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クロイ方程式
16
:
桜
:2013/03/07(木) 19:09:51
十六夜栞からの平手打ち。
地味に痛い。
「バッカじゃない!?ねぇ、馬鹿なの?ねぇ」
しつこい女だ。
サバサバしてるかと思いきや、こんなにしつこいとは。
“女”ってもんがますます分からなくなる。
「もうっ。ホント、馬鹿すぎる」
十六夜栞が席に座る。
拗ねてるのだろうか。
「さぁさぁ皆席に着いてくださーい」
俺の後ろから担任が顔を出す。
「久遠くんも席に着いて」
やや強引に担任は俺を席に座らせた。
…子供でもないんだし、席ぐらい座れるのに。
「で、HRを始める前に皆さんに報告がありまーす」
HRって早くないか?
ふと教室の時計を見ると、時間は“8時20分”をさしている。
普通ならあまり時間を気にしないが、今日ばかりは気になる。
それに妙に落ち着かない。
これは一体なんだろう。
「今日はねー転校生を紹介しまーす」
それとは裏腹に担任はいつも通りHRを始める。
ガラガラッ。
教室の扉を開けて入ってきたのは、茶髪の男だった。
「赤神朔夜くん。両親の転勤でここに転校してきたの。
では皆に一言」
担任がそう言うと、男の方は。
「赤神朔夜です。宜しくお願いします」
爽やか口調でそう言うと、そいつと目があった。
俺はすぐに逸らした。
「じゃ、赤神くんは久遠くんの隣に座ってね」
俺の左の席は空席。
ふーん。そいつはここに座るのか。
「よろしくね」
そいつは笑顔で俺に接してきた。
「…」
俺は無視した。
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