したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

トンデモネタに対する突っ込み用情報ソース備忘録

1ミケ:2006/02/03(金) 20:48:10 ID:zcGeqzE6
表の議論を見てて立てたくなりました。
探すのに苦労したソースや頻出するネタに対する突っ込みソース(著書、論文、ウェブページ)
を簡単な解説と引用をつけて列挙するスレ。

表は、メインとミラーの入れ替えで、過去ログを探しにくくなりましたし、
Yahoo!とか再評価掲示板とかで示したことがあるソースをまた探すのはきつい。

これを引用するようにすれば既出ネタで血圧を上げる心配もありません。
また、同じネタに対して異なる複数の論点での反論がある場合も、
ここのNo.○○と××と△△を見よ。
見たいな感じで『フクロ状態』を軽減できるかもしれません。

4あき:2006/07/24(月) 11:30:24 ID:c8Ergsls
ミケさんへ

ブログを作ってみました。
Yahooの生物進化トピでミケさんが書き込んだ「始祖鳥は恐竜だった(笑)」を引用していいですか?

5あき:2006/07/24(月) 11:31:43 ID:c8Ergsls
リンク先のURLを書くのを忘れていました。ここです。

http://akisince2006.blog.shinobi.jp/

6ミケ:2006/07/24(月) 15:08:55 ID:zcGeqzE6
あき さんへ

どうぞどうぞ。
しかし、狙ってやったことではありますが
あらためて見るといかにも創造科学支持者が書きそうなタイトル。

7あき:2006/07/24(月) 16:03:50 ID:c8Ergsls
>>6
ありがとうございます。

8<削除>:<削除>
<削除>

9diamonds8888x:2006/08/20(日) 12:57:25 ID:cix7jPKY
 反ダーウィニズムを標榜する人達には何がダーウィニズムなのかが曖昧な人も多いようです。元々のダーウィンの理論は複数の理論からなるのですが、ここでまとめておきましょう。

 出典は雑誌「科学」の河田雅圭による記事(1)です。河田が参考にしたのはフツイマの教科書(2)です。
1)科学(1998/12)「小特集:今を生きるダーウィン」岩波出版
 河田雅圭「ダーウィンの進化理論と現代の進化生物学」
2)Futuyma,D.J."Evolutionary Biology(3rd)"(1998)
 フツイマ,D.J.:訳;岸由二「進化生物学(2版)」

 ダーウィンの理論はMayr,E.が挙げた5つの理論から成ります。従って反ダーウィニズムと言っても、どの理論を認めないかで色々な形があり得ます。これらの区別もできずに反対のための反対では論外です。
1)進化すること
2)共通祖先と分岐
3)漸進性
4)集団内の個体変異による進化と種分化
5)自然淘汰説

 1と2については以下の区分ができます。
 ラマルク以前: 生物には単純なものから複雑なものまでの序列がある。この"存在の序列"は神が定めたもので変化しない。
 ラマルク説: 現在複雑な生物はより昔に単純な生物として生じて時間と共に複雑化したもので、現在単純な生物は最近発生したためにまだ複雑化する途中である。
 ダーウィン説: 生物は共通祖先から枝分かれして進化した。人も他の下等生物も同じ祖先という点が当時ではラジカルで反発も買った。ラマルク説では祖先は異なる(ので一般からの反発は少なかった?)。

 3の漸進性については断続平衡説が異を唱えた。

 4を河田は「変異型進化」と呼んでいる。対してラマルク説での進化を「変形型進化」と呼んでいる。これは集団内の全個体が一斉に同じように進化するという形である。今西錦二説の「変わるべくして変わる」という説もこの「変形型進化」に該当するだろう。

 5は詳細な解説も世の中に多いので略します。もちろん4の集団内の個体変異が前提であり、個体変異の発生機構解明については、突然変異説の登場や遺伝機構の解明を待たねばなりませんでした。

10ミケ:2006/08/23(水) 23:47:29 ID:KO.P9.dA
はやし さんという人物が、
中立説によれば、生物は変化し続けていなければおかしい。
生きた化石が変化しないことに対する説明はないのか、
というような内容を第一掲示板で主張しました。

彼は種の起原を読んだと自称していたので、
「種の起原」下巻のp.49からp.50にかけて生きた化石についての説明があるので読めば分かる、
分からないなら解説してあげようか、
と言ってみたら、(第一掲示板、8月20日(日)21時17分51秒 )

自分の解釈を全く示すこともなく、「あっさりじゃあお願いします」と言われてしまいました。
(8月20日(日)21時37分53秒 )

種の起原を読んだことがあるのなら、あるいは手元にあるのなら、
自分なりに該当箇所の解釈を示してくれるかもとか思っていたのですが、
まあ、それはちょっと期待しすぎだったようですね。

もしかして実は読んでなくて、しかも手元にすらなくて、
解説を聞いてからおかしいところを探そうという魂胆なんじゃないか
などと邪推してしまうのは、ミケのココロが黒いせいでしょうか。
愚痴はここまでにしておいて、とりあえず該当箇所の引用から。

**********以下引用**********
(前段までが、異なる属や綱の生き物同士で変化の速度が異なるという実例、生きた化石とかも含む)
これらのいろいろな事実は、私の学説とよく一致する。
私は一つの地方に住むすべての生物を突然に、あるいは同時的に、あるいはひとしい程度に、
変化させるような一つのきまった発達の法則があるとは信じていない。
変化の過程は、極度に緩徐でなければならない。
おのおのの種の変異性は、ほかのあらゆる種の変異性とまったくかかわりをもたない。
かかる変異性が自然選択によって利用されるかどうかということ、
また変異は多かれ少なかれ蓄積されて、変異しつつある種を多少とも変化させるようになるかどうかということは、
多数の錯雑した偶然的要因――変異性が役に立つような性質のものであること、交雑の能力、
繁殖の速さ、その地方の緩徐に変化する物理的条件、
そしてことに、変異しつつある種が競争せねばならない他の生物の性質――に依存する。
それゆえ、ある一つの種が他のものよりずっと長く同一の形態を保持し続けていたり、
あるいは、かりに変化するとしてもわずかな変化であったりしても、おどろくにはあたらない。
**********以上引用**********
(岩波文庫 「種の起原(下)」 p. 49-p.50)


とりあえず、ダーウィン以降に得られた知見もついでに加えた上で上記を解説しましょう。

生物の形は、
突然変異によりバリエーションが与えられ、
物理的環境および生物観相互作用に起因する自然選択によってそれらがふるいにかけられることで決定します。
突然変異はランダムですので、どんなバリエーションが与えられるかは分かりません。
で、どう変化していくかということは、自然選択を引き起こす種々の要因によって決定します。
突然変異はランダムであり、遺伝子一つ一つが形態に及ぼす効果は軽微であることが多いので、
基本的に変化の過程はきわめて緩やかになります。
環境や他の生物が同じであれば、その姿が長く変化しないこともまたありうるだろう、
とダーウィンは言ってるわけですね。

まあこれだけで十分とは思いますが、
一応補足しておきたいことがいくつかあります。
長くなったので投稿を分けます。続きは>>11

11ミケ:2006/08/23(水) 23:54:33 ID:KO.P9.dA
・中立説がどういうものか
分子レベルの変化では、中立的な変化がほとんどであることを主張したもの。
中立説は、もともと、
『あるタンパク(ヘモグロビンなど)におけるアミノ酸の置換頻度が、
いろいろな生き物でどうやらある程度一定らしい』
という観察事実から得られたもの。
形態を著しく変化させてきた生き物も、あまり変わってない生き物も
分子でみたらどっちも同じくらいの速度で変化していた、ということ。
つまり、中立説は、形態の変化速度とは無関係!
したがって、生きた化石がダーウィニズムに矛盾すると言いたい場合、
中立説を後ろ盾にすることはできません。残念でした。


・三葉虫やアンモナイトについて。
生きた化石と呼ばれる連中(オウムガイやカブトガニ)は
環境の安定した深海や干潟に生息している。ゆえに姿を変えず生き残ってきた。
この説明に対して、
はやし さんは、それじゃあ三葉虫やアンモナイトが絶滅したことを説明できない、
反論になっていない反論を行いました。
なぜ反論になっていないかといいますと、
三葉虫やアンモナイトは、深海でも干潟でもなく、浅い暖かい海に生息していたからです。
地球規模の環境変動で、浅い海の環境は激変しました。
しかし深海の環境変化は比較的穏やかでした。
かくして深海のオウムガイは生き残り、浅い海のアンモナイトは絶滅しました。
と、まあこんなところでしょうね。(またも大雑把すぎ。まあいいや。)


・中立な変化とは
形態が変化すれば、そのほとんどが自然選択にかかってしまいます。
バランス・異性へのアピール・捕食者への影響・被食者への影響etc.
ニンゲンで言うなら、赤血球の変化でさえ甚大な選択圧を受けてしまいます。(鎌形赤血球)


・シーラカンスは変化していないか?
シャミセンガイは調べてないので分かりませんが、
シーラカンスは少なくともしています。
過去に生息していたシーラカンスと、現在のシーラカンスは別属に分類されています。
現在のLatimeriaは、地質時代にはいなかった、と言い換えても良いでしょう。

12NATROM:2006/08/24(木) 00:37:27 ID:Z2veARY2
反証可能性を持つことを科学の必要条件であるとしたポパーの基準を自然淘汰説に適用し、「自然淘汰説は反証不可能であり、科学ではない」と主張されることがしばしばあります。ポパー自身が自然選択説は検証不可能であるとしたと主張されることもあります。この問題についてきちんと書こうと思いつつほったらかしにしています。本当は原著にあたって書くべきですが、幸いなことに複数の日本語の文献でこの問題に触れたものがありますので、それを紹介することにします。「進化をめぐる科学と信仰」大谷順彦著P65より。ちなみに、この著者はクリスチャンです。[ ]内は引用者による。

−−−−−−−−−−−−
[ダーウィニズムは検証可能な科学理論ではなく、形而上学的な研究プログラムでしかないとした1976年のポパーの論文を大谷が紹介したのち]

ここでポパーが「ダーウィニズム」とよぶのは、全体の文意から「進化論」ではなく、「自然選択」を指していることがわかります。これだけ読むと、「創造科学」者たちの指摘は正しいかのようです。しかし、重要なのは、その翌年ポパーが上記の自説を次のように撤回していることです。

「これらの著者に影響されて、過去に私はこの(自然選択の)理論をほとんどトートロジーとし、そして、自然選択の理論が(トートロジーなので)検証できないにもかかわらず、どうして科学的にひじょうに重要であるかを説明しようとした。これについてのわたしの解決法は、自然選択論が一つのもっとも成功した啓示上学的な研究プログラムであるというものであった。自然選択論は、多くの分野で詳細な問題を提起し、こうした問題の受容しうる解答はいかなるものかを教えてくれる。わたしは、現在でも、自然選択はこのような研究プログラムとして機能していると考えている。しかしながら、自然選択という理論の検証可能性と論理的な立場について、私は見解を変えた。そして、これまでの自説を撤回する機会がもてたことを喜んでいる。わたしの撤回が、自然選択の立場を理解することに少しでも貢献できることを望んでいる。」
−−−−−−−−−−−−

また、ポパーは過去の自分の主張が「創造科学者」たちに利用されていることを聞いて、

−−−−−−−−−−−−
「ある人々はわたしが古生物学や地球上の生命進化史のような歴史的科学の科学性を否定していると考えているようである。これは誤りであって、これらや、また他の歴史的科学も、わたしの見解では科学的な性質をもっていること、また、これらの科学の仮説が多くのばあい検証が可能であることをここで確認しておきたい。」
−−−−−−−−−−−−

と述べたそうです。「ポパーは『自然選択はトートロジーで検証不可能』と述べたけど、後に『いや間違い。検証可能で科学である』と意見を撤回した」という話は、他、複数の文献で出てくる有名な話であるようです。ネット上では、上記引用した部分を含め、原文・和訳つきで、

http://transact.seesaa.net/article/20950421.html

で詳しく論じられています(こんなページがあるなら私がやる必要ないじゃん)。少なくともポパーを援用して、「進化論こそポパーの意味での科学とはいえない」とは言えません。

13ミケ:2006/08/24(木) 22:30:29 ID:KO.P9.dA
はやしさんとの議論専用スレにおいて、ウォディントンという名前が出ましたが、
この名前に聞き覚えのないヒトもいるかもしれないので解説しておきましょう。

といっても岩波生物学辞典からの引用ですが。

**********(以下引用)**********
遺伝的同化
[英genetic assimilation]
遺伝的背景の変更によって,それ自体はもともと遺伝的基礎をもたなかった
特異な表現型の発生が遺伝的に決定されはじめる現象.
C.H.ウォディントン(1953)の命名.
ショウジョウバエには翅の横脈を欠失させる突然変異遺伝子が数種あるが,
同じ状態は蛹に熱ショックを与えるだけでも出現することがある.
これは熱ショックという環境の変化によって発生経路が変更されるために
生じるが(→表型模写),変更を受ける程度は遺伝子型によって異なる.
ウォディントンは熱ショックで生じる横脈欠失個体を選択し続けることで,
ついには熱ショックなしでも常に横脈欠失となる系統を確立した.
この現象は一見,獲得形質の遺伝のようにみえるが,
発生経路の変更に関係する多数の遺伝子座において,
特定の表現型への発生に有利な対立遺伝子の頻度が
選択により増加することによる.
遺伝的同化は進化の過程に関与する場合があると考えられている.
**********(以上引用)**********

ウォディントンは実験の過程で“選択”を行っていますので、
これは上記の通り、獲得形質の遺伝ではありません。

14えめ:2006/08/25(金) 23:16:06 ID:GbaTZbsw
 コノハムシなんぞは普通に突然変異と淘汰の累積の代表選手だと思うんだが
コノハムシは個体差が大きいんだから、不完全な擬態は淘汰される確立が高まるし、運よく生き延びて子孫を残した所で親に似た子供が生き延びる確立は相当少ないだろう。
擬態が生き残る確立を高めるのは実験によって検証済みだし。
翅脈が葉脈に似てしまうのはコノハムシに限った話じゃないしな。
 個人的に言えばコノハムシに限らず擬態は何かの拍子で少しでも似てしまえば(例えば、ほんの僅かでも葉に似ることで生き延びる確立が高くなれば)、さほど世代を経ずに完成の域に達してしまうんじゃないかと考えています。

訳解らんと言うならむしろツノゼミの形態のほうが人間にとって理解に苦しむんでないかい。
http://www.nature-pro.co.jp/ctlg/insect/01IN061.htm

15Kosuke:2006/08/26(土) 07:57:08 ID:bfL1FEYU
> 木の葉蟷螂などの擬態はどのようにして進化しえたのでしょうか?
> 偶然にしてはあまりにもよくできすぎていると思いませんか?

