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ユングとバタイユ

1【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2008/09/02(火) 19:49:07 ID:???0
こんばんは博士、以前元型にエロティシズムはないとのことでした
が、ランガージュ(言語活動)に関しましては、ユングが「ヨブへ
の答え」で説明している手法に関して、あるいはバタイユらが言葉
について語っている意図とほとんどかわりがないような気がするの
ですが・・・。(参考:エロティシズム→マダム・エドワルダ序文)

それが性的であるか心的であるか、やはりフロイトとユングに始ま
るこの争いの問題だけになるのでしょうか?私にはどうも、この性
的か心的か、という問題は、丸山圭三郎が、メルロ=ポンティの言
を用いて説明している形而上学的陥穽に当てはまってしまうのです
かね?サルトルとフロイトを用いているあの説明ですが。

是非ともご意見ください。今後の論文の参考にしたいと思います。

2極東博士:2008/10/04(土) 22:13:31 ID:G6iz/z3k0
それはランガージュの定義自体に依るものだと思います。
丸山らはランガージュをあくまでも言語とその使用による体系的説明、
および理解だというように捉えているようですが、脱構築以降
ランガージュを演劇、舞踏、映画、音楽といった人間の芸術的表現、
身体的表現へも拡張拡大する論説が現在では一般的となっていると
思います。
サルトルのいう現象学的還元も、この視点から見れば、フロイトも
ユングも方法論の違いだけで、その本質に大きな差異はないと思います。

3【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2008/10/05(日) 01:15:47 ID:???0
返レスどうもです。
微妙かつ絶妙な違いが生じているだけで本質的には大きな差異はないと
いうことですか。うーむ、ソシュール小事典によれば、博士の仰る、

>「ランガージュを演劇、舞踏、映画、音楽といった人間の芸術的表現、身体的表現へも拡張拡大する論説」

というのは、丸山氏もランガージュの所有をして「人間の一切の文化的
営為を可能せしめている」ものであると説明していると思うのですが。
ランガージュとは、人間のもつシンボル化能力とその諸活動(言語、所
作、言葉、絵画、彫刻その他)のこととあり、生後一定期間内に社会生
活をいとまない限りラングとして顕現しない、自我を形作る根源であっ
て、時空認識や想像力、羞恥心、エロティシズムなどを生じさせる<非
在の現前>化能力だとあります。

さらにランガージュが人間を他の動物から弁別する「しるし」であると。
私の思考では、バタイユの「エロティシズム」澁澤訳においては、直接
ランガージュという言葉を用いているわけではありませんけれども、人
間だけが性的活動をエロティックな活動たらしめ、エロティシズムが単
純な性的活動と区別されるところのものであるという点が、まさにラン
ガージュが、他の動物と人間とを弁別する「しるし」であるところと思
考の一致が見られると思うのですが。

「言葉がなければわたしたちはどうなっていたか。言葉によって、現在
の私たちはつくられたのだ。言葉のみが、その限界において、もはや言
葉の通用しない至上の瞬間を暴きだした」
(参考:エロティシズム結論)

この辺のフランス語の表記が、いかなるものなのかはフランス語の原書
を見ておりませんのでわかりませんが、言語活動がバタイユの指摘の場
合、禁止と違反の活動から独立しては考えることのできないもので、さ
らに崇高も悪徳も快楽の逆説という点でその背景にはどちらもエロティ
シズムが横たわっているということで一致しているというのは、ランガ
ージュを拡張拡大する説のひとつということはできませんでしょうか?

芸術活動、文学活動に関して、ランガージュをそこへ拡張拡大する論説
は、デリダ以前にもバタイユ、ソシュール=丸山からあることではない
のでしょうか?これは澁澤氏が別のエッセーで、崇高な芸術や宗教の根
底にも、悲惨な犯罪や暴力の根底にも同じくエロティシズムが横たわっ
ているという指摘をしていることも参考にしておりますけれども。

4【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2008/10/18(土) 14:37:14 ID:???0
なんにしても、何度か読み込んでみる価値のある本ばかり。
丸山氏の流暢な日本語の読みやすさは、他の本の比ではないですね。
とくに「言葉と無意識」などは小冊子であるにもかかわらず内容が実に明瞭で面白い。
傑作だと仰られていた博士の言うとおりでした。
ソシュール入門以前に、既に完全に下敷きにしてしまってますね。

ところで、参考なまでにお聞きしたいのですが、以前デリダやバルトのことに若干触れておられたと思います。
一応「基礎知識」として問題点などの確認などをしたいのですが、何をお読みになられたか教えていただけますでしょうか?
バルトについてはエクリチュールの零度などを読んでみようかと思いますが・・・。

5極東博士:2008/10/20(月) 21:37:53 ID:G6iz/z3k0
バルトなんぞ読んでも時間の無駄、人生の浪費でしかありません。
まず、アラン・ソーカルとジャック・ブリクモンの『「知」の欺瞞』を
読むことをお勧めします。
ところで浅田彰は読まれたのでしょうか?

