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虐待・虐殺小説スレッドPART.3
1 名前:管理団 投稿日:2004/08/10(火) 20:59 [ kxAv7A26 ]
AAではない活字の並ぶ虐待・虐殺系の新しいスタイル。

「ママァ… ママァ… アチュイヨォ… オメメガ クルクルマワルヨォ・・・・」
ここは、某パチンコ店の駐車場。
ダンボールの中で汗まみれになっているベビが熱中症と思われる症状で苦しんでいる。

母親はダンボール箱をパチンコ店の前で拾い、
駐車場の隅っこに箱を置いて、そこにベビを寝かせた。
「ベビチャン チョット マッテテネ。 ママ カセイデクルカラ。」
母親はベビにそう言い残し、店内に入っていった…

      ∬ ∫
       ハハ
    `(, (;゚o゚) 

過去ログ

虐殺小説総合スレ
ttp://jbbs.shitaraba.com/computer/bbs/read.cgi?BBS=1523&KEY=1043305597

虐待・虐殺小説スレッド
ttp://jbbs.shitaraba.com/computer/bbs/read.cgi?BBS=5580&KEY=1048169233&LAST=50

虐待・虐殺小説スレッドPART.2
ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/l100

2 名前:48 昼食 投稿日:2004/08/10(火) 21:20 [ nB1qAL9A ]
ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/989-998 から続く

ボランティアの青年が食事をちび達に配膳している途中、母親が口を開いた。
「ア・アノビデオガ ゼンコクニ デマワルノ???」
「そうらしいですよ。奥さん。あなたのなさった事が
フーゾクに勤めるしぃ族達にいい教訓になるそうです。」

モララーの答えに母親の頬が羞恥からか、怒りからかは図りかねるが、
みるみるうちに真っ赤に染まっていく。彼女は、ヒステリックに喚き散らした。
「シィチャント ベビチャンハ アイドルナンデス! アンナモノ ナガサレチャ ファンガ ダレヒトリトシテ ツカナイジャナイデスカ!」
母親はまだ何か叫びたそうだったが、ちびは彼女に対し、皮肉な笑みを浮かべ言い放った。
「何が『アイドル』よ!あんな恥ずかしい真似をして。刑事さんが言ってたじゃない
『犯罪者の娘がアイドルに?』って。そろそろ現実に戻ったらどお?」
モララー、サスガ(弟)、レモナもちびに同意するように笑顔で肯いている。

「とりあえず、暖かいうちに食べませんか?」 
「そうね。彼らの食事も取らせてあげないと。」
サスガ(弟)が静かに口を開くと、レモナが反応するように、
介助担当の青年達の方を見ながら同意する。

全員の「いただきます」の挨拶で、母親以外のメンバーは楽しそうに世間話をしながら
食事をとり始める。モララーがレモナの注文した食事を見ながら、
「ダイエット始めたのか?」と彼女をからかい、彼女が顔を赤らめたり、
ちびが注文したデザートのごまプリンを見たサスガ(弟)が、感心した表情で
「大人のスイーツを注文したんだな。」とちびに話し掛け、
ちびがはにかんだ笑顔で「初めて注文してみました。」と答えてたりと、
結構ほほえましい場面である。

そんな場面をぶち壊すかのような金切り声で母親がまたも喚きだす。
「ナンナノヨ コノ キモイ オトコ! シィチャンハ ギコクンカラジャナイト ゴハンハ タベナイワヨ!」
「じゃあ、食うなよ」
サスガ(弟)は、さらっと母親に言い放ち、食事を続ける。
「食べないとベビ達のビデオ見せないって言ってたよ。ベビ達に会えないわねえ。
今日は母乳をベビに直に飲ませられるって言ってたじゃない。
今日も、ビニールに詰めた母乳をベビ達に飲ませるのぉ?」
ちびは、ニコニコしながら母親に鋭い言葉を投げた。
さすがに、ちびの言葉がこたえたらしい母親は、介助担当の青年に
「ソ、ソウネ。 オニイサン ゴメンナサイ パンケーキヲ クダサイ。」と頼み、食事をとり始めた。

母親以外のメンバーは食事を終え、軽い食休みを取っている。
レモナは、ちびと世間話をしながら、母親を観察していた。
母親の顔色が悪くなり始め、時折歯を食いしばっている。食事のペースが上がらない。
今日はまだ、母乳を搾り出してないから
恐らく胸が痛み始めたのだろうな、とレモナは推察した。
「手が空いてるほうでいいから、ちょっとこっちに来て。」
介助担当の一人の青年がレモナの下に来ると、彼にレモナは耳打ちする。
レモナの言葉にうなずくと、彼は部屋を出て行ってしまった。

彼女は母親の近くまで来て、いろいろ質問する。
食べながらの会話というのもあるのかもしれないが、母親は口ごもり気味である。
「お母さん。食事が口にあいませんか?」
「イイエ…チョット…」
「ベビちゃんのビデオが見れるのに、顔色悪いですよ?」
「チョット……」
「そろそろ、搾乳の時間じゃないんですかね?今、搾乳機取りに行かせてますんで
ちょっと待ってくださいね。」
「キョウハ モウ シボッテキタンデス。 ダイジョウブデス。」
「またまたぁ。嘘はいけませんよ。うちの者が、搾ったお乳入りのビニールを
取りに行ってないのはすでに確認しているんです。
お母さん、嘘をついても自分にとってプラスにはなりませんよ。
痛くてしょうがないんじゃないんですか?」
「ダ・ダイジョウブ… デス」

3 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/10(火) 21:21 [ nB1qAL9A ]
搾乳機を取りに行った介助担当の青年が戻り、レモナに搾乳機を無言で渡す。
母親は食事を取り終え、体を横たえている。
痛みを我慢しているからか、呼吸が浅くなっている。
彼のポケットの中には、他にも角張ったものが入っているらしく、大きく膨らんでいた。

彼女は、搾乳機を後ろ手に持ち、母親に追い討ちをかけるように話す。
「お母さん。今搾っとかないと、また3〜4時間は搾れませんよ。
炎症を起こして、とんでもない状態になるんじゃないのかなぁ。
痛みに耐えることができますぅ?」
「サ・3~4ジカンモ? ス・スイマセン オテテト アンヨノ カナグヲ ハズシテクダサイ。 ジブンデ シボッテキマスカラ。」
レモナは搾乳機を母親に見せ、母親に詰め寄った。
「ここでいいじゃないですかね?搾っちゃいましょう。」

母親は無駄な抵抗を試み始めるが、ちびに阻止されてしまったようだ。
「カナグヲ ハズシナサイ! コンナトコロデ オパーイナンテ シボレルハズガ ナイジャナイデスカ! 」
「とっとと、搾っちゃってくださいよ。レモナさん。お兄さん。
ギコさんだったら喜んで搾らせるくせに。全くわがままなんだから。」
「ウルサイ!! ウルサイ!! ギャクサツチュウガァアアアア」
母親はちびに向かってお決まりの言葉を吐いている。

レモナが母親を無視してちびに提案し、ちびがニヤニヤしながら応じる。
「このままビデオを上映してもいいんじゃないかしらね?」
「それも、いいかもぉ。おっぱいが痛んで辛いのはあの人だし。」

母親は、二人のやり取りにキレて喚き散らす。痛みに耐えるのも限界だったのであろう。
「オナガイ オナガイ オナガイィィィィイ!! オパーイ シボッテェエエエエエエ
オパーイガ パンパンデ イタクテ ガマン デキナイノォオオオオオオ」
ちびは母親を睨みつけて怒鳴り、それからレモナに頼む。
「人に物を頼むときには『お願いします』でしょ?『オナガイ』って何?
レモナさ〜ん。この人が『お願いします』って言えるようになるまで、
搾乳を待ってもらえませんか?」
レモナは、彼女の提案を受け入れた。

4 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/10(火) 21:25 [ nB1qAL9A ]
レモナとちびは、介助担当の青年と、なにやらこそこそと話し合っている。
話し合いが終わると、レモナは搾乳機を一つづつ青年に渡し、
一方ちびは、青年がポケットから出したポラロイドカメラを受け取る。
「オ・オナガイ オナガイ シマスゥ オパーイガ ハッテ イタクテ ガマン デキマセン…
シ・シボッテ クダサイ」
「『します』をつけたって駄目よ。お・ね・が・い・し・ま・す でしょ?
ギャクサツチュウなんて言葉なんて使ったら、わかってるわね?」
激痛のあまり懇願口調になった母親に、ちびは容赦が無い。

モララーはこの状況を楽しみ、サスガ(弟)は感心している。
二人は、ちびたちのやり取りを見ながらこそこそと話していた。
「しかし、モララー?彼女、実の母親だというのに容赦ないな。(笑)」
「愛別離苦を彼女は幼い時に経験しているからな。」
「アイベツリク?」
「愛するものと別離する苦しみって言ったらいいのか?
彼女、小さいときに友達のでぃちゃんを母親に頃されてるんだよ。
彼女が書いた日記のコピーがあるから、今度見せるよ。」
「別離させたのが母親か…」
「彼女の心の中には、母親に対する小さな憎悪が宿ったんだろうな。
でも、幼すぎて表に出せなかった。出しても逆襲されるのがオチだった…」
「今、憎悪の感情を表に出してると?体も大きくなったし。」
「そうだよ。逆襲されても、大勢の見方もいるしな…。」
モララーとサスガ(弟)は、ため息交じりで、ちび達のほうを眺めていた。

一方で、ちびと母親とのやり取りはそろそろ終焉に近づいたようである。
「オ・オ・オネ・オナガイ… ド・ドウカ・ オパーイヲ シボッテ シボッテ クダサイ」
「なんで、わざわざ言い直すの?お・ね・が・い・でしょ?」
「オ・オナ・オ・ね・ガイシマスゥウウウ ドウカ オパーイヲ シボッテ シボッテェエエエエ!!!!
イタクテ イタクテ シニソウ ナノォオオオオ」

ちびが、勝ち誇った笑みを浮かべながら食事の介助担当の青年に母親の搾乳を頼んだ。
青年たちは、搾乳機のじょうご状の部分を母親の胸に当て、空気を抜いていった。
「そろそろシャッターチャンスかも…」と、一人の青年がちびに指図する。
彼女は彼の言葉に反応し、カメラを構えた。
シュコ・シュコ・シュコ・シュコ…
ポンプで搾乳機内の空気を抜く音に混じり、
母親がカメラを構えたちびに撮影を止めるように懇願する声が聞こえてくるが、
ちびは当然、母親を無視している。

5 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/10(火) 21:26 [ nB1qAL9A ]
シャアアアアア… 
カシャカシャカシャ…
「イヤアアアアアアアアアアアアアアア トラナイデエエエエエエエエ」
母乳が瓶の中に勢いよく流れ込んでいく音、シャッター音
母親の絶叫が奇妙なシンフォニーを奏でる。
「さてと。どうかな?ちゃんと撮れたかな?」
ちびはニコニコしながら写真の出来具合を見ていると、
搾乳機を持った青年の一人が、ちびに助けを求めている。

ちびは、彼の求めに従って、ファスナーつきのビニール袋とストローをレモナに渡し、
レモナが手際良く、瓶の中の母乳をビニール袋に注ぐ。
渡した袋が全て母乳である程度満たされると、レモナはビニール袋の中にストローを入れ、
中の空気を抜き、ファスナーを閉じていく。
3袋の母乳入り真空パックの袋が出来上がった。

「これ、持ってってね。あと、写真の出来具合はどうかしらね。」
レモナが、母乳についての指示を介助担当の一人に出し、
そして、ちびが撮影したポラロイド写真を手にとり、青年達に見せた。
「ありがとう、ちびちゃん。」一人の介助担当の青年がちびに礼を言う。
もう一人の青年がちびにサムズアップをして見せた。どうやら、うまく撮れていたらしい。

青年達のうちの一人が写真と母乳入りビニール袋を持ち、部屋を退出すると、
モララーが母親に、ベビ達のビデオについての話を始めた。
2本組みであること、ビデオを見た後にベビ達に会わせること、3時間ほどかかること。
母親は、荒い息をさせながらモララーの話を聞いていた。

「じゃあ、そろそろ始めましょうか。」
ビデオを巻き戻し終わった音が聞こえた後に、
サスガ(弟)がビデオを入れ替え、みんなに声をかける。
ベビ達のビデオの上映会が始まった――――

6 名前:49・死産ビデオ 投稿日:2004/08/10(火) 21:28 [ nB1qAL9A ]
サスガ(弟)がビデオのスイッチを入れているとき、モララーがニヤけて、
「さぁ、ベビちゃん達のプロモーションビデオですよ。」と声をかける。
母親以外の全員は苦笑いしているのだが、母親はある種の必死さを瞳にこめて、
ビデオ画面を注視していた。

『こんにちは ベビちゃん』と書かれたタイトルの下方には、
母親と4体のベビのほのぼのとしたイラストが描かれている。

ギコと、モラ谷が並んで座っている映像に切り替わり、
モラ谷が挨拶代わりの説明を始める。
「今日は、とんでもない症例を皆さんにお見せすることになりました。
解説は擬古田薬品の研究所からおいでいただきましたギコさんです。」
ギコは画面に向かって黙礼し、説明を始めた。
「ベビしぃを腹の中に入れたままで、ちびギコ相手に売春してた妊娠しぃだゴルァ。
まず警察で、この馬鹿母が自分のベビ達のことについて
どんなことを言っていたのか見てもらうぞ。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
警察内での、母親とギコ崎が会話をしている映像に切り替わった。

「……それに、そのお腹。そろそろ臨月くらいじゃないんですか?
ベビちゃん達、大丈夫ですかね。全員氏んでるんじゃないのかな?
ちゃんと動いてますか?(笑)」

「アノ クソチビヨリモ ベビチャンタチハ イイコダカラ ダイジョウブ。 ベビチャンタチハ チビクンタチトノ コウビノ トキモ
タクサン ウゴイテ シィチャンヲ キモチヨク シテクレタンダカラ。 オヤコウコウナ ベビチャンタチデショ。」

「それって、ベビちゃん達が逃げ場所求めてもがいてただけでしょ?
だって、一種の虐待だもんね。やっとお腹から出られるのに、チビギコ達のティンポや
大人のオモチャで逃げ道ふさがれた挙句、突っつかれまくったんだもの。
医者じゃなくたって、ベビが氏んでることくらいは想像つきますよ。
自分の都合のいいように解釈するのって、あなた方しぃ族の悪い癖ですよ……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
モラ角は、呆れた表情を浮かべている。
ギコは、モラ角の表情を見ながら、ちびたちが研究所にきた経緯を説明した。
「言葉が出ないって感じだな。まぁ、よくわかるけども。
それでだな、この母親と娘さんが警察と一緒にうちの研究所にきたわけ。
で、ベビ達を出したんだ。」

モラ角は、落ち着きを取り戻したらしく、いろいろと質問を始めた。
「ベビ達の様子はどうだったんです?」
「さっきの映像で、刑事さんが『ベビ達が氏んでることくらい医者じゃなくても想像つく』
って言ってただろ?刑事さんの言う通り、全員死産だ。」
「あらら。(笑)」
「うちの医師が術前のエコー検査をしたんだが、母親にベビ達の胎動が無いことを告げると、ニコニコしながら母親が『オネムデスヨ』と言ったらしいんだ。呆れた医師が彼女にベビ達の心音を聞かせたら、ようやく事の重大さに気づいたらしいんだ。」
「かなりの馬鹿っぷりですね。ところで、次の映像は?」
「手術直前の映像だ。この馬鹿親は、術前の検査の時に担当した医師に体重を少なく申告していたんだ。うちの麻酔医はいつもは冷静な奴なんだが、このときは少しキレかかっていたな。ま、患者に嘘をつかれてたわけだから当然って言えば当然なんだけども。」

7 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/10(火) 21:30 [ nB1qAL9A ]
母親が入院している部屋のドアにかかっている番号が映し出され、
撮影者と思われる男性の声で、こまごまとした説明が入っている。

「はい、こちらは子宮と卵巣、そしてベビを取り出すしぃちゃんの入院している部屋です。
レモナ先生に鎮静剤を注射され、彼女は現在眠っています。
これから、麻酔の下準備として彼女の体重を量り、
サスガ先生が麻酔に使う薬剤の量を決めるそうです。それからオペ室に運び、
麻酔後、手術になるそうです。執刀はレモナ先生とモララー先生だから、
このしぃちゃんは恐らく、麻酔が効きかけで手術かなぁ?では、入室しま〜す。」

ドアを開ける音の後、彼は部屋に入り、母親の様子を映し出した。
ベッドの上で寝言を言いながら、熟睡している。
「ハ、ハニャ… ギコク~ン シィチャント イッショニ マターリシヨウヨ オカネナラ イクラデモ ダスカラ…」

「しばらくすると看護師さん達や麻酔医のサスガ先生がいらっしゃいますので、
ママになり損ねる予定のしぃちゃんの寝言でもお聞きください…」
男性の言葉の後に、母親の寝姿が映し出され、彼女の寝言も続けて聞こえている。
眠っている間というのは本性が丸見えになるようだ。
「ギコク~ン ベビナンテ ショウライ ウリワタセバ イインダカラ。 イッショニ コウビシヨ! ネ?
チビハ キケイデ ウレナイケド ベビタチナラ カワイイカラ タカネデ カッテクレルモノ…」

看護師が入室してきたときに、母親の寝言が聞こえていたらしく
彼らは一様にポカーンとした表情を浮かべている。
撮影者の男性が看護師達を撮影しながら、彼らにインタビューを始めた。
「どうでしょう。これからしぃちゃんの手術に立ち会われるわけですが。」

「上のお嬢さんがお母さんの子宮と卵巣の摘出を希望してたんですが、
理由がわかるような気がします。」

「こちらのでぃちゃんは、ベビちゃん達のために涙を流しているようですね。」

「コドモ… ハハオヤ… エラベナイ…」

「でぃちゃん?今のうちに彼女たちのために泣いてあげて下さいね。
手術が始まったら、泣いてなんていられませんからね。」

カメラは静かにうなずくでぃを映していた。

パタパタパタパタ…
足音がする方に撮影者の青年がカメラを向けると、
サスガ(兄)が息を弾ませ、立っていた。
「麻酔科のサスガ(兄)先生です。手術中、弟さんと一緒に呼吸や、心電図、血圧の管理を行います。弟さんは法医学を専攻されていて、ベビ達の死因を調べるそうです。
手術後は、弟さんのサポートですね?先生。」
撮影者の青年に不意に尋ねられたサスガ(兄)は、微笑みながらうなずいた。

8 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/10(火) 21:30 [ nB1qAL9A ]
サスガ(兄)は早速麻酔の前準備のため、看護師達にいろいろと指示を出し始めた。
「さてと、諸君。体重測定から始めることにするよ。体重計はあるね?」
看護師たちが体重計を彼に見せると、続けて指示を出す。
「じゃあ、乗せるよ。漏れも手伝おう。」
サスガ(兄)を含めて5〜6人ほどで、母親をベッドから持ち上げる。
全員で掛け声を出し、母親を体重計に乗せてある大きな籠の上に乗せた。

「25kg」 「もっとあるんだと思ってたよ」
「そんなもんだろ。眠ってる患者を移動する時って、結構重く感じるじゃん。」
看護師たちが口々に感想を述べていると、サスガ(兄)が続けて指示を出す。
「体重計からストレッチャーに移して、腹部の剃毛を頼む。
剃毛後、オペ室につれてって。それから、モララーとレモナが君達に合流すると思うが、
彼らに、『薬剤の量の調整が生じたので、少々遅れる』と伝えてくれ。」
看護師たちの返事を聞いたサスガ(兄)は少々不機嫌な表情を浮かべて
病室からいったん退出した。

母親の全身が映し出された後、マジックで四角をかかれた腹部が映し出される。
恐らく剃毛範囲と思われるが、看護師達は範囲を忠実に守って剃るつもりは無いようだ。
「切腹だから、マジックの中だけ剃ればいいの?」
「マソコの毛も剃っちゃえ。どうせしばらく使えないんだし(笑)」
「使えないっていうか、使ってもベビが入る場所が無くなるんだけどね。」
「いや、卵子を作る器官もなくなるから。(笑)」
女性団体が聞いたら卒倒しそうな言葉を看護師達は並べながら、剃毛作業を始めている。
鋏でまず腹部や陰部周辺の毛を短く切る。指でつまめない位の毛の短さまで切り終えると、
オリブ油を腹部と陰部に塗りたくり、かみそりで丁寧に陰毛まで剃り落とした。

9 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/10(火) 21:32 [ nB1qAL9A ]
看護師達は掛け声をかけながら、母親をベッドからストレッチャーに移動する。
看護師達は世間話をしながら、ストレッチャーを押して、手術室に向かった。
手術室までの直通エレベータまで来ると、彼らにモララーが合流した。
看護師はエレベータ内で、サスガ(兄)からの言葉をモララーに伝言した。
「あ、モララー先生。サスガ先生が『薬剤の量の調整が生じたので少々遅れる』って
伝えてくださいって。」
「わかった。」
しばらくエレベータ内は静かだった。

チン。
到着を知らせる音が鳴り、エレベーターのドアが静かに開く。
レモナとサスガ(弟)、そして息を弾ませたサスガ(兄)がドアの前にすでに立っていた。
「お?薬剤の調整は完了したのか?」
「事前の検査のときに、レモナに体重を少なく申告しやがって…」
モララーの問いに、兄は少々立腹気味に答えた。
「母親よりも女なのかしら。全く。」
レモナもストレッチャーで安らかな寝息を立てている母親を見ながら呆れている。

「行こう、兄者。レモナ、モララー。早く終わらせて、ベビ達の悲惨な氏に方を
この馬鹿親に知らせてやろう。」
サスガ(弟)の言葉に、場にいた全員は使命感を持った表情でうなずき、
ストレッチャーを手術室に向かって走らせた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
手術室の前にいるちびがお辞儀をしている映像が映し出され、その後に
モラ角と、ギコが二人で並んで座っている映像に切り替わった。

「*の無いちびしぃがいましたが、彼女は?」
「上のお嬢さんだ。彼女がまともな分、母親のDQNっぷりが際立ってな。(笑)」
「さて、これから手術なわけですが?」
「うん。ベビ達が育ちすぎてて、子宮がとんでもない状態になってたんだ。
 取り出し辛くて、執刀医たちが困ったって言っていた。
あと、産婦人科医が激怒したな。ベビ達の動く場所が無いって。
あれでは、酸欠起こすってさ。詳しくは、映像を見た後で説明しよう。」

10 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/10(火) 21:33 [ nB1qAL9A ]
気道確保のために挿管され、口をテープで固定された母親の全身が画面にうつしだされる。
撮影者の青年は、眠っている母親を画面にうつしながら説明を始めた。

「これから手術が始まります。今、サスガ(兄)先生の指示により麻酔薬が点滴されています。先生方と看護師さん達は現在手を洗いに行ってます。
ベビちゃん達とこの馬鹿母との対面が重要らしいので、この母親に氏んでもらっちゃ困るらしいです。感染症起こすもんね(笑)。無難なところを切開しながら母親の反応を見て手術の開始かなぁ?」

レモナ・サスガ兄弟・モララー・看護師らが所定の位置につき、
レモナの号令と、それに呼応する皆の挨拶から手術が始まった。

「ちょ、ちょっと、これ…」 「おいおい…」
母親の子宮内の状況に驚きを隠せない様子の
モララー・レモナの表情が映し出される。
「ここも撮影頼む」
サスガ(弟)の声に従い、撮影者は母親の子宮内を映した。
「げ…」
撮影者の青年もビックリして思わず声をあげてしまった。

チィチィともう少しで泣き始めるであろうと思われるベビ達が
すし詰めになって母親の子宮からお目見えしたのだ。
左右対称に、顔を互いにそむけ丸まっているベビ2体。
彼らの上方に、背中を子宮口側に向け丸まっているベビが1体。
そして腹部を子宮口側に向けそっくり返っているベビ1体。

レモナとモララーが手早くベビ達を取り出し、看護師に渡していく。
看護師に渡ったベビ達について指示を出しているサスガ(弟)の声も聞こえる。
撮影者の青年は子宮内を映しながら説明をしている。
「サスガ(弟)先生が一番・二番…って言ってるのは、その番号が書かれたリストバンドを清拭を終えたベビ達の腕に巻いてねという指示を看護師さん達に出してるんです。
お?母体からベビ達がこれで全員出されましたね。私はこれから、ベビ達の様子を撮影に行きます。いったん、モラ谷さんに返しますね。」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「と、返されてもなぁ…」
モラ谷は思わず呟いた。顔には脂汗がにじんでいる。
「ベビ達は、母親の糞狭い子宮の中ですし詰めになってたんだそうだ。
電●ネットワークの芸であったろ?ふとんの圧縮袋の中に人間が入るやつ。あんな感じ。」
ギコに話題をふられたモラ谷は、幾分ほっとした顔でギコに話を合わせる。
「ええ。確か、掃除機で空気抜くんでしたよね?」
「そう。空気を抜いた状態のふとんの圧縮袋の中にベビが入ってたと思えばいい。
うちの産婦人科医が怒ってたのわかるでしょ?」
「だって、電●ネットワークさんのはいい大人がやってるから芸になるのであって、
ベビがあんな状態の所に入ってたら、氏ぬじゃないですか。ただでさえ、しぃ族って
脆いんでしょ?」
「脆いぞ。ベビ達の遺体の状況がかなり酷いものだったらしい。
ま、後で詳しくでてくるけどな。」

モラ谷は気を取り直し、ギコに質問を始めた、
「ベビちゃん達は仮死状態だったんですか?」
「仮死どころか、死後硬直まで始まってたそうだ。
次は、そこら辺の映像が出てくるかな。映像を見てみよう。

11 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/10(火) 21:34 [ nB1qAL9A ]
葬送行進曲をBGMに撮影者の青年が話を始めた。
「さて、ベビ達はこれから体をきれいに拭かれた後、
鼻や口に入った羊水や血液を吸引されて、無駄な心臓マッサージを行うそうです。
蘇生術の練習するんですと。子供の心臓マッサージって難しいんだそうです。
では、移動します。」

青年は執刀中のレモナ達から離れ、ベビ達が集められている場所に移動した。
仮の棺であるベビーベッドには、一番と書かれたリストバンドを腕に巻いたベビが
すでに横たわっている。
「清拭中のベビのほうに行ってみましょう。」
粘液を吸引するズルズルという音のする方にカメラを向けると、
体を洗われたベビが1体、細い管を鼻から入れられて粘液を吸引されていた。
「このベビちゃんは?」 
「二番のベビ。一番のベビとこのベビは使えないなぁ。肋骨折れてるじゃんよ…
もしかして片方の肋骨全部いってるかな?」
青年に尋ねられた看護師は、舌打ちをしていた。

しばらくすると、全てのベビ達が体の清拭、羊水や血液等の吸引を終え
ベッドに寝かせられた。看護師が体の中心線に沿ってベビの胸元を触りながら、
手術室に向かって大声で叫ぶ。
「レモナ先生!心臓マッサージの練習、できませーん。
一番と二番、肋骨片方全部いってるでしょぉ?」
レモナの大声が返ってくる。
「あなたもそう思ったぁ?そう、一番と二番は肋骨いってるわ。
練習はできないわね。とりあえず、心電図のモニターはつけててね。」
レモナの指示に看護師は大声で返事をした。

「氏んでるしるしを、皆さんにお見せしますね。」
看護師たちが手際良く、心電図のモニターをベビ達の胸部につけていく。
そっくり返ったり、丸まったりしているベビ達は彼らの手によって
まっすぐな姿勢に整えられた。
彼女らの腕に巻かれたリストバンドの番号、次に*の無い氏に顔が映され、
そして、心電図のモニターが映された。

「お母さん、画面の向こうでご覧になってます?これが一番のベビちゃんのお顔ですよ。胸につけた電極はモニターにつながっています。
心臓が動いていれば、モニターに波線が現れて、心拍数や血圧のところに数字が現れるはずですが… 現れてませんね。」
二番、三番、四番のベビも同じように、看護師は説明をしていった。
ベビ達は泣きもしないし、手足も動かさない。心電図のモニターには、直線しか現れないし、もちろん心拍数、最高/最低血圧はともに0を示している。

一番、二番、三番、四番のリストバンドをつけたベビ達は胸部に電極をつけられ、
ベッドに横たわっている。撮影者の青年はまず彼女らと機械のモニターを
アップでゆっくりと撮影しながら話し始めた。
「彼女らの上のお嬢さんは*が無いことで、母親から『キケイ』と言われていたそうです。
また、お母さん『キケイ』を産んじゃいましたねぇ。手術室でこういうこというのは不謹慎だけど、この子達は氏んで産まれてよかったのかもね。『死産編』のビデオはここでおしまいです。死因は直接先生方から聞いてくださいね。」

ビデオが終了し、スタッフロールが流れる。
最後に、腹ボテの母親がちびギコと楽しそうにコウビしている姿を、
4体のベビ達の幽霊が怨めしそうに上方から見ているイラストが30秒ほど流れた。

12 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/12(木) 17:32 [ 4hpVPsKM ]
「BARオマエモカーの惨劇 第3−1編(モナ岩・ぢぃ in 夢の島)
       「今日も元気に死死死」 

 第1章 「嗚呼無情」 前スレ>>->> 第2章「基地突入」 前スレ>>->>

1/3
モナ岩は地下1階を部屋を求めて探していた。
糞虫たちを拷問しても珍しく口を割らず、無駄な虐殺のみを繰り返していた。
しかし、30分がたった今もいっこうに部屋が見つからない。
一休みしようと壁に寄りかかった。少しして、モララーが言っていたでぃの志願兵が来た。
「きみがぢぃちゃんモナ?」
「ウン……」
「早速で申し訳ないが……糞虫どもの部屋探しを分担して探すモナ。」
「ワカッタ……」
分担してからの捜索活動が始まった。
それでも部屋は見つからない。しかし、手がかりは見つけた。
糞虫である。糞虫が無防備で歩いている。また捕まえて拷問しようと思ったが、おとりにすることにした。尾行するのだ。
早速ぢぃに連絡を取りぢぃには方法がわかり次第連絡すると伝えた。
モナ岩は糞虫を尾行した。気づかれないように尾行していた。

3分くらいたったであろうか。急にある場所で立ち止まり周りを警戒している。
どうやら、部屋にはいるようだ。のぞいてみると、中の糞虫と何か会話をしているようだ。
「……ハ?」
「キョウモゲンキニシィシィシィ」
(なるほど。合い言葉モナ…………)
「ハニャーン! ナカマサンダネ! ハイッテ イイヨ!」

その場所に行ってみて初めて判明した。
ドアの場所は壁の色が違い、なおかつ取っ手がない糞虫にしては珍しく半自動ドアのようだ。
こんな科学力が糞虫にあるわけがない。何かが後ろについている…………
それは今はどうでもよい……今はこの基地の壊滅を考えればいいのだ。
モナ岩はドアの前にたつと、ドアをノックした。
「シィチャンノ ウツクシィ アイコトバヲ イッテネ。イエナイ ヤシハ ギャクサツチュウ ナンダカラ!」
(一言余計だし、合い言葉を忘れた奴は虐殺厨か。おめでてーモナ。)
「ドウシタノ? イエナイノ?」
「今日も元気に死死死」
しまった!いつもの癖でやってしまった!
ここでモナ岩は作戦の失敗を覚悟した。もうだめぽ。

13 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/12(木) 17:33 [ 4hpVPsKM ]
訂正 第1章 前スレ>>946->>947 第2章 前スレ>>968->>971

2/3

「チョット チガウケド アイコトバハ マチガイ ジャナイカラ ナカマサンダネ! ハイッテ イイヨ!」
糞虫が単純で助かった…………
そう思った。
ドアが開いた。そして同時に糞虫のキモいニヤニヤ顔がどアップで写る。
そして、その顔はすぐ絶望の顔へと変わる。
「ここは我々が占拠したモナ!おとなしくするモナ!」
天○の剣がドアの番を確実な一撃を加えながらモナーは叫んだ。
「ハニャーン!? ギャクサツチュウ!? ナンデ ココガ ワカッタノ!?」
「今から氏ぬ君たちはわかってもしょうがないモナ。」
「ハニャーン!!シィハ キチノタメニ タタカウヨ!! ミンナ イッショニ タタカオウ!!」
「ソウヨ! アンナアフォヅラ!! シィチャンノ チカラデ アボーン サレチャウンダカラ!!」
「アフォ面………………アフォ糞虫にアフォ面と言われたモナ…………」
モナ岩はいらだち始める。
「ダッコ ナクシテ!!」
「「「「「「マターリ ナシ!!」」」」」」
「シィチャンハ マターリノカミサマ!!」
「「「「「「シィ!シィ!シィ!」」」」」」
モナ岩は演説を聞いてさらにいらだつ
「カミサマ シィチャンニ テキハナシ!!」
「「「「「「ハニャーン!!」」」」」」
「演説は終わったモナ?」
「イクヨ!! ミンナ!!」
「「「「「「ハニャーン!!」」」」」」
数匹を残した15匹ぐらいで立ち向かってくる。
モナ岩は学生の時のことを思い出した。
成績優秀だったモナ岩は超一流企業の入社試験の面接を受けることが出来た。
アサピー新聞社の面接である。

( ・∀・)「特技はイオナズンとありますが?」
(´∀` )「はい。イオナズンです。」
===============中略===============
(´∀`;)「運が良かったな。今日はMPが足りないみたいだ。」
(#・∀・)「帰れよ!」

イオナズンが使えたはずなのにMP不足で使えず、結局追い返されたあの面接。
あの恨みを込めて、MPを使いイオナズンを放ったのである。
周りで爆発が巻き起こり、10秒前、モナーに立ち向かっていった糞虫全てがその10秒後、原形をとどめていない。仲間の氏にショック死する糞虫もでた。どこまでも脆いな。糞虫ってのは。

14 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/12(木) 17:35 [ 4hpVPsKM ]
3/3

爆発音を聞いて、ぢぃが駆けつけてきた。
ぢぃを見るなり生き残りの糞虫どもが口々に
「ハニャーン!!バッチイ ディ ダヨ!! アンナノガ イキテイ(略」
「バッチイ ディハ シィタチノ マターリノ テ(略」
「ダイジョウブ イマス……ファsドウガhヲgハオkfノsdッジョjホナ!!」
3匹目の糞虫が台詞を言い終わるよりも早く、ぢぃはキレていた。
四股をもぎ取ると耳をもぎ、虐待に虐待を加えていった。
(怖いな……ぢぃ………………敵に回さなくてよかった………)
「ハ……ハニャ……シャオfハオhフォアkンfjショp!!………………ハギャァァァァァァァァァ!!」
変わり果てた、っていうかもう逝ったんだけど。そんな姿でけんかを売った一匹は逝った。
「シィィィィィィ!? ナンデ ゴミナンカニ マケチャウノヨ!!」
「ハニャーン!! ソレハ シィチャンパンチ ヤ シィチャンキック ヲ ツカワナカッタカタヨ アンナゴミニハツカウヒツヨウガ………シィィィィィィ!?」
戦闘兼虐待・虐殺マシーンと化したぢぃが襲いかかる。
「モウ………………ユルサナイ………………………………………………」
「シィィィィィ!? ネ モウ ゴミ ナンテ イワナイカラ…………シィヲ タスケテヨ……………ダッコ シマスカラ………マターリ シヨウヨ………………」
「ダコ………………マターリ………ナイ………………シネ」
「シィィィィィ!! セッカク シィチャンガ アヤマッテアゲ(典型的な糞虫の逆ギレパターンのため略)」
吉野屋コピペのような話が終わる前に、ぢぃは糞虫に灯油を飲ませる。
もちろん、肛門にはおろか、マ(自粛)からも、出てこないようにした。
そして、マッチ棒を飲ませた。火をつけて。

「アディィアhドアhダオイファkンフォア!! オナカガ アツイヨウ!! ハヤク タスケナサイヨ!! クソモナー!」
「糞だから助け方がわかりません。いやぁ残念。残念。」
モナーがほほえみながら言う。その内心、
(キレるとマジで怖いな。ぢぃって…………ちびりそうだ……………いや、ちょっとちびった…………)
最後に「シィィィィィィィィィ!!」という叫びをあげ、体内で燃えていた火が体の本体に回り、火だるまとなって、逝った。

3匹目は氏を予測したのか、それとも、仲間の氏に精神がついていけなかったのか、ショック氏していた。
脆い!脆すぎる!アブ板名物 糞虫虐殺といったところか。
「………………アフォシィ………ゼンブ………シンダ」
(ウワァァァァン ぢぃ怖いYO!!)

ちょっとガクガクブルブルしつつ、お股のあたりが黄色い状態で部屋を占拠したモナーである。

このペースでモナーとぢぃは地下1階の全ての部屋に断末魔の叫び声を響かせた。70%がぢぃの逆ギレだがw
最後の奴の叫びを聞き終え、死を確認するとモナーは
「モラ谷!こちらモナ岩&ぢぃ!応答せよ!!」
「こちらモラ谷!どうした!?」
「夢の島地区地下1階の糞虫の全滅を確認!次の地区へ移る!」
連絡を終えると、モナ岩達は新木場地区へと走っていった。

=第3章1編完 モナ谷編は4章1編に続く。 次回はギコ丘編=

15 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/14(土) 15:02 [ gK2qcNFw ]
あるテレビのニュースでこんな物をしぃは見ていた。
「どうやら子連れの親が子を車などに置き去りにして暑さで死んでしまうとありますがどうでしょうかモラ介さん。

「はい代々はパチンコ等ですね。しぃの場合は歩きで来て外か段ボール、または虐殺されてしまいます。」
そしてしぃはテレビの電源を切った。

「サァイツモノパチンコヤサンニイクワヨ!」
しぃはベビが外でずっと遊んでおり熱中症にかかってるとも知らずに・・・・。

「マァマ・・・・アチューデスヨゥ・・・・」
ベビが訴えるのも聞かずに
「ベビチャンハコノダンボールノナカデマッテテネシィチャンハカセイデクルカラ」
そしてパチンコをやめて一時間程たってから来ると・・・
「ハニャ・・・キョウモスッカラカンダヨ・・・ベビチャーン!」
しぃが段ボールを開けると
「ベビチャァァン!!!??」
死んでいた。暑さで

「ハッ!?」
思い出した。テレビの事を。
しぃは膝を着いて泣いた。

「ベビチャン・・・シィハオカァサンシッカクダネ・・・」
その後家に帰ったしぃが包丁で腹を刺して首を吊ってるのが発見された。
               終

16 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/14(土) 17:52 [ 3TrsfK9Q ]
しぃ虐殺スレpart4のしぃの分際でという作品の物を書いてみます。
ある所にオニーニの兄弟がいた。
「オニーニワッチョィ♪」
オニーニが歌っていると、
「ハニャニャニャーン♪」
しぃが通りかかった。

「ア!シィタンコンニチワワッチョイ♪」
しぃ達はニヤリとしながら
「ダッコシテアゲルネ♪」

「ホントウワッチョイ?」

「ワチョッ」
オニーニが抱っこしてもらうとダッコしているしぃが右手でオニーニを殴った。
「ウリャァ♪」

「ワヂョォォ!!??」
しぃ達は笑った。
「クリーンヒットォォ♪」
しぃはこう言い放った。
「アンタタチキニイラナイノヨネェ」

「ホントホントゴミノクセニー」
「キャハッゴミゴミー」
オニーニはこう言った。
「オトウトダケデモニゲルワッチョイ!」
続く

17 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/14(土) 18:06 [ 3TrsfK9Q ]
↑の続き。
「ワッチョォ・・・オニイタンモ!」
そんなオニーニ達をあざ笑うかのように
「アラアラキョウダイアイッテヤツカシラ」

「キャハハハハハ!!ワラッチャウヨネ」
「コウイウクズコソギャクタイサレルベキダヨネ」
そして・・・
「オニーニナンテシンジャエー♪」
ぶちっ
オニーニ兄の足が引きちぎられた。
「アンヨカエチテワッチョイ!!」

「コンナゴミニハアンヨハヒツヨウナイワヨネ?」
「ヤレヤレー」
そしてしぃ達は
「モウイッポンノアンヨモイタダキダヨ」
オニーニが絶叫を上げた。
「ヒギャァァァァ!イタイデチィィ!!!」
しぃが笑った。
「ハニャーン♪モウサイコー♪」
「ツギハキミノバンダヨ♪」
しぃは弟に近づいた。
「オニィタン・・・」

「ア・・・アンヨ・・」

「ホラホラハッテルヨ。オッカシィー」

「アハハホントキモイワマターリデキナイヤシハコマッチャウネー」

「ネェネェコノゴミドウスル?」
弟を抱えながらしぃは言った。
続く

18 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/14(土) 18:12 [ 3TrsfK9Q ]
続き。
「アンヨチョウダイワッチョイ・・・」
兄が悲願するかのようにしぃの足に捕まった。
「ソウダネソロソロオヒルダシアタマノナカノグヲミンナデタベマショウ」
「サンセイサンセイ♪」
「ジャソレデキマリネ」

「ワーーーーン!」
そしてしぃはオニーニ目掛けて
「アンタサッキカラワッチョイワッチョイウルサイワヨ!シィミタイニハニャーントカイエナイノ!?」

「アン・・・ワヒョッ!!!」

「ナイスシュート♪」

「コレデシズカニナルワネ」
そして
「ワタシハコッチヲヤルヨジュンビハイイ?」
「オッケイヨ!」
まだ虐待は始まったばかりだ・・・
続く

19 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/14(土) 18:17 [ 3TrsfK9Q ]
続き。
しぃの一人は兄を攻撃した。
「ナニガデルカシラータノシミダネ」
オニーニが悶え、苦しみ、痛いと訴えても頭穿られるのは止まらなかった。
そして弟を攻撃していた二人のしぃは

「シカシホントニコイツトキタラクソイカノクセニウッサイワネェコレナンカオニイタントカワチョワチョバッカダシ」
そしてもう一人のしぃが
「セッカクダカラオニイタンノトコロヘオクッテアゲマショウ。シィチャンッテホントニヤサシィネ」
続く

20 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/14(土) 18:31 [ 3TrsfK9Q ]
続き
もう具を取り出したしぃは
「ナーンダタダノウメボシジャナイ・・シカモチッチャイシ・・・コイツノカチグライカシラネェ」
そして弟に棒を突き刺して抉っていた。
「ワチョォォォ!!!!ハヒャァウウウ!!!!ワヂゴヨォォン!!!!」

「ハニャーンソウカイダネ」
「エイッエイッアッミエテキタワ!」
しぃが聞いた。
「ソッチハナニガデタ?」
でもしぃ二匹にも分からなかった。納豆である。
「ナニソレ?」
「ナンカネバネバスルシ・・・ニオウワ」
その匂いはたちまち辺りにいった。

「イヤァァァ!!ナニコレェェ!??クサイ!」
「シィィィ!?ソンナモノハヤクステテヨ!」
「ソウネ・・・コンナゴミノモッテタモノナンテトテモタベラレナイワ・・・」
しぃは納豆を投げ捨てた。
続く

21 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/14(土) 18:34 [ 3TrsfK9Q ]
続き
しぃはオニーニ弟を蹴飛ばしながら言った。
「ショセンゴミネ コンナモノモウイラナイワ!エイッ!」
「ナンカシラケチャッタワネ」
「ヤッパオニーニナンカニマターリハムリナンダネ」
そしてしぃ達はオニーニを後にした。

後に影が潜んでいるとも知らずに・・・・
続く

22 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/14(土) 18:42 [ 3TrsfK9Q ]
続き
「ホントタノシカッタワ」
「マタオニーニガオチテルトイイネ」
「コンドハドンナコトヲヤリマショウカ」
するとモララーとモナーがいた。モララー達はしぃに
「いやいや影から一部始終を見物させてもらったよ」

「糞が虐殺とはおめでてぇモナ」
しぃ達は驚いていた。
「ゲッ!モララーニモナー・・・」

「ア・・・アレハマターリノタメニ・・・」

「ハァ?マターリの為だと?ダスキソ製品でもない糞しぃが一丁前に虐殺なんてすんじゃねぇよ」
そう言ってモララーはしぃの首筋を掴んだ。

「ナニスンノヨ?ハナシテ!」

「そこらのチリ以下のしぃがぬかすんじゃ無いモナ」
そしてこの場所は修羅場と化す・・・。

「ほらほら!てめぇの好きな腕もぎだろうがぁぁぁ!!!」
乱暴にしぃの腕がもがれた。
続く

23 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/14(土) 18:56 [ 3TrsfK9Q ]
続き
その修羅場から一匹だけ逃げれた。

「ウウ・・・・アノシィタチニハワルイケド・・・・」
と、その時に。
「ハギャウウウウウ!!!!!アンヨォ゛ォ゛ォ゛オテテガァァァ!!!!!オミミサンガァァァ!!!!ダッコモコウビモスルカラタスケテェェェ!!!」

「てめぇのノミ臭いダッコや交尾してたら死んでしまうモナ!」
逃げたしぃは後を見てしまった。

二人とも達磨だ・・・・、何度も殴られていた。
「モ・・・モウオニーニギャクサツシナイッテチカウカラタスケテ・・・」
すると前にギコが通りかかった。

「ハニャッ・・・ソウダギコクンニタスケテモラオット・・・」
続く

24 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/14(土) 19:02 [ 3TrsfK9Q ]
続き
「お、しぃか、どうした」
ギコはしぃに話し掛けた。
しぃはこう思った。ギコクンナラオニーニギャクサツシテモオコラナイヨネ・・・と
「ジツハカクカクシィカジィカデ・・・・」
しぃは一部始終話すと、ギコは怒りに震えながらこう言った。
「そのオニーニ達は俺の友達だ・・・・」

「エ・・・・ウソデハギャウッ!??」
ギコの拳が頬にめり込んでいた。
「覚悟しろよ・・・」
しぃは失禁していた。

「きたねぇ売女め・・・モララーと一緒に虐殺してやるよ・・・」
しぃを鷲づかみにしてモララー達の場所へ走っていった。
続く

25 名前:セイル 投稿日:2004/08/15(日) 01:48 [ zTRZGXuc ]
なかなかおもしろかった、これを絵にしてもいいかね?

26 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/15(日) 11:19 [ SC8CmwTQ ]
1/

地下2階に降り立ったギコ丘は、その衝撃の臭いに鼻をつまんだ。
「イ!イカ臭せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
とりあえず、地下2階はイカ臭い匂いで充満していた。
ギコ丘は自分で用意してきたガスマスクをつけると、
この階の別のブロックを担当しているジエンが気になった。
しかし、Bブロックも臭いとは限らない。とりあえず今は関係ない。とにかく部屋を探すことにした。
しかし、部屋を探す前にやっかいなことになった。糞虫に見つかったのだ。
「ハニャーン!! ギコクンダ!! ダッコ! コウビ!!」
「また五月蠅い糞虫だゴルァ!氏ねや!!」
そういうと、ギコ丘はガッハンマーで糞虫の頭を叩いた。
「シィィィィィ! ナニスルノ? ギコクンハ ギャクサツチュウ ジャ ナインダヨ!! シィヲ ダッコシテ マターリ シヨウヨ!!」
糞虫の頭の一部に頭蓋骨陥没の跡が見られる。なんて脆いんだ。
「悪ぃな。お前らの仲間に大切な奴を頃されてるんだ。今は(今だけとは限らないがw)虐殺厨なんだよ!」
そう言い捨てると、ギコ丘は糞虫の耳をもいだ。
「シィィィィィ!!シィノオミミィィィィィ!!シィノオミミカエシテェェェェェェェェ!!」
「耳はないほうが、しぃは可愛いんだよ。わかったらもう一個ももがれちまいな!!」
「シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!オミミィィィィィィィィィィィィ!!」
糞虫の手は耳の方に向かって伸ばされたが、手が耳に到達するよりも、ガッハンマーが手を襲う方が早かった。その手はもう手として機能することはなかった。手は原形をとどめず、頭蓋骨陥没と併せて、糞虫の体の脆さを露呈した。
「シィノオテテェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!ギコクンガヒドイヨォォォォォ!!ビェェェェェェェェェェェ!!」
とうとう泣き出した。ガキのごとく泣いている。
五月蠅いので、ガッハンマーでとどめを刺した。

27 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/15(日) 11:20 [ SC8CmwTQ ]
2/3
しばらくすると、「マタリック」とかかれた部屋を発見したのだった。
少し様子を見てから突入することにしたギコは部屋の様子をうかがった。
どうやら、最近ダッコ革命党と同時に勢力を広げているマタリック教の教会らしい。
両者は相互で協力しあっていたようだ。
呼吸を整え、ギコ丘は突入した。
「おとなしくしろやゴルァ!!動いたら氏ぬぞゴルァ!!」
しかし、その場にいた数匹の糞虫は忠告よりもギコ族がここにいる!ということに精神が逝っている。
(ハニャーン!! ギコクンガ シィヲ ダッコシニ キテクレタ! ソレトモ コウビ!? キャー!! シィハ ナンテ シアワセナ シィ ナンデショウ マターリノカミサマニ カンシャ シマス ニャーメン)
そのうち一匹が我慢しきれず、
「ギコクゥゥゥゥゥン!! ダッコォォォォォォォ!!」
叫びながら突進してきた。
ギコ丘は手を広げた。糞虫はギコ丘に飛びついた。しかし、永遠にギコ丘にふれることはなかった。モラ谷からもらった槍は、ちょうど心臓を貫いたのである。
「ジ………シィィィィィィィ………ギコ……ク……ン…………ダッ……コ…………」
体は脆いがとてつもない生命力である。心臓ひとつきなら普通は即死である。このまま生かしておくとダッコダッコ五月蠅いだろうと予想したギコ丘は、ガッハンマーでとどめを刺した。断末魔の叫びとともに糞虫は絶命した。

何を狂ったのかこの教会の司祭と思われる糞虫が
「ゼンチ ゼンノウノ マターリノカミヨ! コノ ギコクンカラ ギャクサツチュウノ ノロイヲ トキタマエ!!」
と叫んだ。ギコ丘はすぐさま司祭のもとへ行き、こう言ってから乱れ突きを食らわせた。
「悪ぃな。俺は虐殺厨の呪いなんかに囚われてはいないんだよ。そもそも呪われてすらいねぇんだゴルァ!!」
「シィィィィィィィィ!!ソノヨウナ オコナイヲ カミガ ミノガストデモ オモイナノデスカ!? テンバツガ オチマスヨ!!」
「そうか。落とせるもんなら落としてみやがれゴルァ!!!」
ギコ丘は逆ギレして乱れ突きからガッハンマーでのいたぶりに変更した。
糞虫祭(糞む司祭)の体がトマトになっていくのがリアルでわかる。
虐殺の光景を見ながら糞虫どもは
「ギコクンガ シサイサマヲ コロシテル………ドウシテ?………イッショニ マタリックキョウカイデ マターリシヨウヨ………」
「ドウシテ ギャクサツチュウナンカニ ナッチャッタノ? ギコクン………」
「コンナノ ギコクン ジャナイ!!キット クソモララーガ キグルミヲ カブッテイルンダヨ!!」

司祭が氏んだあと、光景を見ていて半泣きしていた糞虫がチャックを探して襲いかかってくる。
「コノクソモララー!!ギコクンニ ヘンソウシテ シィタチヲ ダマシタ ツミハ オモインダカラ!!」
「クソモララーヲ コロシテ マターリス(ry」
「サァ! ハヤク チャックヲ ミセテ ミニクイ モララーノ カラダヲ ダシナサイヨ!」
ギコ丘は限界だった。
「俺は正真正銘本物のギコ族だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

28 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/15(日) 11:22 [ SC8CmwTQ ]
3/3
3分後、教会は血で洗われていた。マタリック室を制圧したのだ。
ふとギコ丘は、教会の奥に部屋があるのを見つけた。
そこは隠し武器庫で、日本刀を始め、十字軍の鎧を模したものや、なんとアルテ○ソード
や正義のそ○ばんまで見つかる始末である。
ギコ丘は手頃な銃を見つけると、槍の先の刃をはずし、銃に取り付けて銃剣に進化させた。
「これでいっそう使いやすくなるぞゴルァ!」
ガッハンマーも片側を針を刺し、串刺しガッハンマーに改良することができた。

しばらくしてギコ丘は次の部屋を見つけた。「訓練室」である。
なかからは「ハ・ニャ!ハ・ニャ!ハ・ニャ!」と繰り返し聞こえる。
そして別の声で中から、「ダッ=コハ マターリノカミサマノ カクトウギ……… 」
(糞虫の奴、ワケワカラン格闘技を開発して俺らに対抗か?おめでてーな。)
「………マターリハ 190% ジョウショウ ギャクサツチュウハ80% ゲンショウスル……… 」
(フーン………話が本当かどうかは置いといて、糞虫殺し屋が80%減るのはいただけないな………)
「……… チビギコ・オニーニニモ フキュウ サセナケレバ ナリマセン ソレハ アナタガタノ シゴト ナノデス!」
(とにかく………話が本当だとすれば、糞虫が増殖しちまう。さっさとここを潰すか!)
威勢良くドアを開け、問答無用で銃を乱射した。さっさと頃すべきだという気持ちが先行していたからだ。
断末魔の叫びが各所から聞こえる。時期に聞こえなくなった。どうやら全て氏んだようだ。ギコ丘は次の「ハニャンシツ」に向かっていった。

しかし、一匹の糞虫は生き延びていた。糞虫は緊急無線で全てのフロアに
「ギャクサツチュウ シンニュウ! ギャクサツチュウ シンニュウ! ケイカイセヨ!!クリカエス………」

警戒が厳しくなっていたが、ギコ丘は部屋を全て周り、全ての部屋を血で洗った。
もっとも、ギコ族だから警戒態勢を悠々かいくぐれるのだがw
ギコ丘も無線でモラ谷に報告、新木場地区へ向かっていった………………

29 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/15(日) 16:17 [ e78Oebq. ]
>>24の続き
ギコはモララー達が居た場所に着いた。
しぃは信じられない光景を目の当たりにする。

「ウ・・・ウソ・・・シィチャンタチガレイプサレテル・・・・」
そう、レイプされていた。

「シィッ!・・・イヤァァァァ!!!!!」
レイプされているしぃは叫んでいた。

「ほらほら。お前の好きな交尾とやらだろうが」
そして・・・・レイプが終わると、ギコに連れて来られたしぃも達磨にされた。

「準備はいいか?」
「OKモナ」
モララー達が何やら銃のような物を出した。

「ハニャ・・・・イタイヨゥ・・・・シィノアンヨ・・・オテテ・・・オミミ・・・・カエシテ・・・・ソノジュウデナニヲスルノ・・・・マサカウツンジャナイデショウネ・・・」
しぃが這いずりながらモララー達に訴えると、

「゛撃つ゛じゃなくて゛焼く゛だからな!」
しぃは驚く前に焼かれていた。

「ハギャァァァァァァ!!!!!!!!!!!!アヅイィィィィ!!!!!!ダズゲテェェェェ!!!!!!」
しぃ達三人はしばらく苦しみ悶えた。水を掛けられるまで。

「ハァハァ・・・・ド・・・ドウシテ」
しぃは体力消耗により息を荒くしながら聞いた。
しかしそんな声を無視してモララーはモナーとギコに話をしていた。

「ギコはあのリーダー格のしぃを、モナーは右側にいた方で俺は真中だ」

「ハニャ・・・ナンノコトナノヨ・・・・」
しぃ達は同時に聞いた。
するとモララー達それぞれはしぃの後に立った。
そして、ギコがしぃの頭に爪を立てた。

「ハギャァァァッァ!!!!!!!ジィィィィkィ!!!!!ハニャアァウウウ!!!!!!」
しぃはふと思い出した。こんな事をオニーニにやった事を。

「おお見えてきたぞゴルァ・・・・ってなんだ、この小ささは・・・・」
しぃは辛うじて生きていた。でも、脳を抉り出されたらお終いだ。そしてしぃは最後の命乞いをした。

「ユ・・・・・・・・テ・・・・・・モ・・・ギャ・・・シナイ・・・・・カラ・・・・」
しぃの意識はどんどん遠ざかっていった。
そして途絶えた。抉られる前に出血大量で死んでしまった。
すると二人のしぃが言った。

「イヤ・・・・シィニハ・・・・ウギァァァァァ!!!!!!!???」
もう遅い。命乞いをするのが遅かった。まあ命乞いをした所で助からないのだが。

「こいつも小さいモナ・・・」
「俺のもだ・・・」
モララーとモナーが口を揃えて言った。

「イヤァ・・・・・モウグリグリシナイデェェェェ・・・・・ガクッ」
言った直後に死んだ。
するとギコが呟いた。
「でもオニーニは帰ってこない・・・・」
続く

30 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/15(日) 16:24 [ e78Oebq. ]
続き。
「ギコ。実はな」
モララーがギコに言う前に答えは出ていた。

「オ・・・・オニーニ達!」
ギコの目の前にオニーニ兄弟が立っていた。

「実は具を元の場所にもどして米で埋めたら生き返っちまったんだよ」
「オニーニはある意味では不死身モナ・・・・(デモホカノデタメシタライキカエラナカッタヨウナ」

「良かったな・・・・」
ギコは泣いた。ずっと泣いた。
そして泣き疲れるまでずっと泣いた。

「じゃあ帰るか・・・・じゃあな」
「バイバイモナ」
「じゃあな」
そしてモララー達はそれぞれ帰っていった。

               終

31 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/15(日) 18:12 [ 94Flzk2c ]
 虐殺の嵐 1話「血のプロローグ」

「ハギャアアアアア!!!ギコクンヤメデエエエエ!!!!」

縛られているしぃを日本刀でかすらせるように切り裂くギコ、ギコの右目辺りには大きな傷跡がある
「まだだ・・・・・・まだ物足りねえが・・死なねえ程度にしてやるから安心しろ」
「ホント?」
ギコは内心で思った、馬鹿だな・・痛めつけられるより、死のほうがよほど楽なのに
むかつく!!もっと痛めつけてやる!3年前の恨みをはらすために・・・・・

3年前

海辺の崖で、ギコとしぃがたたずんでいる
「なあ・・・しぃ・・・」
「ナニ?」
「もう・・・別れよう・・」
しぃは青ざめた
「ドウシテヨ!!」
その時、ギコが怒鳴った
「てめえみてえな糞虫ぃとつきあってたのがわかったんだよこのタコ!!!」
「ソウ・・・ギコクンモギャクサツチュウニナッチャッタノ・・・・ゴメンネ!!!」
ドスッと言う音が聞こえると同時に、ギコが吐血した
「ガフッ!・・て・・・めえ・・・」
ギコの腹には深くナイフが刺さっている。糞虫にしては力があるようだ
「ゴメンネ!!ゴメンネ!!」
ナイフを抜き、血しぶきが飛び散る。ギコがよろめいた隙に、鉄パイプで頭を何度も殴る
最後に頭部を刺そうとしたが、ギコが最後の力でナイフを少しはらったので、死は免れた
が、右目辺りが深く切り裂かれた、これが後傷跡として残ることとなる、そのままギコの意識は消えた
「ゴメンネ・・・・」
しぃはギコが死んだと思ったのか、その場を後にした

しばらく時間がたった、ギコの傷からは容赦なく生暖かい赤い血が流れる
雨が降り出した
雨が傷に染みたのか、それとも雨の冷たさが彼を刺激したのか、ギコがふっと目を細く開ける
今にも消えそうな眼差しの中、ギコは血と痛みで霞んでる視界で立ち上がる。
人気のない道をよろよろと歩きつつ、ついに限界がきたのか、その場に倒れこんだ。
そこに、上司に怒られて苛立っているモララーが歩いてきた
「む・か・つ・く――――!!!なんであそこまで怒るかなあの馬鹿は・・・」
そこで血で染まって倒れているギコを見つけた
「ギコじゃねえか!!どうした!?」
まだ息がある、モララーはすぐに119をし、ギコはなんとか一命を取り留めた


「モウヤメテエエエ!!シンジャウヨオオオオオオ!!」
ギコは手を止めた、するとそれを待ってたかのように床に落ちてる携帯がなった。そして携帯を取り出した
「・・・・あーもしもし?あ?モララー?」
それを聞いたしぃが青ざめる
「あー・・うん・・お前もくるか?・・・モナーとフサも?・・わかった。」
しぃは震えながら失禁している
「どうやらてめえにとって最高の人が来るようだぜゴルァ・・・・」

続く

32 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/15(日) 22:47 [ 94Flzk2c ]
虐殺の嵐2話「拷問のスペシャリスト」

「オナガイダカラモララータチダケハヨバナイデエ・・・・」
「もう手遅れだYO。」
ドアが開く、モララーだ、かなり大きなバッグを背負っている、つづいてモナー、フサが来た
「あー・・・・こいつがそのしぃだよな・・・」
「おお」
「こいつぁ拷問がいがあるモナ」
「んじゃあ早速はじめるか!!」
モララーがバッグからライターとガムテープを出した
「騒がれるとめんどーだからな!」
ガムテープを口にはりつけ、縄の上にさらにガムテープを巻く、これで揺れることもできない
ライターをつけ、右足を炙り出した
「〜〜〜〜〜!!(アンヨガアツイヨウ!)」
追い討ちをかけるようにフサが右足をもいだ
「〜〜〜〜〜・hehwjhgfh〜〜!!(シィノアンヨガアアアアアア!!!)」
「こいつの足・・・・俺の肉屋に売ろうかな・・・イカ臭せえけど」
モナーが思い切り口のガムテープをはがした
「シィノカワイイクチビルガアアアア!!!」
その上に炭酸水をドボドボとかける
「シwavdahvdvadtyeyugxhh〜〜〜〜〜!!!」
すでにガムテープをつけられていたときとほぼ同じになってしまった
つづいてギコが両耳をもぎ取り、片目をほじくった
さらにフサがあらゆる所をもぎ取りそのあとモナーが麻酔なしで腹を切開した
まさに糞虫の開きである
「シ・・・・シイタチノ・・・アジ・・トオシエ・・・ル・・カラ・・・」
「!!?」

続く

33 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/16(月) 01:51 [ m5ouF93M ]
黒い夢を見る者 第一話「深く、おぞましく、黒い世界」

「俺はどうなってしまったんだ!」
俺は深い闇に閉ざされている。
前が見えない。
後ろも見えない。
右も、左も、下も、上も。
それどころか自分すら見えない。
ただ聞こえてくる声だけで俺の恐怖は最大限に膨れ上がる。
「貴方が私を殺した。その代償を払いなさい!」
「お前が妻を殺した!」
「お前が、お前が弟を殺した!あの弟の苦しみを味わえ!」
「私の友人を返しなさい!」
今まで殺してきた者た者やその家族や友人の声が聞こえてくる。
体中に痛みが走る。
頭に俺が殺した者たちの記憶が流れ込んでくる。
俺は何も見えない闇の中を走り続けた。
どれだけ走ったか分からない。
上に行くのか下に行くのかも分からない。
一向に光は見えない。
とにかく俺は光を求めて走り続けた。
それでも光を見つからない、声は聞こえ続ける、痛みも引かない。
「哀れね。どうせこの闇からは逃れられない。貴方はそれだけの事をしたのだから」
「もう・・・、もう・・・やめてくれ!」
「二つ選択肢をあげるわ。ここで死ぬか永遠にこの苦痛を味わうか」
「殺してくれ!この悪夢から覚められるのならば死んでもいい!」
「貴方は今まで殺した人の痛みを味わって死になさい」
声が次第に消えていき、痛みも引いてゆく。
光が見える。
本当なら捜し求めていた物のはずなのに今ではとてもおぞましい。
これから今まで以上の悪夢を見ると思うと思うと今ここで自分という存在がとても恨めしい。
これから・・・、本当の悪夢を見るのだから・・・。

34 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/16(月) 11:43 [ Odart2w6 ]
「BARオマエモカーの惨劇」第3−3編 「ニクコプーンクエ!」 
第一章 「嗚呼無情」ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/946-947
第二章 「基地突入」ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/968-971
3−1 モナ岩・ぢぃ編 「今日も元気に死死死」  >>12-14
3−2 ギコ丘編 「ダッコとコウビの果てに」   >>26-29

「あ、ども、作者のアヒャコプーンです。」
「ミンナダイスキ!シィチャンデース!!」
「今回は本当なら半角だらけなのですがジエン及び糞虫の台詞を全角訳してお送りします。」
「シィィィィィィ!? ナンデ アヒャコプーンサンモ シィタチノコトヲ クソムシ ッテイウノ!? シィハ アンタナンカヨリ エラインダヨ!! サテハ アヒャコプサンモ ギャクサ…………シィィィィィィィィィィィィィ!!?」
「それでは本編をどうぞ。……え?これ?嗚呼、ついさっきキムチ料理をつくってね。後で食べる?」



1/2
ジエンはジエンで部屋を探していた。
「食料取り返す (・∀・)イイ!」
とりあえず、食料の奪還を目指しているジエンには邪念はない。
しかし、歩行速度が遅いからとっさに隠れられず、糞虫に見つかった。
「こんなところにジサクジエンが迷い込んでる。本当ならこの基地を知ってしまった君は、
生きては出ていけないけど、心の広いしぃちゃんは殺さないであげるからね。」
「そんなことよりニクコプーンダッコ味食え!」
といって、ジエンはニクコプーンを出して糞虫に渡した。
(この肉骨粉は甘い味を出す肉骨粉!でも食べたら最期。後は死ぬだけ!(・∀・)イイ!
 しかも食った香具師のウンコーを食っても死ぬ!優れもの(・∀・)イイ!)
「本当はしぃちゃんは甘くて高級で(ry でも、ダッコ味なら食べてあげる。」
といって、糞虫はニクコプーンを口に含み、飲み込んだ。
「ハニャーン!マターリしてていい味だよぅ。みんなにも食べさせてあげよう!ちょっとこっちに来なさい!」
といって、ジエンは作戦通り、糞虫に連れられて「ベビチャンノヘヤ」と書かれた部屋に来た。
「ハニャーン!ベビチャン!このジサクジエンさんが甘くて、高級じゃないけどおいしい肉骨粉くれるよ!」
「ほしい香具師は並ぶ!(・∀・)イイ!割り込みした香具師にはあげない!」
「チィ!」「チチィ!」「チィ!!」「デチィィィ!」「テチ!」「デチ!!」
チビしぃとチビギコの鳴き声が交錯する。そして、大量のチビと親糞虫が一列に並んだ。
ジエンはそれぞれにニクコプーンをあげた。氏のニクコプーンを。
それぞれから「アマイ!」「マターリ!」「(゚д゚)ウマー」などと感想が述べられる。
そして、ジエンは部屋を去る際にこういった。
「他の部屋の香具師にも教えてやる!(・∀・)イイ!」
「ハニャーン!そうするよう!他の部屋のみんなにもあげてね!これ、来客証明書!」
ジエンは紙を受け取り部屋を去った。

35 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/16(月) 11:43 [ Odart2w6 ]
2/2
ジエンが去った後、一匹は部屋の中で無線を取り、
「ジエンが甘い物を配ってますよ!」と、通信した。
各部屋から「ハニャーン!」(了解!)の返答を受けて通信を切った。
そして、通信がきれた後、一匹の糞虫が、
「ハニャーン!それにしてもおいしかったね。」
「きっと、マターリの神様の使いなのね。」
と、言いながら15分ほど雑談をしていた。
そのときだった。一匹のベビが苦しみだしたのである。
「チィィィィィ!息ができないよう!お母ちゃん!ナッコ!」
「ハニャ!?一体何が起こったの!?」
とにかく、母糞虫は何もできない。ベビは苦しみに苦しみを重ねていく。
「シィィィィィ…このままじゃしぃのベビちゃんは氏んじゃうょぅ……」
母は嘆くことしかできなかった。所詮糞虫の脳味噌。しぃ味噌にするしか使い道がない。苦しみを重ねていったベビは、苦しみの限界を超え、動かなくなった。
「……ベビチャン!?…………シィノ ベビチャァァァァァァァァァン!!………… シィノ ベビチャン シンジャッタョゥ………」
じきに、他のベビをはじめとした、ダッコ味のニクコプーンを食べた奴らにも健康障害が現れた。
腹を下し、脱糞がとまらない。逆に便秘になった。
他にも呼吸器障害、アヒャ化現象、高熱により熔ける、低体温で冷えて凍りそのまま氏。
たぶん脳味噌がスポンジになった香具師も入るだろう。
ニクコプーンの健康障害とは別だが、仲間の氏にショック氏した香具師も出た。
体が脆いのはギコ丘編でもわかっているのだが、精神もやわなようだ。
氏にようは様々。しかし、断末魔の叫びは聞こえない。
苦しみながら氏んでいき、断末魔の叫びは聞こえない、ご近所に優しい頃し方ではあるが、快感は得られにくい。
しかし、今のジエンに快感は必要ない。食料を取り返すのみ。


1時間後。ジエンは食料を持ち歩きながら全ての部屋を見回った。
各部屋には死体が山積みとなっていた。生きているのは、脱糞の拍子に生まれたと思われるベビ。後は糞を食って死ぬのを待つのみ。ジエンはそのまま無線を使う。
「モラ谷!聞こえるか!」
「十分だぞ!なんだジエン?」
「肉骨粉だけで全部ぬっ頃した!(・∀・)イイ!」
「了解!次のエリアでもニクコプーンの驚異を見せてくれ!それから、新木場エリアではギコ丘に合流してくれ!」
「合流(・∀・)イイ!」

ジエンはそういうと、ギコ丘の方へ向かっていったのであった。


「さて、後は俺だけか。ま、一頃しするか!」

モラ谷は不適な笑みを浮かべ行動を再開した。

=第3−3編完 ジエン編は4−2へ続く。 次回はモラ谷編。=

36 名前:虐殺ショボーン君 投稿日:2004/08/18(水) 20:35 [ 5ajRiRho ]
ショボーンがふらつきながら街中を歩いている
「ああ・・・また会社で失敗しちゃった・・・ショボーン・・・・」
1匹のしぃにぶつかった
「ご・・ごめんなさい・・」
こっちからぶつかったのになんかあやまってくれた、微妙にうれしい
またしぃにぶつかった
「(やっちゃった・・・・ショボーン・・・)」
「ナニスンノヨ!!オワビニダッコカコウビシナサイ!!」
なんだこの差は・・・しかもさっきと違ってキモい声、前モナーさんに聞いた「糞虫」かな
とりあえず逃げた、その逃げ足の速さで、しかし欲望というものはどこまで生物を強くするのか
はっきりいって糞虫も同じくらい、いや、僕以上に速い
僕はギリギリでギコさんの家に逃げ込んだ
「おう、ショボーンじゃねえか。どうした?その汗」
「じ・・・実は糞虫に追われてるんです・・・」
「ったくまたあのノミ虫か・・・ちと始末の仕方教えてやるでついて来い」
ドアから出るのは非常に危険とみたギコは裏の窓から出た、ショボーンも続く
当然のごとく糞虫はドアの前で怒鳴っている
「ギコクンココヲアケテ!ダッコヲシテクレナイギャクサツチュウヲアボーンスルカラ!」
「いいか、この麻酔銃で・・」

パシュ

声もあげず気絶したしぃを縛り上げるとギコはしぃの肛門にスプレーを起きないようにゆっくり差し込んだ
「あの・・・これは・・・」
「ん?ああこれは最近100円で売ってる「糞虫駆除毒薬」だゴルァ」
「ひゃ・・・100円!!?」
「あとこいつら以外にやってもまったく無害だから・・5・4・3・2・1・・0!」
肛門に刺さったスプレーから大量の猛毒がながれこむ
「ジィィィィィィィ!!!!!」
こんな奇声を上げたあと即死、うわ・・グロい・・・ショボーン
そこにしぃ(本物)が来た
「ギコ君またこんなにちらかしちゃって・・・」
「あ、ワリィ・・・ああ、ショボーン、この毒薬と麻酔銃やるよ」
「え・・・でも・・」
「まだ無茶苦茶あるでいいわ」
「じゃあね、ショボーン君」
「は・・・はい・・」
それからショボーンはいつものようにしぃの死体を捨てるようになった

終わり

37 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/19(木) 16:39 [ iY8nCNT6 ]
ショボーンがふらつきながら街中を歩いている
「ああ・・・また会社で失敗しちゃった・・・ショボーン・・・・」
1匹のしぃにぶつかった
「ご・・ごめんなさい・・」
こっちからぶつかったのになんかあやまってくれた、微妙にうれしい
またしぃにぶつかった
「(やっちゃった・・・・ショボーン・・・)」
「ナニスンノヨ!!オワビニダッコカコウビシナサイ!!」
なんだこの差は・・・しかもさっきと違ってキモい声、前モナーさんに聞いた「糞虫」かな
とりあえず逃げた、その逃げ足の速さで、しかし欲望というものはどこまで生物を強くするのか
はっきりいって糞虫も同じくらい、いや、僕以上に速い
僕はギリギリでギコさんの家に逃げ込んだ
「おう、ショボーンじゃねえか。どうした?その汗」
「じ・・・実は糞虫に追われてるんです・・・」
「ったくまたあのノミ虫か・・・ちと始末の仕方教えてやるでついて来い」
ドアから出るのは非常に危険とみたギコは裏の窓から出た、ショボーンも続く
当然のごとく糞虫はドアの前で怒鳴っている
「ギコクンココヲアケテ!ダッコヲシテクレナイギャクサツチュウヲアボーンスルカラ!」
「いいか、この麻酔銃で・・」

パシュ

声もあげず気絶したしぃを縛り上げるとギコはしぃの肛門にスプレーを起きないようにゆっくり差し込んだ
「あの・・・これは・・・」
「ん?ああこれは最近100円で売ってる「糞虫駆除毒薬」だゴルァ」
「ひゃ・・・100円!!?」
「あとこいつら以外にやってもまったく無害だから・・5・4・3・2・1・・0!」
肛門に刺さったスプレーから大量の猛毒がながれこむ
「ジィィィィィィィ!!!!!」
こんな奇声を上げたあと即死、うわ・・グロい・・・ショボーン
そこにしぃ(本物)が来た
「ギコ君またこんなにちらかしちゃって・・・」
「あ、ワリィ・・・ああ、ショボーン、この毒薬と麻酔銃やるよ」
「え・・・でも・・」
「まだ無茶苦茶あるでいいわ」
「じゃあね、ショボーン君」
「は・・・はい・・」
それからショボーンはいつものようにしぃの死体を捨てるようになった

終わり

38 名前:なんとなく修正 投稿日:2004/08/19(木) 16:50 [ iY8nCNT6 ]
ショボーンがふらつきながら街中を歩いている
「ああ・・・また会社で失敗しちゃった・・・ショボーン・・・・」
1匹のしぃにぶつかった
「ご・・ごめんなさい・・」
こっちからぶつかったのにあやまってくれた。見た目からして教養のありそうな顔だった。
またしぃにぶつかった。
「(やっちゃった・・・・ショボーン・・・)」
しかし、このしぃは先ほどのしぃと態度が違った。
「ナニスンノヨ コノ ギャクサツチュウ!! カワイイシイチャンニ ブツカッタオワビニ ダッコカ コウビヲシナサイ!!」
なんだこの差は・・・しかもさっきと違ってキモい声、この前モナーさんに聞いた「糞虫」っていうやつかな?
でも僕は糞虫の対処法を知らない。だからとりあえず逃げた。僕は正直逃げ足には自信があった、しかし欲望というものはどこまで生物を強くするのか
糞虫も同じくらい、いや、僕以上に速いスピードで追いかけてくる。
僕は飛び掛ってくるしぃを紙一重でかわし、なんとかギコさんの家に逃げ込んだ。
ギコ「おう、ショボーンじゃねえか。どうしたんや?その汗。」
「じ・・・実は糞虫に追われてるんです・・・」
「ったく・・・またあの雑巾虫か。ちと始末の仕方を教えてやる。ついて来い。」
ドアから出るのは非常に危険とみたギコは裏の窓から出た、ショボーンも後ろに続く。
当然のごとく糞虫はドアの前で甲高い声で怒鳴っている。
「ギコクン ココヲアケテ! ダッコヲシテクレナイ ギャクサツチュウヲ アボーン スルカラ!アケテクレタラ ダッコ サセテアゲルヨ!」
「いいか、この麻酔銃で・・」
ギコはそう言って銃を構え、銃口を糞虫に向けた。
パシュ

声もあげず気絶した糞虫を縛り上げるとギコは糞虫を起こさないようにしながら肛門に細いスプレーをゆっくり差し込んだ
「あの・・・これは・・・」
「ん?ああこれは最近5本セット100円で売ってる「糞虫駆除スプレー」だゴルァ」
「ご・・・5本で100円!!?」
「あとこいつら以外にこのスプレーを使ってもまったく無害だからな・・5・4・3・2・1・・0!発射だゴルァ!」
肛門に刺さったスプレーから大量の毒素がながれこむ
「ジィィィィィィィ!!!!!」
しぃは奇声を上げた後、体中の至る所から汚物を吐き出し息絶えた。
「(うわ・・グロい・・・ショボーン)」
そこに先ほど街でぶつかったとき謝ってくれたしぃが来た
「あ〜あ、ギコ君ったらまたこんなにちらかしちゃって・・・」
「あ、ワリィ・・・ああ、ショボーン、この毒薬と麻酔銃やるよ。」
「え・・・でも・・」
「まだ在庫があるんでいいわ」
「じゃあね、ショボーン君」
「は・・・はい・・」
それからショボーンはいつものようにしぃの死体を捨てるようになった

終わり

39 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/20(金) 12:46 [ NHBog5Lk ]

ベビは泣いていた。

母親が死んでしまって。そして困惑していた。なぜアフォでもない私の母が虐殺されるなどと。

「はははは!残ったベビはどう死ぬかなぁ!」
辺りに響くモララーの声。そしてベビしぃの泣き声。

そして・・・・この虐殺劇にはこんな訳があった。

「ウーン!!ベ・・・ベビチャンガウマレルゥゥゥ!!!」
しぃはベビを生んだ。4匹産んだのに三匹は死産だった。

「(ちっ・・・どこで交尾しやがったんだよ。こいつ)」
そして生き残った一匹がちゃんとしたベビになった時・・・・・。

虐殺は始まった。
「俺はペルしぃを飼うんだよ。お前らは邪魔だ。」

「エ・・・・?」
しぃはモララーに寄り添った。どういう事?と聞きながら。
「なれなれしくするんじゃねえ!!」

モララーがしぃを蹴飛ばした。と、同時にペルしぃに唾を掛けられた。
続く

40 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/20(金) 13:07 [ NHBog5Lk ]
>>39の続き
「シィィィ!!!」
しぃは後方に大きく吹っ飛んだ。
ペルしぃはしぃに言った。

「アラ・・・・ホントウニゲスミタイナヤシネ・・・・・コノペルシィサマハフサゲモアルシアンタヨリダンゼンカワイイカラネ」
そして、しぃは銃で頭を撃ち抜かれた。
幼いベビは物事があまり理解できなかった。しかし母が殺されたのは分かった。

「オカァサアアァァン!!!オカァアサァン!!!」
ベビはその後一人で生きていった。もう悲しみも愛も無い。

あるのは怒りだった。
そしてちびしぃになった時、自分達を捨てたモララーの家へ行った。
すると庭に自分に唾を掛けたペルしぃがいた。

ペルしぃは驚いていた。

「ウソ・・・・マサカアノゲスシィノベビガイキテイタノ・・・・・」
続く

41 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/20(金) 13:46 [ NHBog5Lk ]
>>40の続き
するとしぃは答えた。

「ええ。そのゲスしぃとやらはしぶとく生きていましたよ」
しぃは全角で言った。

「ゼンカクゴ・・・・ナンテヒコクミンナノ・・・」
ペルしぃが怒りながら言った。そして目前の物に震えた。包丁だ。

「まずは定番の耳もぎ。」

「シッィィィィ!!!!ペルシィサマノオミミガァ・・・・」
そしてその後、足・腕を引き千切り、腹に包丁を刺し、何度も虐殺棍棒で殴った。

「ハヒャァーン・・・・ソ・・・ソウダ・・・・・ベビチャンヲギャクサツシテモ・・・・イイガラァァ・・・・・ダジィゲデェ」
するとペルしぃのベビが三匹でてきた。

「アニャァ・・・・ペルチィチャマノオマァタンガァァァ」
ベビが泣いていた。そしてペルしぃベビに棍棒を落として三匹とも殺した。

「ホ・・・・・ホラ・・・・・ペルシィサマダケハ・・・・・・タスケテ・・・・クレルンデショウネ・・・・」
そう言ってペルしぃは這いずりながらモララーの家まで行った。
続く

42 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/20(金) 16:08 [ NHBog5Lk ]
>>41の続き。
「ええ。助けるわよ。代わりにモララーを呼んで」
しぃはペルしぃに言うと、
「ウ・・・・ンワカッタワ・・・・モララークーン!」

ペルしぃは叫んだ。
そして入り口にはしぃが居た。
そしてモララーは来た。
「おーいどうしうごぉ!!?」

不意打ちが決まった。しぃの拳が腹に食込んでいた。

「う・・・・てめぇは・・・・あのベビか・・・・カスのくせによく生きやがったな」
モララーが後ずさりながら言った。

そして・・・・
モララーも達磨にした。そしてある事をしようとしていた。
ばしゃっ!モララー達にある水を掛けた。

「シィッ!?ナニスンノヨ!」
「ふざけると神モララーがてめぇの耳ぐらい引き千切るぞ・・・・」
モララー達が怒ると

「ふざけてはいないわ。殺しにふざける必要なんてないもの」
そしてしぃはライターを出した。
するとモララー達が震えて失禁しながら言った。

「マ・・マサカ・・・」
「それはガソリンじゃないだろうな・・・」
遅い。遅すぎる。もう火は点けられていた。

「ご正解。」

「モギャァァァァァ!!!!!!!!」
「シィィィィィ!!!!!!ハギャァウウウウ!!!!!」
そして最後の命乞いだ。

「頼む・・・・謝るから・・・・・」
「ユルジデェェ・・・・・」
そんな命乞いは聞かない。そして三分後・・・そこは灰だけになっていた。

そしてその後、しぃを見かけたものはいない。そしてその日、首を吊ったしぃが発見されたという・・・。
                 END

43 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/20(金) 18:36 [ pxnZ/MFw ]
「BARオマエモカーの惨劇」第3−4編 「敵討ち。」 


第一章 「嗚呼無情」ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/946-947
第二章 「基地突入」ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/968-971
3−1 モナ岩・ぢぃ編 「今日も元気に死死死」  >>12-14
3−2 ギコ丘編 「ダッコとコウビの果てに」   >>26-28
3−3 ジエン編 「ニクコプーンクエ!」         >>34-35

1/7


「シンプルに達磨か……それとも、火あぶり………ここはあえて電気ショック………
 コロシアムで最期の一匹を直に頃す………どれも捨てがたい……………」

モラ谷は虐殺方法を考えながら歩を進めていた。
少しして、結論が出た。「部屋ごとに虐殺方法を変える!」

それはともかく、「シュウカイシツ」という部屋にたどり着いた。
中では会議中のようである。モラ谷は気配を消し、ドアから中の様子を伺った。
「ハニ……ギャクサ………ガコノ キチニ……………ウシタヨ」
「…ベニヨ………ンニュ……クソモナー センノウサレタ ギコクン ジサクジエン クソモララー! サッキ シンキ………………」
「サッ………ワリニイッタ………シンキバチクハ コノカイ イガイハ ゼンメツ………ノカイモ モウネラワレ………」

どうやら、侵入がばれたらしい。
(カメラでも付いていたのか?糞虫にそんな科学力はないと思っていた俺らが迂闊だった……)
モラ谷は話の続きを聞いた。

「………コクンガ……ウダッ………ンテ………」
「ギコク…………クソモラ……」


(『虐殺を行ってもギコは洗脳されているだけ』という最強のプラス思考か。おめでてーな。)
モラ谷はもう少し様子を見ることにした。

「ソコデ……ハ エンセイシテイル ダッコカクメイトウ ゼンシュリョクブタイヲ ヨビモドス コトニ……」

モラ谷は焦った
(革命党!?まずいな。革命党はマスターを殺した香具師らの集まりだ!しかも主力部隊だと!?
 あれはカスどもの集まりだったのか!?もしそうだとすれば、流石におれ一人では片付けきれん!)

モラ谷の中で結論が出た。
「決定される前に〆る!!」

44 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/20(金) 18:37 [ pxnZ/MFw ]
2/7

モラ谷は威勢良くドアを開けた。
「ハニャ!? ギャクサツチュウ!? 」
「ええ。虐殺厨ですが何か?」
「トウトウ シィタチノ トコロニモ キタノネ……」
「氏ぬ準備はできてますか?」
そういって、刃物を出した。
「特にそこのお嬢さん!!!!」
その瞬間、刃物は糞虫の心臓を貫いていた。
「ハギャァァァァァ!! ジィィィィィィ! シィィィィィ!」
その糞虫の手には通信機が握られていた。危うく通信されるところだったと、モラ谷は一息入れる。
「さて、次に氏ぬのは何方?ちなみに怪しい行動をした香具師は、あの子と一緒の氏に方だよ。」
「シィィィィィ………コンナノマ(略」
「ダイジョウブ! スデニ キカンシテイル カクメイトウ ダッコグン 248タイガ ココニ ムカッテイルワ。 ギャクサツチュウハ カクジツニ アボーン サレチャウンダカラ!」
「ハニャーン! ソレマデセイゼイ イキナサイネ! ジャ! アタシタチハ コレデ!」
「チナミニ 248タイハ オニグンソウ マタリ グンソウノ ツウショウ 『ムジョウノオニブタイ』ダカラ クルシマギレノダッコモ ムダダカラネ。ジャ!」
そういって、糞虫たちは姿を消した。
座っていた椅子に脱出装置が仕掛けられていたらしい。
床に穴があき、その下には地下通路らしきものが見える。
「畜生!逃げられた!追うか……それとも………」
しかし、モラ谷には選択の余地はなかった。糞虫たちが言っていた無情の鬼部隊がこの部屋に来たのだ。

「ダイ248ホンタイ タダイマ サンジョウ! カクイン! ギャクサツチュウノ ハイジョヲ カイシスル!」
「「「「「「ハニャ!」」」」」」

鬼部隊の面々は手慣れた手つきで陣取った。
モラ谷は死を覚悟した。
(ここまで……なのか?……俺は、マスターの敵もとれないのか?……)
モラ谷は諦めかけた。
そして、心の中へか、はたまた脳内へ直接か?それとも幻聴なのか……懐かしい声が聞こえてきたのである。
『モラ谷……モラ谷………』
(この暖かい、懐かしい声………マスター!?)
『ああ。俺だ。お前が死ぬのは早すぎる。お前にはまだ逃げ道がある………諦めるな……』
(マスター!どういうことだ!?マスター!)


声が聞こえなくなり、ふと我に返ったモララーは気が付いた。
「ギャクサツチュウヲ アボーン! カクインウテ!」
「「「「「「ハニャ!」」」」」」
あのときと同じ、無情で乾いた音とモラ谷にとって思い出したくない、嫌な音が部屋に響き渡る。
いくつもの同じ音が重なり合う。そして、煙とともにモラ谷の姿が消えていく。

45 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/20(金) 18:38 [ pxnZ/MFw ]
3/7
「シィィィィ………ナニモ ミエナイヨウ………」
「ギャクサツチュウハ アボーン デキタノ?」
煙がはれてきて、だんだんと部屋が明るくなってくる。
しかし、復讐の念に燃えていた赤い血はそこにはなく、
それどころか、モラ谷の姿すらなかったのだ。
「シィィィィィィィィィ!?ギャクサツチュウガイナイ!」
「「「「ナ! ナンダッテー!」」」」
「ソンナワケナイワ!ギャクサツチュウハ スグチカクニ イルハズ! [ハニャンハン]ハ ヘヤノナカヲ ソウサク!
 ソノタノ ハンインハ シィト イッショニ シュウヘンノ ソウサク! [ハニャンハン]ノ セキニンシャハ イツモドオリ シィマダニ マカセマス! デハ サクセンカイシ!」

「何とかなったな………」
暗がりの中にモラ谷はいた。
「しかし皮肉だな……… 頃そうとして逃げられた糞虫どもと同じ穴から脱出するとは………」
そうである。さっき、糞虫どもが脱出して残った穴に、モララーは隠れたのである。

「しかし、見つかるのは時間の問題。この道を進んで他の部屋に出るか………
 それとも、ココで戦力の一部を潰しておくか………」
しかし、流石は糞虫の味方。
この基地の守護神、そして糞虫の味方マターリの神様はモラ谷に選ぶ時間をくれなかった。

「ハニャーン! アナガアッタヨ! ギャクサツチュウハ キットコノナカヨ!!」

(ちっ!もう見つかったか。悩む暇はないようだ!ココで戦力を裂く!)
「糞虫ども!俺はココにいるぞ!早く「シィチャンパンチ!」とやらで俺を頃して見ろ!!
 ああそうか、頃せないのか。弱いから頃せないのか。
 いや悪い悪い。無理要求しちゃって。今なら謝罪にダッコしてやってもいいな………」
「シィィィィィ!! シィタチガ ダッコカクメイトウ 『ムジョウノオニブタイ』 ダッテコト ワスレタノ? チナミニ ダッコシテモ モウ オソイカラ。」
「カクイン! ギャクサツチュウノ ハンゲキニ ケイカイシテ トツニュウ!」
「「「ハニャ!!」」」
糞虫どもは突入してくる。ここまでは作戦通り。
(………次は、ここに地雷を仕掛け、曲がり角の壁に隠れる!!)
モラ谷は地雷を仕掛けた。しかし、糞虫は予想以上に早く接近してくる。
(設置完了!後は逃げるだけ!)


………ドカーン  シィィィィィィィィィィ!! ハギャァァァァァァ!! アhフォスfホアンフェアオノ!! ウジィィィィィィィ!!

肉片と、あいつらが持っていた銃剣が飛んできた。
「………追っ手は来ないな………とりあえず、銃剣は使えるな。いただいておこう。
 そして、俺はこの通路を先に進むしかない!」

46 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/20(金) 18:39 [ pxnZ/MFw ]
4/7
小一時間後。

モラ谷は地下通路の出口にいた。
糞虫どもが逃げ際に仕掛けた、貧弱な警備ロボを踏みつぶし、落とし穴を越え………
簡単に言えば、紅い帽子のひげ面のおっさんが主人公の、
某ゲームの地下面をリアルでやっているような状況だった。

モラ谷は出口から飛び出した。
部屋にいた糞虫どもはすぐに気が付き、
「ハニャーン!? サッキノ ギャクサツチュウ!? ドウシテ 『ムジョウノオニ』ブタイニ ヤラレテナイノ!?」
糞虫が言う。
「いやはや、虐殺厨って呼び名は勘弁してください。虐殺厨やめたんですから。」
モラ谷が爆弾発言をあっさり放つ。
「ハ・ハニャ!? ギャクサツチュウ ヤメタッテ ドウイウコト!? シィヲ ダッコ シテクレルノ?」
「まだ、ダッコするにはおそれが多すぎます。
 今は甘くて、高級で、ふわふわした食べ物をあげることしかできません。」
「ハニャーン! ハヤクヨコシナサイ! ダッコハ カンベンシテ アゲルカラ。 」
「まぁ、もちついて。それを今から作ります。作り方も伝授して差し上げます。」
「ハニャーン!アマクテ(略)ガ イツデモ タベラレル…… マターリノカミサマ ギャクサツチュウヲ カイシン サセテクレテ アリガトウゴザイマス ニャーメン」
「まずは、専用の機械とざらめを用意してください。これがないと、料理が出来ませんからね。」
「メモ スルカラ チョット マチナサイ! センヨウノキカイ ト ザラメ……」
「次に、機械の中央部分の穴にざらめを流し込みます。」
「ザラメヲ キカイノ チュウオウブブンノ アナニイレル……」

ここで、モラ谷は糞虫どもがメモをとっている隙に粉末状の物を入れた。

「機械のスイッチを入れ、数分待つと、糸のような物が出てきます。
 これを割り箸でくるくるまとめていって下さい。」
「スイッチヲイレテ デテキタ イトヲ ワリバシデ マトメル……」
「縁日では有名だけど、なかなか手に入らない(=高級)なお菓子。綿飴の完成です。」「ハニャーン! ワタアメサンダ!」「シィニモ チョウダイヨ!」
「チョット! フタリニアゲテ シィニハ クレナイッテ ドウイウコト!? ハヤク ヨコシナサイ!!」
「チィ!チィ!」「アニャーン! チィニモ クダチャイヨ!」(以下略)
「じゃぁ。漏れはここで基地から出てくYO!しぃちゃん達のマターリに栄光あれ!」

47 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/20(金) 18:41 [ pxnZ/MFw ]
脳内訂正キボン。スマソ。

ラスト4行目、モラ谷と糞虫の台詞、脳内改行おねがいします。

5/7
モラ谷が去った後の部屋内部……

「ハニャーン! ワタアメサン オイシー!!」
「チィ!」
「アニャーン! ママ? コウイウノハ (゚д゚)ウマー ッテイウノ?」
「シィィィィィ!? ダメヨ! ギャクサツチュウノ コトバナンカ ツカッチャ! ツギハ キヲツケナサイヨ!」
「チィィィィィ…………」
「コウイウノハ マターリアジ トカ ダッコアジ トカイウノヨ フツウノシィハ (*゚ワ゚)アマー ダトカ (*>ワ<)ハニャーン♪ ッテヒョウゲンスルノヨ」
「フーン…… ネェ! チィ マタヒトツ カシコクナッタヨ! ゴホウビニ ダッコシテクレル?」
「モチロンヨ!」

親糞虫が手を伸ばしたとたん、

子糞虫は倒れ、お迎えが来た。糞虫にもお迎えって来るんだw
とにかく、子糞虫は逝った。なんの前触れもなく逝った。
親糞虫は叫ぶ。そして己の無力を嘆く。
「シィィィィィィィ!? シィノ………シィノ コドモ………アソコマデ………オオキク………ナッタノニ………
 ビェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ! ナンデ シィノ コドモハ シンジャッタノ………ビェェェェェェェェ!!」
向こうでは、何かに耐え続けた糞虫が、限界を迎えていた。
「ハギャ……… ナンデ……… シィダケ……コンナニ……メニアウノ……………チカラガ…デナイノ………?
 シィィィィィ………ナ………ン………デ………ハギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
絶命の叫びとなり、糞虫は逝った。

その向こうでは、2匹で頑張ってた、ベビギコとベビしぃが逝った。
パンパンしながら頑張ってた2匹が逝った。コウビごっこをしていたらしい。

とぎれては聞こえ、とぎれては聞こえる、
チビしぃの声と思われる、「復活してください。」とともに、2分くらいたった。

48 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/20(金) 18:42 [ pxnZ/MFw ]
6/7
勢いよく、ドアが開いた。
「シィタチハ ダッコカクメイトウ ダッコグン248タイデス! ナニガアッ……シィィィィィィィィィィィィィ!?」
ダッコ革命党の面々はドアを開けたとたんに、面食らった。
なにせ、部屋が流血なしの全滅の状態だからだ。
革命党は、奇跡的に残っていた逝きかけの糞虫を見つけた。
「ハニャーン! コノコ マダイキテル! [ハニャニャ]ハン! キュウゴノ ジュンビヲ!!!」
「「「「シィ!!」」」」

糞虫の糞虫らしい応急処置はやっぱり無駄だった。
そのまま、逝った。
「シィィィィィ……コノヘヤハ ゼンメツ デス!! ナオ シゴ ソレホド タッテナイ コトカラ ギャクサツチュウハ コノフキンニ イルモノト オモワレマス!!」
「ゼンイン! タンタイコウドウヲトリ ギャクサツチュウノ ソウサク!! ハッケンシシダイ レンラクナシデ アボーンヲ キョカシマス! タダシ ジゴホウコク ゲンシュ!」
「「「「ハニャ!!」」」」
「シィハ サッキカラ オウトウノナイ ハニャンハンノ オウエンニ イキマス カクイン!! サクセンカイシ!」
「「「「「「「ハニャ!」」」」」」」」



モラ谷は部屋を出たとたん、
「いやぁ、よくあの暴言に耐えたよなぁ。漏れ。
 普段だったら頃してスキーリしてただろうな。
 とりあえず、トリカブト入れておいたから、この部屋はもう助からないな。
 しかも、モラ塚研究所開発のじわりじわりと効いてきて、いきなりコロリ……
 糞虫どもの顔が見物だなw………… ないとは思うが、耐え続けたら、絶命したときは 相当楽だろうなw………… 
 おっと、革命党がうろついてる。長居は出来ない。急ごう。」

49 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/20(金) 18:42 [ pxnZ/MFw ]
7/7
モラ谷は部屋を去った。
ちなみに、毒が発現し始めたのは7分後。革命党が来たのは、10分後。
(いずれも、モララーが去ってからの換算。)


モラ谷は勢いに乗り、多くの種類の虐殺を行った。マスターの恨みはやはり重い。
電気ショック、スカトロジェットで天井激突、だるまさん、殺し合い、飛び出さない○○ひげ危機一髪、
入るときにやろうと思っていた解剖もやった。
料理(出来た料理は排水溝に投げ捨てたw)試し撃ちの的、地雷の爆発実験、サンドバック代わりにもした。
解剖の時なんて、一匹頃しただけで、残りが全部ショック氏。もう禿藁。
全ての部屋を片づけた後、モラ谷は新木場地区へ向かっていった。


そのころ。ハニャン班の援軍に向かった鬼部隊の隊長は……………………

「シィマダ! シィマダ!! オウトウ シナサイヨ!!…………………… ハニャーン!! イッタイ ナニ ヤッテンノヨ!!」
駆け足で、会議室の前についた。


………………………………シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!?

=第3章完 各員の第4章へ続く。=

50 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/20(金) 23:56 [ TxYy9Is6 ]



とりあえず人物紹介


谷口 モラ助・・・主人公的な存在にあたる、アフォしぃのことを非常に嫌っている
風松 ギコ雄・・・いつも単独行動をとる、しかし無口ではなく曲がったことは好きではない
谷口 モナ火・・・モラ助の双子の弟にあたる、間抜け
山本 しぃ九・・・アフォしぃ達を裏切り虐殺に手を染める、仲間に対してはとても優しい
風松 フサ牙・・・忍者、ギコのイトコにあたる存在



「おい!モナ火!起きろ!!」
「んー?・・兄貴はせっかちすぎモナ」
「今日は他の奴との会議だろーが!!」
「・・・・・・・ええ!!?ウソ〜!!」


本来の10分遅れてモラ助たちは会議場についた

「みんな!遅れた!スマソ」
「ったくおせーよゴルァ!」
ギコ雄が椅子にもたれてめんどくさそうに言う
「まあまあ、それより会議を・・」
しぃ九が会議を進めるようにフサ牙に言う、ちなみにリーダーはフサ牙だ
「んじゃあ始めるぞ、今日はアフォしぃのアジトに乗り込むため全員集まってもらった」
フサ牙は前のホワイトボートに「作戦」を書き込む
「モラ助はここ、モナ火はここ、ギコ雄はここ、しぃ九はここ、んで俺はここだ。わかったか?」
「O・K」
そして、作戦は始まった

続く

51 名前:勝手に修正さん 投稿日:2004/08/21(土) 14:27 [ xLc8u6YM ]
とりあえず人物紹介


谷口 モラ助・・・主人公的な存在にあたる、アフォしぃのことを非常に嫌っている
風松 ギコ雄・・・いつも単独行動をとる、しかし無口ではなく曲がったことは好きではない
谷口 モナ火・・・モラ助の双子の弟にあたる、間抜け
山本 しぃ九・・・アフォしぃ達を裏切り虐殺に手を染める、仲間に対してはとても優しい
風松 フサ牙・・・忍者、ギコの従兄弟にあたる存在



「おい!モナ火!起きろ!!」
「んー?・・兄貴はせっかちすぎモナ・・・」
「今日は会議の日だろーが!!」
「??・・・・・・・ええ!!?マジかよモナ〜!!」


集合時間に10分遅れてモラ助たちは会議場に着いた。

「みんな!遅れてスマソ。」
「ったくおせーよゴルァ!これで何度目の遅刻だ?」
ギコ雄が椅子にもたれて物臭そうに言う
「まあまあ、それより会議を・・」
しぃ九が会議を進めるようにリーダーのフサ牙に言う、
「んじゃ始めるぞ。今日はアフォしぃのアジト「ハニャーン地下要塞」に乗り込むため全員集まってもらった」
フサ牙は前のホワイトボートに「作戦」を書き込む。
作戦の説明が済むと、今度は配置を決める。
「配置は、モラ助はここ、モナ火はここ、ギコ雄はここ、しぃ九はここ、それから俺はここだ。わかったか?」
「OK。」
そして、作戦は始まった・・・

続く

52 名前:がるく 投稿日:2004/08/24(火) 09:31 [ CQppBHhk ]
ある晴れた夏の日。



ああもう。頭に来る

そう思いながら、しぃの頭を踏み潰す
グロテスクな脳の肉片と脳漿が飛び散る
表情は怯えと恐怖に混ざっている癖に、何故か狂気と嬉しさの表情も混ざっているように見える


いつものうるさい悲鳴すらも聞こえないくらいに別の事を俺は考えていた

一夜抱いてやっただけだろう


俺の事をあんなに蔑みやがったあいつめ
薄桃色の瞳に、ふんわりした手応えの毛だった

何で俺があんなに馬鹿にされなければいけないんだ。この野郎


あんな奴

死んでしまえ

53 名前:がるく 投稿日:2004/08/24(火) 09:31 [ CQppBHhk ]
殺せば殺す程、喉が乾いてくる ああ、汗のせいか

そして最後のしぃの頭に手を掛けようとしたら、そいつは立ち上がった
別に驚きもしないので、続きをしようと思い耳に触れようとする俺の手を叩いた


「なんで殺すの。私の友達、子供達を」
無表情で抑揚も無く言った

俺はまだ叩かれた自分の手を眺めていた。微かに赤いが・・・・・まぁ大丈夫だろう
そしてそのしぃが言った言葉に気づくと、俺は言った

「何故俺に反抗する」
多少はむかつき言ったものの、落ちついて対応してみるように努力する
なんでこういう事をしようとするのか自分でも分からない

「なんで殺すの。私の友達、子供達を」
同じことを同じように繰り返す。何だこいつは
しょうがないので、俺も溜息混じりに答えた
「むかついていたからさ」

「だったらあなたのその理不尽な考えで私の友達、子供達は死んだ」
しぃはうつむいて、ぶつぶつと何か言っている

54 名前:がるく 投稿日:2004/08/24(火) 09:32 [ CQppBHhk ]
私の子供達と友達を、返して」
  

包丁を持ったまま、こっちに向かって歩いてくる
おぼつかない足取り。半分開いた口。
俺は、そいつを返り討ちにしてやろうと腕を伸ばす
だが、途中で動かない。何故だ

ずぶりと腹にゼリーの感触みたいに刺さる包丁。嫌な感触だ
腹がひどく、熱くて痛い
口から血が溢れ出る。喉が詰まりそうで咳き込むと余計に出てしまう

しぃがうつむいていた顔を上げ、俺と視線を合わせる

薄桃色の瞳、ふんわりした手応えの毛

ああこいつは、昨日抱いてやったしぃじゃないか


「さよなら。理不尽な考えの人」
包丁をゆっくりと抜き取る。そこからまた血が噴き出す


そして、しぃは自分の眉間に深く包丁を突き刺した

薄桃色の瞳から血の涙  口からもどろりとした血が
後ろにばたりと仰向けに倒れる


その様子をじっくりと眺めていた俺も、膝をつき うつぶせに倒れる




ある晴れた夏の日の出来事。





終わり。

55 名前:>>50続き 投稿日:2004/08/24(火) 17:40 [ QkZWZw9. ]

アフォしぃのアジトに乗り込むと、全員は一斉に配置についた
当然のようにそこらに警備隊のアフォどもがうろついている
「こちらフサ牙、モナ火、応答しろ」
「こちらモナ火、どう侵入する?」
「よし、全員に伝えろ。1人2体ほど撃ち殺せ、そんで他のアフォが動揺してる隙に侵入しろ」
「了解、・・・・・リーダー!!!ギコ雄からの応答がない!!」
この瞬間、フサ牙に最悪の創造がよぎった
「ったくあのバカが・・・モナ火はしぃ九を護衛、モラ助は俺の所へ来い!」
「了解!」


そのころ、ギコ雄は
「ったくフサものろすぎだっつーの、先に入らせてもらったぜ・・・」
そう、ギコ雄はいつも単独行動をとる、このときも「大した任務じゃない」と油断していた
「さてと・・・・まずは「ダッコ室」の糞どもを始末するか・・」
1匹の糞虫がドアの前に来た
「アイコトバハ!!」
「シィハカミサマ、モララーハドレイ!!」
「ハイッテヨシ」
ふーん・・・・・合言葉か・・・
ギコ雄がドアの前に来る
「アイコトバハ!!」
しかしギコ雄はここで最大のミスを犯してしまう
「しぃは神様、モララーは奴隷」
そう、半角で喋るのを忘れていた
「ハニャ!!チガウヨ!!ミンナギャクサツチュウヲオボーンスルヨ!!」
「な・・まあいい、どうせ糞だしな」
しかしその数は、ギコ雄が思うよりはるかに多かった。5、60匹ほどである
「クソッ!!」
ギコ雄は走った、なぜなら自分はギコ、奴等に捕まったら最後、一生ダッコや交尾をしてなければならない
「ハニャ!!ギコクンダ♪ミンナー!!ギコクンヲツカマエテー!!」
「ハニャーン!!(了解!!)」
ギコ雄は出口まで一気に滑り込んだ
「クソッ!!間に合え!!5・4・3・2・1・・・」
「ダッコ室」が爆発、その爆風がこちらに迫ってくる、ギコ雄がドア前に仕掛けた時限爆弾だ
爆風に当たった糞虫は爆風に乗ることができず、首や手足が吹っ飛び死んでいく
「(頼む・・・成功してくれ!)」
ギコ雄は途中で右に曲がり、窓を突き破って外に出た、窓から出てくる爆風に乗り

そのままギコ雄はアジトから20mほど先の湖に落ちた


そのとき、ギコ雄は背中に激痛を感じた、どうやら爆風に乗った時の火傷らしい
しかも今日は気温38℃、直射日光のあたった湖じゃ応急処置にもなりゃしない
這いつくばるように湖から上がると自分の通信機が鳴ってるのに気づく
「こちらギコ雄、アジトから20mほど先の湖で重傷・・・」
その言葉を最後に、ギコ雄の意識は消えた


続く

56 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/08/24(火) 18:35 [ EhDfsmT. ]
八つ当たり

「キョウモゲンキニシィシィシィ♪」
しぃがお馴染み糞音頭を歌ってると、

「うるせぇ」
めきゃ。と拳が顔に食込む。

「シィィ!!?ドウシテシィチャンガ・・・・」
するとしぃがちびしぃの所へ走っていった。

「ア!オカアサンオハヨ・・・ジィィイ!?」
しぃの蹴りが顔に当たった。

そしてこのちびしぃはベビしぃではなくベビでぃの場所へ・・・・

「ア・・・チビシィサギィ!!?」
やはり同じ蹴りだった。
しぃとちびしぃは口を揃えて
「ド ウ シ テ シ ィ チ ャ ン ガ!!」
と言った。

すると物陰からモララーが出てきた。
そして・・・
「要するにあんたらのちっぽけな頭が原因さ。」
しぃとちびしぃの脳は完全に抉られていた。そして、ベビでぃはモララーに抱かれていた。

「よしよし あんたは俺が育ててやるからな!」
しぃとちびは死に際に、
      ディ   
「ゴ・・・・・ネ・チビチャ・・・・・・ン・・・・・・」
と言った。そして死んだ。その後でぃはモララーの介護でしぃに戻れたと言う。
           終

57 名前:勝手に修正さん 投稿日:2004/08/25(水) 11:39 [ X8Uspj/. ]
アフォしぃのアジトに乗り込むと、全員は一斉に配置についた
当然のようにそこらに警備隊のアフォどもがうろついている
「こちらフサ牙、モナ火、応答しろ」
「こちらモナ火、どう侵入する?」
「よし、全員に伝えろ。1人2体ほど撃ち殺せ、そんで他のアフォが動揺してる隙に侵入しろ」
「了解、・・・・・リーダー!!!ギコ雄からの応答がない!!」
この瞬間、フサ牙は嫌な予感がした。
「ったくあのバカが・・・モナ火はしぃ九を護衛、モラ助は俺の所へ来い!」
「了解!」


そのころ、ギコ雄は
「ったくフサものろすぎだっつーの、先に入らせてもらったぜ・・・」
そう、ギコ雄はいつも単独行動をとる、このときも「大した任務じゃない」と油断していた
「さてと・・・・まずは「ダッコ(*゚ー゚)室」の糞どもを始末するか・・」
1匹の糞虫がドアの前に来た
「アイコトバハ!!」
「シィハカミサマ、モララーハドレイ!!」
「ハイッテヨシ」
ふーん・・・・・合言葉か・・・
ギコ雄がドアの前に来る
「アイコトバハ!!」
しかしギコ雄はここで最大のミスを犯してしまう
「しぃは神様、モララーは奴隷」
そう、半角で喋るのを忘れていた
「ハニャ!! チガウヨ!! ゼンカクデ シャベルノハ ギャクサツチュウヨ! ミンナデギャクサツチュウヲ アボーンスルヨ!!」
「な・・まあいい、どうせ糞虫の戦闘力なんてたかが知れているからな。」
しかしその数は、ギコ雄が思うよりはるかに多かった。5、60匹ほどの糞虫ぃが一斉に向かってきたのである。
「くっ!!」
ギコ雄は走った、なぜなら自分はギコ、奴等に捕まったら最後、一生ダッコや交尾をしてなければならない
「ハニャ!!ギコクンダ♪ミンナー!!ギコクンヲツカマエテー!!」
「ハニャーン!!(了解!!)」
ギコ雄は出口まで一気に滑り込んだ
「クソッ!!間に合え!!5・4・3・2・1・・・」
「ダッコ室」が爆発、その爆風がこちらに迫ってくる、ギコ雄がドア前に仕掛けた時限爆弾だ
爆風に当たった糞虫は、首や手足が吹っ飛び死んでいく。
「(頼む・・・成功してくれ!)」
ギコ雄は途中で右に曲がり、窓を突き破って外に出た、窓から出てくる爆風に乗り

そのままギコ雄はアジトから20mほど先の湖に落ちた


そのとき、ギコ雄は背中に激痛を感じた、どうやら爆風に乗った時の火傷らしい
しかも今日の気温は38℃、直射日光のあたった湖じゃ応急処置にもなりゃしない
這いつくばるように湖から上がると自分の通信機が鳴ってるのに気づく
「こ、こちらギコ雄…アジトから20mほど先の…湖で…重傷を……」
その言葉を最後に、ギコ雄の意識は薄れていった…


続く

58 名前:手フェチ (R.e180t.) 投稿日:2004/08/28(土) 01:13 [ /TBou94I ]
ある晴れた昼下がり。丁度昼食の時間、辺りは昼食を食べにいく人たちで賑わっている。
その中で、ごく一般な会社員、モラ吉影は昼食を買いにパン屋の『モナジェルメン』に向かっている。
途中、女子社員達がモラに近づいて

「あの、よかったら私たちとお昼ごいっしょしませんか?」

などと声をかけてきたが丁重にお断りした。

モラ吉影には『彼女』がいたからだ、だから断ったのだ。『正式』な『彼女』ではないが。

モラジェルメンについたモラは店を入った直後、『彼女』に喋りかけた。

「おいおい、何を怒ってすねているんだ?新入社員の女の子達に『お昼』を誘われただけじゃあないか。
 君とお昼食べる約束してたのに一緒に行くわけないだろう?すぐに誘いを断ったのを聞いてただろ?」

一人ごとをブツブツ呟きながらトレイなどを取り、パンを眺めている。

「僕が君を一人ぼっちにさせたことがあるか? ン?
 さ……、心配はいらないから一緒にサンドイッチを選ぼうじゃあないか」

モラ吉影が上着の内ポケットに手を伸ばすと中から女の 『手』 だけが現れた。
そう、モラ吉影が 『彼女』 といっていたのは 『女の手』 だったのだ
モラ吉影がサンドイッチを買い、外に出ると一目散にモラ中央公園の方に歩いていった。
モラ吉影は公園の木によりかかると買ったサンドイッチにかぶり付いた。

「美しい町だ…… モラ王町…… こんなすばらしい町が他にあるかな……
 まるでピクニックに来てる気分だね」

『手だけの彼女』に話かけながらモラ吉影はつぎつぎとサンドイッチを飲み込んでいく。
途中、何かに気づいたのか。鼻をクンクンさせて匂いを嗅ぐと
おもむろに消臭スプレーを『彼女の手』に振りかける。

「……」
(ちょっと匂ってきたか…… この女ともそろそろ別れ時かな、手を切る時期か……
 『手を切る』 ……ククク… またどこかで歌を歌っているしぃを見つけてくるか……)

モラ吉影は彼女を再び内ポケットにしまうと残りのサンドイッチを平らげた。

59 名前:手フェチ (R.e180t.) 投稿日:2004/08/28(土) 01:14 [ /TBou94I ]

時は過ぎ、日が沈んで真っ暗になる頃、モラ吉影は帰路を歩いていた。
真っ直ぐ家に帰るのではなく、ちょっと違う道を歩いて寄り道をしている。
そう、新たな『彼女』を探しているのだ。モラ吉影が歩いていると前からちびギコとちびしぃのカップルが歩いてきた。

「……」
(『カップル』か。まあ僕はさすがに『カップル』の女はごめんだ)

そう思っていたが前をよく見ていないカップルとモラは思い切りぶつかってしまった。

「……ッ、 おっと、すまない、余所見をしてしまったよ」
「痛いデチ!何をボーッとしてるんデチか!ちびしぃタンに何かあったらどうするんデチか!」
「ホント シツレイ シチャウワネ」
「……」
(なんだこいつら……)

倒れた拍子に落としたカバンからナツメの爪切りがちらりと顔を覗かせている。
モラはカバンを手に取り中身を片付けてさっさとここを去ろうとしたが――。
「ププッ、見たデチか?今時 ナツメ の爪切りなんて持ってたデチよ」
「ダサイワネ カンジワルイシ ムカツクワ!」
「ほんと、もう時代遅れだというのに笑っちゃうデチ!」
「アハハハッ チョウダサー ムカツクー」

「……」

今の言葉を聞いてモラはピタリと止まり、行き先を変えた。
さっきのクソカップルに感づかれないようについていった。
クソカップルはあるマンションにたどり着くとマンションの階段を上り家のドアを開けた。

「ネエー、ハヤク ダッコノネックレス カッテヨー」
「そのうちデチ!」

ちびギコがドアを閉めようとした途端、モラの手によってそれは阻止された。
モラが強引に手で扉をこじ開けるとずかずかと中に入っていく。

「お、お前!何をしてるデチ……」

ちびギコが最後まで言う間もなくモラは持っていた鈍器でちびギコの頭を粉々に吹き飛ばす。

「かレブェアガァア!」

ビチャッと嫌な音がし、ちびギコだった物体は崩れ落ちた。
その様子を見たちびしぃは腰が抜けてモラを見ながら後ずさりをしている。

60 名前:手フェチ (R.e180t.) 投稿日:2004/08/28(土) 01:15 [ /TBou94I ]

「ヒ……ッ ヒィ……ッ!」
「1LDKのマンションか…… ちびギコにしては良いマンションに住んでいるじゃあないか
 それともここはキミのマンションかね? ン? 何をそんなに怯えている?」

ちびしぃは体を震わせながら必死にモラから離れようとしている。

「私の名はモラ吉影、モラ有デパートに勤務しているごく一般のサラリーマンだ。
 妻子はいない。年齢はこう見えても33歳だ。ちびしぃちゃん、君の名前を教えてほしいのだが?」

「チ、チ、チ、チビタンニ ナ、ナ、ナニヲシタノ……?」

ちびしぃに質問されモラ吉影は鬼のような形相に変貌した。

「質 問 を 質 問 で 返 す な ァ ー ッ !
 疑問文には疑問文で答えろと学校では教えているのかァッ!?私が『名前は?』と聞いているんだァッ!」

「アヒィィィ! シィコッ! シィコォォ!!」

「しぃ子? ンーッ いい名前だ。 ところでしぃ子さん、私の爪を見てくれ。
 ほらッ こんなに伸びている。 ちょっとこの爪を切ってほしいのだがね」

そういうとモラ吉影はカバンから爪切りを取り出しちびしぃに渡した。

「ほらっ! 私の持っている  ダ サ イ ナ ツ メ の 爪 切 り  でねッ!
 他人の爪を切ったことがない?だめだめ、これも経験だよ!深爪しないように気を付けて……」

「アウウ、ヒィィ、コ、コロサナイデ……」

ちびしぃは泣きながらモラの爪を切り始める。

「そうそう、中々うまいじゃないか」

「ユ、ユルシテ、コロサナイデ……」

ちびしぃは必死でモラに命乞いをする。爪を切りながら……。

「許す? 何を許せというのね? 勘違いしないで貰いたい、私は何も怒ってるわけじゃないのだよ
 ふむ、うまく爪を切り終えたようだね。 よく出来たじゃないか。褒美を上げよう」

モラ吉影はちびしぃの耳を掴むと赤子の手をひねるように引きちぎった。

「シィギャアアア! シィノオミミガァー!」

「ほらほら、君の美しい耳だよ。これにさっきのちびギコ君の耳をつけてだね。
 ほらっ!こんなに美しいペアのイヤリングができたよ!片方耳はなくなったがもう片方の耳につけたまえ」

モラ吉影は無理やりちびしぃの片方の耳にイヤリングをつける。

「とっても良く似合うじゃないか」

モラ吉影は鈍器を手に取りちびしぃをタコ殴りにし始めた。

「君にも同じ痛みを分けてあげよう。カップルは同じ痛みを分かち合わなければいけないだろう?」

61 名前:手フェチ (R.e180t.) 投稿日:2004/08/28(土) 01:15 [ /TBou94I ]

ドゴッっと顔面に一発殴る。

「ブギィィィ! ギジィィィィ!」

次に手足を殴る。

「ジギャアアア! シィノアンヨガァァッ!」

次は尻尾。

「アギエエエエ!モウヤベデェェェ!コロサナイデェェェェ!」

「ほーら、ほらほらほらほら! そんくらいで泣いちゃだめだぞー。
 さっきのちびギコ君は顔面にモロキツイ攻撃を食らったが泣かなかったじゃあないかッ!
 あのちびギコ君を見らなわなきゃいけないぞ。 ほら! 見 ら な う ん だ よォォォォ!!」

泣く暇もなく一撃で頭を吹っ飛ばしただけだが、そんなことはお構いなしにちびしぃを殴りまくる。

「……」
「ふうっ、やっと泣き止んでくれたね? そして喋らない君は実に美しい」

原型を留めないほど顔面がグチャグチャで、体はもはや肉の塊と化している。
片方の手だけを持ち、モラは立ち上がって内ポケットにしまった。

「まあ、僕はロリコンじゃあないが…… 腕だけとなれば年齢も関係なく清く付き合えるよね?」

モラがマンションを出て行ったあとは頭が粉々になって倒れているちびギコだったものと
体が肉の塊となり、顔面ぐちゃぐちゃのちびしぃだったものだけが残されていた。

「とてつもなく良い気分だよ。君の名は…… なんだっけか?
 忘れてしまったがまあいいだろう。さあ、かえって君の手料理でもご馳走になろうか?僕も手伝うよ」

再び帰路を歩くモラ吉影であったが、その顔はとても充実感に満ちた顔だった。
新しい『彼女』を得たのだから。 またその『彼女』も手を切られるわけであるが……。


おわじ
追記:ナツメさんスイマセン。許してください、NONONONO! もしかしてウルセエッ!ですかぁぁぁぁぁ!?

62 名前:MR  1/9 投稿日:2004/08/28(土) 22:04 [ lszM1MSg ]
私とモラ男(糞虫狩り)


ある日、十歳になる息子のモラ男に言いました。
「おーい、糞虫狩りにいくぞーーー!!」と。
すると息子は今までやっていたファミコンの手を止め、キラッキラした目で
「ホント!?パパ!!」
と、エレベーターから落ちて、くるくると回り死にしているスペランカーなど
気にも留めず、大層喜んでくれました。
私は晩酌で興が高じると、糞虫狩りの興奮と快感を語って止まなかったものですから、
それを聞いていた息子は、いつか私が狩りに連れて行ってくれる日を待ち望んでいたのでしょう。
すぐさま一緒に準備を始めました。
先ずは武器を選ぼうと物置に行くと、息子は大分興奮した顔で、
「僕はこれを使いたいな!!」
とバールの様な物を、ぬーと突き出すのです。
私はこんな玄人好みの得物を選ぶ息子は、将来大物になるのでないかと頬をゆるめつつも、
「これこれ坊や、これからATM強盗に行くんじゃないんだから。
もっと初心者にふさわしい武器を選んであげよう」
と、棚に飾ってあるトゲトゲバットを差し出しました。
無数のスパイクが付いた鋼鉄の棍棒に、
「凄い!これなら糞虫の脳天を一撃で粉砕できるね!!」
と興奮気味です。
私はその他必要な道具を確認しました。
糞虫の屍骸を片付けるゴミ袋、ベビを生け捕りする場合に必要な糞虫かご、
虫除けスプレーなどもこの季節必須アイテムです。
道具を詰めた登山用かばんを背負うと、私は自分の武器であるおろし金を持ち、
モラ男の手を引いて意気揚々と狩場へ向かいました。

63 名前:MR  2/9 投稿日:2004/08/28(土) 22:05 [ lszM1MSg ]
市街地では景観美化のため糞虫などの虐殺は禁止されておりますが、
屍骸処理を行うならば、公園などでは解禁されています。
さて、この臨海部に広がる公園はかなりの広さがあり、狩りに適した場所と
普通の利用者の場所とは離れた構造になっています。
糞虫狩り初心者のモラ男を連れて来るには格好の場所です。
高台からは海が見え、さわさわとそよぐ潮風が興奮にほてった頬に爽やかです。
まず我々は木陰や藪の中を探索しました。
狩りでは、先ず奴らの棲家、ダンボールを見つけるのがセオリーです。
10分程探したときでしょうか。
ミンミンゼミがかまびすしく鳴く桜の木の木陰で、思わずウッと鼻を押さえました。
このえも言われぬ異臭。欲情したブタの屁のような臭い。
異臭の元に目をやると、モラ男はややっ!と声を漏らしました。
間違いありません、糞虫の棲家のダンボールです。
木の陰に隠れ、様子を伺います。
今にも「ハニャーン」と糞虫の鳴き声が聞こえてきそうです。
興奮に乾いた唇を舌で湿らせ、得物を握り締めました。モラ男の荒い息遣いが聞こえます。
しかし、もう五分程様子を見ていますが、一向に姿を現しません。
寝ているのか?いや、それなら「ギコクン コウビ コウビ!」等の寝言やいびきが聞こえるはずです。あるいは空の巣なのか?
私は意を決してすっくと立ち上がると、猛然と巣へ突進しました。
そして思いっきりダンボールを蹴り上げたのです!

64 名前:MR  3/9 投稿日:2004/08/28(土) 22:06 [ lszM1MSg ]
がたん、ごとん、ごろん、
ダンボールはゴロゴロと転がっていきましたが、他になんの反応もありません。
箱が置いてあった地面から、ワラジムシやアリが出てくるばかりです。
「空か…」
そう嘆息する私の手を、モラ男が引きました。ささやく様に言います。
「パパ、…何か聞こえない…?」
耳を澄ますと、確かに、何か聞こえます。
「……ハニャン ハニャン ハニャーーーン…」
この同人女に媚びた、脳のシナプスが蝕まれる様な鳴き声は、紛れもなく糞虫のものです!
名前の分からない広葉植物の茂みの中、やぶ蚊の羽音など忘れてしまう程緊張して接近しました。
茂みに身を隠して糞虫の姿を肉眼で確認したとき、私は、わが目を疑いました。
仰天の余り持っていた武器を落としそうになりました。
そこにいた糞虫は、大きな腹を投げ出すように尻餅をつき、どす黒い陰部があらわになるほど股を開き、眼を硬く閉じて苦しげに鳴いていたのです。
「ハニャーン! ハニャーン! ハニャーン! ハニャ…ハギャーーン!!」
そう、妊娠しぃでした。
妊娠しぃを目撃するのも希ですが、今まさに出産しようとしている個体を発見するのは
糞虫狩り十五年の私ですら初めてでした。

65 名前:MR  4/9 投稿日:2004/08/28(土) 22:06 [ lszM1MSg ]
「ハニャ!! ハニャ!! ハニャ!! ハギャーーーー!!」
いきんでいた糞虫が突如奇声を上げると、にゅるりと、またぐらからベビが生まれました。
ピンク色でまだ手足も短く、オミミもくしゃくしゃなそれは、薄い膜に覆われ、
もぞもぞと動いています。
糞虫は次々とベビを生み、ついに4匹の糞幼虫が誕生しました。
「ハアッ ハアッ ハアッ…」
大仕事をなし終えた糞虫は、肩で息をしながら、しばらく動けないでいましたが
「ミィ」「ッィ」
ベビの鳴き声を聞き、ハニャッ!?と我に返りました。そして
「ベビチャン? シィノ ベビチャンダヨネ? 皆ナ シィノ ベビチャンダヨネ!?」
と、あの口をワの字にする、憎憎しい表情でベビをダッコするのです。
最早モラ男は限界のようでした。
憤怒とも歓喜ともいえぬ表情で、トゲトゲバットに舌を這わせ、今まさにあの場所に
暴れ込もうとしていましたが、私はそれをいさめました。
「モラ男よ、しばし待て。もう少し様子を見ようじゃないか。
あの糞虫とベビをもっとマターリさせるんだ。そして、奴らのそれが最高潮に達した瞬間…」
シュッとのどをかき切るジェスチャーをすると、
「奴らを阿鼻の地獄に叩き落すんだね。」
と、息子はうなずきました。
我が子との阿吽の呼吸に糞虫狩りの成功を確信しつつ、糞虫親子の観察に入りました。

特有の細い舌でベビの体を舐めていた糞虫。ベビが「チィ」「ミィミィ」と鳴きだすと
「ハニャ? オ腹ガ空イタンダネ! ママノオパーイ イッパイ飲ンデネ!」
と、寝そべった横腹にベビを集合させ、授乳を開始しました。
まだ上手く飲めないらしく、少し飲んでは休み、また飲んでは休みをくり返しています。
糞虫はその姿に目を細めながら
「ベビチャン ママハ絶対アナタ達ヲ 守ルカラネ。 ドンナ事ガアッテモ 立派デカワイイ大人シィニ 育テルカラネ」
と独り事を言うと、寝息を立て始めたベビと一緒に、船をこぎ始めました。
数分後にはベビの無残な屍骸が眼前に晒されるとは毛筋の先ほども考えていません。
何が「カワイイ大人シィ」でしょうか。私は奴のセリフを心中で反芻すると、
自然に殺意が高揚するのが分かりました。
糞虫がうつらうつらとするとベビが「ミィミィ!」と泣き出します。
その度に起き、「ベビチャン ゴメンネ オパーイ アゲルカラネ」とまた授乳するのです。
実に健気な母親ぶり。「動物キソウテソガイ」なら「ママのおぱーいおいしいよう」等と
ウザいナレーションが入りそうな場面。
我々はウィダーイソゼリーをすすりながら、虐殺開始の好機を伺っていました。

66 名前:MR  5/9 投稿日:2004/08/28(土) 22:07 [ lszM1MSg ]
ようやく授乳が終わったとき、ベビは「ミュイ ミィイ」とむずかりました。
小さいオテテをばたつかせ、尻を振っています。
「ハニャ!? ソウカ ウンチサン シタインダネ!」
糞虫はベビの肛門をぺろぺろとやり、排便を促すのです。
その時、私はハンティング開始の好機到来を直感しました。
モラ男の目を見やって
「GO!」
と鋭く吼えると、茂みの中から跳躍し、奴らの前後にバーソと立ちはだかります。
「ハ…ハニャ!?」
驚いたのは糞虫です。突然のモララーの出現に呆気にとられながらも、
「ギ…ギャクサツチュウ!!」
と自分が置かれた状況を把握し始めたようでした。
「酷いなしぃちゃん。僕達は、君のベビの排便を手伝おうとしてるんだよ?」
「ミィ? ミィミィ」
生まれたばかりのベビは何の警戒もせず、私の足元へちょこちょことやって来ました。
「シィィィィィ!! ベビチャン駄目!!」
糞虫が声を上げたのと同時!
私はベビをむんずと掴み上げると、やおら懐中よりねりわさびを抜き、
小さな小さなケツにぶち込んだ挙句、渾身の力でチューブを握りしめたのです!
ボグン!と急激に膨れ上がるベビの腹!わさびを抜くと、血の混じった便が一気に噴出する!
「ギュィィィィィィィィィィィ―――――――――――――――――――――!!」
ぶびゅりゅ!!びゅりびゅりびゅりびゅり!
ベビの断末魔と脱糞とは同時でした。ビグンビグンと痙攣しながら体内の糞を撒き散らし、ケツの穴を引き裂かれ、口からは緑色の液体を垂れ流しながら、短い生涯を終えました。
「シィイイイイイイイイイイイイイイノ ベビチャンガーーーーーーーー!!」
糞虫は両手をバンザイさせ、大粒の涙を流してベビの屍骸に近づきました。
「ネエ、嘘デショ!? ベビチャン チィチィッテ言ッテ ホラ ミィミィッテ鳴イテ!!」
大事にダッコしぺろぺろと舐めるが、ベビは裂けた肛門から腸をだらりと垂らし、
縦長の楕円形に開いた口は、妙な液体を流すばかりで終に愛らしい声を発することはなかった。
「ドーーーシテコンナ事ニーーーーーーーーーー!!」

67 名前:MR  6/9 投稿日:2004/08/28(土) 22:07 [ lszM1MSg ]
ビエーンと泣き出した糞虫は私に向かって来ました。
「返シテヨ!! シィノベビチャンヲ 返シテヨ!!」
「おやおや、そんなことやってる場合ですか?他のベビちゃんも危ないんじゃないですか?」
ハッとして振り向くと、モラ男は一匹の糞幼虫を踏みつけにしていました。
「ビィーーーー!! ギュイイーーーー!!」
ベビの絶叫を聞き糞虫は駆け寄ろうとしますが、私に羽交い絞めにされ、身動きすらままなりません。
「ヤメテーーーー!! ベビチャンガ 死ンジャウヨーー!!」
「ん〜〜〜?聞こえんなーーー?」
モラ男は北斗の拳の悪役のような声を出し、徐々に力を込めて行きます。
クキ、ポキ、と骨だか肉だかが潰れる音がし、ベビは口から血を吐いて泣き叫びます。
「ビッギ ギュビ…」
ぐじゃ、という音とともに血がほとばしり、辺りを赤く染めました。
モラ男がゆっくりと足を上げると、にちゃーと糸が引きました。
その下には車に轢かれたカエルの様になったピンク色の物体が。
はらわたを飛散させ、糞をはみ出させ、脳を露出させ絶命しているベビは、
糞虫にさらなる絶望を呼び起こしました。
「ベビチャンガーーー!! シィノ ベビチャンガーーー!!」
糞虫はショックのあまり失禁し、さらには茶色の固体を菊の門から放出させました。
私は失敗しました。
糞虫は極度の興奮状態になると糞や小便をもらす、下卑極まりない下等生物だということを忘れていたのです。
小便は私のズボンを濡らし、股間には糞がクリーンヒットしました。
それから後は、少しの間記憶がありません。
ハッと気が付くと、目の前には糞虫と思われる物体が転がっていました。
頭部は二倍ほどに腫れ上がり、何処が目だか口だか分からないほど、ボコボコになっていました。
右のオテテは根元から千切れ、ケツの穴にぶち込まれていました。
息子は返り血が付いたトゲトゲバットで体を支えながら、今までに見たことのないような
晴れやかな顔で、大きく息をしています。
私の両手も血に染まっていました。どうやら怒りのあまり我を忘れ、
得物を使うことなく息子と一緒に糞虫を殴打したようです。
糞虫はビグン、ビグンと痙攣しながら、地面に這いつくばり、ベビの元に近づきました。
「キチィ!!」「ピィイイ!!」
もぞもぞと近づいてきたベビに手を伸ばし、
「グビイ ボビイ」
とわけの分からない言葉を最期に、絶命しました。

68 名前:MR  7/9 投稿日:2004/08/28(土) 22:08 [ lszM1MSg ]
私とモラ男は用意していた新しい服に着替えると、また茂みの中に身を隠しました。
「パパー、糞虫のベビは母親がいないと、三時間で死んじゃうって言うけど本当かな?」
是非真偽を決したいとのモラ男の希望により、ベビを観察することにしたのです。
「キチィ!!」「ピィィ!」
残された二匹のベビは糞虫のわき腹に接近し、乳を欲しました。
乳首に口をつけ、飲もうとしますが、当然出るわけがありません。
「ママーオパーイ欲しいよー」等と言いたげにまたピィピィ泣きます。
そのうちぶるぶると震えだしました。
聞いた話しによれば、ベビは体温調節も自分ではままならないのだそうです。
母親に暖めてもらわねばならないのですが、件の糞虫はすでに冷たい肉塊と化し、
さっそく腐臭を漂わせ始めています。
「キュミイ キュミイ」
と苦しげに身悶えるベビ。さっきのマターリした姿とは天地雲泥の地獄絵図。
将来の我が子の姿を楽しみにしながら乳を与えていたであろう糞虫は、頭部を
ひき肉の塊にされ、乳を美味そうに飲んでいたベビも、二匹は酸鼻を極める屍骸と化し、
もう二匹は孤独と飢えと寒さに晒され、瀕死の状態。
そんな無様な姿に横手を打って笑いながら、刻一刻と迫る糞ベビの最期を楽しみにしていました。
その時です、太陽が西に傾きだした大空から鳥が飛来しました。
均整のとれたフォルムに漆黒の翼、カラスでした。
私はこの展開に興奮しました。
モラ男も思わぬゲストの出現に、どんな結果が待ち受けるのか、固唾を呑んで見守っています。
やがてカラスは二匹のベビに気が付くと、ちょんちょんと跳ねながら接近しました。
ベビは始めてみるカラスにも「ピィピィ」「ミィミィ」と鳴くだけです。
カラスはベビの様子を見ながら、ニ、三度軽くつつきました。
やがてベビの無抵抗なことを知ると、ついに奴は捕食者の牙をむき出しにしたのです!

69 名前:MR  8/9 投稿日:2004/08/28(土) 22:08 [ lszM1MSg ]
ブスリと、太いくちばしがベビのわき腹を貫通しました。
「ビィイイイイイイイイイイイイイイーーーーーーーーーーー!!」
ビグンビグンと小さなピンク色の体が痙攣し、まだ開かないオメメから涙が流れ、
楕円形に開いた口から血反吐が吐き出されました。
ベビの体内から抜かれた鮮血の付着したくちばしの先には、ピンク色の臓器が。
それを口の中に運び、満足そうにカーカーと鳴くカラスは、
続いて同じ箇所をくちばしでえぐり、また何かの臓器を引き出して食らっています。
ベビは「ギュイイ! ギュミィイイ!」とアンヨとオテテを動かして必死に逃れようとしますが、
カラスに小さなオミミをつまみ上げられ、ぶら下がった状態になりました。
やがてオミミの根元が青黒く変色するとブチっと千切れ、地面に叩きつけられたベビ。
その拍子でアンヨとオテテが有り得ない方向に曲がり、「ギジーーーー!!」と悲痛な叫びを上げます。
そんな中、さっきの鳴き声に呼び寄せられたのか、仲間のカラス達がやってきました。
「ピィ? ミュイ ミィ」とやっていた無事なベビも、そのカラスの冷酷な牙に当たり、
まだ開かないオメメをえぐられました。眼窩から激しい出血。
「ギューーーーーーーーーーーーー!!」という叫び声はカラス達の羽音にかき消され、
二匹のベビは食い散らかされました。

70 名前:MR  9/9 投稿日:2004/08/28(土) 22:10 [ lszM1MSg ]
後に残ったのは、肉やはらわたを食い尽くされた物体が二つ、ピンク色の圧死体、
糞まみれの変死体、そして頭部の形状を推し量ることが不可能な肉塊一つ。
我々は夕焼けに染まる空の下、蚊に刺された腕を掻きながら、
満足と快感に打ち震えた瞳で、この光景を眺めました。

「パパ、今日はすっごくスキーリしたよ!」
糞虫の屍骸を焼却施設に置いてきた、帰りの車内、目をキラッキラさせながら、
息子のモラ男は言いました。
「結局糞幼虫は三時間で死ぬのかどうか分からなかったけど、あのカラスに襲撃された
ときは、本当に体内の血が沸騰したかと思うほど熱くなったよ!」
「初めてトゲトゲバットで糞虫を殴った時の、あのぐにゃりとした手ごたえ!
一生忘れられないよ!」
モラ男の話は止まることを知りませんでした。
「よーし秋には、山にチビギコ狩りに行こうか!」
私の言葉に大喜びし、「早く秋にならないかなー!」と実に無邪気です。
すっかり日が暮れた頃に帰宅し、玄関先に立ったとき、涼しげな虫の声が聞こえました。
近づく秋の足音に、すぐにモラ男と狩りをする日がやってくるだろう、と思い
微笑がもれました。
忘れられない、息子との夏の思い出です。
                        
                                  <fin>

71 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/29(日) 02:04 [ whzQv2OU ]
「BARオマエモカーの惨劇」 第4章 モナ岩編 「思わぬ失態」

第一章 「嗚呼無情」ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/946-947
第二章 「基地突入」ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/968-971
3−1 モナ岩・ぢぃ編 「今日も元気に死死死」  >>12-14
3−2 ギコ丘編 「ダッコとコウビの果てに」   >>26-28
3−3 ジエン編 「ニクコプーンクエ!」         >>34-35
3−4 モララー編 「敵討ち」 >>43-49

1/5
新木場地区に着いたモナ岩達は、部屋探しから始めた。
探し初めて5分、大きな部屋にたどり着いた。「コウドウ」と書いてある。
中から裁判の検察側の主張のような物が聞こえる。
「…………デ アルカラシテ ヒコクニンハ マターリボウガイザイ ギャクサツザイ メイヨキ………………ニソウトウスル!!」

モナ岩達は、気づかれないように侵入した。

被告人席には、モナー系統の体つきの男がいる。どうやら、モララー種らしい。
「ちょっとまて!何でワケワカラン罪で…………お前は基地外か!?あぁん!?」
そのモララーがこちらを向いた。その途端だった。
「………モナ岩!?」
「…………モラ谷!?なんでお前がそんなところに!?」
「ソコ!!ウルサイヨ!!シズカニ…………ギャクサツチュウ!?ナンデ(ry」
裁判長らしき糞虫が驚く。
「トニカク ギャクサツチュウヲ ツカマエナキャ!!」
警備員らしき糞虫が叫ぶ
「ミテ! ディモイルヨ! コレハ コロスシカ ナイネ!」
傍聴人だと思われる糞虫が声を上げる。
再び、裁判長が叫ぶ。
「ジャ ミニクイ ディハ トオトイ マターリノ イケニエニ ナッテネ! ア ディハ ミニクイカラ ト…………シィィィィィィィィ!?」

ぢぃは再びキレた。モラ谷からもらった剣で糞虫の体を切り刻む。糞虫は叫び声をあげ、

「シィィィィィィ…………コンナノ マターリ ジャナイ ヨネ…………ダッコ シテアゲルカラ イノチダケハ…………」
惨劇の様子を見ながら、モナ岩はフーン顔になる。
「フーン。定番の命乞い。『ダッコ』してあげるから命だけは助けてですか。( ´,_ゝ`)プッ
 そんなに必死なんですね。」
「ぢぃ、一人だけ残しておけ。後で拷問する。」
「…………ワカッタ」
「チョット! ソコノ クソモナート クソモララー! ダマッテナイデ サイバンチョウヲ タスケナサイヨ!! マターリ ボウガイザイ デ アンタモブタバコイキヨ!!」
「ほぅ。それが人に何かを頼む態度モナ?ちゃんとママンに礼儀正しくしなさいと、教わらなかったモナ?」
「ソンナノ シラナイモン! ダッコデ マターリ ハニャニャニャーン! ダモン!! ソレニ シィチャンハ アンタ ナンカヨ…シィィィィィィィィィィィ!」
最期の一撃は入った。最期にシィィィィィィィィィィ!!とだけ叫んで裁判長は逝った。

とりあえず、ぢぃが一人を残して撃破した。ぢぃは返り血を浴び、真っ赤になっている。なんだ。緑色じゃなかったんだw

72 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/29(日) 02:08 [ whzQv2OU ]
2/5
一匹残った糞虫は
「ハニャーン! シィチャンハ カワイイカラ ノコシテクレタノネ!」とわめく。
「いや、君を拷問するためだよ。おとなしくダッコ革命党の本拠地を教えてくれれば
 君は生きて帰れる。嫌なら、君もあの子達と同じ末路を歩む。」

「シィィィィィィ!! シィハ アンタ(ry」
「やはり氏んでもらいますか?」
モナ岩がショットガンを用意する。
「ハ、ハニャ!! ワカッタ!! ワカッタヨウ!! シンキバシブハ ココダケド、ホンキョチハ アキガワ ダヨウ!!」
「あ、秋川・・・モナ?」
「秋川については下の説明をよんでくれよな!モナ岩!お前も嫁!!」
「シィィィィィ!? シィヲムシ(ry!! トニカク カイホウ シナサイヨ!!」
「そうか、ありがとう。じゃぁね。」
「あの世でみんなにあったらよろしくモナ。」
「ハ!ハニャァァ!?ヤクソクガチガウヨ!!……シィィィィィィィィィィィィィィィ!!」

糞虫絶命を確認してから、モラ谷が締める。
「虐殺の心得 一、 糞虫との交渉のための約束事は、基本的に破る。」

一息ついたところで、マターリしながらモラ谷が話し出す。
「みての通りだ。マスターを殺した香具師の話はしたよな?そいつらの上に捕まった。
 で、『マターリに基づいた民主裁判』にかけられたのさ。要は晒しageな訳だ。
 あ、読者のみなさん。何でこうなったかは第4章モラ谷編で詳しくお伝えするからお楽しみに!」
「…………モラ谷?誰に話してるモナ?」
「ん?ああ。読者の皆様だよ。」
「『ドクシャ』?誰モナ?」
「ま、お約束だから。モナ岩は気にしなくていいよ。」
「そうモナか?キニスルナと言われて気になるのがモナだから……」
「  気  に  す  る  な  (#・∀・)」
「ハ…………ハイ……………………」

【発見】
モラ谷が凄むとモナ岩が半角でしゃべってしまうほどやばい。
【注意】
秋川=東京都のいわいる奥多摩と呼ばれる地域にある。
電車で逝く場合、新宿から中央線、立川から青梅線、さらに拝島で五日市線に乗り換える。
状況から考えて、東京都を東から西へ横断するような形になる。

73 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/29(日) 02:10 [ whzQv2OU ]
3/5

3人は、「シンキバ-ショクリョウコ」と書かれた部屋を発見した。
「食料庫は夢の島だけではなかったのか………」
「モラ谷!!中から声が聞こえるモナ!!」

モラ谷とモナ岩・ぢぃはドア越しに中の声を聞いた。

「……………チョーイ!!ナンデ………………」
「……タチハ………オドリ…ョーイ!!ソンナ………」
「オニクハ………ッテクワレテ……イイノ!!」
どうやら、内部では糞虫と、おにーにの論争が起こっているらしい。
糞虫側は「お肉は黙って食べられなさい!」
おにーに側は「ただ踊りたいだけ!」と、水掛け論になっているっぽい。
モラ谷は何かを言いたくなり、そして我慢できなくなり、ドアを蹴破り中へ入った
「どっちも被虐種だ!おとなしく俺達に  
 頃  さ  れ  て  な  さ  い  ってこった。」
「ハニャ!? ギャクサツチュウ!?」「イヤァァァ!! ボクタチヲ コロサナイデェェェェェ!!」
「そうはい神崎!さっきも言ったが、被虐種は被虐種らしく
 頃  さ  れ  て  な  さ  い  ってこった。」
モナ岩・ぢぃも参戦。食料庫は血の海と化すためのフィールドとなってしまった。
まず、モラ谷とぢぃは糞虫を、モナ岩はおにーにを捕まえた。
「おいモナ岩!いっちょ、どっちがいい断末魔の叫びを聞かせられるか勝負だ!」
「望むところモナ!!負けた方は晩飯焼鳥屋でおごりモナ!」
「まずはこっちから逝くぜ!」
というわけで、「最高級悲鳴選手権」in新木場が参加者2名でスタートした。

74 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/29(日) 02:12 [ whzQv2OU ]
4/5
「最高級悲鳴選手権」ルール
・両者ともに、被虐者に3回づつ虐待。虐待の様子などをポイント化する。
総合でポイントが大きかった方が勝者。同点の場合はとどめの一撃で決定、それでも決まらない場合は2回戦、3回戦として、前述の試合を繰り返し、決着が付くまで続行。


まず、先攻モラ谷の番。
「まずは基本の耳もぎじゃい!!!」
というわけで、モラ谷は耳もぎの体制に入った。そして、勢いよく耳を引っ張る。だが、少し力は抜く。
こうすることにより、ちぎれるまでの間痛みを受け続けることになり、叫び声が長続きする。
しかもちぎれた後の快感度は★★★★☆と4つ星なのだ。(週間「虐殺攻略本」調べによる。)
糞虫の耳は5秒ほど「ハニャァァァ!!シィィィィィ!!」という悲鳴とともに耐えた後、ブチィ!といういい音をたててちぎれた。
そのとき、「シィィィィィィィィ!!シィノオミミミミミミミミィィィィィィ!!」と言う風に叫びが聞こえた。
ちなみに記録は79pだった。

「ちぇ。いまいち伸びなかったな……」
モラ谷は残念そうだ。


後攻モナ岩のターンである。
「やっぱおにーには精神虐待に限るモナ!」
どうやら、モナ岩は「シリフクナヨー」と呼ばれる精神虐待をするようだ。
「そぉれっ!」というかけ声とともに、おにーにから海苔をひっぺがす。
「イヤァァァァ!!オノリカエシテェェェェェェェェェェェ!!」おにーにが叫び出す。
「ほらほらこっちモナー。」モナーが逃げる。
この後、おにーにの目の前でトイレに入り、ウn(ryをしておにーにの目の前で海苔でケツを拭く。このときの叫びが勝負である。
「イヤァァァァァァァァァァァァァ!!オノリデオシリフカナイデェェェェェェェェェェェェェェ!!」
記録は98p。ゴリンピック(※1)記録に並んだ。

第1虐待の結果は  モララー 79:98 モナー  となった。

※1 ゴリンピック………AA界のオリンピックだが、オリンピックにも数種類あり、
   ヲリンピック
   通常のオリンピック。野球・サッカー・陸上など。

   ゴリンピック
   アブノーマル系統はこれ。

   ウォリンピック
   2ちゃんのスレにしかないような特有の競技は全てコレ。
   ぬるぽを最速ガッする、「ヌルガ」
   ブンブンブブブン!!。「数取団」
   ゲットズサーレース!。「2げと」など。

75 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/08/29(日) 02:13 [ whzQv2OU ]
5/5

3回戦が終了した。
2回戦はモラ谷がレイープの寸止め85p、モナ岩が具探し77p
3回戦のモラ谷は皮剥を食らわせて115pと世界新記録を達成。
モラ谷はこの後、この記録を申請するらしい。
モナ岩は唖然としたのかうまく虐待が出来ずに腕もぎ45pとなって、
○モラ谷 79+85+115=279 VS 98+77+45=215 モナ岩● となった。
「よっしゃ!!焼き鳥ゲトー!!」
「おごりモナ………言わなきゃよかったモナ………なぁモラ谷?おごり……」
「無しにしないよ。容赦なく食うからそのつもりで。」

焼き鳥おごりが決定したモナ岩は、「ウワァァァァン」とだけ泣いた。


小一時間後。
「シィィィィィィ!!」「ハギャァァァァ!!」「マタァァァァァァァリ!!」などという典型的な断末魔の叫びをあげた糞虫たちの逝路を見送ったモナ岩とモラ谷とぢぃは
ダッコ革命党との決戦の地になろう台場地区へ向かっていった。

76 名前:>>55続き 投稿日:2004/08/30(月) 23:47 [ mKy5qVWA ]
ギコ雄の最後の通信から5分後、モラ助はフサ牙の場所まで辿り着いた
もちろんギコ雄の通信はモラ助にも聞こえている
「リーダー!!ギコ雄はどうすんスか!?このままじゃアイツ、犬死にだよ!!」
フサ牙は顔を下に向けたまま答えを出さない
「早くしないと・・・」
とうとうフサ牙の口から決断が飛んだ
「・・・・・任務・・・続行だ・・・」
このときモラ助はフサ牙の眼から一粒水がこぼれた様に見えた

フサ牙は辺りを見ると見張りが一人もいない事と要塞の2Fの窓から煙が噴出してるのに気づく
「フン・・・あいつ・・やりやがった・・・」
口で笑みを作るとすぐさま通信機を取り出し、モナ火としぃ九に通信した
「お前ら!!敵が混乱してる今が最大のチャンスだ!ギコ雄の努力を無駄にすんなよ!!」
「了解!!」
全員一斉に要塞に乗り込んだ。


しかし、背後に忍び寄る「ハニャーン戦隊」に気づかなかった

次回「作戦失敗!?」

77 名前:自分で書けないから勝手に修正しますよ… 投稿日:2004/09/02(木) 16:55 [ vygBthVA ]
ギコ雄の最後の通信から5分後、モラ助はフサ牙の場所まで辿り着いた
もちろんギコ雄の通信はモラ助にも聞こえている
「リーダー!!ギコ雄はどうすんスか!?このままじゃアイツ、犬死にだよ!!」
フサ牙は顔を下に向けたまま答えを出さない…
「早くしないと・・」
とうとうフサ牙の口から決断が飛んだ
「・・・・・任務・・・続行だ・・・」
このときモラ助はフサ牙の眼から一筋の水がこぼれた様に見えた

フサ牙は辺りを見ると見張りが一人もいない事と要塞の2Fの窓から煙が噴出してるのに気づいた。
「フン・・・ギコ雄のやつめ・・派手にやりやがったな・・・」
口で笑みを作るとすぐさま通信機を取り出し、モナ火としぃ九に通信した
「お前ら!!敵が混乱してる今が最大のチャンスだ!ギコ雄の努力を無駄にすんなよ!!」
「了解!!」
全員一斉に要塞に乗り込んだ。


しかし、フサ牙達は背後に忍び寄る「ダッコ(*゚ー゚)師団 ハニャーン戦隊」の影に気づかなかった……




アヒャコプーン殿の様に具体的なアドバイスが不可能なので、とりあえず自分がおかしいと思う表現だけ
勝手に修正しますた。
気を悪くしたらすみません、自分で書けないもんですから…

78 名前:(.・A・) 投稿日:2004/09/09(木) 23:12 [ mmwLbpoA ]
何も無い一日のはずだっだ・・・いや、無ければよかった
私の心の中でまた一つ罪悪感が増えた・・・
なぜ・・どうして?・・同じ種族同士で戦わなければいけないのか・・


私はいつまで経っても分からなかった・・・・・・

79 名前:(.・A・) 投稿日:2004/09/09(木) 23:14 [ mmwLbpoA ]
それはある日のことだった・・私はいつもの用に道を歩いていた 

すると向こうに何かが見えてきた・・しいの団体のようだ・・
私はすぐにそこえ走っていった・・・・・・
やはり・・・でぃが虐められていた・・・

しい1「キタナイディハシニナサイ」

しぃ2「アンタタチガイルカラカワイイシィチャンガギャクサクサレルノヨ」
 
ディ「キィ!!キィィィィ!!」

しい3「アハハハ〜(キィ)ダッテ〜〜〜〜〜」

・・・・許さない・・ちょっと傷ついてるからって何もあんなことしなくていいのに・・

80 名前:(.・A・) 投稿日:2004/09/09(木) 23:14 [ mmwLbpoA ]

???「・・マチナサイ・・・」

しぃ1「ナニヨアンタ!シィタチノソウジヲジャマスキ?」

しぃ2「ニセシイノブンザイデエラソウニ!」

しぃ3「ワカッタ!コイツギャクサツキュウノテサキダヨ!」

でぃ「キィ・・・キキ・・」

でぃは私の後ろにうすくまった

???「同じ種族を虐めて何か楽しいの?自分のことも分かろうとしないで・・
    この子の方5倍も偉いわよ!虐められてもじっと我慢して・・・・・
    そんなことしてる場合だったら、虐殺される理由でも考えなさいよ!」

シィ1「ナニイッテルノヨ!シィハ2chノアイドルナノヨ!
  マターリノシンボルナノヨ!ソレニシィガギャクサツサレルリユウナンテナイノ!」

シィ2「ソウヨソウヨ!ダイタイギャクサツチュウニチヤホヤサレテルカラッテイイキニナルナ!」

しぃ3「アンタワタシノギコクンヲドコヤッタノ!マダダッコモシテナイシコウビモシテナイノヨ!」

もう何をいっても無駄・・そう思っても私はこの子たちを殺したくない・・・
でも見逃したらまたこのでぃを殺すかもしれない・・・・・
私は決意した・・・剣を持つとことを・・・・


つづく

81 名前:MR 1/9 投稿日:2004/09/13(月) 20:04 [ ATuXf6D2 ]
モラ山牧場



ここは高原の牧場。
ぬけるような青空、牧草の緑も美しい。
風にざわめく白樺の木陰から、牧場犬が走り出す姿が見えた。
アルプスのょぅι゛ょハイジでも駆け出して来そうな、
そんな牧歌的な風景。
しかし、そうした平穏な雰囲気はこの声が耳に入った瞬間に瓦解する。
「ハニャーン ハニャーン ハニャーン」
この耳の底にこびりつく、三半規管までも腐ってきそうな媚びた鳴き声。
しぃである。
この牧場で飼われているのは、牛でも羊でもない。しぃなのだ。
牧場犬が走りながら、小屋からしぃを追い立てている。
白い体毛を持った獣の群れが、ぞろぞろと出てくるところだ。
「シィイイ! 小屋カラ出ルカラ ホエナイデー!」
「チィチィ! ナッコ!」
成体からちびしぃ、ベビしぃ、母しぃの背に乗ってピィピィ鳴いている生後間もない
ベビなど、およそ50匹はいるだろうか。
しぃを知る者にとっては、これは異常極まる光景である。
糞虫などと呼ばれ、世間からはゴキブリ以上に嫌われている奴らは、とんでもない
基地外生命体だからだ。
ゴミや残飯をあさり、糞尿を垂れ流す、病原菌を媒介し、「ダッコ ダッコ!!」と
見境なくダッコをねだる。
だけならまだマシで、
自らをアイドルと自負。
そしてアイドルが傍若無人の限りを尽くしても万人は許容するという、
およそ尋常な精神活動からは生じえない思考を持ち、
それを何の躊躇もなく実践するのである。
実例をあげれば、コンビニで一万エソ相当の買い物をしたにも関わらず、
「アイドルシィチャンガ 買ッテヤルッテ 言ッテルノニ! 三百エソジャ 売レナイナンテ ギャクサツチュー ダヨ!」
とわめいた挙句、店員を棍棒で襲撃し、強盗致傷で逮捕される者など、
そんなしぃの犯罪行為を挙げればキリがない。
しぃは駆逐されるべき害獣であり、多くの者にとっては憎むべき存在でしかないのである。
なのに何故、この牧場ではしぃを飼育しているのだろうか。

82 名前:MR 2/9 投稿日:2004/09/13(月) 20:05 [ ATuXf6D2 ]
放牧地では、あちらこちらにしぃが点在し、思い思いの行動を取っている。
木陰ですやすや眠っているもの。ベビに乳を与えているもの。ノビーしているもの。
およそ都会では見られぬ、しぃのマターリした風景。
虐殺を嗜むものが見れば、心安からざる光景だ。
一気に暴れこみ、一心不乱の大虐殺が始まってもおかしくはない。
そんな中、一台の軽トラックがしぃの小屋へ向かっていた。
舗装などされていない道を、ガタガタと揺れながらやって来て、
小屋の入り口付近に停車する。
運転席から降りてきたのは、青い作業服に長靴をはいたギコ族の男。
「モナ山牧場」と刺繍されたキャップをかぶっている。
どうやらこの牧場の従業員の様だ。
トラックの荷台から荷車の様なものを降ろすと、牧場の柵を開け、
それを押しながら中に入って行った。
伝票を見ながらぶつぶつ言っている。
「普通5、フサ1か…」
内容を確認すると、キョロキョロと辺りを見回す。
そして一組のしぃ親子を発見すると、ツカーツカーと接近して行った。
そのしぃの回りには、5匹のベビが遊んでいた。
ベビは生後1ヵ月〜2ヶ月といったところか。ようやく言葉を覚えてきた頃だ。
追いかけっこをしたり、お花を摘んだりしている。
「マアマ、オハナ! キエーダネ!」
「チィチィ ナッコ♪ マーマ ナコチテ クダチャイヨー♪」
そんな自分の子供達の様子に目を細めている。
が、件のギコが接近しているのを見るや、サッと顔色が変わった。
「なあ12番のしぃちゃん。ずいぶんベビちゃん、大きくなったねー」
作業服のギコは、タカラギコの様にニコニコしながら話しかけてきた。
「シィ!! モウベビチャンハ 渡シマセン!!」
口をへの字にし、両手を広げてベビを守るような姿勢をとる。
だが、ギコは表情一つ変えず、しぃの腹に蹴りを入れた。
「ゴベーーー!!」と、1メートル程吹っ飛んで、尻餅をついた。
「シィイイイイイイイノ ポンポンガーーーーー!! カワイイポンポン 蹴ラレタヨーー!!」
打撃を受けた箇所を連呼しながら、その場にぺたんと座り込み、両手をバンザイさせて
号泣するのだった。
その隙にベビの首筋をむんずと掴み上げる。
「アニャ? ナッコ?」
「チィイイイ!! ヤメテクダチャイヨー! チィハアイドル ナンデチュヨ!!」
黒いオメメをキョトンとさせて、ポカーンとするベビギコ。
オテテやアンヨをバタつかせ、口をへの字にして憤慨するベビしぃ。
それら、計5匹を荷車に放り込んだ。
「チィイイイ!! マンマ!! マンマーーーー!!」
「ヤーヨウ!! マーマト イッチョジャナキャ ヤーーーヨーーー!!」
荷台から身を乗り出して、小さいオテテを振り、大粒の涙を流して泣き叫ぶベビ。
「ヤメテーーー!! シィノヘベビチャンヲ 返シテーーーーーーー!!」
ギコは必死の形相で哀願する母しぃの横っ面をぶん殴り、
地面に転倒させた挙句に痰唾をペーと吐き出した。
そして次のしぃのもとへ行くのだった。

83 名前:MR 3/9 投稿日:2004/09/13(月) 20:06 [ ATuXf6D2 ]
31番の札を付けたフサしぃは、木陰で授乳していた。
ようやく授かったベビ。ちゅうちゅうと元気に乳を飲んでいる我が子の頭を
そっとなで、こんなマターリがいつまでも続けばいいのに、と思っていた。
やがて飲み終わったベビが両手を前に出して、ダッコのポーズをした。そして
「オカア…タン ダ…コ」
フサしぃはハニャッ!と声を上げた。言葉を喋ったのだ!ダッコすると、
「ソウダヨ!! ママダヨ!! ハニャーン シャベッタヨ! コノコ シャベッタヨ!」
と驚喜した。
が、次の瞬間、我が子は自分の手の中から消えていた。
目の前には、作業服を着たギコが。
その両手には、「ミュー! ミィー!」と涙を流し、必死にもがく愛児があった。
「ナゴーーー!! ナゴーーーー!!」
この期に及んでダッコかと、ギコは手の中のベビを圧殺しそうになったが、
辛うじて思いとどまった。
彼はそれを荷車に投げ込むと、
「氏ね」
と道端の犬の糞でも見るような目付きで、吐き棄てる様に言った。
荷車が遠ざかるに従って、段々聞こえなくなってゆく「ミィミィ」の我が子の声。
「ヨウヤク… 大キクナッタノニ… 喋レルヨウニ ナッタノニ… ヒドイヨ… ヒドイヨウ…」
ショックの余り、しーと失禁したフサは、やがてその場に崩れ落ちた。
「!!」
そのセリフを聞くや否や、ギコは猛然とフサしぃに駆け寄り、嵐の如く蹴りをブチ込む。
「何が“ヒドイヨウ”だ、糞虫が!!家畜以下の基地外生命体がウゼエんだよゴルァ!!」
まるで般若の様な形相。地面にうずくまるフサフサした物体に、容赦のないストンピング。
顔面を腫らし、ゲロを吐き、便を漏らしたフサしぃ。ビクンビクンと痙攣している。
まだ死んではいないようだ。
「そんなにベビが大切なら、お前も一緒に来いや」
やがて攻撃をやめたギコは、フサしぃの手足を縛って担ぎ上げると、
何事もなかったかのように荷車を押してトラックに向かった。

84 名前:MR 4/9 投稿日:2004/09/13(月) 20:06 [ ATuXf6D2 ]
もうお分かりと思うが、ここは食肉用ベビしぃの牧場だ。
ベビの肉は柔らかく、臭みもない。多くの食通をうならせる、隠れた名品なのだ。
さて、ベビと気絶したフサしぃを収容した軽トラックは、別の小屋へ到着した。
フサしぃを担いで荷車を押し、小屋に入る。
小屋の中には調理場のような水回りの設備があり、中央には
ステンレスの大きなテーブルがある。そこには使い込まれたまな板が置いてあった。
ギコは撥水性の作業服に着替え、漁師の様な大きなエプロンを身に着ける。
フサしぃをテーブルの向かいの柱に縛りつけた。
「ハナーン ココハ ドコデチュカ?」
「クチャーヨウ! オカアタンノ トコロヘ カエチテ ヨウ!!」
ぎゃーぎゃー騒ぐベビ。
しかし、ギコがテーブルの引き出しから出したものに、言葉をのむ。
それは刃渡り20センチはある、出刃包丁である。
入るや臭ってきた、錆びた鉄の様な臭い。褐色の染みが目立つまな板。
ミニマム脳のベビも、これからわが身に起こる事柄に、戦慄を禁じえなかった様だ。
「ヤーーーーーーーーーヨーーーーーーーー!!」
一匹のベビが叫ぶと、脱走を試みる。
しかし荷台から転げ落ち、床にしたたか尻餅をついた。
「ギジーーーーーー!!」
「イチャーヨーー!!」とお決まりの泣き声を上げるベビのアンヨを、ギコが掴み上げる。
片足で逆さまにぶら下がったベビは、身をよじらせ絶叫する。
「ヤーーヨーーーー!! ヤーーーーヨーーーーー!! ビエーーーーーン!! ビエエエーーーーーー!!」
そのまま、まな板にベビを叩きつける!
先ずは左手でオテテと体を固定し、肩口を切断する。
「イヂャーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
カッとオメメが見開かれ、耳をつんざく悲鳴を上げた。
傷口からおびただしく流血しながら、大粒の涙を流し、アンヨをバタバタさせる。
「チィノ オテテガ!! カワイイ オテテガーーーー!!
 モーーーナッコ デキナーヨー!! ナッコオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
さらに同様にしてアンヨをカット。これでベビはダルマになった。
「チィノアンヨーーーーーーーーーーー!! アンヨーーーーー!! チィイイイイイイイイイイノ アンヨガーーーーー!」
相変わらず馬鹿の一つ覚えで、切断された箇所を連呼している。
「モーーヤーーヨーー!! イチャーーーノヤーーヨーーー!!」
腹ばいになり芋虫のように体をくねらせて逃げようとする。
小さな尻尾をふりふりさせ、さっきまで母が舐めてくれていた肛門をあらわにし、
必死になっているピンク色のベビ。
「まったく、ヴァカなベビちゃんだね〜」
ギコはひょいとベビの尻尾をつまみ上げると、「チィノ チッポーーー!」と
またお決まりのセリフだ。
いい加減飽きたギコは、仕事を進めることにした。
包丁を小さな小さな性器に当て、腹を引き裂く。
ブバッと鮮血が散り、にゅるりと腸があふれ出る。
「ギギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」
オメメから涙が溢れ、楕円形に開いたオクチから、
ベビの口からは聞いたことのない悲鳴が上がった。
ギコはベビの首に左手を、右手で腸を掴むと、内臓を上に一気に引き抜いた。
ブチブチブチ、という音と共に、やや宙に浮いた形になったベビのピンクの尻が、
ビクビクンと動き、小さな尻尾が揺れた。
「ギョベエエエエ」
ゴボリと血反吐を吐くと、痙攣が始まった。循環器系の内蔵はまだ生きているらしい。
ギコは一丁上がりとばかりにそのベビを床のタライに放り込むと、
気絶していたフサしぃが目を覚ました。
「ハ…ハニャ… ココハ… シィノ ベビチャンハ…」

85 名前:MR 5/9 投稿日:2004/09/13(月) 20:07 [ ATuXf6D2 ]
「おい糞虫。てめえのキモベビはここにいるぞー」
次に手をかけたのは、フサしぃのベビであった。
ギコの手の中で、背中を掴まれた昆虫の様に、手足をうごめかせているベビ。
涙が溢れるオメメは、救助を求めて必死であった。
そんな我が子を目の当たりにし、フサしぃは声を限りに叫んだ。
「シィイイイイイイイイ!! ベビチャンヲ カエシテーーーーーーーーー!!」
ニヤリと、ギコは氷のように冷たく微笑すると、フサベビの性器に中指を突っ込む。
カギ爪の様に指を曲げると、何と、ギコは指で腹を引き裂いていった!
「ギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
性器が縦に限界まで伸びると、陰核の辺りがブチリと裂け、亀裂は指が動くにしたがって、
腹を引き裂いた。
ビグンビグンと小さなベビの体は痙攣を続け、大量の血がまな板を汚した。
フサしぃの目線からは、裂けた性器から内臓がもれ出て、ベビのアンヨがぴくぴくと動くのが分かった。
「ギュギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」
ミチミチと肉が指で引き裂かれてゆく音。いびつに引きちぎられた腹の肉が、
血と一緒にまな板へと落ちる。
「イヤアアアアアアアアアア!! ベビチャンノ オマソコガーーー!! カワイイオマソコガーーーーー!!
 ヒドイヨーーーーー!! ベビチャンガ コウビ デキナク ナッチャウヨーーーーーー!!」
この低脳ぶり。この期に及んで出てくる言葉がコウビである。
それに激昂したギコは、怒髪天を衝く勢いだ。
ベビの腹に手を突っ込むと、力任せに内蔵を引きちぎった。
白目を向いて絶命したベビをフサしぃの眼前に突きつけた。
「シィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!! 
ベビチャンガ! シィノ ベビチャンガーーーーー!!
 セッカク喋レルヨウニ ナッタノニ!! アンナニ大キク 育テタノニーーーー!!
 死ンジャッタヨーー!! カワイイ カワイイ シィノベビチャンガ 死ンジャッタヨーーーーーーーーーー!!」
絶叫するフサしぃの口をこじ開けると、ベビの内蔵をぶち込んだ。
「おら食えや! てめえのベビのはらわた食えや!」
「モガ!!  ゴヴェエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」
無理やり咀嚼させ、飲み下した。
ベビの血を口からほとばしらせ、フサしぃは白目を向いて人事不省だ。
ギコは多少スキーリしたのか、口元に微笑を浮かべて、残りのベビを肉にしていった。

86 名前:MR 6/9 投稿日:2004/09/13(月) 20:07 [ ATuXf6D2 ]
ようやく全部のベビをさばき終え、着替えを済ませたとき、電話が鳴った。
ツーコール目で受話器をとる。
「はい、屠殺室、ギコ朗です。………はい、……はい…」
傍に置いてあるメモ帳に何か走り書きする。
やがて、分かりました、の言葉で受話器を置いた。
仕事が一つ増えたようだ。
とりあえずベビの肉塊を保存庫に収納すると、
「あれを使うか…」と独りごちた。
屠殺室の隣の建物に入ると、そこは10匹程の妊娠しぃが飼育されていた。
出産まであとわずかの、腹の大きなしぃばかりである。
「シィノベビチャン カワイイベビチャン♪ 早クママニ ナリタイナーーー♪」
「ベビチャン生マレタラ、絶対アイドルニ シテアゲルンダカラ!!」
これからベビがたどる運命など知りもせず、呑気に駄弁をふるっている。
しかし二度目以降の出産のしぃもいるらしく、そういった連中は一様に暗い。
ギコの出現に青ざめ、ガタガタと震えているものもいた。
しかし殆どのしぃは、媚びた半角言語で池沼丸出しな低俗会話。
普通の者ではおよそ30分も持たずに、糞虫虐殺を開始するであろう、
そんな地獄的なゾーン。
今すぐにでも、このしぃどもを皆殺しにしてやりたい衝動にかられながら、
ギコは奥へ進んで行く。やがて、一匹のしぃの前で足をとめた。
何と、ちびしぃである。
まだ二足歩行も出来ない小さな体で、腹だけが異様に膨れている。
だがこうしたちびしぃが出産するのは、珍しいことではない。
しぃが生殖能力を獲得するのは、実はベビの段階で、である。
野生ではベビしぃとベビギコが交尾を行い、出産するケースも見受けられるのだ。
如何に糞虫狩りが行われても、天敵が捕食しようとも、しぃが減少する気配を
みせないのは、こうした理由によるからである。
妊娠ちびしぃは大きな腹をさすりながら
「ハニャーン ハニャーン ハニャニャンニャーン♪ 
ちびしぃちゃんの可愛いベビちゃん、アイドルちびちゃんハニャニャンニャーン♪
 可愛いちびちゃん、アイドルちびちゃん♪」
等と、鼓膜が振動する度に、副腎髄質からアドレナリンが大爆流する様な
キチガイ歌を熱唱している。
これには流石のギコも憤怒を抑えきれず、ちびしぃの顔肛門に正拳を叩き込んだ。
「しぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
血反吐と共に、折れた歯が吹き飛んだ。
「い…痛いよう!痛いよう!可愛いちびしぃちゃんのお顔が…お顔が…」
顔肛門を紫色に腫れ上がらせ、涙を流している。
「おい糞虫。これからいい所へ連れてってやるよ」
そう言うと、ちびしぃは「はにゃ!」と声を上げ
「かわいいベビちゃんを出産する為の、病院ですね!
 そうやって、馬鹿なギコさん達はかわいいしぃちゃん達につくすのです!」
と、得意げな顔でのたまわった。
今すぐ首を引き抜いて“脱骨”をブチかましてやりたかったが、商品価値が下がると
オーナーがうるさいので、平静を装った。

87 名前:MR 7/9 投稿日:2004/09/13(月) 20:08 [ ATuXf6D2 ]
ギコはちびしぃを軽トラックの荷台に乗せ、牧場を後にした。
ゆるい下り坂を5分も走ると、白亜のペンションにたどり着く。
その裏口に車を止め、ちびしぃを荷車にのせて入って行った。
中には恰幅のよいモナーがギコを待っていた。
「やあギコ朗君、ご苦労様。頼んでいたもの、持ってきてくれたかね。」
ギコは挨拶すると、荷車のちびしぃを見せ、言った。
「この中に」
モナーはにこやかに頷くと
「さすがはギコ朗君だね。これ以上ない程に新鮮なものを持って来てくれた。」
とても満足そうだ。
ギコは残りの仕事があるので、と言い仕事場へと戻って行った
さてちびしぃはキョロキョロ辺りを見回して、
「ここでベビちゃんを生むんですか?」
と、相変わらず口の片端を上げる得意げな表情をしている。
「まあ、そういうことだ。」
さも可笑しそうに言うと、ちびしぃの荷車を押して行った。

2人は野外に出た。
そこではレンガ造りのかまどを囲み、バーベキューが行われていた。
鉄串に刺された肉や野菜が次々に焼かれ、皆舌鼓を打っている。
その食欲をそそる香りに、ちびしぃは口をワの字にしてヨダレを垂らし
「とても美味しそうです。私とベビちゃんに栄養をつけてくれるんですね。
そうやってバカモナーは可愛いしぃちゃんに尽くすのです!!」
お決まりの低脳発言をかます。
「皆様、今日のメインディッシュの登場です!」
モナーの言葉に、ちびしぃに注目が集まる。
「おおーーーーー!」
「ついに来ましたか!」
皆目を輝かせる。その様子に何を勘違いしたのか、
「ハニャ!可愛いしぃちゃんに皆大喜びだね!
 当然だね、2chのアイドル、しぃちゃんだもんね!
皆さーん!今なら一人一回づつ、タダでダッコさせてあげます!並んで下さーい!」
等とほざいているので、流石に皆の表情がこわばった。
しかしモナーは空気の読めない厨房をスルーするかの様に、
にこやかな表情を崩さない。
「さあ、ご覧下さい!」
そう言うと、口をワの字にしているちびしぃの首筋を掴み上げる。
そして何と!激しく燃え盛る網の上に奴を放り投げた!!

88 名前:MR 8/9 投稿日:2004/09/13(月) 20:09 [ ATuXf6D2 ]
「アジィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイ!!?」
ジュウウウという、ちびしぃの尻の肉が焼ける音と、奴の悲鳴が同調した。
「熱い!!熱いよう!!どうして!?なんで!?
 しぃはアイドルなのに!可愛いのに!!」
目を硬く閉じ、口を楕円形にし、涙を流して苦しむ様は、皆の寛喜を誘った。
手をバンザイさせ、熱い、熱いと言ってぴょんぴょん跳ねる。
着地の度にジュウ、ジュウと肉が焼ける音。
「おおお!何という爽快感!」
「こんなスキーリする食卓、いまだ未体験ッッ!」
さっきの池沼発言も手伝って、皆のボルテージはうなぎのぼりである。
そして次の瞬間、そこは興奮のるつぼと化した!
「シィイイイイ!!で…出ちゃうよう!赤ちゃん出ちゃうよう!!」
尻を焼けただれさせながら性器をあらわにし、
網の上でベビを出産し始めたのである!
にゅるっとピンク色の物体が股から出てきた。
本来ならすぐ「ピィピィ」とか「ミィミィ」とか鳴きだすのだが、
「ギューーーーーーーーーー!!」
これがその物体の発した音である。
小さなオテテであろうものがビクッと動くと、生まれたてのベビとは思えない動きで
網の上を転げ始めた。
「ビュイイイ!! ビュイイイイ!!」
そんな声を出し、2〜3回ビクン、ビクンと痙攣すると動かなくなった。
「一つ焼けあがったみたいですね。さあ、召し上がって下さい。」
モナーが促すと、客は興奮しながらベビを箸でつまむ。
ベビはまだ開かないオメメから何かの液体を流し、口を楕円形に開け、舌を出している。
体は網状の焼け目を付け、ピンク色の体毛は燃えてなくなっていた。
それを口に運び、ゆっくりと咀嚼する。すると客はカッと目を見開き、
「むむむむむ!ファンタスティック!!
マターリとしていて、それでいてしつこくなく…」
と講釈をたれだした。

89 名前:MR 9/9 投稿日:2004/09/13(月) 20:09 [ ATuXf6D2 ]
網の上では、「ビギュイイイ!! ギュミイイイイイ!!」等の奇声の渦が巻き起こっている。
すでに5匹のベビが生まれ、いづれも網の上でダンスしていた。
「いやあああああああ!!ベビちゃんが!!私のベビちゃんがーーーー!!
 死んじゃうよーーーー!!私のベビちゃんが!死んじゃうよおおおお!!」
ちびしぃは大粒の涙を流し大やけどを負い、自分もダンスしながら、
網の上を転げまわっている、生まれたての我が子を、絶望の眼差しで見ていた。
「ウホッ!いいベビしぃ!!」
焼け上がったベビが食べられてゆく。
「ヤメテーーーーーーーーーーーー!!私のベビちゃん、食べないでーーー!!」
しかし次々にベビは平らげられ、最後の一匹が食われた。
「あ……あ………ベビ………私の………ベビ……」
ちびしぃはショックと火傷の激痛でついにばたりと倒れた。
さっきまで口の片端を上げ、得意げに我アイドルなりと宣言していた
ちびしぃはそこにはいない。
あるのは、心待ちにしていたベビが目の前で次々と死のダンスを踊り、
そして食われていった、哀れな糞虫である。
そのちび糞虫もついに焼け死んだ。
客達はこのモナーのもてなしに、心から喜んだ。
バーベキュー大会は、大成功のうちに幕をとじたようだ。


このモナ山牧場では、新鮮なベビ肉のバーベキューを食べさせてくれる他、
牧場見学なども随時受け付けている。
ペンション「モナ山荘」は 一泊8500エソ〜

交通のアクセスは………間越道 ギコ馬インター下車、
国道666号線をギコ馬方面へ 約30分
電話 072-11041


                              <fin>

90 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/09/14(火) 01:24 [ fcecvfME ]
「BARオマエモカーの惨劇」 第4−2編 「しぃ営地下鉄の罠」


第一章 「嗚呼無情」ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/946-947
第二章 「基地突入」ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/968-971
3−1 モナ岩・ぢぃ編 「今日も元気に死死死」  >>12-14
3−2 ギコ丘編 「ダッコとコウビの果てに」   >>26-28
3−3 ジエン編 「ニクコプーンクエ!」         >>34-35
3−4 モララー編 「敵討ち」 >>43-49
4−1 モナ岩・ぢぃ編 「思わぬ失態」 >>71-75

1/5
先に仕事の終わったギコ丘はジエンがくるまで暇だった。
暇つぶしに虐殺をたしなんだ。ギコだから、糞虫が嫌でも寄ってくる。
折角だから、ギコは持っている全ての殺しぃ剤を試してみることにした。
ギコ丘の親父は、製薬会社「ロト製薬」をはじめとした、薬品会社8社の中に実権を握っている(orそれに近い)知人がいるのだ。
その8社の試供品が各社月1回のペースで送られてくる。家はたちまち試供品天国となる。
たまに使わないと、大変なことになるからね。今日は比較・合成の実験をするんだとか。

小一時間後、ギコ丘はいろいろな種類の断末魔の叫びを堪能した。
定番の「ハニャァァァァァァ!!」「シィィィィィィィ!!」「ハギャァァァァァァ!!」「ウジィィィィィィィ!!」をはじめとして、
一部でぃ化による「キィィ!キキィィィィィィ!!」やなんと「マタァァァァァァァリ!!」なんて叫ぶ香具師も。
もちろん、叫ばないで逝った香具師も多かった。
なかでも、特筆すべき、「SM製薬」の「マターリ天国」は傑作である。
ご近所にも優しく、快感を追求した殺しぃ剤の研究の結果だという。
○キンジャムという、ゴキちゃん対策の殺虫剤をご存じであろうか。
あれと似た原理である。
① 糞虫ダッコ人形をしぃフードとともに置く。
② 糞虫がそれをハケーンするのを待つ。
③ 持って帰って巣を見つける。
④ 付属のスイッチを押す。
⑤ ダッコ人形内部に仕込まれた殺しぃガスが噴射される。
 (糞虫以外には無害ですが、ギコ族の場合、多少の幻覚現象が起こる場合があります。
  ガスマスクなどの着用をお勧めします。)
⑥ シィィィィィィィィィィィィ!?
⑦ 巣の内部は壊滅状態になる。(生存は最大1%)
⑧ 這い出てきた糞虫をどうしようがあなたの自由。

とりあえず、ギコ丘の後ろのトイレの個室には、氏糞虫の山が築き上げられた。
糞虫の体臭に便所臭、流してない大の糞虫らにとってマターリな香りも交わって、トイレの中は異臭天国。
やべ、書いてる自分が気持ち悪く…………
まぁ、マスクのおかげでギコ丘は無事だ。

そして10分がたち、遅れてジエンが到着した。
「マッタカー!? ギコオカ! ショウジキ スマンカッタ! (・A・)イクナイ!」
「いや、ドンマ(・∀・)イイ!だ。」
「オクレタブン シゴトスル! カコイイ!」
「さて、行動を開始するぞゴルァ!」

91 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/09/14(火) 01:25 [ fcecvfME ]
2/5
ギコ丘達は部屋を探していたのだが、部屋が見つからない。
その上、道が一本道である。正直びっくりである。隠し部屋もないようである。
とりあえず、ギコ丘達は道を進んだ。
5分すると、「ハニャーンテツドウ ダッコセン シンキバエキ」という看板が見えた。
地下鉄!?香具師らにそのような技術は絶対ない!!紛れもなく、後方に団体がある!
おおかた、「ジャスティスマスター連盟(※)」だとか、「跳ね吉しぃ同盟(※)」だろう。
と思っていたが、どうやら、どちらでもない。そう、ギコ丘は感じた
団体がわからないと、結構不安だ。
とりあえず初乗り料金を見てみたのだが、

糞虫料金 ダッコ2回or100モリタポ(※)
ギコ族料金 ダッコ5回orコウビ1回or250モリタポ
その他危険人物以外 500モリタポ
クソモララー・クソモナー 乗車禁止。

………うん!高杉!!しょうがないので、250モリタポ払ってハニャーン線台場駅までのり、車内で虐殺を楽しむことにした。
密室虐殺は楽しいぞw

そして、改札に入り、電車を待つ。
線路の形状から、JRや私鉄の車両は入ってこれない独自のレール幅のようだ。
アナウンスが入る。
「ハニャーン! ミンナキイテ! モウスグ >>1バンセンニ カイソク ハニャテツ オクタマイキノ デンシャガクルヨ! ヤッター!ハニャニャニャーン!
 デモネ! ツギハ ダイバニトマルノ! ハニャテツ シノノメニ イキタイ シィチャンハ ツギノ デンシャヲ マッテネ!」
これを、普通の放送に直せば、
「まもなく、>>1番線に 快速 ハニャ鉄奥多摩行きの電車が参ります。
 白線の内側でお待ち下さい。次は台場に止まります。
 ハニャ鉄東雲へは、次の電車をお待ち下さい。」といったところだろう。
ぷわぁぁぁんという警笛音とともに、
ギコ丘は前にいた糞虫を押して、ホームから線路に落とした!
電車は、容赦なく糞虫に迫る!
もうだめぽの表情とともに、「シィィィィィ!!」という叫びが聞こえるが、
ブレーキ音にかき消され、その声は、誰も聞き取れない。
そして、「グモチュイーン」(※)となった。

【注意(含む念のため)】
ジャスティスマスター連盟・跳ね吉しぃ同盟
伝説のしぃ厨の連盟と同盟。はっきり言って、ぬるぽ。

モリタポ
 2ちゃんねる検索のポイントの呼び方。ココでは、通貨として登場。1モリタポ=100ドキュソ=10,000円

グモチュイーン
詳しくは、2ちゃんねる鉄道板にて。
|∧  
|Д゚)  グモッ
| U   
| │
| U

 ∧_∧  
 ( ゚Д゚)   チュイーーーン
 (⊃ \⊃
  \  )ρ
   く く                 以上。

92 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/09/14(火) 01:25 [ fcecvfME ]
3/5
「ハ!?ハニャ!!?? ジンシィジコ ダヨウ!!」
近くの客が騒ぎ出す。
「シィィィィ!! グロイヨウ!! キモイヨウ!!」
流石は糞虫。「ナカマサン」が氏んでも自己厨ですねw
「ダダダダダッッコココココススススルルルルカラシシシシィィィィハミノノノガシテテテテテ………」
ああ、こっちは狂っちゃいましたかw
「ハニャ………………ハニャ!?シィィィィィィィィィィィィ!!」
おやおや、こっちは衝撃出産ですか?
どうやら奇形を生んじゃったようですねw
最初は、「ハニャー!ハニャー!」と鳴いていたのですが、5秒ほどで、「ダッキョ!」や「ダコココココ!」に鳴き声が変わった。
とにかく、人身事故は予想以上の結果となった。
推定100km/hで入線してきた糞虫交通局車両は糞虫を30mほど引きずって止まった。
そして、車内の電気が消される。リアルでもそうである。なぜなら、レスキュー隊が入って来れないからだ。
しかし、糞虫たちの脳味噌にはそれを理解する能力が備わってない。当然だがw
そのまま通電していた。

5分後、レスキュー隊が来たときに、パニックの渦がさらに大きくなったりする。
先ほども言ったが、通電されたままなので、レスキュー隊に電気の恐ろしさが襲いかかる。すさまじい光とともに「シシシシシシシシシシシシシィィィィィィィィィィィ!!」という、しびれを伴ったような叫びが上がる。
「シィィィィィィィイィィィィイイィィィィィ!!」という叫びとともに、数カ所から光が上がる。

そして、結論だが、糞虫営地下鉄は危険である。ということである。
何が危険かというと、
「ハニャーン!! コレジャ デンシャガ オクレチャウヨウ!!シィガ シャチョウニ オコラレルモン! ソンナノ カワイイ カワイイ コノ シィチャンニ トッテ イケナイコトダモン! モウ コンナノ キニシナイモン!!」という、上層部中心の考えかた。
ただし、自殺名所としてはお勧めできるかも。 骨も残さないでくれるからw

電車が逝った後、ギコ丘はホームを覗いてみたが、下でトマトみたいになっている氏体と挽肉になっている氏体が4〜5個づつ。
焼きトマトやハンバーグのようになっている氏体もw
おもわず、「ギコハハハ」と笑ってしまった。

コレガ...コンナコトニナロウトハ....

93 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/09/14(火) 01:26 [ fcecvfME ]
「ハ!?ハニャァ!?ギコクンガシィノシタイヲミテワラッテル!?」
「ハニャ!? ギコクン………ギャクサツチュウニ ナッチャッタノ!? ソンナノ シィハ イヤ! モトノ ヤサシイ ダッコシテ コウビシテクレル ギコクンニ モドッテ!!」
「私は昔から変わらないギコ族ですが何か?」
「シィィィィィィ!!ギコクンノバカァァァァァ!!」
狂った糞虫は、ギコ丘へ向けて連続パンチ(別名ポコポコパンチ)を放った。
その一撃は偶然にもラリアットと同様の形でギコ丘へ繰り出された。
そして、ラリアットはギコ丘を線路へと突き飛ばした。事実上の、あの世への誘いである。
次の瞬間、その一匹のギコは強烈な光と、グモチュイーン!!ともに眠りについた。
「ギコオカァァァァァ!!」
ジエンが叫ぶ。しかし、ギコ丘は起きない。
たとえ、丈夫に鍛え上げられた八頭身や128等身であってもお釈迦の勢いの光である。ギコ丘の命は、もうないと思うのが普通。
「シィィィィィ!? ギコクン!? ナンデ ギコクンガ センロニ オチテルノ!」
「アンタガ オトシタノヨ!! コノ ギャクサツチュウ!!」
「シィィィ!? シィハ アイドル ナンダヨ!! ギャクサツチュウ ナンカト イッショニ(ry」
「ギコクンヲ オトシタノハ ソコノ ギャクサ(ry」
「シィィ(ry」
「コノ(ry」
「シ(ry」
「k(ry」
「ダマレ!!!!!!」

糞虫同士のけんかの中、ついにジエンがキレた。
「オマエラ! ケンカシテル ヒマアッタラ オレニ コロサレロ!! ソシテシネ!!」
コリンズ5%配合の口調でジエンは叫び、そして、強烈な光を放った。

おや・・・?ジエンの様子が・・・!?

94 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/09/14(火) 01:27 [ fcecvfME ]
5/5

おめでとう!ジエンはカントンホウケーイに進(ry
カントンホウケーイはコメットパンチを(ry
カントンホウケーイはメガ㌧パンチを(ry
カントン(ry

さて、一部任○堂の某ゲームが混じったことをお詫び申し上げて、本題に戻ります。
前述の通り、ジエンは体が生えてきた形でカントンホウケーイになったわけですが、
「シィィィィィ!? キモイヨー!! コンナノ キモイ!!」
「シィィィ!! コッチコナイデ!! キモイキンガ ウツル!!」
「シィィィィ!!ダッコシマ(ry」
と言う風に糞虫どもがなってしまいますた。まぁ、お構いなしな訳ですが。
まずは手頃な糞虫を4匹鷲掴みにすると、そいつらを壁とキスさせてあげました。
壁にめり込んじゃったけど、ビクンビクンと感じるほど熱愛の様子だったからそのままにしておきますたw
次は妊娠糞虫を採って、腹をマッサージしてあげました。もちろん、中身のキモイのを別の糞虫に差し上げました。
被検体はマッサージされて眠くなったのか、そのまま寝ちゃいますたw
後の糞虫は、めんどくさいので線路に放り投げてやりますた。
強烈な光とともに、バチバチバチバチバチ!!!と火花も散り、
同調して「シィィィィィィィィィィィ!!?」「ハギャァァァァァァァァァ!!」「ミギュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!ミギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」
「マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙マ゙!!ダダダダダダダゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!」
などと叫び、体をしびれさせるほど喜んでいました。


しかし、ギコ丘は帰ってこない。
ギコ丘がグモったあたりには、挽肉がかなりの量、残されていた。

ジエンはそこにいられなくなり、そして、台場地区へと逃げるように去っていきました。

=ギコ丘の冥福を祈りつつfin=


 ∧∧
(゚Д゚..)ゴルァ!!俺はまだ氏んで無い!!

95 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:36 [ .zUKotKw ]
【羽根】

 昔、1人のクラスメイトが自殺した。
机に飾られた花。
そんなものを見ても何も思わなかった。

 クラス総出の葬式。
泣いている人は1人もいなかった。
俺はあまりにも馬鹿馬鹿しくて葬式を抜け出した。
一緒に抜け出した友人と話をしていたとき1つの単語が何度か聞こえた。

 ムシ。
自殺したクラスメイトのあだ名だった。

96 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:36 [ .zUKotKw ]
 チャイムが鳴り終わった後の廊下を堂々と歩く。
学生時代には出来なかったことで、
いまでもなんだか気持ちいい。
 脇に並ぶ教室から漏れるざわめきを横切り、
やや奥にある引き戸の前で止まると、
それを引いて中に入った。

 俺が教室に入ったことに気づいて何人かが話をやめて席に戻る。
しかし、大多数は所々に小さな集団を作り、
様々な話題に花を咲かせていた。
「おーい、朝の会だぞー、席につけー」
手で小さなメガホンを作り、
奥まで聞こえるように語尾を延ばして言うと、
生徒達はここでやっと先生が来たことに気づき、
がたがたと大きな音を立てて席へ戻っていった。

97 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:37 [ .zUKotKw ]
 まだ学生のころに流行っていた不良教師もののドラマや映画にあこがれて、
3流大学の教育学部に入り5年間みっちり勉強をして卒業した後、
それとは別に1年に及ぶ特訓をして、
満を持して教員免許を獲得し教師となった。
手に入れた免許状を眺めながら、
ブラウン管の向こうの若いアイドルが演じる教師と自分を重ねていた。

 滅茶苦茶で破天荒で他の教員からは嫌われ校長や理事長に目をつけられ、
でも生徒達には好かれる先生を夢見ていたのだが、
現在、俺の目の前で着席している生徒達は、
目つきの鋭い不良のような生徒でもなければ、
けばけばしい髪の毛の色をした生徒でもなく、
青春の複雑な悩みを抱えた生徒でもなければ、
当然、眼鏡をかけて土色の顔をした勉強しかとりえの無い生徒でもなく、
ただただ、純粋な眼、眼、眼。
悩みも知らず、
汚い物も知らず、
世の複雑さも知らず、
楽しさと、好奇心が一杯につまった綺麗な瞳をもった、
まだ年端もいかない児童達だった。
野望を持っていた俺の毎日は、
『たこのあしは8っぽんなのに、なんでいかは10っぽんあしなの?』
『どうしてちょうはいもむしのときはかっこわるいのに、せいちょうするときれいになるの?』
『どうしてよるになるとねむたくなるの?』
といった、世の中の不条理や、
甘酸っぱい恋の悩み、
複雑な家庭の事情とは遠くかけ離れた、
濁りも不純物も一切無い純粋な疑問にどう答えるか、
頬を引きつらせながら悩むばかりとなった。
無茶苦茶で破天荒で他の教員から嫌われそれでも生徒から好かれるはずだった俺は、
理想とはまったく別物の、
無茶苦茶でもなく破天荒でもなく先生からは人目置かれ生徒からも好かれる、
模範囚のような先生となった。

98 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:37 [ .zUKotKw ]
 全員が着席し一旦しんとなったところで点呼を取る。
途中から生徒達が隣の席と話をはじめ騒がしくなるが、
いちいち注意していてはきりがないし、
また、生徒達が名前を挙げるたびに元気良くはいと答え、
喧騒の中でも十分に聞くことが出来るためそのまま続行した。
 出席簿も中ほどまで確認したところで、
リズム良く続いていた「はい」の声がふいに途絶えた。
見逃しそうになったところを声のトーンを上げもう一度言う。
しかし、耳に聞こえてくるのは子供達のざわめきのみ。
「いないのか」
やや声を荒くして顔を上げる。
荒れた声に急に静かになった教室をざっと見渡したが空席は無い。
さらに名前を呼ぶと、ぼそりと僅かな声が返ってきた。
くすくすと小さな笑い声が聞こえる中、そこに視線を向ければ、
窓際に不自然に隣の机から離された席が眼に入った。
その席に座った、まだ子供ばかりのクラスの中で一際小さいその生徒は、
恥ずかしそうに顔を赤くして俯いていた。
「いつも言っているだろう。返事をするときは先生に聞こえるようにしなさい」
 はい、とその生徒が小さく答える。
恐らく次も同じように喧騒の中に消えるほどか細い声で答えるのだろう、
と考えながら出欠確認を再開した。

 この生徒はいつもこうなのだ。
いつも、テンポ良く名前を読んでいくのに、
この生徒の名前に来た途端それが崩れるのだ。
それは点呼に限ったことではない。
平常の授業の時間この生徒を当てても、
間違った答えを言わなければ当然正解も答えず、
押し黙るばかりで答えようとしないのだ。
今まで気持ちよく走っていたのに唐突にこけてしまったときのような感じがして、
非常に不愉快だ。
それに成績も悪い。
テストの点も、
100点満点がずらりと並ぶほど簡単な問題で、
1人70〜80点だ。
体育ではいまだに逆上がりもできない。
いわゆるクラスのできそこないだった。

99 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:38 [ .zUKotKw ]
 授業の時間。
いくら基礎の基礎といっても、
畑違いのため十分に教えることのできないものもある。
国語なんかそれが特に酷い。
専攻は理数だったために国語はよく分からない。
漢字の書き順もいつもはパソコンを使っているため殆ど知らない。
幸い、読解まだ書いてある通りに解説すればいいし、
書き順もそれほど複雑な物はあまり無いので今のところ問題は無い。
しかし、これが高学年だったらどうなることやら。
そう思いながら壇上で国語を教えていた。
 生徒に教科書の内容を段落ずつ立って音読させると少し手持ち無沙汰になる。
そこで、ノートを良く取っているかなどを確認するために机と机の間を歩き始めた。
しっかりと教科書を目で追っている生徒の傍らを通り過ぎ、
消しゴムからねりけしを作っている生徒を軽く小突き注意していると、
できの悪いあの生徒の横にたどり着いた。
 熱心に教科書を読んでいるその子は俺の存在にまだ気づいていないようだ。
遠目から見れば何も問題ないように見えるが、しかし……。
「おい」
声を掛けられ、少年はびくっと体を震わせると、
教科書から顔を離しこちらを見上げた。
僅かに怯える瞳と目があった。

 途端どきりと心臓が震えた。
落ち着きなく震えるその瞳は、
他の生徒とは何かが異なり、
また、どこかで見たことがあった。
 なぜ見覚えがあるのだろう。
なぜ、俺がここまで驚かねばならないのだろう。
そんなことを考えながらも表情には出さず言葉を続けた。

「教科書とノートくらい綺麗に使えないのか?」
 俺の言葉に周り生徒達はどっと笑った。
教科書を朗読していた生徒すらあはははと腹を抱えて笑い始める。
その中心で少年は顔を真っ赤にして俯いた。
微かに肩が震えている。
 やがて、押し殺したような声ではいと聞こえたので、
静かに、と言って笑いを鎮め教壇へ向かった。

 恥をかかそうと思って注意したわけではなかった。
 俺だって昔は教科書の隅にぱらぱら漫画を作ったり、
偉人の肖像画に、額に『肉』と書いたり見事なヒゲを蓄えさせたりした。
だから多少汚れていても注意する気はない。
逆を言えば、注意せねばならなかったほど汚かったのだ。
 ノートは所々破れ、
クレヨン、マジック、ボールペン、
消しゴムで消すことのできない様々なペンで描かれた奇妙なアニメキャラクターや文字が、
真っ白のはずのノートを黒で埋め尽くしていた。
教科書も同様にマジックでアニメキャラクターなどの低俗な落書きが、
隅にできた僅かな白地どころか、
授業に使う文章や問題が印刷されたところまで描かれていた。
むしろ印刷された場所に書かれていた落書きが、
隅の僅かな白地のところまではみ出た感じだ。
いくらなんでもこれはやりすぎだ。
だから軽く注意しただけに過ぎなかった。

100 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:39 [ .zUKotKw ]
 ふと、脳裏に学生時代の記憶が蘇る。
移動教室をサボり教室残った俺は友人とある机の前に集まった。
ごそごそと中をあさり取り出した物はとある生徒の教科書とノートだった。
俺は、油性マジックの蓋を開けると、
表紙に書いてある名前の上に読めないように黒い線を引き塗りつぶし、
代わりに俺たちがつけたあだ名を書き始めた。

 虫。

 そうでかでかと書かれたノートを友人達に見せると、
一緒になってげらげらと大声で笑った。
全てにムシと書き終えると、今度はそれらを広げ中を見る。
簡潔に書かれたノートは淡白で味気なかった。
だが、字が汚いことを無理やり見つけると、
キモイキモイとささやき合い、また大声でげらげらと笑った。
それでもまだ時間が十分にあったので、
俺たちは笑いながら、
広げられたノートや教科書に、
女の裸や罵詈雑言、
流行の漫画キャラクターを、
隅にあった空白ではなく、
覚えるべき様々な公式、文章、問題が印刷された、
ページの中心部分を重点に落書きをした。
さすがに教科書やノートは沢山あったので、
途中でチャイムが鳴り、他の学生が戻る前にお開きとなった。

101 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:39 [ .zUKotKw ]
 どうしてこんなことを思い出したのか疑問に思う。
だが、すぐに記憶の中のノートとあの生徒のノートが同じことに思い当たった。
 イジメられている……ということか?
 いや、そんなことは無いはずだ。
イジメが起こっている現場を見たことがないし、
イジメが起きているという噂も聞いたことない。
生徒達もあの生徒を除けば皆明るくて優しく、
いじめを行っているようには見えない。
そもそもまだ彼らは幼い。
世の中の不満をイジメのような陰湿で非生産的なことで解決するよりは、
友達と一緒にゲームをしたり走り回ったり騒いだりといった、
明るいことで解決するはずだ。
良く覚えていないが、恐らく俺があの生徒と同じ年のころは、
同じようにでかでかと落書きをしていたはずだ。
だから、あの落書きもあの生徒自身でした物であり、
故に、決して級友によってされた物ではない。

 思考を無理やり終了させる。
だが、蘇った思い出と共に、
引きずり出された記憶があった。

 瞳。

 何かに怯えるように震えるあの生徒の瞳は、
俺がさんざんイジメたあのクラスメイトと同じ物だった。

102 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:39 [ .zUKotKw ]
 明日行う授業内容の確認を済ませると、
俺は帰り支度をし早々職員室を後にした。
駐車場で車にキーを差し込むとき何気なく校舎を見上げる。
所々にひびが入ったコンクリートの壁、
その上に位置する屋上に人影があるのに気がついた。
目を凝らしてよく見てみると、
フェンスに手をかけ西日を浴びるように佇むその姿は小さい。
恐らくこの学校の生徒だろう。
 あれ?屋上って封鎖されていなかたっけ?
確か学校を見回ったとき他の先生に、
屋上は昔事故があったから現在は鍵をかけて閉鎖してあると聞いた。
 首を動かしあたりを見渡す。
砂利が敷き詰められた駐車場には誰もいない。
俺はため息をつくと、
開けたばかりの車のドアに鍵をかけ校舎に向かい歩き出した。
これも教師の仕事なんだろう。時間外だけど。

103 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:40 [ .zUKotKw ]
 屋上までの階段を上りながらぼんやりと考える。
 屋上での事故と言ったら、
やっぱり誰か落ちたのだろう。
でもフェンスがあるから、
落ちるにはそれを越えなくてはいけない。
さすがにフェンスをよじ登って越えるのは故意じゃないと出来ない。
となると──。
 想像してみる。
2mくらいのフェンスを乗り越えて、
『不幸な事故』を起こした子のことを。

「……自殺しか思い浮かばねぇ」
 何度想像しても靴をそろえて、
自ら身を投じる場面しか想像できない。
それならばフェンスをつけているのに閉鎖してあるのもうなずける。
 ──自殺。
そういえば、
学生時代にも飛び降り自殺したやつがいた。
あれは、確か。
「ム……ってうわぁっ!」
 突然足に何かが引っかかり、
目の前の風景が急激に迫ってきた。
 両腕を突き出すと丁度階段の角の部分にあたり、
さらに全体重をかけた衝撃が加わったためじーんと痛んだ。
目の前には階段の角につけられた滑り止めのゴム。
危うくこれに鼻をぶつけるところだった。
 何に引っかかったのかと振り返れば、
この上は屋上であり、そこが閉鎖されていると象徴するように、
それは階段を横切ってつけられている、
『立ち入り禁止』と書かれた看板かかけてある鎖が揺れていた。
 いつの間にか最上階まで上っていたようだ。
もう少しだ。
俺は体勢を立て直すと、また階段を上り始めた。

104 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:40 [ .zUKotKw ]
 しかし、学生時代はいろいろやったなあ、
と、自殺した生徒の記憶と共に引き出された思い出に浸る。
 そんな俺が今や人を導く立場だ。世も末だ。
まあ、一応公務員だし。
昼飯タダだし。
折からの不況でサラリーマンはキツイし、
いろいろと野望を持ってこの職にしたんだが、
本当はこの仕事、想像以上に辛いこと辛いこと。
授業の準備は多いは、
PTAとの確執はあるは、
テストの丸付けといった、
緻密かつ単純な作業が沢山あるは、
生徒の常識がなってないは……ってこれは俺も同じか。
 自分に自分で突っ込みを入れながら前を見ると、
赤い空──。
 べちん!
 体全体に衝撃をうけ、
先ほど死守した鼻がとうとう陥落した。
今度は何だと鼻頭を押さえながら前を見ればスチール製の扉。
上部に開けられたガラス窓からは屋上と赤い空がのぞいている。
「はあ」
 ため息をつく。
さっき似たようなこと起こしたばかりじゃないか。
学習能力無いのか俺は。
あまりの自分の不甲斐なさに落ち込む。
 ……って違う。
自己批判するためにここに来たんじゃない。
人影を探しに来たんだ。
 気を取り直し扉越しに屋上をのぞいて見る。
しかし、人影は見えない。
どうやら、駐車場から見えた部分は死角のようだ。
ドアノブを手に取り捻ってみるとそれは回った。
俺はそれを確認すると、
扉を思いっきり押し開けた。

105 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:41 [ .zUKotKw ]
 屋上は思ったよりも狭かった。
フェンスは隅のごく僅かなスペースを囲っているだけに過ぎず、
そのため、見渡せる景色のわりに狭苦しさを感じる。
だが、涼しい風が流れていて気持ちいい。
 屋上の真ん中で風を浴びていると、
ふと、横でかしゃんとフェンスが揺れる音がした。
音が鳴ったほうに顔を向けると、
1人の少年がフェンスに手をかけながら物憂げに赤い夕日を眺めていた。

「何をしているんだい?」
 こういう場合、むやみに叱りつけるのはよくない、
まず、相手の行っている行動とその理由を聞いてから考えるものだ、
と、大学で教わった。
そのとおりに尋ねてみる。
「空を見ているんだ」
 答えはすんなりと戻ってきた。
つかみはOK。警戒心も持っていないようだ。
学校もそれなりに通用することを教えるみたいだ。

「それは、ここじゃなきゃダメなのかな?」
「うん。ここはこの町で一番空に近いから」
 背を向けたまま少年は答える。
 空に近い……か。
その言葉に合わせて空を見上げてみる。
小高い丘の上に建てられたこの学校は、
この町で最も高い場所に位置していているため。
夕焼けが迫った空がすぐ目の前にあるように感じた。
「たしかに、空に近いな」
少年の言葉に同調するように俺は呟いた。

「それで、毎日ここで見ているのかい?」
 視線を地上に戻し問いかける。
「ううん。ここにくるのは初めて」
「ほう。じゃあ、何で今日にしたのかな?
 たまたま鍵が開いていたとか?」
 核心部分を聞いてみると、
少年は静かに首を振った。
「鍵はちゃんと閉まってたよ」
じゃあどうやってここに入ってきたんだ?と、
問いただそうとしたが、
その前に少年が言葉を続けた。

「でも、この日じゃないと先生が来なかったから」

 少年がこちらを振り向き、
ふっと笑った。

106 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:41 [ .zUKotKw ]
 少年の背景にある夕日が揺らいだ。
びりっと布の破れる音が不気味に響き、
少年の背中で何かが蠢き始めた。

 少年がまるで窮屈な枷をはずしたときのように大きく体を伸ばすと
その動きに合わせて少年の背中のそれも大きくぴんと伸びた。
カラスよりも深く、暗い色をした真っ黒の羽根を周りに舞わせながら、
それは現れた。

 絶望に深く染まった黒き翼──


逆光を浴び、翼が作る大きな影に全身をうめた、
第二次性長期にもまだ達していない中性的な体。
その背中から生える巨大な翼。
その姿は、
「天……使?」
天使としか言いようがなかった。

 だけど、天使とは思えなかった。
その象徴たる翼があまりにも黒くそして、
ボロボロだった。
幾日も手入れをしていないように艶はなく、
何者かに毟られたように毛並みは荒い。
打ち捨てられ腐り始めた鳥のように赤黒い肉や骨が所々でのぞいていた。
とうてい神に仕える聖職者の物とはとても思えなかった。

 突然目の前に現れた常識を越える出来事に、
俺の頭はあっさりと停止した。
少年はもたげていた翼を振り上げると、
あっけに取られている俺に風を送るように大きく羽ばたいた。
 先ほどまで流れていた自然の風とは違う生ぬるい風と共に、
抜け落ちた羽根が黒い群れとなって俺の身体を包みこんだ。
途端に目頭が熱くなった。
なぜ……!?
考える間もなく頭の中に何かが浮かび何かが聞こえてきた。

107 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:42 [ .zUKotKw ]
イタイヨ ケラナイデヨ ボクヲワラウナ モウナグラナイデ アケテ
ヨダシテヨ ボクノベントウ モウオカネモッテナイヨ イヤダヨコン
ナコト ゴメンナサイ ヤメテヤメテ クルシイタスケテ アツイヨ ス
ミマセン ボクガナニシタッテイウノ ムシッテイウナ モウユルシテ

 それは苦しみの塊。
映像として、音声として、そして純粋なイメージとして、
頭の中に土足で入り込み荒らしていく。
なぜこんな物が湧いてくるのかと考える余裕など無い。
 やめろ!これ以上聞きたくない。これ以上見たくない。
 拒絶するようにぶんぶんと頭を振ふっても、
頭を抱え膝をついてもそれらは弱まるそぶりを見せず、
鈍い頭痛をたてて、ねじ込むように、
見せ付けるように入り込んでくる。

ボクハクサクナイヨ コワイヨ ナンデボクダケ オナカスイタヨ ノド
ガカワイタヨソンナ シネ マズイヨ イタイイタイヨ ボクニハチャント
ナマエガアルヨ モウイキタクナイ ハズカシイヨ ボクノセイナノ チ
ガウヨ ナンデナンデ シニタクナイヨ イジメラレルノガクヤシイ ダ
レモボクヲタスケテクレナイ カナシイ ツライ ナキタイ ミンナキライ

 ミンナキライ

ボクヲイジメルカラキライ
ボクヲワラウカラキライ
ボクヲナグルカラキライ
ボクヲケルカラキライ
ボクノワルグチヲイウカラキライ
ボクヲサベツスルカラキライ
ボクノナマエヲイワナイカラキライ
ボクノオカネヲトルカラキライ
ボクヲタスケテクレナイカラキライ

デモ──

108 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/09/24(金) 17:42 [ 8NUbcpZw ]

「オネガイシマス、ワタシハドウナッテモイイカラコノコタチダケハ・・・」
必死なしぃ。命乞いをしているようだ・・・子どもを3匹抱き寄せている
「ママーコンナヤツヤッチュケテヨー!」
「モラッタオサカナサン、ハヤクタベマチョーヨー」
「みゅー」
ベビたちの見上げる視線の先にはモララーがいた
顔を歪め頬をつり上げ笑っている
「おい、糞虫・・・おまえ魚を盗んだだろう。俺は見たぞ・・・」
震え上がりさらにきつく抱き寄せるしぃ
「ハイ、ゴメンナサイ・・・タダ飢エ死ニシソウデ・・・ベビチャンモイルシ・・・・・」
「ほうほう・・なるほど」
しぃの顔に期待が沸く。話が分かってくれる人なのかも
「じゃあお前は子どもがいたら盗みして良いって言うのか?」
「ソ・・・ソンナ事イッテルワケジャ・・・」
「今からお前達は・・・こんな風になる・・・」
グチャ
魚を取り上げ踏みつぶしベビ達に見せた
「コ・・・コワイデチュヨーママヤッツケテクダチャイヨー」
「チィノオサカナサンニナニチュルデチュカーーーー!」
モララーに飛びかかるちび。ボゴォ ヂイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ
ちびの顔面に右ストレートを食らわすモララー
「この糞ちびが!お前等の立場わかってるのか・・・」
「ヤメテクダサイ・・・コノコタチダケハ・・・」

109 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 17:42 [ .zUKotKw ]
.


 コンナ自分ガ一番嫌イ

.

110 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 19:03 [ .zUKotKw ]
「うわぁぁぁぁぁ!」
最後の言葉を打ち払うように声を振り上げる。
だが、一度染み込んだイメージは消えることはない。
ぼろぼろと大粒の涙が溢れ出す。
絶叫が嗚咽に変わる。
 惨めだ。哀れだ、

──自分が。

 映像が、音が、声が、感覚が、痛みが、感情が、
つい今しがたのようにリアルに伝わり、
まるで自分のことのような錯覚をさせる。
いや、もしかしたら自分のことなのかもしれない、
ただ、忘れていたそれを思い出しただけかもしれない。
そんな疑問さえ浮かぶ。
 しかし、その疑問もすぐに涙に流され、
目から流れ落ちる一結晶になる。
残るは、辛み、悲しみ、哀れみ、惨め……
口では言い切れないほどの絶望。
それは耐え切れるものではなく、
俺は子供のように泣くしかできなかった。
涙で地道に削り取るしか方法がなかった。

「……悲しいよね」
 少年が俺の頭に腕を回し抱き寄せる。
「辛いよね、寂しいよね」
小さな胸板に優しく押し付けながら
華奢な両腕が頭を優しく包み込む。
「うぐっ、ぐっ・・・・・ぅあ・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」
「酷いよね、恥かしいよね、惨めだよね」
少年がポツリポツリと漏らす言葉。
それは、同じことを経験した者が語るような、
同じ悲しみと、同じ寂しさと、同じ絶望と、
ほんの少しの諦めが混ざったものだった。
 それでも、こんな悲しいときに、
こんな惨めな自分を優しく抱いてくれることがあまりにも嬉しくて、
押し殺していたものがどっとあふれ出した。
小さく温もりの無い胸でも、
華奢で心もとない腕でも、
そして、
諦めが混ざった同情の言葉でも、
このときの俺には十分だった。

111 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 19:04 [ .zUKotKw ]
「これはダレの絶望だと思う?」
 唐突に投げかけられた言葉にはっとし少年を見上げる。
涙で歪んだ赤い空の奥で、
少年は嘲笑っていた。

「僕は天使なんだ」
 黒き天使が天を仰いだ。
赤い空に小さな顔のシルエットが出来る。
「僕は希望を与える天使。
 希望を与えそっと背中を押すことが僕の役目……」
彼の顔がゆがみ始め、
「僕は沢山の人を助けてきた……。
 けれど、僕は沢山の人を助けることが出来なかった……」
額に雫が降り注いだ。
ぽたり……ぽたり……と。
それはとても冷たかった。
「僕は天使。人を助けることが僕の使命。
 なのに、僕は助けることが出来なかった。
 どうして! どうしてだとっ──」
頭を腕で掴まれ彼の顔の前に引き寄せられる。
「──思う?」
すぐ目の前に迫った彼の目。
助けられなかった人を嘆き、
助けられなかった自分の不甲斐なさを呪い、
絶望の色で濁りきっていた。

112 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 19:04 [ .zUKotKw ]
「君達のせいだからだよ」
彼の唇が僅かに動いた。
「君達が希望を奪っていくからだよ」
その言葉は、
2人の間を通る風にすらさえぎられそうなほど小さかった。

「人は欲深く、故に、罪深い。
 自分のためなら平気で他人の希望を奪っていく。
 だから僕はその希望を失った人に別の希望を与え続けた。
 ずっと、ずっと。
 それはいつまでたっても終わらなかった。
 歳をとっても、時代が変わっても。
 そして、
 いつの間にか、僕の翼は真っ黒に染まっていた。
 そこには沢山の絶望が詰まっているだけだった。
 もう、希望は生まれてこなかった。
 一生懸命助けてきたのに、
 この羽根をもいで、この体をちぎって、
 それでも僕は人々に希望を与え続けたと言うのに、
 君達がせっかくあげた希望を奪っていく──」

 彼の見開かれた瞳から涙が筋となって流れていた。
それは夕日を赤く、血のように赤く反射していた。

「僕、頑張ったよね……
 僕、すごく頑張ったよね……
 だから──」
また、彼の後ろの大きく翼が広がる。
「──だから

 君達の奪っていった希望を返してもらってもいいよね」

天使はそう言って笑うと、
黒い翼で俺を包み込んだ。

113 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 19:04 [ .zUKotKw ]
 ムシだ。
見開いた眼から見える震える瞳は、
昔、俺が散々苛めたムシと同じ、
絶望で濁り、畏怖に染まり、
押し寄せる様々な形をした暴力の波から逃げるように、
焦点を定めず常に当たりを気にしている、
弱く、卑しく、醜く、低俗で、品の無い、悲しい瞳だった。
そのことを知り黒い翼の壁の中で恐怖で叫び声をあげようとするが、
でてきたのはか細いうめき声だけだった。
「僕はムシじゃない。
 僕は天使。
 希望を与える天使。
 でも、
 僕の翼は君達が人に与えてきた絶望で一杯で、
 空を飛ぶことができないから、
 その絶望を君達に返しに来ているだけ──」
 彼はにっこりと微笑むと、顔をゆっくり近づけてきた。
少しでも逃れたい一身で顔を振ろうとするが、
しかし、頭を掴んでいる彼の手が、
細く繊細な見た目からはありえないような力で押さえつけていて、
ぴくりとも動くことが出来なかった。

 容赦なく彼の顔は近づく。
眼前に迫る。
顔に影かかかる。
鼻先がこすれあう。
そして──

唇が触れ合った。

114 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2004/09/24(金) 19:05 [ .zUKotKw ]
 気づいた時には屋上には誰もいなかった。
あたりを見渡すとやけに閑散としていた。
端のところにフェンスで囲まれた小さなスペースが見えた。
いつの間にかフェンスの外に出ていたようだ。
突然頬を熱いものが流れた。
枯れ果てたと思っていた涙だと分かるのに時間が掛かった。
 でもこれ以上泣きたくなかったから、
顔を別の方向に向けた。
見えたのは
既に半身を山の中に没した太陽と
真っ赤に焼けている夕空だった。
もっとよく見ようと屋上の縁に足をかけるとそこに立った。

 目の前に広がるは大パノラマ。
運動場、学校前の大通り、商店街、町の中心を横切る川、住宅地、遠く霞む山林。
人と自然が絡み合った大地が、
視線より低い位置に並んでいた。
そのことが、どこまでも赤く、どこまでも高く、
どこまでも続く広大な空の一住人であるように思わせ、
この悲しい気持ちどころか、身体すら雲散霧散し、
屋上を吹き抜ける風と共に大空へ舞い上がるような心地よさを感じた。

 もっと見ていたかった。
ずっとこの心地よさに身を包んでいたかった。
だが、あっという間に日は落ち、
景色は闇の中に埋もれ、これ以上眺めることが出来なくなった。

 遠い地上から虫の音が聞こえる中、
何かを確認するように後ろを振り返る。
そこには月に照らされた暗い屋上の風景があった。
それを確かめると、
俺は前に向き直り足を踏み出した。

                                         【終】

115 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/25(土) 00:28 [ GLFCSBSU ]
 七月のとある海岸。
数人の人間たちが、焚き火の準備をしていた。
まず、四匹のベビしぃの死体が山積みにされた。その上に彼らはガソリンをかける。
その横には、震える四匹のベビしぃがいた。
死体に火がつけられた。ガソリンに引火したのだから当然ではあるが、
炎はまたたく間に燃え上がった。
人間たちは傍らの震える四匹のベビしぃを、有無を言わさず、その炎の中に放り込んだ。
「オイ、糞虫ぃ!お友達はその火をくぐった所にいるんだ!」
「とっととお友達の所に行きやがれぇ!!」
彼らは笑いながら、燃え盛る炎を呆然と見詰めているベビしぃを炎の中に突き飛ばしていく。
ベビしぃ達を包み込んで燃え盛る炎は、よりいっそう天を焦がしていった。
人間たちは、炎の中で助けを求めて泣き叫ぶベビしぃ達を、さも愉快そうに見詰めていた。
「アーーーッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ・・・・」
「アッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ・・・・」
やがて・・・彼らの嫌な笑いが海岸中に響いていった。
彼らの笑顔は・・・悪魔とも神とも言えない・・・、
そう、悪魔と神とを足して二で割ったような笑顔になっていた。

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 私達は過ちを犯してはいなかった。
 そう・・・正義に基づいた正しい行為だったのである。 

                  元「ベビしぃ園」 職員  ○山 ×男

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116 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/25(土) 01:05 [ GLFCSBSU ]
「園長、解体業者がこんなに早く見つかってよかったですねぇ」
「おいおい、もう園長とは呼ばないでくれ」
 あの一件から数日後。本来なら、お泊まり会からベビしぃたちが帰ってくる予定の日。
二人の男が、瓦礫の山に変わっていくベビしぃ園の園舎を見つめていた。
「焼け跡に、骨は無かったんだろ?ま、有っても、踏み潰していただろうがな」
「『骨もカスほどしか残らなかったので、替わりにベビちゃんが海で取った貝殻を同封します』。
そう親虫ぃには伝えておきました。それにしても、まんまとひっかるとは、ねぇ」
「下等AAなんざ、所詮そんなものさ」
 パワーショベルが有無を言わさず、園舎を破壊していく。
その傍らでは、大型トラックが瓦礫を積み込み、運び出していく。
門も既に半分近くがこの世から消え去っていた。
その門の横には、次の内容の書かれた看板が立てられていた。
【マンション建設予定地につき、関係者以外立入禁止】
〔尚、ベビしぃ園なる施設は最初からここには存在しません〕
「この次の町でも、今回と同じ施設を作ることになっているんだろ?
ま、カモがネギ背負ってやって来てくれるのは、わかりきっておる」
 元園長は、新しいベビしぃ園のパンフレットを取り出した。
それにはこう書かれていた。
(愛情いっぱいのダッコを通じて、ベビしぃちゃんの笑顔を守ります。
ベテラン保育士が心をこめてお預かりします。
たのしいイベントも沢山あります。*お泊まり会、クリスマス会、ダッコ大会など)
「何が愛情だ!そんなモン、ゴミなんかに要るものか!」
 吐き捨てるかのごとく、元園長は叫ぶ。そして、パンフレットのページを一枚破り捨てた。
そのページには、ベビしぃが楽しそうにダッコされている写真が沢山載っていた。
「しぃはもうダメですよ。親が親ならベビもベビだ。所詮しぃはストレスの元・・・
いつかは絶滅させなければなりませんって」
「そりゃそうだ。大体だな・・・」
 次の瞬間、携帯電話が鳴った。
「ああ、俺だ。・・・わかった、今すぐそっちに行く」
「本部からですか」
「そうだ。全員集まっている、との事だ」
 二人は車に乗り込んだ。

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 後に残った親虫ぃをどうしようか考えるだけで興奮した。
  ……それだけストレスが残っていたってことではなかろうか。 

                      元「ベビしぃ園」職員 △川 ■一

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117 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/25(土) 01:48 [ GLFCSBSU ]
 二人を乗せて車は走る。そして、あるビルの前で、車は止まった。
そのビルにはこのような表札が掲げられていた。
 “しぃ根絶・撲滅連合会”
 二人はビルの中に入っていく。そして、ある一室のドアを開けた。
中にいたのは数人の男女だった。元「ベビしぃ園」の職員たちである。
「いやはや、ご苦労。よくやってくれた。大変だったろう。心の底から礼を言うよ」
「ありがとうございます」 
「もったいないお言葉ですよ、園長」
「だからもう、園長とは呼ぶなって」
 園長は苦笑いをした。そして、すかさず話を切り出す。
「俺が言うのもなんだが、これからの方針を・・・」
「やめて下さい!!そんな話!!」
甲高い声が室内に響き渡った。
「アンタ、本当にそれでも嫌にならないのか? 常にダッコをねだられてみろや!
まず一日で発狂するよ!!」
「しぃの気持ち? 知るわけないでしょう?そんな事をいちいち気にしてなどいられませんって」
「あれは異常極まる光景だったぞ。糞虫ぃのベビが八匹もいたんだぞ、八匹も!」
「もとからベビしぃに対する愛情など、かけらもなかったわ。どんなに泣き叫ぶベビ達を見ていても、
何の感情も沸かなかったんですもの!!」
「だからあの時、俺は必死で泣き叫ぶベビしぃを、樫の木の棒で激しく叩いてやったんだ。
もともと生かしておく価値など無かったからな」
「噂ではしぃの肉は柔らかく、臭みもない、多くの食通をうならせる、隠れた名品だと聞く!
だが、俺はァ!!絶っっっ対に食わん!!」
「とっとにかくだ!!ナッコナッコとわめくベビしぃなど・・・この世にいてはならんのだーーー!!!」
 元職員たちは口々に訴え続けた。慌てて元園長が静止した。
「だから・・・落ち着いてくれや!!俺は後に残された親虫ぃの後始末をしてーんだよ」

118 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/25(土) 02:14 [ GLFCSBSU ]
 次の瞬間、室内が静まり返った。
「我々はとんでもない過ちを犯してしまっている。まず先に葬らねばならなかったのは・・・
ベビではなく、親虫ぃの方だったのだ。だから、俺は親虫ぃをベビの元へ送ってやろうと思うんだ。
そして、親子仲良く地獄で暮らせるようにしたいんだ。それがせめてもの情けよ」
「確かにそりゃそうだ」
「でもさぁ、こうして殺してみるとあっけなかったな。ま、所詮はこの程度のゴミでしかないからなぁ」
「毎日ダッコねだられて溜まってたストレスを一気に発散できて良かったよ、マジで」
「とにかく、ゴミ虫を片付けられて清々したわ」
「確かにいずれベビは生まれてくる。だとすりゃ、親虫ぃを殺さないと・・・」
 元職員たちは口々にそんな事を言いながら笑いあった。 徐々に落ち着きを取り戻していく。
「君たちは栄光ある『しぃ根絶・撲滅連合会』のメンバーなのだ・・・。
ベビしぃ園など、世を忍ぶ偽りの姿にすぎぬわ。そして・・・もうあのベビしぃ園の役目は終わった」
 元園長は得意げに言った。
「ベビしぃのナッコナッコという声、これは総ての元凶だ。絶対にこの世に残してはならん。
これが成体しぃのダッコという究極の公害の源であることは明白だ」
「いずれにせよ、親虫ぃをおびき出して集めなければなりませんね。
考えは有るんですか?」
「当然だ」
 そう言った元園長の顔は自信に満ち溢れていた。

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 思い描いていた「楽しいお泊まり会」とは全然違う、
 恐怖感と絶望感だけが支配するお泊まり会・・・。
 だが、ベビしぃ達ごときにはまだまだもったいないとしか、
 言いようが無かったね。

                      元「ベビしぃ園」職員  ×田 □助

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*今回はここまでです、続きはまた後日、投稿致します。

119 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/26(日) 20:40 [ n3u5WRJg ]
*>>115-118の続きです・・・

 その翌日。何匹かのしぃがベビしぃ園へと向かっていた。
ベビしぃ園から、ベビの荷物と訃報とが送りつけられて来たからであった。
だが、しぃたちの目の前にあったのは、信じられない光景だった・・・。
そこにベビしぃ園は跡形もなかった。母しぃたちの目に飛び込んできた物は ただの空地と、
次の内容の書かれた看板だけだったのである。
【マンション建設予定地につき、関係者以外立入禁止】
「ベビしぃ園?そんな施設、シラネーヨ」
「そこは最初から空地だったよ。幻覚でも見たんじゃネーノ?」
「とにかく変な事は言わないでもらいたぃょぅ」
 道行く人々も、知らぬ存ぜぬの答しか返してこなかった。
母しぃたちは途方にくれていた。そこに、一台の送迎用バスが止まった。
そのバスから一人の男が降りてきた。男は言う。
「これはこれは、お母さん方・・・園長の私が何とかしましょう」
 園長と聞いて、母しぃたちは口々に訴え始めた。
「チョット! ドウイウコトデスカ!」
「ソウヨ!シィノ ベビチャンヲ カエシナサイ!」
「オナガイ!! カエシテェェェェェェ!」
園長は制止した。
「お・・・落ち着いてくれませんかねぇ。ここで話をするのもなんですから、
場所を変えて、話を付けようじゃあーりませんか」
「ソウネ・・・」
「ソレジャ ソウサセテモラウワ。ケド、話ハミッチリツケサセテモラウワヨ」
「それでは、このバスにお乗り下さい」
 母しぃたちは、次々とバスに乗り込んでいった。

120 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/26(日) 21:06 [ n3u5WRJg ]
 郊外にある、古ぼけたビル。そこでバスは止まった。
降ろされた母しぃたちは、そのビルの地下の一室に案内された。
「ソレニシテモ、サップウケイネ・・・」
「ハヤクシナサイ!!ハヤクシナイト ヒドイワヨ!!」
「関係者や当事者たちをすぐここへ連れてきます。賠償問題や示談も、ここで行います。
ちゃんとこの部屋で、待っていて下さい。わかりましたね?」
 園長は出て行った。彼は、その先で待っていた元職員に声をかける。
「おい、頼むぞ」
「わかりました。二日ほど放置でいいんですよね」
 元職員の男は、園長がさっきまでいた部屋のドアに、鍵をかけた。
そして、とある一室へと向かう。その部屋には何人かの元職員と元園長がいた。
「準備、終わりました」
「ご苦労。さーて、じっくり見物させてもらうぞ」
「母しぃは計五匹、うち一匹は妊娠していますね・・・出産が近いようです」
「どんな結末が待っているか、楽しみだぜ」
 笑みを浮かべながら、彼らはモニターを覗く。モニターには、
しぃが案内された部屋の内部の風景が映し出されていた。隠しカメラの映像である。

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 元から糞虫ぃの成虫を生かしておくつもりは無かった。
 しぃに存在価値は無かったからである。
 先に糞虫ぃの幼虫が地獄へと旅立っていったんだ・・・
 今度は糞虫ぃの成虫が地獄に旅立つ番だったんだよ。

                           元「ベビしぃ園」 職員  ▽野 ◇太

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*今回はここまでです、続きはまた後日、投稿致します。

121 名前:はやて2号 (9KWjUJb6) 投稿日:2004/09/27(月) 18:36 [ xkScAAbU ]
「シィの糞虫駆除」

私はシィ。
でもそこらにいる「ダッコ」とか「ギャクサツチュウ」とか変な歌は歌いません。
だって私は本物だもの。
私は糞虫の駆除委員に入っている。
で、今はそこらを歩いて探しているわけ。
あ!!来た・・・・・。
「キョウモゲンキニシィシィシィ♪」
「ア!ダッコダッコ!」
「偽者が!嫌だわ。」
「ナニヨ!ダッコシナイトギャクサツチュウナンダヨ。ソレニニセモノジャナイワ!」
「脆いくせに。」
「ナニヨ!シニナサイギャクサツチュウ!!」
『スカ』
『ドカ!!ドス!!』
「シィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!」
「ダッコスルカラユルシテー・・・・・。」
『カチャ!ターン!!!!」
「何がダッコするから許してだよ」
「よおシィ」
「あ!モララー委員長」
この人はモララー所長。糞虫駆除委員会の委員長。
「見事だったよ君の活躍」
「そうでもありませんよ。まだ下の下ですよ」
「本当にマイナス思考だね。たまにはプラスをだしてみたら。」
「頑張ってみます」
私は河川下を見たらなんと、糞虫が本物シィを虐待されるところを見た。
「委員長!!」
「わかった行くぞ!」
「ハイ!!」


続く


*初挑戦です。発想力低いな。orz

122 名前:はやて2号 (9KWjUJb6) 投稿日:2004/09/27(月) 18:39 [ xkScAAbU ]
修正
×この人はモララー所長。糞虫駆除委員会の委員長。
○この人はモララー委員長。糞虫駆除委員会の委員長。

多分続きは暇なときにしか書かないかも。

123 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/27(月) 22:22 [ ujFv7wvg ]
>>119-120の続きです

「オソイネ・・・」
「ナニシテルノカシラ・・・シィチャンタチヲナンダト・・・」
「ソレヨリモ ウマレテクル ベビノタメニ エイヨウ トラナイト・・・」
 日が完全に暮れ、夜になっていた。園長が戻ってこないのだから、無理は無かったが、
母しぃたちは愚痴をもらし始めた。そして、一匹のしぃが立ち上がった。
「モウ カエル!!イクラナンデモ オソスギルヨ!!」
 他のしぃも、その声に同調した。
「ソウダネ・・・モウカエロウカ」
「サンセイ!!ワタシモカエロ!!」
 一匹のしぃがドアノブに手をかけた。が、次の瞬間、恐るべき現状に気付いた。
「ジョウダンデショ!?カギガ・・・カカッテル!!」
「マサカ・・・トジコメラレタノ!?」
「ホ、ホントニ アカナイヨーーー!」
 しぃたちは狼狽した。そこへ、さらに渇きと空腹とが追い討ちをかける。
「オナカスイタ・・・ベビノタメニ タベナイトイケナイノニ・・・」
「ワタシ ダッテ・・・タベモノカ ノミモノ・・・ナニカナイ?」
「・・・アルワケナイデショ」
「ダレカ・・・ナントカシテ」
 しかしもちろん、そんな要求が通じるはずは無い。一方、隠しカメラが提供する映像と、
隠しマイクが拾い続ける音声とは、元職員と園長に惨忍な期待を与えていた。
「相当堪えているようだな」
「ま、もう少しの辛抱ってところか」
「明日にゃーもっといい物が見られるかモナー」
 かくして、その日は終わった。母しぃたちは渇きと空腹の中で、眠りに落ちていった。


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 現実の総てを受け入れられるほど、しぃが賢くない事はわかっていたさ。
 第一、ベビたちに親虫ぃがやってきたのは何なんだよ?
 躾?愛情による教育?これは過保護という名の虐待じゃないのか?
 何が母しぃだ!!ガキを散々甘やかした挙句に、俺たちに全責任を押しつけるなんて!!

