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オリジナル企画モノ文章
5
:
銀
:2007/02/09(金) 23:45:26
僕は思わず絶叫し、体を起こして女の人から急いで離れた。
今まで僕はこの女の人に世間一般でいう「膝枕」というものをされていたらしい。全身の血が熱く煮えた
ぎり、顔まで上ってくるのが分かる。熱い。僕は…興奮しているのか?
女の人は正座した状態でこっちを見てこう言う。
「あ、あなた…人間ですよね?家の目の前で倒れてたんですよ。」
人間・・・・何を言ってるんだこの人は。
いくら派手な服に身を包み、鉄仮面を装着していようがその女の人は見た目からして『人間』だった。じゃあアナタは何…?そう聞きたい所であったが膝枕のこともあり、出そうにも声が出せなかった。
改めてそこで周りを見回してみる。日本庭園…縁側…その奥には広そうな和室、そしてこの縁側は奥の廊
下まで続き、その一番奥は長すぎて見えない。相当広い屋敷ということか。
そして恐る恐る改めて彼女に目を移した。
彼女はニコリと優しく微笑み、こちらに手招きをした。そして彼女の後ろにトコトコと奇妙な足音を立てながら小さな影が迫る。
「おぉ…目覚めたか人間よ…」
視界に影の主が入った。ソファほどしかない背丈、みすぼらしい服装に、猫の手の形をした杖…というより孫の手を右手に持ち、マリモの如く生やした白髪と白髭を左手で撫でながらこちらに向かって杖で手招きをしてくる。一瞬感じてしまった。こいつ・・・『明らかに人間じゃない』と…。
とりあえずここで固まっていても何もはじまらない…。とりあえず恐る恐る彼らに近づく。女の人はそこからすくっと立ち上がり、居間の方へ姿を消す。そして老人の方へたどり着き僕の膝の半分ほどしか丈のない老人は僕を見上げ、「こっちじゃ」と居間の方を杖で指し、居間へとスッと入って行く。僕は状況を掴めてはいないのに、何故か導かれるように居間の中に入っていった。
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居間は思ったより広々としていて、奥を見渡すと台所もあった。僕と老人はその中央、大きなちゃぶ台があるところまで歩いた。そこで老人はスッと安座し、杖で僕の足元を指す。
「座れ。」
僕は老人に言われる通り、その場に正座した。
さっきの膝枕の絶叫以来、何も喋っていない。老人と言うとおり動いているだけだ。まずここはどこか聞いていない。こいつらは何者なのか、そんなことも聞いていない。僕は気がつけば老人の言われるまま動くことに大して微妙に苛立ちを感じていた。
「あなた達は一体…何者なんですか?」
つい言い放ってしまった。
「そして・・・ここはどこなんですか?」
思っていることを全て言い放ってしまった。あの少年のことといい、暗闇でのことといい、ストレスが溜まっていたのか、本音を心の中で抑える力がなくなっていたのだろう。
一時の空白が居間を支配する。
聞こえる音は池に流れる水の音と、時々そよぐ風の音。
やっぱり聞くべきではなかった…僕はうつむき自分のふとともを見て後悔した。そりゃ初対面の赤の他人
に『何者』とか化け物扱いするようなこと聞くこと自体が人として…『どうだよ』
こうやって考える時間がとても長く感じた。
謝らなくては…僕はうつむいた顔を何とか持ち上げ、老人の顔を見る。
思ったより普通にしていた。
その場に安座し腕を組み、髪の毛で隠れているが多分こちらを見つめているのだろう。だが不満そうな表情は何故かそこからうかがえなかった。
だがそれより驚くことが、ちゃぶ台の上にあった。
茶色く四角い…芋ようかんのようなものとお茶が置いてあった。老人の隣りではおぼんを抱えたさっきの女の人が『ニコニコした表情』でこちらを見ている。その微笑みは美しく、大げさに言えば『天使』…天使の笑顔だった。
「ささっ、食べてくださいな。」
とりあえず僕はその場しのぎにペコリの会釈をし、ようかんらしきものの隣りに置いてあったフォークに手を移す。そしてフォークでそれをすーっと切り、口に運ぼうとした。切れた感触も、ほんのり香る匂いもようかんそのもので、それもかなり上質なものだった。様々な大富豪との食事で、和菓子も何度も食べたが、ここまで食べる前の風味に感動しそうになったのは久しぶりだった。とりあえず食べよう…はなしはソレからだ。気がつけばようかんに夢中になっていた僕。
「わしらはデジタルモンスター…、略してデジモン。」
口に運ぶ直前、老人は口を開いた。
「動物とは違う生物、それらわしらだ。ここは私たちが住む世界…デジタルワールド。おぬしはその世界に導かれた…我らとは違う生物、人間。」
話を聞きつつ食べようとしたようかんらしきものを皿の上に再び置いた。とりあえず話を聞いてみると…
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