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( ゚∀゚)人はその男を『決闘』と呼ぶようです

1以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:03:36 ID:kK9V/Zl60


('A`)「船長!3時の方角に目標を確認!」




        「よおし!船を近づけろ!火薬の準備は万端か!?」




( ><)「もうすぐです!標的はロアンクルーニ号!貴族の遊覧船です!」




        「いいねぇ!今夜は宴だ!ハデに決めろ!」




/ ゚、。 /「砲撃準備完了!いつでもいけます!」




        「なら今だ!帆を張れ!全速前進!!」

2以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:04:56 ID:kK9V/Zl60
'









                                     ―ブーン系音楽短編フェス参加作品―











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3以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:05:50 ID:kK9V/Zl60
( ;´W`)「皆さま!大変でございます!海賊が現れました!」

(;=゚д゚)「か、海賊が?」

ハソ; ゚−゚リ 「嘘でしょ?」

( ;´W`)「乗客の皆様は直ちに避難をして下さい!繰り返します、乗客の皆さまは…」

( # ゚¥゚)「おい!」

( ;´W`)「は…はい?」

( ; ゚¥゚)「この海域は海賊は出ないはずじゃなかったのか!?」

( ;´W`)「た、大変申し訳ありません…!我々にも不測の事態でして…」

( ; ゚¥゚)「どこの海賊だ!!こんな…こんな!!」

( ;´W`)「………うです…」

(  ゚¥゚)「は?」

4以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:06:58 ID:kK9V/Zl60
'









                                ―主題曲Ⅰ『Battle Metal』/TURISAS―
                                http://www.youtube.com/watch?v=Ift85e38H3M&feature=channel











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5以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:07:37 ID:kK9V/Zl60
( ;´W`)「…………『決闘』です」






(  ゚¥゚)



( ; ゚¥゚)「け………『決闘』だ……と?」

( ;´W`)「え、ええ…」

( ; ゚¥゚)「見間違えたんじゃないのか!?」

( ;´W`)「確かに『決闘』です!あの真っ赤な二角帽子に真っ赤なコート、間違いなく奴です!」

(;=゚д゚)「『決闘』だって!?」

ハソ :゚−゚リ「危険じゃない!急いで避難を…」

6以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:08:44 ID:kK9V/Zl60
(´・_ゝ・`)「皆さん慌てずに。どうしたんです?」

( ;´W`)「デミタス男爵!じ、実は……」


(´・_ゝ・`)「ほう海賊…なるほど『決闘』が」

( ;´W`)「デミタス男爵もお早めに避難を!」

(´・_ゝ・`)「落ち着きなさい船長。まだ襲われると決まったわけじゃありません」

( ;´W`)「は?」

(´・_ゝ・`)「『決闘』の異名の由来を知っていますか?」

(´・_ゝ・`)「奴はなにかと決闘を好み、戦闘の度申し込んでいると聞きます」

( ;´W`)「え、ええですからそれだけ腕に自信が…」

(´・_ゝ・`)「それにあの海賊一味は少数規模」

(´・_ゝ・`)「話によるとたった4人だけと聞いています」

7以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:10:05 ID:veW0Zs5E0
ほうほう

8以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:10:10 ID:kK9V/Zl60
'










                                ―主題曲Ⅱ『Sahti Waari 』/TURISAS―
                                http://www.youtube.com/watch?v=Ift85e38H3M&feature=channel











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9以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:10:46 ID:kK9V/Zl60

( ;´W`)「よ、4人?」

(´・_ゝ・`)「しかも、そのうち戦力になるのはキャプテンの『決闘』だけだとか」

(´・_ゝ・`)「ここは話し合いで決着をつけましょう」

( ;´W`)「そんな!無茶です!相手は海賊ですよ!!」

(´・_ゝ・`)「ええ。ですからその時は…」

(´・_ゝ・`)「私が相手をしましょう」

(=゚д゚)「おお!デミタス男爵が『決闘』に挑むようだ!」

ハソ ゚−゚リ 「頼もしいわ!デミタス様の剣捌きが見られるなんて」

(  ゚¥゚)「あの人はとても腕っ節が効くと聞いている。もしかすると何とかなるかもしれないぞ!」

(´・_ゝ・`)「皆さん!エールをありがとうございます。どうかご安心ください」

(´・_ゝ・`)「そして海賊を拿捕するその瞬間を…お見逃しなく」

( ;´W`)「き、来ました!『決闘』です!」

10以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:11:51 ID:kK9V/Zl60

(;=゚д゚)「……………………」

( ;´W`)「……………………」
  _
( ゚∀゚)「…なんだ?このギャラリーの数は…」

(´・_ゝ・`)「そんなことは関係ないだろう?『決闘』」
  _
( ゚∀゚)「んん?お前は?」

(´・_ゝ・`)「デミタス。爵位は男爵だ」
  _
( ゚∀゚)「ああそう。俺はジョルジュ・キッド。よろしく」

(´・_ゝ・`)「よろしくキャプテン・ジョルジュ」

(´・_ゝ・`)「単刀直入に聞こう。君は何が望みなのかな?」
  _
( ゚∀゚)「金。そして金品となるもの全てだ」

(´・_ゝ・`)「そうか。こちらとしては直ちにこの船から離れてもらいたい」
  _
( ゚∀゚)「……男爵様は俺の声とあの旗が見えてないのか?」

11以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:12:31 ID:kK9V/Zl60
(´・_ゝ・`)「この要求が飲めないと言うならば…それなりの措置を取らせてもらうことになるな」
  _
( ゚∀゚)「措置?かわりにミルクでも飲ませてくれるのかい?」

(´・_ゝ・`)「君を殺すということだよ」
  _
( ゚∀゚)「へえ…誰が?」

(´・_ゝ・`)「私がだ」
  _
( ゚∀゚)「………面白い」
  _
( ゚∀゚)「いいぜ、受けて立つよ」







  _
( ゚∀゚)「決闘だ」





.

12以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:13:37 ID:kK9V/Zl60
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                       】人はその男を『決闘』と呼ぶようです【

13以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:14:35 ID:kK9V/Zl60
第一章:海賊は十字架の前で涙を流す



船を港に停め錨を降ろす。
夕暮れ時のこの島の港はとても暗く、足場が分かり辛い。
梯子を架け、一つ一つ足を掛け降りていく。
この港に足を着けるのは何時ぶりだろうか。

カルベ海の中心にひっそりと浮かぶ島、『ドゥルトゥーガ島』。
古くから海賊の隠れ家として使われ、今では海賊が栄えるまでになってしまった。
裏町には様々な海賊が集まり、暴力、淫辱、交流、交易などが行われてきた。

表町は本島の政府の管轄となっているので、海賊はあまり近寄ろうとしない。
しかし、政府もこの島の治安には大層頭を抱えているようで、
裏町に関しては何も手をつけていないのが現状だ。

('∀`)「いやー、懐かしいっすねー半年ぶりかー」

ドクオが脇からひょっこりと顔を出した。
考えることはこいつも同じか。
  _
( ゚∀゚)「俺には5年以上のように感じられたけどな」

14以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:14:39 ID:veW0Zs5E0
ふむ

15以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:15:20 ID:kK9V/Zl60
/ ゚、。 /「ヤシ酒はもう勘弁……」

( ><)「もうあのお酒は飲みたくないです…」

('A`)「俺的には旨かったっすけどねー」
  _
( ゚∀゚)「お前は舌か脳をとっかえたほうがいいかもしれない」

俺達は半年前にサピエンという国へ向かうため、船を出した。
サピエンに『生命の王冠』という秘宝があると耳にし、すぐさま出航した。
何でも、その王冠を被ると不老不死になるんだとか。
実にどうでもいい話だ。

サピエンには古代遺跡や魅力ある文化、そして見渡す限りの砂、砂、砂。
風が吹けば必ず口の中に粒が入り込んできた。
これが砂金だったらいくらでも吸い込んでやるのに。

結局、王冠の話は嘘で俺達は半年もの間、砂漠を右往左往していた。
強いて言えば、一流の船大工をサピエンで見つけたのでスカウトし、仲間にすることに成功したが、
うちのクルーは誰一人としてサピエン語を理解していないので、船大工のスカルチノフはいつも静かに黙り込んでいるオッサンキャラが定着した。

/ ,' 3「…………」

その遠征から帰ってきたのが今日。
久しぶりのドゥルトゥーガ島は半年前と何も変わらず賑やかで華やかな雰囲気を漂わせていた。
  _
( ゚∀゚)「とにかく…酒場に行くぞ!」

( ><)「帰還祝いで派手にパーッとやるです!」

16以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:16:00 ID:kK9V/Zl60
サピエンの現地人がえらく薦めてきたヤシの実から作ったヤシ酒は甘ったるくて俺達の口には合わなかった。
おそらく文化の違いだろうが、あんなものは酒じゃない。
ただでさえ好きじゃない酒を何度も戻すまで飲まされた。
海上ではライム、陸地ではヤシの実。
俺の舌はガキの恋愛見たいに甘酸っぱくなってしまった。

/ ゚、。 /「船長…随分とご機嫌ですね…下戸なのに酒場に行きたがるなんて…」

('A`)「ああ……お前は知らないのか」

/ ゚、。 /「何がです?」

('A`)「キャプテンが酒場に行く理由」

/ ゚、。 /「?」

('A`)「実はな…………」
  _
( ゚∀゚)「おい」

17以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:17:06 ID:Di1sGygU0
支援

18以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:17:34 ID:kK9V/Zl60
俺はドクオに向かって声を掛ける。

('A`)「はいすいません。僕何にも言ってません」
  _
( ゚∀゚)「ありゃ…強盗じゃねえか?」

('A`)「え…?」


( ,,^Д^) ζ(゚ー゚*;ζ (^Д^ )


俺が指をさす先には3人の男女がいた。
女性はうずくまり、2人の男がそれを囲んでいる。
誰がどう見たってありゃ襲われてるだろ。

('A`)「あいつら……『銀貨』兄弟っすね」
  _
( ゚∀゚)「『銀貨』兄弟?誰だそりゃ」

('A`)「裏町に縄張りを張ってる2人組の海賊っす。」

/ ゚、。 /「この島付近の小さな漁船などを狙ってる連中ですね」

( ><)「あまり大金を狙わないことから『銀貨』兄弟って名前がついたらしいです!」
  _
( ゚∀゚)「…可哀相に有名なんだな」

19以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:18:23 ID:kK9V/Zl60
興味が無いのでこれ以上情報を求めようとは思わなかった。
しかし、貴婦人が襲われているのをただ指をくわえて眺めているわけにはいかないな。
  _
( ゚∀゚)「どれ…ちょっくら見てみるか」

俺はコートのポケットに手を入れながら、銀貨なんたらの元へと近付く。
1対2か。せいぜい楽しませてくれよ。
  _
( ゚∀゚)「おい。こんなお外で見せ付けるのは良くないぜ」

( ,,^Д^)「………何だお前」
  _
( ゚∀゚)「名乗る時は自分なら言うもんだぜ」

( ^Д^)「てめぇには関係ねーだろ!消えな!」

あらあら、そんなにかっかしちゃってまあ。
睡眠不足……いや、ただの欲求不満か。
それにしても兄弟なだけあって良く似てる。
  _
( ゚∀゚)「まあ落ち着けよ、俺はお前らに頼み事があるんだ」

( ,,^Д^)「ああ…?」

俺は右手の革の黒い手袋を外し、地面に落とした。

20以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:18:45 ID:veW0Zs5E0
支援

21以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:19:28 ID:kK9V/Zl60
.










  _
( ゚∀゚)「決闘だ」










.

22以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:19:53 ID:kK9V/Zl60
( ,,^Д^)「何だお前…海賊か?」

( ^Д^)「俺達を知ってるのか?泣く子も斬り殺す『銀貨』兄弟だぞ?」
  _
( ゚∀゚)「ああ、ついさっき聞いたよ。よろしくな」

( ,,^Д^)「悪酔いしてるんだったら今日のところは見逃してやるよ。さっさとうせな」
  _
( ゚∀゚)「ああ飲むのはこの後なんだよ」
  _
( ゚∀゚)「雑草を刈ってからの酒は格別だと聞く」

( ,,^Д^)「………よっぽど血を見るのが好きらしいな」

2人は立ち上がり、俺の手袋を拾い上げる。
その後、女からさっと離れ剣を抜いた。

( ^Д^)「いいか?死ぬ前に教えてやるよ…。決闘ってのは白い手袋を投げるもんなんだぜ」
  _
( ゚∀゚)「へぇ…そうなのかい?知らなかったよ」

( ^Д^)「ふん…決闘は受けてやるよ…だがお前も海賊なら覚悟しろよ」
  _
( ゚∀゚)「ああ…俺は構わない。お前らさえ良いのならばな」

23以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:20:42 ID:kK9V/Zl60
覚悟というのは「生死問わず」を意味する物ではなく、海賊の決闘として闘うという事だ。
騎士道に則った神聖な戦いではない。
どんなに非道な行為をしても最後に立っていた者が勝者となる、
ルールも糞ったれも無い野蛮な斬り合いだ。

( ,,^Д^)「へへっ…どうした?お前から申し込んだくせに今さら怖じけづいたのか?」
  _
( ゚∀゚)「先手はやるよ。どっちからでもかかってきな」

( ,,^Д^)「ハハハwそうかそうか!そいつは礼を言うぜ。なぜなら……」

( ,,^Д^)「その一撃でお前は死ぬからよ!」

一人の男がそういうと、もう一人の男の口が膨らみ、俺に向かって何かを吐き出した。
  _
( ゚∀゚)「!!」

その物体は真っ直ぐに俺の顔面に向かってきた。
最初は避けるつもりだったが、直ぐに諦め顔で受け止めることにした。
細長い金属のようなものだ。受け止めるのは可能。
俺はその金属を受け止めたと同時に顔を伏せた。

( ^Д^)9m「プギャー!!」

( ,,^Д^)「先手が剣だと思ったか海賊!」

( ^Д^)「長釘だよマヌケ!!」

24以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:21:29 ID:veW0Zs5E0
ほほう

25以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:21:30 ID:kK9V/Zl60
どうやらあいつらから見れば、見事に顔面に釘が刺さっているらしい。
気楽な連中だ。
俺は下げた顔を上げ、奴らに近付く。

(;,,^Д^)「なっ……!」

( ;^Д^)「歯で…………!」
  _
( ゚∀゚)「お前らいつもこんなん食ってんのか?情けねえな」

先手は終わった。
次は俺から攻めよう。
俺は左腰に差した長剣を右手で抜く。
脇から大きく振りかぶり、一気に駆け出し二人に詰め寄る。

( ;,,^Д^)「ぐっ…!」

相手はとっさに剣を構える。
だが全然まだまだだ。
1テンポ遅れたな。
俺は剣を横に振り、相手の腹をかっ捌く。

(;,, Д )「がっ……!」

26以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:22:19 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「油断するなボケ」

男はそねまま地面にべったりと倒れ込んだ。
まずは一人目。

( ;^Д^)「あ、兄貴!…糞!お前!!」

背後からもう一人の男が剣を大きく振りかぶって来た。
あーあーそんなに高く剣をあげてどうすんのよ。
俺は剣を脇に挟み、そのままの姿勢で後ろ向きに跳躍した。
剣先はそのまま背後の男の脇腹に深く刺さった。

( ; Д )「がっ……!ああ」

ん…まだ生きているか。
俺は剣を刺したまま手を離し、腰から右手で拳銃を抜き、肩に乗せる。
そのまま引き金を引き相手の腹に撃ち込んだ。

( ; Д )「!!!…………」

男は握った剣を落とし、仰向けの状態で倒れた。

27以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:22:46 ID:kK9V/Zl60
剣を掴みずるっと体から抜く。

刃先についた血を振り払い、鞘に収める。
俺の腹時計では先手からだいたい30秒程だろうか。
  _
( ゚∀゚)「釘はいい発想だったな。敢闘賞をやるよ」

俺は相手の腰に挟まった黒い手袋を拾い上げた。

('A`)「呆気なかったっすね」
  _
( ゚∀゚)「まあそんなもんだろ」

( ><)「見た目通りのレベルだったんです」
  _
( ゚∀゚)「そうかあ?俺はもっと上に感じたが」

/ ゚、。 /「船医として言わせてもらいますけど、あの釘はちゃんと避けてください。歯で止めるなんて…」
  _
( ゚∀゚)「しょうがないだろう。それしか方法が無かったんだから」

28以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:23:19 ID:kK9V/Zl60
仲間と反省会を開いている途中、ふと、なんたらかんたらに襲われていた女性と目が合った。

ζ(゚ー゚*;ζ「………………」

いとも簡単に砕けそうな程の細身の体に、薄汚れたドレスを纏っていた。
しかしその顔立ちは美しく、どこか気品の感じられる風貌をしていた。
俺はそっと女性の目の前に右手を添える。
  _
( ゚∀゚)「怪我は無かったか?」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!あ、ありがとうございます……」

女性は俺の手を借りる事無く立ち上がり、小さく会釈をすると駆け足で走り去ってしまった。

('A`)「何だよ…キャプテンが助けたってのに…」
  _
( ゚∀゚)「いいんだよ。あの子にもいろいろ事情があるんだろう」

俺はドクオの肩に手を当て、強く引き寄せた。


  _
( ゚∀゚)「さっ、行くぞ」

29以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:23:42 ID:kK9V/Zl60
港からしばらく歩き、裏町に向かう。
海賊や強盗等のゴミが溜まりに溜まった為、掃除しきれなくなったエリア、それが裏町だ。
裏町の大通りの一角にその店はある。
路地からでもわかる騒がしさ。
今夜も店は繁盛しているようだ。
  _
( ゚∀゚)「邪魔するぜ」

俺が店に入ると、店内にいる全ての人間が俺を見た。
そして次の瞬間、酒場は大きな笑い声に包まれた。

<ヽ`∀´>「ジョルジュ!!サピエンは楽しかったニダかw」

( `ー´)「まさか嘘情報で船出すとかネーヨw」

( `ハ´)「またノコノコと帰ってきたアルかw」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「しゅうぅぅ……すごおぉぉ……」

拍手喝采、中傷攻撃。
どうやら俺が騙されたことは既に街中の噂になっていたようだ。

30以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:24:40 ID:kK9V/Zl60
この酒場には同業者しか集まらない。
むしろ海賊しか集まらないから一般客が来ないだけか。
俺達とは全く無縁の海賊から、一戦の末に親しい間柄になった連中までいる。

  _
( ゚∀゚)「黙りな!今回は手ぶらで帰ってきた訳じゃねーぞ!」

( `ー´)「何だよwミイラの頭でも持ってきたのか?」
  _
( ゚∀゚)「馬鹿言うな!もっと実用的なもんだ!…てめえらにもな」

( `ー´)「ああ?」
  _
( ゚∀゚)「ビロード」

( ><)「了解なんです!」

そういうとビロードは店の中に巨大な樽を運んで来た。
爆笑に包まれた店内も、この樽を見ると一気にざわめいた雰囲気へと変わった。

<ヽ`∀´>「……?酒ニダか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ…そのまさかだ」

ビロードが樽の蓋を開けると中から芳醇なアルコールの香りが漂ってきた。
おお、と湧きおこる、店内。

31以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:25:03 ID:kK9V/Zl60
( `ハ´)「とても良い匂いアル!!」

/ ゚、。 /><)(匂いだけな………)
  _
( ゚∀゚)「そいつはサピエンでしか生えない幻のヤシの木、カコスヤシの実から作られた酒だ!」
  _
( ゚∀゚)「あまりの美味さに俺達は死ぬ寸前まで飲んじまったくらいだ!」
  _
( ゚∀゚)「それは土産だ!存分に味わえ!」

<ヽ`∀´>「マジニダか!!もちろん飲むニダ!!」

( `ハ´)「ジョルジュもやるときはやるアルな!!」

('A`)「待て待て!俺も飲むんだ!」

そう言うと店にいたならず者達は続々と樽の周りに集まった。
俺はその隙にカウンターまで向かう。
  _
( ゚∀゚)「よう親父!!」

ミ,,゚Д゚彡「おお!ジョルジュ!帰って来たのか!」

カウンターにいたのはもっさりとした毛の持ち主がいた。
彼の名はフサギコ。酒場の亭主であり、俺の古くからの知人でもある。
ガキの頃から身寄りのない俺はここでしばらく生活していたこともあり、気が付けば彼のことを親父と呼んでいた。

32以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:25:44 ID:veW0Zs5E0
かっこいいな

33以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:26:34 ID:kK9V/Zl60
ミ,,゚Д゚彡「珍しいな一度騙されたくらいで帰ってくるなんて」
  _
( ゚∀゚)「そうか?たまにはホームシックもいいだろうに」

ミ,,゚Д゚彡「いつもならそのまま次の目的地に行ってるじゃないか」
  _
( ゚∀゚)「いや…それがよ」

ミ,,゚Д゚彡「?」

俺は親父の顔に近付き、辺りを確認しながらそっと呟く。
  _
( ゚∀゚)「どうやら…この付近に財宝があるらしいんだ」

ミ,,゚Д゚彡「へぇ〜。そうなのかい」
  _
( ゚∀゚)「なんでもここら辺を仕切ってるフィなんとかって奴が見つけたらしい」

俺がそう言うと、親父は驚いたように顔色を変えた。

ミ,,゚Д゚彡「それって…フィレンクト卿のことか?」
  _
( ゚∀゚)「お?知ってるのか?」

34以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:27:02 ID:ePJuxQH.O
チュリサスとはまた暑苦しいものを

支援

35以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:27:06 ID:kK9V/Zl60
ミ;,,゚Д゚彡「ジョルジュが出て行って2ヶ月後くらいにこの島を管理することになった公爵だ」
  _
( ゚∀゚)「ほー。こんな糞みてえな島を統括する人間が出てきたのか」

親父は拭いていたグラスを置き、神妙な顔で俺を見た。

ミ;,,゚Д゚彡「悪いことは言わねえ。あの人を狙うのは止めろ」
  _
( ゚∀゚)「……?それはどういう…」

「ジョルジュ!!」

その時、後ろから大きな声を掛けられた。
その声に俺は聞き覚えがあり、そして決して忘れることのない声だ。

ξ゚⊿゚)ξ「あんたうちのお客さんに何をあげたの?みんな外で吐いてるわよ!」
  _
( ゚∀゚)「おお、ツンか。久しぶり」

ξ゚⊿゚)ξ「勘弁してよ…うちのお酒で吐いたと思われるじゃない!!」

コイツはツン。この酒場の看板娘だ。
それと同時に俺を古くから知る人間であり、親友でもある。
…今はまだな。

36以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:27:54 ID:kK9V/Zl60
('A`)「ほら、ダイオード。あれだよ」

/ ゚、。 /「?あの女性は…?」

('A`)「ここの亭主の娘さん。キャプテンの幼馴染。そして…」

('∀`)「…キャプテンの片思いの相手だ」

/ ゚、。 /「え?あ、ああ……なるほど…」

('A`)「キャプテンがどうして宝探ししてるか知ってるか?」

/ ゚、。 /「え?金銭目的じゃないんですか?」

('A`)「実はな…キャプテンはあのツンって人にプロポーズするつもりなんだが」

('A`)「プロポーズする際にとびっきりの宝をプレゼントするつもりらしい」

/;゚、。 /「まさか……」

('A`)「そう!キャプテンはツンさんに贈る宝を探して世界を回ってるんだ」

37以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:28:34 ID:kK9V/Zl60
('A`)「ほら、ダイオード。あれだよ」

/ ゚、。 /「?あの女性は…?」

('A`)「ここの亭主の娘さん。キャプテンの幼馴染。そして…」

('∀`)「…キャプテンの片思いの相手だ」

/ ゚、。 /「え?あ、ああ……なるほど…」

('A`)「キャプテンがどうして宝探ししてるか知ってるか?」

/ ゚、。 /「え?金銭目的じゃないんですか?」

('A`)「実はな…キャプテンはあのツンって人にプロポーズするつもりなんだが」

('A`)「プロポーズする際にとびっきりの宝をプレゼントするつもりらしい」

/;゚、。 /「まさか……」

('A`)「そう!キャプテンはツンさんに贈る宝を探して世界を回ってるんだ」

38以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:28:59 ID:veW0Zs5E0
ほう

39以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:29:09 ID:kK9V/Zl60
>>37ミス。

そして再開

40以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:29:33 ID:kK9V/Zl60
/;゚、。 /「酒が飲めない癖に酒場に行きたがる理由がよくわかりました」

('A`)「まあ残念なのはツンさんがキャプテンの気持ちをまったく気付いていないってことだな」

/;゚、。 /「いつもはあんなに威勢がいい人なのに…」

('A`)「幻滅したか?」

/ ゚、。 /「正直…驚きました」

('A`)「まあ、それでもキャプテンに付き合ってくれよ。一応俺らはあの人に拾われた身だしよ」

/ ゚、。 /「ええ。それはまあ」

('A`)「あの人は…ロマンチストなんだよなあ」

/ ゚、。 /「ですね……」

/ ,' 3「…………」

41以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:30:28 ID:kK9V/Zl60
ξ゚⊿゚)ξ「まったく…早く捨ててきなさいよ」
  _
( ゚∀゚)「ああ、それは大丈夫だ。あとでドクオが何とかする」

ξ-⊿-)ξ「はぁ…もういい歳して何遊んでんのよ…」
  _
( ゚∀゚)「…あのなあ、俺は真面目に海賊をやってんだよ。お前にどうこう言われる筋合いはねえよ」

ξ゚⊿゚)ξ「もう……私、市場に行くから。帰ってくるまでにあのへんなお酒片付けといて!」
  _
( ゚∀゚)「え?あ、……おう」

そう言うとツンはスタスタと奥に引っ込んで行ってしまった。
ツンは毎日この時間になると、少し歩いた先にある市場に行って魚を買いに行く。
まずい。また嫌われたか?
もっと近寄らなければ……。
  _
( ゚∀゚)「あ、それで何だって?」

ミ,,゚Д゚彡「あ?」
  _
( ゚∀゚)「公爵の話だよ」

42以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:30:51 ID:kK9V/Zl60
ミ,,゚Д゚彡「ああ、そうだったな…」

親父はもう一度顔を近づけ、俺に小さな声で話した。
髭が近い。やや迷惑だ。

ミ,,゚Д゚彡「フィレンクト卿はこの島に独裁体制を築こうとしている。その為なら反対勢力の犠牲も問わん」

親父の話によると、フィレンクトはこの街の清浄化を図り決定権をすべて掌握しようとしている。
そして海賊撲滅を目指し、裏町を近々規制するそうだ。
まだ、計画中の段階だがそれが実行に回るともう手に負えないそうだ。
  _
( ゚∀゚)「んん?俺達海賊も反対勢力なのか?」

ミ,,゚Д゚彡「まあな。だがおそらく反対するものは誰一人としていないだろう」
  _
( ゚∀゚)「そりゃないだろう。この島にどんだけの猛者が集っていると思ってるんだよ」

ミ,,゚Д゚彡「いや駄目だ。それでも奴らには敵わない」
  _
( ゚∀゚)「奴ら…?」

思わず眉間に皺が寄る。
俺は「奴ら」と「敵わない」と言う言葉がとても気になった。
一体俺が留守にしていた間、この島には何があったというのか。

43以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:31:28 ID:kK9V/Zl60
ミ,,゚Д゚彡「フィレンクト卿の配下に2人の部下がいる」

ミ,,゚Д゚彡「『巨人』と『駆除』だ」
  _
( ゚∀゚)「巨人…?駆除…?なんだそりゃ」

てっきり人名かと思ったら単語だ。
ホントに人間なのか?
俺の眉間にさらに皺が寄る。

ミ,,゚Д゚彡「巨人ってのは名前の通り巨人だ背丈が4mを超える化け物さ」
  _
( ゚∀゚)「そんな生き物がいんのか」

いまいち想像がつかない。
確かにそんなにでかけりゃ『巨人』という異名もいただける。
  _
( ゚∀゚)「でも、その程度だったらまとめてかかりゃ殺せるんじゃねえか?」

ミ,,゚Д゚彡「いや駄目だ。詳しくは分からんが、既に6つの海賊団が『巨人』の手によって壊滅している」

おっかねえな。
そんな化け物を引き連れてるってのかフィレチキンは。

44以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:31:52 ID:58YKd8RIO
タカラが悪役か...

45以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:32:12 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「それで…『駆除』ってのはなんだ?」

こっちもどうやら人間のようだが、どうだろうか。
脳内に高枝切りばさみを持ってる男が浮かんできた。

ミ,,゚Д゚彡「ああ、こっちはよくわからねえんだが…誰も見たことが無いらしい」
  _
( ゚∀゚)「見たことが無い?どういうことだ」

ミ,,゚Д゚彡「俺も又聞きした話だからこれ以上は分からないんだが…」

「『駆除』は街中に罠を張っているんです」

その時、右の席から声がした。
確かに俺達が会話していた内容を投げられたので思わず反応する。
  _
( ゚∀゚)「誰だお前?」

( ・∀・)「すいませんね。気になる話をしていたもので」

そこには洒落た正装を身にまとった男がいた。
顔立ち、風貌からして間違いなく貴族だ。

46以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:32:52 ID:kK9V/Zl60
( ・∀・)「はじめまして…僕はモララー。子爵です」

ミ;,,゚Д゚彡「や、やあモララーさん、来てたのか」

( ・∀・)「ええ、今日は久しぶりに予定が開いたもので」
  _
( ゚∀゚)「親父、知り合いなのか?」

ミ;,,゚Д゚彡「え?あ、ああまあ…な」

ふーん…そうなのか。
親父の慌てようが少し気になるが、こいつが出て行ってから聞くとしよう。

( ・∀・)「こちらの方は?」

ミ;,,゚Д゚彡「あ、ああコイツは…」
  _
( ゚∀゚)「ジョルジュ・キッド。海賊をやってる」

( ・∀・)「ああ、あなたが噂の『決闘』…」

47以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:34:09 ID:kK9V/Zl60

  _
( ゚∀゚)「噂になってるかどうかは知らねえがまあそんな感じだ」

( ・∀・)「ご活躍は聞いてますよ。なんでもミイラの頭蓋骨を取りに行く為にサピエンに向かったんだとか」

アイツら…後でぶっ殺す。
  _
( ゚∀゚)「あんた『駆除』について何か知ってんのか?」

( ・∀・)「『駆除』はフィレンクト卿の部下で、罠使いの達人です」
  _
( ゚∀゚)「罠?」

( ・∀・)「町のあらゆるところに罠を仕掛け、海賊や反対勢力の人間を文字通り『駆除』していると聞きます」

なるほど。そういう由来があったのか。
『巨人』と『駆除』…。面白い。
  _
( ゚∀゚)「いいのか?あんたこんなに喋って」

( ・∀・)「ええ、そもそもこれ以上のことは分かりません。『駆除』が男なのか女なのか、単数なのか組織なのか」

48以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:34:40 ID:kK9V/Zl60
( ・∀・)「それに私はフィレンクト卿の考えにはある程度賛成しています」
  _
( ゚∀゚)「なるほど。そりゃあんたは狙われないわな」

( ・∀・)「むしろ危険視すべきなのは他にあります」
  _
( ゚∀゚)「?」

( ・∀・)「フィレンクト卿が世界5大秘宝の一つ『メデューサの瞳』を発見したのはご存知でしょうか」

俺はギクリとした。
まさに俺が狙っている秘宝の名前が上げられたからだ。
  _
( ゚∀゚)「ああ…らしいな」

( ・∀・)「その秘宝を我こそは強奪しようと企んでいる海賊が現在この島に集結したようです」
  _
( ゚∀゚)「へえー…そんなにいるのかい?」

( ・∀・)「ええ。有名な所でもかなり」

49以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:34:51 ID:veW0Zs5E0
ふむふむ

50以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:35:14 ID:kK9V/Zl60
( ・∀・)「海賊専門強盗『海底』、戦略家『酒樽』、強姦殺人魔『暗闇』……他にも『金欠』、『楽譜』、『蜂蜜』」

( ・∀・)「そして……『決闘』」
  _
( ゚∀゚)「………」

なんだ。もうバレていたのか。
なら、そこまで気にする必要もねえな。

( ・∀・)「勘違いしないで下さい。私はあなたがた海賊に敵意はないので」
  _
( ゚∀゚)「へぇそうかい。そりゃあ随分と平和主義なんだな」

しかし、いくらこいつに敵意が無くとも相手にはあるだろう。
よくこんな場所まで足を運ぶもんだ。
それとも、コイツはそれほどの実力があるのか?
  _
( ゚∀゚)「だがあんたはこんなとこにいて大丈夫なのか?ここには貴族を嫌う奴なんざごろごろいるぜ」

( ・∀・)「大丈夫ですよ。いざとなれば自分の身は自分で守ります。それに…」
  _
( ゚∀゚)「………?」

( ・∀・)「命を掛けてまでここに来る価値がありますから」

51以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:36:12 ID:kK9V/Zl60
ξ゚⊿゚)ξ「モララー様!!」

その時、厨房からツンが顔を出した。
そしてものすごい速さで俺の元へと来た。
しかし、目的は俺じゃなかったみたいだが。

ξ*゚⊿゚)ξ「まあ来てらしたんですの?」

( ・∀・)「ああ、君の顔が見たくなってね」
  _
( ゚∀゚)

ξ*゚ー゚)ξ「まあ、そんな…ウフフ」

( ・∀・)「君のその笑顔を見る為なら毎日だって来たいくらいさ」

  _
( ゚∀゚)




  _
( ゚∀゚)

52以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:36:19 ID:XEs01mbYO
やっと追い付いた
世界を巡る理由が意外と乙女なジョルジュもかっこよく見える不思議

53以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:37:27 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「え?……あ………あれ?」

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとジョルジュ!あんたまだお酒片付けてなかったの?」
  _
( ゚∀゚)「え?え?な、何、え?」

ミ;,,゚Д゚彡(あーあ………)

ξ;゚⊿゚)ξ「あっ…ジョルジュには紹介してなかったね」

ξ゚⊿゚)ξ「この人…私の恋人の…」

( ・∀・)「いいですよもう婚約者と言っても」

ξ゚⊿゚)ξ「え?でも私達まだ…」

( ・∀・)「その未来は確定しています。なぜなら運命がそう言っているから…」

ξ*゚ー゚)ξ「モララー様…」



  _
(  ∀ )

54以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:38:21 ID:XEs01mbYO
あらあらドンマイ

55以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:38:33 ID:veW0Zs5E0
oh…

56以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:38:46 ID:kK9V/Zl60
( ・∀・)「ツンとジョルジュさんはどういう関係なんですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「ああ、ただの知り合い。子供の頃によく遊んだ」



  _
(  ∀ )


( ・∀・)「そうですか。…じゃあこれからもお世話になりそうですね」

( ・∀・)「よろしく、ジョルジュさん」

  _
(  ∀ )「……………………ヶ」

( ・∀・)「…け?」




  _
( #゚∀゚)「決闘だあああああああ!!」



.

57以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:39:16 ID:kK9V/Zl60
俺は右の手袋を思いっきり地面に叩きつけた。

( ;・∀・)「え?ど、どうしたんですか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっとなんでそうなるのよ!!」
  _
( #゚∀゚)「うるさい!ツンは黙ってろ!!」

( ;・∀・)「何か気に障ることでも…」
  _
( #゚∀゚)「ありありだ!」

俺は椅子を倒し立ち上がる。
こんな話あってたまるか。
俺が全てぶっ潰してやる。

( ;・∀・)「…………」

( ;・∀・)「…なるほど。事情は概ね理解できました」

モララーはしばらく考え込むと深く頷いた。
どうやら俺とツンの関係を感じ取ったようだ。

58以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:40:20 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「さあ表に出ろ」

俺は首を大きく振り、外に行くよう促す。
あーもう駄目だ。俺はこいつを殺しかねない。

ξ;゚⊿゚)ξ「も、モララ−様!こんな奴の誘いなんかに無理に乗らなくても…」

( ・∀・)「いや………受けよう」

ξ;゚⊿゚)ξ「モララー様!?」

モララーは片手でツンを抑えると床に落ちた手袋を拾い上げた。

( ・∀・)「ここは裏町だ。貴族の方々はいないからね。気兼ねなく戦える」
  _
( ゚∀゚)「わかってるねぇ…子爵君」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっとジョルジュ!なんなのいきなり」

( ・∀・)「しょうがないよ。彼の顔もあるし私のプライドにも関わる」

ξ;゚⊿゚)ξ「…?」

こいつ意外と話の分かる奴だな。
俺はモララーの肩を叩きながら共に外に出た。

59以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:41:36 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「階級が違うからな。今回は正々堂々剣だけで勝負してやるよ」

( ・∀・)「さすが海賊ですね。剣だけってことは普段は七つ道具とか使ったりしているんですか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ、持ってるぜ。とても便利だ」

俺達は大通りに出て、右手で剣を抜いた。
店にいた連中は皆ギャラリーとなって店から出てきた。
もちろん俺の仲間も、親父も、ツンも。
立会人を呼ぶ必要すらないだろう。
  _
( ゚∀゚)「それじゃあ始めるとするか」

( ・∀・)「ええ。そうしましょう」

俺とモララーは剣を構えた。
互いの剣に殺気が宿る。
あれほど騒ぎが好きなギャラリーもしん、と静かになった。

夕暮れ時の裏町。
相手の姿も朧げで、わずかな店の蝋燭の灯だけが頼りだ。
ツンは…ツンは俺の物なんだよ。

俺とモララーは同時に駆け出した。

60以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:42:18 ID:kK9V/Zl60

(#,,゚Д゚)「ゴルァアアアアアアアアアア!!!」

その時、大通りの奥から大きな奇声が響き渡った。
俺とモララーはハッと声の元へ振り向く。
  _
( ゚∀゚)「なんだ?」

そこには傷だらけの男が暴れていた。
元は白かったであろう枯れ草のように汚れたシャツを着た男。
知っている顔かと思ったが、そうではなさそうだ。

( ;・∀・)「あれは……『金欠』!」
  _
( ゚∀゚)「『金欠』?ああ、さっき言ってた…」

さっきは気にしていなかったがなんつー名前だよ。
海賊のくせに金品の一つも奪えない奴なのか?