                      元「ベビしぃ園」職員  ▲島 ○郎

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124 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/27(月) 23:04 [ ujFv7wvg ]
 翌朝。地下室では、五匹の母しぃたちは、焦燥した表情を浮かべていた。
「ダンドリワルイワネ・・・オナカスイタヨ・・・」
「ナントカナラナイノ?ドウニカシナサイ クソエンチョウ!!」
 だが、変化は無かった。やがて、地下室であるにもかかわらず、室内の温度は上がっていった。
ムワッとした熱気が部屋全体に篭もっていく。それに比例して、黴臭い匂いも充満した。
さらに、コンクリートの床のひんやりとした感触が、消えうせていった。
だが、しぃたちにはどうすることもできなかった。
 そして、昼過ぎになって・・・変化が訪れた。
「シィ・・・ベビガ・・・ウマレル・・・」
「コンナトコロデ!?タイヘン!!」
 妊娠していた母しぃの陣痛が始まったのである。
「ウマレタ!デテキタヨ!!」
「マダデテクルヨ?」
「2ヒキメ・・・3ヒキメ・・・」
 次々にベビを出産していく母しぃ。そして・・・六匹のベビを出産して、出産は終わった。
「ケッキョク・・・6ピキモ・・・・ウマレタンダネ・・・6ピキモネ・・・」
「ヨカッタ・・・カワイイベビガ6ピキモ・・・」
 その出産の喜びも、すぐに否定される事になってしまうのだが。
「トコロデ・・・オナカスカナイ?オナカスイタヨネ・・・」
「ウマレタテノベビッテ・・・オニクガ・・・ヤワラカクテ・・・オイシソウダネ・・・」
「マ・・・マサカミンナ・・・!?」
 そのまさかだった。四匹の母しぃは、生まれたばかりのベビしぃを一匹づつ手に取った。
そして、いきなりベビにかぶりついたのである!!
「イタダキマス!!」
「ゴメンネ・・・デモタベナキャ・・・」
「オイシイネ コリコリシテ!」
「ソンナーーー!!!ワタシノベビチャンガーーー!!!」
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 悪夢のような出産を終えたしぃ達が、自らの手で汚物処理をしている・・・。
 この時の状況とその後の展開とを、
 ‘かなりの’という言葉を使って説明するなら、こうなるだろう。
 ‘馬鹿には馬鹿なりの最期が待っていた’と・・・。
  

                  元「ベビしぃ園」 職員  ○山 ×男

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125 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/09/27(月) 23:08 [ ujFv7wvg ]
*今回はここまでです、>>123-124の続きはまた後日、投稿致します。
 無駄レスを追加してしまい、申し訳ございません。

126 名前:はやて2号 (9KWjUJb6) 投稿日:2004/09/28(火) 20:24 [ cXdqVut6 ]
コレって逮捕された元ベビしぃ園職員の記者会見ですか?
>>121の続き。

「お前ら!何やっているんだ!?」
「キマッテイルジャナイ!コノシィガダッコヲコトワッタカラギャクサッツチュウトシテイマコロシテイルトコロナンダヨ。」
「アウータスカッタノ??」
「やっぱりな。そんなことだと思った。」
「アナタタチハモシヤギャクサツチュウネ!!」
「だったら・・・。」
「どうでしょう!!!!?」
『バキ!!』
「シィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!」
「ウソデショ・・・・。」
「さあ来るんだ」
「委員長。この子を連れて行ってください!!」
「私が片ずけます!」
「頼んだ!!」
「ア!マチナサイ!」
『カチャ!』
『ドーン!!ドンドン』
「アワワワワワワ・・・・。」
「ダッコスルカラユルシテ〜〜〜」
「やっぱりお前はそのことしか言えんのか。」
「そういえばお前等には”アジト”があると聞いたが?」
「ソレハイエナイヨーーーー。」
「そうか。それじゃあ、それじゃあちょっと来てちょうだい?」
「ナニスルノ?ハナシテー!!」



続く。

127 名前:はやて2号 (9KWjUJb6) 投稿日:2004/09/28(火) 20:25 [ cXdqVut6 ]
展開速いと思いますがきにしないd(ry

128 名前:(;´∀`)さん 投稿日:2004/10/01(金) 00:12 [ t.RbK7XQ ]
>>123-124の続きです

 みるみるうちにしぃの口は、ベビの血に染まって言った。
まるで、高級食材を口にするかのごとく、満足そうな笑みを浮かべながら、
ベビを食べていく四匹のしぃ。出産を終えたばかりの母しぃの懇願は、
もはや四匹のしぃには届いていなかった。
「モウヤメテ!!ワタシノカワイイ ベビチャンヲ タベルノハヤメテーーー!!!」
「・・・ウマ-(゚Д゚)−!!」
「モウ、ヤメラレナイネ、コノショッカンガ」
 一方、モニターを見ていた元職員たちは、冷めた反応を示していた。
「やはりな・・・」
「所詮は他のしぃの産んだガキだ・・・どうでもよかったようだね・・・
そうでなきゃ食ったりなんかしねぇって」
「いや、自分のベビを虐待死させてしまうしぃも少なくないそうだ。
産んだあいつも内心では食いたがっているかのも知れないよ。自分のガキをさ」
 モニターの向こう側の、しぃ以外に何も無い部屋では、四匹のベビの命がこの世から消え去っていた。
ベビしぃの肉はとても柔らかく、しぃの口の中でとろけるように消化されたのである。
そして、後には骨すらも残らなかった。噛み砕けるほどに骨が柔らかかった事と、
しぃの空腹が既に極限に達していた事が、しぃに骨ごとベビを食わせる結果を招いた。
「ゴチソウサマデシタ。・・・ヒトイキツイタワ」
「ハ・・・ハニャ〜ン ワタシノベビチャン・・・カ〜ワイイベビチャン♪」
「シィノカザカミニモ オケナイネ・・・コレクライデ ハッキョウスルナンテ」
「ホント、ダメナコネ」
「ハニャ〜ン ハニャ〜ン♪ ハニャ〜ン ニャンニャン♪」
 出産した母しぃは発狂していた。が、この事はこれから起こる惨劇の、予兆でしかなかったのである。
他のしぃはと言うと、残った二匹のベビしぃに目を向けていた。口からはよだれを垂らしている。
「全く、食べちゃったものは仕方ないよね」
「あいつらのメシはあれで充分なんだろうけどさ」
「早く残りのベビも食っちまいなって」
元職員たちは笑いながらモニターを見詰めていた。次なる惨劇の期待に胸を膨らませながら・・・。

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 しぃはいずれは絶滅する運命にある。
 あんな事が平気なツラしてやれるんだからな・・・。
 俺たちの手でいつか絶滅させなきゃいけないよなぁ・・・。

                      元「ベビしぃ園」職員  ×田 □助

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129 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/10/01(金) 01:06 [ t.RbK7XQ ]
「ジャア・・・ノコリノベビモ・・・イタダイテモイイワネ」
「ハンブンヅツネ、ナカヨクワケマショウ」
「デハ エンリョナク イタダキネ♪」
 一匹のしぃが、ベビしぃを一匹手に取った。そして、縦半分に真っ二つになるように、
一気に引きちぎったのである。血が飛び散り、流出していく。
「ハイ、コレデ ハンブンコ♪」
 その瞬間であった!
「シャァァァァ!」
 母しぃが我が子を引きちぎったしぃの頭に飛びかかった。そして、一気に頭を噛み砕いていく。
おびただしい血が川の流れのように流出した。そして、噛み付かれたしぃは、その場で絶命した。
「ガフッ!フシュルルルゥゥゥ!!」
 母しぃは、さらに残り三匹のしぃに襲いかかる。
「バカだこいつら・・・逃げようにもドアには鍵がかかってるんだぜ」
「第一、開けろと言われて開けるバカはいねぇよ。俺たちにも危害が及ぶからよぉ」
「こりゃ予想以上に楽しめそうだぞ。思いっきり楽しませてもらうぜ――!!」
 モニターを前に、元職員たちは歓喜の声をあげた。室内で助けを求める母しぃたちの姿は、
もはや元職員たちにとっては、最高のエンターテインメント以外の何物でもなかった。
「アケナサイ!!ハヤクアケナサイヨ!!カワイイシィチャンガ ピンチナノヨ!!」
「ソ・・・ソウヨ!!ハヤク ニゲナイト・・・」
「オイッ クソエンチョウ!!イナイノ!?・・・ハヤクアケテ――!!」
「シィィィィィィィー!!!コナイデェェェェェェ――!!!!!」
 他のしぃに次々と襲いかかる母しぃ。爪が皮膚を切り裂き、牙が喉元に食い込む。
さらに四肢が引きちぎられ、内臓が大量の血とともに飛び出していく。
三匹のしぃは、肉塊へと変貌していった。
「ガブッ!バリッバリッ・・・ガッツガツガツ・・・」
「キジィィィィッ!!!ウギィィィィッ!!!」
 隠しマイクの提供する音声も、室内の惨劇がどれ程の物なのかを、表していた。
やがて、モニターの部屋では、元職員たちと元園長の奇怪な笑い声が起こった。
「ア―――ッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ・・・・」
「アッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ・・・・」
 彼らの奇怪な笑いは、室内に充満していく。その笑顔は、悪魔とも神とも言えない・・・、
そう、悪魔と神とを足して二で割ったような笑顔になっていた。
それは、かつてあの海岸で八匹のベビしぃを焼き殺した時と全く同じ笑顔だったのである。

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  もう少し我々に母しぃどもは感謝するべきだ。
  これであのベビたちの待つ、地獄に行けたんだからな。 

                      元「ベビしぃ園」 職員  △川 ■一

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*今回はここまでです、続きはまた後日、投稿致します。
 尚、>>128では、他のスレで使っているH.N.を使ってしまいました・・・
 スマソ。

130 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/10/01(金) 19:51 [ t.RbK7XQ ]
>>128-129の続きです

 何時間、経ったのであろうか。元職員たちと元園長の奇怪な笑い声も、
母しぃたちの悲鳴も完全に消え失せていた。やがて、モニターの部屋から、
元職員たちと元園長が出てきた。彼らはガソリンの入ったポリタンクを手にしている。
そして、件の部屋の前で足を止めた。
「よーし、鍵を開けてくれ」
「もう大丈夫ですよね」
 鍵をはずし、ドアを開け、室内に入っていく。室内はもう、まともな環境とは言えなかった。
しぃの四肢、内臓、皮膚、血管、頭、骨。これらが散乱し、混ざり合っていた。
「こりゃひでぇ」
「おい、まだ糞虫ぃの成虫は一匹御健在だぞ」
「幼虫もいるよ。ほら、あそこに・・・」
 確かに向こう側には、一匹の母しぃがいた。その手には、唯一生き残ったベビしぃが握り締められていた。
そのベビしぃも衰弱しているせいか、弱々しく鳴いていた。
「アニャ? ベビチャン オネムナノ?オカアサンガ オウタ ウッタテゲルカラ・・・グッスリオヤスミ・・・ベビチャン・・・」
 母しぃは子守唄を歌い始めた。調子っ外れで音階もリズムも糞も無かったが、
母の愛の子守唄である事だけは、確かだった。が、元職員たちはそれを否定する。
「ひでぇ歌だ。子守唄のつもりかよ」
「俺には鎮魂歌にも聞こえるがな。とにかくとっとと終わらせよう」
 元園長は拳銃を取り出した。そして照準を母しぃの心臓に合わせた。
銃声とともに、弾丸は母しぃの心臓を貫通した。
「ハニャ〜ン・・・ニャ〜ン・・・?シ・・・シィノ カ・・・ワイ・・・イ・・・ベ・・・ベビチャ・・・」
 鈍い音とともに、母しぃの体は崩れ落ちる。そして、そのまま、しぃは息絶えた・・・。
元園長はベビしぃを、死体の手の中から引き剥がした。そして、そのままベビしぃを地面に叩きつけようとした。
「こいつも・・・地獄に送ってやる」
 元職員の一人がそれを制止した。
「俺に考えがあります。このベビしぃ、生かしておきましょう」
「なぜだ?生かしておく価値など、しぃには無いはずだぞ。
それに君は『しぃ根絶・撲滅連合会』のメンバーではないか」

131 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/10/02(土) 00:17 [ SpLe1vQM ]
「貴様・・・それでも正気か!?」
「『しぃ根絶・撲滅連合会』の今後のためにやるのか?無駄な試みだぞ、どう考えてもよ」
 彼は説明した。
「ベビしぃの時に、まともな教育を叩き込むんですよ。そうすれば、ダッコをしぃは強要しなくなるはずです。
ダッコがマターリの象徴ではなく、百害あって一利無しだという事実を教え込むんです」
「うまくいくという保証は無いんだ。危険すぎやしないか」
「確かにリスクは高い。が、これは、いずれはやらねばならない事です。
我々人間の為にも、そして、奴らしぃの為にもね」
「教育がうまくいけば、全角で話せるようになるかモナー」
「しぃがベビしぃを育てると、非常に高い確率で死亡する。が、
これは、ベビしぃの生命力が低いと言うことではなく、親虫ぃが育てるベビの生存率
そのものが低いと言うことになる。最大の原因は、親虫ぃからの虐待か」
「交尾の強要も、ベビへの虐待も根絶できるぞ。しぃと人類との共存も可能か!」
「ダッコや交尾よりもやっかいなのは、ちびしぃの妄想癖と虚言癖ですよ。
‘フッカツシテクダサイ’だの‘httpレーザ ハッシャー’だのって・・・耳障りにも程があります」
「総ては教育次第ってこったな」
 最後に彼はこう切り出す。
「私が全責任を持ちます。これで失敗するようなら、私を即刻除名して頂きたい」
「ならば好きにしろ。後は総て、君に任せるよ」
 そう言うと、元園長はベビしぃを、その元職員に手渡した。
「さて・・・後はこの部屋の後始末だけだな」
 元園長はタバコに火をつけた。
「気をつけてください!本来なら火気厳禁ですよ。ガソリンがあるんですから!!」
 元園長に注意してすぐに、部屋中に元職員たちはガソリンをまいていった。
血液がガソリンと混ざり合い、ますます変な臭いを生み出していった。
「さらばだ・・・」
 元園長は火のついたタバコを、投げ捨てた。次の瞬間、真っ赤な炎が部屋中を包み込んだ。
やがて、数分も経たないうちに、ビル全体が炎に飲み込まれていった。
「アッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ・・・・」
「ア―――ッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ・・・・」
 元職員たちと元園長はビルを眺めていた。そのビルは、というと炎に包み込まれて、どんどん燃え盛っていく。
再びあの奇怪な笑いがこだまする。彼らは笑いながら、完全勝利の味を噛み締めていた。
これこそまさしく、『しぃ根絶・撲滅連合会』の勝利の瞬間であった。

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 そのビルに火がつくと、俺たちはその場から離れていった。
 元々廃ビルだったから、別に燃やしてもよかったんだがね。
 俺たちの勝利をたたえる「花火大会」そのものだったよ、あの火事は。

                      元「ベビしぃ園」職員  ▲島 ○郎

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132 名前:ベビしぃ園 その後 投稿日:2004/10/02(土) 00:54 [ SpLe1vQM ]
 翌日、警察が、火事の現場検証を行った。が、捜査はすぐに打ち切られた。
‘しぃの無理心中による集団自殺’‘焼身自殺による延焼’
これが警察の導き出した結論であった。警察は、アフォなしぃの集団が、
ダッコや交尾を拒絶されたために焼身自殺した、と決め付けロクな捜査もしなかった。
そして、各新聞も各放送局も、この火事を大きく取り上げるような事はしなかった。
取り上げたとしても、その内容はしぃの存在自体を責めるものばかりだったのである。
もちろん、『しぃ根絶・撲滅連合会』なる団体も『ベビしぃ園』なる施設も、
その名があがるような事は無かった。
そして、たちまち事件の記憶は風化していく・・・。

 それから数年後。そのしぃの親子は、目の前の風景を見たとたん、愕然とした。
いつものように親子でベビしぃ園の門の前までやって来たしぃの目に飛び込んできた物は、
一枚の張り紙と、全ての荷物が消えた、もぬけの殻の園内だった。張り紙の内容は以下の通りである。
〔先月末をもちまして、ベビしぃ園は閉鎖しました。なお、今後の業務は、
 しぃ総合教育センターにて引き続き行います。是非お問い合わせ下さい。〕
 帰宅してすぐに、母しぃは電話をかけた。すぐに係が応対に出た。
「はい、しぃ総合教育センターです。ええ。お子さんですね。はい、大丈夫ですよ。
ええ。それでは、お待ちしています。」
 親子はすぐに、しぃ総合教育センターへと向かった。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 あの時、魔がさしてしまったのは確かだ。
 だが、ただの偶然に救われる事になるとは思ってもみなかったよ。

                           元「ベビしぃ園」 職員  ◎井 ●樹

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*今回はここまでです、続きはまた後日、投稿致します。
 はやて2号様へ。>>126の御質問につきましては、議論スレまで・・・

133 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/02(土) 19:53 [ 1QTIjaTk ]
ゴミ駆除しぃちゃん

「キョウモゲンキニシィシィシィー♪ミンナナカヨク・・・・ハニャッ!?アレッテキケイジャナイ!?」
丸耳のベビが二匹体を寄せ合って寝ていた。
するとしぃは音を潜めて近寄り丸耳を抱いた。
「ソッチノキケイハスコシマッテテネ♪」

しぃはベビ抱いたまま少し歩くと、
「サテト・・・・」
すると丸耳ベビを放り投げた。

「チィ・・・?」
するとしぃは拳を突き出した。
「マズハカルークジャブ!」

「ヂィィィ!!!??」
ベビは頬を支えて悶えた。

「イッパツメニシテハツヨスギタカシラ・・・マァトリアエズクジョカンリョウ♪」
ガン!
しぃは拳を今度は丸耳ベビの頭に下ろした。そしてそのまま絶えた。
しぃは走ってそのままもう一匹のベビの所へ行った。

「ウンショッット」
しぃがベビを持ち上げるとベビは無邪気に
「タカイタカイデチュカァ?」
ガン!ガン!ガン!ガン!
何度も地面に叩きつけた。
「イチャーヨゥ!!!」
続く

134 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/02(土) 20:13 [ 1QTIjaTk ]
上の続き。
しぃは段ボールを持ち上げて丸耳ベビに近寄った。

「コ・・・コナイデェ・・・」
ドン!ドン!
何度も叩きつけて段ボールが壊れるとしぃはベビを蹴り飛ばした。

「ヂィィ!!」
するとしぃは高く飛び上がった。
グシャ。不快感な音と共にベビは絶えた。
「サーテカラオケニデモ・・・・」
すると丸耳のベビの親が居た。めちゃくちゃな段ボールを見るなり
「アレッ?コレハドウイウコト?アッアナタワタシノベビチャンシリマセンカ?
「アッチヨ・・・」
丸耳しぃはしぃが指差したほうへ走っていった。
丸耳しぃはベビの死体を見ると
「ハニャッ!?コ・・コレハドウイウコト?」
ドゴッしぃは膝蹴りを丸耳しぃの頭にかました。

「シィッ・・・ア・・・アタマガ・・・・コ・・・コノヒトヘンダヨゥ・・・・」
丸耳しぃが這いずって逃げようとするとしぃは丸耳しぃの首を掴むと、

「イチバンヘンナノハキケイノアンタデショーガーー!!!!」
ボキリ・・・・丸耳一家は全員死んだ。
一方しぃは非常に疲れていた。
「ハァ・・・ツカレタ・・・ヒトヤスミシテカラカラオケイコウカシラ・・・・」
続く

135 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/02(土) 20:23 [ 1QTIjaTk ]
上の続き。
しぃが座って休んでいるとしぃの夫のギコが現れた。
「エッ・・・マ・・・マッテ」
「どうしたんだよ それよりさぁ しぃ一緒にカラオ・・・・うげぇっ!?」
しぃの後にいるのは丸耳のベビ2匹とその母親が一匹死んでいた。
ギコはしぃが虐殺をしないと言う約束で結婚したのだ。

「コ・・・コレハ・・・・チ、チガウノ」
ギコの怒りのボルテージはMAXまで達した。
「この糞アマがぁ!」
ギコの拳がしぃの腹にめり込んだ。

「ギィイィ!!!ギコクンチ、チガウノタダコノキケイガ・・・」
しぃは腹を抑えて必死に言い訳を言った。

「俺をギコクン呼ばわりするなぁ!」
今度は耳と腕を引き千切りにかかった。
ブチッ!ブチッ!。両方とも不快感な音を出して千切れた。

「シィィィ!!!オミミガァァァ!!!オテテガァァ!!!!シ・・・シィチャンガコノフッカツヤクヲコイツラニツカウカラ!」
ギコは殴ろうとするのを止めた。
「何・・・復活薬だぁ?」
続く

136 名前:名無しさん 投稿日:2004/10/02(土) 22:07 [ SpLe1vQM ]
*>>130-132の続きです

 都会の真ん中にその施設はあった。斬新なデザインの建物、最新鋭の教育設備。
これがベビしぃの為の新たなる教育施設、しぃ総合教育センターであった。
その体育館の中では、入学式が行われていた。そこに集められたベビしぃたちは、二百匹はいるだろうか。
白いセーラー服タイプのワンピースに、エンジ色のリボンがトレードマークの制服を着て、
セーラーカラーのラインは、一本の灰色。胸元には、しぃのニコニコ顔のピンバッヂが飾られている。
母しぃたちも、笑みを浮かべながら、我が子の晴れ姿を見守っていた。
「それでは、所長の御挨拶です」
 館内にアナウンスが響く。そして・・・壇上には一匹のしぃが現れた。
そのしぃは、ゆっくりと話し始めた。それも、しぃらしくない話し方・・・全角で。
「皆様、御入学おめでとうございます。私が所長です。さて、皆様には、一つだけ約束して欲しい事があります。
それは、いかなることがあっても、『ダッコ』の存在を認めない、という事です」
 館内がざわめいた。ダッコの否定を所長のしぃが切り出したからに他ならなかった。
所長も、同じしぃのはずなのに・・・。
「ダッコはマターリの象徴ではありません。究極の公害です。百害あって一利無しなのです。
大体、マターリという物自体、この世には存在しません。ダッコはこれからのしぃには、
あってはならない物なのです」
「アンタモ オナジシィデショ?ナニヲワカラナイコト イッテンノヨ!」
 母しぃたちが騒ぎ出した。が、所長は続ける。
「しぃはこれまで、交尾の強要や、ダッコによる脅迫を平気で行ってきました。
これではしぃが虐殺対象になっても、おかしくはありません。まして、オニーニを
平気で虐殺したり、我が子を平気で虐待する事も朝飯前、というのは許されないはずです」
「オニーニ!?オニクノマチガイジャ ナイノ?モトモトオニーニハショクヨウジャナイ!!」
「オニーニを虐殺した後、その死体を食べるのなら、まだ許せます。が、
虐殺した後、その死体は放置、というのは明らかに問題になります。
しかも、ウンチサン大好きで、とにかく食べまくり、というのはもっと許されません。
それ以上に許しがたいのは、でぃやびぃへの虐殺行為です。
でぃもびぃも元々は、我々と同じしぃだったはずです」
「アノネェ!!ディモビィモコロサレテトウゼンヨ!!」

137 名前:名無しさん 投稿日:2004/10/03(日) 18:01 [ IM.q0K8c ]
 母しぃの怒号が飛ぶ。が、所長は一歩も引こうとはしなかった。
「そうでしょうか?ならばリハビリセンターがここ最近増えてきているのは、
どう説明なさるおつもりです?もしや・・・あれは税金の無駄使いだとでも?」
「ソノトオリヨ!!!」
「ヤツラハ 『ディ』!! バッチイ 『ディ』!! オバカナ 『ディ』!!
男ナンテ 誰ヒトリ フリムキャシナイ、ヒガシニ逝クシカ 能ノ無イ ボロ猫『ディ』!!
現実ヲ 見ナサイ、所長!! ドンナニ ディガ ガンバッタッテ、
私タチノヨウナ 人気者『シィチャン』ニナンカ 絶対ナレナイノヨ!!」
「その考えが、世間に我々を糞虫ぃとして認識させているのです。
でぃのリハビリが全くの無意味なら・・・しぃはとっくに滅ぼされていますよ」
 やがて、一匹のベビしぃがこのやり取りに耐えられなくなったのか、ぐずり始めた。
母しぃがすぐにそのベビをダッコした。
「イヤァァァ! イヤァァァァ! ナッコ ナッコォォォ!」
「ホラ・・・泣カナイデ ベビチャン!スグダッコシテアゲル!」
「だからダッコはやめなさいって!!」
「アンタニハ ワカラナイワヨ。シィチャンヲ ダッコシナイヤシハ 虐殺厨ナンダカラネ!!」
「ソウヨソウヨ!!アッチイッチャエ!ギャクサツチュウ!!」
 館内にいた職員数人も呆れ顔でそのしぃの親子を眺めていた。やがて、一人の職員が呟いた。
「あいつら・・・さっき俺が応対に出た糞虫ぃ親子ではないか」
 他の職員もそれに反応する。
「今に奴も㌧でもねぇ事しでかすぞ。そうでなきゃここの所長は勤まらんがな」
 所長はそのとおりの行動に出た。母しぃの顔が青ざめた。
「ソレハ・・・エンフィールドMk.1!?ソレデ・・・脳天ニ 風穴 開ケルツモリ!?」
 そう・・・所長の手にはいつの間にか拳銃が握り締められていたのである。
銃口には、サイレンサーが取り付けられていた。
「次はこう言うおつもりですか?‘ダッコスルカラ 許シテェ!!’と・・・
だが、そんな事を言うから、しぃは虐殺されてきたのですよ。
大体、ダッコで総ては解決しません。それどころか、ダッコしなかった他の人を、
しぃが虐殺厨と決め込んで虐殺してきたのも、紛れも無い事実なのですよ」
「コイツコソ ギャクサツチュウダヨ!ギャクサツチュウ!オマエナンカ・・・シンジャエ!!」
 ベビしぃが罵声を所長に浴びせる。
その罵声に反応するかのごとく、銃口を所長はベビしぃに向けた。
「そう・・・私が虐殺厨・・・」
 次の瞬間、ベビしぃの頭がスイカが割れるかのごとく、吹き飛んだ。
「ベビチャーン!!」
 母しぃがいくら叫んでもその声は届かない。鈍い音ともにそのベビしぃはこの世を去った。
「シィィィィィィ!ベビチャン!ベビチャンガッ!ナンテコトヲ…!!コノギャクサツチュウ!アンタナンカシンジャエ!」
 その瞬間、母しぃの全身には穴ぼこチーズのごとく、何ヵ所も風穴が開けられた。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 もうこんな事はやらないかって?そうですねぇ。
  ………………わかりませんよ。そんな未来の事。

                           元「ベビしぃ園」職員  ■口 ◆子

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138 名前:名無しさん 投稿日:2004/10/03(日) 18:30 [ IM.q0K8c ]
「グハァッ!・・・ダッゴォォォォォゥ・・・」
 大量の血を全身から噴き出しながら、母しぃは絶命した。
「チッ・・・もう死んだか」
 親子の死体を職員数人が、こうボヤキながら館外へと運び出した。
「いきなり初日で殺さないでくれよな」
「仕方あるまい。バカは死ななきゃ治らんさ。この糞虫ぃ親子こそ、バカの見本だぜ」
「ま、地獄で親子仲良く暮らしな」
 そう言って職員たちはつまらなそうにダストシュートのフタを開け、
しぃ親子の死体をその中に投げ入れた。死体はヒュウと吸い込まれていった。
ダストシュートは、大型のゴミ焼却炉へと直結していた。
「骨も拾わねぇよ」
 そういい残して、職員たちは館内へと戻る。しばらくして、
ダストシュートからは、ドサっと死体が落ちた音が聞こえて来た。
その館内は静まり返っていた。所長が演説を再開した。
「私の事を虐殺厨呼ばわりして下さっても、いっこうにかまいません。
ですが、ダッコを要求する事をやめなかったり、でぃやびぃを差別し続けるようなら、
私も容赦はしません。あの親子のように死ぬ事になっても、当センターは一切責任を負いません。
生き続けたかったら・・・、当センターの方針に従い、考えを改める事です。
そして、精一杯生きて下さい!!私からの挨拶は以上です!!」
 その後、大きな混乱もなく、入学式は終わった。

139 名前: ベビしぃ園 その後  最終回 投稿日:2004/10/03(日) 19:42 [ IM.q0K8c ]
「俺・・・もうここを辞めようかと思うんだ」
 入学式から半年が経過した、ある日の事。しぃ総合教育センターの職員室で、
職員の一人がこう切り出した。
「わかるぜ、その気持ち」
 他の職員も、次々に頷いた。窓の外には、腐敗し始めたベビしぃの死体が山積みにされていた。
死体の量が多すぎたために、ダストシュートが壊れてしまったのである。
これらの死体は、手作業で大型ゴミ焼却炉まで持っていって、投入せねばならないのである。
職員たちは、苦虫を潰したような顔をして、そのベビしぃの死体の山を見た。
「またさぁ、やっちゃうかもな」
「しぃはストレスの元…だもんな」
「いつか発散しなきゃいけないよなぁ」
「ま、もう少しの辛抱だ。糞虫ぃの幼虫はもう、半分以下になったからな」
 彼らは溜め息をついて自らの境遇を呪った。しぃ総合教育センターの新規オープンに伴い、
彼らは職業安定所の紹介を受け、『しぃ根絶・撲滅連合会』に就職した。
就職難の時代である以上、贅沢の言える身分ではなかったし、何よりも職が必要だった。
そして、しぃ総合教育センターの職員になった、というわけである。
 正常な人間なら当然の事だが、彼らは「しぃそのもの」が気に食わなかった。
何でもダッコすれば済むと思ってる所とか、他者に迷惑をかけても平気で笑っていられる所とか、
一言では言い表わせないほどの「嫌悪感」を、彼らはしぃに対して抱いていた。
 にもかかわらず、しぃ総合教育センターの職員になったのは、
担当の『しぃ根絶・撲滅連合会』の幹部が漏らした、“給料を倍にするよ”の一言だった。
要するに一言で言うならば、彼らは“金に釣られた”のである。
「あの所長を育てた奴、クビになるどころか出世しやがったんだよな」
「ああ、今じゃ『しぃ根絶・撲滅連合会』の会長だぜ。そして、ここの所長は会長のお気に入りさ」
 会長が最初のベビしぃ園の元職員だった時に、あのビルから運び出された、
生まれたばかりの一匹のベビしぃ。そのベビしぃに会長は徹底した教育を叩き込んだ。
ダッコの否定、オニーニやでぃやびぃの保護、虐殺厨の意味、全角での会話法。
かくして、そのベビしぃはしぃ総合教育センター所長へと成長したのである。
「生き残った奴らが最近、全角でしゃべるようになったのは、せめてもの救いだな」
「ベビしぃのナッコナッコという声、これも聞こえなくなったしな」
「最初のベビしぃ園の教訓は生きていたって事かねぇ。ま、これも他の職員から聞いただけだが」
 確かにもう、あの事件を知る者は、『しぃ根絶・撲滅連合会』の古参幹部を除いて誰もいなかった。
「辞めさせてもらうぜ」
「ああ、そうしな」
 彼の心に、一つの希望が生まれた。

 翌朝。彼はようやくこれでおしまいだという、晴れやかな気持ちでいっぱいだった。
軽い足取りで出勤する彼のカバンには、辞表が入っている。
「後は奴らに任せるか。しぃがストレスの元じゃなくなる日も、そう遠くは無いはずだぜ」
この辞表さえ出せば、ストレスが溜まりまくるベビしぃの顔をもう見なくても済む。
そう考えると、彼の顔は次第ににやけてくるのだった。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 もう、「ベビしぃ園」の役目は終わった。
 そしてもう、「ベビしぃ園」の悲劇が再び起こる事もまた無いだろう。

                        「しぃ根絶・撲滅連合会」会長   ☆岡 @太郎

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

                               <完>

140 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2004/10/05(火) 12:58 [ 2nPH/zDE ]
黄色い私とピンク ナ ボクチャン 第二話
ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/585-590の続編


黄色い姉は焚き火を熾し、そこにもいだ腕や足を放り込んで体毛を焼いていた。

「長毛種は調理が大変よね…」

焚き火の中でみるみるうちに長いフサフサとした毛は縮み
辺りに独特のタンパク質の燃える匂いがこもる。
しぃと同じような細身であるにも関わらず、怪力を持つ姉は水を汲んだ大鍋を
軽々と用意すると、火にくべていたフサギコと思われる肉をその中に放りこんだ。

「ハァハァハァハァハァハァハァハァ……」

調理をしている姉の横で、モララーの姿をしているにも関わらずピンクの体色の弟が
息も荒々しく懸命に腰を使っている。

「ボクチャン…交尾もイイ加減にしなさいよ?
ったく、始めるとサルのごとく止まらないんだから」

姉は文句を口にしたが、その程度の注意で止まる訳が無いと分かっているのか
焦げ付いて所々凹んだ鍋の中身の骨付き肉をかき回しながら溜息をついた。
弟は姉の言葉を欠片も聞き入れず、白い体色が薄汚れ灰色や茶色になってきている
手足の無いモナーを抱えて揺さぶりながら、全く離そうとしないでいる。

「……ウッ……。…ネーチャン オナカスイタ…」

独特の揺れを短いうめき声と共に終了させた弟は、まるで玩具に飽きた子供のように
モナーを放ると、隣に立つ姉の足に絡みつき、食事をねだった。

「性欲が満たされたら今度は食欲ですか…ボクチャンって本当にイイご身分よねぇ」

言葉は刺々しいが、その表情は半ば呆れ
残りの半分は本当に馬鹿で仕方なくて可愛いわ…という、親馬鹿にも似たものである。

「コレ タベテモ イイ??」

姉がかき混ぜている鍋の中を覗き込み、弟は早くも待ちきれないという状態だった。

「これは、まだもう少し煮込んだ方がイイから、あっちの干し肉食べなさい。
それから、そのモナー、ちゃんと洗って片付けないと
後で交尾出来なくなっちゃうんじゃない?次のダッチワイフが、いつ捕まえられるかなんて
分からないんだから大事にしないと困るのはボクチャンだよ」
「ハーイ ボクチャン カタヅケ シテカラ ゴハン タベル」

姉がまるで母親のように弟に指示を与えると、その指示を聞いた弟は元気よく返事をして
モナーを連れて川へと下りていく。

「この間の大雨で、水かさ増えてるから気をつけなさいよー!」
「ウン キヲ ツケル〜 デモ ナンカ ダレカ キテルカラ ネーチャンモ キヲ ツケテネー!!!!」
「そういう事は、早く言いなさ〜い!ボクチャンのヴァカ〜!!!」

小さくなっていく弟の後姿に罵声を浴びせながら、すでに自分の耳にも足音の聞こえ出した
町からの訪問者の到着を腕の動きを止めずに冷静を装って、姉はじっと待っていた。

141 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2004/10/05(火) 12:59 [ 2nPH/zDE ]
「料理中に悪いが、お嬢ちゃん、私達の相談に乗って欲しいノーネ」

隻腕に隻眼のノーネが、荷台を押している二人の連れと共に姉の背後に距離をおいて立つ。

「相談?相談に乗ると何かイイ事はあるのかしら?」

姉は鍋の中のスープを一口啜った後、後ろを振り返り、彼らを見上げた。

「相談に乗ってくれるなら、勿論、礼はするノーネ」

ノーネは姉の視線に一瞬、怯みかけたが、それを否定するように頭を振って言葉を発する。

「アナタからの礼??普通は一番美味しいはずの目玉すら美味しくなかったAAなんて
興味ないわよ?」

姉は口の端を少しだけ歪ませて笑うと、ノーネの今は亡き右腕と右目を舐めるように
持っていたオタマで指し示した。

「お礼は別に私じゃないノーネ…」

オタマをつきつけられたノーネが一歩、後ずさる。

「じゃ、アナタの後の美味しそうな…そっちのAAをくれるとか??」

姉はオタマを左にずらし、布の掛かった箱を支える一人であるショボーンを指名した。

「しょ、ショボッ!?」
「モナもショボーンも町長も、お礼なんかじゃないモナ!」

指名されたショボーンがショックで顔を青褪めると
箱のもう一人の支持者であるモナーが姉を睨む。

「言っておくけど、私が欲しいのは美味しい食事になるAAであって
お金とか宝石とか全然興味ないわよ…」

姉はノーネ達に背を向けると再び鍋の中身をかき混ぜ始めた。

「コイツで手を打って欲しいノーネ」

ノーネの声に荷台に乗っていた箱から布が取り払われる。
箱は鉄格子の入った簡易な牢で、一人のしぃが囚われていた。

「しぃ??私達に食べられる事を了承してるの?」

姉が檻の中に手を伸ばすと、しぃがその腕をグッと掴む。

「アゥ… ダッコ??」
「え?見た目、しぃだけど、コイツ、でぃなの?」

綺麗なしぃの毛並みでありながら、その言葉と動きはでぃ以外の何者でもなかった。
その不自然さに姉は驚きながらも興味津々っといった感じである。

「ああ、そうなノーネ…。話を聞く気があるのなら、コイツはお嬢ちゃん達にやるし
何でしぃの見た目なのにでぃなのかも教えるノーネ」

ノーネが輝きだした姉の瞳に気付き、左目を嬉しそうに細めた。

142 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2004/10/05(火) 13:00 [ 2nPH/zDE ]
「お茶も出せなくて悪いわね…川の水でよければボクチャンに持ってこさせるけど…」

ダンボールハウスに入る事を拒んで外で話を進めたがった3人を切り株に座らせ
姉は一人スープを啜っている。

「結構なノーネ…」

血の色をした液体を美味しそうに飲み下す姉から顔を背けながら
うめくようにノーネは断った。

「で、話を確認するけど私に町にやってきた虐殺者を殺して欲しいって事で
間違いないのかしら?」

姉は、面倒な話だと言った感じの迷惑そうな顔を隠そうともせずに訪問者に尋ねる。

「そうモナ。モナ達みたいな一般人には無理でも、お嬢ちゃんなら出来るはずモナ…
その報酬に、あのしぃをあげるから頑張って欲しいモナ」

鍋の中身を覗いて、すっかりのびてしまったショボーンを支えていたモナーが口を開いた。

「つまり、虐殺者が死ぬか、厄介な橋の怪物が死ぬか…どっちにせよ、悩みが一つ消えるし
あわよくば弱った所を狙って生き残った方も退治出来るかも…とか考えてる訳ね」

姉はノーネとモナーに向かって酷く優しい笑みを向ける。

「それは違うノー…」
「そうモナ」

否定しようとしたノーネを遮り、モナーがきっぱりと言い切った。

「了解。町長、私、嘘は嫌いなの…無事帰りたかったから正直でいて頂戴?
だけど、でぃ一匹で命を賭けるなんてチョット、悪条件過ぎるわ」

ノーネの声に表情を一瞬強張らせた姉が、モナーの言葉に再び笑顔になる。

「今までも沢山の町や街のAAを食べてるんだから、これ以上なんて冗談じゃないモナ」

モナーの方も負けじと姉に笑顔を向けた。

「…最近、町からのAAなんて食べた覚えが無いんだけど…何だか町の方たちが徹底して
橋への道を封鎖しているとか…」

姉は冷たい声で責めるように言葉を発する。
モナーと姉の雰囲気が険悪な睨みあいに突入し始めた時
その緊張を裏切るドタドタとした足音が響いてきた。

「ネーチャン! ボクチャン チャント アラエタヨー!! ゴハン チョウダーイ!!!」

水のしたたるモナーを抱えた弟は、姉に向かってまっすぐに走ってくる。

「ボクチャン、ご飯は家の中に吊るしてあるから好きに食べてイイわよ…。
姉ちゃんは、今、お話中だから…ってチョット??」
「ママ! ママダ! ダッコ! ダッコ シテヨー!」

弟は檻の中のでぃに気付くなり、抱えていたモナーを放り出し鉄格子にしがみついた。

「…フトマ…シィ…チャン?? ダッコ… スルノ??」

鉄格子が邪魔で抱く事の出来ない弟に向かって、でぃが必死に鉄格子の隙間から腕を差し出す。

「…コイツもボクチャンの事をふとましぃだと思うのね……あら、どうしたの??」

でぃと弟のやりとりから目を背けた姉は、ショボーンを支えていたはずのモナーが
だるまと成り果てた女モナーへ真っ青な顔で駆け寄ったのに気付いて尋ねた。

「モナの…モナの娘が…どうしてこんな事に…そうだ、ギコは…娘が彼氏のギコを
紹介すると言っていたはずなんだ…モナーと一緒にギコがいなかったモナか?」

涙も隠さずモナーが姉を睨みつける。

「娘だったの?お気の毒様。この人は死にたくないって言ったから手足を貰ったんだけど
一向に何処へも行こうとしないからボクチャンのダッチワイフとして飼ってるの。
ギコは…私の事、傷つけようとしたから食べちゃったわ。骨なら川にまだ落ちてるかもね」

姉の言葉にモナーは立ち上がり、彼女に向かって拳を振り上げようとした。

143 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2004/10/05(火) 13:00 [ 2nPH/zDE ]
「やめるノーネ!」

ノーネが振り上げた拳を左手で掴み捻りあげる。

「だけど、町長!モナはもう、我慢できないモナ!やっぱりコイツらに頼むなんて無理モナ!
こんなAAをAAとも思わない化け物なんか……」

モナーが頭を抱え、薄く笑う娘の上に崩れ落ちた。

「部下がすまなかったノーネ。坊ちゃんの方は、あのしぃを気に入ったみたいだけど
やはり私達の依頼は受け入れられないノーネ?」

ノーネはモナーの前に立ち、姉を見下ろす。

「しぃじゃなくてでぃでしょ??ったく、痛い所つくわね…
ボクチャンがあんなに気にっているんじゃ依頼受ける以外の選択肢が無いじゃない…。
で、あのでぃは何でしぃの見た目なの?」

姉は依頼を断れなくなった事に苛立ちながら、それを紛らわせるためなのか
荒々しい言葉で尋ねた。

「虐殺者に目の前で子供を殺されたノーネ…それで心だけでぃになったという訳なノーネ…」

ノーネがでぃの入った檻を振り返って呟く。

「そういう事…。だから、私とかボクチャンをダッコしたがるのね…」

必死にダッコを繰り返すでぃを複雑な表情で姉が見つめた。

「それで、いつ、決行してくれるノーネ?」

姉の方に視線を戻したノーネが静かに尋ねる。

「準備が整い次第、すぐに行くわ」

ノーネの言葉に、落ち着いた声を発しながら姉も視線を戻した。

「そうそう、このモナーは連れ返させて貰うノーネ」

ノーネは姉を刺激したくないのか、その言葉の響きはついでのように軽い。

「ボクチャンのイイ玩具だったんだけど仕方ないわね…ドウゾ持ち帰ってくれて構わないわ」

姉の玩具という言葉に、だるまを必死に抱えいているモナーがビクリと体を震わせた。

「ほら、帰るから起きるノーネ!」

ノーネは未だに気絶していたショボーンを叩き起こし、モナーを無理矢理立たせると
姉に深々と頭を下げる。
彼らは重く引き摺るような足取りで、台車にだるまモナーを載せて来た道を戻っていった。


「さぁ…約束を違えるのはイヤだし、このでぃを外に出すための鍵は
依頼をこなしてからじゃないとくれないって言うし、いっちょ出掛けてきますか…」

姉は煮込んでいたスープの鍋の火を消すと、腕を一杯にひろげて伸びをする。

「ネーチャン オデカケ イッテラッサイ ボクチャン ママ ト オルスバン ナンダカラナ!」

檻に張り付くように、随分と不自然な姿勢ででぃに甘える弟を姉は苦笑しながら見つめていた。

「はいはい、出掛けるのは面倒なのね…今日はご飯に虐殺厨でも捕まえてくるから
おとなしくしてて頂戴ね」

姉は特に道具も持たず、身一つで町外れの橋から町へと歩み始める。

144 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2004/10/05(火) 13:01 [ 2nPH/zDE ]
「虐殺厨を隔離してる区画ってのは、この辺でイイのかしら?」

廃墟と成り果て物音一つ立たない民家の群れの中に立った姉は、周囲を見回し耳をそばだてた。

「ボクチャンがいれば何処に虐殺厨が隠れてるかなんて
あの超人的な聴力で簡単に分かるのに…やっぱり平凡な五感じゃキツイわねぇ……」

姉はキョロキョロと辺りを見回していたが、不穏な気配を察したのか、急に動きを止め
自分の五感の鈍さを溜息と共に嘆く。

「ま、代わりに私には運動能力と第六感が冴えてるって利点もあるのよ!」

背後に迫った虐殺厨の気配を敏感に感じ取り、姉は虐殺厨が手に握っていたナイフを蹴り落すと
その首をめがけて手を伸ばした。

「好奇心旺盛でアフォな子供が、度胸試しでもしにきたと思ったんだけど…
これだけ厳重に封鎖されてるんだもの…警官達殺した後にやってくるのが
ただの子供な訳無いってことなのね」

頚動脈を的確に狙った姉の爪を紙一重で避けた虐殺厨がニンマリと笑う。

「今ので死んでれば苦しまずに済んだかもしれないのに、貴女ついてないわね…」

姉は足元に落ちたナイフを虐殺厨に拾わせない為に後へ蹴った。

「お嬢ちゃんこそ、お家でママにダッコでもねだってるべきだったんじゃない?
こんな所に来なければ、短い一生を終えなくて済んだんだから」

虐殺厨が懐に隠し持っていた別のナイフを取り出し、姉に向かって突き立てる。

「ママもパパも私の家にはいないの三振王の虐殺厨さん…
残念だけど、私はヒットを取ったわよ?」

背の低さを活かして、姉は虐殺厨の懐に潜りこみ、足の肉を抉った。

「あら?この程度じゃファールでしょ?致命傷には程遠いんだから」

虐殺厨は足を取られて動きを止められる事を避けたかったのか
懐に潜り込んだ姉を深追いせずに後へと飛びのく。

「致命傷には少し遠いけど、思ってるより、ずっと傷は深いかもよ?」

姉は虐殺厨から抉り取った血の滴る生肉を口に含んだ。

「え?そんなに肉があるわけ…痛みは薄かったはずなんだから…キャ…バランスが…」

虐殺厨がバランスを崩し倒れこむ。
その左足の腿肉は姉の手の大きさの分だけ、骨が見えるほどの穴があいていた。

「鋭い刃物で上手いこと切り取られると、痛みをすぐに知覚できないんですって…」

虐殺厨を見下ろし、姉が微笑む。

「子供の癖に虐殺の名人気取り?」

虐殺厨の額に脂汗が浮かんだ。

「貴女と一緒にしないで頂戴…父さんが言ってたわ…
食べもしない命を殺めるのは愚か者の証だって…」

苦し紛れに虐殺厨が繰り出したナイフを腕ごと足でねじ伏せ、姉は再び頚動脈に爪を向ける。

「じゃぁ、私を殺そうとしているお前だって愚か者な訳ね…
パパやママがいないなんて言ったけど、どうせ親に捨てられた孤児なんでしょ?
食べもしない命を殺めて捨てられたんだから…」

虐殺厨は少しでも姉に不快感を与えたいのか、余裕な素振りで言葉を続けた。

「あら、私は、貴女を食べるもの…何の問題もないでしょ?」

しかし、姉は怯む事など何も無く、そのまま虐殺厨の首をはねる。

「それに、私は捨てられたんじゃないの……。私達が…捨てたのよ」

物言わぬ肉塊なった虐殺厨に言い聞かせるように、姉は呟いた。

145 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2004/10/05(火) 13:02 [ 2nPH/zDE ]
「コレ、始末したけど、鍵は何処で貰えるのかしら?」

姉は怖がる町役場のAA達をしり目に、虐殺厨の首をカウンターに置いて尋ねる。

「…コッチに来て欲しいノーネ」

職員のざわつきに気付いた町長が、姉を見つけ声をかけた。

「重いから、コレ、置かせてね。あ、片付けないでよ。大事な食糧なんだから!」

死体の処理をどうしようと話す職員の言葉を聞いた姉は、そう釘を刺すと
町長の部屋へと移動する。
職員達は死体からなるべく遠い場所で、姉の言葉に頷いた。

「まず、怪我の手当てをさせて欲しいノーネ…」

人払いをした町長室で、ノーネは机から救急箱を取り出す。

「怪我?何処も怪我なんかしてないわよ。コレは全部返り血だし…」

姉はノーネの行き過ぎた心配だと笑ったが、それを気にもとめずに
ノーネは姉の手や顔をハンカチでぬぐった。

「ここも、ここも、自分の血が出てるのに気付いてないノーネ…」

拭った先に小さな切り傷やかすり傷が現れ、ノーネはそこに消毒液をひたした綿を
丁寧にあてがっていく。

「あ、ありがと…でも、この位、平気よ」

姉はノーネの気遣いに困惑して、そっぽを向いた。

「そういう訳にもいかないノーネ…私は君の父さんから面倒を見る様に頼まれてるノーネ…」

消毒を終えたノーネが応接用のソファーへ腰をかける。

「町長も大変よね…私達に町に来ないように、でも父さんの顔も立てなきゃいけなくて…
橋に留まらせるためとはいえ、自分から眼を抉ったりしてさ…」

姉はノーネの対面に座ると、自分が抉ったことになっている右目の痕を指でなぞった。

「…えーと、そうだ…あの、しぃのことで話があるノーネ…」

自分の事に話が及ぶとノーネは苦笑いを浮かべて、話題をかえ始める。

「まさか、鍵が渡せないなんて言うんじゃ……」

ノーネの口調に姉が顔をしかめた。

146 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2004/10/05(火) 13:03 [ 2nPH/zDE ]
「それは無いノーネ…約束の鍵はここにある…けど、彼女を食べるなら
出来るだけ一思いにやって欲しいノーネ…」

ノーネは鍵を差し出しながら、懇願するように姉の顔を見つめる。

「私は別に食べ物で遊ぶほど、行儀悪くないから大丈夫よ。
その辺は父さんに躾られてるもの…」

姉は、何だそんな事…とでも言うように頷くと、鍵を受け取った。

「アイツの仕込なら安心なノーネ。あのしぃは…あの子は…目の前でジワジワと子供を
嬲り殺しにされてね。発見された時は電柱にくくりつけられて
3つの惨殺死体の前で、すでに発狂していたノーネ」

惨状を思い出しているのか、ノーネの表情は酷く重い。

「あの虐殺厨…食べもしないのにどうして殺すのかしら?
父さんの家系の中にも快楽殺しぃをする人がいたけど、理解出来ないのよね」

食事の為以外のAAの殺害を理解できない姉は、ノーネなら答えを知っていないだろうかと
疑問を口に出した。

「さぁ…私には虐殺厨の気持ちなど分からないノーネ…。でも、あの子の事情なら
少しは分かる。あのしぃは、すっかりこの世に意識が無いノーネ。
病院に入れて回復させようともしたんだが、誰彼かまわず我が子と見なして抱きしめて
職員達がいたたまれないと心を病む始末でね…
だから、せめて、出来るだけ安らかにさせてあげたいノーネ…」

ノーネは左拳を握り締めながら、しぃ一人救えないふがいない自分を嘲笑う。

「つまり、安楽死がわりに、私の所に寄越したって訳ね。
しばらくはボクチャンがダッコをねだって、あのまま一緒に暮らすと思うけど
もし、食べる事になった時は、必ず、楽に終わるように屠殺するから安心してイイよ」

ノーネに約束をすると、姉はソファーから立ち上がった。

「あ、お茶も出さずに済まなかったノーネ」

立ち上がった姉に、ノーネは非礼を詫びる。

「そんな気遣い御無用よ。そんな事してたら、私達が馴れ合ってるのがバレて困るわよ?
町長を辞めたくないんでしょ?」

ノーネの言葉に姉が苦笑いを浮かべた。

「町長を辞めたくないんじゃない…この町の平和を願ってるノーネ…。
私が町長でなくなって、君達を隔離する政策でなく討伐に向かう事になったりしたら
この町は、あっという間に食料庫にされるに決まってるノーネ…」

ノーネは思わず、そんな未来を脳内に描いてしまったのか、顔が青くなっている。

「そんなに大食いじゃないわよ…でも、討伐に来た人達で保存食が増えるのは確かね。
じゃ、ノーネさんバイバイ…」

姉は一呼吸置いて、表情を険しいものにかえてから町長室の扉を開けた。

「じゃ、皆さん、お騒がせしました。いつでも橋に遊びに来てくださいね」

姉は部屋の隅で震えている職員達に微笑みかけると
虐殺厨の首を小脇に抱え身体を担ぎあげる。
そして、職員達の畏怖と軽蔑の視線を浴びながら
持ち込んだ死体のせいで生ぬるい酸化鉄の匂いが充満した町役場を後にした。

147 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2004/10/05(火) 13:04 [ 2nPH/zDE ]
「ただいま、ボクチャン…新しいご飯が手に入ったわよ〜?ほら、鍵も…って、何で、檻が壊れてるの??」

足音を聞きつけて駆け寄ってくるはずの弟の姿が無いのを不審に思った姉が声をあげたが
ダンボールで作られた家の前においた、しぃの入った檻が壊れてるのに気付き
虐殺厨をその場に落として駆け出す。

「ネェチャン… ギャクサツチュウ ガ キタヨー タスケテー!!」

弟の叫び声を聞いて、姉は家の中へと駆け込んだ。

「ボクチャン!どうしたの!?」

弟は歯形のつけられた耳から軽く血を流すしぃと抱き合い、部屋の隅で震えている。

「…よっ!久しぶりなんだからな!何処行ってたんだ?
揃ってないと黄桃姉弟って呼べないんだからな」

玄関に座り込んでいたモララーが姉に親しげに声をかけた。

「黄桃って呼び方はやめてって言ってるでしょ…父さん…」

緊張していた面持ちを一気に緩ませて、姉はげんなりとした顔で吐き出す。

「お前がオウでコイツがトウ…纏めてるだけなのに何が嫌なんだよ?」

姉と弟と交互に指差し、モララーが笑った。

「何か適当にあしらわれてる気分になるんだもん…所で、父さん。
どうして、しぃの檻を壊しちゃったの?」

弟と抱き合うしぃを見つめて、自分の手に握っていた鍵が無駄になったことを
姉は少し嘆いている。

「ん?美味そうなしぃだと思って調理前に味見したんだが…でぃだったんで諦めたんだ」

モララーは悪びれもせずに姉に笑いかける。

「父さんは、私達と違って、肉はしぃしか食べないもんね。…ボクチャン…何回も言うけど
この人は虐殺厨じゃなくて、父さんなんだからね…」

怯え続ける弟に姉が言って聞かせるが、それでも弟はしぃと抱き合い震え続けていた。

「ギャクサツチュウ ダヨー ママヲ タベチャッタ ギャクサツチュウ ダモン!! コワイヨ ママ…
ボクチャンヲ タスケテ ホシインダカラナ」

弟はしぃの腕の中から少しだけ頭を出し、父であるモララーの様子を恐る恐る伺っている。

「アゥ… フトマシィチャン ダイジョブ… ダッコ スル コワク… ナイ」

しぃは弟をしっかりと抱きしめ、その背中をあやすように撫でた。

「…母さんが食べられたって言いながら、そのしぃにママって抱きつくのは…
まぁ、イチイチ矛盾に突っ込んでたら切りが無いわね。お久しぶりです。お父様。
本日はどのような御用向きでしょうか?」

その様子を冷ややかに見つめていた姉だったが、無駄を悟ったのか
モララーに対して改まった態度で挨拶をする。

「今更、堅苦しい挨拶なんてやめて欲しいんだからな。僕が今日ここに来たのは
お前らの様子見……ってんじゃ納得しねぇか…」

姉の様子を笑い飛ばした後、モララーはふざけたままの様子で彼女を見つめたが
非難の視線に言葉を止めた。

「当たり前です。わざわざ来るからには何か本家であったんでしょう?」

姉は、硬い表情のまま、モララーを見つめ続ける。

「まぁな…オウ、良かったら俺と一緒にしぃセンターに行かないか?
本家の話は、これを受けるならしてやるんだからな…」

娘の名を呼び、モララーが提案をした。

「しぃセンターへ…父さんと行くんだから保護施設の視察…なんて
生やさしい事情じゃないわよね」

姉は考えるために目を閉じ、緊張で乾く口腔を唾液で潤そうとゴクリ喉を鳴らす。

「ネェチャン…」

ピリピリと周りが痛みを感じる程の緊張に耐えかねて、不安げに弟が姉を呼んだ。

「イイわ。本家の話をして頂戴」

姉は覚悟を決め、目を見開く。
橋が風にゆられギシギシと鳴り、紙で作られた家がミシミシと不安な音を立てた。

「オウの度胸の良さが僕は好きだよ。例え、それが蛮勇でも…だからな」

姉の鋭い視線を受けて、モララーが嬉しそうに笑う。
背中を伝う冷たい汗の感触の知覚を拒むように、黄色いしぃは不敵に笑う目前の男を見つめ続けた。


第二話 終

148 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/10/10(日) 00:12 [ Ihh8rmKo ]
「BARオマエモカー外伝」 「デストローイの無い日」

これは、オマエモカーの惨劇シリーズの起きる、1ヶ月前の話です。

1/5
今日はいい日だ。いつもはむかつく課長だが、今日ばかりはいい奴だ。
この前俺が出した出した新型「ガッハンマー」の提案を実現したらこれがバカ受けで、
社長に表彰された上に今日は課長のおごりだそうだ。
課長が行きつけのBARに連れて行ってくれた。「BARオマエモカー」というらしい。


中へはいると「いらっしゃい!」という声がした。店だから当然なのだが。
「マスター!今日も来たぞ!」課長が言う。
「うぉ。ハゲラーじゃねぇか。」マスターと呼ばれた人物が返答する。
「そのあだ名はよせってw」笑いながら実際禿の課長がツッコむ。
「お前のあのころはフサフサでなぁ………」
「そういうお前はチビだった………」
「それを言うなって」「オマエモナー」「いや、台詞が違うって」
聞いているのが飽きてきた。とりあえずわかったことは、二人は幼なじみであるらしい。
「で、そっちの若造は?」
「あぁ、俺の可愛い部下だ。今日は俺のおごりでな。」
会社では「お前は駄目人間か!?」とか罵声浴びせてる癖に、
こんな時だけ可愛い部下……思わず吹いた
「ほ〜。おごるたぁ珍しい。明日は夏のくせに雪か?」
「どういうこった!?しまいにゃキレるぞ!」

とにかく、会話は続いたが、俺もうまい飯を食うことができた。
BARなのに、ちゃんとした飲食店としてもやって行けそうだ。
そして、やっと自分も課長達の話に入った。それから10分後のことである。
マスターがいい人で、悩み事があれば来いと。上司の愚痴も聞いてやると。そういってくれたのである。

そして、事件は起こったのである。

149 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/10/10(日) 00:12 [ Ihh8rmKo ]
2/5
「ナニヨ! コノ ギャクサツチュウ!!!」
一匹の糞虫が金切り声をあげた。
「だから、当店ではそのような支払方法はできないんです。」
「ナニヨ! ダッコバライガ デキナイ オミセナンテ キイタコトナイ! コレダカラ DQN ギャクサツチュウノ ミセハ!」
なんなんだ、ダッコ払いって?少なくともここのマスターはDQN厨房には見えないが……
「DQNチュウボウノ ミセッテ ホントウニ ヒドイミセネ! セッカク シィチャンガ ゴハンタベテアゲテ ソノウエダッコマデ………………………」
「いい加減にして下さい!お支払いできないのであれば警察を呼びますよ!」
「イイモン! シィチャンハ ムザイダモン! ダッコバライモ デキナイ ミセノホウガ ワルイモン!
 ソレニ マターリノ ショウチョウデアル シィチャンガ ツミニ トワレルワケ ナイモン! ソレニモウ ケイサツナラ シィチャンガ ヨンダモン!」
どうやらダッコ払いとは糞虫をダッコすることにより、
みんながマターリを手に入れるから逆に感謝しなさいと。
感謝しなくてもいいから、飯タダにしろ……… そういう事らしい。
そんな都合のいい支払方法が糞虫の間では流通しているのか?
あいつらに金という概念はないのか?
その上、糞虫が呼んだ警察………全日本しぃ連合警察部門か
なんか、一悶着ありそうだな。巻き込まれないうちに退散するか………

しかし、退散するまもなく香具師らはやってきた。
「ハニャーン! ハニャンケイサツヨ! オトナシクシナサイ! コノミセノ マスターヲ マターリボウガイザイデ ゲンコウハン タイーホシニキタヨ!」
ハニャン警察………やはり、糞虫警察だったか………
ちなみに、ハニャン警察(マターリ警察)は糞虫どもの間での名称で、
正規の警察は虐殺警察(マターリの敵)などと呼ばれているらしい。
「マターリ妨害罪!?ふざけんな!そのような罪で連行される理由はない!
 むしろ客のマターリを妨害したのはそこのしぃだ!連れてくならそいつを連れてけ!」
マスターも糞虫と言いたかったろうが、
店の主人である以上、どんな客でも適切な言葉を使わないと営業許可が取り消される。よく、我慢できたものだな……
「ハニャーン! シィチャンノ マターリハ カミノ マターリダヨ! ダイイチソコニイルクソモララ…… コレダカラ DQNチュウボウハ (プ」
「漏れはお前らの方がDQN厨房だと思うが。
 それに俺は虐殺厨で虐殺厨にマターリは必要ないと。そう言いたいわけだな!」
漏れは我慢ができなかった。
こんな素晴らしいマスターをDQN厨房と言わせておいて黙ってはおけなかった。
無論、上司も立ち上がった。
「自分に都合の悪い香具師は虐殺厨か!?お前らはアフォか!?
 おっと、お前らはアフォしぃだったなwアフォで当然か。」
「ハゲラー!それにそこのモララーさん……モラ谷さんと言ったか?これは俺の問題だ!
 客に迷惑はかけられねぇ。その拳をといてくれ。」
「俺は断固拒否する。これから世話になるついでだ!それに俺も指名されている!」
「お前だけで抱え込むな。俺はお前に何度も助けられた。助け返してない部分、今返す!
 モラ谷!こいつら頃すぞ!!つき合え!」
「課長!言われなくても頃す気ですよ!!俺は外の糞虫をやります!」
 そういって、俺は外へ飛び出した。

150 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/10/10(日) 00:13 [ Ihh8rmKo ]
3/5
 案の定、糞虫どもが大量にいる。
「ハニャーン! ギャクサツチュウガ ニゲテキタヨ!! ミンナ! タイーホシナキャ!!」
「逮捕できるものならしてみやがれ!できなきゃ俺の新技の練習台だ!!!」

まずは一匹妊娠中なのを捕まえた。妊娠してるのに勤務とはご苦労なこった。
「動いたらこいつの命と、動いた香具師の命はあぼーんだからな!」
そういっておけば、自分の命を大事にする糞虫どもは動かない。
「お前ら2匹ペアになって並べ!そしてケツ出して待ってろ!」
みなさんは漏れが何をしようとしているかおわかりであろうか?スカトロレースである。
「これから競争を行う!勝った方は生き残り!負けたら頃す!
 優勝者には褒美としてダッコしてやる!
 もしくは、係員になれ!先着2名!!そいつは全ての競争が終わった後、優勝者と一緒にダッコ!」
警察とは言え、糞虫はダッコに弱い。
「ハニャーン! ダッコシテクレルノネ? ジャァヤルヨ!」「シィハ カカリインニ ナルモン!」
係員も決まり、第一試合の出走準備が始まった。今日用意したエンジンは
・タバスコ ・わさび ・からし ・本日のあたり目 ・石油 ・下剤
エンジンは毎回さいころで決まる。
「お前ら!名前を言え!!」
「シィミダヨゥ…………」「シィルスダヨ……」
「そしたらお前ら!このさいころを振れ!」
糞虫どもはさいころを振った。ちなみにこのさいころは重心をおかしくしてあり、必ず本日のあたり目が出るのだ。

151 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/10/10(日) 00:13 [ Ihh8rmKo ]
そして、第一試合、出走準備が整った。糞虫どもは「ポンポンガイタイ」とのたうち回る。
「チョット! コレノ ドコガ キョウソウナノヨ! コンナノ マターリ ジャナイ ンダカラ! ホントウナラ イマスグ ダッコスルベキ ナノニ……」
また名台詞をうだうだ始めやがった……ウザい……とりあえず、頃しておくか…………
「はい、そこの五月蠅い糞虫君はダッコの権利を失ったので、とっとと氏んで下さい。」
五月蠅い糞虫にナイフを投げつけてやった。
信じられないことに、赤い血が噴き出した。緑色の血だと思っていたのにw
五月蠅い糞虫は十数分耐えた後、氏んだ。
しかも、数匹ショック氏した。十万石饅頭で表現しろと言われたら、
脆い!脆すぎる!2ch名物 「糞虫虐殺」と言ったところかw
とにかく、第一試合を始めよう…………
「第一試合!しぃ美VSシィルス!3……2……1……GO!」
両者一斉にアレをだしながらスタートした。係員の糞虫に全てが降りかかる。
「ハニャ!?ウンチサン!?クサイョォォォォォ!!」
糞まみれになって窒息氏してしまった係員の脆さに禿藁しながら、スタートを見送った。
両者、好スタートを切った。両者一歩も譲らないデットヒート。Max120kmと言ったところか。
しかし、そんな速度に糞虫の体は耐えられる訳がない。じきに爆発する…………
ここで、シィルスがスパートをかけてきた。見る見るうちにしぃ美を離していく。
しかし、終わりは来る。ゴールまで15mと言ったところで、シィルスの方の体が爆発。無惨な赤褐色の花火と化した。デロっと出ている腸がなんともキモい。
その後、後ろの方から
「シィィィィィ!?アツイヨォォォォォ!!ダッコォォォォォォォォォ!」
しぃ美の体に火がついている。あまりのスピードに体が燃えさかっている。あの燃えようでは、ゴールする前に焼失するな。
「ジィィィィ……アデュイ…………ヴォウヴァヴェヴォ…………」
正確に発音できてない。ワラタ。で、そのまま焼失。
拍子で、ばたばた氏んでいく糞虫ども。禿藁。

152 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/10/10(日) 00:14 [ Ihh8rmKo ]
5/5
まぁ、そんなこんなで、最初に捕まえた香具師以外全滅させた。
残ったこいつは、全滅したことを知ったとたん、子を産んだ。力が抜けて失禁するのと同じ要領か?
とにかく、5匹ほどいらん生命が誕生した模様。漏れはそいつらの様子を見た。そして、一つの案を思いついた。
「よし。お前、餓鬼どもをダッコしてやれ。流石に、俺も凶悪な悪魔じゃないさ。最後にダッコくらいさせてやる。」
「ホント……?」
「ああ。ネ申に誓ってやる。」
「ソウ………… ベビチャン…… ママノトコロヘ オイデ…………」
5匹は全て、母糞虫に向かって這っていく。これが、最後の悲劇の幕開け。


「サァ…… ママニ ソノ カワイイ オカオヲ ミセテ…………」
5匹は全て、母糞虫に顔を見せた。そして、その瞬間。母糞虫は精神的ショックか何かで逝った。

ご想像の方もいらっしゃるかと思いますが、奇形児が誕生したのです。
1匹、2匹程度が奇形ならば、母糞虫は本人曰く「マターリのために」あぼーんしますが、
流石に5匹は駄目だったようです。精神的ショックで逝ってしまいました。

さて、問題は奇形児ですが、放っておけば、どこかの糞虫が葬ってくれますので。放置プレイ。

そして、俺は店内の様子が気になった。
店内では、最後の一匹がちょうど頃された所だった。ダッコ(脱骨)されてさぞ幸せな氏だったのであろうw


今日も、月が丸い。


======完=======

153 名前: 投稿日:2004/10/10(日) 01:49 [ ZEN493do ]
*新作、逝きます。

 俺は・・・悩んでいた。また、無意味に金が消えていくのだから・・・。
「こんなくだらねぇ事で自動引き落としなんかするなよ」
 自宅を後にした俺は、そのまま銀行へと向かう。が、いつもの事とは言え、
問題が一つ有る。あの教育施設の前を通らねばならないことだ。
「嫌になるぜ」
 私立アヒャアヒャ学園。俺の父は・・・かつてはここの学園長だった。
そして俺の父は・・・アヒャ族出身の教育者として名のはせた人物だった。
 元々アヒャ族は、偉人のよく出る種族として、有名では有った。実際、
俺の父も、それで名が通っていた。が、アヒャ族にはもう一つ、問題が有った。
限度を知らないという事。それが、アヒャ族唯一にして最大の問題点だった。
 今でも思い出してしまう。“躾”と言う名の遠い過去の記憶だ。
俺は・・・父に何度も蹴られ、殴られていた。父は・・・笑っていた。
いつもの口癖を口にしながら・・・。
「ア−−−ヒャヒャヒャ!!これは躾だアヒャ!!」
 母が止めに入る。
「もうやめて下さい!!これは虐待でしょう」
 その母にも、父は暴力の限りを尽くす。
「何を言うアヒャ!おまえさえいなけりゃ、俺には薔薇色の人生が開けていたアヒャ!!」
 そう・・・両親の結婚の動機はできちゃった婚だ。そのできたガキが、この俺だ。
「アッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ・・・」
 父のこのキモい笑いは“躾”のたびに繰り返されてきた。それも、鬼のような形相で笑いながら・・・。
父を異常な奴だと認識する奴も少なくは無かったはずだ。
 そして、それは確信に変わった。ついに冬のある日、俺の目の前で、それは起こった・・・。

154 名前: 投稿日:2004/10/10(日) 02:15 [ ZEN493do ]
 その日、俺は、風呂場で熱湯を掛けられた後、猛吹雪の中、裸同然で家の外に放置されていた。
慌てた母が、縄を解き、俺を室内に入れる。が、それを見て父が叫んだ。
「なんて事してくれたアヒャ!!せっかくの躾が台無しアヒャ!!」
「躾ではないでしょう!?これ以上、この子を痛めつけないでもらえませんか!!」
「何を言うアヒャ。こいつなんか、生きてる事自体、間違いアヒャ。
できちゃった婚で、その時にできたガキが、こいつだアヒャ」
「そこまで言うのなら・・・私を殺して下さい!!この子を産んだのはこの私です!!」
「ならば・・・お望みどおり殺すしかないアヒャ!!」
 傍らに有った包丁を父は握り締めた。そして、母の心臓に突き刺した。
「ア―――ヒャヒャヒャ・・・躾だ!躾だ!」
 そう言って父は母を切り刻んでいく。俺の目の前で・・・。

 それから通報によって警察が来るまで“躾”は続いた。そして、警官の手によって“躾”は終わった。
現場には、母が全身から大量の血を畳の上に撒き散らしていた。俺はただ、突っ立っていた。
そして連行される父を見送った。父は満足げに満面の笑みを浮かべていた。
 俺は信じていた。父が立派な人間、教育者として他の奴らの規範となっている、立派な人間だと・・・。
でも、そうじゃなかった。俺の思っていた、信じていた父の姿は総て偶像にすぎなかったのだ。
真実を総て知った時、俺の中で、何かが変わっていった。
 結局、父は不起訴処分になった。精神錯乱状態で、責任管理能力を問えない、と検察当局は結論付けた。
その後、父は精神病院に措置入院となった。入院費用は国がいくらか負担してくれては、いる。
だが、未だにフリーターの身分である俺には、まだまだその負担は大きい。
 実際、異常者の息子、というレッテル張りが俺を待っていたのだ。
定職に就けず、アルバイトで就職しても、すぐクビにされる。そんな境遇に今の俺はいる。

155 名前: 投稿日:2004/10/10(日) 02:27 [ ZEN493do ]
 とは言え、学校法人の経営が順調でなかった事は否定できまい。
 何をやってもうまくいかず、せっかく一族のコネや裏金の力でなんとか築いた地位も、
この時のミスであっけなく消え去ってしまった。
そして学校法人は他の連中に明け渡され、総ての人に見放され、
今は精神病院の一室で寝たきり生活ときやがった。そうやって朽ち果てていくわけだ。
これでは威厳も糞もあったもんじゃない。まさに惨めな負け犬だ。
 だが・・・そんな俺にも、父の血は流れている。アヒャ族のDNAは受け継がれているのだ。
「元私立アヒャアヒャ学園学園長の息子・・・そんなレッテルは要らないがな」 
 そのアヒャアヒャ学園の前を俺は通り過ぎて言った。
銀行で入金を終えた後、俺は、あるものを見つけた。
それは・・・ちびギコだった。

*今回はここまでです、続きはまた後日、投稿致します。

156 名前:はやて2号 (9KWjUJb6) 投稿日:2004/10/10(日) 17:30 [ xrNokr7w ]
さて、久しぶりに書きますか。
>>126の続き

誰もいないビルに糞虫を縛った。
「さて、言ってもらいましょうか?アジトはどこ?」
「イエルワケナイデショ!!コノギャクサツチュウ!!ハナシテ!!」
普通はココで耳をもいだりするものだ。
しかしそんなことやってしまうと、
「シィノオミミー!!」
とかでアジトのこととは離れてしまうので、委員会はウソ発見器を付けて本当のことを話させる。
アフォならすぐに本当のことを知ったらすぐ反応する。
私はその糞虫に付けてやった。
「ナニスルノ・・・?」
なぜか弱気になっている。
「ちょっとね、調べたい事があるの。死にたくなければ静かにして。」
「これから私の質問の答えをすべていいえと言っててください。」
普通は「イナニキマッテイルジャナイ!!ハナシナサイヨ!!」と言いそうだが、何かが違った。
「ハイ・・・。」
「それじゃあ場所の方角を調べるから。」
「まず、そのアジトの場所は北である。」
「イイエ」
「西である。」
「イイエ」
「南である。」
「イイエ」
「東である。」
「イイエ」
その時、かなりの反応があった。
「方角は東ね。」
「次は・・・。」
「ホントウノバショイウネ」
「!!!?」
その時はビックリした、いきなり本当の場所を言うと言い出したのだ!。
「なぜだ?」
「シィハボスノメイレイデアフォニナッタノデス、キュウニンナアジトニツレラレテボスミタイナヒトガシィニ『マターリタメナラニセモノヲコロシナサイ。サモナイトギャクサツチュウトシテコロス』ッテ」
「と、言うことはお前は最初からアフォじゃなかったってことか。」
「ハイ」
その後、私はそのアジトの場所を聞き、彼女をマタ板に開放させた。
私は委員会の場所に戻り、委員長モララーに全てを話した。
そして、ついにアジト撲滅作戦に動いた。


続く。

157 名前:50・状況説明 投稿日:2004/10/12(火) 22:37 [ VwP5VfXA ]
>>2−11の続き

「ベ・ベビチャンガ シンダ?」
顔面蒼白の母親が呟くと、その呟きにモララーが答える。
「全員氏んでました。死後硬直まで始まってましたよ。事前の検査の時に、
レモナ先生が『胎動が無い』ってあなたに言ったんじゃないですか?
お腹に聴診器をご自分で当てて、ベビ達の心音も聞こえないことも確かめられたんじゃないんですか?」
「ベビチャンハ オトナシク オネムシテイタ ダケナンデス!!!!」
信じたくないといった表情で母親が叫んだ。

ちびが笑いながら口をはさむ。母親は得意の言葉をちびに吐くが、
ちびに死産ビデオの寝言を突かれると黙り込んでしまった。
「確かに『オネム』よね。永遠にだけど(笑) 」
「コノギャクサツチュウ! アンタハ ダマッテナサイ!」
「ベビが氏んで、あ・ん・た・が お金が入らなくて困るものねぇ。
産まれても売られるだけじゃ、ベビ達氏んだ方がましだったのかもね。」
「ウッ…」

二人のやり取りにサスガ(弟)が割って入り、これからの予定を話し出す。
「まあまあ。これからは、ベビちゃん達の死因についてお話をします。
スライドショー形式です。
動画ヴァージョンもあるんですが、こちらは医学生の教材として使わせていただきます。」

「その前に、お兄さん達におしもの世話をしてもらってねぇ〜」
ちびの勝ち誇った笑顔に母親は、唇を噛んだ。

母親の下の世話を終えた介助担当の青年の一人が一旦部屋から退出すると、
サスガはホワイトボードに図を書き始めた。
丸を4つ、隙間なく時計の12時、3時、6時、9時の位置に並べ、
12時の位置の丸に3、3時の位置に2、9時の位置に1、6時の位置に4と番号を書き、
4つの丸の周りを逆さにした丸底フラスコのような感じの曲線で囲む。
フラスコの口の位置がちょうど四番のベビがいた場所を示した丸の真下にくる感じである。

指し棒で示しながら、サスガ(弟)は説明を始めた。
「子宮にメスを入れると、こんな感じでベビちゃんはいました。四番のベビちゃんの下が
ちょっとあいていますね。ここが子宮口だと思ってください。
ベビちゃん達を識別するために、番号をつけさせて頂きました。
では、ベビちゃん達の説明をさせていただきます。」

サスガが、スクリーンからスライドを入れてあるPCの方面に向かうと
誰かがスイッチを入れたらしく、スクリーンがホワイトボードの前に下りてくる。
PCにスライドをチェンジする役割の青年が座ると、サスガは彼に指示を出す。
照明が落とされ、一番のベビの全身を映したスライドが画面にお目見えした。

158 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:38 [ VwP5VfXA ]
顔以外あざだらけのベビ。腕には一と書かれたリストバンドが巻かれて横たわっている。
「これが、時計で言う9時の位置にいたベビです。一番のベビですよ。
このあざは産まれた時に既についていたものです。」
スライドがレントゲン写真とMRIの映像に切り替わる。
「このベビちゃんのお胸のあたりのレントゲンです。右の肋骨が全て折れていますね。
こちらの写真がMRIの写真です。通常肺は2つありますが、1つしか見えないでしょ。
折れた肋骨で肺がつぶれてしまいました。」

「ナオス コトガ デキナカッタカラ ソンナコトヲ イッテルンデショ? コノヤブイシャ!!!」
口調が荒くなりだした母親に、ちびが釘をさす。
「お腹にベビを入れたまま、ちびギコとセクースしてたくせに。
それに、産んだって育てる気持ちなんて無かったくせに。
サスガ先生。続けてくださいね。」
ちびの言葉に母親は唇を噛むしかなかった。

サスガはちびの言葉に返事を返した後で、スライドの係の青年に指示をし、説明を続ける。
「では、ベビちゃんの肺のスライドに。」
スライドがつぶれた肺の写真に切り替わった。

「ナンナノォ コレハ ナンナノォ!!!!!」 ガッ。 
思わず絶叫してしまった母親をちびが拳で黙らせると、サスガは説明を始めた。
「これは、一番のベビちゃんの右の肺です。つぶれてしまっていますね。」
カシャッ。
スライドが肺から小さな骨を取り出した映像に切り替わった。
「これはベビちゃんの肺からでてきた骨です。
肋骨が砕けて肺に刺さってしまったんですね。」

「ナンデ… ナンデ…?」
母親の呟きを聞いたサスガは一番のベビの死因について彼の考えを述べた。
「このベビちゃんがお腹にいた時に、直接棒のようなもので突っつかれたか、
それとも、ベビちゃん達がお腹の中で激しく動き回って、その時に折れちゃったか
どちらかでしょう。体中のあざについてですが、レントゲンで確認したところ、
骨折箇所はありませんでした。
あざはベビちゃん達があなたのお腹の中で動き回った時に、
恐らくついたものだと思われます。
このベビちゃんと二番のベビちゃんよりも先に氏んだベビちゃんが
逃げ場所ちょっと塞いじゃったんで、必死に逃げようとして殴り合いみたいになったんじゃないのかな。」

159 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:38 [ VwP5VfXA ]
「次。」 カシャッ。
二とかかれたリストバンドを腕に巻いたベビの全身写真のスライドに変わった。
やはり、全身あざだらけであった。
「このベビちゃんは一番のベビちゃんと反対、時計で言うと3時の位置にいたベビです。
このベビちゃんは左側の肋骨が全て折れていました。」

カシャッ。スライドが切り替わるごとに、サスガが説明を加えていく。
「これが二番のベビちゃんのレントゲン写真です。左側の肋骨が全て折れてますね。
続いてMRIの写真です。左の肺がつぶれていました。」
続いてつぶれてしまった左肺の解剖中の写真に切り替わる。
肋骨が刺さった部分が、細いマーカーで丸く囲んであった。サスガは説明を続ける。
「丸く囲んであるところがあるでしょ?
ここは肋骨が肺に刺さり、穴があいている場所です。早く一番と二番のベビちゃん達をお腹から出して、肺の穴を塞ぐ手術をすることが必要だったのですが、手遅れでした。
硬直が既に始まっていましたので。」

「ベビチャンンタチハ タスカッタンデスカ??」
青い顔をした母親がサスガに聞くが、代わりにレモナが答える。
「手術前の検査の時に、10ヶ月と答えてらっしゃったけど、
ベビちゃん達の育ちぐあいからいって、もっと時間がたっていたんじゃないんですかね。
早くお腹から出して、楽に空気を吸わせる環境を作ってあげるべきでした。
あれじゃ、酸欠で遅かれ早かれ全員死亡してましたね。
もっとも、母親よりも女であることを選んだような
あなたにそんなことを言ってもいまさら無駄でしょうがね。
一番と二番のベビちゃんは助けようと思えば助かる命でした。」
レモナの言葉を聞いた母親の顔に絶望の色が濃くなっていった。

160 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:39 [ VwP5VfXA ]
「他にご質問は?」 「アリマセン…」
サスガの問いに母親が消え入りそうな声で答える。
母親にとって、自分の罪を思いださせる忌まわしい『カシャッ』という音の後に、
耳もぎの前に撮影したと思われる全身のスライドがお目見えする。
腕には『三』と書かれたリストバンド。眠っているかと錯覚させるような氏に顔である。
彼は三番のベビの説明を始めた。
「このベビちゃんは他のベビちゃんよりも先に亡くなりました。
一番・二番のベビちゃんは全身あざだらけだったけど、このベビちゃんには無いでしょ?
あざっていうのは生きている時につくんです。心臓が止まった時に毛細血管が切れても
皮下出血はしません。血液はもう体を巡りませんから。」

スライドが頭部のレントゲンとMRIの写真に切り替わる。
彼は指し棒で三番のベビの受傷箇所を示しながら、
「お母さん。このベビちゃんは即死状態でした。ほら、ここ。骨折してるでしょ。
この骨折が元の脳挫傷です。続いてMRIの写真ですね。ここの部分が出血です。」

カシャッ。
スライドが変わり、ベビの脳が露出した映像が母親の目に映りこんだ。
「イヤァアアアアアア ベビチャン ベビチャァアアン!!!!」 ドゴッ。
悲鳴を上げた母親に今度はちびが蹴りを入れて黙らせた。
「自分のせいで氏んだべび達の氏にざまくらい、静かに聞きなさいよ。」
「ベビチャンハ ギャクサツチュウニ コロサレタンダモン!」
母親の的を外した抗議にちびは、頭に血が上るのを感じた。
母親に対し、殺意を感じたちびだったが必死に殺意を押さえ込み
彼女に鋭い言葉を投げた。
「そのギャクサツチュウとやらは、あんたでしょ!」
母親は返す言葉が無かった。

「続けていいですかね?」
サスガの問いにちびは肯く。
彼は、スライドにうつったベビの脳の場所を指し棒で示しながら説明を始めた。
「ここにあるのは血腫。血の塊ですね。ここを、ガーンと突かれて出血しました。
で、この範囲が脳の損傷部分です。ガーンと突かれて、中の柔らかい脳が振動して
血の塊があるほうの反対側が崩れてしまいました。
骨折の直径は2cmでした。
念のため、ちびちゃんの手とか、足とかを細かく測らせてもらったんだけど
どこにも2cmって数値はありませんでした。
あなたのお客だったちびギコ達のティンポの大きさも調べたんですよ。
どうも、凶器はちびギコのティンポのようですね。大きさ的にちょうどいい。
ちびちゃんを『ギャクサツチュウ』に仕立てたかったんでしたら、残念でした。」

161 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:39 [ VwP5VfXA ]
「コノ クソチビガ ベビチャンヲ コロシタンデス!」
今度はちびのせいにし始めた母親にサスガが釘をさす。
「ちびちゃんではありませんと申し上げたはずですが?
三体のベビちゃんの受傷部位がちびちゃんの手や足でやったにしては小さすぎるんです。
それに、指や爪でやったにしては受傷部位が大きすぎます。」

彼は、モララーやレモナに筆記用具を借りて、直径2cmほどの棒状にまとめて持ち、
母親の眼前に突き出し、問い詰めた。
「三番のベビちゃんはこれくらいの太さの棒のようなもので頭を突かれて死亡しました。
ちびちゃんがあなたのお腹にいたベビちゃんに直接危害を加えたと仮定したとすると、
彼女がお腹を殴ったり蹴ったりしたか、またお腹の上に乗ったか、お腹を踏んだか、
あなたのマムコの中に手を手首あたりまで突っ込んでいたか、この4つの可能性しかないんです。あなた、身に覚えでも?」
「コノ クソチビニ オナカニ ノラレマシタ!!」

母親とサスガのやり取りを聞いていたちびは母親の嘘に、力なくうつむいてしまった。
レモナが彼女の方に手を置き、慰める。
「お母さんの嘘はサスガ君にはお見通しよ。」
「…………」
モララーが彼女のそばに歩み寄り彼女に囁いた。
「お母さんの嘘に落ち込むのは、まだ先にしたほうがいいよ。
お母さんの嘘に、サスガが反論し始めたよ。
お母さんは、また黙るかな?もう少し、見てみよう…」
ちびは、モララーの言葉に少し元気を取り戻した様子で
サスガと母親のやり取りを観察することにした。

母親にちびがお腹に乗ったと主張されたサスガは、反論を開始した。
「羊水がベビちゃん達を守っていたので、その嘘は通りませんよ。
それにお腹に乗られたら、まず、流産してしまうでしょうね。
殴った、蹴った、踏んだにしても同じです。
まず流産するか、あなたの命の方が危なかったでしょう。
それに、ちびちゃんが手をあなたのマムコに突っ込んでたにしては、
肋骨を骨折していたベビちゃん達と、このベビちゃんの遺体がきれい過ぎます。
ベビちゃんの遺体がもっとひどい状態になっててもおかしくないんだ。」

162 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:40 [ VwP5VfXA ]
「ソンナ… ソンナコトッテ…」

「ちびちゃんが指であなたのお腹を押したとか、ちびちゃんが指をあなたのマムコに突っ込んでたとかの可能性も考えました。まず、指をあなたのマムコに突っ込んでたにしては
遺体の損傷がひどすぎる。それに彼女の指じゃ次に出てくる四番のベビちゃんの遺体がいた位置にまで届かないんだ。一番長い指でも。数本の指を突っ込んで中で広げたにしても。
それに、指でお腹を押したぐらいじゃ、いくら脆いといわれているしぃ族でも流産は無いです。ちびギコのティンポしか凶器は考えられないんですよ。こんなにピンポイントに
ベビちゃん達に直接攻撃できるの。」

母親は歯をカチカチ鳴らしながら恐る恐るサスガに質問する。
「アノ クソチビガ イッテタヨウニ ワタシガ 『ギャクサツチュウ』ッテイウコトニナルノ?」

「まあ、その答えは次のベビちゃんのスライドを見てもらえば
出てくるんじゃないですか?」

サスガは吐き棄てるように答えた。

163 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:41 [ VwP5VfXA ]
カシャッ。
お腹の周りが赤黒く変色している四番のベビの全身写真がお目見えする。
「このベビちゃんは、腹部に大量の出血が見受けられました。変色している場所が
出血部分です。MRIでわからないくらい大量に出血してたんですよ。
臓器が破裂している可能性があったので臓器を直接調べました。
異常があるあなたのベビの臓器が次に出てきます。
上が健康なベビしぃの臓器、下があなたのベビの臓器ですよ。」

母親の顔色は青ざめ、もはや言葉も無い。

カシャッ。
画面が変わり、ホルマリン入りの瓶に入った肝臓と膵臓がそれぞれ一組づつ映し出される。
上の瓶には『健康なベビ―肝臓』 『健康なベビ―膵臓』と書かれた紙が貼られている。下の瓶には、『四番のベビ―肝臓』 『四番のベビ―膵臓』と書かれた紙が貼られている。
上の瓶の肝臓は、暗赤色のきれいな立体の状態をとどめている。
同様に膵臓もきれいな立体の状態をとどめている。
ところが、四番のベビの臓器は肉たたきで叩いて伸ばされたかのように平坦で、
不規則な形に広がっていた。膵臓も、肝臓もである。

「あなたでもこのベビちゃんの死因くらいはわかるでしょ。内臓破裂によるショック死です。中でも酷く損傷していたのが、この2つの臓器でした。腹部に打撃を受けたと思われるんですが、ちびちゃんが指をあなたのマムコに突っ込んだにしてはこのベビちゃんの遺体の損傷が酷すぎます。フィストファックでもさせてたんですか?まだ、ちびちゃんがあなたのベビを頃したと言い張るつもりですか?」

「クソチビガァ… クソチビガァ…」
自分のしたことを認めたくない母親は、まだちびのせいにしたいらしい。ちびを指差し、泣きながらサスガに言い張っている。
サスガはポケットに手を入れながら母親の顔を睨みつける。
「やれやれ……。ちびちゃんでは無理だと何度いったらわかるんですか。
お母さん。実はね、警察からベビちゃん達の凶器と思われるものをこっちに送ってもらってるんです。ちびちゃんの握りこぶしでは、ベビちゃんの遺体がきれい過ぎるんです。
指では、このベビちゃんがいた所まで届きません。これが一番凶器に近いんですよ。
警察から送られてきたものです。あなた、覚えがあるでしょ?」
母親の目の前にサスガはポケットに入れていたものを出した。

ピストン運動をしている電動こけしが母親の前に突き出される。
「これか、客だったちびギコ達のティンポが四番のベビちゃんの臓器を破裂させた凶器です。刑事さんがあなたを発見した時、これを膣の中に入れてたそうですね?
自分のベビちゃん達をちびちゃんが頃したってよく言えたものですね。」
サスガの言葉を聞いた母親は、ただすすり泣くしかなかった。

「最後にレモナからあなたに報告があるそうです。」
サスガに目配せされたレモナが母親のほうに歩み寄り、報告を始める。
「お母さん。ベビちゃん達の血液から、細菌が検出されました。ちびギコ達とのコウビの時に破水してたんじゃないかしら。それに、血液内から尋常ではない量の
アドレナリンが全てのベビちゃんから検出されました。このアドレナリンというホルモンは、恐怖とか、怒りとかを感じると分泌されるんです。
氏ぬ直前にベビちゃん達は尋常ではない恐怖感を味わってたんじゃないかしら。」

母親の顔色は青ざめ、言葉を出そうにも出せない様子で
しばらく口をパクパクさせていたが、意を決したように深呼吸をすると医師団に向かって、彼女は勇気を出して言葉を発した。
「ベ・ベビチャンタチニ アワセテクダサイ! カオヲミルマデ シンダナンテ シンジマセン!」
医師団とちびは両手を広げ、やれやれといった表情を浮かべた。
サスガが代表して母親に応える。
「わかりました。保存してある場所へ参りましょう。」

レモナはパソコンの操作をしていた青年に命じ、母親の椅子の拘束を解いた。
そして、彼らはベビ達が眠っている法医学棟へ向かった。

164 名前:51・法医学棟にて 投稿日:2004/10/12(火) 22:41 [ VwP5VfXA ]
一行が法医学棟に着くと、サスガはポケットの中からカギを出し、ドアを開ける。
「こちらです。」
彼は一行を冷凍庫のあるほうに導いた。

ちびは、前にこの部屋に来た時とは違う妙な明るさを冷凍庫のある部屋に感じていた。
(何のせいでこの部屋が明るく感じるのかしら?)
ちびの表情から何かを察したのか、モララーがちびに囁く。
「工事用のシートじゃないのかな?この部屋が汚れるのをサスガ達は予測して、
シートを床に敷き詰めたんだよね。」

彼女はモララーの言葉に思わず目を見開いて下を見た。
鮮やかな水色の工事用ビニールシートが部屋一面に敷き詰められているのだ。
シートとシートの重なったところは布製のガムテープで貼ってつながれ、
隙間がないように配慮されている。たるんでいる所も無く、ぴったりと貼られているところを見ると、相当丁寧な仕事振りである。
「結構丁寧なんですねぇ。」
ちびは思わず感想をもらすと、モララーがニヤニヤしながら、
「そろそろ酵素ちゃんのお目覚めの時間だからね。」
「酵素?」
「そう。それに、もう一つ違うところがあるでしょ?」
モララーに言われてもちびにはピンと来なかったらしい。ぽかんとした表情をしていると、
彼はうきうきした表情でちびに囁く。「お・ん・ど。」
「そういえば、前にきた時より暖かい…」
「腐らないように配慮してたんだよね。腹から出した時点で既に硬直が始まってたからね。
解剖後の保存にも、気を配ったんだ。それに、自己融解も避けたかった。
遺体を母親の前で腐らせるのが目的だったから。」

「ジコユウカイ?」
首をかしげているちびに、モララーが説明を続ける。
「臓器は、もともと酵素って言うのを持っているんだよね。
ほら、消化酵素とか言う言葉聞かない?で、氏んじゃうとその酵素が臓器自身をどろどろに溶かしちゃうの。これが自己融解。とんでもない高温か0度以下の低温だと、その酵素は眠っちゃうんで自己融解は止まるんだけどね。」
「高温にしとくと腐っちゃうんじゃないですか?」
「そう。湿気があるからね。それに腐敗と自己融解って同時に起こるし。
冷凍しておけば腐らないし、それに自己融解も起こらない。一石二鳥ってやつかな。」

「でも、もう、その必要も無いわけですね。」
「そう。」
二人はニヤニヤしながら母親の観察を始めた。

165 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:42 [ VwP5VfXA ]
一方サスガは冷凍庫のカギを開け、中から4つの小さな発泡スチロールの箱を出していた。
ちびがベビ達の解剖の時に見た時は、これらの箱よりもやや大きめの箱に、二体づつベビが詰められていたのだが、1体づつに分けられたようだ。
「前は二体づつ一つの箱に詰められてましたよね?」
ちびがそばにいたレモナに尋ねると、レモナは彼女に耳打ちした。
「ええ。解剖後に、1体づつにした方がいいってサスガ君が言ってたの
あまりにも、むごい氏に方だったんで、せめて最後くらいは…って思ったらしい。
それと、1体づつ4つの箱に詰めた方が母乳をボランティアのお兄さん達に多く渡せるのよね。」
ちびは思わず苦笑いを浮かべた。

4つの発泡スチロール製の箱にはそれぞれ赤いマジックで1・2・3・4と番号がふってあり、番号順に一列に並べられていた。
「全員、女の子さんでした。彼女たちがマターリの神様とやらの所に逝けるように
祈りくらい捧げてあげて下さい。」
サスガは母親に冷たい目で言い放ち、遺体がある机からちび達がいる方へ歩いていった。

母親は、発泡スチロールの箱のふたを全て開け、まず一番のベビを抱き上げた。
「ヤット アエタワネ ベビチャン。 ホラ オパーイ アゲルカラネ… サムカッタデショウ? ママガ アタタメテ アゲマスカラネ。」
ベビの紫色の唇に自分の乳房を押し付けるが、飲むわけが無い。
「オパーイ イラナイノ? ウンチサンカナ? 」
排便を促そうとベビの肛門をなめ始めたとたん、
プリンの様な柔らかい物を崩したようなグチュグチュッという音が聞こえた。

「イヤアアアアアア」
とたんに母親は、一番のベビを投げつける。
「自分が産んだベビなのに、何て事をするのよ!
*が無いからって投げること無いじゃない!」
ちびが罵声を投げつけるが、母親は無視して二番のベビに語りかける。
「アナタハ ママノ オパーイヲ ノンデ クレルワヨネ…… シィィィィィィィィ!!!!!!!」
乳房を押し付けられた二番のベビの唇がグチュッという音とともにはがれ、
肉が露出している。
「キモイ!!! アンタタチモ ギャクサツチュウダヨ!! ヤット ママト アエタノニ ナンテイウ シウチヲ スルノォ!!!!」
二番のベビまで、机に叩きつけてしまった。

一番と、二番のベビは机に叩きつけられ、顔は変形してしまった。
相当強く彼らの口元に乳房を押し付けたらしく、二体とも唇あたりの皮膚がずるむけになり、中の筋肉層が露出している。おまけに一番のベビは、尻の肉まで崩れていた。
両手、両足はベビとは思えないほど伸びきっており、腕や足はありえない方向に向いている。おまけに腐敗や、自己融解が始まったらしく、あたりに強烈な臭いが漂い始めた。

166 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:43 [ VwP5VfXA ]
母親は、二体のベビのことなど眼中に無い様子で三番のベビを抱き上げた。
「ベビチャン イタカッタデショ? コンナイト ハズシテ ママガ ペロペロシテ アゲマスカラネ。
イタイノナンテ トンデッチャウンダカラ… 」
観察していたレモナとサスガは思わず息を呑んだ。ベビの頭周りの皮膚を縫いつけていた糸を母親は爪や歯で切り、そして糸を抜き始めたのだ。

「お母さん。や…」
レモナが全ていい終わらないうちに頭蓋骨が机の上に軽い音をたてて砕けた。
糊の様にどろどろの脳が机にこぼれると、母親は絶叫し、またもベビを机に叩きつけた。

「ちびちゃん、お母さんは…」
サスガが、彼女に話し掛けると彼女は悲しそうな表情で首を振り、
机を指差しながらため息交じりにサスガに呟く。
「昔ありましたよね。育成型のゲーム。たま○っちでしたっけ?
全員あんなふうに酷くして、『フッカツ シテクダサイ』で、リセットできるとでも思ってるのかしら?復活なんてしないのにね。それに、自分の罪は消えないのにね………
………………………………。
あ、母ですか?正気は失っているでしょうね。完全に彼女を壊しますんで心配しないで。
あのね、先生。壊した後の使い道も考えてるんだ。ハハハ………」
レモナ、モララー、サスガはちびが最後に浮かべた微笑が妙に悲しく見えた。

一方、母親はといえば、四番のベビに向かって語りかけている。
「ベビチャン アナタハ ホカノベビチャンタチト チガッテ ママニ 『 チィ 』ッテ ナイテクレルワヨネ?
アナタハ ホカノ ベビチャンタチトハ チガッテ コワレタリ シナイワヨネ?
サァ オパーイ アゲルカラ。 ママノ オパーイ キョウハ ジカニ アゲラレルカラネ……」

口も開けるはずは無い。チィなどと鳴くはずも無い。
手足をばたつかせたり、体を動かずはずなど到底ありえない。
だが、母親は菩薩にも似た穏やかな表情でベビに語りかける。
「ベビチャン? ベビチャン? オパーイ イラナイノ? ナンデ オメメ アケテクレナイノカナ?」
歌を歌ったり、ダッコしているベビをゆっくりと揺らしてみたりもするが、
当然反応はない。
2〜30分もすると母親の表情に焦りが見え始め、ベビに対する口調も詰問口調に変わっていった。彼女はベビの体を激しく揺さぶりながら、語りかけ続ける。
「ベビチャン!? ドウシテ 『 チィ 』ッテ ナイテクレナイノ? アナタマデ ママノコト バカニシテルノネ?」
2〜3分ほど、母親はなにやらベビに向かってわめきながら体を激しく揺さぶり続けると、
ベビの首のあたりからなんとも嫌な音が聞こえてきた。

167 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:43 [ VwP5VfXA ]
「折れたか。」
モララーが呟くと、レモナも首を横に振りながら、
「あ〜あ。せめてきれいな形でお別れくらいはさせてあげようと思ったのに。」
サスガも無言でうなだれている。

ちびは、彼らに対し恐縮しながら、
「先生方、本当にすいませんでした。サスガ先生にはさらに謝らなければいけませんが、
少し床を汚していいですか?自分をしたことのけりをあの女につけさせてやりたいんです。」
モララーは思わず、目を輝かせる。
「ちびちゃん、あれか?『完全に彼女を壊す』って言ってたの、これから始めるのか。
何か必要なものはあるかい?協力するよ。サスガもいいだろ?」
サスガは肯いた。表情も少々明るくなったように見える。

「で、何が必要かな?」
ちびがモララーに必要なものを囁くと、モララーは必要なものを調達しに退出した。

168 名前:52・復活してください 投稿日:2004/10/12(火) 22:44 [ VwP5VfXA ]
「チビチャンニ タノンデ カワイイ ベビチャンニ フッカツシテモラオウネ。 ママ タノンデクルカラ チョット マッテテネ」

四番のベビまで机に叩きつけた母親は、媚びた表情を浮かべてちびの元に歩み寄る。
そして、彼女が今まで聞いたことがないような声でベビ達の復活を頼んだ。
続けて母親は、ベビ達が復活した後の彼女の夢をとうとうとちびに語り、
「 チビチャンモ イモウトタチガ ユウメイニナルノハ ウレシイワヨネ。
ベビチャンノタメニ ドレイノヨウニ ハタラケルノハ シアワセヨネ。 」
と、あまりに虫の良すぎる言葉で結んだ。

サスガは、悲しみが込み上げて今にも泣き出しそうなくらい
目を充血させて母親を見ていた。
レモナは、怒りのあまり歯を食いしばっていた。

ちびは笑顔を浮かべて、母親と一緒に遺体が散らばっているところへ行き
母親を抱きしめて、耳元で言葉を発する。
その言葉は『復活してください』ではなかった。

169 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:45 [ VwP5VfXA ]
「ママァ… ママァ… ナンデ ワタシタチヲ コロシタンデチュカ?」
ニコニコと笑みを浮かべながら彼女は恨みの言葉を母親に投げかけた。
まるで、机の上に散らかっているベビ達の心の中を見透かしているかのように。
母親が悲鳴をあげるが、ちびにはお構い無しだ。
「チィタンハ オモチデチュカ? ママノ オナカノナカデ マターリシテタノニ
ナンデ ボウノヨウナモノデ ボコボコニサレナキャ イケナイノ?」

「ママハ ワルクナイ!!! アンタガ 『カネヲ カセゲ』 ッテ イウノガ イケナイノヨ!」
ちびの手をほどこうとした母親だったが、必死にちびは母親を抱きしめている。
サスガがちびに加勢し、彼女に目配せをした。
二人で母親の動きを封じると、ちびは母親に恨みの言葉を発し続ける。
母親は、なおもベビ達を『復活』させようと、必死でちびに迫る。

「タトエ フッカツシタトシテモ ママニ カンシャナンテ シマチェンヨ。」
ママハ チィタンタチノコト アイシテナインデチュカラ。」

「ハヤク 『フッカツシテクダサイ』ッテ イイナサイ!!!」

「キケイノ オネエチャンニ  チィタンタチヲ フッカツサセルナンデ デキルワケガ ナイデチョ! ママハ オネエチャンノコト イツモ 『キケイ』ッテ イッテタジャナイデチュカ!」

「ベビチャンタチガ フッカツスレバ ママノ シタコトハ スベテ ユルサレルノ!
ダカラ ハヤク 『 フッカツシテクダサイ』 ッテ イイナサイ!! 」

170 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:46 [ VwP5VfXA ]
笑みを浮かべながら母親に対して恨み言を言い続けていた
ちびの表情がこわばった。
この女の命に対する考え方は、こんなにも軽軽しいものだったのか。
まるで、育成型のゲームでキャラクターを氏なせてしまい、『リセット』を
しきりにせがんでいる子供のようではないか。
一度氏んでしまったら『復活』なんてありえないのに…
命は『リセット』なんでできないのに…

「てめえの罪はなぁ、消えるわけがねぇだろうがぁああああ!!!!!」
ちびは母親を怒鳴りつけ、頬を平手打ちする。
「アニャァ?? ヒドイ! ヒドイヨ! チビチャン!!! チビチャンダッテ シィチャンナンダヨ?
『フッカツシテクダサイ』ッテイエバ ベビチャンタチト マターリデキルノニ! 」
虫のいい事をまたも言い続ける母親に対し、ちびは言葉を無くしてしまった。

サスガが、ちびに代わって口を開く。
「お母さん?一度失った命は復活なんてしませんよ?
それに、ベビちゃん達が復活すればあなたがベビちゃんにした
酷いことが許されるってあまりに虫がよすぎませんか?」
レモナがサスガに続いた。
「マターリの神様の中のしぃが、あなたのベビちゃんを復活させてくれるとでも?(笑)
いい加減にしなさいね。あなたのベビちゃんは氏んだの。あなたに頃されたのよ!!」
「ナカノ シィナンテ イナイモン!!!」
抗議する母親に対し、レモナは続けて鋭い言葉を投げた。
「マターリの神様とやらに頼んでも無駄でしょうね。あなたがベビちゃん達にした残酷すぎることを全てご覧になっていたでしょうから。」
母親は歯を食いしばり、レモナを睨みつけた。

モララーが数名のボランティアの青年とたくさんの刃物を持って到着した。
彼らはしばらくサスガ達のやり取りを聞いていたが、やがてモララーが口を開いた。
「お待たせ。なんかすごい展開になってるね。ちびちゃん、『復活の儀式』とやらを
そろそろお母さんのために、始めてあげたら?頼まれたものを持ってきたからね。」

ちびは、モララー達に近寄るとそれぞれの青年達に指示を出した。
ちび流の『復活の儀式』とやらを始めるために。

171 名前:53・復活の儀式 投稿日:2004/10/12(火) 22:46 [ VwP5VfXA ]
「これから、復活の儀式を始めます。では、皆さんお願いしますね。」
ちびに指示された青年達はそれぞれの持ち場につく。
青年たちはまず、暴れる母親を押さえつけてベビ達の遺体がある机に仰向けに寝かせた。
右手と右肩を押さえつける者、左手と左肩を押さえつける者。
母親の首を少し前方に傾け、出産後のベビとの『ご対面』もどきの準備をする者。
モララーとレモナが二人がかりで、母親の両足を力ずくで揃えると、
ビデオの撮影係Aが彼女の両足の上にまたがる。母親の表情の撮影準備は万端だ。

母親は、ちびの口から『復活』の言葉を聞くと
とたんに顔を輝かせて、ちびに対して注文をつけ始めた。
「ハニャ? ヤット ベビチャンタチヲ フッカツサセルキニ ナッテクレタノネ?
コンドハ *ノアル ベビチャンニ フッカツサセルノヨ! ショウライ ベビチャンタチハ アイドルニ ナルンダカラネ!」
「わかったわよ。復活させればいいんでしょ?」
母親の注文にちびは投げやりに答えた。

「ちびちゃん、早く『復活』させてあげよう。ビデオも撮ってあげようね。」
うきうきしている表情のモララーに急かされたちびは、まだ指示を出してない青年に
耳打ちした。青年はニヤニヤしながら、ベビの顔を母親の顔に対面させるように
とりあえず腹の上に置いた。

「じゃあ。復活させましょうか?」 
ちびとモララーが青年に目配せすると、青年は小さな鋏を持ちちびに微笑みかけた。
「こちらも準備完了です。カメラ回しますね。」
撮影係の青年も、ちび達に合図を送る。

172 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:47 [ VwP5VfXA ]
「では、始めます。復活してくださぁ〜い。」
パチッ。
ちびの『復活』という言葉を聞いた
鋏を持った青年がベビの首の後ろを持ち、一回でベビの右腕を切り落とす。

「お兄さんすごーい。」
目をきらきらさせて喜ぶちびに、腕を切り落とした青年ははにかんだ笑顔を見せた。
「今日は、ベビだからやりやすいだろ?」
モララーが彼に聞くと、彼は笑顔で首を激しく縦に振る。
彼はちびにこの青年について簡単な紹介を始めた。
「いつもは、成体のしぃの死体処理をしている人なんだ。しぃやちびしぃで『同族食い』から逃れる遺体もあるんだよね。きれいな状態で残っちゃう遺体。で、この人がいる処理班に来てもらって…」
「細かく刻むと、火の通りっていいですもんね。」
ちびが、モララーの言葉に相槌を打つと、モララーは微笑みながらうなずいた。

「シィィィィィィィ!! ナンナノォ! コレハ ナンナノォ????」
絶叫する母親に、ちびがあっさりと答える。
「細かく刻んで、灰にしてからコンクリートの一部にでも
『復活』してもらおうと思ってるんですが何か?」
「チガウデショ? チビチャン。 ベビチャント ママハ アイドルニナッテ ソレデ カチグミニナルノ。
ベビチャンハ イキテナイト コマルノヨ!!!」
「ハァ?あんたみたいな寄生厨の娘がアイドルに?
それに、あんたとベビの奴隷になるなんで嫌だし。」
「オナガイ チビチャン。 ベビチャンヲ イキテ フッカツ シテアゲテ チョウダイ…
ベビチャンガ イキテサエ イテクレタラ チビチャンハ スキニ シテクレテ イイカラ
オカネサエ ママニ クレタラ イイカラ」

母親の懇願を無視し、ちびは、冷笑を浮かべながら青年に指示を出す。
青年は、ベビの切り落とされた側の腹のあたりを持ち、次の指示を待っていた。
「復活してくださぁ〜い」
パチッという音の後に、母親の腹の上にポトッとベビの左腕が落ちる音がする。
毛が生えそろっていれば、クッションの役割をして音もしないのであろうが、
まだ、母親の腹部には完全に毛が生えそろっていたわけではなかった。
絶叫する母親を、ニヤニヤしながらちびは見ていた。

173 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:48 [ VwP5VfXA ]
「ベビチャンノ オテテ ガァ… ベビチャンノ オテテ ガァ…」
「ほら、ベビチャンノオテテよ?」
ベビの切り落とした両腕を、ちびは母親の眼前に突きつける。
「好きにしていいから金だけよこせぇ?またずいぶんと虫のいい『オナガイ』ねぇ。
私に寄生してとことんしゃぶり尽くすつもりね?
私はあんたがすき放題やるための道具じゃないわよ。」

彼女はベビの両腕を透明なごみ袋に入れた後で、
鋏を持った青年から両腕を切り落とされたベビの遺体を借りた。
遺体を母親の眼前に突きつけながら、ちびは笑いながら話を続けている。
「ほら、ベビが泣いてるわよ。『チィタンガ シンデカラモ ツライメニ アウノハ
 ママノセイデチュ』ってさ。」
「チガウ! ギャクサツチュウノ アンタノセイヨ!!」
「あのね。もともと*がないベビが、*をつけて生き返すのは『フッカツ』って言わないの。
別のベビに『つくりかえる』って言うのよ。それに、一度氏んだベビはもう生き返らないの。わかるでしょ?ばらばらに刻んで、灰にして貰おうね。」
笑みをたたえ、ちびは母親に諭すが母親は聞く耳をもたない。
おまけにちびに向かって、悪態をつく始末だ。
「ベビチャント ママハ カコイイ ギコクント ケッコンスルンダカラ。 アンタミタイナ キケイノ バケモノハ ジゴクニ オチルトイイワ!」

「ふーん。」
ちびは母親の戯言を聞き流し、ベビの遺体を青年に渡す。
青年はベビの顔を、母親の顔に対面させるように持ってちびに微笑んだ。
「復活してくださぁ〜い。」
パチッ。
右足が母親の腹の上に落ちると、ちびは、青年に続けて指示を出す。
「お兄さん。今度は、ベビの顔に*をつけてあげてくださいね。」

174 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:48 [ VwP5VfXA ]
「ちょっと待ってね。刃物を替えるからね。」
青年は、持っていた鋏を一旦机の上に置き、メスをもって現れた。
「ア…ア…」
「何?まだ妄想を語りたいの?下手に動くと『ベビチャンノアンヨ』が
床に落ちるでしょ。それとも、『ベビ達磨』が見たいから、早く左足を
切って欲しいのかな?」
言葉を無くしかけている母親にちびはなおも追い討ちをかける。
「『復活』なんて甘い考えをまだ持つつもりなら、『4体のベビのミンチ』を
あんたに食わせてやるからね。肉は腐りかけが一番おいしいって
グルメは言うけど、これは、完全に腐ってるから(笑)。」

「まだベビが生き返ると思ってるの?ちびちゃんが『復活』って言葉を口に出すたびに
あなたのベビちゃんが、『復活した姿』とは、程遠くなってるよね。」
モララーが母親に話し掛けると、母親はまだ、希望を棄ててはいないらしく
モララーに自分の夢を聞かせ始めた。
「ベビチャント シィチャンハ アイドルナンダカラネ! タクサンノ ギコクンタチガ シィチャンヲ ダッコシテクレルンダカラ。
チビチャンガ 『フッカツシテクダサイ』 ッテ イエバ シィチャンノユメガ カナウノニ…」
「『シィチャント ベビチャン』ばっかりで、ちびちゃんは蚊帳の外かい?
ちびちゃんの憎しみが、漏れにはが手にとるようにわかるよ。
こりゃ、『ベビミンチ』がママの口に運ばれそうだな…」
モララーが肩をすくめて呟くと、母親は聞きたくなさそうにモララーから顔をそむけた。

「そろそろ1体目が終わりそうですね。調理方法考えた方がいいですかね?」
用意を終えた青年とちびが、片足だけ残っているベビの遺体を持って現れた。
ちびに尋ねられたモララーは、少々不満そうな表情で返答する。
「脳出しのベビ以外は、定番の『耳もぎ』ができるじゃない。『オメメ』はもう
えぐれないけどさ。水分が蒸発しちゃったから。
ちびちゃん、もうちょっと時間をかけても大丈夫だよ。」
「薄切りの肉ができた状態でもよかったですね。調理方法を考えるのは。
ちょっとせっかちだったかな。」
ちびはぺロッと舌を出し彼に微笑むと、モララーは満足そうな表情でちびに微笑み返した。

「チビチャン オナガイ ベビチャンタチヲ イキカエラセテ。 ママト ベビチャンタチハ アイドルニ ナル…
シィィィィィ!!!!! ヤメテェエエエエエエ!」
頬筋に沿ってナイフが入ったサクッという音と、頬周辺の筋繊維が切れたぷちっという音をさせながらベビの右頬に、*印が刻まれる。ちびは、『復活』の言葉の後に*印を刻んでもらいたかったらしく、少々むくれながら青年に不満を漏らした。
「お兄さん、あんまり早いと嫌われちゃうぞ!
『復活してください』って言ってからにして欲しかった〜。」
青年は笑いながら謝罪し、反対側の頬に*印を刻むのはどうかとちびに提案すると、
彼女は機嫌を直した。彼女は青年に合図を送る。
「じゃあ、いくね。『復活してくださ〜い』」
彼は、今度はちびの言葉にタイミングを合わせてベビの左頬に*印を刻んだ。

175 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:49 [ VwP5VfXA ]
「ちびちゃん、ちょっと遊ばせてもらえないかな。」 
ナイフを持った青年の申し出にちびは少々面食らった表情を浮かべ、彼に質問した。
「何をして遊ぶんですか?」 「顔肛門ごっこ」
彼の答えに、ちびは思わずにやける。
「いいですよ。ただし、母親に見せながら遊んでくださいね。
でも、オミミを切り刻んでからじゃなくてもいいんですか?」
彼は、「お口を開けられないからね。」と残念そうに返事をした。

ちびの許可を貰った彼は、ちびの合図を待たずに切ってしまったベビの右頬を母親に見せ、
もう少し頬の傷を深く切り裂いた。絶叫する母親に彼は首を横に軽く振りながら
笑顔で話し掛ける。
「お母さん、お宅のベビちゃんが『アイドル』として、ダッコ以外に
初めて人の役に立つとこじゃないですか。もっと嬉しそうに見てもらわないと。
記録係さん、顔肛門のアップお願いしますね…」

彼は、ベビの右頬を切り裂いてできた穴に小指を出し入れしながら、母親に続けて語る。
「しぃちゃんやベビしぃちゃん・ちびしぃちゃんの顔肛門に
こうやってティンポをぶち込むことを望んでいる変態が
この映像を見ながらセンズリこいてますよ…
ほら、画面の向こうの変態が*のあるしぃちゃん達をマンセーしてますよ?」

「チガウノォ… シィト ベビチャンハ タクサン オウタヲ ウタッテェ… オドリモ オドルノ…
エイガトカニモ タクサン デテ… タクサンノ ギコクンガァ… 」

すすり泣きながら抗議する母親に、さらに青年は追い討ちをかけた。
「心配しないで。あなた達は十分変態達に『マターリ』を供給してます。
騒々しい歌や、ワンパターンの踊りよりもこっちの方が十分世の中の皆様のお役に立ってますよ。だって、変態たちが楽しんでくれることによって一般の人たちに被害が及ぶのが
減るんですもん。」
「変態達が一般人に及ぼす被害と、*があるアフォしぃが一般人に及ぼす被害、
両方減るんなら、一石二鳥ですね。」
ちびが青年の言葉に同意すると、彼はナイフを鋏に持ち替えて、
「達磨、いっとくぅ?」と、彼女に次の合図を促していた。
ちびは彼に、「いっとくぅ!」と返答した後、皮肉な合図を彼に送った。

176 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:50 [ VwP5VfXA ]
「復活してくださ〜い」 パチッ。
ベビ達磨が1体出来上がった。
「ベビ達磨、いっちょあがりぃ。ちびちゃんどうする?オツムも切っとく?」
「もちろんですよ。肉を削ぎ落とすには、パーツは小さい方がいいですし。
その前に、オミミをもいでからですけどね。」

「ギャクサツチュウ…」
「酷いわねぇ。自分がベビの遺体を机に投げつけてたことは棚に上げて、
私のことを『ギャクサツチュウ』だなんて。私がやってるのは単なる『遺体の処理』。
『虐殺』じゃないわよ。それに、『復活』なんて私にはできないもの。
無理なことを私に強いて、できないからってギャクサツチュウ呼ばわり?
本当に最低よね。」
「ちびちゃんじゃなくたって、氏んだのを生き返らせるなんて事できるわけないのにね。」
青年がちびに相槌を打つと、母親は青年を一喝し、ちびにまたも媚びた口調で懇願する。
「キモオタハ ダマッテナサイヨ! チビチャン オナガ〜イ。 ベビチャンタチヲ イキカエラセテチョウダイ。
シィチャント ベビチャンハ アイドルニナルンダカラ。 タクサンノ ヒトタチヲ タノシマセル ギムヲ ハタサナケレバ イケナイノ。
ダ・カ・ラ・ネ! イキカエラセテ」

彼女は、キモオタと言われた青年に謝罪した。
「お兄さん、母親の無礼を許してくださいね。」
彼はちびに微笑み、言葉を返す。
「ちびちゃんが詫びるべき事じゃない。この人に謝罪と…」
「賠償はベビ全員の顔肛門ごっこで。オミミは口内に入れられないですが(笑)」
ちびの素早い返しに青年は爆笑した。

「たくさんの変態を楽しませる義務は果たしているわけだから、いいじゃ〜ん。
変態達のアイドルで十分でしょ?それに、無理なものは無理だし。」
ちびの笑顔の拒絶に、彼女は娘を怒鳴りつけた。
「ナンデ? ナンデ ベビチャンタチヲ フッカツデキナイノ?
ママノ マターリヲ ジャマスル アンタハ ギャクサツチュウダヨ!」
「あたし虐殺厨だも〜ん。だから、ベビを復活させるなんてできない。
だからね、ベビをばらばらにしてねぇ。
あんたの夢もねぇ、粉々に壊してやるんだ。」
「ソ・ソンナ…」
母親は言葉を失った。

呆然としている母親の表情を楽しみながら、ちびはベビの解体を青年に指示する。
「お兄さん、お次は耳もぎで。準備はいいですか?」
ちびに聞かれた青年は、鋏を持って微笑む。
彼女は、OKの合図だと察し、すぐに合図を彼に送った。
「復活してくださ〜い。」 パチッ。 パチッ。
ちびは切り落とされた両耳を母親の眼前にひらひらさせながら、冷たく言い放った。
「ベビ達の復活の妄想もこうしてばらばらにしてあげる。
アイドルの夢もまだ持ってるんだったら、ばらばらにしてあげるから。」

いったん、ちび達はモララー達とのベビの解体についての打ち合わせのため
母親のもとを離れた。達磨状態で顔と体の肉を削いだ方が作業が楽ではないのかという
モララーの提案があり、解体担当の青年が検証したいと言い出したためである。

177 名前:54・祈り 投稿日:2004/10/12(火) 22:50 [ VwP5VfXA ]
あの子は妹達を『復活』させず、全員灰にするという。
その上、『復活』という言葉をキーワードにして、私の目の前で妹達を解体したのだ。
娘は虐殺厨に洗脳されたのだろうか? 
それとも、私があの子に何かひどいことをして、復讐されているのだろうか?
母親にはわからなかった。

自分の心を静めるため、そして娘が考えを改めてくれるように、
母親はマターリの神に祈りを捧げていた。とはいっても、
体を押さえられていた為、黙祷という形でだが。

「神様、どうかベビちゃん達を復活させてください。どうか、チビちゃんの考えを変えてください。あの子は、妹達を全員解体して私に肉を食べさせると宣言しました。
そして、妹達を灰にして、コンクリートにするそうです。
こんなのマターリじゃないです。
もし、チビちゃんが考えを変えて妹達を復活させてくれたら、
私とベビちゃんはアイドルになって、お歌をたくさん歌います。
そして、ダッコもたくさんしてもらって、たくさんのしぃちゃんのファンから
お金をもらって、そのお金からたくさん神様に寄付をします。
どうか、どうか、ベビちゃん達を生き返らせてください…」

178 名前:55・終演 投稿日:2004/10/12(火) 22:51 [ VwP5VfXA ]
「達磨状態の方が、肉を削ぎやすかったですねぇ。」
「だろ?」
「で、残り一体を母親の前で解体して…」

モララー達が検証作業を終え、母親のいる部屋に戻る途中にかわされた会話である。
どうやら、ベビ達を『どのように再生させるか』について話しているようだ。
モララーがちびに内臓や、骨の処分について聞いた。

「こてっちゃんや、骨はどうする?」
「そりゃ、全部食べさせますよ。母は骨粗しょう症が気になるお年頃ですし(笑)」
「アハハハハ。ベビ4体じゃ、たいした骨粉も取れないからな。それいいアイデアだね。」
ちびの返答に、モララーは満足そうにうなずいた。

彼らが母親のいる部屋に着くと、母親は妙に落ち着いた表情をしている。
ちびはすぐに感づいたようだ。彼女は笑みをたたえながら、母親に話し掛けた。
「お母さん。三体のベビの肉と臓物を全部骨から外したところよ。これから、もう一体を解体するの。もう少しでベビのハンバーグができるから待っててね。
ソースは甘めにしておくからね。」

「アニャァ! コンナノ マターリジャナイヨォ!」
母親は身をよじりながらちびに抗議するが、ちびは無視してさらに続ける。
「骨は粉々にしてコンクリートにしてもらおうと思ったんだけどね、
4体のベビの量じゃ、たいした灰が取れないって言われたの。
それにレモナ先生から教わったんだけど、ベビを産んだあとってお母さんの骨の中のカルシウムががんがん減ってってるんだってさ。授乳とかで。だからね、骨もすりつぶしてカルシウムたっぷりのハンバーグ作ってあげるからね。」

179 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:52 [ VwP5VfXA ]
彼女は母親に「ほら」と透明なレジ袋を見せると、
袋の中には小さな骨盤と頭蓋骨が3体分、そして大腿骨が6本、
ほかにも小さな骨片が入っている。手間を省くため、あらかじめ砕いたものであろう。
もうひとつの袋の中には、まだ白い毛が混ざっている状態で薄い肉や臓物が入っている。
色あせたピンク色の肉や、腐敗して茶褐色に変色した肉の色と、毛の白が絡まり、奇妙なマーブル模様を作り出していた。

「アニャァ…」
ちびは、腹部に縫い目のあるベビを母親の目の前に出し、微笑んだ。
「でね。これが、最後のベビ。これを解体して、それからハンバーグの調理に入るのよ。
内臓も、骨も一緒に料理するから栄養たっぷり(?)よ。全部食べてねぇ。アハハハハ。
お兄さん、これで最後です。御願いしますね。」
解体役の青年はちびからベビを受け取り、刃物を持ち待機していた。

「コンナ コトッテ… カミサマ ナンデ ワタシヲ オミステニ ナッタノデスカ?」
あさっての方向を見て呟いた母親にちびは笑いながら彼女の目をしっかり見て答える。
「マターリの神様なんて元からいなかったからじゃない?それか、あんたがあまりに身勝手な祈りでも捧げてたんで神様は怒ってあんたの元から去ったのかもね。」
母親は目を潤ませながらちびを見ていた。

「そんな目で見ても、無駄無駄無駄ぁ!さぁ、『ベビバーグ』の準備を急ぎましょ。
お兄さん準備はOK?」
青年がうなずくと、彼女は皮肉な呪文を母親の目をしっかり見て唱え始めた。
「復活してくださぁい」 パチッ。
彼女の呪文を合図に、青年はベビの遺体の右腕を切り落とした。

「アニャ… アニャアアアアアアア モウ ヤメテェエエエエエエエエエエ ベビチャンヲ ラクニ シテアゲテェエエエエエ
モウ チビチャンニ 『ベビチャンヲ フッカツサセテ』ナンテ イイマセン!
チビチャンハ ママノ ドレイナンカジャ アリマセン! チビチャンカラ オカネヲ トロウナンテ オモイマセン!
ダッコシテアゲルカラ オナガイ…」

180 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:52 [ VwP5VfXA ]
悲鳴をあげながら今までの自分の言葉を否定し続けた母親に対して、
ちびは冷たい返事を返す。
「どうせ、また産めばいいって思ってるんでしょ?
だからさ、あんたが頃したベビ達にあんたの体の一部として、『復活』してもらってぇ。
いつまでも、罪の意識を持っててもらおうと思うのよ。
さて、続けるわよ。お兄さん、準備はいいですか?」

彼がうなずいたのを確認したちびは、もう一度呪文を唱えた。
「復活してくださぁい」 パチッ。

「イチド ナクナッタ イノチハ モウ モドリマセン! 『ベビチャンタチノ フッカツ』ナンテ ママハ モウ ノゾミマセン!
ベビチャンヲ コロシタツミハ ママノナカニ イッショウ ノコリマス! チビチャンニ キセイナンカセズ ママハ ジブンデ イキテイキマス!
ダカラ ダカラ モウヤメテ クダサイ オナガイ シマス…」

両腕を切り落とされたベビを見ながら、母親はおびえた表情で口走るが、
ちびは容赦せずに、青年に指示を出した。
「そろそろ最後にしましょうか?次で達磨にしちゃってください。
いや、お腹のガーゼを出してから、お腹に指数本出し入れするのも面白そうですね。
顔肛門ごっこ、これで最後になっちゃいますよ?お兄さんどうします?」
「両方で。夕食ぐらいには余裕で間に合うでしょ?ちょっと遊ばせて貰っても。」
「十分間に合う時間ですよ。2体分の顔肛門ごっこできなかったですもんね。
見せながらやってくださいね。」

ちびの許可を得た彼は楽しそうにベビのお腹のホチキスを外し始めた。
全てお腹の中に入っていたガーゼを取り除くと、彼は母親にベビのお腹の中を見せ、何もない腹の中に三本の指を出し入れしながら、楽しそうに語った。

181 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/10/12(火) 22:53 [ VwP5VfXA ]
「このベビちゃんは指を3本くらい出し入れできますね。
こてっちゃんがある状態で、もう少し新鮮な遺体だったら確実に抜く香具師いますよ。
こうやってティンポ出し入れして。(笑。)
モララーさん達笑ってるけどさぁ、現にいたんですよ。
ベビの遺体の腹掻っ捌いてオナホール代わりにして抜いた香具師。
そいつが言うには、こてっちゃんがヒダヒダみたいになってて、
血がローション代わりになって気持ちよかったそうですよ。
え?小さすぎるだろって?そうなんですけどね(笑)
背中まで突き破ったって言ってました。」

「ヒドイ! ヒドイヨォ! シィチャンタチハ…」

「アイドルなんでしょ?生きてる間は役立たずでも
氏んでから(変態の)男達を楽しませてるんだもんね。偉大だよね。しぃちゃん達って。
もちろん、ちびしぃちゃんやしぃちゃんの遺体で抜く変態もいましたよ。
そっちのほうがいろいろ遊べて楽しかったらしいです。いろいろなところに
入れられるからね。」

彼は、ベビの遺体の左頬に*印を切り刻み、さらにそこにできた穴に
小指を出し入れしながら続けた。
「お母さんさぁ、しぃ族ってギコ族の間でなんて言われているか知ってる?
『氏んだしぃと*印の無いしぃ、でぃは良いしぃ族だ』って言われているらしいよ。
そこまで言うかって最初思ったけど、あちこちでギコ達相手にケツ出してるの見たりとか、あと逃げ回ってるちびギコ捕まえて輪姦してたしぃ達も見てたらさぁ
最近奴らが言うのも、もっともだって思うようになったよ。」

「シィハ… シィハ… マターリシタカッタ ダケナノニ…」

「しぃたちのマターリが、ギコさん達にとっては、恐怖の時間だったんですよね?
一度、母さんがギコさん相手にお尻出してるの見た時、ギコさんが本当に嫌そうな表情してたんですよ。それを見てそういう事はしちゃいけないんだって思いました。
母が、私にしてくれた教育ってそれくらいかしらね。」

「反面教師ってやつだね。大切なことを学んだね。ちびちゃん。
そろそろ、これを達磨にしようと思うんだが、呪文はOK?」
青年の求めに従い、彼女は最後の呪文を唱える。
「OKですぅ。『復活してくださ〜い。』」
パチッ。パチッ。

彼は両足を一気に切り落とし、ベビ達磨を一体作り上げた。
「お耳は切り落としてないけど、これで調理に行っちゃっていいの?」
青年の問いにモララーが答えた。
「かまわないよ。調理のところも母親に見て貰って、それから試食もしてもらう。
とりあえず、お母さんが投げたベビの腐汁の処理と、
ここで彼女が垂れ流しまくった糞尿の処理を頼むね。
体を洗ってから、拘束衣を着せて、外の臨時調理場に連れてってね。
人数足りないだろうから、手の空いてる人たちに手伝ってもらって。」

解体を担当していた青年はモララーの指示に頷き、そしてちびに感謝の言葉を述べた。
ちびはこちらこそ、と彼に頭を下げる。

医師団に退出を促されたちびは、部屋の掃除をしている青年達に何度も頭を下げ
法医学棟を退出した。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今回の引用
山口椿さんの著書
鈴木葬儀社さんのHPより 死体現象

次回『料理番組ごっこ』より始まります。

182 名前: 投稿日:2004/10/14(木) 23:00 [ .Vj0d70k ]
>>153-155の続きです

 銀行を出て、少し歩いた所の路上に奴らはいた。ちびギコ。正しくはレッサーギコ。
こいつらは今やしぃやおにーに以上に、社会問題となっていた。
しぃやおにーにと違って、レッサーギコには何の利用価値も無いからだ。
そのくせ、生殖本能だけは優秀ときやがる。おまけに余計な知能も有している。
やつらはずる賢い。しぃ以上に救いがたいその狡猾さは、社会問題と化しても、不思議じゃあない。
ま、無理も無いか。こいつらはしぃやおにーによりも寿命が短いのだ。
長くても、せいぜい四、五年しか生きられないからな。それがせめてもの救いか。
 俺が見た、そのレッサーギコのつがいは、こともあろうに、交尾の真っ最中だった。
それも天下の往来でだ。車に轢き殺されても、文句は言えまい。
「ハヤク、ウマレレバイイノニネ・・・」
「何イッテルデチカ?スグニ、アノコノキョウダイハウマレテクルデチヨ。ソノタメニモ、コヅクリニハゲムデチ!!」
 冗談も休み休み言いやがれ!こいつらには生殖能力しかないようだ。
それ以前に、これ以上意味の無い、キモゴミという名の生命体を増やされてたまるか!
 俺の足は、奴らの元へと向かっていった。
「おい、ここは公道だ。場所を考えてやってくれ」
「余計ナオ世話デチ。チビタンタチノマターリヲ 邪魔スルキデチカ?」
 何がマターリだ!この世にそんな物、有る訳無いだろう!
「マターリなんて言うなよ。迷惑になるじゃないか」
「タマタマココデヤッテルダケデチ。タダノ偶然デチ」
「そんじゃ偶然ここでやることにしたわけか?お笑いだな、プッ( ´,_ゝ`)」
「イイカゲンニ シテヨ!干渉ハヤメテーーー!!」
「ソノトオリデチ!!ドコデヤロウト、チビタンタチノカッテデチ!!」
「いいだろう。そんじゃ、他の場所を用意してやるよ」
 俺は、その雄の脇腹に思いっきり、蹴りをくれてやった。いとも簡単に吹っ飛び、
顔面から地面に落ちていった。
「デチィィィッ!?」
「アハハ、地面とチュウか。ま、キモゴミにゃーお似合いだな」
「ナンテコトヲ スルノヨ!!」
「見てわからねぇか?掃除だよ」
「アニャ?オソージ!?」
「そうだ。・・・貴様らをな」

183 名前: 投稿日:2004/10/15(金) 00:02 [ x51vjX7g ]
 まずはこいつからだ。俺はその雄をつかみ上げると、まず、しっぽをちぎった。
「ヒギャァァァッ!!チビタンノシッポガァァァッ!!」
「これはほんの序の口だぜ」
 次にこいつの足四本をもぎ取った。簡単にもげてしまった。
ま、ちびギコの体の構造上、脆いのはわかるがね。
「ウワ――ン!!!ダルマニサレチャッタデチ――!!!」
「モウヤメテ――!!」
「そんじゃやめにするか」
 俺は、そいつを地面に叩きつけた。そしてその雄の頭めがけて、足を踏みおろした。
「デチ――!!」
 あまりにもあっけなく、奴の頭は砕け散った。あまりに虚しく、そのちびギコは死んだ。
「エエーソンナー・・・」
 雌は、そのちびしぃは、涙を流しながら、夫の死を悼むだろう。あのセリフによって・・・。
「フ・・・フカーツシテクダサイ!!フカーツシテクダサイ!!」
 やはりな・・・。だが、そんな寝言で復活したら、それこそ奇跡だ。
大体、黒魔術じゃぁないんだ。それとも、自分が神か天使、それとも悪魔の手先だとでも?
だとすりゃ・・・放ってはおけないな。
「ギャクサツチュウ!オマエナンカ・・・シンジャエ!!」
「ほぉ・・・どうするつもりなんだよ?」
「httpレーザー ハッシャ―!!!」
 やはりバカだ。ちびしぃの妄想癖や虚言癖は噂に聞いてはいたが、これは論外だろう。
レーザーが手から出て、この俺を殺れるとでも思っているようだ。
筋金入りの大バカだな。てゆーか、この状況じゃすでに手遅れだな。
「ソンナ!?httpレーザーガ・・・キカナイ!?」
 効くわけが無い。第一、httpレーザーは出ていない。
「ダ・・・ダッコシテクダサイ・・・」
 この変わり身の早さも、ちびギコ特有の行動だ。奴らの狡猾ぶりが、見事に出ている。
だが、ダッコで総ては解決できないよ。ダッコはマターリの象徴じゃないからね。
俺は、その雌の首根っこをつかんだ。そして、しっかりと押さえつけてから、
一気にその首を180度ひねりきった。
「ウジィィィィッ!!!」
 力を入れすぎたな・・・。首を捻じ切ってしまった。血が、見事に噴き出している。
おかげ様で、返り血を浴びてしまった。汚らわしい血を大量に・・・。
「・・・いかんな、帰るぞ」
 俺は走りだした。が、ある物が俺を呼び止めた。しばらく離れた地点で、
一匹のベビギコが、俺の元へと近寄ってきたのだ。
「ミュー♪」
 近寄らないでもらおうか、キモゴミが!見るのも汚らわしい!!
かと言って、殺す価値も無いがな。

184 名前: 投稿日:2004/10/15(金) 00:23 [ x51vjX7g ]
「ミュ・・・ミュゥゥ・・・」
 まるで、この俺に飼ってくれとでも言わんばかりだ。だが、それは無理だ。
第一、ちびギコ、いや、レッサーギコの飼育は法律で禁止されている。
俺を犯罪者に仕立て上げるつもりかよ?
「冗談じゃねぇ!!」
 さらに俺は走る。ペットの飼育など、今の俺には無理だ。
生活のどこにもそんな余裕は無いんだ。経済的にも、精神的にも。
ペットなどもってのほかだ。俺の住んでいるアパートはペットの飼育が許可されている。
が、管理人の許可が下りないと飼えない事になっているのだ。
「ミュギィ――――――――ッッ!!!」
 異常とも思えるようなその叫び声で、とうとう俺は足を止めてしまった。
思ったより近くに、覚束ない足取りでぽてぽてと懸命に駆けてくるベビギコの姿があった。
必死の形相で、涙と鼻水で顔がぐしゅぐしゅになりながらも・・・。
 結局、俺はそのベビギコを拾って育てる事にした。

 やはり俺はダメな奴だろうか?隠れて今、ベビギコを飼っている。
管理人の処に行っても、ベビギコを飼う許可は下りそうに無いからな。
さて、問題はこいつをどのように躾ていくかだ。
ペットのの飼い方が全く判らない。生まれて此の方、生き物を飼った事が無いのだ。
ま、2Chにつなげば、何とかなるだろう。

*今回はここまでです、続きはまた後日、投稿致します。

185 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/10/15(金) 01:32 [ nkHybYwQ ]
BAR オマエモカーの惨劇 第4−3話 「渦巻く陰謀とあぼーん砲」

第一章 「嗚呼無情」ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/946-947
第二章 「基地突入」ttp://jbbs.livedoor.com/bbs/read.cgi/computer/5580/1067790306/968-971
3−1 モナ岩・ぢぃ編 「今日も元気に死死死」  >>12-14
3−2 ギコ丘編 「ダッコとコウビの果てに」   >>26-28
3−3 ジエン編 「ニクコプーンクエ!」         >>34-35
3−4 モラ谷編 「敵討ち」 >>43-49
4−1 モナ岩・ぢぃ編 「思わぬ失態」 >>71-75
4−2 ギコ丘・ジエン編 「しぃ営地下鉄の罠」  >>90-94


「どくsy……」
「読者のみなさん?元気か〜?モラ谷ですよ〜
 さて、今回、「思わぬ失態」犯してしまった僕ちゃんですが、
 どうしてあんな風になったのか、ここで説明したいと思いますので、心して見ろよ!
 ……あ、それから壺は買うように。50,000円に負けるから。
 なお、展開が読めない人は、3−4と4−1を読むことを奨励」

(畜生!俺の台詞盗られたぞ!!こういうとこしか出番ないんだよ!!俺は!!)


1/3
「さて、新木場地区には地下3階がないとは思わなかったからな………」
地下3階を担当しているはずのモラ谷は、地下1階(モナ丘・ぢぃ担当区域)に居た。
「さて、動かずにいても暇だ……。とりあえず、体を動かすか。」
体を動かすため、基地内を歩くモララー。
もちろん、不審がられないために、モララー印の糞虫スーツ(虐殺時カムフラージュ用/\500)を着用して。
「お金で買えない虐殺がある。買えるものはぬるぽカードで」
なんてCMネタを言いながら糞虫とすれ違う。


流石はモララー印の糞虫スーツ。すれ違ってもなんとも(ry
そしてモラ谷とすれ違った糞虫は向こうで綺麗な紅い花火とグロい内蔵ともに倒れている。
グロいのだが、それでもこてっちゃんが何とも言えない。不思議な感覚だった。
15発ほど花火を打ち上げたところで、そろそろスターマインか?と思ったところ、
ちょうど向こうにスターマインのための花火玉の集団が見えた。
が、花火玉として利用できないことがわかった。むしろ、逃げる必要があった。
ダッコ革命党の香具師らである。しかも、さっきの香具師らではなく、タカラギコの集団であった。
「……タカラギコだと!?」

………叫んでしまった。半角で叫ぶならまだ、糞虫スーツでカムフラージュが出来る。
全角でしゃべると、アウトである。
「しぃは半角でしゃべってこそしぃちゃん」それがダッコ革命党だからである。

「あははっ!こっちです!」「あははっ!急いで!虐殺厨ですよ!!」

(どうする!?………前はタカラギコ、後ろは糞虫の氏体の山………、横に道は無し………
おい!そこのおまえ!そうだよおまえだよ!!俺を助けてk………ってのは頭の体操スレのパクリだし………)

そんなこと考えて後ろを向いていたら見つかった。
チャックを見られてしまったようで、
「あははっ!あのしぃは背中にチャックがありますね!!中の人がいますね!中の人を………」タカラギコは叫ぶ。
「中の人など居ないっ!!!」

【教訓】悩む暇があれば逃げろ
【教訓2】中の人は大概居る
【教訓3】「中の人」耐性を付けてきぐるみを着るべし。

186 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/10/15(金) 01:33 [ nkHybYwQ ]
2/3
「あははっ!居ましたよ!!」「あははっ!引っ捕らえましょう!!」「あははっ!御用ですね!」
「あははっ!おとなしくお縄を頂戴しましょう!!」「あははっ!虐殺厨も終わりですね。」
「あははっ!ぬるぽ!!」「あははっ!ガッ!」「あはh………」

うん!大杉!!
逃げられる人数じゃない!そう直感したモラ谷は、手榴弾を用意、タカラギコの集団に投げつけた。文字通り、花火である。

あぼーん! アハハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!

タカラギコ初公開であろう断末魔とともに、手榴弾は爆発した。
大概は氏んだ。その内訳は、10%がバラバラ氏体。
腹がよじれて2つに割れてたり、脳味噌がばらまかれていたりするのが特にキモイ。
25%が火傷が原因と思われる氏。
ミディアムから生焼けまでそれぞれだ。生焼けにはちゃんとぬるぽカンパニー最強のガッハンマーで仕留めておいた。
32%がタカラの洗脳がとけて普通のギコに戻った。が、その殆どが爆発の衝撃で腕・足を失っている。
残りの33%が敗走。クックル印の激しく忍者手裏剣で多少のダメージを追わせて逃がしてやった。復讐の相手はあくまで糞虫、特に「ダッコ革命党」である。

少し歩くと、「ストレス ハッサンノ オヘヤ」と書かれた部屋があった。
「ストレス発散………大抵の場合は奇形かでぃの虐待だよな………
 なのに、中から聞こえるのは『ハニャッ!ハニャッ!シィィィィィィ!』なんだよな………」
悩んだ末にモラ谷が出した結論は「ギコ強姦(?)室」だった。
だとすれば中はイカ臭で充満しているはずである。モラ谷はガスマスクを付け、中の様子を伺った。
中ではどうやらお楽しみが続いているようだ。
呼吸を整えたモラ谷は、ドアを蹴破って部屋に入った。
「ハニャ!?」「シィィ?」などという声より先に、
手足を縛られ、男の物だけが露出している状態で強精剤を打たれているギコや、
同様の状態でヤラされて「助けてくれぇぇぇぇぇ」と力のない声で叫ぶギコが目に入った。モラ谷は唖然としてしまった。

187 名前:アヒャコプーン 投稿日:2004/10/15(金) 01:34 [ nkHybYwQ ]
3/3
………が、いつまでも唖然としているわけには行かない。
「とりあえず、ギコを解放しろ!そしたら、命だけは助けてやるどころか、マターリの聖地に連れて行ってやる。」と言ってやった。
もちろん、ただ生かす訳ではない。最近では、麻薬・覚醒剤などの危険なドラッグも出回り始めていた。
そこで、政府が民間に委託して、ドラッグの危険性を実験することにしたのだ。
もちろんしぃ族やチビギコ種(別名レッサーギコ種)で実験するのである。
そこを、「マターリの聖地」と仮称して、
我々の永世マターリのため送り込んでやることにしたのだw
まぁ、簡単に言えば、>>157-181の施設に寄贈する。と解釈してもらっていいと思う。
とりあえず、説明の為に危険な橋を渡って川に落ちた作者はほっといて本題に戻りましょう。

「ハニャーン! マターリノセイチ!! イクイク!! シィチャンイキマース!!」
威勢の(・∀・)イイ!声である。『マターリ』という単語に過剰反応する習性を持つ糞虫だから釣れるのである。が、次の瞬間には、
「ハヤク ツレテイキナサイ! コノ ギャクサツチュウ!」という罵声に変わるある意味最強の種族でもある。
「まぁ、待て。聖地にいる友達に電話して迎えに来てもらうから、その間にギコの縄を解けや。
さもなくば、聖地を見る前にマターリの神様の前で土下座だぜ。
『シィハ 【ダッコデマターリ】ノ セイシンヲ ヒロメテ セカイヲ マターリニツツムコトガ デキナカッタ ハズベキ ハイボクシュギシャデス』ってな。」
一斉に「シィィィィィィィィィィ!? シィハドゲザナンカイヤァァァァァァァァァァァァ!!」と叫びだし、
必至でギコの縄を解く。謎の「萎え薬」という薬を飲ませる香具師まで出てきたりして。

そんな糞虫どもの迅速な行動に感心して、
気がゆるんだ隙をつかれてしまった。
背後にダッコ革命党の追っ手が居たのである。
後ろから、ガツン。そこで、モラ谷の意識は途絶えた。

最後に聞こえたのは「………………トウキョウヲアボーンホウデアボーンスル………」



気がついたときには、被告人席にいたのである。



………………………………って、てめー!!ナレーターまで俺を裏切りやがって!!

=完=

188 名前: 投稿日:2004/10/15(金) 23:34 [ x51vjX7g ]
*>>182-184の続き、逝ってみましょう

 光陰矢のごとし、とはよく言ったモンだ。あいつを拾ってから、6ヵ月が経過した。
その間、俺はアルバイトに追われ、ひたすらその日その日を生きてきたがね。
 レッサーギコの成長は早い。通常のギコが成体になるのに、二年はかかる。
が、レッサーギコの場合は、5、6ヵ月ほどで成体となる。
元々寿命が短いから、当然の事だろうがね。事実、レッサーギコの平均寿命は約三年だ。
 だが、去勢もそろそろ視野に入れなければならないな。寿命が短く、
かつ子供での死亡率の高い、レッサーギコは、種の保存のため極めて強い生殖能力を有している。
奴に交尾なんかさせないさ。どう考えても奴の子供を育てる余裕は無い。
 とは言え、レッサーギコがなぜ、法律で飼育を禁止されているのか、わかったよ、マジで。
こいつらはどんなに躾けても、おとなしくならない。むしろ逆だ。
ますます反抗するのだ。その逆も、ダメ。どんどん増長していきやがる。
要するに、飼い主の事を下僕か奴隷と思い込んでいるんだな。
これじゃ、飼育を放棄し、捨てていく香具師が出るのは当然だ。
レッサーギコの飼育が法律で禁止されているのも、そのためだ。
その処理負担も、国家財政を圧迫するほどになっている。アフォしぃやオニーニ以下の存在だね。
さすがの俺も、ようやくチビギコ達がどんな奴かを理解できたよ。
その性格、その生殖能力。もはや、脅威と言う以外に無い。
 しかも、さしもの2Chもちびギコに関しては、匙を投げていたな。
“成長期に本格的な躾を始めても、とんでもない我儘な性格になる”
と飼育サイトにはあった。ちびギコを飼うのはやめなさいってこったな。
 しかし、今朝はさすがに効いたはずだ。朝、起きてみると、
部屋の中であのバカは糞を撒き散らしていたからな。
躾として十発ほど、蹴りをくれてやったよ。おかげで、バイトに集中できたしな。
それにあのもがきようだ・・・。俺はその無様な姿を思い出し、喉の奥でクックックと笑った。
そして、家路を急ぐ。通常の躾じゃまずダメだ。こりゃ今夜も教育的指導だな。

189 名前: 投稿日:2004/10/16(土) 00:15 [ GR5wfc5Y ]
「ただいま、チビタン」
 玄関のドアを開け、チビタンを呼ぶ。勿論お出迎えは無い。
奥に入ると、あいつが、レッサーギコのチビタンがいた。
この名前は、適当につけた物だ。本来なら、キモゴミに名前はいらない。
「ズイブンオソカッタデチネ。コノノロマ」
 相変わらずの口の悪さだ。もうかなり言葉を話せるようになっていた。
が、しゃべりだすようになってから、ますますその憎たらしさには拍車がかかっている。
「ほらよ、わざわざ晩御飯買って来てやったよ」
 俺は買ったばかりのしぃフードを皿に開けて、チビタンに与える。
「コンナ 家畜ノエサ クワセルキ デチカ?」
「おいおい、しぃフードで十分だろ。それにこのしぃフード、高級品だからうまいぞ」
「タシカニ チビタンハ コウキュウナ モノシカ タベナイデチ。ケド、シィフードハ ナイデチ!」
「そんじゃ、どんな高級な物なら食べるんだ。言ってみろよ!」
「オニク トカ オニク トカ オニク トカーー!ソレモ 神戸牛カ 松坂牛デナキャタベナイデチ!!」
「ほざくな―――!!」
 俺はチビタンの顔面に蹴りをお見舞いした。神戸牛も松坂牛も買えるわけ無いじゃないか!
「神戸牛も松坂牛も、ちびギコごときに食わせられるかよ。俺の気も知らねぇで!!」
「ケ、ケラレタ デチ・・・コンナニ カワイイノニ・・・」
 かわいいだと?フザケるな!かわいいキモゴミがいたら怖いよ。
「大体 カワイイ チビタンハ エアコンノ キイタ オウチノ ナカデ フカフカ ジュータンノ ウエデ カウニ キマッテルデチ。
カワレテ ヤルンダカラ ソノクライ トウゼンデチ・・・」
 言うと思ったぜ。やはり俺を、下僕か奴隷と認識していやがる。
「やっぱりてめぇは飯抜きだ!!」
 そう言うと俺は、皿のしぃフードをチビタンの顔面に叩きつけてやった。
無様だねぇ・・・ぼろぼろとしぃフードが顔からはがれていくよ。
鼻の穴にも口にも、しぃフードが詰まっているしな。ざまぁみろ!!
飼い主をバカにするから、こーなるんだよ。

190 名前: 投稿日:2004/10/16(土) 01:01 [ GR5wfc5Y ]
「オネガイデチ・・・ナニカクワセテクダチャイ・・・」
 チビタンが懇願する。が、俺は一向に気にも留めない。
「ダメだな」
 そう言いながら、俺は夕食を食べる。チビタンを、柱に縛り上げておいて。
「うっひょ!うんめぇ――・・・」
 ワザとらしく大声でチビタンに聞こえるように俺は言う。
「ハヤク、ゴハンヲダスデチ!オナカスイタデチ!」
「いいかげんにしやがれ!!貴様の分は無ぇって言ってんだろ!」
「ドウカンガエテモ コレハ 暴力デチ!」
「フザケんな・・・」
 躾と暴力の区別もつかねぇのか。下等にも程があるぜ。
全く、レッサーギコは救えねぇな。プライドも糞も無さそうだ。
かと言ってこれ以上騒ぐのも問題だ。こいつを飼う許可は管理人からはもらっていない。
法律で禁止されているレッサーギコの飼育を、管理人が許可するはずは無いんだ。
管理人がこの状況を知ったら、まず立ち退きを要求するだろうな。
「チビタンノ ゴハンハ・・・?ナインデチカ?オナカチュイテルンデチヨォ・・・」
 情けねぇ。あれだけ威張っていたくせに、今度は下手に出てチャンスをうかがってるよ。
本当に誇りも糞も無ぇんだな。だが、情けないにも程があるぜ。
俺はチビタンの顔面を二、三発殴った。
「おお、そうだ。これからは俺の事をパパと呼ぶんだぞ。わかったか」
「ワカリマチタデチ・・・パパ・・・」
 意外だな。あっさり素直になりやがった。今日の躾はこんなものでOKだろう。
これでもう、餌を粗末にする事はないだろう。効果の程は、あまり期待できないがな。
ま、餓死してくれた方があるイミ、ありがたいんだが。

 その次の日の朝から、チビタンの態度は一変した。
「パパ、イッテラッチャイマチェデチ」
 昨日はロクに挨拶もせず、見送りもしなかったチビタンが、初めて挨拶をしたのだ。
しかも俺の事を、パパと呼んでくれたよ。
「そんじゃ行って来るよ、チビタン」
 清々しい気分だ。躾は全くの無駄ではなかった。効果がこんなにあるとはな・・・。
俺は少し手ごたえを感じていた。だが・・・
その後、とんでもない事になろうとは、思ってもみなかった。

*今回はここまでです、続きはまた後日です。

191 名前: 投稿日:2004/10/16(土) 23:53 [ GR5wfc5Y ]
*>>188-190の続き、逝ってみます

 その日、俺が帰宅すると、いきなり変な悪臭が漂ってきた。奥の方からだった。
玄関にまで臭いが及ぶとは・・・何があったんだ?
 奥の部屋で、俺は㌧でもないものを見た。ベビしぃの死体が一つ、転がっていたのだ。
悪臭を発していたのは、この死体だ。腐敗が速かったらしい。
死体のアソコ、つまりストレートに言うと、ヴァギナーかな?
それが裂けて、血が出ていた。これが致命傷になってしまったようだ。
「マッタク・・・ベビハモロイデチネェ・・・スグシンジャッタデチ」
 チビタンが、満足そうな顔をして現れた。いい気なモンだ。俺はすぐに、チビタンに質問した。
「ア・・・パパ・・・オカエリナチャイデチ」
「オカエリナチャイ、じゃないだろう?なんだよこれは!?」
「ベビシィデチ」
「そんな事はわかりきっている。このベビしぃはどうしたのよ?」
「セクースニ キマッテルデチ!!」
「目的はわかった。が、俺が聞きたいのは、どこからこのベビしぃを連れ込んだかだ。
さらって来たわけじゃないだろうな」
 野良しぃのベビでも、問題になるんだ。これが飼いしぃのベビなら、尚更だ。
レッサーギコと違って、しぃは飼う事は禁止も制限もされていないからな。
アフォしぃ、すなわち野良しぃが最近減ってきているのも、しぃを飼う人が増えてきたからだ。
それに、しぃは最近、品種改良も進んでいる。ペット用だけでなく、食用のしぃもいるくらいだ。
いずれにせよ、さらってきたのがこれだとしたら・・・大変だぞ。
「チビタン、タイクツチテタンデチ。ソレデ、オソトニデタンデチ。ソシタラ、マイゴニナッタベビシィガイタンデチ。
ソコデタイクツシノギニ オヘヤニチュレコンデ、レイープチタンデチ!キモチヨカッタデチヨ」
 やはり交尾か・・・。だが、このベビにはまだ、生殖能力など無いだろう。
それよりも、迷子、と言うのが気になる。親しぃが捜しまくっているかも知れないのによ・・・。
「20分カンカクデ ナンドモレイープチタデチ。ソチタラ、5回目デアッチャリシンジャッタデチ。
コレダカラベビハ モロチュギテコマルデチ」
 所詮、ちびギコにとって交尾は、DNAに保存されている本能にあたる行為でしかない。
そのため、誰にも教わることなく、交尾を行うようになっている。
本来は生殖能力のないベビギコでさえも、自発的に交尾を行うほどだ。
この様子では、早いところ去勢手術を受けさせた方が良さそうだ。
 それよりももっと大事な事に俺は気付いた。こいつは・・・外に出ていた!!
「そりゃそうとして・・・おまえ、外に出たのか!?部屋には鍵がかかっていたんだぞ」
「コンナカギ、カンタンニアケレルデチ。チビタンハオリコウサンデチ!」
 やっぱりこいつはわかっていない。こいつを飼う許可は管理人からはもらっていない。
こいつの存在は本来なら、知られてはならないんだ。
こいつが外に出れば、当然その危険性は高くなる!交尾よりも深刻な問題だ!
なのに・・・奴はこんな事をぬかしてくれた。
「パパハ オバカデチ!コンナモロイカギジャ ボウハンニナラナイデチ!!チビタンガカギヲツクレバダイジョウブデチ!
テイウカ、チビタンハエラインデチ。オリコウサンデチ。ダイテンサイ ナンデチ!!」
 
*短くなりました。が、今回はここまでです。

192 名前: 投稿日:2004/10/17(日) 15:47 [ V9CofjaQ ]
*>>191の続きでち・・・

 俺の事をバカ呼ばわりとはな・・・。それ以前に、程度の知れた知能で、いい気になる、
チビタンの精神構造を俺は疑った。たしかに、ちびギコの知能をもってしても、あの鍵は開けられる。
単純な構造だったからな。だが、それで偉いとは何だ。何がお利口さんだ。何が大天才だ。
こいつに鍵を作らせた所で、それが使い物にならない事ぐらい、わかりきっている。
レッサーギコの知能など、程度が知れている。
 それ以前に、こいつの存在は本来なら、知られてはならないはずだ。
レッサーギコの飼育は法律で禁止されているからな。
このままでは、奴は外に出続ける。外で何をしでかすか、わからんからな。
これ以上、こいつの好きにさせてたまるか!!
 俺はチビタンに向かってハッキリと言った。
「二度と外に出ないでもらおうか」
「・・・ナゼデチ?」
「ほら、お外は危ないだろ?おうちにいた方が安全だよ」
「ソンナコトハナイデチ!チビタンハサイキョウデチ!オソトニデテモ、コワイモノナンカナニモナイデチ!!」
 やはり、そうか・・・。怖いもの知らずで傲慢で、究極のエゴイスト。
それがチビタンの本性だったか。だがチビタンは、恐れる事も知らずに、
事もあろうに、決定的なセリフを口にした。
「ダイタイ ココハセマスギルデチ!チビタンハモット ゴージャスナオウチニスミタカッタンデチ!!ココハ タダノゴウモンベヤデチ!!」
「ぬかせ!」
 とっさに俺は左耳をつかんだ。
「俺の話を全く聞き入れてなかったみたいだな。この耳は飾りなのか!?」
 次の瞬間、いとも簡単にその耳はちぎれてしまった。やはり、飾りだったようだ。
「ヒギャァァァァァァッ チビタンノ オミミガァァッ!」
「すぐ薬を持ってきて、消毒するよ」
 俺は救急箱から、ある薬を取り出した。オキシドール。正しくは、過酸化水素水。
そのオキシドールを、俺はビンから直接、チビタンの左耳のあった場所へ流し込んだ。
「ヒギャァァァァァァッ!チミル!キズニチミルデチ――――!!!」
「おとなしくしろや!これでもわざわざ、お前のためにやってるんだぞ」
 チビタンは暴れまわる。ま、無理も無ぇな。傷口の血液が触媒となって、過酸化水素水が分解する。
その結果、酸素が発生する。それも活性酸素だから、傷口にしみるのは当然の事だ。
「じっとしてろ!消毒しないと、傷が治らないだろ」
「イマスグ シロートリョウホウハヤメルデチ!チビタンヲ ビョウインニツレテッテクダチャイ!!」
 病院ねぇ・・・、ダメだよ。レッサーギコを治療してくれる病院など有るものか。
診療拒否がオチってモンだ。
 オキシドールを四分の三ほど使っちまった。だが、治療と躾の効果は、期待できそうだな。
これでもう、お外に出たいとは言わないだろう。明日は休みだから、ゆっくり寝るか。

193 名前: 投稿日:2004/10/17(日) 16:37 [ V9CofjaQ ]
「ナ・・・ナンデチカ・・・コレハ・・・?コレハ チビタンノオミミデチ・・・」
「そうだよ。そして、てめぇの朝御飯だ」
 昨夜ちぎれた耳は、チビタンの朝食にした。それも、わざわざ加熱調理してやったのだ。
自分の物は自分で処理させるのは当たり前だからね。これも躾の一環だ。
「コンナモノ、タベレルワケ ナイデチィィッッ!!」
 そう言うとチビタンは、焼けた耳を俺目がけて投げつけた。
せっかく用意した餌を食べようとしないのでは、いくら寛大な俺でもさすがにキレてしまう。
飼い主として、これはちゃんと躾ねばならないな。
「はい、お口アーンして」
「ア・・・アガガガガ・・・」
 俺はチビタンの口を抉じ開けて、耳を無理やり食わせることにした。
「わがままばっかり言いやがって!いいから食え!死んでも食いやがれ!!」
 これはよく考えてみりゃ、単なる躾じゃなくなってるな。ゴミ処理の問題も、解決している。
これなら環境にもやさしい。そして、こんな事に気付く飼い主はそうそう居まい。

 それから俺は、あちこちの獣医、病院、リハビリセンターを当たってみた。
こーゆー時は、フリーターの身分は役に立つ。今日は平日だからね。
平日なら、医療機関は大抵は開いているものなのだ。片っ端から手当たり次第に電話を入れていった。
だが・・・どれもこれも反応は最悪としか、言いようが無かった。
「お引取り下さい!キモゴミは持ち込み禁止です!」
「御恐縮ですが、当病院ではレッサーギコは対象外になっております」
 こんなのはまだいい方だ。
「ちびギコの事でしたら、保健所か廃棄物処理施設に相談してください。
どーしてもとゆーのなら、ケーサツを呼びますがね・・・」
「あんた、犯罪の片棒を我々に担がせる気か?あんたのやってることは、
立派な犯罪なんだよ!!」
 結局診療拒否以外に、答えは返ってこなかった。結果はわかってはいたが、
これほどひどいとは、思ってもみなかったぜ。
 さすがに、チビタンはおとなしかった。俺の苦悩が少しはわかってくれたか。
そしてその日の夜は更けていった。

 次の日の朝、清々しい気分で俺は出勤した。
三重に縛った小さなビニール袋をゴミ捨て場に放り投げ、バイト先へと急いだ。
中身はあのベビしぃの、骨等、食べられなかった部分だ。
あのベビしぃの死体もまた、チビタンの餌にした。昨日の昼と夜はそれで事足りた。
あのチビタンが、あんなにしぃフードを拒んでいたのに、美味しそうに食べていたんだ。
よかったな。俺も、飼い主として自信を取り戻せたよ。

*今回はここまでです、続きはまた後日です。

194 名前: 投稿日:2004/10/23(土) 01:31 [ J.6aNiLk ]
*>>192-193の続きです。

 それから数日後。俺は管理人室を訪れる事にした。理由は簡単だ。
もうこれ以上、チビタンを飼っている事を隠す事はできないと判断したからだ。
さすがに管理人も、滅多にツラを出さない俺を見て、驚いていた。
「あらやだ!あんた、一体何しに来たのよ」
「あ・・・管理人さん・・・実は・・・」
 俺はあらいざらい総てを話した。だが、管理人の反応は、あっさりとした物だった。
てっきり、俺は立ち退きの要求でもしてくるのかと思っていたのだ。だが・・・、結果は全くの正反対だった。
「そんな事で気にしていたの?別にどうってことないじゃない」
「そうですか?俺はレッサーギコを、法律違反を覚悟で飼ってるんですよ」
「何言ってんの。どうせ殺すために飼ってるんでしょ?警察も多少は目をつぶってくれるわよ」
 俺は複雑な気分だった。管理人の話では、レッサーギコを飼っていても、
懲役等の実刑はまず無い、との事だった。重くても、執行猶予はつくそうだ。
あまり心配する事でもなかったようだが、事態を重く見ていた自分がバカらしくもなった。
「どうせなら、躾と称して目潰しなり、腕もぎなりしたらどぉ?その方がいいと思うわ」
「確かに、キモゴミ相手なら、それも妥当でしょう。しかし・・・」
「しかし・・・何?」
「実は先日、あちこちの獣医、病院、リハビリセンターを当たってみました。
去勢手術や治療を受けられはしないかと、思って・・・」
「ダメに決まってるじゃない。どの医療機関でも、レッサーギコは対象外よ」
 そりゃそうだ。あれだけ、赤っ恥をかくハメになっちまったからな。
管理人はさらにこう続けた。
「私ね・・・レッサーギコだけでなく、オニーニやしぃもダメなの」
「オニーニやしぃもダメって・・・?オニーニがよくワッチョイワッチョイって踊ってますよね?当のオニーニたちは、
マターリ踊ってるつもりらしいんですが・・・あれもダメなんですか?」
「そうよ。あのキモい動き、とてもじゃないけど、見てらんない!あんなキモイ動きを目の前でされたら、
殺してやりたくもなるわ。図々しいにも程があるわよ」
 わかるなぁ・・・。俺は黙ってスルーしているが、オニーニのワッチョイや、
しぃのダッコに対して、拒絶反応を示す人は決して少なくはない。
「これ・・・渡しておくわ」
管理人は、俺にメモを手渡した。
「これには、ちびギコの本当の可愛がり方が書かれてあるわ。きっと役に立つと思う」
「そこまでしなくてもいいんですけど」
「何言ってんの。こう見えても、私はかつては虐殺界では有名な方だったのよ。『虐殺女帝あらやだ』と言えば、
知らない人はいないほどなんだから」
「えっ!?そうだったんですか!?意外だったな・・・」
「とにかくわからない事が有ったら、またここを訪ねるといいわ」
 ここの管理人にあんな過去があったとはな・・・。俺はメモを手にすると、管理人室を後にした。
そして・・・、自分の部屋に戻る。チビタンは眠っていた。躾が利いているようだ。
このまま、おとなしくしていればいいのにな、と俺は思った。この様子なら、大丈夫かな?
俺は安心していた。いや、慢心していたと言うべきか?チビタンがおとなしく俺の言う事に従っていたモンだから、
てっきり、俺の躾は完璧だと思い込んでしまっていた。
それから数週間後、俺は・・・チビタンの恐るべき素顔を目の当たりにした。

195 名前: 投稿日:2004/10/23(土) 01:33 [ J.6aNiLk ]
 ある休みの日。俺はバイトの同僚から、合コンの話があるので、同席しないか、と誘われたのだ。
滅多に合コンにゃ行けないからな・・・。俺はもちろんついていく事にした。
「そんじゃ行って来るよ、チビタン」
「イッテラッチャイマチェデチ、パパ」
 チビタンの挨拶に俺は、安心しきっていた。躾に溺れていたんだな、多分。爽快感を覚えた俺は、
そのまま行ってしまった。
 だが、合コンから帰ってきた俺を待っていたのは、恐るべきしっぺ返しだった。
「な・・・何だよこりゃ?」
 まず、部屋のドアを見て俺は驚愕した。ドアには堂々と、`虐殺厨の部屋’と、赤いペンキで書かれていたのだ。
そして、色とりどりのペンキや絵の具で、室内も落書きが施されていた。玄関、トイレ、炊事場、
さらに廊下やふすまに至るまで、ペンキ、クレヨン、鉛筆とありとあらゆる筆記具で落書きがされていた。
 内容がまた、凄まじかった。‘虐殺厨’‘虐待魔’‘クサレアヒャ’等、どれもこれも俺への悪口だったのだ。
こんな事ができるのは・・・あいつしかいない。
 チビタンが現れた。チビタンの全身は、クレヨンや絵の具やペンキで汚れていた。
「おい・・・これはお前の仕業か?一体何のマネだ!?」
「オマエヘノ フクシュウデチ・・・」
 俺は直感した。チビタンの目は怒りと復讐に燃えていたのだ。こんな形で躾の成果が出るとはな・・・。
この俺に対して、少しくらい恐怖心を持って貰わないと躾は意味を持たない。それが躾の本質じゃないか。
躾は暴力でも虐待でも遊びでもないからだ。そう思って、俺はこいつを躾けてきた。
だが、こんな結果をもたらそうとは夢にも思わなかった。
「パパハ、イタイコトスルカラ イヤデチ!! イタイコトスルノハ虐殺厨ッテチビタンノ ホントウノ パパトママガ イッテタデチ!」
「何?そんじゃ俺は偽物のパパかぁ?」
 チビタンの口から自分の両親の話が出てきやがった。こいつ・・・自分の両親の事を知っているのか!?
第一、最初に出会った時、まだこいつはベビギコだったはずだぞ。物心つく前の記憶など、そうそう有るもんじゃない。
「確かに俺は・・・偽親父だよ。だが、それがどうかしたのか!?」
「チビタン・・・ミテタデチ!パパトママヲ オマエガ コロストコヲ!!パパノアタマヲ フミツブシ、ママノクビヲ ヒキチギッタコトヲ、ハッキリトオボエテルデチ!!
ソシテ、パパトママヲ コロシタアト、 オマエハボクノモトニキタンデチ!!」
 よく言うぜ!自分の方から近づいて来たんだろうが!こいつを俺がさらってきたとでも言い張る気か。
それに、痛い事するのは虐殺厨か・・・。躾のつもりだったのだが、見解の相違ならまぁ許せるさ。
だが・・・自分の両親を持ち出して俺を非難するとはいい度胸してるぜ!そこが許せねぇんだよ!
「ソシテ、チビタンヲ無理矢理ツレテイッタンデチ・・・チビタン、ジブンノ運命ヲノロッタデチ・・・
オマエノヨウナ 虐殺厨ゴトキニ ヒロワレタコトヲ・・・」
「虐殺厨だの、偽物だのってわめきやがって・・・」
「オマエハ マギレモナイ 偽物デチ!偽物ノパパナンテ イッテヨチデチ!!偽物ノパパナンテ イラナイデチ!!ソレ以前ニ・・・、
チビタンノパパガ アヒャナワケガナインデチ!!アヒャゾクハ・・・マターリノ敵デチ!!」
 この野郎・・・言いすぎだよ。確かに俺はアヒャ族さ。だが、マターリの敵も糞も無ぇだろう?
だが・・・俺はとんでもねぇミスを犯しちまっている。あの日・・・銀行からの帰りを俺はとっさに思い出した。
あの日、殺したレッサーギコのつがい・・・こう言ってたな。
(何イッテルデチカ?スグニ、アノコノキョウダイハウマレテクルデチヨ。ソノタメニモ、コヅクリニハゲムデチ!!)
 あの子とは、このチビタンの事か・・・あいつらがこのチビタンの両親だったとはな・・・。
こいつは見ていたんだ・・・俺が自分の両親を殺す瞬間を!!まさか・・・こいつが俺に近づいてきたのは・・・
俺に復讐するためか!!もしそうだとしたら・・・こいつはもう、生かしちゃおけねぇ!!!

*今回はここまでです、続きはまた後日です。

196 名前: 投稿日:2004/10/26(火) 01:23 [ Ck0bjAMw ]
*>>194-195の続きです。

「お前、そんなに両親に会いたいか?」
「トウゼンデチ!!ケド・・・モウコノヨニ チビタンノ パパトママハ イナイデチ」
 考えてみりゃ、レッサーギコを殺すのに、理由など要らない。だから、こいつの両親を殺れたんだ。
キモゴミに存在価値はないからな。おそらく、レッサーギコが絶滅するようなことになっても、
誰も危機感は感じないだろうな。逆に安心するかもな。
 逆もまた真なりだ。こいつを拾うのにも、理由は無かった。だが・・・俺は後悔していた。
ただの気まぐれが、こんな事態に発展しようなどとは思ってもみなかったからだ。
こんな事になっちまうくらいなら・・・最初に会った時点で殺すべきだったな。いずれにせよ・・・
もうこいつを生かしておく理由は、無くなった。
「それじゃあ・・・両親に会わせてやるよ」
 チビタンの顔が青ざめた。こいつ、自分の死を悟ったようだ。ならば・・・それに応えるまでだ。
俺はまず、チビタンの右腕を引きちぎった。鮮血が噴き出す。
「ヒギャァァァ!!!チビタンノ オテテガ―――!!!」
「こんな悪い事しかできない右腕なんざ、いらねぇって」
 勿論、止血はしない。さらに俺は傍らに有ったロープで、チビタンを縛り上げた。
そして、外へと連れ出した。行き先は公園だ。
公園の外灯のポールに俺は、チビタンをつなぎとめた。
「ナニスルンデチカ?ハナスデチ!」
「しばらくそこで、反省してな」
 俺はアパートへと戻った。そこには、管理人がいた。今度という今度は管理人も黙ってはいまい。
「あらやだ!どーなってんのよ、これ」
「チビタンの仕業ですよ。俺が修繕費、負担します」
「仕方ないわね。私が全額払うわ」
「え?本来なら立ち退きを要求されてもおかしくはないんですよ?」
「レッサーギコならこれくらいは当然よ。あなたにここから出て行く義務は無いわ」
 おいおい、甘すぎやしないか?元虐殺厨だからって、ここまで俺に優しくするとはな・・・。
俺は管理人に例を言うと、部屋に入った。そして、夕食の後、辞表を書いた。
ここまでされたんじゃ、バイト先も黙ってはいまい。レッサーギコを飼っている人間を雇うほど、向こうもバカじゃない。
いずれにせよ、俺はクビだ。ならば・・・自分の方から辞めた方がまだマシだ。
再就職先も考えておかねば、な・・・。
 さて、チビタンはどうなったかな?俺はあの公園に行く。夜もかなり更けていた。
例の外灯のポールにはチビタンがいた。が、他にも、何匹かちびギコが集まってきていた。
おそらく、野良のちびギコだろう。連中はぐるりとチビタンを取り囲んでいる。
「奇形デチネ、コイツ。左耳ト 右腕ガ無イデチ」
「ブザマデチネ・・・人間ニカワレルカラ コーナルンデチヨ」
「ハッキリイッテコンナ奇形、チビギコジャナイデチ」
「キモイデチ!異常デチ!オマエナンカ イッテヨチデチ!!」
 ひでえもんだ。こいつらには、いたわりの心ってモンが無ぇのか。しぃがでぃを虐殺するのより、タチが悪いよ。
ケガしてる奴にこんな悪口言えるのは、どういうワケだ。弱肉強食の世界に生きているとは言え・・・
自分たちの事を立派な野獣だとでも思い込んでいるようだ。

*短くなりました。が、今回はここまでです。

197 名前:ナヒャ (yWVxXezQ) 投稿日:2004/11/01(月) 23:03 [ mJbDaQQg ]
1/3

しとしとと雨垂れの音が静かに流れる、ある雨の日、
ここAA中央病院では、一匹のチビギコの手術がおこなわれる予定でした。
「先生」
チビギコが主治医のモララー医師に、白いベッドの上から声を掛けました。
「お願いがあるデチ」
そう言ってチビギコは一枚のCDを差し出しました。
大きな黄色い文字で「それ逝け! アソパソマソ」と書かれています。
「手術の時に、このお歌をかけて欲しいんデチ。
 そうすれば、ボク、手術が頑張れマチ」
モララー医師はそのCDを手に取ると、優しく微笑んでチビギコの頭を撫でました。
「わかった。手術、頑張ろうね。必ず成功させるから、君も頑張るんだよ」

そして、アソパソマソの音楽に励まされながら、手術は無事成功し、
チビギコは数日間ベッドの上で療養していました。
ある日の午後、モララー医師がチビギコの病室にやってきて、
簡単な診察と談笑をしていました。

その時でした。病室のドアが乱暴に開けられたのは。
ツカツカと誰かが勝手に病室に入ってきます。
黒いスーツを着たモナーが冷たい笑みを顔の上に仮面のように張り付かせています。
「何だ君は!?」
モララー医師が、チビギコを守るように、モナーとチビギコの間に立ちはだかって声を荒げます。
「JA$RACの者ですが。
 こちらの少年が当協会の管理楽曲を無許可で医師達に聞かせたそうですね。
 これは公的な試聴ですね。著作権使用料をお払い下さい」
チビギコは何が何だかわかりませんでした。
ただ、いきなり現れたモナーがとっても怖かっただけでした。
「著作権を侵害しておいて、著作権使用料を払わないのは非常識だとは思いませんか?」
黒いスーツのモナーはペラペラとしゃべり続け、まくし立てます。
「この子はまだ子供だ。そんなコトを言われてもわかるはずがないじゃないか」
見かねたモララー医師が言いましたが、モナーは涼しい顔です。
「では、そちらの病院側が支払って下さるのでしょうか?」
「それは……」
モララー医師は口ごもりました。
長い思い沈黙が病室内に立ちこめました。

198 名前:ナヒャ (yWVxXezQ) 投稿日:2004/11/01(月) 23:04 [ mJbDaQQg ]
2/3

沈黙を破ったのはJA$RACの者でした。
「使用料を払う気は無いのですね?」
「もちろんデチ! 明らかな違法行為ならまだしも、自分で買ったCDを手術中にかけただけで
 著作権侵害なんて言いがかりデチよ!」
「わかりました。では、今日の所はこの辺で帰ります」
黒いスーツのモナーは冷ややかに笑いながら病室を後にしました。
残されたのは、怒りと恐怖で震えるチビギコと、呆気にとられたモララー医師だけでした。

数日後、チビギコは無事退院するコトができました。
母親が病院に迎えに来ます。
が、母親であるしぃの頬はゲッソリとやつれ、口数も少なく、元気がないようです。
「お母タン?」
「何デモ 無イノヨ」
何故母しぃの元気がなかったのか、それは家に着いたらわかりました。
油性ペンで書かれた玄関のドアの文字。
ドロボウ。犯罪者。
「これは、一体何デチか?」
母しぃは黙ってうつむいています。
実は、数日前から怖い人たちがやって来て、ドロボウだの、犯罪者だのと
家の前で大声で騒いだりしていたのです。
母しぃはそのストレスで疲れていたのでした。
その時、丁度その怖い人たちがやって来ました。
黒いスーツのギコとフサギコです。
フサギコは母しぃを見るなり、大声でまくし立てました。
「おい、ババァ。カスが」
低い低い声でした。母しぃはビクンとなって、泣きそうになっています。
「よくもまぁ、恥ずかしげもなく、人様と同じような家に住んでられるもんだぁ、あ?」
ギコがうつむいている母しぃに詰め寄ります。
「著作権違法の犯罪者の分際でよぉっ」
ギコはドアを思いっきり蹴りました。
薄い木製のドアには穴が空き、ガタンと大きな音をたてました。
「やめてデチ!」
チビギコは焦って、ギコの足に飛びかかりました。
「お家を壊さないで!」
「犯罪者がうるせぇんだよ、ゴルァ」
「ヤメテ……、オ願イデスカラ……」
母しぃはついに泣き出してしまいました。
ギコとフサギコの罵声と、親子のすすり泣きが静かな住宅街を騒然とさせました。

199 名前:ナヒャ (yWVxXezQ) 投稿日:2004/11/01(月) 23:04 [ mJbDaQQg ]
3/3

「じゃぁ、ミンナ、わかったかなぁ?」
小学校低学年のクラスを受け持つ先生が明るく言いました。
「著作権は大事なんだよ〜。ミンナ、ちゃんと守りましょうね〜」
「は〜い」
TVのVTRでは、まだ母しぃとチビギコは泣きわめき、黒いスーツの男達の暴挙は終わっていませんでした。
「著作権を守らないとぉ、このビデオの子みたいにひどいコトになっちゃうからね〜」
「は〜い」

 完

200 名前: 投稿日:2004/11/05(金) 00:17 [ Ne1VnYa6 ]
*>>196の続きです。

「チビギコノ世界ニ カタワハ イラナイデチ。二度ト目ノ前ニ 現レナイヨウニシテヤルデチ!!」
「ソウデチ!貴様ナンカ・・・イッテヨチ!!」
 こいつら・・・何考えてやがる!!こともあろうに、奴らはどこからともなく大きな石を持ち出した。
そして・・・その石をチビタンの両足目がけて投げ下ろした!!
「アギャ――――!!!」
 鮮血と鈍い音と断末魔の叫び。もちろん、チビタンの両足は砕け散った。それにしても、だ。
同類にこんな事ができるとは、恐ろしい連中だ。こんなカス集団の存在など、許せるものか。
俺は問題のカス集団に声をかけてみた。
「いくらなんでも、やりすぎじゃねぇのか?お前らの同類相手によ」
「ナーニ 言ッテルデチカー?コイツハ チビギコジャナイデチ」
「オマエ・・・コイツノカイヌシデチネ?コイツヲトットト ツレテイッテ 処分スルデチ」
「レッサーギコ風情が俺に命令とはな。それ以前にお前らに、いたわりの心は無ぇのか」
「冗談モ ヤスミヤスミ言ウデチ!コイツハマターリノ 敵デチ!!」
「ソウデチ!!モウ アンヨハツブシタカラ、コレデマターリ デキルデチ」
 勝手な理由をつけるなよ。それ以前に、こんな事を平気なツラしてやれるこいつらの神経を、俺はキモいと思った。
「こいつよりも、お前らが消えてくれた方がマターリできると思うんだがな」
 チビタンの両足を潰すのに使った、大きな石。俺はその石を手にすると、次々に問題のカス集団を殴っていった。
「アギャ――――!!!」
「ヤ、ヤメルデチ――――!ユルチテ―――!!」
 今更何を言う。チビタンにこんな仕打ちをしておいて、許しておくバカはいないよ。
「氏んで償いやがれ!貴様ら全員生かしちゃおけね――!!」
 そして数分後。ようやく静寂が訪れた。問題のカス集団はただの血肉となっていた。
チビタンはようやく安心したらしい。安堵した表情を浮かべていた。俺も、少し安心した。
が、チビタンのこのセリフが、俺に、後悔の念を抱かせた。
「チビタンノアンヨヲ ツブシヤガッテ・・・イイ気味デチ・・・」
 そう言うとチビタンは、死体の山に唾を吐きかけた。
「イッテヨチデチ!! イッテヨチデチ!! イッテヨチデチ!!」
 同類の足を潰し、かつ同類の死体に唾を吐く・・・。本当に救いがたいな、レッサーギコとやらは・・・。
「何チテルデチカ? キガキカナイ デチネ。ハヤク チビタンヲダッコシテ オウチ カエルデチ!!」
「そうだな」
 もうここに長居は無用だな。早々に公園を引き上げる事にした。
 帰ってすぐに、俺はあのメモの存在を思い出した。そして、そのメモを探し出す。
管理人が渡した、ちびギコの本当の可愛がり方が書かれてある、そのメモ。
これに、躾のヒントが隠されているはずだ。メモを手にして、俺は思った。
どんなにがんがっても、レッサーギコが矯正不可能なのはわかりきっている。
それならそれで、せめて、最期の躾でもしてやろうじゃないか。俺はチビタンに言う。
「チビタン・・・明日は素晴らしいご馳走が食べられると思うよ。これだけの大ケガしてるんだ・・・
そろそろ高級なオニクをプレゼントしてやってもいいと思うんだがな」
「ヤターデチ!!クソアヒャデモ、ヨウヤクワカッテ キタ デチネ」
 クソアヒャは余計だよ。だがね・・・これが君への最期の贐だよ、チビタン。

*今回はここまでです。続きはまた後日。

202 名前:MR 1/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:15 [ 9hLqKpvk ]
ダコハ開放戦線



1、[証言1] コンビニエンスストアー店員 モナ岡さん


あれは秋も深まった、土曜日のことです。
711の店員である私は、いつものように8時に出勤し、
朱色とクリーム色の制服に着替え、
コンピューターの画面に出たタイムカードを押し、仕事を開始しました。
この田舎町ではコンビは多くなく、土曜の昼時となると
どっとお客さんが来て、レジには長蛇の列ができます。

その日もそうでした。
手に手にお昼ご飯などを持ち、お客さんは自分の番が来るのを
今か今かと待っています。
私達もつり銭を間違えないように、気を遣いながら、会計を行っていました。
それは、ごくごくありふれた光景でした。
次の瞬間を迎えるまでは。

「ハニャーン ハニャーン!!」
「ハニャーン!!」
聞く者誰もが、このような音を発し、他人の鼓膜を振動させることは、
この世の如何なる騒音公害よりも悪辣であると、そう断言して
しかも微動だにたじろがないであろう、
徹頭徹尾媚びに媚びきった鳴き声が、店内を圧しました。
しぃでした。
しかも二匹。
奴らは頬の顔肛門を醜く高揚させ、口をワの字にし、
糞臭い足でこの店に侵入しました。
垢と有害細菌にまみれた手で、やおらカゴをむんずと掴むや
我が物顔で店内を闊歩し、
次々に商品をその中にぶち込んで行くのでした。

203 名前:MR 2/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:16 [ 9hLqKpvk ]
この臭い!!
しぃの体から発せられる、
えもいわれぬインクレディブルな悪臭に、
ある客は眉をひそめ、ある客はハンカチで鼻を覆うのでした。
中には買い物を止め、逃げるように帰る者もありました。
『さっさと追い出せ!』
無言の怒号が、お客さんから発せられるのが分かります。
しかししぃとはいえ、一応客は客。
ひとまず、静観することにしました。

「ハニャーン!! オイシソウナ食ベ物ガ イパーイ アルヨ!!」
「甘クテ柔ラカクテ 高級ナモノジャナキャ ダメダヨ!!」
お決まりのセリフを口走りながら、プリンだのエクレアだの、
スウィーツの類をやたら大量にかごに入れています。
やがて買い物が終わったのか、バタバタと足音を立て、
レジの前に立ちはだかりました。
彼奴らのミニマム脳は、列に並んでレジを待とう等という、
最低限の倫理的思考をもめぐらせられぬ程、下等なようです。
なんら悪びれる様子もなく、
先頭に割り込んできました。
次に会計を行うはずだった御老人は、しぃの傍若無人ぶりに閉口しつつも、
「お嬢さん方、順番を守って下され。」
と諭すように言いました。

「ウッサイワネ!! コノクソジジイ!!」
「シィチャンハ アイドル ナンダヨ! カワイインダヨ!!
ユズルノガ当タリ前ダヨ!! イヤ、 アンタミタイナジジイハ、
カワイイシチャント 口ヲキケタダケデモ 泣イテ感謝スルベキナンダヨ!!」
私は生まれてこの方、これ以上愚劣な発言を耳にしたことがありません。
こんな発言を本気でするのが、しぃなのです。
こんな連中が跋扈し、この国を食い荒らしているのです。
湧き上がる怒り、悔しさに私の手はわなわなと震えました。

204 名前:MR 3/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:17 [ 9hLqKpvk ]
こんな糞虫と、これ以上言葉を交わしてさしあげるほど
ご老人は奇特ではないらしく、何も言いませんでした。
が、次の瞬間でした。
「ハニャ!!」
突如しぃが件の媚び声を上げるや否や、
「ウンチサン シタク ナッチャッタ!!」
等とほざいてきました。
私は、便所はあっちにあるからさっさと行け、的なことを言いましたが、
そんな言葉を意に介さず、
奴は我々の思考能力のキャパシティを凌駕した、驚天動地の行動に移ったのです。
何と、四つんばいになり、口をへの字にし、
体中の体毛を逆立てて、気張り始めたではないですか!
馬鹿な!と思いました。
呆気にとられた私達は、奴の行為を止められなかったのです。

果たして、それは到来しました。
従業員4名、買い物客15名の衆人環視の中、
奴のアヌスから、この世の汚濁を極めた固形物が発せられ、
我々の網膜を焦がしたのです。

悪夢でした。
悲鳴と罵声が飛び交い、逃げ出す人々の中、
ソレから発せられる言語を絶する刺激臭に、
目をやられ、あるいは膝が崩れ、我々は適切な対応が出来ませんでした。
「ハニャーーーーン! トッテモ オイシソウナ コリコリウンチサン!!」
そんな声が聞こえた様な気もします。
くちゃくちゃと、何か柔らかいものを咀嚼する音もしたかもしれません。
気が付いたとき、奴らはいなくなっていました。
未会計の商品と共に。

205 名前:MR 4/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:18 [ 9hLqKpvk ]
2、[証言2] でぃリハビリセンター看護士 レモ奈さん


でぃとは、もともとはしぃです。
何らかの心理的、外傷的ショックにより、精神と身体に障害をきたしたしぃを、
でぃと、呼んでいます。

でぃになる原因の多くは、実は同族しぃによる虐待なのです。
怪我をしたり病気になった仲間を
「キモーイ! アンタミタイナ バッチイヤシハ シィ ジャナイヨ!!」
「バッチイ ディハ アボーン シナキャ!!」
と、集団で攻撃します。
昨日まで仲良くしていた仲間に疎外され、暴行を受けるショックは
如何ばかりのものでしょう。
多くは死んでしまいますが、希に生き残った個体がでぃとなるのです。

彼女らは、元のしぃには、戻れません。
ですがリハビリを行うことで、社会生活を営む能力を身に付けることができます。
事実、私達のリハビリセンターを卒業したでぃの多くは
就職し、あるいは就学し、第二の人生を送っています。
元々は社会の癌であったしぃが、
善きでぃとして生まれ変わり、人々の役に立つ存在となる。
我々リハビリセンター職員は、誇りを持ってこの仕事に取り組んでいます。

シィルも、私達のセンターに入院いていた一人でした。
決して忘れることはないでしょう。
あれはキンモクセイの優しい香りが漂う、とても穏やかな日でした。
社会生活に慣れる目的も兼ね、外出した私とシィルは、
彼女の好きなドーナツを買い、公園で食べようということになりました。

206 名前:MR 5/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:18 [ 9hLqKpvk ]
駅前のミスドで買い物を済ませ、センター近くの公園へと向かいます。
公園は道路から一段低い場所となっており、
階段を降りなければなりません。
シィルは左足が義足の為、私は彼女の手をとりました。
「アウ…レモナ…アリガトウ」
嬉しそうにドーナツの箱を抱え、微笑む彼女。
退院の時もそう遠くないだろう、と思うと
ふっと寂しい気分になりました。
ですが、そんな感情は次の瞬間にかき消されてしまいました。
「チョット ソコノ ディ!! ソノ ドーナツヲ 渡シナサイ!!」
「シィイイ! ディノ 分際デ ソンナ オイシソウナモノヲ! モウ 許セナイヨ!!」
しぃでした。
4、5匹はいます。よく見るとベビしぃもおり、
「チィチィ!! チィガ タベテ アゲマチュカラ チャッチャト ヨコチナチャイ!!」
等とほざいています。

(でぃ一人の時ならともかく、他のAAと一緒の時に襲ってくるなんて。)
初めてのケースに、私は当惑を隠せませんでした。
そしてまずいことに、私達はしぃに囲まれ、
逃げ道は下り階段しかありません。
連中のでぃに対する攻撃性は恐ろしいものがあります。
私は不本意ながら、連中にドーナツを渡してこの場をおさめようと考えました。
「シィル、それを渡しましょう。」
「アウ…デモ…セッカク レモナニ…」
「また買ってあげるから…ウッ!?」
突然後頭部に激しい痛みが襲い、私はその場にうずくまりました。
「フン!! ディノ味方ヲ スルヤシハ シィノマターリヲ ジャマスル ギャクサツチューダヨ!!
 ソンナヤシハ コウダヨ!!」
そう言い、何か棍棒のようなもので殴りつけてきたのです。
「ハニャーン オモシロソウ!!」
「シィニモカシテ!! シィモヤルノ!!」
他のしぃもこのリンチに加わり、激しい打撃の嵐が襲ってきました。
「ヤメテ…! レモナヲ イジメナイデ…!」
薄れゆく意識の中、シィルが私をかばうのが分かりました。
(早く逃げて!)
叫ぼうにも声が出ず、私は意識を失ってしまったのです。

207 名前:MR 6/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:19 [ 9hLqKpvk ]
気付いたときは病院のベッドの上でした。
私が目覚めたのに気付いた看護士が、
「大丈夫。全身を打撲していますが、骨には異常ありません。
 すぐ、退院できますよ。」
と、優しく言ってくれました。ですが、
「シィルは… 私と一緒にいたでぃは、大丈夫ですか?」
私のこの言葉に、看護士の表情は曇りました。

ドクター立会いの下、私が通されたのは霊安室でした。
寝台の上に横たわる亡骸。
面の白い布を外すと、それは紛れも無くシィルでした。
まるで眠っているかのよう。
しかしたちまちの内に閉じたまぶたは永遠に開かず、
絶えた息は永く戻りません。
その現実を認めたくない私は、
すがるようにドクターに顔を向けました。
「シィルさんは全身を激しく殴打された後、
階段から突き落とされたのです。残念ですが、運ばれた時にはもう…」
ドクターも、しかしそう言うしかなかったのです。
私は泣きました。
彼女を失った悲しみに、彼女を守れなかった悔しさに。
そして「シィノマターリ」とやらの為に、面白半分で彼女の命を奪ったしぃへの、
やり場の無い怒りを、どうすることも出来ませんでした。

208 名前:MR 7/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:19 [ 9hLqKpvk ]
3、しぃ対策法

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  第12条の1 [令状主義より除外]
   しぃは司法官憲の発し、かつ理由を明示する令状によらずして
   逮捕することを得。

  第12条の2 [しぃの逮捕、刑罰の執行]
   しぃの逮捕、刑罰の執行は、国家権力によらずして行いうる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ここ、したらば東警察署の会議室は、ただならぬ空気が漂っていた。
30人ほどのAA達は、長机に肘をついたり
パイプ椅子の背もたれにもたれかかったりして、雑談を交わしている。
しかしその表情に笑顔はない。
そんな殺伐とした部屋の引き戸が開き、3人の警察官が入ってきた。
「皆さん、お忙しい中ご苦労様です…」
一通りの挨拶と自己紹介が終わり黒板前に用意された長机に座ると、
中央に座ったギコ内という警察官が話を始めた。

「皆さんからのしぃに関する事件の捜査は、全て終了しました。
 実に17件。
 でぃの殺人事件、障害、コンビニエンスストアでの窃盗、不動産侵奪罪…
これ程沢山の犯罪を起こした例は、全国でも初めてです。」
集まったAAたちは、その話をじっと聞いている。
「これら全ては同一のしぃグループによる犯罪です。
 桜町3丁目の空き地を不法占拠し、そこを根城としているグループ、
 と言えば、皆さんはお分かりでしょう。」
やっぱりあの糞虫どもか、といったざわめきが起こった。
ギコ内は構わず続ける
「犯罪を普通のAAが起こしたなら、我々警察が逮捕し、
 裁判所が刑を決め、検察官が刑の執行をします。
 しかし皆さん、しぃ対策法はご存知ですね?」
そう言うと、黒板に「しぃ対法」と書きなぐった。

209 名前:MR 8/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:20 [ 9hLqKpvk ]
しぃ対策法とは、激増するしぃの犯罪に効率よく対処する為の法律である。
しぃは通常のAAとはみなされず、人権規定は及ばない。
これまで慣習的に、そういった対処が行われていたが、
この法律は、明文でそれを規定したものである。
なお、「糞虫狩り」もこの法律に根拠を得ている。
「そのしぃ対法12条には、警察じゃなくても、逮捕できるし、
 裁判所じゃなくても刑の執行ができると、書いてあるんです。」
そう言うと、ギコ内は椅子に座り、手を組んで人々を見やった。
「あの、つまりどういうことなんですか?」
最前列に座っていたモナー族の男が手を上げ、質問する。
「皆さん方で、糞虫ども好きなようにしていいってことです」
ギコ内は言い放った。
そう。
しぃ対法は「しぃは問答無用でエリミネートして構わない」と規定しているのだ。

それを聞いた聴衆は色めき立った。
彼らはしぃどもにより、甚大な被害を受けた。
「シィノマターリ」の為に、奪われ、踏みにじられた平和。
ただ己の快楽と利益のみを貪り、苦悩を垂れ流す。
今こそ、奴らへの復讐を果たすのである。

警察署から出てきた人々の顔に、先ほどの曇りはなかった。
ただ、全身からむき出しの憎悪をほとばしらせ、
得物を狩る猛禽類の如き目を、ぎらつかせていた。

210 名前:MR 9/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:20 [ 9hLqKpvk ]
4、Destroy them all


ここは半年前までは、空き地だった。
地主によれば、それまでは色々な建築会社の営業が来て、
なんとも対応が面倒だったそうだが、それもぱったりと止んでしまったという。
今、ここには異様な建築物が建てられている。
木造の柱にダンボールの壁を貼り付けた、ホームレスでも住んでいそうな家。
しかし一部は鉄骨に鉄板でガードされ、そこだけ異様な堅牢さを見せていた。
その家に近づいてみるがいい。
異様な臭いが鼻を突き、「ハニャーン」という
同人女に媚へつらった鳴き声が聞こえるだろう。
そう、ここはしぃの家だ。
先ほど警察署の話にあがっていた、犯罪しぃの棲家である。
ここには30匹ほどのしぃが暮らしていた。

その中の一室では、オカアサンしぃが、二匹のベビしぃに食事を運んでいた。
「ハニャーン ベビチャン ゴハン持ッテ来タヨ!」
皿には二個のロールケーキが乗っていた。
無論、金を出して買ってきたものではない。
糞を出して持ってきたものである。
「ハニャ? ドウシタノ ベビチャン?」
せっかくの甘くて柔らかい物なのに、ベビは少し口をつけただけで、
食べようとしない。
「ポンポン 痛イノ?」
オカアサンしぃが心配そうに顔を見ると、ベビは小さな声で言う。
「ママノ オパーイ ホチャーヨウ」
「ハニャ!! ソウダヨネ!! ママノオパーイノ方ガ 欲シイヨネ!!」
もう乳離れは済んでいるのだが、甘えたいらしい。
それが大変嬉しかったと見えて、オカアサンしぃは
口をヮの字にして寝そべり、手招きをすると
「チィチィ!!」
「ハナーン ハナーン!」
手にしていた皿を放り投げ、ベビは甘えた声を出してすり寄った。
ロールケーキは泥にまみれ、ベビのアンヨに踏みつけられたが、
そんなことは瑣末なことの様だ。

211 名前:MR 10/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:21 [ 9hLqKpvk ]
そんなとき、突如家屋が大きく揺れた。
「ハニャ!? 地震サン!?」
「コワーヨウ!!」
「マーマ マーマ!!」
ベビを懐に抱き、守りながら様子を伺う。
揺れは収まることなく、天井や壁が崩れてきそうな勢いだ。
「ト…トリアエズ シェルターニ 避難シマショウ!!」
ベビを抱え、オカアサンしぃは先ほどの鉄板張りの部屋へと走った。
建物内は、混乱の様相を呈していた。
「ジシンサン コワイヨー!」と、床にぺったり座り込み泣いているもの。
我勝ちに“シェルター”に避難しようと、口をへの字にして周囲を押しのけているもの。
恐怖におびえ、糞尿を垂れ流しているもの。
さらには、その糞を「ウンチサン オイシィ!!」と、喰らっている狂人もいた。
一部、ベビを連れた4、5匹のしぃが建物の外へと避難した。
「ハアハア オンモニ出レバ 大丈夫ダヨ」
「ソウダネ 安心ダネ」
やれやれと胸をなでおろす。
「キチィイイイイイイ!」「ピィイイイイイイ!」
生まれたてのベビが、緊張がほぐれた為かぐずり始めた。
「大丈夫ダヨ ベビチャン 今オパーイ アゲルカラネ」
腹ばいになり授乳しようとするオカアサンしぃ。
通常、ここからベビを中心としたマターリがしぃ達を包む。
「シィノベビチャン カワイイベビチャン」という式のアレである。
が、それは訪れなかった。
なぜなら、驚くべき光景を目の当たりにしたからである!
「シィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイ!!」
屈強な男達が、大きなハンマーを持ち、しぃの家を破壊しているのだ。
さっきの揺れは地震ではなかったのである!

「いやー、さすが日ブ工はいい仕事するねえ。」
「こんなあばら家、スチールボールを出すまでもないモナね。」
その様子をニヤニヤしながら見守っている、30人前後の団体がいた。
面々は、警察署にいた人たちとほぼ等しい。
そう、彼らはやってきたのだ。
しぃどもを殲滅する為に。
「シィイイイ!! シィイイイノオウチーーー!!」
「シィノオウチヲ 壊サナイデー!! オナガイダカラ ヤメテーーー!!」
外に出てきたしぃどもは、ハンマーを持った男達にすがりつき、
止めるよう懇願する。
「うるせえ!」
「シィイイイイイイイイイイイイ!!」
シィノポンポンを一蹴し、男達は作業を続けた。

212 名前:MR 11/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:21 [ 9hLqKpvk ]
いわゆるシェルター内では、20匹強のしぃが避難していた。
一体何が起こったのかと、皆不安げである。
そんな中、リーダーと思しきしぃが前に立った。
「皆サン 大事ナ オ話ガ アリマス。
 静カニ 聞イテ下サイ!」
皆、そのしぃに注目する。
「先ホドノ 揺レハ 地震デハナク、ギャクサツチューノ 攻撃ノヨウデス!!
 ソシテ 残念ナガラ シィチャンノ マターリハウスハ 壊サレテ シマッタヨウデス…」
静まっていた室内が、にわかに騒然となった。
あちらこちらで「ビエーーン」という泣き声が聞こえる。
地団駄を踏み、大地に五体をなげうって嘆くものもいた。
「シカシ ミナサン! 大丈夫デス!!
 コノ部屋ハ 厚サ5cmノ 鉄板デ覆ワレテイマス。
ソレニ 私達ニハ ダコハ開放戦線ノ バックアップガ アリマスシ
 何ヨリ マターリノカミサマガ ツイテイルデハ ナイデスカ!」
その言葉に、しぃ達は顔色を取り戻した。
口々に「マターリノカミサマ」と唱えている。
一種の宗教心による一体感、
信仰による陶酔に似た雰囲気が、辺りをつつんだ。
「何ヲ 恐レルコトガ アルデショウ!
 マターリノ象徴デアリ 2chノアイドルデアル シィチャンヲ迫害スル ギャクサツチューコソ、
マターリノカミサマノ 天罰ニ触レテ 滅ビルノデス!!」
ハニャーンの鳴き声とともに、部屋中から拍手が巻き起こった。
「ソウダヨネ! シィチャン達ニハ マターリノ カミサマガ ツイテルンダヨネ!」
「マチャーリ マチャーリ チィチィチィ!」
「ハニャ! ベビチャンタラ!」
現実は何の解決も、進展も見せていない。
マターリの神様とやらの信仰に逃げ、
ありもしない加護に陶酔して真実を諦観しない。
だが、現実はそんなしぃどもの愚昧で能天気な態度とは、関わりが無い。
刻一刻とせまる破滅の時期。
事態は深刻の度合いを深めていった。

213 名前:MR 12/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:22 [ 9hLqKpvk ]
「ソレニ ブ厚イ 鉄板ノコノ部屋ナラ 絶対大丈夫ダヨネ!!」
「今頃 ギャクサツチューハ ドウシヨウモナクテ 悔シガッテルヨネ」
堅牢を誇る自慢の“シェルター”に絶大な自信を覗かせる。しかし、
ギュイイイイイイイイン!
突如、金属が擦れる音と共に、部屋の壁に火花が散った。
「シィイイイ!?」
その火花は、細い溝を作りながら部屋の壁をゆっくりと進んでいる。
「ソンナ ヴァカナ? コノ部屋ハ ブ厚イ鉄板デ 出来テルンダヨ!?」
だが、被害者住民達が呼んだ日ブ工にかかれば、
鉄板を切断することなど、赤子の手をひねるようなもの。
H鋼をもやすやすと両断するダイヤモンドカッターは、
その銀色のブレードで、しぃ達の自信とともに
シェルターの壁を切り裂いた。
顔色なからしむ程の恐怖が、しぃ達を覆う。
まさか文字通り鉄壁のシェルターが破壊されるなど、夢にも思わなかったのである。

高さ2m、幅4mの長方形型を描いたところで、
火花はぴたりとやんだ。
やがて轟音とともに、鉄の壁が倒れこんできた。
もうもうと上がる砂煙。
あの壁穴の向こうには、大勢の虐殺厨が…
そう思うと、しぃ達は失禁せんほどに戦慄したし、実際失禁した。
ところが、砂煙がやんで視界がクリーンになったが、
どういうわけか誰もいない。
穴からは、外の風景が見えるばかりである。
と、そこへ5〜6個、何かが転がり込んできた。
「ハニャ? ナニ コレ?」
傍にいた者がその一つへ恐る恐る近づくと、それは何と、
仲良しだったシィミちゃんの頭部ではないか!!
「シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!?」
「ヒシィイイ! 頭ガ頭ガ 転ガッテキタヨーーーー!!」
「シィイイイイイ!! ナニコレーーーーー!! ベビチャンガ ベビチャンガーーーー!!」
他の物体も同じくしぃの頭部であった。
その中の一つは、生まれたばかりのベビ3匹のマソコに竹串が通され、
団子三兄弟もかくやといった代物であった。
そう、この頭は、先ほど外へ逃げ出した連中のなれの果てである。
この先制攻撃で、しぃ達はパニックに陥った。
そしてこの機に乗じ、住民が阿修羅の如く暴れこんできたのである!

214 名前:MR 13/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:22 [ 9hLqKpvk ]
まさに鬼だった。
怒りと憎しみの権化と化した住民たちは、
火達磨となって突入し、阿修羅の如くしぃどもを屠った。
その表情は、烈火の憤怒と復讐の寛喜がないまぜになった、
筆舌には形容し難いものである。
「糞虫が!糞虫が!糞虫が!糞虫が!糞虫が!糞虫が!糞虫が!糞虫が!糞虫が!」
出産を間近に控えた妻がしぃに暴行され、愛児を失ったモララーは、
仇を発見するや、金属バットでとりつかれたように殴打を繰り返した。
そのしぃの顔面は、最早前後を確定できぬほど膨れ上がり、
眼窩からは涙と血と脳漿が流れ出て、びくんびくんと痙攣している。

「俺の店を台無しにしやがって!」
コンビニ店員のモナ岡は、ナイフでシィノオミミを切り落とした。
「シィイイイイイイイノ オミミーーーーー!!
オ…オナガイシマス! ダッコスルカラ 許シテ クダサイ!!」
この条件を飲んで許した奴など、古今唯の一人もいない命乞いをするしぃ。
「ほう。なら商品の代金と清掃代に慰謝料、しめて300万エソ払ったら
 許してやるよ」
「ナアーーンダ ソンナノ オヤスイ ゴヨウダヨ!!」
意外な返答と共に、貯金通帳を差し出す。
それには確かに、300万エソ以上の残高が残っている。
しかしよく見ると、それは前述したモララー夫人の名義ではないか!
このしぃも、夫人襲撃に加担していたらしい。
「この…くされ外道がーーーーーーー!!」
モナ岡は前後を忘れてナイフを繰り出した。吹き上がる血しぶきが
彼の体を赤く染めた。

「フン アンタミタイナ 下品ナ娘ガ コノシィチャンヲ 倒セルカシィイイイイイイイ!?」
パンという乾いた音と共に、しぃの膝が崩れた。
レモ奈の手には拳銃が握られ、白煙がたなびいている。
「ア…アンナ キモイ ディハ 生キテル シカクナンテ ナインダヨ!!
 シィチャンノ イメージヲ 悪クスル ディハ アボーンサレテ 当然ナノニーーー!!」
パン、パンと数回音がするとシィノオテテとアンヨから血が迸った。
「すぐには殺さないわ…。シィルと同じ苦しみを味わわせてあげる。」
無表情のまま、つぶやく様に言う彼女の瞳から、
涙がこぼれ落ちた。

215 名前:MR 14/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:23 [ 9hLqKpvk ]
次々に殺されてゆく仲間達を尻目に、先ほどのリーダーしぃは
逃げ出そうとしていた。
が、すぐに見つかり、羽交い絞めにされた。
それはあの警察署で話をしていた、ギコ内であった。
「ナ…ナンデ コンナメニ
シィハタダ マターリ シタイ ダケナノニーー!!」
バタバタと手足を動かし、ビエーーーンと泣き出した。
「お前ら、ずいぶんと好き勝手やってくれたなあ。
 しかし、この部屋はなかなかのもんだな?お前らが作ったのか?」
「チ…チガウヨ コレハ ダコハノ 皆ガ 作ッテクレタノ」
それを聞くと、やはりな…と一人ごちた。
「ダコハ解放戦線の奴とは、どこで知り合ったんだ?」
「アッチカラ オカネヲ 持ッテ来テ クレタノ!
 コレデ シィチャンノ オウチヲ 作リナサイッテ! ダカラ マターリハウスヲ ツクッタノ!!」
ギコ内はそこまで聞くと、これ以上の情報は得られないと判断し、
束縛をといた。
「お前らのマターリとやらの為に、どれほどの血が流れ、
 どれほどの人々が涙を流したのか。
 お前らが考えを改めない限り、こんなことは延々と続くんだ。
 なぜそれが分からない?」
「シィチャンハ 悪クナイモン! タダマターリシタイ ダケダモン!!」
「自分がマターリしさえすれば、他人のマターリはどうなってもいいのか?」
「当タリ前ダヨ!! シィチャンハ アイドル ナンダヨ!?」
ふー、と溜息をつくと、ポケットからセブンスターを出し、口にくわえた。
「逃げてみろ。タバコを吸う間だけ、待ってやる。」
「ハ…ハニャーーン!!」
しぃは大急ぎで逃げ出した。

「ビエーーン ナッコ ナッコ!!」
頭部を粉砕され、脳髄を垂れ流すオカアサンしぃの脇で、
二匹のベビが泣きわめいている。
小さなピンクの尻尾を振り振りしながら、乳房に口をつけ、
先ほど飲んでいたミルクを欲したが、それはかなわなかった。
ベビだけ残されたのは、さすがに殺すに忍びなかったからなのだろう。
そのベビは逃走中のリーダーしぃを発見した。

216 名前:MR 15/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:24 [ 9hLqKpvk ]
「ナッコ! ナッコ!」
「マンマ! マンマ!」
リーダーしぃの足元にすがるベビ。
もう殆どのしぃは殺され、累々たる屍骸が血の臭いを発している。
この地獄でオカアサンしぃを失ったベビは、必死であった。
「ウザイベビネ!! ジャマヨ!!」
ガン、とベビの頭を蹴り飛ばす。
「ギジィイイイイイイイイ!!」
「イジャアアアアアアアアアア!!」
床に落ち、ビエーーーンと泣き出すベビ。
その泣き声を聞き、一人がその方向を向いた。
「シィイイイイイ!! ミツカッチャッタヨーーー!!」
猛ダッシュをかけるが、足元に気が回らずベビを踏みつけてしまった。
「ゴヴェーーーーー!!」
ベビの腹にしぃの全体重がかかる。みちみちと何か潰れる音がし、
口から大量の血反吐が吹き出た。
先ほどオカアサンしぃに舐めてもらった肛門から、血便がほとばしる。
リーダーしぃは転倒した。
起き上がると、すでに数人に取り囲まれていた。
「シィイイイイイイイイイイ ダッコスルカラ タス…」
お決まりのセリフを言い終わる前に、脱骨を決められ、死んだ。

部屋の中には、凄まじい血のにおいが漂っていた。
終わってみれば、生き残ったのはベビ一匹。
地獄を髣髴とさせる凄惨な光景。
「シィノマターリ」が行き着いた末路にしては、あまりにも悲惨に過ぎた。
全てが終わった住民達の表情には、脱力感にも似た疲労がにじんでいた。が、
「これで、やっと元の生活に戻れるんだな…」
誰かが言った。それは、平和を取り戻した喜びの言葉である。

ギコ内はタバコをくゆらせながら、その場を去った。
その腕の中には生き残った一匹のベビが。
泣き疲れて眠っている。
「この糞幼虫、試してみるか」
タバコを捨て、車に乗り込む。
差し込む夕日に目を細め、エンジンをかけた。

217 名前:MR 16/16 投稿日:2004/11/07(日) 17:24 [ 9hLqKpvk ]
5、しぃ綱紀粛正委員会

都心を見下ろす高層ビルの一角に、その部屋はあった。
接客用のソファに座らされたギコ内の前には、
どっかりとモララーが座っている。
「ギコ内君、君の報告書、大変興味深く見せてもらったよ」
がっしりとした体格で、オーラの様な圧倒的な存在感を漂わせていた。
「また、表立って動かねばならない時が来たようだな。」
「ダッコ革命党以来ですね。」
「書類にハンコを押すだけの仕事には、飽き飽きだからな。」
「それが上に立つ人の仕事ってもんでしょうに。」
ここは「しぃ綱紀粛正委員会」の委員長室。
同委員会は、国際的かつ大規模な、しぃ犯罪に対抗する為の組織である。
かつてこの国では、「ダッコ革命党」なるしぃ犯罪組織があった。
委員会は、その壊滅の立役者となり、一躍世間の注目を集めた。
最近は、他のしぃ犯罪組織を監視、調査しているため、
水面下での活動を主にしている。
「ギコ内警視正、警察との橋渡し役に君を選んだのは、間違いではなかった。」
「恐縮です。」
頭を下げるギコ内に、モララー族特有のニヤニヤした顔を向けた。
「ダコハ解放戦線。この国にも、その手を伸ばしてきたか。」
ゆっくり立ち上がり、ブラインドを指で下げ、窓の外を眺める。
「テロしぃめ、好きにはさせないからな!」
昔の刑事ドラマみたいなことを平然とやってのける委員長に、
ギコ内は妙な親しみを覚えるのだった。


                            <to be continued>


( ´Д` )氏中心とする職人方、紅衛兵氏の作品からお名前を拝借しました。
お名前をお借りしたばかりであり、これらの作品とは一切関係ありません。
もちろん、続編でもありません。
全く別の物語として読んで頂ければ幸いです。

218 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/14(日) 17:58 [ GzG9Hyko ]
「どうしてこんなことに」
しぃは道を歩いていた。
普通のしぃである。このしぃはさんざんな目に遭ってきた。
アフォしぃだ。

「ハニャーン♪ミチバタハシィチャンノオトイレナノ♪スッキリシィシィシィー♪」
「やめてくれ・・・道端で・・・」
一つは、道端で糞を撒き散らすアフォしぃ。

「コンナゴミムシハイキテルシカクナンテナイノヨ♪シィノアリガタイシュクセイヲクライナサイ♪」
「ギィィィッ!?ウジュゥウイィ!」
「アハハハ♪ナキゴエモマサニゴミディダネ!」
二つは、でぃを虐待するアフォ達。しぃは泣きながら通り過ぎていった。私には助けられない。と心の中で思いながら。

「アンタハサッキディニオカシヲアゲタデショ!ソンナギャクサツチュウノベビナンテイラナイネェ♪」
「イキテイイノハコノヨニフタツダケナノヨ♪アンタノベビハソノナカニハイッテナカッタノニジブンカラシンダノヨ♪」
三つは、でぃに菓子を上げただけで、子供を踏み潰し、引き千切ったアフォしぃ達。

最後の4つ目は、
「ハニャーン♪ギコクンコウビシテ♪」
「コウビヲシナカッタラギャクサツチュウナンダカラネ!ソレガイヤナラコウビヲシナサイ」
「やめてくれ・・・」

交尾を集団でねだるアフォしぃ達。
続く

219 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/15(月) 19:04 [ Y1HZSnso ]
>>218の続き。
しぃは帰って段ボールで寝た。
そして、しぃは寝ながらこう呟いた。

「ドウシテ・・・コンナコトニ・・・」
目が覚めるとしぃが随分と酷い死に方をしていた。
交尾をねだったしぃ、でぃを虐待したしぃ、道端で糞をしたしぃ、ベビを殺したしぃ。
全員まだ生きていたがほぼ死んでる状態だった。

「ギィィ・・・モウ・・・モウウンチサンヲシナイカラユルジ・・・デェェ・・・・」
「ハニャーン・・・・・ディヲイジメタコトハアヤマルカラ・・・タスケテヨゥ・・・・」
「タスケテェ・・・モウシナイヨウ・・・・ギャクサツチュウッテイワナイヨゥ・・・ベビモコロサナイカラァ・・・」
「コウビヲシタカッタダケナノニィ・・・」
アフォしぃはモララーやギコに棍棒で叩かれていた。足蹴にされたりもしていた。
そしてそのまま去っていった。

「オ・・オナガイ・・・・・モウミンナハギャクタイモウンチサンモシナイッテチカッタヨ・・・・タスケ・・・」
アフォしぃ達はばたばたと倒れていった。

どうしてこうされたは知らないがしぃは自業自得だと悟った。
そしてアフォしぃは遅かれ早かれ滅ぶ、とも。
             END

220 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/18(木) 19:33 [ CFSrtfIc ]
>>524−540のニラ茶猫全員が死ぬ版を作ってみます。
かなり、変わると思いますが・・・。
「ニラチャデ ワッチィ♪マターリ ワッチィ♪500ゲット ワッチィ♪キリバン ワッチィ♪」
ニラ茶ベビが、歌って踊っている。
ニラ茶ベビは、ニラ茶を持ちながら。
すると一匹のベビが、
「ワチッ!」
ニラ茶を落としてしまった。
すると、他のニラ茶ベビは虐殺厨等と、ほざきながら、母を呼んだ。
「チィノニラチャガァ!ジャナイトオカァタンガァ・・・・」
ニラ茶ベビが震えたことは本当に起きた。

「キリバンモゲットデキナイウエニ イノチヨリダイジナニラチャヲオトスナンテ・・・・」
「コイツキットギャクサツチュウノテキダネ!」
ニラ茶猫はベビを、
「シネ!クソベビ!クソガキ!ニラチャネコノハジ!」
「ヂィィィ!!!ヤ・・・ヤメテグダウヂャゥイ!・・・・ナゴ!ナゴォ!ナゴォォゥォゥゥ!」
ニラ茶猫は笑っている。蛇よりも残忍な笑みを浮かべて、
「アハハハー!ナグリスギー」
そして、ニラ茶猫はニラ茶ベビの耳に力を入れて、

「ギジィ!??」
耳もぎだった。
「アハハハ!テイバンノミモモギネ!」

その後・・・・ベビは死んだ。
何故、茶をこぼしただけで、死ぬ必要が有るのだろうか。
ニラ茶家族は歩いて、次の踊り場所を探しているのかもしれない。

「デサー アノクソベビノミミモギタノシカッタヨネ!」
「ウン♪マァ クソベビモキットシヌノヲノゾンデタカラニラチャヲコボシタノヨ・・・・キャッ?」
しぃは、モララーにぶつかってしまった。

「ハニャ!チャントマエヲミナサイヨ!コレダカラモラゲブィ!?」
モララーの拳がニラ茶猫にクリーンヒットした。

「謝れ。屑」
モララーは静かに言った。
「コイツウジャイデチュヨ!サッキノギャクサツチュウミタイニアボーンシテヨ!」

「モウ・・・ワカッタワヨ・・・・ゴメンネ ホラコレデイイデショ・・・・シィィィ!!??」
「ナンデ!コノニラチャネコチャンハアヤマッタジャナイ!コヂィィィィ!」
またも、拳をクリーンヒットさせた。すると、ぽかぽかとモララーの足を叩いていた。

「ヨクモオカァタンヲ!ニラチャネコパンチヲクライナチャイ!ゲヂィ!?」

足にまとわりついた、ニラ茶ベビ4匹は全員、蹴飛ばされた。

「俺にじゃない、さっき死んだベビだよ」
モララーはニラ茶猫2匹のニラが生えてる所を掴んで持ち上げた。

「分かるよな?由緒あるニラ茶猫ならなぁ!」
今度は頭を掴むと、ニラ茶猫とニラ茶猫を何回もぶつけた。

両方とも顔が滅茶苦茶だった。
「可愛いニラ茶猫とやらがたった今、殺したベビ見たいになったな(藁」

「ギ・・・ギィ・・・ユルシテェ・・・・アヤマ・・・レバ・・・・ユルシテクレルシ・・シンダベビチャンモイキカエル・・・」

「許しませんが、何か?死んだAAは生き返りませんが、何か?だから償って貰いますが、何か?」
「イ・・・・イヤァ・・・・ギィィィィィ!!!オミ・・・オミ・・・・ベビチャ・・・・ンネ」
そして、親ニラ茶は死んだ。ベビ見たく。
続く。

221 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/20(土) 07:17 [ b5vS1HHs ]
>>220の続き。
上は虐殺総合の>>524-540でした。
それと、無断で書いてしまってすいません。

蹴飛ばされたニラ茶ベビは母の死体に走っていった。

「オカァタン!オカァァァタァァァン!!メヲシャマチテアイチュヲアボーンシテヨ・・・・」
ニラ茶ベビは後から寄って来た、モララーに

「アニャ?」
4匹は縄で縛らた。

「アニャーン・・・ナンデチィヲシバルノ・・・・・マシャカ!チィチャンヲコロスキ?」

「チィ チィニタクナイヨウ!ソウダ!ミンナデオカァタンニフッカツシテクダサイヲシヨウ!」

「アニャン♪チョレモチョウダネ!ソウスレバアノクソベビミタイニミミモギデヒネッチャウワヨ!」

「ジャアイクヨ・・・・・セーノ」

「フッカツシテクダチャイ♪フッカツシテクダチャイ♪フッカツチテヨカッタネ♪「アリガトウ」ドウイタシマシテ♪」
「くっ」
モララーは吐き出しそうになるのをこらえた。

「・・・・・フッカツシテクダチャイ・・・・・フッカツシテクダチャイ・・・・・フッカツシテヨカッタネ・・・ニラチャヲドウゾ・・・」

「あーはっはっはっはは!」
遂にモララーは笑った。
「もういいや!こんな糞野菜の幼虫には付き合ってられねえよ。つー事でさよなら」
モララーはライターで紙に火をつけると縛り付けてある、ニラ茶ベビに投げつけた。

瞬く間に火はベビと母を燃やした。
「ヂィ!?」
「ウニャァァァ!!!!!!!!!!アヂュイヨ゛ウ゛!ダヂュゲデヨゥ!」
「チィィィ・・・・ニラチャネコハフッカツスルモン・・・・シンダニラチャネコハマタホカノシィゾクニノリウツルモン・・・・」
「アニャァッァ・・・・モウ・・・ダメ・・・」
ベビの最期には、モララーは去っていった。

「他のしぃ族に乗り移るか・・・聞いたことあるけど、あれは頭が無事な奴だけだったな」
モララーは家に帰って、寝た。

「また、ニラ茶猫達が同士討ちしちゃ、好物のニラ茶が買えなくなっちまうじゃねえか・・1匹ぐらい、生け捕っとけば良かった・・・」
                オシマイ

222 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/22(月) 19:31 [ 0s4JlmRE ]
「さっきのニラ茶猫殺ったのお前だろ」
「そうだけど」
「最近モドキふえてな・・・・」
「モドキ?」
ちょっととまどったモララー
「しらないのか?お前が殺したのは偽者。アフォしぃだ」
「え?ソレはどういうことだ?」
「顔を良く見なかったのか、本来のニラ茶顔は全角だ。一方偽者はただしぃにwを付けただけで顔は半角」
たしかに、あのときのニラ茶猫は顔が半角だった。
「その偽者のおかげで本物さえも殺ろしてしまう輩が増えているんだ。」
「そして俺はその偽ニラ茶猫の駆除委員。」
「そうか、俺も偽者駆除に参加するよ、ソレじゃないとニラ茶が飲めなくなるからな。」

終わり。

223 名前:56・だだ今洗浄中… 投稿日:2004/11/29(月) 21:07 [ 9ZxhbguU ]
>>2-11 >>157-181の続き
「ハニャ… シィチャンノ ポンポン ゴロゴロスルヨォ…」
「当たり前だろうが!さっきから浣腸しまくりなんだからよ。おら、ケツ出せや」
「モウ ウンチサン デナイヨ ダカラ モウ オテテト アンヨ ハナシテェ」
「ウンチサン出なくても浣腸液が透明になるまで洗えって言われてるからな。
もう少し必要だなぁ」
浣腸器を持った青年が、グリセリン液を浣腸器に注入しながら母親にまだ
作業が続くことを宣告した。

「アニャァ! マタ オシリカラ オミズ ダスノ? マタ ポンポン イタイノ?」
「そうだよ。ぐだぐだ言ってると糞まみれの浣腸液飲ますぞ ゴルァ!
腸壁破って氏なないだけでも感謝しろや ああ?」
グリセリン液を静かに母親の肛門内に注入しながら青年は母親を怒鳴りつけた。
仲間の青年らが数人で母親をうつぶせに押さえつけてはいるが、
ただでさえ脆いしぃ族相手に浣腸するとなると、相当神経を使うのであろう。
「栓」
アナルプラグが差し出されると浣腸液を注入し終えた青年は、母親の肛門に
アナルプラグを差し込んだ。

「ハニャ… モウ ヤダヨォ… コンナノ マターリジャナイヨ」 
「三分間待って、グリセリン液出して、それが透明だったら
ベビの調理を見物に行くぞ。ベビ肉食ってマターリだな。アヒャヒャ。」
おまるがお目見えすると、また母親がぐずりだした。
「ヤダヨォ ウンチサンデナイノニ ナンデ ベンキサンニ スワラナイト イケナイノ?
ベビチャンヲ タベルナンテ マターリジャナイヨ… ヤダヨォ…」

浣腸液を注入して3分が過ぎると、タイミングよく母親がわめきだした。
「シィィィィィ!!! ポンポンイタイヨォ ウンチサン サセテヨォ!!!」
「ほら、栓抜いてやったからてめえでおまるまで行けや。
それから体洗って、ベビ料理を見物に行くぞ。」

アナルプラグを抜かれた母親は、尻に力を込めながらおまるが置かれた場所まで歩いた。
便意を我慢しているため、歩幅は狭まり、両太腿をすりあわせて歩くので自然とモンロー・ウォークを思わせる歩き方になってしまうのである。その光景を見た青年達は口々に
母親を嘲った。
「ケツなんか振られても、ここにはギコはいませんよぉ〜」
「俺達相手の肉便器にでもなってくれるのかな?」
「ウ・ウ・ウルサイワヨ! アンタタチノ ニクベンキナンカニ ナルワケ… ハウッ!」
強気な返答をする母親であるが、腹に力が入り強烈な便意を催したようである。
口ごもった母親を青年達の一人はからかった。
「第二波ですかぁ?あんまりお腹に力入れると、便器以外の場所で脱糞することになりますよ。それとも、脱糞姿を人に見せる趣味でもあるのかな?」

224 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:09 [ 9ZxhbguU ]
質問した彼の声を無視した母親は、なんとかおまるがある位置までたどり着きおまるにまたがった。周りにカメラを持った青年達がいるのを見つけると、弱弱しい声で退出を促す。
「シャシンニナンカ トラナイデ… オナガイ…」
小声で、「マンドクセ」「ウルセ」「ハヤクトラセロ」といった声が青年達から母親に浴びせられるなか、
青年達のうちの一人がイライラした表情で返答する。
「しぃちゃんさぁ、とっとと出しちゃってよ。こっちはグリセリン液の色を見て
透明だったらあんたの体を洗って、お嬢さんのところへ連れて行くだけなんだから。
てめぇのベビ食うのが嫌で、わざとやってるの?だったら無駄だよ?」

「チガイマス… ア・ア・アニャァアアアアアアアアアア」
シャアアアアアアアアア… 
弱々しい否定の言葉でお腹に力が入ったらしく、一気に浣腸液が母親の肛門より流れ出すと、青年達はいっせいにシャッターを切った。屈辱のあまり、悲鳴を上げた
母親の声を聞いた青年達の中には笑顔を浮かべるものも少なくなかった。
作業が終わるという安堵の笑みを浮かべた者は少数であることは言うまでも無い。
カメラを持った者の中では、早速現像後の打ち合わせを始める者が出始める始末である。

一方、肛門からグリセリン液の雫を滴らせた母親はおまるから離れ、うつぶせに倒れ込んでいた。グリセリン液を注入していた青年がおまるの位置に駆け寄り、液の色を見ると
母親に歩み寄り、浣腸の終了を告げた。母親は彼に返答せず、ただすすり泣くだけである。

「さてと、洗濯洗濯。あそこのたらいで体洗ってもらいな。」
青年は数メートル先のたらいを指差し母親に指示を出すと、彼女はゆっくりとたらいに向かって歩いていった。たらいの周りには、胴まである長靴姿の男女がたむろしており、
女性は全員不機嫌な表情をしている。
母親がよろよろとたらいのある方向に向かうと、フローラル系の良い香りが漂ってくる。
バブルバスを思わせるたくさんの泡が母親の目に入った。
石鹸の香りをかいだ母親は、少々図に乗ってしまったらしい。
いつもの口調で体を洗うように長靴姿の男女に命令した。
「カワイイ シィチャンガ カラダヲ アラワセニ キテヤッタワヨ! サァ シィチャンノ カラダヲ アライナサイ!」
むっとした表情をした女性陣の中の数人が無言で取り出したのはたわしであった。
彼女らは体を押さえる係と、体をたわしで洗う係に分かれ、手際よく作業を開始した。
「エ? チョット… シィチャンノ カラダヲ… ハギャアアアアア」
少々強めに擦っているらしく、母親は体をよじらせながら悲鳴をあげている。
一方で男性陣はといえば、母親のビデオ撮影や写真撮影に余念が無く、
時折、息を弾ませながら「萌え」だの「おかずができた」だのという言葉を漏らしていた。

「しっかり撮れた?ちゃんと約束は果たしたからね。」
女性陣と、男性陣の間でなにやら取引がなされていたらしい。ほかにも男性がたわしを持った女性に礼を言っている姿が見える。

225 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:10 [ 9ZxhbguU ]
体は… ん。出血してない。体を拭いて、連れて行くだけだ。」
男性がぬれねずみ状態の母親の体を見て呟くと、数人の男女が、洗い物用のゴム手袋をはめて、母親のもとに近づいた。先ほどの扱いに腹を立てた彼女は、
その一団に怒鳴りつけた。
「シィチャンガ カゼヒイチャウデショ? ハヤク カラダヲ フキナサイ!!」

母親の言葉に、体を拭く係の面々はキレてしまったようだ。
「あぁん?」
「いちいち神経を逆なでする言葉を吐くのは、この口か?この口かぁああ!」
ガーゼ状の布やハンドタオル、新しい雑巾で、彼らは力を入れて母親の体を拭き始めた。
「シィィィィィィ!!! ゴメンナサイ! ダッコ シテアゲルカラ ユルシテ… ハニャアアアアア」
デッキブラシで床を磨くように力を入れて体を拭くため、母親の悲鳴は止むことは無い。
どさくさにまぎれて体毛をつまみ、抜けない程度に引っ張る者がいたり、
頬をつねったりする者もいた為、なおさらである。

4〜5分ほど悲鳴を上げ続けた母親がぐったりしていると、ハンドタオルを持った女性が彼女にこれからの予定を告げた。暴れたり、悲鳴をあげ続けていたせいで自分で立ち上がる事がままならないほど疲れていた母親は、体を拭く係の面々に拘束衣を着せられて、
台車に乗せられ、ちび達が待つ外の調理場まで連れて行かれた。

226 名前:57・○分クッキング 投稿日:2004/11/29(月) 21:11 [ 9ZxhbguU ]
チャララチャチャチャチャ♪… チャララチャチャチャチャチャ♪…

キ○ピーの×分クッキングのオープニング曲を口ずさみながら研究所の玄関で
モララーが待っていると、ガラガラという音がだんだん近づいてくる。
拘束衣姿で涙を浮かべている母親の姿が彼の視界に入ってくると、
彼は台車を押している男性の横について、歩きながら彼女に話し掛けた。
「遅かったじゃないですか。お嬢さん、寒い中お待ちかねですよ。」
「…ベビノ ニクナンテ タベタクナイ…」
「食べたくないって言ってもなぁ、ちびちゃん嬉しそうだしなぁ。
それに、お嬢さんがあなたの為に作った料理ですよ?」

母親はモララーの言葉に返答せず、無言である。
2〜3分ほど歩いた先に、鉄板が上に乗ったバーベキュー用コンロ、食材や調理器具などが置かれたテーブルなどが並んだ一角があり、そこに母親が座った台車は止められた。
ちょうど、ちび達と対面する状態である。

「♪チャララチャチャチャチャ… ♪チャララチャチャチャチャ…」
照明が照らされると、母親を台車に乗せて押していた青年や、コンロや食材などを用意していた女性が×分クッキングのオープニング曲を口ずさみ始める。
進行役のレモナが、料理番組風に調理の開始を宣言した。
どうやら先生役のちびとの掛け合いで調理が進むようだ。

227 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:12 [ 9ZxhbguU ]
「しぃちゃん×分クッキングの時間がやってまいりました。進行役のレモナです。
今日ちび先生をお迎えして作る料理は、『ベビバーグのゲロ甘ソース添え』ですね。
試食ゲストのしぃちゃんがお待ちかねですので、先生。早速始めましょう。」

「はい。まずは食材の紹介を始めていきたいと思います。
まず、ハンバーグの食材からですね。
まずは、ベビの遺体四体。通常の食用の場合は、新鮮であればあるほどよい事は当たり前ですが、アフォしぃに対する精神的な虐待目的などの場合は腐っていてもかまいません。
むしろ腐っていたほうが良いくらいでしょう。
もちろん後者の場合は、アフォしぃの実子であることが前提条件ですね。
今回は、試食ゲストのしぃちゃんのお嬢さんたちの遺体を使用します。」

レモナが、ソースとつなぎの食材の紹介を始めた。
「続いて卵、食パン、牛乳です。こちらはつなぎに使用します。 
ソースには、蜂蜜、砂糖、アイスクリーム、みりん、グリセリンの原液、ブドウ糖の注射液、しぃフードを使用します。しぃフードはスープでいう所のクルトンの役割でしょうか?
今回はこの程度の食材ですが、ソースは甘ければ何を使ってもかまいません。では、先生早速作り始めましょう。」

ちびはレモナの言葉にとびっきりの笑顔を返し、作り方を説明し始める。
「まずはベビの遺体ですね。このベビはすでに内臓は抜いてあります。他の三体はあらかじめ肉と骨を分けてあります。
あらかじめ手足をもいで達磨状態にしておくと骨から肉を削ぎ落とすときに幾分楽になりますね。
はさみや包丁などを使って、肉や内臓を骨から外していきます。
頭部の肉を外していく場合は、あらかじめ頭の骨を砕いたり、耳もぎをするなどして工夫しましょう。今回は金槌で頭部の一箇所を砕きます。」

228 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:13 [ 9ZxhbguU ]
ちびが、4番のベビの頭を金槌で小突くとポクッというくぐもった音とともに
ベビの頭骸骨が砕けたようである。彼女は骨折したと思われる部位を指で押しながら、
「ここが砕けたあたりですね。ぶよぶよしています。ここからナイフを十字に入れてみましょう。」

彼女が十字にナイフを入れると、母親は思わず悲鳴を上げた。
拘束衣の前の部分が少々膨らんでいるところを見ると、手を伸ばして
ちびを止めたかったのだろう。悲鳴がちびの耳に入ると彼女はにやりと母親に笑みを返し、
みかんの皮をむくように、頭部の皮を剥がしながら説明を続ける。

「観客席のしぃちゃんは自分の娘さんが解体されるのを見るのは耐えられないようですが、
でぃちゃんを頃すのは、笑いながらできる人です… ちょっと脱線しましたね。
さて、作り方の続きですね。ベビの全身の肉を骨から外す時に、丁寧にやる必要がある場合と、それほど丁寧にやる必要が無い場合があります。
ハンバーグを出す相手が、カルシウムを必要としている方の場合はそれほど丁寧に肉を外す必要はありません。ベビの骨を砕いて、ハンバーグに混ぜるとカルシウムが取れますのでね。今回はベビの骨を砕いてハンバーグに混ぜますので、ある程度肉が骨から外せれば
大丈夫です。では、つぎの作業に移りましょう。」

レモナがすりこぎと、すり鉢を持って現れ、ベビの骨盤を母親に見せながら
ちびの説明に続いた。
「こちらは、他の三体のベビちゃんの遺骨です。試食ゲストのしぃちゃんは出産後ということもあり、授乳などで体からカルシウムが出て行ってしまい、カルシウムが必要な状態です。今回はハンバーグにベビちゃん達の骨を混ぜて、カルシウム補給を図りたいと思います。」

229 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:14 [ 9ZxhbguU ]
レモナはすり鉢の中の骨を砕きながら、ちびに聞く。
「最初はベビの骨をある程度の大きさまで砕き、肉が入ってから完全にすり始めます。
先生?今回は完全に骨は粉末にしてしまうのですか?」

「そうですね。とりあえず某K社のバスソルト一粒程度の大きさに砕いておいてください。
ベビの骨を粉末にする際、あらかじめ小さく砕いてから、すり鉢に入れると良いですね。
ナッツ入りのお菓子のような食感を楽しみたい方には、細かく砕いた程度で良いでしょう。
この場合は、ミンチにしたベビ肉と、骨片を別々にしてつなぎと一緒に混ぜるという方法を取ります。レモナさん。アンヨはそのまま入れて砕いても大丈夫だと思いますので入れちゃってください。体毛は、食事を出す相手の方が便秘気味の場合は繊維質が取れます。入れる入れないはお好みでかまいません。今回は体毛も入れてしまいましょう。」

レモナが骨を砕いている間、ちびは体毛交じりのベビの肉を切り始める。
「レモナさんがベビの骨を砕いている間に、私は肉を切り、砕いた骨に混ぜやすくしておきます。牛や豚の肉料理では、皮は剥いでおくのが普通ですが、今回は必要ありません。肉を切りにくいというリスクはありますが、包丁を砥石で研ぐなどして対応しましょう。自分の手を切らないように注意してください。」

ちびは袋からベビの肉を取り出し、数枚程度ずつまとめて、3〜4センチ位づつの長さに包丁を入れていく。相当丁寧に包丁はとがれている様で、ちびはてきぱきと肉を切っていった。ちび達がいる後ろの方から、すっと最後のベビの肉が差し出されると、彼女は後ろをチラッと向いて軽くお辞儀をし、作業を続けた。
全ての肉を3〜4センチほどの大きさに切り終えるとその中の一枚を母親のほうに見せながら、説明を続ける。
「大体肉はこの程度の大きさに切ると良いですね。そろそろレモナさんが、骨を砕き終える頃なので、彼女が骨を砕き終え次第、この肉をすり鉢に入れていきます。レモナさん、
全て骨片をすり鉢の中に入れずに、少しづついきましょう。」
ちびに呼びかけられた彼女はうなずき、砕いた骨が入ったすり鉢を持って彼女のもとにやって来た。大きなレジ袋をいくつか手に下げており、その中には砕いた骨の残りが入っているようだ。

230 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:15 [ 9ZxhbguU ]
すり鉢の中の骨片を母親に示し、次の作業に入る。
「大体この程度の大きさにベビの骨を砕いたあと、いよいよ肉と混ぜ合わせます。
ベビとはいえ、4体分の遺体を一挙にハンバーグ生地にするのは難しいので、少しずつ生地を作っていきましょう。レモナさんは、骨片を粉にしてください。」
レモナはうなずいて骨片の入ったすり鉢をテーブルに置き、骨片をすり始めた。

ザリザリという固形物が砕ける音から、ゴリゴリという音に変わり、ベビの骨が粉になったことがわかる。ちびは数枚ずつベビの骨粉入りのすり鉢に肉を加えていった。
グチュグチュという柔らかい物が潰れるような音と、キシキシという何かが擦れるような音が、やがてしなくなるとちびはボールを取り出して、擂り鉢の中にある体毛交じりの肉と骨粉のペーストをボールに移した。

「少々ドロッとしているのは、脳やらこてっちゃんに残っていた水分のせいでしょう。
後ほど、生地につなぎを混ぜるときに、調節しましょうね。次の骨片をすり鉢に入れていきます。」

数度、同じ作業を繰り返し、全ての肉と骨片をハンバーグ生地にし終えたちび達は
つなぎの卵、パン、牛乳を混ぜてこね始めた。相当量があるようで、二人で交代しながら
こねている。

一方母親はといえば、台車の上でちび達に向かって泣きながら
「ギャクサツチュウ! アンタナンカ ジゴクニ オチロ!!!」といつもの言葉で罵倒してみたり、
「チビチャ〜ン オナガイ ヤメテェ!」と絶叫してみたりと忙しい。
ちび達の作業を何とかして止めたかったらしく、
何度か彼女達のほうへ向かおうとして台車から転げ落ち、
そのつどモララーや、手が空いていたスタッフ達に笑われながら彼女は台車に乗せられた。
何度声を荒げても、何度哀願してもちびは聞く耳をもたない。
母親が絶望するのにさほど時間はかからなかった。

「なぜお嬢さんにあなたが憎まれるのか、ベビちゃんのハンバーグができるまで
思い返して見たらどうです?」
モララーが発した言葉に母親は怪訝そうな表情を浮かべている。

ちび達はその時、ハンバーグの空気抜きと整形作業に取り掛かっていた。

231 名前:58・誘導? 投稿日:2004/11/29(月) 21:16 [ 9ZxhbguU ]
モララーは彼女を質問攻めにしていた。母親がどんな風にちびを育てたのか、
ちびが苦しんでいた時に母親はどう思っていたのか。
興味だったのか、それとも母親を精神的に追い込む目的だったのかは
モララー自身にもわからなかった。

「あなたはちびちゃんをどのように育てたんですか?娘さんのあなたに対する憎しみは相当なものだと思ったんですが。」
「シィチャンハ フツウニ ベビチャンノコロカラ タクサンダッコシテ…」

「ちびちゃんは学校とかでいじめられませんでした?その時あなたはどうしました?」
「マチナカデ アノコガ カゲクチヲ イワレテタトキハ タニンノフリシテ トオクデ ミマモッテマシタ! ツヨイコニ ソダッテホシカッタンデス!」

「助けが必要なときに手を差し伸べなかったんだ。ひどい母親だね。
強い子に育って欲しかったんじゃなくて、自分の子だって認めたくなかったんでしょ?」
「チガイマス! イジメラレテ ナイテタトキモ キビシク イッテキカセマシタ! ガマンシナサイッテ。」

「ふうん。質問を変えましょうか。ちびちゃんのお友達関係ってご存知ですか?」
「キケイノ アノコニ オトモダチナンテ イルワケガ ナイデショ! ヴァカジャナイノ?」

「いいえ、いたそうですよ。*が無いだけで同族にいじめられてた時に
彼女は助けてくれたそうです。彼女のお母さんにお礼を言ったら
『当然のことをしたまでだ。』って。
彼女のお母さんは彼女のことを褒めてダッコしてたそうです。
ちびちゃん、羨ましかったそうですよ。こんな人が母親だったらなって。
あなたから愛情を受けてないって肌で感じてたんじゃないかな。」
「ソンナ… アノコハ… ワタシガ タクサン ダッコシテ… アイジョウヲ タクサンカケテ ソダテマシタ」

「ダッコだけ?あなたは彼女が助けを必要としてたとき何してました?
街中での陰口の話をされてたけど、普通、自分の子供が影口をたたかれたり、
娘が苛められてたら、母親ならお嬢さんをかばったりとか、苛めた相手に向かって行ったりとかしませんか?少なくとも『タニンノフリ』はしないでしょ?」

「ダッテ シィチャンガ『キケイセイゾウキ』ッテ ミラレルノ イヤジャナイデスカ!」

232 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:16 [ 9ZxhbguU ]
「『嫌じゃないですか』じゃないでしょ?あなたのお嬢さんでしょ?
もしかして、自分のマターリだけでお嬢さんのマターリとか考えたこと無いでしょ。
苛められたりとか、陰口言われたりとかして、お嬢さんの心って荒れてたと思うんだけど。」
「キケイノ アノコニ マターリノシカクナンテ アルワケナイデショ! モチロン、マターリスル ジカンナンテ アルワケナイデショ?」

「彼女が唯一マターリしてた時間、あったそうですよ。先ほどのお友達の彼女と、
公園にいたでぃちゃんと、三人で公園の土管の中で過ごす時間。
『暖かい時間』と彼女は表現してたけど、それが彼女のマターリだと思うんですよね。」
「ダカラ ナンナノヨ! キケイト キタナイディガ イッショニイテ オニアイダトデモ イウノ?」

「違いますよ。我々とちびちゃんとで交換日記をしてましてね。うちの者が
ちびちゃんに、あなたが彼女にしたことで嬉しかったことや、楽しかったことを覚えてる範囲で書いてくれって頼んだんです。彼女の返信であなたとの事よりも、お友達との事を書いていたのですごく印象に残ったんですよ。」
「ナンナノカシラ アノコハ… ママダッテ タクサン ダッコシテ アゲタノニ…」

「あなたが彼女にした、嬉しかったことや楽しかったことは、悲しいことに潰されてしまったそうです。公園にいたお嬢さんのお友達のでぃちゃんね、アフォしぃたちになぶり頃しにされたそうです。お嬢さんと、先程のお友達とでいっぱい泣いたって書いてありました。
でね、お友達のお母さんとお友達、ちびちゃんとで、でぃちゃんを葬ってあげたそうです。
三人でのささやかなお葬式から帰ったときに、あなたが楽しそうに、
『公園にいた薄汚いでぃをママのお友達と一緒になぶり頃しにしたんだよ
汚いでぃが消えてマターリだね』って言ったって書いてありました。お嬢さんが
『土管のある公園?』って聞いたら、あなたがうれしそうな顔でうなずいたともね。」

「トウゼンデショ! キタナイディハ アボーンシナキャ カワイイシィチャンタチガ バカニサレルダケジャナイノ!」

233 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:17 [ 9ZxhbguU ]
「だからぁ、わかんねぇかなぁ?お嬢さんに復讐されてるってことが。
いろんなところで嫌な目にあっていたお嬢さんの唯一のマターリした時間。
お友達と一緒に土管にいたことでしょ?暖かい時間をお友達と過ごしたことでしょ。
あなたは彼女のマターリを奪ってしまったって事に気づいていないんですか?
しかも嬉しそうに彼女に報告までしたんでしょ?
彼女があなたを憎むのを当然だと思いませんか?
復讐されてもおかしくないって思いませんか?」

「ダッタラ スグニ フクシュウスレバ イイコトジャナイノ! ナンデ イマゴロニナッテ ソンナコトヲ…」
口調は強気であるが、狼狽の色が見えている母親の質問にモララーは即答した。
「だって、すぐに復讐したらあなた方に逆襲されるのがオチでしょ。彼女、自分の無力さ、幼さを自覚してたんでしょ。機が熟すのを待ってたんじゃないの?それに、漏れ達っていう見方もできたしね。」

顔面蒼白の母親に対し、モララーが笑いながらちび達を指差して
ハンバーグの出来上がりを宣言する。
「ほら、お嬢さんのハンバーグが出来上がりましたよ。せっかく作ったんだから
食べてあげないと。お母さんの味の好みに合わせて、甘く仕上げたそうですよ。」

スタッフに台車に乗せられ、母親はちび達の待つテーブルに連れて行かれた。

234 名前:59・食事中の告白 投稿日:2004/11/29(月) 21:18 [ 9ZxhbguU ]
ちび達が調理作業をしていたテーブルとは別に、食事用のテーブルが用意されていた。
手編みのレースで縁取られた白いテーブルクロスが敷かれた上に、薄い檸檬色のランチョンマット。あるランチョンマットの上に、湯気が立ち上っているハンバーグとコップに入った透明な液体が既に置かれていた。そこが母親の席であろう。
他のランチョンマットの上には、ちび達用の別メニューの用意がなされていた。

既にちび達は席についており、母親が他の席に座ってベビの肉を食べないですむように
時間稼ぎをするという選択肢を奪っていた。スタッフの一人に促された母親は椅子の横に立ったが、なかなか座ろうとしない。恐怖のあまり全身がこわばり、歯をカチカチ言わせているありさまである。
「早く席に着いたら?出ないと食事会が始まらないのよ。」
苛立った口調のちびに促されて、彼女はやっと自分の席についた。

肉の焼き色と、カラメルソースで上手く隠せたらしく、ハンバーグに腐った肉が混じっているようには見えなかった。カラメルソースの上にはしぃフードを並べて作った『ママ』の文字が見て取れる。(ハンバーグの上にかかっているソースやしぃフードも含めて)
全体的に茶系統の色のハンバーグに、ベビ達の白い毛がアクセントを添えていた。
「ちびちゃんが『ママ』の文字を並べたんですよ。」
レモナが母親に作業の様子を話しても、母親は下を向いて反応しない。
席についていた面々には照明の加減もあり、母親の表情は見て取れなかった。

「ベ、ベ、ベビチャン… ゴ、ゴベンネェ ママ、 ベビチャンノコト タズケデアゲラレナカッタネ…」
「助ける気なんか初めから無かったんでしょ?食べてあげるのも供養のうちですよ?」
モララーやレモナ、ちびは口々にいただきますの挨拶をし、既に食事をとり始めている。
スタッフの一人が涙声でベビ達にわびている母親に対し、追い討ちをかけた。

235 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:19 [ 9ZxhbguU ]
「アンダニ ジィチャンノ キモヂガ ドデダケ ワガルノ? ベビジャンダチガ ジンダッテ キカサデタ アゲク
シィジャンノ メノマエデ ベビチャンガ バラバダニ サレテ… ベビチャンヲ ギャグサヅチューニ ハンバーグニサレタ
シィチャンノ キモヂガ!!!」
泣きながら抗議している母親の前で、スタッフは笑いながら答えた。
「いつ産まれてもおかしくない状態のベビを腹ん中に入れたまま、ちびギコ達相手に売春して、ベビ達を死産させた挙句に、ちびちゃんがベビ達は氏んだって真実を伝えても
信じなくて、ご遺体と対面してもベビ達が氏んだって認めず、ちびちゃんに『復活してください』ってねだった自己厨のあなたの気持ちを誰がわかれと?」

「冷めないうちに食べてよ。せっかく作ったのに。」
ちびが笑顔で促すと、母親は泣きながら拒絶した。
「タベナイ… ゼッタイニ ベビチャンノ ハンバーグナンカ タベナイモン!!」
ちびは究極の選択を母親に迫る。
「食べないんだったら、餓死するまで拘束衣着せて放っておくよ?
それ食べたら明日からのごはんも出るけど、食べないんだったら餓死するまでそのまんま。
どっちがいいの?好きなほう選んでね。」
母親は、仕方なくハンバーグを口に運んだ。
涙を浮かべ、心の中でベビ達に罪の許しを請いながら。

四分の三ほどハンバーグを食べ終えた母親に、ちびは微笑みながら話し掛ける。
「あのね。お母さん。ちびね、すてきなお話があるの。母さんがデザート食べ終わってから話すから、ゆっくり味わって食べてね。」
モララーも、レモナもちびと一緒に微笑んでいる。照明の暗さのおかげで母親が泣いていたことがちび達にはわからなかったように、母親にも、彼らの表情がわからなかった。

母親はデザートのババロアをすするような音を立てて一気に食べ終え、飲み物として出されていたブドウ糖の注射液を全て飲み終えると、ちびに『すてきな話』の内容を聞き始めた。瞳には必死さが垣間見られ、言葉には力が入っている。さっき鳴いたからすが(略)という言葉では無いが、彼女は微笑んでいるようにも見える。ちびの『すてきな話』とやらに一縷の望みを託したのであろう。

236 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:20 [ 9ZxhbguU ]
何度も母親にせがまれたちびは、ついに『すてきな話』を始めた。
「あのね、お母さんがここにくる前に、『▽丁目のしぃちゃんと、○丁目のしぃちゃんと、
×丁目のお腹にベビちゃんがいるしぃちゃんを最近見なくなった』って言ったじゃない?」
「ウン? ソレガ ドウシタノカナ? 」
「あの人達をね、売り飛ばしちゃった。」
「エ?」
「私、アルバイトを始めたって言ったでしょ?ここがアルバイト先なの。
アルバイトの内容は、ちびしぃちゃんと、しぃちゃんと、ベビちゃんがいるしぃちゃん、ちびギコ君達を上手く言いくるめて、公園に集める仕事。
公園で、ここの人がしぃちゃん達を迎えにきてここに連れてくるの。
それでね、ちびはその人達から直接お金を貰ってたの。」
「エ? ソレデ シィチャンタチハ ドウナッタノ? アノヒトタチハ ママノオトモダチナンダヨ? 」
「知らない。氏んだんじゃないの?それとも、頃されちゃったとか。」

「ママノ オトモダチマデ ウリトバスナンテ ナンテコトヲ スルノ! コノギャクサツチュウガ!!」
ちびを怒鳴りつける母親に、彼女は切り返す。
「虐殺厨って言ったって、その虐殺厨が売り飛ばしたしぃちゃん達や、ちびしぃちゃん達、
ちびギコ君達のお金の500円で、あなたは食事を買ってたのよね?
それに、私が買って帰った食材。あれも、しぃちゃん達を売り飛ばしたお金だし。
その食材で、あなたはご飯を作って食べさせてくれたじゃない。
虐殺厨が作ったお金で、あなたはお腹のベビまで育ててたのよ。ベビ達は氏んじゃったけどね。いくらなんでも、私だけ虐殺厨呼ばわりは無いと思わない?
母さん?あなたも、私も ぎゃ・く・さ・つ・ちゅ・う。お仲間なのよ。」

「ママハ、 ママハ、 ギャクサツチュウノ ナカマ ナンカジャナイ… 」
歯をカチカチ言わせながら呪文のように『私は虐殺厨の仲間じゃない』と繰り返す母親に、
ちびはとどめの一言を投げかけた。

「母さん。あなたが土管のある公園でちびの友達のでぃちゃんをを頃したって私に話したとき、こう言ってたじゃないの。『キタナイ ディガ キエテ マターリダネ』って。
ちびギコ君達を結構な量売り飛ばした今、ちびが思っていることを言っていい?
『たくさんのしぃちゃん達やちびギコ君たちを、売り飛ばしてお金にしたんだよ。
ちびを馬鹿にした人達が消えて、虐めていた人が消えて マターリだね お母さん。』」

237 名前:60・母親の妄想(ゆめ) 投稿日:2004/11/29(月) 21:21 [ 9ZxhbguU ]
ちびの『マターリ』と言う言葉を聞いたとたん、突然母親の様子がおかしくなった。
恐怖の表情を浮かべていたのが消え、無表情になった。瞳の輝きも失せてしまった。
呆けているという表現が一番近い状態である。あろうことか独り言まで呟きだした。
完全に逝ってしまったのだろうか。戻って来れるのだろうか。
ちび達は、しばらく母親を観察することにした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ここなら、ここなら、虐殺厨に頃されることも無いの。
ここなら、ここなら、ちびが売り飛ばしたしぃちゃん達に恨まれることも無いの。
私が頃したベビ達に恨まれることも無いの。
ここで、人生リセットするの。もう一度マターリな時間まで戻るの。
お花がたくさん咲いているの。ギコ君はここには一人だけいるの。
食べ物もたくさんって、もうゴミ箱なんてあさらなくてもいいの。
お家だってちゃんとあるの。段ボールなんてもういらないの。
ギコ君としぃとでベビをたくさん作って、イパーイダッコしてあげて、
ここで静かに暮らすんだから………
―――――――――――――――――――――――――――――――――

「………………………………」
うすら笑いを浮かべながら、ぶつぶつ何かを呟き続ける母親に、ちびは何事か囁いている。
まだ呆けている母親に彼女は冷たい笑みを浮かべながら囁き続けている。
「…ベ……………ナイノ。……ニモ………イノヨ。」

徐々に声を大きくしていき、母親に話し掛けるちび。半角喋り、半角交じりの喋り、
そして一発彼女を平手打ちし、全角喋りで母親に告知を始めた。
「ベビはもう産めないの。代理母に産んでもらうことも出来ないのよ」

238 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:22 [ 9ZxhbguU ]
「ハニャアアアアアアアアアアアアアアアアアア?!?!?!?!?!?!?!?!?」
こめかみに血管を浮かべ、目を剥いて叫んでいる母親に、さらに一発平手打ちを食らわしたちびは、続けて彼女に話し掛ける。
「落ち着いた?(笑)あんたが妊娠したときに、既に頼んでいたのよ。卵巣と子宮を取ってくれって。だって、研修のときに貰ったお金の半分あんたに渡していたのに、
全額一日で使っちゃうし。それにちびが街の中で馬鹿にされてても、何にもしないで遠くのほうで弱々しく笑ってただけじゃない。こんな親じゃもし妹や弟が生まれても彼らが苦しむだけだって思ったの。もう、ちびみたいなつらい目にあう子があなたから産まれちゃいけないって思ったの。だからねレモナ先生に、子宮と卵巣全部取ってくれって頼んだの。」

「モウ ギコクント コウビシテモ ベビチャン ウマレナイノ?」
目は泳ぎ、呼吸を荒げ、明らかに動揺している母親にモララーが冗談を混ぜながら答えた。
「ああ、あの一発が命取り… なんてね。
ハイ、生まれません。っていうか、あなたの遺伝子を受け継いだ存在が、
あなたが『キケイ』と散々罵倒していたちびちゃん以外もういません。
交尾でお金を稼ぎたいってあなたが言ってたと、警察の方から聞いたんですが。
交尾でお金を稼ぐには、避妊手術が必要だって聞きませんでしたか?
お嬢さん、今回の子宮と卵巣の摘出手術のチャンスも狙ってたんじゃないかな…
どうなの?ちびちゃん。」

見透かしたようなモララーの問いに、ちびは頭を掻きながら舌を出している。
どうやら図星であったらしい。
「警察GJ!って感じですかね。もちろん、通報者さんもGJです。
それにコウビコウビってギコさんに迫って逃げられてる母を見るの、見苦しかったし。
それに、ベビが産まれちゃったら、ちび、マターリできないもん。」

彼はニヤニヤしながら、ある一枚の写真を示し、母親に写真の中のメンバーの
一人からの伝言を伝えた。
「ですって。それと、この写真に写っている奴らの中の一人から伝言を頼まれてたんだ。しぃちゃんにお礼を言っておいてくれって。母乳とってもおいしかったって。記念写真をとったので見てくれって」

モララーに子供は二度と産めない、おまけに、ボランティアの青年が
子供にあげていたはずの母乳を飲んでいたという事を聞かされ、写真を見せられた母親は
信じられないといった表情で絶叫した。

「エ? コノ キモヲタドモガ ノンデルノッテ シィチャンノ ボニュウ? ベ、ベビチャンガ ノンデルト オモッテタノニ… 
アニャ… モウ シィチャン ギコクント コウビシテモ ベビチャン ウメナイ…
ハニャアあアアあアアアア亞ああアアアアソウgtpアz0イオp」

239 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:23 [ 9ZxhbguU ]
ちび、母親の様子を見せないように彼女を抱き寄せているレモナ、
肩をすくめて皮肉な笑みを浮かべているモララーの傍らで、叫び声を上げた後の母親が、うつろな目つきを浮かべ、口からはよだれを垂れ流し、へらへらと笑いながら、妄想の中にある自分の世界を語り出す。

「タクサンノ オハナガ ココニハ サイテイルノ。 ココハ シィチャンノ ラクエン。
ギコクン シィチャント イッショニ マターリ シヨウネ。 サァ ベビチャン オパーイ アゲルカラネ。
オウタモ タクサン ウタッテ アゲルカラ…
こコにハ ギャくサツちゅウハ イナいカラ アンしnシテ まターリ でキルね
アハハハハ・・・・・」

とうとう旅立ってしまったようだ。
亡くなったベビも作りなおすことが出来、やさしいギコがいる。
お花が沢山咲き乱れ、虐殺されることも無い。
自分だけがマターリできる脳内の楽園へ… 妄想(ゆめ)の世界へ…

レモナに礼を言い、彼女から少し離れて母親の姿を見ていたちびは呟く。
「最後まで、私に向き合ってくれなかったな…」
彼女の目から一粒、涙がこぼれた。

240 名前:61・あれから… 投稿日:2004/11/29(月) 21:24 [ 9ZxhbguU ]
母親が壊れてから2〜3年後の話。

ここは、▽★山にある、リハビリセンター兼教育施設。ちびは、そこの副所長を務めている。ここは、でぃのリハビリ・社会復帰を手助けしていると共に、
育児放棄等の理由により保護されたベビしぃを育て、教育し、世の中に出している。
ある種の能力が突出している者、アフォしぃに対する憎しみが強い者に対しては、
特別に教育を行い、擬古田薬品でちびの『後任』としてがんばってもらっているそうだ。
ここの施設は、擬古田薬品と提携しているため、ちび達リハビリセンター職員と研究所職員とは、交流があるようで、職員同士でメールのやり取りなども行われている様子である。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宛先:gikota-yakuhin lab @ slauterhouse.com
CC: D-and-Baby Rehabilitation Center @ rihacen.org:ちび
件名 近況報告

皆さん、その後いかがお過ごしでしょうか。私はリハビリセンターでなんとかやっています。でぃちゃんたちの中では、(元でぃちゃんといったほうがいいんでしょうか)
アフォしぃに対する憎しみが強い人たちもいますが、やさしい人たちもいます。
出来ればやさしい人たちには、リハビリセンターで看護師さんの仕事をして欲しいなと思う今日この頃です。現在は、看護師さん達の助手という形で彼女達に働いてもらっていますが、できれば、看護学校も作って欲しいと思ったりしています。
ご検討を御願いいたします。

ベビちゃん達は、全角の喋り方を教えると、スポンジが水を吸うように吸収し、
簡単に喋れます。正直、羨ましいです。ちびは、街中を歩いている人たちの言葉を聞いて
全角喋りを覚えたので…。ベビちゃんから、ちびちゃんになるときにおしゃべりが達者な子達がいます。彼女達をピックアップしてセールストーク(精神的な追い込み方を含む)を教えています。

精神科医のツー島先生と、ヒキ神先生(何科を専門としている先生なのでしょうか?寡黙な方なのでちびにはわかりません)には感謝の言葉がいくつあっても足りません。
ツー島先生には、フラッシュバックの起こし方教室とかで、ヒキ神先生にはでぃちゃんたちのリハビリの方で、お力を尽くしていただいています。

母も、こちらでがんばってます。教材として。
ツー島先生の教室(アフォしぃに対するセールストーク、フラッシュバックの起こし方)
で、ちびちゃん達相手にがんばっているようです。
(っていうか、ツー島先生に何度も人工的にフラッシュバックを起こされ、
えらいことになっているようですけど。ツー島先生によると「最近反応が鈍ってきた」
そうなので、そろそろ潮時かなて思っています。)

テレビやネットで、擬古田薬品のお薬のCMを良く見るようになりました。
『大人気』とかいってるところを見ると、よく売れてるようでよかったです。
ちびも体に気をつけてがんばりますので、皆さんもお体ご自愛ください。

241 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/11/29(月) 21:25 [ 9ZxhbguU ]
政府と、擬古田薬品のプロジェクト後も、擬古田薬品では、動物実験の被験体として
アフォしぃ(成体とちびしぃ)、ちびギコらを集めていた。
普通、薬品会社・化粧品会社の動物実験というと、動物愛護の観点から厄介なことになるケースが多いわけだが、アフォしぃ、ちびギコを被験体として使っている擬古田薬品にはなぜか愛護団体は何も言ってこなかった。
アフォしぃ達の個体数が減るため、治安が良くなるといった点や、ちび達の教育機関から育っていったしぃ達が社会的に多大に貢献しているといったメリットが生じているためであろう。

阿武沢警察と擬古田薬品の連携も評価され、他の地域が彼らの取り組みを参考に
しぃやちびギコ達の対策をとり始めたのは、これからしばらくたってからのことである。もちろん、パイオニアである擬古田薬品は大もうけしたことは言うまでも無い。

242 名前:あひゃ (LqITVI1I) 投稿日:2004/12/02(木) 17:15 [ sTW.pLcw ]
(ここが アブ板シティーか・・・)

 俺はギコ:ハニャ−ン ずばりギコ族ギコ科のツマラン男だ。
 俺は仕事で野生のしぃを調べに、ほるばるとマタ板シティーからアイツのことを
調べに来た。
つまり、アブ板シティーのしぃの取材にきた。


・・・なに? しぃを頃すんだろ?早くしろ!・・・だと?
 まてまて、俺はマタ板シティー出身だ。
それは少し彼女らを観察してからだな・・・

・・・ハァ?後悔する?? 一体さっきから何を言ってるんだお前は?? 
ほら、しぃがそこにいるぞ。
 俺は少し観察するからなお前はむこうにいってろゴルァ
(全く・・・この辺のヤシはみんなこうなのか?)


