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クロイ方程式

1:2013/01/19(土) 18:28:13
書きたくなったから書きます。

不定期開催にしますね。

2:2013/01/19(土) 18:37:26
プロローグ


”何も変わらない”

そう思ったのは中1の時だった。

きっとこの先も何も変わらない。

“刺激”を求めてもすぐ冷める。

窓の外の世界を眺めていても何も感じない。

言葉に表すなら、“無”だ。

そう思い始めて4年後の月日が流れた。

3:2013/01/19(土) 18:46:34
第1章 転入生


「おはよー柩」

隣の席の奴が俺に話しかけてきた。

他の奴らに興味なんてなかった。

だからガン無視。

つか、妙に馴れ馴れしい。

「柩〜」

隣の奴が俺の頬を突いてくる。

正直鬱陶しい。

「…なんだよ」

「やっと喋ってくれた。嬉しいなー」

マジで消えて欲しい。

俺は学校指定の鞄からノートパソコンを取り出し、画面を開く。

USBを制服のポケットから取り出し、それをパソコンにさしこむ。

画面を見ると“メールボックス”に一件の新着メールが入っていた。

4:2013/01/22(火) 22:29:59
メールボックスを開くと、件名に“当選結果”と書かれていた。

『おめでとうございます!
貴方は見事にハワイ旅行券を獲得いたしました。
 貴方のお家に届けておきました。
 よかったら見てくださいね』

何だ…ただの悪戯メールか。

そう思った。

でも受信日数が昨日になっていたのは不自然だった。

ただの偶然に決まってる。

俺はそう思ってた。

5:2013/02/06(水) 17:43:54
俺は一日の半分をこのパソコンで生活している。

バイトもした事ないし、する気になれない。

だから高校に入っても、何にも刺激がなくて困っている。

中学までずっと家に引き篭もってたから、友達と呼べる者がいない。

小学生の時に同級生にイジメられて俺は不登校になってしまったのが一番の原因だった。

でも俺が休んでも親に迷惑をかけてないからそれはそれでよかった。

ネットの中の世界はどこか嫌な事を忘れられていてすごく気が楽だった。

だから、5年もずっと家に引き篭もっていて俺は外部からの交渉をずっと避けていた。

この高校はウザイ奴やリア充が腐るほどに群がってるけど、俺は気にしなかった。

勝手に滅びればいいと思っていた。

6:2013/02/06(水) 18:23:12
「アンタ、柩が嫌がってんだからそっとしてあげな」

この声は、クラスメートの十六夜栞とかいう奴だ。

非常にサバサバした性格で、異性にモテる。

ファンクラブというものもあるらしく、信頼は厚い。

「柩。アンタも嫌ならちゃんと嫌っていいな。
 じゃないと、相手に伝わないよ」

「別に」

「もう。素直じゃないな」

十六夜栞は俺の額にデコピンをした。

「いってぇ!」

「あたしの前では素直になっていいんだよ?」

また俺にデコピンする。

この女はただ俺をからかってるようにしか見えない。

「でさ、またお願いがあるんだけど」

「…分かってる。貸して」

俺が手を出すと、何冊かのノートが手渡された。

7:2013/02/06(水) 18:48:17
「これ、1時間目が始まる前にやっといてほしいんだけど」

俺の前で十六夜栞は手を合わせている。

手渡されたノートは数学、英語、国語の3冊。

「昨日の分。宜しくね?」

8:2013/02/10(日) 19:48:02
多少強引だが、十六夜栞はこのクラスでまだマシな方だ。

「困った事があったらあたしに言いな。
 対処してやるし!」

俺は無視した。

「…ずる〜い。私も久遠君と喋りた〜い」

さっきの隣のやつが言った。

「アンタいい加減に分かりな!
柩が嫌がってんの察しなさい!」

十六夜栞はそいつの胸ぐらを掴んだまま、教室を出て行く。

以前、十六夜栞は停学処分になった事があった。

原因は相手を殴ってしまったという事。

相手は軽傷で済んだが、そいつの両親が学校に殴りこんできたほど。

それで十六夜栞は停学になってしまった。

だがその数分後、十六夜栞がさっきのやつと一緒に帰って来た。

9:2013/02/10(日) 20:17:18
「ごめんなさい!私…久遠君と仲良くなりたかっただけなの…。
 久遠君…いつも一人でいるし…、寂しいのかなって思って…。
 それで…ただ仲良くなりたいなーって思っただけなの」