( ;・∀・)「『金欠』のギコ…。彼は重度の賭博依存症なんです」
  _
( ゚∀゚)「賭博?」

( ;・∀・)「彼は自分の所持金が無くなると、腹いせにその賭博屋を潰すと聞きます」

もちろん文字通り物理的に、とモララーは付け加えた。

61以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:42:44 ID:kK9V/Zl60
(#,,゚Д゚)「ゴルァアアアアアアアアアアアアアア!!」
  _
( ゚∀゚)「じゃあ何だ?あれは今、文無し真っ最中ってことか?」

( ・∀・)「そう…なりますね」

しかし、それにしては様子がおかしい。
通って来た道の家屋は破損している様子はないし、むしろ傷だらけなのは『金欠』のほうだ。
まるで、誰かから逃げているような…。

その時、大きな地鳴りが響いた。

( ;・∀・)「!!」
  _
( ゚∀゚)「なんだなんだ!?」

何か近くに重いものが落下したような音が断続的に聞こえる。
その音は次第にボリュームが大きくなっていき、気付けば大砲クラスの大きさになっていた。

('A`;)「き、キャプテン!あ…………あれ…!」

ドクオが空に向かって指を指している。
その手はガクガクと震え、顔は真っ青になっていた。
俺もドクオの指す方を見た。

62以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:43:08 ID:kK9V/Zl60
( ゚∋゚)「……………」
  _
( ;゚∀゚)「な…なんだありゃあ……」

一軒家の屋根の隙間からそっと大きな顔を出す男がいた。
もしあれの足が地に着いていたとすれば、家1軒分の背丈の人間がいることになる。

( ;・∀・)「…『巨人』です……」
  _
( ;゚∀゚)「………………」
  _
( ;゚∀゚)「は?あれが!?」

確かに背丈は4m程…いや6mはあるだろう。
完全に盛った話だと思い、酒の肴程度に聞いていたのに…噂以上じゃねえか。

( ;・∀・)「どうやら…『金欠』は『巨人』と争っていたようですね」

なんという夢の共演だ。
むしろ夢であってほしい。

63以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:43:49 ID:veW0Zs5E0
支援

64以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:44:08 ID:kK9V/Zl60
(#,,゚Д゚)「さっさと掛ってこいや!この化け物がぁ!!」

( ゚∋゚)「!!」

そう言うと、『巨人』は『金欠』に気付き、一目散に駆け出した。
一歩一歩が大きい為、一瞬というのも誇張していないほど素早く『金欠』の元に辿りついた。
あの図体でこれだけのスピードが出せるのか。
『巨人』の思わぬスピードのせいで、『金欠』の意味のない度胸に驚く機会が無くなってしまった。

(,,゚Д゚)「やりゃあできるじゃねえか!化け物!俺に怖気づいたのかと思ったぜ!」

そう言うと、奴は酒場の向かいにある家屋にしがみ付いた。
そこに全速力で突進する『巨人』。
メキメキと音を立てる向かいの家屋。
家屋は少しずつ地から離れている。
  _
( ;゚∀゚)「おいおいおいおいおい…まさか持ち上げてんのか?あれは」

(,,゚Д゚)「うおおおおおおおおるぁあああああああああああ!!」

家屋が完全に宙に上がった瞬間、『金欠』は思いっきり腕を振り、家屋を『巨人』に向かって投げつけた。

65以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:44:53 ID:kK9V/Zl60
( ゚∋゚)「……」

しかし、巨人は身の丈もある物体が飛んでくることに何のためらいも見せずに腕を構えた。
そして拳を素早く家屋に当て、木造のその家を粉砕した。
まるでサーカスを見ているような気分だ。

( ;・∀・)「2人を放っておくと酒場まで危険です!どうにかして止めなければ!!」
  _
( ;゚∀゚)「止めるったってお前…あのゴリラ園にどうやって入り込むっつうんだよ…」

( ・∀・)「私が…『巨人』を何とかします」
  _
( ゚∀゚)「ああ?お前みたいな坊ちゃんに何ができるって言うんだよ」

( ・∀・)「先程も言いましたが、『巨人』は海賊や反勢力を抑圧するために雇われた男です」

( ・∀・)「貴族である私は決して殺されないように言い渡されているようですので」

なるほど。
適材適所とはこのことか。
下手にあのデカブツと競り合うかははるかに効率が良い。

66以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:45:21 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「つまり…俺はあのギャンブラーを止めればいいわけだな」

( ・∀・)「お願いできますか?」
  _
( ゚∀゚)「構わねえが…俺とお前の決闘はまだ決着が付いていないんだぜ?」

俺にとってはそっちの方が重要な問題だ。
『金欠』や『巨人』よりもよっぽど関心がある。

( ・∀・)「それでは…また次お会いしたときに戦いましょう。それまでは…」

そう言うと、モララーはポケットから俺の手袋を取り出した。

( ・∀・)「これは私が預かっています」
  _
( ゚∀゚)「…俺の大切な手袋だ。…失くすなよ」

( ・∀・)「了解しました」

俺達は会話を終えると、お互いに背を向けそれぞれの敵に向かう。
この決闘はひとまずお預けだ。
次会う時に、必ず殺してやる。

67以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:45:47 ID:kK9V/Zl60
(,,゚Д゚)「…なんだお前」
  _
( ゚∀゚)「名乗る必要があんのか?」

俺が『金欠』の傍まで寄ると、奴はジロリと睨みながら声を発した。
さて…この筋肉脳をどうしようか。

(,,゚Д゚)「お前も殺すぞゴルァ!」
  _
( #゚∀゚)「あー……すっからかんになってキレる気持ちはよくわかる。」
  _
( #゚∀゚)「だが…空になった具合では…俺の方が上なんだよ!」

こいつには決闘を申し込むだけ無意味だ。
ここは何も語らず黙って奴を斬り殺す。
俺は剣を構え、『金欠』に向かって駆け出した。
それに反応し、奴も俺に向かって突進してきた。
  _
( ゚∀゚)「おいおい…お前は斬られた事も無いお子ちゃまかよ」

剣を握った俺に丸腰のまま挑んで来る奴は初めてだ。
そうとう腕に自信があるか…あるいは単に馬鹿か。

68以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:46:11 ID:kK9V/Zl60
その判断はこの一撃で決まるだろう。
俺は奴の腹に狙いを定め、身を屈めて鋭く一点を突いた。
  _
( ゚∀゚)「…………あ?」

気付いたのはその1秒後だった。
たしかに手に握られた筈の剣が跡形もなく消えていた。
そして指先に強い痺れが襲い掛かってきた。
  _
( ;゚∀゚)「なっ………!?」

剣は…剣は何処に消えた?
俺は何が起こったのかわからないまま辺りを探す。
  _
( ;゚∀゚)「!!…うおっ!」

その瞬間、目の前に拳が飛んできた。
『金欠』だ。
俺は間一髪で頭を屈め避ける。

避けたと同時に今度は腹部に足が迫ってきた。
避ける方向は限られている。
俺は足裏に力を入れ、真横に跳んだ。
奴と距離を置き、体勢を整える。

69以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:46:32 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「…俺の剣を何処にやった」

消失マジックの種の正体はコイツだ。
一体、何をしたのか。

(,,゚Д゚)「ギコハハハ!どこに行ったのかも分からねえのか!」
  _
( ゚∀゚)「てめぇの笑い声が癪だからやっぱり遠慮するわ」

(,,゚Д゚)「教えてやるよ!」
  _
( ゚∀゚)「!!」

奴はしゃがみ込み、手を地に付けながら両足を大砲のように飛ばす。
俺はとっさに飛び跳ね、ドロップキックを避ける。
しかし飛び上がった瞬間にはもう既に奴は体勢を整え、落下する俺を迎える準備が出来ていた。

奴は俺の首を掴むと、地面に強く叩き付けた。
危ない。酒場の連中がゲロを吐いた場所ではないようだ。
  _
( ;゚∀゚)「ぐっ…!!」

倒れた体の上から奴がのしかかり、俺の動きを封じた。
その図体は重く、簡単に振りほどく事ができなかった。

(,,゚Д゚)「見ろ!あれがお前の剣だ!!」

70以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:47:14 ID:kK9V/Zl60
  _
( ;゚∀゚)「ああ…?」

『金欠』は天に向かって指をさした。
俺は限られた運動の中で、必死に空を見上げる。
そこには縦に回転しながら落下して来る俺の剣があった。
その落下地点は見事に俺の首に向いていた。
  _
( ;゚∀゚)「そういう事か…!!」

俺は懸命に奴の腿に挟まった左腕を取り出す。
そして、その自由になった手で傍に落ちていた小石を掴み、真上に投げる。
小石は剣に当たり、その衝撃により剣は右に大きく逸れた。

(,,゚Д゚)「それで難を去ったつもりか?」

ギコは俺の剣を捕まえると、剣を構え狙いを俺の首に向ける。
そして、そのまままっすぐに振り下ろした。
  _
( ;゚∀゚)「ぐ……っ!ドクオ!!」

('A`;)「うわああああああ!!」

ドクオは『金欠』の後ろから俺の足を掴み、
目一杯の力で引いた。
剣を振り上げた為『金欠』は、上体が若干浮いてしまい、結果的に俺の体に自由を許してしまった。

71以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:48:46 ID:kK9V/Zl60
俺の頭は剣先から避け、そのままドクオに引きずられた。
剣は地面に刺さり、俺は窮地を脱出した。

('A`;)「大丈夫ですか!?キャプテン!」
  _
( ;゚∀゚)「ああ……助かったよ」

ゆっくりと立ち上がり、顔に付いた砂を払う。

(,,゚Д゚)「…仲間に助けを請いで、情けないと思わないのか?」
  _
( ゚∀゚)「生憎だが…戦闘に関しては一切のプライドを持ち合わせていないもんで。勝てばいいんだ勝てば」

(#,,゚Д゚)「クズが…」
  _
( ゚∀゚)「おいおい…腹いせ同士…仲良くやろうぜ」
  _
( ゚∀゚)「それに……これは決闘じゃねえ」



  _
( ゚∀゚)「狩りだ」

72以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:49:06 ID:kK9V/Zl60
今の攻撃で、ようやく『金欠』の謎が解けた。
奴の動きには重さが大きく関わっている。
反応は遅いが、一度動けば止まるまで素早く動く事ができるようだ。
その目にも留まらぬ速度で俺の剣をはたき飛ばし、その隙を突いて攻撃を仕掛けてきた。

その間も剣は空を舞っていた。
剣が落下するポイントを定め、奴は俺を拘束した。
あとは待っているだけでギロチンが完成する。

こんな芸当…ただの金が無くなって発狂した野郎ができるもんじゃない。
異名が付いた理由がよくわかる。
  _
( ゚∀゚)「とりあえず…その剣、返してくれるか?」

俺は『金欠』の足元に突き刺さった剣を指差す。
奴は有無言わず剣を抜き、俺に向かって放り投げた。

(,,゚Д゚)「お前みたいに腐った奴は…捻り潰さないと気がすまねえな」
  _
( ゚∀゚)「それは褒め言葉か?それとも自虐か?」

俺は剣を受け取り、左手で握り直す。

ようは、奴の四肢に気をつければいい訳だ。
剣を脇に構え、奴の元へ駆け出した。

73以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:49:58 ID:kK9V/Zl60
『金欠』も向かって来たので、俺は奴の腹に向けて剣を切り付けた。
だが奴は直前で跳び上がり、俺の攻撃を回避した。

(#,,゚Д゚)「ゴルアァ!!」
  _
( ;゚∀゚)「んん?」

しかし、奴は避けただけでは終わらなかった。
空を舞っている間に足が空に、頭が地に向くように姿勢を変えそのまま腕を伸ばし、俺の顎を掴んだ。
その状態から弧を描くように『金欠』は倒れる。
すると必然的に俺の体は浮き、頭部だけが奴の手によって持ち上げられる。

まるで『金欠』と俺の頭はダンクシュートを決めるプレイヤーとバスケットボールの関係になってしまった。
  _
( ;゚∀゚)「マジかよ……!」

シュートを決めるゴールはどこかって?
それはコイツに聞かないとわからないだろうが予想は大方ついている。
ヤシ酒の香り漂うゲロまみれになったこの地面だ。
間違いなく、頭蓋骨は粉砕し、一瞬で死に至るだろう。
  _
( ;゚∀゚)「お前は酒を飲めない奴への配慮もないのか…!」

74以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:50:59 ID:veW0Zs5E0
ふーむ

75以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:51:15 ID:kK9V/Zl60
冗談じゃない。
こんな無様な格好をして死ねるか。
俺は体が地面と垂直になった瞬間に剣を構え、奴の腕に剣先を向ける。

(,,゚Д゚)「!!」
その剣が触れるか触れないか。
直前で奴は俺の刃に気付き、叩き付けることを止めて酒場の隣の民家に突き飛ばした。

( ;><)「船長!!」

民家の壁は砕け、その中に飛び込む俺。
なんて腕力だ。
とっさに払い除けた威力で木造建築を半壊させるとは…。

(,,゚Д゚)「ふん…ふざけた真似を…」

『金欠』は首をぐるりと回し、酒場の方を見た。
その一番手前には俺の子分達がいた。

(,,゚Д゚)「…」

76以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:51:39 ID:kK9V/Zl60
('A`#;)「や、やるのか!?こ、こここ、この野郎!!じょ上等だ!かかってきやがれ!!」

( ><)「負けました!降参です!」

/ ゚、。 /「あとはこの人が戦います!!」

('A`;)「お前ら!!?」

(,,゚Д゚)「……次はお前か?」

('A`;)「え?あ、いや…やっぱなし…」
  _
( ゚∀゚)「いつ俺との戦いが終わったなんて言ったよ『金欠』」

(,,゚Д゚)「…?」

('∀`;)「き、キャプテン!!」


  _
( ゚∀゚)「まだ1ラウンドも決まってないだろ?うちのクルーに手を出すのは…ちょっと早すぎるんじゃないか?」

77以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:52:19 ID:kK9V/Zl60
俺は頭から垂れる血を拭い、逆さまになった時に外れた帽子を拾う。
そして剣を鞘に納めた。
  _
( ゚∀゚)「悪いな。筋肉脳って思ったことは訂正するよ。どうやら知能はあるようだ」

(#,,゚Д゚)「…………」
  _
( ゚∀゚)「その代わりに…お前にはマナーってもんを教えてやるよ。馬鹿力」

俺は高く跳び上がり、奴が倒した家屋の上に乗った。
そして赤いコートのボタンを一つずつ外していく。
  _
( ゚∀゚)「見せてやるよ。俺の戦い方を」

俺がボタンを外し終えると、向かい風がコートの隙間に侵入し、大きくコートを広げた。

(,,゚Д゚)「………?なんだその玩具は」

コートの内側には6つの道具が掛けられており、その全てが黒い紐で固定されている。
これが俺の隠し玉だ。



  _
( ゚∀゚)「海賊の…七ツ道具だ」

78以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:53:09 ID:kK9V/Zl60
俺はそのうちの一つを取り出し、左手に構える。
あまり人目に晒したくはない代物だ。
早々に決着をつけなければならないな。

(,,゚Д゚)「なんだ?その紐は!登山でもする気か!ギコハハハハハハ!」

『金欠』は高らかに腹を抱えて笑う。
その瞬間、俺は勝ちを感じ取った。
奴は完全に俺を…この道具を下に見ている。
  _
( ゚∀゚)「登るか?ついて来いよ」

】海賊の七ツ道具その一:鉤爪ロープ【

お前に見せつけてやるよ。

(,,゚Д゚)「誰が行くか。どう見ても罠じゃねえか」
  _
( ゚∀゚)「おいおい…お前はそれでいいのか?ストレスを解消したいんだろ?文無し」

(,,゚Д゚)「!」

79以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:54:10 ID:kK9V/Zl60

(,, Д )「………………」

黙り込んでしまった。
おや?まさか禁句だったか?

(,, Д )「て…………………」

(#,,゚Д゚)「てめぇゴルアァアアアアアアアアアアア!!」

『金欠』は手近にあった家を補強していた丸太木を掴むと、俺の元まで飛んできた。
俺は剣を鞘に仕舞い、さらに上へと登る。
狙いを定めたのは倒れた家と同じ作りをしている隣家。

鉤爪ロープを振り回し、先端を屋根の中心へと引っ掛ける。
俺はロープを手繰り寄せ、壁に足を付け一気に駆け上がる。

(#,,゚Д゚)「どこまで逃げるつもりだチキン野郎!」
  _
( ゚∀゚)「お前は飛ぶニワトリを見たことがあるのかい?」

予想通り奴は俺を追って来た。
逆上は予定範囲外だが…まあ何とかなるだろう。

さらに次の屋根を探す。
『金欠』もどんどんと登って来ている。
また更に高い位置の屋根を見つけ、鉤爪を引っ掛けた。

80以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:54:50 ID:kK9V/Zl60

(#,,゚Д゚)「ゴルァ!!」

その時、大きな丸太が俺の頭を目掛けて飛んできた。
  _
( ゚∀゚)「!!…おっと」

俺は足に力を入れ、一気にロープを手繰り寄せる。
丸太は壁石に当たり、中心からバキバキと割れた。
俺はそのままロープを辿り、さらに高い屋根を目指す。
高く、より高く。
月夜の鬼ごっこはどこまでも続く。
  _
( ゚∀゚)「…あらら?」

気付けば、この街唯一の教会意外に高い場所が無くなってしまった。
俺が教会の屋根に鉤爪を掛けようとしたその時、『金欠』が俺に追いついた。

(#,,゚Д゚)「…逃げ場を無くしてどうするつもりだゴルァ」
  _
( ゚∀゚)「随分と早かったな…でもいいのか?こんな場所で」

(,,゚Д゚)「…何の話だ」
  _
( ゚∀゚)「墓場にするなら教会の方がいいんじゃないのか?って事だよ」

81以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:55:27 ID:kK9V/Zl60

(#,,゚Д゚)「調子に乗りやがって…」
  _
( ゚∀゚)「俺はいつでも絶好調だ」

一つ気付いたことがある。
奴はカウンターを好むようだ。
相手が攻撃に集中している隙を突き、攻撃する。

それはこの攻撃を受け続けている間で良く理解できた。
むしろアイツが冷静さを欠き、俺に反撃させたがっている。

ならばその挑戦に乗ろう。
俺は剣を脇に構え迎え撃つ。

(#,,゚Д゚)「やっと戦う気になったか」
  _
( ゚∀゚)「勘違いするな。満を持していただけだ」

足を前にだし、一気に間合いを詰める。
それに反応し、奴も向かってきた。

(#,,゚Д゚)「これで最後だゴルァ!!」

俺は一線を描くように、剣を地面と平行になるように振った。

82以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:55:53 ID:kK9V/Zl60
(#,,゚Д゚)「無駄だ!」

『金欠』は斬られる寸前で上空に飛び上がる。
そのまま両手を俺の首へ伸ばした。
  _
( ゚∀゚)「…足元が留守になってるぜ」

(,,゚Д゚)「…………あ?」

俺はその隙に鉤爪を『金欠』の足に巻きつけた。
足を軸にロープを当てるだけで、簡単に巻きつけることができた。
  _
( ゚∀゚)「罠だとわかっていてここまで来たのは褒めてやるよ…だが」
  _
( ゚∀゚)「その先まで考えないとなあ…」

(;,,゚Д゚)「お前…まさかっ…!!」

俺はロープを思いっきり引っ張り、建物の縁まで走る。
まだ浮いている『金欠』は旗のように引っぱられ、建物の縁まで空を飛んだ。
  _
( ゚∀゚)「飛んで行きな!!」

俺が腕を大きく振ると、奴は屋根を飛び出し街の空へと放り出された。

83以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:56:16 ID:kK9V/Zl60
(;,,゚Д゚)「なっ……なあああああああああああああ!?」

ロープがほどけ、完全に陸地から断絶された世界へ奴は行った。
俺は剣を仕舞い、腰に掛けた銃を取り出す。
  _
( ゚∀゚)「…これが俺流の勝ち方だ」

奴の頭に銃口を目掛け、引き金を引く。

(;,, Д )「がっ……!!」

どこに当たったかまでは分からなかったが、奴は血を飛ばしながら落っこちて行った。
まあこの高さから落ちてしまえばどの道助かりはしないだろう。

(#,, Д )「くそがあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………」

おっと、まだ生きてたよ。
…まあいいか。

奴が見えなくなり、その場には俺だけが取り残された。
  _
( ゚∀゚)「……やっと終わったよ……」
  _
( ゚∀゚)「…………………」

84以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:56:43 ID:kK9V/Zl60
  _
( ;∀;)「………………ツン」

ふいにツンのことを思い出した。
なんだよ結婚って……聞いてねえよ…。
どうして俺じゃないんだよ…。

俺は人目も気にせずワンワンと泣きじゃくった。
よくよく考えたらここを見れる奴がいなかった。

こうして…俺の海賊生活は終焉を迎えようとしていた。
  _
( ;∀;)「もういい。俺は…嫉妬海賊を目指す」


この時の俺は本当にどうかしていたと思う。
その後、俺は仲間を連れて他の酒場に行き、限界まで酒を飲み、吐き、酔い潰れた。




第一章:END

85以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:58:39 ID:veW0Zs5E0
乙乙!

86以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:58:48 ID:kK9V/Zl60
うおおおおおおお
こんなに早く投下できるなんてぱねぇ

予告スレでも言ったのですが、
これは2回に分けて投下します。

2回目は20日か21日のどちらかで。
すいません。レス量と私用の関係があるので。


それではこのままもう一章投下します。
お付き合いください。

87以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:59:13 ID:kK9V/Zl60
第二章:月夜の奇襲と街に踊る海賊達



    「船長!!この船ですか!?」



(    )「ああ、徹底的に破壊しろ」


     「イエッサー!!」


(    )「金品は残らず奪うある!!食料もだ!!」


     「イエッサー!!」


( Фω )「……………」


( Фω )「………『決闘』か………面白い」

88以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:59:53 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀ )「………ん」

翌朝、俺は目覚めると
  _
( ゚∀゚)「……どこだ?」

馬小屋に寝ていた。
  _
( ゚∀゚)「…………………」
  _
( ゚∀゚)「……だめだ。まったく思い出せねえ」

昨日の記憶がまったく無い。
モッシャモシャ草を喰ってる馬の隣で俺は何で寝ているんだ?
ゆっくりと記憶を振り返り、そして嫌なことまで思い出し、そしてまた泣いた。
あ、まずい。思い出したらなぜか吐き気が突然襲ってきた。

('A`;)「キャプテン!!」

その時、ドクオが馬小屋に入って来た。
それがきっかけとなり、俺の口からアルコールが混じった液体が飛び出す。
  _
( ; ∀ )「ドクおろろろろろろろろろろろろろろろろろろろ」

('A`;)「うわああああああああああああああああああああああ!!」

89以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:00:12 ID:XEs01mbYO
ひとまず乙
避難所は投下がさくさくでレスを挟み込むのがなかなか難しいが面白く読んでる
続きも頑張って

90以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:00:21 ID:kK9V/Zl60
  _
( ;゚∀゚)「すまねえ……やっとすっきりした」

('A`;)「ちょっと大丈夫ですかキャプテン…」

背中を摩られながら馬小屋を後にする。
話によれば昨日俺は酔っ払いながら酒場の外を掛け回り、全力疾走でどこかへと去っていたそうだ。
そしてクルーが探し周り、用水路に仰向けになって浮いていた俺を発見し、なんとか釣りあげたそうだ。
濡れた俺を一々乾かすのも面倒だから馬小屋の藁で寝かせ、服が渇くのを待っていたという。
そりゃあ知らん訳だ。
  _
( ;゚∀゚)「それで…どうしたんだ?あんなに慌てて……」

('A`;)「あっ!そうだ!キャプテ…!!」
  _
( ゚∀゚)「悪い。頭に響くからもう少しボリューム落として」

('A`;)「あっはい、すいません…」
  _
( ゚∀゚)「で、なんだって?」

('A`;)「あ…あの、実は……」


('A`;)「船が……壊されていました」

91以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:00:43 ID:veW0Zs5E0
寝る支援
がんばって

92以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:01:34 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「………………なんだって?」

頭がガンガンする。
ドクオの言っている意味がよくわからない。

('A`;)「ですから、船がぶっ壊れてたんですよ!」
  _
( ゚∀゚)「壊れてんのはお前の頭じゃねえのか?」

('A`;)「ちょ…本気で目を醒まして下さいよ!今本当にヤバいんですって!」
  _
( ゚∀゚)「そんな簡単に船が壊れる訳ねえだろ」

('A`#)「だから……ああもう!じゃあ見て下さいよ!壊れてますから!」

ドクオはカンカンになって怒鳴って来た。
その声に合わせて俺の頭がリズムを刻んでいるようだ。
  _
( ;゚∀゚)「ああ、わかったわかった!わかったから叫ぶのをやめろ!」

俺はしぶしぶとドクオの後について行くことにした。

93以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:01:59 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「……沈んでるな」

('A`)「……そう言ったじゃないですか」

( ><)「……沈んでるんです」

/ ,' 3「…………」

/;゚、。 /「……………あ、えっと…食料やお金も全部無くなってました」
  _
( ゚∀゚)「…………………」

  _
( ゚∀゚)

  _
( ;゚∀゚)「沈んでるじゃねえか!!」

( ;><)「沈んでるんです!」

94以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:02:23 ID:kK9V/Zl60
ドクオに連れられて来たのは、昨日俺達が停泊した港だった。
本来俺達の船がいた場所にあったのは海から飛び出ている2本のマスト。それだけ。
海賊旗は破り取られ、木片はあちこちに浮いている。

/;゚、。 /「あっ一応、船自体はサルベージ出来ます…」
  _
( ;゚∀゚)「ドクオ!なんでさっき言わなかった!!」

('A`;)「お約束ボケなんか言ってる場合じゃ無いでしょう!どうするんですか!」

どうなっているんだ?
間違いなく人為的な攻撃だ。
俺達が留守にしている間に何が起こった?
  _
( ;゚∀゚)「おい!誰がこんなことをやったんだ!?」

( ;><)「し、知らないんです!!」

('A`;)「昨日はみんな酒場に行ってたから…」

どういう事だ…?
この島で俺達の旗を見て手を出そうと考える奴はそうそういない。
『金欠』かと考えたがすぐにその可能性は消えた。

95以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:03:01 ID:kK9V/Zl60
あいつは俺の存在を知らないようだった。
俺の船がどれかなど単細胞そうなアイツには分からないだろう。
それに奴が生きていたとしてもあいつは深手を負っているじゃないか。
  _
( ;゚∀゚)「スカルチノフ…この船…直せるか?」

/ ,' 3「……?」

と、聞いても伝わらないだろうから身振り手振りで説明する。
俺の誠意が伝わったのかしばらくしてスカルチノフは首を縦に振った。
コイツには近々念入りに言語を教えなければ。

スカルチノフのおかげで何とか船は直せそうだ。
じっくりと船を眺めていると、だんだん怒りが込み上げてきた。
  _
( #゚∀゚)「糞っ…!何としてでもやった奴を探すぞ!」

( ;><)「はい!なんです!」
  _
( #゚∀゚)「誰だ…こんなゲスな真似をしやがって…」




「そいつは『海底』の仕業だお」

96以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:03:26 ID:kK9V/Zl60
その時、背後から声が聞こえた。
俺達はその声に反応してサッと振り向く。
  _
( #゚∀゚)「……誰だお前」

そこにはチョッキを一枚を羽織り、膝までの短パンを履いただけの小肥りな男が立っていた。
両手には何本もの酒の瓶を抱えており、その酒をがぶがぶと飲み干す。
口元から紫色の液体がダラダラとこぼれているが、この男はその事を気にも止めていないようだ。

二日酔いの俺にとっては酷く気持ちの悪い図だ。

( ^ω^)「慌てるなお『決闘』。僕は確かに海賊だけどもこれをやったのは僕じゃないお」

笑いながらその男は近づいてきた。

( ^ω^)「いやあ昨日は良いもんを見せてもらったもんだお」
  _
( ゚∀゚)「昨日……?ああ、あれか」

もはや俺の中で昨日の一戦は無かった事になりつつあった。
酒場の連中意外にも見ていた奴がいたとは。

( ^ω^)「『決闘』対『金欠』!今日この島の話題は昨日出没した『暗闇』のことよりも騒がれるお」
  _
( #゚∀゚)「勝手にしやがれ。昨日の事なんざどうでもいいんだ俺は」

97以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:03:56 ID:kK9V/Zl60
( ^ω^)「まあまあ怒るなお『決闘』。今のは軽い世間話だお」

/;゚、。 /「船長…こいつ…誰ですか?」
  _
( ゚∀゚)「デブだ」

( ^ω^)「否定はしないお」

デブは空き瓶を海に放り投げた。
エチケットがなってない野郎だ。

( ^ω^)「僕の名前はブーン。巷では『酒樽』なんて呼ばれてるお」

『酒樽』……聞いたことがあるな。
たしかモララーが挙げていた海賊の名前の一人じゃ無かったか?

( ^ω^)「街の情報は全て僕の元に集まるお昨日の事も、これからのことも」

何が言いたいんだこいつは…?
こいつは俺に何の用があるんだ。
  _
( ゚∀゚)「話はそれだけか?お兄さんはちょっと忙しいんだけども」

( ^ω^)「お前…『メデューサの瞳』を狙ってんだお?

98以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:04:33 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「!!」

その言葉に俺はピクリと反応する。
まさかこいつからその単語が出てくるとは。
  _
( ゚∀゚)「狙ってたぜ。…昨日まではな」

( ^ω^)「…?そうなのかお?」
  _
(  ∀ )「ああ。あんな宝石、興味も湧かねえや」

もうツンの為に秘宝を探すのも終わりだ。
バカらしくてやってられるか。

( ^ω^)「そうかお…。まあどっちにしろ僕にはプラスだからいいお。」
  _
( ゚∀゚)「…何の話だ?」

『酒樽』は一口酒を飲むと手の甲で口元を拭き、ニヤリと笑った。

( ^ω^)「昨晩、その船を襲ったのは『海底』って海賊だお」

99以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:05:04 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「…知ってるのか?」

( ^ω^)「僕は何でも知れるお」

そう言うと『酒樽』は静かに語りはじめた。

( ^ω^)「『海底』ロマネスク。海賊を専門に強盗を犯す海賊だお」
  _
( ゚∀゚)「海賊狙い?なんで海賊なんだ?」

訳がわからない。
金が欲しいのならば貴族や貨物船を狙った方が段違いに効率がいいだろう。

( ^ω^)「奴が海賊を狙う理由はいろいろ噂があるお。」

( ^ω^)「けどどれも確かなものは無いから、結局は本人のみぞ知るってとこだお」
  _
( ゚∀゚)「ふうん…まあどうでもいいんだけどな」

聞いた俺が言うのもあれだが、その情報はどうでもいい。
問題は『海底』って奴の素性だ。

( ^ω^)「『海底』ロマネスクは主に停泊した海賊船を狙うお。見張りを殺し、金品や食料を全て奪った後船を沈める」

( ^ω^)「一時はこの界隈の海に潜む海獣の仕業とも言われていたので、海底に潜む者のことから『海底』」

船を海底に沈める事からの由来もあると『酒樽』は付け足した。

100以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:05:30 ID:kK9V/Zl60
なるほど。
確かにこれはそいつの仕業だろう。
決まりだ。
『海底』って奴を見つけ次第、すぐに殺してやる。
  _
( ゚∀゚)「それで、そいつはどこにいるんだ?」

( ^ω^)「奴はこの島を拠点にしているわけじゃないお。だから決まった場所に居座ることはほとんどないお」
  _
( ゚∀゚)「んだよ。知らないこともあるんだな」

( ^ω^)「知っているとは言ってないお。知るのも時間の問題だお」

『酒樽』の話によると、現在この島中をそいつの部下が隈なく探し回っているらしい。
大丈夫か?
この島はかなり大きい。
裏町だけでも政府の目が届かなくなるというのに。

( ^ω^)「大丈夫だお。うちのクルーは優秀だから」

頭のこいつがこんなに胡散臭いのに信じられるか。

101以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:06:22 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「一つ聞いても良いか?」

( ^ω^)「なんだお?」
  _
( ゚∀゚)「何故俺に手を貸す」

最終的に俺がこいつの話を信じるかどうかはこの質問にかかっている。
ただでさえ初対面の人間だ。
それに加えコイツは海賊(らしい)。
信じられるのは聖者かよっぽどの馬鹿だ。

( ^ω^)「まあ、そうだおね。あんたには話しても問題なさそうだお」
  _
( ゚∀゚)「?」

( ^ω^)「さっき僕はあんたに『メデューサの瞳』を狙っているかと聞いたおね」
  _
( ゚∀゚)「ああ、まあ狙っていないがな」

それが関係している、と『酒樽』は言った。
一体何に関係しているというんだ?

102以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:06:45 ID:kK9V/Zl60
( ^ω^)「この街には、今現在フィレンクトが発見した『メデューサの瞳』を狙っている奴がごろごろいるお」
  _
( ゚∀゚)「へぇ、そうなのかい」

( ^ω^)「『海底』もそのうちの一人だお」
  _
( ゚∀゚)「何?」

海底は海賊以外にも対象を向けるのか。
なんて一貫性のない野郎だ。

( ^ω^)「フィレンクトはまだ『メデューサの瞳』を手にしていないお。ただ場所を突き止めただけ」

( ^ω^)「近々奴はその秘宝を手にするためにカルベの海に出るお」
  _
( ゚∀゚)「つまりお前らはその時を狙って奪うわけだな」

( ^ω^)「その通りだお」

なんてハイエナ根性だ。
まあそれでこそ海賊は海賊でいられるのだが。

103以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:07:10 ID:kK9V/Zl60
( ^ω^)「お前が本当に『メデューサの瞳』を諦めたのかは分からないお…けど」

( ^ω^)「『決闘』、『海底』の恐ろしさはこの島の人間ならだれもが知ってる周知の事実だお」

なるほど。
やっとこいつの目的が分かった。
ようは俺と『海底』で殺しあわせ、一人でも多くライバルを減らそうって魂胆だ。

( ^ω^)「君達のどちらかが消えるだけで、僕らはグッと目標に近づけるお」
  _
( ゚∀゚)「お前…見た目の割にはかなりの下種野郎だな」

( ^ω^)「おっおっおっ。よく言われるお」

俺と『酒樽』は高らかに笑いあった。
下種は下種同士通じるものがある。
  _
( ゚∀゚)「いいぜ。あんたの話信じてやるよ」

( ^ω^)「そう言ってくれると教えた甲斐があるってもんだお」
  _
( ゚∀゚)「ただ…あんたの言う優秀なクルーってのは信用できねえ」

104以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:07:32 ID:kK9V/Zl60
( ^ω^)「?どういうことだお」
  _
( ゚∀゚)「『海底』は俺が探す。お前の報告を一々まってられるか」

( ^ω^)「……………」

これは俺達の問題だ。
いくらこいつらに目的があろうと、そこまで干渉される筋合いはない。

( ^ω^)「…わかったお。好きにすると良いお」

そう言うと『酒樽』は3本の瓶を海に放り投げ、1本を俺に投げつけた。
そしてスタスタと帰って行った。

( ^ω^)「それは戦勝祈願だお」

最後に一言だけ残して。
結局いまいち掴みどころが分からない奴だった。
俺は振り向き、船員を呼んだ。
  _
( ゚∀゚)「おい。お前らはここで船の修理をしてろ」

('A`;)「え、でもキャプテンは…」
  _
( ゚∀゚)「こんな糞野郎は俺一人で十分だ。」

105以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:08:03 ID:kK9V/Zl60
トイレ休

106以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:10:10 ID:XEs01mbYO
いってら

107以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:11:51 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「さて………」

威勢よく決めたはいいが、どこから探せばいいか検討も付かない。
むやみやたらに探せばそれこそ日が暮れてしまう。
とりあえずと、俺は港の傍に住んでいる住人達に片っ端から聞いて回る事にした。

自分が派手な身なりをしていることは自覚している。
俺がノックをし、中から扉が開くと、中にいた住人は青ざめた顔で扉を閉める。
この島に住んでいる住人には基本的に略奪行為をしないのがこの島を拠点とする海賊の掟だ。
逆に住民を守らなければならない義務もある。

俺の場合は可愛い娘限定だが。
しかし俺に限ってはどうも住民の信頼を得られていないようで、赤いコートを見ただけで土下座をされてしまった。
  _
( ;゚∀゚)「ああお願い!!話だけでも聞いてくれ!!」

扉を閉める気が満々な住人に対しては、俺も隙間に靴を挟んで応戦する。
必死に宥める事で、やっと話を聞くことが出来た。
港付近の民家、32棟中29棟はそのように応対した。

その努力が功を成したのか、住人達から貴重な話を聞くことができた。

108以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:12:23 ID:kK9V/Zl60
まず、奴が俺らの船を襲ったのは昨晩の真夜中だ。
多くの人間は眠り町は静まり返る暗闇の中、奴らは俺達の船を破壊した。
港に住んでいるほとんどの住人が俺の船に群がる多くの人間を目撃している。

そしてもう一つ。

これが一番重要な事だ。
現場には沢山の人間がいた(らしい)のだが、それらを全て統括している男がいたそうだ。
その男は猫目で背の高く、身の丈以上の大きな鉈のような刃物を振り回していたそうだ。
  _
( ゚∀゚)「鉈………」

背の高いという特徴で『巨人』が真っ先に思い浮かんだが、すぐにそれは否定した。
奴は猫目というよりも鳥目だ。
それにあれだけ町の風景と化している奴を一々背の高いなどと表現を濁すだろうか。
  _
( ゚∀゚)「手に入る情報はこれくらいか…」

結局、奴の居場所は分からなかった。
だが、去って行った方向は目撃した奴がいたのでその方面を探すことにする。
  _
( ゚∀゚)「海賊が行きそうな場所…場所…」

109以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:12:54 ID:kK9V/Zl60
これでもこの島で生まれ育った男だ。
町の地理くらいは十分に把握している。
しかし、奴が隠れ家として使う場所など到底思い付く事が出来なかった。
  _
( ゚∀゚)「………………」
  _
( ゚∀゚)「とりあえず………酒場かな」

俺は港を後にし、町中の酒場調べるために歩き出した。
  _
( ゚∀゚)「ん………………」

ζ(゚ー゚*ζ「あ……………………」

その時、一人の女性と目があった。
瞬間的には誰だか分らなかったが、ハッと昨日の襲われていた女性だと思いだす。
  _
( ゚∀゚)「おお、君は昨日の…」

ζ(゚ー゚*;ζ「あっ…あ、あの昨日は…ありがとうございました…」

110以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:13:20 ID:kK9V/Zl60
  _
( ゚∀゚)「ああ…別に気にしなくて良い。町の掃除は海賊の務めだ」

ζ(゚ー゚*ζ「いや、そんな…………………あ」
  _
( ゚∀゚)「?」

ζ(゚ー゚*;ζ「あ、…あなたもしかして…『決闘』…ですか?」

しまった。
また逃げられる。
もしかしたらこの子が『海底』を知ってるかも知れないのに。
  _
( ゚∀゚)「ま、まあそうだけどよ!別に俺は無理やり…」

ζ(゚ー゚*;ζ「す、すいません!失礼します!」
  _
( ;゚∀゚)「ちょっ……………!」

危惧してからたった数秒で逃げられた。
もう、このコート脱ごうかな。
いや…これは俺の…………うん。

111以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:13:59 ID:kK9V/Zl60
(‘_L’)「それで…『メデューサの瞳』はどこにあったんだ?」

「カルベ海の中心にある孤島です。帆船で向かえばそうは掛からないでしょう」

(‘_L’)「驚いたな…。そんな近くに孤島などあったのか。」

「満潮になっている時間が多く、普通の渡航では発見することが出来ませんでしたよ」

「たった数分間、小さな岩場が生まれるのですが…何とそこには小さな洞窟が」

(‘_L’)「ハッハッハ…確かにそれは見つからないな…」

(‘_L’)「それよりも…だ」

「ええ」

(‘_L’)「まだ誰もその秘宝に触れた奴はいないな?」

「もちろん。貴方様が第一に触れるべき代物です」

(‘_L’)「フフフ……それならいいんだがな」

112以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:14:26 ID:kK9V/Zl60
「それよりも…この島にどんどん海賊が集結しているようです」

(‘_L’)「海賊が?」

「ええ。どこからか情報が漏れたのかと」

(‘_L’)「…お前じゃないよな」

「御冗談を。私が私の仕事を増やしたというのですか」

(‘_L’)「ハッハッハ。そうだな。海賊の始末は全てお前が受け持つからな」

「念の為に出港するまで残りの2日間、外来の船を入港禁止にしてはいかがでしょう」

(‘_L’)「ああそうだな。そうしよう」

「ではすぐにでも手配を」

(‘_L’)「海賊で思い出したが……アイツはこの島に来たのか?」

「アイツ…?ああ、『決闘』のことですか?」

(‘_L’)「ああ。お前の報告だとそろそろ戻ってくると言っていたが」

113以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:15:10 ID:kK9V/Zl60
「ええ、つい昨日、この島に戻ってきました」

(‘_L’)「そうか。ならばしばらく奴の見張りを頼む」

「はい。…………フィレンクト卿」

(‘_L’)「なんだ?」

「彼を捉える判断は私が一任しても?」

(‘_L’)「構わん。ただし決して殺すなよ」

「ええ。承知しております」

(‘_L’)「任せたぞ。お前とクックルだけが頼りだ」




(‘_L’)「なあ…『駆除』よ」

114以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:15:32 ID:kK9V/Zl60
ミ;,,゚Д゚彡「おっ?ジョルジュ!!大丈夫だったのか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「心配したじゃない!!『金欠』にやられたのかと思ったんだから!!」
  _
( ゚∀゚)「ああ悪い。昨日はいろいろあってよ」

パッと思い付いた酒場がここだった。
海賊がよく行く場所=酒場というのはあながち間違いではない。
海賊達は酒をよく好み、帰ってきた記念に乾杯、戦った記念に乾杯、負けた悔しさに乾杯と、何かと記念にこじつけて酒を飲む。
俺には全く理解できないが。

当然、海賊が酒を飲めば酒場は儲かる。
そうすれば必然的に酒場の需要が増し、酒場も増える。
気がつけば裏町はありとあらゆる場所に酒場が立った。
これだけの量を一人で全て回るのだから相当時間もかかるわけで。

思い付く酒場から順に当たることにした場合、一番最初に来るのはここだった。

ミ;,,゚Д゚彡「怪我は?無事だったのか?」
  _
( ゚∀゚)「まあ…一応な」

ミ;,,゚Д゚彡「そうか…俺も死んだのかと思って心配したんだぞ」

親父の背後に『二つの意味で』という言葉が一瞬見えた。
もう一つの意味など言われなくともわかっている。
ツンの事だ。

115以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:15:54 ID:kK9V/Zl60
ξ゚⊿゚)ξ「もう…いっつもそうなんだから…」
  _
( ;゚∀゚)「お、おう…」

親父は俺がツンの事を好きな事を前から知っていた。
正確にいえば10年くらい前から。
ああ俺の愛する人間をまともに見ることができない。

畜生…なんであんなキザ男なんだ。
何で貴族なんだ。
何でモララーなんだ。
  _
( ゚∀゚)「………………」

ξ゚⊿゚)ξ「?」
  _
( ;∀;)

ξ;゚⊿゚)ξ「!?」

彼女の顔を見ているといろんな感情が沸き起こり涙が溢れてきた。

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっ…ちょっとどうしたのよ!やっぱりまだどっか痛いの!?」

世間知らずのこの処女の優しさが更に痛む。
いっそ殺してくれ 。

ミ;,,゚Д゚彡「………………」

116以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:16:14 ID:kK9V/Zl60
ミ,,゚Д゚彡「『海底』…?聞いたことは無いな…」
  _
( ゚∀゚)「そいつに船を壊されたんだ。ただじゃおかねえ」

ミ,,゚Д゚彡「昨日はいろいろと災難だったんだな…」

親父が憐れみの目で俺を見つめる。
全身の体毛が全て抜けてしまえばいいのに。

ミ,,゚Д゚彡「ここには来てないぞ。そんなに特徴のある奴なら俺が覚えているはずだ」
  _
( ゚∀゚)「まあ…そうだよなあ…」

店内を見渡しても、今いる客は数えるばかりしかいない。
昨日の騒動があったのは夕刻頃。
そこから数時間後には閉店する。
そしてその後開店するのが今からほんの少し前だ。

ミ,,゚Д゚彡「他の店を当たるしか無いな」
  _
( ゚∀゚)「ああ、そうするよ。またな」

俺は椅子から立ち上がり、店を出る。

117以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:16:37 ID:kK9V/Zl60
ξ゚⊿゚)ξ「もう出るの?何か食べていけばいいのに…」
  _
( ゚∀゚)「まあな……………」

店を出ると、酒場の前を掃除していたツンがいた。

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたのよ…昨日と違ってえらくテンションが低いじゃない」

お前のせいだよ…とは言えないので黙秘を貫く。
  _
( ゚∀゚)「モララーはどうしたんだ?」

ξ゚⊿゚)ξ「モララー様は忙しいお方なの。今日と明日は、ライチ国へ遠征に行ってるんだから」

様という言葉を聞くだけでここまで蕁麻疹が出るとは思わなかった。
ということは、あいつとの勝負は3日後になるのか。

ξ゚⊿゚)ξ「それよりも…なんで昨日モララー様と決闘なんかしようとしたの?」
  _
( ゚∀゚)「お前には関係ねーからいいんだよ」

ξ゚⊿゚)ξ「関係ないこと無いわよ!私はあの人の妻になるのよ!?」

118以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:17:08 ID:kK9V/Zl60
また心が割れる。
だいたい何でモララーはあんな位の高い男なのに、こんな町娘なんかと結婚するんだ?
いや、まあ可愛いのは分かる。
しかし、身分や周囲がそれを許さないだろう。
  _
( ゚∀゚)「なぁツン…」

ξ゚⊿゚)ξ「?なあに?」
  _
( ゚∀゚)「お前…アイツのどこが良いんだ?」

ξ*゚⊿゚)ξ「な、何よ急に!!」
  _
( ゚∀゚)「相手は貴族だぜ?」

ξ*゚⊿゚)ξ「願ったり叶ったりじゃない!貴族なんて夢のようよ!」

ツンは目を輝かせながら溌剌と喋った。
彼女の一挙一動が俺の心に深く刺さる。

ξ*゚ー゚)ξ「モララー様は優しくてかっこよくて誠実で貴族で…」

ツンの唇が奴の特徴を上げるごとに震える。
モララーの話をしている時のツンはそれはもう活き活きとしていた。

119以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:17:30 ID:kK9V/Zl60
ξ*゚ー゚)ξ「モララー様になら…私のヴァージンも…上げられる…」
  _
(  ∀ )「ああ…そう…」

一番聞きたくなかった。
そして今すぐ死にたくなった。

ξ゚⊿゚)ξ「それよりもジョルジュ…聞いたわよ。『海底』を探してるんですって?」

ツンの質問に俺はああ、とだけ答えた。
俺の機嫌の落差にツンは驚いていたが、しばらくして話を続けた。

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ…あと何人の人を殺せば気が済むの?」
  _
( ゚∀゚)「……そんなの知るかよ。俺は戦いたいから戦うんだ」

ξ#゚⊿゚)ξ「!!……あのねえ」

ツンはイラついた表情を顔に出しながら俺に詰め寄る。

ξ#゚⊿゚)ξ「こっちはあんたのことが心配だから言ってるのよ!?」
  _
( ゚∀゚)「はあ?俺がいつ負けたよ」

ξ#゚⊿゚)ξ「いつか仇打ちにあっても知らないんだから!!」
  _
( ゚∀゚)「だったらそれもうち返せばいいだけだ」

120以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:17:56 ID:kK9V/Zl60
ツンは俺に話が通じないと判断したのか、これ以上文句を続けることをやめた。
しかし、彼女は言葉を止めずに会話を続けた。
俺の左手を強く握った。

ξ゚⊿゚)ξ「もう…あんたが傷つくのは見たくないのよ…」

そのセリフは…婚約を控えている女性が口に出すものじゃない。
言われた方は…希望を持ってしまうだろ。
「もう」という言葉に俺は心当たりがあった。
忘れもしない、幼少の頃の思い出。
  _
( ゚∀゚)「あの頃の俺には力が無かった。だが今は…」

ξ#゚⊿゚)ξ「そういう意味で言ったんじゃない!!ふざけるのもいい加減にしてよ!!」
  _
( ゚∀゚)「こっちにもいろいろあるんだ。女が口出すな」

ξ#゚⊿゚)ξ「は、はあ!?ば馬鹿にしないでよ!!」
  _
( ゚∀゚)「じゃあな。当分はここには戻らねえわ」

ξ;゚⊿゚)ξ「え?ちょ、ちょっと…え?」

俺はひらひらと手を振り店を後にする。
もういろんな事が雪崩のように振りかかりすぎて何もかもがめんどくさくなってくる。
とにかく、『海底』を倒すという目的だけは見失わぬように意識を保つ。

ξ;゚⊿゚)ξ「もう……なんなのよ……」

121以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:18:25 ID:kK9V/Zl60
その後、数十件の酒場を回ったが一向に『海底』に関する情報は得られなかった。
もしかすると奴は酒が飲めないのではと思ったりもした。
出会いが違えば語り合える仲になれたのかも知れない。
まあ、そんな確証は何処にも無いので酒場巡りを続ける。
  _
( ゚∀゚)「そうか…わかった。ありがとよ」

俺は今まで一度も入った事の無い酒場で話を聞き、何も分からなかったのでその場を去る。
情報提供の代わりに金をせびろうものなら斬り殺しているが、今のところそういった人間とは会わない。
店のドアを開け外に出る。

爪'ー`)∮y-「やあ『決闘』。あんたは今までに何人殺してきた?」

突然掛けられた声にハッと振り向いた。

爪'ー`)∮y-「この島に『決闘』がいると聞いた時は感激したよ。昨日は大活躍したんだって?」
  _
( ゚∀゚)「……誰だ」

猫目…ではない。
背の高いスラッとした男が店から出て来た。
手にはヴァイオリンが握られている。

真っ白なシャツに黒いベストを重ね、足にピッタリとはまるズボンをはいていた。
赤い髪の毛はサラっと流れ、だらし無いようにも思えた。
さっきまでこいつは店内にいたようだ。

122以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:18:51 ID:kK9V/Zl60
爪'ー`)∮y-「俺は『楽譜』。しがないソリストさ」
  _
( ゚∀゚)「『楽譜』……?」 今日はよく異名を聞かせた奴が現れる。

『海底』に『酒樽』、そしてこいつは『楽譜』。
もういっそ街中の人間に名前付けちゃえよ。
  _
( ゚∀゚)「お前も海賊か。悪いが…」

爪'ー`)∮y-「おっとまあ落ち着けよ『決闘』」

話を食われた。
何なんだこの男は。
男はヴァイオリンを腰に掛けたケースにしまうと、もう一度話しかけてきた。

爪'ー`)「俺は陸地では決して喧嘩を吹っ掛けるような真似はしない」
  _
( ゚∀゚)「だったら何の用だ」

爪'ー`)「さっき酒場で聞いたぜ。『海底』を探しているんだって?手伝うぜ」
  _
( ゚∀゚)「何…?」

123以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:19:57 ID:wcccuYUc0
どうやら海賊達は俺らが潰し合うのを見るのがお好きらしい。
趣味の悪さに下吐が出る。
  _
( ゚∀゚)「お前も『メデューサの瞳』を狙ってんのか?」

爪'ー`)「狙ってはいるが、別にライバルを潰し合わせようって魂胆じゃない」

爪'ー`)「単純にあんたのファンなのさ」
  _
( ゚∀゚)「ならサインやるから家に帰ってエチュードでも弾いてろ」

俺は奴を突っぱねて歩きだす。
しかし『楽譜』は諦めることなくついて来た。

爪'ー`)「おいおい素っ気ねえな〜。別に漁夫の利を得ようってんじゃ無いんだぜ?」

爪'ー`)「あんたを討つのは海上で、だ」
  _
( ゚∀゚)「やっぱりやるんじゃねえか」

爪'ー`)「あまり不公平なやり方は好きじゃないんでね」

また掴めない奴が来た。
この島は変な奴ばかり集まるのか、
それとも海賊が変な奴なのか…悩み所だ。

124以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:20:26 ID:wcccuYUc0
爪'ー`)「俺…『海底』についての話、いくつか知ってるぜ」
  _
( ゚∀゚)「……?何だよ」

爪'ー`)「ああ…この前アイツが海賊船を襲撃している所を見かけてな…」
  _
( ゚∀゚)「『海底』の特徴なら知ってるぞ」

爪'ー`)「そうか。じゃあ…奴が使う武器は…」
  _
( ゚∀゚)「鉈だろ」

爪'ー`)「なら奴が海賊だけを狙う理由は…」
  _
( ゚∀゚)「ただの噂だろ?」

爪'ー`)「……………………」

爪;'ー`)「えーっと…ちょっと待ってな」

何だこいつ。
全然使えないじゃないか。
情報も、ろくなもんが無い。

125以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:20:52 ID:wcccuYUc0
爪'ー`)「わかった!あれだ。俺が見たことを分かりやすく話すよ!」
  _
( ゚∀゚)「いいか?俺はな………」

爪;'ー`)「!!」

その瞬間、目の前に一本の矢が飛んできた。
俺と『楽譜』が立っている間の僅かな隙間を通り抜け、矢は地面に突き刺さった。
  _
( ;゚∀゚)「なっ…………は!?」

爪;'ー`)「糞……っ!!狙いは俺らか!!」

何だ。
何が起きた。
誰がどこから狙っている?

