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alpha-archive-07 - 小柳理正

18編集部:2014/05/09(金) 10:20:57
占 術
.
                 占 術 




科学技術者であった氏が、三十代終わりに占星術の本を出していることを知りました。
科学と占術、一見すると相容れないようにも思えますが決してそうではないようです。
そこに何か共通する根っこ/世界があるようにも思えます。
肥と筑の中では主に、プログラマーである芳賀に占術について語らせます。
掲示板書き込み以外に作品の中からも取り上げました。(編集部)





相続形態の例外と周易

 「話を相続問題に戻すと、高嗣の指摘のように古代における相続は、中間子の叔が受け
持った。ところが高嗣が言ったように、この相続形態に明白な例外がある。それは周王朝
と江南の呉だ。
 例外となった問題の人物は、周王朝の始祖で文王と贈り名された西伯昌と、文王の伯父
で江南の呉の始祖となった呉太白の二人だ。ただし、呉太白は自分の子孫を残していない
から、通常の意味の始祖には当てはまらない。
 この周王朝の初期において明白な例外が生じた理由を、誰か説明できるかな。」

 ここで、和昭の友人の芳賀信行が話に加わった。本業はプログラマーだが、趣味で占術
をこなすという変わった人物である。

「はい、司馬遷の著した史記によると、後に文王と呼ばれた西伯昌の父親は、周部族の
族長で、実名を季歴、贈り名を公季または王季といいます。名前から明らかなように末子
です。江南の呉を建国した呉太伯と虞仲の兄弟は、王季の長兄と次兄なので、文王から見
て伯父つまり父親の兄に当たります。虞仲は、仲雍とも呼ばれました。
 実は周部族は、陝西(せんせい)省で農業を営んでいましたが、もともとは騎馬民族出
身と推定できます。季歴のような末子相続は、騎馬民族の習慣だったらしいですね。
季歴も末子だったので父の後を嗣ぎます。これに先立って呉太伯と虞仲は、江南の池に移
り住んで、その土地の住民の頭首となりました。これが呉の始まりです。
 季歴の死後、その子の西伯昌つまり文王が後を嗣ぎます。文王は、当時の中央政権の殷
の紂王に危険視され幽閉されるんですが、この幽閉期間中に、周易中の後天八卦の注釈、
いわゆる説卦伝を作ったという伝説があります。」
「すみません。『しゅうえき』とか『こうてんはっか』ていうのは何ですか。」と清香。

「夜の街頭で見かける筮竹を両手で捌いて占う人が易者、その占いの原典となっているの
が易経で、周の文王が大成したと言う理由で、ふつう周易と呼ばれています。筮竹を使っ
て占うようになったのは、騎馬民族が占いに柳の枝を使っていた名残のようです。周以前
の占いは、亀の甲羅や牛・鹿の肩胛骨に占う内容の文字を刻んだあと焼け火箸を当てて、
割れ方から吉凶を見る、いわゆる甲骨占が正式の方法でした。
八卦は森羅万象を八つに区分するシンボルと思って下さい。易占いではこの八卦を上下
に重ねた六十四卦が基本になっています。ところで、八卦の森羅万象への割り当て方法に
は早期に成立した先天八卦と、後期恐らくは周易成立時に出来た後天八卦とが有ります。
説卦伝というのは、この八卦に対する文王流の解釈です。従って、先天八卦と後天八卦の
違いは、周以前の一般的習慣と周の習慣の差を反映しているはずなんです。」
「よく分かりました。」

「この後天八卦の配置で面白いのは、相続を象徴する東北の部分に、末男を示す艮卦(ご
んか)が配当されている事です。つまり騎馬民族の末子相続の習慣が、文王の編集した周
易に織り込まれています。
一方、易の先天八卦では、相続を象徴する東北の部分には、長男を示す震卦(しんか)が
配当されているんです。これは、周以前の相続形態を示していると考えられます。」
「うまい。その通りだ。周易の先天八卦・後天八卦と結びつけての相続方法の説明は、非
常に明快だ。」と英夫。
「ちょっと待って下さい。当時の一般的相続者は、中間子の仲・叔だったはずです。先天
八卦で相続の象徴する部分に長男が配当されたという話とは、矛盾しませんか。」と高嗣。

