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ゆうぐれカフェ
1
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:18:33
別サイト様で書いたものを移動。
書いたものは残しておきたいので(`・ω・´)
2
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:20:08
書き始め2011/7/2(土)
3
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:20:54
(ゆうぐれカフェ 〜主人公side*)
「ばいばい、ゆーくん!」
「じゃあな、羽花(はねか)!」
私の毎日は彼氏のゆーくんと登校することからはじまる。そして勿論、学校だってゆーくんと下校することでおわる。
にこりと自然に口元が緩んでくること。これが幸せだと思っていたけれど、心のどこかでまだ本当の幸せを掴んでいないんじゃないかと疑っていた。
ふるふると手を左右に振るとゆーくんが大きな手を挙げてくれて、だけど私の幸せはこんなものなのかと思って。
「私のこの疑い深い性格、直さなきゃなあ……」
ゆーくんに振っていた手を下ろしながら溜め息を吐くといつもはそのまま家に帰る筈が少し気を紛らわせたくて街へ向かった。
∞
ざわざわと賑わう街の中、少しでも静かな場所を見つけようと周りを見回しつつも公園に行けばよかったと後悔してる。
そんなとき、落ち着いた雰囲気を見せるあるお店を見つけた。
「ゆうぐれ、カフェ……?」
ゆったりと落ち着いたデザインの扉についた金のとってに右手を掛けると左手で軽くノックして開けた。
するとカランカランという可愛らしい鈴の音が流れると共に高校生くらいの女の子が出てきた。
「いらっしゃいませ、当店のご利用は初めてと思われるので少々お時間を頂きご説明させてくださいますか?」
腰まで伸びた長い金髪の髪の毛を黒いリボンで二つに結び、頭にはふりふりのカチューシャをつけた青い瞳を持つ女の子。服は黒いワンピースで、裾が少しふりふり。更にその上に白いふりふりエプロンをつけていて、茶色いブーツを履いている。
まるで可愛らしいメイドさんのよう―――――
(メイドさんの住むゆうぐれカフェへようこそ!)
4
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:21:34
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
「せ、説明……お願いします!」
ほんわかとコーヒーの香りにほうっと落ち着きの溜め息を吐き、同時に目の前のメイドさんに見惚れていたのでぼーっとしてしまった。
あわてて反応すると、ペコリと頭を下げ説明のお願いをする。
「それでは、こちらの席へどうぞ。」
ふわりと優しげな笑みを浮かべ、メイドさんは私を席へと案内した。
恥ずかしげにすとんと座るとメイドさんが話しを続ける。
「まず……貴女のお名前をお聞かせいただきますか?」
「私は桜乃羽花(さくらの はねか)です!よろしくお願いします。」
(一旦切りますねノ)
5
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:22:07
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
「……羽花さま、可愛らしいお名前ですね!」
メイドさんが今までの態度はどうしたのか、無邪気な子供らしい笑みを浮かべ胸元で両手を合わせて言う。窓からふいた風にふんわりとなびく髪の毛とワンピースが可愛い。
あれ?でも…メイドさんは身長も私より低いし、童顔だし……下手したら中学生なんじゃないかってくらい。無邪気なのも当たり前だよね。
「まず始めにカフェの説明を致します。ここはゆうぐれカフェで…主にお客様のご相談に乗ったり雑談したりする場所です。ちなみに私はゆうぐれといいます。よろしくお願いします!」
無邪気な笑顔を浮かべたまま説明しだす。このとき私は思ったんだ。ゆうぐれカフェなら、本当の幸せを教えてくれるかもって……
でも今はそんなことよりゆうぐれさんの話しに集中しなきゃ!