爪;'ー`)「空ばかり見るな!!足元にも注意しろ!!」
  _
( ;゚∀゚)「は?どういう……」カチッ

爪;'ー`)「!!そこから離れろ!!」

126以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:21:58 ID:wcccuYUc0
その時、足から小さな金属の鳴る音が聞こえた。
『楽譜』の怒鳴り声に反応し、素早く跳び上がり後ろに下がる。
途端に地面から焦げた臭いと煙りが立ち込め、一挙に爆発を起こした。
  _
( ;゚∀゚)「なっ…なんだ!?」

俺がついさっきまで立っていた場所は焼け焦げ、砂埃を散らしていた。
何が起こったのかわからないまま俺は呆然と立ち尽くす。

爪;'ー`)「逃げるぞ『決闘』!!相手が悪い!」

突然、『楽譜』が俺の肩を掴み引っ張った。
  _
( ゚∀゚)「相手?誰だそいつは…!!」

爪;'ー`)「知らないのか?『駆除』だよ!!」
  _
( ゚∀゚)「『駆除』……?……………あ」

『駆除』。
親父が言っていたフィレンクトの手先か。
どいつだ?どこから狙ってやがる。
俺は辺りを見渡すが、武器を構えたような人間はいない。

127以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 01:22:28 ID:wcccuYUc0
爪;'ー`)「探したって無駄だ!奴は見つからない!!」
  _
( ;゚∀゚)「なんでお前がそういう事を言うんだよ!!」

爪;'ー`)「『駆除』の仕事は罠を張るだけだ!直接奴が手を下すことは無いんだ」
  _
( ;゚∀゚)「それはどういう…」

その時、無数の発砲音が聞こえてきた。
顔の横を何か小さなものが通り過ぎる。
もちろんそれらは銃声と銃弾だ。

爪;'ー`)「とりあえずここから逃げようか。続きは走りながら話す」

その意見に俺は賛成した。
俺達は一目散に駆け出し、安全と言い切れるまで走り続けることにした。

爪;'ー`)「どういう原理かは分からないが、『駆除』は罠の遠隔操作ができる」

矢、投石、銃弾が飛び交い、地面に仕掛けられた爆弾が作動する。
止まっている暇もない。

爪;'ー`)「海賊やフィレンクト卿に反する者だけが罠に掛ると作動するんだ」

128以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 02:38:10 ID:58YKd8RIO
追いついたっ

129以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 03:24:14 ID:XJqHAlgwO
追いつ…寝落ちか

面白いから期待して待ってるぜー

130以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:07:43 ID:wcccuYUc0
寝落ち。

そして再開

131以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:08:07 ID:wcccuYUc0
爪;'ー`)「探したって無駄だ!奴は見つからない!!」
  _
( ;゚∀゚)「なんでお前がそういう事を言うんだよ!!」

爪;'ー`)「『駆除』の仕事は罠を張るだけだ!直接奴が手を下すことは無いんだ」
  _
( ;゚∀゚)「それはどういう…」

その時、無数の発砲音が聞こえてきた。
顔の横を何か小さなものが通り過ぎる。
もちろんそれらは銃声と銃弾だ。

爪;'ー`)「とりあえずここから逃げようか。続きは走りながら話す」

その意見に俺は賛成した。
俺達は一目散に駆け出し、安全と言い切れるまで走り続けることにした。

爪;'ー`)「どういう原理かは分からないが、『駆除』は罠の遠隔操作ができる」

矢、投石、銃弾が飛び交い、地面に仕掛けられた爆弾が作動する。
止まっている暇もない。

爪;'ー`)「海賊やフィレンクト卿に反する者だけが罠に掛ると作動するんだ」

132以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:08:37 ID:wcccuYUc0
  _
( ;゚∀゚)「なんだそりゃ。そんなことがあり得るのか?」

爪;'ー`)「実際に体験したじゃないか。あれで何とか納得してくれ」

ここまで来ると受け入れるしかない。
『駆除』は魔法使いのような力を持っているのか。

爪;'ー`)「おそらくだが、『駆除』は複数いる。そうでなきゃ街中で海賊を嵌めれるわけがない」
  _
( ;゚∀゚)「へっ…一般人に紛れて高みの見物ってか…。良い身分だな」

確かに俺たちでは相手にできない。
探すことは愚か逃げることもままならないのだ。

蹴った地面の感触が怪しかったので素早く距離を置く。
案の定、爆発に続き様々な仕掛けを引いてしまったようだ。

前から矢が飛んできたかと思えば、背後の仕掛けを踏んだ。
まるで一連の流れがあるように次から次へと罠が発動する。
俺達が逃げれる方向は次第に限られてきた。

爪;'ー`)「まずいな…しばらくは罠も収まりそうにない」
  _
( ;゚∀゚)「……だがもう逃げることさえ難しくなってきたぞ」

爪;'ー`)「…?どういうことだ?」

流石は『駆除』。
フィレンクトが雇うだけのことはある。

133以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:09:38 ID:wcccuYUc0
  _
( ;゚∀゚)「上手く誘導されたんだよ…俺達は…」
  _
( ;゚∀゚)「この先は…行き止まりだ」

この街で育った俺だからこそ言える。
この先に道はない。
あるのはペッタリと聳え立つ3mの壁。
だが罠は一向に止む気配がなかった。

爪;'ー`)「おいおい…これが噂のあれか?絶対絶命って奴か?」
  _
( ;゚∀゚)「まあ……………あ」

爪;'ー`)「?どうした?」
  _
( ゚∀゚)「ってか…俺はこの壁を越えられるんだった」

爪'ー`)「……は?」

俺はコートのボタンを外し、鉤爪ロープを取り出す。
ロープを振り、壁に投げつけた。
鉤爪は壁にうまく引っかかり、しっかりと固定された。

134以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:09:59 ID:wcccuYUc0
爪;'ー`)「お、おいちょっと待てよ」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ」

爪;'ー`)「俺はどうなるんだ?」
  _
( ゚∀゚)「何で俺が初対面のお前の心配をしなきゃならないんだよ」

爪;'ー`)「やっぱあんたは海賊の鑑だよ」

俺が壁をよじ登ろうとすると、『楽譜』がしがみついてきやがった。
  _
( ;゚∀゚)「おわっ!何やってんだ!」

爪;'ー`)「選択肢は二つに一つだ。俺も連れて行くか、ここに残るか」
  _
( ;゚∀゚)「喧嘩は売らない主義じゃなかったの……」

その時飛んできた一本の矢がロープに命中し、ブッツリと切れた。
俺達は地面に倒れこみ、背中を打った。
『楽譜』の腹がクッションになり大した怪我にはならなかった。

135以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:10:47 ID:wcccuYUc0
  _
( #゚∀゚)「お前ふざけんなよ!!これ直すのに時間がかかるんだぞ!?」

爪;'ー`)「ああ、悪い。後で修理は手伝うよ…後でな」カチッ
  _
( ゚∀゚)

爪'ー`)

その時、『楽譜』の尻の下から嫌な音が聞こえた。
俺らはとっさに飛び上がり、その場を離れる。
轟々とした音と粉塵、火花が飛び散る。

間一髪で爆発から避けることができたが、依然として銃弾や投石は続いている。
このまま逃げていても体力が奪われるだけだ。
俺は逃げることを諦め、鉤爪ロープの切れ端をコートにしまう。
そして、その下にある細長い立方体の物体を取り出した。

爪;'ー`)「おい!そっちに矢が行ったぞ!!」

立方体はスライスされたベーコンのようにバラバラになり、やがて1枚の大きな板になった。
どうやら奴がいる場所からは煙が邪魔をして俺の様子が見えないらしい。
矢は、固い金属音を鳴らし、地面に落ちた。


】海賊の七ツ道具その二:組み立て式鉄盾【

136以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:11:09 ID:wcccuYUc0
俺は左手で漆黒に塗られた正方形の盾を握る。
この盾はもとは9枚の小さな板だった。
それを自動で1枚の盾に変形できるように改良したものだ。

素材は金属の中で最も固いものを使用した。
大砲以外のものは大概は防ぐことができるだろう。
  _
( ゚∀゚)「お前はお前の心配をしろ。俺は『海底』を倒すまで死なねえからよ」

爪;'ー`)「なるほど…窮地にさらされているのは俺だけか」

そう言うと、『楽譜』は腰に差した2丁の拳銃を取り出した。

爪;'ー`)「足を引っ張って悪かったな。自分の身は自分で守らせてもらうとするよ」

そう言うと、『楽譜』は引き金を引いた。
銃弾は見事に仕掛けに当たり、次々と破壊されていく。
命中力が高く、ほぼ確実にターゲットを仕留めている。
  _
( ゚∀゚)「なんだよ…やればできるじゃねえか」

爪'ー`)y=-「あまりうちの手は見せたくなかったんだがな。できればあんたの力だけで生き延びたかったよ」
  _
( ゚∀゚)「言うじゃねえか下種野郎」

爪'ー`)y=-「このぐらいの図太さがなきゃ船長は務まらないのよホント」

137以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:11:30 ID:wcccuYUc0
俺は剣を構え、防戦態勢に入る。
盾を構え、『楽譜』と打ち合わせる。
  _
( ゚∀゚)「いいか?いくら仕掛けが完璧でも、仕掛けた罠だ。限りはある」

爪'ー`)y=-「そこまで耐えきればいいわけだな。了解」
  _
( ゚∀゚)「わかってるなら最初からやれよ」

俺達はこの場に残るという選択をとった。
そうすれば少なくとも地面に仕掛けられた爆弾からは避けられよう。

奴は拳銃を構え、焦る様子も無く淡々と標的を破壊していった。
銃弾を良く見分けてかわし、その先を狙い銃口を向ける。
射撃のセンスがある。
驚いた。こいつは本物だ。

爪'ー`)y=-「あんまり見ないでくれよ。罠が嫉妬しちまう」

たしかにアイツを見てるわけにもいかない。
俺は俺の身を守らねば。
銃弾や矢が四方八方から飛び交ってくる。
俺達はお互いに背を向け、防戦する。
俺が攻撃を守り、『楽譜』がその元を叩く。

138以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:11:52 ID:wcccuYUc0
爪'ー`)y=-「精巧なトラップを壊しちまってすまんね!」

『楽譜』は自分の身など気にせず撃ち続ける。
馬鹿が。それじゃ意味がないだろう。
俺は奴の前に屈み、銃弾が来たらその位置に盾を向けた。
  _
( ゚∀゚)「結局お前の命まで俺が守ってるじゃねえか」

爪'ー`)y=-「その分あんたのゴミまで俺が処理してんだ。おあいこだろ?」

出会ってほんの数十分。
まさかここまで息の合う連携が取れるとは思わなかった。
弾き、撃ち、斬り、狙う。
弾数は着々と少なくなり、やがて、相手をするのは銃弾のみとなった。

爪'ー`)y=-「もう少しだ。追い込むぞ」
  _
( ゚∀゚)「お前が言うなお前が」

それから応戦すること数分。
気付けば辺りは静かになっていた。
  _
( ゚∀゚)「……終わったのか?」

爪'ー`)「そうみたいだな…」

俺達はそれぞれの武器をしまい、服に付いた汚れを払った。

139以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:12:18 ID:wcccuYUc0
爪'ー`)「それで…まだ探すのかい?」
  _
( ゚∀゚)「当たり前だ」

爪'ー`)「そうか。じゃあ俺も手伝うとしよう」

何を言い出すかと思えば何だ?
明らかにコイツが傍にいると面倒くさい。
  _
( ゚∀゚)「俺が思うにだ」

爪'ー`)「ああ」
  _
( ゚∀゚)「俺とおまえはどうも一緒にいない方が良い気がする」

爪'ー`)「そんなことないさ」
  _,
( ゚∀゚)


その後俺は2時間にも及ぶ説得を繰り返したが、結局奴には何も伝わらなかった。

140以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:13:17 ID:wcccuYUc0
その後も『楽譜』と共に何十軒と店を渡り歩いたが、『海底』に関する情報は得られなかった。
夕日は沈みかけ、辺りは真っ赤に染まる。

爪'ー`)∮y-「気にするなよ、明日があるさ」

と『楽譜』がヴァイオリンのメロディーに乗せて歌って来たのが癪に障り、鳩尾に拳をめり込ませた。
結局こいつは何がしたかったのだろうか。

爪;'ー`)「じ、冗談が通じないところも決まってるな…」
  _
( ゚∀゚)「次口開けたらてめぇのヴァイオリンの突っ込むからな」

爪;'ー`)「ああ、これはだめだ。エガルサ王国の王室で使われていた幻の楽器で…」
  _
( ゚∀゚)「なら質屋にぶち込むわ」

爪;'ー`)「気の切り替えがずいぶんお速いこと…それも血なのか?」

ピタッと俺の動きが止まる。

141以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:14:41 ID:wcccuYUc0
  _
( ゚∀゚)「お前…俺の父のことを知ってるのか?」

爪'ー`)「あんたの父親はここらじゃ有名だからな」

俺は『楽譜』の顔を睨む。
奴はそれを気にしていないようだ。

爪'ー`)「あの人は天才だよ。死してもなお人を惹き付ける魅力がある」

爪'ー`)「世界で一番有名な船乗りさ」

俺は奴の前まで寄り胸倉を掴む。

爪;'ー`)「お、お?な、なんだ!?」
  _
( ゚∀゚)「もう一つ父について有名な話を教えてやるよ」
  _
( ゚∀゚)「俺の前であの人の話をすると酷い目にあうぜ」

爪;'ー`)「わ、分かった分かった!悪かったから手を放してくれ」

142以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:15:06 ID:wcccuYUc0
( ^ω^)「………………お?」

俺が『楽譜』の胸倉を掴んでいる所につい最近見掛けた事のあるデブが通り掛かった。
手にはしっかりと酒瓶が握られている。

( ^ω^)「なんで『決闘』がこんなとこに…それにお前は『楽譜』かお?」

爪'ー`)「誰だあんた」

こいつ…本当に俺しか知らなかったのか。

( ^ω^)「僕はブーン。『酒樽』だお」

爪'ー`)「ああ、確かに樽みたいな体してんな」

( ^ω^)「まあ、名前を付けられた由来にはその説もあるお」

コイツらが並ぶと俺がまともに見えるな。

( ^ω^)「ところでなんでお前がこんなとこにいるんだお」
  _
( ゚∀゚)「『海底』を探してるんだよ。朝そう言っただろうが」

143以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:15:42 ID:wcccuYUc0
( ^ω^)「………?『海底』はもう見つけたんじゃないのかお?」

何を勝手に話を進めているんだ?
まあ噂好きの奴は大抵人の話をよく聞かないからな。
  _
( ゚∀゚)「まあ心配いらねーよ。すぐに見つけてぶっ殺してやるから」

俺は肩に固まったコリを落とす為に両腕を真上に伸ばし、筋肉を伸ばす。
じわっと染み込む痛みが気持ちいい。
『酒樽』は眉間にシワを寄せ、怪訝そうな顔をした。

( ^ω^)「ん?じゃあ今港で『海底』があんたの船を襲っているのは知らないのかお?」



  _
( ゚∀゚)


  _
( ゚∀゚)「は?」



伸ばした腕が固まる。

144以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:16:05 ID:wcccuYUc0
  _
( ;゚∀゚)「どういうことだ…?」

( ^ω^)「だから今『海底』は港にいるお。あんたの船を狙って」

思考がうまく働かない。
今こいつは何て言ったんだ?
  _
( ゚∀゚)「あ……アイツが港にいるのか!?」

( ^ω^)「さっきからそう言ってるお。僕はてっきりあんたもいるもんだと…」

『海底』は港に来ているのか?
探した苦労を恨むことはなかった。
それよりも先に嫌な予感が全身を襲ったからだ。
  _
( ;゚∀゚)「くそっ!!」

俺は港に向かって直ぐに駆け出した。

爪;'ー`)「おい!どこ行くんだよ!!」

『楽譜』も追いかけてきたが、気にしない。
走りながら様々な思考が頭を巡る。
俺のクルー全員で4人だぞ?
何故『酒樽』は俺がいると思ったんだ?

145以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:16:36 ID:wcccuYUc0
  _
( ;゚∀゚)「まさか……!」

そこからは一つの結論にたどり着く。
『海底』は…恐らく一人ではない。
複数人…それこそ俺がいるのかすらわからないほどの人数で。
奴は自分の部下を引き連れて俺の船を襲撃したのだ。
あいつらがそんな大人数を相手に勝てるはずが無い。

―『海底』は見張りを殺し、船を破壊する。―

『酒樽』の話が蘇る。
クルーの命が危ない。
俺は1秒が1分に感じるほどの遠い距離を駆け抜ける。
鼓動が高鳴るのを感じた。
  _
( ;゚∀゚)「頼む…無事でいてくれ……!!」

その時だけはツンのことも『海底』のことも全て忘れ去っていた。
ただただ船員の無事だけを祈りながら走り続ける。

146以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:16:59 ID:wcccuYUc0
  _
( ゚∀゚)


爪;'ー`)「………………」


(;;#;;#;;;)


『海底』は既に引き上げたようだ。
港はざわついた人々の野次で溢れ返っていた。

/#; 、;;#/


朝立っていた2本のマストはボロボロに砕けて海に浮かんでいた。
木材は海一面に敷き詰められ、船に乗せていたカーテンやシーツが波にゆらゆらと揺れている。


/ ;;# 3


そして港には夥しい血痕の数々と、体を真っ赤に染めたクルーが倒れていた。


(;;#A(#)

147以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:17:22 ID:wcccuYUc0
  _
( ;゚∀゚)「ビロード!!ダイオード!!スカルチノフ!!ドクオ!!」

俺が強く名前を叫ぶが、返事はこなかった。
一番近くに倒れていたドクオを抱え上げ、懸命に体を揺する。
腹に大きな切り傷が開いており、そこから絶え間無く血が溢れていた。

顔面はパンパンに膨れ上がり何箇所も痣ができている。
  _
( ;゚∀゚)「しっかりしろ!!おい!!」

ガクガクと何度も首を振る。
しばらくすると、ドクオは咳込むように口から血を吐き出した。
やがて、ゆっくりと腫れ上がった瞼を開いた。
しかし、その目は白いままだった。
  _
( ;゚∀゚)「!!」

(;;A (#)「キャプ…テン……す、すいません…こんな…」
  _
( ;゚∀゚)「誰がお前を責めるかよ!!しっかりしろ!!」

(;;A (#)「すい…ま…せん……すいませ…ん……ガフッ!!」
  _
( ;゚∀゚)「今、医者を呼ぶからな!それまで堪えろ!!」

(;;A;(#)「………すい…ませ……」

148以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:18:02 ID:wcccuYUc0
ドクオは嗚咽や血を何度も吐きながら謝り続けた。
何度も何度も。
しばらくして声がだんだんと弱まり、気絶した。
  _
(  ∀ )「……………」

他の船員の元へと寄る。
幸いにも全員微かに息があり、処置次第では治る可能性があった。
船は……もう使い物にならないだろう。
  _
(  ∀ )「『楽譜』……こいつらを…手当してくれるか?」

爪;'ー`)「あ、ああ…うちの優秀な船医を呼ぼう」
  _
(  ∀ )「すまねえな…」

仲間達の血に染まった拳を固く握り締めた。
心の奥底で沸々と煮えたぎるものを感じた。
それと反して俺の思考は驚くほど冷静になっていた。
  _
(  ∀ )「『海底』……」

爪'ー`)「……奴がこの場に部下を引き連れていなかったとしても……恐らくはこうなっていただろうな」
  _
(  ∀ )「なんだそりゃ。俺に警告してんのか?」

爪'ー`)「まさか。純粋に思ったことを述べたまでだ」

爪'ー`)「素晴らしいショーを期待してるよ…『決闘』」

149以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:18:27 ID:wcccuYUc0
<;ヽ`∀´>「た、大変ニダ!!」

( `ハ´)「どうした?また娼婦に性病をうつされたアルか?」

( `ー´)「馬鹿じゃネーノwwwww」

<;ヽ`∀´>「話を聞け!!ジョルジュが…ヤバいニダ!!」

ξ゚⊿゚)ξ「……!!」

( `ハ´)「ジョルジュ?アイツがヤバいのはいつもの事アルネ」

<;ヽ`∀´>「いいからこれを読むニダ!!」

( `ー´)「なんだこれ…………『果たし状』?」

<;ヽ`∀´>「ジョルジュが街中…いや島中にこれをばら撒いてるニダ」

( `ー´)「『今夜9時にてクイングル港にて待つ』…完璧にジョルジュの文字じゃネーノwwwww」

150以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:18:52 ID:wcccuYUc0
( `ハ´)「またアイツの決闘癖が始まったアルww」

( `ー´)「今度はどこの阿保だ?もしかして『銀貨』兄弟じゃネーノ?」

<;ヽ`∀´>「『海底』……ニダ」



( `ハ´)




( `ー´)




( `ハ´)「えっ」

151以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:19:17 ID:wcccuYUc0
ミ;,,゚Д゚彡「…………」

( ;`ー´)「ちょ…ちょっと酔ってるのかな?海賊と海底を聞き間違えちまった…」

(;`ハ´)「そ、そうアルよ!『海底』って言やあたった一人で7隻もの海賊艦隊を壊滅させるほどの…」

( ;`ー´)「そうそう!一度も体に傷を付けたことが無いとか…」

(;`ハ´)「街を一つ壊滅させたとか…」

( ;`ー´)「………」

(;`ハ´)「………」

<ヽ`∀´>「ちなみに艦隊は7じゃなくて8ニダ…」


ξ;゚⊿゚)ξ「………………」

152以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:19:44 ID:wcccuYUc0
  _
( ゚∀゚)「………」

すっかり辺りは闇に覆われ、海が映し出したのは空に輝く三日月。
俺は左手に灯りの燈したランプを持ち、静かな波の音を聞く。
先程まで誰もいなかった港は俺が撒いた果たし状を見て駆け付けた野次で溢れ返っていた。
連中は面白半分で見に来たかもしれないが、それ以上にこの港の安否を確認しに来た者の方が多いのかもしれない。

もう間もなくして、指定した9時になる。

爪'ー`)「よう…調子はどうだい?」

昼間、共に過ごした男が港に戻ってきた。
手にはなぜかトランペットが握られている。
  _
( ゚∀゚)「あいつらは…どうだ?」

爪'ー`)「うちの船医によると、一命は取り留めたようだ」
  _
( ゚∀゚)「………そうか」

俺はホッと胸を撫で下ろす。
あいつらの生命力には確信があったが、それでもあの傷を見てしまったのでどうしても不安を取り除く事はできなかった。
  _
( ゚∀゚)「ありがとよ。いろいろ世話になったな」

爪'ー`)「今宵の決闘を特等席で見れるんだ。このくらい訳無いさ」

153以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:20:07 ID:wcccuYUc0
  _
( ゚∀゚)「それ…………どうするんだ?」

俺は顎で奴の手に握られていたトランペットを指す。

爪'ー`)「ああこれか。もちろん鳴らすんだよ」
  _
( ゚∀゚)「決闘でか」

爪'ー`)「当たり前だろ?本当は角笛がよかったんだけどな」
  _
( ゚∀゚)「………」

まあいい。
こいつには一応は恩がある訳だ。
好きにやらせておこう。

時刻は9時に差し掛かろうとしていた。
あと一回針が動けば約束時刻になってしまう。
しかし俺は来ないかもしれないという心配はしない。

奴は必ず来る。

時計台の秒針が9を越える。
もう間もなくだ。
野次の雑踏も次第に消えて行き、
やがて波と潮風の音しか聞こえなくなった。

秒針が11を越えた、その瞬間だった。

154以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:20:31 ID:wcccuYUc0
俺の目の前に一本の剣がまっすぐに落下してきた。
剣は地面に綺麗に刺さり空を斬る。
辺りは再びざわめき、全員が空を見上げる。
  _
( ゚∀゚)「やっと来たか……」

そして頭上から大きな固まりが降ってきた。
それは固まり等ではなく、馬鹿でかい鉈を初めとした様々な刃物を何十と装備した人間だった。


( ФωФ)

  _
( ゚∀゚)「…随分とパフォーマンスが好きみたいだな」

( ФωФ)「……貴様が『決闘』か?」
  _
( ゚∀゚)「ああ……ラブレターは読んでくれたみたいだな『海底』」

猫目。高い背。
確かに話通りだ。
黒いシャツに茶色のボトムズ、そして剣を固定するための白い包帯を腰に巻き付けていた。
こいつが仲間を、船を砕いたのだ。

155以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:21:00 ID:wcccuYUc0
( ФωФ)「……下らん」
  _
( ゚∀゚)「ああ?」

( ФωФ)「自己防衛もできないような部下がやられて、その敵討ちか?」
  _
( ゚∀゚)「悪いな。ギブアンドテイク精神を遵守しているんだ」

『海底』は刺さった剣を引き抜き鞘に納めた。
左右の腰に数本ずつ、さらに背中には噂の鉈が背負われていた。
  _
( ゚∀゚)「俺の部下が世話になった分、てめえに返してやるよ」

( ФωФ)「運よく生き長らえた命を無駄にする愚者めが……」
  _
( ゚∀゚)「運の良し悪しは終わってから決めようじゃねえか」

( ФωФ)「『終わってから』?一体何を始めるつもりだ?」
  _
( ゚∀゚)「決まってんだろ」




  _
( ゚∀゚)「決闘だ」

156以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:21:26 ID:wcccuYUc0
俺はそっとランプを地に置いた。
そして胸ポケットから先程ばらまいた1枚の果たし状を取り出す。
  _
( ゚∀゚)「まさかとは思うが……この手紙を最後まで読んでないみたいだな」

( ФωФ)「我輩がここに来たのは貴様をなぶり殺す為だけである。決闘など以っての外だ」
  _
( ゚∀゚)「そうか。ならもう黙っとけ」

  _
( ゚∀゚)「お前の言葉じゃあもう俺の怒りは収まらねえからよ」


『楽譜』はハッとしたようにトランペットを口に構え、マウスピースに息を入れた。
カンカンとした金管楽器の音色が港中に響き渡る。



決闘の始まりだ。




俺は左手で剣を抜き、前へと駆け出す。
『海底』もそれに合わせ、左右の腰から2本のカトラスを取り出した。

157以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:21:58 ID:wcccuYUc0
鋭い金属の音がぶつかり合う。
3本の剣は互いの刃の動きを止め、微動だにしなかった。
  _
( ゚∀゚)「なんだよ。てっきり負けた時の言い訳をずっと吠えてるのかと思ったぜ」

( ФωФ)「残念だが貴様は我輩の前に対峙する資格は無い」

俺は剣を後退させ、またすぐに攻め込む。
『海底』も同様に休むことなく斬りかかる。

( ФωФ)「ふんっ!」

奴は鋭く剣を俺の胸を目掛けて突いてきた。
俺は上から下に剣で払い落とし、奴の攻撃を避ける。
その隙に二発目の突きが顔面に向かって来た。
とっさに首を横に傾け、剣の導線から頭部を回避させる。
  _
( ゚∀゚)「手元が空いてるぞ」

俺は瞬発的に剣を振る。
進路は奴の脇腹だ。

( ФωФ)「無問題である」

『海底』は剣を手放し、腰にかかった黒い柄を掴んで思い切り前に出す。
柄の先に伸びた刃が俺の剣の進行を止めた。

158以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:22:27 ID:wcccuYUc0
  _
( ゚∀゚)「見ねえ剣だな…特注か?」

( ФωФ)「こいつは黄金郷『ゼパンガ』で手に入れた刀という剣だ」

( ФωФ)「切れ味は今まで使ってきたどの剣よりも優れている」
  _
( ゚∀゚)「そうかい。わざわざ説明をありがとよ」

奴は2本の剣を捨て代わりに2本の刀を抜いた。
妖々とした不気味な雰囲気があの剣に漂っているようだ。
  _
( ゚∀゚)「まあ切れ味が如何に優等生でも、使い手に問題があるとな」

俺は剣を何度も振る。
それに対抗して奴も刀を振った。
港に響き渡る刃と刃が触れる音。
互いに一歩も引かず、ただ相手の首をはねるイメージのみで斬り付ける。
剣と刀が交わる瞬間、俺は右足を振り上げ奴の腹に蹴り付けた。

( ФωФ)「……!!」

奴は寸前で肘を降ろし、腕でガードする。
その隙を狙い、銃を構えて顔面に向けながら引き金を引く。

159以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:22:50 ID:wcccuYUc0
奴は間一髪、体を後ろに逸らし、銃弾を回避した。
そのまま『海底』は空中で後転し俺と距離を取った。
しかし奴はそのままでは終わらず、刀を一本投げつけてきた。
  _
( ゚∀゚)「ぐっ…!!」

俺も顔を逸らし剣の軌道を回避する。
確実に回避したと思っていた。しかしその刀の刃は感触を俺に知らせることなく頬に当たった。
頬から少量の血が流れる。
  _
( ゚∀゚)「……………」

( ФωФ)「……………」

沸き立っていた筈のギャラリーも気付けば一言も発していなかった。
それもそうだ。
今起こった一連の流れは、ものの数秒間の間に完了してしまったのだ。
半分以上の人間は何が起こったのかすらわからない。
  _
( ゚∀゚)「まだ背中のソイツは抜かないのか?」

( ФωФ)「抜かせるほどの実力があると思っているのか?」
  _
( ゚∀゚)「……後悔しないといいな」

160以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:23:20 ID:wcccuYUc0
その後、ひたすら剣と刀が触れる太刀音だけが響いた。
何度も何度も斬り掛かりそしてそれを防ぐ。
どちらも退く事はなく、ただひたすら剣を振る。


<;ヽ`∀´>「す、すげえ…」

(;`ハ´)「ジョルジュの奴、『海底』の野郎と対等に戦ってるアル…」

( ^ω^)「いや、『海底』は手を抜いているお」

<;ヽ`∀´>「!!……お、お前…誰ニダ?」

( ^ω^)「ところどころ力を抜いてるお。『海底』なら剣の一つや二つ弾き落としても……」

(;`ハ´)「ん?もしかして……お前『酒樽』アルか?」

( ;`ー´)「『酒樽』って……あの海賊戦略家じゃネーノ!!」

( ^ω^)「『決闘』がどこまで持つかが勝負の鍵だおね…」

<;ヽ`∀´>「何でこんな奴がここに…?」

161以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:23:47 ID:wcccuYUc0
( ФωФ)「どうした?我輩を殺すのではなかったのか!?」
  _
( ゚∀゚)「お前が最後の言葉を発したらやってやるよ」

たかだか東洋の剣ごときに苦戦するとは。
しかしあの刀って奴は厄介だ。
刃渡りに重みがあり、受け止める俺の剣が紙のように感じる。
だが奴にそれを使いこなそうという気はないらしい。
  _
( ゚∀゚)「いつまでこんな茶番劇を続けるつもりだ?」

( ФωФ)「何の話だ」
  _
( ゚∀゚)「いいから本気出せよ。こんなんじゃ俺は討てないぜ?」

( ФωФ)「……貴様は余程死に近付きたいようだな」
  _
( ゚∀゚)「人生は太く短くがモットーなもんで」

ここで初めて『海底』は俺の剣を振り払って後退し、距離を取った。
奴は握った2本の刀を鞘に戻し、やや中腰になった体勢を取る。
その意図が保身の為では無いことは誰の目で見ても明らかだった。

―『海底』が何かを仕掛ける―。

( ФωФ)「そんなに死にたいのなら……手を貸してやろう!」

162以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:24:43 ID:wcccuYUc0
『海底』は指と指の合間に柄を挟み一挙に引き抜く。
現れたのは両手合わせて8本になる刀。
剣は一本も無かった。

( ФωФ)「……今から見せる技は、ゼパンガで会得したものだ」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ技って……KARATEでもやるつもりか?」

( ФωФ)「名を“遊技”と言う」

そう言うと『海底』は2本を残し、他の刀全て上空に高く放り投げた。
  _
( ;゚∀゚)「なっ…………!?」

その落下地点は間違いなく俺の頭上だった。
あれだけの数…避けられるのか?

( ФωФ)「阿呆のように口を開けて空を見るな」
  _
( ;゚∀゚)「……!!」

目線を戻すと 『海底』はすぐ目の前まで迫っていた。
俺はとっさに懐に剣を構えガードする。
体勢の悪さと突然の出来事に体が対応せず、バランスを崩した。

ここは退かざるをえないだろう。
俺は飛び上がり後退する。

163以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:25:14 ID:wcccuYUc0
( ФωФ)「まだだ!!」

しかし奴は距離を取ろうとはしなかった。
そのまま間合いを伸ばすことはせず、そのまま斬り掛かってきた。
  _
( ;゚∀゚)「糞っ……!!」

俺も剣を振り対抗する。
また先程のような斬り合いが始まると思っていた。

( ФωФ)「貴様……本気で我輩が貴様を仕留める為に刀を放り投げたと思ったか?」
  _
( ;゚∀゚)「…………は?」

その瞬間、奴は刀を投げつけてきた。
俺は跳び上がり回避する
  _
( ;゚∀゚)「うわっ!!……何だ……」

俺がその時見たのは『海底』の頭上に落ちる刀だった。
奴はその刀の柄を持ち、さらに投げつけてきた。
  _
( ;゚∀゚)「!!」

首を大きく振り飛んできた刀を避ける。
その体勢を狙ってさらにもう2本が飛んできた。

164以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:25:42 ID:wcccuYUc0
俺は右手を地に付け側転して刀から遠ざかった。
しかし奴の攻撃は止まらない。
振ってきた刀を次から次へと投げつけ、投げ終わったら今度は地に刺さった刀を抜き、また投げつける。
間合いを縮めれば刀を構え切り掛かり、離れれば投げつけて来る。

稀に刀の柄を叩き、その衝撃を推進力に変えてくるので規則性も生まれない。
作戦を練る暇さえ与えられなかった。
  _
( ;゚∀゚)「この野郎……!!」

俺は飛んできた刀を剣で払い飛ばしながら進む。
こうすれば一つ一つではあるが確実に本数を減らせる。
払った刀は全て俺の背後に捨てられるからだ。

これが残された唯一の対抗策だろう。
一本…また一本と刀は無造作に倒れていった。
どんどんとリーチは短くなっていく。

( ФωФ)「ふん……それで見切ったつもりか?」

俺が5本目の刀を払った瞬間、目の前にさらにもう1本の刀が迫っていた。
  _
( ;゚∀゚)「ぐっ………!!」

剣を手元に素早く引きとっさに身を守る。
刀は剣の腹に当たり、鋭い音を立てて弾き飛ぶ。
その直後だった。
腹に熱い痛みを感じた。

165以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:26:35 ID:wcccuYUc0
  _
( ;∀ )「がっ…………!!」

3本目。

迂闊だった。
刀は見事に脇腹に深く刺さり、その穴からはとめどない血が刀を伝って滴り落ちる。

( ФωФ)「“遊技”はそんな安直な考えで打ち破れるような技では無い」

『海底』の目の前に一本の刀が落ちて来る。
奴脚を振りかざしその刀を思い切り蹴り飛ばした。
刀は俺の左胸に向かって飛んでくる。
それとほぼ同時に俺は膝をガクンと落とした。
  _
( ;Д )「ぐあっ!!」

刀は胸を逸れ、俺の左肩に刺さった。
刃は肩を貫通し、筋肉に深く刺さっている。
ドクドクと真っ赤な俺の血が流れ、服を伝う。

( ФωФ)「……心臓は免れたようだな。運の良い男め」

俺は力を振り絞り刺さった刀を抜く。
肉がズレる音が体に響いているのを感じた。

166以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:27:13 ID:wcccuYUc0
カランと音を立てて二本の刀は地に捨てられた。
足に力をうまく入れられない。
ついにはバランス感覚が不安定になり、重力に耐えられずその場に膝を着いた。
膝を着けば負け……という事は無いが、それによってギャラリーはどよめいた。
奴の勝ちを確信したのかもしれない。

( ФωФ)「一瞬の奇想で、死を招くこともある」
  _
( ;∀ )「…………………」

( ФωФ)「……つまりそういうことである」

すると『海底』は背負った鉈を掴みするすると鞘から取り出していく。
刃渡りが2mを超えかねない長さ。
威圧感のある曲線。
人の首を目掛けて振り下ろせば綺麗に落とすことができるだろう。

( ФωФ)「冥土の土産である。貴様はこいつで仕留めてやろう」

ロマネスクは俺の首に狙いを定める。
そしてゆっくりと振り上げ、鉈を頭上まで構える。
まるでギロチンじゃねえか。
  _
( ;∀ )「うっ………ぐっ!!」

死ねるか。
こんな所で……。

167以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:27:38 ID:wcccuYUc0
( ФωФ)「さらばだ」

そう言うと『海底』は大きな弧を描き、一挙に振り下ろした。
  _
( ;∀ )「う、ああああああああああああああああああああああああ!!」

奴が振り下ろし始めたのと、俺が奴の捨てた刀を俺が投げたのはほぼ同時だった。

( ;ФωФ)「むっ!?」

奴は俺の行動に気付き、避けようとしたが振り下ろされた鉈は止まらない。
『海底』はとっさに判断し、足に力を入れ体ごと横に跳んだ。
鉈は俺から少し離れた地に落ちる。
鉈は地面に深く潜り、その地は綺麗に割れていた。

( ;ФωФ)「まだ刀を投げる力が残っていたか……」

俺はフラフラと立ち上がり、しっかりと地を踏む。
口、肩、腹から血が垂れ、痛みは絶えず続くが、深呼吸をすることで和らげる事ができた。
耐えられるさ。
あいつらが受けた痛みはこんなんじゃない。
  _
( ;∀ )「悪かったな……どうやら間違っていたのは俺のほうだ」

168以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:28:20 ID:wcccuYUc0
( ФωФ)「……………?」
  _
(  ∀ )「確かにさっきまでの俺は…あんたを殺すつもりが無かったようだ」

( ФωФ)「……まるで我輩の全てを見切ったような言葉だな」
  _
(  ∀ )「見つけたのはお前じゃねえ」








  _
( ゚∀゚)「覚悟だ」






( ФωФ)「……………」

( ФωФ)「…………………面白い」

169以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:28:47 ID:wcccuYUc0
俺は剣を構え、腰を少し落とす。
次こそが勝負だ。
必ず奴を斬る。
『海底』も鉈を地面から抜き、構えた。

( ФωФ)「一つ言っておく。こいつをただの鉈だとは思わないほうがいい」
  _
( ゚∀゚)「ただのでかい鉈だろ?」

( ФωФ)「……………忠告は以上だ」

奴は鉈を振り上げ、俺に向かって振り下ろした。
俺は剣を構え、鉈の前に差し出す。剣と鉈は当たり、その接触部から火花が散った。
  _
( ;゚∀゚)「ぐっ……!!」

腕に強い衝撃が走る。
まるで氷山にぶつかった帆船のよう。
どんなに両手で力を入れても振り払う事はできず、重くのし掛かる。
俺は剣を左に引き、その推進力で体ごと横に転がる。

( ФωФ)「こいつはただの鉈ではない。刀のように素早く、鉄球のように重く振ることができる」
  _
( ;゚∀゚)「……なるほど」

170以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:29:12 ID:wcccuYUc0
( ФωФ)「こいつがいる限り、貴様は我輩に傷一つ付ける事はできん」

俺は大股で2、3歩だけ離れる。鉈の攻撃圏内から確実に外れた位置だ。
確かにまともに掛かれば攻略は不可能だろう。

まともにかかれば…な。

俺が剣を向けると同時に、『海底』は大きく振りかぶり、前に飛び出す。
これが最後の一振りだ。
一か八か、賭けに出る。

( ФωФ)「さあ次はどうする?」


  _
( ゚∀゚)「はっ」






  _
( ゚∀゚)「次は…ねえよ」

171以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:29:42 ID:wcccuYUc0
( ;ФωФ)「なっ……!!」

