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淡々と体験談を記します

1ゆり:2016/07/12(火) 14:05:34 ID:cX4ikqPQ0
私の体験談です。タイトルは自由につけてください。
洒落怖で拝見するような、すべての事に辻褄があるような話ではないのでどこから話せばよいかわかりませんが・・・。一応、私の中ではひと段落したので淡々と書かせてもらいます、怖くないかもしれません。

私には年の離れた姉がいます。私が当時中学2年生の14歳、姉は21歳大学生。姉は釣り目でクールビューティな装い(栗山千明と武井咲を混ぜたような顔)で、性格もサバサバしていて、私の中ではかっこいいとかわいいを兼ね備えた人でした。
姉は、私の家系のなかで唯一霊感があり、彼岸には亡き祖母の霊を見たと話を聞きいたことがあります。

私はというと、まったくありません。
一度、線香をあげて合掌した瞬間に昼間なのに停電したくらいで。それも正直言って因果のわからない事例なので、霊体験としてはノーカウントとなりました。

その日は何の前触れもなく、いつもと変わらない金曜の夜でした。

2ゆり:2016/07/12(火) 14:06:17 ID:cX4ikqPQ0
姉が私の部屋にやってきて言いました。
姉「あれ?ゆり(私の名前)じゃないの?」
唐突な会話は家族なので仕方がありませんが、質問の意味が全く分かりませんでした。
私「何が?」
姉「いや、なんでもない。だれか音楽でもやってんのかなって。」
姉曰く、どこかから音がする、管楽器の練習をしているような音が遠くから聞こえてくる。
とのことでした。

私は聞こえなかったので「テレビじゃない?」と言っておきました。
姉は「そうかな」と言って部屋を出ようというそぶりを見せましたが、突如その場にとどまり、そのまましばらく立ち尽くしていました。
私は不思議に思ったものの、特に言葉を掛けませんでしたが、姉はようやく
姉「もしかしたら、明日ゆりの部屋にいるかもしれないから」と、入室宣言をしました。
私たち姉妹の仲では、漫画などお互いの部屋で居座りながら時間を過ごすことは日常茶飯事です。
一応プライベートの空間なので、先に断りを入れるのが中学生の頃からのルールで、それを「入室宣言」と呼んでいました。すいません、話が脱線しました。

いいよ。と返事をしたところで、姉は部屋を出ました。
なんだか、とても懐かしいようなそれでいて緊張感のある雰囲気を感じました。

3ゆり:2016/07/12(火) 14:06:54 ID:cX4ikqPQ0
その夜、私は夢を見ました。と言っても、夢は起きてからすぐに消えてゆくもので、海水が波打ち際で砂に浸透していくような感覚になります。
ですから、あまり明確ではないですが記しておきます。
私の部屋に勉強机があり、いつも通りそこに座って携帯(現実では持ってません)をいじっていました。
紙のめくれる音がしたので振り向くと、学校の教室で本を読む私の姿が風景としてあらわれました。
紙のめくれる音は、そこからしたのだと思って手に持っていた日記帳(最初携帯を持っていましたが、夢補正です)を手に風景の方へ行こうとします。
椅子から立ち上がろうとすると、急に世界は暗転します。あたりを見ていると、暗闇の底(?)から、知らない人の顔が見えました。私のことを見ています。
段々、その人の顔がはっきり見えてくるのは近づいてきているからでしょうか。恐怖と感じたらよいのか、変な緊張感のまま私はその顔を見つめたままです。
白い顔、知っているわけがない。人じゃなくて何かだと分かった時、急に泣き出したくなりました。

4ゆり:2016/07/12(火) 14:07:40 ID:cX4ikqPQ0
目がはっと開いて夢の存在を確認すると、私は汗で寝巻が濡れていました。敷布団まで湿っている始末でした。一度、部屋の照明をつけて適当な服に着替えなくては。照明のリモコンを手探りで探していると、照明がチカチカと不定期に灯いたり消えたりしました。
何事かと、まだ夢の続きを見ているのではいかと思いました。しかし、汗の不快な感触が現実を証明しています。何も考えられない時間が何秒かかったかわかりません。とても長い時間がたった気がします。

とにかくリモコンを探しました。
(思考停止していたので、こんな単純なことをひねり出すまでに時間がかかりました)

