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重工業・造船・航空機スレッド

948とはずがたり:2017/11/03(金) 22:42:35
>>947
こうした厚遇からは「インドをインフラ輸出の成功例にしたい」という日本側の狙いがのぞく。日本は2015年にインドネシア・ジャワ島の高速鉄道受注で中国に敗れているだけに、インドへは官民挙げて新幹線を売り込んできた。国交省の幹部は「(高速鉄道が)開通すれば、新幹線の実力を世界にアピールできる」と皮算用する。

ここで大きく立ちはだかるのが、安全性に対する問題だ。インドは鉄道の総延長が約6万6000キロに及び、開業も1853年と日本より古い歴史を持つ(日本は1872年)。しかし、車両や線路などの設備は老朽化が目立ち、事故や遅れも頻発している。

8月19日には、首都ニューデリーから車で3時間ほど北上したウッタルプラデシュ州カタウリで列車が脱線して車両の一部が民家に突っ込み、20人以上が犠牲となる事故が発生。地元紙によると、過去10年間での脱線事故の死者は458人に達しており、線路を横断中の事故も含めた鉄道関係の死者は年間2万人に上るとも言われる。

首脳会談が行われた直後の9月29日には、ムンバイの鉄道駅につながる歩道橋で密集した人たちが将棋倒しになって22人が死亡する事故が起きており、高速鉄道計画を進める政府に対して「安全対策を優先しろ」との批判が高まった。
 
インドでの安全性に対する意識の低さは、鉄道に限ったことではない。道路では自動車が交通マナーを無視して逆送し、道の真ん中にマンホールのフタがアリ地獄のように開いていたりするのは日常茶飯事だ。だが、新幹線の開業後に大事故が起こってしまえば、それは「インドだから仕方ない」では済まされない。開業以来、事故を起こさずに安全性を最大の売り物としてきた新幹線のブランドに大きな傷が付くことになる。

「メーク・イン・インディア(インドで作ろう)」政策を尊重
日本は、JR東日本グループで建設コンサルタントを手掛ける「日本コンサルタンツ」など3社連合を組み、設計作業を進めている。

インドは日本と違って50度に達する高い気温や雨季の洪水といった厳しい自然環境下にあることから、工事は難航も予想される。さらに、当初のFS(事業化調査)では線路の約6割を盛り土とする予定だったが、インド側の要望でほぼ全線を高架化する方向となっており、建設費が上昇する可能性もある。インドの公共工事でいつも問題となる土地収用も終わっていないことも不安要因だ。
 
また、日本側にとっての更なる障壁は、インド政府の掲げる「メーク・イン・インディア(インドで作ろう)」の政策だ。JR東日本などは、車両やシステムを丸ごとインドに輸出したいと考えているが、国産にこだわるインドにとってはすべてを受け入れるのは難しい。モディ首相は起工式で「技術は日本から来るが、動力部品や製造はインド国内で手掛ける」と述べており、今後の議論となることは必至だ。
 
さらに、日本はインドが計画している残り6路線にも新幹線方式の採用を求めているが、交渉に進展はなく「白紙の状態」(インド鉄道省関係者)が続いている。鉄道車両メーカーは「1路線だけでは採算に合わない。インド全部で新幹線が走ってもらわないと、進出した意味がない」と打ち明ける。残り6路線をめぐっては中国や韓国、欧州勢が参入に意欲を示しており、コストを中心に激しい競争が展開されるだろう。

インドは、最初の路線こそ新幹線方式を導入し、惜しみなく援助する日本を最大限に持ち上げているが、こうした「蜜月ぶり」がほかの6路線にも通用するとは限らない。誇り高きインドのしたたかな外交戦術に、日本の新幹線も翻弄されることは十分に考えられる。
 
国交省の幹部は「『他路線も新幹線で』という思いは、十分インド側に伝わっている」と話すが、当然ながら、それは希望的観測に過ぎない。日印のさまざまな期待や思惑を乗せた「インド版新幹線」の先行きがはっきりと見通せるのには、まだまだ時間がかかりそうだ。

Forbes JAPAN 編集部


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