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小説を繋げていこう
1
:
Mr.名無しさん
:2006/12/25(月) 23:55:58
「なんでイヴにバイトなんだよ・・・」
タケシはその日、サンタの格好をし、駅前でチラシを配るバイトをしていた。
タケシは今年で18になった。そんなタケシは彼女もいなければ特に気になる女性もいない。
「あーあ、サンタさんが本当にいればなぁ・・・俺に女の子の一人や二人運んできてくんねぇかな」
「コラッ後藤!サボるなアホンダラ!」
「どーもすいません」
と謝りつつも、このしかめっ面でチラシを配る、23歳で彼女もいない松田を見ていると少し安心していた。
そんなタケシもこのイヴに、あんな不思議な出会いをするとは思ってもみなかった。
2
:
Mr.名無しさん
:2006/12/26(火) 13:38:17
「イヴだし、ナンパの一つはしたいよなぁ」
タケシが誰にともなく呟くと、何やら股間が凄いことになった。
3
:
Mr.名無しさん
:2006/12/26(火) 19:36:42
その凄いことというのは・・・今はおいておこう。
タケシがチラシを配っていると、前にもサンタがいて、
そのサンタがチラシを配るせいで、タケシが受け取ってもらえない。
タケシは少しムッとして、そのサンタに話し掛けた。
「あの、もう少し向こうで配ってくれませんか」
「あっすいませんっ」
その声を聞いてタケシは驚いた。
ヒゲと帽子のせいで気づかなかったが、そのサンタは女サンタだったのだ。
「あ、いえ、こちらこそどーもすいません」
タケシは何故か謝っていた。
4
:
Mr.名無しさん
:2006/12/27(水) 15:00:01
「最初から素直にそう言えば良かったんだよ、バーカ」そういい残し、女サンタはその場を後にした。その場に一人残されたタケシは急激に心が寒くなっていくのを感じた。そしてちょっと泣いた。
5
:
Mr.名無しさん
:2006/12/27(水) 15:03:34
苛立ちと悲しみから、タケシはチラシを一枚バリバリと破り捨てた。「くそっ」するとどうだろう。破り捨てたチラシの一片から見知らぬおっさんが出てきたのだ。「ヘロー、僕はチラシの精。なんでも願い事を3つだけ叶えてやろう。うひょっ」
6
:
Mr.名無しさん
:2006/12/27(水) 15:05:52
しかし、無視した。
ところで、股間が凄いことになった。
7
:
Mr.名無しさん
:2006/12/27(水) 15:08:17
どういうふうに凄いことになったかというと・・・口では説明できない・・・
それよりもチラシの精が願い事を言うまで消えないという。
困ったことになった。
8
:
Mr.名無しさん
:2006/12/27(水) 15:13:30
タケシはかなえたい願い事は山ほどあったが、今はバイト中。
こんな人通りの多いところで、
「おっぱいを揉みたい!」
など言えない。女サンタもいるのに言えない。
しかし、チラシの精がいるのは遥か上空。
タケシは決心した。
9
:
Mr.名無しさん
:2006/12/27(水) 19:06:02
「このタケシさまを不老不死にしろーーーーーーー!!!!!!!!!」
無視された。
10
:
Mr.名無しさん
:2006/12/27(水) 19:24:33
チラシの精曰く、不老不死という願いは叶えてやってもやってもいいが、
人間がそれを叶えるとまず間違いなくそいつは不幸になるそうだ。
以前にも何度かチラシの精は人間の前に姿を現したことがあるらしい、
何百年も前に、ある青年に不老不死を授けてやったそうだが、
その青年は二つ目の願いで叶えた不老不死を結局三つ目の願いで取り消しにしたのだとか。
なるほど、そういうものかもしれないな。とタケシは思った。
何百年も前にチラシは存在したのだろうか、とも考えたが、きっとそれはあまり重要でなく
タケシにとっては目の前の三つの願いの方がよほど重要であった。
なんといっても、三つだけしか願いは叶えられない。慎重に考えねばならない。
この手の、ランプから現れた魔人が願い事を叶えてくれるといった
伝説・童話は昔から存在しているが、そんな話に出てくる人間は愚かな、何かしら即物的なもの、例えば金や女を願い、
どういった形であれ身を滅ぼしているような気がする。
普段のタケシなら、きっとそんな事を考えなどしなかっただろう。
何も考えず、恐らくそういった話に登場する愚かな人間と同じ轍を踏んでいたかもしれない。
しかし、今のタケシは何故かそういった慎重に徹した思考が出来た。
11
:
Mr.名無しさん
:2006/12/27(水) 19:39:50
「一つ目の願いは世界平和だ。
出来ることなら、飢餓で苦しんでいる人たちも助けてやって欲しい。
それが一つ目で叶えられないなら、二つ目で叶えてくれ。
三つ目は、そうだな。環境問題でもやっつけてくれないか。」
タケシはそう言った。
「本当にいいのか?」
チラシの精は目を細めて、珍しいものを見るようにタケシを眺めた。
「ああ、どうも考えてみると、いつの時代も人間は
欲を求めて行動すると上手くいかなかったようだしな。
きっと、この選択は世界にとっても俺自身にとっても、最善だと思うんだ。」
雪が降ってきた。タケシは空を見上げた。
「そうか。きっとそうだろうな。」
チラシの精は微笑んで言って、
「願いを叶えてやるよ。」
そう告げて、消えた。
12
:
Mr.名無しさん
:2006/12/27(水) 20:04:29
数日後、東京の最高気温は50度を記録した。
13
:
Mr.名無しさん
:2006/12/27(水) 22:54:19
チラシの精は、死にゆく人々を見て呟いた。
「世界を平和にするにはこれしか方法がなかったんだ、すまないなタケシ……。」
fin
14
:
Mr.名無しさん
:2006/12/28(木) 00:04:37
何を書いているんだか……。
ルーズリーフに薄く書いた、出来損なった短編小説みたいな文章を消しゴムで消す。
今年の冬休みの宿題は、社会科の教師が妙に張り切ったようで、
日本の司法制度についてレポートを書かなければならない。
非常に面倒な事を思いついてくれたものだと、教師に悪態の一つもついてやりたくなる。
僕が今勉強机に向かっているのは、こんなよく分からない小説を書くためでなく、
教科書を見ながら適当にレポートをやっつけてしまおうかと思い立ったからだ。
でも、チラシの精か……、自分の書いた小説を思い出しながら考える。
そんなものが居たら楽しいだろうな、と。
レポートなんて何時だって出来るよな、冬休みが終わるまでにはまだ時間があるし。
そう思い、僕は小説の続きを思い浮かべた。
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