本当にそうですね、「偶然」では無理でしょうねぇ。
やはり、進化論の本を何百冊も読み込むと、こういう素敵な誤解ができるようになるんでしょうか?

16ET:2006/08/26(土) 18:26:46 ID:Qys2MBh.
「数百冊の進化論関係の本」をどうやって探したんだろう(・・?

はじめまして。ETです。

時間をかければ、数百冊の本を読むのは可能だけど、
時間をかけても、同じ専門分野の本を何百冊も探すのは
難しいでしょう。
(絶対不可能とは言わんけど、図書館に行ってもそんなに無いよ)

17えめ:2006/08/26(土) 22:03:29 ID:BvwNomOk
あれは延べ数百だと思われ

18はやし:2006/08/26(土) 22:07:46 ID:Ca8xD1cE
>「数百冊の進化論関係の本」をどうやって探したんだろう(・・?

そういぶからなくてもよいでしょう。わたしはもう60に近いおっさんです。元々は文系で哲学が好きでベルグソンなどを読んでおりました。20代後半にベルグソンの「創造的進化論」を読んで感銘を受けたのが進化論に興味をもったきっかけです。最初は主にブルーバックスなどの新書の入門書を読み漁りました。その数だけでも百冊ぐらいにはなるでしょう。但し、もちろんですがすべて進化論関係の本ばかりではありません。進化論を理解するためにはあらゆる分野の自然科学の知識を知らなければならないので、当然物理学やその他の分野も含めてのことです。20代の後半から40代の前半ぐらいまで図書館通いをつづけながらいろいろと勉強をしました。もちろん独学ですので、皆さん方のようにアカデミックな勉強法ではありませんが。年に20冊でも20年で400冊になるわけですから、そのぐらいは読んだかなという程度です。但し、もちろんすべて完読したわけではありません。とばし読みや途中で放棄したものも数多くあります。但し、ダーウィンの「種の起源」だけは読んでおかなければならないと思い、完読しました。原書にも挑戦しましたが、生半可な語学力のためにそこまではできませんでしたけどね。皆さんはおそらくアカデミックな環境の中で正規の勉強をされているのでしょう。それはよいことですが、そういう環境の中で注意しなければならないこともあると思います。アカデミーの世界では初めからパラダイムが前提とされていて、その中での研究成果を常に求められ、その成果をださなければその世界から結果的に排除されるということです。特に生物学の世界ではダーウィニズムの考え方が支配的なパラダイムとしてありますから、研究で成果をあげて認められるということは、あくまでもそのパラダイムの枠組みの中の研究でなければならないということがあります。つまりそこではパラダイム自体を疑うような研究は初めから禁じられていますし、またそのような研究をするとすれば必ず自殺行為(つまりアカデミーから排除される)になるでしょう。
デカルトの「方法序説」を読むと、当時のアカデミーの世界が現代となんら変わらないということがよく分かります。時代を画する偉大な発見というものがしばしば素人の研究からでてくる理由はそのあたりにもあると思います。えらそうなことを言ってすみませんが。

19ミケ:2006/08/27(日) 00:52:09 ID:zcGeqzE6
>>18
アカデミックな世界で、
ダーウィニズム(ランダムな突然変異+自然選択による進化)を疑うような
研究が禁じられていないという実例

ジョン・ケアンズによる適応変異の実験
http://meme.biology.tohoku.ac.jp/INTROEVOL/adaptivemutation.htm
>実験的に、乳糖を分解してエネルギーにすることのできない大腸菌を、
乳糖ばかりの環境で培養してやる。
そうすると、エネルギー源の乳糖が存在しないために、その大腸菌は増えることができない。
しばらく、そのような飢餓状態においておくと、まわりが乳糖という環境が引き金となって、
通常の環境よりも 10 から 100 倍もの高い確率で、
乳糖と分解できるようになるという突然変異が生じたというのである。
つまり、環境が、その環境でより生存や繁殖が向上するような
突然変異を誘発する、というわけである。
(以上引用)

まあよくよく調べたら違ってたんですけど、
少なくとも論争を引き起こすことはできたわけです。排除されずにね。

っていうか、そもそもダーウィンとかラマルクだって
当時の『種は不変である』というパラダイムに反する研究を行っていながら、
排除されなかったんですけどね。
ちなみに彼らは素人ではないです。
ところで、自然科学で素人が大きな業績上げたのってどんなのがあったっけ?
大陸移動説のWegenerくらいしか知らない。

20ET:2006/08/27(日) 01:13:45 ID:Qys2MBh.
はやしさん、初めまして。

最初に、はやしさんの発言内容を疑うような投稿をした事をお詫びします。

ただ、今回のレスを読んで、はやしさんの一連の投稿を読んだ時の疑問がますます強くなりました。

私は、管理人のNATROMさんが推薦するダーウィン著の「種の起源」、木村資生著の「生物進化を考える」、
リチャード・ドーキンスの「盲目の時計職人」等は読んでいません。
「進化論」と名の付く本はほとんど読んでいません。

しかし、林さんが疑問を提示した「グランドキャニオンの地層」や「大陸移動説」には疑問を持ってません。
また、一連の議論の中に出てくる「断続平衡説」・「洪水地質学」・「斉一説」・「セントラルドグマ」
といった言葉は知りませんでしたが、Googleで調べたら内容は理解できました。
ここで1年以上ROMしていますが、第1掲示板の常連の方の説明される進化論の説明は、ほぼ納得できます。

私も、はやしさんと同様に色々な本を読みます。
子供の頃から科学に好奇心を持っており、科学本を読むのが好きですが、物理関係の興味が強いので読む本はそちらに偏ります。
それでも遺伝子・生物・地質関係もある程度は読みます。(ただし、上にあげた本は読んでいない)
私の場合、そうやって得た知識に矛盾しないから納得・理解できている、と思っています。

進化論の本をほとんど読まない私が納得できて、何故たくさん本を読まれたはやしさんが納得できないか不思議ですね。
もっとも、これは私がそう思うのであって、はやしさんは不思議とは思ってないのでしょうね。

21はやし:2006/08/27(日) 12:10:26 ID:v7tr19tg
>ちなみに彼らは素人ではないです。
ところで、自然科学で素人が大きな業績上げたのってどんなのがあったっけ?
大陸移動説のWegenerくらいしか知らない。

アインシュタインがそうですし、メンデルもそうです。ほかに思いつくのではファラデーも確かそうだったと思います。ダーウィンと自然選択説を共同発表したウォレスもそうですね。他にも調べれば幾人かいるのではないでしょうか?

22はやし:2006/08/27(日) 12:24:50 ID:v7tr19tg
>しかし、林さんが疑問を提示した「グランドキャニオンの地層」や「大陸移動説」には疑問を持ってません

なんどもいっておりますがダーウィニズムはその基本前提(唯物一元論)が間違っているので、進化のメカニズムを説明する理論としては間違っていると確信しています。
斉一説の間違いや洪水地質学云々については、いまのところ自分でも100%の確信をもって言っているのではありません。ただ誰もが「そんな馬鹿な、トンデモナイ!」というほど馬鹿げた話ではなく、ありうる話であると思っていますし、今のところはそちらのほうに説得力を感じております。大陸移動説にしてもはじめは誰も信じなかったわけですからね。
ま、とにかくそれはこれからいろいろ調べたいと思っているところです。もし、本当にそれを確信できればいずれ本を出版するつもりです。

23Seagul-X:2006/08/27(日) 12:56:49 ID:oqAXjfo2
はやしさんの主張って、要約すると「自分の思想に合わないからダーウィンは間違ってる」ってことですよね。別スレッドで展開されてる議論はそこから進んでない。
なんか、おなじようなことを云うひとが数十年前にいたのを思い出します。そのひとが権力持っちゃったのが国を傾ける遠因になっちゃったわけですけど。

http://www.genpaku.org/skepticj/lysenko.html

まぁ、現実がはやしさんの思想に左右されるわけではないので、ダーウィンが間違ってるかどうかははやしさんの思想に合うかどうかではなく事実を説明できるかどうかで決まるわけです。
逆に言えば、いくらはやしさんの思想に合うものであっても現実と乖離していたら間違ってるとしかいいようがない。
つまり冒頭の「自分の思想に合わないからダーウィンは間違ってる」ってのは無意味ですよね。

# こんなこと書くと大文字ナンさんみたいに「誹謗だ」って云われるかな?なんか「脳内はやしさんモデル」がそう警告します…

24はやし:2006/08/27(日) 13:47:49 ID:v7tr19tg
>こんなこと書くと大文字ナンさんみたいに「誹謗だ」って云われるかな?

大丈夫ですよ;^^。その程度の批判はご自由にどうぞお願いします。遠慮されると逆にここに来る意味がありませんしね。

25ミケ:2006/08/27(日) 15:07:19 ID:KO.P9.dA
アインシュタインは物理学者であり、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3
そしてメンデルは植物学者、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB

彼らは大学(アカデミックな場)で専門的な教育を受けており、
業績を残した分野も畑違いではないようにみえますが、どのへんが素人?
アカデミックポストに就いていなかったから?

ファラデーとウォレスは大学での専門教育を受けていないようですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%A9%E3%83%87%E3%83%BC
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AC%E3%82%B9

でも、彼らを素人と呼ぶのは失礼ですよ。
特にファラデーの方は、当時の大化学者の実験助手として十分な経験を積んでいるのですから。
立派な専門家とみなしてよいと思います。

とはいえ、ウォレスの方は
見ようによっては非専門家と言えなくもないかな、という印象は受けました。
感覚的にですけど。
参考になりました。

26NATROM:2006/08/27(日) 15:43:15 ID:Z2veARY2
>大陸移動説にしてもはじめは誰も信じなかったわけですからね

大陸移動説については、きちんとした地質学会で発表され、証拠不十分で棄却されたわけですので、「ダーウィンは間違っている」系のトンデモ学説とは違います。アインシュタインもメンデルも、ちゃんとした学会で発表したわけです。一方、トンデモさんは、素人相手の一般書で自説を発表します。何百冊本を読もうと、トンデモさんの書いた本を区別できないとまったく意味がないんですね。

27Seagul-X:2006/08/27(日) 16:18:57 ID:oqAXjfo2
もっとも、学会発表したからといってトンデモではない、ということにはならないのが頭痛いところではあります。
とくに日本の物理学会は怪しい発表でも排除しないことで有名で、UFO 研究家の清家新一氏も発表したことがあるそうです。(しかも名誉会員になるとかなったとか)
「学会から除名された」ので云々、とかいう話がありますが、実際には会費さえ払っていれば除名されることはないらしいですし。
まぁ、日本物理学会以外ではどうだか知りませんが。

物理学会でどんなトンデモが発表されているかというと、たとえば以下のようなものが。

http://www.asahi-net.or.jp/~ft1t-ocai/jgk/Jgk/Public/Color/color-01.html

28はやし:2006/08/27(日) 23:19:21 ID:X3dQUZEc
>日本の物理学会は怪しい発表でも排除しない

物理学会がトンデモ学説を受け入れやすいのはある意味うなづけますね。というのは量子力学は「物質とは幽霊のようなものだ」ということを認めたことと同じですからね。
その点は生物学者は古典力学の素朴実在論の一元的世界観をいまだに持ち続けているので物理学よりも1世紀ほど遅れているといえます。