「それと、今羽花さまが座っているテーブルと椅子はもう羽花さまの物になりましたので、次カフェにご来店いただいた時はこちらの席に座っていてくださいますか?」
「は、はいっ……!」
テーブルと椅子がすっごくピカピカで新品だと思ったら、これは今まで私以外誰も座ったことや使ったことがなかったからなんだ……
私が納得したような、尊敬しているような顔でテーブルを見つめるとゆうぐれさんはくすっと笑い、話しを続けた。
「それでは羽花さま、こちらの紙の記入欄に書き込めることは書いていただけますか?お名前、お誕生日、年齢は必須ですので……」
私のテーブルにそっと紙をのせると、軽く説明をしてくれた。
そして紙に記入するためにテーブルに置かれたのは、
「は、羽……?!」
きっとただの羽じゃなく羽ペンだと思う…なんて考えながらゆうぐれさんを困った瞳で見つめた。
すると、あわてだしたゆうぐれさんは急いで説明をする。
「ご、ごめんなさい!ええと…このカフェは人間界と魔界の境目にできたカフェなんです。ほら、中から見たら人間界行きと魔界行きに分かれているでしょう?そして、この羽のペンは魔界で昔使われていた物なんです。カフェの雰囲気にあうかと思って取り寄せたのですが…本当にごめんなさい。」
しゅーんと落ち込むゆうぐれさんがどうしても可愛く見える。
それより話しは!人間界と魔界に分かれているという驚きの内容だった。
(ゆうぐれカフェってゆうぐれさんの名前からとってるよね)
6
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:22:31
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
「……じゃあっ、その…人間も、ゆうぐれカフェに来てそっちの出口から出れば魔界に行けるってこと……っ?!」
私は久し振りに生き生きといながら、楽しそうに魔界行きと書いてある扉を指差した。
するとゆうぐれさんは、にこりと微笑んでそっと頷く。
「ええ、魔界行きの扉を開けたら目の前は本当の、本物の魔界です。」
い、いいなそれ!ゆーくんとのデートも魔界にしたらどーかな…!
でも、魔界デートをするには魔界の下見に行ったほうがいいよね。
「わ、私!魔界に行きたい…!」
「ゆうぐれがお供することはできませんが…」
ゆうぐれさんは寂しそうな顔をしながら俯いた。
何故?と聞くまでもなく話しを続ける。
「メイドという者は、自由に魔界と人間界を行き来してはならぬ存在なのです。それに魔界は楽しいから、お店のことを忘れてしまう―――」
「楽しいのなら尚更よ!一緒に行こうよ、ゆうぐれさん!」
(きりますよーノ)
7
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:23:06
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
私が無理にゆうぐれさんを誘うと、ゆうぐれさんはそっと目を閉じて指を鳴らした。
その後目を開けるとふんわりと口元を緩め言う。
「これで人間界と魔界、どちらからもゆうぐれカフェは見えなくなりました。なのでお店は安心―――さあ、参りましょう。」
まるでお供しますとでも言うように、ワンピースの裾を摘まんでダンスの前にするような優雅なお辞儀をする。
私はゆうぐれさんに手を差し出し、笑顔で魔界への扉を開けた。
このとき、ほんの一瞬、本当の幸せを感じられた気がしたのは気のせい?
∞
「わあー……魔界って広いんだねえ!ゆうぐれさんがいなかったら完全に迷子だよー……」
想像以上に広く平和そうな魔界を見渡すと、苦笑しながらゆうぐれさんがいてよかったと呟く。
するとゆうぐれさんは、にこりと笑って話し出した。
「ゆうぐれは今まで誰かと一緒に出掛けることがなかったので、いつも以上に楽しいです。」
ゆうぐれさんの笑みにつられて私まで笑顔になってくる。
てゆうかゆうぐれさんって呼び方やめようかな。
「ねえねえゆうぐれさんっ!その……ゆうちゃんって呼んじゃダメかなっ?」
私のこの言葉に、ゆうぐれさんはきょとーんと目を見開いていた。
だけどその後、ぽおっと頬を桜色に染めて言う。
「ゆうちゃんって呼ばれるの、はじめてかもしれません。」
何これ可愛い!それより、ゆうちゃんに質問したいことがたくさんあるよう。
てゆうかっ!ゆうちゃんとゆーくんで被ってしまったよ!
まあ、ちょっとだけ違うからいいよね。
「ゆうちゃんは、今大学生くらい?」
ふわりと微笑んで問う。
背は低いし童顔だけど、これだけ丁寧な言葉づかいしてるんだから年上かも。
「ゆうぐれは……今、高校一年生の十五歳です。」
「え?!ど、どこの高校行ってるの?」
私は今高校二年生の十七歳だから……学年一つしか違わない。
なのに何でこんなに敬語使えるの?!それに何でこんなに童顔で身長低いの?!