6【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2008/10/21(火) 00:18:34 ID:???0
>バルトなんぞ読んでも時間の無駄、人生の浪費でしかありません。
これは手厳しいですなw
ご存知のとおり「知の欺瞞」は持ってますが、大学でのゼミの研究な
どを優先してたので、中途半端に読み損なってました。折を見て積も
りに積もった書庫(ホンマにうちの部屋が書庫化してきましたよw)
から引き出して読んでおきます(^^;)。

また、今時珍しいと思われるかもしれませんが、浅田彰については大
学のほうでソシュール=丸山理論とともにレクチャーを受けてたとこ
ろです。それに合わせて「構造と力」と「ソシュール小事典」を参照
してます。ただレクチャーでは丸山のほうが圧倒的に重視されている
し、内容的にも丸山のほうが圧倒的に面白いので、丸山の主要著作の
ほうに読み進める比重が傾いてしまっているので浅田のほうはおざな
りになってしまってます(^^;)。
なんか、庵野監督だけを特定していうわけではありませんが、浅田の
「構造と力」がエセ文化人・エセ知識人を大量生産したとか、酷い言
われようですがね。博士も以前庵野監督をさしてあれで文化人の仲間
に入ったつもりになっていると仰っていたかと思いますが、スキゾ・
エヴァやパラノ・エヴァにそれがありありと出ているのではないかと。
こういってはなんですが、あれら(スキゾ・パラノ)を読んだときは
非常に胸糞悪く、吐きそうになりましたよ。

7極東博士:2008/10/22(水) 21:57:08 ID:G6iz/z3k0
今時も何も浅田ってレクチャーされるような対象なんでしょうか。
だとしたらここ数年の間にアカデミズムも変質したんでしょうね。
浅田はポストモダン思想の国内宣伝マンであり、彼自身に掘り下げるほどの
思想的内容は皆無だと思っておりました。
もっともポモ思想自体がフロイトとニーチェの視点を変えた解読であることは
すでに論じられておりますので、そうした点からは浅田もその根底にある
ポモ思想も同類だとは思います。

9【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2008/10/23(木) 03:07:25 ID:???0
>>7 博士
いや、書き方がまずかったでしょうか。 f^^;
そのレクチャー自体は文化表象について取り扱うもので、浅田本人に
ついては特に深く突っ込むというようなことはございませんです。浅
田本人がレクチャーされるような対象なのではなく、あくまで文化表
象について取り扱う上で、現代思想が用いられますので、一応講義の
都合上一読しておくように言われただけです。

特に深く突っ込むようなことはない、しかし一応読んでおけみたいな。
別に深く突っ込む要素があるとか、そういうことでレクチャーされる
というようなことではないですし、前述の通りのことくらいしか浅田
本人については扱われておらず、ソシュール=丸山を始め、レヴィな
どにもっぱら視点が置かれたものです。お忙しい中で余計な誤解を招
いてしまったことをお詫び申し上げます。m(_ _)m

10【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2008/10/23(木) 05:08:28 ID:???0
>もっともポモ思想自体がフロイトとニーチェの視点を変えた解読であることはすでに論じられております。
ええ、それは私も浅薄ながら、社会思想史の研究をしている端くれで
すから存じてます。思想を見てもフーコーなどにはバタイユとほとん
ど変わらぬのではないかという考え方もあったりしますし。

ただ、私が直面している現実問題にもかかわっていますが、浅田氏の
ことは抜きにしてですけど、どうもここ数年で風潮が変わったという
のは事実のようです。私がフーコーを読むことになったのもそのきっ
かけがあったからでして。

大学院の修士論文中間発表の会に参加させていただいたり、学会に赴
いた経験の限りにおいてですと、生政治論に関しましてはくみ上げる
要素が大きいとのことでした。これ自体は前から論じられていること
ではありますが、最近のフーコー生前の論文・講義の爆発的な邦訳の
刊行スピードは爆発的なものがあると見受けます。

