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平成10年度刑事訴訟法第1問
1
:
問題
:2003/05/17(土) 19:48 ID:EhdRk.ss
便せんに約600字に及ぶ脅迫文言を記載し,これを郵送する方法によって害悪を告知した脅迫罪の事案において,検察官は,起訴状の公訴事実に,証拠として請求する予定の右文書に記載された脅迫文言の全文を引用して記載した。
この場合における公訴提起をめぐる問題点について論ぜよ。
2
:
1,刑事訴訟法256条6項によれば,
:2003/05/17(土) 20:11 ID:EhdRk.ss
起訴状には,裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添付し,内容を引用してはならない(起訴状一本主義)。そこで,本問の起訴状の記載が,かかる起訴状一本主義に反するのではないかが問題となる。
3
:
2,思うに,
:2003/05/17(土) 20:13 ID:EhdRk.ss
起訴状一本主義を採用したのは,現行刑事訴訟法が当事者主義的訴訟構造(298条1項,312条1項)を採っており,かかる当事者主義を実行化し,また予断を排除することによって「公平な裁判所」(憲法37条1項)の実現を図るためである。
しかし,一方で,刑事訴訟法256条3項は,裁判所に対して審判対象を明確化し,被告人に対して防御の機会を保障するため,起訴状において訴因を明示すべきこと(訴因の特定)を定めている。
そこで,両者の関係が問題となる。
思うに,訴因の特定は審判対象の明確化,被告人の防御権の保障に必要な範囲でよいはずであり,後の裁判長の求釈明権の行使(刑事訴訟規則208条)によっても明らかになりうる。これに対して,起訴状一本主義に反したときは裁判官に生じた予断を事後的に排除することは事実上不可能である。
よって,起訴状一本主義の趣旨をまっとうするためには,訴因の特定の要請は一定限度譲歩せざるを得ず,必要不可欠な範囲で行われるべきである。
4
:
3,本問についてみると,
:2003/05/17(土) 20:21 ID:EhdRk.ss
証拠として請求する予定の脅迫文言の全文引用は裁判官に予断を生ぜしめることになる。一方,審判対象がより明確になるとしても,被告人の防御権行使が特に有利になるわけではない。
よって,本問では訴因の特定に必要な限度で一部の引用,すなわち要約の記載が認められるに過ぎず,全文の引用は認められない。
5
:
4,したがって,
:2003/05/17(土) 20:22 ID:EhdRk.ss
本問の公訴提起は起訴状一本主義に反し,無効になる(刑事訴訟法338条4号)。
以 上
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