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+不死鳥+

1日陰:2012/11/02(金) 22:24:58 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
   ++++
 
 「――……何で、俺は生きてるんだろう…――」

 あるビルの屋上に、一人上を向きながら倒れ込んでいる銀色の髪をした少年が、降ってくる雨にあたっていた―――。
 
 雨は少年の目から頬へと伝っていき、コンクリートの冷たい地面に落ちって言った―――。

2日陰:2012/11/02(金) 23:14:41 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第01話  +完全不死の不完全少年+  +其の01+

 百城高等学校(ももしろこうとうがっこう)の西校舎にある1年4組のクラスに、ある日転入生がやって来た。
 10月の末。そろそろ生徒全員が長袖の制服に手を伸ばすといった頃に、その転入生はやって来たのだ。
 1年4組の生徒は、全員長袖の制服に身を包み、自分たちのクラスに担任の星崎・保美(ほしさき・ともみ)と共に入ってきた銀髮の髪をした少年を直視した。
 「――…えぇ〜、この子は前々から話にもなっていた、転入生の『一見・一夜(かずみ・いちや)』君です。みんな、仲良くするように!」
 星崎は笑顔で計29名の1年4組生徒に念押しした。それに対し、28名の生徒が『ハ〜イ!!』と元気の良い、まるで小学生のような返事を返した。
 「……では、一見さん、あの空いている席に座ってください」
 そう言って、教室の一番右端にある、ほかの物よりもズタボロに汚い机に座っている黒髪の少年の隣の空席を指さした。
 転入生の少年、基、一夜は「ホ〜イ!」と言いながら、その空席に歩いて行った。まだ、制服の届いていないのであろう一夜は、藍色のフード付きトレーナーを堂々となびかせながら、歩いていく。そして歩くたびに「カサカサッ」となるPUMAのジャージは、静かなクラスに地味に響く。
 「…ヨロシク……」
 「……………………」
 一夜が席の前についた時。すぐに隣の席の幸村・透流(ゆきむら・とおる)に話しかけた。だが、返事は返ってこない。29人の生徒が、星崎の言葉に28人の声しか返ってこなかったのは、透流が何も言わなかったからだ。
 「………オイ…」
 「…!!?……」
 透流は突然目の前に現れた一夜の顔に驚き、少し飛び跳ねた。
 「…夜・露・死・苦ゥ!!」 
 ニカッと笑っている一夜に、透流は何の言葉も返さなかった。

3日陰:2012/11/03(土) 10:49:18 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第01話  +其の02+

 百城高等学校が昼休みに回った頃…。一夜はクラスの男子と女子に囲まれていた。
 「ねぇねぇ、一夜君って前はどの学校にいたの〜?」
 「一見は何の部活に入んだ?」
 「好きな女子のタイプは〜?」
 …っと、言った具合に一夜は質問攻めにあっていた。一夜が整った綺麗な顔立ちをしているのもあって、一夜を好む女子の方が男子より多い。
 「ん〜、前の学校つっても、いろんな学校にいたしな〜〜…。あと部活には入る気ねーよ。バイトしなきゃイけねーから……。んで、好きな女子のタイプは友達を守れるような強い子かな〜」
 3つすべての質問に答えたあと、軽く右目を閉じウインクを飛ばす一夜に女子全員が「キャ〜〜〜!!」と感激の声を上げた。それを見て男子全員が、「こいつ何ちゅー奴だ…」と呆れるのだった。
 「…ん?ツーか、一見ってバイトしてんのか?」
 男子生徒がそう言うと一夜はニカッと笑い「あぁ」と言った。話によると、両親は二人とも共働きで下に妹がいる一夜が少しでも家計の支えになればと思い、バイトしているらしい。
 「一夜君って、家族思いなんだね〜。うちも両親共働きで、妹もいるけどバイトしようなんて考えたことないな〜〜」
 一人の女子が一夜の机に肘を立て頬杖をしながらニッコリと微笑む。
 「妹さんの名前はなんていうの?」
 一人の女子生徒が何気ない気持ちでそう聞くと「美夜(みや)」と一夜は説明した。
 小学4年生で、運動がとても好きだったと、付け加えた。その他にも家族のこと等も説明してくれた。父は千晶(ちあき)という名前で、工事現場の現場監督ということ、及び自分は父親似という事や、母は未咲(みさき)という名前でデザイナーの仕事していること、妹の美夜は母親似だということなど……。
 「……そういや〜、隣のこいつ、何でこんなズタボロな机に座ってんの?」
 初めての一夜からの質問だったが、その質問には生徒全員が一気に静かになった。

4日陰:2012/11/03(土) 11:50:43 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第01話  +其の03+

 百城高等学校の屋上。そこにはフェンスの間に手をかけながらジッと空を飛んでいる鳥を見ている透流がいた。
 顔には其処らじゅうに絆創膏やらシップやらが貼ったり、手にもぐるぐると包帯が巻いてある。
 「……ここから落ちたら………」
 ものすごく小さな声。風によってなびく黒髪は透流の虚しさをアピールしている。
 「死ねるかな…」
 そう言った途端風がピタリと止まり、学校の屋上に数羽の鳩が飛んできた。
 「…………………」
 透流は何も言わず、フェンスに足をかけ少しづつ上に上がっていく。そして、屋上のコンクリート地面から4mほどの高さにあるフェンスの一番上に座った。
 (…もう……)
 上から眺める下の風景はまさに小さく、飛び降りたら即死にも見えてきた。
 そして透流はそっと目を閉じると、ツゥーーと頬に涙が通った。
 「…嫌だよ……」
 「…死ねるだろうな〜〜……」
 透流にかかった咄嗟の声。
 透流はすぐに声のした屋上の出入り口に目をやった。するとそこには、ジャージのポケットに手を突っ込んだ一夜が居た。
 「なん…で……」
 「この学校は1階1階の高さが無駄に高い、ソレだけじゃなく、この学校はなんでか4階建て、それプラスフェンスの高さなら、確実に死ぬだろ」
 トコトコと透流の真下に歩いていく一夜はニッコリと微笑んでいた。
 「何しにきたんですか…。一見さん……」
 ブルブルと震えた声と同時に透流の目から大粒の涙が溢れた。
 「…別に何ってわけじゃねーけど、…お前、何で死にたいんだ?」
 ケロッとした顔で聞いてみた一夜だったが、その問いに何の回答も返ってこなかった。
 「何でも良いじゃないですか……もう………疲れたんですよ…」
 フェンスを握った手がより一層強くなる。
 「疲れたから死ぬのか?」
 下から上を見上げる一夜は質問してみた。それに対して透流は「はい…!」とヤケクソのような声で答えた。そしてまた、弱い風が吹く。風は一夜と透流の髪を横になびかせる。
 「…………」…透流も一夜も声を出さない。
 「……お前って―――」
 一夜のかけた言葉に透流は後ろを振り返った。

5日陰:2012/11/03(土) 12:22:39 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第01話  +其の01+

 「…………へッ」
 一夜のかけた言葉に透流の涙が停まった。
 「嫌だから、お前って……」
 一夜は笑ったまま、顔の形一つ変えずに次の言葉を発した。
 「スんげぇ強いんだな」
 風が止まり、鳩が飛んで行き、学校の昼休みを終えるチャイムが同時に起こった。
 透流は一夜の言っている意味が理解できなかった。しかも一夜は「あ、やっべ、俺もう教室に戻るは!!」と笑いながら言い去っていってしまった。
 「……………」
 残された透流はただ唖然としていただけだった。

6日陰:2012/11/03(土) 13:39:17 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 [反省]

 ↑の其の01ではなく、其の04でした。(T▽T)

7日陰:2012/11/03(土) 14:23:44 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第01話  +其の05+

 (あの、転校生の子……一体何者なんだろう………)
 透流は一人、家路を歩いていた。それも誰一人通らない静かな山道を。周りが暗くなっていることもあって、足元もまともに見えない。
 透流は山道を抜けた、住宅街に暮らしている。その住宅街に住むのは透流だけなので、登下校はいつも一人だ。
 そのせいで……
 「…っお、透流クンじゃ〜ん!」
 3年のチョイ不良数名に目を着けられてしまった。
 透流自身、登下校構わずいつも同じ場所で待ち伏せまがいな事をする、この者達に嫌気が差してきた。
 今日もいつもの屋根と椅子付きバス停留所で3名の3年生が透流を待ち構えていた。全員耳にピアス、指にはドクロの指輪、両手首には黒いバンダナ、といった具合にアニメにでも出てくるかのような格好をしている。
 「し、東雲(しののめ)先輩……」
 透流は足をピタリと停め3人を見た。3人はそれぞれ透流の前と左右に配置し、透流の逃げ道を奪う。
 「あのさぁ、透流くん。悪いんだけどお金貸してくんない?」
 3人の中のリーダー的存在の東雲・雅哉(しののめ・まさや)はポンッと透流の肩に手を置き目が笑っていない笑を浮かばせる。
 お金を貸す。それはつまり、お金を一時的に貸してもらい、定期的に返すというものだ。返す場合には利子をつけてもいい。だが、この男は「貸して」と言いながら返したことが一度もない。まぁ、そんなもの当たり前だ。この世の中金を借りて金を返す不良がいるなら、「カツアゲ」なんていう言語は存在しない。
 「……い、いくら…ですか」
 少し怯えながらも聞く透流に東雲はウ〜ンと真暗な虚空を見つめ、そして指を5本立て、パーのような手を作り「5万くらい?」と首をかしげて言い出した。
 今透流が持ち合わせている金は3千円程度。全くと言っていいほど足りない。と言うか、5万なんて金を何につぎ込むというのだ…?というのが一瞬透流の思考回路に思い浮かんだ事だった。しかし、今考えなくてはいけないのは、要求されている金、5万をどうやって3千円にしてもらうかだ。
 「ド〜したの、透流く〜ん?」
 考え込んでいた透流にウザイニヤケ顔で、東雲は言った。
 「…あ、あの、い……今、持ち合わせが…なく……て……」
 透流の途切れとぎれの言葉に東雲は「あぁ゛!?」と荒い言葉を上げる。

8日陰:2012/11/03(土) 16:34:42 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第01話  +其の06+

 ぶん殴られる…、死んだかも…、そんな言葉が透流の脳裏を横切った。
 「んじゃぁ〜、今持ってる金全額貰えるかな?」
 東雲は、笑いながら学生鞄の中に手を突っ込みチェック柄の縦長財布を取り出す。
 「………ナァ〜ンダ、3千円ポッチしかないじゃん…。っま、いっか…。ハイ、お前らに千円づつ…」
 そう言って東雲は舎弟の2人に千円づつ渡す。
 見ていた透流はどんどん不機嫌な気分になる。
 「あとは、821円かァ〜。…っま、明日の給食費もいるし、コンだけは残しとくね〜…」
 東雲の舎弟が「雅哉クンヤっさしィ〜」と叫んだ。「まァね〜!」とこれまた叫びながら東雲は言った。
 そして、東雲は透流の財布を地面に落として、透流をすり抜け後ろに歩いて行った。
 「…………………」
 (何で……)
 透流は歯を噛み締め、手を強く握り締めた。
 そのせいか、誰かが自分に近付いてくる事に全く気付かなかった。
 透流は強く握られていた手を開きソッと財布を拾おうとした。…すると
 「…ホラ」
 透流よりも先に、透流の財布を拾い上げた人物がいた。それは、一夜だった。
 「何で…?」と透流が聞くよりも先に一夜は立ち上がり、持っていた鞄を全力で東雲の背中にブン投げた。『バゴォォン!!!!!』という音が静かな山中に響いた。少なくとも透流たちから東雲等までは5mは、離れている。
 (ッな!…この距離で、鞄を…!!それも、あんな音たてて…!!…)
 透流は目を丸くして後ろの光景を直視する。

9日陰:2012/11/03(土) 17:34:06 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第01話 +其の07+

 「…ッァ…ッタァ〜〜………。…誰だよ……一体…」
 「誰だと言われちゃぁ―、教えねーわけにはイカネー!!今日本日より、百城高等学校1年4組新生徒となった…!!!!」
 背中を押さえ、ゆっくり振り返る東雲に、一夜はビスっと音を立てながら左手の人差し指を立て、右手を腰にあて、まさに上から目線の格好で(坂の上なこともあって…)叫ぶ。東雲たちは、そんな一夜を険しい目で視る。
 「一見一夜!!!!!夜露死苦ゥ!!!!!!!」
 ニカッと歯を見せながら笑う一夜は、まさに負けと恐怖を知らないといったような顔をしていた。
 そして、これはもう、東雲等に対しての宣戦布告としか考えられない…。
 「ナぁ〜に…言ってんのボクちゃん…。俺らのこと舐めてんの……」
 目の下を思い切り黒い影を作り、歯を「ギリギリ」と言わせながら、3人は学生鞄を道路に放り投げる。
 「ご愛憎様だなぁ〜!俺は男女両性を舐める気なんてミジンコたりとも持ち合わせてねぇ―!!!」
 一夜は、手をジャージのポケットに入れ直し、3人の元へ歩み寄っていく。東雲たちも険しい表情で一夜に歩み寄っていく。
 そして、これはまさにまずい状況だと直感的に感じた透流は、今の場所から数歩後ろに下がった。
 「一見君とか言ったっけ…君、もしかしてだけど馬鹿?」
 「馬鹿だから学校通ってんじゃん」
 「…ッフ……正論だよ、一見君」
 「またまたご愛憎様。いつまでも一見君とかホザくな初対面」
 「…俺の名前は、東雲雅哉…。百校の3年だよ」
 「……じゃあ、尚更………」
 歩きながら繰り広げられる口論が一瞬止まった。東雲と一夜は向かい合ったからだ。東雲の方が一夜より背が高いのもあって、一夜は東雲の顔を見上げる。
 「全力でブン殴る!!!!!!」
 先ほど笑っていた顔が怒りのものに変わり、ポケットに入っていた手を取り出し、拳を作った。

