前回の欧州出張中に偶然立ち寄った本屋で VITRUVIIの『DE ARCHITECTURA LIBRI DECEM』(建築十全)のラテン語 ドイツ語対訳本を入手することができた。VITRUV自身についてはあまり知られていないが、ローマ皇帝AUGUSTUSに仕えたVITRUVは、この本を皇帝に捧げており、その格調高い導入部分は、2000年の時空を超えて現代において読者に新鮮な感動と喜びを伝えるものである。この本は紀元前33年から22年ごろにかけて書かれたと思われるが、以来古代ヨーロッパ社会における建築に関する古典的名著として、幾多の建築家、建築従事者、知識人、聖職者に(密かに)読み継がれてきたことは、引用のされかたからも窺い知れる。先に話題になっているダビンチが25歳ごろにはこの本の印刷版がイタリアで出ており、ダビンチの死後ではあるが、その後ローマにおいて1542年にはVITRUVの研究と彼の著作の忠実な再興を目的としたACCADEMIA DELLA VIRTUが結成された。