29Seagul-X:2006/08/28(月) 00:32:17 ID:oqAXjfo2
>「物質とは幽霊のようなものだ」

あっちゃ〜、はやしさん、その不用意なひとことではやしさんが進化論だけでなく量子力学もまったく理解していないということが露呈しちゃいましたよ。

ともあれ、誤読されたので(はやしさんが悪いというのではなく、たぶん私の説明が足りないから)補足しておきますと、物理学会としてトンデモ学説を受け入れているというわけではありません。単に発表の場を学会員に提供するにあたって内容によって排除することがない、というだけです。
発表できたから認められた、ということではまったくありません。誤解なきよう。


上記のことと一見反しているようですが、今年の物理学会では「ニセ科学シンポジウム」が開かれたそうです。

http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/events/JPSsympo0306.html

リンク先をよんでいただければすぐわかるのですが、これは学会で発表するようなことを問題にしているのではなく、ニセ科学が科学だと偽って世間に浸透していることに対してどう向き合っていくか、ということを議論するものです。これも一部の会員がおこなったもので、物理学会として公式にこういう活動をしているわけではありません(現在は、ですが)。
こういうニセ科学のなかには「学会で発表した」ことを権威付けに利用しているものもあるそうです。実際には上記のように発表したからといって認められたということではないんですけれどね。

30名無しさん:2006/08/28(月) 08:42:01 ID:neuBD2X.
>UFO 研究家の清家新一氏も発表したことがあるそうです。(しかも名誉会員になるとかなったとか)
清家氏 は”終身会員” になったような。何年間か会費を納め続けていて、申請すればなれるそうです。

31NATROM:2006/08/28(月) 09:03:07 ID:tWsiDJ.w
生物学の学会でもトンデモさんを排除することはできません。学会発表は、信頼できるかどうかに関する、十分条件ではなく、必要条件とでも考えてもらえばよいと思います。学会発表すらされていない時点で、トンデモであると判断してよいわけです。

32PDX.:2006/08/28(月) 11:24:26 ID:NtVg0xZw
 物理学の方だと「第5の力」の研究なんてのは真面目なのかトンデモなのかにわかにはわかりにくいジャンルですよね。
 革新的な研究の芽を摘まないためにも、学会での発表が排他的というのはよくないでしょう。
 一方で自然科学としての手続きを踏む義務も存在するわけで、学会誌に論文が掲載されるには査読がされてあたりまえですし、これを「権威による検閲」だなんて誰も言わないでしょう。

 生物学の分野でも新しいアイディアは常に求められていますし、その発表は阻害されてはいません。
 ただ、厳しい審査に耐えて生き残れない学説は修正を余儀なくされるか、破棄されるかというだけの話で。これは生物学、物理学、あるいは他のジャンルの自然科学でも違いはないでしょう。

33ミケ:2006/08/28(月) 16:15:07 ID:zcGeqzE6
世の中にはこんなことを言う人がいるようです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/5329/1156122498/31

ジャック・モノーは何を行い、何を考えていたヒトか。
ちょっと調べてみたので資料を紹介します。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jacques_Monod

フランスの生物学者。ノーベル賞受賞者。
Lacオペロンによる転写調節(遺伝子発現調節)システムを研究した人。


邦訳されてる著書には「偶然と必然」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4622004283/250-6286043-0739454?v=glance&n=465392

レビューをいくつか読んでいくと、
モノーが「ほとんど可能性ゼロに近い偶然で起こった」
などという見解を持っていないことが読み取れると思います。
読んでみてはいかが。(たぶん、はやし さんは読んでないだろな。)

にしてもトンデモのヒトは、
どうして量子力学が唯物論を崩壊させたなどと思うのだろう?
そんなおばかさんを二人も見るなんて、どこかに元ネタでもあるのでしょうか。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/5329/1156122498/30
決定論と唯物論の違いが分からないのか、単に量子論を理解していないだけなのか、
あるいはその両方なのだろうか。

34地下に眠るM:2006/08/28(月) 17:49:33 ID:cizMQ0FI
自然科学とは唯物論なんだけど、そのことをわかってにゃーで「ダーウィニズムは唯物論でダメだ」とか抜かす馬鹿が定期的に出現しますにゃ。
以下は日本大百科における「自然科学」の項
************************************
生物をも含む物質的自然を対象とする人間の認識活動であり、その成果のまとまりでもある。非常に幅広い対象および多様な手法に応じて、さまざまな分科をもつ。
 自然科学は、また非常に複雑な社会的存在でもある。かつてJ・D・バナールは自然科学を次の五つの側面、すなわち、(1)一つの制度(社会的機関)として、(2)方法として、(3)累積的に伝承された知識として、(4)生産の維持と発展の主要な一要因として、(5)宇宙と人間に対する信条と態度を形成させる強力な影響力の一つとして、の総体であると述べた。
 もともと生産活動や技術を源泉として人間の自然認識は生まれたが、19世紀以降、生産技術とより密接にかかわることによって自然科学が自立し、重要な社会的制度として成長してきた。すなわち19世紀に、力学や天文学以外の物理学、化学、生物学、地学といった分野が、記述や分類を主目的とした博物学(自然誌)や、自然についての哲学的認識体系を求める自然哲学から独立し、自然科学natural science(英語)、Naturwissenschaft(ドイツ語)としてのまとまりを認められるようになった。
 さまざまな意味で自然科学の社会的影響力の大きさが論じられている現在、単なる認識や思想の側面だけではなく、社会的存在として全面的な理解が求められている。なお、「科学」という表現で自然科学を意味することも多いが、人文科学、社会科学、技術科学(農学、工学など)と区別する際に、とくに「自然科学」の表現を用いる。
[山 進]
*****************************************

ご覧のとおり
「生物をも含む物質的自然を対象とする人間の認識活動」と冒頭で断言しているにゃ。「物質的自然が対象」ね。
つまり、「唯物論だからダメ」というのは、自然科学そのものに対するダメだしといっていいわけですにゃ。もちろん、カガクにダメだししてもかまわにゃーのだけどね。自分が何を否定しているのかの自覚は必要だにゃ。

35Kosuke:2006/08/28(月) 18:04:51 ID:wAK4s5KQ
恐らく、「物質的な価値観しか認めない、偏狭な世界観」を指して「唯物論」と言って非難しているものと思われ。

36はやし:2006/08/28(月) 18:23:56 ID:KpWBAdEc
>レビューをいくつか読んでいくと、モノーが「ほとんど可能性ゼロに近い偶然で起こった」
などという見解を持っていないことが読み取れると思います。読んでみてはいかが。(たぶん、はやし さんは読んでないだろな

ミケさん、あなた読んでないんでしょう。読んでない人が他人の無責任なレビューだけで読み取れるなどというのはそれこそ無責任ですやろ。ちがいまっか?
ましてやモノーはあなたがたのお師匠さんのそのまたお師匠さんのような人ですよ。一応、「偶然と必然」はかって世の中に大反響を巻き起こした名著といわれておりますよ。あまりすすめたくはないけど、これを読めばあなた方の頭の中ももっとすっきりする(但し、悪い意味でね)ことは請け合いです。

37ミケ:2006/08/28(月) 18:58:22 ID:zcGeqzE6
>>36
はいはい、すみませんでした。
ということは、無責任でないはやし さんならば
モノーが下記のように考えていたことが読み取れる部分を
文献を示すとともに引用できるということですね。

「生物の進化が、ほとんど可能性ゼロに近い偶然で起こった」
「生命の発生が、ほとんど可能性ゼロに近い偶然で起こった」
と、ジャック・モノーが言っていた部分を、
前後の文脈とともに引用してくださいませんか?
(前後の文脈は要約でもいいです。また、出典は明記してくださいね)
読んでないのに
『モノーは「生物の進化が、ほとんど可能性ゼロに近い偶然で起こった」といった』
なんて無責任なことをおっしゃっていたのではないのですよね?

38はやし:2006/08/28(月) 19:18:36 ID:KpWBAdEc
ここの皆さん方はなぜか木村の中立説などの特定の専門分野にはお詳しい方が多いようで、それはよいですが、お見受けしたところ他の分野(特に量子論)には伝聞程度の知識しかないのではと思われますので、この場を借りて不肖はやしの講義をさせていただきたいとぞんじます。

以下はやしの講義:
量子力学とはなんぞやというのはあのアインシュタインでさえはじめは理解できなかったほどですから非常に難しく、おそらく今日の物理学者の間でもいろいろな見解に分かれるでしょう。しかしそれは少なくとも古典力学の素朴実在論的な物質観を根本から変えてしまったことは確かです。それまでの物質観というのはビリヤードの玉のような硬い粒子のイメージであり、そのイメージはラザフォードの原子核発見ぐらいまでは確かに正しくみえたのですが、電子や素粒子のふるまいをもっと深く調べようとしたときにひとつの根本的な矛盾に出会ってしまったわけです。それがハイゼンベルグによって定式化された不確定性原理というものです。それはどういうことかといえば素粒子のふるまいは観測者(すなわち人間)の主観から離れて客観的に測定できるものではないというものです。つまりこれはどういうことを意味しているかというと、それまでの物質観では、人間の主観とはまったく関係なく物質(すなわち自然)が存在しているものと信じられてきました(これを素朴実在論といいます)が、不確定性原理により物質の存在は人間の主観と切り離してああだこうだとういうことはできないということを意味しております。これはまたある意味で世界観の革命が起こったということを同時に意味します。
この革命の意味をもっと分かりやすく(はやし流に)かみくだいてご説明しましょう。ご承知のように近代以前のヨーロッパ中世哲学における世界観はアニミズム的な世界観(それは主にアリストテレスの自然学でした)でありましたが、ガリレオ、デカルト、ニュートンによって完成された慣性の法則により、物質の中にはなんらアニマ的な要素は無いということが確認されるにいたり、物質というのは本質的に受動的で無機質な客観的実在であるという認識が一般化しました。この認識の下に分子や原子が発見されていったわけですが、科学者がそのもっと奥深くにある物質の根源にまで立ち入ったとき、そこで出合った物質粒子はまるで幽霊のような存在であったというものです。つまり物質というのは決してビリヤードの玉のような分かりやすい存在ではなく、それを突き詰めようとすればするほど正体の定まらない存在だというこになってきたわけです。それはもはや人間の意識というものと切り離して考えることさえも許されない存在でさえあるということを意味しております。(以上第一講終わり)

39AH1:2006/08/28(月) 20:32:43 ID:b4lKR3h.
共益な関係にある属性を同時に測定できないということと、
それが「主観と関係する」こととの関係がよくわかりません。
(コペンハーゲン解釈まで行くのであれば、「知り得ないものは考えなくていい」
という意味で主観的かもしれませんが)

後段における、粒子の存在確率と意識の関係もわかりません。
たとえばある電子が今どこにあるか、一意に定めることができないとして、
それが何故意識と切り離せないのですか。

そして、観測者効果なり量子効果なりは重要な発見ですが、
それが生化学の分野に全く反映されていないと考える理由はなんですか?
(物理学と化学は密接に関係しており、化学と分子生物学もまた、
密接に関係した学問分野ですが)

40PDX.:2006/08/28(月) 20:37:46 ID:NtVg0xZw
 量子力学が霊魂の存在を明らかにしたわけじゃないけどね。
 素粒子の位置と運動量を同時には観測できない(一方が確定したら一方が不確定になる)というだけのこと。
 不確定というのも「まるでわからない」のではなく確率的に表記されるというだけのこと。
 どこからアニミズムの話がでてくるのかがさっぱり判りません。

41ハッター:2006/08/28(月) 20:59:04 ID:gzs2a1SY
>素粒子のふるまいは観測者(すなわち人間)の主観から離れて客観的に測定できるものではないというものです。

観察者によって実際に観察されるまでは確率論的にしか結果を記述できないでは味気ないですか?

42はやし:2006/08/28(月) 22:02:01 ID:xa9XiOiY
>「生命の発生が、ほとんど可能性ゼロに近い偶然で起こった」
と、ジャック・モノーが言っていた部分を、前後の文脈とともに引用してくださいませんか?

みすず書房「偶然と必然」P168

「謎はそのまま残っており、その背後には深遠な興味ある問題に対する答えが隠されている。生命は地上に出現したが、この出来事が実際起こる以前には生命の出現する確率はそれ位あったのだろうか。このような決定的な出来事は一度しか生じなかったという仮説の可能性は現在の生物圏の構造からみてとうてい排除することはできない。そのことは生命の出現する先験的な確率はほとんどゼロであったということを意味している。(中略)宇宙の中で起こりうる出来事の中で、ある特定の出来事が生ずる先験的な確率はゼロに近い。ところが宇宙は実在しており、その中で確率が(それが起こる以前には)ほとんどゼロであったある出来事もたしかに起こるのである。現在のところ、生命が地球上にただ一度だけ出現しということ、したがって生命が生まれる以前にはその出現する確率はほとんどゼロであったということを、肯定する権利も否定する権利もわれわれはもっていない・・・」

43なまけもの:2006/08/28(月) 22:09:28 ID:xeyqwfmM
直前のはやしさんの投稿とかぶりますが...