10ピーチ:2012/11/03(土) 18:10:42 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
日陰さん>>

不死鳥、題名から面白そう←

一見君の「よろしく」の感じがある意味凄いw

……て言うか、一見君強いね←今更

11日陰:2012/11/03(土) 18:58:23 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第01話  +其の08+

 一夜の一言により開始した1VS3の喧嘩。その喧嘩はたった9秒で終了した。勝者は一夜。しかも一回として怪我をせず、勝利を掴んだ。
 まず第一投目として東雲の顔面を思い切りブン殴った一夜。そのまま残り2人の頭を掴み『ガチゴォォォン!!!』という音を立てながらぶつけ合わせ、二人まとめてぶっ倒れた。
 +――――そして所変わって―――――――+
 「――― 一見さんって物凄い強いんですね…。ビックリしました……」
 坂の上の住宅街の並んでいる所に唯一ある公園のブランコの柵に座りながら透流はブランコに座る一夜に言った。
 先ほどの光景を見てそう思わない者は少ないだろう。だが、一夜はそう言われてもなにも考えていないような憂鬱な顔をしていた。
 「……………」
 「……………」
 二人とも黙り込み一切口を開かない。先ほどまでうるさい程喋っていた一夜が、何故か何も喋らない。
 「……あの」 
 「お前は…」
 突然口を開いたかと思うと透流の言葉を遮る。
 「…お前は、《絶対不死の不完全人間》って知ってるか…?」
 『絶対不死の不完全人間』?一体それはなんだと言う様な顔で透流は一夜を見つめる。それに気付いたのか、一夜は薄笑いを浮かべた後、説明し始めた。
 「この世に存在すること自体が神に背いていると言われている人間。……もしお前がそんな人間だったら………どうやって死のうと思う…」
 ニコッと笑う一夜の顔に、どこか面影を感じる透流。
 だが、透流自身そんな人間聞いたことも見たこともない。そして、最後に付け加えられた「お前なら、どうやって死のうと思う」という部分の意味が上手く理解できない。
 「…ッフ……っま、どうでも良いけどな〜!…つーか俺もう帰るわ!」
 そう言うと、一夜は立ち上がり、そそくさとと公園の出入り口の方へ歩いて行った。
 「………」
 「…あと、もう死ぬなんて考えんじゃねーぞ。この世の中には死にたくても死ねない人間が居んだからよ」
 ヒラヒラと横に振られる手を見たあとに、透流はニッと笑い「うん!」と呟いた。

12日陰:2012/11/03(土) 19:03:48 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチさん>>

 コメント有難うございます!

 一夜クンは私的にも気に入っているキャラです!

 ですが、私自身「一見一夜」と並べてみると「…四字熟語に見える」と思うようになってみました…(やちゃったけど、面白いからいっか〜

 まぁ、これからも頑張っていこうと思います(^^♪

13日陰:2012/11/03(土) 19:42:21 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第01話  +其の09+

 翌日、透流は顔の絆創膏や、手に巻かれた包帯をすべて家において学校に行った。いつもの場所には東雲たちはおらず、学校に着くと東雲と東雲の舎弟が顔に絆創膏をして今まで透流から借りた金を全額返済してきた。
 それだけなら驚く言うよりも嬉しいと言う方が良いのだが、クラスの朝の会で星崎に
 「えぇ〜、昨日転入してきたばかりの一見君がご家族のお仕事の都合で転校することになりました…」
 と言われたことには流石に驚いた。まだ1日しか経っていないのになぜ。
 女子の全員が悲しみに暮れ、透流は只々驚いていた。
 (…まだちゃんとした友達にもなってなかったのに……)
 ソッと目を隣の席に写す。まだ真新しい机しか目には入らなかった。
 +――――――――――+
 時間が経ち、大休み。まだ悲しみにくれている女子たちは皆で集まり一夜のことを話し始めた。
 透流は学校の屋上に行き、またフェンス越しに外を眺めていた。
 (……………一見さん)
 ヒューと横に吹く風は暖かい頬には冷たすぎる。
 (あの人は一体何者だったんだろう……………ん?)
 そんなことを思いながら顔を横に向けるとフェンスの網に一枚の紙が結び付けられていた。それも神社なんかのおみくじを木に結ぶような結び方。
 透流はフェンスの下の方に結んである紙を解き、何重にも畳まれていた髪の内側に目を通す。そこには……。

14日陰:2012/11/03(土) 20:37:23 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第01話  +其の10+

 『四人家族を乗せた軽自動車が崖から転落』
 『四人の内、三人の死体が発見され、もう一つの死体は崖下の川に流されたと推測され警察官百人掛かりで捜索中』
 『今回の事件で発見されたのは、四人家族の父、一見・千晶さん、母、未咲さん、長女、美夜ちゃんの三名。只今高校生の一見一家長男である一見・一夜君の捜索に全力を尽くしている』
 
 同じ意味の記事が何枚も貼ってある紙。そして、一見・一夜という一人物の名前。付け加えて記事の日付は六年前。
 透流は言葉を飲み込んだ。記事には、通りがかった野次馬が撮ったと思われる事故直後の写真と、一見一家全員の顔写真が公開されていた。そこには見覚えのある一夜の顔写真もあった。
 「…なッ……!」
 +―――――――+
 『よかったの〜?また颯爽と消えて…?』
 とある街のビルとビルの間。そこには電話越しの女性に笑いかける銀髪少年がいた。
 「良いんですよ、五十嵐(いがらし)さん。今回は1日だけだったし、何より俺はあんな学校興味無いんで」
 『興味とかじゃなくて〜…。はぁ〜〜、もう言いわぁ。それより、この前頼まれてた¨やつ¨、作れたから明日にでも取りに来てくれる?』
 「流石ですねー…。頼んだの一昨日ですよ?凄すぎますよ、¨武器作りの天才伊鈴(いすず)¨さん」
 電話越しの女性は、「別にイイでしょ?それと、その名前使わないでくれる?」と笑いかけた。
 「アハハッ、…まぁ巫山戯話はここくらいにして本題に入りましょうか?」
 『………そうね…』
 +――――――+
 「な、なんで…!?」
 透流は記事の紙をクシャっと強く握り締め、昨日の一夜の言葉を思い出した。
 『絶対不死の不完全人間』
 +――――――+
 「絶対不死の不完全人間…正確には『完全不死の不完全人間』つまり、俺を狙ってんのは一体誰なんですか?」
 ビルとビルの間に差し込む太陽の光は、確かに一夜を照らしていた―――。

15日陰:2012/11/03(土) 21:35:01 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第02話  +守り屋と殺し屋+   +其の01+

 11月に入り、流石に肌寒くなった頃。一人の女子大学生、霧嶋・和泉(きりしま・いずみ)は黒い葬式用の服に身を包んで一つのお墓の前に立っていた。綺麗な茶色の長い髪は顔にかかってうっとおしい。
 墓に掘られていた名前は月文家(つきふみけ)。墓誌に、一番新しく掘られている名前は月文・拳(つきふみ・げん)という名前。歳は、二十一とされている。
 和泉はここに来るまでに買ってきた花束をそっと墓前に飾り、手を合わせ「拳くん…」と呟いた。
 +―――――――+
 自分のマンションへの帰り道。和泉はあるデパートに立ち寄り、ウロウロと本屋を歩き回っていた。
 そして雑誌コーナーに立ち寄り、車の雑誌を片手に取り、中をペラペラとパラ読みし始めた。
 (…何度見ても、車の良さなんてわかんないや……なんでこんなのばっかり買って読んでたんだろう…拳くん)
 ニッコリと微笑む和泉の目に、うっすらと涙が浮かんできた。
 「……ネーチャン、女なのに車なんか興味アンだ〜?」
 突然、和泉に男の声がかかってきた。
 驚きながらも和泉は振り返る。すると、自分のすぐ後ろに銀色の髪をした少年が肩にギターを入れるような鞄を担いで立っていた。
 「……あ、え、えーと…」
 「あぁ、俺は、一見一夜。…っで、ネーチャン、女なのに車なんか興味あんの?」
 和泉は少し戸惑ったのだが、笑う一夜に対して、和泉も笑い返した。

16日陰:2012/11/03(土) 22:28:22 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第02話  +其の02+

 「―――…どう、一夜くん。ここの料理おいしいでしょ?」
 デパート1階にあるパスタ屋さん。店の中は洋風系にアレンジしてあり、少し暗めな店内に客席の机の上に唯一ある電灯。流れている音楽はその店にピッタリだった。そこで、一夜は和泉にパスタをご馳走になっていた。特に理由はないのだが、何故か和泉が行き成り「おごらせて?」と言い出したのだ。
 「おう!めちゃくちゃ美味い!!あり得ないけど、頬落ちそう!!!」
 一夜は皿を持ち上げ、フォークを器用に使いながらドンドンパスタを口に頬張る。見ているととても上気分になる。しかも、先ほどの言葉を叫ぶように言った事もあって、お店の人も顔を和ませる。
 「…でも‥本当に、良いのか…?こんなに…美味いもん‥‥おごってもらって…」
 口をモゴモゴと言わせながら一夜はパスタを飲み込む。
 和泉は「別に良いのよ」と笑いながら自分のパスタのフォークに手を伸ばす。
 「そう言えば、一夜くんって学校はどうしたの?今日お休み?」
 パクっとパスタを一口、口に頬張ったあと、和泉は一夜の顔を眺めながら訪ねた。
 今日は平日。しかも今は真昼間だ。一夜は見るからに高校生なので、そう思うのは当然だ。
 そんな質問に対して一夜は、「仕事がイロイロ忙しくて、まともに学校通えてねーんだよ…」と答えた。
 (仕事…?バイトのことかな…?まだ若いのに偉いな〜…)
 内心そう思っていた和泉だったが口の中にパスタが入っているので言葉にはできなかった。
 サッサとパスタを飲み込み先ほどの台詞を言おうとした時、和泉と一夜の携帯が同時に鳴った。
 二人は驚きと同時に少し笑いながらも携帯に出た。和泉は席を立ち一夜から距離を取る。
 「…モーシモ?……っお、ヤッパ、五十嵐さん!」
 黒いスマホに耳を当て聞き覚えのある女性の声に対し一夜は笑った。電話の相手の女性、五十嵐・伊鈴(いがらし・いすず)は電話越しに『ギィィィィィィン!』と鉄を切断させるような音に負けないような大きな声で『今どこに居んの?!!』と聞いた。
 「今ですか?ウ〜ン、めちゃくちゃ美味いパスタ屋だけど?」
 『…あぁあ、brown(ブラウン)ネ……』
 そうこのパスタ屋の名前はbrown。どうやら伊鈴はこの店のことを知っているらしい。
 「なんスカ、五十嵐さんこの店知ってるんすか?」
 一夜はメニューに書かれている店の名前を見ながら聞いた。
 『ん、まぁね。っで、昼食中悪いんだけど、来てくれる?新しい防御用品作ったから』
 そう言われると、一夜は「ヘーイ」と言いながら電話を切った。

17日陰:2012/11/03(土) 23:16:43 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第02話  +其の03+

 「―――ゴメーン、一夜クーン。今からちょっと用事でき……って、あれ、…?」
 和泉が電話を終え席に戻ってきた時、そこには千円札が一枚、机の上にあるだけで一夜は居なくなっていた。
 和泉が店員に聞くと、電話がかかってきて、切った直後にカバンを持って店を出ていったという。
 「…そんなぁ……」
 和泉はそう言うと残りのパスタを急いで平らげ、千円払ってそそくさとbrownを後にした。
 +――――――+
 所変わって、とある『お屋敷』。その屋敷は山の中に堂々と建てられ、一体どれほどの土地を取っているのだろうと思うほどデカい。
 人などあまり来もしないような所に建てられている屋敷の表札には『不和(ふわ)』と筆で引筆された物がかかっていた。
 屋敷の玄関は大きく開けられており、屋敷の室内がよく見える。そんな屋敷内に響く声が一つあった。 
 「かぁ〜しぃ〜らぁ〜、菓子作ってやったでぇ〜〜。はよ、せぇへんと、架月(かつき)らに喰われてまうでぇ〜〜〜!!」
 屋敷のツルツルとした廊下を水色の長髪をした小さな子供が歩いていた。見るからに小学4年生くらいに見える。
 「…おぉ、光聖(こうせい)〜。今仕事が終わったトコロだ少し待ってろ」
 「フフェーい」
 子供、高凪・光聖(たかなぎ・こうせい)は「資料室」と筆で書かれた部屋のふすまからから顔を出した髭面で左目を黒い眼帯で覆っている男に止められ、資料室の前で立って待つことにした。

18ピーチ:2012/11/04(日) 07:04:59 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
日陰さん>>

題名の意味が理解できた。……気がする←おい

一夜君の絶対不死不完全人間、だっけ? あれって絶対死ねないってこと?

だったら羨ましいかも←

19日陰:2012/11/04(日) 09:38:58 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 ピーチさんご名答!!

 『絶対不死の不完全人間』、正式な名前は『完全不死の不完全人間』とはつまり、絶対に死なないってことですね。

 死んだら生き返る的なお話にしたいんですが、それじゃ面白くない&少し怖い&生き返る直前がなんか思い浮かばない&めちゃくちゃ不気味なので考え直してます。

 あと、これから人が今までより多くなってくるので、気を付けてくださーい!