リモコンは枕元に置いてあるはずなので、すぐに取れるのですが寝相のせいかベッドから落ちて床にありました。リモコンに手を伸ばして取り上げると、その暗明の移り変わる間に、ベッドの下の方から丸く白いものが一瞬視界に入りました。流石に私も恐怖を感じ、逃げるように飛び起き、手に持っているリモコンの点灯ボタンを連打しました。
すぐに明るさを取り戻した私の部屋は、普段と変わらずに沈黙しています。

霊感ないはずなのに…。本当に霊なのか?という訳の分からない思考と共に、恐怖が覆って涙が出そうでした。

すると突然、部屋のドアをノックされました。それについては、もう涙が止まらずに、その場で目をつむってじっと動かないようにしていました。夢に出てきた勉強机や、白い何かの見えたベッドには近づきたくなかったのです。
「ゆり?」
姉でした。足の力が抜けました。
ドアに向かって走り、内カギを開けようとしましたが、鍵が動きませんでした。当惑している私の視界に、またもや白い丸い何かをとらえてしましました。視界の右端、私の顔の高さと同じ場所で。白いモノの中に、黒いパーツが見えました。夢で見た顔と判断せざるを得ませんでした。

5ゆり:2016/07/12(火) 14:08:17 ID:cX4ikqPQ0
「お…」
本当は「おねえちゃん」と言いたかったんですが、言葉にならなかったのを覚えています。
見てはいけない、見てはいけない…鍵に意識を集中して何度もガチャガチャと動かしていましたが、びくともしません。恐怖が勝り、思い切り目をつむりました。

その時、落ち着いてゆっくり外せという言葉(詳細は覚えてません)が聞こえ、ゆっくりとカギをスライドさせたところ、カギは開きました。

安堵し、ドアを開けようと目を開いたその時、視界の中央右側。
視界にとらえるどころではなく、例の顔が私を覗きこんでいました。
完全に目があいました。

ほぼ同時に、ドアを開けてくれた姉に視線を向けた直後には、もうその顔は消えていました。
姉に抱き付くようにすがった私ですが、姉も同様に体中を汗で濡らしていました。

「何があったの?」
と聞かれましたが、私は泣いていました。
とりあえず、姉と一緒に着替えをしました。リビングに移動し、怖いからと言って深夜番組を付けながら先ほどのことを話しました。

6ゆり:2016/07/12(火) 14:08:48 ID:cX4ikqPQ0
姉は姉で、起きた時にはもう汗がひどかったそうです。夢を見たかという話ですが、私が出てきたくらいで覚えてないそうです。起きた瞬間に耳鳴りがして、管楽器のような音がその中でずっと聞こえていたみたいです。
寝る前に私の部屋で察知したなにかというものはわからずとも、この状況ではきっと私の身に何かあると思ったのだそうです。
姉「何かいるよね。なんだろうね。何が原因なんだろうね。」
とじっと一点を見つめるような真剣な表情で考え込んでいる姉でした。私はというと、何が何だか分からずしどろもどろしていた記憶があります。
ここでようやく時計を見たのですが、深夜3時でした。寝るに寝れないので、私はリビングにあるTVゲームを取り出して気を紛らわせる事にしました。視界の片隅で白いモノが映り込まないかどうかずっと不安でしたが、とにかく集中してプレーをしました。
(たしか、ぷよぷよフィーバー)
姉は、最初ゲームに付き合ってくれましたが途中からソファで考え事をしているようでした。気づけば5時になり、外も薄明るくなっていました。振り向くと姉は座ったまま寝ていました。寝ている顔は妹の私が言うのもなんですがとてもかわいらしかったです。その顔に安心して、私も姉と寄り添うように寝ました。

7ゆり:2016/07/12(火) 14:09:18 ID:cX4ikqPQ0
ここまでのお話を読み返すと、なんか姉妹の絆のような話ですが。
というか、私が姉のことをとても慕っている様子がメインになってしまって申し訳ないのですが、姉に対する感謝の意が絶えずつらつらと書かせていただいています。

中編です。

朝7時頃、リビングでテレビをつけっぱなしで寝ている姉妹に対し、母からの痛烈な皮肉を浴びました。
朝食とシャワーを済ませた私達は、母には事情を話さず、掃除をしたいからと言って母と姉と3人で私の部屋へ入りました。母は、布団を干しなさいと、私の布団をベランダに持っていこうとしました。敷布団を持ち上げたところで私のベッドの下から何かが光りました(姉からの話なので実際光ったかどうかはわかりません)。私は姉の後ろに隠れていましたので、よくわからなかったのですが、姉がその物を拾い上げました。
そこには、手帳がありました。全く身に覚えのない手帳です。

