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バサラ日記（その２８）
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この喫茶店を一人去ったあと、地下鉄三ノ宮駅まで歩いていたら、
その途上にある飲食店から 元気のよい呼び込みにあった。
あまりに元気がよい 呼び込みだったので ふと相手の顔を見たら
見間違えかもしれないが、三宮バサラの元従業員だった。向こうも驚いていた。
「元気ですか？」と言うので「元気だよ」と答えた。
それだけなのだが、この女性。兵庫県ではない近隣の ある都道府県の婦人警官に採用されたはずだ。
それが今、飲食店の呼び込み をしているという事は、警察学校で篩い落とされた
という事かな、と思った。
警察学校は厳しく、厳しい公務員採用試験に合格し、採用されても
採用直後に警察学校に入れられ、そこで３分の１は「適性なし」とされ
篩い落とされる。４月に採用され、５月に 「飲食の呼び込み」をしているなら
内偵捜査に狩り出された可能性や 内緒でバイトしている可能性より、
警察学校で篩い落とされた可能性の方が高い。と思ったが、何も言わなかった。
私だって、この娘を雇用していた時は「三宮の新文化を開拓する期待の経営者」だったのが、
今は（ネット嫌がらせに抵抗して）警察に逮捕され、店もつぶれ、借金も嵩み、任意整理中の身だ。
全然、人の事は言えない。
向こうが「元気ですか？」と言うので「元気だよ」と答えただけ。
それ以上、言う事はない。彼女はまだ若い。いくらでもチャンスはある。
それに対し私は任意整理が終わったら６０歳と言う老人だ。
今、不死鳥のように立ち上がらないと、もうチャンスがない。
彼女と私とでは全然、立場が違うのだ。
私は 不死鳥になるしかない。
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