20ピーチ:2012/11/04(日) 10:24:10 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
日陰さん>>

まじですかw

……この場合、あたしが敬語にした方がいいんですかね←当たり前だ

と言うか、よくこんなの思いつきましたよね←

21日陰:2012/11/04(日) 11:08:59 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第04話  +其の04+

 またまた所変わって、とある大きな株式会社。40階建で、営業者約670名のその会社は、裏ではとある組織を結成させていた。
 +――――――+
 「―― 遅れてすみませーん…!」
 和泉はその会社の最上階にある会議室にヒッソリと足音一つ立てず入っていく。会議室には縦長の四角の机がドンと置いていあり、縦に6つづつ、横に2つづつ置いてある背もたれ付きの椅子。
 「おセーぞ、和泉。…とにかく座れ……!」
 会議室に入った和泉をたしなめ、かつ自分の席の隣を示す男、藤北・欧明(ふじきた・おうめい)。茶髪で短髪、容姿端麗な性格で、整った白い顔に惹かれない女は少ない。
 和泉は、机の横面に座っている欧明の隣の空席に腰を下ろす。
 +―――――+
 「―まず我々『人件保護対策機関』に対しての敵についてもう一度詳しく話しておく…」
 和泉達の向かいに座る、白髪の肩まである長髪を一つ結びにしている男が、皆に聞こえるほどの声の大きさで言った。
 男、天璋院・高野(てんしょういん・たかの)は『人件保護対策機関』という対策機関の総帥代行者だ。その対策機関は、簡単に言えば市民を警護するSPのようなものだ。
 「前々から、我々に対して、敵対する関係であった『人権殺害規程機関』が最近新しい動きを出し始めた」
 高野の言葉に皆は言葉を飲まずにはいられない。
 「…まぁ、今はそんな事より、もまずい事が起こった」
 「まずい事?」皆が皆、高野の言葉に疑問の言葉を発する。
 そして、その後の高野の説明により、皆は今後の方針について、何も聞かずにも理解できた。

22ピーチ:2012/11/04(日) 11:13:32 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
日陰さん>>

和泉さんの職業がいまいち分からん…←人のこと言えるかw

でも何となく凄いってことだけは分かった!←おい

23日陰:2012/11/04(日) 11:33:39 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 もともと、この間担任の先生に「なんで人は死ぬんですか?」と聞いたら、「それが人だからです」と言われて、じゃあ死なない人の話作りテーと思い作ったのがこれですね。

 一夜くんの名前は友達と一緒に考えてました。「一破(いっぱ)」にするか「鋼牙(こうが)」にするか悩んでたところに「一夜でいっか〜」と全く論外な名前で返答。

 まぁ、ボツになった名前はこれから出していこうと考えています!

24日陰:2012/11/04(日) 11:37:02 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 また返信遅くなっちゃった〜〜〜(つд⊂)

 でも、和泉さんのお仕事はこれから良く分かると思うし、関西弁の光聖くんらもろもろこれから詳しく説明していくと思います(多分……(・_・;)

25ピーチ:2012/11/04(日) 12:27:03 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
日陰>>

……担任の先生凄いな←

まさかの論外な名前出ちゃったわけね!?

和泉さん何か警察関係の仕事みたいな?←

26日陰:2012/11/04(日) 13:23:01 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第02話  +其の05+

 夜。午後10時を回った頃。和服を身に付け、腰に赤い鞘のついた刀を拵えていた、男5人が一つの鉄骨ビルの上で下を見下ろしていた。
 「……日向(ひゅうが)、本当にここで間違えないのか…?」
 ビルの上で立っている長髪の少年は胡座をかいて座っている少年に問を放つ。
 「間違いね―っスよ、渦築(うずつき)さん。確かにここで生気の確認されてない人間、いやバケモンが確認されたんすよ〜」
 黒髪で短髪な少年は青色の生地の着物をダラシなく着ている。少年、日向・時輝(ひゅうが・ときてる)はニヤニヤしながら長髪の少年に向けていた目を元の下の方に戻した。
 「にしても渦築。頭(かしら)の言ってた完全不死の不完全人間なんて、どうやって他の奴等と見分けんだよ。俺らの肉眼は機械のセンサーじゃねーんだぜ?」
 今度は赤い髪をした少しロングヘアーの青年が、黒髪の少年、渦築・奈津樹(うずつき・なつき)に愚痴を放つ。
 「俺も知らん。頭領(とうりょう)からしたら『何とかナんだろう』って言われた。だから詳しいことまでは知らん」
 奈津樹は胸の前で腕組をして答える。赤髪の青年、高角・雅日(たかつの・みやび)は「…メンドクセー」と呟いた。
 「何でも、えぇけど、なんでオレも来ることになったん?別にオレは屋敷で菓子作っとたほうが楽しいんやけどな〜?」
 そう言ったのは、あの子供光聖。
 光聖はお菓子作りが得意で、良く「皆んな」のために菓子を作っている。
 「…………渦築………」
 物知らぬヒッソリとしたその声は男の物だが、裏返せば女の物にも聞こえる。
 「ん!…何だ宇田川(うだがわ)?」
 肩まであるなる黒く長い髪を、そのままストレートに伸ばしている色白の男は黒い布で口を隠している。その少年、宇田川・リキヤ(うだがわ・りきや)はそっと人差し指を立て下の人ごみの中を指さす。
 「………あの銀髪の人間。……否、バケモノ、見付けた…………」
 リキヤの一言に残りの4人は人混みの中で唯一目立つ、銀色の髪をした男、一夜を発見した。一夜は携帯で誰かと笑いながら話している。肩にはまだギターを入れるような鞄が担いであった。
 「…なんでアイツだと言い切れる。宇田川…」
 「……アイツ、こっちを見て笑った…………」
 「ソンだけじゃ、いいきれねーだろ?今時、こんな寒い夜の中着物着て刀拵えてるヤツ見付けたら、観ないわけにはイかないだろ?」
 「だったら、ほかのヤツ等に言ってもええんちゃう?オレ等が此処に居るんは本当なんやで」
 次々と言われていく言葉に対して、時輝は「んじゃ、俺確かめてきますよ〜」と言い出し、なんとそこから下に飛び降りた。

27日陰:2012/11/04(日) 13:42:38 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 いや、なんかもうこの際、ボツになった名前は、これから出していくんだな〜、これが(←これがって何?

 あと和泉ちゃんたちは、警察的なお仕事してる人たちだネ。………多分(←オーイ(ーー゛)

28日陰:2012/11/04(日) 16:49:42 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 第02話  +其の06+

 『タンッ!』という音が一定の音を上げ、地面に時輝は降り立った。
 腰に下げてある刀の柄を握り、ヘラヘラした顔つきで、ビルの壁に凭れて携帯越しに喋っている一夜に近付いて行く。
 刀を持った男が着物を着て歩いている、という光景は正に不思議な物だ。だが、その道を通る人は誰一人として時輝に気付かない。
 「…なぁ、完全不死の不完全人間、って死なないって事なん?ホンなら、ドないしてあの銀髪処刑するん?」
 ビルの上。光聖はほとんど身を外に乗り出す。奈津樹、リキヤ、雅日の三人も足の半分を外にだし、一夜と時輝の距離を見る。あと5秒もあれば、時輝は一夜の元に着くという距離になった時。
 『!!!!??』
 (動いた…)
 そう。一夜は携帯で話しながら凭れていたビルの中に入っていった。しかも、一夜は一瞬だけ、チラッと奈津樹たちと時輝を見た後に。その行動には誰一人として気付かなかった者はいなかった。
 「俺たちも動くぞ。光聖、お前は頭領に報告しろ。………行くぞ…」
 奈津樹の言葉に全員が『オウ!』と了解の言葉を返し時輝同様、ビルの下に降り立った。
 そして、一夜の入っていったビルの前で待っていた時輝と落ち合い、すぐに一夜を追って五人はビルの中に入っていった。

29ピーチ:2012/11/04(日) 17:21:40 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
日陰>>

警察的な仕事なんだ…ちゃんとした警察じゃないんだ…

…銀髪って、凄い呼び名だねぇ…←

30日陰:2012/11/05(月) 17:41:27 HOST:i121-113-228-192.s41.a018.ap.plala.or.jp
 ピーチ≫

 ちゃんとした警察じゃないんだな…これが……

 あと、銀髪、って言うか変わった髪の毛の男の子大好き…!

31日陰:2012/11/05(月) 18:01:55 HOST:i121-113-228-192.s41.a018.ap.plala.or.jp
 第02話  +其の7+

 ビルと言うよりも、デパート、の中に入って行った一夜。そして、一夜を追って同じくデパートに入っていく奈津樹たち一行。
 光聖は片手に携帯を握り、皆より少々遅れて中に入る。
 「……あの野郎…。…完全に俺達に分かっていながら、隠れようともしやしねぇ……。ウザくせぇ…」
 一夜の後ろをひっそりと付いていく奈津樹達。だが、雅日は愚痴をこぼしながら「気付いて下さい」とでも言っているかのように、つけている。
 「…雅日さん、少し静かにして下さい。生気と殺気、出しすぎると他の人に見られますよ?」
 と、言ったのは時輝。雅日は「んだと、コラァァァ……」と怒りながら拳を作った。
 「…おい、行くぞ!あの野郎、呑気にコーラなんか買いやがった……!!」
 奈津樹の言うとおり、一夜はまだ携帯で喋りながら、自動販売機でコーラを買って、物陰に隠れている階段へと歩いて言った。
 一夜が完全に物陰に隠れると、5人はその物陰の曲がり角の方へ歩いて言った。
 そして、曲がり角を曲がり、階段を視野に入れた瞬間――――。

32ピーチ:2012/11/05(月) 18:16:55 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
日陰>>

おわっ、何か続きがめっちゃ気になる!

雅日さん切れると怖そう←

33日陰:2012/11/05(月) 18:21:30 HOST:i121-113-228-192.s41.a018.ap.plala.or.jp
 第02話  +其の08+

 『プシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!』
 先頭をきって、一夜を追ってきた雅日の顔に、舌にくる何かの液体が飛んできた。残り4人の顔にもその液体はかかり、全くと言っていいほど5人は一体何が起こったのか理解できなかった。だが唯一、この液体はコーラであることだけ理解できた。
 「………っな……!」
 「ククッ…!……バーイ、バーイ!!!」
 呆気にとられてほとんど何も理解できなかった雅日だったが、一夜が笑いながら片手に持っていたコーラの缶を投げ捨てて、背後にある階段を2段づつ上がって行く光景を見て、大体の成り行きが見えた。
 考えるに、一夜が、買ったコーラを雅日達に浴びせた、としか考えようがない。
 雅日は、一夜に「バーイ、バーイ!!!」と言った後に階段をダッシュで上がって行く光景を見て、五秒ほどの間を開けた後、「――…あの野郎、ブチ殺す!!!」と、怒鳴って階段を急いで上がって行った。

34日陰:2012/11/05(月) 18:23:37 HOST:i121-113-228-192.s41.a018.ap.plala.or.jp
 ピーチ≫

 雅日クン、コーラぶち掛けられたァァ!

 ヤバい自分でもウケル!!

35日陰:2012/11/05(月) 18:59:09 HOST:i121-113-228-192.s41.a018.ap.plala.or.jp
 第02話  +其の09+

 一夜は、階段をダッシュで上がって行き、2階の人ごみへと入りこむ。雅日もそれを追って人ごみの中へと足を入れるが、人が多すぎて無理に中には入れない。もう10時を超えているのにこんなにも人が多いのは売れ残り洋服が割引されて、物凄く安くなって売られているからだろう。
 「…あの、野郎!……」
 「落ち着け、高角…!ここは一本道だ!!あちら側から潜り込めばあいつを捕まえられる!!!」
 奈津樹の判断に急いで階段を上がってきた者達も「賛成」とでも言うような顔をして、グルッと遠回りになる方へ行き、セールの行われている場所の反対側に走って行った。
 +――――――+
 『――…まけた…?』
 場所はデパート2階ではなく、3階の男子トイレ。そこの個室で、一夜はまだ電話を持って、息を整えていた。電話の相手はもちろん伊鈴。
 「…お陰様で…ハァ…何とか……ハァ…」
 一夜はパタパタと手を縦に振りウチワ代わりに仰ぐ。
 『っで、どうだった?…私の作った《超最速スニーカー》の威力は?』
 「どうもこうも…凄いっスヨ……2階の人ごみの中に居たのに、ちょっと全力出したらすぐに便所に着きましたよ………でも、…」
 一夜は壁に立て掛けてあるギターを入れる様な鞄をポンと叩いて続ける。
 「これも込みじゃ、体力物凄くなくなりますよ………」
 『アハハハッ!!…でしょうねぇ!!それ只のギターケースじゃないんだから……なんせ…」
 一夜と伊鈴は同時に鼻で笑う。
 『人を殺す為だけに作られた武器が入ってるんだから―――――』

36ピーチ:2012/11/05(月) 19:50:25 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
日陰>>

コーラひっ被ってるーw

バカだね雅日君達←おい

37日陰:2012/11/05(月) 20:12:47 HOST:i121-113-228-192.s41.a018.ap.plala.or.jp
 ピーチ≫

 同感! でも、うけたから、チャラで!!

 それにしても、奈津樹クンが指揮権持ってると、何かいいワ〜〜

38終人:2012/11/09(金) 19:27:34 HOST:i220-99-160-178.s02.a018.ap.plala.or.jp
 題名に惹かれました

 不死は、面白いです。

39日陰:2012/11/09(金) 19:58:11 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 終人さん>>

 コメント、アザァァァッス!!

 なんか不死って、人気を呼ぶな〜〜

40終人:2012/11/09(金) 21:02:33 HOST:i220-99-160-178.s02.a018.ap.plala.or.jp
日陰さん>>


 それは、ナイとおもいます。

41日陰:2012/11/10(土) 08:25:46 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 終人さん>>

 いや、それが案外人呼びますよ!

 意外とこういう系の題名ってパワーすごいんですよ←(何の…?

