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最近読んで印象的だった本

220藤原肇:2015/12/12(土) 12:02:42
こんな状況の中で思い出す話として、半世紀前のカナダで知り合った人に、レバノン生まれの技術者がいたが、親しく交際していろんな議論していたら、イブン・ハルドゥーンと言う思想家は凄いから、彼の本を読んでみろと言われた。そんな名前は聞いたことがなかったので、図書館に行って調べたら何冊か著作があり、彼の本は結構読まれているらしく、借り出して一読し驚いてしまった。600年も前に書かれているのに、ヘーゲルやマルクスよりも大きな視野で、文明や国家機構について考察し、社会学や政治学の面においても、モンテスキュやマキャベルリを越え、現在の学問水準を上回っており、こんなことがあり得るかと思った。
そういえば12世紀の段階で、中東を訪れた数学者のフィボナッチは、彼の素晴らしい数列を導入したし、14世紀には複式簿記が使われており、ジェノバの商人は繁栄を極めているので、中東はヨーロッパの教師役だった。
この本が縁でカルガリー大学に行き、歴史や社会学の先生に会ったら、ケンブリッジの講師が留学しており、彼と親しくなり付き合ってお蔭で、素晴らしい観点を大いに学んだ。彼の名前は思い出せないが、流石に英国人らしい見方をして、イブン・ハルドゥーンの文明と歴史観は、マキャベルリやトインビー以上で、比類のない凄い思想家だという。当時の私はトインビーを尊敬し、彼の『歴史の研究』を圧縮版で読み、凄い歴史家だと圧倒されていたのに、英国人がトインビーの歴史観より、アラブ人を高く評価してたのに驚いてしまった。
彼がヘーゲルやマルクス以上で、流石に中世のアラブ世界には、凄い思想家がいると目を見張ったが、半世紀も過ぎた今の時点では、ハルドゥーンが英国のベーコンとロックを足し、フランスのモンテスキュを含め、ヨーロッパ近代の思想家を束にしても、それを超えるという印象を持つ。特に砂漠と都市の環境の違いによって、人間の思想と性格が大きく変わり、環境としての場が持つ影響力に従い、『良禽は木を選ぶ』のであるし、彼の人生がそれだったと学んだ。だから、私はアメリカで生活をした時には、砂漠の町のパームスプリングスに、30年も住むという生活をしたのだった。
また、王朝や国家と言う組織体は、三代で生成から衰退を体現して、60年や120年が周期だという説は、コンドラチェフに先行するものだ。それにしても、折角サウジで社会人として、人生を歩み出したというのに、僅か三か月で脱出してしまった軽率さに対し、いささかの反省をしたものである。
だが、カナダ体験は別の意味で価値を生み、多様な文化的な背景を持つ人に、次々と出会うチャンスに恵まれた。ソ連の油田経験を持つ技術者で、アフリカに派遣中に亡命して、カナダに来たロシア人が部下になったり、優れたコモンウェルスの人材が、親友になる出会いに恵まれたのだ。また、カナダには英国系の人が多いので、古本屋で掘り出し物を見つけ出して、大喜びする機会にも恵まれ、私は1927年にジョナサン・ケープ社から出た、『砂漠の反乱』の初版本を掘りだし、T・E・ロレンスを偲んで快感を味わった。
また、南米の遺跡を訪れた時には、無銭旅行中の日本の若者が、自転車でアフリカや南米を横断し、元気にやっているのに出会い、一緒に食事したり温泉に入ったりした。だから、外国体験はとても貴重であり、留学でも移民でも構わないし、欧米の若者がやる無銭旅行でも、若い時に旅に出ることは素晴らしい。
私自身もフランス留学時代に、通りすがりの日本人の旅行者が、小田実の『何でも見てやろう』を置いて行き、それに啓発された思い出があった。そこで、80年代の初めの頃だったが、『日本脱藩のすすめ』を出したところ、日本から50人近くの若者が、私の会社を訪ねて来たが、それはアメリカ時代の話だから、機会を改めて紹介することにする。


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