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大東亜戦争(太平洋戦争)の真実

114凡人:2018/08/18(土) 03:09:04 ID:9F476DDg0
 激しい訓練や屈辱的な扱いを受けても、辞める奴は一人もいなかった。「大空をかけめぐる爽快感は他の何物にも代えがたく、戦闘機を自由自在に操縦できるようになったときは、ああ男に生まれてよかったと思いました」と大貫さんは書きました。

 佐々木さんは言います。「なにせ、空へ浮かんでれば何でもいいんでね」「戦場に行くのが恐ろしいとかあんまり思ったことないですよ。飛んでいればいいんです」

 お二人とも、本当に空を飛ぶことが好きなんだなと感じます。そして、空に上がれば、どんなに激しい軍隊のいじめも階級的重圧からも解放される。

 パイロットは技術職であり、プライドを持つ存在だったのだと分かります。

 そんな人達にある日、体当たりの命令が来る。その時の反応も似ています。

 大貫さんは書きます。

「みな一様に青ざめた。冗談じゃない、そんなことできるわけないじゃないか。俺たちは戦闘機乗りを志願したわけで、戦わないで突っこんでいくなんてとんでもない」

 佐々木さんもまた「いや話にならんですよ。動揺して」と僕に語りました。1カ月の間に何人もの殉職者を出しながら、死に物狂いで急降下爆撃の訓練を続けているパイロット達に、突然、体当たりの命令を出す。それは、彼らの技術の否定であり、プライドの否定であり、存在そのものの否定でした。

 大貫さんと佐々木さんの違いは、所属した部隊の隊長が喪服に倣って黒マフラーをつけたか、「我々は爆弾を落とす。体当たりはしない」と宣言するかでした。

 また、大貫さんは一応、「志願」の形になっています。ほとんど、暗黙の空気としての「命令」ですが、形としては一応、「志願」です。戦後、指導部が強弁し続けた内実のない「志願」です。

 佐々木さんの場合、はっきりとした「命令」でした。

 飛行時間は佐々木さんの方が何倍か多いようです。結果、佐々木さんは実戦での急降下爆撃の難しさを経験します。そして大貫さんは、特攻が指導部が思っているほど簡単なことではないと気付きます。

 爆弾を落としても当たりにくいから、直接体当たりしようというのは、「航空の実際を知らないか、よくよく思慮の足らんやつだ」と、佐々木さんの上官、岩本隊長は言い放ちました。

 作戦の理不尽さに怒り、呆れたのは二人とも同じです。

 自国の島に不時着した場合でも、飛行機を燃やし、自決せよという命令を本気で言うことの理不尽さと愚かしさ。

 生還するたびに、佐々木さんが浴びた「次は必ず死んでこい!」「どんな船でもいいから体当たりしろ!」という命令の理不尽さや愚かしさと同じです。

 命令した上官が「最後の1機で必ず私はおまえたちの後を追う」と言いながら、戦後も生き延びたのも、お二人とも同じです。

 大貫さんにこの言葉を言った司令官は95歳まで、佐々木さんの司令官は68歳まで生きました。

 特攻に出発する時に、充分な掩護も戦果確認もなかったのも同じです。「精神一到すれば何事か成らざらん」という精神論で大貫さんは押し切られましたが、佐々木さんもたった1機での特攻を求められました。

 大貫さんと佐々木さんが同じだと書いていますが、じつは、多くの特攻隊員はみんな同じだったということです。佐々木さんの方が1944年の11月から12月、大貫さんは1945年の4月ですから、状況は大貫さんの方が悪化していますが、ごく初期を除けば、特攻の実際は悪化しながらも、とても似ているのです。

 掩護機や戦果確認機を出す余裕はどんどんなくなり、出せたとしてもほんの数機、百機単位で波状攻撃して来るアメリカ軍機にはなんの意味もない編成でした。

 そして、後半、『振武寮』に入れられる大貫さんと、9回も特攻を繰り返しフィリピンの山奥に逃げ込む佐々木さんの運命ははっきりと分かれます。

『振武寮』の倉澤清忠少佐の存在は凄まじいの一言です。戦後、復讐を恐れて80歳まで拳銃を持っていたという記述には唸りました。本人が自分のしたことの意味を知り、どんなに怯えていたのか分かります。

 同時に、インタビューのあけすけな語りに、これまた唸ります。「12、3歳から軍隊に入ってきているからマインドコントロール、洗脳しやすいわけですよ」を始めとした発言に衝撃を受けます。

 この本は、大貫さんの「特攻隊員に選ばれて、不時着するまで」と「『振武寮』に入れられた顛末とそこでの生活」、そして、もう一人の著者、渡辺考さんの丁寧な「特攻隊の歴史と実態」の3つの大切な部分によって構成されています。
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