“同情”の言葉のようにしか聞こえてこない。

「どうすんの柩」

視線が俺に向けられる。

どうするって言われても…俺には関係ないし。

ぶっちゃけ、どう対処すればいいか分からない。

今まで“女子”というものと面識がなかったせいか、どう話していいか分からなかった。

俺はパソコンの電源を切り、鞄にしまいこんで、席を立ち上がった。

「今日は帰る」

そう言って鞄を持って、教室を出た。

10:2013/02/10(日) 20:41:27
“もう関わらないでくれ”

そう思う度に、部屋に閉じこもりたくなる。

そう思う度に、自分を縛りつけている気持ちになっていく。

「待って柩!」

後ろから十六夜栞が追いかけて来る。

人と関わる度に思い出しそうで怖い。

「柩!」

腕を掴れて、離そうと必死に振りほどそうとした。

「ちゃんと話を聞けって言ってんの!日本語が分からないの!?」

11:2013/02/13(水) 19:25:33
日本語が分からないだと?

何が言いたいんだコイツは。

「あら。こんな所で何の話?」

担任が俺たちに近寄ってきた。

「…調子悪いんで帰ってもいいですか」

調子悪いなんて嘘。

だけど俺は家に帰りたかった。

家に帰って自分の部屋にすぐさまに閉じこもりたい。

そんな気持ちが俺の中を支配していくような気分だった。

「…大丈夫なの?なんなら私が病院まで…」

「だ、大丈夫ですから!…少し調子が悪いだけなんで」

俺はその場から逃げるように、十六夜栞の手を振り解き、その場を立ち去った。

12:2013/02/13(水) 19:36:10
家に帰りたい。

家に帰りたい。

そんな気持ちが強すぎて焦っているような気持ちだ。

やっとの思いで自宅に着いたが、自宅の玄関前には小包が置かれていた。

まさか…パソコンに送られてきた妙なメールと関係があるのだろうか。

そんな事が頭を過った。

玄関扉の鍵を開けて、俺は小包を持って家の中に入った。

13:2013/02/15(金) 21:43:03
ビリビリと小包の包装紙を破ると、中から“Happy Birthday”と書かれたカードが出てきた。

誕生日はまだなはずだ。

何かの間違いだろうか。

14:2013/02/16(土) 19:22:01
箱を開けると、中から紙ふぶきが飛び出してきた。

『おめでとうございます!
貴方はこの度、我が主催のゲームに招待されました。
 今日の8時に貴方の家にお伺いしますね』

そう機械音が俺の耳には聞こえてきた。

8時って朝の?それとも夜?

どっちか分からない。

それと同時に俺の第六感が瞬時に悟る。

“ここに居ては駄目な気がする”

俺は自宅に鍵もかけずに、家を飛び出した。

どうしてか。不思議に思った。

“今は家に居たくない”って思った。

ずっと引き篭もりのままがよかった。

そうすれば誰にも干渉されずに、生きられる。

俺は他に行く宛てもなく、学校に戻って来た。

学校に戻ってくると、他の生徒達が登校してくる時間になってきた。

俺が学校に着いたのは、7時ちょっとすぎた頃だったから、今、家にいたら

きっと…。

15:2013/02/16(土) 19:35:10
俺はさっきまでいた教室まで戻ってきた。

「あ、柩」

十六夜栞は、俺の姿を見るとすぐさまに駆け寄ってきた。

パシンッ

16:2013/03/07(木) 19:09:51
十六夜栞からの平手打ち。

地味に痛い。

「バッカじゃない!?ねぇ、馬鹿なの?ねぇ」

しつこい女だ。

サバサバしてるかと思いきや、こんなにしつこいとは。

“女”ってもんがますます分からなくなる。

「もうっ。ホント、馬鹿すぎる」

十六夜栞が席に座る。

拗ねてるのだろうか。

「さぁさぁ皆席に着いてくださーい」

俺の後ろから担任が顔を出す。

「久遠くんも席に着いて」

やや強引に担任は俺を席に座らせた。

…子供でもないんだし、席ぐらい座れるのに。

「で、HRを始める前に皆さんに報告がありまーす」

HRって早くないか?