J.モノー『偶然と必然』(渡辺格・村上光彦訳、みすず書房、1972年)137-138ページより
***ここから引用***
今日なお、すぐれた精神の持ち主のなかにも、雑音という源のなかから生物圏のあらゆる音楽が淘汰ということだけで引き出されてきたのだということを、認めることも、理解することもできない、といったような人たちが大勢いる。ところがじっさい、淘汰は偶然の産物に<たいして>
作用するのであって、ほかからは栄養をとることはできない。しかも、それが作用する場は、厳格な要求が支配している領域であって、そこではいっさいの偶然は追放されている。
***引用終わり***
<>で挟んだ部分は原文では傍点で強調されています。「いっさいの偶然は追放されている」とありますが、ここでは進化を論じており、生命の起源にはふれていません。
同書168ページより
***ここから引用***
(遺伝暗号の起源に関する)謎はそのまま残っており、その背後には、深遠な興味ある問いにたいする答えが隠されている。生命は地上に出現したが、<この出来事が実際起こる以前には>生命の出現の確率はどれ位あったのであろうか。このような決定的な出来事は<一度しか>生じなかったという仮説の可能性は現在の生物圏の構造から見てとうてい排除することはできない。そのことは、生命の出現する先験的な確率はほとんどゼロであったということを意味している。
***引用終わり***
<>で挟んだ部分は原文では傍点で強調されています。冒頭の()内は引用者による補充です。これは「未開拓の領域」と題された章の一部です。
ここから「生物の進化どころか生命の起源さえも「ほとんど可能性ゼロに近い偶然で起こった」と認めて」いると読みとるというのは、内容をきちんと理解しているとはいえませんね。

44ET:2006/08/28(月) 23:11:50 ID:Qys2MBh.
>量子力学とはなんぞやというのはあのアインシュタインでさえはじめは理解できなかったほどですから非常に難しく、
>素粒子のふるまいは観測者(すなわち人間)の主観から離れて客観的に測定できるものではないというものです。

NANさんが別スレッドで指摘していますが、アインシュタインの事は明らかに誤解していますね。
それと、素粒子のふるまいは「客観的に測定できる」ものですけどね(^^)。

量子力学(不確定性原理)の事は、下のURLを参考にされると良いですよ。
下手な解説書を読むよりわかり易いです。
http://www.h5.dion.ne.jp/~terun/doc/fukakutei.html
http://www.h5.dion.ne.jp/~terun/saiFrame.html
「コペンハーゲン解釈」、「多世界解釈」、「パイロット解釈」も解説されてます。

>お見受けしたところ他の分野(特に量子論)には伝聞程度の知識しかないのではと思われますので、

私がお見受けしたところでは(笑)、ここの常連さんは他の分野でも伝聞以上の知識を持っていると感じてます。
ここは、所謂、科学大好き少年が大人になったような人達が集まっているので、上の指摘は、はやしさんの認識不足ですね。

45はやし:2006/08/29(火) 00:35:54 ID:xa9XiOiY
ジャック・モノーは一貫して「偶然」という言葉を否定的な意味ではなく、肯定的な意味で使っています。その意味で彼の論理には確かに破綻がありません。わたしは彼ほどダーヴィニズムの真髄を明確に言い表しえた語り手は他にいないのではないかと思っています。したがって彼の成功はダーヴィニズムの勝利を意味しており、逆に彼の失敗はダーヴィニズムの敗北を意味しているといっても過言ではないでしょう。
ところで彼は自らをカルテジアン(=デカルト主義者)であると表明しております。確かに彼の論理は完全にデカルトが描いた宇宙論の論理そのものなのです。デカルトは「宇宙論」という書物において、一切の物質的世界を「延長」としての物質の幾何学に還元できると考えました。宇宙空間はその物質のエーテルにより満たされ、そのエーテルの衝突によって渦動を起こし、様々な星が生じたというようなことまで述べております。これは後にカントにも影響を与え、いわゆる星雲説の元になり、それは又後にアインシュタインの一般相対性原理にも生かされています。しかしデカルトのその論理が徹底しているのは宇宙論だけでなく、「情念論」という本の中で独自の生物機械論を展開したことです。彼は人間以外の生物をすべて延長としての物質に還元できると考えたました。この発想はまさしく現代の分子生物学に生かされているわけです。
J.モノーの「偶然と必然」の中でおそらくもっとも瞠目すべき箇所は、次の表現にあると思います。
「したがってタンパク質こそは、化学機械の活動を一定の方向に導き、首尾一貫した機能を果たさせ、そしてその機械自身を組み立てるものなのである。これらの合目的的性能は、突き詰めればすべてタンパク質の《立体的特異性》にもとづくのである」同書P53
この表明の中に彼の思いがすべてこめられているとみてよいでしょう。つまり彼はこの箇所でデカルトと同様徹底した幾何学の論理にしたがって生物機械の仕組みを証明しようとしているわけです。
確かに彼はその論理性において破綻がなく徹底しているわけでありますが、実はその論理性こそが彼の最大の弱点なのだということに気づきます。ダーヴィニズムに対して反対する世の学者たちはいわゆる反還元論者と言われる人たちが多いのをご存知でしょうか?わたしは彼等の本を何冊も読みました。代表的な学者で言うとベルタランフィーやケストラー、最近ではカウフマンらの自己組織理論名等もその系統にはいります。反還元論というのはつまり、生物を個々バラバラにした物質の原理に置き換えることはできないという主張です。わたしはこの主張には大きな意味があると思っているものですが、残念ながら必ずしも彼等の反還元主義の主張が真に説得力のあるものとなったとはいえません。では一体、J.モノーの論理には何が不足しているのかということをいろいろ考えてみますと、結局一つの重大な欠陥をみつけるにいたりました。それは「時間」という概念です。モノーの論理は確かに幾何学的な論理で一貫しているわけですが、そこに欠落しているのは「時間」の概念なのです。
ところで「時間」とはいったい何でしょうか?ここでわたし自身の考えを言う前にみなさんに先に聞きたいと思います。一体「時間」とは何でしょうか?

46tema:2006/08/29(火) 01:11:46 ID:YnKcAJXo
>>33
>そんなおばかさんを二人も見るなんて、どこかに元ネタでもあるのでしょうか。

それはもう、「ブラッ(ネタばれにつき以下略)

元ネタ候補としては、読んだこと無いので信頼性が低いのですが、このへん↓が怪しいと想像してます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA

47ミケ:2006/08/29(火) 07:24:08 ID:KO.P9.dA
あーあ、
せっかく図書館から借りてきたのに、みんな反応が早すぎるよ(w。

さて、皮肉にもはやし さん自身の引用が一番端的に
モノーが
「生命の発生が、ほとんど可能性ゼロに近い偶然で起こった」
という立場を『とっていない』ことを示していると思います。

>現在のところ、生命が地球上にただ一度だけ出現しということ、したがって生命が生まれる以前にはその出現する確率はほとんどゼロであったということを、肯定する権利も否定する権利もわれわれはもっていない。

皆さん、引用ありがとうございました。

48ミケ:2006/08/29(火) 07:26:53 ID:KO.P9.dA
>>47
みなさん、っていうか
はやし さんとなまけもの さん、引用ありがとうございました。

49ミケ:2006/08/29(火) 07:59:03 ID:KO.P9.dA
上記のような書き込みをしておいて何ですが、
書き込んだあとに第一掲示板を見ましたら、
このスレの話題が本来の趣旨から離れているとの指摘がありました。

確かに、
NATROM さんの指示においても

>単なるツッコミや感想ではなく、指名された人が議論に使用しやすいような発言は

とありますし、
このスレも本来議論用として立てたものではありませんので、
単なるツッコミをしたい方は
「勝利と擬似勝利」スレあたりが適当かと思いますので、
そのあたりに移動しませんか?
というか、単なるツッコミや感想であればガマンするほうが良いかもしれません>常連。
(1対多数を回避するための措置だから)

これ以降ここに投稿する場合は、あとで同じネタが出てきたときに
参照資料として有効に活用できるような形式でお願いします。
あくまでもソース主体で。
ミケもこれ以降は単なるツッコミは控え、
あくまでも参考資料を掲示するに留めようと思います。

勝手なお願いとは思いますが、はやし さん、皆さん、よろしくお願いします。

To はやし さん
ミケの>>47>>48に対するレスがあれば、
ここで行って構いませんが、それに対してのレスは場所を変えると思いますのでよろしく。

50Seagul-X:2006/08/29(火) 08:09:30 ID:oqAXjfo2
別スレッドで大文字ナンさんも例をあげられていますが、中間型の化石がほとんど見つかっていない、というのは大嘘ですね。これまでにもたくさんの中間型の化石は見つかっているし、現在も見つかりつつある。たとえばこんなのとか。

http://www.nikkei-bookdirect.com/science/topics/bn0608_3.html

こないだ NHK でやった「恐竜vsほ乳類」でも羽毛の生えたティラノザウルスの近縁種が中国で見つかった話がありましたよね。また、馬なんかは足の指が前 4 本、後 5 本のヒラコテリウム(エオヒップス)からオロヒップス→エピヒップス→メソヒップス→ミオヒップス→パラヒップス→メリヒップス→プリオヒップス(→エクウス、現在のウマ)と 1 本に減っていく過程のさまざまな中間型が見つかってます。ヒラコテリウムの段階ですでに前足の指は 4 本になってるし、後足も第 1 指・第 5 指が退化した状態なので、さらに遡った祖先もいずれ出てくるでしょう。
クジラも、以前はメソニクスが祖先と云われていたのが、最近みつかった化石からカバの仲間の偶蹄目から進化したことがわかったりしてます。(みつかる前から DNA 解析によってそのような説があったそうですが、それを証明する化石が出た、ということですね)
他にもネットでちょっと検索すればいろんな中間型の化石について、山のような情報が出てきます。

にもかかわらず、見つかってないなどと平気で言えるあたり、はやしさんの読んだ数百冊の本がすべてよっぽど古くて書いてなかったか、書いてあったのにはやしさんには読み取れなかったのか。それとも、ここにも第 1 掲示板にもはやしさんの主張に対する反証がたくさん書かれたのに無視しているように、本に書かれた内容が自分にとって都合が悪いときには見ないふりをしてるのか。
ま、見ないふりをしても騙せるのは自分自身だけですが。

51PDX.:2006/08/29(火) 09:42:41 ID:NtVg0xZw
>>49 ミケさん
 了解。

52ET あらため e10go:2006/08/29(火) 11:55:22 ID:Qys2MBh.
>>49 了解しました。

なお、HNを「e10go」に変更します。
Yahoo!知恵袋やその他の掲示板でこのHNを使っているので、統一させていただきます。

53AH1:2006/08/29(火) 15:52:11 ID:Xwbw570A
>>49 了解いたしました。

54ハッター:2006/08/29(火) 20:21:32 ID:gzs2a1SY
本来の趣旨に沿いますね。

どちらも子供でもわかる丁寧なよい説明だと思います。

化石が出来る条件の難しさ
http://hayashibara.co.jp/html/shinka/025/main.html
地層の不連続
http://skura.hp.infoseek.co.jp/r01/chi001m.html

55shinok30:2006/08/29(火) 22:11:03 ID:yn9lX7no
獣脚類の中に見られる『鳥類の特徴』の例
・羽毛の痕跡がある(シノサウロプテリクス・プロターケオプテリクス・カウディプテリクス・ミクロラプトル・ディロング)
・歯が無いオウムのようなくちばしを持つ(インゲニア・ヤンシニ)
・トリに特徴的な骨である”叉骨”や平板な胸骨を持つ(インゲニア・ヤンシニ)
・手首の骨が癒合している(モノニクス・オレクラヌス)

>近年あいついで中国から発見されたヴェロキラプトルに近い恐竜の化石のなかには、羽毛の痕跡が保存されているものもあり、鳥の翼に似た翼を持っていたと考えられている(ただし飛翔能力はなかったと考えられる)。そのためヴェロキラプトルもまた、鳥に近い恐竜だと考えられている。<
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%88%E3%83%AB

>羽毛をもった恐竜
>最初期の鳥類の始祖鳥は、19世紀にドイツのジュラ紀の地層で発見された。始祖鳥の発見以降は鳥類の化石はほとんど見つからず、鳥類の起源については諸説が乱立していた。
>しかし、1990年代以降、中国の白亜紀の地層で羽毛をもった恐竜の化石が相次いで発見され、鳥類と恐竜の系統関係が明らかになってきた。 羽毛をもった恐竜には、シノサウロプテリクス・プロターケオプテリクス・カウディプテリクス・ミクロラプトル・ディロングなどがある。
>これらの発見から、従来は鳥類の固有の特徴と見られてきた羽毛が恐竜にも存在していたことが分かり、この羽毛をもった恐竜のグループから空を飛ぶ鳥類が進化したことが明らかになってきた。 このように現在では、鳥類の先祖は恐竜の獣脚類の一種であることがほぼ定説となった。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%90%E7%AB%9C#.E7.BE.BD.E6.AF.9B.E3.82.92.E3.82.82.E3.81.A3.E3.81.9F.E6.81.90.E7.AB.9C