「もっともな疑問だ。これは、相続において宗教上の相続を重視するか、血統上の相続を
重視するかの問題なんだ。
 古代の一般的相続で、最も重視されたのは宗教的相続であり、それは伯が受け持った。
騎馬民族の相続では、最も重視されたのは武力的相続であり、それは季が受け持ったと言
うわけだ。シャーマンの家は、族長家とは別に存在したんだ。」
「肥と筑 第一回」より?? 2007/5





占星術と龍・蛇・蠍

★占星術と九星における龍蛇と鳥の共存:
これは、一見すると偶然の関係に見えますが、やっぱり根っこでは密教に繋がっている関
係だと思います。

★私は蠍だ。何か関係あるのだろうか:
 Horoscopeで、天蠍宮に太陽か上昇点がある人は、精力が強く集中力もあるので、目標
を一点に絞ると成功しやすい特性が有ります。
肥と筑十二回のお答えの5 より??2010/3/31





春分点

★数千年前の星座の位置を特定:
春分点の移動は、昔から占星術で論じられてきました。この移動は、地球の自転軸が黄道
面に対し2万6千年弱という時間を掛けて首を振る事から起きる現象で、それ自体はごく
単純な計算で求められます。ただし、星座を形作る恒星群は、太陽系から十分離れている
ために恒星間の相互位置は、固定されていると近似しています。
それでも、黄道12星座の境界線がどこに有ると見なすかで、春分点が星座に入る時期が
変わってくるのです。
肥と筑 第十四 回感想その2へのお答え より??2010/10/2





五大と六大

五大とは、インド人の見方による世界の五つの要素(地水火風空)を言う。
この内、地水火風の四大の概念は、アラム文明で発生したもので占星術でも使用される。
最後の空大は、空気ではなく虚空を現わすインド独特の概念である。
これらの五大は、自然界では、ブーミー(地)・ウルミー(水)・ラスミー(火)・マルタ
(風)・アーカーシャ(虚空)とも呼ばれ、空間の要素を記述する。

さらに佛教では、この五大以外の要素として識大というものを立て、六大とする。
識大は、表面の五識・第六意識・第七マナス・第八アーラヤ識までを含む意識であるが、
第七マナスは、時間の観念も内包する特別な存在である。
人の意識は、この識大の働きによって起こる。
むげん君はいつから「自分」になったのか:合評 より??2010/10/23





風と唯識・占術

コーヒーを飲みながら、芳賀信行が話し出した。
「いや、驚いたなあ。今日も雲呑(わんたん)の雲の後に、宇宙生成の風が出てきましたね。
雲と言えば、夏王朝とアーラヤ識を連想するし、
風と言えば、殷王朝や占星術の黄道十二宮中の風性の宮、宝瓶宮・双児宮・天秤宮の三つ
を連想します。
風性は、知識・知性の象徴なので、この風性三宮はアーラヤ識から表面意識が生まれて来
る三段階の象徴とも言えるし、占星術では、個人がある現象と出会う後天運の時期を定め
る仕組の象徴でもあるんです」
「えー、なになに、占星術なの。すごい。面白そうね。さっきの話で、が痛くなってると
ころだから、芳賀さんの話は解りやすく説明して頂戴な」
コーヒーカップ片手に、清香が叫んだので、思わず皆が笑い出した。

「そうですか。今食べているケーキのように、出来るだけ柔らかく、また甘く説明して見
ましょう。占星術では、固体・液体・プラズマ・気体の象徴である地・水・火・風の四大
を立てますが、佛教で説く識大も空大も、明らかには立てません。それでは、佛教の識大
はこの四大の何に含まれるのでしょうか。実は、識大は風大に含まれます。風は、遠くま
で吹き渡るので、通信・伝達・知識を意味するのです。この時の仕組は、響子さんと二人
で考えました」

【風性三宮と意識の転変】
「ふむ、ふむ。お二人さん、相変わらず仲良くやってますね」と清香。
「止めなさいよ。折角の芳賀さんの面白い話が聞けなくなりますよ」と顔を赤らめた響子。
「ホイ、しまった。しばらくは、口にチャックよね」
周りで、クスクス笑いが聞こえる中、芳賀が澄ました顔で続けた。

