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シクレ応援スレ

1しろは:2017/09/17(日) 02:28:31
シクレキャラの応援イラスト、SSはこちらに提出しましょう。

2相克院 真逆:2017/09/23(土) 12:37:31
『相克院 真逆の誤算』


「……っんだってんだよ、畜生!!」

目の前の敵に、彼は焦っていた。『転校生』である彼がここまで苦戦する局面は久々――もとい、初めてであった。

今回の話にとって、いわゆる噛ませ犬である彼に隠すべき素性は何一つ無い為、ここで諸々を明かしておくとしよう。彼の名は『深江 式久(ふかえ しきひさ)』。能力名は『刀剣疾駆(ブレードランナー)』、その効果は『剣を持つことで自身の速度を2倍にする』能力である。

特筆すべきは2点。ここで挙げる速度とは身体能力だけではなく、彼自身の思考や感覚の全てにおいて影響するということ。これは実質、他人と比較した際に時間を2倍使えることと同義である。そしてもう一つ――剣を持った本数だけ、この能力の効果は重複するということ。

つまり、傍目には狂人としか思えぬ彼のいでたち――両手の指の間に4本ずつ、口に1本、刀を構えた姿――は、決して伊達や酔狂ではないということだ。実際、このスタイルで戦闘を行っている時、彼の体感時間は常人のそれと比べ2の9乗=512倍にまで持ち上がる。速度をそのまま戦闘力と捉えるなら、転校生が所有する無限の攻撃力・防御力が500倍超となり、敵対存在に襲い掛かるということ。単純な殴り合いであれば、彼に勝てる能力者は皆無である。

そして、その単純な強さ故に、彼は目の前の相手――『相克院 真逆』に勝つことは不可能であった。

3相克院 真逆:2017/09/23(土) 12:38:10
「どうしたどうしたぁ、そんなモンかい転校生さん!」

戦闘を開始してから、ゆうに五分以上は経過している。既に万を超える深江の蹴撃(彼は刀を奪われるのを嫌い、主に蹴りを主武器としている)を受けながら、対峙する真逆は傷を負いながらも未だ立っていた。時折繰り出される真逆の拳撃は余裕をもってかわしながらも、深江の中の不安は拭い去れなかった。

(この防御力……明らかに転校生のものと並び立つ、つーかそれ以上だ)

通常の魔人では持ち得ない、超絶防御力。そして彼女の持つそれは、堅さだけで言えば自身よりも上だった。彼女が持つ固有の能力であることは明らかである。

(だからこそ、分からねえ。手応えからして、ダメージは通ってるはずだ……能力のキャパ的には、この防御力だけで一杯と判断できる。一方の攻撃力は、見るからに通常の魔人の域を出ない……相手方の勝ち筋は? 他に隠し玉があるか、あるいは援護待ちか? それとも、そもそも勝つ気が無いのか……?)

深江とて、これまで何度となく修羅場は潜ってきた。相手の反応を見て、ある程度の能力の予測はつく。それが彼の敗因の二つ目でもある。

焦りか、はたまた驕りか。この時点で、深江は既に真逆の能力を読み違えていた。

4相克院 真逆:2017/09/23(土) 12:38:38
(そろそろか……?)

戦闘開始から八分経過。真逆は機を待っていた。相手の情報は事前の通り、単純明快な自己強化。「初陣には"丁度いい相手"だ」。そう、姉様も言っていた。正体不明の能力に対する対応幅は狭く、頭もそれなりには回るが――逆に言えば、物事の奥裏までを読みきる程の手合いではない。

最初はまともにぶつかるだけでいい。というか、勝利条件を満たすだけならそこまでで充分。ここまで殴り合いを長引かせたのは、実戦経験の蓄積とダメ押しの為――どちらも真逆の生真面目さ故だ。

「終わりだよ、転校生」

距離を取り、軽く開いた右拳をぐ、と握る。

「『決死圏(ダイ・ハード)』!!」

瞬間、深江の身体は千千に砕け散っていた。

5相克院 真逆:2017/09/23(土) 12:39:21
(う……お)

真逆の能力が発動し、深江がその痛みを感じ始めた瞬間、漸く彼は彼女の能力を理解した。

(カウンター……か!!)

今受けている攻撃の質は、おそらく自身の蹴り。彼が放った幾千万の蹴りを、そのまま一遍に返されている。数瞬後の死を認識しながら、彼は最期の思案をしていた。

(呼ぶか……奴を……?)

