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メルヘンに囁いて、
16
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2013/01/09(水) 20:32:52
やっと落ち着いた沙月を連れて、
ゆっくりと沙月のペースに合わせて歩き家についた。
「沙月」
「……なーに?」
「俺、沙月を守りたかった」
「え?」
はてなマークだらけの沙月。
可愛いって思う。
「強がって、でも実は弱くて、人のために泣いてあげる沙月を守りたかったんだ」
「……うん」
「でも今日、俺が沙月を泣かせたって思うと……なんかもう、罪悪感だらけだった」
「……沙月も、煌くんを困らせたって罪悪感だらけだったよ」
「俺たちさ、そんな遠慮し合うような仲じゃないじゃん?」
俺が笑ってそう言うと、沙月もやっと笑顔を見せてくれた。
「うんっ」
そして沙月は笑顔のまま、言葉を続ける。
「あのね、煌くんにお願いがあるの!」
「んー? 何?」
「淡井先生を、助けてあげてほしいんだ」
キラキラといつも以上に輝いた目で沙月が言った。
俺が、淡井先生を助ける?
「淡井先生、このまま放っておいたらどんどん嫌な印象になっちゃうじゃん?」
「うん、まあ」
「だからねっ、煌くんが止めてあげてほしいの」
それは、実際に俺が望んでいたことで。
さすが俺の姉、だなんて思ったりした。
「今これをできるのは煌くんしかいないの。騙すんじゃなくて、助けてあげて」
「……よかった、沙月が元気になって」
「もー! 今沙月真剣なのー!」
「わかってるって、俺もそうしたかった」
もう一度笑い合って、俺たちは淡井先生を助け出す作戦を考えた。
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