とにかく、同じ高校だったらいいなあなんて考えている。
「ええと、花咲西高等学校です。」
花咲、西……残念ながら同じ高校ではない。
それに、まさかの敵高校なんだけど!
「……あれ?そこに恭汰(きょうた)くんっていうめちゃくちゃかっこいい子いない?」
花咲西高校は私が第一希望だった高校だから、何でもとはいかないけど結構知ってることがおおいんだ。
恭汰くん、ほんっとーにかっこいいんだあ……!
「……恭汰先輩は毎日男女関係なく囲まれていて、とても素敵です。そんなにたくさんの方がいるのに、いつも真っ先に挨拶してくださる、優しい先輩なんですよ。」
ゆうちゃんがふんわりと笑う姿を見て、胸がズキンと痛んだ。
不安そうな表情をして私が問いかける。
「あの、さ…明日、花咲西高校に行っちゃダメ?」
(恭汰くんとゆーくんどっちがいいって言われたら、ぜーったい悩むな!)
8
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:23:37
(ゆうぐれ 〜羽花side*)
「……いいですよ。けれど羽花さま、学校は………」
「い、いいの!学校は明日―――うーん、サボる!」
きょとんとするゆうちゃんに向かってあわてて返事をする。
すると、ゆうちゃんはにこりと笑いながら言った。
「ゆうぐれに羽花さまがサボるのをとめることはできませんが、お困りになりませんか?先生方とか、お友達とか……あと、彼氏さんとか。」
何て優しいのだろうか。まあゆうちゃんにとっては当たり前なんだよね、きっと。
だって完全に「ご主人様とメイド」っていう設定だもん。
「あはは、誰も困んないよー!てゆうかっ、私ゆうちゃんに彼氏いるって言ったっけ?」
問題はそこだよね。彼氏がいるのを知ってる人はいない筈だよ?
といっても、教えてない筈なのに「ラブラブ」だとか「バカップル」だとか言われるな……
「……祐斗(ゆうと)さまはずうっと前にゆうぐれカフェにご来店してくださった、元常連さんなんですよ。そのとき、嬉しそうに話していました。今日は羽花さまと話したとか、新学期で同じクラスになったとか。」
ゆーくん、ずっと私のことを思ってきてくれたんだ。
もうちょっと、もうちょっとで本当の幸せを手に入れることができる気がするよ。
「……今日はそろそろ帰りましょう?また今度ゆっくり、祐斗さまとのデートができるように良いスポットをご案内しますので。」
ゆうちゃんが人差し指を口元に持ってきて悪戯っ子のような笑顔を浮かべる。
とゆうかまた、心を読んでるような発言をする!何で?
「……大好きな人の心はわかるんです。」
私を惑わす一人の女の子。
知らないうちに君に恋をしてしまうかもしれないよ。
(心を読まれるってすごいどきどきすることだよね)
9
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:24:05
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side)
次の日の朝、私は学校をサボりゆうちゃんと一緒に花咲西高等学校へと足を進めた。
通学路にはお花がたくさん咲き誇っていて、あっというまに校内に入ると花、花、花!これがまた、すっごく綺麗なんだよ。
「あーあ、花咲西高校が受かってればなあ!」
残念とでもいうように溜め息を吐きながらゆうちゃんの隣を歩く。
ゆうちゃんは苦笑して、すぐに目線を逸らした。それにつられて私も目を逸らすとその先には――
「な、何この集まり!えええええ、全校生徒いるんじゃないの?通れないよ、ね……?」
そおっとゆうちゃんに目線を戻すと、ゆうちゃんはくすりと笑った。
何々?と私が身を乗り出すようにすると、問い掛けるまでもなくゆうちゃんが説明してくれる。
「あの集まりの中心にいるのが恭汰先輩です。すごいでしょう?毎日あんなに大勢の方々に囲まれて……」
予想以上に人気のある恭汰くんの顔を一瞬でもいいから見てみたくて、ちょっと無理なお願いをしてみる。
ぎゅっと目を瞑り、口元で両手を合わせゆうちゃんに言った。
「お願いっ!恭汰くんを連れてきてくれないっ?」
するとゆうちゃんがきょとーんと目を見開きながら笑う
(きりますノ)
10
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:24:40
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
む、無茶だったかな……
だよね。こんな可愛い子があんな大勢の人の中に入ったら絶対男子に狙われちゃう!