この場での勝敗、そして生死は確定した。これ以上、真逆に対する考察は彼にとって意味を持たない。であれば、この後の事について考えるのが道理である。彼が死んだ後、彼女を生き残らせる事を……許せるか?

(まぁ、気分は良くねえな……)

数コンマ秒悩んだ後、彼は奥歯を三回鳴らした。彼を含め、一部の転校生達に共有されている暗号――『初見殺し(ハロー・グッドバイ)』の呼び出しコード。来るか来ないかはその時次第とも聞くが、もし其れが来たならば、標的となった魔人は『100%死ぬ』。

『初見殺し』は来るのか、来ないのか。その結果を見届けぬまま、深江は絶命した。

6相克院 真逆:2017/09/23(土) 12:40:04
「――ッ!!」

果たして、其れはやって来た。真逆が気配に振り向いた時、其れは既に拳銃を構えていた。目深にフードを被っており、目元は見えない。

(遠距離武器。通常武装なら十分受けが効くが、どうする? 情報が無い。逃げが得策か? 否――見られたなら、ここで消しておきたい)

自己との幾つかの問答を終え、真逆は其れに向かって走った。拳銃の有効射程から逃れ、一先ずインファイトに持ち込み様子を見る。15秒で今後の展開が見通せなければ、あるいは不利と判断した時点で即撤退。大雑把なプランを立て、真逆は近距離まで飛び込んだ。

「ああ。助かるよ」

其れは構えた銃をあっさりと仕舞い、懐から大振りのナイフを手にした。

「真面目で真っ直ぐで、読みやすい」

攻撃に移る――その瞬間、真逆は自身の身体が脱力していくのが分かった。

(っ、奴の能力――いや)

ナイフの切っ先が、真逆の左胸に吸い込まれる。あれだけの転校生の攻撃を受けきった真逆の身体に、その刃はあっさりと致命傷を刻んだ。

「か、は――」

前のめりに倒れる真逆。地面に赤色の染みが広がる。

彼女の絶命を待たずして、既に其れはその場を去っていた。

7相克院 真逆:2017/09/23(土) 12:41:17
「――そういえばあんたの妹……相克院ちゃんだっけ? どうしてるの、最近」

ガラケーを手に、ポニーテールの少女が世間話をしている。

『あー。……死んじゃった』

「……ん。そうなの」

『ターゲットは死んでたから、任務は無事果たせたんだと思う。多分その後、イレギュラーに殺られた』

「正体は?」

『不明。死因はナイフで急所を一突き。ナイフ、その他の痕跡に該当するマエ(前科)は無し。99%、全無効相手』

「データベースに無い全無効か――気の毒にね」

 少し落ち込むような電話口の相手に、しかし少女は遠慮なく言い放つ。

「あ、でも、それなら丁度いいや」

『は?』

「名義、貸してよ。私も今度、表舞台に出なきゃいけなくなったから」

『ん、あ、ああ……聖子も妹、作るんだ?』

「うん、流石に騎士沢の姓は使えないからさ。今度のハルマゲドンで結果を出せって、他の家に言われてね」

『ふうん。やれんの?』

「五分五分かなぁー。センセの能力チューン次第ってところもあるし」

『んん。ま、最悪死んでもヒルコが居るからね、死体の原型さえ残ってれば』

「保険に頼るつもりは無いよ。私らはいつでも死ぬ気、でしょ」

『そーでした。私達"姉妹達(シスターズ)"は』

「何時如何なる時も一心同体、ってね。また連絡する」

『偽装工作は進めとくよ。しっかりやりな、聖子』

聖子と呼ばれた少女――その後、相克院 真逆を名乗る少女。

「今度の『転校生狩り』は簡単にいかないよねえ、へへ」

今までにない計算の立たない勝負に、しかし少女は笑みを浮かべた。(終)

8相克院 真逆:2017/09/23(土) 12:55:02
(登場人物・能力)

相克院 真逆(本物)
『決死圏(ダイ・ハード)』
自身が敵から受けた攻撃のダメージをそのまま返す。即時反撃の他、10分間までダメージを貯蓄しそれを一遍に返すこともできる。

深江 式久
『刀剣疾駆(ブレードランナー)』
剣を持つことで自身の速度(身体・思考共)を2倍にする。剣を持った本数だけ能力効果は重複する。

????
『初見殺し(ハロー・グッドバイ)』
初対面(=相手が自分を認識する)から8秒以内の相手に対し、全ての魔人能力(身体強化含む)を無効化する。効果発揮のための射程範囲は半径1m内。


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