「さて、さっきの宝瓶宮・双児宮・天秤宮という風性三宮が、それぞれ持っている意味の
差が問題です。私たちが得た結論では、風性三宮のそれぞれが、次のように識大の各層に
当て嵌まります。すなわち、宝瓶宮は第八アーラヤ識に、双児宮は第七マナスに、天秤宮
は、第六意識に当たります。実は、この風性三宮は意識の転変の順序を表わす三つ組なの
ですが、意識の転変とは、次のような仕組で起こります。
先ず、深層意識である第八アーラヤ識中の複数の種子(しゆじ)が、ある時間が経つと縁
により自我の元である第七マナスに捕捉され、第六意識として表面化します。マナスは、
複数種子(しゆじ)が登場する謂わば舞台なのです。人は、表面化した第六意識に基づい
て種々の判断と行動を行ない、その結果として善悪の業を作ります。
今度は、その業が、第八アーラヤ識中に種子(しゆじ)となって植え付けられます。これは
意識の循環または周回の仕組ですが、アーラヤ識中の種子の中味は、瞬間毎に変わってい
きます。そこで、この唯識で説く意識の転変という見方から、風性三宮の唯識配当を見直
して見ましょう。

【風性三宮の唯識配当】
・宝瓶宮は、保守の働きを持ち知識の元である第八アーラヤ識を保ちます。
 宝瓶は、アーラヤ識という種子(しゆじ)を容れておく容器の象徴なのです。
・双児宮は、異なる物を取り持つ働きを持ち、複数のアーラヤ識を捕捉し受け入れるマナ
 スです。カストルとポルックスの二人は、異父・同母の双児とされ異質で複数の識を受
 け入れる象徴なのです。
・天秤宮は、マナスが受け入れた複数の識を結合、従来の知識・経験と照合して判断を下
 します。天秤は、対象の善悪判断をするだけでなく、価値判断・識別等を行なう働きの
 象徴なのです。
以上は、風性三宮を、人の意識の転変もしくは周回の機構として、唯識的に説明しました。
なお、占星術に興味をお持ちなら、解説本付きの非常に優秀なフリーソフトが有ります」

【風性三宮と命運】
「次に、これら風性三宮を、運命学的に検討してみましょう。
人の一生を占う運命学は、先天命と後天運の二つから成ります。この二つを併せて命運と
も呼びます。先天命とは、人が生まれたときに定まっている大きな枠組みであり、基本的
には変化しません。ただし、佛教では人の心掛け次第で、先天命も後天運も改善できると
見ています。
後天運とは、人が先天命として持っている善悪・苦楽の因子が何時発現するかという運気
のことであり、通常は、ゆっくりと変化する長運気と、早く変化する短運気の組み合わせ
で詳しい時期を見ます。
例えば、長運気は、占星術では進行、四柱推命では大運と呼び
    短運気は、占星術では経過、四柱推命では流年と呼びます」
「じゃあ、風性三宮と命運との関係は、どうなってるんですか」と清香。

「はい、それをこれから表を使って示します。
実は、唯識のアーラヤ識・マナス・意識という三つ組は、先に述べたように風性三宮と良
く対応します。この関係を使って二人で結論づけたのが、次の表です。最後に密教の曼陀
羅の対応も追加しました。
 風性三宮    八識    命運  曼陀羅
 宝瓶宮(不動宮):アーラヤ識:先天命:種子(しゆじ)曼陀羅
 双児宮(柔軟宮):マナス  :後天運:三昧耶(さんまや)曼陀羅
 天秤宮(活動宮):意識   :選択運:法曼陀羅と羯磨(かつま)曼陀羅

【選択運】
この表は、じっくり眺めれば納得して貰えるでしょうが、一つだけ大事なことを補足して
おきましょう。
それは、天秤宮に対応する命運を、選択運とした部分です。
実は、通常の命運学では、選択運と言う言葉は有りません。人の運命は、先天命と後天運
とによりおおよそ決められるとする場合が殆どです。
しかし、実際の人の運命は、その人の心掛け次第で変わるものです。つまり、目の前に幾
つかの選択肢が有る場合、そのどれを取るかの選択は、その人の将来にとって非常に大き
な力を持つことが有ります。実際ある著名な占星術師は、人の命運の鑑定に先だち、客の
心掛けに関し、ある事を質問するそうです。何故かというと、その条件を満たしている客
については、大きな凶事は起こらないというのです。私自身、それほど多数の鑑定をこな
したわけでは有りませんが、実際有りそうなことだとは思いますね」
同人α27号「肥と筑 第十七回」コーヒーブレイク中の会話:芳賀信行 より??2011/5





