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生徒会陣営キャラ公開スレ

20サンライトイエローシャワー:2012/10/24(水) 01:34:32
一四九〇/雨竜院時雨プロローグSS

 俺の目を覚ましたのは、外から聞こえる雨音だった。外を見やると降るのはせいぜい小雨程度で集中しなければ聞こえない小さな雨音。特別耳がいいわけじゃないけど、雨竜院家で育った俺は雨音に敏感なのだ。
 布団から出ると寝間着を脱ぎ、やや崩れた褌を締め直して制服へ着替える。洗面所の鏡の前で寝癖を整え、髪を結い上げた。

「うん……」

鏡に映るのは、いつも通りの女みたいな顔。キッと表情に力を込めてもやっぱり男らしくは見えない。そう思ったら鏡の中の自分の表情が目に見えて沈んで、これではいけないと気を引き締める。女みたいな見た目なら、心はせめて男らしくしなきゃ。ハチマキをキツく締めて自分に気合を入れる。
 俺は一四九〇(にのまえ しぐれ)――魔人率99%を誇る一家の1人だ。

「四九〇君……?」

「……うわっ、一!」

澄んだ声に振り返れば、そこにいたのは兄弟の一だった。もう見慣れているんだけど、一もまた女みたいな、それもとびきりの美少女って顔をしていてそれが近い距離にあると思わずドキッとしてしまう。いけないいけない。女どころか男にうつつを抜かすなんて……。

「おはよう。もうご飯出来てるから」

「お、おう」

そう優しげな微笑みを浮かべられると、さっきの決心が揺らぎそうになる。ううん……。

「お醤油取ってー」

「ソース!」

ワイワイガヤガヤと、一家の食卓は騒がしい。人数が多いのもあるけど、圧倒的多数が女の子なせいもあるだろう。ここに来たばかりの頃は凄く気まずい思いをした。
 あさりの味噌汁を啜る。美味い。これを作った人物、品の良い仕草で米を口に運ぶ一をチラリと見る。こんな綺麗な顔で、その上あの華奢な体でこの大家族の家事全般をこなせるのだ。俺も手伝うけど、ああ上手くはいかない。そりゃまあモテるだろう。アイツは何故か気づいていないみたいだけど。俺より男らしく無いけど、立派な男だ。

 朝食を終えて学校に行くまでにはまだ少し余裕があるという時間帯、チャイムが鳴り響いた。多分、あの人だろう、そう思いながらドアを開けると、その人物はチビの俺より頭ひとつ分くらいチビで、俺の顔を大きな瞳を輝かせて見上げてくる。

「しーくん、おはよう!」

「おはよ、姉ちゃん」

雨竜院畢。小学生みたいな見た目だけど、1つ上の姉だ。「姉だった」と言うべきだろうか。俺が「雨竜院時雨」だった頃の。元々俺は魔人に覚醒するまで雨竜院家に預けられていた身で、血のつながりは無い。今では法律上赤の他人なんだけれど、それでも前と全く変わりなく接してくれる。それが嬉しかったり、くすぐったかったり。もう高校生なんだし、さ。

「学校、行こう?」

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