姉「ああぁ」
と、なんだか溜息のような声を上げたかと思うと、すぐに手帳を床に落としました。
姉「なんでだろうね、何が原因なんだろうね」
姉はとても悲しい表情でした。

8ゆり:2016/07/12(火) 14:10:04 ID:cX4ikqPQ0
小学生くらいが持っていそうな手帳、シールを貼ってデコレーションしてある。とても上手とは言えないけれど。ほこりまみれになっています。
近づいてみると、「2-3 ●●(苗字)えみ」と名前が書いてありました。
知らない人の手帳です。

姉が、その手帳をもう一度拾い上げ「少し待ってて」と言い、部屋を後にしました。
自分の部屋なのに取り残されるという感覚はあまりいいものではありません。何かがまだ浮遊している気がして…。
しばらくして、姉が母を連れて帰ってきました。

母は、事情を聞いたのか、神妙な顔で「ゆり、あのね…」と、私にもう一人の姉の存在を教えてくれました。
姉と私の間にもう一人、7歳でその短い命が絶たれた女の子が私のもう一人の姉です。
なぜ、私がこのことを知らずにいたのかという話はあまりこの場で話すのもはばかられるのですが、腹違いだったそうです。詳細はあまり書かないでおきます。

私は何も知らず、ただただのうのうと暮らしてきました。きっと、家族が余計な心配をさせないように配慮したのでしょうけど私には悔しくてたまりませんでした。家族の距離が、大好きな姉との距離が少し遠くなったような気がしました。
 交通事故で無くなったそうです。形見は全て燃やそうとしたらしく、それでもまだ手帳(日記帳)は忘れられたまま今日まで私のベッドの下にあったのです。なんでそんな大事なものが私のベッドの下に?という疑問は誰にもわかりません、「縁」という事にしておこうと思います。

9ゆり:2016/07/12(火) 14:10:35 ID:cX4ikqPQ0
夢に出てきた手帳は、これだったのかな?とも考えましたが、あまり合点のいかないとこが多かったです。あの白い顔が私を恨んでいるのか、好意を抱いているのかも分かりません。

姉は、その手帳の中身を読んでいました。
姉「私より霊感のあるのはえみだったんだ。」
とつぶやいて、あるページを私に開いて渡しました。
今手元に持っていますのでそのまま書き写します。
『「白いくも」
白いくもはおへやに入って来れるのですごいとおどろきます。
私(もともと何か書いてあって消された後?)のくもはペットかな?でも、犬によくほえられます。
かなしいときはちょっとこわい、うれしいときはくものままです。
わたしがねるとき見てきます、いちばんこわい、つれてくのか?な
いまからおねえちゃんと遊び(「遊」という字が間違っている)に行こうとおもいます。』
その下に、明らかに大人の字で
『震える』
と書かれていました。

10ゆり:2016/07/12(火) 14:11:10 ID:cX4ikqPQ0
昨日私の見たものは姉の、えみの顔ではないのでしょうか?
えみにも私と同じものが見えていたのでしょうか。そして、「震える」と書かれた文字が何を意味しているのか。
正直、私はその時非常に混乱してしまい家を飛び出してしまいました。
しばらく考えました。なんで昨日なのだろうか、昨日がえみの命日であったとか、手帳が現れたのが昨日だったのかとか。そもそもあの顔は誰なのかという解決しようもなさそうな内容ばかりです。漫画喫茶に生まれて初めて入ったのもこの時でした。インターネットでオカルト系のページを覗いても類似するものはありませんでした。

夕方まで仮眠をとって、家に帰りました。

姉は、大学でゼミがあるということで少し遅くなると母から聞きました。
母は、以外とケロッとした態度でしたが無理をしているのでしょう。
このまま自分の部屋に戻りたくなかった私は、入室宣言をしないまま姉の部屋に居座ることにしました。

本棚から漫画を物色していると、本の並べられた奥の壁に、小さな手帳の一部が覗かせていました。
えみの手帳に少し似ています。「3-1 ゆみ(姉の名前)」と書かれていました。
恐る恐る開いてみると日記帳となっていました。
日常の取り留めもない内容でした。(すいません、今回はモノがないので詳しくは書けません)
その中には当然、生前の妹えみと遊んだであろう内容の物が記載されているはずと思っていました。ですが、えみという名前は一向に出てきませんでした。

11ゆり:2016/07/12(火) 14:11:50 ID:cX4ikqPQ0
よく見てみると、文章を消しゴムで消したであろうページがいくつか確認できました。
理由は分りませんが、えみに関する内容なのでしょう。私は、鉛筆の芯を横にして、まんべんなく擦り文字を浮かび上がらせました。(10円玉の上に紙を置き、鉛筆で10円玉のある場所を擦ると模様が浮かび上がるやつです。)