 俺は、暫くしぃの後をつけて川原にやってきた。
ん?川原には5匹ほどのしぃ達がいる。
さっき 頃すだとか後悔するだとか逝っていたヤシは別れ際まで 単体ではしぃに
近づくなと逝っていた。
なんでも、俺がギコであることが問題らしい。
しかし、近づかなければしぃ達と話ができない。
警告だということはわかるが・・・
でも、これも仕事だ・・よし・・・逝くぞゴルァ!

243 名前:あひゃ (LqITVI1I) 投稿日:2004/12/02(木) 17:16 [ sTW.pLcw ]
しぃ達は、俺に気づくと目を輝かせた。
「ハニャ?ギコクン!!」
「ダッコダッコ!!!」
「ギコクン コウビシヨ!!」
「わわわ・・・」
あっという間にしぃ達は、俺を取り囲んだ。
「…ィ・・チィピィ・・チィ・・ィ」
ん?この泣き声は・・・俺を取り囲むしぃ達の後方に、目をやると・・・
なんと生まれたばかりのべビしぃがそこにほったらかしにされている!
しかも5匹。

「お、おい!誰の子だ?べビしぃの放置は危険なんだぞ!」
「ベビナンカ ホットキナサイヨ!」
「ソウヨ!ワタシト コウビ シテヨ!」
「アノベビハ アンタノ デショ!」
「ハニャ!ナニイッテンノ ワタシハ ギコクント ダッコシテ マターリ スルノ!」
「ギコクン! ワタシヲ ダッコシテ! ダッコシナイト ギャクサツチュウ ナンダヨ!」

こ・・・こいつら一体何を逝っているんだ?
自分の子供よりダッコをとり ダッコしないと虐殺厨??
しかもそのうち一匹は、俺に尻をむけ、交尾状態でしっぽをふっている。
 しかも穴の周辺には、何か塊がくっついている。
・・・・・・・・・マタ板シティーのしぃ達を思い出す・・・
 純白の毛、シャープな耳、なまめかしい尻尾・・・
そして、花の香り・・・
 でもこいつらはダッコ・交尾を連呼し、尻を振り、魚介類の臭いを発散させている。
・・・・・・頭が・・・どうかなりそうだ・・・
「ナニヤッテンノ ギコクン!」
「ダッコシテダッコシテ!!」
「ワタシガ サキヨ!」
「ナンデスッテ! ワタシガサイショヨ!」
「ナンデスッテ! コ・・コノギャクサツチュウガ~!!」
言い争いを、はじめてしまった。
 こいつら、俺がギコ族なら何でもいいらしい。
なるほど・・・そういうことだったのか・・・

244 名前:あひゃ (LqITVI1I) 投稿日:2004/12/02(木) 17:17 [ sTW.pLcw ]
しぃ達の言い争いが、収まらないので、しかたなく
ベビは俺が抱いて(5匹とも)保温することにした。
「ピィ!チィ!」
うむ、ういやつらじゃ。だが、それもいけなかったらしい。
5匹とも言い争いをやめ、俺らを見る。
「ア!アンタノトコノ ベビガ ダッコ サレテルジャナイ!」
(保温だよ・・)
「ナンデナンデ!ギコクン! ウワァァァァァン」
(いや、お前の子供じゃないか!)
「ワタシヨリ クソベビヲ トルノネ!」
(糞はお前のけつにくっついている塊だよ!)
「ナンデ アンタノ クソベビナノォォォ!!」

まぁ今説明をしても、無駄だな。

『ガン!!!』

「うわわわ!!」
何と、一匹のしぃがこの5匹のベビたちの、親しぃを殴ったのだ!
親しぃは、頭が大きく凹んでいる。
殴りつけたしぃは、手に拳ほどの石を持っている。
「アンタノ ベビノセイデェェェ!」
ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン! グシャ!グシャ!グシャ! グチャ!グチャ!
「ワタシヲ ダッコシテクレナイジャナイ!」
俺の目の前で、親しぃがゆっくり叩きにされていく。
もう氏んでいるだろう。俺でもわかった。向こうでは、残りの3匹の
しぃ達が震えている、失禁しているようだ。

245 名前:あひゃ (LqITVI1I) 投稿日:2004/12/02(木) 17:18 [ sTW.pLcw ]
どす!・・と、石を落としたしぃ。その顔は輝かしい笑顔だ。
「コレデイイワ・・・ギコクン ダッコ!」
えぇ!?一匹ぶっ頃したあと、すぐさまダッコ?? こ・・・こいつ・・
「ダッコダッコ!ダッコシ(略
俺の中で、恐怖と違う感情が少しずつ滲み出てきた。少しずつ・・・・

・・・怒りを我慢しつつ、それとなく回避しよう。
「まぁ待てゴルァ。親も(お前に)頃されちまったし
 べビを放っておくのは・・・」
「ハニャ?ナニイッテルノ ギコクン! モウ オヤガ シンダラ ソノコハ シヌシカ ナイジャナイ!」
「し・・・しかし・・・」(こいつ何逝ってるのかわかってるのか?)
「モウ!ジレッタイワネ!」
なんと、そう言うが早いか、しぃは俺の手の中から5匹のしぃを鷲づかみ、
自分の後方上空に放り投げた!
「う・・・うそだろ!?」
駄目だ!落ちてくるベビ達を、取れそうに無い!
「頼む!取ってくれ!!」
俺は、向こうで失禁していたしぃ3匹に向かって叫んだ!
「ハ・・・ハニャ!?」
「ギコクン ノ タノミヨ!!」
「マカセテギコクン!キャーーッチ!」

246 名前:あひゃ (LqITVI1I) 投稿日:2004/12/02(木) 17:19 [ sTW.pLcw ]

・・・・・・
飛び上がったしぃ達は、氏んだ。
飛来した、ベビしぃ達が脳天を直撃。脳を撒き散らして即死したようだ。
この数分で、9匹も氏んだ。

「ダッコシテ!ダッコシテ!ギコクン!ダッコシナイトギャクサツチュウナンダヨ!バッチイ シタイナンカ ホウッテオキナヨ!
シィハ 2chノ アイドルナンダヨ! シィヲダッコシテ マターリシヨウヨ! シィト コウビシテ ベビチャンヲツクッテ・・・
ハニャ? ギコクン?? ナンデソンナ カオシテイ ジ!!!!!」

俺は、こん身の力を込めてしぃの顔を殴った。
・・・もう、何も感じなかった。





やあ、また会ったなゴルァ。
しぃを、頃したよ。 実は、ずっと見てただろアンタ。

ふーん、あふぉしぃ と 脆しぃ ねぇ・・・それがあの5匹だったのか・・・
しぃの違いっていうのは、他の町でもそろそろ認知、認可されてもいいのかもな。

しっかし、モララー先輩になんていえばいいんだろうな・・・
え?モララーが来ると、楽しいだと?
わかった、今度の取材には先輩を連れてくるよ。 

(おわり)

この話は、フィクションです。

247 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/12/12(日) 19:59 [ Q6egmjtM ]
〜貴様らたちは何を求めているのか?〜

〜「マターリ」・・・?〜

〜それは「安息」と言う意味なのか?〜

〜なぜ貴様らは俺にその安息を何故求める?〜

〜判った・・・すぐに届けてやるよ、この俺の「黒き血」の名にかけて〜


    ー「死」と言う永久(とわ)に続く「マターリ」とやらをなー


 
ここは2chのはずれ町、「アブ板ミッドガル市」
2chのはずれの町だが、人ゴミにあふれた大都会だ
その町に「黒き血」はいた

暗殺者、ギコ・ブラッドレイ

彼は他人を拒絶し、小さな小屋の中、孤独に暮らしていた

そんな彼でも一人だけ、心を開ける者がいた

しぃ族の娘・シィナである

真面目で優しく、ギコは自分には無い「思いやり」と言うモノが彼女にはある。
そう思ったのだろう

彼の小屋の中で、暗い携帯音が鳴った
「クク・・またあいつか・・・」
ギコは苦笑いをし、携帯を取り出した

しかし、その電話の主は、シィナではなく、学生時代の友人、モララーだった
「ギコ!大変だ!」
「んだよ・・うるせぇーな・・#」
そんな暴言を吐きつつ、モララーの声の焦りに少し動揺していた
そして、モララーの口から㌧でもない事が伝えられた
「・・・・シィナちゃんが・・・・頃された・・」
「・・・・何・・・?」
もはや状況が理解できない程に焦っていた
「とにかくすぐ喪前も来い!!場所は東のパン屋モナグー・・ぐわぁ!!」
「・・おい、モララー!おい!」
その瞬間、ギコは最悪の情景を想像させられた。彼はバイクに乗ると、疾風の如き走った

現場に着くと、周りは人で詰まっており、パン屋を経営しているモナーさんはオロオロしながら俺を見つけた
「ギコ!大へ・・」
「状況を教えて下さい!」
「わ、わかったモナ」

ギコは、モナーからモララーが背後から糞虫に刃物で刺され、重体だということ
自分の店のパンを全部盗まれたこと、そして・・シィナが、頃されたということを伝えられた

それを聞くなり、ギコは人ごみを突っ切り、事件現場の最前列まで飛ぶように走った
そこには、既にシィナの遺体は搬送され、大量の血痕だけが残っていた

ギコは拳をぐっと握り締め、尋常じゃないほどの殺気をたたせた
まるで鼠を見つけた野良猫のように

もはや彼の頭はアフォしぃ達に対する怒りと憎しみだけになっていた
そのころ、事件の犯人であるアフォしぃらは
「ヤットアノニセモノヲアボーンデキタネ」
「ツイデニクソモララーモコロセナカッタケドヤッツケタヨ」
「マターリダネ!!」
「アトハギコクント・・」
しかし、最後に戯言をほざいたしぃは頭にナイフを一突きされ、即死していた
そこには、鼠を狩る猫の様な殺気を放つギコがいた、彼は、復讐心と暗殺者の勘で
しぃたちを見つけたのだ
「ハニャ!ギコクーン!!」
「ダッコ!!ダッコ!!」
「ハニャーン、コウビシヨ」
「マターリダネ!!」
もはや先ほど即死した仲間のことよりダッコやらコウビの方を優先した糞虫どもに俺の怒りは爆発した

まずダッコとほざいた奴の首を切り落とした、その後ギコクンとほざいた奴を銃で
殺し、交尾とほざいた奴の下半身を切り落とし、殺した
一瞬の暗殺術の前に3匹が悲鳴を上げる間も無くこの世から消え去り残りはマターリとほざいた奴だけになった

「ダッコモコウビモスルカラカラユルシテ!オナガイ!」
「そんなもんいると思ってんのか・・・お前、「マターリ」とは何だ?」
「マターリトハシィチャンノタメダケニアルモノヨ。モチロンギコク」
糞虫は、言い終わる前に、ギコに脳天を打ち抜かれ、死んだ
「・・・・ならシィナにもその「マターリ」とやらを与えてやれよ・・馬鹿・・」
汗か涙か分からないが、ギコの眼付近から水が流れていた

翌日、俺はモララーとシィナの墓に行った。モララーが花を添え、俺は墓に水をかけた
すると、モララーは
「マターリって・・あの糞虫らの中ではどんな事だったんだろ・・」
「考えたくもないよ。俺は」
俺が即答すると、モララーもうなずいた
「俺・・・この町を出るよ」
「俺もそう考えてた」

ーBLACK BLOODー
俺は・・・・・・
この「黒き血」という異名と共に


 本当の安息を探しにいくよ

 ・・・・・・さよなら・・・最初で最後の・・・・

            恋人よ

                    END

248 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/12/13(月) 19:10 [ zgjNaj7M ]
アフォしぃ。

アフォしぃによる犯罪等は絶える事は無い。
自分の子供を憂さ晴らしに殺したり、強盗をする、等の事件が毎日起こっている。

まずは憂さ晴らし。

ベビを2匹育てているしぃだ。
しぃは家へ帰ってきた。

「アニャ!?オカァタンドウチタノ?」
「オカァタンナッコ♪」

ベビは遊ぶのをやめて近寄ってきた。

「ギャクサツチュウノギコニイジメラレタノ・・・・・」
「フーン マァチョレヨリナッコチテ♪」
「チィモナッコ!ナッコナッコ!」

しぃはベビが口々に言った時、しぃは切れた。

「ブチィィィィ!!!!!???」

しぃに殴られてベビは壁にぶつかった。

「ナマイキナノヨ!」
むんずとベビを立たせると、何度もベビを殴った。

「ヂィィィィ!!!ブニャァ!!!ヤ・・・・・ヤメヂェェゥゥゥゥウェェェ!!!!ゴ・・・・ゴブァ!?」
「ナマイキヨ!シィチャンノクロウモワカラナイデ!」
「ヤメテ!オカァタン!」

ベビが静止に掛かったが殴るのをやめる様子は無い。

「コノナマイキナ・・・・」
「ア、アニャァ・・・・(ヤットオカァタンモ・・・・・・」

しぃは一旦殴るのをやめた。ベビは喜んだ。

死ぬとも知らずに。

「ジャマヨ!コノクソムシィ!」
がしゃーん!ガラスの割れる音と共に放り投げられるベビ。

「アニャーン!??」
ベビは二階建ての家から落っこちた。

そして、ぐちゃり。という嫌な音を出しながら内臓を道路の上にぶちまけた。

「ア・・・・・アニャ・・・・・・」
残ったベビは震えるのみ。
しかし、ベビは自分がそうなると思っていた。だが、

「ハニャーン♪スッキリシタ♪モウイッカイオカイモノニイッテクルネ♪」

しぃはそのままドアを開けると、

「シ、シィッ!?ナンカニブツカッタ・・・・」
ドアの前に立っているのはギコとしぃ。

「困りますね。ゴミをそのままにしておくとは」
「ゴミはちゃんと片付けておいて下さいよ。迷惑です」
ギコとしぃはドアの前に立ちながら言った。

「ナ・・・ナニヨ ゴミグライアンタデカタヅケナサイ!カエラナイナラシィチャンキックヲクライナサイ!」

しぃは蹴りを繰り出した。

249 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/12/13(月) 20:26 [ zgjNaj7M ]
しぃは足がギコに当たる音がして、
「(ヤッタ・・・・・ギャクサツチュウヲアボーンシタヨ・・・)」

だがギコはひるんだ様子も無く家に入ってきた。

「おかしいですね。何であなたが作ったゴミを私が片付けなければいけないのです」

「ハ・・・ハニャン・・・・・・」
今度はしぃが家に入ってきた。

「自分の物は自分で片付ける等最低限のマナーです」

するとしぃはわなわなと震えて、

「ウ・・・・・ウルサイワヨ!!!ダイタイアノクソベビガダッコダッコウルサイカラアボーンシタンダヨ!イイコトヲ
 シィハシタンダヨ!」

「あら。そうですか。なら子がゴミならあなたもゴミですね。あなたの言う
 マターリとやらの名の元にあなたをあぼーんさせて頂きます」

ギコはがちゃりと銃を構えるとしぃの手を撃ち抜いた。

「シィィィィィ!!?オテテガァァァァ!!!」

今度は残った腕、足、耳をすべて撃ち抜いた。

「ハギャァァッァ!!!?オテテ・・・ウジィ!!?ア・・・・アン・・・シィィィ・・・・・オ・・・オミミ・・・・・・」
しぃは悶えた。地面に転がって、少しでも痛みを和らげようと。

だが無駄だった。
今度はナイフが腹を貫通した。

「そらっ!」

「ギィィィィィ!!!!!ィッ・・・・・・ィィッィィ・・・・・?ポンポンカラヘンナモノガ・・・・・・イダイ・・・・・ヨ"ゥ"・・・・」

次にギコは寝て悶えているしぃを殴った。

「ゴヴァ!?・・・・・ヤ"メ"デ・・・・・オナガイイイィィィィ・・・・・ギチィィ!!」
しぃは這いながらドアを抜け出した。

そしてそのまま・・・・・、

「カハァッ!!!!!!」

大量の血を吐いて朽ち果てた。

250 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/12/13(月) 20:35 [ zgjNaj7M ]
今度は強盗。

しぃは主にでぃを狙う。

「キ・・・・・」
でぃは死んだ。

「ハニャーン♪ディノクセニイッパイオカネモッテタヨ♪」
しぃは走って家に向かった。

「ベビチャーン!オカネダヨ!ベビ・・・・・・シィッ!?」

家に居るのは元気に走ってくるベビでも、ダッコをねだって、大量の金に驚く、
ベビでも無く、息絶えたベビだった。

「ド・・・・ドウシ・・・・」
ドン!ドン!

銃の音が響くと共にしぃは地面に横たわった。
モララーが撃ったのだった。

モララーは去り際に

「糞虫ぃが一人前にでぃを殺す?㌧でもない香具師だな」



この様にしぃによる犯罪は絶えない。
ボランティアやしぃ撲滅隊のモララー、ギコ、しぃ等による少しでも2chの中を安心
出来る場所にする為の戦いは終らない・・・・・・・。


           END

251 名前:(7.ZCeCNU) 投稿日:2004/12/20(月) 00:59 [ /lqDJ262 ]

                 = ローゼンイェーガー =


〜 序章 〜
   収容所にて

 「朝か・・・。」
 ここは、マターリ共和国内陸部、シィシティ郊外・・・。
 周囲を高い山に囲まれた不毛な荒野に佇むコンクリートの高い壁に覆われた建造物・・・。
 その建物の内部、暗く陰湿な地下室で男は呟いた。

 しかしながら、男は朝日はおろか、一切の光も射し込むことのない地下室にいるのである。
では、何故その男は今が朝(正確には午前7:00)であることがわかるのだろうか。

 男が呟いた時、地下室にあるスピーカーが乾いた雑音を立てた。

<< ガサガサ・・・・イマカラ ギャクサツチュウノ ショケイ ヲ ハジメルヨ!ゼンイン!ヒロバ ニ シュゴウシナサイ!>>

 その直後、朝の静寂な雰囲気は、様々な騒音で乱されることとなった。
 引きずるような生気の感じられない足音、銃器をガチャつかせる音、そして、甲高く耳障りな怒号

 「またか・・・。」
 男は再び呟いた。
 彼がこの地下室の住人となってから幾度と無く耳にした音である。
 彼の脳裏に、今広場で行われている情景が思い浮かんだ。まるで、その目で見ているかのように・・・。

 高いコンクリートの壁に囲まれた敷地に点在しているボロ小屋から現れ、生気のない足取りで広場に
向かう行列、その行列に銃を向けて大声を張り上げる兵士。
 やがて、行列は広場を取り囲む人垣となり、さらにその周囲を銃を持った兵士を取り囲む。

 その後、しばしの静寂が訪れ、再びスピーカーから例の甲高い声が流れる。

<< コレヨリ ギャクサツチュウノ ショケイヲ オコナウ!コノ 325ゴウシツ ノ クソモララーノガキハ、コトモアロウニ シィノベビチャンヲ
  ダッコシナカッタダケデナク、カワイイ ベビチャン ヲ ジャマモノアツカイシタ ツミ デ、イッカゼンイン ジュウサツヨ!>>

 325号室の一家・・・確か、気の優しいモララー族の夫と気の利くモナー族の妻
 それに・・・、やんちゃ盛りの兄弟・・・の4人家族

252 名前:(7.ZCeCNU) 投稿日:2004/12/20(月) 00:59 [ /lqDJ262 ]
 彼の脳裏に、昨日まで325号室のボロ小屋に住む家族の顔が思い浮かんだ・・・。
 だが、今朝の生け贄となるべく広場に現れた不幸な一家は、おそらく、酷い状態になっている事だろう・・・

 全員、暴行を受け酷い顔になった上、すべての歯を折られ、口の中に目一杯の石を詰め込まれた状態。

 (確か、歯を折って、口に石を詰め込むのは最近の事だったな・・・。)

 かつて、処刑される直前に己の運命を悟った不幸な生け贄が、自暴自棄の挙げ句に(または、己の勇気を
振り絞ってか・・・)理不尽な体制に対する弾劾者へと変身し、この国を支配する独裁者を告発したのである。
 その勇敢な弾劾者は、数秒も経たない内に物言わぬ肉の塊となったが、その後からは、「より完璧を期す」
為に、石を口に詰め込むようになった・・・。

 彼が、この地下室の住人となる前に得た知識を思い出していると、再び、スピーカーから不快な声が聞こえた。

<< ギャクサツチュウ ニ シ ヲ! ギャクサツチュウ ニ シ ヲ! ギャクサツチュウ ニ シ ヲ!>>
 その後、なにやらボソボソと呟くような声が続く。
 そして、銃をガチャつかせる音。

<< コエ ガ チイサイ! ギャクサツチュウ ニ シ ヲ! ギャクサツチュウ ニ シ ヲ!>>
再びスピーカーが甲高い声をあげる。

 ・・・虐殺厨に死を!虐殺厨に死を!虐殺厨に死を!・・・
半ば自棄になって張り上げた声と、肉体に硬いものが当たる不快な音・・・。

 広場を囲むボロ小屋の住人が、生け贄に向かって石を投げているのである。
  昨日までの仲間に、そして、明日は我が身かもしれない立場の者に向かって・・・

 (その勇敢な弾劾者は、自らの行為が後の人々を苦しめることとなったことをどう思うのだろうか・・・)

253 名前:(7.ZCeCNU) 投稿日:2004/12/20(月) 01:00 [ /lqDJ262 ]
 その直後、叫び声が急に止み、足音が聞こえ始める。
 ただし、今度は、大地をしっかり踏みしめ、調律の取れた足音である。

 そして、再び銃をガチャつかせる音。しばらくの静寂・・・。

 一呼吸の後。

 << ショケイ ハジメ!>>
 スピーカーが甲高い声を張り上げると同時に、銃声。

 << カイサン!>>
 再び、スピーカーからの声。生気の感じられない足音・・・。朝のセレモニーの終わり。

 そして、再び足音・・・。今度は、彼の方に向かって来る。扉が開く音・・・。
 その後、地下室に明かりが灯り、彼の姿を照らし出す。その姿は・・・

 今朝の不幸な家族とさほど変わらない状態であった。
 全身に火傷・裂傷・打撲による痣。まあ、歯は数本折られた程度なのが若干マシではあるが・・・・。

254 名前:(7.ZCeCNU) 投稿日:2004/12/20(月) 01:00 [ /lqDJ262 ]
 彼は、再び呟いた・・・

 「軍籍番号:7686-002 モナー帝国空軍 第七特務空挺隊 所属」
 彼が、この地下室 (マターリ共和国 第444強制収容所の特別尋問室)の住人となって以後、唯一 他人に話す言葉。

 そして、この地下室でいつもの行為繰り返される。
 尋問、答えにならない返答、そして拷問・・・。

 絶望感から発狂しても不思議ではない状態であったが、彼は、決して諦めていなかった。
 彼には、まだやるべき事が残っていたし、それ以上に、信頼出来る部下・・・いや仲間を残して死ぬことは出来ない。

 (こんな所でくたばってたまるか・・・。)

 彼は、そのこと信じて今日一日を耐える。今日一日耐えれば、また明日頑張れる・・・。

 彼の眼は、まだ死んではいない・・・。

                           = 続く =

 *)AAのデーターが消え、一時は継続を諦めていたのですが、途中まで考えていたストーリーを
  そのまま捨てるのも勿体ないと思い、小説(?)の形で続けてみようと思いました・・・。

 とはいえ、AAと同じくらい(むしろAA以上?)に手間のかかる作業のため、しばらく時間が
 空くこともありますが、なにとぞご容赦を・・・。

255 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/12/26(日) 12:46 [ D4K0pPL2 ]
ttp://www.cafe-au-lait.info/tashiro/

サウンドノベルをうpしました。
ご感想、ご意見など頂けたら、大変嬉しいです。

所謂、”虐待・虐殺”のコンセプトからはやや外れていますが…
まあ、一応アブネタなのでご容赦下さい。

256 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/12/26(日) 22:41 [ D4K0pPL2 ]
バグ発見&修正しました。大変申し訳有りません…orz

257 名前:あひゃ (LqITVI1I) 投稿日:2004/12/31(金) 03:05 [ Zav/8Nj2 ]
今回の裁判は、注目されている。
被告人は、モララー。

アブ板公園で、集会を開いていたしぃ達。
その数は、30匹。
チビシリーズも含む。
モララー登場。
虐殺開始。
記録 8分25秒33
使用武器 主武装:野太刀 副装:小太刀
一服。
氏体を見る。

 ギコ×4 モナー×3 が氏体の中に含まれている。
ヤバイ。

ギャラリー出現。ヤバイ。

足元を見る。チラシが落ちている。

 しぃ族ゴミ広い運動inアブ板町!
 しぃ族イメージ改善のためボランティアをしよう!
 場所・・アブ板公園
 時間・・10:00〜14:00(昼食あり)
 到着されたら 引率係の ギコ または モナーに
 お声掛けください
 お子様連れでも大丈夫です!
 また・・・・・

258 名前:あひゃ (LqITVI1I) 投稿日:2004/12/31(金) 03:06 [ Zav/8Nj2 ]
全角で描かれたチラシ。
内容は、ボランティア。
じゃぁ、俺がヌッ頃したしぃ達23匹は?ヤバイ。

ギャラリー増援。ヤバイ。
k札 登場。 マジでヤバイ。


裁判・・有罪


刑量・・新刑

8年間、30匹のアフォしぃの世話をし続けること。
万が一、怠けたり、虐待、虐殺をした場合は、びぃと一緒に閉じ込めの刑。


看守「さぁ!あたらしぃ君の家!監視カメラ完全装備のダッコハウス(完全施錠)だ!」

259 名前:あひゃ (LqITVI1I) 投稿日:2004/12/31(金) 03:07 [ Zav/8Nj2 ]

ぎぃぃぃ〜〜(扉)

ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!

260 名前:あひゃ (LqITVI1I) 投稿日:2004/12/31(金) 03:08 [ Zav/8Nj2 ]
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!
ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!ダッコダッコダッコダッコ!コウビコウビコウビ!ハニャーンハニャーンハニャーン!

ハウスの中から、ダコハ 連呼。
モララー「・・・・・・・」
     .  . .
看守 「食材は投下してやる。じゃ、8年後にまた会おう!」

ぎぃぃぃ〜〜〜バタン!!



  完           え?続き? あえて書きません。あなたもこんな家に住みたいですか?

261 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2004/12/31(金) 23:18 [ oy6/Sk9U ]
遠い「自由」


この世は不平行だ

なぜ自分がギコだからって、糞虫ぃごときに捕らえられる

自由なんて、初めから俺にはねえんだろ?


      そうだろ、神様よ・・・・・・・


ここは糞虫どもの巨大監獄所「マターリプリズン」

その監獄所の地下三階3289番の牢獄に、彼はいた

両腕を鎖で壁に繋がれ、体には無数の鞭の傷、そして拷問時に斬られ失明した左眼

いつ死んでもおかしくない体だった

地下三階には糞虫を虐待・虐殺した者や、ダッコ・交尾を断った者がぶち込まれる

ここでの扱いは相当なもので、食事は1週間に1食、1日10時間奴隷として働かせたあげく牢に拘束

少しでも反抗すれば即鞭が飛び、危害を加えればその場で銃殺

自由など1秒たりともなかった。というより、1ヶ月以内でほとんどの奴が死ぬが

しかし、彼と同じ牢に繋がれているモララーの二人はもう4年ここで生きてきている

と、突然モララーが口を開いた

「お前・・・まだあいつの事気にしてるのか?」
「・・・・・・別に・・そんなんじゃ・・・ねえよ」
弱弱しい声で答えた
「じゃあ・・・なんw」
突然、見回りの看守の糞虫の怒鳴り声が聞こえた
「キサマラ!!ドレイノブンザイデヒルノサギョウヲサボッタナ!!オモイシレ!!」
容赦なく鞭が二人を襲う

抵抗するにも痛みと鎖に阻まれ、耐えるしかなかった
「・・・!キサマ・・ナマイキナノヨソノメ!・・タップリトソノコンジョウヲタタキナオシテヤラナイトネ」
ギコの腕の鎖を外し、こんどは手錠を後ろにかけると頭をわしづかんだ
「あ・・・!」
あまりの激痛に頭で振り払おうとしたが、頭を殴られ、気を失った

つづく

262 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/04(火) 14:39 [ QYbt4KOI ]
古代偉人小説アブネタシリーズNo2 「猿の手」(原作:W・W・ジェイコブス)
(No1:ヴェニスの商人 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/5580/1080835342/r324-334)

一部に独自の設定を使ってありますので、その点はご容赦下さい。

非常にくたびれた顔をしたモララーが、町を歩いていた。
何か不幸でもあったのだろうか、その顔はまさに “憔悴” そのものだった。
よほどのことがあったのだろう。モララーは目の前に立ちふさがった白い物体に気づくまで
しばらく時間を要した…………。
「モララー!! 命ガ惜シカッタラ コノカワイイシィチャンニ 何カヨコシナサイ!!」
おなじみのスポンジ脳発言  生意気にも棍棒で武装したアフォしぃである。
アフォしぃには、学習機能というものが全くと言っていい無いらしい。
ついぞ最近も別のモララーに同じことをし、散々ぶちのめされたばかりだというのに
性懲りもなくまた同じことを繰り返しているのだ。
そして今回もまた、このモララーに袋叩きにあうかと思われたが…………
「何だ? 何か欲しいのか…………?」
このモララーは様子が違った。
憔悴しているとはいっても、しぃを殴り飛ばすくらいの力は残っているはずだろうが
そんなことをする素振りは一切見せず、逆にアフォしぃに話しかけているのだ。
「ハニャーン!! ソウヨ!! 言ットクケド シィハ甘クテ高級ナモノカ 値打チノアルモノシカ 興味ナイカラネ!!」
相変わらずの挑発的な発言にも顔色一つ変えず、モララーは続ける。
「ああ、そうか………。 それなら…………これやるよ。
 甘くも食えもしないだろうが、値打ち物には違いない代物さ…………。」
モララーが鞄の中から何かの包みを差し出すと、しぃはひったくるように受け取った。
わくわくしながら包みを開いていったしぃだが、その中身を見た瞬間、顔が凍り付いた。
「ナ……ナニヨ……コレ……! 気持チ悪イ…………!」
包みの中身は、ミイラ化した猿の手だったのだ。
                  
「モララー!! 一体何ノツモリヨ!! コンナ気味ノ悪イモノ シィチャンガ欲シガルトデモ 思ッテルノ!?」
気味の悪さのあまり、猿の手を投げ捨てようとするしぃを、モララーがいさめる。
「まぁまぁ待ちなよ……。気味が悪いからって捨てちまうのはもったいないぜ。
 こいつはただのミイラじゃあ、ないんだから………。」
「ジャア 何ダッテイウノヨ………!?」
「こいつは『猿の手』って言う代物でね。とある国で、呪術の道具として使われていた物なのさ………。」
「ジュジュツ………?」
「言ってみれば魔法とかの類かな? とにかく
 こいつにはある魔術師の呪いがかかっていてね、ある不思議な力を持っているのさ。」
「ドンナ力ヨ…………?」
「あんたの願いを3つ叶えてくれる……そんな力………。」
「エェエ!? ウソデショ!?」
「嘘じゃあない。実際私も願を掛けたことがあるからね……。」
「エ! ソ ソレデ 願イハ叶ッタノ!?」
「願い? ああ、叶った……… もちろん、叶ったよ……… でもね……… フフフフ…………。」
「ハニャ? 何笑ッテルノヨ? 気色悪イワネ!」
「いや失礼…………。 ………で、どうするね?
 もしあんたが欲しいんだったら、この”猿の手”はあんたにやるが………?」
「ハニャーーン!! モチロンモラウワヨ!!  シィ 叶エタイオ願イ事ハ タークサンアルンダカラ!!」
「そうかい……。ま、一応言っておくけど、こいつに願いをかけるときはくれぐれも注意しなよ。
 使い方によっては、後悔することになるから気をつけな。 
 じゃ、また会える日を楽しみにしているよ…………。」
モララーはそう言い残すと、どこかに去っていった。

263 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/04(火) 14:39 [ QYbt4KOI ]
その夜、家(ゴミ捨て場)に戻ったしぃは、猿の手を眺めながら
一緒に住んでいる仲間のしぃ達と、何やら話していた。
「ワー!! ホントニ気持チ悪イオテテネ!!  ヨクモララーモ コンナノ持ッテタワネ! 」
「何デチュカコレ? 食ベラレルンデチュカ?」
「ベビチャン! コンナ変ナモノ 食ベチャダメヨ!!」
「デ コノオテテ 変ナ力ヲ持ッテルッテ 聞イタケド…………?」
「ウン ……デモホントニ コンナ気持チ悪イ オテテデ オ願イ事ガ 叶ウノカナァ………?」
「試シテミレバイイジャナイ! モシコノオテテガ 本物ナラ 凄イ儲ケ物ヨ!」
「ウン………! ジャ ヤッテミル!  ………エート……… ナニガイイカナァ………。」
半ば冗談で猿の手を手に取り、願いをかける。
「! ソウダ!! ………”猿ノ手”ヨ!
 シィチャンハ オ腹ガヘッテルノ! ダカラオイシイ食ベ物ヲ……今日ハモウ遅イカラ……明日用意シナサイ!」
しかし願いを言った次の瞬間、しぃは猿の手を放り出した。
「ウ 動イタ!?」
「ハニャ!? 何ガ動イタノヨ?」
「コノ……猿ノ手………。今……動イタノ………!」
「ハニャ!? 何言ッテルノヨ! コンナカラカラノ ミイラノオテテガ動クワケナイジャナイ!!」
「デモ………デモ………ホントニ…………!」
「ハイハイ。 マ 願イガ叶ッテルコトヲ祈ルワ。 ジャ オ休ミ!」

所詮は気のせいだと、周りに群がっていた他のしぃ達もねぐらへと戻る。
あとには呆然とした顔をしたしぃだけが残っていた。
「気ノセイジャナイ……… ホントニ動イタノヨ………。」
しぃは心の中に、何かがこみ上げてくるような感触を覚えた。
アフォしぃにも一応、そういう器官はあったようだ。
「マア 明日ニナレバ 分カルワヨネ………。」
しぃはそうつぶやくと、自分のねぐらに戻っていった。

264 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/04(火) 14:40 [ QYbt4KOI ]
翌朝

「モシ猿ノ手ガ本物ダッタラ 今日シィチャンハ 御馳走ヲ食ベレルンダヨネ!?」
一抹の不安を抱えながらも、興奮さめやらぬ中しぃは目覚めた。
「イツ食ベレルノカナ? イツカナ イツカナ ゴチソウ!!」
しぃの頭の中は、まさにそれ一色で染め上がっていた。

しかし、何も起きない。
仲間のしぃと一緒に遊んでいるうちに、何時しか太陽は西の空に傾いていた。
「ゴチソウ……… 出テコナイネ…………。」
「ヤッパリ 偽物ダッタノヨ アノ猿ノ手。 モララーノヤツ シイチャンヲ 騙スナンテ………!」
「マァ………イイワ。 ソレジャア シィ 晩ゴ飯探シテクルネ!」
「! ハニャーン!! モシカシタラ ソノオ願イ事ッテ………」
「! ソウダネ! オ願イ事ノオカゲデ スゴイモノガ手ニ入ルカモ!!」
友達とキャッキャと騒ぐとしぃは、夕食を探しにいつものレストラン街のゴミ箱へと向かった。

が、何も見つからない。
いつもならこの時間帯、2〜3軒まわれば1軒はめぼしい生ゴミが捨てられているのだが
今日はどのレストランも定休日でもないのに、生ゴミがほとんど見つからない。
「アレ? オ願イ事ノオカゲデ 何カスゴイモノガアルト思ッテタンダケド………何モナイ………?
 ナンデ今日ハ コンナニゴ飯ガナイノカナァ?」
その後もあちこちまわってみるものの、収穫はほぼ0。
おかしいなと首を傾げながらも、住処に戻ったのだが……
何か様子がおかしかった。
いつもの住処のゴミの臭いに混じって、何か変な臭いが混じっていた。
そして何か、鳥の鳴き声のような音も聞こえてくる。
「ハ…ハニャッ!?」
不安で胸にいっぱいになり、しぃは住処に急いで走る。

「ッシィィィィィィィィィィィッッッ!!??」

住処は、既に真っ赤に染まっていた。
風にあおられゴミ捨て場全体を飲み込もうかという、炎によって。

265 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/04(火) 14:40 [ QYbt4KOI ]
「チィィィィィ!! アチュイヨォォォ!! ママァーー!!」
「シィィィィィ!! 助ケテェェェ!!!」
先程漂ってきた変な臭いは、この住処のゴミが焼ける臭い。
そして鳥の鳴き声のような声は、逃げ遅れたしぃ達の悲鳴だったのだ。
「シィィィィィ!? ナンデ!? ナンデオ家ガ 燃エテルノヨォ!!」
いくら叫ぼうと、いくら泣こうと、いくら消し止めようとしようと………
住処に回った炎は、止まるところを知らない。際限なくしぃ共の住処を飲み込んでいく。
「シ……シィィィィィ………嘘ダヨォ…… コンナ……ヒドイ…… 悪イ夢ナラ 覚メテヨォ………」
しぃが燃える住処の前で泣き崩れた、その時だった。
ガスボンベでも住処の中に捨てられていたのだろうか、突然大爆発が起こったのだ。
「シィィィィィ!! 危ナイ!!」
何とか間一髪立ち直って直撃をかわすも、その爆発で飛んできた代物にしぃは絶叫する。
「シッ シィギャアァァァァァ!!!! ナ…ナ…ナ…ナ…ナ……ナニヨ コレェェッッ!!」
爆風と一緒に、友達のしぃの焼死体が数体飛んできたのだ。
「モウ イヤァァァ!! オ友達 死ンジャッタノォォォ!!?? ハギャアァァァァァァァ!!」
半狂乱ならぬ全狂乱とも言えるくらいの勢いで、しぃは騒ぎまくる。しかし
「ハギャァァァァァァァァン!! ハギャアァァァァ……ァァァ……ン!!?? ハギャ……アア……ンン??」
突然しぃは、何かに気づいたかのように泣きやんだ。
その目は一心に、先程焼け出された友達の焼死体に向けられている。

見れば、この焼死体
まだ焼けて間もないのだろう 皮膚表面ではまだあちこちでジュウジュウと音を立て
身体のあちこちにある、ガラスの破片でも刺さったような大きな傷からは
中の肉が焼ける匂いと煙が立ち上り、また血液、もしくは肉汁か が滴っている。
まるで極上の、レアのステーキのごとく。
しぃの口の端から、涎が流れ落ちる。

「ジュルルルル………ハァ……ハァ…… ハッ!?」
涎まで垂らして、あと少しで食らいつく そのすんでの所でしぃは正気を取り戻した。
「ナ……何考エテルノヨ アタシハ…… イクラ オ腹ガヘッタカラッテ オ友達ヲ 食ベ………
 ッ!! ッテ マ マサカ コレガ………??」
そのまさかにしぃが気づいたとき、背後でガサリと音がした。 
おそるおそる振り返ると、そこには思った通り「猿の手」があった。
しかも今回は、猿の手はなぜか人差し指をのばし、指さす形になっていた。
そしてその人差し指はまっすぐに、しぃが抱えていた焼死体に向けられていた。
あたかも 「どうだ? それこそお前が望んでいた『オイシイ食ベ物』だろう?」とでも言わんばかりに。
「ハ ハニャニャ…… ソンナ……コトッテ………」
しぃはその場に、思わずへたり込んだ………。

266 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/04(火) 14:41 [ QYbt4KOI ]
翌日、ようやく鎮火したゴミ捨て場の前にいたのは、生き残りの脱力したしぃだった。
仲間の埋葬を済ませ、うつろな目つきで、しぃはぶつぶつと心なくつぶやく。
「ナンデ………? ドウシテ コンナコトニ………?
 シィハタダ オイシイ食ベ物ガモラエタラ ミンナト食ベヨウト思ッテタダケナノニ………。
 シィ 独リボッチ…… ソンナノ ヤダ…… 独リボッチナンテ………」
しぃ族にとって、親しい者の死と孤独は何よりも耐え難い者であるらしい。
ことのこのしぃは、生まれてからずっと一緒だった仲間を失ったので
その分孤独・絶望感もまた大きいようだ。
「独リ……イヤ……独リナンテ……イヤ…………。」
新たな集落でも見つけに行くのか? しぃは、うつろな朦朧とした意識の中で
どこかへと歩いていった……。

〜数日後〜 

「ハニャーーン! コッチコッチーー! 早クオイデヨーー!」
「ウン! 今行クカラ チョット待ッテテーー!」
そこには、新しい仲間達と戯れるしぃの姿があった。
以前しぃが住んでいた集落よりはかなり小さいが、
以前と同じようなボロイ廃屋を住処にして、和気あいあいとやっている。

「ハニャーーン…… ヨカッタァ…… マタ オ友達ガ見ツカッテ……」
頼り会える仲間が見つかって、ほっとした様子である。しかし
「デモ ナンカ寂シイナァ………」
今までの集落よりも仲間の数が少ないためか それともまだ新しい環境になれていないためか……
まだしぃの心には、何かしこりのようなものがあった。
「ヤッパリ 死ンジャッタオ友達…… 切ナイヨウ……
 戻ッテキテ ホシイナァ……… デモ………」
しぃがそう思ったその瞬間、実にタイミング良く、“ガサリ”と音がした。
しぃが振り返ったその先には、まぎれもない“猿の手”があった。
「ハ ハニャニャ……! アンタハ………!」
しぃがおもむろに後ずさりしたその時、猿の手は
今度は素早くピースサインのように、指を二本立てた。
「ハ ハニャ!? 何ヨアンタ! ピースサインナンカシテ! ……ッテ
 …………ソウカ! シィハマダ1ツダケシカ オ願イシテナカッタンダ!
 ダカラマダアト2ツ 願イガ叶エラレルンダ! ……ソレナラ 次ノオ願イハ………
“猿ノ手”ヨ! コノ前死ンジャッタ シィノオ友達ヲ蘇ラセテ!」 
了解したという意味か 猿の手は指を一本ゆっくりと折った。
「コレデ マタオ友達ト マターリデキル! ヤッター!」

そして、その夜
新しい集落の仲間みんなで夕食を取っているとき、誰かが扉を叩いた。
ドン……ドン……ドン……ドン……
「ハニャッ! モシカシテ!」
しぃは直感的に、それが猿の手が蘇らせた友達だと思った。
「ミンナ 聞イテ! シィノオ友達ガ来タノ! ホラ ドアヲ叩イテイルノガ聞コエルデショ!?」
「エ シィチャンノオ友達!? ジャア オ出迎エ シテアゲナクチャ!」
皆がぞろぞろと立ち上がり、扉近くに集合した。
「開ケルヨ!」
しぃが扉を開けた途端、全員が絶句した。
そこにいたのは、確かにしぃの“お友達”だった。
但し、土からダイレクトに蘇ってきたであろう、半ばゾンビと化した状態だったが。

267 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/04(火) 14:42 [ QYbt4KOI ]
「ナ 何ヨコイツラ……! アンタノ友達ッテ アンナ化ケ物ナノ!?」
「チ 違ウ……! コンナ化ケ物ナンカジャ………」
「ソンナコトヨリ アイツラ入ッテキタヨ!」
これがでぃやびぃの方が、数百倍はまともかと思われる連中だ。
体の半分は既に腐り果てており、ウジ虫や蝿などがたかっているのはご愛敬。
クサヤの臭いが香水とも思えるくらいの強烈な腐臭を漂わせて、侵入してきた。

「何テ……ウゲェッ!………非道イ………臭イ………! 
 サッサト………出テ行キナサイ!」
一匹のアフォしぃが、勇敢にも攻撃を試みた。
「喰ラエ! シィチャーーーン パンチ!!」

ぐぢゅっっ

腐った肉に渾身の一撃。ぐにょりとした感触が不気味に伝わる。
「ヤッタ! 効イ………ギャアアアアアアア!!」
もはや脳味噌、神経も機能していないような連中に、そんな攻撃が効くはずもない。
攻撃を受けたゾンビしぃは、顔の半分も腐敗、骨がほぼ完全に露出しているにもかかわらず
咬合力は衰えていない むしろ強化されているのか、一気にアフォしぃの頭を頭蓋骨ごと噛みちぎった。

ぐちゃっ……ぐぢゃっ……ぐじゃっ…………ゴクリ。
噛みちぎった頭をそのまま咀嚼、飲み下した。
だが次の瞬間、飲み下した肉はそのままボタボタと、腹部から流れ出る。
内臓はとっくに腐り果て、腹部は骨がむき出しの空洞状態だから当然ではあるが。

それを皮切りに、ゾンビしぃ達はゆっくりとしぃ達の方に近づいてくる。
「イヤァァァァァーーー!! 助ケテェェェェェーーーー!!」
「コ 来ナイデ!! アッチ行ッテェェーー!!」
「クチャーーヨゥ!! コワーーヨゥ!! モウ ヤーーヨゥ!!」
集落のしぃ達はパニック、一斉にゾンビしぃ達から逃亡を図るが
入り口はゾンビしぃ達がたむろしていて、脱出は不可能 
加えて、このしぃ達の集落の廃屋は幸か不幸か壁はすべて鉄板。つまり
この廃屋はいわば牢獄のような袋小路。逃げ道は、ない。

268 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/04(火) 14:42 [ QYbt4KOI ]

まさに、地獄絵図だった

「イ イチャアァァァァーー!! タチュケテェェェェーー!!」
最初の犠牲者は、逃げ足の遅いベビしぃに決まったようだ。
3体のゾンビしぃが囲い、カラスがついばむがごとくその柔らかい肉をむさぼる。

がじ……がづ……ぶじぃっ……… ぐじゅ……ぐぢゃ……じゅるるる………
骨も軟骨程度の固さしかなく、筋肉もまだ未発達で、噛む必要もないくらい柔らかいベビしぃは
ものの30秒もしないうちに床に血だまりだけを残し、骨をも残さずに跡形もなくなった。

「ホ……ホラ ダッコスルカラ……助ケテ ネ??」 
追いつめられた別の一匹は、お決まりのダッコポーズで逃れようとするが

ぶじぃっ!!
「ナ ナンデェーーー!? ダ ダッコハgァグゲァギャガァァlァ!!」
ダッコポーズで両手を差し出した瞬間、腕を二本とも一気に食いちぎられ、後は言うまでもない。
「ヤ ヤベデェェェ!! シィハオイシクナグギャアァァァァ!!」
ライオンに喰われるシマウマがごとく、そのまま腹から食い破られた。

ゾンビしぃの激臭のためか、それとも恐怖のためか、
気絶 そのまま食い尽くされ、苦しまずに死んだ幸運な者もいれば
最期の最期まで無駄にあがき、嬲られるように喰われていった者もいた。

「ア……アア……ドウシテ……? シィノ オ友達………」
部屋の隅でうずくまるようにして、しぃは携帯のヴァイブのごとく震えている。
自らが召喚した“お友達”がまさか、こんな惨劇を生み出すなんて
しぃはただ、お友達を生き返らせて、みんなでマターリしようとしてただけなのに
お決まりの文句が、発狂寸前の脳味噌で反芻していた。

そして気づいたら、もう残っているのはしぃ一匹だけになっていた。
残りは皆、血だまりになったり、胴体に穴が開いていたり、頭がなかったり……
要するに、ただの一匹も生きちゃいない。
最後の獲物を食するべく、ゾンビしぃ達が歩み寄ってくる。

そして、しぃはここに来て、モララーが言っていたことを思いだした。
「使い方によっては、後悔することになるから気をつけな。」
そうなんだ。“猿の手”は、願いをただ叶えてくれる、幸運のアイテムなんかじゃない。
叶えた願いと引き替えに、代償 それも最悪の代償を求めてくる、呪われたアイテム。
今思えば、モララーがあんなに疲れ切っていたのも、分かる気がする。
あのモララーも、“猿の手”で願いを叶えて、ひどい代償を払ったんだ。
どうして、最初に願いを叶えたときに気がつかなかったんだろう。

いくら悔やんでも、もう遅い。後悔は、決して先には立ちません………。

「オ オ願イ……来ナイデ……アッチ行ッテ………」
哀願などどこへやら お構いなしに近寄ってくる。
「ネ ネェ……アタシダヨ? 昔 ミンナト一緒ニ遊ンデタ シィダヨ!?」
理性・意志すら持ち合わせていないゾンビ共が
記憶など残しているはずもない。ゆっくりと歩み寄ってくる。
「ハ ハニャニャニャ………ハニャ!!」
後ずさりしてずるずる逃げていたしぃだが、とうとう壁際に追いつめられてしまった。

269 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/04(火) 14:44 [ QYbt4KOI ]

「オ願イダヨ!! ミンナ シィノコト 思イダシテヨ!!」

部屋の隅に追いやられ、まさに絶体絶命と言った状況下
必死に何度も何度も命乞いをするしぃ。
しかし、そんな命乞いも右から左。ゾンビしぃ達は容赦なく近づいてくる。
あと、1メートルと言ったところか
奇跡が、起きた。

「ハ ハニャニャ………ハニャッ!?」
震えるしぃの手に、何かが触った。
言うまでもない、諸悪の根元(?)猿の手である。
今度は指を一本、立てた状態で。
「ハ ハニャニャニャ…… ソウダ ソウダ ソウダ…… 願イガアト1ツ 叶ウンダ………」
しぃは震える声で猿の手に、最後の願いを声を限りに叫んだ。
「サ 猿ノ手 ヨ!! シ シィノ蘇ッタオ友達ヲ 死ンダママニシテ!!」

猿の手は、立てた一本の指をゆっくりと折り、「グー」の形にした。
直後、突然風が吹き始め、同時に猿の手は砂のようにさらさらと崩れ始めた。
完全に砂状になった猿の手は風に乗り、あたかも砂嵐のように部屋中を駆け回った。
思わず目をつぶり、防御態勢を取るしぃ。

…………………………………………………
そして、暫く時間が過ぎ
しぃは、おそるおそる目を開けた。
そこには、ゾンビしぃの姿は一匹もなかった。
「ヨ ヨカッタァ…… イナク ナッタァ………」

しかし、安堵するにはまだ早かったようだ。
確かにゾンビしぃ達はいなくなった。しかし――
彼らが残した惨劇の跡は、しっかりと残されていたからだ。

「ハ ハニャ……」
孤独感に堪えきれずにやった行いが、また次の、更に絶望的な孤独を呼んでしまった―――。
加えて、この惨劇を引き起こした直接の原因は、彼らを呼び戻した しぃ 自身。

「ソンナ……ソンナ……ソンナ……ソンナ……………」
罪悪感と孤独感に苛まれ、その場に崩れるしぃ。
これから先、彼女が死を選ぶか、生を選ぶか  それは誰にも分からない。

夜の帳の中、しぃの泣き叫ぶ声だけが、いつまでも、いつまでも続いた………。
                        
                           終わり

270 名前:(7.ZCeCNU) 投稿日:2005/01/08(土) 01:34 [ pxRFzY4o ]

                          = ローゼンイェーガー =


〜 第一章 〜
    屈 辱

 時は僅かに遡り・・・
 マターリ共和国 第444強制収容所で行われた325号室の住人の処刑の一部始終を目撃していた者達が、塀の外側にも存在していた・・・。

 「くそ!同族の者が無惨に殺されようとしているのに、ここでただ見ているだけなんて・・・。」
 モララー族の若者が双眼鏡を覗いたまま呟いた。
 「今は待つときじゃ・・・。いつか、この屈辱を晴らせるときが来る。我慢じゃ・・・」
 年老いたモナー族の男が呟く。
 「それもこれも!そこの糞野郎共が!」
 若者が双眼鏡から眼を離し、後ろにいる者達に、鋭い眼光を浴びせかける。それは、後ろ手に縛られ、猿ぐつわを噛まされたしぃ族、それも、マターリ共和国軍の軍服を着用していた しぃ族であった。
 若者に睨まれた兵士達は皆命乞いを試みたが、その試みは猿ぐつわによって、意味不明な呻き声としか聞こえなかった。

 やがて、彼らの背後の藪からモナー族の子供が現れた。
 「あんちゃん。運び屋の人たちが来たよ。」
 その子供の背後には数人の男達がいた。彼らは持参したいくつかの荷物をモララー族の青年に引き渡すと、代わりにマターリ共和国軍の兵士達を連れて、何処かへと消え去っていった。
 モララー族の青年が、すぐさまその荷物の中身を確認する。
 その中には、医薬品に食料、そして、携帯式ロケット砲や小銃といった各種小火器とその弾薬が詰め込まれていた。

 これで、再びマターリ共和国の連中に一泡吹かせられる・・・。

 青年は密かにほくそ笑んだ。
 そう、彼らはマターリ共和国による独裁政治に反対するゲリラであった。

 今の時点では、マターリ共和国軍のパトロール部隊を襲撃または拉致する事しかできないが、いつの日か・・・

 そう青年は心の中で誓いを立てるのであった。

 彼のようなゲリラは、今やマターリ共和国の全土に存在し、その結果、毎日数名のマターリ共和国軍兵士が行方不明となっていた。

271 名前:(7.ZCeCNU) 投稿日:2005/01/08(土) 01:35 [ pxRFzY4o ]

場所は変わり・・・
 モナー帝国の帝都の某所にある建物にある地下室・・・。


 最近、ここから悲鳴や怒号が途絶えることなく響いてきている。
 「ハギャァァァァアァァァァ!ギィヒィィィィィィィ!」
 「シラナイヨゥ!シラナイカラ!オウチニカエシテェェェェェェ!」
 その悲鳴は、すべて しぃ族独特の甲高い声であった。
 薄暗い地下室の中に、5名ほどの しぃ族が詰め込まれ、そこで様々な拷問が行われていた。

 ある者は、天井に吊されたまま殴る蹴るの暴行を受け、また ある者は、赤く熱した鉄の棒を押し付けられる・・・。
 その5人の しぃ族の内、士官と思われる しぃ族に対しては、股の間に銅の棒を通し、その部分で全体重を支えるように吊されていた。

 「ナンテ カッコウサセルノヨ!サッサト オロシナサイ!」
 「貴様が素直に吐いてくれたら、楽にしてやる。」
 「ワタシハ キゾクナノヨ!コンナ シウチ ヲ スレバ、ドウナルカ・・・ハギィィィィ!」
 その しぃ が突然悲鳴を上げたのは、股間にある銅の棒が上に上げられ、結果として股間に棒が食い込むことになったからである。
 「貴様の身分など、どうでも良い。こっちが知りたいのは、貴様のちっぽけな脳味噌の中にある情報だけだ。」
 そう冷徹に言い放つと、銅の棒の端っこにガスバーナーの火を当て始めた。
 「フン!ダレガ、アンタ ノ イウコト ナンテ キク モンデスカ!」
 「強情を張るのは良いが、あまり我慢すると、身体に悪いがな。」
 「ミテナサイヨ!アトデ・・・・ハニャ?ナニ・・・ア・・・・アツ・・・・アヅゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
 しぃが下を見ると、バーナーで熱せられた銅の棒は、すでに真っ赤になっていた。
 今、しぃ は股間にある銅の棒で全体重を支えている。その棒が真っ赤になるまで熱せられているのだから・・・
 「ハギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!ヒ・・ヒギィィィィ!!!!」
 しぃが、必死になって足をバタつかせるが、その足は虚しく空を切るばかりであった。
 やがて、股間から肉の焼ける臭いが漂ってくる・・・。

 「どうだ?答える気になったか?」
 「ギィィィィィ!ダ・・・・ダヂゲデェェェェェ!ハ・・・・ハナスカラ・・・・・オ・・・ナガ・・・イ・・・」

 男が、バーナーを銅の棒から離すと、その しぃ は、様々な事をペラペラと話し始めた。
 一通り情報を聞き出せた男は、さっそく約束を実行することにした。
 銅の棒の両端に電極を接続し、電流を流したのである。

 「ハギィ!!」
 短く断末魔をあげ、その しぃ は絶命し、今度は全身から肉の焼ける臭いを漂わせた・・・。

 男が辺りを見回すと、他の4人の しぃ族も全員すでに絶命しており、彼の仲間達の手によって、部屋の外に運び出されているところだった。

272 名前:(7.ZCeCNU) 投稿日:2005/01/08(土) 01:35 [ pxRFzY4o ]

 「くそ!今回もハズレか」 男はそう呟くと、次の尋問の準備に取りかかるよう命令を出した。

 再び、5人のしぃ族が地下室に連行される。

 なお、連行されてくる しぃ族は皆、マターリ共和国軍の軍服を着用していた。そして、その しぃ達を連行する男達も軍服を着用していた。
 成人にも関わらず、子供ぐらいの背の丈のしかない彼らが着用する軍服には、薔薇と猟銃をモチーフにしたエンブレム- そのエンブレムの周辺には、「Imperial Monar Airforce 7th Special Air Servise」と文字が記されている -が縫いつけられていた。
 そして、男達に命令を出している男の胸には、先の戦争における従軍記章も縫いつけられていた・・・。

 (公になれば、処罰の対象となることは覚悟の上・・・。だが、あの戦いでの屈辱を晴らさねば!)
 そう決意を改める男の脳裏に、その先の戦いの様子が浮かび上がる。
 それは、まさに男にとって、あるいは現時点で彼が指揮している部隊にとって屈辱的な戦いであった。



                                 = 続く =

273 名前:耳もぎ名無しさん◆躾大嫌い。 投稿日:2005/01/15(土) 01:37 [ BG63b47k ]
*小説、初挑戦です。なお、この短編の元ネタは、
ttp://jbbs.livedoor.jp/computer/1523/storage/1030699402.html の>>962-983です。


「・・・なんてこったい」
 俺はつぶやいた。
「何が悲しくて、クビにされなきゃなんねー?」
 それは全くの突然だった。いつものようにその日の勤務を終えた俺に、
校長から呼び出しがかかった。そして・・・
校長室で、俺は来月限りでの契約打ち切りを言い渡されたのである。
 俺はこの小学校で、用務員として働いてきた。が、生徒たちの評判は最悪だった。
俺がモララーで、ここの生徒たちがちびギコだからだ。
そして、校長も教員の大半も、アフォしぃだ。無論、そんな俺が奴らとうまくいくはずはない。
「モララーはしぃのマターリの敵です。従って、ここを辞めて頂きます」
ただそれだけの理由で、校長は俺をクビにしてしまった。勝手にしろ。
フザケた理由をどうつけようと、あんたの勝手だ。
だが・・・このまま、この学校を去るわけにはいかんな・・・。

274 名前:耳もぎ名無しさん◆躾大嫌い。 投稿日:2005/01/15(土) 01:37 [ BG63b47k ]
その日は来た。最終日だ。俺はいつものように、用務員室に向かう。
と、そこへ、一匹のちびギコが走っていく。こうつぶやきながら・・・
「ひぃ〜。どうにか教室を脱出したデチ。まさかうんこだなんて言えないデチよね」
いい事を聞かせてもらったぜ。俺はそいつの後をつけて逝った。
こいつ・・・俺と目を合わせなければ大丈夫だ、とでも思ってやがる。
一目散にトイレに入っていった。俺も、こっそり、気付かれないようにそのトイレに入った。
「こいつ、うんこするみたいだぜ」
「ようやく安心してウンコできるデチ」
 おいおい・・・変な反応するなよな。と、そこへ、恐ろしい音が響き渡った。

ブ ブ リ リ リ リ リ リ リ リ リ

ひでぇうんこ発射音だ。と、思いきや、トイレから、ちびギコが飛び出してきた。
肛門からは、血とうんこが流れ出ている。悪臭もかなりのモンだ。
「み、見ないで・・・」
だが、奴の醜態を見た瞬間、俺の中で何かがはじけた。
「うんこの勢いでぶっ飛んだようだねぇ。情けねぇザマだな」
奴は俺を見つめていた。情けない顔をして・・・
だが、俺はもう、そのちびギコを生かしておくつもりは無かった。
「貴様も運が悪かったな。しっかり俺様がいたぶってやるぜ。死ぬまでな」
「・・・僕を殺す気デチカ!?」
「あたりまえじゃねぇか!クビにされちまってストレス溜まってたんだよ!!」

275 名前:耳もぎ名無しさん◆躾大嫌い。 投稿日:2005/01/15(土) 01:38 [ BG63b47k ]
俺はそのちびギコを殴った。何度も・・・何度も・・・。

ドグヂャ!バキッ!!ドコッ!!!

.      キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

ちびギコの姿はどんどん変わっていく。耳がちぎれ・・・歯がへし折れ・・・口が裂け・・・
さらに目が潰れ・・・シッポがちぎれ・・・。

 気がついてみると、ちびギコは冷たくなって動かなくなっていた。
もはや、ちびギコとしての原形をとどめていないその肉塊は・・・既にこときれていた。

俺は学校を早退した。もっとも、退職金はびた一文出なかったから、校長室はスルーした。
と、そこへ、校長がやって来た。
「まだ、うろついてたのね、虐殺モララー!とっとと消えなさい!」
 アフォしぃごときに言われるまでも無い。だが、校長も今に気付くさ。
あのトイレでは担任のアフォしぃが件のちびギコを見つけて泣き喚いていたんだ。
もっとも、件のちびギコは血肉の塊として朽ちてゆくだけの残骸でしかないがな。
とはいえ、爽快だったよ。あいつを撲殺している間に、心のモヤモヤが消えていったんだ・・・
本当にスキーリしたぜ。そろそろ警察が来る頃だろうが、俺が殺ったことなど、わからんだろうな。
まぁ警察に聞かれても、黙秘しとおせば、大丈夫だ。
 が、ここに長居は無用か。これ以上ここにいると、もう2、3匹殺っちまいそうだ。
殺意が爆発する前にさっさと退散しよう。
 これで、この学校にも、一矢報いる事はできた。ここの評判がどれだけ下がるかは、
今後の楽しみにさせてもらおう。


 俺はモララーだ。モララー族への求人は腐るほど有るから、新しい職場はすぐに見つかるさ。

                                    <完>

276 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/15(土) 11:26 [ Z/MYBrUo ]
センター試験

ここは、とある大学の教室
何十人……いや、百数十人の学生で、埋め尽くされている。
皆が皆、手に手に参考書やノートを持ちながら
そう、今日は共通一次……もとい、センター試験の日なのだ。

受験生達が最後の確認をしていると、時間になったようだ。
腕章をはめた、いかにも試験監督といった感じのモララーが、手に荷物を抱えて入ってきた
「はい! 受験生のみなさん、おはようございます!
 今日はセンター試験、みなさんの今までのがんばりが発揮されるときです。
 せいいっぱい、悔いの無いようにがんばってください!
 では、これから問題用紙を配布しますので、参考書などを片づけてください。」

未練がましく最後まで確認を続ける受験生、
諦めたのか、それとも完璧なのか 早々と参考書を片づける受験生。
色々な受験生がいたが、問題用紙が配布されると、皆一層緊張した顔つきになる。

「じゃあ次、マークシートと「筆記具」を配ります。
 まず、筆記具から。」
そう言ってモララーは、筆記具を配り出す。しかし………
モララーが配っている物は、鉛筆や消しゴムではない。
どういうわけか、彫刻刀と瞬間接着剤、そして耳栓を配っているのだ。
「じゃ次、マークシートを配布します。」
モララーが合図をすると、数人の男達がそれぞれに大きな段ボール箱を抱えて入ってきた。
べりべりと段ボールを剥がしてふたを開けていく。
途端に、教室が騒がしくなる。
「はい、じゃあ、配布します。」
モララーがそう言うと、男達はダンボール箱を台車に乗せ、「マークシート」を配り始める。
と思いきや、男が配っているものは、なぜか“木の板”。
それも板の上には、四肢を拘束されギャアギャア喚く、アフォしぃと思われるしぃがくくりつけられていたのだ。
そしてよく見るとこのアフォしぃ、腹に何か書いてあるではないか。
①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、⑧、⑨、そして0……。それを一列として、およそ50列ほど。

277 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/15(土) 11:26 [ Z/MYBrUo ]
「ナニヨコレハ! 2chノキュウセイシュノシィチャンヲ コンナメニアワスナンテ!」
「サッサトカイホウシナサイ! ソレデアマクテ(ry」
途端に騒がしくなった会場で、モララーが今度はマイクを手に取り話し始める。
「はい、何やら虫が鳴いていますが気にせずに……説明を始めます。実演をふまえて。
 もっとも皆さんは、模試やプレテストなどで体験済みかと思われますが、一応念のため。」
モララーの前にも、拘束されたアフォしぃが運ばれる。
「ではまず、答えの記入の仕方から ……答えを記入する際には、この彫刻刀を使って下さい。
 例えば、1番を④ と答える場合には……」
モララーは彫刻刀を握りしめると、ゆっくりと一列目の④の位置に刃を当てる。

「ハ ハニャ? イッタイコレカラナニスr」

ザ ク ッ

「シッ シゲェェェェェェェアァァァァァ!!!???」

一気に、突き刺した。
鮮血がどくどくとあふれ、しぃの腹の上の「マークシート」を真っ赤に染めていった。
「とまぁ、こんな具合です。しっかりと穴が開くまで刺すこと! 
 まぁ、しぃの肉は柔らかいから、よっぽどのことがなければ簡単に刺せますがね!
 それで、穴が開いていないと、このように真っ赤に染まったマークシート上では識別できないので、
 せっかく正解していても0点になる場合もあります!ですから、注意してください!
 そして次、訂正の仕方ですが」
モララーは次に、瞬間接着剤を手に取った。
そして先程突き刺した傷口を無理矢理こじ開けると、そこに接着剤をブジュッ! と勢いよく流し込んだ。
「グベエエェェェェッッッ!!!???」
無理矢理傷口をこじ開けられ、更にその中に変なものを流し込まれたしぃは一層声を上げて叫ぶ。
「とまぁ、こんな感じに。これもちゃんと傷口を開いて注入すること!
 もし一列に穴が二つ開いていたら、それも無効となる可能性もありますので、注意してください!
 余談ですが、この接着剤にはレモン果汁が含まれています。フフフ……」
目つきを怪しくしたモララーが続ける。
「それで、この糞虫の悲鳴が五月蠅くて集中できない! と言う人は………
 配布した耳栓を使って下さい……。ま、使う人はいないかも知れませんが……ヒャヒャヒャヒャ……!」
不気味に笑い始めたモララーは、まだ止まらない。
「それで……最後に、このアフォしぃについてですが……」
「ヤ ヤメテヨゥ!! コナイデヨ! コナイデッタラ!!」
目の前で泣きわめくアフォしぃに、モララーがゆっくりと視線を落とす。
「お腹のマークシート以外には………」
彫刻刀と接着剤を構え、にやりと笑って
「何をしても………」
彫刻刀を持った方の手を振り上げ
「自由ですからぁ!!!!!! アーヒャッヒャッヒャッヒャッヒャァ!!!」
一気にアフォしぃの目に彫刻刀を突き立て、間髪入れずに接着剤を流し込む。
「ギィィィィィ!! オメメガァ! イダイヨォォ!! シィノ オメメェェェ!!」
「うるせぇんだよこのゴミクズがぁ!! 手前らはおとなしく刺されてりゃいいんだよ!!
 食らえッ 食らえッ 食らえェェ!!! アーヒャッヒャッヒャッヒャッヒャ!!!」
すっかりアヒャったモララーは、しぃの顔面に所構わず彫刻刀を突き立てている。
「アヒャッ! アヒャッ! アヒャァ! 逃げれるなら逃げてみろォ!! 
 さもなきゃ即死だァ!! ヒャッヒャッヒャッ!
 ん? お前ら、何をぐずグズしているゥ!? さっさと始めろォ!!
 この俺にこいつらの悲鳴のシャワアを、浴びせるンだぁ……! ゲーッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!!」
アヒャったモララーに面食らったような表情をした受験生達だったが、
直後に試験開始のチャイムが鳴ったので、皆が一斉に彫刻刀を手に取った。

278 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/15(土) 11:27 [ Z/MYBrUo ]

あちこちから上がる、金切り悲鳴 

(よっしゃ! 勉強してきて良かったぜ! オラ!)
順調に彫刻刀をサクサク腹のマークシートに刺していく者もいれば
(ちっきしょう! 外れたじゃねぇか! テメエのせいだッ このやろっ このやろっ!!)
ヤマが外れたのか、早くも八つ当たり気味にしぃの手足や顔に彫刻刀を突き立てる者もいた。
(にしても、何で彫刻刀なのかしら? 電動ドリルの方が楽しいのに………)
……………………………………。

「…………はい、そこまで! 筆記具を置いてください!」
精神安定剤を注射され、ようやく落ち着いたモララーが終了を告げる。
「ではこれから、マークシートを回収します!」
モララーの合図で、男達が動き出す。
但し今度は、手にカミソリや段ボール箱を持って。

しぃは苦しそうに、ぜいぜいと息をしていた。
彫刻刀による傷は浅い分、致命傷には至らない。単に激痛を提供してくれるだけだ。
そんな激痛にあえぐしぃの前に、男が立つ。
そして、手にしたカミソリでしぃの腹のマークシートを縁取るように、切り傷をつけていくと

ベリベリベリッ!!!

「グバァァァァッッッ!!??」

次々と男達は、しぃの腹の「マークシート」を剥がしていく。
一瞬心配そうな表情を見せた受験生だが、モララーの
「あ〜、心配はいらんよ。皮だけ剥ぐわけじゃないから。
 その下の筋組織ごとはぎ取るから、マークシートは破れないよ。見てみな。」
の言葉で、安堵の表情を見せた。
確かに、しぃは腹筋をえぐり取られ、内臓が見えている。
言うまでもなく、虫の息だが。

そしてカミソリがマークシートを回収したその後ろから、段ボールがしぃを回収していく。
もう絶命しているのもあれば、虫の息のものも………
ま、ここでどうあれ、全員焼却炉行きなのだが。

全員のマークシート回収が終わったところで、モララーが
「はい! ではこれで、一時間目は終わりです。お疲れさまでした!
 まだ試験はこれからですが、みなさんがんばってください!」
と言い残し、男達と一緒に教室を出ていった。

279 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/01/15(土) 11:30 [ Z/MYBrUo ]

本日は、センター試験。
受験生達の、一年の苦労の成果を試す
天国と地獄の分かれ目の日。

あなたは、どうでした(どうです)か?

280 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2005/01/15(土) 23:20 [ VHwT1UWo ]
【センター試験前夜】 1/4


センター試験時間割

1日目
1時間目 被虐AA言語 (しぃ ちびギコ おにーに 昨年よりモララーも加わった)
        被虐側の言葉を理解し、虐殺や虐待を円滑に出来るかを見る。
2時間目 虐殺史・虐殺板 (2ch虐殺史 アブ板虐殺史 被虐AA史 虐殺2ch板 虐殺外部板)
        加虐と被虐の歴史やその地理について理解しているかを見る。
3時間目 虐殺実戦 (しぃ ちびしぃ ベビしぃ)
        被虐AAの生態や生体の特徴をしっかりと把握し実戦出来るかを見る。
4時間目 虐殺実戦 (ちびギコ ちびフサ ベビレコ おにーに)
        被虐AAの生態や生体の特徴をしっかりと把握し実戦出来るかを見る。
5時間目 虐殺実戦 (モララー その他AA)
        被虐AAの生態や生体の特徴をしっかりと把握し実戦出来るかを見る。

2日目
1時間目 加虐言語
        加虐の際の言葉で被虐側にどれだけの影響をもたらせるかを見る。
2時間目 虐殺理論 (しぃ ちびしぃ ベビしぃ ちびギコ ちびフサ)
        被虐AAを何処まで追い詰められるか計画を練り実戦での活かし方も見る。
3時間目 虐待理論 (おにーに ベビレコ モララー その他AA)
        被虐AAを何処まで追い詰められるか計画を練り実戦での活かし方も見る。
4時間目 虐殺原理 (虐殺倫理 加虐法 被虐法)
        加虐・被虐両者の法や心理面について理解しているかを見る。

持ち物について
実戦や理論にはナイフや包丁が必要になります。本数制限はありませんが常識の範囲で持参しましょう。
研ぎ石の持ち込みは禁止されていませんが、飛び出しナイフは今年より禁止になりましたので気をつけて下さい。
銃や火気は使用でなく持ち込みだけで不正とみなされます。耳栓の使用は認められていません。
医療器具は監督許可を得てから持ち込んでください。時計はアラーム機能などのないものにして下さい。
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281 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2005/01/15(土) 23:21 [ VHwT1UWo ]
「今年から飛び出しナイフは禁止になったモナね……」

明日からのセンター試験を前に、つーが少しだけ緊張した面持ちで荷物を確認している。
その横でモナーは、つーが学校でもらってきた要綱の持ち物についてを読み上げてやっていた。

「アア 包丁トカ 普通ノ ナイフトカ ダケデ 仕込ミ系ハ 禁止ナンダトヨ」

確かに要綱には包丁や仕込ではないナイフは何本持ち込もうと、研ぎ石を幾つ持ち込もうと構わないが仕込み物は禁止とある。

「モナが使った思い出の飛び出しナイフをお守りがわりに貸してあげようと思ってたのに、残念モナ」

モナーがしょんぼりと、ポケットにしまっていた飛び出しナイフを取り出した。

「オオー イイ ナイフジャネーカ! 不正ガ 頻発シナキャ コレヲ貸シテ 貰エテタノカ 勿体ネー」

モナーの手に置かれた業物の飛び出しナイフに、つーがキラキラと目を輝かせる。
懸命に砥がれたらしいナイフは、まるで鏡面のように覗き込むつーの姿を映し出していた。 

「そういや、ここ数年。センター試験に飛び出しナイフを装った仕込み銃とか携帯電話の形をしたレーザー銃とか
不正の話が多かったモナ」

モナーが溜息混じりに憂う通り、センター試験の問題内容と回答を載せる紙面の近くで不正についても述べられるのが
最近の常である。

「ソコマデシテ 点取リニ 必死ナッタッテ 仕方ネート 思ウンダケドナ」

つーは使えない飛び出しナイフをモナーにかえし、自分の得物である包丁を入念に研ぎなおし始めた。

「大学に入ってからのが重要なのに、入るのが重要だと思う香具師が多いことのあらわれモナ。
だけど、つーちゃん勉強しなくても大丈夫モナ?」

つーを手伝い、包丁を一緒に研ぎ始めたモナーが苦笑いしながら隣の受験生に尋ねる。

「アヒャ? 別ニ 今更 アガイタッテ 点数ナンテ カワラナイダロ」

刃の具合を光に晒して確かめながら、つーが笑った。

「そうでもないと思うモナ。つーちゃんは昔から諦めが早すぎるモナ。モナはもうちょっとギリギリまで頑張ってたモナ」
「嘘言ッテルンジャネーヨ コノ 白ダヌキガ! モナーノ 諦メハ 早カッタッテ 噂ダゾ
先生ダチガ 筋ハ 良カッタノニ イツモ 適当ナ所デ 気ガ抜ケテ 失敗バカリダッタッテ 言ッテタカラナ」

モナーが偉そうに説教したのを聞いて、つーが手に持っていた包丁をつきつけながら嘘を暴く。

「同じ高校に通ってた香具師だと昔の噂を聞かれて、説教一つするにも嘘がつけないモナね……。だけど明日の試験中だけは
しっかり諦めずに頑張るモナよ?つーちゃんはモナと一緒で最期の確認が甘い所が多いから心配モナ」

モナーはつきつけられた包丁を流すように避けつつ、つーの手からスルリと包丁を奪ってしまった。
大学で虐殺行動学を専門に学んでいるモナーには、つーの行動などお見通しなのだろう。
にっこりと余裕の笑みを見せたモナーは、まるで剣でも捧げるような丁重な仕草で包丁をつーへとかえす。

「アヒャヒャ 心配スンナ! チビギコ モ オニーニ モ シィ モ 他ノ被虐AAダッテ モナー ト 一緒ニ
アンナニ沢山 虐殺シテキタジャネーカ 急所モ 臓器ノ場所モ 方法ダッテ チャント 理解シテルッテ
ペーパー試験ジャナクテ 実戦系テストナラ 向カウトコロ敵ナシダゾ オレハ!」

かえされた包丁をケースにしまいながら、心配性のモナーをつーが笑い飛ばす。

「でも、この間。聞き取り抜き出し問題で腎臓なのに心臓を持ってきたことがあったモナ。
分かってても早とちりしたら意味が無いモナ。それに10回目の切つけで致命傷を負わせろって問題で
ちびギコの言葉に逆上して3回で殺したしのは誰モナ。それから命乞いをさせろって問題なのに
しぃの声はうるさくて嫌いとかって理由で最初に喉を潰したってのもあったモナ」

モナーはつーの今までの失敗をスラスラと口に乗せ、冷や汗まみれになる姿を愉しんでいるようだった。

「…ア、明日ノ試験ハ チャント 見直シクライ ヤルカラ 平気ダ!」

つーがモナーのいつまでも続く失敗談を叫んで遮る。
その時、部屋の扉がトントンと静かにノックされた。

282 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2005/01/15(土) 23:21 [ VHwT1UWo ]
「失礼します。お茶をお持ちしました。準備ははかどっていますか?」

つーの母親が、2人分のケーキと紅茶を持ってしずしずと部屋に入ってくる。

「あ、お母さん、いつも気を使ってもらってスイマセンモナ」
「いえいえ、こちらこそ本当は授業の日じゃないのに、わざわざ様子を見に来てもらって申し訳ないですわ。
こんな手の掛かる子の面倒を見てもらって、いつもありがとうございます。
今回の受験だって先生がいたから、諦めていた志望校の受験もさせてみる気になったんですもの」

目の前に出された気遣いにモナーが恐縮したが、母親の方はニッコリと笑顔を浮かべて深々と頭を下げた。

「そういうお礼は受かったら嬉しく聞かせてもらうモナ。受験はこれからモナ!
だけど、そんなに緊張してなかったみたいで安心したモナ。様子を見に来る必要も無かったかも知れないモナね」

照れ笑いを浮かべながらモナーが、つーの頭をくしゃくしゃと撫でる。
モナーの手につーは少し迷惑そうな顔をしてみせたが、恥ずかしがっているだけで本気で嫌がっているようではなかった。

「いえ、先生が来るまでは右手と右足を一緒に出すくらい緊張してたんですよ。この子ってば口が悪い割に根が小心者だから」
「ウルセェ クソババァ!オレノ恥ヲ晒スナ!」

母親の苦笑まじりの暴露に、つーが怒鳴る。

「コラコラ、お母さんにそんなこと言っちゃ駄目モナよ?」

飛び出しナイフを首筋につきつけ、モナーは細い目をうっすらと開けてつーの瞳を覗き込んだ。
先程まで楽しそうに笑みを浮かべていた口元は開いた目とは逆にキツク結ばれ、
モナーの優しげな雰囲気は一転して恐ろしい虐殺者となる。

「……ゴ、ゴメンナサイ モウ シナイカラ…」

つーは掠れる声を必死に振り絞り、目を逸らすどころか瞬きすら出来ずに涙を浮かべる。

「せ、先生!」

我が子の危機にモナーの腕をつかみ、慈悲をすがるように母親が叫ぶ。

「っと、子供相手に悪かったモナ。お見苦しいところを見せてスイマセンでした。本日はこれでおいとまさせてもらうモナ。
じゃ、つーちゃん、明日の試験。頑張るモナよ!」

母親の声に我に返ったモナーは、ふっと表情をゆるめ飛び出しナイフを懐におさめた。
そして出されたケーキどころか紅茶にも手をつけずに立ち上がる。

「帰ッチマウノカ? 夕飯トカ 今日ハ 食ッテカナイノカ?」

圧力をかけられ息をすることさえ忘れるほどビビッていたというのに、つーはモナーが帰ると聞いて寂しそうに尋ねた。

「また今度、ご馳走になるモナ。今日は他の生徒の様子も見ないといけないモナ」

モナーは困ったように微笑んで、ムスッとした表情のつーの目を見えているのか疑問の残る糸目で優しく見つめる。

「ツマンネーノ」
「仕方ないでしょ。先生はお忙しい方なんだから」

納得しなきゃいけないのが分かりながら、つーが駄々っ子のように発した言葉を母親がいさめた。

「…やっぱり、コレつーちゃんにお守りとして貸しとくモナ。試験中に使えなくても会場まで持ってくだけで
気分が違うかもしれないモナ」

モナーが飛び出しナイフをつーの手に預けると、曇っていた表情が一気に明るくなる。

「なぁ、コレ。試し切りしてもイイのか?」

つーは手に握らせてもらった飛び出しナイフで空を切りながら尋ねた。

「元々試験中に使ってもらうつもりで持ってきたモナ。使って構わないモナ。
だけど試し過ぎて疲れると明日の試験に差し障りが出るから気をつけるモナよ!」

飛び出しナイフの使用許可を貰ったつーは、モナーの注意も右から左な様子で風のような速さで部屋から出て行く。
そして数十秒後、階下で被虐AA達の悲痛な声が次々とあがった。

283 名前:逝犬 (sM/gOdog) 投稿日:2005/01/15(土) 23:22 [ VHwT1UWo ]
「スイマセン、先生。あの子ってば本当に子供っぽくて…お帰りになる先生に挨拶しなきゃならないのに虐殺に夢中なんて…
本当に礼儀がなってなくてゴメンナサイね」

モナーを見送るため玄関に立った母親が、頭を下げる。
つーの母親は、尊大な子とは裏腹に謝り癖がついているようだった。

「ハニャ…オナガイ……タスケ…シィィィィィィィ―――ッ!」

つーが殺し損ねて玄関に逃れてきたしぃをモナーが首を捻ってあっさりと絶命させる。

「いえいえ、可愛らしくてイイじゃないですか。それに可愛いのも後、一年くらいかもしれないモナ。
モナと同じ大学に入ったら、立派な虐殺者になってしまって可愛げなんて微塵もなくなると思うモナ。
モナなんか、昔は虐殺が嫌いで逃げ回ってたくらいだから、今から楽しめてるつーちゃんなんて、モナより素質があるモナ」

母親の言葉をフォローしつつ、モナーは次々と玄関へ逃れてくるAA達を殺していった。
淡々と作業のように効率よく虐殺をこなしていたが、モナーの顔には愉しそうな笑みが浮かんでいる。

「オバサン…タスケテ ホチィ デ……」
「またまた、先生ったら。ご冗談ばかりなんですから…。先生みたいな方が虐殺嫌いだったなんて
虐殺好きで心配されたと言われる方が、まだ真実味がありましてよ」

母親はニコニコとモナーの言葉を流しながら、鋭くとがった爪をちびギコに突き立てていた。

「ハハハ、モナに冗談は向かないみたいモナ。それではまた月曜に。イイ結果が出るのを祈ってるモナ」

モナーは扉を開けた時に脇に抜けようとしたオニーニの首を勢いよく扉を閉めることで落としてから外へ出る。
そして、つーの家の者が誰も見ていない場所まで歩みを進めてから、モナーは暗い雲に覆われた夜空を見上げた。

「モナはいつから、虐殺にためらいがなくなったんだっけ?あんなに怖かったのにな…」

モナーの脳裏に浮かぶのはいかにAAを殺めずに暮らすかを考え、勉強という名の虐殺から逃げていた高校時代。
筋が良いと褒められるたび、モナーは血にまみれた手が大事な物を掴めなくなっている様に感じていた。

「雪で試験なんか潰れちゃえばいいモナ」

降りだした雪ごときで虐殺が止まるわけがないのを知りながらモナーが呟く。

「僕にお布施をして欲しいんだからな」

道路脇にて尊大な態度で物乞いをするモララーの前で、モナーの足が止まった。
素早く手を動かしたモナーが、モララーの前に置かれた壷の中にドサリと何かを入れる。

「貰って当たり前だから、お礼なんて言わないん…ガフ…ッ……」

再び歩き始めたモナーの背中に、モララーが掛けていた声が途中で止まった。
真っ白な雪の上に、モララーの吐いた血の染みが広がる。
壷の中にモナーが入れたのは、モララーから抜き取った心臓だった。

「モナはもう、戻れなくなったモナ。つーちゃん、受験失敗しないかな…」

血に染まった手のひらを寄せて、そこに溜まる雪で手を清めながらモナーが一人ごちる。

「一生懸命、モナが教えといて落ちるわけ無いか…」

モナーはかすかな雪ごときでは洗えない、血に濡れた手をハンカチで拭いながら、後ろを振り返った。

「うわ、ゾクッときたモナ。寒いなぁ…早く次の子の様子も見て、自分の家に戻って暖かい物でも食べるモナ」

モナーは寒さにブルリと震えた後、小走りで移動を始める。
モナーの後ろには踏みしめたことで黒く穢れた雪が点々と続いてた。

                                                        【センター試験前夜】 糸冬

284 名前:MR 1/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:22:11 [ uP3BQ8o2 ]
ダコハ開放戦線 2



<あらすじ>
桜町事件。
したらば市桜町三丁目を根城とするしぃグループが、数々の重犯罪を犯した事件。
そのバックには、国際しぃ犯罪組織、ダコハ開放戦線の影が見え隠れしていた。
>>202-217の続き


1、生き残り

寒風の吹く暮れの街を、一台の黒いセダンが走る。
運転席には制服の警官。その後部座席には、ギコ族の男が乗っていた。
彼の名はギコ内警視正。
対犯罪しぃ組織特務機関「しぃ綱紀粛正委員会」と
警察との橋渡しをする任務を負わされた、エリート警察官である。
彼が今熱心に読んでいる資料も、その任務に関するものであった。

「ダコハ解放戦線に関する調査報告書」
と銘打たれたそれには、今回戦うことになる国際犯罪しぃ組織、
ダコハ解放戦線の「戦果」が記述してある。

死者321人、負傷者3556人を出した、モナンスでの地下鉄爆破テロ。
政府要人12人が殺害された、モナゴル議会での自爆テロ。
モナリカ大使館員人質事件……
かつて世界を震撼させた事件ばかり。
この組織が今度はこの国に狙いをつけ、徐々に潜入を開始しているというのだ。

(1ヶ月前の桜町での事件以来、全国各地でしぃの集団暴走が激化し始めている。
その裏には間違いなく、ダコハ解放戦線の触手が延びているのだが、
いまだ大きな手がかりはつかめない…)
ギコ内は捜査の遅滞に焦燥感を覚えつつ、資料をかばんに収める。
タバコに火をつけ、もやもやした気分と共に煙をはいた。
すると

285 名前:MR 2/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:23:04 [ uP3BQ8o2 ]
「ケムチャーヨウ! クチャーヨウ!」
ギコ内の隣の席に置かれたちいさな檻の中で、
白いぬいぐるみのような物体が、けほけほと咳をしながら泣き出した。
しぃの幼生、ベビしぃである。
眠っていたベビが、タバコの煙で目を覚ました様だ。
「クチャーヨウ! ケムチャーヨウ! マンマ! マンマ! ビエーーーーーーーーーン!!」
「ウゼえんだよ糞虫が!ぶっ殺すぞ!」
運転手は余程しぃが嫌いと見え、ベビのウザ泣きを聞くや否や罵声を浴びせた。

ギコ内は慣れた手つきで、ふところからマシュマロを取り出し、
ベビの檻の中に2〜3個投入する。
「ハナーン! マシュマロサン デチュヨウ!!」
目の前に転がってきたふわふわのお菓子に、泣きっ面はどこへやら。
ちぃちぃ言いながらそれにがっつき、「オイチイ!」と感想を述べる。
「何がオイチイだ。媚びやがって…」
「済みませんフサ幸さん。ラジオ、つけてくれませんか?」
フサギコの警官は、上司の前で見境なく怒鳴ったことにハッとした様子だった。

たかがベビの泣き声を聞いただけで、この警官の立腹ぶりは尋常ではないが、
これが民衆のしぃに対する感情の、端的な例である。

「今朝6時過ぎ、したらば市上野の県道で、近くに住む
モナ下さん82歳が殺害されているのが発見されました。
同日、市民が近くに住むしぃグループ5匹を、しぃ対法により処刑しました。
県警の調べによればしぃらは、ダッコを拒絶されたのに腹を立て…」

ラジオから流れるこんなニュースに、慣れっこになってしまう程
しぃの犯罪が身近に、そして頻繁に起こっていれば、
彼の様になるのも無理からぬことであり、
しぃを司法にかけずにぶっ殺せる「しぃ対策法」なるものが成立してしまうのも、
道理なのであった。

やがて車はしたらば東警察署のロータリーにとまる。
颯爽と降りたギコ内の右手には、ベビ入りの檻がぶら下がっていた。

286 名前:MR 3/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:23:49 [ uP3BQ8o2 ]
「恐縮です。警視正自ら御足労下さるとは…
どなたか代理の方がいらっしゃるかと思っておりました。」
「いえ、私がお願いした作戦ですから。
それにダコハ関係の捜査には、私自身なるべく足を運んでおきたいので。」
警察署二階にある刑事課の一角で、ギコ内はフーン族の男と握手を交わしていた。
彼の名はフーン田。あざ笑うかの様に微笑しているが、
それはこの種族の身体的特徴で、他意はない。

「チィチィ!! ポンポン チュキマチタヨウ!! アマクテ ヤワラカイモノ ヨコチナチャイヨウ!!」
握手の最中、ベビが突如騒ぎ出した。
部屋にいる刑事たちが、何事かと見る。
「それですか件のベビというのは。」
「ええ。桜町事件で生き残ったベビです。こいつを使います。」
「ナンデチュカ コノ バカフーンハ!! チャッチャト ゴパン ヨコチナチャイ!!」
口をへの字にし、顔肛門を高揚させて激怒するベビの檻を、フーン田は受け取る。
「なるほど、典型的なアフォベビだ。」
プッとふきだし、ギコ内と数人の刑事とともに、会議室へと向かった。
今のは本当の嘲笑である。

287 名前:MR 4/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:24:31 [ uP3BQ8o2 ]
「ベビをおとりに使う?」
ギコ内、フーン田から説明を受けた捜査員は、思わず声を上げた。
ギコ内は続ける。
「ベビは桜町事件唯一の生き残りだ。
周囲のしぃグループが接触し、保護する可能性はある。」

ベビを野放しにし、接触してきたしぃグループを監視、
ダコハ解放戦線の情報を得ようという作戦らしい。
「2人はこれから27時間の間ベビを監視し、カラスや車などから
保護してくれ。もう2人は、ベビに装着した隠しカメラのモニターを頼む。」

捜査員たちはしかし、不確実要素の多い作戦に、顔を見合わせる。
「我々でも、死んだと思っていた仲間が現れれば、
それを無視することなどしないはずだろう。」
「ですが、奴らはアフォしぃですよ?」

そう、アフォしぃなのだ。
奴らに我々の常識は通用しない。
ただダッコと交尾による「シィノマターリ」の具現にのみ歓心し、
その為には他者の利害など、一毛も慮ることない。
自己耽溺の究極的愚物の権化と形容するも、なお百年にも極めつくすに及ばぬ。

「それに、我々が監視している間は問題ないでしょうが、それも明日までです。」
「ベビを保護したしぃが、ダコハと無関係の可能性も…」
捜査員の意見はいちいちもっともである。
だがギコ内の提言は、そうしたペシミスティックな憶測を踏んでのことなのだ。

「ベビが単独で生存できる27時間の間に、
しぃがベビを保護しなければ、作戦失敗とみなすしかない。」
彼は口を開いた。
「桜町事件のしぃグループは、ダコハ解放戦線と接触していた。
あれから1ヶ月。
この町に、さらなるダコハの根が伸びているのは間違いないだろう。
甚だ確実性は心もとないが、今はこんな策をろうしてでも、
連中の情報をつかまねばならないんだ。」

そう説明するギコ内の眼には力があった。
フーン田始め5人の捜査員達が決意を固めるに十分な力が。
「チィノ マンマ! ハヤク モッテ キナチャイヨーーーーー!!」
食事の催促に終始するベビ。
その稚拙さ暗愚さが、彼女に過酷な運命を強いるのを知らない。

288 名前:MR 5/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:25:07 [ uP3BQ8o2 ]
2、あるしぃの日記


10がつ11にち
今日は3丁目の、しぃみちゃんと、しぃかちゃんといっしょに、
ギャクサツチューのガナーを、セイバイしました!
しぃは、お腹のべびちゃんのために、甘くて柔らかいものを
いっぱい食べないといけないの。
だからシュークリームをくれるべきなのに、ダメっていったの。
だから、ガナーのぽんぽんを蹴ったの。そしたら
「お腹がー、赤ちゃんがー」って泣いちゃったんだよ!
いいきみ!
2chのアイドル、しぃちゃんのマターリを妨害するヤシには、
しかるべき報いがひつようだね!

でもしぃのお友達のルーシィちゃんは、
「なんてひどいことを!」ってすごく怒って、悲しんでた。
このかわいいしぃちゃんに、意見するなんて、
すこしウザく思いました!プンプン!


10がつ20にち
しぃの赤ちゃんが産まれたよ!
とってもちいさくて、とってもかわいいの!
しぃのちびちゃんも、とっても喜んでたよ!
「ちぃちぃ」って泣いて、おちちをほしがるの。
でもうまく飲めなくて、ちょっと飲んだら、休んで、また飲むの。
うんちさんも、自分でできなくて、しぃがぺろぺろしないと、出せないの。
しぃがあっためてあげないと、「さむいよう、さむいよう」ってふるえるの。
しぃのべびちゃん、かわいいべびちゃん。
かわいいべびちゃんは、しぃの宝ものだよ。
3丁目の、しぃみちゃんと、しぃかちゃんにも
べびちゃんがうまれたけど、
しぃのベビからすれば、あめーば同然だね!

289 名前:MR 6/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:25:41 [ uP3BQ8o2 ]
10がつ22にち
今日も元気にしぃしぃしぃーーー!
ヴァカモナーの畑から、ダイコンさんをもってきたよ!
かわいいしぃちゃんにもらわれて、ダイコンさんもマターリだね!

ルーシィちゃんは、
歌をうたったり、くつみがきをしたりして、お金をもらって、
それでごはんを食べてるの。

ギャクサツチューの畑からもってきてあげれば、
野菜さんもマターリ、しぃもマターリなのに。
まったくルーシィちゃんも、もう少しオツムを使うべきだよね。


11がつ1にち
ベビちゃんがしゃべったの!「ママ」って言ったの!
しぃかちゃんやしぃみちゃんのベビは、
まだ「チィチィ」ってしか言えないの!
やっぱりしぃのべびちゃんは、ゆうしゅうだね!


11がつ4にち
最近ルーシィちゃん、知らないしぃちゃんと話しをしてる。
ダレ?って聞いたら、「ダコハかいほーせんせー」のひとだって。
その人から、ルーシィちゃん、お金や食べものを、
一杯もらってくるんだよ!
しぃもエクレアもらっちゃった!
でもルーシィちゃんは、複雑な顔。へんなルーシィちゃん。

290 名前:MR 7/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:26:11 [ uP3BQ8o2 ]
11がつ25にち
ちびギコくんとフサギコくんと、ベビギコちゃんがいたので、
「おねえさんと、エッチなことしない?」ってさそったら、
暴れん棒を8時45分の将軍様なみに大暴れさせて、
「ごりゅあ!なめろデチ!」っていってきたので、
らんこうパーティーにとつにゅうしました。
ちびちゃんも、もうぬれぬれで
「はやくいれてください!」だって!
べびちゃんも、はじめてのエッチにだいこうふん!
「ちぃ!ちぃ!ちぃ!ちぃ!」「みゅ!みゅ!みゅ!みゅ!」
ってあえぎごえがはげしくなって
「ちぃーーー!」「みゅーーー!」っていっしょにイったの!

そのときルーシィちゃんが来て、
「そんな道の真ん中で、どうしてそんなことできるの!?
もうお願いだから、やめて!」
って泣くんだよ。
仲間にいれてもらえないからって、泣くことないのに。


11がつ26にち
3ちょうめの、大きなお家が、なくなっちゃったよう。
ギャクサツチューに壊されたんだって。
そこに住んでた、しぃみちゃんとも、しぃかちゃんとも、
それいらい会ってないよう。
ふたりのべびちゃんも、大丈夫かなあ。


12がつ20にち
ハニャーン!しぃ、ニソシーソしちゃったみたい!
ちびちゃんもベビちゃんも、大きなぽんぽんをさすりながら、
「かわいいちぃのべびちゃん、はやくナコしちゃーよう!」
って楽しみにしてるよ!
おやこいっしょに、もうすぐうまれそうなの!

291 名前:MR 8/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:26:52 [ uP3BQ8o2 ]
12がつ24にち
きょうは、クリスマスイブなので、べびちゃんに
真っ白なセーターをプレゼントしました。
「チィチィ! ちぃのセーターでちゅよう!ぬかーよう!」
って大喜び。
そしたらモララーが来て、
「ベビちゃん、すごくにあってるね。
僕も君に、サンタクロースさんの
いしょうをプレゼントしたいんだけど、いいかな?」
って優しくいいました。
「ちぃちぃ!!ほちゃーよう!!」
べびちゃんはおおはしゃぎ。ちびちゃんも
「モララーにしては上出来です。早くよこしなさい!」
って言ったの。
そしたら
モララーはべびちゃんの体を左手で持ち上げると、
まるたのような太い右うでで、べびちゃんのポンポンを叩きました。
ぼごん
ってすごい音がして、べびちゃんのお口から
さっき食べたカレーまじりのゲボが出ました。

モララーは何度も何度も、べびちゃんのぽんぽんを叩きました。
固定されてないオテテとアンヨとオツムが、叩かれるたびに、
ぶん、ぶんって、前後にゆれました。
べびちゃんはそのたびに、「ナゴ!!」「ナゴ!!」って声を出しました。
やがて「ごぼ!!」「えぼ!!」って声になって、
ついにお声のかわりに「びじゃ」「ぶちゃ」っていう
ミンチのお肉を叩くような音になりました。
そのうちに、べびちゃんのアンヨの間から、
まっかな何かが、ちょっとずつ出てきました。
やがて「びちゃ」って落ちました。

それはべびちゃんの赤ちゃんでした。
お顔が半分なくなってて、半分が左肩にめりこんでました。
ぽんぽんから白い骨が飛び出て、ピンクと白の、つぶれたはらわたが
あなるやオマソコから「ぶりゅぶりゅ」って出てました。

しぃもちびちゃんも、何もいえませんでした。
ぴくりとも動けませんでした。
ただはにゃーん、はにゃーんって泣きました。
しぃーしぃーって叫びました。
その間も、モララーは、いっぱいべびちゃんのぽんぽんを叩きました。

292 名前:MR 9/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:27:30 [ uP3BQ8o2 ]
やがてモララーは、
ハンドボールの選手がゴールに球を投げつけるように、
べびちゃんを地面に叩きつけました。

しぃとちびちゃんが駆け寄ると、
「ェボエ!」
と言って、すごい量の血を吐き、白いおべべを
真っ赤に染め上げました。
ぽんぽんはひきにくになっていました。
ダッコすると、「ぶちっ」て上半身と下半身がさよならしました。
「ははははは!
べびちゃん、サンタクロースさんと同じ、赤と白のお洋服だね!
僕のプレゼント、気に入ってくれたかな?」
モララーは、凄く嬉しそうに言いました。
ハニャーン!ハニャーン!
しぃとちびちゃんは、いっぱい泣きました。
しぃは地獄の死神から、地上最悪のプレゼントをもらってしまいました。


12がつ25にち
ちびちゃんが、赤ちゃんを生みました。
でも、みじゅくじでした。
まだオテテもアンヨもできてなくて、生まれてきて
びくびくって動いて「きちぃ」ってないたら、
動かなくなったの。
ちびちゃんは気が触れて、
「べび…しぃの…べび」ってうわごとを言うの。
しぃは悲しくて、つらくて、はにゃーんはにゃーんて泣きました。

12がつ26にち
きょうルーシィちゃんが、
迷子になってたしぃかちゃんのべびちゃんを、連れてきたの。
凄くお腹がへってて、ちぃーちぃーって泣いてたんだって。
「お母さんは、どうしたの?」
って聞いたら、ギャクサツチューに殺されたって。
しぃは悲しくなって、「ビエーーーン!」って泣きました。
ダコハのひとも、
「すごく辛い目にあったんだね。でも大丈夫だよ。
ダコハかいほうせんせんがついてるから、安全だよ。」
って言いました。

293 名前:MR 10/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:28:10 [ uP3BQ8o2 ]
3、危険なしぃ


粉雪が舞う、師走の空。
この超高層ビルの窓から見える宵闇の都心は、
漆黒の宇宙を飾る恒砂の星々に似て
まさに百万ドノレの夜景と言うに相応しいだろう。
その部屋では、デスクに向かい、一心に報告書に目を通すモララーと
それを提出したであろう、ギコの2人がいる。
エアコンの静かな換気音以外は、彼らの間を静寂が支配していた。

「ベビはダコハに関するしぃに保護され、
作戦は、成功。ってところか」
モララーが口を開く。
彼こそが「しぃ綱紀粛正委員会」のトップである、
モララー委員長だ。
「はい、その一味のしぃの日記を一時接収し、コピーをとりました。
現在も、そのしぃグループの監視を続けております。」
彼の目前にいるのは、ギコ内警視正である。

報告書を読み終わったのか、トントン、と資料をそろえる。
「我々は、二つ、大きな情報を得たことになる。」
おもむろに、委員長が口を開いた。
「一つは、ダコハのテロしぃは、“優しぃ”である可能性が高いこと。
もう一つは、監視中のグループには“優しぃ”がいること。」
ギコ内も頷く。
「常識、良識を持ち合わせ、高い知能を有している点で、
アフォしぃとは一線を画するしぃ達ですね。
数百匹に一匹とか言われて、非常に希な存在と聞きます。」
モララーは頷くと、ヒュミドールから葉巻を取り出した。

294 名前:MR 11/11 投稿日:2005/01/30(日) 16:28:56 [ uP3BQ8o2 ]
「優しぃがダコハの中核をなし、末端のアフォしぃを操る。
恐らくそうした形態をとっているのだ。
アフォしぃほど御しやすく、使い捨てのきく兵隊はいない。
末端が逮捕されても、中核へのパイプ役が優しぃならば、
芋づる式に組織の上部があばかれる可能性は低い。」

ダッコ革命党他、多くのしぃ犯罪組織が
アフォしぃばかりの形態であったことを考えれば、
ダコハ開放戦線は恐るべき危険性を孕んだ、未知の組織と言えよう。

「しかし、来期の議会では、CCF編成法案が成立する見込みだ。
奴等の好きにはさせんからな!」
委員長は慣れた手つきで吸い口をカットする。
と、ギコ内がライターを差し出していた。
「すまんな。」
「そうなれば委員長をトップとして、しぃ関連の捜査網が一元化される他、
あなたの号令一つで動かせる軍隊も成立しますね。」
「テロしぃ鎮圧に特化するとは言え、確かに、CCFは軍隊だな。」

如何に犯罪しぃ限定とはいえ、軍を行使する力を一箇所にまとめるのを、
危険視するのは至極最もである。
だが、
警察や民間の虐殺社の変わりにテロしぃどもと戦い、血を流す。
民衆が、そうした兵たちを必要としているのも、現実なのだ。

ギコ内も、そのことは良く分かっていた。
委員長を非難するつもりではないが、
そうした物言いになってしまったことを、彼は恥じた。

「君もどうかね。コイーバだ。
あの著名な虐殺者が名前の由来らしい。
セブンスターもうまいが、葉巻もたまにはいいぞ?」
そうしたギコ内の内心を察するかのように、委員長は気さくだった。






                              <to be continued>

295 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/08(火) 00:50:01 [ .RCsbuIE ]

「ベビチャン ゴハンヨー!」
母親と思われるしぃの呼び声に、一匹のベビしぃがよちよちと母の元に歩いてくる。
「マァマ キョウノゴハン ナァニィ?」
「キョウノゴハンハ アマーイ オマンジュウダヨ!」
そう言うと母しぃは、饅頭を2つ取り出し、1つをベビしぃに差し出す。
「オイチチョウ! イタダキマーチュ!」
「アワテズニ ユックリタベルノヨ!」
ご満悦の笑みを浮かべて、ベビしぃは饅頭にかぶりついた。しかし
「……… ! イチャッ! イチャーヨゥ!!」
突然ベビしぃが、饅頭を放り投げて痛がり始めたのだ。
「ド ドウシタノ ベビチャン?」
「オクチノナカガ イターデチュ! トッテモ イターデチュ!」
「ドレドレ………?」
母しぃが、痛がるベビしぃの口を開けると
「アラ! ベビチャン ムシバサン デキテルジャナイ! ……コレハチョット タイヘンネ………
 ベビチャン オイシャサンニ ミテモライニイクヨ!」
母しぃはベビしぃを抱き上げると、町の方に出かけていった。

296 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/08(火) 00:50:22 [ .RCsbuIE ]

「ヨカッタァ ヤサシイ ハイシャサンガイテ」
やっととある歯医者で門前払いされず、しぃ親子は待合室に通された。
というのも、しぃ族は病院を始めとして、どこの公共施設でもひどく嫌われているのだ。
「疫病をまき散らしに来たのか!?」 「しぃ族が来ると、雰囲気が悪くなるのよ!」
「社会に何も貢献しないくせに、人並みに公共施設が使えると思ってるのか!? このゴミ共がッ!!」
などと、門前で叩き出されるのは日常茶飯事。
たまに入れてくれるところもあるにはあるが、そういったところでも
「しぃ族は、他種族の10倍以上の料金をいただきます」などと表記されている有様である。
しぃ族に対する差別など、無くならないのだ。

「マタ コンカイモ オカネヲタクサン トラレルンダロウナァ………」
既に自分の不遇を悟った様子で、母しぃがぽつりとつぶやく。
「デモ イイワ ソレデベビチャンガ ゲンキニナルナラ……」
ようやく名前を呼ばれ、2匹は治療室へと入っていった。

297 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/08(火) 00:50:43 [ .RCsbuIE ]

「どうなさいました?」
にこやかな仏スマイルを浮かべたモララーが、しぃ親子を見て話しかける。
「えーーと……… 本日はお母さんの方ですか? それともそのベビちゃんですか?」
その穏やかな語り口調は、多少萎縮していた母しぃも思わず
(アア ヨカッタ! コンナヤサシソウナセンセイデ!)と思うほどだった。
「ジツハ ベビチャンニ ムシバガデキテシマッテ……」
「ほう? では拝見させてください。ベビちゃん アーンして。」
子供用の治療椅子に座ったベビしぃは、素直に口を開ける。
「あらら。奥の方に大きいのができちゃってますね。でも、削ればどうにかなりますね。
 ベビちゃん、今まで痛かったろう?」
そう言ってモララーは、ベビしぃの頭を優しくなでた。
なでられて気持ちがいいのか、ベビも母親同様、うっとりした目つきでモララーを見つめる。
「じゃあ今からベビちゃんの虫歯の治療を始めます……。それでは、待合室でお待ち下さい。」
母しぃはモララーに一礼すると、待合室へと退出していった。

298 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/08(火) 00:51:05 [ .RCsbuIE ]

その後ろ姿をモララーは、先程の仏スマイルはどこへやら 
お定まりの、嫌悪のオーラがわき出している表情で見届けていた。
「………クソババァが……目にもの見せてやる………。」
モララーはそう吐き捨てると、今度は何やら色々道具の入っている戸棚へと歩を進めた。
そして「ゴミ虫用」と書かれた戸をがらりと開けると、中から何かをとりだした。
小さな、革製のベルトだった。
そしてそのベルトを使って、ベビしぃを手際よく椅子に拘束していく。
両手、両足。実に30秒もかからなかった。
頭以外の四肢を拘束されて不快なのか、ベビしぃは今にも泣きそうな顔でわめいた。
「アニャァ! ナーニヨゥ コエェ! ハナチテヨゥ!」
そんな涙目のベビしぃの前に、不動明王のような険しい顔をしたモララーが立つ。
「うるさいッ!! 黙れッ!!」
思いっきり拳を握りしめ、横っ面を殴り飛ばした。
「ジィィィィィッ!?」
体を拘束されているため吹き飛ばなかったものの、ベビしぃは首だけでも吹き飛んでいきそうな威力で殴られた。
「よくもまぁゴキブリ以下の分際で、のこのこと姿を現せたもんだな あぁ!?」
続けざまに、モララーは二回三回と、ベビしぃの横面を拳で殴る。
さっきまで優しく頭をなでてくれたモララーが、この変貌ぶり。ベビしぃは困惑した目をして口を開く。
「オジ……タン……… ナンデ?」
「俺はまだおじさんなんて年じゃねえェんだよ!! 食らえッッ!」
モララーのストレートパンチが、深々とベビしぃの顔面に命中した。

「ゴベッ!! ゴボッ! ベッ!」
モララーが拳をどかすと、ベビしぃは血反吐と、殴られて折れたであろう歯の欠片を胸の上に吐き出した。
モララーはその歯の欠片を手に取ると、にやりと笑ってこういった。
「おいゴミベビ、残念だったな。まだてめえの虫歯は抜けてねえみてぇだぜ。
 まぁ安心しな。抜けるまで『治療』は続けてやっからよ。無麻酔でな。
 いくら叫んでもいいぞ? この部屋の防音は完璧だからな!」
涙をボロボロ流しながら、すっかり歯抜けになったベビしぃは
体をブルブル震わせながら、イヤイヤと首を横に振った。

299 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/08(火) 00:51:36 [ .RCsbuIE ]

「なんだお前……? 口開けろよ。」
モララーは先程の「ゴミ虫用」の戸棚から、今度はドリルを取り出した。
何匹ものしぃの血を吸ってきたのか、黒く変色した血が付いたドリルは、耳障りな音を立てる。
恐怖心を煽る点では、これは抜群だったようだ。ベビしぃは口と目をギュッと 固く閉じた。
「おいコラ! 聞いてんのか!? 治療ができねーだろ!?
 オラ! さっさと口を開けろっつってんだろーが!」
モララーは鬼の形相で怒鳴るも、ベビしぃは相変わらずガタガタ震えながら目と口を固く閉じている。
「ふん……。それなら………」
モララーは固く閉じられたベビしぃの口をこじ開けるように、無理矢理右手の指をつっこんだ。
そして左手の指も同じようにねじ込むと、片手で上顎を
そしてもう片方で下顎を、それぞれ逆方向に つまりは口を開くように引っ張った。
「ア……ア……ア……ア………ヤベ……テェ………」
ベビしぃも何とか口を開かれまいと抵抗を試みるが、所詮はベビしぃの咬合力。
大人のモララーの腕力に、かなうはずもない。
そして

ボ グ ッ

「ア゙ァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
何かが外れるような、鈍い音がした。
見ると、泣き叫んで顔を横に振り回しているベビしぃの下顎が
更にブランコのように、左右に揺れているではないか!
そう。モララーが、ベビしぃの下顎を力任せに外したのだ。
「ゴミクズの分際で手こずらせんじゃねーよ!! 行くぞッ!!」
もはや口という最後の砦が陥落した今、ベビしぃは侵入者を受け入れるしか ない。

「アゲガガァァァァ!! ヤベデェ!!」
モララーは手に太い血管がぴきぴきと浮き出るくらいにドリルを握る手に力を込め、ベビしぃの奥歯を削っている。
もっとも、生え立ての柔らかいベビしぃの歯など、強力に力の込められたドリルはとっくに貫通して
今やその下の神経や血管に達している。
「ヂ ヂィィィィィィィ!!!」
血反吐と歯の欠片を吐き出しながら、ベビしぃは神経を直接削られるという
あらがうことの出来ない、まさに脳天にまで達する痛みを味わっていた。
思わず、ベビしぃは椅子の上で失禁してしまった。
直後、モララーがベビしぃの横っ面を平手ではり倒す。
「てめえッ! 白衣に小便飛ばしやがって! これがいくらするか知ってんのか!
 この白衣の一万分の一にも満たない価値しかねえ,ゴミの分際で!」
興奮したモララーの餌食となった歯はこれ一本にとどまるわけもなく
二本、三本と、ベビしぃの小さな奥歯が次々と、血を吹き出すクレーターと化していった。

300 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/08(火) 00:52:01 [ .RCsbuIE ]

「ドリル治療では虫歯は見つからなかったから、今度はこいつだ。」
ドリルをトレーの上に置くと、モララーは次にラジオペンチを持ち出してきた。
「ア アビャアァァァ……アヒャァァ………」    ・ ・
「……お前、どうせ俺がこいつを使って、一気に歯を引っこ抜くとでも思ってんだろ?」
モララーは、ベビしぃの前歯をラジオペンチで軽くつまんで問いかける。
「モ…モホ……ヤヘテェ………」
「……んなに俺ァ慈悲深くねーぞ! うおらぁっ!!」
ラジオペンチを握る手に力がこもった。
「ぺきっ」
何かが割れたような、軽く香ばしい音が鳴った。
そして、いくつかの破片がぱらぱらと床に落ちる。
モララーが、ベビしぃの前歯をペンチで挟みつぶしたのだ。
そして間髪入れずに、そのラジオペンチの刃先を、砕いた歯の歯茎に突き刺した。
「グ グゲェェェーー!! ギュエェェーー!!」
歯を砕かれるだけでも相当な苦痛だが、モララーは更に歯茎にペンチを突き刺して、歯茎をかきまわしている。
そして歯茎を散々かき回すと、モララーは砕いた歯の根をつまみ、引きずり出した。
「はい、これもハズレ。さ、次行くぜッ!」
またペンチで前歯を挟むと、今度は前後にグラグラと動かし始めた。
ペンチを、歯を、前後に動かすたびに歯茎から血が吹き出る。
「『リンゴをかじると、歯茎から血が出ませんか?』 ……ってか〜? 昔あったなぁ〜。
 出るよ、出てるよ、出てますって! もうっ 大っフィーバーさぁ! ヒャハハハハハ!!」
一人で楽しそうに笑いながら、モララーはまだ着いていた血管ごと、前歯を引っこ抜いた。

301 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/08(火) 00:52:26 [ .RCsbuIE ]

全ての歯が、ベビしぃの口から無くなった。
ベビしぃはもはや胸どころか、手足まで真っ赤に染めてぐったりしている。
まだ、息はあるようだが………
モララーはと言うと、ベビしぃに背を向けて、何やらカチャカチャ音を立てている。
察するに、何かを混ぜているようだ。「最後の仕上げ……」とかつぶやきながら。
そしてベビしぃの方を振り返ったモララーは、手にコップを持って近づいてきた。
「ゴミクズ。これで最後だ。これを口に注いでやるから、口をすすげ。」
モララーはそう言ってコップを差し出した。
「ハヒャァ………ホレレ………ヒャイホ………」
ベビしぃは全ての歯を抜かれ、老人の口のようにしぼんでしまった口を素直に開ける。
「ハヤヒュ………ハヤヒュ………」
そしてまさに注ごうという瞬間、モララーがベビしぃに話しかける。
「さて、ここで質問………。簡単な質問だから、答えて ね……?」
「…………??」
「歯の治療をした後に………一番やっては行けないことは………何でしょうか??」
「……?? ヘ……ヒャヒ………?」
「分からないか? じゃあ教えてやろう。正解は………」
モララーは、コップの中身をベビしぃの口の中に注いだ。
直後


ヒィンヒャアァァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!!


ベビしぃは、そのエメラルドグリーンのオメメが真っ赤になるほど目を血走らせ、
またこれ以上ないくらいぐわっと見開き
ベビの発するものとは思えぬような巨大な悲鳴を上げ
そして、全身をしばらくガクガクと痙攣させた後…………力つきた。
モララーの『治療』を遙かに上回る刺激による、ショック症状で………。

「正解は…………食物、特に刺激物を口にすること………でした………。
 もちろん、薄めても……ダメ。」
モララーはほくそ笑みながら、先程何かを作っていた方へ振り返る。
そこには、一つの瓶がおかれていた。
ラベルに、「The Source ※」と、書かれた……


※:The Source ……もちろん、ふつうにトンカツなどにかけるソースのことではありません。
          タバスコの約3000倍近い辛さを持つ、世界第2位の辛み食品添加物のことです。
         (ちなみに現時点の世界最強は『ブレア氏の午前6時(タバスコの約7600倍)』)  
          このレベルの辛さとなると、原液が皮膚につくと大火傷します。
          もちろん薄めたとしても、相当な破壊力ですが………
          今回のように、傷口に付着させるなどと言うことはもってのほかです。

302 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/08(火) 00:52:55 [ .RCsbuIE ]

「センセイ アリガトウゴザイマシタ」
「いえいえ。虫歯の方は『完全』に処理しておきましたから、ご安心下さい。」
母の腕の中で事切れているベビしぃを見つめて言う。
あの後、ベビしぃの体を洗浄、漂白、そして口には抜き取った歯を
いい加減に差し込み、接着剤で固定しておいたから、傍目には、治療室にはいる前と何ら変わりない姿である。
「アノ センセイ ウチノベビチャンナンデスガ……」
「? どうかなさいましたか?」
「イエ…コンナニキモチヨサソウニ ネムッテイルモノデスカラ……
 ナニカベビチャンニ シテクダサッタノカナァッテ」
(眠って……いる? こいつ、自分の子が事切れてる事も気が付かないのか?)
モララーは、思わず笑い出したくなる衝動をこらえて
「いえいえ。歯の治療の際に、ベビちゃんが痛くないように、全身麻酔をかけたんですよ。
 それで眠っているわけでして………」
「マァ! ベビチャンノタメニ ソンナニシテクレルナンテ…… センセイ! ホントウニアリガトウゴザイマス!」
(バカだ、こいつ! どこの医者が虫歯治すだけで全身麻酔かけるんだよ!)
「………それじゃあ……ププ……お大事に! ププッ!」
眉をぴくぴく引きつらせながら、笑いをこらえてモララーが手を振り、親子を見送った。

303 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/08(火) 00:54:18 [ .RCsbuIE ]

「ヨカッタワネェ ベビチャン! ムシバサンナオッテ!」
決して返事の帰ってこない、母しぃの一方的な会話が始まった。
「ソレニシテモ コンナチカクニ アンナイイ ハイシャサンガアッタナンテ…… 
 コレカラモ ムシバサンデキタラ アソコニイコウネ!
 マァ オカネハチョットカカルケド ベビチャンガ コンナニキモチヨサソウナンダモン
 ウデノイイ オイシャサンニ チガイナイワ!」
母しぃは、歯医者の領収書をひらひらさせながらつぶやく。
そこにかかれていたのは、治療費として10万エソ の請求額であった。
他種族の実に100倍近い費用で、ある。

一人、騙されていると全く気づいていない母しぃは
死体を抱えたまま、脳天気に家へと帰っていった………。
                       
                      終わり

304 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/14(月) 22:29:26 [ 1YFz5few ]

                             REVENGE

                      Torturing “afosee” to death

305 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/14(月) 22:29:56 [ 1YFz5few ]

夜風が程良く吹く、ある晩のことであった。
「ふーー。……少し、飲み過ぎたかな?
 ……まあ、いい。こうして夜風に当たっていれば、じきに冷めるだろう。」
仕事の帰りに一杯飲んできたのか、頬を赤らめたモララーが歩いている。
「やれやれ。もう、こんな時間か……。またガナーに、帰りが遅いって文句言われそうだな……
 ……確かに、まだあいつとは新婚ホヤホヤだよ? でも、酒飲んで帰るくらい、いいじゃねえかよ!
 しかもそれに便乗して、親父やお袋まで説教に乗り出すんだから、たまったもんじゃねえ……。」
モララーは両手を広げて、やれやれと言った様子で愚痴をこぼしているが
心の底から言っているわけではない。なにしろこのモララー、仕事先の同僚のガナーと
結婚して間もないのに、近所でも評判の もちろん本当に自他共に認めるおしどり夫婦なのだ。
モララーの両親と同居してはいるが、何の問題もない 極めて幸せな家庭。
これでガナーのお腹に新しい命が宿っていたら完璧なのだが、それはまだのようだ…… 

「ふぁ〜あ。やっと我が家か。」
新築の匂いがまだ残る一軒家の前で、モララーはあくびをする。
家の明かりは、ついていなかった。

306 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/14(月) 22:30:41 [ 1YFz5few ]

「あ〜あ。もうみんな、御就寝か………。
 俺が帰るまで、みんな鍵を開けて待っててくれよ……」
懐から鍵を取り出した、その瞬間

ごとっ がさがさ……

家の中から、不審な音。
モララーの胸の中が、ざわめいた。

(まさか……強盗? それとも……泥棒?
 まさか………まさか………)
はやる気持ちを抑えて、モララーは扉を開けた。
鍵は、かかっていなかった――

家の中に入った途端、モララーは異様な雰囲気を感じた。
それは、視覚からでも、聴覚から感じ取った物でもなく―― 嗅覚からのものであった。
家の中に、鉄の臭いが充満していたのだ。
もちろんモララーの家は、鉄工業も、はたまた鍛冶屋も営んではいない。
とすると、この鉄の臭いは……?

がさがさ…… がさがさ……

(この、家中に満ちた、鉄の臭い……それに、あの物音……… まさか……そんな……)
モララーの全身から、汗が噴き出す。口がかちかちと鳴り出した。
そして例の不審な物音は、居間の方から聞こえてきた。
自分の心臓の音が周りに響きそうなくらいの静けさの中、モララーは闇の廊下を静かに歩く。
そして、居間の扉の前に立った。

(誰だ……誰がいるんだ………?
 頼む! ……頼むから、俺の家族の中の誰かが、腹が減ったからレアステーキを喰っているとか
 そういうのであってくれ……! 頼む……!)

アル中患者のように震える手で、扉のノブを掴む。
そして

307 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/14(月) 22:31:20 [ 1YFz5few ]


ガチャッ!!

「誰だ!!」

意を決して扉を勢いよく、一気に開けた。
すると

「ハ ハニャッ!?」        . . . .
闇の中から、聞き慣れたある種族の声
そして

ガシャーーン!!

声を発したものが逃げたであろう、 ガラスを破る音がした。
「くッ!! この野郎、待てッ!!」
モララーは、急いで後を追おうとする……が
「!!」
足下に絶望的な感触を覚え、踏みとどまった。
ぬるりとした、なま暖かい、鉄の臭いを放つ液体を踏んだ感触………。
もう、その液体が何であるかは、言うまでもないだろう。
モララーは、震える手を必死に押さえつつ、部屋の明かりをつけた。

―――――――………………

部屋の明かりをつけない方が良かった ―――しかし、もう遅かった。

308 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/14(月) 22:32:29 [ 1YFz5few ]


    惨    劇


そう呼ぶことすら出来ない光景が、そこにあった。

床  壁  天井
テレビ  タンス  カーテン  ピアノ
机  椅子  電灯  本

部屋のありとあらゆる物が血で真っ赤に染まり、その中に3体の
これまた真っ赤のAAが倒れていた。


「あ……あぁ………あああ……! うわあぁぁぁ!!!」

血の海の中のAAの元に、モララーは猛然と走り寄った。

「おい! 親父ッ! 親父ィッ!! 何とか言え 親父ッッ!!!」
反応は、無かった。
「お袋! ……なぁ 頼むよ、目を開けてくれ! お袋!!」
モララーの呼びかけもむなしく、その体は既に冷たくなっていた。
そして
「ガナー……? なぁ、ウソだろ? ウソだよな? みんなで俺をからかってるんだろ!?
 みんなで部屋に鉄粉混ぜた赤ペンキぶちまけて、死んだフリしてるだけなんだよな? なあ!?
 もういいよ! 死んだフリは! だからはやく目を開けてくれ! ガナー! 早く! 開けろォ!!」
しかしモララーの絶叫の後には、しん……、とした、静寂。
この部屋の中で、モララーに返事をする者はいなかった。
父も、母も、そして最愛の妻、ガナーも……… 皆、事切れていた。


そ……ん……な……

あ……ああ………あああ…………ああああ………!!

309 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/14(月) 22:32:52 [ 1YFz5few ]



う わ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ ! ! ! ! ! !

310 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/14(月) 22:33:31 [ 1YFz5few ]

「………で、あなたが帰宅して、ここの扉を開けたら
 何者かがその窓から逃げて、部屋は既にこんな状態だった……と。」
「はい………。そう……です……。」
警官AAが、手帳にメモしながらモララーと話している。
モララーの家は、警官、鑑識、それと野次馬や報道陣でごった返している。
「まぁ、現場の痕跡や、あなたが聞いた泣き声から判断すると
 犯人は、しぃ……それも、アフォしぃ……ですね。」
「…………………」
「……あ、そ、それでは、今日はこの辺で………。
 また何か新しいことが分かったら、ご報告いたしますので!」
警官AAは、そそくさと立ち去っていった。


数日後
「はい、次の方 ……おや…… また、ですか……」
「すいません……先生……。」
ここ数日、モララーは近くの精神科に通っていた。

「やっぱり……まだ、ダメなのかね?」
「はい……。未だにあの光景が夢に出てきて……
 起きているときも何とか、処方してもらった精神安定剤で正気を保っている状態で……」
「しかし、これ以上薬を強くすると、君の体にも影響が……」
「このまま狂い死にするよりは、ましですよ………。」
「分かった。しかし………
 これ以上強い薬は、持ち合わせていないよ。これでもダメなら、もう無理だよ。」
「はい…………。」

処方された薬を手に、モララーは病院を後にした。
「これで………なんとかなるな………よし
 いよいよ、だな………。」
モララーの目が、鋭く光る。

…………犯人のアフォしぃを、絶対に見つけてやる………
絶対にこの手で、復讐してやる………
絶対に、すぐには死なせない………
じわりじわりと、すぐに死んだ方がいいと思うくらいに、なぶり殺してやる………!!
この俺から、愛する物を奪ったアフォしぃを
地獄の、奈落の底に 叩き落としてやる…………!!

311 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/14(月) 22:34:00 [ 1YFz5few ]


その日の午後から、モララーは町の中を歩いていた。
もちろん、散歩をしているわけではない。
アフォしぃの捜索だ。
しかし、しぃを探すなら、原っぱや土手のダンボールの中を探すのがセオリーのはず
……と、思っている人もいるかも知れない。
しかし、モララーには考えがあったのだ。

(お袋は、こんなご時世に未だにタンス預金をしていた………
 で、その金があの事件でタンスから消えた。
 言うまでもない。……アイツが、持ち去った。
 現金や通帳 総額で、300万ほどの大金を………
 …………アフォしぃのあの性格で、そんな大金を手にしたら
 果たして汚いダンボールの中で、じっと蓄えるだろうか……?
 絶対に………ない。おそらくは…………。)

その時であった。
「ハニャ―ン! ココノオ店モ 安物シカ ナイワネー!
 マッタク オ金持チノ シィチャンノ眼鏡ニカナウ高級店ハ ナカナカ無イワネェ………」

見るからに身分不相応な、毒々しい派手な恰好をしたアフォしぃが
悪態を付きながら服屋から出てきた。

「コンナ貧民街ニ 期待シタシィチャンガ 間違ッテタワ!
 コンナニオ金ガアッテモ コンナトコロジャ使イ切レナイワヨ アハハハハハハ!」
懐から数枚の万札を取り出して、見せびらかすように振りながら笑う。
1円や10円の硬貨でも、争って奪い合うほどの経済状態の
“普通の”アフォしぃの取れる行動ではない。

………間違いない………アイツだ………!!

312 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/14(月) 22:34:57 [ 1YFz5few ]

モララーは静かに、そのアフォしぃの所へ歩いていった………。

「ねぇ! ちょっと! そこの可愛いしぃちゃん!」
「ハニャ? 何ヨアンタ?」
振り返ったアフォしぃの目の前にいたのは、にこにこと笑うモララーだった。
「いやぁ……。こんなに可愛いしぃちゃんは、初めてみるなぁ……!」
「何ヨ? アンタシィチャンヲ ナンパシニ来タノ?」
「まぁ……そんなとこかな? あ
 よかったら、そこのレストランで食事でもどうかな? もちろん奢るよ!」
「フン マァ…モララーニシテハ 上出来ジャナイ
 分カッタワヨ ジャア 行キマショ!」
強く握り締められたモララーの手には、血管が稲妻のように浮き出ていた。

フガッ………フガッ……フガッ………

食事マナーもどこへやら、アフォしぃはまさに
獣のように汚く料理を食い散らかしていた。

「ハニャーン! マズマズノ味ジャナイ! モララーニシテハ エライジャナイ!」
「…………」
料理の味と、ワイン瓶丸々1本分の酔いとで、しぃは上機嫌だ。
「アトハ デザートネ! 特大パフェ 楽シミダワー!」
「あ…… しぃちゃん。ちょっと聞きたいんだけど」
「ハニャ? ナニ?」
「いや……こんなこと言うのも何だけど
 しぃ族ってさ、みんなその……あんまり、お金持ちじゃなくて……貧乏じゃない?」
「マァ フツウハネ」
「じゃあ、何でしぃちゃんはそんなにいい格好をしているんだい?」
「フン チョット前ニ アル家カラ モラッテキタノヨ」
「………と、言うと?」
モララーの声が、ややうわずる。
「ジジイト ババアト 若イ 弱ソウナガナーガ 住ンデイル家デネ
 コノシィチャンニ 泣イテ喜ンデオ金ヲクレタノヨ! キャハハハハハハ!
 ホラ コレヨ!」
酔ったしぃは見せびらかすように、持っていた鞄を広げる。
大量の1万円札が、乱雑に詰め込まれていた。
そしてその1万円札の山の中に一つ、形の違う物が。
預金通帳だ。
名前は、「藻螺崎 模裸世」 ………モララーの、母親の名前だ。
モララーの顔が、凍り付いた。

313 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/14(月) 22:35:38 [ 1YFz5few ]


「ハニャニャ………? ドーシタノヨ 固マッチャッテ! ! コレハ アゲナイカラネ!」
………もはやモララーには、しぃの言葉など耳に入っていなかった。

これで、ハッキリした………
俺の親父、お袋、そして、ガナーを殺したのは、こいつだ………!!
ついに、見つけた………!!

「……? マ イイワ チョット トイレニ行ッテクルネ!」
しぃが席を立って数秒後に、デザートがやってきた。
特大パフェと、極甘のココアだ。
ふっ とほほえんだモララーは、懐に手を伸ばした。
そして、何かの錠剤を取り出し、しぃのココアの中に落とした……。


「ハァ〜ア! デザートガ来テタノネ!
 ジャ イタダキマース!」
テーブルに着くのもそこそこに、しぃはデザートにかぶりつく。

「ム グッ! ミ ミズ……!」
急いで食べ過ぎたのか、喉にパフェを詰まらせたようだ。
すかさずモララーが、ココアを差し出す。
しぃはココアをひったくるようにして受け取ると、一気に飲み干した。
「ンッ……ンッ……ンッ……  パァッ!!
 ハァ 苦シカッタ! アリガト!」
「いいえ。どういたしまして。」
「ジャア パフェノ……ツヅ……キヲ………?」
突然しぃが、ふらふらと揺れる。
「ア……レ……? ナンデ……?
 ナ……ン……カ………ネ……ム………………イ………………………………」

ばったりと、しぃは机に突っ伏した。
先のモララーがココアに忍ばせた、睡眠薬によって……

――――いよいよ準備は、整った――――
 
あとは―――――

モララーは会計を済ませると、しぃを肩に担いで
足早にレストランを出た。

314 名前:ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/02/22(火) 16:47:15 [ XsQnAsuo ]
午前中編

俺は今朝、八時に起きて、コーヒーとマリファナ一発決めて
家を出た。俺は自転車で走っている途中、糞虫しぃ親子を見
つけた、俺はコソーリとつけて、親しぃの両足を掴み、力強
く振り回して電柱にたたきつけた、親しぃの叫び声が
「シィィィィィィィィ!」
なんだから、もう笑ったね、電柱に当たってかち割れた頭か
ら脳みそがドロリと出てきた。べビしぃのほうというと、
「ナッコスルカラタチュケテ」
なんていっているよ、笑ったね、俺は足でべビしぃを踏み潰し
てやったのさ、最高だろ?そうそう俺の名前はKって言うんだ。
覚えておいてね、糞虫を殺すことはまるで正義の味方って気分
だな、簡単に言うとタクシードライバーのトラビスと同じことかな。
俺は糞虫親子を地獄に送った後、ビデオ屋に入ったんだ。
俺は「ドラゴン危機一髪」「デルタフォース」「夜の訪問者」の
ビデオを借りると、俺はコンビニによって、スクリュードライバー
っていう酒を買ったのさ、それをコンビニの駐車場で飲んでいると
チビギコ二匹がゴミ箱漁っているんだよ、それで賞味期限の弁当を
食っていたんだ、俺はコンクリートのブロックでチビフサの頭に
思いっきり叩きつけたね、それで脳みそが飛び出るわ、目玉が飛び
出たね、
「ぎゃー!なんてことするデチか!」
なんてチビギコ言って、
「よくもフサタン殺したデチね!」
なんてほざいていたね、俺はチビギコをゴミ箱に入れて、マッチで
火をつけて、燃やしたんだ。チビギコは
「ギャー!熱いデチ!」
なんて叫んでいたよ、チビフサの死骸を燃えるゴミ箱に入れたね。
なかよく、チビギコを火葬させてやったよ。良かったね。

315 名前:ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/02/22(火) 16:48:19 [ XsQnAsuo ]
自転車で走っていると、糞虫親子四匹飛び出してきたんだ。俺は
自転車からおりてこういったんだ。
「あぶないじゃないですか!」
「ハァ、ナニイッテイルノヨ、カワイイシィチャンヲヒキコロソウナンテ、ギャクサツチュウネ!」
俺はナイフを取り出して、しぃの目を潰したんだ。そして、道路に
突き飛ばしたね、フルスピードのトラックに跳ね飛ばされて、しぃの
体ははらわたとか飛び出していたね、首はチョンパされていたね。
べビしぃ二匹とべビギコ一匹いてね。俺はこう言ったんだ
「ナッコさせてあげるよ」
「チィガサキ」
「ナッコ!ナッコ!」
一匹のべビしぃをダッコさせて、道路にほうり投げようと思ったけど
でぃがきたので、ダッコしていないもう一匹にこう言ったんだ
「次は君のばんだ」
「チィナッコ!」
ダッコしてやったべビしぃをでぃをくれてやったんだ、そしたらでぃ
はバリバリと食ったんだ
「ヂィィィィィィィィィィィ」
でぃに食われたベビの断末魔は凄かったね、でも俺はお腹をすかせた
でぃに食べ物をあげたんだ、俺ってヤッサシーって思ったね。
二匹のベビを自転車のかごに入れると、三菱自動車の販売店の前まで
きたんだ、べビしぃに販売店から拝借したガソリンをぶっ掛けて
火をつけたんだ、そしたら
「チィィィィィ!アツイアツイヨ!」
なんてほざいているから、頭を掴んで販売店にぶん投げたんだ。ガラス
がパリーンと破れてさぁ、販売店は一瞬にして火の海になったよ。
もう俺ってサイコーと思ったね。事故を隠した三菱に報復してやったよ。
俺ははやく昼飯を終わらせようとマックに入ったね、マックでハンバーガーと
コーラを注文したんだ、俺はべビギコをつれて、隣のガソリンスタンドの
トイレに入ったんだ、個室のほうじゃあ
「セクース、ワショーイ」
「ワッシィ!ワッシィ!」
なんてオニーニとワッシィがセックス楽しんでいたんだ。俺は隣の個室に
入り、べビギコを便器の中にいれたんだ。べビギコは
「ミュー♪」
なんていって喜んで水遊びしていたね。俺はトイレの掃除用具入れから洗剤と
塩酸を取り出して、べビギコの頭上にかけたんだ、そしたら凄い毒ガスが
発生して逃げたね。
「ミ゙ュュュュュュュュュュュュュュュュュ」
「ワジョーイ」
「ワッジィィィィィィィィィィィ」
もう笑いをこらえながら逃げたね、マックで食事を済ませた後、家に帰ったよ。

続く

316 名前:(゜д†) 投稿日:2005/02/23(水) 09:55:50 [ dRq9WR66 ]
「無題」

ピピピピピ・・・・・朝の通勤ラッシュ、
電車のドア閉まる瞬間一人の男が走ってきたメガネに
縦型の肩掛けバックびっしょりと汗を掻きながらソイツは電車に乗ってきた
醜く出た腹瓶底めがね・・・オタラーだ、先も行ったが今は通勤ラッシュ時
当然超満員であるにも拘らずソイツは汗を掻きながら駆け込み乗車をして来た
「ブヘェ〜ブヘェ〜・・・・」
・・・むさ苦しい息を吐きながら奴が電車内を歩くオタラーが
汗を掻くだけでもうここはサウナ状態だ、目も当てられない
「ドンッ!!」
オタラーが誰かにぶつかったしぃだ・・・
「イタッ・・・」
ぶつかられたしぃはつんのめって転んでしまった
「邪魔なところに居るなよぅ」
・・・喪前に羞恥心や謝るという心はないのですか?
そこへ一人のモララーが言った
「おぃっ!今のは明らかにお前からぶつかったぞ!」
「な、なんだと虐殺厨で被虐者のモララー如きが、ぼぼっ僕に意見するな!」
とうとうケンカが始まった、と言ってもオタラーのウザさに、
周りの乗客も切れていたのでほぼリンチ
「喰らえやオタ野郎!!」
「ぶふっ!!!」
モララーの右ストレートが顔面にモロに入りメガネが割れ
鼻血を噴出しながらオタラーはドアにぶち当たった、乗客からは
歓声が響く乗客たちもオタラーを蹴り殴りボコボコにしていった
「またり駅〜またり駅〜」
どこかの駅に着きドアが開く、と、オタラーはデブとは思えない速さで
逃げ出した「FUCK野朗!!」と捨て台詞を残して・・・
「大丈夫ですか?」
モララーがさっきのしぃに話しかけた
「あ、はいありがとう」
にこりとしぃが笑いこちらも笑いかける
乗客たちもスッキリした顔で電車を降りていく・・・
次の日こんな新聞が朝運ばれた
「オタラー氏(31)容疑者痴漢で御用!!
 容疑者は前々から痴漢容疑でマークされていたが
 今回モララー刑事の目撃によりタイーホ。尚犯人は暴行罪などもあり・・・」

END

317 名前:ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/02/24(木) 16:47:16 [ N5A6uDPM ]
午後編

しぃ殺す ベビ潰す 銃弾つきぬけ 地獄生き
火を吹いて 腹を裂き スーパーヒーローが舞い上がる
K Kはしぃぶっ殺したまま
K Kは梅川信者
大藪ヒーロー気取りだと お前は言ったね
大藪だけだと 退屈だと 教室で涙落とした
K 害虫駆除する正義の男
K Kがぶっ殺す
 
と俺は替え歌歌いながら、ベレッタAL391ウリカと
ワルサーP38の手入れをしていた、俺の愛用の銃だ。
この銃はしぃを虐殺するために使っているものだ。そうだ
忘れていた、俺は大学の経済学部で勉強している学生だ。
大学で研究していることがある、びぃの子供を飼育したら
どうなるかというものだ。家の外から
「キョウモゲンキニハニャンハニャン♪」
と騒音が聞こえた、俺はベレッタとワルサーと手にして
外に出た、しぃが三匹いた。しぃが
「ダッコシテジャナイトギャクサツチュウヨ」
とほざいているので、散弾銃のベレッタで撃ち殺した。
頭がどんぶりのようになっていた、となりのしぃは流れ弾が
当たったので
「シィィィィ、シィノオカオトオテテガ」
なんてほざいていたので、とどめを刺した。もう一匹は
「ダッコスルカラタスケテ」
なんて言ったのでワルサーで撃ち殺した、ダムダム弾入りのな。
害虫駆除したので、俺は自分の部屋に入り、大藪春彦の小説を
読んだ。

続く

318 名前:ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/02/27(日) 21:55:39 [ ucRtwuOc ]
二日目・午前中編

次の日、朝をおきて俺は自転車で近所のタカラギコの
ところに行った。俺は愛車のスバルレオーネのワゴンに
血と傷をつけたくないので、タカラギコのところに車を
借りに行くのだ、あいつならぶつけたって怒らないから
いいんだよ。奴さんの家に着いた俺は、車を借りた。
奴さんの車は赤のマツダコスモAPクーペだ。さっそく
俺はアクセルを踏み、車を飛ばした。CDデッキに俺の
好きな杉山清貴とオメガドライブのアルバムをいれた。
俺はこの曲を聴きながら車を飛ばすのは最高だったね。
さっそく道路で糞していた糞虫しぃを発見、アクセルを
フルスロットにして跳ね飛ばした、しぃは空中回転しな
がらアスファルトに叩きつけられた、しぃは痙攣して気絶
している、俺はバックにいれてアクセル全開にしてフルスピード
で潰してやった、タイヤで頭が潰れる音が聞こえたよ。
気分はハイだ、杉山清貴の「さよならのオーシャン」は
殺せ殺せ糞虫殺せと聞こえる。俺はコスモを飛ばしながら
マルボロを吸った。横断歩道のところに糞虫しぃ親子が歩道を
歩いていたので、赤の信号を無視して突っ込んだ、ベビは
グチャグチャに跳ね飛ばされ、親しぃは小便を垂らしながら
逃げた。俺はスキーリしたのでタカラギコの所にコスモを
返しに行った、車を返した後、タカラギコに「ロータリーの
エンジンやっぱりいいね」と評価して言った。

続く

319 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:03:09 [ /bDJGCsY ]
>>313続き

「この日を どれだけ待ったことか………!」

地の底から聞こえてくるような重々しい声に、しぃは目を覚ました。
「……ニャ? ……ココ ドコ……?」
「我が家の、地下室だよ。」
「!! ダ ダレ!」 

突然の声に驚いて飛び上がろうとしたが
「ッ!?」
しぃは全身を、頭以外の全身を動かせなかった。それもそのはず
しぃは今、衣服をひん剥かれて、十字架に張り付けられたキリストのように壁に立たされ
四肢を末端と付け根の二カ所、鍵の着いた鉄の輪で拘束されていたからだ。
「ナ ナニヨコレ!? ジョ ジョウダンデショ!?」
何とか拘束からのがれようとじたばたするしぃ。
ガチャガチャと五月蠅く音を立てるしぃに、モララーは静かに歩み寄る。
「君は、なぜ自分が今こんなところにいるのか、分かっているのかい?」
穏やかなモララーの言い方が気に触ったのか、しぃは顔を真っ赤にして喚き散らした。
「ワカルワケナイデショ! コノド低脳!! サッサトシィチャンヲ解放シナサイヨ!!
 シィチャンハ 暖カクテ 奇麗ナオ家ニ 住ンデルンダカラネ! コンナトコロニイタラ 風邪ヒイチャウデショ!」
「暖かくて、奇麗なお家………? ほう。
 僕の家族を皆殺しにして、奪った金で作った“お家”か?」
「!」
モララーの突然の発言に、しぃは一瞬絶句した。が
「……ナニヨ アイツラ アンタノ家族ダッタノ
 フン! マッタク トンデモナイ礼儀知ラズナ連中ダッタワ!」
「何……?」
「シィチャンガ寒クテオ腹ガヘッテルノニ ソレヲ無視シテ自分タチダケ 暖カイオ家ノ中デマターリスルナンテ!
 許セナイワヨ! シィチャンガ苦シンデルノヲ見タラ 喜ンデ泊メテヤルノガ 礼儀ッテモンデショ!
 ダカラ思イ知ラセテヤッタノヨ! シィチャンヲ無視シテ自分タチダケマターリスルト ドウナルカッテネ!!」
「…………!!」
「ソレニアノヴァカドモ 結構オ金持ッテタワ!
 フン! シィチャンニ対スル無礼ヲ考エレバ少ナカッタケド 慰謝料トシテモラッテオイタワヨ!
 マ アイツラモコレデ分カッタデショ シィチャンヲ大切ニシナイト ドンナ目ニアウカッテネ! キャハハハハ!!」

………………………

320 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:03:41 [ /bDJGCsY ]

モララーは、かつて味わったことのない感覚を体感していた。

アフォしぃの犯罪だ どうせ動機は救いがたいものだろう
そう思って、ある程度の覚悟はしていたつもりだった。
だが


シィチャンガ寒クテオ腹ガヘッテルノニ ソレヲ無視シテ自分タチダケ 暖カイオ家ノ中デマターリスルナンテ!
許セナイワヨ! シィチャンガ苦シンデルノヲ見タラ 喜ンデ泊メテヤルノガ 礼儀ッテモンデショ!
ダカラ思イ知ラセテヤッタノヨ! シィチャンヲ無視シテ自分タチダケマターリスルト ドウナルカッテネ!!



ソレニアノヴァカドモ 結構オ金持ッテタワ!
フン! シィチャンニ対スル無礼ヲ考エレバ少ナカッタケド 慰謝料トシテモラッテオイタワヨ!
マ アイツラモコレデ分カッタデショ シィチャンヲ大切ニシナイト ドンナ目ニアウカッテネ! キャハハハハ!!


想像だに、できなかった。
要するに俺の家族は このどうしようもないゴミクズの
ねじ曲がった自己中心的な思考と、嫉妬


………そんなくだらないものに、奪われたのか………?
そしてもう二度と、奪われた家族は帰ってこないのか………?


モララーの心に、炎が広がった。
新月の夜よりも コールタールよりも
はたまた地獄の闇よりも 暗く、暗く、どす暗く
この世のいかなる“黒”をも凌駕するどす黒さを携えた、
希望 喜び ……そう言った陽の感情を一瞬で焼き尽くすかのような
憎しみ…憎悪の炎が燃え広がった。

わなわなと体を震えさせながら、モララーはすっくと立ち上がる。
「貴様に………教えてやる………!!
 なぜ………貴様がそこにいるか ということを……!!」
「ナ 何言ッテンノヨ! サッサト…… ムグッ!!」
しぃはその言葉を言い終えぬうちに、猿ぐつわを噛まされてしまった。

“復讐”だ………。

 心の底から 骨の髄から 後悔・恐怖するくらいに………………………………………



               な  ぶ  り  殺  し  て  や  る  !  !  !

321 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:04:14 [ /bDJGCsY ]

「ナ ナニヨ… ナブリゴロス ッテ………」
「これから少しずつ、教えてやるよ……。」
何時しかモララーは、ペンチを持っていた。
そのペンチをゆっくり、少しだけ刃先を開けると、しぃの指の指先を挟んだ。
そして開いた方の左手で、しぃの指のその少し下をつまむ。

ふっ とモララーはため息を付いて、その手に力を込めた。
左手でしぃの手を台に押さえつけると、右手のペンチでしぃの指の先端を引っ張った。

「シッ!? イ イタイイタイイタイ!! ヤ ヤメテェ!」
しぃは必死に指に力を入れ、抗おうとするが
怒りのモララーの腕力の前では、『嵐』前の灯火。

ぐ き っ

「ア゙ッ ア゙ァアァァァァァーーー!!!」

鈍いイヤな音が 響いた。
見るとしぃの指が一本、だらりと不自然に長く延びている。
しぃの指の関節が一つ、外されたのだ。

「………まだ、最初の一回目だぞ? この程度で参るなよッ!!
 テメエの指関節10個、全部外してやるんだからよ!!」
続けてモララーは、第二関節を外しにかかる。

ぐぎっ!!

「ビィィィィィ!!」

「痛いか……? そうだろうなぁ……
 脱臼の痛みは、大の大人でも気絶するんだぜ……?
 そんな痛みを、『まず』指の関節全てにくれてやる!!」

モララーの手際は、その心中の怒りに比例するように激しくなり
5回目、6回目、7回目…… しぃの悲鳴は、ますます大きくなっていった。


「……よくも俺の家族を、虫けらのように殺してくれたなぁ……。」
全ての指関節 親指から小指まで を外したモララーは、しぃの腕の拘束を解き、
その指が全て脱臼・伸ばされたしぃの手の上に、自分の手を重ねた。
「『シィチャンヲサシオイテマターリスルナンテ 許セナイ!』 だと……………?
 『シィチャンヲ無視シテ自分タチダケマターリスルト ドウナルカ思イ知ラセテヤッタノヨ!』だとぉ………?」
そこまで言うとモララーは、しぃの手を強く握る。
「ふざけるな!!! そんな救いようのないふざけた理由で、
 俺の最愛の家族を奪い去りやがって!!!」
左手でしぃの手首を掴み、右手でしぃの手を引っ張る。今度は………

ボ  グ  ッ

「ーーーーーー!!!」
手首が外され、だらりと垂れ下がる。

「ナ ナニヨウ!! シィチャンガマターリデキナイコトガ ドレダケ重大ナコトカ ワカッテルノ!?
 アンナヴァカドモハ シィチャンノマターリニ協力スルシカ能ノナイヤツラナノ!! 
 シィチャンヲマターリサセレナイヤツナンテ 虐殺厨ヨ! 虐殺厨! 虐殺厨ガ何人死ンダッテ 」

ベ キ ッ ! !

「テェェェェェェーーーー!!!」
しぃの池沼発言に逆上したモララーが、続けざまにしぃの肘をヘシ折った。

「テメエを満足させれないやつは生きる価値がねえだとぉぉ!!??
 貴様は何様のつもりだ!! あぁ!?」
激情に駆られたモララーは、両腕で二の腕を掴むと
そのまま力任せに引っ張り、肩を脱臼させた。

322 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:04:59 [ /bDJGCsY ]

指・手首を脱臼させられ、肘を折られ、肩をまた脱臼させられ、
泡を吹いているしぃにモララーが話しかける。
「貴様の腕を、ソーセージにしてやるよ。」
モララーはしぃの脱臼させられ、伸びた指を掴むと、例によって関節から上を左手で固定。
そして何と今度は、その関節から下をぎりぎりとねじり始めたのだ!
「ビベェェーーー!! ヤッ ヤメッ! ヤメデェェ!! ギエェェェェェェェェェ!!!」

ただでさえ無理矢理伸ばされ、痛めつけられた神経や筋が、今度はねじり伸ばされているのだ
その痛みは、半端なものではない。
「ねじったら、もとにもどらんようにしないとな!!」
蜂の腹のように、本物のソーセージのくびれのように、くびれた指関節をモララーはねじり上げると
そのくびれをクリップピンで挟み、固定した。
「さあ。次は手首だ!」
「モ モウ カンベンジデェェェェ!!」
しぃは必死に懇願するが、モララーはどこ吹く風。
手首も指同様、ギリギリとねじあげる。
指よりも骨面積が多いせいか、それとも血管やら何やら色々詰まっているせいか
指よりは抵抗感があったようだが、すぐにねじられ、ピンで固定された。

肘関節は、これだけ『折った』せいで、内部に骨の破片でもあったのだろう。
ねじると、『ぶぢぶぢ、めちぐち』…骨の破片が筋肉を引き裂くような、不気味な音がした。

そしてしばらく後、しぃの片腕は、見た目は完全にソーセージの束になっていた。
肘、手首、指が10カ所……ねじられた、ソーセージ である。
機能をおそらく失っているであろうその腕は、所々で血液が滞ってどす黒く変色していた。
「イ……イダイ……イダァイヨゥゥ………」
「フン。 痛いか。でもな
 貴様が味わったのは、まだ片手だけ。まだまだこれからなんだよ!」

323 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:05:31 [ /bDJGCsY ]

モララーは、今度は金槌を手に取った。
見るからに重そうな、数キロはありそうな代物である。

(や…やめてよ! あんなので頭を殴られたら……)
しぃはソーセージになった片腕の痛みなどどこへやら 動かぬ体を必死に動かす。
「ヤ ヤメテェ! ソンナノデ殴ラレタラ シィ 死ンジャウヨゥ!!」
そんなしぃの哀願に、モララーは薄笑いを浮かべて
「死ぬ……? 何寝ぼけたこと言ってんだ………?
 だれが殺すかよ。こいつはな………」
モララーは、金槌を高々と振り上げる。そして
「こう………………使うんだよッ!!!」

ド ゴ ォ ッ ! !

一気に、振り下ろした。

しばらくモララーは、金槌を壁に打ち付けたまま その動きを止めていた。
そしてしばらく後、金槌をゆらりと上げる。
金槌には、血と毛皮が少し、付着……。
さてこの金槌、一体どこに振り下ろされたのか?

「ヒ………ヒ……… モウ ヤメテェ………」
「右腕は………関節をはずし、ソーセージ………
 そして左腕は………ぼろぎれのようにしてやるッ!!」
そう。見ると今度は、しぃの左手の人差し指の先端がターゲットになっていた。
金槌に潰され、骨は粉砕・肉は平ら
血液やら内部の液体が噴き出し、見るも無惨な状態。
「………さっきは一関節ずつ、脱臼させていったが………
 こんどは一つずつ、叩きつぶしてやる……!」
ダ ン ッ ! !

宣言通り、先程潰した人差し指の上、第二指を叩きつぶした。
指一本が完全に潰され、真っ平らになった計算になる。

ド ン ッ
ダ ン ッ
ゴ ン ッ

次々としぃのかわいらしい、その細い指に金槌が振り下ろされ、潰されていく。
日曜大工などで釘を打ちそこね、金槌が指に当たった痛みの比ではない。
何分こちらは、最初から潰すことを前提にしている。破壊力が違う。

「くそうッ! くそぉッ!! 畜生ッ!!!」
金槌を振り下ろすモララーの目から、涙がこぼれ落ちる。
「ビィィィィ!! シ シィノオテテガ 痛イヨォォォォ!! ダッコォォォォォォォ!!」
何時しかしぃのオテテは完全に潰され、ぼろ雑巾がぶら下がっているようにひらひらしていた。
そして今度は腕に攻撃を加えているわけだが、何のことはない。
しぃ族の骨など、ポッキーのようなもの  一撃で指と同じく、平らになっていく。
「何も出来ないうちに、逝っちまった!!
 俺のかけてきた苦労の恩返しを、何も出来ないまま!!
 せっかくこれから、恩返ししていこうと思っていたのに!! ぐぞぉッ!!!」
ますますの力を込めて金槌を振り下ろすモララーの脳裏には、若き日の自分が映し出されていた。
喧嘩っ早かった自分の尻拭いをするために、あちこちを奔走していた両親。
怪我をさせた相手の家、警察、学校……… ほぼ毎日のように呼び出され
ペコペコと頭を下げていた。

「畜生!! かけてきた苦労の万分の一も、恩返しできなかった!!」
ダゴォッ!! ボゴッ!! ゴボォッ!!

また、回想が蘇ってくる。
数年前、ようやくモララーも社会人となった。
喧嘩っ早かった悪ガキも、ようやく大人の仲間入り
経済的にもかなり余裕が出てきたので、何か両親にしてやろうと思っていた。
「腰痛持ちの親父のために、家族温泉旅行にでも行くかな………」
「海外好きなお袋のために、どこか外国に連れて行ってやろうかな………」
家族水入らずで嬉しそうに笑っている、桃色の家族像が映し出される。

が、そんな家族像に突如ヒビが入り、がらがらと崩れる。
その崩れた奥から顔をのぞかせたものは、実に嬉しそうに、
下卑た満悦の笑みを浮かべ、高笑いするアフォしぃ。
桃色の家族像は、一転して暗転の闇に塗り替えられた。

「うおぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉ!!!」

ゴグッ!! グジョッ!! ぶしゅぅぅっ!!
骨が砕ける鈍い音、肉がつぶれるイヤな音、吹き出す血。

「ヤメテヨォ!! コ 殺サナイデヨォォ!! シ シィニハ 生キル権利ガ アルンダヨォ!?」
「人の生きる権利を平気で奪っておいて、自分だけが何を言うかぁッッ!!!」

ド  ゴ  ォ  ン  ! !

324 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:06:56 [ /bDJGCsY ]
………………

とうとうしぃの左腕は、肩まで真っ平らに叩きつぶされた。
見るも無惨、潰された腕からは血や脂肪、内部組織がグロテスクにはみ出している。

「ア……アフェア………ヘェ……ウ」
そして左腕を潰されると同時、しぃの様子が 目つきが、おかしくなる。
痛みのためか、それとも恐怖のためか…… でぃ化の前兆ではない
俗に言う、“壊れた”状態になる前兆だ。
だが、そんな状態になることを見越したように、モララーはふっ と笑うと
何かの薬が入った注射器を取り出し、しぃの首筋に注射した。
とたんに、しぃの目つきが元に戻る。
「ア………ハニャ………??」
「気がついたか? ………精神安定剤を注射してやったんだよ。
 発狂されて旅立たれちゃあ、ダメなんだよ。最後まで苦しんでもらわなきゃあ………」
「ヒ……ヒ……」
「ククク……。こいつに関してだな、俺が君に唯一感謝するのは。」
「?」
「貴様が起こしたあの事件、あれほどの凄惨さ故、かなり新聞や週刊誌に取り上げられたわけさ。
 で、変な言い方すれば、その生き残りの俺の顔も広まった。
 だから」
「ダ ダカラ何?」
「医者共は、俺が情緒不安定です なんて言やぁ、疑わずに精神安定剤を処方してくれたのさ。
 普通、強めの安定剤を手に入れようと思うと、時間がかかるモンだが………俺の場合は違ったのさ。
 何せあれだけ凄惨な事件の生き残りだ。精神的に不安定になってもおかしくない ……そう思われたんだろうな。
 疑うことなく、強めの薬も処方してくれたよ。
 まぁ生憎、俺の心はずっと貴様に対する復讐心で一杯だったから、不安定になりようがなかったんだが。」
「ソ…ソンナ………」
「というわけだ。つまり、お前は発狂という最大の逃げ道が、無くなったわけだ。
 だから最期の最期まで、存分に苦しめてやるよ………。」
モララーの眼差しは、凍り付くような負の感情に支配されていた……。

325 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:07:32 [ /bDJGCsY ]

「………さて、しぃちゃん。……お腹へったろう?」
「ハ ハニャ……?」
「あれだけ叫んだんだ。さぞ疲れて、空腹だと思うんだよ。」
「マ マア………」
「だから特別に、御馳走してやるよ………まあ、体力切れで死なれるのはゴメンだからねぇ
 で…………そうだ! 石焼き芋はどうだい?」
「ヤ ヤキイモ……? イ イイワヨ」
ほんとの所は、焼き芋なんて! とも思っていた。 でも
これ以上モララーを起こらせると………
素直に、従っておこう………
「じゃあ、ちょっと待っててね。」
モララーはくるりと向きを変えると、扉を開けて外に出ていった。


「お待たせ!」
数分後、モララーは部屋に戻ってきた
両手に少し大きめの一斗缶と、鉄のバケツを持って。
「じゃ、早速始めるよ!」
そう言うなりモララーは、いきなりしぃの右足の拘束を解く。
そして一斗缶を、そのしぃの右足がすっぽり収まるように設置する。
「……………?」 
「楽しみにしてろよ。あと少しでできるから。」
モララーは厚手の頑丈そうな手袋を両手にはめると、バケツに手を伸ばした。
「おまちどおさま。じゃあ………

喰 ら え っ ! !


モララーは、バケツの中身を一斗缶にぶちまけた。
ざぁぁぁぁっ だか がらがら だかの、何か固いものが雪崩落ちる音
そして、熱気。

「ギィエェェェエエアアアエエグアアアアア!!!!」
「時間は少しかかるけどね でも味は格別だよ?
 なんってったって、自分のアンヨなんだから!!
 石焼き芋 ………堪能あれ!!」
そう、モララーがぶちまけたバケツは、真っ赤に焼けた小石が満杯に詰まっていたのだ。
それが今、一斗缶の中のしぃの右足を焼いているのだ。

「ア アヅィィィィィィ!! イ イヤァァァァァッ!!」
冷や汗か、熱気の汗か? しぃは汗だくになりながら右足を
真っ赤に燃える石の山から出そうとあがく。だが所詮、しぃの貧弱な脚力。
石がぎっしり詰まった一斗缶の中で動かそうにも、ままなるわけがない。

おそらく今、しぃの右足は、真っ赤に燃ゆる石によって
その純白の、ふわふわした美しい毛皮が焼かれているだろう
その下の細く、柔らかくしなやかな筋肉もじきに焼かれるだろう
最後には、骨まで達するか?
白い煙がもうもうと登り始めた。

326 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:07:58 [ /bDJGCsY ]

「石焼きは、じっくりと、じっくりと熱を通すから、早々簡単には終わらんぞ……」
そうこうしているうちに、黒い煙も混じってきたようだ。
じりじり、ぶすぶすと、肉を焼き焦がす音がする。
「一種の予行演習だな。地獄の業火に焼かれる前の、よお?
 いやいや、煉獄か……?」
「ナ 何言ッテンノヨ!! シィチャンガ地獄ナンカニ堕チルワケガ ナイデショ!!」
「何……?」
「シ シィチャン達シィ族ハ! 生マレタトキカラ ズーット マターリノ神様ニ マモラレテイルノヨ!!
 ダカラシィチャンハ死ンダラ マターリノ国ニ イケルノ!! 地獄ナンカニハ 堕チナイノ!!」
「……自分が『マターリ』できなかったから、他人の『マターリ』を奪った。
 そんな貴様が、その『マターリの国』に行けるとでも思っているのか………?」
「何言ッテンノヨ!! シィチャンノマターリハ 神様ガクレタモノナンダヨ!! 
 ダカラシィチャンガマターリデキルノハ 当然ノコトナンダヨ!? 
 シィチャンハマターリスルタメナラ 何ヲヤッテモ許サレルノ!! 神様ガ許シテクレルカラ 何ヲヤッテモイイノ!!」
モララーはそれを聞くやいなや、棚に手を伸ばした。
棚にあったタバスコを掴むと、ふたを開けて一気に焼け石の上に振りかける!!
一瞬でタバスコは蒸発し、気体となってしぃの目や鼻に襲いかかった。
「イ 痛イィィィィ!! オメメガァァァ!! オ オハナガァァァ!! ギャアァァァァァ!!」
「貴様はイスラエル人か!? ユダヤ教徒か!? 数世紀前の白人か!?
 ……その腐り果てた選民思想、叩きつぶしてやるッ!!」
モララーは驚くような速さで立ち上がると、立てかけてあったノコギリを手にした。
そしてまだ無傷の左足に目を向けると、ノコギリで一気に引き裂きにかかった!
「うがあぁぁぁぁぁああぁぁあぁぁっっ!! があぁぁっっ!! がぁっ!!
 ぐるあぁぁっ!! ごらぁっ!! ああぁぁぁぁっ!!」 
激情でその目を真っ赤に染め、獣のようなうなり声を上げて
縦に横に袈裟切りに 13日の金曜日顔負けに、ノコギリを振りまくった

しばらく斬りつけると、モララーの手が止まった。
疲れたのか? ……否! そうではない!
モララーはゆらりと立ち上がると、その耐熱手袋をはめた手で
しぃの右足を苛んでいる焼け小石を数個掴むと
しぃの左足の、たった今引き裂いた、骨まで達している新鮮な傷口に押しつけた!!

「√ ̄\/ヽ/Wヾ√ヽ―――!!!!!」

もはや声にならぬ悲鳴を上げ、口をぱくぱくさせるしぃ。また、目つきが怪しくなる
そしてその声で正気に戻ったのか、ハッとなったモララーは
即座に安定剤を注射。しぃはまた地獄の苦痛に呼び戻された。
「さぁて……… いよいよ俺の復讐も、クライマックスだ。
 最期は、別の場所だ………。」
しぃの拘束を解き、右足を焼け石からひっこぬくと
モララーはしぃの首根っこを掴み、部屋を後にした。

327 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:08:34 [ /bDJGCsY ]

「逃げたいのなら、いつでもどうぞ。」
しぃをあざ笑うように、モララーが言う。
右腕はソーセージのようにねじられ、左腕はぼろ雑巾のように潰され
右足は骨が見え、肉が炭化するまで焼かれ、左足は同じく骨が見えるまで引き裂かれ、焼かれている。
………こんな体で、逃げれるわけもない。

「『それ! まずは基本の耳もぎだ!』『シィィィ! シィノオミミーー!!』
 『次は手もぎだ!』『シィノオテテーー!!』
 『くらえ! 足もぎ!』『シィノ アンヨーー!!』 ……か
 フン……。よく、こんな生ぬるい方法で満足するもんだな………。
 もぎ取ってしまったら、痛み 苦痛は一瞬じゃないか……。
 十分に苦しめることが、できないじゃないか……
 ………ま、俺のやってることも、それの延長に過ぎないんだがな………。」
モララーは、扉を開けた。
キッチンだ。

(もう……料理を作ってくれる家族は………一人も………いないんだよな…………。)
そしてモララーは、テーブルの上にしぃをどさりとのせる。
しぃの目に、無造作におかれた包丁が入る。
「………別に包丁使って、解剖しようなんて思っちゃいねぇよ。」
モララーは鍋を持ってくると、調理台の上に乗せる。
「水攻めだ。……あの中には、ご想像通りのモノが入っている。水だ。
 さて、これからあの中に顔を沈めるわけだ。………どうなると思う?」
しぃは、水攻めのことは知っていた。
友達のしぃが、土手で遊んでいたときに虐殺厨に捕まって
川に顔を沈められていた。
しばらくバタバタして、動かなくなっちゃった………。

モララーは、しぃの首を掴んだ。

あ 『水攻め』にあうのかな……
でも、いいや。これで死んだって
今までのやつみたいに、痛そうじゃないもん
ちょっとは苦しいだろうけど、でも、ちょっとの我慢だよね
ちょっと我慢したら、マターリの国に行けるんだもん………

「…………お前、何をそんな穏やかな面してやがる……?
「エ ダッテ……」
「お前まさか、こう思ってるんじゃないだろうな。
『水攻めなら、痛くなくて、比較的楽だ』………なんて。
 ………コレを見ても、そんなことが言えるかな?」
モララーはしぃの首を掴んだまま、調理台の鍋の所まで運んでいった。
そこでしぃは初めて、鍋の中身とご対面したわけだが………

たしかにそこには、“水”が入っていた。
いや、“水”と呼ぶべきか? 確かに化学式は、H2Oなのだが……
グツグツと煮えたぎり、ぼこぼこと泡を立てて沸騰している
やはりこれは、“熱湯”と呼ぶべきだろう。

呆気にとられた表情の顔をしたしぃの後頭部を
おなじみの耐熱手袋をつけてしっかりと掴む。

じゃ、逝こうか。

ド ボ オ ッ ! !

328 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:09:29 [ /bDJGCsY ]

「ギャブブブブブブッ!! ボゴォォッ!!」
押さえつけられている首を必死に動かそうとして、もがく様子がモララーには伝わってくる。
「苦しめェ……苦しめェ……苦しめェッ!!」
押さえた頭を握りつぶさんばかりの力を込め、ぐいぐいと熱湯の中に押し込む。

一方のしぃも、それはたまったものじゃない。
熱湯の焼ける痛みと、呼吸が出来ない窒息感が相成れば当然だ。
痛みとパニックで激しく泡 息を吐き出し、それで余計に呼吸が苦しくなる。そしてパニクる。悪循環だ。
そしてパニックから、思わず熱湯を飲んでしまう。

食道が焼けただれていくような感触の中、しぃは熱湯から引き上げられた。
ああ。つけられる前なら(セフレとして)ギコが寄ってきたかも知れないその顔は
顔中が真っ赤、醜く火ぶくれを起こし、見る影もない!
さらりとした毛並みもまだらに抜け落ち、どこのキモオタが寄ってくるかという感じだ。

「見事に、ゆであがったっつー感じだな。」
しぃの火ぶくれした顔を、安物らしい目の粗いタオルで乱雑に拭く。
「ビ ビィィィィ バヴェデェェェ!!」
紙ヤスリで火傷の跡をこすられるような感触に、動く首を必死に振って悶える。
「うるせえなぁ………! まだ前戯だぞ……!? ガタガタ騒ぐな!
「ベベ!?」
「これ一発でしとめるつもりなら、最初から沸騰させた油でも使って
 貴様の顔面を唐揚げにしてた、さ。………でも、それじゃあだめだ。
 貴様には、さらなる苦痛を与えてやらんとな……!!」
モララーは、熱湯鍋をよそにどけると、別の鍋を手に取った。
今度はレンジの火にかけたまま。
「これで、最期だ。」
モララーにまた首筋を捕まれると、しぃは火ぶくれしたまぶたを必死に開ける。
鍋の中身は……銀色の……液体……? 何……?

それでは生涯最期のお楽しみだ。

“鉛”の海に溺れてしまえ!!

ザバァッ!!

329 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:09:54 [ /bDJGCsY ]

確かに、鉛は融点のさほど高い金属ではない。
でもね、温度が低いのは、苦しませるのに最適なのさ
仮にこれが、溶けた鉄だったとしてみると
鉄って溶けると、1500度にもなるんだよね
そんなマグマ並の温度の中に顔突っ込んでみろよ 即死でないにしても、すぐに死ぬだろ。
だから低い温度で溶ける鉛は、最適なのさ。
それに温度が低い低い って言っても、数百度もあるわけだからね

事実、顔を鉛の中に突っ込まれたしぃは、かなり激しく
丘に打ち上げられた魚のように体をのたうたせ、暴れている。
一度焼かれた皮膚がまた焼かれ、またしてもの窒息感………
しかも、前回の比でない。

と、しぃの後頭部を押さえつけていたモララーが、異変に気づいた。
泡が、しぃの呼吸の泡が立たなくなったのだ。
窒息死したか? しかし、首筋に左手をやると、脈を感じる。
………………??

不思議に思ったモララーは、しぃを液体鉛から引き上げた。
原因は、すぐに分かった。

しぃの顔全体に、突っ込んだ際にしぃの顔の表面温度で冷やされたのだろう
固まった鉛がこびりついて、まるで鉄仮面のように顔全体を覆っていたのだ!
まぁ、口の部分は息の泡のせいで少し固まらなかった部分があるみたいだが
ヒュー ヒュー と木枯らしのような呼吸音。
「クククク。いいざまだなぁ ええ!?
 今のお前に、何が見える? マターリの国か? 神様かぁ!?
 ………んなもん見えるわけがねえだろ! 今のテメエに見えてるのはなぁ………
 闇……底知れぬ地獄への入り口なんだよ!!! 死ねぇッ!!」
モララーはしぃの『胴体』を掴むと、今度は何と!
垂直落下式に鍋の中にしぃの頭を全て、突っ込んだのだ!
先程引き上げられ、空気中で冷やされた鉛仮面は
溶けることなく、より一層周りの鉛を固め、分厚くなっているであろう。
要するに復活は、ありえない……。

先まで無事だった後頭部や耳まで焼かれ、しぃはその体を一層震わせる。
頭を無駄に動かすは、苦痛を少しでも和らげようとする意味か?
愚かな。体を動かせば、その分苦しみがますだけだというのに!!

思い知れ! 思い知れ! 思い知れ!
そして十分に思い知ったら……… 


死  ね  ッ  !  !  !

330 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:10:13 [ /bDJGCsY ]

……………………………………
しぃが、静かになった。
頭を動かすことも、体を震わすことも、
そして、脈拍も………

モララーは、鉛の海からしぃの頭を引き上げた。
耳や後頭部まで固まった鉛はこびりつき、フルフェイスヘルメットのようになっていた。
というより、顔全体が鉛色のボール。
モララーはしぃの体から手を離すと、その場に座り込んだ。

これで、終わったわけか………
この、救いがたいゴミクズへの、復讐が………
やっと………やっと………………………

モララーの目から、涙があふれ出した。
止めどなく、まさに滝のように………

331 名前:cmeptb (dlFS2kHA) 投稿日:2005/02/28(月) 20:11:33 [ /bDJGCsY ]

「みんな。見ててくれたかい?」

モララーは、3人の遺影に向かって話しかける。
「あんなゴミクズに殺されて、無念だったかと思うけど……
 まぁ、しっかり引導を渡してやったよ。ハハ。
 あ、そうだ。これ見てくれよ。」
モララーはごそごそと、何かを取り出す。見るとそれは
半分に割られてはいるが、あのときしぃの顔面についていた鉛の仮面だった。
「内側を見て欲しいんだ。ほら!」
モララーは、仮面の内側を遺影に向ける。
そこにはしぃの、苦痛に満ちた表情がデスマスクのようにハッキリと写し取られていた。
「すごいだろ? 鉛がこびりついて偶然出来たんだろうけどね………」
ハハハ と一人で笑うモララー。
「……それじゃあ、俺は出かけるよ。また、帰ってきてからね。」
モララーは意気揚々と、会社へと出勤する。
その軽い足取りは、事件が起こる前よりも晴れ晴れとしたもののように見える。
彼の傷は、癒されたのか?
復讐を果たして、彼の傷は完全に癒されたのだろうか?
いや………

「………ん?」
歩くモララーの前に、白い物体が立ちふさがる。
「モララー! 命ガ惜シカッタラ コノシィチャンニ何カ(ry」
「アフォ……しぃ………? !」
突如、彼の頭の中が真っ白になる。

「……? ナニヨ!? サッサトダシナサイヨ!」
「……………。あ、いやぁ 悪い悪い!
 でも僕、こんな可愛いしぃちゃんを見たのは、初めてだなぁ……
 良かったら、おいしいレストランを知ってるんだけど、どうかな? もちろん奢るよ!!」
「フン! マ モララーニシテハ 上出来ネ! サッサト案内シナサイ!」
「ははは………」

このあとの彼の行動は、言うまでもないだろう



         フラッシュ・バック



すべてのしぃが、家族を奪ったアフォしぃに見える。

彼の傷は、まだまだ癒されていない。
これが治るは、いつの日か………

                  end

332 名前:ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/03/01(火) 19:06:24 [ .NPow8.w ]
2日目・午後編

タカラギコに車を返しに行った後、そのまま家に帰らず
ブックオフに寄って、大藪春彦の「スパイに熱い死を」と
森村誠一の「悪魔の飽食」を買った。自転車でもうひとつ
寄り道をしたよ、モララー銃砲店というお店に寄ったんだ。
店長のモララーはイヨナム帰りの元モナリカ軍の兵士だった
男さ。モナリカと南イヨナムがマターリ主義人民共和国と
ゾヌート連邦相手に戦った戦争さ。さっそく店に入った俺は
店長に挨拶をしたね。
「店長、凶の売り上げどうすか?」
「あぁん?コルトガバメントが2丁とAK47が1丁、売れま
したがなにか?」
俺はタカラギコの家からくすねてきた30万円を取り出した。
モララーにこう言ってやったよ。
「銃を買いに来ましたがなにか?」
「ほう?また拳銃だろ、オートマグとかコルトパイソンとか」
モララーはため息をついて
「だから素人はこまる、しぃ狩りに使う玄人な銃を選んだら
ちょっと安く売ってやる。」
「まじすっか!」
だが、玄人が好む銃は散弾銃や狙撃用ライフルでなく突撃銃
だと確信した、少し悩んだM16かAK47のどちらかを俺
はまよわずM16を選んだね。そして、モララーのところに
持って行ったね
「うぉK、お前玄人な銃の選び方をするなぁ〜、30万のと
ころを15万にしてやる」
僕はさっそく15万円を取り出した。モララーが言った
「明日、糞虫狩りにいこうや」

333 名前:ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/03/01(火) 19:33:31 [ .NPow8.w ]
「キョウモゲンキニシィシィシィ♪」
と糞虫が騒音を出しているので、M16を片手に店から出て
フルオートに切り替え、しぃ4匹に向けて乱射した、数秒で
しぃの腕がふっ飛び、弾が腹から飛び出し、頭がザクロのように
ふっ飛び、生き物が一瞬にして肉の塊に変えたのだった。
が一匹生き残ったので、俺はフルオートでしぃの頭をふっ飛ばして
やった。まるでスイカわりのスイカのようになった。
多分、中国地方と瀬戸内海に挟まれているY県T市でM16を街中で
ぶっ放すやつは俺くらいだろ。
「店長、この銃、どこから手に入れたんですか?」
「I市の米軍基地から20丁くすねてきた」
「そうすか・・・じゃあ明日、ココで会いましょう」
俺は自転車に乗って家に帰り、サラミソーセージにかぶりつき
TVで放送していた「第三の男」を見て寝た。

続く

334 名前:ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/03/03(木) 23:40:17 [ rNsDpY3Q ]
3日目・前編

次の日、俺は銃砲店の前でモララーを愛車のレオーネワゴンに乗せて
車を走らせた。モララーが言うには狩りとしては最適の場所らしい。
俺はモララーに言われたとおり、山道を走った。俺は聞いた。
「店長は銃は何を持ってきたんですか?」
「デザートイーグルとM16だ、お前はM16とワルサーP38だろ」
突然、警察無線から「ちびギコ二匹が車を取って逃走、車種はトヨタ
コロナマークⅡGSS、カラーはシルバー、ナンバーは・・・」と言う
すると追い越しの車が来た、コロナマークⅡだった、色も白、ナンバーも・・・
モララーは窓から身を出して、デザートイーグルで何発も撃った、車は
タイヤがパンクし、銃弾で窓が破れ、コロナはガードレールに激突し、止まった。
そして、エンジンから火が出ている、ちびギコが火達磨になり、飛び出していく
俺とモララーは車からおり、俺はコロナのトランクを開けた、トランクには
トカレフ10丁とAK47が7丁入ってあった、このちびギコは運び屋らしい。
モララーはちびギコに尋問した。
「おい貴様、トカレフをどこに運ぶきだ?」
「水・・水が欲しいデチ・・・銃はダッコ革命党に・・・」
ちびギコがそう言うとモララーはデザートイーグルでちびギコの眉間をぶち抜いた。
俺たちは、ちびギコ2匹を始末した後、さっそく絶好の狩場に行った。
なんとちびギコとしぃがいっぱいいるのだ。さっそく車からM16とワルサーを
取り出した。モララーの合図と共にM16をぶっ放し始めた。次々とちびギコと
しぃは蜂の巣になっていく、爽快感がいっぱいだ。糞虫を全員始末した後、ある
ことに気がついた、大きいダンボールがあるのだ、俺は開けてみた、ビニール袋に
白い粉が入っていた。モララーに手渡したモララーはなめてみた。
「麻薬だ・・・」

続く

335 名前:ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/03/07(月) 21:16:35 [ vNQ0kB06 ]
さっそく俺とモララーは麻薬を全部、レオーネワゴンのトランクに
積み込み、車を飛ばした。山道から普通の舗装された道を走った。
その後、レストランでビールとハンバーグを食べて、マルボロを
吸った。モララーは言った。
「もしかすると、ダッコ革命党の資金源じゃないのか?」
「えっ?」
「普通、金のないしぃがどうやってトカレフやAK47を手に入れる」
「そういえばそうだな」
「麻薬を製造し、ソレを金に買えて銃を買うんじゃないか?」
「ありえるぞ」
俺はアルコールの酔いがさめた後、レオーネに乗り込み、車を
走らす。すると検問があるのだ。俺たちはある異変に気がついた。
しぃたちが検問を引いているのだ。検問のところにレオーネを
止め、俺はホルスターからワルサーP38を取り出した。
「ハニャ!クルマヲテンケンサセナサイ、ソレトメンキョショ」
「こいつが地獄行きの免許書だ!」
ワルサーの引き金を引き、ダムダム弾がしぃの顔に炸裂する。
しぃはぶっ倒れたまま痙攣して死んだ。俺はその辺をキョロキョロと
見た。カチューシャの女がしぃ数匹に囲まれている、俺はワルサーの
引き金を引き、2,3発ぶっ放す。しぃはビックリして腰を抜かすやつも
いれば、小便をたらす奴もいる。
「おい!早く車に乗れ!」
女は俺のレオーネの後部座席に入った。俺はアクセルを精一杯踏む。
検問所から「シィィィィィィィ!ナニヤッテイルノ!サッサトアノギャクサツチュウヲオイカセロ!」と聞こえる。
俺は後部座席に座っている女に話しかけた。
「あんた、なんて名前だ」
「レモナよ」
モララーはバックミラーから追跡してくる車が見えた。
「おい、敵さんがやってきたぜ」
俺はレモナに運転を任せ、後部座席に行った、俺はM16を手にして
モララーは紙で包まれたものを破った。
「こいつだけはつかいたくなかったが・・・」
と言い、458ウィンチェスターマグナムを取り出した。追跡してくる
車は2台、モララーはマグナムライフルを持ち、狙いを定めた。撃った。
窓ガラスを突き破り、追跡している車を運転しているしぃの頭を
ふっ飛ばした。車の中のしぃは無論パニック状態だ。続いて2発目を放った。
今度はボンネットを突き破り車を炎上し、もう一台の追跡車に激突し、爆発した。
車から火達磨になったしぃが飛び出してくる。
レオーネはスピードを飛ばし、その場から逃げる。

336 名前:ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/03/08(火) 12:36:11 [ 5ngBTcuk ]
俺はレモナに言われたとおり、T市にある組織の本部へレオーネを
走らせた。本部は床屋だった。俺とモララーとレモナは床屋に入った。
床屋の親父は言った。
「レモナ、遅かったモナー」
「出来るだけ、資金が必要だったからよ」
「ところでそちらさんは?」
「命の恩人よ」
俺たちは親父に連れられて、地下室に入った。数人の人達がいた。
組織のリーダーらしきジエンが言った
「コレデクジョスルシキンガデキタ!オマエラモワカッテイルガガイチュウヲコノヨカラケシサルタメオオクノヒトタチカラ
カンパサセテモラタカネダ!ガイチュウヲヒトリノコラズマサツスルノダ!」
「その通りモナ、最初に駆除すべきNO1はアフォしぃモナー」
「NO2は我々ギコ族の恥さらしレッサーギコことちびギコだ、ゴルァ!」
「NO3はおにぎりのイメージを悪くするおにーに共だ、わっしょい!」
色々と議題が終わり、俺はこいつらはしぃ対策委員会ではないかと思った。
俺は聞いた。
「ところでしぃ対の人間ですか?」
「ヂガウ!アレトイショニスルナ!ワレワレハミンカンソシキダ!バカニスンナ!」
モララーは質問した。
「で民間の団体がどうやって害虫駆除するんだ」
「ヨウヘイヲヤトウ!イイ!」
「傭兵よりか、俺を使ったほうがいいんじゃないの?手軽に済ませるから」
モララーはラッキーストライクのタバコを口に差し込んだ。
「いっておくが報酬は1千万、前払い、値段はこれ以上まけられないぜ」
モララーはニヤリと笑った。

337 名前: ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/03/09(水) 11:42:23 [ 8l/Ptl4Y ]
モララーはどうやって大量駆除するというのは簡単だと豪語した。
彼は手に入れたコカインを使うのだ。まずしぃ、ちびギコ、おにーにに
コカインを10グラム100円で売る。
「マターリできる薬だ、早い者勝ちだからな!」
「ハニャ!マターリノカミサマガクレタクスリ?カウカウ!」
「チビたんもマターリの薬ほしいデチ」
と糞虫が買いまっくって、売り切れの状態になった。
しぃ、ちびギコ、おにーにはコカインに酔いしれ、神経を失っている。
よだれをたらすわ、フラフラとして車に惹かれるわ、凄いものだ。
ココからが大事だ、コカインが切れるとパニック状態を起こし始める。
あるものはパニック状態の末、ショック死。コカインの取り合いで
殺し合いが炸裂した。オマケに共食いまで。そして「クスリクスリ!」と暴れるわ。
ちびギコは快楽欲しさにシンナーを盗む始末。それで激しく逮捕。
T市じゃあ、生きたしぃ、ちびギコ、おにーにはいなく、腐乱死体や
はらわたや腐臭だけが残った。一週間後、ジエンがモララーに質問した。
「マヤクハソウカンタンニテニハイランゾ!オマケニケイサツニツカマテシマウカライクナイ!」
「あん?それだったマーダーライセンスを取得すればいいじゃないか?
 あれなら、麻薬や拳銃も使えるし、毒ガスや火炎瓶も使えるし」
「デモメンキョシュトクガムズカシイ!」
「5千円払えば、試験受けることなく取得できますがなにか?」
「ソレモイイアンダ、シタイハドウスル」
「えっ?」
モララーは一瞬、汗を流した。
「フトマシに食わせるか、まぁ市役所の人が処理するんじゃないの」
「マサカ、サキノコトカンガエテナカタノカ?」
モララーは何もいえなかった、だってジエンの言われたように死体処理の
ことかんがえてなかったもん。街は死体と悪臭でいっぱいだったのはいうまでもない。

338 名前:ネオ麦畑でつかまえて 投稿日:2005/03/10(木) 21:22:08 [ Z1yZSZaU ]
俺は次の日、2ちゃんねるであるものをみた「スパルタルコスライニチダヨ」と
内容はこうだ、ギコシャ国籍のスパルタルコス号に大量のコカインを
積み込み、コニダンのプサンに輸送するということだ。日本には
港町S市に停泊するということも書いてあった。早速俺はレオーネを
運転し、S市に向かった。S市についた俺は、ジエンに言われたとおりに
組織の仲間の1さんと合流するため、公園で待った。20分後、1さんが来た。
「待ったかい、俺は今、あるやつに追われているんだ、手短に話してくれないか?」
「ええ、ここにすんでいる組織のものを集めてほしいんです」
「それは無理だ、S市に住んでいる組織の人間は俺とヒッキーとショボーンだけだ」
「そうかい」
すると砂煙と共にある人物がやって来た。
「1さん〜!」
「わっヤバイ俺は逃げる!」
1さんは凄いスピードで逃げた。八頭身はハァハァとし、立ち止まった。
「そこの君!1さんの住所知っているか!」
「はぁ?」
「いいから教えろ!お礼はするぞ」
「その前に頼みたいことがある、仲間を集めてくれないか?出来れば銃も
 そしたら、1さんの住所を教える、俺は漁港にいるから」
「よし、分かった、約束は守れよ!1さ〜ん待っててね!」
俺は漁港に向かい、キャビン付きのモータークルーザーを借りた、すると
八頭身がやって来た。ブローニングM2を持ってきた。
「これしかなかったけど、仲間はいっぱいいるぞ」
「このM2なら軽くやっつけられるな、じゃあ夜ココで会おう」
八頭身が仲間の八頭身を呼びに言った後、俺はブローニングM2をクルーザーに
付ける作業に取り掛かった。

339 名前:まららららららら 投稿日:2005/03/17(木) 17:49:19 [ JUuHQKqs ]
復讐のモララー

 「俺は、モララー復讐者だ。」 
 「何故かと言うと、俺の、親父を殺したからだ、殺された理由は、ある日の朝お腹をすかせたディにシィバーガーをご馳走したからだ。」
 「おいしかったモナねー」
 「オイシカタ・・・きいーーーーーーーー・・・」
        ドサ

340 名前:まららららららら 投稿日:2005/03/18(金) 20:42:43 [ 3HBPZsMo ]
「どうしたぐふ・・・」
「あっちー、ん、親父に、ディちゃんも。」
「キョウモギャクサツチュウト、ディをこらし・・・」
ぶち、ごろん
「そこから復讐が始まった」

344 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/03/22(火) 06:45:34 [ kz9F1hOI ]
「無題」

貧民街の路地裏そこで不良達が男を囲んでいた
「うらぁっ!」
ドスッ!
モナーのみぞ落ちにモララーの膝蹴りが入る
「ゲホッ!・・な、何でこんな事・・」
バキッ!

「グッ」モナーは口から吐血した、歯が数本折れたようだ
「御前よ、その耳は飾りか?顔がうぜぇって言ったろ?」
「止めて欲しけりゃ金出せ 金!!」
モララーが右手を突き出す
「わ、解ったモナもう止めるモナ・・」
モナーは泣きながら財布を渡す、
ひっぺがすようにそれを受け取ると、
「あばよ!」
ドガッ!
帰り際に一発の膝蹴りをモナーの腹に与えた
「グアッ!・・・」
モナーはあまりの痛みに腹を押さえ前のめりになって倒れた
「畜生・・・モナが何をしたと言うもな・・」
顔が涙と怒りでグシャグシャになりながらモナーは拳を地面に打った

そこへ一匹のしぃが現れた
「ソコノ クソモナー,カワイイシイチャンガダッコサセテアゲルワ,コウエイニオモイナサイ!!」
モナーはイライラしながらも
「煩いモナ・・」
と、一言つぶやいて立ち去ろうとした
「キイイイイイイ!! ナンンデスッテ!カワイイシィチャンガ「ダッコ」サセテアゲルッテイッテルノニウザイデスッテ!」
「コノギャクサツチュウー!」と大声で叫びモナーに飛び蹴りを喰らわせた
「うぐっ!」
しぃが蹴ったちょうどその場所はさっきモララーに蹴られ、
痣になっていた場所だった
「この、こンの蝿虫がぁぁぁぁ!!!」
リンチされボコボコになり金まで取られ
イライラが募っていたモナーが、ついに切れた!
「人が黙ってりゃいい気になりやがってブッ殺す!!」
「ナニヨ!カワイイシィチャンニ ダッコ シナカッタアンタガワルインデショコノギャクサッ・・・」
メキッ!!まさにこんな音が相応しいだろうしぃの顔面にモナーの拳が入った
「シィィィ!!!ナニスルノヨ!コノギャプッ・・・・」
ドカッ!ドスッ!バキッ!ドゴッ!
連続してモナーのパンチがしぃの顔に入る
「シィィ!カワイイシイチャンノオカオガー!!」
見る見るうちにしぃの顔が腫れ上がりアオタンが出来、痣だらけになる
「喰らうモナァァァァ!!!」
ブチッ
「シ!?シィィィィィ!!」
「定番の耳模擬モナァ!!ひゃはははは!!!」
「カワイイシィチャンノオミミガァァ―-!!!シィィィ!!!」
「あぁん?かわいいだぁ?手前見てぇなブサイク見た事無いモナよ?」
「シィィィィィ!ナンテコトイウノヨコノギャクサツチュウ!!」
「うるさいモナァァァ!!!」
グジャリ
怒り狂ったモナーの最後の一撃がしぃの顔をぶち抜いた
「ヴ%#$’」
訳の解らない奇声を挙げしぃは絶命した・・
「はぁ・・はぁ・・・思い知ったモナか?モナが怒るとこう言う事になるモナ」
頭がぐちゃぐちゃになったしいの死骸にそう吐き出すように言った
「はぁ・・まだ怒りが収まらないモナ、クソッ!!」
モナーはそう叫ぶとしぃの死骸に唾を吐きその場を去った

Fln

345 名前:行方 投稿日:2005/04/04(月) 23:21:49 [ 2tSAqvnQ ]
アブ板を見る時はうしろに人がいないか確認してから見ようね。
行方(ユクエ)とのやくそくだよ!

アブ異端ジョークショウOP曲『温血キャプテンタカラギコ』
ズンズンバンバンポッペケペー ズンズンバンバンポッペケペー
ズンズンバンバンポッペケペー ズンズンバンバンポッペケポー
どこかで助けが呼んでいる   ヘルプがピンチでオーマイガ!
三丁目のモララーが      クックル達をいじめてる
「ごげろぷー、助けてちょんまげクルー!」
「ハハハハハ、助けに来たぞ」
華麗に登場タカラギコ     華麗に変身タカラギコ
華麗に頭突きだタカラギコ   華麗に頭突きだタカラギコ
「ちくしょーおぼえてやがれー」
「キャプテンタカラギコ、ありがとうクル!!」
「ハハハハハ、この程度わたしにとってはビフォーランチさ」
華麗に解決タカラギコ     華麗に空腹タカラギコ
華麗に解答タカラギコ     華麗に決断タカラギコ
「そうだ今日のランチはクックル丼にしよう」
華麗に頭突きだタカラギコ   華麗に頭突きだタカラギコ
華麗に頭突きだタカラギコ   華麗に頭突きだタカラギコ
ズンズンバンバンポッペケペー ズンズンバンバンポッペケペー
ズンズンバンバンポッペケペー ズンズンバンバンポッペケミュー
「ごげろぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃー!」

346 名前:行方 投稿日:2005/04/04(月) 23:24:08 [ 2tSAqvnQ ]
アブ板小説本スレに集まる変体紳士淑女の皆様こんばんはアーンドはじめまして。
行方のアブ異端ジョークショーへようこそ。
本日私が皆様にお送りするのは、いわゆる『本スレデビュー作品』でございます。
なんせデビュー作品なもんだから、大多数の方にとってつまらないと評価されてしまうかもしれません。
いやきっとそう評価されるでしょう。
バーット、皆様のお気に召す部分も必ず!!きっと!たぶん、もしかしたら・・・
ないかも。
うん、ないよ、おもしろいの、コレ。だって自信作と胸はって言えるもんじゃないし、
所詮下手な鉄砲数打ってるだけだし、絶対失敗確定。
どーしよ。しかもここ本スレだし。
きっとこれが貼り終わったら三日と経たないうちにアブ板中に悪名が広がって、
その次の日には2ちゃん中に私の偽者が現れてAA板中を潰していき、
AA板の住民百万人が暴徒になり、
その後色々あってレモンソーダ帝に世界が支配されてしまう!!!
ヤバイヨヤバイヨ、オラれんすースレさ帰りたくなってきただよ。いんや、むしろ
アブ小説に手を出さなければオラもみんなも傷つかずにすんだんだべ。
ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!
五人そろって反省戦隊アヤマルンジャー!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スンマセン
それではアブ異端ジョークショーをお楽しみください。ピーーース!

347 名前:行方 投稿日:2005/04/04(月) 23:25:46 [ 2tSAqvnQ ]
『耳の一つや二つ』
「シィィィィィ!シィノオミミガー!」
「耳の一つや二つで大げさなやつだ。まあまだくっついている耳もこれから奪うんだけどな!」
ここは夜の公園。浮浪者の格好の偽しぃとリーマン姿のモララーがお約束通りに出会い、
運命的でもなんでもなく普通に虐殺を始めていた。
モララーは手に持っていた偽しぃの耳を放り投げるとポケットからペンチを取り出して
偽しぃに構えた。
「さっきのは素手によって行う基本の耳もぎだ」
そう言うとモララーはペンチを偽しぃの額に投擲し耳を二つ吹き飛ばした。
「そしてコレが応用の耳もぎ!」
「オミミサーン!」
さらにモララーはジャングルジムを持ち上げて偽しぃの背中を登り後頭部に叩きつける、
「必殺の耳もぎ!」
「イダイヨゥ オミミガナクナッテイクヨゥ」
そこから、こんどは背中を駆け下りつつ、下ろし金を両手に持ち尻尾と足の裏を狙う、
「確実性の耳もぎ、さらに」
地面に着地と同時にたまたま通りかかったギコラーメンの大将の屋台を奪い取り、大将ごとぶつける、
「これが燃える漢の耳もぎだぁぁぁぁぁ!」
「シィィィィィィ!! シィノポンポンニハエテイタカワイイオミミガクロゴゲダヨゥ!」
「モララーのアホー!!あちぃぃぃぃっ!」
その後もモララーは基本・応用・必殺の三つを融合させた「耳MOGIコンボでマンボ」
右手に近い耳からもいでいく「適当な耳もぎ」
耳もぎ三大奥義の一つ「ドラゴン・ハイパー・トルネード・ツイン・カッパ―・エレガント・アンド
エレガント・ゴールデン耳もぎオブレモンソーダカイザー」
等モララーが使える全ての耳もぎ技を偽しぃに放った。
そして夜が明けた。
公園までの散歩を朝の日課とする老人はその日決して忘れることの出来ない現場に遭遇した。
公園中に偽しぃの耳が散乱し、ジャングルジムがあった場所には後頭部にジャングルジムが刺さり
全身の耳の約8分の1を失った偽しぃが恐怖に体を震わせ、その隣には真っ黒に炭化したギコと真っ白に
燃え尽きたモララーが立ったまま力尽きていた。
現場を目撃した老人は何とも言えない表情を浮かべ、
「耳の一万や二万で大げさな奴らだ」
とだけ言い家へと帰っていった。

348 名前:行方 投稿日:2005/04/04(月) 23:27:36 [ 2tSAqvnQ ]
これでこのアホ物語はおしまいです。
次は次回作か感想スレでお会いしましょう。

アブ異端ジョークショーED曲『レモンソーダ帝国国家』
世の中が人権擁護法案でにぎわっていた頃
私は◎太子様やヌ◎ドを使ったネタを考えていた
神様やはり私はきちが◎なのでしょうか?
だーけーどー
そんな悩みなーんてレモンソーダ一杯で吹っ飛ぶものなのさ
ああレモンソーダレモンソーダレモンソーダ
レモンソーダ イズ ワーンダホー

アブ板はホリエモンの提供でお送りしています。
END

349 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/08(金) 17:00:19 [ hUfZdDGo ]
cmeptbです。短編をひとつ。

ブラック ジョーク

あるところに、しぃが一匹いましたさ
そのしぃは、どっから植えつけられたか知らないけど、妊娠していました。

...まったく、どこのギコとやったのやら... まぁ、これはおいといて
そのしぃはもう臨月。そろそろ生まれるといったところでしょうか。


...そして数日後、しぃは『誰にも祝福されずに』
可愛い(?)ベビしぃを(なぜか)一匹(だけ)、産み落としましたとさ!
かわいいベビちゃん しぃのベビちゃん。
ほお擦りして、ぺろぺろなめてあげて、おっぱいを飲ませて...
目に入れても痛くないくらいに、可愛がりましたとさ。

初めての出産、初めてのベビしぃが
あんまりにも可愛いもんだから、母しぃはちょっとした心配がありました。

こんな可愛いベビちゃんを、おんも(外)に出したくないなぁ。
だって外は、カラスや野良犬やモララー達、虐殺厨...
あぶないものが、一杯なんだもん。
ベビちゃんをお外に出すと、いつこんなのに襲われるか分からない
だから、ずっとおうちの中に、いさせたい。

だったらそうすりゃいいだろう。どうせ家の中でも殺される時は殺されるけど
でも、母しぃはもうひとつ、別な事を考えていました。

でも、ベビちゃんが大きくなったら
お外で、遊びたいよう こんな狭いおうちの中じゃ、いっぱい走れないよう
そんなことを、言うかもしれない。
そうなったら、どうしよう。
お外は危ないのが、いっぱいなのに。

母しぃは顔を上げると、あたり、自分の家の中ですか を見回しました。
回りはみんな木の壁。大きなみかん箱の木の板です。
確かに普通のダンボールのお家よりは大きいようですが、それでもやはり
駆け回れるほどの広さには、程遠いようです。

これじゃあちょっと走ったら、すぐに壁にあたっちゃう
のびのびと運動なんて、させれないなぁ。
でもお外は、危ないから出したくないし...

あっちを立てれば、こっちが立たず
こっちを立てれば、あっちが立たず。

母しぃは頭を抱えてしまいました。
どうしよう、どうしよう、どうしよう
ウンウン唸って考えて、ふと部屋の隅に目をやると
母しぃの目に、あるものが入ってきました。
それを見るなり母しぃは、閃きました。

そうだ! これを使えば、家でもベビちゃんはいっぱい走れる! 

母しぃは早速、それのあるところに行きました。

350 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/08(金) 17:00:58 [ hUfZdDGo ]

数ヵ月後
おっぱいを飲んで、母しぃの愛情をいっぱいに受けて
ベビしぃはすくすくと成長しましたとさ。
もちろん、元気いっぱいに育ちました。

そんなに元気いっぱいなら、お外に出たがるだろう
ところが、ベビしぃはそんなこと一言も口にしません。
家の中を走り回っています。ぐるぐると
ぐるぐる...ぐるぐる...ぐるぐる...と。

不満なんて、一言も漏らしません。
ただ、しょっちゅうこの言葉を漏らしました。


ママ なんでちぃはママみたいにまっすぐ歩けないの?
なんでぐるぐるとしか、歩けないの?


それを聞いた母しぃは、決まってこう返します。


うるさいわよ そんなにいい子にできないなら、
もう片方の足にも、釘を打ち付けるわよ。


元ネタ:小説ドラクエ4 クリフト(だったかな?)のジョーク

351 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/12(火) 07:19:23 [ TXVCqJU. ]
えーモララーです、昨日、野良ののハウスがあいぼん率いる
モーニングフォースに占領されちゃいました。今、外にいるん
ですが、「てへてへ」「れすれす」という声がウザー!しかし
今は静まり返っています。今日はアポとったので入りましょう。
まず「食事室」に入りました、中には野良のの( ´酈`)とのの美が
逆さづりにされていらぁ、
「おろすのれす」
「さっさとおろせなのれす」
「マンママンマ」
するとあいぼん( ‘д‘ )が切れた
「うっせぇんじゃぼけが!てめぇブチ殺すから覚悟しとけよ」
なっち(●´ー`●)がそこに入って
「まぁまぁ今から昼飯じゃけぇたっぷりなぶり殺しにするべ」
どうやら今から昼飯のようです、なっちが引き摺り下ろしました。
「オラオラオラオラオラオラオラオラ」
ああなんとなっちが凄い鉄拳を打っている、野良ののの顔はグチャグチヤだ!
瀕死ぐらいになってるのだろうか、なっちは野良の喉を噛み付いて引き裂いた。
お豆ちゃん(・e・)というと
「さてフライドチキンにするか」
野良ののの両足を引きちぎり、油の中に入れた、その隙に逃げる野良を
お豆ちゃんは逃がすわけでなく、頭に斧をたたきつけた。野良の頭が
かち割れて脳みそがどろりと出てきた。

352 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/12(火) 07:31:10 [ TXVCqJU. ]
さてあいぼんというと、ミンチマシーンにのの美を叩きいれた
「んぎゃーマンママンマ!」
数分後、完璧にミンチになり、ハンバーグの材料になった。
モララーは部屋からでて、ほかの部屋に行って見た。まず「仮眠室」
「毛布ほしいのれす」「出すのれす、死にたくないれす」とほざいて
いますが、ほっとこと。後聞いた話だけどこの仮眠室では毛布、布団
暖房、クーラーなしの監禁室だ、しかもトイレもなし、食事も出ない
という優れものだ。次に「SEX室」に入った。
「ひぃぃぃぃミキティに変なもの入れられたのれす」
ああここのの美養殖場なのね。

353 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/12(火) 18:06:29 [ TXVCqJU. ]
さて次に「娯楽室」に入った、娯楽室ではかおりん川 ’〜’)|| が
デザートイーグル片手に野良ののを的にして撃ち殺していた。
デザートイーグルの威力は凄いものだ、象を一撃で殺せるくらいである。
野良ののの頭はどんぶりのようになっていた。床に血や目玉がどろりと
出ている、はっきりいってグロイ。後ろではミキティゝ釻v釻丿がニヤニヤ
笑っている。紺ちゃん 川o・-・)がガーバーハンティングナイフで捕虜の
ののの顔に近づけていた。
「おら!糞のの、私等が尊敬するトリュフォーと大藪春彦とオメガトライブ
 を侮辱したな!死んで詫びろ」
捕虜ののはマラリアの発作時のように震えた。
「これは大藪先生の分だ」
捕虜ののの右の眼球を抉り取って捨てた、絶叫し脱糞した。
「これはトリュフォー監督の分だ」
捕虜ののの鼻を削いだ
「これはオメガトライブの分だ」
ののの腹を引き裂いたハラワタをつかみ出し引き釣り出す。
「そしてこれは私の分だ!」
紺ちゃんはナイフをののの顔に突き刺した。モララーはほとんど撮影が
終了したので、外に出た。空は今日もきれいだった。

終わり

354 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/12(火) 20:16:49 [ TXVCqJU. ]
今日もしぃ、ちびしぃ、ベビギコとベビしぃが公園で遊んでいた。
そこにモララーとレモナが
「今からスカトロレースするべ」
「それやりたいの」
モララーはベビギコとベビしぃをかっさらって二列に並ばせた。
「チョットマチナサイ、ナニヨ」
「うるせぇのぉ、俺はおめえのさしずうけねぇべ」
そしてレーススタートと思いきや、でかい糞をして走らなかった。
しぃとちびしぃは駆け寄った。モララー、レモナぶち切れた。
「ふざけんじゃねえぞ!」
レモナはチビしぃにけりを入れて頭を叩き割った、脳みそがどろりと
でる。モララーはしぃの頭をコンクリートにたたきつける。
「シィィィィシィチャンガナニヤッタノヨ」
「てんめぇらレースを駄目にしたっぺゆるせねぇべ!」
レモナというと、ベビギコをメリケンサックに殴りまくった。
そこにベビしぃ殺されて切れたチビしぃが体当たりした。顔に当たった。
「こんくそがきゃあ、私をなめやがってぶち殺したる」
レモナはチビしぃに数十発けりを入れる。モララーはしぃの両腕を
引きちぎった。
「シィィィィィィィィィィィシィノオテテガ」
レモナはチビしぃの口にベビギコの死体を突っ込ませた。そして窒息死した。

355 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/12(火) 20:29:21 [ TXVCqJU. ]
レモナとモララーは一仕事終えたので帰った。しぃは両腕を
もがれたので、べびたちの墓を作れられなくなってしまった。
そのとき、でぃ、びぃがベビやチビしぃの死骸を全部食った。
仕方なく、ダンボールに戻るとダンボールはなく、
ヒッキーとショボーンがダンボールで焚き火をしていた。
「ナンテコトスルノヨ、クソヒッキーベンショウシナサイ」
「あー」
切れたヒッキーとショボーンはしぃの両耳を引きちぎった。
帰るところもなくなったしぃは崖からとびおりようとしたら
「おい」
1さんが声をかけた
「どうしたんだね、なにかあったんか、まぁ僕の家に着なさい
 良いことがあるから」
しぃは1さんについていった。

356 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/14(木) 09:23:30 [ Gd82DdIk ]
1さんの家に行って見るとレモナがいた。
「おかえり」
「あっレモナ、その顔の傷なんだ」
「これ、これはキモゴミにあっ!」
レモナはしぃがいることに気がついた
「1さん私こいつにやられたのよ」
「なんだと」
「シィチャンジャナイ・・・・ワルイノハアッチガ」
1さんいきなり殴った、顔が割れるほど
「うるせぇ!糞虫ごときが弁解する時間はねぇんだ
 自分のやったことを棚に上げやがって!」
今度はしぃの右足を引っこ抜いた
「シィィィィィワルイノハアノギャクサツチュウナノヨ!オマケニベビチャンモコロシ」
「糞べビ殺されたぐらいで、ぎゃあぎゃあわめくんじゃねー
 そうか、俺の家庭を崩壊させるつもりだったんだな?許さん!」
レモナが和って入って
「そいつ、大藪を侮辱したよ」
「なに!」
1さんはしぃの左足を引っこ抜いた
「シィノアンヨガ!」
「いちいちうるさい!今から賠償金払ってもらうからな!」
1さんは愛車のチェイサーにしぃを引きずり込んだ。

357 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/14(木) 09:33:07 [ Gd82DdIk ]
チェイサーを飛ばしてアイフルに行った
「この糞虫に10億円、金貸してください」
1さんは笑顔で頼んだ。OKだった。
次にプロミス、三井銀行、住友銀行に10億融資して貰った。
仕事が終ると、しぃをゴミ箱に捨てた。そのまましぃは通りすがりのでぃに
食われて死んだ。そして天国に
「シィィィィナンデコンナコトニ」
「そりゃなまけているからだ」
マターリの神の声だ
「ハニャ!マターリノカミサマ、シィチャンヲテンゴクニツレテッテ」
「おめー30億も借金して天国か?無理ゆうな」
「シィチャンハギャクサツチュウニフトウナボウリョクヲウケタノヨ、テンゴクニツレテイキナサイ」
神は逆切れししぃを地獄に落としたのだった。

終わり

358 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/15(金) 11:57:15 [ uBs3DgTk ]
夜空を飛ぶ軍用ヘリの中でスネーク・モラスケンはマルボロのタバコを
吸った。多分これが最後のタバコになるだろうとおもった。スネークは
南アの政府の依頼でヘリにいるのだ、依頼はシィ居住区の一掃だ。南アの
政府は居住区に金山、ダイア鉱が存在することに気がつき、利益欲しさに
スネークに依頼した。スネークはヘリから降りて、M16A1ライフルを
武器にして歩いた。まず錘刀でガードマンしぃののどを切り裂く。
だが気づかれてしまった、ガードマンが次々とやってくる武器はAK47だ。
スネークはいち早く投げナイフを投げた。ある者は心臓に刺さり、のどに刺さり
目に刺さる奴もいた。生きている奴は錘刀で延髄を刺す。スネークは
ダッコバーに入った、しぃたちがポーカーをやっていた。スネークは右手に
ワルサーPPKを握り、速射を開始した。6匹のしぃは自分たちの拳銃を
抜く間もなく、それぞれが顔面や頭部に一発ずつ食らっている。雑木林に
行き、2日前、隠してあった手榴弾80個をとりに行く、突然サイレンが
なった。しぃたちが広場に集まっているのだ100匹ぐらい、多分、仲間
がやられたのに気がついたのだろう。スネークはA1ライフルをぶっ放した
次々とフルメタルジャケットの弾に当たり、パラパラと死んでいく。今度は
手榴弾を投げた、手榴弾は広場で次々と爆発を起こした。逃げるしぃ5匹を
M203グレネードランチャーで爆発させた、次々とミンチができた。
今度は通信所にガラスを割って手榴弾を投げ込む、爆発して通信施設がふっ飛ぶ。
A1ライフルをぶっ放しながら鉱山に向かって走る。まず監視塔に手榴弾を
投げておき、爆発する、するとしぃの耳や手が中に舞いながら出てくる。
スネークは右を見たしぃたちは避難シェルターに向かって走っているのだ。
A1ライフルで威嚇射撃をする。背中にあたって死ぬ奴がいた。シェルター近く
から機関銃をぶっ放しているのが見えた、スネークはグレネードでふっ飛ばした。
シェルターまで来たスネークはガードマンをワルサーとA1ライフルを駆使して
殺しまくる、シェルターにはべビしぃやちびしぃ、普通のしぃがいるのだろう。
最後にトドメとして、手榴弾30発をブチ込む。
戦いは終った、後は基地に通信するだけだ。

359 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:49:32 [ OUnojgKc ]
【雨】

 被っていた新聞紙とダンボールをどけ、
ビルの谷間の僅かな空間から空を見上げれば、
ねずみ色をした雨雲が立ち込めていた。
やるべきことが増えたことを知り、
僕は僅かに天気を呪った。
 いつもなら、
食堂なりハンバーガー屋なりの店の裏に回り、
残飯を漁って腹を満たせば、
あとは『やつら』に遭わないように、
適当に隠れていればよかった。
 だけど、雨が降るとなると、
風邪を引かないためにも、
雨風をしのげる場所を確保しなければいけない。
それは残飯漁り以上に大変だった。
例えば、建物の中は『僕ら』が入ってはいけない場所だったため、
そこを使用することができなかった。

360 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:49:50 [ OUnojgKc ]
 建物の中には『やつら』がいる。
『やつら』がいるところには決していかない。
それは、『僕ら』が知る数少ない生きる術。
 『やつら』はとても大きな体をしていて当然力も強い。
それに対し『僕ら』の体は華奢でとても小さく力も弱かった。
だから、『僕ら』が『やつら』に遭うと、
『僕ら』はまるで縫いぐるみの様に扱われ、
ボロボロに引き裂かれ殺されるのだ。
 そこには、
主人と従者、猟師と獲物、食う者と食われる者以上に
単純で絶対的な関係があった。
『殺す者と殺される者』。
それには、理由なんてなく、
未だ証明されていない数学の定理のように、
ただ漠然と、しかし抵抗することのできない強力な力を持っていた。
だから、建物の中やその軒下を借りるのは無理だった。

 ビルの隙間から湿り気を帯びた生ぬるい風が吹き、
気だるい思考をさらに憂鬱にさせた。
そのとき、ぐぅ〜と腹が間抜けな音を立てた。
その音を聞いて僕は小さくため息をついた。
雨宿りする場所よりもご飯のほうが先だった。

361 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:50:06 [ OUnojgKc ]
 両腕にはまだ包装紙に包まれたままのおにぎり2つとお弁当が1つ。
これはコンビニの裏にあるゴミ箱から回収した物で、
今日のご飯だった。
賞味期限を多少過ぎているが、
それは我慢するしかない。
 道路に顔を出し左右を確認する。
どちらにもやつらはいない。
それを確かめると僕は道に飛び出し、
通りの向こうの公園の敷地に入った。
ジャングルジム、滑り台、ブランコ、シーソー……、
様々な遊具の間を通り抜け目指す場所は、
敷地の片隅にある色あせた小さな建物。
2つある入り口にはそれぞれ、
赤と青い色の人の形をした絵が描いてあるプレートが取り付けられていた。
どこにでもある、公衆トイレだった。
 わざわざ雨の日に公園に行く人なんていない。
ましてや、そこでトイレを利用する人なんていない。
そう踏んで、僕は雨の日には公衆トイレを利用していた。
でも、中は酷く臭うし、
お世辞にも綺麗だと言うところは少ないから、
いつもぎりぎりまで他の場所を探してのことだった。

 遠くから雷鳴が聞こえ雨がもうすぐだと知り、
僕は急いで公衆トイレの中に入った。
途端、何かにぶつかった。
尻餅をつきながら腕の中のご飯が無事なのを確認すると、
何にぶつかったのか知るために視線を前に向けた。
目の前にあったのは太い脚。
視界には何とか下半身が入る程の巨体。
自分がやつらの脚にぶつかったと悟ったときには、
やつらの靴先が僕の顔面を捉えていた。

362 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:50:30 [ OUnojgKc ]
 一瞬の無重力感。
すぐに僕は地面に叩きつけられた。
持っていたご飯も腕の中からこぼれ落ち、
あさっての方向へ飛んでいった。
でも、もうそんな物は関係なかった。
公衆トイレから出てきた2人組みのやつらが、
げらげらと笑いながら僕のほうへ歩いてくるのを見て、
僕は落ちたご飯を回収することなくやつらと反対方向へ駆け出した。
潰れた鼻から流れ出た血が中外両方を通って口の中へ入り込んだ。
口の中は砕けた歯の欠片が混じり、がりがりと嫌な音を出した。
顔面が熱を持ちずきずきと痛み、
頭の奥ががくがくと震えていた。

 恐怖にもつれる足を何とか動かし、
つい先ほど通り抜けた公園の入り口に向かおうとする。
けれど、すぐに足は宙を切った。
背中をつかむやつらの手の感触。
逃げれなかった。
何とか背中を掴む手を解こうと、
手足を振り回した。
けれど、やつらにはそれが滑稽な姿にしか映らなかったみたいで、
やつらの笑い声に拍車をかけるだけだった。

363 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:50:48 [ OUnojgKc ]
 しばらくすると飽きたのか、
それともどうするか決まったのか、
僕は地面に投げ捨てられた。
手を突き、顔を上げるようとするが、
その前に脇腹に重い靴先の感覚。
途端内臓を駆け抜ける衝撃。
後者だったようだ。
苦味と酸味を含んだ液体が、
口を満たした血と共に吐き出された。
僅かに宙を待ったが、
茶色く渇いた大地へとすぐさま落下。
体が地面を滑り出したところで、
息つく間もなく背中に第二撃。
再度僕の体は地面を離れた。

 まるでサッカーボールのように僕は蹴り飛ばされ、
地面に身体をこすりつけ、硬い靴底で受け止められ、また蹴り飛ばされる。
それは謝罪をすることも許しを乞うことも認められない暴力。
どんなにボールとして扱われることに屈辱感を募らせても、
どんなに生あるものとして扱われていないことに憤っても、
それを訴える権利すら認められない。
残るのはただ1つ。
耐えること。
終わりが早いことを願って。
ただひたすらに。

364 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:51:28 [ OUnojgKc ]
 一際強い衝撃が、
僕の身体を遠くへ飛ばした。
流石にこれはもう1人も取れなかったらしく、
激しい金属音と共に僕を受け止めたのは、
公園の外周を囲む金網のフェンスだった。
そのまま頭から地面に落ちる。
草刈を免れた僅かな雑草達が、
靴底よりも好意的に受け止めてくれた。
 やつらがこぼれたボールを取りにこっちにやってくるのが見えた。
逃げなければいけない。
なのに腹はまるで中で蛇がのた打ち回っているようで、
激しい吐き気と悪寒を感じた。
それに従い口から物を吐いても、
出てくるのは生臭い血と胃液、幾ばくかの白い欠片、
欠けた僕の歯が出てくるばかりで、
嫌悪感は身体の奥に居座ったままだった。
頭は未だに大きく振るえ、
スクリーンに映った映画を見ているように、
現実感を剥離させた。
気力はさっきの反吐と一緒に吐き出されたようで、
力がまったく入らなかった。
だから、立ち上がることも出来ず、
弱々しく、来るな、と呟くしか出来なかった。

365 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:52:25 [ OUnojgKc ]
 突然、やつらの片方が上を向いて立ち止まった。
もう1人もそれに気づき手のひらを上にして空を見上げる。
僕もつられて視線を空に向ける。
何かが頬を軽く叩いた。
それはなぞる様に僕の頬を滑り落ちていった。

 雨。

 降り出した雨は今度は脚、腕と叩き、
水滴となって流れ落ちる。
やつらの声が聞こえ視線を戻した。
そのときにはやつらはそこには居らず、
遠くの車止めの脇を抜けて、
公園の外へ駆けていく後姿だけが見えた。
本当だったら僕が駆け抜けていくはずだった場所。
追いかけてくるやつらから逃れるために、
恐怖に顔を歪ませた僕が通るべきだった場所を走り抜けて。

 雨は強くなってきた。
身体を叩く雨粒は次第に多くなり、
身体を伝い流れる水滴も多くなり、
やがて、無骨な包帯のように、
僕の身体の上をくるんでいく。
熱く腫れ上がった僕の身体には、
それが冷たくて心地よかった。
力を振り絞り上体を起こし空を見上げた。
重く暗い雨雲から降り注ぐ水滴は、
更に量を増していた。
この雲が、この雨が、やつらを追い払ってくれた。
それがとてもうれしくて、
だから、僕は口を開いた。

 ありがとう、と。

366 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:53:03 [ OUnojgKc ]
 ──下卑た笑い声が聞こえなくなったのを確認し僕はまぶたを開いた。
目の前に広がるのは、あの日と同じ灰色の雨雲。
あの日と違って目が霞み、
様々な模様を楽しませてくれる雲の陰影を確かめることはできない。
どろどろと頭の中で蠢く闇へ流れ落ちそうな記憶をつなぎとめ、
ごうごうと頭の中に響く音に連れて行かれそうな思考をつなぎとめ、
僕は思い返す。

 今日はあの日と同じ、
雨が降りそうなどんよりとした天気で、
ここはあの雨とであった公園で、
あの日のように僕はやつらに出会って、
逃げようとしても逃げられなくて、
そして、
 
雨は降らなくて……

367 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:53:20 [ OUnojgKc ]
 あの日助けてくれた雨。
それからいつも助けてくれた雨。
やつらに襲われたとき追い払ってくれた雨。
道からやつらを一掃してくれた雨。
雨音と言うとても綺麗な歌を歌ってくれた雨。
やつらに殴られたところを優しく撫でてくれた雨。
僕の体を優しく抱いてくれた雨。
 でも、今日は助けてくれなかった。
腕を切られる痛みに泣いても、
腹を裂かれる痛みに叫んでも、
雲はずっと傍観するように空に漂い、
雨となって駆けつけてくれることはなかった。

 色彩が崩れるように欠落していく。
陰影が泡のように掻き消えていく。
白が黒が視界を覆いつくしていく。
 曇り空が次々と侵食されていくなかで、
ただ、もう一度見たくて、
もう一度、雨が降る姿を見たくて、
無い腕を、空へ伸ばす。

368 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:53:35 [ OUnojgKc ]
 頬を軽く叩かれる。
あらゆる刺激に鈍感になった現在の僕でも、
その衝撃だけは感じることができた。
あの日と同じ衝撃。

 雨。
降り出したその雨は急激に勢いを増し、
ざあざあと雨音を大きくしていく。
まるで、ごめんね、ごめんねと謝るように。
謝らなくていいのに。
謝るのは僕のほうなのに。
それなのに、雨は弱まるそぶりを見せず、
ただひたすら謝罪の言葉をつづける。
ごめんね、と。

 だから、僕は精一杯の笑顔を作った。
口を開けば中にたまっていた血が、
僅かにあふれ出した。
息を吐くとたまっていた血がごぼごぼと音を立てた。
それでも、なんとか言葉をつむぎだす。

 ありがとう、と。

あの日と同じ感謝の言葉。
だって雨は間に合ったのだから。

 でも、やっぱり今日はあの日と違う。
だって、僕を包むその身体が、
あの日は冷たかったその身体が、
今日はなんだかとても、

369 名前:(gxeI9vq.) 投稿日:2005/04/17(日) 05:53:56 [ OUnojgKc ]




      暖かい──




                      【終】

370 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/04/22(金) 20:32:04 [ 3giS5316 ]
「戦争のモラ達」

371 名前:行方 投稿日:2005/04/23(土) 23:14:51 [ O4k6HMaQ ]
大晦日記念特別作品『煩悩108発以上』
大晦日11時00分
男と女が出会った。
女は男に、悪口を言った。

「いい一年だったな、早漏野郎」

男は女を殴り、蹴り、倒し、つねり、叩き、犯し、回し、飛ばし、擦り、揚げ、巻き、切り、
ゆで、つまみ、食べ、犯し、おろし、潰し、薄め、固め、投げ、犯し、生ませ、踏み、泣かせ、
かけ、抉り、笑い、閉じ込め、刺し、開け、

大晦日11時14分
犯し、塗り、沈め、漬け、作り、千切り、縫い、作り変え、吊るし、読み、教え、絶望させ、
彫り、染め、印し、犯し、霧、抜き、絞り、味付け、広げ、ねじ込み、食わせ、突き、吐かせ、

大晦日11時33分
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、

大晦日11時56分
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、

372 名前:行方 投稿日:2005/04/23(土) 23:15:55 [ O4k6HMaQ ]
大晦日11時57分
締め、折り、殺し、

大晦日11時59分
仕掛け、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、犯し、
爆ぜさせ、罵った。

新年0時00分
「自業自得だからな!二度と早漏って言うな!ってもう聞こえてないか」

373 名前:行方 投稿日:2005/04/23(土) 23:16:41 [ O4k6HMaQ ]
新年6時30分
男の家の郵便受けに女からの年賀状が入っていた

「今年もよろしくな、早漏野郎」

終わり

376 名前:初心者 投稿日:2005/05/22(日) 08:58:37 [ 3VrUucSM ]
あれは、1980年五月のことだった。私はモナー、ギコと一緒に
フジテレビに来ていた。私はタモリのバラエティ番組を見学
するためだ。もっとも懸賞であたったのだが。
席に座り、私たちはタモリを自分の目で始めて見た。ゲストは
フランソワ・トリュフォー、リッチー・ブラックモア、大藪春彦だった。
撮影は十分を過ぎた頃、アフォしぃが乱入してきた。
「シィチャントダッコシナサイ!メクラガ」
アフォしぃはそれを連語しはじめる。タモリが席を立ち、出て行った。
ゲストも出て行ったのだ。キレた観客たちはしぃをボコボコにし始めた。
終わった後、しぃの顔はトマトのようになっていた。私の怒りはピークに
達していた。私はしぃの胸元をつかんだ。
「シィィィィィィィィィィィ!シィチャンハダッコシタクテココニハイッタノニ!」
しぃがわめく。
「懸賞があたるのに時間がかかるんだ、それを貴様がぶち壊した」
「タカガソレデキレルコトナイジャナイ!シィチャンノバックニハマターリハウスガツイテイルンダカラ」
「ほう、それなら受けてたつぜ!」
私はメリケンサックで顔面に向けて、ぶん殴った。トマトが破裂した
ような顔になった。目玉がドロリと出ていた。
数日後、私は倉庫に隠してあったモーゼルを取り出し、畑で試射をする。
私の腕は落ちていなかった。二度と銃を使わないと誓った私は、しぃ抹殺の
ためにその掟を破った。私はスバルレオーネエステートバンに乗り込み
マターリハウスに向かう。マターリハウスの手前にモナーたちが待っていた。
「モララー、モナたちも参加させて欲しいモナ」
「参加するのは自由だ、へまをしても知らないぞ」
「それは分かっているモナ、へまをしない様に頑張るモナ」
「期待しているぞ」

377 名前:初心者 投稿日:2005/05/22(日) 09:00:29 [ 3VrUucSM ]
モナーは手榴弾を取り出し、マターリハウスに向けて投げた。爆発と爆音とともに
しぃたちが飛び出してきた。ギコは日本刀でしぃの首を切り落とし、ベビしぃ三匹を
串刺しにした。
「団子三兄弟だ、ゴルァ」

「糞虫が!糞虫が!糞虫が!糞虫が!糞虫が!」
ガナーは出刃包丁でしぃの腹を数回刺しまくった。リッチーのサインが貰えなかった
恨みだろう。

モナーはハンマーでしぃの右手を叩き潰した。
「シィィィィィ、シィノオテテガ!ダッコスルカラミノガシテ!」
「ほう、なら道端で糞を食ったり、ダッコをねだったり、畑を荒らしたり
 コンビニで万引きした罪で殺してやるが、五百万で見逃してやる」
しぃが通帳を取り出した、五百万以上ある、しかしこれは一週間前殺された老人名義だ。
「腐れど外道め!」
モナーはハンマーをしぃの頭に叩きつけた。脳みそや血が飛び散る。

「シィチャンガアンタミタイナブスヲコロシテヤル」
レモナはネイルガンを武器を取り出し、撃ち殺した。

ぼるじょあはモロトフカクテルを投げた。しぃの隠れていたダンボールにあたり
燃えた。しぃは火達磨になり、地面をころがる。

「シィィィィ、シィチャンタチハマターリシタイダケナノニ!」
「いいたいことはそれだけか」
私はモーゼルをリーダーのしぃに突きつけた。
「ウタナイデ」
リーダーしぃはバセドー氏病患者のように目を飛び出し、小水を地面にちびらす。
「死ね、これは血の涙を流した俺たちの怒りだ」
撃った、一発は右耳、二発目は左耳を撃ち抜いた。発狂したように泣き叫ぶしぃの
マンコを三発目が吹っ飛ばした。
私は生まれた土に帰って行くのだ、どうせ、刑務所に入れられる身だ、もう悔いはない
モナーよ、私のかわりに強く生きてくれ・・・
私はモーゼルの残弾をしぃに叩き込んだ。

378 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/05/22(日) 12:36:53 [ 3VrUucSM ]
ここはひろゆき小学校だ。ほとんどのAAがこの学校にかよっている。
しかし、この学校はアフォしぃが校長でしぃやちびギコが好き勝手に
やっているのだった。
ある日、モララーはトイレで隠れてマルボロをすっているとちびギコが
トイレに入ってきた。
「ウンコもれそうデチ」
モララーはちびギコたちがしぃ校長にモララーがエロ本も持っていると
ちくられ、没収されたことを思い出した。
「おい、待てよ、デチ野郎」
モララーはぶん殴った、ちびギコは鼻から血を流し、脱糞する。
次にモララーははらにケリを入れた。数分後、ちびギコは動かなくなった。
モララーはトイレから出て行き、しぃ先生が生徒が戻らないのでトイレに
入ったら、悲鳴が聞こえた。その後、ちびギコ、しぃ以外のクラスが
給食なしといわれた。しぃ校長が決めたことだ。
モララーはしぃやちびギコに対し怒りが爆発した。モララーは携帯で
ある人物に頼んだ。
「ワイルドギースのマイク・ホアーだな・・・」

379 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/05/22(日) 12:37:18 [ 3VrUucSM ]
次の日、生徒総会が行われた。ほとんどしぃやちびギコとその保護者だが・・・
しぃ校長が喋る
「コレハギャクサツチュウノシワザデス、トクニモララーヤ・・・」
その時、窓ガラスをブチ破り、数人の男が飛び出してきた。ワイルドギースだ。
トミーガンを撃ちまくった、しぃやちびギコ達は同族が撃ち殺されているところを
見て、すぐに逃げ惑い始めた。モララーは手榴弾で体育館の扉を破壊した。
教師やモララー、モナー、ガナー、レモナ、ギコ、ぃょぅなどがいっぱい集まっていた。
マイク・ホアーはトミーガンをぶっ放しながら叫んだ。
「テメエら全員地獄行きだアアああ!!!」
それを合図に全教師、生徒が日用品を持って襲い掛かる。ハンマーでしぃの頭をかち割り
ちびギコを電ノコで真っ二つに切り刻み、1年生は金属バットでべビギコをぶち殺した。
妊娠しぃの腹を引き裂いて中の未熟児を取り出し投げつけるは、ベビの背中を踏み潰して
圧死させるは、虐殺のオンパレードだ。
しぃ校長や逃げたちびギコは体育館の地下シェルターに逃げ込む。モララーはトドメに
地下シェルターに手榴弾20発を投げ込んだ。

こうして、学校はしぃやちびギコを全員殺して平和を取り戻した。ヘリをこちらに
向かっている、ヘリは着陸し、人が降りてきた。降りてきたのはジューダス・プリーストの
ロブ・ハルフォードだった。モララーは赤く染まった空を見ながら、マルボロを吸った。

380 名前:つ・・・。 投稿日:2005/05/22(日) 16:23:55 [ wdkAqSmw ]
奇形の復讐プロローグ
ここはある裏路地だ。多くのしぃが住み込んでいるそして俺はそこで生まれた
偽しぃの中の本物しぃから生まれた俺は目が二つある奇形だった。しぃは俺を
虐めまくった
しぃ「キケイナンカイッチャエー♪」
偽しぃの中の一匹が俺を蹴り飛ばした。最初の痛みだったあの痛みはもう忘れられない
他にもちびしぃに虐められたり人から見放されていた俺はゴミ箱に捨てられていた
ゴミの山の中にいると手探りで俺をつかんだ奴がいた、でぃだ。でぃは俺の世話
をしていてくれた。そして狩のしかたも、
でぃ「アウ・・ゴハンハコウヤッテ・・トル・・」
近くの偽しぃ一家に飛び込んだでぃは見事なまでに殺さずに捕まえてきた。
自分「スゴイ・・・」
俺はそう思いながら狩の練習をした、べびしぃ一匹を捕まえて食べるのが目的だ
俺は泣き叫ぶべびしぃを無視して狩をはじめた最初、俺はべびしぃに飛び掛った
そして自分の爪がべびしぃに食い込むたびにべびしぃの「イチャーヨ!オカアターン!イチャーヨ」と
聞こえてきたのだ。だが俺は頭の中に俺を虐めたしぃを怨みながらべびしぃを殺した
べびしぃの母親は「シィィィィィィ!!ベビチャン!!ヒドイヨーシィガナニシタッテユウノヨ」と言っていた
だが、俺とでぃはそれを無視して母親以外のしぃを食べた、当然うるさいから
母親しぃは気絶させてる。俺は成長するにつれ虐殺をするようになった、
そう・・しぃをもっとも残酷なやり方で・・。しかしでぃはエサを探しに行く途中
しぃの集団に殺されてしまった、
しぃ1「バッチィディナンカシンジャエー!」
しぃ2「イッテヨーシナンチャッテ♪」
しぃ達はでぃをこん棒を殴りつけていたでぃは「キィィィィイイ・・・キキィィ!!」と泣いていた
そして、俺は誓った俺はしぃを絶滅させてやるそしてしぃ達に屈辱を味あわせてやると決心した

381 名前:通りすがりの虐殺厨 投稿日:2005/06/19(日) 16:15:28 [ JLiPwOQc ]
「暇つぶし」

モナー「なんか面白いことはないかなー」
モララー「うーん・・・お!」
モナー「何モナー?」
モララー「あれ見ろよ」
モララーが指を指しているところを見ると、何とちびしぃが10匹もいるではないか!
モナー「うわぁ」
モララー「そうだ、あいつらを使っていいものを見せてやるぜ」

382 名前:通りすがりの虐殺厨 投稿日:2005/06/19(日) 16:17:12 [ JLiPwOQc ]
「暇つぶし」

モナー「なんか面白いことはないかなー」
モララー「うーん・・・お!」
モナー「何モナー?」
モララー「あれ見ろよ」
モララーが指を指しているところを見ると、何とちびしぃが10匹もいるではないか!
モナー「うわぁ」
モララー「そうだ、あいつらを使っていいものを見せてやるぜ」

383 名前:通りすがりの虐殺厨 投稿日:2005/06/19(日) 16:53:35 [ JLiPwOQc ]
モララー「これ持っててくれ」
モナー「時計?」
モララー「5秒たったら出てきてくれ」
そう言うとモララーはバッと跳び出した。
モナー「1・2・3・4・5!」
言われたとうりに出てみるとモララーがちびしぃを全員縄に縛り付けていた。
モナー(速っ(;´Д`) )
ちびしぃ1「ナニチュルノヨギャクサツチュー」
ちびしぃ2「ナッコナッコナッコナッコナッコォォォォォ!!」
ちびしぃ3「ナッコシテクダチァイヨォォ!!」
モララー「だまれビチ糞ども!!!」
ドガッ 
ちびしぃ2「ナゴボァhrjrjfdkェヨシコ@・・・」
モララー「あ、やっちゃった・・・」
モナー「ずるいモナ」
しかしこれが効いたらしく、ちびしぃどもが黙りこくった。
モララー「悪い悪い、ついかっとなって」
モナー「それより面白いことって?」
モララー「ああ、今見せてやるぜ」
モララーがにやりと笑う。

なかなか進まんな。次こそちゃんとした虐殺を!

