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怖い話Part2

438『遺産(中)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/09/01(日) 23:30:43 ID:YP4f5pak0
 「あ、これ、多分釣れてます。」
俺が自分の竿を準備し終える前に姫が声を上げた。竿が綺麗な曲線を描いている。
直ぐにデジタルスケール付きのフィッシュグリップを持ち、
川岸近くの大きな石の上に飛び降りた。
「Lさん、此所に魚を誘導して下さい。」
「はい...これで良いですか。」 「OK、完璧です。」
やはりスズキだ。リーダー(太めの先糸)を取り、
フィッシュグリップでアゴを挟んで持ち上げる、580g。
次はメジャー、34.2cm。 いったん魚体を水中に戻す。
「遍さん、580g、34.2cmです。次はどうすれば良いですか?」
遍さんは手を伸ばし、小さなビニールパックとハサミを渡してくれた。
「大きめの鱗を一枚、それと背ビレの後端を少し切り取って、これに入れて下さい。
ヒレを切り取るのは小指の爪くらいの大きさで良いですよ。」
「了解。」 手早く作業を済ませてスズキを放流する。
川岸に戻ってビニールパックを遍さんに手渡した。
「どうぞ。」 「ありがとう。」 遍さんは驚いたような、呆れたような表情だ。
「スズキが掛かってから放流まで3分弱。見事な連携プレーですね。
予想以上の速さです。これならダメージの心配は不要でしょう。本当に、驚きました。
正直、釣りが調査に最適と聞いた時は半信半疑でしたが、納得です。」
「メーター級の個体だと、寄せるだけで多分数分かかります。
多分こんなに上手くはいきませんが、良いシミュレーションになりました。」


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