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おもらし千夜一夜4

568 事例13「容疑者の一人」と安楽椅子探偵。-EX- :2017/11/02(木) 01:27:20
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「ごめん、今日は先に帰って、私ちょっと用事があるからさ」

私はあやりんと弥生ちゃんにそう声を掛ける。

「……ん、わかった」「それじゃ、また明日」

あやりんと弥生ちゃんが教室を出て、他の生徒も教室から出ていく。
そして、教室には私ともう一人が残る。
私が用事と言ったとききっと彼女もそれを察したのだろう。

「どうして協力してくれたの……呉葉ちゃん」

自分の机に頬杖を付いていた彼女がそれをやめて、机に視線を向けながら答える。

「白鞘さんにはずっと悪いと思ってたから……」

白鞘とはA子――白鞘英子(しらさやえいこ)のこと。

「私もごめん……まさか呉葉ちゃんが犯人とは思ってなくて……」

なんだか私、いつも呉葉ちゃんにとって余計な事をしでかしてる気がする……。
今にして思えば、別の場所や学校外でそういう話をすべきだった。

「気にしないで……謝らなければいけないのは、私が英子に対して…だと思うから……」

……。
英子ちゃんの話を聞いて、私は少し自己嫌悪していた。
当時の私は、何度も釈明する彼女の事を全く信じていなかった。
周りは優しくしてくれてはいたが、何度釈明しても優しく諭される……その遣る瀬無い気持ちと言ったら計り知れない。
だから私は、罪悪感から早く解決したいって気持ちばかりが先走りD子が――呉葉ちゃんが真犯人だという可能性を見落としていた。

「雛倉さんの推理……、大体合ってた。強いて言うなら、トイレの場所を変えなかった理由くらい」

――理由……なんだろ?

疑問に思うが呉葉ちゃんはそれ以上続ける気がないみたいだった。

私から声を掛けるべきか迷っていると小さくため息が聞こえてきた。

「……別に罪を擦りつけたいとか思ってなかった……。
だけど、結果的には最低な事してて……その晩気持ち悪くて一睡もできなかったわ」

何を言っていいかわからず私は口を閉ざす。
呉葉ちゃんは真面目で正義感が強い子だった。
だけど気が弱くて、行動力がなくて、人見知りで。

英子ちゃんにしたことは結果的に正義とはかけ離れた行動。
もし呉葉ちゃんに勇気があれば、彼女の正義感から間違いなく犯人は私だと名乗り出ていたはず。
それが出来ない自分を責め続けて……、彼女が出来る精一杯があの手紙で。

「ねぇ、黒蜜さん」

「……なに?」

「白鞘さんの連絡先……教えて、くれない?」

少し自信なさげに、でもハッキリと聞こえる声で言った。
私は小さく笑いながら言った。

「うん、いいよ……」

大丈夫……。
英子ちゃんのあの様子だと、今はそれほど気にしてない。

「許してくれるよ、きっと――」

おわり


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