フン、という仕草をしてみせる。
「それじゃあ・・・・・・何で、この方法を実行しなかったんですか?エネルギー不足とか?」
「いや・・・・・・・・」男の顔が曇る。


「凶悪な3人組の邪魔があってな・・・・・・、それで実行前に阻止されたんだ」


α

「へーっくしょい!」 不意にくしゃみが出た。
「まさか、徹風邪ひいたの?」ミカが、あまり心配していなさそうにこちらを見る。


「いやぁ・・・・・、どうせ誰か噂でもしてんだろ・・・・・・・」

λ

「邪魔・・・・・・・ですか」
「そう、邪魔な奴らだ。内容はあまり言いたくないがな・・・・・・」
ははーん、きっとボロ負けでもしたのかな・・・・・・・。

「この方法だと、きっとそのお邪魔な方々がまた気づいて来ちゃいますよ?」 正確には、この男の計画を阻止してくれたヒーローとも見えるんだけど・・・・・・。
「そこでだ」
「教えろ、と?」
「よく先読みできたな。貴様、予言者なのか?」
「冗談なのか本気なのか知りませんが・・・・・・・・そんな者じゃ無いですよ」
「そうか、で・・・・・・・・・教えて欲しいのだが」
「ああ、その事なんですけど・・・・・・・・・・、私達は送られただけなんで、知らないんですよね・・・・」

しばらくの沈黙。
「コーヒーとココアです。伝票はここにおいて置きますね」丁寧に店員が注文の品を置き、去って行った。

「そうか、知らないのか・・・・・・・・・なら」男はコーヒーを手にして、香りを楽しむかのように弄んだ。
「何でしょうか?」私もココアのカップを口元へ運ぶ。

「エリクサーの存在を、知らないか?」

432之神:2008/02/18(月) 14:52:36 ID:EljImjJs0
α

「ねぇ、徹………」
「うん?」
「この世界って、錬金術とかの文化はあるの?」ベッドに座る寝巻き姿のミカが言う。
「んー、かなり昔にはあったみたいだけど、ミカ達みたいな魔法染みた所までは発展せずに終わったよ」
「ふーん……」
「なんか知りたいのか?でも、こっちの錬金術は大した事無かった筈なんだけど……」
「ううん、今度自分で調べるよ。ありがと」
「そうか………、分かった」

γ
ある女に呼び出された俺は、その女の家にいるのだが………。
「どうしました?別に、帰りたいのなら帰ってもいいんですけど」目の前の女………いや、幼女か。
「帰るってお前なぁ、呼んだのはお前のほうだろう」

2日前、俺は不気味な装飾の便箋の手紙を受け取った。
フィアレスという幼女から来たこの手紙の内容は、仕事の手伝いをしてくれたら報酬をよこす、という事だったんだが……。

「まぁ、仕事の内容なんですけどね、材料を取ってきて欲しいんですよ」フィアレスは幼女の外見とは似つかない口調で、言葉を続けた。
「それで、報酬なんですけどね」




「おい、そりゃあ本当なのか!?」
「ええ、成功すればですが、約束しますよ」
「分かった、手伝う!」
「まぁ、そのときになったら連絡しますよ………、ではごゆっくりどうぞ。好きなときに帰っていいですよ」
と、フィアレスは言い残して部屋から出て行った。俺は大きな部屋に残され、一人巨大なソファーに腰掛けている。


ψ
「ねえっ!だからさー、知らないかな?」
「知らないもんは知らねえって言ってるだろう、諦めろっての」話かけられた方の男は、ウザったそうにジャージ姿の男を払う。
「えーっ、図書館のおじさんは何でも知ってたんだよ?こっちの世界じゃ伊達なのかーっ!?」無駄に元気な声が、静かな図書館内に響く。
「だーから、いくら図書館の蔵書に囲まれてようと、物知りでは無いって言ったじゃないかさっき!」
「じゃあいいよ、えーとねっ………」


「霊薬の製造の事が書いてある本はどこかなっ!?」
「霊薬ぅ?ん………、昔の錬金術の本でも漁ってみればいいじゃねえか」接客態度0点の受付の男に対して、元気な男は普通に接していた。
「わかった!どこにあるのかな?」
「D-12のところだ。ちょうど、ここをまっすぐ行って右の階段の近く」
「よしっ、行ってくる!」