俺は両腕を広げ腹を前に出した。
その姿勢のまま後ろに一歩だけ退く。
剣は振り降ろされ、俺の腹を切り裂いた。

血が飛沫のように飛び、鉈に降り懸かる。
あまりの痛みに意識が飛びそうになったが、必死で堪える。
後ろに下がっていたおかげで傷は浅く済んだ。
  _
( ゚∀゚)「……ようやく会えるな。『海底』」

俺は鉈に沿って走り出し、剣を振り上げる。
もちろんその先には何も無い。

( ;ФωФ)「!!」
  _
( ゚∀゚)「これが…………痛みだ」



( ;ФωФ)「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

俺は力強く剣を振り奴の腹を切り付けた。

172以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:30:11 ID:wcccuYUc0
( ; ω )「がっ!!…………ガハッ!!」

剣の刃を余すことなく奴の体に食い込ませる。
ブチブチと肉を斬り、血が吹き出した。
奴の体を破り、剣先が全て通過する。
その光景はとてもスローに動いていた。
  _
( ゚∀゚)「………………」

( ; ω )「ぐっ!!……ハァ…ハァ………」

しかしロマネスクは倒れなかった。
重症にも関わらず、懸命に膝を上げ、鉈をしっかりと握った。

( ;Фω )「肉を切らせて骨を裁ったか……」

奴は額から汗を、口から血を流しながら笑った。
どうやら、奴はまだ戦う気のようだ。
  _
( ;゚∀゚)「形勢が逆転した……って訳ではねえな」

事実、俺も先程の攻撃のせいで足の震えが止まらない。
あまり長い戦いはできないだろう。

(#;ФωФ)「貴様は……必ず討つ!!」
  _
( ゚∀゚)「俺も同じ事を言おうと思っていたとこだ。許すつもりはさらさらねえよ」


俺は剣を仕舞い、右手でコートのボタンを外す。

173以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:30:35 ID:wcccuYUc0
( ;ФωФ)「……なんだそれは?」

俺が今握っているのはY字の小さな枝のような物だ。
枝と呼ぶにはやや太く、2股に別れた先にはゴム紐が括りつけられている。
  _
( ゚∀゚)「知らねえのか?パチンコって奴だ。ガキの間で流行ってるんだぜ?」

( ;ФωФ)「まさか…そんな玩具で我輩と戦うつもりなのか?」

玩具。
確かに玩具か。
俺は声を上げて笑い出した。
笑う意味はギャラリーにも『海底』にも分からないだろう。
  _
( ゚∀゚)「アッハハハハ………あー面白ぇ」

(#;ФωФ)「何がおかしい」
  _
( ゚∀゚)「一つ言っておく。こいつをただのパチンコだとは思わないほうがいい」

(# ФωФ)「…………………馬鹿にしおって……」

奴はもの凄い形相を作り、鉈を振り上げた。
もしかしたら『海底』には俺が瀕死の敵にはパチンコ程度で勝てると考えているように見えたのかもしれない。
参ったな。
俺は全くそんなつもりじゃないんだが。

174以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:31:02 ID:wcccuYUc0
(# ФωФ)「死に晒せ!!」

『海底』は鉈を勢い良く振り下ろした。
俺はそれを宙返りで避けた。

】海賊の七ツ道具その三:パチンコ【

俺はコートのポケットから小さな箱を取り出した。
この中に入っているのは俺お手製の3つの破裂玉だ。
パチンコで飛ばした速度で何か物体にぶつかると玉が破裂し、中身が出る。

あまり人に知られるのは好きじゃない。
だからここぞという時にしか出さない。
今がその時だ。
  _
( ゚∀゚)「まずは『煙玉』」

俺は真黒な球をゴム紐の中央に取り付けた革製の布にセットし、ゴムを限界まで引く。
狙いは『海底』ではない。
奴の足元だ。

俺は奴の足から3歩ほど前の地面に目掛けて玉を飛ばした。

175以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:31:22 ID:wcccuYUc0
( ФωФ)「…?」

奴は脅威だと感じなかったのか、微動だにせずただ玉を見送った。
そうしてられるのも今のうちだ。
玉は地面に着地した。
その瞬間玉が破裂し、中から港一体を覆うほどの煙がもくもくと立ち込めた。

( ;つωФ)「なっ!なんだこれは!?」

ギャラリーも驚いたようで、ざわめきや叫び声が飛び交った。
ちょうど良い。
奴らの声は俺の足音をかき消してくれる。
  _
  ∀゚ 「これが俺の戦い方だよ。『海底』…」

俺は煙に紛れて姿を消した。
もうこれで奴は視界に俺の姿を入れることはできないだろう。

( ;つωФ)「くっ…そういうことか…!!」

やっと奴も俺の作戦に気付いたようだ。
しかし時はあんたを待ってはくれないんだよ。

176以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:31:56 ID:wcccuYUc0
そっと剣を抜く。
俺は奴の背後に忍び寄り、剣を振り下ろす。

( ;ФωФ)「ぬ!!そこか!!」

間一髪で奴に気付かれ、俺は奴に剣を当てずにまた煙に隠れた。
白煙は3分ほど続く。
その間にこいつを倒す。

( ;ФωФ)「糞!!出てこい卑怯者!!」
  _
( ゚∀゚)「卑怯?何言ってんだアイツは」

視界は封じた。
次は俺の気配を封じなければならない。
  _
( ゚∀゚)「次は奴の耳。『爆玉』…いくか」

俺から奴の姿は見えなくてもかまわない。
奴のだいたいの居場所なら分かる。
俺は玉をセットし奴に向けてゴムを弾く。
玉は奴の体にクリーンヒットした。

177以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:32:43 ID:wcccuYUc0
( ;ФωФ)「ぐっ!!な、何だ!?」

奴の背中に当たった玉は破裂し、大きな破裂音を立てた。
至近距離の爆発音は相手の耳を防ぐのにちょうど良い。

( ;ФωФ)「ぐっ!!不覚である……!」
  _
( ゚∀゚)「言うのは勝手だが、自分の身ぐらい守ったらどうだ?」

俺は剣で奴の体を斬った。
体のどこを斬っているのかは俺にもよくわからない。

( ; ω )「ぐわっ!!がっ!!うっ!!」

場所さえ分かれば後は適当に斬り続けるだけだ。
突けば一撃の殺傷力は高いが、万が一に外れた場合、俺の場所を特定される可能性がある。
なので俺は斬ることしかできない。

( ; ω )「ぐっ……!!お、おのれぇ……!」
  _
( ゚∀゚)「ふん…所詮俺達海賊は恨まれても仕方ないのさ」
  _
( ゚∀゚)「誰も同情なんかしてくれやしねえ。自分の恨みは自分で解決するしかねえんだ」

178以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:33:09 ID:wcccuYUc0
( ; ω )「ぐあっ!!」

斬り始めてから37回目の攻撃で、『海底』はついに鉈を手放した。
もうあれを握っていられる力など残されていないのだろう。
煙も大分薄まり始めた。
そろそろ頃合いか。

( ;Фωメ)「ハァ……ハァ……コロス…!!コロシテヤル…!!」

うっすらと漂う煙の隙間から見えた奴の姿はそれはそれは悲惨だった。
いたるところから血を流し、血が付着していない部分を探すのが難しいくらいだ。
地に落ちていた刀を拾い、それを杖代わりにして懸命に立つ。
まるで生まれたての馬を見ているような気分だ。
  _
( ゚∀゚)「…どうだ?一方的に痛めつけられる気分は」

( ;Фωメ)「ハァ……ハァ……」
  _
( ゚∀゚)「てめえがどんな信条を掲げていようと俺のクルーに手を出したんだ」
  _
( ゚∀゚)「普通に死ねると思うなよ」

俺は最後の玉を取り出し、パチンコを奴の顔面に向ける。

179以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:33:43 ID:wcccuYUc0
  _
( ゚∀゚)「そうだ。お前に一つだけ聞きたいんだが…」

( ;Фωメ)「……?」
  _
( ゚∀゚)「お前……酒は好きか?」

俺は革から手を離し、玉を飛ばす。
玉は奴の顔面に当たり、中から液体が飛び出した。

( ;Фωメ)「なんだ…これは……」
  _
( ゚∀゚)「『酒玉』だ」

あの玉の中に入っているのはアルコール。
ただそれだけ。
俺は奴の元までゆっくりと歩いて近づいた。
  _
( ゚∀゚)「あばよ。『海底』」

俺はパチンコをコートの中にしまう。

( ;Фωメ)「こんな…とこで…死ねるか……!」
  _
( ゚∀゚)「!!」

その隙を狙い、奴は最後の力を振り絞り、刀を俺の顔に目掛けて振った。

180以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:34:21 ID:wcccuYUc0
( ;Фωメ)「!!………な」
  _
( ゚∀゚)「………………」

俺はとっさに左腕で顔を守る。
刀は腕に当たり、進行を妨げられた。


しかし、刀は俺の腕に刺さることはなく固い金属音を鳴らして、弾き返された。

( ;Фωメ)「貴様…なんだその腕は……」

俺の腕を斬り落とせなかったのがそんなに不満か。
  _
( ゚∀゚)「………………野次には見えてねえみたいだな」

俺はそっと胸を撫で下ろした。
あまり知られたくない情報だ。下手に見せるわけにはいかない。

俺は奴の後頭部を右手で掴む。
背の高い奴もここまで瀕死になると必然と背が曲がるもんだ。
これで終わりにしよう。

181以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:34:56 ID:wcccuYUc0
( ;Фωメ)「なっ…何をする!!」

俺は奴の頭を思いっきり地に目掛けて落とす。
足を払い、奴の体は空に浮いた。

( ;Фωメ)「あっ………」

( ;Фωメ)「あ、あああああああああああああああ!!」

奴の頭部の落下地点に置いてあるのは










俺が持ってきたランプだった。

182以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:35:26 ID:wcccuYUc0
(;;;#ω#;;)「ぐああああああああああああああああああああああああ!!」

ランプはガラスが割れ、砕け散った。
ガラスは顔中に突き刺さり、装飾の角は奴の目を潰す。
そしてランプの中に入っていた蝋燭の灯が奴の顔についたアルコールに反応し燃え移る。
その叫びはおぞましく、また痛快だった。
  _
( ゚∀゚)「俺の…勝ちだ」

(;;;#ω#;;)「があああああああああああああああああああ!!」

俺は剣を抜き、奴の首に充てる。
俺はこいつを殺す為に決闘を申し込んだのだ。
こいつのプライドを殺す為じゃない。
  _
( ゚∀゚)「……お前は俺が今まで戦ってきた誰よりも強かったよ」
  _
( ゚∀゚)「来世ではこそこそとせずに胸を張って闘え」

俺は剣を振り上げ、奴の首に向かって振り下ろした。

183以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:35:51 ID:wcccuYUc0
<;ヽ`∀´>
  _
( ゚∀゚)

(;`ハ´)
  _
( ゚∀゚)

( ;`ー´)
  _
(  ∀ )

爪;'ー`)


( ^ω^)「……………終わったお」


決闘が、終わった。

184以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:36:17 ID:wcccuYUc0
『楽譜』はトランペットに口を着け一挙にファンファーレを鳴らした。
その瞬間、港は喝采の雨で覆われた。
しかし俺にとってそんなことは毛ほど興味がなかった。

爪'ー`)「流石だな!『決闘』!!まさか本当に勝っちまうなんてよ!!」
  _
( ゚∀゚)「……ああ」

爪'ー`)「なんだよ!せっかく勝ったんだ、もっと喜ぼうぜ」
  _
( ゚∀゚)「そんなことより、アイツらに会わせてくれ。心配だ」

爪;'ー`)「え?」
  _
( ゚∀゚)「何だよ」


爪'ー`)「いや…わかった」

後味が悪そうに『楽譜』は喜ぶのをやめた。
ギャラリーも『海底』の死を確認した直後は歓声や絶叫を飛ばしていたが、
俺の落ち着きぶりを見ているうちに静かになり、ぞろぞろと港を去って行った。

その時だった。

185以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:36:43 ID:wcccuYUc0
( ;^ω^)「お前ら逃げるお!!」

野次の中から誰かが大声で叫んだ。
声の主は『酒樽』だった。

爪'ー`)「なんだよ急に…」

( ;^ω^)「アイツが近くまで来てるお!!」
  _
( ゚∀゚)「アイツ?」

『酒樽』は酷く焦ったように叫ぶ。
いったい何故逃げる必要があるんだ?

( ;^ω^)「『巨人』が…そこまで来てるんだお!!」
  _
( ゚∀゚)「…………何…」


その時、『酒樽』後ろの家の隙間から大きな顔がひょっこりと出ていた。


( ゚∋゚)

186以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:37:08 ID:wcccuYUc0
爪;'ー`)「なっ……なんだありゃあ!!」
  _
( ;゚∀゚)「き…『巨人』…!!」

爪;'ー`)「なっ…あれが!?」

背丈6mを超える男。
昨日見た姿と全く変わらない姿でそこに聳え立っている。
やはりあれは夢ではなかったようだ。
しかし、今日は誰かを追いかけている様子はないようだ。

( ;^ω^)「逃げろお!!アイツはあんたを狙ってるお!」
  _
( ;゚∀゚)「はっ?…な、何!?」

( ;^ω^)「『巨人』は狙う敵しか見ないんだお!アイツの目線は確実にお前に向いているお!!」

俺はもう一度、あのデカブツを見る。
確かにその目は俺に向けられていた。
…というよりも目があった。

( ゚∋゚)

187以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:37:34 ID:wcccuYUc0
  _
( ;゚∀゚)「くっ…どういうことだよ!!」

俺は再度剣を構え、奴と対峙する。
しかし、『海底』との一戦の怪我や疲労が一気に襲いかかり、戦意が湧かない。
気付けばどう逃げるかだけを考えていた。

( ゚∋゚)
  _
( ;゚∀゚)「!!」

『巨人』は俺の姿を捉えると、一挙に攻め寄った。
そして、腕を大きく振り上げ、一直線に俺に目掛けて拳を叩きつける。
投石なんてレベルではない。
まるで巨大な氷塊が飛んできたかのように一瞬にして落下してきた。

受け止めるかどうか判断に迷ったが、あれを止めることは不可能だと悟り、避けに徹した。
俺はとっさに後方に高く飛び、奴の一撃を避ける。
拳は地面に落ち、激しい地鳴りが響いた。

爪;'ー`)「『決闘』!!」
  _
( ;゚∀゚)「俺は無事だ!!それよ………」

そこで俺は言葉を詰まらせた。
なぜなら、『巨人』の拳が落ちた場所は見事に粉砕しており、平らにされた石の床が隆起した。
これが「人間」の一撃なのか?

188以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:38:10 ID:wcccuYUc0
( ;^ω^)「悪いけど後は二人で頑張ってくれお。ここにいるのはごめんだお」

そう言うと、『酒樽』は瓶を担ぎあげ、デブとは思えない俊敏な動きで去って行った。
もとよりアイツには何も期待などしていないから構わないが。
  _
( ;゚∀゚)「なんだよこいつ…!!何で急に…」

爪;'ー`)「おい!!左だ!!」
      _
≡⊃ ( ;゚∀゚)「え?……な」

その瞬間、俺は体全体で強烈な衝撃を感じた。
うっかり油断した瞬間に意識が遠のきそうになるほどの威力だ。
少し目を離したばかりに奴の蹴りをもろにくらってしまった。

  _
( ;д )「グハッ……!!ゲホッゲホッ!!」

4、5回のバウンドを繰り返し、倉庫の壁に思い切り叩きつけられた。
口から大量の血が飛び出し、『海底』に付けられた傷もさらに開く。
そして俺はうつ伏せになり倒れ、そのまま動けなくなってしまった。
まずい……逃げなければ。

189以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:38:39 ID:wcccuYUc0
奴はのそのそと近づいてきた。
近距離でみるとまた壮観だ。
これは誰に任せようと『巨人』と命名するだろう。
  _
( ;д )「あ………ああ……」

もはや立ち上がる力すら残されていなかった。
奴が近付いてくるのをただじっと見つめるしかなった。
  _
( ;д )「糞……!!な、なんで…」

その瞬間、奴の強烈な蹴りが俺の腹を捉える。
倉庫の壁は砕け、俺の体はまた宙に浮く。
そこは闇に染まった海の上だった。

爪;'ー`)「おい!大丈夫か!?」

『楽譜』の声が届かない場所まで飛ばされ、やがて海に着水した。

爪;'ー`)「『決闘』!!………おい!!……あ」

( ゚∋゚)「キサマ モ アイツノ ミカタカ」

爪;'ー`)「あ…………………喋れるんだ」

190以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:39:01 ID:wcccuYUc0
  _
( ;д )「ガボッ!」

体を上手く動かすことができない。
その上、俺の体には様々な道具が入っている為、見る見るうちに沈んでいく。
俺は一つ一つボタンを外そうと試みるが、手が思う様に動かない。
  _
( ;д )「グッ!!………」

しかし、時間は待ってくれない。
じわじわと苦しみは襲い、呼吸を欲するようになった。
体は動かない。
ついに限界が現れ、俺の手から力が抜けた。
  _
( ;д )「あ………あ……」

意識がだんだんと遠くなっていく。
く……そ……。



ツン……………。




第二章:END

191以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 06:39:49 ID:wcccuYUc0
ひとまず、第1回目の投下はここまでになります。

途中寝落ちすいませんでした。

192 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/19(土) 10:12:56 ID:cSJfE47c0
一応仮酉。

必要ないかもしれん

193以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 11:56:38 ID:8EXp.UT60
海賊それぞれに個性があるのと、その個性を活かした戦い方がおもしろい
展開も起伏に富んでるし、続きに期待してしまうね

194以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 12:04:37 ID:gra/a9ZkO
ヤベェ、おもしろくて一気に読んだ
乙、二回目も待ってる超待ってる

195 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/19(土) 12:14:49 ID:cSJfE47c0
Sahti Waari のリンク間違えた。
正確にはこちら

街の雰囲気はこんな感じ
http://www.youtube.com/watch?v=oFW6IE0yWGs&amp;feature=related

196以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 12:20:33 ID:Rh2NBgeUO
今読んできた乙!

197以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 23:07:40 ID:WiQz.8Tc0
なんだこれ......

めちゃくちゃおもしれぇ......明日が楽しみだ!

198 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/20(日) 19:15:54 ID:UCj8dnocO
今夜10時に投下出来そうなので投下します。

よろしくお願いします


駄目だったら明日の夕方になります

199 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/20(日) 21:57:22 ID:rQa7SLZU0
用事と両立しながらの投下なのでかなりスローペースで投下。

それでは始めます。

200以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:00:48 ID:mVhEYCoM0
よしこい

201以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:01:31 ID:rQa7SLZU0
第三章:英雄は色を好み、海賊は甘い血を舐める



イ从;゚ ー゚ノi「はぁ……はぁ……!!」

イ从;゚ ー゚ノi「こ、ここまでくれば……大丈夫…!」

イ从;゚ ー゚ノi「はぁ……はぁ……はぁ……」

イ从;ー;ノi「誰か……!!助けて……」

イ从;ー;ノi「こんなところで……死にたくないよお……」

「…………あ〜!!」

イ从;ー;ノi「!!」

(  )「みーつけった!」

イ从;ー;ノi「い、いやああああああああああああああああああああああああ!!」

( e')「い、いやああああああああああああああああああああああああw」



( e')「あああああああああああああっはははははははは!!」

202以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:04:54 ID:rQa7SLZU0
ξ゚⊿゚)ξ『ごめんねジョルジュ。私この人と結婚するから』
  _
( ;゚∀゚)『な…何言ってんだよ……ツン』

( ・∀・)『モララーです。貴族でイケメンです』
  _
( ;゚∀゚)『おい、やめろよ!!ツンなあ…ツン』

ξ゚⊿゚)ξ『そういう事だから。じゃあね。さ、行きましょうモララー様』
  _
( ;゚∀゚)『行くなツン!!俺は…お、俺はお前の事が……!!』




ξ゚⊿゚)ξ『…………』







ξ゚⊿゚)ξ『ウザ……』

203以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:12:05 ID:rQa7SLZU0
  _
( ;゚∀゚)「ツン!!」



  _
( ;゚∀゚)「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ」
  _
( ;゚∀゚)「…………………………夢?」
  _
( ;゚∀゚)「………………………………」


  _
( ;∀;)「………………」






夢であってほしかった。

204以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:17:23 ID:rQa7SLZU0
俺は辺りを見渡す。
気が付けば俺はベッドに寝ていた。
見たことも無い部屋。
真新しい家具がいくつも並び、壁も汚れ一つなく綺麗だ。

家具や窓際に洒落た人形の置物がいくつも並んでいた。
しかしこの部屋からは生活感がまるで感じられない。
  _
( ゚∀゚)「……誰だ?」

よく見ると俺の体にはしっかりと包帯が巻かれていた。
手当もされており、傷口には消毒が施されている。
一体誰が……?
  _
( ;゚∀゚)「ん…んー?」

昨日の夜の記憶を辿る。
たしか俺は昨日『海底』と……。
  _
( ;゚∀゚)「そうだ!……きょじっ……!!」

その時、無意識に跳ね上がってしまった為に体のあちこちが痛みだした。
昨日負った傷がフラッシュバックする。

205以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:21:29 ID:mVhEYCoM0
ふむ

206以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:22:33 ID:rQa7SLZU0
  _
( ;゚∀゚)「痛っ!!…………………あっ」

昨日、俺は巨人の強襲に遭い叩きのめされた。
最後に海に落ちたのは覚えている。
しかしそこで俺の意識はプッツリと途絶えてしまった。
  _
( ゚∀゚)「『楽譜』か……?」

あいつが助けてくれたのだろうか。
しかしあいつがこの街に部屋を持っているとは考えにくい。
安静させるとしたら船に連れていくはずだ。
  _
( ゚∀゚)「!!」

そう考えている最中、徐にドアが開いた。
俺はとっさに身を構えた。
もしかしたら『巨人』の手中に置かれているのかもしれない。
油断はできない。

ζ(゚ー゚*ζ「あっ……起きたんですね?」
  _
( ゚∀゚)「………………あ?」

予想外にも入ってきたのは女性だった。
『楽譜』かと考えていたせいで一瞬誰だか分からなかったが、次の瞬間には港で会った女性だと分かった。

207以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:25:37 ID:rQa7SLZU0
  _
( ゚∀゚)「……あんたが助けてくれたのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。昨晩波に揺られているところを偶然発見しまして」
  _
( ゚∀゚)「そうか……世話になったな」

この女とはやけに度々会うようだ。
そういえばこの街に戻って来た時、初めて会ったのも彼女だ。

ζ(゚ー゚*ζ「いえいえ………私も助けられました。おあいこですよ」

そう言うと、彼女は持っていたトレイをテーブルに置き、乗せた器を俺の元へと運んできた。

ζ(゚ー゚*ζ「これを飲んで元気を付けてください」

まろやかな香りが俺の鼻の奥を刺激する。
そこで俺は昨日丸一日何も食べていなかった事を思い出した。
『海底』探しに熱が入りすぎたようだ。
  _
( ゚∀゚)「おいおい…なんだこれ。うまそうだなおい」

ζ(゚ー゚*ζ「私の手作りです。お口に合わないかもしれませんが……」

208以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:30:31 ID:rQa7SLZU0
  _
( ゚∀゚)「いや、今かなり腹が減っててな。多分、まずくても完食すると思うぜ」

彼女から木のスプーンを受け取り、スープの中へ沈める。
スプーンが退けた隙間から暖かい湯気が現れ俺の顔に当たる。
直に鼻に当たった香りが更に俺の食欲を沸き立てる。
俺は一心不乱にシチューを掻き込んだ。
  _
( ゚∀゚)「おお、うめえ!」

味が深く染み込んだ株の肉、柔らかく噛みごたえのあるジャガイモ、甘いアクセントとなったニンジン、
そして脂が程よく詰まった羊の肉が口の中でクリームと絡まるように流れ込む。
こんなに上手いと思ったシチューは初めてだ。
空腹のせいもあるが、やはり作り手の腕が良いおかげだろう。

ζ(゚ー゚*ζ「そうですか。それはよかったです」

ζ(゚ー゚*ζ「それと…洋服に数ヶ所破けた個所があったので直しておきました」

ニッコリと彼女は微笑んだ。料理も上手く、裁縫も出来て、言葉遣いも良い。そして何より素敵な笑顔を持っている。
身なりはあれだが、それは階級のせいだろう。
身分など気にしない海賊の俺にとっては2段も3段も彼女が素晴らしく見える。
  _
(* ゚∀゚)「……………………」



天使はここにいたのか。

209以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:32:46 ID:mVhEYCoM0
乗り換えはやいwww

210以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:34:01 ID:rQa7SLZU0
  _
( ゚∀゚)「おっと………これくらいにしておくか」

結局俺は計4回おかわりを貰い、腹を満たした。
食べれば食べるほど次を欲するようになる。
いかんいかんと思いながらも口に入れ続けた。

ζ(゚ー゚*ζ「そうですか?もっと食べても良いんですのに」
  _
( ゚∀゚)「いや、これ以上食べるとここに根付きそうだ」

そう言うと彼女はクスクスと笑った。
何時振りだろう。
女性と談笑したのは。

ζ(゚ー゚*ζ「そう言えば、自己紹介がまだでしたね」
  _
( ゚∀゚)「そう言えばそうだな」

彼女はデレと名乗った。
たった一人でパン屋を経営しているらしい。
涙ぐましい話だ。
  _
( ゚∀゚)「俺はジョルジュ・キッド。まあ、海賊だな」

211以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:37:24 ID:JFi0YMIY0
支援

212以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:39:20 ID:rQa7SLZU0
ζ(゚ー゚*ζ「ジョルジュ様の噂はかねがね聞いております。なんでも街の英雄だとか」
  _
( ゚∀゚)「英雄はこの街を拠点にしてる海賊全員だ。アイツらはこの街の市民を守る義務がある」

ζ(゚ー゚*ζ「まあ。それは頼もしい限りですね」
  _
( ゚∀゚)「まあそれでも住民の奴らからの評判は悪いがな」

俺の回答にデレはクスクスと笑った。
楽しい。
彼女と話しているときに真っ先に沸いた感情だ。
女性と話す新鮮さもあり、時を忘れ俺は彼女と会話を繰り返す。
  _
( ゚∀゚)「…そういえば、俺の剣はどうした?」

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、下に大事に仕舞ってますよ。取りに行きましょうか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ、いい。それよりもデレ」

ζ(゚ー゚*ζ「なんですか?」

彼女は笑顔で答える。
どんな時でも笑顔を忘れない完璧人間ともいえよう。

213以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:41:15 ID:rQa7SLZU0
  _
( ゚∀゚)「一つだけ聞きたいことがあってな」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。何でしょうか?」

小さな顔、くりっとした大きな瞳、亜麻色の髪。
一つ一つに魅力的な要素がある。

流石だ。



  _
( ゚∀゚)「ああ、デレ……お前…」

ζ(゚ー゚*ζ「?」




  _
( ゚∀゚)「俺に一体何の用があって近づいた?」

その顔で裏に生きることができるなんて。

214以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:45:16 ID:mVhEYCoM0
ほう

215以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:45:52 ID:rQa7SLZU0
ζ(゚、゚*ζ「…………」

デレの表情が一気に強張った。
その顔から肯定の意を取っても構わないだろう。
  _
( ゚∀゚)「ご丁寧にまあ、ここまで良い待遇をしてくれんのはありがてえけどな」

ζ(゚、゚*ζ「……いつから気付いていらしたんですか?」
  _
( ゚∀゚)「あんた、海に浮いた俺を助けたって言ってたな。あれは嘘だ」

俺は両手を頭の後ろで組み、壁に寄り掛かった。
  _
( ゚∀゚)「俺が覚えている最後の記憶は服に仕込んでいた道具の重みで沈む俺の姿だ」
  _
( ゚∀゚)「子供でも分かるよな。浮く訳がねえんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「…でも、あなたは私の恩人です。沈んだ貴方を潜ってまでも救出しようとくらいするのでは?」

既に彼女は認めているがそれでも執拗に尋ねて来る。
恐らく俺を試しているのだ。

216以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:48:21 ID:rQa7SLZU0
  _
( ゚∀゚)「まあな。その可能性は否定できねえ……だがアンタの正体を伺える要素は他にもある」

俺はこの部屋にある家具を一つ一つ指で示していく。
テーブル、物入れ、ベッド、カーテン、カーペット、観葉植物……あとこの陶磁器もか。

ζ(゚ー゚*ζ「?」
  _
( ゚∀゚)「これ……随分新しいな」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。最近買い換えたんです」
  _
( ゚∀゚)「なら…なんで服はそんなに小汚いんだ?」

ζ(゚ー゚*ζ「!!」
  _
( ゚∀゚)「家具一式買い替えるなんざ……相当な金持ちじゃないとできねえよな」

答えは分かりきっている。
この家具の謎も、彼女の正体も。


  _
( ゚∀゚)「盗品なんだろ?全部」

217以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:52:21 ID:rQa7SLZU0
この家が元々空き家だったのか知らないが、彼女が来た時には何も無かったのだろう。
しかし生活するには必要な物がある。
だから必要な物は盗んだ。
あるいは盗んだ金で買ったのか。

しかし身なりだけは家に合わせなければならない。
なので着ている服と家具に身分の差が生まれてしまった。

ζ(゚ー゚*ζ「……流石は『決闘』ですのね」
  _
( ゚∀゚)「別に俺が何て呼ばれていようが今は関係無いだろ」

ζ(゚ー゚*ζ「貴方の言う通り……私は貴方に頼みたい事があるんです」
  _
( ゚∀゚)「……その前にデレの正体を教えてくれ」

デレは俺の膝の上に置いてあった食器をテーブルに移し、そっとベッドの上に座った。




ζ(゚ー゚*ζ「初めまして。私、盗賊のデレと申します」

218以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:53:00 ID:mVhEYCoM0
支援

219以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:55:50 ID:rQa7SLZU0
  _
( ゚∀゚)「………盗賊」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。主に貴族を中心に」
  _
( ゚∀゚)「それで盗賊さんがこんな無一文な俺に何の用だ?」

悪いが今は本当に金が無い。
『海底』に全て奪われ、取り返す前に海に落ちたのだ。
盗める物なんて数が知れてる。

ζ(゚ー゚*ζ「盗賊とは申しましたが、仲間はおらず一人で活動しております」

単身の女盗賊か。
なかなか言葉にすると魅力的だが、いざ目の前にすると特別妖艶とした雰囲気を出してるようにも思えなかった。
デレは毛布に手を付けて這うように近づいてきた。

ζ(゚ー゚*ζ「ご存知でしょう?フィレンクト卿が狙っている『メデューサの瞳』を…」
  _
( ゚∀゚)「なんだ。デレもあの宝石を狙ってんのか」

まあ盗賊だ。
不思議な話でも無い。

220以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:57:36 ID:rQa7SLZU0
ごめんなさい。
作業が立て込んでいるので今日は第三章だけ投下します。

若干スピードもあげます

221以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:59:02 ID:rQa7SLZU0
ζ(゚ー゚*ζ「一目見たとたん、あまりの美しさに石になるという秘宝『メデューサの瞳』」

ζ(゚ー゚*ζ「先日、フィレンクト卿の部下がそのありかを突き止めたそうですが…」

そこで俺はピンときた。
彼女が俺に近付いてきた真の理由が。
  _
( ゚∀゚)「ははぁ…なるほどな。つまりお前は俺に宝探しを手伝わせたいわけか」

ζ(゚ー゚*ζ「…話の早い方で安心しました」

デレの話は更に続いた。
話によると、フィレンクト卿は大の宝石コレクターで、価値のある宝石を世界中から取り寄せているという。
そのフィレンクトの部下が『メデューサの瞳』を見付けたのが6日前。

自分の宝石は誰にも触られたくないという重度の潔癖症のせいで部下は持ち帰る事ができなかったそうだ。
フィレンクトは自ら宝石の眠る島に向かい、それを手にするつもりらしい。
その隙を狙って宝石を奪おうと、この島に多くの海賊が集った。

ζ(゚ー゚*ζ「私一人では厳しいですが、貴方と手を組めば不可能な話ではありません」

確かに、本当の敵はフィレンクトではなくそれにまとわりつく海賊たちかもしれない。
そうなった時に彼女一人で戦うのは明らかに不利だ。

222以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:59:48 ID:mVhEYCoM0
了解

223以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:01:24 ID:rQa7SLZU0
ζ(゚ー゚*ζ「分け前はあなたが上でも構いません。なので……」

そう言うと、彼女はゆっくりと俺の胸まで近づいてきた。
包帯の上から小さな手が触れる。
小さな顔が俺の顔にそっと寄った。
柔らかな温もりが伝わってくる。

ζ( ー *ζ「私と……手を組みませんか?」

彼女の顔がゆっくり近づき、俺の唇に吐息が当たる。
デレはそっと服を緩めて胸元を広げ、俺の背中に手を回した。
柔らかな温度が俺の腹に当たる。
  _
(  ∀ )「………………」

ζ( ー *ζ「あなたになら……私の全てを捧げられます……」

俺は彼女の肩を掴みそっと体を引き離す。
そして、顔と顔を近づける為、もう一度自分の元へと寄せた。
そのまま彼女をベッドに引き倒し、仰向けに寝転がせる。
それに覆う形で俺は彼女に跨った。
  _
(  ∀ )「……面白いね」

224以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:05:25 ID:rQa7SLZU0
  _
(  ∀ )「フッ……ククク……アッハハハハハハハハハ!!」

ζ(゚ー゚*;ζ「!?」
  _
( ゚∀゚)「だが残念……。応えることはできないな」

ζ(゚、゚*;ζ「!!…どうしてですか!?」

俺はデレから離れ、ベッドから立ち上がった。
シャツを羽織り、ベストを重ねる。
デレは酷く困惑した顔を見せた。
  _
( ゚∀゚)「まず、アンタは3つ程勘違いをしてる」

コートの中の道具には手を付けられていないようだ。
まあ、こんなもん、傍から見たらなんの得にも感じないだろう。

ζ(゚、゚*;ζ「勘違い…ですか?」
  _
( ゚∀゚)「一つ、そもそも俺は『メデューサの瞳』になんの興味も沸かない」

興味津々でこの街に戻って来たが、それも昨日、一昨日の話だ。
今となっては微塵も湧かない。

225以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:07:17 ID:rQa7SLZU0
  _
( ゚∀゚)「二つ、俺はデレ……あんたを信用していない」
  _
( ゚∀゚)「確かに助けてもらった恩はあるが、それでもだ」

ζ(゚ー゚*ζ「どういう事……ですか?」
  _
( ゚∀゚)「アンタがこの取引をするために『巨人』を差し向けた可能性もあるってことさ」

ζ(゚ー゚*ζ「……全ては私の計画だったと?」
  _
( ゚∀゚)「さあな、そこまではわからねえ。ただアンタがフィレンクト卿の手先かどうかは証明しようがねえだろ?」

ブーツを履き、ハットを被る。
キャプテンジョルジュ、再起動だ。
  _
( ゚∀゚)「そして三つ。これが最も重要なファクターだ」

ζ(゚、゚*;ζ「……?」
  _
( ゚∀゚)「俺を色で誘うなら、もう2周りバストを増やしな」

ζ(゚ー゚*;ζ「なっ…!!」

デレは顔を赤らめながら、起き上がる。
しかしその目は確実に瞳孔を開いていた。

226以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:10:01 ID:rQa7SLZU0
ζ(゚ー゚*;ζ「で、でも貴方の剣と銃は私が預かっているんですよ!それでもこの部屋を出ると言うのですか!?」
  _
( ゚∀゚)「ああ…じゃあもうしばらく預かっておいてくれ。気が向いたら取りに来る」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!」

ζ(゚、゚*ζ「………………そうですか。分かりました」

彼女は悔しそうに俯く。
その姿も美しいが、恋する俺にそんな色仕掛けは通用しない。
デレは服を整えて、立ち上がった。

ζ(゚ー゚*ζ「貴方を引き入れる為に尾行し、助けたことは認めます。しかし……」

ζ(゚ー゚*ζ「私は貴方に『巨人』を差し向けるような事は一切しておりません。これだけは知っておいて下さい」
  _
( ゚∀゚)「……ああ、信じるよ」

そう言うと俺はドアを開け、部屋を出た。
外は驚くほどの晴天で、爽やかな風が通り抜けた。
  _
( ゚∀゚)「さて……どうしようか」

とにかく、クルー達に会いに行こう。
最愛の人が他の男と結婚すると言い、そのせいで次に狙っていた秘宝には興味も沸かず、
クルーを半殺しにした奴を殺してしまった為、一挙にやることが無くなった。
  _
( ゚∀゚)「海賊……やめるかあ…………?」

……なんだよ最後の『?』は。

227以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:10:07 ID:mVhEYCoM0
しえん

228以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:13:09 ID:rQa7SLZU0
(///<)「ん……………」

爪'ー`)「よう。目覚めたか」

(///<)「あ……あなたは?」

爪'ー`)「アンタの親分の知人さ」

(///<)「え…船長の?」

爪'ー`)「まあ気にせずゆっくりしな」

(///<)「……………………船長は」

爪'ー`)「さあな。生きてるのかもわからねえ」

(///<)「!!ど、どういうことですか!?」

爪'ー`)「昨日……『決闘』はアンタ達の敵を討つために『海底』と一騎打ちをしたんだ」

(;///<)「か、『海底』とですか!?」

爪'ー`)「安心しな。もちろん『決闘』は勝ったよ」

(;///<)「え……なら船長は…」

229以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:14:07 ID:JFi0YMIY0
>( ゚∀゚)「俺を色で誘うなら、もう2周りバストを増やしな」

つまりこの作品のツンは巨乳設定・・・?

230以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:16:14 ID:rQa7SLZU0
爪'ー`)「その後な……運か計画かはわからないが、『巨人』が現れてよ……」

(;///<)「『巨人』って……昨日の……体の大きい!?」

爪'ー`)「海に吹っ飛ばされたよ……そりゃあもうゴミ屑のように飛んでった」

(;///<)「吹っ飛ばされたって……それで船長はどうしたんですか!?」

爪'ー`)「俺もその場にいたんだが、飛ばされた後俺も『巨人』に追い回されてよ……」

爪'ー`)「逃げるので精一杯で助けてる余裕なんて無かったわ」

(;///<)「そ、そんな……」

爪'ー`)「朝一番に潜ってみたが奴の死体は見つからなかった。まだ生死は掴めてない」

(;///<)「……………」

爪'ー`)「……大丈夫だ。俺は半日程度しかあの人いなかったが、なんつーかこう……生き続ける事に対する執念を感じたぜ」

爪'ー`)「悪いが…あの人は簡単には死なねえよ。それはいつも一緒にいたアンタがよく知ってるだろ?」

(///<)「そ、そうです!!あの人は簡単に死なないんです!!」

爪'ー`)「…………ホントか?」

231以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:20:19 ID:rQa7SLZU0
(///<)「本当なんです!!あの人は大蛇に飲み込まれても、腹を切り裂いて生き延びた猛者なんです!!」

(///<)「樽の上に乗って2日間大海原を漂流し続けた勇者なんです!!」

(///<)「あと…あと…お酒苦手なくせに僕達を盛り上げる為に一気飲みだってする命知らずなんです!!」

爪'ー`)「そりゃあ……すげえな」

(///<)「き、きっとそのうちすぐ現れるんです!!」

爪'ー`)「ああ。……俺もそう思うよ」

(///<)「はい!…………」

爪'ー`)∮y-「……そうだ。景気付けに1曲弾いてやろう」

(///<)「バイオリン……ですか?」



爪'ー`)∮y-「そうだ。俺は……音楽家なんだよ」

232以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:21:05 ID:mVhEYCoM0
しえしえ

233以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:22:21 ID:rQa7SLZU0
  _
( ;゚∀゚)「な、なんだこれ……!?」

一難去ってまた一難。
今度は目の前に有刺鉄線が張られていた。
勢いよく前に出ていたら首に深く刺さっていただろう。
俺は身を屈め、潜り抜ける。
  _
( ;゚∀゚)「糞っ………!!俺が何をしたってんだ!」

『楽譜』の船を探している途中、俺はまたもや『駆除』の罠に掛かった。
相変わらずの360度死角無しの戦線が俺を襲う。
もちろん昨日の体験を活かした巧妙な対策などあるわけもなく、逃げの一手で状況を回避する。

前回は『楽譜』がいたので大分楽だったが今度はそうもいかない。
  _
( ;゚∀゚)「糞……傷が……!!」

俺は左手で盾を握り、右手で肩を抑えながら街の通りを駆け抜ける。
矢や銃弾に加え、落とし穴やトラバサミなど、人を小馬鹿にした仕掛けが幾つも追加されていた。
罠も増加し、味方は減り、おまけに体調は万全では無い。

状況はあまりにも絶望的だ。
強いて前回よりも良くなった点を挙げるとすれば、もう袋小路に陥るようにはならない事だけか。

234以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:25:05 ID:rQa7SLZU0
  _
( ;゚∀゚)「うおっ!!あぶねえ!!」

盾で身を守っても、今度は後ろから攻められる。
常に全方位+上空+地面を警戒しながら進むため、全く場を離れる事が出来ない。
激しい運動のせいで傷口は広がり、血が溢れ出した。
足は縺れはじめ、目眩は酷く、息も荒い。
初めは完全に避けることが出来た矢も、体に掠めて致命傷を回避するのがやっとだ。
  _
( ;゚∀゚)「っ!!」

投石が4発、脇から飛んできた。
とっさに盾を構え、石を弾く。

その時だった。
  _
( ; ∀)「うっ!!……あぐっ!」

足に火傷のような熱が走る。
その熱は次第に痛みに姿を変えて脳に伝わった。
  _
( ; ∀)「糞……………銃か…っ!!」

右足をやられた。
足はガクガクと奮え、ついにはその場に立っていられなくなり、へたっとしゃがみ込んだ。
足に力が入らず、起き上がる事すら困難に思える。
盾を構えるのがやっとだ。

235以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:28:09 ID:rQa7SLZU0
立ち上がれる力はあるはずだ。
そこまでの重傷を足に負ったわけでも無い。
しかしどうしても力が入らないのだ。
それは目的の消失のせいか。無形の敵に対する恐怖か。
いずれにせよ、俺のそれは諦めに近い感情だった。
  _
( ; ∀)「…………矢か」

人間、死ぬ間際になるとやけに勘が冴えるもんだ。
感じる。俺の背に放たれた1本の矢が。
しかし俺は避ける気力や防ごうとする反射も働かなかった。

そうか。俺は死ぬのか。

そう思ったときに無性におかしくなった。
たった一人の女性が別の男と結ばれる。
たったそれだけで俺は生きることに諦めを抱くとは。
しかし、もうそんなことはどうでもよかった。


俺は静かに目を閉じた。

236以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:30:36 ID:rQa7SLZU0









その時だった。
矢が俺の背に刺さった音でもない、金属音が聞こえたのは。








.

