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放課後デイズ

33かもめJP@:2013/08/24(土) 08:43:48 HOST:zaq3a55fbfd.zaq.ne.jp

 第二章 多文化研究部

 1

 和乃たちが新たな部活の創設を決めてから一週間後。
 なんとかどういう部にするかが決まり、担任の教師からも部の設立を認められ、掲示板に貼り紙を貼ることが許可された。そろそろ入部期間である一ヶ月が過ぎようとしているのに、貼り紙の和は減ったとはいえない。なるべく目に付きそうな場所に貼って、入部希望者が来るのを待って一週間が過ぎた。
「……和乃。誰も来ないんだけど」
 三人は改めてチラシを貼った学園掲示板前に来ている。場所が変えられている、ということもないようだ。
 そもそも三人が作ろうとした部活は『万部(よろずぶ)』というもの(玲花命名)である。
 活動内容はいたってシンプルで具体性のない『何でもやる』で遊びから依頼までをこなす、という漫画とかでよくある部活だ。漫画脳の和乃が考えたものらしい。
 新しい部活の創設には最低五人、つまりあと二人は必要になってくるわけだ。
 忠次は困ったように溜息をつきながら、腕を組んで答える。
「……もう入学して二週間だ。一ヶ月まで一週間とちょっと。さすがに、ほとんどの人はもう入部しちゃってるんじゃないか?」
「なるほどね。だから部の貼り紙がある掲示板前も通らない。通っても素通りするだけ。そりゃ目に入らなくて当然だわ」
 どこかの部に入部していたら掲示板の前で部活を選ぶ必要がない。だから、和乃たちが何処にチラシを貼ろうが関係ないのだ。
 彼女たちの敗因は貼り紙の場所ではなく、単に時期の問題だった。
「うーん……やっぱり諦めて他の部に入部するしかないのかなぁ」
「そうした方が賢明ね。安心して。和乃と同じ部にするから」
「先生には悪いが、ちゃんと部の創設をやめることを言わないとな。職員室に行って、三人で話そう」
 忠次が言うと、三人は職員室へとチラシを剥がして向かっていく。
 和乃たちが職員室へ入るといきなり、

「えぇっ!? まだ一人しかいないの? 今年度の入部希望者一人だけ!?」

 入り口付近で、美人な女教師と話している少年の声が耳に入った。
 制服は着崩していて、カッターシャツの中に赤いTシャツを着ている。カッターシャツのボタンが全部開いているため、中が丸見えだ。頭にはニット帽を被っている。暑くないのだろうか。
 すこし軽薄でノリの良さそうな少年は、明らかにショック受けたような顔をしている。
 肩くらいまでの長さの黒髪を持った、クールな印象を与える女教師は溜息をついた。
「何でと聞かれても知らん。お前がちゃんと宣伝しないからだ。チラシは貼ったのか? 勧誘はしてるのか? まあ、入部届けを受け取る教師があんなのじゃなぁ」
 女教師は遠い目をしながら言った。
 ニット帽の少年(先輩らしき人)は肩を落としながら和乃たちに気付いたのか、そちらへとちらっと振り返ると、水を得た魚のように目に輝きを取り戻して三人に近寄っていく。
「な、なあ、君たち、今なんか部活入ってる!?」
「え、え、ええ?」
 言われた和乃は戸惑う。
 和乃は二人に助けを求めようとするが、玲花と忠次はチラシを和乃から攫っていって、創部取りやめの手続きを行っている。
 この裏切り者、と思わなくもないが、とりあえず目の前の人の質問に答える。
「え、えっと……創部しようとしてたんです、けど……今回取りやめの方向に……」
「じゃあさ!」
 ニット帽の先輩が和乃の肩を掴む。
 明らかに困ったような表情をしている和乃を見て、女教師はニット帽の先輩に落ち着くように促している。
 それを聞き入れたのか、少し冷静になって彼は口を開いた。

「うちの部活に、来ないか?」


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