【小説.】あの日見上げた空の名を僕たちは知らない - 1381607585

1：鎖那：2013/10/13(日) 04:53:05 ID:I4zhW6as0: 小説書くとこなんで、なんか、感想とか質問とかあったら
神出鬼没な鎖那としゃべろぉ？ｗ
っていうスレに書き込んでくださいっ♪ｗ
まぁ、見る人いるのか疑問ですけどｗｗ
登場人物わぁ、書きませんっ！！
どんどん増えるんで。

それじゃぁ、start♪
2：鎖那：2013/10/13(日) 04:55:34 ID:I4zhW6as0: 君と最後にあったあの日から
君と最初にあったあの場所から
君と初めて見たあの空の日から　　　俺は動けないでいた

『唯斗くん』
『ん？』
君の声とともに風が間を吹き抜けた。
『唯斗くんに逢えて、ホントよかった。』
空を見上げながら言った君の表情は、逆光で見えなかった。
『どうしたの急に？』
笑いながら聞いた俺の顔をまっすぐに見つめ
『ううん、ただ言ってみたくなっただけ。』
気にしないで、そういった君の表情は、少し悲しそうだった。
『そう？ならいいけど。』
高台の上に作られたこの学校。
屋上は開け放たれているため、いつでも使うことができる。
放課後のこの時間は、おれたちの独占できる時間。
グラウンドから聞こえたホイッスルの音に、意識を呼び戻され、
隣を見て気付いたこと。
『髪の毛、伸びた？』
不意の質問に、驚いた顔をした君。
『いきなりだね。』
笑いながら言った君は、髪の毛をすくってみせた。
『初めて逢った時よりは、伸びたかな？』
『疑問形？』
何故か君はよく疑問形で答える。
それがおかしくって、いつも笑ってしまう。
『笑わないでよ。』
そう言いながらも、一緒に笑ってしまっている君。
『あ～もう、つられちゃうやぁ。』
いつも笑った後によく言ってる、口癖。
『ホント、唯斗くんのせいだよ？』
『さあ？...あ、時間。』
ふと見えた時計に視線を奪われた。
『あぁ～、帰らなきゃ！！』
君が急ぎながら立ち上がるものだから、落ちそうになっていた。
『おっと、危ない。』
手を取った俺に、ごめんごめんと笑いながら言う君。
ホント危なっかしい。
『気を付けろよ？』
『了解っ！じゃぁ、バイバイ。』
急いで扉に向かう。
その扉が閉まるまで、見届ける。
いつも俺らは「またね」とか「また明日」とかを遣わない。
いつ逢えるかもわからないのに、そんなありきたりな言葉を遣いたくなかった。
君と考えが似ているせいかな？
なんとなく、言ってなくてもそんな気がする。

次の日の朝は晴天だった。
でも俺の心の中は、土砂降りだった。
『マジかよ。』
記号化された担任の話は信号のように脳裏に届く。
『昨日の放課後から平川怜奈が家に帰ってないらしい。
　誰か、昨日の放課後以降に平川に会った奴はいないか？』
平川......。
あの後、帰ったんじゃなかったのかよ。
どこ行ったんだ？なぁ、平川。
その瞬間、教室を飛び出してしまった。
『浅賀！？』
担任の名前を呼ぶ声と、教室の生徒の声が響く。
廊下に響いたその声は、俺には対してはなんの力も持ってなかった。
平川と二人で行った場所。
音楽室、家庭科室、体育館裏、裏庭の花壇......
どこだよ、どこにいるんだよ。
不確かな未来を探すように、虚ろな思考。
でも、見えない影を追うように、前へ進む足。
『どこだ...！？』
思い出した、いつもいた場所。
そうだ......屋上！！
急いで駆け上がった階段に息を切らせ、
焦りと不安で押しつぶされそうな胸に圧力をかける。
いてくれ、どうかいつもみたいに。
『またさぼり？
　授業受けなきゃっ。ってか、私もか。』
そんな風に言って笑っていてくれ。
どうか、昨日のあの時間の平川みたいに。

ガチャッ......キィィーー

開いたドアの先に広がった光景。
誰もいない殺風景ないつもの屋上。
そう、平川はいなかった。

ただ風が吹き抜けるだけの屋上。
俺の隣にいたぬくもりは、風に運ばれる木の葉みたいに
パッと消えてしまった。
君がいたはずの席も、今では片づけられた。
君がいたはずのクラスにも、普通に時間は流れた。
誰も、もう君を覚えてないかもしれない。
俺以外の人間は、君をいなかった人のように扱っている。
戻ってこないのかな？
何日、何週間、何カ月、何年待たせれば気が済むんだ？
いつ、あの笑顔で戻ってきてくれる？
俺はまだ、あの屋上に毎日放課後通っている。
平川が帰らなければいけない時間まで。
ずっと、ずっと、待っていた。
いつか、戻ってきてくれないかな？