42日陰:2012/11/10(土) 08:56:25 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第03話+  +殺す理由+  +其の01+

 「―――…………」
 黒い空から降ってくる雨は、妙に冷たく一夜の頬に落ちていく。
 『ザァァァァァァ…』
 雨の音は実にうるさくなんとも不愉快に感じる。
 
 一夜は、とある崖の下にやって来た。崖下には小さいながらも魚の住んでいる川が流れている。いつもは意外と綺麗なその川も雨のせいで砂が立って茶色に汚れている。
 ずっと川を見つめる一夜。傘も何も持たずに降り続ける雨を避ける方法は何もない。だが、一夜はそれほど濡れていることに何の違和感もない。
 「………何時までそうしてるつもり…?……風邪、引くわよ…」
 そう言って、一夜の後ろに離れて傘を持っていた黒い短髪の髪の毛の女性、五十嵐・伊鈴が、自分のさしていた傘を一夜に方抜ける。
 「…愛々傘して行くつもり?」
 「車すぐそこにあるんだから、少しぐらい濡れても構わないわよ…。って、言うか今時、愛々傘は無いでしょう〜…」
 伊鈴は傘を肩に置き、お手上げとでも言うように肩をすくめる。
 「…………ッフ…」
 一夜は伊鈴からもう一度渡された傘を受け取り薄笑いを浮かべた。伊鈴はそんな笑い等には全く気づかず、そのまま、自分たちの後ろにエンジンをかけたまま停まっているワゴンの方へ歩いていく。
 「…『伊鈴さん』、有難う……」
 その言葉は雨の音にかき消されてしまった。

43日陰:2012/11/10(土) 09:58:19 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第03話+  +其の02+

 +―――――――+
 「――…つまり俺のことを狙ってんのは、この前のやつら……人権殺害規程機関、つまり、殺し屋…と、」
 「人件保護対策機関――…通称、守り屋……。…簡単に言うと、SPとテロにあんたは狙われてるってこと……」
 伊鈴と一夜は、伊鈴のワゴンに乗ってどこかに向かっていた。
 一夜はワゴンの後部座席で、タオルで頭をふきながら、伊鈴の話に耳を傾ける。
 「…なんか俺モテモテですね!」
 一夜は苦笑しながら何気なく聞いてみると、
 「モテモテも良いところよ……。いつもは敵対心大有りのアイツ等が、今回同じ目標(ターゲット)を狙うということにあたって、手を組む可能性が高い………。そうなると私でも手の打ち様が無くなるわ…」
 と、ちゃっかりとした返答が帰ってきた。
 「…そんなにメンドクサイ奴らなんですか?……殺し屋と守り屋って…」
 少し真面目な顔になった一夜に、伊鈴の「えぇ…」という声が返ってきた。
 「…って言うか、元々、守り屋っていうのは、守る事に特化した部隊……では、なく、守るためならば誰を殺してもかまわないという、殺戮の守護者だった。でも、新総帥が守り屋の頂点をとった時に、守り屋は一転し、守ることに専念する部隊に変わった。その逆に殺し屋の方は、新頭領に変わったとたん攻撃性が増加し、前よりも、殺戮を繰り返す、本物の殺戮部隊になってしまった………。そんな奴らが手なんて組んだら、楽に総理大臣殺しちゃうっての〜〜…」
 最後の部分を抜かせばこの話はギャグセンスのないお話になる。
 「……んな、こワーイ連中に狙われてる俺は、一体何だってんだか」
 一夜はタオルを首にかけ手を肩まで上げ、お手上げポーズを笑いながらとった。
 「『完全不死の不完全人間』でしょ。…今更、意味分かんない事言わないで……」
 伊鈴は前を見ながら言うと、一夜は口角をそっと上げるだけの笑顔を浮かべ、「…ソウっすね……」と答えた。

44日陰:2012/11/10(土) 15:49:49 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第03話+  +其の03+

 +―――――――+
 「…だぁぁぁぁぁぁあ!!モンのスゲェ、腹立つ!あのクソガキ、今度見付けたら死んでもブチ殺している!!!!」
 とあるデパートの1時間無料バイキングエリア。そこにある一つの机の横で、雅日は怒鳴っていた。あのクソガキとは無論一夜のことだ。片手に持っている皿には唐揚げ、スパゲティ、エビフライと炭水化物の食品が多々並べてある。
 「難儀なやっちゃな〜…。たかが、巻かれただけやろ?それにまだチャンスあるやん………このケーキゴツウマ!!!」
 「黙れ、光聖!!貴様は学校にも通っておらぬ、ボンボン小僧だから大人の屈辱というものが理解できんのだ!!少しは成長しろ!!!そして、そのケーキを食わせろ!」
 光聖の言葉に突っ掛る奈津樹。奈津樹の方も雅日と同じような食べ物を皿に乗せている。そして、光聖の皿に置いてあるケーキにはしをのばす。
 「何やねん!ガキやからなんやっちゅーねん!!いつもバクバク、オレの作った菓子食っとるくせに、くだらん事ヌかしたら、もう菓子食わせんぞ!!!つか、人のケーキにはしを伸ばすな!!!」
 光聖は皿を離し、皿に載せた小さなミニケーキをバクバクがっつく。これは光聖がイカっている時の状況だ。
 「…ゴックン!!もう出るぞ!1時間すぎる!!!」
 雅日は皿の上の食べ物を食いほし、ガッと椅子から立ち上がる。

45終人:2012/11/10(土) 18:34:49 HOST:i220-99-160-178.s02.a018.ap.plala.or.jp
日陰>>

 殺し屋+守り屋=最強って事ですか?

46日陰:2012/11/11(日) 15:37:11 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  終人さん>>

 ハイ、そうですね!  多分…←(オーイ…!

47日陰:2012/11/11(日) 16:08:40 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第03話+  +其の04+ 

 +―――――――――+
 「香々美(かがみ)さん…。次は一体、どこの洋服店に行くんですか〜…?」
 和泉もまた、あるデパートで、両手で抱えきれない洋服店の袋を抱き上げながら、自分の先輩、有北・香々美(ありきた・かがみ)の名前を呼ぶ。
 「そんな嫌そうな声出さないでよ〜。いつもは守り屋で、堅苦しい空気吸ってんだから、休日くらい息抜きさせてよ!」
 「今回は、息抜きじゃなくて、謹慎処分です!!それに、香々美さんの息抜きに私を巻き込まないでください!」
 和泉は、香々美に怒鳴った。
 和泉と香々美は同じ、「人件保護対策機関」=「守り屋」の隊員達である。階級では和泉の方が上だが、自分より年の上である香々美のことを、和泉は「さん」付でいつも読んでいる。なにより、香々美は黒髪の短髪、男から見ればナイスな体をしているので、いろんな意味で自分より先輩だと、和泉は思っている。
 「まぁまぁ、そう言わず…。……何より今は、殺し屋とか、不死者とかいろんな事があって、前以前に息苦しくなったのよ……。少しぐらい、付き合いなさい…!」
 香々美の声が途中から小さくなった。それに合わせ、二人の目線が少し下に落ちる。
 「……不死者って、本当に殺さなきゃいけないんですかね……?」
 「…上からの決定よ。逆らうことは出来ない。…何より、不死者という存在は、私たちの生活にメンドクサイくらい影響するらしいのよ。だから潰す…!」
 「……でも、不死者なんてどう対処するんですか?不死者って言ってるぐらいですから、死なないんじゃ……」
 「死ぬ!不死と言っても人は人。死の輪から外れた人間はただの愚か者よ!!って言うか、そんな奴居たら逆に殺す!!」
 和泉は納得しなかったが一応「…そうですね」と返しておいた。

48日陰:2012/11/11(日) 16:22:44 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第03話+  +其の04+

 「そうですね、じゃなくて、そうなの!!」
 香々美は自分の後ろをゆっくり歩く和泉に怒鳴った。
 +―――――――+
 「いいか、今度会ったら、死んでも殺すぞ、あのクソガキ!!!」
 雅日は自分の後ろに奈津樹と光聖を肩を並べて歩かせ、自分だけが『ギュゥゥゥゥゥゥ』と拳を固く握る。
 +―――――――+
 「…そうですね、……」
 和泉はもう何も考えないように、答えた。
 +―――――――+
 「当たり前だ!次こそはあのガキを潰す!」
 雅日に続いて、奈津樹も拳を固くして意気込む。
 +―――――――+
 「絶対に――」
 +―――――――+
 「――潰す!!!」

49日陰:2012/11/11(日) 17:40:41 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第03話+  +其の05+

 『…………あ゛………?』
 変でスットンキョな声がそこに響いた。
 和泉と香々美は持っていた洋服店の袋をその場に落とし、雅日、奈津樹、光聖の3人は言葉を考えた。
 一体何が起こったのか…。そう聞かれたら、こう返せば良い。「殺し屋と守り屋がはち合わせてしまった」。
 +―――――――+
 「何でお前らがコンナ所に居んだよ!!クソイラつく!!!」
 「巫山戯んな、私だってこんなトコでアンタ等と会うなんて想定外だってのよ。」
 和泉等と雅日等が出くわしてしまった、デパートの最上階にあるスイーツ屋。そこで、和泉たち一行は話していた。
 (……まさか…)
 (こんなところで、殺し屋なんかと会うなんて……)
 奈津樹と和泉の考えがうまく絡み合う。
 「…っで、このミニアイスと、チョコレートケーキにロールケーキと、シフォンケーキ、あとシュークリーム、お願いしますぅ!」
 そして一人だけのんきに、ケーキの注文をオーダーする光聖。それを聞いた女性定員は「はい」と微笑みながら厨房の方へ歩いて行った。
 (…ッチ!…本当メンドクセー奴らと出くわしちまったな!!まさか殺し屋の上の人間に出くわすとか、あり得ないでしょ…。はっきり言うけど、神様って絶対存在しないわよ)
 香々美は和泉の横で、腕組をしてから足をクロスさせる。
 (クソが!…死ぬぐらいウザクせェ!!普通、こんな庶民デパートに守り屋の上層部が来るか普通!!?報告書にも出てるど偉いさんだぞ…!)
 雅日も舌打ち混じりにそう考える。しかも、香々美と雅日の周りだけが暗く重苦しい空気になる。
 「………ぇえ〜と、…光聖…くん、だったっけ……?」
 和泉の言葉に運ばれてきたケーキを口に運ぶ光聖の手が止まる。そして「なんでオレの名前知っとるん?」と首をかしげて聞いた。それに対して「殺し屋の人は…大体、報告されてくるから……」と和泉は答えた。
 「ふ〜ん、そっちの情報もうえぇな〜。教わりたいぐらいやは!!」
 無邪気に笑うその笑顔は何も知らない本物の子供のようだ。
 「……そ、それで、貴方が…」
 「渦築、奈津樹だ。……ッフ、変な名前だろ?」
 和泉が言うよりも先に行った奈津樹。奈津樹はそのまま一人一人に配られた水の入っているコップに手を伸ばす。
 「…そんなことないと思うよ?私はとってもいいお名前だと思うし…」
 「何よりあんたの母親が付けてくれた、世界中に一つしかない名前よ、恥じる必要ないでしょ」
 和泉の言葉に香々美は付け加えの言葉を放つ。そしていつの間にか、重苦しかったその空気が和んでいた。

50日陰:2012/11/11(日) 18:34:17 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第03話+  +其の06+

 「――……あれぇ!!もしかして、この前の車姉ちゃん?!」
 和泉の耳に入ってくる、聞き覚えのある声。和泉は声のした方に顔を向けた。皆もそっちの方に顔を向ける。
 「……っあ、一夜くん!!」
 声のした方にいたのは、ギターケースを肩に担いだ一夜。一夜はスイーツ店の出入口から笑いながら、和泉の方に歩み寄っていった。「誰…?」と耳打ちで香々美は和泉に問う。「…一見、一夜くんって言って、この辺でバイトをしている、高校生です」と和泉が答えた時、丁度一夜が和泉達の机前に来ていた。
 「なに、ナニ?合コン?面白そうじゃ……あ、アンタ等…」
 一夜は雅日たちの顔を見て、少し驚いたような顔をした。そのあと、「どうも」っとニヤッと笑ってみせた。それと同時に、雅日の顔がものすごい剣幕になり、何処からともなく刀が現れた。
 『闇切流抜刀術三の舞・舞風』
 雅日のそこ一言によってその場一体は吹き飛んだ。

51終人:2012/11/11(日) 20:32:14 HOST:i220-99-160-178.s02.a018.ap.plala.or.jp
日陰さん>>

 デパートで、出会ってるーーー!
最強VS不死身が、ついに始まった!

52日陰:2012/11/11(日) 21:09:30 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 終人>>(この際、タメで…

 ついに始まった!

 書いてるこっちが楽しくなってきた!!

53日陰:2012/11/11(日) 21:33:43 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +その03話+  +其の07+

 一階全体がマルマル吹っ飛ぶほどの爆風。窓は割れ、電球は粉々に吹き飛び、壁は砕け落ちた。

 +―――――――+
 「――…うっわ〜、スッゴイ景色…。さっきまでの景色が思い出せね〜…」
 瓦礫を一つ蹴りながら一夜は呟いた。周りを見ると、瓦礫の下敷きになりながら唸っている人たちがいる。一夜は一番近くにいる人の下に脚を寄せる。
 「…大丈夫ですか?」
 と、聞くと瓦礫の下敷きになっている女性がゆっくりと顔を上げる。女性は肌色の肌をしていて、長く茶色の髪を緩くシュシュで結んで、肩に垂れ下がっていた。
 「………愛生(あい)は…?……愛生…!愛生!!」
 女性は必死に瓦礫をどけようと四つん這いになりながら瓦礫を上げる。一夜は「ちょっとストップ…!今瓦礫どかすから……!!」と瓦礫に手をかける。すると…
 「やっぱ、テメェ不死者なんじゃねぇか…。こんなに皆ズタボロになってんのに、怪我一つもねぇじゃねぇか…」
 軽そうな瓦礫の下から、刀を持った雅日が出てきた。
 一夜はそんな雅日に目もくれず瓦礫の撤去を進める。
 「……ッチ…。そういうシカトが一番……」
 「…!!!?」
 一夜からずっと遠くにいた雅日が、突然一夜の足元までやってくる。
 「イラつくんだよ…!」
 雅日はそう言うと、下から突き上げるように刀を一夜の顔面めがけて飛んできた。

54精霊:2012/11/11(日) 21:42:57 HOST:i220-99-160-178.s02.a018.ap.plala.or.jp
日陰さん>>

一般人巻き込んでいのーーー!

