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短編小説
20
:
雫
:2013/07/20(土) 16:32:44 HOST:ntiwte061027.iwte.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
「―2番目彼女―」後編
簡単なことだった。
啓先輩と付き合うのも、啓先輩を喜ばせるのも。
どうすればいいかなんて簡単だった。
リコ先輩の、啓先輩の好きな人の真似をすればよかったんだ。
だからわたしは、啓先輩がリコ先輩を好きと気付いたその瞬間から
リコ先輩の真似を始めた。
リコ先輩とは部活を通じて仲が良かったから
先輩の情報が多いぶん、真似するのは簡単だった。
ショートパンツをやめてスカートを履いた。
いままで履かなかったブーツを履いた。
結い上げていた髪をおろすようにして、しなかったメイクをするようになった。
好きでもない漫画を読んで、大好きだった部屋中の小説を隠した。
口角をきゅっ、とあげるリコ先輩の笑顔を真似して、
いままでの笑顔を封印した。
今ではもう、自分がどんな風に笑ってたかさえ、思い出すことができない。
フライパンの中で、野菜とお肉が炒められていく。
リコ先輩は、どんな味付けをするんだろう。
わからない。
どうしようかな。
今度リコ先輩のお弁当一口もらおうかな。
こんな風にしていったら
きっといつか、【わたし】はいなくなってしまうんだろうな。
でも、それでもいいや。
啓先輩と一緒にいれるなら、わたしの願いはただひとつ。
啓先輩と一緒にいること。
身代わりでも、二番目でも、なんでもいいから。
ただ、それだけ。
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