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平成4年度民法第1問

1Law School's Door:2003/09/17(水) 20:35 ID:EhdRk.ss
(問題)
 Aは,Bに対して負う貸金債務を担保するため,自己所有の建物をBに譲渡して所有権移転登記をしたが,引き続き建物を占有していた。ところが,Aが期限に債務を弁済しなかったので,BはAに対し,建物の評価額から被担保債権額を控除した残額を提供し,建物の明渡しを求めたが,Aはこれに応じなかった。その後,AはBに対し,債務の弁済の提供をした上,建物をCに賃貸した。Cは,Aを建物所有者と信じて,長期間にわたりAに賃料を支払ってきたが,この間に,建物はBからDに譲渡され,その旨の登記がされた。
 この場合における建物をめぐるAD間,CD間の法律関係について述べよ。

2Law School's Door:2003/09/17(水) 20:41 ID:EhdRk.ss
(答案)
1,AD間の法律関係
(1)本問建物の所有権は譲渡担保権設定者Aと,譲渡担保権者Bから弁済期後に譲り受けたDのどちらにあるだろうか。
(2)まず,Aが譲渡担保権を設定したことにより,建物の所有権はBに移転するか。譲渡担保権とは所有権を移転するものなのか,それとも担保権の設定にすぎないのかが問題となる。
 思うに,当事者は担保のつもりで譲渡担保を設定するのであるから,その当事者の意思を重視して,譲渡担保は担保権にすぎないと考えるべきである。
 よって,譲渡担保権を設定した時点では,建物の所有権はBに移転せず,Aの下にあるといえる。
(3)もっとも本問では,弁済の期限が来てもAが弁済していない。そこで,BからAに対して,「建物の評価額から被担保債権額を控除した残額」(清算金)を提供した時点で,建物の所有権がBに移転するかが問題となる。
 思うに,譲渡担保権は担保の1つであるから,債務者が弁済しない場合には債権者は担保権を実行することができる。そして本問では,弁済期後にBが清算金を提供しているから,これは帰属清算として有効であり,建物の所有権はBに移転する。
 またこの場合,Bが担保権を実行して建物を取得したことにより,Aの受戻権は消滅するので,その後でAが債務の弁済を提供したとしても,Aは建物を取り戻すことはできない。
(4)したがって,建物の所有権はA→B→Dと移転し,現在はDにある。

2,CD間の法律関係
(1)では建物所有者Bから建物を譲り受けたDは,Cに対して明渡請求できるか。
(2)Aはもはや建物について権限がないから,Cの賃借権はDに対抗できないのが原則である。
(3)ァしかし,これでは長期にわたりAを所有者と信じて賃料を支払ってきたCに酷である。そこで,Cは建物賃借権を時効取得できる場合があるか。
ィこの点,1回の請求で消滅してしまう債権には,「永続した事実状態」というものが考えられないので,163条の「財産権」には含まれず,時効取得は認められないのが原則である。
 しかし,不動産の賃借権は,登記により物権と同じように扱われ(605条)また継続して土地や建物を使用する権利であるので,「永続した事実状態」が考えられる。よって,不動産賃借権は「財産権」に含まれ,時効取得が認められる。
ゥもっとも,賃借権を時効取得されることにより,不動産を失う所有者の利益にも配慮する必要がある。
 そこで,真の所有者が時効中断の手段をとることができるように,①継続して使用しているという事実,②それが賃借の意思に基づくことが客観的に表れていること,が必要である。
ェ本問では,Cはこの建物に住んでいたと思われるので,継続して使用していたといえる(①)。また,CはAに賃料を支払い続けていたので賃借の意思が客観的に表れているといえる。
 そして,CはAを建物所有者であると信じ,所有者Aから正当に賃借していると思っている。しかし,登記を調べればAが所有者でないことはわかったのであるから,過失があるといえる。
ォしたがって,162条2項ではなく1項による取得しかできない。Cが20年以上建物に住み続けているのであれば,建物の賃借権を時効取得できる。
 Cが賃借権を時効取得した場合,建物の引渡を受けているのでDに対抗することができる(借地借家法31条1項)。よって,この場合はDの明渡請求をCは拒める。
                                以  上

3管理人:2003/09/18(木) 22:35 ID:p3B/KTMc
いらっしゃいませ。
1について、
「法律関係」を論じるのだから、「所有権がどちらにあるか」というだけでなく、「所有権に基づく明渡し請求ができるか」まで書くべきだと思います(問題提起も含めて)。
Dに所有権があっても、Aに占有できる抗弁があれば、明渡し請求ができないので。。
そこまで書かなければ、「法律関係」を完全に論じたことにはならないと思います。

4sacchi:2003/09/26(金) 23:31 ID:4dXaeUu2
Aの時効取得の可否、及び、Cの援用の可否も論じるべきでは?

5管理人:2003/09/28(日) 05:03 ID:vtMe3kCw
>4
sacchiさん、いらっしゃいませ。今後もよろしくお願いします。

>Aの時効取得の可否、及び、Cの援用の可否も論じるべきでは?

その通りだと思います。
1では、Aが時効取得できるか書くべきだと思います。その際、時効取得と登記が問題になると思います。
2では、Cが「当事者」(145条)と言えるか問題になると思います。

6氏名黙秘:2003/11/11(火) 17:23 ID:ox9MsqIc
test


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