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魔人陣営SS置き場

5恐野 ティラ子:2017/09/22(金) 23:10:01
 男が刃物を取り出した一瞬、視線が隣の友人に向いたのをティラ子は見逃さなかった。
逃げてと、声を出すよりも先に静寂を破ったのはガラスの割れる音。

「――――――!!!」

 頭より先に体が動いた。尻尾でナイフを叩き落とし、床を抉りながら渾身の力で壁に
突進する。唸る尻尾が崩れ落ちてゆく瓦礫を男へ弾き飛ばし飛翔物と共に駆ける、
そして頭蓋骨を砕くために噛みつこうとしたその時――――

「アヒル・アワル」

 突然何かの舞台装置のような物に遮られ、体は光に包まれていた。
何が起きたかわからなかったが、確実に解る事は一つ。

「あの男、魔人ね」

 まずは状況を考える。
 反撃が来ないという事は攻撃能力では無いという事。
 塵一つ舞っていないから別の空間に居るかもしれない。
 コンクリート片が一つも当たった様子が無かった事。

「防御系の能力……それも罠みたいに置くタイプ。おまけに閉じ込められてるわね」

 警戒しつつ周囲を観察するティラ子。目に映る景色はまるで影絵の様な世界。
途方に暮れ始めた時、世界の外から声が聞こえた。


「ようこそ!僕の人形劇へ。君は今、現実から切り離されて僕の演じる
ワヤン・クリの世界に居るんだよ。この空間は特殊でね、人形劇の外の出来事を
人形劇の一部にしてしまうんだ。」

 世界に人形のような影がお遊戯をするように動き始める。

「例えば、物凄い能力で襲われても、その能力が人形劇の一部になってしまえば
人形劇の外に居る人達には無害になってしまうからね。今回は特別に君自身を人形劇
の中に放り込んだ形になるのかな。」

 ティラ子はこの状況を脱出できないと悟り。「何が目的なのよ」と呟きながら
空から聞こえる声に耳を傾け大人しくする事にした。

 ランプ・テールは知る由もないだろう。
解放した時、彼女に待ち受けるのは無情の科学者の群れだと知らずに――――




――数カ月後

 ランプ・テールは今日も生徒を観察して、日に日に増えていく転校生をリストにまとめて報告する。
転校生化が著しく増えた頃、機関からこの現象の発端の排除及び増え過ぎた転校生の総数調整
のための駆除活動を任じられ、現地の協力者達と一緒に魔人の命運をかけた戦いに挑むのであった。


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