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最新刊として「アポロンのコンステレーション」を公開しました
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:
藤原肇
:2020/04/02(木) 08:28:20
さて、グルノーブルで体験した、サロンの影響の余波で、フランス第二のリヨンに招かれ、そこで得た人脈の繋がりが、ダ・ヴィンチの世界に結び、中世の精神が身近に浮上する。イギリス娘が指摘した、騎士道精神の価値が、現代的な装いを持つ紳士道より、魅力に富むのだと学び、男女関係の機微に迂遠で、練度の低い江戸っ子は、大人たちの通念を理解した。
だが、若者特有の正義感や、自然を好む性格により、地域の政治や山歩きに、より強い魅力を感じて、女性に愛を捧げるよりも、一段と高い優先順位になる。それには理由があって、彼の級友たちの多くが、パートナーの影響を受け、授業を脱落しがちになり、それが彼を用心深くし、ブレーキ役を果たしたのだ。
次の冬季オリンピックを開催する、グルノーブルの市政を巡って、パリに陣取るドゴール大統領が、フランスの栄光を目指したのに、自治と福祉を主張する住民が対立して、市民党が生れ市政を掌握した。そして、町を包んでいるそんな雰囲気には、国家と故郷への親近感の差が、対立関係として絡み合い、執拗低音の形で流動し、歴史の底流として感じ取れた。
ウィーン生まれの切手商は、かつて精神科医だったが、戦争で人生航路が狂って、グルノーブルに住みつき、彼が教える恋愛対位法は、着実に教育効果を発揮していた。伝統主義に支配されて、若者特有のロマン主義と、儒教道徳に凝り固まっていた、主人公にメンターの形で、老人はマッサージを施し、精神的な柔軟性を与えて、通過儀式への道に誘導した。
しかも、国家と民族の間の対立は、幾多の紛争の原因になり、近現代史を突き動かしてきたが、情報革命が進行する中で、対立は激化しているし、世紀末は刻々と迫っていた。時代の流れの中で、国家と国に関係について、権力としての統治形態としての政体と、生まれ故郷としての国の問題が、異国体験を通じて強く意識され、文化と民族主義の関係で考察されている。
しかも、この問題に著者は半世紀前に取り組み、現代史の問題を過去の歴史との関係で、突き詰めて考察し自問自答している。これは考える能力が低下している現代にあって、極めて重要な問題提起であり、「学而不思則罔 思而不学則殆」の教訓を思い起こし、今何を論じることが必要かを強く感じさせるのである。
世界は拝金主義に席巻され、構造主義はフランスで、米国ではヒッピー文化が、歴史の渦流を巻き起こし、それが世紀末の予兆として、混乱時代を感じさせるのである。
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