55日陰:2012/11/11(日) 22:00:36 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 精霊>>

 一般人巻き込んでんの!

 それを助ける一夜くんって設定で良いじゃん!!ってな考えのスレだよ…

56精霊:2012/11/11(日) 22:11:54 HOST:i220-99-160-178.s02.a018.ap.plala.or.jp
日陰さん>> 

 そうですか。一夜君は優しいんですね。

57日陰:2012/11/11(日) 22:24:14 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第03話+  +其の08+

 『ガグジャン!!!』
 鉛と鉛がブツカリ合う音。そんな音がしたかと思うと、一夜は目の前の光景に驚いた。
 「――…てめぇ、何首突っ込んでんだよ…!!」
 雅日は自分の刀を止めた人物を睨みつける。その人物、香々美は雅日が一夜に向けた刀の剣先を、銀色の銃口で受け止めている。
 「…何スットンキョな質問してんのよ…!。人を守るのは私たちの決め文句なのよ……!!つか早くこの刀下げろ!」
 香々美と雅日は間に一夜を挟んで、引かず引かれずの戦いをしている。どちらか一方が動けば、刀と銃の間から火花が飛ぶ。
 (…あぁ、もうこいつら邪魔…!!)
 一夜は地味に汗をかきながら、片目をつぶり「ギリッ」と歯を鳴らす。
 (クソッ…!こい…)
 「愛生…!!…愛生ぃぃ!!」
 一夜は少しホッとした。あの女性がなんとか瓦礫から這い出て、自分の娘であろうモノの名を呼ぶ。
 「…悪いけど……」
 「あ゛!?」
 「ドケ…!!!」
 一夜はそう言って、瓦礫から手を離し、雅日の腹めがけて足を飛ばした。

58日陰:2012/11/11(日) 22:25:38 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  精霊>>

 そう!一夜くんは優しいの!

 できるものなら私もそういう人と会いたい…

59日陰:2012/11/12(月) 11:33:06 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第03話+  +其の09+

 雅日の腹を蹴飛ばし、なんとか距離を取る一夜と香々美。少しの間だけ三人とも黙っていると「カチャ…」という音が聞こえた。一夜は音のした、自分の後ろの方に目を向けると、香々美が自分に銃口を向けていた。
 「……なんですか、これ…?」
 一夜が銃口を見つめながら香々美に聞く。
 「詳しいことは全く理解できないけど、アンタが不死者ってんなら、私と一緒に来てもらうわ…」
 香々美は銃を強く握る。それを見ていた雅日は「クソアマ、ザケンじゃねぇぞ!!!」と怒鳴る。そんな雅日はほっといて、一夜と香々美は話を続ける。
 「…お姉さん、何者だ…?」
 一夜が問うと「人件保護対策機関、……守り屋よ」と香々美は答える。その答えに少々驚いたような顔をした、一夜だったが、すぐに元の顔に戻した。
 「じゃあ、あのロン毛の姉ちゃんも?」
 第2の質問を聞いて、香々美は少し考えるような顔になったあとに「和泉のこと…?」と聞き返した。そして、少し沈黙を挟んだ後に「…えぇ」と言った。
 「……そっか、じゃ…」
 「……ママァ…」
 一夜が何かを言おうとした矢先、小さな子供の声が聞こえてきた。
 すると先ほどの女性の「愛生ぃ…!!」という声も聞こえてきた。
 「……ねぇ、お姉さん…」
 一夜はそんな光景を見ながら何かを思い出したような顔になった。香々美は「なに?」と聞く。
 「和泉さん達、生きてんの…?」
 ニヤッとしたその顔はいかにも不気味で、場を切り向けるだけの笑には見えなかった。
 「そこにいる殺し屋さんも!!あのガキ一体何処に居んの?つか生きてんの?」
 またも恨めしいほどの笑顔で、一夜は雅日に叫ぶ。香々美と雅日は我に返ったような顔になって、周りに目をやる。
 (…このガキ…!!!?)
 (なんツー奴だ…!!!?)
 雅日と香々美は歯を噛み締め、拳を握り締めた。

60日陰:2012/11/12(月) 16:12:04 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第3話+  +其の10+

 香々美、雅日の二人は一夜をほっといてそれぞれ、探しにでる。
 「――……っま、大丈夫だろうけどね…」
 +――――――――+
 『闇切流抜刀術三の舞・舞風』
 雅日のその一言が一夜の耳には言った瞬間。即座に一夜は光聖、奈津樹、和泉の3人を抱かえ、机を倒して、何とか舞風を食い止めた。
 +――――――――+
 (――…気絶ぐらいでなんとかなったし、机はズタボロだったけど、皆かすり傷で済んでたから結果オーライ…って、ところか……)
 一夜はそんなことを考えながら、無残なそこの端っこに歩いていく。
 +――――――――+
 「――……ん、…あれ……」
 和泉が目を覚ますと、目の前に小さな石ころたちと、瓦礫から飛び出た鉄筋があった。
 「……あ、…光…聖……くん。…」
 頭をキョロキョロさせていると、横に光聖が気絶しているのが目に入った。光聖の口に手をやると確かに息をしていた。和泉はホッとして起き上がろうとするが、自分の足が小さい瓦礫に押さえつけられて立ち上がることもままならい。
 (………冗談でしょぉ……。立ってよ、この体ぁ…)
 先ほどの衝撃のせいか、体に力が入らず、全くと言っていいほど力が入らない。
 和泉が疲れで体をグッタリとさせると、「…和泉!!」という声がかかった。和泉は聞き覚えのあるその声に起こされ、顔を上げる。
 「…香々美さ…」
 「ちょっと待ってなさい、今足のがれきどかすから…!…ちょっとアンタも手伝いなさいよ!!」
 香々美は雅日を呼ぶ。
 二人でなんとか、瓦礫の下から和泉、光聖、奈津樹の3人を引き出す。

61日陰:2012/11/12(月) 16:58:09 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第03話+  +其の11+

 「……………」
 一夜は、吹き飛んだそのデパートの、一番すみに立つ。
 足を滑らせたり、強い風だけでも吹いたら、そこから落ちそうだ。
 「――……てめぇ、そっから動くんじゃねぇぞっ…!」
 雅日は瓦礫の下から気絶した光聖と奈津樹を外に出した途端に、一夜の背中を見つめて言う。
 「……殺し屋の兄ちゃん…」
 一夜は背中を向けたまま、立ち上がった雅日に話しかける。
 「こっから落ちれば……死ねると思う…?」
 顔は見えなかったが、確かに笑っていると感じた。
 「………死ぬなぁ。確実に……だが、……」
 雅日は「ダンッ!」という足音を立てて、
 「てめぇはそこから落ちて死ぬんじゃねぇ!!俺に切られて死ぬんだ!!」
 と、叫んで一夜のところまで刀を構えて歩いていく。
 そこからは、沈黙が続いた。一夜も雅日も、香々美、和泉も何も言わなかった。そして、
 「殺し屋の兄ちゃん、これだけは言っておくよ……」
 あと少しで、雅日が一夜の元に到着するといったところで、一夜が口を開く。雅日は足を止め、一夜の言葉を待つ。
 「…殺し屋も守り屋も、ましてや俺も、神様も、…殺し屋の頂点も守り屋の頂点も、バカみたいな政治家も……全員、同じ空の下、同じ地の上に立ってるんだよ………だから、自分が…」
 一夜は髪をなびかせながら振り返る。
 「人の命握ってるようなフレーズヌカしんじゃねぇよ、糞餓鬼…」
 一夜はニヤッとした不気味な笑みを浮かべてそのまま、後ろ向きに落ちて行ってしまった――――。

62精霊:2012/11/12(月) 17:23:02 HOST:i220-99-160-178.s02.a018.ap.plala.or.jp
日陰さん>>

自殺?

63日陰:2012/11/13(火) 17:59:02 HOST:i121-113-228-192.s41.a018.ap.plala.or.jp
  精霊≫

 イヤ生きとる。

 なんか面白いこと起きるだけ!

64日陰:2012/11/22(木) 19:15:38 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第4話+  +「出来ることなら…」+  +其の01+

 +―――――――――+
 『いぃ〜〜ちぃ〜〜やぁ〜〜!!!』
 ふと、自分の妹が、自分の方に、自分の名前を呼びながら、走ってくるのが見える。その妹が浮かべる、笑顔は、思いは、感情は、一体なんなのだろう…。自分の妹のから溢れ出るその愛は、兄に対しての経緯なのか?そんなことを考える自分は一体なんなんだ…?
 「……み…」
 名前を呼ぼうとした瞬間、その妹はサラサラと音を立てながら、風に吹かれてどこかに飛んでいってしまった……――――。
 +――――――――+
 「………………」
 いつもこうだ…。死のうと思って行動に走っても、今の映像が流れて飛ばされかけた意識が一瞬にして戻される。
 (…あぁ〜…。そうだ俺ビルから飛び降りたんだったっけ……)
 目に入った大きなビルと空。自分では確認できないが、多分一夜は大の字で寝ているのだろう、手にコンクリートの冷たい感覚がある。
 一夜は少し目を閉じたあとに、「ッフ…!」と腰に力を込めて、起き上がった。すると「…う、…うそ…」、「なにあの子……」、「い、今普通に上から落ちてきたよな……」とビルの大爆発により集まった野次馬たちが口々にいっていく。しかし、一夜はそんなのそっちのけで、カキカキと頭をかく。
 「…お、おい、君!!!」
 すると今度は交番にいるような警察が慌てて出てきた。まぁ、ビルが爆発して、そこから男の子が落ちてきて、即死と思われていたその子が起き上がって頭をかけば、噂を聞きつけた警察くらい来るだろう。
 警察の男は、一夜に近付くや否や、怪我はしていないのか、と聞いてきた。一夜の方はどの角度から見てに怪我などしていないので、別に、と答えた。唖然とする警察だったが、すぐに気を取り直して、ちょっと署まで来てくれるかいと、切り返してきた。だが、一夜はそそくさと歩いて、人ごみの方へと歩いて行っている。
 「ちょ、ちょっと、君!!?」
 警察の男は身を乗り出して一夜の肩に手をかけようとした。しかし、一夜はそれよりも早く「ッパン!」と手を除け払う。
 「…………………」
 一夜は無言でその場を後にしていった。

65日陰:2012/11/23(金) 09:38:18 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第4話+  +其の02+

 +―――――――――+
 「―――……つまり、殺し屋と不死者に、逃げられた、っということか…?」
 謎の大爆発を遂げてしまった、大デパート。そこの上では、瓦礫の撤去作業と怪我人救出の両方が行われていた。
 和泉たちも警察たちと共に怪我人救出に出向きたいところなのだが、駆けつけてきた欧明に呼び出され、ミニ事情聴取となった。
 「………………」
 「…ハァ―……。…その不死者について特徴は何かあるか、有北…」
 黙る和泉は使えないと踏んだ欧明は、和泉の隣で険しい顔をしている香々美に顔を向ける。
 「…銀髪で、見た目は高校生。名前は……」
 「……一見…一夜……です…」
 香々美が名前のところで少し突き止まると、和泉はそれだけを口にした。「一見一夜…っか…」欧明はそう呟くと、ズボンから携帯を取り出しどこかにかけ始めた。
 「……和泉、一体あの子とどういう関係なの…?」
 香々美は申し訳ないというような顔で聞く。和泉はうつむいていた顔を上げ一夜のことを話し始めた。

66日陰:2012/11/23(金) 18:52:20 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第4話+  +其の03+

 「一夜くんとは、…拳くんのお墓参りの帰りにあったんです……」
 それをはじめに、デパートの事などすべて話す和泉。
 「…あぁ……一見一夜のことが何かわかったらすぐ連絡してくれ」
 話をかけつつ、欧明は電話の相手にそう言い捨てて電話を切る。そのまま欧明は和泉の方に顔を向け「今後一見一夜との連絡接点があった場合、逐一俺に連絡しろ」と言った。和泉は軽く一礼して、頭の中に一夜の顔を浮かばせる。
 「藤北部隊長!!!!」
 和泉が顔を上げると同時に、男の声がかかってきた。3人はその声がかかった方に顔を向ける。するとそこには、一夜が担いでいたものと同じギターケースを持った男が和泉たちの方に走ってきていた。「なんだ、そのケース…?」欧明の言葉に対して香々美と和泉の両方が「一夜くん(あの不死者、が担いでたギターケース…!」と声を上げた。
 「…瓦礫の撤去中に見つけたものです。救出した人たちのものではないと、確認が取れたので持ってきました…!」
 男はそう言うと欧明の前にギターケースを置き、一礼したあとに右廻りをしてまた走っていった。
 「……もしこれが一見一夜のものなら、本部に持ち帰る必要があるな…。和泉、有北、お前たちもここは一旦俺と一緒に本部に帰還するぞ…!!」
 欧明のはっきりした声の誘導ぶりに二人は「はい…!」と返事をして欧明について行った。

67日陰:2012/11/23(金) 19:29:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第4話+  +其の04+

 +――――――――+
 「――…つまり、それが不死者、『一見一夜』の物である可能性は大というわけか……」
 守り屋、本部である会社の最上階の一室。そこには守り屋総帥代行である、高野と和泉、欧明、香々美を含めた19人の男女が集まっていた。
 「開けてみないことには分かりませんが、俺の推測が正しければ確かです…!」
 欧明はギターケースを縦に立たせながら高野に言った。高野は「うむ…」と少し頷きながらギターケースを見つめる。
 「まぁ、開けてみなくちゃワっかねぇっつゥことだろ?開けてみましょうぜ?」
 守り屋第7番隊、隊長、国城・剣製(くにしろ・けんせい)はおちゃらけ顔でそう言い切った。その案に皆、賛成のようで、頷くものが多数いる。高野も「まぁ、そうせぬと何も始まらぬからな……。どれ開けてみるか……!」と言いながらギターケースに手をかける。高野はギターケースのチャックを開けていく。そして、全て開け終え、ゆっくりとギターケースをあける。
 「!!?」
 「…これって……!?」
 和泉は驚いた顔になりながら、ギターケースの中を見た。

68精霊:2012/11/23(金) 20:56:13 HOST:i220-99-160-178.s02.a018.ap.plala.or.jp
日陰>>

 なにが、入っているのか?