いくつかあったので、その一つを抜粋します。(記憶の限り)
「えみちゃんは
いつかきっとセーラムーンになる
タキシードかめんが見える。
もう行くって言ってた。なにが?」
その下に、今度は赤文字で「見えないふりをしなさい」と書かれていました。

ここでようやく閃く私も抜けているのですが、この赤文字の事を母に聞こうと思いつきました。
階段を駆け下りて(私たちの部屋は2階)、母のもとへ事情を聞きに行きました。
母は、「ちょっと待って」と夕飯の支度をしており取り合ってくれませんでした。ですが、強張った表情をしていました。

夕食の支度がひと段落し、改めて母に姉の手帳について聞いてみると。話をしてくれました。
母「当時あの二人は、日記を書いては義母さんにそれを見せて、一言入れてもらうのを喜んでやってたのね。私は日記をちゃんと読んだことはないけど、そんなのが書いてあったんだね。」
それだけ言うと、母は自分の部屋に去ってしまいました。
私は、リビングでその手帳をずっと読み返していました。手帳の最期の方、祖母のコメントには、すこし意味深な言葉が混じっていました。
「呪詛は菊田、アラ・・・(アラビ?アラバ??思い出せないです、すいません)」
なんだか、内容が壮大過ぎて私の今までの体験が、客観的にみられるようになってきました。

12ゆり:2016/07/12(火) 14:12:24 ID:cX4ikqPQ0
今までのまとめとして
・あの顔の正体は不明
・私にはえみという姉がいて、更にあの顔に類似したナニカを日常的に見ている。(死亡)
・ゆみはえみについてよく知っており、ナニカのことも(当時は)気づいていた。
・祖母は、両姉の日記を見ておりその不可思議な内容も理解をしている。
⇒さらに、アドバイスをしてくれいるので元からナニカの存在を知っていた(?)
or知らなくてもアドバイスをしてくれていた。
・母は、相関的な事情を知ってはいるが詳細は理解していない様に見える。

これを書いている私自身、上記の中編は不要かと思いましたが
いわゆる「ネタバレ」が無いので、読んでくださっている皆様に対し、せめてものネタバレ因子として長々と書かせてもらいました。

後編です。

13ゆり:2016/07/12(火) 14:12:59 ID:cX4ikqPQ0
夕飯を食べていると、姉が帰ってきました。
ソファに置いたままにしていた手帳ですが、姉がそれを見つけると、足早にそれを掬うように取り上げては自分の部屋にそそくさと行ってしましました。
まずいことをしてしまったと思って、夕食後姉の部屋を訪問しました。
鍵が開いており、中を見ると電気スタンドのみの明るさの中、手帳を読んでいる姉の姿がありました。その時の表情は、子供の私にとってはとても神秘的でした。やさしい顔、辛い顔、悲しい顔が混じっていました。
私「お姉ちゃん?」
姉「うん」
私「ごめんね?」
姉「うん…今日はこっちで寝る?」
私「うん」

短くて淡白な会話ですがうれしかったです。
数年ぶりに、姉と同じベッドで寝ました。
私は安心しきって、すぐに寝てしまいました。

14ゆり:2016/07/12(火) 14:13:36 ID:cX4ikqPQ0
深夜、今度は何の予兆もなく目が覚めました。
目の前には暗闇が広がっており、薄ぼんやりと家具のシルエットが浮かんでいます。
姉は、隣で規則的な呼吸の中安眠しているようでした。
「い」
という声が聞こえました。
その瞬間に金縛りが起きました、今まで体験したことの無い状況です。よく精神的なストレスが要因とされていますが、当時の私には霊の仕業と考えていました。
金縛り経験者の皆さんは、目だけ何とか動かせるといっています。私の場合は瞬きすらできませんでした。意識か無意識か、それとも別の力が働いたのかわかりませんが足元へ視線が動いていました。ナニカがいました。
私の足元の先には壁があります。しかし、例のナニカがベッドと壁が密着した、あるはずもない空間から顔をのぞかせています。目を見開いてあの時と同様の顔をしています。少し首をかしげた角度で非常にゆっくりと近づいてきました。白さも際立ちますが、青さも見て取れました。怖くて、金縛りが解けているのか解けていないのか分からない。体に力が入りませんでした。心の底で叫びたいですが喉が全く動きません。
昨日のナニカと違うところは、顔のみだけでなく痩せた、そして長細い肢体も見えることです。例えるなら「もののけ姫」で冒頭のシーン、たたり神がアシタカを追いかけてくるような形。手足が異常に伸びて、胴体と顔はベッドスレスレを這う様な格好です。物言わぬナニカはちょうど膝のあたりで止まりました。
ナニカが動きを止めた時、隣で少し動きを感じました。
姉です。姉は上半身を少し上げたかと思うと、体を私の方へひねり、急に顔を近づけてきました。私の顔の真上、キスをされるのではないかという位近い距離で止まりました。その時の姉の表情ですが、先ほど見たやさしい顔ではなく、目を見開いたままの無表情です。というか、別人のような暗く闇のある表情です。姉の髪が顔に触れる感覚、非常に冷たい。(おそらく、金縛りはこの時には解けていたのかもしれません)