384 名前:名無しさん 投稿日:2005/06/20(月) 18:12:17 [ v33VieTg ]
ここはすごいですね
しぃが死にまくってるよ

385 名前:美怜 投稿日:2005/06/26(日) 15:25:26 [ cE4I/KGk ]
>>382-383 改良w

 何の目的も無く、ただ漠然と街をぶらつくモナーとモララー。
「何か面白い事ないかなー・・・」
「うーん・・・」
 モナーにこう話を振られ、考え込むモララー。その時であった。
「・・・お?」
「何モナ?」
「・・・あれ見ろよ」
 言われるがままにモナーがモララーの指さす先に目を向けると、そこには10匹のちびしぃが
仲良く遊んでいた。同族の目から見れば大変微笑ましい光景なのであろうが、
「・・・うわぁ・・・」
 彼らのような虐殺スキーにとっては不快この上ない光景である。
「・・・そうだ」
 何かを思いついたらしく、モララーは不適に笑いながら言った。
「あいつら使って、良いもの見せてやるぜ」

「これ持っててくれ」
 帰ってくるなり、モララーはモナーの手に何かを持たせた。
「・・・時計?」
「5秒経ったら出てきてくれ」
 手に握られた時計を見て首を傾げるモナーにこう言い残し、モララーは
再び自宅を飛び出した。
「1・・・2・・・3・・・4・・・5!」
 5秒経ち、モナーは言われたとおり外に出た。すると、玄関先に縛られたちびしぃが5匹
座って、半角のかん高い声で、半泣き状態でわめいていた。モララーはロープのたもとを持ち、
その様子をうっとうしそうに眺めている。
(・・・早っ)
 呆れるモナー。その間にも、ちびしぃ達はなお一層声を張り上げる。
「ナニスルノヨ、ギャクサツチュー!!」
「ナッコナッコナッコナッコォオォ!!」
「ナッコシテクダチャイヨォオ!!」
「・・・黙れクソチビどもっ!!」
 とうとうぶちきれたモララーが、勢い良く1匹のチビしぃの顔を蹴っ飛ばした。
断末魔を上げたチビしぃの頭が、血を噴出しながらもげ、首がなくなった胴体も地面に落ちた衝撃で
原形をとどめないほどになる。
「・・・あ、やっちゃった」
「ずるいモナ・・・」
 我に返ったモララーに、モナーが不満そうに言う。これが効いたのか、生き残ったチビしぃ達は
一気に静まり返った。
「悪い悪い、ついカッとなってw」
「それより、面白い事って何モナ?」
 モナーの質問にモララーはにやりと笑うと、
「あぁ、今見せてやるぜ」
 精一杯の憎悪をこめて言った。

387 名前:Dr.モララー診療所① 投稿日:2005/07/02(土) 16:14:08 [ e7TZI/.g ]
ある小さな村があった。
その村は主にしぃ&ちびしぃ、隣の村から放浪してきたちび美ギコギコしかいなかった
モララー診療所という診療所があった。
とても親切で優しい先生だと村のAAに評判だった。
しかし、ただでさえ皆からうざがられているしぃやちびギコしかいない村に、自ら診療所を建て、しかもしぃたちにとても親切ナモララー・・・・・・その実態は考えなくても分かるだろう・・・・・・



彼 が 虐 殺 厨 だ と い う こ と を ・ ・ ・ ・ ・ ・

388 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/07/03(日) 14:05:27 [ rKMDblTo ]
>>384
そういう板だからね。

389 名前:雀 1 投稿日:2005/07/10(日) 01:55:09 [ QMrn/44w ]
街の喧騒を抜け裏通りへ、三つ目の交差点を通った角。
そこに”静かな”と言う表現が、見事に合うBARがある。
従業員はマスター唯一人。洒落た外装とは程遠い看板。
可愛い娘が居る訳でもなく、酒の種類も寂しい。

が、そのBARは確かに存在し、繁盛とは言えないけども営業を続けている。

それは何故かって?
それではご案内致しましょう。ようこそ、BAR「BLUE」へ…。

390 名前:雀 1 投稿日:2005/07/10(日) 01:55:51 [ QMrn/44w ]
「いやー参ったよ。マスター、タオル貸して貰えるかな?」
一人のモナー種が来店し、マスターに話しかける。
「…どうぞ」
グラスを磨くのを止めるのが億劫だ。と思わせるような動作で
タオルをモナーに渡すマスター。
鮮血を吸い取ったタオルを受け取り、またグラス磨きへと戻る。
「ふん、どうせ店の前に居た糞虫ぃを嬲り殺してきたんだろ?
 顔が爽快感に満ち溢れてるよ、里山」
カウンターに座っていたモララーがモナーに話しかけ
琥珀色の液体が入ったショットグラスを煽る。
「その通り!店の前でお約束のダコハを連呼してやがったから、
 俺の拳骨を思う存分ダッコさせてやってきたんだよ。」
マスターが無言で出したボトルを肴に里山は喋り続ける。
「第一、年中さかってやがるせいか、あいつらは幾ら殺しても
 キリがないんだよな。ま、こっちとしてはストレス発散の相手として
 活用させてもらってるけども」
酒も手伝い里山の饒舌は止まらない。
「俺も色々武器を使ってきたけど、やっぱり素手が一番だね!
 骨の砕ける音に、内臓を引きずり出す瞬間…。やっぱり道具に頼っちゃあ
 あの感触は伝わってこないよ!そりゃ、たまには火炎放射器なんかで一斉討伐も
 いいかもしれないぜ?だけどやっぱり素手だよ、素手!」
マスターは何も語らない。ただ、グラスを磨き続けるだけだ。
「敏弘さんには悪いけど、俺には道具を使う奴の気がしれないね!
 何の道具を使うか考えてる間に、俺なら三匹は殺してみせる!」
ダン!とグラスをカウンターに叩きつけ、里山は挑発的な視線を
モララー…、敏弘に向かわせる。
「ははは…、いいかい?若いってのは良い事だ。だけど、使い方を間違えないようにね」
手にあったグラスは、いつからか研ぎ澄まされたナイフに変わっていた。

391 名前:雀 1 投稿日:2005/07/10(日) 01:56:26 [ QMrn/44w ]
「じ、冗談だよ…」
少し青ざめ、ナイフを見つめながら里山は呟く。
「そう、冗談だよ。君の言った台詞もこのナイフもね…
 第一本当に殺して、懲役刑になったら目も当てられないしね」
音も無くナイフを腰のホルスターに直し、敏弘はまた飲み出す。
そして、沈黙。

「そ、そう言えば俺敏弘さんに連れてこられてここに来たけど
 未だにこの店のウリがわからないんだよな…」
先程の殺気を消そうと、口から出る台詞。
「それは、お前が来る度に馬鹿騒ぎをするからだよ。マスターには悪いが、確かに
 この店には何も無いように見える。繁華街は遠いし、酒も珍しいものがある訳でもない。
 だけどな、ここにはちゃんと常連が着く理由があるんだよ」
「だ、だからそれを聞いてるんじゃないかよ!」
「目の前にあるだろ?他の店には無い、この店の特徴が」
マスターは何も語らない。ただグラスを磨き続ける。
「も、もしかして…。このマスター… か?」
ショットグラスに新しく琥珀色の液体を注ぎ、敏弘は頷いた。

「ぷっ…、ふふっ、あはっはっは…。と、敏弘さん冗談が過ぎるって!この
 何処にでも居そうなマスターが、この店の名物って…」
溢れ出す笑いを堪えようともせず、カウンターに突っ伏して笑い続ける。
マスターは何も語らない。グラスは磨き終わったのか、ボトルの位置を正したりしている。
「まぁ、見かけは普通の人だからね。けど、中身が全然違う。俺なんか比べ物にならない位ね…。」
「実は怪力の持ち主だとか?殺してきた数が四桁を軽く超えるとか?あっはっは!」
まだ、笑いは止まらない。
「いえ、ただ多少長く生きてきただけですよ。」
マスターの口が開いた。

392 名前:雀 1 投稿日:2005/07/10(日) 01:56:56 [ QMrn/44w ]
今と違って昔は、被虐者が少なかったんですよ。糞虫ぃと呼ばれる原因と
なった、ダッコをせびるしぃは元より、オニギリやチビギコ種も少なかったですからね。
が、やはり弱者に対しての虐待、虐殺は止まりませんでした。種としての本能なんでしょうか?
まぁ、数が少ないから必然的に技術を磨くようになりましてね。各々腕を磨きあったもんです。
当然磨いた腕を見せたくなる、って物が持って生まれた性です。で、ここら一帯で大会を
開こうじゃないか。と、言う事になったんですよ。
準備の間はつまらないので省きますがね。ここらの被虐者達が半減したって事で
理解してください。本当にそう言う時代だったんです。
さて、大会当日。ただ腕を見せ合うだけじゃあ面白くない。それぞれ少しづつお金を出し合って
優勝賞金にしようじゃないか。と言う話が持ち上がりまして。審査員なんかいらない
凄いと思った奴に全額進呈と言う事で話は決まりました。
で、大会の内容なんですが…、やはり考える事は大体同じなんですね。量を競う者。
素早さを競う者。手段は違えども、やはり普段やってる事の延長をしている者が多数だったんです。

393 名前:雀 1 投稿日:2005/07/10(日) 01:57:28 [ QMrn/44w ]
その中で特に秀逸だったのが…。一匹のしぃを連れて来た医者だと名乗る男ですか。
そいつは、まず机と椅子を置くとしぃを椅子に縛り付けたんです。そして、目の前の机に
クッキングタイマーを置いて、しぃに何かを囁いたんです。
最初は訳が判らなかったようですがね。少しすると椅子に縛り付けられたしぃが大暴れを始めたんです。
今でも目を閉じるとその悲鳴を簡単に思い出せますよ。
「いやだ!私は何もしてない!」「なんで、なんでなの!?私が何かしたの!?」
ってね。
いやぁ恥ずかしながら、その当時は精神的に攻めるって言う考え自体が無くてね。
ただ単純に爽快感を得る為に殺してたもんですから、偉く斬新に聞こえまして。だから
印象に残ってるんでしょうね。
で、その男はと言うと、悠々と自分の時計を眺めてるんです。そしてタイマーをきっかり
3分に合わせて、もう一言何か囁いたんです。それからすっとステージを去りまして。
ここからは興奮してたので曖昧なんですが…、最初は変わらずに暴れ続けてたんです。
椅子が倒れても、机に体をぶつけて傷ついてもね。今みたいな馬鹿じゃない、理性を持ったしぃですから
余計に悲壮感や憔悴感が現れてまして。で、タイマーが一分を切ったあたりですか。
しぃが何もしなくなったんですよ。いや、失禁や排便はしてたんですよ?けど、それまで
暴れ続けてたしぃが、すーっと息を引き取る寸前の様に大人しくなっちゃったんです。
えぇ、遂に何かが起こるんだと思って、そこからは瞬きも出来るだけしないように見守っていましたよ。
機械の様に動き続ける口。光を失った目。時折痙攣を起こす体…。
そして遂に来ちゃったんです。時間が五秒前程から痙攣が酷くなり始めまして。そして
三分経ってタイマーが鳴った瞬間…。顔中を引きつらせてしぃが叫んだんです。
「…!」
ってね。いや、声を出そうとしたんでしょうけど、体中が引きつってたんで声が出なかったんでしょう。
男がステージから離れたまま説明したんですが
「お前の体の中に爆弾を埋め込んだ。」「今から三分間がお前の残り時間だ」
って言ったらしいんです。
えぇ、一同爆笑の渦ですよ。当のしぃも嬉しいやら悲しいやら訳の判らない表情をしてましたよ。

394 名前:雀 1 投稿日:2005/07/10(日) 01:58:04 [ QMrn/44w ]
その瞬間しぃは破裂しました。花火が爆ぜる様にね。
男がニヤニヤしながら
「僕は告知するタイプの医者なんだよ」
って言ったのを覚えてますね。男は嘘なんか言ってなかったんです。ただ、
タイマーに細工をして少々時間を早く告げるようにしてただけでね。
え?いや、賞金を持っていたのはそいつじゃないんです。実はもう一人凄いのが居ましてね。
そいつはステージの上に檻を持ってくると、中から二匹のしぃを引きずり出したんです。
姉妹のしぃでね。二匹とも今からどうなるか判ってるみたいで、姉の方は一生懸命
心を静めようとするんですが、妹の方がね…。
やれ、これだけの大人数だどうなるかはわかる!だの、私達の命は弄ばれて終わるんだ!だの
どんどん悲壮な方に持っていくんですよ。しまいには、姉妹喧嘩が起こりまして。
夫婦喧嘩は猫も食わないでしたっけ?あれの姉妹版ですよ。えぇ、やっぱり見てて
良い気はしないもんです。女同士の喧嘩ってのはね。罵り合いは元より、爪や牙をつかった
掴み合いにまで発展しまして。あぁ、連れてきた男ですか?悠々と煙草を吸ってましたよ。
そして、ギャラリーのイライラが限界に近い頃合に、一本のナイフを姉妹の方に投げましてね。
あ、これで殺し合いをさせるんだ。って皆思ったんじゃないですか?

395 名前:雀 1 投稿日:2005/07/10(日) 01:58:36 [ QMrn/44w ]
その瞬間妹の手が消えたかと思うと、姉の頚動脈をナイフでグサリ…とね。
これには全員驚いたようですよ。さっきまで怯えててガタガタ震えていた妹が
顔を能面を被ったように無表情に変えて姉を始末したんですから。
で、噴き出した血が収まり始めた頃から、手際よく解体作業を始めたんです。
まず、達磨の様に手足を切り取り、皮を剥ぎ内臓を取り出して中身を洗浄して…。
あ、勿論ギリギリで姉は生きてますよ?ヒューヒュー喉で呼吸しながら、なんでこんな事に
なってるんだろうって表情をしながらね。ちなみに絶命した瞬間も妹は無表情のままでした。
でも、そんなしぃでもやっぱり女の子なんですね。中々の腕裁きでしたよ。
会場を見渡して、全員に行き渡るように、肉と内臓を細かく切り分けまして。
で、男が持ってきた焼けた鉄板にその姉だった肉塊を乗せて、硬い腱や骨はスープにしましてね。
調理をあらかた終えるとこう言うんですよ。
「皆様、先程はお見苦しい物をお見せいたしました。そのお詫びと言ってはなんですが、
不肖の姉の味を味わっていただきたいと思います。妹の私めがその品質は保障致します。このように」
って、食べるんですよ。姉だった肉を。不快感を覚えた者も居たようですがね、ほとんどの者が
その行き届いた躾に拍手喝采ですよ。
なんでもその男が言うには、生まれたてのしぃを二匹攫って来て一匹は普通に。もう一匹は
自分が持ちうる全ての虐殺術と、躾を叩き込んだんですって。ま、虐殺者の英才教育ですか。

396 名前:雀 1 投稿日:2005/07/10(日) 01:59:08 [ QMrn/44w ]
「まぁ、結局準備や後始末なんかの細かい所で判定が着きましてね。後の二匹のしぃを使った
男が見事優勝を果たしたわけです」
マスターは喋りつかれた、と言わんばかりにグラスに水を注ぐと一気に飲み干した。
「ふーん…。そんな時代もあったんだねぇ…」
珍しく静かに話を聴いていた里山も、ぐっとグラスを空にする。
「どうしたんだい?やけに神妙にしてるじゃないか」
ニヤニヤと笑いながら、敏弘がグラスに琥珀色の液体を注ぐ。
「判っただろ?ここの名物が。酒でもない、色気でもない。ただ、単純に昔の話を
 鮮明に話してくれるマスター。これがこの店の名物なんだよ」
「つまらない話を聞かせてしまいましたね。これは私からのおごりです。」
マスターが、里山のグラスに液体を注ぐ。
「なんか…。俺、これまで爽快感だけが全てだと思ってたけど…
 そうやって、準備とか色々考えるのも良いかなぁ…って」
「最初に言っただろ?若い事は良い事だ。どんどん悩んで自分の道を探すんだな」
「…はい」
すっと立ち上がり、カウンターに明らかに代金以上の金額を置く。
「これは…、これからの道を教えてくれたお礼と言う事で!ご馳走様でした!」
ドアの閉まる音。そして沈黙。

「あいつ…。どうなるかな」
「若い事は良い事だって仰ったのは貴方じゃないですか。
 彼は彼の道を必ず見つけ出すと思いますよ」

397 名前:雀 1 投稿日:2005/07/10(日) 01:59:41 [ QMrn/44w ]
如何でしたか?喧騒から外れた場所にある静かなBAR「BLUE」は。
え?説教臭いと?

それは申し訳ありません。が、あそこにはマスターに惹かれて色々な
人物が集まります。
また、その方々のお話をお聞きになっては如何でしょうか?

私達は待っております。
街の喧騒を抜け裏通りへ、三つ目の交差点を通った角。
”静かな”と言う表現が、見事に合うBAR「BLUE」で…。

398 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:11:35 [ 7YwzrkI6 ]
古代偉人小説アブネタシリーズNo3 「検察官」(原作:ニコライ・B・ゴーゴリ)

木枯らしがひゅうひゅうと吹きすさぶ寒空の元、
また同じように寒々とした村が一つ、あった。
この村の名前は、後御五里村
そしてこの村が、どことなく荒んだような空気がするのも当たり前
何せこの村の住人は、全員がしぃ族なのだ。
どいつもこいつも、生まれたときには既に親がいない いわば孤児。
外部からの客など、週に一度かそこらに
都市部に出かける連中が中継地点としてやって来るだけ
この村はそんな連中が寄り集まった、吹き溜まりの村なのだ。
そしてそんな吹き溜まりの村が今、にわかに慌ただしくなっている・・・。

          〜村長屋敷〜
屋敷の一室に、幾匹かのしぃが集まっている。
何やら会議をしているようで、この村の村長と思われるしぃが
他のしぃに向かって何やら発言した。
「皆さん。今日皆さんに集まってもらったのは、極めて重大な報告をするためなのです。
 というのも、近々この後御五里村に、虐殺党の視察がやってくるのです。
 それもレビゾル市・・・虐殺党本部からの、です。」
皆の顔に、緊張が走る。
「虐殺党!? ナンデコンナ田舎村ニ・・・・・・?」
「ナンテコト……! ナンデ今ニナッテ!?」
「ネエ、何ナノ…? 虐殺党 ッテ…」
「アンタ、ソンナコトモ知ラナイノ? …マアイイワ。
 虐殺党ッテイウノハ……マア、ソノマンマノ意味ノ団体ヨ。
 元々ハ、アフォシィヲ駆除スル団体ダッタンダケド、最近虐殺党ッテ改名シタノヨ。
 マア、元々ガアフォシィ駆除団体ダッタカラ
{良しぃやでぃなど、アフォでないしぃは対象にしない}ナ〜ンテ言ッテルケド
 党員ノ中ニハ、中毒レベルノ虐殺好キモイルモタイダカラ、ドウニモ、ネ……。」
皆が騒がしくなったところで、村長が話し出す。
「はいはい! みんな静かに!
 それで、その虐殺党なんですが、近々忌まわしくも
 私たちしぃ族の大量駆除をもくろんでいるようなのです。
 とは言っても、例によって{害を及ぼすしぃのみが対象}とのことですが。」 
「ドウシヨウ…… ソンナノガ来ルッテコトハ…。」
「その通りです。おそらく…というより間違いなく
 その視察がここに来る目的は、視察ではなく調査…斥候でしょう。
 私たちが彼らの言う、{害を及ぼすしぃ}かどうかのね。」
「ソンナ……!」
「それで、視察官がこの村にやってくるのです!
 それで、分かりますね? もし、虐殺党に睨まれるようなことがあったら……」
村長しぃは親指を立て、喉の前で首を掻き切るように真横に振る。
「まだ誰がいつ来るといった詳しい情報は調査中ですが、近日中に来ることは確かです。
 ですので、いいですね皆さん! くれぐれも気をつけてくださいね!
 それでは、今日はこれで解散にします!」

399 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:12:15 [ 7YwzrkI6 ]


それから数日。村には目立って大きな動きはなかった。
ことが起こったのは、会議から5日後のことだった。
村長屋敷に、一匹のしぃが血相を変えて走り込んできた。
「村長! 大変デス!」
「何なの? 騒々しいわね。」
「ソ…ソレガ…、宿屋ニ…、モララーガ…泊マッテイルンデス!」
「? モララーが? それがどうかしたの?」 
「ソレガ、普通ノモララージャナインデス!」
「……? どこが、どういうふうに?」
「ハイ! ソノモララーハ、何デモ三日クライ前カライルソウデ
 宿屋ノ主人ト何カ話シテイルトコロヲ偶然見カケタンデスガ、ソノモララーハ……
 普通ノモララーヨリ 頭ガ良サソウデ
 普通ノモララーヨリ 思慮深ソウデ
 普通ノモララーヨリ 良サソウナ服ヲ着テイテ、
 普通ノモララーヨリ 怪シイ雰囲気ヲ醸シ出シテイテ
 普通ノモララーヨリ…………」
「はいはい、もういいわ。
 とにかく、宿屋に普通じゃないモララーがいる、と。」
「ハイ! オマケニ……
 宿屋ノ主人ニ聞イテミタラ コウ答エタンデス!
『アノモララーハ レビゾル市カラヤッテキタ“モラスターコフ”トイウ方デス。
 デモ トテモ妙ナ方デ 部屋ニ籠モッタッキリ 殆ド外ニ出テコナイ』 …トイウコトナンデス!
 村長! ヤッパリコノモララーガ 例ノ………」
「そうね………。一度、確かめてみましょう。行くわよ! 一緒に来なさい!」
「ハ ハイ!」

400 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:12:57 [ 7YwzrkI6 ]

 
「ちっきしょう…… なんでこんなしぃ族しかいねぇへんぴな村に、俺は泊まってるんだ……」
一人のモララーが宿屋のベッドの上で、ぶつぶつ愚痴をこぼしている。
「くそったれのニダー共めが……。奴らが麻雀に誘い込んできやがった時、気づくべきだった……。
 あんのやろうども、よってたかって やれ九連宝燈だの、国士無双だの、大三元だの……
 イカサマ野郎どもめ! 1時間もしねえ内にすっからかんにしやがった!
 リベンジしてやるッ! ……といきてえところなんだが、そんな金なんかあるわけがねえ……。
 くそ……。思えば、虐殺党クビんなったときから、この調子だ……。
 元はと言えばあのバ課長! あいつのせいなんだ………!
 何が『君のホラはもう聞き飽きた。もううんざりだよ。』 だ、馬鹿が!
 能なしが! そんな訳のわからん理由で、将来の虐殺党の指導者となる、この俺をクビにするとはッ!
 ちっ……。ふん、まあいい…… 今にあいつは分かるだろう。
 この俺をクビにしたことが、どれほどの愚行かということを、な!」

 …………………………………………

「にしても、何というシケた寒村だ ここはッ!! どこもかしこもかび臭エ!
 まあいい。俺の眼鏡にかないそうな、選ばれし者の町を見つけるまでの……辛抱だ。」
そうして散々わめいていると腹が減ったのか、モララーの腹が鳴る。
「………っと、腹減ったな。……おい! 何か食い物を持って来いッ!!」
しかし、何の返事も返ってこない。
「誰も、いねえのか……?」
試しに扉を開けて外を見るも、やはり誰もいない。
「……っくしょおッッ!! だからしぃ族は嫌なんだッッ!!
 生きる価値もねえような薄汚いクズ共めが! この俺を誰だと思ってやがるッ!?
 俺がもし死んだら、手前らが一生働いても返せねえほどの損害なんだぞッ!? 分かってんのか!?
 ………ハァ………ハァ………くそッ…………。」
散々わめくと、今度は疲れたのか
ベッドに横になったそのままの姿勢で、居眠りを始めた。

そうして、しばらく立ってから
何者かが扉を叩く音に、モラスターコフは目覚めた。
「(誰だ……? まさか宿屋の主人か…?
 よもや宿賃の催促か………? ばかなやつだ。
 そんなことをしたところで、どうなるかはわかっているだろうに………、まあいい。
 どうせ暇だったし、イラついていたところだ……。)
 誰だ? 入って来いよ!」
モラスターコフは扉が開かれるのを身構えて待っていたが
扉が開かれた瞬間、あっけにとられた顔をした。なぜなら
扉の先に待っていたのは宿屋の主人ではなく、多少はいい身なりをした(村長の)しぃだったからだ。

401 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:13:36 [ 7YwzrkI6 ]

「あ、あれ? ……あ、いや、で、何か用か?」
まだ呆気にとられている様子のモラスターコフに、村長しぃが切り出す。
「ハニャッ!! 申し遅れました!
 私、この村の村長でございます。今宿屋に、外からのお客様がお泊まりになっていると聞きまして……
 お泊まりになっているお客様に何かご無礼でもあったら大変ですので
 今、ご様子を伺いに来た次第でございます。」
「ほ〜う。」
村長しぃの腰の低さに、思わずモラスターコフは高圧的になる。
「じゃあ、言わせてもらうが
 ここの宿屋は何なんだ!? 食事を頼んでも全然出てこないし、
 あげくのはてには何か頼もうにも、さっきまで誰一人としていなかったんだ!
 まったく、俺がいたレビゾル市のそれとは大違いだな! なァ!?」
まくしたてるモラスターコフに、村長しぃは少し震えながら
「ハニャッ!! 申し訳ございません! 身共も指導の方はきちんとしているのでありますが
 今日はたまたま、風邪をひいておりまして………」
「風邪だとォ!? そんな言い訳で通るとでも思ってるのか!?
 これがレビゾル市だったら、貴様ら今頃原型とどめちゃいねえぞ!?
 いいだろいいだろ。近日中にはこの村から、人っ子一人消し去ってくれるわ!」
村長しぃはますます目の色を変えて
「ハ ハニャニャッ!! い、いえいえ! そんなつもりでは!
 どうか、どうか落ち着いてくださいまし!」
「落ち着け………? ほほう。被虐生物である貴様らしぃ族が、俺達モララー族に意見するとはな。
 いい度胸だな、面白い………! 今夜は久々に血の雨が見れそうだ……!」
「シィィィィ!! お、お許し下さい! お許し下さい!
 私どもにご不満がございましたら、何でもお申し付け下さい!
 ですから、ですから………」
「………ちっ。それじゃ、まず食事を用意しろ! 俺は腹が減って仕方がないんだ。」
「お、お食事でございますか! それなら、お詫びと言っては何ですが
 村長屋敷の方にお越し下さいまし! 御馳走の用意を大至急致しますので!」
「……ふん、まぁ大至急っつったって、しばらくはかかるんだろ。
 まぁいい。その間(金をせびれそうなやつでも見つけるべく)村の中でも見て回るか。」
「む……村の中……ですか?」
「ああ、よくよく考えたら、この村に来てから直行で宿屋に来たからな、俺。
 金でもせ…… ゲフンゲフン! いや、退屈しのぎに村の中でもぶらついてみようかと思ったんだが……」
「! そ、そうでございますか! それではどうぞ、ごゆっくり!」
「? ふん。じゃあな!」
モラスターコフは荒々しく扉を開けると、外へと出ていった。
後に残った村長しぃの元に、先程まで宿の外で様子をうかがっていた何匹かのしぃがやってきた。
「村長! 今ノモララーガ………?」
「………。先程、調査の報告が来ましたが、間違いないようですね………。」
村長しぃは、声のトーンを落とす。
「エェッ! ジャア………」
「静かに! まだ話は終わっていませんよ!
 それで、今後のことですが、彼には絶対、不満を感じさせないようにしなければなりません。
 彼には気持ちよく帰ってもらわないと、私たちの首が飛びますからね………。
 それで、今後の身の振り方についてですが……………。」

402 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:14:40 [ 7YwzrkI6 ]

しばらくして、モラスターコフが宿屋に帰ってきた。
「あ〜あ、くそっ。金をせびるどころか、誰一人外にいねえじゃねえか……。
 しかし、さっきの村長といい、この村の連中は何か変だな。
 どいつもこいつも、俺のことを恐れている……? なぜだ……?
 近頃は有象無象の虐殺党の幹部共が、“党員以外の虐殺は禁止”なんて言ってやがるから
 前見たく、モララーを見たり、脅されただけでびびるしぃも、ほとんどいないはずなんだが……?」
ブツブツつぶやきながら、モラスターコフは『宿屋』に戻ってきた。
「あ、そういやあいつら、屋敷に来いとか言ってやがったな。間違えて宿屋に戻って来ちまった。
 しかし御馳走だかなんだか言ってやがったが、大丈夫だろうな………
 この俺の味覚は、超一流の高級料理しか受け付けねえんだぞ……。」
戻ろうとしたその時、何か話し声が聞こえてきた。自分が泊まっていた部屋からだ。
「ん? 俺の部屋に、誰かいる……?」
扉に耳を当てて、盗み聞きを試みる。
「それで……彼は…………なのです………が………」
「ジャア ………デ……… …………トイウコトハ…………。」
声からすると、中にいるのは先の村長しぃと
しかしどうにも、中の連中は声を潜めて話しているらしく、うまく聞き取ることが出来ない。
「何だ何だ何だ? 俺の部屋で秘密の談義? あいつら何話してるんだ?」
しばらく耳を当て続けているも、相変わらずのひそひそ声でうまく聞き取れない。
しかし、突然一匹のしぃが大声を上げた。
「デモ虐殺党モ、ナンデコンナ時ニ視察ナンカヨコスノヨ!
 何モイm……フゴッ!?」
「声ガ大キイワヨ! 誰カニ聞カレタラ ドウスルノヨ!」
「ゴ ゴメン! デモ………。」
「そこ、うるさいわよ! とにかく、いいですか!
 彼にはこのことを、絶対に勘ぐられてはなりませんよ!
 ですから、この後の行動について、もう一度………」

またひそひそ話になってしまったが、モララーは満足げな笑みを浮かべて立っていた。
「く く く………、そうか………。だからあいつら、俺を恐れていたのか………。
 よりにもよって、この俺を虐殺党の視察と間違えるとはな。
 さっき村長しぃを、散々脅したのが決定的だったかな? ……まあいい。とにかく…… 
 こいつは、久々に楽しめそうだ……!」
モラスターコフは思わずほくそ笑み、村長屋敷に向かって歩き出した。

403 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:15:36 [ 7YwzrkI6 ]

「あれが、村長屋敷か……」
宿屋から歩いて数分、モラスターコフは村長屋敷に着いた。
「ん。あれ、何であいつら……」
モラスターコフが屋敷の門の方に目をやると、そこには村長しぃ以下数匹のしぃがいた。
(俺のが先に出たはずなのに……。先回りしやがったか? 
 ふん。まぁ、どうでもいいか。)
つかつかと門の所に歩み寄る。
「モラスターコフ様! お待ちしておりました!
 準備はすっかり整ってございます! どうぞ中にお入り下さい!」
モラスターコフは促されるままに中に入り、そのまま大広間に案内された。

「まぁ、予想通りというか………」
大広間には、既に宴の準備がなされていた が
所詮は寒村の宴。場所も料理も、どれもこれもすべてがしょぼい。
唯一救いなのは、酒だけは多少まともな物が用意されていたことぐらいか。
(これが、歓迎か………? 手一杯の、歓迎かぁ………?
 嘗められたもんだなぁ………俺も……… くっくっくっ………!)
不気味な薄笑いを浮かべるモラスターコフを、しぃ達は心配そうな顔つきで見守る。
(この……クズ虫どもが………!!
 貴様らには仕置きが必要だ……な! 覚悟しておけ……!!
 ただ宴をひっくり返す ブチ壊すより、もっと面白い趣向で仕置きをしてやる……!)

モラスターコフの出す空気に耐えかねたか、村長しぃがワイン瓶を手に近寄ってくる。
「さ、さぁ! まずはお酒をお飲み下さい!!」
「ん! あ、ああよ。」
ワイングラスにつがれた酒を、一気に飲み干す。
やはり、酒の味は悪くない。 

「さぁ! どんどん食べて、飲んでください!」
とりあえずは促されるままに、酒を、料理を口にする。
とりあえず、は…………

404 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:16:37 [ 7YwzrkI6 ]

「なんか………面白くねぇなぁ………」
宴が始まってしばらく後、突然モラスターコフがぼつりとつぶやく。
そして、思わず凍り付くしぃ達。
「な……何が………ですか?」
「面白くねぇっつったんだよ。酒飲んでも、飯喰っても
 な〜〜んも、面白くねぇ。」
見る見るうちに、青ざめるしぃ達。
そんな様子を面白がるように、モラスターコフはあたりを一瞥すると
「だから、俺が面白くしてやる。……おい
 まずは、ちびしぃとベビしぃを数匹連れてこい………。早くしろ!」
「ハ ハニャッ!!」
弾かれたように、しぃが数匹外に飛び出していく。
全員、モラスターコフがなぜちびやベビしぃを必要とするか、
これから何をするつもりなのか分からぬわけではなかったが、
彼を怒らせたら全てがおじゃんになる。
故に全員何も言わず、ただ黙っていた………。


「連レテ参リマシタ………。」
先程外に出たしぃ達が戻ってきた。
足下には、ちびしぃやベビしぃが、数匹。
どいつもこいつも、これから俺になにをされるか分かっていないような
無邪気なきょとんとした目で、俺を興味深そうに見つめてくる。
対して、連れてきたしぃ共 −おそらくこいつらの親か?− は、一様に暗い。
まぁ、当たり前か。

405 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:17:23 [ 7YwzrkI6 ]

「ご苦労さん。 ………さて」
アルコールの臭いをまき散らしながらモララーが立ち上がり
ちびやベビの所に歩み寄る。
すると
「臭いです! それに、何でここにクソモララーが、いるんですか!
 早く出ていかないと、アボーンしますよ!!」
ちびしぃが相変わらずの、恐れ知らずというか、大胆不敵なDQN発言をかます。
顔色を変え、慌てて飛び出そうとする大人しぃ達を後ろ手で制止すると
モラスターコフはそのまま大人しぃ達の方へと振り返った。
「ではこれから、このモラスターコフ様が、貴様らにレクチャーをしてやろう。」
「レクチャー……? 何の……ですか……?」
「しぃ族の生態学。 感謝しろよ?
 レビゾル仕込みの俺のレクチャーが聴けるなんてよ。めったにねぇ機会だぞ?
 じゃ、始めるとしますか………まず………。」 
モラスターコフは、先程のDQN発言のちびしぃの頭を鷲掴みにする。
大人しぃの中から、小さな悲鳴が上がる。
「痛いです! 早く放しなさい! このバカモララー!
 放さないと……グゲッ!」
ぎゃあぎゃあ喚くちびしぃの首を少し絞め、モララーは“レクチャー”を開始した。
「ちびしぃの生態に関しては、興味深い点が多い。
 まず、なぜちびしぃは全角しゃべりが出来るのか? っつー点についてだ。
 こいつぁ、言っちまえば簡単なこった。あの全角しゃべりは
 第二次性徴するときの、副産物だ。」
「副産……物……?」
「そ。しぃ族に限らず、モララー族、モナー族
 どの種族も一定の年齢に達すると、個人差はあるが第二次成長期
 俗に言う思春期だな を迎える。んで
 その思春期になるとだ、脳味噌から成長ホルモンが分泌される。
 こいつの作用で、肉体は爆発的な変化を遂げるわけだ。
 骨格・筋肉の変化……そして声変わり とか。で、だ……」
モラスターコフは、鷲掴みにしたちびしぃを前に出す。
「その時の成長ホルモンは、声帯にも異常を及ぼすんよ。
 他種族であれば、そのままストレートに声帯に働きかけて、声帯を変化させるんだが
 しぃ族の場合、その周辺の筋肉やら各組織を活性させ、結果として一時的に
 全角しゃべりができる声帯構造になるんだ。つまり間接的に声変わりするんだなぁ。
 そして大概の場合、成長期が落ち着けば また声帯は元の状態に戻り、
 あの聞き苦……ゲフンゲフン! ……半角しゃべりに戻るわけだ。
 つーわけだ。質問は?」

「………………………………。」

まぁ、当然ながら質問は帰ってこない。どうせ理解などしてはいないだろうからな……。
もっとも、そうでないと……困るんだがなぁ♪!

406 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:18:46 [ 7YwzrkI6 ]

「なるほど。イマイチ理解できてねーよーだな。
 じゃあ……実践してみっか。」
モラスターコフは、ちびしぃを鷲掴みにしたまま
もう片手で、卓上のステーキ・ナイフを手に取る。
何をするか察知したのか、大人しぃの中から悲鳴が上がる。
「よ〜っく、見てろよ〜〜?」
ナイフを目の前にちらつかされ、流石のちびしぃも青ざめる。
「や、やめなさい! や、や、やめないと…………」
「アボーンするんですかぁ〜?? どーぞ!!」
モラスターコフのナイフが、ちびしぃの喉笛を縦一文字にかき斬った。


「アアアアアァァァァァアア〜〜〜〜!!!!」
しゅうしゅうと、霧のようにちびしぃの喉笛から血が吹き出る。
「散々DQN発言してくれちゃって………でもな ヒック
 まだ終わっちゃいねぇんだよぉぉぉぉぉ!!!」
次にモラスターコフは、ちびしぃの喉の傷口に両手をやり
バリバリと一気に、横に広げた。
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
最後に吐血し、悲鳴にならない叫びを上げ、ついにはちびしぃの目から生気が失われた。
散々強気な、大胆なDQN発言をしていたちびしぃ。
だけどもう、その口が開かれることは無くなった。


「さてと、皆々様。見えますかぁ!? ゲフッ」
また酒臭い息を吐いて、モラスターコフはちびしぃの死体を大人しぃ達に向ける。
「分かんだろ? ここの部分。妙に膨れてんだろ? 分かる?
 ここが膨れてるせいで、クソちびどもぁ全角しゃべりができるんだよ。
 あん? まだ分からねぇって顔してんな………あ、そっか。」

しゅっ

一閃。
モラスターコフは、今度は近くにいた大人しぃの喉を切り裂いた。
思わず周りから、今度は大きな悲鳴が聞こえる。
「………比較対象を………作ってなかったなぁ〜〜♪ ック!
 比較対象がなきゃ、どれだけ膨れてるかなんて、分かんねぇもんなぁ♪ ヒック! ってと!」
モラスターコフはちびしぃをやったときと同じように
切り裂いた大人しぃの喉を、バリバリと横に広げていく。
そして、その横にちびしぃの死体を並べる。
「見ろよ? 今度こそ分かるだろ? これ、これだ。中央あたりの管みてぇなやつ。これが声帯だ。
 な、一目瞭然だろ? 大きさの違いが。な?」
だがしかし、大人しぃ共は誰も見ていない。
青ざめた顔で目を背ける者、顔を手で覆って泣いている者、嗚咽を漏らす者
まぁ、当然と言えば当然か。
「………さ〜てと、それでは、レクチャーその2。
 今度は、ベビしぃのオマソコの収縮率について……」

407 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:19:22 [ 7YwzrkI6 ]


「モ……モウ……ヤメ……!」
そのベビしぃの親か 母しぃとおぼしきしぃがモラスターコフの所に駆け寄ろうとする。が
「ヤメナサイ! 何ヲスル気!?」
「デモ…デモ! ベビチャンガ……ベビチャンガ!!」
「我慢……シテ……!! オ願イダカラ……!
 ココデアイツヲ怒ラセタラ……ミンナオ終イ……。
 ダカラ……耐エテ……!!」
「……………………!!!」
別のしぃの説得で、どうにか母しぃは矛を収める。
そしてそのまま、その場に泣き崩れた。

くくくくく……… いいねぇ、その表情………。

泣き崩れたしぃを、モラスターコフは満足そうに眺めながら
レクチャーを続けた……。

408 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:20:12 [ 7YwzrkI6 ]

「分かったか? ベビしぃのオマソコ、つまり括約筋だが
 これの収縮率は、ベビといえどかなりのものである!
 ………このように………!」
モラスターコフはちびしぃよろしく、ベビしぃを前に出す。
ただ、今回は鷲掴みではなかった。
なぜならその手は、ベビしぃのオマソコに深々と突き刺さっていたからだ。
モラスターコフの拳の形に膨れるベビしぃの腹。

「ベビしぃの頃から、マグナム級のティムポが入るんですねぇ。」
もちろん、無理矢理入れたのは言うまでもないが。
「イ イチャーヨゥ!! ヤ ヤメテェ!! タチュケテェ! オジタン ヌイテェ!!」
涙や涎をボロボロこぼしながら、ベビしぃは必死に哀願する。
ベビしぃのオマソコは限界まで伸ばされており、血がダラダラと流れている。 
おそらくオマソコだけでなく、拳を納めた子宮も同様であろう。
「オジ オジ オジジジジジ……!!」
限界突破の苦痛に、ベビしぃは口から泡を吹き、白目をむき……人事不省だ。
「おやおや……。ベビちゃんはもう、おねむですか。
 じゃ、レクチャーはお開きにしましょ。……よっ」
「バグウゥゥゥゥッッ!?」

ぐったりとしていたベビしぃが、突然バネ仕掛けのように跳ね起きる。
そして、鮮血。
モラスターコフが無理矢理腕を引っこ抜いたか? 否。
よく見ると、ベビしぃの腹からモラスターコフの指が突き出ているではないか!
ベビの子宮は、拳の状態で限界まで延びきっているというのに
その中で指を広げればどうなるか。言うまでもない。

「ベビちゃんのお腹からお花が裂(咲)きました! なんつって! ぎゃははははは!!」

そりゃお花じゃなくてチェストバスターだろ、というツッコミが聞こえてきそうなくらいの
異様な光景。モラスターコフ一人の狂笑がこだまする。

「とりあえず、レクチャーはこんな位で、終了!
 後ぁ飲んで騒いで、楽しみましょぉーか!! ヒャハハハハ!!」
躯と化したベビしぃを投げ捨てると、酒の回ったモラスターコフは
もう、止まらない。
一晩中、飲めや騒げやの大暴れ。

409 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:20:51 [ 7YwzrkI6 ]


翌日。
何とモラスターコフが、複数のしぃのお供を連れて、村を回っている。
なんでも、昨日の“レクチャー”の続きだとか。

「で、この土地がどうしたって〜?」
「ハ ハイ! 数年前カラ ナゼカ痩セテシマッテ 作物ガ満足ニ 実ラナイノデス……。」
「ほ〜……。だったら、レビゾル流の土地復活術を教えてやろう。」
モラスターコフは、紙に何やらメモすると
「……おい! そこのしぃ。ここに書いてあるやつを持って来い!」
「ハニャ! スグニ 持ッテキマス!」

「ご苦労。」
モラスターコフの両手には、スコップと、そしてお決まりの……
ベビしぃが10匹近く、握られていた。
「ヂィーー!! イタイデチュヨゥ! サッサト ハナチナチャイ!」
「チィハアイドル ナンデチュヨ! ヤサシクチナチャイ!」
「クルチィヨゥ! ハヤク ハナチテェ!」
「どうやら降ろして欲しいようなので、じゃ。」
手を開き、ベビしぃ達を地面にどさどさ落とす。
そして両手で、スコップを持ち……振り上げる。

「よ〜〜〜く、見ておけよ。レビゾル流、土地復活術!!」
振りかぶったスコップを、モラスターコフはベビしぃの山に振り下ろした。

ぐっちゃ

「ギーーーー!! ヂィノカラダガ マッブダヅニィィィィ!!」
「ヤメテェ! ナコ チュルカラァァァァ!! ヤベデェェェ!!」

「スコップと、ダッコしてて下さ〜い♪」
哀願は虐殺厨を興奮させるという。ベビしぃが泣き叫ぶたび
モラスターコフはスコップをより激しく振り下ろす。
骨も肉も何のその。スコップ両手に片っ端から叩きつぶしていく。
ぐちゃっ   ぐちゃっ   ぐちゃっ    ぐちゃっ!!

血が、肉が、腕が、足が
どんどんちぎれ飛び、そして形をとどめなくなってくる。

「でっきあがり〜〜!!」
はしゃぐモラスターコフの足下には
数分前とは比べようもない、完全に叩きつぶされ、すっかりミンチ肉となって一体化した
10匹近くのベビしぃがいた。

「あとはこのベビミンチの上から土をかぶせりゃ、この土地は蘇るぜ。」
「ア アリガトウ…ゴザイ…マス」
「お礼は結構。これも人助けよ。ククッ!」
「ア アノ デ デスガ スコシ……」
反論には敏感。モラスターコフが眉をひそめる。
「やりすぎだって言いてぇのか? 人がせっかく教えてやったのに え?」
「イ イエイエ! トンデモゴザイマセン! ホントウニ アリガトウゴザイマシタ!」
「……よろしい。じゃ、次行こうか。」
正に傍若無人のモラスターコフ。この蛮行が終わるのは、いつのことやら……。

410 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:21:42 [ 7YwzrkI6 ]

そして、夜。
またもや村長屋敷で、VIPモラスターコフの宴会が開かれていた。
「じゃあ、一人づつお酌をしに行ってきて………
 その時、これを渡すのも忘れないでね。」
村長しぃが、一匹のしぃに酒瓶と、宝石を手渡す。

「ア アノ モラスターコフ様?」
「あん? なんだお前……?」
「イ イエ オ酌ヲシニ参リマシタ。」
「酌か。注げ」
差し出されたグラスに、震える手で酒をつぐしぃ。
そして
「コ コレハソノ ツマラナイモノデスガ………」
宝石を手渡す。
「………。ほ〜。」
小さな掌から渡された宝石を、モラスターコフはその掌で転がしながら見つめる。
(……この光具合、光沢………。
 こりゃまがい物じゃねぇな。本物だ……!
 ククッ こりゃいいぜ……!!)
モラスターコフはまるで、新婚の夫婦のようにだらしない笑顔を浮かべる。
そんな笑顔に、やや後ずさりした様子のシィベだったが
「私、コノ村デ八百屋ヲヤッテイル“シィベ”ト申シマス!
 モラスターコフ様。レビゾル市ニオ戻リニナラレテモ 私ノコト ヨロシクオネガイシマス!」
「あ、ああ。分かってるよ。シィベちゃんね。うん うん。」
「ハ ハニャァ! サ ササ モットオ酒ヲ!」

411 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:22:20 [ 7YwzrkI6 ]

「………はぁ。あの子ったら……やりすぎよ……。」
うれしそうな顔でモラスターコフに酌を注ぐシィベを、呆れ顔で見つめる村長しぃ。
「ま、いいわ。彼も気分良さそうだし。じゃ、次シィファ 行って来て。」
「ハニャッ! 行ッテキマス!」

「失礼シマス モラスターコフ様!」
「お、次か。」
「私、コノ村デ
「あいさつはいいから、さっさと酌ついで………それともちろん“ツマラナイモノ”もな。」
「ハ ハニャ! モチロンデス! コノシィファ 注ガセテイタダキマス!」

そしてその後も、次々と
「私 シィワト申シマス! ササ!」
「シィサデス! 今宵ハタ〜ント 召シアガッテクダサイナ♪」
「私ハシィエト(ry」

次々にやってくる酒と、宝石。
これまでに散々飲んでいるだろうに、モラスターコフの機嫌は鰻登りに上がっていった。

412 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:23:03 [ 7YwzrkI6 ]

「ジャ 最後デスネ 村長」
「ええ、よくやってくれたわね。みんな。
 この分なら、ほぼ成功間違いなしでしょう。」
「アトハ 村長ダケデス! ガンバッテクダサイ!」
「ええ。まかせておきなさい……。」


「失礼します。モラスターコフ様。」
「お、あんた確か村長さんだったっけな。ック……。」
「はい。若輩者の身ではございますが……」
「よせよ謙遜は。……あんたも酌を?」
「ええ……。 どうですか? 今宵の宴は……。」
「最高だぜ。うまい酒と、きれいな宝石と……
 しかし、この宝石はどこから?」
「この近くに、鉱山がありまして。そこから。」
その言葉を聞いた途端、モララーの目の色が変わった。
「鉱山!? ……そいつぁ、どこにある……?」
「? ……この村から、ちょっと離れたところですが……。」
「な、なぁアンタ……。ちょっと、相談なんだが……」 
モラスターコフの声が、小さくなる。

「鉱山を……売ってくれと……?」
「頼むぜ。金はレビゾルに帰ってから十分な額を持ってくるから!
 な、頼むぜ。な!?」
「しかし、あの山は………。」
「だからよォ、頼むって言ってるじゃねぇか! な!? な!?」
「ですが、あの山は昔から我々しぃ族に代々伝わるもので、そう簡単には……」
「だからさ……… !(おっと)」
しつこく食い下がっていたモラスターコフが、突如ニヤリと笑う。
「……あっそ、くれないの。じゃいいよ。なら
 俺がレビゾルに帰ったら、どうなるか……」
「!!」
村長しぃの顔が凍り付く。

(そうだよ。俺にはこの“虎の子”があるんじゃねえか。
 下手に出る必要なんかなかったんだ。忘れてたぜ……。へへ。)
「さぁ、どうするかな?」

村長しぃは目をつむって、しばらく考えていたようだが
「………ならば、仕方ありませんね。
 その代わり……」
「ああよ。さっきも言ったが、こいつに関しては代金を払ってやる。レビゾルに帰ってから、持ってきてやるよ。
(誰が払うか ボケ!!) ……んじゃあ、権利書を……。」
「………分かりました。しかし、今で大丈夫ですか?
 かなりお酒を召しておられるでしょう……?」
「………そうだな。じゃあ、明日の朝
 俺を起こしに来たときに持ってきてくれ。明日発つんでな。
 今夜はもう、寝る。」
「分かりました。では、明日の朝に。」
村長しぃが、奥に消える。
「さてと、じゃあ俺も部屋に戻るとしますか……!」

413 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:23:43 [ 7YwzrkI6 ]


ククッ クククッ………!
部屋に戻ったモラスターコフ、グフフと満面の笑みを浮かべる。
今日は何て、ツイてる日だ……!
大量の宝石に加え、宝の山の鉱山ときた!!
クフフッ! これで俺も、億万長者か……!
おっと……。こんなめったにないグッド・ニュースは……
故郷の貧乏役人のモナーリンにでも、教えてやるか。
フフ フフフ フフフフフフフ………!!

414 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:25:31 [ 7YwzrkI6 ]

「オハヨウゴザイマス! モラスターコフ様!」
かんだかいしぃ族の叫び声。一番起こされたくない起こされ方で
モラスターコフは起こされた。
「やれやれ……何て起こし方だ…!!
 まぁいい。どうせこの村とも、今日で最後だからな……!!」

モラスターコフは荷物をまとめ、案内されるままに宿の入り口まで歩いた。
そして一同のお見送り。村長しぃが一歩、歩み出る。
「モラスターコフ様。お約束のものです。」
土地権利書をモラスターコフに手渡す。
「ああ。確かに。レビゾルに着いたら即、送るからよ。」
「はい……。その……もうひとつ……
 レビゾル市で……よろしくお願いします。」
「! はいはい。まかせときなさい。
 じゃ、そろそろ行くわ……( って、あれ? 
 何か忘れてるような……。まあいいか。)じゃあな!」
「またのご来訪を、お待ちしております!!」

モラスターコフの姿が見えなくなるまで、村のしぃ達は
精一杯、手を振り続けた。


「ふぅ……。やっと、行きましたね。」
村長しぃ以下、全員が胸をなで下ろす。
「さてと、じゃあお茶でも飲みましょうか。」
一同、宿屋にぞろぞろ戻る。

「やっと、行きましたね。これでひとまずは安心ですね。」
宿屋の食堂で、楽しそうに茶を飲むしぃ達。
「肩ノ荷ガ下リタワ〜。ヤット終ワッタノネ〜」

「フフ………あら?」
村長しぃが、床に何か落ちているのに気づく。
「これは………手紙? 差出人は…… ! モラスターコフ!?」
全員、村長しぃの方に振り向く。
「な、何で彼の手紙がここに? 食事をしに来たときに、落としたのかしら……
 あら……開いてるわ。」
開いた便箋。好奇心は抑えられない。
手紙を読み始める村長しぃ。何時しか周りには、全員が手紙の内容を見るべく集まっていた。
そしてまた、手紙を読んで行くに連れて、全員の顔色が変わっていった。

拝啓 モナーリン    
 
そっちはどうだ? 元気してるか? こっちは元気だ。
というより、聞いてくれ! 俺もとうとう、億万長者だぜ!
実を言うと、偶然泊まった村の連中 しぃ族なんだが が
俺のことを虐殺党の視察と間違えてくれてな。
もうすげぇのよ! 山のように宝石をくれた上に、その宝石の
鉱山の権利書までくれたのよ。分かる? この俺の強運!
まったく、しぃ族の馬鹿共には頭が下がるぜ〜!
あいつらの脳味噌って、ほんとに少ねぇんだなー! 笑えてくるぜ まったく!
じゃあな! いつか帰ったら、その時の話をたくさんしてやるからよ!! 

ふろむ モラスターコフ

全員が、絶句した。
まるでそこだけ、時間が止まったかのように。

今の今まで、視察と思っていたモラスターコフは、ペテン師。大うそつき。
そんな大うそつきを、今まで手厚くもてなしていたのだ。
飯を要求されれば宴を、酌を。
ベビしぃ、ちびしぃも何も言うことなく差し出してきた。
そして宝石、鉱山の権利書までも………
どれもこれも、彼が虐殺党の視察だと思っていたから。
逆らえば、どうなるか目に見えていたから。
だが、実際はどうだ? 手厚くもてなしたその男は
自分たちを散々騙して、逃げていった……………。


ああ、なぜ、気づかなかったのか…………!
だけど、もう遅い。
口達者なペテン師は、彼女達から散々巻き上げて
そして、逃げていってしまった………。


               終                 (?)

415 名前:あれで終わるわけないでしょ ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:26:14 [ 7YwzrkI6 ]

 


「フヘヘヘヘ! これで俺も、億万長者か〜〜!」
レビゾル市の自宅、パクッてきた宝石と権利書を机に広げ
ニヤニヤとほくそ笑むモラスターコフ。
「あれもできる。これもできる。ウケケケケ
 何をしようかなぁ〜〜?」
と、そこに

ピン ポーン……

呼び鈴が鳴った。
机の宝石と権利書を、押入にしまい込む。
「誰だぁ……? はいはい 今開けるよ!」

がちゃ

「久しぶりだね。モラスターコフ君。」
「アンタは………。」
驚くモラスターコフ。無礼が服を着て歩くような輩が、なぜ?
それもそのはず、ドアの前に立っていたのは、かつての上司
部下か? 数名を引き連れた、虐殺党の“課長”だった。
「バ……あ、いやいや。課長! どうしたんですかい?」
「何。少し話があってね。お邪魔するよ。」
「どーぞ……!」

フハハハハ! ふん。バ課長め。
やはり俺の才覚に気づいて、よりを戻そうってハラだな。
馬鹿め! 馬鹿め! 今頃気づいても遅いんだよ!
見てろ。お前に地面に跡がつくぐらい土下座させてやるからなぁ〜〜!

416 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:27:16 [ 7YwzrkI6 ]

「さて、話というのはだね。」
(俺に虐殺党に戻ってくれって言うんだろ? 分かり切ったことを!)
鼻を高くするモラスターコフ。だが
課長の口から出た言葉は、まったく意外なものだった
「君に、とある事件の容疑がかかってるんだよ。」
(へ……?)
言うやいなや、課長は捜査令状を広げる。
そして、捜索に動き出す部下達。
「な……? え……? な…なにが、どうなって……?」
「………少し前、ここレビゾルの宝石店が相次いで強盗に会うという事件があった。
 そのうち一件は店主が殺害され、その店主が持っていた山の権利書が奪われたのだ。
 ………覚えているかな?」
「…………え……? そ、それって……?」
モラスターコフの顔に、冷や汗が浮かぶ。
「そしてここ最近、我々はその手の売買の闇ルートの規制を厳しくしているから
 よほど強いパイプを持っていない限り、なかなか素人は売りさばけない……つまり」
課長はモラスターコフをじろりと睨み付ける。
モラスターコフは歯をガタガタ震わせ、顔面は完全に蒼白になっている。
「まだ処分できずに、どこかに隠している可能性があるのだよ。……おや」
気がつくと、課長が話している間に部屋を捜索していた部下達が立っていた。
手には、例の宝石と 権利書と。
「………フム。こいつは………間違いなさそうだね。えらく簡単に見つかったな。
 じゃ、モラスターコフ君。一緒に来てもらおうか。」
課長の合図と同時に、部下達がモラスターコフを拘束する。
「ま…ま……待ってくれぇ!! こいつは……罠だ 罠なんだぁ!!
 課長! 頼みます! 俺の話を……
「言いたけりゃ本部で言ってくれ。まぁ、もっとも……
 在籍中に『ほら吹きモラスターコフ』と呼ばれていた君の話など、誰が聞いてくれるかね?
 ま、時間はそうないんだ。あんまりウソはつくなよ?」
「ち、違う! 違う! 違います! 俺じゃない! 俺じゃないんです!!」
「強盗数件と、強盗殺人と………
 ま、寿命がつきる前には出れると思う……いや、でも……無理かな?
 ま、いい。連れてけ。」
「ちょ、ちょ、ちょっと………! え!? 待って……待ってくれよ……

 待 っ て く れ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ………!!





「ふん、ゴミクズめ。よもや犯罪をやらかすとはな。救いがたい男だ。
 しかし……… 誰が密告してきたんだろうな………。
 あの声は………しぃ族かな……?
 まぁ、そんなことはどうでもいいか。犯人も捕まったことだし、一件落着だ。
 さてと、儂も戻るとするか……。」

417 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:28:08 [ 7YwzrkI6 ]

「……うまく、いったようね……。」
所変わって、ここは後御五里村
村長屋敷に村の主たるしぃ達が集まり、新聞を読んでいる。
もちろん連中が読んでいるのは、モラスターコフの事件だ。
「イイ気味ネ! キャハハハハハ!!」
「ですが、本当にいい時期に来てくれました。
 当初の予定では、レビゾル市から宝石や権利書を盗んだ後、
 闇ルートをじっくり探す予定でしたが、まさか……。」
「ソノ間ニ 虐殺党ガ視察ヲ送リ込ンデクル ナンテ……」
「札束等なら燃やしてしまえたんですが、宝石は隠滅しようにも、そうはいきませんからね。
 山に捨てようと、川に捨てようと、無理矢理誰かに売りつけようと……
 本物の党の視察の嗅覚は、ハイエナ並みと聞きます……。
 どこに隠しても、まず見つかっていたでしょう。……まぁ、権利書の隠滅は容易だったかもしれませんが
 宝石が見つかれば、結局は同じ。疑いの目をかけられて
 この村は確実に消えていたでしょうね。」
「確実ニ“害を及ぼすしぃ”扱イサレテ 一心不乱ノ大虐殺……。」
全員が、安堵のため息をつく。

「調査結果で、あのモラスターコフが視察でないことは分かっていました。が
 それがなくても、彼がそれでないことなど、分かり切っていましたがね。」
「本物ノ視察ハ アンナ目立ツ行動シマセンヨネ!」
「“自分ハレビゾルカラ来タ”ダノ“レビゾル仕込ミ”ダノ……
 本物ノ視察ナラ 絶対言イマセンヨネ! 自分ノ身元ヲバラスヨウナコト……。」
「もともとああいう性格だったようですが、宿屋で聞こえよがしに言った“アレ”が効きましたね。
 偶然を利用したわけですが、うまくいきました……。」
「『デモ虐殺党モ、ナンデコンナ時ニ視察ナンカヨコスノヨ! 何モイm……フゴッ!?』デスネ?
 アレデソノ気ニナルナンテ 救イヨウノナイ馬鹿ネェ!」 
「あんな馬鹿な視察を本当に送り込んでくれていたら、ずいぶん楽だったんですけどね。
 ………とはいえ、彼は無実だった。そんな者に強盗の証拠品を押しつけるわけですから
 普通は党に密告などしないんですが、彼は少しばかりやりすぎましたね。
 あれだけの傍若無人な振る舞い それに
“奇形”のベビやちび達を殺すはいいにしても、その後私たちの仲間まで手に掛けるとは。」
「ヨカッタデスヨネ!“奴隷”カ“ストレス解消”ノタメニ 奇形ヲ飼ッテオイテ!
 ……マァ アノ子マデ 殺サレルトハ 思ッテナカッタケド……。」
「一匹奇形ナラ、兄弟皆奇形。10匹ナラ10匹 全部……!
 寒気ガスルケド ソレデ奇形ノ数ガ稼ゲタンダカラ 今回ハ役ニ立ッタワケネ
 フゥ 悲シム“フリ”ッテノモ 疲レルモノネェ……」
「デモアイツ ヨク宝石トカガソノ事件ノモノダッテ 気ヅキマセンデシタネ?」
「彼もあの時は相当酔っていましたし、それに
 彼らから見れば下等種族の私たちに、はめられるなんて思ってもいなかったんでしょう。
 ちょっと考えれば、分かることなのに
 もし本当に宝石の算出できる鉱山を持っていれば、誰がこんなみすぼらしい生活をするものですか。
 フフフ……。本当におめでたい男でしたね……。」
そして、村長しぃはすっと立ち上がる。
「さて、これで残すは、数日後にやって来るという本物の視察です。
 こちらは冗談ではありません。本番です!
 いいですね皆さん! では、解散!」

418 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/07/14(木) 11:29:32 [ 7YwzrkI6 ]


そして数日後、今度はモラスターコフの判決が新聞に出た。
本人は断固無実を主張したが、イソップ物語よろしく
昔散々ホラを吹きまくっていたのが災いし……

          有罪

そして、その判決は………………言うまでもない。

そして彼を贄として、後御五里村は今日もある。
あいかわらずの、変わらぬ毎日を送っている。
底知れぬしぃ族の、邪悪さをその中に隠しつつ。

end

419 名前:57勝手に続き(ナツカシ― 投稿日:2005/07/23(土) 21:32:05 [ bRzKxWRM ]

ギコ雄の通信が切れ、全員に沈黙が走った
モラ助は迷った
早くなんとかしなければギコ雄は死ぬか運が良くても奴等に捕獲される事になる
しかし今は任務が最優先、単純なモラ助にもそれは分かっていた
だが、それでも彼は仲間を見捨てる事などできなかった

その時、通信機が鳴った。フサ牙から全隊員に告ぐ通信だ
『聞こえるか・・・ギコ雄についてだが、どうやらまだ生きているようだ』
全員はその通信を聞くと安心と驚愕を同時に感じるという不思議な感覚になった

ここで誰もが思うだろう疑問「なぜフサ牙はギコ雄の生存を知る事ができたか」

説明しよう!!
実は全員の通信機には特殊小型心電図が仕込まれていて
フサ牙はこれでギコ雄の生存を確認したのだ(心電図自体を計る機能はフサ牙の通信機にしか付いていない)

『先程分かったことだが、奴の心拍数が徐々に安定している。おそらく捕獲された』
モラ助は少し安心した。が、いつまでもこうしてはいられない
『では・・・・・任務開始!!』
ついに「作戦」が始まった


一方、「ハニャーン地下要塞地下4階「特別監禁室(#゚ペ)」」

やけに薄暗く、広めの牢獄 そこの小汚いベッドにギコ雄は横たわっていた
彼の額や体には多少荒っぽく包帯が巻かれ、後ろに組まれた手と足には錠が掛けられている
「(・・・・・ん・・・・・?ずいぶん寝てたみたいだな・・・・・・・)」
体中がきしむような痛みと共に起き上がる
動かせない両手両足からジャラジャラという鎖の音ですぐに自分の置かれている立場を理解した

「・・・・・俺、文字通り「監 禁」されてるし・・・(;‐Д)=3ハァ・・・・・」
あきれた様子でボヤく
「あ〜・・・・・俺絶対助かってもフサに殺される・・・」


 To Be Continued...

>>57の展開完全に無視してる・・・スンマセン0TL

420 名前: ◆wG7.ZCeCNU 投稿日:2005/07/24(日) 22:28:39 [ yW.NbqWE ]

 = ローゼンイェーガー =



〜 第二章 〜
    背 景

 1.誕生

 AA大陸の一角、この地域に2つの主権国家が存在していた。
 広大な面積を占め、豊富な各種資源を有する超大国 「マターリ共和国」と、周囲を山岳地帯に囲まれた地域に存在する「モナー帝国」である。
 マターリ共和国は、いち早く「侵略戦争の放棄」「全種族に対する法の下の平等」を国是し、平和国家として全世界の市民から賞賛を受けると同時に、各国家において模範とされるような国家であった。
 それ故に、AA大陸の国家連合体であるAA国家連合においても、多大な影響力を有し、結果として、かなりの発言権を有する国家であった。
 しかしながら、その高福祉社会を維持するために多大な負担を国民に強いることになり、近年では高齢化社会になるにつれて経済成長率も低迷、活力を失ったマターリ共和国は国の老朽化が着々と進行しつつあった・・・。

 だが、マターリ共和国、そしてAA大陸全土を後に揺るがすことになる人物が、この世に生を受けることになる。
 とある しぃ族の両親の間に産まれた15番目の子供で、両親はその赤ん坊に「ハニャール」と言う名を付けた。

 当時、すでに種別間の差別を撤廃したはずのマターリ共和国であったが、それは法律上に限ったことであり、世間的には幾つかの種族間の差別は存在していた。しぃ族に対する差別も、その1つである。
 近年マターリ共和国に流入してきた しぃ族移民は、膨大な数になっていた。
 しかも、その大半が初歩的な教育すら受けていない状態であったため、労働力として需要の高い(つまり給与の多い)職種には就けず、国内で小作農や単純労働の職に就かざるを得なかった。
 故に、彼らは貧しく、他の種族からは教養の無い者達として様々な差別を受けていた。ハニャールの両親も、しぃ族であるが故の様々な差別を受けていた。

 モナー族やモララー族に家畜のように扱き使われる両親。そして、時には商品として売られていく兄弟達・・・。その環境がハニャールの心に何らかの固い決意を植え付ける事となった。
 やがて、生活に困っていた彼の両親は彼らの15番目の子供も商品として売らざるを得なくなった。
 だが、彼女は幸運だった。なぜなら、彼女が売られたのは奴隷を欲する地主や資本家でもなく、売春業者でもない、とある老夫婦であったからである。

 その老夫婦はギコ族の夫婦であり、病死した彼らの息子の代わりとして、ハニャールを彼ら夫婦・・・シードラー家の養女としてむかえたのである。
 そのため、ハニャールは しぃ族としては希有の経験を積むことになる。そう、彼女は高度な教育を受ける機会を与えられたのである。
 ハニャールは、シードラー夫婦の期待に応えるべく必死であった。なぜなら、シードラー夫婦の期待に応えられなかった場合、またあの地獄の日々に戻される・・・。その強迫観念にハニャールは常に晒されていたからである。
 結果として、ハニャールは常にトップクラスの成績を維持したまま、共和国随一の教育レベルを誇る大学へ進学し、常にトップを維持したまま主席で卒業するに至った。当然、しぃ族としては初の快挙であった。
 そして、大学院に進学し経済に関する研究を行っていたハニャールは、大学院卒業後、シードラー夫婦の所有する企業の一つを貰い受け、自らの研究の成果を実践することになった。
 そしてその結果は、大成功を納め、企業の業績が飛躍的に伸びたのであった。

421 名前: ◆wG7.ZCeCNU 投稿日:2005/07/24(日) 22:29:26 [ yW.NbqWE ]
 ハニャール・シードラーの考え出した理論とは、「しぃ族中心の企業システムの構築」であった。
 まず、ハニャールは しぃ族が他のAA種族とは異なる一生を過ごすことに着目した。
 従来のAA種族では大雑把に、生誕後に未成熟な状態から20年近くかけて成長し、その後20年間で労働力として社会に貢献、その後に老いていく・・・というのが、基本的な一生のスタイルになる。
 しかし、しぃ族は、まず成人への成長が非常に早く、誕生後5年ないし6年ほどで成長し、労働力として社会に貢献、そしておよそ40年で寿命をむかえるのである。
 すなわち、縦軸を能力、横軸を年齢にしたグラフで表せば、しぃ族の場合、他のAA種族と比較すると、まず誕生後5〜6年で急な右肩上がりの成長を示し、ピークを迎えた後、40年ぐらいで急激に低下するのである。
 この しぃ族独特の一生により短期間で労働力として使用でき、かつ老いることなく死亡するため老後のケアにかかるコストが削減できる・・・その点をハニャールは活用したのである。
 しかも、個体数も繁殖能力も高いため、常に豊富な労働力を得る事が出来るのも大きな魅力であった。
 「しぃ族が労働力として使えないのは、高度な教育を受けていないからだ。」自らの生い立ちでそのことを実感していたハニャールは、私財を注ぎ込んで しぃ族専用の教育機関を創設し、誕生したばかりのベビしぃを集め教育を施した後、5〜6年で成長した彼女らを自分の会社で優先的に雇い、生産ラインに送り労働力として活用したのである。
 まさに、従業員の「ゆりかごから墓場まで」をハニャールの企業で保証したのである。
 当初、世代交代によって発生するノウハウの消失が懸念されたが、蓄積したノウハウをマニュアル化する事で次の世代の労働者に託すことにより、ハニャールの示した経営理論はさらに洗練され、多くの資本家から注目するようになった。
 当時は、「たかが しぃ族ごときが・・・」と冷ややかに見守っていた彼らも、ハニャールの企業が急速に成長する様を見て、直ちにハニャールに習うことにしたのである。偏見に拘り、儲ける機会を損なうほど、彼らは愚かではなかったからである。
 こうして、ハニャールの学校で教育を受けられた多くの しぃ族は、奴隷としてでは無く、労働者として社会に貢献できるようになったのである。
 始めは、工場の生産ラインでの単純作業が多かったが、後に高度な技術を要する産業にも進出を始め、一財産を築いた しぃ族も現れるようになった。

 ハニャールの成功は、しぃ族移民の地位を大幅に向上させた。そのため、彼女はしぃ族の救世主として賞賛を浴びることになる。
 だが、その一方でしぃ族中心の企業システムに移行するために他のAA種族に対する解雇が相次いだため、多くのAA達が職を失い、しぃ族とその他のAA種族との間の溝も深くなりつつあった。

 やがて、シードラー夫婦が亡くなり、その膨大な遺産を相続したハニャールは、その資産を基盤に政治の世界に足を踏み入れることになる。
 政治家としてのスタートは順調であった。初めての選挙で、しぃ族からの大量の票を獲得した彼女は、2位以下に大きく差をつけてトップ当選を果たしたのである。
 また、シードラーの支持者は しぃ族だけではなかった。彼女の企業家としての手腕に目を付けた政治家達は、停滞の続くマターリ共和国の経済建て直しの為の起爆剤として、彼女の見識と手腕を必要としていたのである。
 彼女はこれまでの実績を背景に、しぃ族を中心に置いた社会システムの確立に全力を尽くした。そして、マターリ共和国の経済は急速に回復していったのである。
 シードラーの掲げた経済再建5カ年計画により、多くの しぃ族を中産階級へと押し上げ、 しぃ族による消費の拡大が経済を活性化する起爆剤となり、当初の目標を僅か3年で達成するほどの勢いとなった。
 また、政治の世界においても、これまでのマターリ共和国政治の老害の元といわれていたモナー・モララー族中心であった長老議員から、若く活発な しぃ族の議員へと世代交代が急速に進んでいった。
 こうして、政治・経済の分野において しぃ族が続々と進出する事になり、それに伴いシードラーの権力も着々と強化されるようになった。議会内部において、しぃ族を中心としたシードラー派の議席は、選挙を重ねるに連れ次第に増加し、ついには過半数を占めるに至った。
 こうして彼女はマターリ共和国の首相となったのである。

422 名前: ◆wG7.ZCeCNU 投稿日:2005/07/24(日) 22:30:31 [ yW.NbqWE ]

 さらに、その直後に行われた任期満了に伴う大統領選挙において、しぃ族からはもちろんのこと、他のAA族からも絶大な支持を受けたシードラーは、再選を目論む現大統領に圧倒的な差をつけて大統領に就任した。
 こうして、首相と大統領。これまで法によって明文化はされていなかったが、誰一人として兼任されることの無かった行政と立法の長の職が、ハニャール・シードラーという1つの人格によって兼任されることになったのである。
 多少騒がしい世の中にはなったものの、以前の停滞しきった重苦しい雰囲気よりはマシと考えていた多くの人々は、喝采を上げていた。・・・この状況が後に何をもたらすかも知らず・・・。


 シードラーは大統領就任直後で、驚くべき事を宣言した。
  「これまでのマターリ共和国の停滞は、長老議員が自らの権力を維持するため現状の維持を望み、改革を怠った結果である。また、彼らによって構築された議会制民主主義もそれに貢献しているものである。」
 彼女は、議会制民主主義ではその意志決定の遅さから、今の激動の時代に対応できない事を述べ、こう続けたのである。
  「これからは、優れた指導者と優れた国民とが一致団結していく必要がある。それこそが、これからのマターリ共和国を発展させる為に、私ことハニャール・シードラーが成さねばならないことである。」
 そして、この宣言の後に開かれた議会で2つの法案が可決されることになった。
 『大統領への全権委任特別法』及び『国家秩序維持法』である。

 大統領への全権委任特別法とは、大統領であるシードラーに行政・立法の面でフリーハンドの裁量権を与えることであった。これにより、シードラーは自らが作った法律を自らの権限で執行することが出来るようになったのである。
 発足当時は、国家経済再建のためという名目で3ヶ年の期限付きではあったが、これがシードラーによって近日中に改正されるのは明白であった。
 議会の存在を無にするこの法律は、当然議会からの反発を受けていた。しかし、シードラー派は、これまでの議会に辟易していた国民の強い支持を背景に、これを強引に可決させたのである。

 国家秩序維持法は、警察力を強化し国家の秩序を乱す者に対する処罰を強化させたものであった。
 「国家の発展を阻害する犯罪者の取り締まりを強化する」という名目で施行されたこの法律により、これまで様々な「事情」によって逮捕されなかった汚職官僚や悪事を働いた権力者達が続々と逮捕された。
 その他の犯罪者への取り締まりも強化され、悪化傾向にあったマターリ共和国の治安レベルも劇的な向上を示すようになった。

 当時のマターリ共和国国民にとって、シードラーはマターリ共和国の救世主であった。やがて、「シードラー大統領に任せればすべて上手くいく。」という信仰に近い考えが蔓延するようになった・・・
 やがて、その信仰が自らの首を絞めることになるとは夢にも思わずに・・・

423 名前: ◆wG7.ZCeCNU 投稿日:2005/07/24(日) 22:31:16 [ yW.NbqWE ]

 2.変質

 シードラー大統領による新体制は、マターリ共和国を劇的に変化させていた。
 次々に政策を打ち出しては、即座に実行に移し、汚職や犯罪を許さず、清貧と精励を尊び、浪費と怠惰を憎む社会を作り出していた。
 だが、そんなマターリ共和国にも問題があった・・・。しぃ族に職を奪われたAA達が住む場所を失い、街中にたむろするようになったのである。
 マターリ共和国政府は、彼らに対し食糧配給や宿泊所の提供などの福祉サービスを行っていたが、浮浪AAは続々と増える一方であり、それに伴い各種福祉事業の予算額も増加していく一方であった。
 さらに、マターリ共和国にはAA大陸随一を誇る技術と設備を備えたマターリ共和国国立リハビリセンターがあり、「でぃ化」と呼ばれる精神・身体障害AAの治療においては大陸一の実力を有していたが、このリハビリセンターの維持・運営にも莫大な費用がかかっていたのである。

 働かざる者、国家に貢献できない者達が、国家の資産を食いつぶす・・・。それは、シードラーにとって、絶対に許されざることであった。

 こうして、シードラーが掲げた次の政策は、マターリ共和国全土を揺るがすことになる。

 「過度の福祉政策は、国家に何ら貢献することもなく、ただ国家の資産を貪り食う者共達を増長させるだけである!我々は、我がマターリ共和国食いつぶす害虫共を放置するわけにはいかないのである!」

 こうして、マターリ共和国の福祉政策は大幅に縮小されることになり、マターリ共和国国立リハビリセンターは廃止され、国立シードラー病院と名前を変えることとなった。
 さらに、街中の浮浪AAに対して「街の美観を損ね、治安を悪化させる原因」として、徹底した浮浪AA狩りを実施したのである。
 この苛烈な政策は、これまでシードラーを救世主と称えていた多くのAA達−特に、しぃ族以外のAA−を恐怖のどん底に叩き落とした。
 ただでさえ、しぃ族に職を奪われ続けている状況下において、警察に追い立てられトラックに詰め込まれる哀れな浮浪AA達の姿は、明日の自分の姿かもしれないのである・・・。

 恐怖におののく彼らに、さらに追い打ちをかける事態が発生した。

 「優れた指導者と優れた国民とが一致団結していくために、模範となる優良な国民を選出し、彼らの指導の下で祖国の発展に全力を尽くす。」

 この宣言により、国民の中から貴族階級が構成されることとなり、彼らには『国民を指導するために必要な権限』として、様々な特権が与えられたのである。
 しかしながら、『模範となる優良な国民』の選出はシードラーの独断で行われたため、シードラー政権に貢献した者達が貴族に任命されるのがほとんどだった。そして、しぃ族以外のAAが貴族になることは非常に稀なことであった。

 その一方で、シードラーとその一派によってマターリ共和国が変質していくのを懸命に防ごうとしていた勢力も存在していた。モララー・モナー族議員による共和主義派の議員達である。
 彼らは、シードラー政権発足時は、旧体制派として国民の支持を失っていた。
 しかしながら、シードラー一派によってマターリ共和国が次々と変えられていく内に、彼らは古き良き祖国を守る最後の砦として、国民の支持(特に しぃ族以外のAA種族から)を取り戻しつつあった。
 当初、シードラー政権は彼らの存在を取るに足らない物として無視していたが、彼らが国民の支持を取り戻しつつ、次第に勢力を回復させていくにつれて、彼らの存在を危険視するようになった。

424 名前: ◆wG7.ZCeCNU 投稿日:2005/07/24(日) 22:32:07 [ yW.NbqWE ]

 そして、マターリ共和国は最大にして最悪の変化を遂げることになる・・・。

 それは、議会におけるシードラーの演説から始まった。

 「近年、我が国内において国家と国民の団結を阻害し、国家に混乱をもたらす勢力が存在する!」

 その言葉から始まった演説の内容は、これまでになく苛烈なものとなった。
 第一に、モララー・モナー族議員による共和主義派を、国家に反逆する不良分子として、彼らの政治活動を永久的に禁止。
 第二に、『優れた指導者による政治指導をスムーズに政策に反映させるため』に、議会の活動を無期限で停止し、代わりに大統領を中心とする「大統領府」を設け、立法・行政を司る機関とすること。
 そして、最後に「国家に混乱をもたらす反乱分子摘発」を専門に行う機関として『秩序維持保安管理局』の設立。

 特に、最後の秩序維持保安管理局については、「優秀な国民」すなわち貴族のみで構成されており、反乱分子の摘発・処分において、非常に大きな裁量権を与えられていた。

 そして、その日から秩序維持保安管理局による大規模な反乱分子狩りが始まった。
 『法律によらず、優れた国民である秩序維持保安管理局員の主体的な判断』にとって、多くのAA達が逮捕され、ある者は投獄され、またある者はその場で処刑された。当然のことながら、裁判等は全く行われなかった・・・。

 ここで、一例を挙げておこう・・・

 某所で金融業を営むモララー族の男は、ある朝に秩序維持保安管理局の職員によって逮捕され、弁明の機会も与えられぬまま即座に処刑された。
 その職員は、モララー族の男に多額の金を借りており、その職員曰く・・・
 「貴族として国家に奉仕する私に金銭を無償で提供せず、それどころか高額な利子を請求してきた。これは、国家に対する重大な反逆行為として、処刑と財産の押収に値すると判断し、即座に執行を行った。」
 そして、その職員はモララー族の男の屋敷を始めとするすべての財産を手中に収めた。(もっとも、名目上は国家財産として押収したわけであるが、『押収』した財産を過小に報告し、大半を自分の懐に収めていたことは言うまでもない。)

 このようなことが、マターリ共和国全土で行われたのである。
 秩序維持保安管理局発足後、1ヶ月でマターリ共和国全人口の5%程のAA達が拘束され、半数が処刑、残りは強制収容所に移された。
 その大半はモララー族・モナー族であり、しぃ族はほとんど含まれていなかった。

 多くの非しぃ族AAは、身の危険を感じ国外への逃亡を図り、さらに多くのAA達が命を失うことになった。

 こうして、マターリ共和国は、シードラー政権による独裁国家へと変わってしまった。
 そこには、『全種族に対する法の下の平等』の下、すべてのAA種族が平和的に暮らしていたかつてのマターリ共和国の面影は、もはや存在しない・・・。



  = 続く =

425 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/08/21(日) 14:11:24 [ CXd57lfw ]
すごい・・・

426 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/08/22(月) 15:20:32 [ DFmkRn3k ]
   カトキチィのしぃめじ・ちびしぃベーコンのガイド

     監修  ベビしぃがおいしい
               カトキチィ株式会社


当社では、しぃたけよりも貴重とされていたしぃめじの大量生産に成功し、
さらに、ちびしぃでできたおいしいスモークベーコンの生産を始めました。
その生産と出荷までを解説します。

・原料と環境には常に最善を

当社の広大な敷地には500匹以上のしぃを放し飼いにしています。
それらは100%雌(しぃ)を生む「半角種」と呼ばれるもので、
一度の交尾でちょうど5匹のべビしぃを生みます。(奇形0%)
交尾にはオーストラリアから輸入した、最も美味しくて数が多く安全な
「ワイルドフレッシュ=ダマレコゾウ」と呼ばれる食用レコを交尾に使用。
美味しいベビに仕上げます。餌には健康で美味しい「しぃフードライト」を使用。
そして害獣や病気とは無縁の柵付き安全牧場で育てます。この結果衰弱などで死ぬ
ベビしぃ(耳の形が「ハ」になるまでに)をわずか500匹(全体の20%)に抑えました。

・生育にこだわるカトキチィ

当社の「半角種」は、普通85%とフサ15%の割合で、アフォしぃは
1匹もいません。子どもに関心のあるよい母親しぃのもとで育ったべビしぃは、
とても美味しい「しぃめじ」になります。
耳の形が「ハ」になり、「チィ」「アニャーン」「ナッコ」と言うようになったらしぃめじが育ちます。
それまでに死んでしまったべビしぃでも、親はそばにいる傾向がありますが
(「ベビチャンハシンジャツタケドママトイツショダヨ」てなかんじで)
しかし、当社は妥協は許しません。巡回している飼育係が
親がなんと言おうともベビを解体し、土に返します。

(ベビしぃ回収の目安)
,、、
(゙-゙)) 生後0〜2週間(。p゙)死亡率10%
,、、
(゚-゚*))生後2〜5週間 (゙p。*)死亡率10%
ハ ハ
(゚ー゚*))チィ 生後5週間〜(回収の目安)

427 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/08/22(月) 16:00:58 [ DFmkRn3k ]
・美味しいしぃめじができるまで,

そして回収。どの親も1匹を残して全て回収(これはちびしぃにする)。併設のしぃめじハウス
へ移動します。ハウスの中は、生育にちょうど良い環境になっており、専用のプランターに
べビしぃを移し変えます。(このとき、首から上までを出しておくようにしてうめます)
そして菌を植え付けて1週間後、十分な栄養を取り、元気に育ったしぃめじは、
収穫、箱詰めされ、皆様の食卓へと行くのです。
ちなみに、残ったべビしぃの死体は、土になり、次の栽培に使用されます

・ちびしぃスモークベーコンへの道

先ほど回収せずに残したべビしぃは、その後、ちびしぃへと成長します。
  ∧ ∧
 (*゚ー゚)マターリですね
@(__)
という風に、
「全角でしゃべる」ようになったら、回収の目安です。
まず、httpレーザーが打てないように、縄で縛ります。
つぎにその場で首をひねりこ頃します。(このとき親しぃが半角でぎゃあぎゃあうるさいですが、完全無視です)
そして、併設の巨大加工工場(ここがべビフリャーなどをつくる本社兼工場です)
へ速やかに運びます。
そして手作業で加工、熟成し、3ヶ月もすれば万能で美味しいちびしぃスモークベーコンの出来上がりです。

いかがでしたか?カトキチィはつねに最良の環境を整え、おいしくヘルシーな
しぃめじ、ベーコンを皆様におとどけしているのです。お子様が楽しく食べられるよう
しぃめじと調理ブックのセットを販売しております。

カトキチィは環境にも人にも優しい工場づくりをしています。
そして美味しくヘルシーな食べ物を開発、生産してゆきます。
「確かな品質」、それが、カトキチィなのです。

428 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/08/22(月) 16:14:31 [ DFmkRn3k ]


協力 安部井田郡茂羅野村
         
   製作・著作 カトキチィ株式会社
         モララー食品保健機構

         カトキチィ各工場はISO9001,ISO14001
         を取得しています。

・・・・当資料のAA作品化募集中!・・・・
しぃ虐待・虐殺スレッドにての作品化を
心よりお待ちしております。   

,、、 zzz
(゙-゙))`    カトキチィ広報部

429 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/08/22(月) 16:31:28 [ DFmkRn3k ]
      ・・・・お詫びと訂正・・・・

当作品のアスキーアートにおいて、いくつかの
ずれ、間違いがあったので、訂正いたします。
・生後2〜5週間のべビしぃ
,、、
(゚-゚*))

・ベーコン用のちびしぃ
∧ ∧
(*゚ー゚)
@(__)

430 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/08/23(火) 10:04:12 [ V0Rc6xLw ]

・生後5週間〜のべビしぃ

ハ,,ハ
(゚ー゚*),,)~チィ

これからも、カトキチィはよりよい資料の作成を心がけていきます。

・・・・新商品発売決定!・・・・
当社では、これより新商品を発売することにいたしました。
まもなく資料を作成し、公表する予定ですので、今しばらく
お待ちください。

,、、
(゙O゙))`ピィピィ、ピィー!(感想、待ってまーす!)

            カトキチィ広報部

431 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/08/29(月) 07:38:18 [ L/0u4zgc ]
>>426-430

感想:下手糞なAAが作品を台無しにしている。
特に最後のAAはたいへんイタいものであり、見ていて不快感すら感じさせる。
   この手の作品は小説よりAA向きであり、
   それができないのならば、初めからAAを挿入しない方が良い。
   基本的に小説は、こまごまとした絵とは相性が悪い。
挿絵とは大概、少ない頻度で1ページ丸々を使って描かれる事を考えれば納得がいく筈だ。
肝心の文章にしても、先ず練習スレで修行してから本スレに投下するのが自他の為。
   あと、Ageずに、sageよう。

432 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/08/29(月) 15:12:04 [ exQwnuSc ]
   ミックスべビしぃのランチョンミートのガイド

     監修  べビしぃがおいしい
             カトキチィ株式会社

・・・・始めに・・・・
431氏、大事な意見を有難うございます。
今回から、下手なAAを一切使わない、よい資料を作って行きます。

・ヌケドナルド協会との契約商品
この商品は、アメリカのヌケドナルド社との契約により、
広大で安全な敷地内での生育を可能にした、画期的な商品です。

・原料、生育、そして管理

今回は、カトキチィオリジナルのしぃである、「ミックス半角」という、
見た目は普通のしぃだが、普通・ふさ・三毛をそれぞれ3匹づつ生む、
子沢山のしぃです。(100%雌(しぃ))
700匹いて、交尾とえさはしぃめじのときと同じものを使いますが、
管理には、世界中で使われ始められている、業務用ちびギコを使います。
ただのちびギコではありません。「httpレーザー」「AAを復活させる」
という、特定のちびしぃに見られる技を身につけているのです。
主に奇形のあぼーんや、衰弱死したべビしぃの復活に使用します。
生後5週間以上7ヶ月以内は「チィ」「ナッコ」「アニャーン」という鳴き声となり、
「ピィ」「キィ」「マンマー」からは卒業です。このときちびギコは撤退します。
そして、奇形などで毛並みの数が不揃いになった親子がいて、
数を均等にするため、飼育員が多い毛並みのべビしぃを地面にたたきつけ、
頃します。(今回は死骸は放置してもよいです)
そして生後2ヶ月経ったところで、べビしぃを回収します。

433 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/08/31(水) 12:31:51 [ Cmtyd.vc ]
・加工と出荷

回収されたべビしぃは、工場へと移動、その後無菌状態で
加工、味付け、缶詰め、の行程をクリアし、アメリカ、日本へと
配送されます。アメリカ輸出用には、少量のおにーに肉をブレンドした、
「ライトミックス」もあります。

カトキチィでは、インターナショナルな食品をいかにおいしく、ヘルシーで
安全に開発するかを目指してゆきます。
世界の美味しさ、それがカトキチィなのです。

協力 日本ヌケドナルド協会

  製作・著作 カトキチィ株式会社
       モララー食品保健機構

   ・・・お知らせ・・・
カトキチィ作品は、これより小説練習スレでの公開となります。
お手数ですが、練習スレへと足をお運びください。

                カトキチィ広報部

434 名前:美怜 投稿日:2005/09/08(木) 18:20:38 [ x4iFP5UY ]
 これは、町から「アフォしぃ」の姿が消えて、数年後の話。
 人々は皆、彼女らのダッコやコウビの強要に悩まされる事も無く、至って平和に
暮らしていた。

 ・・・そう、この日までは。

 〜ダッコ革命党 第2部 第1話〜

 とある道路の一角で、一匹のしぃが彼女お気に入りのダンボールの中で、日向ぼっこを
していた。勿論、彼女は数年前まで住民を悩ませていた「アフォしぃ」ではなく、至って
普通のしぃ族。ダッコは好きではあるが、強要は決してしない。コウビなどもってのほかで
ある。
 すると、彼女のそばを、一匹のでぃが通りがかった。
「ハニャ?」
「アウゥゥ・・・」
 でぃの存在に気がついたしぃは、慌ててダンボールから出て、でぃに駆け寄った。
「タイヘン! 傷口ガ ヒドク 膿ンジャッテルヨ!」
「アゥ〜?」
 慌てるしぃの反応を知ってか知らずか、間の抜けた声を出すでぃ。
 すると、2人のそばをモナーの青年が通りがかった。
「アッ、モナーサン!コノコ、傷口ガ 化膿 シテルノ! 抗生物質ノ 塗薬カナンカ 持ッテナイ?」
 どうやらこのモナーは彼女の知り合いらしい。モナーは頷きながら、
「えっ?うん、多分あると思うけど・・・ちょっと家を見てくる」
 そう答え、急いで家に向かって戻った。

 数分後、モナーはドラッグストアのビニール袋を持って戻ってきた。
「どうせ使うものだから、新しいのを買ってきたよ」
「アリガト!」
 そう言いながらモナーの手から塗り薬を受け取ったしぃは、それをでぃの傷口に
やや遠慮がちに優しく塗りこんでいく。沁みるのか、時々でぃが顔を歪めた。

「病院ニ行クノガ 一番ダケド、健保モ ナイダロウシ・・・ 当分ノアイダハ、コノ薬ヲ 塗ッテナサイ?」
「何もしないよりは、ずっとましだよ」
「アゥアゥ・・・アリガト・・・」
 手当てを終え、でぃに向かって優しく言う2人。でぃがやや遠慮がちに頭を下げた。
 すると、モナーがまだ何か入ってるビニール袋に手を突っ込みながら言った。
「桃を売ってたから、でぃちゃんの栄養補給も兼ねて変わりに買って来たよ」
 そう言いながら、モナーは袋の中から、あまり色がついていない桃を3個取り出した。
「アウゥ・・・モモ・・・?」
「ワーイ♪ミンナデ タベヨ!」
 早速皮を剥き、口へ運ぶ。しかし、桃を口にした途端、3人とも複雑そうな顔を
した。
「・・・デモ コノ桃、アンマリ アマクナイヨ・・・」
「アゥウ・・・ アジ ないヨ・・・」
「うーん、確かに・・・桃の季節にはちょっと早すぎたかな・・・;」
 不満を漏らす2人に向かって、苦笑いしながらモナーが言った。

 しばらく3人で仲良く遊んだ後、でぃはモナーに連れられ、しぃと別れた。
「アウゥ・・・バイバイ・・・」
「バイバーイ♪」
 お互いに手を振り合う2人。

「しぃの日記

 ○月△日
 でぃちゃんがひどい怪我をしていました。
 でも、モナーさんがお薬を買ってきてくれたので
 そんなに酷くはならないでしょう。モナーさんに感謝。
 (でも、果物を見る目だけはちょっと・・・?)
 その後、三人で仲良く遊びました。明日もこんな日だといいな。
 みんななかよく はにゃにゃにゃん♪」

 日記を書き終えた後、しぃは盛大にあくびをし、
「フワァ〜〜・・・ シィモ ネヨット・・・」
 こう独り言を言うと、ダンボールの中に入り、蓋を閉じた。

435 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/09/11(日) 09:07:29 [ oVppf5M2 ]
 426さんの作品を参考に作ってみました          

           でぃの処理方法 

    監修・協力  虫猫の里
           モララごみ処理センター
           茂名市広報課
           でぃ収容センター

 みなさんもご存知のでぃは、近年アフォしぃの減少によって
異常繁殖しつつあります。 そこで茂名市では一定数のでぃ以外は
収容センターに送り、皆様の生活をより快適にするように処理することに
決定しました。 理由としては
・労働力にならない
・市の美観を著しく損なう
・リハビリセンターへの投資の極端な増加
の3つが主な理由です。
尚処理方法とその過程については次回お知らせします。

436 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/09/11(日) 14:59:11 [ oVppf5M2 ]
処理方法

  ,、,,,
~(;(#゚-) ①べビでぃ
     しぃ・でぃから生まれたべビの内、
     生まれつきでぃと同じ外見である物を指す
 (なお目が3つあるなどの奇形は生まれた時点で薬殺か研究所送りなのでご安心ください)                         
  
  処理過程:まず母親が寝ている間に連れ出します
(「キイ・・・」などと小さな声しか出せないのでしぃより簡単です)
  つぎに個体ごとに分別します(尚選別マシーンに引っかかって死ぬ場合も有りますが気にしないでください)
分け方は体の状態によって変わります
  ・しぃに近いもの・・・中途半端なのですべてこの過程で処理されます
    知性が高いものは虐殺訓練所に練習用として、残りは虫猫や食用しぃの餌として加工します
  ・標準ぐらいの物・・・10分の1は茂名市生物化学センターへサンプルとして
    残りは 1、そのままちびでぃに成長させる         
        2、堆肥の原料として処理施設の誇る超大型ミキサーで加工
        3、収容センターのでぃの餌としてフレーク状に加工
        4、臓器などを取り出し防腐処置をしておもちゃに加工
    そして上記のように処理されます。

437 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/09/11(日) 15:02:31 [ oVppf5M2 ]
追記
  ・びぃに近い物・・・やや獰猛な性質を持つものは狩猟用ペットとして別の施設へ
 残りは堆肥の原料になります。

438 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/09/15(木) 20:33:13 [ TF1I4mq6 ]
AAは下手くそなので小説スレでアブ板デビューします。
主人公はギコですよ。
*物語中の『父』とは「虐殺神」の事です。

「虐殺神への復讐」

ここに一匹の孤独なギコが居る・・・。この話はこの孤独なギコの人生の物語。
・・・ギコの父親は虐殺神(ぎゃくさつがみ)と呼ばれた男。
たった三秒の間に20匹のしぃを葬り去ったことからそう呼ばれた。
周りの虐殺厨からは「虐殺神ギコ様」などと呼ばれていた男。
そんな男からギコは生まれた。
ギコも運命は父と同じだった。ギコは周りから「虐殺神の子」と呼ばれて
虐殺界からは崇められていた。
チビギコ時代から道ばたにいるしぃを見つけては殺していた。
ギコ自身は気が付かなかったが「この子には虐殺神以上の力を持って居る」と言われていた。
崇められている分素晴らしい人生だが実際そうではなかった。
生まれたときからそう呼ばれていたら自分の未来も選べない。
ギコは庶民の暮らしが羨ましかった。自分が生きていることが悔しかった。
そして父を何よりも恨んだ。
・・・虐殺神の息子など父と誰の間に生まれたかって?
それは普段虐殺しているしぃだ。
しかしギコには母親がいない。父が殺した。
ギコが生まれてからゴミのように捨てた。
父は自分の力を受け継がせる息子が欲しかった。
だからしぃなどギコを生むための道具に過ぎなかった。
だけどギコは一度も母親が欲しいと思ったことはない。
いたとしても母親がしぃなら自分の手で殺していたに違いない。
ギコがチビギコからギコになりかけていた時にふと思い浮かんだ言葉があった。
――「この子には虐殺神以上の力を持って居る」
その言葉が頭に浮かんだ瞬間ギコは異常な怒りを覚えた。
「・・・あの男が居なければ・・・俺は存在しないでよかった・・・。」
ギコは自分の存在が嫌いだった。だから思いたったら止まらなかった。
その日以来ギコは感情など全てを捨てた。
笑うことも、怒ることも、悲しむことも、楽しむことも。
全てを捨てていた。父親を殺した時の気持ちを味わいたくなかった。
そしてしぃ対象の虐殺だけにしていたギコが他のAAも殺していた。
「虐殺神の子」と崇める奴も、同じギコ族も・・・全て殺した。
――その怒り方十年後
ギコは父の家にいた。
父はその時も「虐殺神」と崇められていて全く衰えてなかった。
・・・そんな父ギコは殺す。そしてギコも虐殺と共に人生を絶つ。
また「虐殺神」等という馬鹿げたAAが生まれないように。ギコは誓った。
ギコは父に言った。
「俺は感情も虐殺も捨てた。だが俺の今しなくちゃいけない虐殺は終わっていない。
虐殺神・・・そして俺の父親のあんたを殺す。」
父は一度動きを止めたがすぐにニヤリと笑ってギコに言った。
「ほぉ・・・馬鹿息子が。自分の力を分かっているのか?
私は「虐殺神」お前は「虐殺神の子」所詮庶民と同じだ。」
ギコはその言葉を聞いた瞬間捨てたはずの「悲しみ」という感情がこみ上げてきた。
ギコは『お前は庶民』と言う言葉は人から初めて聞いた。
しかも自分が今殺そうとしている男から。
だけど『殺す』と誓った相手を許すなどできない。
・・・この虐殺はギコの人生と俺の虐殺の集大成なのだから・・・。
ギコは心の中で自分に問いかけた。
(殺さなければ殺される。殺されればこの男を誰が殺す?
この男にここまで怒りを覚えた奴がいるか?
俺の怒りは殺されてきたしぃ以上の物のはず。
ここまでしてこの男を殺そうとする奴はこの先いない・・・。)
その瞬間、父はギコに向かってナイフを持ちながら飛び込んできた。
それをギコはかわすと父の腕を掴んでいた。そして力いっぱい骨を折った。
鈍い音と共に父の唸り声が聞こえた。
「ぐぅ・・・。この馬鹿息子・・・。絶対殺す・・・。」
だけどそれを言っている間にギコは父のナイフを取り上げて後ろから父を刺した。
「あが・・・」
父は吐血した。父が死ぬ間際にギコは父に言った。
「俺はあんたが親だった事を悔やむ。
そしてあんたを殺したこと・・・心から悔やむ・・・。」
ギコは捨てた「悲しみ」の感情を十年ぶりに顔に出した。
そして泣きながら父を殺したナイフを持って言った。
「・・・お父さん・・・。俺が本当に恨んでいたのは・・・
自分なのかもしれません・・・。あなたを殺した同じナイフで・・・
俺はあなたと母がいる同じ場所に逝きます・・・。」
ギコは大粒の涙を流しながら自分の首を刺して・・・死んでいった。

     完

知らない間に重い作品が出来ていたよ・・・。

439 名前:加トきっちゃん 投稿日:2005/10/01(土) 09:39:02 [ w3vbtX.A ]
どうも、カトキチィシリーズの作者です。今回は番外編として、
長編小説を少々書かせていただきます。

「しぃの惑星」で登場した「しぃビーフ」は爆発的に広まり、現実でいう「牛」
に当たる存在となった。そして、多くのおにーに農家がしぃを扱うようになり、
中には普通のしぃも見境なく食べてしまうものもいた。一方、おにーにの方は、
しぃ切り替えの際捨てられたものが野生化、家畜時代より数を増やし、「迷惑肉」
と呼ばれるほどになった。

    そんな時代のとあるAAの世界のはなしである。

440 名前:加トきっちゃん 投稿日:2005/10/01(土) 10:32:57 [ w3vbtX.A ]
ある深夜、ここはコンビニ「ギコマート」。店員のギコが一人ぶつぶつ独り言をつぶやいていた。
「明日はしらたば3丁目店に移動か・・・、今日まで何もおきなかったが、こういう日に
 限って何かあるんだよな。」
すると、案の定数匹のしぃが入ってきた。ちびしぃ、べビしぃもいる。
「ハニャーン、オイシソウナモノイッパイアルヨー」
「ダメダメ、シィハアマクテヤワラカクテコウキュウナモノシカタベナインダヨ」
「なるべく沢山買いましょう、お母さん」
「チィ チィ アニャーン」
(来た来た、糞虫ご一行様。ゲッ!あいつ・・・・)
「コリコリウンチサン、デタヨー」
一匹のしぃが糞をたらした。
(汚ねー!あいつらよくも・・まあいいか、フフフ)
そして店の中にあった品物を山積みにして一行は店から出ようとした。
「オイ待て。その品物の会計を済ませろ。後店の清掃費もだ」
「ハニャ!ギコクンダ!イッパイダッコシテアゲルカラチョウダイ」
「コウビコウビ!コウビモシテアゲルカラ」
「断るとマターリの名においてあぼーんします!」
「そーらきた。断るに決まってるじゃないか!大体ダッコやコウビだの
 お前らがやりたいこt・」
「ハニャーン!コウビシテクレナイノー!?ソンナギコクンヒドイヨー、ビェェェェェェェン!!」
「チビチャン、アンナギャクサツチュウハアボーンシナサイ」
「わかりましたhttpレーザー発射!」
しかしレーザーはギコのスーツに吸い込まれた。
「ばかな!httpれーざーがきかないなんて・・・」
「このスーツは特殊スーツだ。糞レーザーは利かない」
しぃたちは小便を漏らして命乞いをした。
「ハ、ハニャーン、ダ、ダダッコスルカラツルシテェェェェ・・・」
「イママデノコトアヤマルカラ、コラゼンブカエスカラ・・」
ギコはゴム製警棒でしぃ達の頭を殴り、気絶させた。そして電話で話をした。
「もしもし、ファミレスシーダックさんですか?しぃ数匹手に入れたんで
 買取にきてください。・・・・」

そして数時間後、しぃ達は目を覚ました。そこには他にもしぃ達が50匹ほどいた。しかし様子が変だ。
「コノシィチャンタチウゴカナイヨ。カチカチニカタマツテイルシ・・・」
「チィィィィィィィ!チィィィィィィ!」
「ベビチャンタチコワカッタデショウ、モウダイジョウブダヨ、ナカナイデ」
「ハニャ!手が縛られている!これじゃあレーザー撃てないよぉ」
すると扉が開き、中からモララーが出て来た。
「こんにちは食材諸君、私はここの店長モラ岡だ」
「コノクソモララー!カワイイ2チャンノアイドルシイチャンヨココカラダシナサイ」
「まあ落ち着いて聞きなさい。君たちは罪を犯した。よってここでそれを償ってもらう。
 ここはファミレスシーダックのしぃ保管庫だ。ここがどういう店かはこれからわかる」
するとモララーは1匹の固まったしぃに水をかけた。するとしぃが動きだした。
「ブルブルブル ハニャーン ハニャーン」
「こっちに来なさい、君たちもだ」

441 名前:加トきっちゃん 投稿日:2005/10/01(土) 11:35:17 [ w3vbtX.A ]
店の厨房へ案内されると、そこには沢山のコックやウエイターがいた。
「さあ、このしぃはこの人に裁いてもらうとするか。フトマシィ君!」
「はーい、さつそくさばくだべさー」
するとフトマシィは解体包丁を取り出し、華麗な包丁裁きでしぃを裁いた。
「バニ゙ャァァァァァァァァァァァァア゙」
「つづいて内臓抜きだべさー」
「モウヤメテー!ソノコヲイジメナイデー!」
「これで分かっただろう、この店がしぃビーフ専門店だということが」
「裁き終わっただべさー」
しぃたちは顔を手で覆い隠して震えていた。しかしちびしぃが
「復活してください」
というと、裁かれたしぃが元の姿に戻ってしまった。
「エライワチビチャン!」
「虐殺は全て無意味です。復活してよかったですね」
しかしモラ岡が怒っていった。
「君のせいでタイムロスだ!料理は時間が大切だというのに!ギコ原君」
するとウエイターのギコがやってきてちびしぃの首を掴むとベキベキと
首を折り、殺してしまった。
「君の餌になるようにきれいな形で殺しておいたよ」
「イヤァァァァァァ!チビチャンガシンジャッタヨォォォ」
他のしぃ達はぶるぶる怯えている。
「しぃ係のガナ本君、彼女らを空き部屋へ」
一人のガナーがやってきて、ちびの死体を掴むと、
「あなたたち、こっちへ来なさい」
しぃ達はガナ本の後をついて行った。
「いやー、関心関心。22歳の彼女がここまで働くとはな」
しぃたちは段ボール箱がひとつあるだけの部屋へ連れてこられた。
「どれ、大人しぃ5匹うちふさ・三毛1匹ずつ、ベビしぃの③が5匹うちふさ・三毛が2匹ずつ
 前述の大人のふさ・三毛が母親のようね。1匹が妊娠、普通の毛並みのベビは妊娠の娘ね」
「オネェチャンヲカエシテクダチャイ!」
「あら、この子は喋れるの?あのちびも妊娠の娘ね」
「チョット!③ッテナニヨ!」
「①、②などはべビしぃの大きさよ。詳しくはAA練習スレの299と300
 を参考にしてほしいわ。はい今夜の餌のおにーによ、ベビちゃんたちはこのミルクよ
 でもお肉1匹分足りないわ。あなた、自分の娘なんだからこのちびを食べなさい。
 じゃあね」
ガナ本は部屋の鍵を閉め、去っていった。一方しぃ達は晩飯を貪り食っていた。しかし妊娠しぃの
ほうは、壁によりかかっている口を「p」にして*も消えてしまったちびの屍骸を見ていた。
(チビチャンナンテタベタクナイヨウ。 デモエイヨウヲトラナキャオナカノベビチャンタチガシンジャウヨウ・・・)
そしてちびの顔にかじりつくと、
「ゴメンネ、チビチャンヲタベナキャイケナカッタンダヨ、ゴメンナサイ ゴメンナサイ ゴメンナサイ」
ガブッ ガツガツガツ チュルチュルチュル ズズズズズー
食べてしまった

442 名前:加トきっちゃん 投稿日:2005/10/01(土) 13:13:48 [ w3vbtX.A ]
翌日、しぃ達はモラ岡によって起こされた。
「おはよう諸君、早速だがそこの妊娠しぃを除くしぃ達に美味しい話がある」
「ハニャ!モシカシテニガシテクレルノ?カワイイシィチャンガカワイソウダカラナノネ!」
「違う違う。昨日君たちが食べた肉は何だったかな?」
「オニーニニキマツッルジャナイノ。アンタヴァカネ」
「残念、ハズレ。正解はおにーにの肉に臭みを抜く天然の成分を混ぜ込んだ
 じんぞうにくでしたー。君たちの肉はもう臭みがなくなっているよ」
「ジャア、シィタチハ」
「さっき普通2、フサ1、三毛1、べビフサ2、べビ三毛2のオーダーが
 入ってね・・・」
「イヤァァァァァァァァァ!」
「タベラレタクナイヨゥゥゥゥゥゥ」
「さあ、こちらへ」
6人のコックが入ってくると、
おもむろに喚くしぃ達を引きずりながら去っていった。
「君とベビだけが残ったね、それではまた。」

「シィノオトモダチガミンアタベラレチャッタヨウ、ビエェェェェェェェェェン!!」
「チィィィィィィ!チィノオトモダチモコロチャレチャッタヨウ」
2匹で泣いていたその時、母親に陣痛が走った。そしてズキズキと痛むと、
破水した。
「ハニャアアアアア!!ベビチャンガウマレルヨウ!!」
「ママ、ガンバッチェ!」
そして股からズルズルとべビたちが出てきた。
生まれたのは9匹ものメスのベビだった。そして一斉に鳴き始めた。
「ピィピィ」「キピィィィ」「ミィミィ」「ニィ」
「ヨカッタ・・ブジニウマレテ・・・アレ?コノコナカナイヨ?ホラ、「ピィピィ」ッテナイテミテ」
しかしそのベビは仰向けになったままうごかなかった。
「シィノベビチャン1ピキイナクナッチャツタ・・・ハニャーン・・・」
しかし8匹のベビたちは芋虫のように母親のところへやってきた。
「ミンナブジニソダテテアゲルカラネ」
そのとき、ガナ岡が入ってきた。しぃはいそいで8匹のベビを段ボール箱へ
いれた。
「なにかあったの?」
ガナ岡は、落ちていたベビの屍骸を見ると、
「あー、死んじゃったのね、べび。残念ね」
というと、ベビの屍骸を持ち、
「あ、そうそう店長が言ってたけど、あんた達は運がいいから1ヶ月間
 働いたら逃がしてやるって言ってたわよ」
といって去っていった。
 しぃは箱の中からベビ達を取り出すと、
「コレデアンシンダネ、ベビチャン。サア、オチチヲアゲルヨ」
「チィモイキマチュ」
ベビ達に乳を飲ませた。

443 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:44:47 [ vtglHRy2 ]


          原点回帰作品 オニーニ猿蟹合戦

444 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:45:19 [ vtglHRy2 ]

〜 アイララ ラライラ アイラララ〜♪
  虐殺演劇 いいもの作る
  そのため現在 生贄探す♪
  アイララ ラライラ アイラララ〜………… 

何やら不気味な歌を歌いながら、2体のAA
モララーとモナーが歩いてくる。

「後二週間後に控えた虐殺演劇大会。あとは実演練習のみだからな!」
「でも最近、なかなか“あいつら”が見つからなくて困ったモナね。
 まぁいざとなったら、養殖場から買えばいいモナけど……」
「養殖だとどうもイマイチだから、なるたけ天然でやりてえなぁ。
 でもよ、絶滅してるってこたぁありえねぇだろ?」
「あの繁殖力で絶滅ってのはあり得ないモナよ。単に隠れてるだけ。
 流石にあいつらでも、警戒心は持ち合わせているだろうモナからね。」
「てぇことは、もしかしたら………」
「この辺にもその類のバカが、いるかもしれないってことモナ。」
「そうだな。例えば…………」
突然、モララーが眉をひそめる。
「そこで踊っていやがる奴らとかなぁ………!」

モララーが指さした、数十メートル先。
たしかにそこには、“あいつら”がいた。
とにかく二匹で、我を忘れたように踊っている。

「ワッチョイ ワッチョイ! オニーニワッチョイ………」
青い空に、流れる汗(?)の中、一生懸命に踊っているオニーニとその弟。
どこの青春漫画の一ページだ とも言える
見るものによっては、実にさわやかな光景だったが………

そんなさわやかな光景など、どこ吹く風。
「まぁだああいうバカ共が、いてくれたとはねぇ……。」
「天の配剤モナよ。とっ捕まえに行こうモナ。」
獲物を見つけたハンターのように興奮する、モララー一行。
その背後には、お決まりのどす黒いオーラが燃えさかっていた。

445 名前:よっしゃあ! 444ゲットォ! ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:46:00 [ vtglHRy2 ]

「ワッチョイワッチョイ オニーニ……」
「いやいやいや! いい踊りをするねぇ!」
「ほんとほんと! ほれぼれするモナ!」
踊り続けているオニーニ兄弟に、平静を装って2体は近づいた。
「ワチョッ? オジタンタチ ダレワチョ?」
「おじ……さん……!? まぁいいや。
 いやね、僕たち、とあるところで演劇活動をしているものなんだけれど……」
「君たちの踊りが、あまりにも素晴らしいものだから
 ぜひともモナたちの劇に、出演して欲しいモナよ。」

「ワチョッ!? ホントワチョカ!?」
「ほんとだとも。ギャラも支払うよ?」
「ワチョ! スゴイワチョ!
 オトートヨ キイタカワチョイ? ニータンタチノオドリガ
 ミトメラレタ ワチョイ!」
「ワチョーイ ワチョーイ!」
思わぬ知らせに、飛び上がるくらいに喜んでいる、オニーニ兄弟。
このままデビューだ! 全国に自分たちの踊りが広がる!
オニーニ兄弟の幻想・夢は、瞬く間に彼らの小さな脳内を埋め尽くす。

しかし、現実はクソ握りの夢を叶えてやるほど甘くはない。
知らぬが仏 と言う言葉があるように………

「ま、ベタな手段だけど、傷つけずに捕獲するには
 一番確実な方法だからな……」
「褒められれば何の疑いもしないモナからね。この単細胞達は。
 ……全くもって、こいつらは………

「救いようのない、哀れなバカだ!」

声をそろえ、ほくそ笑んだ。

「さぁ、それじゃあ場所を移すから、着いてきて!」
「ワッチョイワッチョイ! ワッチョーイ!」

446 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:46:35 [ vtglHRy2 ]

所変わって、移った場所は……
何もない、ガランとした廃工場。
どんなきれいな劇場に案内されるかと思っていたオニーニ兄弟は
やや不安げな表情で辺りを見回す。

「ソレデ ドンナ劇ヲ ヤルノワチョ-イ?」
「……ああ、そういえばまだ、言ってなかったね。
 僕らがやるのはね………」

「猿蟹合戦 モナよ。
 ………別にAPOH氏をパクったわけじゃないモナけどね。」
「サルカニ……ガッセン……?
 コドモニデモ ミセルノ? ワチョ-イ」
「違う違う。僕らの猿蟹は、そんなちゃちな代物じゃない。
 ……まぁ、すぐに分かるよ。
 それじゃあ、お兄ちゃんはこっちに来て。
 弟ちゃんはそこの柱の辺りにいてね。」
「ワチョ! ワカッタワチョーイ!」
浮かれたオニーニ兄弟は、何の疑いもなくモララー達の指示に従う。
既に夢の世界に入っているこの兄弟には、疑いの心など
既に遠くに飛んでいっているのだろう。

「それじゃ、始めますか。最初から。
 まず蟹モナーが、おにぎりを見つけるところから!
 オニーニ兄ちゃん! そこで立っててね!」

言われたとおり、舞台(?)の中央辺りに立つオニーニ兄。

いよいよ、僕らの踊りのデビューワチョイ………。
甘い希望を胸に、体まで文字通りにとろけそうになるオニーニ兄。
だが……

「はい! 蟹さん登場!」
モララーのアナウンスと同時に、扉の開く鈍い音が。
その音に思わず、オニーニ兄もその方向に振り返ったのだが……

直後、石像のように硬直した。
それは、モナーの腕の“モノ”を見てのことだった。
おそらく“蟹さん”を模してのモノだろう。モナーの手には……
巨大なノコギリが二枚、鋏のように合わされて握られていた

447 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:47:18 [ vtglHRy2 ]

「ワ……ワチョ!?」
オニーニ兄の危険感知センサー もとい
被虐生物が危険を感知する機能、被虐センサーが働きだした。
身の危険 身の危険! 本能は無意識のうちに、身の危険を感じ取っていた。
被虐センサーが働きだし、突然おどおどするオニーニ兄。
そんなオニーニ兄に、追い打ちを駆けるように

シャアッ………シャアッ………

その金属音で威圧するように、獲物を狙う蛇のように
モナーは腕のノコギリ鋏を、閉じたり開いたりしている。

「じゃあ、まずは………蟹さんがおにぎりを見つけたところから……
 さて、おにぎりを見つけた蟹さんは……どうするのかな?」
「当然、掴むモナ。」
モナーはノコギリ鋏を、獲物に食らいつく肉食獣のように大きく開く。
その眼下には、すっかり怯えたオニーニ兄の姿が。
危険センサーの針など、とっくに振り切れているだろう。
この場から逃げ出そうとしているようだが、足がすくんで動けない様子。
まさしく、蛇ににらまれた蛙 状態だ。

「ア……アア……ア……」
「おいおい。まだ何もしてないモナよ? 何をそんなに怯えてるモナ?」
「流石に何されるか分かったんじゃないか? クククッ。
 クソ握りにしちゃあ、ずいぶんと優秀な機能をお持ちのようだ。
「ま、その優秀な機能が現在、災いしてるってところモナね……。
 そいじゃあモララー、“つまむ”モナよ?」
「躊躇する必要はねェよ。思いっきりやっちゃってくれ。
 まだ、後がつまってるんだし。」
「それじゃあ………!」


や……や…… やめて………ワチョ………!
な、何でもするワチョイ そ、そうだ! 踊るワチョイ!
お、おにーたん達、これで許して………

オニーニ兄は必死に、心の底からの哀願をした−− だが 

「何をゴチャゴチャ言ってるモナ?」
「俺、オニーニ語分かんないから。」




答えたのは、二人の絶望的な返答。

448 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:47:35 [ vtglHRy2 ]


              ぐしゅ

449 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:48:13 [ vtglHRy2 ]

「ビギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

さてさて、お聞きの通りの聞き苦しい悲鳴を上げたのは
ご想像の通り、顔をノコギリ鋏でざっくりやられている、オニーニ兄。

「蟹さんがオニーニを掴んだらっ 次は何?」
「今度はお猿さんに、会いに行くモナ〜♪」
「ナァ〜イスゥ!! オテテを振って、元気よく歩いていきましょぉ〜!」
「おっけー!」
そしてモナーはぶんぶんと、大きく手を振り出す。
もちろん、オニーニ兄を挟んだまま。
「ギョアアアアアアアア! イタイ! イダイワヂョ! ハナジデェェ!」
のほほんとしたモララーのナレーターとは裏腹の、オニーニの絶望的な悲鳴。
だがそんなオニーニをあざ笑うかのように、ニヤニヤとモララー達は話しかける。
「大丈夫モナよ! こいつは鋭利な刃物じゃないから
 絶対に真っ二つにはなりゃしないモナ!」
「だ〜けど鋭くない分、刃の形が複雑な分
 傷口をジワジワとグジャグジャに引き裂くから、かえって辛いかもな。
 ま、こうやって嬲るには最適なんだけどな!」

そうしている間にも、ノコギリに挟まれてぶんぶんと振り回されている
オニーニ兄の顔からは、他の生物で言うところの血や肉片に当たる
米粒が、ボロボロとこぼれ落ちている。
しかし二人が言ったように、少しずつ ジワジワと。

「オ オニーターーーーン!!」
柱の影から、成り行きを心配そうに見守っていたオニーニ弟だったが
兄の悲痛な悲鳴に耐えかねたか、飛び出そうとその身を現した−−


「お前の出番は、まだ先なんだよ。
 それまでそこで、大人しくしてろ。」

それを予期していたかのように、モララーが何やらリモコンを操作する。
すると

ガゴォン!!

柱の上の方から、ちょうどオニーニ弟を閉じこめるように
小型の、鋼鉄製の籠が降ってきた。

「コ コ コレハ ナニワチョーーイ!?
 ダチテェ! オニータン ダチテェェ!!」
なんとか脱出を試みようと、檻の中で暴れる弟だったが
檻の柵は、直径3センチはあろうかという鋼鉄のパイプだった。
クックルが暴れても脱出が困難であろう、この頑丈な檻
オニーニ程度の力では、文字通り傷一つ付かない。

「お前の力ごときじゃ、いくら暴れたって無駄なんだよ。
 大人しく、兄ちゃんの最期でも見物してるんだな!」

そしてモララーは、座っていた椅子から跳ね起きると
近くにあった梯子を伝い、柱の、梁の上へとよじ登った。
「“猿”配置完了いたしましたぁ〜♪」
どうやらモララーが、“猿”の役のようだ。

450 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:51:05 [ vtglHRy2 ]

「蟹さん蟹さん。こんにちわぁ♪」
「おやおや猿さん。そんなところで何をしてるモナ?」
「ちょいとうまそうな柿がなってたんで、とってるところなのよ。」
「それはいいモナ! モナにもちょうだいモナ♪」
「いいよ。そいじゃあ……」

そこまで言うとモララーは、おもむろに立ち上がり
懐からなにやら、球のようなものを出すと……
「これでも食らいなさい!」
モナー蟹に向かって、緩く投げつけた。

「はっはっはっ。モナにそいつをぶつけて気絶させ
 その隙におにぎりをパクろうって寸法モナね?
 …そうはいかんモナ!」
するとモナー蟹は、ノコギリ鋏で鋏んでいるオニーニ兄を持ち上げる。
そして……

ドブッ!! 

「ギャボッ!!」
一発  

グジョッ!! 

「ゲバッ!!」
二発

ブヂュッ!! 

「ワヂョオゥ!?」
三発…………

「ワッヂョオォォォ………!!」
「オニーニグローブの鉄壁の守り、伊達じゃないモナー!!」

三発が三発、すべてオニーニ兄の顔面にクリティカルヒット
そして更に三発全てが、緩く投げられたとはいえ
完全にオニーニの顔面にめり込んでいる。

「ワッ ワヂョッ!! オメメガ ミエナイワヂョッ!! ワヂョォーーー!!」

顔面の半分以上が潰され、半狂乱になって叫ぶオニーニ兄。
そんなオニーニを、さも愉快そうに眺める二人。
「まったくうるせえクソ握りだな。こんなんじゃパクろうって気も失せるぜ。」
「ははは。たかだか顔面に玉がめり込んだだけで、こんなに喜んじゃって…!
 オニーニちゃん。これからもっと楽しくなるモナよ?」
モナーの、何か含みのある発言に
オニーニ兄の騒ぎ声が   止まった。

451 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:52:37 [ vtglHRy2 ]
「ソ ソレッテ………ドウイウ イミ…………ワ ヂョッ!?」
意味ありげなモナーのささやきに、オニーニが首を傾げたその瞬間
「ワッ ワヂョォウ!!?」
お決まり通り、オニーニ兄が突然苦しみ始めた。
「ア アタマガ ワレソウニ イダイワヂョイ!! イダイ! イダーイ!!」
「あ、効果が出始めたモナね。案外早かったモナ。」
「クソ握りの体温で、とろけ始めてきたか……。
 ま、あの玉作るの大変だったんだから、その分楽しませてもらいましょうかね。」
「オ オジダン! ダズゲデ ワヂョーーイ!!
 イッダイサッキ ナニ ナゲタ ワヂョーーイ!?」
文字通りの、頭が割れそうな頭痛と闘いながら
オニーニ兄は必死にモララー達に問いかけた。
そしてまた“オジサン”の部分に眉をしかめ
モララーが顔を引きつらせながら答える。
「………ったく、相変わらず口の利き方のなってねぇ奴だな…… まぁいい。
 どうせ死に行くゴミだ。教えてやるとするか。
 いやね。さっき投げ込んだ奴……あれね……
 生ゴミの塊なんだよ。」
「ワ ワヂョッ!? ナマゴミ!?」
「しかも夏場に二週間、炎天下の元に寝かせておいたどろどろの特別製モナ!
 ふふふ。夏場の炎天下に二週間も放置しておいたんだから
 その生ゴミは、もはや雑菌と腐敗毒の塊モナ! 
 モナたちでもそんなの体に入れたら、えらいことになるモナ!」
「その毒の塊を冷凍庫で凍らせて、玉状に固めたんだぜ。
 まったく、途中で何度倒れそうになったか……。」
「ま、そんな至高の代物モナ。た〜っぷりと味わってほしいモナね!
 特に君の場合、頭にぶち込まれた上に、頭の米と生ゴミが絶妙に混じり合ってるモナ。
 十二分に、その効果を堪能できると思うモナよ!」
「俺らで言えば、髄膜炎なり日本脳炎の末期症状みてーなもんだからな。
 くくく。耐えられるかな?」

モララーたちが、何やら言っているようだったが……
オニーニ兄には、もはや聞こえていなかった。
生ゴミ玉を打ち込まれた激痛に加え、更にはその毒が全身を駆け巡っているのだ。
意識どころかその命さえも、もはや風前の灯。
そして同時に、溶け出した生ゴミはオニーニ兄の頭からあふれ始め
その激烈な臭いを辺りに漂わせ始めた。
「うっげ……。
 モララー。もうこのゴミ、放していいモナか?
 だんだん臭くなってきて、もう耐えられそうにないモナよ!」
「ああよ。こっちにまで漂ってき始めた……うげぇ。
 しかも、蝿までたかってきやがった……!
 よし! “感動の対面”に移るから、さっさと捨ててくれ!」
「言われなくとも!」
そしてとうとうオニーニ兄は、ノコギリ鋏から解放された。
ただしその“解放”ですら、オニーニ兄には安らぎをもたらさなかった。
解放 ノコギリ鋏が開かれたと同時に――
オニーニ兄は、地面と接吻。直後に
その、形を何とか留めていた頭を地面に  はじけさせた。

452 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:53:05 [ vtglHRy2 ]

はじけさせた………
と、いうことは? その意味する物は?

……それすなわち、溶けてドロドロになった
生ゴミ爆弾が、オニーニの頭と一緒に地面に拡散したと言うこと。
つまり………

「うげぇえぇぇぇぇぇ! 静かに置くべきだったモナ〜!!
 頭がはじけて、臭いが一気に拡散したモナよ〜!!」
「ぐはぁぁぁぁぁ!! こ、この臭い…!
 作った自分が言うのも何だが、これほどまでとは……!!

……まさしく今舞台上は、デスゾーンと化していた。
もはやスカトロしぃでも尻尾を巻いて逃げそうな、この臭い。
オニーニ兄が、最期に一矢報いたか?
絶命した彼の傍らで、二人が悶え苦しんでいる。
「こ、これは本番でやったら、最悪死者が出るな……! うげぇ……
 も、モナー! 惜しいが、本番ではこいつは使わないでおこう!」
「異議なしモナ〜!! で、モララー! 続けないと!」
「あ、そうだな! クソ兄弟の、感動の対面!
 そして敵は、舞台裏に引っ込む! うげっ。」
そしてモララーは、先ほどのリモコンを操作すると
モナーと一緒に、一目散に舞台裏へと避難していった。

「ニ……ニーータァァーーーーーーン!!」
檻から解放され、弟は一直線に変わり果てた兄の元へと向かう。
「ニータン! ニータン! シッカリシテ ワチョイ! ニータン!」
激臭漂うデスゾーンも何のその。オニーニ弟は
無我夢中で兄の側へと走り寄った。
「ニータン! オキテワッチョイ! マタイッショニ オドロウヨ ワッチョイ!
 ダカラニータン オキテェ! オキテェェ!! メヲサマシテ ワッチョイ!」
しかし、弟がどれだけ必死に呼び起こそうと
兄はとっくに屍と化し、声の届かぬ世界にいる。
弟の必死の声はただ空しく廃工場の壁にこだまし、消えゆくだけだった。
「ニータン…… ドウシテ ワチョ……?
 ドウシテコンナコトニ ナッタワチョ……?
 ドウシテ………!?」

そこまで言うと、オニーニ弟の顔つきが変わった。
兄の死に動転していたのが落ち着いたのか
ぎろりと、先程モララー達が退散していった扉をにらんでいる。
復讐心の、めらめらと燃える炎をその目に秘めて。
「アイツラガ… アイツラガ ニータンヲコロシタワチョ……!!
 ゼッタイニ……ゼッタイニ ユルサナイワチョーー!!
 ニータンノカタキ ウッテヤルワチョー!!」
そして弟は、扉に向かって体当たり
そのままモララー達を追うべく、全速力で走った。

その様子を……
二人は通路に仕掛けたカメラで見ながら、何かの準備をしていた。
「やっぱ追いかけてきたモナね。
 流石単細胞生物。行動の予測がしやすくて助かるモナ。」
「まぁ、そうでないとうまくいかないから困るんだけどな。
 ……これからが、猿蟹の真骨頂……なんだからな!」

453 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:54:01 [ vtglHRy2 ]


「ニータンヲ カエセ!」
息を弾ませながら、オニーニ弟が飛び込んだのは
以前は事務所にでも使われていたのだろう、小さな部屋だった。
「ワチョ……? モララータチハ ドコワチョ……?」
「ここだよん。」
突然聞こえてきた声に、はっと弟が振り返ると……
そこにあったのは

壁に開いた、無数の穴。
「針治療でも、堪能してくれたまへ。」
「エ」
次の瞬間 その壁の穴から
何かが勢いよく飛び出してきた。

「イッ イタァァァァァイィィワチョオォォォォ!! ナニワチョカコレハァァァァ!?」
突然、
何が起こったか、その場でゴロゴロと転げ回って悶え苦しむ弟。
何が起こったか? よ〜〜く、見てください。よ〜〜く。

よ〜〜く、見てみると………
オニーニ弟の体の表面に、何かキラキラするものが確認できた。
キラキラ反射する、小さな……… これは、針か。

「ワッ ワヂョオオォォォォォウウ!!?? ビリビリスル ワヂョーーイィィ!?
 イダイ イダイ ワヂョイィィ!! カラダガヤケル ワヂョーーイィィ!!」

「猿蟹合戦「蜂の毒針攻撃」!
 とりあえず今回は、20本飛ばしてみたが……
 威力は申し分ねぇな 俺の『スティンガー』は。」
「『スティンガー』と言っても、追跡ミサイルじゃないけど。
 でも、いい悶えっぷりモナ。」
「ったりめーだろ。ただ針を飛ばしただけじゃねーんだから。
 この俺が、その程度で済ますわけがねーだろ。」
「というと、例によって何か細工がしてあると?」
「あーよ。あの『スティンガー』には
 悪名高い極辛唐辛子の、ハバネロをぬったくってある。
 針に塗った程度の量じゃ、普通の連中なら大した効果は出ねぇんだが
 あのクソ握りの体格なら、効果覿面ってとこだな。」

「ワーーー! ワヂョォウッ!! イダイワヂョォイ!! タスケテワヂョォォォイイ!!」
針の刺さった痛みと言うより、ハバネロの灼熱感と激痛に
悶え、転げ回るオニーニ弟。
だが転がり回るごとに、針は一層深く刺さっていく。
哀れオニーニ。自分で自分の傷口を広げているとは。

「ははは。ゴロゴロ転げ回ってるモナよ。よっぽど痛いモナね〜。」
「ふふふ。“蜂の毒針”に苦しんでる、苦しんでる! 何て滑稽な姿だ!
 ………じゃ、そろそろ助け船でも出してやるか。」
モララーはそうつぶやくと、また何かボタン操作をした。

454 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:54:35 [ vtglHRy2 ]
オニーニが転げ回っていると、部屋の隅から
何やら小さなボールのようなものが、オニーニ弟の方へと転がってきた。

「ギャワヂョオオゥゥ!! ギョオワァァーー!! ゲ………?」
痛みに転げ回っていたオニーニ弟は、その傍らに
何かが転がってきたことに気づいた。
金属の、玉だ。
「ワッ ワヂョ……? コレハ ナニワチョ………?」
傍らに転がってきた、金属製の球体を手に取るオニーニ弟。
そしてその金属球を手にした瞬間、部屋にモララーの声が響いた。
「身悶えご苦労様、オニーニ君。
 …………さて今回、君の悶えっぷりが見事だったんでね、
 僕らの方から一つ プレゼントを用意したんだ。
 君が今手にしている、その玉のことだよ。」
モララーの言葉にオニーニ弟は目を輝かせて、その手にある“金属の玉”に目をやる。
もっとも、“金属の玉”と言っても完全な球ではない。
球体の一部に、変な部品のようなものがついた代物だった。
「コレガ ゴホウビ……? コレイッタイ ナニワチョ?」
「それはね。中に解毒剤が入っているんだ。……君は今、さっきの針のせいで
 全身がまだズキズキするだろう? それを一瞬で、治してくれるんだ。」
「ホ ホントワチョイ!?」
「ああ。その金属の玉、一部に変なものがついてるだろ?
 そこにはわっか状の針金が着いてると思うから、そいつを抜いてくれれば
 解毒剤が出てくるよ。」
「ワ ワチョッ!!」
早く全身を焼く痛みから逃れようと、痛みに震える手で
針金の輪に指をかけるオニーニ弟。

ピンッ

これで、解毒剤が――

だが、次の瞬間

455 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:54:57 [ vtglHRy2 ]



ド カ ァ ァ ァーーーーー ン ! !

456 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:55:59 [ vtglHRy2 ]

解毒剤が出てくる代わりに、大爆発が起こった。

「猿蟹合戦 「熱ではじける栗攻撃」!
 アツアツの爆風をまき散らしてはじけ飛ぶ、手榴弾の味はどうだ!」
「ま、手榴弾と言っても、そのままのを使ったら
 オニーニの体なんて跡形もなくなるから、火薬量はかなり減らしてあるモナ。」
「実際の話とは順番が逆だけど、別に問題はねぇだろ?
 どっちが先になろうが よ。」
「どっちが先でも、苦しむことには変わりはないモナー!!」

愉快そうに会話をする二人を後目に、オニーニ弟は………
突然の不意打ち 予期せぬ新たなる激痛に
体をビクビクと震わせている。
「ふふふ。ある意味では確かに“解毒剤”だったろう?
 君の体の表面の“毒針”は殆ど吹っ飛んだはずだからね。」
「ま、その代償として
 ちょっと火傷しちゃってるモナけどね。」

………モナー達の言う、“ちょっと”
それは如何ほどのレベルのもののことを言うのだろうか?
何せ、オニーニ弟の現状は
何とか死んではいないようだったが、その体は
余すところ無く、爆風に焼かれ
まさしく“焼きおにぎり”状態だった。
時折窒息しかけの金魚のように、ぱくぱくと口を動かすのみ。
もはや意識があるかどうかも、定かではないが……

457 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:57:05 [ vtglHRy2 ]

「じゃあモナー、仕上げと行こうか。
 おいコラ、起きろクソ握り。」
モララーが、冷徹に叫ぶと

「ワッ ワヂョォォッ!!」

まるで魔法。ぐったりとしていたオニーニが、急に跳ね起きた。
魔法? いやいや、そんな摩訶不思議なものではない。
なぜなら今度はよく見なくとも、よく見えるから。
オニーニの尻に、さっきの針が十本近く刺さっているのが。

「いつまで寝てんだ、このカスがっ。
 とろとろしてっと今度は、全身動けなくなるぐらいに
 スティンガーをぶち込んでやるぞ!?」

すごむモララー。だがオニーニには、そんなすごみを聞く余裕もない。
手榴弾による全身火傷に、抜け残ったスティンガーの痛み
そして今回の、尻に刺さった新たなるスティンガーの痛み。
今のオニーニの状態は、後一歩でお花畑を渡りかねない状態だ。  

「ふふふ。後一歩って所か。まぁいい。
 おい、いいかクソ握り? これから大事なことを話してやるから、よ〜く聞け。」
「ワ……………、ワチョ…………イ……………?」
ずたぼろのオニーニが、何とか返事をする。
「くくく。俺らの猿蟹合戦に協力してくれて、どーもありがとう。
 おかげで非常に参考になったよ。
 でだ。もう帰りたいだろ? お家に帰りたいだろ?」
「ワ………ワチョ…………」
イマイチイエスかノーか、分かりにくい返事ではあったが
さすがにここで“ノー”と答えはするまい。
まぁモララーにとっては、どちらでもいいことだったが。

「“安全な”出口を教えてやる。
 ……右手に扉が見えるだろ? それだ。」

モララーの指示通りに、右手方向を振り向くオニーニ弟。
確かにそこには、扉があった。
「ワチョ……カエ……レル………。コレデ………カエ………レル」
ふらふらと、その扉に歩いていくオニーニ弟。
……って、おいコラちょっと待て。
踊りのデビューはどうした、ギャラはどうした
そして何より、兄ちゃんの仇はどうした!? オニーニの弟よ!

だが、それはこいつら被虐生物の悲しさ。
自分の命が危険にさらされれば、まず何よりも自分の命を最優先してしまう。
たとえ肉親の死であろうと、復讐を決意しようと、自分の命が危険ならば
そちらを取る、という寸法だ。

「ワチョ……アト……スコシ……。オウチ………カエレル………。」
一歩ずつ、一歩ずつ
地獄からの脱出口に近づいていく、オニーニ弟。

………地獄からの、脱出口?
甘い甘い。甘すぎる。
お約束のこの展開。当然ながら
これからオニーニを待ち受けているものは、更なる地獄だ。
あの扉は、地獄からの脱出口ではない。
地獄への入り口なのだ。


「カエレル…………」
オニーニが扉のノブに手をかけ、回した瞬間。

スッ

床が、消えた。

458 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 22:59:27 [ vtglHRy2 ]

「ワチョッ!?」
突然の、予期せぬ出来事。落とし穴。
帰れるという淡い希望は、モララーの冷徹なる一撃で叩きつぶされた。

「………お前ってさぁ……………
 本ッ当に、救いようのないバカなのな!!」

「ナ ナニワチョ!? カエレルンジャ ナカッタノ ワチョ!?」
元から頭だけは出る作りになっていたようで、オニーニは
落とし穴から頭だけ出して、何やら叫んでいる。

「ばぁかが。そこまでぐちゃぐちゃに実験材料にしといて
 誰が素直に帰すかよ。最期まで使うに決まってんだろ?」
「ソンナァ! モウ イヤワチョォォォ!」
「嫌っつっても、俺ぁやるぜ。
 猿蟹合戦最終! 「石臼攻撃」!」

モララーがまたリモコン操作をすると、地面から
巨大な石臼がせり上がってきた。
その石臼の粉入れ口に、オニーニをはめ込んだ状態で。

「さ〜てと、もう何やるかは分かってるよな?
 さっきの爆風で、お前の体の 少なくとも表面は
 カラッカラに乾燥したはずだからな。
 ………“グラインド” してやるよ。」
そして、舌なめずりをするモララー。
よく意味は分からなかったが、何か今まで以上に
とんでもないことをされそうだと、オニーニ弟は絶望にふるえる。

「せ〜めて“君”は、いいニクコプーンになってちょうだいね〜!」
「ワッ ワチョ!? ニクコプーーン!?」
思いも寄らぬモララーの発言に、オニーニはびくりと更に体を震わせる。
「そ〜よ。ニクコプーン。さらさらのニクコプーンね!
 さっきも言ったけど、お前、少なくとも体の表面はカラッカラに乾燥してっから、
 イイニクコプーンになりそうだぜ〜♪
 ま、しばらく時間はかかるけどな。あんまり急いで作ると、質が落ちるからな。
 じっくりと、お前の体をすりつぶしていってやるよ。」

「ワ……ワ……ワチョ……、シヌノハ……イヤ ワチョ……!
 オ…オネガイ……ワチョ……。タスケテ……ワチョ……! ナンデモ……スルカラ……ワチョ……!
これからゆっくりとすりつぶされていく という処刑法に
身じろぎし、命乞いを始めるオニーニ。
……そんなことしたって、結果は目に見えているのに……

「何でもする? それじゃあせめて
 よい悲鳴を上げながら死んじゃってください。頼むよ〜♪
 ……っと、そうだ、忘れてた。モナー!」

モララーが声をかけると、今までどこに行っていたのか
モナーがぬっと姿を現した。
なぜか全身を防護服のようなもので包んで、手には何かが入ったビニール袋を持っていた。

「まったく、こんないいものがあるって知ってたら、苦労はなかったモナねー。
 モララー、持ってきたモナよ?」
「ご苦労さん。俺もあれ作るとき、そいつがあるって知ってたら……
 まぁいい。オニーニ君。ごめんごめん。こいつを忘れてた。
 ……だからね、前言撤回。君はニクコプーンにならなくてもいいんだ。」
「ワ…ワチョ……?」
「代わりに、こいつは僕らからの、最後のプレゼントだ。」
そしてモナーは袋の中身が見えるように、オニーニ弟に向かって袋の口を開いた。
直後、例の耐え難い異臭があたりに漂う。

459 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 23:00:29 [ vtglHRy2 ]

「ニ……ニータン!!」
袋の中身は、先ほど非業の死を遂げたオニーニ兄だった。
地面にぶちまけた死体を詰め込んできた、その袋の中身は
もはや形容しがたい、不気味な色の"モノ"と、臭いに満ちていた。

「やれやれ。ついさっきなんだよな。この廃工場に
 こんないい装備品があるってわかったのは。」
どこから持ち出したか、モララーがガスマスクを装着する。
モナーがつけているものと、同じ代物だ。
「うひひ。モナー、頼むわ。」
「あいよ モナ!」

モララーに指示されると、モナーはおもむろに例の袋を持ち上げる。
そして
「ブラザァ・コラボレェショォォン!!!」
袋の中身を、オニーニ弟の頭の上に一気に投下した。

「ア゙ーーーーーーーーーーーーーーー!!」 
ただでさえ体の表面は火傷していて痛いのに
そこに、得体の知れない代物が降りかかって来た。
パニックと、激痛。
オニーニ弟はもはや、半狂乱だ。 

「おいおい。せっかくまた兄弟の感動の再開を
 させてやったのに、何で泣き叫ぶのよ。」
「きっとお兄ちゃんとまた会えて、叫ぶぐらいうれしいモナよ!」
「ははっ そりゃそうだな! 流石に兄ちゃんは原形とどめてねーから
 抱擁とかは無理だけど、存分に再会を喜んでくれ!」

「ギャアアアアアアアアア!! イダァァァイイィィィワヂョォォォォィイィ!!??」
モララー達がのんきに話していると、オニーニ弟の苦しみ方が変わった。
おそらく目、鼻、口、そして体の傷口から、兄を死に至らしめた
件の雑菌が進入しているのだろう。

ハバネロ針に体を貫かれ、焼かれ、手榴弾で焼かれ
そしてとどめに得体の知れない、毒物の固まり――

………この時点で、既に殆ど死んだようなもの というより
放っておけば、そのままオニーニはゆっくりと意識を失い
黄泉の世界に旅立てたものだが……………

そうは問屋が降ろさない。

「本番では、オニーニの兄貴をサンドバックにして
 ぐちゃぐちゃにしてみようモナ〜♪」
「はははっ。ちょいとベタだが、観客の安全を考えりゃ
 そいつが一番いい方法かもしれねぇな。そいつにしよう!
 ………じゃ、こっちもそろそろ始めるか。」
「もう十分に、“この世”での再会は済ませたわけだし
 ………後はあの世で、仲良くやってくれモナ。」
「じゃ、いっきま〜〜す!!」

モララーが、リモコンのボタンを押した。
名残惜しむように、感慨深そうに
じっくりと、しっかりと。

460 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 23:00:50 [ vtglHRy2 ]


ゴリ………ゴリ………ゴリ…………………………

床の石臼が、不気味な音を立てて回り始める。

「キ キャアァァァァァ!! アンヨガァ! ア アンヨガァ!!」
瀕死の状態でも、石臼に足を潰され始めたのが分かったか
オニーニ弟が悲鳴を上げる。

「臼を引く速度は、一分間に12回転ッ!!
 それが一番きめが細かく、香りも良い粉が出来るッ!!」
「どこの漫画のパクリモナ。まぁ実際
 それくらいの速度が一番、恐怖を与えるにせよ
 痛みを与えるにせよ 効率のいい時間モナからね………。」

ゴリ……………ゴジュ………………
…………ザリ……………ジュリ…………グジュ…………

段々と、臼の音が生々しくなっていく。
今は、どこまで巻き込まれているのか?
腹か? 胸か? それとも既に頭か?
…………まぁ、ぐちゃぐちゃになった兄貴が
上に覆い被さっているから、確認のしようもないが………

グジュリ………………ブジュリ………………
…………ジュブ………………ブジュ…………
……グブッ…………ジュル……………………

……………………………………………………

461 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 23:01:11 [ vtglHRy2 ]



          ぐぢゃっ

462 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2005/10/01(土) 23:01:31 [ vtglHRy2 ]

「…………で、実際
 リハーサルやってみて、感想どうよ?」
“演劇”に名を借りた殺戮を終了させ、二人は後かたづけをしている。 
「生ゴミ爆弾は当然として、他にもまだ色々直さなきゃいけないところもあるモナね。
 石臼とか………。何もこんな大きなものじゃなくても、普通ので十分モナよ。」
「ははは。確かにな。
 リハーサルっつーことで、ちょっと悪ノリしてみただけだよ。
 ま、ちょっと過ぎたな。あとで山ほど消毒薬をぶち込まなきゃいけねぇ。」
「そんな程度で、大丈夫モナかね…………。」
「………ま、それよりも問題は、“イケニエ”だろう?
 今日は運良く捕まったが、次はどうすんだよ?」
「………別に、問題ないモナよ………?
 本番まで後二週間もあるんだから、その間に
 探し回れば、絶対に見つかるモナよ。
 所詮は単細胞生物。隠れる場所なんて…………。」
「ふふふふふ………。まぁそうだな。
 ! そうだ! 本番はベビオニーニでも使ってみるか?
 蟹の子供ってことでよ! プチプチ潰してやるんだぁ……!」
「………おいおい、モララー。蟹の役はモナだよ?
 モナはクソ握りのベビなんか、産みたくないモナ。」
「あ、そーか。すっかり悦に入ってて、忘れてた………。
 でも、ベビオニーニを使うっていうアイディアは悪くねぇだろ?」
「捕まれば、ね。
 ………とりあえず、指針には入れておこうモナ。」
「はははっ。楽しみだなぁ………!
 早く来ないかなぁ、本番………!」
「本番は他も頑張るだろうから、会場は確実に鉄臭くなるモナね。
 モナ達も負けないように、がんばらないと………。」
「ああよ。優勝だ、な………!」

そして二人は後かたづけを済ませると、足早に廃工場を後にした。

………………しかしまた、戻ってくるつもりなのだろう。
件の“ゴミ兄弟”のみを片づけて
他の設備は、そのままにしてあるのだから。

よりよい作品を作るべく、改良すべく
“リハーサル”を続けるために。

本番までに一体、何匹の哀れな兄弟達が大地に帰ることやら。
………それは誰にも、分からない。

                  終

463 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:10:03 [ Puo3TOPo ]

0/11

― 全部ヲ、奪ッタ、奴等ニ、復讐ヲ ―
血塗れで立ち尽くすその仔は、涙と笑顔を浮かべ、包丁を握り締める。
― なら、行こう。一緒に、最期まで ―
長身の青年は、狂気の仔へと、静かに手を差し伸べた。

464 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:10:37 [ Puo3TOPo ]

            『崩壊理論』
1/11

――急に、雨が降り出した。その、冷たい雨の中――

『 しぃ虐待・虐殺は犯罪です。 しぃはダッコしないと犯罪です。 
 ※このポスターを破損すると、しぃ法第3条により罰せられます。 』

保護者と思しきモララーと共に、寂れた通りを駆け抜けて
雨宿りに駆け込んだ店の軒先に、引き攣った顔のギコにダッコされている
だらしない表情のアフォしぃの写真と共に、そう書かれたポスターを
見つけたのは、まだ幼いアヒャの仔だった。
アヒャの仔は暫しの間その、今日におけるしぃの独裁政権の象徴である
ポスターを憎々しげに睨み付けていたが、其れに飽きると、
その視線と興味の行き先を傍らに居る、自分より遥かに背の高い、
育ての親でもあり、師匠でもあるモララーに変えた。
「……ヒャ、モララー、コレ」
「うん? どうした?」
アヒャの仔はモララーの服の裾を引っ張り、気を引いて振り返らせると
服を掴んだまま、開いている方の手を使ってそのポスターを指差す。
「……ああ」
モララーは、其のポスター、特にギコの引き攣った顔ををチラリと見た後、
ため息とも、相槌ともつかぬ声を洩らし、期待のこもった眼で見上げる
アヒャの仔と視線を合わせて肩をすくめ、おどけた調子で呟いた。
「破いて良いよ。でないと、ギコが可哀想だ」
「アヒャー!」
その言葉を最期まで聞き終えない内に、アヒャの仔は、
元々狂気的な笑みを浮かべている口元に、更に極上の笑みを重ね、
何のためらいも無く、ポスターを縦に真っ二つに引き裂く。
「アーッ、ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ……」
奇声もとい笑い声を上げながら、ギコとしぃを別れさせたアヒャの仔は、
もう一度モララーを見上げ、破り取った方、先程までダッコされていた
しぃを、丁度首と身体の分かれる場所で、ビリビリと破いて見せた。
 その様子をじっと見ているモララーの顔が、ほんの少し曇る。
(この下劣なポスターのせいで、この逝かれた法律のせいで、
 この仔や俺を含めたこの国のAAが、どれだけ苦められている事か……)
「……アヒャ、モララー、ドウシタ?」
アヒャの仔が極上の笑みのまま首をかしげると、モララーは
仔の頭をそっと撫でながら、優しい笑みを浮かべていた。
天使と比べても、遜色のない、しかし、寂しそうで、冷たい笑顔を。
「いや、なんでもないよ」
暫し、対照的な笑顔が、互いをじっと見つめていた。

465 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:11:10 [ Puo3TOPo ]
2/11

「ハニャーン シィヲ ダッコシナイ ヤシハ ギャクサツチュウ ダヨ!」
突然、その笑顔の間を遮るように、この上なく耳障りな甲高い声が奏でる、
不愉快でワンパターンな科白が、雨音の合間を縫って聞こえてきた。
「ヒャ……?」
「ん?」
アヒャの仔が、通りを挟んだ向かいの路地に目をやると、其処には
モナーにダッコをねだる、しぃが居た。
「アヒャア……!」
決して良いとは言えない視界、しかしアヒャの仔には、その光景が
異様なほどによく見えた。
(シィダ。アヒャノ、大好キナ 父サン、母サン、殺シテ、
  アヒャニモ、ヒドイ事、シタ、シィダ!)
 アヒャの仔がその眼で、声の主が間違いなくアフォしぃであると
確認した途端、先程まで見せていた、アヒャ特有の狂った笑顔は
みるみるうちに消え去り、アヒャの仔の顔は嫌悪、不快感、憎悪、殺意……
湧き上がる激情に推され、先程破いたポスターのギコなどとは
比較にならないほどに引き攣る。
「アヒャァア! モララー、行カセロ!」
そう叫ぶと、アヒャの仔はモララーの返事も待たずに、彼の服の裾を
掴んで引っ張りながら軒先を出て、通りを渡り、向かいの路地へ。
モララーも、抵抗せずに続く。折角の雨宿りが無駄になり、二人は
激しくなってきた雨に打たれ、たちまちずぶ濡れになってしまう。

466 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:11:43 [ Puo3TOPo ]
3/11

―― その、冷たい雨の中、駆ける彼等の目的は、ただ一つ。
それは紛れも無く、この国の荒んだ法を真正面から破る事だったが、
彼等にとってそれは、あまりに小さい、取るに足らない事だった。
 何故なら、彼等は ――

アフォしぃにダッコをねだられているモナーは、かなり急いでいるようで、
今すぐ逃げ出して、目的地に向かいたいという気持ちと苛立ちが
普段は柔和であるはずのその表情に、今は露骨に表れていた。
「モナは急いでるモナ! 君をダッコしてる時間なんか無いモナ!
 他のAAを見つけて、ダッコしてもらってほしいモナ!」
しかし、アフォしぃがモナーの言うことを聞く事など、ありえぬ事だ。
「キーッ! ナニヨ、コノ クソモナー! ギャクサツチュウ! ダレカ コノ ハンザイシャヲ アボーン シテヨ!」
アフォしぃは、雨でドロドロになった地面にためらう事無く、
仰向けにひっくり返って、駄々をこねる三歳児の様にじたばたしながら、
おどおどしているモナーに向けてお決まりの罵声を浴びせている。
 呆れたモノだと、アヒャの仔は一度モララーと視線を合わせ、
もう一度アフォしぃへとその視線を滑らせた。少しずつ、しかし確実に
アヒャの仔の視線に孕む憎悪と殺意が、増してきた。

467 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:12:09 [ Puo3TOPo ]
4/11

 背の低いアヒャの仔は、ひっくりかえっていたアフォしぃと、
必然的に目が合った。それと同時に、ようやくアヒャの仔に気付いた
アフォしぃは、その仔の眼に宿る殺意にも、狂気にも気付かないらしく、
ウサ晴らしとでも言わんばかりに、半角カナで、いきなりぎゃあぎゃあと
喚き立ててきたのだ。
「アッ! ソコノ コギタナイ アヒャノガキ! サッサト コノ ギャクサツチュウノ クソモナーヲ アボーン シナサイ!
 ソレカラ シィヲ ダッコシテ、アマクテ ヤワラカイ モノヲ ヨコシナサイ! デナイト ギャクサツチュウヨ!」
聞いていると頭が痛くなってくるような甲高い声と、自己中心的な命令。
アヒャの仔は、さらに激しくなってゆく憎悪と殺気を隠す事無く、
眉間にしわを寄せながら、指示を仰ぐようにモララーを見上げる。
「少しだけ、待ってろよ」
モララーは、アフォしぃの言葉など聞こえていなかったとしか思えないほど
穏やかな笑みを浮かべ、今にも飛び掛らんとするアヒャの仔だけに
聞こえるよう、背をかがめて嗜めると、まだ喚き散らしているしぃを
無視して、どうしていいか判らずにオロオロしているモナーの方へ
歩いて行った。
「急いでるんだろ? 行けよ、後は俺達が引き受けてやるからな」
「モ、モナ……助かるモナ、でも、あなた方はいいモナ?」
しきりに時計を気にしながら問うてくるモナーに、モララーは
喉の奥で笑いながら頷き、続けた。
「構わないよ、寧ろ『行ってくれた方が俺達としても助かる』からな」
「……? わ、判ったモナ、悪いけど、後はお願いするモナ」
モナーは、モララーの言葉に首をかしげながらも、礼を言いながら
足早に去って行き、すぐに雨に霞んで見えなくなった。

468 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:12:35 [ Puo3TOPo ]
5/11

「遅イ! モウ、良ノイカ?」
モナーが見えなくなった路地から、自分の傍に戻ってきたモララーに
視線を移し、アヒャの仔は若干、苛立った声を上げる。
「……ああ、もう良いよ。またせたな」
モララーが、穏やかな笑みを崩す事無く大仰に頷き、
いい加減喚き飽きてきただろうアフォしぃへ視線を移すのを見て、
アヒャの仔の引き攣っていた顔は、漸く、狂気の笑みを取り戻した。
「ナニヨ サッキカラ カワイイ シィチャンヲ ムシシテ コノ ギャクサツチュウ! ハナシテル ヒマガ アッタラ、
 シィヲ ダッコシテ アマイモノ モッテキテ マターリ サセナサイヨ! デナイト アボーン シチャウヨ!」
「ああ、そうだな。無視してすまなかった。お詫びに、ダッコより
 愉しくて、甘いものより美味しいものを、プレゼントするからな」
まだ元気が有り余っているようで、喚き続けるしぃに、モララーは
優しく、そして氷の様な冷たさを孕んだ声を投げかける。
 その声を合図に、アヒャの仔は小さな身体を翻し、起き上がってきた
アフォしぃに飛び掛った。まだ子供だとは言え、彼はアヒャだ。
しぃ種が簡単に避けられるような、生半可な攻撃はしない。
「シィィィィィィィィィィィ! ナニスルノヨ! セッカク ジヒブカイ シィチャンガ ダッコヨリ マターリデ
 アマクテ オイシイ モノヲ テイノウ モララーカラ モラッテ アゲヨウト シテルノニ!
 アンタモ ギャクサツチュウネ ハナシナサイ!」
再び、無様にひっくりかえったアフォしぃを、馬乗りになって
押さえつけながら、アヒャの仔は、次の行動の指示を仰ぐように、
モララーを見つめる。
 モララーは、冷たい冷たい笑みを、浮かべていた。
「アヒャ、今日はお前一人で殺るんだからな」

469 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:13:05 [ Puo3TOPo ]
6/11

―― 何故なら、彼等は、この国に残った、最期の虐殺者だからだ。
かつての同胞が全て、国を逃れたり、殺されたり、屈したりする中、
最期に残った、虐殺者だからだ。
 彼等の目的は一つ、彼等の歩む道も一つ。 ――

「ア、アヒャ? アヒャ、一人デカ?」
これまで、モララーの手伝いをするだけであったアヒャの仔は、戸惑い、
モララーから視線を外すのを、先延ばしにする。
「そうだよ。俺は口も手も出さないからな。お前の好きなようにして
 いいんだからな」
モララーは、キッパリと言った。アヒャの仔がこれ以上戸惑う必要も理由もモララーのその一言で綺麗さっぱり、無くなった。
「アヒャァ! 判ッタ、アヒャ、アーヒャヒャヒャ!」
アヒャの仔はモララーに頷き、その瞳に狂気と共に、決意の色を滲ませる。
「ナニヨ、グダグダイッテナイデ サッサト ハナシテ ダッコ シナサイ! イマナラ ユルシテアゲテモ イイワヨ!」
アフォしぃは、押さえつけられたまま、空回り気味に喚き続けているが、
怒りと憎しみと、初めて自分一人で虐殺する、その興奮によって、
既に理性が失われつつあるアヒャの仔にとって、その甲高い声と
愚かな言葉は、単なる、不快な騒音でしかなかった。
「ウル、サイ、黙レ……」
アフォしぃを片手で押さえつけたまま、アヒャの仔はベルトに差していた
鈍く光る包丁を抜き、勢い良く振りかざす。仔の顔は今、
異様に見開かれた眼が、アフォしぃを睨みつけているだけの、無表情。

470 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:13:40 [ Puo3TOPo ]
7/11

「シィィィ! ヤ、ヤメナサイ! ソンナコトスルト シィホウ ダイ1ジョウニ ヨリ アボーン スルワヨ!」
アフォしぃは、恐怖に慄きながらも、まだ虚勢を張っている。
そんなくだらない脅し如きで、自分が折角の機会を無駄にして、しぃなどの
言うことを聞くとでも思っているのだろうか。狂気に支配された
思考の片隅でふと思い、アヒャの仔は、今自分が踏みつけている、
アフォしぃという生物に対する苛立ちが増してゆくのを感じた。
「アヒャハ、ソンナ事……ドウデモ、イイ!」
ザシュッ!
 その苛立ちが限界に達すると同時に、アヒャの仔は、研ぎ澄まされた
包丁を、アフォしぃの右耳目掛け、勢い良く振り下ろす。薄い肉は、彼に
殆ど手応えを感じさせる事も無く易々と切り裂かれ、勢い余った切っ先が、
耳と地面を縫い合わせた。一瞬遅れて、血が流れ始める。
「シィィィィィィ! シィノオミミィィィ!」
そして、もう一瞬遅れ、アフォしぃの悲鳴も響き渡った。その声を聞くと
すぐに、アヒャの仔は包丁を乱暴に抜き去った。
 アヒャの仔は、この最初の一撃で、少なからず感じていた
プレッシャーから解放された様だ。アヒャらしい、狂った瞳、そして
狂った笑みを取り戻し、耳に開いた風穴から血を流し、泣き叫ぶしぃを
見下ろしながら、腹の底から高笑いを。
「アーヒャヒャヒャ! サア、次ハ、何処、刺シテ 欲シインダ?」
包丁に付着した血を雨で洗い流しながら、アヒャの仔は、死に方を選ばせて
やろうと、アフォしぃへ問いかけた。しかし、折角の問いへの返事は、
あまりにもお粗末なものだった。
「シィィィィ ダ、ダッコ スルカラ ササナイデ!」
その答えの最初の一文字を聞いた瞬間、楽に死なせてやる
などという甘い考えは、折角取り戻した笑みと共に吹き飛ぶ。
自分が今思いつく限りの、一番ひどい苦痛を味わわせてやる。
そんな意味を持つ言葉をブツブツと呟きながら、アヒャの仔は
包丁をベルトに戻し、代わりに金槌を一つ、手に取った。

471 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:14:09 [ Puo3TOPo ]
8/11

「アヒャヲ、ダッコ、シテ、クレルンダナ?」
「チガウワ アンタガ シィチャンヲ ダッコ スルノ カワイイ シィチャンヲ ダッコシテ ミンナ マターリニ ナルノ!」
アヒャの仔は、この期に及んで、まだそんな事を言っているアフォしぃを
暫くの間呆れたように見下ろしていたが、面白くない、と軽く舌打ちし、
おもむろに、金槌を振り上げ、
「マア、ドッチデモ、アンマリ、関係、ネエ、ケド。アヒャヒャ!」
アフォしぃの左の二の腕へと、渾身の力を込めて振り下ろした。
ヒュ、グシャッ!一撃目はその柔い毛皮を突き破り、筋肉を破壊する。
「シィィィィ! シィノ カワイイオテテェェェェ!」
ヒュ、べキボキッ! 続く二度目、快音と共に骨を砕く。
「シィィィィィィィィィィィィィッ! イタイ、イタイヨォォォォ!」
ヒュ、ゴシャッ! 三度目、まだ無事だった僅かな筋肉と神経が
ブチブチと音を立てて潰れてゆく。
「シギャッ!モウヤメテヨォ コンナノ マターリジャ ナイヨォ!」
ヒュッ、ベチャッ、ガッ!四度目でとうとう、アフォしぃの細い腕は
殆どちぎれて、僅かな筋と皮で繋がっているだけの
無残な状態に成り果ててしまった。
「シギャァァァァァァァァ! …ァ、ァア゙アアァァァア゙! アァア゙ァァァ、ウ、ゥァア……」
 飛び散った鮮血が、雨に濡れた地面を、綺麗な紅色に染め上げてゆく。
「ダッコ、シテヤル」
 苦悶するアフォしぃの悲愴な顔を満足げに見遣りながら、
アヒャの仔は唐突にそう言うと、微笑み、いや冷笑を浮かべ、
金槌を放り出してアフォしぃへ手を差し伸べる。
「ハ、ハニャ…… ダッコ マターリ……」
アフォしぃの愚かな思考回路は、これで助かると思い込んだ様だ。
無事な右腕を懸命に上げ、差し出されたアヒャの仔の手を握ってくる。

472 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:14:36 [ Puo3TOPo ]
9/11

 ……ズッ!
「アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ! 嘘デシタ!」
アヒャの仔は可笑しそうに、そして愉しそうに高笑いしながら、
差し出してやった手を握っているアフォしぃの手首に、貫通させぬよう
気をつけながら包丁を突き刺し、魚を三枚におろす時の要領で
刃を骨に沿わせ、肘までザクザクと切り開いてゆく。
「ジィィィ?! ヤ゙、ヤメ、デ……イ゙タイィィィィ゙イィ!」
それが終わると、激痛に耐えかねてバタバタと暴れるアフォしぃを
押さえつけながら包丁を抜くと、その傷口に親指を突っ込んで強引に広げ、
「ウルサイ、耳障リ、静カニ、シロ!」
其処に、ポケットから取り出した食卓用の調味塩を一瓶分、
サラサラと流し込む。塩はみるみる紅く染まり、雨と血、二つの水分を
含んで、傷口によく染み込んだ。
「ハ、ハギャァァァァアアァァアアアアア、ァァァアアアァアァァアアァァァアアアアア!」
流石にこれは効いた。今までで一番大きな、耳を劈くような悲鳴を上げ、
アフォしぃは先程までの元気は何処へやら、痛みに歯を食いしばりながら
ガクガク震え始める。
 アヒャの仔は暫しの間、アフォしぃが苦しむ無様な姿に、
恍惚として見入る。ソレが、まるで美術館に飾られている芸術作品ででも
あるかのように。
 二人、そして沈黙と不動を守っているモララーまでもが、
この場所の時が止まったかのように動かなくなった。
 時が動いていることを証明するモノと言えば、時折アフォしぃが洩らす
呻き声、そして絶えず降ってくる雨だけだった。

473 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:15:02 [ Puo3TOPo ]
10/11

「……ソロソロ、仕上ゲ、シヨウカナ、モウ、耐エル元気、ナサソウダ」
暫くして、アヒャの仔はポツリと呟き、アフォしぃを見下ろす。
其の顔からは、もう笑みも、恍惚とした表情も消えていた。
「モウ……イヤァ……オナガ、イ……ユル、シ……テ……」
多量の出血と痛みで、アフォしぃは既に瀕死の状態だった。
焦点の定まらない瞳で、アヒャの仔をぼんやりと見ながら、うわ言の様に
そう呟いている。もうすぐ息絶える事は、誰が見ても明らかだ。
アヒャの仔の手の中で、血に塗れた包丁がギラリと光る。
ズブッ!
呼吸に伴う上下の動きが著しく弱くなっている、白い毛皮に覆われた胸に
軽く刃先を刺し、静かに下まで切り開く。
 アフォしぃの身体を丁度真ん中で縦半分に分ける、真っ直ぐな
紅い線が出来上がり、其処から、残り少ない血がたらたらと流れ出て、
アフォしぃは、呻き声とも悲鳴ともつかぬ不思議な声をあげ、
全身の筋肉を強張らせた。
「アヒャ、モウ遅イ。最初ニ、言エバ、良カッタノニ」
そう呟くとアヒャの仔は包丁を投げ捨て、その小さな手を紅い線から
アフォしぃの身体の中に突っ込み、やけにヌルヌルして
掴み難い腸を、両手で鷲掴みにする。
「シギッ!?」
アフォしぃの全身が激しく痙攣した。虚ろだった眼をカッと見開き、
ギリギリと歯軋りをする。其の顔は、まるで化け物の様だった。
アヒャの仔は、漸くアフォしぃを押さえつけるのをやめ、
ゆっくりと立ち上がって、その腸を一気に、思い切り引っ張った。
「ガァッ……」
アフォしぃの断末魔と共に、ズルズルと気色の悪い音が鳴った。
 腸が殆ど全て身体の外へと引きずり出されたアフォしぃは、
一度、激しく飛び跳ねるように痙攣し、二度と動かなくなった。
 それを確認した後アヒャの仔は、まだ本体に繋がっているアフォしぃの
腸を投げ捨て、包丁を拾い上げ、もう聞こえないと知りつつ、
アフォだったしぃの死体へ話し掛ける。
「最初ニ、言エバ、モット、楽ニ、殺シテヤッタカモ、知レナイノニ……」
初めて、一人で虐殺をした。初めて、目の前で、自分の手でしぃを殺した。
 もっと嬉しいはずだった、もっと喜べるはずだった。けれど、
アヒャの仔は、嬉しく無かった、喜べなかった。
「コレガ、アヒャノ、当然……」
 無言で見ていたモララーが、そっとアヒャの仔に歩み寄る。

474 名前:樹氷 ◆vKUd0rqkpo 投稿日:2005/10/26(水) 21:22:47 [ Puo3TOPo ]
11/11

―― 彼等の目的は一つ、彼等の進む道も一つ。
自分の為だけに、満足ゆくまで殺戮を繰り返す事。
己の心の闇の為に、亡き者となった人々の為に。
そして、彼等の歩む道の終着点は ――

急に、先程まであんなに降っていた筈の雨があがった。
近づいてくるモララーに、アヒャの仔がふと、言葉を洩らす。
「全部ヲ、奪ッタ、奴等ニ、復讐ヲ……」
血塗れで立ち尽くすアヒャの仔は、涙と笑顔を浮かべ、包丁を握り締める。
「なら、行こう。一緒に、最期まで」
長身のモララーは優しい微笑を浮かべ、アヒャの仔へ、手を差し伸べた。

―― 彼等の進む道の終着点は、崩壊、そして破滅 ――

 雨上がりの空にかかった虹は、途中で途切れていた。

          -糸冬-


―――――
今回、初めて投稿させていただきました。

貼っている途中で、何度も「練習スレに貼ればよかったな…」と
思いつつも、最後まで貼ってしまいました。

しかも、初めてでコテハン名乗るのも、と、これも途中で気付きorz
何だか色々、申し訳ないです。

476 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/12/16(金) 21:04:11 [ gaOn55OI ]
ヒップホップなしぃ虐伝・オリエンタルモラジオ

デンデンデンデデデンデンデンデンデンデデンデーン♪
モラチャン イツモノ ヤッタゲテ!
応!聞きたいか俺のしぃ虐伝!!
ソノスゴイ シィギャク イッタゲテ!
俺の虐殺ベストテン!!

虐殺の手順逆から行う
アタマツブシテ アッサリシュウリョウ
しぃ虐伝しぃ虐伝
しぃ虐デンデンデデーンデンレツゴー♪

親の仇を5分で殺した
スゴイ! オマエノリョウシン ヨワスギル
しぃ虐伝しぃ虐伝
しぃ虐デンデンデデーンデンレツゴー♪

生まれたばかりのベビを焼いた
スゴイ! ソレミタ ハハシィ ゴハンデマターリ
しぃ虐伝しぃ虐伝
しぃ虐デンデンデデーンデンカッキーン!

スゴイヨ! モラチャン カッコヨスギルヨ!!
よーし今からしぃ虐やるぞー
バッチコーイ!
基本の耳もぎ!そして本日のしぃ虐はここまで!
エー! ナンデ ソンナニチュウトハンパ ナンダヨ!
バカヤロウー!
シィィィィィ!! モラチャン ナニスルンダヨー!
耳のないしぃをいじめたらでぃ虐になるだろ!カッキーン!
モラチャン カッコイイー!

477 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/12/16(金) 21:04:48 [ gaOn55OI ]
しぃ虐スレでギコも殺した
スゴイ! スレチガイト イワレテ アクキンニナッタ
しぃ虐伝しぃ虐伝
しぃ虐デンデンデデーンデンレツゴー♪

妊娠中のしぃをレイプ
ウマレテキタコモ ニンシンシテイタ
しぃ虐伝しぃ虐伝
しぃ虐デンデンデデーンデンレツゴー♪

たまにはダッコでマターリしてみた
スゴイ! モチアゲタトタンニ オテテガモゲタ
しぃ虐伝しぃ虐伝
しぃ虐デンデンデデーンデンカッキーン!

スゴイヨ! モラチャン ダイスキダヨ!
俺もおまえが好きだー!
ソレジャア コウビシマショ! コウビコウビ!
コンチクショー!!
シィィィィィィ!! モラチャン ナニスルンダヨー!
エロ表現がメインの作品はアロエ行きになるだろ!カッキーン!
モラチャン カッコイイー!

478 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/12/16(金) 21:05:24 [ gaOn55OI ]
しぃの国に戦争しかけた
スゴイ! イクラコロシテモ ワイテクル
しぃ虐伝しぃ虐伝
しぃ虐デンデンデデーンデンレツゴー♪

しぃ虐・ベビ虐・ちびギコ虐・おにーに虐をROMしてみた
スゴイ! ドコヲミテモ チビチャンガ シンデル
しぃ虐伝しぃ虐伝
しぃ虐デンデンデデーンデン♪

意味はないけれど♪ムシャクシャしたから♪総合スレでしぃ虐♪
デンデデンデン♪
腕が無いから♪ズレだらけで♪耳もぐ前からバラバラ♪
デンデンデンデンデデデンデンデンデンデンデンデンデデデンデデン
カンカンカカンカン!カッキーン!!
モラチャン カッコイイー!
おしまい

479 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2005/12/22(木) 22:15:54 [ Q6bYnMSM ]
 METAL GIKO SOLID3
   〜低脳者を排除せよ〜
俺はモナーク、本名ジョンだ。
今回の任務はしぃ、チビギコ、フサ、を全滅する事が目的。
<<1少佐:モナーク、今回の任務には、ゲストを用意している。
ご親切に。
モナーク:誰だ・・・。
<<1少佐:ああ、GRUから特別要請をもらっている。
モナーク:そうか、あいつらか・・・。
スマンカッタ:久しぶりだな。
モナコフ:モナーク。
そう、GRU、スペツナズ山猫部隊率いる・・・
スマンカッタ、本名 仇ムスカ
イワン・モナデノビッチ・モナコフ
<<1少佐:ぶっちゃけ、違うゲームのも出すか。
モナーク:え?っちょ・・・m・・・
<<1少佐:レオン、フイス、エイダだ。
モナーク:ゲーム会社が違うじゃないか・・・!
フイス バ,,´_ゝ`) エイダ ハハ `∀´) レオン  /ハハ´Д`)
<<1少佐:ガタガタいっちゃぁ駄目だよ君。
モナーク:もういい、で作戦は?
<<1少佐:無い。
モナーク:つまり強行突破か。
<<1少佐:ああ、そうだ、検討を祈る。
ブツッ・・・ツーツー・・・
レオン:俺たちは、チビギコ、チビフサをやる。
モナーク:俺たちはしぃと言う訳か。
レオン:よし、行くぞ!!!
そして俺達は任務を遂行する事になる。

480 名前:1/4 投稿日:2005/12/24(土) 22:23:05 [ rJd5B/zs ]
がんばれモララー係長

金曜日の午後6時、退社時間である。
「んー」
皆が次々と帰宅する中一人の男がデスクにうつ伏せになりうなっていた。
「うーん」
彼の名はモララー修一。年齢31歳。株式会社ダスキソ営業開発部所属係長待遇。
「ぬーん」
家族は両親・妻・弟の4人。マイブームは不倫。月給33万円。もちろんモララー族。
「あー困ったなー」
彼のいる営業開発部では毎月1回新商品のアイデアを発表するための会議が
開かれるのだが、会議まで残り3日しかないのにいまだに新商品のアイデアが
出てこないのだ。

そんなモララー係長に声を掛ける女がいた。
「係長どうしたんですか?」
彼女の名はレモナ百合子。年齢28歳。株式会社ダスキソ営業開発部所属。
「えっ、まだ新商品のアイデアが出ないんですか?」
家族は母・妹の二人。マイブームは不倫。月給26万5千円。もちろんレモナ族。
「こんなときはデスクで考え込むよりも気分転換した方がいいですよ。
私もついていきますから」
「うん。それじゃお言葉に甘えさせてもらうよ。だけど少しまってくれないか」
レモナの提案に乗ったモララー係長は今日の帰りが遅くなりそうな事を携帯電話で
家族に伝えることにした。

ピッ・ピッ・ピッ・・・・ジリリリリーン・ジリリリリーン
「はい、モララーです」
電話に出たのは彼の妻だった。
「もしもし、僕だ。今日はレモナ君と不倫するから遅くなる」
「そうですか。こちらへはいつ頃帰ってきますか?」
「たぶん居酒屋へ行った後ラブホテルによっていくと思うから今日はご飯も
セックスもいらない。それじゃ」
ツー・ツー・ツー
モララー係長は妻公認の浮気ものなのである。

481 名前:2/4 投稿日:2005/12/24(土) 22:23:49 [ rJd5B/zs ]
午後7時。二人は居酒屋で飽くまで食べた。
「平和だな」
「幸せですね」

午後9時二人はラブホテルで愛し合った。
「良かったよ」
「リフレッシュできましたね」

そして現在午後10時。駅前で別れようとしていた二人の前にしぃが現れた。
「やっぱりな」
「お約束ですよね」

しぃは両手を前にだして二人の方へ近づいてくる。ダッコを求めているのだろうか。
「そこのあんたお金か食べ物くれない?ダッコするよ」
やはりこのしぃはダッコを求めていた。それを知ったレモナは眉間に皺を寄せて
しぃに聞こえるように言った。
「係長、このゴミどうします?殴り殺しますか?蹴り殺しますか?それともビーム
うちますか?」
不倫の締めくくりを台無しにされてレモナは怒りでプンプンだった。
「なにぃ、お前今なんていった?先にビームうつぞコラ!」
売り言葉に買い言葉。しぃもレモナの態度にプンプンになった。

しかしモララー係長は違った。彼は少し考えてから答えた。
「よし、ダッコしよう」
「「えっ!?」」
ありえない答えに驚いてモララー係長の方を向きそして軽蔑する女性達。
「係長、私達の関係今日で終わりにしましょう」
「空気読めよアンタ。ここアブ板だろ」
そういって別方向へ帰っていく二人。
「まてまてまてまて待てーい。そうじゃないんだってば!!」
モララー係長はなんとか二人を引き止めて先程の問題発言の説明を始めた。

482 名前:3/4 投稿日:2005/12/24(土) 22:24:27 [ rJd5B/zs ]
「えーとねレモナ君、そこにいるしぃをダッコするのはなんでかと言うと発想の
逆転なんだよ」
「発想の逆転―?」
鼻をほじりながら適当に話に相槌を打つレモナ。そこにはモララー係長に対する
愛は1ミリグラムも残っていなかった。アブ板はマターリ信者には厳しいのである。
しかしそれでもめげずにモララー係長はレモナの信頼を取り戻すため半泣きになり
ながらも説明を続けた。

「ほら、1ページ目で私はしぃ虐殺用商品のアイデアが出なくて困っていたじゃ
ないか」
「あー、ありましたよねそんな設定」
「だからいつもと逆の事をする事により何かを閃こうとしたのであり決して禁断
のマターリネタをやろうとしたわけではないんだよ。オーケー?」
「オーケーです。係長さっきはごめんなさい」
指を鼻の穴から抜き姿勢を正してレモナは謝った。レモナの信頼は回復した。
「いやいいんだ。私も説明不足だった。しぃもオーケー?」
「オーケー」
しぃの信頼も回復した。

「そんじゃ」
「ま」
「やりなおしますか」
三人が手をつなぐと風が吹き雨が降りそして駅前の時計が逆回転を始めた。
「「「じーかーんーよーもーどーれー、れーどーもーよーんーかーじー」」」
三人を中心にしてグニャグニャグニャグニャ〜と駅前の空間が歪みそして―





駅前は再び午後10時となった。

483 名前:4/4 投稿日:2005/12/24(土) 22:25:03 [ rJd5B/zs ]
駅前で別れようとしていた二人の目の前にしぃが現れた。
「そこのあんたお金か食べ物くれない?ダッコするよ」
しぃはダッコを求めてきた。
「わかったダッコしよう。いつもと違う事をすれば新商品のアイデアが出るかも
しれないからな」
「流石です係長」
モララー係長は承諾しレモナは賛同した。まるで物語の台本があったかのごとく
会話は円滑に進んだ。

「それじゃあダッコするからちょっと待ってくれ」
そう言うとモララー係長は着ている服をすべて脱ぎしぃと同じ姿になり両手を前
にだして叫んだ。
「せーの、ダッコ!!」

「・・・・」
「・・・・」
突然の事態にレモナとしぃはポカンと口を開けていた。
「ダッコ!!」
モララー係長はもう一度叫んだ。しぃと違い体毛が薄いのでとても寒そうだ。
実際全身は小刻みに震え金玉はアメリカンクラッカーの様にカチカチと鳴っている。
「ダッコ!!」
モララー係長はもう一度叫んだ。レモナとしぃはどうしたものかと頭を抱えている。
「ダッコ!!」
モララー係長はもう一度叫んだ。レモナは電車に乗って帰ってしまった。
「ダッコ!!」
モララー係長はもう一度叫んだ。そうしたらレモナと入れ替わりに警官がやって来て
モララー係長をダッコしてそのまま駅前からフェードアウトしていった。

 残されたしぃはモララー係長と警官が去っていった方を向き両腕をクロスした。
「ダッコビーム」
駅の遠くでピンク色の爆発が起こり夜空に笑顔のモララー係長の全裸姿が
一瞬写って儚く消えた。

この日の出来事をヒントにレモナ係長が開発したのが虐殺ビームガンである。

終わり

484 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/01/07(土) 22:49:31 [ umboKu76 ]
ショートショートベリーショート

『無理です』
「ちびしぃちゃん!お耳とられたから今から切腹するよ。後から復活してね!」
ぶすっ、どばー、ずるずるずるー。
「無理です」
「え」
ぐちゃぐちゃ、どっぱー、がく、ばたーん。


『判定』
「オー、シィキルユー」
「待って!私はこれから体にウンチサンを塗ってでぃになるのよ?」
「オー、ユーアーディ、ノットシィ、リアリィ?」
ぶりゅぶりゅぶー、ぺちゃぺちゃ。
「ぱんぱかぱーん、かわいいしぃちゃんさようならー、不潔なでぃちゃんこんにちわー」
「ノー、ユーアーシィ、キルユー」
ぶっちーん。
「しぃのお耳ぃー!」


『すーぱ虐殺大戦』
「うふふふふふふ、私達はダッコとコウビでモララーの両親を殺し、その勢いで首都を
制圧して支配者となったしぃちゃん1兆天王さ!モララー覚悟しな!」
「なにおー、お前達には負けないぞ。くらえ善玉菌たっぷりのヨーグルト5gだ!」
「しぃぃぃぃ、しぃちゃん達の体が善玉菌にー!!!」
1兆天王総爆発。
「父さん、大統領、地球のみんな・・世界は救われたよ」

485 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/01/07(土) 22:50:00 [ umboKu76 ]
『りあ虐殺大戦』
「いまわたしはぎゃくさつをうけようとしているのだがそのまえにれいぷというもの
をされるらしいははにかってもらったばかりのぱんつをはさみできりさかれまだおとこ
をうけいれることをできないこかんにいちもつをいれられようとしているところで
とつぜんだがわたしはことしでじゅうにさいであるのだがえいようしっちょうでたにん
にはきゅうさいぐらいにみえるらしいそしてこのおとこもららーはさんじゅうすぎだ
せけんではこのおとこはへんたいといわれるものなんだろうもしくはじぶんとおなじ
ねんれいのじょせいにてをだすゆうきがないからわたしをおそったのだろうかとか
かんがえているうちにこかんからちがどくどくとでてただいたいすごくいたいそして
よくみるとちのなかにしろいものがまさかこのおとこいまのすうかいのすいんぐで
はやいはやいはやいはやいはやいはやすぎるぞー」
「やりづらいから黙っててくれー」


『判定2』
「私のオミミがー!!」
「シィキルユー、ウハッハッハッ」
「助けて!今度こそ私はでぃでしょ!?ほらオミミないし」
「イフユーアーディ、セイ、イースト!」
「え?ビースト?ボブサップがどうかしたの?」
「ユーアーシィ!キルユー!四肢切断波!」
=======四肢切断波=======
「あんた今日本語―」
ぷるぷるぷるーん。
「しぃのオテテとアンヨがいっぺんにぃ!」
「イッツアラストチャンス、セイ、イースト」
「た、たくあん!!」
「キルユー!なんでやねんチョップ!!」
【日本語ブレイク工業】おまえの生まれがなんでやねんスレッド【DaDaDaヘイ!】
「しぃぃぃぃぃぃぃー!」

486 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/01/07(土) 22:50:24 [ umboKu76 ]
『虐殺黒歴史』
しぃ虐黒歴史
ギコがしぃの味方だった事は無かったことに。
ちび虐黒歴史
ギコがちびギコの父親だった事はなかったことに。でもしぃは母親だったりする。
おにぎり虐黒歴史
おにぎりギコの存在がなかった事に。
丸耳虐黒歴史
丸耳ギコだけカッコいい役が回ってきてあんまり虐殺されていない。
ニラ虐黒歴史
妻とベビが90パーセント以上である。
モラ虐黒歴史
いつも虐殺されているしぃちゃんがモララーとモナーに復讐だ!って誰か忘れてないか?
「というわけでたまにはギコも虐殺されるべきだモナ」
「異議なーし」
「助けてくれー!!」
ぎろちーん、くびぶっちーん、そうしきちーん。



487 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/01/25(水) 21:59:15 [ lyp2RgrI ]
jhg

488 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/01/26(木) 12:42:38 [ cR/kU8RY ]
『作るときは塩を入れるのをお忘れなく』

朝しぃが目を覚ますと自分の腹が膨れているのに気づいた。
「あーべビ生まれそう。よっこいしょ」
そういうとしぃはダンボールにまたがりべビを産み落とした。
「ちぃー、なっこなっこー」
べびの数は40〜50匹、皆しぃにそっくりだった。
例えば乳首が6つあるところとか。髪の毛がピンクなところとか。
「このべビ達どうしようかな?」
しぃは考えた。育てるだけの金はない。父親も分からない。
「情が移る前に料理しましょう。そうしましょう」
というわけでべビ達は全員料理されることになった。
お金がなくても作れるべビ料理といえばべビ漬けである。
しぃはべビ漬けのために足元の土を集めて食べ始めた。

3時間後

「うんちさん出てるー。気持ちいいよはにゃ〜ん」
「ちぃぃぃぃ!びちゃびちゃうんちさんで息ができないでちゅー!」
しぃは再度ダンボールにまたがり、べビ達の上に腸内で発酵させた土、
すなわちしぃのうんちさんと呼ばれる排泄物をべビの上にひりだしていた。
しぃのうんちさんはたちまちダンボールのふちいっぱいにまで溜まり、
それを確認した後ダンボールの蓋を閉めその上からガムテープで密閉した。
「×××―!この×××、こっからだすでちゅー!」
べビ達が放送禁止用語を連発して助けを求めているがしぃは気にしない。
「後はこのまま三日まてば完成ね。楽しみだはにゃーん!」

489 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/01/26(木) 12:43:16 [ cR/kU8RY ]
というわけで三日後

「××(差別用語)モララーこんにちはー!」
「おっ××x(差別用語)しぃちゃんどーしたん?」
しぃはべビ漬けの入ったダンボールを持って近所のダスキソに来ていた。
一人では全部食べきれない事に気づいたので、
知り合いのモララー達に食べてもらおうと思ったのである。
「べビ漬け持って来たんだ。食べてよ」
そういってモララーの机の上にダンボールを置くしぃ。
その時モララーはダンボールがはち切れそうになっているのに気づいた。
「そんじゃ開けますよー」
「おい、ちょっと!!」
モララーが嫌な予感がして開けようとする社員を停止させるが
ギリギリで間に合わなかった。
なので、何か起こってしまった時のために、
しぃを引っ張りながら急いで机の下に隠れた。

490 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/01/26(木) 12:44:11 [ cR/kU8RY ]
ガムテープが剥がされ封がはずされた次の瞬間ダンボールが爆発した。
部屋中にしぃのうんちさんが飛び散り、
モララーの机の上にはしぃと瓜二つになるまでに成長したべビが現れた。
その数実に47匹。皆同じ顔で同じスタイルで糞まみれだった。
そして彼女達は一斉に社員達に襲い掛かった。
間違ってはいない。
生まれてすぐに親に食べ物にされて奇跡的に生き残ったものは
世界に復讐する権利がある。筆者はそう考える。
「だっこと交尾ぷりーず!覚悟せい!はにゃーん!」
「うっわーお助けー」
次々と倒され犯され殺されて肉片になっていくダスキソ社員達。
普段は狩る側の彼らも非武装時でありしかも昼食前のハングリー
な状態ではなすすべがなかった。

わずか数時間でダスキソ社員は机の下に隠れていたモララーと
しぃを残して全滅し、元べビだったしぃ達は部屋を出て武器庫の
方へと向かっていった。

491 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/01/26(木) 12:44:41 [ cR/kU8RY ]
モララーは今回の事態にいたる真相をしぃに問いただす事にした。
「××xしぃちゃん、これどーゆーわけよ?」
「作るときにお塩入れ忘れたはにゃ〜ん。メンゴ」
「ごめんで済むかーい!」
そう言ってモララーがスリッパでしぃの頭をはたいた直後
建物が崩壊し始めた。
「すごい突っ込みパワーだはにゃーん!」
「ちゃうやろ、たぶんあいつらのしわざや。
ああ、きっと武器庫のアレをアレにあーしたんだろうなー。
そんならビル崩壊するわ」
これが二人の最後の言葉となった。

瓦礫になったダスキソの上で元べビだったしぃ達47匹が
腰に手を当てて夕日をバックに勝ち誇っていた。
「大・勝・利―!!」
よく見ると全員妊娠している。交尾の時に出来たのだろう。
元べビだったしぃ達は夕日に誓った。
決して母と同じ過ちは犯さない事を。
瓦礫から飛び降りて彼女達は駆けていく。
目的地はスーパー。
ダンボールと塩を手に入れるために。
「明々後日は皆でしぃ漬けパーティだはにゃーん!!」



492 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/02/16(木) 14:44:11 [ dzR9fOcU ]
すっ飛べモララー係長

「異次元というか並行世界というかそんな場所があるはずだ」
「は?」
株式会社ダスキソ営業開発部のモララー係長はお茶を持ってきた
部下のレモナに向け突然結論から話しはじめた。

「被虐生物は弱くて嫌われ者で馬鹿だ。これは知ってるね?」
「は、はい」
「ではそんな被虐生物はどうして絶滅もせずにノーダメージかつ自信満々で
いつも我々の元に現れるのか?そう考えると答えは一つしかないのだよ」

レモナはモララー係長のいわんとしている事を理解した。
しかし、同時にその説では説明がつかない現象に気づいたのでその事を
聞いてみることにした。

「たしかに被虐生物が我々のすんでいる場所とは別の世界からやってきた
可能性はあります。しかしそうだとすると彼らはどうやってこちらにきている
というのですか?」
この質問に対してモララー係長は自信満々かつ適当に答えた。
「えーと、ゲートみたいなのがパーッと開いて吸い込まれて
こっちにくるんだよ。そんで、その時にワープの影響でアフォ化
と弱体化をするみたいなゲロゲロ?」
「ゲロゲロってなんですか。もう少し真面目に答えてくださいよ」

レモナに真面目な答えが返ってくることはなかった。
モララー係長のデスクの上に本当にゲートみたいなのが現れ、モララー係長が
スッポーンと吸い込まれてしまったからである。

ちなみにゲートみたいなものはこんな形をしている。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/5580/1080835342/l50

493 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/02/16(木) 14:44:41 [ dzR9fOcU ]
「モララー係長―!大丈夫ですかー?」
自分も吸い込まれてしまわないように距離をとってゲート(仮)に呼びかけるレモナ。
すると、
「ただいまー」
と声がしてあっという間にモララー係長がスッポーンと戻ってきて、
それと同時にゲート(仮)は徐々に小さくなっていき消え去った。

「モララー係長無事だったんですね!」
「うん、ぼくちんむてきー。ウンコ食べる?」
「むこうには何があったんですか?どうやって戻ってきたんですか?」
「そんなことよりコウビしようよー。コウビコウビ、コウビでフィーバー!!」

何か様子がおかしい。モララー係長がいつも以上にアホだ。
ひょっとしたらこのモララー係長は別世界からやってきた偽者ではないかと
レモナは考え、確かめてみることにした。
腰にぶら下げていた光線銃をモララー係長に向けて引き金を引く。
「虐殺ビィィィム!!」

光線をモロにくらってしまったモララー係長は
「ほ、ほぎー」
と言い残してドロドロに溶けてしまった。
虐殺ビームは『一心不乱の大虐殺エネルギー』を使っているので、
本物のモララー係長には効かないはずである。
ということはやはりあれは偽者だったのだ。

こうして偽モララー係長は倒されたのだが結局本物は帰ってこなかったので
レモナが一ヵ月後係長になったのである。

終わり

494 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/02/20(月) 21:08:56 [ 4XYQFp5w ]
AA達は(しぃをのぞく)次々と増殖(?)するしぃをついにしぃ絶滅計画を実行した
しぃ絶滅計画とは、簡単なはなしで偽しぃを全て跡形もなく殺る計画である
しかしそう計画うまくいかなく実行隊員は、あまりにしぃがおおすぎて抱きころされ多くのAAの命が消えた。実行会長ひろゆきの命も危うくなった


ドンドンバラララララ
しぃ(偽)「ダッコ!」
モララー「またゴミがわいてきやった」
モナー「これで234匹目だモナ」
ギコ「戦車でももってくるかゴルァ!」
バンバン
つー「アーヒャヒャ死ねー!!死ねー!!!ズバグチヤチヤブス」
つーはしぃの返り血で全身真っ赤でした
夜勤「ひろゆきさん!しぃの生息ちをつきとめました!」
ひろゆき「計画どうり超大型原子核ミサイルを打ち上げます。 。 。
ヒュウウウウウウウ

 ドゴーーーーーン!!!!
ジィィィィィィ!!ハニャーーーーン!タスケテーー!!  
   ギャァァァァ! ダッ  コ……  ヒドイヨウ   イヤー
  ハニャーン! 
放射線と爆風で生息地および60000のしィを葬ったしかしこの数でも全てのしィ10分の1倒せてない…
 
フサギコ「テメーラ全員皆殺しだゴルァ!!!!!バララララララララ
ズドドドドドドド
ダッコ…シィィィィイ!ハニャーーン!!
多くの部下が殺され一人となったフサギコは怒りくるいました
それでも数は減りません囲まれて絶体絶命のフサギコでした
そのとき!
バタバタバタバタキーーーーーーンぶろろろろろろキュラキュラキュラザッザッザッザッザ
弟者「OK 兄者フサギコのとこに戦闘機ヘリ戦車ジープ計120機を送った自衛隊200人もおまけだ」
兄者「よし総攻撃だ」
ドカーン!!!    バラララララ!
流石兄弟の攻撃によりしィの悲鳴も聞こえなかった
流石は流石兄弟といったところである


          続く

495 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/02/23(木) 09:53:23 [ IyOgtBnY ]
横っ飛べモララー係長

休日のことである。
モララー係長とレモナが歓楽街で不倫を行っているとしぃに出会った。
「ちーす。ダッコ」
「お前はそれしかないんか」
モララー係長はいつものように虐殺してやろうと思ったが、
前から聞こうと思っていたことがあったのを思い出したのでそのことを聞いてみた。
「ところでしぃ、お前らどこ生まれ?」
「私は京都出身だけどそれがどうかしたの?」
「真顔で嘘をつくな。もう一度聞く。まだ私達に出会っていないしぃの居場所
を聞いているんだ。言わないと殺すぞ」

この質問はこういう意味である。
モララー係長は以前から思っていた。
昔からしぃ族というものは自分達虐殺者と出会えば99%ダッコを求め、
そして死んでしまうのが黄金パターンである。
ならば彼女達は我々に出会うまでの平和な人生はどこで育ってきたのか?
我々虐殺者に出会う前日までどこの誰にダッコをしてもらってきたのか?
そしてそれはこことは違う世界でしぃ族しか知らない場所ではないのか?
教えやがれコノヤロー。
そういう意味なのだが、
しかし――――
「私に仲間を売れとでも?」
たとえ自分が死んでもこの男と仲間を合わせない。しぃの瞳はそう語っていた。

「千円やるぞ」
「ふざけないでよ!!」
そんなはした金で仲間を裏切れるか。しぃの瞳はそう語っていた。
「レモナ君頼む!」
「はい」
モララー係長に呼ばれてレモナはずずいとしぃの前に出た。

496 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/02/23(木) 09:54:02 [ IyOgtBnY ]
「千円やるわよ」
「わーい、案内するよー」
交渉役が代わったのにさっきと同じ条件を出されただけ。
こんな前振りをされたら案内するというボケで応えるしかないじゃないか!
しぃの瞳はそう語っていた。
「ズッコー」
そしてモララー係長は会心の足ズッコケを決めた。
吉本新喜劇式三連コンボの完成である。

歓楽街から電車で三時間移動した某所からバスで二時間移動した某所に
しぃ達の故郷は存在した。もうすっかり真夜中である。
「ようこそ、しぃとしぃオタの住む我が故郷しぃちゃん村へ!さあ千円よこせ」
二人に振り返り笑顔で歓迎の言葉をおくるしぃ。
「そして今日はたまたま村祭りの日なんだから参加していってよ!
そして千円よこせ」

しぃの指差す方角に広場があり、そこに人だかりができていた。
だが、単に集まっているだけではなく大人も子供も男も女も皆全裸だった。
「なぜ皆何も着ていないんだ?」
モララー係長の素朴な質問に、しぃは破顔して答えた。
「これこそしぃちゃん村名物、『月一乱交パーティー』!!そんな事より
千円よこせ」
「「月一乱交パーティー?」」
相手の言葉をただ繰り返すモララー係長とレモナ。
「目の前の相手とひたすらコウビするのさ!千円よこせ」
「具体的に、どんな感じで進行していくのよ?」
レモナの至極当然な質問にも、大声で真っ直ぐに答えるしぃ。
「とにかくコウビだよ!!時にはスカトロ!!時には飲尿!!時にはノーマル!!
気分が乗ってきたらベビ・チビ喰い!!千円!!千円!!」

497 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/02/23(木) 09:54:45 [ IyOgtBnY ]
しぃの勢いにあきれて何も言えない二人。と、その時広場にいるしぃの一人が
仲間たちに号令をかけた。
「みんなー!『月一乱交パーティー』を始めるよー!!」
「「「「「「ワーイ!!!」」」」」」
「「「「「「萌えー!!!」」」」」」
号令の直後広場に集まった村人達と案内役のしぃが一斉に行動を始めた。
皆近くにいる仲間と抱き合って股間をすり合わせる。
小便と大便が広場中に散らばりあっというまに悪臭が広場を包む。
所々では糞と共に子供を口に頬張る男女もおり、食べられる子供の方も恍惚の
表情であえぎ声をあげていた。

「何が…、何が楽しいのだろうか…」
無茶苦茶な光景に対して途方に暮れるモララー係長であった。
「私達の普段やってる事の延長では…?」
「認めたくないぞ私は、絶対にだ…」
 モララー係長とレモナが短いやり取りを終えた時、村人たちの動きが変わった。
全員が、二人の方を向いて走り出したのだ。
「しまった!見つかったぞ!」
「に、逃げましょう!!」
 
ドドドドドと砂煙を上げて迫ってくる村人達。
先頭はここまで案内してきたしぃだった。なぜ追いかけるのか、
なぜ逃げねばならないのか、そんなことを論じている場合ではない。
相手は取るに足らない被虐生物だが、その数は子供を含めると千を超えるのだ。
さすがに勝利するのは難しいだろう。

498 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/02/23(木) 09:55:45 [ IyOgtBnY ]
二人は、方向も確認せずに深夜の闇の中を懸命に走った。
地響きが追ってくる。道は狭い。しかも、どんどん狭まってきている。
だが彼らに引き返す道はない。しぃ達の雄たけびが、逃がすな、ダッコだ、
女は俺達に寄越せ、モラ鍋だ、千円などと聞こえてくる。

 細い道の先は、断崖になっていた。
高い崖の遥か下では、波がしぶきを岩石に叩き付けている。
レモナはとっさに正しい判断を下した。
「係長!横っ飛びしてください!」
「おう!」
レモナは左に飛びモララー係長は右に飛んだ。
そしてすぐ後ろまで迫っていたしぃ達はまんなかを突き抜けていった。

絶叫と共に二人の視界から消えていくしぃとしぃオタ。
続いて、数秒遅れて十代前半の子供達が怒涛の如く通り過ぎ、落ちていく。
さらに数十分遅れてその後に、体の一部をかじられたチビとベビの集団が
這いずって現れ、空中で手足をバタバタさせながら次々と落ちていった。

「今回は普通のしぃ虐だったねレモナ君」
「そうですね」
血まみれになった崖下を見て安心した二人はそう言った。

終わり

499 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/03/04(土) 17:38:57 [ 95Eoudc. ]
>494続き
ニダー「さ〜て今日は何匹やろうニダ」
しぃ「ミツケタワヨ!ニダー!」
ニダー「お、探すてまがはぶけたニダ」
しぃ4匹「モッテキタワ!」
しぃ「カクゴシナサイニダー!コノバズーカホウデケシテヤルワ!」
ニダー「何!そんなもんどこでてに入れたニダ!」
しぃ「オモイシリナサイ!」
ドゴーーーーーーーーーンシィィイイイ!!!  ハニャーーーーン!!
しぃ「エ!?」
ニダー「フフフ、バズーカが逆ニダ」
バキ  ドカ  ブス
ニダー「使い方もわからない癖にそんなもんつかうなニダ」続く

500 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/03/05(日) 06:54:48 [ gY7/yv4I ]
>>494 >>499
とりあえず練習スレ行って来い

501 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/03/05(日) 19:05:49 [ wyEy6Zp. ]
とりあえず行ってくる

502 名前:XYZ─ドラゴン野朗 投稿日:2006/03/10(金) 20:35:44 [ tyRlQl/w ]
>>380 【アフォ】
終了

503 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/12(日) 17:37:48 [ deprJdDw ]
春の風が吹き渡る草原…
ここに、一匹のしぃとその三匹の子供たちが平和に暮らしていた。

子供のうち、一匹はまだ生まれてまもなく、目も開いていない。
もう二匹は、やっと言葉が喋れるであろう年頃である。

しばらくしていると、母親が食べ物を探そうと立ち上がった。
そして一番年上と思われる子供にこう言った。

「ママはお肉を探してくるから、ベビちゃんがおきたらそう言ってね」

「ハーイ、ママ」

子供は可愛らしい尻尾を振りながら、母親を見送った。

春の麗らかな陽気に当てられ、起きていた子供もすぐに眠りに入った。

それからしばらくして、遠方から二つの影が近づいてきた。

「あー、畜生あのハゲ…なんでもかんでもオレの所為にしやがって…」

モララーとモナーだ。

504 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/12(日) 17:38:02 [ deprJdDw ]
「まぁ、今は我慢モナよ。いつか見返してやるモナ。」

「ああ、そうだな…ん?あんなところに糞虫が三匹…」

「いいストレス解消になるモナ。いくモナよー」

なんと子供たちがターゲットに入ってしまった。

だんだん近づいてくる人の気配を察したのか、一匹の子供が眠りから覚めた。

「アニャ?オジチャン、アションデクレルノ?」

(むかつくモナー、こいつは…)

(まぁ、しばらく『遊んで』やろうぜ)
「そうだよ〜、おじさんたちは君たちと遊びに来たんだよ〜」

「アニャ?ナッコ!!」

(いきなりコレかいwwじゃあ、前から考えてたことを実行に移すか…)
「ほ〜ら、ダッコだよ〜」

モララーは眠っているベビを抱っこした。

505 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/12(日) 17:38:22 [ deprJdDw ]
「アニャ?ベビチャンはオコシチャダメナンデシュヨ!」

そうしている内に、肉を銜えた母しぃが戻ってきた。

「あら?ベビちゃん、遊んでもらってるのかしら?」

「ミィ、ミィ」
「ベビチャンオキチャッタ…チィモナッコ、ナッコーーーー!!」

「さてと、ダッ・コ!!」

ぐしゃ、という音とともに、ベビはモララーの手の中で潰れた。

「ははは、ベビしぃのミンチの完成モナ」

「いい音したなぁ」

「チ、チィィィ!!」

母しぃがあわてて駆け寄る。

「ぎゃ、虐殺厨!」

続く―

506 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/20(月) 23:54:29 [ 26wal2zw ]
前回のあらすじ

肉を捜しに行ってる隙に愛するベビちゃんを一匹殺されてしまったしぃ。
しかし、地獄はまだ、始まってすらいなかった・・・

「わ、私のベビちゃんが…」

母しぃは、ぐちゃぐちゃに潰れたわが子の破片を拾い集め、嘆いていた。
頭部の右部分のみしか確認できないほどに潰れてしまった末っ子を見て、
子供たちも小さな身体をガタガタと震わせていた。

「なんてことを…まだ目も開いてなかったのに…」

「いやぁ、奥さん、まだまだこれからですよ」

「チ、チィィィ…」

「そうモナー…」

モナーは残った子供をヒョイと抱きかかえると、こう言った。

「奥さん、このかわいいベビちゃん、死なせたくないモナよね?」

「えっ…!」

モララーももう一匹の首筋を掴み上げ、ニヤニヤしている。

(モナーが何か考え付いたみたいだ…ノッてやるかぁ)

「お、お願いです!何でもしますから、その子たちを…返してください!」

「何でもするモナか?」

「は、はい…」

必死で涙をこらえている我が子をの身を案じ、自らの身を投げ出す覚悟で母しぃは頷いた。

507 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/20(月) 23:54:56 [ 26wal2zw ]
「じゃあ、これからお散歩モナ」

(お散歩ぉ?…まぁ、つきあってやるか)

「え?それだけ?」

「それだけモナ。さ、早く行くモナ」

母しぃはキョトンとしていたが、すぐにお散歩に行った。
モナーとモララーもついていく。
母しぃは掴まれているベビが気になるのか、ちょくちょく後ろを振り返っては、
早く行けとモナーに叱られている。

そうしているうちに、恐怖に耐え切れなくなったか、モナーの掴んでいるベビがぐずりはじめた。

「ィヤーヨゥ!コワイヨゥ!マンマー!」

「ベビちゃん!」

「静かにするモナ!ぅぐっ!?」

ベビの爪がモナーの顔を引っ掻いた。

「何するモナ!」

モナーは咄嗟に、持っていたベビを地面にたたき付けた。

508 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/20(月) 23:55:17 [ 26wal2zw ]
「ギチィィィ!!?」

「この…クズ虫がぁっ!」

「お願い!やめてぇぇええええ!!!」

「モナー、君の気持ちはよっく分かる…」

「イヤアアアアア!!イチャーヨゥ!ナッゴスルカラユルシテェ!」

「許さんモナ!人が大人しくしてりゃ、つけあがりやがってぇ!」

何度も、何度も叩き、蹴り、踏み潰した。

「ハァ・・・ナッ…ゴォ?!」

最後の一撃が入った。
大量の血を吐き、無残にも散ったベビは、いかにも苦しそうな死に顔だった。

「さっ、お散歩を続けるモナ。」

「うぅっ…ベビちゃん…」

続く―

509 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:34:40 [ aA9gT8F2 ]
      
                熱い雪

510 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:35:10 [ aA9gT8F2 ]

「マァマ! アレハナンデチュカ?」
「エ? ア、アア アレハネ“ユキ”ッテイウノヨ」

……刑務所のごとく、コンクリート造りの堅牢な建物の一室で
冬の空の、窓の外にちらついているものを見て興奮した面もちのベビしぃと
それを見て、表情を緩めてベビしぃを抱き上げる母しぃ。

「“ユキ”ッテドンナモノナンデチュカ?」
「“ユキ”ッテイウノハネ 今グライノ、寒イ季節ニナルト
 オ空カラヤッテクル、コウイウトッテモ綺麗ナモノナンダヨ!
 タクサンフルト、地面ガ真ッ白ニナルクライニツモルカラ、ミンナデ
“雪ダルマ”ヲ作ッタリシテ遊ンダリスルンダヨ!」
「ワァーー!! チュゴイ チュゴーーイ!」
話を聞かされて、ますます興奮して
足をぱたぱた振る我が子を見て、母しぃも嬉しそうな顔をする。
だが
「マァマ! チィモ“ユキ”シャント アソビタイデチュヨ!」
「エ!?」
ベビしぃの次の言葉に、思わず息をのんだ。
「ベ ベビチャン?」
「チョンナニタノチイナラ チィモユキデアソンデミタイデチュヨ!
 マァマ! チィモアソビタイデチュ!」

……………………………
先程とはうって変わって、母しぃはとまどった目つきで
無邪気に自分の腕の中ではしゃぐ我が子を見つめていた。
「ソ……ソレハネ……」

……勿論、我が子を雪の中で遊ばせてやりたいとは思っていた。
だが

「場所ガ ココジャ………」
母しぃは我が子から目を離すと、自分のいる部屋を見渡す。
……部屋の中には、自分と同じように子持ちのしぃ
もしくはチビしぃ、大人しぃなど、とにかくしぃたちが群れていた。
加えて、強化鉄板とコンクリートで要塞並みに強固されたこの建物。
更に時々部屋に、白衣を着たモララー、モナー族が入ってくるとなれば
しぃ達が何故ここに集められているかは、この部屋から出るということが
何を意味するかは、言うまでもないことであろう。

「ココカラオ外ニ、出ルトキハ……」
勿論、母しぃはその意味を悟っていた。
彼女もここの生まれで、自分の母親もそうであったし
部屋に入ってきたモナー達が、あいつはできがよくなかっただの
次はもっと生きのいい披見体が欲しいだのと言っているのを聞けば
自分たちが、この部屋を出ることの意味が……
モルモットのように、何かの実験台にされ
二度と日の目を見ることはない、ということに。

「………マァマ?」
腕の中で我が子が、自分を不安げに見つめてくる。
……さて、どうしたものか?
自分が子供だった頃は、雪が降ったりすると
中庭に出してもらえたものだったが、最近はそれもなくなってしまった。
となると、このまま我が子を騙し騙し
「イツカ遊ベルヨ!」と、偽りの希望を与え続けるか
それとも、ここの“現実”を教えてしまうか………
いずれにしても、最終的に我が子の笑顔は確実に消える。
さて……

すると
「さぁて、エサの時間モナよー」
コンクリートの重厚な扉が開き、バケツを片手にした
白衣のモナーが、部屋に入ってきた。

「………………!」
モナーを見た瞬間、母しぃにある考えが浮かんだ。

511 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:35:31 [ aA9gT8F2 ]


「さーてと、今日の喰いっぷりを報告書に…… ん?」
懐からノートとペンを取りだして、観察記録を付けようとしていたモナーは
一匹の、子連れのしぃが自分を見つめている視線に気づいた。
「……何モナ? エサが足りないモナか?」
バケツを片手にしたモナーの言葉に、母しぃは首を横に振った。
「イイエ 違ウンデス。実ハチョット、オ願イガアッテ……」

「お願い!?」
思いがけない返事に、モナーは驚いた様子だ。
「一体お前達が、何のお願いをすると言うモナ?」
「エエ……。……今外デ、雪ガ降ッテイマスヨネ?」
「あ、ああ。確かにそうモナが……」
「ソノ雪ヲ見テ、シィノベビチャンガ“雪デ遊ビタイ”ッテ言ッテキタンデス
 ダカラオ願イデス。ベビチャンヲ……雪デ遊バセテヤッテクレマセンカ?」
「な、何を言ってるモナ!? お前は
 自分がどこにいるのか、分かってるモナか!?」
「ワカッテマス! ダカラオ願イシテイルンデス!
 ドウセ最期ニハ、ミンナドウナルカッテ……
 ダカライイジャナイデスカ! 別ニ反抗シテイルワケジャ ナインデスヨ!?
 タダ“ベビチャンヲ雪デ遊バセテアゲタイ”ダケナンデスカラ!」

「む……むむ………」
いつしかモナーと母しぃの周りには、他のしぃ達も集まってきていた。
「ナニナニ? 外ニ出レルノ?」
「雪デ遊ベルノ?」
モナーと母しぃの会話の内容が、部屋中に伝染
部屋がざわざわと騒がしくなってきた。

「……分かったモナよ。」
モナーが舌打ちをしながら答えた。
「……ただし、モナーの一存では決められない……
 上の連中にとりあえず掛け合ってみるから、それで許可が出れば
 願いは叶えてやる。でも出なかったら諦めるモナよ。」
「!」
しぃ達の顔が、ぱっと明るくなる。
「ヤッタ! 外デ遊ベルカモ知レナイノネ?」
「昔外ニ出テ雪デ遊ンダケド、アアイウノガマタデキルノ?」
「チョット! マダ決マッタワケジャナインダカラ……」
皆が皆で、わいわいと騒ぎ出した。
確かにまだ願いが叶ったと決まったわけではないが、母しぃもまんざらではない様子
他のしぃ達と同様、興奮した面もちで
「ベビチャン! モシカシタラオ外ニ出ラレテ、アノ雪デ遊ベルカモシレナイワヨ!」
「ホントォ!? マァマ!」
「ホントヨ!」
自分のベビに、嬉しそうに語りかけていた。

512 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:35:52 [ aA9gT8F2 ]


数日後
相変わらずしぃ達が、窓の外に降っている雪を眺めていると
部屋の扉が開く音がした。
……入ってきたのは、件のモナーともう一人
同じく白衣を着たモララーが入ってきた。
「………なるほど。
 おはようさんね。みんな。
 僕はここの所長のモララーっていうんだからね。よろしく。」

「ハニャア……?」
突然、今までやってきたこともないような来訪者に
しぃ達は怪訝な表情をした。

「……まぁ、そんな顔をしないで。
 僕は今日、君たちに嬉しいお知らせを持ってきたんだから。」
「ウレシイ……オシラセ?」
しぃたちがまた、ざわざわと話し始めた。
「そ。……ここにいるモナー君から聞いたんだけどね
 君たち、数日前モナー君に“お願い”をしたんだっけね?」
「ア……」
「……で、だ。
 今回君たちの願いを受けて、色々と話し合ったんだけれど……
 オッケーだよ。」
「エッ!? ソレジャア……」
「ああ。君たちのベビちゃんを雪で遊ばせてあげるよ。」
「ホ、ホントウデスカ!?」
しぃ達の中から、やんやの声が上がる。
しかしそんな雰囲気の中で、モララー所長の咳払い。
「ああ。ただし、雪の中で遊べるのはベビちゃん達だけだけどね。」
「エ」
さっきまでの歓声が、急に止まった。
「……ああ、いやいや。何分ベビちゃん達だけでなく、親も出すとなるとね
 場所がどうしても狭くなっちゃうんだよ。
 ……だから、今回は雪で遊んだことがないベビちゃん達を優先して
 遊ばせてあげようと思ったんだけれど……どうかな?」

…………………
最初はやいのやいのと、色々意見が飛び交っていたが
まぁ、ベビ達が遊べるなら、ベビ達が楽しめるならいい。
元々そうやって願った話だったから、という意見に落ち着いたようで
「ワカリマシタ ソレジャアベビチャン達ヲ、遊バセテアゲテクダサイ。」
全員一致となった。

モララー所長も、満足げに頷くと
「じゃあ、お母さん方。……ベビちゃんを連れて
 中庭まで移動してもらえますかな?
 ……僕たちが連れて行くよりは、そっちの方がいいでしょうから。」
母親しぃ達はそれぞれ、自分のベビ達を抱えだした。

513 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:36:16 [ aA9gT8F2 ]

…………中庭。
「……じゃあ、すみませんがお母さん達はここまでで。
 さ、ベビちゃん達。……この先に雪があるよ。」

モララー所長がリモコンを操作すると、鉄の扉が開き
その先には、一面の雪景色が現れた。
その光景に、ベビ達だけでなく母親しぃ達もため息をもらした。

「……サ 遊ンデオイデ ベビチャン」
「アレ? マァマハ? イッチョニアチョボウヨウ!」
「ゴメンネ ママタチハダメナンダッテ」
「エー? ツマンナァイ……」

……まぁ、当然といえば当然だが
ぐずり始めるベビ達と、説得する母親。
モララー所長も、その光景を見てため息をつくと
「ほらほらベビちゃん。早くしないと
 雪さんみーんな溶けちゃって、遊べなくなっちゃうよ?」

モララー所長の言葉に、ぐずっていたベビ達ははっとしたような表情を浮かべた。
「エ? ユキサン ナクナッチャウノ?」
「そうだよ。早くしないと……」
「ワァァ! イクイクイクゥー!」
「チィモ ハヤクー!」
さっきまでのぐずりはどこへやら
ベビしぃ達は一直線に、中庭へと駆け込んでいった。

……………………………
ベビしぃ達が皆中庭に入っていくと、先の鉄扉が閉められ
「えーと、お母さん方も
 ベビちゃん達が遊んでいる間、ただこんな所で待っているのも何ですから
 こちらへどうぞ。」
モララー所長が、母しぃ達を手招きする。
「?」
手招きする所長の下へ、ぞろぞろと移動すると
「アッ!」
「スゴォイ!」
母しぃ達は今度は、感嘆の息をもらした。
……所長に呼ばれた、その場所は
壁が一面、ガラス張り。
中庭の様子が丸見えで、当然見えるのは
自分のベビしぃ達が、楽しそうに雪で遊んでいる光景。

「楽シソウ……。ヨカッタネ ベビチャン………」
「所長サン アリガトウゴザイマス!」
我が子が楽しそうに遊ぶ姿に見とれるしぃと、モララー所長に礼を言うしぃ
所長も所長で、嬉しそうに微笑む。
「ま、喜んでもらえて僕も何よりですよ。
 ……じゃ、僕はちょっと別の仕事がありますので。
 何かありましたら、ここにモナー君を待機させておきますので。
 ……後は、頼むよ。」
「分かりましたモナ」
「それではお母さん方。これで………」
所長は母しぃ達に一礼すると、姿を消した。

514 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:36:38 [ aA9gT8F2 ]


……………………
中庭。
ベビしぃ達は、正に大はしゃぎ。
生まれて初めて触る雪。手にした雪。
誰に教わったのか、雪合戦をするベビや、かまくらを作るベビ
雪だるまを作るベビ……
皆、思い思いに雪にまみれて遊んでいた。

「マァマー! タノチイヨー!」
「アイガトー! マァマー!」
ガラスの向こうにいる母親に向かって、愛くるしい微笑みを浮かべるベビ達
母親もまたベビ達に、嬉しそうに微笑み返す。

「マァマ! ユキシャン トッテモタノシイヨォ!」
「ソウデショウ? 楽シイヨネ?」
「ミテミテママァ! チィ コンナニオオキナユキダルマシャン ツクッタンダヨ!」
「スゴイネ! ベビチャン!」

……ガラス越しとはいえ、実にほのぼのとした
この板にはまるでそぐわない、マターリ空間。

しかし
「マァマ! チィ ユキシャンキライデチュ!」
一匹のベビしぃが、何故か突然ぐずり始めた。
「? ドウシタノ ベビチャン?」
みんなが楽しそうに遊んでいる中で、そのベビだけ不機嫌そうな顔をして
「ユキシャン ベトベト・ヌルヌルスルデチュ! チィ カラダジュウベトベト・ヌルヌルデ
 キモチワルー デチュヨ!」
「ベトベトデ、ヌルヌル デスッテ?」
母親しぃ達の顔色が、少し変わった。
「? 雪ッテ、ベトベトスルモンダッタッケ?」
「ソンナハズナイヨ! 雪デ遊ンデテ ベトベトヌルヌルシタコトナンテ ナカッタシ……」
「ジャア、ドウシテ!?」

母親しぃ達がまた、別の意味でざわざわ騒ぎ出すと
モナーはにやりと笑うと、懐からトランシーバーを取りだして、一声。
「所長! オッケーモナッ!」

515 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:37:04 [ aA9gT8F2 ]

………
場所は、また中庭。
とはいっても、今回はベビしぃ達が戯れている中庭を囲っている
コンクリートの建物の、屋上。
そこにいたのは、件のモララー所長と
“雪”を降らせている、スノーマシン。

……モララー所長のトランシーバーから、ガッと音がする
「所長! オッケーモナッ!」

その通信を待ってましたとばかりに、所長もにやりと笑う。
「待ってましたよモナー君!
 それじゃあ重ねて、下の処置をよろしくッ!
 ……さて。
 おーーい! ベビちゃん達ー!」
モララー所長が中庭を屋上からのぞき込むと、気づいたベビ達が
所長に向かって手を振った。
モララー所長もそれに答えるように、微笑んで手を振ると
「ベビちゃん達! たくさん雪で楽しんだかな?
 楽しめたベビちゃん、手を挙げてー!」
皆が一斉に、ハーイと手を挙げる。
モララー所長も、満足げにうんうん頷くと
「それじゃ、これから“最期”のプレゼントをするから
 ・・・・・・・・
 受け止められたら、受け止めてねー!」
そう言い残して屋上側に引っ込むと、まず何故か耳栓とサングラスを装着
次にスノーマシンのスイッチを落とし、傍らにあった火のついた松明を手にすると……

「それじゃあベビちゃん。アディオス・アミーゴォッ!」
燃えさかる松明を中庭に投げ込むと、さっと身を伏せた。

516 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:37:27 [ aA9gT8F2 ]



直後


ABOOOOOOOOOOOONN!!


中庭から、火柱が上がった。
否、中庭だけではない。建物全体が振動していた。

「キャアッ!!」
ガラス越しに中庭を見ていた母しぃ達も、突然の目の前の凄まじい閃光と轟音。
完全な不意打ちだったものだから、全員短く悲鳴を上げると
その場にバタバタと、倒れ込んでいった。

……………………………
数分後
「こらこらお母さん達、こんな所で寝ちゃ駄目モナよ?」
モララー所長と同じく、サングラスと耳栓をしてノーダメージだったモナーが
母親しぃ達の頭をこづいて起こしている。

「ン………」
先の轟音と閃光がまだ残っているのか、ふらつきながら目を覚ました母しぃ達だったが
「…………… ! ア、アアァァッ!!」
皆が皆、起きたと同時にガラスの壁にへばりついた。

……ガラスの向こうには、何もなかった。

先程まで積もっていた雪は、既に跡形もなく消え
後にはすすけたコンクリートの壁が、床が見えるのみ。
……いや、勿論それだけではない

すすけたコンクリートの床の上を、よーく観察してみると……
黒焦げた塊がいくつか、確認できた。

「ア……アア……、マ マサカッ……!!」
……その、“黒い塊”
いくつかは塊で残っていたが、いくつか四散しているものもあった。
その四散した塊 の一部
中身は赤く、且つ赤い液体がぼたぼたと滴っている。
ついでに言えば、表面には焼け残ったと思われる白い毛皮がちらほら。

………………………
母しぃ達の顔が、見る見るうちに青ざめていき……
自分たちの背後にいるモナーへと、視線を、体を向けた。

「チョット! ドウイウコトヨ!」
「ナンデベビチャンガ、アンナコトニナッテンノヨ!!」
「アンタイッタイ、シィノベビチャンニナニシタノヨ!」

………お決まりというか、相変わらずというか
モナーを、母しぃ達の怒声が囲んだ。
だが、そんな怒声などどこ吹く風といった感じで
モナーはにやにやと笑い続ける。
「あーあーあー。こりゃすごいことになっちまったモナねー。」
「ナニヲ ノンキナコトイッテンノヨ! シィノベビチャンヲドウシタノヨ!」
「どうしたって……、ありゃ“不慮の事故”モナよ。
 モナはなーんにも、関係ないモナよ?」
「フザケテンジャ、ナイワヨ!!」
いけしゃあしゃあととぼけ続けるモナーに業を煮やしたか
一匹の母しぃが拳を固めて、モナーに殴りかかろうとした。
だが
「おっと! 待つモナよ! ベビちゃんに会いたくないモナか?」
差し出されたモナーの腕に、それははばまれた。

「………ドウイウ……コトヨ?」
「そのまんまの意味モナよ。……ベビちゃんに会いたいモナよね?
 生きてるかどうか、確認したいモナよね?
 だから……」
モナーがリモコンを操作すると、壁のガラスが音を立てて動き出した。
「アッ!」
「さっさと逝ってくるモナよ。……どうせ無駄だろうけど。」

「…………ベビチャァンッ!!」
先程までモナーに詰め寄っていた母しぃも、必死にガラスを叩いていた母しぃも
今や我先にと、中庭へと走り込んでいった……。

517 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:37:52 [ aA9gT8F2 ]

一方

「ゲーッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャァッ!!」

屋上から聞こえてくるのは、モララー所長の悦に入った狂笑の声。
「ゲハハハハハ!! ……すんげぇきれいだったなぁ!
 あはは! 見ろよこれ!」
モララー所長は中庭をのぞき込むと、一段と嬉しそうににんまりと笑顔を浮かべた。
「あっはっはっはぁっ! 先程までは雪と戯れていた妖精が
 今やグリルの中でウェルダンですかぁ!? うふわははははははぁ!!」
落ちそうになるくらいまでのぞき込むと、今度は腹を抱えて笑い出した。

「あははぁ……、しかし、高い金つぎ込んで作った甲斐があったもんだぜ……!
 我が新作虐殺兵器、名付けて『スノーマシン・灼雪丸』ッ!!
 水の代わりに、油で雪が作れるようにいじくったから
 火種を落とせば、引火するわなぁ……!
 あいつらはこの油雪で“雪遊び”してくれやがったから
 それ即ち、全身油まみれになっていた……
 加えて、ちらちらと空中に舞ってた油雪が“粉塵爆発”起こすから
 そりゃウェルダンになりますって! ハハハハァ!
 ……と、おお?」
悦に入っていたモララー所長が、また目を輝かせた。
……モナーの手引きで、母しぃ達が中庭になだれ込んできたのだ。
「ククッ! ……それじゃあ、仕上げと逝きますか……!!」

モララー所長はまた屋上に引っ込むと、今度は
『灼雪丸』の隣に置いてあった、もう一台のスノーマシンに手を伸ばした……

中庭
「ベビチャンッ!! 目ヲ開ケテェ! ベビチャァァン!」
……もはやどれもこれも真っ黒焦げで、判別などできようもなかったが
それでも母しぃ達は一匹が“一つ”ずつ、“黒こげの塊”を手にしては
必死に呼びかけていた。

……当然、返事など返ってこようはずもない。
モララー所長が言っていたように、すでにベビ達はウェルダン以上に焼き上がっており
触れば表面が、ぼろぼろと崩れてくるものまでいたほどだ。

……しかし、それでも母性故か
必死に黒こげの塊に声をかける母しぃ達の耳に……
またあの、所長の狂った笑い声が聞こえてきた。

「ぐあーっはっはっはっはっはぁっ!!
 何を無駄なことやってんですか、あんた達は!
 そんなバーベキュゥの燃料にもならんような消し炭に
 話しかけたりして、返事が返ってくるとでも思ってんですかぁ?
 もう遅すぎるッ……無駄なんですよ。
 そうっ 無駄。無駄。無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!
 あーっはっはっはっはっはっはっはっはっはぁ!!」

モララー所長の狂った笑いに、母しぃ達はきっとにらみ上げた。
「コノ クソダヌキ! ドウシテコンナヒドイコトヲスルノヨ!!」
「ベビチャンヲ、カエシテヨ!!」
「絶対ニ、許サナイワヨ!!」

だが、下から散々自分に向かってくる罵声に
モララー所長はますます不気味な笑顔を作ると、手を叩きながら
「はぁっはっはっはっはぁ!! ……“ひどい”だってぇ……?
 何を言ってるんだい! 最初から僕はこうするつもりだったんだよ!
 君らのクソベビ共をここで遊ばせたのは、僕が開発した新型虐殺兵器の
 実験台にするつもりだったからだよ!
 それに気づかずに、ノコノコと連れてくるとは………!
 ほんっとに君たちって、オメデタイ連中だねぇ………!
 …………、と」
歯がみする母しぃ達を横目に、所長は笑うのをやめた。
「……!?」
「……さてと、そろそろ仕上げと逝こうかね。
「シ、シアゲ!?」
「……なぁに、そう警戒することはない。安心してくださいませ。
 あなた方を、ベビちゃんと同じ世界にお送りするだけですから。
 新型虐殺兵器2号で、ね。」
「!?」
母しぃ達の顔が、凍り付いた。
「先の火柱とは、またひと味違った2号の味!
 とくとご賞味くださいませ! ヒァウィゴゥ!」
モララー所長の姿が、すっと消えると
また中庭に、雪が降り始めてきた。

518 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:38:26 [ aA9gT8F2 ]


「ヒ………!!」
母しぃ達は皆が皆、小さく悲鳴を上げた。
先程のガラス壁に、逃げようとした者もいた。
しかしそこは抜け目がないというか、当然というか
既にモナーの手によって、ただのコンクリートの壁に代わっていた。

……完全な、袋小路。

先の雪のように、また積もり積もって爆発するのか?
それとも今度は、自分たちを生き埋めにするまで雪を降らすのか?

……様々な憶測が、母しぃ達の頭を駆けめぐったが
今回の“雪”は、積もる前にその効果を思い知ることとなった。

一匹の母しぃの顔に、雪が舞い降りてきた。
すると

じゅっ……

「!?」
その顔に灼熱感と激痛を感じ、母しぃは飛び上がった。
「コ、コノ雪、熱イヨ!?」
その母しぃの悲鳴を皮切りに、あちこちであがる悲鳴と
じゅっ という、不気味な音。
「ギャァッ!! ナ、ナニヨコレハァァ!!」
じゅぅっ
「コ、コ、コナイデ! ワッ!コッチニモ…ギェッ!!」
じゅばっ………
「アガガガガガガ…… アヂィィィ!?」

「うふふ。ふふわははは。くはははははは!!」
母しぃ達の悲鳴が大きくなると、またモララー所長が屋上から姿を現した。
「くくく。今度の雪はひと味違う って言っただろう?
 さっきのは油雪だったけど、今度のはもっと即効性のある代物を雪にしてある……
 即ち、硫酸だよ!」
「リュ、リューサン!?」
「そう。H2SO4。リューサン。
 今回、ようやく完成したんだよ………」
下から聞こえる、どんどん大きくなって来る悲鳴に
うっとりと目を細めながら、モララー所長は話し始めた。
「最初はさ、雨みたいに液体で降らせてたわけよ。
 でもそうするとさ、どう調節しても滴一滴当たりの威力が大きくなっちゃってさ
 しぃ族の柔い体に浴びせると、ものの数分で骨だけになっちゃうんだね。
 ……すぐに死ぬんじゃあ、嬲り殺す楽しみがなくなっちまう。
 もっとじわじわと、ゆっくりと溶かしていく方法はないか!?
 ………その考えの結果が、これさ。
 硫酸を雪にして降らせれば、一滴分の重さは軽くなるから威力も減るし、また
 一直線に、弾丸のようにポタポタ落ちるんじゃなくて、ちらちらゆっくり落ちるから…
 ……長い時間、じっくりと苦しめることができるんだ。今みたいにね。」
モララー所長が、また下をのぞき込むと……
やはり母しぃ達が、ごろごろと転げ回っている姿が確認できた。
しかし所長が言ったように、酸の傷はまだせいぜい毛皮を焼いて、肉が少し見えている程度。
これでは死ぬまでに、まだ相当な時間がかかるだろう。
「……さてと、だ。
 じゃあちょっとだけ、降らす量を増やすよ。
 まぁそれでも、ゆっくりと堪能できることには間違いないから
 存分に、楽しんでくれたまへ。  
 あ、ちなみにその中庭の壁や床は、みんな特殊加工してあるから
 絶対に酸で溶けたりはしないからね。
 では、グッバイ。」
モララー所長はまた一段と大笑いすると、踵を返して姿を消していった……

519 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/03/21(火) 22:38:48 [ aA9gT8F2 ]



……………………………
中庭に取り残された、母しぃ達は……
硫酸雪に焼かれながらも身を丸めたりして、何とか身を守ろうとしていた。

……所詮は、無駄なことであったが

じゅう  じゅう  じゅう 

硫酸雪は少しずつ、しぃの体を焼き、溶かしていく。
先程まで真っ白な毛皮だった部分は少しずつ焦がされ、黒くちぢれ
ぼろりと毛皮が剥がれ落ちた、むき出しの肉にもまた雪が積もる

じゅわり  じゅうぅ  じゅわぁぁ

痛みに耐えかね、手足をばたばたと動かすと
積もった雪に手足を突っ込み、また煙が上がって、じゅうう。

……少しずつ動かなくなっていく体。少しずつ積もっていく死の雪。
雪の中に埋もれていくのに、従来なら雪の中で死ぬ場合
眠るように静かに、苦しまずに凍え死ねるものだが
この雪の中では、静かにも、眠るようにも死ぬことはできない。
ひたすら激痛と灼熱感に苛まれ、苦しみながら死んでいくのだ。

灼熱感を感じる雪ってのも、乙なものでしょう?

             終わり

520 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/21(火) 23:19:35 [ 11.ujbjQ ]
前回のあらすじ

モナー、モララーによって一日に二匹の子供を殺されたしぃちゃん。
だが、本当の地獄はまだ始まったばかりだった。

(もう許さない…勝てるかどうか分からないけど、あのベビちゃんだけは!)

「さぁ、早く行くモナ」

ダッ!

母しぃはモナーに飛び掛った。
しかし、モナーとの力の差は歴然。
軽く一蹴されてしまったのだ。

「シィィィィィ!」

「何を考えてるモナ、早く行け!」

「早くしないとこのベビちゃんも踏み潰しちゃうよ〜」

「ヂィィィィィ!マンマー!」

「わ、…分かりました。」

「分かればいいモナー」

草原を歩いていると、前方におにーにが二匹見えてきた。

521 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/21(火) 23:19:47 [ 11.ujbjQ ]
またもモナーとモララーの目が光る。

「丁度いいモナ。おい、あの糞にぎりを虐殺するモナ」

「えっ…!?そんな」

「ニヤニヤ」

モララーがニヤニヤしながらベビを見せ付ける。

「わ、分かりました…」

「オ、オカアタン…」

母しぃがおにーに兄弟に近づいていった。
兄弟は近くに来ているのにも気付かず、踊りの練習をしている。

「ソウワチョイ。ジョウズ、ジョウズー」

「ワッチョイ、ワッチョイ、ワッチョ…」

「ドウシタワチョ?ハヤクオドルノワチョ!」

「ニータンッ!」

「チョ?」

ばっ!

母しぃがおにーにの兄に齧り付いた。

522 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/21(火) 23:20:00 [ 11.ujbjQ ]
「ワチョオオオオイ!イチャイ、イチャァイ!」

「ニータンッ!ニータァァァン!」

「!(せめて、弟の方から…)」

「ワヂョ!」

「アア、ヤメテワチョー!」

母しぃのターゲットは弟に向き、その愛らしい尻尾を引きちぎった。

「ヷヂョオオオオオォォォォ!!」

「ヤメテェー!オトートハマダオノリガハエタバカリワチョ!イッチョニワッチョイチュルノガユメダタワチョ!」

「ニータン!」

(うぅ…御免なさい…)

母しぃは涙を流しながら、海苔も?ぎ取った。

「ここで一発…モナー」

傍から見ていたモナーが注射器を出し、おにーにの肛門に注射した。

「ワヂョッ!」

「アアー!オトウトヨー!」

「何挿したんだ?」

「すごい物モナー」

523 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/21(火) 23:20:11 [ 11.ujbjQ ]
その瞬間、おにーにの肛門から排泄物が噴出した。

「ア、アァーーーーーッ!!」

「ワヂョオオオ!」

「アーン、アーーン!」

「オトウトヨー、シッカリスルワチョイ!」

「仕上げだ、ほらよっ!」

どぐしゃぁっ!

「ヂョオオオオ!!」

「オ、オトウトノカラダガァー!」

「ニータン…モット…ワッチョイチタカッタ…」

「アーン、オトウトヨー、チナナイデー!」

続く―

524 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/21(火) 23:20:55 [ 11.ujbjQ ]
>>522の「海苔も?ぎ取った」
は、「海苔ももぎとった」です。

525 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/21(火) 23:47:49 [ 11.ujbjQ ]
前回のあらすじ

母親は自分の愛娘の見ている前でおにーにを虐殺。
だが、モナーの考えた結末はこんなものではなかった…

「よくやったモナー。この糞にぎりは…ふんっ!」

ぐしゃぁっ!

爽快な音と共に兄の身体も潰れた。

「カハッ…オ、オトートヨ…チヌトキクライハ…イッチョ…」

「そうはいかんざき!」

モララーは兄の身体に火をつけ、その燃えていく様子を見ていた。
そして、兄おにぎりは灰になった…

「も、もういや…こんな…」

ベビはその光景から目を背け、ガタガタと小さな身体を震わせていた。

526 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/21(火) 23:48:00 [ 11.ujbjQ ]
「どうだ?お前のママはマターリとか言いながらおにーにをぶっ殺すようなヤツだぞ?」

「チ、チィィィ…」

「そ、そんな…!それはあなたたちがやれと言ったから…」

「確かにやれとはいったけど、実際にやるかの意思決定はお前が決めるハズモナ。」

「やらないとベビちゃんを…」

「確かに見せましたが何か?」

「そ、そんな…騙したの!?」

「人聞きの悪いこと言うなモナ。モナたちは別にお前が糞にぎりを殺すことなんてどうでもいいモナ。」

「そんな…!」

母しぃは身体を小刻みに震わせていたが、彼らには敵わないことを知っている。
もはや後戻りできないところまで来ているのだと悟った。

527 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/21(火) 23:48:16 [ 11.ujbjQ ]
そして、お散歩も終わり、母親と最後のベビを家に持ち帰ったモナーは、
狭く、寒い倉庫に閉じ込めておいた。

「オカータン…チャムイヨゥ…」

「我慢してね、ベビちゃん…」

「明日からがまた楽しみモナー…」

続く―

528 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/22(水) 07:08:04 [ gz1e7KV6 ]
最終回

前回のあらすじ

モナー家の狭くて寒い倉庫に閉じ込められたしぃとベビ。
彼女らに明日はあるのか?

1日目

「オカータン…チャムイヨゥ…」

「が、我慢してね、ベビちゃん…」
(いつまで閉じ込められてるんだろう…)

そして夜は更け…

2日目

「朝よ…起きなさい」

「アニャーン…ネムチャイヨ…」

「ご飯はまだかな…」

しかし、昼まで待ってもご飯は来なかった。
そうこうしているうちにベビが大声をあげて喚いた。

「オナカチュイタヨォー!マンマー!ゴハンー!」

その直後、モナーがいきり立った様子で戸をバタンと空け、倉庫の中に入って来た。

「うるさいモナよ!近所迷惑モナ!」

「あっ、あの…!ご飯はまだでしょうか…?」

「あぁん?ご飯だぁ?ちょっと待つモナ」

「良かった…ベビちゃん、もうすぐご飯が来るからね」

「ゴハンー!」

しばらくして、モナーは黄色いクリームと緑色のクリームのようなものを持ってきた。

「さ、ベビはこれを食べるモナー。」

「チィ!オイチチョウナクィーム!チィ、アマイノダーシュキ!」

「あのー…私のは…?」

「まぁ、待つモナー」

ベビがクリームのようなものに齧り付いた。

529 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/22(水) 07:08:15 [ gz1e7KV6 ]
「ヂィーーーーーウギューーー!カライデチュヨウー!ヒーヒーチマチュヨゥ!」

「ベビちゃん!!??なんてことを!」

「ついでに…こうモナ!」

ブチィっ!