「なんだったんだあの男………、いきなり『剣士です』とか言いやがって、ゲームのやりすぎか…?」
残された受付の男はつぶやいた。

433之神:2008/02/18(月) 15:02:30 ID:EljImjJs0
どうも(・ω・`

なんか今まで三点リーダが入力できないと思ったら、設定が……orz
この章は参加人数が多いと思うので、いつもより騒がしくなりそうです。
ええもう、あんなバカやこんなバカが沢山出てk(ry

そして、ボソっと冗談ぽく言った課題小説が、沢山の作家さんに書いてもらえたのは驚きました。
全部読ませて頂きましたが、やっぱりストーリーの味が皆さん独特で飽きない(´∀`*
また思いついたら、課題とか考えてみます………!

それと亀なんですが、キャラ名。
私の場合は、RSのNPCの名前とか、人名辞書、ゲームや本のキャラの名前を参考にしてます。
あと、基本ファーストネームとかミドルネームは意識してないです。ええ、そこまで頭が回りまs(ry

そして、いつも感想ありがとうございます。

では、引き続き小説スレをお楽しみ下さい。之神でした。

434柚子:2008/02/19(火) 00:14:58 ID:JTxiEg960
1.>>324-331 2.>>373-376

『Who am I...?』

街の雑踏に並ぶ3つの影。
イリーナ達は街の中心地に来ていた。
そこには数々の露店が所狭しと並び、商人達の賑やかな声が聞こえてくる。
中央には大きな噴水が置かれ、そこで談笑している人々もいた。
そんな賑わう街を見て、ミシェリーは顔を輝かせた。
「すごい……見たこともない物がいっぱい……」
露店には、数々の業物の剣からアクセサリーまで様々である。
「古都は1番大きな国だと言われているからな。様々な地方の人が集まるんだ。これくらいミシェリーだって見たことあるはずだぞ?」
「え? 私はたぶん田舎娘だから、こういうのは初めてなの」
ミシェリーの言葉には、何か含むものがあった。
「たぶん?」
「うん……。変かもしれないけど、余り覚えていないの。名前とかは分かるのに、大切なことがそこだけ抜き取られたみたいに……」
ミシェリーの表情が曇る。
イリーナは慌てて話題を変えようと何か話題を探した。
「そうだ、服はどんなのがいい?」
イリーナの質問にミシェリーの頭が飛び跳ね、考える仕草をする。
「うーん、可愛いのがいいなあ」
「金額は全てイリーナから出る。遠慮なく選ぶがいい」
無言だったルイスがここぞとばかりに口を挟む。
しかしその目は露店に並ぶ武具に釘付けだった。
「あら、ルイス君いたんだ」
「ああ。貴様のくだらないことに付き合わされているせいでな」
互いに相手を見ずに嫌味を言い合う。
間にいるミシェリーが困ったように2人を見ていた。
「お嬢ちゃん、服をお探しかい?」
そう声をかけてきたのは、傍にある露店の商人だった。
露店にはたくさんの服が並んでおり、商人はその内の1つを抜き取るとミシェリーに差し出した。
「これなんかお嬢ちゃんに似合うと思うんだけど」
それはたくさんのフリフリが付いたドレスのような洋服だった。
服を受け取ったミシェリーに、明るい表情が広がっていく。
「ほお、いいのを見つけたな」
ミシェリーと商人のやりとりに気づいたイリーナが歩み寄る。
しかし、服に付いた値札が目に入った瞬間、高速のスピードでミシェリーのそれを奪い取った。
服を取り上げられたミシェリーが、物欲しそうにイリーナを見上げる。
「ミシェリー、これは無理だ。何故か知らないけど桁が2つ程合わない。てめー商人、子供だからって高いの持たせたな」
イリーナの鋭い視線に、商人がたじろぐ。
「行くぞミシェリー。用があるのはこの先の服の専門店だ」
「ま、待ってくださいよ! 他にも良い品がありますから!」
商人が急いで違う服を取り出すと、イリーナに突き付ける。
それは、見たこともない形状の服だった。
「何だこれ。見たこともない形状だぞ」
「それもその筈です。こいつは、かのエリプト王国の洋服なんです。こういった技術は古都よりも進んでいるんですよ」
商人が胸を貼って説明する。
しかし、イリーナは商人に疑念の視線を向けたままだった。
「本当ですって! 何なら着て確かめていただいてもいいですよ!」
「私、これがいいな」
鈴のような声色が2人に割って入る。
イリーナが振り向くと、ミシェリーがじっとその服に見入っていた。
「すぐに決めると後悔するぞ?」
「ううん、これが気に入ったの!」
こうなってはもう聞かない。
イリーナは商人に服を受け取り、それをミシェリーに渡した。
服を渡されたミシェリーは、商人が用意した試着用の個室へと消えた。