ケンタウロス

 所で、ヒッタイトが騎馬民族だったのに対し、ギリシア人が馬に乗るようになったのは、
ずっと後の話です。その証拠に、ギリシア神話に登場する半人半馬形の賢人ケンタウロス
は東方の騎馬民族と戦ったギリシア人が、彼らの騎乗の姿に驚いて彼らを擬人化したもの
だと考えられています。
ケンタウロスは、ギリシア人と敵対する反面、彼らに色々な事も教えてくれた民族でした。
例えば、クロノスとピリュラーの息子ケイローンは、医学の祖であり、アポローンの息子
で医術の神となったアスクレーピオスや、アキレウスなどの英雄を教育した不死の賢者で
す。
 ちなみに、占星術の人馬宮(射手座)の像は、このケンタウロスの姿から来ていますが、
人馬宮(射手座)は、知的活動のシンボルなのです。
このケンタウロスとヒッタイトの関係が詳しく解明できると、きっと面白いでしょうね。
肥と筑 第十八回 評の4の答え?? より2011/10/15





無意識と占術/応用

★兆:響子
「ところで、さっき話に出た兆(きざし)って、何に由来する言葉なんでしょうか」と信行。
響子が承けた。
「日本語の[きざし]は、多分[気指す]から来てると思います。[気]は、目には見え
ないけれど何となく感じる一種の雰囲気であり[指す]は、ある事柄に先んじてやって来
ることね。噂をすれば影が指すという場合の[指す]の用法と同じでしょうね。
 一方、漢字の兆は、殷代の甲骨占に使われた亀甲が、火箸を当てられ割れた形の象形文
字です。亀甲といっても、この場合は、背中側の盛り上がった部分ではなく、腹側の平ら
な部分を用いています。
[兆]の字形は、いかにも亀甲が火箸の熱でひび割れて亀裂が走った跡みたいに見えるで
しょう」
「あ、そうなんだ。ひび割れを示す亀裂って言葉は、そこから来てるんですか。知らなか
った」と信行。

「そうよ。もう一つ面白い字は、占いの[卜]の字です。これもまた、火箸の熱で出来た
亀甲の割れめの象形文字なのね。も一つおまけに面白いのは、火箸を当てるとポクっと音
がして亀甲が割れる。その時のポクっという音が、[卜]字の音になっているそうです」
「響子さんの話は、すごく解りやすくて面白いな。もっと詳しく話して下さい」と信行。

「いいえ。私の[兆]字や[卜]字についての話は、大きな辞書を見れば、すぐに解るこ
となんです。芳賀さんこそ、よそでは絶対に聴けない貴方独自の占術と無意識との話を聴
かせて」と響子。

★占術における兆・無意識と意識の捕らえ方:信行
「それでは、ご要望に応えて、私が考えていることを話して見ます。
兆を唯識的に捕らえて見ると、深層のアーラヤ識と表面意識、つまり無意識と意識の狭間
で、チラチラと現われてくる表象を指します。これを占いの対象と見る場合、表象の現れ
方には、相と数との二つの型が有ります。相とは具象的な姿形で、人相・手相・家相など
の相という名が付く占術の判断材料となります。一方、数とは抽象的な分類で、干支術・
方位術・占星術などのデータとなるものです」
「具象的な姿形の相と、抽象的な分類の数について、もっと解りやすく説明して」清香が
突っ込んだ。

「はい、吉兆と凶兆とに分けて、例を挙げて説明しましょう。具象的な相の吉兆とは、折
々の好ましい姿形、例えば屋外で紫雲が棚引いたり、その一帯だけに雲間から日の光が射
したり、などの現象です。具象的な相の凶兆とは、世間でゲンが悪いと言われている現象、
例えば正月に門松が倒れたり、旅立ちの直後に葬列に出会ったり、極端な場合として魔物
や幽霊などに出会ったりする現象です。魔物や幽霊などの極端な凶兆は、犬や猫などの動
物でもそれと感知し防御しようとします。魔物や幽霊などは昔の人間なら感知できても、
直感が鈍い現代人では、なかなか感知出来ないでしょう。
 次に、抽象的な数の吉兆・凶兆は物事をいくつかに分類する数やシンボルと成って現わ
れます。吉凶はその時現われるシンボルまたは複数のシンボルの組み合わせによって判断
します。シンボルの例としては東洋占術の五行・干支・易卦、占星術の惑星・黄道十二宮、
タローカードなどが有ります。
占者は、出会った現象を直接数として、あるいはシンボルとして認識できます。例えば田
舎道で出会った猪の子のウリ坊の数とか危うく衝突しそうになったスポーツカーの車のナ
ンバーなどは直接数として認識できますし、猪の子は五行の水、スポーツカーは九宮中の
震宮とシンボルとして認識もできます。
このようなシンボルの意味を知り、兆が暗示する過去・現在・未来の事象を判断し適切に
処理するのが、数型の占術です。このような数型の占術による判断と処理とは、言葉を持
つことで抽象概念を持てるようになった人類だけが持つ能力です。このように、言葉を持
つ人類はシンボルを用いる数型占術という武器を得ましたが、その代償として他の動物が
持つ直感力を弱めてしまったのです」
「なーるほど、そういうわけね。でも聴いてるだけで私の抽象的思考力は、使い果たされ
そう」と清香。「なに言ってるんだ。それは多少でも思考力のある奴がいう台詞さ。ほと
んど直感だけで成り立っているお前がいう台詞じゃないよ」と高嗣。
「こいつめ、おぼえてろ。いつかお仕置きをしてやる」と清香(さやか)。
「芳賀さん、いつものことよ。気にしないで続けてちょうだい」と響子。