「ごめんね、ゆうちゃ「ゆうぐれが大勢の方々の中に入らなくても、簡単に恭汰先輩は来てくれますよ。」
私が「ごめんね、ゆうちゃん。無理だよね。」と言おうとした瞬間、まだ半分くらいしか言いおえてない私の声にゆうちゃんの声がかぶさった。
その言葉を聞いてすごく驚く私にゆうちゃんはくすりと笑う。
「ほら、あれが恭汰先輩です。―――おはようございます!」
またこちらに気づいていない、恐らくゆうちゃんを探しているのであろう恭汰くんの姿が見えた。
私たちに近づくと、おはようと言うように手を振ってきたのでゆうちゃんがあわててあいさつする。
「はよ、ゆーは!」
“ゆーは”ってもしかして、ゆうちゃんのこと……?
(きりますようノ)
11
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:25:15
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
「きょ、恭汰先輩!」
恭汰くんのいう“ゆーは”に反応したゆうちゃんがあわて始める。
きっとゆーはも名前だから、ゆうぐれかゆーは、どちらかが偽名なのかな。
でもどちらかというと、偽名はゆうぐれの方だと思う。
「ゆうちゃん、ゆうぐれって偽名だよね?」
私が真剣そうな、厳しい表情をするとゆうちゃんがカタカタ震えているのがわかった。
本名を知られていけないことがあるのか、私はゆうちゃんのことを何も知らない。
唯一知っていた名前まで嘘だったら、ゆうちゃんは私に何も教えてないことになるんだよ?
「………偽名なんでしょ、酷いよ!私ばっかりゆうぐれさんに色んなこと教えて、そっちは嘘のことしか教えてくれないんだね!」
つい興奮して怒鳴ってしまった。
違う違う違う、こんなこと思ってないの!
それでも、何故か口走ってしまう。
“ゆうちゃん”という呼び名から“ゆうぐれさん”に戻してしまい、後悔している。
だけど、一度呼んだからにはこれからもゆうぐれさんって呼ぶしかないよね。
「羽花さまっ……!」
ゆうぐれさんが私の名前を呼んで手を伸ばすが、私はそれを避けるように逃げた。
ゆうぐれさんの寂しそうな顔が頭に浮かぶ。
「……ごめん、俺のせいで。」
そのあと、恭汰くんが謝る声が微かに聞こえた。
……恭汰くんは悪くないのに。悪いとしたらゆうぐれさんだよ……!
∞
「……………羽花、さまっ………!」
私は高等学校の近くにあった森のずうっと奥に入っていった。
そして、気持ちの良さそうな大きな緑色の葉が生えた木陰に寝そべる。
それを、ゆうぐれさんが見つけてくれた。
「…………よか、た………!」
ゆうぐれさん、すごく息切れして、制服もボロボロ。
足や手にはたくさんの痣がある。
「一体何処を探してたの?」
私が警戒心漂わせまくりのオーラを出して問う。
本当は、すごくすごく心配だから聞いているだけなのに。
「………っ海とか、近くの崖とかっ………」
何でそんなに危ないところ……
……自分のため、か。
申し訳なくてたまらない。
「………はねか、さまが……ぶじでよか、」
よかったという言葉を言い掛けたところでまるで倒れるように眠りについた“ゆうちゃん”。
こんなにも大切に思ってくれてるんだもん。いくら嘘を吐いてても友達だよね。
(崖から落ちそうになったときは大変でしたよ〜……byゆうぐれ)
12
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:25:43
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*) ※レズあり(ちゅーまで!←) 苦手な方はUターン願いますm(_ _)m
静かに眠りについたゆうちゃんを見つめると、口元を緩めて呟いた。
「探してくれてありがとう。ゆうちゃん、大好きだよ……」
本当に本当に、大好き。
そんな気持ちを込めて、ゆうちゃんの額に軽くキスをした。
するとゆうちゃんが、寝ているというのにふわりと微笑んでくれて、心がぽっとあったかくなったよ。
∞
「ご、ごめんなさい……羽花さま………っ!探して謝るつもりが寝てしまうなんて………!」
ゆうちゃんが深い眠りから覚めたのは、あれから二時間後。
私もいつの間にか寝てたというのに、ゆうちゃんだけがペコペコと頭を下げる。
「本当に、ごめんなさい………!」
ゆうちゃんの青い瞳からは涙が溢れてきて、くしゃりと手で顔を隠している。
私そんなに、怒ってないのに………
「謝んないでいーよ、ゆうちゃん!私、ゆうちゃんが大好きだから……」
少し顔を赤らめて言うと、ゆうちゃんの頬がぽっと桜色に染まった。
可愛いと思いながら立ち上がると、二人手を繋いで森を抜けていったのだった。
∞
「わ、わかんないー!」
学校は早くも夏休みに入り、私は朝から営業しちゃってるゆうぐれカフェでゆうちゃんと勉強をしていた。
冷たいコーヒーを飲みながら、優雅に勉強を……教えてもらってる。
「ここは……、」
私が間違える度に優しーく教えてくれる。
ありがとう、大好きゆうちゃん!