また個人化の進む管理社会というものはフーコーの「監獄」との密な
接点がありますし、社会学部では結構この「個人化」の問題が取りざ
たされることが多い上、最近ではジェンダーとセクシュアリテの問題
を取り扱う講義も増えたもので、古典的知識として必要でして。その
うちバトラーなどにも向かうことになるかもしれませんが。

今のところバタイユ・フーコー路線で進んではいますし、研究ついで
に遊びとしてフーコーの監視・処罰論を展開していますが、やっぱり
狂気の歴史同様、分析的にも読むだけ無駄な面白くないものというこ
とでしょうか?博士からすると現代思想で掘り下げる価値があるとお
考えなのは今のところ大きくバタイユと丸山であるという印象をもっ
ていますが。

11【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2008/10/23(木) 14:01:21 ID:???0
ちなみに「知の欺瞞」ですが、中途半端に読み損なっていたとはいえ
ラカンに関する部分は読んでおりました。数学的知識に関しては実に
細かく注がついていてわかりやすいのですが、ラカンの引用部分につ
いては何を言ってるのかワカランです。これは確かにひどい(^^;)

以前には何を言ってるのかすら「『さっぱり』わからん状態」だった
のですが、ソシュールについて踏まえたうえでもう一度読み直したら
「わけわからん状態」になったという変化が生じました。(^^;)
記号表現の分数表記とか、無理数と虚数の使い分けのなさとか、この
辺って、要するにラカンは数学的知識を、自論のメタファーとしてや
たら間違いだらけで濫用しているということがわかれば読解としては
いいんでしょうか?メタファーにならないのに・・・。
あるいは数学的知識の確認的にも読んでいますけど。

12【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2008/11/04(火) 19:28:38 ID:???0
丸山圭三郎氏の理論における構成図を引っ張ってきました。

        |     |
        |     |<共同幻想>
        | ラング |コード内二項対立
        |(表層の |信号(一義)      「物」
        | ロゴス)|線状・不可逆性
        |     |
 ランガージュ |     |
  (意識)  +―――――+―――――――――――↑物象化↓――――
  =ロゴス  |
        | 下意識  <私的幻想>
        | 潜意識  コードなき差異
        |(深層の  象徴(多義)      「形」
        | ロゴス  多次元・可逆性
        |=パトス) 
        |
――――――――+―――――――――――――――――↑差異化↓――――


             欲動(無意識)       「力」

14【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2008/11/04(火) 21:42:53 ID:???0
博士もご存知、「言葉と無意識」からの抜粋ですが、小冊子ながら丸
山氏の碩学振りには頭が上がらないです(^^;)。とても面白いの
ですが、用語や引用などが物凄く多くて頭の中を整理したいのでまた
少々博士の見解をお聞かせください。

博士が以前仰っていた「ソシュールの言語体系を勧めれば、当然ユン
グが明確化した「シンボル」と「記号」の問題に行き当たざるをえな
い」というところに関ってくると思いますが、「ランガージュをあく
までも言語とその使用による体系的説明、および理解だというように
捉えている」というご指摘の通り、彼のいう広義の<意識>はユング
で言うところの個人的無意識(=下意識)、及び集合的無意識(=潜
意識)までもが、含まれており、共に深層意識として言語活動(ラン
ガージュ)の位相に含まれているという理解でとりました。

バタイユらが「無意識を実体として捉えている」というのは、そうす
ると丸山理論においては「下意識・潜意識」の部分を実体として捉え
ているということになるのでしょうか?丸山氏自身が持論におけるこ
れらの位置づけの説明において、ラカンらの無意識とはランガージュ
のように構造化されているという説明との説明でゴタゴタしていると
ころですけど。

バタイユ自身の
「言葉がなければわたしたちはどうなっていたか。言葉によって、現在
の私たちはつくられたのだ。言葉のみが、その限界において、もはや言
葉の通用しない至上の瞬間を暴きだした」
という言及と合わせて考えていますがいかがでしょうか。

15極東博士:2008/12/14(日) 10:26:00 ID:G6iz/z3k0
S.I.ハヤカワの『思考と行動における言語』を読まれることをお勧めします。

16【管理人】アイオーン・アブラクサス★:2008/12/14(日) 14:18:45 ID:???0
ご紹介いただいた本の内容についてアマゾンなどで調べた限りですが、
それだけで博士が私に言いたげなことが伝わってくるような気がいた
しました。(/〜\)

中古本で安く見かけましたので、早速読んでおくことにします。


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