「はい。それでは、この数型と相型という二つの占術の型には、どのような特徴が有るの
でしょうか。
 数型占術は、思考と分析に優る人に向いており、予め一定の知識を身につければ、誰で
もある一定水準の判断が可能です。もちろん、その水準を超え、より上に行くには、日頃
の修練と長年の経験が必要です。この数型占術のうちで、占星術や干支術の持つ大きな特
徴は、過去・現在・未来の長期間にわたる占断が出来ること、更にそのためのデータは、
大抵の場合計算で求まるので、プログラム化が可能なことです。易占やタローカード等の
占いでも、適切に発生させた乱数を使えば、プログラム化可能です。
 相型占術は、直感の優れた人に向いています。これも達人の域に達するには、長年の修
練が必要です」
「それじゃあ、芳賀さんは、数型と相型のどっちに向いているの」と智美。
「はは、そんなこと決まってるじゃないか。今の体系的な説明は、彼の能力が分析面にお
いて優れていることを明確に示しているよ。和昭に聞いたら、芳賀君の得意分野は占星術
と干支術だそうだね」と英夫。

「はい。私は元々プログラマーなので、占星術と干支術についての独自システムを作って
実占に活用しています。しかし、相型占術では対象の数が膨大でパターン化が難しくプロ
グラム化は困難です」と信行。

「いや、コーヒーブレイクとしては、かなり時間を取ったが、なかなか面白い話だった。
みんなどうだ。このまま、芳賀君に話を続けて貰おうか」
英夫の提案に皆が賛成し、茶菓を片付けたあと、後半に移った。

◆占術の応用:信行
★周易八卦と九宮
「それでは、数型占術の代表的例として周王朝の文王が大成したという周易を考えて見ま
しょう。
周易の基本である八分類、いわゆる八卦(はつか)には、先天八卦と後天八卦の二つがあり
ます。詳しい説明は省きますが、先天八卦は文王以前の分類です。 後天八卦は元々騎馬
民族出身の文王が導入した西方文化の影響、具体的には騎馬民族文化とインド文化の影響
が入っています。この後天八卦以外にも筮竹を用いる周易の占筮法は、殷代の甲骨占に代
わる物として文王が導入した騎馬民族の文化です。
 さて、この後天八卦が、後代になって干支術と結びつくときには、八方位に配当された
八卦の中央に、中宮と呼ばれる新区分が加わえられて全体で九宮となります。この九宮に
配置される数は、日本では気学九星と呼ばれています。その九星の数の配置は、5を中央
に置くインドの魔方陣の考え方そのものですし九星に当てる紫白と呼ぶ色の配置も、中国
の五行分類とは異質で、明らかにインド文化の導入です。
★九宮を用いる占術とマナス
 さて、占術に戻って見ましょう。占術とは、兆をいかに捕らえ、それをどう解釈するか
という技法です。
 それでは、先天八卦では意識されていなかった中宮が新たに加えられたのは、何故でし
ょうか。
大胆な仮説ですが、私はこの中宮は外界を見る個々人の心、およびその心が置かれた部位
を示していると思います。この場合、中宮の回りの八宮は、人の心が見る外界、および人
の手足その他の部位と成ります。