(ゆうちゃんがいなきゃ生きていけないよー)
14
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:28:35
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
「………!きゃっ、」
私の間違っている問題をそっと指差し説明するゆうちゃんが、急に短い悲鳴をあげた。
ぱっと顔をあげて見るとそこにゆうちゃんの姿は無い。
「ゆ、ゆうちゃ……っ?!」
突然の状況をうまく理解できずに、ただただゆうちゃんを探しに行くためにゆうぐれカフェから出た。
お願い、無事でいて………!
∞ 〜ゆうぐれside*
「っ………ライアさま…………」
突然人間界でも魔界でもない、草一本さえない広い広いおわりの見えない真っ白な部屋へとワープした。
ここに呼び出されたということは、ライアさまによるお話をいただくことになっている。
ライアさまのライアは嘘吐きという意味。だからゆうぐれは、ライアさまのことなんて信じない―――
「ゆうぐれ……お前はまた客と仲良しごっこをして………随分悪い奴だな。」
ライアさまがくすりと笑い声を零すと、ゆうぐれを見下してくる。
それに反抗するようにきっと睨んで言い返した。
「別にっ…仲良しごっこなんてしていません。」
「では何故役目を果たしていない!」
ライアさまがゆうぐれの言葉に被さるように、早口で怒鳴った。
それにビクリと震えだすゆうぐれを見ながら、話しを続ける。
「お前の役目は――人間界と魔界の者を惑わすことだよな。こんな世界、滅びてしまえと願うように……違うか?」
そんな役目、果たすわけないじゃない。
心では言えても口じゃ言えない。
何で、何で世界を支配しようとするの?
精一杯、自分の出来ることを考えてから問いに答えた。
「………違う……ゆうぐれはそんな酷いことに協力なんかしませんっ………!」
これで殺されたとしても、いくら苦しい扱いをされたとしても悔いは無い。
羽花さまが無事ならば……………ゆうぐれ、いつの間にか頭の中が羽花さまでいっぱい。
こんなゆうぐれでも、消えたら羽花さまは悲しんでくれるのかしら………
「………ほう、中々面白い答えだ。だが、面白いだけで生きていけると思うな!」
「っ………や、」
ぐいっと強引に腕を捕まれて、少し抵抗するもののすぐに太い縄で縛られる。
そして睡眠薬っぽいものの液体を飲まされた。
∞ 〜羽花side*
「ゆうちゃん、ゆうちゃん!」
一体何処へ行ったの?
もしかして、もうカフェに……
たくさん考え事をしながらカフェに戻ると、やっぱりゆうちゃんの姿はなかった。
また探しに行こうとドアノブに手をかけると、誰かの声が聞こえる。
「待て、羽花。」
え?と思い振り向くと、しゅんっとゆうちゃんが消えていったのと同じような感じで誰かが現れた。
誰かの隣には、眠ったゆうちゃん………!