>【インゲニア・ヤンシニ 頭骨】
>インゲニアは獣脚類というグループの中のマニラプトル類とよばれる小グループに属します。上のリストの中の、ヴェロキラプトルとサウロルニトイデスも同じくマニラプトル類ですが、インゲニアの頭骨は、これら2つの獣脚類のものとはびっくりするほど違う形をしています(たとえば;インゲニアの下顎には大きな穴が開いている/鼻面が短く、縦に長い/頭頂部の幅は狭く、2つの穴〜上側頭窓といいます〜は細長い/外鼻孔が高い位置に開口している、など)。これらの中には、歯が無いオウムのようなくちばしを持つ、といった、トリとの近縁性を想わせるような特徴も含まれます。同じオヴィラプトル科恐竜である、オヴィラプトル・フィロセラトプスや、リンチェニア・モンゴリエンシスに存在する大きなとさかが見られない、といった点もインゲニアの特徴です。
>【インゲニア・ヤンシニ 肩帯】
>トリとの近縁性を想わせる特徴は、頭骨以外にも見ることができます。このQTVRの中の標本はインゲニアの”肩まわり”(肩帯といいます)ですが、トリに特徴的な骨である”叉骨”(中央のブーメラン型をした骨;現生の鳥類に比べて頑丈で伸縮性のないつくりになっている)や、走鳥類などの飛べないトリに見られるような、平板な胸骨を見ることができます。

>【モノニクス・オレクラヌス 前腕】
>モノニクスの頑丈な前腕には、種名の由来となった肘の突起(尺骨の上部)があり、このQTVRでも容易に確認できます。その他の注目点としては、唯一のツメと、上腕、および下腕の3者がそれぞれほぼ同じ長さであること/唯一のツメ以外に指が存在する形跡が見あたらないこと/手首の骨が癒合していること、などが挙げられます。是非ご自分で確かめてみて下さい。特に最後の特徴は現生の鳥類にも見られる特徴です。
http://www.dino-nakasato.org/jp/vm/indexVM-j.html

56はやし:2006/08/30(水) 00:49:40 ID:lAXV4GcU
少し前の書き込みに関連する引用を以下させていただきます。

「19世紀物理学の理論に対しては、現在の分子生物学の理論に対して可能であるよりもはるかに正確かつ包括的な検証がなされていたという事実を分子生物学者は考えてみるべきである。そうした事実があるにもかかわらず、古典物理学は退けられくつがえされ、いまはただ、ある程度限定された巨視的な領域において価値をもつ単純化と近似としてしか生きながらえていない。分子生物学の成果はまちがいなくすばらしいものであるが、いずれ古典物理学と同じ運命をたどることにならないともかぎらない」D.ボーム
「科学は科学的プログラムを納得できる形で遂行することに成功しなかった。今日、その達成が可能だと信じている物理学者はいない」アインシュタイン
「分子生物学を学ぶ者はみなプラスチックの玉と軸で組み立てられた模型を使って遊ぶことで自分たちの職業に習熟する。それらの模型は核酸や酵素の構造と機能を詳細に研究する上で欠かせない道具である。しかし物理学者からみれば、そういう模型は19世紀に属するものである。物理学者なら誰もが原子は小さくて硬い玉ではないことを知っている。めざましい発見をするために分子生物学者がそういう機械論的な模型を使っている間に物理学はまったくちがう方向に進んでいたのである」フリーマン・ダイソン
「意識ということを関係させずに量子力学を完全に納得のいく形で定式化することは不可能だ」ユージン・ヴィヒナー
「唯物論が掲げる存在論は、われわれを取り巻く世界が備えている直接的な〈現実性〉という実在の仕方は原子の範囲にまでsのままのかたちで外挿できるという幻想によりかかっていた。しかしながら、そういうかたちの外挿は不可能なのである」ハイゼンベルグ

以上高名な物理学者の見解です。いずれも量子力学が及ぼした世界観の変革がいかに大きいかということを物語っておりますね。それに対して生物学者がいまだに19世紀的な古典力学の唯物的世界観を信じているということが分かります。

57NAN:2006/08/30(水) 03:19:43 ID:Kjsf6b36
>以上高名な物理学者の見解です。いずれも量子力学が及ぼした世界観の変革がいかに大きいかということを物語っておりますね。それに対して生物学者がいまだに19世紀的な古典力学の唯物的世界観を信じているということが分かります。

はい、すでに他の方々から「はやしさんの主張のすべて」は潰されていますが、やっと「新しいことがひとつ」云えましたね。

ちなみにはやしさんが提示した「高名な物理学者たち」の修辞(論文や科学的主張ではなく、思想や信条に属する言明)は、どれも量子論の黎明期のものです。今、同様の「宣言」を行うひとはあまりいないでしょう。たとえば、スティーヴン・ホーキングは自著「ホーキング、未来を語る(アーティストハウス、角川書店)」の中(p.184)で以下のように述べています。

----------------------------------------------------------------
DNAは自分自身のコピーを造るとき、らせんにそった核酸の順序をときどき間違ってコピーしてしまいます。たいていの場合、この誤りによってDNAは自分自身を複写できなくなるか、もしくはしにくくなります。そのため、このような遺伝子の誤り(突然変異と呼ばれています)は死に絶えるのです。けれどときどき、この誤り、すなわち突然変異によってDNAが生き残り複写を造る機会が増加する場合もあります。このような遺伝情報の変化は歓迎されるでしょう。これが核酸配列に含まれる情報が少しずつ進化し、複雑さを増した仕組みです。(図6-4)※図示されているのはリチャード・ドーキンス「盲目の時計職人」にあるバイオ・モルフ図の引用。     
----------------------------------------------------------------

この本は2001年12月に初版が発行されています。ホーキングは、現役の物理学者であり、量子論と宇宙論をまたぐ物理学会の巨人であることは云うまでもないでしょう。そのホーキングは、量子論の最先端を追求し続けているのに関わらず、生物学、ことに進化の説明に関して「幽霊のような量子」だとか「量子論が出てきたばかりの頃の、誤解にもとづく実在性への懐疑(アインシュタインが行ったような)」を用いて、ダーウィン的進化論を批判したり、分子生物学者を馬鹿にしたりしません。それどころか、ドーキンスに対して敬意を込めているかのように、彼の図示したバイオモルフのグラフィックを自著に引用しているわけです。

さらに云うなら、ホーキングによる「DNA変異の説明」に、量子論的な説明は一切ありません。上記引用は、ダーウィニズムそのものであり、ホーキングは生物進化に関して量子効果を「いちいち」持ち出す必要がないことを示しています。

現在、たとえば脳の生理学において「量子的なふるまい」を検討すべきであることは知られています。また、あらゆる科学分野において、古典的な「決定論や機械論」が棄却されていることも広く知られたところです。ただし、量子論が示した「自然のあるがままの姿」とは、自然現象の根底にある「確率性」であって、洪水地質学のように「まるっきりあからさまに間違った説」を支えるものではありません。むしろ、自然の根底には確率という「幅」があるので、さまざまな「突然変異と自然淘汰」に代表される確率論的メカニズムが存在することを、強く示唆しているのです。

同様にして、ファインマンの多重歴史というアイディアは、粒子がA点からB点に到達する際に、考え得る「あらゆる経路(その中には因果律を破るような経路も含まれる)」を通る(ランダムである)が、大きな物体の運動においては、それぞれの「波」が互いに干渉しあうために打ち消されて(選択されて)しまい、残る経路は「必然的に」ひとつだけになる、というものです。これ、まさに「突然変異と自然淘汰」と同じメカニズムなのですが、はやしさんには理解できないのでしょうね。

58NAN:2006/08/30(水) 03:21:25 ID:Kjsf6b36
おっと、専用スレに発言するつもりが、こっちに投稿してしまいました。重複を避けるためにこのままにしますが、ここに発言してしまったのは私のミスでした。申し訳ありません。

59名無しさん:2006/08/30(水) 21:36:52 ID:MA0bJJRk
始祖鳥(古生物)について
http://homepage1.nifty.com/archaeo/dinobird/shisochou.html
より引用
始祖鳥と現生鳥類との関係は、親子ではなく兄弟のそれに近い
引用終わり

始祖鳥に関することを書くなら(その他に関してもそうだが)
せめてgoogle検索で上位にくるページぐらい目を通してもらいたいものだ。

60ハッター:2006/08/30(水) 22:43:39 ID:gzs2a1SY
プロトアビスについてはキメラではないのかという疑いが濃厚のようです。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili/keitou/qa/protoavis.html

"チャタジーが鳥の鎖骨と考えた骨は、実は鳥とは縁の遠い爬虫類の尻尾の神経棘(背中を走る神経をカバーする骨)でしかないかもしれません。"
とのこと。
ここには参考文献も載っています。

2002年にwadjaさんが話題にされていましたね。

61名無しさん:2006/08/30(水) 22:59:22 ID:MA0bJJRk
よく「何物かの先立つデザインがあるからこそ、高度に合目的な器官があるのだ」
という発言がある。
そういうときに良く例として出されるのが「目」だったりするわけだけど…

高校生物:目の進化
http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/biology/evolveeye.htm
(目の解剖写真などがあるのでチョイグロ注意)

どーみても盲点なんかがある哺乳類の目より、イカやタコの目のほうが構造的に合目的でしょ。
デザイナーさんがいらっしゃるなら同じ機能のために何で根本的に異なる複数パターン作るんでしょか。

62Kosuke:2006/08/31(木) 05:36:16 ID:bfL1FEYU
> デザイナーさんがいらっしゃるなら同じ機能のために何で根本的に異なる複数パターン作るんでしょか。
神は気まぐれですから(笑)


冗談はさておき、この種の多様性はありとあらゆる場面で発見されるわけで、それを逐一特定のデザイナーの設計であると主張するのは、さぞかし骨が折れる事でしょう。

63PDX.:2006/08/31(木) 09:38:20 ID:NtVg0xZw
 その点、神による創造説よりもID説の方が好都合かもしれませんよね。
 神の手で「やっつけ仕事的」な被創造物が創られたとすると、それは全能なる存在への冒涜となるかもしれません。
 いえ、「全能なればこそ手抜きもできるのだ」とか「創造された時は完璧だった人体はアダムの堕落で劣化したのだ」とか言い訳はできますが。
 その点IDであれば全知全能である必要はないので、使い物にならない創造物を創ったとしても冒涜とはなりえません(笑)。

64Seagul-X:2006/08/31(木) 12:18:03 ID:oqAXjfo2
>その点IDであれば全知全能である必要はないので、使い物にならない創造物を創ったとしても冒涜とはなりえません(笑)。

そんな方々に是非お勧めしたいのが複数デザイナー理論。
眼にように、おなじ機能が種によって違った実装になっているのも自然に説明できます。

http://transact.seesaa.net/article/15854899.html
http://transact.seesaa.net/article/17165331.html
http://transact.seesaa.net/article/17169150.html

表向き神を排除した ID ではこれを否定できませんからね。
(もっとも日本には八百万の神がいるから、日本人ならこれを受け入れてもいいのかも)

65Seagul-X:2006/08/31(木) 12:49:52 ID:oqAXjfo2
別スレッドの進化論の問題だとはやしさんが主張している点。
「洞窟内の目が退化した魚」って、それだけでは何をどう問題だと考えてるかよくわからないんですけど、とりあえず「いくら洞窟内が暗くても、光を感じることができれば感じることができないものよりわずかでも有利なのに、なぜ眼が退化したのか」という話だと仮定して。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%80%E5%8C%96

ぶっちゃけた話、ちょっぴりしか役に立たない眼を限られたリソースを使って維持し続けるには費用対効果が悪すぎる、から退化するんですな。ドーキンスだかグールドだかもおなじようなことを著書のどれかの中で書いてた記憶があるのですが、手元にある分では見つかりませんでした。

むしろ、創造論で眼の退化をどう説明するかに比べれば、はるかに説得力がある。とくに中途半端に退化して眼の痕跡は残ってるけど機能していないような場合。「機能しない痕跡だけの器官」をわざわざデザインする必然がどこにあるんでしょう?
進化論なら、現在も退化し続けている途中で痕跡のぶんは余計にリソースを喰ってるけど、それでも以前のものよりは少ないから有利、今後さらに退化した(リソースを喰わない)ものに替わっていくだろう、という説明ができます。