435柚子:2008/02/19(火) 00:18:05 ID:JTxiEg960
「着たけど、出てきていいかな……?」
「いいぞ。ルイスが待ち遠しそうにしているし」
「えっ!?」
「イリーナ。何だか急に剣が振りたくなってきた」
「もう出てきていいですよお嬢さん」
試着室の前は、3人のギャラリーを抱えたちょっとしたお披露目ショーとなっていた。
暫しの躊躇の後、天幕の中から小柄な体が踊り出る。
恥ずかしそうに身を縮こませながら、ミシェリーが3人の前に現れた。
「ど、どうかな……?」
ミシェリーが着る服は、黄色がメインの肩まで露出した上着に、グレーのフリル付きの半ズボンだった。
それはミシェリーが本来持つ可愛らしさを引き立てると同時に、大人しいミシェリーにやんちゃさも加えている。
「とっても可愛らしいですよ、お嬢さん」
「うん、似合っているぞ」
イリーナと商人の称賛に、ミシェリーの表情がぱっと明るくなる。
次にミシェリーはルイスに目を向けた。
「どうかな、ルイスさん……」
少し紅くなりながらミシェリーが問う。
さらに2人の視線も加えられる。
期待の視線に耐えられなくなったルイスは小さく口を開いた。
「……悪くない」
その言葉を聞くと、ミシェリーの表情は満開に咲いた。
「じゃあこれ購入ってことで。他にも2着ほど用意してくれ」
イリーナの指示に商人はてきぱきと動く。
商人が選び抜いた服を付け加え、イリーナに渡す。
「これはお嬢ちゃんに買ってくれたお礼だよ」
そう言って、商人はミシェリーに何かを渡した。
それは、純白のリボンだった。
「わぁ、ありがとう」
そう言ってミシェリーは早速付けて見せる。
それはミシェリーの黒髪に良く映えていた。
「とっても似合ってかわいいよ」
商人が笑って見せる。
その後、イリーナは商人に代金を払いその場を後にした。
遠くで商人に見送られながら街を歩く。
「用は済んだし、ミシェリーはどうしたい?」
「もうちょっとここを歩いていたいかな」
「分かった。じゃあまずは昼食を取ろう。それから古都を案内するよ。それでいいだろ?」
聞くまでもなく、ミシェリーは大きく頷いた。

436柚子:2008/02/19(火) 00:21:23 ID:JTxiEg960
それから、3人は昼食を取った後様々な所を回った。
露店がある度にミシェリーかルイスが立ち止まるので、あまり回ることはできなかったが。
気がつくと、既に日が落ち始めていた。
「そろそろ日も暮れるし戻ろう。残りはまた今度案内するよ」
イリーナの意見にルイスが同意する。
ミシェリーはどこか物足りなさそうだったが、素直に従った。
しばらく歩くと、ミシェリーが足を止めた。
「ねえ、あれ何?」
ミシェリーの指は地面に向けられていた。
「ああ、あれは地下水路だ。ミシェリーの真下にも広がっているぞ」
言った後にイリーナは後悔するが、もう遅かった。
「行きたい!」
「だめ」
「あそこ行ったらもう諦めるから!」
「……うーん、どうするルイス」
「好きにしろ」
ルイスの許可を貰い、3人は地下水路に降りることになった。