69日陰:2012/11/23(金) 21:05:36 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 精霊>>

 なんか、スんげぇもの!!

70日陰:2012/11/23(金) 21:53:14 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第4話+  +其の05+

 ギターケースを見た者たちは、皆中身のものを見て言葉を失う。何故なら中に入っていたのは、ケースいっぱいに詰められた写真だったからだ。
 笑いっている者の写真。泣いている者の写真。怒ってソっぽを向いている者の写真。寝ている者の写真。何かに悩んでいる様な者の写真。上手くいったような顔の者の写真。無表情は顔の者の写真。
 まるで数え切れないくらいの者たちの写真が、そのケースには詰められていた。
 「なに……これ…」
 香々美は写真を束にして見つめていく。他の者たちも、香々美と同じように写真に手をかけ、次々と目を通していく。
 「全部で軽く百はあるな……なぜこんなにも写真があるんだ?」
 高野も地面にしゃがみ写真を見つめる。すると「…ん?これだけ4人で写ってるな……しかも、破った後にもう一度テープで貼り直している…」といいながら、高野は一枚の写真を、写真の山から拾い上げる。その写真を見て、「…一夜、くん」と声を上げる和泉。それを聞いて皆、心なしかその写真に目を向ける。
 写真には、どこかの山と展望、そして4人の家族が笑顔で写っていた。両端には茶髪で腰まである長い髪を解いている綺麗な女性と、黒髪で短髪の若く見える男性がこちらを見てニッコリと微笑んでいる。そしてその二人に挟まれて笑う銀色の髪をした一夜と、その隣で一夜の腕を掴む一夜と同じ銀色の髪をした少女。
 「一体どいつが不死者だ。全員か?」高野の問いに「いえ、こちらの少年です」と香々美は丁寧に答える。
 「……いい手掛りだな…」
 高野はそう言うと、後ろにいた和泉に写真を手渡す。和泉はそれを受け取ると、少し悲しい顔になりながら写真を見つめる。そして何気なく写真を裏返すと、そこには電話番号のようなものがボールペンで綺麗に書いてあった。
 (もしかして、一夜くんの……!?)
 和泉はそう思うや否や、来ていたトレンチコートのポケットから即座に携帯を出し、「ピ、ピ、ピ…!」と音を上げて番号を打っていく。皆は和泉と同じく写真の裏を見る。それを見て、皆は「な、何やってんだ…!?」と叫ぶ。止める者も居たが、止められるよりも早く、鳴っていたコールは停まり『はい?』と一夜の声が漏れてきた。

71精霊:2012/11/23(金) 22:00:58 HOST:i220-99-160-178.s02.a018.ap.plala.or.jp
日陰>>

電話繋がった!

72日陰:2012/11/23(金) 22:21:24 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第4話+  +其の06+

 「!!?一夜くん!!」
 意外にもすんなりと一夜が出てきたので、和泉はちょっと変わった気持ちで一夜の名前を呼ぶ。
 『あぁ〜…。和泉さん?この番号分かってことは、あのケース生きてたんだぁ〜。ハハッ流石、五十嵐さんの作ったギターケース…!』
 こっちの方も正にノン気で、あのケースが見つかっても見つからなくても良いと言う様な言い方だ。和泉は携帯をスピーカーにして、話を続ける。
 「…一夜くん、今一体どこにいるの?」
 そう和泉が聞くと『今?……あぁぁ、よく分かんね?適当にホッポリ歩いてるだけだから』と言い放った。
 「一体このギターケースの中に入っていた写真はなんなの?それに、…この破られた写真は……」
 『あぁ、それ?それは俺が今までに会って来た人たち…。もう会うわけにはいかねぇから写真に撮っとこうと思っただけなんだけどよ……』
 顔は見えないが、一夜は絶対に笑っている。和泉は直感的にそう思った。
 「……一夜くん、あなたは本当に不死者なの?…殺し屋の人地が勝手に言ったってことじゃ…」
 和泉のその言葉に「和泉…!!!?」と香々美は声を上げる。
 『見たっしょ?俺がビルから、降りるとこ…。……認めたかねぇけど、俺は確かに不死者だよ………』
 「一夜くん……」
 一夜の発言には、どうも引っかかる和泉。
 その後も、一夜は話を続け、皆はそれを真剣に聞き入る。

73日陰:2012/11/23(金) 22:28:41 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 精霊>>

 まぁ、繋がったほうがイイし、

 一夜から「出来ることなら…」聞きたいから繋がらせた!

74日陰:2012/11/23(金) 22:55:26 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第4話+  +其の07+

 「一夜くん……!言っておくけど、私達…人件保護対策機関はあなたの命を狙っているわ…!!…でも、自分から投降してくるなら、命の保証はされるかもしれない…」
 和泉がそう言うと、皆はゴクッと息を飲んだ。
 『言っとくけど、俺はアンタ等から狙われていることも、殺し屋から狙われてることも知ってる……。あと、自分からアンタ等の所に出て行く気は全くない』
 大体は想定できていた返答だ。
 和泉は、話を続けようと口を開くが、言葉を放つよりも早く、香々美が和泉から携帯を奪い、「ちょっとぉ!!!」と怒鳴った。
 「なんでもイイから、さっさと投降してこいってのよ!!つか、不死者なんて一体何世代前の下ネタだってのよ!!!…ちょっと聞いてんの、不死者坊主!」
 香々美はものすごい剣幕で電話越しの一夜に怒鳴る。だが、怒鳴ったまで良いが一夜からなんの返答がない。
 『…………………………』
 全員沈黙。チャラ男がいたら空気を読まず「シケタァ〜」と言うだろう。
 『…………俺だって…』
 やっと口を開いたかと思うと、今度はさっきと性格が一変して暗い感じになっていた。
 『…好きで不死者なんかになった訳じゃない………!!!』
 その言葉に全員肩に何かが乗ったような重さを感じた。

75日陰:2012/11/24(土) 09:53:29 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第4話+  +其の08+

 『俺は…出来ることなら………普通の人間として暮らしたかった……。時が過ぎれば、老いて死ねる…事故っちまえば、大怪我する……全然嫌な……』
 途切れるその言葉は、泣いているように消えてくる。
 『……普通の人間でいたかった………』
 脱力しながらも、言い続ける一夜。
 『和泉さん……』
 不意に名前を呼ばれ、驚きながらも和泉は香々美から携帯をもらい「……なに…?」と聞く。
 『……ありがとう…』
 意外な言葉を言われ、和泉は目を丸くする。それは聞いていた皆も同じだった。
 『パスタ、めちゃくちゃ美味かった。…もし俺がただの人間で、普通の高校生で、一般的な死に方をする奴だったら、もう一回………』
 和泉はユラユラと少し揺れながら「一夜くん…」と呟く。
 『あの美味いパスタおごってくれよな!!!』
 その言葉を最後に、携帯は切れその後携帯は繋がらなくなってしまった―――

76日陰:2012/11/24(土) 12:43:05 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +あの日の記憶+  +其の01+
 
 『―――……いまぁ〜、わたしのぉ〜、ねがぁ〜いごとがぁ〜、かなうぅ〜なぁ〜らばぁ〜、つばぁ〜さぁ〜がぁ〜ほしぃ〜………』
 日本全国民が知っている音楽が、綺麗な声で放送されている。
 一夜は夕暮れの中、人で賑わっている商店街に来ていた。この音楽は、5時を知らせるもので、その音楽を聴くと家へ帰る小学生は、一夜もよく見かける。だが、一夜自身この曲は余り好きではなかった。なぜなら、この曲を聴くと、いつも思い出すのだ。妹の、美夜の最後の笑顔を……。
 +―――――――――+
 「一夜ぁ。お母さんが夏休みにお爺ちゃん家、行こうって言ってたよ〜…」
 6年前の夏休みちょっと前の日。部活である銃剣道を続けるために、学年成績上位を目指して勉強している一夜の部屋に妹である自分と同じ銀色の髪をした美夜が笑顔で入ってきた。
 「あぁ゛!?爺ちゃん処に行く?!!…マジかよ……。お袋、俺のこと虐めてんのか…?」
 一夜は真面目に向き合っていたノート&教科書が乗っている机から顔を後ろにそらし、美夜に叫んだ。一夜はどうも母方の父である祖父が好きになれない。理由としては、全くと言っていいほど祖父が祖父に見えないからだ。きっと六十は超えているはずなのに両目とも自分より視力が良く、身体能力が優れまくっていて、物凄く頭が良くて、物凄く喧嘩が強いからだ。いつも祖父の家に行くと、まずは祖父の家にある道場に呼び出されて腕取りで吹き飛ばされる。
 「一夜本当にお爺ちゃんのこと嫌いだよねぇ。お爺ちゃん優しいのにぃ〜」
 (あの凶暴爺が優しいのはお前らだけだ…!!!)
 美夜の無邪気な笑顔に一夜はそう、心の中で断言する。お前らというのは、美夜を含め母の未咲、父の千晶の3人だ。
 「っま、一夜も行こう!!
 一夜は美夜のその一言に嫌々ながらも「ヘイヘイ…」と答えておいた。
 しかし、祖父の家になんて行かなければよかった。行っても、待っているのは出口のない真っ暗なトンネル、そう分かっているならば、一夜も美夜もきっと祖父の家に等いかなかっただろう。

77日陰:2012/11/24(土) 13:37:44 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +其の02+

 +―――――――+
 ――……一体、目の前で何が起こっているんだ?
 燃え上がる紅。流れ出る紅。目に映るものは全てが全て紅、紅、紅、紅……。正に紅一色で統一された世界が一夜の目には、入ってきた。
 一夜はボロボロの服の端を力いっぱい握り締める。『ギュゥゥゥゥゥゥゥゥ…!!!』という音が聞こえてくるほどの強さで拳を作る一夜の手から、目の前で倒れている家族たちと同じ、紅い血が垂れてくる。
 なんで…。
 どうして…。
 なぜ…。
 一体…。
 疑問の言葉が一夜の脳裏に横切る。そして、目の前に倒れている美夜を見て一夜の瞳から光が無くなった。
 +―――――――――+
 (――……もう、あの日のことは忘れてたはずなのによ…)
 一夜は夕暮れのオレンジ色に染まった空を見つめて、考えた。あの日のことを詳しく覚えているわけではないが、きっとあの事件で一番の目撃者は一夜だろう。
 「不死者ってほんと不便だよなぁ…」
 ヒュゥゥと横に風が吹く。一夜は目をつぶりながら、頭をかく。
 (…さってと、これからどうしよっかなぁ〜…?この前のことがあって、守り屋も監視強めてるだろうからなぁ〜。下手に問題起こすと、面倒だろう…)
 一夜はそう考えると頭が痛くなってきた。伊鈴は、自分に問題を持ってくるなと言っていたし、殺し屋からも命を狙われていると、メンドクサイにも程がある。一夜は「ウ〜ン…」と考えたあとに顎に手を置き、頭をひねらせて考える。すると、何か思い出したような顔になって、一夜はズボンのポケットから新しく買い直した携帯を取り出し、どこかに電話し始めた。
 「トゥルルルル……トゥルルルル……」とコールが何回がなったあとに『もしもし?』と男の声が返ってきた。

78日陰:2012/11/24(土) 14:57:47 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +其の03+

 +――――――――――+
 「―――…言っておくが雅日……。殺し屋とて無関係の者を殺せば、それは罪。…今回、運良く怪我人だけしか居なかったとは言え、今後このようなことがあれば、どうなるかわかっているだろうな……?」
 殺し屋本部。山の中にある、殺し屋の本部である屋敷の一室に白い着物を着て長い黒髪をそのままにし、左目を黒い眼帯で隠したチョビヒゲ男は足元に膝まづく雅日をギロリと睨む。
 「は、はい……。今後は今までよりも気を引き締め、被害者に目を………」
 「ナニ、堅苦シイ事言ッテンノ?アンタ、ソンナ、オ父サンミタイナ奴ヤナイヤロウニィ〜?雅日チャンモ、コウヤッテ自尊心(プライド)壊シテ、頭下ゲトイテクレルンヤゾォ〜?モウイイ加減許シテアゲレバイイジャ〜ン!被害者、居ナカッタンダシィ〜〜」
 すると、部屋の麩を開け、ツンツン頭の青年が腕を組み、ケラケラ笑いながら入ってきた。
 「!!?架月様!!!」
 雅日は入ってきた青年、架月・白紙(かつき・はくし)を見る。
 架月はチョビヒゲ男に近づいていき、ポンと男の肩に手を載せる。
 「ッナ…?叱ル事ガ全テジャナイッショ?ソレニ怒ルト血糖値上ガッテ、早死ニシマッセ?言ットクケド、アンタガ死ンデモ、僕ハアンタノ骨拾イマセンデ?」
 男にニヤッと不気味な笑を見せた後に、架月は雅日に手を差し伸べ「ホレ、早ク立チナ?知ッテイルダロウ?僕ハ3秒デ立チ上ガレナイ人ニ、興味ハ無イ。立チ上ガレナイナラ、ソノ足、吹キ飛バスヨ?」と正に棒読みで不気味なことを言ってきた。雅日はニヤリと笑う架月の顔を見て、架月の手は借りず、自分ですぐに立ち上がった。それを見て架月は「良ク出来マシタ」と言いながら拍手を返した。
 「ツッテモ、ドウスルコレカラ?ソノ不死者、ドッカイッチャッタンデショ?¨アノ子¨出スニモ、ダ〜レモ手ェツカナイカラ厄介ジャナイ?」
 架月がそう言うと雅日は息を飲み、男は険しい顔つきになった。
 「釘寺(くぎでら)は使えん。今は一時的に、大人しくさせてるだけで、いつ一般人を殺すかわかねぇ。まぁ…」
 「殺シチャッタラ、殺シチャッタジャン?アンタ別ニ他人ガ死ンデモナンニモ思ワナイッショ?」
 架月は不気味の一言しか思えない笑を浮かべた。

