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タロットカード“吊るされた男-THE HANGED MAN-”の意味

4【管理人】アイオーン(仮):2007/12/16(日) 15:59:31 ID:Anb/ovrU0
トートタロットの説明は今のところ博士にお任せするとして、「吊るされた男」のカードができるまでの歴史をさかのぼってみましょう。
上述したように、「吊るされた男」の解釈は、二十世紀のオカルティストたちによって形成されたもので、それをさらにさかのぼってみると、意味がまったく異なることになるのです。
「吊るされた男」の図像は、ウェイト版、トート、マルセイユ版よりさらに昔からあります。
15世紀のグランゴヌール・パックのカードでは、上の三つにはない特徴があります。
吊るされている男が、その手にずた袋を持った図像となっているのです。
これに関してこのずた袋を持った男を、イエス・キリストを裏切ったユダであると見立てる説があるそうです。
モークリーという人物の説明だそうですが。
つまり、このずた袋のなかには、ユダがイエスを裏切る見返りに受け取った銀貨三十枚ではないかというわけです。
それがユダかどうかはともかくとして、この見立て自体があやまっているというわけではないかもしれません。
「吊るされた男」の本来のカードの呼称が「裏切り者」であるからです。
15世紀のイタリアでは、裏切り者や反逆者を逆さ吊りにして描くというのがしばしば見られる風習だったようです。
そういえば直接関係するわけじゃないですが、イタリアの独裁者ムッソリーニは、処刑されたあと、その死体は見せしめに吊るし上げられていましたね。逆様だったかは記憶が薄いですが。

このような風習の例をいくつかあげてみます。
1440年、アンドレア・デル・カスターニョという人物がフィレンツェの監獄の正面壁に、逆さ吊りにされた謀反人を描いています。
有名なボッティチェリもパッツィ家によるメディチ家陰謀事件の首謀者が処刑された姿を、1478年に同じ場所に描いたそうです。
さらに、1529〜30年のフィレンツェ攻囲中には、アンドレア・デル・サルトが、逃亡した将校の逆さ吊りにされた姿を、またしても同じ建物に描いているそうです。
歴史家ピーター・バーグによれば、「当時の社会の価値体系における名誉と恥辱の重要性を考えると、これらの絵は犠牲者とその家族の名誉を失墜させ、彼らを社会的に抹殺し、彼らに汚名をきせるために描かれた」といいます。
二十世紀のタロティストたちによって神秘的で深遠な意味が持たされた「吊るされた男」ですが、過去にさかのぼってみると、その本来の意味は「聖なる殉教者」などではなく、「裏切り者」だったのです。
タロットカード一つ一つにこれだけの意味解釈の分岐があるので、実に奥深いです。


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