カツカツと、靴の音が地下に反響する。
3人は地下に続く階段を降りていた。
「ここは少し危険だからな、気をつけろよ」
そう言い、イリーナは予備の杖である尖剣に手をかける。
ルイスの方は常に剣を背負っているので問題なかった。
階段を降りきると、3人の視界に広大な空間が広がる。
「ここだ。面白くないだろ? 満足したならもう行くぞ」
「まだ来たばっかりだよ。さっき危ないところって言ってたけど、どうして?」
純粋に疑問をぶつけるミシェリーに、イリーナが答える。
「ここは相当前からあった場所なんだが、他に使い道がなく認知度が低いんだ。こんな場所だから変な奴らの格好の溜まり場になってる。
一応戦闘規制もされているが、当然守られていない。後は分かるな?」
ミシェリーが頷く。
ミシェリーの希望により、3人は少し中を回ることになった。
しかし特に変わった様子もなく、景色もつまらない物なので、ミシェリーもすぐに飽きてしまったようだった。
「何かつまらない所だね」
「そう言っただろ。服に臭いが染み込んでもまずいし」
その言葉にミシェリーがはっとして服の匂いをかぎ始める。
ミシェリーをその気にさせた所で、3人は引き返すことにした。
冗談混じりの会話を交しながら歩いていると、最後尾のルイスが足を止めた。

437柚子:2008/02/19(火) 00:23:31 ID:JTxiEg960
「どうした?」
「視線を感じる」
自然の動作でルイスが辺りを見回す。
「自意識過剰だな。お前は自分で思っているほど人気じゃないよ」
「まだ気づかぬか貧弱魔導師が。それも1人じゃない」
ルイスの真剣な表情に気づき、イリーナも周りに気を集中させる。
――――確かに感じる。
何か殺気を帯びた複数の視線を。
それも集中しなければ分からないくらいに小さい。
それを恒常的に感じ取れるルイスは人間としてどこかおかしいとイリーナは思った。
イリーナはミシェリーの手を掴むと、足を早めた。
「こうなったら逃げるが勝ちだ!」
そう言い走り出した刹那、イリーナの足が止まった。
「既に囲まれているようだ」
「愉しそうに言うなよ!」
ルイスの言う通り、3人は既に包囲されていた。
気配が次第に濃くなり、近付いて来ることが分かる。
3人は下手に動くことも出来ず、背を合わせ神経を研ぎ澄ませる。
「我々に気づいたようだな。流石だ」
どこからか声が聞こえる。
壁や床に反響しているので正確な位置が分からない。
「実は結構前から知っていたり。何の用だ?」
なるべく冷静さを装いイリーナが問掛ける。
声の主は哄笑を上げるとその問いに答えた。
「そこの娘を渡してもらおう」
予想外の要求に、イリーナは続く言葉を失う。
ミシェリー自身、己が話に出たことに驚きを隠せない様子だった。
「ミシェリーをどうする気だ?」
「それはお前らに関係ない。命が惜しかったら大人しく渡せ」
「相手の戦力はどのくらいだ、ルイス」
イリーナは魔力通信に切り換え、ルイスに話し掛ける。
「戦う気か? いつもの逃げ腰の貴様らしくもない」
同じく、ルイスからの返答が魔力を伝って返ってくる。
「ふん、渡した所で引き下がると思えるほど平和な脳は持ってないからな。いいから言え」
「正確には分からんが10に近い」
それを確認すると、イリーナは通信を切った。
不安そうに見上げるミシェリーの頭を撫でると、イリーナは声の方角へ向き直る。
「大人しく引き渡したら、見逃してくれるのか?」
「そうだ」
「そうか。なら…………丁重にお断りだ!」
その瞬間、イリーナが腰から尖剣を抜刀。
同時に難易度2の魔法、ファイアーボールを2発同時発動する。
合計10個の火球がイリーナの周りに出現し、全方位へ射出される。
火球は床や壁にぶつかると、激しい爆裂を起こした。
爆裂の後に、次々と黒装束の姿をした男達が現れる。
「やはり盗賊共か、だが気配の消し方が不十分だったな」
先程の魔術は、隠れている相手を暴け出す為のものだった。
案の定、不十分な気配遮断のスキルは爆裂の衝撃で掻き消され、姿を現したのだった。

