したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

YOU、恥ずかしがってないで小説投下しちゃいなYO!

981青色1号 ◆YVw4z7Sf2Y:2010/02/05(金) 22:43:33 ID:.QicLn4U

「……るいちゃん」
「―――っ」

 不意に初紀が声を掛けたその瞬間に、るいは身体を弛緩させて、甲高い声を止めた。
 ―――そして。

「おかえりなさい、るいちゃん」

 まるで、どっかの御伽噺かなんかの聖女みたいな清らかな顔で、初紀は……俯いて固まったまま動こうとしない―――るいを抱き止めた。

「なんでそんな優しいのかな。
 私、此処に居てもいいのかなぁ?
 二人の仲を掻き回すだけ掻き回したのに。
 ……ひーちゃんにも、初紀ちゃんにも、いっぱい、迷惑掛けちゃったのに……! また、きっと、いっぱい、いっぱい……困らせちゃうよ……?」

 平静を装ってたようなるいの声が、言葉を重ねる毎に……震えてきてるのがわかる。
 ……そう、か。るいは、無理に明るく振る舞ってただけだ。
 本当は―――。

「ね……、陸」

 初紀の視線が俺に向けられる。

「さっきの告白の返事、少し待ってもらっていいかな?」

 初紀は冗談めかすわけでもなく、真面目に問いかけてきた。

「え……っ?」
「ど、どういうことだよ?」

 俺は、多分るいと同じ様な顔をしていたと思う。

「これで、私達は同じスタートラインに立てた気がするから。
 ……同じ場所、同じ時間、同じ好きな人。
 何の足枷もない、自由な恋。
 ……恋に勝ち負けなんて、本当はあっちゃいけないんだろうけど……。
 お手柔らかにね、るいちゃん?
 どっちが、勝っても負けても。……私はずっと友達だからね?」

 初紀はそう言って、これ以上無いほどの綺麗な微笑みをるいに投げかけた。
 ……強いな。ホント、強ぇ。
 女になっても、お前だけには敵う気がしねぇよ。

「……ダメ、かな? 陸?」

 ……ったく。
 さっきの俺の一大決心はなんだったんだよ、ホントに。
 でもよ―――。

「るい―――」

 ―――俺、嬉しいんだよ。
 今、コイツが目の前に居てくれて。

「―――おかえり」

 暫く、この二人の美少女に振り回されることになるだろう。
 いずれ、どちらかを選ぶ時が来るだろう。

 周りの環境にも、遠回りな思いにも左右されない、俺自身の意志で。

 それが、なんて幸福なことで、なんて不運なことだとしても。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板