モナーがベビの耳をもぎ取った。

「ギビヂィーーーーー!!イヂャーーーヨォォォ!!オカァターン!」

「さてと、お楽しみはこれからモナ」

モナーがベビの肛門に挿したのは、辛子だった。

「ヂィー!オチリガイチャーヨゥ!ママー!」

「ベ、ベビちゃん…」

母しぃは見ているしか出来なかった。

「さぁ、腸内洗浄も終わったし、最後の仕上げ…モナぁ!」

モナーは包丁を取り出し、ベビを捌いていく。
母しぃはその光景をずっと見ていた。

「ベビ刺し一丁あがりモナー」

「うぅっ…ベビちゃん…」

「さてと、最後はお前モナー…」

530 名前: ◆GtN0Plfghk 投稿日:2006/03/22(水) 07:08:29 [ gz1e7KV6 ]
翌日

いつものように春の麗らかな陽気が眩しい日。
モナーとモララーはあの草原を歩いていた。

「ようモナー、あの糞親子どうしたんだ?」

「昨日始末したモナー。やっぱりストレス解消になるモナー」

「俺も糞ちびギコを手に入れてよー、今楽しんでるんだよ」

「それは良かったモナー」

終わり―

531 名前:山崎邦正 投稿日:2006/03/23(木) 20:50:07 [ JkWwoJZY ]
小学校
 
ここは2ちゃんねる小学校。糞虫OKの校則があるので生徒は500人を超えています
そんな生徒にある悲劇が・・・・・・・・

「なにして遊ぶモナ?」

「サッカーがいいな」

「いいなゴルァ」

「サッカーをやろう」

「サッカーを選ぶとは流石だな兄者」

「シィモイレテ!!」

「しぃちゃんは向こうのレモナとガナーと遊ぶモナ」

「ワカッタ」

「ハニャーン!!アソボ!!」

「お断り。」

532 名前:山崎邦正 投稿日:2006/03/23(木) 20:54:08 [ JkWwoJZY ]
「ヒドイヨーーーー!!」

しぃは男子からは普通でしたが、女子からは嫌われていました
そんなしぃにある悲劇が・・・・・・

「お前なんかとは離婚だゴルァ」

「ナンデ!?シィハナンニモワルクナイヨーー!!」

「じゃあな」

しぃの母親は父親ギコと離婚・・・・・しばらく2人で生活する日々が

「オカアサン・・・・・オトウサンハ・・・」

「ダイジョウブ・・・・・キットカエッテクルヨ・・・・」

そんな親子にさらなる悲劇が・・・・・・

533 名前:山崎邦正 投稿日:2006/03/23(木) 21:03:13 [ JkWwoJZY ]
「ヒヒヒ・・・・・貯金通帳と実印発見!!」

「レモナ・・・・悪人顔よ・・・・」

「500万も持ってるとはすごいモナー」

「糞虫のくせにすごいなぁ」

「ゴルァ!暗証番号は4141だな」

「キャッシュカードも見つけたぞ」

「キャッシュカードを見つけるとは流石だな兄者」

「フーン・・・・・・」

「アヒャヒャ!!!キャッシュハ200マンダアヒャ!!」

「正気になれつー!!」

「チョットナニシテルノヨ!!」

「逃げろー」

「ヤメテーーーー!!コノコノガクヒナノーーー!!」

「これは漏れらがもらった方が幸せだろ?」

「シィィィィーーーー!!!モッテイカナイデーーーー!!」

手遅れ・・・・モナー・モララー・ギコ・フーン・つー・流石兄弟・レモナ・ガナー・つーは去っていきました

534 名前:山崎邦正 投稿日:2006/03/23(木) 21:07:20 [ JkWwoJZY ]
財産を失ったしぃ親子は、学費も払えず、世界一の貧乏になってしまいました

「ケイサツニツーホーシマショ!!」

「ソウダネ!!」

しぃ親子は警察署へ走っていきました・・・ところが・・・・

「そんなちっぽけな事で来ないでください。また稼げばいいでしょうが!
もっと重大な事件があるので帰ってください。」

「ヒドイヨウ・・・・・」

そして学校に行けるはずもなく、学校をやめてしぃ親子は自殺をしました

535 名前:山崎邦正 投稿日:2006/03/24(金) 10:51:56 [ aRdVJdSg ]
母親とベビしぃ

ここはしぃ収容所、しかし重大な決まりがあります。それは親子だと言うこと。
親子のしぃを見つけては必ずこの収容所に入らせます。
A棟にはモナー、B棟にはモララー、C棟にはギコ、D棟にはつー、警備員がフーン
という厳重な収容所でした。そんなある日

「おい、飯の時間だモナ」

「オナカスイチャヨーハヤククダチャイヨー」

「ベビチャン!!モナーサンガイマクレルカラシズカニ!」

「ただしこれから試験を行うモナ。合格したら飯が食えるモナ。」

「ハニャーン??ジャアシケンッテナニ?」

「自分のベビを食うモナー」

「ソ・・・ソンナノムリヨウ!!」

「じゃあ全員失格だモナ」

「ア!!モナーサン!!!」

「ビエエエエエエン!!ヒドイヨウ!!」

「アンタノセイヨ!!」

「ソンナ―――――!!!!!」

「コロシテヤルワ!」

「ハニャーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!」

「シィィィィィィーーーーーーー!!!!ユルシテーーーーーー!!!」

このしぃは死にました。

536 名前:山崎邦正 投稿日:2006/03/24(金) 10:55:10 [ aRdVJdSg ]
一方B棟では・・・・・

「おい、飯だ」

「サッサトヨコシナサイギャクサツチュウ!!」

「ただし、これから試験を受けてもらおう。1番のやつが食える。」

「ハニャーーン?ナァニ??」

「これからコロッケを100個食うんだ。ただしベビ限定」

「ムリデチュヨウ!!」「ソウデチュヨウ!!」

「あっそ。じゃあいらないな。じゃあな」

「ア!!モララーサン!!!」

「イッチャッタ・・・・・・」

「ビエエエエエエン!!」

537 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/03/25(土) 16:31:58 [ 1N1Zp.o6 ]
01/08

               一期一会 −朝のお散歩−


 ごく一般的な、アパートの一室。その、狭いけれど綺麗に整頓された、
居心地の良さそうな部屋に、銀色の毛をしたアヒャ種の仔が、一人で住んでいます。
 その仔の名は、アーヒャレスト。人間で言うと、12,3歳くらいです。
 アーヒャレストは何時も、朝は6時の3分前に起きますから、今日も、何時もと
同じに、6時の3分前に起きました。早寝早起きがモットーなのです。
 アラームが鳴る前に目覚し時計を止めてから、アーヒャレストはベッドからもぞもぞと
出てきます。そして、顔を洗って、ご自慢の真っ白な牙も、歯ブラシで丁寧に磨き、
それからごはんを食べて服を着替え、大好きな出刃包丁をお手製の鞘に収めると、
朝の散歩に出かけます。雨の日だって、風の日だって、雪の日だって必ず出かけるので、
もちろん今日も、いつもと同じように出かけます。きちんと戸締りを確認してから、
お気に入りの黒いスニーカーを履いて、出発します。

 アーヒャレストは、自分の住んでいる町を散歩するのが大好きです。
だから、いつも好きな歌を歌います。いつも歌っているので、とても上手になりました。
今日は晴れているので、晴れた日にぴったりの歌を、歌うことにしました。
「アヒャ〜、アヒャヒャ〜……さいたまたいよう、しずんだあとは〜♪
 アヒャ〜、アヒャ〜、アヒャ〜……さいたまさいたま、どこへゆく〜♪」
さいたまが聴いたら、喜びそうな歌です。晴れている日はいつもこの歌なので、
晴れている日は、アーヒャレストのアパートの近所で、さいたまという言葉に反応して
早起きするさいたまが、何時もよりほんのちょっと増えます。さいたまがたくさん集まると
大合唱になる事もよくありますので、近所の他のAA達も早起きするようになります。
とても健康的です。

538 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/03/25(土) 16:32:25 [ 1N1Zp.o6 ]
02/08

「アヒャ〜、さいたま〜の、たいよ……アヒャ?」
 仕事に向かうAA達で賑やかになってきた散歩コースを、暫く行進していた
アーヒャレストでしたが、ふと、大きな交差点に架かる歩道橋の、階段の前に何かを見つけ、
歌うのをやめて、立ち止まりました。後ろを歩いていたモナーが、ちょっと文句を言いながら
追い越してゆきましたが、あまり気にしませんでした。
 アーヒャレストが見つけたのは、大きなトランクを持って、困った顔をしながら階段の上を
見上げている、一人の、しぃ種のおばぁさんでした。
 みんな忙しそうで、そのおばあさんしぃに気付くAAは、一人もいませんでした。
ですから、アーヒャレストは、おばあさんしぃに急いで近づき、声をかけてあげました。
「アッヒャ〜……何か困ってるアヒャか?」
「エエ、荷物ガ多クテ、階段ヲ登レナイノ...」
おばあさんしぃは、やっぱり、困っていたようです。何時も、アーヒャレストは、
困っている人が居たら助けてあげます。だから、今日もそうします。
 お年寄りが、このいくつもの車線がある、広い交差点を渡るのはとても危ないので、
どうしてもこの歩道橋を渡らなければなりません。アーヒャレストは、それを
よく知っているので、おばあさんしぃのトランクを持ってあげる事にしました。

539 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/03/25(土) 16:32:51 [ 1N1Zp.o6 ]
03/08

「オレが手伝ってあげるアヒャ!」
アーヒャレストが元気よくそう言うと、おばあさんしぃは、嬉しそうに
しわだらけの顔を綻ばせ、元から曲がっている腰をもっと曲げて、お礼を言ってくれました。
そして、大きなトランクをアーヒャレストへ手渡しました。
 アーヒャレストは、トランクを受け取って担ぎ上げると、階段を登ります。
「これ、結構、重いアヒャな……」
おばあさんの持っていた荷物は、とても重たくて、階段を上るのが少し大変でしたが、
それでも一所懸命頑張って、一番上まで登りきりました。段は、全部で36段ありました。
おばあさんしぃも、後から、ゆっくり、杖をつきながら登ってきました。

「ア、アヒャ……やっと、着いた……」
「フゥ...重タイノニゴメンナサイ、アリガトウネ、ボウヤ」
アーヒャレストがトランクを下ろし、膝に手をついて深呼吸していると、おばあさんしぃが、
もう一度、さっきよりもっと丁寧に、お礼を言ってくれました。アーヒャレストは顔をあげて、
嬉しそうに、そしてちょっぴり照れくさそうに、飛び切りの笑顔を返しました。
重いトランクを持って階段を上り、疲れていたのが、綺麗さっぱり無くなったような
気分でしたから、何時もよりずっと、素敵な笑顔ができました。

540 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/03/25(土) 16:33:14 [ 1N1Zp.o6 ]
04/08

 アーヒャレストとおばあさんしぃは、一緒に、ゆっくりと、頑張って登った歩道橋を
歩きました。おばあさんしぃは、アーヒャレストに、モウイイヨ、と言ってくれたのですが、
アーヒャレストは、まだ、降りるときも手伝いたいので、一緒についていく事にしたのです。
 アーヒャレストは、中途半端が嫌いです。ですから、中途半端におばあさんしぃを置き去りに
するより、散歩道を外れても、着いていくほうが、ずっとずっと良いと思ったのです。
「降りるのも、手伝うアヒャよ」
アーヒャレストがそう言うと、おばあさんしぃは、三回目のお礼を言ってくれました。
 朝は忙しいので、歩道橋を渡っているAAは、二人っきりしか、いませんでした。

 いくら、広い道に架かる歩道橋でも、そんなに長くありませんから、向こう側には、
すぐにたどり着きました。下りの階段の前で、アーヒャレストは、キャスターでころころ
転がしていたトランクを、よいしょ、とさっきのように担ぎなおします。
「本当ニ助カルワ...何ダカ、ココマデシテモラウト、少シ悪イワネェ...」
お礼は、もう沢山言ったので、おばあさんしぃは、今度は少しだけ申し訳なさそうに
苦笑いをして、重いトランクを笑顔で担ぐアーヒャレストへと、そう言いました。
「構わないアヒャ、お年寄りには親切にしなきゃいけないと、誰かが言っていたアヒャ。
 それに、降りるときは登るときより、危ないらしいから、アヒャ」
アーヒャレストは、短い銀色の毛並みを、照れくさそうにグシャグシャしながらそう言うと、
もう、杖をつきながら階段を降り始めていた、おばあさんしぃの背中を、ドン、と押しました。

541 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/03/25(土) 16:33:53 [ 1N1Zp.o6 ]
05/08

「...エ? ...ハ、ハニャ、ハ....シ、シギィィィィィィィィッ!!」
おばあさんしぃは、ちょっと驚いた顔をして、ふらっ、とよろけたかと思えば、
何度も頭や身体を段にぶつけて、ゴツン、ゴン、と良い音を立てながら、36段の階段を
まっ逆さまに転げ落ちてゆき、最後に、下の地面に頭をぶつけて、一番いい音を出してから、
右手と左足、それから首をおかしな方向に曲げて、ようやく止まりました。
 アーヒャレストは、その光景を、嬉しそうに眺めていました。道に倒れたおばあさんしぃの
頭から、赤いどろっとした血がたくさん、流れ出してきました。
 近くを通った仕事に向かう途中のスーツ姿のAA達が、おばあさんの姿を見たとたんに、
自分が何処に行こうと思っていたのかも忘れて、立ち止まりました。時々、後ろからきた人に
押されて、よろけたり、地面に手をつくAAも居ました。
 そして、少しだけ、歩道橋の下の足音と話し声が、少なくなりました。
 けれど、その代わり、ガナーやしぃなど、女性のAAが何人か、悲鳴をあげたので、
騒がしさは、あまり変わらりませんでした。

 濃い灰色のスーツを着たモララーが、おばあさんしぃに近寄り、変な方向に曲がってしまった
その首に向かって、何か話し掛けますが、おばあさんしぃは、このモララーが嫌いなのか、
答えようとしません。頭から、赤い血をドロドロと流すだけです。
 おばあさんしぃの目が、魚屋さんで売られている、美味しい魚の目のようになってゆきました。

542 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/03/25(土) 16:34:18 [ 1N1Zp.o6 ]
06/08

「アーッヒャッヒャッヒャァーッ!登るときしんどそうだったアヒャから、下りはもっと
 楽をさせてあげたかったアヒャよ、早く降りれて良かったアヒャァーッヒャッヒャッ!」
アーヒャレストが、下で一生懸命、動かないおばあさんしぃに話し掛けているモララーの声や、
ガナーやしぃの悲鳴に負けないように、元気一杯の大声で、そしてとても嬉しそうに叫びました。
 おばあさんしぃは、折角、親切に荷物を運んでくれたアーヒャレストの声にも
答えませんでしたが、アーヒャレストは、そんな事は全然気にしませんでした。
「アヒャーッ、ヒャッヒャッ!じゃ、荷物返すアヒャ、ちゃんと受け取って欲しいアヒャ」
そして、大きなトランクを、力一杯、おばあさんしぃの方に投げました。

トランクは階段の上をひゅー、と飛んでゆき、おばあさんしぃの傍にしゃがんで、今は
アーヒャレストの方をぽかんと見ていた、灰色スーツのモララーの顔に当たりました。
そして、ちゃんと跳ね返って、おばあさんのおなかの上に、ドスンと落ちました。
おばあさんのおなかが破れて、中から、真っ赤な太いミミズみたいな内臓が、
血と一緒に元気よく、にゅるっと飛び出してきました。
 もちろん、重いトランクが当たったモララーの顔からも、たくさん血が噴き出します。
一緒に、目玉も片方飛び出して、赤いヌメヌメした紐で繋がったまま、風変わりな
アクセサリの様にぶら下がり、モララーがヒクッ、ヒクッと痙攣するたびに、
ゆらゆらと、のんびり揺れていました。
「アヒャーッ、ヒャッヒャッ!ちょっと外れたアヒャ、でも、ちゃんと届いたアヒャな!
 それじゃあ、ばいばいアヒャ、アヒャはお散歩の途中だから、もう行くアヒャ。
 また困ったことがあったら、言って欲しいアヒャ、いつでも力になるからァーッヒャッヒャ!」
アーヒャレストは、手を降りながら、くるりと回れ右して、いつもの散歩コースに戻るために、
ぽかんとしている沢山のAA達を残して、来た道を戻り始めました。

「アヒャ〜、さいたま〜の、太陽は〜♪……アヒャ〜、アヒャ〜、何処えぁアーッヒャアッ!!」

543 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/03/25(土) 16:34:43 [ 1N1Zp.o6 ]
07/08

 しばらく、目玉をゆらゆら揺らすのに夢中になっていたモララーが、もう動かない
おばあさんしぃの上に、どさっ、と音を立てて倒れました。その時にかかった力で、
おばあさんしぃのおなかの中から、もっと沢山の内臓がにゅるにゅると飛び出し、
もう一度トランクの角に、今度はおなかをぶつけたモララーの口からは、朝、お嫁さんが
作ってくれた、愛情の篭った美味しい朝ごはんが、ちょっと汁っぽくなってドバドバと
出てきました。それからもう少しの間、モララーはヒクヒクしていましたが、とうとう、
ヒクヒクするのに疲れたのか、動かなくなってしまいました。

「……あ、AA殺し?」
「AA殺しモナ……」
「二人も……」
「ト...通リ魔ヨ!」
 しばらく、ぽー、っとしていた周りのAA達が、あっちこっち走り回って騒ぎ始めたのは、
モララーが動かなくなってしばらく経ち、血と朝ごはんが、たっぷり、地面に広がった後でした。

 アーヒャレストが、道路の向こう側のAA達に紛れて、すっかり見えなくなった後でした。

544 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/03/25(土) 16:35:43 [ 1N1Zp.o6 ]
08/08

 アーヒャレストは、いつもの散歩コースに戻って、歌の続きを歌いながら歩きました。
お昼までに、隣の区にあるいつも行っている店に着かなければ、ランチ限定の
チャーハン定食が終わってしまうので、少し、何時もより早足でした。
 けれどアーヒャレストは、自分がこうして急がなければならないのは、おばあさんしぃの
せいだなんて、少しも思いませんでした。おばあさんが喜んで、何度もお礼を言ってくれて
とても嬉しかったのに、今更そんな事を思うのは、とても失礼な事だと思ったからです。
だから、ご機嫌に歌いながら、早足で、長い道のりを歩き続けました。
「アヒャ〜、アヒャヒャ〜……さいたまたいよう、しずんだあとは〜♪
 アヒャ〜、アヒャ〜、アヒャ〜……さいたまさいたま、どこへゆく〜……」

 其の仔の名は、アーヒャレスト。散歩と、歌と、親切と、チャーハン定食と、
遊ぶのが大好きな、12,3歳の、アヒャ種の仔です。


                 −朝のお散歩 おわり−


――――――――
トリップ変えました。

545 名前:山崎邦正 投稿日:2006/03/28(火) 17:09:03 [ jYe3u0Nw ]
怪盗5人組 (モナー・モララー・ギコ・フーン・レモナ)

2ちゃんねるシティ㌧でもない怪盗5人組がいました。しかし盗む物はすべてしぃの物。
さて・・・・・・・・・・・・・今日は何を狙うのか?
「ここはしぃの家モナか」
こいつは盗みのモナー。どんな物でもすかさず盗む
「やっぱり金だな」
こいつは殺しのモララー。どんなしぃでも殺します
「お!いいものあるぞゴルァ」
こいつは発見のギコ。金目の物をすぐ見つけます。
「この罠甘いな」
こいつは罠はずしのフーン。どんな罠でも外します
「この暗証番号は・・・・4444ね」
こいつは解読のレモナ。暗号などをすぐ解読します
 
    次に続く。

546 名前:山崎邦正 投稿日:2006/03/28(火) 17:16:06 [ jYe3u0Nw ]
>>545の続き
この5人組、今日も盗みに行きます

モナ「ここでいいモナ」

モラ「ここはすごいな」

ギコ「さっさと行くぞゴルァ」

フー「よし。鍵は開いたぞ」

レモ「じゃあ行きましょう。」
家の中
モナ「かなり(・∀・)イイ!!モナ」

モラ「しぃが来ないか見張るぜ」

ギコ「貯金通帳とキャッシュカードと実印発見だゴルァ」

フー「この鍵甘いな。3秒で開く。」

レモ「暗証番号は4141だわ」

モラ「しぃは来ないな」

モナ「んじゃずらかるモナ」

モラ・ギコ・フー・レモ「ラジャー!」

去った後、しぃが帰ってきました。

しぃ「ハニャーーーーーン!?ドロボウニハイラレチャッターーー!!シカモツウチョウトキャッシュカードトジツインモナイヨーーー!!ビエエエン!!」

こうして5人はまた行きます

547 名前:姉はバカ 投稿日:2006/03/30(木) 13:52:56 [ whASGVb2 ]
天国の試験

氏んだしぃはモチロン天国へ行きますが、実は試験が必要だったのです
ギコ「んじゃ試験を受けるぞゴルァ。ダメのやつは地獄行きな」
しぃ68「ハニャーーン??シケン??ソノマエニダッコ!!」
ギコ「はいそこのしぃ68脱落」
しぃ68「ハニャーーン!!タスケテーーーー!(落下中)」
ギコ「んじゃ試験を始めるぞゴルァ」
しぃ達「ハニャーーーーン」
ギコ「問1、虎とライオンどちらが強い?じゃあしぃ12」
しぃ12「エート・・・・・ライオンサン!!」
ギコ「地獄行き決定!!正解は分からないぞゴルァ」
しぃ12「ヒドイヨオオオオオ!!ハニャーーーーーーン!!!!!!!!!」
ギコ「問2、57×58=?じゃあしぃ56」  (正解は3306)
しぃ56「ワカンナイヨーーー!!」
ギコ「じゃあ地獄行き」
しぃ56「シィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

548 名前:姉はバカ 投稿日:2006/03/30(木) 14:08:03 [ whASGVb2 ]
>>547の続き

ギコ「問3、西遊記で三蔵法師のお供をした妖怪は?じゃあしぃ2」  (正解は孫悟空・猪八戒・沙悟浄)
しぃ2「シィチャン3ビキ!!」
ギコ「・・・・・・・・・・・・地獄行き・・・・・・」
しぃ2「シィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!」
ギコ「問4、しぃは子供を産みますが、ではしぃの子供世界最高記録は?じゃあしぃ97」
しぃ97「10ピキグライ??」
ギコ「残念!正解は60匹だ」
しぃ97「シィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ギコ「問5、ダッコと交尾、どっちがマターリ?」
ダッコ派「ダッコダッコダッコガマターリダヨ!!」
交尾派「コウビガイチバンマターリ!!ギコクントチビギコハシィチャントカナラズコウビ!!」
ギコ「うるせーなぁ。まあ俺はダッコ派だから交尾派落とすか・・・」
交尾派「シィィィィ!!ハニャーーーーーン!」
ギコ「ラスト問題。ダスキソと商品となっているしぃは世界中に何匹?」
しぃ4「ワカラナイヨーーー」
しぃ70「イッパイイルッテコトハタシカダヨ」
しぃ53「チビモベビモダヨネェ・・・」
ギコ「タイムアップだゴルァ。フリップ出せゴルァ」
しぃ68「100ピキ!!」
しぃ23「289ピキグライダトオモウネ・・・・」
しぃ100「6589匹よ。」
ギコ「しぃ100正解!!!他のしぃは地獄行き」
しぃ達「シィィィィィィィ――――――!!!」
しぃ100「私は雑巾虫だもの・・・・」
ギコ「んじゃ天国でしぃ虐を楽しめ!!」
しぃ100「分かったわ」
一方地獄では
しぃ17「アウウウウ・・・・ヒガシ・・・・」
しぃ84「コノコディニナッテル!」
閻魔大王モララー「こら!次はお前らの番だ!さっさと氏ね!!」
しぃ達「ソンナーーーー!!」
そして
しぃ達「シィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
こうしてこのしぃ達は天国へはもう二度と行けなくなりました。

549 名前:兄は天才 投稿日:2006/03/31(金) 21:03:07 [ Fq0tkZ.. ]
>>548の特別版というか、パクリ出します。
ギコ「試験2いくぞゴルァ!!」
しぃ1「ハニャーン?ソノマエニコウビ」
ギコ「死刑決定!(地獄いきです。)」
しぃ1「ハニャーン、コドモウミタカッター!!」
ギコ「2チャンネルの管理人は?(答えはひろゆき)しぃ3イケ、」
しぃ3「モチロンシィ3デチュ。」
ギコ「うざ、地獄いき、」
しぃ3「ハニャーン、ゴメンナサーイ」
ギコ「しぃ+ギコは?シィ58イッテミヨ、」
シィ58「ワカンナイヨー」
ギコ「じゃあな、答えはベビギコだ、」
つづく・・・・・・・・・・。

550 名前:はぁ・・・・ 投稿日:2006/03/31(金) 22:36:39 [ tLU9TGBU ]
知ったか糞虫

「ワタシハ、(自称)モノシリシィチャン コレカラマチニカイモノニイクノ!」
 

 で。


「エート・・・オサカナサン、オサカナサン・・・ハ、アッタ! キョウハサバサンニシヨウ♪」
 そういって鮭のひんやりとしたパックを手に取った。
 それを見ていた。親子
「ねー・・・アレさ。鮭だよね?お母さん。」
「そうよね・・・近づかないほうがいいわ。行きましょ。」
 間違ってる そんな視線を感じながらも歩いていった糞虫だった。
(フ、フン。ナニヨ、シィチャンハタダシイノヨ。イツデモネ。)

そんなこんなで外へ出た。
するとハーブティーの香りが漂ってきた。
その香りに誘われて、ゆったりとオープンカフェでティータイムを楽しむ一人のレモナがいました。

「ハニャ・・・・イイニオイ。コノカオリハ、レモンティーネ・・・」
「はぁ?あんた何いってんの?これ、ハーブティーだよ?」
「シィチャンガレモンティーッテイッテルンダカラ レモンティーナノ!!!」
「はぁ・・・もういいわ。好きに何とでも思ってちょうだい。
 そんなことより早くどこかにいってくれない?
 せっかくのティータイムが台無しよ。」
「モウイイワ!シィチャンガノンデレモンティーダッテコトヲ ショウメイシテヤルワ!!!」
「え・・・・?」

カチャ  ゴクゴクゴク・・・
(ヘンナアジ・・・マァイイヤ)
「・・・・・・」
「ハニャ〜ン・・・ヤッパリレモンティーネ・・・・トッテモイイオアz」
    
            めりっ       ドガシャーン!
「ハニャ・・・ナニスルノヨ!!」
「るさいわよ!消えなさい!このゴミ以下の下等生物!!」
「フン!イイワ。モウドコニデモイッテヤルワヨ ダイタイナマイキナノヨ!アンタ」
そういうとキレ気味の表情で走っていった。
「お怪我は・・・?」
「・・・・はっ・・・・わたしったら・・・」

551 名前:ginjyo 投稿日:2006/03/31(金) 22:44:12 [ YxH47/Aw ]
[ 合格発表 ]

俺はモララー。あの優等生の集まる優修高に落ちた。
あれが無ければ今のようなことにはならなかったのに・・・

10年前

俺はモララー。受験に向けて勉強している受験生だ。
学年ではベスト3に入る成績。さらに生徒会長で人望も厚い。
そして、三者面談の日。俺は先生に優修高を紹介された。
そこは偏差値74の高校。俺の偏差値は73。
目標としてはちょうどいい高校だそうだ。

話は変わるが、俺のクラスには、事故中でうざいしぃ華がいる。
どうやら親は離婚して母だけらしい。
そいつには妹がいて、まだ生まれて間もないそうだ。

しかし

そのしぃ華の家族によってこれからの人生が一変するとは思わなかった・・・

552 名前:はぁ・・・・ 投稿日:2006/03/31(金) 22:54:16 [ tLU9TGBU ]
続き

一人のモナーが歩いていた
「はー・・・なんかいいことねぇかな・・・」

カンッ        コッ

モナーの蹴ったアクエリアヌのカンが糞虫の頭にヒットした
「イタイジャナイ!ナンデイキナリ『ユーラ』ノカンヲケルノヨ!!!」
「・・・・ オマケに耳も悪くなったみたいだしなぁ・・・・」
「チョット!キイテルノ!!」

         ドコッ!
拳が腹にクリーンヒット。糞虫が気絶した

「それに目も悪いみたいだ。いやな幻覚が見える・・・医者いこう。・・・」
「シ・・・・・・ィ」

そのまま放置されること3時間後

「ココハ・・・?ソウダ。アノクソモナーニ・・・・」

下を向いて歩いていると・・・

モララーにぶつかった。

「おい。どこ見てあるいてんだよ」
「アンタコソドコミテアルイテンノヨ!」
「糞虫が・・・俺の愛銃マカr」
「フフ・・・ソノピストル・・・UZI5mmデショ!スベテオミトウシヨ!」
「へ・・・・?」

(あれ?この世にUZIという名のピストルはあるのか?
 5mmなんてあるのか?あれ?もしかして違う世界に跳んだかな?
 あ?そうか。これは糞虫の惑わしだよな・・・・もちつけ。俺!)

「何言ってんだおまえ?UZIなんてピストルないし、5mmってwwww」
「ナニヨ!アンタアタマオカシィンジャナイノ!?ソレハUZIダヨ!!!」
「・・・そうか、じゃあUZIとマカロフの線痕条が一致するかどうか・・・
 その目でみなYO!」
「センコンジョウ・・・・タマヲイレルアレネ。イイワタシカメテアゲr・・・」

     ドス! ビス!

        目に直接撃ち込んだ。
「シギャアアアアアアアッァアァッァァッァァッァァ!!」
「これでよく見えるよね?」
「アアアアアアアアヴァアvッヴァヴァッヴァヴァv!!!!!!!!!!」
「やべ・・・そろそろ近所迷惑か・・・・」

           ビスッ!
「ふー・・・・爽快だなぁ・・・ああいう糞虫が一番殺し甲斐があるよね・・・・」

             知ったかしぃちゃん
    
            己の誤知識により 死 亡

fin

554 名前:ginjyo 投稿日:2006/03/31(金) 22:55:45 [ YxH47/Aw ]
>>551の続き
ある日、しぃ華の母から電話があった。(半角カタカナではわかりずらいので全角にします。)
「フン、ガクネン3イニナッタカラッテユウシュウコウニハイレルンジャナイワヨ!!」

ガシャン

そういって切った。
うぜえ、ああうぜえ。受験で受かって目に物を見せてやる。
しぃ華は頭がよくないくせに・・・

数ヵ月後

そして、受験当日。

続く

555 名前:はぁ・・・・ 投稿日:2006/03/31(金) 22:56:54 [ tLU9TGBU ]
あと、
アクエリアヌ=○クエリアス
ユーラ=コー○
ですので。

556 名前:ginjyo 投稿日:2006/03/31(金) 23:02:27 [ YxH47/Aw ]
>>553 大丈夫です。わたしが後にやったのが悪いのですから。

>>554の続き

まずは筆記。自分では良くできたと思う。
そして、面接。精一杯自分を主張した。

まあ受かっただろう。自分でもそう思えるくらい自信があった。

一方、

こちらはしぃ華が今面接を受けているところです。
面接官のモナーが質問を言い出した。
「なぜあなたは今回優修高を受けようと思ったのですか?

そう、彼女も優修高を受けたのだ。
「ハニャーン、トウゼンジャナイ。ワタシガカシコイカラヨ」

続く

557 名前:ginjyo 投稿日:2006/03/31(金) 23:20:19 [ YxH47/Aw ]
>>556の続き
「はぁ?ハハハハハハハハハ」
「ナニ?ナニかヘンナコトイッタノ?」
「あなた自信過剰?わが校はそんな人はいりませんよ」
そのとき、しぃ華がケータイを取り出した。
「ヨソウドウリヨ!ヤッパリモナーハバカネ。サクセンドウリキテ!」

「ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ」

「なんだ、これは、警報ベルか?アルンックと契約してよかった」

「ガーン!!!!!!!」

ドアを壊す音がした。そこにはしぃ華の親のしぃ子がいた。
その手には血の付いていた棍棒が握られていた。
おそらく何人かはこいつにやられてしまったのか・・・
「貴様!ここに何の用だ!!」
「ウルサイ虐殺厨!ワタシノカワイイシィ華をイレナイ高校ハハイコウニシチャウンダカラ!」
「なぜお前はここまでこれたんだ!!」
「ワタシハ棍棒5段ヨ。コドモノコロカラヤッテタンダカラ!」
「ママーガンバレー」
しぃ華も応援し始めた。
「イクワヨーーーーーーーーーーー」

ガン!!!!!

続く

558 名前:ginjyo 投稿日:2006/03/31(金) 23:29:52 [ YxH47/Aw ]
>>557の続き

合格発表の日

俺は受かった。まあ当然だろう。当たり前だがそこでは喜ばなかった。
なぜなら、今受かってはしゃいでいたしぃが受験に落ちた人々によって

―虐殺されてしまったからだ―

俺は生まれて始めて虐殺を見た。友達から楽しいものだと聞いていたが・・
「アッアッタ。サスガママネ」
その声はしぃ華か?受かったのかあいつ。
奇跡だな。あの馬鹿が。だが気になることがひとつ。

「サスガママ」

どういうことだろう。
それを知ることができるのは入学式までお預けだった。

続く

559 名前:ginjyo 投稿日:2006/04/01(土) 10:21:03 [ TayVsuhI ]
>>558の続き

そして入学式

来賓の話やら、PTAの話があってだるかった。

しかし、これだけは違う。
「校長先生の話」
この優修高の校長先生は東大卒でここ優修高卒だそうだ。
だから私は入学する前から尊敬していた人物だ。
はたして、どんな話が聞けるのだろうか・・・
校長先生は突然ドアをあけて現れた。そして、驚いた。
「ハニャーン。ミンナゴウカクオメデトウ!」
なぜだ?なぜ校長先生はあの面接試験管のモナー校長先生じゃないんだ・・・
「ナントコンカイハワタシノカワイイワタシノシィ華モウカッテイルノヨ」
「ママーカッコイイーーーー!!」
しぃ華が大声で言った。
「前ノコウチョウセンセイハシンジャッタカラ、ワタシガウケツイダンダー!スゴイデショ」
モナー校長先生が亡くなった?・・・これは夢か?いや、夢であってほしい。
「ワタシハアラタナコウソクヲツクッテミマシター」

1、シィ二アウタビ500000円ハラウコト!
2、シィをギャクサツシタラ死刑!
3、カタカナデシャベルコト!
4、コノコウソクヲヒトツデモウヤブッタラ死刑!

ふざけるな。そのとき、ある言葉を思いついた。

―虐殺―

続く

560 名前:ginjyo 投稿日:2006/04/01(土) 10:42:19 [ TayVsuhI ]
>>559の続き(でもある意味>>557の続き)

ガン!!!!!
バタッ
「ザマーミロ!シィ華をバカニシタカラコウナッタノヨ」
「ママ、デモママのイッテタムカシノトモダチノモナーヲコロシテモヨカッタノ?」
「イイノ、ダッテママをウラギッタノダカラ」
その時、アルンックの警備隊が来た。
しぃ子はすばやくある薬品を使った。
CHCl3 クロロホルムである。
「ココノガッコウノケイビインモミンナコレデネムッチャッタンダカラホントバカヨネ」
バタッ バタッ バタッ
警備員が眠り始めた。
とどめよ!
ガンッ ガンッ ガンッ
そのまま警備員達は永遠の眠りに付いた。
「モウワタシニサカラエルヤツハイナイワヨネ。シィ華、アレヲ出シテ。」
「ハイ、ママ」
それはモナー校長先生の遺言状だった。その中身は・・・

1、校長先生の位をシィ子にゆずること
2、シィ華を虐殺するな

なんと、字もそっくりなのであった。

「マッタク・・・全角ヒラガナハツカレルワー」
「オツカレ、ママ」
「コレデワタシガコウチョウセンセイネ!アナタモゴウカクにシテアゲル」
「サスガママ!!」

続く

561 名前:ginjyo 投稿日:2006/04/01(土) 10:54:34 [ TayVsuhI ]
>>560の続き(でもある意味>>559の続き)

―虐殺―

でもまだそれはできない。
なぜなら、校則で死刑になってしまうからである。

―するのは卒業後だ―

だから俺は必死で授業に耐えた。
カタカナの授業やら、しぃについての勉強を・・・

しかし、虐殺の日はよそうより早く訪れた・・・

俺が2年の時、いつも通りしぃについての勉強を聞き流してしていたとき、
「ハニャーン。キョウハべビチャントイッショニキタヨー」
「チィチィ、ナッコナッコ」
校長が授業を見に来た。もうこれもなれた。しかし、今日は違った。
「ナッコナッコー」
べビがこっちに向かって走ってくるではないか。
「ナッコナッコー」
俺はスルーした。しかし、それでもベビは、
「ナッコー。ナッコシナイヤツハギャクサツチュウデチュヨウ」

プチッ

俺の体のなにかが壊れた。
「いいよーダッコしてあげるよー」
俺はシャーペンを取り出した。
ザクッ
「ヂィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
「おおっ貫通した。これはすごい」
「シィィィィィィィワタシノベビチャンニナニスルノ!カクゴシナサイ!」

続く

562 名前:ginjyo 投稿日:2006/04/01(土) 11:03:44 [ TayVsuhI ]
>>561の続き
ガシッ
フーン先生が校長を止めた。
まるでそのまま虐殺を続けろと言ってるかのように・・・
「ハナシナサイ!ワタシノベビチャンガシンジャウデショ!!!」
「フーン」
必死の叫びもスルーされた。
俺はさらにもう一本シャーペンを出し、さした。
グサッ
「ヂィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
校長が必死な叫びで、
「ハナシナサイ!ハヤクシナイトホントニシンジャウ!!」
「フーン」
そういってフーン先生は得意の関節技で
ゴキッ
「シィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
校長は気絶した。
俺はシャーペンを5本すべて出し、まとめてさした。
グサグサグサグサグサッ
「ヂィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
そろそろフィニッシュかな?俺はコンパスを出した。そしてさした。
勿論針のほうで
ザクッ
「ヂィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
そういって死んだ

虐殺っていいね

続く

563 名前:ginjyo 投稿日:2006/04/01(土) 11:16:38 [ TayVsuhI ]
>>562の続き
休み時間。
俺がベビの死骸を掃除しているとき、
ピンポンパンポーン
校内放送だ。なんだろう?
「ミナサンキイテクダサイ!ワタシノカワイイベビチャンガコロサレマシタ。
やべっそうだったつい熱くなって殺しちゃったんだ。死刑かな・・・
でも平気だ。あんな校長などすぐ倒せる。
他の先生も校長を良く思ってないから協力してくれるはずだ。
「ダカラ、ソノカガイシャモララーヲタイガクニシマシタ。シケイハキョウノホウカゴデス」
放送はそこで終わった。

なにっ退学?あんなに苦労したのに・・・こんなことで・・・

許さない

今日の放課後みていやがれ。俺はあるものを持った。

そして放課後・・・

「ミナサーン!キョウハコノクソモララーヲ死刑ニシマース」

ワーーーワーーーーーワーーーー

ちっ先生まで盛りやがっていやがる。協力してくれると思ったのに
人の不幸は蜜の味ってほんとだな。
いったいどんなもので死刑にするのだろう
「ソレデハ死刑シッコウデーース!」

続く

564 名前:ginjyo 投稿日:2006/04/01(土) 11:34:31 [ TayVsuhI ]
>>563の続き
「そっそれは棍棒か?」
「ソウヨ。アナタノサイゴノコトバハソレダケ?」
ガシッバタッ
「うわっなんだ?」
「フフフ、逃がさないからね」
しぃ華だ。しぃ華が逃げないように押さえつけてきた。
「イイザマネ虐殺厨。ワタシノベビチャンノカタキ!」
そういって棍棒を振った。
俺もこれまでか・・・・

その時

ガシッ
「シィィィィィハナシナサイ!イマイイトコロナンダカラ」
ゴキッバタッ
まっまさか?フーン先生?
「こんなの相手に何やってんだ。さっさと虐殺しろよ。」
俺は全力でしぃ華を振り払った。
「イタッナニワタシヲナゲテルノヨ!!モウユルサナイ」
「もう許さないはこっちのせりふだ!」
俺はそういって、あるものを取り出した。
アーミーナイフである。
「まず一つ目ーナイフ!!」
ザクッ
「シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
しぃ華の体を切り刻んだ
「二つ目、ドライバー!!」
グサッ
「シィィィィィィィィィィィィナニモミエナイ!!」
俺は目をさした。
「ラスト!!ノコギリ!!」
俺はしぃ華の首にのこぎりをあてた。
ザクザクザクザク
「シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
切り終わった。しぃ華の生首の完成だ!下から歓声が沸いた。

ワーーーーーーーワーーーーーーーワーーーーーーー

その時、校長がおきた。

続く

565 名前:ginjyo 投稿日:2006/04/01(土) 11:50:44 [ TayVsuhI ]
>>565
「ウッウーンナニゴト?」
校長が気絶からさめた。
「シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!シィ華ガシンデルーーー」
「もう起きたか。俺も腕が落ちたもんだな」
フーン先生がそういって頭をつかんだ
「ナ、ナニスルノ?アナタクビニスルワヨ」
「かまわねぇ」
「シィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
バタッ
フーン先生は校長のすべての関節を外した。
「ネエ、ダッコスルカラユルシテヨウ」
「嫌」
グシャ
頭を踏み潰した。

俺はあまりのつかれでそこで倒れた。

俺が起きたところは優修高の保健室だった。
そこにはフーン先生がいた。
「お前退学食らったんだってな。じゃあ再テスト受けさせてやるよ。勿論受かったら元通りだ」

俺は落ちた。あと少しだったらしい。
あの校長さえいなければ今頃良い職場に就職していたかもしれない。
俺は優修高に落ちた後、フリーターになり、そのままニートになってしまった。
だが、生きがいはある。

―それは虐殺―

終わり

566 名前:兄は天才 投稿日:2006/04/01(土) 13:22:21 [ 3RDlqJ9Q ]
>>549の続き、
シィ58「フザケナイデヨ!!ギコシネェェェ!!」
そのときギコのほうにナイフが飛んできました!!
ギコ「フン・・。」くだらん・・・。」
そうしてギコはナイフを受け止めました。(0.1秒で)
ギコ「俺はともかく強い、逆らう者は皆殺しだ!!」
ゼンシィ「ソ、ソンナァァァ!!」
その後もどんどん地獄に行きました・・・。
残ったのは、3匹・・・・。
ベビしぃ1ベビしぃ2チビモナーです。
ギコ「問題、犬と猫、ドッチが強い?」
ベビ1「ウーンネコタン、」
ベビ2「ソレヨリダッコ(TOT)」
チビモナー「イヌモナ、」
ギコ「正解は犬、噛み付き引っかきといい攻撃ばっちり!!」
ベビ×2「ウギャーン」
ベビモナー「ヤッター!」
ギコ「それじゃあ地獄のたびにいってらっしゃい♪」
所ジョージ風に・・・・・。
シィゼイイン「シヌノハヤダ・・・。」
闇の帝王もナナー「逝ってよし♪」
ハニャーーーーーーーーーン
つづく・・・。

567 名前:ginjyoおまけ 投稿日:2006/04/01(土) 13:27:54 [ TayVsuhI ]
登場人物の本名
モララー・庄司
フーン・亮太
モナー・潤一郎

その後、フーン先生は優修高をクビになってしまったそうだ。
今はどうかは何もわからない。      (モララー・庄司 談)

感想が有れば宜しくお願いします。厳しい意見でもかまいません。
それによって続けるかどうか決めたいのです。

568 名前:姉はバカ 投稿日:2006/04/01(土) 13:34:19 [ lgMy5MJA ]
「私立小学校」
ここはある私立高小学校の試験会場。チビギコ、ちびモナー・ちびモララー・
チビフーン・チビネーノなどなどいます。もちろんちびしぃも居ました。
そんなちびしぃのほとんどは自分は天才だからと思って勉強をほとんどしませんでした
そんな試験が始まる前。

母しぃ「チビチャンナラゼッタイウカルカラガンバッテネ!!」
ちびしぃ「ワカリマシタ!!」
そして試験開始5分前
モララー「えー今日は勉強の成果を発揮する時です。頑張りましょう。では説明をガナー君。」
ガナー「はい。国語・算数・理科・社会を20分ずつやります。終わったら見直しをしてください。」
モララー「えーそれではテストを配ります。名前と受験番号を書いてください。」
ガナー「カンニングはいけませんよ」
モララー「では・・・・・・テスト始め!!!」
一斉に受験生が問題集を開けました。そのなかでもちびしぃはこのありさま
問題・□に入る漢字は?   「埼玉□」      (正解・県)
ちびしぃ「ハニャーーン!!ゼンゼンワカラナイ!!」
問題・謝っている部分を直せ  「西へ大陽が降りた」  (正解・大陽=太陽)
ちびしぃ「ワカラナイ・・・・」

569 名前:姉はバカ 投稿日:2006/04/01(土) 13:42:32 [ lgMy5MJA ]
>>568の続きだぞぉ

こうしているまま時間切れ。
モララー「ハァーイ次は算数です。同じように名前と番号を」
ガナー「カンニングはいけません」
モララー「では・・・・・・・・始め!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ちびしぃは
問題・678+7802=?     (正解・8480)
ちびしぃ「6000???」
問題・89×35=?       (正解・3115)
ちびしぃ「???????????????????????」
というまに時間切れ。
理科も社会もこの調子でした
試験後のちびしぃは家に帰ると
母しぃ「デモミンナハチビチャンヨリデキテナイヨ!!」
ちびしぃ「ソウダネ!!」

570 名前:姉はバカ 投稿日:2006/04/01(土) 13:47:03 [ lgMy5MJA ]
>>569の続き

そして合格発表日。掲示板に張り出された番号を見てたが・・・
ちびしぃ「ナイ・・・・・・」
自分の番号がありませんでした。起こった母しぃはモララーの元へ
母しぃ「チョットドウユウコトデスカ!!ウチノコヲワザトオトスナンテ!!」
モララー「わざとじゃありませんよ。本当ですよ」
母しぃ「ウルサイワネ!!コドモノドコガマチガッテタトイウノ!」
モララー「あんたの子の成績、ビリですYO」
母しぃ「ナゼ!!コドモハテンサイナノヨ!」
モララー「うるさーなー氏ね。」
バキューン
母しぃ「シ・・・・シィィィィィ・・・・・・・・・・」
こうして母しぃは死にました。ちびしぃはモナーに殺されたそうです。

573 名前:兄は天才 投稿日:2006/04/01(土) 21:21:27 [ 3RDlqJ9Q ]
みじかいお話♪
       「やったのが悪かった・・・・。」
ある日、しぃとベビしぃがスーパーに行きました。
しぃ「300円あげるから買い物してるあいだゲームしてきな、」
ベビ「OKデチ、」
こうしてゲームコーナーへ行きました・・・。
でも、ゲームコーナーには人が2人ぐらいしか居ません・・。
でもベビは気にせず、ズカズカとハイっていきました。
ベビ「ハニャーン♪・・・・。ン?アレハ?」
それは、AAバトルゲームというものでした。
ベビ「オモシロソープレイ♪」
こうしてプレイしてみましたがそれはグロいものばかり!!
おもわず、さけんでしまうほどでした・・・。
つづく・・・・・・。

574 名前:兄は天才 投稿日:2006/04/02(日) 08:18:46 [ E5CkAQy2 ]
>>573の続き
そしてベビしぃはやばい言葉をしってしまいました・・・。
ベビ「イッテヨチ、チネ、バカ、」
そして・・・・・・。
しぃ「ベビちゃん帰ろ♪」
ベビ「イッテヨチ!」
その後から・・・。
???「オマエモナー」
しぃ「ベビちゃん何言ってんの!!&だれ!?」
定員モナー&定員モララー「私たちですよ・・・・。(モララーがいいました。」
しぃ「ギャクサツチュウ!!」
ベビ「?ナッコ!ナッコ!ナッコ!ナッコ!」
モララー「うるせーなーくらえ!!」
モララーはアンヨをとり、お手手も切りました!
ベビ「イターヨー!!ナッコデキナイヨー!!アルクコトモデキナイヨービエーン」
モララー「目もとっちゃいましょう、耳も鼻の感覚もね!!」
ベビ「ウワーンママドコー」
続く・・・。

588 名前:山崎邦正 投稿日:2006/04/04(火) 09:38:10 [ 1cYWTm5A ]
6匹のベビと母親
           し=母 A・B・C・D・E・F=ベビ

し「ハニャーンベビチャーンコウエンニイクヨー」
A「ココデナッコシテモラエルノ?」
し「シテモラエルカモネ」
D「イキマチュ!」
母しぃとベビは公園へ行きました。
し「ハニャーン。コウエンニツイタヨー」
F「ナッコチテモラウ!」
C「ハヤクハヤク!!」
し「ジャアアノベンチニスワリマショ」
モララー「あ、糞虫・・・・」
B「ナッコ!!」
モララー「うるせーなぁ。糞虫のガキなんてダッコしたくないね。」
B「ナッコ!!」
モララー「うるさいって言ってんだろうが!!」
B「ビエーーーーーン!!」
モララー「じゃあ」
し「ベビチャン・・・・・タエルノヨ・・・」
モナー「青い渚を走り〜恋の季節がやってくる♪」
し「モナーサンダ!!ダッコ!!」
モナー「夢と希望の大空に君が待っている♪」
し「トオリスギチャッタ・・・」
A「ナッコシテモラエナイノォ!?」
し「マッテヨウネ・・・・」

589 名前:山崎邦正 投稿日:2006/04/04(火) 09:46:24 [ 1cYWTm5A ]
結局ダッコしてもらえずに家へ帰りました。

し「ユウショクニシヨウネ!!」
A「オナカチュイタヨー」
E「ハヤクチテクダチャイヨー」
し「マッテテネ」
すると・・・・・・・・・・
フサギコ「ギコネコヤマトでーす」
し「タッキュウンビンダ!」
フサギコ「ありがとうございました」
E「スゴクオオキイデチュヨー」
し「テレビカナ??」
C「アケテクダチャイ!!」
し「ヨイショ!!」
すると中からは
モナー「よう糞虫元気だったか?」
モララー「相変わらずアフォだな」
ギコ「さっさと殺したいぞゴルァ」
フーン「やるか」
し「モナーサン、モララーサン、ギコクン、フーンサン!?」
A・B・C・D・E・F「ナッコォ!!」
し「ベビチャンダメヨ!!」
モナー「やるモナ」
モララー「行くぜ!!」
ギコ「おうよ」
フーン「片付けようぜ」

590 名前:山崎邦正 投稿日:2006/04/04(火) 09:54:36 [ 1cYWTm5A ]
そして4人の虐殺が始まりました

モナー「基本の耳もぎぃ!」
し「シィィィィィーーーーシィノオミミガーーー!!」
モララー「さーてべびちゃんどこまで持つかな?」
A「チィ・・・・チィィィ・・・・・・・・・」
ぐしゃっ!
モララー「あっ!潰れた!」
し「ベビチャアアアアアン!!」
ギコ「秘技!間接骨はずし!!!!!!!!!」
B「アニャアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!」
し「ベビチャン!!」
ギコ「氏んだな」
し「ウソデショ・・・・・・・・」
フーン「ナイフでどーん」
C「アニャアアン!!イタイデチュヨーーーーーーー!!!!!!!!!」
フーン「お、内蔵が見えたし氏んでら」
モナー「おにぎり来てくれ」
おにぎり「ワッショイ。高度3000㍍から落とすワショーイ」
し「ハニャーン??」
10分後
おにぎり「落ちろワショーイ!」
D「チィィィィィィ!!!!!!!!!」
E「アニャアアアン!!」
F「ナッコォォォォ!!!!!!!!!」
し「ベビチャーン!!」
D・E・F「ナッコォォォォォォ」
モララー「うっひょー最後の言葉がナッコだって」
ギコ「笑っちゃうなゴルァ」
フーン「ではお前も氏ね」
バキューン
し「シ・・・・・・シィィィィィ・・・・・・・・」
このしぃ母子達は氏んでしまいました

591 名前:匿名希望 投稿日:2006/04/04(火) 15:12:19 [ cYe76Tlw ]
僕はちびギコ

処女大好きちびギコデチ

「ちびしぃちゃーん。ちょっと来てデチ」

彼女はちびしぃ処女と言う噂があったので

強姦デチ!

子供産ませてその子どもも強姦デチ

「なに?ちびギコ君」

「ちょっとダッコしてあげるから僕のうちに来るデチ」

嬉しそうデチ

ククク・・・。

これから地獄が待ってるとも知らずに気楽なもんデチ

ちびギコの家

「ダッコしないの?」

「ハァ?ダッコ?そんなもんするわけないデチよ!」

絶望に顔が歪むデチ

何度見ても良い顔デチ

「助けて!」

「誰も来る訳無いデチよ。さあ僕のちんちんなめるデチ!歯を立てたら殺すデ
チからね!」

「うう・・・」

ぴちゃっぺちゃっちゅぷ

「ああ良い感じデチ。さあ挿れるデチよ!」

「っ!いだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぃ!やめて!いぎっ!ひあああああ!」

ああ良い感じデチ

気持ち良いデチ

やっぱりセクースするなら処女デチね!

「中に行くデチよ!」

「中は止めてぇぇぇぇぇぇぇ!」

ドピュッドピュッドピュッ

はあ気持ちよかったデチ

1ヵ月後

「おぎゃあおぎゃあ」

ベビしぃ誕生デチ

「しぃのベビちゃん、可愛い」

おいしそうなベビデチ

「一緒に暮らしましょうね、ベビちゃん」

「ハァ?そんなこと不可能デチよ!」

と言いながらちびしぃを引っ張って谷底に落としたデチ

「処女をいただいて子どもを産んでもらったら、もう用事は無いデチよ!」

「僕はこの生活を死ぬまで続けるデチ〜♪」

じゃあベビちゃんの処女をいただくために

育てるデチかね

592 名前:兄は天才 投稿日:2006/04/04(火) 19:19:28 [ VyKB1hHw ]
>>574の続き・・・・・。
しぃ「ベビちゃん!!今行くからね!!」
モララー「ゴソゴソ(着替え中・・。)おい、しぃ」
しぃ「ハニャーン?ギコ君?」
ギコ(モララー)「よう、なにしてんだゴルァ?」
しぃ「あたしのベビちゃんが・・・。ってぎゃー!!」
モナー「ストレス解消モナ♪」
ベビ「ギャーー!!」
ベビ2「ミィ?ママ?ナッコ!!」
ベビ3「ワタシガサキヨ!!」
ベビタチ「ナッコナッコナッコ!!!!」
なんと!!ベビは3匹いたのです!!
モララー「うざったらしぃーー!怒ったぞ!」
モナー「よし完了モララー、逃げるモナ!!」
モララー「おうよ!!」
3、2、1、ボガーン!!!!!!!!!
なんと!スーパーが爆発したのです!!こうして
中にいた人たちは・・・・・。(TOT)
終わり・・・・。(なげーじゃねーか!!この話!!)

593 名前:兄は天才 投稿日:2006/04/04(火) 19:21:20 [ VyKB1hHw ]
>>574の続き・・・・・。
しぃ「ベビちゃん!!今行くからね!!」
モララー「ゴソゴソ(着替え中・・。)おい、しぃ」
しぃ「ハニャーン?ギコ君?」
ギコ(モララー)「よう、なにしてんだゴルァ?」
しぃ「あたしのベビちゃんが・・・。ってぎゃー!!」
モナー「ストレス解消モナ♪」
ベビ「ギャーー!!」
ベビ2「ミィ?ママ?ナッコ!!」
ベビ3「ワタシガサキヨ!!」
ベビタチ「ナッコナッコナッコ!!!!」
なんと!!ベビは3匹いたのです!!
モララー「うざったらしぃーー!怒ったぞ!」
モナー「よし完了モララー、逃げるモナ!!」
モララー「おうよ!!」
3、2、1、ボガーン!!!!!!!!!
なんと!スーパーが爆発したのです!!こうして
中にいた人たちは・・・・・。(TOT)
終わり・・・・。(なげーじゃねーか!!この話!!)

595 名前:貧血 投稿日:2006/04/05(水) 03:09:02 [ ./vlk9L. ]

 ここは、猟奇大通りの一角にある、…認めたくないけど、小さなバー。
 数年前からここで、マスターってやつをやっている。 実は、前から夢だったから。
 お客さんもあったかい人ばっかで、毎日大変だけど充実してる。

 …おっと、この大通り、正式名称は違うよ? ……妙に長くて忘れたけど。
 名前の由来は、そんじょそこらで『しぃ狩り』が行われてる、ってとこだったと思う。
 でも、殺伐としてるってわけじゃない。 みんな、心にゆとりを持っている。 ストレスがないから、かな。

 この国は、『しぃ』と呼ばれる種族の人権がない。
 元々僕は別の国で暮らしていて、それを聞いた時はちょっとビックリした。
 罪を犯したしぃが、一月ごとにこの国に送られてくる。 そのせいで、絶滅する、ということがない。
 あ、絶滅だって。 …徐々に馴染んできてるって証拠だね、うんうん。

 まぁ、そんな感じで。 いい感じに殺伐としつつまったりできる、素敵な国だ。
 ―――――――なにより、復讐ができるからね。


 そんなことを考えていると、時刻は1時を回ろうとしていた。
 普通の店なら、もう閉めるはずの時間。 もうお客さんも―――――
「やくると、ちゅーはい割り」
 ―――――帰ってないのが、一人。 ああ、またエーさんか。
 彼女はこの店の常連――というか、ほぼ毎日来る人で、無類の乳酸菌好きだ。
 彼女のためだけに、ヤクルトを常備してある。 …果たしておいしいのか。
 それは、彼女のみぞ知る、というところだろう。 僕は飲みたくない、絶対に。

 ……ちなみに、乳酸菌はアルコールに弱い。 でも、それを教えるのはちょっとかわいそうだ。
 何より、常連さんを手放すのは惜しい。 ワル、とか言わないでくれ。 彼女のためでもあるんだから。

「ますたー、むかしばなし、おねがぁい。 きょうはぁ、このまちにきた、その理由をはなしてぇ」
 彼女は酔ってくると、いつも僕に、昔の話をすることをせがんでくる。
 …ふにゃふにゃしてて、語尾がなんだか長くなっていたり、ほんのり赤くなった顔が、またなんというか。
 それはそうと、おもしろい話がない。 …というか暗い話しかないんだけど。

「人の身の上話って、基本的につまんないですよ?」
「きみのはなしとぉ、ひとのはなしはぁ、かんけいないよぉ?」
 ……とは言っても、そんな話すの上手くないし。
 何より、面白くないと自分は思うんだけど。
「毎回聞いてて、飽きませんか?」
「うん。 おもしろいもぉん」
 …そうかなぁ。 猟奇的な話しかないのに。
「血がドバドバ出てきますよ?」
「それをきたいしてるんだものぉ」
 まったく。 …なんて猟奇的なんだろう、この街の人は。

596 名前:貧血 投稿日:2006/04/05(水) 03:11:58 [ ./vlk9L. ]

「えーとですね。 むかーしむかし、あるところに一人の男の子がいました。 えーとちなみに、ガキの頃から『鉄砲玉』やってました」
 …むかーしむかし。 あの頃は、やんちゃばっかしてたっけなぁ。
 よく死ななかったよなぁ、うん。 寿命が10年は縮まった気がする。 つーかいつ死んでもおかしくなかった。

「そうにはみえないけどぉ」
「…まぁ、信じようが信じまいが貴方の勝手ですが。 それはさておき、その男の子は、心に決めた人がいたんです」
 仕事を終え、川原でぼおっとしている所で、声をかけられたのが、彼女との出会い。
 ドラマチックでもなんでもない、平凡な出会い。 彼女も、ただの気まぐれだったんだろう。
 ……だけど、僕は彼女を一目見た瞬間、惚れてしまっていた。

「ふぅん。 なんだか、いがいねぇ… もてたのぉ?」
「ええ、残念ながら……………モテなかったです。 まぁ、そんな仕事をしてれば当然でしょう?」
 …というか、女っ気がまるでない。 お金無かったから、学校にもろくに通ってないし。

「もてないってほうじゃないよぉ。 きみがぁ、そんなことをいったほうにぃ」
「つまり、僕が『心に決めた人』なんていったことに対して、意外だ、と?」
「うん、そっちぃ」
 ……そうかなぁ。 なんか、ショックだ。

「話を戻しますよ? …男の子もその彼女も、それなりに幸せな毎日を送っていました」
 …僕は仕事を辞め、まともな仕事に就けるように、必死に勉強した。
 そんな僕を、彼女は励まし、応援してくれた。

「ですがある日、その幸せな生活が、唐突に終わりました。 …理由は、わかりますよね?」
「うん、だいたいはねぇ」
 …いつものように面接を受けた、その帰り。
 いつものように軋んだドアを開けた、その瞬間。
 ――――――変わり果てた彼女の姿が、部屋の真ん中にあった。

597 名前:貧血 投稿日:2006/04/05(水) 03:12:40 [ ./vlk9L. ]

「聡明で助かります。 その、招かれるべきではなかった訪問者は、こんなことを言ってのけました。
  『鍵を掛けていなかったんだから、当然よ』とね。 あはは、何が当然なんでしょう。 ちなみに、金品を漁ってる途中でした」
「あははー、うんうん。 りゆうがよくわかんないんだよねぇ、あいつらのやることって」
 呆然としてた俺の目の前に現れて。
 彼女を見せ付けるように、俺の目の前までわざわざひっぱって。
 ……そんな、余りにふざけたことを言ってのけやがった。

「知ってました? ボールペンって、人間の皮膚ぐらいなら普通に貫通させられるんですよね。 喉などとくに。 するりと入っていくようでした。
  …それはそうと。 最初に眼球を潰したら、『痛い、暗い、見えない』って。 自分の目玉が潰されたことすら、わかってないんですよ。 滑稽でしょう? 虫唾が走るくらい…!」
「それはこっけいだなぁ。 脳にうじでもわいてたんじゃなぁい?」
「ええ、沸いてました。 床にぶちまけたら、うじゃうじゃ。 …気持ち悪かったなぁ、あれは」
「それはごしゅうしょうさま、だねぇ。 じつれいをなんかいかみたけどぉ、はちのこたべれなくなるよねぇ、あれ」
 『こいつが悪い』だとか、『可愛い私は悪くないわ』だとか。 キンキン耳に響くような声で、耳が痛かった。
 暴れられても面倒だから、ポケットにあったボールペンで目を潰した。 ゼリーみたいな感触で、気持ち悪かったことを覚えてる。

「…次にですね、腕を軽く蹴ってみたんです。 包丁、持ってましたしね。 するとですよ?
  ぶちって、簡単にちぎれちゃったんです。 まるで人形か何かのようにね。 いやぁ、びっくりしましたよ。 …あは、ボールペンなしでも貫けたかもしれませんね」
「はじめてで脆いのにあたっちゃったんだねぇ。 ちなみにぃ、つめだけでもなんとかなるよぉ」
 汚い、赤い血。 鉄に似た臭いがして、気分が悪くなって。
 ……それに耐えて、他の四肢も同様に吹き飛ばしてやった。
 力を入れすぎて、壁に当たったっけ。 そうすると、その腕は潰れて辺りに飛散した。

「いくら痛めつけても『痛い、痛い』としか言わないんです。 かん高い、耳障りな声で。 腕がもげたとか、足がもげたとか、そういうこと言わなかったんです。
  『ぎゃあしぃちゃんのおててー』『ぎゃあしぃちゃんのおみみー』。 その定型句すら、喋らない。 それで、気付いたんですよ」
 …目で、失ったところを見なければ、何がなくなったのかすら分からない。
 鼻をそいでも、痛い痛いと叫ぶだけ。 喉を潰したら、ひゅー、って言うだけになって。 うるさくなくなったから、別にいいけどね。

「―――――本当に、愚かだなって」
 こんな、こんな、こんなくだらないものに殺されたのだと思うと、血が沸騰しそうだった。
 ……優しいあいつのことだ、きっと抵抗しよう、なんて思わなかったんだろう。

 だから。 だから。 だからこそ。
 出来る限り苦しませながら殺してやろうと思った。 それが彼女の弔いになると思った。
 だから、達磨にして、喉を抉って、脳みそをぶちまけて殺してやった。 …でも、あっけないくらい、脆かったんだ。

「これが、コトの顛末です。 狩り…おっと、僕の場合虐殺でしたっけ…には、いろいろと理由がありますが、僕の動機は、オーソドックスな復讐です」
 ほんと、どうしようもなく安っぽい動機だけど。
 僕を動かすには、それだけで充分なんだ。

 彼女の、くすくす笑う姿が、愛しかった。
 彼女の、可憐な花のような声が、愛しかった。
 彼女の全てが、どうしようもないくらい、愛しかったんだ。

 ――――――――それを今でも、忘れることができない。 ただ、それだけなんだ。

598 名前:貧血 投稿日:2006/04/05(水) 03:14:24 [ ./vlk9L. ]

「…じゃあ、おかねねぇ。 おつりは、いらないからぁ」
「こ、困りますよ」
 万冊5枚を、ぽんと手渡される。
「いいのぉ。 いつもの、おれいだしぃ」
 …そんなこと言ってもなぁ。 こっちは趣味でやってるんだから、お礼も何もないと思うんだけど。

「…送りましょうか? 女性一人で夜の道を歩くのは、少々危険かと」
「あはは、だいじょぶだよぉ。 ほらぁ」
 そういって、空になったヤクルトの容器を持つ彼女。
「…それで、何を?」

「こうするのぉ」
 ポケットから銃――え、ちょ、M500?嘘だろ、おいおい。
 彼女はそのまま、後方にヤクルトの容器を投げ――――
「ばぁん」
 ――――――振り向きざま、片手でそれを撃った。
 空になったヤクルトの容器を破裂させ、壁に穴を開ける。
 そのまま、二発、三発と間を置かず撃ち続け、そのたびにヤクルトの残骸を貫いた。

「まぁ、こんなものねぇ」
 ……M500、ハンタータイプ。 極一部の人間にしか扱えない超ハイスペックハンドガン。
 ハンドガンの中で世界最強の破壊力を持っており、かの有名なデザートイーグルの3倍という、アホみたいな威力の銃だ。
 五発も撃てば手が骨折するといわれ、撃ち手の安全を完全無視の威力を持つ。
 大の大人でも、下手な体勢で撃ったりすれば即ぶっ倒れる上に手首を捻挫する、とも言われている。
 ―――――そんなアホみたいな銃を、この人は片手で撃ってのけた。
「……んな、ばかな」
「わかったぁ? わたしは、ぜんぜんへいきぃ」
 確かに、この人は酔っていてもこんなことが出来る。 …千鳥足だけど。
 たとえしぃに襲われても、彼女なら普通に何とかなるだろう。

 ―――――だけど、それとこれとは別だ。
 親しい人が死ぬなんて、そんなの、もう耐えられない。

 この街にはじめて来て。 道もわからない僕に、丁寧に教えてくれた人がいた。
 この街で暮らしはじめて。 職のない僕に、僕にあう職業を探してくれた人がいた。
 この街の暮らしになれて。 僕の夢だった、お店を開くのを手伝ってくれた人がいた。
 ―――――――殺伐とした雰囲気がするこの街だけど。 街の人はほんとにやさしくて、あったかくて。

 いつもいいお酒を紹介してくれる人がいて。
 「またくるよ」とわざわざ言ってくれる人がいて。
 僕のお店に、毎日のように来てくれる人がいる。

 そんな人たちが傷つく姿なんて、見たくない。

「平気でもなんでも、送ります。 イヤだって言っても、貴方がちゃんと帰るのを見届けます」
「ものずきねぇ、きみもぉ」
「いえいえ。 いつもの、おれいですよ」
 あははは、と二人で笑いあう。

 毎日が、ほんとに幸せだって思えるくらい幸せだ。
 でも、そのことが。 なぜか不意に、不安になって。
「…どうかしたのぉ? 目なんてつぶっちゃってぇ」
「いえ、大したことではありません。 内容は、とても大事ですが。
  ……教えませんよ? そんな目してもダメです。 きっと笑いますから」

 ―――――――この幸せが続くことを、神様に祈った。

599 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/09(日) 11:55:03 [ IJguOm02 ]
色々とやっちまった、だが作者は謝らない(これタイトル)

「堂本剛はいい男〜、や ら な い か、ウホッウホッウホッ」
一匹のしぃが変な自作の歌を公園のベンチの上に立って歌っていた。
そしてその50メートル後ろ、バットを持ったモララーとレモナが近づいてきて
いるが、しぃは気づいていなかった。

「剛の代表作は金田一〜、や ら な い か、じっちゃんの名に懸けて!」
しぃとモララー達の距離はじりじりと縮まっている。しかし、自作の歌に夢中な
しぃはまだ気づかなかった。

「堂本光一もいい男〜、や ら な い か、ウホッウホッウホッ」
とうとうモララー達はしぃのすぐ後ろに到着した。今バットを振り下ろせば
間違いなくしぃの後頭部に当たるだろう。

「光一の代表作は蘇る金狼〜、や ら な い か、わーおハードボイルド!」
バットを構えてしぃの頭に狙いをつけるモララーとレモナ。

「金狼といえば〜、昔「なんじゃこりゃあ」の人が主演してたわね〜」
バットを構えたまま様子を見ているモララーとレモナ。

「「なんじゃこりゃあ」の人の代表作は探偵物語〜、や ら な い か、
ベースーパ!!」
モララー達は様子を見ている。

「探偵物語も金狼も話を書いたのは同じ人〜、その名は大藪春彦〜」
モララー達は様子を見ている。

600 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/09(日) 11:55:36 [ IJguOm02 ]
「でも私は大藪のハードボイルドはあんまり好きじゃないのよ〜、
アメリカのハードボイルドと比べてなんか地味だからラララ〜」
モララーは大きく息を吸い込んだ。
レモナは大きく息を吸い込んだ。

「ハードボイルドはやっぱり〜」
「大藪を侮辱する奴は死ねー!」
モララーはバットを勢いよく振り下ろした。
会心の一撃!しぃの首がちぎれて公園の砂場の方に飛んでいった。
「レモナ君、追え」
「はい」
レモナはバットを構えたまましぃの首を走って追いかけた。

「レイモンド・チャンドラーが最高よね〜」
「大藪を侮辱する奴は死ねー!」
レモナはバットを勢いよく放り投げた。
会心の一撃!しぃの首は真っ二つになって砂場のオブジェになった。

「殺しました」
「よくやった」
そういってモララーとレモナは公園で抱き合い、悲願達成に打ち震えた。
この日をもって大藪侮辱ネタはただの荒らしから革命党ネタや実験ネタのような
虐殺ジャンルの一つとなる記念すべき第一歩を踏み出したのだ。
ありがとうモララー。ありがとうレモナ。
そしてありがとう世界で初めて『本当に』大藪春彦を侮辱したしぃ。

終わり

601 名前:R(;; ◆zeZKwnhJrE 投稿日:2006/04/09(日) 13:31:21 [ rnqloFYI ]
それはある風のない蒸し暑い夜。とても奇妙な出来事が起こった。
しぃとそのベビらが、とある薄暗いスタジアムへと向かっていく。
親しぃは誰もが、一切れの紙を持っていた。紙にはこう書いてある。

   マ タ − リ を 手 に い れ な い か
   ( ・∀・)<幸せはもうすぐそこにある!

    明日の7月14日、親子しぃらでの大会を行います!
    優勝賞品は、十億円の超豪邸でのすばらしきマターリ生活!
    親子での参加をお待ちしております!
 
                炙りスタジアム モララー社長

この町ではしぃは完璧な市民による「ストレス解消」の対象の的。
いつもが苦痛の日々、特に子を持つしぃは大変苦労した。
そんな中このポスターを見つけ、すぐにスタジアムへと向かった。
心の中に、最高のマターリという希望を持って・・・・

602 名前:ダイニング 投稿日:2006/04/09(日) 13:40:39 [ dBYZZXbU ]
全校テスト

ここはある高校です。ここには多くのAAがいます。そんなある日・・・
アフォしぃが先生に言いました

「コノガッコウデイチバンセイセキガガイイノハシィチャンダヨネ!」
「はぁ?そんなの知りませんよ。」
「ナンデヨゥ!!シィチャンガイチバンニキマッテルデショ!!」
「全生徒の成績なんてまとめたことありませんから知りませんよ」
「ハニャーン!ヒドイヨーー!!」
そんなある日、ついに全校テストが開かれました
ルールは学年ごとにテストをやり、学年ごとに優勝を決めます。
「テストノイチバンハモチロンワタシヨネ!!」
このしぃはしぃ子といいます。しかし受験の時は猛勉強しましたが
テストの成績はいつもビリッけつでした
しかしそれでも天才だと思いこんでいました
「フーン。まあせいぜい頑張れや。」
「一番はあり得ないかもな」
「やっぱり一番はとりたいモナ〜」


中途半端に続く

603 名前:R(;; ◆zeZKwnhJrE 投稿日:2006/04/09(日) 13:42:39 [ rnqloFYI ]
>>601の続き
炙りスタジアムは、200組の親子しぃでもう一杯だった。
もう待つのは懲り懲りした様子で、スタジアム社長、モララーが姿を現した。

「本日は、このような大会に参加していただき、大変感謝しております。
これより、第一回、親子しぃマターリ争奪選手権を開始いたします。
本日は開会式を行い、その後各親子の方々には選手用宿舎に移動していただきます。
それでは、開会式を行います。一同、起立!」

棒読みで長文を述べた社長は、これからのことを思うと、非常にワクワクしてたまらなかった。
まず「10億の豪邸」にここまで釣られた親子のことを考えるともうたまらない。
早く翌日になれといわんばかりに、あまりの速さで開会式を進めていった。

「次に、ルール説明に参ります。
当大会では、最終的な生存者は優勝親子の1組のみとさせていただきます。
今回の大会では、一般市民の娯楽にもなるので、途中敗退者は
その場で市民のストレス解消になってもらいますよ、ククク・・・・」
今までマターリのことばかり考えていたしぃ達は愕然とした。
負けは死を意味するのだ。絶対に負けてはいられない。
場が騒がしくなってきた。
「静かに!ルールを理解したのであれば、ここで開会式は終了とします。
それでは宿舎移動に入りたいと思います。先頭の20組の親子達から順番に
宿舎に向かっていただきます。尚、先頭の20組から第一宿舎となり、一番
後ろの20組は第十宿舎となります。
宿舎移動後それぞれの親子にゼッケンが配られます。無くした者には
再発行はせず、その場で死刑とします。」

604 名前:R(;; ◆zeZKwnhJrE 投稿日:2006/04/09(日) 13:51:41 [ rnqloFYI ]
>>603の続き
全員の宿舎移動が完了した。かなりしぃらが騒がしかったので、大変苦労した。
その中でも第四宿舎のゼッケン77番の親子は迷惑もんだった。宿舎の引率者が
ギコ族だったのが原因なのか、言うことを聞かず、引率に1時間かかってしまった。
就寝時間になっても77番親子だけが一番うるさかった。
本来なら即死刑だが、選手に負傷を与えては市民が楽しめない、我慢した。

翌日、競技の日になった。
「え〜、皆さんお早うございます。今日より競技を開始いたします。
今日の午前の競技は親しぃ全員が出場対象となります。親しぃの皆様は
当スタジアム第一グランドに集合願います、繰り返します・・・・」

第一グランドに200匹の親しぃが集まった。
「それでぇは、皆さんにはこれからこの一周1600Mのコースを一周してもらいます。
尚、当コースはたくさんの障害があります。スイッチオン!」
いきなりたくさんの障害が現れた。しぃ達にこなせるかはまだ判らない。
「ルールを説明します。先に10人ゴールするか、残りが10人になれば競技終了です。
レースは番号順に20人ずつで行います。尚、敗退したらその人たちのベビは
即死刑となります、ベビのためにも、しっかりゴールしてくださいね。」

605 名前:R(;; ◆zeZKwnhJrE 投稿日:2006/04/09(日) 19:47:04 [ rnqloFYI ]
>>604の続き
ついに最初の種目が始まった。最初のレースに出走する20匹がスタートラインに並ぶ。
バン!
ピストルがなり、20匹全員がスタートした。横一線に20匹が走る。
最初の100Mはかなり速いペースで20匹走っていった、障害はこれからある。
「ハニャ!シィハゼッタイニ、マターリヲテニイレルンダモン!」
「ナニヨ、マターリヲテニイレルイレルノハ、ワタシトワタシノベビチャンヨ!」
口が悪い20匹のしぃの前に、最初の障害が見えてきた。
その障害は、平均台のような細い道が3本、その下には底がない。
社長はこの障害では普通に全員がクリアするもんだと思った。しかし、違った。

ゼッケン4番のしぃが足を滑らせ、転んだ、が、道からはまだ落ちていない。
そのときだった。4番は先頭を走っていたので、後ろからしぃがやってきて、それに踏まれた。
しかしそれに躓くものあり・・・何を考えたのかその道をよけようとして落ちるものあり・・・

「シィィィィ!コンナノマターリジャナイヨー!ベビチャーン!!」
4番の転倒で大惨事、これだけで7匹が落ちた、無論、これは「脱落」である。
そして、落ちたしぃ達はどうなるのか・・・・・

底がないように見える下は、実は観客席にワープするワープゾーンになっている。
(これは何も考えずに決めた設定なので、本気にしないでください・・・)
落ちたしぃ達は、観客席にワープしてきた。そこには金を摩った怒れる観客が・・・
「シ、シィィ・・・だ、ダッコ、ス、ルカラァ、ミノガシテェ・・・・」
「シィヲイジメルノハギャクサツチュウダヨ!ソレヨリダッコシナサイ!」
「ハ、ハハハ、ベビチャ〜ン・・・」
だが、勿論予想を外した観客は、しぃの耳をもぎ、腕も足ももぎ、虐殺を開始した。
「シィィィィィィィィーーーーー!!!!」

さて、残りの13匹は、転倒事故など気にもせずに走っているものの、顔は苦しそうだ。
第二障害、第三障害と全員がクリアしていき、ついに1000Mを走った。
残る障害はあと二つになった。それは最後のコーナーの入り口にある。
そのとき、社長は不敵な笑みを浮かべた。

606 名前:R(;; ◆zeZKwnhJrE 投稿日:2006/04/09(日) 20:11:25 [ rnqloFYI ]
>>605の続き
その障害は、最後の直線の入口まで続く深い川であった。
そこには3つの小さいいかだが浮いている、大きさはしぃがちょうど1匹乗れるくらい。

「フフ、この障害、どれくらい私を楽しませてくれるんだろう♪」
社長は転落事故以上のしぃの悲鳴を聞きたくてたまらなかった。

ちょうどそのとき、先頭を走っているゼッケン番号19番がいかだに飛び乗った。
19番は何とか手でいかだをこぐが、全く進まない。
「シィ!ナンデススマナイノヨコノイカダ!シィノオモイドオリニサセナイノハギャクサツチュウナノヨ!」

なぜならこの川、流れが最後の直線の方向とは反対で、しかも強いのだ。
しかも海のような波も立つ、リールもないいかだでとても進めるものではない。
ちなみに川に落ちて沈んだ者は、水中で待機しているダイバーが急いで川から上がらせ、観客席に投げることになっている。
要するに、水中での苦しみと、最後の虐殺の二つが、失敗した者に下される制裁なのだ。
先頭がもたもたしているうちに、2匹目がいかだに乗った。いかだはたった一つになった。
まあ案の定、いかだに乗っても全く進まない。いかだにしがみつくのが精一杯だ。

その後には11匹の三番手集団が・・・・・
そう、自己中心的にしか物事を考えないしぃのことだから、いかだ争奪戦が始まるはずだ。
別に泳いで先頭二匹のいかだを奪っても構わないが、とても泳げないだろう。
ていうか、それじゃあ泳いだほうが早いわけなのだが・・・・

ついに三番手集団がいかだにたどり着いた。先頭二匹はほとんど進んでいないから、追いついたといえるだろう。
しかし、何を皆は考えているのやら、三番手集団は一気に一つのいかだに向かって飛んだ。
が、その集団の思いは虚しく、いかだは流れてすっと横に移動したために、集団は一気に川へドボンとなった。
「シィィィ!シィオヨゲナイヨー!ギコクンタスケテー!」
「ハニャーン!タスケテヨー!シィヲタスケナイノハギャクサツチュウダヨー!」
ちょうどそのとき、先頭2匹も波に飲まれて川へ落ちた。

ルールでは、残りが10匹になったらそこで終了、予選突破になる。
だから、水中で待機しているダイバーが、三匹観客席に投げ入れたら、そこで終了である。
運よく水中で予選突破したしぃは、ダイバーに救出されるまでは水の中だ。
死んでいようが、植物状態になろうが、次の種目に出場しなければならないのだ。

607 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/04/09(日) 22:30:01 [ NaLg3lgQ ]
モララーの森




ある天気のいい日、若い2人組が森にやってきた
この2人、なにを隠そうこの森にハンティングに来たのだ
得た獲物は現金と引き換えに専門の業者に引き取られる
もちろんしとめた獲物の価値でもらえる金額は違ってくる

キキー と音を立て1台のステーションワゴンが森の前で止まった
「なるべく少ない弾数でし止めろよ」
ギコは車から降りるなりそう言った
「まかせなさい 私の銃の腕は・・・・」と、助手席から降りたしぃが言いかけた言葉をギコが遮った
「わかった、わかった、さっさと行くぞ」
ギコはそう言うとさっさと森の中に入っていった
「まったく・・・せっかちな人だこと」
しぃはそう呟きギコの後を追った
森の中は驚くほど静寂していた
鳥の鳴き声すら聞こえない
「なんだか変ね・・・・」
しぃが小さな声で言う
「こいつはまさか・・・アレかも知れんぞ・・・・」
ギコの言っているアレとはモララーの大群の事だ
数年に1回この森にやってきてはあらゆる動物や草木を食べつくし汚物を撒き散らす
こいつらが去った後の森といえばまるで地獄だ
なんせそこらじゅうに動物達の死骸やモララーのした糞が散らばっているのだから
モララーの大群のことはもちろん町や国も知っているのだがあまりの数の多さゆえ中途半端な軍隊では負けてしまうし、だからと言って森を焼き払う訳にも行かない
どうしようもない状態なのだった
そしてこの町では古くから森がやたらと静かな時はやつらが来る前触れだと言い伝えられてきたのだ
2人の間にしばしの沈黙が続いた
「帰るか 否か」
2人ともこの事を考えていた
「行きましょう」
しぃが沈黙を破った
「ああ!ゴミ虫なんかにいつまでもやられてるなんて尺だからな」
ギコは強めの口調で言った
2人は一旦車に戻りありったけの装備をして再び森の中に入っていった

608 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/04/09(日) 22:31:49 [ NaLg3lgQ ]
2人はどんどん森の奥に入ってゆく
あいかわらず静寂は続いてる
それから20分位歩いたころ、ゴミのようなにおいがしぃのハナ先をかすめた
「なんか・・・変な臭いしない?」
しぃが言ったがギコからの返事はない
「ねぇってばぁ・・・」
なおも呼びかける
「あ・・・・アレを見ろ・・・」
ギコは前方を指差しながら言った
「ええ?アレって・・・?」
しぃは双眼鏡を手にしてギコの指の方向を見る
「!!!」
しぃは思わず言葉を失った
なんとギコの指の先には何千という数のモララーが行進してくるのだ 子供も結構いる
「これが・・・モララーの大群・・・」
政府が手をだせなかったのもなっとくできる
ギコはしばしの間固まっていたがとたんに我に返ったようで、ポケットから携帯電話を取り出しダイアルした
ピルルルル・・・・・ピルルルル・・・・・という電子音がしぃにも聞こえてくる
カチャ、と電話にでる音がした
ギコはすぐさま
「モナーか?今どこにいる?助けてくれ!」と叫んだ
モナーとは兵器工場の社長でこの2人とは同級生だったためか仲もいい
「そんなにあわててどうしたモナ?」モナーはのんきそうに言った
ギコは速攻で理由を説明する
しぃはギコとモナーのやり取りを聞いていたが思いついたように電話をとりだしダイアルした
ピルル・・・カチャ、相手はすぐに出た
「アヒャくん?しぃだけど・・・・・・・・・」
しぃはアヒャに向かって一方的に言葉をかける
アヒャとはこれも同級生で2人と仲がいいナイフ職人だ
2人はほぼ同時に電話を切りOKのサインを出した

大群と2人の距離は500m弱だ
2人はまきびしや地雷などを地面に落としながら後退していく
「あの2人が来るまでもつか・・・・」
しぃが言った
あの2人とはもちろんモナーとアヒャの事である
「ちっもうトラップが無くなりやがった」
ギコが言う
モララー達の動きは以外に早く2人との距離を序序につめていった
と、突然
「もらぁぁぁぁぁ!痛いよぉぉ 漏れの足に何かが刺さったぁぁ!」
という声が聞こえた
どうやら2人のまいたまきびしが1人のモララーに刺さったようだ
2人はハッと後ろを振り返る もう、モララーとの距離は肉眼ではっきり見えるほど縮まっていた
しかし他のモララー達はそのモララーの事を手当てをするわけでもなくただ
「この役立たずがっ氏ね!!!」
と言いはなって3人がかりで怪我をしたモララーの腹を蹴っ飛ばした
そのモララーは悲鳴をあげて吹っ飛んでいった
どうやらこいつら、怪我をした者などは徹底的に無視する作戦らしい
いや、モララー程度の生物に「作戦」なんて物を立てる知能があるのか?今のだって単なる気まぐれでやったのかも・・・
2人がそんな事を考えていると1人のモララーが
「あそこにしぃとギコがいるーーー!!!捕まえろー」
と大声で叫んだ
大群がすごい勢いで突撃してくる
ギコとしぃは血の気がサーっとひいた
こんな数で突撃されたらひとたまりもない
「うおーー捕まえるもらーーーーーー」 「もらっとぉぉぉぉぉぉぉ」 「もらもらもらーーーーーーあ!!!」
という良く分からない雄叫びと同時に「ドーン!」という爆発音が聞こえてきた
地雷を1つ残らず踏んでいるらしい
が、モララー達の勢いは衰えない まっすぐこちらに向かってくる
ギコが後退しながらピストルを撃つ
「バキューン バキューン バキューン」弾はモララー達にたしかにあたっている 
しかしそれは山盛りのご飯を箸で一粒ずつ食べているのと同じ事だった
もう2人との距離は10数mだ
「もう駄目だ・・・・ゴルァァ!」
ギコがそう言った時
http://レーザー!」
しぃがそう叫び鮮やかな青色のレーザーを手から発射しムチのように振るった
最前列にいたモララー達はレーザーがふれた所の肉が完全に焼け焦げ、一瞬で死んでいった
「すげえぜ!」
ギコが言った
しかしモララー達は死んでいった仲間の上を踏みつけながらこちらにやってくる 勢いは衰えない
「くっもう限界か・・・・」
2人がそう思った時ビューーーン・・・・・・・と戦闘機の音が聞こえてきた

609 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/04/09(日) 22:32:18 [ NaLg3lgQ ]
そして
「アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
と言う笑い声も
声が聞こえた瞬間大量の血が津波のように飛び散った
「アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!マタセタナ」
2人の前にはアヒャが立っていた
血で赤く染まった自分の体長の3倍はある包丁を持っている
2人は一気に安堵してその場に座り込んだ
これにはモララー達も動揺している
「伏せるモナー」
スピーカーで拡大された声が空から聞こえた
しぃ、ギコ、アヒャは地面に伏せた
「も、もら?」 「なんなのぉ?」 「漏れのベビィィィィィ」 「怖いよオ・・・・・!」
モララー達は混乱している様子だ どうやら目標を失ったのが原因らしい
「ババババババババババ゙バババババ」
戦闘機からマシンガンが連射されている
その狙いは驚くほど正確でモララー軍団を血祭りにしていく
「痛いよぉぉぉぉぉ!!」 「モラァァァァァァァァ!!!!」
やつらの叫び声がコダマする
大群の数は一気に減少した
「逃げろオーーーーーー!!!!!」
1人のモララーが言った
大群は一気に後ろへ駆け出した
「追うぞ!!」
ギコが言った
「さっきまで逃げてたのにねぇ」
しぃがニコニコしながら言う
「アーヒャヒャヒャヒャ!!!ネダヤシニシテヤルゼ!!!」
大群はさっきまでと違い全然まとまっていなかった
3人はすぐに大群に追いついた
「おらぁ!!」
ギコが手榴弾をなげる
爆発した衝撃でモララー達があちこちに吹き飛ぶ
「このべビあげるからゆるしてぇ・・・・」 「もらぁぁぁ!他のモララーは好きにしていいから漏れだけは助けてぇ!!」
こんな醜い命乞いをするモララーも多かった
そいつらを思い切り蹴飛ばしたり切り刻んだりするのは快感そのものだった
30分位立っただろうか 大群はあと少しで全滅だ
地上の3人はもう‘‘虐殺,,にも飽き、着ている服もモララーの血でべっとり赤く染まっていた
「あーあ・・・この服けっこう高かったのにゴミ虫の血がこんなに・・・・」
しぃはそんなことを言いながら片手でレーザーを発射しモララーを3匹焼き殺した
「なーに また買えばいいだけさ」
ギコが軽い口調でいいべビモラをぶちゅっと踏みつけた
「モウソロソロアキテキタナ モナー ヤッチマッテイイゾ」
アヒャが無線のようなものを取り出し言った
今までのんきに空の上に浮いていたモナーの戦闘機がゆっくり着陸してきた
「みんな乗るモナ」
モナーがスピーカーをとうして言った
3人はモナーの戦闘機に乗り込んだ 
「一時はどうなるかと思ったぜ」
ギコがため息まじりに言った
「どうするモナ?」
モナーが戦闘機を離陸させながら言った
「モチロントドメヲサシテヤロウゼ アヒャ!」
アヒャが嬉しそうに言う
「OKモナ」
モナーは返事をしながらドクロマークのスイッチを押した
戦闘機の下の部分がパカっと開き紫色の煙がもくもく地上に流れ込む
しぃはニタニタしながら双眼鏡で地上を見た
苦しむモララー達の姿が一望できる
「この煙苦しいよぉぉーー」 「他のモララーはどうでもいいから漏れものせてぇーーー!」 「も・・・らぁぁぁ・・・・」
地上ではモララー達が騒いでいたがしぃ達に聞こえるよしも無かった

こうしてモララーの大群は全滅し、ギコ達は町から栄誉賞を貰った

しかしモララーの辞書に全滅という言葉はない
今もどこかで大量繁殖をくりかえしているに違いない

そしてまたいつかあの森に・・・・モララーの森に現れるだろう

その時をアヒャは密かに楽しみにしていたのだった






611 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:21:40 [ UiyDh7EA ]
ごっつアブいかんじ


「くらえや!」
ニダーの渾身のソバットがモナーの後頭部にクリーンヒットし、顔から地面に落ちた。
「・・っ・・ぐっ!!」

ここはアブ板町2丁目にあるオニーニ橋の真下にある川原。
上を通っていく人達からは死角になっており、また、アブ板町のほぼ中央に位置し、
アブ板町にあるどの学校からもバイクで三十分以内で事から不良学生達の絶好の
喧嘩スポットになっていた。

そして今日も二人の男が赤く燃える夕焼けをバックに殴り合っていた。
アブ板工業高校3年のモナーと先月大阪から転校してきた1年のニダーである。
アブ板工業高校に転校してきたニダーはその初日からこの学校を占める事を宣言し、
校内の腕っぷし自慢達を次々に倒してきた。そして今日ついに番を張っていたモナーと
タイマンをする事になったのである。

「先輩、もう降参したほうがええんちゃいますか?」
優勢に立っているニダーが肩で息をしながらもその余裕から降伏を勧める。
「・・うう・・・・しかし・・まだ・・」
だがモナーは楽になろうとしない。ゆっくりと立ち上がりファイティングポーズをとる。
アブ板高の番長としてのプライドとこれまでニダーに倒されてきた友人達の無念が
彼の後押しをしていたのだ。
「俺は、負けられない。負けたくないんだ」

612 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:22:23 [ UiyDh7EA ]
既に二人の体力差は明らかである。この差は根性とかで簡単に埋められる物ではない。
モナーが降参せずに立ち上がって自分に向かってくるのは馬鹿だからでありこの後自身
に降りかかるさらなるダメージ―骨折、脱臼、そして脳への障害といったものがどれ程
苦しいものか分かってないからだとニダーは思っていた。
モナーが突然後ろに下がり一回深呼吸した後謎の歌を歌いだすまでは。



『モナー対田中はバトルの元祖   ボケもシリアスも器用にこなし
初代から始まり丸耳を経て   君臨するは三代目』



時間にして15秒程、テレビCM一回分の長さの歌が終わると空気は急変していった。
モナーの頭から出血は既に引いており、顔の内出血も消えている。そして上半身の
筋肉は学ランを吹き飛ばしそうな勢いで膨張している。
「あ、あんた何をしたんやっ!」
モナーの突然のパワーアップにうろたえるニダー。
「これこそ我がモナー族に伝わるモナー族の歴史を称える歌。この歌を窮地で歌う
事で番長魂に火を付けてパゥワーアップしたのだ!!」
「そんなアホな!」

ニダーはがっくりと膝をついた。こうしてアブ板工業高校の番長対転校生の戦いは
ニダーの心が折れる事で終わろうとしていた。しかしモナーはこれで終わる事を
良しとしなかった。

「ニダー、これを使え」

モナーの学ランのポケットの中からマイクが取り出されニダーにほうり投げられる。
それをおそるおそる手にするニダー。何をやるべきかはもう分かっている。
ニダーは覚悟を決め、すっくと立ち上がりモナーがやったのと同じ様にニダー族
の歴史を称える歌を歌いだした。

613 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:22:56 [ UiyDh7EA ]
『生まれは2ちゃんのハングル板  嫌われ者から名キャラに
サッカーと野球で大活躍  だけど大阪人もおりまっせ』

歌い終わった途端にさっきまでの喧嘩でヘロヘロになっていたニダーの体に活気が
戻ってきた。そしてモナーと同様にマッスルになっていく。
「うおおおおおー!すげー!一族の歌の力すげー!番長パゥワーすげー!」
「ニダーこれで仕切りなおせるな」
「おうよ、今度こそやったるでー!」
二人は再び喧嘩を始めようとしたその時、
「フッ、汗臭い野蛮人共がやけにうるさいはにゃーん」
橋の上の方から謎の声が聞こえてきた。
「誰だ!」
「誰や!」
首を上に向けて声の正体を確かめようとするモナーとニダー。
「フッ、今そちらへ向かうはにゃーん。とうっ!」
謎の声の主は橋の上から川原へと飛び降り、
「みぎゃっ」
足をひねって横に倒れた。

沈黙。

沈黙。

沈黙。

沈黙。

614 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:23:43 [ UiyDh7EA ]
沈黙に耐え切れなくなったニダーはモナーに聞いてみる事にした。
「なあモナー先輩、あいつ誰かしっとりますか?」
あいつとはもちろん二人の目の前でダウンしている男?の事である。
ちなみに外見はハクランを着ていて長髪の美形だが右足が裏向きになっているせいで
台無しになっている。
「しらん。同じ町にある私立しぃしぃ高校の3年生で生徒会長をやっていて名前は
アフォしぃ。実は女で俺の自称ライバルでありストーカーでもあるなんて奴はしらん」
モナーはそれだけを実に嫌そうに答えた。

白けた空気。

白けた空気。

白けた空気。
やがて今度はモナーの方が口を開いた。
「帰る?」
「はい」
二人は上半身がマッチョになった事を母親にどう説明しようかとか新しい服を
買わないといけない事とかを考えながらそれぞれの家に向かった。

二人が帰ってしまってから2時間がすぎてようやくアフォしぃは目が覚めた。
既に夕日が沈んでふくろうがホーホー鳴き、冷たい風がアフォしぃを打ち付けている。
「右足が痛いはにゃーん」
骨折して180度回転しているから当然である。
「胸も痛いはにゃーん、ひょっとしてこれが恋?」
そんなわけはない。肋骨が4本折れて肺の片方にささっているからである。
「頭も痛いはにゃーん、九九が思い出せないはにゃーん」
この場合痛いではなく悪いが正しい。

615 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:24:33 [ UiyDh7EA ]
「とりあえずこの怪我を治すはにゃーん。そうしたらモナー君を追いかけよう」
ハクランの下へ手を入れて血まみれのマイクを取り出す。そして後ろを向いている
右足を両手でつかみ一気に引きちぎる。
「立ち上がるのに邪魔だからこんなのいらないはにゃーん!」
さらにアフォしぃは左足も引きちぎった。
「バランスが悪いからこっちもすてるはにゃーん!どうせ歌い終わったら生えてくる
から無問題(モウマンタイ)!」
アフォしぃは太ももの切断面で両足に立ち右手にマイクを持ちポーズをとった。
「かわいいアフォしぃ族を称える歌スタート!」


『ララララララララ  ラララララ
ララララララララ  星きれい』



ビキィ!
歌い終わった途端5本目の肋骨が折れてアフォしぃのまだ正常だった方の肺に刺さった。
「はにゃーん!!歌ったのに治るどころか悪くなってる!!」
予想外の事態にあせるアフォしぃ。嘘や関係ない事を歌うと番長パゥワーは逆方向に
働くのである。
「こうなったらもう一度歌うはにゃーん!」
アフォしぃは太ももの切断面で両足に立ち右手にマイクを持ちポーズをとった。
「かわいいアフォしぃ族を称える歌スタート!」


『ラララララララ  ラララララ
ララララララララ  大阪人おりまっせ』

616 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:25:01 [ UiyDh7EA ]
ガァァァァン!!
歌い終わったら空から巨大な金ダライが降ってきてアフォしぃの頭に直撃して
両耳を潰した。
「はにゃーん!!歌ったのに治るどころか悪くなってる!!」
予想外の事態にあせるアフォしぃ。嘘や関係ない事を歌うと番長パゥワーは逆方向に
働くのである。
「はにゃーん!!歌ったのに治るどころか悪くなってる!!」
予想外の事態にあせるアフォしぃ。嘘や関係ない事を歌うと番長パゥワーは逆方向に
働くのである。
「こうなったらもう一度歌うはにゃーん!」
アフォしぃは太ももの切断面で両足に立ち右手にマイクを持ちポーズをとった。
「かわいいアフォしぃ族を称える歌スタート!」アフォしぃは太ももの切断面で両足に立ち右手にマイクを持ちポーズをとった。
「かわいいアフォしぃ族を称える歌スタート!」


『シュワルツネッガーはアフォしぃ族


ちゅどん。
「はにゃーーーーーん!!!」
明らかな嘘だったので今回は歌の途中で爆弾が降ってきて頭の上で爆発した。

「はにゃーん!歌うたびに悪くなってるはにゃーん。ピンチ!」
現在両足喪失・両肺負傷・両耳喪失・肋骨5本骨折。そして頭に大やけど。
たぶん次がラストチャンスである。
「こうなったらもう一度歌うはにゃーん!」
それでもアフォしぃは他の選択肢は思いつかなかった。
「かわいいアフォしぃ族を称える歌スタート!」

617 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/04/15(土) 17:25:28 [ UiyDh7EA ]
沈黙。

沈黙。

沈黙。

沈黙。
「・・・・・いいオチが思いつかなかったはにゃーん。ガク」

ちょっと心配になったニダーが戻って来た時アフォしぃは既に冷たくなっていた。

終わり

618 名前:RYOr 投稿日:2006/04/19(水) 16:48:14 [ gQSbjt12 ]
『エクスタシィの復讐』

「オカアサン」
目の前の母親と三人の姉達はそれぞれ小腸や、
私の妹になるはずだった胎児を口に押し込められたりしながら
住処のダンボールを真っ赤に染めながら静かに濁りきった目で
私を見つめていた。
お母さんの白いきれいなフサフサとした毛は
血でしっとりと、濡れていた。
抱きついたお母さんは冷たくてもう固かった。
「オネエチャン」
三人の姉達はどれこれも腹に穴が開き
グチャグチャに掻き回されていた。
私はひとしきり泣いた後にダンボールごと家族を焼いて
前にお母さんと遊びに行った丘に埋めた。

お母さんと姉の墓標を見つめて考えたことは一つだけ、
『復讐』だった。

殺した相手はよくわかっている。
金物屋の息子のモラ男だ。
あいつの店では傷んでいる包丁等を息子に虐殺用の玩具として
渡しているのだ。それがお母さんの耳に刺さっていた。
しかし、アフォしぃにとって凶悪と名高いモララーに、
私の非力な腕では到底敵うはずがない。
だが、私には一つだけ勝算があった。
しぃ族にのみ作用し痛みと苦しみを快楽に換える薬物がある。
それは昔、と言っても十年程前だが、アフォしぃに対する
モララーなどのあまりに酷い対応に一度だけ、普通のしぃたちが
反乱を起こしたことがある。
その時に開発されたのが反乱兵の怪我等の痛みを和らげるための
薬剤だったがこれを使うと現れる快楽を求め乱用し、
あろう事か自らモララーに突っ込んでいく反乱兵までが現れ
それが結局反乱の発覚につながり反乱は失敗に終わった。
実はその反乱軍の残党はここに逃げのびて、余った薬物を
お母さんを埋めたこの丘にひそかに隠してあるのだ。
―これを使えばモラ男に多少の怪我を受けても復讐を遂行
できるはずだ。
そして私はお母さんがその反乱軍の最後の生き残りという事も
知っていた。

私は作戦を一通りまとめるとお母さんの墓標に背を付けて
眠りについた。
お母さんの墓標はゴツゴツしていて冷たかった。
…できれば私もこの墓に入りたかった。
でも、それはおそらく無理だろう。
復讐に成功したにしろ失敗したにしろ多分無事では済まない。
それでも、私はもう他の事は考えていない。
私は 明日 モラ男を 道連れにして 死ぬ。 ―それだけだ。

瞳をとじると一粒、涙が流れた。

619 名前:RYOr 投稿日:2006/04/19(水) 16:48:56 [ gQSbjt12 ]
夜があけると私は早速よくお母さんが掘り返していた丘の
一番大きな木の下を手で掘る。

ザッ  ザッザザッ

掘り返すとそれは小さな腐りかけている木の戸だった。
鉄の金具があって私は取っ手を掴むと引き上げた。

ギギィと音を立てると戸は苦しそうに開いた。



『エクスタシィ』、痛みを快楽に苦しみを喜びに換える薬物の名だ。
この名を始めて聞いたのは本当に小さい頃だった。
それは、町でも評判の変わり者のしぃの老婆が話してくれた。
今思えば彼女も反乱軍の残党の一人だったのだろう。
今でもお婆さんの言っていた事はよく覚えている。
それから、何気なく『エクスタシィ』と呟いた時の母の顔も。

…感傷に浸る暇はなかった。
早くにでもモラ男の苦しむ顔の見たかった私は、
黴臭い地下室の湿ったダンボール箱のガムテープを剥ぐと、
私は箱の中身を見る。
箱には大量の針にゴムでできた簡素なカバーで保護された注射器で
敷き詰められていた。
その一本を指で丁寧に持ち上げると私は地下室を飛び出しモラ男の
よくいる路地裏に向かった。



路地裏に着くとモラ男はまだ未成年だと言うのにタバコをくわえている。
使う武器は母の命を奪ったであろうナイフが一本、エクスタシィも一本。

充分だ。

私は注射器を腕に刺しエクスタシィを注入する。
徐々に針の痛みに気持ちよさを感じ始めた。
だが、効果を楽しんでいる時間はない。
私はナイフを構えるとモラ男に向かって奇襲を開始した。

ゴミ箱の陰に隠れていた私はモラ男の腹目掛けて
ナイフを突き出す。

620 名前:RYOr 投稿日:2006/04/19(水) 16:50:56 [ gQSbjt12 ]
だが、モラ男は既に私に気付いていた。
突き出されたナイフは手刀で弾かれナイフは空を舞い、
そもそもの持ち主のモラ男の手に戻った。
モラ男は武器を奪われ今や抵抗のすべのない私に
ナイフの持ち手を力いっぱい私の頭に振り下ろした。

私の体はバランスを崩し地面に崩れ落ちた。
当然ながら立ち上がろうと頭をあげる。
しかし立ち上がろうとあげた私の頭をモラ男の足が踏みつけた。
湿ったアスファルトと切れた唇から流れ出た血の味がした。
だがしかし、私は苦しみを感じていなかった。
あぁ、全く凄まじいな。これがエクスタシィか。
そんなことを実感している間にもモラ男は激しく足に力を
入れる。
でも、じきにそれも飽きたようでモラ男は私の頭から
足を離した。
左手で私の耳を掴むとモラ男は右手のナイフに力をいれ
私の腹に目一杯突き刺した。

「ガホッ…」
モラ男の顔に私の血やよだれの混ざった液体がかかる。
腹から熱いものがこみあげ喜びに変わっていく。
だんだん、息が荒くなっていくのにもかかわらず全く苦しくはない。
モラ男は私の耳を離すと胸に足を置き屈みこむと私の右目に
ナイフを入れ、ゆっくりナイフを動かして行き目玉を抉りだす。
モラ男は私の目玉をなにか、私に話しかけながら口に押し込む。
最後にモラ男は私の腹にもう一度、今回は何回も何回も
ナイフを突き刺す。
飛び出たり引き千切れた小腸の破片が空を跳ね回る。
目の前にはもうどこの内臓とも区別の付かない破片が見える。
モラ男は去り際に一瞬だけ私を見ると、去っていこうとした。
仰向けに倒れている私は横にどうやら捨てて行ったらしい
お母さんを殺したナイフが落ちていた。

もうあまり力が入らないが体はまだ動いた。
私はナイフを握ると立ち上がった。

621 名前:RYOr 投稿日:2006/04/19(水) 16:54:32 [ gQSbjt12 ]
「アァァァァァァァァ!」
今まで出した事もないような叫び声をあげるとモラ男に
渾身の突進を行った。

モラ男は信じられないような目つきで振り向いた。

ドッ

驚いていたモラ男に避ける暇がなかった。
倒れたモラ男の胸にナイフが突き立っていた。
その後モラ男はぴくりとも動かなかった。

なんだ、あっけない。
これがお母さんと姉、はたまたもっと沢山の
しぃを殺した男の最後か。
私は満足感を味わいながら近くのビルの壁に寄りかかり
座りこんだ。

座り込む壁は想像以上に冷たい。
腹に触れるともう私はすっかり冷え切っていた。
しばらくボーっとモラ男を眺めていると私はブワッと
痛みがゆっくりと戻ってくるのに気付いた。

どうやらエクスタシィは何年も立つ間に劣化して効力が
よわまってしまったらしい。

しかし、その痛みは激痛というには程遠く
たまに思い出したかのようにピクリと痛むだけだった。
ふと、歯に何かがぶつかる。
ああ、そうだ抉り取られた目玉だ。
ペッと吐き出した目玉は静かにこちらを見ていた。

片目しかないのに視界は驚くほど鮮明で憎いモラ男ですら今までに
みたことないほど光り輝いて見えた。

けれどもそれは私にはあまりに眩しすぎた。
最後に好きだった青い空を見上げるとそこには鮮やかな空は見えず、
灰色にどす黒くよごれた雨雲が見えた。

私は最後にたっぷりの血を口から吐くと目を瞑った。
                        

 -終-

622 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/04/22(土) 16:39:47 [ WoxYeU2. ]
死神




狭い路地裏でモララーとしぃがなにやら話していた。
「お願いだよ。家には6匹のべビがいて・・・お金を・・・」
モララーが思いつめた様子でしぃに言った
「てめぇの私情なんか知るかってんだ。ハニャーン!」
しぃは大声で怒鳴り返したが内心は満足していた。
虐殺するきっかけが掴めたからだ。
「モラァァ・・・それなら力ずくで・・・」
モララーは近くにあった鉄パイプをさっとつかみ、しぃに向かって振り下ろした。
「うわ早!!!」
しぃの計算ではモララーが攻撃してくるのはもう少しあとだのはずだった。
しぃは一瞬ひるんだが、パイプを間一髪で避け、直撃をさけたが片耳が「ブチュッ」という嫌な音を立てて吹き飛んだ。
同時に血の臭いがあたりにたちこめる。
「このゴミが!!」
しぃは怒りレーザーを発射しようと手と手をあわせて開いた貝殻のようにした。
すると青白い光がしぃの手の中に集まってきた。
「レーザー発射!」
しぃの手から青い光線が発射され闇を切り裂いた。
「モラァァァァァァァァァァ!!!!」
モララーはすぐさま鉄パイプを投げ捨て4足歩行のポーズをとりレーザーをかわした。
そしてそのままチーターのようにしぃに向かってすごい速さで突進した。
ドゴンッッ!!
まともに体当たりをくらってしぃは後ろに吹っ飛びそのままアルミ張りのフェンスに激突した。
「このゴミがっ!」
しぃはそう言い再び手をあわせた。
が、遅かった。
「モラァァァァァァ!!!!これでもくらぇぇぇ!!!」
モララーは再び鉄パイプを拾い上げ、しぃの頭めがけて思いっきり振り下ろした。

ぐちゃっ!!!

しぃの頭は見るも無残に潰れ、あたりに血が飛び散った。
モララーは血のついたパイプを地面に置き、しぃの財布をスリ始めた。
しばらくゴソゴソやっていると、しぃの体からなにやら丸い玉のようなもが浮かび上がった。
そしてそれは無傷の状態のしぃの形になった。しかし、足はない。
色は半透明な水色で、いわゆる幽霊というやつだ。しかしそれはモララーにはまったく見えていなかった。
「よ〜く〜も〜殺してくれたな〜ゴ〜ミ〜虫が〜」
幽霊しぃは財布スリに夢中のモララーの後頭部ねらって拳を振り下ろした。
「もひっっ!!」
案の定パンチはスカッと頭を通り抜けたがモララーは鋭い悲鳴を上げた。それはしぃにも聞こえた。
しぃの触れた部分が刺すような冷たさに襲われたのだ。
だがしぃもただではすまなかった。
モララーに触れた箇所が熱湯の中に手を入れた時のような熱さを感じたのだ。
こちらも悲鳴をあげたがモララーには聞こえなかった。
モララーはしばらくあたりをキョロキョロ見回していたが、ようやく財布を見つけたようでその場をそそくさと去っていった。
しぃはふわふわと浮遊して後をつけた。

623 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/04/22(土) 16:40:17 [ WoxYeU2. ]
モララーはしばらく無言で歩いていたがコンビニの前で急に足を止めた。
コンビニのドアは自動式で、モララーの姿が映っている。
しぃはその上を浮遊しているはずの自分を確認しようとドアを見たが、やはり映ってはいなかった。
モララーは足早に店内をうろつき、栄養剤とパンを購入した。
もちろん、しぃの金でだ。
「こいつ・・・」
しぃは殴りかかろうとしたがさっきのことを思い出し、手をとめた。
モララーの店を出てからの歩く早さは時間とともに速くなり、しまいには小走りになった。
10分ぐらいたっただろうか。2人は街灯が少ない、暗い所までやってきた。
すぐ前には古びたアパートが見える。
モララーの足が急に遅くなった。
(ここに住んでるんだな・・・・)
しぃは思った。
予感は的中だった。
モララーはそのアパートの茶色に錆びついた階段を音を立てて登って行き、2階に上がった。そして[202]と書かれたドアを開けた。
そのとたん、
「オカエリ!」 「ワーイパパ カエッテキタ!!」
というべビモラ達の声が次々に聞こえてきた。
しぃは家の中を見渡した。
玄関のすぐそばに小さいキッチン、そして三畳の居間が1つの狭い空間だった。
居間でべビ達がぎゅぎゅうづめになって遊んでいる。べビの数は・・・5匹・・・いや、6匹だった。
モララーはすぐさま部屋の端っこで固まっているべビに駆け寄った。
そのべビは、息使いも荒く、相当具合が悪そうだった。
モララーは他のべビを構いながらさっき買った栄養剤を取り出した。
ここでしぃはあることに気がついた。
具合の悪そうなべビからなにやらオーラのようなものが出ているのだ。そしてその色はしぃの体の色と同じ水色だった。
しぃにはそれが、少なくともこの部屋では自分にしか見えないもので、水色のオーラは魂であり、外に出ている=死に掛けている。
ということが一瞬でわかった。
モララーは栄養剤をべビに飲ませた。
するとオーラは少しだけ小さくなった。僅かながら回復したのだろう。
その様子を見ながら、しぃはこんなことを考えていた。
「あのべビの魂をを全て引っ張り出してやろう」
と。

624 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/04/22(土) 16:40:40 [ WoxYeU2. ]
しぃがべビモラの魂に触れようと手を伸ばしたその時、
「やめておけ・・・・・」
と、どこからか声がした。
この声に気づいたのはしぃだけだった。
しぃは部屋中を見回した。が、怪しい人物はいない。
第一、こんな狭い部屋だ。いたらすぐ気がつくだろう。
「ここだ、ここ!」
声の主はそう言うと板張りの天井をすり抜けてしぃの目の前に降り立った。
2本の尖った角、クリクリした四角い目、∀の字に開いた口、そして真っ黒なマント。
マララーにそっくりだった。
「誰だ?御前?」
しぃは半場驚きながら聞いた。
「私は死神。オマエを迎えに来たんだが・・・・」
「残念。ちょっとヤブ用があってね。まだそっちに逝くつもりは無いんだ」
しぃが死神の言葉をさえぎった。
「復讐したいんだろ?オマエを殺したヤシに・・・」
死神はしぃの目をマジマジと見ながら言った。
「おめでとう、正解だ。」
「私の力を分けてやってもいいぞ・・・正し条件が1つ・・・ある」
そう言って死神は人差し指を立てた。
「20分だ 20分以内に三途の川まで来い」
しぃはOKの代わりにニヤリと笑ってみせた。
すると死神の立てた指の先からビー玉くらいの大きさの黒い玉が現れた。
死神が指の方向をしぃに向け変えると玉は一直線にしぃ目掛けて飛んだ。
それはしぃの腹を貫通したかと思うと、水に落ちた墨汁のようにしぃの体になめらかに溶け広がってしぃの体の色を半透明のグレーに変えた。
「これで完了だ・・・・・これは地図だ、20分以内に・・これを見て三途の川まで来い・・・・必ずだぞ・・・」
死神はスッと消えた。床に地図が落ちた。
しぃは一息つくと、手始めに近くにいたべビモラを殴ってみた。
「モァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
パンチこそすり抜けたがべビは痛烈な悲鳴をあげて硬直した。
しぃにダメージはない。
部屋にいる全員が悲鳴をあげたべビの方に瞬時に首を向けた。
「どうしたんだ!!!!べビ!!!?」
モララーは悲鳴をあげたべビを抱き上げた。
べビの体は氷のように冷たく、冷え切っていて、毛の1本1本に霜がついていた。
その冷たさがモララーの手にも伝わった。
「な・・・」
モララーは一瞬動転したようだったがすぐにそのべビをペロペロ舌でなめだした。霜を溶かすつもりだろう。
「こりゃいいや♪」
しぃはニヤついた。
そして具合の悪いべビの魂を引き抜いた。
抜けた魂がべビモラの形になった。・・・・足は無い
モララーはようやく意識が戻ってきた冷凍べビを抱きしめながら、具合の悪いべビの方に視線を戻した。
「べビ・・・だいじょぶか・・・?」
モララーは片手でべビをさすった。
べビは何の反応もしない。死んでいる。
「べビ・・・?嘘でしょ?べビ、べビ、ベビィィィィィィィィィィィィィ!!!!」
モララーは叫んだ後愕然となった。
他のべビから何を話しかけられても何も言えないでいた。
しぃはその光景を見てゲラゲラ笑いが止まらなかった。
「ドウシテ ソンナ ヒドイ コト スルンデスカ」
幽霊べビが言った。
「さぁね」
しぃにとってモララーは自分の欲望を満たすための道具でしかなかった。
その道具に殺されたのだ。しぃにとってこれほど嫌な事は無かっただろう。

625 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/04/22(土) 16:41:21 [ WoxYeU2. ]
──15分後
部屋の温度は零度近くになっていた。
部屋のあちこちに冷たく横たわっているべビモラ。
ただ呆然と立ち尽くすだけのモララー。
しぃは全てのべビを殺した。
それがモララーにとって1番「嫌な事」だとわかっていたからだ。
「オトーサーン」 「ボクタチハ ココニ イルヨー」 「キコエナイノォー?」
幽霊べビ達は口々にそう叫んだが、モララーに聞こえるよしもなかった。

しぃは部屋においてある時計に目をやった。
約束の時間まであと5分しかない。
しぃは地図を拾い上げ読んでみた。
地図と言っていたのに図は一切無く、かわりにこう書いてあった。
[まっすぐ 4秒進め 右に 4秒進め 上に4秒進め]
(足がないから歩数じゃなくて秒数なんだな・・・)
しぃは少し疑ったが書いてあるとうりにやってみた。
すると景色が一変して三途の川らしき所に出た。
美しい川に何隻もの木の船が行き来している。
死神はもう来ていた。
「力返してもらうぞ・・・・」
死神はマントをはためかせてしぃの方に近づいてきた。
「嫌だね」
しぃはニッコリ笑って言った。
だが死神は動じず
「前にもそういうヤシがいたわい・・・オマエは地獄逝き決定だな・・・」
死神は鎌を取り出し構えた。
「キミさぁ・・・モララーの変種に似てるんだよねぇ・・・」
「それがどうしたというのだ・・・・」
「そんなヤツに私は負けませんよ はにゃ!」
「ふん・・・・・」
死神は鎌を天高く振り上げた。だがこれが命とりになった。
「・・・・がら空きですよ」
しぃは死神の腹目掛けてレーザーを打ち込んだ。
「!!・・・・・・・」
青いレーザーは死神の腹を見事に貫通した。そして大量の血が飛び散り、崩れ去った。
死神の腹は内臓や小腸などはいっさいなく、ただぽっかりと穴があいているだけだった。
「つまんないなぁ・・・・」
しぃは死神から鎌とマントを奪うとすぐさま地上に戻った。
モララーを殺すために。

────100年後

狭い路地裏でモララーとしぃがなにやら話していた。
「お願いだよ。家には16匹のべビがいて・・・」
モララーが思いつめた様子でしぃに言った
「てめぇの私情なんか知るかってんだ。ハニャーン!」
しぃが大声で怒鳴った。
「モラァァ・・・それなら力ずくで・・・」
モララーは近くにあった鉄パイプをさっとつかみ、しぃに向かって振り下ろそうとしたその時だった。
モララーの後頭部が氷のように冷たくなった。
「モ・・・・・・・・!!」
モララーはあまりの冷たさに声も出せないで引きつっている。
そしてその冷たさはモララーの体全体を貫いた。
モララーは地面に倒れこんだ。死んでいる。
鉄パイプがコンクリートの上に落ちた「カラッカラーン」という音がその場に響いた。



・・・終

626 名前:近藤フ 投稿日:2006/04/23(日) 21:23:48 [ 26k9kIIk ]
しぃ達のアパート

ここはあるしぃ達のアパートそこではこんなしぃ達がいた。
「ココハギャクサツチュウモハイッテコナイカラマターリダネ♪」
「ギャクサツチュウハアタマガワルイモンネ♪」
「ベビチャーン。オチチノジカンヨー」
「チィチィ。ナッコ」
「モウスグベビチャンガウマレルヨ」
「ワタシモヨ」
「ハヤクベビチャンノカオヲミタイナー」
「ダッコシタリコウビシタリシヨウネ♪」
実はこのアパートを破壊する計画が今日だとも知らずに・・・・・・そして
「追撃作戦はいいモナ??」
「OKだYO!!」
「さっさと突入して行きたいぞゴルァ」
「フーン。しぃは結構居るな」
「そんなこと言わずに作戦決行じゃネーノ」
「いくワショーイ」
「オ――――――――――!!」
そして突入計画がスタートします

627 名前:近藤フ 投稿日:2006/04/23(日) 21:32:20 [ 26k9kIIk ]
>>626の続き

「突入開始だモナ!!」
「よっしゃあ!!!」
6人はアパートへ突入しました。
「ここは大家の部屋かゴルァ・・・・・お!寝てるな。チャンスだ」
「ハニャー・・・・・・・ギコクントマターリ・・・・・」
「寝言なんか言いやがって・・・・・いくぜ!」
「ハニャーン・・・・・」
「それ!!!1500℃油爆弾!!」
「シィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!アツイヨォォォォォ!!!!!!!!!!」
「包丁攻撃!!!!!!!!」
「ハニャーン!!!!!!!!ユルシテ・・・・・・・・・・」
「くたばりやがった・・・・・・・血が嘆いてら。プッ」
続いてネーノのところ・・・・・・・・・・・
「ここは・・・・・は?「ベビチャンマターリベヤ」??バカじゃネーノ??」
「ナッコ〜」
「オカアタンガクルマデマッテヨウネ」
「突入開始!!」
「ア!ネーノタンダ!!ナッコ!!」
「うるせー。まあいいや。マシンガン炸裂攻撃!!!!」
ズガガガガガガガガガガガガ
「チィィィィィィィィィィ!!!!!!!」
「手榴弾だ。ポイッとな。さーて逃げるか」(この手榴弾の爆力は部屋一つの爆力ぐらいです)
「ナンデチュカ?コレ??」
「オリンゴサン??デモミドリダチ・・・」
ドガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!
「ギヂィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「すげぇ悲鳴♪すごいんじゃネーノ??」

629 名前:狂人 投稿日:2006/04/28(金) 19:27:26 [ KS9GlAlI ]

無題w

「でよ、そいつが何かニートだったんだよw」
「えぇ?信じらんなーい」
歩道から聞こえて来る中傷的な会話の持ち主
モララーとしぃだ。
「あー・・・腹減った」
「まだ10時半ですが?」
「あっ!?(×2」
おや?こっちに気が付いたようです

「やベー・・見られてんじゃん」
「仕方ないわね・・・アレ、やっとく?」
「アレなら文句無いだろw」



「おーくそむしはけぇーん」
「わー ぎゃくさつちゅうだぁー」
「きほんのみみもぎぃー」

あろうことか虐殺もどきを始めた




24分後


「文句ある?」

大有りだが・・・ん?

630 名前:狂人 投稿日:2006/04/28(金) 20:16:56 [ KS9GlAlI ]
「ナッコ」

おやおやおやおやおやおやおや
きましたよ 恒例の奴が。

「ベビしぃって見てるだけでむかつくのよねぇ・・・」
「でわ早速やらせてもらいますか っとらぁ!」
ドカッ!
「チィィィィィィ!? ケリマチタネ! ママニイイツケマチュヨ!!」

「言いつければいいじゃない。さっさと呼べば?」
「ウルチャイ!  オカアターーーーン!!!」
ズドドドドドドドドドド
「ドウシタノ! ベビチャン!」
「ママ、アノヒトタチニ ケラレマチタ !アポーンチテクダチャイ!」
「きたきた。」
「これでサンドバックがひとつ増えたわね。」
「シィィィィ! ヨクモベビチャンヲ ケッテクレタワネ」
「いやwむかつくから蹴っただけだよ?」
「ちょっとモラ、聞いて。」
「ん?」
(ボソボソ・・・)
「OK」
「頼んだわよ。」

そういうとモラはこっそりとベビに近寄っていった

「スキアリ!!!」

スカッ

「そんなヘボパンチ効きっこないでしょ?いい?パンチはこうやるものよ!」

ドッ

「ジゥッ!?」
「バーカ」

そして今度はモラがベビをつかみ、しぃに言った。

「これ以上生意気な口利くとベビが痛い目見るぞ?」
「シィィィィィ! キタナイテデ ベビチャンヲサワラナイデ!!」

プチッ

「チィィィィィィィィ!!! オミミサンガァァ!!」
「ベビチャン!!」
「言っただろ?痛い目見るって。」
「私達の言うことを聞いたら話してやってもいいけどぉ? クスクス」
「ナ・・・ナニヨ・・・・イヤ、ナンデショウカ・・・」
「50万。50万よ。」
「イマスグヨウイシマス・・・」


「へぇ・・・1万2461円の不足よ。」
「なめてんのか?」

グシャァ!

「ヂ・・・」
「キャァァァ!ベビチャ」

パァン!

「金も払えない糞虫がわめくな」
「すっきりしたわね。」
「すっきりしたら腹が減ったなぁ・・・」
「まだ10時45分です。」
「えぇ・・・・」



終わり

632 名前:ダイニング 投稿日:2006/04/30(日) 20:25:03 [ Wa3a1ZHk ]
「レストラン」

あるしぃとベビしぃ4匹がレストランに来ました(アフォしぃ)

「いらっしゃいませーご注文は?」
「エートオムライストチャーハントカレーライストマーボードウフトショウガヤキテイショクト(ry」
「(随分多いなぁ・・・・・・・・・まあいいか)
「ハヤクヨウイシナサイヨ!!ギャクサツチュウ!!」
「はいはーい」
厨房にて
「おいマニー。注文結構多いが大丈夫か??」
「平気平気。このくらい序の口だ」
「サンキュー。」
10分後
「おまたせしました〜。」
「ヤットキマチタ!!」
「ハヤクタベタイデチュ!!」
「ジャアイタダキマス!!」
「オイチィネ!!」
「少しは静かにしてくれ」
「ハーイ」
1時間後
「5万500円でーす。」
「ハニャー!?サイフガナイヨー!!!!!!!」
「ならば仕事して返してもらおうか・・・・・・クックックックック・・・・・・・」
「ナニチュルノ?」
「ワカリマシタ・・・・」
個室
「ここがお前らの部屋だ。」
「母親は仕事、子供達は料理を作るんだ。」
「ハイ・・・・・・・・ベビチャンタチニゴハンガツクレルワケナイノニ・・・・」
「じゃあ頑張れ。マニー、行こうYO。」
「ああ。」
「ヒドイヨウ・・・・・・」
「ナニヲチュルノ?」
「ママ、オパーイ」
「ベビチャン・・・・・・・・・」
「おい。飯だ。今日はコロッケ一個だモナ。ありがたく思え」
「タリナスギルヨー・・・・・」
「オイチイデチュ!!」
「ベビチャン!!モウタベチャッタノ!?」
「オイチカッタデチュー」
「ウエーン・・・オナカガスイタヨー・・・・」

633 名前:若葉 投稿日:2006/05/01(月) 21:32:10 [ I5RRU.2M ]
タイトル 『蜂蜜の代償 第1部 加虐者編』
ーーーーーーーーーーーーー

「オナガイ、ヒドイコトシナイデ。アタシタチ、ワルクナイノ」
檻の中で、2匹のしぃ族が身を寄せ合って震えている。

「アタシタチ、カワイイデショ。ハチミツクライ、ソッチカラモッテクルベキナノヨ」
反抗的な目で俺を睨みながら、精一杯に虚勢を張っているところが憎たらしい。

「俺が苦労して採取した蜂蜜を盗み食いしたくせに
勝手なことを言うんじゃない。覚悟は出来てるんだろうな、おい!」

声を荒げて檻に手をかけると、2匹は火がついたように激しく騒ぎ立て始めた。
「イヤアァァ! ギャクサツスルノハ、シィヌダケニシテ!!」
「ナンテコトイウノヨ。ハチミツヲヌスモウッテイッタノハ、シィネノホウジャナイ!」

どうでもいいことだが、こいつらの名前はシイヌとシイネというらしい。
「アタシハ、ワルクナイモン。シイヌノホウガ、イッパイタベタンダカラ、アキラメナサイヨ」
「ソレガ、シンユウニムカッテイウコトバ?! アンタナンカ、アタシノカワリニ シニナサイ!!」
「やかましい!」
一喝すると二匹は怯えた目をして口を閉じた。

「だが、そうだな……
蜜の収穫や蜂の管理は、ニヤニヤする暇もないほど忙しい。
俺は疲れてるんだ。だから虐殺するのは1匹だけで勘弁してやる」

ポイッと、2個のホッチキスを檻の中に放り込んだ。
2匹は不思議そうな顔をしながらも、それぞれ1個ずつ拾っている。

「どちらにするかは、お前たちに決めさせてやるよ」
「コレデ、ドウヤッテキメロッテイウノ」
「それでお互いの耳を飾りつけるんだ。しぃ用のピアスってやつだな」
「コンナノ、ピアスジャナイヨォ」
「泣き言は聞かない。早く始めないと2匹とも殺すぜ。いいのか?」

「アタシハイヤ。アタシダケハタスケテ」
パチン、というよりはジャグッという妙な音を立てて、
ホッチキス針がシィヌと呼ばれていたほうの耳を貫通した。

「シィィィ!!!」
シィヌが甲高い悲鳴を上げる。
が、すぐに血走った目でシイネに襲いかかり馬乗りになると
耳をつかみあげ、連続してホッチキスの針を打ち込んだ。

「イタイイタイイタイイタイィィィ!! ヤベデェ、イダイヨォ!!」
泣き喚きながらシイネがバタバタと手足を振り回しているが、
シイヌが体重をかけてしっかり押さえ込んでいるせいで逃げられない。

ジャグッジャグッと、針が貫通するたびに
濁った絶叫をあげて身悶えている姿が笑えた。

「自称カワイイが台無しだな。
なんだその涙と鼻水でぐしゃぐちゃのツラは。ぶっさいくだな、このドブス!」
「アタシハブスジャナ… アギャアァァァイタイィ!!」

からかうと、涙目で何か言おうとしていたが、
また針を貫通されられて言葉は悲鳴に掻き消された。
ひとつひとつの針孔は小さいから、たいして出血していないが
無数に開けられれば痛みは相当なものだろう。

「ヤッタワ!! アタシノカチネ」
カチカチと、針を使い果たしたホッチキスを鳴らしながら
針と血で銀と赤に染めあげた耳を指差す表情は、勝ち誇っていた。

「次は針を抜け。俺の持ち物だから返してもらうぞ」
「ワカッタワ、ハリヲヌイタラ、オウチニカエレルノネ」

そんなことは言ってないが。あえて俺は黙っておいた。

「ハニャーン。マターリノカミサマハ、アタシノミカタネ」
勝手な解釈をしたシイヌが、耳朶と針の隙間にホッチキス本体の
後部にある針抜き部分を無理に差し込もうとして

「イッタァァーイ!! トレナイヨゥ、イタイヨォゥ」
失敗して耳肉を抉ってしまい、悲鳴をあげた。

肉にくい込むように綴じられているホッチキス針は抜くほうが痛い。
自分で自分の耳肉を傷つけながら懸命な努力を続けているが
針の位置を目で確認できないこともあり、難しいようだ。

そんなシイヌを、シイネは狂気を孕んだ視線で凝視していた。

「アタシハシナナイ、シンデタマルモンカ。ナニヨ、コレクライ」
地の底を這うような低い声音で呟くと同時に、針だらけの耳を引っ張り始める。
「シィィィィィアァァァ!!」
ホッチキスの針で開けられた無数の孔が、ミシン目のような役割をして
ギヂギチと鈍い音を立てながら裂けていき、耳が頭部から引き千切られた。

「カツノハ、アタシヨ。アタシノ、オミミニツイテタ、ハリヲカエスワ」
ハァハァと肩で息を息をつきながら、鬼気迫る形相でシイネが
自らの手で千切り取った耳を俺に差し出してきた。

634 名前:若葉 投稿日:2006/05/01(月) 21:34:05 [ I5RRU.2M ]
意外と根性のある奴だ。
「いいだろう。お前の勝ちだと認めてやる」

俺は檻から茫然としているシイヌをつかみ出して
素早く背後に回した棒で十字の形に固定した。

「シィィィ、ヤメテェ、タスケテェ」
固定した直後に、茫然自失から立ち直ったシィヌが情けない命乞いをするが
無言で抱き上げて台所へと向かった。
台所では、火にかけておいた鍋の油から湯気が立ち昇っている。

シイヌの身体を傾けて、沸き立つ油の中へと片腕を浸した。
鍋底に当った棒の先がカツンッと微かな音を立てた直後に
じゅわあぁっと、浸した腕の周囲から大小の泡が躍る。

「ヒィギアァァァ!!」
しぃ族とは思えない絶叫がシイヌの咽喉から迸った。いい音色だ。
棒に括りつけた腕は動かせないから、油跳ねの心配もない。
頭を左右に振り乱し、足をばたつかせて泣く顔を観察すると
俺の脊髄を駆け上がるようなゾクゾク感が得られた。

「チッ。もがく動きが緩慢になってきたな……片腕くらいで死ぬなよ」
油から引き上げた腕肉は、ひとまわり小さくなったように感じられた。
よく見ると火傷で捲れ上がった肉の部分からは
油とは微妙に色合いの違う脂が垂れ落ちている。

どうやら熱で皮脂が溶け出したようだ。だから肉が縮んでるんだな。
表面は旨そうに揚がっているが、中身はどうだろうか。

「余計な皮を剥いて確認しよう」
咽喉奥から浅く息を洩らしながら、ぐったりしているシイヌを床に寝かせると
俺は火ぶくれしている皮膚を、適当に金ブラシで擦った。
毛皮が捲れ上がって金ブラシにまとわりついてくる、この重みがいい感触だ。

「ジイィィィィィィ!! ウビャビャビャビャガアァ!!」
力尽きたかと思っていたシイヌが全身を痙攣させながら、また暴れだした。

「何だ、元気じゃないか。さっきのは仮病か?」
毛皮は煮えて変色した肉ごと、ブラシで強引に削り取って捨てた。
剥き身になった赤い肉の上で金ブラシがリズミカルにダンスする。

「そうだ。せっかくだから喰ってみるか?」
筋肉をグシャグシャにブラシで掻きまわした傷口に塩コショウを振りかけてやった。

「ヒギャアァァシィィィィ」
沁みたのか悶え苦しんでいるが、心なしか声が小さくなった気がする。

再び油の中に腕を浸すと、しばらくは叫び続けていたシイヌだったが
そのうち腕の痛覚が麻痺してしまったのか、もう叫ばなくなった。
麻痺というよりは神経が細胞ごと壊死したというべきかもしれない。

「オテテ……アタシノオテテ」
叫ばなくなったが鍋の中を、うつろな目で見つめている。
自分の腕が揚げられている光景は恐ろしいものだと思うんだが
目を離すこともできないでいるというのは、どんな気持ちなんだろうか。

「どれ。そろそろ揚がったな」
揚げたての腕肉を喰いちぎると、なんとも形容しがたい臭気と苦味が広がった。

「まずっ! やっぱ、しぃ肉なんか喰うもんじゃねえな」
鶏肉も絞めた直後は硬くて喰えたもんじゃないが、しぃ肉の不味さには及ぶまい。
ペッと床に吐きだした肉塊を踏みにじると、それを見てシイヌが泣く。

「ヒドイ、アタシノオテテナノニ。アタシノオテテヲカエシテ」
ただでさえ口の中に不味さが残っていて忌々しいのに
べそべそ泣く陰気な声が鬱陶しい。どうしてくれようか。

「どんなに糞まずくても食いものは粗末にしちゃいけないってか」
踏みにじったばかりの肉を拾い上げ、そのままシイヌの口の中に押し込んだ。
埃や靴裏の泥ゴミがついてたが、喰うのは俺じゃないから気にしない。

「おら、喰え。吐き出したらタダじゃおかねえぞ」
「ウェッグフッ、グエッ」
しゃくりあげ、懸命に吐き気を我慢しながら自分の肉を咀嚼している姿は
俺の暗い嗜虐心を満足させてくれる。少しは気が晴れた。

「お前だけ食事するのは不公平だな」
シイヌを抱いて檻の前へと戻ると、焼け爛れた腕を檻の隙間から突き入れる。

「お前も腹が減ってるだろう。飯だぞ」
ヒイッと息をのむ気配が伝わってきたが、空腹と俺への恐怖からか
おそるおそるシイネがシイヌの腕肉に齧りつく。

「マズゥイ、ケホッケホッ。クサイ。カタイ、コンナノタベラレナイ」
すぐ口を離して咳き込みながら嫌そうに文句を言った。
俺がやったのと同じように、ペッと床に喰いちぎった肉片を吐き出している。

635 名前:若葉 投稿日:2006/05/01(月) 21:35:07 [ I5RRU.2M ]
「ふむ。じゃあ、もう片方の腕を別の方法で調理してみるか?」
無事なほうの腕を撫でるとシイヌが悲鳴をあげた。

「シイィィ!! オナガイ、オイシイッテイッテ! モウスコシダケタベテ」
懸命に、かつての友達に自分を食べてくれと願う姿は、ひどく滑稽でシュールだ。
ニヤニヤが止まらない。

「モウイヤ、コンナノイヤダヨォ。アタシノオテテ、オイシイッテイッテヨ」
しかしシイネは黙ったまま顔を背けている。
友達の哀願よりマズイものを口にしたくないという気持ちのほうが強いらしい。

「アタシノオテテ、ナクナッタラツギハ、アンタノバンカモシレナイノヨ。ワカッテルノ!!」
「シィィ!? ソンナノイヤ。オ、オイシイワ。トテモオイシイ」
自分が吐き捨てた肉を拾って、口の中に放り込むと鼻をつまんで飲み込んでいる。

「アァ、アタシノ、オテテ」
シイヌはそれを、安堵とも悲しみとも判別つけがたい微妙な表情で見ていた。

「食事の時間は終わりだ。思ったより疲れたから、虐殺は明日に変更するぞ」
シイヌを拘束していた棒から解き放ち檻の中へと投げ入れると
俺はそのまま寝室へと向かった。



いい気持ちで眠っていたのに、夜中に物音で目が覚めた。
耳を澄ませると、どうやら檻の方向だ。
あいつら喧嘩でもしてるのか?

様子を見にいくべきだろうか。
いや、やめた。眠いし面倒くさい。布団から出たくない。

シィィィィッ というくぐもった、かすれた泣き声が聞こえた気もしたが
俺は無視して目を閉じた。

ー終ー

636 名前:若葉 投稿日:2006/05/01(月) 21:37:53 [ I5RRU.2M ]
タイトル 『蜂蜜の代償 第2部 シイヌ編』
ーーーーーーーーーーーー

どうしてこんなことになってしまったんだろう。
あたしはただ、蜂蜜を食べただけなのに。

薄暗い部屋の片隅に据えられた檻の中で、あたしは考える。
親友のシイネに蜂蜜泥棒に誘われたからやっただけ。
蜂蜜の所有者はボーッとした男が1人きりだったから簡単に盗めた。

ああ、おいしかったな、あの蜂蜜。
罠にかけられて捕まりさえなければ、ずっと味わえたのに。

何度も同じ場所で盗み続けたのが悪かったのかな。
ううん、あの男に捕まったのは愚図なシイネのせい。
なのにどうしてあたしが、こんな酷い目に遭わなきゃいけないの?
全部、ぜーんぶシイネが悪いのに。シイネのせいなのに。

お耳をホッチキス針で挟まれて、お手手を熱油で揚げられた。
と、言っても。実際に針を刺したのはシイネだったけど。
あの男が、あたしとシイネ、どちらかは助けるって言ったから。
だから命令に従い傷つけあった。
あたしたちが争う姿を見て笑っていた、嫌な男。
けどシイネは、もっと嫌な奴。
本当はあたしが勝つはずだったのに。シイネの裏切り者!

負けたあたしは、あの男に縛られて片腕を油に浸けられた。
じゅわあっと音がして、凄まじい熱があたしの腕を包み込んだ。
咽喉が潰れるかと思うほどの悲鳴を上げても誰も助けてくれなかった。
毛皮は縮み引き攣れ、肉の上で油が弾ける激痛。
火傷のあとを、こじ開けるみたいにして金ブラシで擦り上げられたときは
自分の声が自分で認識できないほどに叫び続け悶絶した。

あの激痛と恐怖。苦しみ。悲しみ。明日も続くのかな。
あたしはもういや。責めるならシイネにして。

「アツイヨゥ、オミズノミターイ」
シイネが苛立った声を上げている。
たしかに暑い。室内の気温は40℃を超えていそうな感じだ。
そのせいで、あたしの焼け爛れた腕からは腐臭が漂い始めていた。

「シイヌナンカ、モウトモダチジャナイ。クサイ、サイテー」
暑さと悪臭に耐えかねたのか、シイネが鼻筋に皺を寄せて睨んでいる。
罵倒されても、反論するだけの気力が残ってない。
悔しい。悪いのはシイネなのに。
それに気安くシイヌだなんて、あたしの名前を呼ばないでよ。
あんたにはもう、あたしの美しい名を呼ぶ権利なんかないのよ!

唐突にチクリッと腕の付け根付近に痛みを感じて
あたしは考え事をやめると、自分の腕に視線をはしらせた。
ゴマ粒みたいな小さい黒い虫が無数に、あたしの腕の上を這い回っている。
小さくても何千、何万という虫の大群が蠢いているのは
かなりグロテスクで衝撃的な光景だった。

名前は知らないが、この虫は見たことがあった。
ゴミ箱の周辺に生息している、獰猛で貪欲な性質の虫だ。
餌を見つけると仲間を呼び寄せる。蟻のようなものだろうか。
どこに潜んでいたのかと思うほど迅速に増えて、喰らい尽くしていく。

あたしのお手手は餌じゃないのに。
どうしよう、いつのまに忍び寄っていたんだろう。
こんなに増えてるなんて。どうしよう、どうしよう。
ちっとも気がつかなかった。気ばかり焦って、声が出ない。
いけない、落ち着かなくては。パニックに陥ってる場合じゃない。
虫がたかっていることに気がつかなかった原因は
揚げられた腕の細胞は壊滅しているせいで感覚がないからだ。
でもそんなこと今、分かっても意味はない。

どうしよう、どうしたらいい?
爛れた腐肉を喰らい、まだ神経が残っている肉の部分に到達した虫。
このままでは、生きたまま貪り食われる。

637 名前:若葉 投稿日:2006/05/01(月) 21:38:43 [ I5RRU.2M ]
「シィィィ!! ダスゲデ、ダスゲデェ」
やっと声が出せた。でも、囁きみたいな声量しか出ない。
しかも叫ぶために開いた口の中へも虫が侵入してくる。
弱りきった身体は思うように動いてくれなくて、それがもどかしい。

「シィネ、オナガイ、ダズゲデェェェ」
涙を振り散らかしながら濁った声音で必死に呼びかけると

「ヤダァ、コッチコナイデ」
シイネは自分の周辺に近づいてきた虫だけを踏み殺した。
この虫は仲間の死臭に敏感で、その方向には行かない。
必然的に、あたしの身体だけに、たかってくる。
痛覚が残っている肌を裂き、肉を喰らうために。

「ヒィッヒイィィィ」
もぞもぞと、あたしの皮膚が動いている。
自慢の白い毛先が皮膚の動きで揺れている。
その皮膚の下に潜り込んでいるのは虫だ。虫が蠢いている。

「シイィィィィィ!! ダスゲデェェェェ!!」
筋肉の一筋一筋を噛み砕きながら這い進んでくる虫の大群。
腐臭と、むせ返るような血の匂い。

視界の隅で頬の皮膚が揺れるのが見えた。
ああ、もうこんなところまで喰い進んできているんだ。

「シイィィィィ」
泣きじゃくりながら、弱った身体で懸命にもがき暴れる。
爪の先が頬を掠めると少し血が流れた。
血と一緒に、小さな点々が…虫たちが這い出てくる。

「ギャアア、アタシノ、オカオカラ、ムシガアァ」
頬の内側で血肉を喰らいながら蠢く虫。
頬の外側に這い出て顔の上を這い回る虫。
気持ち悪い。怖い。痛い。食べられちゃう。誰か助けて!

「シイィィィィ!?」
顔の上を這い進んできた虫の頭が、あたしの目に大きく映った。
や、やめて。目はダメ。目の中に入らないで。

願いもむなしく、どんどん虫の姿が大きく迫ってきて
ついに目尻から眼球へと足を忍ばせてきた。

「シィィィ、シイィィィ」
反射的に目を閉じても、もう遅かった。
意外と眼球は硬く丈夫なようで簡単には食い破られない。
でも、そんなの何の慰めにもならない。苦しみが長引くだけなのだから。
生きたまま、じわじわと虫に食われていくなんて嫌。
これなら虐殺厨に一気に殺されたほうがマシだった。

あぁ、マターリの神様。あたしを助けて。

しぃ族が唯一信仰している神に祈りを捧げても虫は止まらない。
視神経を食い荒らされ、組織を解体されて目玉が転げ落ちた。
痛い、痛い、痛い。苦しい、苦しい、苦しい。

咽喉の器官も食い破られたのか、悲鳴をあげられなくなってきた。
ヒューヒュー呼気だけが血混じりに吐き出される。
自分の意思とは関係なく、ビクビクと四肢が痙攣した。
虫はこのまま脳や心臓にも侵入して食い荒らしていくと思う。

そしたらあたし、どうなっちゃうの?

しばらくすると痛みが和らいできた。なんだか、ふわふわする。
現実離れした浮遊感に身をあずけて思ったことは。

あたし、もう死ぬんだ。

それだけ、だった。やっと、楽になれるってことだけ。
でも死ぬ前に、もう一度だけマターリしたかったな。

………ダッコ

満足に動かすことさえできなくなった唇で、最期の言葉を紡ごうとしたが
実際に出たのは声ではなく、血反吐だけだった。

ー終ー

638 名前:若葉 第3部 投稿日:2006/05/01(月) 21:41:47 [ I5RRU.2M ]
タイトル 『蜂蜜の代償 第3部 シイネ編』
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

シイヌが死んだ。
あたしはシイヌがいつ、死んだのか気がつかなかった。
だって虫の動きで、身体はいつまでも微かに動いていたから。
首筋を食い破られてゴロンッと頭が、あたしのほうを向いたときに
初めて死んでしまっていたことに気がついた。

眼孔のあたりがモゴモゴと動き、黒い点々が涙みたいに溢れている。
あの点々のひとつひとつが、シイヌを殺した虫。
無数の小さな虫が、今もまだ遺体に群がっている。

ギィ

扉の軋む音で、あたしは蹲っていた体制から跳ね起きる。
あたしを閉じ込めている檻の柵をつかんで、あの男を……
シイヌを死に追いやった虐殺厨を待った。

扉を開けて入ってきた男は、意味もなくニヤニヤと笑っていた。
と、死んでいるシイヌに気づいてその笑いを引っ込める。

「腐肉の臭いに惹かれて悪食な虫を呼び寄せてしまったのか。
あいつには振りほどくだけの体力が残っていなかったんだな」

声に苛立たしさが滲んでいる。
ぞっとするような冷たい目で、あたしを睨んだ。

「で? じわじわと虫に食い殺されていく友達を見捨てたのか」
表情には、あたしへの侮蔑と不快感が浮かんでいる。
な、なによ。あたしのせいじゃないでしょ?

あんたが、蜂蜜を盗んだシイヌとあたしを見逃してくれていたら。
あんたが、こんな檻の中に、あたしたちを閉じ込めたりしなければ。
あんたが、シイヌのお手手を油であげたりしなければ。
あんたが、お部屋を涼しくしてシイヌのお手手を腐らせなければ。
あんたが、この檻に虫が近づかないように気をつけていたら。
そしたら、シイヌは死ななかったのよ。

あんたは、最初からシイヌを殺すつもりだったくせに。
あたしは、ちっとも悪くない!

「ムシハキライナノ、タスケルナンテムリヨ。シカタナイジャナイ」
思うことはいっぱいあったけど、この男は怖い。怒らせちゃダメ。
精一杯媚びた表情を浮かべて甘い声を出したのに

「お前のまわりに散らばってる虫の死骸は何だ?
自分に向かってくる虫を踏む殺す力は充分のようだな」
男の険しい表情は、ちっとも和らいでくれなかった。

「ソンナコトヨリ、ヤクソクヨ。アタシハ、オウチニカエラセテ」
この男は約束した。虐殺するのは、あたしかシイヌどちらかだけって言った。
シイヌは死んだんだから、あたしは助かるのよね。

「シイヌでは最期まで遊べなくて残念だったが
過ぎたことを悔やんでも仕方ないな」

名残惜しそうにシイヌの亡骸を見つめてから、あたしを見る目が怖い。
檻の鍵が開けられたから、あたしは動揺しながら檻から出た。

「さて、これからどうしようか」
剣呑な光を帯びた視線で貫かれてるように、体が強張る。
自由になったはずなのに、逃げ出すことができない。
どうして? あたし、助かるんじゃないの?

そうだ、あたしは可愛いんだから魅了すればいいのよ。
そしたら蜂蜜も食べさせてくれるかもしれない。

「ハニャーン、コウビ、サセテアゲルワ」
思いっきりセクシーな声を出して魅惑的に身をくねらせてみせた。
四つん這いで、お尻を高くあげて誘うように腰を振る。
あの男に背を向けた悩殺ポーズだから表情は見えないけど
視線があたしに絡み付いてくるのは感じられた。

639 名前:若葉 投稿日:2006/05/01(月) 21:42:47 [ I5RRU.2M ]
「ハニャーン、カワイイアタシト、ハニャーン…ハギャワアァァァ!!」
いきなり、あたしの無防備で敏感な部分が蹴り上げられた。
蹴られた瞬間に靴先がデリケートな体内にめり込む。
骨盤が割れたかと思うほどの激痛が駆け巡った。

「シィィィィ、シィィィィィ」
蹴り飛ばされた衝撃で体が一瞬、宙に浮いて顔から床に激突したけど、
顔の痛みより大事な場所の痛みのほうが深刻だった。
ズキン、ズキンと心臓の鼓動に呼応して痛みが広がっていく。

「ヒドイィィ、ヒドイヨオォ」
涙で霞む視界で男を睨むと、男もあたしを睨んでいた。
額に青筋が浮いている。かなり苛立っている様子だけど

なんで?
あたし、何か怒らせるようなことした? わかんない。もう最悪。

「お前の媚態なんか不愉快なだけだ。とっととこっちに来い」
首根っこをつかまれてズルズルと引きずられるようにして歩かされる。
移動させられた部屋の中央には、目の細かい網袋に入れられた木箱が置かれていた。

「その網の中に頭を入れろ」
言われたとおりに頭を入れると、男は網ごと首輪を嵌めて鍵をかけた。

「ナンナノ、アノハコ。コノクビワ、ハズシテヨ」
振り向くと、さっきまで苛立っていた男の顔にはニヤニヤ笑いが戻っていた。
嫌な予感がする。

「あの箱には蜂が入っているんだ。
箱に震動を与えると襲ってくるから動くなよ?
音にも反応するから、大きな声も出さないほうがいい」

「ヤクソクガチガウ。ギャクサツシナイッテ、イッタクセニ」
なるべく小さな抗議すると、男が含み笑いを漏らした。
「シイヌが生きていたら、状況は変わったかもな」

「イヤ、タスケテ。シニタクナイ。シニタクナイヨ」
虫に食べられたシイヌの姿が脳裏に浮かぶ。
あんな死に方は絶対にしたくない。

「ただ見てるのもつまらないから、遊ぼうぜ」
バチバチバチッ
見せつけるように、スタンガンを作動させて男が笑う。

「ヤ、ヤメテ。ヤメテヨォ」
バチバチッ
青白い閃光と共に、あたしの耳に電流が流された。
悲鳴をあげそうになって慌てて声を飲み込んだ。
大きな声は出しちゃダメ。蜂が来ちゃう。

「ヤメテ、ヤメテヨ」
涙をボロボロと流しながら、少しだけ男から遠ざかる。
あまり大きく動いて網が引っ張られたりしたら
箱が動いてしまうから、そうならない範囲でしか逃げられない。

太股に電流を当てられて、あたしは大きく足を振り上げた。
スタンガンの電力は低くて、それほど激しい痛みや熱はないけど
当てられたら反射的に動いてしまうのは止められない。

「無言でどこまで踊れるかな」
男は楽しそうに、あたしの首筋や手、足、背中へと
気まぐれに電流を流してくる。
あたしは歯を食いしばって耐えることしかできない。

どすっ
「ゲホッ、ゴフッ」
いきなり、お腹に拳が埋め込まれた。
息が詰まって胃の内容物が逆流しそうになる。

「スタンガンは飽きた。やっぱ殴るほうが面白いや」
「シィッシィィィ、ヤメテヨ、オナガイダカラ、ヤメテ」
胸や腹や背中を殴られ、蹴られながら、あたしは必死に逃げ回る。

「そんな狭い行動範囲で、よく器用に逃げられるもんだな」
愉快そうに男は、あたしを追い立てて喜んでいる。
拳が当ると、その苦痛もスタンガンより大きくて
なかなか悲鳴を噛み殺しきれない。声量を抑えるだけで必死だった。

「アッ……」
男に足を蹴られて、あたしは派手に転んだ。
首に連動している網が大きく動いて、箱が倒れる。

「イヤ、シヌノハイヤ。タスケテ、ダレカ、ダレカ」
箱から、黄色と黒の禍々しい縞模様をした悪魔が飛来した。
顔! あたしの顔! 刺されたら、大変なことになる。

「イヤアァァ、シニタクナイ、シニタクナイィィ」
渾身の力で暴れたら、後ろ手で縛られていた手の紐が解けた。
咄嗟の判断で、あたしは顔の前で網を握りしめる。

蜂が、あたしの手に止まった。
力強い六本の足が皮膚に食い込んで痛い。
複眼が、あたしの顔を見つめているような気がした。

「シィィィィィィィ、ササナイデェ」
ゆっくりした動作で蜂が尻を折り曲げていく。
尻から突き出ている針は太くて鋭そうだった。

640 名前:若葉 投稿日:2006/05/01(月) 21:48:39 [ I5RRU.2M ]
「シィィィィィィィィィィィィィィ」
ぷすり、と針があたしの手に突き刺さっていく。
「シィィィ、シギィィィィ」
1回刺しただけではなく、手に針が刺さっている状態のまま
ぐいぐいと奥へと針を動かすような蜂の動き。
今、毒液を注入してるんだろうか。

それでも、あたしは手を離さなかった。
顔を刺されるくらいなら、手を刺されていたほうがいい。
虫に顔まで食い荒らされたシイヌの姿は網膜に焼き付いている。
あたしはシイヌとは違うのよ。あんな無様な死に方などするものですか。絶対に!

「イキヌイテヤル。シナナイ、シヌモンカ」
あたしの手に止まっている蜂を、自分の手ごと地面に叩きつけた。
手の骨が折れる音と激痛には泣き叫ばずにはいられない。
でも、その下敷きになって蜂も潰れた。あたしは勝ったんだ。

蜂は死んだけど刺されたせいで腫れてきている手に口をつける。
網越しに啜って毒を吸い出すと、床に吐き出すことも忘れない。
これで、もう大丈夫ね。

「ハァ、ハァ、ハァ。シナナイ、アタシハシナナイ」
肩で大きく息をつく。首輪がきつい。咽喉が圧迫されて苦しい。
あれ、なんだか声にビブラートがかかってる。口の中が渇ききっている感じもする。

「オミズ、ノマセテ」
昨日から水を飲んでいないから脱水症状かもしれない。
なんだか、唇が痺れてきた。寒気もする。

「蜂毒によるアナフィラキシー(急激なアレルギー反応)だな。
発症が速いと重症化しやすいらしい。お前、死ぬかもな」

なに、いってるの? 毒は吸い出して捨てたから、もう大丈夫なのに。
怒鳴ってやろうとして口を開いたら、胃液が逆流してきた。
げぇげぇ吐いて、床に蹲る。眩暈がして、立ち上がれない。
さっき殴られたお腹の痛みが、今頃になって増してきた。

「オナカ、イタイヨゥ。スゴクイタイ。クルシイヨ、シィィィィ」
「そんなに苦しいなら俺が殺してやろうか?」
寒気がするような猫なで声を出しながら、男が近づいてくる。

「サワンナイデヨ」
差し伸べられた手を拒絶した。男は面白そうにあたしを眺めている。
「本当にアフォだな。窒息死ってのは派手さはないが苦しみは一級だ。
俺に虐殺してもらえたほうが楽なのに、生命根性の汚い奴だな」

はぁっはぁっ。
苦しい。息が。息が。首輪がきついせいで、息が。

「クビワヲハズシテ、イキガ、デキナイデショ」
「蜂に刺される前までは普通に呼吸してただろう。
発症してるってこと、そんなに認めたくないのか?」
男が笑いながら、あたしの首輪を外してくれた。
首輪がなくなって楽になるはずだったのに、息苦しさは消えない。

「ドウシテ。クルシイ、ヨ」
咽喉が圧迫されてる。もう何も無いはずなのに。
「ほら、鏡を見てごらん。今の自分の顔を」
「シイィィィィィィィ!?」
気味悪いほど優しい声で、男が差し出した手鏡に映っていたのは
ぱんぱんに醜く膨らんで変わり果てた顔だった。
どうして? 顔は刺されてないのに。頑張って守ったのに。
悲鳴をあげたら口の中も派手に腫れているのが鏡に映った。

「アタシノ、オクチ。ナンデ、ハレテルノヨ」
「自分で蜂毒を口に含んだからだ。馬鹿だろう、お前」
だって手に口をつけて吸い出した毒は捨てたよ? 捨てたのに。
少しの間だけでも入れたのが悪かったの?

「イ、ヤ。シタクナイ、シニタク、ナ、イ」
立ち上がろうとしたけど、うまく立てない。
ようやく立って、逃げ出そうとしたけど右足が動かない。
左足だけで走って右足は支点になってる。くるくるとその場で回るだけだった。

馬鹿なことをしていると判っているのに、左足が止まらない。
息が、できない。
目が霞んで、よく見えない。太股に濡れた感触がして異臭が漂った。
アンモニア臭と、もうひとつは……便、かな。
なんて、ひどい臭い。ここは、おトイレなの?

「うわっこいつ、漏らしやがった」
男が悲鳴をあげているのを、どこか遠くで聞いている感覚だ。
すぐ傍にいるはず、なのに。

はぁ、はぁ、はぁ。
呼吸しようと、必死で大きく口を開ける。
耳鳴りがする。頭が割れるように軋んで痛い。苦しい。
意識が混濁してきた。
自分がまだ走り続けているのか、それとも力尽きて倒れ
横たわっているのかすら、よく判らない。

もう何も見えない。何も聞こえない。
寒気がする。手足が冷たい。息が、息、が…
死にたく、な、い。
息、が。もう、でき、な……死、に…た…な……

ー完ー

641 名前:RYOr 投稿日:2006/05/02(火) 17:57:07 [ Qo53l4Qc ]
『あるチビギコの最後』

血の臭いと、腐りかけた魚の臭いが同時に鼻を突く。
一気に激しくなる呼吸を抑えつつ確認する。

右手に棍棒を手にしたモララーは僕の住処のゴミ箱の前に
無表情に立っていて、左手にはちぃちゃんの首がある。
僕はそこから少し離れた半壊して捨てられた本棚の影に
隠れて息を潜めている。

ミケちゃんとレコ君は抱き合っている、
レコ君は首が百八十度曲げて、ミケちゃんは黒と白の毛が
すっかり刈られて電動バリカンを口に押し込まれて、
二人とももう微動だしない。
フサ君は見当たらなかった。
おそらくフサ君は三人を置いて逃げ出したのだろう。
とにかく僕達のゴミ箱ははもうどす黒くなっていた。

…もう僕は気付かれてしまったろうか。
僕は同居人たちの死を見届けると盗んだ魚をその場に
放り投げ逃げ出した。

どうやらモララーは気付いていたようで僕が逃げると
追いかけてくる

モララーはさっと振り向いて確認するとスーツを着ていた。
既に左手にはちぃちゃんの首はなく、拳銃が握られている。

今とおりすぎたの魚屋と八百屋の裏手側だった。
しまった、この先は行き止まりの壁だ。
僕には逃げ道がない。


チュンッ!

恐らくモララーの放った弾がアスファルトに弾かれる。

バチュンッ!
今度はすぐ隣にあったコンクリートブロックが割れる。
だんだんと銃の狙いが定まっていく。

ブシュッ
遂に弾がかかとに当たる。
前のめりに僕は倒れた。

642 名前:RYOr 投稿日:2006/05/02(火) 17:57:36 [ Qo53l4Qc ]
――もう、いいや。疲れた。

そう言えばフサ君たちに助けてもらったのこんな時だったな。



僕は三男で特別に兄弟でものろまだった。

兄達からは嫌われ盗みが失敗すれば必ず僕は八つ当たりされ、
母からは食事を与えてくれない日が沢山あった。

そういえばいつものろまの僕は盗みのときには囮にされて、
何回も腕をもがれそうになって僕の服のすそを掴む店員の手に
噛み付いて逃げたことが数え切れないほどあった。

必死に逃げ続け母達の住処に付いたら、すでに住居をかえて
いたこともあった。
母親達にぞんざいな扱いを受け、寝床は兄達に奪われ
新聞紙を体に巻いて、モララーが来るかもしれないから
立ったまま夜をすごす。
それでも兄達や同じ年のモララーやモナーの子供を見て
羨んだことはなかった。
母が食べ物をくれないので毎日ゴミ箱をあさり続け
公園の水道水で足りない分腹を膨らませ、時には
虐殺された同族の肉を食べて一日に他人の生活を見る事の
必要も余裕も、考えることすらなかった。

たまに食べた同族の肉はゴミ箱なんかをあさって食べた時の
肉と違って新鮮で血が溢れていて、何かの悲鳴が聞こえた。

――家族と過ごした日々は五歳のときに終わった。
最も兄達は家族とは思っていなかったろう。

住処にモララーがやってきた。
まず、しぃである母が殺された。

喉に果物ナイフを刺され、母は倒れるとモララーに犯され、
最後に首が千切れるまで絞められた。
そして二人の兄達は僕を差し出し「助けてくれ」と頼んだ。

でも交渉は決裂してその場で二人は油をかけられて
一瞬にして火達磨になって二人はお互いを指差して、
『こいつを殺してもいいから助けてくれ』と必死に頼みながら
結局燃え尽きた。
僕はモララーが二人を見て笑い転げている内に逃げ出した。
しかし、モララーが見逃している訳は無くすぐに追ってくる。
その時だった、フサ君たちが突然現れて住処にかくまって
くれたのは。
その時にはまだ、レコ君もミケちゃんもいなかった。
フサ君は一人でゴミ箱に住んでいた。

殺されるかもしれないのにかくまってくれた理由を聞けば、
彼は笑って一度も会った事も無いのに「友達だからデチ!」
と答えてくれた。
それからは楽しかったな。
いつも、いつも肉屋や魚屋から盗んでは二人で食べて、
眠くなったら背中を寄せて寝たっけなぁ。

643 名前:RYOr 投稿日:2006/05/02(火) 17:58:33 [ Qo53l4Qc ]
いつからだったかな、フサ君が僕に対して冷たくなったのは。
レコ君はミケちゃんと仲良くなってフサ君もちぃちゃんと
なかよくなっちゃって最後にフサ君と話したときは
「コレでボクも童貞脱出デチ!」だったっけな。

でも、それで良かったのかもしれなかった。
僕はフサ君がが生き延びればそれでいいや。



まもなくニタニタとモララーが近づいてくる。
モララーは再びふところに手を入れると大振りのナイフを
右手に握った。

うつ伏せに倒れたままの僕にモララーは銃弾のめり込んだ足に
ナイフを振り下ろす。

右足が切り取られる感覚と肉に包丁が触れる感覚が重なる。

膝から下が切り取られた。
その衝撃は体を伝い、痛みでのたうちまわり体制は
仰向けに変わる。


モララーは次にナイフを両手に握ると、僕の腹に突き刺した。

「うぶぅっ!うぼぉあ!」
血が吹き出て小腸や大腸は僕の腹の上で踊り狂いナイフの刃は
それらを突き刺しつつ周りに放りまく。

できればフサ君にさよならを言って死にたかったけど、
彼はもう僕の事などどうでもいいんだろう。



そう思っていたときだった。


「チビタンを離すデチ!」
いつも、いつも聞きなれた同居人の中で一番声の高い彼の声が
僕のうめき声で埋め尽くされていた裏通りは一気に壊れる。

644 名前:RYOr 投稿日:2006/05/02(火) 17:59:05 [ Qo53l4Qc ]
モララーは背後にいたフサ君に振り向くが、フサ君の手にある
おそらく盗んだであろう彫刻刀に肩を刺される。


ああ、フサ君。
君はなんていいやつなんだ。畜生。


肩を刺されても尚、モララーは機敏に動き体勢を立て直して
振り返るとモララーはフサ君を見据えるとナイフでフサ君へ
斬りかかった。


しかしそれは僕がさせなかった。

僕は張ってモララーの足を掴み、斬ろうと踏ん張っていた足は
バランスを崩し今度こそ前のめりに転ぶ。

フサ君はその隙を逃さず彫刻刀をモララーの後頭部に
力いっぱい何度も何度も突き刺した。

二人は倒れたまま動かないモララーを見つけ同時に
大きく息を吐く。

事は終わったかのように見えた。


「チビタン!だいじょ 」
フサ君は大きく吐いてそれでも尚荒い息を吐きながら
僕に喋りかけた寸前だった。

645 名前:RYOr 投稿日:2006/05/02(火) 18:03:12 [ Qo53l4Qc ]
モララーは突然立ち上がるとナイフを握りなおし、
ナイフは一瞬フサ君の首の前で煌き、すぐに鈍く赤く染まる。


ボトッ

4秒遅れてフサ君の首は僕の顔やモララーに血を撒き散らし
数m離れた地面に着地した。

モララーは「ヒヒッ」と笑い声を上げると今度は僕を見る。

モララーは動きを止めるために僕の左足を全部切り取った。
体中から血は溢れるように流れ続け痛みは叫びあおり立てて、
僕はいよいよ死を実感し始めて体は段々冷たくなってきた。

モララーは痛みで体中をうごめかせている僕を見つめて
ニヤニヤ笑っていて、しかしその顔が視界から消えるのは
すぐのことだった。

それは僕が死んだからではなくモララーが倒れたのだった。




突然と言っていいほどの終わりは僕には何も与えなかった。

そして、あまりに巨大だったモララーがいなくなった後に
見えたのは首をなくして静止したフサ君だった。

「あ…あぁあ…あああ 」

見ていたのにもかかわらず今見えるそれには呻き声を
あげるのがやっとで零れ落ちる涙は止まらず、口の中は
血と鼻水の味でいっぱいになった。


僕は手をすぐに地に置くと爪を立て這う。

腹からだらしなくぶら下がる小腸はアスファルトに垂れ、
もはや痛みも感じなくなった体を引き摺り目指すのはフサ君
だった。
這い続けやっと触れられたフサ君の頭はたった数分で
あっという間に冷たくなりけれど眼はしっかりと
僕を見つめていて、でもやっぱり、顔は真っ白だった。


「ァァァぁぁぁああああアアアアアア!」
二、三度血を吐きながら絞り出した叫びは酷く弱弱しく、
叫び声の後はもっと口から血がこみ上げてくるようになった。

「なんでだよ…なんで助けに来たん…うぐっ」
言葉は吐血によりとぎらざるおえなかった。

「君だけでも…君にだけでも…逃げて、逃げてほしかった。…バカヤロウ」
すっかこの一言に力を使い果たした僕はフサ君の頭を抱きしめて
泣くことしか出来なかった。


僕の血ですっかりと濡れているフサ君の頭を握り締めていると
僕はフサ君の頭の感覚も濡れた毛の感触も痛みですらも
感じていなかった。

なにもかもが、視界やあたりの音が遠ざかって行き、
もう豆粒ほどしか見えなくなった視界でみた最後のフサ君は
ニコニコ笑っているように見えた。

          -終-

646 名前:ダイニング 投稿日:2006/05/03(水) 20:40:23 [ gp7ICo1g ]
>>632の続き


キィィィィィィィィィィンンンンンンンンンンンンンンンンンン!!
「チョット!ハウリングナンカデオコサナイデヨ!!」
「ぐだぐだ言うと飯抜きだぞ!」
「ワカリマシタ・・・・」
「じゃあベビしぃ共、こっちへ来いや」
「ナッコ??」
ベビしぃ達は調理場へ行きました。
「ココナァニ?」
「オリョウリツクルノ?」
「すいませーん。カレーライス一つお願いしまーすモナ」
「あいよー!!カレーを作れ!!」
「カ・・・・カレーデチュカ!?」
このベビ達は母にカレーを作ってもらいましたが、作り方はしりませんでした
「早く作れ!!」
「イショガナイト・・・・・」
「エート・・・・・・・・・・コレダ!」
「おいそこ!野菜をもっと上手に!!」
「アニャ!!」
「カレーコサンハ・・・」
「おい!!野菜をさっさと炒めろ!」
「チィ?」
そして・・・・・・
「なんだこのまずいカレーは!!おまいらは馬鹿か!!」
「チィィィィィ・・・・・・・・・」
「どうやらお仕置きが必要だな」
「チィ?」
別室
「ギヂィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
倉庫
「いやーベビ達ですよオカアサン」
「チョ・・・チョット!!ベビチャンタチニナニシタノ!コノギャクサツチュウ!!」
「ガタガタ言うと飯は抜きだ!今日は飯はいらないな」
「チョットーーー!!ゴメンナサイーーーーー!!!ウウ・・・・・ベビチャン・・・・」
続く

647 名前:反モラ的社会 投稿日:2006/05/04(木) 23:37:13 [ Ii/Svh/2 ]
過去に、汚きもの、モラと蝿、
とよばれた時代があった。

現在。
モラ雄とモラ一郎を乗せたロケットは宇宙へと飛び立った。
モララー族初の快挙であった。
もちろん、二匹にも昔では考えられないほどの
質素であるが、綺麗な部屋が与えられた。
宇宙に飛び立った初日、ギコ族の飛行士が
袋にいれた糞をモララー達に与えに来た。
しかし、二人分の糞はモララー達には足りなかった。
優秀な二人はベビモラ達を生産していたのである。

宇宙でも肉が焼けるようになった時代である。
脂肪だらけのベビモラのステーキから芳しい匂いが漂っていた。
モラ雄とモラ吉だが、あるベビを取り上げようとした
飛行士の腕を噛んだため、不良品として宇宙に捨てられることになった。
やはりモララー族でも宇宙に行くならば
完璧でなければならないのだ。

648 名前:反モラ的社会 投稿日:2006/05/04(木) 23:37:58 [ Ii/Svh/2 ]
訂正
モラ吉→モラ一郎

649 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/05/07(日) 22:20:05 [ mOEYQtFM ]
本板初投稿な上に虐殺ネタが久しぶりだったりする。
メインの虐殺が後編にあるから前編は多少物足りないかもしれないけど多めに見て欲しいところ。

『快楽を求めて』 前編

「あぁああぁぁぁああぁぁぁあああぁああぁっ! 」
 静かな住宅街に突如響いた悲鳴。
 音源はごく普通の家からだった。
 殴られた頬に手に手を当て、目には涙を浮かべた子供は見る。自分を殴った人間―――その子の母親を。
「あんたなんか産まなければ良かった! あんたはモラとは違って馬鹿で、阿呆で……」
 罵倒を繰り返しながら母は子の腹を蹴って、蹴って、蹴りまくった。
 その母親の言うモラ事モララーはただその様子を眺めている。
 別に母に対する恐怖や軽蔑が芽生える訳でも無ければ、暴力を振るわれている弟に対する同情も無かった。
 こんな事は何時もの事だ。気にする程の事では無かった。
 しかしモララーは決して二人から目を離さない。否、離せなかった。それは何故か。
 母の顔がとても生き生きとしていたからだ。
 弟を殴る母には憎悪などと同時に何かを狂喜する様な表情も垣間見えた。
 モララーにはその楽しそうな母が羨ましくて羨ましくて仕方が無かった。
 それは彼が成人して、一人暮らしを始めてからも変わらない事だった。

 日が西に傾き、世界を真っ赤に染めた頃、モララーはやっと仕事から解放された。
 昨日上司の都合の為、遅くまで働いていた彼は今日は代わりにいつもより早く仕事を終える事が出来た。
 しかしそれでも仕事は疲れる事だ。少し恥ずかしいな、と考えながらもモララーは大きく欠伸をした。
 目を擦りながら帰路に着く。昨日寝る時間が遅かった所為でいつもよりも眠かった。
 帰ったらさっさとする事を済ませて寝てしまおう、と彼は考える。丁度その頃だった。
 路地裏から出て来る一つの影。
「ソコノモララー、 コノ カワイイ シィチャンヲ ダッコサセテ アゲル」
 アフォしぃだった。
 こんな日に出てくるなんて、とモララーは項垂れる。
 しかしアフォしぃがそんな様子を見て、彼の気持ちを感じ取ってくれる筈も無く、
「ホラ、 サッサト シナサイヨ! シィチャンヲ イジメルノハ ギャクサツチュウダヨ! 」
 さて、こいつをどうしようか。
 モララーは疲れた頭でゆっくり考える。
 別に虐殺するのは嫌では無かった。しかし今日はそれすら面倒だと考える程眠かった。
 その間にもしぃはキーキーと耳障りな半角の声で叫びまくっていた。
 勿論その声はモララーを邪魔する。
 そして半ば彼は自棄になって、
「あー、分かった分かった。抱っこさせて頂きます。だから路地裏行こうか」
 モララーはアフォしぃが出てきた路地裏を指差して言った。
 路地裏に誘ったのは一応他の人間に対しての配慮だ。

650 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/05/07(日) 22:22:05 [ mOEYQtFM ]
 これで良いだろうと言いたげなモララーに返ってきた答えは予想外の、しかししぃに相応しい答えだった。
「ナンデ ロジウラニ イカナキャ イケナイノヨ! アソコハ ジメジメシテテ クラクテ カワイイシィチャンニ フサワシイ バショジャ ナイヨ! キタナイディニ イカセレバ イイジャナイ!」
「ごめんね。此処で抱っこしたら他の奴もしぃちゃんを抱っこしたいって寄ってくるかもしれないじゃないか。でもしぃちゃんを早く抱っこしたくてさ。頼むよ。あそこで我慢してくれないか? 」
 僕も良くこんな事言えるなあ、とモララーの顔には自嘲気味な笑みが浮かぶ。
 それも効果があったのか、
「シカタナイワネ。 アマクテ ヤワラカイモノモ ヨコシナサイヨ」
 モララーは大きなため息を一回吐いて、しぃと共に路地裏へと向かった。

 路地裏に着くなり、しぃはモララーに両腕を突き出し、
「ホラ、 サッサト ダッコ シナサイ! 」
 思わず苦笑が漏れた。
 少し躊躇いながらモララーはしぃを抱き上げる。
 別にしぃが好きな訳では無い。これが彼のやり方だった。
 抱き上げた事により、密着したしぃからは鼻を刺す様なしぃ独特の悪臭がモララーを襲う。お陰で目が覚めた。
 何とか悪臭に耐え、しぃを降ろしたモララーは直ぐに、
「甘くて柔らかい物出すからちょっと待っててね」
 しぃを視界に入れない様にしぃを抱き上げる際に地面に置いた、自分の鞄に視線を落し、漁り始める。
 直ぐに目当ての物は見つかった。
 薄い桃色をした飴の様な物をモララーはしぃに渡す。
「タベテアゲルワ。 カンシャシナサイ」
 しぃは何の警戒もせずにそれを口の中に入れた。途端、
「シイィィィィィィィィィィィィイイッ!? ナニコレ! オクチノナカガ ヘンダヨ! 」
 モララーがあげたのは仕事の同僚から貰った梅のお菓子だ。
 彼はどうもこういう類の物が苦手だったので勿体無いと言う感情は湧いてこなかった。
 暫くのた打ち回るしぃを眺めながら考える。
 これはそんなにすっぱい物なのか、それともしぃの味覚がそれ程異常なのか。
 しかし確かめたいという感情は無かった。
 そうなるとモララーもそれを食べなければいけない事になる。そんな事で苦手な物に挑戦する気は更々無かった。

 飴がやっと溶けてきたのか、少し大人しくなってきたしぃ。
 それを見下ろしていたモララーと視線があった。
 無表情だったモララーがニヤリと笑う。
 しぃの顔が恐怖で引き攣るのと同時にモララーの右手はしぃの顔を捕らえ、壁にぶつけた。
「ジィ! 」
 しぃを中心に壁に赤い華が咲く。
 これがしぃの血では無かったらそれなりに綺麗なんだろうな、と笑いながらモララーはしぃを自分に向けて目を合わせた。
「抱っこは楽しかったかい? 」
「ナニ……スルノ……ヨ…………! コノ……、 ギャクサ……ツ……チュウ…………! 」
 死なない様に加減はしたものの、ダメージは大きかったらしい。それが笑いを誘う。
「そうか、楽しかったか。それにしても大変だね、しぃは脆くて。でも生命力はゴキブリ並。虐殺しがいがあるよ」
「ギャ、ギャクサ…………! 」
 しぃはモララーが虐殺厨だと自分で言った癖に、虐殺という言葉に過敏に反応した。それでこそアフォしぃといった感じだ。
「今度は僕を楽しませてよ? 」
 しぃの顔が恐怖で歪む。それが可笑しくてモララーも顔を歪ませて笑った。

651 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/05/07(日) 22:23:28 [ mOEYQtFM ]
 アスファルトに横たわるしぃの腹部を蹴る、蹴る、蹴る。
 モララーの頭にはいつかの光景が浮かんだ。
 自分は今あんな風に生き生きとしているのだろうか、と考える。
「シ、シィ……。 オナガイ モウ ユルシテ…………」
「そんな事言われて止める馬鹿が何処に居る」
 少なくともしぃは弟よりも無様だとモララーは結論付けた。
 それと同時にモララーはただ蹴るだけに飽きてきたな、と思い始める。
 空を仰げばもう星と月の世界だった。
 暗くなって来た、とは思っていたものの、完璧に日が沈んでいるとは思わなかった。少し自分を恥じる。
「さて、そろそろ違う事しようか」
 モララーは自分の吐いた血が真っ赤になっているしぃの首根っこを掴んで持ち上げた。
 方耳に手をかけて、力を込める。
 ブチブチと音を立てて、モララーの手を赤く汚しながら耳はあっという間にもげた。
 しかししぃは叫ばない。もうこれぐらいでは駄目な様だ。
 ならもっと惨い事をしよう、と考えたが、生憎道具は無いし、虐殺する方法も思いつかなかった。
 不意に思い浮かぶ一つの案。
 偶には“奴”に玩具を与えるのも良いかもしれない。
 モララーはしぃに告げる。
「お前、家に来ないか? 」
「ウチ…………? ソコデ シィチャンニ ナニスルキナノ…………? 」
 どうやら居る様だった。
 またモララーはニヤリと笑う。
「助けてやる」
 勿論本意では無かった。
 そんな事誰でも少し考えれば分かる事だ。
 しかし相手がアフォしぃなら話は違う。
「オナガイ! タスケテ! ドコデモ イクカラ! 」
 アフォしぃというのは愚かな生物だとつくづく思う。
 モララーはしぃの首根っこを掴んだまま、歩き始める。
 しぃは大人しい。本当に助けて貰えると思っているのだろう。
 モララーは夜道を歩きながら、これはゆっくり眠れそうに無いなとぼんやり考えていた。

なるべく早く後編投下出来る様に頑張ります。

652 名前:モララー数学 投稿日:2006/05/10(水) 22:36:41 [ mq9mTyI. ]
モララー100匹の大家族がいます。
ダディ、パパ(モララーは両性を持つため、
両方男でも子供が産める糞虫である。)
含む、94匹は自分を神と信じていて、
非常に神、神と五月蝿いです。
その内7匹は、誰もが神と名乗ることの矛盾に気づいた
無駄なことに頭が回るゴミです。
さらにその内2匹は、神と名乗る兄弟を殺してしまいました。
94匹は特に五月蝿い一匹でも公害になる42匹と、
全員合わせて公害になる52匹に分かれます。
しぃ族を糞虫と呼ぶゴミは94匹中82匹、
その内、ベビしぃ虐待経験があるゴミは73匹です。
さて、五月蝿くない6匹は自分が神だと言うことに疑問を持っています。
4匹は、神と名乗ることをやめ、兄弟から虐待を受けています。
残り2匹は、虐待を受ける4匹を見て、「モララー様は神だからな!」と
やる気なく叫んでいます。
まるまると太っている豚は100匹中45匹です。
虐待を受けている4匹の内の一匹もそこに含まれています。

さて、この100匹のゴミ虫の内、
まともじゃない、具体的に食便をするモララーを
全員虐殺しようと思います。
では、この中で駆除すべきゴミは何匹でしょう。

答え→100匹

次回家族抹殺編

653 名前:モララー虐殺数学 投稿日:2006/05/10(水) 22:51:07 [ mq9mTyI. ]
ダディ、パパは全モラの前で断頭しました。
ここで怯えたモララーは98匹中74匹、
その中のベビ21匹は両手両足をもぎました。
21匹中19匹が泣き出し、残り2匹は死にました。
特に五月蝿い7匹を蹴飛ばしたところ、火がついたように泣き出し、
さらに蹴飛ばしたところ、全員死にました。
残り12匹は、ダンボールに詰め込みました。
さて、ここまでの虐殺を見て、言葉を失い五月蝿く泣かない
チビモラ7匹のみ、同じダンボールに詰め込んだところ、
先に詰め込んだベビ6匹が圧死しました。
残りのダンボールの中のモララーは計13匹で、
全員五月蝿く喚いています。
ここまでで死んだゴミは計17匹です。

654 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/05/10(水) 23:17:31 [ mq9mTyI. ]
そろそろお昼の時間です。
ダンボールに詰め込んだ13匹のうち、
太った3匹のチビモラ、死体を使って刺身を作ることにします。
太ったチビモラは意識があるまま、全モラに公開しながら
料理したので、モラどもは泣き叫びました。
料理を与えると、血まみれになったチビモラ3匹には誰にも近づかず、
死体の刺身を11匹が食べていました。
ついに狂ったモララー5匹を隔離し、
誰も食べないチビモラ3匹をゴミとして片づけました。
ここでダンボールを開けてみると、残りのベビ6匹のうち
5匹が死んでいました。
ここまでで死んだモララーは25匹、
ダンボールの中には5匹、
狂ったモララー5匹を隔離し、
残りは65匹です。

655 名前:ginjyo 投稿日:2006/05/14(日) 14:00:43 [ cZudvuq. ]
練習スレから戻って参りました。
【しぃ’s ゴルフ】

「ハニャーン、ベビチャンタチトゴルフ♪」
「チィチィ」
ここは、ある県のある都市のゴルフ場である。
今、その入り口にしぃ1匹とべビしぃ3匹が入ろうとしている。
もちろん、この都市ではしぃを迫害しているため、しぃは入ることができない。
そのため、しぃ達が入ろうとしたとき、受付ギコが引き止めた。
「こらこら、ここはしぃ立ち入り禁止d・・・プルルルルルルル」
突然、受付ギコの携帯が鳴り出した。
「社長からだ。なんだろう・・・えええええええええええええ・・・
はい、わかりました。ピッ」
その瞬間、受付の態度が急変した。
「はい、1名様ですね。お子さまは子供ルームにお預け下さい。」
「マッタク、ナニカトオモッタジャナイ。コンドコンナコトヲシタラギャクサツチュウダヨ」
「もう今度はないが・・・いや、なんでもありません。
では、しぃ様、存分にお楽しみ下さい。」
ああ、忘れるところでした。これはキャディーさんのモララーです。
「こんにちは、私は男ですが宜しく。」
「エ、エエヨロシク。」

その様子を社長が2階から見ていた。
「ははは、いや〜久々のアフォしぃだな。
でもあのままガードマンがしぃ達を帰してしまったら
もったいなかったと後悔するだろうな〜
それにしても、ここの市長はとんでもない施設を作りやがる。
ボーリングやら学校やら・・・
いくら20年前にある名門校を追い出されたからってここまでするとはな・・・」

656 名前:ginjyo 投稿日:2006/05/14(日) 14:01:23 [ cZudvuq. ]
>>655の続き
2時間後、ここは9番ホール。
「ナニ?ココハギャクサツチュウゴルフ?イママデボギースラナイジャナイ!」
そう、キャディーに文句を言った。
「あなたのせいですよ。でもあなた+106なんて前代未聞ですよ。」
「ウルサイ!シュウチュウデキナイジャナイ!」
「ああ、今度はこのボールを打ってください」
そういい、普通のボールより20倍のボールを出した。
「コンナノヲウツノ?コレジャアノアナニハイラナイジャナイ!」
「ご心配なく。あなたはグリーンにのるだけでホールインワンと同様とします。」
「エエ?ホント?デモトウゼンネ。」
そういい、しぃはクラブを振りかぶり、打った。
「ヂィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
「ソノコエハベビチャン?」
「そう、あの大きいボールはベビしぃを白く塗って、
接着剤で丸くしたものである。」
「コノギャクサツチュウ!ナンテコトスルノヨ!」
「まあまあ、そう言わずに。グリーンまであと少しですよ」
「ア、ホントウネ。ホールインワンマデアトスコシネ」
(ほんっとにしぃ族は忘れるのが早いな〜)
そのボールの方へ向かうともうそのべビしぃボールは事切れていた。
「ホールインワンマデアトスコシ♪」
そういい、打った。勿論グリーンに乗った。
「ヤッターホールインワンヨー!」
「おめでとうございます。では早速ホールインワンのパーティの準備を」
そういい、キャディーは笛を思いっきり鳴らした。
ピィィィィィィィィィィィィィィィィ
その途端、料理が運ばれてきた。ステーキとワインが。
「オイシイジャナイ。ナカナカヤルワネ・・・ッテコノステーキ・・・ベビチャン?」
そう、その肉はべビしぃである。
この町では、べビしぃの料理の店もあるほどだ
「マサカ、コノワインモ・・・シィィィィィィィベビチャンガハイッテルー!」
話は変わるが、某国では、べビしぃワインが盛んである。
その味はまあまあらしいが。
「コノギャクサツチュウ!モウユルサナイ!カクゴシナサイ」
「まあお待ち下さい。まだ記念植樹がまだですよ。」
(マアソレガオワッテカラデモイイカ)
そう言い、記念植樹の植えるところへついた。
「あ、あの穴の中に、しぃフードがある!」
「エッホント?ワタシノモノダカラネ」
そういい、下半身が埋まるほどの穴に入った。
「ナニヨ、ナイジャナイ。マッタク・・・デラレナイ!!」
その穴の底には半永久的に乾かない接着剤が塗ってあったのだ。
「では、土をかけましょうか。さようなら、お客様」
「マッテ!コノママデハイキウメニ・・・」
そう言ってる間に埋まってしまった。
「あ〜疲れた。これで終わりだな。まったく疲れるぜ」

次の日、例のゴルフ場・・・

「こらこら、ここはしぃ立ち入り禁止・・・」

終わり

657 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/05/15(月) 14:52:46 [ 13gJNIm2 ]
結局土日に投下出来なかった。orz
>>649-651の続きです。

『快楽を求めて』 後編

 あれから数時間は歩いた。
 いつもは電車やバスを使って帰っているが、流石にアフォしぃも連れて乗車する訳には行かない、と歩いてるのだが、
「キョウモ ゲンキニ シィ シィ シィ♪ ミンナ ナカヨク ハニャニャン ニャン♪ 」
 慣れない運動で足が痛いのは自業自得としても、この歌はなんとかならないものかとモララーは頭を抱えた。
 それでも此処で少し静かにしろこの糞虫! といった具合に虐殺を始めないのはやっと見慣れた風景の中に戻ってきたからだろうか。
「もう少しだからね、しぃちゃん。美味しい物でも二人で食べよう」
「ワカッタワ。 ソンナニ イウナラ タベテアゲル」
 しぃはモララーが歩いている間に随分回復した様だった。
 壁に顔をぶつけて、蹴って、片耳をもいだぐらいだからそれが普通なのかもしれないが。
 これは面白い事になりそうだ。
 少し緩んだ頬をまた武器に、モララーはまたしぃに優しい偽りの言葉を振りかけた。

「うひひひっはっはははあっ、あっああっ」
 明かり一つ無い部屋に獣の鳴き声の様な声が響く。
 その声は何かを狂喜している様に聞こえた。
「くるっ、くるよおぉっ! また、またね、かな? うふふひひ」
 暗闇で血眼がギラギラと光る。
 来るというのはそいつの獲物。分かるのはきっと野生の勘という奴の所為だろう。
 そいつはもはや元の姿を知らない。
 あの日を境にただただ自分の快楽だけを優先する化け物になってしまった。
 昔の苦痛も何もかもから解放された。
 しかしそれは他人の痛み、苦しみを理解する優しい心するも忘れてしまう事だ。
「あああっはっははは。ははあっう」
 しかしそんな事を理解する心すらそいつは無くしてしまった。
「お前はもう人間じゃない。僕の弟でも無い。ただ僕に従っていれば良い」
 そんな元兄の言葉も理解する事は無い。

658 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/05/15(月) 14:53:25 [ 13gJNIm2 ]
 仲の良い友人達に自慢の真っ白な家。
 その家に汚いしぃを入れる事に抵抗が無い訳では無かった。
 色々考え、かなり屈辱的な方法ではあったが、取り敢えず家は汚れないある一つの方法を使う事にする。
「さあ、しぃ姫様。此処です」
 モララーは器用に違和感の無い笑顔を作ってしぃに俗に言うお姫様抱っこをした。
「ッタク シカタナイ ヤシネ。 イイワ コノ ヤサシイシィチャンガ アンタニ ワタシヲ ダッコサセテアゲル。 カンシャ シナサイヨ」
 良くそんな事言えたな、と思ったが口にはしない。
 モララーはそのまま家に入った。
 玄関で手を使わずに靴を脱ぎ捨てると、廊下を歩く。
 そして迷うこと無く一つのドアの前で止まった。
 そのドアは一つだけ金属製で、無駄に頑丈に出来ている。
 そして何よりも他と違っていたのはそのドアから放たれる妙な威圧感。
 しかし二人が恐れる事は無い。
 モララーにとってはいつもの事で、しぃにはその威圧感を感じる能力は無かった。
「しぃちゃん、此処に居るお友達と仲良くしてあげてね」
「ハニャ……? 」
 モララーは勢い良くドアを開け、中にしぃを放り込んだ。
「ハニャ!? 」
 突然投げられた所為でしぃは受身も取れずに地面に突っ込む事になった。
 一番最初に地面にぶつかった右腕を擦りながらしぃはモララーを睨む。
「ナニスルノヨ! コノ ギャクサツチュウ! 」
 モララーは何も言い返さずにしぃの後を指差した。
 しぃは不機嫌そうにそっちを向き、
「シイィィィィィィィィィィィィ! 」
 しぃの軽い体が左に吹っ飛ぶ。
 壁に叩きつけられたしぃは重力により、床に崩れた。
 そして事を理解しようと視線を彷徨わせるしぃ。
 その目にそいつが映った途端、しぃの表情が凍りつく。
「ウララーっていうんだ、それ。元僕の弟ってとこかな? でももう人間じゃないよ、そいつ。化け物。ただの化け物だね」
 モララーはしぃとウララーを同時に嘲笑すると、ごゆっくりと言い残して部屋から出て行った。
 わざわざ部屋の電気を付けて。
 真っ暗の方がまだ良かった。
 暗闇の中、化け物と一緒に居るのは確かにどうしようも無く怖いことだ。しかし、
「イヤ、 イヤア……。 コナイデ、 コナイデ、 コナイデ コナイデ コナイデエェェェェ! 」
「うふふぬっ、ははっは」
 化け物の自分を獲物としか見ていない目に晒されるよりはどんなにマシだっただろうか。
 しぃがどんなに叫ぼうが、それはまだ始まったばかりだった。
 そいつは物凄いスピードでまたしぃまで近づくと、しぃを勢い良く上へと投げ飛ばす。
 迫り来る天井。しぃは恐怖で声も出せなかった。
 ゴッ。
 天井はしぃに容赦する事なんてなく、しぃはまたぶつけられる激痛を味わう。
 しかしそれだけでは終わらず、今度は地面に吸い込まれ、頭から打ちつけた。
「ッ! 」
 ジンジンと傷む後頭部。涙でぼける視界。
 それでも奴の顔はしっかりと見えた。
「ヤ、 ヤダ オナガイ ヤメテ……」
 勿論そいつにはしぃの言葉を理解する能力は疾うに無くしている。
 もしあったとしても、止められないだろう。
 そいつの顔に浮かぶのは紛れも無く誰かを傷つける事により得られた快楽を噛み締めている表情だった。

659 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/05/15(月) 14:53:57 [ 13gJNIm2 ]
 丁度良い温度のお湯は流し続けるシャワー。
 適当に体に付いた血を流すと、モララーはシャワーを止めて、湯船にゆっくりと浸かった。
「はぁ……」
 ため息が漏れる。
 そのため息の理由は自分でも良く分からなかった。
 奴があんなになったのはもう数年前の話だ。
 ウララーは物心が付いた頃には虐待されていた。
 単身赴任の父が気付ける筈も無く、モララーもウララーも誰にも話さなかったので何時までたっても続いていた。
 けれど恐らく気付いていた人は居た筈だ。
 ウララーは年中長袖で過ごしていたし、学校などの水泳の授業は毎回休んでいた。
 それにモララーの記憶が正しければ、痣や傷が隠しきれて居ない事も度々あった。
 しかし誰もそれを止めなかった。見て見ぬ振りをしていたのだろう。
 それとも自分に関係の無い子供はどうなっても構わなかったのだろうか?
 ウララーに何か遭った後に悲しそうな顔をして、まさかこんな事が……、なんて言うつもりだったのだろうか?
 兎に角虐待は何時までも続いた。
 モララーが中学校に入り、高校に入り、大学に入っても続いていた。
 そして運命の日が訪れる。
「モララー、隣の国では食用の肉を生産してる事知ってるモナよね? 今度それを見物出来る事になったんだけど、一緒に行かないモナ? 」
 友人のその言葉が全てを動かした。
 断る理由も無かったし、興味も僅かだがあった。
 二週間後、彼はその友人と隣の国へと旅立った。
 滞在したのはたった三日間。
 それでも彼を虐殺の世界に引き込むには十分だった。
 あっという間に過ぎた三日間。
 帰って来たモララー。しかし、お帰りと声を掛ける者は家には居なかった。
 代わりにあったのは血を吸った畳と、血だらけの母の服と、
「んふふふっはっははは、あはははっはひゃひゃっ」
 狂った弟。
 大体何があったかは理解出来た。
 次の日、確認の為に公園に居たチビギコを連れてきて、与えた。
 すると予想通りになった。
 楽しそうにチビギコを甚振った後、チビギコを食べた。
 母を殺した事への怒りは芽生えなかった。
 別にウララーの事で恨んでいた訳では無い。ただ過剰な愛が鬱陶しかった。
 モララーはウララーを怖がらなかった。
 都合が良いと思った。
 その後、モララーはウララーを手懐ける事にした。
 手懐ける方法なんて簡単だ。ペットとなんら変わり無い。適当に餌をやったりし、都合の悪い事をした時は罰を与えれば良い。
 すると自然にそいつにはこいつは自分の敵では無い、自分が従うべき者だ、と理解してくれる。
 ウララーも例外ではなかった。
 そしてウララーを手懐けた後、怪しまれない様にと母の捜索願を出した。
 しかし母は見つからないだろう。もうウララーの腹の中に収まってしまっているのだから。
 そして適当に母の面影があると先に進めないから、などと奇麗事を並べ、此処に引っ越してきた。
 虐殺の後始末に居ると都合の良い化け物を連れて―――。
「嗚呼、もう僕何考えてたんだろ? 」
 モララーは狭い湯船の中で体をゴソゴソと動かす。
 大分のぼせてきたのか頬はほんのり赤かった。

660 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/05/15(月) 14:54:21 [ 13gJNIm2 ]
「ウッ、ウッ、ウッ! 」
 時間の感覚はもう無い。
 あれからウララーはしぃを飽きもせずに何回も壁に叩きつけ、しぃは抵抗出来ずにされるがままで居た。
 全身痣だらけ……にはなっていない。恐らくなっては居るのだろう。しかし分からなかった。
 ウララーが勢い良く壁に投げつける所為なのか、何回も壁にぶつけている所為なのか分からないが、砕けた骨がしぃの腹から飛び出ている。
 全身は血で濡れて、意識は朦朧としていた。
 もう良い。さっさと殺して!
 しぃがそう心の中で叫んだ頃だろうか。
 ウララーがピタリと動きを止めた。
「……? ナ、 ナニ? 」
 ウララーはしぃを眺めるだけで、何もしてこない。
「ナ、 ナニヨ。 イ、 イマサラ シィチャンニ アヤマッタッテ ユルシテナンカ アゲナイカラネ。 アノ クソモララーモ……」
 しぃがぐっと握り拳を作り、強がった。
 しかしウララーはそれにはどんな反応も見せなかった。
 代わりにニヤリと笑う。
 そしてしぃの前で初めて喋った。
「おまえ、あそぶ、あきた。はら、へた。おれ、おまえ、くう」
 聞きたくなんて無かった。理解したくなんて無かった。
 しかしその言葉はしっかりとしぃの中で残る。
「ヤ……、 イヤア……、 オナガイ、オナガイヨ…………」
 しぃの言葉は通じなかった。
 そいつはは偶然ウララーだった頃の名残として言葉を言う事を少し覚えていただけで、それを理解する事は出来ない。
 ニヤリと何処かモララーそっくりに笑い、ウララーはしぃの残った方耳に食らいついた。
「ヤッ、 シイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイ!!! 」
 しぃの鳴き声を合図にウララーは更に歯に力を込め、引っ張る。
「シイィィィィィィィィィィィィィ、 シイィィィィィィィィィィィィ、 シイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!! 」
 しぃの叫び声に重なるブチブチとしう、何かが無理矢理ちぎられて行く音。
 ややあって、その音が途切れた。
 異常な程熱を持っている傷口。目の前の化け物の口の中には自分の一部。
「ヤ、 カエシテ、 カエシテ! シィノ オミミ カエシテ! 」
 これだけ言葉が通じたのだろうか?
 いや、恐らく音として入ってきただけなのだろう。
 ウララーは五月蝿いな、黙れ、とでも言いたそうに、口の中の耳を引っ張り出すと、今度はしぃの右腕に食いついてきた。
「シイィィィィィィィィィィィィィィィィ!! シィチャンノ オテテ、 オテテガアッ! 」
 右腕も耳同様に食いちぎられた。
 腕の方が頑丈に出来ている所為か、食いちぎられるまでの時間と痛みが多い。
 それを終えると今度は間髪を入れずに左腕に食いつかれた。
 左腕を食いちぎられ、左脚に歯が入った頃、しぃはやっと自分を手放す。
 最後にしぃの視界に入ってきたのはやはりウララーの虐殺に快楽を得ている顔だった。

661 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/05/15(月) 14:55:11 [ 13gJNIm2 ]
 長風呂し過ぎたのだろうか。
 頬を火照らせ、少しフラフラしながらモララーは箪笥の前にやって来た。
 箪笥の中から血が付いてもあまり目立たない様な黒い服を選ぶ。
 それを着て、自分で自分を見下ろした。
 全身真っ黒の自分。まるで喪服を着ている様だ。
 なんだか可笑しくて、モララーはふと笑いを漏らした。
 普段の表情に戻り、あの部屋へと向かう。
 恐らくしぃはもう殺されているだろう。
 今は食事中だろうか? それすら終わっているのだろうか?
 別に恐怖する様子も見せず、ドアを開けた。
 同時に生臭い血の臭いがモララーを包む。
 部屋の中に見えたのは血溜りと赤いまだ新鮮な肉塊。そして鮮やかな臓器の様な物。
 どうやら今は食事中の様だ。
 次に目に入ったのは元弟。その表情。
 フラッシュバック。
 舞い戻る物は母の表情。
 自分以外の何かも傷つけ、得る快楽。
 それを狂喜する表情。
 暫くして、モララーはやっと我に返った。
 やはりウララーは満足そうな顔でしぃを食べている。
 羨ましいと思った。
 確かにモララーにとっても虐殺は楽しい。
 しかしあれ程では無かった。
 何が足りないのだろう?
 モララーは考える。
 何が自分には足りないのだろう?
 みんなとても生き生きと楽しそうに、快楽を手にして嬉しそうに虐殺している。
 しかし自分は違う。
 何が違うのだろうか?
 答えはいつも見つからなかった。
 それは今回も一緒だ。
 欠伸がモララーの思考を遮った。
 仕方無いのでいつもの考えで収める事にする。
 只管虐殺していればきっと分かる。きっと快楽を手に入れられる。
 唯僕は虐殺していれば良い。唯それだけを続けていれば良い。
 モララーは二度目の欠伸を無理矢理殺し、ドアを閉めた。
 途端、薄くなる血の臭い。しかし完全に消えた訳では無い。
 モララーは染み付いた血の臭いを一回大きく吸い、ベッドへと向かい、歩いて行く。
 明日はまた仕事だ。快楽を得るのも大切な事だが、他にもしなければならない事は沢山ある。
 快楽だけを求めるのは化け物だけで良い。
 そう、化け物だけで良いのだから。

 終

662 名前:ああああああああああああああああああああああああああ 投稿日:2006/05/15(月) 21:06:05 [ mOAzofaI ]
               役割

ワタシハ ナンノタメニ ウマレタノ?
ドウシテ ウマレテ キタノ?

二日前の夜のこと

ハァ・・・ハァ・・・
あはあははははははっはははははははははぁ!!
狂いながらも追いかけてくる物
右手に大きな斧 左手に先ほどまで親友だったガナーの首
しぃ(ガナーちゃんまで・・・どうして・・?)
???「あはははははっはは!」
しぃ(行き止まり・・・!)
???「あーあ・・・残念だったなぁ。鬼ごっこもこれで終わりかぁ・・・あはははは!」
しぃ「う・・・」
???「さっきの娘、おいしかったなぁ・・・ きみはどうかなぁあ?」
追い詰められるしぃ。
惜しみながらも狂喜するなぞの男

664 名前:ベビモラの戦い 投稿日:2006/05/21(日) 14:59:07 [ NCw2cCbk ]
最近、巷ではモラバトルロイヤルというゲームが流行していた。

チビギコは服従スイッチを押した。
一気にベビモラに電流が流れる。
「もギャアアアアァァアアアアアッァ!!」
「モギャアアアア!!モギャは神モギャ!!」
「神であるモギャをこんなに痛い目にモギャアア!!」
「許してモギャ!もうやめてモギャアアア!!」
「モギャアアアア!!!」
そこでチビギコはスイッチを切った。
服従スイッチを押すと、モララーの首輪から電流が流れる。
スイッチを5秒間押すとモララーが服従し、
10秒間押し続けると、どんな役立たずのゴミでも
「始末」できる。自分のモララーを買ったばかりの人は
これを多用することになるのだ。
別に、電流を流して苦しむモララーを楽しむのもよいであろうが、
このゲームが大流行しているのは、
電流虐殺以上の楽しみ方があるのであろう。

666 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/24(水) 22:22:26 [ 7yzsV7Gc ]
タイトル 『恋情』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ギコは今、悩んでいた。
愛する女がいると言っているのに、それでもいいから、と好意を寄せられて

「つい、浮気してしまった」
はあぁぁ、と長く溜息をつく。
1回だけの遊びという約束だったのに、その女――しぃは、
すっかりギコの彼女気取りで、ベタベタと纏わりついてくる。

家にいると押しかけてきそうな気がして街に出てみても
運悪く見つかろうものなら、どこへ行くにもついてくる。
ギコの心情からすれば、ついてくるというよりは、
憑いてくるといったほうがピッタリくるかもしれない。

「逃げ回るのも楽じゃねえぞゴルァ」
苛立ちを唇に乗せて小さく愚痴を洩らすが
ぐだくだ悩んでいたところで現状は変わらない。
バレる前に自白したほうが怒りも少ないだろうと判断して
ギコは携帯電話を手に取ると、恋人にメールを送った。

『大事な話がある。今、AA喫茶店にいるんだが来れないか?』
返事はすぐに届いた。
『あら奇遇ね。近くにいるから、すぐに行くわ』

ポケットに携帯電話をしまうと、何度目かの溜息のあとで
ギコは冷たいレモネードを飲んだ。
グラスの中で氷が動いてカランッと涼やかな音を立てる。
その音に被さるようにして、ドアにつけられた鈴の音が響いた。

入ってきたのは、メールの返答どおり早々と到着したギコの恋人だ。
年齢は二十代前半くらいだろうか。そこかはとなく大人の色香が漂っている。

ワンピースには深いスリットが入っていて、歩くたびに
すらりと伸びた足が見え隠れするのがセクシーだった。
服と同じ色のピンヒールも、脚線美を際立たせている。
派手な服装だが、華やかな雰囲気で下品には見えない。

「おまたせ。と、いっても早かったでしょう?
ちょうど斜め向かいの店に服を買いに来ていたの」
ギコが似合うと言って褒めると、薄く頬を染めて照れている表情が可愛らしい。

「ところで話というのはだな、姉者。しぃのことなんだ」
ギコは彼女の本名を知らない。流石家の長女だが家族でさえ
彼女のことを姉者としか呼ばないし、本人に聞いても
『私のことは姉者か、お姉さまって呼んでね』と微笑むばかりで謎めいていた。

なんじゃそりゃあーっと叫びたいギコだったが
惚れた弱みもあって、言いたくないなら無理に聞かなくてもいいか
などと思い直し、結局のところは姉者と呼んでいる。

「しぃ? そうね。騒音や蚤の発生で困ってるのなら捕獲して弟者に引き渡せば、
有効に処理してくれるはずよ。しぃ族を生体実験に使ってるらしいから」

しぃ族の地位が溝鼠以下だということは周知の事実だったが
1度は夜を共にした情というものがある。
ギコは虐殺業者に、しぃの駆除依頼を出すのも躊躇っていた。

にっこりと微笑む姉者の前で、ギコは気まずそうに身を縮め、覚悟を決めて話し出す。
「あの、その、実は、だな……」

ギコが総てを話し終わっても姉者は、静かに微笑んでいた。
ただし先程とは違う、背筋が寒くなるような能面みたいな微笑みだ。
その表情は憤怒の数倍、恐ろしくてギコは居心地悪そうに微妙に視線を泳がせた。

「ふーん?
私という者があるって知りながら寝取ろうとしたのね。
へぇ、しぃの分際で。下等生物のくせに……そう、なんて身の程知らずな」
ふふっと暗い笑い声を立てる姉者に、ギコが怯える。

「ギコ君」
「はいっ!」
呼びかけられたギコは、思わず直立不動で返事をした。

「その恥知らずな小娘のところに案内して頂戴。
今すぐよ! 弟者に引き渡すのは中止しましょう。
この私が直々に、たっぷり立場を教えて差し上げるわ」

静かに怒り狂う姉者に逆らえるはずもなく、ギコは素直に従った。
しぃが酷い目に遭わされる、と判っていても。
姉者の怒りが自分ではなく、しぃにだけ向けられていることにも、密かに安堵していた。

粗大ゴミが積まれた空き地に到着すると
少し迷ってからギコがしぃを呼ぶ。
何気なく捨てられていたタンスから、しぃが顔を出した

しぃは、タンスの底に穴を開けて、土中で暮らしている。
危険な虐殺厨たちから身を隠すための知恵だった。

667 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/24(水) 22:28:16 [ 7yzsV7Gc ]
「ハニャーン、ギコクゥン」
甘ったるい媚びた声をあげながら、嬉しそうに駆け寄ってくる。
隣にいる姉者の姿は目に入っていないようだった。
足の届く距離に入った瞬間、姉者がしぃを蹴り飛ばした。

「シィィィィィィ」
悲鳴を上げながら、しぃの身体は紙風船のように飛んだ。
どすっと鈍い音を立てて、腹ばいに落ちたしぃが
顔だけ持ち上げてキッと姉者を睨んだ。ギリギリと歯が鳴る。

「オバサンガ、ギコクンヲ、タブラカシテル、トシマネ! コノ、ショタコン!!」
ギコと同じく十代後半である自分のほうが、若くて可愛いのに、と
嫉妬の炎を燃え上がらせ痛みも忘れて、しぃは姉者を口汚く罵り始めた。

「見苦しいぞ、しぃ。俺が愛してるのは姉者だけだ。
もう二度と俺たちに近づかないと約束しろゴルァ!」

姉者の瞳に殺気が灯るのを見たギコが、わざと荒い声で怒鳴る。
なんとかして生命だけは助けてやろうという試みだったが
しぃはギコの思いやりに気づくことができなかった。

「ソンナ。ギコクンハ、ババアニ、ダマサレテルノヨ。アタシトノヨルハ、ステキダッタヨネ」
怒りの限度を超えた姉者が、しぃの元へと駆け寄り
思いっきり足を振り下ろした。力いっぱい蹴りつけ、踏みにじる。
ボキッバギッという嫌な音と、しぃの絶叫が響いた。
靴底ではなく、堅く尖った靴先で蹴りつけているところに怨恨が現われている。

「シイィィィ、シィィ、ヤメテ、イタイ、ギコクンッ、タスケテェ」
「この泥棒猫! よくも私の男に手を出してくれたわね」
しぃの腕や顔に青痣が浮かびあがり、腫れあがる。
鼻血と涙と涎で、しぃの顔はぐしゃぐしゃに歪んでいた。

「ギコクンッ、ギコクンッ、ハニャーン、ギコクゥン」
泣き喚き、恋しい男へと懸命にしぃが救いを求める。
しぃの口からギコの名前が出るたびごとに、姉者の眉間には
縦皺が増えていき、悪鬼の形相に近づいた。蹴る攻撃力も増していく。

「お黙り! 薄汚い泥棒猫が!」
細いヒールが、しぃの口の中にねじこまれ、そのまま踏みしだいた。
舌を貫いたヒールが頬に刺さっているが、口を動かせないせいか
しぃは不明瞭な泣き声しか出せていない。
ぐにっぐにっと姉者の足の揺れに合わせて、しぃの頭も揺れる。
地面に押し付けられた形になっている頬は土砂に削られて、擦り傷だらけになっていた。
何本か歯も折れたようで、深紅の血潮といっしょに白い固形物が流れ出ている。

「汚いわね。あんたの血と涎で、私の靴が汚れたわ」
血に濡れたヒールを口の中から抜いた姉者が、
しぃの真っ白な毛皮で汚れをぬぐうように手足を踏みにじった。
踊るように舞うように靴底が強弱をつけて蹂躙する痛みに、
しぃは力なくヒックヒックと、啜り泣きを漏らした。
無駄だと悟ったのか抵抗はしない。されるがままに弄びれている。

しばらく踏みつける感触を楽しんでいた姉者が、ゆっくりと大きく足を引き上げた。
ニヤッと、紅いルージュの唇が笑みの形につりあがる。

「ヒ、ヒィッ、ナ、ナニヲスルノ。モウユルシテ、タスケテ、オナガイヨ」
しぃは顔を強張らせて、じりじりと尻でずり上がって逃げようとしたが
恐怖と焦りのためか、ほとんど動けていない。

「あ、姉者……踏む殺す気か」
スリットから露わになった太腿が扇情的だったが今のギコには
その魅惑的な光景に酔う余裕はなく、血の気が失せた顔は麻痺したみたいに、
恐怖を湛えた表情のまま凝り固まっていた。

「タケステ、タスケテ……」
全身の間接が不自然な方向に折れ曲がり、大の字に近い形で
横たわった状態のしぃの股間めがけて、姉者の足が振り下ろされる。

「シィギアァァァァァァァァァァ」
細いヒールが、しぃの尿道に突き刺さった。
背を仰け反らせて悶絶するしぃに構わず足に力が加わり
ヒールは更に奥へとねじ込まれていく。

くすくす笑いながら姉者がヒールを勢いよく抜き取ると
尿道からは血潮が噴出した。その血色が途中から黄金色に変化する。

「ジィィィィィィギャビィィィィ」
股間を押さえて、しぃが転げまわって悶え苦しんでいる。
尿に含まれている塩分が傷口に沁みるのだろう。
それでも尿はしばらくは止まらず、地面にアンモニア臭が漂う水溜りをつくっていく。
土や血とも混ざり、ひどく汚らしい光景だった。

「シイィィィィィ、ヒギィィィィ、タスケテ、モウ、ユルシテ」
自分の汚水にまみれ、しぃの白い毛皮を染めてゆく。
恐怖に歪んだ視線で姉者を見つめる眼は顔面の前面に飛び出ていて、
今にもポロリと零れ落ちそうになっている。よほど姉者の恐ろしさが身に沁みたらしい。

668 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/24(水) 22:30:49 [ 7yzsV7Gc ]
「ギコクントハ、ワカレル。ヤクソクスル、ダカラモウ、イジメナイデ」
姉者は何も答えなかった、が。何やら思案している様子だ。

しぃは悲鳴を上げるのを中断して、荒く浅く呼気を洩らしている。
恐怖と激痛で過呼吸になっている様子だ。

「決めたわ。やっぱりお前は殺す」
淡々とした姉者の言葉に、しぃが震え上がった。
「ド、ドウシテ? オナガイ、モウニドト、オネエサンタチニハ、チカヨラナイカラ…ワカレルカラ」

「別れる、ですって? 馬鹿馬鹿しい。
お前が、いつギコ君とつきあってたっていうの?」
しぃの哀訴に対する返答は、蹴りだった。

「シィィィィィィィィィィ、ジゥィィィィィィィィィィィ!!」
今までのような爪先での攻撃ではなく、ヒールを打ち込む攻撃で
細いピンヒールは柔らかい白い腹部を貫通してめり込んでいる。
蹴る、というよりは突くという攻撃だ。
しぃが苦痛に耐え切れず、もがくごとにピンヒールの周辺から血が流出した。

「ふんっ。これで終わったなんて思わないでね」
姉者が足を乱暴に引き抜くと、ヒールに絡まった内臓が
にゅるりと露出した。穴が小さいから、それほど多くは無いが
蒼い血管が浮き出たピンク色の内臓の露出は
しぃを恐慌状態に陥られるには充分に衝撃的な光景だったようだ。

「イヤ、イヤァァァ」
しぃが狂ったように自分の内臓を指先で体内に押し戻そうとしている。
姉者は笑いながら、その手を爪先で蹴り飛ばした。
しぃの指が、あらぬ方向に折れ曲がり、皮膚を裂いて骨が露出した。

「ギャウアアァァァァァァァァ、シィィィィィィィィィ」
泣き喚くしぃを無視して、姉者が更に足技を繰り出す。
爪先で蹴られてできた青痣が黒紫色に変化して腫れあがっても
ヒールで突き破られた無数の小さな穴から内臓を撒き散らしても
姉者の攻撃には容赦が無い。蹴っては突き、突いては蹴った。

傷口が小さく致命傷にはならないが、その痛みと戦慄に
しぃの身体はヒクヒクと痙攣し、逃げることもままならない。
蹴られて身を転がされたとき、しぃの視界に一瞬だけギコの姿が映ったが、
彼は姉者の剣幕に怯えて腰をぬかしていた。とても助けてくれそうにはない。

「あら、まだ図々しくギコ君を見つめるの?」
禍々しい声にハッとして姉者に向けようとした視界は、すぐ塞がれた。
頭部に鈍痛がはしる。しぃの右頬に何か冷たいものが当たっていた。
ずしっ、と重みが加わって地面に左頬が押し付けられる。
頭が割れそうな痛みに、しぃは声にならない悲鳴をあげる。

しぃからは見えないが、それはガラクタから拾い出されたブリキの板だった。
結構な厚みがあって幅も広い。姉者は、その板の上に立って、ふぅっと溜息をつく。
板の幅にはまだ余裕がある。しぃの頭は板ごしに姉者の体重を支えていた。

「ほら、ギコ君もいらっしゃいな。この上で飛び跳ねるのよ」
姉者が優しくギコを呼んでいる。
優しいのは声と表情だけで、瞳には有無を言わせない怒気が籠もっている。

「それとも。さっきみたいに、この小娘を助けようとするのかしら?」
ギコの真意は、しぃには通じなかったが姉者にはバレていたようだ。
もはや、しぃを救ってやりたいなどと思っている場合ではなかった。
逆らったりしたらギコの命も危ないかもしれない。

「わ、わかったぞ。ゴルァ……しぃ。お前が、悪いんだから、な」
ギコは目を瞑って助走をつけると、どんっと板の上に飛び乗った。
足下で板越しに、しぃがくぐもった悲鳴を上げているのが聞こえる。

「アタマガ、ワレチャウ、タスケテ、ギコクン。タスケテ…」
よくよく耳を澄ませないと聞き取れないほど弱い声音で、しぃが泣いている。
板と地面に顔を挟まれて、うまく口を開けられず大きな声は出せないのだろう。
それでも、しぃの切れ切れの哀願はギコの心を蝕んだ。

「クルシイ、クルシイヨ、タスケテ……イタイヨ、ギコクン、ギコクウゥゥゥン」
「うあぁぁっゴルァァァ、ゴルアァァァァ」
掠れた声音なのに、それはギコの耳にこびりついて離れない。
一刻も早く、しぃを黙らせたくてギコは無我夢中で跳んだ。

669 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/24(水) 22:32:19 [ 7yzsV7Gc ]
厚い板に阻まれているから感触など伝わるわけが無いのだが
足の裏に脳髄を踏み荒らしているような、おぞましい気配をギコは感じた。

聞こえるはずが無いのに、ゴキュッグリュッという頭蓋骨を割る嫌な音も感じる。
すべてはギコの蝕まれた心からくる幻覚だったけれど
ギコには総てが恐ろしくて、総てを忘れたくて跳ねる速度をあげていく。

ドンッドンッと、衝撃が頭部に加えられるたびに、しぃの四肢が痙攣する。
顔を潰された状態のしぃには、もう悲鳴を上げる余力は無かったが
ギコの脳内では血を吐くような叫びがこだましていた。
その叫びはギコの名を呼び、まるで呪詛のように心に絡みつく。
嫌な汗が吹き出て、ギコは狂乱状態に陥っていた。

「死ね、早く死ねゴルァァ、くたばれゴルァァァァァァァ!!」
「うふふ。その調子よ」
姉者も飛び跳ねながら、心底から嬉しそうな笑顔を見せた。
ギコの大好きな、いつもの微笑を。

どのくらい時間が経過しただろうか。
板の位置が最初に比べて微妙に下がっている。ぐにぐにと不安定に揺れた。
チラッと前方の地面を見ると赤黒い血溜まりのなかに
白い骨片や、脳の一部だと思われる薄桃色や緑の塊が浮いている。

ギコは口元を押さえて、力なく肩を落として板から下りた。
板の下を見る勇気は無い。もう帰りたかった。

そんなギコとは対照的に、姉者は面白そうに板の下を覗いている。
板と地面に挟まれ押し潰された、無残な顔を確認して満足そうだ。

しぃの頭部はひしゃげて一部が陥没していた。
唇からは、だらんと驚くほど長く舌を垂れ出させている。
舌に折れた歯が突き刺さっていて、口内は血でいっぱい。
鼻からも出血している。これでは呼吸も出来なかっただろう。
いや、頭に加えられる暴虐の痛みで呼吸どころではなかったろうが。
眼球は圧迫に耐え切れず零れ落ち、眼孔からは鮮やかなピンク色の脳が流れ出ていた。

「少し疲れたわね。ギコ君も顔色が悪いわ。もう帰りましょう。
あの小娘の遺体は放っておいても野犬や鴉が始末してくれるわ」
「あぁ、そうだな」
憂鬱な表情のギコの指に、姉者のほっそりした指が巻きつく。

「ねえギコ君。今日は私の家に遊びに来ない?
美味しい紅茶とクッキーがあるの。きっと気に入るわ」
「いや、今は食べたい気分じゃない」
「そう? でも良かったわ。ギコ君が私を選んでくれて」

姉者は頬を染めて、眩しそうにギコの横顔を見つめた。
「もしギコ君が私を裏切って、あの小娘を助けたりしていたら」
「待て、待て待て。やっぱりクッキー食べる。遊びに行くよ」
その先を聞くのが恐ろしくて、慌ててギコが姉者の言葉を遮った。

そんなギコを姉者は、おかしそうにクスクスと声を立てて笑う。
「馬鹿ね。私が愛するギコ君に酷いことをするわけないでしょ?
でも、そうね。私が泣いていたらきっと母者が許さないわね。
そうなっていたらギコ君、大変なことになってたかも」

流石家の母者といえば、ギコも噂で知っていた。
気に入らないことがあれば実の息子であろうとも容赦はなく
欲望の赴くままに半死半生にしてしまう猛母だと聞いている。
きっと姉者より戦闘能力も高くて残虐だろう。
ヒッと息を飲むギコを、艶然とした仕草で見つめながら姉者は

私を 裏切らないでね 約束よ

声には出さず唇だけを動かして、そう伝えるとギコの頬にキスをした。

ー終ー

670 名前:ベビモラ達の戦い 投稿日:2006/05/25(木) 01:32:30 [ 56OjhZy. ]
チビギコは初心者用カスタマイズパーツと書かれた袋を取り出し、
中の、柄のないナイフをベビモラの背中に突き刺した。
「モギャアァアァアアアア!!!」
「煩いデチ!お前を強くしてやってるデチ!!
強くないと生き残れないデチよ!!!」
二本目の刀身のみのナイフを突き刺そうとしたが、
ベビモラは逃げようとしていた。
「しかたないデチ、服従するデチ」
チビギコがスイッチを押すと、一気にベビモラに電流が流れた。
チビギコは5秒間押し続け、ベビモラを服従させ、
刀身のみのナイフを次々と刺していった。

671 名前:ベビモラ達の戦い 投稿日:2006/05/25(木) 01:42:14 [ 56OjhZy. ]
三日月形の刀身のないナイフを10本も刺すと、
さすがにベビモラの人骨のように白い毛も、
暗い赤色の血で赤く染まっていた。
「レッドカラーは少しダサイデチ・・・。
チビタンの好きなブルーカラーにするデチ!!」
見ると、カスタマイズパーツの袋の中に、
「着色用」の金属バットを小型化したような物が何本も入っていた。
赤、と書かれた釘バットのような物を脇にどけ、
チビギコは青と書かれたバットをベビモラに振り下ろした。

672 名前:ベビモラ達の戦い 投稿日:2006/05/25(木) 01:57:21 [ 56OjhZy. ]
ベビモラの血をふき取ると、少し黒の入ったブルーカラーの
ベビモラが完成していた。
チビギコは上機嫌で例のスイッチを押した。
煩く騒ぐ体力がまだ残っているようである。
チビギコは上機嫌で泣き喚くベビを見ていた。
「そうだ、アレがあったデチ!!」
チビギコは「喧嘩両成敗」と書かれた少し大きめの首輪を
取り出し、ベビモラに取り付けた。
「これで完成デチ!お前は最強のベビモラになったデチ!!」
チビギコは満足気に言った。その時、電話がなった。
チビギコが受話器を取った。相手はチビしぃである。
「もしもし、今から公園デチか!もちろん行くデチ!!」
チビギコは鞄の中に、お菓子、ハンケチ、ベビモラを入れ、
家を飛び出していった。

684 名前:ベビモラ達の戦い 投稿日:2006/05/27(土) 00:54:34 [ hlqIFS6w ]
「ギャクセンするデチ!!」
モララーバトルロワイアルではなく、子供達の間では
「虐戦」という言葉が流行っていた。
チビしぃはチビモラを連れてきていた。
骨を露出させているのが残虐なところもあるが、
「あえてのグロ」が流行りらしく、
目も真ん中に一つのみの奇形である。
義眼ではなく、丁寧に改造専門のショップに通うのが少女らしい。
「戦うデチ!!チビタンのベビモラ!!」
チビギコは豪快にベビモラを叩きつけ、服従スイッチで立ち上がらせた。
まるで黒ヒゲ危機一髪状態のベビモラはチビモラに突進した。

685 名前:ベビモラ達の戦い 投稿日:2006/05/27(土) 01:06:46 [ hlqIFS6w ]
ベビモラの背中のナイフはチビモラの左手を叩き落した。
「モギャアアァアァアアアァア!!!」
チビモラが煩く泣き叫ぶ。チビしぃはスイッチを押し、黙らせた。
「チビモラ、自慢の右手の鉄球を見せてあげなさい」
チビモラにはボーリング大の鉄球が杭で腕に打ちつけてあった。
「ベビモラ!!突撃デチ!!」
ナイフと鉄球がぶつかりあい、ナイフがベビモラにさらに深く刺さった。
「煩く泣き喚くなデチ!!スイッチを押されたくなかったら
鉄球の杭を抜くデチ!!」
ベビモラは鉄球の杭の少しのでっぱりに噛み付いた。
チビモラが腕を振り回した。杭は抜けようとしている。

686 名前:ベビモラ達の戦い 投稿日:2006/05/27(土) 01:24:54 [ hlqIFS6w ]
鉄球の杭は抜けた。
チビモラの右手から豪快に血があふれ出る。
「よくやったデチ」
チビしぃとチビギコはほぼ同時にスイッチを押した。
「モギャアアアアアァアアアァアアアアアァアア!!!」
「こっちも、あのナイフを抜きなさい!!」
「させないデチ!!右手も切り落とすデチ!!」
二匹は組み合った。
「今だ!!ナイフを抜きなさい!!」
チビモラはベビモラの背中のナイフを掴んだ。
思った以上にナイフは深く刺さっている。ベビモラの表情もゆがんでいた。
チビモラは、自分の指三本を切り落とされながらも、
ナイフの一本を抜いた!!
「モギャアアアアァアァアアァア!!」
ベビモラは喚き、転がり、ナイフをチビモラの目に突き刺した。
「見えない!!見えない!!見えないモギャアアアアァアァアア!」
チビモラの目からナイフが抜ない。
チビモラは目からナイフを抜こうとし、
何を思ったのか、自分からナイフへと突っ込む。
ナイフは目を貫通し、さらに深く刺さった。脳に到達したかもしれない。
アホだ。
チビモラは静止した。チビしぃが駆け寄り、
チビモラの体をナイフから抜いた。
「モレハ・・・カミ・・・コノクソムティ・・・ハヤクタスケルモギャ・・・」
「タスケテモギャ・・・カミサマ・・・カミサマ・・・」
チビしぃはその無様な奇形を蹴り飛ばした。
骨が白く光った。

692 名前:モラ坊ちゃん 投稿日:2006/05/29(月) 00:18:50 [ oajcLYsk ]
親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。

693 名前:モラ坊ちゃん 投稿日:2006/05/29(月) 00:28:49 [ oajcLYsk ]
小学校にいる時分、友達を窓から突き落として殺してしまったことがある。
別段深い理由などない。新築の二階から首を出していたら、
木偶の棒と普段から軽視しているモララーの一人が、
いくら威張っててもそこから飛び降りることはできない、
弱虫やーい。と醜い顔で囃されたからである。こちらも醜い顔で、
ここから飛び降りれば神になれるからなと、どんと突き落とし、
涙と悲鳴をそこら中に撒き散らしながら、皆が注目してる中、
頭から潰れる級友を笑いながら見ていた。
警官に、ゴミを捨てるなと、軽く注意を受け、帰った時、
おやじが大きな目をして、警官に捕まる奴があるかと云ったから、
この次は醜くない奴を飛ばせてみせますと答えた。

694 名前:モラ坊ちゃん 投稿日:2006/05/29(月) 00:39:05 [ oajcLYsk ]
親類の者から西洋製のナイフを貰って綺麗な刃を日に翳して、
モララー達に見せていたら、一人が切れそうも無いといった。
切れぬ事があるか、何でも切ってみせると受け負った。
そんなら糞虫のベビを切ってみろと注文したから、
何だベビぐらいこの通りだと、友達が泣き叫ぶ中、
そいつの弟の首を軽く刎ねてやった。
幸いナイフが小さいのと、五番目と六番目のベビの首が硬かったので、
しぶとく二人は生きていた。しかし、蹴ってやったらすぐに死んだ。

696 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:09:54 [ UaZ8zSzw ]
タイトル 『弟者の実験』
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「いきなり訪ねてきて、しぃを飼えだなんて酔狂モナ」
呆れたようにモナーは言った。小さな木製テーブルを挟んだ正面には、
困ったように微笑む流石家の弟者が座っていた。モナーの友人でもある。

「清潔にしているから悪臭もないし蚤もいないから安心しろ」
「信用しがたいモナね」

しぃ族といえば害虫や鼠にも劣る種族ではないか、と
責めるような眼差しで見つめられて、ぽりぽりと弟者が頭を掻く。

「しぃが不潔で性格に問題があるのは生息環境が劣悪だからだろう。
試しに厳しい教育を施してチビしぃをレディーに育ててみたんだ。
しぃ族ってのは顔だけは可愛いから、兄者が喜ぶかと思ってな」

「相変わらず仲のいい兄弟モナ」
弟者は研究者として新薬や害獣駆除装置の開発など華々しい活躍をしているが
兄の方は今も引きこもりだとモナーは聞いていた。
ちなみに研究には、繁殖が容易で他のAA達と体の構造が似ている
しぃ族を生体実験用として使うことが多いのだとも、聞いていた。

「研究が佳境に入ってくると、あまり家に帰れなくなる。
兄者がブラクラゲットして困っていても助けてやれないからな。
小奇麗なしぃが傍にいれば、兄者は萌え画像を求める必要もない。
しぃで遊んでいればパソコンに触れることも減るだろう」

「ちょっと過保護モナ。だいたいレディーに育ったんだったら
モナに渡さずとも兄者に渡せばいいモナ」

最もな意見だが、弟者の表情は暗い。
「母者にも躾を手伝ってもらったから従順なんだが感情面が希薄でな。
他人を見ると怯える。多分、愛情が不足してるんだろう。
とりあえず兄者に渡す前に、まずモナーに預けて様子を見ようかと」

やれやれ、とでも言いたげに首を左右に振ってみせる弟者に
「弟者の施した躾ってのは、どういうものモナ?」
興味を引かれたらしくモナーが質問をする。
「逆らうたびに関節を外して、神経を挟んだ状態で元に位置に戻すだけだ。
神経への直接攻撃だから効くぞ。外傷もつかないし治すのも容易だ」

モナーは黙り込んだ。逡巡してから遠慮がちに口を開く。
「そんなことばかり続けてたら怯えるのは当たり前モナ」
「ミトコンドリアやモルモットと同じくらい大事に管理して
他の実験用しぃ族とは比べ物にならないような衣食も与えてやったんだがな。
それだけでは不足らしい、というわけで。モナーに愛情を注いでもらいたい」

「よくわからんが躾が完璧だというならしばらく預かってもいいモナ。
ただ、できれば先に弟者の研究施設を見学させてほしいモナ」

弟者にとって研究施設は『大きな玩具箱』だとモナーは聞かされていた。
建物の規模は小さいが実験種類は雑多で、ひとつのことだけに執心するタイプとは
違うらしい。そのわりには生体実験による効果的な拷問器具の開発や
医療技術の促進など、数々の成果を挙げているのは雑誌等で見聞きもしている。

「預けるしぃの飼育状況を知りたいのなら意味が無いぞ。環境が違うからな」
「単なる好奇心モナ。どんな研究をしているのか興味があるだけモナ」

研究施設は部外者立ち入り禁止なのだが、と弟者は腕組みをして
「ふーん?」
しばらく考えてから、モナーの要望に妥協案を提示した。

「俺とゲームをして勝てたらってことでどうだ?」
突拍子もない提案に一瞬、モナーの目が細められる。
真意を測るように弟者を見るが、いつもどおりのポーカーフェイス。
意味もなくこんな提案はしないだろうが、と逡巡しながらも首を縦に振った。
「それでいいモナ。負けても恨みごとは言わないモナ」

交渉がまとまり、弟者の案内でモナーは研究施設の隣にある
宿舎へと向かった。モナーを部屋に残して、弟者が退室する。
数分後に戻ってきた弟者は、プラスチック水槽を手にしていた。
中には小指サイズのミニしぃが20匹ほど入っている。

「小型化研究の成果だ。虐殺好きの家庭に産まれたベビが
虐殺入門用として負担なく遊べるように開発したんだが
クレームが来てしまってな。まだ実用化できない」

水槽の中にいるミニしぃたちは、縁日で叩き売りされている
カラーひよこみたいに薄く色がついていた。
いかにも玩具っぽくて、ベビにも受けが良さそうに見える。

「生きた人形モナね。ベビに噛みつきでもしたモナか?」
「ミニしぃは弱いから噛まれても痛くないし問題ない。
ただベビってのは何でも口に入れるだろう? 不衛生だってさ。
しぃ肉の不味さがトラウマになる可能性も指摘されている」

697 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:13:32 [ UaZ8zSzw ]
水槽の中から、薄っすら全身が緑色のしぃをつかみあげて
「とりあえず食用できるよう改良してみた。こいつはメロン味だ」
ぱくりっと生きたまま口に放り込んみ、もぐもぐと咀嚼する弟者に
モナーが目を丸くして驚いた。

おそるおそる、モナーも薄紅色のしぃをつまみあげる。
と、ぐにゅっと不快な感触がして、しぃの腹が裂けて腸が飛び出た。
鮮やかに赤い汁が散ったが血の匂いはしない。甘酸っぱい苺の匂いだ。

「食用に開発したら、必要以上に柔らかく脆くなりすぎたんだ。
力を入れて掴むと潰れるのが難点だが、旨いぞ」
モナーの指で潰されたしぃの身体が断末魔でビクッビクッと動く。
それが指に伝わってきて不気味だったが、確かに旨そうではある。

思い切って、そのしぃを口の中に放り込んで咀嚼すると
モナーの舌の上にヒクつく苺の味が広がる。
食感は硬めのゼリーみたいで、歯ごたえが強い部分は骨だろうか。
噛んでもまだ微かに動いていて、ほんのり温かくジューシーだ。

「意外とイケるモナ。これなら肉の硬さを調整すれば売れるモナ」
もう1匹、橙色のしぃを今度は潰さないよう注意深くつかみあげると
「シィィ、ヤメテェ、タベナイデ」
小さな声が聞こえて、口に入れようとしていた手を止める。
よく見ると恐怖に顔を歪ませたミニしぃが必死で命乞いをしていた。

「ちっちゃくても意思があったモナか。痛みも感じるモナ?」
ぶちっと片足を引き千切ると血飛沫が跳ねて、断面からは白い骨が見えた。

「シイィィィィィィ、イタイ、イタイイタイ、タスケテヨォ、アタシガ、ナニシタッテイウノ」
肉色は薄くて匂いは柑橘類に近い。血潮の香りはオレンジだ。
千切った足を口に入れても小さすぎるせいか、あまり味がしなかった。
泣きじゃくり、もがいているミニしぃの前でモナーが再び口を開くと

「シィィィ、タベナイデ、タベナイデ、ダッコスルカラ、ユルシテ」
ミニしぃが悲痛な叫びを放った。モナーは笑って
「だったらモナの歯や舌をダッコしてみるといいモナ」
答えるのと同時に自分の口の中へ放り込んだ。
舌の上でしぃがバタつくのを感じる。まずは歯を立てず、上顎と舌で挟みこんでみた。

何か叫んでいるらしくモナーの口内の空気が振動して、痒い感じがする。
窒息と圧迫で、もがく力が弱まってくる動きを楽しんでから、
モナーは舌と上顎に力を入れてミニしぃを、すり潰した。
ぷちゅり、という感触と共に体液が舌に広がり、まったりしたオレンジの芳香が充満する。
「ウマー」
「ときにモナー。食事にきたんじゃないだろう。ゲームを始めよう」

恍惚の表情を浮かべて食感を楽しんでいたモナーに苦笑しながら
弟者が声をかけてきた。その手には、いつの間にか板がある。
いくつもの丸い穴が開いた板を水槽の上にのせて、穴から水を注ぎ始めた。

「何をするつもりモナ?」
「もぐら叩き……いや、しぃ刺しというべきか?
溺れて丸穴から顔を出したミニしぃをフォークで刺して捕まえる。
たくさん捕まえたほうの勝ちってわけだ」

水槽の中のミニしぃ達は阿鼻叫喚だった。
「アタシハ、オヨゲナイノヨ、タスケナサイ」
泳いで水面に顔を出そうとしている仲間に、しがみつく者。
しがみつかれた方は泳ぎを妨害されて、一緒に沈んでいったり
殴る蹴る噛みつくの攻撃を加え、なんとか引き剥がす者もいる。

「イヤダヨ、コワイヨ、シィダケハ、タスカラナクチャ、イケナイノ」
他のしぃを押さえつけて、その上に乗って助かろうとする者もいた。
水位が増せば無駄なのに知能が低いとしか思えない悪あがきだ。

醜い争いの中、とうとう水は水槽の淵まで溢れた。
息をするためには嫌でも穴から顔を出すしかない。
たとえ、弟者やモナーに攻撃されると判っていても。

耐え切れず丸穴から顔を出したミニしぃの脳天に、フォークが突き刺さった。
流れ出た脳髄と血潮で水が濁る。悲鳴を上げる間もなく絶命したミニしぃは、
フォークごと水槽から引き上げられいく。

その間を狙い、数匹のしぃが呼吸をして素早く沈む。
他の者が襲われている間は安全に呼吸が出来るのだということは
ミニしぃ達にも理解できているようだ。
と、いっても。いつまでも仲良く全員が沈んでいられるわけもなく。

誰かが先に水面に顔を出してくれないと、自分は安全に呼吸ができない。
水中では小賢しいミニしぃが、仲間の身体に噛みついて悲鳴を上げさせたりしていた。
悲鳴をあげることで酸素を失ったミニしぃは、他の仲間より早く苦しむことになる。
我慢できずに空気を求めて浮上するしかなかった。

698 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:15:37 [ UaZ8zSzw ]
そうやって互いの足を引っ張り合ったところで、殺されるのが速いか遅いかという
僅かな時間の違いしかないのだが、それでもミニしぃ達は懸命に争い合っていた。

「あっ。狡賢いのがいるモナ」
水面が濁って、どの穴から獲物が顔が出してくるか判らなくなってきた頃
一匹のミニしぃが知恵をつけていることにモナーは気がついた。

胴体を離れて水中に落ちていた頭を拾ったらしく
仲間の頭部を自分の頭上に掲げて攻撃をブロックしている。

「プハァッ、ハァハァ、ハギャアワ!!」
バレているとも知らずに、再び頭上に仲間の頭を掲げて
呼吸しようとした顔めがけて弟者のフォークが横から襲いかかる。
右顔面に突き刺さって、ミニしぃの口から濁った絶叫があがった。
顔を抉られながらも、そのしぃは、まだ生きていた。

「ウギイィィィ、シィギアァァ」
顔にフォークをさされたまま引き上げられ、宙吊りにされて
ぱたぱたと手足を振り回しながら、獣めいた叫びをあげている。

「プッ。暴れると顔肉が削げ落ちるだけなのに」
弟者の言うとおり、しぃの動きで顔肉が更に抉れていく。
しかし激痛のせいで、とてもじっとしていることなどできない。

暴れ続けるしぃの動きで肉が削げ落ちていき、フォークに大部分の
顔肉を残したまま、自分の体重でしぃは落ちた。
ベシャリと地面で潰れて、ようやく絶命することが出来たようだが
その死に顔は兄者がゲットするブラクラ画像みたいになっていた。

どうやら、そのミニしぃが最後の生き残りだったようで、その後は
血糊と臓腑で汚れた水面は動かなくなった。気泡ひとつ上がってこない。

不気味な色には似合わずフルーティーな香りだけが漂っている水槽から
水を捨てると底からはフォークで裂かれた死骸が2体と溺死体が1体、見つかった。

「そういえば刺したのに逃げられたのが何匹かいたモナ」
それでも、刺した獲得数はモナーのほうが弟者より2匹、多い。
「流石だなモナー。約束だ、施設の見学を許可しよう。
この遊びを最後まで楽しめるようなら、実験体に同情することもないだろう」
「モナーのことを試して観察してたモナ?」
「当然だろう。面倒事は避けたいからな」
「友達なのに信用されてなかったのは寂しいけど別にいいモナ」

施設までの道は、それほど遠くは無い。2人は並んで歩き出した。
むっつりと黙り込んでしまったモナーの横顔を心配そうに見おろしながら
「……気を悪くしないでくれよ? 信用してなかった訳じゃないんだ」
ちょっと焦ったように弟者が言う。

「念には念を入れてってこともあるし。なぁ、モナー。返事をしてくれ」
「………」
「…そうだ。あのゲームを楽しめる豪胆さがあるなら、母者がしぃに施した『躾』も
隠さずに教えてもいいかもしれないな。実用性がないから別に知る必要もないんだが
一応データとして母者の手記をコピーしてあるんだ。読んでみるか?」
「……隠さずに、ってことは、本当は教える気は無かったモナね」
「怒るなよ。温厚なお前らしくも無い。頼むから機嫌を直してくれ。
残酷系に耐性の無い奴には不快な内容だろうから、気を遣ってたつもりだったんだ。
お前は、いつもポワーンとしていて、どちらかというと、まったり系の性格だろう?」

あんまり弟者が悄然としているので、モナーはプッと吹き出した。
「判ったから許してあげるモナ。ちょっと意地悪しすぎたモナね。
でもモナーは別に虐殺反対派って訳じゃないモナから、あまり気を遣わなくていいモナ。
弟者が何をしていたって、モナーは弟者を軽蔑したりしないし、ずっと友達モナ」

モナーの穏やかな言葉で弟者は、自分でも意識していなかった本音を悟った。
数少ない友達であるモナーに、実験内容を知られて嫌われるのを恐れていたのだ、と。
「ごめん」
「もういいモナ。それより母者の手記に興味があるモナ」
「あぁ、これだが数日分だけだし有用性は本当に乏しいから、無理に読まなくていいぞ」

弟者はモナーに母者の手記を渡した。モナーが興味深そうに、それに目を通す。

699 名前:※母者の手記※ 若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:19:10 [ UaZ8zSzw ]
『母者の日記帳』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〇月〇日
弟者が、1匹のしぃを躾けてくれと言って連れてきた。
誰がそんな奇特なことをするのかと怒りを覚え、つい弟者の両耳を掴んで
足が宙に浮くまで持ち上げたてやると、ぷらーんと揺れながら落ち着いて語る。
「OK、ときに母者、もちつけ。耳が千切れる。勘弁してくれ」
生意気な口を叩くから腹立ち紛れに頬を張り飛ばしてやった。

他種族のAAなら血反吐を撒き散らしながら顔を変形させているところだろうが
うちの息子は幼少の頃からスパルタ教育には慣れている。
痛そうに頬を撫でさするだけで特にケガはしていない。流石あたしの息子だ。

「母者は兄者をどう思う? 俺は研究者として自立に成功しているが兄者は?」
落ち着いたまま、こんなことを言う。
たしかに、あの子は対人恐怖症なところがあって滅多に部屋から出てこない。
殴っても蹴っても崖から突き落としても、引きこもりは治る見込みがなかった。
だが、あたしにはよく判らないがネットとやらの翻訳業や広告収入で
そこそこ稼いで生活費は入れてくれているし、こういう仕事もアリなんだろう。

「稼ぎはあっても母者から見れば、ぐうたらな生活をしてるように見えるだろう?
見ていて腹が立ってくるだろう? そこで、しぃをメイドとして使うわけだ。
兄者専用のメイドがいれば、母者が兄者の世話をする必要が無くなる。
母者の負担は労働面も精神面も軽くなるはずだ。そうは思わないか?」

この子は、理詰めで語ってくるところが嫌いだよ。
気がついたら、丸め込まれるように厄介ごとを引き受けさせられちまうんだから。
どうせ、しぃの躾ってのも何かの研究レポートに役立てるつもりだろうに。

―弟者から感謝―
しぃの成育日記をつけてくれるのか。流石だ母者。
俺もたまに記録を拝見させてもらおう。期待している。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
〇月△日
しぃに針仕事を教える。手本を見せてやっているのに物覚えが悪い。
誤って、このあたしの指に針を刺しやがった。
本当なら剣山で全身を滅多殴りにしてやりたいところだが、頬だけで勘弁してやる。
花器から花を抜き取って剣山を取り出し、素早く小娘の腹の上に乗っかって
思いっきり一撃を加えると、剣山の四角い痕がくっきりと頬に刻まれた。
細かい穴が剣山の形で烙印を押したみたいになっている。

悲鳴が鬱陶しい。こんなときは叫ぶ余暇を与えなければいい。
もう一撃を加えると、同じ位置には刺さらなかったようで、少しずれて四角痕が出来た。
何度も腕を振るう。なるべく同じ位置を狙いながら殴り続けるたびに
ぶへっごぶっ、と変な息を漏らし、血飛沫を飛ばしながら、しぃの頭がぶれた。

……お岩さんみたいなご面相になったのは少し不味かったかもしれんね。
せめて表面だけでも、つるつるに研磨すべきだろうと思いついて
父者の日曜大工用具から、ひとつ道具を借りることにした。

手持ち扇風機のような形状の機器にパイナップルを輪切りしたような研磨円盤を
嵌めこんだ機械。これは木材の表面を研磨するために使われていたはずだ。
稼動させると、ぶわぁっと強力な風が巻き起こって、涼しい。

体が小さくて軽いだけに、風圧で飛ばされそうになっているしぃを片手で捕まえ、
ぐいっと回転している円盤の表面を頬に押し付けた。
何やら絶叫しているが、その悲鳴は風に掻き消されて、ヴェェェェェェという
なんとも間抜けな響きになっていた。白い毛が粉雪みたいに細かく散る。
もっと強く押し付けると、その粉雪は薄紅に染まった。

紙やすりを高速回転させているようなものだから、殺傷力はない。
ただし、痛みは激しいはずだ。
じわじわと紙やすりでつくられた擦り傷の上を、さらに削られているのだから。
薄紅の粉雪が真紅に染まってきたところで満足し、機械を止めてやった。

しぃの頬は毛皮が剥がれ落ちて肉が露出し、細かい擦り傷から血を滴らせていた。
あんまり綺麗に研磨できていないのは木材と肉の差というものかもしれない。
まぁ弟者が治すだろうさ。そうだろう、これくらい。たいした怪我じゃないさ。

これだけでは、まだ躾には足りない。だから指と爪の間を布団針で貫いてやった。
身体で1番、痛覚が鋭いのは指先らしいから、これは効いたろう。
神経が凝縮した敏感な皮膚に太い針を押し込むのは少し疲れたよ。

さっくりとは入らないから、先端を捻るようにしながら少しずつ深く刺した。
おかげで、鍵爪の形だった指が、埋めた針で真っ直ぐに伸びた。
血で染まった爪はマニキュアを塗ったみたいで贅沢なこったね。

700 名前:※母者の手記※ 若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:21:10 [ UaZ8zSzw ]
しぃのくせにマニキュアでオシャレができたんだから感謝してもらいたいもんだ。
それに真っ直ぐってのは気持ちいいもんだ。今度、尻尾にも鉄串を入れてやろうかね?

―弟者の悲願―
すまん母者。治すのに高価な薬を使うのがもったいない。
できれば傷痕がつくような折檻は控えてもらいたい。

爪を剥がして『ねんがんの つけづめを てにいれた!』も、勘弁してくれ。
この世に『ころしてでも うばいとる』と母者に言える勇者はいない。
第一、こんなレトロなネタなど年若い者は知らないんじゃないかと。
そして、しぃ族の爪なんか欲しがる香具師もいないわけだが。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
〇月×日
しぃに風呂焚きを教える。何べん湯加減を間違えたら気が済むのか。
叱ると反抗的な顔をして、こともあろうに口答えしやがった。
このあたしに歯向かうなど言語道断だ。許しがたい。いや、許さん!

火傷するほどではないが充分に熱い湯船に頭から逆さに漬け込んでやった。
足がパタパタ動いて、みっともない。女が簡単に股を割るもんじゃないよ!

