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魔人陣営SS置き場

4恐野 ティラ子:2017/09/22(金) 23:09:01
『邂逅』

  彼女はある日突然、恐竜となった。恐野ティラ子と言う名前もその時決めた。
  人と変わらない程度の大きさで、書き物はテレキネシスで問題なく出来る。
  座席に座れない等の不便はあるが大した問題じゃない。が、一つ大事な問題がある。
 


「それは……服が無い事」
  
「突然真面目な顔?してどうしたの?それに、制服着てるから服はあるじゃない」
  
 恐野は尻尾を上下に揺らしながら答える。 
  
「違うのよ。私には太い尻尾に逞しい脚という獣脚類的にエロい要素があるのに、誰も見向きもしないのよ。
だから服でなんとかしようと思ったんだけど……どうかな?」
  
 希望崎学園は人外生徒用に、校章が入っていれば制服以外での登校を許可されているが
不公平だと言う声も上がる事もあり。実際に許可された事例は多くはないのである。
 
「パンツモロ見えだけど学校支給の制服が着れてるから申請通らないんじゃないかなぁ。
それとティラ子ちゃん、尻尾で後ろの男子の股間刺激してるの気付いてる?」

 振り向いて男子生徒を見るティラ子。男子生徒を凝視したまま少し考え、パンツを
下す素振りをすると男子生徒はそそくさと立ち去って行った。「さて、続けま――」
と視線の先にはティラ子が呆気にとられるのに十分すぎるほど、学校には不自然で存在感のある男が居た。
 
 浅黒い肌に金色の長髪を後ろで結い、深い緑色のツナギの中にスーツを着た帽子の男。その瞳は瞬きすら
せずにティラ子を捉えて離さない。数秒が長く感じる、時間が凍り空気が止まってみえる錯覚すら覚える。
ティラ子はその男から目を離せなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 恐野ティラ子、最重要観察保護対象、過去に事例の無い元人間の恐竜。
「環境保全機関が"連れ帰って来い"なんて任務をよこすなんて不穏でしかないね」
 僕はランプ・テール。環境保全機関のエージェントの中の一人。ここ、希望崎学園
には度々仕事で来るけど、今回みたいな仕事は正直違和感を感じる。仕事の流れは
特殊能力の把握、身体能力の計測、転校生化の兆しの有無、そして対象の捕獲。
その異形が窓ガラス越しにこちらを睨みつけている。

「舞台は用意してある。後は仕掛けさせるだけ」

「僕はいつも通りに仕事をこなすだけでいい」

「そして連れ帰って、近い未来に起こる戦いの為に!」
    
 ランプ・テールは投げナイフを取り出し、構える。そして、異形の隣に居る
女子生徒へ投げた。ナイフがガラスを突き抜けるのを感じたその時――


 一瞬だった。弾丸の様に飛んでくるコンクリート片。
 
 鋭いガラス片が触れる物全てを引き裂こうとする。
 
 異形の牙が僕の頭を食い千切ろうと迫ってくる。

「アヒル・アワル」
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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