237以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:32:07 ID:rQa7SLZU0
( ;・∀・)「大丈夫ですか!?ジョルジュさん!!」

俺の背後に立っていたのは身なりの良い男だった。
剣を構え、俺に背を向けている。
  _
( ;゚∀゚)「お……お前…!!」

顔を見なくても分かる。
俺が今一番会いたくない奴だ。
モララー子爵。

( ;・∀・)「いろいろ言いたいことはあると思いますが、とにかくここを抜け出しましょう」
  _
( ;゚∀゚)「ふざけるな!!離せ!!」

モララーは一定の矢を薙ぎ払った後、俺の腕を肩に乗せ、俺の体を起こした。
勘弁してくれ。
こいつに助けられるなんてそんな屈辱的なことがあるか。

俺は力ずくで腕をはがし、必死に抵抗する。
するとモララーはするっと力を抜いて、簡単に俺を解放した。

( ・∀・)「逃げれる元気はあるようですね」
  _
( ゚∀゚)「………」

238以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:33:08 ID:mVhEYCoM0
支援

239以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:35:09 ID:rQa7SLZU0
( ・∀・)「おそらく、『駆除』は襲いかかってはこないでしょう」
  _
( ゚∀゚)「どういうことだ?」

( ・∀・)「『駆除』は貴族を狙うことは決してしませんので」

ふと辺りを見渡すとあれほど飛び交っていたのが嘘のように消えていた。
辺りに散らばる無数の銃弾。
なるほど。
こいつがいるせいで『駆除』は俺を殺すことができないのか。

( ・∀・)「さあ、行きましょう。これ以上ここにいても…」
  _
( ゚∀゚)「何故助けた」

( ・∀・)「は?」

俺はモララーの胸倉を掴み、煉瓦の壁に押し付けた。
  _
( #゚∀゚)「いいか!?俺とお前はまだ決闘の最中なんだぞ?」
  _
( #゚∀゚)「何故助けた!!答えろ!」

こいつが俺に憐れみを掛ければ掛けるほど俺のプライドにヒビが入る。
それはあのまま『駆除』に殺されることよりもよっぽど恐ろしいことだ。

240以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:38:02 ID:rQa7SLZU0
( ・∀・)「……あなたを殺すのは私だからですよ」
  _
( ゚∀゚)「……あ?」

( ・∀・)「決闘はまだ終わってないんでしょう…?」

モララーはニヤリと口角を上げながら胸ポケットを探った。
その手に握られていたのは俺の真黒な手袋だった。

( ・∀・)「決闘には通常白い手袋と定められていますが…」
  _
( ゚∀゚)「それは反則無しの決闘の話だろ?」

( ・∀・)「…………なるほど。では今度戦うときは十分に注意しましょう」
  _
( ゚∀゚)「……今度?」

( ・∀・)「見たところ、あなたは現在、剣を持っていないようですが…」

そう言われて俺はデレに剣を預けていたのを思い出した。
今の俺は銃も持ってい無い無防備人間だ。
  _
( ゚∀゚)「そんな甘いこと言ってていいのか?俺を殺せる最後のチャンスかもしれないぜ?」

241以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:40:37 ID:rQa7SLZU0
( ・∀・)「あなたにはあなたのプライドがありますし、僕には僕のプライドがあります」

つまりそういうことです、とモララーは話を止めた。
その態度がまた気にいらない。
  _
( ゚∀゚)「ああ、そうか。なら決闘は次会った時だな」

( ・∀・)「そういうことになりますね」

モララーはそう言うと俺の右手袋を胸ポケットにしまった。

( ・∀・)「そう言えば…『金欠』はまだ生きているそうですよ」
  _
( ゚∀゚)「……?あ、ああ。アイツか」

すっかり忘れていた。
そうか。アイツは生きていたのか。
まあもう会うことはないだろうし、気に留めることもないだろう。
  _
( ゚∀゚)「それよりもお前…遠征はどうしたよ」

( ・∀・)「遠征……?ああ、ツンから聞いたんですね」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ。中止になったのか?」

( ・∀・)「ええ。なんでもカルベ海に海獣が現れたとか」

242以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:43:11 ID:rQa7SLZU0
このカルベの海には海獣と呼ばれるほど大きな肉食のサメがいる。
体長は6m程のものからから15m以上にもなるものもいる。
船をひっくり返し、おぼれた人間を喰い荒らす獰猛なサメだ。
この海の主と言っても過言ではないだろう。

カルベ海に接している島の全てに、海獣が目撃された日は航海をしてはいけない決まりがあるほどだ。
モララーが言うには、そいつが現れたせいで、遠征は中止になったという。
  _
( ゚∀゚)「つまり、暇になった時間を潰しているところに、俺と出会ったと」

( ・∀・)「概ねそんな感じです」

俺は、強張っていた肩の力を抜いた。
気付けば、こいつに対する怒りは無くなてしまったようだ。
しかし、こいつとツンのことに、納得が言ったわけではない。
  _
( ゚∀゚)「なあ」

俺はモララーに声をかける。

( ・∀・)「なんでしょうか」
  _
( ゚∀゚)「お前は…その……なんでツンと結婚するんだ?」

その言葉に、モララーは反応し、手を止めた。

( ・∀・)「やはり…あなたはツンを愛しているんですね?」

243以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:45:08 ID:rQa7SLZU0
少しの沈黙を置いた後、俺は深く頷いた。
  _
( ゚∀゚)「…………ああ」

( ・∀・)「謝ろうとは思いません。ここは僕も引けないところではありますしね」
  _
( ゚∀゚)「だと助かる。同情されても困るからな」

( ・∀・)「……僕はどうも貴族の女性を好きにはなれないんです」

コイツはとても奇妙なことを言い出した。
貴族が貴族を愛せないとはどういうことなのか。

( ・∀・)「あなた方が思っている以上に貴族の世界は恐ろしい」

( ・∀・)「言論弾圧、政略結婚…存在価値など皆無に等しいものです」

俺にはこいつら貴族の悩みなど想像もつかないが、きっと苦難しているのだろう。
しかし、海賊の俺に同意を求められても困るが。

( ・∀・)「フィレンクト卿がこの島に就く事になり、直属の部下であった私は私の家系と離れることができました」
  _
( ゚∀゚)「あんたフィレンクトの部下だったのか?」

( ・∀・)「ええ、まあ」

244以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:45:52 ID:rQa7SLZU0
これは驚いた。
まあ確かに今まで表町でも貴族など、この街で見たことが無かったが…。

( ・∀・)「私は自由に婚約者を探したい、そう思っていた矢先、彼女と出会いました」

他人事ならめでたい話だが、相手はツンだ。
どんなことになろうと認めるわけにはいかない。
  _
( ゚∀゚)「悪いが手を引け。そうすれば命だけは許してやるよ」

( ・∀・)「残念ですが…命など惜しくもない」
  _
( ゚∀゚)「そうか。もう後には引けないぜ」

決まりだ。
次こいつと会った時、俺はこいつを殺す。
俺がツンを諦めても、ツンをこいつと結ばせたりなどさせない。
決して……な。

( ・∀・)「……では私からも質問させてもよろしいでしょうか」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ。ツンといつまで一緒に風呂に入ってたとかなら答えねえぞ」

( ・∀・)「いえ……話は変わってしまうのですが……」

( ゚∀゚)「何だよ」

( ・∀・)「…………あなたの父親についてです」

245以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:46:15 ID:rQa7SLZU0
  _
( ゚∀゚)「………………あ?」

俺は間抜けな声でモララーに返した。
まさかあいつからこんな質問が来るとは思わなかった。
いったい何の真似だ?

( ・∀・)「貴方の父、ジョリー・キッド……彼が現在に残した功績は大きい」
  _
( ゚∀゚)「………………………おい」

( ・∀・)「元々、彼は発明家、探検家として名を知られていました。様々な島を見つけ、様々な発明品を生み出しました」

( ・∀・)「しかし、ある時から彼は第一級海賊に指定されてしまった」
  _
(  ∀ )「……おい」

( ・∀・)「その後、ジョリーは巨大な渦潮に飲まれ死亡したと聞きますが、本当の所は良くわかっていません」

( ・∀・)「彼にはいくつかの謎が残されています。何故彼は海賊になったのか。何故海のプロである彼は渦潮に飲まれたのか。彼が探し求めていた物は何か」

( ・∀・)「その答えは……彼の息子、ジョルジュ・キッドが知っているのでは無いのでしょうか」

  _
( #゚∀゚)「いい加減にしろ!!」

246以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:46:56 ID:rQa7SLZU0
俺はモララーの顔面を思い切り殴りつけた。
モララーはその場に倒れ、頬を押さえながらこっちを向く。
  _
( #゚∀゚)「……いいか……俺の前で二度とその話をするな……」

(∩・∀・)「……それはできません」
  _
( #゚∀゚)「ああ?」

( ・∀・)「彼は私の憧れの人でした。彼の枯渇知らずの探究心に幼少の私は感銘を受けました」

( ・∀・)「その彼が何故海賊にならなければいけなかったのか、理解に苦しみます」

俺はついに頭に来たので右手で奴の胸倉を掴み、左腕を振り上げた。
  _
( #゚∀゚)「……誰も聞いてねえ事を喋ってんじゃ……」

( ・∀・)「彼が海賊になった3日前……彼は探検家として最後となる航海に出ていました」

モララーは俺の言葉を喰うように話を続けた。
俺の腕はピタッと止まっていた。

( ・∀・)「その時の航海の目的は『秘宝』を探すこと」

( ・∀・)「その航海に……あなたも同行していたそうですね」

247以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:47:19 ID:rQa7SLZU0
  _
( ;゚∀゚)「…………」

( ・∀・)「……何があったんですか?」

俺の頬を一滴の汗が滴り落ちる。
そして、俺の中であらゆる記憶がフラッシュバックした。

あの日。
あの船。
あの航海。
あの事件。

忘れかけていた物が噴水のように湧き出てきた。
俺は腕を降ろし、モララーの服を離した。
その手をそのまま自分の額に当てた。
  _
( ; ∀)「その話は…………もう終わりだ」

( ;・∀・)「ですが、何としても私は……」
  _
( #∀ )「終わりだ!!」

俺は強く怒鳴り上げ、モララーの言葉を遮った。
顔を逸らし、モララーを視界に入れないように意識した。

248以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:47:43 ID:rQa7SLZU0
( ;・∀・)「…………………………」

( -∀-)「…………………………」

( ・∀・)「………………わかりました」

沈黙の末、奴は手を引いた。
モララーもついに諦めたようだ。
  _
(  ∀ )「…………ああ、そういうことだから…」

その時、俺の脳に何かがよぎった。
とても重要なことだ。
俺は何か大きな見落としをしていたのではないか?
  _
( ゚∀゚)「おい」

( ・∀・)「どうしました?」
  _
( ゚∀゚)「なんで知っているんだ?」

( ・∀・)「……何をですか?」
  _
( ゚∀゚)「俺の親父の最後の航海のことだよ」

249以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:48:27 ID:mVhEYCoM0
ふーむ

250以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:48:28 ID:rQa7SLZU0
( ・∀・)「簡単ですよ。ジョリーが海賊になる前の出港記録を調べて…」
  _
( ゚∀゚)「違う。そっちじゃねえ」
  _
( ゚∀゚)「なんでお前は俺の親父の最後の航海が秘宝の探索だと知っていたんだ?」

( ・∀・)「………………それは」
  _
( ゚∀゚)「あれは俺らの船の中で口外禁止になった話だ。お前が探しても知る由もねえ」

( ・∀・)「………………」
  _
( ゚∀゚)「どこで聞いたんだよ。そして……答えろ」
  _
( ゚∀゚)「お前の目的は何だ」

モララーは黙り込んだ。
おそらく俺の質問が的確だったからだろう。

( ・∀・)「……………………やれやれ」

( ・∀・)「私としても…これだけは避けたかったんですけどね……」

251以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:48:54 ID:rQa7SLZU0
そういうとモララーは手を挙げ、指と指を擦り弾いた。
パチンという音が町に響く。
その数秒後に俺の足元からカチッという音が聞こえた。
  _
( ;゚∀゚)「なっ……!?」

俺は高く飛び上がり、その場を離れた。
それと同時に、俺がさっきまで立っていた場所で鋭い破裂音が鳴る。
俺やモララーに被害は出なかった。
しかし、弧を描いて地に着地した途端、そこでまた地面がカチッと不自然な音を立てた。
  _
( ;゚∀゚)「くそっ…!!」

俺はまた飛び上がり距離を取る。
しかし着地するとまた音が聞こえる。
どこへ跳んでも音はついて来た。
  _
( ;゚∀゚)「うっ!?」

背中に固い衝撃が当たる。
後ろを見ると、煉瓦の壁があった。
気付けば俺は道の隅に追いやられていた。

なんとか体勢を持ち直そうと前を向く。
その時、どこから現れたのか、目の前には数十人にも及ぶ兵隊の群れ、そのそれぞれが銃を固く握りしめて俺に向けていた。

252以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:49:21 ID:rQa7SLZU0
  _
( ;゚∀゚)「あ……?」

その銃を構えていたのは……モララーだった。
人だけではない。
ここら一帯に仕掛けられた全ての武器が俺を捕らえていた。

( ・∀・)「まったく……素直に答えていればいいものの……」
  _
( ;゚∀゚)「……何の真似だ?」

( ・∀・)「紹介が遅れました……」

そういうと、モララーはニヤリと口角を上げる。









( ・∀・)「私が『駆除』です」

253以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:51:30 ID:mVhEYCoM0
これは予想してなかった

254以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:52:16 ID:rQa7SLZU0
】アンナ村:港【

ζ(゚ー゚*;ζ「やっぱりもっと早く手を打っておくべきでした……!」


】ジュリア村:港【

( ;^ω^)「お前ら!!直ぐに出航の準備をするお!!」


】レイナ村:港【

爪;'ー`)「今のうちに砲弾を買い占めておけ!!大量にだ!!」


】キャシー村:港【

(#,,゚Д゚)「何チンタラやってんだゴルァ!!早くしねえと出遅れるぞ!!」


】ベルニカ村:港【


(;,,^Д^)「いったいどうしたんだよ!!」

(^Д^ ;)「知らないのか!?」



(^Д^ ;)「明日……フィレンクトがついに出港するんだよ!!」

255以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:53:11 ID:rQa7SLZU0
  _
(;;#∀゚)「何だ。お前だったのか……一々つまらねえ子供騙しな玩具を作ってたのは」

( ・∀・)「ええ。中々楽しめたでしょう?」

俺は政府の連中に連行され、錆びれた溝の臭いが立ち込める牢に入れられた。
固く冷たく汚く……そして暗い。
俺以外の囚人は一切おらず、ただただ俺の小屋だけが騒がしい。
俺はモララーの部下数人に、棍棒のようなもので殴られ続けた。

元々貴族の類の言葉を信じた事は無いので、こんな種明かしでも素直に受け入れられる。
しかし、何故こいつはこんなタイミングで素性を明かしたのか?

  _
(;;#∀゚)「海賊は嫌いじゃないんじゃなかったのか?」

( ・∀・)「ああ、すいません。嘘つきました」
  _
(;;#∀゚)「なら……どうして俺を助けた?」

( ・∀・)「私は貴方ならこの程度の罠、簡単にかい潜れる物だと思っていました」

( ・∀・)「ですが、それもどうやら買い被りだったようです」

また一発俺の頭に衝撃が走る。
ただでさえ赤いコートが赤く染まる。
むしろこれは赤紫か?

256以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:53:43 ID:rQa7SLZU0
  _
(;;#∀゚)「……俺の親父に憧れているってのも嘘か?」

( ・∀・)「ええ、嘘です。私の上司が貴方の父に大変興味を持っておりまして」
  _
(;;#∀゚)「フィレンクトが?興味だって?」

するとモララーは今までの聞く姿勢とは打って変わって饒舌に喋り出した。

( ・∀・)「貴方の父の真相は政府の中でもほんの一握りの人間しか知りません」

( ・∀・)「フィレンクト卿ほどの位の高い者でも知らないような……ね」
  _
(;;#∀゚)「…だから俺を執拗に狙ってたのか」

( ・∀・)「ええ。貴方を監視するよう言われていました」
  _
(;;#∀゚)「………………もしかして、ツンは…」

( ・∀・)「貴方に近付く為の口実です。彼女があなたの幼馴染だったことは調査済みですからね」
  _
(;;#∀゚)「クズ野郎が……!!」

反吐が出る。
こんな愛の欠片もない嘘吐き野郎にツンは騙されたっていうのか。
殺してやる。
こいつだけは……必ず。

257以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:54:13 ID:rQa7SLZU0
今度は2発、右頬と左頬をやられた。
意識が朦朧とし、視界がぼやける。
しかし、抵抗する事さえもできない。
  _
(;;#∀゚)「勝手にしろ。俺は何があってもしゃべらねえ」

( ・∀・)「……………やれ」

その合図に従い、連中は俺の腹や顔を何度も殴りつけた。
歯は折れ、顔の穴という穴から血が飛び出た。
それでも俺は声を出さなかった。

それから数十分殴られ続けたが、結局俺の口から出たのは嗚咽とため息だけだった。

( ・∀・)「……………どうやら口だけは固いようですね」
  _
(;;#∀;;)「お前と……違ってな」

正直、強がっては居られない程に限界が来ている。
しかし、この程度の暴力なら耐えられる。
こいつらの思い通りになってたまるか。

( ・∀・)「そうですか…。では方法を変えましょう」

258以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:55:15 ID:rQa7SLZU0
  _
(;;#∀゚)「……?」

突然、モララーは手を上げ、俺を殴り続けた男達を退散させた。
その後、モララーは檻から出て、牢に鍵を掛ける。
鉄格子を挟んで俺達は二人だけになった。

( ・∀・)「『暗闇』…………という名前を覚えていますか?」
  _
(;;#∀゚)「『暗闇』……?なんだそれ」

( ・∀・)「……………まあ良いでしょう」

モララーはニヤニヤと俺を見つめながら話しかける。
貴族というのはどこまで気持ちが悪いのか。

( ・∀・)「『暗闇』……現在このドゥルトゥーガ島で問題となっている連続強姦殺人魔です」

連続強姦殺人魔…?
なんだ。そんなもんが流行ってんのか?
あまり強そうには聞こえねえが…。
  _
(;;#∀゚)「なんだよ。そいつがどうかしたのか?」

( ・∀・)「実は彼……私のペットでして」

259以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:55:44 ID:rQa7SLZU0
ペット?
なんだコイツは獣姦でもやらせているのか?
悪趣味にも程がある。

( ・∀・)「人が嬲られる姿を見るととても興奮するんですよ」

( ・∀・)「ここ連日の殺人は全て彼にやらせています」

( ・∀・)「ターゲットとなるのは……島民の位の低い女性に限りますが……」
  _
(;;#∀゚)「……………?」

意味が分からない。
ならますます俺は関係ないじゃないか。

( ・∀・)「薄々はこうなる気がしていたんです」

( ・∀・)「あなたは自分自身の為に何かを犠牲にしない、と」
  _
(;;#∀゚)「……何が言いてえんだよ」

( ・∀・)「簡単ですよ。あなたの大切なものを壊せばいい」

その時妙に気持ちの悪い塊が、胃の下に落ちた感じがした。
俺は気付いてしまったのかもしれない。
こいつが言いたいことを。

260以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:56:18 ID:rQa7SLZU0
( ・∀・)「すいません。貴族が苦手と言ったこと……あれも嘘です」

( ・∀・)「むしろ世の中は全て貴族だけでもいいと思っているくらいですから」

( ・∀・)「私が市民と結婚?はっ!それこそありえない」
  _
(;;#∀゚)「まさか………………」

( ・∀・)「そう言えば…そろそろあの時間ですね……」

( ・∀・)「あの子……市場に行く時間ですよね」
  _
(;;#∀゚)「おい!!……まさかツンに何かしたんじゃないだろうな!!」

( ・∀・)「いえいえ……するのはこれからですよ」

俺は腕を強く降り、鎖を力づくで外そうとするが、びくともしなかった。
これで繋がった。
こいつが『暗闇』なんていう馬鹿げた話をし始めた理由が。
  _
(;;#∀゚)「……どこまで腐ってんだよ……お前」

( ・∀・)「貴方達に汚れた手を使っても誰が私を責めますか?」

まずい。ツンの身に危険が迫っている。
助けられるのは…俺しかいない。

261以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:56:36 ID:mVhEYCoM0
下衆いな

262以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:59:05 ID:rQa7SLZU0
( ・∀・)「どうします?話しますか?」
  _
(;;#∀゚)「ぐっ……この野郎……」

( ・∀・)「既に『暗闇』は待機させております。私の合図ですぐに行動に入れるでしょう」

( ・∀・)「あの時の状況を話せば……彼女の安全だけは保証しましょう」
  _
(;;#∀゚)「………………!!」

モララーはそう言うと、牢獄のドアに向かって歩きだした。
答えは一つだった。
悩むまでもない。
  _
(;;#∀゚)「わかった。話す!話すから待て!!」

俺は声を張り上げモララーを止める。
モララーも俺の声に反応し、足を止めた。

( ・∀・)「では、お願いします。私もこれ以上は待てませんので」
  _
(;;#∀ )「この……クズ野郎……が……」

263以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 23:59:55 ID:rQa7SLZU0
  _
(;;#∀ )「15年前のあの日……9歳だった俺が初めて親父の航海について行った日だ」

俺はゆっくりと話し始める。
あの記憶。
決して思い出したくもない記憶。
  _
(;;#∀ )「世界には5つの秘宝があるのは知っているな?」

( ・∀・)「ええ。『ドラゴンの牙』『グリフォンの羽根』『キマイラの尾』『マーメイドの鱗』……そして『メデューサの瞳』」
  _
(;;#∀ )「そのうち3つは既に発見されている」
  _
(;;#∀ )「だが、姿も確認されていない他の2つはなんであると分かったんだ?」

( ・∀・)「それは…古い文献で……」
  _
(;;#∀ )「違う」
  _
(;;#∀ )「それらは全て親父が一度、発見したものだ」

( ;・∀・)「!!」

264以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:02:05 ID:SGA40YwA0
父は元々は名のある探検家兼発明家だった。
世界が求めている新たなる希望は全てあの人が担っていた。
母親を亡くしている俺にとって、父は唯一の肉親であり、そして同時に憧れの人でもあった。
未開の島の発見、科学の実用化…全世界が俺の父に注目していた。
その中でも特に注目を集めたのが、『秘宝』と呼ばれる宝石達だ。

誰がいつどこで作ったかもわからない。
しかし、人を魅了する美しさがそこにはある。それが『秘宝』。
秘宝は全世界の各地に散らばっており、そうやすやすと入手できるものではない。
  _
(;;#∀ )「そして…俺達は6つ目の秘宝のありかを突き止めた」

( ;・∀・)「6つ目!?秘宝は5つだけではなかったのですか!?」
  _
(;;#∀ )「ああ。秘宝は全部で10もある」

( ;・∀・)「じ、10!?まだ、半分しか存在が分かっていないのですか!?」

親父が言った言葉を俺はそのままモララーに伝える。
秘宝には別の秘宝の存在を示す文章が掘られている。
一つにつき一つ。
つまり10全ての秘宝が連結してその存在を証明しているのだ。
  _
(;;#∀ )「最初に2つの秘宝が見つかった。その2つの秘宝にはそれぞれ別の宝石の名前が記されていた」
  _
(;;#∀ )「一つは親父が探し当て、発見した。そしてもう一つはあんたらが狙っている『メデューサの瞳』だ」

もちろん、発見した秘宝にも別の秘宝の名が書かれていた。
これが親父の運命を変えることになった秘宝だ。

265以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:02:34 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀ )「俺達はもう少しで6つ目の秘宝を手に入れられる予定だった」

親父はカルベ海にある謎の島を発見し、そこに宝石があると確信した。
俺がその航海に連れて行ってほしいと駄々を捏ねると親父は快く承諾してくれた。

そしてこの島から4日後、その洞窟に到着した。
洞窟の中は立派な鍾乳洞になっており、とても広い空洞がいくつも存在した。
宝石は、空洞内に溜まった海水の中央にある台座にあった。
俺は子供心にはしゃぎ回り、泳いでその宝石を取りに行ったんだ。

しかし、そこでアクシデントが起きた。
海獣が現れたのだ。
その海水の底はカルベ海に繋がっており、海獣の住処になっていたのだ。
  _
(;;#∀ )「俺は襲われた。しかし、間一髪で船員のみんなが助けてくれたおかげで俺は怪我で済んだ」

俺が怪我を負ったことにより、親父達は帰還を余儀なくされた。
宝石はそのまま置いていくことにした。
そして他の船がその島に近付かせないように親父は宝石を無かったことにしたのだ。

( ;・∀・)「なるほど……つまりそれが原因で貴方の父は……」

相変わらずこいつの理解力には恐れ入る。
まったくもってその通りだ。
  _
(;;#∀ )「もちろんあの人は政府にこう言った。『あの洞窟には宝石は無かった』と」

266以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:03:03 ID:SGA40YwA0
しかし、政府はこれを怪しんだ。
もしかすると、ジョリーは宝石欲しさに嘘をついているのではないかと。
だが政府にはそれを確かめる術は無かった。

何せ相手は渦潮、海獣が襲いかかる魔の海域カルベ海。
普通の船乗りが行ったところで帰ってこれなくなるのがオチだろう。
かといってジョリーの船員に任せるわけにはいかなかった。
いくらジョリーの船員が優秀な人材揃いでも、肝心のこいつらが不信では任せられないだろう。
  _
(;;#∀ )「だから政府は親父を海賊に仕立て上げた。そうすれば親父を殺しても罪には問われないからな」

親父は政府に反論しようとはしなかった。
素直に、受け入れ海賊となる道を選んだ。
しかし、俺がその船に乗ることはもう無かった。
親父は俺の身を案じ、俺をフサギコの親父に預けたのだ。

その後、ジョリーは海難事故に遭い、死んだという話を聞いた。
親父の船がそんなことになるわけがないと最初は疑ったが、月日が流れるにつれてどうでもよくなってしまった。

気付けば俺は海賊になっていた。
理由?そんなの知らねえよ。

ただ……世界を見たくなったのと、貴族が嫌いになったことが同時に重なったのかもしれない。

267以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:03:23 ID:SGA40YwA0
俺はため息をつき、目を開ける。
これが、あの日起きた全てだ。
俺が隠し持っていたことをこいつに吐きだした。
  _
(;;#∀゚)「以上だ……。お前らの収穫になった話もあったはずだ……だから」

( ・∀・)「一つだけ質問をしても……?」
  _
(;;#∀゚)「……何だよ」

今更どんな質問をされても構わない。
俺は吐くだけ吐いた。
全てはツンの為に。

( ・∀・)「貴方は何故……この話をすることを拒んでいたのですか?」

( ・∀・)「今の話を聞く限りでは貴方の幼少の頃の過ちを打ち明けたにすぎません。別に身の危険を感じる要素は無いように思えますが……」
  _
(;;#∀゚)「単純な理由だ。『トラウマを蘇らせたく無かったから』それ以外ないだろ?」

( ・∀・)「フフフ……なるほど。確かに下らない」

モララーは口を手で押さえながらクスクスと笑う。
そしてそのままドアをゆっくりと開いた。

268以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:03:56 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀゚)「おい!!約束だぞ。ツンには手を出すなよ!!」

( ・∀・)「……………………」

モララーはピタッと動きを止めた。
止まったまま、奴は一歩も動かなかった。
暗くてよく分からないが、モララーは肩を震わせているのか?
その後モララーは顔だけねじり、俺の方へ振り向いた。
その顔は泥のように濁った気色の悪い笑顔をしていた。

( *・∀・)「すいません……………嘘つきました」
  _
(;;#∀゚)「………は?どういう事だよ……」

( *・∀・)「言葉通りですよ。ツンには死んでもらいます。」
  _
(;;#∀゚)「どういうことだ!!話が違うじゃねえか!!」

( *・∀・)「いえいえ……これは学習しない貴方が悪いんですよ?」

( ・∀・)「この趣味ばかりは……辞めることが出来ないんです」

俺は怒りのボルテージがMAXに達し、腹の底から奴を咎めた。
  _
(;;#∀゚)「ふざけるな!!どこまで頭が腐ってんだてめえは!!」

269以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:04:11 ID:SNU5KZpU0
寝る支援

270以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:06:55 ID:SGA40YwA0
俺は腕に何度も力を入れて引っ張るが鎖の枷は外れる様子を見せない。
足をジタバタと暴れさせ、胴体を何度もくねらせた。

( ・∀・)「まあ、いいじゃないですか。もう貴方は彼女とは会えないんですから」
  _
(;;#∀゚)「ま、待て!!どこへ行く!!」

( ・∀・)「貴方に話す必要があるんですか?」
  _
(;;#∀゚)「おい!!逃げるな!!モララーああああああああああああああああああ!!」

奴は俺の声を耳に入れる事無く扉を閉め、去って行った。
俺は黒い世界に閉じ込められた。
  _
(;;#∀ )「くそっ……!!」

両足で床を何度も思い切り踏み付ける。
意味の無い行為なのは良く分かっている。
しかしこの感情をどこかにぶつけない訳にはいかなかった。
  _
(;;#∀ )「ツン…………!!」

まずい。

ツンが。

ツンが殺されてしまう…。

  _
(;;#∀゚)「うわあああああああああああああああああ!!」

271以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:07:22 ID:SGA40YwA0
( ・∀・)「ふう……やっと喋ったよ……」

( ・∀・)「見張りはドアの前に付けろ。中にはいらん」

( ・∀・)「セントジョーンズ!!セントジョーンズはいるか!?」

('e')「何か用でしょうか?」

( ・∀・)「裏町の大通りの角の酒場で働いているツンという巻き髪の女を殺せ」

('e')「酒場ですねぇ?了解しました」

( ・∀・)「今の時間なら市場にいるだろう。見つけ次第、好きにしていいぞ」

(*'e')「ンフフw どうしたんです?今日はやけに気前がいいですねぇ」

( ・∀・)「いや……できる限り手酷く後を残してくれ。今回はその方が都合がいい」

(*'e')「………つまり…脳姦もよろしくて?」

( ・∀・)「脳みそ、眼球、耳、鼻、内臓自由だ」

272以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:07:45 ID:SGA40YwA0
(*'e')「…………後で後悔しても知りませんよ?」

( ・∀・)「構わん」

(*'e')「……………ンフンフンフフフフフフ」

( ・∀・)「私はフィレンクト卿に用があるのでしばらくここを開ける」

( ・∀・)「お前は直ぐに市場に向かえ」

(*'e')「はあい。直ちに」

( ・∀・)「…………」

( ・∀・)「………………フフフ」

( ・∀・)「これでまた一歩……近づく」

( ・∀・)「あの人の理想に」

273以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:08:10 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀ )「ゲホッ!!エホッ!!……ガハッ!!」

俺は噎せ返った喉を咳で必死に直す。
こうしてはいられない。
急がなければツンが殺されてしまう。
俺は躍起となって策を練る。

どうする?
この鎖の錠と檻の錠。
2つの鍵をどうにかしなければいけない。
  _
(;;#∀゚)「とにかく……先に外すのは……鎖か」

考えるまでもない。
手が封じられた状態では檻には届かない。
檻を開ける事は一先ず置いておく。

体は大分損傷しているが……耐えられない程では無い。
どちらかの鍵を開ける方法は存在した。
俺のコートの中にその秘策は眠っている。
しかし、その為にはコートのボタンを開かなければならない。

274以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:08:35 ID:SGA40YwA0
俺は踵をうまく使い、靴を脱ぐ。
そしてその足の指をコートのボタンに近付ける。
しかし体の構造上どうしても指をボタンに引っ掛ける事ができない。
  _
(;;#∀゚)「くっ……駄目だ!!なにか引っ掛けるもの……引っ掛けるもの……!」

俺は一度足を床に降ろす。
その時、足に鋭い痛みを感じた。
  _
(;;#∀ )「いっ!!……な、何だ!?」

闇に慣れつつある目でその物体を見つめる。
足元に落ちているザラザラとした物体、それは尖った木片だった。
  _
(;;#∀゚)「何でこんなものが……」

そういや、あの男達が持っていた棒は木製だったな。
なるほど。
俺を殴りつけた際に欠けたのか。
これほど固い頭に感謝した日はない。
  _
(;;#∀゚)「これでいけるか……?」

ええい、物は試しだ。やるしかない。
足の指と指の間に木片を挟んで持ち上げる。
不安定な木片はゆっくりとコートのボタンに近付いていく。

275以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:08:59 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀゚)「あっ!……くそっ!」

木片は足の指から外れ地面に落ちた。
俺は足裏を床に摩り付けながら木片を探す。
見つけた木片をもう一度持ち上げて再挑戦する。
  _
(;;#∀゚)「…………………」

プルプルと震える足先の木片。
何度もフックにかけようと試みるが思い通りにいかない。

頼む。
引っ掛かってくれ。
しかし、木片はカツカツとボタンに当たるがフックまでは届かない。
  _
(;*#∀゚)「………………おっ!?」

ついに木片がボタンのフックにかかかった。
よし、これで一段落だ。
フックを外そうと、梃子の原理でボタンを押し出す。
  _
(;;#∀゚)「うあっ!?」

油断した。
木片がボタンの保持力に力負けしたせいで、木片が落ちてしまった。

276以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:09:26 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀゚)「ぐっ…………く、糞!!もう一度だ!!」

俺は指で掴み、再度同じ要領で挑戦する。
同じ轍を踏む気はない。
慎重に、冷静に。
同じやり方で2回目は難無く引っ掛かけることが出来た。
  _
(;;#∀゚)「よし………もう少しだ」

足の指に力を込めてボタンを押し出す。
ボタンはカチッと音を立てて外れた。
  _
(;;#∀゚)「おお!!取れた!!」

やった。
これで後2つ程外せば、道具を取り出す事ができる。
俺はすぐさま木片を次のボタンに掛けた。
  _
(;;#∀゚)「時間がねえが…焦るな……焦るな……」

俺は大きく深呼吸をした。

277以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:10:05 ID:SGA40YwA0
ξ;゚⊿゚)ξ「うわっ!!今日は随分と混んでるなあ……」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちゃんと買えると良いけど……」

ξ゚⊿゚)ξ「えーっと……お魚、お魚…」

ξ*゚⊿゚)ξ「おっ!!あったあった!」

ξ゚⊿゚)ξ「うわっ安い!!何で!?」

ξ゚⊿゚)ξ「大漁だったのかな?まあともかく安いに越したことはないわね」

ξ*゚⊿゚)ξ「沢山買っちゃおう!!」

ξ*゚ー゚)ξ〜♪





('e')「……………………」

278以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:10:28 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀゚)「よし!!取れた!!」

俺の苦労の甲斐あってボタンが3つ外れた。
これで道具を出すことができる。
俺はコートの中に足を入れ、内側に取り付けられた木箱を取り出す。

木箱は手の指の関節2つ分くらいの大きさだ。
箱の蓋を開け、中にある灰色で丸い物体を取り出す。


】海賊の七ツ道具その4:鋼粘土【


これは本当に面白い物体だ。
元は粘土のように柔らかく、握るだけで形を崩す事ができるが、
54kg以上の圧力を掛かれば忽ち鋼鉄のように硬くなり、握ることが出来なくなる。

しかし、お湯をかければ元に戻るという不思議な道具だ。
素材も何もかもわかっていない未知の物体。
  _
(;;#∀゚)「よし………始めよう」

俺はこの粘土を鍵穴に押し込んだ。
グニュグニュと穴の中に潜り込み、隙間という隙間を埋め尽くす。
そして十分に広がった事を確認し、俺は強く粘土を握る。

279以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:10:52 ID:SGA40YwA0
粘土はじわじわと固まっていき、やがて鉄の硬度になった。
俺は粘土を捩り、鍵穴を回す。
カチャリと音を立てて鎖は外れた。
  _
(;;#∀゚)「よし!……次は檻か」

こっちは手枷よりも楽だ。
奴らは俺を殺そうとはしなかった。
それはつまり、俺にまだ利用価値があると判断したからだ。

先程の扉の奥から聞こえてきたモララーの声が正しいとすれば、こんな容易い事はない。
俺は息を大きく吸い込み、腹を膨らませる。
  _
(;;#∀゚)「アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」
  _
(;;#∀゚)「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ」
  _
(;;#∀゚)「ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」

俺は大声で笑い声を上げる。
笑い声を聞き、10秒と経たずして見張りが入ってきた。
人数は3人。
余裕だ。
  _
(;;#∀゚)「モララーに伝えておけ……俺は今から舌を噛み切って自殺する」

俺はベロを垂らし、歯をあてる。
上の許可なしに俺を死なせるのはこいつらとしてもまずいだろう。
見張りは直ぐに鍵を開け、中に入ってきた。

280以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:11:25 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀゚)「おらっ!!」

俺は近付いてきた見張りの一人に頭突きをする。
俺の頭は奴の鼻に直撃し、一撃で相手をのした。
手錠が外れていることに気付いた見張りは俺に銃を向ける。

しかし、全てがもう遅い。
銃を構えたと同時に、俺は素早く木片をもう一人の目に突き刺した。
眼球は可愛らしい音を立てて潰れ、血が噴き出した。
そいつは目を手で押さえ、叫び声を上げながら銃を落とした。
  _
(;;#∀゚)「こいつはありがたく頂くぜ」

俺は銃を拾い上げ、なんの躊躇いもなく3人目に向けて引き金を引いた。
弾は左胸に命中し、一瞬にして、男は絶命した。
この間、わずか数秒。
まったくこんな奴らを見張りに置くなよ。
  _
(;;#∀゚)「さあて、脱出と洒落こむか」

俺はもう一つ銃を拾い上げ、両手に構える。
そこに、銃声を聞きつけた兵隊が何人も部屋に入ってきた。
さあて、どうやって陥落しようか。

281以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:12:16 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀゚)「残念だが俺はここから出る」

俺は牢に入って来たものを片っぱしから撃ち続ける。
虫のようにぞろぞろと来るが一人として俺に引き金を引いた奴はいない。
ある程度落ち着いたころを見計らい、俺は死んだ兵の銃を数本拾い上げ、外に出る。

外にも数人兵がいた。
連中も銃を俺に向かって放つが、緊張しているのかなかなか当たらない。
  _
(;;#∀゚)「おいおい……そんなへっぴり腰で要人さんを守れんのか?」

右から左から。
現れる兵士を片っぱしから打ち込む。
頭に当たるよう正確に射撃し、一撃で殺す。
できるだけ弾の節約には心がけよう。
フロアに敵がいなくなったら階段を駆け上がる。
  _
(;;#∀゚)「ここは……地下2階か」

上階段から足音が聞こえてきた。
俺は銃口を上に向け、足を目掛けて引き金を引いた。
一人が体勢を崩せば全体が崩れる。
階段はこれだから集団戦に向いていない。
  _
(;;#∀゚)「時間がねえんだ。階段の一部になりたくねえ奴は側壁になれ」

282以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:12:44 ID:SGA40YwA0
ξ゚⊿゚)ξ「お魚あんまり安いから買い過ぎちゃった」

ξ゚⊿゚)ξ「今日は美味しいムニエルが作れそう!」

ξ゚ー゚)ξ「…………………」

ξ*゚⊿゚)ξ「あ〜……今日モララー様来ないかな〜……」

ξ*゚ー゚)ξ「…………………」

ξ*゚⊿゚)ξ「モララー様……」

ξ*゚ー゚)ξ「ウフフ…………」

('e')「あの〜」

ξ;゚⊿゚)ξ「ほっ!!……は、はい!?」

('e')「ちょっとお手伝い……というか頼み事をお願いしたいんですが……」

283以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:13:09 ID:SGA40YwA0
ξ゚⊿゚)ξ「……?はい?」

('e')「ほんとすぐに終わるんで。ほんとすぐ」

ξ゚⊿゚)ξ「……なんですか?」

('e')「いや、ちょっと……」








('e')「内臓見せて貰えませんか?」

ξ゚⊿゚)ξ「え?」



ξ゚⊿゚)ξ ブシュッ

284以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:13:31 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀゚)「おっと!」

背後から剣を振り回してくる奴がいた。
俺は飛び上がり、剣線を回避する。
そのまま、空中から奴の頭を狙撃した。

そして、地面に着地するまでに3人の人間を射殺。
着地と同時に襲いかかってきた男の顎を狙って蹴りを入れる。
怯んだ隙を突き、腹に一発。
  _
(;;#∀゚)「……不意打ち結構」

その背後で銃を構えていた奴に俺は振り向かず、銃口だけ向けて引き金を引いた。
銃弾は首に当たり、首から血を流して倒れた。
  _
(;;#∀゚)「…………終わったか」

気付けば、辺りには誰もいなくなっていた。
この建物は数十年も昔に処刑場として使われていた場所だ。
今は廃墟としてこの街に残っているが、まだ使う奴がいたとは。
俺は建物から飛び出し、一直線に裏町まで走る。

だいぶ時間をロスした。
ここから裏町までだいぶ距離がある。
しかし、アイツらを殺さねば脱出も厳しかっただろう。
  _
(;#∀゚)「頼む……無事でいてくれ……ツン!!」

285以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:13:54 ID:SGA40YwA0
ξ;゚⊿゚)ξ「え?あ……ああ……」

('e')「すいません。不意打ちで……」

('e')「私……ナイフ使いなもんでして……」

ξ;⊿ )ξ「え?え……ああ?……え?」

('e')「最近では有名になっているみたいですねぇ……私」

('e')「『暗闇』なんて異名貰っちゃいましたけど……いいもんですねぇ」

('e')「連続強姦殺人魔『暗闇』!!またもや街に降り立つ!!……なあーんて」

ξ;⊿ )ξ「く…『暗闇』!!」

('e')「私、そんな柄じゃないんですけどねぇ……」

ξ;⊿ )ξ「い、嫌!!た、助けて!!誰か!!」

('e')「何時もこの道を通ってるんですかぁ?ここは人気が全くないんですよぉ」

286以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:14:19 ID:SGA40YwA0
('e')「今度からはこの道は使わない方が良いんじゃないんすか?」

('e')「まあ……来世でってことで……」

ξ;⊿ )ξ「いやあああああああああああああ!!」

('e')「おや?逃げるんですか?」

('e')「無駄ですよぉ。私はどこまでも追いかけるんでねぇ」

ξ;⊿ )ξ「嫌!!お願い!!助けて!!」

('e')「いつもならもう少し逃げる時間を与えていたんですが……」

('e')「貴方の体を好きにしても良いというお知らせが子爵様から来たんでねぇ…」

('e')「今日はもう終わりにしましょう。そら、ナイフを投げますよ!」

ξ;゚⊿゚)ξ ドスッ

ξ;゚⊿゚)ξ「え……やだ……嘘……」

ξ;⊿ )ξ「死に……たく…な……」

287以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:14:47 ID:SGA40YwA0
('e')「………………」

('e')「うん、まだ生きてますね」

('e')「ンフフッフフフフフウフフフフフフフ」

('e')「この状態がたまらない……」

('e')「生きながらにして死んでいく様を見守るのがねぇ……」

('e')「……まずは……頭蓋骨に穴を開けますか」

('e')「ああ、いい髪だ……」

('e')「これはコレクション入りですねぇ……うんうん」

('e')「さあてt………………」

('e')「………………!!」

('e')「………………誰ですか…?あなた」


ζ(゚ー゚*ζ「………………」

288以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:15:09 ID:SGA40YwA0
ζ(゚ー゚*ζ「ツン……ジョルジュ・キッドの幼馴染…」

ζ(゚ー゚*ζ「彼の行方を知る唯一の人物……」

('e')「だからあなたは何だと聞いているのですよ?」

ζ(゚ー゚*ζ「…………その女性をどうするつもりですか?」

('e')「貴方には関係ない話ですが……見られた以上は貴方も巻き込まざるを得なくなりましたね」

ζ(゚ー゚*ζ「……貴方…『暗闇』ですね?」

('e')「ええ。巷ではそう呼ばれてますねぇ……」

ζ(゚ー゚*ζ「その方から離れて下さい。私はその方に用があるのです」

('e')「ははあ、ご友人でいらっしゃいますか?」

ζ(゚ー゚*ζ「少なくとも、私もあの方も同じ女性として貴方の敵であるということは伝えておきます」

('e')「……よくいるんですよ。私を女性の敵だと仰る人が」

('e')「しかし、私は女性を愛しているのです。これが何故分からないのですか?」

289以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:15:33 ID:SGA40YwA0

('e')「私は全ての女性を愛している!!」

('e')「女性の需要はその膨らんだ乳房と甘い蜜を溜めた性器だけでしょうか!?」

('e')「否!私は女性の体ならばどこでも愛することができる!!」

('e')「肛門!口!耳!鼻!筋肉!喉!眼球!」

('e')「大腸!小腸!肝臓!膵臓!脾臓!胆嚢!肺!胃!心臓!」

('e')「脳みそ!アキレス腱!上腕二頭筋!腹直筋!大腿骨!恥骨!肩甲骨!」

('e')「私の欲求を満たせぬ個所などございません!開ければ全て穴になるのですから!」

ζ(゚ー゚*ζ「……………それで?」

('e')「それで…?いやいや何を仰っているんですか?」

('e')「私は残忍と思われているのかもしれませんがこれは大きな誤解ですよ?」

('e')「他の男達は、女性の数%しか愛さずに死なせてしまうのですから……」

('e')「その点私は女性を余すことなく愛している!むしろ理想の男と称しても良いでしょう!」

290以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:15:59 ID:SGA40YwA0
ζ(゚ー゚*ζ「……そうですか」

('e')「そうですとも!分かりましたか?私の愛が!」

('e')「そして……貴方も愛してあげましょう」

ζ(゚ー゚*ζ「しかし、あなたは一つだけ愛していない個所がありますね」

('e')「……?何ですかそれは」

ζ(゚ー゚*ζ「心です」

('e')「はっ!!それは仕方のないことですよ私と女性はたった数分しか関われないんですからね」

ζ(゚ー゚*ζ「その数分を愛せない方に何をされて満足できるというのですか?」

('e')「ごちゃごちゃとうるさい方ですねぇ。その口は閉じた方が良い」 ヒュッ!