438柚子:2008/02/19(火) 00:25:12 ID:JTxiEg960
見事に技を破られた男達は揃って苦い顔をする。
しかし、それでも撤退する気配は見せなかった。
「もう1度聞く。目的は何だ?」
「言えんな」
リーダー格の男が厳しい表情をしながらも答える。
「かかれ、相手はたかだか2人に子供1人だ! 臆することはない!」
男の指示の後に、他の団員が次々と3人に飛び掛る。
次の瞬間、銀の閃光が走った。
それは1人の団員の左胴に叩き付けられ、そのまま右へと走っていき両断する。
それはルイスの高速抜刀した一撃だった。
2つにわかたれた団員の脇を走り込んできた男へ、ルイスの拳が閃く。
頭蓋まで粉砕され、男が倒れる。
更に体ごと回転させて剣を振り、前方の2人を同時に両断する。
包囲戦で有利だった盗賊達だったが、一瞬で4人を失い、恐怖により後退していく。
その隙にイリーナが再びファイアーボールを発動。
体勢もままならない盗賊達は、爆裂の衝撃で散っていく。
「き、聞いていないぞ、ここまで強いなんて!」
「落ち着け! まずは体勢を立て直すのだ!」
しかし、完全に混乱した盗賊達が指示に従う筈もなく、それぞれ狂ったようにイリーナ達に襲いかかる。
体勢が崩れた敵は脆く、次々に剛剣と爆裂の前に倒れていく。
「くそ、こうなったら娘だけでも!」
遂に1人になったリーダー格の男がミシェリーへ直進する。
「させるか!」
男が手を伸ばす瞬間、イリーナが難易度3、トルネードシールドを発動する。
ミシェリーの周りに視認できる程の高密度の風が発生、付近に居た男の体を斬り刻む!
男は断末魔も上げることも出来ずに絶命した。

「ふう、相手が弱くて助かった。大丈夫か、ミシェリー?」
尖剣を腰に納めながらイリーナが言った。
ミシェリーは震えていた。無理もない、一瞬だったとはいえ、いきなり目の前に殺し合いが始まったのだから。
イリーナはそれに気づくと、優しく包むようにミシェリーを抱いた。
「すまない、これが私達のいる世界なんだ。ミシェリー、私やルイスが怖いか?」
ミシェリーは、少し迷ったあと首を振った。
「なら良かった。でも、君をこんな世界に連れ込みたくない。だから、一緒にお母さんを探そう」
ミシェリーは1度強くイリーナの外套の裾を握るが、すぐに離した。
「イリーナ。見ろ」
「何だよルイス。というか空気を読めよ」
「ふん、しみったれた空気など読む気にもならん。それよりこれを見ろ」
ルイスは倒れた盗賊達の、比較的綺麗に体が残った男の身体を調べていた。
イリーナはルイスが示した所へ目を移し、次に表情が驚愕に変わる。
「マジかよ」
「そのようだ」
2人が苦々しそうに見つめるのは、男の胸に付いた小さな紋章だった。
「身代金目的の、ただの小さな盗賊の集まりだと思っていたのに、違うのかよ!」
イリーナが吐き捨てる。
男の胸に付いていた物は、ギルドを表す紋章だった。
「どうするイリーナ。目の前の現実を受け入れるならば、俺達は個人で組織に喧嘩を売ったことになるぞ。しかも紋章付きだ」
「あー、どうしたらこんなにも不幸と仲良くなれるんだよ。まだ個人の特定はされていないんだ、逃げる」
「貴様らしい発想だ」
そう言いながらも、今回ばかりはルイスもイリーナの意見に同意のようだった。
個人が組織に喧嘩を売って勝てる道理は存在しない。
イリーナはミシェリーの手を掴むと、出口へ向かって走り出した。
ルイスが後に続き、3人は再び古都の雑踏の中に戻った。
「ルイス、監視している奴はいるか?」
「人が多すぎて判別しづらい。だが殺気のような物は感じない」
ルイスに判断に、イリーナは胸を撫で下ろす。
それからも念のため、気を張り巡らせながら3人はギルドに戻った。