79日陰:2012/11/24(土) 17:42:33 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +其の04+

 +――――――――――+
 雅日が怒られていた頃。一夜はとある男とあっていた。その男と一夜は、もうとっくに廃校となった小学校に来ていた。
 男は薄黄緑の髪をして、水色の瞳をした外国人だった。肌は白く、長い髪は後頭部の下部分で赤い紐で結び、左耳には金色の大きな輪のピアスがされている。男は裾の長い袴のような服を踏まないよう注意して前を歩く一夜を追う。
 「……一夜、一体今回は何の用で俺を此処に呼んだんだ?俺は俺で、色々と大変なんだが……」
 男にそう言われると、一夜は足を止め振り返り、ニッと笑った。
 「………一夜…?」
 「今回は迷惑かけたな¨アミリノ¨!今回は、お前に俺の¨護衛¨を頼みたいんだ!!」
 男、アミリノ・ディラ・ミキフは「護衛?」と聞き返す。
 「っそ!もと『軍事用施設保護番犬(ぐんじようしせつほごばんけん)』であった、お前にしか出来ないことだろう?」
 『軍事用施設保護番犬』。それは外国にある軍事施設を守る軍人ではない者のことだ。アリミノは家族はおろか、友も、尊敬出来る者も居なかった。そんなアリミノを拾ったのが、軍の上層部であった男。その男は、物心も付いていないアリミノに武術を教えこんだ。
 「別に構わないが……。一体どうした…?とうとう誰かに喧嘩売ったか?」
 アリミノにそう言われると一夜は「チョットなぁ……」と言いながら説明し始めた。
 「――…うむ、守り屋に殺し屋、っか……。まぁ昔の好(よしみ)だ。護衛でも何でもしてやるよ!!」
 アミリノにそう言われると、一夜は「サンキュー!!!」と叫んだ。

80日陰:2012/11/24(土) 19:00:26 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +其の05+

 +―――――――――+
 「――…槇村(まきむら)よ。貴様の仕事は一体何だ?」
 守り屋本部の第6部隊武屋。その部屋にある、大きな茶色の机に座っている、正に美形の男は細い目で足元に正座しながら冷や汗をかきまくる、第6番隊副部隊長の男、槇村・空(まきむら・あき)。
 「…え、…えぇと……民間人を守り、保護する…こと……です…」
 ショートヘアーである空はアニメのように頭の上に大きな水色の汗を作る。
 「その人件保護対策機関の者が、部下に手を上げる等と、万死に値するぞ…」
 「!!!?…た、た、た、た、隊長!!いや、本当に申し訳ありませんでした!!……でも、アイツ等だって悪かった…」
 「部下に手を上げることなど万死に値する…!」
 第6部隊隊長である、気品に満ちたその男、榊・竜泉(さかき・りゅうせん)は机の引き出しから猟銃を取り出し、空に銃口を付きつけた。
 「ほんと、ゴメンナサ…ギャァ―――――――――!!!!!」
 その声の後に「ダッダッダッダッダ…!!!」という猟銃の発射音が響き渡った。

81日陰:2012/11/24(土) 19:36:08 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +其の06+

 +―――――――――+
 「――…榊隊ちょォ〜〜。資料にハンコ貰いにきま………何やってんだ槇村…?」
 ちょっと長い蒼色の髪をした男が、第6番隊武屋に紙の束を持って訪れてきた。だが、目の前に見覚えのある男が、口から魂を抜かしてブッ倒れているのを見て、本題を後回しに、その男は倒れている槇村の頭の前にしゃがむ。
 「……何やってんだよ槇村…。また、こってり絞られたか?」
 「聞いてくださいよ、峰浜(みねはま)センパァァァイ!!」
 「分かった聞いてやるから、その見るからに醜い顔をなんとかしろ」
 +―――――――――+
 「――…つまり、稽古をサボった部下たちを思い切りシバイたら、榊隊長から鉛が飛んできた、と……」
 「そうなんすよ、峰浜先輩!!俺、悪いっすか?!いや、確かに悪いかもしれない!!でも…!!」
 「あァ、もうどっちだァ!!悪いと思ってんのか、良いと思ってんのか!!?」
 男、峰浜・志紀(みねはま・しき)は怒鳴った。
 「つうか、お前のトコの隊長はどうした?うちの辻原(つじはら)隊長が急ぎでハンコ貰ってこいって言ってんだよ…」
 ベラベラと厚い紙の束を横になびかせる志紀。それを見て空は「今隊長いないっすよ…?総帥代行に呼び出されて、どっか行っちまいましたよ?」と言った。それを聞いた志紀は「それを最初に言えや、糞馬鹿後輩愚弄野郎!!!!!」とずっと倒れ込んでいる空の背中を「ゲシゲシッ」と踏みつけまくった。

82日陰:2012/11/24(土) 20:43:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +其の07+

 +―――――――――+
 「――…して、私を呼んだのは何の用でだ…?」
 真っ暗な空間の中、真ん中だけが明るく照らされている一室に竜泉は来ていた。
 「うむ、貴様を呼んだのは他でもなく、今後、不死者を倒すために人権殺害規程機関との和解をするか否か……。その判断を貴様にも思案してもらいたい」
 その一室の真ん中の明るい所にある机に腰掛けている高野は竜泉にそう言った。高野の隣にはポニーテールをし、顔に斜めの傷跡を造った男、総帥代行補佐官である天草・数多(あまくさ・あまた)が立っている。
 「人権殺害規程機関との和解か……。私としては、不死者不是を殺すことに、人権殺害規程機関という愚物の力を用する必要は無いと考える……。何より………」
 「先日、月文拳が任務中に刺殺されたばかりの事を考えると、人権殺害規程機関との和解には批判の声が上がる可能性が高い……。という心配がありますね、天璋院総帥代行、榊第6部隊隊長……」
 数多の言葉に二人は「うむ…」と頷く。
 月文拳。それは、欧明が隊長として率いる守り屋第5部隊の副部隊長として期待されていた男だ。だが、月文本人に一部隊の副隊長は務まらないと言っていた。しかし、月文が副部隊長に昇進する矢先、任務中に隙きを見せ、殺し屋に刺殺されてしまった……。
 「だが、第8部隊隊員、有北香々美の話では30階建ビルから転落しても生きていたと言う。並みの武器ではそうそう太刀打ちできん…」
 両手の指を交互に組ませ、手に鼻を当てる高野。
 「私としては人権殺害規程機関と和解する等、人件保護対策機関としてあるまじき行為と考える。賛成は出来ぬ……」
 「……そうか…ならば、今後の和解にはもう少し時間を…」
 「ダメよ…」
 唐突にかかったその声に、一同は驚き、声のした方に顔を向けた。

83日陰:2012/11/24(土) 21:51:19 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +其の08+

 顔を向けると、そこには白衣姿の伊鈴がこちらに歩いてきているのが見えた。
 「…貴様……!!?」
 「なぜ、貴方がこんな処に居るんですか。五十嵐元総帥代行…」
 竜泉が声を上げる。するとその前に即座に数多が飛び出し、険しい顔をする。
 「悪いんですが、今はそれにお答えする時間は御座いません。ちょっとどいてください……」
 伊鈴は数多に敬語の言葉をぶつけながら、肩に手をおいて横にどけ、前へと進む。
 「一体何故貴様がここにいる。何より前総帥代行の貴様が何故こんな処に出向いている…」
 「何度も言わせないで、その問に答える時間はない。それに今回は情報をあげに来たのよ」
 伊鈴のその言葉に皆は「情報?」と聞き返す。
 「えぇ。今は不死者、一見一夜だけを敵意識しているみたいだけど、敵はそれだけじゃなくなったわ…」
 その言葉に「どういうことだ!?」と叫びながら高野は立ち上がる。
 「……知ってるでしょ?軍の軍士を育てる施設を守る『軍事用施設保護番犬』。そいつらがここ(守り屋)と殺し屋を破壊しようとしてんのよ」
 3人は目を丸めて伊鈴を見る。元々、「軍事用施設保護番犬」と言うものは「軍人教育施設」というところから離れてはならぬものなのだ。何故ならば、その教育施設を守ることが、「軍事用施設保護番犬」の生きる意味だからだ。そんな奴らがなぜ守り屋と殺し屋の両方を狙っているのか…。
 「なぜ、そのような奴らが我々を狙っているのだ…!!?」
 「あっちで軍の噛まされ犬すんのが嫌になったんでしょ?…っで、話はもどるけど、2週間くらい前に、外国人を乗せた貿易船が沈没した事件あったでしょ?それ、その『軍事用施設保護番犬』がやった確率が高いのよ……」
 青い顔をする高野に伊鈴は答える。
 2週間前の貿易船沈没事件。それはかの、ノルマント号沈没事件よりも世間を一時的に震えあがらせた。最初は事故とみられていたその事件だったのだが、沈没した船から、貿易物が消えた空箱と大量の刺殺体が見つかったことかっら事故とは思えなくなった。
 「だが、日本に来て我々を潰したところで奴らに一体何の利益があるというのだ!」
 「解りませんよってのよ!私だってそこにまで耳も目を行き届きませんよぉ〜?……っで、今日本に居る軍犬は8人。そのうちの一人、アリミノ・ディラ・ミキフという青年は、不死者一見一夜の護衛についている。その青年は多分大丈夫よ……」
 また心のこもっていない敬語をする伊鈴。

84ピーチ:2012/11/24(土) 22:03:30 HOST:EM114-51-14-145.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

久々に一気読みしたら何かとんでもなく話進んでた←

何か一夜君って明るいのか暗いのか分かんないよねw

85日陰:2012/11/24(土) 22:20:13 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +其の09+
 
 その後も伊鈴の話は続き、高野、竜泉、数多の3人は、真剣にその話に耳を寄せていた。
 伊鈴の話によると、軍人教育施設を抜け出し、日本にやって来た軍事用施設保護番犬たちが殺し屋と守り屋を潰し、軍の者たちに自分たちの存在意義を見せつけようとしているのではないか、とういう推測があるらしい。
 「あいつらは馬鹿かっ!!?たとえ、我々と人権殺害規程機関を潰したところで軍に己たちの存在理由等示せるわけない!!……だいたい我々は外国にまで領地を広めてはおらぬはずっ!!なぜ情報が流れた!!!」
 「理由としては一つ。一見一夜がアリミノ・ディラ・ミキフに情報漏洩をしたから…………」
 ポリポリと頭をかきながら言う伊鈴。それを聞いて、3人は「不死者って使えない……!」と心の中で毒を吐いた。
 「っま、私が言えるのはこれだけよ…。警備を怠らないよう頑張ってね…」
 それだけ言い残すと、伊鈴は振り返ってトコトコと歩いて行った。
 「っさ、…最後に……!!」
 数多は身を乗り出して叫んだ。
 「あなたは、一体何の味方なんですか?!……我々なんですか…!……人権殺害規程機関なんですか…!!…」
 そう言われると伊鈴は足を止めつぶやくように「決まってるじゃない…」と吐き捨てた。
 「私は不死者一見一夜の味方ですよ」
 と言ったあとに、伊鈴はどこかに消えていった。

86日陰:2012/11/24(土) 22:35:45 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  ピーチ>>

 一夜はどちらかと言うと、無理して笑顔を造って明るく見せてるんだよね…

 そして、和泉さんか伊鈴さんあたりにハグされて、号泣して本当の笑顔を作る的な展開がこれから待ってるやもしれない……(軽くネタバレ

 まぁ兎に角、「これからも頑張ると思うんで、応援、夜露死苦ゥ!!!」←一夜……という事で、今後よろしくお願いします!(土下座ぁぁ!!

87ピーチ:2012/11/24(土) 22:41:48 HOST:EM114-51-14-145.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

まさかの無理にか…

あたしそんなの面倒だからしない。学校では常に無表情←おい

ネタバレ駄目でしょねぇ!?