ζ(゚ー゚*;ζ「!!……ナイフ!?」

('e')「ほう……反射神経は身についているようですね」

291以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:16:33 ID:SGA40YwA0

('e')「ですが……接近戦においてナイフに勝る武器はありません」

('e')「何時まで避けられるか…見ものですね」

ζ(゚ー゚*ζ「……………」

('e')「私は投げるよりも切り刻む方が好きなのです。だから…」

('e')「貴方も切り裂いてあげましょう!」

ζ(゚ー゚*;ζ「くっ………!!」

('e')「ヌフフフフフフフフフ!ンフフフンフ!!」

ζ(゚ー゚*ζ(予想以上にナイフの扱いに長けている……)

ζ(゚ー゚*ζ(ここは距離をとったほうがよさそうですね……)

('e')「……?どうしたんですか?怖くなんかないですよ?」

ζ(゚ー゚*ζ「貴方が……ナイフを使うのならば……私はこれを使いましょう」

―Yζ(゚ー゚*ζ

('e')「………何ですかそれは……針…?」

292以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:16:53 ID:SGA40YwA0

('e')「そんな致命傷にもならない武器で私と戦うというのですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「それはどうでしょうか。やってみます?」

('e')「面白い事を言いますね……ならば試してもらいましょうか」

('e')「ただし……できたらの話ですが…ね」

ζ(゚ー゚*ζ(!!……またナイフを投げて…!)

('e')「残念ですが私は中距離にも対応しているんですよ。なぜならナイフはいくらでもありますからねえ」

ζ(゚ー゚*ζ「本当に饒舌なお方ですのね。もう少し、声のトーンを落としてもらえないでしょうか」

('e')「すみませんねぇ…こういう人間でして」

ζ(゚ー゚*ζ「構いませんよ。もう針は届きましたから」

('e')「え…………?」

ζ(゚ー゚*ζ「ナイフは中距離には向いてません。なぜなら投げるモーションを見定められてしまいますからね」

ζ(゚ー゚*ζ「その点、針は違います。何時投げたのかも、投げるふりも、投げた軌道も全て隠すことができます」

(#'e')「!!……こ、小娘がぁ…」

293以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:17:23 ID:SGA40YwA0

(;'e')「……ハァ………ハァ………?」

(;'e')「なんだ?……呼吸が……うまく…」

ζ(゚ー゚*ζ「その針に塗られているのは神経毒です」

(;'e')「!?……ど、毒!?」

ζ(゚ー゚*ζ「即効性があり、呼吸器官を麻痺させる作用があります。直に立っていられなくなるでしょう」

(;e)「なっ……!!」

ζ(゚ー゚*ζ「申し遅れました……。私『蜂蜜』と申します」

(;e)「ひゃ……ひゃちみつ…!?」

[]ζ(゚ー゚*ζ「私……毒の調合が得意でして……効能別に分けただけでも300種類はございますの」

(;e)「な…にゃんだ!そ、その瓶は……!」

[]ζ(゚ー゚*ζ「見て下さい。この蜂蜜のような色…そしてとろみ」

(;e)「く、来るな!!……おい!!……おい!!」

294以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:18:02 ID:SGA40YwA0
ζ(゚ー゚*ζ「私の要件を邪魔した事…。そして今までの女性達の仇を込めて」

ζ(゚ー゚*ζ「この中身……貴方に差し上げますね♪」

(;e)「い、いらん!!た、助けて!!」

ζ(゚ー゚*ζ「何でですか?大丈夫ですよ。これは全身を溶かしてくれますから」

(;e)「!!」

ζ(゚ー゚*ζ「貴方以上に余すことなく愛してくれると思いますよ」

ζ(゚ー゚*ζ「どうぞ心行くまでお楽しみに」




(;e)「ひっ……!!ひゃああああああああああああああああああ!!」





ζ(゚ー゚*ζ「さようなら」

295以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:18:31 ID:SGA40YwA0

(‘_L’)「なるほど……宝石に別の宝石の名が…」

( ・∀・)「まさか秘宝が10もあるとは思いませんでした」

(‘_L’)「そうだな……これはますます興味がわいてきた」

( ・∀・)「秘宝は世界の宝石。たった一つで4つ以上の国が手に入るほどの価値があると言います」

( ・∀・)「世界は今や秘宝を手にしたものこそが権力を掌握する……まさにその通り」

( ・∀・)「既に一つは見つけたようなものでしょう。フィレンクト卿」

( ・∀・)「貴方は世界の頂点に立つべき方でございます」

(‘_L’)「この日をどれほど待ちわびたことか……」

(‘_L’)「これでこの国を牛耳る屑共にひと泡を吹かすことができる」

( ・∀・)「どこまでも付いていきましょう…フィレンクト卿」



(‘_L’)「フフフ……恩にきるよ……ジョリー・キッド」

296以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:19:04 ID:SGA40YwA0
ζ(゚ー゚*ζ「…………………」

;;e#)

ζ(゚ー゚*ζ「さてと、この人をどうにかして助けないと…」

ζ(゚、゚*ζ「……………ん?あれは……」

  _
(;;#∀゚)「ツン!!」

俺が市場に向かう途中、倒れているツンを発見した。
俺は直ぐに駆け寄り、ツンを抱え上げる。
体には数か所ナイフで刺された跡があり、服が血で滲んでいる。
  _
(;;#∀゚)「ツン!!しっかりしろ!!ツン!」

ツンの頭をガクガクと揺する。
すると、ツンはゆっくりと目を開けた。

ξ;⊿ )ξ「じ、ジョルジュ……?」

生きている。
虫の息ではあるが、かろうじて一命は取り留めていた。

297以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:19:28 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀゚)「ああ、ジョルジュだ!!しっかりしろ!」

ξ;ー )ξ「フフフ…なんて顔……傷だらけじゃない」

どんなに苦しくても彼女は俺の心配をした。
なんて馬鹿な奴だ。
  _
(;;#∀゚)「待ってろ!すぐ医者に見せるから……」

ξ;⊿ )ξ「ジョルジュ……行かないで」

ツンが必死に俺の服の袖を掴む。
その手は酷く震えていた。
  _
(;;#∀゚)「何言ってんだよ!俺も一緒に行くから安心しろ!」

ξ;⊿ )ξ「そうじゃないの……やめて……殺さ…ないで……」
  _
(;;#∀゚)「!!」



ξ;⊿ )ξ「モララー様……なんでしょ?…私を……殺そうと……したの」

298以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:19:54 ID:SGA40YwA0
ξ;⊿ )ξ「さっき、ナイフを持って……黒いコートをまとった男の人が……言ってたの」

ξ;⊿ )ξ「子爵様に……言われて来たんだって……」
  _
(;;#∀゚)「…………………」

ξ;⊿ )ξ「この街には子爵は一人しかいないって……モララー様言ってたからさ……それで」

ツンの目から血でも汗でもない液体が流れた。
その液体は頬を伝って俺の腕に落ちた。

ξ;ー )ξ「私って…本当に馬鹿だよね……簡単に騙されちゃった」

ξ;ー )ξ「分かってたんだけどね……モララー様が私なんか愛してくれないってこと」

ξ;ー )ξ「ごめんね……。ジョルジュにも迷惑……かけちゃった」
  _
(;;#∀;)「おい!そんなことはどうでもいいんだよ!!ツン!」

ξ;ー )ξ「だから……モララー様のとこにはいかないで…お願い……逃げ……」

彼女はそこで声を出すのを止め、死んだように眠った。

299以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:20:16 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀;)

ξ⊿ )ξ「……………………」
  _
(;;#∀)「………………………」

俺はツンの体を思いきり抱きしめた。
間隔の広い鼓動の音が俺の胸に伝わる。
か弱い吐息が俺の頬に当たった。
  _
(;;#∀ )「悪いな……ツン……俺…お前の願いは聞けねえわ」

ツンは死ななかった。
しかし、俺の怒りは彼女の傷の量で決まるものではない。
『海底』が俺のクルー傷付けた時とまったく同じ状況だ。

ツンの心を、体を傷つけたのだ。
許せるわけがないだろう?
  _
(;;#∀ )「ただ……あの日の約束は必ず守る」
  _
(;;#∀ )「モララーだけは……許せねえよ」

300以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:21:19 ID:SGA40YwA0
  _
(;;#∀ )「デレ……」

ζ(゚ー゚*ζ「……………なんでしょうか」

俺は後ろに立っていたデレに声を掛ける。
この状況から察するに俺はこの女に借りをたくさん作ってしまったようだ。
  _
(;;#∀ )「ありがとな。ツンを守ってくれて……。お前がいなかったら…」

ζ(゚ー゚*ζ「いえ……私もたまたまこの場所に出くわしただけですから…」
  _
(;;#∀ )「俺に何かようだったのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「……明日、フィレンクト卿が『メデューサの瞳』を取りに、カルベ海に進出するようです」
  _
(;;#∀ )「そうか……ならよ」

今となってはその話も他人事ではなくなっていた。
俺がとる選択肢は一つしかなかった。

ζ(゚ー゚*ζ「?」


  _
(;;#∀ )「俺の剣と銃を返してくれ」



第三章:END

301以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:22:53 ID:SGA40YwA0
すいません。いろいろリアルのほうで込み合っていて…

明日、最終章を必ず投下します。

ってかもうこれ短編じゃねえよ……
連載レベルだよ……

この時点で総レス数、約250ってどういうことなの……

302以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:23:32 ID:GDsdAldcO
乙!楽しみにしてるぜ

303以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 00:26:42 ID:sUuOw7xI0

明日が楽しみだ

長編書いてもいいんだぜ(チラッチラッ

304以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 03:08:18 ID:7ZIrv2220


おもしろい!明日期待!!

305以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 09:32:39 ID:vnzidJTs0

全裸で待機させていただきます!押忍!

306 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/21(月) 18:17:50 ID:tAHANt8g0
とりあえず、現段階で投下できる量は投下します。

時間の関係で音楽短編フェスを超えてしまうかもわからんね

307 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/21(月) 18:19:53 ID:tAHANt8g0
最終章:海賊達のマスカレード



( ・∀・)「フィレンクト卿」

(‘_L’)「何だ」

( ・∀・)「出港の準備が整いました。直ちに出発します」

(‘_L’)「そうか。ご苦労」

( ・∀・)「もう間もなくですね……」

(‘_L’)「フフフ……ついに私も秘宝を手にすることが出来るのだ」

(‘_L’)「モララー……よくぞ見つけてくれたな」

( ・∀・)「いえいえ…フィレンクト卿が秘宝を求めるならどこへでもついて行きましょう」

(‘_L’)「お前には…何か褒美をやらないとな」

( ・∀・)「ありがたきお言葉を…………」

(‘_L’)「何が欲しい?地位か?金か?」

( ・∀・)「では……フィレンクト卿が本国に帰還した際に、この島の自治を任せて下さいませ」

308以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:20:44 ID:tAHANt8g0

(‘_L’)「……?こんなゴミ山のような島にか」

( ・∀・)「ええ」

(‘_L’)「構わんが………理解に苦しむな。何故だ?」

( ・∀・)「嫌いだからですよ。海賊というゴミが」

( ・∀・)「人は生まれ持った地位があります。生まれたからにはその運命に従わなければならない」

( ・∀・)「皇帝なら皇帝に。伯爵なら伯爵に。市民なら市民に」

( ・∀・)「奴隷なら………奴隷に」

(‘_L’)「………………」

( ・∀・)「そんな当たり前の事すら受け入れられずに海賊はあの町にのさばり、船を襲い、揚句には貴族を平気で殺す」

( ・∀・)「私の夢は海賊の撲滅、ただそれだけです。そのためならば、どんな手を使っても構わない」

( ・∀・)「私にこの島を任せて下さい。必ずしや2年までに島の海賊を撲滅させて見せましょう」

(‘_L’)「フッ……流石だな…モララー…いや『駆除」よ」


(‘_L’)「いいだろう。その願い承ろうか」

309以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:21:31 ID:tAHANt8g0
  _
( ;゚∀゚)「どういう事だ……?」

('A`)「あっ、キャプテン!おはようございます!!」

( ><)「遅いんです!!」

/ ゚、。 /「もう出港の準備はできてますよ船長」

/ ,' 3「…………………」
  _
( ;゚∀゚)「……………………」

早朝。
俺はデレに指定された港に向かうとありえない光景を見た。
なぜかデレの船に、俺のクルーが乗っている。
それも全員。
  _
( ;゚∀゚)「お、お前らどうしたんだよ!体は大丈夫なのか?」

(#'A`)「キャプテン!どういうことですか!!」
  _
( ;゚∀゚)「……は?」

(#'A`)「あの女性ですよ!!3日前の人ですよね!!」

310以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:22:06 ID:tAHANt8g0
  _
( ;゚∀゚)「知らねえよ!たまたま協力してくれるって言ったんだよ!それより…」

( #><)「見損なったんです!ツンさんがいながらそんなこと……やらしっ!!」
  _
( ;゚∀゚)「そんなんじゃねえよ!!だから…」

/ ゚、。 /「流石に僕も性病は……治せないですよ」
  _
( ;゚∀゚)「人の話を聞け!!殴るぞ!!」

/ ,' 3「……………………」

どういうことだ?
こいつらは『海底』に半殺しにされていたんじゃないのか?
袖の隙間からちらちらと包帯が見えるから、無理しているのは明白だが…。

/ ゚、。 /「ツンさんの具合…どうだったんですか?」
  _
( ;゚∀゚)「あ、ああ。一応命に別状はないそうだが…」

/ ゚、。 /「僕達も行くんですよね?『メデューサの瞳』に」
  _
( ;゚∀゚)「…………知っていたのか?」

/ ゚、。 /「分かりますよ…。あなたの考えていることなんて」

/ ゚、。 /「自分ひとりで抱え込まないでください。僕達はクルーなんですから」

311以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:22:30 ID:tAHANt8g0
  _
( ;゚∀゚)「だが…お前ら、体の方は大丈夫なのか?」

/ ゚、。 /「ええ。ここに来る前にちゃんと診断しておきました。全員、航海に支障はありません」

/ ゚、。 /「それにほら」

ダイオードが船上にいるドクオ達を指さす。

('A`)「この船の操舵室はどこだ?」

( ><)「甲板の裏に入り口があるんです!」

('A`;)「ちょっ!水漏れしてんじゃねか!スカルチノフさーん!板ー!」

/ ,' 3「…………?」

('A`;)「いや…だからえーっとね?こう…ITA?状の物……持ってきて?」
  _
( ;゚∀゚)「………………………」

一人で抱え込むな…か。
確かに俺は全ての問題を自分ひとりの力で何とかしようと思っていたのかも知れない。
  _
( ゚∀゚)「……………………ああ、悪かったよ」

/ ゚、。 /「しっかりして下さいよ船長。あの宝石でツンさんにプロポーズするんでしょう?」

312以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:22:53 ID:tAHANt8g0
  _
( ゚∀゚)「ああ。やっぱもう一度挑戦して……ん?」
  _
( ゚∀゚)「なんでお前知ってんだ?ツンのこと」

/ ゚、。 /「ああ……ドクオさんから聞きました」

('A`;)「ダイオードてめえ!!」
  _
( ゚∀゚)「ドクオ後でこっち来い」

('A`;)「ちょっ……勘弁して下さいよ……」

俺は一息つけてダイオードを見る。
俺はこいつらを過小評価しすぎていたのかもしれない。
  _
( ゚∀゚)「すまねえな。ダイオード。心配掛けた」

/ ゚、。 /「何かあったら僕に言って下さい。なんでも治しますから」

/ ゚、。 /「あっ………恋の病以外なら」
  _
( ゚∀゚)「ぶっ殺す」

ζ(゚ー゚*ζ「皆さん……もうお揃いでしたか」

313以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:23:13 ID:tAHANt8g0
俺達がワイワイと騒いでいると、港からデレがやってきた。
これで全員が揃った。
  _
( ゚∀゚)「どこ行ってたんだ?」

ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと調合しておりまして……」
  _
( ゚∀゚)「調合?なんだ、薬でも持っていくのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「いえ……大したものではありませんわ」
  _
( ゚∀゚)「ふうん……そうかい」

俺は適当にデレの話を流し、船を見る。

ドクオ。
ダイオード。
ビロード。
スカルチノフ。
デレ。

このメンバーで、『メデューサの瞳』が眠る洞窟まで向かう。
これからは俺達全員の力で決着をつけるんだ。
  _
( ゚∀゚)「それじゃあ、行くか」

俺は勢いよく船に乗り込んだ。

314以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:23:32 ID:tAHANt8g0

( `ー´)「………………」

( `ハ´)「……………」

( `ー´)「ジョルジュがいないといまいち盛りあがれネーノ」

( `ハ´)「なんだかんだ言ってアイツが一番この酒場にいたアルネ…」

( `ー´)「アイツ……生きてんのかなあ」

( `ハ´)「さあ……『巨人』に目を着けられちゃあ……おしまいアルヨ」

<*ヽ`∀´>「ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!傑作ニダ!」

<*ヽ`∀´>「最高ニダ!馬鹿ニダ!メシウマニダ!」

( `ー´)「………………」

( `ハ´)「…………………」

<*ヽ`∀´>「アホニダ!強欲だからこうなるニダ!ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

<*ヽ`∀´>「ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」

<ヽ`∀´>「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ……」

315以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:23:57 ID:tAHANt8g0
( `ー´)「…………………………」

( `ハ´)「……………………………」

<;ヽ`∀´>「ヒャ……ヒャヒャ…ヒャヒャヒャ………ヒャ」

( `ー´)「テンション高いな」

<;ヽ`∀´>「なんかごめん」

( `ハ´)「どうかしたアルか?」

<ヽ`∀´>「そ、そうニダ!とっても面白いことになったニダ!!」

<ヽ`∀´>「たった今、カルベに海獣危険警報が発令されたニダ!」

( `ー´)「カルベに…?………あっ!!」

<ヽ`∀´>「フィレンクトとそれを追っかけた奴ら全員が餌食ニダ!!」

( `ー´)「そいつはまたドンマイな話じゃネーノ…」

<ヽ`∀´>「ただでさえ渦潮の激しい海なのに…きっと誰も帰ってこれないニダ!」

316以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:24:18 ID:tAHANt8g0
( `ハ´)「それにしても…海獣警報は分かるが海獣“危険”警報ってのは何アルか?」

<ヽ`∀´>「ああ、なんでも群れで海に現れたらしいニダ」

(;`ハ´)「む、群れで!?」

<ヽ`∀´>「あんな化け物…一匹でもお腹いっぱいなのに数十匹もいるらしいニダ!!」

(;`ハ´)「もう駄目かもわからんね」

ミ;,,゚Д゚彡「………………」

<ヽ`∀´>「まぁ、帰ってこれたら凄いニダ」

( `ー´)「もしかしたら結局だれも『メデューサの瞳』を手に入れられないんじゃネーノ?」

( `ハ´)「その可能性はあるアルネ」



ミ;,,゚Д゚彡(大丈夫だろうな……ジョルジュ…)

ミ;,,゚Д゚彡(無事……帰ってこいよ…)

317以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:24:30 ID:G4I0mlNYO
がんばれー

318以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:24:41 ID:tAHANt8g0
  _
( ゚∀゚)「静かだな……」

ζ(゚ー゚*ζ「そうですね……」

空は快晴。
波も穏やか。
嵐の前触れのように能天気な海の上を俺達は進む。
風も強くはないので突然の時化に警戒することもない。

ζ(゚ー゚*ζ「こんなに陸から離れた海に来たのは初めてです」
  _
( ゚∀゚)「……?じゃあこの船は何なんだよ」

俺達が使っている船は明らかに性能が良く耐久性に優れている長距離用の帆船だ。
そもそも女性が一人で船を所有しているだけでもずいぶん驚きだが。

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、これも盗品ですよ」
  _
( ゚∀゚)「………………」

ああ、そう。

ζ(゚ー゚*ζ「ところで……この船の指針は大丈夫なのですか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ。大丈夫だ」

319以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:25:02 ID:tAHANt8g0
俺はポケットから望遠鏡を取り出し、デレに渡した。
デレは何だか分からないような顔をしながらも望遠鏡を受け取り、レンズを覗く。
  _
( ゚∀゚)「前に船がいるのがわかるだろう?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。ですがフィレンクト卿の船ではなさそうですが……」
  _
( ゚∀゚)「それでいいんだ」

俺は遠くにいる船に指をさし、デレにわかりやすく説明する。
  _
( ゚∀゚)「俺達にも『メデューサの瞳』を狙ってる奴がいるのは知っているな?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ、私が調べただけでも30以上はいます」
  _
( ゚∀゚)「あの船もその一つだ」

ζ(゚、゚*ζ「え…?」

デレはもう一度望遠鏡を覗き船を見る。
船のマストに掲げられた海賊期を確認した後、俺の顔を見た。
  _
( ゚∀゚)「あれも宝石を奪おうとしているなら、フィレンクトの船を追っているはずだ」

320以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:25:23 ID:tAHANt8g0
ζ(゚ー゚*ζ「なるほど……その追っている船を追っていると」
  _
( ゚∀゚)「あたり」

実際、海上でフィレンクト卿と当たるのは避けたい。
どんなに戦術や経験があろうとも、向こうの船の設備の方が上だ。
こればかりは怒りに任せるほど馬鹿な俺じゃない。

負けるもんは負ける。
これを理解しているかどうかで戦況は大きく変わる。
俺達は上陸した後を狙う作戦でフィレンクト卿に挑む事にした。

/;゚、。 /「船長!!大変です!!」

その時、突然マストに登っていたダイオードが叫ぶ。
何やらただ事では無いようだ。
ダイオードは進行方向をまっすぐ見つめていた。
  _
( ゚∀゚)「どうした!敵か?」

/;゚、。 /「目の前に渦潮が現れました!!しかもかなり大きめの!!」
  _
( ゚∀゚)「何?」

ζ(゚ー゚*;ζ「う、渦潮…!?……………きゃっ!!」

俺はデレから望遠鏡を取り上げ海を見る。
その円の中にははっきりと大きな2つの渦が映っていた。

321以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:25:43 ID:tAHANt8g0
  _
( ゚∀゚)「ビロード!!」

( ><)「はい!」
  _
( ゚∀゚)「ドクオに指示を頼む」

( ><)「了解なんです!!」

ビロードは船首に乗り、コンパスを開く。
そのまま海を真剣に見つめ、ブツブツと何かを呟きだした。

( ;><)「………………」ブツブツ

ζ(゚ー゚*;ζ「……彼は何をやっているんですか?」
  _
( ゚∀゚)「いいから黙ってろ」

この船から渦までの時間はざっと10分といったところか。
カルベの海は不規則に渦が現れる事で知られている。
とくに一度渦が発生すると、そのエリアに集中的にうじゃうじゃと現れる。
まるで船を飲み込もうという意思でもあるかのように。

( ;><)「わかったんです!!」

突然、ビロードは立ち上がり振り返った。
どうやらビロードの読解が終わったようだ。

322以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:26:02 ID:tAHANt8g0
( ><)「ドクオ!!11時半の方向に舵を!」

('A`)「おーらいっと……」

ドクオは操舵輪を寸分狂わぬ正確さで回す。
船は少しだけ進路を変え、先へ進む。

( ><)「…………うん、ピッタリなんです!」

ビロードは船の進路を確認した後、ドクオにわかるように両手で大きな丸を作った。
どうやら進路は確定したらしい。

ζ(゚ー゚*;ζ「た、たったこれだけですか!?」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ」

ζ(゚ー゚*;ζ「だって……この角度では渦に巻き込まれてしまいますよ!」
  _
( ゚∀゚)「うるせえな。うちの航海士と操舵手を信じろ」

/ ゚、。 /「前方右手と左手に新たな渦が一つずつ出現しました!!」

見張りのダイオードが声を張った。
よくみると今まで何も無かった海に新しい渦が出現していた。
だが俺達の乗った船は全く影響を受けず、渦の隙間をかい潜り、そのまま真っ直ぐに進んだ。

323以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:26:22 ID:tAHANt8g0
ζ(゚ー゚*;ζ「え?……そ、そんなことが……」
  _
( ゚∀゚)「どうだ?うちの航海士と操舵手の腕は」

ζ(゚ー゚*;ζ「………恐れ入りました」

ビロードは波のスペシャリスト。
渦だろうと、荒波だろうと奴に読めない波は無い。
波の動きから魚がいる場所まで特定することができる。

そしてドクオは人間分度器。
こいつは何も見なくても正確な角度を図ることができる。
こいつに好きな方向を指示すれば針の太さレベルで正確に船を走らせる事も可能だ。

俺の船はコイツラがいる限り、遭難はおろか漂流さえも許さないのだ。

/;゚、。 /「前方…さらに渦が増えてきました!!2時に1つ、11時に2つ、正面に2つです!」

( ;><)「了解なんです!」

('A`)「とりあえず1時に向けとくぞ!!変更はあるか?」

( ><)「1時は渦が発生する可能性が高いです!!進路は……10時40分の方角で!!」

('A`)「あいよ〜!!」

あれ程大量に現れた渦も障害とは思えない程にすいすいと避けていった。
まるで渦の方が逃げているようだ。

324以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:26:39 ID:tAHANt8g0
結局、俺達は進路に苦労することなく渦潮を潜り抜けた。

/ ゚、。 /「……?船長!!後方から船がやって来ます!!」
  _
( ゚∀゚)「船だあ?」

俺は後方甲板まで走り、背後の海を見渡す。
望遠鏡を使うまでも無く、肉眼で捕らえる距離で船は迫ってきていた。
俺は望遠鏡を取り出し、旗と乗組員を見た。

旗は海賊旗。
どうやらあの船は海賊船らしい。
そして、甲板には覚えのある顔が2つあった。


【( ,,^Д^) (^Д^ )】

  _
( ゚∀゚)「あいつら……生きていたのか」

ζ(゚ー゚*ζ「誰ですか?」
  _
( ゚∀゚)「俺がデレと初めて会った時にあんたを襲ってた……」

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、貴方の気を引かせる為にわざと私から挑発したあの二人組ですね」
  _
( ;゚∀゚)「………………」

325以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:26:59 ID:tAHANt8g0
( ><)「………………!?」

( ;><)「え……………………?」

( ;><)「…………………」

( ;><)「…………何だろう」

( ;><)「………波がおかしいんです」



奴らは運よく渦に遭遇せず俺達の元へたどり着いた。
最初は逃げようかと考えたりもしたが、あいつらの為に進路変更するのもめんどくさかったので、結局何もせず進む事にした。

( ,,^Д^)「何処の三流海賊かと思えば……この前の卑怯野郎じゃねえか」

( #^Д^)「ああ!?あの女……やっぱりお前らグルだったのか!!」

( ,,^Д^)「何処までも汚え野郎だな!!」
  _
( ゚∀゚)「…………俺達はグルだったのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「まあ…………そうなんですかね?」

326以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:27:18 ID:tAHANt8g0

( ,,^Д^)「いくら戦闘で強くても…海上で俺らに勝てるかな…?」

( ^Д^)「許しを請いたってもう遅えんだよ!!」

向こうの甲板でワイワイと騒ぐ連中。
正直だいぶストレスが溜まる。
無視できないのが辛いところだ。
  _
( ゚∀゚)「……どうする?戦うか?」

('A`)「まあ……どっちでも」

/ ゚、。 /「弾の無駄じゃないですかね」

ζ(゚ー゚*ζ「でも……しつこそうですよ?」

( ;><)「……………………まずい」

俺達があれこれ相談している中に、ビロードが大声を上げた。

( ;><)「船長!大変です!」
  _
( ゚∀゚)「ん?どうした?」


( ;><)「海獣が迫ってきているんです!!」

327以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:27:37 ID:tAHANt8g0
  _
( ゚∀゚)「何だって……?」

( ;><)「すぐそこまで来ているんです!!」

俺は海を見る。
しかし、なにか動物がいるような気配はない。
だがビロードの波を読む力は絶対だ。
従わなければならない。
  _
( ;゚∀゚)「どこへ逃げればいい!?」

( ;><)「えーっと……このまま前進で大丈夫です!なので全速力でお願いします!!」
  _
( ゚∀゚)「よし!前進だな!」

俺は帆を全開にし、風の有効範囲を広げた。
これで先ほどよりもスピードは上がる。

( ,,^Д^)「おい!逃げるのか!?」

( ^Д^)「この腰ぬけが!!」

連中がなにかわめいているが聞いている暇はない。

328以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:27:58 ID:tAHANt8g0
  _
( ;゚∀゚)「悪いな!!生きて帰れたら相手してやるよ!」

俺は軽く挨拶だけ済ますと、すぐに逃げる準備をした。

(#,,^Д^)「おい!何を言って……!!」

( ;^Д^)「お、おい兄貴!!」

( ,,^Д^)「ああ?どうした」

( ; Д )「し……………下、下…」

2人組の一人が血相を変えた目で海を指さした。
まさかもう来たのか…?

( ,,^Д^)「ああ?下?」

もう一人も怪訝そうな顔で海を見た。




するとその瞬間、巨大な物体が飛び上がった。

329以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:28:23 ID:tAHANt8g0

('A`;)「は?……………え?な、何?」


その物体は船を噛み砕いた。


( ;><)「え……………………」


バキバキと音を立てる船体。


/;゚、。 /「あ……あああ……あ…」


それは生物というよりも、壁に近かった。


ζ(゚ー゚*;ζ「こ……これが…海獣……!」


巨大肉食ザメ……通称、海獣。


/ ,' 3「…………………………」

  _
( ;゚∀゚)「……………………に」

330以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:28:41 ID:tAHANt8g0
  _
( ;゚∀゚)「逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

俺は大声で叫んだ。

('A`;)「うわああああああああああああああ!!」

俺は帆を前回まで広げ、風を最大限に受け止める。

( ;><)「なんですかあれ!なんですかあれ!!わかんないんです!!」
  _
( ;゚∀゚)「いいから急いで逃げるぞ!!どこへ向かえばいい!」

( ;><)「えっ!?あ、…あああ!前進で大丈夫です!」
  _
( ;゚∀゚)「前進で良いんだな!!おい漕ぐぞ!」

俺は倉から緊急用のオールを数本取り出し、甲板に放り投げた!
  _
( ;゚∀゚)「暇な奴は漕げ!今のうちにできるだけアイツから遠ざけるぞ!!」

俺の号令にハッとなり、手の余った奴はすぐさまオールを掴ん漕ぎ始めた。
通常の倍以上のスピードでその場を後にする。

アイツらには申し訳ないが囮になってもらおう。

331以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:29:00 ID:tAHANt8g0
  _
( ;゚∀゚)「ハァ……ハァ……ハァ……」

('A`;)「うう…ゲホッ!ゴホッ!!ああ…ああああ」

ζ(゚ー゚*;ζ「ハァ……ハァ……」

/;,' 3「…………………」

( ;><)「…………えっと、なんとか進路も無事元に戻りました」

俺達は何とか海獣のいた海からだいぶ遠くまで離れることができた。
大海原を右往左往。
迷子もびっくりな逃走劇だ。
  _
( ;゚∀゚)「糞っ……無駄な体力を使っちまった……」

ここで寝転んでいたいがそうしている場合ではない。
俺は甲板に倒れこみ、大の字になって寝そべった。

/;゚、。 /「あの……………船長」
  _
( ;゚∀゚)「大丈夫だ。すぐに起きる」

/;゚、。 /「いえ、そうではないんですが……」

/;゚、。 /「何か聞こえませんか?」

332以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:29:20 ID:tAHANt8g0
  _
( ゚∀゚)「聞こえる?……もしかしてまた海獣か?」

/;゚、。 /「いやそういう類の音じゃなく…もっとこう……音楽みたいな…」
  _
( ;゚∀゚)「音楽だあ?」

なんでこんな何もない海の上で音楽が聞こえるんだよ。
波の音しか聞こえないような世界で。

/;゚、。 /「あっ、ほら聞こえますよ……よく聞いてみて下さい」
  _
( ゚∀゚)「何だよ一体……」

最初はダイオードの冗談かと思っていたが、あまりにも聞こえると言うので真剣に耳を澄ましてみた。
そんな…音楽なんて俺が一番聞きた……

〜♪〜〜〜♪♪〜〜♪〜〜♪〜
  _
( ゚∀゚)「……………」

/ ゚、。 /「ね?聞こえましたよね」

そんな馬鹿な。

333以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:29:42 ID:tAHANt8g0
これは間違いなく音楽だ。
しかもこれは交響曲。
弦楽器、金管楽器、木管楽器、打楽器、鍵盤楽器が合わさり美しい音色を奏でている。
だが何故こんなところで聞こえてくるんだ…?

('A`;)「船長!大変です!3時の方角より海賊船が迫ってきてます!!」
  _
( ゚∀゚)「…………何?」

俺は走ってドクオが指した海を見る。
もはや望遠鏡など必要のないほどの距離に、その船はいた。
俺らに用があるのかは知らないが、近付いている事だけは事実だ。

その時、あることに気付いた。
音楽もだんだんと大きくなっている。
この音楽はあの船から聞こえてきたのだ。
  _
( ゚∀゚)「どうなってやがる…!」

俺は望遠鏡で件の船を見る。
よく見ると、その船の甲板に音楽隊がいた。
指揮者は熱烈と指揮を振り、それに合わせて演奏者たちが音色を奏でている。

ドクオの見間違いかと思ったが、確かに海賊旗は掲げられていた。

334以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:30:06 ID:tAHANt8g0
  _
( ゚∀゚)「……………お?」

そうこうしていると、演奏が終わった。
そのうち、指揮をしていた一人の男がこっちへ歩いてきた。
船の手摺まで付くと、奴は大きくこっちに向けて手を振った。

  _
( ;゚∀゚)「………………なっ!!」

望遠鏡を見なくてもその男の正体がわかった。
そいつは俺にとってとても馴染みのある顔だった。

( ;><)「あ…あの人は…!!」



  _
( ;゚∀゚)「来ていたのか………ここに」








爪'ー`)「よう『決闘』。元気にしていたかい?」

335以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:30:27 ID:tAHANt8g0
そこにいたのは『楽譜』だった。
音楽家とは聞いていたが、まさかここまでするとは。

爪'ー`)「楽しんでくれたかい?オーディエンスの皆さま」
  _
( ;゚∀゚)「後ろの音楽隊は…お前の部下か?」

爪'ー`)「ああ、そうさ。全員プロ並みの技術を持ち合わせているぜ」
  _
( ;゚∀゚)「ああ…驚いた」

こんな危険な海でそんなことすんなよ。
フォックスがタクトを振ると、音楽隊連中はぞろぞろとどこかへ去って行った。

爪'ー`)「……無事だったのか」
  _
( ゚∀゚)「……ああ、おかげさまでな」

この数日間、こいつには色々と借りを作ってしまった。
こいつがいてくれたから今の俺がいると言っても過言ではないだろう。
  _
( ゚∀゚)「礼を言う。お前と出会えて良かったよ」

爪'ー`)「何だい急に…照れるじゃねえか」

336以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:30:37 ID:Gdox1UL20
おお最終章か。
楽しみにしてます。

337以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:30:48 ID:tAHANt8g0
爪'ー`)「良いってことよ。一ファンのお節介程度に思っておけば」
  _
( ゚∀゚)「いや、これはけじめだ、本当にありがとう」

爪'ー`)「なんだよ。礼を言われたらダイアでもくれんのかい?」

『楽譜』はクスクスと笑いながら俺に向かってこう告げた。

爪'ー`)「何か願い事を聞いてくれるってんなら…そうだな」

爪'ー`)「俺の言葉を一つだけ思い出してくれ」
  _
( ゚∀゚)「お前の……?」

コイツは何か言ったっけか?
俺はこいつと出会ってから今までのことを思い返す。






爪'ー`)「言っただろ?戦うのは海上でってな」

338以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:31:07 ID:tAHANt8g0
  _
( ゚∀゚)「………………」

爪'ー`)「おいおい…まさか忘れたわけじゃあ…ねえよな」
  _
( ゚∀゚)「ああ…。はっきりと覚えてるぜ」

そうだ。
街でいくら恩の着せ合いをしても海に出れば話は別だ。
互いの目的は同じ。
ならば俺達は互いに全力で潰し合わなければならない。

爪'ー`)「なあ『決闘』。俺が何故『楽譜』って呼ばれているか知っているかい?」
  _
( ゚∀゚)「……楽譜のように無機質だからか?」

爪'ー`)「違う」




爪'ー`)「……穴を空け過ぎて…相手の船が楽譜みたいになっちまうからだよ」
  _
( ;゚∀゚)

その瞬間、奴の船のありとあらゆる場所から砲台が現れた。
その数二十……いや三十はあるか。
全てが俺らの船に向いていた。

339以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:31:28 ID:tAHANt8g0
爪'ー`)「どうだ?これが俺の戦い方だよ」
  _
( ;゚∀゚)「すげえな……金の使い方間違ってるんじゃねえのか?」

爪'ー`)「そんなことはない。まあこれの為に少々船を軽くする必要があったがな」

重々しい威圧感が俺達の船にのしかかる。
あんな要塞みたいなのと俺らは戦わなければならないのか。

ζ(゚ー゚*;ζ「ど、どう言うことですか…?まさか…」
  _
( ;゚∀゚)「悪いことは言わねえ。最悪のシナリオをイメージしておけ」


爪'ー`)「…さて、まもなく開演します。ごゆるりとお楽しみを」

爪'ー`)「狂騒交響組曲より、序曲、狂詩曲、円舞曲、そして最終楽曲をどうぞ」

そう言うと『楽譜』はタクトを大きく上に上げた。
その棒が振り下ろされた瞬間、一斉に大砲から砲弾が飛び出してきた。

('A`;)「うわっうわっうわああああああああああああああああああ!!」

ドクオは操舵輪を極限まで回し、船を旋回させた。
大砲は当たることはなかったが、海に落ちて水面下で爆発した。
高い水柱が船の傍でいくつも起きた。

340以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:31:47 ID:tAHANt8g0
('A`;)「やだああああああああああああああああああああ!!」

このままでは俺達は海の藻屑になってしまう。
なんとか手を打たなければ。
俺はうろうろ慌てふためいているクルーに怒鳴りつけた。
  _
( ;゚∀゚)「手が空いている奴は砲台をセットしろ!!」

( ;><)「は、はいなんです!!」

ζ(゚ー゚*;ζ「ど、どうするつもりですか!?」
  _
( ;゚∀゚)「俺らも撃つに決まってんだろ!!やられっぱなしでたまるか!」

俺はビロードを連れて砲台室に入った。
素早く、弾をセットしマッチで火をつける。
大砲数は明らかに俺らの方が下だが、何もしないよりはましだ。

('A`;)「きゃあああああああああああああああああああああああ!!」
  _
( ;゚∀゚)「うおああ!!」

( ;><)「ど、ドクオ!?急にどうしたんですか!?」

船が急激なカーブを切り、俺達は壁に叩きつけられた。
放った砲弾は全く見当違いな場所に飛んでいってしまった。

341以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:32:09 ID:tAHANt8g0
爪'ー`)「さあ、オーバーチュアも終わりまして…続いてはラプソディー」
  _
( ;゚∀゚)「!?」

俺達が慌てふためいている間に、『楽譜』の船に変化があった。
甲板の大砲の首が高く上がっている。
まるで空に向かって撃つかのように。

爪'ー`)「さあ!存分に狂え!」

大砲が一気に発射する。
しかし今度と違う点は、タイミングをずらして真上から降ってくるということだ。
  _
( ;゚∀゚)「おおおおおおおおお!?」

('A`;)「ずあああああああああああああ!!」

前からだけではなく上空からも降ってくる。
2方向の攻撃を防ぐのは相当な至難の業だ。

前からの襲撃を避けるので精いっぱいだったドクオもついにパニックに陥り、何も考えずに舵を切るようになってしまった。

('A`;)「ウミコワイイイイイイイイイイイイイヨオオオオオオオオオオ!!」
  _
( ;゚∀゚)「おい!ドクオ落ち着け!!」

その瞬間、傍で大きな音がした。

342以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:32:32 ID:tAHANt8g0
/;゚、。 /「サブマストがやられました!!」
  _
( ;゚∀゚)「な、何だと!?」

俺は急いで甲板に戻る。
そこには燃え盛るサブマストの姿があった。
  _
( ;゚∀゚)「糞っ…!!」

俺は剣を抜き、マストを根元から切り裂いた。
マストは倒れ、そのまま海へと着水し、沈んでいく。
流石にこんな状態で無傷で助かろうと思う方が無理か。

爪'ー`)「そして。ワルツ……。華麗なる舞曲をお楽しみください」

『楽譜』の指揮の合図に、奴らの船が動きだした。
俺達の船を中心に、弧を描くように回る。
しかし、その間も砲撃は続いていた。
  _
( ;゚∀゚)「全方向から撃ってくるってか!!」

奴らの船が移動したことにより、ついに攻撃が2方向どころではなくなった。
様々な角度から攻撃は続く。
その後も、2度砲撃にあったが幸運にも船が沈むような致命的な攻撃は避けられた。

343以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:32:56 ID:tAHANt8g0
何よりまずいのはこちらの攻撃が全く当たっていないところにある。
ただでさえ砲台の数は少ないのに、ドクオの不規則運転、奴らの移動により俺らの砲台の軌道は読めなくなってしまったのだ。
俺はドクオに何度も目を覚ますよう叫んだが、パニックに陥って俺の声が届いていない。

ζ(゚ー゚*;ζ「ど、どうするんですか!?」
  _
( ;゚∀゚)「待ってろ!今考えてる!!」

俺まで判断に冷静さが欠けてしまっている。
頭を掻き回し、無い知恵を振り絞る。


( ;><)「うう〜…全然当たらないんです……」

/ ,' 3「……………」チョイチョイ

( ;><)「え…?なんですかスカルチノフさん…」

/ ,' 3「………………」クルクル

( ;><)「え?か、代わりたいんですか?」

/ ,' 3「……………………」コクコク

344以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:33:14 ID:tAHANt8g0
その時、『楽譜』の船から大きな爆発音が聞こえた。
  _
( ;゚∀゚)「!!」

爪;'ー`)「な、なんだ!?」

見ると、甲板の砲台から大きな煙が出ている。
どうやら砲台付近で爆発が起き、そこから他の砲台に誘発して爆発を引き起こしたのだ。
  _
( ;゚∀゚)「整備が悪かったのか…?」

そう思っていた矢先、俺の船から一発の砲弾が飛び出した。
その弾は『楽譜』の船の側面に見事に命中し爆破した。
  _
( ;゚∀゚)「おい!誰だ撃ったのは!!すげえぞ!」

俺が砲台室に戻ると、大砲を構えているスカルチノフの姿があった。

( *><)「スカルチノフさん…すごいんです!!」
  _
( ;゚∀゚)「お前かスカルチノフ!!」

/ ,' 3「………………………」

なんて隠れた才能だ。
まさか異国の地で見つけた船大工が砲撃のセンスを兼ねそろえているとは。

345以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:33:39 ID:tAHANt8g0
スカルチノフの才能はすさまじく、奴が放った砲弾は確実に敵船にダメージを与えていた。
ドクオが荒々しい運転をしているおかげであっちの攻撃もそんなに当たらない。
俺はこいつらを部下にして本当によかったと思っている。

爪;'ー`)「糞!……あんな優秀な人材がいたとはな…」

爪;'ー`)「そろそろ頃合いか……」

爪'ー`)「お前ら!!フィナーレに移るぞ!!」

『楽譜』がまたタクトを振り上げた。
すると、奴らの船は向きを変え、俺達の船に迫ってきた。
今まで一定の距離を保っていた連中が攻めてくる。
  _
( ;゚∀゚)「アイツ…一気に攻める気か」

ζ(゚ー゚*;ζ「どうします…?近寄られたら勝ち目はありませんよ?」

分かっている。
アイツらに足りないのは命中力だ。
それは近付いてしまえば簡単に補える問題だ。
  _
( ;゚∀゚)「待ってろ……今考える」

考えろ。
この窮地…どうやったら挽回できる?

