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怖い話Part2

561『入学式と卒業式(中・冒頭部補遺)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/10/22(火) 21:44:27 ID:amcWH5wI0
 「ちょっと待って下さい!だってあのDVDは。」
「時間的な順番からすれば当然なんだし、別に責めてる訳じゃないわよ。
でも初めて一緒に過ごしたあの夜、あなたの心に彼女の姿が浮かんだでしょ?
『Sさんは彼女に少し似てる』って。さすがにあれは、彼女に嫉妬しても罰は当たらないと思うな。」
「いや、それは...今、今は違いますよ。」
Sさんはふわりと立ち上がってテーブルを回り込み、俺の左隣りに座った。
「誰か別の女性を見た時、あなたが『Sさんの眼に少し似てる』とか、
『姫の髪型に似てる』って思うこと、ちゃんと分かってる。きっとLも同じ。
私もLも、それがとても嬉しいの。だから今は、あのDVDの彼女にも嫉妬なんかしない。
あ、でもLにはさすがに刺激が強すぎるわね。」
一瞬、目の前が真っ白になった。きっと俺の顔も蒼白だったろう。
「あの、もしかして、LさんもあのDVDを?」
「まさか。セーラー服だけじゃなく、白衣の天使も大好きだなんて、私、絶対Lに説明出来ない。」
!? 思わず立ち上がった。
「白衣って!そんな詳しく調べたんですか?中身は。」
「もう、落ち着いて。Lに見られないように荷造りするの、苦労したのよ。
題名やパッケージの写真が見えちゃうのは仕方無いでしょ。それに、半分以上が」
俺は思わず耳を塞いだ。恥ずかしい、もう滅茶苦茶だ。
「あ〜あ〜あ〜聞こえない。聞こえません、聞こえませんよ。」 「馬鹿みたい。」
仰る通りです。 絵に描いたような、今まで経験したことのない、それは見事な、藪蛇。
でも恥ずかしさと同時に、俺の心は不思議な安らかさで満たされていた。

『入学式と卒業式(中・冒頭部補遺)』 了


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