88日陰:2012/11/24(土) 22:55:30 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +其の10+

 +――――――――――+
 時を遡ること少々。一夜はアリミノと一緒に廃校となった小学校の屋上で季節外れの花火をしていた。
 「…なぜ日本人は夏に花火はするのに、冬にはしないんだ?風向などが夏に比べ荒いからか?」
 線香花火をする一夜にアリミノは聞いた。一夜はそう言われると「ウ〜ン…」と考え込んだ。今まで考えたこともなかった事だったからだ。
 「わかんねぇけど、花火って綺麗じゃん?」
 そう言われ「そうだな」と答えるアリミノ。
 「でも、秋になると空が澄んで綺麗な星がたくさん見えるんだよ………。だからきっと神様が……」
 一夜は燃え尽きた花火を用意した水の入っているバケツにいれて綺麗に輝く星が浮かぶ空を見る。アリミノも同じように空を見る。
 「夏と秋の両方の季節にそれぞれ綺麗なものを用意したんだと思う……」
 アリミノは(こいつ下ネタ野郎だな…)と思いながらも少しニッコリと微笑んだ。そして、ふと小学校の校庭部分に目をやるとそこには白い着物を着た者たちが刀を腰に下げてこちらに歩いてくるのが見えた―――

89日陰:2012/11/24(土) 23:02:10 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 私ネタバレ大好き!! なんか友達とかで、ネタバレは物凄く後が気になるから言わないでくれって言われますね〜←普通だ

 あと、私は学校では普通ですかね……面白い時は普通に笑うし、怒ってるときは裏的な笑みを浮かべるし、泣きそうなときは頑張って笑って泣かないようにしてるし………あれ、もしかして私って笑顔オンリー?←(んなわけねぇだろ…

90ピーチ:2012/11/24(土) 23:03:15 HOST:EM114-51-14-145.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>

確かに花火って夏特有だよね、何でだろ

まず何で小学校で花火!?

91日陰:2012/11/24(土) 23:09:19 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 ピーチ>>

 私の夢で見た幻想(ガチ…

 なんか私と友達数人が学校の玄関から堂々と学校入って花火をしたっていう嘘みたいな本当のことあったんですよ………

 なんか、私って夢に変なもんでてきて良くそれを小説に使うんですよ(なんの特技もない私の唯一の天性と思われる才能……

92日陰:2012/11/24(土) 23:15:55 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  ★☆間違え探しという名の修正☆★

 >>79に「アリミノ」と「アミリノ」の両方が間違って出ていましたが、

 アリミノ◎  アミリノ×  

 なんか「アミリノ」の方が多いですが、正解は「アリミノ・ディラ・ミキフ」です。

 ほんと、すいませんでしたぁぁぁ!!!(地面に頭ぶち込んで土下座…

93日陰:2012/11/25(日) 09:00:45 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第5話+  +最凶に最強+  +其の01+

 「―――…羊が9993匹……羊が9994匹……羊が9995匹……」
 真っ暗な牢獄に青白い月光が差し込む。その月明かりが一番差し込む場所に、手足を鎖で繋がれた青年が、体操座りをして座っている。
 それからも青年は「羊が……羊が……」と数え続け、数が10000になった瞬間青年は顔を上げ「まだ眠れないや……」と言って、また「羊が1匹……羊が2匹…」と数え始めた。
 +―――――――――+
 「何だアイツら…!日本は今でも刀を持った奴がいるのか…?」
 「さっきも言っただろ、アイツらが殺し屋。……1、2、3、……7人か…。そのうちの3人はこの前の奴だな……」
 一夜とアリミノは身を乗り出し小学校の校庭にいる怪しげな者達を見つめる。数は7人。その中の3人は、雅日、奈津樹、リキヤ。
 「アリミノ…早速で悪いが、戦えるか……?」
 「武器にもよるが…あの数なら楽勝だ……」
 「コンバンワァ〜〜〜!!!」
 『あっ゛?』
 真面目に話して二人にかかった、呑気な架月の声。二人はスットンキョな声を出して校庭を変な目で見る。
 「……なんだあの変な奴。…¨タウス¨にも暗殺者や殺し屋も居たがあんなに不抜けた奴らはいなかったぞ…」
 「日本ってのは丁寧な方が多いんだよ………」
 「ソウソウ、日本ニハ、親切ナ方ガ多インダヨォン」
 「!!!?」
 二人は背後から聞こえてきた架月の声に驚き、即座に振り返る。すると、一夜の首に大きく冷たい架月の手が飛んできた。
 「っな…!?」
 「サァテ、死ナナイッテノハ、本当カナァ〜……」
 驚く一夜を他所に、架月は首を絞める力を強める。
 「貴様…!」
 「おぉと、あんたを動かさせるわけにはいかねぇな〜…?」
 アリミノが動こうとした瞬間、背後から雅日の声が降ってくる。
 「――……っぎ、…ガハッ……!!」
 首を絞められてから何分か経った。それでも一夜は死ぬのはおろか、意識も飛んでいない。
 「ウ〜ン、コレハ面白イナ。僕ハ、君ガ一度死ンデ、モウ一度生キ返ルノデハナイカ、ト考エテイタガ……ドウヤラ、違ウヨウダネ」
 架月は困ったような顔で笑顔を作る。
 「っは……っか…じゃねぇ…」
 「ン?一体ドウシタンダイ?言イタイコトガアルナラ、言ッテイイヨ?」
 架月はそう言って、手の力を少し弱める。
 「……バッカ…じゃねぇの…!……絞殺…なんて、とっくに試したに決まってんだろ………!!」
 その言葉を聞いて架月は手に込める力をすべてなくした。一夜はそのまま尻から屋上のアスファルトに落ちた。

94日陰:2012/11/25(日) 09:05:23 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  ★☆間違え探しという名の修正☆★

 またまたゴメンナサイ!

 ↑の「第5話」は「第6話」の間違えでした!

 何度もスイマセン!!!

95日陰:2012/11/25(日) 09:42:12 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第6話+  +其の02+

 「ゲホ……カハ…!」
 「君ハ僕ガ思ッテイタヨリ、賢イミタイダネ?…一体イクツノ死ニ方ヲ試シタンダイ?」
 アスファルトで佇むだけの一夜に、架月は目線を合わせてしゃがむ。
 「…大抵のものは試した。感電死とか凍死も考えたけど、無駄だった……」
 一夜は架月の目を見ず答える。
 「ソウカ。分カッタヨ、君ハ僕ノ考エタ、生キ返ル者デハ無ク、死ヌ手前デ精神ヲ保タセル者ナノカ…」
 「それにプラス、高速自己回復能力だ…」
 一夜はスッと立ち上がり、そう言った。
 架月は「ドウイウコトダイ?」と聞き返す。
 「…人には、自己治癒力ってもんがあるだろ?人は怪我をすると、まず傷口を塞ぐためにカサブタを創る。だが、俺はカサブタを通り越して一瞬にして怪我を完治させるんだ……」
 少し、辛い顔をして言う一夜を見て架月は「……ジャア、ソンナ君ニ、頼ミガアルンダガ?」と言ってきた。「頼み…?」と聞き返す一夜をニッコリと微笑みながら見る架月。
 「ッソ!チョット君ニ相手ヲシテホシイ殺シ屋ガイルンダヨ…」
 架月も立ち上がり、一夜にそう言うと、閉じられていた目をそっと開け、一夜をガン見した。

96日陰:2012/11/25(日) 10:35:02 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第6話+  +其の03+

 +――――――――――+
 サクッサクッと土を踏む音がそこ一体に鳴る。全部で9人の足音は、大きな屋敷を前にして停まった。
 「…ここが、殺し屋…の、本基地…?」
 思っていたのよりも大きく、日本文化の欠片じみていたので、素直に「ここが殺し屋本部」という感覚がわかなかった。
 「ソウ!コレガ我々、殺シ屋ノ基地ダヨ!!サァサァ、入リタマエ!!!」
 架月はそう言うと、大きな木の門を押し開けて、中に悠々と入っていく。
 「…………………」
 「…!……何だよ…不死者…」
 「…いや、殺し屋の人たちがなんで、こんなヤサ男一人にそんなにズタボロにされてんだろうなぁと思ってよ…」
 「ウッセェなぁ!!普通こんな外国人が殺し屋6人をブッ倒せると思うか!!?」
 ギャンギャン喚く雅日だが、それをよそにアリミノは「ップ…」と笑った。一夜も「ハハハッ!そりゃぁ、こいつも並みの訓練受けたわけじゃねェからなぁ!油断したらソラヤられるわ!!!」と笑いながら言った。
 それを見て、ズタボロの服を着た殺し屋一同は、一瞬でイラついた。
 「つうか不死者ぁ!こいつぁ、何者だ!!」
 「俺は一見一夜だ!!それにこいつは、アリミノ・ディラ・ミキフって言う、元軍事用施設保護番犬だ!言っとくがアリミノをなめんじゃねェぞ!!そこらの刀で太刀打ち出来るほど弱くねェからな!!!?」
 殺し屋の屋敷内に入って、ちょっとまでは言い争いをしていた一夜と雅日だったが、屋敷内にある大きな黒い門の部屋の前に立つと、二人は言い争いをやめた。

97日陰:2012/11/25(日) 12:27:47 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第6話+  +其の04+

 架月は、その門の前に立つと振り返り、一夜に言った。
 「イイカイ?コノ中ニハ、¨釘寺・功刀(クギデラ・クヌギ)ト言ウ、最凶デ最強ノ殺シ屋ガイルノダヨ」
 「クギデラ?」と呑気な声で聞き返す一夜。それを聞いてか、聞かずか、雅日は自分から身を乗り出して口を開いた。
 「殺し屋で唯一、共同を嫌い、単独で人を殺め続けた殺戮男。歳は16という若さだが、そいつの手で殺された者の数は軽く50を超えている………。だが無関係の者の殺害も明らかになったことから、牢獄監禁になった男のことだ…。…殺し屋の中でも一目置かれ、守り屋からも最も危ない人間と言われている…」
 一夜はその説明を聞いて「ホへ〜」と呑気な声を上げた。これにはアリミノも「マズい……」と思う。
 「っで、俺は何をすればイイんだ?その男を見せるために呼ばれた訳じゃねぇんだろ?」
 「ウン!話シガ早クテ、有難イ!!…悪インダガ、君ニハ功刀クンノ相手ヲシテイタダキタインダ」
 「相手?…戦えってことか?」
 「アァ!無論只デトハ言ワナイ。モシ、君ガ功刀クンニ勝ッタラ我々ハ君カラ手ヲ引キ、今後一切君ニ関ワラナイ!!ドウダイ?良イ条件ダロウ?」
 確かにいい条件である。だが、もし一夜が負けた場合、どうなるのかアリミノと一夜の脳裏に疑問が浮かんだ。
 「……もし、一夜が負けたらどうなる?」
 そう聞いたのはアリミノ。一夜も似た質問をしたそうな顔になる。
 「ウン。マァ、負ケタラ、負ケタダヨ!想像ニオ任セスルサ!」
 それだけ言うと、架月は門に体の向きを戻し『ギィィィィィィィィィ……』という音を立てて門を開けた。

98日陰:2012/11/25(日) 13:22:03 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第6話+  +其の07+

 その門を開けたところにあるものは黒く鉄錆た棒で仕切られている牢獄。上下左右前後ともに灰色の石垣で出来ているそこは、監獄がひとつと、そこに一人の青年がいるという正に殺風景なものだった。
 監獄の中にいる青年、釘寺・功刀と思われる者は、石垣側に顔を向けて体操座りをしている。座っているせいで床までつく真っ黒の髪はツヤがあって綺麗だ。
 (………アイツが……釘寺…功刀……)
 一夜は門の手前で、まだ足を止めている。こいつが、皆から危険視されている少年。悪く言ってしまえば、皆から軽蔑されている存在の男。
 「………狼が、“9人”来た……」
 功刀は一夜たちに目もくれないでそう呟いた。
 (!!)
 功刀の言葉に疑問を抱いたアリミノ。
 「そのうちの一人は、外国人だね?しかも、物凄く訓練された。考えるに軍事用施設保護番犬かい?」
 その言葉に、一夜とアリミノは眉間に皺を寄せる。
 「…何だあいつ……」
 「生気で、俺らを見捉えやがった……」
 ボソボソと喋る一夜とアリミノ。
 「ん?一人生気の感じられない輩がいるなぁ……。そうか、君が噂の不死者、か…。面白いな、なぜそんな人がこんな処にいるんだい?」
 功刀は一向に背を一夜たちに向けたままで喋っている。
 「…功刀クン!イツマデモソンナ所ニ居ルノハ、嫌ダロウ?少シバカリ外ノ空気ヲ吸ッテミナイカイ?」
 架月はいつもどおり不気味な笑みを浮かべて言う。そして、トコトコと牢屋の鍵穴がある所にまで進み、持っていた縦長で金色の鍵を鍵穴に入れ、牢屋を開けた。

99日陰:2012/11/25(日) 13:26:21 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  ★☆間違え探しという名の修正☆★(もう、いい加減にしろよ…

 「+第6話+  +其の07+」ではなく「+第6話+  +其の05+」です。

 間違えまくって本当にごめんなさい…(´Д`;)ヾ ドウモスミマセン

100日陰:2012/11/25(日) 13:50:46 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
  +第6話+  +其の06+

 +――――――――――+
 「ホンマにあの功刀と、不死者野郎が一騎打ちのサシ勝負するんかい?!!」
 「えぇ…。そうらしいですよ?今道場に二人ともいるらしいですよ?」
 殺し屋本部の台所。そこでは光聖と時輝の二人が、菓子作りの後片付けをしていた。
 「何やとぉぉぉぉぉぉぉ!!!それ先に言わんかいっ!!!」
 「え、ちょ…光聖くん!?…後片付けは…?!……ちょっと、光聖くぅぅぅぅん!!!!」
 +――――――――――+
 「――…おい、…」
 「ん?…何だ?」
 殺し屋の道場に着物を着た者達が集まってきた。全員、道場の真ん中で向かい合う一夜、功刀をざわつきながら見つめる。
 「…もし、アイツが犯られたら……どうするんだ…」
 雅日は隣りで腕組をして立っているアリミノに聞く。
 「…さぁなぁ〜。まぁ犯られたら、犯られただろう?」
 何も思わない顔をするアリミノ。雅日は「おい…!」と少し焦ったように、声を出す。
 「心配するな…。アイツは…一夜は……自分よりも孤独な奴にはやられない…」
 アリミノの自信たっぷりな発言に雅日は少し押されたようになった。


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