439柚子:2008/02/19(火) 00:53:29 ID:JTxiEg960
書き込む度にIDが変わっている気がします。こんばんは。

戦闘シーンがあまり得意な方ではないので、一瞬であっけなく終わる場合が多いです。
それも当たったら即死。早く終わっちゃう訳ですよね……。

>之神さん
初めまして。感想ありがとうございます。
まだ読んだのは初めの部分だけなのですが、各視点によって同じシーンでもこんなにも変わるとは。
これは少し斬新ですね。
RS住民がこっちの世界にくるというのは何だかいろいろと妄想が広がりますねえ。
どうやらキャラも増えていくようで。引き続き楽しく読ませてもらいます。

>FATさん
おお、感想を頂けるとは光栄です!
あの武道家はやはりマリスでしたか! 前作に出てきたキャラが登場してくれて嬉しいです。
登場してくれたことより生きていてくれた方が嬉しかったりします。
レンダルとデルタコンビも息ピッタリで良いペアですね。
武器姫がここまで面白いキャラだとは……。
それと新しく濃いキャラも出てきて楽しくなりそうです。

双子も出してくれるのですか! それは楽しみですね。
読んだのは数年前ですがシエル様の初登場シーンは今でも鮮明に覚えています。

>68hさん
毎度感想ありがとうございます。
バレンタインイベント……思いついていません(笑
ネタを思いつく早さは遅い方なので。
突発イベントが発動したときは喜んで参加させて頂きます。

それと名前の付け方ということで自分も1つ。
自分の場合特に何も考えてません。
また、ミドルネームやファミリーネームもあまり付けませんね。
外人さんの名前がずらーっと並んでいるサイトを見て、そのキャラにあっていると思った名前を付けます。

あまり参考になりませんが、それでは

440◇68hJrjtY:2008/02/19(火) 12:41:16 ID:s7icIOfA0
>之神さん
シリウスとナザ君再登場に喜んでますヽ|・∀・|ノ
この二人、一見正反対に見えて実は相性良さそうだなぁとか勝手にまた妄想…!
(でも心理学的にも「自分と正反対の性格の人が親友」ってのは良くあるみたいですし!(まだ言うか))
つまりはどっちのキャラも好きなんです(笑) しかし、ナザ君の探す霊薬の製法とはまた新たな単語が出てきましたね。
シルヴィーとシリウスの舌戦(?)もそうですが、フィアレスがライトに託した依頼とは。
新しい章の新しい展開、続きお待ちしています!

>柚子さん
冒頭のミシェリーファッションショーに萌え萌え中です(;゚∀゚)=3ハァハァ
RSにももっとファッション性というか、他人と違う姿になれる装備品等欲しいですよね。でもどうせ課金アイテムになるんだろうなぁ…。
ミシェリーの謎も解明されないままに謎のギルドからの攻撃を退けたイリーナとルイスですが。まだまだ波乱がありそうですね。
全ての発端があのウルフマン退治の依頼と考えると、全く繋がりが見えない分一筋縄ではいかない気もします。
軍隊、謎の紋章ギルド、依頼…謎が解き明かされていくのを楽しみながら続きをお待ちしています。

441名無しさん:2008/02/21(木) 17:00:18 ID:bbuUaBX60
ずーっとROM専です。
みなさんの小説を楽しみにしてます。
特にお気に入りの方に対して、ちょっとだけ気になったことを指摘してもいいでしょうか・・・。
生意気にすみません。

21R氏
壮大なストーリー、キャラの立ち方、深み、すごくおもしろいです。
1点だけ。
ちょっと誤変換・誤字が多いように感じます。
大事なシーンなんかで変換おかしかったりすると、「あぁ、もったいない」と思ってしまいます。
そのことを少しだけ気にしていただければなぁと・・・。

白猫氏
もう続きが気になって気になってしょうがありません。
セリフとか(裏切りの契約とかしびれました)、言い回しとか、wktkが止まりません。
その中で気になっちゃったのが、ひとつ
「瞬間、」という言い回しですね。
ちょっと多用しすぎかなぁ、と。いや、気持ちはすごくわかりますけれども。
同じ意味の違う言葉を選んでみてもいいかなと思いますです。

うああああああ
素人がなんて生意気に・・・
お気に触りましたら申し訳ないです

今後も楽しみにROMってます

442FAT:2008/02/22(金) 23:39:49 ID:JprH30U60
前作 二冊目>>798(最終回)

