【書評】川村伸寬『円くんという猫のこと』 - 1660375942

1：桃李庵主人(管理人)：2022/08/13(土) 16:32:22: 【書評】川村伸寬『円くんという猫のこと』(文芸社)2022年9月15日初版

　知り合いというか身内の本である。
　書評子が頼朝ならこの著者は文覚上人である。もっともこの頼朝は全然伊豆から出てこようとしないのだが…。

　そういう観点から人が知るのは、人には多くの側面があるというアッタリマエのことである。著者の猫飼い主の側面も、父親の側面も、書評子は見たことなかったのだ。

　書評子の知ってる著者は僧侶で実業家で恐妻家で空手家で東南アジア事情に詳しいという、万華鏡のように粉々に分裂したキャラクターだ。主人公の探偵をこの設定にしてミステリ小説書いたら、編集者は多分「こんなに要ります?」って言ってくると思う。

　さよう、人に言っても信じてもらえないような、実在する訳ないような怪人物なのだ。著者は。

　高橋留美子の漫画のヒロインなら書評子を「つくならもっとマシなウソをつけ!!」と言ってぶっ飛ばしているだろう。あるいは書評子は蹴り上げられて星になり、ヒロインのパンツが見えて同級生が注意するところまでセットであろう。

　武論尊/原哲夫なら「お前のような坊主がいるか!!」だろう(いないと思う)。
　スピードワゴンは「ちがうねッ!!」と片付け(その通りだと思う)、雷電ですら民明書房のどの本でも見たことがないであろう(よく探せば民明書房ならあるかもしれない)。

　「岩手県花巻市の地学教師宮沢賢治氏が肥料設計の傍ら書きためた童話を先頃出版…」
　「松山市の俳人正岡氏と親交の深い英語教師で俳号漱石で知られる夏目金之助氏が初のユーモア小説を上梓
…」
　－－同時代の人にはそんなふうに見えていたのかもしれない。

　「ボルドー市長のモンテーニュ氏、随想録を出版」
　「大蔵省造幣局長アイザック・ニュートン氏、なぜか大陸の物理学会から批判ごうごう」
　「ドイツ語教師内田百閒氏、隠れ家発覚」
　「一揆で収監のアドルフ・ヒトラー伍長、獄中で著書執筆」

　－－最後のやつは結末を誰も見通せなかったな。
　「猫和尚」からも目を離さんこっちゃｗｗ今後ともｗｗｗ

　わりー、これ書評になってないねｗごめん。
2：猫和尚：2022/08/23(火) 12:11:18: ご無沙汰しております。
かつて台湾坊主と呼ばれておりました、猫和尚です。
まあ、どっちにしても坊主ですが、坊主＜和尚ということで見れば、微妙に出世したのかもしれませんｗｗｗ
桃李庵先生、ご丁寧な書評ありがとうございます。
てか、書評してくれｗｗｗ

そんなわけで、この掲示板をご覧の皆さま、と言ってもウナギ象先生しか思い浮かばないけれど、面白い小説なので、どしどしお買い求め下さいｗｗｗ

追伸　季節の品々、いつもありがとうございます。そのうち、まとめてお礼参りさせていただきますｗｗｗ
いや、マジで恐縮しておりますです、はい。
3：桃李庵主人(管理人)：2022/08/23(火) 18:41:33: >猫和尚様
新桃板ご訪問ありがとうございます。

実はね、ウナギ象氏は二年前の秋に亡くなったのです。
脳内血栓ということでした。
大学院時代にバイク事故で頭を怪我していたので、それが時限爆弾になっていたのかもしれません。

平日とは言え、友人枠で葬儀に参列したのが私だけだったというのもどうかと思ったし、
それ以上に、弔辞を用意していた人が誰もいなかったのが悲しかった。
私が急遽アドリブで弔辞を語って送りました。

彼は人に期待されるのが負担になる人のようで、
「買いかぶりだ」が口癖でした。
だからその才気に較べてこの世に残したものがあまりに少なかった。

あることで私は彼に腹を立てて、最後の年は絶交状態だったのですけど、
彼のご母堂はそれを知らず、私が彼の(もしかして唯一心当たりの?)
友人と思い電話で知らせてくれたのです。

彼の蔵書は、私があちこちあたって見ましたが引き取り手が見つからず、
残念ながら散逸することになってしまいました。
多すぎて私の家に引き取るのは無理で、仕分けするにしてもリストを作る時間もなかったのです。

今でも毎日、思い出さないことはない戦友です。
最後の最後に仲違いしましたが…。
はっぴぃえんどが好きだった彼、亡くならなかったらどうだっただろう。

　　　　　　　　　　◆
ところで－
ずうっと前に上人からいただいたフィリピンのTシャツ、実は今でも着ています。
ありがとうございました。

これからも時々来てレス下さい。