これに限らず、はやしさんは「説得力のある」はずの創造論での説明をしてくれないんですよねぇ。じつは創造論もたいして理解してないのかしらん。

66はやし:2006/09/01(金) 23:28:39 ID:3u39tCKA
>むしろ、創造論で眼の退化をどう説明するかに比べれば、はるかに説得力がある

わたしはいわゆる正統派の創造論者ではないので皆さんが期待されるような理屈にあわないような説明をするつもりはありませんよ(ざんねん)。わたしの考えでは聖書にあるような神の創造と生物の進化は論理的にも矛盾するものではないと思っていますね。むしろ創世記1章の記述は神の創造行為というよりも生物の進化を俯瞰している神のイメージすらあります。つまりわたしの考えでは神は生物を自由にそれぞれの環境に適応し、変化、対応、進化していけるような仕組みをすべての生物の与えられているのだと解釈できます。

ところで洞穴内で目が退化した魚の例ですが、これはわれわれの普通の感覚では「退化」という言葉で簡単に納得できるように思えるのですが、ダーヴィニズムの理屈ではそう簡単ではないところがむしろおかしいのです、なぜならダーヴィニズムによると、進化にしろ退化にしろ、いかなる表現型の変化も基本的にはランダムな突然変異の結果でなければならないわけで、その理屈にしたがえば、洞穴の中で目が退化したと思われる魚は実は退化したのではなく、そのような変異をタマタマおこした魚がその環境の中では生きていくうえで有利だったので、選択圧がはたらき彼等の子孫の数が増えたのだという説明になります。これは実にまわりくどいだけでなく、ほとんどありえない説明でしょう。

67地下に眠るM:2006/09/01(金) 23:49:20 ID:EBKcpXI6
ダーウィニズムの問題点として、唯物論だとか一元論だとか抜かす馬鹿がときどきいますにゃ。
いま、ここにもいるみたいにゃんけどな。

しかしなあ、自然科学そのものが唯物論であり一元論なんだけどね。
そして、自然科学が唯物論であることは自然科学の「つつましさ」とでもいえることであり、美徳とはいえても欠点にはなりえにゃーだろう。
「へっへっへ、あっしらシゼンカガクは、ニンゲンさまの価値判断に口をだすつもりもねえので、モノの世界のことしか相手にしないんでさあ」
てな感じ。

68RYU_TI_SYU ◆R9HFpK4NlY:2006/09/02(土) 00:30:55 ID:dBZ8MxNQ
to はやし殿、他はやし殿のお相手をされる方

もし、大文字ナン殿以外とお相手するのがご所望であれば、第一掲示板に戻られてはいかが?

激しくトピズレ・・・

69はやし:2006/09/02(土) 01:13:29 ID:3u39tCKA
>自然科学が唯物論であることは自然科学の「つつましさ」とでもいえることであり、美徳とはいえても欠点にはなりえにゃーだろう

自然科学といわれたものが唯物論を信じることのできた時代は物理学者の間ではおよそ200年で終わり、生物学者の間ではまだ100年にしかならないが、すでにそれも終わろうとしています。科学史を勉強すればよくわかりますよ。マルクスエンゲルスの唯物弁証法なんて30年前まではおおはやりでしたが、いまでは誰も信じていないでしょう。時代のパラダイムはあっという間に変わってしまいます。いまは多数派だと安心しているのでしょうが、そうはとんやがおろさないというのが歴史の面白さというものでね、盛者必衰の法則というのは自然淘汰の法則よりも強力らしい。

70後藤寿庵:2006/09/02(土) 01:21:19 ID:mJ430KW2
ランダムな突然変異が目の機能の部分に起こる場合、圧倒的に目が現在より
見えなくなる変異の方が多いでしょう。目の機能が生存と生殖に必須な環境ではそれらは
自然選択によって取り除かれますが、洞穴では取り除かれず、遺伝的浮動によって
定着していきます。
この段階で目の悪い個体と目のいい個体が共存しています。しかし、いずれ残った目のいい
個体の子孫にも目の悪い個体が生まれるでしょう。これも取り除かれず、残ります。
自然選択が視力に関して働かない環境では、いずれ全ての個体が視力を失うという
ことはほぼ必然だと思います。

もちろん、目が現在よりよくなる変異も低い確率で発生し得ますが、それは
自然選択なしには累積することができないでしょう。

71地下に眠るM:2006/09/02(土) 01:27:26 ID:EBKcpXI6
自然科学において唯物論が終わりだなんて、どの科学史家がいってんの?>妄想くん
現代物理学も含む自然科学はバリバリの唯物論にゃんよ。これは定義の問題なのよ>無知無知プリンちゃん
ま、哲学史もわかってにゃーし、自然科学もダメダメ。妄想だけしか頼るところのにゃーチミには、まともなソースを示して議論なんて無理だろうから逃げてもいいよ。

これ以降は第一掲示板でお相手してあげるけどさ。
相手をして欲しければ、自然科学が唯物論でないことをソースを示して論証してごらん?
預言しておくけど、チミは何もできずに惨めに惨敗。
理由はチミが馬鹿だから。

72diamonds8888x:2006/09/13(水) 05:48:45 ID:cix7jPKY
 情報ソース備忘録として獲得形質の否定実験のことを書き込みます。

 耐性菌の出現は抗生物質にさらされるという環境の影響とは無関係な突然変異によるものであることを示した実験として、レーダーバーグ(Lederberg,J.)によるレプリカ平板法(replica plating method)というものがあります。これは、木村資生「生物進化を考える」岩波(1988/04/20)p111に記載されていて、日本語ウェブサイトでは2002年作成の下記のものが現在のところ唯一のものです。検索では他にもヒットしますがソースは全て下記のサイトです。唯一、本第2掲示板の過去ログが「生物進化を考える」をソースとしていました。

http://www10.ocn.ne.jp/~fukasawa/mypage.html
http://www10.ocn.ne.jp/~fukasawa/drugresistance2.html
慶應義塾大学名誉教授、医学博士、深沢俊夫

 専門家には常識的手法なのでしょうが、獲得形質を考えるときには非常に重要な実験であるにもかかわらずあまり知られていないようなのでここに紹介しておきます。

 他に「生物進化を考える」p112)には、クロー,J.F.によるショウジョウバエの同胞選抜実験のことも書かれていますが、こちらは日本語ウェブサイトでは適切なヒットがありませんでした。

73diamonds8888x:2006/10/05(木) 05:07:53 ID:IgreeRk2
 獲得形質関連実験で2001年と2002年のものの河田雅圭による紹介です。適応的な突然変異は誘発されるか。
ttp://meme.biology.tohoku.ac.jp/INTROEVOL/adaptivemutation.htm

74谷庵:2006/10/08(日) 05:18:17 ID:I2.KC5hg
>>73
リンク先の文章

>実験的に、乳糖を分解してエネルギーにすることのできない大腸菌を、乳糖ばかりの環境で培養してやる。そうすると、エネルギー源の乳糖が存在しないために、その大腸菌は増えることができない。

これは間違いですよね。
「エネルギー源の乳糖が存在しないために」→「エネルギー源が存在しないために」なら良いのかな。
結論に影響はありませんが。

75ミケ:2006/12/27(水) 00:01:55 ID:zcGeqzE6
久々に。
「感情的にならないで」スレで中間型生物について盛り上がっているので。

さて、「中間型生物なんてほとんどない」というイチャモンがしばしば進化論否定派から出されますが、
実際はそんなことはなく、多くの中間型生物の化石が見つかっていますし、現生生物にも中間タイプの生物は多数います。
と、ここまでは既出なんですが、今回はより具体的に多数の例を挙げていこうと思います。
というのも、『あるとしても数えるほどしかない』という逃げ道を潰すためです。

というわけで、以下、
英語版Wikipediaから情報がたどれる中間型生物を羅列していきます。
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Main_Page

・単弓類(Synapsida)に属する動物
 昔で言うところの哺乳類型爬虫類。
 名前からしてそのまんまですが、原始爬虫類(現生のものとは違う)と哺乳類の中間的特徴を持つグループ
 例:Dimetrodon属(帆を持ったアレ。犬歯あり。)
   Cynognathus属(キノドン類最大の種。哺乳類と同じく三種類の歯がある。)
   Thrinaxodon属(キノドン類。毛が生えていたと思われる爬虫類。)

・爬形類(Reptiliomorpha)に属する動物
 爬虫類(有羊膜類)的特徴を持つ両生類。
 例:Seymouria属(セイムリア。爬虫類的な両生類グループの代表格。)
   Diadectes属(昔は爬虫類とされていたが、現在は両生類とされる。中間的だから。)

・迷歯類(Labyrinthodontia)に属する動物
 いわゆる原始的な両生類。肉鰭類と歯の構造がよく似ていて、鰓の痕跡など魚類的特徴も持つ。
 例:Ichthyostega属(イクチオステガ。魚類的な両生類の代表格。)
   Acanthostega属(アカントステガ。イクチオステガよりも祖先の肉鰭類に近い骨格。)

・肉鰭類(Sarcopterygii)に属する動物
 肉質の、骨のあるヒレを持つグループ。
 歩けるくらいに強力な鰭は、歩くためではなく水草を掻き分けるためのもの。
 四肢は歩くために発達したのではなく場当たり的な転用品だった。前適応の好例。
 Eusthenopteron属(ユーステノプテロン。両生類的な魚類の代表格。)
 Panderichthys属(ユーステノプテロンよりもきわめて両生類に近い魚。)
 Neoceratodus属(現生のハイギョ。魚だけど肺呼吸。)

・マニラプトラ(Maniraptora)に属する動物
 鳥と無数の羽毛恐竜を含むグループ。
 Dilong属(原始的で小型なティラノサウルスの仲間。羽毛を持っていた。)
 Ingenia属(オヴィラプトル科の恐竜、飛ぶためでない翼を持っていた。鳥に特徴的な叉骨を持つ。)
 Archaeopteryx属(始祖鳥。コンプソグナトゥスにそっくりでありながら飛行可能な翼を持っていた。)
 Confuciusornis属(孔子鳥。尾が短くなるなど現生の鳥に近い姿。しかし翼には爪。)
 Ichthyornis属(白亜紀の鳥。嘴には歯がある。)

・カエルの祖先
 Triadobatrachus属(原始的な両生類と現生のカエルの中間。微妙に胴長、カエルにはない肋骨がある)
 Notobatrachus属(現生のカエルに近い姿。現生のカエルとTriadobatrachusの中間)

・ヘビの祖先
  Pachyrhachis属(最古の蛇。短いながらもまだ後ろ足がある。)

・ウマの祖先
あまりにも有名すぎるけど、指の数、蹄の発達、体の大きさについて、非常に細かい過程の中間型が見つかっている。
 Hyracotherium属、Orohippus属、Epihippus属、Mesohippus属、Miohippus属、Parahippus属、Merychippus属という具合。

・ヒトの祖先
これもあまりに有名。直系のもの、傍系のものなど様々な中間型が見つかっている。
ちなみに創造科学者の知識は数十年も前のものから更新されてないのでアテになりません。
ピテカントロプスとか言ってたらアウトかな。
 Australopithecus属(アウストラロピテクス。直立歩行する猿。ルーシーとか有名。多数の種が出現した。)
 Ardipithecus属(チンパンジーと分岐した直後のヒト系統、ラミダス猿人が属する。祖先的な類人猿とアウストラロピテクスの中間)
 数々のHomo属の化石種(Homo ergaster、H. habilis、H. erectus、H. heidelbergensis、H. neanderthalensis、etc.)