第二部 『水面鏡』

キャラ紹介 三冊目>>21
―田舎の朝― 三冊目1>>22、2>>25-26 
―子供と子供― 三冊目1>>28-29、2>>36、3>>40-42、4>>57-59、5>>98-99、6>>105-107
―双子と娘と― 三冊目1>>173-174、2>>183、3>>185、4>>212
―境界線― 三冊目1>>216、2>>228、3>>229、4>>269、5>>270
―エイミー=ベルツリー― 三冊目1>>294、2>>295-296
―神を冒涜したもの― 三冊目1>>367、2>>368、3>>369
―蘇憶― 五冊目1>>487-488、2>>489、3>>490、4>>497-500、5>>507-508
>>531-532、7>>550、8>>555、9>>556-557、10>>575-576
―ランクーイ― 五冊目1>>579-580、2>>587-589、3>>655-657、4>>827-829
>>908>>910-911、6>>943、7>>944-945、六冊目8>>19-21、9>>57-58、10>>92-96
―言っとくけど、俺はつええぜぇぇぇぇ!!― 六冊目1>>156、2>>193-194、3>>243-245
>>281-283、5>>385-387

―6―

 ここは鉄鉱山地下三階。薄暗く、荒削りの長い坑道は一本のレールをその中央に引き、
埃っぽい空気はその先を隠す。マリスは数ヶ月前、ここで起こったことを思い出していた。
 からっぽの魔道士と蜘蛛。敵わない敵、ネクロマンサー。あの日、マリスが下した決断
は正しかったのか、間違っていたのか。ここにフランたちが居れば正しかったと言うだろ
うが、マリスは過ちだったと思う。あの日の間違った決断がなければテリーもアンメルも
安らかに眠り続けられただろうし、スレイだって死ぬことはなかった。マリスはあのとき、
自分が死んでいればあの姉妹も平穏な日々を過ごせたかも知れないと思うと生にしがみ付
いていたことが、復讐に身を焦がしていたことが情けなく思えた。
「おい、マリス、どうした? そんな思い詰めた顔しちゃってよ」
「おトイレですか? デルタが陰を作りますから、恥ずかしがらずにしちゃってください
な」
 マリスの暗い表情に不安を感じたレンダルとデルタ。気にかけてくれる二人の生の温か
さに、マリスの傷ついた心は扉を開いた。
「ああ、すまない。……実はな、あたしは数ヶ月前にここでネクロマンサーと対峙したん
だ。そのとき、あたしは奴に死の淵まで追い込まれ、契約を迫られたんだ。悪魔との契約
さ。あたしは親友を失った直後のことでやけになって力を求めた。復讐のための力。強く
なれるためなら手段を選ばなかった。愚かな話さ、あたしはネクロマンサーに魂を売って
しまったんだ」
 ごくりと唾を飲むレンダルとデルタ。坑道を照らす弱弱しい灯火は変わらずに一定の明
るさを保ち、揺れている。
「あたしは今、後悔している。その力がもたらしたものは悲しみ以外の何でもなかった。
親友の死体と旅し、優しい狼男をこの手で殺めてしまい、憎むべき相手を間違えてしまっ
た。あたしがずっと憎んでいたのはとても優しい双子の姉妹だったんだ。彼女たちはそん
なあたしを憎もうともせず、必死になってあたしを止めてくれようとしたんだ。あたしは
最後の最後になってようやく気付けた、ネクロマンサーのいいように利用されていたのだ
と言うことを。すべてが終わった後、あたしには何も残っていなかった。親友は再び骨に
返り、優しい狼男はあたしに殺された。あたしはたった一人。もう自害してしまおうと思
った。でも、あたしが自分の首を短剣で裂こうとしたとき、その憎んでいた姉妹が二人が
がりで、自分たちはその短剣で血を流そうとも、あたしを救ってくれたんだ。あたしはま
た後悔した。こんなにも必死になってあたしの命を救ってくれようとしているのに、なぜ
自害しようなんて思ったのか。なぜこの優しい双子の姉妹の好意を素直に受け入れられな
いのか」
 マリスは天井を優しい表情で顔を上げた。