「ゆ、うちゃ………?どうして、」
「ゆうぐれが仲良しごっこなんてするからねえ、」
誰かはケラケラと笑いありえない言葉を言った。
仲良しごっこ………?ゆうちゃんが?
(うだうだすみません><byねここ)
15
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:28:58
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
「私の名はライア。ゆうぐれカフェの店長……かな。
それよりお前は、ゆうぐれを返してほしいか………?」
ライアと名乗る男がくすりと不適な笑みを浮かべゆうちゃんに目線を逸らした。
突然の問いに少し疑問を抱くが、迷いなく答える。
「当たり前じゃない……っ!私はゆうちゃんが大好きなんだから!」
うわあ、自分で言ったっていうのに顔が赤くなってくる。
そんな私にまた一つ不適な笑みを零してライアが言った。
「私はゆうぐれを愛しているというアピールをしろと言ったわけではないが……
そんなに好きならば二十四時間―――つまり今日から一日時間を与えよう。その間に私を倒せたらゆうぐれは返す。」
倒す……?
ちょっと嫌だけど、そうでもしなきゃゆうちゃんは助からないのよね。
「いいわよ、絶対に倒してみせるから!」
(た、戦いものになってしまった!byねここ←)
16
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:29:25
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
「………勢いで倒すなんて言っちゃったけど、私一人の力じゃ無理だよね。」
倒す宣言をしてまだ五分しか経っていない―――つまりライアを倒すまで二十三時間五十五分もの時間がある今。
とにかく彼氏のゆーくんに頼ろうと、少し涼しげな午後五時頃に街中を抜けてとぼとぼと歩いている。
「っ………いったあ!………はわ、ごめんなさい!」
俯いて歩いていると、前にいた人にぶつかってしまった。
その相手は―――ゆーくんと恭汰くん!
「わ、ごめん羽花!っていうか、何か嫌なことでもあったの?」
「大丈夫?あれ、君って前ゆうぐれといた子だよね。」
ゆーくん、相変わらず無邪気な笑顔で私を元気付けてくれる。
恭汰くんは、私の前で“ゆーは”ってワードを出さない。
「……え、と………ゆうちゃんのことで相談があって…………二人共ゆうちゃん知ってるよね?ゆうぐれって子!お願い、助けてっ………!」
上手く言葉を話せない。
だんだんと涙が溢れ出してきた。
急に、状況を理解したように―――
「ちょ、羽花……とりあえず、恭汰と一緒に俺ん家来いよ?」
ゆーくんの優しい言葉にこくりと頷き、涙を拭きながら歩き出した。
てゆうかゆーくんと恭汰くんって友達なんだなあって、心のどこかで平和なことを考えている自分が何か嫌だ。
(きりますノ)
17
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:29:57
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
「………ゆうちゃんが、ライアって人に捕まっちゃって……あと二十三時間とちょっとくらいでライアを倒さなきゃいけないの………!
でも、人間の力でライアを倒せるなんて思ってない………これで倒せなかったらゆうちゃんを助けられないってわかってるんだけど、どうしても勝てるって自信がないの。
―――――すごく、恐いよっ………!」
私の茶色い瞳からは、ゆうちゃんの瞳のような青色の涙が溢れ出す。
ゆうちゃんを助けたくてたまらないよ……でもね、人間の力じゃ無理ってわかってる。
なんて、マイナス思考すぎる?……だけどこれは本当のことだもの。仕方ないよね―――
「……ゆうぐれがライアとかいう奴に捕まったのは理解できたし、助ける方法もわかった。
―――――なのに何で人間の力じゃ無理なの?」
恭汰くんから、厳しい言葉をぶつけられる。
何で人間の力じゃ無理なの?―――何で人間の力じゃ無理なのかなんて、すぐわかることじゃない。
「そんなのっ……ライアが人間じゃないからに決まってるじゃないっ………!」
前、ゆうちゃんに教えてもらったんだ。
人間界の人と魔界の人を見分ける方法を―――
「魔界の人は、指に必ず魔力を出すときに使う指輪をつけているの。どんな指輪かも教えてもらって、すぐにわかった。
―――――ライアは人間じゃないんだって。」
魔界にいる人は魔力だってあるし、武器も見たことないのばっか持ってる。
そらに比べて人間は、武器なんて危ないもの持ってたら警戒されるだけじゃなく取り上げられるかもしれないんだよ。
こんなに危ないのに、ゆーくんや恭汰くんを戦わせて傷つけたくないよ………!