346以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:34:00 ID:tAHANt8g0
  _
( -∀-)「………………」
  _
( ゚∀゚)「よし………」

ζ(゚ー゚*ζ「決まったんですか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ。決まった」

アイツらがアイツらの戦い方をしているのなら、俺は俺の戦い方をすればいい。
  _
( ゚∀゚)「おい、みんな聞け!」

('A`;)「!!」

俺の号令にあのドクオまでも耳を傾けた。
これで、全てを終わらせる。




  _
( ゚∀゚)「今から最後の作戦に移る。よく聞け」

347以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:34:22 ID:tAHANt8g0
爪'ー`)「…………………?」

爪'ー`)(船の動きが止まった……?)

爪'ー`)「おい、砲撃を止めろ」

爪'ー`)「……………こりゃあ何かあるな」

爪'ー`)「さあ……………どう出る?『決闘』」



  _
( ゚∀゚)「準備は良いか?」

ζ(゚ー゚*;ζ「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
  _
( ゚∀゚)「あ?大丈夫に決まってんだろ?子供のころやらなかったか?」

ζ(゚ー゚*;ζ「やってませんよ!」

( ;><)「船長!!準備おっけーです!」
  _
( ゚∀゚)「よし!じゃあスカルチノフ頼んだ!」

/ ,' 3「…………………」コクコク

348以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:34:51 ID:tAHANt8g0
爪'ー`)「!!(砲撃か…?)」

爪;'ー`)「……………………」

爪;'ー`)「飛んできたのは砲弾……………じゃ…ない」

爪;'ー`)「まさか………………………」
  _
( ゚∀゚)「うおおあああああああああああああああああああああああああああ!!」

爪;'ー`)「に……人間大砲!?」

俺は大砲によって『楽譜』の船の甲板まで飛んだ。
空中で宙返りをし、ピタッと足を甲板に付けた。


爪;'ー`)「……………はっ…最高だよあんた…」






  _
( ゚∀゚)「よう『楽譜』。元気にしてたかい?」

349以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:35:15 ID:tAHANt8g0
最後の作戦。
これは俺が単身で敵船に乗り込むことだった。
別にここで全員と戦うのもかまわないが、俺には考えがあった。

『楽譜の』部下が一斉に武器を構える。
しかし、奴はそれをタクトの一振りで制した。

爪'ー`)「まだ演奏は終わってないんだ。席から立たないでもらいたいね」
  _
( ゚∀゚)「気にすんな。俺は独奏だ」

爪'ー`)「…………あんたがここに来た真意を聞きたいね。……まあ大方見当はつくが」
  _
( ゚∀゚)「だろうな」

たった1日だが、俺はこいつとともに街を掛け回った。
それだけで相手の考えてることなんてわかるもんさ。
  _
( ゚∀゚)「別にお前ら全員を相手にしてもいいんだが…」
  _
( ゚∀゚)「どうせ決着をつけるなら被害は最小限に抑えたい……そう思わないか?」

爪'ー`)「だとしたら……どうなる?」

もちろん答えは一つだ。


  _
( ゚∀゚)「決闘だ」

350以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:35:42 ID:tAHANt8g0
爪'ー`)「……思いもしなかったよ。あんたが俺に決闘を申し込むなんてね…」
  _
( ゚∀゚)「そうか?俺は誰でも構わず申し込むが」

爪'ー`)「………………いいぜ。受けて立つよ」

『楽譜』は腰に掛けられた2丁の銃を取り出す。
俺も剣を抜こうとしたら、『楽譜』はそれを制した。

爪'ー`)「あんたが決闘を申し込んだんだ。ならルールは俺が決めてもいいだろう?」
  _
( ゚∀゚)「ああ、構わねえよ。何がいい?」

奴は拳銃を前に突き出し、俺に見せる。

爪'ー`)「このどちらかを選んでくれ。この決闘ではこの2つの拳銃だけ使う」
  _
( ゚∀゚)「……撃ちあいか」

爪'ー`)「その通り。互いに背を向けあい1つカウントするごとに一歩前に前進する」

爪'ー`)「5つのカウントが0になった瞬間、振りかえり引き金を引く……立っていられた方が勝者だ」

面白い。
手っ取り早く、且つコストが少ない。
理想の決闘方法だ。

351以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:36:01 ID:tAHANt8g0
  _
( ゚∀゚)「この銃……どっちかは弾が出ないなんてことはねえよな」

爪'ー`)「それは無い。あったとしても選ぶのはあんただ」
  _
( ゚∀゚)「まあ…そりゃあそうか」

ここで銃を不平等にするのは所有者側の方が辛いだろう。
もし俺が弾の入っている王を選んだ場合、そいつはただの的になるからだ。
俺は2つの拳銃をじっと見比べる。
特に性能にも変化はなさそうだ。
  _
( ゚∀゚)「じゃあ…俺はこいつを選ぶ」

俺は『楽譜』左手に握られている拳銃を手に取った。

爪'ー`)「そっちでいいんだな?」
  _
( ゚∀゚)「ああ、構わない」

俺達は拳銃をしっかりと握ると、所定の位置についた。

爪'ー`)「もう一度ルールを確認する」

爪'ー`)「カウントは5つ。1つ数えるたびに一歩進む」

爪'ー`)「カウントは…そうだな、おいそこのお嬢さん」

そう言うと『楽譜』はデレに向かって声をかけた。

352以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:36:20 ID:tAHANt8g0
ζ(゚ー゚*ζ「は…はい?」

爪'ー`)「ちょっとカウント係を頼んでくれねえかな。5つ」

ζ(゚ー゚*ζ「え、ああ……わかりました」

でれは困惑しながらも、その役目を受け入れた。

爪'ー`)「そして彼女が0と言った瞬間に振りかえり、拳銃の引き金を引く」
  _
( ゚∀゚)「後は生きるか死ぬかか……いいぜ。質問はねえ」

爪'ー`)「……………そうか。それじゃあ始めよう」

俺達は振り返り、背と背を合わせた。
一昨日、『駆除』に襲われたあの日を思い出す。

爪'ー`)「おそらく……あんたも同じことを考えてるんだろうな…」
  _
( ゚∀゚)「お前もか」

この決闘は俺が生きていた中でもっとも価値のある決闘になるかもしれない。

爪'ー`)「それでは始めよう」

353以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:36:39 ID:tAHANt8g0
ζ(゚ー゚*ζ「5………」

俺と『楽譜』は一歩ずつ前に出た。
触れた背中が解かれる。
相手の気配はまだ肌で感じられる。

ζ(゚ー゚*ζ「4………」
  _
( ゚∀゚)「……………………」

爪'ー`)「……………………」

また一歩。
これで奴がどのようにしているのか分からなくなった。
ギャラリーは息を飲む。

ζ(゚ー゚*ζ「3………」

一歩。
俺達は進む。
相手を撃つ距離を求めて。

354以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:37:02 ID:tAHANt8g0
ζ(゚ー゚*ζ「2………」

爪'ー`)「………………………」

爪'ー`)(すまねえ『決闘』……)

爪'ー`)(俺はこう見えても臆病者でね……できる限り敵を自分の陣地に入れたくないんだよ)

爪'ー`)(だから俺は長距離の向く武器を選んだ。これで俺は安心できるからな)

爪'ー`)(この船に入ってきた時点であんたの勝ちは決まってるようなもんだよ)

ζ(゚ー゚*ζ「1………」

爪'ー`)(だが俺は部下の前ではどうしても負けられねえんだ)

爪'ー`)(だからあんたに罠を張った。許してくれ)

爪'ー`)(この銃には安全装置が付いていてそれを外さないと弾は出ない仕組みになっている)

爪'ー`)(装置のレバーはかなり見分けのつかないところだ。知らない奴が見たってほぼ確実に分からないだろう)

爪'ー`)(あんたの銃は……弾が出ないんだよ)

爪'ー`)(この勝負は……勝たせてくれ。悪いな)

355以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:37:19 ID:tAHANt8g0
ζ(゚ー゚*ζ「0!」

  _
( ゚∀゚)「!!」

爪'ー`)「!!」

その瞬間、俺達は一斉に振り向き、銃を構え、引き金を引いた。

しかし、鳴った銃声は1つだけだった。

鳴り響く銃声。
動きが止まる俺と『楽譜』。
傍から見ればどっちが撃ったのかさえ分からない。
  _
( ゚∀゚)「………………………」

爪'ー`)「………………………」





爪;'ー`)「が…………………っ!」

次の瞬間、『楽譜』は腹を押さえて膝をついた。

356以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:37:38 ID:tAHANt8g0
直ぐに奴の周りに部下が集まった。
しかし、『楽譜』はそれを払う様に手を振り、部下を近寄らせなかった。

爪;'ー`)「流石だ……!!恐れ入ったよ……」
  _
( ゚∀゚)「……何の話だ?」

爪; ー )「そんな……とぼけちゃってさあ…!!」

奴は俺の手に握られた銃を見る。
それは右手に握られた奴の銃では無く、左手に握られた俺の銃だった。

爪; ー )「確かに……他の銃を使っちゃいけないとは…言ってなかったな」

そう言うと奴はその場に倒れこんだ。
今度こそ部下が集まり、『楽譜』に肩を貸し、船の中へと引っ込んで行った。

爪; ー )「楽しかったよ……ありがとうな」
  _
( ゚∀゚)「馬鹿。それは俺のセリフだ」

奴は俺の方を振り向かず、大きく手を上げると最後にこう言った。

爪; ー )「あばよ。ジョルジュ」

俺もその言葉に返した。
  _
( ゚∀゚)「じゃあな。フォックス」

357以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:37:59 ID:tAHANt8g0
(*‘_L’)「おおおおお……こ、これがあの…」

( ・∀・)「ええ…。これが『メデューサの瞳』です」

(*‘_L’)「なんという美しさだ…。恐ろしい……」

( ・∀・)「どうぞ。フィレンクト卿。貴方様の手でお納めになって下さい」

(*‘_L’)「あ、ああ……」

(‘_L’)「………………………」

(‘_L’)「………………素晴らしい。持っているだけで威圧感を感じるよ」

( ・∀・)「これで…その秘宝はフィレンクト卿の物でございます」

(*‘_L’)「やった……やったぞ…!!これで…これでこの宝石は私の物だ!!」

( ・∀・)「おめでとうございます。フィレンクト卿それでは早々に立ち去り…」



「待てゴルァ!!」

358以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:39:01 ID:tAHANt8g0
( ・∀・)「……?」

(‘_L’)「誰だアイツらは……」

(,,゚Д゚)「どうやら俺が一番乗りのようだな…」

( ・∀・)「あれは……『金欠』」

(,,゚Д゚)「おう!糞役人共!!今すぐその宝石をよこせ!!」

(‘_L’)「ふん……品の無い奴だ」

( ・∀・)「フィレンクト卿……危険ですので下がって下さい」

(,,゚Д゚)「どうする!?命を選ぶか!!宝石を選ぶか!さあ答えろ」

(‘_L’)「こうなる事であれば先発隊にクックルを連れて来るべきだったな」

( ・∀・)「ご安心を……。あの程度の海賊……私一人の手で何とかしましょう」

(,,゚Д゚)「ああ!?何だお前……」

( ・∀・)「身分を弁えましょう。私は貴方のようなゴミと話すつもりはありませんので」

(,,゚Д゚)「あぁ…?てめえ潰されてえのかゴルァ!!」

359以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:39:22 ID:tAHANt8g0

( ・∀・)「宝石は渡しません。そのかわり相手はしてあげますよ」

(,,゚Д゚)「て、てめぇ!!うるあああああああああああ!!」

( ・∀・)「ああ……一つ言い忘れていました…」

( ・∀・)「そこから3歩先より前に近寄らない方がいい」

(,,゚Д゚)「はっ!!今更命乞いか!?てめえら!!殺せ!」



( ・∀・)「……馬鹿な真似を……」


(;,,゚Д゚)「!!」





(;,,゚Д゚)「なっ……!!」

360以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:39:47 ID:tAHANt8g0
  _
( ゚∀゚)「……ここだな」

( ;><)「距離や方角から判断して……ここで間違い無いんです!」

/ ゚、。 /「向こうにフィレンクト卿の船がありました!!」

岩場の奥から岩と岩を飛び移りながらダイオードが帰ってきた。
なるほど。
フィレンクト達は向こうに船を停めたのか。
  _
( ゚∀゚)「じゃあ確定だな」

カルベの海のど真ん中にひっそりとたっていた巨大な岩の数々。
島と呼ぶには小さく、岩と呼ぶには広過ぎた。
その中に明らかに人工的に作られたであろう穴が存在した。
この中に『メデューサの瞳』はあるようだ。

今のところ見つけた船は3つ。
つまりそれ以外の船は全て途中で頓挫したようだ。

('∀`)「さあ、行きましょうキャプテン!」

意気揚々とはしゃぐドクオ。
確かにこの洞窟の中にはロマンが詰まっていると思うが……。
  _
( ゚∀゚)「………いや、お前達はここで残れ」

361以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:40:06 ID:tAHANt8g0

('A`;)「え……?ど、どういう事ですか!?」
  _
( ゚∀゚)「無理すんな。まだ完治はしていないんだろ?」

ただでさえ重傷なのに、フォックスの時にさらに体力を駆使しているんだ。
正直、こいつらは戦力にはならないだろう。
  _
( ゚∀゚)「この中には俺とデレで行く。お前らには船を任せる」

( ;><)「で、でもここまで来ておいて…!!」
  _
( ゚∀゚)「駄目だ。……それにいざ船を襲われた時に、お前ら4人がいれば確実に船の安全は確保できる」

これは間違いなくそうだと言える。
ドクオとビロードがいれば例えどんなに船が離れてもここに帰ってくることができる。
スカルチノフが大砲を担当すれば敵を撃退することも可能で、万が一にやられてもうちの優秀な船医ダイオードが付いている。
こいつらだけでも世界旅行ができるだろう。

/;゚、。 /「……………………」

/ ゚、。 /「……わかりました。船長命令ならしかたありませんね」

('A`;)「むう………………」
  _
( ゚∀゚)「悪いな……」

362以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:40:25 ID:tAHANt8g0
/ ゚、。 /「そのかわり……必ず秘宝を持って帰って来てくださいね!!」

('A`#)「持ってこなかったら乗せませんよ!!」

( ><)「留守は任せるんです!!」

/ ,' 3「………………」コクコク
  _
( ゚∀゚)「………ああ。ありがとよ」

俺は拳を高々と挙げ、クルー達に見せる。
俺はこいつらから元気を貰った。
その代償を持ち帰る必要がある。

ζ(゚ー゚*ζ「それじゃあ…行きましょうか」
  _
( ゚∀゚)「ああ…」

俺とデレは洞窟の中にゆっくりと入る。
この闇に…挑むんだ。

363以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:40:43 ID:tAHANt8g0
ξ-⊿-)ξ「………………………」

ξ゚⊿-)ξ「ん…………………」

ξ゚⊿゚)ξ「……………」

ξ゚⊿゚)ξ「あ…………寝てたんだ…………私」



ミ;,,゚Д゚彡「ツン…!!起きたのか」

ξ゚⊿゚)ξ「!……お父さん…」

ミ;,,゚Д゚彡「ど、どうだ?体調の方は…」

ξ゚ー゚)ξ「うん……大丈夫……それよりもお店は?」

ミ;,,゚Д゚彡「大丈夫!大丈夫!一人でも何とかやってけてるよ」

ξ゚⊿゚)ξ「そう………ごめんなさい」

ミ,,゚Д゚彡「いやいや!気にしなくていい!むしろ生きていてくれてよかったくらいだ!」

364以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:41:03 ID:tAHANt8g0
ξ゚⊿゚)ξ「………………」

ミ;,,゚Д゚彡「…………………」

ミ;,,゚Д゚彡「あっ……そ、そういえばさっき港で凄いことがあってさ!」

ミ;,,゚Д゚彡「『巨人』の奴が急に現れて海に飛び込んだんだよ!波がブアーってなってさ!」

ミ;,,゚Д゚彡「それで飛び込んだ後、何をしたと思う?なんと…『巨人』がいきなり泳ぎ始めたんだよ!クロールで!」

ミ;,,゚Д゚彡「そして、そのまま沖の方へ泳いでいっちゃってさあ!それが面白いのなんの……」

ξ゚⊿゚)ξ「お父さん……」

ミ,,゚Д゚彡「!…………ゴホン……な、なんだい…?」

ξ゚⊿゚)ξ「ジョルジュは……?」

ミ,,゚Д゚彡「……………………」

ξ゚⊿゚)ξ「ジョルジュは……どうしたの…?」

365以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:41:23 ID:tAHANt8g0
ミ,,゚Д゚彡「……フィレンクト卿を追っ掛けて……カルベ海に行ったよ」

ξ゚⊿゚)ξ「…………そう」

ミ;,,゚Д゚彡「………………」

ξ#⊿ )ξ「あの馬鹿……何で私の言うことが聞けないのよ……」

ミ,,゚Д゚彡「……………」

ξ;⊿;)ξ「幼なじみの……言うことくらい……聞きなさいよ…!!」

ミ,,゚Д゚彡「……………大丈夫だよ」

ξ;⊿;)ξ「……え?」

ミ,,゚Д゚彡「アイツはちゃんと帰ってくる。今までだってそうだったろう?」

366以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:41:44 ID:tAHANt8g0
ξ;⊿;)ξ「でも……でも!!」

ミ,,゚Д゚彡「アイツはツンがここにいる限り……ちゃんと帰ってくるさ。必ずね」

ξ;⊿;)ξ「…………………」

ミ,,゚Д゚彡「だから胸を張って堂々とジョルジュの帰りを待ってなさい」

ミ,,゚Д゚彡「アイツが帰って来たときに心配してたんだと思われるのは癪だξ゚⊿゚)ξ「それは絶対に嫌」


ミ;,,゚Д゚彡「………………うん」

ミ,,゚Д゚彡「だ、だから安心して待っていなさい。ね?」

ξ゚⊿゚)ξ「…………………………」





ξ゚ー゚)ξ「うん………………」

367以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:42:01 ID:tAHANt8g0
ζ(゚、゚*;ζ「こ、これは………」
  _
( ;゚∀゚)「酷えなこりゃ……」

俺達はランプの明かりを頼りに、どんどん奥へと進む。
既に日の光りは届かず、暗闇だけが支配していた。
入口からしばらく進んだ所であるものを見かけた。

バラバラに切り刻まれた無数の死体。

血の臭いが洞窟中に漂っており、吐き気がする。
傷は新しく、つい数時間前のように思える。
服装や身なりから推測して、どうやらこいつらは海賊のようだ。

おそらくは岩陰に停泊していた船の持ち主達だろう。
どうしとこんな目にあったのか分からないが、俺達もこうなる可能性がある。
慎重に慎重を重ねて進まねば。

その時、遠くの方から大きな悲鳴が聞こえてきた。
低くがなった男の声だ。
声は洞窟中に反響し、やがて消えた。
  _
( ;゚∀゚)「なっ………なんだ?」

ζ(゚、゚*;ζ「この先から聞こえましたね……」

俺達は少しだけ速度を上げて歩きはじめる。
この先で何かが起こっているんだ。

368以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 18:42:38 ID:tAHANt8g0
しばらく洞窟内を進むと、遠くの方からうっすらと明るい光りが見えた。
こんな洞窟の奥深くで何故明かりが…?
  _
( ゚∀゚)「デレ………行くぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「……はい」

俺達は意を決して光りの元へ駆け出した。
最初は眩しくて目を開けることができなかったが、次第に慣れ、はっきりと見えるようになった。
  _
( ;゚∀゚)「!!」

ζ(゚ー゚*ζ「!!」

俺達の目に飛び込んで来たのはコロッセオ程の広さの空洞に大量に転がる死体の山だった。
夥しい程の血が一面に飛び散り、中には人の形を留めていない死体もあった。

ζ(゚、゚*;ζ「これは一体……」
  _
( ゚∀゚)「…………………アイツの仕業だ」

ζ(゚、゚*;ζ「え?」

死体よりも俺は目につく者がいた。
そいつは巨大な血まみれの男の上に立っていた。



( ・∀・)「やはり来ましたか…ジョルジュ・キッド」

369 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/21(月) 18:44:24 ID:tAHANt8g0
ああ、駄目だもう行かなきゃ……

すいません。野暮用で中断します。
ですが今日中には全て投下しますのでよろしくお願いしまう


最終章は>>307からご覧いただけます

370以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/21(月) 23:13:21 ID:kaV2Q67MO
うむ、素晴らしい

371 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/22(火) 00:26:24 ID:geOUl6KY0
ちょっとずつ投下。

今夜中におわらせます

372以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 00:28:54 ID:geOUl6KY0
  _
( ;゚∀゚)「モララーぁ………!!」

その男は顔を血で赤く染め、ニタリと笑った。
蘇るゴミのような目。
害虫を彷彿とさせる口。

俺が会いたかった男、モララー。
やはりフィレンクト卿と共にここに来ていたか……。

( ・∀・)「この男が誰だか分かりますか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ?」

そう言ってモララーは足元に落ちていた肉の塊を蹴った。

( ・∀・)「これは3日前に貴方と戦った男……『金欠』です」
  _
( ;゚∀゚)「なっ……!」

『金欠』は俺が戦った時とはまったくもって別の物のように、無残な姿をしていた。

( ・∀・)「さっきまでしぶとく足掻いていたんですがね……たった今絶命しました」

373以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 00:30:17 ID:ZQDTbBckO
追い付いたが寝る支援

しおりは嬉しいな

374以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 00:48:22 ID:geOUl6KY0
(‘_L’)「……そうか……君があの『決闘』か…」
  _
( ゚∀゚)「ああ?」

空洞の中には他にも人間がいた。
モララーが率いている十数人の兵士。
そして、際立って身分の高そうな男が一人いた。

(‘_L’)「君が話してくれたジョリーの事…大変為になったよ…」
  _
( #゚∀゚)「てめぇ……!!」

こいつが元凶。
モララーの上司であり、ドゥルトゥーガ島の支配者。
フィレンクト卿。
こいつを殴りたい気持ちを懸命に抑え、俺は奴を睨みつけた。
奴の手には『メデューサの瞳』が握られている。

(‘_L’)「まさか…彼の生涯にそんな秘話があったとはな…」
  _
( #゚∀゚)「お前が俺の親父の何を知ってるんだって?ああ?」

(‘_L’)「まあいい。もうこれ以上君から得られる情報もないだろう」

そう言って、フィレンクトは宝石を手に取り別の穴に向かった。
あの穴に何があるというのか。

375以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 00:55:15 ID:geOUl6KY0

(‘_L’)「モララー。あのゴミ共を掃除しておきなさい」

( ・∀・)「かしこまりました」
  _
( #゚∀゚)「待て!逃げるなフィレンクト!!」

まずい。あそこからも脱出できるのか。
俺は腰から銃を取り出し、フィレンクトに向ける。

( ・∀・)「それはさせないよ」
  _
( ;゚∀゚)「!!」

その瞬間。脇から銃弾が飛んできた。
俺はとっさに避け、銃を引っ込めた。

( ・∀・)「……私はここに初めて来た時に、念を入れて罠を仕掛けておいたんですよ…」
  _
( ;゚∀゚)「糞っ……!!」

フィレンクトは穴の中に入り、見えなくなった。

( ・∀・)「他の者も全員フィレンクト卿をお守りしろ!」

その掛け声と共に、兵士は全員フィレンクトを追って行った。

376以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 01:09:19 ID:geOUl6KY0
そう言うと、デレは穴の中に消えていった。
空洞の中に取り残された俺とモララー。
ようやくあの日の約束が果たせそうだ。

( ・∀・)「まったく……めんどくさいことになりましたね」
  _
( ゚∀゚)「悪いな。生まれつきこうなんだ」

( ・∀・)「脱走も成功し、『暗闇』も倒してさぞ調子に乗ってるようですね」
  _
( ゚∀゚)「今日の俺はなんでも行ける気がするんだ」

( ・∀・)「そうですか……それはついてない」

そう言うとモララーは俺の手袋を取り出した。

( ・∀・)「どうします?始めますか」

その問いに俺は一言で返した。






  _
( ゚∀゚)「決闘だ」

377以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 01:17:05 ID:geOUl6KY0
(‘_L’)「まったく……とんだ時間を食ったものだ……」

(‘_L’)「急ぐぞ。一刻も早く島に帰る」

(‘_L’)「……………………」

(‘_L’)「………………………?」ピタッ

(‘_L’)「こんな壁……さっきまであったか?」


「おっおっおっwそこまでだお」


(‘_L’)「!!……誰だ?」



( ^ω^)「おはよう。フィレンクト卿」

378以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 01:20:58 ID:geOUl6KY0
 ^ω^)「……?壁が見えないのかお?」

(‘_L’)「壁?壁なんか何処にある?」

( ;^ω^)「何を言って……」ピシッ


( ^ω^)(ピシッ……?)

(‘_L’)「ふん……こっちの戦力はこれだけでは無いことを忘れるな」

( ;^ω^)「!!……い、岩にヒビが……!?」

(‘_L’)「随分と遅かったな……『巨人』」


( ゚∋゚)「……………」


( ゚∋゚)「スグニ コノカベヲ ハカイシマス」

( ;゚ω゚)「!!……う」

( ;゚ω゚)「うおおおおおおおおおお!?」

379以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 01:31:04 ID:geOUl6KY0
ζ(゚ー゚*;ζ「!!え………」

(‘_L’)「……ふん。屑が……」

(;;#;ωメ)

ζ(゚ー゚*;ζ「あれは……『酒樽』!!」

( ゚∋゚)「コイツ ドウシマスカ」

(‘_L’)「殺せ。その後……あそこにいる女もだ」

ζ(゚ー゚*;ζ「き……『巨人』!?」

( ゚∋゚)「リョウカイ シマシタ」

ζ(゚ー゚*;ζ「うっ……!まずい…フィレンクトを逃がしてしまう…!!」

( ゚∋゚)「ドコニモ イカセナイ」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!」

ζ(゚ー゚*;ζ(……殺される…!!)

380以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 01:35:39 ID:geOUl6KY0
( ・∀・)「彼女を追わなくていいんですか?」
  _
( ゚∀゚)「関係ねえよ。俺とアイツはそれぞれの目的があるからな」

デレも俺もそれぞれの目的に命を掛けてここまで来た。
こんなところで、誰かの助けを求めることなどしない。

( ・∀・)「つまり……貴方の目的というのが…私ということですね?」
  _
( ゚∀゚)「なんだ?罪悪感でも感じてんのか?」

( ・∀・)「まさか。悪は貴方達の方でしょう?」

正義か悪か。
こんなものは水かけ論でしかない。
歴史を辿っても、正義を決める権利をもつものは全て勝者だ。

海賊が世界を征服すればそれが正義となる。
  _
( ゚∀゚)「残念だが……殺すぜ?」

( ・∀・)「私が仕掛けた罠を攻略ができなかった貴方がですか?」

381以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 01:45:11 ID:geOUl6KY0
  _
( ゚∀゚)「甘いな。今と今までは状況が違う」

俺の道具はできる限り人の目に触れさせたくなかった。
何故ならこれらは全て俺が作りだした道具ではない。
全て、発明家の父であるジョリー・キッドの作品である。

今までこの島で戦ってきた勝負は誰かが見ているものだった。
しかし、ここには現在俺とこいつしかいない。

今ならいくらでも七ツ道具を使うことができる。
俺はコートを開き、くの字の板を3枚取り出した。

】海賊の七ツ道具その五:ブーメラン【

( ・∀・)「……?何ですか?それは……」

どうやらモララーはブーメランを知らないようだ。
それも仕方がないだろう。
奴は貴族という檻の中で暮らしていたのだから。
  _
( ゚∀゚)「これを舐めていると……痛い目にあうぜ」

382以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 01:54:02 ID:geOUl6KY0
俺は銃を取り出し、奴に向ける。
そしてためらいもなく引き金を引いた。

( ・∀・)「舐めてかかっているのは貴方の方じゃありませんか?」

その瞬間、どこからともなく飛んできた矢が、モララーの目の前に出現した。
矢は俺の放った銃弾とタイミング良く接触し、弾け飛んだ。
銃弾も軌道が代わり、モララーに当たることなく脇に逸れていった。

( ・∀・)「この空洞にはまだまだ罠が仕掛けられています」

( ・∀・)「君が何をしようか分かれば、その瞬間に対策を練ることができる」
  _
( ゚∀゚)「へぇ…俺は包囲されたのか?」

( ・∀・)「包囲されていなければこの男達はこんな血まみれにはならなかったでしょうね」
  _
( ゚∀゚)「!!」

モララーが指を弾くと、天井の壁から銃口が現れ、突然銃弾が発射された。
俺はとっさに転がり、銃弾を避けた。
天井から降り落ちる銃弾の雨。
無差別な威力は人の意志を感じさせることのない無情な攻撃だった。

383以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 02:02:45 ID:geOUl6KY0
  _
( ゚∀゚)「…………………」

( ・∀・)「それだけで避けたつもりになってるんですか?」

またモララーが指を弾くと、今度は壁から拳銃が飛び出た。
なぜか、奴が立っている場所だけには銃弾が注がれることはなかった。
当たり前と言えば当たり前なのだが。

街中で遭遇した『駆除』の攻撃が、空からも警戒しなくければならなくなったに過ぎない。
状況は今までと何も変わっていない。
  _
( ゚∀゚)「……3度は喰らわねえよ」

( ・∀・)「!!」

俺は3枚のブーメランを構え、全て壁に向かって投げつける。
ブーメランは銃に当たり、銃口を綺麗に切り裂いて俺の元に戻ってきた。

( ・∀・)「銃が……切れた…?」

奴は己の目を疑ったに違いない。
まさかこんな武器で銃を仕留めることができるとは思わなかっただろう。
3枚全てが狙った銃を切り裂き、俺の手元に戻ってきた。
  _
( ゚∀゚)「こいつは盾と同じ硬度の金属で作られている」
  _
( ゚∀゚)「切れ味はそこらの剣とは比にならないぜ」

384 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/22(火) 09:38:49 ID:r/w6guEUO
ああもう寝てしまった…


こうなったらもう意地。
フェス関係無しに何が何でも完結してやる……………


今日の夜に

385以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 09:53:30 ID:uZPjIjg.0

待ってるぜ

386以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 15:35:45 ID:qebsNMHsO
一気に読んだ。面白い、つい時間を忘れたぜ

ただ、できれば>>375-376間と>>377-378間が読みたいなー、なんて……

387以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 18:31:20 ID:db.K.2IgO
やっと追いついた
ジョルジュ格好良すぎる

388 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/22(火) 18:51:21 ID:b9hd9lsw0
>>386
忘れてた。
>>376の前に次のレスを入れてください。

>>378の前には次の次のレスを

389以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 18:51:51 ID:b9hd9lsw0
  _
( ;゚∀゚)「デレ!!フィレンクトを追え!」

ζ(゚ー゚*;ζ「は、はい!!」

デレは駆け出してフィレンクトの入った穴に向かった。
しかし、その行動をモララーは見逃さなかった。

( ・∀・)「誰が言ってもいいと許可したんですか?」

モララーが手を上に挙げ、指を構えた。
奴の罠の発動を止められるのは俺しかいない。
  _
( ゚∀゚)「俺が言ったが…文句あるか?」

俺はモララーに銃を向け引き金を引く。
モララーは俺が引き金を引く寸前に気付き、さっと身を引いた。

( ・∀・)「!!……小賢しいですね」
  _
( ゚∀゚)「お前にだけは言われたくねーな」

その隙に、デレは向こう側の穴に到達した。
  _
( ゚∀゚)「デレ!そのまま頼んだぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「分かりました……貴方の健闘……祈っています」

390以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 18:52:16 ID:b9hd9lsw0
( ^ω^)「この道は全て封じさせて貰ったおw」

(‘_L’)「…………?……封じた、だと?」

( ^ω^)「岩場の穴を埋める楽な仕事だったお」

(‘_L’)「………下らん」

( ^ω^)「おっおっおっwやけに強がるおねw」

( ^ω^)「でも今この状況で誰が助けてくれるお?」

( ^ω^)「人数的にも僕らの方が有利ですぐに潰せちゃうお?」

(‘_L’)「つまり何が言いたいんだ?」

( ^ω^)「その宝石を大人しく渡すお。半殺しで許してやるお」

(‘_L’)「本当に貴様ら海賊は人が簡単に宝石を手放すと本気で思っているようだな……」

( ^ω^)「この状況でそう言えるのは見事だお」

(‘_L’)「この状況?一体何のことだ?」

391以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 18:52:40 ID:b9hd9lsw0
それでは再開

スローペースで

392以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 19:01:33 ID:b9hd9lsw0
( ;・∀・)「自分の手元に戻る武器ですか……」
  _
( ゚∀゚)「ああ。軌道が読めない武器は…苦手だろ?」

( ;・∀・)「………………」

大当たりだ。
コイツは直線の攻撃しか防ぐことができない。
そもそも曲がる武器にコイツは出くわしたことが無いんじゃないのか?
この道具はこいつを攻略する唯一の手段だ。
  _
( ゚∀゚)「さあ……これを受け取ってみろよ」

俺はモララーにブーメランを投げつけた。
曲線を描いた攻撃に奴はたじろいだ。

( ;・∀・)「ぐっ!!」

モララーは剣を構えブーメランを弾く。
しかし、投げたのは1枚だけではない。
全てを弾くのは、剣に自信がある俺でも厳しいだろう。

( ;・∀・)「うわあっ!!」

向きを変えたブーメランにモララーが当たりそうになり、モララーはとっさに転倒し、事無きこと得た。

393以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 19:21:02 ID:b9hd9lsw0
  _
( ゚∀゚)「そんなにゆっくりと構えていていいのか?」

( ;・∀・)「!!」

俺はモララーに詰め寄り、剣を振りかざす。
モララーは反射的に剣を構え、俺の攻撃を防ぐ。
  _
( ゚∀゚)「………どうした?俺の攻撃を全て防ぐんじゃなかったのか?」

( ;・∀・)「随分と調子に乗っていますね…!!」
  _
( ゚∀゚)「わかるか?俺はぶちギレてんだよ」

ツンの痛み。
全てを踏みにじったこいつを俺は絶対に許さない。

( ・∀・)「はっ!!まだ貴方はそんな子供のようなことを言っているのですか?」

モララーはまたあの不気味な笑顔を見せた。
その笑い方にまたストレスが蓄積されていく。

( ・∀・)「いいですか?貴方達のようなゴミは政府の靴裏を舐めて生きるしかないんですよ!」

( ・∀・)「私はその身分の違いを教えたに過ぎない!!」

( ・∀・)「むしろ感謝をして欲しいくらいだ!」

394以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 19:27:30 ID:b9hd9lsw0
  _
( ゚∀゚)「悪いな。お前らのように数カ国語を教わったわけじゃねーんだ。意味のわかるように話せよ」

( ・∀・)「今に分かりますよ。君達が如何に愚かだったのかを」
  _
( ゚∀゚)「!!」

モララーの足元から銃口が顔を出した。
その向きは俺の顔に向いている。
  _
( ;゚∀゚)「くそっ!!」

俺はモララーを突き飛ばし、サッと後ろに引く。
銃弾は1発だけ飛び出し、天井に当たった。

( ・∀・)「その程度の覚悟で私を殺すなんてよくもまあ言えたものですね」
  _
( ;゚∀゚)「ワンパターンで攻めるお前もお前だがな」

気付けばモララーは俺との間隔を十分に空けていた。
俺が銃に気を取られている間にモララーも下がったようだ。

( ・∀・)「……貴方はここに来た時点で罠に嵌っていたのですよ」
  _
( ゚∀゚)「……何が言いたい」

( ・∀・)「見せてあげますよ。私のお気に入りをね」

モララーがそう言った時、モララーの足元か何か黒い立方体のようなものが現れた。

395以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 19:37:19 ID:b9hd9lsw0
  _
( ゚∀゚)「…………?なんだそりゃ」

奴がとりだしたのは金属製の箱。
大きさにすると砲弾2つ分だ。

( ・∀・)「ご存じないとは思いますが…この中にはメタンと呼ばれる気体が入っています」
  _
( ゚∀゚)「めたん?」

( ・∀・)「天然ガスですよ。まあ貴方に言っても無駄でしょう」

意味不明な言葉を言いながらモララーはその箱を構えた。
その箱には取っ手が付けられており、別の面には細い筒があった。
まるでジョウロのような形。
……と言うことは、その筒から何か……メタンとやらが出てくるのか?

( ・∀・)「知っておくと良いことはメタンは非常に燃えやすいということです」

モララーはその筒を俺の方に向けた。
何か嫌な予感がする。

( ・∀・)「そしてこの筒の根元には発火装置が仕掛けられている。…もうお分かりでしょう」
  _
( ;゚∀゚)「……まさか……炎が飛ぶのか…?」

( ・∀・)「飛ぶ?違いますよ」


( ・∀・)「放射するんです」

396以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 19:50:34 ID:b9hd9lsw0
モララーは箱の脇に付いた突起を思いっきり引いた。
すると摩擦により火花が散り、筒の根元で小さな発火が起こる。
筒の中から炎の渦が勢いよく飛び出してきた。
  _
( ;゚∀゚)「うおおおあああ!!」

俺はとっさに脇に飛び込み、地を転がった。
炎は俺の後ろの壁まで大蛇のように飛んできた。

( ・∀・)「全ての攻撃で最も優れているのは、物体ではない攻撃です」

モララーが箱の向きを変えると、その方向に連なって炎は鞭のように軌道を描く。
攻撃の恐ろしさは重々承知しているが何よりも恐ろしいのはその攻撃範囲だ。
この大きな空洞の直径を全て焼き尽くすことができる。
  _
( ;゚∀゚)「くそっ!逃げ切れねぇ!」

コートから盾を取り出し、右手で握って炎から俺の身をガードする。
炎は盾にぶつかり、俺の身を守った。
しかし、火の危険からは守れても、熱をガードすることはできなかった。
  _
( ;゚∀゚)「!!あ、熱っ!!」

盾の金属は直ぐに熱を伝達させ、俺の盾の取っ手を焦がした。
俺はもう一度飛び避け、盾をその場に捨てた。

397以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 20:07:05 ID:b9hd9lsw0
( ・∀・)「これが私の切り札です。どうです?すごいでしょう」
  _
( ;゚∀゚)「はっ!政府の金の使い方は理解に困るな」

( ・∀・)「強がるのは大いに結構。しかし、私に一歩も近づけないのが現状」
  _
( ;゚∀゚)「ぐっ…!!」

情けないが、モララーの言っていることは正しい。
これ以上の距離を縮めると、炎の振り幅が狭くなり、走っても逃げ切れなくなってしまう。
そしてそれは同時に奴に攻撃をすることができないことも意味していた。

( ・∀・)「分かりますか?これが貴方と私の距離です。そして……」
  _
( ;゚∀゚)「!!」

モララーはさらに指を鳴らした。
今まで静かになっていた銃や弓矢が一斉に稼働した。
俺は避けるべき対象が増えたが、モララーの炎はそのそれらを妨害することなく放つことができた。
どこを見ればいい?
どこに避ければいい?
  _
( ; ∀ )「ぐあっ!!……がっ!!……」

背中に矢が刺さる。
銃が足に当たる。
炎が服を掠める。

もはや、何をしても地獄だった。

398以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 20:15:17 ID:b9hd9lsw0
ζ(゚ー゚*;ζ(何とかして『巨人』を崩さないと……)

( ゚∋゚)「…………………」

( ゚∋゚)「オマエ オンナカ?」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!……そ、そうですが……何か?」

( ゚∋゚)「ハジメテダ オレニ タチムカッテキタ オンナハ」

( ゚∋゚)「ミンナ ニゲルカ アヤマルカ……マア ミナゴロシニ シタガナ」

ζ(゚ー゚*;ζ「そ、そうですか……貴方の初めてになれて光栄に思います…」

( ゚∋゚)「フン キサマモ ケッキョクハ シヌダケダ」

ζ(゚ー゚*ζ「あら……そうでしょうか?もしかしたらもう一つくらい初めてを貰えるかもしれませんよ?」

( ゚∋゚)「ナンダ ソレハ」

ζ(゚ー゚*ζ「簡単です。……『貴方が初めて殺された人』」

( ゚∋゚)「…………タワゴトヲ」

399以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 20:22:07 ID:b9hd9lsw0
( ゚∋゚)「ハナシハ オワリダ キサマヲ コロセト イワレテイルノデナ」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!(正拳突き…!?)」

( ゚∋゚)「ハアッ!!」

ζ(゚ー゚*;ζ「きゃあ!!」

( ゚∋゚)「ホウ…………………ウマク サケタナ」

ζ(゚ー゚*;ζ(あ、危ない……避けていなければ確実に一撃で……)

ζ(゚ー゚*;ζ(……彼に普通の毒は効くのでしょうか……)

ζ(゚ー゚*;ζ(……とにかく、攻撃をしないと……)

( ゚∋゚)「ウウウウウウウアアアアアアアアア!!」

ζ(゚ー゚*;ζ「なっ!!(あんなに大きな岩を片手で軽々と…!!)」

( ゚∋゚)「ツブレロ!」

ζ(゚、゚*;ζ「うわっ!!あ、危ない!!」

400以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 20:31:39 ID:b9hd9lsw0
ζ(゚ー゚*;ζ「ハァ……ハァ……ハァ……」

( ゚∋゚)「チョロチョロト ニゲマワル オンナダ」

ζ(゚ー゚*;ζ(……………おかしい…)

ζ(゚ー゚*;ζ(…………確かに針は5本も刺したはず……)

ζ(゚ー゚*;ζ(普通の成人なら失神していてもおかしくない量なのに…)

( ゚∋゚)「……………………?」

ζ(゚ー゚*;ζ(まったく…効いている気配は無し…か)

( ゚∋゚)「サッサト ケリヲ ツケヨウ」

ζ(゚ー゚*;ζ「!!ボディーブロー…!!」

( ゚∋゚)「ザンネン ケリダ」

ζ(゚、゚*;ζ「えっ……………あっ!!」

( #゚∋゚)「あああああああああああああああああああああああああ!!」

ζ( д *;ζ「がっ!!あああ…っ!」

401以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 20:47:30 ID:b9hd9lsw0
ζ( д *;ζ(まずい…お腹を……!)

( #゚∋゚)「マダ オワッテ イナイ!!」

ζ( д *;ζ(に……逃げなきゃ!!)

( #゚∋゚)「アアアイイイイイイッ!!」

ζ( д *;ζ「あああああ!!……カハッ!」

( ゚∋゚)「フン……ヤハリ タダノオンナカ」

ζ( д *;ζ(……い、意識が……飛びそう……!)

