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YOU、恥ずかしがってないで小説投下しちゃいなYO!2

219こっぺぱん:2013/02/12(火) 02:19:39 ID:A9w.I97I
新章入りました〜

−−−迷う指先の辿る軌跡−−− ⅩⅩⅦ :曖昧な境界線1:

「秋だねぇ」
 五限目が始まる前の昼休み中に、ミノリは外を眺めてそう言った。木々に少しずつだが黄色や赤の色彩が混じってきている。今はもう10月だ。
「なんかさぁ、ウチのクラスあんまり女性化しないね」
 ミノリが教室に向き直ってそう言った。
「まぁねぇ、みんなけっこう対策とってるんじゃない?」
 ケイコがそう言う。
「ビッチがいるのか非処女が少ないだけなのか、どっちなんだろう」
「ミノリって未だに女視点と男視点が混じってるよね。今みたいなこと女子が言ったら酷い目に遭うよ」
 サナエがミノリに後ろから抱きつきながらそう言った。女性化して以来、サナエのスキンシップ率が異常に上がっている。ケイコより多いし、サナエも女同士だからかスキンシップまでは遠慮しなかった。それより先は遠慮していたが。
「そういえばさ、ワタルは女性化しないのかね」
 話題は三人の視線の先でコウと話しているワタルにうつっていった。ちなみのこの二人はなんだかんだで今でも仲が良い。最初は少し接し方に戸惑っていたが、今時は性的嗜好や性別変化で友情が壊れるなんてことの方が希だ。
 コウはその後顕著に肉体が変化することもなく、医者が言うには安定期に入った、とのことだった。傾向としては安定するのが早い方だったらしく、体の負担も少なくて済んだ。
 一説によると、心的ストレスが安定期を遠ざけるという話もある。安定期が早くきたということはそれだけ精神的に安定していた、ということなのかもしれない。
「本人曰く、もう童貞じゃないらしいよ」
 ミノリは以前ワタルがそう言っていたのを思いだして言った。あのときはまだコウはコースケだったなぁなどと思いながら。
「ぶっちゃけ見栄張ってるんだと思ってたけど、もしかしたらホントかもね。あ、私がそう思ってたって言わないでよ」
「言わないよ〜男ってそういうの気にするもんね。でも相手が誰かは気になるな〜」
 サナエがそう言ったところでチャイムが鳴り、皆席に戻っていった。

 そんなことを話していた翌週、体育祭の最中にミノリはワタルが見覚えのない女性と話しているのを見かけた。しかもかなり嬉しそうに話していた。
 あまり近くに行くのもどうかと思ったので、印象でしかわからないが女性はけっこうな美人だった。背中まである茶色い髪と170㎝近くはありそうな身長、細身でバランスの良い体はモデルと言っても通用しそうだったが、服装はラフで、女性的とも男性的とも言えなかった。
 おぼろげにしか見えなかったが、ワタルを見る表情は男を見る目というよりは弟を見る目の様だった気がする。が、ワタルに姉がいるという話は聞いたことがない。
「と、いうことがあったのだけど」
 そのことをミノリは体育祭が終わった後、着替えながらケイコとサナエに言った。
「体育祭に来てたってことはここのOBかなぁ? ワタルの彼女でワタルに会いに来たっていう可能性は?」
 こういった類の話はサナエが好むところである。
「う〜ん、彼女かどうかはわかんないなぁ。OBかどうかはもっとわかんない」
「やっば、すごい気になってきた」
「これは私も気になるわ」
 ミノリとサナエがなにやら盛り上がっているのを見ながら、ケイコは自分はあまり興味がないなぁと思っていた。少しひっかかるような気持ちがどこかにはあったが。
 そして帰り道でいつものメンバーになると、ミノリが間接的にその話題に触れた。
「ワタルってさ、彼女いるの?」
「なんだよいきなり!」
 予想通りの反応である。
「いや、ほら、女性化しないなーって」
 ワタルはすでに15歳になっている。童貞であればいつ女性化してもおかしくはない。
「オレは童貞じゃねーから女性化はしねぇって」
「ふむ、で、彼女は?」
「いないよ、残念ながらな」
 そう言うワタルの顔は本当に残念そうだった。


 −続く−


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