15ゆり:2016/07/12(火) 14:14:14 ID:cX4ikqPQ0
私は、少しずつ右手の感覚が戻る気がしていました。正直、その時は恐怖しか感じなかったので何をしようとか、機転のようなものは利きませんでした。その時起こったことを書いているだけです。

右手は、すこしグーの形を作れるようになりました。同時にのどが少し和らいだ気がしました。
「うっ」
と声が出てきました。そして息を整えて
「おねえちゃん」と言いました。
私がその言葉を言い終わる前に、姉は顔を離して上半身を少し上げたままの状態で前を向きました。視界が開けたその時には、ナニカは消えていました。
もう嫌だ、もう嫌だと目をぎゅっとつむっていますと、今度は「はっ」と声が聞こえました。
「ゆり?ゆり?起きてる?」
と、姉の声がしました。
目を閉じたまま私は
「うん」と返事をしました。

電気付けるね、と声が聞こえたとき瞼の向こうからまぶしさを感じました。
少しずつ目を開けると、いつもの姉の部屋がありました。
姉は、青ざめた表情でこちらを心配そうに見ています。
姉「ゆり、何か見た?」
私「…感情が無かった」
姉はきつく私を抱きしめました。
「大丈夫だから」
と言ってくれました。
自身が奇怪な状況にあったということを自覚しての言葉だったと思います。
私たちはこのあともう一度リビングでテレビ番組を見ながら夜を明かしました。

16ゆり:2016/07/12(火) 14:14:46 ID:cX4ikqPQ0
今回の件で、母には引越しの請願をしました。
しかし、簡単にはいきません。女手一つでこの家を切り盛りしているためです。
離婚した父の慰謝料には少し余裕があるということですが、この先のことを考えると確かに現実的ではありません。
お互いの意見にバランスを足した結果、少しの期間母方の実家に泊めてもらうという事で決着がつきました。

姉は、あの時少し表情に影が見え始めました。
日曜の昼、まだ二人はリビングでテレビを見ていました。私は放心状態です。
姉はすこしためらいがちに私を見ながら「今から、お墓参りに行こう」と誘ってきました。
姉の言い分は、とにかく両家・腹違いの母方・えみの墓すべて行って来ようとのことです。墓をきれいにして線香をあげて、一度塩で自分たちを清めてからまた次の墓にとのことです。私はすぐさま賛成しました。母にも話しを持ちかけましたが全く乗り気ではありませんでした。なんとか家から引きずり出し、夕方までに両家の墓参りを済ませることができました。

これで何が変わるのかという所ではありますが、その日の夜はリビングに布団を持っていき、二人で寝ました。何も起きませんでした。
そのまま、一週間義務教育を果たしたところで特別奇怪な事象は顕現せず、なんとか普通の生活をしました。週末には母方の実家に移動しました。
1か月程滞在させていただき、もう一度家に戻りました。大掃除をした後、塩で全部の部屋を清めました。
それ以来もうあのナニカは出てきません。平穏な日々を過ごしています。

しかし、姉の方には時折現れるようです。
朝、リビングで寝ている姉の寝顔は少しやつれたかな?と思わせるものでした。
でも、家族にはいつも通り接してくれています。私もあえて聞きはしません。姉も聞いてほしくないんだと思います。
少し気を遣って「今日はうちの部屋で寝ない?」と誘う位です。笑顔で「大丈夫」と言ってくれるだけで、一緒に寝ることは無かったです。

その頃の私は、いまだ無自覚な子供だったんだと思います。

この話は、私の体験談は、これで終わります。
続きは、もう少し落ち着いたら記そうかなと検討しています。


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