ζ( - *;ζ(ここは……諦めるしかないようですね……)

ζ( - *;ζ(このままじゃあ……どうしようもない)

( ゚∋゚)「……!オドロイタ マダ タチアガル チカラガ アルトハナ」

ζ( ー *;ζ(こうなったら……これに賭けましょう……)ゴソゴソ

( ゚∋゚)「………?ナンダ ソレハ」

ζ( ー *;ζ「見てわかりませんか?」

ζ(゚ー *;ζ「羽根ペンですよ」

402以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 20:56:21 ID:b9hd9lsw0

( ゚∋゚)「ハネペン……?ソンナモノ ナニニツカウ?」

ζ(゚ー *;ζ「普通の人はこの状況であれば……遺書でも書くのですかね?」

( ゚∋゚)「コンナトコロデ イショナドカイテ ダレガヨム」

ζ(゚ー *;ζ「私は違いますよ。遺書なんか書きません」

ζ(゚ー *;ζ「これは貴方を殺す道具なのです」

ζ(゚ー *;ζ(もう…短時間で相手を倒すことは止めましょう)

ζ(゚ー゚*;ζ(狙うは耐久戦……どちらかが倒れるまでのサドンデス)

( ゚∋゚)「ソンナ ペンデ オレヲ コロス ツモリナノカ?」

ζ(゚ー゚*ζ「ええ。ペンは剣よりも強しと言いますからね」

( ゚∋゚)「………………ヤッテミロ」

ζ(゚ー゚*ζ(……とにかく投げ続けましょう。いつか必ず勝機は訪れる)

( ゚∋゚)「!!……ペンガ アシニ……」

ζ(゚ー゚*ζ「気を着けて下さいね?私のペンは容赦なく飛んでくるので」

403以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 20:56:41 ID:db.K.2IgO
支援!

404以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 21:06:27 ID:b9hd9lsw0
( ゚∋゚)「シラン キサマノ コトナド ドウデモイイ」

( ゚∋゚)「ナニガ シタイノカ ワカランガ オレハ オマエヲ ソウキュウニ ツブス」

( #゚∋゚)「オオオアッ!!」

ζ( ー *;ζ「うっ!!(……ビンタだけでも…この威力ですか!!)」

( #゚∋゚)「ガアッ!!」

ζ(;;д#;;ζ「あぐっ!!……ゲホッ!!(これで……5本!)」

( #゚∋゚)「ホネガ クダケルマデ ナグリ ツヅケル!」

ζ(;;д#;;ζ「あああああああああああああああああああああああああっ!!」

( #゚∋゚)「アアアアアアアアアッ!!」

ζ(;;д#;;ζ「ガフッ!!……ゲボッ!!……グガッ!!」

( ゚∋゚)「フン!!」

ζ(;;д#;;ζ「あ……あああ……」

( ゚∋゚)「コレデ キサマモ タテマイ」

405以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 21:12:24 ID:b9hd9lsw0
ζ(;;-#;;;ζ(……これで……13本……)

ζ(;;-#;;;ζ(まだ…回らないのですか……)

( ゚∋゚)「……!ナンダ コノビンハ……」

ζ(;;-#;;;ζ(!!……私の毒液……)

( ゚∋゚)「オマエノ ダナ……? ナンテ キタナイ イロヲ シテイルンダ」

ζ(;;-#;;;ζ(あれは……体内に入れないと意味がない毒……)

ζ(;;-#;;;ζ(あの様子では…飲もうとはしないですよね)

( ゚∋゚)「キミノワルイ エキタイダ ミタクモナイ」 バシャッ

ζ(;;-#;;;ζ(!!……中身を捨てた……?)

ζ(;;-#;;;ζ(……………………)

ζ(;;-#;;;ζ(もしかするとこれは………)

ζ(゚ー#*;ζ(勝機かもしれない……!!)

406以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 21:24:26 ID:b9hd9lsw0
( ゚∋゚)「!!……マダ タチアガルノカ」

ζ(゚ー#*;ζ「ええ……私としても……譲れないので」

( ゚∋゚)「シブトイ ヤツハ キライダ」

( #゚∋゚)「ツギハ カクジツニ シヌマデ ナグリツヅケテ ヤル」

ζ(゚ー#*;ζ「ええ。私も長引かせるつもりはありませんよ」

ζ(゚ー#*;ζ(ここから3歩左…この位置に行けば…!!)

( ゚∋゚)「!!ドコヘ ニゲル!!」

ζ(゚ー#*;ζ「戦略的撤退と言って下さい」

( #゚∋゚)「ニガスカ!!」

ζ(゚ー#*;ζ(来たっ!!)

( ;゚∋゚)「ウオオオッ……!?」

( ;゚∋゚)「シマッタ!!スベッテ……!!」

ζ(゚ー#*;ζ「貴方が捨てた液体……あの液体にオイルをふんだんに使っているのを思い出しました」

407以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 21:34:20 ID:b9hd9lsw0
( ;゚∋゚)「ウッ!……ク、クソ! フカクダ!コンナ トコロデ コケル ナンテ……!」

( ;゚∋゚)「!!」

( ;゚∋゚)「アノオンナ……ドコニ…!?」

ζ(゚ー#*;ζ「こんなに大きな背中に乗ったのは初めてですよ」

( #゚∋゚)「ソコカ!!」

ζ(゚ー#*;ζ「もう私がどこにいようかなど…関係ありませんよ」

( #゚∋゚)「ダマレ! イマスグ コロシ…………」

( ;゚∋゚)「…………………?」

( ;゚∋゚)「………………カ、カラダガ ウゴカン」

ζ(゚ー#*;ζ「貴方にずっと刺していたペンのインク芯には毒が入っていました」

( ;゚∋゚)「ド……ドクダト!?」

ζ(゚ー#*;ζ「あの毒は2回以上刺さると確実に死に至る毒です」

ζ(゚ー#*;ζ「1回では何も起りませんが、複数の毒が体に混ざると反応を起こし毒となります」

408以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 21:47:45 ID:b9hd9lsw0
( ; ∋ )「ヒュー……カッ……コッ…!ガッ!」

ζ(゚ー#*;ζ「しかし貴方は死ななかった。体の構造上から違うせいなのかもしれませんが……」

( ; ∋ )「グッ!!……ガアッ!!アアアアアアアアアアアア!!」

ζ(゚ー#*;ζ「貴方に刺した本数は全部で23本。定量の11倍です」

( ; ∋ )「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!ゴォ!ゲェッ!」

ζ(゚ー#*;ζ「……流石に効いたようですね」

(;# ∋゚)「コ……コロシテ…コロシテヤル!!」

ζ(゚ー#*;ζ「!!」

(;# ∋゚)「コ、コノオレガ コンナ コムスメ ナンカニ……!!」

ζ(゚ー#*;ζ「ど、毒の進行が遅い……うわっ!!」

(;# ∋゚)「キサマ クライ……!ニギリ ツブセルン………!!」

( ; ∋ )「グッ!!…………………ア…アア…」

ζ(゚ー#*;ζ「…………………?」

409以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 22:08:25 ID:b9hd9lsw0
( ; ∋ )「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

( ; ∋ )「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

( ; ∋ )「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

( ; ∋ )「コ………カ………………………」

(  ∋ )

ζ(゚ー#*;ζ「………………………」

ζ(゚ー#*;ζ「………………し、死んだようです……ね」

ζ(゚ー#*;ζ「………………」

ζ(゚ー#*;ζ「フィレンクト………………!」

ζ(゚ー#*;ζ「………………」

ζ(゚ー#*;ζ「追いかけないと………!!」

410以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 22:17:49 ID:b9hd9lsw0
  _
(;;#д )「ハァ……ハァ……」

背中に5本の刺さった矢。
体中のいたるところに食い込んだ銃弾。
火傷、焦げ跡。
満身創痍もいいところだった。

( ・∀・)「フフフ……これで『決闘』も終わりですか?」
  _
(;;#∀ )「ば、馬鹿言うな……。俺…俺は……お前を……」

( ・∀・)「あ〜あ…完全にうわ言になってしまいましたね」

モララーは銃火器全てを止め、俺を遠くから眺めている。
今が奴を打ち取るチャンスなのに、俺は何もすることができない。
しかし、もう少しなのだ。もう少しで……。

( ・∀・)「あなたを見ている生活はとても楽しかったです。久しぶりに退屈を忘れることができました」

( ・∀・)「しかし、所詮は屑の中の一人。最後の最後でツメが甘いんですよ」
  _
(;;#∀ )「ハァ……ハァ……屑は……お前だろ?」

( ・∀・)「この状況を見て誰が私を屑だと言うんです?」

もう少し。
もう少しなんだ。
俺は尽きそうな体力の中、少しずつ前進する。

411以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 22:27:04 ID:b9hd9lsw0
  _
(;;#∀ )「お前は怖いんだよ……。俺達海賊がな」

( ・∀・)「!!」
  _
(;;#∀ )「俺達が怖いから……罠なんか張るんだ。まともに立ち向かうことができないからな」

( #・∀・)「ち、挑発をするだけの元気はあるようですね!」
  _
(;;#∀ )「罠を張って引っ掛かった海賊たちを見て喜ぶクズ野郎だ」
  _
(;;#∀ )「自分の部下に強姦をさせてそれを見ることしかできないクズ野郎だ」
  _
(;;#∀ )「自分の上司を絶対だと思い込んでいる、命令しか聞けないクズ野郎だ」

( #・∀・)「だ、黙れ!!黙れえ!!」

( #・∀・)「私がお前ら屑を恐れているだと!?見当違いなことを言うな!!」

その時、俺の足に一枚のブーメランが当たった。
これだ。俺が待ち望んでいたものは。
モララーはまた箱を構えた。

しかし、奴が構えるよりも先に、俺がブーメランを投げた。

412以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 22:40:29 ID:b9hd9lsw0
( ;・∀・)「なっ!!……くっ!まだそんな体力を…!!」

クルクルと回転しながらブーメランは曲線を描き、モララーの元へと向かった。
モララーは剣を取り出し、迫るブーメランに対して構えた。
無駄だ。
お前にはその攻撃を防ぐことはできない。

( ;・∀・)「え!?……ふ、増えただと!?」

ブーメランは奴の元に届く前に、2つに分裂し、襲いかかった。
1つでは確実に防がれていたが、2つあれば回避は困難だろう。
ブーメランの特徴として、ブーメラン自体を隠せるところにある。

モララーは迫ってきた一つを上手く剣で弾いたが、分裂した2つ目を弾くことはできなかった。
2つ目はモララーではなく、箱に目掛けて飛んでいった。

( ;・∀・)「や、やめろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
  _
(;;#∀ )「その炎も終わりか?」

ブーメランは箱を真っ二つに切り裂き、地面に刺さった。

( #・∀・)「ぐっ……ジョルジュ・キッドぉ……!!」


  _
(;;#∀゚)「こいよモララー。これでケリを着けてやる」

413以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 22:45:17 ID:b9hd9lsw0
俺はコートから最後の一枠である道具を取り出した。
透明の液体が入った注射器。
ここぞという時にしか使えないとっておきだ。

】海賊の七ツ道具その六:麻酔針【

俺は針を腕に刺し、液体を注入する。
これでしばらくの間は痛みを感じない。
その代わり、意識が朦朧とするなど、様々な副作用があるので俺はめったに使わないのだが。

俺は剣を握りしめ、モララーを睨みつける。

( ・∀・)「お前には俺の全ての罠で相手をしてやる」

モララーが指を弾くと、天井、壁、床、全ての場所から銃や弓矢が顔を出した。
コイツはこんな誰も来ないような空洞によくもまあここまで仕掛けたものだ。
これはフィレンクトに対する忠誠心なのか。
それとも盗られることを恐れた臆病者の行為なのか。
  _
(;;#∀゚)「はっ!これだけか?足りないんじゃねえのか?」

( #・∀・)「骨すら残らない程に八つ裂きにしてやる…!!」

414以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 22:52:10 ID:b9hd9lsw0
罠が一斉に作動した。
嵐とも呼ぶべき銃弾、矢、爆弾、投石。
じわじわと麻酔が効いてくるのが分かる。
これで痛みに恐れる心配はない。

( #・∀・)「さあ!今度はどこへ逃げる!?」
  _
(;;#∀゚)「逃げるなんてとんでもねぇ……正面突破だ」

俺は右手に銃を、左手に剣を構えて走り出した。
銃弾が体に当たるが気にしない。
矢が背に刺さるが気にしない。
血がどんなに出ようとも気にしない。
  _
(;;#∀゚)「これが俺の戦い方だ…!!」

( ;・∀・)「!!う、嘘だろ……!?」

俺とモララーの距離はどんどんと縮まる。
どんなに攻撃を受けてもびくともしない俺の姿を奴は怯えた目で見ていた。
どうだ。やっぱりお前は怯えていただろう?
  _
(;;#∀゚)「モララあああああああああああああああああああああ!!」

415以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 23:04:36 ID:b9hd9lsw0
  _
(;;#∀゚)「ああああああああああああああああああああああああああ!!」

距離30m。
右手に握っていた銃が銃弾によって弾かれた。
しかし、俺は拾うことなく先へ進む。

( ;・∀・)「う、うわああ!!……く……くっ!」

距離20m。
流石のモララーも危機感を感じずには居られなかったようだ。
剣を構え、俺を睨む。
それでも俺は前へ進む。

( ;・∀・)「く…来るなあああああああああああ!!」

距離10m。
気付けば銃弾によって俺の剣はボロボロになっていた。
それでも構わない。
奴を斬れるスペースがあれば構える。



  _
(;;#∀゚)「あばよ!!『駆除』!!」

俺は剣を思い切り振り上げ、素早く振り下ろした。

416以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 23:15:30 ID:b9hd9lsw0


  _
(;;#∀゚)



( ;・∀・)




( ;・∀・)「…………………あ」

( ;・∀・)「あ…あっ、ああああ!」

モララーの剣と俺の剣が再び交わったその瞬間。
ついに耐えきれなかった俺の剣がモララーの攻撃によって折れた。
刃先は弾け飛び、モララーの頭上を越えて地面に突き刺さった。

( ;・∀・)「あーっはっはっはっはっはっはっは!!」

( *・∀・)「折れた!!折れたよお前の剣!!」

( *・∀・)「そんな剣で俺を殺すって言うのか?あっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
  _
(;;#∀゚)「………………………」

( *・∀・)「コイツは傑作だあ!!『決闘』の剣が折れた!!」

417以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 23:22:50 ID:b9hd9lsw0
モララーは俺の折れた剣に対して、高らかに笑い上げた。
よっぽどこいつのツボに入るものがあったのだろう。

( ・∀・)「おい!何とか言ったらどうなんだ!?丸腰海賊!!」
  _
(;;#∀゚)「………………………」

俺は逆にとても落ち着いていた。
それは『海底』との勝負に決着がついた時のような感覚に似ていた。

( ・∀・)「出す手が無くて悔しいのか!?それとも剣が折れて悲しいのか!?」
  _
(;;#∀゚)「…………………………モララー」

俺は声を出す。
それと同時に、俺は折れた剣を投げ捨てた。

( ・∀・)「何だ!?『調子に乗ってすみません』か!?命乞いか!?」
  _
(;;#∀゚)「親父の航海に言った時の話……その続きを話してやるよ」

( ・∀・)「ああ?今さら何をいっ…………」

俺はモララーに近付き、モララーの腹に左手を当てた。
モララーの体はえらく震えていた。

418以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 23:32:27 ID:b9hd9lsw0
  _
(;;#∀゚)「あの時、俺が怪我を負った場所は左腕だった」
  _
(;;#∀゚)「俺の左腕は綺麗に海獣に喰われ、9歳で俺は肘から下を失った」
  _
(;;#∀゚)「しかし、その時発明家の父が早急に作ってくれたんだ。俺の義手をな」

( ;・∀・)「う………ああ……ああ……!!」

モララーの口から血が溢れる。
奴は握っていた剣を落とし、俺の左手を掴んだ。
  _
(;;#∀゚)「義手の接合は上手くできたがその義手には2つの技術が組み込まれていた」
  _
(;;#∀゚)「一つは義手の掌にだけ、強力な磁石を埋め込んだ」
  _
(;;#∀゚)「こうすることにより、俺は鉄ならば左手で掴むことができるようになった」

俺の七ツ道具…。
鉤爪ロープも、盾も、パチンコも、ブーメランも。
そして剣にも全てのグリップに金属が埋め込まれていた。
俺が道具を持ち歩くのは、左手でできる握れるものがそれしかないからだ。
  _
(;;#∀゚)「そしてもう一つ」

( ; ∀ )「あ……あああああ………ああ…」
  _
(;;#∀゚)「この手には………仕込み剣が隠されている」

】海賊の七ツ道具その七:仕込み剣【

419以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 23:44:33 ID:b9hd9lsw0
俺の掌にその剣の隠れ場所があった。
俺が義手のある取っ手を引くと、その剣は現れる。
長さはそこまで無いが、身を守るだけならば十分だ。
弱かった俺に父が与えてくれた最後の武器だ。
  _
(;;#∀゚)「悪かったなモララー……これが海賊の決闘なんだ」

( ; ∀ )「くそっ……!!おのれぇ……!!」

その剣は今、モララーの体内に深く刺さっている。
俺の左手袋を突き破り、モララーの腹を裂いた。
血がドクドクと溢れだし、足元に何滴も零れ落ちた。
モララーは俺を突き飛ばし、剣を抜いた。

( ; ∀ )「殺す……殺してやる……!」

( ; ∀ )「海賊を潰すのは私の仕事だ……私の仕事なんだ……!!」

モララーは落とした自分の剣を拾い、大きく振り上げた。

( ; ∀ )「死ね……ジョルジュ……!!」
  _
(;;#∀゚)「だから………言っただろう?」



  _
(;;#∀゚)「俺の手には強力な磁石が入っているって」

420以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 23:48:43 ID:b9hd9lsw0
(‘_L’)「……………………」

(‘_L’)「遅い………………」

(‘_L’)「モララーの奴は何をやっているんだ……」

(‘_L’)「クックルもそんなにかかる相手ではないだろう……」

(‘_L’)「…………もういい。先に行くぞ」

(‘_L’)「船を出せ。アイツらなら上手いことやって帰ってこれるだろう」


「待ってくれよ。まだ俺が乗るぜ」

(‘_L’)「!!誰だ……………」

(;‘_L’)「何故お前がここに………も、モララーは……」




  _
(;;#∀゚)「『メデューサの瞳』……奪いに来たぜ」

421以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 23:49:28 ID:b9hd9lsw0
間違えた
>>420は忘れて。

後でまた投下するから

422以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 23:50:12 ID:b9hd9lsw0
その時、モララーの後ろに落ちていた俺の剣の刃先が俺の手に吸い寄せられるように飛んできた。
もちろん、その進行方向にいたモララーは障害となり、もららーに刃は当たった。
剣がモララーの左胸を背中から貫き、体を貫通した。

( ・∀・)「………………………」

( ・∀・)「あ…………れ……………………」

(  ∀ )

その後、モララーはフラフラと体を揺らしながら倒れた。
モララーは立ち上がることはなかった。
その瞬間、あれほど騒がしく飛び交っていた罠がピタリと止んだ。
おそらく、モララーがこの安全地帯から離れたら自動で止まるように仕掛けられていたのだろう。
  _
(;;#∀゚)「………………………」
  _
(;;#∀゚)「じゃあな。嘘つき野郎」
  _
(;;#∀゚)「俺は正直者だから正直に答えてやるよ」
  _
(;;#∀゚)「お前を見ている生活はとても楽しかった。久しぶりに退屈を忘れることができたよ」

モララーの服から俺の右手袋を探し出し、手にはめる。
俺は戦利品として、モララーの剣を拾い、その場を後にした。
残す目的はあと一つ。

『メデューサの瞳』だ。

423以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/22(火) 23:56:42 ID:b9hd9lsw0
  _
(;#∀゚)「!!…デレ!!」

フィレンクトが通った穴を進む途中、横たわったデレを見つけた。
体中を酷く打ち付けており、骨もところどころ折れていた。
その横には、『巨人』の死体があった。

ζ(;;ー#*ζ「う………ジョルジュさんですか?」
  _
(;#∀゚)「おお!大丈夫か!?」

デレは生きていた。しかしその声はとても掠れている。

ζ(;;ー#*ζ「すいません……フィレンクトを追おうと思ったのですが、足の骨を折っており……」
  _
(;#∀゚)「ああ、気にするな。それよりも…お前が倒したのか?」

町の絶対的暴力と恐れられていた『巨人』。
まさかこいつを倒したのがこんな女性だとは。

ζ(;;ー#*ζ「おそらく……フィレンクトはまだこの傍にいます。ですから……」
  _
(;#∀゚)「ああ、わかった。後は俺に任せろ」

俺はデレを担ぎ、洞窟を出た。
残す敵はあと一人、フィレンクト卿だけだ。

424以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 00:03:35 ID:jJ8MZZu20
(‘_L’)「……………………」

(‘_L’)「遅い………………」

(‘_L’)「モララーの奴は何をやっているんだ……」

(‘_L’)「クックルもそんなにかかる相手ではないだろう……」

(‘_L’)「…………もういい。先に行くぞ」

(‘_L’)「船を出せ。アイツらなら上手いことやって帰ってこれるだろう」


「待ってくれよ。まだ俺が乗るぜ」

(‘_L’)「!!誰だ……………」

(;‘_L’)「何故お前がここに………も、モララーは……」




  _
(;;#∀゚)「『メデューサの瞳』……奪いに来たぜ」

425以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 00:06:42 ID:jJ8MZZu20
(;‘_L’)「お、お前ら!奴を仕留めろ!!」

フィレンクトは俺を殺すよう、部下に命令を下した。
船は出港し、後戻りのできない状況だ。
それでも構わない。
  _
(;;#∀゚)「来いよ……相手してやるぜ…!」

俺はすかさず近くにいた兵士を斬りつけた。
一人、二人……。
とにかく戦闘態勢に入ろうとする奴から斬りかかる。

銃を構える奴は好都合だ。
その銃を俺が拾い上げ、使うことができる。
今は痛みを全く感じない。
死んでいないということは致命傷に当たる攻撃は喰らっていないということだ。
  _
(;;#∀゚)「おら!!もっと手ごたえのある奴はいないのか!?」

剣を交えても、2回以上当ててしまうとすぐに隙が見えてしまう。
いくら近距離から銃で狙われても、緊張してしまい、全く俺まで当らない。
気付けば船は海の真ん中まで来ていた。

426以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 00:16:30 ID:jJ8MZZu20
(;‘_L’)「ば……馬鹿な!!」

(;‘_L’)「おい!何をやっている!!」

(;‘_L’)「相手は怪我を負った海賊一人だぞ!?」

(;‘_L’)「何故……何故殺せないんだ!!」
  _
(;;#∀゚)「じゃあお前がかかってこいよ」

(;‘_L’)「は?…………え、え?」

船に乗ってわずか数分、俺は船員を全滅にした。
本当に手ごたえのない奴らだ。
この船にはもう俺とフィレンクト卿しか乗っていない。
  _
(;;#∀゚)「残念だが……あんたは殺す。宝石がどうなろうとな」

(;‘_L’)「ば、馬鹿な!そんなことをして許されると思っているのか!?」
  _
(;;#∀゚)「あんたは許可を得て貴族の船を襲った海賊を見たことがあるのか?」

俺は銃を構えながらフィレンクトの元へ近づく。



その瞬間だった。

427以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 00:27:16 ID:jJ8MZZu20
  _
(;;#∀゚)「!!」

(;‘_L’)「!?なっなんだ!」

大きな揺れが俺達の船を襲う。
なんだ?砲撃か?
しかし、この船以外に周りに船など見当たらなかった。
じゃあいったい、この衝撃は何だ…?

その瞬間、俺の目の前に大きな影が現れた。

(;‘_L’)「あああああああ……ああ」
  _
(;;#∀゚)「で…でけぇ…………!」

揺れの正体は砲撃ではなかった。
まさか1日に2匹も出会うとは…。



俺達の目の前に出現したのは



1匹の


巨大な海獣。

428以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 00:34:34 ID:jJ8MZZu20
(;‘_L’)「ひゃっひゃあああああああああああああああああああ!」
  _
(;;#∀゚)「うわああああああああああああああ!!」

さっき見た海獣とは比較にならない程の大きさ。
体長は10mを優に超えている。
血の匂いにつられてやって来たのだろう。
海獣は船の半分ほどの口を大きく開き、もう一度海に潜りこんだ。

(;‘_L’)「わわわわかった!!私があの宝石を持ち出したのが悪かったんだな!!」

(;‘_L’)「海の神よ!!私の罪をお許し下され!!」

フィレンクトは発狂し、宝石を取り出すと、海に向かって腕を振り被った。
まずい。こいつ海に宝石を捨てるつもりだ。
俺はフィレンクトを押さえつけ、宝石を奪う。
  _
(;;#∀゚)「おい!馬鹿な真似はやめろ!!」

(;‘_L’)「は、離せ!!死にたくない!!」
  _
(;;#∀゚)「馬鹿か!もう俺達は海獣の!!」

その時、船の両側から同時に無数の牙が生えた物体が海から現れた。
誰が見たってその存在は明らかだ。

海獣の上顎と下顎に挟まれたのだ。

429以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 00:41:52 ID:AZ7Z9Xfs0
  _
(;;#∀゚)「うわあああああああああああああああ!!」

俺はとっさに飛び上がり船首にしがみつく。
船の中央は噛み砕かれ、文字通り船は真っ二つになった。
船は傾き沈み始めた。
俺に残された時間はこの半分になった船の浮力に頼るばかりとなった。

(;‘_L’)「誰か!!誰かあ!!た、助けてくれ!!助けてくれえ!!」

よく見ると、沈みかけた船にフィレンクトが必死にしがみついていた。
足は海にどっぷりと浸かっており、上体だけでなんとか船に残っていた。
こいつ…なかなかの強運だ。
  _
(;;#∀゚)「助かりたきゃ自分で這い上がってきな!!」

この時点で俺は自分の命を救うだけでやっとだってのに、こいつのことなど構っていられるか。

(;‘_L’)「頼む!!さっきの攻撃で足を喰われてしまったんだ!!」
  _
(;;#∀゚)「何だって?」

よく見ると、フィレンクトの周りだけ、海の色が赤かった。
なるほど、下半身はもう無いのか。
それでは一人で這い上がってこれないだろう。
別にこいつを助ける義理はないが、この緊急時の中で無視するわけにもいかなかったので俺は助けることにした。
  _
(;;#∀゚)「……おい!今からそっちに行くからちょっと待って……」

その時、俺の目の前でフィレンクトは海獣に攫われていった。

430以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 00:50:03 ID:AZ7Z9Xfs0
  _
(;;#∀゚)「…………………え?」

本当に一瞬の出来事だった。
あっという間に海獣はフィレンクトを飲み込み、海に潜っていった。
何たる暴虐。
これが同じ生物だと言うのか。
  _
(;;#∀゚)「くそっ!!どうする!?」

ここまでくれば落ちは読める。
次に狙われるのは俺だ。
だが、全ての目的を俺は達成したのだ。
こんなところで死ぬわけにはいかないんだ。
  _
(;;#∀゚)「……………………来たか…」

俺の前に大きな顔を出した。
まるで大きな岩を見ているかのような大きさ。
俺の存在が如何にちっぽけなのかがよくわかる。
奴は大きな口を開け、俺に近付いてきた。
  _
(;;#∀゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

どうする!?
何ができる!?
しかし、対策などなにも思いつかない。
俺は死を覚悟した。

その瞬間までは。

431以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 00:58:35 ID:AZ7Z9Xfs0
一発の砲弾が海獣を襲った。
海獣は驚いて海に潜る。
俺は一命を取り留めた。
  _
(;;#∀゚)「なっ……砲弾…!?」

俺は辺りを見渡す。
するとそこには頼れる面々がいた。

('A`;)「キャプテン!!大丈夫っすか!?」

( ;><)「スカルチノフさんがまたやってくれたんです!!」

/ ゚、。 /「めっちゃ怪我してるじゃないですか!!直ぐに戻って手当てをしましょう!!」

/ ,' 3「………………」グッ

ζ(;;ー゚#*ζ「ジョルジュさん……!」

ドクオ、ビロード、ダイオード、スカルチノフ、デレ。
出港メンバーが船に乗り、すぐ側まで来てくれた。
おそらくデレがクルー達に教えてくれたのだろう。
  _
(;;#∀゚)「お、お前ら………!!」

まさかこいつらが来てくれるとは…。
しかし、それはそれで大変な問題になった。

432以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:07:02 ID:AZ7Z9Xfs0
  _
(;;#∀゚)「直ぐに逃げろ!!お前らまで狙われるぞ!!」

俺は大声で奴らに向かって叫ぶ。
まずい。俺の次はアイツらが喰われてしまう。
急いでここを離れてくれ。

('A`;)「だ、駄目ですよ!!何を言ってるんすか!」

( ;><)「皆で島に帰るんです!!」
  _
(;;#∀゚)「馬鹿言ってんじゃねえ!これは遊びじゃねえんだぞ!」

/;゚、。 /「でも…船長を連れて帰らないと…!」
  _
(;;#∀゚)「俺にかまうな!!いいから先に……」

その時、3度目の影が現れた。
今度は砲撃などでは引かないだろう。
  _
(;;#∀゚)「ははっ……俺を喰うってのか?」

覚悟を決めろよジョルジュ・キッド…『決闘』
お前はクルーを守るために戦うんだ。
  _
(;;#∀゚)「来いよ……相手してやるぜ……」

大切な者の為……それがお前の戦う理由だろう?
  _
(;;#∀゚)「決闘だ」

433以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:11:20 ID:AZ7Z9Xfs0
奴が大きな口を空ける。
もうここまできたら後には引けない。

('A`;)「キャプテン!!ちょっと!!」

クルーの声はもう聞こえない。
後は俺とこいつだけだ。
  _
(;;#∀゚)「こいよ!お前は俺が殺してやる!!」

牙が沈みかけた船を覆い、日の光を閉ざした。
俺を喰えばお前はきっと満足するはずさ。

( ;><)「船長!!逃げて下さい!!」

/;゚、。 /「船長!!船長!!」


俺の誇りを。

俺の命を。



賭けてやる。



.

434以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:17:46 ID:AZ7Z9Xfs0
.















.

435以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:17:58 ID:AZ7Z9Xfs0
('A`;)「………………………」

( ;><)「せ……船長?」

/;゚、。 /「そ……そんな…」

/;,' 3「………………………」

ζ(;;ー゚*;ζ「……………………」

(;A;)「きゃ……キャプテン………嘘だろ…?」

(;A;)「キャプテン……う…ううう…」

(;A;)「うわあああああああああああああああああああああ!!」

(;A;)「わあああああああああああああああああああああ!!」

/;゚、。 /「………………………ん?」

/;゚、。 /「何だ?なにか海から…飛んで……」

( ;><)「うわああああ!何かがマストに巻き付いたんです!!」

ζ(;;ー゚*;ζ「な、何ですか!?…ロープ?」


(;A;)「そ、それ……………!!キャプテンの鉤爪ロープじゃねえか!!」

436以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:30:13 ID:AZ7Z9Xfs0
  _
(;;#∀゚)「おい!誰か引き上げてくれ!!」

(;A;)「きゃ……キャプテン!!」

俺は海面から顔を出し、大声で船員に声をかける。
俺の存在に気付いたクルーは大急ぎでロープを引き上げた。

( ;><)「船長!だ、大丈夫だったんですか!?」

/;゚、。 /「確実に喰われて海に沈んだじゃないですか!」
  _
(;;#∀゚)「ああ、まあそうなんだけどな」


喰われた瞬間、俺は飲みこまれる前に、銃で3発口内を攻撃し、
その後ブーメランで皮膚を切断。そのわずかな隙間から剣で切り裂いた。
口をぱっくり裂き、そこから脱出、最後に鉤爪ロープを使い、船に戻ることができた。
海獣は相当深手を負ったしあの口ではしばらくは何も噛むことができないだろう。

俺は何とか生き延びた。

(;A;)「キャプテエエエエエエエエエエン!!死んじゃったのかと思いましたよおおおお!」

ドクオが俺に抱きついてきた。
それと同時ぐらいに俺は麻酔が切れたので体のあちこちが痛みだした。
  _
(;;#∀゚)「やめろおおおおおおおおおおおおお!マジで死ぬわ!」

437以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:36:31 ID:AZ7Z9Xfs0
/;゚、。 /「穴だらけじゃないですか!!すぐに手当てをしないと…!」

ダイオードが担架を用意し、俺を船内に運ぶ。
ビロードとドクオに運転は頼み、俺はゆっくりと休むことにする。

ζ(゚ー゚*ζ「宝石……しっかり持って来たんですね」
  _
(;;#∀゚)「ああ…まあな」

俺はどんな状況でもこれだけは手放さなかった。
『メデューサの瞳』。
いろいろ慌ただしくて見ることができなかったがよくよく見てみるととても美しい。
確かに秘宝と呼ばれるだけの価値はある。
  _
(;;#∀゚)「分け前は…半々だったか?」

ζ(゚ー゚*ζ「その件ですが……私は受け取るわけにはいきません」
  _
(;;#∀゚)「ああ?どうしたよ急に…」

ζ(゚ー゚*ζ「ここまでこれたのは全て貴方達の挑戦の結果です。私は何もしていない」
  _
(;;#∀゚)「何言ってんだよ『巨人』を倒したのはお前だぜ?」

ζ(゚ー゚*ζ「それだけです。私は何としてもフィレンクトから宝石を取り戻したかった」

438以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:37:46 ID:LSynAzFM0
さすが蛇の腹から帰還した男だぜ

439以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:38:31 ID:rditZkGgO
終わっちまうのか…

440以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:42:37 ID:AZ7Z9Xfs0
急な話で驚いたが、本人が引く気が無いようなのでありがたく頂戴することにした。
しかし、船まで借りといてこれでは俺も後味が悪い。
俺も何か彼女の為にしてやりたい。
  _
(;;#∀゚)「なあ、デレ」

ζ(゚ー゚*ζ「………何ですか?」
  _
(;;#∀゚)「お前…俺の海賊団に入らないか?」

ζ(゚ー゚*;ζ「え……!?」
  _
(;;#∀゚)「今回の航海……。やっぱりお前の力もあっての成功だ。お前は単独で生きるのには惜しい」

ζ(゚ー゚*;ζ「……………………」
  _
(;;#∀゚)「無理にとは言わねえ。ただ一つだけ言わせてくれ」
  _
(;;#∀゚)「俺はお前のシチューがもう一度食べてえな」

ζ(゚ー゚*ζ「……………………」

ζ(゚ー゚*ζ「私……あまりバストが無いんですけど」
  _
(;;#∀゚)「俺が誘う分には問題なしだ」

ζ(゚ー゚*ζ「………なんですかそれw」

デレはクスッと頬笑んだ。
俺の海賊団に5人目の仲間ができた瞬間である。

441以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:49:56 ID:AZ7Z9Xfs0
島に戻り、俺は直ぐ様ツンの元に行こうとした。
しかし、怪我で体が動かなかったのでダイオードのドクターストップがかかり、結局面会は1週間後になった。
ドクオ達に俺の安否だけ伝えてもらい、俺はその間一生懸命練習した。

何の練習かって?
言わせんな恥ずかしい。

そして待ちに待った一週間後、俺はツンの家に出向いた。

('A`;)「大丈夫です!その宝石を見せて落ちない女はいません!」
  _
( ;゚∀゚)「マジ!?本当!?」

( ;><)「深呼吸です!深呼吸!」
  _
( ;゚∀゚)「ビッ!ビッ!ブー!ビッ!ビッ!ブー!」

/;゚、。 /「キザは今日日流行んないですよ!狙うはクール一択です」
  _
( ;゚∀゚)「おっけ!まかせろやあ!!」

/ ,' 3「………………」ニヤニヤ

ζ(゚ー゚*ζ「落ち着いてくださいよ!船長!」
  _
( ;゚∀゚)「どどど、どこをどう見たらお、お、俺が落ち着いてないんだよ!」

442以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:52:59 ID:olHbZlsIO
ニヤニヤ

443以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:55:46 ID:XLp6C5k2O
いけ!漢をみせろ!

444以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:55:52 ID:AZ7Z9Xfs0
  _
( ;゚∀゚)「よし……行ってくるわ」

俺は拳を握りしめ、ツンの元へ行く。
さあ、今日こそは言うんだ。
あの言葉を。

ξ゚⊿゚)ξ「いらっしゃいま……………」

ξ゚⊿゚)ξ「あ………………」
  _
( ゚∀゚)「……………………おう」

久しぶりのツンは相変わらず美しかった。
特に顔色が悪いわけでもなく、普段の日常を取り戻しつつあるようだ。
店は賑わっていたが気にすることはない。
  _
( ゚∀゚)「久しぶりだな……体は大丈夫か?」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたこそ…結構怪我したって聞いたわよ?」
  _
( ゚∀゚)「まあ、な」

はじめは気楽な世間話から入る。
その次が最大の問題だ。
  _
( ;゚∀゚)「あのさ…実は…ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ……」
  _
( ;゚∀゚)「え?あ、ああおう、何だよ」

445以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:56:45 ID:AZ7Z9Xfs0
完全にツンに言葉を喰われた。
俺はプロポーズを中断し、ツンの話を聞くことにする。

ξ゚⊿゚)ξ「モララー様……は?」
  _
( ゚∀゚)「………………………」

俺はどう答えればいいか迷った。
騙されていたとはいえ、ツンが一度は愛した男だ。
アイツのことは俺しか知らない。
  _
( ゚∀゚)「モララーは…………俺が殺した」

考えた末、俺は正直に伝えることにした。
もしかしたらツンはそこまで望んではいなかったのかもしれない。
しかし、俺はアイツを殺さないわけにはいかなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「そう……………………」

ツンはそれだけしか返さなかった。
それ以上の言葉は彼女の口からは出ることはなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「私ね…………偽物の恋愛をしていたみたい」

ξ゚⊿゚)ξ「モララー様と過ごした日は確かに楽しかった。でも……」

ξ゚ー゚)ξ「空っぽだった……」

446以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:57:26 ID:AZ7Z9Xfs0
  _
( ゚∀゚)「ツン………………」

ξ゚ー゚)ξ「私は自分で自分に嘘をついてたの」

ξ゚ー゚)ξ「私はモララー様が好きなんだー、愛しているんだ―って」

ξ゚ー゚)ξ「でも違った。心のどこかで否定している自分を受け入れようとはしなかった」

ξ゚ー゚)ξ「ごめんねジョルジュ…わたしのせいでこんなことになって…」
  _
( ;゚∀゚)「気にすんなよ!俺は…気にしてねえから」

ξ゚ー゚)ξ「うん……私は気付かなかったの。本当の幸せなんて一番近い場所にあるんだって」
  _
( ;゚∀゚)「ツン!!それって……」

ξ゚ー゚)ξ「うん……私………」






ξ゚ー゚)ξ「常連のイトーイさんと結婚する!!」




.

447以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:57:43 ID:Q/2S.TVw0
oh...

448以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:58:15 ID:AZ7Z9Xfs0
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「すごおおおおおお…ぶしゅううううううう…」

ξ*゚⊿゚)ξ「イトーイさん!」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ぶうぶうぶおおおおおおおおお…」

ξ*゚⊿゚)ξ「そんなやだあ……」



  _
( ゚∀゚)



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ごごごごううううううう……」



  _
( ゚∀゚)


  _
( ゚∀゚)

449以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:58:37 ID:Q1be9KO2O
お……おいィィィ!?

450以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:58:55 ID:AZ7Z9Xfs0
  _
( ゚∀゚)「え?……あ………あれ?」

ξ゚⊿゚)ξ「ジョルジュ!そう言うことだから!」
  _
( ゚∀゚)「え?え?な、何、え?」

ミ;,,゚Д゚彡(あーあ………)

ξ;゚⊿゚)ξ「あっ…ジョルジュには紹介してなかったね」

ξ゚⊿゚)ξ「この人…私の恋人のイトーイさん!」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ぶしゅうううううううううう…!」



ξ*゚ー゚)ξ「ジョルジュもよろしくね!」



  _
(  ∀ )

451以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 01:59:53 ID:AZ7Z9Xfs0
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「しゅうううううごおおおおおおううう…?」

ξ゚⊿゚)ξ「ああ、ただの知り合い。子供の頃によく遊んだ」



  _
(  ∀ )


ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ぢゅぢゅぢゅううう……ごふっごふっ…・」




ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「すぽぽぽぽぽぽぽぽぽぅ………」

  _
(  ∀ )「……………………ヶ」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「……………………………け?」


.

452以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:00:04 ID:rditZkGgO
\(^0^)/

453以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:00:25 ID:AZ7Z9Xfs0








  _
( #゚∀゚)「決闘だあああああああ!!」






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454以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:01:23 ID:AZ7Z9Xfs0













                       】人はその男を『決闘』と呼ぶようです【










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455以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:02:45 ID:AZ7Z9Xfs0
最後ずれたからもう一回だけやらして下さい><

456以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:03:18 ID:Q/2S.TVw0
ちょwww

457以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:04:32 ID:AZ7Z9Xfs0










                                 
                       】人はその男を『決闘』と呼ぶようです【

                                 完








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458以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:04:44 ID:XLp6C5k2O
なんというwwwwww

459以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:06:30 ID:CnbmSGBY0
乙wwwwww

460以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:06:41 ID:Q1be9KO2O
wwwwww
とにかく乙だ! ずっと張ってた甲斐があった!

461以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:12:40 ID:LSynAzFM0
長期戦だったな


462 ◆JVjG3YnSSw:2011/02/23(水) 02:12:43 ID:AZ7Z9Xfs0
すいません…。
音楽祭り最初から投下してたのにまにあわなかった…

くそっ!!長過ぎんだよ!


あとがきとしましては
ここの登場人物は全て子供のような思考の人たちだけで構成しました。

・珍しいものを使って好きな子の気を引こうとする男の子
・嫌いな子がいるから間接的にいじめる子
・好きな子にすぐ結婚とか言っちゃう子
・一番最初に触らなきゃ気が済まない子……etc

それを海賊とミックスした形になります。
テーマとなる曲から子供じみた感情を受け取ったもので。

本酉はフェスのあとがきスレ公開します。

463以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 02:29:29 ID:a4mOl5pAO
乙です!
楽しかったぜ

464以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 07:00:27 ID:lmhZ4wN.O
長かったな……本当にお疲れ様!
面白かった

465以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 09:53:22 ID:Rar5LVWI0

最高だった

466以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/23(水) 18:18:56 ID:q0l4386wO
乙!おもしろかったよ!

467以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/24(木) 01:13:50 ID:5GaT5fgwO

これだけ長いのに一気に読めた
面白かったよ

468以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/13(日) 18:32:01 ID:M48noiUw0
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469以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/13(日) 18:32:13 ID:M48noiUw0
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470以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/13(日) 18:32:25 ID:M48noiUw0
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471以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/03/13(日) 18:32:35 ID:M48noiUw0
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472以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/04(月) 03:19:59 ID:u5ZN7n22O
最高に面白かったがなぜショボンがいない(´・ω・`)ショボーン

473以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/04(月) 14:28:54 ID:cy8FJGH60
一気読みしちまった

474以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/30(土) 20:37:00 ID:2.2SBmnM0
お待たせして申し訳ありません。
そろそろ投下に相成ろうかと思ったり思わなかったり。

詳細は後ほどっ!!

475以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/30(土) 20:41:58 ID:uC92Fj16O
>>474
おお!

476以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/30(土) 21:00:11 ID:IWcqQUG6O
この作者は偽物だな
会議室を見れば分かる

477以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/30(土) 21:03:58 ID:2.2SBmnM0
まさか釣れるとは夢にも思わなかったYO

478以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2012/02/13(月) 01:23:12 ID:UCyRtNfYO
えいじ

479以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2012/07/14(土) 15:51:13 ID:IDIEMXUQ0
おもしれーな

480以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2012/10/12(金) 20:53:47 ID:nbGUmLsc0
乙。

481以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2015/09/09(水) 17:02:42 ID:6UnMxIk20
久しぶりに二週目読んだ


もう届かないかもしれないが、乙


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