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師弟シリーズ 天狗橋

1木の葉:2016/03/13(日) 18:48:02 ID:.hs6SHEU0
 僕が小学4年生の梅雨時、師匠に連れられて天狗橋という自殺の名所兼心霊スポットに行き、怖い目にあってきた。
師匠が「ここな、夜になると、自殺する霊が目撃されているらしい。」と師匠が言っていたが、僕の耳には届いていなかった。僕は、寝ていたから。
怖かったから、ガチガチに緊張していたのもあって、ウトウトしていたのだった。

 車は、目的の場所につき、「おい、起きろー。」と僕を揺さぶって起こした。「ここ、どこ。」とまぬけな言葉を出して、軽く叩かれた。
「ここが、天狗橋。」と言い、車を降り、橋に近づいていった。見た目は普通の橋に見えるが、夜なので不気味に見える。
分かりきったことなんだが、誰もいない。「自殺したってことは、そこにいる地縛霊みたいなものになって、人を呼ぶ。」と師匠が不思議なことを言った。

 「人を・・・呼ぶ?」僕が尋ねると、「寂しいからだな。一人よりも2人、3人ってな感じで、自殺しない人も巻き込んで、悪霊の巣みたいになったんだ。」
僕は体が震えた。「今は、自殺者がいないが、事故は起きていたりしている。人が通ったみたいな。」怖かった。何が怖いって、さみしいから関係のない人を巻き込む例もいた事実。

 僕は天狗橋の横に設置してある地蔵様を拝んだ。師匠が「弔うためなんだろうがな、まだ苦しみの声が上がっている。泣き喚いたりしている。でも、人を巻き込んだ霊が行くところは、無か、地獄か。」
僕は何だか、悲しくなってきた。苦しみから逃れるために死んだのに、苦しめがまとわりついてくる事実、ここの霊たちは、いまだ苦しんでいるのだろうか。

 師匠が「帰ろう。」と言ってきたので、「うん。」と言ってその場を後にしたのだが、帰りに恐怖がやってきた。師匠が何かの気配に気づいたのか、僕のほうを振り向いた。すると、
「おい、憑いてきているぞ。」と言ってきたので僕が、「何が?」と聞き返すと「後ろ。」と言われたので、ミラーを見ると、
そこには、僕の後ろに、青い顔が近くにあり、両手で僕に抱き着いていたのだ。「うわぁぁぁぁ。」と言って僕は、車内で暴れたが、手は空を切るばかりだ。「おい、暴れるな。」と言った師匠が車を脇に止めて僕を下した。
師匠が数珠を取り出して、ゴニョゴニョお経みたいなものを言いながら、背中を両手パンパンと叩いた。僕は、半泣きになっていた。

 しばらくして、肩が軽くなった。「今のは、悪意がある奴だった。長い年月が経つとああなるのかもな。危なかったな。」と師匠が慰めて、僕の背中をさすったり、ボサボサ頭を撫でたりしてくれた。
僕は、もうあそこには行かない、行きたくないと初めてそう思った。最後に師匠が、「霊に憐れみを出すと連れて行かれるって言うのは、ホントだったな。これから、気を付けないとな。」と真面目な口調で師匠が言ったのだった。


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