443FAT:2008/02/22(金) 23:40:29 ID:JprH30U60
「あたしはこの救われた命を、その双子のために使いたいんだ。だからあたしはここへ来
た。過去の自分を乗り越え、さらに強く、優しい強さを身に付けようと誓ってさ」
 マリスは話し終えると、二人が黙ってしまったことに不安を感じた。
「す、すまない。こんな話するつもりじゃなかったのに、つい……」
「ば、ばかやろぉぉぉ! 俺たちはマリスがそんな気持ちでいるっていうのに、馬鹿みた
いにはしゃいでよぉぉぉ! 俺は自分がなさけないぜ!」
 涙をぐしゃぐしゃ流しながら、レンダルはマリスに頭を下げる。
「うぅぅぅ、私もですぅ。マリスお姉さまにそんな過去があったなんてぇ。デルタも悪ふ
ざけばっかりでごめんなさい! こんないけない子は叱ってやってください、お姉さま
ぁ!」
 デルタも大きな目からぽろりぽろりと大粒の涙を零す。そんな二人の姿にマリスの傷は
温かく癒されていく。

 この二人はあの双子みたいに素直で温かいなぁ。こんなにもすんなりとあたしを受け入
れてくれて、こんなにもあたしのために涙を流してくれて……。

 気が付けば、マリスも目から熱い物を流していた。頬を伝い、流れる熱い雫は涙。マリ
スの心は決まった。あの双子がそうしたように、あたしも仲間を守るために強くなるんだ。
この二人を守ってあげるんだ。
「レンダル、デルタ、ありがとう。あたしの命を救ってくれたのはあの双子の姉妹だけど、
あたしの心を救ってくれたのはあなたたちだ。今は楽しい旅がしたいんだ。これからもよ
ろしくな」
 マリスは両手を差し出し、右手にレンダルの手を、左手にデルタの手を取った。
「うおぉおぉぉぉぉん! マリスぅぅぅぅ!! 俺は感動しちまってるよ! こんな馬鹿
みたいな俺たちでよかったら、ずっと一緒に居てくれよぉぉぉ!!」
「マリスお姉さまぁぁぁぁぁぁ!! 心の奥の底のさらに奥の底の奥から好きですぅぅぅ
ぅぅ!!」
「ありがとう、本当にありがとう。あたしも二人が大好きさっ!」
 素直になろう。素直に生きよう。思いやりを持ち、憎むことじゃなくて、愛することで
強くなろう。
 マリスの心は二人の温かな涙で満たされ、この出会いに感謝した。薄暗く狭い坑道での
光景は妙なものだっただろうが、三人の温かな絆は明るく、希望で光輝いていた。

「言っとくけど、俺はつええぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「ドレイツボォォォォォォォォ!!」
 そんな雰囲気をぶち壊すような雄叫びが坑道を駆け抜ける。ドレイツボとスカートめく
り男が鉄鉱山地下三階にお出ましだ。

444FAT:2008/02/23(土) 00:06:03 ID:JprH30U60
>>21Rさん
子供ながらに戦場に赴こうとする姿、いたいけで胸が締め付けられました。
祭りのはずなのに切な思いを抱き、その賑わいを眺めているアレンの姿に
今度の戦いの巨大さを感じます。
アデルの隠している刻印が今後どのように戦況を左右するのか、続きを楽しみにしております。

>>之神さん
視点が更に増え、これから大掛かりな話が展開されそうでわくわくします。
エリクサー、錬金術、霊薬。
皆が探しているものは同じものなのでしょうか?
どんなものを探し求めているのか、続きを楽しみにお待ちしております。

>>柚子さん
ルイスとイリーナの犬猿っぷりにすっかりはまっています。
でもやっぱりやるときはやりますね、息ぴったしで頼もしく思えます。
ミシェリーの洋服選びのシーンでは意外と頑固な(?)姿に子供らしさを感じ、
愛着が湧きました。
地下水路で遭遇した謎のギルド員たち。裏でうごめく何か巨大なものを感じさせますね。
狙われているミシェリーに襲い掛かる敵とは何なのか、続きを楽しみにお待ちしております。

>>441さん
誹謗中傷で