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闇の声氏がこれでもかこれでもかと書き込むスレッド

129名無しさん:2014/10/13(月) 20:21:50
アベノミクスで世の中がどこか浮き足立つ一方で、ハローワーク通いを続ける人たちもいる。
彼らの中には、もはや家すらも持たずファストフード店で夜を明かす人たちも少なくない。
作家の山藤章一郎氏がリポートする。

 * * *

歌舞伎町一番街に足を踏み入れた。
個室ビデオで時間をつぶし、午前2時、マクドナルドに入った。3階のイートインスペースで
20人ほどが、テーブルに突っ伏している。中高年もいる。チノパンにパーカーの20、30代も
いる。足許に、バックパックやキャリー。ワンドリンクで一夜の平安を確保した者たちである。

格子柄のネルシャツの男の左隣りに坐った。
汗と体臭が店内の暖気に掻き立てられて右手から臭う。突っ伏したおでこを乗せた手の甲から
指先を無数のヒビが割っている。水を使う仕事か。
厚労省の発表では、非正規労働者はこの25年で、約1000万人増加した。若年層の12人に
ひとりが失業し、所得、消費、貯蓄の格差が飛躍的に広がっている。

ネルシャツがぐたっと折っていた首を持ち上げた。臭気が動いた。
「3時過ぎですよ」声をかけた。「あん、はい」それから半睡のまま、ネルはいくつか応えた。
「ムギョウ状態で……セックスする気も起きないすよ」
「ハローワークに行かないの?」
「ハロワ? ブラックうじゃうじゃ。
また使い捨てられ、ウツにさせられ、死にに行くみたいなもんすからね」

「コーヒー飲みますか」と訊くと頷きかけて、ヒビの手を振った。
「つうか、食うもんありがたいす」ネルは礼もいわずにチーズバーガーハッピーセット
440円に、かじりついた。食いながら10日前まで働いていた甲州街道沿いの店の話をした。
ネルはバイトだった。見ている前で、店長が地域担当マネージャーに罵倒される。
「なんだこの売り上げは、しっかりやれオカマ」

あるとき店長から怨み口を聞いた。「去年1年、1日も休みなかったんだ。本部への報告、
他店オープンの応援、しょっちゅう突然、人が辞める、その補充。休日出勤残業代もほとんど
つかないし」

〈さんまの塩焼き〉〈ボジョレヌーボー〉季節ごとに〈強化商品〉が搬入され、店長はそれを
自腹で買い、売り上げの悪い商品を毎日、思い切り食べた。から揚げ、たこわさび、チャンジャ。
ある日、店に応援の社員が来た。来るなり怒鳴りまくった。
「トロトロすんなや、ボケ」若い社員の髪をつかんでフライヤーに顔面を押しつけた。
「こらあ、顔、揚げるぞ、お前の」

バーガーを食い終わったネルは言い足した。「32歳までこんな状態で働いて。いつでも死ねます」


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