(結局マイナス思考なのは周りの人に気を遣ってるからなのかもしれない)
18
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:30:24
(ゆうぐれカフェ 〜羽花side*)
「―――ゆうぐれは、羽花さまが困っているときすぐに駆けつけます。大事な大事はゆうぐれのお友達なんですから。
これ、誰の言葉だっけ?」
ゆーくんがふんわりと可愛い笑顔を浮かべてある人物の言葉を言った。
ある人物とは、
「ゆう、ちゃん………」
そうだ、ゆうちゃんは私の身に何かあったらすぐに駆けつけて助けてくれるって言った。
現に助けてもらったことだってたくさんある。
「………私、ゆうちゃんを助けたい。てゆうか助けるっ……!大事な大事なお友達、ううん。親友だもん!」
魔界の人に人間が何をできるかなんて知ったこっちゃないけど
やれることは全部やってみせる。
「ゆうちゃんの為に全力を尽くす……!」
(打倒ライアー!)
19
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:30:47
(ゆうぐれカフェ 〜ゆうぐれside*)
「ねえ、ライアさま………」
やっと、ライアさまの目的がわかった。
ライアさまの目的は「羽花さまたちを倒すこと」でも「羽花さまたちに倒されること」でもない
「嘘吐きごっこはもうやめにしましょう?
羽花さまが可哀想だわ………!」
嘘吐きごっこ―――つまり、ライアさまを倒せといったのは嘘
倒さなくても二十四時間後には私を助けてくれる
なら何で倒せとか自分が傷つくことを言ったかと言うと、
「羽花とかいう女にとってゆうぐれはすごく親しい女友達という関係。
そんなゆうぐれが悪い奴に捕まった、絶望的な状況をどう受け取って、どんな行動をとるかっていうテストだから」
ライアさまがくすりと笑い話す。
でもライアさまの説明通り甘ったるいものなんかじゃなくて
「勿論、ゆうぐれを助けに私を倒しにくることくらいしなきゃ合格はしないけどな
―――不合格は死をあらわすけれど。」
と、ライアさまは考えているらしいけれど
羽花さまは来てくれるかすごく不安
「羽花さま………」
(きりますノ)
20
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/10/23(日) 14:31:14
(ゆうぐれカフェ 〜ゆうぐれside*)
「………私はゆうぐれの大切な人を殺すなんてしたくない
だから最後の最後、本当にギリギリまで待ってるよ。」
くすりと柔らかく微笑むライアさまを信じ、そっと目を閉じた
不安なことを考えてるだけじゃ落ち着けないから、せめて残り時間が僅かになるまで眠っていようか―――……、
∞ ここから羽花side*
「とりあえずー……ゆうぐれカフェに戻ろうか?ライアがいるけど、気にせずに魔界に行っちゃえ!」
ライアとかもう気にせずに行っちゃえばいいんだよね!
―――きっと、大丈夫だから……
∞
「ついさっきのことなのに久し振りに来たように感じる……
何これ何か嫌だ!」
さっきからこんな調子でずうっとぎゃーぎゃー呟いてる。
恭汰くんは冷静だし、ゆーくんは苦笑してるし何なのもう。
「……ゆうちゃんがいなきゃ落ち着かない………
ああもうマジで嫌だ!さっさとライア倒すし、」
あれ?段々とゆうちゃんとライアへ対する気持ちが変わっているような…
ゆうちゃんは、最初すっごく不安だったよ。
なのに今、すっごくすっごく会いたくて、ていうか会うことばっか考えてる。
ライアは、最初絶対に倒せないと思ってたのに……
今は倒せないどころか倒す前提のことになってる気がする。
「人って変わるよねえ………」
私がぽつりと呟くと、今まで苦笑してたゆーくんがえ?と反応した。
「え?!羽花はいつから変わったの?!」
(きりますよノ)
21
:
燐
:2011/10/26(水) 18:57:19
きたぜw
ねここぉぉぉぉ!!!!
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