足を掴んで閉じさせると身を湯船に浸したまま反転させた。
湯底に頭を打ち付けて悲鳴をあげたのか、ゴボゴボと気泡が上がってくる。
しばらく観察していたら、肺の中に空気が無くなったのか気泡が尽きて
そのおかげで水底の、苦しみに引き歪んだ顔が確認できた。
パクパクと馬鹿みたいに口を開けて片手で咽喉を押さえ、必死の目であたしを見てる。

本当に肺の空気は全部、無くなっちまったのかねぇ?
試しに、ごんっごんっと湯底に頭を打ち付けてやったが気泡は出てこない。
くるんっと目玉が反転して黒目が隠れ、ふにょっと口から舌を垂れ出させたところで
渋々と湯底から顔を引き上げてやった。この程度で気絶するとは情けないねえ。
腹が膨らんでるから、たらふく熱湯をご馳走になったようだ。
こんな腹になるまで飲むとは、意地汚い娘じゃないか。生意気な。

タイルの上に転がして足で腹を踏んで水を出させようかと思ったが、脚力の加減は難しい。
ヘタすると内臓まで踏み抜いて殺してしまうかもしれないからね。
ここは手で締め上げるって方法で吐かせたほうがいいだろう。

エプロンを外して、腰紐の部分をしぃの腹に巻きつけると
「さぁ湯水を吐き出しな」
言いながら、きゅうぅぅっと紐端を左右に引いてやった。

腹に巻かれた紐が締まり圧迫されて、行き場を失った水が
食道を逆流して、噴水みたいに口から湯水が吹き上がる。
面白いねえ。余興だねえ。これなら外傷はつかないよ。

激しく咳き込みながら目を覚ましてすぐ、あたしの姿を確認すると
その表情が泣きそうに歪んだのが気に入らない。失礼な子だよ、まったく。

まだ全部、湯水を出してないだろう?
更に腹部を締めあげると紐が肉に食い込んで毛皮の内側に隠された。
まるで雪達磨だが、顔だけは赤く染まっている。

苦しいのか脂汗を垂らし、頬をぷくっと膨らませて
腹から押し出される空気を水と一緒に噴出しながら何か言っている。
水を出しながらガボゴボ泣いたって何を言ってるのやら判らない。

訳のわからない話に耳を傾けてやるほど、あたしは暇じゃないんだ。
紐が腹の薄皮を通して内臓を絞る感触を伝えてきたころ
しぃの赤かった顔が青くなり、白くなってきた。
水は口端から垂れる程度で、もう勢いはなくなっている。
これ以上やったら水の代わりに腸が口から飛び出てきそうだ。

元気よく手足を振ってタイル上に溜まった水を叩いていた動きも
引き攣れたみたいに不規則になって、手足は瀕死の虫みたいに
自分の身体を抱しめるような動きで固まりだした。

……やりすぎた、かもしれない。
しぃの鼻孔からポタリ、と赤い雫が零れ落ちた。
ガクンッと首を転がした耳孔からも、細い赤い筋が流れ落ちてくる。

慌てて紐を外してやると、しぃは朦朧としながら腰を曲げ、身を丸くした。
大きく腹を波打たせて新鮮な空気を循環させている。
これなら、まだ死にはしない。そのうち、落ち着くだろう。

701 名前:※母者の手記※ 若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:25:06 [ UaZ8zSzw ]
だけどまだ目の焦点が合っていないから、ちゃんと覚醒させる必要がある。
正気づけるために剥き身の電線を使って感電させてみた。

踊るみたいに体を上下に跳ねさせ、濡れた毛皮に青白い閃光がはしる光景が綺麗だ。
死なない程度に目を配りながら眺めてたんだが、あまり面白いもんじゃないねえ。
もっと派手に蠢くかと思ってのに、感電させた箇所だけでなく水を伝って全身に電流が
駆け巡っているせいか、やたら動きも悲鳴も単調で、すぐに飽きちまったよ。

つまらない女さ。退屈しのぎにもなりゃしない。
もちろん弟者の注文どおり、怪我もさせちゃいないよ。
毛皮は濡れてるんだから火花で燃えることもなく、焦げ痕1つ無い。綺麗なもんさ。

なのに弟者ときたら血相を変えて、しぃを連れて行ってしまうたぁどういう了見だい?
まったく。面倒を引き受けて躾けてやってるってのに、恩知らずな息子だよ。

―弟者から回収報告―

OK、わかった俺が間違っていた。
たった数日でここまでしぃを破損できるとは流石だな、母者。

このしぃには研究費だって結構かかってる。このまま死なれたら俺は大損だ。
母者には無理を言って悪かった。しぃは回収させてもらおう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

母者の手記を読み終えたモナーが、苦笑を浮かべながら手記を弟者に返す。
コメントは無い。いろいろと思うところがあったのだろう。
弟者もあえて、感想を聞くようなことはしなかった。

702 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:27:13 [ UaZ8zSzw ]
そうこうしているうちに施設に到着した。
施設内で出口から1番近い扉を弟者が開けると無機質なコンピューターが
整然と並んでいて、一定の間隔で網籠や檻、硝子ケースなどが設置されており
それらの中には、一匹ずつ実験体のしぃ族が入れられている。

「好きなものを見て行ってくれていいぞ」
弟者の許可を得て、モナーは正面にある小さな籠へと近づいた。
「これは何の実験モナ?」
「実験というより遊びに近い暇つぶしだな。
こいつで、『ことわざ』を実演してみるとどうなるか試しただけだ」

怯えた目で弟者たちを見つめるしぃの口周りが、妙に膨らんでいた。
「口を開けろ」
弟者が短く命じると、しぃがビクッと身を竦ませて涙を流す。

「ハニャーン、イウトオリニスルカラ、ヒドイコトシナイデ」
咽喉が潰れているのか不鮮明な声で答えて口を開く。口内はケロイド状に爛れていた。
舌も奇妙な形に歪んでしまっている。歯だけは綺麗なままだった。

「……何をしたモナ?」
「ことわざの『焼け石に水』を実演させただけだ。
熱した小石を唾液に含まれる水分で冷まそうという実験なんだが
口の中に押し込んだとたんに吐き出しやがる。そのうち石も冷めてしまったし
特に面白いデータは得られなくて、がっかりだ」

チッと、忌々しげに弟者が舌打ちをする。
「腹部を切開して『腸が煮えくり返る』の方が面白かったかもしれない」
「シィィィィィィィィ、ゴメンナサイ、オナガイ、ユルシテ、ユルシテ」
「だったら面白い実験結果を出せ」
吐き捨てるように言い放つ弟者の前で、しぃは泣き崩れた。

「まぁ、ここは見ていてもつまらないだろう。次にいくか」
弟者の言葉を受けてモナーは、ぎこちなく頷いた。

少し歩いて硝子ケースを覗くと、そこに閉じ込められているしぃは
背中の毛皮を大きく毟られた上に茶色い薬品を塗りたくられている。
所々の皮膚が壊死して膿んで、じくじくと体液が滲み出ていた。

「煙草害と薬の実験だ。マウスでも同じ実験をしたんだが、結果は全く同じだ」
「このボタンは何モナ?」
弟者の説明を聞き流して、ケース台の下についていた赤いボタンを何気なく押す。

シュワアアアという噴出音を立てながら、硝子ケースの中に煙が充満していく。
中からは、煙に包まれたしぃが咳き込む声が聞こえた。
「シィィィ、ケムリヲトメテ。ケホッケホッ。クサイシ、クルシイヨ」
「しまったモナ、もしかして毒モナ!?」
焦るモナーだったが、弟者は落ち着き払っている。

「毒ガスじゃない。それは強制喫煙の実験をするときに押すボタンだ。
煙で燻しているだけだから気にすることはない。
しばらく待っていれば自動的に排煙される」

灰色の煙に覆われて硝子ケースの中身は見えなくなった。
苦しさのあまり暴れている気配が伝わってくるが、そんなことで煙は消えない。
どんっと、硝子にピンク色の肉球が押し付けられた。
硝子に密着した肉球だけは、煙に隠されず鮮やかに見える。

「結構、可愛い色をしてるモナね」
「しぃの肉球は可愛いと俺も思う。抉り取るとすぐに腐るけどな」
どんっどんっと硝子を叩く瞬間だけ現われるピンクの肉球も
硝子から離れれば煙に包まれているせいで、薄汚く染まってきた。

「タバコ煙の中で呼吸するのは、どんな気分だ?」
「クルシイヨ、クルシイヨ。ハニャーン、ママァ」
観測記録をつけるときみたいに事務的な声音で弟者が声をかけると
硝子ケースの中からは弱々しい泣き声が聞こえてきた。

「ママって。もう成体しぃが何を言ってるモナ」
モナーが腹を抱えて笑っている間に、排煙機能が稼動し始めた。
狭い硝子ケースは、すぐに透明度を取り戻す。
しぃの全身は薄く灰色に染まっていた。
鼻と口からは、まだ肺に充満しているのであろう煙が出ている。

「嗅ぎタバコみたいになってるモナ。火を熾したら燃えるモナ?」
からかって言うモナーに、しごく真面目な表情で弟者が頷いた。
「今なら燃える。見せてやろうか?」
弟者は硝子ケースを少し開いて、薬品を塗布されている皮膚へと
火のついたマッチを落とした。

「ギジィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
カッと目を見開いて、しぃが甲高い泣き声を上げる。
狭いケースでは逃げる場所もなく、その場に寝そべったまま泣くことしかできない。
皮膚の上で炎が、ゆらゆらと揺らめいている。
肉の焦げる臭気と一緒に、ヤニ臭さが鼻をついた。

「今、燃えている部分の皮膚が炭化するまでは燃え続ける。
皮膚を這って燃え広がることはないから焼死の心配もない」
「薬液の観測実験じゃなかったモナ?」
「当初の目的はそうだったが、マウスと同じなら意味は無い」

703 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:29:19 [ UaZ8zSzw ]
火傷の新薬実験にまわすとしても、皮膚が炭化したら役に立つまい。
しかも火傷箇所には薬剤が塗布してあったのだから正確な統計は取れない。

「今後はストレスの実験に使うことにしよう。
長期に渡って不眠、飢餓、激痛を与え続けたら
どのくらいのレベルで異常が現われ、壊れるかを調べるのに役立つ」

「焦げ臭くて鼻が曲がりそうモナ。弟者、ここから離れたいモナ」
「OK。次は合成実験の失敗作を見せようか。
しぃの上半身に豚の下半身をつけてみたんだが予想通り、下半身から腐ってきて
毒素が上半身にも伝染したことによって、なかなか面白いデータが……」
「ちょっと待つモナ」
話を続けようとしている弟者を制して、左側の通路をモナーが指さす。

「あれは何モナ?」
左のつきあたりに奇妙な形の器具が置かれていて、それに押さえ込まれている
白い毛皮が見えている。ここからでは、ちゃんと見えないが多分、しぃなのだろう。

「あれは頭部固定器だ。しぃの両目を抉って歯を全部抜き取った後
眼孔と口内に棒を差し入れて頭を固定してある。別に珍しい器具じゃないと思うが」
「で、頭部を固定して何の実験に使うモナ?」

「生殖器に電極棒を突っ込んで電圧実験に使う予定になっている。
交尾、交尾とうるさかったからな。濡れているほうが電流の通りがいいから、
少しくらいなら通電前の電極棒で悦ばせてやってもいい。
よほど下半身が寂しかったんだろうから、あのしぃも本望だろう」
「あー、そういうのには、あんまり興味ないモナ」

モナーが嫌そうに首を振って、わざとらしく背を向ける。
そう言うと思ったよ、と弟者は肩をすくめた。

「なんだか気分が悪くなったモナ。合成実験も遠慮しとくモナ」
「そうか。それじゃ、お待ちかねの『レディーしぃ』を迎えに行こうか?」


研究施設の最上階へと案内され、紹介されたレディーしぃは
立ち居振る舞いが優雅で、表情には知性が現われていた。
黒曜石のような瞳が印象的な美少女だ。
淡いレモンイエローのドレスを身に纏った彼女は、
部屋の扉が開かれた瞬間に身を強張らせて、瞳に恐怖の色を湛えていたが
厳しい教育の成果なのか、すぐに恭しく跪く。

モナーは、なるべく優しく話しかけた。
「こんにちは。今日からしばらく一緒に暮らすことになるモナ」
握手しようとして近づくと、ふわりと石鹸の香りが鼻孔を擽った。

「お待ちしていました。お会いできて光栄です」
彼女は顔を上げて、モナーが差し出していた手に自分の指を絡め
軽く会釈してからすぐ指を離した。丁寧ではあるが怯えが隠しきれていない。

「全角で喋れるとは驚いたモナ」
「惚れるなよ? そいつは『しぃ族』だってこと忘れるな」
ぽんっと弟者に肩に叩かれたモナーが、微かに頬を染める。
「心配しなくても大丈夫モナ。それに彼女は兄者のものだモナ」

モナーの態度を見て、弟者の胸を一抹の不安がよぎったが、
ここは長年の友を信じるべきだろうと思い直して目を伏せた。




数ヵ月後。
今日は、モナーに預けた『レディーしぃ』を引き取る日。
弟者は胸騒ぎを感じながらも、モナーの家に訪れていた。
扉をノックしようとした弟者の耳に、ガツッという鈍い音と

「やめるモナ、何をするんだモナ!!」
モナーの憔悴した声音が扉の隙間から漏れ聞こえてきた。
弟者は思わず、ドアノブを握ったままの姿勢で耳を澄ませてしまう。

「アタシハ、チョコレートケーキガ、タベタイッテイッタノヨ。コノヤクタタズ!!」
ガシャン、と扉に何かがぶつかって砕ける耳障りな音が響く。
その扉のすぐ向こう側にいる弟者の指にも、振動が伝わってきた。

「だから売り切れていたんだと、さっきから何度も言ってるモナ。
それに生クリームのケーキだって美味しいモナ」
「ウルサイ。コンナモノ、コウシテヤルンダカラ」
また、何かが壊れる音。モナーの悲鳴じみた声。
「高かったのに何するモナ、どうしてそんなことするモナ!?」

ドアノブを握り締めたままだった弟者の顔に苦渋の色が浮かぶ。
苛立ちまぎれに荒々しく扉を叩くと

「ダレカキタワ。アタシハイマ、キゲンガワルイノヨ。オイカエシナサイ」
高飛車な声音にかぶさるようにして
「今日の来客予定は1人だけモナ。やっと来てくれたモナ」
安堵に満ちたモナーの声が聞こえてくる。

「レディーしぃ、きっとお前をダッコしに来てくれた人モナ」
「ダッコ!! ハニャーン。ソウイウコトハ、ハヤクイイナサイ」

ぱたぱたと誰かが駆け寄ってくる気配がして、ドアノブがまわる。
「イラッシャイ、ハヤク、ダッコシナサイ」
扉を開けて期待に瞳を輝かせていたしぃが、来客の顔を見た瞬間に青褪めた。

704 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:31:23 [ UaZ8zSzw ]
「ア…ア、アァ……」
酸欠の金魚みたいに口をパクつかせながら、
へなへなと床に崩れ落たしぃを、侮蔑の眼差しで弟者は見下ろしている。

しぃの美貌は今も健在だが、せっかく身につけさせた気品と知性が
きれいさっぱり消え失せてしまっていることに落胆を隠せない。
「久しぶりだな、しぃ。随分と変わってしまったようだが?」

「チ、チガウ、チガウノ。コレハ、アノ、ソノ……」
恐怖で強張った表情のまま、意味のない手の動きをみせながら
必死に弁解しようとしているしぃから視線を外して
弟者が部屋の様子を横目で確認する。

扉のすぐ傍の床には、粉々に砕けた陶器の破片が散らばっていた。
モナーお気に入りの木製テーブルの下にはケーキ皿が逆さに落とされ
その周辺には割れた小皿が転がっている。
しぃが癇癪を起こして投げつけたものに違いない。
苦い溜息をついてモナーのほうを見たとき、目を瞠った。

「ときにモナー。その額はどうした?」
しばらく沈黙が流れ、やがて弟者が声を搾り出す。
モナーの額には大きなコブができていた。
「さっき、しぃに皿を投げつけられたんだモナ。痛いモナ」

ギッと弟者が険のある視線でしぃを睨むと、しぃは竦んで硬直した。
混乱と恐慌で唇が震え、歯の根がカチカチと鳴っている。
「今日でお別れだからケーキを食べさせてやろうと思ったんだモナ」
「しぃは、どうしてこんなにも堕落してるんだ?」

「ちょっと甘やかしすぎたんだモナ」
ばつが悪そうにモナーが口ごもる。
怯えるばかりだった頃のしぃは、思わず守ってあげたくなるような
儚さがあって、遠慮深い性格が愛しかったのだ、と
モナーは悲しそうな顔で言って、現在の堕落したしぃを見つめた。

「愛情深く育てるって約束だったモナ」
怯えていたしぃにモナーは優しかった。それこそ猫かわいがりした。
しぃは少しずつ自我を出し始めて、つけあがっていった。
打ち解けてきてくれたのだと勘違いして喜んだモナーが
請われるままにダッコと高級な菓子を与え続けているうちに
しぃ族本来の性質を露わにしていったのだった。

マズイことになったとモナーが後悔したときには既に遅かった。
理知的だった瞳には欲望だけが揺らめくようになり
傲慢な言動を繰り返し、モナーの命令にも従わなくなった。

自分がモナーに預けられただけの身だと彼女も知っていたはずなのに。
いつか弟者に返される日がくると判っていたはずなのに、それを忘れた。
弟者が義務づけていた家事労働や勉強も放棄してしまった。
あっというまに『レディーしぃ』のメッキは剥がれ落ちた。

「これじゃとても兄者に提供できないモナ。ごめんモナ」
「気にするな。しぃは、どこまでいってもしぃっだったってことだ。
どんなに苦労して教育しても、甘い汁を吸わせれば元の木阿弥。
それが分っただけでも研究の成果といえるだろう」
意気消沈しているモナーの肩を抱き、優しく弟者が慰める。

「だが、しぃ。だからといって、お前を許すことはできない。
他の実験体と比べれば破格の扱いをしてやっていたのに
よくも期待を裏切ってくれたな。しかもモナーに怪我までさせて」

施設で実験体として産まれたしぃ達には、ケーキなど生涯、見ることも叶わない。
野生のしぃ族でも、よほど恵まれた環境でなければ口にできまい。
それを、贅沢に慣れたしぃは、ひとくちも食べず床に捨てたのだ。
あまつさえ、弟者の数少ない友人を傷つけた。弟者の怒りは骨髄まで達していた。

「シィィィィィ、ユルシテ。オシオキ、コワイノ。イタイノ、イヤダヨ」
しぃが両手をすり合わせながら懸命に許しを請う。
モナーの趣味で着せられていた白いエプロンドレスに黄色い染みが
広がっていくのは、恐怖の余り失禁してしまったからだろうか。

「アタシハ、トクベツデショ!? オナガイ、ミノガシテ」
「特別だったさ。でも今は屑だ。もう全角での会話も忘れたか」

「ゼンカク、ゼンカク、アレ。アレ。アレレ、デキナイ、デキナイヨ」
しぃは全角で喋ろうとしているようだが、うまくいかない。
もともと発声器官が全角に向いていないのだから、すぐには復活できない。

「実験用としてなら使えるモナ。研究施設へ連れて帰るといいモナ」
「マッテ、モナー。オナガイ、イイコニナルカラ、ココニオイテ。オイダサナイデ」
しぃは涙ながらに訴えたが、モナーの目は醒めきっていた。

「もう疲れたモナ。早く持って帰ってほしいモナ」
「マッテ、マッテヨ。アタシガコウナッタノハ、アナタノセイヨ。セキニンヲトリナサイヨ」
諦めきれないしぃが叫びながら追い縋る。

705 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:33:09 [ UaZ8zSzw ]
「いいな、それ」
弟者が、冷たい響きでポツリと言う。びくっと、しぃの背が震えた。
「責任を取ってやろうぜ。なぁモナー?」
何かを含むような、ねっとりとした口調に反応して、しぃが恐る恐る振り向くと
弟者は剣呑な光を湛えた双眸で見据えたまま、口元を歪ませていた。

「失敗作だったら研究に使い回しする予定にしていたんだが
責任を持って、不用品はここで廃棄しよう。手伝ってくれるな?」
「もちろんモナ!」
しぃが荒れても、モナーは弟者から託された身なのだからと自分を戒めて
乱暴なことはしなかった。耐えるばかりでストレスが溜まっていた。

清楚だったしぃが本性を現したことによって、なんとなく夢を裏切られたような
寂寥感も増していた。それが少なからず憎しみにも変化している。
そんな苛立ちの対象が、弟者自身の判断により加虐可能になったのだ。
モナーが喜び勇むのも当然のことだろう。

弟者は、しぃが引っかいてボロボロになっていたカーテンを掴み
ピーッと引き裂いて布紐を作った。
次に、足元に落ちていた陶器の破片を拾い上げて吟味すると
3個の大きめな破片を選んで、それぞれを布紐で括りつける。
紐の先を握って振り回せば簡易武器として使えそうだった。

それを凝視しながら、しぃが掠れた声で許しを請い続けている。
ペタリ、と座り込んでいるのは腰が抜けて立てないためだ。

「イヤ、イヤイヤイヤ。ソンナノ、ツカワナイデ、ヤメテ」
「振り殴ったりはしない。確かにこれで攻撃すれば威力は抜群だが
熟練した技術がないと、自分のほうに戻ってきて怪我をするからな。
おまえには、こいつを飲み込んでもらうだけだだ」

弟者がしぃに近寄ると、しぃは咽喉笛を鳴らして、尻でずり上がって逃げようとした。
その背が、柔らかなものに触れる。モナーだった。
「シィィィ、ハナシテ、ハナシテヨ」
モナーが片腕でしぃを抱きとめたまま、もう片方の手で顎をつかんだ。
顎ごと頬を強く握られると自然に口が開いてしまう。

弟者が、しぃの無理やり開けされられた口内に陶器片をねじこむ。
「こういうのを『自業自得』って言うんだな。
モナーの好意を素直に受けてれば、口に入るのはケーキだったのに。
皿を割ったりしなければ、こんなことにはならなかったんだ。
全部、お前の愚かしさが招いた結果だ」

しぃの口端から鮮血が伝い落ちる。弟者の指も血に塗れていた。
割れた陶器の破片には鋭利な部分もあるから口内が切れたのだろう。
しぃは自分の血と一緒に陶器の破片を飲み込むしかなかった。

3個の破片を飲ませ終えると、弟者は紐の端を握って歩き出した。
「ヤメテ、イタイ、イタイッテバ」
飲み込まされた破片が紐に引っ張られて、しぃの胃の中で動く。
胃の中で破片が突き刺さり、腸を切り裂く激痛に悲鳴を上げながら
しぃは両腕だけで這った。腰は抜けたままで、立ち上がれない。
這ってでも弟者についていかないと、体内の破片が引っ張られてしまう。

「へっぴり腰だモナ」
モナーが笑いながら、しぃの後ろ足を踏みつけて這うのを邪魔する。
「ギャッギャギャギャ」
腹で陶器が擦れあい、自分の体が内部から破壊していくのを感じて、
しぃが獣じみた叫びとともに血塊を吐き出した。
腹部がピクピクと痙攣している。モナーは笑って、足を離してやった。
ほとんど気を失いかけながらも、しぃは本能的に這うのを再開した。
「流石だな、しぃ」
歩きながら弟者も笑った。

部屋の隅の柱までくると、弟者は慣れた手つきでしぃを柱に縛り付ける。
モナーが嬉々として弟者に聞く。
「サンドバック代わりに殴っていいモナ?」
「駄目だ。破片が腹を突き破ってモナーに刺さったら危ない。
紐を引けば取り出すことが出来るんだが」
目だけで何かを促すような態度の弟者に、モナーが頬を綻ばせる。

「タスケテ。モナー、アナタハ、ヤサシイ。アイシテルワ、ダイスキヨ、ダカラ、ダカラ……」
モナーが、しぃの口から垂れ下がって紐のうち、1本を握った。
しぃがガタガタ震えながらモナーを見つめる。
祈りにも似た視線は、モナーが紐を引いたことで宙を彷徨った。

「シィィィィィィィィィィィィ、シィィィィィィィィィィィ」
口から泡を噴きながら、しぃが身悶える。
「結構、力がいるモナ。あちこちに引っかかって抜けないモナ」
力任せに引っ張ると、しぃの体からゴキュッという音がした。
内臓を突き破り筋肉を裂いて骨に引っかかっていた破片が、その骨を砕いた音だった。

「やっと出てきたな」
テラテラと血に濡れて輝く陶器には、しぃの肉と骨片が引っかかっていた。
しぃは項垂れて、ピクリとも動かない。失神したようだ。

706 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/05/30(火) 22:34:27 [ UaZ8zSzw ]
「起きるモナ」
モナーが雑巾バケツの薄汚れた水をしぃの口に流し込む。
咽喉奥に溢れる異臭と味に、しぃが目覚めてゲベゴボと不明瞭な叫びをあげた。
叫べば叫ぶほど汚水は勢いよく流し込まれていく。
口を閉じようとすれば腹を殴ってでも悲鳴をあげさせる。
弟者は、その暴行には参加せず、煙草を燻らせながら見物していた。

「旨かったモナ?」
空になったバケツを床に置いて、しぃの耳を引っ張るようにして顔を見るモナー。
しぃの視線はモナーのほうに向いているが、焦点が合っていなかった。
「ゴゲッグゲェェェ」
大量に汚水を飲まされたしぃが、苦しがって身を捩っている。

「寝ぼけてるのか?」
弟者が、しぃの片目に煙草の火を押し付けて灰皿代わりに使う。
涙で潤っていた眼球からジュッと音がして白煙が立ち昇った。

「シィィィィィィィィィィィ」
身を跳ねさせ、しぃが悲痛な絶叫を上げた。熱さで堅く目を瞑ったせいで
煙草は瞼に挟まれて、数秒ぷらぷら揺れてから落ちた。
目を押さえて転げまわっているしぃを見て、笑い上戸のモナーが爆笑している。

「目玉は燃えないモナね」
しぃの身体を踏みつけて顔を無理やり上げさせ、しぃの目を開かせると
黒目が煮えて白く濁っていた。火傷の跡は見当たらず血も流れていない代わりに
薄っすらと白濁した粘りけのある体液を垂れ流している。

「水をもらったら、ごちそうさまでした、だ。それとも、おかわりか?」
何事もなかったかのように弟者が言う。
モナーが床に置いたバケツに手を伸ばしているのを、残った片目で見たしぃは
「ゴ、ゴチソウ、サマ、デヂダ。ゴチソウサマデシタ……」
震える唇で嗚咽交じりに言い終えると、力尽きたように再び意識を手離した。

しぃが意識を失うたびに、殴る蹴るの暴行を加えて無理やり覚醒させる。
そんな単調な遊びを繰り返して数時間が経過した頃だろうか。
生命の限界がきたしぃの瞳から、急激に光が消えていった。
筋力が緩まった体から涎と糞便を垂れ流しながら、息絶えようとしている。

「あー、尻から陶器の破片が出てるモナ」
糞に混じって、薄汚れた布紐に括られた陶器の破片が2個、体外に排泄されていた。
通常なら胃の内容物が消化されてからでないと排泄されないはずなのだが
あちこち傷つき破れている体内で、しかも大量の水を含まさせているために
その水と一緒に流されて落ちてきたのだろう。

「どうだモナー。俺が口の紐を引っ張るから
お前は肛門から出た紐を引っ張って、綱引きか縄跳びをしないか?」

「嫌モナ。こんな汚いもの触りたくないモナ」
鼻筋に皺を寄せて、モナーがしぃの糞便にまみれた破片に唾を吐く。
「同感だ。じゃあ口の紐を2人で同時に引っ張ろう」
「それならいいモナ」

一本ずつ、紐の端を握って2人は一斉に引っ張った。
柱に括りつけられたしぃの体が、つっぱるように強張る。
僅かに背が反って、瞼に溜まっていた涙が頬を伝い落ちた。

更に力を込めると糞便の中に埋もれかかっていた破片が引っ張られて、体内に戻っていった。
しぃの体が揺れる。もう悲鳴は出ない。
時々、蛇口を捻ったみたいに胃の中に残っていた汚水をジャバジャバ吐き出した。
しかし意識は混濁しているようで、体が僅かに痙攣するだけだった。

しぃは死んだ。

それでも2人は紐を引くのをやめなかった。
筋肉が弛緩しているせいか、先程よりは簡単に紐が引き出されていく。
やがて、しぃの口から、糞便と血反吐に包まった破片が飛び出した。
「うわっ。汚いモナ」
「こんなものだろう。しぃの体の中身なんてものは。汚れてるのさ」

「後片付けが大変モナ」
部屋の惨状を改めて見回して、モナーが肩を落とす。
興奮が過ぎた後には、憂鬱な現実がある。
「……仕方ない。手伝おう」

2人は深い溜息をついて、部屋の清掃を始めた。

ー終ー

707 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/05/31(水) 04:02:32 [ emN8RI5g ]
生きろモララー係長


深夜、レモナの股間がビビビと鳴る。
「アン、モララー係長からだ」
携帯電話を取り出して通話モードにする。
「もしもしモララー係長今日は野外セックスですか野外虐殺ですか?」
「虐殺!!!!!!!!」
「眠いんで今日は止めませんかファ〜」
「そこを何とか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ! ! !」

結局レモナが妥協し、一時間後公園で出合った二人。
公園には二人の他に精を求めて徘徊するしぃが二人いた。
「よーしパパ今日はあの右の方のしぃを虐殺しちゃうぞー」
「係長すてきー!私は左ー!!」

二人はさっそくしぃを捕まえるためにズボンとパンツを脱いで後ろを向き、
その場で踏ん張った。
そしてしぃに聞こえるように言った。
「「あーウンチサンがでそう」」

走ってくるしぃ二人。
モララー係長とレモナはこの後の楽しい虐殺を考え微笑んだ。
そして無防備な後頭部に虐殺棍棒の一撃をくらいにやけた顔のままフリチンで
気絶した。

モララー係長が目を覚ますとすぐに自分のピンチに気づいた。
まず手がロープで縛られている。胴体は公園の大木に縛られ身動きが取れず、
下半身は未だにフルチンモードだ。足下にはズボンとパンツが脱いだときのまま
くっついており足を動かす事も殆どできない。
そして究極にまずいのは棍棒を持ったしぃ二人がクスクスと笑いながらこっちを
見ているという虐・被虐の逆転現象。

708 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/05/31(水) 04:03:18 [ emN8RI5g ]
「ピンピンチ!レモナ君携帯で助けー」
「無理」
絶望の中一抹の希望を叫ぶとモララー係長のすぐ左から答えが来た。
「や・やっぱり」
そちらを向くと自分と同じように縛られているレモナがいた。
「ガックリ」

その時突然、しぃ達が二人に向かってしゃべりだした。
「おっさん達目ぇ覚めた?覚めてるよね?」
モララー係長は答えない。腐っていてもダスキソの係長である。
こういう時に文句とかをいうと簡単に耳や手を持っていかれる事ぐらいは
知っていた。

709 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/05/31(水) 04:04:04 [ emN8RI5g ]
しかしレモナの方はそうではなかったみたいで、
「お前たちこんな事して無事ですむと思ってるのか!?私達はお前らしぃ族と
決定的に違うところがあるんだ。分かるか?分からんだろうな、お前たちの
小さな頭に詰まった小さな脳みそじゃあな。いいだろう、特別に教えてやろう。
お前らがAAキャラであるのに対して私達はAAキャラという存在でありながら
AAキャラでないいわば神に選ばれた存在という事なのさ!・・・・・こんなに
分かりやすくいってもまだ理解してないみたいだねー、うんその顔は理解してない
顔です。私の脳内多数決で決めましたもんねー。しぃ共、お前たちは私の分かり
やすい説明を聞いてなかったのか?聞き流しちゃったのか?だとしたら馬鹿ねー、
大馬鹿ねー。それともしっかり一言一句聞いていた上で分からなかったとでも
いうの?あ、今分かった。多分後者だ。その顔は聞いてて分からなかった馬鹿を
超えた大馬鹿をさらに超えた存在だねってふざけんなよビッチ。ばか、ばか、
まんこ!!いいか、私とかモララー係長は別にモララー族とかじゃなくても
いいんだよ。お前らとは違ってな。この世界の加虐キャラは皆学生か
サラリーマンか軍人だ。おかしいと思わないか?これではまるで人間じゃ
ないか。そう、人間なんだよ私達は!アブ板の職人となる者達は皆俺ならこう
やってしぃを殺す、私ならああやってちびギコを殺すとか考えてAA作品や小説
内で妄想を現実としている。だから加虐役は人の姿をとり、AAとしての種族名は
作品内で意味を持たない。私達はAAの皮をかぶった作者の分身なのさ!さあ、
ここまでいったらさすがに理解しただろう!お前らが私達を虐殺する事は許され
ない。作者や読者が自己投影できない虐殺棍棒をもったしぃなんかが人間同然の
私達を殺したりしたら世界(スレ)が揺らぐぞ!読者の次のレスは「失せろしぃ厨」
だ。分かったらこのロープを解いておとなしく虐殺されなさい。私達には虐殺の
神様がついているんだからさこんな程度の劣勢簡単に逆転できるのだよ。いま
ロープを解けば解いてくれた方は苦しまずに殺してやるよ。さあ、さっさと己の
身の程をわきまえて正しい行動を取りなさい。・・・あれ?まだ助からない。何で
でしょうかねモララー係長。何か私嫌な予感がしてまいりました。これはひょっと
してあれですか?人間として書かれているAAなのに死んでも誰も文句をいわず
誰も悲しまない唯一の存在であるアレですか?主に主役級の登場人物の両親
か祖父母か恋人役で第一話か回想シーンにだけ出てきて簡単に糞虫に殺され
て一心不乱の大虐殺に目覚めるきっかけになる役ですか?違いますよね?
モララー係長。ああっ首を横に振らないでくださいーっ!私まだ死にたく
ありませんよっ!えーとしぃさん、いえしぃ様さっきは私が間違っておりました、
どうかお許しを!!何でもしますから殺さないでください。モララーのゲス野朗
は好きにしていいので私だけは、どうか!どうか!そうだ、今助けてくれたら
ダッコしますよ?なんならコウビもつけましょう!助けてください、助けて
ください、タスケテタスケテタスケテだーずげでー」
意味不明の長文をいったら死ぬの法則を地でいっていた。

710 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/05/31(水) 04:04:49 [ emN8RI5g ]
二人のしぃはしばらくヒソヒソと話した後棍棒を担いでレモナにツカツカと
近づき棍棒がジャストミートする間合いでピタリと止まった。
「た、助けてぶれるんでぇあ!?」
涙と鼻水いっぱいの顔で聞くレモナ。もちろん助からない。

しぃ二人は棍棒を振り上げてせーのと声を合わせると必殺のスペルを唱えた。

「右しぃちゃん、今はやりの『闇』いっとく?」
「左しぃちゃん、いっとこ」
「イヤァァァァァァァァ」

棍棒は全部で八回振り下ろされた。

最初の二回は両足。大腿骨の砕ける音がモララー係長にまで届いた。
「レモナァァ!!私の足感覚ない!全然ない!」

次の二回は両腕。肩から飛ばされていく両腕。
「腕も無くなったー!もうやめて!ダッコするから!」

五回目と六回目は両耳。レモナの両耳がトマトの様に爆ぜて髪が真っ赤に
染まった。
「耳がぁ耳がぁ」
さらにこの打撃の衝撃は顔の中心にまで伝わっていく。その結果両目が
デローンと飛び出た。
「めぇ〜」

七回目は棍棒を逆さまに持ちグリップ部分をヘソに突っ込んで引き抜く。
レモナの腹に大穴がぽっかり開きそこにしぃ達の両手が入れられて、
次の瞬間一気に皮膚が左右に引っ張れた!
「「合体奥義ポテチのパーティー開きー!!」」

711 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/05/31(水) 04:05:20 [ emN8RI5g ]
ベリベリベリベリ!!
「ひふぅるるうる!!」

レモナの皮膚は腹部からきれいに剥がれていき、まだかろうじてくっついていた
両足と両目をまきこんで行く。

「いやめてぇ!両足と両目とれちゃう!」
ブチブチブチブチ!!
レモナの訴えも通じず、皮膚は両足と両目を道連れにして全部剥がれてしまった。

最後の一発は口。右のしぃがレモナの首をもぎ左のしぃにトスする。
「カッキーン!」
「左しぃちゃんかっこいー!」

レモナの首は左のしぃのアッパースイングで全ての歯を砕かれながら空の彼方に
飛んでいった。残されたのは首の無いズタボロの死体。ここでしぃ達は手順の
間違いに気付く。
「ねえ右しぃちゃん。『闇』に首もぎはなかったぽいけど?」
「えーっと・・・ゴメン最後は口潰してから注射だったわ」

しぃ達はここでひさしぶりにモララー係長の方を向き直した。そして一言づつ、
「失敗したから今日は帰るね。じゃ、おっさんそういう事で」
「この人の敵討ちをしたければいつでもどーぞ」
とだけいって帰っていった。

残されたモララー係長は六時間後フルチンモードのまま隣にレモナの首無し惨殺
バラバラ死体があるままで警察に見つかりそのまま連行された。

モララー係長はここで泣いたら負け組みだと思い涙は流さなかった。

終わり

712 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/03(土) 22:38:47 [ Ov819D7. ]
ごっつアブいかんじ2

「は〜、今日も仕事が大変だったぞ」
夜中ワンルームマンションに帰ってきたギコはコタツに入り自分の肩を揉みながら
独り言をいう。

「明日もサービス残業で大変・・・」

ガン! ガン! ガン!
誰かが窓を叩いている。

「ゴルァ、なんだ?」
気になったギコがコタツから出て窓まで歩いていき鍵を開ける。
すると、窓が一気にガラッと開けられて一人のしぃと目が合った。

ジャジャジャジャーン(効果音)

一目で怪しさ爆発のしぃだった。他人の家の窓を叩いている時点で怪しいが
今やそこは問題にならない。外見が特に怪しかったのだ。
黒いマントを羽織り、その下は黒いビキニのみでヘソも足も丸出し、
首元にはオシャレにドクロのネックレス、頭には高そうなサークレット、
どこをどう見ても悪の組織の女幹部か変質者である。
どっちにしてもギコにとっては関わりたくない相手だ。

「ゲー!何者だ!」
そう言ってしまってから後悔する。
何者だなんて言ったら相手が名乗ってしまう、つまり深く関わってしまうのだ。

ギコの不安道理に怪しい格好のしぃは窓から家に上がりこみながら名乗りを上げる。
「ホーホホホッ!私の名前はドクロしぃ。貴方をアフォしぃ帝国に連れ帰り
性奴隷にしてやるわ!」
しぃの正体は悪の組織の女幹部かつ変質者だった。最悪である。

713 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/03(土) 22:39:17 [ Ov819D7. ]
しかし、悪が名乗りを上げたら正義の味方がやってくるが世の理。
悪を打ち倒すべき声が室内に響いた。
「まてぃ!」

「はにゃーん、何者!!」
身構えながら辺りを見回すドクロしぃ。
間を置かず玄関のドアが開きヒ−ローが登場した。

「耳もぎのモナー!」
堂々と名乗りを上げてドクロしぃに構えをとるモナー族の男。
それを合図に窓から天井から床下からクローゼットから次々と正義の味方が現れる。

「皮はぎのモララー!」
「耳もぎのレモナ!」
「耳もぎのニダー!」
「皮はぎのつー!」

新たな四人のヒーローは順に名乗りを上げ、モナーの周りに集まっていく。
そして最後に全員で決めのポーズをとって一斉にお決まりの言葉を叫んだ。

「「「「「五人そろって虐殺戦隊コロスンジャイ!!」」」」」

その運命的ともいえるタイミングのいい登場にギコはただ感動し、ドクロしぃは
苦々しい表情で事の行方を見ていた。

「さあ、今のうちに逃げるんだ!」
モララーがギコの手を取って玄関へと逃がし、外へ出て行ったのを確認した後、
戻ってきたモララーを含む全員でドクロしぃの前に立ちはだかる。
「さあ、かかってこい!ドクロしぃ!」
ここに正義のヒーロー達対悪の幹部という黄金パターンが出来上がった。

714 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/03(土) 22:39:52 [ Ov819D7. ]
「ちがう」
だが、悪の女幹部から帰ってきた返事は誘拐を邪魔された事による憎悪に燃えた
物ではなく、ヒーローの存在そのものを否定するかのような冷たい言葉だった。
そして、その顔はさっきまでの高笑いをあげていたハイテンションなものでは
無くなっていた。
ドクロしぃはまずはモナーに向かって確認の意味を込めて質問した。

「あなたの名前は?」
「耳もぎのモナー」
「うん、あなたはまあいいわよ。さあどうぞ」
しぃはモナーの手元にしゃがみ込み頭を傾けた。
「もぎなさい」
「へ?」
予想外の事態に困惑するモナー。
「いいからもぎなさい。あんたは私の耳をもぐ。その為にここにきたんでしょ」
ドスの聞いた声でもう一度言うドクロしぃ。モナーの顔に冷や汗が伝う。

モナーはもう少し躊躇してから右手を上げ、武器の名を呼んだ。
「モナー・ミミモギブレードー」
モナーの手の中に武器が突如現れる。その形・大きさは誰が見ても唯の
果物ナイフである。しかし、耳もぎの為の武器としては果物ナイフでも
十分な威力を持つのだ。


「えっと、本当にいいんですか?」
「早くしなさい」
モナーは武器を構えドクロしぃの右耳に狙いを付けた後に念を押して聞き、
肯定の返事の後そのナイフを振り下ろした。

ひょっとしたらこのしぃは今の自分達よりずっと強くて果物ナイフなんか簡単に
耳の筋肉で受け止める事ができるのだろうか。
モナーはそう考えたが、ドクロしぃの右耳はいとも簡単に切り落とされた。

715 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/03(土) 22:40:49 [ Ov819D7. ]
だが、そこからが違った。ドクロしぃは悲鳴を上げて痛がったり右耳をを失った事に
狂乱する事なく右耳のあった箇所から血をドクドクと噴出し顔を真っ赤に染めながら
レモナの方を見て、赤く濡れたその口を開いた。

「あなたの名前は?」
「耳もぎのレモナです」
迫力に負けて丁寧に返してしまうレモナ。
「まああなたもいいわ」
ドクロしぃはモナーの時と同じ様にレモナに頭を下げた。
「もぎなさい」

ただもぐ耳が左耳なところだけが違った。
「レモナ・ミミモギバトルハンマー」
トンカチを手に取り左耳に何度も何度も叩きつける。
モナーの果物ナイフが素早く耳を切り落とし相手に恐怖を植え込む為の
武器なのに対し、レモナのトンカチは本来耳もぎに不向きで耳をちぎりかつ
それと同時に頭部や顔にダメージを与え外見を醜くする事が主な目的とする
武器である。
その為、ドクロしぃの左耳はちぎれる事なく土佐犬のように潰れて広がっていく。
そして何度もトンカチを叩きつけているうちに頭蓋骨が陥没し衝撃で左目が
眼球から飛び出してもまだ左耳はちぎれない。

「まだ?まだなの?」
トンカチの下から聞こえてくるドクロしぃの声。それには明らかに苛立ちが
含まれているのがレモナにも分かった。
これ以上長引かせると何をされるものか分かったものじゃない。
レモナはトンカチを捨て、頭部とほぼ一体化した左耳を両手でつかみ強引に
引きちぎりにかかる。
レモナが引っ張った方向に対して反対側にドクロしぃが踏ん張った事と
耳の付け根がぐちゃぐちゃに潰されていた事もあり、思ったよりも
あっけなく左耳はちぎれた。既に床に血だまりが出来るほど出血していたので
右耳をちぎった時ほどの出血はなかった。
その代わり耳の下からは骨が見えるほどの深いグロテスクな傷が現れ、
上から見ると赤く染まった頭部の中でそこだけ白く見える。

716 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/03(土) 22:41:24 [ Ov819D7. ]
ドクロしぃの顔の鼻から上は既に元の形を留めていなかった。
顔から飛び出した左目は既に完全に視力を失い、残された右目も目蓋が腫れ、
その上血が入っている為殆ど前が見えないのだろう。
両耳を失った頭部は左半分が傾斜をつける様にへこみ砕けた骨が露出しており、
高級品であったはずのサークレットは見るも無残に変形し孫悟空の輪のように
頭部にくいこんでいる。
とっくに気を失いあるいは発狂あるいは死んでしまってもおかしくないダメージ。
しかしそれでもドクロしぃは倒れない。歯を食いしばり右目の血をマントで拭い
次の相手であるモララーを確認し歩いていく。

ドクロしぃが一歩歩くたびに粘り気のある血が床に滴り落ち、顔色はどんどん悪く
なっていく。その姿を正面から見ているモララーだけでなく、この場にいないギコ
を除いた全員がこの後の展開に関係なくドクロしぃの命が残り少なく、おそらく
今日中には死ぬであろう事に気付いていた。
そして、ドクロしぃは命の残り時間を確実に削りながら四歩歩きモララーの前に
立った。

「あなたの名は?」
「か、かわはぎのモララーです」
「そう、あなたもいいわ」
今度はマントをはずして背中を向けてから言葉を続ける。
「さ、やりなさい」

「モララー・デーコンオローシー」
他の二人同様に右手に武器を召還するモララー。
モララーの手に現れた武器はその名の通りにおろし金であった。
それを背中に当て一心不乱に前後に動かし皮膚をこすり落としていく。

数回こすりつけただけで背中の皮が破れ、紐が切れたビキニが床に落ちる。
そこからもう数回で背中の皮は八割がた剥がれ頭部と同じく血で真っ赤になる。
その間ドクロしぃは悲鳴や恨み言を一言も言わず、痛みに耐えていた。それが
ヒーロー達の心にずしりと堪える。
彼らはしぃ虐殺の為に結成されたヒーロー戦隊であり、血も涙もなく残酷に悪の
しぃを虐殺できるものだと思っていた。しかし、それは思い上がりだった事を
今知った。ここにいるしぃは虫けらではなく自分たちと同じ人間だった。
彼女が何に怒り何のために自分の体を傷つけさせているのかはまだ分からないが、
その姿はストレス発散の爽快感を呼ぶものではなく己の命を懸けて彼らにメッセージ
を送ろうとする尊いものとして映っていた。

717 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/03(土) 22:42:06 [ Ov819D7. ]
背中から胸と腹に、そこから両手両足に何十分も掛かりながらモララーは全身の
皮膚をこすり落としていく間、自分でも理由は分からないが頭の中で何度も
ごめんなさいと繰り返していた。
顔の皮はぎはすぐに済んだ。レモナの攻撃で既に結構めくれあがっていたからだ。

「残った二人こっちにきなさい」
ドクロしぃの声は注意しないと聞こえないぐらい小さかった。
もうドクロしぃの目は見えない。手足も神経が切れてしまったので腰をおろし壁に
もたれかかっている状態である。口も顔の皮はぎの時に唇を失い、歯も半分以上
失っていたが奇跡的にまだ少しだけしゃべる事ができた。そして聴力もかろうじて
残っている。
ドクロしぃはニダーとつーが近づいてきた事を気配と足音で感じ、
二人に名を聞いた。
「耳もぎのニダー」
「皮はぎのつーです」

二人の名を聞き口の端を吊り上げるドクロしぃ。ここまで長くつらかったが
これでようやくこいつらに間違いを教える事ができるその思いが全身に広がる
激痛を少しだけ和らげた。
ドクロしぃは喋れる内に伝えようと早口で語りだした。
「で、あんたらはどうやって私の耳をもいで皮をはぐの?」


「「「「「あ」」」」」

同時に自分たちのメンバー構成のおかしさにやっと気付く五人。
「おかしいでしょ?耳もぎ三人に皮はぎ二人て。私は耳二つしかないし皮は一度
しかはげないし」
「あ、あーはい。そうですね」
「分かったら今回は戦うのあきらめて役割分担をちゃんとして出直してきなさい」
「はい、どうもすみませんでした」
コロスンジャイの五人は頭をさげ玄関から退散した。

718 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/03(土) 22:42:33 [ Ov819D7. ]
マンションの入り口でずっと待っていたギコが帰ろうとしているモナー達を見つけ
声を掛ける。
「ヒーローさん、さっき戦い終わったところですか?」
「うん、まあ楽な勝負だったよ。というか一方的だったね」
モナーの返事は一応嘘ではない。
「じゃあ俺部屋に戻りますね。ありがとうございました!」
ヒーロー達に別れを告げてギコは自分の部屋に戻っていった。

ギコが部屋に戻ると壁際に耳と皮を失ったドクロしぃの見るも無残な姿があった。
恐る恐る体に触れてみるとまだ暖かくついさっき死んだ事がわかった。
「やっぱヒーローってすげー!!」
ギコは何も知らずに感動した。部屋はかなり血なまぐさいが今日はぐっすり眠れそうだ。

終わり

719 名前:反モラ的社会 投稿日:2006/06/10(土) 19:57:17 [ rq21ryZk ]
このモナーの爺はよく、「モララーを殺すな」と言う。
実はこのじじいが生きていた時代は、
モララーがゴミとは呼ばれない時代であった。
奴隷列車が走っていた時代である。
奴隷列車というのは生産されたベビモラを
詰め込み、工場や上流の家庭に送り届ける列車である。
とにかく労働力が不足していたこの時代、
パンの粉(と人の便)のみで働くモララー達は貴重な存在であった。
工場の神といってもいいかもしれない。

720 名前:反モラ的社会 投稿日:2006/06/10(土) 20:13:11 [ rq21ryZk ]
奴隷といえど、モナー達工場の人間派は
身を粉にして働くモララー達に感謝していた。
しかしモララーは生産されすぎた。
さて、「減モラ政策」以降、
生産され続けたモララーは次々と始末された。
奴隷列車も、「廃棄物」どもを乗せ、モララー住宅地にて
華々しい最後を遂げた。
2chタワーはモララー達が建てたものである。
その証拠に頂上には一匹のベビモラが誇らしげに刺さっている。
しかし、その隣には虐殺タワーが建った。
一匹のベビモラどころか、
5万のモララーの血で塗られた、赤黒いタワーである。
現在、世界一高い。

721 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/06/14(水) 00:11:25 [ 5RNl3Sq2 ]
タイトル 『母娘喧嘩』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

沸きたての熱湯で淹れたニラ茶を前にして、あたしはご機嫌だった。
猫舌だから、すぐには飲めない。ふぅふぅ息を吹きつけていると
玄関のドアが開く音がして、娘が学校から帰ってきたのだと悟った。

「オカエリナサイ。アナタモ、ニラチャ、ノム? トッテオキノ、マターリアジ、ダヨ」
視線は茶碗に向けたまま言った声が自分でも弾んでいるのが判った。
でも娘の返事が無い。
怪訝に思って振り向くと、すぐ近くまで寄ってきていた娘の顔は、ひどく青褪めていた。

「オカアサン……アタシ、ビョウキカモ、シレナイノ」
瞳に大粒の涙を浮かべて、ぐすっと鼻を鳴らすと細い肩が震える。
「オチツキナサイ、ナニガアッタノ?」
「アノ、ネ。オカアサン。アタシノ、ムネ、ネ…イタイノ」
消え入りそうな声で娘は言った。
怪我も何もしていないのにズキズキと乳房が鈍く鋭く断続的に痛むのだ、と。

「オカアサンニ、ミセテゴラン」
毛皮をまさぐって触診してみると、娘の胸は柔らかな膨らみを形成していた。
触ると痛いのか、ほんの少し苦痛の色を表情に浮かべながらも、娘はじっとしている。
軽く揉むと弾力があり、若く張りのある感触が手の平に伝わってきた。
恥ずかしそうに目尻を紅く染めて指の動きに耐える表情が、やけに大人びて見える。

いつの間に、こんなに成長していたんだろう?
チラリと腰に視線をやると、幼児体型だったはずの娘の腰には
ほっそりと女らしく艶っぽい、くびれができている。
純白の毛皮も健康的に輝いていて、柔らかくて手触りが良かった。

「………」
思わず自分の体と、見比べてみる。
出産後は体型も崩れたし、子育てに必死でオシャレも満足に出来なかった。
腹と胸には、たるみが出てきて肌の張りは感じられなくなっている。
肌だけではなく毛皮の色艶も衰え、パサパサと乾いたような感触になっている。
しっとりした娘の体躯とは大違いだ。なんて、惨めなんだろう。
自分の眉間に、ひそやかに皺が寄るのを感じた。

「オカアサン?」
唇を真一文字に引き結んで歯を噛み締めていると、娘が心配そうに声をかけてきた。
皺のない若い顔を見て、自分の中で憤りが爆発したような気がした。
この娘が、あたしから若さと美しさを奪ったのだ、と思った。
こんな娘、産まなければ良かった。そう、産んではいけなかったんだ。

「オカアサン?」
「イイエ、ナンデモナイワ。ソレヨリ、ハシルト、ムネガユレテ、イタミガ、オオキクナル?」
娘は、こくこくと頷いた。
「アァ、ヤッパリ、ソウネ」
きっと成長痛だ。成長期には節々の間接が痛むことがある。
つまり、その痛みは娘の胸が女らしく膨らみ始めてきた証拠でもある。
憎たらしいったら。

「キット、ムネノナカニ、ギャクサツチュウガ、イルノネ。ワルイ、ワルイ、チイサナ、ギャクサツチュウダヨ」
「ギャクサツチュウ!! イヤァ、ソンナノ、イヤダヨォ。タスケテ、オカアサン、ドウシタライイノ!?」」
娘の声は裏返っていた。
こんな嘘を信じるなんて。こういうところは、まだ子どもだわね。

「ダイジョウブヨ。オカアサンガ、タイジシテ、アゲルカラ」
裁縫箱を持ってくるように言うと、涙を零しながら娘はガクガクと頷き
転げ落ちるような動作で走っていく。すぐに裁縫箱を抱えて戻ってきた。

もつれるような手の動きで留め金を外し、裁縫箱を開ける娘。
でも裁縫箱の中身は、開けた娘のほうからしか見ることが出来ない状態だ。
正面に立っていたあたしからは、蓋しか見えない。

「コッチニムケテ、アケナイト、ダメデショ。キガキカナイワネ」
蓋をパシッとつくと、蓋は娘の乳房の先端を挟んでパタリと閉まった。
瞬間、娘の口が悲鳴の形に開かれ、裁縫箱を取り落として声もなく、しゃがみこんだ。
浮き上がった汗の珠が毛皮を滑り落ちていく。
身体を2つに折るようにして頭を下に向け、全身を細かく震わせている。
激痛のあまり、声を上げることすらできないのだろう。

「モゥ。ナニ、シテルノヨ」
ぶつぶつ言いながら零れ落ちた裁縫箱の中身を掻き集めて娘をみると、
まだ同じ姿勢のまま震えていた。

「イツマデ、ソウヤッテルツモリ? ホラ、コッチニキナサイ。オムネノ、ギャクサツチュウ、コロスカラ」
虐殺厨と聞いて娘の肩がピクリと動いた。
涙目で顔をあげて、ベソベソ泣きながら近づいてくる。

722 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/06/14(水) 00:13:39 [ 5RNl3Sq2 ]
「オムネノ、カザリ。フタデ、チギレチャッタカモ。イタイ、イタイヨ、オカアサン」
情けない泣き顔だ。いい気味だけど、ここで笑ったら不審がられてしまう。
神妙な表情を作りながら再び毛皮に手を突っ込んで、娘の乳房を引っ張り出す。

「ツブレテナイ? チガ、デテナイ?」
不安そうな泣き声を洩らしている娘に、はぁっと溜息をついてやった。
少しくらい怪我をしているかと期待したけど、淡く色づいた先端の形は整っている。
裁縫箱の蓋で挟まれた程度では傷1つ、ついていない。
ただ、感覚が鋭敏な場所だから、必要以上に痛みが激しかっただけのようだ。

「チハ、イマカラ、デルノ。タイジスルタメダカラ、ガマンシナサイ」
乳房を左手で握りこんだまま先端を、糸切り鋏で縦にチョキッと刻んだ。
鮮血が溢れ出す。娘は目を剥いて、その場でバタバタと足踏みをしている。

「イダイッイタイィィィ、オカアサン、ナニ、スルノヨォ」
「ガマンシナサイッテ、イッテルデショ」
もう一度、縦に切込みを入れて十字の形にしたら娘の足踏みダンスが加速した。
激痛に悶絶しても逃げようとしないところは、よほど虐殺厨が怖いのだろう。

「イタイイタイッイダイヨオォォ、ヤベデェ、イダイ、イ゙ダイ゙ィ゙〜〜ッ」
涙と鼻水を垂らしながら、胸を鷲掴みしているあたしの左手首を、
両手で握りこむようにして哀願してくる。

「ダーメ。ガマン、シナサイ」
右斜めに切込みを入れる。グギアァァァァァァァァァ、と断末魔の声音が響いた。
左斜めにも切込みを入れる。ヒギッヒグックハッ、と息が漏れる声音が聞こえた。
娘は失神寸前だった。立っているのがやっとなのか、太腿が痙攣している。

ふふ、いい気味だ。なんて、いい気味なんだろう。

糸切り鋏を放し、右手の爪で切込みを入れた先端を抉るようにして開いた。
血で濡れた切開面がどうなってるのか、よく見えない。
それでも、元はひとつだった先端が四方八方に、小分けされて
花開いているような光景は、なかなか滑稽で面白い。

「チガ、ナガレスギネ。アラッテアゲル。ヤッパリ、ショウドクハ、ネットウダヨネ」
まだ湯気が立ち昇るほど熱い湯呑み茶碗を、火傷しないように注意しながら掴むと、
傷ついた娘の胸をチャポンと漬けてやった。
飲むのを楽しみにしていたニラ茶だけど、この暗い歓びには換えられない。
膨らんだ嗜虐心を満足させるのが最優先だった。

湯呑み茶碗は、乳房ひとつがピッタリ入る手頃なサイズだから
ピンポイントで火傷を負わせることができる。
娘の乳白色だった乳房は、見る見るうちに紅く染まっていった。

「シィィィィィィィィィィッギャピイィィィィィィィィィィ」
娘は意識が回復したようで凄まじい絶叫を上げた。
あまりの大声に耳が痺れて、つい左手を離してしまう。
胸を解放された娘はピョンピョン跳ねて意味不明の叫びを上げ続けている。

「ヒィッヒィッヒィッシィッシィィィィィィィィィィ」
跳ねている途中で転び、床の上で文字通り七転八倒するものだから
飛散した血潮が、床や白い毛皮のあちこちを染めていく。

「カハッカッハッ、シィィィ」
だんだんと悲鳴の長さが短くなってきて、浅く荒く呼気を洩らすようになり
娘は歪んだ表情で、こっちを見た。

「オカア、サン……ギャクサツチュウハ、モウ、シンダ、ヨネ」
縋りつような視線で、ガチガチと歯を鳴らすほど震える唇で言う。
「アタシ、タスカッタンダヨネ。オカアサン。アリガ、トウ」

今、なんて言ったの。ありがとう、ですって?
くっ。あはは、あははは、あーっはっはっはっ!!
もうダメ、我慢なんてできない。思いっきり嘲笑してやった。
笑いすぎて腹筋がピュクピュク波打って、息ができないじゃない。
あー、おかしい。こんなに笑ったのは久しぶりだよ。

「オカア、サン?」
涙に霞む眼でこちらを見ながら、怪訝そうに小首をかしげる娘に
「バカナコ。ホントニ、バカナコ」
笑いすぎて出た涙の粒を指先で払いながら、冷たく言い放つ。
この馬鹿な娘に、真実を教えてやることにした。



「ウソ、ウソダヨネ。オカアサン?」
信じられない、というように目を大きく瞠って、娘が首を左右に振る。
こちらも首を左右に振ってやった。ただし、娘とは違う意味で。

「ヒドイ、ヒドイヨ、オカアサン!! ドウシテ、ドウシテヨ、ドウシテヨォォ」
「ウルサイネ。ソンナニ、サキガワカレタノガ、キニイラナインナラ」
うるさく騒いでいた娘の頬を殴り飛ばして、暴れる娘を押さえ込むと
あたしは再び糸切り鋏を振りかざした。

723 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/06/14(水) 00:16:28 [ 5RNl3Sq2 ]
「ホラ、ヒトツニ、モドシテアゲルワ。ヤサシイ、オカアサンニ、カンシャシナサイ」
乳輪の辺りで横に切り裂いてやったら、先端が乳房から分離されて床に落ちる。
切断面からは勢いよく血潮が噴出し、赤い霧状に散布した。
ほぼ、同時にパタリと娘の体から力が抜け落ちる。

どうやらショックで気を失ったようだ。
どくんっどくんっと一定のリズムを刻みながら血は流れ続けているから
放っておいたら出血多量で死ぬかもしれない。別にいいけど。

さて、残りの胸の乳首と乳房も切ってしまおうか。それとも焼き潰そうか。
クックックッと咽喉を震わせながら思案していたら
「ン、ナンダイ、コノテハ」
不意に娘の手が、あたしの腰の毛皮を掴んだ。
「オカアサン」
迷子のように細く、それでもどこか安堵が滲んだ声で、娘が呼ぶ声。

眉根を寄せて娘の顔を覗き見たが……気絶したままだ。意識はない。
夢でも見ているんだろうか。

「………」
そういえば、この娘は、よくこうやって、あたしの腰の毛を掴んでいたっけ。
迷子になっていた幼い日も、転んで怪我をして泣いていた頃も、こんなふうに。
そうだ、そうだった。可愛かったんだ、幼い頃の、この娘は。
可愛くて、可愛くて、かわいくて、カワイクテ。
あたしの、たったひとつの、宝物、だった。愛しくて、たまらなかった。

「………ゴメン、ネ」
血に濡れた糸切り鋏を放り捨てて、娘の身体を抱しめて頬擦りする。
「シナセタリ、シナイ。イマスグ、オカアサンガ、タスケテ、アゲマスカラネ」
今もなお血が吹き出ている胸を力任せに掴んで止血した。
裁縫箱から糸を取り出して、乳房の根元に何重にも巻きつけて堅く縛る。
これで、出血死は避けられるはずだ。

ただし血流を失った乳房の細胞は壊死を起こすのは避けられないだろう。
血も澱み、糸で締め上げたところから先は腐り落ちる。
気を失った娘は、考えようによっては運がいいのかもしれない。
生きたまま、自分の乳房が腐れ落ちていく様子を眺めなくてすむのだから。

「ゴメンネ。ゴメンネ。オカアサン、ドウカシテタ」
眠ったままの娘に何度も謝りながらベッドに運び、寝かしつける。
医者に診せたくても治療費が出せないから、その不甲斐なさも悲しかった。

「イキテイテクレテ、ヨカッタ。コロサナクテ、ヨカッタ」
娘の額に軽く唇を押し付けて、おやすみのキスをする。
この娘は優しい性格をしているから、きっと、あたしを許してくれるだろう。
胸がひとつ、なくなってしまうのは可哀想だけれど。
まだ他の乳房は残っているのだから、そんなに大きな問題ではない、はず。

胸を失う立場が自分だったらどうか、と考えると戦慄に身震いがしたから
これ以上は深く考えないことにした。そのほうが、いい。
なんだか、とても疲れた。今夜は、もう寝てしまおう。

自分の寝室に向かい、灯りを消して布団に包まる。
睡魔は、すぐに訪れて心地よい眠りへと誘ってくれた。



「……タ。…アタ……オカアサ……」
夢うつつの中、ぽそぽそと呟くそうな声がが聞こえた気がした。
ノイズがはしったように不快な耳障りだけど、きっと気のせいだろう。
目を閉じたまま、寝返りを打って布団をかぶりなおす。

「オカ…ノ……セイ、デ……アタシノ……オムネガ」
さっきより、鮮明な声音が聞こえた。どこかで、聞いた声?
薄目を開けて暗がりに視線をやる。と、何かが闇の中で蠢いていた。
ぶつぶつと陰鬱な声で呟きながら部屋の中を徘徊している。

暗がりに目が慣れてくると、あれは、娘だ。と気づいた。
目に狂気の光を宿して、ふらふらと夢遊病者のように珍妙な歩き方をしていて
その右手には、金槌が握られていた。思わず、ヒッと息を飲む。
左手にも何か持っているみたいだけれど、よく見えなかった。
後方に長く垂れている紐状の影が見えたから、包帯かもしれない。

「アタシノ、オムネ。クサッテイク……オカアサンガ、アタシ、ヲ…ダマシ、タ。ダマシタ……」
金縛りに遭ったように体は硬直している。
目玉だけが自由に動かすことができたから、目線だけで娘の動きを追った。

「オカアサン、ガ。アタシノ、オムネヲ、クサラセタ」
娘の乳房は鬱血を通り越して茄子のように黒く変色して、萎み垂れ下がっている。
そのうち自然に腐り落ちるだろうけれど、胸以外は輝くほど白い毛皮を誇っているだけに
より凄惨に見えた。娘は、そんな自分の胸を狂気の表情で眺め、ニヘェッと笑う。

「オカアサンガ」
呟きながら突然、くるっと顔だけを、こちらに向けた。目と目が合う。

724 名前:若葉 ◆t8a6oBJT5k 投稿日:2006/06/14(水) 00:17:41 [ 5RNl3Sq2 ]
「オカアァァァァァァァサァァァァァァァン!!」
闇の中で、血ばしった瞳を紅く煌かせながら娘が、
金切り声に近い叫びをあげながらフルスピードで向かってくる。

「ヒイィッシィィィィィィィィィィィ」
硬直が解け、跳ね起きて頭上を両腕で庇うと同時に、凄まじい激痛が迸った。
振るわれた金槌で腕の肉が裂け潰れて、絶叫を放つ無様な自分の姿が、
娘の瞳に映っていた。娘が犬歯を覗かせながら声を立てずに笑う。

くるんっと器用に金槌をまわして娘が再び腕を振るった。
尖った釘抜き部分に右の眼穴を抉られて、飛び出した目玉が血を纏って飛び
壁にぶち当たってベチャリと落ちた。

その光景がスローモーションで左目に焼き付けられる。
「イタイッイダイイイイ、シイィィシィィィィィィィィィィィィィ」
一瞬遅れて、燃え立つような激痛に襲われて、あたしはベッドから飛び出て悶え走った。
走らずにはいられなかった。さっき、娘が部屋をぐるぐる徘徊していたのと同じように、
部屋を駆け巡ろうとした足裏の肉球に違和感を感じる。
その直後、何かに絡め取られるようにして転倒した。胸や腕にも違和感が広がった。

何かが、あたしの毛皮に、貼りついている?

違和感の正体に視線をはしらせると、それが荷作り用の布テープだった。
焦って周囲を見渡すと先程、娘が飛びかかってきた位置あたりに
1個の布テープが転がっているのが見える。
床には粘着面を上にして伸ばされた布テープが蜘蛛の糸さながら、ぐるりと張り巡らされていた。
あたしは、それに引っかかって転び、転んだことで腹や腕にもテープが巻きついたんだ。
ここに至って、ようやく娘の好意の意味を知る。無意味に徘徊していたわけじゃない。

あたしを、逃がさないようにするために、こんなことを……。

びくびくしながら振り返ると、娘は悠然と歩きながら向かってきている。
「シィッシィィィィ。ヤメテ、オナガイ、ショウキニ、モドッテ」
逃げようともがいても、もがけばもがくほど布テープは毛皮に貼りついた。
「イヤッイヤッイヤアァァ」
痛いのを我慢して布テープを引っ張ると、毛皮ごと剥がれて血が滲んだ。
露出した体にはブツブツと鳥膚が立っている。
恐怖のためか、痛みのためか、それとも無理やり毛を毟ったためか。
きっと、そのどれもが正解なのだろう。

じくじくと染み出る血の流れすら肌に沁みて、ひどく痛む。
まだ他の部位にも布テープは強力に絡んでいるままだ。
再び布テープを毛皮ごと引き剥がして激痛を味わう度胸は出てこない。
そもそも、こんな状態で走ることなんて、できるわけがなかった。

「イタイッイタイヨオォォ」
全身を冒す痛みに震え、うめくとポタポタと眼から滴る血潮が胸元を染めた。
「チガ、イッパイデテルヨ。シンジャウ。タスケテヨ。イタイヨ、イタイヨォ」
喋ると、まるで虫歯にクギを打ち込まれたような痛烈な感覚が眼の奥で爆ぜる。

「アタシハ、モット、イカタッタ。モット、イタカッタンダヨ!!」
羅刹女のような鬼気迫る形相の娘が、金槌を振り上げて駆けてくる。
「イヤァァ、ユルシテ、ユルシテヨォォ、シィィッ、シィィィ。オカアサン、ハンセイシテルンダヨ」
「アンタナンカ、オカアサンジャ、ナイ」
その声に被さるようにガツッと鈍い音がして、視界が赤一面に染まった。

抉られた眼孔を手で覆っていたせいで、頭を守ることが出来なかった。
娘の金槌は、あたしの脳天を割ったようだ。砕いた、という方が正しいかもしれない。
額からも血が、ドクッドクッと音がするほどの勢いで流出する感触が伝わってきた。
更にガツッガツッと頭で衝撃が弾け、あたしは崩れ落ちる。
耳の奥で、甲高い狂気の笑い声を聞いたのを最期に、意識は途絶えていった。

ー終ー

725 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/19(月) 11:13:54 [ jQXCGyvg ]
76さいはじめてのぎゃくさつしょうせつ

『外道兵士の強姦』
1943年ポーランドは大混乱に包まれていた。
国力で劣るドイツ兵はじわじわと領土を奪われていき、
ドイツ兵達の疲労はピークに達していた。

それと戦争に勝てないと気づいた絶望からだろうか。
兵の中には前線から逃げ出し、近くの町で女を襲うもの
も現れた。

「何をするんですか。やめてください」
襲われた女は皆こう言うが兵士の耳には届かない。
彼らの頭のなかには犯してから殺すか、
殺してから犯すか、それとも首をしめて殺しながら犯すか、
どうすれば自分が一番気持ちよくなるかで―



「先生、ストップ」
「ああ、やっぱりな」
「はい」
「前の小説以来私は5年程筆を置いていた」
「へ?」
「だから本調子になってない私の書き出しにボツを出した。
 そういう事だよね?」
「いえ違います」
「違うの?じゃあ何で止めたの?せっかく筆がのってきたのに」
「先生。僕は先生に今回何を書いて欲しいと頼みましたか?」
「何って・・・虐殺小説だろ」
「ちょっと違います。僕が頼んだのはAA虐殺小説です」
「AA虐殺ね。わかった、スラスラスラ〜っとはい序章できた」
「流石ですね先生」

726 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/19(月) 11:14:31 [ jQXCGyvg ]
『やりすぎたAAフェチ』

俺は子供の様な女が大好きだ。というより胸の小さい女が大好きだ。
だから今日もついインターネットで出会った女をホテルで殺しちまったぜ。
だってしかたないじゃないか。悪いのはAAサイズの胸で誘惑した
あの女の―


「先生そのAAとちゃいます」
「じゃあ君の言うAAとは何かね」
「先生、説明しますんでそのパソコンちょっと貸してください。
 ポチポチポチットな・・・ハイおっけーです」
「ほー『2ちゃんねる』ではないか」
「AA虐殺と言うのはここにあるAA板内の『虐殺荒らし』から生まれた
 新しい作品のジャンルですよ」
「アフォしぃが・・・ダッコ・・・なるほど、実になるほど、うんわかった。
スラスラスラ〜」

727 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/19(月) 11:15:12 [ jQXCGyvg ]
『アフリカ系黒人虐待』

今から百年前全ての黒人は平等に価値がないとされていた。
しかし、我々人間は気づいた。黒人には優良種であるアメリカ系黒人と
人間にとって害にしかならないアフリカ系黒人が存在したのだ。

これを知った政府はただちにアメリカ系黒人を保護し、彼らに人権を
与えた。これによってこの世界に意味のない差別を受ける存在は
いなくなった。

だが現在、新たな問題が発生した。当時の政府はアフリカ系黒人
(長いので以下アフォ人と呼ぶ)に対しては何の政策も行ってなかった。
彼らは劣等種であるアフォ人はほっとけば民衆による駆除で簡単に
全滅するだろうと思っていたのだ。それが間違いだったのだ。

アフォ人達が人間より優れた部分が二つだけあったのである。
それは生命力と繁殖力だった。奴らは人間によって四肢をもがれようとも
脳内からアドレナリンを分泌して痛みをやわらげて這いずって逃げ出し、
オスとメスが一対あれば10年で何倍にも増殖する。そうして今になって
ついに人間の数を大きく上回り人類の脅威にまで育ってしまったのである。

728 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/19(月) 11:15:43 [ jQXCGyvg ]
「先生、何ですかこれは。またどっか勘違いしてませんか」
「ふむ、やはり止めてくるか」
「ひょっとしてわざとやってませんか?先生」
「怒らずに聞いて欲しい。さっき虐殺作品を適当にいくつか見たときに
 ここでやってる虐殺は現実の差別と変わらないんじゃないかと思ったのだ」
「不謹慎です!!」
「不謹慎?ああ不謹慎だとも。だからこそ怖いもの見たさでギャラリーが
 集まり、マタ派と虐派は共に集団ヒステリーをおこし、議論という名前の
 罵り合いがスレに花を添える。虐殺作品なんて物は不謹慎な程売れる」
「そんな事いったらアフリカの人達が怒りますよ!」
「勝手に怒らせておきなさい。彼らの叫びなんてどうせ我々には届かん。
 いや、むしろ快感として伝わってくるだろう。我々の生活に役に立たない
 連中を圧倒的な力で消し去るとき、その時はとてもすっきりするのだよ。
 君もでっかいウンコを水で流したり、クッキー缶のプチプチを潰したりする
 時に理由もなく嬉しくなったりするだろう?」
「・・・・」
「さあ続きを書くとするか。こんなにアイディアが溢れているのは実に数十年
 振りだ。といってもこれから私が書くのはダッコ革命党の亜種に過ぎない。
 既存の作品をなぞるだけだから楽なものだ。ただし虐殺されるのは全部
アフリカ系黒人だがね。ふふふ、これを発表したらアブ板の住民は今まで
自分たちがやってきた事の意味に気づき私に感謝するだろうな。
 彼らアブ板の住民は『AAの設定は作者の自由』という言い訳を使い
アフォしぃというキャラの積み上げられてきた設定を真に理解せずに
殺してきた。しかし、そこに私がこれから書く作品が投稿されればどうなる?
自画自賛になるが私の言う普通しぃとアフォしぃの違いがアメリカ系黒人と
アフリカ系黒人の違いと同じというのは今までのほぼ全ての作品のアフォしぃ
というキャラに対する正しい認識として考えていいダッ!!―――」
「うおおおおおおおおおおっっ!」

729 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/06/19(月) 11:16:27 [ jQXCGyvg ]
『作家を殺してしまった編集者』

「ああ、僕はなんてことをしてしまったのだろう」
書斎の中には人が二人。一人はさっき死んだ。ついさっきまでマッドな学者
の様にハイになってしゃべっていたのだがその内容に理解しがたい恐怖を
感じたもう一人の男が殴りかかったらあっけなく死んだのである。

我にかえった編集者は頭を抱えて、
「どうすればいいんだどうすればいいんだどうすればいいんだ」
とつぶやいていると天から声が聞こえた。

「心配はいらんよ」

「はっ、こ、この声は!」
上を見ると天井が開き一人の老人が降りてきてきれいに着地した。
「こんにちは作家です」
「何ぃ!!」

天井から現れたのはこの書斎の主である老作家だった。
だとすれば編集者が殺した方の老作家は何者だろうか。

「それでは正解発表といきますか」
老作家が死体の方の老作家の顔を引っ張ると顔の皮が剥がれて下から
しぃの顔が現れた。
「正解は私のふりをしてアフォしぃ虐殺作品を現実の差別と同一視させて
 それによりアフォしぃ虐殺をやめさせようとしたアフォしぃでしたー!」
「バンザーイ!!バンザーイ!!」

編集者は自分がAA作品の登場人物であった事と殺したのがアフォしぃだった
事に天の奇跡を見た気がした。そして何回もぽっかり開いた天井の方を向いて
バンザイをした。

終わり

730 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/01(土) 20:07:21 [ ltCEjzPc ]
山奥モララー小学校物語

誰にでも、思い出したくない思い出がある・・・。


僕は、二年生のころ、
先生を殴った。
別に先生が悪かったわけじゃなかった。
むしろ、モナー先生は、
僕を心配してくれていたのだ。
僕の、鞭で50ぺん叩かれた背中の傷を。
モナー先生が背中を優しく撫でてくれたとき、
あの時一瞬、モナー先生の顔が、
僕の大嫌いな、父親、いや
あのアフォモララーになった。


そんな訳で、僕はこの学校に来た。

731 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/01(土) 20:16:29 [ ltCEjzPc ]
その学校は山奥にあった。
初めて山の通学路を通った。
その時の印象は、最悪だった。
あのアフォの、豚臭いにおいが、
山を登るごとにキツくなったからだ。

「転校生のモラ太くんだからな!
同じ神の子として仲良くしてやれだからな!!」
神の子、それはあのアフォの口癖だった。
アフォの顔を脳裏から追い払いつつ、僕は言った。
「すみませんが、僕は神の子ではありません。
ここにいるみんなと同じ、ただのAAです。」

口が滑った。先生を含む、そのアフォ40人がただのAAで
満足するはずがなかった。

その日から、僕に対するいじめがはじまった。

732 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/01(土) 20:29:10 [ ltCEjzPc ]
「この糞虫め!!漏れ様に謝れ!!
謝れ!!謝れ!!謝(ry
漏れ様は神だぞ!!唯一の神だぞ!!」
帰り道、三匹の子豚に囲まれた。
その豚どもは、韓国人のような卑屈な顔を、
真っ赤にしながら僕を蹴り飛ばした。
言動は、韓国人よりも支離滅裂。
唯一の神、三人が3つの口を揃えてそう言ったが、
アフォどもはその矛盾を無視している。
いや、気づいていない。
「漏れは神だからな!!神にだ逆らうと
天罰を下すにだからな!!」
意識が少しづつ薄れていく俺には、そう聞こえた。

「大丈夫?」
気が付いた時、目の前にしぃがいた。
年が近そうな、割と美人なしぃだった。
「五月蝿い!」
怒り心頭にきていた俺はそう叫んだ。
「俺は神だからな!!」
そのしぃをがっかりさせる言葉を吐き、俺は走り去った。
なぜか、そのしぃとはそれから一度も会っていない。

733 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/01(土) 20:47:56 [ ltCEjzPc ]
次の日。
僕は、さっさと荷物をまとめ、
通学路を走って帰った。
あの三人にお世話にならないための
単純で有効な解決策だった。
半分ほど駆け下りたところ、
誰かが後ろからついてきているのに気づいた。
あの三人のうちの一人が、
顔を真っ赤にして、
「謝れ!!謝れ!!」と怒鳴っていた。
殴りかかってきたが、僕はさっとよけた。
生意気な奴め!!そんな顔をしながら、
二度目のパンチを食らわしてきた。
よけた。よけたはずだったが顔を掠った。
俺はついに殴り返した。

後から考えれば哀れな奴だった。
あの豚モラは俺に殴られ、
ヒステリックにヒィィと叫んだ。
実は、その顔は、
俺が自分が神の子ではないと否定した時の、
あのアフォの顔だった。
この時、俺は狂ったように
この豚モラを殴り続けた。

正気に戻ったとき、
無残な姿の豚モラが目の前にあった。
ヒィィとすすり泣いているから、まだ生きているようだった。
左腕がリアルにもげていた。
よくこんなのを見て、殴り続けられたなと思った。
正気に戻って、なんかこの豚が可哀想だったし、
目撃者もいなかったから、とどめをさして埋めた。

734 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/07/01(土) 22:59:45 [ BemyT/RY ]


神と家畜の楽しいおしゃべり その1

735 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/07/01(土) 23:00:40 [ BemyT/RY ]

「所長ー、どこですかぁー?」

コンクリートの堅牢な建物の中を、あっちこっちに靴音を
響かせて、モナーが息を切らせ気味に走っていた。

「ったく、いっつもこれモナ。自分のいる場所を教えてから
 電話を切って欲しいモナよ……」

ぶつくさつぶやきながら、この建物、とある研究所なのだが を
走り回っていたわけだが、そうは言っても全く検討がないわけではなかった。
大概所長のモララーが自分を呼び出すときは、彼の“休み時間”もしくは
“休暇”の時に殆ど限られており、しかもその時間帯はおおよそ
所長が自分の“趣味の悪い趣味”を満喫する時間であり
その“趣味”にしても、おいそれとその辺で“楽しめる”程度のものではない。
下手をすると彼が仕事をしているときよりも、居場所の特定は難しくなかったりする。

「……ん?」

モナーはどこからか聞こえてくる音に気づくと、走るのをやめた。

ぼ……ぐ…… ご……ぐ

その音と、それが聞こえてくる方角から、モララー所長が今どこにいるかを
察知したようで、モナーは小さくため息をつく。
「…………………中庭モナ、か………。また何か出来たモナかねぇ……」
やれやれと首を振ると、モナーはまた靴音を響かせて走り出した……

「所長? 今度は何をやってるモナ?」
モナーが中庭に到着すると、やはりそこでは
「おう、早かったな! はっはっはっはっは。」
モララー所長が自分の“趣味の悪い趣味”に没頭している、まさにその時間だった。
「何って? 見りゃ分かるでしょ? ちょいと手の込んだ新作だよ。んっふっふ!」
さわやかな笑顔を浮かべるモララー所長だったが、もし彼が俳優か役者であったとしても
その笑顔に魅了されるものは、いないだろう。



勿論、全身が濡れ鼠になるまで血にまみれているというわけではないのだが
それでもモララーの体は、返り血とおぼしき血が付着していた。
白衣に飛び散っているのだから、尚更目立つその返り血。誰のものかと思いきや……

「チ……チィッ……チィィ……」

モララーがその手にぶら下げている“モノ”から漏れ出る音。
文字通りの血祭りに上げられた仲間達を目の当たりにして、明日は我が身の……
いや、勿論明日まで待たずに、長くても数分後には同じ目に遭わされる
このために生まれてきた“ベビしぃ”が、モララー所長に首根っこを掴まれ
その手にぶら下げられていた。

736 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/07/01(土) 23:01:08 [ BemyT/RY ]
「……随分ご満悦のようモナが………、何をやっているかは、訊くまでもないみたいモナね。」
モナーはモララーの全身及び周囲を見回すと、くくっと苦笑いを浮かべた。

モララーの片手には、先程の怯えたベビしぃがぶら下げられていた。
そしてもう片手に提げられている“モノ”は……バット。
しかもこちらは下の金属の色が見えないほどに、赤黒くべったりと色が着けられていた。

次に、中庭を見渡してみる。
…………… ! あった。
モナー達がいる場所から、10メートルくらい離れたところの、壁。
………多分、また掃除のオバチャンから
“遊ぶのはいいですけど、後のことも考えてください! なかなか汚れが落ちないんですよ!”
と、クレームが来るであろう……赤黒い、汚れ。
しかもこちらはプラスアルファで、壁にシミを付けたときと同時についたと思われる
飛び出した眼球や、てらてらと不気味な色に反射するはらわたや、脳味噌の破片………
更にはその近くの地面に、体の所々が変形したソフトボール大の“モノ”が転がっているとなれば
先にモナーが言ったとおり、詳細を訪ねる必要はないだろう。

「ハゥ……チチ……チ……!」
モララーの手の中で、情けない声を出しているベビしぃを見て
モナーはくっくっくと、鳩のような笑い声を漏らす。
「……とうとう完成したみたいモナね? ……“ベビちゃんノック”」
「グッジョブ! 正にそのとーりよ!」
モララーは親指を、上にぐっと伸ばした。
「……たしか、ベビしぃの体は柔らかすぎるので、バットで殴った際には
 すぐに粉みじんになってしまうから、バットで殴り殺すことはともかく
 ああやって吹っ飛ばすことは不可能と言われてたモナが、どうやって……?」
「それそれ。いやね、我が優秀な遺伝子研究部の連中がね、こないだ成功させたのよ。
 ベビしぃがまだ胎児のときに、ちょーっとその骨に細工をしてね……
 レベル“ビスケット”から、レベル“ヤキニクヤノナンコツ”まで上げたのよ」
「……いまいちよく分からんモナが、まぁとりあえず
 ベビしぃを吹っ飛ばすことが出来るくらいの骨の硬さにはなった……と。」
「そうだよーん、と。………おや?」
にやにやと笑ったモララーが、少々不穏なニオイのする視線を感じ取った。
勿論、その視線の発信元は…………

「………ひょっとして、モナー君………」
「所長……。その、ベビしぃ………」
モナーの黒い視線に、モララーは呼応してにやりにやりと笑いだし
その手の中にいるベビしぃは、体をびくりと震わせてまた一層怯えだした。

「できるモナか?」
モナーが口を、三日月型にきゅーっとつり上げて両手を伸ばすと
「勿論だよっ、モナー君♪ はい! バットとベビしぃ♪」
モララーはにっこりと微笑んで、バットとベビしぃをその手に落とした。

737 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/07/01(土) 23:01:40 [ BemyT/RY ]
「で、要領としちゃ、野球と同じでいいモナか?」
「そうだよん。まぁ、“ボール”を打つ感触は、ちっと違ってくるがね。」
ぶんぶんと素振りをするモナーの質問に、やはりモララーは嬉しそうに答える。
バットにこびりついた血の一部は、まだ固まっていないと見え
モナーが素振りをする度に、ぴっ、ぴっと辺りに飛び散る。

「………ア……アニャ……アニャァ………!」
「怖くてもう、逃げる元気もないみたいだねぇ。くっくくくく。
 もっとも、逃げようとしたところで無駄。すぐにとっ捕まえてやるがね。くくく」
……モララー所長は、割合素振りをしているモナーから離れているので無問題なのだが
モナーの近くにいるベビしぃは、そうでもない。
勿論素振りは当たらないのだが、先程のバットにこびりついた血液が自分の体に飛んでくる。

…………………………………………
ついさっき目の当たりにした、惨劇。
……自分と同じ親から生まれ、同じ部屋で仲良く過ごした姉妹達が今
あちらの方でにやついている、訳の分からぬ不気味な男によって殺された。
あの固そうな棒で、頭を、体を、理不尽にとんでもない力で殴られて
赤黒い痕跡だけを棒と壁に残して、皆あの世の獄の世界に旅立ってしまった。

ぴっ……、ぴっ……………

………その惨劇から、絶望の死から、唯一残されていたのが自分だったが
それももう、時間の問題のようだ。
今やその惨劇の“証”が、死刑宣告の烙印と言わんばかりに自分の体に降りかかっている。
決して偶然ではない。今ここでその凶器を素振っている男は
明らかに自分に見せつけ、恐れさせる目的で血しぶきを飛ばしてくる。
声には出さずとも、彼の狂気の目線が自分に語りかけてくる。

ぴっ………ぴっ………ぴっ………………、と。
さぁておちびちゃん、覚悟はいいかねぇ?   ...
モナは初めてだから、もしかしたら当たり所が良くて、一発では逝かせられない
かも知れないけど、と言うより逝かせる気は更々ないんだけど
とにかく、きちんと吹っ飛んでね………?

「……………………、と。」
モナーの素振りが、止まった。
「じゃあ、そろそろ逝くモナか。」
「頑張ってね、モナーちゃん。」
モララーの声援を背に、モナーはとうとうベビしぃを掴み上げた。

738 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/07/01(土) 23:02:26 [ BemyT/RY ]
「ア……ギャ……ニャ……!」
「所長ー、どこ打つと一番飛ぶモナかー?」
「やっぱ頭だろうね。後頭部を打てば目ン玉飛び出しロケットと、鼻から脳味噌のおまけつきだよ。
 顔面を打てば、“真一文字に顔面陥没したドイルさん”みたいになる
 どっちにしても簡単だし面白いから、初めてのプレイヤァには頭を殴ることをお勧めするね。」
「ちなみに、体を打つと?」
「んー、前からでも後ろからでも、まず殴られて折れたあばらが肉を突き破って
 そこから内臓がばーっと飛び散る“はらわた花火”になるから、これはこれで面白いんだけどさ
 中にはクソが飛び出る奴もいるから、汚ねーんだな、これが!」 
モララーが腕を横に広げて苦笑すると、モナーもつられて失笑する。
「やっぱ、頭にしとくモナ。」
「そうしておいたほうがいいね。ぽんと放り投げてカキーン! だよっ」
「あいあいさー、モナ!」
狂気じみた会話の後、モナーはモララーに向かって親指をグッ! と上に伸ばすと
そのままベビしぃの方へと、くるりと振り返った。

「ア……ニャ……ニャ………!」
今度のモナーは、ベビしぃに向かって限りなく静かな微笑みを向けた。
いや、決して狂気が消失したわけではない。先程のようににじみ出していないだけで
その内側には、どろどろとした真っ黒な混沌が渦巻いているのだ。
今は単になりを潜めている彼の体の中の“混沌”は、時が来れば一気に吹き出し
その混沌を溢れさせたが最後、結末はベビしぃの惨たらしい、確実な死。それ以外にはない。

「チッ……チッ……チィィ………!」
いよいよモナーが、手の上で自分を低くぽんぽんと跳ね上げ、弄び始めると
ベビしぃはがたがたと震え、その体を丸め……
皮肉なことに、本当にボールのように見えてきてしまう。
「……『チッチッチッ』、って……小鳥さんごっこモナか? 可愛いモナよー。
 ……本物の小鳥さんみたいに、空高く飛んで逝けるといいモナねー」
「チギャッ……! ギッ……!」
「おいおいモナー君、そのへんにしておかないと
 蚊トンボハートのベビしぃちゃん、心臓麻痺起こしちゃうぞ?」
「あー、そりゃマズイモナねー。あんまり面白いから、ちょっと脅しすぎたモナよ。
 ……それじゃ………」
ぽんぽんとベビしぃに体を弄んでいたモナーが、きゅっと“ボール”を掴み

「よっ!」

一段と高く、空中へと投げ上げ

「チィィィィィィィィィーーー!!」

血をたらふく吸ったバットを手に、バッティングフォームに構え
腰のバネを、充填して…………

解放


ど  ぼ  っ

……中庭中に、鈍い音が響いた………

739 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/07/01(土) 23:03:05 [ BemyT/RY ]
「「んん〜、いい音〜♪」」 

……二人はにこやかに声をそろえ、赤い飛行機雲で己が軌跡を描き
放物線の法則に従い、緩やかに弧を描いて壁の方へと飛んでいった
哀れな“ボール”を見届けていた。

本来バットに打たれるはずの、“野球のボール”よりも
遙かに柔らかく、脆いベビしぃの体は
当たり所も『良かった』のだろうか? 

さながら電灯が壊れ、配線によって繋がり、ぶらさげられている豆電球のように
本来あるべき眼窩から飛び出し、視神経によってかろうじて繋がっている、眼球。

頭蓋骨が陥没したせいで圧迫され、行き場を失ってしまい
しかしようやく見つけた小さな小さな行き場・鼻の穴から、チューブを絞り出すように
ずるずると飛び出してきた、脳味噌。

打撃の当たった瞬間で砕けたあばら骨は、その形状をナイフのように鋭利なものとし
続けざまに伝わってくる打撃の“衝撃”によって、体内を縦横無尽に駆け抜け
己が肉を引き裂き、突き抜け、その結果として花火のようにぶちまけられた、内臓。

通常なら、最終地点の“壁”に着弾した瞬間にこうなりそうなものが
それが宙を舞っている間に、表現された。
……“異質の美”に、モナーもモララーも、しばし何も言わずにその軌跡を見入っていた。


「……初めてのプレイでフルコースとは、すごいなモナー君!
“目ン玉ロケット”“鼻から脳味噌”“はらわた花火”……
 まさか一発で全てを実現させるとは、な!」
「上手いこと頭から体を通る、正中線上にクリティカルヒットしたからモナよ。
 ……あ、ゴールに着くモナね。」

モナーが口を開いた、モララーもモナーの視線の先を見たその瞬間
……殴られた衝撃で、目が飛び出し、脳味噌が飛び出し
はらわたが飛び出し、全身の骨をぐちゃぐちゃに砕かれ
もはやこれ以上は必要ないとも言えるくらいに壊滅したベビしぃへの、最後の追い打ち。

べちゃっ

……他のベビ達と比べて、壊滅していた度合いが酷かったためか
今回のベビしぃは壁に着弾すると同時に、文字通りに四散した。

たとえ死しても、たとえどれだけぼろぼろになろうとも
自分を通さない、堅牢に行く手を阻む嘆きの壁の終着点。
散々恐怖させられ、理不尽な打撃で命を奪われても、なお

……ベビしぃには最期の最期まで救いの手がさしのべられることは、なかった。
おそらく、“あちらの世界”でも………

740 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/07/01(土) 23:03:26 [ BemyT/RY ]
……………………………………
引き続き、二人はしばらく互いに沈黙し合った。

「………これ、即刻製品開発部に持っていくモナよ。」
「………だなっ。パッケージその他もすぐに考えるか。」

モナーがバットを肩に担ぐと、モララーは早速電話を片手に話し始め
二人揃って中庭を出る。

………………………………………

「……うっし。会議が明日になりました、と。
 こないだの油雪スノーマシンの開発会議も燃えたから、今回も楽しくなりそうだ…!」
にやにやと電話を懐にしまうモララーに、同じくモナーもにやにやして話しかけた。
「そう言えば所長、こいつのインパクトが強かったんで、忘れてたモナが……
 今日は一体、何の用で呼び出したモナ?」
「………………? !」
モナーの言葉に、一瞬何を言っているのか? と言う様子のモララーだったが
「! あー、そうだそうだ、忘れてた。チョットお話が……ね」
「一体、何モナよ」
「いやね、今独房にぶち込んである……あの『しぃ』に関してよ。」
「ああ、あの『シスターしぃ』モナね。あの狂信的な頑固者がどうしたモナ?」
「実はあの馬鹿を落とす、い〜い方法を思いついたんでな。
 この後ちょいと、喧嘩を売りに行くわけよ。」
「はは。さすがは所長モナね。あいつをうち負かす方法を考えつくとは……」
「文字通りに、崩壊まで導いてやるつもりだからね。
 色々と君にも協力してもらおうと思ってねん♪」
「おやすいご用モナよ。……楽しみモナね
 あの“狂信者”が、どう壊れていくのか………」
「お楽しみに。……うっふっふっふっふっふっふ………!!」

二人の人影は、「IDIOT・LEVEL A」と書かれた扉の前に立つと
そのまま扉を開け、中へと入っていった………

糸売

741 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/02(日) 10:09:01 [ FFtTYRzo ]
山奥モララー小学校物語

あの子豚を殺してから、
3日たった。
学校全体で、行方不明になった子豚を探したが、
結局見つからず、子豚の父親も、
「また産めばいいからな!!」
と薄情に諦めた。

3人のうち、残り二人は、
新たなモララーを連れてきて、
結局三人でまた虐められるはめになった。

僕が、虐められているのは
僕だけではないと気づいたのはその頃。
あるモララーが屋上で虐められていた。
「僕達は神なんかじゃない」と叫んでいた。
「五月蝿い!!漏れは神だ!!
お前なんかには天罰を下してやる!!」
そういってアフォはまともなモララーを
屋上から突き落とした。
残念ながら、そのモララーは死んでしまった。
先生のアフォどもは慣れているようで、
せっせと隠蔽を始めた。

742 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/02(日) 10:23:19 [ FFtTYRzo ]
なぜ虐められるのであろうか。
僕達もアフォであったからだ。
アフォらしく振舞っているまともなモララーも
いるというのに。

さて、虐められているのは、
僕の他に二人いた。
モラ次郎とモラ樹。僕の親友である。
親友と言えば他に、モランがいた。
そいつは賢いモララーで、アフォらしく振舞っていて、
公では僕を虐めていた。

ここで説明しておくが、「まとも」と言っても、
この学校のモララーは皆まともであるはずがない。
僕は当然ながら性格上問題があるし、
モラ次郎は字が読めない。
モラ樹は記憶力がなく、一週間と物事を記憶できない。
モランは、性格が大人過ぎていて、
不登校になり、この学校にやってきた。

743 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/02(日) 10:38:36 [ FFtTYRzo ]
アフォモララーにもいろいろあった。
漏れは神と学校一五月蝿くいう奴、
少しはまともに近い奴、
あまり暴力的ではない奴、
そうではなく、積極的にいじめを繰り返す奴。

2週間ぐらいすると、そんな区別がついてくる。
ちなみに、積極的にいじめを繰り返す奴は、
確認したところ、10人。
その中には僕を虐める3人も入っている。
僕、モラ次郎、モラ樹はその10人に非常に怨みを持っていた。

ある日の理科の時間。
ベビしぃ人形を使い、硫酸のかけかたを学ぶ時間。

744 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/08(土) 20:29:53 [ mx/2y4eQ ]
さて、僕の初めての殺害計画。
はっきり言うが、期待してもらわないでほしい。

ベビしぃ人形は上手く盗めた。緊張したが。
モラ次郎は手先が器用だったので、
顔を上手く切り取った。

1年のあるベビモラ。そいつは、
僕達を虐める一人の弟だった。
そいつに、切り取ったベビしぃの顔を縫い付ける。
ソースは虐殺小説。モナーはそこで麻酔を使っていたが、
僕らに麻酔があるわけではない。
直接縫い付けると暴れ出したので、
さんざん蹴り、殴った。
結局、床に一回頭をぶつけてやり、気絶させた。

「口を縫った方がいい。喚くとうるさいし。」
この計画の発案者モラ樹はそう言った。
「分かった。」
モラ次郎は口を縫い始めた。

745 名前: 投稿日:2006/07/10(月) 23:22:08 [ hnZ/pZhc ]
どうも・・・お初です・・・。
神と漏れ
モララー「嗚呼…、神よ…、我が罪をお許し下さい…。」
教会の中、一人のAAが十字架に掛けられている神の像の前で懺悔していた。外は嵐で雷の音も聞こえる。
神「汝の罪は何か?」
神の像が答えた。不意に話し掛けられたのでモララーは驚いた。
モララー「か…神!何時からそこにおられたのですか!?」
ここの教会…聖モララエル教会は嵐の夜になると神の像に聖モララエルが降臨するという噂が昔からされていた。が、モララーはその噂を半信半疑に思っていた。なので現実に話すとは思っていなかったのだ。
モララー「わ、私の罪は家族の仇討ちのため、罪のないしぃ達を沢山虐殺した事です。」
モララーは動揺しながら答えた。15年前、モララーの家族はモララーを残して、全員しぃに殺されたのである。それもとても惨たらしく…。家族は『しぃ教』という最近発足した宗教の儀式の生け贄にされたらしく、殺害現場には魔法陣や呪文書などが放置されていた。まだ小さかったモララーには相当なショックになったのは言うまでもない。モララーは施設に引き取られ、その頃からしぃ教信者を虐殺し始めた。
神「ほぅ…。して汝は罪を犯して何か得る物はあったのか?」
神が問う。
モララー「いいえ…。何もありませんでした…。」
その時、教会の扉が勢い良く開かれた。入ってきたのは数匹のしぃ達であった。
しぃ1「ハニャーン♪チョウドイイトコロニキョウカイガアッタワ♪」
しぃ2「アソコニクソモララーガイルヨ。」
しぃ3「アハハハハ、ソレニアノセキゾウモハリツケニサレテイイキミネ。」
モララーはしぃ達が入ってきても神の像に祈り続けた。
モララー「嗚呼…、神よ…。私の罪を許してくれますか…?」

しぃ4「チョット!!ナニヨ、アノクソモララー!!セッカクカワイイシィチャンガキタッテイウノニダッコノヒトツモシナイナンテ!!キットギャクサツチュウネ!!」
不意に神の像の顔に茶色い物が投げつけられた。それは像の顔面に『ベチャッ』と音を立てて付着した。
しぃ1「ハニャーン♪メイチュウシタワ♪」
しぃ3「ツギハワタシネ!」
そういうとしぃは自分の糞を掴みこちらに投げてきた。糞はモララーの背中に当たった。
しぃ4「イイキミネ♪ギャクサツチュウハシィタチニヒレフシナサイ!!」
暫くの間、モララーも神も喋らなかった。ただ、しぃの低俗なはしゃぎ声と糞がモララー達に付着する音が教会の中に響いていた。
モララー「……嗚呼、神よ…。」
モララーが静寂を破った。
神「…なんだ?」
神が応える。
しぃ3「アノクソモララー、ヒトリデシャベッテルワヨ。」
しぃ2「キッアタマガイッチャッテルノネ。」
しぃ1「ココデギャクサツシテアゲルワ!!」
一匹のしぃが棍棒を手に、走り寄ってくる。
モララー「今から再び罪を犯しますが…許してくれますか?」
モララーが言う。その声は、怒りと殺意で満ち溢れている。
神「許す。我も力を貸そう。」
神は即答した。その声も殺意で悪魔の様な声になっている。次の瞬間、モララーは神の力を手に入れた。モララーの身体の中から力が溢れてきた。
しぃ1「マターリノタメ、シニナサイ!!」
しぃがモララーの背中に棍棒を振り下ろそうとした。が、それよりも速く、モララーの拳がしぃの顔面にめり込んだ。
しぃ1「ンブゥッ!!?」
しぃの頭蓋骨が砕け散り、破片が脳に突き刺さる感触がモララーの手に伝わる。が、それも束の間、しぃの身体は物凄いスピードで教会の壁まで飛んだ。
しぃ1「ジイイィィィィ…」
しぃの身体は壁に叩きつけられた途端に水風船の様に破裂した。血が聖ガナー像を紅く染め、内臓や肉片が教会の椅子に不気味な飾り付けを施した。
骨はしぃの身体を貫き通し、脳漿が天井のステンドグラスを汚した。壁にへばりついているのは、中の物が全てなくなった、しぃの血まみれの皮だけであった。他のしぃ達は一体何が起こったのかわからず、ただ唖然としていた。
あの・・・続き書いてもよろしいでしょうか・・・?

746 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/11(火) 23:35:30 [ fjbq6SDU ]
心を閉ざしたしぃ
あるBARに一人のしぃがお酒を飲んでいる
しぃ「なぜ人はこんなことしても平気なの」
ガラン
ギコ「やー、マスター」
フサギコ「来たぞ」
ぃょぅ「いらっしゃいだょぅ」
しぃ「・・・・」
ギコ「あの人綺麗だ」
フサ「どうした」
ギコ「なんでもないよゴルァ」
2人はお酒を頼む
ギコ「あの人美人だね」
フサ「ああそうだな」
ぃょぅ「フサ君、ギコ君声をかけない方がいいょぅ」
ギコ「マスター惚れてんのか」
ぃょぅ「そういう訳じゃないょぅ」
ギコが声をかけると
しぃ「私に声をかけないで」
ギコ「こわー」
ぃょぅ「あの人よくここに来るけど人と話したがらないんだょぅ」
フサ「何かあったのか」
ぃょぅ「少し話をしたことがあるけど何でもベビ達を目の前で全員殺されたらしいょぅ」
ギコ「気の毒だな」
フサ「かわいそうだぞゴルァ」
フサは半泣きしている
マスターと話しているとしぃは帰る
ギコ「詳しくはわからなかったのか」
ぃょぅ「アフォしぃにやられたとかだょぅ」
ギコ「そうか、マスターじゃあ」
ギコ達は帰る

747 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/12(水) 14:21:24 [ Mx.HZzOI ]
それから数日後
ギコが公園を歩いていると
ギコ「しぃ」
ギコはしぃを偶然目撃する
しぃ「親子っていいわね」
しぃはモナーの親子を見て悲しげな表情で自分にもベビがいたことを思い出す。
ギコ「しぃ」
しぃ「あなたあの時の何の用かしら」
ギコ「マスターからある程度話しは聞いたぞ」
しぃ「・・・・」
しぃは沈黙をするそして話をすると
ギコ「悪いのはアフォしぃなんだろ。だからって他の人を信じないなんて」
しぃ「あなたに私の気持ちがわからないわ」
ギコ「確かに俺もお前の気持ちはわからないでも」
しぃ「でも」
ギコ「人の気持ちをわかるというのは理屈なんかじゃない」
しぃ「・・・・」
ギコ「お前を見たとき声をかけたのは自分がそうしたいと思ったからだ」
しぃ「話しはそれだけ私は帰るわ」
しぃは帰る
ギコ「しぃ」
その時
しぃ「いやあああ」
ギコ「しぃ」
ギコはしぃの悲鳴の方向に行くとそこにアフォしぃが
ギコ「てめえは」
しぃ「ギコ、このアフォしぃが私のベビを」
ギコ「何だって」
アフォしぃ「ナニヨアノトキノコノゴミ」
アフォしぃ「カワイイワタシタチヲサシオイテ」
アフォしぃ「コンドハギコクントハナシヲスルナンテ」
ギコ「貴様らにギコ君て言われる筋合いはねえ」
アフォしぃ「ナニヨ」
そしてギコとアフォしぃ達の殴り合いが始まるが
ギコ「ク、こいつ等に手こずるとは」
しぃ「何で私のために」
ギコ「言っただろしぃ理屈じゃないって」
しぃ「でもギコさん、その体では」
ギコ「お前の心を開くためにはこんなの蚊が刺した程度だ」
しぃ「あなたを信じていいのね」
ギコ「ああ」
そして月日は流れて
しぃは妊娠した
しぃ「今度は絶対に守るから」
そして10日後
しぃ「もうすぐ生まれるかな」
その時
アフォしぃ「マターリノテキ」
アフォしぃ「ミツケタワヨ」
アフォしぃ「カクゴシナサイ」
アフォしぃがしぃを殴るがその時
ギコ「しぃ、てめえら」
アフォしぃ「アノトキノギコクン」
ギコ「てめえよくもしぃを」
しぃ「ギコ君」
しぃは気を失う
ギコ「貴様よくもしぃを」
アフォしぃ「コノシィガイナクナレバ」
アフォしぃ「マターリダモン」
そして
ギコ「てめえはしぃの子供を殺しそれに今度はしぃまで殺そうとしやがって」
ギコは銃を取り出し
アフォしぃに放つ
続く

748 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/12(水) 18:49:34 [ Mx.HZzOI ]
ターン
ギコがアフォしぃを一匹殺す
ギコ「しぃ大丈夫か」
しぃ「ちょっと怪我したけどベビの方が」
ギコはしぃを病院で見てもらうことにした
ギコ「どうですか」
医者「ベビ達は以上ありませんが胎盤の方にダメージがあります、すぐに出産しないと」
ギコ「そうか」
そして
しぃ「わかったわ」
そして
ベビしぃとベビギコがあわせて3匹生まれたが
しぃ「ヒガシ」
ギコ「しぃ」
しぃ「ヒガシノラクエン」
医者「やはりディかしましたか」
ギコ「クソアフォしぃめ」
そして
ギコ「絶対にぶっ殺してやる」
アフォしぃ「キョウモゲンキニ、シィ、シィ、シィ」
ギコ「見つけたぞ最後の一匹」
アフォしぃ「アノトキノギコクンダッコシテ」
ギコはボーガン出す
ギコ「死ねー」
バシュ
ボーガンの矢がアフォしぃに当たり絶命する
ギコ「しぃそしてそのベビ仇は取ったぞ」
そして
医者「しぃに戻すことはできますよ」
ギコ「どうやって」
ギコは医者から精神面がディ化しただけだと聞くと
ギコ「お願いします
そして半年後
しぃも元に戻り
べびしぃやギコも成長した
ギコ「ただいま」
しぃ「お帰りなさい」
チビしぃ「パパお帰り」
チビギコ「お帰りデチ」
チビしぃ「ワーイ」
ギコは今の家庭のおかげで幸せだ 終わり

751 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/19(水) 00:36:47 [ H1/6arHo ]
穢れ
その0 虐殺者

黄昏時、ごく普通の1DKのアパートに一人のギコが居る。その口はДではなく、固く閉ざされている。
彼は今、その手に野良しぃの仔を抱いている。とても愛おしそうに、慈しむように。
彼の腕に抱かれたベビは、「マターリデシュ」と言って眠りについた。永遠に覚めない眠り。
ベビの後頭部、盆の窪と言われる辺りには、そこあるのが当たり前のように、鋭い柳刃包丁が刺さっていた。
無論、殺したのは彼だ。
寝入ったところを一突き、「アニャァァァ」と肺から空気の漏れ出る音が声帯を震わせただけで、苦痛も感じていない様子だった。
このベビの様に、苦しまずに死ねるのは幸せなことなのかも知れない。

この国の街に住む野良しぃに、人権など無い。虐殺されるか、飢えや病気で死ぬかで、ゴミと成り果てるのが関の山だ。
それでもそこかしこを繁殖地にし、ちびギコと交尾を繰り返しては、恐ろしい数に膨れあがっている。
繁殖と虐殺のサイクルで、今はかろうじて許容量から溢れ出していないだけだ。

彼は野良しぃの口減らしをしているわけではない。彼が殺し続ける動機、それは彼にも分からなかった。
一応の理由としては、野良除けのぬいぐるみの材料にしたり、母親を虐殺されたベビの介錯をしたりといったものだ。しかし、
それは彼の中では本当の理由ではなかった。
彼には何も分からなかった。

社会人としての彼には何ら問題になる部分は無い。独り暮らしでアパート住まいにもかかわらず、町内会にもよく顔を出し、
近所の人々からは立派な社会人として見られている。会社でも、高卒の者としては逸材として見られている。
別段、街に住む野良しぃやちびギコを虐殺してもその人格を疑う者は少ない。
彼の虐殺も、公然とはやっていないものの、周囲の人間は皆そのことを知っていた。
しかし、彼だけは自分をこう評価していた。
『虐殺者』と。

752 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/19(水) 00:37:55 [ H1/6arHo ]
その1 山に潜む者

世間では盆休みも終わりに差し掛かかっている。心地よい風が吹く日が暮れたばかりの農村に、余りに不相応な者達が集う。
「小隊集まれー!」
オリーブグリーンの幌を付けた2台の7トントラックから兵士が降り立ち、駆け足で整斉と集合してゆく。
その装備はかなり簡易な物だった。迷彩服、そして同様の迷彩を被せた鉄帽、新型の陸上防衛軍制式小銃、本来は幹部用の拳銃、
マニアが見れば「レンジャー訓練だ」とでも評すであろう、たったそれだけの装備だ。
皆、種族はバラバラだが精悍な顔つきをしている。兵士と言うよりはむしろ、戦士と呼べるかも知れない。
5列の縦隊に整列したその戦士達に向かい合って、1人の男が立っている。
「モナ由3佐、総員42名、集合完了しました」 「了解モナ」
小隊最右翼のフーンから報告を受けると、短く答えた。敬礼はしていない。3等陸佐のモナー、この小隊を率いる小隊長だ。
モナ由は小隊を左右に見渡した後、おもむろに、しかし力強く口を開いた。
「戦士諸君、準備はいいモナ!」 「準備ヨシ!!!」
モナ由は、一斉に答える小隊を改めて見渡すと、小隊の前方にそびえる300メートルほどの山、夕日に照らされた山と、
そして決して深くはないはずの森に向き直った。
彼らがこれから戦う相手は恐るべき異形の生物、不死身の怪物とも言われる者だった。



あの時も、こんな風に始まった。
あの時、この戦士達が居れば・・・

753 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/19(水) 00:38:20 [ H1/6arHo ]
その2 夏休み突入

夏休みに入る直前のHR、恒例行事の『夏休みの過ごし方』教室が開かれている。
(高校2年にもなって)
最前列の中央の席に座る真一文字の口をしたギコは、まじめな態度は見せているが正直恥ずかしい気分だった。
夏休みの課題について念を押され、海や山での事故についての注意を受けた後だった。そこまでは別に構わない。問題は、
毎年先生が替わっても一言一句変わらずに聞かされるお伽噺だった。
恐ろしい怪物の話、かつて大陸ではその怪物1体に一国が滅ぼされた、そして今もその怪物は居るから注意するように、
そんな荒唐無稽な話だった。
(宿題は今月中に終わるな、課題研究は持って行けばいいし・・・)
お伽噺を適当に聞き流し、夏休みに入ってからの計画を立てていたところに邪魔が入る。
「こら、ギコ矢君まじめに聞きなさい」
担任のしぃがやんわりとではあるが、やや大きな声で言った。うわの空でいたことがばれたギコ矢は、ばつが悪そうに頭をかいた。
しかし先生の話はもう終了していたようだった。
「本日の授業はこれまで、みんないい夏休みを過ごしてね」
そう言って、担任は教室を後にした。

「なぁギコ矢?」 「なんだ?」 「お前今年も行くのか?」 「ああ」
学校からの帰り道、友人のネーノが話しかける言葉にギコ矢は答えた。ギコ矢の済む地域で続けられている習慣とも言える、
『田舎ステイ』、ギコ矢も小学校の頃から休まず参加しているが、これが最後になる。
「高校に入ってから行く奴も少ネーみたいだし、もういいんじゃネーノ?」
そうネーノは言うが、この行事に思い入れが深いギコ矢が逆に言う。
「お前も一緒に来たらどうだよ?楽しいぞ」
しかし課題も多く、受験勉強に備えなければならない夏休みに、普通ならばそんな余裕は無い。当然のようにネーヨは断り、
ギコ矢と別れた。ギコ矢は成績こそ中の上辺りだったが、就職するつもりでいたので今回参加することにしたのだ。

754 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/19(水) 00:38:53 [ H1/6arHo ]
その3 田舎ステイ

8月に入ってすぐ、町内会で係にあたっているモナーがマイクロバスに子供達を乗せて、高速道路を5時間も走った先の村へ、
その村の更に奥の山中に向かう。数十年にもわたり、この地区の子供達を受け入れている農家のモラ仁は、
マイクロバスの到着を自宅の門の前で、一家揃って出迎えた。一家とは言ってもいつもは3人しか居ない。還暦も近いモラ仁と、
妻のレモ乃、そして養女のでぃ香、これだけだ。
3人は子供達が2週間余りを過ごす部屋に案内する。かつて周囲一帯の地主であった名残で、小作人用の長屋が残っている。
ここに30人弱の子供達が寝泊まりするのだ。
ここでは自分のことは自分で面倒を見るのが基本だが、中学生以上の子供達はそれに加え、小さい子達のフォローもする。
高校生のギコ矢はリーダー格だが、ふんぞり返ってもいられない、この場で一番苦労する立場だった。
(中学生の女の子が少ないんだよな、、、やっぱりでぃ香さんに任せるしかないか)
これからの2週間、野良仕事の手伝いや薪拾い、体験的な食料調達など、やることの大筋は決まっているが、詳細については、
年長者に任されていた。
「ギコ矢さん、おいギコ矢さん、聞いてるかゴルァ」
不意にギコ矢を呼ぶ声。見ると中学2年生のギコ和が目の前に居た。高校生にも平気でタメ口を利くような生意気な中学生だが、
一応ギコ矢には敬意を払っているらしい。というのも、彼はギコ矢の通っている拳法道場で弟弟子にあたるからだ。
いつもの通りなので別段気にした様子もなく、ギコ矢は「なんだ?」と答えた。
「休み明けにある大会の稽古を付けてくれよ」
ギコ和が言うが、ギコ矢は正直気乗りしなかった。学校で出された課題は8割方終わらせているが、今は今で、
ここでの計画で手一杯だったからだ。しかし兄弟子としては、弟弟子の向上心は無に出来ない。
「わかった、空いてる時間は稽古を付けてやる」
「サンキュー、高校全国一の男に教えてもらえば完璧だゴルァ」
同大会でギコ族の優勝は、ギコ矢が初だった。
ギコ矢は師の教えが良かっただけのことだと認識していたが、喜ぶギコ和を見て、自分も教える立場になったんだということを、
強く意識した。
「それはいいから、早めに荷物の整理をしろよ」
ギコ矢はそう促すと、自身も持ってきた荷物の整理を始めた。
ふと網戸のはまった窓を見る。村のはずれの携帯も通じない山奥で、既に暮れた太陽の代わりに、冷たく輝く下弦の月が、
とても大きく感じられた。

755 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/19(水) 00:39:37 [ H1/6arHo ]
その4 紅い記憶 斥候

既に漆黒の闇に包まれ、月明かりだけが頼りとなった森で、”パパパパン”、”パパン”と何度も銃声が響く。
この列島国で最も高い霊峰の眼下に広がる樹海で、事態は発生していた。
「ヒトヒト、こちらヒトマル、目標は仕留めたアヒャ?」
6畳ほどの三角屋根のテントの中で、通信員のアヒャが無線機に向かって呼びかける。だが返事はない。
「もう1回、呼んでみろYO」
アヒャの後方で、大きな地図を広げた2等陸尉のモララーが言った。
「ヒトヒト、こちらヒトマル、状況送れアヒャ」
しかし返答は無い。代わりに、銃声が遠くで答える。
「斥候が即会敵交戦なんて、ついてないモナ」
モララーと同じ階級のモナーが言った。
錯乱した自殺志願者の通報だったため、確認のために斥候の分隊を送り込み、本隊も小隊規模での編成のみで展開していた。
しかし不幸にも通報は”当たり”だったらしく、斥候の分隊が出発してから2時間後、「目標発見」の報と共に、銃声が響いた。
「ん?モラ夫、小便モナ?」 「出発の準備だけはしておくYO」
モラ夫は増強と救援のため、2個分隊を率いて樹海へと進撃する計画を立てていた。初めて戦う相手、お伽噺の怪物、
なんにせよ初めての実戦に不謹慎とは分かりつつ、心躍るものを感じていた。
完全武装の隊員を率いて、出発準備をするモラ夫が口を開く。
「モナ由、金曜の同期会までには間に合うようにするからな!」
「そんなのは当然モナ、いつまで森に籠もる気モナ」
しばらくしてモラ夫は出発し、テントの周辺には10名弱が残るのみとなった。

「通信!!どうした!CPと連絡は取れネーノか!!」
迷彩姿のネーノが叫ぶが、誰も答える者は居なかった。これが昼間なら、彼は周囲の惨状に恐慌していたかも知れない。
通信員のぃょぅは既に木に張り付いて、毛皮程の厚さに文字通りペッタンコにされていた。骨や肉はその周囲に散らばって、
服ごとプレス機に押し潰された様になっていた。弾けた様に絶命したぃょぅは、声を出す暇すらなかっただろう。悲鳴の代わりに、
”ドォォ〜〜ン”と何か重い物を叩き付けた様な音がしたが、それがぃょぅの死の瞬間だとは誰にも認識できなかった。
そして1人、また1人と殺されていったのだ。ある者はぃょぅ同様に叩き潰され、またある者は魚の様に胸から腹を切り開かれ、
7人居た分隊は、いつの間にかネーノ1人になっていたが、本人は極度の興奮でそれにも気付いていなかった。
「どこだ!どこにいやがる!」
同士討ちの可能性など考えず、未だにはっきりと捉えきれない目標に向かい、闇雲に打ち続ける。安全装置は連発になっており、
当初は指を切り単連射を繰り返していたが、今は興奮の為、引き金は引きっぱなしになっていた。
”カキッ”という音と共に銃撃が止まった。弾切れで遊底が開きっぱなしになっている。残弾確認を怠っていた。
見えない敵への恐怖と慌てが招いたミス。
空弾倉を引き抜いたところで、何かに気付く。木の陰から何かが迫る、それは鋭い刃だった。
一瞬の間も開けずにネーノを襲った刃は、頭部を唐竹割にかち割った。自身の脳漿がこぼれるのを眺めながら、彼は息絶えた。

756 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/19(水) 00:40:09 [ H1/6arHo ]
その5 紅い記憶 攻勢

今まで10名足らずしか居なかったテントの周辺は、先ほどとは全く違った様相を呈していた。
モナ由やモラ夫が要請したわけでもない増援が、到着していたのだ。
その規模は、モラ由達の所属する普通科連隊が本管中隊まで含めた総員、特科教導隊を含めた特科大隊、果てはへり隊までも
到着予定だという。陸上防衛参謀部で本格的な作戦が立案され、最終的にこれだけの部隊が集結することになった。
「クソッ、あいつ等を見捨てろって言うのかYO!」 「・・・」
憤りを押さえきれないモラ夫が、7トントラックのタイヤに拳を叩き付ける。出発から30分も経たないうちに呼び戻され、
到着部隊の受け入れと、陣地の構築にかり出されることになったのだ。数時間後に全部隊が集結する頃には、
200×350メートル程の空き地に、簡易へリポートも備えた陣地が出来上がっていた。
大小無数のテントや車両の並ぶ中、一際大きいスチールフレームテントの本部に、指揮官のマニ清1佐以下幕僚や幹部が集まり、
今までの状況説明と、作戦のブリーフィングが開始された。
作戦の概要としては、
フェーズ1−観測へリを集中投入して目標を捕捉
フェーズ2−砲迫の一点集中射撃
フェーズ3−攻撃へりによる戦果確認、場合によってはそのまま再攻撃へ移行
フェーズ4−地上から歩兵による最終的な確認
以上の様に推移する予定だった。
(まだ斥候の生き残りが居るかも知れないのに)
そうモナ由は思った。同様の考えは誰しも持っていたはずだが、相手が相手だけに、彼らを捜索する猶予は与えられなかった。
結局のところ、連絡も取れず銃声も途絶えた斥候については、生き残り無しという判断になったらしい。
既にフェーズ1は開始され、数機の卵の様な形をしたヘリコプターがけたたましい音を立て、樹海の上空を飛び交っている。
深夜だが、赤外線ライトと赤外線暗視装置のおかげで、視界は確保できていた。
そのうち陣地から5キロ離れたエリアの機が、地上近くで動く物を捉えた。それは間違いなく『攻撃目標』だった。

マニ清と特科部隊に目標の位置情報が送られ、直ちにフェ−ズ2に移行する。本部から離れた特科陣地では「待ってました」、
とばかりに隊員が動き回り、瞬く間に砲撃準備が完了した。目標はほとんど移動しておらず、今砲撃を行えば撃破は間違いない。
準備完了がマニ清に伝えられると、そのまま砲撃命令が下った。
弾着位置確認のための白燐弾が撃たれ、その誤差が観測へりから特科陣地に伝えられると、ついに実効射撃が開始された。
”ドォォォン”、”ドドオォォン”と地鳴りがへりの音すらもかき消す。榴弾砲の斉射の発射音と、大量の砲弾が弾着した音だ。
地表から高度を取って破裂した榴弾は子弾をばら撒き、目標を周囲の地形ごと吹き飛ばしていた。目標は爆発で何度も宙を舞い、
地表に叩き付けられていたが、それを確認する者は誰も居なかった。

「砲撃終了しましたアヒャ」
特科陣地からの連絡を受けるまでもなく、最終弾の弾着が止んだことで分かっていたマニ清は、続いて指示を出す。
「うん、当該エリア周辺の観測へりを避退させて。早速フェーズ3の開始だよ」
アヒャは対空無線機で観測へりに避退指示を伝えると、野戦ヘリポートで出発準備終えていた攻撃ヘリ隊にも、出撃命令を伝えた。
小気味のいいエンジン音を響かせ、正面から見ると極端に細いシルエットをした、3機のへりが飛び立った。
へりにとっては目と鼻の先、到着するとすぐさま戦果確認のために高度を下げた。観測へりが避退前に照明弾を投下しており、
十分に視界が確保できる。周囲にうっそうと木が茂る中でそこだけが、始めから何も存在しなかった様に、禿げ上がっていた。
<<ホッシュイチより本部、弾着地点には何も見あたらない>>
攻撃へり編隊の先頭を飛ぶホッシュ1は、見たままの状況を伝える。照明弾が徐々に光を失っていく。パイロットとガンナーは、
視界を確保するため、赤外線暗視装置を作動させた。対地カメラ用のモニターが緑色に輝くと、ガンナーがふと何かに気付く。
(何か居るのか?)
もしかしたら目標かも知れない。パイロットにその事を伝えようとしたが、それは叶わなかった。
後席に話しかけようとインカムを操作したところで、何故か視界が傾く、
(あれ・・・、俺、、、なんで斜めに?)
そこで意識が途切れた。一方のパイロットは、前席の状況を見て呆然としていた。出発まで普通に談笑していた相棒は、
機内に鮮血をまき散らすポンプと化していたからだ。

757 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/19(水) 00:40:38 [ H1/6arHo ]
その6 紅い記憶 触手

<<ホッシュニよりホッシュイチ、何があった?姿勢を戻せ!>>
フラフラとしながら高度を下げるホッシュ1に向かって、ホッシュ2のパイロットのマララーが叫んだ。
ホッシュ1の機内は血で真っ赤に染まり、パイロットもガンナー同様に首を刎ねられ、ただの血袋となっていた。
ホッシュ2の必死の呼びかけも空しく、ホッシュ1は機体を地面に叩き付けて炎上した。
<<本部、ホッシュニ、ホッシュイチ墜落!繰り返す、ホッシュイチ墜落!>>

ホッシュ1墜落の報を受けた本部は驚きに包まれる。詳細の確認を求めて再度ホッシュ2を呼び出したが、それに応答したのは、
編隊のうち、最後尾から進入したホッシュ3だった。
<<ホッシュサンです、本部、何かが、、、何かがホッシュニに取り付いています>>

マララーは混乱に陥っていた。何かに機体を輪切りにされ、ガンナーは体を前後に両断されていた。
その遺体は、頭頂部の中央から綺麗に分割され、残った部分はシートに座ったままの状態になっていた。
もちろんこんな状態で飛べるはずはない。いつの間にかエンジンも止まっているがしかし、機体は依然として宙にあった。
「本部・・・ ホッシュニ・・・ 前席が・・・」
マララーは無線でそう言ったつもりだったが、無線機はおろか、全ての機上電子機器はその機能を停止している。
脱出しようにも、脱出装置など備えていない機体である。しかしマララーは一刻も早くこの状態から脱したかった。そしてついに、
彼は飛び降りた。高度を下げているとはいえ、地上までまだ40メートルもある。落ちれば助かるはずもなかったが、
彼は地面には衝突しなかった。だが死を免れたわけではない。その体は落下の途中で何かに貫かれ、機体と同様に、
宙に残されただけだった。
「ウグァァァァ、ゴヴォッ、ゴヴォッ、ゲボォッ」
声にならない呻き、そして血を吐き出してマララーは絶命する。ホッシュ3はその一部始終を見ていた。
<<ホッシュサンより本部、ホッシュニがやられました。目標健在>>

目標はマララーを串刺しにし、ヘリコプターを持ち上げたまま、タバコの煙が燻るかのように、その触手らしき物を揺り動かす。
しかしやがてそれに飽きたかのように、それらを地面に叩き付けた。自由落下のスピードより遥かに高速で叩き付けられ、
マララーの骸は四散し、機体も一瞬にして大破した。
<<ホッシュ!攻撃開始、攻撃開始!!>>
本部からの攻撃命令にハッとし、唯一残ったホッシュ3は攻撃位置に遷移したが、未だに目標を鮮明には捉えていない。
それでも射撃は十分に可能な位置に着くと、機首に搭載されたガトリング砲が火を噴いた。生身の生物が直接これを喰らって、
無事でいられるはずがない。いや、原形すら留めないであろう。しかしホッシュ3は、僚機の仇とばかりに尚も執拗な攻撃を行う。
ガトリング砲を撃ち尽くすと、両翼下のロケットポッドからロケット弾が発射される。本来ならやり過ぎにすら思える攻撃だが、
この目標に対しては、それを以てしてもまだ足りなかった。
搭載する全ての弾薬を撃ち終わったホッシュ3は、再度距離を取り戦果確認を行おうとしたが、機体はそのまま地面に落下した。
パイロットもガンナーも落下前に既に死んでいた。
高度を取ろうとしたホッシュ3は、正面から現れた刃に、薙ぐ様に切り裂かれた。乗員は機体ごと上半身を切り裂かれ、
痛みを感じる暇もなく絶命した。

758 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/19(水) 00:41:18 [ H1/6arHo ]
その7 のどかだった山

「おはようございまーす」 「おはようッス」 「おはよう御座います」
「おはようモナ、元気のいい子達モナ」
昼に差し掛かる手前。ギコ矢とギコ和、数少ない中学生女子の参加者となるしぃ子が、山道で出会った丸耳モナーと挨拶を交わす。
ギコ矢達がこの里に来て2週間が経過した。その間、様々なレクリエーションが行われたが、それも今日までだった。
明日にはマイクロバスが迎えに来て、街へ帰ることになる。最後の参加となるギコ矢にとっては寂しい限りだった。
3人は、今日の最後の晩餐のために、材料となるキノコや山菜といった、山の幸を採りに来ていた。

「ふぅ、あれギコ矢さん、どこ行ったんだゴルァ」
正午を回り、持参した弁当で昼食をすませたギコ和は、ギコ矢が居ないのに気付く。しぃ子は隣に居るため、そういった展開、
と言うわけでもなさそうだった。ではどこに?ギコ和は弁当を片付けると、すぐさまギコ矢を捜し始めた。
ギコ矢はすぐに見つかった。森の少し開けた斜面、見晴らしの良い台地がわずかに出っ張った場所に彼は居た。岩の前に跪き、
黙祷を捧げている様子だ。彼を見つけたギコ和はしかし、話しかけなかった。その岩が何であるかを思い出したのだ。
ギコ矢の実母の墓。彼の母は、彼が小学生の頃、事故で亡くなっていた。その遺骨を分骨し、ここに葬ったのだ。ここからは、
田畑と3件の農家しか無いながらも美しい、里の姿が一望できる。そのフレームの一部、モラ仁邸の広い庭では、他の子供達が、
鶏を相手に四苦八苦している様子までもが伺える。

「―――和君、ギコ和君、聞こえてる?」 「うわっ!」
里の風景に見とれていたところに、不意に話しかけられたため、ギコ和はつい大声を出してしまった。話しかけたのはしぃ子だった。
しまった、とギコ和は思ったが、幸いギコ矢の黙祷も終わっており、ギコ和を向き直ったところだった。
「ゴ・ゴゴゴ、ゴルァ、しぃ子先輩、こんな時に話しかけんなよゴルァ」
ギコ矢の邪魔をしたと思いこんでいるギコ和は、明らかに狼狽している。ギコ矢はこれぐらいのことで怒ったりはしないだろうが、
母子の時間に割り込んだことを、申し訳なく感じたのだ。
「ギ、ギコ矢さん、すいませんっしたー!」 「お、おう?(こいつ何かやったのか?)」
頭を深々と下げて唐突に謝罪をするギコ和に、逆にギコ矢が驚く。
状況がよくつかめていなかったが、何かまずいことがあった様子でもなかったため、返答も短かった。
一体何があったのかと辺りを見ていると、しぃ子が母の墓前に立ち、目を閉じ手を合わせているのに気付く。
「しぃ子ちゃん?」
ギコ矢が話しかけるとしぃ子は目を開け、合わせていた手を解き、ギコ矢の方に向き直った。
「ギコ矢先輩のお母さん、優しい人だったそうですね」 「ああ、優しかったぞ」
この国のギコ族は、生涯の伴侶を持つ者が少ない。そのため母子のつながりが強いのだが、ギコ矢の場合は一際強かった。
しぃ子はそのことを知っていたのだ。
「ところでしぃ子先輩、さっきは俺に何の用だったんだ?」
今度はギコ和がしぃ子に話しかける。しぃ子からは、何とも言えない答えが返された。
「さっきのはね、あれはギコ矢先輩のお母さんのお墓だから邪魔しちゃダメだって、言おうとしたんだけれど・・・」
「あんたが話しかけなければ、邪魔になることもなかったぞゴルァ・・・」

日が少し傾き始めたばかりだったが、早めに帰ろうという話になり、3人は下山を開始した。
手に提げたり背中に背負ったりしたカゴには、大量の山菜やキノコ、木の実などで溢れていた。帰ってからモラ仁の手で、
毒を持つ物とそうでない物に選り分けてもらう必要があったが、とりあえずは分かり易い物ばかりを選んで採っていた。
下山途中、3人の前に特徴的な丸耳をした男が居た。彼は山道脇の、切り株の上に立っている。朝会った丸耳さんだろうか、
と3人は思ったが様子がおかしい。近づいてみると、こんな山の中だというのに、身を守る服を何も着ていない。朝会ったときは、
ちゃんと山用の服装をしていたはずだったため、なおさら不思議に感じた。
その脇を通ろうとしたとき、3人の耳に、短いが恐怖を与えるのに十分な『言葉』が聞こえた。

                   「ぃ ぇ ぁ」

                                                                     【続く】

759 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/21(金) 01:23:02 [ wDdwfKYg ]
その8 最善の策

3人の頭に、ある話が思い浮かんだ。紀元前から大陸でいくつもの国を滅ぼした、人を模した姿はかりそめで異形の本性を持つ、
全ての生物を切り裂き喰らう、未だにこの極東では存在しているだろうと言われている、怪物。飽きるほど聞いた話だが、
断片的な内容しか思い出せない。その怪物が発する特徴的な『言葉』、「ぃぇぁ」という呻き、「僕を虐殺して下さい」という嘆き。
耳こそ丸いが、明らかに普通の丸耳とは違う。3人は一つの答えを確信した。
間違いない、彼は『ぽろろ』だ。

「うわぁぁぁぁぁ!」
明らかにぽろろであると分かっているはずなのに、ギコ和は声を上げて殴りかかった。恐慌状態で訳が分からなくなり、
まず先手を加えようとしたのだったが、その行為は逆の結果を招く。どこからともなく現れた触手が、”ぶぉん”と空気を鳴らして、
ギコ和に迫った。
(間に合わない!)
ギコ和の動きを慌てて制しようとしたギコ矢は、そのまま彼を庇おうとしたが、わずかに届きそうになかった。しかしギコ和は、
怪我一つすることなく、森に生えた草の上に転がっていた。その代わりに誰かが飛ばされ、木に叩き付けられた。しぃ子だった。
ギコ矢が動くより先にギコ和に追いつき、盾になったのだ。しぃ子が盾になって飛ばされたのを悟ったギコ和は、金魚の様に、
ただ口をぱくぱくさせている。一方のしぃ子は無事、否、無事ではない。起きあがろうと試みてはいたが、痛みにすぐへたり込む。
彼女の右の頸は折れ、皮膚を突き破っていた。自身の傷の状態が分かり、急に痛みを感じ出したしぃ子は、
ポロポロと涙を流しながら、うずくまった。

(どうすればいい、どうすれば・・・)
ギコ矢は賢明に考えを巡らせた。
このまま逃げて逃げ切れるか?ダメだ、しぃ子の足がこれじゃあ追いつかれる。
俺が時間を稼いで2人を逃がす?どれだけ時間が稼げるか分からない、ギコ和だけじゃ運べない。
ギコ和と2人で戦う?勝てるはずがない、みんな揃って死んでしまう。
彼女を置いて逃げる?・・・論外だ!!!
時間を稼いでギコ和だけを逃がす?・・・ギコ和だけは生き残れる、うまく隙を見れば、、、いや諦めよう。

ほんのわずかの間だったが、幾つかの案を検討し、最善と思える策をギコ矢は選んだ。彼女を置いて逃げれば、2人が助かる、
しかしそれは出来なかった。非合理的とは分かっていたが、ギコ和だけでも逃がし、自身はしぃ仔を最後まで守って時間を稼ぐ。
決心したギコ矢は、ギコ和に叫ぶ。
「ギコ和!お前は急いで降りて、モラ仁さんにこの事を伝えろ!」 「でも、ギコ矢さんや、しぃ子先輩は・・・」
いつもの強気はどこへやら、半泣きになって言うギコ和に、更に続けて言った。
「どのみちあの子を連れてじゃ降りられないだろ!大丈夫だ、俺は強い」
強い、とは言ったが、全く自信も策も無く、ただの強がりでしかなかった。しかしギコ和はその言葉を信じた。
「分かったぞゴルァ!大人を連れてくるまで無事でいてくれ!」
ギコ和はそう言うと、後ろめたい気持ちを振り払い、脱兎のごとく駆けていった。

760 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/21(金) 01:23:20 [ wDdwfKYg ]
その9 穏やかな夏

「丸男さん、次はいつ頃おいでになるんですかな?」 「そうモナねぇ、まあ気が向いたら来るモナ」
広い庭の縁側に座り、子供達がはしゃぐのを見ながら、丸耳モナーの丸男とモラ仁が取り留めのない話をしている。
時間的にもう夕方といえる時間だが、日はまだ傾き始めた辺りでまだまだ高かった。
「しかし、毎年ここに来る子達は元気がいいモナ」
丸男は昼前に山道ですれ違った3人を思い出し、また庭に居る子供達を見て言った。しぃ、ギコの割合が多く感じるが、
種族に関係なく和気藹々と遊んでおり、その様子を見ていた2人の心は和んだ。
「オちャ ドうゾ」
でい香が冷たい緑茶とお茶菓子を運んできたのを、丸男とモラ仁は受け取った。縁側で子供達を見守りながらお茶を飲む、
自分たちがいよいよ老人になったのだと、なにげに実感させられた。
四方から聞こえる蝉の声、子供達の声。夏の風物詩といったそれらは、大きな音ではあったが、決して騒音では無かった。
だがそんな中に、全く異質な声が挿入された。

「モラ仁さーん、モラ仁さ〜〜〜ん!!」
自分を呼ぶ声に耳を傾けるモラ仁だが、声の主の姿は見えない。だが声で誰かは分かる、ここに来てる中学生のギコ和だ。
声は山側の方、裏門の方から聞こえてきていた。モラ仁は草履を履き、そちらへ向かう。そこへ丁度ギコ和が現れた。
「どうしたモナ」 「何があったんじゃ?」
丸男も一緒になって迎えたが、ギコ和は息を切らせてほとんど喋れないでいる。少し息が落ち着いてようやく話し始めた。
「ぽっ、ぽっぽっぽ・・・」 「鳩がどうかしたモナ」
おちょくるつもりはなかったが、丸男が言う。ギコ和はその言葉に反応し、ちらりと丸男を見るが、一瞬恐怖を感じる。ギコ和は、
気持ちと息を落ち着かせて、改めて言った。
「ぽろろだ!ぽろろが出たんだ!」
言ってからギコ和は思った。お伽噺の怪物の話なんか、大人が信じるわけ無いのに、何をやってるんだろう、と。
しかし、その大人の反応は、ギコ和の想像を裏切るものだった。
「ばーさん、大変じゃ!ぽろろが出たらしいぞ!」

761 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/21(金) 01:23:41 [ wDdwfKYg ]
その10 紅い記憶 教訓

「ホッシュ、こちら本部、送れアヒャ!ホッシュ、応答せよ!」 「もういいよ」
額から汗を流して呼び出しを続けるアヒャに、マニ清が言った。どんな状況かは不明だが、ホッシュ隊が全滅したであろう事は、
その場に居る全ての者が想像していた。
「やはり砲撃もへりも効果無しか。記録によれば、旧軍の時にも爆撃は無効だったらしいしね」
あくまで昔の話で、現代の火器ならばどうにかなるだろうと、誰も今回の作戦計画を疑う者は居なかった。しかし現実はこの有様。
お伽噺の時代から変わらぬ恐怖を振りまく怪物は、その脅威すらも保ち続けていた。
「やむを得ないね。普通なら再度砲撃を行うべきだけれど、奴には通じそうにないから、そのままフェーズ4を実施しよう」
淡々と言うマニ清の言葉に、反対する者は誰も居なかった。目標の情報を何も持っていなかったならば大いに反対しただろうが、
ここに居る者達は作戦前に、目標について最低限の知識は身につけてきていた。配付資料には『記録によれば』、『かもしれない』
等の曖昧な表現ではあったが、砲撃や航空攻撃の効果についての記述があったのだ。
『旧軍の記録は、歩兵による白兵戦で決着を付けたという記述で、締めくくられていた』ということも注釈されていた。
それらの情報は不幸にも、3機のヘリの犠牲で証明されてしまった。となればやはりフェーズ4の計画外の実施しかない。
マニ清の決断は、余りに無謀で非人間的なものかも知れなかったが、万が一目標が樹海を出た場合、どれだけの被害が出るか、
想像もつかない。今は周囲の道路から何から全て封鎖しているが、そこから漏れ出れば、
(一般人に出る被害を考えたらね)
確実な死を命じるなど統率の外道。今のマニ清の作戦はそれに等しい話だったが、ここで決心を行うよりほかなかった。

歩兵の投入は様々な事情を鑑み、事前に多くの部署と”調整”を行った後、完全に日が昇ってからの開始となった。
「うちが先発だからな」 「不安じゃないモナ?」
夜明け前に目を覚ましウォームアップをすませたモラ夫が、完全武装でモナ由の前に現れた。彼らは第1波攻撃の200名のうち、
50名を任される小隊長として配置されることになった。モナ由も準備は進めていたが、まだ出発までは時間がある。出発前に、
無駄に体力を消耗する気はなかった。
「でも何というモナか、第1波ってことは第2波3波と、当然用意されているモナね」
モナ由は寂しそうに言った。要は、攻撃部隊が損耗し死者が大量に出ても次は居るぞ、と言われているようなものだったからだ。
モラ夫は、そんなモナ由の気持ちを察して言う。
「作戦に万全を期すのは当然だからな。どんな不測の事態が起こるかも知れないし、それに・・・」 「それに?」
「それに俺たちで終わるかも知れないだろ、あいつ等やヘリの奴らの弔い合戦だ、やってやるYO」
モナ由は防衛軍大学校の時の事を思い出した。モラ夫はどんな状況下でも楽天的で、皆の牽引役になっていた。ただし、
とんでもない方向に突っ走ることもあり、そんなときはモナ由が押さえに回っていた。モナ由からすればいい迷惑だったが、
そんなパターンの時は大抵のことはうまくやり仰せ、結果を出してきた。
(大丈夫モナ、こいつがこういうときは俺がしっかりフォローすればいいモナ)
モラ夫の楽天ぶりは、周囲の人間のモチベーションを上げる効果があるらしく、モナ由もいつの間にやら乗せられていた。

762 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/21(金) 01:24:11 [ wDdwfKYg ]
その11 子供達の知らなかったこと

モラ仁とレモ乃、それにでぃ香や丸男までもが手伝い、残っていた子供達に最低限の荷物の用意をさせ庭に集めた。
「明日に帰るって聞いていたデチ」 「こんな時間にどうしたんだろ」 「なんか恐いモナ」
せっかくの最後の夜を楽しみにしていた者、訳が分からずとまどう者、ただならぬ雰囲気に怯える者、反応はそれぞれだが、
皆一様に浮かない顔をして、互いに話をしていた。ギコ和もその中に居るが、押し黙ったままうつむいている。
そんな中、1人のガナーの子が、レモ乃に問いかけた。
「おばあちゃん、何があったの?」
「(えーと)ちょっとね、お山の中で火事があったらしいの、ギコ矢君達は、先にそれを消しに行ったわ」
あえてレモ乃は嘘を言った。子供達に本当の事を言っても、パニックになるだけだと思ったからだ。いや、それは小学生までで、
小学校高学年以上の子なら、逆に全く信じず、呆れられるのは目に見えている。小さい子はそれが本物だと信じているが、
大きい子達はサンタクロースと同じお伽噺だと信じているからだ。
「でも火も煙も見えないよ?」 「う〜んとそれはねぇ」
レモ乃が子供ならではの、素朴で鋭いツッコミに困窮していると、その苦労を無にするかの如き出で立ちのモラ仁が現れた。
「ばーさん!わしゃもう待ってられん、ギコ矢君達を助けに行ってくる」
「お、おじいさん、山火事を消すのにそんな格好は・・・」
どこから引っ張り出してきたのか、縮んだ体には大きい旧軍の軍装、手には鉈や斧といった、複雑に考えなければ、
火を消しに行く格好ではない。これで軍刀でも持ち出していた日には、とレモ乃は思ったが、残念ながら腰に差している。
「何を言ってるんじゃばあさん、わしの時もぽろろが出て・・・」
レモ乃の必死の隠蔽は、一瞬にして瓦解した。モラ仁も、自分を見つめる子供達を見て、しまった、と思った。

『ぽろろが出た』という言葉を聞いて、やはり小さい子供達がパニックになった。泣き出し、その場にへたり込む。それに対して、
それ以外の子達の反応はレモ乃の予想とは違い、その顔は真剣になっている。揃って何かを言いたそうにしていたが、
今回来た中で、しぃ子に次いで大きいしぃが言った。
「ぽろろって、どういう事ですか」
モラ仁の服装などは、見ようによっては何かの催し物と受け取れる。しかしその態度が余りにも真剣だったため信じたのだ、
ぽろろのことを。これが演技だったら優れた役者だ、そう思えるものだった。
観念したモラ仁は口を開いた。

ぽろろはな、本当に居るんじゃ、本当に。わしが陸軍に居たときにも一度現れての、その時は何千人も亡くなった。その人達は、
教科書では南の島で亡くなったことになっているからの。
大人はみんな知ってるからの、ぽろろが本当に居ることを。
子供達はそのことを、昔話かお伽噺の様に思っている。だから逆に子供が、ぽろろが出た、と言うと信じるんじゃ。

にわかには信じられない話、当然素直には信じられない者も居た。それも正常な反応のひとつだ。
「そんなの信じられないYO、ネットでもそんな話見たこと無いYO!」
ギコ和と同学年のモララーが言うと、何人かも同意し、うなずいた。それに対し、モラ仁が答えた。
「ネットという物をよく知らないんで分からないんじゃが、少なくともわしが今言ったことは本当じゃよ」
ソースがなければ信じない。そう中学生のモララーが言おうとしたところで、ギコ和が口を開いた。
「本当なんだよ、本当に居たんだゴルァ」 「カズ?」
「俺、訳分かんなくなっちまって飛びかかったんだ。そしたら、しぃ子先輩が俺のこと庇って飛ばされて、ギコ矢さんが逃げろっ、て」
ギコ和は涙を流し、しゃくり上げながら話し続ける。
「俺、恐くって、しぃ、子先輩、の事も、置いて、逃げ、て・・・」
確かにギコ矢さんの言うことを聞いたが、本当は恐かっただけなんだ。そうギコ和は告白し、うつむいて泣き続けた。

「ぎコカズくン ナかナイデ」
ギコ和の事を見かねたでい香が、そっと抱きしめた。うつむいたギコ和の目に、でぃ香の義足の左足が見えた。
(俺はなんて弱いんだろう)

763 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/21(金) 01:24:22 [ wDdwfKYg ]
その12 覚悟

ギコ和が去った直後、ギコ矢は後悔の念に襲われていた。
(俺が強い訳無いじゃねぇか、俺が)
自分の弱さ、それはギコ矢が一番知っているつもりだった。大会では優勝したが、それはルールがある試合でのことだ。
止めてくれる者も居ない、ルールも無い喧嘩などしたこともない。『全国一』と言うハクがあったから、それを拒否できただけだ。
(そんな俺が、こんな怪物と戦える訳が、なんで逃げなかったんだ)
しぃ子を守るように身構えていたギコ矢の息は荒くなり、油汗をダラダラと流していた。恐怖が全身を支配する。
不意にしぃ子が口を開く。動きを止めているぽろろからも目を離し、ギコ矢はしぃ子を見やった。

「に、逃げて、ギコ矢先輩、このままじゃ2人とも死んじゃう、先輩だけでも・・・」
改めて見て気付いた。よく見ると脚だけではなく腕も骨折している。そんな状態なのに、痛みに、恐怖に震えながらも、
ギコ矢を気遣う言葉。その言葉を聞いて、ギコ矢は後悔を払拭した。
(なんて強いんだよ、俺は見捨てられない、ここで1人で逃げたら、それこそ)
恐怖までが拭われたわけではなかったが、腹は決まった。

限界まで戦う、彼女が逃げられるよう、最期まで戦う。

764 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/21(金) 01:24:54 [ wDdwfKYg ]
その13 紅い記憶 集合地点

第1隊が、日の光が当たってもなお暗い樹海に投入されて、既に1時間が経過していた。
小隊毎に別れそれぞれの方角から進撃、未明の戦闘の跡地を集合地点(AA)とした。モナ由の第1小隊には隊長も同行し、
最右翼から樹海に進入した。隊の中では最も遅い到着になる予定だ。それに対しモラ夫の第3小隊は、AAに最も近く、
何もなければ既に到着しているはずだ。しかし未だ到着の報告が無い。本部からも呼びかけてはいたが、他の小隊からも、
応答が無かった。
「ヒトマル、マルマル、ヒトフタからヒトヨン応答無し、そちらどうかアヒャ」 「ヒトマルよりマルマル、こちらにも応答無し」
いちいち受話器を受け取るのが面倒だと言うフーンの隊長は、自分で可搬型無線機を背負い、通信を行っていた。モナ由は、
(他にやることがあるモナ)と思っていたが、口に出さないでいた。それにしても、どの小隊からも報告が無いのがおかしい。
やられたのかとも考えたが、50人もの兵士を、一発の反撃もさせずに殲滅するのは、爆弾でも使わなければ不可能だろう。
報告が無いのは無線機のトラブルだ、モナ由はそう考えていた。それは半分が正解であり、半分は誤りだった。

「おーい、もしもーし、誰か答えろYO」 「小隊長、やっぱり故障です」
ふざけ半分に無線機を操作するモラ夫に、無線機を背負った八頭身が言った。無論、壊れているのは分かっている。だからこそ、
こんなふざけたことをしているのだ。
既にAA到着から15分が経過している。何とかして無事到着したことを伝えたかったが、どうにも方法が見あたらない。
(あと5分もすれば、2小か4小の奴らが到着するからな、報告はそっちを使ってやるか)
周囲に目標の気配は無い。左手首のデジタル時計を見やり、モラ夫はゆったりと構えていたが、すぐに来るはずの2個小隊は、
永久に到着することは無かった。

第2小隊と第4小隊は進入ルートの都合上、AA到着前に会合し接敵警戒をしつつ現地に向かっていた。だが集合した彼らは、
目標にとってみれば格好の獲物だった。
「あるぇ、雨KA?」
第1隊の半分、100名の部隊の最後尾で、しんがりを務めていたぼるじょあが異変に気付いたときには、全てが終わっていた。
樹冠の上に、透明な幕状の物が乗っており滴が垂れる。それも1カ所だけではなく、見ると2個小隊全体を覆うように広がっていた。
(っ!しまったYO!)
焦りつつも、叫ぶより早く銃を構え、応戦の姿勢をとるが相手の動きがわずかに早かった。それは木の上から降りると、
そのまま100名を包み込んだ。かなりの範囲に散っていたはずの小隊は、全て飲み込まれている。
「―――――――!!」
ぼるじょあは声にならない呻き声を上げた。銃は既に手から離れている。
息が苦しいだけではない。全身を覆う痛み、酸の様に体表を焼き溶かし、アルカリ溶液の様に肉をどろどろにしていく。
むき出しになった神経は、一旦激しい痛みを脳に伝えていたが、やがて痛覚すら消えていく。もがこうにも既に手足は骨と化し、
それすらも溶けかかっている。その浸食が脳や心臓に達するか、ショック死するまで、彼らは楽になれなかった。
100名居た隊員は、今やその装備の一部を残して消え失せていた。

「小隊長、様子がおかしいです」 「ああ」
モラ夫は八頭身の言葉に短く答える。既に何かの気配を察した数名が、安全装置をかけたままであるが、挙銃していた。
指示は出していなかったが、いつの間にか四周を警戒する防御円陣を組んでいる。ちゃんと命令を下そうとモラ夫が思った矢先、
攻撃が始まった。目標からの先制攻撃だ。
AAの南東方向、大破したヘリが横たわっている陰から無数の刃が振り下ろされ、その近辺にいた5・6名が一瞬にして、
挽肉のようになってバラバラと崩れ落ちた。余りに信じられない光景だったが、かろうじて彼らは正気を保ち続けた。
「撃てぇぇぇぇぇーーーー!!!!」

”バババババ――――”
モナ由はAAの方向から響く銃声を聞いて、肝を冷やした。モラ夫が既に到着しているはずだったからだ。
銃声は、斥候が交戦したときとは比べものにならない規模で、連続した音が絶え間なく響き続けた。
「ヒトマルよりマルマル、AA方向より射撃音、ヒトヒト急行する。モナ由2尉、急ぐぞ」
フーンは左手に送受話器、右手に拳銃を持ってモナ由を促す。モナ由は小隊を率いてそれに続いた。

765 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/21(金) 01:25:11 [ wDdwfKYg ]
その14 紅い記憶 鏖殺

会戦から5分、先ほどまで響いていた銃声は止んでいた。目標は依然健在で、やられたのはモラ夫達の方だ。
ヘリや岩の陰、うっそうとした森林、それらに隠れて目標は襲いかかってきている。まるで周囲の全てが敵になった様だった。
その刃状の触手の一降りで5人の首が転がり、槍状の触手の一突きで5人が串刺しになった。
まったく感情を挟む余地の無い、無慈悲な攻撃。ある程度が死ぬと、まとめて何人も殺されることはなかったが、1人また1人と、
様々な攻撃で死んでいった。
「ぼるずぁっ!」
モラ夫の後ろで相互にカバーをしていた八頭身が、重機のハンマー状の物を横から当てられ、数十メートルも飛ばされた挙げ句、
岩に当たり、ぐしゃぐしゃになって死んだ。これで第3小隊はモラ夫のみになった。
彼が最後に残ったのは、何か特別なスキルを持ち合わせていたからでも、強運だったわけでもない。小隊長である彼を中心にし、
円周防御の姿勢をとったため、たまたま彼と八頭身が森や岩陰から遠かっただけのことだった。しかし最後の1人になっても、
彼は決して諦めることはなかった。倒す方法は存在する、それをどこまで出来るか。考えを必死で巡らせる彼の前に、
遂に目標が、件の怪物が姿をさらけ出した。
とても凶悪には見えないその姿。通常の生物の顔状になった器官に、無数の銃痕が残っている。昨日から先ほどまでの戦いは、
決して無駄ではなかった、モラ夫はそう確信した。そしてその化け物は口を開く。

    「 ぼ く を 、 虐 殺 、 し て く だ さ い 」

余りにもめちゃくちゃな台詞、モラ夫はこみ上げる怒りを抑えきれず、叫んだ。
「上っ等だぁぁ!!言われなくても殺ってやるYO!!!」
モラ夫は、何かに取り憑かれた様に鬼気迫る表情で、着剣した小銃を手に目標に躍りかかった。それでも最後に残った理性で、
倒す方法を確認する。
(顔状の器官以外への攻撃に意味は無い、そこに何発も致命傷を作ることがこいつを倒す方法)
資料にはそう載っていた。古い文献と共に未だに生きている怪物。防げないとすら思える攻撃も、こいつは防いできた。
例え不可能に近くても、やるしかなかった。

「せぇい!」下から突きだした刺突は横薙ぎに払われ、逆に返す刀が襲いかかる。すんでの所で身を引き、再度懐に潜り込むと、
今度は銃把での横打ちを喰らわせる。”バギィッ”と言う音がして、命中した部分が陥没した。先ずは1発、モラ夫はそれに続き、
更に2度3度と打撃を叩き込む。懐の、ある程度の間合いに入ったほうが、返って安全だと分かったため、あえて打撃に専念し、
銃撃を行わないでいた。何度の繰り出される打撃、そのうち3発ほどが打ち込まれた辺りで、モラ夫は何故か銃撃の姿勢をとる。
その顔は、狂気に近い笑みを湛え、明らかに正気ではない。わずかに距離をとり撃とうとしたところで、刃が振り下ろされた。
モラ夫は信じられないほどの速度で反応し、咄嗟に小銃を上に突きだして盾にした。

766 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/21(金) 01:25:30 [ wDdwfKYg ]
その15 初めての戦い

ギコ矢はしぃ子の側を離れると、山道とは逆の方に位置し、ぽろろを挑発するように枯れ枝や石を投げつけた。
ぽろろは表情も変えず、触手を繰り出してそれらを払うと、そのうちの2本をギコ矢の攻撃に使う。最初に放たれた一撃、
腹を狙った鋭い槍の様な刺突だが、刺突の軸線と体の軸をずらし、ギリギリの動きで避けた。もう一撃が避けたところに来るが、
今度は頭を狙っていたものだったため、若干首を左に傾け、踏み込みながら左手の平で軌道を逸らす。
(いつもならここで終わりなんだけれど)
崩れたところで左の手刀、右のストレートというのが、シンプルながら得意なパターンだったが、相手はまだ5メートルは離れている。
それでもギコ矢の思惑通り、じわりじわりと挑発に乗って近づいてきていた。ひとまず、しぃ子から離すことには成功した。

「に、げ、て、お願い、、、」
しぃ子は、ぽろろに挑発を続け、離れていくギコ矢に言ったが、それは声にならなかった。出血こそそれほどでもなかったが、
骨折と打撲のショックのため、意識がハッキリとしていないのだ。空からはまだ太陽が山を照らしていたが、
しぃ子の視界は次第に暗闇に包まれていった。

”ヒュッン”と空を裂く鞭がギコ矢の腕をかすった。毛皮がむしられ、血で染まる。改めて恐怖を感じたが、後戻りは出来ない。
それまでは挑発を続け、1時間近くもかけて断続的に攻撃をかわしていたが、ここらでいいだろうという結論に達した。
遂に戦いが始まる。

今まで離していた間合いを一気に詰める。武器は身一つ、銃も無ければナイフも無い。無謀とも思えるが、
これ以上逃げても事態が好転するわけではない。どのみち結果は明らかだ、ならばせめて、
”バチッ”、まずは挨拶代わりに、素早い左突きが当たる。飛び込みざまだったが左足を踏み込んで止め、左手を引く回転を、
そのまま右突きの勢いに加える。”バキッ”、今度はその右が当たった。見事なワンツーだったが、ぽろろはビクともしない。
右の拳を引き抜き戻す間際、ギロチンの様に刃が降りる。避けたはずだと思っていたが、指の皮の一部がベロリとはぎ取られた。
痛みは感じたが、まだ感じるだけましだろう。ダメージを掌握出来なくなるほどの傷を負えば、そこで終わりだ。
痛みに負けることなく、再度ワンツーを打つ。”バシッ、バキッ”と気味がいいとは思えない音はするが、ぽろろは一向に怯まない。
今度はジャブで様子を見る。触手が防御に回ったため、顔にはヒットしなかった。逆に鉄板を叩いたような感覚に、顔をしかめる。
(なんて硬ぇ、顔以外は無駄そうだな。そういえば?)
ふとギコ矢は気付いた、
(間合いを詰めてからは、さっきみたいは派手な攻撃が少なくなったな)
逆転の発想。恐れずに突っ込めば勝機はあるかも知れない、例えほんの僅かでも、恐れずに。

                                              【続く】

767 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/22(土) 11:14:21 [ i7FbiAIk ]
悪魔の法
モララー「あーこの世界は一体」
モララーが歩いていると
アフォしぃ「マターリノテキメ」
アフォしぃ「ダッコヲノゾマナイシィハイッテヨシ」
アフォしぃがしぃに暴行している
しぃ「お願い子供達だけは」
アフォしぃ「ジャアコノクソベビハシンデモラウワ」
その時
モララー「やめるモナ」
アフォしぃ「モララー」
アフォしぃ「ナニスンノヨマターーリノテキメ」
モララーはアフォしぃをめった殴りにする
そして
アフォしぃ「ニゲナイト」
アフォしぃ「コンナノマターリジャナイヨウ」
アフォしぃは逃げ出す
モララー「大丈夫かい」
しぃ「お願い私の子供達を・・・」
しぃは死んだ、しぃの死体の影からベビギコとベビしぃが怖がって出てくる
モララー「ベビしぃ達だ」
モララーはベビギコ達を家に連れて行く
モララー「この悪政で生活が苦しいのにでもお互い様だよな」
このスレ「この世界の国」では消費税が30%さらにモララー族は午後4時以降の外出禁止
旅行はこのスレの管理者の許可が出るまで禁止さらに生活費の7割を税金で払わえという
ギコ族の無差別逮捕、サイタマ族は犯罪を犯してなくても刑務所に50年という
悪政が執行されたそれも4世紀前に
モララー「絶対にこの子達は」
ベビギコ「ミュ」
ベビしぃ「ミィ」
モララー「この子たちにはミューとミーと名づけるか」
そして4ヵ月後
ベビギコ達も言葉を話せるようになって数日たった日
役員「おいベビギコがいるのは分かっているんだ開けろ」
モララー「畜生」
ベビしぃ「ドチタノ」
ベビギコ「ナンデチカ」
モララー「く」
役員「てめえも逮捕してやるぞ」
何とか居留守を使ったモララーも
モララー「この街から離れるぞ」
ベビギコ「ナンデ」
ベビしぃ「ドウチテ」
そう言うとモララーは車に食料と服を何日分も詰めて
モララー「これで漏れも死刑かいや絶対にあそこに行けば」
そしてモララーは街を離れ街外れの山に車を隠し
山へ登った
モララー「あと少しだ」
ベビしぃ「マダツカナイデチカ」
ベビギコ「カワデチ」
モララー「この水大丈夫か」
モララーは水質検査器具を出し
モララー「何とか大丈夫だ」
そしてモララー達は水を飲む
モララー「もう少しだ」
モララーはレジスタンべースを目指す

768 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/07/22(土) 11:44:01 [ i7FbiAIk ]
モララー達が山の奥に行くと
モララー「あれがレジスタンスベース」
警備が厳しい基地の前で
モララー「難民の格好でよかったな」
そして
警備兵「動くな政府の回し者が」
モララー「漏れもここに入れてくれ」
警備兵「難民だな入れ」
そして
フサギコ「やっぱり来たか」
モララー「ああ」
そしてモララーはレジスタンス軍に入った
そして度重なる訓練を受け
モララー「絶対に自由を取り戻す」
ベビギコ達は隠し部屋の中でゆっくり生活をする
そして半年後
ッパ「ギャアアア」
ドクオ「もうだめ」
隊員はモララー、フサ、ドクターモナーチビの兄妹を残し全滅した
モララー「レジスタンスベースが」
チビギコ「もうだめデチ」
チビしぃ「希望がなくなった」
モララーはドクターモナーに
ドクターモナー「モララー君その子たちはおそらくこの国の希望だ」
モララー「どういうこと」
ドクターモナーはレジスタンスベース跡から何かの部品を取り出す
モララー「これは」
ドクターモナー「スペックを施したフルメタルアーマーだ」
モララー「なんかヒーロー番組みたいだ」
そしてチビギコとチビしぃをカプセルに入れ
モララー「もし漏れとドクターでこれの専用マシンを開発できたときに」
ドクターモナー「これはおそらく14年かかると思います」
そして月日は流れ
ギコ「行くぜゴルァ」
しぃ「兄さんこの国の最後の希望として」
そして
モララーは
政府軍「監禁室に閉じ込めたな」
政府軍「これだけじゃねえから」
モララーは両腕をレーザーで切り取られ
モララー「漏れの腕が」
傷口から細菌兵器を送り出され
モララー「グギ」
ハンマーで体をたたかれ
モララー「ダアアアア」
とうとう
モララー「希望とマターリを見たか・・・」
モララーは絶命した
希望を残した里親の最後だった
ギコ「義父さん」
しぃ「兄さんもしかして」
ギコ「義父さんは死んだ」
そしてギコとしぃはフルメタルアーマーを装備してこの悪法を制定したヒロユキ城
を前に決意をし専用の空中サイドカーで突入した
終わり

769 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/23(日) 05:27:36 [ 3ot/24bE ]
その16 勝機

”バシィッ”、右の足刀、トレッキングシューズに施された補強のため、一番強力な攻撃になる、はずだったが間違いだった。
逆に、死角から現れた触手に足をすくわれ転倒した。転倒したところを、上方から2本の槍が迫る。1本目を転がって避け、
2本目も避けようとしたが、肩を僅かにえぐる。更に攻撃を加えられる前に何とか起きあがり、また突っ込んでいく。
(危ないところだった、もしアレが刃だったら・・・)
斧のような分厚さなのに、皮を綺麗に削ぐほどの鋭い刃。脚のどこを切られても、いや足の小指であっても立ってはいられない。
「漏れの足が」などと叫んでいる間に、首を狩られるか頭を潰されるかして、終わっている。
脚を切られてもがき、首を転がし草むす屍になる自分。ゾッとした。
そもそも足下が不安定で、いくら道場で良い蹴りが出来ても、ここでそれが出来る保証はないのに。軽く反省したが、
後悔でなくて済んだのは幸いだった。

上半身の攻撃に専念したギコ矢の動きは、徐々に回転数を上げていく。
”パパパッバシィッ”とほとんど同時に音が鳴り、四連撃が成功する。最後の一撃だけを本命としたが、威力が足りなかった。
今度はぽろろが、フックとボディーブローの高さに左から連続して触手を見舞う。ギコ矢は頭を襲った触手をスウェーして避け、
腹に来た一撃を払い、切れなかった。どう処理しようか逡巡したため、対応が遅れた。槍の切っ先は払ったが、
その後の自在に動く触手が、しぃ子を薙ぎ払った時の様に叩き付けられた。素早くはないが、余りにも重い攻撃に飛ばされた。
「ゴフッ!」、口から漏れる空気、ミシミシと音を立てるあばら。4・5メートルは飛ばされ、ゴロゴロと下草の上を転がる。
骨こそ折れていなかったが、内臓に与えられた衝撃のため、息がうまく出来ない。飛ばされ、平衡感覚と共に意識が混乱する中、
ギコ矢は思考を停止させず考えた。ここは相手の間合いだ、早く動かなくてはならない。今度は躊躇うことなく懐に入る。

(もっと速く、もっと!!!)
僅かに数歩の距離、しかしぽろろの攻撃の弾幕が厚い。またしても槍の攻撃、前方から3本が自在にうねる。今度は払わずに避け、
前進することで続く攻撃を封じた。前方からの攻撃を凌いだところに、真上からも刺突が落とされ、鈍い痛みが左腕を襲う。
”ズッ”と言う音がし、貫かれた気がした。しかし実際は、僅かに上腕えぐっただけだった。
ダメージに構わず前進するギコ矢。そしてその勢いをそのまま打撃に使う、全体重を乗せた飛び込み打ちだ。
ぽろろは触手を戻し、ガードを重ねようと試みていたが、ギコ矢の方が僅かに速かった。飛び込んだ勢いに加え、腰の回転、
脇から腕や肘の筋肉のテンション、全ての条件が合致し、強力な一撃が放たれた。
”バギャアッ”、とても素手での拳打とも思えない音が響く、ギコ矢本人が何より驚いていた。ぽろろの顔の、丁度口とおぼしき部分、
そこが拳の形に陥没している。人間相手なら、致命傷にすらなりかねない一撃。ギコ矢は自身の力に困惑していたが、
体が出来上がっていない高校生だ。素手でのここまでの拳打に、拳が悲鳴を上げている。明らかに骨折しているのが分かった。

(まさか、、、やったか?)
代償は大きかったが、今までにない一撃でぽろろを仕留めた、はずだった。ぽろろは一向に倒れる気配を見せなかったのだ。
ギコ矢は落胆することもなく、更に回転を重さを増していく。左手も、砕けた右手も徹底的に叩き込む。ぽろろの攻撃さえも、
拳打や掌底を打ち込んで弾く。ぽろろの顔も歪んでいたが、それ以上にギコ矢の手に負った怪我はすさまじい。
効き手である右手は、既に骨が飛び出てすらいる。半壊状態だった。
(次!)自身の痛みを感じないかの様に、右の拳を打ち込もうとしたところで地面に足を取られ、前につんのめり体勢を崩す。
そこへ、
”ブオォン”と空を切り、棍棒状の一撃がギコ矢の左側頭に命中した。
回転する様に、ギコ矢は宙を飛び、地面に叩き付けられた。

770 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/23(日) 05:28:45 [ 3ot/24bE ]
その17 紅い記憶 決戦

森の中に穴がぽっかりと空いている、そんな場所にモナ由達は辿り着いた。一面友軍の血と臓物でまみれ、血の海と化している。
高地の涼しさも忘れさせる、むせる様な血の匂い。それを見た数人が、その場で吐いた。
その惨劇のただ中に、モラ夫が目標と対峙していたが、両者とも動きを止めていた。
「モラ夫!!」
何故か小銃をハイポートの形に掲げたまま動かないモラ夫に、モナ由が叫ぶ。だがすぐに、動かない理由は明らかになった。
左の肩口から右脇腹までを結んだ線の、その上と下で、体のラインがずれている。やがてそのずれは次第に大きくなり、
小銃ごと袈裟懸けに断ち切られたのが判明した。
モナ由の前で、友人は真っ二つになって息絶えていた。
切断面の部分より上の半身からは、胸郭に詰まっていた肺や心臓といった、人間の命の中枢に近い物が、生ゴミの様にこぼれる。
下半分も、上の半身がズレ落ちた拍子に崩れ、残った肺や胃、肝臓などがでろんと、飛び出て撒かれる。どれもこれも、
普通に暮らしている者には、実物を見る機会など無いだろう。
どこかの戦争映画で見た場面が、この地獄にもう一つ増えた。

そういえばあいつ、ヘビースモーカーだったから、いつも自分の肺の色がどうだとか、気にしていたモナ。
酒は飲まないから、肝臓はきれいだとか、自慢していたモナ。
大丈夫モナ、どっちもきれいな紅色だモナ。

「モナ由2尉!指揮を執れ!」
隊長の言葉で白昼夢から覚めた。敵、友人を殺した怪物は、だいぶダメージを受けているはずだが、まだ生きている。
(こいつだけは・・・)
「各分隊、散開して包囲するモナ!小銃、分隊支援火器、射撃用意!確実に顔を狙うモナ!」
モナ由の号令が静まりかえっていた森に響くと、数十人の半長靴の音が続いた。
包囲完了し、後は撃つだけ。普通の戦闘であったら、唯の殺戮にしか見えない程の状況。しかしモナ由達は、
決して優位を感じていない。目の前に広がる光景は、次の自分たちかも知れなかったからだ。
「ヒトマルよりマルマル、目標を包囲、これより攻撃を―――」
隊長が無線機に向かい、そこまで言ったところで、モナ由が叫んだ。
「撃てぇぇ!!!」

命令と同時に、各人の持っていた火器が火を噴く。もうもうと弾着の土煙が立ちこめ、視界が徐々に悪化する。モナ由は焦った、
目標の姿を見失ったからだ。そしてその焦りに応えるように、土煙の中から何かが飛び出した。
左翼に展開していた隊員数名が射撃を止めた。代わりに吹き出す紅い物。首を飛ばされた。背の低かった1人は、首ではなく、
頭の中程から輪切りにされ、そこから灰褐色の物体を晒している。
左翼の惨劇に気を取られる中、今度は中央で機関銃を撃っていたアヒャが、直上から突き立てられた触手に絡め取られ、
いや背中から串刺しにされて、血と呻きを吐き出しながら、宙に放り出された。
「(目標を再度確認して・・・)撃ち方止め!止めるモナ!!ロケット弾用意」
本来無線機を背負うはずだった隊員が、その代わりに背負っていた携行型対戦車ロケットを伸長し、射撃準備をする。
小火器によるものとは思えないほどの土煙が徐々に晴れていくが、目標はなおも動かずに、その場に立っていた。

(その余裕な顔を、吹っ飛ばしてやるモナ!)
「撃ぇ!」
”バシュウゥゥゥ”と音を上げて、100メートルも無い、ほとんど至近距離とも言える距離をロケット弾は飛翔し、命中した。

771 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/23(日) 05:28:57 [ 3ot/24bE ]
その18 覚醒

ギコ矢は、自分の体が宙に浮いているのに気付いた。僅かな高さだが、足には地面の感覚は無い。
(俺、どうなったんだ?)
ぼやける視界、やはり宙に浮いている。一瞬足を切られたのではないかとも思ったが、意識が覚醒するにつれ、
別の部位の痛みに気付く。両腕の上腕が細い触手に貫かれ、見えない十字架へ磔にされた状態になっていた。
「うわぁぁぁ!ぁがぁあああああっ!」
全体重が両腕の傷にかかり、今まで感じたことのない痛みに襲われる。それを弄ぶ風に扱うぽろろ。
先ほどまでに比べれば弱いが、一発一発が尋常でない重さを持つぽろろの”拳”が、ギコ矢の全身にまんべんなく叩き付けられる。
胸を、みぞおちを、脇腹を、鼻っ柱を、急所であるかないかなど関係なく、サンドバッグにされ、拳が打ち込まれた。
「ゴふッ、ゴブぅ、グボ、うっウゥ、、、おゴォッ!!!」
耐え難い苦痛、だが楽にはなれない。ぽろろの攻撃にはその気が無い。正にぽろろのおもちゃと化したギコ矢は、酷く後悔した。
(やっぱ逃げれば良かった、勝てる訳無かったんだ、始めから分かってんのに・・・)

(・・・後悔し続けられるのも生きていられるからじゃないか、死んだら結局は、、、何も無いじゃ)「おごっ、オゲェェェ・・・」
何度目かのボディブローで、胃の内容物がダラダラと口から吐き出された。どこから混じったのか、血も一緒に吐き出している。
(俺、死にたくねぇ、死にたく、シニタクナイ)
絶望が全身を包み、目の前の異形に対する畏れ以外何も感じない。その絶望の中、僅かに視界の端で動く物を認めた。
しぃ子が居た。
彼女はその折れた手足で、必死で追いかけてきたのだ。何度も意識を失いながらも、数十分もかけて這いずって。
(なんでだよ、俺がこんなになった意味が、、、ダメだ、俺は、まだ・・・!)
ギコ矢は、この戦いを無にしたしぃ子を責めるでもなく、殴打の嵐に曝されながら戦う意志を取り戻した。
同時に意識が覚醒していく。十分に意識はハッキリしたが、それを超えて強く知覚が広がってゆく。
感覚の激しい覚醒とは裏腹に、精神はとても静かに落ち着いている。風ひとつ無い、湖面の様に。

ギコ矢は全身に力を入れると、両腕を串刺しにしている触手から逃れようと、全身を揺り動かした。かなりの痛みを伴ったが、
ぽろろの前方からの殴打がギコ矢の離脱を助長し、遂に一方的な攻撃から逃れることに成功した。
傷は深いが戦える。ギコ矢は冷静に自分のコンディションを確認し、ぽろろに向かって行く。ありとあらゆる方向から攻撃が迫った。
ふと、湖面に波紋が広がっていく情景が、その脳裏に浮かんだ。その波紋を発している元を避けて移動する。
”ザシュザシュッ”、無数の槍が地面に突き立てられた。しぃ子はギコ矢の断末魔を見たかの如く顔を覆ったが、ギコ矢は平然と、
そして悠々とぽろろに近づく。最終関門としてぽろろが用意していた直上からの刃も、軽くいなし、己の間合いを確保する。
ギコ矢は攻撃を加えようとしたが、瞬時に防御に回る。湖面から何かが飛び出してくるのが見えた。
次の瞬間、ぽろろの腹から巨大な口が飛び出す。ギコ矢など一口で飲み込んでしまうであろう『口撃』は、かすりすらしなかった。

772 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/23(日) 05:29:24 [ 3ot/24bE ]
その19 紅い記憶 血着

(なんてことをしてくれるモナ、なんてことを・・・)
モナ由は絶句した。目標には命中したものの、その顔はがっちりと無数の触手にガードされている。それよりも、その手前。
腹の半分が吹き飛んだアヒャが、腸をはみ出させ、ボタリと倒れ込んだ。串刺しにされた部分がロケット弾にえぐられ、
体重を支えきれずに、その部分が千切れたのだ。
盾にされて絶命したアヒャ、そして射撃によりズタズタになった友人の亡骸。余りにも悲惨な光景だった。
そんな中、今まで口を閉ざしていた目標が言った。モラ夫に言ったのものと、同じ言葉を。

「僕を虐殺してください」

「・・・う、うぁぁ、うおおおおおおお!!!」
怒声を上げて目標に駆け寄りつつ、射撃を実施するモナ由。隊長や一部の分隊長が、射撃の邪魔になるから退くようにと言うが、
全く耳に入っていない。目標は言葉とは裏腹に、あらゆる攻撃でモナ由を迎撃しようとするが、モナ由はそれらを全てかわした。
弾の切れた小銃を放り出し、目標の懐に入り込むと、今度は腰の拳銃を抜き、接射した。
”パン、パン”と数回銃声が響いた。数発は命中したが、戻ってきた触手が盾となった。今度は目標が下からの斬撃を繰り出し、
モナ由を切り裂かんとしたが、モナ由はかろうじて左に避ける。しかしその拍子に右瞼が裂け、拳銃がはじき飛ばされた。
モナ由は狼狽した様子もなく、次の武器を手にする。それは、モラ夫が最後まで手にしていた、銃身が半ばで切られた銃だった。
その銃身の放熱カバーは脱落していたが、切断面は鋭く斜めになり、それがかえって槍の様に使えそうに見えた。
「でやぁぁぁ!!」と気合いと共に思いっきり踏み込み、目標の懐に入るモナ由。そして大きな予備動作を行い、
渾身の力を込め、その顔状部を貫いた。目標はそれでも叫び声一つ上げない。
モナ由はそれでは足りないとばかりに、銃身を突き刺したまま引き金を引く。”ズブォン”とくぐもった様な音が鳴る。もう1発、
と引き金を引くが、弾丸は発射されなかった。気付いたモナ由は、右手で握把を握ったまま、左手を槓桿に添えて引き、
そして再度引き金を引く。”ズブォン”と先ほどと同じ発射音が鳴った。同じ動作を繰り返す、何度も何度も何度も・・・
ふと目標からの反撃が無いのに気付いたモナ由は、ようやく銃撃をやめる。丁度弾も切れていた。

全身の力が抜け、モナ由は仰向けに倒れる。その迷彩服が友軍の、そして友人の血に初められていった。
「モナ由2尉、だいじょ・・・」
隊長は、勇敢にも自身で目標の状態を確認しようと駆け寄った。
その前にモナ由の無事を確認しようと、その顔を覗き込んだところで絶句したのだった。

その表情は、もはや正気のものではなかったからだ。



「ヒトマルよりマルマル、目標の沈黙を確認。繰り返す―――」

773 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/23(日) 05:29:43 [ 3ot/24bE ]
その20 かつての戦禍


否、あの時死んだ者達も、戦士だったのだ。


周囲では、入山の準備が進められている。その脇でモナ由と、副官が話し込んでいた。
「結局その時は、160人余りもの犠牲者を出したモナ」
副官のフーンは初めて聞く話に戦慄を覚えていた。モナ由は続けて言う。
「もっとも、旧軍時代の話では千人単位で犠牲が出たと言うから、それだけで済んだのは幸いだったかも知れないモナ」
幸い。友人が死んだ戦いだというのにそう言い放つモナ由に、フーンは何か不気味なものを感じた。
「ときに君、、、穢れ、と言うものを知っているモナ?」
不意に投げかけられた問いに、フーンは答えられなかった。汚れではなく穢れ、余り馴染みの無い言葉だった。
「奴は、穢れをその身に纏うモナ。そして奴を殺した者も、穢れにより豹変するモナ」
「俺も、奴を数度ほど殺したモナ、だからその分だけ穢れがついたモナ」
「数度ほど殺した、ですか?」
「奴は数多の命を、死を内包するモナ。その分だけ殺さなければ奴は死なないモナ。その分の穢れモナ」
フーンはいまいちピンと来なかった、どうも話にオカルトな内容が多すぎる。
フーンの気持ちは分かっていたが、あえてモナ由は続けた。
「だから俺もその後、一時期おかしくなったモナ。気付いたときには妻と子は家を出て行った後、体は酒でボロボロになったモナ」
おかしいのは今でもじゃあないのか。そう言いたげなフーンの考えを見透かしたモナ由は、最後に付け加える。
「安心するモナ、俺も奴に関わる以外のオカルトな話は全く信じないモナ」

先の戦闘に参加した者のうち、判明しているだけでも、8人が精神に異常を来していた。モナ由もその1人だった。
そのうち半数が現場を全く見ていない者だったため、原因が解明されることは無かった。
そしてカウンセリングなどの治療が済んだと思った矢先、立て続けに3人が猟奇的な殺人を犯す。ほぼ衝動的な殺人だった。
殺人を犯した者以外は皆、野良しぃやちびギコを虐殺して心の安定を保っていた。
モナ由は、元来血を見るのが苦手だったため、野良しぃやちびギコにすら手を出すことはなかったが、その代わりに妻子に当たり、
職場では鬱の状態が続き、酒におぼれたのだ。
今でこそ元通りになっているが、その体験は戦闘の記憶と相まって、心に深い傷を刻んでいる。瞼の傷などは些細なものだった。

774 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/23(日) 05:29:54 [ 3ot/24bE ]
その21 僕を虐殺して下さい

不思議な感覚、だがギコ矢はそれが当たり前であるかのように、その感覚を受け入れていた。
(腕が痛てぇ、けど・・・)
”ド!・・・ン”
全ての手を打ち尽くしたぽろろが、ギコ矢の一撃の下に倒れた。普通の中段構えからの、普通の拳打だったが、極端に重く、速い。
ぽろろの顔は、ギコ矢が先ほど飛び込み打ちを見舞った周囲が完全に潰れ、グジュグジュと崩れていた。
ギコ矢はしぃ子を見やり、倒れたぽろろに背中を向けた。倒したはず、そう思っていた。しかし、
「僕を虐殺して下さい」
ぽろろは起きあがり哀願する。哀願、いや、それは呪詛と同じものだった。
心の中の水面が、炎の海に変わった。

「ずうぉあらああぁぁぁ!!!」
決着がついたはずのぽろろに向き直り、雄叫びを響かせながら、殴りかかるギコ矢。彼のその様子に、しぃ子すらもが怯えていた。
傷ついた手を、何度も叩き付けると、ぽろろの顔はそのたびに崩れていった。
目の様に見えた部位に指を突っ込み、えぐる。
     (駄目だ)抑揚の無い声が頭に響く。
両目を一瞬にして潰すと、今度は潰れているはずの口に手を押し込み、アッパーの要領で腰を回し、顔の半ばまでを引っぺがす。
丸耳に手をかけると、それを掴んで自身の体を宙に持ち上げ、空中でトゥキックを打ち込む。
     (これ以上は)ギコ矢にだけ聞こえているはずの声。
足がめり込むと、それを足掛かりにし、飛び上がりながら耳を引きちぎった。
その勢いでそのまま高く舞うと、上空からのカカト落とし、頭頂部が陥没した。
     (早く止めないと)表情の無い声。
地上に戻っても更にラッシュを続け、右手の飛び出した骨すらも武器にして、ただひたすら殴り続ける。
もはや元の顔がどんな物であったかも分からないほど潰れたぽろろに、ギコ矢は最期の一撃を放つ。
     (後はもう・・・)声はそこで途切れ、代わりに、
「僕を虐殺して下さい」
口は既に潰れて、どこから放たれたかは分からないが、間違いなくぽろろはそう言い、その願いはすぐに叶えられた。
”ズブブッ”とギコ矢の左の貫手が、ぽろろの顔の中央を貫いた。ギコ矢が容赦なく踏み込むと、指先が後頭部まで貫通し、
そして遂にぽろろは息絶えた。

しぃ子は既に気を失っていたが、それで良かったのかも知れない。
いつの間にか空は暗くなり、月が森を照らす。弓張月の冷たい光が照らしたギコ矢の顔は、ぽろろの体液にまみれ、笑っていた。
(まだ、何か居る・・・)
ギコ矢の虚ろとも混乱とも言い難い意識の中で、未だに炎は燃え続けていた。
(最も憎むべき者が、ここに居る、殺す)
憎しみ。それは心の火をどす黒く変えてゆく。顔の端までつり上がった口、幽鬼の様な眼。
黒く燃え盛る炎の切れ目に、憎むべき者は居た、動かない、格好の獲物だ。
ギコ矢は炎の切れ目を辿り、その”者”に歩み寄る。
ギコ矢はしぃ子の前に立ちはだかった。足下に居る”者”に狙いを定めると、ギコ矢は地面に対し垂直に、大きく突きの姿勢を取る。
間違いなくその拳は、彼女を狙っていた。ぽろろを貫くほどの突き、彼女が受ければどうなるかは明らかだろう。
砕けた右拳でだが、頭でも、胸でも、腹でも、狙う部位はギコ矢とって大して違いは無い。その”者”を仕留められれば、
どうでも良かった。だが、確実な死を求め、顔面に狙いを付ける。そして・・・

”ブヲォン”

775 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/23(日) 05:30:05 [ 3ot/24bE ]
その22 救援

モラ仁は子供達と家族、そして隣人と共に里から下りていた。モラ仁と変わらぬ年の農家のアヒャ、牧場を営むつーと、
そこで育てられたワッシィやオニーニ達が、揃ってゆっくりと歩を進めた。モラ仁は、ギコ矢を助けると言って山に入ろうとしたが、
でぃ香に押さえ込まれたところ腰を痛め、渋々避難することにしたのだ。その中にギコ和の姿は無かった。
ギコ和は電話の無いこの場所での事態を伝えようと、必死で走り、村まで降りていた。

ギコ和が走り駐在警官に伝え、駐在は所轄署、所轄署から県警、県まで行くと、瞬く間に軍に派遣要請がかけられた。
名目上は災害派遣だが、武装した1個小隊が村までヘリで移動し、そこからは近傍の駐屯地から到着していたトラックに移乗する。
ありとあらゆる戦闘に堪えられる戦士が、茜色を通り越し紫色に染まった空を背に集結した。
彼らが山を登る頃には、空は紫から月夜に変わっていた。

 状況
  ギコ族の少年2名、同じく少女1名が、下山中にぽろろと遭遇。
  少女が負傷し、少年1名が現場より離脱に成功、残る少年1名は現場に残った模様。
  当部隊は分隊毎に現場まで移動、集合後に目標の追跡を開始する。
  集合前に目標に遭遇した際は、応戦を以て他分隊への報せとする。
  第1に目標の撃破、第2に少年達の救出を行う。
  交戦及び攻撃に関する制限は無し。

部隊のほぼ全員が、暗視眼鏡越しの緑の視界に包まれている。
モナ由達の隊は、先遣隊4名を先行させ、4つの分隊に別れて山に分け入った。先遣隊が現場地域を確保すると、
後続の4個分隊が集結した。モナ由は、少年達の無惨な有様を想像していたが、そこにはそれらしき痕跡は無かった。
(血を流すことも許されず死んでいった奴らも居たモナ)
集合と同時に追跡にかかる。しかし追跡の先導をする、先遣隊のポイントマンのアヒャは妙なことに気付いた。
「隊長、痕跡が変アヒャ、少年と目標は判別出来たアヒャが、少女の足跡がないアヒャ、代わりに何かが這った後が有るアヒャ」
一同は息を呑んだ。少女が喰われてしまったのは想像が出来る、仕方のないことだ。だが、この這いずった跡が、
ぽろろの物だったとしたら、、、
「諸君、獲物が2匹に増えたところで、我々の戦いに何ら影響は無いモナ!」
低い声で飛ばされた檄に、隊員達は奮い立ち、追跡を開始した。

「隊長、アレを」
約2時間、徹底的な警戒を行いながら追跡を続けていた部隊が止まった。ポイントマンが何かを発見したのだ。
「これは、どういう事モナ?」
弱点とも言える、唯一攻撃が有効な顔状部が滅茶苦茶に潰れたぽろろ、そして原形を保った少年と少女。
這いずった跡は少女の物と判明したが、それよりもぽろろが息絶えていることに、その場に居た全員が驚いた。
無論この光景は、かつてぽろろと戦ったモナ由には、到底信じられないものだった。

776 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/23(日) 05:30:19 [ 3ot/24bE ]
その23 傷

”パァン”静寂に包まれた森に、銃声が響いた。
「クリア!」
副官のフーンが自ら志願し、ぽろろの死亡確認を行った。死亡確認と言っても、至近距離から銃弾を撃ち込むだけだったが。
ぽろろの潰れた顔は、拳銃弾が1発撃ち込まれた程度では変わることがないほど、酷い有様だった。

未だに信じられないといった風にするフーンと、現実を受け入れているモナ由は出発前と同様に話し込んでいた。
「隊長、本当にギコ族の少年や少女が?彼らの華奢さは折り紙付きですよ」
「例外は何にでも有るものモナ。それに航空さんには現在、戦闘機乗りの卵のギコも居るという話モナ?」
「はぁ、確かに他には何の痕跡もありませんし、フーン、、、これが現実ですか・・・」
なんだか釈然としない、そんな感情がそのままフーンの表情には表れていた。

「両腕の貫通刺創に、右手が粉砕、左手も骨折。他打撲、切創多数。待てよ、頭にも打撲2カ所、内出血のおそれアリ、昏睡」
「女の子の方は、、、こっちも酷いな。右脛骨複雑骨折、右下腕単純骨折、打撲多数、意識無し」
2人を診断した衛生隊員は、すぐさま応急処置を施すと、モナ由の指示を仰いだ。
ヘリを待つよりも、自隊で搬送し下山した方が早いと判断したモナ由の指示により、応急の担架が作成され、2人は運ばれていった。

モナ由がギコ矢達を見送るその後ろでは、ぽろろの骸を官給品のデジカメで撮る隊員が数名居た。モナ由の指示だ。
その後は数名の隊員が、代わる代わるぽろろの監視を続けた。それは監視と言うよりも、儀式でも執り行うかの様でもあった。
隊員達は回収を待っているつもりだったが、払暁の頃には、骸は霧と一緒に森に溶けていった。

777 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/23(日) 05:30:33 [ 3ot/24bE ]
その24 平凡な生活

病院に運ばれたギコ矢は、3日後には目を覚ました。真っ先に目に入ったのは、泣きじゃくる義母とギコ和、微笑むモラ仁だった。
両手、両腕、頭の大きなこぶ、体全体が痛んだが、それも夏休みが終わる辺りには、ある程度までは回復した。
あの森でのことは、楽しいことしか記憶には残っていなかった。短い時間ではあったが物言わぬ母との語らい、晩餐の材料集め、
本当の弟のように懐いているギコ和との登山。義母からは、足を滑らせて滑落したのだと聞いた。
高校を出て、幸い都市部の大きな商社に採用され、独り暮らしを始める。
平凡な暮らし。





普通に会社に出社し、普通に仕事をこなし、普通に帰宅する。
帰宅する途中、公園に寄って、虐殺され残ったベビしぃやベビギコが居れば、拾って帰る。
彼女らは拾われたことを喜び、ギコ矢に抱かれて”マターリ”として短い生涯を終える。
ギコ矢は高級な柳刃包丁を使って彼女らを殺す。一撃で、労することなく殺すため、その後のため。
眠りながら延髄を貫かれ、一瞬で殺されたベビはまず毛皮を剥がされる。延髄に出来た穴からベリベリと、包丁を用いて。
かつて里で学んだことを”活かし”、足や耳の皮までも全て綺麗に剥ぎ取る。剥ぎ取る時には、”ビィィィィ”といい音が響いた。
肉の塊となったベビは処分する日まで冷凍し、皮は使用可能な状態に処理した。
(ガナ美さんちが先、しぃ花さんちが次か)
裁縫道具を取り出すと、処理をした皮に綿を詰め、ちくちくと縫う。目や口は縫いつけて塞ぎ、首にロープをかけて吊るして完成。
不気味なてるてる坊主状の物体は、人家に近付く街の野良しぃを追い払うのに大変効果的で、町内では予約待ちになっている。
金を受け取るでもないし、ただベビを殺すことの口実だ。一時期彼は自身でそう結論づけていた。しかし実際は違う。
破壊衝動?趣味?トラウマ?快楽?

(何で俺はこんな事をしているんだ)
そう思いながらも、今日も平凡な日々は続いてゆく。
何も分からなかった、今は。

                   【終わり】

778 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/31(月) 00:19:37 [ RxXOTAUo ]
もっと熱いぜ俺達は

1/2
あのことか、そう、話せば2レス分モナ・・・ ちょっと前の話モナ。
知っているモナ?列島国、航空防衛軍の初任空曹の班長は3つに分けられる。
中隊長以上の権力を持つ奴、適切な指導で手本になる奴、班員より下手に出てしまう奴
この3つモナ、あいつは・・・


「おいお前、ちょっと来い」
「は、はい・・・」
教練の訓練中、1等空曹のネーノに呼ばれた3等空曹のモララーは、うつむき加減でグランドの隅に連れて行かれる。
グランドと言っても、足下は土ではない。あくまでグランドと呼ばれているだけの、駐車場の様なアスファルトの地面だ。
空からはさいたま太陽が照らしており、陽炎が立っている。真夏の盆地らしい炎天下、気温は体温すらも超えていた。
(昨日の携帯のこと、やっぱりチクったのかYO!)
昨日の消灯後、トイレで携帯電話を使っていたのを中隊当直に発見されたのだ。
中隊当直とは言っても自分と同じ初任空曹、まさか班長には言わないだろう、そう思っていたが甘かった。
「理由は言われなくても分かってるんじゃネーノ? その場に伏せぇ!」 「その場に伏せぇ!!!」
ネーノに言われたモララーは、観念して手を地面に付け、腕立て伏せの姿勢をとった。
異常なまでに熱くなったアスファルトに、手を焦がす感覚に襲われる。
「それ1!」 「イチ!」 「2!」 「ニィ!」 「3!」 ―――
仁王立ちのネーノが数えると、それに合わせてモララーが力一杯叫び、腕立てをする。
「8!」 「ハチ!」 「声がちぃせぇんじゃネーノ? それ1!」
難癖を付けられ、また最初から数え始められる。連帯責任と言われなかったのが幸いだった、モララーはそう思っていた。
「9! オラ!声が出てネーノ! 1!」 「(いい加減に、終わらせてくれYO!)イチィ!!」
もう何十回と腕立てをし、既に灰色の作業服は汗でびしょ濡れになっている。
顎からもダラダラと汗が垂れていたが、何故か地面は濡れていなかった。それも当然で、汗は地面に触れると同時に蒸発していた。
おびただしい量の汗のだったが、跡も残っていない。
「最後だ!下で止めてろ!10!!」 「ジュゥウ!」
息も絶え絶えにそれでも叫びながら、モララーは腕を曲げる。しかし上げることは許されず、腕を曲げたままの姿勢で待たされた。
うでがプルプルと震え、顎がの先が地面に付くと、本当に焦がされた気がした。いや気のせいではなかった、
「あっじぃぃぃYOooooo!!!」
モララーはそう叫ぶと、堪らず腕を伸ばした。勝手に腕を伸ばしたモララーに、ネーノの檄が飛ぶ。
「ふざけてんじゃネーノ!! 最初からやりたいのか!!!」
「あ、顎が焼けたYO!」 「顎?」
ネーノがモララーの顔を覗き込むと、毛先が少し焦げ、地肌に水泡が出来ているのが分かった。

779 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2006/07/31(月) 00:21:55 [ RxXOTAUo ]
2/2
「分かった終わりだ、立て」
そう言われたモララーは、膝を突いて立とうとしたが、今度は作業服越しに膝を焦がされる。
「熱っ! 班長、立ち上がれません」 「手間がかかるな、、、手ぇ貸せ、手!」
ネーヨはそう言って手を差し伸べたが、モララーは動こうとしなかった。
「どうしたんだ! サボりなんてはえぇんじゃネーノ?」 「いや班長、手が持ち上がりません」
やれやれといった様子でモララーの右腕を掴んだネーノは、大根でも抜くかの様に真上に引っ張った。
”ビチビチ ビリビリィ”
かすかに聞こえる、今まで聞いたことの無い音。
ふと地面を見ると、モララーの右手があった場所に、変な物が張り付いている。
「なんだこれ? ・・・!!!!!」
地面に張り付いた物の正体を知ったネーノは、驚愕し言葉を失った。それはモララーの右手の皮だったのだ。
それを見たモララーも途端に叫ぶ。
「UGYAaaaaaaaa!!! 漏れの、漏れの手がぁぁぁ!!!」
さすがに泣くことは無かったが、手の皮を見たショックで喚き始める。するとそれを聞いた他の班長も駆けつけた。
「どうしましたモナ」 「あるぇ〜、これって一体なんですKA?ってGE!」
数人の班長が近付き、張り付いた物が手の皮であると分かると、持ち上げられた右手も確認した。
表皮がベロリと剥がれ、赤い組織が見える。汗以外の何らかの体液が漏出しているのも見えた。
「漏れの漏れの手ぇ・・・」
モララーの全身に暑さで流れていた汗は、いつしか粘り気のある汗に変わっていた。ネーノも冷や汗をかいている。
そして、慌てたネーヨは左手も持ち上げて”しまった”。
”ビチィ ビ、、、ビ、、、ビリビリビリ”
先ほどよりも明瞭に音は聞こえた。無論、手の皮が剥がれた音だ。
「いひゃぁぁぁぁ!!! 手がぁあぁ・・・」
「アンビ呼ぶモナ、アンビ」 「俺が行きまSU!」
モナーはモララーの肩を抱いて、すぐそばの体育館まで歩き、ぼるじょあは中隊事務室に走って行った。
グランドでは騒ぎに関係なく訓練が続けられ、その隅にポツンとネーノは立ちつくしていた。その足下の手形を見ながら。

「同じ様な事故事例は、10年前にもあったからな!」 「はい・・・」
中隊長のモララーが言う。ネーノにいつもないがしろにされており、またとない機会とばかりに叱責を浴びせた。
「たく、、、そんなんでよく何十年も班長が勤まってたもんだYO!」 「はぁ」
「とりあえず、これは事故として扱うけれど、あの学生の訓練はこれからどうするんだYO!」 「はぁ・・・」
何を言われても、ネーノはただ頷くしかなかった。


話を聞き終えたアサピーは、首を傾げながら目の前のモナーに言う。
「だが桁が2つぐらい違うと聞きましたが?」 「だが、それは誇張のしすぎモナ」
「だがこれは障害事件だと思いますが?」 「だが、これは訓練中の 事 故 モナ」
「だがもみ消しだと思いますが?」 「だ が 心 配 の し す ぎ で は な い か モナ!! いい加減帰るモナ!」

                                                                   【終わり】

780 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/08/02(水) 20:44:02 [ BhxMhqzg ]
1/8
ガスッ!!!! ゴスッ!!!

夜の路地裏。月夜の晩。人気のない場所での不快な音。
物音一つない小道に吸い込まれて、消えていく。

……消えていくのは音だけとは限らない。

青白い顔をした男性が足元の物体に向かって何かを振り下ろす。
すでに狂人と化したその瞳には、恐怖の悪魔が宿ったように。

ただ、真紅に染まったナイフを振り下ろす。

ガスッ!!!! ゴスッ!!!

もう切れないのだろう。鈍い打撲音しか響かない。
刀身にヒビが入り、血糊と脂まみれのナイフが空を切る。

ガスッ!!!! ゴスッ!!!

男性の足元にある……既に骸となった人間だった「物」
二度と動くことのないソレに向かって、刃を突き立てる。

何かに取り付かれた、ケモノのように。


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

突然の女性の叫び声。
その瞬間、男は意識と、人間としての尊厳を取り戻した。


「……あれ?…僕は?」

女性の瞳は僕に向いている。
そして、その顔は純粋な恐怖で凍りついていた。

僕の足元にある……赤黒い「何か」
それが何なのかが一瞬理解できなかった。

…が、すぐに記憶は鮮明な色を取り戻した。
「人を殺していた時の記憶」を。

戻らなければどんなに幸せだっただろうか。


その瞬間に僕は逃げだした。
今体験した現実を認めたくなくて…それを悪夢だと願いながら。

781 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/08/02(水) 20:44:52 [ BhxMhqzg ]
2/8
「うわぁぁぁ!!!」

混濁した意識の中で目を覚ました。
見ていた夢のように滴る汗が気持ち悪い。

夢?…そうなのか……?

僕はコートを着て、ベッドで寝ていた。
汗をかくのも当たり前。今は夏真っ盛りなのだから。

大学生の僕は探偵になりたいと思っていた。
それを理由に、時期の合わないこの季節に灰色のコートを買った。
着て外へ出てみたかったが今は夏。暑くてたまらないだろう。
それで夜にコートのお披露目と言わんばかりに飛び出したのだ。

そして、それは今、鮮血で赤く染まっている。


太陽が沈みかけた頃。帰り道。
暗くなり始めた周囲に焦りを感じて、
近道のために、路地裏を通る事にした。

日は暮れ始めているとはいえ、暑いものは暑い。
それでも新品のコートを纏い、満足感に満ちている帰り道。

大通りよりも暗く、狭いこの道を通るのは別に初めてじゃない。
路地裏といっても一本道。迷うことなどありはしない。

ドンッ!

「……誰だテメェは?」

人とぶつかった。今思えば相手が一般人ならよかったのに。
…黒いコートにサングラス。体格のいいモララー族の男性。

「おい、ぶつかって御免なさいの一言もねえのか?」

初めて見る「あっちの人」に恐怖で声が出ない。
ひざがガクガク震え、動くこともできない。

「聞いてんのかテメェ!」
「ひいぃ!」

その怒鳴り声に驚き、彼を突き飛ばした。

「…テメェ、
 覚悟はできてんだろうな?」

膝をついた状態からゆっくりと立ち上がると、懐からナイフを出した。
その銀色に光る刃を耳元へ近づけて、

「耳、ちぎってやろうか?ああ?」

その言葉に反応した僕は、
恐怖から逃れたい一心で無我夢中に拳を振り回した。

ナイフは地面に落ち、その衝撃で左肩に痛みが走る。
僕は痛みでしゃがみこみ、男性は対面に倒れこんだ。
滴る血を見て、死への予兆をその身に感じた。

「…ぶっ殺す!」

彼が次に出したのは…黒い拳銃。
死にたくない……その思いだけで手元に落ちていたナイフを拾った。

782 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/08/02(水) 20:46:13 [ BhxMhqzg ]
3/8
昨日の出来事をゆっくりと思い出す。
たしかに…僕は人を殺した。

手に残る生きた肉を切るときの弾力感。
飛び散る鮮血に、色とりどりの鮮やかな内臓。
筋肉の間に見える白い宝石のような骨。
錆びた鉄のような撒き散らされた血の匂い。
死を直前に迎えた絶望が溢れかえる瞳。

忘れたくても忘れられない全て…これが罪なのだろうか…。

「…臨時ニュースです……」

空想にふけっていた自分をアナウンサーの声が呼び戻す。
昨日、テレビをつけっぱなしにして寝たのだろうか?

「…昨夜、擬古町自演通りの三番街で暴力団関係の…

分かっていた。そしてそれは予想を裏切ってはくれなかった。

……これで僕は指名手配だ。
案外冷静な自分に関心した。
パニックにならず、今の自分の状況を考えられるほどに落ち着いていた。

僕の名前は茂名野 茂樹(モナノ シゲキ) 大学1年。
まだ東京に出てきてから3ヶ月ほどしか経っていない。
親の仕送りとバイトで生活する一人暮らし。
友人関係にも問題はなく、絶好のスタートを切ったばかりの「犯罪者」…

「さてと…」

急いで押入れから一番大きなカバンを取り出す。
その中に今の全財産、着替え、食料を積み込んだ。

彼は知っていた。
ニュースに流れるという事は、犯人の目星は付いている事が多い。
これは犯人に対する思想誘導であり、住民の心配を和らげるもの。
…殺人事件なら自首を促す為か、情報提供を呼びかける為のどちらか。

目撃者もいる上、後始末を何一つしていないなら分かりきった話である。


最後に彼は包丁を二本、一番取り出しやすい所に入れた。
そしてそのまま住み始めたばかりの新居を後にする。

783 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/08/02(水) 20:47:04 [ BhxMhqzg ]
4/8
「と、出てきたのは良いけど…」

隣町まで来た彼は途方に暮れていた。
ニュースで知ったのだが、彼が殺したのは「虐殺党」の重要工作員。
虐殺党は裏の世界では最も大きな組織である。

探偵になっていれば敵であるはずの存在。
だけど今から敵となるとは思ってもいなかった。

人を殺した以上、表の社会には出られない。
裏の組織を敵に回した以上、裏でも生きることができない。

彼にはどこかの孤島で過ごすくらいしか思い浮かばなかった。

「その前に明るいうちに寝床だけでも…」

暗くなってから動き回るのはよくない。
警察もこの周辺にいるだろう。視界の利かない夜に遭遇したらどうしようもない。

幸いにも、寝床はすぐに見つかった。
町外れにある「立入禁止」と書かれた、元薬品会社の建物。

そこに入ろうとした瞬間、視線を感じた。
後ろに誰かがいる。間違いない。
こんな所までついてきて、手を出さないということは裏の人間じゃないな。

大きな荷物をゆっくりと床に置き、深呼吸をする。

次の瞬間、彼は視線のした方へダッシュした。
視線の主はそれを見て慌てて逃げる。

お互いに必死である。

生活どころか、人生を賭けて追いかける茂名野。
殺人犯が向かってくる恐怖から逃げる視線の主。

茂名野は高校時代は陸上部だった為もあり、すぐに追いついた。

784 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/08/02(水) 20:47:33 [ BhxMhqzg ]
5/8
捕まえたのはしぃ族の少女。
どうやら正義感だけで尾行してのだろう。
それほどに彼女の足は遅かった。

「ひいぃ! 御免なさい! こ、殺さないで!」
「…別に殺す気はないよ」

「え?」
「だから殺さないってば」

意外そうにしぃが問いかける。

「だって、人…殺して逃げてるんでしょ? それに…」
「殺したくて殺した訳じゃない」

しぃ族だったが本物みたいだし、正直今はそんなのはどうでもいい。

「とりあえず、荷物…」

茂名野は荷物の場所を指差した。

そのまま茂名野としぃは荷物のある場所に戻った。
茂名野は荷物の事が気がかりなのだ。
まあ、その中に全財産が入っていたら当然の反応であるが。


「…って事は不可抗力だったって事?」
「そうだ!そうなんだよ…本当に…」

事件の内容を話すと少し納得してくれたようだ。

「自主…する気は無い?」
「無い。あんな奴の為に人生終わらせるとか……絶対…嫌だ」

「でも…」
「だから、君がココで見た事を黙っていてくれるだけでいいんだ!」

「……」
「この後は誰にも迷惑を掛けずにひっそりと暮らしていくから…頼む」

「……わかりました」
「ありがとう…」

日が暮れ始めてきた。
彼女の家族も心配しているだろう。
この子は殺す方にも殺される方にもなって欲しくないな…そう思った。

「そろそろ帰った方がいいんじゃないか?」
「そうですね…それじゃ、この辺で」

立ち上がって一呼吸した後に、
彼女がそう言って無防備な背中を向けた瞬間…


彼の中で、悪魔が再び目を覚ました。
そしていつのまにか、カバンから取り出されている包丁が風を切った。

785 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/08/02(水) 20:52:20 [ BhxMhqzg ]
6/8
音もなく歩く暗殺者の様に素早く近づき、
その背中を、肩から腰にかけてを一太刀で切り裂く。
その際に噴出した鮮血を目も閉じずに受け止める。

彼女の体がゆっくりと前に傾き始めた。
しかし悪魔はそれすらの猶予は与えずに刃を勢いよく突き出す。
その衝撃で悪魔と少女は転ぶように倒れる。

「ァギャアァァ…」

彼女の出した悲鳴はとても弱弱しかった。
二発目の突きが肺にまで到達する威力。声など出せるものじゃない。
貫通した包丁は勢いを失うことなく、そのまま横に払い、切る。

…はずだったが、包丁がそんな衝撃に耐えられるはずも無く折れる。

刀身の半分以上が彼女の体に埋没したが、悪魔にはあまり関係ないようだ。


「何で俺がっ!! 俺がこんな目にあうンだよっ!!!」

「どうしテ!! 俺ナんダ!!! 俺だけナンダ!!!」


すでに二撃目で絶命した彼女の背中にまたがって、折れた刃を振り抜く。
振るたびに赤い血が、肉片が、人間としての理性が、空に散っていく。


「なゼ、俺を苦しめルんだ!!!」

「いラナイ!! イラなイ!! こンナ世界ナンテ!!!」


怒りと、憎しみと、悲しみと、絶望を込めて包丁を振りかざす。

しかし突然、彼はピタリと手を止めた。
包丁を落とし、少女だった「もの」の傷口を瞬きをせずに
その体内にある、まだ動いている臓器を見つめている。

そして赤ん坊ような無邪気な笑顔のまま、
砕けた背骨の先にある…彼女の心臓を鷲掴みにした。


「あははハハハハッ!! アハハ、ははハはハハハ!!!」


鼓動を止めないその心臓を、古来の生贄の儀式のように空高く掲げ
血まみれの悪魔は、満面の笑みで「それ」を握りつぶした。


いつの間にか雨が降り始めていた。
空を覆う雲泥は、明日への希望を見失う。
雨雲の下で、物言わぬ亡骸が横たわる。

…時期に雨は強くなっていくだろう。

786 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/08/02(水) 20:55:17 [ BhxMhqzg ]
7/8

昇った朝日が夏の暑さを再び造りだす。
昨日の雨を忘れられそうな澄み切った空。
廃墟の中の、赤い青年と黒い悪魔。

茂名野は考えていた。
この先の生活ではなく、自分としてのあり方を。

人を殺した。しかも二人。

あのモララー族の時は正当防衛だと、そう自分に言い聞かせていたが、
今回ばかりはそうもいかない。

罪の無い一般市民を…卑怯にも背後から切り殺した。
自分に危害を加えないと約束してくれた少女を、この手で。

罪を償いたい気持ちはあった。
普通に考えれば自主するのが懸命だが…茂名野はそれを拒んだ。

怖いのだ。

自分の罪を公に晒す事が、
それによって受ける迫害が、
「世間」から捨てられるのが…。

死ぬまで背負う十字架は変わらないが、
償い方は他にもある……そう思いたい…。

そう思ったのもつかの間…


『警察だ! 犯人は大人しく投降しろ!!』

拡声器で大音量に拡大された声。
突然の事なのに、不思議と驚きはしなかった。

「そういえば、昨日殺したアイツの死体を片付けていなかったけ…」

昔っから片付けが嫌いだったよなぁ…と思い出にふける。

『投降するなら、三分以内に武器を捨てて出て来い!それ以降は命の保障はできない!』


…残り三分。

自主するか、それとも最後まで殺人犯として立ち向かうか…

……すでに答えは決まっていた。

787 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/08/02(水) 20:56:32 [ BhxMhqzg ]
8/8

「…ザ、…ザァァ……ニュース2chの時間がやってきました…」


誰もいない部屋に付けっぱなしのテレビの音声だけが響き渡る。
テレビを忘れる程にこの部屋の主人は急いでいたのだろうか?


「…先日の…擬古町殺人事件ですが…ザザァーー…」


数日間使われていない食器には少しホコリが溜まっている。


「…ザザ、犯人の茂名野 茂樹(19)は…ザァ…ー…ザ…」


荒れ果てた室内には人の気配は無い。


「…先日、一度目の犯行現場の隣町のー…ザザザー……」


ポストにはこの部屋の主人が取っていたであろう新聞が押し込まれている。


「…現在使われていない、元薬品会社の建物の付近で新たに少女を殺害…」


テレビの電波の入りが良くなってきた。


「…その後、建物の内部で包丁を使い、自分で首を切断し自害したそうです。
 犯人が行った二件の事件の動機は今だ不明……」



心の隙間の黒い悪魔。
昇らぬ太陽、明けない夜。
朽ちていくのはキミ自身。

                                 END

788 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 09:52:06 [ YkGw05bk ]


「神と家畜の楽しいおしゃべり その2」

789 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 09:53:13 [ YkGw05bk ]
「IDIOT LEVEL A」と書かれた扉を開けると
「チッ、チッ、チッ……」
モララー所長が、連続で舌打ちを始める。彼がしぃ族をその手にかけるときの
特有の動作で、殺しのスゥイッチが入った証拠だとも言える。

「………ところでモナーちゃん。僕ぁこの奥にいる、『シスターしぃ』
 一応確認の意味合いで、ちょいと訊きたいんだけど……
 あの雌猫、何でここにぶち込まれてんだっけ?」

「…………ああ、それはモナね………………」
モナーとしても、所長と協力して仕事をする際
初めのうちはその狂気に恐れを抱いたものだったが、今となっては
むしろモナーの方から逆に、狂気を更に煽ろうとまでしている始末だ。

「……まぁ、流れとしてはよくあるものモナけど、所長も知ってるモナよね?
 しぃ族共が信仰してるくそったれの宗教、いや、邪教モナね ……『真多利教』………」
モナーの言う「真多利教」の言葉に、モララーも吐き捨てるような笑いを浮かべた。
「知ってるよ。しぃ族の実に99%が入信してるってやつだろ?
 つーか『真多利「狂」』が正式名称じゃない?」
「ははは……。とにかく、その真多利教モナけどね、最近チョット調子づいてきたというか
 町中でも、ちょいと目立つようになってきたモナよ。勿論悪い意味でモナ」
「屑は屑らしく、掃き溜めで腐ったゴミを漁っていればいいものを……
 ……不遜にも一般市民に、かなり組織的に武装までして手ェ出し始めたらしいね」
「そのやり口が、よくある“棍棒とマターリ”レベルじゃなくなってきて
 裏では、銃器や爆弾まで仕入れてるって話が出てきたモナから……
 今までみたいに、目をつぶっているわけにもいかなくなったモナ
 で、こないだモナギコ軍がちょいと信者を数匹とっ捕まえて、その情報を下に手入れを各地で行って……
 ……ついに総本山に乗り込んで、開祖だとかいうしぃ、通称『シスターしぃ』を、ふん捕まえたってわけモナ。」

「はは。……何だかんだ言っても、結局はしぃ族の組織。えらく簡単に制圧できるわけだ。」
「いやいや。とは言ってもやはり総本山モナよ。」
モララーは笑い飛ばしていたが、逆にモナーは目を伏せて首を横に振る
「そうそう簡単には、いかなかったモナよ……」
「ああ、結構派手な大捕物だったらしいね。確かこちら側にも……」
「………重軽傷含めた怪我人が数十人と、死者が……3人……モナ」
「……他者を殺しておいて、何がマターリか、と……。……そんな意識は奴らにはないわな」
「自己中心に正当化してるモナからね。奴らの言葉で言うなら、真多利教の……ええと、全ての活動は
“真のマターリへ到達するための活動”となるから、そのためには何を為すのも許される……らしいモナよ。」

「……… ちっ」
モナーが喋り終えると、モララー所長は苦々しげに舌打ちをする。
「……奴らが如何な存在であるかを語る上では定番だが、だがそれでも怒りを覚えずに入られない
 相変わらずの“しぃ族の腐り果てた選民思想”か………
 ……で、そのありがたいありがたい大ボスのシスターしぃちゃんが、この奥にいるが……
 ……この奥でまだ息を……してるんだよね……?」
「そうモナ。とは言っても、物理的に殺すのはめちゃくちゃ簡単モナよ。一発殴ればそれで終わりモナから。
 ただ問題は、その後モナ。」
「そこからは分かるよ。真多利教ってのは、しぃ族の実に99%が信者なわけだから
 その創設者が殺されたとなりゃあ、奴らも黙っちゃいないわな。
 例え連中が暴走してきたところで、いくら組織的に武装したっても、所詮はお遊戯
 こちとらの本職の軍隊・モナギコ軍にかかりゃ鎮圧することは赤子の手だけど
 とは言っても、一般市民にこれ以上被害が出るのは非常にマズイからね。」
「だから困ってるモナよ。どーいう形であいつを殺してやったとしても
 絶対奴らは群れなして報復して来るから、町中が荒れそうで………
 軍でも、この点ではどうにも解決策が見つからなかったから、こっちに回されてきたモナよ。
 ……で、所長、その……」
それまで饒舌に語っていたモナーが、急にモララーの方を上目遣いで見た。
「所長の言ってた“方法”ってのは、他の信者の連中の見せしめに出来るような凄まじい殺し方……モナか?
 しぃ族にとっては、真多利教ってのはかなり影響力があるらしいモナから、それの大ボスの殺し方によっては
 さっきも言ったとおり、凄まじいことにもなりかねないモナが……大丈夫モナか?」
………モナーがやはり心配そうな声でモララーに話しかけると、モララーは自信ありげに、にぃぃと笑った。

790 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 09:53:41 [ YkGw05bk ]

「……く く く。言うまでもないことだよモナーちゃん。心配ご無用。
 今回は何分、しぃ族のボスとも言える輩が“実験台”だからな。
 ある種スペシャル、それ専用に作ってあったやり方で嬲り殺しにしてやるつもりだよ。
 ああ、そろそろ全容を教えてあげないとね。これが計画書。くっく く く く く。」
「おお! 見せてモナ!」
所長から手渡された計画書を受け取ると、モナーはしばし無言で計画書に見入った。
ただし、無言だったのは最初の数秒だけだったが。
「……………所長……これはこれは……………」
「……面白そうだろ? 勿論君にも協力してもらうよ。」
「……それこそ、おやすいご用モナよ! 楽しみモナ!
 それに本当に、無用な心配だったみたいモナね。まさかこんな代物を考えてあったとは……」
「そうだよ! 当ッたり前さぁ……! 虐殺をするに当たって、一番面白くて重要なのは
 実行することもさることながら、『如何に殺すか』を考えることなのさ!!
 ……巷じゃ青臭い厨房どもが、『俺今日さ、アフォしぃを15匹殺したんだぜ!』みたいなことを
 ほざいていやがるけど、重要なのはそこじゃあないんだ。分かるだろ?
『どれだけ』殺したか……の“数量”は、重火器やミサイルを使えば百匹単位なんざ楽に逝くからな。競い合う意味がない。
 ……だから!」
モララー所長は、恍惚とした表情で天井を仰ぐ。
「……重要なのは『どれだけ』数量を殺したかじゃなく、『どれだけ』手の込んだ殺し方で殺したか、なんだよ!
 知恵を絞って、『如何に』惨たらしく奴らを嬲り、絶望と苦悩を与え、身も心もぼろぼろにぶっ壊して
 最後に、死へと導く………
 
 ……まずは牙を剥いて、元気よく敵意を露わにする……!? 
 いいじゃぁないか……! 食前酒としちゃ、こういうのが最高なんだよ……!!

 そういうゴミ共を考え上げた方法で痛めつけてやると、奴らが小便ちびって……泣きわめく……!? 
 ……いいじゃあないかぁぁ!! 虎が一瞬で子猫になる!! 滑稽極まりない! 

 そういうゴミ共が、涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにして命乞いを……する……!? 
 ……いいいじゃぁぁないかぁぁ!!! 気丈な雌猫が体をぶるぶる震わせて、すがりついてくる……!
 それこそが! 我が最高のエクスタシィになるのさァぁああああ! くひゃはははははは!!

「……………しょ、所長? ちょっと怖いモナよー」
「これが僕にとっての虐殺の醍醐味……なんだよねェ……! くうっくっくっくっくっく!
 毎ッ回、奴らを殺すたびに、どいつもこいつも違った悲痛の表情を浮かべたり、実に様々な
 命乞いを聞かせてくれるから、どれだけぶち殺しても全く飽きないんだよねェくけらからから………!!
 あァァ楽しみで仕方がないなァ……!! 今回は、いわばしぃ族の統括者を相手にするせいかな もう血が騒いで仕方ない!
 どんなにくそ生意気で、殺し甲斐のある雌猫が待ってんのかなぁァァあ?
 くけけけけけ……! 犠牲となってしまった市民・兵士諸君の為にも、獄の獄の、獄の獄の底までぶち落とすような
 エグい方法でその雌猫をぶち殺してやらんとなぁぁあアはははははハハははぁぁ!!」

「…………………………」
……まだ虐殺の『ぎ』の字も始めていないというのに、所長のこの変貌ぶり。
モナーもにんまりと微笑むと、手を横に広げる。
「……………やれやれ。これなら心配いらない、モナね……」

791 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 09:54:04 [ YkGw05bk ]

「……ここモナ」
所長とモナーの二人は、堅牢そうな鉄の扉の前に立っていた。
「いよいよ……かぁァ……! あ、そうだ」
モララーが鍵を開けようと扉に手を伸ばすと、不意に口を開いた。
「? どうしたモナ?」
「いやね、最初に一つ注意しておきたいンだけど、もう計画書見せたから分かると思うんだけど
 僕がこれからやろうとしている“殺し”はね、後半はバリバリに流血するんだけど、
 前半がそうじゃないから、こいつはちょっとまわりくどい、時間の無駄だと感じるかもしれないのよ。
 でもね、分かってね。この“前半”は料理で言えば下味を付けるようなものなのさね。これ重要。
 この前半の味付けをしておくことで、後半の味わいが増すンだよ。
 ……だからね。これは見てても退屈だろうから、僕が一人でやる。モナーちゃんには“後半”の方の準備を頼みたい」
「………了解、モナ。他には何か?」
「……確認だけど、君以外の他の部の連中に連絡取ってね? “後半”は、あいつらがおらんと話にならんからね。」
「言うまでもないモナよ。既にさっき連絡済みモナ。……皆ものすごく張り切ってた様子だったモナよー。」

「……いつの間に。まぁいいや。これでお膳立ては全て整ったわけだ。」
「あとは所長、まずは第一打、重い一撃を頼むモナよ!」
「くくくくっ……! さぁて、行くとしましょうかね!
 モナーちゃん。分かってると思うけど、そっちの方も頼むよ!」
扉の開錠が終わったようで、鉄の扉が重々しい音を立てて開かれ
二人は一旦お互いに向き合ってにまりと微笑むと、モララーはその部屋の中に、モナーは外に歩いていった……。

792 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 09:55:25 [ YkGw05bk ]

………………………………
さて、モララーが扉を開けた、その部屋の中では
「……天に召します、真多利の神よ。」
一匹の、いかにも宗教の教祖と言った感じの服装に身を包んだしぃ…、シスターしぃが
これまたいかにも宗教家らしく、両手を組み、目を閉じて祈りを捧げていた。

「今日この日も、身共しぃ族が迫害される毎日が続いております。
 真多利の神様。全てのしぃ族はあなたの信者です。皆はあなたに対して
 一日も怠ることなく、祈りを捧げております。
 天に召します、真多利の神様。慈悲深いあなたが、身共の祈りに答えてくださって
 恐れを知らぬ、しぃ族に危害を加えている“厨”共に、天罰を与えてくださっていることに、感謝いたします。
 いつか、汚らわしい“厨”が全て消え去り、全ての身共しぃ族にとっての楽園が訪れるまで
 真多利の神様と共に私共も、真の“マターリ”のために戦い続けます。
 真多利の神様。どうぞ我らを………」
「見守ってくださいませ……とでも言うつもりかい? くっくくくくっ」
「!」
突然の声に、シスターしぃははっと後ろを振り返る。
振り返ったその先には、にやにやと不気味な微笑みを浮かべるモララーの姿。

「……………………。ふう」
一瞬、予期せぬ訪問者に驚いた表情を見せたシスターしぃだったが
すぐにため息を一つつくと、敵意を露骨に見せた表情を浮かべる。
「あらあら。珍しいことね。まさかモララー族がここにやってくるなんて……
 で、今日は何のご用件かしら? 私の処刑日が決まったの?」
「ふっふふふ。まぁまぁ、誰もそんなことを言うためにここに来たんじゃあないよ。ふふふ。
 ……そもそもまず、せめて自己紹介ぐらいさせてもらいたいね。
 僕はモララー。ここの所長なんだよね。よろしくなんだね。くふふふふ」
「へぇ。ここの所長さんが、わざわざ………
 ……まぁ、私の方は自己紹介する必要はなさそうね。どうせ私のことは知ってるんでしょう?」
「はいはい。とてもよ〜く、存じてますよぉ」
シスターしぃの言葉に、モララーは馬鹿丁寧にお辞儀をしながら答える。
「………しぃ族の99%が入信している宗教・真多利教の教祖、シスターしぃ。
 本名・しぃリア。出身は………」
「そこまで知ってるんだったら充分ね。その通りよ。私が真多利教の教祖、シスターしぃ。
 ……まぁ今はあなた達の陰謀で、こんな所にいるけれどね」
「人聞きの悪いことを言われますねぇ。ふふふふふ。」
「人聞きの悪い? ふん……。あなたこそ何を言っているのよ。
 私たちしぃ族を、力で押しつぶそうと画策しているくせに……!」

モララーの一言が気に障ったか、シスターしぃが眉をつり上げて噛みついてきた。
とは言ってもモララーは、何の変化も見せずに平然と切り返す。
「……テロ行為までしでかし始めた、あなた方に言われたくはありませんね。」
「正当な報復よ! ……日夜しぃ族がどれだけ不合理に、公然と虐殺されているのか知っているでしょう!?
 やられたらやり返せ、……右の頬を打たれたら左の頬も差し出すほど、私たちも寛容にはなれないのよ!」
「んー、そうですか………。“報復”ね…… んっふふふふ………」
「……そうしたらあんたたちは、今度は私たちの宗教を潰しにかかった! 私たちの神を冒涜しにかかった!
「………………………………………」
「……この屈辱は、あんたたちには分からないでしょうけれどね………。でも
 いくらあんたたちが私たちの神を冒涜したところで、そんなものは真多利神の前には無力。
 真多利神の力は、絶対! 不心得者が何を騒いだところで、目の前を飛び交う蝿以下でしかないのよ!
 ……今に見ているがいいわ。真多利神はあんたたちに、絶対に天罰を下すのだから!!」

793 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 09:55:46 [ YkGw05bk ]

「……………………………」
熱くなっているシスターしぃとは対照的に、モララー所長は眉すら動かさずに黙ってその話を聞いていたが
やがて、いつものモララースマイルを浮かべた。
「なるほどねぇ。なるほどねぇ。くくくくく。」
「……ふふん。どうしたのよ。あなたも私たちの神を冒涜するんでしょう? だったら」
モララーの態度に飲まれまいと、シスターしぃが挑発的に微笑む。が
そんな嘲笑に対して、モララーはやはり全く気にもかけない様子。
いや、そればかりか
「あー、いやいや! ……どうやら君は一つ、勘違いをしているようだね。」
「? どういう……こと?」
「……僕が、君らの神様を冒涜する………だって?
 ふふふ。何を言ってるんだい。僕にはそんな意志は、まるでないんだよ。
 それどころかね。君らのその“真多利神”について、もっと訊いてみたいと思っていたんだよ。くくっ」

「え!?」

このモララーの言葉には、流石のシスターしぃも驚きを隠せなかった様子。
「君は教祖なんだろう? なら話を聞くには最高に打ってつけじゃあないか。
 ……どうしたのかな? 何をそんなに警戒したような顔つきをしているんだい?」
「…………………………」
「おいおい。……考えてもご覧よ。君らの神様を冒涜したいんだったら
 町中に中傷ビラでも貼って回るなり、テレビで騒げば済む話だ。そもそも話を聞く必要がないだろ?
 ……単純に知的好奇心の問題、さ……。真多利神が何故にしぃ族をこうまで引きつけるのか、といった感じのね
 それとも何か? しぃ族以外は真多利神について、知ることすら許されていないというのかい?」

「え…………そ、それは………………………」

……シスターしぃの顔には、明らかにとまどいが浮かんでいた。

今までこんなことを、しぃ族以外に自分に要求してきた者はいなかった。
ここに入れられてからも、軍の収容所にいた頃も、真多利神を誹謗する声は数あれど
よもや、“真多利神について訊きたい”等という声が、あろうとは…!
しかもそれが、この施設の長である男から……!

しかし、話を聞きたいなどと言ってはいるが
その実このモララーも、それをあの口汚い誹謗の種にしようとしているのではないか?

……いや、しかし……、冒涜が目的なだけならば
さっきも彼自身が言っていたが、わざわざ私の話なんて聞く必要がない。

……とすると、真多利神を研究して、もっと陰湿な誹謗・中傷をもくろんでいる……?

「…あれぇ? どうしたのかな?
 まさか僕に真多利教を詳しく話すことで、何らかの不利益が生じるとでも思ってるの?
 ……おやおやおや。君らの真多利教ってのは、その程度の代物だったのかな? くくくっ!」
「!」
まさに自分の心を見透かしたように、モララーはけらけらと笑った。

…………くっ! 上等じゃないの……!
真多利教は他でもない、真多利神が私の夢枕に立ち、私にこれを作るよう命じ、私が創設した宗教!
だから分かる! 私が真多利神について一番良く知っているのだから、私には分かる!
真多利神に暗部など、こんなゴミ以下の屑に何か言われる弱点など、あるはずがないということを!
……それどころかこいつに真多利神の偉大さを教え、屈服させてやる!

あぁ、全能なる真多利の神よ。願わくば私に、あなたの偉大なる力をお与えください。
この神をも恐れぬ不届き者に天罰を下す、力を………!

心の中で祈りを捧げると、シスターしぃはモララーを見てにやりと笑った。

「……いいわ。話してあげるわよ。
 我らの神、真多利の神がどれだけ偉大で、あんた達がそれに比べたら
 どれほどちっぽけな存在であるということを、ね!」
「んくくくく…… そりゃあ楽しみです。じゃあ始めてくださいませ」

794 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 09:59:38 [ YkGw05bk ]
………………………………………………

……やれやれ

“真多利教について訊きたい”とは言ったものの、モララーは当然ながら殆ど聞いてはいなかった
シスターしぃが嬉しそうに語る「真多利神の誕生」だの、「真多利神の生い立ち」だの
愚にもつかないような役に立たなさそうな話は、いい加減に相づちを打っているだけだった。

そう。つまるところ、モララーが必要としていたのは………

「そう! 真多利の神は、唯一にして絶対の存在! 真多利の神が全ての生命を生み出したのよ!」

……何回出てきたかな、この台詞。
まぁいい。どうせこいつがこの場所で、これだけ余裕こいて話をしているのは
こいつは知っているからだ。僕らが迂闊に手を出せないということに気づいているからだ。
……その根元にあるのが、こいつらの真多利教。これによってこいつらはかなりの結束をしている。

だが、見せてやるよ。貴様らの結束など、発泡スチロールよりも脆いということを!

「真多利の神は、私たちしぃ族を第一に作った! しかししぃ族の中でも私、開祖の血筋と“五賢者”の
 血筋は違う。私と五賢者は、真多利の神に作られたのではなく、真多利の神から生まれた。いわば
 真多利の神の直接の眷属、“選ばれしもの”といったところかしらね!」
……話を進めるに連れて、当初の警戒心はどこへやら。シスターしぃは、すっかり興奮した様子で話を進めている
モララーも苦笑したいのを隠しつつ、返事と相づちを打つ。
「……“五賢者”? 初めて聞く名前ですな」
「……あなた方の言葉で言えば、私が本部長として、五賢者はそれぞれの地方の支部長といったところね。
 私も、彼女たちもその子供達も、開祖と五賢者の血を引くものは真多利の神に選ばれしもの。
 日夜身共しぃ族を“真のマターリ”へ導くための活動を行っているのよ。」
「しかしあなた方しぃ族は現在、身共他種族に圧迫されているようですが?」
「………真多利神がしぃ族をお作りなる過程で、どうしても余剰物というか、廃棄物が出た。それがあなた方、他種族。
 その廃棄物はいつの間にか命を持ち、しかも廃棄物故に毒を吸ったか、どういうわけか力は強くなってしまった。
 だから単純な腕力関係は決定してしまって、現状はこんな風になってしまってはいるけれど
 とは言ってもこんなものは、真多利の神が課した、ささやかな試練に過ぎないのよ。」
「ほ〜う……」
「真多利神は慈悲深いお方。私の夢枕に立って、こう仰った。
“しぃ族に対する迫害を全て私が防いでやりたいが、それではお前達のためにはならぬ。
 だが安心せよ。全てとは言えぬが、それがより悪質なものに対しては天罰を加えてやる。
 そしてしぃ族が本当に危機に追いつめられたとき、例えば開祖のお前や五賢者の
 命が危うくなってしまったときは、私が地上に光臨して他種族を掃討し、私自らの腕で『真のマターリ』を……”」
「ちょいとちょいと。脱線しかかってますよ。」
「あ……… え、えーと……、つ、つまり、しぃ族が酷い迫害を受ければ、真多利神はちゃんと天罰を下してくださるってことよ。
 ……あなた、新聞などは見なさる?」
「勿論ですよ。」
モララーが首を縦に振ると、シスターしぃはますます勝ち誇ったような笑みを浮かべて口を開く。

795 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 10:01:24 [ YkGw05bk ]

「だったら話は早いわね。……見たこと? 日夜あなた方の種族、それもあの極悪政党・虐殺党の大物や
 しぃ族をとりわけ大量に殺している軍隊関係者が、主に“交通事故”の形で死んでいることを。」
シスターしぃの言葉に、モララーも首を縦に振る。
「ん〜、まぁ、毎日というわけではありませんが………
 その手の関係者なら確かに、月に1〜2人が交通事故で死んでいますな。」
「真多利の神は、慕う者には慈悲深い。されど刃向かう者には、限りなく冷酷になる!
 ……ふふふ。ちなみに言っておくけれど、私たちはその事故に関しては、一切手を触れてないわ。
 ……それはあなた方の警察も検証したでしょうから、言うまでもないでしょう?」
「確かに。彼らの事故に“人為的な”何かが加えられた形跡はありませんでしたね。」
「ね? ……それに対して、しぃ族の交通事故死亡の記事や記録は皆無なのに
 それなのに虐殺党や軍隊の、しかも大物が月に1〜2人という異常なペースで死んでいる。
 ……言わなくても、分かるでしょう? 全ては真多利神の思し召しなのよ!
“真多利の神は、罪が重い非道な者から順々に天罰を下してくださる。”
 虐殺の指令を出す者、大量殺戮をする者……とにかく、
 最近では自動車という“便利な”代物が現れたおかげで、真多利神もお助かりになっているご様子だけれど。」
「ふ〜ん……………」
「真多利の神は、全てのしぃ族を愛してくださる。実際に私の夢枕にお立ちになられて、こう仰った。
『アフォしぃ、マラしぃ、ミニしぃと呼ばれるような亜種のしぃ族でもどこの生まれでも、どういう育ちでも関係ない。
 全てのしぃ族は我の庇護の下にある。そして全てのしぃ族に危害を与えるものには、それが
 極悪なものから順に、容赦なく鉄槌を下す』って、ね……!
 
 さぁ、これで分かったかしら?
 真多利の神が如何に偉大な存在で、栄華を誇っているように見えるあなた方が
 如何にちっぽけな存在であるか……ね。」

シスターしぃが侮蔑を込めて、モララーを嘲笑する。
それに対しモララーは、しばらく無言でシスターしぃの方を見つめていたが

「くけっ……」

突如モララーは、口を横にぱかっと開けて小さく笑った。

「? ……な、なに……?」

モララーが、突然笑い出した。
そう、モララーが今回とった行動は“小さく笑う” ただこれだけだった。
しかしこんな小さな行動一つで、シスターしぃは体が震えるのを感じた。場の空気ががらりと変わったのを感じた。
今まで自分が発していた、真多利神マンセーの空気が一気に暗黒の、どす黒いオーラに満ちた代物へと切り替わったのを、感じた。

「な〜るほ〜どねぇ〜。慈悲深い慈悲深い『真多利の神様』が、君らしぃ族を守ってくれる、ねぇ〜……。
 ………嘘だね。くっくくくく!」
「な、何ですって!?」
モララーの発する不気味な空気に飲み込まれないように、シスターしぃは大声で叫ぶ。
「我らの偉大な真多利神が、どうして嘘っぱちだって言えるのよ!!
 ! 姿が見えないから嘘だとか、そんなのは通じないからね!」
「んっふっふっふふ! ……んな小坊厨房がほざくような理由じゃございません。
 そもそも僕ぁ、あなたの神がいないなんて一言も言っちゃあいませんよ。そんなのは知ったことじゃない。
 ただもし真多利の神がいたとしても、それは慈悲深くも何ともない
 しぃ族なんざとっくに見捨ててる神様だってことです。んけっけっけ!」
「な、何をそんなでたらめを! 許さないわよ!!」
「んけかかかか… 僕ぁでたらめを言う趣味はないのですよ。
 ……ちゃあんと根拠もあるんだから、安心しなさいって、ね?」
「根拠……ですって……!? そ、そんなものがあるわけが」
「あるんですよ。くくっくくくくくっ!
 ……それじゃあ、順々に話していくとしましょうかね。」

796 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 10:03:43 [ YkGw05bk ]
「まぁず、真多利神の天罰、について…………
 なるほど最近、こちら側というのかな? 虐殺党や軍の人間が交通事故で結構死亡しているのが、見受けられます……」
「そうよ! 真多利の神は私に言ったわ。
『天災は起こすのにも苦労する。しかし最近は“自動車”という便利なものがあるから
 それを使って天罰を起こすことにしよう』ってね……!」
「なるほどなるほど。つまり今日では、『交通死亡事故=天罰』と見てもいいんですかね?」
「そうよ! それで……」
「それじゃあ訊きますけど……、これはある意味では、“もう一度訊く”ということにもなりそうですが
 虐殺関係のAAは抜きにして、同じ交通事故で一日に、しぃ族がどれくらい死んでいるかご存じですか?」
「それは、殆ど0のはずよ! 新聞にだって……」
「くけけ。……ばぁーか」
「!」

シスターしぃはまた本能的に、無意識に体が震えるのを感じた。
……先と同じく、彼が出した言葉はありふれた、普段なら毅然とはじき返せそうなものが
何故彼が発すると、こんなにも体がぎくりと震えるのだ!?

「………君はまず、この国の道交法……道路交通法を知らないようだね。」
「な、え……!?」
「……いくら迫害されて、なかなか表にでられない、店でものを買うことも出来ない
 公的機関にはつまはじきにされるっていってもさ、宗教を作る際に、これくらいは
 学んでおくべきだったねぇ……!」
「……何をよ……」
「教えてあげるよ。この国ではね、道路で何かをはねたり轢いたりした場合
 それがAAであった場合は、必ず最寄りの警察に届けなきゃいけないことになってるんだよ。
 もし轢き逃げをするとね、それがどの程度のものであれ、『交通事故措置義務違反』という非常に重い罰が科せられる。
 更にそれで相手が死亡した場合は、『業務上過失致死罪』まで加わってくるから
 最悪の場合“交通刑務所”というところで、数年は臭い飯を食わされる羽目になるのさ。」
「それが、何なのよ! AAと事故を起こしたら警察に届けなきゃいけないんでしょ!?
 交通事故は新聞に載る! でもしぃ族の交通事故記事なんてどこにもなかった! なら……」
「でもね。例外ってものがあるのよ。分かる?
 ……この、『道路で何かをはねたり轢いたりした場合、それがAAであった場合は』の、ところね……
 ………しぃ族は、除外されてるのよ。」
「な……!?」

「しぃ族など、表舞台からつまはじきものにされているから
 交通事故記録にも載らない」
少し考えれば分かりそうなものだったが
しかしシスターしぃは、驚きを隠せないでいる。

797 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 10:04:23 [ YkGw05bk ]

「……AAの中でもしぃ族はさ、他人に平気で危害を加えるわ、場合によっては殺すわ、盗むわ……
 いわゆる“百害あって一利無し”である上、どこの公的機関も相手にしないから、殆どが路上生活だろ?
 だもんだから、しぃ族を巻き込んだ交通事故が増える増える。
 ……そうなるとね、お役所もこう考えるわけ。
『しぃ族の死亡事故記録まで作っていると、とてもじゃないが手が回らない。
 どうせやつらは社会のゴミだ。まさにゴミだ! どれだけ死のうが知ったことじゃない!』と、ね……
 つまりね。君らしぃ族がどれだけ轢き殺されようが、それは扱いとしては、『生ゴミを踏んづけた』という扱いになるんだね。
 流石に『生ゴミを轢いてしまいました』なんて内容じゃ、新聞に載せられるはずもないからねぇ………
 
 それに君たち、轢き殺されまくってる当のしぃ族にしても、だ。どうしてこんなに自分たちの現状について知らないかと言えば
 君たちは真っ昼間に外に出れば、即座にぶち殺される身だから、表だって外に出るなんて出来やしない。
 そして集団でいれば狙われる確率も高くなるので、必然的に集落の一個一個も家族単位程度の規模になる……
                             . . . .. . .. .. . . . ... . . .  
 だから。君らはたとえ仲間が死んだとしても、それを確認することが出来なかったんだな。
 
 さて、こうなると………話が変になってこないかな?
『真多利の神様は、交通事故の形を取って天罰を下す』……だったっけ?
 ……確か一応取ってる統計じゃ、しぃ族の一日当たりの交通事故死亡数は
 このあたりだけで、3〜4匹ってところだったかな。一日でだよ?
 ……ん〜、一ヶ月に1〜2人の割合で、虐殺関係の人間に天罰を加える傍らで……
 同時に自分の忠実な信者であるしぃ族を、“一日に”3〜4匹も、天罰を加える……
 ……なんかこれって、変じゃない? うふふふふ……!」

「………!!!」
「それにね。付け加えると、虐殺・軍関係の大物ってのはね、どういうわけか血気盛んな奴らが多いのよ。
 ……だから中にはスピード狂も多くて、酷い奴になると、一般道で100km超えで運転するのもいてね……
 ……そうそう。新聞の死亡事故の面々。みんなスピード狂の連中ばっかり。それも重度の。
 ま、他人を巻き込んだ事故にならなかったのが救いだったけどね。くっくくくく………!
 ……おや、どうしたのかな? さっきからぼうっとしちゃって。
 ……まさか、「初めて聞きました」なんてこたぁないよね?」

798 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 10:05:49 [ YkGw05bk ]

………………………………
なぜ………こんなことが………!?

シスターしぃは奥歯をきりきりかみしめながら、考えを巡らせていた。

真多利の神様は、確かにおっしゃったはず! 夢枕に立って仰ったはず!!
『自動車というものを使って、天罰を起こす』……と!
それなのに、どういうことだ!? このモララーの言うとおりだとすると
真多利の神は虐殺関係の連中を殺す数倍の勢いで、しぃ族を殺している……!?



頭に一瞬疑惑が浮かんだが、しかしすぐに首を横に振ってそれを払拭する。

違う! 違う! 危うく騙されるところだった!
こんな腐れタヌキの言うことに、翻弄されてしまうとは……!
こいつの言う“死亡記録”、嘘に決まっているッ!! 偉大なる我らの真多利神が
間違いなど犯すはずがない! 真多利神は絶対なのだから!

「……」
心に強さを取り戻すと、顔にもそれが表れる。
シスターしぃは、モララー所長をきっと睨み付ける。

「……………おや。どうしましたかな? くっくくくく」
「……ふん! 真多利教の創設者・開祖である、このシスターしぃを甘く見ないことね!
 あんたのペテンになんか、引っかかるもんですか!!
 ま、真多利神だって、全ての天罰を交通事故の形で起こすと仰ったわけじゃない!」
「あれ? ですがさっきは……」
「あれはあんたが勝手に進めただけでしょう!! そ、そうよ! 交通事故以外にだって、さっきの
 大物達は、他の死因でも死んでいるのが多いでしょう!? 
 真多利神は全能の神! あらゆる方法で極悪人には天罰を下す! たとえ隠れて悪事を働こうと
 どこに逃げ隠れしようとも、全てお見通しなのよ!」
「あっそぉう。くっくくくく」
「!?」

シスターしぃは、本日何度目か、またまた体が震えるのを感じた。
……あいつの理論に、私は屈服しなかった。つまり形はどうあれ
ある意味で私はあいつをうち負かした、とも言えるのに………
何なの!? あいつのあの、薄気味悪い余裕は!? まさかまだ何か、たくらんでいるって言うの!?

「………ここで納得していれば、幸せだったかもしれないのにねぇ……」 
「な、な……!?」
「……ま、いいか。傷口に塩を擦り込むってのも乙なものだからね。
 予定されてたようなもんだし、次に行くとしますか。」

……もはやシスターしぃは、完全にモララーの黒オーラに飲み込まれていた……

799 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 10:08:59 [ YkGw05bk ]

呆気にとられた表情のシスターしぃをよそに
「んじゃ、次。また君が話した内容から
“真多利の神は、罪が重い者から順々に天罰を下してくださる。虐殺の指令を出す者、大量殺戮をする者……”と」
「そ、それが、何!?」
「……だったら僕は、……何でまだ生きていられるんでしょうね……?」
「どうして……って、それはあんたが、まだ真多利神が天罰をわざわざ下すにも値しないような
 ちっぽけな存在だからに、決まっているでしょう!?」
「……そこで質問。じゃあ君は、僕がここで何をしているのか知っているのかな?」
「な、何って……、そんなの、分かるわけがないでしょ……」
「やっぱりね。まぁもっとも、僕が何をやっているかということは
 君らしぃ族はおろか、他種族に対しても秘密にしている節があるからね。知らないのも無理はない。

 ……ここはね、『しぃ族研究活用所』っていう、いわば研究所でね。僕はここの、所長をやってるんだよ。
 それで、だ、お待ちかね。この“研究所”で、僕が何をやっているかというと………
 ……言うまでもないね? ……しぃ族を披見体にして様々な、特に俗に言うような『表には出せない』
 そんな道に外れた、惨たらしい実験を主にしているんだよ。くっふふふふ……!!」 
「じっ……けん……ですって……!?」
さっき心に取り戻したはずの“強さ”はどこへやら。今やシスターしぃは狼狽した口調で話している。
「まぁ、僕が全てをやっているわけではないんだけど。この研究所には他にも、数多くの
 どいつもこいつも道に外れたことが大好きな、イカれた研究者がいるからねェ……
 ……それでね。その中で所長の身ではあるけれど、やっぱり僕も殺してるんだよ。……いや!
 “個人”でのしぃ族殺害に関してはこの研究所で、誰よりもこなしているという自負は、あるんだなぁ…!
 いや! この研究所だけじゃない。……巷で大量殺戮したとか豪語してる、虐殺党や軍の面々
 ……彼らが言うところの“大量殺戮”。それは年に数回、しぃ族の集落を叩きつぶす程度のもので
 犠牲者は数にしてみれば、一回につき100匹といったところ……かな
 まぁ確かに、これも結構凄まじいことさ。君らの真多利神とやらが目を付けてもおかしくはないんだけど……
 ………そんな数、僕の一ヶ月分にも相当しないんだよね。」
「なっ!?」
「……研究の機密保持のため、こういう数字はどこに対しても秘密にしてるんだがね
 ふふふ。そう。ただでさえ繁殖力の高いしぃ族を、無理矢理人工授精させて培養しているから、
 外からさらってきたりしなくても、この塀の中でまーったく数が減らないから、ついつい調子に乗っちゃってさァ…………
 僕はこの閉じられた空間の中で、最低でも……1日に10匹は殺してるんだよねェえエ…… く く く。
「じゅ、10匹!? 一日で!?」
どうせ彼のこの態度からするに、どんなことをやっているかは想像が付きそうなものだったが
それでもモララーの“やっていること”は、シスターしぃの範疇を越えていた。

確かに手ひどい虐殺者はいた。一回に10匹も20匹も殺す奴はざらにいた。
だがしかし、それをあろうことか、毎日やっている輩がいたなんて!!

800 名前:そして800get! ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 10:09:41 [ YkGw05bk ]

「……まぁ、殺すのを10匹だとすると、そのうち1〜2匹は自分の趣味で、残り8匹は仕事で……とは言っても
 仕事が殆ど趣味の延長のようなものだから、実質10匹とも……遊びで殺してるのさ。くっひひひ
 
 ……それも彼らのような、銃や毒ガスなんていう“簡単に死ねる”手段で殺した覚えは、殆どない。
 大概は死体の判別も出来ないくらいに、そもそも生前がしぃだったかどうかの判別もつかないくらいに
 くっちゃくちゃになるまで……、ハラワタ引きずり出してそれに火つけたり目玉に硫酸注射したり
 脳味噌にドリル突き刺してかき回したり溶かした鉄と鉛のカクテル作って飲ませたり
 カミソリや釘と火薬を混ぜた饅頭を食わせて口の中で破裂させて釘やカミソリを
 内側から貫通させて逆蜂の巣にしたり、ごきぶりやウジ虫を全身にはわせて、少しずつ喰わせて……
 ……勿論全部、最期の瞬間まで生かして遊んじゃうんだけれどねェェ! いひゃははははは!!」
「悪……魔!! なんて冷酷な仕打ちを!!」
「だから訊いてるんだよ!? こんなに極悪非道な殺し方で、しかも過去3年、1日に10匹を休むことなく毎日殺害!
 こんな凄まじいのにさ、君らしぃ族からしてみればまさに悪魔、魔王とも呼べる存在なのにさ!
 ……どうして君らしぃ族を守ってくれる、“より極悪な虐殺者から順番に天罰を下す”とかいう
 君らの真多利神は、僕に天罰を下さないのかなぁ………?
 ……過去3年、ここを創設して以来毎日10匹の殺しを、3年合計1095日休むことなく続けているから
 これまでに僕ぁ正確に数えてはいないけれど、一人で1万匹以上をぶち殺している計算になるんだよね。

 ……わかる? これは僕がたった一人で殺した数字なんだよ? 別に組織だった作戦じゃない、個人で! 趣味で!
 一日10匹、一ヶ月で300匹、一年で3650匹、3年で10950匹! 一回一回が少ないにしても毎日やり続けてるから
 僕は最低でも! これだけの数のしぃ族の命を奪っているんだよ? 分かるゥ!? げらひゃははははは!!」
「あ、あんたが殺したのは、ここで生まれた……実験用に作られたしぃでしょう!
 そ、そんなのは関係ないわ! だってそんなしぃ族は真多利神の信者じゃないでしょう!?
 信者でないしぃ族のために、真多利の神が動くわけが……」
「無駄だよ!」
みっともなく言い訳をするシスターしぃを、モララーが強い口調で叩き伏せる。
「君は確か、こうも言ったはずだからね……!
“どこの生まれでも、どういう育ちでも、『全ての』しぃ族は真多利の神の庇護の下にある。”と真多利の神が宣った! と!
 どこに“信者でなければならない”なんていう文言がある? 『全ての』しぃ族なんでしょうがァ! ぐははははははぁぁ!!」
「い……ぐぐっ……!」
「さぁさぁさぁ! こいつぁ一体、どういうことなのかな!?
『全てのしぃ族は自分の庇護の下にある』『しぃ族に危害を加えるものは、より質の悪い悪人から順々に天罰を下す』
 なんてことを真多利の神様は言っているようだが、実際に現状はどうなッてんだい!?
 しぃ族を毎日休むことなく残虐に屠り続けてる、極悪人のレッテルを何十枚と貼られまくっているはずの僕が
 今もまだのうのうと生きているんだぞ!? こうやってさぁ……!
 くっくくくく……! 真多利神の天罰は、どうしたのかな? 確か『隠れて悪事を働いても、どこにいても無駄』
 ってことだから、僕のやってることはとっくにお見通しのはずなのに………
 ……僕は殺し初めて3年間、一度も事故にあったこともなければ、災害にあったこともなかったよ?
 五体満足で今もこうして話しているわけだからね。くっくくくくく……!