ふと教室の時計を見ると、時間は“8時20分”をさしている。

普通ならあまり時間を気にしないが、今日ばかりは気になる。

それに妙に落ち着かない。

これは一体なんだろう。

「今日はねー転校生を紹介しまーす」

それとは裏腹に担任はいつも通りHRを始める。

ガラガラッ。

教室の扉を開けて入ってきたのは、茶髪の男だった。

「赤神朔夜くん。両親の転勤でここに転校してきたの。
 では皆に一言」

担任がそう言うと、男の方は。

「赤神朔夜です。宜しくお願いします」

爽やか口調でそう言うと、そいつと目があった。

俺はすぐに逸らした。

「じゃ、赤神くんは久遠くんの隣に座ってね」

俺の左の席は空席。

ふーん。そいつはここに座るのか。

「よろしくね」

そいつは笑顔で俺に接してきた。

「…」

俺は無視した。

17:2013/04/05(金) 21:11:15
第2章 ゲーム

転校生がきてから、授業に集中できなくなった。

午前中の授業でも隣の奴がずっと俺に話しかけてくる。

俺は耳にイヤホンをさしてずっと音楽を聴いていた。

そうすればこいつの存在を消す事が出来る。

午前中の授業が終わって、昼休みの時間になった。

「柩ー中庭行こー」

十六夜栞が弁当包みを持って俺の席にやってきた。

「…」

俺は黙って席を外した。

18:2013/04/10(水) 20:28:07
一人にしてほしい。

半日中、隣のやつが話しかけてきて授業どころではなかった。

一人になれる時間がない。

昔はもっと楽だったはずなのに。

誰からも干渉されずに生きられたのに。

高校に入ったのが間違いだったんだな、きっと。

俺は一生自宅警備員でもよかった。

なのに、どうしてだろうな。

あの日、なんで学校に行きたい気分なんてなったんだろう。

自分の気持ちさえも押し殺して生きているようなものなのに。

…気の迷いだったのかもしれないな。

「ちょっとこっち来なさーい」

後ろから誰かに首根っこを掴まれ、後ろに引き摺られていく俺。

「はなせっ…よ」

俺は必死にもがくが、相手が力強いせいなのか、向こうは平気なよう。

廊下の隅の方に非常階段があるのだが、そこで首元が緩まった。

それと同時に頬に鈍い痛みが走った。

19:2013/04/12(金) 23:06:20
「言いたいことがあればはっきり言いな!」

俺をここまで引き摺ってきたのは、やはりこの女、十六夜栞だった。

暇人なのかって思った。

20:2013/04/13(土) 13:53:09
「アンタって本当に不器用ねぇ…」

十六夜栞は俺の前に屈み込む。

「ん、怪我してんじゃん」

十六夜栞は俺の手を掴み、服のポケットからハンカチを取り出した。

それを俺の手にあてる。

どうやら手をどこかできってしまったようだ。

「はなせっ!」

俺は手を強引に振り解いた。

「もう俺に構うんじゃねえ!!」

大きな声で叫ぶと、目の前の奴はビクリッと肩を震わせた。

「お前らが周りにいるだけで目障りなんだよ!!
 俺だってちゃんと生きてんだ!!お前らの玩具じゃねぇ!!」

廊下がざわつき始める。

そりゃそうだ。

あんな大声で言ったんだから。

注目されるのは分かってる。

…なんだよ、これ。

ただのやつあたりじゃねーか。

俺は掌を握りしめて、その場を立ち去った。

21:2013/04/13(土) 14:01:17
帰る所はもちろん家。

鞄もなにも持たずに、学校から出てきた。

もう皆滅びればいいんだ。

滅んで、俺一人だけになっちまえばいいんだ。

そしたら楽なのにさ。

目障りな奴らがたくさんいるから、こんな世の中になっちまったんだ。

こんな国…さっさと無くなればいい。

「お待ちしてましたよ。久遠柩様」

自分の世界に行ってたせいか、その声で現実に引き戻された。

「私(わたくし)が送ってくれました招待状、読んでいただけましたでしょうか?」

目の前には黒い服を身に纏った一人の女。

招待状?

なんの話をしてるんだ、この女は。

「申し遅れました。私、こうゆう者です」

その女は俺に一枚の名刺をわたしてきた。


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