 それでは、唯識的にみて中宮に収まる心とは何なのか。私は、この心をマナスと見まし
た。マナスは、通常外界からの刺激に染められ善にも悪にも傾き易い心ですが、それでも
個々人の心の働きの中心部分で有ることには間違いありません。
 要するに、九宮を用いる占術の場合、中宮は人の心、唯識で言うマナスです。それ以外
の八宮は、外界で起こってくる色々な現象、見方を変えれば色々な選択肢です。
人は、色々な選択肢中のいずれを選ぶかで、その時々の進行方向を決めているのです。
 この構造を、密教的に置き換えて見れば、中宮と回りの八宮とは、浄化された心と人を
含む回りの環境であると見る事が出来ます。
金剛界曼陀羅の基本である九分割構造は、今言った心と外界の全てが浄化された九宮の構
造にピッタリと当て嵌まるのです。その他にも・・・」

そこに、清香(さやか)が割り込んだ。
「待って、あたしにも少し言わせてよ。九宮に類似した九分割構造は、金剛界曼陀羅だけ
じゃあなくて、胎蔵曼陀羅にもあるんです」
「ほほう。確かにその通りだけれど、どうしてそう思ったのかね」と英夫。
「前に、父さんが指摘した通り、胎蔵曼陀羅は座禅中の修行者の正面図を、密教的に表わ
したものです。その中央部には、修行者の心の象徴でもあるアナハタ・チャクラが、中央
の大日如来とその回りを囲んでいる八人の佛・菩薩の形で描かれています。
さっきの芳賀さんの分類に従って言うと、金剛界曼陀羅は数型の曼陀羅であり、胎蔵曼陀
羅は相型の曼陀羅なんです」
「そう、その通りだ。金剛界曼陀羅では、専ら意識の分類を試みているのに対して、胎蔵
曼陀羅では、身体位についても興味を払っていて、ヨーガが説く体の構造も暗示的に描か
れている。心臓部位にあたるアナハタ・チャクラに人の心があると見ているのも、その考
え方の現われだね。
あ、芳賀君。話を中断して悪かったね。先を続けて呉れたまえ」と英夫。

★マナスの出会いと三昧耶曼陀羅
「はい。先ず人の意識は、密教ではどう表現されているのでしょうか。
意識は、大まかに四層に分けた、四種曼陀羅で表わされます。
これらを深層意識がわから並べると
 アーラヤ識は種字で表わした法曼陀羅で、
 マナスは三昧耶形(さんまやぎよう)で表わした三昧耶曼陀羅で
 第六意識は平面の姿形で表わした大曼陀羅で、
 その他の前五識は立体像で表わした羯磨曼陀羅でそれぞれ表わされます。

それでは、運命で言う出会いは、曼陀羅構造では、どう表現するのでしょうか。
自我意識の拠り所たるマナスが出会う外界の選択肢は、三昧耶曼陀羅中の八分枝によって
わされます。
実は、三昧耶の原語SAMAYAには[出会い・出会いの場]と[時間]という意味があります。
これを占術的に言えば、四柱推命の大運と流年運、占星術のDIRECTIONとCURRENTな
どの組み合わせ、つまり各人が持っている因としてのアーラヤ識が、縁によって現象界に
発現する時期に当たります。

要するに、複数の選択肢が象徴により表示されている三昧耶曼陀羅は、外界との出会いで
あり、また時の流れでもあります。人が、この複数の選択肢から何を選択するかが、その
後の運命を左右します。

★奇門遁甲による選択と改運
 今言ったように、三昧耶曼陀羅の九分割構造は、人の心が外界と出会う際の選択肢を示
していると見ることが出来ます。占術としては、最適の選択をどの時期にどう取って行く
かという判断が可能な仕組を、この九分割構造で構築すれば良い訳です。実は、それにピ
ッタリなのが、奇門遁甲です。奇門遁甲では、九つの宮に入る要素を何層も重ねる構造を
持ち、外界で起きる複雑な現象を示すのに向いています。
運命を定式化し、人の運気を見る四柱推命や算命との相性が良いことも、奇門遁甲の長所
です。ただし、遁甲盤は、年月日時という時間規模や用途によって色々な種類があり、詳
細はここでは省きます」