 さぁ、納得いく説明をお願いできますかァ!? くえっへっへっへっへっへぇ!!」

801 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 10:10:20 [ YkGw05bk ]
……………………………………………………………
……………違う………
…………違う!
………違う! 違う違う違う違う違う、違う!!

こ、こんな腐れタヌキの言うことなんか、言うことなんか………

……違う? 何が? 

………このタヌキの、言うとおりではないか?
……あの狂気じみた話しぶりと態度からするに、このタヌキは嘘などついていない。間違いなく
…恐ろしいことだが、発言したとおりの殺戮を繰り広げてきたし、これからも繰り広げていくのだろう

しかし、じゃあ
これは、さっきの交通事故の比ではない

こんな極悪人を、何故真多利の神は罰しないのだ!?
確かに真多利神は夢枕で仰った! “極悪人は天罰で成敗する”と!
それなのにどうしてだ!? どうして目の前であの極悪タヌキは笑っていられる!?
一人で一万も殺しているのに、どうして真多利の神は何もしないのだ!?

………知らなかった、から?
そう、さっきの虐殺党の大物や軍隊関係者は、皆テレビや新聞をにぎわせるほど派手に殺戮を行っていたが
今回のモララーは、話によればこの研究所内、つまり“塀の中でひっそりと(?)”殺戮を行っていた。
だからつまり、真多利の神も感知できなかった…………?

! 何を言っている!! 真多利の神の最上の眷属である私が、何を言っている!!
真多利の神は全能なのだ! どこで何をしようが、真多利の神にはお見通し……………

じゃあ、何故!? 真多利の神は、知らんぷりしているというのか……?
このタヌキの邪悪の力が強すぎるから、見て見ぬ振りを……? いや、そんなはずはない!
そんなはずがあってたまるかだって真多利の神は絶対なんだこんなたかが腐れタヌキ一匹程度に
臆するはずがない何かお考えがあってのことに決まっているんだそうだそうなんだよ

802 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/04(金) 10:10:40 [ YkGw05bk ]

「真多利の神は、絶対なんだァァ!!! お前ら悪魔のいうことなど、全てが嘘なんだァァァ!!!!」

「……ふふん。おやおや。」
これだけ言いくるめられ、しかし尚も刃向かってくるシスターしぃを、モララーはにやにやと見下ろす。
「……やれやれ。この期に及んで元気いっぱいだこと。……ま、そうじゃないと面白くないんだけどね。
 でも、ちょっと興奮し過ぎているようだね。少し休むといい………」
モララーが、懐から取りだしたスプレーをシスターしぃに向かって吹きかけると、ほぼ同時に
あれほどいきり立っていたシスターしぃの体が、ごろんと横になった。

「……さて。モナーちゃん」
「はいはいモナ。」
モララーに呼ばれ、どたどたとモナーが走り寄ってくる。
「……あっちの方は、準備できた?」
「とっくの昔に。所長がまわりくどいことやってるから、みんな待ちくたびれてるモナよ。
 ……大体、真多利教に関することなんて、事前にあれほど調べてたじゃないモナ」
呆れたように話すモナーに、モララーもため息をもらしがちに口を開く。
「一応の確認だよ。それにこいつの口から言わせて揚げ足を取らないと、意味がない。
 しっかしまぁ、こいつもよく喋ること喋ること。自分からぽろぽろ真多利教の馬鹿さ加減をさらけだしてくれたよ。」
「……だからこそ、“次”が面白くなるモナねー。しかし奴らが作る宗教って
 どれもよく見てみると結構無茶苦茶モナのに、どうしてあんなに、しぃ族は皆受け入れるモナかね?」
「しぃ族は深く考えないし、目先の餌にがっついて飛びかかるからな。おまけに迫害されてるから
 どんなものでもすがりつくんだよ。今回はたまたまこいつの弁舌が上手かったんだろう。
 とは言っても、ここまで大規模になったしぃ族団体は見たことがなかったが、ね。だからこそ潰し甲斐があるんだが」
「そうモナよ。さっさとそいつを縛り上げて行くモナよ! とうとう本番なんだからモナ!!
ぴょんぴょん飛び跳ねるモナーに苦笑しながら、モララーは既に眠りの虜となったシスターしぃの体を肩に担ぎ上げ
「それじゃ、行くとしましょうかね。“会議”に」
「ムホホホホホ、モナ〜!!」

二人は部屋をあとにすると、「運動場」と書かれた場所へ向かって歩き出した。


続く

804 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/08/05(土) 13:37:13 [ B3K.J.Gc ]
>>744
遅れましたが続きです。

モラ太  ある先生を殴ってこの学校に来た。
     自分のアフォモララーの父親を憎み、反面恐れている。
     アフォモララー達に反抗し、いじめにあう。
     アフォモララーを一人殺している。

モラ次郎 モラ太と同学年のまともなモララーの一人。字が読めない。

モラ樹  モラ太とモラ次郎の友。記憶力がない。

モラン  まわりより大人びている性格が周りに認められず、この学校に来た。
     アフォモララーとして過ごしているため、いじめにあっていない。

805 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/08/05(土) 14:04:47 [ B3K.J.Gc ]
>>744

口を縫いきった。
顔にブスブスと太い針を刺していく。
さすがの激痛にベビモラも起きたが、五月蝿く叫ばない。
床に何度もぶつけたためか、鼻が平べったくつぶれ、
やたら大きく真っ赤な唇に鼻血が流れこんでいる。
目は大きく開かれ、充血していた。
その上に、無邪気な笑顔のベビしぃ人形の顔を縫い付けていく。

「ごめんちょっとまってくれ。」
モラ樹はそういうと、ベビしぃ人形の顔を少しめくり上げ、
醜悪なベビモラの顔を一発殴っておいた。
僕達は笑いながら、ベビモラを順番に殴り始めた。
顔中で痛みを訴えるその顔に、無邪気なベビしぃ人形の顔が
半分縫い付けられていた。

理科室の普段使わない戸棚の中にベビを隠し、
僕達は帰宅した。





僕は多分ニヤニヤと笑みを浮かべていたと思う。
水溜りに映った顔は、僕の顔ではなく、
まぎれもなくあのアフォ、僕の父親の醜悪な顔であった。

806 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/08/05(土) 15:29:22 [ t34KDvOw ]
「苦痛の研究」


しぃは夏休みの自由研究の課題で標本を作っていた
といってもこの標本、昆虫ではなくモララーだ
しぃはこのとき、標本の作り方など知らなかったので、実に適当に作業を進めていた

道で拾ってきたモララー親子数セットを縄で縛りつけ、しぃは作業の準備をしていた
「さぁ〜てこれで準備は完了」
しぃは手始めに一番小さそうなベビをつかみ取り机の上に置いた
親が騒いだが、しぃは気にもとめなかった
「標本にするには・・・内臓をとるんだっけ?」
ベビの腹に包丁の先端がずぶりと差し込まれた。机に血が滴る
ベビは当然、いつもの悲鳴をあげた
包丁はスルスルと爽快にベビの腹を円を書くように切っていった
「ア・・・・モァァァ・・・・」
ベビは白目をむいて声にならない悲鳴をあげた
腹を円が描ききった
ベビは死んでいる
しぃは丸く切り取られた、コースターのような皮と肉を取り除きゴミ箱に投げ捨てた
さらに、体の中の気管を全て引っ張り出して、これも捨てた
仕上げに用意しておいた巨大な標本箱の上にベビを乗せ、大きな釘で打ちつけた
部屋には強烈な血とモララー特有の臭いが交じり合った悪臭としか言いようのない臭いが立ち込めていた
他のモララー達は臭いなどまるで感じていない様だった
それよりか、目の前でベビを殺された恐怖で、ただ震えているだけだった
「臭いが酷いな」
しぃは独り言を言いながら2匹目のベビに手を伸ばした

ガブリッ!

親モラが身を乗り出し、泣きながらしぃの手を思いきり噛んだ
きっと死ぬほどの勇気を振り絞って我が子を守ろうとしたのだろう
だがその行動がしぃを怒らせてしまった
「モ・・ゴハッ・・・グ・・・モラ・・」
しぃはその親モラを何回も蹴り飛ばしたあげく、踵落しをくらわせた
親モラが大量の血を吐いて縛られているロープと床を赤く染めた
それを見て他のモララー達はいっそうの恐怖を覚えて、誰も何も言わなくなった
しぃは噛まれた手に息を吹きかけながら2匹めのベビを机の上に置くと、大きめの水槽にあやしげな透明の液体を並々と注ぎ込んだ
そしてその水槽の中に恐怖で震えているベビを入れた
「モァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
ベビは目を見開いて苦痛に叫んだ(実際はガポガポとしかならなかったのだが・・・)
苦痛に暴れまわるベビの姿をこれ以上見たくないと、目を覆うモラもいた
そんな中しぃは満足気に笑みを浮かべてベビを観賞していた
やがてしぃはピンセットのお化けのような道具を取り出し、それでベビをつかんで水槽から出した
ベビはこの苦しみから逃れられ、もう虫の息だというのに微かな笑みさえ浮かべていた
・・・が、その笑みが消えるのは思いのほか早かった
しぃはさっきと同じ方法でベビの腹を切り始めた
ベビは痛みに耐えながら・・・と言っても絶えるほかなかったのだが・・・逝った
親や、他のベビはもう、下を向いて醜く泣いていた
その耐えるこのない涙がロープや床に滴って、血を薄めていった

807 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/08/05(土) 15:30:05 [ t34KDvOw ]
数時間後、ベビは全て標本にされ、残ったのは親だけだった
もう楽に死なせてくれ・・・早くあの子たちの所に行きたい・・・
全ての親がそう望んでいたが、そんな儚い願いさえ、聞いてはもらえなかった
しぃは数匹の親から耳、腕、足などのパーツをもぎ取った
だが親たちはもう、痛みなど感じなかった。子を思う強い気持ちがそうさせたのだろう
さぁ・・・早く漏れたちを標本にでもなんでもして殺してくれ・・・
ところがしぃは、そうはしなかった
しぃはもう、標本作りに飽きてしまったのだ
彼女は数匹いる親を一つにまとめあげ、橋の下に捨ててしまった

──親たちには苦痛だけが残った
早く死にたい・・・こんな願いさえもかなわなかった
それぞれもがれた箇所がじわりじわりと痛んできた
ロープを外す事もできない
一時間が一日に感じられた
親たちは絶望意外の何を感じられず、時を過ごしていった
一方、しぃはベビ数匹と親の体のパーツの標本を完成させて、夏休み明けに発表した
絶賛だった(これは標本ではない 作りが雑 などの注意も受けたが)
その帰り道、しぃは橋の下の親たちを見つけた
思わず駆け寄ってみる。悪臭が鼻をついた
パット見ただけでは生きているのか、死んでいるのかさえわからなかった
・・・僅かに息をしている
「コ・・・ロ・・シ・・・・・テ」
乾いた血と土で、白かった毛が茶色く染まった親たちがかすれる声で言った
自分でやったのか、体に引っ掻き傷も目立つ
目はうつろで、もはや生気が感じられなかった。でも生きている
生命力が以上に強いのはモララーの特徴の一つだ
そう簡単には死ねないのだろう
しぃはさすがに哀れに思い、手持ちのカッターナイフで親たちの心臓を刺し始めた
2匹目で刃が駄目になってしまった。しかたがないので残りの親はブロックの破片を叩きつけて撲殺死させた
殺されている間、親たちは悲鳴一つあげず、静かに殺されていった
「お前たちのおかげでいい研究が出来たよ。ありがとう」
しぃは彼は柄にもなく両手を静かに合わせた
どの親の死に顔もやすらかだった




809 名前:山奥の死ぃ先生 投稿日:2006/08/10(木) 00:05:52 [ sPRrdH4U ]
僕は包丁を片手に、あいつを追い詰めていた。
あいつは僕に背中を向け、ドアを無理やり開けようとしている。
「親父、そのドアは開かないぜ。」
僕は包丁をあいつの背中に刺した。すぐに抜いて、また刺す。
あいつは激痛に叫びをあげ、ドアを叩いている。
僕は顔中に笑みが広がるのを感じた。
もう一度包丁を刺す。こんどは深く。さらに深く食い込ませる。
あいつはすすり泣きはじめた。
「もうやめてくれだからな。漏れを許してくれだからな。」
ゆっくりとあいつは振り返る。
絶句した。その顔は僕のものだった。そしてあいつの瞳に映る、
醜悪な顔は、まぎれもなくあのアフォのものだった。

僕はそこで目覚めた。



ある日の理科の時間。
ベビしぃ人形を使い、硫酸のかけかたを学ぶ時間。
「バラバラにしてやるからな!」
あのベビの兄はナイフで腕を斬りはじめた。
「なんだこれ!意外と硬いからな!」
骨に当たったのだろう。それでも骨を削っていく。
もちろん、あのアフォモララーがバラバラにしているのは、
口を縫われ、ものも言えない弟だ。体が小刻みに揺れている。
骨をなかなか断つことができず、腕を力任せに引きちぎった。
不気味な音をたて、皮と皮がちぎれる。
皮がはがれ、血にぬれた赤い骨が現われた。
「ほ、骨まで入ってるなんて、リアルな人形だからな。」
想像を絶する激痛なんだろうな。僕はぼんやりと考えた。

810 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/10(木) 23:17:33 [ TnuPOAeg ]



神と家畜の楽しいおしゃべり 後半戦・お手本

811 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/10(木) 23:18:21 [ TnuPOAeg ]

「オラオラ。起きるモナよ〜」
「これからせっかく楽しいイベントが始まるってのに
 いつまでオネンネしてんだい。もったいないなぁ……」
「ん………」

モナーに頬を軽く叩かれ、シスターしぃはゆっくりと目を開けた。
もっとも、そのあとすぐさま飛び起きることになるのだが。

「こ、ここは……?」
目を覚ましたシスターしぃが連れてこられた、彼女がいた場所は

広い、運動場だった。
巷にある陸上競技場クラスの大きさは軽くあるであろう、大きな運動場。

しかも自分の周りには、たくさんのAAがいた。
グラウンド上に6〜7人、観客席には2〜30人位の数。
誰しもが一様に、言いようのないような黒い微笑みを自分に向けている。

「あれが、今回の……」
「どんな面を、してくれるのかねぇ………」

自分に注がれる黒い視線に、ぞわぞわとした感触を覚えると

「ようやくのお目覚めか。…ま、もうちょっとで終わるから、もうちょっとだけつきあってくれ給え
 さてみんな! 長いこと待たせて悪かった!! ようやく準備が整ったのでね。
 ……本日のゲストは、こちら……。 言わずと知れたしぃ族の最大宗教『真多利教』の創始者
 通称・シスターしぃこと、しぃリアさんです!!」


……モララーがどこぞの司会のような口取りで話すと、周りからはわっと歓声が聞こえてくる。
「さて。しぃリアさんは今回のゲスト。ゲストにはゲストの待遇でお迎えせねばなりませんのでね
 特別にVIP席をご用意しました! VIP席にて今回のショーを、心ゆくまでご鑑賞ください。」

モララーが片手をすっと上げると、傍にいた八頭身がシスターしぃをつまみ上げた。
「ちょ、ちょっと、何を……?」
シスターしぃが何か話しかけるのもどこ吹く風。八頭身はシスターしぃをつまんだまま
『VIP席』へと足を進める。

……勿論、そこに置かれていたのは
VIPという言葉からはほど遠い、無骨な、大きな椅子だった。
「キャ!」
八頭身はその椅子にシスターしぃを放り投げると、そのまま椅子の肘掛けや背もたれやらに
付けられたベルトで、シスターしぃを拘束する。
「な、何する………ムグッ!!」
最終的には猿ぐつわまで噛ませると、またモララーがにやりと笑った。
「はいはい。『VIP』の準備が整ったようなんで、今度は皆に……
 
 えーと、もう皆聞いてると思うけれど、今回の会議はこの間僕が開発した
『ベビちゃんノック』についてのもの。どうして実現したかは、説明不要だと思うので省くね。
 で、だ。今回の会議は、皆にこの成果を実践してもらおうというものね。
 球は当然ながらこちらで作ったものを使うとして、皆には“バット”を考案してもらっていたと思う。
 まぁ、会議自体は今日やるっていきなり決めたけれど、こういうことをやるからそれぞれ
 バットみたいなものを作っておいてくれ、と通達は結構前にもう出しておいたから、できてるかな?」

モララーがぐるりを見渡すと、周りは一様に手を高々と揚げている。
言うまでもない。しぃを嬲り殺すことが生業の彼らにとっては、こういう類のことを考えるのは
三度の飯より好きなことでもあるし、また作ることも朝飯前でもあるのだ。

モララーも嬉しそうに、一回うなずくと
「それじゃあ、ルールを説明するね。 この“会議”、ルールはフリーバッティングで行うよ。
 こちらで用意した“球”を、皆それぞれの部が作った“バット”で、吹っ飛ばす……
 ………こんな風にね……」

モララーがまた手を上げると、傍にいた八頭身がモララーのところに近寄り
彼にいつぞやの、血にまみれたバットとベビしぃを一匹手渡した。

812 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/10(木) 23:19:00 [ TnuPOAeg ]

「…………」
「チ? チィ?」
これから自分がどうなるか分かっていないのであろう、モララーの手の中に落とされたベビしぃは
辺りを物珍しそうにきょろきょろと見回している。
「…………………。チ?」
やがてモララーと目が合うと、ベビしぃはモララーに
「チィ!」
無邪気に、笑いかけた。

「………………。にぃっ」
そのベビしぃの笑顔に、モララーも笑顔で返事をする。
但しその笑顔は、無邪気とは対極の笑顔ではあったが。


あ、ああ……! まさか、まさか、そんなことを……!?
やめて! やめて! やめて!

「やう゛ぇ……やう゛ぇで……!!」
猿ぐつわを噛まされたシスターしぃが、もごもごとうごめく。
しかし彼女が何やら動こうとしたところで、『VIP椅子』はびくとも動かない。

「……大人しく、そこで見てなって。まだこんなもの、お手本でしかないんだからさ……」
モララーはぽんぽんと、ベビしぃを手の上で跳ね上げ始める。
トランポリンにでも乗っている気分なのだろうか、ベビしぃはキャッキャと楽しそうな声を上げる。
「……さてと、みんな。よ〜く見ていて頂戴ね。
 ……これからこのベビしぃが、どれだけ良く飛ぶかということをね……!!」

………………………………………………
観衆が途端に、しんと静かになる。

しかしその中でも、モナーと一部のAAだけはにやにやと笑っていたが。
実際にこのベビしぃをぶっ飛ばしたことがある、モナー。
そのベビしぃを実際に作り出した、“遺伝子研究部”のAAたち………

彼らだけはあらかじめ、結果がどれほど“素晴らしい”ものになるかは見当がついているわけで
どれだけこれから凄まじいことが起こるかということを、熟知していたので……

「……いくぞッ!!」
モララーがベビしぃを一段と高く、ぽんと跳ね上げた。
続けざまに血まみれバットを肩に担ぎ上げ、腰をひねり………

「チ? チィ? チィ?」

ここに来てベビしぃは、ようやく不安げな表情を浮かべた。
モララーが手にしているものが何であるか、ようやく見当がついてきたところで
今度はそれで彼が何をやろうとしているのか、これもようやく………

……………………………………
ただし、全ては手遅れだったわけだが。

813 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/10(木) 23:19:54 [ TnuPOAeg ]






 ぼ  ご  っ

814 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/10(木) 23:20:50 [ TnuPOAeg ]

「………ん〜、お腹ですか。」
バットを振り抜いたモララーの顔面に、血しぶきが一つ二つ、ぴっと飛んできた。
「ま、いいか。それなりにいい軌跡を描いているみたいだから」

………………………………
さてはて、この時のベビしぃは
最期の最期まで、自分の運命をきちんと理解できていたのでしょうか
……まぁ、どうせたかがゴミ一匹。どちらでもいいことですが。
 
“ベビちゃんノック”用に開発されたベビしぃは、骨は多少硬くなれども肉の硬さはそのまんま。
腹に受けたバットの打撃を受けたベビは、内臓が潰れ、破裂しただけにはとどまらず
そのまま刃物でもぶつけられたように引き裂かれ、中身をぶちまけられた。
……どうにか辛うじて、強化された骨・背骨が残っていたことで
体が上下に分断されることは、免れたようだが。

べ ち ゃ

放物線を描いていたベビしぃが、壁に激突した。
しかし彼女のまだ始まったばかりの生涯は、そう簡単に終焉を迎えるほどに潔くはなく
バットで殴られても、壁に激突しても、そのあと地面に落下しても尚生きていたようで
「ヂ……ゲベッ……ヂヴ………」
しばらくその体をぴくぴくと、血反吐を吐きながら動かしていた

「ヂィ……ヂィ……ヂ……」
エメラルド色のはずのオメメを真っ赤に血走らせ、涙をため、全身の毛皮を赤黒く染め
もはやベビしぃからは、痛みの感覚は消え失せていた。
代わりにベビしぃにせまってきているのは、寒気。黄泉の世界からのまたとない呼び声だ。
また寒気が強くなると同時に、やはり意識も薄れ、体の動きも鈍くなっていく。

815 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/10(木) 23:22:21 [ TnuPOAeg ]

…………………………………………
おかあ………たん………

いまわの際のベビしぃが思い出すのは、暖かだった母親に抱かれて寝ていたときのこと。

…………………………………
そこに、いるんでちゅか……?

げぼっ げぼっ ごぼっ

ある種の走馬燈で、目の前に母親の幻影でも見えているのだろうか。
ベビしぃは血反吐を吐きながらも、恍惚とした表情でずるずると体を引きずる。

……ベビしぃが体を引きずると同時に、目の前の幻の母親も微笑んで手を伸ばす。
ベビしぃが近づき、母しぃが手を伸ばし、もう少しでふれあう。
あと少しで、永遠の安らぎ、天国で好きなだけ暖かいダッコをすることができる……
                         
「……死に損ないは大人しく死んでなよ。必要以上に何をあがくんだい……?」
しかしそんな瀬戸際で、自分の頭上から聞こえる悪魔の声。

ぐ し ゃ

「ヂッ!!」
やはり、安らかなダッコという彼女の最後の願いは叶うはずもなく……

……後を追いかけてきたモララーに、無慈悲に踏みつぶされた。
この局面で彼女にとって最大の不幸だったのは、自分をこんな目に遭わせたのが
よりにもよって、モララー所長だったということだ。

「……しぃ族に“安らぎ”なんてものは、一番不必要なものなんだよねぇ……。
 本当に、君達は最期の瞬間まで、恐怖して死ねばいいんだよ……

 ……しかし、『おかあたん』 だって? きみのかぁちゃんはまだ死んでないでしょうが。
 ……ちっと、早かったなぁ………」

モララーが冷笑すると、観客の方からも小さな笑い声が聞こえてきた。

816 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/08/10(木) 23:22:57 [ TnuPOAeg ]

「さて、と。では………? おや?」
先のベビしぃを踏みにじっていたモララーが、VIP席の方へ目を向けた。
「……おやおや。せっかくVIP席にいらっしゃるというのに
 何かご不満でもございますかね? しぃリアさん?」
「………………………!!」

VIP席に座らされていたシスターしぃは、目を硬く、ぎゅっと閉じていた。
ただしそれでも、ベビしぃがつぶれた音は聞こえてしまうので
一層苦しそうに、顔を背けていた。

「……せっかくのVIPがこれじゃいかんな。八頭身君。頼むわ。」
モララーが口を開くと、また八頭身がVIP席へと向かう。
VIP席に着くと、シスターしぃの頭を鷲掴みにしてまぶたをこじ開けにかかる。
「い……や……やめ…… シィッ!!」
「ははは。……お似合いですよォ?」

八頭身はシスターしぃの目をこじ開けると、開いた目に丸い針金のようなものをはめ込んだ。
勿論、彼女の目を閉じることが出来なくするための代物。
「……ちなみにそれ、一見ただの針金に見えますけれど
 ちゃんとある種の保湿剤みたいなものが随時出てきますから、目が乾燥することはありません。
 ………ええと。じゃあ。やっとか」
モララーは満足そうな笑みを浮かべると、他の面々がいる方へと振り返った。
「今ので分かったね? ちゃんとこいつぁ野球のボール並みに飛ぶんだよ。
 と、いうわけで、これからゲーム、もとい会議開始といくわけだが。ちょっと趣向を凝らしてみた」
にやりと笑ってモララーが懐から取りだしたリモコンを操作すると、室内から運動場への扉が開いた。
扉が開くと、ごとごとごろごろと、何かが運び込まれる音が聞こえてくる。
「……………?」
「なぁに。せっかくのイベントだ。そこら辺のただのゴミ虫を改造して潰すのでは面白くない。
 それにどうせみんな、すんごいバット作ってんでしょ? 」

そうモララーが言った、ほぼ直後に

「ひぎっ!!」

シスターしぃが小さく悲鳴を上げ、顔を引きつらせた。

「……ま、彼女たちもVIP席に座ってもらうつもりだから。
『6匹』で仲良く、ショーを鑑賞してもらいたい。んっくくく………!」

……………………
もはやシスターしぃは、口をぱくぱくと動かすことぐらいしかできないでいた。

あ、ああ、どうして!? どうして、こんなことが!?
確かに自分は捕まってしまったが、彼女たちは逃げおおせたはずだ!
それがどうして、あんな無惨に……!?

……運び込まれてきた“代物”
シスターしぃ・しぃリアが作った“真多利教”の中で、彼女に次ぐナンバー2の存在で
彼女と同じ真多利神の眷属であった、今回の討伐から逃げおおせたはずだった
自分にもしものことがあった場合には、新たな真多利教の指導者となるはずだった

真多利教・五賢者

その五人、いや五匹ともが、ぼろぼろに汚れた姿で首輪に繋がれ、台車に乗せられていた。

                続く

817 名前: ◆KiZ3c7kuCs 投稿日:2006/08/23(水) 21:37:30 [ PcrB72Uc ]
「5月21日」


「ここはどこだ?」
ギコはふと気付いた。それは夜が明ける一歩手前の最も薄暗い時間のころ
自分の家で寝ていたはずなのにいつの間にか自分の家の前・・・
いや・・・自分の家だった建物の前で倒れていた。


あたりを見渡す  。 

そこには自分の暮らした村があったはずなのに・・・
そこはまさに地獄絵図そのものだった  。


何者かに切り殺され、叫びをあげるしぃの声  。

何が起こったのか解らずただ ただそれを見る他のギコの
魂の抜けた顔  。

銃弾で撃たれ石榴のように爆ぜる村の人々  。

槍で突かれ 晒し者にされるちびしぃとちびギコたち   。

村を襲った犯人   いや、犯人達の高らかな笑い声。

村は血と焔で紅く染まり   人は殺され   吊るされ   晒し者に  。

ギコは走ったいや逃げた。自分が生き残るため必死で逃げた。走りに走ったいや
逃げに逃げた。

気がつくと

そこは小高い丘の上。

ギコは空を見た。  それは今陽が昇ろうとしてる。   そして下を見た。
それはいまだ燃える自分の村。いまだ惨殺される村の人々  叫び声   。
ギコは思った


「地獄はそこにあった」

太陽は何も無いように地面を見つめ   ギコも何も無かったかのように
そこに倒れた。

ギコの背中から滲み出る紅い液体   。


それを見て嘲笑う男の顔   。   そして握り締めたるは

太陽を浴び、ギコの血が紅く煌めく小さなナイフ 

                   end

818 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/09/08(金) 22:25:50 [ P78GGMK2 ]
作成期間 6月初めから今日まで
しかし大作でも無い。ほぼ作業しない時期もあったけどもうどうしてこんなに時間が掛かったのかと。

『lost』

819 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/09/08(金) 22:26:17 [ P78GGMK2 ]



 愛される事が幸せだとは限らない。
 愛する事が正しいとは限らない。

820 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/09/08(金) 22:26:45 [ P78GGMK2 ]
 彼の名前はタカラ。
 普通に産まれ、普通に育ち、普通に自立し、普通に暮らしている、一般人だ。
 なのに彼はいつも笑っていた。
 何があったってとても幸せそうに彼は笑っている。
 勿論理由はあった。

「いらっしゃいませー」
 街にある割と有名なケーキ屋。
 営業スマイルを浮かべた店員の少し滑舌の悪い高めの声が響いた。
「苺ショートケーキを二つ下さい。此処のケーキ、美味しいですね。僕の彼女も大好きなんですよ」
 タカラは笑みを深くする。
 負けじと店員も営業スマイルをまた一段と明るくさせた。
 お陰でカウンター越し名前も知らない二人がお互い向き合って笑いあう、という奇妙な光景が出来る。
 タカラには恋人が居た。
 笑う事を知らない彼女、でぃ。
 いつも笑っているタカラとは大違いだ。尤も彼がいつも笑っているのは彼女が居る所為だが。
 傷だらけの外見の所為で罵られたり虐げられる事も多い。
 しかし彼は彼女を愛していた。
 恐らく彼は彼女の為ならその笑顔のままで自分の命を捧げるだろう。
「八百円になりまーす」
 店員が箱詰めしたケーキの箱に視線を落しながら機械的に言った。勿論営業スマイルは顔に張り付いたままだ。
 タカラもその笑みを張り付けたまま千円札を差し出した。
「おつりは入りません。今日は気分が良いですから」
「そうですか」
 店員の営業スマイルに汚い物が少し混ざる。こんなご時世なのだから仕方無いのかもしれないが。
「有難う御座いましたー」
 店員のやる気の無い明るい声に押される様にタカラは店を出た。
「でぃさん、今帰りますからねー」
 タカラは幸せそうに笑って帰路に着いた。

821 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/09/08(金) 22:27:09 [ P78GGMK2 ]
 路地裏。其処は明るい街とは違う空気を漂わせていた。
「キョウハ イイヒダッタネ。 アノキケイヲ ステラレテ」
 無造作に置いてあるいくつかのダンボールの一つから出る汚い桃色をした塊。
 一匹のアフォしぃだった。
 彼女が言うあの奇形とは彼女の子供。
 彼女は最後までその子を自分の子供とは認めなかったが。
「ソウダネ。 アシタカラ マタミンナデ マターリダネ」
 返事をは別のダンボールから。
 それに続く様に違うダンボールからもう二匹しぃが出てくる。
 一匹はもう一方の子供なのか、他よりも小さかった。ベビしぃぐらいだろう。
 彼女達は最近此処に住み着いたアフォしぃ達だ。
 隣町で突如異常繁殖したしぃがこの街にもやって来たらしかった。
 住民達や街は業者に駆除を頼んでいるらしいが、彼女達は一向に駆除されない。
 隣町のしぃの駆除で手が回らないらしい。遠くから業者を呼ぶとなるとどうしてもお金が掛かってしまう。
 虐殺好きがその内虐殺すると街は決め付けている様だが、未だに彼女達を虐殺する者は現れない。
「ソウソウ。 シィチャンネ キョウハ トッテモ イイコト シタノ」
 二匹目のしぃが自慢げに胸を張って喋る。
「サスガダネ ナニシタノ? 」
 煽てですっかり気を良くした彼女は偉そうに咳を一つして、
「チカクニ キタナイ ディガ スンデルジャナイ」
 他の二匹も知っているらしい。
 思い思い本来自分の心の中だけで良い言葉を態々口に出した。
 コホン、としぃがまた咳をする。
「アノ バッチイ ディヲネ カワイクテ ミンナノ アイドルノ コノ カワイイ シィチャンガ ヤッツケタノ! 」
「サッスガー」
 親しぃは手を叩きながら笑う。
 ベビしぃもアニャアニャ嬉しそうだった。
「キィーキィー イイナガラ シィチャンカラ ニゲテイッタヨ。 シィチャン マターリノ カミサマノタメニ ガンバッタヨ」
 此処でまた一段と盛り上がる。
 その後彼女達は住民達が迷惑そうな顔をするのも露も気にせず騒ぎ続けた。

822 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/09/08(金) 22:27:34 [ P78GGMK2 ]
 苺ショートのほのかな甘い匂い。
 それを打ち消したのは血の生臭さ。
 何故かそれはタカラが住んでいるアパートの一室から。
「あれ? 」
 扉を開けた。
 ザーッという音が耳に入る。
 それには聞き覚えがあった。
 変わったことでは無い。ただのシャワーの音。
 でも血の生臭さは消えてない。寧ろ増している。
「まさか……」
 自分の唾を飲む音が漫画みたいに大きく聞こえた気がした。
 少し深呼吸をする。
 大丈夫、大丈夫。まさかそんな事ある筈無い。
 そして、タカラはゆっくり浴室の扉を開けた。
「…………」
 止め処なく流れる透明なお湯は赤を溶かす。
 濡れた四肢は人形の様に放り投げられていて、何故か使い古された人形を思わせた。
 傷の上から重ねた新しい傷。
 綺麗に澄んでいた目は澄んだままなのに濁っているという矛盾。
 そして赤は止まらない止まらないとまらないトマラナイ。
「で、で、で、で……でぃさんっ!? 」
 服が濡れるのも構わず浴室に飛び込んで、タカラはでぃを抱き起こす。
 その身体はまだ温か―――
 違った。
 錯覚。それはお湯の温かさ。
 柔らかい筈の身体は硬くなって、温かい筈の身体は冷たくなって。
 まるで人形の様だ。
 まるででぃそっくりの人形の様だ。
 まるで?
「でぃ……さん…………? 」
 まるでじゃない。
 もう人形だった。
 もうそれはでぃという名の人形だった。
 人形はどんなに本物そっくりに作られていても生きてはいない。
 つまり、
「でぃさん! でぃさん、でぃさん、でぃさんっ! 」
 苺ショート、浴室に投げられた箱の中、ぐちゃぐちゃに潰れていた。
 生クリームが血が溶ける。
 白が赤に溶ける。

823 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/09/08(金) 22:28:03 [ P78GGMK2 ]
 気が付いたら異臭を漂わせる彼女の形をした人形を抱いたまま気を失っていた。
 人形をまだ赤の残る浴室に残して、タカラはフラフラとワイシャツの袖に腕を通した。
 スーツは血で駄目になってしまった。代えはぼーっとしてた所為で何処に置いて来たのか思い出せない。
「し……ごと……」
 呟いた声に生気なんて無い。
 何もせずに居たらどうにかしてしまいそうだった。
 彼女の形をした人形を前にしていたらどうにかしてしまいそうだった。
 だから職場へと向かう事にする。
 兎に角別の事に集中したかった。
 タカラはガタガタと震える足を何とか前後に動かす。
 なんだか周りが現実で無いように思えて仕方なかった。
 いつの間にか険しくなっている目。その目も濁っていた。
 その時、
 すれ違う人。聞こえた会話。
「アフォしぃまだ居るらしいよ」
「えぇ、本当? さっさと誰か何とかして欲しいよ。この前子供に怪我させたとか大騒ぎになってるってのにまだお偉いさんは動かないなんて」
 アフォしぃ?
 嗚呼、そういえば隣街で異常発生したのがこの街にも来てたなあ。
 そういえばこの前、あいつらは彼女に散々酷い事言ってたなあ。
 嗚呼、また彼女の事思い出してしまった。
 あれ?
 傷だらけの人形には新しい傷があったような。
 そういえば彼女はなんで……。
「まさかっ!? 」
 突然声を上げた所為で沢山の人が振り返ったが、タカラはそれどころでは無かった。
 そういえばどうして彼女は死んだんだ?
 病気なんかじゃ無かった。
 確かなのは新しい傷。
 簡単だ。
 殺されたんだ。
 なら誰に?
 それも簡単だ。
 でぃさんはとても可愛くて優しい人だった。
 そんな人を殺してしまう人なんて決まっている。
「許せない……、許せない、許せない! 」
 周りの視線が突き刺さるのも気にせず、タカラは叫んだ。
 向かう場所は勿論、彼女を殺したであろう奴らが居る路地裏だ。

824 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/09/08(金) 22:28:58 [ P78GGMK2 ]
「ハニャア。 ヒマダヨォ」
 一匹のしぃが欠伸をしながら呟いた。
「ホントウニ ヒマダワ」
「ヒマデチュ」
 好き放題暇々繰り返すが、じゃあ何をしようと提案する者は居ない。
 アフォしぃなのだからそれが当たり前なのかもしれないが。
「アーア。 ギコクン キテクレナイカナァ。 ダッコ サセテ アゲルノニ……」
 欲を言うのに代償は無い。
 噂をすれば―――、というのは偶に本当になる事もある。
 路地裏から表通りへの道に一つの人影。
「ギコクーン!!! 」
 ダッコさせてあげると言ったしぃは迷わずに人影へと飛んでいき、今度は跳んだ。
 彼女はアスファルトに頭から突っ込んで、真っ赤な華を咲かせた。
 ピクピク動いている所から死んでいない事は分かるが、放って置けば一時間もしないであの世行きだろう。
 悲鳴は上がらなかった。
 親子のしぃは事態を把握出来ず、ただただそれを眺めている。
 数分にも思える数秒が経ち、先に事態を把握したしぃが、
「ギャ、ギャクサツチュウッ!? 」
 それに反応する様にベビしぃもアニャアニャと騒ぎ始めた。
 しぃはベビしぃを胸に抱きながらそっちの方へと向き、
「ナンノヨウヨ! コノ ギャクサツチュウ! サッサト ドッカ イキナサイヨ! 」
 しぃは仲間を心配する様子は見せない。
 こんな奴に、
 こんな奴に、こんな奴に、こんな奴に、
 彼女は殺された。
 虐殺厨は―――タカラは歯をギリッと鳴らせ、彼女が居た時の笑みを完全に消し去った表情で、
「違う……! 死ぬべきは彼女じゃ無かったのに……、お前達だったのに……! でぃさんの仇! 」
 タカラは親しぃの頭を掴み、アスファルトへのぶつける。
「ギジィッ!? 」
 額から血を出すしぃからベビしぃを引っ手繰るとズボンからベルトを外して、ベビしぃにぐるぐると巻きつけた。
 ベビしぃを近くのダンボールにしぃが眺められる様に気をつけながら置いた頃、親しぃが何かを叫ぼうとする。
 しかし、タカラは直ぐにその頬に拳をぶつけた。
「シィィィィィ! 」
 しぃは先程華を咲かせたもう一匹のしぃへと突っ込んで行く。
 勿論彼女に空中で体勢を立て直すなんて技量は無く、
「シィィィッイィィィィィイィィイイィィイィ! 」
「ギジィッ! 」
 二つの悲鳴が上がった。

825 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/09/08(金) 22:29:27 [ P78GGMK2 ]
 華のしぃにはそれ以上何かを発したりする事は出来ず、血を吐き出しながら荒い呼吸を繰り返す。
 親しぃは殴られた痛みとぶつかった痛みは勿論、汚らしい“物”で自分を汚された事に涙し始めた。
「イヤァ! オナガイ、ユルシテ! ダッコシテイイカラ! 」
 タカラはニッコリと笑いかける。
 しかしその笑みは彼女に向けていた物なんかじゃない。
 温かさなんて無い。真っ黒でドロドロした何処までも深い感情―――憎しみが滲み出している冷たい物。
「分かりました。許してあげます」
 さっきまで泣いていたしぃはその言葉を聞くなり、ギッとタカラを睨んだ。
「ナニヨ! アタリマエジャナイ! ホラ、ユルシテアゲルカラサッサト―――」
「ただし」
 タカラがしぃの言葉を遮って言う。
 醜い笑みは一層深くなり、
「彼女を、でぃさんを僕に返してくれたら、です」
 ハァ?
 明らかに嫌そうな顔をするしぃ。
「ナニ? キタナラシイ ディガ スキナノ? カワリモノ! ギャクサツチュウニハ オニアイダケドネ」
 嘲笑う。
 彼女は嘲笑った。
 でぃを汚らしいと。
 でぃには有害な虐殺厨がお似合いだと。
 つまりはでぃは不必要な者だと。
「この糞虫風情が! 」
 笑みは吹き飛んだ。
 同時にしぃも吹き飛ぶ。
 塀にぶつかったしぃはまた耳障りな悲鳴を上げた。
 タカラの靴にはドロリとした物が付着する。
「シィィ……ナ、ナニスルノヨ! コノ ギャクサツ――」
「お前なんかに! お前なんかになんででぃさんが、殺されなきゃならなかったんだ! 」
 タカラはしぃの元へと移動すると、右腕を掴んだ。
 右手と左手の丁度中間あたりには間接がある。
「ッ!? チョット アンタ……」
 嫌な予感でもしたのか顔を歪めたしぃ。
 そしてそれは的中する。
「ギ、 ギジイィィィィィィィィイィィイィイィィィィイッイィィィィイィィイッ! 」
 悲鳴。骨が軋む音。
「ギィィィィィイィィィイィィイッイィィイィィイィィィィイイィィ、 イギッ!? 」
 暫く腕が震えた後、しぃの腕は本来なら曲がらない方向に曲がった。
 ぜえぜえと荒い呼吸を繰り返すしぃ。
 その哀れな姿を見てタカラは笑った。
 良い様だ。良い様だ。
 苦しめ。そして醜く死ね。
 お前に生きる権利など無い。

826 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/09/08(金) 22:29:55 [ P78GGMK2 ]
 しぃの呼吸が少し収まってきた頃に左腕にも手を掛ける。
「ギ、 ギジャアァイィィイィィイッィィィィィイィィィィイィィイィィィィィィィアァァアァッ! 」
 今度は少し加減をして力を抜いた。
 相当痛いのかその悲鳴はしぃとしてもなっていない物だ。
 その悲鳴に心の中の何かが動く様な感覚をタカラは感じた。
 まだだ。まだ足りない。まだ、まだ、まだ!
「ヒジィッ! 」
 加減はしていたものの、しぃの体は他のAAと比べ物にならない程脆い。
 少し時間は延びたものの、すぐに間接は外れてしまった。
 それでもまだ脚がある。
 タカラは右脚、左脚にも手を付けた。
 上がり続ける悲鳴、悲鳴、悲鳴。
 それでも足りない。まだ足りない。
「ヒジャアァウァッ!!! 」
 最後の間接も外し終えた。
 大きく目を見開き、顎が外れるほど大きく開いた口で荒いなんて物じゃすまない呼吸を繰り返すしぃ。
 ふと道路に頭から突っ込んだしぃの事を思い出した。
 ふりかえるとそこら中真っ赤なお花畑にして息絶えてるしぃが見える。
 まだ一時間経っていなかった。しぃは想像以上に脆いらしい。
 汚らしいそいつに嫌悪しながらも頭部を掴み、持ち上げた。
 アスファルトに突っ込んだ所為で脆くなっていたのか、持ち上げて数秒後、頭部を残してそいつは再び地に落ちる。
 汚らしい花畑と気色悪い切断面を見てタカラは笑った。
 丸っこい汚らしい華を抱えてタカラは先程のしぃの所に戻る。
 何とか呼吸を繰り返すしぃの口にそいつを突っ込んだ。
「――――!? 」
 勿論入る訳が無かった。
 それでも無理矢理捻じ込む。
 顎が外れた。見開かれた目はぽろりと落ちてしまいそうな程だ。
 もうこいつはほっといても死ぬだろう。
 タカラは無言のまま、ベビしぃの所へと歩いた。
 そしてベルトから解放し、惨劇を見せる。
「…………! 」
 花畑と首無しの知り合い。その頭を口に突っ込まれた手足が変な方向に曲がった親。
 声すら出ないようだ。
「ア……ニャ……。 ママ! ナッコ! 」
 迷うこと無く言ってみせた。
 親の死を認めたくないゆえの要求では無い。
 ただ単に抱っこされたいからの要求だった。
 そいつが母親の元に走り出す瞬間、タカラは足を引っ掛ける。
「ヂィィ! 」
 勢い良く顔面からアスファルトに突っ込むベビしぃ。
「アニャア! イチャイヨォ、 イチャイヨォ! 」
 無表情のままジタバタするベビしぃを見下げていた。
 そしてその腕に――。

 花畑と首無ししぃ。その頭を口に突っ込まれた手足が変な方向に曲がったしぃ。そして手足をもぎ取られ泣き叫ぶベビしぃ。
 大切な物を失って生きる事がどんなにつらいか、味わうが良い。
 お前なんかにそんな喪失感を感じる心は無いかもしれないが。
 最後に力無くへらりと笑ってタカラは惨劇に背を向ける。
 もう夕日が街を染めていた。

827 名前:9012 ◆ruriF5y1O2 投稿日:2006/09/08(金) 22:30:31 [ P78GGMK2 ]
 もう仕事に行く必要も無くなり、自宅へと戻るとドアの前に人影があった。
 でぃの一番の友人だったエーだ。
 目に涙を貯めていた彼女はタカラが目に入ると鋭く睨み付けた。
「許しません! 私は貴方を許しません! 」
 タカラには一体何を言っているか分から無い。
 そんなタカラにエーは一枚の紙切れを突きつけた。
「遺言! でぃの! 読んでみて下さい! 」
 でぃの、という言葉に敏感に反応し、紙に目を落すタカラ。
 衝撃。
 背筋に走る寒気。
 嘘だ。
 嘘だ、嘘だ、嘘だ。
 こんな事――。
 動揺するタカラにエーは罵声を浴びせた。
「貴方の過剰な、異常な愛がでぃを苦しめてたのよ! でぃは自殺したのは貴方の所為! 貴方がでぃを殺したの! 返して! でぃを返して! 私の大切なでぃを返して! 」
 突然全てが色褪せて見えた。
 嘘なんだ。
 全てが嘘なんだ。
 こいつだって僕を落としいれようとして――。
「え? 」
 首に掛けられた手。
 怪訝そうな顔をしているエー。
 タカラはニコリと笑った。
「死ね」



 人形が一つ増えた。
 偽物のでぃと偽物のエー。
 タカラはニコリと笑う。
 偽物の世界の偽物の住民達。
 僕は騙されない。
 こんな世界、僕が壊してみせるから――。





828 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/09/10(日) 21:49:40 [ PmB/HZXM ]
モラバエとしぃ

その家に住んでいるのはしぃ一人だけではなかった。
蠅の突然変異なのか、進化なのか、
巣をつくり、殺虫剤にも耐久性のある蠅が同居しているのだ。
その蠅は、細かく顕微鏡で見ると、顔がモララーと酷似してい、
行動、性質、DNAの面から見てもモララーの亜種としか言いようがなかった。
モラバエと呼ばれるその蠅の突然の発生は、社会の一種の病を暗に示している
とまで言われた。

喜ぶべき同居人ではない。ましてや、蠅もモララーも毛嫌いしている
このしぃにとってはまさに最悪の同居人といえるだろう。

父モラバエが、人間でいうと三歳になったばかりの息子を、
初めて外(しぃの部屋の中)に連れ出していた。
「パパ、パパ!あのふわふわがあるよ!!
僕達の家よりもでっかいよ!!」
「おお、あれはケーキだからな!大きくなるとあれを
いくらでも食べることができるからな!!」
「パパ!!ここは明るくて気持ちいいな!!」
「上に光るものがついているだろう。それは電球というからな!」
ベビバエは、モララーの基準では可愛い満面の笑顔をうかべ、
あちこちに飛び回っていた。
初めて見る物ばかりであろう。父モラバエはこれを機に、
「世界」というものを教えてやろう、と思っていた。
俺の息子はこれでまた一つ賢くなる。俺の息子だし、
可愛い顔だから、将来はハンサムになるに違いない。
あのころの俺みたいに、メスバエどもをその華麗な飛行で
誘惑するのだろう。父モラバエは誇らしかった。
ふと見ると、ベビバエがいない。
幼き冒険心にかられ、どこを飛んでいるのだろう。
父モラバエがそう考えていると、
「キャアアアアアア!!!」
あの女の声である。息子が危ない。父モラバエはできる限りのスピード
で声のほうに飛んでいった。

最悪なことに、あのしぃの右手には殺虫剤ではなく蠅たたきが握られている。
人間でいうと、よちよち歩きに等しい飛び方が、よりこの状況を悪化させていた。
「モキャアアアアア!!」泣きながら父の手にしがみついてくる息子を引っ張り、
巣へと全速力で逃げた。あまりのスピードで引っ張られるため、
ベビバエの腕は耐え切れなかった。そして、もげた。
腕を一つ失い、あふれ出る大量の血に、可愛い顔を真っ青にして
うろたえるベビバエに、無情の一撃が下された。

スローモーションのように、頭蓋がくしゃっと砕け、
眼球は顔からはみでた骨によってつぶされた。
まだ幼く、丸かった顔は、くの字にまげられ、
顔のいたるところのヒビから鮮血の真っ白な骨が突き出していた。
次の一撃で、床に叩きつけられたベビバエは、
顔が完全にバラバラに四散し、頭部を失った体は平べったく
床にへばりついていた。

父モラバエの顔にヒットした
やわらかい、とろけているボール状のもの。
それはベビバエの眼球であった。

829 名前:R(;; ◆zeZKwnhJrE 投稿日:2006/09/11(月) 21:05:57 [ IjWcJUJQ ]
>>606続き
親しぃ達の水中戦は、いまだに続いている。
しかし、水中戦とはいっても、なんとか顔を出している程度である。
沈んだ者は脱落。
しかもそこに大波がやってきた。
「シィィィ!ベビチャーンタスケテー!!」
「ハニャアアアアアアアアアン!!」

こうして予選第一戦目が終了した。
沈んだのがどのしぃも同時だったため、誰が敗退するかは微妙だったが
敗退したのは1番、17番、20番だった。
後の者は救助されて次の戦いへ進めるのだが、戦えるといっても植物人間の者あり、
ていうかとっくに死んでいる者もいる、死んだといっても戦わなければならない。
ていうか戦えない。まあベビが無事に済むというだけで満足というところか・・・

次からの戦いも散々なものだったが、無事に親しぃの予選が終了した。
これよりベビの戦いも始まる・・・

830 名前:R(;; ◆zeZKwnhJrE 投稿日:2006/09/11(月) 21:25:54 [ IjWcJUJQ ]
「さぁ、次はベビちゃんたちの種目・・・」
社長はそういって、宿舎で待つベビをなんと全員ステージに集めた。
もちろん親しぃの予選のルールの通り、ベビは200匹から100匹に減っている。
親が死んだベビは出られない(死んでいる)ので、親の死を喚くベビは勿論おらず
今回の召集はスムーズにいった。

「さて、ベビちゃんたちの競技です。
ベビちゃんたちには、あちらのステージで戦ってもらいます。」
社長がそういうと、向かい側に少し小さめの丸いステージが現れた。
そのステージは空中に浮いている。
「ベビちゃんたちは、あのステージで、武器無しでバトルしてもらいます。
残りが30匹になった時点で終了です。もちろん死んだベビちゃんの親は
・・・・んでももらいます。フフ・・・」
「デモ、ドウヤッテ、アノステージサンニイクノ?」ベビが社長に問いかける。
「こうするんだよ・・・・」
突然ベビたちが消え、あのステージにワープした。

「チィ!コワイヨウ!タカイサンダヨウ!!」
ベビたちが騒ぎ始めた。
「うるさい!静粛に、それでは競技を始めます。
おっと、言い忘れたけど、このステージから落ちたら敗退とします。
戦闘不能になっても落ちなければ生き残れるわけです。では、はじめ!」
「ヂィィィッィィィィ!!!!」
100匹のベビしぃたちの戦いが始まった。

ちなみにこのステージの直径は10メートル。

832 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/09/14(木) 00:23:48 [ iDchANU6 ]
モラバエとしぃ 痛

ベビバエの無残な死から3日後、
父モラバエは長男の懸命な励ましにより、
わずかな笑顔を取り戻そうとしていた。

しぃは、ベビバエの惨殺を2時間で忘れ、
この日は満面の笑顔で帰宅した。
手には、趣味である室内園芸用の花々。

父モラバエは、次男をつれて
久しぶりの外出をしようとしていた。
「あの子は、俺が巣に花びらを持ってかえると、
ほんとにはしゃいでいたな。」

キレイだね!!パパ!!
ベビバエの顔がよみがえる。
無邪気に明るくはにかんだあの子。

「そうだ、花の近くに埋めてやろう。」
手には腐ってドロドロとしている白いボール状の物が握られていた。

「パパ!!ねえパパ!!」
はっと我にかえった父モラバエの目に、
まだまだあどけない笑顔が飛び込んできた。
「あの花、強そうだよ!!
ぼく、もっと強くなって、あの花もやっつけるんだ!!」

そういった次男は人間でいうと6歳。
まだまだ、ベビバエの死をうまく理解できていない。
しかし、「ベビバエを殺したしぃを僕がやっつける」といって、
毎日「ライダーキック」の特訓をしている、熱血少年である。

833 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/09/19(火) 22:11:53 [ NBFzItWQ ]
タイトル 『夏の日々』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

町外れの一軒家で、その家族は住んでいた。
父親のギコは、たまに金の無心に来る以外は寄り付かない。
母親の稼ぎだけで貧乏ながらも幸福に暮らしていた。
長男のチビは少しずつ知恵を付け始めた可愛い盛りの年頃で
双子のベビも乳離れして自力で這いまわれるほどには成育していた。

今日も母は、チビにベビ達の世話を任せて仕事に出かける。
そして悲劇は始まった。母親は、不幸にも「しぃ族」だった。
仕事に向かう途中で虐殺者に目を付けられて刃物で切り裂かれ
嬲り殺しに遭って絶命しても、誰1人として気に止めはしない。

■母親が帰らなくなった初日■
蝉の鳴く声が、ひときわ騒がしくなる正午。
窓から硝子越しに差す陽光が、部屋を明るく照らしている。

「アツイデチ。ママハ、マダデチカ」
だらしなく大の字に寝そべって、パタパタと自分の手で胸元を扇ぎながらチビが愚痴を言う。

いつもなら昼休憩を利用して母親が戻ってくるはずで
食事を作ってくれて、クーラーのスイッチも入れてくれるはずだった。

「アチュイヨ、ママ、ママァ。ナッコ」
言葉を覚えたばかりのベビしぃが、クーラーの下へと這っていって
泣き声をあげた。もちろん、泣いたって涼しい風は出てこない。

チラリ、とチビがテーブルを見上げる。そこにリモコンがあって、
ボタンを押せばクーラーから涼しい風が出てくるのだと知っていた。

「ダメデチ。ママガ、イッテタデチ」
勝手に触ると母親に叱られる。チビは唇を噛んで目を閉じる。
母親がクーラーを付けてくれるのは、朝と昼にそれぞれ1時間だけ。
そう決められていた。電気代が家計に響くから節電のためだ。
それでも、ひとときの涼しさでチビ達は日干しにならずに済む。
それが今日は、まだ訪れない。

「……アツイデチ」
ごろん、と寝返りを打って薄目を開けると
泣きつかれたベビしぃが丸くなって眠っているのが見えた。
いつの間にか、もう1人のベビも寄り添って一緒に眠っている。

あんな窓際で寝てたら暑いのに、と思ったがすぐに、
どこにいても暑さは変わらないと思い直して唇を尖らせる。
動くと暑いし空腹も増す。チビは再び目を閉じ、そのまま眠った。

■2日目■
小鳥のさえずり。真昼よりは柔らかな光の中で、3人は目覚めた。
ベビ達は理解していなかったがチビは朝になったのだと思った。

「ドウシテ、ママハコナイデチカ?」
それに…… チビは、腹をさすりながら情けない表情をする。

「オトイレ、イキタイデチ」
昨夜テレビで見た怪奇ドラマ『トイレの花子さん』が
脳裏にこびりついているチビとしては、1人では行きたくない。

「ママ、オトイレイキタイデチ」
しばらく、その場で意味もなく足踏みをして耐えていたけれど
いつまでも我慢できるものではなく。
「ウーウゥーモウ、ヤケデチ」
怖いものは怖いんだと開き直ったチビが部屋の片隅で用を足した。

ベビ達のオムツの汚物も、同じ場所に捨てる。
母親がいれば新しいオムツに交換してくれるのだが
チビはオムツの替え方を知らない。脱がせたまま放置した。

「チビタンハ、ワルクナイデチ。ママガワルインデチ」
チビは一箇所だけをトイレ代わりに決めたけれど
ベビ達はところ構わず垂れ流しだった。
部屋のあちこちに汚物の染みがついている。
母が見たら怒るだろうと思いながら、チビは見ないふりをした。

「オニイタン、ナッコ。ナッコシテ」
無邪気にチビの元へと寄っていったベビしぃが言う。
ベビはお尻が汚れていて臭いし、くっつくと余計に暑そうだったが
チビにも兄としての自覚はあるのか、渋々ながらも抱き上げる。

「チィ、チィチィチィ」
それを見て、もう1人のベビも甘えた声で鳴きながら近づいてきた。
双子でありながら、こっちのベビはまだ喋ることができない。
いつも、ぼんやりとしてるか眠っているかの大人しいベビだ。
それでもチビの足に身をすり寄せる小さな身体からは
自分も抱っこして欲しいと訴えているのが伝わってきた。
チビはプゥッと頬を膨らませながらも、そのベビも抱いてやった。

小さなベビ達はソフトボール程度の大きさしかないし
体重も綿埃のように軽かったから、チビでも2人を同時に抱ける。
ベビ達は兄に抱かれて幸福そうな寝息を立て始めた。

834 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/09/19(火) 22:14:38 [ NBFzItWQ ]
■3日目■
お昼。まだ母親は帰ってこない。
暑さに耐えられなくなったチビがクーラーのリモコンに手を伸ばす。
けれどテーブルは高くて背伸びしないと指が届かない。
失敗して床に落としたら、裏蓋が外れて電池が飛び出た。
気にすることなくリモコンを拾い上げ、ボタンを押してみても

「アレ、アレアレアレ。ナンデ、スズシクナラナインデチカ」
電池がなければ動作しない、ということまでは知らなかった。
隣ではベビ達が空腹を訴えて泣いている。蝉の喧騒よりも疎ましい。
耳障りな泣き声。空腹なのはチビも一緒だし、暑さで眩暈がする。
汗をたくさんかいたせいで全身が塩っぽくて気持ち悪い。
お水が欲しい。咽喉が渇ききって唇がカサカサになっている。
それなのにキッチンの流し台にはチビの身長は届かなくて。
母親がいないと水は飲めないのに、その母親は帰ってこないのだ。

チビの中で激情が爆発した。奇声を発して、怒りのままに
リモコンを床に叩きつける。リモコンの液晶部分に亀裂が入った。

「タスケテデチ、ダレカ、ダレカ!! チビタンタチヲ、タスケルデチ」
扉に駆け寄ってノブをつかもうとしたが手が届かなかった。
仕方なく、厚い木製の扉を拳で連打する。
皮膚が擦れて血が滲んでもチビは扉を叩き続けた。叫び続けた。
だけど、無駄だった。どんなに泣いても叫んでも、
町外れの一軒家では誰の耳にも届かない。体力を消耗するだけだ。

先程から身を焦がしている窓を睨んでも、その窓の先にあるのは庭。
垣根に覆われているから外から部屋の中を覗くことはできない。
たとえ誰かが通りかかったとしても、チビ達に気づくことはない。

「ドウシテ、コウナルデチ!! ナニモ、ワルイコトシテナイノニ!!」
泣きながら暴れる。感情のままに椅子を投げ倒し

――その椅子を踏み台に使えば、水が飲めたのに。
扉を開けて外に出ることもできたのに。
悲しいくらい幼いチビには、それが判らなかった―――

ベッドの周りを覆うように整然と並んでいた箱を蹴り飛ばした。
「オニィタ……グピァア!!」
更に暴れようとしていたチビの足裏に、柔らかいものが触れた。
続いてゼリーのような感触が、踝の辺りまで広がる。

短い悲鳴と生肉を潰したような感触に慌てて足をどかすと
そこには下半身を踏み潰されたベビしぃがいた。
荒れる兄を心配して、慰めようとして寄ってきたらしかった。

火がついたように泣き喚くベビしぃ。
自分がやったことに対する恐怖にチビは竦みあがった。
じとり、と嫌な汗が背中を伝いおちる。

「ナカナイデ。ナカナイデホシイデチ」
母に見つかったら叱られる、とチビは思った。
焦りながら、ベビしぃに話しかけるが、もちろん泣き止むわけがない。
「ナカナイデ、ゴメンデチ、ゴメンデチ、イイコイイコ。ナキヤムデチ」
頭を撫でようとしたら、恐怖に引き攣った顔で逃げようとする。
「ナンデ、ニゲルンデチカ」
苛立ちを声に出すと、一気に不満が爆発した。

「ナクナッテ、イッテルンデチ」
嫌がるベビしぃを無理やり捕まえて、チビは剣呑な表情で言った。
でも泣き止まない。
「ワルイコデチ。ワルイコハ、オシオキデチ」
チビは玩具箱の角にベビしぃの口を力いっぱい打ちつけた。八つ当たりだ。

「ウルサイノハ、コノクチカ、コノ、クチ、デチカッ」
ガツッガツッと何度も同じ角に口を打ちつけるたびにベビしぃが悶絶する。
「ギジイィィィィィィィィィィ」
「マダ、ダマラナイデチカ! コノ、コノ、コノォッ」

「ヒギィィィ、シィィィィィィィ」
「ダマレッ、ダマレッ、ダマレデチィィィ」
グチッグチャッと、執拗に打ち付け続けるチビ。
最初は絶叫していたベビしぃだったが、次第に体躯から力が抜けていった。
玩具箱の角はベビしぃの血糊でベッタリ不吉な輝きに染まっていた。
ベビしぃの口の周りは、鼻も顎も砕けて潰れていて
あの可愛らしかったベビしぃの面影は残っていなかった。

ベビしぃが悲鳴をあげなくなり、動かなくなった頃に
ようやくチビは正気に返る。手の中のベビしぃからは生気が消えていた。
怒りに任せて、とんでもないことをしてしまった、と青褪めたが遅すぎる。

「シッカリスルデチ、シナナイデホシイデチ」
抱き上げたベビしぃは、いつもより軽く思えた。
どんなに泣いても祈っても、小さい身体は、すぐに冷たく硬くなった。

835 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/09/19(火) 22:15:23 [ NBFzItWQ ]
■4日目■
「………オナカ、スイタデチ」
もう喋ることはないベビしぃを抱いていたチビの虚ろな目に狂気の光が宿る。
自分は今、肉を握っているのだと思った。
鼻を近づけると、その生肉からは微妙な甘い芳香も感じる。
肉が腐る直前の臭いだった。

ひどく、魅惑的な匂い、だった。

我慢できず、チビは自分が踏み潰した腹から垂れている腸を啜った。
血が咽喉の渇きを癒し、肉塊が空腹を埋めてくれる至福に酔う。
何をしているか自覚はあったけれど、もう止まらない。
チビは、自分を慕っていたベビしぃを食べた。愛していた妹を。

「タリナイ、デチ」
幽鬼のようにふらふらと力なく立ち上がり
「オナカ、スイタデチ」
陰鬱な声音で呟きながら首をカクンッと不自然に動かす。
その目が、生き残っていたほうのベビに向けられた。

「アレッポッチジャ、ゼンゼン、タリナイデチヨ」
にいぃぃっと笑う。今までベビが見たことの無い表情だった。
チビの口元と歯は血で濡れて、その赤は目に痛いほど鮮やかだった。

「チィィィィ、ヂイィィィィィィィィ」
ベビは悲鳴を上げて逃げ惑った。
チビのほうが力は強かったけれどベビのほうが身軽で動きが早い。
前日チビが蹴り乱した箱の隙間から、ベビはベッドの下へ潜り込むことに成功した。

「デテコイデチ、コノヒキョウモノ!」
ベッドの足は短くて床との隙間は狭くて、チビは入れない。
怒りの声を上げてベッドを動かそうとしても
大人の力ならともかく、まだ小さなチビには無理だった。
チビが暴れている気配を感じながら、ベビは身を丸めて震えていた。

■5日目■
眠りから目を覚ましたベビが耳を澄ませる。
微かに上からイビキが聞こえるからチビはベッドで寝ているのだろう。
溜息をついて、ぼんやりしていると目が闇に慣れてきて
ベッドの片隅に袋が置かれていることに気づいた。

それは母親が緊急時のために蓄えていた防災袋だった。
中には簡易救急セットや懐中電灯、そして水と食料が入っていた。
母子四人が数日、生きられるだけの分が蓄えられている。

「チィ、チィチィ」
喜びの声を無邪気にあげながら、ベビは久しぶりの食事を楽しんだ。
頭上のイビキが止まったことにも気がつかなかった。

殺気にも似た視線を感じてベビがそちらに首をかしげてみると
チビがベッド下を血走った目で覗きこんでいた。
食べ物をよこせと怒鳴る声に、ベビは怯えて竦み、動けなかった。

空腹と苛立ちが高まっているチビの目の前で、弟が食事をしているのだ。
しかも、たっぷりと。贅沢に。

自分は妹の肉まで食べて生き長らえようとしたのに
弟はマトモな食事を食べて、それを兄である自分に分けようとしない。

再びチビは怒りの声をあげて、無意味に荒れる。
手当たり次第に物を投げ飛ばし、壁やベッドを蹴りつける。
体力を消耗し尽くして、疲れ果てて眠るまで、暴れ続けた。

■6日目■
ベビは空腹になったら、お腹がいっぱいになるまで食事をした。
チビは狂ったように叫び、泣き、ベビを罵倒する。
甘い声で優しく誘えばベビも食料を持ってきたかもしれなかったのに
それを考え付くだけの余裕がチビには残っていなかった。
飢えより渇きのほうが辛くて、汗や涙すら舐めてみたけれど
それで渇きが癒えるはずもなく、徐々に衰弱してゆくだけだった。

836 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/09/19(火) 22:16:27 [ NBFzItWQ ]
■8日目■
チビはもう騒がない。床にクレヨンで何かを書いていた。
ぐったりしていて、もう生気が感じられなかった。

書き終えたチビが、ゆっくりと緩慢に目を閉じる。
「オナカ、スイタ、デチ……ママ」
そして、そのまま目覚めることはなかった。

■15日目■
チビの遺体は窓から差し込む直射日光に灼かれて
蛆が涌く間もなく干からびて、ほとんどミイラになっている。
ベビのほうは貴重な糧をすべて食い尽くしてしまっていた。

夕方頃に、ドアを叩く音がした。
「ゴルァ、しぃ。いないのか? ちょっと金を貸してくれ」
それはベビ達の父親だと、チビが生きていたら気づいただろう。

でもベビは、滅多に家に寄らない父のことを覚えていなかった。
知らない人が来た、と怯えて固まっているばかりだった。

ドアを叩く音は、チッという舌打ちとともに止まった。
やがて、足音が遠のいていき、ベビはほっと息をつく。
自分が助かる道を失ってしまったということには気づかなかった。

■16日目■
ベビは夢を見た。幸福だった頃の夢を。
ママが美味しいミルクをくれて、双子の妹と戯れて。
遊び疲れたら兄が抱っこしてくれる。

幸せな、夢。

起きたとき、ベビには夢と現実の区別がつかなくて、
ようやくベッド下から這い出した。

抱っこして欲しくて兄のところに向かったのに、兄は動かない。
ベビは兄が寝ているのだと思った。
退屈だから、あちこちを意味もなく動き回っているうちに
トイレのドアが少し開いていることに気がついた。

「チィチィチィ」
中からは、水の匂いがする。
ベビは喜んでドアの隙間に手を差し込んで、中へと侵入した。
段差の無いタイプで和式の水洗式だったから、ベビも中を覗ける。
便器を見たのは初めてだったからベビに「汚い」という概念はない。

底に溜まっている水を求めて手を伸ばし、そして、落ちた。
パシャッと水飛沫が上がる。水位が低いから溺れることはない。
便器の淵まではベビの手が届かなくて、もう自力では脱出できない。
そんな状況に陥っていても、深く考える知能が発達していないベビは
大はしゃぎで行水気分を楽しみ、水を飲んだ。

■19日目■
便所水は、ベビ自身が垂れ流した糞尿で汚れきっていた。
口に入れると苦くて咽喉に絡んで、もはや飲める状態ではない。
ベビは泣いたけれど、泣いてもどうしようもなかった。

なんとかして逃げようともがいているうちに。
ベビは便器の上方へと移動して、そのまま深みへと嵌った。
足が底につかない。水は浅い溜まり場よりは綺麗だったけれど
溺れていては喜ぶこともできはしない。
息をしたくて口をあけても、肺に入ってくるのは水だけだった。

時を同じくして、ようやく妻の死を知ったギコが再び家に訪れた。
妻が遺した家の権利書と家財道具を売り払って金にするために。

妻に信用されていなかったギコは家の鍵を持っていなかった。
だから少し無理をして庭にまわり、窓から中を覗き見る。
部屋の中央でパリパリに乾ききったチビの亡骸が目に飛び込んできた。
周辺が赤黒く染まっているのは血の痕だろうか。

「ちくしょう。やっぱりガキは死んでやがったか」
庭石で窓を割って中に入り、変わり果てたチビに駆け寄ると
チビがクレヨンを握り締めていることに気がついた。
床面にはチビが書いたと思われる歪んだ文字が広がっている。

たべたいたべたいたべたいたべたいたべたい
たべたいたべたいくるしいたべたいたべたい
たべたいべびばかたべたいたべたいたべたい
ままどこたべたいたべたいたべたいたべたい
たべたいたべたいたべたいたすけてたべたい
たべたいたべたいたべたいたべたい べびごめん

「食べたい」の文字が乱雑に繰り返されている。
よほど餓えていたのだろうと悟って父親の表情は曇った。

837 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/09/19(火) 22:17:45 [ NBFzItWQ ]
亡骸はチビだけしか見当たらない。
「べびごめん」の文字とチビの口周りの毛皮にこびりついた血で
父親はチビがベビたちを殺して喰ったのだと理解した。

チビの肉と血は乾ききっているから、嗅ごうと意識しなければ
強い異臭は感じられなかったし、見た目もそれほど無残ではない。
それでも、我が子が苦しんだ形跡はくっきりと残っていて。

「ぐっくぅ」
思わず、口元に手をやる。
吐き気を覚えてトイレに走り、思いっきり吐いた。
便器の中に汚物があることには気づいたけれど
それはチビが用を足したあと水を流すのを忘れたのだと思った。

深い溜まり場の部分に白いものが浮いていることにも気づいたが
父親は、それはトイレットペーパーを丸めたものだと錯覚した。
なににせよ、吐き気で必死の父親は一瞬しか便器内を見ない。

胃液まじりの内容物を総て吐き出す父親。
それは浅場だけではなく深場にも流入してベビの白い身体を覆った。

このときベビは虫の息ながらも、まだ生きていた。
父親が、自分の吐いた汚物をしげしげ見つめていれば
汚物にまみれたベビが弱々しく動いていることに気がついただろう。

それでも、そこにベビがいることなど想像もしない父親は
さっさと水洗レバーを引いてトイレから出て行った。
やらなくてはいけないことは、たくさんあるのだから。

ベビの身体が水流でコマのようにクルクルと廻る。
頭や身体をゴンゴンと硬い便器に打ちつけて
痛みで小さく悲鳴を上げるたびに汚物と水が咽喉奥へと流れ込んだ。
ただでさえ瀕死のベビにとって、それは致命的だった。

水流が止まった頃。
汚物はすべて排水されて、ふんわりとベビの白い死骸が浮いた。
父親がこのベビに気づくまでには、まだ少し時間がかかるだろう。

ー終ー

838 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:28:41 [ dtI9ad1s ]

神と家畜の楽しいおしゃべり 最終章・その1

839 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:28:56 [ dtI9ad1s ]

「ど、どうして……五賢者が!? どうなってるの!? 確かにあのとき、無事に逃げおおせたはずじゃ……」
青ざめた顔色のシスターしぃに、モララーはくくくと侮蔑を込めて笑う。
「本職を甘く見ちゃあいけない。軍隊にしても情報部隊にしてもお遊戯レベルの君たちからは
 想像もつかないくらいに、“本物の”情報部隊ってのは優秀なんだよ。
 たかだかゴキブリが数匹。こうやって引っ捕らえてきたのを見れば分かるとおり
 どこに逃げ、隠れようが、……見つけ出すことなんざ造作もないことなのさ。お分かりかな?」
「は……はぅ……ううぅぅ……!」
もはやシスターシィは、言葉すら出ない様子だ。
「はぅはぅ言ってもお持ち帰りは却下します。あぅあぅ言っても勿論無駄。君に萌えは感じません。
 まぁ久し振りに顔を合わせたんだし、どうせこれが最後になるだろうから
 ちょっとはおしゃべりする時間をあげるよ。もち制限時間付きね。」

「みんな!!」
モララーの話が終わるや否や、シスターしぃは五賢者の方を向く。
それはあちらとしても同じだったようで、双方から向き合い、涙を流した。

「キョウソサマ! ……スミマセン! ワタシタチハ、ミンナ……!」
五匹のしぃ共が悔しそうな顔をして涙を流すと、シスターしぃは黙って首を横に振る。
「何を泣いているの!! むしろこれをチャンスと思いなさい!!」
「チャンス…? ナ、ナンノ……?」
シスターしぃの意外な言葉に、五賢者しぃたちは
「……分からないの? この状況! 私とあなたたち五賢者と、……真多利神の眷属が集ってるのよ!
 だから私たちが全力を以て祈れば………、ね?」
「ソ、ソウカ! ソウデスヨネ!」
「そうよ……! 私とあなたたちと、祈りの力はこれ以上ないくらいに強くなる!!
 私たちが祈れば、真多利の神はきっと降臨なさる!! こんな屑共を一掃してくれる! でしょう!?」
「ソウダ! ソウダ! ワタシタチニハ、マタリノカミサマガイルンダ!!」
「ソウダッタ!! コンナヤツラニ、マケルハズナンテナインダ!!」
……先ほどまでの沈んだ雰囲気はどこへやら。これがしぃ族の脳天気さのなせる技か。
彼女らは自分たちがどこにいるのかも忘れたような勢いで、はしゃぎはじめた。

「……やれやれ。ある意味では見習いたいものだね」
半ば呆れて、モララーは苦笑する。
「……真多利一神教とやらは、思った以上に彼女たちの中で大きな比重を占めているようだねぇ……
 ま、だからこそそいつを潰せば、面白いことになるんだけどね」
モララーが手を挙げると、八頭身が五賢者しぃたちが乗った台車を動かす。
……VIP席の近くに台車を止めると、八頭身は五賢者たちをつまみ上げ、VIP席の
……シスターしぃよりは一段低い場所に設置してある座席に、同じように彼女らをくくりつけた。
言葉が交わせないことはないが、向き合って喋ることはもはや出来なくなったことになる。

840 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:29:25 [ dtI9ad1s ]

「さってと! これ以上やらせとくと、永遠にこの怖気の走る再会ショーを
 見続ける羽目になるから、この辺で終わらせるぞ、と。
 さぁて、いよいよのお待ちかねだ。これから“ボール”を用意するよ……」
モララーがリモコンを操作すると、またどこからか小さな台車が現れた。
……当然、何が“ボール”なのか、しぃ族側はともかくとして研究所側は
誰しもが知っているのだが、それでも“ボール”が現れると、皆が一斉に声を上げた。

……ただし、VIP側、もといしぃ族側の声は彼らの比ではなかった。
先ほどの和気藹々ムードはどこへやら。全員が目をくわっと開いて、口を大きくあんぐりと開けた。

「ベ、ベ、ベ、ベビチャァァン!!??」

VIP席の皆が皆で顔をゆがめ、悲鳴に近い声を上げる。

それに対し、何を今更といった様子でモララーが口を開く。
「そ。……ちなみにこいつらは言うまでもないと思うけど、“五賢者”のガキんちょどもね。
 ま、捕まりそうになった五賢者連中が隠したのかな? でももう少しうまい隠し方をすべきだったね。
 あんなんじゃ隠れてる内に入らないって。くっくくく……!!」
「ベビチャン! ベビチャァァン!!」
「ママァ!! マァマァァァ!! マ」
「ちっと静かに」
モララーは、今度は泣き叫ぶベビしぃの頭を押さえつけて話し始めた。
「……今回は彼女たちに、ちょいと“ボール”になってもらおうと思ってね。
 ……遺伝子研究部・部長のニダーちゃん!」
「アイゴー!!」
所長に名前を呼ばれ、一人の角角のAAが手を挙げて前に出てきた。
「……今回は腹の中ではなく、外に出たベビしぃだったわけだけれど……
 これを見た限りでは、骨への細工はうまくいったのかな?」
「モウマンタ……じゃないじゃないニダ! 当ったり前ニダよ!
 まぁ実験過程で100匹はベビしぃをぶち殺したニダが、その甲斐あってうまくいったニダよ。
 ……今のそいつらは、骨レベル“スペアリブ”までいったニダ!! 従来のベビよりも
 打ち応えは抜群に増したはずニダよ!!」
「ありがとねニダーちゃん! こいつぁ楽しめそうだ!
 ……さぁ、シスターしぃちゃん及び五賢者しぃちゃん! 準備はいいかな!?」
先ほどまでニダーと話していたモララーが、いきなりVIP席の方へ振り返った。
「え!?」
話を急に振られ、困惑した様子のシスターしぃと五賢者しぃ。
「じゅ、準備……?」
「決まってんでしょ。対戦の準備。た・い・せ・ん! お分かり?」
「た、対戦!? いったい何の!?」
「いいかい? 僕らはこれから君らのベビしぃをボールにして、バッティング会議を開こうとしているんだ。
 ただしこのベビしぃは、ただのそんじょそこらのベビしぃじゃない。真多利教の中でも中枢に位置する
 “五賢者”の子供たちなわけだからな。そんな尊いベビちゃんたちををおもちゃにするんだから
 当然僕らには、君らの神様が天罰を下してもおかしくはない……。
 
 つまり
 
 これから僕らがバッティング会議をする間、君たちは真多利の神にお祈りをするんだ。
『真多利の神様。この罰当たりなモララーたちに天罰を下してください』とでもね
 ……僕らが君らのベビちゃんをぶち殺すのが早いか、それとも君らの祈りが届くのが早いか……?
 ……くくけけけけけけ! …最高のゲェムだろう?! くけけけけけけけ!!
 何も君らに悪いことじゃあない。むしろ状況は良いはずだろう?
 さっきも言ったけれど、僕らは真多利教にとってウルトラVIPなベビちゃんたちを殺そうとしているわけだ。
 ……真多利神が早々にブチ切れて、天罰をさっさと下してくれるかもしれないから、いや
 むしろそうしてくれるはずでしょう? ……教祖・シスターしぃ様? 」 
「………………!!」
「さぁ、いよいよゲェムの幕開けだ!
 え〜と、観覧席および、“バッター”のみんな! 分かってると思うけれど、ここにいる面々は“VIP”の方々だからね。
 ……くれぐれも興ざめさせることのないように、全力で以てやるように願うよ!」

モララーが片手を挙げて大声を上げると、観客席から唸りが聞こえてきた。
どいつもこいつも、うずうずして仕方がないといった顔をしている。
特に自慢のバットを用意しているであろう、各部の“バッター”たちは、目を爛々と光らせている様子だったが…

841 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:29:49 [ dtI9ad1s ]


彼らのある意味狂乱的な唸りをその身に受け、モララーは苦笑しながらまた大声をだした。
「それではお待ちかね! まず“トップバッター”は、我が有能な秘書であり助手でもある、モナー君だ!」

一段と大きくなった声援を背に、モナーは相変わらずのにこにこ顔で
“バット”が入っているであろう袋包みを高々と挙げた。

「ちなみに今回に限り、普段僕に言えない不満などがあったら言っちゃって結構!
 よっぽどとんでもないものでない限りは、更迭や解雇などはしないので、ご安心を!!」
モララーの言葉に、観客席からどっと笑い声が上がる。
その笑い声が静まる頃に、トップバッターのモナーの準備も終わったようで

「……さぁて、モナーちゃんのバットは…… おや?」
「モナはやっぱり、オーソドックスに行くモナよ〜!」
いぶかしげな表情をしたモララーの視線の先にある、モナーの“バット”

チェーンソー

「……これは、いったい……?」
「モナのスタイルは、「日常のもので楽しく虐殺」モナよ!!
 それに今回はトップバッターだから、派手に火付けをする必要があるモナね。
 その点、これを使えばばっちりモナよ!」
モナーが点火ベルトを引くと、チェーンソーの刃がけたたましく回転し始めた。

「ま、飛距離はあんまり見込めそうにないけど、火付け役としちゃいいかな。
 ……それじゃあまず、不満ぶちまけタイムだ! 言いたいことがあるなら言ってごらん!」
「それじゃあ所長、言わせてもらうモナよ!!」
モナーは声も高らかに張り上げると、モララーに向かってびしっと指を指す。
「モナは確かに、所長の秘書モナが………
 所長に勤務時間外まで、虐殺実演に深夜まで付き合わされるいわれはないモナ!!
 おかげでこっちは生活リズムが乱れまくりで、健康に多大な影響が出てるモナー!!」
「ほ〜う。なるほど……」
自分に指さして叫ぶモナーに、モララーは不敵なほほえみで返答する。
「……その虐殺実演、確かに最初は渋々だったろうが、こちらが終わろうとした頃に興奮しだして
 朝までげらげら笑いながらしぃ共を殺しまくっていたのは、誰だったっけ?」
「うぐ」
モナーが顔を紅くして苦い表情をすると、観客席から大きな笑い声が聞こえてきた。
「………と、とにかく、トップバッター・モナー! いくモナよ〜!!」
モナーがチェーンソーをぶんぶん振ると、八頭身がベビしぃを一匹つまみ上げ
モナーのところへと歩み寄ってきた。

842 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:31:05 [ dtI9ad1s ]

「べ、ベビチャン!! ヤメテェェ!!」
母親とおぼしき、五賢者の内の一匹が一層大きく、一層悲痛そうな声を上げる。
「むほほほほほ! やめてっと言われっても〜♪ いやモナ〜♪」
五賢者母しぃとは対照的に、陽気に下手くそな歌を歌うモナーの手にとうとうベビしぃが渡された。

「ヤァー!! マァマーー!! タチュケテェー!! ヤァァーー!!」
一方の五賢者ベビは、モナーの手の中に入ってから一層激しく泣き騒ぎ始めた。
もっとも、頭を鷲掴みにされた状態で小さな手足を振ったところで、どうなるわけでもないが。

今回の五賢者ベビは、施設内で生まれたベビと違って外で生活していたことが災いしたようだ。
彼女は、今モナーが手にしているものがどういうものであるか、
また、“バッティング”なるものが如何なるものであるのか。
そして、それらが自分の身に降りかかることになったらどうなるか。
……全てにおいて、分かりすぎるくらいに分かってしまっていた。
それらの予備知識がある分、施設のベビと比べて、その恐怖は言いようもないくらいに大きなものとなるのだ。

「さぁさぁ皆さん、せいぜい派手な開幕を期待しましょう!!
 そして五賢者及びシスターしぃちゃん!! まだ天罰は来ませんねぇ、どうしたんでしょうか?
 まぁ、あのボールがぶっ飛ばされる前に真多利神が降臨するように、心を込めて! 一生懸命お祈りしてください!
 真多利神とやらが降臨してくれりゃ、君らの勝ちなんですから! くひゃはははは!!」
モララーは顔に手を当て、その指の隙間からシスターしぃたちをじろじろと見ながら
一層おかしそうに下卑た笑い声を上げた。

「……上等よ……! 見てなさい……!!」
シスターしぃはぎりりと歯がみすると、すぐさま祈りの体制に入った。
他の五賢者も同様に、中でもこれから処刑されようとしているベビの母親は、一層強く
汗をだらだら流しながら、目をぎゅうと強く瞑って一心に祈っている様子。

……真多利の神よ。今回は他でもない、あなた様の眷属の一人が危険にさらされているのです。
どうかあなた様のその偉大な力を持って、この悪魔共に裁きの鉄槌をお与えください……!
真多利の神様……偉大なる、真多利の神よ………!

全員が祈り始めたのを見届けると、モララーは満足そうににやりと笑う。
「……さぁ……エセ神様にせいぜい祈ってちょうだいな………! 
 モナーちゃん! ぶちかませぇ!!」
「いっくモナよーー!!」

ぶんっ

「チィィィィィィィーーー!!!」

宙に投げられたベビしぃは、きりきりと回転しながら登り、下降する。
涙とよだれと鼻水とが、夕日に反射してきらめいたのはご愛敬。

「チ」

これが彼女の、最後の言葉。
『まともな状態で出した』最期の言葉……

843 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:31:26 [ dtI9ad1s ]



ぎゅいいいぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅ!!!

844 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:32:31 [ dtI9ad1s ]

……チェーンソーの刃というものは、概して鋭利なものではない。
剃刀や刀剣が“切り裂く”刃であるならば、チェーンソーや鋸の刃は“引き裂く”性質の
刃であるといえる。たとえ強固な木材が相手でも、強行的に真っ二つにする。

従って、そんなもので体を切られたベビしぃは、従来よりも大きく、無惨にずたずたになった
傷口からはらわたを飛び出させ、おなじみで宙を飛ぶわけだが………

「おーおー、案外㌧だじゃん……、って、あれ?」
「むほほほほほ! うまくいったモナ!! 言ったモナよね? 派手に火付けをするって!
 モナは最初っから飛距離なんか狙ってない、これからが本番モナよー!!」

モララーがいぶかしんだのも、モナーの意味ありげな発言も当然のことで
見ると、せっかく宙を舞ったベビしぃが、急速に地面に向かっているのだ。
いや、そうではない。地面に向かっていると言うよりは、モナーのところに戻っているのだ。
なぜかと、モナーの方を見てみると……

……先述の通り、チェーンソーの刃というものは、すっぱりとものを切れる代物ではない。
故にその刃には、何かを巻き込んでしまう可能性も大いにあったわけで………

高速回転するチェーンソーは、ベビしぃの腹をえぐった。
腹の肉をえぐれば、当然その下のはらわたが飛び出してくることになる。
そのはらわたの中で、唯一他とは形状が大きく異なる代物。他の内臓器官が
大きさはどうあれ、“塊”であるのに対し、これ一つだけが紐状に長い。



……他の、肝臓であれ腎臓であれ、塊状の内臓器官であれば、チェーンソーの刃に触れた瞬間に
吹き飛ばされそうなものだが、幸か不幸かこの“紐状の内臓器官”が、ちぎれ飛ぶことなく
チェーンソーの刃に、絡みついてしまったわけで………
一旦は宙に放り出されたのだが、腸が限界まで伸びきってしまったらそこで飛翔は終わり。
あとは刃の回転に巻き込まれ、元いた場所に戻っていくことになる。
そう、つまり

ぎゅががががががががが!!!

チェーンソーが、突然一層不気味な音を立て始めた。

……チェーンソーを指とするならば、ベビしぃはヨーヨー。
その二つをつなぐ糸が、ベビしぃの腸という図式になる。
……さて、限界まで糸が伸びたヨーヨーは、そのあとどういうことになる?

845 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:33:17 [ dtI9ad1s ]

「チピピピピピギィィィッ!? ピギュウゥゥゥ!!??」

………ベビしぃの顔に、この上ない絶望の色が浮かぶ。
死ぬのは嫌だったし、実際チェーンソーで腹をえぐられたときも、この上ない激痛が走った。
もはやこれ一撃だけで死んでしまえると言えるほどの激痛だったが、それでも即死はしなかった。
しかし恐ろしい痛みが徐々に消えていき、同時に意識も薄れ、まさに眠気を感じるような気持ち。
……死ぬのは嫌だ。だがしかし、こんな楽に死ねるなら……と

そう思っていた自分の、何と浅はかだったことか。

……すでに感覚が失われつつある、しびれすら感じなくなってきた手足をそれでも懸命に動かす。
目前に迫る地獄を回避しようと、懸命に、懸命に……
だがしかし、空中でそんな、いくら手足をばたつかせようと無駄であろうことは自明の理。
だんだんと悪魔が自分に近づいて、いや、自分の方から近づいているのだが、とにかく
猛烈な音を立てて回転、自分の体の一部を巻き込み、肉片にしている悪魔の姿がはっきりと見えてくる。
悪魔の咆吼が大きくなる。悪魔の牙と爪の色がはっきりしてくる。
……もしかしたら、巻き込まれていく自分の体の一部で、この猛烈な勢いで動いている
悪魔の動きが止まるのではないか……という考えがふと浮かんだが、悪魔の力は絶大で
硬質ゴムを巻き込んだのならともかく、ベビしぃの柔なこてっちゃん程度ではとてもとても。
かえって悪魔の咆吼・うなり声を独特なものにしているだけだ。

いやだ いやだ…! いやだ!! 何でこんな悪魔に、最期の最期まで苦しめられるの……!?
もう充分でしょう!? もう充分、ちぃを苦しめたじゃない!!
だから最後くらい、楽にしてくれたっていいじゃない! 最後ぐらい!!

それはモナーに対してか、それともチェーンソーそのものに対してか、誰に向かっての懇願か。
ベビしぃは薄れゆく意識を叩き起こして、最後の懇願を未練がましく始める。

お願い、最後だから、なっこち……

しかし悪魔は最後まで、無慈悲だったわけで。
こんなカス虫の言うことなど、聞く耳を持たないわけで

846 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:33:56 [ dtI9ad1s ]



ぶりゅがががががが!! ぎゅりいいいいぃぃぃぃぃぃ!!


.

847 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:34:25 [ dtI9ad1s ]

「おっほー!!」
モララーやモナーを始め、一同から歓声が上がる。
……ヨーヨーのように戻ってきたベビしぃは、よりによって顔面から
回転するチェーンソーに突っ込んだ。

がががががががが ぎゃりりりりりりり!

今はもう確認できたものではないが、可愛らしかったであろうベビしぃのお顔は
文字通りに鋼鉄の刃にこそぎ取られ、削り取られて、みるみるうちに肉の飛沫へと姿を変えていった。
……初めは刃に顔面をがりがりと削られ、びくびくがくがくと痙攣していたベビしぃの手足も
じきに動かなくなり、動かなくなったと思ったら次の瞬間には刃に引きずり込まれ
引きずり込まれたらこれもただの細切れの肉片となり、そこら中に四散する結果となった。

「……むっほほほほ! 血とお肉のシャワーモナよ〜♪」
着ていた白衣が真っ赤なコートに見えるくらいに、モナーは返り血をもろに浴びたようだ。
いや、もはや着衣だけでなく、彼の頭から腕から足まで血に染まっている始末だが。

「……飛距離はほぼゼロだったが、なかなか良かったじゃん。
 最後のあれは、練習したの? それとも偶然?」
「……まぁ、偶然9割ってとこモナね。以前ああいう虐殺方法を見て、そいつをちっと応用してみたモナよ」
「理屈は何でもいい!! とにかくトップのおつとめご苦労さん! 楽しかったよ!」

皆がまた盛大な拍手と声援を送ると、モナーは血まみれのチェーンソーを高々と上げて、運動場から下がっていった。

挿絵ちゃん:http://blog60.fc2.com/r/rootless/file/cruel1.png

848 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:35:12 [ dtI9ad1s ]

「……さぁーて、と」
モララーが意味ありげに笑うと、すーっと視線を動かす。
「……初っぱなからホームランクラスの代物でしたが、VIPの皆様は楽しんでいただけたでしょうか…?」
ねちっこい声色で、モララーがそう言うや否や
「ベビチャン!! ベビチャンベビチャンベビチャンベビチャァァァァン!!」

……VIP席の様子など、言わずと知れたもの。
五賢者のうち、ベビを殺された母親は、半狂乱ならぬ全狂乱とも言えるほどに泣き叫び
シスターしぃと残りの五賢者は、皆青ざめて何も言えずにいた。
「ベビチャァァァン!! オヘンジシテェェェ!! ベビぶっ!!?」
泣き叫んでばかりいる母しぃに業を煮やしたか、モララーは八頭身に母しぃの口をふさがせた。
「……誰も、晴れ舞台を終えたお子さんに声援を送ってくれだなんて言ってません。こっちは
 皆さんが満足できたかどうか聞いてるんです。……で、ご感想は?」
「……悪魔……!!」
シスターしぃ以下残りの五賢者は、皆が皆憎しみの籠もった視線をモララーにぶつける。
が、これも言うまでもないことだが……

「ほっほ。おぉい、モナーちゃん。聞いたかい!? 彼女たちは君のことを“悪魔”と呼んでくださったよ!」
「むほほほ! そりゃあありがたいお言葉モナよー!!」
……モララーが大声を上げると、すでに全身の返り血を落とし
元の真っ白な白衣に着替えたモナーが、それに答えて笑っていた。
「次は“魔王”なり“魔神”と呼ばれるように、もっと頑張るモナー!!」
そう言い返すとモナーは、満足げな表情をして観客席に腰を下ろした。

「……さて、もう一つ。今の印象が強すぎて忘れちゃうといけないので、今のうちに言っておくとしましょう」
唖然とした様子のしぃたちに向かって、モララーはゆっくりと指を指す。
「な、なに、……なに…よ……」
「決まってんじゃん。真多利の神様とやらはどうしたんだろうね?
 真多利神にとっては何よりも大切なはずの、五賢者のベビしぃちゃんがこうやってぶち殺されちゃったんだぞ?
 ……君たちは必死こいてお祈りしたはずなのに、………僕に、真多利神の天罰は下ったのかな……?」
そこまで言われてしぃたちは、ようやくはっとした顔をする。
「いやいや。何ともないね。もちろん張本人のモナーちゃんもまた然り。
 ……んっくくくく。……おやおやぁ?」
一方のモララーは、ますます下卑た笑顔を浮かべる。
「……ずいぶんと、薄情な神様ではありませんか。ねぇ?
 あなた方のお祈りが。足らなかった……? ……いやいや、真多利の神様は手を貸す気などない……?
 ……いやいやいや。………もしかしたら……………
 
 真多利の神様など、いないのではないでしょうかね?」

「な、な、な、な、な………」
モララーのこの台詞を聞くやいなや、連中の顔色が急変したのは言うまでもない。
「な、な、何を言い出すのッ!! この腐れ狸がッ!!! 事もあろうにそんなことをッッ!!!」
「マタリノカミサマヲボウトクスルナンテ!! ジゴクニオチロ! アクマ!!」
やはりというべきか、金切り声にも悲鳴にも聞こえる大声で騒ぎ立てる。

「いや、事もあろうに何て言ってるけどさ、事実じゃん。真多利の神様は来なかった。
 まぁこちらとしては、結果がどっちでもいいわけよ。真多利神が存在しなかろうが
 君らの祈りが単に届かなかったのか……。どっちにしても、僕らに実害はないわけだからね。
 ……さぁ、この調子で第二弾をいくとしますか。VIPのしぃ様方。
 …今度こそは真多利の神様が来るように、一生懸命、骨の髄からお祈りしてくださぁい! けっひゃひゃひゃひゃ!!」
「……………!!」
「さぁ! 第二弾は医療科学部門部長・ギコ!!」
「おうっ!! 待ちくたびれたぜッ!! ゴルァァッッ!!」
やはり皆の声援を背に受け、ギコはバットを包んだ袋を高々と上げる。

849 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:35:44 [ dtI9ad1s ]

「………ひゅー、っと」
ギコがVIP席の方をちらりと一別すると、一様にそこから睨みの視線が飛んでくる。
……流石にギコが出てきても、しぃたちは騒いだりはしなかったようだ。
「おう! VIP席の皆々様方よ! 俺も真多利の神さんとやらを拝んでみてぇんだ。そこのモララーじゃねぇけど
 ちゃんと神さんが召喚されるようにお祈りしてくれよな! ゴルァ!!」
「く……く………!」
ギコの口調は、まるで天罰が下るなどとは思っていない大胆不敵さがこもっている。
「さて、ところでギコ。君はどんなバットを……?」
「おう、お待たせお待たせ。こいつだよ」
ギコが包みを開けると、中からはなにやら大きなガラスの筒のようなものが出てきた。

「………、これは……?」
「見ての通り、ガラスの筒さ。もっとも中はがらんどうじゃねぇけどな」
「ん……?」
言われるがままにモララーがガラスバットを見ると、なるほど確かに
ガラスバットの中には、液体のようなものが詰められていた。
しかも、なぜか仕切りのようなものまでされている。

「ギコ、これは?」
「いや、仕切りがされてるとこからも分かると思うけど、中身は薬品でな。
 単体でも劇薬指定受けてるとんでもねぇ代物ばかりを、仕切りをして5つ6つ詰め込んである。
 このバットはガラス。それも砕けやすいように細工がしてある。
 ……この意味、分かるよな……?」
「な〜るほど〜」
モララーが、ぽんと手を叩いた。
「ベビしぃをバッティングしてガラスが割れれば、当然バットの中の薬品はそこで混ざる。
 ……言ってみりゃこれは、ある種のロシアンルーレットだね。
 でもさ、君の言ってることからすると、かなりヤバイ化学反応が起きるんじゃない?」
「その通り。一応中和や還元はしない組み合わせで詰めたつもりなんだが、実際どうなるかは俺でも分からん。
 ただ、かなりなことになるのは間違いないってことは分かるがな。……だから皆、座席をちょっと調べてくれ。
 防毒マスクを用意しておいた。もちろん俺もかぶる、と」

ギコの言葉に、皆が一様にぎょっとした表情を浮かべた。
「お、おいおい。ベビしぃは殺してもいいけど、僕たちにまで危害が及ぶのは……」
「心配ねぇよ。バッティングは観覧席を背にしてやるから問題ないし、風もそっちが風上だ。
 毒ガスなんかが発生してもそっちには行かないように、ちゃんと下調べはしてあるんだよ。
 まぁ、とは言っても万が一ってことがあるからな。マスクを用意しておいたんだ。だから皆も高をくくらずに
 俺が始めるときになったら、ちゃんとマスクはかぶってくれよ。仲間の葬式なんざしたかねぇからな」

「…………………………」
言われるまでもなく、まだかぶらずとも皆はマスクを手に取る。
もちろんVIP席の面々も、こちらは八頭身にもうマスクをかぶせられた。

850 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:36:07 [ dtI9ad1s ]

「……それと、モララー。一つ頼みがある」
「何だい?」
「いやな、こいつをベビしぃに投与してぇんだ」
ギコはそういうと、懐からアンプルを一つ取り出した。
蛍光色の、いかにも意味ありげな薬品だ。

「それ、何?」
「こないだ開発したての抗毒剤だ。まぁ抗毒剤っても、完全に毒を無効化するわけじゃなくて
 ちょいとばかし毒に対して耐性がつく程度の代物よ。ちょっとだけな」
「なるほどねぇ。なるほどねぇ」
モララーは分かった分かったというように、大きく何度も頷いた。
「もしかしたら化学反応で、即死クラスのとんでもない代物が出来あがっちまうかもしれない。
 ……それですぐ死なれちゃ、面白くないよね……」
「だからこいつがあるんだよ。なまじ毒に耐性がつくから、余計に毒を食らう羽目になる。
 ……その実験過程ではすげぇことになったからな。モララー、いいか?」
「いいも何も、……面白くなるなら何でも大歓迎さ!!」
「そんじゃ」
ギコは八頭身からベビしぃを受け取ると、その小さな尻に注射を打ち込む。
「チッ チィィッ!!」
「暴れんなよ。針が折れて余計に痛い思いするだけだからな」
何とかこの得体の知れない薬品を打ち込まれまいと、ベビしぃは必死こいて
逃げようと試みたが、初戦は子供、それも赤ん坊の力。大人には逆立ちしても勝てるはずがない。
彼女のささやかな抵抗もむなしく、アンプルは全て打ち込まれた……。

「チィィィィィーー!! チィッ チィィィ!!」
針の痛みかそれとも恐怖か、とにかく泣き叫ぶベビしぃだったが
それを抱えているギコの顔が、だんだんと険しくなっていった。
「チィチィチィチィうるせぇな。……ちったぁ違う反応できねーのか? これじゃモナーんときと変わんねーだろ……?
 ……いいか、泣くのをやめろ? こっちはやろうと思えば、お前に麻薬なりを打ってラリったところで
 吹っ飛ばしてもやれるんだぞ!? そうされたいか、あぁ!?」
「チィッ!! チィッ!! チィィ……ヂ!?」
「……うるせえって、言ってんだろ……?」

ベビしぃの鳴き声は、普通の虐殺者にとっては心地よい音色にしか聞こえないのだが
ギコにとっては神経を逆なでする音に感じられるようで、目をつり上げてベビしぃの首を締め始めた。
「ヂヂヂ……ヂビッ!? ゲベッ! ゲベッ!!」
「……ふん。大人しくしてりゃあ、余計な苦しみを味わわずに済んだものをよ……!」

……ギコの怒りにまかせた握力が、とうとうベビしぃの喉を潰したようで、ベビしぃは涙ながらに血反吐を吐き出した。
その光景に、思わず声を上げるものたちがいた。

851 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:36:38 [ dtI9ad1s ]

「ベ、ベビチャン!! オナガイ、ヤメテェェェ!!!」
……五賢者の中の、そのベビの母親が叫んだのは言うまでもないが
「お、おいおい、ギコ! バッティングの前に殺すのはマズイだろ!」
……モララー所長までもが見かねて、声を上げた。

だがしかしギコは、そんな所長に対して冷たい笑顔を投げかけた。
到底、激情に駆られただけの者が浮かべられる表情ではない。
「………心配しなさんなって、所長さんよ。俺は医療科学部門の統括者だぜ?
 こいつらの体のどの部分をどのくらいで潰せば死ぬか、また死なないか、んなこたぁ知り尽くしてるんだよ。
 今だってそうだぜ。俺はこいつの声帯を潰しただけで気管は塞いじゃいねぇ。呼吸するたびに激痛を感じるだろうが
 窒息死したり、この痛みだけでショック死したりすることはねぇよ」

……ちょっと前まで激情に駆られていたギコが、しかし冷静な面持ちで事に及んだと分かり
モララーの表情もほっと緩んだ。
「……やれやれ。余計な心配しちゃったじゃないか。しかしそのベビの声、すごくなったねー
 まるでガマガエルか何かの声みたいじゃない」
「ああよ。……あのベビしぃの甲高い金切り声、チィチィ泣き叫ぶあの声………
 ……医学部生だった頃から、いや、ガキの頃からあの声だけは誰がどう言おうと……、好きになれなかった。
 ………だから虐殺するときゃなるたけベビしぃ殺すのは避けてきたし、手に掛けることになっても
 真っ先に喉を切り裂いて、声が出ないように殺してきたもんだったが………
 ……久し振りだぜ。こうもこいつらに対して破壊衝動というか、殺意が溢れんばかりに沸いてきたのは、な。
 …………これで心おきなく、本当の意味で、バットを振るえそうだ………
 全員、死にたくなけりゃマスクをかぶれ!!」

ギコのその言葉にはじかれ、ボール以外の皆が一斉に足下のマスクを顔に装着した。
ギコはマスクに加えて、防護服のようなものを着込み始めた。

「さて、と………。みんなかぶったな………
 それじゃあみんな、上手くいくように願ってくれよ!」
……それに答えるべく、防毒マスクをかぶった面々が右腕を一斉に上げた。

852 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:37:14 [ dtI9ad1s ]

「………あー、ようやくあの金切り声が、頭ん中から消えてきた………
 あと、五賢者及び教祖の……、え〜と、シスターしぃって言ったっけ?
 ……真多利の神さんとやらは今度こそ、天罰を下してくれるんかね? これで奴さんシカトこいたら
 未来の真多利教の担い手を、二匹も見殺しにしたことになるからな。いやいや、それとも所長が言ったとおり………?
 まぁいいや。せいぜいあんたらは祈っててくださいませ、と。」

「……………………………」
それに対するVIP席の反応は、マスクでよく分からないが、どうせおそらく
今に見ていろだの身の程知らずだのと呟いているに違いない。
………さて、吠え面を掻くのはどちらになるでしょうか。
 
「……ようベビちゃん。そのガマガエルみてぇな声、よ〜く似合ってるぜ。
 まぁこれから、もっと聞くに堪えない声を上げる羽目になると思うけどな! ギコハハハハ!」

ギコはマスクの奥でにやりと笑うと、お決まりのフォームでベビしぃを宙に放り投げた。

「ギッ! ギギッ! ゴベッ!!」
……思えば、今回が初めてであろう。打たれる前から肉体的な苦痛を与えられた“ボール”は。
先に肉体的苦痛を与えられるというのは、ベビしぃにとっては全ての意味において利益はない。
…先のモナーなりモララーなりに吹っ飛ばされた“ボール”は、その意味では幸運だった。
生物というものは、恐怖すると本能的に筋肉を収縮し、身を丸める。つまり筋肉が鎧のようになって
打撃などに対しては、若干痛みが減るのだ。
……もちろんモナーの場合は結果的に意味はなかったが、あれが打たれた際に意識不明の状態であったら
最初からもっとすさまじいことになっていただろう。筋肉の収縮というものは馬鹿に出来ないのだ。

さて、話を戻すと、今回のベビしぃはまさにその意味では最悪だった。
何分ギコに潰された喉が、やはり彼の言ったとおり呼吸するたびに激痛が走る。
激痛を避けたいなら呼吸を止めればいいのだが、呼吸を何分も止めていられる陸上生物など、そうそういない。
ましてやベビしぃは恐怖状態。アドレナリンの分泌で、むしろ呼吸が速まるくらいなのだ。

速まる呼吸。呼吸のたびに走る激痛。
……とてもではないが、筋肉を固めている余裕などないわけで……
つまりそれは、ギコのガラスバットの威力を、100%から120%にしてしまうわけで………

853 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:37:36 [ dtI9ad1s ]



ご し ゃ っ


.

854 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:38:02 [ dtI9ad1s ]

……ギコのガラス試験管バットは、ベビしぃに当たった方のちょうど半面がきれいに砕けた。
やはり筋肉の鎧がないベビしぃの腹には、そのガラスの破片が今まで以上に深々と突き刺さり……
そして同時にあふれ出た薬品が、体の、文字通りに奥深くまで浸透することを意味する。

じゅわあああああああ

……何かしらの酸が反応したのだろう。ベビしぃの体から酸の音と煙が立ち上り始めた。
「………あれが出てきたって事は…、あれの入った面が潰れたってことは………
 おやおや。多分二重の地獄を味わう羽目になるだろうな。いや、もっとか……?」
ギコがにやにや笑いをすると、宙を飛んでいたベビしぃが地面に着地した。
相変わらずじゅうじゅうと酸が彼女の体を焼く音がするが、いや、それだけではない。
………ベビしぃの様子がおかしい。喉を押さえてばたばたとのたうっている。

いや、別に吹っ飛ばされる前から、ベビしぃはギコに喉を潰されていたのだから
それは不思議ではないように思えるが、そうではない。
…その、喉を押さえて暴れる様が尋常ではない。目を真っ赤に血走らせ、舌があり得ないくらいの長さまで口の外に伸び
加えて金魚のようにくちをぱくぱくとさせて、さらには失禁、喉をかきむしり始めた。

……誰が見ても明らかな、窒息状態だった。

「………これは、どうなってるんだ……?」
モララー以下ギャラリーの面々が身を乗り出してベビしぃを眺めだすと、ギコは小さく笑い出す。
「……よりによって、結構な貧乏くじ引いちまったみてえだな。皆、間違ってもマスク外すなよ
 今この場には、青酸ガスが発生してるからな……」
「せ、せいさん……!?」
何かしらの窒息性ガスが発生しているだろうことは分かり切っていたが、それでも
猛毒の代名詞とも言える「青酸」の名前を耳にして、ギコを除いた一同からどよめきが上がる。

「……青酸ガスの製法は色々あるんだが、どいつもこいつもややこしい方法でな。
 今回俺が使った、シアン化ナトリウム(青酸ソーダ)と硫酸を混ぜて作るのが、こういう意味では一番簡単なんだよ。
 しかも薬品がぶっかかるから、硫酸が体を焼くしな」
「でもさ、ギコ。そのベビには……、液体だった青酸ソーダもかかって……ガラスや硫酸で出来た傷口から
 体内に侵入しているはずだから、それで青酸の毒性は発揮できてるわけだ。
 ……わざわざ、青酸ガスを発生させる意味は?」
「たしかによ、液状のシアン化ナトリウムがそいつの傷口から直で血中に侵入。普通なら
 ものの数秒でお陀仏なんだが、それじゃ物足りねぇ。もっと苦しみを味わわせないと駄目なんだよ。」
「と、言うと……?」
「こいつにはさっき抗毒剤を打ち込んであるから、このシアン化ナトリウムの毒性だけじゃ死ねないようになっている。
 あれの毒性だけだと、せいぜい今のこいつに呼吸困難を起こさせる程度の威力でしかなくなるんだ。
 まぁ、それでも充分なんだが………、なぁ所長。あんたさ、青酸ガス吸った死体を解剖したことあるか?」
「え、あ、ああ。それは…………… あ。
 ……はははは。なるほど、そういうことか。二重の苦しみとはなかなかエグいまねをするな」
何が分かったのか、モララーがいきなり不敵に笑い出した。
「そう、お分かりのようだな。そうなんだよな。
 ……青酸ガスを吸うと、気管支なり場合によっては食道が、めちゃくちゃ爛れるんだよ。
 もう本当に酷いものになると、焼けた石ころでも飲み込んだんじゃないかって思うくらいに酷ぇ爛れを起こす。
 ……と、いうわけ。さっきこいつの声帯も潰したから、呼吸のたびに痛むのはすでに分かっていることで
 それに次いで今、あいつの体の周りや上では、シアン化ナトリウムと硫酸がすげぇ勢いで化学反応起こしてる。
 つまり高濃度の青酸ガスが、あいつが息をしようとする度に、タップリと気管支等に吸い込まれていくわけだから……
 もう今は、どれぐらい凄まじいことになってるやら。文字通りに空気が触れただけでも痛むんじゃねぇかな?
 ま、そうでないにしても、青酸をどんどん体に取り込んでるから、長くはねぇだろーな。硫酸も体を焼いてるんだし」
講釈を終えたギコが、ゆるりとベビしぃの方を向く。

855 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:38:33 [ dtI9ad1s ]

「ケピャッ! ……コブゥッ…! ガガ……ゲボ……!」
「……青酸が呼吸酵素を阻害してっからな。今のこいつは完全な酸欠状態、あとどれだけもつか……」
生物が呼吸を我慢していられる時間など、それほど長いものではない。
しかもベビしぃは水中にいるわけではなく、呼吸が制限されているわけでもない陸上にいるわけだから
苦しければ、体は本能的に呼吸しようとしてしまう。しかし、それこそ悪夢の袋小路。
息をしようとする度に、ずきりと激痛が走る。体の中から焼けるような痛みが走る。しかも
いくら吸えども楽にはならない。それどころか毒を吸い込んでいるのだから、ますます苦しくなる。

「……あ〜あ、見ちゃいらんねぇな」
ギコがやれやれといった様子で、首を横に振る。
彼女は尚も死ねず、風前の何とやらで何とか生き続けていた。

元はエメラルドグリーンだったオメメは、今や完全な血の色で真っ赤になり
可愛らしく微笑んでいたお口は、今や醜く牙を剥き出し、よだれや血反吐を垂れ流す穴としての役割だけ。
硫酸で焼けただれただけなく、己が血反吐やよだれで湿って泥となった地面の上を転げ回り、見るも汚らしくなった毛皮。
黄色い液体だけでなく、茶色の固形物まで垂れ流し始め………

「ガフッ」

そして、死んだ。


その姿は、彼女が死後どんな世界に行かされるのか……それを言わずとも明確に示していた。

「ベビチャアアアアアアアアアアンンンン!!!!」
母親が叫ぶ、叫ぶ。その横にいた、先ほど自分のベビをぶち殺された五賢者しぃも泣く泣く。
だがしかし、彼女たちが哀れでならない。まだ似たような苦しみが、第三、第四、第五と襲いかかってくるのだから


……死してなお、一部の内臓器官は動いているのだろう。ベビしぃの死体は時折、びくびくと痙攣を繰り返していた。

「……なぁ所長。すげぇな。想像できるか? これが、しぃ族の中では一応位が高いと言える
『真多利教』の未来の幹部様のお姿だぜ? こ〜んなすげぇベビしぃがだぜ? ……く、くく……」
ギコはマスクの奥で、鳩の鳴き声のような小さな笑い声を漏らす。

挿絵ちゃん:http://blog60.fc2.com/r/rootless/file/cruel2.png

856 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:39:21 [ dtI9ad1s ]

すると、それにつられてモララーも………
「……いやいや、彼らの教典の中では、これこそが神聖な姿なのでしょうね。
 よだれ鼻水をまき散らし、いやいやそれに止まらず、糞小便も垂れ流し、目を真っ赤に血走らせ……
 これこそが真多利教の、未来の姿なのでしょう………、くく……くくくく……!」
「「ぎゃはははははは!!」」
ギコとモララーはお互いベビしぃに目をやって、見つめ合うと大笑いを始める。
いや、それはもちろんこの二人だけに留まらず、ギャラリー一同がやはり吊られて大笑いをする。
そんな中、モララーはやはり大笑いしながら………
「ははははは……! と! どうですか、シスターしぃ様方! 五賢者のベビの二匹目が殺されたってのに
 また今回も、真多利の神様は何もしませんでしたね!! うひゃははははは!!
 い〜い加減、認めちゃったらどうなんです? 真多利の神様なんてのは………」
「うるさいッ!!! 黙れ黙れ黙れッッッ!!!」
モララーの言葉に、シスターしぃは首をぶんぶんと横に振る。
「はははははは!! 全く頑固者ですねぇ、あんたって猫は! ふふふ………」
モララーは大笑いをやめると、呼吸を整えるように息を吐き出した。
「……でもさ、これでも君は……、まだ真多利の神なんてもんを信じるの? 君は言ってたろ?
 真多利神は“開祖の君や五賢者、その子孫たちが危機に陥ったらすぐに救いに現れる”ってさ。
 ……いい加減君も馬鹿じゃないから、気付いてるはずだろ? ねぇ?」
「違う違う違う!! お前なんかが真多利の神を語るな!! お前なんかに何が分かる!!
 真多利神は絶対にいらっしゃる!! 私はお前なんかには絶対に屈しない!! 絶対にだッッ!!」
「あっそ。……別にいいよ。どうせ君をそう簡単に落とせるとは思ってないからね。
 ……ねぇ、五賢者さん?」
するとモララーは突然、シスターしぃから五賢者の方へと視線を移した。
「………?」
「……君たちに一つ、言っておきたいことがあるんだよ。
 悲しいことに、君らの子供たちの何人かは死んでしまった。そこで考えてほしい。
 そこの教祖さんは、さっきから壊れたラジオみたいに同じ事言ってるね。“真多利神は絶対にいる”ってさ。
 だけどさ、こうも言ってたのよ。“真多利神は教祖や五賢者やその子孫に危害が加えられれば、直ちに降臨する”ってね。
 ………で、ここだ。よ〜く考えろ? 特にまだ自分のベビが生き残っている五賢者さん。よ〜く、ね。
 ……さっき僕が言ったことだけど、神様……、来てくれた? 来てないよね? うっふふふふ‥‥!!」
「………!!」
五賢者の何匹かが、息をのんだ。
「気付いたみたいだね。まぁそういうことさ。君たちの考え方次第では、こちらとしても今後の対応が変わってくるからね……。
 くっくくくく…… つまり、その壊れたラジオに味方して、いつ来るか分からない神様に期待するか
 ……それとも、君らが考えを改めるなら…。……お考え下さいませ。くふふふ………!!」
「!!」

五賢者たちの表情が、やはり変化したのは言うまでもない。
「ネ、ネェ、イマノッテ……、ドウイウコトヨ? モララーハモシカシテ、マサカ……」
「だめ! 絶対にあいつの言うことなんか聞いちゃだめ!! 悪魔の甘言に耳を貸さないで!!」
「デ、デモ、カンガエナオセバ……」
「そうやってあいつらの甘い言葉に騙されて、どれだけのしぃ族が殺されたと思うの!?
 あれは悪魔の誘惑!! そんなものに騙されないで、真多利の神を信じるの!! 真多利の神は……
 真多利の神は………!」
「マタリノ、カミサマ…………」
しかしいくらシスターしぃが声を張り上げても、五賢者しぃたちの動揺は隠せない様子。
このゲームが始まる前は、シスターしぃの“真多利神”の鶴の一声で鎮まったというのに……

857 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/09/29(金) 21:39:41 [ dtI9ad1s ]


「…………所詮は、こんなもんでしょ」
VIP席の中で始まった、少々の混乱、騒ぎ。それを見てギコとモララーが楽しそうな顔で話をする。
「元々の奴らの性格が日和見主義的だからな。どんなに強固に見える結束だって、筋が通ってるわけじゃない。
 こっちがちょいと筋を通したことをしてやりゃ、簡単なこと………
 ……まぁ、もうちょっとはもちそうだな」
「そうでないと困る。だってボールはまだ3個も残ってるんだ。それに残り3部門の面々も
 こんなところで終わらされちゃあ、消化不良ってもんでしょ。……ときにギコ。
 そろそろイカれてくる五賢者が出てくるかも知れないから、頼むよ」
「あーよ。全員最後まで正気を保ったままにしておいてやる。心配しなさんな」
ギコが手を挙げると、同じく白衣を着たAAが何人か、VIP席の方へと向かった。
VIP席に着くやいなや、その白衣AAたちは我が子を殺され、泣き叫んでいる五賢者しぃの背後に立つと
頭を抑え、何かの注射を打ち込んだ。

途端に彼女たちは泣きやみ、目つきがしっかりとしてきた。
「……強めの精神安定剤その他諸々だよ。プロの医師が見守って、危険だと判断したら随時薬を打つからね。
 発狂はさせません。せっかくのショーなんだ。最後まで見てくれないとね……
 それに祈ってくれないと、真多利神さん来ないよ? くっくくくく……!!
 さぁ、第三バッターの召喚と行きますか。次は…………」

地獄は、まだ続く。

858 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/10/01(日) 11:01:35 [ 9Dd54FyE ]
モラバエとしぃ 痛 中編

「僕は仮面モライダー、ゴットだ!!」
エイッとばかりに、部屋にある花々に飛び移り、
ポカポカと叩き始めた。
父モラバエは半分あきれ返ったような顔をした。

しかし、嬉しかった。
知っているのだ。
この子にベビバエの死は理解できていないが、
父親が悲しんでいるのは理解できている。
彼は、平素よりも激しく植物を叩きながら、
ちらちらと俺の表情をうかがっているのだ。
勿論、そんなことはすぐに気づいた。
しかし、必死な自分の息子を見ていると、
自然と微笑みが浮かんできた。
「俺は仮面モライダー g3だ!!」
傍から見れば基地外な言葉を吐きつつ、
父モラバエは息子に続き、植物に飛び掛っていった。

しかし、
反撃が来るとは誰も予想していなかった。

859 名前:鎌切 投稿日:2006/10/09(月) 22:18:39 [ BpyyZHHQ ]
「暗闇のしぃ」

私は何をしていたのだろう

暗い深夜の中で思う
当たり一面に羊水や血がおびただしいほどにある
顔中汗びっしょりで、手も足も濡れていた
ふと股間を見ると、細い管のような物が出ている
その先に目をやればピンク色の塊が力無く動いていた

ああ、そうだ。子供を産んだのだ・・・。

まだ放心している頭の中で、私は答えを見つけた

860 名前:鎌切 投稿日:2006/10/09(月) 22:40:45 [ BpyyZHHQ ]
「暗闇のしぃ」 第弐話「過去」

小さい頃から家は裕福ではなかった
母は父からの暴力に耐えられず、とっくの昔に家を飛び出し
私は父と二人で暮らしていた
父は仕事もせず、反省するどころかますます荒れていき
私は学校すらまともに行けない状況だった

そして、ある事件が起きた。

まだ中学生の私が学校から帰宅し夜ご飯を食べ、
シャワーを浴びていた時だった
どこからか視線を感じ、不審に思ったが気のせいだろうと
その時は思い、早めに浴室を出て床についた

私が間もなく睡魔にさらされようとしていた所、こちらに向かってくる足音が聞こえた
暗闇でよく分からなかったが、その足音の主が部屋に入ってきた

父だ。
でも何故こんな時間に?

そんな事を思っている時父はいきなり私に抱きついてきた

861 名前:鎌切 投稿日:2006/10/09(月) 23:00:12 [ BpyyZHHQ ]
「暗闇のしぃ」 第参話「衝撃」

状況がわからない、全くわからない
頭の整理がつかない一方で、父は私の服を脱がしてきた
私はハッとして、すぐに父に抵抗した

「いやぁ!お父さんやめてぇぇ!!」

じたばたと抵抗したが父はそんな私の腕を難なく掴み
片手で両腕を強く握り固定した

「離して!!こんなのいや!いやぁぁぁぁ!!」

「うるせんだよ!!ゴラァァァ!!」

父は私の頬を殴った
私がひるんでいるその間に服を次々と脱がしていき、最後は下着まで剥がした
ここまで来るといったい何がしたいのか分かってくる

父は今ここで私を犯そうとしている
父がズボンと下着を一気にずらし己自身を取り出した
「いやぁ・・・やめて・・お願い、お父さん」

私の悲痛の声に耳も貸さず、父は自分の欲望の塊を私に打ち込んだ

862 名前:鎌切 投稿日:2006/10/09(月) 23:20:04 [ BpyyZHHQ ]
「暗闇としぃ」 第四話「近親相姦」

「いやぁぁぁぁぁ!!痛いぃぃ!!!」

ろくに慣らしもせずに入れられた為、
処女である私はあまりの痛さに絶叫した
そんな事に目もくれず、父は構わず激しく腰を動かし欲望を打ち続けた

「痛いよぉ・・・痛いよぉ・・・助けてお母さん・・・」

「馬鹿、あんなヤリマンのアホしぃ
 今頃俺たち見たいに他の奴と交尾してるさ」

そんな言葉を聞けるのがやっとの私に、
父は間も無く絶頂を迎えようとしていた

「はっ・・へへ、そろそろ逝きそうだぜ
 おい、しぃ美。今からお前の中に出してやるよ」

そういうと父はもっと激しく突いてきた
私もついに喘いでしまい、二人同時に逝ってしまった

「きゃうん!!」

「うっ!!」

ドクッ!!ドクッ!!

私の中に生暖かい物が注ぎ込まれた
父がずるりと己を引き出せば、同時に中から白いものが溢れてきた

「へへっ、お前のは締りがなかなか良かったぜ
 これだけじゃ終わらないからな、覚悟しとけよ」

そういうと父はズボンを履き部屋から出て行った

    


ぼろきれのような私を残して

863 名前:鎌切 投稿日:2006/10/10(火) 21:33:01 [ w32y026w ]
「暗闇のしぃ」 第五話「焦り」

あの悪夢のような出来事からやっと朝が来た。

父にレイプされた。恋人でもないのに。親子なのに。

秘部からはその地獄のような行為を物語るかのように酷く出血していた
めくるめく記憶の中から一つの不安を見つけた
そういえば父は私の中で絶頂を迎えていた
なら、妊娠したのではないだろうか?
やっと思考がハッキリしてきた私は真っ青になった

まさかと思い、私は急いで服を身に付け走って薬局に向かった
まだ九時を回ったばかりなので
店が開いているかどうかも分からなかったが、夢中に走った

幸い店は開いていた。
私は夢中に妊娠判定テスターを手に取り、
店の亭主であるモナーに手渡した

こんな朝早くから、しかも急いで来てまで・・・
モナーは何故?と不審には思ったが、
特に問い詰めもせずしぃ美から金を受け取ると袋に入れ渡した

すぐに自宅に戻り、トイレの中で判定をする
テスターは念のため3本は買っておいた。いつかまた犯された時の為に
私はテスターの判定を待った

結果は幸いにも妊娠はしていなかった
ホッとしたのもつかの間、ドアの外には父が様子を伺うかのように立っていた。

        

       
           あの時と同じ鬼のような顔で

864 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/10/12(木) 16:53:37 [ /hLuN2Sc ]
01/10
               一期一会 −帰り道−


「ご馳走様アヒャー、また来るアヒャ。」
 お昼が少し過ぎた頃、商店街の一角にある小さな食堂から、一人の子供が
出てきました。
 其の子の名はアーヒャレスト。12,3歳くらいの、アヒャ種の子供です。
 アーヒャレストは、何時もの食堂で、何時もどおりにお昼ご飯を食べたので、
これから、いつもの様に家に帰ります。
 美味しいご飯をおなかいっぱい食べて、アーヒャレストはご機嫌ですから、
足取りはとても軽やかで、顔はとびきりの笑顔でした。ずらりと並んだお店の
ショーウィンドウに、面白そうな物を見つけては立ち止まりながら、たくさんの
AA達の間を縫って、歩いて行きます。
 たくさん立ち止まった中の一つ、電気屋さんの店頭のテレビには、ぴしっと背広を着た
モララー種のアナウンサーが映っていて、こんなニュースを、一生懸命伝えていました。

『今朝、モラノシティで、歩道橋からしぃ種の老婆が突き落とされ、死亡するという
 事件が起きました。K察では、無差別殺人事件として、目撃情報を元に、容疑者の
 捜索に力を注いでいます。目撃者の話によると、犯人の特徴は…』

「アッヒャー……なんか大変そうアヒャな。」
アーヒャレストはまだ子供ですから、ニュースなんて、難しくて判らないので、
ちょっと首をかしげて、今度は、少し遠くにちらりと見えた刃物屋さんの前で立ち止まるために、
また歩き始めました。

865 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/10/12(木) 16:54:10 [ /hLuN2Sc ]
02/10

 刃物屋さんの、綺麗に磨かれたショーウィンドウには、ギラギラ光る包丁が、
几帳面に、大きさや種類ごとに分けて並べられています。
 アーヒャレストは、綺麗な物が大好きなので、その夢の様なショーウィンドウを、
暫く、じーっと見つめていました。
「よう!ボウズ、何か入用か?ゴルァ!」
アーヒャレストが、あまりにも熱心に見つめているものですから、店主さんらしい、
威勢の良さそうなフサギコ種の男の人が、お店の中から出て来ました。
「綺麗な包丁が、たくさんあるアヒャから、見てたアヒャ」
ちょっと店主さんを見て、すぐまた、たくさん並んだ包丁を見つめながら、
アーヒャレストが頷きました。包丁の光が映りこみ、アーヒャレストの金色の瞳が、
ギラリ、と、刃物と同じように光ります。
「ギコハハハハ!嬉しい事言ってくれんじゃねえの、ボウズ!
 ついでに、一本買っていかねえか?これなんかよく切れるぞ、ゴルァ!」
店主さんはそう言うと、棚の上のほうから、細長い包丁を取り出しました。
それは、他の包丁と比べても、一際ギラギラと光っている、刺身包丁でした。
 アーヒャレストの眼が、今度は何の光も映りこんでいないのに、キラキラ輝きます。
その様子を、店主さんがじっと見つめていました。
「アッヒャー!それ、欲しいアヒャ!買うアヒャ、いくらアヒャ?」
「鞘付きで7500DQNだ、ゴルァ!」
ポケットの中のお財布を取り出しながら、捲くし立てるみたく訊ねるアーヒャレストに、
アーヒャレストの金色の瞳に見とれていた店主さんが、はっとしながら、答えました。

866 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/10/12(木) 16:54:37 [ /hLuN2Sc ]
03/10

 アーヒャレストは何時も、あまり沢山のお金を持ち歩いたりしないのですが、
今日はたまたま、何時もより余計にお金を持っていましたので、それくらいなら
払うことができました。
 お財布の中から、1000DQN札を7枚と、500DQN玉を取り出すと、
店主さんに、勢いよく差し出します。
「これで足りるアヒャな!」
「おう、まいどありだ、ゴルァ!」
店主さんは、お金を数えて、ちゃんと足りているのを確かめると、傍の机の上に
たくさん置いてある鞘から、刺身包丁にピッタリなサイズの、真っ黒な革製の鞘を選び、
それを包丁と一緒に、アーヒャレストに渡しました。
「アヒャァ……。ありがとう、アヒャ!」
アーヒャレストは、暫く、ギラギラ光る刺身包丁をうっとりと眺めてから、貰った鞘に納め、
ズボンのベルトの、最初から持っている大ぶりの出刃包丁の横に大切に仕舞うと、
店主さんにお礼を言って、今までよりもっと、軽やかでご機嫌な足取りで、
また歩き始めました。
「ギコハハ!こっちこそだゴルァ!また来てくれよな!」
店主さんは、アーヒャレストが見えなくなるまで、手を振りながら見送っていました。

 アーヒャレストが見えなくなると、店主さんは、
『御用の方は呼び鈴を鳴らしてください』
と書かれた、木で出来た看板を立てかけてから、店の奥へ戻って行き、電話機の前に
立ちました。そして、受話器を取り、電話をかけました。
「あー、もしもし、ツーレゲイト?ツーレ……留守か。帰ってきたら、至急電話をくれ。
 とんでもない物を見つけたかもしれないでな」

867 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/10/12(木) 16:54:51 [ /hLuN2Sc ]
04/10

 アーヒャレストはそれから、一度も立ち止まらないで、商店街の終わりまで歩きました。
商店街が終わってしまうと、其処からは、とても大きくて綺麗な道になります。
 此処からはずっとずっと真っ直ぐ、その道に沿って歩いて行くと、アーヒャレストは
夕方までに、自分の家にたどり着くことが出来るのですが、何時も同じ道ではやっぱり
飽きてしまうので、今日は少し遠回りになるけれど、大通りの脇の、車も人も滅多に
通らない、小さな脇道を歩くことにしました。
 脇道は、大きな道からはほとんど見えない、綺麗な川に沿って続いていて、とても
自然が多いので、アーヒャレストは、この道もお気に入りでした。特に、春になると
たくさんの花や、緑の葉っぱに覆われて、とても気持ちいいので、春が一番お気に入り
なのです。そして今は春ですから、やっぱり、脇道は綺麗な花がたくさん咲いていて、
緑もたくさんあったので、とても気持ちよく歩けました。
 アスファルトで舗装されていませんので、雨上がりだと、大きな水溜りができるのですが、
最近はずっと、いい天気が続いているので、水溜りもありませんでした。
 アーヒャレストはこの道を歩くとき、何時もよりゆっくり歩くことにしています。
ゆっくり歩いたほうが気持ちいいし、たくさん、花や川の魚を見られるからです。
だから、今日もゆっくり歩きました。

868 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/10/12(木) 16:55:08 [ /hLuN2Sc ]
05/10

 しばらく、道端に咲いているたんぽぽを見たり、たくさん葉っぱをつけて、青々とした
樹を眺めたりしながら歩いて行くと、一人のしぃ種の女の子……ちびしぃちゃん、
というには、まだちょっと小さな、よちよち歩きを卒業したくらいのベビしぃちゃんが、
道の反対側から、目を擦りながら歩いてきました。
 アーヒャレストは、そのベビしぃちゃんが泣いているのだと思いました。
「どうしたアヒャー?」
自分よりずっと小さい子が泣いているのに、放っておくことなんて出来ませんので、
アーヒャレストは、歩いてくるベビしぃちゃんへ、声をかけてあげました。
ベビしぃちゃんが顔をあげると、やっぱり泣いていたようで、眼が赤く、ちょっと
腫れていました。
「チィ?」
ベビしぃちゃんは、かわいい桃色の靴を履いた両足をそろえて立ち止まると、
丸い緑のオメメでアーヒャレストを見上げ、かくん、と首を傾げました。
「どうしたアヒャ?何か悲しいことでもあったアヒャか?」
アーヒャレストは、キョトンとしているベビしぃちゃんへ、もう一度、同じ事を
聞きました。けれど、どうやら嫌なことがあったわけではないらしく、ベビしぃは、
かしげていた首を、今度はふるふる、と横にふっています。
「アヒャー、じゃあ、なんで泣いてたアヒャか?」
悲しいことも無いのに泣いているAAなんて、アーヒャレストは見たことがありません
でしたので、ますます不思議になって、ベビしぃちゃんの背の高さに合わせてしゃがむと、
今度は、自分が首を傾げます。
 ベビしぃは、しばらくうつむいていましたが、小さな、可愛らしい声でこう言いました。
「チィ、カフンショウ、ナンデチュヨゥ。オメメ、カユクテ、ナミダモ、イパーイ、ナンデチュ」

869 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/10/12(木) 16:55:22 [ /hLuN2Sc ]
06/10

 アーヒャレストは、花粉症ではありませんでしたが、このベビしぃを見ているだけで、
花粉症と言うものがどれだけ辛いのか、何となくですが、判りました。ですから、
アーヒャレストは、何とかこのベビしぃちゃんを、助けてあげたくなりました。
「それは可哀想アヒャな。かゆいのは、オメメだけアヒャか?」
「ソウデチュヨゥ。デモ、オハナモ、ムズムズ、スルデチュ。」
アーヒャレストが聞くと、ベビしぃちゃんは、そう答え、ふわふわした耳を揺らして
コクコク頷きます。その様子を満足そうに見て、ニッコリと笑顔を浮かべながら、
アーヒャレストは、ベビしぃちゃんの小さな肩に、ぽん、と手を乗せました。
 そして、さっき買ったばかりの包丁を、ベビしぃちゃんの、まんまるな右のオメメに
突き刺しました。ズブッ、という音がして、ベビしぃちゃんのオメメから、真っ赤な血と
なんだか透明な、ちょっとプルプルした物が、にゅるにゅると出てきました。
 アーヒャレストは、さっきの笑顔より、もっともっと楽しそうな笑顔を
浮かべました。包丁に反射したお日様の光が映りこみ、アーヒャレストの瞳が、
ギラギラと輝きました。

870 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/10/12(木) 16:55:43 [ /hLuN2Sc ]
07/10

「イ...イヂャァアァア゙アア゙ーーーーーーー!!イヂャァァアア゙ァァアア゙ーーーーーー!!」
 ベビしぃちゃんは、ほんのちょっとの間だけ、きょとんとしていましたが、すぐに、
駄々をこねるみたいに寝そべり、小さな手足をばたばたさせて、右のオメメからは、
なんだかよく判らないものを、左のオメメからは、大粒の涙をぽろぽろと流しながら、
可愛らしい顔をグシャグシャにゆがめて、大きな声で叫び始めました。
「アーッヒャッヒャッヒャッ!!オメメがかゆいって事は、オメメが無くなったら、
 かゆくないって事アヒャ!良かったアヒャなァーッヒャッヒャッヒャァッ!」
アーヒャレストも、元気よく叫んでいるベビしぃちゃんに負けないように、大笑いしながら
言い、包丁を上手に動かし、ベビしぃちゃんのオメメをくるん、とくり貫き、繋がっている、
赤いヒモのような神経をプツッ、と切ってあげました。すると、負けず嫌いのベビしぃちゃんが、
もっともっと大きな声で叫び始めました。
 アーヒャレストは、手まりにでもなったように、コロコロ転がるベビしぃちゃんを
追いかけて捕まえると、花粉症で鼻水がダラダラ流れている、きれいなピンク色の
鼻を、やさしく摘みました。
「イチャア゙ヨォーーー!! モ゙ウイヤァ!ハダジデェーー!」
その途端、ベビしぃちゃんが、さっきよりもっと、ばたばたし始めます。
アーヒャレストは、少しだけ困った顔をしましたが、ベビしぃちゃんは、まだまだ
小さいので、それくらい仕方ないか、と諦めることにしました。
「アッヒャァ……そんなに急かさなくても、大丈夫アヒャ!ムズムズするオハナも、
 ちゃんと取ってあげるアヒャから!」
だだをこねるかわいらしい妹を、なんとかなだめようとするお兄ちゃんの顔をしながら、
包丁に刺さったままになっていた、さっきまで、かゆくなってはベビしぃちゃんを
悩ませていた、緑のオメメを、やわらかい緑の草の上にちょんと置いてから、
その包丁をベビしぃちゃんの鼻の近くへ持ってゆくと、そのまま、勢いに任せて、
ザックリと、今までずっとムズムズしていた、ベビしぃちゃんの鼻を切り落とします。

871 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/10/12(木) 16:55:57 [ /hLuN2Sc ]
08/10

「ギヂャァァァア゙ァア゙ア゙ア゙アァァア゙! アアア゙アァァア!」
ベビしぃちゃんは、オハナのムズムズがなくなって、よほど嬉しかったのか、
これ以上大きな声で叫べる子はいないでしょうほど、大声で叫びました。
「アーッヒャァ!良かったアヒャなあ、これでもう、花粉症で悩む事は無いアヒャ!
 目がかゆくなる事も無いし、鼻がムズムズする事も無いアヒャ!」
アーヒャレストも、嬉しそうに笑うと、切り取った鼻を、さっきくり貫いた目の横に
ちょこんと置いて、ベビしぃちゃんの、血や涙、それに鼻水でべたべたに汚れて
すっかり変わってしまった顔を、満足そうに見つめました。
「ギヂィ..チィ、コンナノ、イヤァヨォ...」
けれど、ベビしぃちゃんは、あまり嬉しそうではありません。ベビしぃちゃんの
かゆいオメメがまだ、片方残っているのですから、それも当たり前かも知れません。
 それに気付くと、アーヒャレストは慌てて、もう血や脂をふき取って、仕舞おうと
していた包丁を、もう一度握りなおしました。ベビしぃちゃんの、残っているほうの
目から、またボロボロと涙が溢れ始めました。
「モ、モウヤァ...! ヤメテクダチャイヨォ...」
「アーッヒャァ!ごめんごめん、忘れる所だったアヒャ!遠慮なんていらないアヒャ、
 さあ、ほらアーッヒャッヒャッヒャアーッ!」
アーヒャレストが、もう片方のオメメの事を、すっかり忘れてしまっていた事に
ベビしぃちゃんは、少し腹を立てていたようですが、自分が忘れてしまったことが
いけないと分かっているので、アーヒャレストは、あまり気にしませんでした。
ですから、きちんと謝った後で、仰向けに寝転がっているベビしぃちゃんの、
残っている左のオメメに、しっかりと包丁を突き刺す事にしました。

872 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/10/12(木) 16:56:19 [ /hLuN2Sc ]
09/10

「ギヂッ!?」
アーヒャレストが、上からしっかり体重をかけて突き刺したものですから、
ベビしぃちゃんの頭の中にまで、包丁の先っぽが届いてしまったようです。
包丁が頭の中に入った瞬間、べびしぃちゃんは、ビクンと跳びはねるようにして
両手足をお空に向けて、大きく開いた口から、真っ白な泡と涎を一緒に噴き出しながら、
ガクガクと震え始めました。
「アーッヒャヒャヒャッ!これで完璧アヒャ!花粉症がなくなって、良かったアヒャなぁ!」
アーヒャレストは、まだガクガク動いている、ベビしぃちゃんの左目を抉りぬくと、
さっき置いておいた右目と鼻と同じ場所に、コロコロと転がしました。コロコロ転がった左目は、
こつん、と右目に当たって、今度は右目が、コロコロと少し転がりました。
「じゃあ、オレは手を洗ったら帰るアヒャ。ベビちゃんも気をつけて帰るアヒャよー!」
そう言って、ベビしぃちゃんの頭を優しくポンポン、と撫でてあげてから、アーヒャレストは、
柵を越えて土手を降り、下の川へと歩いて行きました。

873 名前:樹氷 ◆DARK.45KBw 投稿日:2006/10/12(木) 16:56:41 [ /hLuN2Sc ]
10/10

「おーい、シィラ!シィラ、何処だ!?」
「シィラチャーン、居タラ、オ返事シテチョウダイ!」
ようやく、ベビしぃちゃんがガクガクするのをやめた頃、大きな声で誰かを呼びながら、
ギコ種の男の人と、しぃ種の女の人が、さっき、ベビしぃちゃんが歩いてきたほうから、
大慌てで走ってきました。そして、ベビしぃちゃんが居る所まで来ると、急に、とても
驚いた顔をして立ち止まりました。
「こ、これは……!!」
「シ、シィラ、チャン....?」
それもそのはずです。ベビしぃちゃんの可愛いお顔は、両目と鼻がなくなって、ずいぶんと
変わってしまっていましたし、雨が降っていないので、水溜りなんて無いはずの道には、
真っ赤な血だまりがいくつか出来上がっていて、その上、べびしぃちゃんから
少し離れた場所には、目玉が二つと、小さな鼻も転がっていたのですから。
 その上、この二人は、このベビしぃちゃんのお父さんと、お母さんなのですから。

 アーヒャレストは、もう手も包丁も綺麗に洗い終わって、歩いて行った後でした。
もう、曲がりくねった道の、ずっとずっと先へ行ってしまった後でした。


                 −帰り道 おわり−


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

ずいぶん前の続きのつもりでございますが、もう忘れられてるんじゃなかろか……o... ilii rz

874 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2006/12/19(火) 15:48:24 [ 9dDCu5Ks ]
私の名はモララー、10年前にある軍の特殊部隊だった。
しかし、今は違う。あの任務以来私は軍をやめて遠いところで暮らしている。
そう、あの任務以来・・・・・・・

わたしはモナー帝国の研究所に忍び込んでデータを取って来るという
スパイ映画ではよくあるような任務だった。
ヘリで目的地につき、その研究所を見つけた。
ガードの数も並ではない。しかもモナー軍の精鋭ばかりだ。
こいつら全員を相手にするわけには行かないがどうすれば・・・・・
そのとき足音がした。とっさに私はナイフで応戦した。
突然の奇襲に敵は驚いたようで、顔をすくめていた。だがその恐怖も
すぐ終わった。敵は声も立てずに死んでしまった。
変装をするのに敵の服は使えるものだ。
だれもわたし敵国の侵入者とは思っていない。
そして目的の部屋へ到着した。研究室だ
そこからは血のにおいが立ち込めていた。研究員はいまいないようだ
私はすぐ任務にかかった。データを探すために資料をさがす。
すると妙な部屋を発見した。そこには人体実験とかかれていてこの部屋の血なまぐささ
はココからと思えるほどこの部屋は異臭を放っていた。
そして、その中には無数の死体があった。
ギコ、しぃ、モララー、ぃょぅ、チビギコ、おにぎり、まだほかにもいた。
中には軍服を着たモナー軍人と思われるような死体もあった。
まだ生きてるものもいた。ただし、毒ガスの漂う密閉空間にだが。

875 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:23:30 [ /8kCfY9o ]


神と家畜の楽しいおしゃべり 最終章・その2

.

876 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:23:54 [ /8kCfY9o ]

「第三弾は、今回はコンビで登場だ! 物理工学部部長・フーン兄弟改め流石兄弟!!」

「やっと出番だぞ、兄者。」
「他人の虐殺を見るのも楽しいが、やはり自分たちでやらないとな」
モララーのご指名に、二人のAAがのっそりと立ち上がった。

「…事前に聞いた噂だと、君らの“バット”は、外見的にはさほど
 奇抜なものではないということだけど?」
観客席から出てきた二人に、いきなりモララーがご挨拶と口を開く。
だがそんなモララーの言葉にも、流石の二人は全く平然と返答する。
「当たり前だろう。俺たちは物理工学部門の人間なんだぞ」
「故に開発したものは、そんな奇抜なものである必要はないんだ。だが安心しろ。
 少なくとも皆の希望に答えるられるような代物を作ったつもりだからな」
自信ありげにそういうと、流石兄者は前の二人と同じく袋に包まれた“バット”を取り出した。
その包みをするすると解くと、中から現れたのは

「……これは、ええと、何て言ったっけ……
 そうだ、確か護身用具か何かの、スタン棒じゃなかったっけ?」
「ご名答。こいつは一般的にはそう呼ばれている代物だ」
モララーの言葉通り、流石兄者が袋から出してきた代物は
握りの部分がゴム製、長さが50センチくらいのやや太めの鉄パイプのようなもの、スタン棒だ。
「…たしかに、外見はそれほど奇抜ではないけれど……当然、ただのスタン棒じゃないんだよね?」
「勿論。所長、これを見てくれ」
そういうと流石兄者は、スタン棒の柄の部分からなにやら紐のようなものを伸ばし始めた。
その紐を流石弟者が受け取り、少し離れた位置に置かれていた機械に接続した。
「……もしかして、コード?」
「そう。ただし普通のそれよりも遥かに強靭なやつだがな」
「なぜ、そんなものを……?」
モララーもいぶかしんでいた様子だったが、それはギャラリーも同じようだった。
通常、スタン棒やスタンガンにはコードなどない。バッテリーで電力はまかなわれる。
従ってそもそもが、コードなど必要としないはずなのだが……

「勿論、こいつにもバッテリーは内蔵してある。ただ、充電しておくことはできないんだ」
「なんで? それじゃバッテリーの意味がないじゃない!?」
「いや、充電することはできる。ただしその充電後に置いておく場所に困るんだ
 …下手をすると、大惨事になるものでね」
「…それは…、一体…?」
疑問が頭を埋め尽くしているモララーに、流石兄者はふっと笑顔を漏らす
「こいつは見た目はただのスタン棒なんだが、出力が桁違いなんだ。
 …ゆえに充電してどこかその辺においておくと、いつ放電、その電気に感電するかもしれんのだ」
「何? 一体どれだけの出力なんだ!?」
「…普通のスタン系の道具は、どれだけ強くても数十万ボルト。しかし、こいつの出力は……

 最大で10億ボルト、20万アンペアの出力だ」

877 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:24:25 [ /8kCfY9o ]

「じゅ、10億ボルト!? それって、つまり……!?」
驚いた顔のモララーに、流石兄弟は二人揃ってにやりと微笑む。
「そう。今回俺たちが開発した代物は、スタン棒はスタン棒でも
 自然界最大の放電現象・雷と同等の威力を出せるようにした代物だ。
 ……当然ながら、雷の直撃を食らった奴なんかいないだろうから分かりにくいかもしれんが
 こいつの威力は相当なものになる。なぁ、弟者?」
話を振られて、恐らく電源用の機械をいじくっていた弟者も大きく頷く。
「ああ。今回の開発品は一発限りではあるけれど、雷と同等の電圧・電流を生み出すことが出来るんだ。
 所長も見たことがあるだろう? 真夏の空に光る稲妻を。あの轟音を聞いたことがあるだろう?
 ………そいつが今から、ここで発生するわけだ」
「なるほど……!」
ようやく話が掴めたようで、モララーも嬉しそうに手を叩く。
「もっとも、電力をかなり消費するんでね。まだまだ一般に出回るのは先のことになりそうだがな。
 まぁとりあえず、今回は業務用のお試し会……ということで。……兄者、入ったぞ」
「おっと。それじゃあ………」
弟者から連絡を受けると、流石兄者は持っていたスタン棒を傍にあった筒の中に入れた。
「これであと五分後くらいに、充電完了……と。さて所長。
 俺たちもギコがさっきやったように、このバッティングを面白くするための“あること”をしたい。
 ………許可してもらえるかな?」
「“あること”? い、いや、現物を見てみないとどうとも言えないよ」
「だろうな。……弟者、頼む」
「おう」

……兄者に頼まれ、弟者がバケツを両手に兄者の元へと近づいてきた。
どうやらそのバケツの中には、何か液体が並々と入っているようだ。

「それは何だい? さっきのギコが抗毒剤だったから、今度は何か、電気に耐性をつける薬?」
モララーがにやにや笑って問いかけるが、流石兄者は手を横に振る。
「いや、全く逆の代物だ。……こいつは皆もおなじみの、食塩水だ」
「食塩水?」
答えがあっけなかったものだから、モララーは思わずぽかんと口を開けた。
「そう。食塩水。……いや、そもそもさっきの言い方がまずかったか。
 こいつはバッティングを“面白くするため”に使うんじゃあない。こいつは
 バッティングを成功させるためには、絶対必要なんだ」
「ほほう。と言うと?」
「所長。生物の体の中で、一番電気抵抗が高い部分はどこだか知ってるか?」
「え? どこなんだい?」
モララーの疑問に、流石兄弟は自分の腕や足を指し示してみる。
「皮膚だよ。皮膚。すべからく生物の皮膚ってのは、電気抵抗が高いんだ。……ほら
 たまにテレビでやってるだろ? 電気椅子に掛けられた囚人が、わずかな火傷だけで
 生き延びたなんて話や、雷の直撃を食らった奴が同じく軽い火傷だけですんだなんて話。
 こういった現象は一概には括って言えないが、この皮膚の電気抵抗の高さが関係してると言えるんだな」
「へぇ、しかし見た目にはそうは思えないけどな」
「……いや。実際心臓が止まった患者にカウンター・ショックを施すときには、電気抵抗を弱めるために
 皮膚に専用のクリームを塗ったりするんだ。だよな、ギコ?」
「ああ、そうだ」
流石兄者の言葉に、ギコは目をつぶって頷いた。
「何も塗らずにやると、余計に大変なことになったりするからな。結構厄介なもんなんだ……」
「へぇ〜………」
医療部門統括者のお墨付きで、モララーは疑問が腑に落ちたような顔をする。

878 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:24:46 [ /8kCfY9o ]

「そう。つまり今回のバッティングも同じ事。何も“ボール”に対策をせずに打撃に望めば、
 万が一の場合には局所的な火傷だけで助かってしまう場合がある。こいつは皮膚の上に毛皮もあるから、
 尚更にそうなる可能性が高いんだ」
「だから食塩水が必要なんだ。食塩水は知っての通り、通電率が凄まじく高い。……こいつを“ボール”に
 ぶっかければ、電気が皮膚で止まるなんて事はない。確実に心臓を貫き、脳みそを沸騰させることが出来る」
「でもさ、電気が流れるのは一瞬だろ? 心臓は止まっても、それ以上は期待できないんじゃあ……?」
「それは、俺たちくらいの体格ならばの話だ。……このベビしぃ程度の体の大きさなら、雷クラスの電気が
 体を流れれば、例えそれが一瞬だったとしても充分。……脳みそだけでは終わらんかもしれん」
「雷は、これまた一瞬だが、瞬間的に周辺温度が3万度に達することもあるという。
 ……食塩水で濡らすわけだからぼろっと消し炭にはならんかもしれんが、焼き魚みたいになるかもな」
「………、ほ、ほほ! ほうほう! ほうほう!」
しばらく前から震えていたモララーが、とうとう目を輝かせてより一層大きく体を動かし始めた。
……流石兄弟の説明はモララーにとって、さながら調理中の鰻を焼く匂いのようなもの。
おあずけを食っている身としては、待つことに耐えられる代物ではないようだ。 
「ああもう、皆まで言うな! まだか!? まだか!?」
「所長。がっつかなくてもいい。さてと、まずはボールか。……弟者、頼む」
「うむ。任せろ」
兄者に促され、弟者がベビしぃを八頭身から受け取り、そのままバケツの中へと沈めた。
「………ほう。兄者、なかなかこいつは活きがいいぞ。」
「それは楽しみだ。最初から死んだような奴では、実験台にする価値もないからな」
お互いに恐ろしげなことをうそぶくと、弟者がバケツからベビしぃを引き上げ、兄者に渡した。

「……チ……チチチ……チィィィ……!!」
やはりと言うべきか、水から引き上げられ、改めて兄者と対面したベビしぃは、一層激しく震えだした。
「……どうも。初めましてベビしぃちゃん。俺は流石兄弟の兄者というんだ。以後お見知りおきを」
……くそ丁寧な兄者の挨拶だったが、果たしてベビしぃの耳には入っているのか。そもそも様子が変わらない。

「……、おやおや。何をそんなに怖がっているのかな……? ……ああ、なるほど。
 さっきのギコがすごいことをやっちまったものだから、それで怯えてるのか? それで泣けないのか?」
「ア、アニャァ………」
イエスかノーか、ベビしぃの返事はどちらとも取れるような取れないような曖昧な響き。
だがそんなことは彼もご多分に漏れず、どちらでもいいことなのだ。

「でもさベビちゃん。……俺はね、さっきのギコとは違う。君に泣くななんて言わない。
 ………むしろね、……泣いてほしいんだな…………」
「ア、アニャッ!?」
「……君はベビしぃ、つまりまだ赤ん坊なんだから、泣くことは簡単なはずだろ?
 何を我慢する必要もない。君がいつもやっているように、そこら中に響き渡るような大声で……
 その小さな手足を大きく振ってさ? 涙だけじゃない、よだれ鼻水をまき散らして
 誰も止めやしない。思うがままに、さあ! 早く泣き叫んでくれよ! さぁ!!」

879 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:25:14 [ /8kCfY9o ]

「ア、ア、ア、アニャニャニャァ!?」
……しかしそんなことを言われても、ベビしぃは泣くことなど出来ない。
むしろ混乱の方が、頭を強く支配しているようだ。

「別にこっちは、君を殴るなり何なりで泣かすことも出来るんだけれど、そいつは最後なんだ……
 なぁ? 頼むよ。頼むから泣いてくれって。怖いだろ? 震えてくるだろ? だから
 そんなに我慢せずに、恐怖に身を任せて泣き叫んでくれよ? うっくくくく………!!
 君が泣いてくれればさ、君の涙や鼻水が君の体に神様を導く階段になるんだよ。だからさ、ね……?」
 
……何やらベビしぃと話し込み始めた兄者を見て、モララーは不思議そうな声を出す。
「あれあれ? ……兄者は何やってるんだ……?」
「相変わらず、兄者は回りくどいやり方が好きだな。さっさと殴れば済むものを……」
後ろから急に聞こえてきた声に、はっと振り返ったモララーの視界には弟者が。
「おお、弟者。ちょうど良かった。彼は一体何をしようとしているんだ?」
「あれか? くくく………」
弟者はやれやれといった感じで笑い出すと、首を横に振る。
「いや、兄者のやっていることは、やる必要はないと思うんだがね。まぁいい。説明しよう
 ……所長、涙や鼻水というものは、何で出来ている?」
「……………、なるほど……」
モララーも真意が掴めたようで、にやりと笑う。
「でもさ、そのためにベビの全身に塩水をぶっかけたわけだろ? だったら何も
 わざわざそんなことをしなくても、電気は奴の全身を焼き尽くすんじゃあ……」
「それが兄者が言うには、“涙や鼻水というのは、体の『中』から出てくるものだ
 すなわち電気を流す前にこれらが大量に流れ出れば、その分体内により多くの電気が流れる”だとさ……
 ……理論上は、どっちも変わらないんだがね。まぁ、半ば悪趣味と言ったところだな」
「ははは……。それで『神様を導く階段』か………」
「ああ。あのベビが涙を流せば流すほど、『神』はベビのより深いところまでたどり着く。心に触れる。
 ……『死神』が奴の体内にたどり着き、大鎌で心臓をグサッ!! って、な。」
「……まぁ、クックルぐらいの大きさのAAをやろうと思えばそうかもしれないけれど
 あの大きさじゃあ、兄者の理論もそれほど関係ないだろうね。……本当に、悪趣味の産物だ……」
「母者の教育の賜さ。特に兄者は一番“寵愛”を受けたからな。性格がどう変貌しようが、不思議じゃあない」
流石弟者とモララーが二人揃って苦笑いをする一方、兄者は相変わらずベビしぃに泣くことを強要していた。

「はっは……。これだけ言ってもまだ駄目か。まだ泣けないか? さぁ早く!
 それとも、こう言った方がいいのか? ハリー! ハリー! ハリー! ハリィィィ!!」
「チッ……チッチッ……チィッ……!」
目を爛々と輝かせて話しかける兄者に対し、ベビしぃは泣くのを通り越して完全に怯えている。
……これはベビしぃに限ったことではないが、精神の許容範囲を超えた恐怖に遭遇すると
生物はもはや泣き叫ぶこともうろたえることも出来ず、ただ呆然とするのみだという。
兄者とベビしぃの図式は、まさに蛇が蛙をにらんでいるのと同じ。
蛇の目の前で平然としている蛙など、いない。

「………ふん。これだけ言ってもまだ泣いてくれないか……。まぁいいや。」
しかし兄者もいい加減飽きてきたのか、それともしびれを切らしたか、モララーの方に顔を向ける。
「所長、一つ頼みがある」
どうせろくでもない頼みだろうが、これでつまらなくなることはないだろう。
モララーもにやにやしながら、口を開く。
「頼み……? 一体なんだい?」
「なに、このベビちゃんが一向に泣いてくれないものだからね……。別の方向から行ってみようと思うんだ
 ……このベビの母親の五賢者、そこで今一番泣き叫んでる奴か。そいつを連れてきてほしい。
 ……まずはそいつを、丸焼きにしたいんだよ。このベビちゃんのためにもね」

880 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:25:44 [ /8kCfY9o ]

「ヒィッ!?」
VIP席に戦慄が走り、またモララーも顎に手を当てて唸り始めた。
「ふー………む……。でもさ、ベビを殺すのは当然としても、母親を殺すと……
 こんなにおいそれとぶち殺すと、“彼ら”の獲物が………」
「……いや、“彼ら”にとっておくのは、多少少なくても充分だろう。……それに
 その母親をやらせてくれるとさ、100%が120%になるんだな、これが」
「むむ…………」
……腕を組んでうなるモララーに、流石兄者は続ける。
「……流石に目の前で親を殺されて、それでも泣き叫ばない子供はいないだろ?
 いい味が出ると思うんだな。従来の“恐怖”に加え、この方法なら更に、“絶望”やら
“悲しみ”やらの非常にすばらしい負の感情がこもった涙を……、流してくれると思うんだよ。
 結果が変わってくるかどうかは分からんが、だが前菜としちゃあ最高だろう? 声を限りに、
 それこそ涙を滝のように流して泣き叫ぶ母子。しかし! 『あえて』そんな母子を引き裂き、
 まず母親を、まず……処刑する……! すると次には、更に絶望してベビはより一層大きく泣き叫ぶ。
 ……この光景、想像できるだろう?」
「ふっふっふっふっふ………!」
兄者の熱の入った演説に対するモララーの返答は、不気味な含み笑い。もう答えは決まったようなものだ。

「ご注文はロースト・しぃを二人前、ってところだな。……八頭身、頼むよ」
「ありがとう、所長」

「イ……、イヤ……、イヤ……!!」
八頭身につまみ上げられ、後ろ手で縛られたままの五賢者のうちの一匹が
とうとう兄者の前に引きずり出された。
「マァマーーー!! マァマーーー!!」
「ベビチャンッ!! ……オナガイダカラ、モウ……、ヤメテ……!!」
親子のご対面となったわけだが、それでも抱き合ったりすることを許されるはずもなく
ベビしぃは兄者に、五賢者母しぃは八頭身にそれぞれ拘束されていた。
「オナガイデス!! アナタタチノイウコトナラ ナンデモキキマス!! ダカラコレイジョウシィタチヲイジメルノハ モウヤメテクダサイ!!」
母しぃの必死の懇願に対し、兄者は笑いながらモララーの方を向く。
「所長? こう言っているが……?」
「兄者、僕は“ロースト・しぃを二人前”注文したんだよ? おあずけを食うのもご免だし
 ましてやドタキャンなんて言語道断! よろしく頼むよ!!」
「了解。それでは味付けに進むとしましょうかね」
兄者はぐるんと、叫びまくっているしぃたちの方へ向き直った。

881 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:26:46 [ /8kCfY9o ]

「さて、予定としましては、まずお母様。あなたに雷をぶち込もうと思います
 そうすりゃベビちゃんは、より一層泣き叫んでくれるはずですからね。準備はよろしいかな?」
「イ……イヤ…イヤ……! イヤ……!! モウ…ヤメテ……!」
だが兄者のその問いかけに母しぃは恐怖故か、がたがた震えて同じことしか繰り返さない。
すると兄者は、ふふんと笑い
「ああ、なら別に構いませんよ。その場合でしたら、まず先にベビちゃんに雷をぶち込みますから。」
「ハ、ハニャァァァ!!?」
彼女らにとってはとんでもないことをさらりと言ってのける兄者に、母しぃは言葉を失う。
「別にあなたが泣き叫ぼうがベビちゃんが泣き叫ぼうが、当方としてはやることは変わりませんので。
 ……ま、自分が先に食らうか、愛しのベビちゃんが丸焼けになるのを見てから食らうか……
 ……というよりそもそも、あなた方が何を迷う必要があるんです? 何を怯える必要があるんです?
 だってあなた方には、“真多利神”がついておられるんでしょう? しぃ族の守護神が。
“偉大なる真多利の守護神”がついておられるなら、こんな悪魔共の雷など恐るるに足らず。
 それを二人して、涙も鼻水も垂れ流して心の底から怯えちゃって、まぁ………
 ……情けないこと、この上ないですねぇ…? 初志貫徹しましょうよ、ねぇ?
 ……んで、どちらが先に? あなたですか? それともベビちゃん? さぁどっち?」

……流石兄者の冷淡な言葉に、しぃの親子は余計に震えだした。
いや、ベビしぃの方はどういう境遇にいようと、所詮は未だ赤ん坊なので
恐怖に震えるのも無理はない。むしろ震えるのは当然の反応とも言えようものだが
しかし母しぃの方は、真多利教だとかいうわけのわからん宗教のそれだとしても
仮にも神を信仰する身だ。……この“会議”を始める前までは、殺害者側の自分たちがどれだけ
脅しをかけたりしても毅然としていたものが、それが今では、どうだろう?
会議を始める前なら「ソンナパチパチサンナンカ マタリノカミサマガ ハネカエシテクレルワ!」などと調子こいたことを
ほざきそうなものだったが、今では見る影もない。

「……五賢者は、落ちたね。ほぼ完全に籠絡したようだ」
モララーと弟者が、含み笑いを交えて話している。
「呆気ないくらいに脆かったな。やはり奴らの子供を使ったのが大きかったか?」
「だろうね。他の信者を何万匹目の前でぶち殺してやるよりも、我が子を一匹だけ
 目の前で屠ってやった方が効果が上なのは、火を見るよりも何とやら。
 親子の絆ってのは強力に結びつく分、引き剥がされると余計に痛むんだよね……
 一件堅牢な基盤に見えるけれど、ちょっとつつけばすぐに崩れ去る。まぁそもそも
 あんな似非神を基盤としている精神なら、簡単に壊れても無理はないがね。けひゃははは……!」
「……馬鹿でもこれだけのことをされりゃ、いい加減気づくわな。
 自分たちを救ってくれる神様なんざいやしない、ってことに………」
「いや。未だ一匹気づいていないやつもいるよ? ……いや、もしくはとっくに
 気づいているんだけれど、気づいていないフリをしているか、それとも………」
そういったモララーの視線の先には、やはりシスターしぃの姿が。
周りで泣き叫ぶ五賢者たちに必死の表情で檄を飛ばしているが、あまり効果は見受けられない。

「……あいつは一番強く、真多利の神様とやらを信仰していたみたいだから
 それが存在しませんでした、なんてそうそう簡単に認められるわけもない、か………」
「早いとこ認めちゃえばいいのに。あがけばあがくほど傷口は大きくなるんだから。
 ……まぁいいや。ああいう馬鹿がいるからこそ、この会議を開く意味があるんだ。
 全員が簡単に落ちちゃうようじゃ、こちらも面白くないんだな。くっくくくく……!
 ……さて、いい加減標的は決まったかな?」
「“ネットリジワコロ”ねちねちじわじわが兄者のスタイルだからな。とは言っても
 おそらくもう話は付いているだろう。……兄者! 決まったのか!?」

882 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:27:07 [ /8kCfY9o ]

弟者の呼びかけに、兄者は満面の笑みで振り返った。
「今から最終交渉だ! もう少しで最初の生贄が決まる! だからもうしばらく待ってくれ!
 ……さぁ、決まったのか? どっちが先に塩水を浴びて、次いで雷を

「モウ、イヤァ!!」

すると興奮した面もちの兄者に、予想もしない事態が起こった。
……ベビしぃを地面に降ろし、母親を呼び寄せて話を始め
弟の呼びかけに振り返った、正にその一瞬。

……ベビしぃが地面の砂や小石を掴んで、流石兄者に投げつけた。

ぱら ぱら ぱら

「………………………………」

投げつけられ、ぱらぱらとまた地面に帰っていく小石と砂。
そしてそれを黙って見つめる、流石兄者。
石を投げつけられたその頬からは、ほんの一筋、うっすらと血が流れた。

「あの、馬鹿……!!」
流石弟者が、どきりとした表情で口を開いたその瞬間

「弟者」
「!」

先ほどまでの、ねっちりとした静かな声とは異質の
それを更に静かにしたような、奇妙な響きの声を兄者が発した。

「弟者。大至急アレを持ってきてくれ。 今すぐにだ。このゴミクズに
 嫌というほど、自分が何をしたのか思い知らせてやる……」
「……、やれやれ。分かったよ」
弟者は言葉通りにやれやれと首を振ると、ポケットにごそごそ手を突っ込みながら
いきり立つ兄者の元に歩いていった。

「……必要ないだろうが、所長からの新たなお達しを伝えておく。
 簡単には落とすな、とさ。……大丈夫か?」
「心配するな。むしろこうなったからには、余計簡単に落とすつもりはなくなったからな。
 家畜以下の分際でこの俺に投石、か。……億回ぶち殺してやっても飽きたらんよ」
「……ま、それなら大丈夫そうだな。……はいよ。お望みのもんだ。
 ……つーか、最初っからこいつを使うつもりだったんだろ?」
「弟者。お前に要求するのは余計なことを喋らないことだ」
「わ、分かったよ。それじゃあ頑張ってくれよ、と」

あっさりと弟者は退き、後に残るはベビしぃと兄者のみとなった。

883 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:27:34 [ /8kCfY9o ]

「……あのベビしぃ、とんだ命知らずだな。もう知らんぞ……」
席に戻ってくるなり、弟者が溜め息混じりに口を開いた。
「……またわけの分からん状況になったな。どういうこった?」
「……普通のAAが怒りを感じるとカッカし出すのとは対照的に、兄者は
 怒りを感じると、何故かどんどん静かになるんだな。
 ……ああなると、当然ながら相手はただでは済まん。いくら相手があの糞虫
 しぃ族だとはいえ、思わず同情したくなってくるよ」
「……というと、過去にも見たことがあるのか? あるんだろうけど」
「ああ。……昔、数年前か。母者がくだらんことでヒスを起こして、兄者に
 八つ当たりをしたことがあってな。……そのときに発動した。」
「それで? まさか………」
「酷いもんだったよ。あの母者を半殺しにしてたんだからな
 あるいは俺や父者が止めなけりゃ、全殺しになってたかもしれんが」
「何!? 本当なのか!? あの母者を!?」
その弟者の衝撃的発言に、やはりギャラリー一同にざわめきが走る。
「嘘やネタでこんな事が言えるか。紛れもない真実だよ。 ……あの時の、兄者の目
 馬鹿臭い表現だが、まさに骨の髄まで凍り付いたよ。脳天気な妹者でさえもな」
「む、むう……、しかしそうなると、あっさり殺すとかそう言う可能性は……?」
いぶかしげに尋ねるモララーに、弟者は首を横に振る。
「所長、話を聞いていたのか? 兄者は逆上するとますます静かに、冷徹になるんだ。
 衝動的にかっとなって殺しました、なんてことは絶対にあり得ん。冷静且つ聡明な
 頭脳に狂気が宿るとき、最も恐ろしい悪魔が完成するわけだ。
 ……ま、俺らに出来るのはその悪魔がどういう行動を取るのか、見てるだけだな……」

さて、一方の兄者はと言えば
「さて、と。大変に大変に長らくお待たせしましたね。お二人とも。
 ……ああ、それで順番ですが、もう決めてもらわなくていいです。
 ……まずはお母様、やっぱりあなたから先にやることにしましたので、よろしく」
「ハ、ハニャアアアアアア!!??」
「何を驚かれる? ちんたらやるなと言っておいたはずでしょう? しかしあなた方が
 亀のようにぐずでしたのでね。俺が勝手に決めさせて頂きました。……それとも、何か?
 家畜がこの俺に意見をしようとでも、まさか言うんじゃあないだろうね……?」

884 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:28:08 [ /8kCfY9o ]

「ヒィッ……!?」
冷たい、吹雪のように冷徹な怒気をその身に受け、五賢者母しぃが身を震わせると同時
兄者がその頭をむんずと掴み、右手に先ほど受け取ったものであろうものを装着する。
……小さな、1センチくらいの大きさの、鋸のような刃が無数に付いた小さな板。

「血」

兄者は言葉を発すると同時に、その右手をさっと振る。
「ヒギャッ!!」
そして当然の、母しぃの悲鳴。見るとその体には、肉食獣が爪を立てたような
痛々しく大きな傷が、白い毛皮を赤く染めて残っていた。

「血、血」

「ヒギッ! ギャウッ!!」
……兄者が腕を振るうと同時に、ざりっ ざりっと肉を毛皮を掻きむしる音。

「血、血、血」

「ギャアアアァァァァッ!! ギャガガ、ギャアッ!!」
母しぃの悲鳴などやはりどこ吹く風、兄者は右手を縦横無尽に振り回す。
飛び散る肉片、血しぶき。傷の深さこそ浅いだろうが、鋸にえぐられるその痛みは
鋭利な刃物で切られる痛みの比ではない。これだけでも昇天する責め苦だ。

「血、血、血、血」

「アアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァッッッッ!!!!」
母しぃがいよいよ狂気じみた悲鳴をあげ、全身がほぼ余すことなく血まみれになると
兄者もようやく右手を動かすのをやめ、母しぃに対して不気味な微笑みを浮かべる。

「……別にね、使う必要なんてなかったんだよ。涙も、鼻水も、尿も………
 だって生物の体にはさ、それこそどの生物でも、全身を駆けめぐる塩水があるんだから。
 血だよ。血。 血液。 Blood。 海水の濃度の約4分の1の、紛れもない塩水……
 こいつに雷を伝わせれば、文字通りに全身を焼き尽くしてくれるわけさ。余すところなく
 全身を伝わって、君を丸焦げにしてくれるんだよ。フククククククク………!」
「ア、アア、アアア………!」
「……だけどね。こいつはなるべくなら使いたくはなかったんだ。なぜだか分かるか?
 答えは簡単。さっきも言ったな? この方法でやると、あまりにも簡単なんだよ。フッククク……!」
「ナ、ナ
「考えてもみろ? 流血させるには、ただ単純に刃物で斬りつければそれで事足りる。
 ……重圧や絶望を与えて涙を流させるよりも、遙かに原始的で面白味に欠ける。だからなるべく
 こいつは使わなかった、使わなかったんだが、今回、君が生み出した蛆虫が調子こいたことを
 してくれちゃったもんだからね。蛆虫の分際でこの俺に、怪我をさせた? フックククク……!
 目には目を。 歯には歯を。 ……流血沙汰には流血で以て返さねばならん。
 ……それにこれだと、本当に憎らしい君のベビちゃんは、勝手に泣いてくれるからねぇ……
 ……親が目の前で肉をえぐられて、血を流して、聞くに堪えない悲鳴をあげて………
 さぁ、ベビちゃんは一体、どんな反応を以て返してくれるのかな……?」

885 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:28:31 [ /8kCfY9o ]

兄者がにやにやと微笑み、辺りを見回すと……
「………あれ、いない? まさか…………」
まさか逃げ出したのか? いや………
「……メテェ! オカータンヲ イジメナイデェ! モウ、ヤメテェ!!」
「……ん? 何だ?」
……見ると、いつからそこにいたのか
ベビしぃが流石兄者の足下で、これまた兄者の足を涙混じりでぽかぽかと殴っていた。
「………………………………………
 所長、こいつはいつからここに……?」

兄者が問いかけると、モララーは呆気にとられたような顔をする。
「へ? いつから、って……。いや、君がその母親を斬りつけ始めてすぐに
 そいつは君の足下に駆け寄って、それからずっと殴り続けてたぞ?
 ……まさか、気付いてなかった……?」
「…………………………………………」

所長の言葉に、兄者はしばらく考え込んだ様子だったが
「……ふーん。俺はそこまで熱中してたのか……。まぁいいや。ちょうどいいし。
 ……見えるか? 蛆虫。お前がくだらんことをした結果がこの様だ。分かるか?」
「オナガイ! チィ アヤマルカラ! オジチャン アヤマルカラァァァ………ア゙ッッ!!?」

しかし相変わらず自分の足を叩き続けるベビしぃに業を煮やしたか、兄者はその足を
振り上げ、さっきまで自分の足を叩いていたベビしぃの手に向かって、勢いよく振り下ろした。
ぺきり、と聞こえる嫌な音。

「ヴァァァァァァーーーッッ!! オデデデデェェェェェェェ!!」
「ベ、ベベベベベ ベビチャァァァァァン!!」
腕を潰され、泣き叫んでいるベビしぃに追い打ちをかけるべく
兄者はベビしぃをサッカーボールのように、遠くに蹴り飛ばした。
「蛆虫の分際で、俺の話を聞かない、俺を勝手に殴る。……こんな生意気な蛆虫は初めてだ。
 蛆虫が俺に盾突くとどうなるか、嫌と言うほど教えてやるよ。
 ……心の底から憎悪が湧き出る、腸が煮えくり返るゴミを始末する際に一番効果的なのがなぶり殺し。 
 ……まず拷問にかけるのは、その張本人じゃあない。そいつの目の前で、そいつの愛しい者を
 じわじわと苦しめ、その光景を見せつけ、愛しき者に苦痛の悲鳴をあげさせ、それをそいつの脳味噌に
 こびりつくまでに聞かせ、愛しき者が苦痛に耐えかねて、発狂の門をくぐろうとするその手前で
 引きずり戻し、死にたいのに死ねない。そんな最凶の絶望を腹一杯に食らわせてやる。そのときの
 格別の悲鳴をたぁっぷりと聞かせ、そいつをどろどろの汚泥にたたき落としてやる。
 ……さぁ、とくと見ろ。ごみ屑が。貴様の母親の有様を。お前が余計なことをしたばかりに
 お前の代わりに阿鼻の苦痛を受けた、貴様の母親の有様を。そしてとくと聞け。貴様の母親が発する
 哀れな悲鳴を。お前が余計なことをしたばかりに、首を落とされる寸前の鶏が発するような悲鳴を
 あげる羽目になった、貴様の母親が発する、哀れな悲鳴を…………

 そして全員! とくと聞け!! 今からこの雌猫どもを貫く、悪魔の咆吼を!!
 真多利の神などという似非神の加護を、俺の獄界の雷が消し飛ばしてやる!!
 五賢者と、その子供と! この二匹を守れずして、何の加護だ、何の神だ!!
 俺の言うことが間違っているというならば、この雷を消し飛ばしてみろ! できるはずもない!!
 ……さぁ、ありもしない神に心を捧げた、まずはその哀れなごみの片割れ、その末路を刮目せよ!!
 地獄の雷神のお出ましだ!!」

「ま、待て兄者! 皆を雷撃に巻き込む気か!?」
スタン棒を引き抜こうとする兄者に向かって、弟者が慌てて声をかける。
「………、あ、そうか。そうだったな。すまんすまん
 ではその前に、皆! 雷の回避原則! 足下にゴム袋を用意しておいたから、
 そこに金属製品を全部隠せ! ついでにゴムカッパとサングラスもかぶっとけ!
 雷がそっちに行っても、万が一誰か直撃を食らっても、俺たちは責任をとれないからな!!」

皆が準備を終えたのを確認すると、流石兄者はスタン棒を充電筒から抜き出した。

886 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:29:00 [ /8kCfY9o ]



 バ ッ ! !    バ チ ッ ! !  バ ァ ン ! !


「おぉ〜……」
充電完了したスタン棒が筒から引き抜かれると、所長を初めとしたギャラリーから声が上がる。

……空中の塵や埃や、あるいは蝿や蚊が止まったのかもしれない。
しかしそれがスパークしたスタン棒は、通常の数万ボルト程度が鳴らすことの出来るそれとは明らかに違う
さながら鞭の音のような激しいスパーク音を轟かせ、これまた大きな火花を散らしている。
……もはやこの時点で、これがただの電気棒でないことはいうまでもなかった。

「……さぁ〜て、と。八頭身。この母しぃを横から軽く投げてくれんか」
兄者が差し出した母しぃを、今度は八頭身が鷲掴みにする。
そして八頭身にベビしぃを手渡したあと、先ほど遠くに蹴り飛ばしたベビしぃの方を向く。
「……痛いか。いやいやそれでいい。そこでのたくっていろ。近づかれるとお前に放電するからな……
 蛆虫ちゃん。今からお前の母親を処刑してやる。さぞかし素晴らしい光景になるだろうから、
 拍手と歓声をよろしく頼むよ……、哀れなる、蛆虫ちゃん。フックククク……!!
 さて八頭身。時間だ。合図をしたら投げてくれ」

「ヤメテェェェェ!!!」
「却下。真多利の神と地獄の雷神の力比べ。その第一弾だ。光栄に思うがいいさ。自然界の雷の直撃を
 受けたやつは数知れないが、人工的に作り出した雷をその身に受ける第一号は、お前なんだからな
 さぁ、八頭身! 投げろ!!」

宙に舞う、赤濡れの塊。

それを迎え撃つは、“地獄の雷神”

その手に持ちたるは、もはや鉄の棒ではない、

青白い光と爆音に包まれた、まさに雷そのもの

その雷が、宙を舞う赤い塊に近づき……………

887 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:29:20 [ /8kCfY9o ]




ド ッ カ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ン


.

888 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:29:41 [ /8kCfY9o ]

「うぉーー………」

まさに爆弾が破裂したという表現がふさわしいような、凄まじい閃光と爆音。
彼らだけではなく、運動場すらもがその衝撃でびりびりと震えていた。

「……………………………………………
 ……………………、成功、だ……………」

閃光と爆音が納まって、その中から現れた兄者。
雷のバットを振り切った姿勢で、低い姿勢のまま硬直していた。

「……………………………………
 あ! おい、あれ!」

誰がともなく空を指さすと、皆が一世に空を見上げる。
そうして見上げたその先には、やはり“あるべきもの”が。

「……あ〜あ。ありゃ火通しすぎだよ。消し炭じゃあないか……
 ……こりゃ食えそうにないな。大きい方は」

モララーが舌打ちしたのもそれもそのはず。上空を飛んでいる“もの”は
その体中から嫌な臭いのする煙を発し、その煙を発している体も真っ黒で
とてつもない電撃を受けた故だろう。地面に着地するなり、その体が真っ二つになった。

「……おやおや。やはり水分量の関係かね。フッククククク……!
 あれだけの電撃を受けても、一応形が残っているとは。だが
 所長、悪いな! やっぱりやり過ぎちまったみたいだ。」

ばつが悪そうに頭を掻きながら話す兄者に、モララーは両手を開いて
「ま、半分は冗談だったからいいけどね。しかし見事に消し炭になったもんだ……
 やっぱ雷の、自然災害を再現しただけのことはある。すごいね。」
「ああ。これならクックルでも文字通りにロースト・チキンにできるだろう
 ……まぁ、あの化け物を取り押さえられればの話だが」
「はっは。そりゃあ食いでがありそうだ! だが……
 今はどちらかというと、一口サイズの小さな丸焼きを食したいね。兄者!」

……モララーが視線を移した先に、その同じ場所に兄者も向く。
「……安心しろ。さっきの一撃は、全出力の九割を使ったものでな
 まだここに、一割分のエネルギーは残っている。……赤ん坊の体格ならば
 このくらいの出力で料理してやれば、最適の焼き加減になるだろうな」

「オカァァァァタァァァァン!!! イヤァァァァァァァ!!!」
ようやく腕を潰された苦痛から幾許か解放されたベビしぃだったが
その顔に、安堵などというものが戻るはずもない。
「……兄者、注文を変更しよう。
 今度はベビしぃの電撃沸騰焼きか煮込みか、それをお願いしたい」
「了解。今度はちゃんと所長が食えるように、所長がこれ一匹で満腹になれるように
 この蛆虫を悲痛な表情に変えて、提供してやるよ」
「……頼んだぞぅ!」

889 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:30:17 [ /8kCfY9o ]


「オカアタン、オカアタン……! ドウチテ……!?」
「他人の心配なんざしてる暇があるのか? せめて自分の身を案じてお祈りしてみろよ?」
「!!」

涙をぼろぼろこぼすベビしぃに追い打ちをかけるは、片手からスタン・バットを下げた兄者。
「ヤデスヨゥ……、ヤデスヨゥ……! ……オカアタンヲ、カエシテクダチャイヨゥ……!!」
「だったら自分で取り行けばいいだろう。ほら、そこに、そこと、あとあそこ……
 誰も止めやしないよ。お前のお母さんを返してやるから、さっさと取りに行ってくればいい」
兄者があちこちに散らばった“母しぃだったもの”を指さすと
ベビしぃはせめてもの抵抗か、歯を剥き出しにして流石兄者に食って掛かる。

「チィノアカアタン、カエチテヨ!! イキテルオカアタンヲ、カエチテ……ギャアッ!?」
しかしそんな騒ぎ立てるベビしぃに対して兄者が取った行動は、言うまでもなく
既に潰したオテテをもう一度、小さなアンヨを両方とも、べきべきと音を立てて踏みつけた。
「……だったら真多利の神様にでも頼んで、生き返らせてもらえばいいだろう……
 しかし生前は、お前の母さんは真多利の神の最も重要な腹心の一人だったんだから、誰が
 何を言わずとも生き返らせてくれてもよいものなのに、その気配がまるでない………
 ということは、その子供に俺が危害を加えても真多利の神は手出しをしない……と」
兄者がその足をぐりぐりと動かすと、ぐちゃ、だのぐちゅ、だのといった音がして
「アギャアアアアアアアアアア!!!」
ベビしぃはより一層、涙やよだれや鼻水をまき散らして泣き叫ぶ。

「さて、うまくいったか………?」
そんなベビしぃを見て黒い微笑みを浮かべる兄者は、一旦足をどかした。
……やはりというべきか、そこにまともな形をした手足が残っていようはずもなく
肉と、骨と、皮と。全てがぐちゃぐちゃに混ざり、ぼろきれのようになったものがあった。

それを見ると兄者は、より一層嬉しそうな表情を浮かべる
「フッククククク……! やはり上手くいった! 上手くいったぞ!!
 血液、よだれ、鼻水、涙。今のお前が流しているものは、これだけに留まらなくなった!
 見ろ! 折れた骨から出る骨髄液! そして………」

兄者は先ほど母しぃを傷つけた鋸の刃を手にすると、ベビしぃの両目に『まず』突き立てた。
「ア゙ァァァァァァァァァーーーーッッッ!!!」
「……目漿。目ん玉の中には血液だけじゃなく、こういう液体も詰まってるんだ。
 フッククククク! 次で最後かな」
兄者は鋸刃を持った右手をゆるりと振り上げると、一気にベビしぃの頭めがけて振り下ろした。
鋸にごりりと頭蓋が削られる音と共に、吹き出る血液と共に、透明な液体が噴き出した。

890 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:30:37 [ /8kCfY9o ]


「ゲ、カ、タタタ………!」
「そして、脳漿……! 脳味噌の周りや脳室の中にたまってる液体………
 やれやれやれやれ。これで一応全部だな。これで一応限界だな。フッククククク……!
 
 血液

 よだれ、もとい唾液

 鼻水

 涙

 尿

 骨髄液

 眼漿 

 そして、脳漿

 これらの液体は、皆塩分を含んだ液体。地獄の雷神を体内に導く、格好の道……
 感謝するがいいさ。ベビしぃちゃん。なぜならお前は、文字通りに全身で
 頭に、目に、鼻に、口に、皮膚及び内臓に、手足に神様をお迎えできるんだからな。
 聞こえないか? 真多利の神様じゃあない。地獄の雷神が雷の大鎌を持って近づいてきてるぞ?
 ごろごろごろごろ。地獄からのお迎えさ。フッククククク!!」

兄者がうっとりしたような、恍惚とした表情で話しているのに対し、ベビしぃは
もはやそれどころではない。兄者の足下で必死に哀願をする
「オジタン……ユルチテ……。チィ ナンデモチュルカラ ナッコチュルカラ……タチュケテ……」
しかし脳味噌を傷つけられているはずなのに、まだこれだけろれつが回るとは。
……偏にしぃ族の脳味噌はミニマムだという噂も、あながち間違いではない。
「……最後まで人の話を聞かんやつだな。まぁいい。その全身で神の抱擁を受けるがいいさ」

流石に八頭身に頼むのも気が引けたのか、足下にいるベビしぃに、兄者はゴルフスイングの
構えを取り、そして…………

891 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:31:07 [ /8kCfY9o ]



ぼ  ん  っ



.

892 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2006/12/22(金) 22:31:40 [ /8kCfY9o ]

「………おいおい。爆ぜたぞ。さっきより出力は低いはずだろ」
「……兄者の理論も、あながち間違いじゃないかもな。
 目や脳味噌から液体が流れ出てる分余計に電気が伝わって、それがもとで、はじけた……のかもな
 まぁ、実際はどうなのか分かりゃしないけどな」
「やれやれ。事の真相は物理工学部で明らかにしてもらうとして
 ……お〜い、兄者〜」

モララーはまた呆れたような顔をして、仕事を終えた兄者に話しかける。
……モララーが何を言おうとしているか、想像が付いたのだろう。兄者はまた
ばつが悪そうに頭を掻きだした。

「悪い。また丸焼きを提供できなかったな。すっかり悦に入ってて……」
「まぁいいさ。普段見れない流石の狂気をお目にかけれたんだからな。それでよしとするさ」
「け! ご挨拶だな。だがまぁ、このスタン・バットもなかなかのものだったろう」
「ああ。なるべく早く実用化してもらえるように頼むよ。あ、あとそれと……」
「何だ?」
「いや、忘れてた。不満ぶちまけだよ。言ってもいいことになってたろ?」
「ああ、そうだったな。だが、こいつを始める前までは、何かあったような気がしたんだが……
 駄目だな。パソコンのメモリーみたいに、雷の衝撃で消えたようだ。思い出せん
 だが、気分はいい。……次の打者に移ってくれ」
「はいはい。うふふっふふふふふ…………!!」

打者は、あと二人。

893 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/01/08(月) 23:14:54 [ 88PwoBRc ]
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1/4
 「フ、フーンバート軍曹・・・」 「どうしました? ギコーダン中尉」
オリーブグリーンの箱形の救急車の中、ストレッチャーに乗せられ、息も絶え絶えといった迷彩姿のギコの呼びかけにフーンが答える。
演習場から最寄りの軍病院へ搬送される途中だ。外傷は無いがその相貌は苦痛に満ち、脂汗をダラダラと流している。
 「い、いいか? 絶対に先任には、先任にだけは中隊の仕事をさせるな、絶対、だ・・・」
 「ギコーダン中尉? 中尉、、、フーン、やっぱり保たなかったか」
ギコーダンが気を失うと、フーンバートはホッとし何事もなかったかの様にいつもの表情に戻る。
 「フーンさん、それは非道いアヒャ〜」
もう1人の付き添いであるアヒャの伍長が、コロッと態度を変えたフーンバートに抗議して言った。
 「いやアーヒャー、この方が良い。意識があったほうが体に障る」
 「まぁ、それはそうかも知れないアヒャ」
2人には、ギコーダンの体調不良の原因が、あらかた想像できていた。
 「アンマリ イクナイナ ケッコウ ナガク ニュウインスルカモ… ウワッ!!」
衛生兵のジエンが2人に話しかけたところで、急にハンドルが切られ、一瞬片輪走行になった。
3人が運転席とのしきりとフロントガラス越しに外を覗くと、かなりの大きさのトレーラーが1台、
猛スピードで砂塵を上げながら通り過ぎるのが見えた。
 「ナニ カンガエテンダ! キュウキュウシャヲ アオルナンテ!!」
ジエンが憤慨して言うが、トレーラーは既に遥か先に走り去っていた。

 「入院はここ、西棟の2階、249号室になります。こちらに社会保障番号と所属、名階級を・・・」 「了解アヒャ」
 「キャンプ・フォートモナス、ギコーダン中尉ですね・・・」
意識不明のギコーダンに代わりアーヒャーが入院手続きを行っている間、フーンバートは外に出ていた。
彼は気になる物を目に留め、そちらの方を偵察に行ったのだ。西病棟の西側に止められたトレーラー、先ほどの暴走車だ。
 (フーン、あのトレーラー、精肉業者だったか)
トレーラーの側面には、デカデカと『モナールミート』と描かれている。病院への納入業者であることが想像できた。
フーンバートが病院の入り口に戻ると、そこへアーヒャーが駆け寄る。
 「フーンさん、終わったアヒャー」
 「フーン、お疲れさん。ときにアーヒャー、中尉の様子は?」
病状の想像は付いていてもやはり気にはなっており、フーンバートはアーヒャーに訪ねた。
 「やっぱり胃潰瘍だったアヒャ、意識が戻り次第詳しく診察して、追って部隊に連絡を入れるって言ってたアヒャ」
病名が明らかになり、安心したフーンバートだったが、ギコーダンの不在を考えると気が滅入った。
 (誰がまとめるんだよ、あの中隊・・・)

894 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/01/08(月) 23:15:34 [ 88PwoBRc ]
2/4
ナースらしい白衣を着たガナーが、足下に並んだ密閉された80センチ四方の容器のひとつを開けると、
その中身を手術台まで運ぶ。手術台の前では、手術ガウンを着けたモナーが待ちかまえていた。
そこへ置かれたのは白い塊、オニーニだった。
モナーはオニーニを押さえつけると、電動ドリルを手に持ち・・・
”チュイイィィィィィ―――”
 「ソ ソンナモノデ ナニヲ スルキワチョ オドリヲ オドッテアゲルカラ…」
電動ドリルの高音が響き、辺りの音を消し去る。当然オニーニの声など聞こえていない。
聞こえていたところで無意味ではあったが。
 「ヂョギャァァァ イダイワヂョオォォォ!!!」
数分をかけ、首周りにいくつかの穴を穿たれたオニーニは、無造作にステンレス製の寝台に乗せられた。
寝台とは言うが、シーツも何も敷かれておらず、大きな調理台と言った方が似合っている。
 「次モナ」
衣装を紅い血で染めたモナーが、傍らのガナーに言った。その返り血の量は、1匹や2匹の物ではない。
いや、そもそもオニーニの血は赤い色をしていない、乳白色のさらさらとした液体である。
ガナーは、今度は密閉容器ではなく、その前に置かれたケージから毛皮の塊を取り出し、
その頭部を一周するくつわを解いて、オニーニと入れ替えにモナーの前の寝台に置いた。
モナーの手元に置かれた物は、灰色がかった青色の毛皮を持つ、ちびギコだった。
”チュイイィィィィィ―――”
オニーニとは違い、くつわを噛まされケージに収められていただけのちびギコ達は、目の前の惨状を終始見せつけられ、
自らの身に何が起こるのかも承知していた。それだけに恐怖も大きい。
 「嫌デチ、ちびタンがなんでそんな目に、お願、、、イギヤァァァ!」
ドリルの音にかき消されてはいるが、ちびギコはドリルが差し込まれるとき”グチャグチャ”といった音や、”グギュルルル”という、
自身の体の組織を引き裂き、巻き込む音を確かに聞いていた。
施術は首回りだけだったが、刺される痛みとも切られる痛みとも違う、えもいわれぬ痛みが体内を縦横無尽に走り回る。
脊索は避けられているが、その他の血管などは狙って穴が開けられ、その度に血が水鉄砲のように飛び出る。
気管にもドリルの切っ先は到達し、2つの穴が開けられると、胸の上下に合わせて”ヒューヒュー”と音が鳴った。
先ほどガナーに引き上げられたオニーニも、そのまま捨て置かれるわけではなかった。ちゃんと『処置』は施される。
モナーにちびギコを渡したガナーは、入れ替えにオニーニを自身の前の寝台に置いた。
 「チョヒィィィ、ヒュヒィィィ…」
寝台に乗せられたオニーニは、気管に開いた穴からも空気を漏れ出させ、口をパクパクとさせている。
 「チョヒィヤァァァ〜、ワジジョォォ〜」
文字通り虫の息となって目を剥いているオニーニの首の穴に、ガナーが追い打ちを掛ける様に、無造作にチューブを挿してゆく。
8カ所ほどの穴にチューブを挿す度、オニーニの喉と口から「チョギャ」やら「ヂョゴ」やらと、悲鳴らしき音を漏れるが、
ガナーは機械的に処置を終えると、最後に、見るからに頑丈そうで、不釣り合いに大きいヘルメットをオニーニにかぶらせた。
オニーニに挿されたチューブは、そのヘルメットの内側から伸びていた。
口はヘルメットに、喉はチューブに塞がれて、悲鳴らしき空気の音すらもしなくなった。
その手足は痛みから逃げたいのか、力一杯閉じたり開いたりを繰り返している。しかしそれ以上動ける状態ではなくなっていた。
そこにガナーが最後の処置を施そうとすると、くぐもった、断末魔の叫びに近いものがヘルメットを通して漏れ出た。
 「ヂョグゲアァァァァ…」
叫びを尻目に、ガナーは何かをチューブと肉の間に埋めてゆく。その何かとは、ごく普通の接着剤だった。
医療用の物でも痛みは十分あるのに、そんなことすら考慮されていない物が生の傷にすり込まれる。
人間ならばショック死しかねない凄まじい痛みが、彼の頭のてっぺんに駆け上がる。
全ての穴を埋め終えると、ガナーは傍らに用意しておいた死体袋にオニーニを詰め込み、ジッパーを閉じた。
 「これよろしく」
ガナーが言うと、今度は部屋の隅で見守っていた八頭身が、死体袋を壁に並んだ死体用ロッカーに詰め込んだ。
壁一面の、そのうちのいくつかからは、未だに叫びとおぼしき音と、微かに何かが蠢く音が続いていた。

895 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/01/08(月) 23:15:59 [ 88PwoBRc ]
3/4
本来死体安置所であるはずの、無影灯すらお飾り程度の物しかない『手術室』だったが、
出入り口だけは滅菌すら施せる様な、厳重な作りになっている。
しかし、設備は室内をクリーンに保つための物で、外に出るにはそんなに手間は無かった。
モナーは消毒機能の整ったロッカーにガウンとゴーグルを詰め込み、手袋やマスク等をゴミ箱に放り込むと、
エアシャワーだけ浴びて外に出た。
(すぐに一服しよう)と考えていたモナーだったが、すぐにと言うわけにはいかなくなった。
外界に繋がるドアを押し開けた瞬間、その表情が凍り付く。
 「博士、ご苦労だったな」
モナリカ陸軍の制服を着たモララーの顔をはっきりと認め、更に声を聞くと、顔面には緊張の色が走る。
傍らには2歩下がって、同様の制服のマララーが控えていたが、そちらには存在すら気付いていない。
 「大佐、わざわざこのようなところにご足労頂くなど、、、」
凄まじい施術も平然と行っていた先ほどとは異なり、後ずさりせんばかりにたじたじになるモナー、
それとは対照的に、大佐と呼ばれたはモララーは試す様に言葉を返す。
 「迷惑だったかな?」 「いえ、光栄でありますモナ」
博士と呼ばれたモナーは、爬虫類の如き目つきを持つ大佐に、飲み込まれそうになりながら答えた。
 「まぁ、今回は例の物が届いたと聞いたので来たんだが」
踵を返し、廊下を奥に向かいながら大佐が言うと、博士は驚いた風に目を丸くした。
 「どうした?」 「いえ、予定ではもう少し時間がかかるものだと」
自身の計算を上回る『例の物』の到着に、博士は驚きを隠せなかった。
その反応が予想通りだったのか、大佐はニヤリと笑みを浮かべ、種明かしをする。
 「実はな、列島国の陸上防衛軍に知り合いが居てな、質のいいちびギコがすぐに手に入ったんだ。
             なに、あっちで言うちびギコってのは、我が国のオニーニと同義だからな」
先ほど施術をしたちびギコも、無論列島産の物だった。
姿形はモナリカのギコ族の少年に似ていても、中身は全くの別物なのだ。
そうでなくては単なる大量殺人になりかねないし、何より博士の研究を活かすことも出来ない。
今日届いた『物』を用意するためには、素材の選別のため相当量のちびギコが必要なはずだった。
博士の考えではそれらの選別のためには、まだ時間が必要なはずだった。
 「は、早ければ早いほうがこちらとしても好都合ですモナ、、、しかし一体どれだけの検体を、、、」
脂汗を流しながら博士が尋ねると、涼しい顔をしながら大佐は言った。
 「なに、これだけだそうだ」
人差し指を立てた大佐に、博士は尋ねることすら出来なかった。
 「博士の試算通り、1万匹〆ながら選別したから早く済んだみたいだ」
確かに殺しながらやれば早い、しかし自分の様な人間でも気が滅入るのに、と博士は考えていた。
 (上には上が居るものモナ・・・)

896 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/01/08(月) 23:16:27 [ 88PwoBRc ]
4/4
 「これだ」 「これですか」
同じフロアにある、手術室とは別の、ほとんど死体安置所のままとなった部屋で、2人は金属製の棺桶を前に並んでいた。
この部屋にも一カ所だけ、元と違うところがある。
ストレッチャーがそのまま乗る奥行きのエレベータが1基、大佐達が出入りしたドアから見て、真正面にしつらえられていた。
棺桶ごとストレッチャーに乗せられた『物』は、ガラス張りの蓋から全体を見ることが出来た。
エレベータから離れた場所に置かれた、側面に「β」とでかでかと書かれた棺桶の中身。
それは先のちびギコと同様の毛皮に覆われてはいたが、それ以外はあらゆる特徴を異にしていた。
強いて言えばギコの八頭身版、そんなところだがしかし、それは更に本来あるべき物が無かった。
首から上、即ち頭部が除かれていたのだ。
よくよく観ると毛皮の合間から、肩や下腹部につぎはぎした跡が見て取れる。
縫合されているものの、博士にとってみれば一目瞭然の傷跡だった。
 「どうだ? こんなモンだろう?」 「確かにこれなら、しかしコストがかさみますモナ」
博士は舐めるようにβを観察しながら、大佐の問いに答える。
大佐はその言葉に軽く頷くと、控えていたマララーに顎で合図を出した。
マララーはエレベータに消えていったが、1分もしない内に、同じ場所からαと同じ棺を引いて現れた。
βの隣に新たな棺が並べられる。今度は側面にαと書かれていた。
 「本来ならこうなるはずだもんな」 「はい、その通りですモナ」
βとは違い、αの全身は純白と言えるほどで、赤子の様に傷ひとつ付いていなかったが、頭部が無いのは同じだった。
2人はひとしきりαとβを眺めた後、部屋を後にした。
 「で、いつ頃取りかかるんだ?」 「はい、予定が前倒しできますので、、、3日後ですモナ」
博士はチラリと腕時計のカレンダーを見ながら答えた。
 「そうか、楽しみだな」
大佐は最後にニヤリと、嘲笑する様な笑みを浮かべると、薄暗い廊下に消えていった。


                   続く

897 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/01/13(土) 16:35:08 [ zuqM6dUE ]
          続き

1/3
 「ワッーーッチョイ ワーーーッチョイ オニーニ ワッチョー ―――」
ある住宅街のど真ん中で、騒音と言うには生やさしいほどの声を張り上げ、オニーニの兄弟が踊っている。
しかし声を張り上げているのは、ニータンと称される成長したオニーニのみで、幼体とも言えるオトートの方は、
息も絶え絶えで元気なく踊り続けていた。
ニータンの声も実際には、すぐ側に置かれた拡声器から発せられている。
本人は声を張り上げているつもりでも、最早そこまでの声量が出ていないのだった。
 「ニータン ボク モウ ダメ ワチョ、、、」
オトートは遂に踊りをやめて膝を着く。それに対してニータンが必死でハッパをかけた。
 「オドリヲ ヤメチャ ダメワチョー!! ヤメタラ ドウナルカ…」
息を切らせながらそう言った直後、”どうなるか”の”どう”が彼らの身に降りかかった。
 「ヂョギャアアアアァアァァア!!!」 「イヂャァァァイ アチューーーイ ヂョギャアァァ!!!」
”ヴィイイ、バヂバヂ”という音と共に、兄弟の回りを、彼らが踊る代わりに光る蛇が踊り狂っていた。
高電圧が周囲にかかり、それが空間の絶縁を破壊して音と光を発している。
だがその現象は、極々一部の空間にだけ起きていた。
彼らの周囲に半径2メートル程度の半球が存在するのが、光る蛇のお陰でハッキリと確認できた。
 「ワヂョォ ッォ ッォ ッオ?!?」 「ビーダン ボクノ グヂガァ」
電撃が収まると、兄弟はその白い体のあちこちを焦げ付かせ、痙攣しながら地に伏していた。
オトートは口の周囲を僅かに炭化させ、その痛みをニータンに訴えていたが、
ニータンはいつもの様にオトートをいたわることも出来ずに、突っ伏したまま右目を押さえている。
 「ボクノ ボクノ オメメ チカチカスルワヂョォォ」
それが彼の右目が見た最後の光だったのだろう。
 「ビョホホォォォ ビーダンド オベベガ オベベガァ!!!」
右目を覆った手の指の隙間からは、僅かに液体が流れ出ている。
眼球が破裂し、その中身が流れ出ていたのだ。現在見ている光は、網膜に映っているものではなかった。

898 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/01/13(土) 16:36:17 [ zuqM6dUE ]
2/3
 「アーン シャケタンタチ ナンデ コンナコトニ ナッテルワチョー」
どこからともなくに叫び声が聞こえ、付近の家の庭の茂みからオニーニが1体兄弟に駆け寄った。
 「ヒドイワチョ ハヤクニゲナイト ダメワチョー」 「シャケオトートタンモ チッカリチテー」
それをきっかけに、どこに潜んでいたのかあちこちから、『シャケタン』の兄弟の下にオニーニが集まってきた。
中にはオニーニだけではなく、ワッチィまで連れている者も居る。
 「タ、タラコタン コンブタン タスケニキテ クレタワチョ?」
 「アタリマエワチョ ボクタチハ ナカマワチョ」
そんなやりとりがあった後、シャケ兄弟の周囲を取り囲んで、オニーニ達は踊り出した。
悪臭と騒音をまき散らし、「オケガ ナオルワッチョッイ」 「ダイジョブワッチョイ オニーニワッチョイ」と意味不明な踊りを続ける。
いつもならオニーニ達はマターリし、虐殺厨が怒り狂って彼らを粉砕する場面だが、意外なところから抗議の声が上がった。
 「ナンデ オドッテルワチョ!! ボクタチノ フコウヲ ヨロコンデルノワチョー?!」
 「ビビビ、ビドビワヂョ ワッヂィダンバデ!!! ビンダ ギャグザジュジュー ワヂョー!!」
シャケ兄弟の声は拡声器越しに周囲に伝わるものの、兄弟を取り巻くオニーニ達の声はシャケ兄弟には届いていなかったのだ。
 「ナニイッテルワチョ ミンナ シャケタンタチノタメニ…」 「ボクタチヲ ギャクサツチューニ ウリトバシテ ジブンタチダケ マターリナンテ」
 「シャケタン イッタイ ナニイッテルワチョ ワケガ ワカラナイワチョ!?」
元々意味不明な会話が更にすれ違い、オニーニ達には少しずつイライラ感が募っていく、そんな時だった。
”バサッ”
不意に大きな網が彼らの頭上に降り、全員を覆い尽くす。そして次の瞬間、、、
”バヂバヂバヂ”と今度は網の間を電撃が走った。
 「イヂャァァァァァ」 「ワヂョギョォォォォ」 「ヂヒィィィ」
踊りは一瞬にして中断され、それぞれがそれぞれに悲鳴を上げ、目を白黒させながら体を痙攣させた。
それが止むと彼らはバタリとその場に倒れ、その場にはシャケ兄弟だけが立ちつくしていた。
 「ソウワチョ ボクラモ コンナフウニ…」

899 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/01/13(土) 16:37:30 [ zuqM6dUE ]
3/3
オニーニ達が失神していると、民家の壁の陰からトラックが現れ、そのすぐ側に停車した。
トラックからマスクをした2人の男がスタスタと歩み寄り、足下に転がるオニーニを荷台から降ろした大きな箱に放り込む。
手慣れた手つきでシャケ兄弟以外を放り込むと、1人がその箱の中身を勘定し始めた。
 「ひい、ふう、みい、、、7匹か、今日はこれぐらいにしておくぞ。 囮を入れ替えるの忘れるなよ?」
もう一人の男がその言葉に従い、ひとまわり小さい箱に、失神したオニーニから兄弟を選んで詰め込んだ。
最後にシャケ兄弟を閉じこめていたアクリルの半球を持ち上げると、呆然とする彼らを大きい方の箱に放り込む。
それぞれの容器の蓋が閉じられると、ようやくと言った様子で2人はマスクを取った。
 「フーン、でももう少し獲れそうですが?」
まだ周囲に残る臭気を気にしてか、口だけで息をしながら問いかけるフーンに、もう1人の男――― こちらはギコだ
 ―――が同じように呼吸しながら答えた。
 「ちょっと前なら軍隊さんで、全国規模の大量需要があったけれどな、今はねぇんだ」
 「また、キャンプ毎に的に使う程度に戻ったんで、供給過多になってんだと」
小さい方の箱を積み込んだギコはそう言いながら、他の資材を積み込んだフーンと2人がかりで大きい箱を持ち上げる。
 「フーン、それでもまだっ、持って行ってもらえるだけっ、手間が省けて、、、っと、いいですね」
ギコが涼しい顔をして持ち上げているのに対し、フーンはさも重そうに荷台まで運び、積み込んだ。
荷台の後板を上げると、ギコは運転席に、フーンは助手席に乗り込もうとした、その時だった。
”ヴィイイイーン”とどこからともなく響くバイブ音。
それを聞いたフーンは慌てて助手席のドアを開けると、新聞や週刊誌に埋もれた助手席をかき分ける。
しばらくすると雑誌の山から、PDAを兼ねた大きめの携帯電話が現れた。バイブ音の主だ。
 「なんだメールか、、、兄者から?」
【しばらく帰れない、母者達によろしく】
 「どうしたんだゴルァ」
フーンの慌てた様子に何事かと駆け寄ったギコに、フーンは兄からのメールであることを告げた。
 「そういやお前の兄貴は陸軍に居たんだっけな、またたくさん使うように言ってくれや」

             続く

900 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/01/20(土) 21:08:06 [ 0m6rBde. ]
          続き

1/3
薄ら寒い気がするのは、ここが地下だからだろうか?
博士は一昼夜ぶりに手術室のあるフロアを訪れ、そんな感覚に襲われていた。
元々死体安置所があることを知る者は、それだけで不気味に思うのだろうが、博士にとってはどうでもいいことだった。
後ろには、最低限の助手2名のうちの1人であるガナーが、一定の距離を保って続いている。
2人は上階でブリーフィングをした後、何の言葉を交わすことも無く、ひたすら沈黙を守っていた。
残りの助手である八頭身は、器械や各種機器の準備を行うために、先に手術室に入っていた。

(なにモナ?この男は)
博士が歩を進める薄暗い廊下の先に、白衣姿のマララーが現れた。博士には見覚えのない男だった。
それは大佐が以前訪れた時に連れていた、副官らしきマララーだったが、博士はその存在を気にも留めておらず、
更にその時は陸軍の制服を着ていたので、白衣姿の彼がその時の男だと認識できなかったのだ。
 「陸軍医官のマラオ少佐です、モライシャー大佐の命を受け、博士の助手として参りました」
伏し目がちにマララーが名乗るが、博士はそれを一蹴するように返す。
 「助手?聞いていない、いらんモナ」
うっとうしそうに手を払う仕草を見せる博士に、マラオは今度は面を上げながら言った。
 「私が今回の作業から参加し、最終調整までお供をすること、、、
             それをモライシャー大佐は援助の条件に揚げています」
博士の顔色を観ながら、口元をニィッと広げる。
 「これまでの実験についても、綿密にレクチャーを受けるように、、、とも承りました」
 「資料の受け渡しも同時に、、、もし受け入れられないのであれば、即刻こちらの閉鎖も、と」
言葉を重ねるごとに、大佐に付き従う人間にふさわしい、狡猾そうな微笑を浮かべる。
 「・・・っなにを!それは全てお前に教えろと言うことか!?大佐はどこにいるモナ!」
 「モライシャー大佐は、しばらくこちらにおいでになれません」
マラオはそう言うと、わなわなと背中を震わせ拳を握りしめる博士をよそに、手術室に入っていった。

901 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/01/20(土) 21:08:27 [ 0m6rBde. ]
2/3
エアシャワー、更に滅菌灯をも浴び装具を整えた博士は、既に準備を整え待ち構えていたマラオを睨み付けた。
ガナーは特段気にする様子もなく自分の持ち場に着くが、先に入っていた八頭身は困惑した様に、博士とマラオを見て言った。
 「博士・・・」 「大佐の付き人モナ!予定通り始めるモナ!」
八頭身は博士の言葉に弾かれ、オニーニやちびギコを押し込めてある壁に向かうと、片っ端から死体袋を取り出し始めた。
彼はその体躯を活かし、誰の助けを借りることもなく、部屋の開いたスペースに死体袋を並べてゆく。
5分としないうちに20もの袋が並べられた。
中身は半数ずつオニーニとちびギコが入っているはずだが、どの袋もピクリとも動かず、その生死も分からない。
 「博士?まさか全部無駄にしたのでは」
(クソ、いちいち癪に障る)
 「今回は新型の生命維持装置のテストと、適正のふるいにかけているモナ」
マラオの言葉に、博士は腑の煮えくり返る思いをしながら、それでも平静を装って言った。

”ジィィーッ”
八頭身により、端から順に死体袋のジッパーが開けられてゆく。まずちびギコの姿が現れた。
やはりどのちびギコも、袋が開けられる前と同様ピクリとも動かない。
その顔を見られれば生死も分かるだろうが、今は黒いバイザーの付いたヘルメットに阻まれ、うかがうことは出来ない。
次にオニーニの入った袋も開けられる。
こちらも最初はピクリともしなかったが、しばらくすると何体かのオニーニが手足の指を動かし始めた。
 「へぇ・・・」
感心したようにマラオは呟き、蠢くオニーニに触れようとしたところで、博士に手をはたかれた。
 「助手なら助手らしくしてもらうモナ」
マラオは気を悪くした様子も無く、素直に手を引っ込めた。

博士はひとしきり袋の中身を観察した後、ガナーからケトルを受け取った。その注ぎ口からは湯気が漏れ出ている。
一番端に寝かされたちびギコの上に、まるでインスタント麺でも調理する様に、湯を注ぎ始めた。
”トクトクトクトク・・・”
注がれる湯の放つ湯気から、その熱さがうかがい知れる。沸騰した状態からほとんど冷めていない。
しかしちびギコは何の反応も示さない。
次から次へとちびギコの死体に湯が注がれ、空になる度にケトルを補給する、そして、、、
”トクトクトク・・・” 「・・・・」
7匹目のちびギコの脚に湯を注ぐと、僅かに反応を示し、ピクピクと動いた。
それを確認した博士は、湯を注ぐのを止め、ガナーに顎で指示を出す。
ガナーはピクピクと動くちびギコを持ち上げると、寝台の上に置いた。
半死半生どころか、ほぼ死にかけているが、それでも確かに生きてはいた。
ちびギコの、湯を注がれた部分の毛が少しだけ抜け落ち、赤くただれた地肌を晒す。
残る3匹にも同様に湯を注いだが、結局反応を示したのは1匹だけだった。

902 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/01/20(土) 21:08:50 [ 0m6rBde. ]
3/3
 「たった1匹だけですか?」
 「以前は50匹中2匹、明らかに成果は出ていると思わないモナ?そんな予習すらもしてきていないとは」
半ば煽り合いとも取れる会話を交わしつつ、博士はオニーニに湯を注ぎ始めた。
”ジュワァアァァァ”
ちびギコの時と異なる何かが細かに弾けるような音、注がれたのは湯ではなく油だった。
1匹1匹に油を注ぐ。
しばらくは何の反応もなかったが、6匹目のオニーニに湯を注ぐと、
 「ワヂョォォォォー」
相変わらずくぐもってはいるが、叫び声が響き、明らかに生きていることが分かる反応を示した。
同時に手脚をジタバタと動かし、もがき出す。
 「よし」
博士が短く言うと、ガナーがそのオニーニの手を持って押さえつけ、そこへ更に八頭身が斧を手に近づき、、、
 ”ブォン” 
    ”ガァン”
斧が空を切る音がし、その刃が床にめり込む。
切っ先が床に到達するまでに存在したオニーニの腕は、両方とも肘の所で切断されていた。
 「ア゛ア゛ア゛、オテテガァァァ」
オニーニは脚と上腕だけになった腕を振り回し、一層暴れ始めた。
ガナーが、今度はコンガリと揚がった脚を押さえつける。
暴れているとはいえ所詮はオニーニ、苦もなく動きは封じられる。
”ブゥゥン” ”ガン”
腕とは違い、太ももの付け根当たりから、脚が切り離された。
 「オテテガァ、アンヨガァ、イタァァイワヂョォォ」
中途半端なダルマが出来上がると、ガナーは乳白色の血を流すオニーニを、寝台のちびギコの横に運んだ。

その後も油を注ぐ度にオニーニが叫びを上げ、その都度のたうち回りながらダルマにされていった。
そして最後の1匹に湯を注ぐ。
”ジュワァァァァァ” 「オギギギギ、ワヂョゲゲゲゲ!!」
反応はしたものの、それは先の4匹とは異なるものだった。
暴れる様子もどこか鈍く叫び声も不明瞭な、奇妙な雰囲気を感じさせる。
 「チッ、不良品が混じってたモナ」
八頭身は博士の言葉を聞くと、指示を待つこともなく死体袋のジッパーを閉じた。
 「オギギギワヂョ゙オ゙ォ゙ォ゙!!!」
叫び声が一層大きくなったが、それもすぐに収まることになる。
八頭身が袋の上で跳び跳ね始めたのだ。
”グチャッグチョッ”と、八頭身が着地する度に袋から音が鳴る。それと同時に、
 「ヂョゲッ!! ヂョゲッ!!」
と袋の中から声が響いたが、八頭身が跳躍する度に徐々に小さくなってゆき、十数回辺りで袋からの声は止んだ。

             続く

903 名前:神と家畜ではないッス ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/01(木) 22:42:21 [ zUuWjpXI ]
ちと思いついたので、書いてみた代物です。
あんまり長くはしない、次か長くてもその次くらいで終わる予定。

狂気の相違 その1


……場所は、どこであろうか。とにかく薄暗い、建築素材は木材であるはずが
何故かやたら鉄の匂いが漂う、家。
……そんな家の中に一人、……モララーとおぼしきAAが、昼間なのに
カーテンを閉め切り、しかし灯りもつけずに暗がりの中、ぶるぶると震えていた。


ああ、ああ、素晴らしい。素晴らしいぞ!!
……頭の中がこれだけ静かなのは、一色に染まっているのは初めてだ!!
雑念がない! 余計なことを考える余地がない! 目覚めたのだ!

そうだ。このどす黒く煮えたぎる頭脳を以て、お前たちを焼き尽くしてやる。
俺から全てを奪った、あの忌まわしき、憎きしぃ族めが!!
倍返し程度で済ますものか。……十倍、百倍、……いや、もっとだ。
とにかく貴様らしぃ族に、心の底にまで絶望を食らわせてやる………


……暗がりの中で震え、歓喜の声を上げたモララーはそのまま立ち上がると
どこかに出掛けていった。

904 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/01(木) 22:43:36 [ zUuWjpXI ]
………………………………

「じゃあ、また明日ね!」
「うん! じゃあねぇ!」
二匹の、小学校に通っているのだろうか。赤いランドセルを背負った
ちびしぃが二匹、夕焼けの元でお互いに別れを告げ、手を振っていた。

「……………………………」
その光景を遠巻きから眺める、一つの視線。

「ハニャニャンニャンニャンニャン……♪ 今日の御飯は何かな?」
その二匹のうちの一匹、ぱっと見た感じではそれほど目立たないが
しかしよく見ると良い身なりをしている、ちびしぃ。
大好きな友達とお喋りをして、いつもの場所で別れて、そのまま家に帰って
遊びに出掛けて、暗くなる前に帰ってきて、ご飯を食べて………
……そんな、いつもの生活。普通ではあるだろうが、何よりも楽しい………

そんな生活が、今日は少し違っていた。

「………、キミ、しぃかちゃん、だよねぇ……?」
「!?」
突然、背後から聞こえてきた声にちびしぃ……しぃかは驚いて振り返った。
振り返ったその先にいたのは、モララー。ただどこか、普通ではなかったが。
……勿論、あからさまに返り血を浴びているとか、どこぞのキモオタのように
ハァハァ息を荒くしているという意味ではない。……むしろ、逆。

……そのモララーは、そんなそこいらのちゃちな虐殺者たちとはまるで正反対で
限りなく、静かだった。……それは、足音がしないとかの物理的なものではない
勿論それもあるのだが、それ以上に、彼の周りから空気が消失したような……
そんな、浮世離れした雰囲気を身にまとっていた。

「ハ、ハニャアァ………!?」
野生の勘というか、しぃかは即座に危険を察知した。だが、遅かった。
「…………………………」
返答を待たずに、そのモララーはしぃかの首をむんずと掴んだ。
思わず手足をじたばたと動かすしぃか。しかしモララーの力の前には為す術などない。

はっ はにゃっ! はにゃあああ!! どうしよう! どうしよう!
助けを呼ぼうにも、周りには誰もいないし…………
そうだ! しぃ魅ちゃんがいる! さっきそこで別れたばかりだから
今声を出せば届くはずだ! 助けに来てくれるはずだ!

……さてそれではと、しぃかが口を開いた瞬間。
「……ああ、言っとくけど、助けを呼ぼうったって無駄だからね」
はにゃっ?
そう言うなり、モララーが自分の目の前に差し出してきたもの。
……首があらぬ方向に曲がり、体をもはやぴくりとも動かさなくなった
さっきまで楽しくお喋りをしていた友人……しぃ魅。

「あ、ああ、あああ………!!」
「さ、行こうか。あまりちんたらやっている時間はないんでね……」

905 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/01(木) 22:44:06 [ zUuWjpXI ]

……………………………………………

「遅いわねぇ……。一体、どこで油を売ってるのかしら……」
とある、住宅街の中の一軒。一匹のしぃが心配そうな顔をして
玄関と家の中とをうろうろしていた。
「夕飯までには、暗くなる前までには帰って来いって言ってあるのに……」
そういいながら、母しぃは時計をちらりと見る。時間は午後七時。
……確かに子供が遊ぶには、遅い時間ではある。

……さて、そうしてどれほど待ったであろうか。時計の音だけが居間に響く中
突然、電話が鳴り出した。

「あの子かしら?」
母しぃはほっとしたようなため息をついて、電話を取った。

「……もしもし? どちら様ですか?」
とはいえ、誰か他人がかけてきた可能性もある。とりあえず普通に応対すると……
「モシモシ? シィカサンノオ母サンデスカ?」
「!?」
思わず母しぃは、電話から耳を離した。

電話口から、聞こえてきた声。それは勿論、愛しい愛娘のそれではなく
あの、テレビなどでよく出る「プライバシー保護」 あれの声に似ていた。

……これは、いたずらか? いや、しかし…………
何か嫌な予感が頭をよぎり、母しぃは再び受話器を耳にした。
「もしもし? ……はい、確かに私は、しぃかの母ですが………」
すると電話口から、かすかに含み笑いのような声が聞こえてきた。
「……クク。ドウモ、オ初ニオ目ニカカリマス。オ母サマ。
 私、オ宅ノチビシィチャンノコトデオ電話サセテイタダイタ者デス。クク」
「う、うちのしぃかが、何か………?」
母しぃは、動悸が速くなっている胸に手を当て、ごくりと息をのむ。
「……イヤァ、ソレニシテモオ宅ノチビシィ……、イエ、シィカチャンハオ元気ダ。
 サッキマデ散々暴レテマシタガ、ヨウヤク今シ方眠ッテクレマシタヨ。クックク……!!」
「!! それは……一体……!?」
「言ウマデモナイデショウ? シィカチャンハコンナ遅イ時間マデ、外デ遊ブ子デショウカ?
 ソウデナイトシタラ、一体何故、シィカチャンハオ家ニ帰ッテナイノカ……
 サァ、オ答エヲドウゾ? ウクククク……!!」
「ま、まさか、まさか…………!!」

……動悸はますます速くなってくる。顔が熱くなる。何も考えられなくなる。
手や足が、無意識のうちに震えだしてくる。
しかし母しぃは、おそるおそる口を開いた。
「まさか……、うちの……しぃかを………ゆう……かい………!?」
「確カメタイノデアレバ、シィカチャンノオ部屋ニ行ッテミルコトデスネ」
「!!」
その声を聞くなり母しぃは、受話器を放り出してしぃかの部屋へと駆けていった。

906 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/01(木) 22:44:33 [ zUuWjpXI ]

「しぃか!?」
勢いよく開けられた扉、もはや悲鳴にも似た母しぃの声。
しかし、誰も答えない。
「…………何が、確かめられる……。え?」
部屋に飛び込み、辺りを見回していた母しぃの視界にある“モノ”が入ってきた。
「……しぃかの、ランドセル………?」
何故か主人がいないのに、ランドセルだけが部屋に戻ってきている。
怪訝に思った母しぃが、手にとって裏側を覗いてみると
「!?」
……途端に、ランドセルを床に落として震えだした。

しぃかのランドセルは、赤いランドセル。その赤いランドセルに
今まで見たこともない、くっきりと残された赤黒い文字。
……字の形からするに、おおよそまともに書かれたモノではないことははっきりしていた。

「OPEN」

赤黒い、殴り書きで描かれたそれに従い、母しぃはランドセル開けた。開けた瞬間

「シィィィィィィィィィィッッ!!??」

……今まで悲鳴の一つも挙げなかった母しぃが、絶叫。尻餅をついて
ランドセルの中にあったモノを、震えながらつまみ上げた。

震える母しぃの手の中にあったのは、……白い、三角形の……、半分が赤く染まった
要するに、耳。恐らくちぎり取られた耳の肉片が一つ、ランドセルの中に入れられていた。
「こ、これは、これはぁぁぁ……、しぃかの…!?」
その肉片に、母しぃは見覚えがあった。なぜならばその肉片、ただの耳のそれではなく
……耳の三角形の、頂点の一つ。そこに見覚えのあるピアスがあったから。
「あの子の……誕生日に……つけてあげた………………」

もはや、疑う余地はない。しぃかは、誘拐されたのだ。
「あ、あああ、あああ、あああ………!!」
涙をこぼし、尻餅をついたまま後ずさる母しぃ。しかしそんな母しぃに、追い打ちをかけるべく
「? はにゃ?」
見覚えのない、恐らく先程ランドセルを開けたときにこぼれ出たものであろう
……これまた赤黒い染みのついた紙切れが一枚、母しぃの手に触れた。
「これも、まさか………!!」
かさかさと紙切れを開いていく母しぃ。しかし、その中身を見た途端

イヤァァァァァァァァアアアァァァアァァ!!!!

……その紙切れに書かれた、二種類の文字。共に文字の色はやはり赤黒く、片方は
まさに殴り書き。何とか読める程度のもので、もう片方は、割合整ったもの

「 ま ま  た す け て
 
 これでお分かりになられたと思いますが、如何でしょうか?
 連絡は追っていたしますので、首を長ぁくしてお待ちください。
 あと、この文字はしぃかちゃんの血液を使わせていただきました。多謝。」

907 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/01(木) 22:45:26 [ zUuWjpXI ]

…………………………………
「あなた……、どうして、こんな………!?」
「落ち着け、落ち着くんだ。……まだ死んだわけじゃないだろ?」
「そうですよ、奥さん。こんなふざけたことをする輩は、絶対に捕まえます」 

……通常ならば、静かな空気に包まれるであろう住宅街。だが、
今日に限ってはそれもかなわぬようだ。

とはいえ別段、野次馬が騒ぎを聞きつけたというのではない。……あのあと、母しぃは
すぐさま夫と、警察に電話。……帰宅した夫と、駆けつけた警察。
それらで応接間がごったがえしていたからだ。

しかし、世間では疎まれる存在であるはずのしぃ族の誘拐事件に、警察が乗り出すというのも
奇妙に聞こえるが、それはアフォしぃの話ならばだ。……しぃ族全体で、一割程度を占める
良しぃ。常識もあり、全角しゃべりの出来る彼女たちは、何ら扱いが多種族と変わることがない。
すなわちそれは、彼女たちの子供も同じと言うことで………

「それで、身代金などの要求は?」
「それは、何も……。この紙に書いてある通り、あとで連絡すると言うことでしょうか……?」
母しぃは泣きながら、机の上に置かれた先程の紙を指さす。

「おそらく、そうでしょう。……おい、逆探知の準備は!?」
「茂羅警視、ただ今設置完了しました! いつでも大丈夫です!」
「よし。……しかし奥さん、相手は声を変えていたということですが、となると相手は
 あなたに面識があるのかもしれない。……誰か、心当たりなどはありますか?」
「……………………」
勿論、母しぃは首を横に振った。
「そうですか。……では、とにかく今はあちらからの連絡を、待ちましょう」
先程「茂羅警視」と呼ばれたAAは母しぃにそう言うと、ソファに腰を下ろした。

その、茂羅警視のちょうど真正面に、母しぃは腰を下ろしていた。
とはいえ、話など出来ようはずもない。……顔面は蒼白で、目の焦点はどこへやら。
手を蝿のようにせわしなく小刻みに動かして、うつむいた姿勢でいた。

ああ、どうして? どうして私のしぃかが、さらわれなきゃいけないの!?
……こんな、お金もないただの庶民の娘を捕まえて、何をしようっていうの!?
……お願い、お金ならいくらでも払うから、要求があるなら何でも聞くから
お願いだから、しぃかを……、返して………!!

908 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/01(木) 22:45:43 [ zUuWjpXI ]

同日・某所

……どことも知れぬ、廃屋。そこにモララーはいた。

さぁてさてさて、この時間ともなれば、母親は俺のあの“メッセジ”を
読んだだろうから、おそらく今家には警察共が来ている頃……か。

くけけけけ……! くかかかかか……! 今の母しぃの顔が目に浮かぶわ。
おそらくと言うより絶対、心労で何も目に入らぬ状態になっているだろう。
カカ……! それでいいのだ。だからこそ良しぃの娘をさらったのだからな!
アフォしぃにはなく、良しぃにはあるもの……。母性。……母性!
良い響きだ。実に良い!! この世で最も尊く、美しいとされるもの……

……それを髄の髄まで踏みにじり、叩きつぶしてやる……! くひゃはは……!!

……と。さぁて、そろそろ時間だ。地獄への呼び水を送るとしますか……!
モララーは、何やら機械をいじくり始めた………

909 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/01(木) 22:46:44 [ zUuWjpXI ]

…………………………………………………

「!!」
電話が、鳴った。一同の顔に緊張が走る。
「……犯人かもしれん、準備はいいか!?」
「OKです! いつでもどうぞ!」
部下が親指を立てたのを確認すると、茂羅警視は母しぃの方へと振り返る。
「……それでは、奥さん。なるべく話を延ばしてください。頼みますよ」
「はい………」
……震える右手を、左手で押さえ、どうにか母しぃは受話器を取った。

「も、もしもし…………?」
「イヤァ、先程ハドウモ。奥サン。」
「!!」
電話口から帰ってきたのは、あの時と同じ機械で変えられた声。
母しぃの様子を見て、茂羅警視たちも動き出した。

「……それで、しぃかは……、あの子は無事なんですか!?」
わなわなと、受話器にかじりつかんばかりの勢いで訪ねる母しぃに対し
「ケカカカ……! サァネェ。 無事ト言エバ無事ダシ、無事ジャナイト言エバ……」
「ま、まさかあの子に何か!? 何をしたの!?」
「ケヘヘヘ。……アァ、ソンナニ知リタイ? ナラ教エテアゲルヨ。……トハイッテモ
 ベタニ声ナンカ聞カセナイヨ。何ヲ言ワレルカ分カッタモンジャナイカラネ」
「え……!? じゃ、じゃあ、どうやって……?」
「ソレハオ楽シミニ。……明日ノ午前中ニハ分カルト思ウヨ
 ソレジャア、今夜ハモウ喋ルコトモナイカラ、コノ辺ニシテオクヨ」
「え、え!? そ、そんな! ちょっと待って……!」
あまりにも早い引き下がりに、思わず母しぃは食いつくが
「……明日マデ連絡ハシナイカラ、ジャア………」
そして無情にも、電話は……切れた。

「おい! 逆探知はどうだ!? 成功したか!?」
茂羅警視は怒鳴るように部下に問いかけるが、彼らの表情は暗い。
「それが、やはり……、不可能で………」
「何!? ……くそ、やはりあんな短時間では無理があるか……」
「はい。それに加えて奴は、スクランブラー……妨害装置のようなものを使用してます
 非常に複雑に暗号化されているので、身元の特定はかなり困難です」
「ち……。準備は万端ってわけか……。くそっ、人を虚仮にしやがって……!
 このふざけた野郎、絶対に監獄に送り込んでやるからな……!!」

そんな凄む茂羅警視を余所に、母しぃはますます震えが止まらなくなっていた。

お願いします、神様……! お願いします………!!
私は、どうなっても構いません。自分の命だって惜しくはありません。
ですから、ですからどうか、あの子を……、しぃかを、助けてください……!

母しぃはますます、それこそ文字通りに地に頭をこすりつけて祈り始めた。

910 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:18:51 [ LaCVn4Ks ]
かなり緊張な本スレ初投稿です。練習スレ出身の新米ですが、どうぞよろしく。

<はじめに>

この作品にはモナーやモララーの子供が出てきますが、それらのキャラは便宜上「ちびモナ」「ちびモラ」と表記します。
公式にそういったキャラが存在するかはわかりませんが、この作品オリジナルの設定という事でどうかご了承下さい。
それではいってみます。


【出動!ちびっこ自警団】


ここはとある町の、『AA平和記念公園』。
昔、AAの人権がほぼ平等になると法律で定められた際、それを記念して創られた公園である。
豊富な遊具や備え付けられたベンチに水道、そして結構広い広場など、なかなか充実している。
その広場の少し隅の方で、数人の少年少女がなにやら騒いでいる模様。さて、何をしているのやら・・・?

「だ〜か〜らぁ!今日は鬼ごっこで遊ぶのがいいって何度言ったらわかるデチか!」

「いいや、かくれんぼの方がいいに決まってるんだからな!」

「それよりサッカーの方が面白いモナ!」

そこにはちびギコ、ちびモナ、ちびモラ、ちびしぃがいた。
どうやら、何をして遊ぶのかで意見が分かれているらしい。
見たところ、ちびギコは鬼ごっこ、ちびモラはかくれんぼ、ちびモナはサッカーが良いと言って譲らないようだ。
そんな3人の様子を、ちびしぃはおろおろしながら見ている。

「みんな落ち着いて・・・喧嘩は駄目だよ、ね?」

小さな声で皆を説得しにかかる。すると3人はちびしぃの方を向き、

「こうなったらちびしぃちゃんに決めてもらうんだからな!」

「それなら平等デチ!」

「それがいいモナ。恨みっこは無しモナ!」

「え、えぇぇ・・・?」

いきなり話を振られてちびしぃは戸惑ってる模様。そして3人は同時に詰め寄った。

         鬼ごっこ        デチ
「ちびしぃちゃん、かくれんぼ の方が、良いに決まってる よね!!?」
         サッカー        モナ

「ふぇぇ・・・」

3人のあまりに凄い剣幕に、ちびしぃは今にも泣きそうだ。
さて、何故こんな事になったのかと言うと・・・まあ、あえて説明するまでも無いかとは思うが。
時は3月中旬。春休み直前で学校が午前中に終わった為、仲良しのこの4人組は公園で遊ぶ約束をした。
集合した後、早速「何して遊ぶ?」という話になった。
皆は口々に「缶蹴り!」「縄跳び!」等と案を出していった。
最初はただ浮かんでは消えていくだけだったのだが、子供というのは気まぐれな生き物だ。
何の前触れも無く唐突に、それぞれ鬼ごっこやらかくれんぼやらがやりたくて堪らなくなったのだろう。
そして互いに譲るに譲れず、現在に至るわけだ。

911 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:19:36 [ LaCVn4Ks ]
「こうなったら勝負して決めるからな!」

ちびモラの突然の提案に、2人は聞き返した。

「勝負って・・・」

「何モナ?」

ちびモラは2人に説明をしてみせた。

「だから、今から勝負をして、勝った人が何で遊ぶかを決める。どう?」

これなら確かに平等だ、と2人は賛同した。

「じゃあそれに決定デチ!」

「モナも良いと思うモナ。でも、勝負って・・・?」

よくぞ聞いてくれた、と言わんばかりにちびモラは言い放った。

「ふふふ・・・それは、かくれんぼで勝負だからな!最後まで見つからなかった人が勝ち!」

「その勝負、受けて立つデチ!」

ちびギコは即座に乗ってきたが、ちびモナは少しの間思案をした後、ハッとした。

「・・・ってちょっと待つモナ!それじゃ結局かくれんぼをする事になるモナ!」

ちびモナの指摘に、ちびモラはばつの悪そうな顔をして、「バレちゃった・・・」と呟く。
ちびギコもようやく気づいたようだ。

「あっ!・・・ちびモラ、策士デチね・・・」

その様子をちびしぃは微笑みながら見ている。
何だかんだで仲の良い4人組。とても微笑ましい光景ではないか。
だが、次の瞬間――

「ハニャーン!」

微笑ましい雰囲気を根底からぶち壊す、悪しき者の声が公園に木霊する・・・。

912 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:20:28 [ LaCVn4Ks ]
「アフォしぃデチ・・・」

ちびギコが舌打ち交じりに呟いた。
説明するまでも無いとは思うが、アフォしぃとはしぃ族の中で思考回路やら精神構造やらがどこか欠如しているしぃの事を指す。
総じて異常なほどの自己中心的な思考、言動、行動を特徴とし、その為かなり忌み嫌われている存在である。
アフォしぃによる被害(窃盗・傷害etc・・・)がかなり増えている為、アフォしぃに関しては駆除――所謂「虐殺」が認められている。
冒頭で人権がほぼ平等になった、と述べたが、そこに『ほぼ』がつくのにはここに理由がある。
―――説明はこの辺でいいだろうか?では本編に戻ろう。
たった今、公園のマターリとした雰囲気をぶち壊したのは2匹のしぃ族と1匹のベビしぃだ。ベビは恐らくどちらかの子供だろう。
もうお分かりとは思うが、この2匹はアフォしぃだ。見た目は通常のしぃと変わらないが、雰囲気や言動で簡単に見分けがつくとか。

「遊びに来た・・・わけじゃなさそうモナね」

「そもそもアフォしぃが、仲良くするなんて精神を持ち合わせているとは思えないからな・・・」

ちびモナとちびモラがこんな会話を交わしている間に、3匹は『侵略』を開始していた。

「ジャマヨ、 コノクソチビドモ!シィチャンノ タメニ ソコヲ ドキナサイ!」

「アンタタチミタイナ ゴミニ コウエンデ マターリスル シカクハ ナイノヨ!」

「サッサト ドクデチュ!コノテイノウ!」

そんな暴言を吐きながら、3匹は砂場で遊んでいた幼い子供達を、半ば暴力沙汰で追い出していった。
いくら虐殺対象とされるほど弱いアフォしぃでも子供では勝てない。
可哀想な子供達は、半ベソをかきながら公園から走り去っていった。
次に3匹は、遊具で遊んでいた子供達を追い出しにかかった。

「アンタタチハ イエデ ヒキコモッテリャ イイノヨ! コノ ゴミクズ!」

先程と同じような事を喚きつつ、やはり子供達をたたき出してゆく。
ちびギコ達はその中に、見知った顔を見つけた。

「あっ、あいつ!丸モナデチ!」

そこにいたのは同じクラスの丸耳モナー(もちろんちび)だった。隣にいる幼い少女は彼の妹のようだ。
丸耳モナは勇敢にも、アフォしぃ達に食って掛かっていた。

「お前ら!公園は皆で使うものだろ!こんな事していいと思ってるのかよ!」

丸耳モナが叫んだ。しかし、次の瞬間・・・

ドムッ!

アフォしぃが地面に叩きつけた棍棒の音に竦み、口を閉ざしてしまった。

「ナニカナ? ゴミチビサン?」

アフォしぃはニヤニヤとした笑みを浮かべている。見てるだけで気分が悪くなる、嫌な笑みだった。
アフォしぃに常識は無い。その気になれば女、子供、赤ん坊、何であろうと平気で殺す。
彼はそれを知っていた。妹思いな丸耳モナは妹に危害が加わる事を恐れたのか、それ以上何も言えずに妹の手を引いて踵を返した。

「もう帰っちゃうの?まだ遊びたいよぉ」

丸耳ガナーの妹がつまらなさそうに呟く。
彼女は幼さ故、今の状況を理解していないようだった。
丸耳モナは妹の頭を撫でながら、

「ごめんな。帰ったら兄ちゃんがいっぱい遊んでやるからさ・・・」

そう宥めつつ、公園を去っていった。
彼は去り際に、ただ一言

「―――ちくしょう・・・」

心の底から悔しそうに呟いた。

「ハニャーン!クズノ ブンザイデ コノ カワイクテ ツヨk(ry)ナ シィチャンニ サカラウンジャ ナイワヨ!」

「マ、ゴミクズナンテ ショセン コンナモンヨネ」

「チィチィ!バカスギデチュ、ミテラレナイ デチュ!」

アフォしぃ達の罵倒。3匹は妹思いの立派な少年に、暫く暴言を浴びせ続けた。
それを聞いたちびギコは、どうにもし難い憎悪をアフォしぃに対して覚えた。我知らず、ぎりぎりと歯軋りが漏れる。
それは残りの3人も同じだった。だが、どうすればいいのか?
その時―――不意に、ちびギコの携帯電話が鳴った。

913 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:21:23 [ LaCVn4Ks ]
「もしもしデチ」

ちびギコが電話に出ると、電話口から大人の男性の声が聞こえてきた。

「やあ、ちびギコ君かい?突然ごめんよ」

「あ、モララーおじさんデチか」

電話の相手は彼らが『モララーおじさん』と呼んで慕うモララーだった。因みに、ちびモラの父親でもある。

「君達、今4人で遊んでいるんだろう?ちょっと依頼が入ったんだけど、今大丈夫かい?」

ここでモララーの口から出た『依頼』という言葉。これは何を意味するのだろうか?
まあ、これについては後ほど説明することになるので、今は話を先に進めよう。

「モララーおじさん。その依頼内容ってもしかして・・・」

ちびギコはちら、と後ろを見た。
3匹のアフォしぃ(内1匹ベビ)が、誰もいなくなった砂場でくつろいでいる。
まさに『我が物顔』といった体だった。
ちびギコは視線を戻し、話を続けた。

「・・・『AA平和記念公園』のアフォしぃの事デチか?」

すると、モララーは少々驚いた声色で、

「おや、どうしてわかったんだい」

と言う。
ちびギコが返した。

「だって、僕達もそこで遊んでたデチから」

モララーは、なるほど、と呟いてから、

「なら話は早いよ。受けてもらえるかな、この依頼。今、私達はちょっと手が離せなくてね。
 もちろん、ギャラははずむよ?」

そう続けた。
ちびギコは3人の方を向いた。すると、まるでそれをわかっていたかの様に、3人が同時に頷いた。
ちびギコは自分も頷きつつ、

「わかったデチ。僕達にお任せデチ!」

元気良く告げた。

「ありがとう、助かるよ。あ、既におにぎり君がそっちへ行ったからね」

モララーが言い終わらない内に、

ブロロロロロロ・・・

バイクの音が近づいてきた。

914 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:22:14 [ LaCVn4Ks ]
バイクは4人の子供達の前で止まった。アフォしぃ達は気付かない。
ヘルメットを脱ぐと、おにぎりの顔が現れる。こちらも大人。

「ちびちゃん達、こんにちわっしょい」

「こんにちは〜!」

おにぎりの挨拶に、4人が揃って元気に返す。
ちびギコは再び電話に戻る。するとモララーの声が聞こえてきた。

「じゃあ、後はおにぎり君に聞いておくれ。私はお客さんが来ちゃったから、これで」

「は〜い。モララーおじさん、ありがとうデチ」

ちびギコが言うと、モララーは「じゃあ、よろしくね」と残し、電話を切った。
ちびギコはおにぎりに向き直る。
おにぎりはそれを待っていたらしく、話を始めた。

「ええと、今回の依頼は、あのアフォしぃ達の駆除、または撃退わしょーい」

言いながら親指で背後のアフォ3匹を指差す。頷くちび達。

「ギャラは、駆除なら500円分、撃退なら300円分だわっしょい。あ、ベビはどっちでも200円だよ。
 そうそう、武器はこの中にあるわっしょい」

そう言いながらバイクの荷台から降ろしたのは木製の大きめの箱。

「いつも言ってるけど、くれぐれも気をつけて欲しいわっしょい。
 危なくなったら逃げるんだよ?」

おにぎりの心配を含んだ声に、4人は再び一斉に「は〜い!」と返事した。

「それじゃあ、僕はもう行かなきゃ。僕もまだ仕事が残ってるからね。
 それじゃあちびちゃん達、頑張るわっしょい!」

言いながら、おにぎりはヘルメットを被り、バイクに跨った。
なお、おにぎりとモララーはこの町の引越し業者で働いている。
春は引越しのシーズンなので、なかなか繁盛しているようだ。
ちび達が手を振ると、おにぎりも手を振り返す。
ひとしきりそうしてから、おにぎりはバイクをブオン!と唸らせ、そのまま出口へと走り去って行くのだった。

915 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:23:05 [ LaCVn4Ks ]
さて、ここまで読んでいただけたなら、ちび達の『任務』がどのようなものか、お分かり頂けただろう。
この4人のちび達は、普段は普通の小学生だ。
しかし、こうしてたまにアルバイトとして、アフォしぃ等の害獣駆除を請け負ったりするのだ。
もちろん、あまりに危険な任務―――相手が武装している等―――の場合は請け負わない。
彼らがこなす任務は、あまり危険でなく、なおかつ大人が行けない場合に限る。
まあ、それでも結構依頼は多かったりするのだが。

「おお〜!ちゃんとリクエスト通りに入ってるデチ!」

武器の入った箱を開けたちびギコが歓喜の声を上げた。
どうやら事前に武器をリクエストしていたらしい。

「ということは、この中身は・・・」

ちびモラが箱の中にあった何かを掴み上げる。
ちゃぽん、と音がした。どうやら液体が入っているようだ。

「そ。例の『アレ』に違いないモナ!」

ニヤリと笑ってちびモナが言った。一体何が入っているのかは―――まあ、後にわかるだろう。

「ねえ、それよりもさ・・・」

ちびしぃの声に、3人が一斉に振り返った。

「ちびしぃちゃん。どうしたモナ?」

ちびモナの問い掛けに、ちびしぃは砂場の方を指差して言った。

「早くやっつけないと・・・公園が汚れちゃうよぉ」

指差した方向を見た3人は、絶句。
そこに広がっていた光景は、見れば常人なら誰だって胸が悪くなるだろうと思うほどの物だった。
アフォしぃ達は、早くも砂場の周り一体を糞尿で汚しまくっていた。
一体全体、その体のどこにそんなに溜め込んでいたのか、と思わず小一時間問い詰めたくなる程の汚物の量。そして常識を逸脱した悪臭。
四字熟語で表すなら『阿鼻叫喚』或いは『地獄絵図』と言った所か。
そして今まさに、ベビが汚物をさらに生産している所だった。それも砂場のド真ん中。

「ハニャーン!コレデ ギャクサツチュウノ コウエンモ スコシハ ミバエガ ヨクナッタワネ!」

「マッタク、セッカク カワイイ シィチャンタチガ キテアゲタ ダケジャナク コウエンヲ コンナニ ウツクシク シテルノニ!
カンシャノ ダッコノ ヒトツモ ナイノ?」

「チィ!ギャクサツチュウノ スナバモ チィノ ウンチサンデ キレイニ ナッタデチュ!」

好き勝手ほざくアフォしぃ達を前に、4人の怒りは沸点を超えようとしていた。

「ぬおぉぉぉ〜!も、もう許さんデチ!」

既に怒りが飽和しかけたちびギコが怒りを露わにする。

「・・・同感モナ。奴らには、それなりの報いを受けてもらうモナ」

ちびモナも、静かに怒りを滾らせているようだった。

「――じゃあ、『あの方法』を実行しようか。あれなら、相当な苦しみを味わわせられるはずだからなっ!」

ちびモラの提案。彼の言葉は、後半部分が憤怒の余りに上擦りかけていたが、誰も気にしなかった。

「賛成よ、ちびモラ君」

ちびしぃも賛同した。彼女は表情自体にはあまり変化は無かったが、

「・・・もうあいつら、生かしてなんておけない。絶対に許さないんだから・・・」

心の底ではマグマの如く、怒りが煮え滾っていた。
誰よりもこの公園を愛していたちびしぃ。その分、それを汚された怒りは並大抵のものではなかった。

「それじゃあ―――」

4人は一斉に、大切な公園を汚し、住民や友を傷つけた憎き敵を睨み付けた。そして、箱に腕を突っ込む。

「―――逝くデチっ!」

ちびギコの号令と共にちびしぃを除いた3人が、一斉にそれぞれの『武器』を箱から取り出した。





『ちびっこ自警団』 出動―――!

