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最近読んで印象的だった本

252藤原肇:2016/03/13(日) 22:33:37

私の半世紀にわたる脱藩人生において、世界の各地で出合った人との付き合いで、最も役に立った基礎知識とでもいうか、それが乏しかったので困ったのは、ギリシア神話に対しての知識不足だった。もちろん、各民族や文化は神話を持つので、それを知っているに越したことはなく、ギルガメッシュ神話は聖書の原典だし、ヴェーダを知れば仏教やミトラ教の歴史が、全体像として浮かび上がってくる。だから、神話に親しめば情緒を豊かにし、人間の精神社会の変遷を知る上で、何物にも代え難い養分の源として役に立ち、基礎教養として不可欠であるから、概要を知っているに越したことはない。
だが、ギリシア神話の場合は特別であり、単に文化や歴史の基礎であるだけでなく、サイエンスや哲学を初めとして、医学から心理学や学芸の全域に、ギリシア神話に由来する言葉が卓越し、世界で知識人を相手にする時に、接頭語や接尾語だけてなく語幹まで、ギリシア語が教養語として君臨し、これが普遍語の正体だと気付かされた。「宇宙巡礼」のサイトに集まる人は、脱藩クラブの流れに連なるので、世界で活躍するタイプに属すから、これから海外で多くの人と付き合うはずだ。その時に単なる日常会話のレベルでなく、より掘り下げた知的な会話をする時に、役に立つはずのギリシア神話について、基礎的な素養を持ち合わせることは、きっと得難い財産になるはずである。
私も『オリンピアン幻想』の英訳本を使い、人々と親交を結んでいた時代に、もっとギリシア神話に通じていたら、対話が盛り上がったと思ったことが,どれほどあったかと思い,後悔したことが実に多かった。中学生の頃に呉茂一の『ギリシア神話』を読み、一応は理解したつもりだったが、話が余りにも多岐にわたっており、頭の中は断片が散乱するままで、整理がつかない状態が続いていた。一応はホメロスが伝えた叙事詩として、『イリアス』や『オデュッセイア』は読んだが、後になって『ギリシア神話を知っていますか』を読んで、頭の中がすっきり整理でき、そこで『新トロイア物語』を読んだら、頭の中に演劇の舞台が開き、阿刀田高という作家の力量が分かった。
彼が40年ほど早く登場して、作品を発表してくれていたら、留学時代の欧州放浪の旅の時に、ギリシア旅行がどんなに豊かで、実り多いものになったかと嘆息したものだ。そして、十数年前に『私のギリシア神話』を読み、ギリシアの神々の生活と人生が、まるで親戚の家庭生活のように、親しく感じられただけではなく、挿入されている挿絵の観察により、美術館を訪れる楽しみが増えた。
また、愛読の竹村文祥の『神話伝説医学用語』は、名医に近づきになる贈り物として、喜ばれた貴重な本として役立ち、その舞台もギリシア神話が、重要な役割を果たしていたし、ギリシア語が普遍語の証拠でもあり、数理発想の故郷はギリシアだった。


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