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関大サポートスレ

6名無しさん:2022/01/25(火) 18:23:35
17全学部センター中期 関大『藤簍冊子』「故郷」現代語訳
 昔の人も、出世する人があり、不遇な人がある。昔の人の事跡は大変多いよ
うなので、数え上げるのは全く面倒だ。出世した人がすぐれているのではなく
、不遇な人が無能なのでもない。自身の幸運が後か先か、(幸運に)出合う出合
わないことであろう。出世して名声を得る人が、後に悪く言われることもある。
楽しいとすることも辛いということも、求めるとおりでもなく、誰かが与える
下さり物であるよ。
昔は、聖代に、たまたま生まれて、すぐれているという人が、ある人は皇位に
即き、ある人は山に這い隠れたことを思うと、身分が違うことはどうしようもな
い。出世すると馬車を道に音を立てて走らせ、宮中に参上しては、いろいろな役
所の上席にいて、考えを(帝に)奉じ、発言を納め申し上げると、君主を始めと
して、この治める国の中では、その人の考えや言葉が行われることは、たいへん
めったにない幸運な人だなあ。そんなことは求めないけれど、国中の宝物を倉庫
に積み上げ、山や海の、珍味を、朝夕食べて、(何でも)思いどおりであること
を、賢明な人は、満足するというだけではなく、(贅沢を)ああ恐ろしいとまで
思い考えては、嫌って避ける人もいたとか。こういうことを少しぐらいも思い知
らないで、暖かく(衣服を)重ねて満腹になるまで食う者が、(贅沢の)報いも
悪くなく(一生を)終える者もいる。ある者は中途で(贅沢を)自然とやめて、
ある者は将来どうなるだろうと浪費をやめる。(浪費を)やめることを賢明とす
るならば、(俗世に)出ることを愚かとするだろうか。(俗世に)出て、(幸運
に)出会わない者は(俗世から)退き、取り立てられる者は(高位に)進む、こ
れは出世する人の心構えで、自分の身の程を保つのであった。むやみに(俗世か
ら)隠れたり退いているのも違っているだろう。進むべき時に、退くことは、身
を誤っていることで、後に(時間を)取り戻したい時が出てくるものだ。また退
くべき時機を失って、罪を受けることを、後でどうしようもない。 垣根の菊を
折って賞美し、南の山を朝晩にじっと眺めていた人(陶淵明)は、この洞穴の中
に戻った類いの人で、身の程を保って心の安寧を楽しむのである。(贅沢を中途
で)自然とやめて辛いと思わない人は、格別に貴い。自分から(食事を)避けて、
飢えて、入水自殺した人(屈原)を、愚かだとは言わないことは、当然の道理が
たいそう突き詰めていらっしゃるのだろう。罪がなくて、(地方に下って)海や
山の風流な所の月を見ようかと、(歌を)独泳した人(源顕基)は、朝廷の仕事
に実直でない人ではなく、こっそり思わず嘆いている事情もきっとあるのだろう。


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