916 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:23:56 [ LaCVn4Ks ]
「マッタク!ナンデ コンナニ カワイイ シィチャンガ イイコト シテルノニ ダレモ ダッコ シナイノヨッ!ショセンハ ギャクサツコウエンネ!」

「ツイデニ アマクテ ヤ(ry)ナ タベモノモ モッテキナサイヨ!」

「ナッコ!コウピ!ナッ(ry」

相変わらず好き勝手喚き散らすアフォ3匹。
そいつらにある程度近づいた後、ちびギコがわざと聞こえるように言った。

「何をほざいてるデチかねぇ。人がいないのは自分達が追い出したからのくせに・・・」

するとここでようやくしぃ達は4人に気が付いた。

「チョット!ソコノ クソチビドモ!シィチャンタチガ コウエンヲ キレイニ シテヤッタンダカラ ダッコシナサイ!」

「オナカモ スイテルンダカラ アマ(ry)ナ タベモノモ モッテキナサイ!ノウナシドモ!」

「ナッコー!コウピー!」

突きつけられる自分勝手な要求と暴言の嵐。まるでガトリング砲の如し。
その大音声に顔をしかめながら、ちびモナが言う。

「それが人に物を頼む態度モナか・・・」

「まあ、丁寧にお願いされたって聞く気なんか毛頭ないけどな〜」

ちびモラも同調して言った。
するとアフォしぃ達からの音量が3倍になった。

「シィィィィィィィ!ナニヨ コノ ゴミクズガ!アンタタチノ ギャクサツコウエンヲ マターリナ コウエンニ シテヤッタノハ ダレダト オモッテンノヨ!」

「ソウヨ!ホントウナラ ヒャクオクマンエン モラッタッテ ツリアワナイノニ トクベツニ ダッコト タベモノト フクジュウデ ユルシテヤッテルノヨ!」

「ナッコナッコナッコナッ」

「黙れぇっ!!!」

その瞬間、ついに怒りを爆発させたちびギコが吼えた。
その剣幕や威圧感は幼くてもまさにギコそのもの。これにはビクリとしてしぃ達も口を閉ざした。

「何がダッコだ、何が感謝だっ!こっちこそ、お前らを百億万回地獄に叩き落したって気が収まらないのに、
 特別に1死だけにしてやる所なんデチ!お前らのせいで、お前らのせいでっ・・・」

「ちびギコ、落ち着くモナ」

なおも怒りにまかせて怨嗟の叫びを放ち続けようとするちびギコを、ちびモナが宥める。

「ここで怒りにまかせてヌッ頃しちゃったら、例の『作戦』が台無しモナ。
 ここは堪えるモナ・・・」

ちびモナの耳打ちに、ようやくちびギコも落ち着きを取り戻した。
ぜぃぜぃと肩で息をしながら呟くように言う。

「ごめんデチ。つい熱くなったデチ・・・」

「まあ、それもわかるモナ」

うん、と相槌を打ってちびモラも言う。

「僕だって、出来るのなら今すぐに3匹ともズタズタにしてやりたい所だからな」

ちびしぃもコクコクと頷いている。
さて、ちび達がひそひそと話し合っている間に、あちらも立ち直ったようだ。

「シィィィィィ!コノ シィチャンヲ オコラセタワネ!ゴミクズノ ブンザイデ!」

「アンタタチハ モウ シケーイ ケテーイヨ!クズニ フサワシイヨウニ コロシテヤルンダカラ!」

「チィィィィ!コウピコウピコウピコ(ry)」

どうやら殺る気まんまんのようである。ベビは同じ事をずっと喚いているが。

917 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:24:37 [ LaCVn4Ks ]
「戦闘開始デチね・・・」

呟き、ちびギコは武器を取り出した。
それは、黒光りする拳銃―――

では無く、エアーガンだった。
当たればそれなりに痛いだろうが、殺傷能力はとても期待できそうに無い代物だ。
アフォ3匹もしばしポカーンとした後、

「( ´,_ゝ`)プッ ソンナノデ シィチャンタチヲ タオスキ ナノ?ヴァカイガイノ ナニモノデモ ナイワネ!」

「ヤッパリ タダノ クソチビネ。アタマガ イカレテルニ チガイナイワ!」

「ヤーイ コノ ノウナシ!サッサト ナッコカ コウピ シナチャイ!」

お得意の罵倒&嘲笑を浴びせてくる。
しかしちびギコはこれっぽっちも動じない。まるで、それでシナリオ通りだとでも言う様に。

「マ、コレイジョウ コノヴァカドモニ イキハジヲ カカセルノモ カワイソウネ。サッサト アボーンスルワヨ!ウーン、シィチャンッテ ナンテ ヤサシイノ!」

そんな事を言いつつ、右側にいたアフォしぃが接近してくるのを確認したちびギコは、突然

「まぁまぁ。そんな事言わずに、ちょっと上を見てみるデチ」

そんな事を言い出した。

「ハニャ、ウエ?」

アフォしぃは言われた通りに上を見上げる。どうやら完全に油断しているようだ。

「ソラシカ ナイジャナイ!」

「そうデチ。雲一つ無い、綺麗な綺麗な青空デチ」

そんな会話を交わす。

「ナニヨ!ソラナンカ ミタッテ ナンニモ ナンナイワヨ!」

アフォしぃが喚く。そりゃそうだろう。残りのアフォ2匹、さらにはちび3人も訳がわからない様子だ。

「まったく・・・何を言ってるデチか。これは僕からの、最後の温情だったのに」

ちびギコが言う。それと同時に、エアーガンをゆっくり前方に構えたが、相手は上を見ている為気付かない。
ちびギコの意味深な発言に、アフォしぃが反応した。

「ナニヨ、ソレ・・・ドウイウイミヨ?」

その言葉に、ちびギコはゆっくりと答えた。

「だって、お前はもう・・・」

一度言葉を切り、そのまま一気に続けた。

「この綺麗な青空を、楽しむ事が出来なくなるんデチから」

「ハニャ、ソレッテ ドウイウコ」

言いながら顔を戻した刹那、


バシュッ!バシュッ!


圧縮した空気を吐き出す音が1回、2回。
そして続けざまに、


グチャッ!グチュッ!


何か水分を多量に含んだ柔らかい物を潰した、そんな音がこれまた1回、2回。
そして・・・

「ハギャァァァァァアアアア!!シィチャンノ カワイイ オメメガァァァァァ!!」

鼓膜も破れんばかりの大絶叫が、公園に轟いた。
それは、ちび達の反撃開始の合図のサイレンでもあった。

918 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:25:07 [ LaCVn4Ks ]
「ハニャァァァァァ!?ナニガ オコッタノォ!?」

「チィィィィィ!ナッコナッコナッコー!」

アフォ2匹も叫ぶ叫ぶ。五月蝿いことこの上なかった。
一方ちび達は。

「す、すごいモナ・・・」

ちびモナの呟きに、ちびギコがくるりと振り向きざまに答える。

「う〜ん、さすがモララーおじさんデチ。いい仕事してるデチねぇ」

「じゃあ、父さんに報告しておくからなっ!」

ちびモラも嬉々として言った。
見た目ではわからないが、ちびギコが持つエアーガン、実は特殊改造がなされており、威力がかなり高まっているのだ。
発射するのはBB弾なので毛皮に覆われた皮膚を破ることは出来ないが、しぃの眼球くらいなら容易に破壊することが可能だった。
ちびギコの放ったエアーガンは正確にアフォしぃの眼球を貫いた。なかなか見事な腕前だ。

「オメメ イタイヨォォォォ!ナニモ ミエナイヨゥ!ハニャーーン!ハニャァァァァァン!!!」

眼球を撃ち抜かれたしぃは泣き叫ぶ。見れば、目があった所から鮮血と何やら緑がかったドロリとした液体が流れている。
スプラッタ映画にノーメイクで出演できるほどにグロテスクな光景であったが、ちび達は動じない。慣れているらしい。

「シィィィィ!シィチャンニ コンナコトシテ ユルサレルト オモッテルノォ!?モウユルサナイワ!」

「チィタチノ マエニ ヒレフシナチャイ!コノ ギャクサツチュー!」

残り2匹が喚きつつ、向かってくる。

「オメメー!オメメー!ハニャハニャハニャァァァァァン!!!」

眼球を撃ち抜かれた方はさっきからずっと泣き叫んでおり、耳が痛い。
我慢できなくなったのか、ちびモラがそのしぃに近づいていき、胸倉を掴み上げる。

「さっきから五月蝿いからな。少し黙っててもらうからな・・・」

「オメメ カエシナサイ!コノ ギャクサツチ」

ズン!

言い終わらない内に、ちびモラはその拳をしぃの鳩尾に沈めていた。
しかし、子供の力では気絶させるには至らなかったらしく、しぃは

「オェェェェ!ゲホッ、ゲフッ・・・」

かなり苦しそうだ。咳き込み、嗚咽を漏らしながらのた打ち回る。
経験がお有りの方もいるだろう。中途半端に鳩尾に攻撃を食らうと、しばらく息が出来なくなるアレである。
まあ、これでしばらくは静かになるだろう。

「シニナサイ、コノ ゴミクズドモ!」

「チィィィィ!ツイデニ コウピモ シナチャイ!」

残り2匹が近づいて来る。
ス、と一歩前に出たのはちびモナだ。

「今度はモナがやるモナ!」

そう言って取り出したのは、2本の木刀だった。
2本とも割と短めだ。恐らく30cm前後だろうか。しかし、子供にはピッタリの長さと言える。

「ソンナ モノデ コノ ウツクシキ マターリノショ(ry)デアル シィチャンヲ タオスキナノ!?ハニャーン!ヤッパリ ヴァカネ!」

しぃが言いながら走ってくるのを見て、ちびモナが動いた。

「隙ありモナっ!」

ドガッ!

「ハギャッ!」

素早く体当たりを食らわせ、転倒させる。
そしてすぐに双木刀を構えると、

「おりゃあぁぁぁぁぁ!!」

雄叫びと共に、倒れて動けないしぃに向かって右手の木刀を思いっきり右足目掛けて振り下ろした!

919 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:25:45 [ LaCVn4Ks ]
バキィッ!


振り下ろした木刀は、見事にしぃの向こう脛にヒットした。

「ハギャァァァァ!イタイヨウゥ!」

脛を思いっきり殴られりゃそりゃ痛い。しかも、硬い木刀なら尚更だ。
ちびモナは間髪入れずに、左右の木刀を連続して、右足に滅茶苦茶に叩き付けまくった。

バキィッ!バキョッ!ドギャッ!

「ハギャッ!ハギィィッ!シィィィィ!イタイヨゥ!ヤメテェェェ!」

ドガッ!ガッ!ゴシャッ!

「イタイイタイ!シィィィィィ!アンヨガ ツブレチャウヨゥ!ハギャァァァァ!」

大人の力ならアフォしぃの骨など一撃で砕く事も可能だろう。
だが、子供の力ではどうだろうか。アフォしぃとはいえ大人。子供にとってはそれなりに硬い。
だが、それが逆にしぃの苦しみを増大させる結果となっていた。
質で駄目なら量。一撃で駄目なら何度でも。
ちびモナの連続攻撃は、じわじわと嬲るようにしぃを痛めつけていった。
いつしか右足は異様な形に変形し、ちびモナは左足に取り掛かっていた。

グシャッ!ドシャッ!ゴシャッ!

「ジィィィ・・・イタイヨゥ・・・シィノ、シィノ、アンヨォォォゥ・・・」

激痛のあまりか、半ば逝きかけた虚ろな目をしたしぃが、微かな悲鳴を漏らす。
左足もぐしゃぐしゃに変形し、なんだかびろーんと伸びている。まるでのしイカのようだ。
そういえば途中から音が変になってたっけ、と思ったちびモナは、殴るのを止めて、思いっきり木刀の先で左足を刺すように押してみる。
じゃりっ、というなにか細かい硬い物が擦れる音。どうやら完全に足は砕けてしまったようだ。
それと同時にしぃはビクン、と一瞬体を震わせた後、

「ハギャァァァァァァァァン!!イタイヨゥゥゥゥ!!」

耳を劈く悲鳴をあげた。やっぱり痛いか、とちびモナはにやにやした。

「これでお前はもう動けないモナ〜♪」

歌うように告げると、アフォしぃはちびモナをキッと睨み、

「シィチャンノ アンヨヲ カエシナサイヨ!コノ ギャクサツチュウノ クソチビガッ!」

と喚いた。足を砕かれてもこんな発言が出来るのは流石と言って良いのだろうか。

「五月蝿いモナ、お前も静かにするモナ」

しぃの声を耳障りに感じたちびモナは、右手の木刀でしぃの顔を思いっきり殴打した。

バキョッ!

「ハギャゥッ!」

どさりと倒れ、ぴくぴくと体を痙攣させるしぃ。実に静かになった。

「チィィィィ!マァマニ ナニヲ スルデチュカ!ユルサナイデチュヨ!」

今度はベビだ。どうやら、ちびモナが足を砕いたしぃのベビらしい。
地面を這うようにして向かってくるベビに、立ち塞がる影。

「お前の相手は僕だからなっ!」

ちびモラが、小さな布袋を持って立っていた。

920 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:26:15 [ LaCVn4Ks ]
「ヴァカナ クチョモララーニ コノ カワイイ チィガ マケルワケ ナイデチュ!ワカッタラ サッサト コウピ シナチャイ!コウピコウピコウピ!」

そんな事をほざくベビを前に、ちび達はひそひそと話し合い。
因みに、先程までベビは「ナッコ」も要求していたが、いつの間にか「コウピ」一本に絞ったらしい。

「コウピって・・・何?」

「多分、『交尾』の事だと思うモナ」

「交尾ってあれでしょ?虫とかが卵生む前にするやつ」

「えぇ!?じゃあ、アフォしぃとの子供生むって事デチか!?」

「げげぇ〜〜っ!そんなの死んでも嫌だからなっ!」

この辺の教育がなされていないのは小学生だからという事でご勘弁して頂くとして。
露骨に嫌な顔をしたちびモラが吐き捨てた。

「誰がっ!死んでもお断りだからな!」

するとベビは暴れながら大声で、

「チィィィィィ!!コウピシナチャイヨー!コウピコウピコウピィィィ!チィノ(これ以降は卑猥な単語の羅列となった為自主規制)!!!」

とても表に出せないような放送禁止用語を連発し出した。
純粋な少年少女には到底理解出来ず、ちび達は『?』顔。
しかし、もしこの場に学校関係者が居たら、アフォしぃ達はちび達が手を下すまでも無く、PTAに抹殺されていただろう。

「何だかよくわからないけど・・・容赦しないからな!」

ちびモラはベビに走り寄った。
ベビはちびモラがコウピしてくれると勘違いしたらしく、半ば恍惚の表情で

「ハナーン♪ハヤク コウピ シナチャイ!コウピ コウピィー♪」

そんな事を言っている。
まあ、当然ちびモラにそんな気は無いわけで。
ちびモラは片手でベビの首根っこを掴んでひょい、と持ち上げると、腰から下げた布袋をもう片手で探った。
そしてお目当の物を探り当てると、ッパ、と取り出した。

「まずはこれだからな!」

そう言いながらちびモラが取り出したのは・・・ペンチだった。
言わずもがな、工具の中に含まれるあのペンチだ。
ベビはちびモラに背を向けるように掴まれている為やはり気付かない。
来るはずの無いコウピを今か今かと待っているようだ。

「じゃあ、逝くからな!」

ちびモラは皆に合図をすると、ペンチでベビの頬を軽く挟んだ。

「ハナ?」

ベビは今から自分に降りかかる災厄にまったく気付かない。
そして―――

「そりゃあっ!」

掛け声と共にちびモラは、ペンチを握る手に思いっきり力を込めた。

ギュウウウウ〜・・・

ベビは瞬間、目をカッと見開き、そして

「ギヂィィィィィィ!!!」

親に負けない大音声で叫んだ。

921 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:26:47 [ LaCVn4Ks ]
ギリ、ギリ、ギリ・・・

どんどん締め付けが強くなるペンチに頬を挟まれたベビはさらに悲鳴を上げた。

「ヂィィィィ!イチャーヨ、イチャーヨォ!マァマーー!!」

「今度は捻りを加えてぇ〜・・・」

ちびモラは宣言通り、万力のように思いっきり頬を挟むペンチを、これまた思いっきり捻り上げた。

ギリギリ・・・ミチ、ミチッ・・・

「ヂィィ、ヂ、ヂギャァァァァァァ!!?イヂャァァァァァ!!」

これは相当な苦痛だろう。ただでさえペンチに挟まれ痛いのに、それを捻り上げられたのなら悲鳴が上がって当然だ。
餅のように伸びるベビの頬。それに引っ張られるように口が開き、歯茎まで見える。
と、その瞬間。

「ベビチャン!」

母であるアフォしぃ(足を砕かれた方)が目を覚ましたようだ。そして、懸命に動かない足の代わりに手をパタパタと振る。

「ベビチャンヲ ハナシナサイ!コノ ギャクサツチュウ!」

そしてお決まりの台詞。それが聞こえたらしく、ベビも反応した。

「マ゙ァマ゙ーーー!ナッゴ、ナゴナゴーー!ヂュィィィィィィ!!」

この期に及んでナッコか、とちびモラは苦笑しながら、親に向かって言い放つ。

「今離してやるからな」

「エ?」

親しぃが怪訝な顔をするかしないかの内に、ちびモラは皮膚も千切れよと言わんばかりに、ペンチを思いっきり引いた。

バッチィィィィン!!

瞬間、ペンチはベビの皮膚から外れた。
だが、だいたい想像がつくだろう・・・無理矢理引き離す瞬間が一番痛いという事は。

「イヂャァァァァァァァァァァァァ!!?」

ベビの凄まじい悲鳴。最早騒音公害レベルだ。
親しぃもこれまた苦情が来そうな程の大声で叫んだ。

「シィィィィィィィィィ!!!ベビチャンガー!ヤメナサイ、ギャクサツチュウ!!」

「離せって言われたから離したのに、その言い草は酷いからな!」

ちびモラはそう返しながら、今度は布袋からニッパーを取り出す。
模型工作などをしない人には分かり辛いかもしれないので念の為補足。
ニッパーとは、要するにペンチの先の部分を刃に変えたような物である。
ペンチは「潰す」のに対し、ニッパーは「切り裂く」目的で使用する。
プラモデルの部品をランナーから綺麗に切り離すのによく使われている代物だ。

「ヂィィィ・・・イチャーヨゥ・・・」

ベビは当然まだ生きている。その頬は真っ赤に腫れ上がって裂傷が出来ており、血が流れ出ていた。
その首根っこを、再びちびモラが掴み上げる。

「イチャイノ ヤーヨゥ・・・ナコ、チテヨゥ・・・」

そんな言葉が聞こえるが、無視!
ちびモラはニッパーで今度はベビの耳を挟む。
小さくて薄いベビの耳なら、刃の小さいニッパーでも挟む事が可能だ。

「ヤメテェェェェェ!!」

親しぃの叫びもどこ吹く風、ちびモラはニッパーを握る右手に軽く力を込め、そして息を短く吸って・・・


チョキッ!


―――握った。

922 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:27:24 [ LaCVn4Ks ]
響いたのはハサミで紙を切ったような短い音、一瞬の静寂が発する聞こえない音、そして―――

「ヂィッ!」

ベビの短い悲鳴。
先ほどのペンチに比べれば遥かに小さな悲鳴だった。
それもその筈、ペンチの痛みは強大かつ断続的だったが、今度は耳の先をちょっと切られただけ、痛みも一瞬だ。
しかし、本当の苦痛はここからであった。

「これで終わると思ったかい?そんな訳無いからな!」

ちびモラは言いながらにやにやと笑う。
ベビはその笑顔に、言い知れぬ恐怖を覚えた。
すると・・・

チョキッ!

「ヂィィ!」

再びニッパーによる斬撃。今度は先程切られた所より少し右。血が僅かに零れ落ちる。

チョキッ!

「ヂィィィ!」

また切られた。

ヂョキッ!

「イヂャィッ!」

・・・また。

チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ・・・

それからちびモラは、耳の周りをぐるりと一周するようにニッパーで切りまくった。
既に耳は短冊のようにザクザクのズタズタ、血がボタボタと滴り、大地を紅く染める。

「ギヂィィィィィ!イチャーヨゥ!ヤメテヨゥ!」

ベビの悲鳴も例によってスルーし、反対の耳に取り掛かる。

チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ・・・

「イチャーヨォォォォォ!モウ ヤァァァァァァァ!!ヂィィィィィィ!!」

やがてちびモラはニッパーの血を拭って布袋にしまった。
ベビの耳は既に輪郭が原型を留めていない。でぃの耳の方が100倍綺麗に見えるほど酷い有様だった。

「ヤーヨゥ・・・オミミ イチャーヨゥ・・・ナコ・・・ナコ・・・」

ベビは既に虚ろな目をしている。
耳に対する攻撃なら、巷では『耳もぎ』が非常に有名だが、もいでしまえばそれで終わりである。
しかし、このようにズタズタに切り刻めば長い間苦痛を味あわせる事が出来る、というわけだ。
しかもニッパーの刃が1cm程度と小さいのも幸いして、切断してしまう心配も無い。
前述したようにベビの目が虚ろなのは断続的に耳を襲う激痛の為であろう。

「シィィィィィィィ!ベビチャンノ カワイイ オミミガァァァァァ!!」

親しぃはというとその場から動かずに絶叫。正しくは動けない訳だが。

「じゃあ、そろそろアレを・・・」

ちびモラは呟くと、ベビの右耳に手を伸ばした。
そして、右の耳を両手で掴む。

「ナコ・・・ナコチテ・・・」

ベビはうわ言の様に呟くだけで、反応しない。

「ベビチャァァァン!ニゲテェェェェェェ!」

親しぃの声も届いていないらしい。
ちびモラはというと、右耳に刻まれた少し大きめの傷を見つけると、その傷を挟んで両サイドの皮膚を両手でそれぞれ摘んだ。
ちびモラのニヤリとした笑み。そして彼は、まるでポテトチップの袋を開けるかのように―――



バリバリビリビリッ!!!

923 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:28:50 [ LaCVn4Ks ]
「ギヂャァァァァァァァァァァァァァァ!!!??」

今日一番の絶叫を発したベビ。傍観していたちびギコは思わず耳を塞いだ。
お分かりだとは思うが、ちびモラは傷口を切り口にして、ベビの耳を縦に思いっきり裂いたのだった。
これはもう即気絶モノの激痛だろうが、ベビが意識を保っているのは耳に幾多も刻まれた傷が痛むからだろうか。
ちびモラは、叫び終わって既に朦朧としているベビを軽く蹴っ飛ばした。
ベビは放物線を描き、親しぃの5mほど前に不時着、というか墜落した。

「ベビチャン!ママハ ココヨ!」

親しぃの必死の呼びかけが通じたのか、ベビは顔を上げ、親しぃの方を見た。

「マ、マァマ・・・?」

「ソウヨ!ママハ ココニイルワ!ハヤク イラッシャイ!」

親しぃがさらに呼びかけると、ベビはよろよろとした足取りでしぃの元へ這って行く。

「マ、マ・・・ナコ・・・ナッ、コ・・・」

狭まっていく親子の距離。もう3mも無い。
傷だらけの親子の感動の再開。
もう少しでママの元へ帰れる。もう少しで暖かいナッコが待っている。
ベビはさらに進む。あと2m、1.5m、そして1m。
親ももう少しで我が子に触れられる。2匹の距離はもう1mも無い。手を伸ばせば、あと少しで―――

「マァマ、ナッ―――」


―――しかし、その背後には小さな死神の姿が―――


「そうは・・・」

いつの間にかベビの背後に回ったちびモラが、両手で持った『何か』を振り上げる。
そして―――

「・・・いかんざきっ!!」

ゴシャッ!!!

「ギヂョォォォォェェェェァァァッ!!?」

ベビの胴体に叩きつけられた物―――マンホールの蓋。
この大きくて重い鉄板に胴体を丸々挟まれたベビは、その重さと衝撃によって異常な叫びを発した。
マンホールの蓋から頭だけを出した状態のベビが、ガクガクと震えだした。
重さに体が耐えられないのだろう。

「ベビチャン!ベビチャァァァン!ナンテコトスンノヨ、ギャクサツチュウ!!」

親しぃの悲鳴に近い叫び。しかしちびモラはそれを軽くスルーし、ちびモナに声を掛けた。

「一緒に決めるからなっ!」

「OK!これでトドメモナッ!」

二人は高くジャンプした。親しぃの声にならない悲鳴。震えるベビ。

「ナ゙ゴ・・・ナ゙ッ」

『せいやぁっ!!』




―――グチュッ

924 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:29:26 [ LaCVn4Ks ]
ちびモラとちびモナが同時にマンホールの蓋に思いっきり乗っかった瞬間、蓋はガクン!と下がった。
ベビの胴体がものの見事に潰れたのは火を見るより明らかだった。
胴体をぺっちゃんこに潰され、頭部だけになったベビは口をひたすらパクパクさせている。
まるで酸素が足りなくてもがいている魚のように。

「・・・!・・・ッ!!・・・、・・・」

「ベビチャァァァァァン!オナガイ、オヘンジ シテェェェェェ!!」

親しぃがいくら叫んだ所で答えられる筈も無く。
しばらくベビは口パクパクを続けていたが、ついに・・・

「・・・!・・・・・・・ケフッ」

何かを口から吐き出し、それっきり動かなくなった。

「ベビチャン!!?イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!ベビチャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!」

親しぃの凄まじい叫びは、木々の鳥達を驚かせ、飛び去らせてしまう程の物であった。

「うえ〜、耳がキンキンするモナ」

「でも、これでまず1匹!駆除完了だからなっ!」

ちびモラ・モナは、イエ〜イ!とハイタッチ。
パチン!という乾いた音が―――響いた筈なのだが。

「ベビチャァァァァァァン!オナガイ、ナッコッテ イッテェェェェェェェェェェ!!ベビチャンベビチャンベビチャァァァァァァン!!!」

親しぃの騒音に掻き消されて聞こえなかった。
それにムカついたらしいちびモナは親しぃに向かって言い放った。

「生ゴミが1つ無くなったくらいでガタガタ騒ぎ過ぎモナ」

すると親しぃはちびモナは睨み、

「ベビチャンヲ カエシテヨゥ!コノ ギャクサツチュウ!クソチビ!ゴミクズ!テイノウ!」

既に聞き慣れた感すらある罵倒。

「そんなに返して欲しけりゃ・・・」

だが、少々ちびモナはカチンと来たらしく、残されたベビの頭部の元までつかつかと歩いて行くと、

「・・・返してやるモナッ!!」

そう怒鳴ると同時に、ベビの頭部を思いっきり親しぃ目掛けて蹴り込んだ。

グチョッ!

「ハギャブッ!」

1m程度の至近距離でベビの生首直撃を顔面に食らったしぃは、片耳が吹き飛び、顔中を脳の欠片やら肉片やらでぐちゃぐちゃにした。

「ハニャァァァァァ!?イヤイヤイヤァァァァァァ!!」

我が子の破片と血液で顔を汚し、片耳まで失ったしぃは半ばパニック状態のようだ。

「返したら返したで・・・やっぱり五月蝿いモナ」

ちびモナはひとりごちると、3人を呼んだ。

「・・・あいつももう片付けるモナ!」

「了解っ!」

3人は揃って答えた。

925 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:30:17 [ LaCVn4Ks ]
ちびモナは再び双木刀を取り出し、パニック状態のしぃに歩み寄る。3人がそれに続く。
そして、ちびモナはちびモラ、ちびしぃに指示を出した。

「腕、押さえて欲しいモナ。あ、ちびしぃちゃんはもう1匹を見張っててモナ」

「ガッテン!」

「了解!」

ちびモラはハニャハニャ言ってる(元)親しぃの左腕を掴むと、左手で手首、右腕で肩の辺りを押さえた。腕を伸ばさせるような形だ。
ちびしぃは未だにのたうっているしぃ(目を射抜かれた奴)の元へ。

「ハニャァァァ・・・ハニャァァァ・・・オミミィ・・・ベビチャン・・・」

瞳孔が開ききった目で呟くしぃ。
ちびモナはその肉片と血液で汚れた顔を一瞥すると、右手を振り上げ・・・

ドゴッ!!

――その瞬間。

「シィィィィィィィィィィ!!?」

左腕に叩きつけられた木刀の衝撃と激痛に、今までの病人のような状態からは想像出来ないような声量でしぃが叫んだ。
ちびモナは特にリアクションせず、そのまま連打。

バキッ!ドガッ!ズガッ!

「ハギャッ!ウギャッ!ジィィィィ!!イダイヨゥゥゥゥゥ!!」

ちびモラが思わず顔を背けながら言う。

「ひぇぇ・・・間違って僕の顔を殴らないで欲しいからな・・・」

「大っ・・・丈っ・・・夫っ・・・モナッ!」

木刀の連打と同じリズムで返事をするちびモナ。
そのまま数分間は誰も喋らず、ひたすらに腕を砕いてゆく音としぃの悲鳴だけが響いた。
そして数分後―――。

「ふぃ〜、こんな所モナね。じゃ、お次は・・・」

ちびモナが額に滲んだ汗を手の甲で拭いながら呟いた。
しぃの両腕は足と同様にグシャグシャ。先程からプラプラと肩から垂れ下がっている状態だ。

「イタイヨゥ・・・オテテ・・・」

しぃが悲壮な顔をして呟く。どうやら、一連のショックで精神は安定したらしい。
肉体の方は腕、足共にまったくもって不安定だが。

「シィチャンノ オテテト アンヨト オミミヲ カエシナサイ!コノ アフォチビドモ!」

再び喚き始めるしぃ。ちびギコが思わず言葉を漏らした。

「ベビはもうどうでもいいデチか・・・」

そんなやり取りの間に、ちびモラがいつの間にかしぃの背後に回っていた。
その手には小指の長さほどしかない小さなポケットナイフ。
それに気づいたしぃが首を動かして言う。

「ナニスルキナノヨ!コレイジョウ コノ ウツクシク カツ カワイクt(ry)ナ シィチャンヲ キズツケタラ ヒドイワヨ!」

その状態で一体何が出来るのか。両腕、両足を砕かれているというのに。
そう小一時間問い詰めたくなるのを我慢し、ちびモラは無言でしぃの首に軽くナイフを突き立てる。本当に軽く、切っ先だけを、だ。

「ハギャ!」

痛みで短い悲鳴を漏らすしぃ。
ちびモラはそのまま首周りでナイフを、頚動脈等を切らないように慎重に一周させ、ナイフを抜いた。
するとちびギコがその首に手を伸ばし、ナイフによって出来た皮膚と皮の隙間に指を無理矢理突っ込み、押し広げる。
そしてその指で皮の端を掴んで――

バリィッ!!!

「シギャァァァァァァ!!!」

926 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:31:00 [ LaCVn4Ks ]
「う〜ん!綺麗に剥けたデチ!」

ちびギコが満足そうに頷いた。
しぃは体の前半分、首から腰辺りまでの皮が綺麗に剥がれていた。
すると再びバリバリという音としぃの悲鳴が。
見れば、ちびモナが皮を持ってこっちにやって来る所だった。

「モナにも出来たモナ!」

誇らしげに皮を突き出すちびモナ。
しぃは胴体の皮膚が完全に露出し、少しだが血が流れている。

「イタイヨゥ・・・ヒリヒリスルヨゥ・・・」

涙を浮かべて呟くしぃ。まあ、皮を剥がれりゃ痛いに決まっている。
これだけでも十分な破壊力なのだが・・・

「しかぁ〜し!これで終わらないのがちびモナクオリティ!!」

ちびモナはそんな事を大声で言いながら、ある物を取り出した。
中になみなみと液体が詰まった、プラスチック製の箱のような物。
しぃはそれを見ると、いきなり元気を取り戻した。

「ハニャーン!ヤッパリ コイツラハ タダノ ヴァカヨ!ソンナモノデ シィチャンガ キズツケラレルワケ ナイデショ!ツイニ クルッタワネ!!」

自分の姿を鏡で見てから言って欲しい。
今までそう言いながら、ここまでズタボロにやられたというのに。
都合の悪い事は全て忘れる、これぞアフォしぃクオリティ―――か?
だがまあ、そう言いたくなるのも解るかもしれない。
何故なら、ちびモナが取り出した物は、何の変哲も無い―――

―――水鉄砲なのだから。
青いプラスチックのボディ、トリガーは白。銃口付近はオレンジのカバーが付いている。
恐れるに足らない、ただの玩具。
―――ただそれは、中身がただの『水』なら、の話。
当然、そんな物を入れてある筈が無い。

「ふっふっふ・・・覚悟するモナよ?」

ちびモナが笑いながら、銃口をしぃに向ける。
しぃもハニャハニャと笑う。

「アーア、セイシンイジョウヲ オコシタ クソチビノ アイテモ ツカレルワネ。マ、クラッテアゲルワ!シィチャン、ヤッサシィ!!」

完全に油断しきった体だ。―――ある意味、幸せ者なのだろうか。
無論―――この後に待つ、煉獄の如き苦しみを予測することもしなかったし、出来なかった。

「食らうモナ!」

ちびモナは遂に、その引き金を引いた。
銃口から細い液体が飛び出す。余裕の表情のしぃ。固唾を呑むちび達。
そして――付着。

別に、煙が出て皮膚が溶けたわけじゃない。
恐ろしい温度まで熱せられた、熱湯だったわけでもない。
水の勢いが、岩を砕くほど強かったわけでも無かった。
だが―――



「ヴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!???」



しぃの魂の叫びが、大地を揺るがした。

927 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:31:31 [ LaCVn4Ks ]
「ううう、凄い悲鳴デチねぇ・・・」

「本日最大の大音量だからな・・・」

耳を塞いだ2人が呟く。だが、それすらも互いには全く聞こえない。
それほどまでに大きな悲鳴だった。

「ジギャァァァァァ!!イダイイダイィィィィィィィィ!!」

しぃは悲鳴を上げながら地面を転がり、のた打ち回っている。
その表情はまさに生き地獄、この世の終わりといった感じだ。本当に苦しそうだ。

「ねぇ、あの水鉄砲の中身って何デチ?僕は何も聞いてないデチよ」

ちびギコの質問に、ちびモナが胸を張って答えた。

「よくぞ聞いてくれたモナ。あの中身は・・・

 ぬるま湯に唐辛子とカレー粉と辛子味噌とわさびとラー油とマスタード、ついでに激辛最終兵器たる『THE SOURCE』

 これらを溶いた液体、モナ!」

ちびモナの朗らかな声に、ちびモラはうんうんと頷き、ちびギコは身を震わせた。

「うへぇ、えげつないデチ」

「褒めても何も出ないモナよ・・・っと。まだまだモナ」

ちびモナは言いながら、さらにその激辛水鉄砲をしぃに撃ち込んだ。
液体が剥き出しの皮膚に触れるたび、しぃは叫びを上げる。

「ギョァァァァァァァッッ!!ウギィィィィィィィ!!」

―――さて、何故ここまでしぃが苦しんでいるのか。
その理由は上記の辛い調味料達の成分に隠されている。
『カプサイシン』―――と言えば、聞き覚えがあるだろうか。
唐辛子などの辛い物にはほぼ必ず含まれており、その辛さの素となる成分だ。この物質は新陳代謝を促し、脂肪の燃焼を助けるのでダイエットにも効果的だ。
その為健康に良いとされ、テレビでもさかんに取り上げられた。
しかし、カプサイシンのもう1つの作用をご存知だろうか?
それは―――

―――痛覚の直接刺激―――。

人の皮膚は熱さ、冷たさ、痛み、圧力の4つを感じ取ることが出来る。
カプサイシンはこの内、痛覚のみを刺激するのだ。
皮を剥がれて神経が剥き出しの所に、痛覚の直接刺激。これはもう耐え難い、今すぐ気が狂ったっておかしくない程の激痛が走ること請け合いだ。
さらに、それだけでは終わらない。
前述した通り、カプサイシンは新陳代謝を促すが、それ以外にも血管を拡張する作用があるのだ(辛い物を食べると暑くなるのはこれらの作用の為)。
結果、傷口からは凄まじい勢いで血がドクドクと流れ出し、新陳代謝促進によって体が熱くなる。それがまたさらに痛みを倍増させる。まさに激痛の坩堝(るつぼ)。
さらにさらに。カプサイシンは化学物質であるという事も忘れてはならない。
例えば木刀による打撃なら、痛みは一応一瞬で済む。だが、カプサイシンならどうか。
化学物質であるという事は、その物質がそこにある限り作用し続けるという事だ。
つまり、その液体が皮膚に付着し続けている限り、痛みは永遠に続く。
痛覚の直接刺激×新陳代謝促進&血管拡張作用による出血過多+発熱×それらに伴う激痛の上乗せ×それらが塗布されている限りず〜っと。
地獄の責め苦だってここまで苦しくは無いのではなかろうか。

説明が長くなったが、そろそろ戻ろう。
しぃの体からは血がドクドクと流れ出ている。新陳代謝が促され、さらに血管が拡がった結果だろう。

「ほれほれ、まだまだモナ〜♪」

ちびモナの容赦無い放水。しぃの暴れようはいよいよ激しさを増す。
液体に含まれる多量のカプサイシンが、激痛の束となってしぃに襲い掛かる。

「オギャァァァァァァ!!!ジュィィィィァァァァァェェェェェ!!?」

最早どこの言語だか。さらに痛みによるショックか、まだ体内に残っていたらしい糞尿を垂れ流しまくっている有様。もうとても見てられない。
ちびギコもそう思ったのか、鼻を摘みながらちびモナに声を掛ける。

「流石に見苦しいデチよ。もう終わらせようデチ」

「そう?わかったモナ」

ちびモナはこの世の苦しみを全て集めたかのような形相でごろごろと転げまわるしぃに近づくと、水鉄砲をひっくり返して、パカン、とグリップの底部を開けた。
通常はここから水を補給するらしい。
ちびモナは水鉄砲をしぃの上で再びひっくり返し、給水口から残りの激辛液体Xをしぃにぶちまけた。
と、その瞬間である。

「bヘウオボウ;hシhヅエオ;イェtヴァギョスフデh;アジィdswユエ;hbp!!??!!!!!??」

もうこの星の―――いや、この世に生けとし生ける者の声とは到底思えない奇声を発した。
そして、しばらくはピクピクと痙攣していたのだが―――やがて動かなくなった。

「2匹目、討伐完了・・・モナ♪」

ちびモナが静かに、だが嬉しそうに呟いた。

928 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:32:02 [ LaCVn4Ks ]
「なかなか壮絶な最期だったデチねぇ・・・」

ちびギコが感心した様子で呟く。

「『激辛水鉄砲』、思いのほか効果覿面、だからなっ!」

ちびモラも嬉しそうだ。自分のアイディアが非常に役に立ったのだから、それは嬉しいだろう。
だが、歓喜に浸っている3人の耳に、ちびしぃの慌てた声が届いた。

「みんな、大変!」

その声につられてちびしぃの方を向くと、なんともう1匹がいない。
彼女が指差す方向を見ると、残されたアフォしぃ(目を射抜かれた奴)が、砂場の方へ向かって猛ダッシュしていた。
いつの間にか復活したのか、どうやらちびしぃが一瞬目を離した隙に逃げられたらしい。
出口ではなく砂場に向かっているのは、目が見えなくて闇雲に走っているからだろう。
とにかく、このままでは面倒な事になりそうだ。

「走ってもなかなか追いつけるかどうか・・・そうだ!ちびしぃちゃん、『アレ』で足を止めるモナ!」

ふと思いついた様子でちびモナが提案する。

「う、うん・・・本当はあまり使いたくなかったんだけど、しょうがないよね」

ちびしぃも承諾したらしい。
すると彼女は、胸の前で両手を組み、祈りのような体制をとった。
すると、その周りに青白い魔方陣のような物が出現する。
そしてちびしぃは、そのまま両手を前に差し出した。
学校の集会の時にやる『前習え』を縮めたような感じだ。
やがて、その『前習え』の両手の間に青い光がちらつき始めた。
それはだんだん大きくなり、手と同じくらいの大きさになる。
ちびしぃはゆっくりと息を吸い込み、訳も分からずドタドタと走り回るしぃに狙いを定めて―――

――刹那、蒼い閃光が迸った。

伝わってきたのは小さな爆音、肉の焼け焦げた臭い、それから・・・

「ハギャァァァァァァァ!!シィチャンノ アンヨガーー!!」

お決まりの悲鳴だった。
ここまでの描写を見ていただければお分かりだろうが、彼女が放ったのはご存知『httpレーザー』だ。
ちびしぃの中でも、よほど練習した者しか使えないとか。しかもいちいち上記のような手順を踏まないと撃てないようだ。
ちなみに「あまり使いたくない」と言ったのは、その気になれば苦しむ間も与えずに一瞬で葬ることも出来てしまうから、らしい。
まあ、今回は片足を吹き飛ばすだけに留めたようである。

「アンヨガー!アンヨガー!シィチャンノ カワイイ アンヨー!ハニャハニャハニャァァァァン!!」

しぃはというと無くなった右足を押さえるようにしてうずくまり、のた打つだけのようだ。
ちびモナはそれを見ると、皆を見渡して言った。

「みんな、これでラストモナ!頑張るモナ!」

「おおーっ!!」

公園に、ちび達の鬨の声が響き渡った。

929 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:32:41 [ LaCVn4Ks ]
さっきからハニャハニャ喚いているアフォしぃを、ちび達が取り囲んだ。

「さーてと、後はお前だけモナ」

「公園を散々汚した上に、色んな人に迷惑を掛けた罪、その命で償ってもらうデチ」

ちびモナとちびギコが早速、挑発とも取れるような言葉を投げかけた。挑発とはいえ、本心なのだが。
だがしぃはそれらを気にした様子も無く、

「ナニヨ!サッサト シィチャンノ オメメト アンヨヲ カエシナサイヨ!ゴミクズドモ!ソレカラ、イシャリョウトシテ ダッコ ヒャクマンカイヨ!」

欠片ほどの進歩も伺えない台詞を吐くばかりである。アフォしぃに皮肉や挑発は無駄なようだ。
もううんざりだ、といった様子でちびモラが首を振った。

「ああ、もう・・・ちびしぃちゃん、お待たせだからな。思う存分どうぞ〜」

「了解〜♪」

ちびしぃはさも楽しげに頷くと、しぃに歩み寄った。
それを気配で感じ取ったらしく、しぃは、

「シィィィィィィ!オナジ シィゾクノ クセニ ギャクサツチュウノ ミカタヲ スルナンテ!コノキケイ!ノウナシ!ゴミ(以下、同じような罵倒が続いた為割愛w)」

お得意の暴言マシンガン。
しかしちびしぃは意に介した様子も見せず、黙って先程のようなレーザーのチャージ体制に入る。

「ゴミ!ゴミ!ゴミクズ!アンタナンカ イッショウ マターリデキズニ ナマゴミドウゼンノ ジンセイヲ アユムノガ オニアイナノヨ!ハニャハニャハニャーン!
ドウセ トモダチダッテ イナイクセニ!ゴミハ ゴミラシク ソノヘンノ ゴミステバデ クタバッテナサイヨ!」

ちびしぃが何も言い返さないのを『完全に言い負かしている』と勘違いしたしぃが、嘲笑。
それを聞いたちびしぃが、ピク、と反応した。

「―――悪いけど。私、あんた達のような社会の廃棄物に、ゴミなんて言われる筋合いは無いから」

「ハニャッ!?ナニヨ、ホコリタカキ シィチャンヲ バカニスルノォ!?ゴミヲ ゴミトイッテ ナニガ ワルイノヨ!」

険悪な雰囲気の会話。ちびギコ達は、背中に何か冷たいものを感じた。
そもそも、ちびしぃがこんなに饒舌になるのも珍しかった。普段はおとなしいのに。

「じゃああんたは、そのゴミとやらに頃された、ゴミ以下の存在という事になるわね」

「ハニャァァァァァァァ!?コノ ゴミクズガッ!マダ コノ カワイクテ マターリノ ショウチョウタル シィチャンヲ ブジョクスルノ!?アンタナンカ」

「五月蝿い」

その時、なお喚きたてるしぃを、ちびしぃがピシャリと一言で黙らせた。
彼女はそのまま、レーザーのチャージが完了した両手を、至近距離からしぃの残された右足に向ける。
そこで、ちびギコは気が付いた。慌てて傍らの2人に声を掛ける。
ただ一言、こう告げた。

「ちびしぃちゃんが・・・キレてるデチ・・・」

ちび達は初めて見た。ちびしぃが本気で『キレている』所を。
その証拠に、彼女の額には、怒りのあまり青筋が浮かんでピクピクと動いていた。
普段滅多に怒らない彼女を怒らせるとは―――このアフォしぃ、ある意味大物かもしれない。

「あんたには、もう・・・」

ちびしぃの目にギラリと光が宿った。
それは、普段の彼女からは到底想像出来ない、まさに『虐殺者』の目だった。

「――反論する権利すら、残されて無いのよ・・・!」

その瞬間。

ブシュウゥゥゥゥゥ・・・

何かを焦がす音が響き始めた。それから一拍遅れて

「ハギャァァァァァァ!!アツイヨゥゥゥゥゥゥ!!」

しぃの悲鳴。
ちびしぃの手からは、先程と同じくレーザーが放たれていたが、今放っているレーザーは先程のものよりもかなり細く、出力が弱いようだ。
先刻のものは足を一撃で吹き飛ばすために出力を強くしていたが、こんどはじりじりと焼き切るために弱くしているらしい。
高熱のレーザーが足をじりじりと、少しずつ焼いてゆく・・・当然、苦痛は相当なものだろう。
見れば、すでにレーザーを当てている方の皮膚は完全に焼け焦げ、骨が露出し、それもまた少しずつ炭になっていく。

「ジィィィィィィィ!!オナガイ ヤメテェェェェェェェ!!」

しぃが懇願するが、ちびしぃは全く聞く耳を持たない。
やがて骨も炭化して崩れ落ち、反対側の皮膚も殆ど消し炭。そして―――

ポトリ。

完全に焼き切れた足が、乾いた砂の上に転がった。
切り口は完全に炭と化し、白煙がたなびいている。

930 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:33:16 [ LaCVn4Ks ]
「シィィィィィ・・・シィノ アンヨ・・・アツイ・・・イタイヨゥ・・・」

ぶつぶつと呟くしぃに向かって、ちびしぃが吐き捨てる。

「あらあら、先程までの態度はどこへ逝っちゃったのかしら?みっともなく懇願までして・・・哀れね」

するとしぃは再び怒り顔になり、

「シィィィィィィ!シィチャンノ アンヨヲ カエシナサイヨ!モウ アンタナンカ コワク ナインダカラ!」

などと騒ぎ立てた。苦痛から開放された安堵からか、気が大きくなっているらしい。
だがそれも、ちびしぃが発した次の台詞を聞くまでだった。

「何を言っているの?これで終わりな筈、無いでしょう・・・?」

「ハニャッ!?」

しぃの表情が凍りついた。見れば、既に彼女の手の間には蒼い光が渦巻いている。
そして・・・

ジュゥゥゥゥゥゥゥ・・・

「ハギャァァァァァン!!アツイヨォォォォォォ!!!」

またも悲鳴。
本日3度目のhttpレーザーは右腕の付け根を焼いていた。
そして先程足を焼き切った時と同じように、少しずつ、少しずつ焼いていく。

ジリジリジリジリ・・・

「アギャァァァァァ!!ギャッ、ジギャァァァァァ!!」

聞くに堪えない悲鳴を発し、何とか苦痛から逃れようとするしぃ。
しかし、その体はちびモラ、ちびギコ両名に押さえつけられていて身動きが殆ど取れない。
脱出、不可能。

ジジジジジ、ジリジリジリ・・・

「ジョギャァァァァァ!!アアアァァァァァ!!イギィィィィィ!!」

ジジジジジ・・・ポトッ。

先程と全く同じような感覚で、切り口の焼け焦げた右腕が落ちる。
焼け焦げた事によって傷口が塞がったのか、血は殆ど流れなかった。

「シィィィィィ・・・オテテ・・・ヒドイヨゥ・・・シィガ、ナニヲシタッテイウノ・・・?」

ぽつりと呟くしぃ。
すると、それを聞きとがめたちびしぃが、怒りを押し殺した声で言った。

「何をした、ですって?自分の胸に手を当てて考えてみたら?もっとも、当てる手ももう半分しか無いけどね」

そして冷笑。その笑みは、普段の彼女の愛らしい笑顔とはまるで対極の物で、見る者全てを凍りつかせるような微笑みだった。
するとしぃは、僅かに残っていた欠片ほどの気力を振り絞り、怒鳴った。

「シィチャンハネ、コノ ギャクサツコウエンカラ アフォナ カトウセイブツドモヲ オイダシテ、ソノウエ トッテモキレイデ マターリナ コウエンニ シテヤッタノヨ!
カンシャサレテ トウゼンナノヨ!シィチャンヲ アガメナサイ!カンシャ シナサイ!ダッコ シナサイヨ!コノギャクサチュウ!クソチビ!」

その瞬間―――ちびしぃの顔から、笑みが消え失せた。

931 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:34:09 [ LaCVn4Ks ]
「何ですって・・・?」

わなわなと震えながら、ちびしぃがしぃに問う。
するとしぃは「フン!」と鼻で笑った後、自己中の権化と言えるような言葉を放った。

「ナニ?ギャクサツコウエンヲ シィチャンガ マターリスルタメニ ツクリカエテ ナニガワルイノ?
コノヨハ シィチャンヲ マターリサセルタメニ ソンザイシテルノ!シィチャンイガイノ ヤシラナンカ ゴミナノ!ワカル?ゴ・ミ!
ア、アンタミタイナ チショウニ シィチャンノ コウトウナ コトバナンカ ワカラナイワヨネ(プ
アーア、ヤッパリ カトウセイブツノ アイテナンカ ヤッテラレナ」

ガッ!!

――だが、しぃはその性根の腐りきった演説を、最後まで続ける事が出来なかった。
ちびしぃが不意に、その喉を鷲掴みにしたからである。

「ナ・・・ナニスルノヨ!コレイジョウ シィチャンヲ キズツケタラ」

「・・・もう何も言わない」

暗い、ひたすらに暗い声でちびしぃが呟いた。
そして、ちびモラからナイフを受け取った。
それは、ちびモラが先刻、故・親しぃの首の皮を切り裂いた際に使用したポケットナイフだった。
そのまましぃの喉を押さえていた手を、黙ってしぃの残された左腕に動かす。
左手でしぃの手首を掴み、そっとナイフの刃を腕に這わせる。

「マ、マサカ・・・ヤメナサイ!ギャクサ」

「黙って。耳が腐りそう」

ザクッ!!

――一瞬の静寂。そして――

「ジィィィィィ!!シィチャンノ オテテガー!イタイヨォォォォォォ!!」

ちびしぃは、右手のナイフでしぃの腕をざっくりと切り裂いていた。
刃は腕のかなり深いところまで到達しているようだ。ひょっとしたら骨まで届いているかもしれない。
ちびしぃは一旦ナイフを抜くと、もう一度腕に這わせるようにした。

「イタイヨゥ!オテテガ、オテテガァァァァ!!」

悲痛な叫びも無視し、ちびしぃは腕に力を込めた。
ナイフを動かす直前、彼女は呟いた。

「――許さない」

ザシュッ!

「ジギャァァァァァァ!!」

今度は深々と切り裂くのでは無く、まるで表面をこそげ落とすかのようにナイフを動かした。
スライスされて切れたしぃの腕の皮膚が、ポトリと地面に落下した。
そしてそのまま――

「――許さない」

ザッ!

「アギィィィィィィィ!!」

またもスライス。落下する薄切りの肉、飛び散る鮮血。
ちびしぃはもう、止め処無く溢れる憎悪を隠そうとはしなかった。
最早、普段の彼女を連想させる要素は欠片も残っていない。
そのままちびしぃは、怒りに任せてひたすらにしぃの腕を牛蒡をささがきするが如くスライスしていった。

「――許さない!」

ザシュッ!

「ギョァァァァァァァ!!」

「許さない!許さない!!」

ザクッ!ズシャッ!

「ンギュゥゥゥゥ!!アァァァァァァァァァ!!」

「許さないっ!許さないっ!!許さないっっ!!!」

ズリュッ!グシャッ!ブシュゥッ!

「フギィィィィィィィ!!!ア゙ア゙ァァァァァァァァァ!!オナガイ ダッゴズルカラ ヤメテェェェェェ!!」

しぃが何を喚いても、
鮮血がちびしぃの全身を染め上げても、
肉片がいくら積み重なろうとも、
彼女は切ることをやめなかった。

932 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:34:56 [ LaCVn4Ks ]
幼い頃から引っ込み思案で弱気だった彼女は、その性格からか友達と呼べる人も無く、それ故毎日をつまらなく感じていた。
そんな彼女は、時々この公園に来ていた。
いつも賑やかなこの場所に居れば、少しは寂しさが紛れるかもしれない・・・そう考えたから。
でも実際は、友達と楽しそうに遊ぶ同じ子供達を前に、ただただ寂しさが募るばかりであった。
月日は流れ、今から4年前―――。
小学校の入学式の帰り道、彼女は何ともなしに公園に来ていた。
周りから聞こえて来る、同じ学校の子供達の楽しげな声。
それを聞いた彼女は、ますます暗い気持ちになるのだった。
―――つまらないな―――。
そう心の中で呟きながら、ぺたりと砂場の淵に腰を下ろした。
思わず漏れる、深い深いため息。

どれくらいそうしていただろうか。
不意に、頭上から声が掛かった。

「―――ねぇ。一緒に遊ばないモナ?」

その声が、自分に向けられたものと気付くまでに若干の時間を要した。
それに気付いた瞬間、彼女はガバッと顔をあげた。
2人の少年が、自分の顔をまじまじと見つめていた。年は、多分同じだ。

「そんなにつまらなさそうな顔しないで、こっち来て一緒に遊ぼうデチ!」

ギコ族であろう少年が、励ますような声で言った。
横に居たモナー族の少年も、声を掛ける。

「もちろん、君が嫌じゃなけりゃ、だけど・・・」

それを聞いた彼女は、暫くの間、それらの言葉を噛みしめていた。

―――一緒に遊ぼう?―――

――――この私と?――――

――――本当に?―――――

次の瞬間、彼女は自分でも出したことの無いような大きな声で言っていた。

「い、嫌なんかじゃないよっ!全然!ぜんっぜん!!」

その大声にやや気圧された感のあった2人だが、すぐに明るい表情を取り戻した。

「本当に!?じゃあ、早くあっち行って遊ぶデチ!」

「もう1人待ってるモナ!」

言いながらモナーの方は彼女の手を引き、ギコの方は背中を押す。
その先には、モララー族の少年がぶんぶんと手を振っている。

お互い、名を名乗りあうこともしなかった。
実際、それをしたのは翌日に学校で会ってからだった。
けれど、彼女は確信を抱いていた。これだけは絶対に否定されたくない。いや、させない。

―――これが、友達―――


だが、これはどうしたことだ。
初めての『友達』と出会った公園が、それも初めて会話を交わした砂場が、こんな汚らわしい連中の汚物で汚された。
『友達』の素晴らしさ、大切さを教えてくれた、大切な公園。
それを、こんな奴らが―――
果てしなく自己中心的な、本当にどうしようもない理由で―――
―――汚した。
滅茶苦茶にした。
絶対に―――

―――許 さ な い !―――

933 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:35:45 [ LaCVn4Ks ]
ふと、ちびしぃは我に返った。
その手には、自分の握った手首から先の肉が殆ど削ぎ落とされて骨が剥き出しになっているしぃの左腕。
足元には、しぃのスライスされた腕の皮膚が山盛り。そして多量の鮮血が、太陽光を反射して光っていた。

「シヒィィィィィ・・・シヒィィィィィ・・・」

息も絶え絶えのしぃを見て、ちびしぃは急速に、全身の血が冷めていくような感覚を覚えた。
――私は今まで、何をしていたのだろう?
目の前の、皮膚が8割方無くなったしぃの腕を見る。
――怒りに任せて、こんな事を――?
どうやら、ちびしぃは完全に正気に戻ったらしい。先程までの自らの行為や言動は、あまり覚えていないようだ。
彼女はそのまま、腕を離した。そして、未だに口をあんぐりと開けて呆然自失状態の3人の元へ駆け寄る。

「ご、ごめんね・・・私、何てことをしてたのか・・・怒りに任せて何か言ってたような気もするんだけど」

「い、いや、気にすることはないモナよ。誰だってあれくらいやりたくなるモナ」

ちびモナが俯くちびしぃに声を掛けるが、その声色は、先程までちびしぃが見せていた憎悪と、それに伴う行動に対する恐怖を完全に拭い切れてはいなかった。
それを見たちびモラは、空気を変えようと明るく言った。

「ま、まあまあ・・・ちびしぃちゃんのお陰であいつに大ダメージ!だからな。後はもう、トドメを刺すだけだからな!」

その言葉通り、しぃの命がそう長くないのは子供目でも明らかだった。
いや、今すぐ病院に担ぎ込めば助かるかもしれないだろうが、無論そんなつもりは毛頭無い。
レーザーで切断された部分は焼かれたせいか傷口が塞がっている(ただし炭化している)が、今しがた皮膚を削ぎ落とされた左腕からの出血は凄まじかった。
また、戦闘開始直後に撃ち抜かれた両目からの出血も止まった訳では無い。
今やこのアフォしぃは、両目、両足、片手を失ってもう片手も使い物にならないという、ほぼ達磨とも言えるズタボロの状態であった。

「シィチャンノ・・・オメメ・・・アンヨ・・・オテテ・・・ハニャーン・・・ハニャーン・・・」

既に意識を手放しかけているしぃを前に、ちびしぃが言った。

「私はもういいや。流石に疲れちゃったし・・・ちびギコ君、後をお願いしてもいいかな?」

ちびギコは胸をドン!と叩いて答えた。

「お任せデチ!みんなは休んでていいデチよ〜♪」

そして、くるりとアフォしぃに向き直った。
その背中に、ちびモナがからかうような調子で言った。

「いいな〜。トップバッターとシメを担当なんて・・・おいしいとこ取りモナ!」

そう言うちびモナに、ちびギコは振り返らずに答えた。

「そんな事言われても・・・ここまで譲ったら、僕の出番がほとんど無しになっちゃうデチ!」

ちびモナは苦笑しながら、「わかってるモナよ」と返した。
虐殺は、いよいよ最終局面へと向かっていた―――。

934 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:36:35 [ LaCVn4Ks ]
「さて、と」

ちびギコは言いながら、最初にしぃの目を撃ち抜いたエアーガンを取り出した。
しぃはというと、全くそれに気付かずに「ハニャーン・・・ハニャーン・・・」とぼやいている。
まあ、目が見えないので気付きようも無いわけだが・・・。
ちびギコはガチャリ、という音を鳴らして、エアーガンに空気を送り込む。
すると、その音を聞きつけたしぃが、急に叫びだした。

「ハニャッ!?マタ コノカワイイ シィチャンヲ ウツキナノ!?ヤメナサイッ!コノ ギャクサツチュウ!」

どうやら、ちびギコが再び自分をエアーガンで撃とうとしている事に気付いたようだ。
しかし、両手も両足も使い物にならないしぃに、逃れる術などある筈も無く。

「今度はどこを撃とうかなぁ?選ばせてあげるデチよ?」

ちびギコもそれがわかっていたので、わざと煽るように言ってみた。
すると、

「ヤメナサイ!ヤメナサイヨ!ヤメテ!オナガイ ヤメテェェェ!!ダッコ スルカラ!」

しぃの口調が、いつの間にか懇願口調に変わっていた。
しかし、当然その懇願も、馬の耳に念仏を聞かせたが如く無視された。
ちびギコがエアーガンを構える。片目を瞑り、狙いを定めた。

「もういいデチ、僕が自分で決めたデチ」

「ハニャーン!ハニャーン!オナガイ ヤメテヨゥ!!!!ハニャハニャハニ」

バシュッ!!

本日三度目の空気音。
そして即座に聞こえてくる、

バチュン!

ゴムを引き千切ったかのような鋭い音と、

「シィィィィィィィィ!!シィノ オミミィィィ!!」

定番とも言える悲鳴。
ちびギコの放ったBB弾は、しぃの右耳を吹き飛ばした。
そのままちびギコは、その狙う方向を少し右に持っていった。

「オミミガァァァ!!シィチャンノ カワイイ オミ」

バシュッ!!

またも鳴る、圧縮した空気を吐き出す音。

ビチュン!

これまた再び響く、肉が千切れる音。

「ジィィィィ!!シィチャンノ オミミガァァァ!!」

そしてやっぱり轟く、しぃの十八番とも言える悲鳴。吹き飛ぶ左耳、飛び散る鮮血。

「本日、撃ち漏らし無し!デチ!」

ちびギコが快哉を叫んだ。

「シィチャンノ オミミー!ナクナッチャッタヨゥ!!オミミ カエシテヨゥ!!ハニャァァァァン!」

一方、しぃはお決まりの台詞を叫んだ。
両目、両足、両手(厳密には片方は残ってるが)に続いて両耳までも失ったしぃは、暴れたくても暴れることが出来ず、ただひたすら喚くしか無かった。

「さあ、そろそろトドメデチよ・・・?」

ちびギコが、エアーガンをちびモナに預けた後、しぃに向かって歩き出した。
その手に、手術用のビニール手袋を装備して。

935 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:37:14 [ LaCVn4Ks ]
「さっき言った筈デチ。おまえに罪を償わせる、って・・・」

しぃに歩み寄りつつ、ちびギコが言う。

「オナガイ、モウヤメテェ・・・ダッコモ コウビモ スルカラ・・・ハニャーン・・・」

弱弱しく呟くしぃ。どうやら耳を吹き飛ばされた時に叫びまくったせいで、体力をかなり消耗したようだ。
ちびギコはしぃの正面に立つと、血の気が引いたしぃの顔に手を添えた。

「ナ、ナニヨ・・・ツグナワセル、ッテ・・・」

怯えた様子でしぃが訊く。もう、当初の強気な態度はどこを探したって見つかりそうに無い。

「それは・・・」

ちびギコは呟きつつ、何と、傍らに落ちていたしぃが生み出した汚物を手で大量に掴んだ。
そして、しぃを侮蔑と憎しみを込めた視線で一瞥した後、しぃの口をもう片手で抉じ開けて――

「―――こうデチっ!!」

グチュボッ!

手にしていた汚物を、しぃの口腔内へと捻じ込んだ。

「ギョブッ・・・!!?ゴボッ、グベェ・・・」

苦しそうに呻きながら、しぃは口いっぱいに広がる糞尿を何とか吐き出そうとする。
しかし、ちびギコがそれを許さなかった。
ちびギコは片手で口を抉じ開けさせたまま、もう片手で次々と、悪臭を放つ汚物を口に捻じ込んでいった。

グチュッ!ブチャッ!

粘着質な音が響くたびに、辺りを強い悪臭が通り抜け、残りの3人の顔をしかめさせた。

「オギュゥゥゥゥ・・・ジョェェェェ・・・」

最早喋る事など出来ず、しぃが唸るような声を漏らす。
それでもちびギコは手を止めない。

「ほらほら、自分が出した物は自分で片付けなきゃ・・・ダメデチよっ・・・!」

言いながらも手は休めずに、溢れるほどにしぃの口へ汚物を詰め込んだ。
『自分で出した物は自分で片付けろ』―――罪を償わせるとは、こういう事だったようだ。
気が付けば口の中はもちろんの事、喉まで完全にパンパンに膨らんでいた。
粘性が高い上に当然美味くも無い糞尿は、この上なく飲み下し難いようで、しぃは

「モギュゥゥゥゥゥゥ・・・ウッ、ゴウェェェェェェ・・・」

異質な呻きを漏らす。どうやら窒息しているようだ。
そこでちびギコはというと、

「ちびモナ!ガムテープ貸してデチ!」

ちびモナを呼んだ。
ちびモナは鼻を摘みながら、箱に入ってたらしいガムテープを丁度良い長さに切り、ちびギコに手渡す。
「ありがとデチ」とお礼を言いながら、ちびギコは受け取ったガムテープをしぃの口に貼った。
一番大きな『口』という穴を塞がれたしぃは、これでもう体外へ汚物を吐き出すことがほぼ不可能となった。
そこからちびギコは、固めた拳をそのアフォしぃの右頬に叩き込んだ。

ドガッ!

「ゴヴェッ!」

口からでは無く、喉から直接出ているような悲鳴、というか呻き。
ちびギコはそれから、何度も何度もしぃの顔に拳を叩き込み続けた。

バキッ!ドゴッ!ガッ!ベキィ!

「ン゙ン゙ーーーーッ!ヴォゥゥゥゥゥゥ・・・グヴェェェェ・・・」

何十回も顔を殴打されたしぃは、くぐもった悲鳴を上げ続けていたが、

ゴガッ!バキョッ!ズガッ!

「ヴォゥゥゥ・・・ア゙・・・・・・ゴォォォゥゥゥゥ・・・」

その声もだんだんと小さくなっていき、

ドッ!ボキッ!メキッ!

「ドゥ・・・・・ア゙・・・・・・・・・ゲ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴブッ」

―――やがて、完全に聞こえなくなった。

936 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:37:41 [ LaCVn4Ks ]
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

殴り続けていて疲れたのか、ちびギコは暫く肩で息をしていたが、ふとしぃが静かになったことに気が付いた。
見ればしぃは、白目を剥いて鼻から口に詰め込んだ筈の汚物を垂れ流しており、何とも醜い有様であった。
ちびギコは試しにその動かないしぃを突き飛ばしてみた。
ベチャッ、と音を立てて汚物の山に突っ込んだしぃ。ちび達は少しの間観察していたが、遂に指一本動かなかった。

「・・・仕留めた、デチ」

暫く黙っていたちび達だったが、ちびギコの呟きがその静寂を破った。
するとそれを皮切りに、ちび達は歓声を上げるのだった。

「よっしゃぁーーー!任務完了モナ!!」

「完全勝利、だからなっ!」

「どうにか、ね。みんな、お疲れ様!」

「イヤッホゥ!」

それぞれ喜びを全員で表現するちび達。
喜び冷めやらぬ4人はハイタッチを交わそうとした―――のだが、ちびしぃが不意に叫ぶように言った。

「ちびギコ君、手!手!!」

ハッとしてちびギコは手を見る。その手にはまだビニール手袋が装着されており、アフォしぃ達の糞尿で汚れていた。

「あ、危なかったデチ・・・」

ちびギコは慌てて手袋を外した。その慌てぶりが妙に可笑しくて、3人はクスクスと笑った。

「じゃ、気を取り直して・・・」

ちびギコが戻って来たのを確認すると、ちびモナが言った。
せ〜の、と4人はタイミングを合わせ、一斉に言いながら互いの手を叩いた。

「任務達成、お疲れちゃ〜〜〜ん!!」

パチン!

今度こそちゃんと、乾いた音が公園に響き渡った。

937 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:40:06 [ LaCVn4Ks ]
―――あれから。
ちび達はモララーに電話を掛けた。任務達成の報告をする為だ。
ちびギコから、アフォしぃ達を全員討伐した事、4人とも怪我も無く無事だという事を告げると、モララーは、

「本当かい!みんな、ご苦労様。よくやってくれたよ。あ、今またおにぎり君を向かわせたからね」

そう言って、4人の労を労った。
電話を切って暫くの後、

ブロロロロロロロ・・・

再び聞こえてきたバイクの音。
バイクは先程と同じようにちび達の前で止まる。
ヘルメットを取ると、現れたのはやはりおにぎりの顔。

「やあ、ちびちゃん達。本当にご苦労様わしょーい」

おにぎりも4人に労いの言葉を掛けた。
それからおにぎりは、これからの事を4人に説明した。

「アフォしぃ達の死体とか汚れは、僕達が綺麗に片付けておくわっしょい。
 だから、今日は別にこのまま帰っていいわっしょい。
 そうそう、ギャラなんだけど・・・アフォしぃ2匹とベビ1匹、計3匹駆除で、1200円分ね。
 今すぐ使うかい?」

因みにギャラについてだが、相手が子供であるという事も考慮してか直接現金を渡すわけではない。
簡単に言えば、『ギャラの金額分好きな物を買ってあげるよ』という事である。
おにぎりが1200円『分』と言ったのはここに理由がある。
4人は少しの間思案した後、

「今日はやめて、明日にするからな」

結論を、代表してちびモラが告げた。
おにぎりは頷き、

「わかったわっしょい。それじゃあ、今日はもうお帰り。疲れてるでしょ」

そう言って帰宅を促した。
ちび達は揃って「はーい!」と元気に返事をすると、

「じゃあ、また明日モナ!」

「みんな、明日は遅刻しないようにね!」

「その言葉、僕らはともかくちびギコにはもっと言ってやった方がいいからな!」

「それどういう意味デチか!」

口々に言いながら、それぞれの家路に着くのだった。

938 名前:へびぃ 投稿日:2007/02/13(火) 20:40:57 [ LaCVn4Ks ]
―――翌日。
今日も短縮授業で学校は午前中のみ。
昼食をとった後、4人はまた『AA平和記念公園』に集合していた。
昨日、アフォしぃに汚されまくったとか、そいつらを虐殺したとか、そんな事など全く気付かせないほど、公園は綺麗に掃除されていた。
その為か、今日も公園は人が沢山いた。ちび達の同級生、丸耳モナも来ていた。もちろん、傍らには妹。遊具で楽しそうに遊んでいる。
昨日貰ったギャラの半分ほどを使って、お菓子を大量に購入したらしく、ちび達の手には大きめの袋。
集まった所で、ちびモナが言った。

「じゃあ・・・今日は何をして遊ぶモナ?」

そこで3人は、一斉に案を出し始めた。

「影踏み!」

「障害物競走!」

「棒上りは?」

その時、ちびギコが不意に言い出した。

「ここは鬼ごっこなんてどうデチか?昨日出来なかったし・・・」

すると、それを聞きつけたちびモナ、ちびモラ両名が、聞き捨てならんといった様子で口を挟んだ。

「ちょい待ち!だったらかくれんぼの方がいいからなっ!」

「何をぅ!サッカーの方が面白いに決まってるモナ!」

そしてぎゃあぎゃあと揉める3人。昨日と同じであった。その横で、クスクス笑うちびしぃ。
いつもと何ら変わらない光景。その様子はまさにどこにでもいる仲良しな小学生の子供達。
こんな子供達が虐殺をしていたなどと、誰が信じられるだろうか。
―――いや、これでいい。
こんな子供達が虐殺をする必要性など、無い方が良いに決まってるだろう。
少し悲しい事に子供達の虐殺には需要があるが、その時以外は、普通の子供で良い。そうであってほしい。

「こうなったら・・・勝負して決めるからなっ!」

暫く騒いでた3人だが、不意にちびモラがそう言った。
それを聞いたちびギコは、

「よ〜し、受けてた・・・ちょっと待ったぁ!もう騙されないデチよ!」

途中で何とか気付いたらしかった。
それを見たちびモナは、

「いやあ、いくら単純なちびギコでも、流石に2回連続は・・・」

からかうような口調で言う。
それを聞いたちびギコは再び、

「誰が単純デチかっ!」

大声でまくし立てるのだった。
一連の騒動を横から見ていたちびしぃは、耐え切れなくなって大声で笑い出した。
その笑い声を聞いて、ちびモラも笑い出した。
ちびモナも、笑った。
遂にちびギコも、大きな声で笑い始めた。
午後の暖かい光が差し込む公園に、子供達の笑い声がはじけた。


―――この町は、今日も平和。






【完】

939 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 09:58:46 [ 3FFy03Do ]
>>909より 全22話
明朝


「……………………」
……交代で寝ずの番をしていた捜査員と共に、母しぃもまた眠らずにいた。
ただしその目は既に真っ赤に充血しており、顔も青くなるのを通り越して黒みがかっていた。
……言うまでもなく、心労によるものであろう。

「……、奥さん。少し休まれた方がよろしいのでは……?」
そんな母しぃを見かね、捜査員も声をかける。
「あ、い、いえ……。ど、どうかご心配なく……
 で、でも、そうですね。ちょっと……外の空気を吸ってきます……」
そう言いながら母しぃは、ふらふらと外に出て行った。

「……茂羅警視、あれで……大丈夫ですかね?」
捜査員の一人が、同じく夜の番をしていた茂羅警視に話しかける。
「母親か? ……あれじゃ、眠れと言ったって眠れんだろうよ。まったく、誘拐ってのは
 腸の煮えくりかえる犯罪だな。それより、発信元の解析はどうなってる?」
「現在急ピッチでやってますが、何分情報の不足と高度な暗号化とでなかなか進んでません
 ただ、どうも国外からかけられている可能性もあるらしいんですよ……」
「国外から? やけに手の込んだことを……」
「ええ。おそらく身元をより分かりづらくするために、国際回線を経由していると思われます」
「ち……」
茂羅警視が苦々しげに舌打ちをした、その時
「………あの………」
「? どうしました?」
見ると、母しぃがいつの間にか外から戻ってきている。
しかもその手には、何か板のようなものが握られている。

「? 奥さん、それは?」
「あの、ふとポストの中を見てみたら、これが……」
そう言って母しぃが差し出したものは、一枚のDVDだった。

「……あの、もしかして、これは……?」
「犯人からのメッセージである可能性が、非常に高いですな。……おい!」
「はい……!」
捜査員の一人がパソコンを持ってくると、茂羅警視は早速そのDVDを突っ込んだ。

940 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 09:59:24 [ 3FFy03Do ]
……………………………………………………

「……………あ、映った」
「ひ……!」
パソコンに映像が映し出されると、母しぃがまず小さな悲鳴をあげた。
「し、しぃか!」
「え!?」
母しぃの言葉に、捜査員も食い入るようにパソコンに向かう。

「しぃか……!!」
画面上に出ていたのは、一匹のしくしくと泣いているちびしぃだった。
片耳が吹き飛び、母しぃが画面に食いついたところから鑑みるに
これはやはり、彼女の言う通り……娘のしぃかなのだろう。

すると、画面から聞き慣れない声が聞こえてきた。
紛れもない。あの機械で変えられた、誘拐犯の声だ。
「サァ、シィカチャン? コノビデオハ君ノママニ送ルモノナンダ。ダカラ
 精一杯力ノ限リ、泣キ叫ンデクレタマヘ。クヒャハハハハハハ!!」
その声が遠ざかると、途端にちびしぃが泣き叫び始めた。
「ママァ!! ママァァァ!! しぃかを、たすけてぇぇぇ!! ママァァァ!!」
画面の向こうで、しぃかがカメラに向かって声を限りに泣き叫ぶと
母しぃもまた、パソコンの画面に食い入って話し始めた。
「しぃか!! ママはここよ!! しぃか!! しぃか!?」
……とはいえ、それはネットのリアルタイム映像ではない。あくまで記録された
DVDなのである。……つまり、双方の交信など出来るはずもない。
画面の向こうからは、やはりそれを見越したようなあざけりの声が。
「クヘハハハハ!! 無駄無駄!! シィカチャンガドレダケ叫ンダッテ
 君ノ叫ビハ、嘆キハママニハ届カナァイ!! 届カナァァイ!! クケカカカ!!
 ホレ! モット叫ベ、泣ケ!! 泣イテセイゼイ、ママニ教エテヤレ!!
 自分ガ今、ドレダケノ恐怖ヲ味ワッテイルカ! タァップリトナァ!!
 ……ア、ソウソウ」
「ママァァ……、ぶっ!?」
すると突然、誘拐犯とおぼしき足がカメラに張り付いていたしぃかを蹴り飛ばし
代わりにカメラに、小型の持ち運びテレビが映し出された。
そのテレビに映っているのは、……早朝のニュース番組だ。
「サテ、コレデシィカチャンガ生キテルコトノ証明ニハナッタネ。ククク
 ソレデハ………」
声が途絶えると、画面がふっと暗くなった。これで終わりかと思ったが
タイムバーのカウントがまだ残っている。では、なにがあるのか……?

……しばらく一同が見入っていると、突然文字が現れ始めた。
「………………!!」
それは、誘拐ではおなじみの文言だった。

“………現金で、一千万円ご用意ください。しぃかちゃんをお返しする
 場所などに関しては、追って連絡いたします。あと、DVDケースの
 中にしぃかちゃんのメッセジをぶち込んでおきましたが、気付きました?
 気付いてないなら、とっとと開いてみやがるがいいでしょう。 See you!!

941 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 09:59:56 [ 3FFy03Do ]
……………………………………………………
その画面が数秒続くと、DVDは停止した。
「茂羅警視! DVDの中にあった「手紙」って、これのことじゃ……」
DVDが終わったと同時に、茂羅警視の部下と思われるモナーが声を出す。

「見せてみろ」
「はい……。ですが、これは……」
「………? うっ」
「ど、どうしたんで……、ひっ!?」
口ごもった様子のモナーに続き、茂羅警視も、母しぃも「手紙」を見て言葉を失う。
まぁ、手紙が斑に赤黒くなっていて、しかもやや膨らんでいれば当然の反応であろうが……

「ま、まさか、今度は何……!?」
母しぃが、おそるおそる開封する。途端に辺りに立ちこめる、鉄の臭い……
「警視、これは………」
「馬鹿野郎。何も言うな」
母しぃの震える手で開かれていた袋が、ついに完全に開けられた。
次の起こるのは、やはり

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
母しぃの絶叫と、開かれた手紙に殺到する捜査員たち。

「うわ……! 今度は………」
「こいつは………歯だな。……いち、にぃ、さん……。六本も抜いてやがる!」
「…警視! 包んでいた紙に何か書かれてます!」
「……大体、内容は想像がつきそうなもんだが………」
包み手紙を手にすると、茂羅警視が一層眉をしかめ、机の上にそれを投げ捨てた。
「……犯人の野郎、完ッ全にイカれてやがる……!」

その投げ捨てられた手紙には、赤黒い染みに混じって、……どうせ染みと
同じ方法で書かれたのだろうが、やはりぐちゃぐちゃに乱れた文字が。
その下には、これまた丁寧に整った、犯人が書いたであろう文字が。

 ま ま  い た い よ
 
 これで、一つ進んだね。
.

942 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:00:35 [ 3FFy03Do ]
………………………………………………
「落ち着いてください。奥さん。まだ大丈夫ですよ……」
「あ……、ふぅ……、す、すみません………」
あれから貧血を起こして倒れた母しぃが、ようやく目覚めた。

「しかし、『一つ進んだ』というのは……?」
「……我々にも真意は分かりかねますが、おそらく取引が
 一段階進んだ、ということでしょうね。……しかし、それをより強く
 知らしめるため、それだけのために子供の歯を抜くなんて……」
「……絶対に、犯人を……捕まえてください!」
「勿論ですよ、奥さ……」
茂羅警視が言いかけた、その時

「!!」
電話が、鳴った。
「おい…………」
茂羅警視が部下の方を向くと、既に準備済みの彼らが手を挙げる。
「よし。……それじゃあ奥さん、電話を………」
「は、はい」

呼吸を整え、ごくりと息をのんで母しぃは電話を取った。

943 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:01:04 [ 3FFy03Do ]
「も、もしもし……?」
「イヤー! ゴキゲンヨウ、奥サン! ヨク眠レマシタァ? ウヒャハハハハ!!
 ……多分DVDヲ見終ワッタ頃ダト思ッテ電話ヲカケタンデスガ、如何カ……?」
「あ、あなたはしぃかに何をしたの!? アレはあの子の歯なの!?
 あの手紙は、一体……!?」
「……イヤー、本当ハ一、二本抜ケレバイイト思ッタンデスガ、思イッキリ
 パンチヲブチ込ンデヤッタラ、ポロポロト抜ケチャッテ……! イヤハヤ
 チャント歯磨キ、サセテマスカ? 将来困リマスヨ? クケケケ……!」
「あ、あなたが……! ……どうして!? どうして私のしぃかなんかを狙ったの!?
 ……こんな、金持ちでも何でもない、……狙ったって、いいことなんか無いでしょ!?
 それなのにどうして、しぃかを………!?」
涙を浮かべて文字通りに電話に噛みつく母しぃに対し、電話口からはしばしの沈黙の後
「…ソイツハ。直ニ分カルサ。ソレヨリ今アンタガスベキハ、要求サレタ額ヲ揃エルコト
 ……今度ハ12時間後ニ電話ヲカケルヨ。ソレマデニハ用意シテネ」
「ま、待って! しぃかの声を聞かせて! あの子の無事を……」
「……DVDヲ見ナカッタノカ? アレデ………」
「お願い! しぃかと話をさせて! お願いだから………!」
「……ヤレヤレ、仕方ナイネ。ソレジャアホンノ少シダケ時間ヲヤルヨ。
 後ロデ機械トニラメッコシテル連中ニモ、ソノ方ガ都合ガイイダロウシネ」
「!? え、あ、ええ……!?」
……その言葉に、思わずびくりと身を震わす母しぃと捜査員たち。
「な、な、何を言って……?」
「気遅レスル必要ハナイサ。コチラハ一言モ“警察ニ知ラセルナ”トハ言ッテナイシネ
 ……マァ、今モ連中ガ必死コイテ聞イテルダロウカラ、教エテオイテヤロウカ。
 
 君タチハ、僕ヲ捕マエルコトハ絶対ニ出来ナイヨ。ドレダケ手ヲ尽クシタトシテモネ」

「………………………」
挑戦とも取れる言葉に、捜査員たちは受けて立つと言わんばかりの顔をする。
「ソレジャ、感動ノ……声ダケノ再会ト行キマスカ。……抜ケタ歯モ
 奥歯ガ殆ドダカラ、喋ルニハ不自由シナイダロ。ホレ」
電話口から一旦声が消えると、次に聞こえてきたのは……

「ママァァァ!! ママ、たすけてェェェ!!」
……しぃかのそれだと思われる、子供のつんざかんばかりの絶叫。
「!! し、しぃか!! しぃかなのね!? ママよ! 分かる!?」
受話器をこれ以上ないくらいに強く握りしめ、母しぃは大声を出した。
「ママァ!? しぃか、いたいよ!! おみみもはもなくなっちゃったよ!!
 早くしぃかを助けて!! ママ、ママァァァァ!!」
「しぃか!! ああ、しぃか……!! 他に怪我はないの!? 大丈夫なの!?」
「ママ………ぶべぱっ!?」
するとまた、……どうせ殴り倒されたのだろう、奇妙な音と共に電話口の声が変わった。
「ハイ ソウイウワケデス。ソレジャア12時間後マデニ、一千万円ヲゴ用意下サイ。
 ……クヒヒ。デキルヨネ……? ケキャカカカカ……!!
 ……イザトナレバ、手段ハイクラデモアル。…クレグレモ“揃イマセンデシタ”ト
 イウノハ無シデ。……デハ……」

944 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:01:21 [ 3FFy03Do ]
電話が、切れた。
「……あなた! 今すぐお金の準備を!!」
「……12時間だな。よし、今すぐ回ってくる! 君は家にいろ。
 何か犯人が追加の要求をしてくるかもしれない。」
「じゃ、じゃあ実家にも連絡を入れておくわ。これで……」
「ああ。それじゃあ、行ってくる」

……あわただしく母しぃたちが駆け回っている傍ら、捜査員たちも動き回っていた。
「さぁ! 今度はどうだ? 逆探知は成功したか?」
「はい! 完全ではないですが、大体の位置は特定できました!」
「よぉし! で、どうなんだ!?」
「はい! やはり国外から……、おそらく国際回線を経由してかけられたものです。
 場所は、でぃ湾国を経由しているということまでは判明しました」
「でぃ湾国? ここモナ本から目と鼻の先じゃねぇか。なんでこんな国を経由して
 電話をかけてきてんだ?」
「……でぃ湾国の通信セキュリティ関連の技術は世界有数ですからね。身元を隠して
 通信をするには、もってこいなんですよ」
「け。……でぃ湾国か。昔ッからどことも条約を結ばない『永世中立国』って
 いつぞやそれの百周年だったかで、名前が新聞に出たが……懐かしい響きだぜ。
 まぁいい! とにかく通信経路さえ分かれば、あとはそこに警官を派遣して
 とっ捕まえるだけだ。身代金を取りに来たところでやってもいいが、早いに
 越したこたぁねぇ。国内のどこだろうと、逃がしゃしねぇぞ……!」
「……全速力で、進めます……!」

945 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:01:51 [ 3FFy03Do ]
さて、その頃一方。

某所

……さぁて、今頃は金策に駆け回っている頃か……
警察はどう出るか。……通信回路には十重二十重にカモフラージュと妨害信号を
施しているから、早々簡単には判明できないとは思うが……
まぁ奴らがどれだけ早く気付こうが、どうだっていいことなんだがね。くくく……!

……それはともかく、奴らに12時間後に電話をかけるとして……
“あれ”はその二〜三時間後くらいに、折を見てやればいいか……

さて、いずれにせよ、この12時間は何もすることがないから
今のうちに、寝ておくとしますか。いざというときに眠いのではかなわんからな。
……母しぃの、苦痛に満ちているだろう顔を思い浮かべながら……くふふふ……!!

………………………………………………

「……ふうぅぅ………………………」
夫が金をかき集めに出ている間、母しぃは自宅の……しぃかの部屋にいた。
勿論主はいないその部屋のベッドに腰掛けて、ため息をつく。
……今の彼女は、言うまでもなく娘のことで心がいっぱい。時折風が
窓を揺らす音だけでも、娘が帰ってきたのではないかと窓を見る。
……まぁ、窓枠が錆び付いて、たとえ子供の体格でもせいぜい頭しか通らない
程度にしか開かないし、そもそもどうして、娘が窓から帰宅するものか……

「………………………………」
……この部屋を見渡せば、娘の思い出が次々に浮かんでくる。

壁に貼られた、拙い絵を見れば
“これ、せんせいがほめてくれたんだよ! うまいでしょ!?”
嬉しそうにはしゃいで、自分に見せてくれた………

同じく壁に飾られた、額に入れられた賞状を見れば
“ママァ! いっとうしょうだよ! やったよ!!”
心から喜んでいる笑顔で、辺りを走り回っていた……

……勿論、それだけではない。机も、本棚も、今座っている、ベッドも……
全てから、しぃかを感じることが出来た。全てがしぃかのものなのだから……

「はぁ、うぅ………」
……しかし今、ややもすれば娘が本当に“思い出だけの存在”になり得るのだ。
そうなるにはまだ早すぎるはずなのに、それが………

神様、お願いします。どうか私のしぃかをお救い下さい。
あなたが望むのなら、たとえ私のこの命を差し出しても構いません。
あの子はまだ、ほんの子供なんです。人生を終わらせるには早すぎます。
本当に、あなたが望むのであれば、他に何でも、全てをさしあげます
どうか、どうか……、しぃかにお慈悲を………

これが何度目になるだろうか。…頭の中で、喜びはしゃぐ娘の姿を
思い浮かべながら、母しぃは深く祈り込んだ。

946 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:02:10 [ 3FFy03Do ]
……十二時間後

「……どうにか、揃えることは出来た」
目の前に置かれた、ボストンバッグ。身代金が入ったものだ。
「……あとは、電話……。あぁ、しぃか………」

「さて、そろそろ時間だが……」
一同が、電話の前に座して待っていると……

「!!」
電話が、鳴った。
「……最後の電話から十二時間ぴったりか。……違いないな。では……」
「はい……」

……これさえ終われば、しぃかは自分のところに帰ってくる。
そうすればまた、楽しい日常が再開されるんだ。悪夢は過ぎ去るものだから…

「はい」
「クケカカカカァ! 用意ハデキマシタカァ?」
……やはり電話口に出たのは、あの声。

「用意は出来たわ! これを……、これをどこに持って行けばいいの!?」
「クッケケケケ。ソレデヨロシイノデスヨ。ソレデハ、場所ヲ言イマショウカ。
 ……ソチラノ家カラ歩イテ数分ノトコロニ、“モナギコパーク”ガアリマスネ?
 ソコノ東口カラ入ッタトコロノ、“森林浴ロード” マズハソコノ入口ニ
“一人デ”来テモライマショウカ。……アア、警察ノオマケハ構イマセンガ
 ゴ主人ハ家ニ残ルコト。…大人数デ来ラレテモ迷惑デシテネ。
 デハ、ソノ入口ニ携帯電話ヲ用意シテアリマスノデネ。オ急ギヲ………」

「……“モナギコパーク”だと? たしかそこって……」
「ええと、確か数年前に閉鎖されたテーマパークですね。今は立ち入り禁止に
 なってますから、ほぼ廃墟になっているようですが……」
「いずれにせよ、人目にはつかない……か。しかし犯人の野郎、今度こそお縄に
 捕らえてやるからな。……茂名田、擬古山。お前らは一応ここに残れ。残りは
 皆出張るぞ。慈円、発信器はバッグに仕掛けたか?」
「もーちろん。ちゃんと仕掛けてあるよ!」
「全員、投擲用の発信器も持ったな? いざとなったらそいつを犯人にくっつければ
 たとえ複数いたところで、巣に帰ったところを狙えば一網打尽だ。」
全員が、パチンコを高々と挙げる。
「よし。では奥さん、行きましょうか」
「はい………。あなた……」
「……心配するな。お前はお前の役目を果たしてきなさい……
 刑事さん、よろしく頼みますよ……。しぃかと、憎き犯人を……どうか」
「勿論です。お任せ下さい。」

947 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:02:41 [ 3FFy03Do ]
10分後
「モナギコパークってのは、ここのことですか……。
 うっひゃ、今にも幽霊が出そうな……」
「確かバブルの煽りを受けたか何とかだったっけな。……まぁいい。入るぞ。
 奥さん、お気をつけて」
「あ、す、すみません……」
『立ち入り禁止』と書かれた柵を越え、張られたロープを越え
一同は、指定された場所……『森林浴ロード』の入口に来た。
「……奴の言ってた電話ってのは、これのことですね」
成る程確かに、森林浴ロードの入口には携帯電話が置かれていた。
「ああ。……どうせ奴は、俺たちがついてきてることを知ってるだろうが
 しかし何だって、こんな場所を選んだんだ……?」

そうこうしていると、20分が経過。電話が鳴り出した。
「は、はい! しぃかの母です!」
「ハイハイ。チャント時間通リニ着キマシタネ。デハ以後ノ動キニ関シテ
 説明シマス。……マズハコノ携帯電話ノ画面ヲ、ゴ覧クダサァイ……」
「…………?」
怪訝そうな顔をした母しぃが携帯から耳を離すと、成る程、画面上では
何か、サイコロのようなものがころころと動いていた。
「これは……サイコロ?」
「ソノトオリ。子供デモ知ッテイル遊ビ道具デス。……ソシテ、ゴ存ジカ?
 コノ“森林浴ロード”ハ、地面ニ飛ビ石ガ設置サレテイルノデスヨ。
 ……オ分リカナ? コレカラアナタニヤッテイタダキタイノハ、マズソノ電話ノ
 画面ニ出テキタサイコロノ目ニ従ッテ、飛ビ石ヲ進ンデイタダクトイウコト。
 ……簡単デショウ?」
「え、ええ、………?」
確かに子供でも理解できる、犯人が言っているのはいわゆる“双六”だ。
だが一体、彼はこんなことをして何を狙っているのか……?

「そ、それは分かりましたが、何故こんなことを? しぃかは!?
 それに“まず”というのは? どういうことで……?」
「……ソレハ、始メレバ追々理解デキルト思イマスヨ。デハ、準備ハヨロシイカ?
 チナミニソノ電話デスガ、ソチラカラカケルコトハデキマセンノデ、ヨシナニ……」
「え、ええ、はい………」
「デハ、開始………」

948 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:03:04 [ 3FFy03Do ]
母しぃがまた画面を覗き込むと、早速サイコロが画面の中を転がっていた。
サイコロが転がるのをやめると、出た目は……5だった。
「ええと、5だから………」
懐中電灯で照らし、母しぃは飛び石を5つ進んだ。
「ここに、何が……? あ」
辺りをきょろきょろしていた母しぃが、ふと傍に何か箱が置かれているのに気付いた。
「もしかして、これが……?」
まず間違いはないだろうが、母しぃは茂みをがさがさと抜け
箱を手にして飛び石のところまで戻ってくると、箱を開けた。
直後

「シッ、シィィィィィィ!!??」
驚愕の、悲鳴。周りにいた捜査員たちも駆け寄ってくる。
「ど、どうしました奥さ…… うっ!」
駆けつけた捜査員たちも顔をしかめた、箱の中身。まぁ、想像はつきそうなものだが……
「耳と、歯と……。今度はこれか!!」
その箱に入っていたのは、しぃかのちょこんとした、しかし切断された右の掌だった。
「ハ、ハ、ハニャアアア……!? これは、これは………!?」
ぺたりとへたり込んだ母しぃの足下に、箱の中身がぶちまけられる。
すると、やはり一緒に入っていたものであろう。赤黒い染みのついた紙切れが出てきた。
どうせろくなことが書かれていないだろうが、おそるおそる開くと

“さてさて、驚かれましたか? ですが、こいつぁまだ食前酒ですよ?
 こんなところで腰を抜かしてちゃ、この先が思いやられますよ? しゃんとしなさいな。
 次の出目は、4です。くれぐれも間違えないように……”

やはり染みと同じく、赤黒い文字で書かれていた狂気の文章が載っていた。

しぃか!! しぃか! しぃか!!!
母しぃは震える手で飛び石を数え、震える足で渡っていく。
もみじの葉のように可愛らしかった我が子の掌が、こんなことに!
可愛らしくちょこまかと動いていた手が、こんなことに!!

もはやこの掌一つで、母しぃは自分が錯乱してしまうほどだった。

「おい、鑑定急げ! 簡単なやつなら15分程度で出るだろ!!」
「はい! 急がせます! しかし警視、犯人は一体……?」
「それは分からんが、今は従うしかないだろ。犯人がこう指示している以上、先回り
 するわけにもいかんからな。とにかく、今は………」

949 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:03:28 [ 3FFy03Do ]

飛び石を4つ進んだ母しぃが、また箱を手にしていた。
さっきは掌。じゃあ今度は、今度は……!?

……こわごわとふたを開けた母しぃだったが、今度もまた小さな悲鳴をあげて
箱の中にあったものを手に取ると、箱をそのまま地面に落とした。
箱の中に入っていたものは、……細い、棒のような…… 腕。
肩口から切断され、おそらくさっきの掌がくっついていたのだろう、手首から先も
すっぱりとなくなっていた。
「あ、あぅぅう!! あああ………!」
あの子の可愛い腕が、こんなことに! か弱く小さなあの子の腕が、こんな……!

涙までこぼし始めた母しぃは、同じく同封されていた手紙を開く。
しかし、哀れかな。そこで彼女は更に、滝のように涙を流し始めた。

「シッ シギャアアァァァァッ!!? どうして!? 何、何なのこれはぁぁぁ!!」
……手紙と一緒に同封されていたのは、ちびしぃ……しぃかの写真。
肩口に鉈の打ち込まれた、まさに切断の瞬間を撮影したものであろう。
しぃかの恐怖と、痛みに支配されて泣きじゃくる顔がそこにはあった。

“前菜からは、お写真を同封いたします。よくご賞味下さい。
 なになに、止血はちゃんと施しましたから、命に別状はございません。
 こんなところで死なれてしまっては、誘拐の意味がないのでね。
 これは悪夢ではない、紛れもない現実ですよ。努々それを忘れぬよう……
 次の出目は、6 おっかなびっくり歩いてきてくださぁい。ウフフッ!”

「警視! これは………!」
「……犯人の野郎、何て奴だ! 見つけたら問答無用で銃殺してやりてぇな!!」

950 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:04:01 [ 3FFy03Do ]
飛び石を6歩進んだ母しぃ。やはり傍らには同じように、箱が。
今度は、どこが? 体のどこの部分が切り取られているのか!?
何とかふたを開けた母しぃだったが、箱の中にあったのは、今回は手紙だけ。
「………?」
不思議に思いながら、手紙を開く母しぃ。

“慌てん坊の兎さんは、損をする。2歩戻ること”

「……………………………」
指示通りに二歩戻り、辺りを懐中電灯で照らすと、……茂みの中に、あった。
ということはこれが、本物の………
また震える手で箱を開けた母しぃだったが、開けたときの反応は言わずもがな

「も、もうやめてぇぇぇ!! しぃかを、返してぇぇぇぇ!!」
……箱の中に入っていたのは、今度は……ぼろぼろに焼け焦げ、炭化した……腕。
今回は掌も一緒になっているようだが、もはや識別も出来るかどうか。
ただし、同封されていた2枚の写真にはしっかりと残っていたのだが。

腕を煌々と墨が燃えている七輪に括り付けられ、もうもうと煙が上がり
生きたまま腕が焼かれる苦痛に、泣いているしぃか。

そして二枚目は、そのしぃかの肩口に、おそらく腕を七輪で焼き尽くした後に
行われたのであろう。ガスバーナーの炎が当てられ、…炭化して、切り離された
光景があった。

“ね? 慌ててちゃいけませんよ? あやうく主菜その1を取り逃すところでしたね
 素敵な素敵なバーベキュウ。今夜の食卓に是非どうぞ!
 次の出目は、3 焦らず急がず、ゆぅっくりと………”

「………………!!!」
「警視! 先程の結果が簡易ですが、出ました! やはりあの掌と腕はしぃかちゃんの
 もので、肩と手首に生活反応が見られたので、手首→腕の順に切り落とされたと…」
「………………………………」
「警視? どうされたんで………」
「五月蠅い! 分かったから黙ってろ!!」

951 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:04:27 [ 3FFy03Do ]
………あの子の両手が……、なくなった……。
しかも、もう戻らない。決して元通りになることはない。確かに命に別状はないかも
しれないが、……無惨に、切り落とされ、無惨に、丸焼きにされ………

どうして!? お金さえ払えば、それで解決するはずでしょう!? それをどうして
こんな、残酷で……冷血な!! 悪魔の所業を!! 何の罪もない、子供の腕を……

自分を奮い立たせ、母しぃは前へと進む。……まぁ、それもどこまでもつか
とにかく指示通りに、3歩飛び石を進むと…………………

「今度は………何……?」
ふたを開けると、今度もまた手紙が一枚だけ。

“のろまな亀さんは、間に合わない。5歩進む”

……完全に、弄んでいる。自分をゲームの駒にしているつもりか!!
義憤に駆られ、のしのしと飛び石を五歩進む母しぃ。言うまでもなく、やはり箱が。
……しかしどういうわけか、今回の箱は今までよりもやや大きめのものだった。

「……大きい? でも、しぃかの体が入るほどのものじゃない。
 じゃあ、これは………?」
覚悟を決めたように、箱をにらみつけながら箱を開ける母しぃ。しかし……

「…………………………………… !!!」
そんな覚悟や、奮い立った彼女の態度は所詮まやかしでしかなかったわけで。
箱の中身を見た途端、そんなものはどこへやら、途端に雲散霧消した。

……箱の中身は、今度は大きめの枝のようなものが……二つ。
片方はずたずたにえぐられ、赤黒い肉から白い骨が見え隠れして
もう片方は、不自然なほどに青黒く、しかもぶよぶよと柔らかかった。

「あふ……! あふがははは……! ひぃぃぃ………!!」
もはや悲鳴にもならぬような声を出し、母しぃは手にしていた手紙を落とした。
……地面に落ちた衝撃で、写真がまた二枚、中から出てきた………

一枚目は、血まみれの鋸がしぃかの足に当てられているもの。そして二枚目は
しぃかの足が、金槌で散々に打ち据えられているものだった。
勿論言うまでもなく、双方とも責め苦を受けるしぃかの表情は……

「どうしてよォォォ!! しぃかが何をしたって言うの!!?? 何を! 何を!?
 あの子が何の罪を犯したって言うの!? 何でェェェェ!!?」

地面に手をつき、半狂乱に叫びまくる母しぃ。とはいえ、答える者はどこにもいない
そんな母しぃの傍らで、かさかさと音を立てる……手紙。

“さぁさぁ、今宵の主菜の主菜! ちびしぃのもも肉。巷では絶品との評判ですが、
 如何でしたか? 今回はやや量を多めにいたしましたが、食あたりは起こしていませんか?
 何にせよ、あともう少しで終わりです。前を見てずんずん進みましょう。
 次の出目は、6です。あと少しですよ? 頑張りましょぉね?

952 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:04:45 [ 3FFy03Do ]
「しぃか……しぃかしぃかしぃかしぃか……しぃか……」
母しぃは虚ろな目つきで、ふらふらとさまようように歩を進めた。
とはいえ、まだ発狂したとかそういうわけではなさそうで、きっちり6歩進んでいる。
……もう言うまでもないが、そこには箱が……しかし小さなものが置いてあった。

「……………………………」
正直、母しぃは開けたいとは思わなかった。どうせ開けたところで、絶望しか
味わうことが出来ないだろうことは、目に見えていたから………
しかし、全ての指示は……箱の中の手紙に書かれている。しぃかを取り戻すためには
たとえ見たくなくとも、箱を開けなければならない。

この犯人は、単なる愉快犯じゃない。明らかに憎悪が感じて取れる。だが
私たち家族が、一体何を? 主人に敵がいるわけでもない、勿論自分もしぃかも
そんなものがいるはずが……ない。それなのに、どうしてこんな凄まじい
憎悪と悪意の標的にならなければ、ならないのか……?

そんなことを考えながら、箱を開けた母しぃだったが………
「…………………………………………………………」
もはや泣きすぎて、悲しすぎて泣けないとはこのことなのだろう。
小箱に入っていた、しぃか本体を除けば最後の代物………

赤黒く染まった、2つのエメラルドグリーンの玉に、三角形のなにか……
説明する必要など、皆無。……しぃかの両目と、ちぎられていなかった方の、耳……
写真にあったのは、既に両手両足がなくなったしぃかの目に、スプーンが深々と
突き刺さっているものが、一枚。……耳にピアノ線か、極細のワイヤーのような
ものが巻き付けられ、朧状、霧状に血が吹き出しているものが、一枚……
写真の中のしぃかは、文字通りに血の涙を噴き出して泣き叫んでいた……。

耳、歯、両手、両足、両目………、たしかに上手くやれば、命に別状はないかも
しれないが、それをあんな小さな子供に、こんなに執拗に………
何故だ!? 何故何故何故何故何故、何故!? これほどのことをするからには
相当の恨みがあるのだろうが、何故!? 思い当たる節など無い。どれだけ
記憶を呼び覚ましても、一向に思い当たらない!! 何故だ!?

“さぁて、デザートはお楽しみいただけましたでしょうか。格別のお味だったと
 思われますが、如何でしたでしょうか? ……では最後に、おみやげをご用意
 致しております。 ……これを以て、ゴールまでのワープとします。
 この『森林浴ロード』、奥まで進むと、管理小屋があります。そこに来てください
 お待ちしております”

953 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:05:06 [ 3FFy03Do ]
「警視、しぃかちゃんは……その……」
「馬鹿野郎。それ以上は決して言うな」
「は………」

「しぃか……しぃぃ……かぁぁ………」
もはや、前が見えているのか? ……それすらも定かでなかった。
母しぃはまるで千鳥足のように、よろよろと歩いていた。

……もはや、楽しかった日常は戻ってこない。……娘の体は、文字通りに
ばらばらにされてしまい、それは……回復不可能なのだ。
もはやそれでは死んだも同然といえるだろうが、しかしそれでもしぃかが
生きていればいい。どんな形になろうとも、娘は娘だから……

そう自分に告げる母性に従い、何とか母しぃは指定の場所…管理小屋にたどり着いた。

「……ここに、しぃかが………」
母しぃが入口にふらふら近づくと、茂羅警視はその後ろで
「おい。裏口及び周囲を固めろ。……絶対に逃がすな」
「はい。時に周囲の検問は、どうしますか?」
「一応既に、待機命令は出してある。だが、ここで抑えるぞ……
 奥さん、入ってください……」
「はい………」

……今までの惨状から鑑みるに、この中でどんなものが、待ち受けているか……
もしかしたら、この中で既に……しぃかは………

しかし母しぃは、首をぶんぶんと横に振る。
悪い方に考え出したら、どんどん深みにはまってしまう。そうだ。そんなことばかり
考えてちゃいけない。……あの子だって、懸命に生きているんだ。絶望的な状況下
だけど、生きているんだ。だから………

母しぃは意を決したように、ドアノブに手をかける。

神様!!

錆び付いたいやな音を立て、扉がゆっくりと開かれた……。

954 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:05:22 [ 3FFy03Do ]
…………………………………………………
…………………………………………………
「あれ……?」

扉を開けて、しばらく。母しぃは呆気にとられたような顔をしていた。
……鉄臭い、血の臭いもなければ、そもそも誰かがいる気配もない。
懐中電灯で辺りを照らしてみるも、色あせたコンクリートの壁がうつるだけで
他には何も、見えない……。
「……………、これは……?」
すると辺りをきょろきょろしていた母しぃの目に、机が目に入った。
いや、正確に言えば机ではなく、その上に乗っていた、手紙。
……誰が置いたかは言うまでもないだろうが、それにしても、何故……?

おそるおそる手紙を開けてみると、そこで母しぃの疑問はますます大きくなった。

“ふりだしにもどる”

「……奥さん……」
しばらくすると、茂羅警視が神妙な面持ちで中に入ってきた。
「あ、あの、……これは、どういうことでしょうか……?」
茂羅警視に先の手紙を差し出すと、彼はその手紙を見て、首を横に振った。
「……家に、戻りましょう。さ、早く……」
「え? ど、どういうことなんですか……?」
「……………………………………」
母しぃの言葉に、茂羅警視は何も応えなかった……

955 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:05:39 [ 3FFy03Do ]
数分後

……母しぃは、自分の心臓が高鳴るのを感じた。
さっきから険しい表情で、何も答えようとしない茂羅警視。そして
誘拐犯がいるかもしれない、あの管理小屋を放ってのとんぼ返り……

まさか……まさか……!?

そして、その不安は………

「……一応、現場には手をつけるなと言ってありますので……。
 奥さん、辛いでしょうが、確認をお願いします………」
そういって茂羅警視は、二階への階段を指さした。

もう、何が起こっているのか……問いただすまでもなかった。
二階へ走り、真っ先にしぃかの部屋の扉を開けた……………


きゃあああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

つい数日前までは、何ともない、真っ白に綺麗だった部屋が
それが今や、部屋の中は真っ赤に染まっていた。
天井、床、家具。全てが全て、赤黒く染められており、しかも壁には
先のランドセルのそれを大きくしたように、ある文字が残されていた

 G O A L

956 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:06:28 [ 3FFy03Do ]

あ、ああ、ああああああ………ああ………!!

そしてしぃかの机とベッドの上には、やはり……
この部屋をこうしたであろうものが、乗っていた。

机の上に乗っていた“モノ”は、やはり歯を抜かれ、目をくりぬかれ
耳を両方とも、もぎ取られた………
かたやベッドの上に乗っていた“モノ”は、両手、両足、それと
おまけのように、尻尾をちぎり取られた……

ベッドの方はともかく、机の上のモノは
血の涙を溢れさせ、その最期が如何なるものかをそのまま物語った
苦痛に満ちた表情をして、しかも口の中には『手紙』を押し込まれて
無造作に置かれていた……

しかも惨劇は、それには終わらない。
思わず後ずさった母しぃが、窓枠に手を触れると………
「!?」
突然感じた、ぬるりとした感触。何かと思って、窓から顔を出すと

…………………………………………………………

母しぃは、意識が遠のいていくのを……感じた。
窓の外にも、同じ光景が広がっていた。

彼女の夫もまた八つ裂きになって、窓の下の屋根に…広がっていた。

……突如吹き込んできた風が、しぃかの生首の口に押し込められていた
手紙を飛ばし、かさかさと音を立てた。

“どうも。誘拐ゲームはこれにて終了です。お付き合いご苦労様でした。
 さて、誘拐というモノは、代価と引き替えにお預かりしたモノをお返し
 するというもの……。今回、“しぃかちゃんの命”と引き替えに、
“しぃかちゃん”をお返ししました。お受け取り下さい。一千万円について
 ですが、せいぜいそのお金を使って、壮大な葬式でも挙げてやってください。
 それがしぃかちゃんの何よりの供養になるでしょうから、よろしくお願いします。

ふふ、ふふふ……あはは……

母しぃが不意に、笑い出した。発狂したか? ……いや、そうではなさそうだ。

この犯人は、何とおぞましい奴だ!! 私から夫を奪っただけじゃない、しぃかに
阿鼻の苦痛を与えただけじゃない! そしてその果てに、しぃかを私から奪った
だけじゃない!! しぃかの思い出も、ことごとくを破壊した!!
しぃかが笑って自分に見せてくれた、絵……。しぃかが誇らしげに、嬉しそうに
自分に見せた、表彰状……。それが全部、真っ赤な血で塗りつぶされた!!
娘との素晴らしい、楽しかった思い出が、全ておぞましい犯罪者の手で潰された!!
私が何をした!? しぃかが何をした!? 夫が何をした!?

ふふふふふふふふふふふふふふははははははははははははははははは
あははははははははははははははははははははははははははははぁぁ!!!!
.

957 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:06:55 [ 3FFy03Do ]
……………………………………………
数日後

「さぁて、今日は大丈夫ですかな、ゴルァ?」
「え、あ、は、はい………」
あの事件から、数日。やはり事件のショックで倒れた母しぃは、入院。
……今は病院で、医師のギコの診療を受けているところだ。

「まぁ、心中はお察ししますよ。私ゃ独り身なんで、想像は出来ませんが……」
「あの、先生……?」
「ん? どうしました……?」
「あの、たとえば私みたいな、……家族を皆殺しにされた患者ってのは
 よくいるんですか……?」
「……まぁ、一括りには出来ねぇんですが、結構いらっしゃいますわな」
「……そういう患者の方たちは、どうしていらっしゃるんで……?」
「ど、どうといわれても………」
「……ねぇ、先生? 私、ここにあった本を読んだんですけど
 ……宗教って、どうなんでしょうか……?」
「あ、ああ。確かにそういう方々に、入信される方は多いんですが……」
「……先生。 ……私、新しく宗教団体を立ち上げてみようと思うんですよ」
「は、はぁ? いきなりどうしたんですか!?」
「……どうも、既存の宗教にぴんと来るモノがなくて。……それならいっそ
 自分で立ち上げてしまおう、って……。 ……先生、お願いというか
 そういった方に、つてはありませんか……?」
「え、あ……。そりゃあ、ありますが……、本気ですか?」
「勿論。……じゃなきゃこんなこと、言い出しませんよ。」
「……どうやら、本気みたいですね。分かりました。ご用意しましょう。
 実はちょうど知り合いに、宗教法人の経営から人心掌握まで、全てを
 こなす連中がいましてね。……まぁ、私もその一人なんですが……
 そいつらに連絡を取ってみますわ。」
「まぁ。渡りに船ですね。ちなみにその方たちは、どういった……?」
「あ、ああ。そうですね。簡単に説明しておきましょうか。さっき述べた連中は
 宗教家アドバイザーみたいなモノで、宗教なら何から何までこなしてくれる
 連中なんですわ。では、そいつらに話をつけてきますわ……?」
「是非とも」
「じゃあ………」

958 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 10:07:31 [ 3FFy03Do ]

ふふ、ふふふ。何と言うことだ! こんなにも早く、見つかるとは!
こういった連中ならば、そういったつてがあってもおかしくはないと思っていたが
まさかこんなにも早く、見つかるとは………

犯人が、誰かは知らない。それは個人で見つけるのは、不可能に近いだろう……。
警察の力など、期待できない。ならばどうするか?
……簡単な話、集団を作ればいいのだ。では、集団をまとめるのに効率がいいのは?
宗教だ! これほど皆が団結するものなど、ない!!

見ていろ、私の全てを奪った、卑劣な誘拐犯が!! いまに巨大な集団を作り上げ
貴様が世界のどこにいようとも、必ず見つけ出し、この手で……

…………………………………
そして、また数日後。
母しぃの前には、AAがギコを含めて五人並んでいた。
「それじゃあまず、自己紹介と行きますかね。……まず、モナー。
 宗教団体の経営やお布施の管理等、金銭面についての専門家ですわ」
「どーも! よろしくモナ!」
「次に、隣のニダー。……本業は遺伝子分野なんですが、心理学も心得があるんで
 ……信者の引きつけ方、人心掌握の専門家です」
「アイゴー!」
「そして、そこの二人が流石兄弟。……お兄さんの方が物理学が専門ですんで
 これまた信者を引きつける“超常現象”……これの扱い方などをお教えする方ですわ。
 まぁ、宗教と物理って言ってもいまいちぴんと来ないでしょうが、大丈夫ですよ
 そして弟さんも物理学が専門なんですが、宗教にも深い造詣がありますのでね。
 まぁ、これが根幹になるのですかね。宗教の仕組みをお教えしますわ」
「初めましてというべきかな」
「そもそも以前にいつ出会った? 兄者」
「そして最後に、俺……ギコですわ。俺が担当するのは、主に薬ですな。
 ……ご存じかどうかは知りませんが、宗教と麻薬は密接な絡みがありましてね
 麻薬を酒や食事に混ぜると、信者の信仰の度合いが劇的に違ってくるんですわ。
 勿論、その他にも適切な薬物は色々ありますんでね。…それらを教えていきます」

「……皆さん、頼もしいですわね」
「はっはっは! あ、ああ、あと一つ。これは言っておかないといけないので言いますが
 我らの“仕込み”が終わりましたら、『俺たちが教えた』という記憶を、催眠術で
 消したいんですわ。…あくまでも『俺たちに教えられた』ではなく、『自分で
 立ち上げた』ことにしておいた方が、なにかと今後も都合がよろしいですからね。
 勿論それ以外の記憶はいじりませんので、ご安心を………」

「……そうですか。それは勿論問題ありませんよ。
 それで、いつから“仕込み”を始めてもらえるんですか?」
「それは、今からでも……。なかなか熱心な方だ。ははは………」

そして、それからしばらくしてのこと。
しぃ族の中で、新興勢力が誕生。それはあっという間にほぼ全てのしぃ族の心を引きつけ
もはや文字通りに一枚岩といってもいいくらいに、強固にがっちりと組み上げた。
それを率いているのは、勿論あのかつての母しぃ。ただし現在は、組織を動かす者として
改名、“シスターしぃ”を名乗り、暴れ回っていた………。

959 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 23:29:45 [ 3FFy03Do ]
重要なの入れ忘れてました。スミマセン……

「警視…………」
「………、くそ………」
警察署内の、とある部屋。二人の男が険しい顔をして机に座っていた。
「……犯人の狙いは、一千万円なんかじゃなかったんですね。あれは……」
「俺たち警察の目をそらすための罠だったということだ。……事実、あの身代金
 受け渡しの時、家には捜査員が二人しかいなかった。家を狙いとしていれば
 まさしくこの状況は、ザルだわな。くそ……」
「でも、犯人の目星は……」
「まぁな。名前は……確か喪螺虎とか言ったか。あの手紙の筆跡やその他から
 九割九分、こいつの仕業だとは分かっているんだが………」
「でも、逮捕できないんですよね………」
「……でぃ湾国は、永世中立国。どこの国とも政治上の国交はない。つまり
 警察の国交も、……犯罪人引き渡し協定もないわけだ。くそったれ! てっきり
 国内に残って、でぃ湾国を経由しているかと思っていたら、その実とっくに
 でぃ湾国に逃げ込んでやがった! ……金が目当てじゃない、殺戮を楽しむだけ
 なら、一番合理的な方法だ……。でぃ湾国で何かやらん限りは、俺たちモナ本の
 警察は、何も手出しができんわけだからな……!!」
「……あの喪螺虎が送ってきたDVDにも、細工の跡が見られましたし
 またしぃかちゃんも、喪螺虎が最初の電話を送ってきたときに既に死んでいた
 という鑑識結果もありますからね。……最初の電話をして、俺たち警察が
 しぃかちゃん宅に駆けつけた頃に、一方でしぃかちゃんを殺した……確かに
 理に適っているんですが……そうなると一つ、問題が」
「ああ。誰があの「G O A L」 ……血まみれの部屋を作ったか、だろ……?
 その喪螺虎が出国したのが、事件の初日……それ以来帰国していない。つまり奴には
 あの部屋を作ることは、不可能だったわけだが……。ふん、どうせ共犯者でもいたんだろ」
「……いえ。ただ共犯者がいたというだけでは、不自然な点が多すぎます。まず
 警視もご覧になったとは思いますが、しぃかちゃんの部屋は、事件の……ちょうど
 モナギコパークに出る直前まではそのままだったと、そのしぃかちゃんの部屋にいた
 奥さんを呼んだ捜査員が、証言しています。そして我々が出て行ったあとも、二階の
 しぃかちゃんの部屋に通じる階段がある唯一の場所、居間には、捜査員が二人
 待機していました。……ですから、これは……」
「……いや、たしかあの部屋には窓があったろ。そこから………」
「いえ。その窓なんですが……、窓枠が錆び付いていて、とても開く代物ではなく
 事実検証してみたところ、大人ではせいぜい頭が通る程度。子供の体格でも
 抜けるのはかなり難しい……とのことです」
「……それでも抜けようと思ったら、ガラスでもぶち破らにゃならんが……」
「その形跡は、一切無し。他の部屋を経由してしぃかちゃんの部屋に、とも
 考えましたが、しぃかちゃんの部屋の入口は、居間から丸見えなのです。
 ですから誰かがそれで侵入すれば、絶対に分かるはずなんですが……」
「入口は捜査員の目が。そして二階の窓からも侵入は不可能……。つまり……」
「……あの部屋は、密室状態だったってことになりますね」

960 名前:cmeptb ◆KSdlFS2kHA 投稿日:2007/02/14(水) 23:31:11 [ 3FFy03Do ]

「そんな中に、喪螺虎の共犯者……仮に謎かけの象徴:スフィンクスとしてみるか
 共犯者のスフィンクスは、悠々と侵入、部屋をあんなにしてまんまと逃走したわけだが
 ……何者だ、こいつぁ? まさか幽霊が共犯者だってのか?」
「そんなはずが! 事実奴は、AAを一人殺してるんですよ!」
「ああ。しぃかちゃんの父親だったな。……そもそも何で彼は、あの部屋に入ったんだ?」
「いえ、それが…… 家に待機していた捜査員たちの話によると、あの時彼は
“しぃかの部屋から音がした。帰ってきたかもしれない”と言い出しまして……
 でもまだ取引が終わったという連絡も入ってなかったし、まさか二階からしぃかちゃんが
 帰ってくるはずもない。加えて彼も相当憔悴しきっていましたから、疲れによるものだろう
 から、好きにさせておこう、と……」
「……とすると、旦那はスフィンクスに出くわした可能性があるわけだな。……だから
 口封じのために殺された。鑑識が部屋から彼の血液も検出してるし、それに彼はまず
 喉を切り裂かれてた。……声を出せないようにするためのものだろうから、合点はいくが
 ……となると、何か残していないのか? メッセジみたいなものは」
「……それと呼べそうなものが、一つ。……彼の胴体部分の、中央。ちょうどへそですか
 そこに大きく、切り傷がバッテン状に着いていました。……最初は“スフィンクス”の
 仕業かと思ったんですが、彼の爪から肉片が検出されたので、彼自身が傷つけたものだと」
「……わけがわからんな。犯人は腹に手術痕でもあるってのか? なんだってそんな
 ダイイング、メッセジを……。他に何か、変わったところは?」
「……周辺の聞き込みで、変な報告が。……あの夜、ちょうどしぃかちゃんの父親の
 死亡推定時刻の頃ですが、『巨大な、柴犬ほどもあるなめくじのようなものを見た』と…」
「………、何、それ……?」
「……こちらが聞きたいくらいなんですが、しかしこれ、一人だけじゃないんです。
 別々の場所にいた、数人が目撃していますので……まんざらガセとは言いにくいです。」
「……とすると、何か意味があるんだろうな。……ふ〜む。犠牲者の腹の傷と、馬鹿でかい
 なめくじ、か……。……何か関連性はあるのかね……」
「それは、まだ何とも………」
「……まぁいい。喪螺虎をお縄に出来れば一番なんだが、その可能性は極めて薄い。だが
 こっちならどうにかなるかもしれんだろ。……捜査開始といこうじゃねぇか」
「はい!」

二人の捜査官は、力強く立ち上がった。……その熱意が
実を結ぶかどうかは、別として………

961 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/02/15(木) 00:25:42 [ 1wM7hybk ]
        >>902からの続き

1/3
”キィイイイィィン―――”
前回に鳴っていたドリルとは異なる高音が、手術室に響き渡る。
博士が手にした機械―――グラインダーを一回り大きくした程度の丸鋸―――がその音源だった。
無数の規則正しく並んだ三角の刃は、高速回転しながら、寝台の上の獲物に迫っていた。
 「ヒキィィィイイイイイ…」
熱湯を注がれても出なかった”叫び”を、生け贄よろしく寝台に括り付けられたちびギコが絞り出す。
仰向けになり、寝台から頭だけをはみ出させて、ヘルメットの顎を上に向けた形になっている。
その頭も固定され、丸鋸の到着を待った。
もはや虫の息であるためか、”断末魔の叫び”も、文字通りに絞り出し続ける程度でしかない。

いや、正確には断末魔とはならないのだが。

 「まだ元気だったモナ、調子悪いフリなんかしおって」
博士は丸鋸を下ろしながら不機嫌そうに呟いた。
そして、眼下のちびギコに丸鋸の刃を、、、当てた。
虐殺厨ならば、機嫌を損ねた分を獲物の苦痛で補填するところであろうが、博士はいつも通りといった風に首に刃を突き立てる。
 「!!!!!!」
あっという間に刃は声帯に達し、ちびギコの声は奪われた。その代わりに・・・
”ビチッ、ビチビチビチッ”と、普通ならばまず耳にすることの無い、実に不思議な音が鳴る。
血の通ったままの血管や筋肉、靱帯、神経、気管も声帯と一緒にザリザリと抉られていた。
動脈は心臓の動きに合わせて血を吹き出し、博士を返り血で染める、はずだったが、
博士は立ち位置を変えながら、噴き出す血を回避している。
一見乱雑に見えるが、博士は慎重に作業を進めていた。
頸部に配置された様々な組織が、ボーリングマシンに貫かれる地層の如く、実に豊かな変化を見せる。
流れ出る液体にも赤に黄色が混じるなどして、光が当たった様は、さながらイルミネーション付きの噴水であった。

ヘルメットの内側のちびギコの表情は、周囲の者には見て取ることは出来なかったが、
もはや絶望も、生への執着も消え、恐怖の内にただ表情を弛緩させながら、故郷のことを思い出していた。

962 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/02/15(木) 00:25:52 [ 1wM7hybk ]
3/3
脊索の辺りまでの肉が裂かれたところで、ようやく丸鋸が後退を始めた。
しかし回転しながらのため、更に肉をこそげ取る。
 「よし」
博士の一言で、八頭身は無言のままちびギコの拘束を解き、うつぶせにした後再び拘束を施す。
今度は頭を固定する代わりに、八頭身が直接手で支える。
仰向けの時と同じ位置なので、今度は頭を垂れる姿勢になっていたが、流血はほとんど止まっていた。
寝台の横には2台のバイタルセンサが稼働していたが、一方は既にほとんどの数値が平らになっていた。

 「賦活装置、正常に動作しています」
ガナーが、まだかろうじて反応している方のバイタルセンサを見ながら言った。
 「うむ」
”キィィイイィィン”と再び丸鋸がうなりを上げ始めた。
もうちびギコからは何の反応も無い。反応があったとしてもヘルメットに阻まれほとんど分からないであろうが。
”ザリザリザリ”
刃はすぐに脊索に達し、その周囲を守る軟骨を削り始めた。
脊椎動物ならば頸骨に守られている延髄の有る部位だが、ちびギコのそれはごくごく単純な、太いだけの神経だった。
軟骨と肉を削りきると、ちびギコの首は、頸部の左右の皮と僅かに筋繊維が繋がっているだけになっていた。
それすらもその重量を支えるには足りないであろう。
”キイィィィインン・・ン・・・”
丸鋸が止まった、と同時に八頭身が力を入れて首を引っこ抜く。
”プツプツ プチッ”
小さな音と共に、完全に首と胴が離れた。

 「急げ急げ、、、邪魔モナ!」
今まで淡々としていた作業が急に慌ただしくなった。
助手と言うよりはほとんど傍観者となっていたマーラーは、ガナーから何か器具を受け取ろうとしている博士に弾かれた。
それでも不機嫌な様子を見せないマーラー、それどころか笑みまで浮かべている。
(すごいすごい、賦活してください、といったところか)

前後で鈍角のV字になるように切断されたちびギコの生首からは、ほんの少しではあるが体液がこぼれ落ちていた。
その切断面に丁度合うお盆状の器具があてがわれる。
周囲を接着剤で塗り固めると、博士は最後に蛍光灯ほどの鉄棒をその延髄のあった部分に突き刺した。
 「よし、あとはいつも通りモナ」

             続く

963 名前:That'Z ◆a1IJk6/hJk 投稿日:2007/02/15(木) 00:27:33 [ 1wM7hybk ]
投稿ミスしましたorz

2/3
街で一番の広い公園、イルミネーション付きではないがそれなりに大きな噴水と、人工的な小川も流れている。
芝生や植え込みのそこここでは、段ボールに暮らす野良しぃ、そして共存と言うよりは互いに搾取し合うようにちびギコも居た。
「ハニャァア キョウモ イイテンキネ コレデ カッコイイ ギコクンデモ イテクレレバ イウコト ナインダケドナ」
すぐ側の段ボール箱からキンキンという声が発せられる。自身も周囲のちびギコ同様、野良しぃと一緒に暮らしていた。
 「じゃあちびタンは、もっとボン・キュッ・ボンなしぃタンをゲトするデチ」
 「ミュィィ、ミュッミュッ!」
 「お前も一緒にやるデチか?」 「ミュッ!!」
負けじと言い返すちびギコの足下には、先月生まれたばかりの仔供の内の1匹であるベビギコが、
しぃの側にも、たどたどしくではあるが、喋るようになった2匹のベビしぃが居た。

 「マンマ ナッコォ」
片方のベビが言うと、しぃは無造作に持ち上げ、適当に上下に揺さぶる。
 「マッタク コンナトキニ ギコクンガ キタラ ドウスンノヨ…」
しぃは公園の入り口を注視しながら、その片手間にベビをダッコしていた。
 「マンマ アンマリ マターリジャ… アニャアァ!?」
唐突にしぃはベビしぃを放り出し、いや、ちびギコの方へ投げつけた。
 「何するデチか!危ないデチ!」
ベビしぃを受け止めたちびギコは言ったが、しぃは「ギコクーン」と叫びながら遠ざかっていった。
 「まったく、可愛いちびタンの顔に傷が付いたら、どうする―――」
そこまで言うと、今度はちびギコがベビしぃを投げ出した。
放り投げられたベビしぃは、歩き出そうとしていたベビギコと頭同士を衝突させた。
”ゴヅン”
 「ミュギィィ…」 「イチャァョォォ」

 「あれはいいしぃタンデチね」 「みんなで一緒に押さえつけるデチ」
あちらこちらから、デチデチという声が聞こえてくる。
OLらしき着飾ったしぃが公園に入ってきたので、ちびギコがそれを目当てに集まってきたのだ。
ヒソヒソと作戦らしきものが周囲に伝搬すると、ちびギコ達は一斉に襲いかかった、はずだった。
そこで彼らの記憶は途切れた。

 「ひgyぁいあぁあぁty」 「デエエデデデデデチチチチ」
 「それにしてもキモイわね・・・」
OL風のしぃは元の位置にたたずんだまま、何事も無かったかの様にそう呟くと、煙草を咥えて火を着けた。
その口からくゆらせた煙と共に、電撃に焼かれたちびギコの毛から発生した煙が上っていった。

964 名前:腕もぎジャック 投稿日:2007/03/04(日) 22:56:24 [ ZEqRcWJY ]
第一話 新しいクラス

しぃ美ちゃんは、この春五年生になりました。

新しいクラスには、スポーツ万能でかっこいいギコ助君、
のんびりしてるけど、優しいモナ太君、
親友の少し地味なでぃ香ちゃんがいて、
しぃ美ちゃんは大喜びです。

しかし、隣の席の子を見たとたん、
しぃ美ちゃんは泣き出してしまいました。
隣の席の子は、臭くて、嫌味で、問題児の
嫌われ者のモラ雄君だったのです!

965 名前:腕もぎジャック 投稿日:2007/03/04(日) 23:12:11 [ ZEqRcWJY ]
この小説は、「ニホンちゃん」が元ネタの
モララー風刺(虐殺)小説です。

クラス設定

このクラスは、3分の1をモララーとその派生、
3分の1をモナー・ギコ・しぃ・良識あるモララー(以下良モラ)と、その派生、
3分の1を他のAAとその派生で占めています。

しぃ美ちゃん、モラ雄君、モナ太君、ギコ助君、でぃ子ちゃん等、
特別に名前がついている子は、そのAAの(モラ虐派の視点での)設定を
忠実に再現しているキャラクターです。

また、しぃ、ギコを猫として見るときは、
しぃ猫、ギコ猫と記述します。

966 名前:腕もぎジャック 投稿日:2007/03/06(火) 21:23:17 [ qbYgypRw ]
第二話 モラ雄君

モラ雄君は、いつもいつも教室で問題を起こします。
今日も、隣のしぃ美ちゃんに、「糞虫」や「糞猫」と叫び、
「漏れに謝れ!お前がいけないんだ!!
お前は漏れの弟を、叩いたり、蹴ったりしたじゃないか!」
しぃ美ちゃんが、
「あたし、なにもしてないもん。
それにモラ雄君の弟なんて、知らないよ」
と言うと、モラ雄君は「ブヒィィィ・・・」と奇妙な声を上げ、
「ふざけるな!!ふざけるな!!昨日も、漏れの弟を、
蹴ったり、殴ったりしたじゃないか!!」と大きな声で叫びました。

「しぃちゃんには可愛そうだけど、今日もやるモナ」
「ああ、あのチビ豚、殴った時の反応が面白いからな。
今日は火で軽く炙るか」
クラスの隅では、いつも、ギコ助君とモナ太君がこんな相談していました・

967 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/07(水) 21:09:20 [ fFpRHvik ]
タイトル 『報復』
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

しくじった。たたが、しぃ族1匹だと思って侮っていた。
不覚にも罠にかけられて気を失い、目が醒めたらこのザマだ。
腕ごと胴体に幾重にも巻きつけられたロープの先は太い鉄の棒に繋がれている。
履いていた靴も取り上げらて裸足にされているのだが
この陽気で床面が熱されているのか足裏が熱い。

「イイザマネ。ギコクンノ、カタキヨ」
カッコカッコと妙な靴音を響かせながら、背後から女の声がした。
おそらく俺を陥れた、しぃだろう。

「ちっ。俺をどうするつもりだ」
「マターリヲ、オシエテアゲル」

毒を含んだような、ねっとりした甘さで囁きながら、
浮かれた足取りで俺の前へと回り込んできたのは、やはり、しぃだ。
蹴りが届きそうで届かない微妙な位置で立ち止まるところが憎たらしい。

何気なく足元を見ると、しぃは底の厚い木靴を履いていた。
変な足音は、この靴のせいらしい。

……なんだ? 下に視線を向けたことで床がおかしいことに気づいた。
なぜか床面の空気が揺れている。陽炎のように。気のせいか?
違う。気のせいじゃない。熱気が足裏を、じりじりと灼きはじめた。

「アハハッ。モララーノ、テッパンヤキ、ダヨ」
ステージ状の台は鉄板だ。
俺は巨大な鉄板の上に裸足で立たされていたんだ。
しぃは俺の真似のつもりなのかニヤニヤ笑いを浮かべた。

熱い。床は我慢が出来ないほど急速に温度を上げていく。
たまらず逃げ出そうとしたが、鉄の棒に繋がれているせいで
限られた範囲内でしか走れない。そして、その範囲全体は熱の床だ。

「熱いっ熱いぞっ。助けろ、助けてくれ!」
逃げ場所がない。なんとかして足裏を救おうとして、棒に向かって走る。
棒に足を絡めて床底から足裏を浮かそうと思ったからだ。
しかし、足を大きく開いて棒を挟み込むと、じゅっと太腿が焼けた。

「ぎゃあああっ!!」
慌てて棒から足を離す。この鉄の棒にも熱が通されていたのか。

「ダッコ、シテホシイ? ネエ、ダッコシテホシイデショ」
小馬鹿にした表情で、しぃが俺に誘いをかけてくる。

「誰が、そんなことを……熱いっ熱っ熱っ!!」
拒否の言葉は悲鳴に掻き消された。
肉球が焼け焦げる臭いと煙が目に沁みて、俺から正常な判断力を奪う。
足裏からは血混じりの脂と分泌液が。目からは透明な雫が流れ落ちた。

「ダッコデ、マターリ。ミンナ、ナカヨク、ハニャニャニャーン」
俺が熱さのあまり足踏みしているのを真似るようにして、しぃが踊り歌う。

厚底の木靴を履いているから、熱床の影響を受けていないようだ。
チラチラ俺の顔を盗み見ては面白そうに口端を緩ませているのが腹立たしい。

しぃ族に、この俺が忌むべき『抱っこ』をねだるなんて末代までの恥だが
ここで死んだら総てが終わってしまう。
とりあえず、抱かせてやれば熱床からは逃れることが出来る。

「畜生っ畜生め。分かったよ、分かった。抱っこ、してくれ」
葛藤の末、俺は情けない声を上げた。
こんな屈辱は生れて初めてだぞ。
畜生。畜生。憶えてやがれ。殺してやる。

絶対に殺してやるからな!

「ナァニィ? シィチャン、キコエナーイ」
この俺が、ここまで言ったというのに。どこまでも忌々しい女だ。
耳に手を当てる馬鹿げたポーズをとり、間延びした声で問いかけてくる。

「抱っこしてくれ!」
ヤケクソで怒鳴ると、たまりかねたようにケラケラと笑われた。

「バッカジャナイノ。アンタナンカ、ダッコスルカチ、ナイデショ」
ど畜生めが。
しぃ族なんか信用した俺が浅はかだった。

俺は、このままここで終わるのか? しぃ如きに殺られるのか?

火傷の足で走る苛烈な痛みより、目も眩む怒りが全身を震わせる。
俺は鉄棒にロープを巻きつけるように動いて、グイッと体重をかけた。
熱で焼かれたロープから煙が立ち昇り始める。

「ハニャッ? ナニ、ヤッテルノヨ」
唇に指を当てる、ぶりっこポーズでしぃが俺の顔とロープを交互に見つめた。

「チョッチョット。ロープサン、マチナサイ」
ロープが少しずつプチプチと焼き切れてきたのを見たしぃが
両手を意味もなく上下に振り回しながら、なぜかロープに話しかけている。

やっぱり馬鹿だ、こいつ。
こんな馬鹿に、俺が捕まったのかと思うと自分自身にも腹が立った。
怒りってのは優れたパワーを生み出す。足裏の痛みも忘れるほどに。

968 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/07(水) 21:20:41 [ fFpRHvik ]
ロープを焼ききることに成功したのと同時に、しぃの顔面に蹴りを放った。
しぃが悲鳴を上げて転ぶ。と、その顔が鉄板に押し付けられてギャッと叫び

「シィィィィィィ、アタシノ、オカオ。カワイイ、オカオガアァァ」
慌てて立ち上がる。頬の赤みが火傷で広がっていた。
もう一度蹴り転がして、起き上がる前に背中を踏みつけにしてやると
腹が焼ける香ばしい匂いがした。しぃの泣き喚く声が極上のBGMだ。

「このまま焼き殺すだけじゃ俺の怒りは治まらんな」
しぃの耳を掴んで走り、鉄板台から飛び降りる。

「シィィィィィィィィィィィ」
落下の衝撃に耐え切れず、耳が根元から引き千切れた。血飛沫が跳ねる。

「イダッイダッイダイヨ、イタイィィィィィィィ」
血が溢れている箇所を両手で押さえて、しぃが転げまわった。
白かった腹の毛が焼け焦げ縮んで、膿んだような状態になっているのが見える。

おもむろにその腹に自分の掌をめりこませ、火傷の痕をグリグリと抉ると
「ピキャアアァァ、シギィ、シイィィィィィィィィ」
バンバンと地面を叩いて苦しむ姿が、俺を少しだけ落ち着かせてくれた。

怒りのピークが過ぎてしまったせいか足裏の痛みが蘇ってくる。
こいつは、しばらく歩けそうにないな。
俺は、渋々モナーを携帯で呼び出すことにした。

「モナー? すまんが家まで
足を負傷して動けないんだ。俺をこんな目に遭わせた、しぃには
た〜っぷりと報復させてもらう予定だが、とりあえずは場所を移動したい」

「しぃを責めるところを見物させてくれるなら、お安い御用モナ。
モララーは、いつも面白いもの見せてくれるから好きモナ」

頼みごとをすると、すかさず条件を出されてしまった。
こいつは、いつもそうだ。
自分から積極的に狩りをすることはないし、
虐殺について熱く語ることもしないから、非虐殺者だと思われがちだが
本当は、他の奴が虐殺している様子を眺めるのが大好きな性分なんだ。

むっつり虐殺者ってやつだな。

でも嫌な奴ではないから俺を含めて友達が多い。
交友範囲が広いだけあって、何かと助かることもあるから便利な奴でもある。

「構わないぜ。ただ俺は、この足だからな。お前が代わりに動いてくれるか?
俺が指示を出すから、言うとおりにやってくれればいい」


ーーーーーーーーーーー


快く引き受けてくれたモナーは、すぐに俺を迎えに来てくれて
簡単な手当てまでしてくれた。よく気のつく奴だ。
自宅まで車で運んでもらい、車庫で虐待、いや報復を再開することにした。
床面は冷たいコンクリートだし汚しても清掃が容易だからな。

俺は歩けないから、荷物運び用の台車の上に寝そべった状態で、
腕を動かすことで移動することにした。

「さて。始めようか。まず、そこに酒瓶が並んでいるのが見えるだろう?
あぁ、それだ。そいつを持ってきて、床に叩きつけてくれ」

「新品モナ。もったいないモナ」
不満そうなモナーを、俺は軽く睨む。

「モナーは酒と虐待、どっちが好きだ?」
「……分かったモナ。優先順位は鑑賞のほうが上モナ」

ちょっと唇を尖らせるようにしてモナーは酒瓶を床に叩きつけた。
瓶が粉々に割れて酒が床面をビショビショに濡らしていく。
大きな破壊音に怯えたしぃは、恐怖で竦みあがっていた。

「ケチケチしないで全部バラ撒いてくれ。俺のところまで道を作るようにな」
俺が大事に温存していた酒は、総て床にぶちまけられた。
車庫は酒の芳香に満たされていて、その匂いだけで酔えそうだ。

「ちょっと散らばりすぎたから、ちゃんと集めるモナ」
気の利くモナーは、車庫の片隅に設置している掃除道具ロッカーから
竹箒を取り出してきて、横に散らばりすぎた破片を掃き集めてくれた。
俺の前に、茶色いビール瓶の欠片と透明な日本酒瓶の欠片の立派な道ができる。

「もう分かってるとは思うが、しぃにはその道の上を進んでもらう。
俺の前まで進んで来るんだ。俺の虐待を受けるために、な」

「ヒッヒィッユルシテ、タスケテ。コワイヨ、コワイヨォ」
しぃが泣きじゃくって逃げようとしているが、そんなことはモナーが許さない。

「ほら、とっとと立つモナ」
恐怖のあまり足腰に力が入らない様子のしぃを、モナーが脇下に手を差し入れて
無理やり立たせようとするが、うまく立てないようだった。

969 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/07(水) 21:22:57 [ fFpRHvik ]
「いいじゃないか。立てないなら無理に立たせる必要はない。
掃除道具入れにゴムチューブがあっただろう? 自転車のパンク修理用の。
そう、それ。それを、ふくらはぎに括りつけてやれ」

「それで何をするつもりモナ?」

「しぃの足をモナーの下履き代わりに使うのさ。スキー板に乗る要領で。
足の上からゴムの隙間にモナーの靴を差し込んで歩くんだ。
倒れないように、竹箒でバランスを整えながら進むといい」

モナーは嬉しそうに口端を歪めて笑った。しぃの顔は蒼白になっている。
ふくらはぎに括りつけたゴムチューブの間にモナーが靴を差し込む。
ギュッとゴムが、ふくらはぎを圧迫する感触にしぃが眉根を寄せた。

「イタッ、オモ、オモイヨ」
モナーがそのまま体重をかけると、しぃの脛が床に押し付けられる。

「さあ、こっちにこい」
俺が声をかけるとモナーは嬉々として右足を上げた。
モナーの足と一緒にしぃの右足も宙に浮く。左足に重心がかかって
「シィィィィィィィ、アシ、アシガ、ツブレチャウヨ、オリテ、ドイテヨ」
しぃは首を左右に振って泣き咽んだ。

モナーは浮かせた右足を前に進め、粉々の瓶の上に下ろしてから
ぎゅむぎゅむと踏みしだく。脛に瓶の欠片が無数に突き刺さって
「イタッイタイッイタイィィ」
しぃがバランスを崩して上体を前床に打ち付けそうになったが
顔から瓶につっこむのを嫌がって両手でドンッとつっぱる。

「シィィィィィィ、イタイ、オテテ、オテテガァッ」
両方の手の平が瓶欠片の中に埋もれ、血が噴出した。
「シヒィィィ、シミル、シミルゥ、イタァイ、シミルヨォ」
ざっくり裂けた手の傷に酒のアルコールが沁みて、絶え間なく悲鳴があがる。

モナーがそれを見て大笑いしていたが俺は笑わなかった。
まだまだ、こんなもんじゃ済まさない。

「いい格好モナ。そのまま割れた瓶の上を這えモナ」
起き上がろうとしたしぃの背中を、モナーが竹箒で殴りつけると
肉が裂けて白い背中に血の華が咲く。
反動で再び両手を瓶欠片の中に突っ込んだしぃが、再び濁った絶叫をあげた。

「とっとと歩けモナ。右、左、次は右」
モナーが足を振り上げて無理やりしぃを歩かせる。

しぃの足が上がるたびに、脛から血と、紅く染まった瓶欠片が
パラパラと微かな音を立てて落ちた。
しぃが歩いた跡は赤々と濡れた瓶欠片が輝き、欠片の底に沈む酒は
ワインのように紅く色づいて綺麗だった。

「よぉ。よく来たな」
俺の前まで歩かされてきた、しぃの顔は涙でぐしゃぐしゃだった。

「イタス、ケテ。タスケテ。オナガイ、オナガイデス。モウ、ユルシテ」
掠れきった声を
無理やり押し出すようにして、しぃが哀願してくる。

「アンタヲコロシタラ、ギコクン、ケッコンシテクレルッテ…ケッコン、アキラメルカラ、タスケテ、タスケ…」

哀願の途中で俺は、しぃの頭を思いっきり上から拳を固めて殴りつけた。
しぃが顔面から瓶欠片の山に突っ込む。
「グギャシィイィィィィィィィィィィ」
慌てて顔をあげて、両手で顔に突き刺さった瓶欠片を必死に払い落とす姿が滑稽だ。

「グピィィィィシイィィィィィィィィ」
「うはっ。化け物」
切り傷に沁みるアルコール、それを乱暴に払い落とそうとすることで
さらに顔面に破片を埋めるような形になって狂乱している、その姿。
俺は指をさして笑ってやった。

「こっちからは見えないモナ。見たいモナ」
モナーが焦れたように不満を口にする。

「そいつの足から降りて見にこいよ。笑えるぜ」
俺はモナーにはそう声をかけ、しぃに問いかけた。

「さっきからギコの名を口にしてるが、どういうことだ」
「ギコクン、アナタガキライナノヨ。ダカラ、コロシテクレタラ、ケッコンシテヤルッテ、イッタノ」

素直にしていれば助かると思ったのか、しぃが目を輝かせて答える。
しかし、その希望はモナーが打ち砕いた。

「お前、ギコと結婚したくてギコの前妻を殺したモナ?
ギコはそれを調べていたモナ。お前は騙されたんだモナ」
しぃの目が大きく見開かれる。

「ウソ、ウソヨッ。ソンナハズ、ナイ」
「嘘じゃないモナ。ギコ、もう出てきてもいいモナ」
モナーの言葉を受けて、車庫にギコが入ってくる。
これには俺も驚いた。

「よぉ。モララーには悪いことしちまったな」
皮袋を俺に向かって投げてくる。受取った袋は、ずしり、と重たかった。
中を開けて見ると紙幣や小銭がたくさん詰まっている。

「妻の遺産だが、足の治療費として受け取ってくれ」
「いいのかよギコ。お前の当面の生活費だろ?」

970 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/07(水) 21:24:05 [ fFpRHvik ]
女に貢がせて酒に溺れるダメ親父。
家にも寄り付かず、酒場を転々とする日々を生きていた男。
それが俺のギコに対する評価だった。
数ヶ月前に妻を何者かに虐殺されたせいで、子供も餓死したと聞いている。

「あぁ。俺にはもう必要ない。この、最後の酒だけあれば充分だ」
ギコの手には一升瓶と、なぜか花火の袋が握られていた。

「俺はダメな男だ。妻に働かせて酒を浴びて。
あいつが死んだときも遺産が入ると思って喜んだくらいさ」

乾いた声音で呟くようにギコは言う。
「でもガキの死体を見たときはキツかったな。
どうやら、こんな俺にも父性本能って奴は残ってたみたいでよ」

鬱屈した苦い笑みを口端に刻んで、落ち窪んだ疲れた目をして
手はアルコールの摂取過多による副作用で小刻みに震えていた。

「生れて初めてだぞゴルァ。怒りと悲しみで復讐に燃えたのは」
ギコの目に狂気にも似た怒りがよぎる。

「長男は餓えに耐えかね長女を食い殺し、汚物に塗れて餓死した。
次男は……便器の水溜りの中に落ちていた。
気づいて掬い出したとき、まだ柔らかかった。
まるで、ついさっきまで生きていたみたいに……
この手に残る、小さな重みと濡れた毛皮の感触は忘れられない」

怒りの中に、僅かな憔悴と自責を滲ませて、ギコは深く息をつく。
気持ちを切り替えるように頭を左右に振ってから
もう一度、深く深く息をついた。

「酒に溺れて自堕落な生活を続けていた俺には体力も腕力も無い。
復讐したくても、その女を確実に殺す自信が無かったんでな。
悪いとは思ったがモナーとモララーを利用させてもらった」

ふん。モナーもグルだったってわけか。
おかしいと思った。しぃごときの知能で俺を追い詰められるはずが無い。
どうせ匿名でモナーが入れ知恵でもしたんだろう。
そして万一のときに備えてモナーは、近くで俺たちを観察していたに違いない。
俺が携帯でモナーを呼び出さなければ、自分から先に出てきたんだろう。

じろり、と睨むとモナーは肩を竦めて軽く手を合わせた。
こんな奴でも憎めないのは、人徳というものだろうか。

「なぁ、その女はもうボロボロだ。俺でも負担なく責めることができる。
モララーも気が済んだろう? 俺にも遊ばせてくれよ」
ギコが待ちきれなさそうに言う。

「……いいぜ。報酬はもらったから好きにさせてやるよ」
受け取った金を遠慮なく頂いて、俺は場所を譲ってやることにした。

「タスケテ、タスケテ、ギコクンッ! シィハ、タダ、ギコクンガ、スキダッタダケダヨ」
しぃが涙を振り散らかしながらギコに嘆願した。

「この花火。ガキどもと遊ぼうと思って買ってあったんだ。
すっかり季節外れになっちまったけどな」

しぃの悲鳴にも似た哀願を、まるで聞こえないかのように

「なあ、お前。俺が好きなんだろ? だったら」
ギコは淡々と告げて、袋から1本の線香花火を取り出した。

「俺のガキのために、一緒に花火を楽しんでくれるよな?」
しゅっとマッチを擦ると微かな火薬の匂いが漂い、花火が点火する。

花火の儚い光が、しぃの恐怖に歪んだ顔を明るく照らす。
顔に残る破片が反射して輝くのが、とても綺麗だった。
線香花火はすぐに燃え尽き、藁の先端に赤い球が残る。

しぃは、息を止めてその球を凝視していた。当然だろう。
彼女の顔面の上に、その球はあるのだから。
球が落さないように遊ぶのが線香花火の醍醐味だが、それは難しい。

ぽとっ

その赤い球も、しぃの願い及ばず落ちた。
「ヒガャアッシィガアァァァァ!!」
鼻先に赤い球が落ちて、じゅうっと白煙を立てると同時に絶叫が響き渡り、
アルコールで濡れていたこともあり鼻表面から小さく炎が熾った。

「惜しいな。目玉を狙って落そうと思ったのに」
ぽつりとギコか呟く。

しぃは泣き喚きながら手を炎を払い落そうとした。
忘れていたのだろう。その手も、アルコールに塗れていたということを。
もちろん手にも炎は燃え移った。
オレンジ色の炎が、しぃの白い顔を赤々と照らす。

「アツイッアツイィィィィィッ、モエチャウ、シンジャウ、ケシテエェェ」
ギコは薄く嘲って、熱さのあまり腕を振り回すしぃに冷酷な声で告げる。

「床に打ちつけて炎を消そうなんて考えるなよ?
アルコールを含んだ酒に浸されてるってことを忘れるな。
そんなことをしたら酒の上に寝そべっている貴様は火達磨だぞゴルァ。
・・・その身体じゃ逃げられねえな」

971 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/07(水) 21:26:58 [ fFpRHvik ]
「ソ、ソンナァ。タスケテェッ、モナーサン、モララーサンッ、シィヲ、タスケテッ」
しぃは哀願と悲鳴を撒き散らしながらも、
必死に燃え盛る腕を頭上に掲げて、風圧で掻き消そうとしている。

肉の焼ける匂いより毛皮の焼ける悪臭が吐き気を誘発する。
たまらず、俺とモナーは逃げ出して車庫の外から中の様子を窺った。
ギコだけが瞬きもせずに間近で、しぃの腕振りダンスを凝視している。
黒煙が息苦しくないんだろうか。

やがて毛皮が燃え落ち、べろりと皮膚が爛れ落ち、血管すらも焼き焦がして、ようやく鎮火した。
しぃは、とうとう炭化して火が消えるまで腕を床に下ろさなかった。

「どこまでも命根性の汚い女モナ」
呆れたようにモナーが言うと、ギコは首を横に振った。
「そうでなくては困る。まだまだ足りない。
もっと、もっと苦しんでもらわないと、あいつらは成仏できない」

「ヒドイヨ、ギコクン。シィ、シニタク、ナイ。シニタクナイヨ」
「殺さないぞゴルァ。そんなに泣くな。ほら、涙を拭いてやろう」
ギコが優しく言いながら、靴底でしぃの目を踏みにじった。

「イダイッイダアィィィ、シイィィ、シィィィィィィ」
手足をばたつかせて、しぃが身をくねらせる。
「涙は止まったか? 
まだ止まらないようなら靴先を眼孔に捻じ込んで強制的に止めてやる方法もあるが」

「ヤ、ヤメテ。トマッタ。トマッタカラッ」
「ふん。冗談だ。無様な姿を目に焼き付けて死んで欲しいからな。
目は最後まで残しておいてやる」
どっかりと、しぃの眼前に腰を下ろしてギコは唾を吐きかけた。
ギコの唾がしぃの目に入り込み、涙と一緒に流されていく。

972 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/07(水) 21:27:26 [ fFpRHvik ]
「……コロサナイッテ、イッタ、ヨネ?」
しばらくの沈黙の後、おずおずと、しぃが口を開いた。
「ああ、俺は殺さない。そりゃ、まぁ。たまには、こんなふうに」
立ち上がり、言いながらズボンのベルトを抜くて振り回す。
「シイィィィィィ」
したたかにベルトが打ち据えられた顔に赤く毒々しい蚯蚓腫れが浮かび上がった。

「イヤアッヤメテ、ヤメテエェェ」
顔を庇って背を丸め、必死で這い逃げようとするが、ギコは容赦しなかった。
2撃目は肩に、3撃目は背中、4撃目は尻へと、続けざまにベルトが風を切り、
鋭い打撃音と悲鳴が沸き起こった。
火傷の部分に当たったところは肉が裂けて毛皮の残骸が飛び散る。

「こんなふうに、暇つぶしにストレス解消はするかもしれないが」
虐待を散々、実演して見せてから、ギコは再びベルトをズボンに戻してから腰を下ろした。

しぃは身体を丸めて、恐怖と苦痛に震えている。
引き裂かれて鮮血が溢れ出している肌を守るように、自分で自分の身体を抱しめながら、
得体の知れないものを見るような目でギコを見つめていた。

「餌は自分で何とかしろよ? 咽喉が渇いたら自分の血を啜り
腹が減ったら自分の肉を食いちぎるんだ。自分の意思で、な。
喰うところが無くなったら、ゆっくり、ゆっくりと。
飢えと乾きで咽喉を掻き毟りながら死ぬのを待つだけだ。
この俺が見届けてやる。最期まで、じっくりと」

ギコの言葉を聞くごとに、その瞳の色は絶望に染まって行く。
「コロシテ。シィヲ、コロシテ。ソンナノ、タエラレナイ」

「自分で死ぬ勇気も無いのが、お前らしい。
傷口や火傷の痕が膿んで蛆が涌き、己の汚物に塗れるがいい。
腐臭を嗅ぎながら息絶えるまで苦しみ続けろ。
もし精神が壊れかけたら、この俺が痛みで現実に呼び戻してやる」

怨念が籠もった、押し殺すようなギコの声が
耳から沁みてきて心臓を鷲掴みにされたような恐怖に襲われ、俺は硬直した。
ぞわぞわと肌が総毛立つのを感じる。

狂って、やがる。
こいつはもう、俺の知るギコではない。
息子の死骸を手にしたときに、この男の脆い精神は砕け散り、壊れてしまったのだろう。

「タス、ケテ……モララー、サン。オネガイヨ。シィヲ、コロシテ、コロシテヨォ」
しぃが咽び泣きながら懸命に俺のほうを見ている。
涙を垂れ流し、嗚咽に声を震わせ、死を望む姿は無様なものだ。
普段の俺なら狂喜するような姿なのに、
今回は苦々しい気持ちが湧き上がっただけだった。
俺らしくもなく、この馬鹿しぃに同情してるんだろうか。

「悪いが、そいつはギコに頼んでみるんだな。無駄だろうが、な」
俺は背を向けて車庫を出て行くことにした。
報酬を受取ったことだし、しばらくは場所を貸してやってもいいさ。
無言で俺についてくるモナーも珍しく辟易したような表情を浮かべていた。

「シイィィィィ、イカナイデ、イガナイデエェェ、モナーサンッ、モララーサンッ、シィヲ、コロシテ、コロシテエェェェ!!」
纏わりつくような悲痛な絶叫は、シャッターを閉める轟音に掻き消されて途絶えた。

ー終ー

973 名前:腕もぎジャック 投稿日:2007/03/12(月) 19:51:48 [ .Y8UPc6s ]
>>966 修正

第二話 モラ雄君

モラ雄君は、いつもいつも教室で問題を起こします。
今日も、隣のしぃ美ちゃんを、「糞虫」や「糞猫」と呼び、
「漏れに謝れ!お前がいけないんだ!!
お前は漏れの弟を、叩いたり、蹴ったりしたじゃないか!」
と顔を真っ赤にして罵るのです。
しぃ美ちゃんが、
「あたし、なにもしてないもん。
それにモラ雄君の弟なんて、知らないよ」
と言うと、モラ雄君は「ブヒィィィ・・・」と奇妙な声を上げ、
「ふざけるな!!ふざけるな!!昨日も、漏れの弟を、
蹴ったり、殴ったりしたじゃないか!!」と大きな声で叫びました。

モラ雄君が喚いている時、教室の隅では大抵、
「しぃちゃんには可愛そうだけど、今日もやるモナ」
「ああ、あのチビ豚、殴った時の反応が面白いからな。
今日は火で軽く炙るか」
と、ギコ助君、モナ太君が今日の遊びについて相談しているのでした。

974 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/12(月) 20:39:35 [ WQPPlV8. ]
神と家畜の楽しいおしゃべり

「さぁてぇ……とっ! こっちも忘れちゃいかんわな!」
モララーはにやにやと微笑むと、やはりシスターしぃの方を向く。
「……もうさ、これ言うの飽きてきちゃったんだけど……まだ言わなきゃダメ?
 またその、君らの真多利の神は……」
「真多利の神よ!! 真多利の神、ジュエ・ワンよ!!」
しかしシスターしぃといえば、そんなモララーの言葉がまるで耳に入っていないと
いう風に、聞き慣れない名前を口にして祈り始めた。
「ジュエ・ワン? 何だいそりゃ?」
「ジュエ・ワン!! 真多利の偉大なる神の本当のお名前!! 申し訳ありません
 ジュエ・ワン!! この汚らわしい者共にあなたのお名前を聞かせたくなく、今まで
 お名前を隠しておりましたが、もう限界です! 真多利の神、ジュエ・ワン!!
 あなたの血族が今次々と、おぞましい悪魔共によって屠られております! ……ああ
 ジュエ・ワン!! あなた様のその偉大な力で、この悪魔共を殲滅ください!!」
そう一心に祈り込むシスターしぃの目は、既に狂気に彩られたような色に染まっている。

「……何とか自分を、持ちこたえさせようって魂胆か。しかしそのために
 本当の名前まで出してくるとはな………。馬鹿な奴だ。そんなことをしたって
 お前には救いの手は来ないというのに……」
「それを何かにすがって無理矢理忘れさせるのが、奴らの現実逃避の方法だ」
先程の競技を終えた流石兄弟が、やれやれといった感じで控え席に戻ってきた。
「おお。ご苦労さん。……とはいっても、見てみろよ。あいつの目つき……
 ああまでやるようじゃ、それこそこっちが何言ったって聞きゃしないだろうよ。
 会が続行すればするほど、深みにはまっていくだけだってのに……まぁいい。
 哀れな屑共には、更なる絶望を食らってもらうとしようか」
モララーは正面に向き直ると、息を大きく吸った。

975 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/12(月) 20:40:37 [ WQPPlV8. ]

「第四弾は、先ほどもちらりとご登場! 遺伝子研究部部長・ニダー!!」

「アイッゴォォォーーー!!!」
他のギャラリーが思わず耳を塞ぐほどにけたたましく、大きな叫び声を上げて
どたどた一人のAAが走り出てきた。

「チェーンソーに毒ガスに、皆かなりエグいやり方で屠ってるニダねー……
 でもニダーも負けんニダよ! 遺伝子部の名に恥じないようなものを考えたニダ!」
「ほほう。そうこなくてはね。毎度の流れながら、まずはバットを紹介してもらいたいね」
「分かってるニダ! ふふふ。見て驚くなニダよ〜。
 遺伝子研究部らしく、今回作ったバットは“生きたバット”ニダ!」
「生きたバット? まさかバットを何かの生物に移植したとか……?」
「こいつは見せた方が早いニダ! ではバットの入場といくニダ!!」
……ニダーが手を叩くと、それに伴って八頭身が鎖を手にして運動場に入ってきた。
鎖を持っているということは、何かを繋いでいるということ。そして実際にその鎖には
今回のバットであろう、生物が繋がれていた。

しぃ

……意外や意外。鎖に繋がれていたのは、事もあろうに“しぃ”だった。
ただし勿論、普通のしぃではないことは言うまでもないことだが。

976 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/12(月) 20:41:45 [ WQPPlV8. ]

「……………………………」

モララーも、ギコも、モナーも、ギャラリー一同が驚いた顔をしている。
通常ならばしぃというものは、ギコと同じくらいの、どちらかといえば細身の体格をしている。
だがしかしこの“しぃ”は、ギコと同じくらいのサイズどころか、その背丈たるや
八頭身に並ぶほどに高く、その体格たるや、巷で母者の真の姿と称されて出回るAAのような
筋骨隆々とした、モンスターしぃも逃げ出すような凄まじい体格だった。

「……これはこれは、また大した化け物だ。成る程。こいつがバットか。
 ニダー? これが君の遺伝子改造の結果かい?」
「アイゴー! これこそニダが、研究室でキムチを山ほど食いながら
 考え出した究極の一品! 名付けて『バズーカ遺伝子』ニダよ!」
「……またそれはそれは。無茶苦茶なネーミングだな。まぁ威力は想像が付きそうだが」
「その通り! こいつを一度発動させれば、『たった一発』で、堅牢な鉄筋ビルも
 銀行なんかの大金庫も、豆腐を破壊するようにぶち壊せるニダよ!」
「そいつぁ恐ろしい! しかしそんな危険な遺伝子を搭載したしぃが暴走したらどうするんだい?
 万が一殴られたら、誰だって生きちゃいまい?」
「その点は心配いらんニダ。こいつはギコに頼んで色々投薬してあるから、自我が目覚める事は
 絶対にないし、またここにある薬を注射しないとバズーカ遺伝子が発動しないようにしてあるニダ。
 まぁ、万が一暴走したとしても、問題はないニダが、ね………」
「はっは。とにかく心配はいらないって事だ。これで心おきなく楽しめるよ。
 ときにギコ、つまらんこと聞くけど、どんな薬を投与したんだ?」
「……想像は付くと思うが、主に身体能力を向上させる代物だな。ステロイドのような
 内臓に副作用が行くことはないんだが、その分精神が凄まじい勢いで蝕まれる。
 ……あいつの言うとおり、あの“バズーカ”は、破壊力こそこの上ないくらい強力になったが
 反面、理性はとっくにどこへやら。自我が目覚めることなんざまずないだろうよ」
「……成る程。じゃあ八頭身。続けて悪いが、ベビしぃを」

「チィィィ……?」
「よしよし。注射しておいた骨の強化遺伝子はうまく適合したらしいニダな……
 これならバズーカの一撃でも、四散することはないだろうニダ……」
いつものご他聞に漏れず、八頭身につまみあげられ、ニダーの前に連れてこられたベビしぃだったが
今回は今までのように恐怖に支配されている、という様子ではなかった。
むしろ、戸惑い。

977 名前:腕もぎジャック 投稿日:2007/03/12(月) 20:42:22 [ .Y8UPc6s ]
第3話 ボール

キーンコーンとチャイムが鳴り、
バイバイ、またね、とみんな校門をでていきました。

「よおっ!!」
「ブヒッッ!!」
モラ男君が振り返ると、そこにギコ助君とモナ太君がいました。
「モネガィィィ、モネガィィィ、モウ、ィジメナィデェェェ、、」
モラ男君はブヒブヒ泣きだしました。
(いつもながら情けないな・・・)と、二人は思いましたが
「しかたないな、お前がこんなに泣いているんだし、
今日は『ボール遊び』だけで許してやるよ」と言いました。

「おい、そんなに泣くなよ。
ボールだって痛いはずだけど、泣くのをガマンしてるんだぞ」
といいながら、ギコ君は真っ赤になったモラ男君の顔に
ボール模様を刻んでいました。
「モナにもゴリゴリやらせるモナ!ギコ君だけズルいモナ!!」
「モナ太は不器用だろ、これは使い方がムズいしさ」
といって、モラ男君の顔を抑え、
糸ノコをゴリゴリひき始めました。
「あ、わりい、耳切断しちゃった」

978 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/12(月) 20:42:37 [ WQPPlV8. ]


「オ、オジチャンハ チィタチトオナジ シィナンデチュカ…?」
「………………」
ニダーの横に立っている、ベビしぃから見ればまさしく山のような“バズーカしぃ”に
恐る恐る話しかけている。
一見すれば、どこがしぃ族だ、ドーピング八頭身だろ、といいたくなるほど
その体はしぃ族とはかけ離れていたが、それでもやはり感じるものはあるのだろう。
ベビしぃが涙も見せなければ怯えた様子もないのが、何よりの証拠といえる。

「……………………………………」
勿論、バズーカしぃは何も答えない。ただ仁王立ちを続けるだけ。
「チ、チィィ……?」
「無駄ニダよベビちゃん。そいつはお話なんて出来んニダからな。
 ……それよりも、そんな悠長なことをしていていいニダかね……?
 考えてみるニダ。こいつが何でここにいるのか、そして何で君がここに連れてこられたのか。
 ……赤ん坊の小さな、未発達な脳味噌でも分かるニダね……? けけけけ……!」

細い目をうっすらと開けて、ニダーがいやらしい含み笑いをする。

「………?」
「分からんニダか? まぁいい。説明してやるニダ。
 ……ちなみに言うまでもないニダが、そこにいるその“しぃ”、君は仲間だと
 思っているかもしれんが、それは見当外れもいいところ、大間違いニダよ。 
 なぜならそいつには、もう理性なんて残っちゃいないから。……身体能力の向上だけを考えた
 遺伝子操作と投薬とを繰り返した結果、反動としてか、理性がほぼ完全に消失したニダ。
 身体が繰り出す破壊力としては一級品ニダが、それ以外のことは………………
 ……ニダが薬を使って命令しない限りは、動くことはない……ニダ。
 ……そして今日は、その“命令”を実行するためにここに連れてきた……
 そう、つまり」
ニダーはベビしぃをつまみ上げると、顔の高さまで持ち上げ
自分の目とベビしぃの目とを合わせ、にやりと微笑んだ。

「………ベビちゃんがボール。あいつがバット…………
 ビルだって叩き崩す威力を持つ、あいつの驚異的な力……
 その身を以て、貴重な体験をしてもらおうと思ってね」
「!!」

……ようやくと言うべきか、気付いたようで、ベビしぃの顔に恐れの色が浮かんだ。
母親は随分前から泣き叫んでいるというのに、何と鈍いことか。

「さて。目覚ましといくニダか。地獄の悪魔のお目覚めお目覚め……!」
ニダーが懐に手を伸ばし、注射器を取り出す。
……その取り出した注射器をバズーカしぃの足に刺し、中身を注射すると
宣言通り、先ほどまで静かだったバズーカしぃが、急にぶるぶると震えだした。

「……投薬や遺伝子操作による、身体の異常増強と理性の消失。
 ここまでは『ただのフランケン・シュタイン。あるいはロデム』ニダが、お前は
 そうじゃない。……お前には他の連中にはない、『美しさ』がある。ニダたちでも
 真似の出来ない、お前特有とも言える、『美しさ』が…………
 さぁ、起きろ」

979 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/12(月) 20:43:35 [ WQPPlV8. ]

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!


体を震わせた次は、雄叫び。
拡声器も使っていないはずなのに、その実周りのものを全て振るわせるほどに巨大な雄叫び。
これだけでも尋常ならざる、怪物。

「おはよう。バズーカ。さて、起きた早々悪いニダが、お仕事だ。
 ……お前の足下にいる、その小さなやつ……見えるニダな?
 お前に命ずるのは、そいつを……、そいつを力の限り、殴り飛ばすこと。
 この際方向は、上でも下でもどちらでも構わん。お前の好きな方向に飛ばすニダ。
 ……分かったニダな? 我が可愛い可愛い、『美しき』バズーカしぃ。お前のその
『美しさ』を発揮する機会が、ようやく来たニダ。思う存分発揮するニダ」

……バズーカしぃは、ちらりとニダーの方を見ると、すぐにベビしぃの方へ向かい
……あくまでここでは潰さぬよう、片手で軽く持ち上げた。

「ア、アニャニャニャニャア!! ヤ、ヤメテクダチャイ! オジタン、ヤメテェ!!」
「…………………………………」
やはり恐怖に怯えるベビしぃは命乞いをするが、しかしバズーカしぃはまるで答えない。
ただ無表情な目でベビしぃを見つめ、彼女を高々と持ち上げるだけだ。
「無駄だって言ってるじゃない。そもそもそいつはそこまで年食っちゃいないニダよ。
 ……哀願するなら、そこのバズーカにしてみるニダ。まだ見込みがあるかもしれん
 ニダからな………。けけけけ……!」
ニダーはまた、嫌らしく含み笑いをする。明らかにバズーカしぃが理性を失っている
ことを前提にして、無駄だと分かっていての発言だ。

「……………………………」
そして、そのニダーの思惑通り、ベビしぃが手の中で騒ぎ立てているのもどこ吹く風。
バズーカしぃはベビしぃを高々と持ち上げると、殴る構えをとった。
「アニャニャニャニャアァ!! タ、タチュケテェ!! チィィィィィ!!」
ベビしぃの懇願もどこへやら。バズーカしぃが今にも殴りかからんとした、その時。

「モ、モウヤメテェェェ!!」
……VIP席から、一匹。そのベビしぃの母親と見られるしぃが、拘束具から
抜け出して、運動場に……バズーカしぃの前に躍り出た。

「うん? ……おやおや、どうしたことか……」
しかしそれを見たモララーは、一瞬眉を歪めたが、またにやりと笑い出した。
「まぁ、母親が出て行ったところで、どうなるわけでもあるまいて……
 より近くで娘の絶命を目にする、それだけに他ならんよ……。くくくく……!!」
「ほんとに。俺の投薬で吹っ飛んだ理性が、戻るとでも思っているのか……?」

980 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/12(月) 20:44:23 [ WQPPlV8. ]

「モウ、イイデショ!? コレイジョウベビチャンヲ、クルシメナイデ!!」
五賢者の母しぃは泣きながら両手を広げ、バズーカしぃに語りかける。
「……………………………?」
どうせ幾ら懇願したって無駄だろう、そう思われたが……、が……
「グ……、ギィ……? シ、シィゾク……、ベビシィ…?」
「! ア、アナタ、モシカシテ………?」
バズーカしぃの様子が、変わった。

「あれ? どうなってんだ、ギコ! ニダー!」
「ハァ? 何だあいつ! 俺は確かに理性を吹き飛ばしたはずだぞ!?」
「ニ、ニダにも分からんニダよ!! どうなっとるニダ!?」
……三人が三人で顔を向き合わせる傍ら、バズーカしぃたちは

「ソ、ソウ……シィゾク……、ベビシィ…… ソウダ、ワタシ……」
「アア! キオクガモドッテキタノネ! ……ソウヨ! ソウナノヨ! アンナケガラワシイヤツラニ、ワタシタチシィゾクガ
 マケルハズガナイノヨ! サァ、ベビチャンヲオロシテ! アナタノホントウノテキハ、アッチニイル…アイツラナノヨ!」
五賢者母しぃがモララーたちの方を指さすと、バズーカしぃもそちらを向く。
「……おいおい、ニダーちゃん。どうすんの。これじゃ俺らが……」
「……………………………」
モララーがシスターしぃの方をちらりと見ると、あちらもモララーの方を
見ていたようで、目が合うとにやりと笑みをよこして見せた。
まるで、真多利の神の奇跡がとうとう実現した、ざまあみろと言わんばかりに。

「サァ! アナタノソノチカラデ、アイツラヲウチタオスノ! ソレガシィゾクノタメニナルノヨ!!」
「ウ……ウゥゥ……、シィゾクノ……、ソウダ…… 」
バズーカしぃは、今やベビしぃをつまむのではなく、掌に乗せてさえした。
高い高いと、きゃっきゃと掌の上ではしゃぐベビしぃ……
「さぁバズーカしぃ!! 真多利の神、ジュエ・ワンはあなたにも加護を与える!!
 だから今こそ、諸悪の根源を討ち取るのよ!!」
「サァ、イマコソ……!!」
シスターしぃと、五賢者母しぃ。二匹はまさに勝利したと、満面の笑みを浮かべる。
正しそれは、そのまま凍り付くことになるが。特にそのうちの一匹はそのままの意味で。
「シィィ……ゾクゥゥ………」
「アニャッ?」
突然バズーカしぃは、掌に乗せていたベビしぃをぽんと跳ね上げる。そして

981 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/12(月) 20:45:17 [ WQPPlV8. ]


ど ん っ

……ベビしぃの笑顔は、愛くるしいその笑顔は、その一撃で陥没した。
バズーカしぃのとてつもない打撃を顔面に打ち込まれ、まさしく野球のボールのように
射出されるベビしぃ。さて、そのベビしぃの行き着くところは………?

……これがマターリスレならば、何と微笑ましい光景か。ジャンプする我が子を
そのまま胸に抱いて、抱きしめる母親……。
だが、ここはそんな反吐が出るようなものは存在しない。アブネタスレだ。
すなわち、母しぃの胸に飛び込んだベビしぃは………

「ア、アレ、コレハ……?」
五賢者母しぃは、今起こったことが信じられないという風に、自分の体を見た。
……胸にぽっかりと空いた、穴。風穴などという生やさしいものではない。
まさしくクッキーの型抜きのように、きれいに打ち抜かれていたのだ。

どがっ べちゃっ どぼっ

……その、打ち抜いたベビしぃといえば……言うまでもない。自らの母の胸を
ぶち抜いたあと、地面に二度三度派手に叩きつけられ……肉塊と化した。
もっとも、最初の一撃で既に絶命はしていただろうが。
 
「ア……、カ、カハ……、……ア、アナタ……」
「………………………………………」
五賢者母しぃは絶望した表情で血反吐を吐くと、そのままばったりと倒れ込んだ。
そんな光景を見ながら、三人のAAはほくそ笑んでいた。

「ギコ? 困るニダよ。こいつの自我は戻ることはなかったはずじゃなかったニダ?
 これからはちゃんとしてくれないと、困るニダよ……? けけけ……!」
「……ああ、悪い悪い。最近どうも“間違えて”、“濃度の薄いやつ”を使ってたらしくてな。
 それで一時的に自我が戻っちまったんだろうな。はは……」
「……それに所長も同じで、困ったちゃんニダよ。余計なやつを乱入させるなんて。
 ……ちゃんと拘束しておいてくれないと、一匹分なら何ともなくても
 二匹も一気に殺したら、罰が当たるかもしれないじゃあないニダか……? くけけけ…!」
「ふっふふ……! ……心から謝罪するよ、ニダー。……『何故か今日に限って、たまたま
 拘束具の締め付けが緩かった』なんてのは、許される事じゃないよね。ふふ、ふふふ……」

けけけけ…………

はははは…………

ふふふふ…………

「あっははははははははははははは!!!」

三人は声をそろえて、実に嬉しそうに高らかに笑い出した。

982 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/12(月) 20:46:17 [ WQPPlV8. ]
 
「誰が言ってたっけな! “信用させておいて、裏切る 人格破綻者だが、最高の絶望だ”
 その通りじゃないか! ひゃあっはははははははぁぁぁ!!」
「ギコハハハハハハハァァァ!! 喜びと勝利が、一気に急降下! これが一番、酷い
 絶望が味わえるんだよなぁ! 笑いが止まらねぇよ! ハハハハハハハァァ!!」
「くけけけけけけけけけ!! 確かにこれでも面白いニダが……
 二人とも、まだ早いニダよ? ほら……」
「ん? どういうこった……、おぉ?」
そのニダーの言葉に、運動場の方を見る二人と、ギャラリー一同。
……変化が起こっているのは、言うまでもなく、バズーカしぃ。

「カ、カカカ……? カフ……ォオフ……、ヘブ!?」
……見るとバズーカしぃは、明らかに異変を起こしていた。……手足をがくがくと震わせ
口から泡を吹き、目も焦点が合っていない。
「何だぁ…? まるでヤク中の禁断症状じゃねぇか……。どうなってんの?」
「……これだから奴の名前は、“バズーカしぃ”ニダよ……」
ニダーが意味ありげに、ふっとまた笑みを浮かべる。

「所長。通常の兵器のバズーカ砲を思い浮かべてみるニダよ。……確かにアレは、威力は
 桁違いにでかいニダが、反面、一発撃ったら終わりニダ。今回のこの“バズーカ遺伝子”は
 まさにそれを体現したもので、一撃の破壊力はでかい!! されど、筋肉に異常な負担を
 かけるから、一発撃ったら筋肉組織が崩壊を始めるニダよ。つまり、このバズーカ遺伝子は
 捕まえたしぃ族なんかを使い捨ての兵器にするために作った、最高の遺伝子ニダよ!!」
「あっは! それでバスーカか! なるほどねぇ!!」
モララーは合点がいったように笑うと、嬉しそうに手を叩く。
「……この手の遺伝子は、力を強くするとその分副作用が滅茶苦茶になるニダ。だから
 ドーピング用に開発するならその辺を考慮しないといかんニダが、こいつは別物ニダ。
『破壊力さえ出れば、それ一発分さえ命があればいい。』……これなら簡単ニダよ」
ニダーは尚も含み笑いを続け、のたうっているバズーカしぃの元へと近づく。

983 名前:耳もぎ名無しさん 投稿日:2007/03/12(月) 20:47:53 [ WQPPlV8. ]

「……だからこいつは、美しかったはずニダ。……真夏の花火が一発花開いたら、それで
 あとは潔く消えるように……。何も物言わずに、消えていくその様が……美しいニダ。
 ……それをお前は、何をやってるニダ?」
ニダーは憎々しげに舌打ちをすると、足下で蠢いているバズーカしぃに蹴りを入れる。
「お前は何も喋らない! ただ黙って役目をこなす! 役目を終えたらすぐに消える!
 だからこそお前は美しかったニダが、それが何ニダ! 余計なお喋りをして、あんな
 蛆虫共と戯れて、更にはこんな、みっともなくはいずり回って……!
 誰がお喋りをしろなんて言ったニダッ!? 誰が惨めに生き延びろなんて言ったニダッ!?
 役目を終えたら、さっさと消えろニダッ! 早く、早くッ!!」
「ゲボッ!! ガガグゥ……!!」
もはや手足はその機能を果たさなくなっているのだろう、動けぬバズーカしぃに
ニダーは容赦なく蹴りを、殴りを入れている。

「あーあー、酷いねぇ……。でも奴がお喋りできる原因を作ったのは、俺なんだけどな……」
「ほんとに。でもバズーカがあいつらと戯れる原因を作ったのは、僕なんだけどね……」
「………けけけ。それを言ったら………」
先程まで意気込んでバズーカに暴力を振るっていたニダーが、くるりと振り返る。
「……ニダもこいつを即死するように、作ってはいなかったニダからな……」

けけけけあかかかかか…………

ははははふへへへへ…………

ふふふふくくくく…………

「あっははははははははははははは!!!」
また三人が、一斉に笑い出した。……いや、今度は三人だけではない。
流石も、モナーも、ギャラリーが一斉に笑い出した。

「ニ、ニダーサ……ドシテ……?」
「何だ、ニダの名前をお前が呼ぶとは……。立場をわきまえるニダッ!!
 お前みたいな使い捨てのごみ屑に名前を呼ばれるほど、ニダは堕ちちゃいないニダッ!!」
「ツ、ツカイス………ゲバッ!?」
……それは、何発目の蹴りだったろうか。首に打ち込まれたその蹴りは、ごきりと嫌な音を立て
バズーカしぃはその瞬間から、ぴくりとも動かなくなった。
少しばかり戻った自我が、帰って仇となったか。苦悶の表情をその顔に宿らせて……

984 名前:RYOr 投稿日:2007/03/28(水) 09:00:45 [ ZMIB8HEU ]
『即興虐殺詩』

ああ 俺はどうしてこんなことをしているのだろう。

ああ 俺はどうしてこんなことをしているのだろう。

右手の褐色の棍棒は本当なら白い日光を浴びるはずが
今では俺に斬られ削られ黒い血を浴びるばかり

木が哀れだ この棍棒は悪くもなんともないのに

なら何が悪いのだろうか 誰か どれか 全てか

そうだ そうだ 目の前のあいつが悪いのだ 今ゴミ箱を漁っているお前が

しからば、この木の仇めの首根っこを引っ掴み 棍棒自らに復讐させよう。

こいつめ こいつめ くたばりやがれ 畜生が

こいつめ こいつめ くたばりやがれ 畜生が

頭がへこみ 歯が舞いえど まだ復讐は終らない 木が満足しない

畜生めが 痛みに絶叫し黄ばんだ爪を振り回す

畜生めが 手を振り回し 棍棒はグルグルまわり 地に落ちる

仕方ない 棍棒よ そこで見ていろ俺が仕留める 

俺の右手も首を掴み 力が入る

ぎぃ げぇ ぎひぃ

息を吐くのにも 苦しそうだが 畜生めの 抵抗は止まらない。

引掻き傷が顔にいくつも出来て それが俺の憎悪を駆り立てる。

渾身の力を込めて 頭突きを繰り出した。

奴めの額から 鮮血が噴出し 動きを止める

あは あは  あははははははははは

やったぞ棍棒 お前の敵をとってやったぞ

あは あは  あははははははははは

985 名前:RYOr 投稿日:2007/03/28(水) 09:01:18 [ ZMIB8HEU ]
『 ――それで それであなたは満足したんですか? 』

口を開いた

頭がへこみ 額から血を噴出し 片目が潰れ 歯抜けの間抜けな畜生が

死体をゴミ箱にぶちこみ 蓋をしても声が止まらない。

『 私を  殺  満  し  し   か?  』

あ   あ        あ あ
  あ    あ  あ  あ
   あ  あ           あ 

ここは いやだ ここは いやだ いやだいやだいやいだいやだいやだいや
いやだいやだいやいだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
いやだいやだいやいだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
いやだいやだいやいだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ
いやだいやだいやいだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ

そうだ そうだ 逃げよう 逃げよう 逃げよう


棍棒を拾って 俺は走り出す。


ああ 俺はどうしてこんなことをしているのだろう。

ああ 俺はどうしてこんなことをしているのだろう

986 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 00:25:02 [ v.b8oWzo ]
残り少ないスレを埋める為、短編(というより中編)を1つ。
途中からは、脳内BGM全開でご覧下さい。

【必殺寄贈人〜『寄贈』と書いて『ドゾー』と読む〜】


アフォしぃの悪行は、今や留まる事を知らなかった。
あちこちの町に出没しては、やりたい放題。殺戮。略奪。侵略。暴政。
いくら虐殺されようが、その驚異的な繁殖力によってすぐに増える。
軍部ですらお手上げ状態であった―――悲しいけど、これが今の世の実情だった。



ここは、非常にユニークな人々が集まる『朝迄町』。
この町の住民は皆、個性溢れる人々に囲まれて半ば翻弄されながらも、楽しく暮らしていた。
色々ありながらも、この町は至って平和だった。

―――だが。遂にこの町にも、アフォしぃの魔手が伸びる事となる。
ある日、突如として現れた数十匹のアフォしぃによって、この町は乗っ取られてしまったのであった。
勿論、抵抗を試みる動きもあった。
だがアフォしぃ共は、姑息な事に『カワイイ シィチャンタチニ ハムカッタラ コノマチノ ヤシラヲ ムサベツニ アボーンスルワヨ!』などと脅してきた。
アフォしぃ共は、それなりに武器を持ち込んでいた。どっかから奪ってきたのだろう。
住民の安全を第一に優先する為、遂に軍も手を出せなかった。

―――そして、アフォしぃの暴政が始まった。
まず、住民は自由に食べ物を食べる事が出来なくなった。
アフォしぃ曰く、『オイシイ タベモノハ ミンナ シィチャンガ タベルベキナノ!』との事。
この町にあった殆どの食料は、アフォしぃ共の元へ集まった。特に甘い物は、住民は一切口に出来なくなった。
さらに―――このアフォしぃ共は、輪をかけて性根が腐っているらしい。
毎日のように、空いたお腹を抱える住民達の目の前で食料を貪ったのだ。
しかもその食べ方はあまりに汚く、かなり無駄の多い食べ方だった。
まだ半分以上食べれる部分がある果物を住民の目の前でゴミ箱に捨てたり、一口しか食べてないパンを踏み潰してみせたり。
ひたすら食べ物を粗末にしてみせた。そして、悲嘆に暮れる住民を見て下品な笑いを浮かべる。まともな精神の持ち主がとれる行動とは思えなかった。
この町は、住民の悔しさに塗れたため息と、ハニャハニャという下衆な笑い声が絶えない町となってしまった。
そして、今日もまた―――。

987 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 00:25:42 [ v.b8oWzo ]
「先生、お腹すいたよぉ・・・」

アフォしぃの住む大きな屋敷の前で、ピンクの髪をした小さな女の子が、傍らに立つ大柄な男に向かって、これ以上無い位悲痛な声で訴える。
少女の首には、桃の缶詰(白桃)の側面部分が装着されている。歳は―――4,5歳前後か。
男は恐らく、クックルの亜種だと思われる。クックルそっくりだが、全身が茶色。そして両肩と額に缶詰が。
先生と呼ばれた彼は、思い悩んだ表情で少女を見つめていたが、不意に歩き出し、近くに居たアフォしぃに声を掛ける。

「・・・あの」

「ハニャ!ナンノ ヨウナノヨ!」

アフォしぃは、やはり見せびらかすように(というか普通にその目的で)林檎を齧っていた。
彼は、出来る限り落ち着いた声で言った。

「・・・私はどうなっても構いません。
 ですが、どんなに少なくてもいいです。せめて子供達にだけでも、何か食べ物を分けて頂く事は・・・」

アフォしぃに対して、こんなに腰を低くする羽目になろうとは。
しかし、、彼は気にしなかった。ひょっとしたら、アフォしぃにも微かな慈悲の心があるかもしれない。
―――だが。返って来た答えは、

「ハニャァァ!?ナニ ネボケタコト ヌカシテンノヨ!アンタ ヴァカ?」

予想通りの暴言だった。彼は内心で苦い顔をした。アフォしぃに慈悲を期待した己が馬鹿だったようだ、と。

「アンタラナンカ シィチャンニ クラベタラ ナマゴミニモ ナラナイテイドノ カチシカ ナイノヨ!?マッタク、コレダカラ テイノウハ コマルワネ!」

暴言はさらに続く。彼は耐えた。逆らったら、何を仕出かすかわかったもんじゃない。
しかし、次にアフォしぃが発した言葉に、男の表情が変わった。

「アンタノトコロノ ガキナンテ ドウナロウガ シッタコッチャナイノヨ!サッサト クタバッタラ ドウナノヨ!?」

「な、何・・・!?」

男は明らかに怒りの表情を見せた。
彼は実は、この町の幼稚園の先生を勤めている。先程の少女も、園児の1人だ。
体躯に似合わぬ温厚な人柄とその頼もしさで、園児、親共に信頼も厚く、地域の人間からも慕われている。
そんな彼にとって、園児に暴言を吐かれるのは、何よりも許しがたい事だった。
彼は思わず、ぐっ、と拳を固めていた。今すぐぶん殴ってやりたいとでも言うように。
だが、それを目ざとく見つけたアフォしぃは、ニヤニヤと笑いを浮かべながら言った。

「ハニャハニャ?イイノカナー?モシ シィチャンニ イタイコトシタラ、アンタノトコロノ ガキドモヲ マトメテ アボーンスルワヨ?イイノカナー?」

そう言いながら、アフォしぃはちらちらと懐に持っていたナイフを見せ付けた。

「ぐぅっ・・・」

彼は黙るしか無かった。
もっとも避けなければいけないのは、園児に危害が加わる事だ。
彼がその気になれば、アフォしぃなど1秒で息の根を止める事も出来るだろう。
だが、相手は1人ではないのだ。もしこの場でこいつを殺したら、間違いなく他の奴らがすっ飛んでくるだろう。
ひょっとしたら、無差別にこの場でマシンガンなどを乱射するかもしれない。そんな事をされたら、園児だけじゃない。多くの人命が失われしまうだろう。

「・・・っ」

彼は固めた拳を力無く膝に叩きつけると、踵を返し、先程の少女の元へと戻っていった。

「ハニャーーーン!!アンナ ゲセンナ ヤシラニ コノ カワイイ シィチャンガ ヤラレルワケナイジャナイ!ホンモノノ ヴァカネ!ハニャハニャハニャーーーン!!」

後ろから下品に笑い転げるアフォしぃの声が聞こえてきたが、彼は無理矢理無視した。
恐らくアフォしぃにしてみれば、普通なら絶対叶わない相手を押さえつけている事に、かなりの優越感を感じているのだろう。

「先生ぇ・・・」

少女が、怯えたような表情で見つめてくる。
彼はその子の頭を撫でながら、安心させるように笑いながら言った。

「大丈夫だよ。先生の家には、まだ食べ物がある。それをあげるから、私の家に来なさい」

「本当!?」

少女は顔をぱっと輝かせた。

「本当さ。先生が皆に嘘をついた事があったかい?・・・さあ、皆を呼んできて」

「うん!」

彼女は、姉妹と思われる自分に良く似た黄色い髪の少女(首元の缶は黄桃)を始めとする数人の子供を連れて戻ってきた。

「さあ、皆私についてきなさい」

彼は優しく声をかけると、先頭に立って歩き出した。
彼は去り際に、無邪気に笑いながら付いてくる園児達に見えないように、屋敷の方へ視線を移した。
アフォしぃは、まだ笑い転げていた。彼はそれを、苦々しい思いで見ていた。

988 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 00:26:08 [ v.b8oWzo ]
「・・・はぁ、プリンが食べたい」

やはり屋敷の前で、今度は軍服姿の女性がぽそりと呟いた。コスプレなんて事は無いだろうから、恐らく軍属だ。
大の大人がプリンというのも何となくアレだが、女性は甘いもの好きというのは珍しくない。

「お、俺も・・・もう何日も食べてないぞ、ゴルァ」

傍らにいた、軍用の帽子を被ったギコがこれまた力なく呟く。女性の部下だろうか。

「・・・しょうがないモナ。プリンじゃなくても、甘いものは全部、奴らが持っていってしまったモナ。
 多分1つも無いモナ・・・」

これまた軍用帽子姿のモナーが、2人を慰めるように言った。やはり部下のようだ。

「あぅぅ・・・プッチンしたいぃぃぃ・・・」

女性が間延びした声で言った。どうやら相当参っているようだ。
モナーは2人の背中を押しながら去っていった。3人の姿が消えるまでの間、モナーの口から慰めの言葉が途切れる事は無かった。

他にも、屋敷の前には多くの人が集まっていた。
空腹で泣く子供を抱いた母親、食べ盛りの学生、すっかり痩せてしまったサラリーマン・・・。
しかし、そんな飢えに苦しむ人々の前で、アフォしぃ達はどんどん食べ物を粗末に扱っていく。
中には、『見た目が気に入らない』とかいう理由で、口をつけることなく食べ物を捨て始める者もいた。
そして人々が、とぼとぼと肩を落として去っていったり、武器で脅されて慌てて逃げ出す様子を見て、最高の娯楽だと言わんばかりに笑い転げるのだった。
先程のモナーとは違い、アフォしぃ達の口から、罵倒の言葉が途切れる事は無かった。

そんな中。
屋敷の傍の電柱の影で物憂げに頭を抱える女性がいた。
緑のニットセーターにロングスカート、眼鏡に茶髪のショートヘア、頭にはまるで装飾品のように2つの缶詰といういでだちの彼女は、はぁ、とため息をついた。

「・・・もうこの町の皆も限界ね・・・どうにかしなくちゃ」

彼女は暫くの間思案に暮れていたが、やがてやれやれといった感じで顔を上げた。

「・・・あの子達に頼むしか無いか・・・ちょっと強引だけど・・・大丈夫よね、私の子だもの」

彼女はひとりごちると、そのまま屋敷から離れていった。



「うう・・・お腹空いたデチ・・・」

屋敷から離れた、とある路地裏。
1人のちびギコが、膝を抱えてさも辛そうに呟いた。
彼はどうやら家に食べ物が無く、何か食料を求めて飛び出したはいいものの、結局何も見つからず、途方に暮れているようだ。
塀を背もたれにして体育座り。空っぽの腹から、深いため息。
その目からは、光が消えかかっていた。
―――ふと。ちびギコは、すぐ傍、それも正面に誰かがいる事に気がついた。
ゆるゆると顔を上げてみる。そこには1人の少女が立っていた。
空腹で目も霞んでいたちびギコは彼女の姿を上手く捉える事が出来なかったが、ショートヘアの頭に2つ、何か小さな箱のようなものを乗せている事はわかった。
不意に、彼女はどこからか何かを取り出し、ちびギコに差し出した。
そしてニコリと笑い、こう言い放った。

「コンビーフ、ドゾー!」

「・・・へ?」

ちびギコは、差し出された物をまじまじと見た。
その小さな手(といってもちびギコの手よりは大きいが)に乗せられていたのは、コンビーフの缶詰だった。
無論、空き缶では無い。しっかりと封のされた、正真正銘の本物。

「・・・これ・・・僕に?」

恐る恐るといった感じで、ちびギコが尋ねる。
少女は満面の笑みで頷き、その手をさらにずいっと差し出してきた。
ちびギコは、少女の手から缶詰を受け取った。ほんのり暖かい。
2日ぶりの食料。しかも肉だ。缶詰を見つめるちびギコは一瞬泣きそうな表情になったが、口を開きながら顔を上げた。

「お姉ちゃん、ありがとうデ・・・」

―――少女の姿は、既に無かった。

「お姉ちゃん・・・?」

ちびギコは呆然とした表情で呟いた。
見ず知らずの自分の目の前に突然現れたかと思えば、コンビーフ1つくれて、風のように去って行った少女。
彼は暫くの間呆然と立ち尽くしていたが、不意に思い出したような表情になって、貰ったばかりのコンビーフ缶を開け始めた。
開け方が特殊な事も手伝って、なかなか開かなかったが、ついに開封に成功。
そして、開けたばかりのコンビーフにかぶりつく。
そのコンビーフの味は、確かに1人の少年に、生きる活力を与えた。

989 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 00:26:34 [ v.b8oWzo ]
(脳内BGM:『必殺仕事人』のテーマ)

パララー・・・パラララララーララララー・・・パララララー・・・

パララー・・・パラララララーララララー・・・パララララー・・・

ジャジャジャーン!チャララララララー・・・

ジャジャジャーン!チャララララララー!


―――町中が寝静まった丑三つ時。
昼間は飢えた住民達でごった返していた、アフォしぃの屋敷前の大通り。
人の姿など影も形も無い筈の大通りに、4つの人影。
中くらいの影、すらりと背が高く、何か大きな筒状の物体を持った影、これまた背が高く、頭に箱のような物を乗せている影、そして、その3つに比べるとかなり小さな影。
肩を並べるように並んでいる4つの影は、どんどん屋敷へ向かって歩いていく。
そして、屋敷の門(『カワイイ カワイイ シィチャンタチノ オヤシキ』という表札が掲げられている)の前で、その影達は、足を止める。
それなりに近代的な町の中で、まるで時代劇に出てきそうなその大屋敷は、かなり異様だ。
4人は暫くの間門を見上げていたが、不意に、背が高くて何か大きな物を持った影が、口を開いた。

「・・・ここね」

その声は、若い女性のものだった。
残り3つの影も、一斉に頷く。
そして、各々に口を開いた。

「食べ物を粗末にする香具師らに、制裁を加えなくちゃね・・・」

「でも、危なくなったら逃げなきゃ駄目よ?いざとなったら、お姉ちゃん1人でも多分大丈夫なんだし・・・」

「・・・眠いよぅ。子供はもう寝る時間なのに・・・」

「仕方ないよ。この町の惨状は見ての通りだし、お母さんにまで頼まれちゃあ、ね」

「・・・うん」

やはり、全て若い女性の声だった。
しかも驚く事に、その内の1つは明らかに幼い子供の物。
会話から察するに、この4人は姉妹のようだ。

「・・・じゃ、行くよ」

最初に口を開いた少女の言葉に皆一斉に頷き、同時に門をくぐって行った。


『中くらいの影』と形容された少女は、屋敷の庭をそっと歩いていた。
その時、気配を察して彼女は茂みの影に身を隠す。
少し離れた所に、アフォしぃが1匹突っ立っていた。

「マッタク・・・ナンデ コノ ウチュウイチ カワイイ シィチャンニ ミハリナンテ ヤラセルノヨ!
カワイイシィチャンヲ コキツカウヤシハ ギャクサツチュウダヨ!」

一人でぼやいている。
見張りらしく、その手には懐中電灯。よく見ると、棍棒も携帯しているようだ。
少女からアフォしぃまでを遮る障害は、彼女が身を隠す茂みのみ。
しかも、おあつらえ向きに茂みにぽっかりと拳大くらいの穴が開いている。狙撃などするにはもってこいだ。
彼女はどこからか小さな箱状の物を取り出す。月明かりを微かに受けて光っている。どうやら金属製のようだ。
それを手の中で軽く弄んでから、少女は腕を軽く振りかぶる。
振りかぶると言うより、肘から上を真上に伸ばして手を顔の横へ持っていく、といった方が正しいか。
彼女はその体勢のまま目を凝らし、狙いを定める。
そして、未だに1人でぶつくさ言うアフォしぃの頭部に視線を固定し、箱状の物体を掴んだ手首を後ろに曲げて―――

「・・・コンビーフ、ドゾ」

ヒュッ

呟きと共に、風を切る音が小さく響いて―――

ゴキュッ!

「アギュッ・・・」

何かがへし折れたような鈍い音と、アフォしぃの短い悲鳴が続く。
見ればアフォしぃは、生きてる人間では一生向く事が出来ないであろう方向へ首を曲げていた。
前を向いている状態から、後ろへ175度、上へ80度。明らかに首の骨がどうかしている。
その片頬にはぴったりと金属製の箱状の物体―――コンビーフの缶詰がぴったりと張り付き、めり込んでいた。
―――もうお分かりだろう。彼女は手首のスナップのみを利用して、目にも留まらぬ速さでコンビーフ缶を投げ付けたのだ。
その缶は一直線にアフォしぃの頬を直撃。それでも勢いを失わず、顔を押していき、ついにアフォしぃの首の骨が回る限界の角度を突破したのだった。
アフォしぃがどさりと倒れる。1拍遅れてコンビーフの缶も地面を転がったが、張り付いていたアフォしぃの肉体がクッションとなり、音は殆ど立たなかった。
彼女は周りに誰もいない事を確認すると、そっと立ち上がり、今しがた投げ付けたコンビーフ缶を回収するために、首が不自然に曲がったアフォしぃの死骸へと近づいて行く。
茂みから脱出した彼女を、月明かりが優しく映し出す。赤みがかったピンク色の髪が、光を反射して淡く輝いた。
月光に照らし出された彼女の顔は―――昼間、飢えたちびギコにコンビーフを差し出した少女だった。


―――彼女の名は、コンビーフたん。
地元で有名な『缶詰四姉妹』の、三女である。

990 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 00:35:16 [ v.b8oWzo ]
常に薄青紫の長袖シャツにミニスカート、頭には2つのコンビーフ缶という格好の彼女は、毎日毎日、道行く人々にコンビーフを配って回るという何とも奇異な日常を過ごしている。
直接手渡しの場合もあれば、遠くから投げ付ける場合もある。いずれにせよ、『>ワ<』の顔と『ドゾー!』の掛け声は忘れない。
食糧難に瀕している今も、隠し持っていた(或いは新たに作り出した)コンビーフをひたすら配っていた。
いつでも明るい笑顔で缶詰を配るコンビーフたんは、まさに町の人気者だった。
―――だが、普段はまるで仮面を付けているのかと思うくらい常に笑顔の筈の彼女の表情は、今はかなり真面目で、怖いくらいだった。
それ程、アフォしぃ共の行為に憤りを感じているのだろう。

さて、彼女は地面に落ちたコンビーフ缶を回収し、埃を払ってからしまおうとした。
その時、屋敷の方向―――庭に面した廊下の奥の方から、足音を伴った声が聞こえて来た。

「ミハリ コウタイナンテ メンドクサイワヨ。マッタク、シィチャンハ カワイイノニ・・・」

「ソウヨソウヨ!マア、シィチャンニ サカラウヤシナンテ イナイダロウケドネー」

―――2匹。彼女は素早く、廊下の屋根を支える柱の陰に身を潜めた。
2匹の姿が、コンビーフたんの視界にも入ってきた。彼女は柱の影からコンビーフ缶を持った右腕のみを伸ばして、軽く腕を引く。
そして、アフォしぃ達が彼女の射程範囲内に入り込んだ瞬間―――その腕が、動いた。

グキョッ!

「ギャッ・・・」

「・・・ハニャ?」

コンビーフたんの手から離れた缶は、並んで歩いていたしぃの内、右側のしぃの顎を直撃した。
その頭部はそのまま180度以上後ろへ曲がり逆さまになって後ろを向いていた。喉が不自然に膨らんでいる。
隣にいたしぃは、一瞬何が起きたのかわからないかったが、自分の隣にいたしぃの首が明らかに折れている事、そして、恐らくは絶命しているであろう事をどうにか理解したようだ。

「ッ!?シ・・・シィィィ」

ゴシャッ!

「ジギィッ!!?」

驚いて悲鳴を上げようとしたしぃ。だが、それは叶わなかった。
コンビーフたんが再び放った缶が、その頭蓋を叩き潰したからであった。血液と脳漿がその頭から零れ、木造の廊下の床に染みを作った。
その時、再び背後から何者かの気配。彼女は再び、柱の影に身を隠す。

「アシタモゲンキニ・・・ハニャッ!?」

「シィィィ!?ナニアレ!?」

廊下の奥から能天気な面してやって来たアフォしぃ2匹は、変わり果てた姿で横たわる仲間の姿を見て、驚愕した。
コンビーフたんが隠れる柱の前を通り過ぎ、慌てて死体に取り縋る。声を掛けたり、その体を揺すってはみるものの、当然反応は無い。
彼女は柱から身を現して、廊下に立った。アフォしぃ達は未だ彼女に背を向け、死体に向かっている。後方数mに立つ彼女の存在に気付く様子は無い。
その鈍さに思わず苦笑したコンビーフたんは、ポーンポーンとその手で缶詰を弄んでみた。と、片方が振り向いた。流石に気付いたか。
そして、それにつられてもう片方が振り向くか振り向かないかの瞬間に、彼女はたった今まで弄んでいた缶詰をサイドスローで投げつけた。

ゴッ!

「ウギッ・・・」

先に振り向いた方のアフォしぃの顔が明後日の方向を向き、そのままもんどりうって倒れる。
驚く事に、彼女が投げつけたコンビーフ缶はアフォしぃに命中してから跳ね返り、彼女の手の中にすっぽりと見事に納まった。まるでブーメランだ。

「ハニャッ!?・・・ナ、ナンナノヨ、アンタハ!」

もう片方のしぃが驚愕しながら発言した。その時、コンビーフたんの後ろからも「シィィィ!?」の声。どうやら挟み撃ち。だが、彼女は全く動じない。

「―――食べ物を粗末にする香具師らに・・・」

静かに口を開きながら、コンビーフたんは腕を振りかぶる。

グキィッ!

「ノギャッ・・・」

音も無く放たれた缶は、アフォしぃの首をあり得ない方向へと捻じ曲げた。

「・・・名乗る名前も無ければ・・・」

返ってきた缶をキャッチした彼女は、そのまま華麗にクイックターン。背後のアフォしぃに向き直る。既に腕を後ろへと引いた状態で。

ドギャッ!

「ギュッ!」

サイドスローで投げつけられたコンビーフ缶は、的確にそのアフォしぃの右頬を直撃。その首を、6時半の方向まで押し曲げた。

「・・・ドゾするコンビーフも無いっ!」

やはり跳ね返ってきた缶を片手で受け止めながら、コンビーフたんは言い放った。もっとも、その台詞は相手には既に聞こえない。
彼女は転がる死体をまとめて茂みの影に隠すと、缶に付着した僅かな血液を拭き取ってしまい、廊下の奥へと静かに消えていった。

991 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 01:01:19 [ v.b8oWzo ]

『何か大きな物を持った影』と形容された少女は、コンビーフたんとは反対側の庭に面した廊下を歩いていた。
一歩歩くごとに、ぎし、ぎし、と微かに床が軋む音が聞こえる。彼女は、それらの音を極力立てないようにして歩いていく。―――と、その時。

「カワイイ シィチャン アイドル シィチャン ダッコト コウビデ ハニャハニャーン!」

『間抜け』以外に形容の仕様が無い、聞いてるだけで脳髄が痺れそうな歌声。張り詰めた空気を根底から崩壊させる、ペタペタという足音。
その騒音は、彼女の視線の先―――廊下の突き当たりの曲がり角の先から聞こえて来る。そして、どんどん近づいてくるのも分かる。
彼女は素早く廊下の突き当たり寸前まで小走りで近づき、息を潜める。同時に、右手に握った『巨大な何か』を握り直し、肩に担ぐ。
そして、その闇夜でもはっきりとわかる白い体が曲がり角から飛び出し、彼女の目の前に現れた瞬間。

ドグシャッ!バッコォォォン! 「アギィィィッ!?」

次の瞬間、間抜けな歌声を披露していたアフォしぃは、何と―――首から上は廊下の薄い屋根を突き破って飛び出し、首から下は天井からぶら下がっていた。
彼女はというと―――まるでゴルフのフォロースルーのように、両手で持った『何か』を背中に回すような姿勢をしていた。
月光を浴びて、ぎらりと光った『何か』の正体。それは、全長1,5m前後はあろうかという、それは大きな―――鮪。

―――彼女の名は、シーチキンたん。
地元で有名な『缶詰四姉妹』の、長女である。

住民からは『チキ姐』『姐さん』などの愛称で親しまれる彼女は、様々な意味で四姉妹の中でも最も『目立つ』存在であると言える。
腰まで届く青のロングヘアーに、まるでピアスのように耳から下げたシーチキンの缶。
しかし何より目を引くのは、その身を包む青と白のセーラー服。そして―――彼女の代名詞でもある、巨大な鮪。
セーラー服と、鮪。この取り合わせは如何なものか。機関銃との組み合わせよりもミスマッチかも知れない。
彼女がシーチキン缶をドゾする事は少ない。その代わり、その鮪で文字通り『カキーン』して差し上げる。それがシーチキンたんのやり方だ。
巨大鮪を軽々と振り回す程の怪力を持つ彼女の体は筋肉質で細い。それは『スレンダー』と言えば聞こえはいいが、要するに・・・その・・・『ぺったんこ』なのだ。
名無しの住民にその事をからかい混じりに指摘され、怒ったシーチキンたんがその豪腕と鮪で声の主を空の彼方へ消し去る。最早、この町ではお馴染みの光景だ。

話を戻そう。今しがたしぃが天井を突き破った際に起こった音を聞きつけ、数匹のアフォしぃがこっちへ向かってくるのがわかった。
それに気付いたシーチキンたんは少しだけ後ろに下がる。そして、先頭のアフォしぃが曲がり角から飛び出してきた瞬間、彼女の腕が唸りを上げた!

グッシャァァァ!!
「ギャァァァ!?」

見やれば、天井からぶら下がるしぃの胴体が1つ追加されていた。ぽたっ、ぽたっ、と鮮血の雫が落ちてくる。
突如として消えた仲間にうろたえるアフォしぃ。隙ありだ。彼女は突進すると、鮪を下段に構え、そのままアッパースイング。

ズガァァァン!
「フギャァァァァ!!」

またも天井からぶら下がるしぃの体。そのままの勢いで、彼女は全てを薙ぎ倒す台風の如き勢いで次々と鮪を振るった。

「新鮮な・・・」
 ドバキャッ!   「オゲェェェェ!」
「シーチキン(の原料)を・・・」
 ボゴォォォン!! 「ア゙ア゙ァ゙ァァァァ!!」
「ドゾーーーーッ!!」
 ズドゴォォン!! 「ヒギョォォォォォ!!」

やがて、殺気に眼を光らせる彼女の前からしぃがいなくなった。―――否。全て一様に、天井から首から下のみをぶら下げていた。
彼女の目から殺気が消え、ふぅ、と息をつく。だが、庭から「シィィィィ!ナニヲ シテルノヨ!」という声が聞こえて来た。まだいたのか。
そのしぃは、侵入者をあぼーんするべく棍棒を持って突っ込んで来る。シーチキンたんはやれやれといった表情で鮪を担ぎ上げた。
しぃとの距離が5m程度になった所で、彼女は「最後は外ね・・・」と呟いた。そして、打席に入った打者の如く立ち、腰から上を後ろに軽く捻る。
そして―――アフォしぃを射程内に捉えた彼女は、プロ野球選手もかくやという美しいフォームで、鮪をフルスイング!

992 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 01:01:45 [ v.b8oWzo ]
カ ッ キ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ン!!!

高らかな快音とアフォしぃの哀れな悲鳴が響く。シーチキンたんの『カキーン』をありがたくその身で受けたしぃは、そのまま夜空へと吸い込まれていき、見えなくなった。
フォームを解いた彼女は、一息ついてから「・・・3駅分くらい、かな・・・」と、ぽそりと呟いた。
そして彼女は鮪を担ぎ直すと、その長い髪とスカートの裾を翻して廊下の奥へ足早に去って行った。


『小さな影』と形容された少女は、やはり廊下を歩いていた。
暫く歩いていると、どこからか喧騒が聞こえて来る。彼女はその方向を目指して、さらに廊下を進んで行く。
角を曲がった所で、その喧騒の元を彼女は突き止めた。
廊下とは障子で仕切られた広い部屋。その中で、十数匹のアフォしぃ達が大宴会を催していた。
障子越しにシルエットが写る。住民から巻き上げた食料をひたすら食い散らかしているようだ。
彼女は障子の前に立った。障子の方へ向き直る。

「オイシイ タベモノデ シィチャン マターリ!」

「コンナニタクサンノタベモノ、アンナゲセンナ ヤシラニハ モッタイナイワネ!タベモノサンダッテ、カワイイシィチャンニ タベラレタホウガ ウレシイニ キマッテルワ!」

「ハニャーン♪ナクナッテモ マタ アノアフォナ ジュウミンカラ マキアゲレバ イイノヨ!」

そんな声が障子越しに伝わる。自己中の極みとも言える発言の数々に、彼女は思わず眉を顰めた。
すると、彼女の頭部―――正確には、頭に乗せられた2つの缶が、発光を始めた。その光はどんどん強くなる。
そして、その光が今にも溢れんばかりまで輝いた瞬間―――

ズビィィィィィム!!

光が柱状になり、まっすぐ正面へ向かって伸びた。
缶から放たれた2本の光条は、一瞬で目の前の障子へと突き刺さる。
光の柱は障子をまるで空気中を漂う塵であるかのように易々と貫通。そのまま、アフォしぃ達が騒ぐ室内へと飛び込んだ。
そして―――

ド ッ ガ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ン!!!

「ジィィッ・・・」

「ハギャァァァァァァ!!」

「シィィィィィィィィィィィッ!!?」

―――大爆発。凄まじい爆音と目も眩む閃光。それらと共に、アフォしぃ達の断末魔の悲鳴が響き渡った。
一拍遅れて、室内に篭っていた熱風が室内から外へ向けて駆け抜けた。強い風が、彼女の真っ赤な髪をはためかせた。
同時にコロコロと転がってくる、アフォしぃ達の焼け焦げた体のパーツ。


―――彼女の名は、タラバたん。
地元で有名な『缶詰四姉妹』の、四女である。

その小ささからも想像が付くかもしれないが、彼女は実は幼稚園児だ。
黄色いワンピースを着用し、頭には蟹缶が2つ、上底を前にして乗せている。
何より特徴的なのはその髪型で、まるで蟹の足のように、左右に髪の束が3本ずつ跳ねている。
蟹缶を直接渡す事もあれば、何とカニチャーハンに調理してドゾする事もあるとか。その味は一級品だ。
頭に乗せた蟹缶は実に多彩な能力を持っている。まず、今しがた彼女が見せてくれたビーム発射。『ズビーム』と呼ばれている。
威力は調理用〜大爆発まで調節可能らしい。次に、ジェット噴射による加速・滑空。彼女の体重の軽さも手伝ってか、非常に高い飛行性能を持っている。
この他にも色々あるらしいが、今は割愛。なお、昼間屋敷前に来ていた子供達は彼女と同級生だ。
普段は口数少なめでちょいクールだが、心の中では友達思いのイイ子である。

ビーム放射による大爆発であちこち焼け焦げ、所々ぶすぶすと燻っている部屋の中に彼女は足を踏み入れた。
肉の焼け焦げた嫌な臭いがする室内で、タラバたんは辺りをキョロキョロと見渡した。
部屋の中の装飾品は粗方吹き飛んで見当たらない。置かれていた食料も吹き飛んでしまっていたが、どうやらそれらはほんの少しだったようで、彼女はほっと胸を撫で下ろした。
そして、部屋中のそこここにごろごろと転がる、アフォしぃの炭化した焼死体。完全に消し炭と化しており、その表情すらも読み取れない。
どうやら、生き残った奴はいないらしい。それを確認した彼女は、終始無言のままにその部屋を辞した。

993 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 01:18:38 [ v.b8oWzo ]
『頭に何かを乗せた影』と形容された少女は、床下の狭い空間に身を潜めていた。
自分の頭上に敷いてある畳越しに、アフォしぃ達の騒ぐ声が聞こえて来る。ハニャハニャという鳴き声と、自己中発言はタラバたんの時と殆ど同じだ。
暫く頭上の様子を伺っていた彼女は、不意にポケットから錐を取り出した。そしてそれを、頭上の畳に突き立てる。
両手のひらで錐の柄を挟み、擦り合わせるようにする。暫く続けている内に、錐がすこん、と入った。どうやら貫通したようだ。
慌てて彼女は錐を引き抜く。見られたかも、という不安が一瞬脳裏を過ぎったが、上からは相変わらずのドンチャン騒ぎ。どうやらバレなかったようだ。
それを確認してから、彼女は今度は缶詰を取り出した。黄色いパッケージに、何か外国の文字が書かれている。彼女が頭に乗せている物と同じだ。
続いて取り出したるは缶切り。右手に缶詰、左手に缶切り。彼女はその右手を上へ持ち上げ、先程開けた穴の辺りまで持っていく。
そして、左手の缶切りを缶の淵にあてがった。左手に力を込めた。ぐっ、と缶切りを押し込む。すると―――ぷしゅっ。
炭酸飲料を開封した時のような音がした。同時に、缶切りによって缶詰に開いた穴から、一瞬茶色っぽい飛沫が飛び出した。
少しの間は何も起きなかった。だが、やがて変化が起こる。あれほど騒がしかったアフォしぃ達が、「ハニャッ?」という声を境に突然静かになった。
「ハニャッ?ナンカ ヘンナニオイガ スルヨ!」

「シィィィィィ!クサイヨォォォォォ!」

「ハニャーン!ハニャーン!キモチワルイヨゥ!タスケテェェェェ!」

「ウウッ・・・オゲェェェェ・・・」

「クサイヨゥ・・・ダッコ・・・ダッコスルカラ、ヤメテヨゥ・・・」

「ウェェェェェェ・・・ア、アギィィィィィ・・・」
先程とはまた違った大騒ぎの後、ぷっつりと静かになった。彼女は暫く耳を澄ませていたが、何も聞こえなくなった事を確認すると、床下から脱出した。
そのまま一旦外へ出て廊下に上がり、障子を開ける。先程まで潜んでいた床下の、頭上がこの部屋に当たる。
中では、十数匹のしぃが畳に転がっていた。ぴくぴくと体を痙攣させている者、嘔吐している者―――皆一様に、その場から動かない。気絶しているようだ。
彼女はそれを見て、少しばかり憂鬱そうな表情と共にはぁ、とため息をついた。

「・・・本当はこんな使い方、すっごく不本意なんだけどなぁ・・・」

彼女の手には、先程床下で開封した缶詰。薄暗かった床下とは違って明るい室内では、パッケージの文字もちゃんと見える。
側面に、赤くて大きな筆記体の文字。そして、その下に刻まれていたのは―――『SURSTROMMING』。

―――彼女の名は、シュールストレミングたん。
地元で有名な『缶詰四姉妹』の、次女である。

ご存じ無い方の為に説明すると、『シュールストレミング』とは、北欧地方で製造・販売されている缶詰である。
鯡(ニシン)の塩漬けを缶の中で発酵させた物で、珍味と言われている。
だが、シュールストレミングの最大の特徴と言えば、食品中最強と言われるほどの『悪臭』である。
密閉された缶詰の中で魚を何ヶ月、時には何年も発酵させるのだ。臭いが凄まじいのも想像が付くだろう。
発酵させると、当然ガスも発生する。缶が膨張しているのはその為で、店頭に並んでいる時点で破裂寸前まで膨張している事もあるとか。
さて、彼女自身は当然の如く、そのシュール缶をドゾするわけなのだが、何せ『最"臭"兵器』の異名を持つシュールストレミング。好き好んで貰ってくれる人は殆どいない。
その為か、彼女はかなり引っ込み思案な性格をしており、ちょっと被害妄想気味。まあ、仕方ない事ではあるが・・・。
服装は白い長袖シャツにサスペンダー付きショートパンツ、襟元に茶色のスカーフ。緑色のショートヘアと眼鏡。頭には大きなシュール缶。
因みに彼女は抜群のスタイルの持ち主。どのくらいかと言うと、シーチキンたんと並べると、シーチキンたんが不憫でしょうがなくなるくらい。

言い忘れていたが、今回彼女が床下で開封したシュール缶は通常の5倍濃縮してある特別製だ。
元より凄まじい悪臭を持つシュール缶が、5倍に濃縮されているのだ。結構鼻の良いしぃ族には、まさに地獄だろう。気絶するのも分かる。
彼女は懐から細長い針の様な物を取り出した。よく見るとそれはコンビーフを開ける際に使用する鍵だった。
十数cmと結構長く、先は本物の針のように鋭く尖っている。正確には『鍵を模した針』ということか。
彼女はそれを握ると、すぐ近くに居たアフォしぃの傍らに座る。そして、その首を軽く手で支えて起こした。
針をしっかり握り直すと、先端部分を気絶して動かないしぃの首の後ろ側にあてがった。次の瞬間―――

プスッ!

994 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 01:19:03 [ v.b8oWzo ]
首元へ針が突き刺さった。体内へと侵入した細い金属製の針は、一気に皮膚を貫通して脊髄まで到達、それを刺し貫いた。
刺されたアフォしぃは、一瞬体をビクン!と震わせてから、くったりとしてしまった。もう動かない。
シュールたんは動かなくなった事を確認すると立ち上がり、別のアフォしぃの傍らに座る。
そこからは、同じ作業の繰り返しである。傍らに座って、首を持ち上げ、針を脊髄へ突き刺す。アフォしぃは気絶したままあぼ〜ん。

プスッ!
プスッ!
プスッ!
次々と、確実に彼女はアフォしぃを仕留めていく。
プスッ!
プスッ!
プスッ!

やがて、全てのしぃに針を突き刺した。部屋の中、動く者は自分を除いて誰もいない。
シュールたんは緊張を解すかのようにふーっ、と長く息をついてから、そのままその部屋をそっと出て行った。


「お姉ちゃん!」

小声で後ろから突如として呼び止められたシーチキンたんは、くるりと振り返った。
見れば、笑顔のコンビーフたんが駆け寄ってくる所であった。
先程までとは違い、足音も普通に立てている。それは無用心では無く、『残りは皆が確実に仕留めてくれただろう』という信頼の表れだ。
溢れんばかりの妹の笑顔に、彼女は微笑みで返す。

「お帰り。以外に早かったじゃない」

ちょっとからかう様に言ってみせると、コンビーフたんはどうだ!と言わんばかりに胸を張る。
その様子にまたも微笑を浮かべていると、廊下の奥からシュールたんも帰ってきた。

「ごめんなさい。少し遅くなっちゃった・・・」

頭を下げる彼女に、シーチキンたんは「気にしない!」と笑顔を返す。
ほっとした表情のシュールたんは、重ねて2人に尋ねた。

「あれ・・・タラバちゃんは?」

その問いに答えたのはまたもシーチキンたんだ。

「さっきからいるわよ・・・ここ」

そう言って自分のすぐ背中の後ろを親指で示す。すると、彼女の後ろからひょっこりと小さな姿が現れた。
「なぁんだ」という表情を浮かべた2人を見てから、再び彼女は口を開いた。

「じゃあ、これでお終いね。後は、帰ってお母さんに報告を・・・」

そこまで言いかけた所で、彼女のスカートの裾がくいくいと引っ張られた。
見ればそれはタラバたんで、何やら首をふるふると振っている。

「どうしたの?まさか、まだ生き残りがいるとか?」

彼女が問いかけると、タラバたんは「・・・こっち」と呟き、廊下を歩き始めた。3人が慌ててそれに続く。
歩き続けた4人は、焼け焦げた部屋の前を通過する。タラバたんがビームで中のアフォしぃごと破壊した部屋だ。
「うわ〜・・・派手にやったねぇ」と姉達が口々に呟くとタラバたんは頬を赤らめたが、歩みは止めない。
やがて、何やら納屋のような扉の前に辿り着いた。そこだけ他の扉とは明らかに造りが違う。
タラバたんが扉を開けると、中には少し広いスペースがあり、人が入れる。物がそこかしこに雑多に積まれている。
クエスチョンマークを浮かべる姉達をよそに、彼女は足元に落ちていた書物をどけた。すると、そこだけ少し四角いラインが入り、へこんでいる。
彼女はそのまま、無言でそのスペースを下に押し込んだ。カチリという音。すると・・・

ギギィィィィィ・・・

木が軋む音が響き、突然、少し開いていたスペースの床が持ち上がった。覗き込むと、奥には階段が続いている。

995 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 01:20:50 [ v.b8oWzo ]
「隠し部屋・・・」シュールたんがそう呟くと、タラバたんは頷いた。

「すごいじゃん。いつ見つけたの?」

コンビーフたんの問いに、彼女は小さく、

「・・・さっき」

と呟いた。

「これは確実に何かあるわね・・・よし、行ってみようか」

シーチキンたんを先頭に、4姉妹は決して広くは無い階段を下りていった。そのまま、姉妹の順に。
一歩降りるたびに、とすっ、とすっ、と足音が響く。
どれくらい降りただろうか、不意に先頭のシーチキンたんが「静かに!」と小さくも鋭く言った。
4人が耳を澄ませると―――奥から声のようなものが聞こえて来る。
そのまま静かに、階段を下りきった。扉が2つある。正面と、右。
コンビーフたんが、まず正面の扉を開いた。すると、そこには―――

「・・・うわ・・・」

誰かが呟いた。それもそのはず、そこにあったのは、見渡す限りの食料品の山、山、山だったからだ。
その中には近所のスーパーで見慣れた商品も沢山含まれており、アフォしぃ共が住民から略奪した物だというのは一発でわかった。

「これは後で運び出すわよ・・・その前に、もう1つの扉を」

長女の号令に従い、姉妹は部屋を出る。そして、息を軽く吸い込んでから、シュールたんが扉を開く。
そこには、何も無い部屋の中央に、簾(すだれ)で仕切られて、畳で一段高くなったスペースが設けられていた。
スペースの中には布団が敷かれており、誰かが寝ている。時代劇なんかで見る、『姫君様の寝室』といった感じか。
だが、そのスペースの中から聞こえて来た寝言は、そういったイメージからはあまりにかけ離れた物だった。

「ムニャムニャ・・・ダッコ・・・モット、ダッコォォォォ・・・ハニャァァァァン・・・」

―――唖然。呆然。4人が浮かべた表情は、まさにそれ。
こんな豪勢な寝室に寝ているのだから、どんなVIPかと思えば・・・アフォしぃですかい。まあ、当然といえば当然か。
恐らく、このアフォしぃは作戦総指揮等を担当しているのだろう。だから、階級も高いらしい。よって、姫君の如き扱いを受けている、と。
―――だが。4人にとっては階級なぞ関係無かった。それどころか、言わばこいつが『元凶』。容赦の余地など無い。
シーチキンたんが乱暴に簾を捲って中に侵入を果たす。3人もそれに続く。
そのまま彼女は、大声と共に馬鹿面引っさげて眠りこけるアフォしぃの首領を蹴り上げた。

「起きんかい・・・このアホンダラッ!」

ドガッ!

「シィィィィィィィィ!?」

脇腹を蹴り上げられた衝撃によって、お決まりの悲鳴と共にしぃが跳び起きた。
そのまま少しの間、呆けた表情で辺りを見渡していたが、目の前の四姉妹―――しぃ達にとっては不審者の姿を捉えると、急に叫びだした。

「ハ、ハニャッ!?ナンナノヨ、アンタタチ!チョット!ハヤク コイツラヲ ツマミダシテ アボーンシナサイヨ!ダレカイナイノ!?」

手下を呼ぼうとするしぃ。当然、反応は無い。

「シィィィィィィ!?ナンデ ダレモ コナイノヨッ!シィチャンノ メイレイニ サカラウヤシハ ギャクサツチュウ ナンダヨッ!」

ヒステリックに叫ぶアフォしぃに、シーチキンたんが笑いながら声を掛ける。

「命令を聞いてないんじゃなくて・・・命令を、聞けないんじゃないかなぁ・・・?」

「ナニヨソレ!ドウイウ イミナノヨ!」

996 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 01:21:20 [ v.b8oWzo ]
その言葉に答えたのはシュールたん。

「早い話がですね・・・貴方の部下、1人残らず殲滅させて頂きましたので、そのつもりで」

敵に対しても丁寧口調なのが彼女らしい。
当然、それを聞いたアフォしぃは怒り顔。

「ハニャァァァァァ!?ダレガ ソンナコト シンジルノヨ!ギャクサツチュウノ イウコトナンカ・・・」

「別に、信じようが信じまいが勝手だと思うけどねぇ・・・」

コンビーフたんが、呆れ顔でしぃの台詞を遮る。タラバたんがそれに続く。

「どっちにしても、やる事は変わりないんだから・・・ね、お姉ちゃん」

「ハ、ハニャァァァァァ・・・」

アフォしぃはすっかり意気消沈したご様子。

「さ〜て・・・覚悟はよろしくて?」

パキン、と指を鳴らしてシーチキンたんが言い放つ。
アフォしぃはその剣幕に押されて何も言えない―――と思ったが、何やら様子がおかしい。
視線は彼女達の方向を見つつも、右手をなにやら布団の下にごそごそと這わせている。
そして、何もアクションを起こさないしぃに4人が微かに疑問を抱いた、まさにその瞬間。
がばっ、とアフォしぃが急に立ち上がるや、いつの間にかその手に握っていた棍棒を振り上げたのだ。

「ゴミクズドモハ、サッサトシニナサイッ!」

叫びと共に、アフォしぃが棍棒を振り下ろす。突然の行動に、4人は面食らった表情を浮かべた。
普通の人間の思考回路はともかく、アフォしぃの思考回路の場合、こういう時に真っ先に狙うのは『一番弱そうな奴』。
卑怯な事を当たり前だと思うアフォしぃならではの思考。当然、奴の攻撃も、4人の中で一番見た目弱そうな人物―――つまり、タラバたんに向けられる。

「危ないっ!」

3人の内の誰かが叫んだ。勝ち誇った笑みを浮かべるアフォしぃ。恐らく彼女の脳内では、その棍棒の一撃が相手の頭蓋を砕いている様子が上映されているのだろう―――が。
タラバたんはあくまで冷静だった。彼女は微かに体を後方へ反らすだけで、その棍棒をいとも容易く回避してみせた。
それだけではない。体を反らしている最中だが、彼女の頭部の蟹缶が光を放ったのだ。

ビシュッ!

短い音。そして、次の瞬間には―――

ボシュッ!

「シィィィィィィ!?シィチャンノ カワイイ オテテガァァァァァァァ!!」

回避運動の最中に彼女が放ったレーザーは、しぃが棍棒を握っていた右手の手首を確実に吹き飛ばしていた。
悲鳴と共に、無くなった右手から鮮血を撒き散らすしぃ。真っ赤な液体が、足元の布団や簾を染めていく。
だが、アフォしぃの苦痛がこれで終わるかと思いきや、世の中そんなに甘くも無い訳で。

「ハニャーン!ハニャーン!シィチャンノ オテテェェェェ!オテテガ、オテテガ・・・ハギャッ!?」

悲鳴を上げ続けるしぃの顔面を、般若の如き形相でシーチキンたんが鷲掴みにした。所謂『アイアンクロー』というやつだ。

「あんたねぇ・・・私の妹に怪我させようとした罪は・・・シーラカンスの住む深海よりもなお深いのよ!
 最初っから許すつもりなんて無かったけど、もう絶対許さない・・・覚悟しなさいっ!」

百獣の王・ライオンですら尻尾を巻いて平伏する程の威圧感。凄まじい激怒のオーラ。
鷲掴みにされたしぃの顔面の骨が、みしみしと悲鳴を上げる。このままでは確実に砕けるだろう。
彼女はそのまま、捲り上げておいた簾からアフォしぃを引きずり出した。

997 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 01:21:45 [ v.b8oWzo ]
バァン!バァン!

「ジギャァァァァァ!ヤメテェェェェェェ!」

何かを叩きつけるような豪快な音と、アフォしぃの悲鳴が宵闇を切り裂く。
あの後、激情に駆られたシーチキンたんに顔面を掴まれたまま地上まで引きずり出されたしぃは、何度も何度も廊下に叩きつけられていた。
掴まれたままの顔面には彼女の指がめり込み、恐らくひびくらいは入っただろうか。体は言わずもがな、両腕と片足があり得ない方向へ曲がっている。

「まだまだぁ!こんなものじゃ済まさないわ・・・よっ!」

グシャッ!

叩きつけるのを止めたかと思えば、彼女は無事だった左足を踏み潰してみせた。

「シギィィィィィィ!?シィチャンノ カワイイ アンヨガァァァァァァァァァァ!!!イタイヨォォォォォォォォォォォォォ!!!!」」

しぃが悲痛な叫び声をあげるが、そんな事で今更攻撃の手が緩む事も無さそうだ。
怒りが収まらないらしいシーチキンたんは、今度はアフォしぃの首を両手で締め上げた。

「五月蝿い!こんな夜中に、近所迷惑になるでしょーがっ!」

「ア・・・ガァァァ・・・ギィィ・・・・」

首を万力―――いや、それ以上の力で締め上げられるしぃは最早言葉一つ満足に発する事も出来ない。その眼から、命の光が確実に消えていく。
傍観していた残りの姉妹達も、自分達の姉が滅多に見せない凄まじい程の怒りにただただ唖然とするばかり(ちょっとした怒りなら飽きるほど見てきたがw)。
やがて彼女は、締め上げていたしぃを思いっきり地面に叩きつけると、一旦怒りのオーラを消してから、

「そろそろフィニッシュにしようかな・・・タラバ、お願い」

タラバたんを呼ぶ。いきなり呼ばれた彼女は少しばかり驚きつつ、姉の下へ駆け寄る。
シーチキンたんが足元で呻きを上げつつ転がるアフォしぃを顎で示すと、それで全てを察したらしい彼女は、頭部の缶へのチャージを開始する。
光が強くなり―――そして。

パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!

―――4連射。
発射音で聞こえなかったが、グチャ、だか、ブチュ、だかの効果音と共に、しぃの四肢が根元から吹き飛んだ。見事なダルマさん。

「シヒィィィィィ・・・シヒィィィィィ・・・」

最早定型句である「シィチャンノ カワイイ オテテー!」といった台詞も出て来ない。どうやらそろそろ限界のようだ。
同じように考えたのか、シーチキンたんもそれ以上の打撃を加えず、しぃの首根っこを掴んで持ち上げる。

「オナガィィィ・・・、モウ・・・ユルシテェェェ」

微かな哀願が聞こえたが、彼女が返したのは至極真っ当、それでいて冷凍鮪よりも冷た〜い返答。

「・・・今更遅いっ!そんな事言うなら、初めから人様に迷惑かけるな!」

言い切ると同時に、彼女は達磨と化したしぃを高く高く放り投げた。
上昇するしぃは頂点で一旦静止した後、失った四肢から噴き出す鮮血を纏いながら落下してくる。
それを確認した彼女は、どこからか取り出したあの巨大鮪を担ぎ上げた。
やがて落ちてきたしぃが、彼女の頭上、目の高さ、とどんどん下降してくる。その一瞬一瞬が、何だかスローモーションに思える。
シーチキンたんは、しぃが自らの腰の高さまで落ちてくるタイミングにぴったり合わせて、己の腕に握りし鮪を全力で振り抜いた。

カ ッ ッ ッ キ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ィ ン!!!!

本日一番の快音が、夜の空気を震わせた。姉妹達も思わず「おぉ〜・・・」と呟く。
夜空へと吸い込まれていくしぃのシルエットがやけに小さいと思ったら、それは首だけで、胴体の部分は彼女の数m先にドサリと落下してきた。
まるで彗星のような、或いは打ち出されたライフル弾のような勢いで夜空を駆けるしぃの首は、やがて文字通り『星になった』。
もっとも、アフォしぃなんぞの首如きが、夜空を賑わせる美しい星達の仲間入り出来たなら、の話だが。

―――チャラーラ ジャン!(脳内BGMここまで)

998 名前:へびぃ 投稿日:2007/04/12(木) 01:23:11 [ v.b8oWzo ]
あの後すぐ、四姉妹は闇に紛れつつ帰宅した。
翌朝、数人の若者がいつものようにアフォしぃ共が出て来ないのを不審に思って、思い切って屋敷に侵入した所、庭で胴体のみとなったアフォしぃの死体を発見した。
若者の通報で警察と軍が屋敷へ突入した所、屋敷中あちこちで朽ちているアフォしぃ達を発見。
頚椎損傷、脳挫傷、窒息、爆死等など死因は様々だったが、捜索の結果アフォしぃ達は全滅していた事が判明した。
こうしてこの町はアフォしぃの暴政より開放され、住民達は再び好きな物をお腹いっぱい食べられる生活を取り戻したのだった。
―――そして。


「コンビーフ、ドゾー!」

屋敷(現在は調査の為立ち入り禁止)の前で、コンビーフたんはやはりコンビーフを配っていた。

「ありがとさん」

ギコ族の青年が、それを受け取る。すると今度は、

「あ、あの・・・シュールストレミングも、よ、良かったら・・・どぞ」

その隣で、消え入りそうな声でシュールたんがシュール缶をおっかなびっくりといった感じで差し出す。
彼は『シュールストレミング』の名を聞いてギョッとした表情を浮かべかけたが、シュールたんの今にも泣きそうな顔を見て、苦笑にも見える笑顔を浮かべた。

「あ、ああ・・・有難く貰う事にするよ」

そう言いながら、差し出された缶詰を受け取る。今まで殆ど受け取って貰えなかったのだろう、彼女の顔がぱっと輝いたのを見てから、彼は去って行った。
去り際に、「これ・・・どうやって調理しようか・・・」という呟きを残していったが、彼女達は気付かなかった。
と、その時だった。

カッキィィィィィィン!!

青空に鳴り響く快音と共に、少し離れた場所から1人のAAが地上より打ち出され、空の彼方へと消えていくのが見えた。

「うっひょ〜!よく飛ぶねぇ」

コンビーフたんがはしゃぐ。その横で、シュールたんはため息。

「あ〜あ。またお姉ちゃんに何かいけない事言ったのね・・・」

2人は揃って、大空へと吸い込まれていった若きAAへ向かって、心の中で合掌した。
その他にも、屋敷の前では奪われた食料が配給されていた為、多くの住民が集まっていた。
昨日まで絶望すら浮かんでいた人々の顔には生気が戻り、笑顔で食料を受け取っている。
タラバたんもその中にいた。幼稚園の友人や先生と一緒に、貰ったおにぎりを笑顔で頬張っている。やはり彼女も相当空腹だったのだろう。
プリンを食べたがっていた軍人3人組も居る。隊長らしき女性と隊員のギコが、凄まじい形相でプリンを奪い合っている。
最早階級の違いなどあったものでは無い。隊員のモナーが、呆れ顔で2人のプリン争奪戦を眺めていた。
その時コンビーフたんは、食料を貰おうと並ぶ人々の中に、昨日コンビーフをあげたちびギコの姿を捉えた。
彼の顔はとても生き生きとしていて、希望に満ち溢れている。隣にいる母親らしきしぃ族の女性を気遣いながら、列に並んでいた。
その顔を見たコンビーフたんは、ぽそりと呟いた。

「・・・やっぱさ。食べ物は大切にしなきゃね」

それを聞いたシュールたんは、その通り、と言う様に笑顔を投げかける。

「よーっし!今日はいつもより余計にドゾするぞーっ!」

気合を入れなおしたコンビーフたんは、両手にコンビーフを構えると、風よりも早く駆けていった。
そして、目に付いた人に手当たり次第、コンビーフを配っていく。

「コンビーフドゾー!ドゾー!ドゾー!」

彼女の姿が人込みに見えなくなっても、彼女の声はしっかりと届いた。
まるでレーザー光線のような速さで駆けずり回りながら、彼女はコンビーフを配っていく。
シュールたんはそんな妹の姿に再び微笑みを浮かべてから、こちらもなかなか減らないシュール缶を配り始めた。


『コンビーフ、ドゾー!!』



皆さんも、食べ物は大切に―――。


【終劇】


※この作品はフィクションです。実際の『朝まで起きてたのに・・・』スレッドとは、一切関係ありませんよ〜。

999 名前:cmeptb 投稿日:2007/04/12(木) 09:12:05 [ 15mHN0Y2 ]
「なぁギコよ。もうこのスレも終わりだぞ」
「ナ、ナ、シッ、シィィィィィィ!?」
モララーがアフォしぃの顔面に、深々とストレートパンチをぶち込むと
「……思えば2004年8月設立以来、2年とちょいか。長かったなぁ……」
「チョットギコクン、何ブツブツ言ッテンノ! 早クダッコ…ブベッ!?」
そう呟きながらギコは、右手方向から向かってくるアフォしぃに
顔を向けることなく裏拳をたたき込んだ。それも、顔面に正確に。
「色々な職人さんが来て、去っていった。まぁ去っていった人の
 数の方が多いのが、悲しいところだが………」
尚も迫り繰るアフォしぃの大群を回し蹴りで一蹴するモララー。
アフォしぃとはいえ、10匹以上を一気に彼方へと蹴り飛ばす。
「なーに。RHOr氏やいつぞやのナヒャ氏みてーに戻ってきてくれる
 人もいるかもしれねーだろ。そう悲観しなさんなって」
ギコはため息を一つ漏らすと、今度は突進してきたしぃを軽やかに
避け、通り抜けざまに首をねじ切った。
「まぁそうだよな。そう言う可能性もあるんだよな!
 よーし、パパ張り切っちゃうぞー!」
すると言葉通りに元気になったモララーが、強烈なアッパーカットで
アフォしぃの体を次々と宙に舞い上がらせる。

「やれやれ。次スレはどうなることかね。ところでモララーよ!
 残りが少なくなってきたから、今から半々にしよーぜ!」
「む。確かにあと数十匹ってとこか。おっけー!」
モララーとギコがにやつきながら向かってくる一方、アフォしぃたちは
先ほどまでの威勢の良さはどこへやら。かたかた震え始める。

「ギ、ギコクン? コ、コココンナノマターリジャナイヨ? ヤ、ヤメテ……!」
「俺にとっちゃ、お前らが怯えるその様子が一番のマターリなの」
「ホ、ホラ、ダッコスルカラ……タスケテェ!!」
「却下。しかし所長と副所長権限のこのお遊びも長いことやってきたなぁ
 ギコよ。このお遊びだけで通算どれだけぶち殺してきた?」
「そうだな……、お。ここにいるのを皆殺しにすりゃちょうどあれだな。
 スレッド終了の数と一致すんぞ。どういうわけかちょうどな」
「そりゃいい! どういう偶然かは知らないけど、こんな機会は早々ない!
 有り難くちょうだいすると致しますかね!!」
「あーよ。最後の一匹は二人同時で殺そうぜ。いつぞや開発した
“サンドイッチ掌底”でな」
「おっけぃ! ほんじゃ行くぞ!」
二人はいつの間にか最後の一匹となったアフォしぃを挟み撃ちにするような
位置に立つと、奇妙な構えを取った……

1000 名前:cmeptb 投稿日:2007/04/12(木) 09:38:19 [ 15mHN0Y2 ]

「タ、タスケテ、ヤメテ………」
「だから却下だって言ってんだろ。大人しく氏になさい!」
モララーがアフォしぃの前方から、何故か拳ではなく掌底で打撃を繰り出すと
同時にギコもアフォしぃの後方から掌底を繰り出す。

二人の打撃は、見事なまでに同時にアフォしぃにぶち込まれた。
「ベ、ベベベベッ、グギャア!!」
奇妙な悲鳴を上げるアフォしぃ。二人の打撃で顔面がどんどんめり込んでいく。
二人の掌がしぃの顔面に、前と後ろから完全に陥没すると……

ガッ!!

突然アフォしぃの体が、大きくびくんと揺れた。

「次スレでも頑張るぞ、ギコ!」
「おーよ! よろしく頼まぁ!」

二人は晴れやかな表情をすると、アフォしぃに突き刺した手を上下に振り始めた。

握手

この伝統的な挨拶とも言える表現すらが、彼らにとっては虐殺の手段にもなり得る。
二人同時にしぃの前と後ろから掌底をたたき込み、貫通して、二人の手がしぃの
頭の中で触れ合ったとき  握手。
がっちりと握手してぶんぶんと上下に振られれば、文字通りに顔面や脳味噌が
かき回される。二人の息が合っていないと実現不可能な、まさにコラボだ。

「さってーと! ほんじゃ行きますか!」

モララーとギコはずるりと崩れ落ちたアフォしぃの死体を後目に
互いに手を振り払いながら、部屋をあとにした……
彼が手を、アフォしぃの鮮血を振り払ったそこには故意か偶然か、ある文字が。

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思えばここまで、長かったよーな短かったよーな……
オイラがここに巣くい始めてから3年くらいになりますが
当時はまだ小説スレはPart2でした。
そして今や、Part4に差し掛かるところ。ゆっくりながらも
皆様のおかげで進んでいったのですね。
ウェーイ。オイラは管理団ではございませんが、一言。多謝!!

     ∨   ./\        
    /⌒\/ ̄\\
   (Д ))⌒    .)ノ
    0 と) )      
  //cmeptbヽ

マァ、ンナコト言ッテルケド、マダ何モ終ワッタワケジャナインダヨナ
次スレデモ「神ト家畜」ヲ始メトシテ、出来ル限リ作品投下シテイク
ツモリデスンデ、ヨロシコ。

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