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藍物語(投稿・感想・雑談専用=隔離)スレ

282 『花詞』 ◆iF1EyBLnoU:2014/06/25(水) 03:30:10 ID:yWHXq0Qo0
 さすがに今は危険過ぎる。しかし将来、強力な式を使役出来れば間違いなく翠に有利。
断るのは如何にも惜しい。しかし、素性が分からない妖を俺の独断では。
こんな時、Sさんがいてくれたら。
「その御方は、一体どのような。出来れば、実際に御目にかかってからお話を。」
「我らは主に仕官しております故、このような化生も自在ですが、主はそうも参りません。
今この場で姫君への仕官を許して頂ければ主の化生も叶いましょうが、
例え化生致しましてもこの仮屋に入れるものかどうか。」
どんな大きさ?一体何の妖だよ。それに、もしそんな相手を無下に断ればどんな。
「父親なら、腹を括れ。本意ではないが、ここはお前の判断に従うしかない。」
囁く声。管さんの言う通りだ。深く息を吸い、下腹に力を込める。
『仰せの通り、娘は未だ術の基本も修めておりません。
しかも私たちの一族では、式の使役を許されるのは術者が13歳になってから。
それまでお待ち下さるなら、改めてお話を伺いましょう。それで、如何ですか?』
断るのでなく、何とか話を先延ばしに。それが出来れば、Sさんの意見を聞くことも可能だ。
「あと8年と少し...人の身には長く、あまりに惜しい時間でありましょうに。
しかし、それが父君の御考えとあれば我らに異存は御座いません。」
そっと息を吐き、それとなく額の汗を拭う。どうやら収まりが付きそうだ。
「では、姫君への忠誠の証として、今夜と同じ贈り物を毎年お届け致します。
今夜の約束、どうかくれぐれもお忘れ無きよう。」


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