すみません、もう力尽きました。
他にもクジラの祖先にゾウの祖先に現生の単孔類や古細菌にと、数え上げればきりがないほど。
これまで挙げたのは、読んでの通り【動物グループ】なので、
種レベルで取り上げればそれこそ無数に挙げることができます。

76ミケ:2007/02/08(木) 19:11:52 ID:zcGeqzE6
第一掲示板に書いてから大分遅れてしまいましたが、、、、

「一つの種が別の種になる(または二つの種に分かれる)というのが、
 実際に観察された例など皆無である。」
これは進化論を否定する人がしばしば口にする主張です。
肯定論者でさえ、そう思っている人も多いのではないでしょうか。

一応、上記主張に対する反論セオリーとしては、
種分化のタイムスケールの長さに触れ、
さらに「種の定義」が曖昧であることを指摘しておけば十分といえます。

しかし、生物学的種概念における種分化の観察事例は、ホントは実際にあったりします。
ただ、これを説明する際には、あらかじめ種の定義を相手とすり合わせておいた方が良いでしょう。
あとになって、そんなの種分化じゃない、と言わせないように。
確実なのは(笑)、まず相手の種の定義を挙げさせ、逐一その不備を指摘していき、
「結局は生殖隔離だよ」という結論にもっていっておく、という方法。

前置きが長くなりました。
では、具体例。
NatureやScienceに載った有名なやつを。

例1
Wolbachia-induced incompatibility precedes other hybrid incompatibilities in Nasonia
Nature 409: 707-710
Nasonia属の種分化。
もともと一種だった(生殖隔離のなかった)あるハチ、Nasonia sp.は、
あるときWolobachiaと呼ばれる細胞内寄生細菌に感染しました。
こいつに感染したオスは、非感染のメスと交尾しても子供を作れなくなってしまいます。
(感染者同士なら子供が作れる)
さらに、Wolbahiaには何種類かあって、
別系統のWolbachiaに感染したもの同士も子供が作れなくなってしまいます。
このような仕組みで
Nasonia sp.は、Nasonia giraultiとNasonia longicornisに分かれました。
(ちなみにこのWolbachiaを取り除くと雑種ができるようになります。)
というわけでまず、
Nasonia sp. → Nasonia giraulti
Nasonia sp. → Nasonia longicornis

例2
Single-gene speciation by leftright reversal
Nature 425, 679-679
カタツムリの右巻き左巻き。
カタツムリは、交尾器の向きの都合上、貝の巻きが同じ方向の個体としか交尾できない。
右巻きカタツムリと左巻きは、交配不能なんで生物学的種概念においては別種。
この論文で言ってるのは
・Euhadra quaesita → Euhadra quaesita+Euhadra aomoriensis

例3
Speciation by Distance in a Ring Species
Science 307: 414-416
ヤナギムシクイの輪状種。
輪状種とは、いくつかの集団を含んでいて、
隣り合った集団同士は交配できるけども、端っこのヤツ同士は生殖的に隔離されている、
という集団構造のこと。
すなわち、端っこのヤツ同士は生物学的種概念では別種。
ただし、間にある中間的な集団によって遺伝子流動が媒介されているので、
これは、いわゆる別種と同種の中間段階ってヤツの例です。

直接観察されていない、というツッコミは、
・ショウジョウバエの実験で同じ結果になること(あとで書くかも)
・年輪が刻まれるところも直接観察されていませんが何か?
という上記二点を懇切丁寧に解説すれば払うことができます。

さて、補足です。
第一掲示板にて2月 8日(木)16時04分43秒に、
人知が関与してなくて(ヒトの手が加わってないって意味だよね?)、かつ哺乳類で出せ
という、とんでもなく贅沢で無知な注文が出ました。

本来ならば、世代サイクルの遅さ、個体数・種数の少なさ、野外観察の困難さ、
どれをとっても、哺乳類は野外の種分化観察には向かないということを
せつせつと述べていきたいところですが、
具体例を挙げると先に言ってしまっていた手前、
第一掲示板では文句言わずに答えてあげる予定。

今回はその予告。
まあまだよく調べていませんが、哺乳類の輪状種の例を三つほど見つけました
・シロアシネズミ(Peromyscus maniculatus)
・ハツカネズミ(Musculus musculus)
・ポケットマウス(Perognathus amplusとP. longimembris)

ソースとか写真とか一通り探してウラをとってから第一掲示板に書く予定。
輪状種以外の例も探しとこうかな。

77wadja:2007/02/10(土) 01:20:36 ID:vhAcJKts
輪状種に関しては、セグロカモメしか知らなかったんで、貴重な情報ありがとうございます。でも、表の掲示板の方だと、「ハチはハチでしょ?」「カタツムリはカタツムリじゃん」「ネズミはネズミ」とか言いそうで怖いんですけどw

78ミケ:2007/02/16(金) 12:24:49 ID:zcGeqzE6
ちょっと面白い記事を見つけたので紹介します。

「コノハムシの化石は、それが擬態する広葉樹の出現より前の時代から発見されている。」
というのが、日本のネット上(?)でウワサになり、
進化論(自然選択説)否定者によって取り上げられたことがありました。
参考
ttp://caramel.2ch.net/wild/kako/1016/10163/1016364949.html
ttp://members.jcom.home.ne.jp/natrom/board060124.html

どうやらこれはガセだったようです。
コノハムシの属するナナフシ目は、かなり昔から存在するようですが、
おそらくはそれをコノハムシと勘違いしたことに端を発するのでしょう。
根拠は、英語の創造論系サイトにそれに類する話がまったく出てこないこと。
ぜったい、和訳したときに間違えたんだってば。

まあ都市伝説が発生した経緯については完全に憶測ですが、
ガセであることの決定的な根拠は今日見つけました。
ttp://www.physorg.com/news90157844.html

>Scientists discover first fossil of a leaf insect
訳:科学者は、コノハムシの最初の化石を見つけた。
#化石の写真も出てます。
 これまでコノハムシの古い化石は見つかっていなかったけど、それが見つかった、という記事。
 日付に注目。

>One of the most striking parts of the discovery is that
>the sediment deposit where the scientists found the fossil
>was radiometrically dated at 47 million years old
>(the Eocene epic in the Cenozoic era spans 56-44 mya).
※引用者が適宜改行
訳:注目すべき点は、科学者がその化石を発見した場所の堆積物は
  放射線年代推定から4700万年前のものだとされたことだ
  (新生代 第三紀 始新世が5600万年前〜4400万年前)
#ちなみに恐竜の絶滅は6500万年前前後

>Because leafy angiosperm plants mimicked by phasmids arose
>in the middle of the Cretaceous
>(125-90 mya, not too long before the final days of the dinosaurs),
>this date range places a maximum age limit on leaf insects.
>But scientists still aren’t sure whether leaf insects appeared earlier,
>in the Cretaceous, and took a while to evolve
>their unique camouflage morphology and behavior,
>or whether they appeared later, in the Eocene, and evolved rapidly.
※引用者が適宜改行

訳:Phasmid(*)が擬態する広葉の被子植物は白亜紀中期
  (1億2500万年前−9000万年前、恐竜絶滅の少し前)なので、
  コノハムシの“年齢”は最大でこのあたりとなるだろう。
  しかし、
  コノハムシが比較的早く、すなわち白亜紀に現れて
  そのユニークな形態と行動を進化させるのに時間を食ったのか
  あるいはもっと遅くに、すなわち始新世に現れて急速に進化したのか
  科学者たちはまだ確信をもっていない。
(*)Phasmid自体はたぶんもっと昔からいるみたいなので
   ここではコノハムシの先祖となるphasmidのことだと思われる

元ネタの論文も載ってました。
論文タイトル:The first fossil leaf insect: 47 million years of specialized cryptic morphology and behavior.
雑誌:Proceedings of the National Academy of Sciences. January 9, 2007. Vol. 104. no. 2. 565-569.

81名無しさん:2008/09/20(土) 09:26:47 ID:ie9ggIeM
ttp://creationontheweb.com/images/lote/japanese/5805stones_and_bones.pdf
これ既出でしょうが誰か解説お願いします

82ミケ:2008/10/16(木) 22:06:37 ID:EqcAdGUE
おお、新しいレスが入っている。
というわけでおひさしぶりです。

>>81
ちょっと長いですね。
ざっと読んだところ、

・化石は短い期間でもできる。
・中間型は存在しないし見つかっていない。
・突然変異では情報は増えない。(有利な突然変異など存在しない。)
・痕跡器官など存在せず、何か役割を持っているのだ。
・放射性年代測定は誤りだ。

こんなところでしょうか。
ほとんどが使い古されたネタですが、分野が多岐にわたっているので
全部参考サイト付きでつっこもうと思ったら大変ですね。


まず、中間型については>>75-76で既に扱っています。
なお、この件について著者の方は
大英博物館のコリン・パターソン氏の言葉を引用して
「進化論者さえこう言っている」みたいなことを言っていますが
どうやらお得意の、不完全な引用のようです。
ttp://www.talkorigins.org/faqs/patterson.html
訳は、そのうち暇を見て……。

有利な突然変異など、、、というところは頻出モノなので
とりあえずはその辺から手をつけていきますかね。
のんびりいきます。抜け駆けOKですよ〜>ALL

83名無しさん:2010/01/18(月) 20:58:45 ID:/t5KEVyM
age

84名無しさん:2010/01/18(月) 21:01:16 ID:/t5KEVyM
age

85jbbs.livedoor.jp:2011/04/19(火) 14:56:54 ID:???
1138967290.. WTF? :)

86jbbs.livedoor.jp:2011/04/22(金) 17:46:27 ID:???
1138967290.. Huh, really? :)

87jbbs.livedoor.jp:2011/06/03(金) 11:43:31 ID:???
1138967290.. Peachy :)

88jbbs.livedoor.jp:2011/06/05(日) 12:03:39 ID:???
1138967290.. Super :)

89jbbs.livedoor.jp:2011/06/19(日) 22:09:30 ID:???
1138967290.. May I repost it? :)

90名無しさん:2012/02/25(土) 16:11:38 ID:5KngPRw6
うむ

91名無しさん:2012/02/28(火) 20:59:15 ID:Jl8EYJQU
先輩、ココのサイト…まじヤバイっス(^O^)
年明けから自分書けないぐらい美味しい思いしたっス
登録無料みたいなんで試してGet!しっちゃてくださいよ☆
ttp://bit.ly/AqpRi6

92ミケ:2013/05/08(水) 01:51:05 ID:N/ivHP72
第一掲示板に書くとちょっと流れが速くなりすぎるかなということでメモ。

といってもこのあたりの話はあまり詳しく勉強していないのでちょっと自信のない部分もあります。
鵜呑み禁止!訂正歓迎!

遺伝率とは?
・その形質の分散に遺伝的要素がどの程度寄与しているのかを示す数値。

大きさなどの量的形質(cm、kgなど数値で測れる性質)は、
いくつもの要因の影響を受けており、
多くの遺伝子と、さらに遺伝子だけでなくその他ランダムな要因でも前後するものとして知られています。

ということは、
その形質(たとえば嘴の大きさ)に個体間のばらつき具合について、
仮に遺伝的要素がほとんど寄与していなかった場合……、

もしもある環境で有利なもの(嘴の大きなもの)が生き残ったとしても、
その形質の差を生み出していたのは遺伝によるものでないわけですから、
次世代の子供における嘴の大きさの平均値や分布は、
親世代が子供の頃のものと変わらないことになります。

要するに遺伝率がゼロだったら
いくら自然選択をかけても
その形質は有利な方向には進化しないと考えられるわけです。

そこで自然選択によって形質が変化したかどうかを調べるには
(量的形質のような遺伝と環境両方の影響を受けそうな形質では)
遺伝率を測ることが必要となるわけですね。
遺伝の影響がどの程度なのかを知らなければならない。

今回の第一掲示板での獲物さんは、
「ある環境の中で生き残った親から生まれた子が、推定遺伝率に遠からぬ形質を持って生まれきた」
(それだけのことで当たり前なので小進化ではない)
と言っていますが、
ある環境の中で生き残った親から生まれた子が、
推定遺伝率0.74に遠からぬ値の形質を持って生まれてきたとしたら
要するに環境による選択の効果が次世代に引き継がれたということですから
まさしく自然選択によって形質が変化した実例であり、
しかも遺伝率がゼロでないことは遺伝子頻度も変化していることを示しますので
すなわち遺伝子頻度の変化=進化であるわけですが、
おそらく彼はそんなことを理解してしゃべってはいないでしょう。

っていうか多分その数値が何を意味しているかも理解してなさそう。

ソース提示はまたあとで……。
時間のあるときに遺伝学系の教科書を探してみます。
どこかに埋まってそう。
そのときに訂正などあればするかも。

93ミケ:2013/06/30(日) 14:06:46 ID:N/ivHP72
これを言ったらこのスレはほぼいらなくなるかな〜と思いますがご紹介。
このスレと同じようなテンプレ集が、海外サイトにあったのでした。

生物学系から地学系、科学哲学に至るまで、
ほとんどの具体的なテンプレ質問は以下のサイトに網羅されております。

Talk origins
Index to Creationist Claims
ttp://www.talkorigins.org/indexcc/list.html

また忘却からの帰還で和訳もされています。
ttp://www24.atwiki.jp/kumicit/pages/19.html

「Response」がそれへのテンプレ回答、
その回答のもととなる文献が「References」に載っています。

今後は、ここに載っていないものや一般論などを載せるような感じでいこうかな。
まあ既に4年くらい書いてなかったですけど。

94TFSDHAek:2014/01/21(火) 11:38:29 ID:kzQMLDyw
-

95ミケ:2015/02/11(水) 20:04:23 ID:rTHg7Ih2
第一掲示板が荒れていますね。
ものすごい勢いで私のHNを使って荒らしているようですが
どこか痛いところをついてしまったかな?

