アルツハイマー型認知症は発症年齢で65歳を境に早発型と晩期発症型(65歳以降)とに大別される。早発型のうち18歳から39歳のものを若年期認知症、40歳から64歳のものを初老期認知症という。早発型アルツハイマー型認知症は常染色体優性遺伝を示す家族性アルツハイマー型認知症(Familial AD、FAD)である。原因となる点変異は第21染色体上のアミロイド前駆体蛋白質(APP)遺伝子、第14染色体上のプレセニリン1遺伝子(PSEN1)および第1染色体上のプレセニリン2遺伝子(PSEN2)に見出されている。家族性アルツハイマー型認知症で最も多いのはPSEN1遺伝子の変異である。プレセニリンはγセクレターゼ複合体の主要構成成分である。家族性アルツハイマー型認知症はアルツハイマー型認知症のおおむね1%以下と推定されており、大部分のアルツハイマー型認知症は晩期発症型で家族歴のない孤発例のアルツハイマー型認知症(dementia of Alzheimer type、DAT)である。晩発型アルツハイマー型認知症では第19染色体のアポリポ蛋白質E(APOE)の多型であるε4対立遺伝子が発症を促進する危険因子になることが確認されている。