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怖い話Part2

474『遺産(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/09/16(月) 10:46:04 ID:Xr/MafuY0
 「あの、僕、昨日河でヌートリアを見ました。ヌートリアは、外来種ですよね。」
遍さんは悪戯っぽく笑った。
「それはカワウソです。ヌートリアではありません。」
「カワウソって、ニホンカワウソですか!?」
ニホンカワウソ。1979年以来、確かな目撃報告が絶えて久しい。
近い将来、絶滅が宣言されるのは間違いないとされている幻の動物だ。
「そう、ニホンカワウソです。現在、確認しているのは8頭。
そしてヤマイヌは17頭、どちらもこの十数年のうちに絶滅することは無いでしょう。
深刻なのはオオカミです。確認できているのは2頭だけ。この2頭の寿命が尽きれば、
この国から、いやこの地球から、ニホンオオカミは永久に消滅します。
郷愁にも似た、懐かしさと哀しさが湧き上がる。俺たちが、人間が滅ぼした動物たち。
心の隅に引っかかっていた何かが外れかかり、遠い記憶がボンヤリと甦ってきた。
ニホンオオカミ、2つの剥製、シーボルトの標本、ヤマイヌ、大小2種のオオカミに関わる伝承。
「もしかして、さっき僕たちの後を追ってきたのが。」
「はい、あの2頭が、最後のニホンオオカミです。
私たちの後を追い、護ってくれました。あれこそが『送り狼』、ご存じですか?
ニホンオオカミが絶滅すれば、『送り狼』という現象も消滅します。
まあ、既に此所以外では、全く違う意味で使われる言葉が残っているだけですが。」


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