96ミケ:2015/02/11(水) 20:13:28 ID:rTHg7Ih2
せっかく書きためたのでKSさんへの回答をBOLDで書いてみました。
その後の反応から見るに、BOLDにはできなそうですね。
そしてさらに刺激してしまったと。

遊んでしまってすみません、しばらくは自重します。

97名無しさん:2015/02/11(水) 20:47:53 ID:???
ナメプしてるんじゃない?www

98ミケ:2015/02/11(水) 20:48:34 ID:???
私はホモなんですよ

99ミケ:2015/02/11(水) 20:54:06 ID:rTHg7Ih2
あー、ここも見つかってしまいましたか。

ここは向こうと違って人目でIDが違うってわかりますよ。
(まあ向こうも分かるんですが)
投稿時間の右側ね、あなたのは???となっているところです。
私のIDは:rTHg7Ih2ですね。違ったら成りすましということが一発で分かっちゃうんです。

そろそろ管理人のNATROMさんにメールしないといけませんね。

100ミケ:2015/05/24(日) 10:37:17 ID:P0ev.7kw
久しぶりに数年越しの宿題でも。
>>81で紹介された創造論系の進化論否定に出てきたコリン・パターソン博士の言葉について解説です。

先日、第一掲示板で、某困ったちゃんが何度目かのもう来ない宣言をしましたが
彼が二年ほど前に引用の引用で同じようなものを取り上げていたのを思い出しました。
で、GW頃にようやくまともに読み始めたんですが、
気になることが出てきて調べているうちにいろいろ横道に逸れて今頃になってしまいました。

それについてはまたレスを分けるとして、
問題の記述
ttp://creationontheweb.com/images/lote/japanese/5805stones_and_bones.pdf
のp. 22-23について
大方の予測どおり、これは創造論系進化論否定トンデモさんおなじみの手口「不完全な引用」です。

※参考:エホバの証人の本に見られる「不完全な引用」
ttp://members.jcom.home.ne.jp/natrom/cite.html

先に結論を書いてしまうと、
コリン・パターソン博士が「存在しないよ」と言ったのは、中間型ではありません。
化石記録では、“直接的な祖先かどうか”を証明できないので
“反論の余地も無くAの子孫でCの祖先であるB”なんて言える化石は存在しないよ、と言ったのです。

その詳しい内容については、>>82で紹介したページにあります。
Talk Origins Archive
「Patterson Misquoted - A Tale of Two 'Cites'」
ttp://www.talkorigins.org/faqs/patterson.html

上記HPには、ライオネル・タニッセン(Lionel Theunissen)という人が
創造論者によるコリン・パターソン博士(Colin Patterson)の引用を知って
興味を抱いて本を読んだり各方面に手紙を送った経緯とその結果が記してあります。

ちなみにコリン・パターソン博士(1933-1998)は
大英自然史博物館(現在のロンドン自然史博物館)に勤めていた古生物学者で、
化石魚類とSystematics(うまく和訳された日本語はないが日本語版Wikipediaでは体系学)を専門としていました。

文中では筆者ライオネル・タニッセンがこの問題に興味を持った経緯とか、
彼が受け取った手紙とか、
それらについての創造論者カール・ウィーランド(ヴィーラント?)(Carl Wieland)のコメントや、
それについての彼の感想も出てきますが
そのへん興味のある方はセルフサービスでお願いします。

次のレスで創造論者によく使われる引用部分と、
その“続き”を見てみましょう。

101ミケ:2015/05/24(日) 10:44:29 ID:P0ev.7kw
>>100の続きです。
文が長くなりすぎますので、このレスでは
創造論者による「不完全な」引用だけを記します。

中間型がないというコリン・パターソンの引用

その引用は、
パターソン博士から創造論者 ルーサー・D・サンダーランド(Luther D. Sunderland)へ
1979年4月10日付けで宛てられた個人的な手紙からのものであり、
パターソン博士の著書"Evolution" (1978, Routledge & Kegan Paul Ltd.)に言及したものです。

まずは創造論者に使われる引用部分、原文で
**********(以下引用1)**********
I fully agree with your comments on the lack of direct illustration of evolutionary transitions in my book. If I knew of any, fossil or living, I would certainly have included them. You suggest that an artist should be used to visualize such transformations, but where would he get the information from? I could not, honestly, provide it, and if I were to leave it to artistic license, would that not mislead the reader? I wrote the text of my book four years ago. If I were to write it now, I think the book would be rather different. Gradualism is a concept I believe in, not just because of Darwin's authority, but because my understanding of genetics seems to demand it. Yet Gould and the American Museum people are hard to contradict when they say there are no transitional fossils. As a paleontologist myself, I am much occupied with the philosophical problems of identifying ancestral forms in the fossil record. You say that I should at least "show a photo of the fossil from which each type of organism was derived." I will lay it on the line, There is not one such fossil for which one might make a watertight argument.
**********(以下引用1)**********

**********(以下和訳1)**********
私の本の中には進化的移行[※evolutionary transitions]の直接的なイラストが欠如しているというあなたのコメントに、私は完全に同意する。もし私が、化石であれ現存であれ、それを知っていたら、私は間違いなくそれらを含めていただろう。あなたは、そのような移行型を視覚化するためにアーティストを用いることを私に示唆しているが、しかし、彼はどこからその情報を得ることが出来るのか?正直言って私はそのような情報を提供できないし、もし私が画家の自由にゆだねて描いてもらうなら、読者に誤解を与えることになりはしないか? 私は4年前に本を書いた。もし、今、その本を書くなら、かなり違ったものになるだろう。私は、Gradualism[※生物は徐々に変化してきたこと]を信じているが、それは単にダーウィンをよりどころにしてるという理由だけでなく、私の遺伝に対する理解から、それ[※“徐々に”]が必要だと考えられるからだ。しかし、グールド[※Gould]とアメリカ博物館の人たちは、中間型の化石など無いではないかと言われたとき、なかなか反駁できない。私自身も、古生物学者として、化石記録から祖先の形態を識別するという哲学的問題に常に悩まされている。あなたは私に、少なくとも“それぞれのタイプの生物の由来となった化石の写真を見せる”べきだと言う。率直に言おう、完璧な主張を可能とするような、そんな化石は存在しない。
**********(以下引用1)**********

日本語のPDFには、いくつか誤訳と思われる箇所もあります。
また、ライオネル・タニッセンが紹介する引用では中央部分(You suggest〜organism was derived)が省略されています。
誤訳や省略版については見比べてもらうとして、大筋は大体一緒です。
さて、ここで終わると不完全な引用であり、中間型がないかのようにも受け取れますね。
しかし続きがあることで、それが違う意味を持ってきます。
では次のレスで実際に続きを見てみましょう。

102ミケ:2015/05/24(日) 10:49:05 ID:P0ev.7kw
>>100-101の続きです。
中間型が存在しない、という意味で創造論系進化論否定者によく用いられる、
コリン・パターソン博士の「不完全な」引用の続きを見てみましょう

**********(以下引用2)**********
... a watertight argument. The reason is that statements about ancestry and descent are not applicable in the fossil record. Is Archaeopteryx the ancestor of all birds? Perhaps yes, perhaps no: there is no way of answering the question. It is easy enough to make up stories of how one form gave rise to another, and to find reasons why the stages should be favoured by natural selection. But such stories are not part of science, for there is no way to put them to the test.
**********(以上引用2)**********

**********(以下和訳2)**********
. . .完璧な主張を可能とするような、そんな化石は存在しない。その理由は、祖先と子孫についての言明は、化石記録には適用できないからである。始祖鳥は全ての鳥類の祖先か?答えはおそらくYESでありおそらくNOである:その問いに答える方法は存在しない。一つの形態が別のもう一つの形態から生じたストーリーを作り上げるのも、またその段階が自然選択で選択された理由を見つけるのも十分に容易だ。しかし、そのようなストーリーは科学の一部ではない。というのも、それらを検証に乗せる方法がないからだ。
**********(以上和訳2)**********

ということで、先に書いた結論の繰り返しになりますが
化石記録では、“直接的な祖先かどうか”を証明できないので
“それぞれのタイプの生物の由来となった化石”なんてものは真の意味では分からない。
そういう意味で“反論の余地も無くAの子孫でCの祖先であるB”なんて言える化石は
そもそも原理上存在しないよ、というのがパターソン博士の言葉の意味するところであり、
中間型そのものが存在しないという意味ではなく、実際は普通にたくさんあるわけです。

というか、その本にも始祖鳥やイクチオステガやヒラコテリウムなどの代表的な中間型が載っています。
(と、読んだタニッセン氏が本から引用してます)
それらの“復元イラスト”が載っているかどうかは分かりませんが。

さて、ライオネル・タニッセン氏が上記の“続き”を手に入れたのは、
直接パターソン博士に手紙を送って返信をもらったからです。
その中でパターソン博士は、その“続き”に関してこう書いています。

**********(以下引用3)**********
I think the continuation of the passage shows clearly that your interpretation (at the end of your letter) is correct, and the creationists' is false.
**********(以上引用3)**********

**********(以下和訳3)**********
その一節の続きは、あなたの解釈(あなたの手紙の最後にあるもの)が正しく、創造論者のものが間違いであることを明確に示していると私は考えます。
**********(以上和訳3)**********

ということでした。

余談ですが、もう一つ気付いた点を。
「4年前に本を書いた。もし、今、その本を書くなら、かなり違ったものになるだろう。」
この部分、
進化論否定論者的には「今は4年前と違って中間型などないと考えを変えた」かのように受け取りたくなると思います。
というか、たぶん件のPDFではそう受け取ってるっぽい。
だから4年前の本に関して、著者が括弧で
『パターソンは、その本の中で、いくつかの移行型があることを信じていると述べている』と注釈を入れているのでしょう。

でもそういう意味だとしたらちょっとつながりがおかしいように思いませんか?
「誤解を与えうる」から繋がっていることを踏まえれば、
古生物学での生物の復元や系統関係の推測は変わりうるので
進化の中間タイプとしてその復元イラストを想像に任せて描くのは
読者に誤解と先入観を与えるので危険だよ、
という意味だと思われます。

103ミケ:2015/06/13(土) 12:06:48 ID:P0ev.7kw
さて、前の投稿(>>100)で少し触れた「横道」の話です。
創造論者によるコリン・パターソン博士の引用は「中間型など存在しない」の他にもあるようです。
>>100-102>>82で紹介したライオネル・タニッセンの文章のタイトルには“Two Cites”と出てきますね。
Talk Origins Archive
「Patterson Misquoted - A Tale of Two 'Cites'」
ttp://www.talkorigins.org/faqs/patterson.html

コリン・パターソンからライオネル・タニッセンへの手紙の中で、
もう一つの“引用”について触れられています。
それが、1981年にニューヨークのアメリカ自然博物館で行われたという“keynote address”です。
この“keynote address”は、1981年、ニューヨークのアメリカ自然史博物館において
博物館関係者の勉強会のようなものでしょう、“Systematics Discussion Group”へ向けられたコリン・パターソン博士のトークでした。
そのタイトルは“Evolutionism and Creationism”ですが、
実際のところ、これは進化論と創造論をテーマにしたトークではなく、
分類学・体系学に関するトークだったようです。

とりあえず、ライオネル・タニッセンへの手紙の中の文章を読んでみましょう。
**********(以下引用1)**********
That brush with Sunderland (I had never heard of him before) was my first experience of creationists. The famous "keynote address" at the American Museum of Natural History in 1981 was nothing of the sort. It was a talk to the "Systematics Discussion Group" in the Museum, an (extremely) informal group. I had been asked to talk to them on "Evolutionism and creationism"; fired up by a paper by Ernst Mayr published in Science just the week before. I gave a fairly rumbustious talk, arguing that the theory of evolution had done more harm than good to biological systematics (classification). Unknown to me, there was a creationist in the audience with a hidden tape recorder. So much the worse for me. But my talk was addressed to professional systematists, and concerned systematics, nothing else.
I hope that by now I have learned to be more circumspect in dealing with creationists, cryptic or overt. But I still maintain that scepticism is the scientist's duty, however much the stance may expose us to ridicule.
**********(以上引用1)**********

**********(以下和訳1)**********
サンダーランド(私はそれ以前に彼のことを一度も聞いたことがないが)との小競り合いは、私にとって初めての創造論者との体験だった。[※訳者注:ここで「一方で」と入れるのが正しい?]1981年にAmerican Museum of Natural Historyで催された有名な“keynote adress”は、決してそのようなものではなかった。それは博物館の、(極めて)非公式なグループである“Systematics Discussion Group”へ向けたトークだった。私は彼らに向けて、“進化論と創造論 ”に関して話をするよう頼まれていた;ちょうどその前の週のサイエンス誌に掲載されたエルンスト・マイヤーによる論文によって憤激[※白熱?]していた。私はかなりざっくばらんなトークを行い、その中で、進化論は生物学的体系学(分類)に対して、利益よりも害をもたらしたことを指摘した。私は知らなかったが、その聴衆にはテープレコーダーを隠し持った創造論者がいた。私にとってはますます悪いことだ。しかし私のトークは他の何者にでもなく、プロの体系学者や関連する体系学に向けられたものだったのだ。
私も今では隠れたあるいは公然の創造論者を相手にする場合はもっと慎重であるべきだと学べた、と思いたい。しかし、私は今でも、いかに多くの嘲笑に晒されようとも、懐疑論は科学者の義務であるという立場を維持してる。
**********(以上和訳1)**********

読んだ直後の印象として、
どうやら受け取り手が正しい意味で引用しなかったのは間違いないようだなと。
しかし、「懐疑論的な考え方をヒートアップして喋って拡大解釈されたっぽいな」
というところまではな何となく想像できたものの、今ひとつピンとこなかったので、
色々とネット上を漁ってみました。参考になったHPの紹介は次のレスで。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板