「それでは、一つ質問。例えば奇門遁甲が示す選択肢の中で、常に最適の選択を積み重ね
ていけば、人の運命はどこまでも改善されるの」と清香。

「常に最適の選択を積み重ねることが可能であれば、そうなる筈です。しかし、実際には
それを邪魔する業の力が働くために、常に最適の選択を積み重ねることは、先ず不可能で
す。最適の選択を、出来るだけ多く取れるようにするためには、邪魔になる業を取り除く
それなりの修行が必要となります。
それについては、響子さんに訊いて下さい」
肥と筑 第十九回 コーヒーブレイク中の会話:無意識と占術:芳賀信行と響子 2011/11





占星術

 少し、説明を補足しておきます。真面目な話です。
 占星術は、天体の動きが、その時々刻々に誕生或いは発生した人や物が持つ命・運の間
に並行的な対比を持っているという経験則に基づく占術です。命は誕生の瞬間に生地で見
える星の配置で決まる先天的な大枠ですが、運は誕生後に一定の比率で実際よりゆっくり
と変化する仮想的な星の動きと、実時間で変化する星の動きが誕生時の星の配置との間に
織りなす関係で定まる廻り合わせです。元と成るデータは星の実測位置なので一意的に定
まり、流派によってその値が変ることはありません。過去から未来に渡って星の位置の予
測データ表が作られて販売されています。
 これに対し、干支系の占星術は基本的に60変化する干支が年月日時のそれぞれに配当
されて動く構造を持っていて、季節あるいは時刻による寒暖の変化を基盤としています。
干支あるいはこれから導き出される星は仮想的なもので有り、流派によっては差が生じま
す。
あした天気になーれ・第五回を読んで より2011/12/11





青銅と錫

芳賀信行が手を挙げた。
「はい、その問題については少し調べたことがあります。青銅は、銅と錫との合金です。
そのうちの銅は比較的簡単に見つかりますが、錫は銅に比べて稀少な金属であり、青銅器
時代には貴重品でした。
ところで、占星術で星に対する金属の割り当てを調べて見ると、次のようになります。
  黄金:太陽  白銀:月  水銀:水星  銅:金星  鉄:火星  錫:木星
   鉛:土星

 占星術で最大吉星である木星は、現代では別に貴金属ではない錫が割り当てられていま
す。これは何故でしょうか。この割り当ては、占星術の基礎が作られた時代を反映してい
ます。つまり当時知られていた日月火水木金土の七曜に、同じく当時知られていた金属を
割り当てるという基礎作業の中で、その当時は貴重品であった錫を、吉星であった木星に
割り当てたからであると考えられます。このことは、占星術の基礎が青銅器時代に築かれ
たということを示しています。
 ついでに、日本における銅について振り返って見ましょう。
日本の銅器は銅鐸・銅矛から始まりますが、その技術は中国江南の銅鼓から受け継がれて
来たものです。因みに、南方を意味する[南]と言う字で南の方位を示すのは、元もと南
方に住む苗族の釣り鐘型の銅鼓[南]・[南任(なんじん)]からきています。
つまり[南]字で南の方位を示すのは、転注なんです。

 日本最初の銅銭としては、和銅元年(西暦七0八)年に武蔵で取れた銅を元にして作ら
れた和同開珎が知られています。年号にまでなった和銅とは大和の銅という意味ではなく、
熟銅つまり純度が高く精錬を要しない自然銅のことです。
 ところで、日本での銅の生産量は戦国期以降に大きく増えて、銅が日本の主要な輸出品
となりました。中国の銅生産量は逆にこのころから急速に減少したため、銅は日本からの
輸出に頼るように成りました。江戸時代に日本が輸出した良質な寛永通宝は、ヴェトナム
を含む東南アジアで従来の中国製銅銭に取って代わる基軸通貨となっていました。現在の
ヴェトナムの通貨単位[ドン]は、当時流通し始めた銅銭の[銅]から来ているそうです」
 同人α33号 「肥と筑第二十三回」 より2012/11





地球はどのような金属を割り当てられているのか:

 伝統的占星術では、地球への金属割り当てはありません。
それは、どうしてか。占星術が起こった時期の太陽系は天動説を基盤としていたからです。
つまり、地球は飽くまで動かぬ大地であり、いわゆる星の仲間ではなかったのです。
とはいえ、時代と共に天王星・海王星・冥王星が発見されると、それぞれ
  天王星:ウラニウム ラジウム
  海王星:ネプチュニウム
  冥王星:プルトニウム
などと新しい割り当ても出てきました。
これらに倣えば、地球の金属はさしづめ希土類元素とでも成るのでしょう。
肥と筑台二十三回の評へのお答え??より 2012/12/25




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